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1967-07-11 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十一日(火曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 高見 三郎君 理事 森田重次郎君    理事 石田 宥全君 理事 東海林 稔君    理事 中村 時雄君       安倍晋太郎君    小沢佐重喜君       小澤 太郎君    鹿野 彦吉君       熊谷 義雄君    小山 長規君       坂田 英一君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    藤田 義光君       湊  徹郎君    粟山  秀君       赤路 友藏君    兒玉 末男君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    島口重次郎君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    斎藤  実君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省園芸局長 八塚 陽介君  委員外出席者         農林省農林経済         局保険管理課長 斎藤 吉郎君         農林省農林水産         技術会議事務局         研究調査官   畑井 直樹君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 七月八日  国有林野の活用に関する法律案内閣提出第一  四七号)     ————————————— 同月六日  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(千葉  佳男君紹介)(第二四八二号)  同(内藤隆紹介)(第二四八三号)  同(森義視紹介)(第二五六〇号)  昭和四十二年産なたね基準価格に関する請願  (川崎寛治紹介)(第二四八四号)  同外一件(床次徳二紹介)(第二四八五号)  同(橋口隆紹介)(第二四八六号)  同外十六件(森田重次郎紹介)(第二四八七  号)  同(上林山榮吉君紹介)(第二四八八号)  同外十二件(大坪保雄紹介)(第二五六一  号)  同外二件(野呂恭一紹介)(第二五六二号)  同外十三件(保利茂紹介)(第二五六三号)  同(三池信紹介)(第二五六四号)  同外二十件(山崎巖紹介)(第二五六五号)  同外四件(小澤太郎紹介)(第二六四二号)  同外二十件(中村寅太紹介)(第二六四三  号)  同(三原朝雄紹介)(第二六四四号)  昭和四十二年産生産者米価に関する請願外三件  (大竹太郎紹介)(第二四八九号)  同外三件(大野市郎紹介)(第二四九〇号)  同(太田一夫紹介)(第二四九一号)  同外二十一件(小宮山重四郎紹介)(第二四  九二号)  同外一件(周東英雄紹介)(第二四九三号)  同(田村元紹介)(第二四九四号)  同外六件(谷垣專一君紹介)(第二四九五号)  同外六件(塚田徹紹介)(第二四九六号)  同(丹羽久章紹介)(第二四九七号)  同外五件(芳賀貢紹介)(第二四九八号)  同外五件(平林剛紹介)(第二四九九号)  同外五件(山田敏夫紹介)(第二五〇〇号)  同外九件(渡辺肇紹介)(第二五〇一号)  同外二件(渡辺芳男紹介)(第二五〇二号)  同外十二件(河野洋平紹介)(第二五〇三  号)  同(中馬辰猪紹介)(第二五〇四号)  同外一件(岡本隆一紹介)(第二五〇五号)  同外一件(佐々木義武紹介)(第二五〇六  号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二五〇七号)  同外四件(青木正久紹介)(第二五六六号)  同外十四件(猪俣浩三紹介)(第二五六七  号)  同外三件(大野市郎紹介)(第二五六八号)  同外一件(岡本隆一紹介)(第二五六九号)  同外三件(小泉純也君紹介)(第二五七〇号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二五七一号)  同外一件(砂原格紹介)(第二五七二号)  同(只松祐治紹介)(第二五七三号)  同外四件(塚田徹紹介)(第二五七四号)  同外十二件(永山忠則紹介)(第二五七五  号)  同(西宮弘紹介)(第二五七六号)  同(芳賀貢紹介)(第二五七七号)  同外十件(藤山愛一郎紹介)(第二五七八  号)  同外八件(三宅正一紹介)(第二五七九号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第二五八〇号)  同外九件(山中吾郎紹介)(第二五八一号)  同外十一件(早稻田柳右エ門紹介)(第二五  八二号)  同外一件(渡辺惣蔵紹介)(第二五八三号)  同(受田新吉紹介)(第二五八四号)  同(小平忠紹介)(第二五八五号)  同外三件(玉置一徳紹介)(第二五八六号)  同外四件(塚本三郎紹介)(第二五八七号)  同外二件(吉田賢一紹介)(第二五八八号)  同外七件(小澤太郎紹介)(第二六一六号)  同外十三件(小沢貞孝紹介)(第二六一七  号)  同(太田一夫紹介)(第二六一八号)  同(岡本隆一紹介)(第二六一九号)  同外三件(河村勝紹介)(第二六二〇号)  同外二件(倉成正紹介)(第二六二一号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第二六二二号)  同(小平忠紹介)(第二六二三号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二六二四号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第二六二五  号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二六二六号)  同(佐野憲治紹介)(第二六二七号)  同外十二件(下平正一紹介)(第二六二八  号)  同外十一件(高橋清一郎紹介)(第二六二九  号)  同(中馬辰猪紹介)(第二六三〇号)  同外五件(中谷鉄也紹介)(第二六三一号)  同外一件(灘尾弘吉紹介)(第二六三二号)  同(丹羽久章紹介)(第二六三三号)  同(芳賀貢紹介)(第二六三四号)  同(平林剛紹介)(第二六三五号)  同外十一件(山本弥之助紹介)(第二六三六  号)  同(柳田秀一紹介)(第二六三七号)  同外六件(山口敏夫紹介)(第二六三八号)  同外六件(山下榮二紹介)(第二六三九号)  昭和四十二年産生産者米麦価に関する請願(中  村時雄紹介)(第二五八九号)  農業協同組合農事放送施設助成に関する請願  (赤城宗徳紹介)(第二六四〇号)  養ほう業者の保護育成に関する請願二階堂進  君紹介)(第二六四一号)     ————————————— 同月十日  森林開発公団造林事業推進に関する請願(池  田清志紹介)(第二七八五号)  昭和四十二年産生産者米価に関する請願太田  一夫紹介)(第二七八八号)  同(春日一幸紹介)(第二七八九号)  同(久保三郎紹介)(第二七九〇号)  同(小平忠紹介)(第二七九一号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二七九二号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第二七九三  号)  同外一件(東海林稔紹介)(第二七九四号)  同(田中龍夫紹介)(第二七九五号)  同(内藤良平紹介)(第二七九六号)  同外五件(永田亮一紹介)(第二七九七号)  同(丹羽久章紹介)(第二七九八号)  同外十一件(平岡忠次郎紹介)(第二七九九  号)  同(古川丈吉紹介)(第二八〇〇号)  同外二件(益谷秀次紹介)(第二八〇一号)  同外二十三件(村山達雄紹介)(第二八〇二  号)  同外二件(山口敏夫紹介)(第二八〇三号)  同外一件(渡辺肇紹介)(第二八〇四号)  同外二件(大野市郎紹介)(第二八〇五号)  同外三件(猪俣浩三紹介)(第二八三四号)  同外二件(大竹太郎紹介)(第二八三五号)  同外八件(加藤万吉紹介(第二八三六号)  同(小平忠紹介)(第二八三七号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二八三八号)  同(丹羽久章紹介)(第二八三九号)  同外八件(川崎秀二紹介)(第二八四〇号)  同外八件(青木正久紹介)(第二八九四号)  同(小澤太郎紹介)(第二八九五号)  同外八件(大野市郎紹介)(第二八九六号)  同外二件(佐藤觀次郎紹介)(第二八九七  号)  同外八件(佐藤洋之助紹介)(第二八九八  号)  同外十五件(砂原格紹介)(第二八九九号)  同外十一件(谷垣專一君紹介)(第二九〇〇  号)  同外三件(永山忠則紹介)(第二九〇一号)  同(丹羽久章紹介)(第二九〇二号)  同外一件(原田憲紹介)(第二九〇三号)  同外十件(穗積七郎紹介)(第二九〇四号)  同外三件(柳田秀一紹介)(第二九〇五号)  同(和爾俊二郎紹介)(第二九〇六号)  同外十四件(前尾繁三郎紹介)(第二九〇七  号)  同(毛利松平紹介)(第二九〇八号)  同外七十二件(吉川久衛紹介)(第二九〇九  号)  昭和四十二年産生産者米麦価に関する請願(菅  太郎紹介)(第二八〇六号)  同(村上信二郎紹介)(第二八〇七号)  同(八木徹雄紹介)(第二八〇八号)  土地改良区の統合整備運営費に対する財政措  置に関する請願中山榮一紹介)(第二八三  三号)  同外四件(赤城宗徳紹介)(第二八八六号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二八八七号)  同外二件(塚原俊郎紹介)(第二八八八号)  同(登坂重次郎紹介)(第二八八九号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第二八九〇号)  同(葉梨信行紹介)(第二八九一号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二八九二号)  中小企業を圧迫する農協事業の是正に関する請  願(森田重次郎紹介)(第二八九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  果樹保険臨時措置法案内閣提出第一二一号)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  果樹保険臨時措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島口重次郎君。
  3. 島口重次郎

    島口委員 前回に引き続きましてお尋ねしたいと思います。  今度の暫定法果樹保険対象になるのはこの政令等で書いておりますけれども、将来の構想、それらにつきまして概略お話し願いたいと思います。
  4. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども現在予定しております試験実施において直ちにこれを保険対象として実施いたそうと思っておりますのは、ミカン、ナツミカンリンゴ、ナシ、桃及びブドウの六種でございます。
  5. 島口重次郎

    島口委員 試験実施段階では、倉成委員質問にもあるとおり、そのほかにはカキだけを見込んでおるようですけれども、それ以外見ておらぬですか。
  6. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども三十八年から四十年にかけて果樹保険試験調査をいたしましたときは、いま申し上げました六種類のほかに、カキについて試験調査をいたしたわけでございますが、残念ながら、当時カキについての試験調査を希望する県が少なく、実際に試験調査を行ないましたものが岐阜県一県にとどまっておりましたものですから、一県のデータでは、試験実施と申しましても実際の金銭を授受して保険業務を行なうことに不足いたしますので、今回はカキについてこれを直ちに行なうことはやめまして、そのかわり、カキについてなお今後試験実施の過程においてデータを蓄積して、五年間の試験実施の途中において、もし農家からの希望が強ければ、これを取り上げるというつもりでおるわけです。
  7. 島口重次郎

    島口委員 それでは、カキに限らずして、都道府県段階で、これも試験実施段階でやってもらいたい、調査してもらいたいという要請があれば、それをやりますというのですか。
  8. 大和田啓気

    大和田政府委員 カキを含みまして七つの果樹種類でございますが、果樹振興法等によります指定果実は、実はもう少し多いわけでございます。ただ、果樹保険対象にいたしますためには、当然、全国的に見て相当な面積がありますことと、収穫量が相当ありますこととに加えて、果樹園を十分形成しているかどうか、あるいは被害査定がうまくできるかどうか、あるいは共同選果共同出荷等に乗っていて基準収穫量査定が十分できるかどうかというような条件がいろいろございますので、今後果樹振興法の運用ともあわせて、申し上げました七種類果樹以外は保険として取り上げないというふうには申し上げませんけれども、ただいまの予定といたしましては、この七種類のほかには果樹保険を早急に拡張するというふうには現在のところ考えておらないわけでございます。
  9. 島口重次郎

    島口委員 スイカなどは、全国的な生産状況、それから、ただいま局長がおっしゃるような出荷体制など、保険が適用になる具体的な条件等を検討いたしまして、やり得るかどうか。その点はどうなんですか。
  10. 大和田啓気

    大和田政府委員 スイカは、果樹振興法のたてまえでも果樹としては取り扱っておりませんで、これは野菜の中に入るものでございますから、果樹保険対象としては取り上げにくいものだと考えております。
  11. 島口重次郎

    島口委員 それでは、もしやり得るとすればどの種類考えているのですか。
  12. 大和田啓気

    大和田政府委員 今後の推移によるわけでありますけれども、ただいまのところは取り上げる予定になっておりませんが今後の問題として検討いたすべきものとしては、クリなどがその一つの例ではないだろうかというふうに考えております。
  13. 島口重次郎

    島口委員 それから、今度六種目の果樹対象なりますについて、それの病害等対象もおのずから限定があるようでありますけれども、ただいまの病害に限定いたしました理由、それから、もっと拡大し得る可能性のあるものは、どういうところを拡大していくか、その点の見解を伺いたい。
  14. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、三十八年ないし四十年の調査を見ましても、また果樹栽培専門家等の話を聞きましても、果樹病虫害防除共同で熱心にやれば大体において防げるというものがございます。したがいまして、そういういわば人力をもってといいますか、共同防除をすれば防げるようなものを保険対象とすることは、これは当然モラルリスクの問題にもかかわるわけでありますから、人の力ではなかなか防ぎ切れないような病害、たとえばミカンについてはかいよう病リンゴについてはモニリア病、そういうものについて保険事故として考えておるわけでございます。したがいまして、今後病虫害をどの程度保険事故として広げるかということでございますが、いまのような観点に立ちまして、栽培努力によって防除し得るものはこれは保険事故とはしない、栽培努力によって除去しがたいようなものが今後試験実施の結果においていろいろあらわれるならば、それを指定することが考えられるというふうに考えておるわけでございます。
  15. 島口重次郎

    島口委員 全国農協中央会などの意見書を見ますと、リンゴでは斑落病ブドウにおいてはネムリ病等を入れることが妥当ではないかと言っております。よく局長があらゆる理論的な根拠として持ち出してくるのは、世論調査であるとか、全中がこうだとか言いますけれども全中はこういう意見書を出しております。これに対する見解はどうなのですか。
  16. 大和田啓気

    大和田政府委員 中央会専門家とも話し合いをいたしたわけでありますが、当面取り上げます病害といたしましては、私が申し上げましたようなことに限ってこれを行ないたい。なお、中央会から出してきたものにつきましては、私ども当面これは保険事故として加える必要はないと思いますけれども、なお今後十分検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 島口重次郎

