○金丸(徳)
委員 いまのお
考えには敬意を表するのでありますが、いままでの
構造改善事業といいますか、構造改善
対策などの実例を見ますと、どうもああそうですか、たいへん期待いたしておりますということを言いかねるほどなんですね。
それから、山村
振興法、これができてからもう二年ですか、三年ですか、きわめて予算も少なくて、急傾斜に道をつくる
程度のようであります。これでは私は間に合わぬのじゃないか、こう思うのです。ですから、これは山村
振興という大きな網の中で
考えられないで、それから
構造改善事業というたいへん名目のいいものだけで
考えられないで、もう急所をつくような形における
養蚕振興、繭増産、急場に間に合わせるための
対策としてこれを取り出しておく必要があるのではないか。実は私もう時間もまいりましたので、
お尋ねのことは終局いたすつもりでありますけれ
ども、いままでこの席で承ったところによりましても、
生糸は世界的にいって
相当需要は増してくる。ますます増すであろうということと同時に、そうした
需要の増の
見通しにもかかわらず、世界各国における増産
対策というものはそう目ざましいものはない。まあ、中国はわからぬとおっしゃいましたけれ
ども、中国もそうであろうと思うのですが、たいしたことはない。したがって、わが国の
養蚕業というものは、世界全体の
養蚕業の王座を占めながら、その世界全体の増すべき
需要に対して対応すべき責任を持っているのではないか、これからますますその責任は大きくなるのではないか、こう思います。そしてそういう責任感を持った上での今回の本改正法案だと思います。そして、それを見てみますと、私はこれでもうわがこと足れりとは決して思わないのであります。先ほど輸出入全体を見なければという
お話がございました。私はそういうところまで行こうと思います。わが国の
養蚕業の課題は、そこまで
考えて
対策を練っておくべき立場でもあり、責任もあると思うのです。だから、そういう責任の将来の
見通しの中で、体制の中で、この法案というものでちらり将来の
見通しをのぞき見たような気がいたすのであります。のぞき見る
程度であって、ほんとうの問題の解決は、私は、これではなくて、むしろ
生産増強、
養蚕業の
振興ということにそれこそ真剣に取っ組んでいかなければいけないのではないか、こう思うものですから、いままでくだくだしく、またこまかいととろにまでわたって
お尋ねをいたしました。
で、私は、
養蚕業につきましては、小さいながらも
全国一の成績をあげておる山梨県の生まれであるだけに言っておるわけではありませんけれ
ども、私は、
養蚕業というものは、いままでの実績もさることながら、いろいろな条件を
考えてみまして、わが国の食糧というものを別にいたしますと、
農業の中の大きな部面をしょわしていいのではないかと思うのです。といいますのは、さっきも
場長が言われましたけれ
ども、桑というのはどこでも育つのです。荒れ地でもいい。沃地ならなおいい。山の急傾地でもいい。平地でもいい。南面の
土地ならなおいいが、北面だって育つんです。寒冷地でもいい。暖地ならなおいいという、まことに好都合な
作物なんです。そして栽培はわりに楽なんです。そしてこれに対して品種をさらに研究していただく、栽培
方法を研究していただく、適切なる
肥料を発見していただき、安く潤沢に回していただくとしますれば、かりに反別がいろいろな
関係上ふやし得なくとも、
相当の
生産量が供給できるのではないか。また、いろいろな角度から省力
飼育というような
方法も
検討していただき、さらに進んでは、
養蚕業を主体として、これに労力をうまく配分し、かみ合わせるような養鶏なり養豚なりその他の産業をかみ合わして、しかも一部落なり集団的、共同的な
経営方策をとるようなことも
検討していただくことによって、
経営面における巧妙さを発揮していただく、そうして、そういう中から各個人の所得の増が期待できるとしますならば、これは私はいままで以上にもわが国は
養蚕王国といいますか、
生糸天国として世界に君臨し得るのではないか、こう思うのですね。
そう期待いたすものですから、結論といたしましては、本年度の予算につきましては、私は中を見まして、これがこういうような法律を出さなければならないほどに緊迫したわが国の蚕糸
対策、
養蚕対策の予算かと、実は残念に思った。がっかりしたくらいのものであります。しかし、その額は小さいけれ
ども、巧妙に使って大いに役立たせるという御意図であれば、それも現
段階ではやはりやむを得ません。やむを得ませんけれ
ども、四十三年度予算におきましては、いままで私がお願いいたしましたようなことも加味いたしまして、
相当額の力を予算面においても計上しながら策を練っておいていただきたいと思うのです。私は、
生糸がもう神代の時代から大きな伝統を持っているというようなセンチメンタルで言っているわけでもございません。ございませんが、しかし、いろいろな角度からいきまして、非常な大切なことです。ことに、婦人が大体蚕を
飼育しております。
共同飼育場なりへ行ってみますると、あの御婦人が蚕を見ることわが子のごとく、愛情をささげて蚕を世話しておる。あれを見てみますると、日本の婦人が世界の婦人に比較にならないほどのりっぱな根性、りっぱな情操を持っておる、そのもとには、あの蚕にささげるといいますか、蚕に注ぐ愛情というものが、ずいぶん役立っているのではないか、こう思うのです。日本の女性が、やさしくて、強くてと、こういわれるのには、私は蚕の功績が大いにあると思うのです。それだけに、ただ所得面というだけでなくて、国民の情操面からいたしましても大切な仕事のように思う。そこで、ひとつ
生産農家が、よしきた、
政府がこれだけ力をこの
段階において入れてくれるならば、われらもまた将来に向かって大きな張り合いと
希望を持って
生産に
努力して、
政府の御
努力にこたえようという気持ちを起こすのではないか、こう思うのです。来年度予算においてその実績をお
示しくださるように私はお願いをいたしまして、私の
お尋ねを終わることといたします。
実はきょう、私は、大臣がお出になっておりますれば、蚕糸王国長野県出身として、なおこの点は強く言いたかった。どうか蚕糸
局長その点をひとつ大臣にもお伝え願いたいのであります。
以上申し上げまして、終わります。(拍手)