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1967-05-10 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十日(水曜日)    午前十一時十分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 東海林 稔君 理事 玉置 一徳君       安倍晋太郎君    小沢佐重喜君       小澤 太郎君    大野 市郎君       鹿野 彦吉君    金子 岩三君       小坂善太郎君    小山 長規君       坂村 吉正君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       藤田 義光君    湊  徹郎君       粟山  秀君    伊賀 定盛君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       島口重次郎君    美濃 政市君       森  義視君    中村 時雄君       斎藤  実君    中野  明君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月十日  理事赤路友藏君同日理事辞任につき、その補欠 として石田宥全君理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  農業共済基金法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二八号)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。  理事赤路友藏君から理事辞任申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 本名武

    本名委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 本名武

    本名委員長 御異議なしと認めます。よって、理事石田宥全君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 本名武

    本名委員長 農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。佐々栄三郎君。
  6. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は、ただいま上程されております農業共済基金法の一部を改正する法律案について質疑をいたします。なお、この質疑を終わりまして、若干農業共済制度全般について引き続いてお尋ねをいたしたいと考えております。  そこで、まず第一に、このたびの改正でございますが、この改正によりまして増資をするという案がありますが、この増資の直接の原因になりましたのは、四十年度に行なわれました連合会不足金のたな上げ措置、これが今度の改正の直接的な原因であると思います。そこで、まずお伺いを申し上げたいのは、このたな上げ当時の連合会状況と、最近における連合会状況——財務状況でございますが、これをたな上げ当時と現在に区別をいたしまして、その余剰金不足金金額、及び連合会数、こういうようなことにつきましてまずお伺いをいたしたいと思います。   〔委員長退席倉成委員長代理着席
  7. 大和田啓気

    大和田政府委員 お答え申し上げます。  直接この不足金貸し付け金に対します分を二十五億円ほどたな上げいたしました当時のもようを申し上げますと、農作物共済勘定あるいは蚕繭共済勘定家畜共済勘定、それぞれの連合会合計二十六の連合会不足金を持っておりまして、その不足金合計は四十七億五千万円にのぼっておったわけでございます。内訳を多少詳細に申し上げますと、農作物共済勘定で、不足連合会の数が二十三で、不足金額が三十四億五千万でございます。蚕繭勘定におきましては、不足連合会の数が十八で、不足金額が二億八千万、家畜共済勘定におきましては、不足連合会の数が二十五で、不足金は十億二千万、二十六の連合会合計四十七億五千万円という状態でございます。  ところが、このたな上げをいたしましたことから、一つはそれだけ利子の負担が減ったということもございますし、また、その後の災害発生状況も影響いたしまして、四十年度末におきましては、四十七億五千万円の不足金が、連合会の数といたしましては二十六でございますが、四十三億三千万円に減少をいたしたわけでございます。三十八年のときに合わせまして勘定別に申し上げますと、農作物共済勘定が三十億三千万円、蚕繭共済勘定が一億五千万、家畜共済勘定が十一億九千万となりますが、合計不足金を生じていなくても、勘定別には不足金を生じている連合会があることがあるので、これを調整して、赤字合計は四十三億三千万円ということでございます。赤字といいますか、不足金の減り方は決してそれほど顕著ではございませんけれども、この不足金貸し付け金のたな上げによりまして、相当財務状況の改善が見られるわけでございます。
  8. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまの御説明によりまして大体わかりましたが、不足連合会金額等が幾分減少をしておること、これは事実と思います。また、今後もそういう方向をたどるものと考えるのでございますが、そういう点と、それから、いま一つは、三十八年の制度改正によりまして末端の組合責任が非常に大きくなりまして、連合会業務範囲というものが縮小されたわけでございますが、そういうような点から、今後の連合会不足金の出方というものも、先ほど申し上げたとおり、ある程度減ってまいる、こういうように考えるのであります。そういうような点から申しまして、基金融通性と申しますか、そういうようなものが相対的に減少して、ある程度余裕金が持てるというような方向へ進んでいくのではないかと考えられるのでございます。  それと、いま述べた基金余裕を知る参考資料として、現在の基金運営状況、特に私がお伺いをしたいと思いますのは、四十年度にたな上げが行なわれまして、四十年度までの決算状況承知をいたしておりますけれども、四十一年度基金決算状況、これは公式にはあるいは発表できない段階かとも思いますけれども、少なくともこういう法案を上程せられておるわけでありますので、ひとつ四十一年度決算状況がわかりましたならばこの際明らかにしていただきたいと思います。
  9. 大和田啓気

    大和田政府委員 基金決算の総会は六月ころやるつもりでございますから、まだ固まった数字ではございませんが、大体現在私ども承知しております範囲内でかりの見込みを申し上げたいと思います。  四十一年度予算といたしましては、一億一千  二百万円ということで経費を見まして、そこで収支とんとんという計算をいたしたわけでございますが、実際やってまいりますと、多少事務の合理化ということで経費を節約いたしたこともございますけれども借り入れ金の利息が予想外に減りました関係で、収支とんとん予想が約八百万円程度黒字として決算が見込まれる状態になっておるわけでございます。
  10. 佐々栄三郎

    佐々委員 私の入手いたしました資料によりますと、四十一年度余剰金でございますが、これが一千二百万円余りになっているように承知をいたしておるのでございますが、これはいかがでございますか。それにあわせまして、四十二年度末における積み立て金総額が幾らになっておるかということをお伺いしたいと思います。
  11. 大和田啓気

    大和田政府委員 積み立て金総額は約十二億と承知いたしております。  それから、四十一年度決算数字で千万円をこえるふうにいま御質問がございましたけれども、私ども別数字を隠しておるわけでございませんで、どういう経路でその数字がお手に入りましたかちょっと見当がつきかねますけれども、私ども承知しております剰余金は約八百万円で、これは別に過小に見積もっておる数字ではないつもりでございます。
  12. 佐々栄三郎

    佐々委員 私、基金から「基金月報」の四月号というのをいただいたわけでありますが、この中に「昭和四十二年度事業計画予算」というのがございます。これを読ましていただいたわけでありますが、これによりますと、第一は昨年の暮れからことしの期首にかけましての状況でありますが、自己資金四十二億円に対して貸し付け金が三十八億円を下回って、差し引き四億円の余裕金を持って新年度を迎えた、こういうことになっております。  それから、さらに、先ほど申した資金計画によって見ますると、各四半期ともに二億六千万円から六億六千万円余り余裕金を持つことができるような内容になっておるようでございます。  それから、貸し付け回収計画を見ますと、各四半期とも期首貸し付けの三十八億円程度でやっていける、こういう見通しを立てておるようでございます。  途中でいろいろ農林中金等からの借り入れの必要が生じることはもちろんでございますが、また、それに対しまして金利を払う、金利が必要であるということももちろんでございますが、以上のような事業計画あるいは資金計画、こういうようなものを見ますると、どうにか現在のままでもやっていけないような状況でもないように見受けるのであります。これはもちろん今度の六億の増資については一応除外をしたところの基金計画でございますから、そういう点を考えてみますると、いま増資緊急性と申しますか、そういう点について、少なくともこの書類を見ましたときに私が感じましたことでありますが、緊急性の問題について若干の疑義がありますので、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  13. 大和田啓気