    島口委員 全中のほうでは、相当専門的な方がそれぞれあらゆる角度から検討して、やはりこれは入れてもらいたいという強い意見を出されておるようですけれども、先ほどの局長のお話からいたしますると、人為的な共同防除で防止することのできない病害、これを保険対象にするというけれども、あなたのおっしゃるとおりはっきり割り切れるのですか。
  18. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは参考として考えるだけでそうたいして特別な意味はございませんけれども果樹保険で私ども世界に例を求めますと、アメリカとソ連とフランスである程度までやっておるわけであります。アメリカにおきましても、そう広範ではございませんけれどもかんきつ、あるいは干しブドウ、桃について、ある州のある郡においてアメリカ農業保険の公社が任意加入でやっておるわけでございますけれども、そこのかんきつにおきましても、自然的な災害事故保険事故を限りまして、病害虫については保険事故といたしておらないわけでございます。その理由も、病害虫による事故は、農家栽培技術、あるいは熱心さの程度を含めまして栽培技術の水準によって、農家ごとに相当な変異があるわけでございますから、それを保険事故として取り上げることは適当でないという意見であるようであります。私ども、たてまえといたしましては、やはり、農家の熱心な病虫害防除活動を含めて農家努力によってしのげるものと、そうでないものとを分けて、農家努力によっては防げない病害について保険事故として扱うということが筋だというふうに思います。ただ、具体的にどういうものを取り上げるかということは、先ほども申し上げましたように、ただいまの段階においては少ないわけでございますけれども、今後の調査研究によって、あるいはものによりまして、この病害虫保険事故として取り上げることが適当であるというふうに判断をいたしますれば、そのときはこれを取り上げたい。全中から言ってきておりますものも、私どもの今後検討いたしたいことの内容の一つであるわけでございます。
  19. 島口重次郎

    島口委員 それでは、いまの問題は、全中意見書を最大限に尊重してもらいまして、今後の大きな研究課題にしてもらいたいということを要望申し上げておきます。  次は、交付金の問題なんですが、この法案説明書を見ますと、これは掛け金負担金助成ではなくて、加入奨励金になっておる。そういたしますと、試験実施段階では交付金は出てくるけれども、恒久的な制度に移行いたしまする場合どうなるか、この見通しの問題、その見解をお尋ねしたいと思います。
  20. 大和田啓気

    大和田政府委員 五年間の試験実施を終えて本格的な果樹保険を実施いたします場合に、加入任意とするのがいいか、強制といいますか、当然成立とするのがいいかということも大きな論点になるであろうと思います。私ども、少なくとも試験実施段階におきましては任意成立ということで考えて、したがいまして、それに応じて、一種の協力奨励金といいますか、加入奨励金といいますか、そういうものの考え交付金構想をいたしたわけでございます。私ども、今後試験実施の結果どういう結論が出るか、いまから予断はできませんけれども果樹栽培農業あるいは果樹農家性格から言って、やはり強制加入の方式というものは、なかなかとることがむずかしいではないだろうかという大体の見当はつけておるわけでございます。これは将来試験実施の結果また私ども考えが変わるかもしれませんけれども、現在の見通しとしては、任意加入ということがいいのではないかという感じを持っておるわけでございます。したがいまして、その場合、もし任意加入ということでいきますと、農作物共済でやっております掛け金国庫負担ということはやはりとりがたいわけです。しかし、果樹保険そのものは、保険実施段階でも、あるいはこれを本格的に行ないます段階におきましても、果樹農家の経営の、安定ということを考えてやるわけでありますから、その加入を奨励しますために何ほどかの加入奨励金的なものがあることが望ましいというふうに思います。試験実施段階で、交付金のことを考えまして、本格実施においてそういうものを必ず出すというふうにお約束はできないわけでございますけれども本格実施の場合にはもう何も国として助成をする必要がないというふうには考えておらないということだけを申し上げておきたいと思います。
  21. 島口重次郎

    島口委員 水稲やら陸稲あるいは麦等に比較いたしますと、ただいま申し上げましたとおり、掛け金補助金交付金との性格は違うけれども、それぞれ負担をしてやるということにおいては共通性があるわけでありますが、その負担いたしまする際の率におきましても、果樹のほうははるかに低い。これは局長おっしゃるとおり、一方は強制加入であり、一方は任意加入である、こういう見解だろうと思いますけれども、それなるがゆえに、やはり少なく出しているのだから、交付金制度というものは、五年後において半永久的な法律に移行いたします際にも、ぜひとも継続をしてもらいたい。私より強く要請を申し上げておきます。  それから、日本全国で、水稲やら蚕繭等における共済で、地方団体である程度掛け金助成を出しているところがありますか。
  22. 大和田啓気

    大和田政府委員 地方団体掛け金補助をしているということは、私は承知いたしておりません。もしどこかにあるといたしましても、きわめて小範囲であろうと思います。
  23. 島口重次郎

    島口委員 やはり農政のあり方として、国が掛け金助成をしなければならないという前提をとっているたてまえから申しますと、大なりとも小なりとも地方団体にもやってもらうということも考えてもよろしいではないか。そういう面から言いまして、農林省見解はどうなんでしょうか。
  24. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども果樹保険試験実施段階におきまして、ある程度助成をできれば都道府県お願いをするつもりでおりますが、しかし、都道府県あるいは市町村に具体的に掛け金についての補助をすることを依頼するというふうにはただいまのところ考えておりません。ただ、市町村あるいは都道府県等において、果樹保険試験実施についてそれを推進するために、若干の掛け金助成をしてくれる向きがございますれば、それは私どもとしてははなはだ歓迎いたすものでございます。
  25. 島口重次郎

    島口委員 これはなかなかめんどうな問題だと思います。果樹だけに出して、他のほうに出さない、そういう片手落ちのこともできないと思いますので、やはり全面的な立場からこれを取り上げなければならぬだろうと思います。どれから先にやるかということは、名都道府県において特別な事情でおのずから相違するところもあると思いますから、したがって、果樹からやってもらってもけっこう、水稲からやってもらってもけっこうなんでありますが、いずれにいたしましても、国策的な立場から見て地方団体にも助成をしてもらうことが妥当だ、こういう見解を国が持った場合は、都道府県なり市町村のほうなりに、農林省見解として、御協力をしてもらいたいというような行政指導をとるなり、そういう体制をとることが妥当ではないか、こう考えますが、そういう点はどうなんでしょうか。
  26. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども農作物あるいは家畜、蚕繭等共済と違いまして、試験実施として新しく出発するわけでございますから、その試験実施の期間に限って、これを円滑に運営するために、県なりあるいは市町村なり掛け金について若干の助成をするということは、たいへん歓迎すべきことであろうというふうには思います。ただ、地方財政の問題もございますので、掛け金について助成をしてくれるようにということを都道府県なり市町村なりに直接農林省からお願いをするというふうには、いまのところ考えておらないわけでございます。
  27. 島口重次郎

    島口委員 財政的な事情は、なるほど地方自治団体相当緊迫をしておりますので、理由としてはうなづけます。しかし、これをやってもらうことが妥当である、適正であるという見解農林省が持った場合には、積極的にそういう措置をとることが必要ではないですか。
  28. 大和田啓気

    大和田政府委員 この問題は、実は前回先生からいろいろ御質問がございまして、相当被害率が高くて掛け金が高いところの問題をどうするかということで、繰り返し御質問があったことにも関連をいたすわけでございます。私ども果樹保険試験実施にかかります前に、私どもが持っておりますデータが三十八年ないし四十年でございますから、データがさらに多くそろいますれば、それだけ被害率もあるいは保険料率も適正なものになりますので、今後、果樹保険試験実施に入る前に、四十一年の被害率を詳細に調べまして、それをもってもう一度、極端に被害率の高いようなところ、あるいはしたがって保険料率の高いようなところについて、もう一年のデータを入れることによってどういうふうになるかということを検討をいたしたいと思います。私ども、まあ保険料率の高いところは、これは試験実施でございますから、農家としては任意加入の問題でございますから、入らないでしばらく様子を見てもらうようになるのではないかという趣旨のことを申し上げましたけれども、その点に関連をいたしまして、被害率あるいは保険料率について新しいデータで調整できるかどうか、あるいはそれでも調整できない場合は府県なりあるいは市町村なりでどういうふうな助力ができるかということについても、あらためて検討いたしたいというふうに考えております。
  29. 島口重次郎

    島口委員 では、ただいま局長の答弁にあるとおり、最大の努力をするということで、この点打ち切りたいと思います。ただ、交付金の問題でぜひとも要請申し上げたいのは、これは暫定法でありますから、半永久性の法律に移行する際にもぜひとも交付金を計上してもらいたいということを強く要請申し上げておきます。  それから、今度の果樹共済で全国における生産面積の何割くらいをやろうとしておるのか、その点どうなんでしょうか。
  30. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、ただいまのめどといたしましては、試験実施として取り上げる樹種の成園面積の一割程度を目途として試験実施をいたしたいというふうに考えております。
  31. 島口重次郎

    島口委員 全国の成園面積の一割と申しましても、都道府県によりましては二割あるいは二割五分になるところもあり得るわけでございますね。そういたしますと、事務的な量もだいぶ大きくなると思いますが、それに要する経費は、これでいきますと元請が共済組合連合会、これらに関する事務費は全額国のほうから助成といいますか、負担金を支給するわけですか。
  32. 大和田啓気

    大和田政府委員 元請保険を農業共済組合連合会が引き受けるわけでございますが、その事務に必要な基幹的な事務費は国が全額補助をいたすつもりでおります。
  33. 島口重次郎

    島口委員 全額と申しましても、算定方法等でたいへん違ってくると思いますけれども、原則的には、果樹共済をやるために共済組合連合会に経済的な負担はかけないということでやるわけですね。
  34. 大和田啓気

    大和田政府委員 まあ、こまかいことを申し上げますれば、各連合会によっていろいろ経費の要素も違うわけでございますから、どこの連合会でも全部結果として見るというわけにはまいらぬと思います。あくまで標準的な経費ということでございますけれども、私ども農作物共済と同じように基幹的な事務費は全額見るということで、すでに大蔵省とも相当な話を進めております。具体的な内容は当然四十三年度の予算ということになるわけでございますけれども、標準的な経費につきましては全額補助ができるように努力をいたすつもりでおります。
  35. 島口重次郎

    島口委員 私がなぜこれを再三申し上げるかというその理由を申し上げますると、水稲の場合等におきましては、各市町村ごとに共済組合、まあ組織と申しますか、機関が確立をしておりますから、段階別に、事務費の面におきましても、必要経費の面におきましても、科学的に出てくると思うのです。ところが、今度の場合は、元請組合が共済組合連合会で、市町村における共済組合はノータッチの場合も多々あるわけです。そういう面から見ますと、元請組合である連合会のほうに流す事務費が少なければ、末端における農協なり、あるいはところによりましては共済組合の負担が重くなる、しわ寄せが下のほうに重くかかるのじゃないか、こういう面から、そういうことがないように特に要請申し上げたいのであります。
  36. 大和田啓気

    大和田政府委員 御指摘のように、共済組合の連合会だけでは果樹保険はできませんので、末端の共済組合なりあるいは農協等に相当な事務を委託して仕事を進めるということになるわけでございます。で、政府から補助する経費の一部をさいて委託事務費に回すわけでございますから、私ども、委託事務の実施につきましてもあまり支障の起こらないように、要するに、下の団体にそうしわ寄せが行なわれないように、できるだけ連合会に対する事務費の補助金については一なかなかこれは役所の予算でございますから余裕を見てというわけにはいきませんけれども、できるだけ末端の機関が迷惑を受けないように努力をいたしたいというふうに思います。
  37. 島口重次郎

    島口委員 それから、異常災害が起きまして、元請組合である共済組合連合会が負担しなければならない一〇%の率があるわけです。その金がないときは基金からお金を借りられるのですか、貸すのですか、その点はどうなんでしょうか。
  38. 大和田啓気

    大和田政府委員 異常災害分の九割は政府が再保険いたしまして、一〇%だけ連合会が持つわけでございますが、異常災害分で手持ちの保険料で間に合わない分は、私どもやむを得ず保険金の削減をいたさせるつもりでございます。したがいまして、これは基金からの融資ということも考えておりません。私ども、できるならば削減ということをできるだけやらないように構想をいたしたわけでございますけれども、削減といいましても、通常災害分については削減はいたしません。そのかわり、それに見合って基金から融資を考えるわけでございます。異常災害分につきましては、政府が九割再保険するわけでございますから、削減といいましても、異常災害分の一割の一部分ということになるわけでございます。それによって果樹栽培農家の経営が非常に圧迫されるということはまずないということで、私ども、異常災害分につきましては削減の制度を活用せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  39. 島口重次郎

    島口委員 一〇%の削減をするということは、逆な表現をいたしますと、政府が責任を持つ、こう理解してよろしいのですか。
  40. 大和田啓気

    大和田政府委員 政府が責任を持ちますのは、異常災害分一〇〇のうち九〇については、政府は削減はいたしません。全額再保険金を交付するわけでございます。残りの異常災害分の一割の中で、手持ちの保険料でまかなえない部分が削減の対象なり得るわけでございます。
  41. 島口重次郎

