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池田参考人 先ほど御
紹介にあずかりました
全国農業会議所の
池田でございます。本日は、当
委員会におきまして、われわれに
参考人として
意見の開陳の場を与えていただきまして、厚くお礼を申し上げたいと存じます。
さて、先ほど来いろいろお話がすでにございまして、農業
会議所も、農業団体の一員といたしまして、
農協に統一
米価の要求ということで今日皆様方にいろいろお願いを申し上げておるわけでございまして、考え方は全く同じでございます。ただ、米審等で議論が今日いろいろ展開されておりますけれ
ども、米審の中の議論を聞いておりますと、
政府自体がわれわれの団体の考え方を採用しないで、ほかの考え方に立って、御
承知のように
指数化方式あるいは積み上げ計算
方式というような形で諮問をされ、これをめぐりましていろいろ議論がされております。特に、中立系の
委員を中心として、
指数化方式を堅持しようという空気がかなり強く、議論が行なわれておることを実は聞き及んでおるわけでございます。われわれは、どうしてもこの
指数化方式には正面から反対をしなければならない、こういう立場におるわけでございまして、先ほど中央会の
吉田理事からもるるお話があり、またその他の
方々からもお話がございましたので、あらためてこれに対する問題は申し上げる必要はないと思いますが、農業
会議所といたしまして、米をめぐる最近の論争点、そういう問題につきまして、われわれの考え方をお手元に資料として差し上げてございますので、
あとでいろいろ御
参考にお読みを願いたいと思います。
特に、この
指数化方式につきましては、三十九年度の
米価を基礎として、これに稲作の
生産の変化率をただ機械的にかけていく、こういうことで簡単に
米価を出そう、こういうことでございまして、われわれは、三十九年の
米価そのものの基礎が非常に問題である、こういう立場から、この問題につきまして昨年もいろいろ指摘をし、そういう点に対する考え方を批判をしてまいったわけでございます。本年も同じような考え方がもしまかり通るということになりますと、これは、稲作の
生産の姿ということを全く理解しない形で、強引にただ掛け算で押し切ってしまう、こういうことに相なるわけでございまして、その辺の問題につきましては、皆様方のところでも十分御
検討を願いたい中心の問題点でございます。
それならば、積み上げ計算
方式はどうかという議論に相なるわけでございます。
これにつきましては、先ほど日農の方からお話がございましたように、
昭和三十九年までは、考え方は
政府とはかなり食い違っておりましたけれ
ども、同じような問題を整理しながら、毎年これらの問題につきまして、特に国会の
先生方各位の御
努力を背景として、改善すべき点は改善をしてまいった。そういうことが三十九年の
米価方式であり、水準になっておったわけでございますが、そのこと自体に問題がある。
そこで、本年米審に出されておる
積み上げ方式の中身を見ますと、その中に昨年とは若干違った変化が出ておることは、すでに御案内のとおりでございます。
一つは地代の問題であり、
一つは付帯労働の問題でございます。
地代につきましては、農業団体は、すでに皆様方にお願いを申し上げておりますように固定資産税の評価額を売買の実際に修正をいたしまして、それに
農協の利子をかけてはじく、こういうことをお願いをいたしておるわけでございますが、その一部を採用いたしまして、地代につきましては、若干従来の考え方を捨ててもいい、特に積み上げ計算
方式では捨ててもいい、こういう片りんがあらわれておるわけでございます。お手元の資料に、地代の問題につきまして若干
数字的なことを入れまして差し上げてございますので、それをごらん願いたいと思うわけでございますが、われわれの考え方でまいりますと、この試算1、これが農業団体の主張でございます。この中にありますような、いわゆる正常売買
価格に修正する、こういう問題を採用しないで、固定資産の評価額そのものに利子をかけて、それで
資本利子という形で地代を出す、これが目下
政府が米審に出している考え方でございます。
われわれは、地代というものについてもう少し客観的にものを考えてまいりますならば、農地の売買の
調査というものは農業
会議所も行なっておりますし、また不動産研究所も行なっておることは御案内のとおりでございます。それの新しい