    大和田政府委員 今回の出資六億を必要とする理由といたしましては、現在の政府出資が十五億で、連合会出資が十五億で、三十億の出資金と、積立金が約十二億ございますところに、無利子のたな上げ貸し付け金をとにかく二十五億弱持っておるわけでございますから、基金ふところぐあいといたしましては決して楽ではございませんことは御了承いただけると思うのであります。したがいまして、たな上げをいたしますまでは、大体一億程度剰余金がございまして、それを積み立て金にどんどん積み立ててまいったわけでありますが、二十五億の無利子貸し付けをいたしましてからは四十年度におきましては収支がちょうどとんとんになりまして、四十一年度におきましても、収支とんとん予算を組みましたところ、幸いにして借り入れ金の額が予想よりは減りましたものですから、先ほど申し上げましたように、八百万円程度剰余金が出る状況でございます。それから、御指摘になりました四十二年度予算におきましても、収支とんとん予算が組んでございます。したがいまして、それらを勘案いたしますと、六億の増資はいますぐ行なわなくてもいいではないか、ぜひ今回六億増資しなければならない緊急性はないではないかというふうに言われることは、私はある意味でもっとも——もっともというと失礼でございますけれども、当然そういう御疑問が出るであろうと思います。ただ、私ども、とにかく三十億の出資金と十二億の特別積み立て金等で、合わせて四十二億の資産のところへ、二十五億とにかく無利子たな上げ貸し付けをいたしておりまして、四十一年度におきましては幸いにとんとん収支予想のところが八百万円ほどの剰余が出たわけでございますし、四十二年度においては、これは多少無理して組んであるわけでございますけれども収支とんとん予算が組んでございまして、今後十年間を通じてだんだん赤字がふえて、十年間たちますと総計一億程度赤字累積があるという想定で、その赤字累積を防ぐために、六億の出資を現在しておきたいという趣旨でございます。したがいまして、基金のそういう財政面状況から、出資増加ということは、関係連合会からも前から意見がございまして、実は四十一年度予算を作成する際にも、基金あるいは関係連合会から、農林省として政府出資の分の三億の予算を計上してほしいという相当強い要望があったわけでございますけれども、私ども農業保険のたてまえからいきまして、当然、農家あるいは組合連合会等々の拠出の上に政府が補助をするというたてまえのものでございますから、出資金増加をいたします場合でも、政府がいきなり金を出すということではなくて、関係連合会のほうで、いわばその必要を痛感されて、どうしても政府出資をしてほしい、自分たちも当然出資をするからという、そういう気合いが十分に熟したときに政府出資するということをやるのが適当でございますから、私ども、一応四十一年度予算案の編成に際しましても大蔵省に相当強く要求いたしたわけでございますが、最後の折衝においてこれを落として四十二年度に回した経過がございます。四十二年度におきましても、いわば六億の出資を必要とする理由というのは、急性流行病に対する対策ということではございませんで、いわば慢性の病気の結果十年間で一億程度基金の赤ができる、それをできるだけ事前に手当てをして、基金財政の確立あるいはひいてはこれは農業保険全体の運営健全化に資するわけでございますから、それをやるべきであるというふうに感じたわけでございます。  長らく申し上げて恐縮でございますけれども、要約いたしますと、六億の出資を四十二年度に行ないませんでも、そう目に見えて基金収支状況が悪くなるということではございません。四十二年度においてすぐ大きな赤字ができるというわけではございませんが、だんだん赤字累積して将来基金の健全な運営が妨げられるという見込みがありますことと、出資をいたします連合会のほうの気合いが熟して、自分たちも四十二年度において三億出資するから、政府出資してほしいということで、いわばあうんの呼吸が合ったわけでございますから、四十二年度において政府は三億出資をし、全体として六億の出資をいたすということに踏み切ったわけでございます。
  14. 佐々栄三郎

    佐々委員 次に、この機会にお伺いをしておきたいと思いますのは、二十四億六千七百万円のたな上げが四十年度に行なわれたわけでございますが、その後連合会財務状況もかなり好転をしたところもあるように聞いております。この不足金のたな上げをした連合会の中で、そのたな上げ部分を除いて赤字がもう全然なくなったというような連合会はございますか。
  15. 大和田啓気

    大和田政府委員 たな上げ以後、赤字連合会赤字がなくなったというものはそう多くはございませんが、たとえば佐賀におきましては赤字を解消いたしたという例がございます。
  16. 佐々栄三郎

    佐々委員 いまのところ佐賀だけでございますが、今後こういう連合会ができてくると思います。  そこで、私はお伺いしたいのでございますが、これは当然基金としてもお考えになっておると思うのでございます。このたな上げ措置解除ということについてどういうふうにお考えになっておられるか。先ほどいろいろ局長から今後の基金に生ずるおそれのある赤字問題等についてもお話がございましたが、順調に連合会が立ち直りまして、たな上げ金額を次々に解除をしていくというような措置がとられるというような場合には、いま想定せられておる将来の赤字問題もなくなるのではないか。先ほど言われた一億の赤字という問題は、このたな上げ措置解除というものをお考えになった上でのそういう見通しであるかどうか、こういうことをお答えいただきたいと思います。
  17. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、二十五億に近いたな上げが解消することはたいへん望ましいことでございますけれども、なかなかそう簡単にはまいらないだろうというふうに思います。したがいまして、いますぐこのたな上げを、いわば凍結している分をどうするかということについては結論を出してはおらないわけでございまます。しかし、いずれにしろ、このたな上げ措置をとりましたのは、農業保険全体の運営円滑化といいますか、特に連合会財務好転あるいは事業健全化ということを策してのことでございますから、その時点においてそういう方向考えながら処置いたしていきたい。現在ただいまのところは、その凍結分をどうするかというふうにはまだ結論が出ておらないわけでございます。
  18. 佐々栄三郎

    佐々委員 お答えでございますが、いまこういうような増資をなさるについては、やはりこのたな上げ金額を将来どうしていくかということについての一応の方針、めどをつけておく必要があると私は思います。たちまちすぐに解除するということは、これは私はそういうことをお勧めするわけではありませんけれども、少なくとも将来の基金資金計画あるいは増資の問題というものを考える場合には、この二十四億という巨額なたな上げ部分が一体どういうふうになるかということについての確固たる見通し計画を持つべきだと、こう私は思うわけなんです。これについてもう一度ひとつお答えをいただきたい。
  19. 大和田啓気

    大和田政府委員 たな上げ分は二十五億に近い非常に巨額なものでございますから、それをすぐ凍結を解いてどうするかというふうに結論を下すことは、まだ相当先のことでないと、非常に架空の議論になる可能性もあるわけでございます。したがいまして、今回の六億の増資をいたします分につきましても、その二十五億の問題は、いわばたな上げをして、今後の検討にまかしたわけでございます。
  20. 佐々栄三郎

    佐々委員 これは私は、個人の場合でも、人に金を貸しておる、すると、その相手のふところぐあいを見ながら、いつごろになったらこの金が入ってくるかということを考えながら、自分の家計というものから、さらに借り入れをするかどうかというようなことが考えられるのであって、この場合においても、貸し付けておるお金のことを全然忘れてと申すと語弊があるけれども、それを全く不問に付して、ただ増資ということだけを考えるというのは、どうも私は基金運営についてまことに不徹底だと思います。これについてはこの程度にいたしておきたいと思いますけれども、ひとつこの点はお考えになる必要があると思います。  それから、さらに、このたな上げ措置に関連をしてお伺いしたいのは、たな上げ措置というものが今後行なわれる場合があり得るかどうか、そういうことについてお伺いをしたいと思います。連合会の中には、たな上げ措置がとられてもなおうまくいかない連合会もあるわけでございます。それで、この点について、これだけの一回限りのものか、今後行なわれる予想が持たれるかどうか、これについてお伺いしておきたいと思います。
  21. 大和田啓気

    大和田政府委員 二十五億に近い額の貸し付け金のたな上げでございますから、これは私どもほんとうに異例の措置というふうに考えております。特に四十年度にこの措置を行ないましたのは、連合会不足金が、戦後の異常な生産条件下にありました昭和二十年代の連年の災害に基づくものが大部分でありましたことと、それからさらに、昭和三十八年に制度改正を行ないまして、連合会手持ち責任が縮小されましたので、制度不足金解消機会が少なくなったという、そういう特別の事情を勘案して行ないました、いわば特殊事情に基づく一回限りの措置というふうに考えております。したがいまして、現在の制度を前提とする限り、また二回、三回たな上げ措置を講ずるというふうには私ども現在のところ考えておりません。
  22. 佐々栄三郎

    佐々委員 次にお伺いしたいのは、今度の増資金額が六億円ということになっておるわけですが、その六億円という数字根拠、どういう根拠から、これが十億円とならずに六億円になったかということについて、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  23. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは相当将来の基金事業の経営を見通しての問題でございますから、なかなか的確にお答えすることはむずかしいわけでございますが、先ほどお話しいたしましたように、現在の条件で事業を健全に運営しようといたしますと、基金不足金、いわば事業不足金が今後十年間に一億累積するという勘定でございます。したがいまして、この十年間に一億赤字累積することを防ぐためにどれだけの増資が必要かという勘定をいたしまして、六億円という数字を得たわけでございます。
  24. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまのお答え、どうも私納得いたしかねる点がありますが、こういう問題だけにとどまっておるわけにいきませんので、先に進みます。  この六億円の出資の半額の三億円は連合会出資をさせるわけでございますが、その連合会にどういうようなやり方で配分をする予定か、これをお伺いしたいと思います。
  25. 大和田啓気