    島口委員 削減というのは、保険契約者に支払い金をカットするということなんですね。
  42. 大和田啓気

    大和田政府委員 そのとおりでございます。
  43. 島口重次郎

    島口委員 それはちょっと残酷じゃないですか。異常災害の場合でも、あなたのほうの法律、それから政令、省令で、こういう率で払うんだ、こういうたてまえで契約をしながら、元請組合である共済組合連合会に金がなければ削減だというのは、保険性格から申しましても、保険契約者に残酷じゃないですか。
  44. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもも、農業保険考えます場合に、削減の規定はできるだけないほうが望ましいというふうに思います。しかし、今回の果樹保険の場合で申し上げますと、何といいましても異常災害分の九割は政府が再保険するわけでございますから、通常被害に見合う保険金の全部と、それから異常災害に見合う保険金の部分の九割以上が農家に渡されるわけでございまして、どう考えましても、農家が削減を受ける部分というのは一〇%に満たない。したがいまして、もし削減を認めないといたしますと、実は、政府が再保険を全額行なうか、あるいは連合会が赤字を相当つくるかという、その二つの道しかないわけでございます。私ども、今回の果樹保険をつくりますときに、基準の収穫量査定の問題でありますとか、あるいは損害の評価の問題でありますとか、とにかくこまかいことを言いますと、保険としてなかなか踏み出せないような現状でございます。私ども、この問題を考えながら、一体ここで試験実施というような形でも踏み出すほうがいいだろうかというふうに何回か考えあぐんだこともあるわけで、乏しいデータをもとにして、とにかくあまり慎重にかまえていては五年、十年果樹保険の実施がおくれるわけでございますから、多少の冒険をしてもこの際試験実施という形で踏み切って、試験期間五年の間にだんだん基礎を固めていくことがいいのではないかというふうに最終的に判断をして、こういう形で御提案いたしたわけでございます。したがいまして、私ども、厳密に言えば、保険に削減の規定がないことが望ましいと思いますけれども、三十八年以前の水稲等の農業保険について見ましても相当削減のことがあったわけで、三十八年の制度の改正によって通常災害分についてだけわりあい小さな金額の削減があり得るようになって制度が変わったわけでございますから、三十八年度以前の米に比べれば、今度の果樹保険における削減はそれほど大きいものというふうにも私ども考えておらないわけでございます。損害の評価がぴっちりでき、あるいは基準の収穫高というものが十全の形できめられるようになりますれば、本格実施の際に、一体国が再保険で九割持つのか、あるいは十割持つのかということをあらためて検討いたしたい。いまのところは、まず全体の保険金の一割に満たない程度の削減でございますから、それによって農家が非常に困る、あるいはそれによって果樹保険の実体がそこなわれるというふうには私ども考えておらないわけでございます。
  45. 島口重次郎

    島口委員 政務次官にお尋ねいたしますが、いまの局長のお話を聞きますと、一〇%であるから、農家の方がそれほど経済的な苦痛ではないであろう、こう言うけれども、わずかな金というものの、規定のしかたの問題なんですね。一億も二億もある人はちょっとの金ならたいしたことがないと言うけれども、庶民階級になってくると、そのわずかの金が貴重な金なんですよ。それから、三十八年以前は水稲においてもそういう例があった、こう申されますけれども、それだけに日本全国において水稲共済に対する反対運動がほうはいとして起きたものだと思います。そういう下からの盛り上がる反対闘争で、三十八年に共済法を改正しなければならなくなった過程があると思うのです。あるいは無事戻しにいたしましてもそうであります。赤字がある団体はできない、黒字の団体は無事戻しができる、こういう制度になっている。こういう面から考えましても、やはり、契約金だけは異常災害における一〇%であろうとも支払いするものはして、その後になおかつ赤字であるならば無事戻しはできないというのならわかるけれども、一〇%の異常災害分の支払いをもらえない、赤字処理の場合は無事戻しももらえない、こういうことは、いかに任意保険と申しましても、政策的に考えていろいろ問題があると思う。こういう点、政務次官はどうお考えなりますか。
  46. 草野一郎平

    ○草野政府委員 異常災害の場合の組合自体の能力といいますか、そこに現実の問題が存在するわけなんでありますが、そうした場合に、結局、最悪の場合でも九割はだいじょうぶなんでありますから、そこから上の問題であります。すなわち、一割以内の問題をどうせり上げていくかというところに非常な御心配もあり、災害を受けた方々の切実な問題が存在しておると思われるのでありますが、いまの制度でやむを得ないんじゃないですか。これをさあどうするかということですが、この程度のところから今後のことをまた考えてみるべきではないか。いまのところでは、この程度のところがぎりぎりじゃないかとも思います。
  47. 島口重次郎

    島口委員 事務当局がいまのような答弁で、入る金と出る金を計算して、こうでなければ赤字になるから困ると言うのは、これはやむを得ないけれども、あなたは政府の代表だから、政策的な立場から答えてもらいたい。私が申し上げましたとおり、一〇%はわずかだ、こう事務当局が言うけれども、自民党政府の考え方として、その一〇%につめを立てて支給しないというのがいいのか悪いのか。出すのがほんとうじゃないか。私は、政策的な立場から考えて、出すのが妥当だと考える。政務次官、どうなんですか。
  48. 草野一郎平

    ○草野政府委員 先ほど申し上げたことが事務的だとおっしゃれば事務的でしょうが、やはり政治的なものの考え方からさように申し上げておるので、試験実施段階で再保険をやっておるという事実はいままであまりないようであります。したがって、とにかくここで試験実施をやる、そして、いま九割というものが確保されるということは、これは非常に思い切ったやり方であって、この試験実施の実態の中からさらに今後の問題点がどう出てくるかというふうに考えるべきじゃないでしょうか。局長はどう答えるか知りませんけれども……。
  49. 大和田啓気

    大和田政府委員 全く政務次官のおっしゃるとおりでございまして、任意加入で、しかも試験実施で国が再保険を見るということは、これはきわめて異例のことでございます。私ども果樹保険で九割の再保険を見たからけっこうではないかというふうに申し上げるつもりはございませんけれども、いままでのいろいろの制度をごらんいただきましても、任意加入試験実施という二つの条件で国が九割の再保険を認めたという例は、おそらくないことだと思います。   〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕 したがいまして、一割未満の削減というところだけをとらえておっしゃりますと、確かに、私もできるならば削減ということがなしに済むならばそのほうがけっこうであると思いますけれども、とにかく九割の再保険試験実施任意加入というこの果樹保険で認められたという点について、ひとつ御了承をいただきたいというふうに考えるわけでございます。
  50. 島口重次郎

    島口委員 まあ見解の相違のような点もありますけれども試験実施の問題、それから任意加入の問題、これは特例的なんだ、こう言うけれども、あらゆるものが日進月歩でしょう。いままでそうであったからこれでよろしいということではないと思う。やはり、こうなったほうが正しいあり方なんだという場合は、そうやるべきだと思うのです。これはどこまでも見解の相違で、これ以上どうにもならぬということになりそうだけれども、これはあとでわが党は同志諸君と相談してこれに対する結論を出したいと思います。  それから、なお、その事務費に関連いたしまして、それぞれの都道府県によりまして異なるケースが出てくると思いますけれども保険契約が多いところでは、勢いこれが人的な体制も、新規採用して受け入れ体制を強化しなければならぬと思いますが、そういう点はどうなんですか。
  51. 大和田啓気

    大和田政府委員 連合会がこの仕事をやります場合に、個々の組合と違いまして多少の人的な余裕がございますから、すぐ人を入れなければこの仕事ができないというふうには私ども必ずしも考えておりません。連合会の事務のやりくりである程度までできるというふうに思いますけれども、しかし、こちらから配ります事務費の中には、人件費相当分も当然含まれるわけでございますから、人が足りないときは臨時に人を頼むということも当然あり得るだろうと思います。いずれにしろ、連合会が通常の事務を遂行するのに差しつかえない程度の事務費の補助はいたすように努力いたしたいと思います。
  52. 島口重次郎

    島口委員 この問題は、先ほど来いろいろあなたのほうでも相当誠意を持った答弁ですから、了承しまして、できる限り末端のほうにしわ寄せにならないような処置を考えてもらいたいと思います。  それから、この保険実施機構の問題ですが、五年後においては、あくまでもいまの制度でいくのですか、それとも別個な特別会計なり事業団なりを設置をしてやる予定なんですか。そういう点はどうなんでしょうか。
  53. 大和田啓気

    大和田政府委員 農作物共済あるいは蚕繭、家畜が共済組合組織で行なわれておるわけで、私ども、五年の実施期間を経て本格実施に移るといたします場合に、どういう機構でこの問題を処理するかということは、共済組合ができるか、あるいは今回の試験実施と同じように共済組合の連合会が行なうことがやはりいいかという、そういう選択の問題ではないかというふうに考えて治ります。私ども果樹保険をやるために新しい団体をつくるということも適当であるとは実は思いませんし、果樹保険に限って国営でやるとか、あるいは事業団、公社等つくってやるということも適当ではないのではないか。農作物その他の農業共済と同じようなシステムで共済組合なり連合会なりを使ってやることでいいのではないかというふうに現在考えておるわけでございます。しかし、いずれにしろ、この問題はいまから特別の予断をもってきめる必要もないことでございますので、果樹保険試験実施の過程の中でどういうふうな機構でやりますかということを慎重に検討をいたしたいというふうに思います。
  54. 島口重次郎

    島口委員 末端のほうはどうなりますか。いまの暫定法から申し上げますと、グループがありまして、あとは一定の区域をきめてそこで加入するわけですが、将来は水稲共済組合のように市町村ごとにやるのか、あるいはあなたのほうで特別に考えておる構想がありましたら、その構想を御披露願いたいと思います。
  55. 大和田啓気

    大和田政府委員 いま申し上げましたように、私ども特別な構想というものはございません。共済組合でやるか、あるいは共済組合の連合会でやるか、共済組合の連合会でやります場合は、当然この試験実施でやりましたように共済組合なりあるいは農協なりの応援を得ないとできない仕事でございますので、共済組合でやるのがいいのか、あるいは連合会でやるのがいいかということは、今回の試験実施の過程において十分に慎重に検討いたしたいというふうに考えております。現存、どういう機構で五年後の本格実施に備えるかということを特にきめておるわけではございません。
  56. 島口重次郎

    島口委員 答弁の八割ぐらいは五年間の実施過程で検討ということで、どうもばく然たる答弁ですが、そう自信がないのであればやむを得ないと思いますが、そういう点はどうなんですか。
  57. 大和田啓気

    大和田政府委員 別に自信がないということではございませんので、先ほども申し上げましたように、果樹保険試験実施に踏み切りました趣旨は、非常に厳密にあらゆることがきめられるような状態ではないわけでございます。これは、被害率にしろ、基準収穫量にしろ、損害の査定にしろ、あるいは果樹保険をどの団体がどういうふうにしてやったらいいかということについても、五年間の試験実施をやりながらだんだん固めていくことがむしろ正しいのではないか、非常に不確定なところで無理にこういうふうにするのだというふうにきめてやることのほうがむしろ行政としてはまずいのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  58. 島口重次郎

    島口委員 五年間の実施過程で固めていくということは、私も賛成なんですよ。大体構想なり企画というものがあって、こういう方向でやるのだというところぐらい答弁で出してもよろしいと思うのだけれども、どうも前回の答弁、きょうの答弁を見ましても、問題の焦点にいくと、五年間の実施期間中に検討した上でやるのだ、ただそれだけだから、どうももの足りないわけですよ。
  59. 大和田啓気

    大和田政府委員 もの足りないとおっしゃれば返すことばもないわけでございますけれども、五年間の試験実施をやるための段取りというものは固まっておるわけです。ただ、その固まっておる試験実施の段取りで本格実施のときもやるべきだというふうにむしろきめないほうがいいというふうに私ども考えておるわけでございます。これは、五年間の試験実施の過程で農家の要望もはっきりいたしますし、団体の活動の分野もはっきりいたしますし、私は、試験実施をやります場合の措置については、先日から申し上げておりますように、大体すでにきまっておって、そう動揺はいたしておらないつもりでございます。ただ、本格実施に移る場合にどういうシステムでやるかということについて、なお試験実施の結果を見て検討をいたしたいということを申し上げたわけでございます。
  60. 島口重次郎

    島口委員 この問題はこれ以上聞いてもしようがないことですから、最後に、災害の査定をだれがやるか、具体的なやり方、この構想についてお伺いしたい。
  61. 大和田啓気

    大和田政府委員 果樹保険対象なります災害につきましては、農家単位で三割以上あるいは五割以上とかいうことで、比較的災害の深い場合でございます。これは、現在の農作物共済のように、地区ごとに三割を越える被害ということとは違うわけでございます。したがいまして、災害が起こる、そうして損害の評価をしなければならない事件というものは、数としては私は米麦等に比べて非常に少ないというふうに思います。したがいまして、そういう災害が起こります場合は、当然下の組織から連合会に上がってまいるわけでございますけれども、損害の査定は、試験場の専門家でありますとか、あるいは農協連の専門家でありますとか、統計調査部の職員でありますとか、そういうもので十分現地について農民の納得ができるような損害の評価をいたしたいというふうに思います。もちろん、果樹保険の特徴といたしまして、片方で相当共同出荷あるいは共同選果ということが行なわれておりますから、そこからの流通のデータも損害評価について当然有力な参考になるわけでございます。したがいまして、専門家が実地を調査することと、農協その他の団体の出荷の実績等と、両方にらみ合わせて損害の評価が大体的確にできるというふうに考えておるわけでございます。
  62. 島口重次郎