数字の過去三年をとりまして、その中庸点を考えますと、その試算2にありますように、二十一万六千二百十七円、これは不動産研究所の第三者の
数字をとりましてもこういう
数字があることは御案内のとおりでございまして、これで具体的には水田の売買が行なわれているわけでございます。しかし、これにつきましては、いわゆる買い足しと申しますか、全体の農場単位での売買というものがわが国において行なわれていないというような実態との
関係におきまして、これをいわゆる農場単位の売買というような形での考え方に修正をするというようなことになりますと、十一万八千九百十九円、こういう
数字になるわけでございます。これに利子をかけて出しますと、ここに試算が出ておりますように、石当たり千九百五十五円。私
どもは、きわめて客観的にものの売買というような筋からこの地代の問題も考えますと、千九百五十五円というのが正当であると思います。しかしながら、こういう
数字の基礎につきましていろいろ議論も出てまいるというような観点から、地代につきましては、少なくとも自治省という
政府が固定資産というものをはっきり評価をしておる、
政府が権威があるとは思いませんけれ
ども、少なくとも
政府がそれをきめている、そこで、この
数字を正常売買
価格に直して、これに利子をかける、こういうような考え方で地代の問題を本年は何としても取り上げていただきたいということを特にお願い申し上げたいと思います。
これで試算をいたしますと、この面だけでもわれわれの要求に
一つ近づくわけでございまして、かなりの金額がこれで上乗せになるというようなことが実現できるわけでございます。この点は特に御要望を切に申し上げたい一点でございます。
それから、農業団体の中で昨年から、実際は一昨年からでございましたけれ
ども、特に昨年から労賃の計算につきましていろいろ議論があったというような立場におきまして、少なくとも最も明快にわかりやすいというような意味におきまして、都市の労賃と生活費と
所得と、稲作から出る
所得、これから逆算をして労賃の評価を出す、こういう考え方をわれわれは強く打ち出しておるわけでございますけれ
ども、この問題につきましてなかなか御理解が得られない、労賃の舞台におきましてもまだそういう議論が中心になって展開されないということで、非常に残念に考えておるわけでございますが、それならば、いわゆる
政府が考えておる
指数化方式は論外といたしまして、少なくとも
積み上げ方式の中で一体労賃問題をどういうふうに捕捉しようとして
努力しているかというような一、二の例といたしまして、実はお手元に資料として差し上げてあるわけでございます。
ことしは、付帯労働という形で一・五時間というものが米審の資料の中に新しい要素としてあらわれていることは御案内のとおりでございます。
しかし、これは、いわゆる共同作業をするとか、あるいは農薬の共同撒布をするとか、そういう場合の一部の打ち合わせの時間というようなものだけをとりまして、農業団体の
調査では、その他いろいろな管理労働に含まれまする問題があるわけでございます。そういうものは全部オミットして、一・五時間というわずかなものだけをちょこっと頭を出している。こういうようなことでは絶対に了解ができないわけでございまして、特に農業
会議所がことし
調査をいたしまして、そういう問題が一体どういう実態であるかということ、これもお手元に一応御
参考のために資料として差し上げてございますので、それをひとつごらんを願いたいと思います。一番うしろの付表でございます。なお、これに対する
調査は、お手元に
調査の
調査表も差し上げてございます。われわれは良心的にこの
調査をやったつもりでございまして、これに基づきますと、その資料にもございますように、石当たりにいたしまして、五百八十八円、こういう
数字がいわゆる付帯労働、管理労働として出てくる。われわれが五百九十五戸の農家につきまして詳細に
調査をした集計でございまして、これは時間にいたしますと、手元にございますように、五・七四時間ということに相なるわけでございます。これだけのものがあるにかかわらず、その中の一・五時間ぐらいだけを
政府は一応ちょこっと出してきた、実はこれが現状でございます。特に、われわれの
調査では、付帯労働は、単に時間がかかるということではなくて、付帯労働に伴ういわゆる物財費というものがあることは常識でもわかるわけでございまして、たとえば、集会に参加するということになりますと、それに伴う交通費も要ります。また、簿記の記帳をするということになりますれば、簿記の帳簿も要るわけでございます。また、技術研修に行くということになれば、当然旅費も要り、また、オートバイで行く場合にはガソリン等も要るというようなことが当然あるわけでございまして、この際そういう問題につきましては物財の面も実は