    大和田政府委員 農業共済基金をつくりましたときに連合会から十五億の出資をいたしたわけでございます。その十五億の出資をいたしましたときは、各連合会に割り当てる基準といたしまして、平等割り、それから二十七年度保険金額割り、さらに数年間の事業不足金額割りということで十五億の勘定を出したわけでございます。  それで、今回の六億の増資、したがいまして連合会で三億の増資をいたしますときに、県の連合会長会議をやりまして、出資をいたすことと、どういう標準出資をするかということでだいぶ議論があったわけでございますが、その際に、前に十五億の出資をいたしましたときの数字、これは十五億と今回三億でございますから、今回の出資額は前の五分の一でございますが、前と同じ基準でやったらどうかという意見にまとまりまして、前回に割り当てました金額の五分の一を各連合会で受け持つということに円満に協議がととのったわけでございます。これは、連合会別にどういう基準で割り当てるかということは、議論をしだせば各連合会の利害の問題にかかわりますから、なかなかおさまりにくいところでございますけれども、幸いに、以前にやりました標準どおり、以前にきめました金額の五分の一を出資しようということで円満にまとまりましたので、役所といたしましては特別にそれについて異議を申し述べる必要がございませんので、そういうことで今回の出資をやりたいというふうに考えております。
  26. 佐々栄三郎

    佐々委員 連合会の会長会議なり、そういうようなところで話がまるく、うまくできたからというようなことで、こういうふうに五分の一を前回の割合で負担させるということになったようでございます。ただ、私がお伺いをしたいのは、前回の十五億の出資のときにも、これはやはり、あの当時の連合会段階としての将来における基金利用度などを勘案するとともに、運合会の当時のそれぞれの経済状況財務状況などが勘案されたと思うのですが、いかがでございますか。
  27. 大和田啓気

    大和田政府委員 前回十五億の出資をいたしますときの基準考え方は、先ほど申し上げましたとおり、平等割り、あるいは保険金額割り事業不足金額割りということできめましたわけでございます。その当時における各連合会財務事情というのは若干考慮をいたしたことがあるかもわかりませんけれども、現在実は、連合会が三億の出資をいたします場合に、赤字連合会がございますし、黒字連合会がございますから、極端な議論といたしましては、黒字連合会出資すればいいではないか、赤字連合会にまでしわを寄らす必要はないではないかという御意見も、御意見としてはあったわけでございます。ただ、私どもも、それから各連合会人たちの最終的な考え方も、実は農業保険は単年度で勝負するものではございませんで、相当長期にわたっての財政均衡といいますか、収支均衡をはかるのがたてまえでございますから、いま黒字連合会でありましても、いつ赤字になるか実はわからないという問題がございます。それから、黒字連合会でも基金から金を借りる必要が出ることも当然でございましょうし、また、赤字連合会といたしましても財務事情好転する可能性があるわけでございますから、黒字連合会だけにこだわらず、赤字黒字連合会を含めて全体でこの出資をしようということに結局はきまったわけでございます。
  28. 佐々栄三郎

    佐々委員 前回の十五億の出資のときには上から下まで強制的な出資の方法だったと思うのです。今度の三億の出資は任意的なやり方出資させるということになっておりますが、こういうふうにした理由をお伺いしたいと思います。
  29. 大和田啓気

    大和田政府委員 前回出資をいたしました当時のことを考えますと、災害が非常に連続して起こって、各連合会赤字に非常に苦しめられておった事情がございます。したがいまして、連合会自分の力で出資をするということはとうてい不可能な時代であったわけでございます。したがいまして、いわば強制出資というとことばが適当でないかもわかりませんが、だんだん下におろして農家から金を取るということにいたしたわけでございますが、今回の出資にあたりましては、各連合会財務状況相当好転をいたしまして、連合会の中で始末ができる可能性相当出てまいりましたことと、それから、前回の十五億に比べまして今回は三億といういわば五分の一の額でございますから、それほど組合なりあるいは農家なりに迷惑をかけるといいますか、直接農家から金を取るということにならなくて済むのではないだろうか。実は私ども連合会に対していろんな機会財務上相談に乗ったりあるいは調査をいたしたりする機会がございますけれども、どういう形でこの三億を出すだろうかということを連合会とそれぞれ相談をいたしました結果によりましても、自分特別積み立て金等を取りくずして納められますというところももちろんございますし、県から相当の補助金をもらうというところもございまして、組合に対して賦課するという例はわりあい少ない。これは私ども事前の打ち合わせでございますから結論的にどうなるかということは必ずしも明らかではございませんが、私ども承知しております限り、また大体大勢としてはそうであろうと思いますが、組合に賦課金をおろすというのはたしか一割はございません。もっと少ない数字であったろうと思います。大体県あるいは連合会責任において——もちろん連合会で一時借り入れて立てかえるという場合もあるわけでございますけれども組合にまでおろしてやるということにならないで済む場合が非常に多かろうということでございます。したがいまして、強制出資という形をとらないで、任意出資ということで十分まかなえるのではないかという結論になったわけでございます。
  30. 佐々栄三郎

    佐々委員 任意出資でやっていけるというお話でございます。ただ、私は、連合会によっては必ずしもいま局長が言われたようにこの出資がたいした支障なく行なわれるというようには見受けないのでございまして、相当いろいろやりくりをしたり頭を痛めておる連合会もあると思います。特に一つは、赤字連合会でございます。これにも一律五分の一の出資ということになっているわけなんですが、大体、赤字のためにたな上げ措置をせられたという連合会にも、黒字連合会と同じような率で出資をさせるということに、私は一つの矛盾があると思うわけなんです。金額が少ないからと言われればそれまででございます。しかし、県によっては、県のほうでその金をそうスムーズに出してくれる県ばかりでもなし、末端の組合へ割りつけるところも相当あると私は思うのですが、こういうような赤字連合会の、現在のような、たな上げせられてなお負債が一向に減らぬというような連合会に対しても一律に五分の一の出資をさせるということは、どうも矛盾しておるように私は思うわけです。それから、もう一つ黒字連合会の立場から見ましても、黒字連合会基金をあまり利用しない。そういう点から申しますと、自分らは利用せず他の連合会が利用するのに、自分らもまた追加して出資しなくてはならぬということについては、私は相当不満があると思うのです。そういう点から考えると、五分の一を一律に出資をさせるということが、局長考えておられるようにそう円滑にいくものかどうかということについて、私は疑問を持っておるわけでございます。  そこで、今度のこの六億の出資について、考え方によれば、全額を政府出資をするということも考えられるわけです。それからまた、三億、三億というこの比率を、政府部分にもっと多くするということもできるわけですが、そういうことについて局長として大蔵省と折衝したことがあるかないか、たとえば今度の出資は全額を政府出資してもらいたいとかいうようなことを折衝したことがあるかどうか、これをお伺いしてみたいと思います。
  31. 大和田啓気

    大和田政府委員 三億の出資につきましては、私はそう簡単に各連合会がやれるというふうに申し上げたわけではございません。これは、先生も御指摘になりましたように、黒字連合会は、基金の世話にそうなりませんから、何もわれわれ出す必要ないではないかと言いますし、赤字連合会は、われわれ台所が苦しいのに、とても出資はむずかしいと言うわけでございますから、三億の出資がやさしいというふうに申し上げたわけではございません。しかし、先ほども申し上げましたように、農業保険制度というのは、国と農民とのいわば合体した事業でございまして、そう政府だけが出資をすればいいという制度的な趣旨のものではないと私は思います。農家のほうから金を出すから政府も出すという形で事業を進めないといかぬ性質のものであると私は思います。したがいまして、四十一年度に三億の出資の要求を大蔵省にいたしましたときも、それから四十二年度におきまして予算折衝しましたときも、全額政府出資すべきだというふうに私どもは申しておりません。初めから、六億の出資で、うち二分の一は政府出資というふうに考えたわけでございます。
  32. 佐々栄三郎

    佐々委員 時間が十二時に近づいておりますので、もう一、二点だけ質問をして午前を終わりたいと思います。  この赤字連合会の場合でございますが、この程度金額であってもなかなか調達に苦労をするという連合会もあると私は思います。そういう場合に、この出資金の分納ということをお認めになるかどうか、これをお伺いしてみたいと思います。
  33. 大和田啓気

    大和田政府委員 赤字連合会出資がなかなかむずかしいものがあることは、私はそのとおりであろうと思いますが、先ほども申し上げましたように、前回出資額十五億に比べまして今回はその五分の一の三億でありますことと、それから、連合会事業規模が最近におきましては相当大きくなりまして、この三億という金も、二十七年当時と比べまして、連合会の全体の事業運営に対する比率はよほど小さくなっておるわけでございます。したがいまして、赤字連合会相当苦しいところがあろうと思いますけれども、私どもは、今回の分は分納ということではなくて、四十二年度中に出資をしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。
  34. 佐々栄三郎