    島口委員 いまの答弁によりますと、リンゴの試験場なりあるいは作報の職員、あるいは元請組合の職員、これらで構成するようなお話でありますけれども被害者代表は入らないのですか。  それから、流通のデータは、出荷団体のほうからもデータを取りまして、それを参考意見にする、こういうことでありますけれども、農協などで共同出荷する場合にはそういうことが具体的に詳細に出てくると思うのです。ところが、生産者の販売方法というのは必ずしも農協のルートを通してだけ販売するのではない。商人系統のほうからも出している。商人と称しましても、その商人によりまして非常に大小格差が大きいのでありますが、そういうデータが出てこない点も多々あるわけです。そういう点はどうなるのですか。
  63. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども果樹保険試験実施をいたします場合は、別に農協系に荷物を出しておる人でなければ絶対に認めないというふうにかたくは申しませんけれども、商人系に出荷をいたしましても出荷のデータが十分そろわないような場合は、果樹保険対象として試験実施をすることはなかなか現実にむずかしい問題がある。これは絶えず争いの種になりやすいわけでございます。これは、稲とか麦とかに比べまして、統計調査部の統計の被害調査果樹については十分でございませんから、統計調査部におきましても、これから被害調査について相当力を用いるということを言っておりますけれども、米麦に比べますと、その精度が落ちることはやむを得ないわけでございますから、流通のデータがある程度までそろうことがやはり果樹保険試験実施する場合の一つ条件になるのではないかというふうに思うわけでございます。  査定の構成の問題ですが、農作物と、いいますか、米麦につきましては、部落の被害調査員みたいな人が一次的に被害調査をするわけでございます。果樹の場合は当然部落なりあるいはその地区の人がどの程度被害であるかという所見を連合会に出すわけで、その所見を見ながら、先ほど申し上げました調査員が調査をするということになろうかと思います。この場合に、当然、被害農家あるいは被害農家の代表者といいますか、あるいは団体の代表者といいますか、そういう人たちが十分被害の評価につきまして意見を言い、また説明を受ける機会をつくるつもりでございます。
  64. 島口重次郎

    島口委員 その査定の方法の問題、どうもばく然としておりますけれども、具体的に申し上げますと、評価委員会か何かつくるのですか。そうでなくて、局長のおっしゃるとおり、元請組合代表あるいは農協、リンゴ試験場やブドウ試験場等の諸君、あるいはそれぞれの学識経験者、そういうものをただ漫然と集めて評価委員会をつくるのですか。  それから、答弁の前段のほうですが、データが出てくるような体制のない商人はどうにもならないとおっしゃる。その点も考えられますけれども、その論法でいきますと、無意識的ではあるけれどもデータの出てこないような零細商人の方にはリンゴも売れない、くだものも売れない、こういうことになると思いますが、そういう面からいくと零細商人の切り捨てということにも通じてくると思いますが、その点はどうなのでしょうか。
  65. 大和田啓気

    大和田政府委員 果樹専門家が損害の評価をいたします場合に、極端に言えば行き当たりばったりに人を集めるということではございませんで、当然損害評価委員会というものをつくってやるつもりでございます。  それから、流通のデータが出ないような小さな商人に売る場合どうかという御質問でございますが、これはなかなか実際問題としてむずかしい問題だろうと思いますけれども果樹についての損害の評価あるいは基準収穫量査定ということが大体正確にできるようになれば、流通資料を材料にして評価の参考にするということのウエートが相当弱まるであろうと私は思います。したがいまして、果樹保険試験実施段階におきましては、やはり流通のデータというものは相当ものを言わざるを得ないと思いますので、流通のデータがそろわないような場合は果樹保険試験実施を遠慮していただくということになるのではないかと私は思います。しかし、これは、将来果樹保険を本格的に実施いたします場合には、すでにこちらにおきましても相当な準備があるわけでございますから、その問題は、だれに売るかということで果樹保険に入るか入らないかというふうにはならないと思います。
  66. 島口重次郎

    島口委員 私がただいま申し上げましたとおり、農林省はそれを意識しなくても、流通データが出てこなければやはり保険対象にならない、こうなりますと、商人と申し上げましても大きい商人はそういう体制が持てるからよろしいが、零細商人の場合はこれができないという形が出てくると思う。こういう点はもう少し検討する要素があると思いますが、どうなのでしょうか。
  67. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもも、果樹保険試験実施によってそういう農家ミカンなりリンゴなりをだれに売るかということが本質的にきめられるようになることを別に必ずしも希望いたしませんで、農業保険というのはあくまでそういうものにつきましては中立的なものであります。と同時に、流通のデータが集まらないところで試験実施をするということは、これもまたつらいわけでございます。そういう場合に具体的にどうするかということにつきましては、御質問の趣旨もございますので、十分今後研究をいたしたいと思います。
  68. 島口重次郎

    島口委員 まあ最初の試験実施でありますから、査定方法等もいろいろ予想せざる問題が出てくると思います。水稲のように作報があり長い経験がありますと、割り切った資料やら結論も出てくると思いますけれども、非常に問題点かありますから、ただいま局長が言ったように、最大限適正な判定ができることに努力をしてもらいたい。  これで私の質問は終わるわけでありますけれども、いろいろ各分野にわたりましてたくさん問題点がある。特に試験実施段階だからやむを得ない、こう言いますとそれまででありますけれども試験実施段階でなおかつ是正しなければならぬ点もあるようでありますから、これはあとで党の皆さんと御相談いたしまして結論を出すことにいたしまして、質問はこれで終わります。
  69. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 次に、神田大作君。
  70. 神田大作

    ○神田(大)委員 島口君が前に質問して、二重になるようなこともありましたらお許し願いたいと思いますが、まず最初に、果樹栽培見通しといいますか、普通の作物と違いますから長期見通しというものは非常に大事だと思うのですが、政府はこれらにつきまして十分な資料を整えて果樹栽培の指導を行なっているだろうと思いますので、これに対する考え方をお尋ね申し上げます。
  71. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいまお話しになりましたように、果樹は永年作物でもございますので、生産と需要というものをうまく適合させて植栽を進めていくということが大切で、この点慎重を要することであろうと思います。昨年の果樹振興法の改正に基づきまして、ことしの三月三十一日、ただいまのような観点から、果樹の需要が今後長期的にどういうふうになるであろうか、あるいはそれに対応した果樹の植栽あるいは果実の生産をどういうふうな目標で進めていけばいいかというようなことを、この振興法に基づきます基本方針で出したわけでございます。  大体、振興法対象果樹、これが三十九年現在で約三百九十万トンという生産量、あるいは、それだけ消費されたわけでございますから、これを需要量と見ることができます。それで、現在それぞれ成園、未成園等々がございますが、そういう樹種ごとの需要量、一つ一つの果実によって消費支出弾性値といいますか、需要の強さというものは違ってまいりますし、今後の所得の伸び等、あるいは加工あるいは輸出等のマーケットの状況等もそれぞれ異なるわけでございますが、一応そういうものを推定いたしますと、全体といたしましては五十一年度でそれの約二倍かあるいは二・二倍ぐらいの需要があるであろうというふうに見込んでおるのでございます。それに対応いたしまして、あるいは植栽の面積も今後この程度にしたらいいだろうという線を出したわけでございます。
  72. 神田大作

    ○神田(大)委員 いま御説明になりましたが、果樹に限らず、農作物についてたまたま政府の長期見通しが誤って訂正しなくちゃならぬというようなことが行なわれておるようであります。これらの果樹の長期見通しによる需要が五十一年で倍になるというようなことでありますが、それに対して、生産計画といいますか、これはどのような考えのもとに推進しているのか、お伺いします。
  73. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 全体としては、ただいま申し上げましたように、現在のいろいろなデータを使いまして、五十一年度約二倍ないし二・二倍というふうに見通しておるわけでございますが、やはり、御指摘がありましたように、そういうデータは、いずれにいたしましても過去の実績あるいは現在の諸指標からやることでございますから、今後十年そのままほうっておくというわけにはいかないと思っておりまして、今後四年ないし五年たちましたらもう一ぺん計算をし直してみたいというふうには考えております。いずれにいたしましても、現在の段階では私どもといたしましては最も良心的な計数であろうというふうに考えております。  それに対しまして、ただいま生産はどういうふうに持っていくかというお話でございます。全体といたしましてこういうことでございますが、たとえばミカンについて申し上げますと、五十一年度の需要量は、ただいま全部の平均が二倍ないし二・二倍と申しましたが、ミカンにつきましては、私どもの計算では二・七倍ないし三倍という伸びを予想いたしておるのでございます。それにいたしましても、現在のミカンの植栽の勢いというのは、ここ数年、年々約一万ヘクタールということになっておるわけでございます。この勢いが今後とも続くといたしますと、明らかに五十一年の需要量をオーバーする。のみならず、永年作物でございますから、その後もますますオーバーをしていって、ギャップが深まるということになるのではないか。したがいまして、私どもといたしましては、現在の年々一万ヘクタール程度の植栽を、今後五年間は約六千ヘクタール、六割にダウンをさせる必要がある。さらに、その先五年間は三千ヘクタール程度に植栽を押えていく必要があるのではないだろうか。そういたしますと、もちろん、たとえば五年ないし七年先の植栽は十年先の供給量にはならないわけでございますけれども、そういうことをずっと計算いたしますと、大体そういう点で十年先ないしはその後の需給の関係はバランスをするのではないか。そこで、問題は、とにかく供給割り当てのようなものがあるわけでございませんから、どういう具体的な手段でそういう植栽を押えていくのだ、あるいは調整していくのだという問題があるわけでございますが、端的に申しますならば、これを命令的にどうこうということはできないし、やれないことだというふうに存じておりますが、やはり、果樹振興法に基づきまして、今年各府県でそういう各府県の植栽あるいは生産の目標というものをつくっていただく、それからそれに基づいたいろいろな具体的な施策を今後充実さしていくというふうに考ております。そういう各府県ごとの生産の目標、植栽の目標等を順次おろしていって、いわば生産者の方の一つのガイドポストあるいは植栽の指標というようなものにして、指導でもってそういう植栽の調整をやっていこうというふうに考えておるのでございます。
  74. 神田大作

    ○神田(大)委員 果樹栽培についての一番大事な問題だと思いますので、今後これらの生産並びに消費についての見通しを誤らぬようにして御指導を願いたい。特に、集団栽培をやる必要があると思うのですが、後進地におきましては、果樹が非常に安定しておるというので、クリとか、あるいはカキ、梅等が最近伸びてきておりますが、これらの栽培につきましては、何らの制約も、何らの計画的な考えもなしに、むやみやたらにこれを植栽するような状況も見られております。これらに対しまして、やはり政府はある程度見通しを立てましてこれら集団栽培地というようなものをつくって、これらに対しての計画的な栽培を指導すべきではないかと思うのですが、それらについてのお考えをただします。
  75. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 いまお話にありましたとおり、今後の果樹園経営は集団化することが、その作業の合理化、あるいは出荷のまとまりというような面から非常に必要なことでございます。  御承知のように、従来とも、たとえば公庫資金、植栽資金等を貸すための果樹園経営計画の認定という場合には、私どものほうの基準といたしまして、それぞれの樹種に応じて、たとえば十ヘクタール以上の集団産地の植栽というようなことを基準にいたしておるのでございます。したがいまして、従来ともそういう集団ということを一つの基準にして、たとえばいま申し上げましたように植栽資金を貸しておるというようなことで指導をいたしておるわけでございます。それにいたしましても、先生御指摘になりましたように、もう少し小さな園地というものをあちらこちらにつくりたいということで、現実に行なわれております。私どもといたしましては、今後とも集団産地ということが——今後ますます市場も大型化いたしますし、消費もそういうことで大量の取引というものを要望いたしますので、機械その他を入れます場合にも、あるいはその他の基盤の整備をいたします場合にも、あるいは技術指導をいたします場合にも、集団であることが望ましいということは私ども十分肝に銘じておりますので、今後、たとえば果樹振興法に基づきます濃密生産団地というようなことで、一そうその方向で努力をいたしてまいりたいと思っております。
  76. 神田大作

    ○神田(大)委員 これらについても、やはり適切なる指導を行なって将来間違いないようにしていただきたいと思います。  次に、果樹というものは国際競争が非常に激しいものでございますから、品種の改善、改良等につきましては特段の努力をされておると思うが、概して日本の品種改良等は世界の各国に比較いたしまするというと立ちおくれぎみでありますから、これらに対しまして果樹の品種改良、改善等についてはどのような対策を立てておるか、お伺いいたします。
  77. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 果樹の品種の改良ないしは新品種の育成ということを現在の時点でながめてみますと、大体官公庁でつくりました品種というものは約二割足らず、それから、民間の篤農家あるいは篤志家の方がつくられたのが約六割、残りは外国からの輸入品種というような実情になっておりまして比重から申しますと、民間で開発あるいは育成されました品種が大きいわけでございます。もっとも、民間で育成されました品種の中には、いわゆる突然変異と申しますか、偶然に新しい品種を圃場で見つけられましてそれを新しい品種として育成されていくというようなこともあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、民間の方が相当力を尽くしてこられましたし、今後ともそれによることも多いと思いますので、たとえば種苗名称登録というようなことをやっているわけでございますが、一方、官公庁のほうでの育種は、たとえばリンゴについて申しまするならば、青森県が非常に力を入れておられる、あるいはミカンについて言いまするならば、各府県ともやっておられますが、静岡の試験場等が非常に良好な成績をおさめておられるというようなこともございますが、いずれにいたしましても、果樹でございまするから、永年性作物で、非常に時間がかかる、したがって金がかかるというようなことで、国の機関が中心的な役割りをやはり果たしていかなければならない、こういうふうに考えております。  正直に申しまして、国の機関と申しますと、これは園芸試験場でございますので、園芸局長の主管ではないのでございまして技術会議のほうから担当官の方が見えておられますけれども、私、とりあえずかわって申しますと、たとえば昭和十年以降も園芸試験場では優秀な品種を相当育成をしてまいっておりましてそういうことで、予算的その他についても、どれだけが育種の費用であり、どれだけがその他の費用であるかということを分けるのはなかなかむずかしいわけでございます。園芸試験場も相当力を入れて新品種その他をつくっておりまして、たとえば、戦後だけでも、桃五つ、ナシ四つ、カキ一、クリ三、リンゴ一、ミカン二、合計十六品種、これは農林番号の登録品種になっているものでありますが、そういうふうに続々つくっているというふうに申し上げていいのではないかと思います。
  78. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは大事なことであるから、実は大臣から答弁を得たいと思ったのですが、果樹の場合は、いまのところ、そう見劣りはしない、品種改善においては優秀な品種が日本にできているようでありますが、しかし、畜産等につきましては、もうほとんど外国種にしてやられているというのが現状でありますから、どうしても試験研究に対して力を入れていただく必要がある。予算的にも軽視するように思われるので、今後自由貿易として世界の果樹と競争する立場に立つ以上は、これら試験研究に対しまして民間は民間として予算を持ってやりますが、国は国の責任においてこれらの研究に相当の金を使ってやっていくことが必要ではないか。これはまたあとで大臣等に来ていただいてお尋ねをしてみたいと思います。  次に、果樹保険のことでございますが、非常に技術的にむずかしい果樹保険に踏み切ることに対しまして私は敬意を表するわけでありますが、これは容易ならざることだろうと思います。一般作物の保険もなかなか技術的にむずかしいのであります。災害の査定にいたしましても、あるいは共済掛け金の決定にいたしましても非常にむずかしいので、試験的にやるということはけっこうなことだと思いますが、ただ、これらの保険をやるについての果樹栽培者の世論等を聞きますと、一四%程度がやってもらいたい、あと三〇何%がやってもいいだろう、約半数ちょっと程度の希望のようでございますが、このようなことで、はたして政府が思い切ってこのことをやりだしても果樹園芸家の皆さんが乗ってくるかどうかということが私は非常に心配なんです。こういう困難な仕事をやる以上は、やはり果樹栽培の皆さんがこぞってこれに加入し、そしてこの制度を生かしていくということが非常に大事なことでありますが、これらに対する見通しにつきましてお尋ね申し上げます。
  79. 大和田啓気