調査をしてみたわけでございます。そういたしますと、十アール当たり、物財のほうでは三百八十二円、こういう
数字が具体的に出ておるわけでございます。それらを含めますと、試算の結果としては、五百八十八円、実はこういう
数字が石当たり出るわけでございますが、
政府はその中の一部しかとっていない。しかも、話を聞いてみますと、
政府は管理労働につきましては本年は
調査をやらなかった、昨年の
調査の
数字をことしそのまま置きかえている。われわれ従来ずっと長い間この
調査をやっておりまして、特に本年は補完
調査という形でさらに詳細にやったわけでございます。その
経過を見ますと、毎年付帯労働というものは、やはり農業の
生産の構造その他の相違との関連におきまして、年々これが増加をしてきておるというのが、われわれの
数字からも実はあるわけでございます。
政府は、ことしはそういうことをやらないで、昨年の
数字の中からちょびっと一部のもの出した。こういう問題を
一つ取り上げてまいりましても、
政府の
積み上げ方式、特に労賃の計算の名におきますところのそういう問題につきましては、まだまだ問題がたくさん残されておるということが御了解できるのではないかというふうに思うわけでございます。なお、
会議時間等につきましても、どういうふうな
調査をしてみたらいいか、いろいろ研究はしておりますけれ
ども、これは
調査そのものがなかなかむずかしいということで、実は農業団体のほうもそこまでは入っておりません。
そういうことを考えてまいりますと、労働の捕捉というものは非常にむずかしい問題である。
内容なりその意義は十分了解されても、そのこと自体をどういうふうに捕捉するかは非常に困難である。付帯労働につきましては、正確に捕捉すると
政府の
調査とはこれだけの食い違いがあるというような問題等も含めまして、その辺もひとつ十分御勘案の上、いろいろと御
検討を願いたい思うわけでございまして、そういうような意味合いにおきまして、われわれは今後ともそういう
調査の面におきましては
努力はいたしますけれ
ども、この段階におきましては、われわれの労働に対する考え方は、やはり、いろいろ議論はあると思いますけれ
ども、直截的に捕捉できるわれわれの
所得均衡方式に基づくべきものであって、それ以外に、労働の捕捉というものをこまかにいろいろ分析して捕捉する
努力はいたしますけれ
ども、なかなかこれは困難である。付帯労働
一つだけとりましてもこういう問題があるということをひとつ十分御認識を願いたいと思うわけでございます。
なお、
米価を取り巻くいろいろの論争の背景等につきましては、これは釈迦に説法でございますので申し上げませんけれ
ども、そういう諸点につきましてはいろいろとこれに書いておきましたので
あとでごらんを願いたいと存じます。
特に最後に申し上げたいことは、こういう
価格問題につきまして、われわれが毎年これらの問題について
先生方にいろいろな御心配をかけなければならぬ、そういう
一つの問題が起ってくる原因につきましては、しかも、消費者なり、いろいろな理解の足らないマスコミなり、そういうところからいろいろ批判を受けることにつきましては、われわれは非常に残念に思うわけでございますが、そのことは、
農民の立場から言いましても、できるだけコストを下げて安い食糧を
国民に提供する、こういう考え方は常に持っておると思うのであります。しかしながら、そういう基本的な、いわゆる構造政策的なものがおくれている。そういうことに国がもっと積極的になって、そういう金を十分つぎ込んでいく、しかも、できるだけ早い期間にそういう構造を改善し、つくり直す、こういうような政策がおくれているがために、われわれはどうしても
価格問題で毎年勝負しなければならぬ。こういう
農民の立場も十分御了承願いまして、
米価問題ではひとつわれわれの考えを何とか十分に御配慮の上取り上げていただくと同時に、一面、そういう政策的な面で、
日本の農業の構造が外国に比してもそう劣らないようにするためにどういうふうに仕上げたらいいかというような問題に中心の政策を強くお進め願いたいというふうに考えるわけでございます。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)