    佐々委員 もう一つだけ質問します。  前回基金創立当時の出資の方法を見ますと、まず設立のときに国が十五億円を出資をして、設立の後に連合会に対して十五億を出資をさせた、こういう経緯がございます。今度の場合、この六億の出資については、前回同様に、まず国が出資をして、そのあとで連合会出資をする、こういうふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  35. 大和田啓気

    大和田政府委員 今回の出資は、政府がイニシアチブをとったというよりは、むしろ連合会のほうから、自分たち出資をするから政府もしてくれといふうに強く言われた経過もございますので、まず政府が三億出資してから徐々に連合会出資をするという形をとらないで、私どもは、連合会出資をするのと同時に政府出資をするという形にいたしたいと考えております。
  36. 佐々栄三郎

    佐々委員 政府連合会とが同時に出資をするということは、これは可能でしょうか。
  37. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは、連合会のほうでいつ出資するかといういろいろな御相談が当然あるわけでございますから、足並みをそろえて、何月何日に出資をする、政府もその日に出資をするということで私は可能だろうと思っております。
  38. 佐々栄三郎

    佐々委員 私が聞いたところによりますと、これはあるいは間違いかもわかりませんが、大蔵省のほうでは、連合会出資が全部完了してしまわなければ政府は金を出さぬ、こういうようなことを言っておるように私は実は聞いておるわけでございます。そういうことを現に大蔵省は言っておるかどうか、ひとつお答え願いたい。
  39. 大和田啓気

    大和田政府委員 予算折衝の過程におきまして、これは連合会から出た話でございますから、連合会が積んでから政府出資するのが筋ではないかという話が私どもの間で出たことは事実でございます。ただ、それは事実でありますけれども、実際問題として、連合会がまず散発的といいますか、ぼつぼつ出資をされて、それを待って政府出資をするということは、はなはだ事務的にもまずいわけでございますから、私は、連合会はとにかく出資をするというふうに言われておるわけでございますから、いつ出資するかということを十分話を詰めまして、そのときに政府出資するという形でこの問題を処理いたしたいというふうに考えております。
  40. 佐々栄三郎

    佐々委員 そうすると、先ほど私が言うた、連合会出資を完了しなければ政府は金を出さぬということはないわけでございますか。連合会のほうで全額出資を完了しなければ大蔵省は出さぬというようなわけではない、この点もう一度ひとつ……。
  41. 大和田啓気

    大和田政府委員 理屈を申しますとはなはだかどが立つわけでございますけれども、私は、出資としては、今回の出資連合会のほうから、連合会出資をするから政府出資してくれという話があった経緯からいたしますと、まず連合会出資をして、後に政府出資するということも、私は一つの理屈であろうと思います。筋から言えばそういうことだなということを大蔵省と私どもと話し合った事実はございます。しかし、それをそのまま取り上げてやりますことは、はなはだかどが立つわけでございますから、連合会出資するということはそのまま引き受けておるわけでございますから、いつ出資するかという日をそれぞれ詰めてもらいまして、同じ日におそらく出資するわけでございましょうから、そのときに政府出資するという形で、この問題を円満におさめたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 佐々栄三郎

    佐々委員 いまの問題、この程度にしたいと思いますが、いずれにせよ、私の聞いたことに間違いがなければ、大蔵省が、とにかく連合会先に出せ、そうでなければ出さぬという、こういう考え方というものは、これは私は非常に間違っておると思うので、今後出資の過程で、私が言うたような事態が起こるかとも思いますが、そういうときに、連合会に対して、連合会出資しなければ政府が出さぬから、早く出せというような、そういう押しつけがましいことをやらないように、ひとつお願いしておきたいと思います。  これで午前の質問を終わります。
  43. 倉成正

    倉成委員長代理 午後一時再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時四分休憩      ————◇—————    午後一時二十九分開議
  44. 本名武

    本名委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を行ないます。佐々栄三郎君。
  45. 佐々栄三郎

    佐々委員 私は定刻十五分前にここに出席をしたわけです。委員長政府側とがいなければ、われわれがいかに早く出てきてもこれは質問になりません。局長は二十分定刻におくれております。委員長も同じでございます。政務次官は半時間定刻におくれております。どういう事情によるか、この委員会以上に重要な用件があったのかどうか、ひとつ釈明をしていただきたいと思います。
  46. 草野一郎平

    ○草野政府委員 おくれましたこと、まことに申しわけございませんが、二階のところまで来ましたところ、私の県の同僚参議院議員が危篤におちいったという話を聞きまして、その話でいろいろ連絡をしておったためにちょっとおくれまして、そのことを御報告申し上げて御了解を得ればよかったのでありますが、いままだ息を引き取っておるわけでございませんので、御報告はいたしかねますけれども、ある議員が危篤におちいったということで、ただいままでおくれまして申しわけございません。
  47. 大和田啓気

    大和田政府委員 私は十二時半ぐらいに来てこの部屋のすみにおりまして、先生がおいでになりましたことをよく拝見いたしておりましたが、この席にすわりましたのは二十分過ぎでございます。
  48. 佐々栄三郎

    佐々委員 午前に引き続きまして質疑を続けたいと思います。  まず第一には、基金法第三十三条による業務範囲の問題でございます。三十三条によれば、基金の業務は、連合会に対する貸し付け並びに保証、この二つになっておりますが、この基金業務範囲の問題につきましては、今日までいろいろな要求が出ておるわけでございます。また、この委員会におきましても、三十四年の三月十三日に、農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金の処分等に関する臨時措置法に関連して、この業務範囲の拡大につきまして附帯決議が行なわれております。ちょっと読んでみます。「今回の立法措置により農業共済基金の資本金は払込を完了するが、近年の農作事情等を反映して農業共済基金を利用しない会員が増加し、他面、農業共済制度に対する農家の不満が顕在化して共済掛金の徴収が円滑を欠き、この制度運営が困難を加えつつある現況に対処するため、政府は、農業共済基金制度の機能を十分に発揮せしめるよう速かに左記の措置を講ずべきである。一、農業共済基金の現行業務は、その融資対象が会員の事業資金の一部にとどまっているが、業務経費の融資、災害防除事業のための助成等業務範囲の拡大を図り、もって農業共済制度全般の健全な発展に寄与しうるよう所要の措置を講ずること。二、会員への不足金融資にあたり、保険金支払に必要な資金を貸付け、保険金の完全支払を実現するとともに、融資手続を簡素化して、会員の保険金支払を確実迅速ならしめるよう業務方法書を改訂すること。右決議する。昭和三十四年三月十三日衆議院農林水産委員会」、こういうような附帯決議が行なわれておるのでございますが、私は、今度六億円の増資が新たに行なわれるこの機会にあたりまして、こうした問題についての政府の見解をお伺いしたいと思います。特に、ただいまあげた附帯決議がその後どういうふうに実施せられたかということについて御説明をお願いしたいと思います。
  49. 大和田啓気

    大和田政府委員 今回の六億の出資に関連いたしましては、特別に基金業務範囲の拡大ということは直接考えておりません。ただ、またあらためて御審議をわずらわしたいと考えております果樹保険の臨時措置につきましては、新しくこの共済基金の融資をなし得るような制度も現在検討中でございます。  それから、いま御質疑のございました衆議院の農林水産委員会における決議につきましては、私どもその後いろいろ検討いたしましたこと、さらにそれに基づきまして実施いたしましたことを申し上げますと、一つは事務費の国庫負担金の交付でありますが、その後たいへん業務といいますか事務の迅速化を行ないまして、その面における連合会の事務の執行に遺憾のないようにいたしたことが一つでございます。さらに、この点につきましては、共済組合におきます責任負担の増と申しますか、手持ち共済掛け金の増ということがございますので、その面からも事務費に関する問題はよほど少なくなったろうと存じます。さらに、災害防除事業に対する助成につきましては、直接基金からの助成ではございませんが、農林漁業金融公庫の業務方法書を改正いたしまして、農業共済団体の家畜診療所の施設資金あるいは動力防除機の購入資金について公庫からの融資の便もはかっておりますので、その点についてよほど事態が変わったというふうに考えております。
  50. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまの御答弁、わからぬ点もありますが、この決議に即して基金の業務の内部でこうした要望を取り入れたという点はあまりないように私は承ったんですが、この附帯決議の趣旨は、私はやはり、基金の業務の範囲を拡大して、末端組合への融資であるとかあるいは貸し付け業務以外に、積極的にこの基金を活用せよという、こういう要請であろうと思うのです。ただいまの局長の御答弁によりますと、どうも基金の業務の点については従来と一向変わらないように私受け取ったんですが、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  51. 大和田啓気