    大和田政府委員 果樹保険の実施につきましては、技術的にむずかしい問題が多いばかりでございませんで、実は、果樹農家の経営内容がきわめて複雑で、地帯によりあるいは経営果樹によって全くと言っていいくらい保険需要が違うわけでございます。私どもも、非常にこまかく考えますと、とても今回のような法案の提出ができないわけで、普通の考え方に従いますれば、あと五年ないし十年ぐらいかからなければとても果樹保険について何ほどかのことを役所としてやるわけにはまいらないというのが穏当な考え方ではないかと思います。ただ、あまり慎重にかまえましても、いつまでたってもらちがあかないということで、私も見切り発車をしたというふうによく申し上げておるわけで、詰まらない点はたくさんございます。しかし、とにかく、いま御指摘になりましたように、あるほうがいいという人を含めてとにかく半分以上の農家果樹保険を希望しておりますし、また、現実に災害によって相当痛めつけられて果樹保険があればいいというふうに言っている農家も相当たくさんあるわけでございますから、私ども今回は六つの果樹について成園面積の約一割程度を目安にいたしますが、全国で大体一万八千ないし一万九千町歩ぐらいになるわけでございまして、いま県から、わしのほうにやらしてくれという県が相当たくさん出てまいりまして、結局、その県の役人の意向ではなくして実際の果樹農家が最終的に判断するわけでございますから、県から名のりをあげるものが多くてもそう楽観もできませんが、とにかく、主産県の主産地帯について、全国的に見て一割程度栽培農家がこの果樹保険試験実施に参加することはそんなにむずかしいことではなかろう。それも名のり出ないようならば、とても果樹保険の本格的実施というようなことを望んでも得られないわけでございます。私ども、その普及宣伝は相当これからもいたすつもりで、一体どのくらい掛けて災害のときにどのくらいもらえるのか、どういう損害評価の機構でやるのかというようなことまでは、一般の農家には一向宣伝をしておりませんで、この法案が通るまではそういう宣伝も差し控えておるわけでございますが、法案が通りましてから、そういう宣伝もといいますか、事実のインフォーメーションをするわけでございますが、それによって、果樹保険試験実施で私ども考えている程度加入者はまず間違いなくあるであろうというふうに考えておるわけでございます。
  80. 神田大作

    ○神田(大)委員 いま御答弁になったような見通しであればけっこうなことでございますし、私もやはり、果樹保険に踏み切ったことについては賛成をしておるわけであります。ただ、これをもっとよりよくするためには、政府はいま少し——加入奨励金というような形で一割補助を出すということのようでありますが、これは普通作物の保険に比較すると政府の負担は非常に低いようでありますが、これを増額して、もっと果樹栽培者が加入しやすい形、掛け金負担の率を少なくする考えはないかどうか、お聞きいたします。
  81. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほども申し上げましたように、果樹保険試験実施で、しかも任意加入で国が再保険の九割をするということは前例のないことでございます。これは、いざ相当な災害が起こりました場合に、政府の負担というものは相当大きなものになるわけでございます。これは資料で御説明をいたしますと、全体の支払い責任額の中で約百三十一億程度でありますが、そのうち連合会の負担いたしますものは、異常部分の一〇%を含めて十六億四千万円、政府の特別会計が持つ責任が百十四億三千万円で、割合にいたしますと、政府が全体の割合の八七%を持ち、連合会が一三%を持つということでございますから、私は、政府の力の入れようとしては、いままでこういう形態で出発いたします制度としてはまずまずであろうと思います。  それから、加入奨励金的な交付金の問題でございます。これは、私ども農家にとって多ければ多いほど望ましいわけでございますが、任意加入のたてまえから言うと、やはり米麦のように強制加入の場合の国庫負担というわけにはなかなかいかないわけでございます。今後本格実施に移ります場合に任意加入制度でも交付金をどの程度に見るかということは、果樹保険が農業経営にどういう役割りをするか、あるいは果樹農家負担能力がどの程度かということを総合的に勘案してきめるわけでございますが、試験実施段階におきましては、いま申し上げましたような、全体の八七%の負担を政府がするということと、基幹的な事務費を政府が補助することと、一割程度加入奨励金交付金として政府が出すということで、まずまず果樹栽培農家の御納得が得られるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  82. 神田大作

    ○神田(大)委員 この保険には無事戻し制度というものはどのように考えておるか、お尋ねいたします。
  83. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、年々黒字が出たからといって無事戻しをすることはどうも適当でないと思いますけれども果樹保険試験実施期間が五年間でございますから、五年間通して見て黒字が残りました場合は、当然無事戻しとして果樹栽培農家に還元すべきものであろうというふうに考えておりますし、そういうふうに連合会を指導いたすつもりでおります。
  84. 神田大作

    ○神田(大)委員 この品種は六品目に限定をしておるようでありますが、これを拡大する考えはあるかどうか、お尋ねします。
  85. 大和田啓気

    大和田政府委員 この六樹種のほかに、私どもがいま念頭にありますものは、実はカキでございます。これは先ほども申し上げましたけれどもカキについての三十八年ないし四十年の試験調査一つの県だけにとどまっておりますので、どうも全国で相当何県かにわたって試験実施に踏み切ることもいささかちゅうちょせざるを得ない状況でございますが、今後カキにつきましても数県につきまして試験調査を行ないまして、五年間の試験実施期間中でも、データがそろいますれば、カキについて果樹保険試験実施の追加をいたすつもりで、現在その作業を進めておるわけでございます。
  86. 神田大作

    ○神田(大)委員 クリや梅等がところによっては非常に伸びておるようでありますが、今後クリや梅にまでこれらを及ぼす考えがあるかどうか、お尋ねします。
  87. 大和田啓気

    大和田政府委員 梅、クリ等につきましては、現在までのところデータが全然ございませんので、試験実施対象としてこれを取り上げることはまず困難だろうというふうに思います。しかし、試験実施のあとで果樹保険本格実施いたします場合にどうするかということは、これからのクリなりなり果樹生産上における地位その他を十分検討をして、今後の研究課題にいたしたい。ただいまのところは試験実施でこれを取り上げるつもりはございませんけれども、将来の問題としては十分検討したいというふうに思います。
  88. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、最後に私は価格の問題でお尋ねいたします。  果樹保険というものも非常に大事なことでありますが、それと同時に、果実の価格安定策ということは果樹業者の望んでおることであり、また、国といたしましても、価格対策については考えてやらなくちゃならぬと思いますが、これらについてはどのような考えを持っておるか、お尋ねいたします。
  89. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 果実の価格は、この前も、貯蔵リンゴ等が最近暴落したという御質問があったのでございますが、一般的には、野菜等に比べますと、季節の変動はございますが、年による価格の上がり下がりというのはわりに少ない。それから、一方、従来までの価格の動向は、これも樹種あるいは品種によって足取りが異なりますけれども、一般的には、ここ五年ないし六年の間に約五割程度の増ということで、比較的野菜に比べますと温和な足取り、あるいは堅実な足取りをしておるというふうに言ってよかろうと思います。しかし、それにもかかわらず、果実の価格について現実にそれではこれでいいだろうかという危惧の念ないし心配があることは事実でございます。これは、私、二つの点から来るのではないだろうか。一つは、先ほども申し上げましたように、ものによっては、相当な植栽の増加ということで、いまのところはいいけれども、こうも植栽がふえると、はたして先行きどうなるであろうかという危惧の念が一つ。それから、もう一つは、なるほど価格は水準としてそれほど落ちることはないけれども、生産費、特に労賃その他のいわゆるコストアップで、どうも所得と申しますか、もうけが少なくなってきつつあるというようなこと、あるいはどうも価格が伸び悩みであるというようなことで、価格の問題が重要になってきておるのであろうと思います。  そういう意味におきまして、第一の今後の生産というものがこのままでいいだろうかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、やはり長期的には、あるいは構造的には、できるだけ的確に需要を予測いたしまして、それで生産を調整していくということが基本的にまず必要であろうというふうに考えておるのであります。  それからまた、生産費の高騰ということに対しましては、先ほどもお話がありましたように、集団化を進めて、集団化の過程でできるだけ機械化あるいは基盤の整備等をやって合理化をしていくという方向が、これまた長期的にあるいは構造的に必要な施策であろうかと思っております。それについて今後とも力を入れていきたい。  なお、それにいたしましても、市場に対して一時的に各種の産地が競合するとか、あるいはそういう一年のうちの季節間の販売を適正に分布させるというようなこと等は、やはり年々やっていかなければなりませんので、これについては、ミカンミカンリンゴリンゴというふうに、できるだけその関係の産地を総合いたしまして、出荷協議会というようなことで年々調整をやる、あまり東京市場、京浜市場へ集中しないで、もう少し地方市場に出していく、いろいろ相談をしてやってまいっておるのでございます。  基本的に、果樹の価格につきましてはそういうふうな考え方をいたしておるような次第でございます。
  90. 神田大作

    ○神田(大)委員 いま答弁になったことは、いままで政府もわれわれもやっていたことで新味はないが、今後やはりこの価格問題というものは非常に重要な問題として取り上げなくちゃならぬことでありまして、たとえば、これを業種別、品種別に組合でお互いに共済基金というようなものでもってこれを補償するとか、何らかの形をとってその果樹についての価格問題を具体的にやっていく必要が私は出てくると思うのですが、これは非常にむづかしい問題でありますけれども、これらについてひとつ真剣に考えていただくことが果樹業者の振興になるわけでありますから、その点御考慮願いたい。きょうは大臣も次官もいないようでございますから、こういう政策的な問題については私は質問を保留をいたしまして、あとでまたお尋ねしたいと思いますから、この点、いまの局長考え方を一歩進めて価格対策をやってもらいたいということを申し上げます。  また、この果実の加工でございますが、加工の問題は、ジュースとか、かん詰めとかいろいろありますけれども、こういうものに対するいわゆる外資の攻勢は非常に激しくなってくると私は思うのでございますが、この果実加工の国内生産に対してはどのような考えを持っておるか、お尋ね申し上げます。
  91. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 御承知のように、先進国と申しますか、欧米諸国では、各国の果実の生産状況が異なりますので一がいにはなかなか申し上げられませんけれども、生食に対比しまして加工された果実を多く消費するという傾向がございます。微少ながらやはりわが国においてもそういう傾向になってきておると思いますし、私ども、一体この加工されたものが今後どのくらい伸びるか、これはなかなか予測が困難でございますけれども、加工されたものが国内において消費される分が漸次多くなるのであろう。もちろん、果実でございますから、輸出等の場合にも加工されたものが向くわけでございます。そういう意味ににおいても、加工は今後漸次ウエートが高くなってくるのではないか、ウエートが高くなると言うとあるいは言い過ぎかもしれませんが、一応加工の食品の量はふえてくるのではないだろうかというふうに考えております。これに対しまして、すでに相当外国の食品会社が日本の果実加工というものを手がけておりますけれども、現在の段階では、当然、日本の資本と申しますか、大部分日本の業者の方がやっておられます。一面では、いま申し上げましたように生産が伸びてまいりますから、生産された果実の需要拡大という面から見ますと、今後とも加工資本がふえて、そしてそういう意味の生産者のためのマーケットがふえることは、私は望ましいのではないかと思います。しかし、逆に、日本の果実加工の生産者、大きい方もありますが、非常に多くの中小の方がやっておられますので、これを野放しに外資にさらすということは当を得た策ではないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  92. 神田大作

