○
久宗政府委員 専門的なことになりますので、御
説明が十分できにくいかと思うのでありますが、お聞き取りいただきます前に、私
どもがこの
制度に取り組みましたときに、前に農業
保険に多少
関係しておりましたのでそれとの比較がどうしても頭に来るわけでございまして、ちょうど
先生のいまの御
質問のような疑問を持ったことがあるわけでございますが、非常に大きく違います点は、たとえば通常の被害、異常な被害というものにつきまして、その
内容をどう考えるかという問題が
一つあると思います。
農業の場合には、先ほどの御議論でも出ましたように、形としては、戦闘で申しますと要塞戦みたいなものでございまして、全部要塞をつくっておりまして、そこへ被害が来るという形でございますので、全部の
仕組みをそういう形で形づくられるわけであります。したがって、たとえばデータにいたしましても、
改正前は、あれは県単位で
一つの
設計をいたしましたし、その後直しましたのではたしか組合単位になっていると思いますけれ
ども、あるデータを集めまして、そこで、ここまでが通常の被害、ここ以上が異常な被害と、被害の
中身そのものをそういうふうに仕分けることをやっているわけであります。はたして
理論的にそういうふうに分けられるかどうかは、私がこの前も申し上げましたように若干問題があるわけでございますが、これはやはり、全体を当然
加入といたしまして、全部を入れて組み立てているということから、そういう中で許されるべき問題ではないかということで、いわゆる異常の
内容、通常の
内容というものを具体的にきめまして、そういう仕分けができるわけでございます。
漁業の場合には、そうではございませんで、あらかじめこれが通常、これが異常というものを分けるようなデータの
仕組みになっておりませんし、かりにそのようなデータがありましても、そういうふうな分け方をして、そして危険分散をしなければできないわけではないのでございまして、今度のやり方でやっておりますように、県の
保険共済組合、それと全国の連合会というところでまずできるだけのプールをいたしまして、そういう全国的なプールしてもなおかつ負担し得ない線をきめまして、それを国が
保険する。全国の連合会と一本の
保険で
政府が結びついているという非常に異例な形をとっておりますのは、農業の
共済の立て方と根本的に違うわけでございます。つまり、私
どもの
関係では、まず全国的なプールをいたしましたものを
保険するという形になります点で、農業の場合のように、県単位あるいは最近の
改正後でございますと単位組合におきまして、異常災害と通常災害そのものを、災害の
種類と申しますか、度合いによって一線を画してしまいまして、それを通常、異常と言いながら全体の
仕組みを組む、こういうのと根本的に違うという点、これをぜひのみ込んでいただきたいと思うわけでございます。データがそういう形ではないということが
一つと、かりにデータがございましても、そういう形でなければ危険の分散ができなくはない。今度のようなやり方によりましても、結果は、同じように、団体としてプロパーでは負い得ないものを
政府が
保険する
仕組みはできるわけでございますので、決して農業のやり方よりもまずいとか、あるいは手を抜いているとか、そういう問題はないわけでございます。
いずれにいたしましても、
漁業災害をこういう形で受とめました場合には団体プロパーでは負い得ないものを引き抜きまして、これを
政府が
保険する。その結果、個別の
漁業者の受けられる
利益というものは同じである。要するに、やり方の手段が違うわけでございまして、
考え方は根本的には、その団体プロパーでは負い得ないものを
政府が見る、こういうことでございます。この点がまず第一の問題でございます。
なお、
中身に入りましての問題でございますが、しばしば御
質問に出ますので一部申し上げますと、一三〇というのが
農災制度のほうでは一二〇になっているではないかというお話がよく比較問題として出るわけでございますが、私
どもが一三〇という数字を出等しおりますのは、主として、
一つには
保険の事故の発生の頻度、それから第二には、同種の
共済保険制度におきます
共済団体の
支払い超過の
限度、これを越える事故の発生の頻度、こういうものを頭の中において考えておるわけでございます。それから、さらに、かりに全部の
保険区分につきまして
保険事故となる深い事故が発生しました場合に、連合会が負担することになる
支払い資金の不足の額がどの
程度になるか、こういった幾つかの吟味をいたしまして一三〇というめどを出したわけでございます。これとの
関連で、よく、
農災の場合におきましては全国平均で一二〇なのに、こっちは一三〇以上しか見ないのはおかしいじゃないかというお話が出るわけでございますが、一二〇と申しますのは全国の平均でございます。したがいまして、もちろん単位組合で考えますと一二〇を実際にオーバーしてしまっているものも当然あるわけでございます。たとえば、水稲の場合におきますと、
最高二〇〇%というような結果になっておるものもあるわけでございます。それから、
農災制度の中で根幹的な
部分を占めております水稲
関係でございますが、水稲について具体的に調べてみますと、
政府の受けとめる
保険事故の発生の頻度は百分の四十五
程度でございます。つまり百分の五十以内にとどまっておるわけです。これがしばしば
農災の全体の平均で一二〇という数字が出ますけれ
ども、そうではございませんで、一番具体的な問題で申し上げますれば、水稲について申し上げますと、いま申しましたように、
政府が
保険事故として受けとめなければならぬようなものの発生します頻度は百分の四十五で、百分の五十以内にとどまっておるわけでございます。
さらに、御
承知のように、農業
共済の場合には市町村
段階でございますので、市町村
段階でございますだけに、それだけプールが小さいのと、それから、
共済のもとの
種類も非常に限定されたものでありますのに対しまして、
漁業共済の場合には、御
承知のとおり、これは全国の
段階でございまして、それぞれの
保険区分について十分な
対象がございますし、資金繰りの面から見ても
経営上のゆとりが大きいという
事情を考えて比較いたしますと、県単位、町村単位によって一二〇という問題と全国単位で一三〇という問題の違いがあるわけでございますので、一二〇より一〇高いというふうに直ちに比較できるものではないというふうに思うわけでございます。
私
どもの
関係では、やはり、異常と申します以上、二年目に出てくるといったような形では客観的な説得力がございませんので一三〇というふうにいたしましたけれ
ども、この平均発生率の
限度は百分の四十二というふうに見ておるわけでございます。これをかりに一二〇にいたしますと、百分の五十五というようなことになりまして、
相当ひんぱんに起る。それを異常だという形で、それについての特別な措置を
お願いすることはまずいではないかというふうに考えておるわけでございます。
それから、もう
一つの問題といたしましては、全国
段階でございますが、これをかりに一二〇というふうにいたしました場合には、当然それだけ負担の度合いが少なくなりますと同時に、
掛け金の保有の割合もそれだけ少なくなるわけでございまして、全国
段階で考えますと
相当大きな金額になるわけでございまして、全国連合会のそれ自体の
経営問題といたしましても
相当大きな問題ではないだろうか。
〔
高見委員長代理退席、
委員長着席〕
これは本筋の話ではございませんけれ
どもそういう問題もあるわけでございまして、私
どもといたしましては一三〇でなければならぬとは考えませんけれ
ども、一応今日まで新しい
仕組みによりまして御経験の深い担当者あるいは学者の方の御
意見も聞きまして、一応のめどとしてこの一三〇というものを出したわけでございますので、直ちに
農災との比較で
農災よりも保護が薄いというふうにお受け取りになっていただいては困るというふうに思うわけでございます。