    大和田政府委員 基金業務範囲の拡大という点につきましては、御発言のとおり、それほど大きな変化はございません。これは、たとえば町村単位の組合に対する融資ということを考えますと、それなりに出資の増額も必要でございますし、また、組合につきましては、先ほど申し上げましたように、共済掛け金の手持ちの増大あるいは三十八年における農業共済の全面的な改正によりましてよほど事情が変わってまいりましたので、その点についてはよほど事態は改善されたと思います。それから、共済基金からの融資というのは、結局共済金の支払い、災害が起こりましたときに共済金を農家にできるだけ迅速に支払うための用意でございますけれども、共済金の支払いにつきましては、この一、二年非常に迅速化いたしまして、昨年におきましても稲作で相当大きな被害が北海道を中心にしてございましたが、北海道、東北、北陸、それから長野、私ども俗にこれを早場米地帯というふうに保険で呼んでおりますけれども、この地方に対します共済金の支払いは年内に払うことを目途にいたしまして、組合連合会相当努力をいたしましたし、私どももまた統計調査部にお願いをして被害の調査を早めまして、昨年におきましても年内に大体支払いが完了いたしたという情勢でございます。したがいまして、基金の業務の拡充という形式におきましては変化はございませんけれども、それを必要とするような共済制度の運用につきましては、私ども農林省も、また県の連合会においても、組合も、相携えて業務の改善にはつとめてまいったつもりでございます。   〔委員長退席倉成委員長代理着席
  52. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいま私が読み上げました附帯決議、これは農業共済基金制度の機能を十分に発揮せよ、こういうふうになっておるのでございまして、御答弁によれば、この附帯決議の趣旨は尊重されてまいらなかった、こういうふうに私は理解をするわけです。  まあこれはこれといたしまして、この六億円  の出資機会に、これによってかなりのゆとりができるわけでありますから、この際あらためて業務範囲を拡大いたしまして、資金の貸し付け業務に限らずにその範囲を拡大すべきではないかと私は考えるわけでございます。  それで、まず一つは、現在末端の共済では削減払いをしておるのでございます。この削減払いは、結局のところ、農民の要求というものが上からの意思によって削減されるわけなので、これは農民の不利益であるということは言うまでもございません。基金を末端の共済にまで貸し付けをするということになりましたならば、この削減払いをせずに済むわけでございますが、そういうような意思があるかないか、この基金を利用して完全てん補する意思があるかないか、これが一点でございます。  それから、もう一つは、これはまた連合会あるいは末端の共済でわれわれよく要求を受けるわけですが、事業費だけでなく業務費にもこの基金貸し付けをしてもらいたい、こういう要求がありますが、これについてどういうふうにお考えになられるか。  それから、後ほど私お尋ねしたいのですが、家畜診療所の拡充とかあるいは防災事業、こういうような方面にもこの基金を活用する、そういう意思はあるかないか。  特に私は、いままで、そういう要請がたびたびありましたけれども、いま申し上げたような点については一向前進したあとがございませんので、出資増のこの機会にひとつ政府の御見解をお伺いいたしたい、こう思うわけです。
  53. 大和田啓気

    大和田政府委員 今回の六億の出資は、それによって非常に基金運営余裕ができると申しますよりは、むしろ不足ぎみの基金財政を直すための措置でございますから、これによって相当大きな余裕が生ずるというふうには実はまいらないわけでございます。ただ、いまいろいろ御質問のありました、たとえば連合会の業務勘定不足に対する融資でありますとか、あるいは損害防止事業あるいは家畜診療所ないしは単位組合における削減、これに対して不足金を融資するというようなことにつきましては、私ども十分検討に値するというふうに考えております。ただ、いますぐそれをすみやかに行なうことにつきましては、さらに出資の増額ということを必要といたしますので、いま直ちにというふうには考えませんけれども、十分今後とも検討をしてまいりたいというふうに考えます。  私、申し上げたいことは、組合が共済金の削減をいたすという問題でございますが、これは、制度のたてまえから言うと、削減をしないで済むような事態がありますことが一番望ましいわけでございます。ただ、三十八年の制度改正以来相当内部の組織が変わりまして、たびたび申し上げますように、責任の負担が相当組合に大きくなった。したがって、掛け金の保有も従来に比べて大体四、五倍ぐらいにふえたわけでございます。そうして、たとえばその村におきまして水稲の全滅がありましたような場合におきましても、削減をする度合いといいますものは、一組合平均にいたしまして四十万円弱という状態でございます。削減という問題自体を取り上げて、削減をすることはよくないではないかというふうにおっしゃいますと、まことにそのとおりで、できるならば削減なしに済ますことが望ましいわけでございますけれども、共済制度の中身の改善によりまして、削減をするとしても非常に小規模になったということでございます。もしも削減をかりに全部いたしたといたしましても、先ほど申し上げましたように四十万円を割るという状態でございますし、実例をもって申し上げますと、昭和四十年度の水稲の共済金の削減の状況を申し上げますと、被害の組合の総数が三千六百二十九というふうに相当範囲にわたっておるわけですが、その中で削減をした組合の数というのは三百九十三でございます。まあ一割の組合が削減をいたしまして、その削減額が総額で一億七百万円、一組合当たりの削減額が約二十七万円でございます。これは、四十年産の水稲の支払いの共済金の総額が二百二十三億でございますから、二百二十三億の共済金の総額に比べまして約〇・五%という状態でございます。毎度申し上げておりますように、削減という事態がなければないにこしたことはございませんけれども、ありましても、いま申し上げましたような事態でございますし、組合相当積み立て金をやっておりまして、現在積み立て金総額は全国で二十七億円ほどになっております。したがいまして、一つ組合にしますと七十万円をちょっとこす状態でございますから、削減をやらざるを得ないような事態でも、実際はこの積み立て金を取りくずして、削減をしないで済むという場合が多いわけでございますから、抽象的に、削減をすべきかどうか、あるいは削減することはおかしいではないかということでございませんで、実態的には、現在共済事業の実際の運営から言って、削減の問題はそう大きな問題ではなく、したがって、これをこの分について共済基金から融資をしなければ非常に困るという事態でも実際はないのではないかというふうに私は思います。しかし、これらの問題につきましては、私どもなお今後検討をしていきたいというふうに考えております。
  54. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまのお答え、前向きで業務範囲を拡大する方向へ検討を加えるという御趣旨と承って、了承いたします。  その次にお伺いをしたいのは、基金創立以来、剰余金合計額が十二億円余りになっております。特に三十一年以後は、四十年、四十一年を除きまして、毎年一億円余り剰余金が出ておるわけでございます。なぜこういうような剰余金が出てまいるのかということについて、われわれ見まして非常に奇異な感じがするわけでございます。というのは、農林中金の借り入れ、それから基金からの貸し付け、これが逆ざやになっておりまして、下部の連合会の要求を十分くみ入れてどんどん貸し付けをやるということになれば、当然農林中金からの借り入れも多くなり、逆ざや金利も多くなるわけです。そこで、これは憶測かもしれませんが、そういうようなことにならないように、ことしは剰余金を幾らにするというような計画のもとで、この農林中金からの借り入れなんかもある程度押え、したがってまた末端からの借り入れ要求もある程度押えるというようなことが行なわれておるのではないかというふうに憶測をされるのでございますが、この点についての御答弁を承りたいと思います。
  55. 大和田啓気

    大和田政府委員 基金を最初三十億つくりましたとき、これは昭和二十七年にできたのですけれども、私は非常に卓見であったと思います。その衝に当たる者が将来を見通してそういう制度をつくりませんと、なかなかこういうものをにわかにつくるというわけにはまいらないわけでございます。しかし、そのときの見通しと——そのときは別に年々一億前後の余剰金があるというふうに必ずしも考えたわけではございませんでしょうが、三十億の元金がありますと、これは当然無利子の金でございます。中金から現在二銭二厘で借りて、これを一銭五厘で貸しておりますから、もしも三十億という基金がなければ、これは当然赤字になるわけでございますが、三十億という無利子の金をベースにして、その上に二銭二厘の金を借りて一銭五厘で貸すということでございますから、実際の借りる分量によりまして当然一億程度余裕金が残ったということでございます。私ども予算を当然基金で組むわけでございますから、四十二年でとんとん収支を組んでおりまして、中金からどれだけの金を借り受けて連合会に貸すかということも一応予算としてはあるわけでございますけれども基金の金を収支とんとんにするために連合会からの借り受けの要求を断わるとか、あるいはそれによって共済金の支払いがおくれるという事態は、私責任を持ってやらせないつもりでございます。これは三十九年以前におきましても一億くらいの剰余金がありましたが、これは貸すことを押えてそういう結果が起きたのではなくて、当然連合会からの出資が半分ある基金でございますから、連合会の意思が総会等によって通じないはずはございませんで、連合会として金を借りたいけれども基金自分のところでいわばもうけるために金を貸すことをしぶるという事態は、いままでも私聞いておりませんし、今後もそういう事態はないようにいたしたいというふうに考えております。
  56. 佐々栄三郎