    ○神田(大)委員 今後、いま局長が答弁されたような中小加工業者を脅威する段階になってくると私は思うのでありますが、これに対しまして、果実の生産奨励と同時に、加工業者の育成等につきまして、これは通産省かもしれませんが、通産省とも連携を密にして、これらを守ってやる、こういうことが非常に必要な段階になってくるのではなかろうかと思います。  政策同等につきましての質問は保留をいたしまして、私の質問はこれで終わりといたします。
  93. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと資料要求を一ついたします。  農林省から出ておる資料の中にないのです。果実の需要の長期見通しと生産目標、現状はどういう状態にあるかということ、それから、年次別の長期計画がおそらくあると思うのです。この前の果樹振興特別措置法、これは通っておるわけです。それに、果実振興の基本方針というのがちゃんと立って初めてこれがものをいうようになる、こういうことなんですね。いま出ておる法案はそれとの関連もあります。だから、年次別の植栽計画並びに生産ですね、これは各県別にひとつ出していただきたい。調べてみたらないんだ。「果実の需要の長期見通しに即した果樹の植栽および果実の生産目標」の中に昭和五十一年度における需要の見通しと生産目標はあるのです。これは調査室から出しておるわけですね。おそらくあなたのほうからの資料で出たのだと思うのですが、それのもとがほしいのです。この程度のものじゃ問題にならぬ。資料のもと、これを出した基本があるはずです。五十一年度を押えたもの、それをひとつ資料として要求いたします。
  94. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいまお話しになりましたのは、たぶん私どものほうから基本方針として出したものであろうと思います。ただ、御了解を得たいのは、たとえば五十一年の長期見通しの出し方としては、たとえばミカンならミカンにつきまして、過去の消費支出弾性値、それから今後の国民所得の伸び、それから現在の所得階層別の消費支出弾性値、そういうもので四十一年を伸ばして出しております。需要のほうはもちろん年々というわけにはまいりません。それから、生産のほうも、それに対しまして、先ほども申し上げましたように、これから十年間ミカンにつきましては、最初の五年は年々六千ヘクタール、あとの五年は三千ヘクタールというふうに植栽目標を出しております。それから、ものによりましては、十年を通じて同じ数字で出しておるというようなものもございまして、したがって、年次別というのもその程度のものになってくるわけであります。それから、これは全体としての需要と生産とのバランスをとるための計数でございまして、これに基づいて各県ごとに振興計画をこれからつくっていただこうということでございますので、現在の段階では各県ごとのはそういう意味でまだないというふうになっておるのであります。それ以外につきまして、できるだけ私どもの資料を調整いたします。
  95. 赤路友藏

    赤路委員 だから、現在の状態において出せる程度のものでいいと思います。ただ、非常に注意しなければならぬのは、いまの基本方針は出たわけですね。それに基づいて県が計画をするわけでしょう。そうして植栽の実際の面はそれぞれ各県の町村がやるわけですね。これがこう関連をしたもので初めて果樹生産の一つの目標というものができると思う。それがまだ上がってきていない。ただ、私があっと思ったのは、四十一年度のミカンですね。これは農林省のほうで発表したのかどうかわかりません。私も直接農林省から聞いたわけではないのだが、新聞発表がなされておった。それによると、ミカンが四十一年度東京相場で八十七円、それから大阪相場で八十四円、これが実際は豊作の関係もあったろうが六十六円、かなりダウンしている。だから、これはどこかの押え方の誤差だと思いますが、やはりある程度見通しと計画を持ってやっていくということでないといかぬと思うので、まあできる程度のあれでけっこうですから、ひとつ資料をさっそくお出し願いたいと思います。  それだけです。
  96. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後三時十四分開議
  97. 本名武

    本名委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  果樹保険臨時措置法案を議題とし、質疑を続行いたします。見玉末男君。
  98. 兒玉末男

    ○兒玉委員 経済局長にお伺いしたいのでございますが、今回のこの法案については、すでにいままでたくさんの質問がありまして、若干内容的に重複する点もあろうかと存じますが、特に問題点をしぼって御質問したいと思います。  今回のこの臨時措置法を適用する期間を一応五年間というふうに当初から設定したのはいかなる理由によるものか、この点を明らかにしていただきたいと存じます。
  99. 大和田啓気

    大和田政府委員 果樹保険の材料といたしまして、私ども三十八年から四十年までのデータを持っておるわけでございます。それで、今後多少さかのぼりまして四十一年、四十二年、四十三年の資料をとりますことと、実際の補償は四十四年から始めるわけでございますから、合わせまして、試験実施の期間を五年といたしますと、大体十年ないし十一年程度データの蓄積が可能となるわけでございます。米麦等は、被害率を出しますのに二十年平均で出しておりますから、欲を言えば二十年のデータがほしいわけでございますけれども、まあ果樹保険の実施期間を終えまして十年ないし十一年のデータがあれば、本格実施考える場合にまずまずよかろうということで、実施期間を五年というふうに定めたわけでございます。
  100. 兒玉末男

    ○兒玉委員 実施期間がいま説明のあったようなことでありますならば、私は、果樹種類によって、植栽期から収穫までの期間というものが相当多様性を持っておると思うのですが、その辺の関係はどういうふうに分析をされておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  101. 大和田啓気

    大和田政府委員 植えましてから実を結ぶまでの植栽期間というのは、確かに果樹種類によって違いますけれども、私が申し上げておりますのは、十年とか二十年とかいう期間に被害がどういうふうに年々起こるかというデータでございまして、稲、麦のように一年以内の生育期間のものでありましても二十年の材料がほしいということでございますから、必ずしも十年とか二十年とかいう期間は植栽期間によって差があるわけではなくて、少なくとも十年程度、長ければ二十年程度被害についてのデータがほしいということを考えておるわけでございます。
  102. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、今回の法案制定にあたりましていろいろと説明を伺っておるわけでございますが、先般の政令規定見込み事項によりますと、ミカン、ナツミカンリンゴ、ナシ、桃、ブドウ、こういうふうに六品種に限定をされておるわけでございます。これらの品種について調査地域なり個所等が説明されたわけでございますが、特に問題の焦点は、伊勢湾台風による異常災害というものがその転機になったことが説明されたわけでございます。いわゆる災害の対策は、特に長野、山梨のリンゴブドウという点が、一つの大きな共済制度の動機になったものと思うのですけれども、そのほかのミカンなりあるいはナシ、桃等は、あのような災害とは変わった形における状態が想定されると思うのですが、この辺は、周期的な災害の時期をどういうふうに分析をされておるのか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  103. 大和田啓気

    大和田政府委員 果樹保険の必要性が非常に強く言われましたのは、御指摘のように、たしか昭和三十四年、伊勢湾台風で長野のリンゴ、山梨のブドウがしたたかやられたことが契機でございます。それ以外でも、ナツミカンあるいはリンゴ、桃、ナシ等につきましては、私どもの持っているデータが三十八年ないし四十年で、それ以外はこまかいデータがございませんから、そう詳しい御説明もできないわけでございますが、それぞれ、凍害でございますとか、干害でございますとか、あるいは台風による落果でございますとか、そういうことで被害が起こりました被害率は、私ども資料として三十八年ないし四十年の被害率として差し上げてあるとおりで、もちろん、果樹種類によりまして、また地域によりまして非常に大きな相違があることがはっきりいたしております。
  104. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回の異常豪雨によっても見られますように、日本の気象条件なりあるいは天候状況というものは、非常に予測できない状態というのが常に推測されるわけでございますが、特に、私ども九州地方におきましては、かつては台風常襲地帯の異名をとりましたが、最近は必ずしもそうではない。こういう一つの季節的な変動というもの、天候現象の変動というものが多分にあるわけでございますけれども、この中で、特に自然災害といいますか、品質の低下による減収といいますか、減額といいますか、こういうもの等の判断はなかなかむずかしいのじゃないか。もちろん、この点は、その前提条件としての要素もあるようでございますが、この辺、非常に広範な自然現象に支配されやすい中においても、品質低下に伴う保険対象というものは、技術的になかなか困難が伴うと思うのですが、これはどのような検討をなされておるのか、この点お聞かせをいただきたい。
  105. 大和田啓気

    大和田政府委員 果樹保険種類といたしましては、収穫保険と樹体保険ということになるわけでございますが、収穫保険でも、単に収量の問題ばかりでなしに、できるならば災害による品質の低下も保険によってカバーしたいというふうに私ども考えておるわけでございます。  で、今回試験の段階でございますけれども、農協その他の共販あるいは共選が完全に行なわれておる地帯が現にあるわけでございますが、そこで、農家ごとの品質の秀、優、良等の区別、あるいは場合によりましては大きさの区別等によりまして、各地区によりまして、各地区で点数制をとりまして、地区全体あるいは農家全体で品質を加味したところの点数制度基準収穫量を定めまして、事実ある年において——全量が農協等を伝わって売買されるわけでございますから、そこにおいて品質を加味した点数があらわされる、そこで被害量と基準収穫量とを比較して、三割以上あるいは五割以上の被害であれば、保険対象として保険金が支払われる。これは流通が共選、共販という形でしっかりしておらないところでは、やろうとしてもできないことでございますから、そういうところではまず単純な収穫保険でやる。しかし、完全に共選、共販が行なわれて、品質までも点数によってあらわされるところでは品質を加味した収穫保険を導入したいということで、現在その方向で作業を進めておるわけでございます。
  106. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私、御承知の宮崎県なんですけれども、県がいま盛んに奨励しておるわけです。この点、あとで園芸局長にもお伺いしたいわけでありますけれども、共選、共販ということでございますが、やはり消費都市に遠い地域なりあるいはまたその地域の特殊性によりまして、必ずしもそういう一つの農協なり生産組合等の機構を通じないで、特定の大口の消費、デパートだとか、あるいは学校だとか、地域の自衛隊とか、そういう大口の機関等に一括して納入する、あるいは特定の卸商等にやるとか、そういうような対象にならない生産農民なり生産組合が相当数あると思うのです。特に災害等の場合は共通的な裁定が可能にしても、いま申し上げた品質等の問題については、その点の判定がなかなか困難ではないかと思うのですが、そういう対象とした点については、いわゆる共選、共販等の機構を通じないものについてはどういうふうなことをするのか。特にこの点、あとでかんきつ生産について勝澤さんも質問したいと言っておりますが、そういう点の対象の困難性があるのですが、それは保険対象の基準をどういうふうに設定していくのか、その点をお伺いしたい。
  107. 大和田啓気

    大和田政府委員 一つの著しい例として共選、共販ということを申し上げましたけれども、いずれにしろ、基準収穫量をきめますときにも、過去のデータとして品質を加味した点数制度が使えないようなところでは、実は品質を加味した収穫保険ができないわけでございます。したがって、農協等の団体を通じての共選、共販ということに必ずしもこだわりませんけれども、大口需要先に一括して納めるということで十分のデータが過去においてもありますし、将来におきましても品質を加味した点数制度で収穫があらわせるというようなことであれば、私は品質を加味した収穫保険ができるだろうと思います。しかし、収穫保険は、これは共選、共販をやらなくても可能でございますから、一般的には、私は、収穫量保険で、特別に共選、共販等の措置を講じられていて、十分品質を加味した点数制度基準収穫量なりあるいは現実の収穫量が判断できるようなところで、品質を加味した収穫保険をやっていきたい。これはたびたび申し上げておりますように、一つの試験段階でございますけれども、一般的には収穫量保険でやって、まず大体農家の御希望を満たせるのではないか。特にデータがそろっているところでは、品質を加味した収穫保険を導入したいというわけでございます。
  108. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回の保険種類というのが、収穫保険というのに大体重点が置かれておるわけですけれども、収穫というのは、量と質と、それからその金額と、これは非常に多様性を持っておると思うのですが、多様性を持つ中においても、ミカン等は特に品種が多いし、その設定の基準はなかなか困難だと思う。保険金額、それから料率というのですか、こういう点は、いままでの事前の調査として、大体どういうふうな数字があらわれているのか。この保険金と保険料率、それから品種別とかあるいは価格とか、そういう点はどういうような分析をなされて、今後この施行期間中に対処されようとしておるのか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  109. 大和田啓気

    大和田政府委員 ミカン及びリンゴにつきまして、大体の保険料率なりあるいは保険金額なりを資料として差し上げてございますが、ミカンについて申し上げますと、全国平均の数字でございますけれども、一キログラムの保険金額が三十九円でございます。これは全国的な試算でございます。これは最近四年間のうちの中庸二年の東京中央卸売り市場に入荷いたしました全国のミカンの一キログラムの平均の価格が、流通経費を差し引きまして庭先価格でキロ六十五円でございます。六十五円の六掛けということで、一キログラムの保険金額を三十九円というふうに想定をいたしました。そうして十アールあたりの基準収穫量は二千六百キログラムというふうに想定をいたしたわけで、二千六百キログラムというふうに想定いたしますと、保険金額といたしまして、一戸当り二〇・六アールとして二十万八千八百八十四円、十アール当たりとして十万一千四百円ということになるわけでございます。それに対しまして、ミカンにつきましては相当数の県で三十八年ないし四十年について被害調査をやっておりますけれども、五割以上の被害に対して保険金を支払う場合の平均の保険料は二千七百三十八円、三〇%以上の被害に支払う場合五千五百七十七円、保険料率で申し上げますと、五〇%以上の被害に支払う場合が二・七%で、三〇%以上の被害に支払う場合が五・五%ということでございます。しかし、これは全国一律の数字でございますから、私ども実際試験実施をやりますときは、中央卸売市場に入荷されました全国の平均の数字ではなくて、宮崎県なら宮崎県のミカンが行くところの、大どころの中央卸売り市場の価格からの最近四年間のうち中庸二年の相場を出しまして、そこから流通経費を差っ引きまして一キログラム当たりの庭先価格を出して、その六割をキログラム当たりの保険金額として、それで現実に具体的な県の被害率を乗じて保険料率を算出する、そういうふうに考えておるわけでございます。
  110. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま局長が答弁されましたとおり、この保険制度の確立ということは、私は、おそらく五年間の施行期間において目的を達成するためには相当の困難が予想されるわけでありますが、この中で、保険加入促進のための交付金制度というものがうたわれておるわけでありますが、この目的といいますか、これはどういう意味でこの交付金制度というものを設けられたのか。いわゆるかける保険料を少しでも安くしていくための交付金、非常に気休め的な感じがするわけでありますが、それをもう少し私は根本的に考え直す必要があるんじゃないかと思うのですけれども、この交付金制度のねらいというのは、一体、ただ単なるしろうと的な考え方の保険加入促進のための補助金、こういうふうに理解をされるのかどうか、この辺、その目的は那辺にあるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  111. 大和田啓気