    佐々委員 政務次官、退屈しておるようですから一問したいと思います。  私は、農林省の同じ監督下にある農林中金、それからこの基金、ここで逆ざやが生じるということについて、政務次官としてどういうふうにお考えになるかということを一ぺん聞いてみたいと思うのです。農林中金はいうまでもなく農民の資金を集めた農民のための金融機関でございます。それから、基金も農民のためのものです。特に農林中金は、例の共和製糖事件をはじめといたしまして、最近においては酒造会社へ不当な融資をしておったというような問題もあって、いま花形でございますが、そういう方面にはずいぶん積極的にお貸しになるが、同じ農民のための基金に対して貸し付けをするという場合には、もう少し逆さやが生じないように金利を——ここ一年の間に一厘余り下げたようでございますけれども、これはもう少し思い切って金利を下げるべきではないか、こういうふうに私は考えるわけです。これについてひとつ政務次官から御答弁をいただきたいと思います。
  57. 草野一郎平

    ○草野政府委員 局長から答弁してもらったほうが、的確で数字も非常にこまかくなってまいりますから、どうぞ……。
  58. 大和田啓気

    大和田政府委員 政務次官にかわりましてお答えをいたします。  中金から二銭二厘で借りて連合会に対して一銭五厘で貸すわけでございますが、一銭五厘で貸すこと自体がいわば経済的な金利ではございません。これは当然、基金自分のただの金を持っておるから、それと合わせて一銭五厘の日歩で貸せるわけであります。したがいまして、中金から借りる二銭二厘が正常かどうかという問題でございます。中金は、農林債券を発行したり、あるいは連合会からの貯金によって資金を調達しておるわけでございますけれども、関連産業等に対する金利も二銭二厘よりはたしか少しばかり高く貸しておるわけで、中金の二銭二厘という金は一般の市場金利として決して高い金というふうには私ども考えておりません。これは中金の収支をまかなうためにはまずまずその辺が妥当であって、これもごく最近までは二銭三厘でございましたが、一厘引き下げたわけでございます。
  59. 佐々栄三郎

    佐々委員 農林中金の立場から言えばそういう御議論が成り立つと思います。そうすると、どうでしょうか、金利の引き下げという形でなくて、たとえば政府からこの差額について利子補給をするというようなことについてはお考えになったことはございますか、政務次官。
  60. 大和田啓気

    大和田政府委員 連合会事業不足金を一銭五厘で借りるわけでございますから、私は、まず金を借りる金利として一銭五厘というものは相当安い額であろうと思います。政府農業共済制度全般の健全な運用をはかるためにさきに十五億出資し、今回また三億出資するわけでございますが、御趣旨のように、できるだけ連合会に対する資金のコストを安くする趣旨で出資をいたしておるわけでございますから、特別にそれ以上に金利の負担といいますか、利子補給というふうには私ども考えておらないわけでございます。
  61. 佐々栄三郎

    佐々委員 それはそのぐらいにしておきまして、次に、基金年度収支決算状況という表が私のところにあるわけです。三十七年から四十年まで、この中の支出の部の中の運営経費というものを見ますと、二十七年度に九百万円で出発をいたしまして、二十八年に二千二百万円、次いで二千四百万円、二千五百万円、二千六百万円、二千七百万円、三千三百万円、三千七百万円、三千八百万円、三千八百万円、これが三十六年までの数字です。この三十六年から四十年にかけて、三十七年は四千六百万円、三十八年には五千二百万円、三十九年には六千一百万円、四十年には七千四百万円というふうに、一千万円単位で経費がふくれ上がっております。基金の人員の構成を見ますと、間違いがあるかしりませんが、現在役員数六人、職員数二十二人でございまして、これは発足当時からあまりたいした異動はないように私承っております。そういたしますと、こういうふうに一千万飛びで毎年毎年経費がふくれ上がったということは、これは私はどうも物価の値上がりというような問題だけでは説明しにくい問題ではないかと思うわけです。なぜこういうようなことになってきておるかということについてお答えをいただきたいと思います。
  62. 大和田啓気

    大和田政府委員 基金の最近における陣容は、いま先生が言われましたように、役員が六人で、職員が二十二人でございます。これも創立以来そんなに変わっておらないわけで、仕事としては相当いろいろやっておりますけれども、わりあい少ない人数でよくこまめに動いているというふうに私ども考えております。  それから、役員の報酬といたしましても、こういう公社、公団、事業団等々の中で、先生御承知と思いますけれども、決して高い水準ではございません。職員の給与にいたしましても、公務員のベースアップのたびに改定はいたしておりますけれども、一般の公団、公社、事業団等々に比べて高いものではございません。したがいまして、経費の中で相当部分を占めます役員給与あるいは職員給与等において決して過大なものとは私ども考えておりません。それ以外の事務費につきましては多少ずつふえておりますけれども基金事業健全化をはかるということばかりではございませんで、一般の共済制度の健全な実施をはかるために、いろいろ調査あるいは普及、指導等々をいたしておりますので、多少ずつふえておりますけれども、まず大観して、このような団体の経費としては、私はまずまずそうむだ使いをいたしておるというふうには考えておらないわけでございます。
  63. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまのお答えでは、三十六年以降四十年にかけて、六人の役員と二十二人の職員で年々一千万円ずつふくれ上がっていったという根拠がわからないわけです、その点についてひとつさらに説明していただきたいと思います。
  64. 大和田啓気

    大和田政府委員 経費の増大する一つは人件費の増大でございます。それから事務費の増大があるわけでございますが、人件費につきましては、とにかく年々役人につきましても数%のアップがございますから、それに応ずる給与の改定がございます。それから、一般事務費につきましても、先ほど申し上げましたように、普及宣伝あるいは調査等の費用が少しずつふえてまいっておって、結果としてはいま御指摘のような経費増加ということになっておるわけでございます。
  65. 佐々栄三郎

    佐々委員 私、ただいまの御答弁では納得いたしかねます。どうもそこにむだが非常にあるのではないかという気持ちがするわけです。末端共済の今日の運営状況あるいは家畜診療所が当面しておる経済的な今日の非常な困難そういうことと対照いたしまして、あまりにもずさんというか、基金におられる方々が下部のそういうことを考えずに放漫な予算を組んでいって経費を支出しておるような印象を私は受けるわけです。ただいまの局長の御答弁では、その疑問が氷解したとは申せません。  これにあわせましてお伺いをしたいのですが、この「基金月報」の四月号に、四十二年度収支予算がございます。役員報酬九百三十五万三千円、そのほか交際費が七十万円、需要費七百三十万円、会議費が三百万円、事業費二千八百万円、いろいろあるわけですが、これについて一々ここで御質問しようとは思いません。思いませんが、予算の組み方をちょっとわれわれが見た感じでは、非常にゆとりのあるゆっくりとした組み方ではないかと私は思うわけです。御答弁はいただかなくてもけっこうですが、もう少し末端の農業共済なり連合会がいま非常に苦しい事情のもとにあるということをお考えになって、上部団体においてはもっと自粛をする必要があるように私は考えるわけです。  それから、ただいまとは申しませんが、役員の方の現状を知るに足る資料を出していただきたいと思います。常勤の方がどなたで、非常勤がどなたで、非常勤の方はどういうことをやっておられるのかというようなこと、それから経歴、給与、こういうことについて、いま直ちにでなくてもけっこうですが、ひとつ委員会にお出しをいただきたいと思います。
  66. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、こういう基金のような団体の経費を判断いたします場合に、その内容についてつまびらかにいたしますと同時に、基金に似たようないろんな団体がございますから、漁業共済基金あるいは林業信用基金その他団体がございますから、そういうものとの比較において、まずまず妥当であるか、あるいはむだ使いがあるかということを判断いたすわけでございます。そういうことをやりましても、どうもこの基金がむだ使いをしておるというふうには私実は考えておりませんで、これは先生よく御承知と思いますが、基金理事をされておる人たちの人柄を思いましても、決して、下部の団体が非常に苦しいのに基金が十分ゆとりを持ってむだ使いをしておるというふうには私考えません。  いまそれだけ申し上げまして、御要求の資料はできるだけ早い機会に差し出したいと思います。
  67. 佐々栄三郎

    佐々委員 次は、ちょっと改めまして、今度の改正の中には、増資の件のほかに解散に関する規定、それから、監事の権限に関する規定、大蔵大臣との協議事項、こういうような問題があるわけでございます。これからそういう問題について少しくお尋ねしてみたいと思うわけでございます。以下の質疑につきましては、政務次官も私が質問しておる間にお聞き取りをいただきまして御答弁をお願いしたいと思います。  基金の解散につきましては、現行法の第五十条に「基金の解散及び清算については、別に法律で定める。」とあるわけでございますが、次のように五十条が変更になるわけでございます。読んでみます。第一項、「基金は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額に応じて分配しなければならない。」、第二項、「前項の規定により各出資者に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。」、第三項、「前二項に規定するもののほか、基金の解散については、別に法律で定める。」、こういうふうに第五十条が改まるわけでございます。  そこで、私がまずお尋ねしたいのは、出資額以上に残余財産がある場合、それは一体だれの帰属になるか、こういう点でございます。これについてお答えをいただきたいと思います。
  68. 大和田啓気

    大和田政府委員 出資額をこえますところの残余財産はだれの帰属になるかという問題は、この基金の解散ということは通常では考えられないものでございますし、それから、最初成立のときの出資は強制出資でございますから、解散についての規定は、「別に法律で定める。」というふうにして、何も書かなかったわけでございますが、今回の出資はいわば任意出資でありますことと、それから、それに関連をいたしまして、持ち分の譲渡禁止を緩和いたしましたので、それに関する部分だけは、解散についての規定を法律的にも書かざるを得なくなったわけでございます。  そこで、出資額を限度として残余財産を出資者に配るということでございますが、それ以上のものをどうするか、だれに帰属させるかということは、解散のときに別に法律によって定めるということにして、現在私どもも、具体的にどういうふうにすればいいか——結局これは、農業共済制度を健全にするための制度として発足したわけでございますけれども、普通の株式会社と違いまして、解散したときに残余財産はすべて出資者に帰属するというふうに考えることはいささかおかしいわけでございます。この基金だけでございませんで、こういう特殊法人等につきましては、出資者にまず還元される分は残余財産のうちで出資額に限ると書かれているのが一般でございます。したがいまして、私はいま、出資額を限度として、それ以上のものを一体どうするかということは、解散のときに法律によって定めるべきものであって、それをどうするかというふうにはまだ結論を出しておらないというふうに申し上げることが一番正直なところでございます。
  69. 佐々栄三郎

    佐々委員 法律によってまた後日きめるというのであれば、私は、こういう規定の改正はむしろ不必要だと思うんです。そもそも、「出資額を限度とする。」というこの法律の改正を行ないながら、これに矛盾したような規定を後日つくるようなことは考えられないので、いまの御説明では私は了承しかねるわけです。  それから、さらに大事なことは、剰余金が約十二億余りあります。一体この帰属はどういうふうになりますか。これについての御答弁をいただきたいと思います。
  70. 大和田啓気

    大和田政府委員 今回六億の増資をいたします場合でも、私ども、別に解散の規定を法律に何事か書く必要があるというふうには、正直申し上げ考えないわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、今回は前回と違いまして、強制出資ではございませんで、任意出資でありますことと、したがいまして、持ち分の譲渡の禁止をゆるめたわけでございますから、それに基づいてどうしてもある程度解散の規定を書かざるを得ない。これは法律技術上の問題でございます。私どもとしては、むしろ前の法律にありますように、解散の規定は全部新しい法律にと申しますか、解散の際の取り扱いにまかしておいたほうがいいというふうに思うわけでございますけれども、これは法律技術上の問題として、出資が任意であることと、持ち分の譲渡の禁止をゆるめたことによって法律に書かざるを得ないので、最小限度書いたという次第でございます。  それから、十二億に及びます特別積み立て金をどうするかということ。これは当然解散のときに考えるべき規定でございますけれども、実は二十五億の貸し付け金のたな上げをいたしておるわけでございますから、それらのものを勘案して、別にいますぐ解散をする必要がある団体ではございませんから、二十五億のたな上げ貸し付け金が今後どうなるか、あるいはどうすべきかということとあわせて、特別積み立て金の処理につきましても検討をいたしたい。いずれにいたしましても、当分そういうことの起こらない、長い将来の問題であるというふうに考えております。
  71. 佐々栄三郎

    佐々委員 問題は、「出資額を限度とする」。とこうはっきり書いた以上は、とにかく十二億円の剰余金なんかについても返さなくていいんだということにならざるを得ないのです。私は、これはきわめて重大な問題だと思います。ただいまのあなたの御説明では納得できないのです。この規定を撤回する意思があるかないかということをひとつお伺いしたいと思います。
  72. 大和田啓気

    大和田政府委員 十二億の特別積み立て金の問題は、これは当然解散のときに考えるわけでございますが、積み立て金自体をどうするかということも、法律の問題として今後検討するわけでございます。  それから、出資額を限度として出資者に残余財産を返還するということは、これはいわば公的な団体であります基金のたてまえから言って当然でございます。この点につきましては、株式会社と違って、残余財産は全部出資者のものだというふうには——いかなるこういう団体あるいは機関に関する法律におきましても、出資額を限度として残余財産を配分するということだけしか書いてないのが普通でございまして、これは基金という特別の公共的な性格を持っておる団体の存在の意味から言って、私は当然であろうと思います。別にいますぐという問題ではないわけでございますけれども出資額を限度として残余財産の返還を出資者にするということだけを書いて、あとは解散の際の検討の問題として残すということで、私は今回の六億の出資についても別に支障はないのではないか。いま先生おっしゃいましたけれども、この点についての規定を削除するということは、残念ながらそうは考えてないわけでございます。
  73. 佐々栄三郎

    佐々委員 この基金の成立の初めを考えますと、なるほどこれは政府からも出ておりますが、同時に農民が出資をしておる。いろいろ県やその他の団体からもらった金もありますけれども、大体当初は七〇%くらいまでは末端の農民が負担しておると思うのです。そういうような農民の出資によってできた基金の財産について、出資の限度というようなワクをいま入れるということについては、農民を無視したやり方じゃないか、こういうふうに私は思うわけです。ただいまの御答弁によっては、私はどうも納得できない。一方の参加者の農民の意思というものが顧みられておらない、こういう印象を受けるわけです。これはまた後ほど機会があれば申したいと思いますが、この程度にいたします。  それから、もう一つ改正点でありますが、農林大臣の大蔵大臣との協議事項として五十条の二が新たに追加になっております。これはひとつ政務次官からもぜひ御答弁いただきたいと思うわけです。農林大臣と言いたいのですが、政務次官でしんぼういたしますから、ひとつ明快な御答弁をいただきたいと思います。  五十条の二に、「農林大臣は、左に掲げる場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。」というので、四号までございます。全部条文であげてありますので、ちょっと見には何を書いてあるかわかりませんが、よく条文に照らして読んでみますと、これはきわめて重大な問題だと私は思ったわけです。そこで、やや冗長にわたるかもわかりませんが、条文を引用してあるのを文字に当てはめて、どういう事項が協議事項になっておるかということについて、第一号から四号まで申してみたいと思います。第一号は、資本金の増加、定款の変更、剰余金処分案、損失金処理案、業務方法書の策定、変更、こういうことを農林大臣が認可しようとするときには大蔵大臣と相談しなければならない。第二号は、業務方法書の内容として、資金貸し付けの方法、利率及び期限、元利金の回収の方法、業務の委託の要領、余裕金の運用の方法、こういうことにつき農林大臣が省令を定めようとするとき、それから金融機関への基金業務の委託につき省令を定めようとするとき、また収支予算の策定及び変更につき省令を定めようとするとき、このような場合には農林大臣は大蔵大臣と相談しなければならない。それから第三号は、業務委託のため金融機関を、また余裕金運用のため預金銀行を、余裕金運用のため保有証券を、これらのものを農林大臣が指定しようとするときに同じく大蔵大臣と協議しなければならない。第四号は、収支予算の策定、変更を農林大臣が承認しようとするときは同じく大蔵大臣に相談しなければならない。こういうことになっておるわけです。  そこで、私はまず政務次官にお伺いをしたいのでございますが、基金に関するいろいろな問題の中で、いま列挙しました四号以外に、農林大臣として大切な問題がほかにあるかないか、残されておるかどうか。農林大臣が大蔵大臣に相談せず、独断でやれることで、しかもいまあげたと同じ程度の重大な問題が何かほかにあるかないか、御見解を承りたいと思います。
  74. 大和田啓気