    大和田政府委員 農作物保険でありますれば、これは強制加入でございますから、掛け金について国庫負担ということが十分考えられるわけでございますけれども果樹保険につきましては、任意保険のたてまえでございますから、掛け金国庫負担ということはどうも考えづらいというふうに思います。したがいまして、率直に申し上げて、今回考えております交付金は、掛け金の一部であって、農家の経営の負担をできるだけ軽減したいという趣旨でございますけれども、それはあくまで掛け金国庫負担ということではなくて、やはり加入奨励金的なものというふうに考えることが正しいであろうというふうに思っております。
  112. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、私は、特にこれは園芸局長との関連もあると思うのですけれども、同じ単位数量なり同じ品質であっても、いわゆる静岡産のミカンと、あるいは鹿児島なり南九州地域で生産するミカンとは、その価格に相当な変動があるわけです。この地域格差というものがあるわけですが、この辺は、特にこれから画一的な保険共済事業を指導する場合に、非常に問題が提起されようかと思うわけで、先般九州地区で問題になりましたのは、卵価低迷等において、卵価の暴落に対するところの救済措置というものについて相当議論があったわけです。この辺の地域格差といいますか、こういう点についての問題点はどういうふうに処理をされようとするのか、この点お聞かせいただきたいと思います。
  113. 大和田啓気

    大和田政府委員 米麦の保険でありますれば、これは米で言えばキロ百円ということで、全国一律に最高額を選ぶとすれば、キロ百円ということで米の価格は全国一様でございますけれども、くだものにつきましては、これは県別にも違いがありますし、もっとこまかく言えば、一つの県内でも産地によって違うであろう。私先ほど申し上げました一キログラム当たりの庭先価格六十五円というのは、これは全国平均でございますから、果樹保険試験実施いたします場合は、少なくとも県別にその何々県産のミカンの庭先価格というのを出して、その県の保険料率をかけて現実に保険料を算定する、あるいは保険金額を算定するというふうにいたしたいと思います。将来の問題といたしましては、ミカンの値段も相当違うでありましょうから、それはデータがそろいますれば、一つの県内を幾つかの地域に分けて、一キログラム当たりの保険金額を変えるということも十分可能でございますけれども、いまはそこまでこまかく割りつける必要はないではないか。これは試験実施の結果、場合によりましては県内を分けて保険金額の違うものを適用することも十分考えたいと思います。
  114. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、臨時措置法の基本的な問題として言える点でありますけれども、やはり真剣にこれから選択的拡大という中において、農林省の統計によりましても、五十一年度に一応の国内における果樹類の需要供給のアンバランスがとれるという目標から類推しましても、相当農家において果樹園芸に対する意欲は強いと思うわけです。特にこの際考えられることは、今度の臨時措置法におきましては任意加入ということが原則になっているわけですけれども、少なくともこれから先は、やはりいままでの稲作のかたわらあるいは酪農、畜産のかたわら果樹をやろうという思想から、集約的な栽培ということでもって単一化される傾向が、私は強まってくるのじゃないかということが想像されるわけです。そうなりますと、やはりいままでの任意加入制から義務加入といいますか、強制加入といいますか、こういう形態に発展をしていかなければ共済制度の真の目的は達成しないし、同時にまた、加入者も、中途はんぱな共済制度では、政府の指導に対してほんとうにすべてをまかせてやるという気持ちになれぬじゃないか。むしろ、このような中途はんぱな任意加入制度ということが、この法律の目的を十分達し得ない結果を招くのじゃないかという基本的な点について、特にこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  115. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども果樹保険を本格的に実施いたします場合に、任意加入制度のほうがいいというふうに結論を出しておるわけではございまん。これは試験実施の過程において私ども十分研究をいたしたいことの一つでございますけれども、どうもいまの段階で申し上げますと、米麦と果樹経営というのはよほど性格が違っていて、米麦だと、もちろん経営内容は違いますけれども、そんなに経営による変化はございません。保険に対する需要も米麦の場合はそんなに違いませんけれども果樹につきましては、保険需要として、たとえば保険金は少なくても掛け金が少ないほうがいいという意見、あるいはそれと全く逆に、掛け金は多くても保険金が多いほうがいいという人もおりますし、あるいは私がそういうことを申し上げてはたして適当かどうかわかりませんけれども、今回の果樹保険試験実施に対して、実はあまり勧迎をしない向きが現実にあるわけです、地方によりまして、あるいはくだものの種類によりまして。それは、私どもまあ腹を割って話を聞きますと、果樹保険で多少の保険金をもらうよりも、果樹保険にかかることによって基準収穫量が明らかにされて、それで税制その他で非常な影響を受けることがむしろ困る、そういう率直な意見といいますか、はたしてここで申し上げることが適当かどうかわかりませんが、果樹保険に対して、必ずしもすらっと果樹保険果樹保険として見る農家ばかりではございませんから、そういう経営による違い、あるいは税金、保険制度、そういうものを統一してながめてみた場合に、果樹保険をほんとうに好まない人たちも相当あるわけでございましょうから、それらのものを一律に義務加入として果樹保険の中に取り込むことがいいかどうかということにつきまして、私は非常な疑問を持っておるわけでございます。農作物保険として、できるならば義務加入であることが保険の運営にとって望ましいことは、これは言うまでもございません。そうでありませんければ、作物保険というのはなかなか成り立たないのが普通でございますから、果樹保険についても、私は、できるならば義務保険であることが望ましいけれども、それを強行するにつきましては、どうも問題が多過ぎるのではないかというのが、私のただいまの感じでございます。しかし、まだ義務保険がいいか任意保険がいいかということにつきましては、結論を出しておらないというのも正直な私の意見でございます。
  116. 兒玉末男

    ○兒玉委員 もちろん、これは法案のいろんな関係資料から見ましても、局長の言われるとおり、相当困難性が伴うことは十分理解されるわけですが、この中で、特に今回指定されようとする六品種のほかに、自然災害とか天然現象に支配されやすい、たとえばカキだとか、特にクリ、それから、これは対象になっておりますが、桃、また特に九州で盛んに栽培されているビワ、こういうもの等は——最も自然現象に左右されやすいものこそ対象として調査をし、今回のこの品種の中に入れるべき筋合いのものではなかろうかと私は思っております。最も安定した、比較的自然災害に強いところのミカンは、もちろんこれは各地域において多数生産されておるからでありますけれども、こういう地域に偏在するものについても十分考慮すべきであったと思うのですが、これが調査対象にならなかった。これは説明の中にもありましたとおり、カキ等は岐阜県一県だけしか調査してくれという要望がなかったということも聞いておりますが、それはむしろ消極的な考え方であって、その散布状況は園芸局等は十分把握されておるわけですが、その辺のいきさつは、予算がなかったからとか、あるいは園芸局は、めんどうくさいから経済局が言ってきたものをやっておけというふうな気持ちだったのか、その辺のいきさつはどうであるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  117. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもこれから試験実施をやろうとしております六品種で、大体八割以上の果樹の面積なりあるいは収穫、算出額をカバーするわけでございますから、まあまあそんなにおかしい果樹種類の選び方ではないと思いますけれども、なお六種類だけにとどまらないで、今後、カキあるいはクリ、ビワ等について果樹保険対象とすることが適当であるかどうかということについては、十分検討いたしたいと思います。特にカキにつきましては、一県でございましても、とにかくデータが相当あるわけでございますから、この試験実施の期間にも多少ずつデータを積み重ねて、この五年のうちにはカキについて試験実施に入りたいというふうに思っております。しかし、ビワ、クリ等、いままで全然何も被害率調査をやっておりませんものにつきましては、試験期間中に取り上げるということはまずむずかしいわけでございますが、今後の園芸あるいは果樹農業の振興の度合いも考え、また園芸局等のこれからの施策もにらみ合わせて、今後の課題として研究をいたしたいと思います。
  118. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま局長は、今回の五年間の実行期間のうちにおいてはその対象にもしないし、調査もしないというふうな御答弁だったと思うのですが、少なくともビワにしましても、クリにしましても、あるいはカキの場合におきましても、過去それぞれ経営する果樹園芸組合等において、かなりの実績というものなり、あるいは病虫害なり、自然災害による収穫の変動というものは十分把握できるし、そしてその減収の原因が主として天然自然の災害かあるいは病虫害か、こういうものは、もちろん正確なデータは出ないにいたしましても、実際にクリ栽培をやり、ビワの栽培をやっておる経営者は、自分の生活に直結する問題でありますから、一〇〇%近い資料は出ないにしましても、今後農林省が指導する上において非常に貴重な参考としての資料が集約できるものと私は思うのでありますが、その点、特に園芸局長のほうがその辺は十分御理解しておると思うのですが、いかがでしょうか。
  119. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 農業保険対象にすることの可否等につきましては、経済局長から説明があったわけでございますが、おっしゃるまでもなく、一般論として、こういう制度が適切に果樹園経営に定着して、その役割りを果たすことが望ましいわけでございますけれども、ただ、そのためには、やはりどうしましても保険対象になる程度の集団化、あるいは栽培技術の均一化と申しますか、個人差のないこと、あるいは分布と申しますか、ある程度の広がりがなければ、災害が非常に偏在するというようなこともございまして、残念ながら、そういうふうに果樹振興の対象になる作物すべてが今度の試験実施対象にならなかったわけでございます。いま経済局長が申し上げましたように、今後の果樹園がどういうふうに拡大していくか、あるいは技術が普及し、均一化していくか等をにらみまして、私どものほうから経済局等のほうに順次お願いをするというような時期がくるのではなかろうかと思っております。
  120. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと関連で一問だけ……。  いまの園芸局長の話を聞いておると、私は実に心外なんです。いまあなた、農林省で農業政策の基本として農業構造改善をやっておる。それは御承知のように、農地を拡大して専業農家をつくって、しかも選択的拡大でやっていこうという考え方を持っておる。ところが、あなたのは放任的に集団的にそういうものができ上がるのを待っておる。そうではないでしょう。そういう集団をつくってどういう基礎資料をつくるかということを指示し、指導するのがあなた方の立場なんです。あなたの答えは逆なんです。だから、そういうような方向で、クリであるとか、カキであるとか、ビワであるとか、そういうものを将来そこに入れていこうという熱意が基本的になければ、それはできないわけです。放任しておけばやりはしませんよ。だから、そういう指導的な一つの感度を持っておるのか、将来そういうところに入れていくのか、そういう事柄が一番重要な行政指導としての立場だ、こういうふうに認識しておる。ところが、あなたのお答えを聞いておると、自然に集団ができていないから、資料が整っていないから——そのないものをどのように整え、どのように集団をさせ、どのように方向づけていくかということが農業構造改善事業の基本であり、そのことが政府としての一つの基本でなければならぬ、私はそう考えておる。そういう点に関して、今後そういうふうな努力をされるのかどうか、ちょっとあなたのお答えを聞いておりますと、とてもじゃないけれども、変だなと思ったものですから、その点一点お伺いしておきます。
  121. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私の申し上げましたのは、果樹保険の設計のための調査に取りかかる当時の時点では、そういうふうに、果樹種類によりましては、必ずしも保険対象にするための状況が整っていなかったものがあったということでございまして、おっしゃるまでもなく、いま先生の御指摘のとおり、私どものほうといたしましては、これは午前中も申し上げたのであります。今後果樹については、まず果樹園といたしましても集団化していることが必要である。これは出荷の単位としてまとまるためにも、あるいは経営を合理化していくためにも、当然機械を入れなければならない。機械を入れるとすれば、現在のような段階でございますから、一反歩あるいは二反歩というような——先ほどもミカン園は一人当たり二・六反程度の栽植になっているという話が経済局長からあったのでありますが、個人のそういう狭い園地では機械も十分使えない、したがいまして、果樹園としては当然相当な集団化をしておることが必要である。そうして機械なり作業の共同なりで合理化していくことが必要であるということで、従来とも、たとえば果樹園経営計画を認定いたしまして、公庫資金の融資の決定をするというような場合も、十ヘクタール集団しているところであればお貸しするというふうにして指導をしてまいったわけでございます。御承知のように、さらに昨年の果樹振興法の改正によりまして、ことしの三月三十一日に基本方針を出したのでございますが、その改正案の中にもいわゆる濃密生産団地という考え方がございまして、これはいまのように集団化した果樹園のさらにもう一段広がりを持った集団、そうでなければ、今後市場において大量に消費をされ、市場において相当大きな荷口を持って売っていくことが必要であるという時勢に対応できない。そういう意味におきまして、そういう状況は、愛媛県なんかの場合には郡単位で相当濃密な出荷単位になっているというような姿がすでにあるわけでございます。そういうふうに全体として濃密な集荷単位、生産団地をつくっていくということが、私ども果樹の今後の基本方針であるというふうに考えておるのでございます。
  122. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っていることをよく聞いておいていただきたいのです。私の言っているのは、いま言ったように、あなた方が集団農場をつくるということはけっこうなことです。そこで、集団をつくるということが前提にならなくてはそういういろいろな保険なんかむずかしいと言われる。そうすると、二つの問題がある。一つは、そういう方向にどういう努力の裏づけをするか、あるいはもう一つ、言いかえてみたら、集団という行き方をとる農業経営が、はたしてそういう条件の整い方ができるかどうか。かりに出荷なんかは共同出荷ができます。しかし、片一方には技術という問題を持っておる。技術のレベルというものはお互いが違ってくるわけです。せっかく集団をしても、技術が違っている、資金量が違っている、そういうような問題がはびこってくるから、なかなかうまくいかないのがいままでの現状なんです。それだから、集団農場というものはできにくい。それと同じように、果樹地帯においても、特に技術の問題なんか相当高度になってきますから、そうすると、その技術のレベルをどのように均一化し、どのようにしてそこまでレベルを向上さしていくか、そういう事柄がほんとうの熱のある指導であろうと思う。そういう立場に立ってあなた方が今後指導するかどうかを聞いたわけです。だからこそ、集団にされるところのその条件が整うのかどうかということが、その前提になってくるわけです。その上に立って、それをやるためには、それでは具体的にはこういうようなデータをこういうふうな方法でつくらせていきましょう、それがあなたの熱意となってあらわれてくる。もう一つは、行政指導の中で、あなたは局長ですよ。たとえば個々の技術の問題に関し、それらのデータの問題に関しては、各課長なりあるいは係の人たちが、たくさんのこういう意見もあり、こういうこともありますということをまとめていくでしょう。それをどう判断して、それをどう行為に移すかということの責任はあなたなんです。だから、あなたがそういう形でしっかりしていないと、実際の前向きの姿にはならぬということになってくる。ここで答弁の口先は幾らでも言えますけれども、現実の行為として——局長となれば、現実の行為の上に立った指導が必要になってくるのではないか。あなたが局長でなかったらこういうことは言いませんよ。少なくともいままでの事なかれ主義の局長ではなくて、そういう一つのモラルが出たら、それをその方向に向かってどういうふうにしてその行為を実現さしていくかということが、それが局長のほんとうの責任だろうと思います。いま言ったように、具体的な問題として——あなたの答弁が抽象的なので、一つ一つ解明してほしい、こういうことを質問したわけです。
  123. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 確か御指摘になりましたように、集団と申しましても、集団の広がりあるいはどこの地域でも相当広く集団化するということは、なかなか困難な場合がございます。非常に濃密にあたり一帯が全部ミカン園である、あるいはあたり一帯がブドウ園であるというようなところもございますが、中にはなかなかそういうふうにまとまりにくいというところも現実には存在するわけでございます。しかし、私どもといたしましては、やはり大勢は、そういう集団化をできるだけしていくところがそういう合理化の進め得るところであるということで、やはり基本としては、そういう園地の集団あるいは産地としての集団化という線でまいりたいというふうに考えております。しからば、いままさにおしかりがあったわけでございますが、そういうことを現実にどういうふうに進めていくか。基本方針においてそういう線を出すだけでは、現実に具体的にそういうことが実行されないという結果になるのではないかというお話がいまあったわけでございます。先ほども一例を申し上げましたが、たとえば資金の融資等の場合にも、集団を前提にする。それからまた、さらに開拓。パイロットであるとか、構造改善であるとか、いろいろな従来の施策においても、いずれもそれぞれ農家の方が個々にやっておられればそれでいいというふうなことには従来ともしていなかったつもりでございますが、今後も従来のそういう線はもちろん踏襲をしていきたい。さらに今後濃密な生産団地あるいは果樹園の理想的な広がりを持った経営というものを進めていくためには、従来以上の努力が必要なわけでございます。具体的には、私ども四十三年度の予算要求として、従来の施策につけ加えまして現在種々考究をいたしております。まあ、今後その実現あるいは施策の充実をはかっていくというふうに考えておるのでございます。
  124. 中村時雄

    中村(時)委員 私は賛成する法案にはあまり質問せぬつもりですけれども、答弁があまりにも抽象的なものだから、つい質問したわけですが、集団と言いましても、たとえば大きな土地所有、そういうような場合には、たとえばソ連のようにコルホーズ式にやっていこうというような場合には、コンバインであるとか肥料であるとか、そういうものを国営にして打ち出していく方式もあるし、あるいは中共のやったように一つの権力闘争によって地主階級というものをとばしていくという方式もあるだろう。ところが、日本の場合には、その集団に適したところの条件があるかどうかということが一番大事な問題です。これは特に大和田さんなんかは農地局長をしておったからよくわかるはずです。農地管理事業団の場合だってそうです。農地と労働と資本というもののミックスをどこでどう焦点を合わすかというような場合には、少なくともそういった集団に適したところの条件があるのかどうか、これが一つ出てくる。またもう一つは、そのあり得るという前提をとった場合に、集団としてのやりやすい面とやりにくい面がある。出荷なんかはやりやすい面、技術なんかはやりにくい面、そういう面を明確にしておいて、しかも自己におけるところの利潤追求が別個な形で取り上げられるような方法を考えなければならぬ。そうなると、利潤の分配という問題が非常にむずかしい問題になってあらわれてくる。そういう問題をよくわきまえて勘案してやっていかなければならぬと思うが、これはいずれ基本的な農業の姿勢の問題としてお話し申し上げたいと思っておるので、この問題はそれでおきますが、具体的な問題としては、カキであるとか、クリであるとか、ビワであるとか、そういうものは、確かに農家の現金収入としては非常に大きなファクターを占めておる。ところが、いま言ったように、資料が足らぬとか、年限のために資料が十分に集まらないというような問題は技術的にあると思う。だから、そういう技術的に欠陥があるものをなくしていくような指導方針が必要であり、それを整えてあげるのが局長としての立場じゃないかということを聞いたわけです。だから、今後においてそういう資料の作成なり——あるいは補助金をどう使うかは別として、そういうような事柄によって資料の整備をし、何年先ごろにはそういう資料の整備の上に立ってその問題の解決もはかる、そういうことが前向きの農政の一つのあり方だ、こういうふうに見ているものだから、お尋ねしたわけです。
  125. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 その基本理念について御質問があったわけでございますが、一つだけ申し上げておきますと、私ども集団と言った場合に、たとえば所有の集団、つまり、園地を一人の農家が所有としてまとめてしまうというようなところまでを必ずしも期待をいたしていないので、むしろ植栽されておるものの圃場をなるべくぽつぽつとやらないように、各人が話し合ってまとめてつくる、そういうことをまず第一次的に期待をいたしておるわけであります。それからまた、たとえば作業におきましても、作業もいろいろございまして、中にはスピードスプレーヤーをもってやれば比較的共同化しやすい作業部分もございます。いろいろ共同化しにくいところもございます。それはまさに御指摘のとおりでございますので、そういう具体的に進める場合にも、いわば難易に応じてといいますか、実情に応じて進めていくことが必要であろう、ただやみくもに画一的な集団というものは必ずしも実情に合わないし、好ましくないのではないかというふうにも考えております。  それから、第二段のお話も、私、兒玉先生の御質問に対して申し上げたように、従来の段階ではなかなか保険に合うような状態になっていなかったということでございますが、今後漸次私どもの基本方針の線に沿って産地も拡大されてまいれば、またいわゆる保険需要というものに適合する地帯が出てくる——出てくるというとおしかりを受けるので、出てこさせるような産地にしていくということでやりいと思っております。
  126. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まだたくさんありますけれども、一応あと一問だけで本日は終わりたいと思いますが、特に園芸局長にお伺いしたいのは、今回のこの保険制度の運用によりまして、特に、まじめな果樹園芸家というのはやはり進んで加入するだろうと思うわけです。というのは、その果樹園芸に情熱を傾ける生産農家ほど、いわゆる不時の災害に備えるという積極的な姿勢というものがあると思うのです。そういう点から考えますと、今回の農林省の方針では、比較的面積の広い、しかも収穫の高い程度果樹対象となっておるわけでありますけれども、九州におきましてはビワ等はよく御存じのとおり、たとえば鹿児島の桜島等はミカンとビワにすべてを依存しておるわけでありまして、その収穫の時期は全く相反する時期にあるわけです。でありますから、そういう点等から考えますと、単に面積が広いとか、全国的な収益度が高いからということではなくて、地域の栽培の密度という点等も十分考慮に入れてしかるべきではないか。この辺について、今後の指導としてどういうふうにお考えになっているのか。  それから、もう一つの問題は、やはり一定年間ということばが表現されておるわけでございますが、この点、たしか先ほど経済局長も御答弁になったと思うのですが、一定年間というのは、ミカンにしましても、あるいはその他の果樹にいたしましても、植栽をいたしましてから最も収益度の高い時期というものが非常に幅が広いわけであります。こういう点等の算定というものは、その果樹の品種ごとに行なうのか、あるいは地域性というものを考慮してやるのか、または共済組合連合会が行なおうとするこの地域設定の対象条件になっておりますところの、いわゆるその品種は別としても、十アールが単位であって、その経営戸数の過半数以上をその対象とするというように、非常に多様性を持つものでありますけれども保険金額の対象となる一定年間という作定は非常に困難性が伴うと思うのですが、その辺の基準というものはどういうふうに作定をされようとしているのか。今国会が終わりましたならば、必ず地方の国会報告の際具体的に生産農民に聞かれると思いますから、その辺お聞かせをいただきたいと思います。
  127. 大和田啓気

    大和田政府委員 御質問は、果樹ごとに農家基準収穫量をどういうふうにきめるか、そういうことであろうかと思います。この基準収穫量をうまくきめなければ、果樹保険試験実施というものも成功はしまい。まず一番大事な、被害の評価ということも問題でございますけれども、その前に基準収穫量の作定ということが非常に大事なことであろうと思います。これは私ども、具体的なやり方といたしましては、県の試験場なり、あるいは農協の連合会、その他の果樹専門家をわずらわしまして、地域ごとの標準の収穫量というものをまず出させて、きわめてこまかい表をつくりたいと思います。それは当然樹齢別あるいは品種別になるわけでございます。樹齢別、品種別の標準収穫量をまずつくりまして、これを個々の農家に当てはめます場合には、これも村の有識者等を通じまして栽培技術の水準等を加味し、また当然農協その他による流通資料があるわけでございますから、個別の流通資料をもとにして、専門家のつくりました樹齢別あるいは品種別の標準収穫量を現実に修正をしていく、そういう形で基準収穫量をきめていきたいというふうに思います。これも試験期間中、まあ四回あるいは五回年々繰り返すことによりまして、まず数年の後には、大体農家も満足できるような基準収穫量というものが作定されるというふうに考えておる次第でございます。
  128. 兒玉末男

    ○兒玉委員 園芸局長にお伺いしたいのでありますが、今後の共済制度を拡充するために、やはり園芸局と経済局との緊密な連携ということが必要ではないかと思うわけです。同時に、私は、一番冒頭にお聞きしたがったのでございますけれども、先ほど経済局長が御答弁されましたとおり、稲作等の場合には二十年間の平均の収穫を基準にしていろいろ検討する、果樹の場合におきましても、伊勢湾台風に見るような特異な災害によって、果実、樹木ともに決定的な被害を受ける状態というものはそうたくさんないと思うのですが、一番肝心な点は、この前、島口議員から質問しましたとおり、果樹のいわゆる需給関係、生産と需要の関係による価格の変動ということは、非常に生産農民は心配をいたすわけであります。この辺について、ここに出されておりますところの昭和五十一年度における生産目標というものは、これに到達する過程において、やはり価格の変動というものは十分考慮しなければいけないのでありますが、これは何と申しましても、いままでの各県における園芸の指導というものが、どちらかといえば、まあミカンがいいからミカンをつくれ、またブドウがいいからブドウをつくれ、暖地リンゴがいいから暖地リンゴをやれ、こういう生産指導ということは、非常に積極的でありますけれども、流通と価格政策というものに対する指導が欠如しておる。それから日本全体における需要の動向というものに対して、生産農民なり農協なり、あるいは県の指導者というものが、あまりにもむとんちゃくではないか、こういうふうに私は考えるわけです。これは単に果樹だけでなくして、蔬菜、園芸の場合においてもそういう傾向は非常に強いわけでありますが、今後の共済事業の強化と同時に、このような点についての指導といいますか、今後の対策ということについて、この際お聞かせいただきたいと思います。
  129. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 お話にありましたような、いわば価格に対しては比較的鈍感と申しますか、そういう姿勢であり、かつ一方、生産に対しては非常に行政当局あるいは指導者層の熱意があった、あるいは価格については楽観的なムードの上で生産を奨励してまいったというようなことが過去においてあったということを、全然いなむわけにはまいらないと私も存じます。  ただ、一般的に申しますと、やはり果実にいたしましても、たまたま関説されました野菜等にいたしましても、一般的にはやはり相当傾向として値上がりの傾向が従来続いておったわけでございます。昭和三十年を基準にいたしましても、あるいは三十五年を基準にいたしましても、いずれも値上がりになっている。そういう意味で、価格としては従来堅調であった。そういう背景があったために、そういうやや生産中心の体制できたということが言えるかと思いますが、しかし、実際問題といたしましては、ここ二、三年来価格についてどうであろうかというある種の危惧が一般的にあるわけでございまして、それが背景となりまして、やはり昨年成立をいたしました果振法の改正等もあったのではなかろうかというふうに存じております。  これは再々申し上げたのでありますが、果実の価格につきましては、そういう意味におきまして、長期的なそういう傾向をどう見るかということと、年々の豊凶あるいは地方的な出荷の片寄りと申しますか、そういうものによる低落にどういうふうに対処していくかという問題と、いわば二つあろうかと存じます。  私どものほうといたしましては、第一に、やはり長期的な価格の傾向というものは、品種ごとに、それぞれ果実の種類ごとに違ってくるのではないか、やはり全体として果実の需要はふえても、一つ一つ種類、品種ごとに考えていく必要があるであろうというふうに考えまして、その果実の種類あるいは品種ごとにそれぞれ測定をいたしておるわけでございますが、一方では十年先の時点だけで需給を均衡させても、それからさらにあとも問題があるということでございますので、そういう点の測定は、種々方法論上は問題があろうかと存じますが、一応基本方針でそれを明示してまいったわけでございます。今後もさらに条件の変更に伴いまして、そういう点については検討を続けていく必要があるだろう。さりとて毎年毎年というわけにもまいりませんので、五年先にはもう一度やってみるというふうに考えております。  なお、特定の地域の特定の産地がごくその特殊な性質を利用して、特殊な市場に対して出荷をするというようなことは、これは国全体としてはなかなか調整をするということは困難でございます。やはり京浜市場あるいは京阪神市場という大きな市場を中心にしまして、全国的な生産者あるいは出荷者の協議というようなことを通じて、そういう年々のあるいはシーズンごとの価格の調整ということを組織的にやってまいりたいというふうに考えております。
  130. 兒玉末男

    ○兒玉委員 きょうはこれで終わります。
  131. 本名武

    本名委員長 次会は、明十二日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時十六分散会