    大和田政府委員 私が先に申し上げます。  ちょっと冗長にわたると思いますけれども、まず、答えなくてもいいというふうに言われましたが、出資金の返還の問題と別に、例の特別積み立て金の問題がございます。これは、もともと、基金財政が十分確立した場合、この法律で、この積み立て金の処分は別に法律で定めるというふうになっておりますけれども、これは、基金の設立当初の考え方によりますと、将来の配当に対する準備金的なものというふうに理解をされておったわけでございます。これは私ども現在もその考えは変えておりませんわけで、先ほど申し上げましたのは解散のときの積み立て金の取り扱いでございましたが、解散ということはいわば考えなくていい問題でございましょうから、日常の業務の延長として、今後の問題として、今後も毎年収支剰余が生じました場合は特別の積み立て金をいたすわけでございまして、その積み立て金については、やはり将来の配当に対する準備金的なものというふうに理解をして、今後もできるだけ処置をいたしたいというふうに考えます。  それから、第二の御質問で、大蔵大臣との協議事項が今回入ったわけでございますが、これは実は法律には規定はありませんけれども、こういうように国はとにかくいままでも十五億出資しておりますし、今回も三億出資しておるわけですが、連合会は、出資者として、実は基金の総会でいろいろ出資者としての立場を擁護するといいますか、主張することができるわけであります。しかし、国は、出資者の立場として総会でその意思を表明するということはできませんので、監督的な国の立場と出資者としての国の立場と、いわば両方あるわけでございまして、国有財産のいわば総括責任者といいますか、総括者としての大蔵大臣が出資者としての影響力を持つことが、この大蔵大臣の協議の実体的な内容でございます。したがいまして、いままでも法律に別に規定はございませんけれども事実上は大蔵省と話し合いをしておりますし、それから、国が出資をいたしますいろいろな団体、機関がございますが、それにつきましては、全部こういう規定があるのが普通でございます。したがって、これによって大蔵省の権限が強まるとか、あるいは大蔵省が無理押しをするとかいうようなことは実態としてはございません。なお、ここに書いてあります以外に、農林省の権限としては、業務上当然いろいろな監督、指導もございますし、理事の任免その他についても重要な部分はあるわけでございます。
  75. 佐々栄三郎

    佐々委員 私がこの一号から四号まで以外に重要な問題で農林大臣が単独でやれるものがあるのかということを聞いたのは、おそらくもうこの中に重要な問題はすべて網羅されておる、こういう意味で言ったわけです。五兆円の日本の予算を差配しておる大蔵大臣が、なるほど国が出資をしたといっても十五億円と三億円の十八億円でございまして、その十八億円を出資しておるにすぎないこの基金に対して、ここまで関与する必要があるのかどうか、私はどうも農林大臣が少しなめられておるのではないかというような気がするわけです。こういう規定を見ておりますと、農林大臣がちょうど未成年者かあるいは準禁治産者扱いをされておると言わぎるを得ないのです。それほどまで農林大臣は軽く扱われるというか、不信用というか——なるほどほかにもこういう規定がございますと言われますけれども、現にいままでこの基金法にはこういう規定はなかった。それを今度のわずか三億円の追加出資機会にこういうような規定を置くということについては、どうも大蔵大臣の権限があまりにも強過ぎるというか、あるいはむしろ逆の立場から言って、農林大臣があまり軽く扱われておるというか、なめられておるというような印象を受けるわけです。それについて農林大臣に御意見を聞きたいのですが、農林大臣はおられないから、ひとつ政務次官から、なめられておらぬのなら、なめられておらぬのだということをおっしゃっていただけたらと思います。
  76. 草野一郎平

    ○草野政府委員 それでなめられておるというようなものではございませんので、国が十五億と三億の金を出しておる、そうした場合に大蔵大臣と相談をするということになりますと、やはりそれだけの深みといいますか、権威といいますか、重々しさというものがあってもいいはずでございますから、それをなめられておるという——政府というものは大体一体のものでございまするし、何も農林大臣の上に大蔵大臣があり、それに対して強いことを言ったからいばっているふうに見えるというものでもないので、そういうふうに考えてかかるところに、何か特別の大臣同士の中に違いがあるような考え方をされるんじゃないか。こっちが考えておることのほうにむしろ無理があるんじゃないか。ともに相談をしたほうがそれだけの深みがあり、権威があり、国がやはりそれだけの金を出しておるのであり、重要な国帑でありますから、国の金でありますから、財政大臣としてそこへ——何かおひげのちりを払っておるような気持ちでなくして、両方がやはり共通の気持ちで相談しておることは、一つの国として慎重なる態度でもあり、あらゆる場合に、出資しておるようなときにそういう規定のあることもまたいろいろあろうとも思いまするから、さようにも思っておりません。むしろそういうのがあったほうがいいんじゃないかとさえ思っております。
  77. 佐々栄三郎

    佐々委員 政務次官の御答弁でありますが、どうも、どんなに御答弁になられましても、こうピンからキリまで、何から何まで大蔵大臣と御相談をしなければ仕事ができぬというのでは、客観的に見れば、やはりこれはなめられておる、こういうふうに解釈せざるを得ないわけです。しかし、なめられておらぬとあなたが言われるんだから、これで押し問答をするつもりはございません。ただ、今度こういう規定をわざわざ設けたということについては、これは従来も大蔵省は金を出すんですからいろいろ相談はあってしかるべきだと思いますが、わざわざこの機会にこういう何から何まで相談するという規定を設けられたことについては、そこに何らかの理由があると私は思うのです。そうでなければ、わざわざいまこういう規定をする必要はないと思うのです。これについてひとつ、何か根拠があるのかないのか、理由があるのかないのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  78. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、従来も実際大蔵省と相談をしてやっておった部分でございます。それから、国が出資をいたしておりますいろいろ公社、公団、研究所等々、ほとんどすべての普通の法律につきましてこういう協議の規定がございます。したがいまして、今回六億の出資政府出資三億をいたしますときに、いわば条文の整理をしたといいますか、普通の法律にならって、従来やっておりますことを明文化したということでございまして、この規定があるから大蔵省がいわば横車を押すといいますか、いままで言わなかったことを特別言うとかいうような関係はございません。
  79. 佐々栄三郎

    佐々委員 大蔵大臣がこういうことに関与し、協議にあずかるということについては、政府出資をしておるのだからというふうに理解されます。そうしますと、政府と同額の出資を農民がしておるわけです。ここにあげておるような、一号から四号までのこういう問題について、なるほど出資者の一方である政府に対して御相談なさるのはけっこうだが、それなら農民に対しても同じように御相談をかけられるのが至当だと思いますが、それについてはどういうふうな見解を持っておられるか。
  80. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは、農民に相談をするというよりも、もっと直接的に、出資をいたしております連合会で総会をつくっておるわけでございますから、いろいろな予算書でございますとか、決算書でございますとか、事業計画書でございますとか、あるいはその他のことを一切総会できめるわけでございますから、一々六百万の農民に相談することはいたしておりませんけれども、いわばこの仕事における代表者としての連合会の会長が総会の会員という資格で十分討議に参加いたしておるわけでございます。
  81. 佐々栄三郎

    佐々委員 それなら何も政府側にしましても大蔵大臣が協議にあずかる必要はないと私は思う。あなたは、会員が代表してやっているのだ、こう言われる。そうすると、政府のほうにおいても、農林大臣というものはこれは政府の代表なんです。だから、農林大臣がやればそれでいいのであって、何も大蔵大臣に協議をしなくちゃならぬということにはならぬでしょう。出資をしておるから大蔵大臣と協議をしなくちゃならぬということには私はならぬと思う。農林大臣だけでけっこうだと思うのですが、どうですか。
  82. 大和田啓気

    大和田政府委員 農林行政につきまして、あらゆる問題について直接農林大臣が責任と権限を持っておることは当然でございます。しかしまた、同時に大蔵大臣は国有財産の総括者としての権限と責任もあるわけでございますから、国有財産の総括者として、すなわち、この場合は出資金でございますが、その総括者としての大蔵省の立場というのは、法律上もちろん総会の構成員ではございませんし、何もよりどころはないわけでございます。したがいまして、農林行政の責任者は農林大臣であるけれども、国有財産の総括者としての大蔵大臣がその協議で首を出しておるというふうに御了解いただきたいと思います。これによって別に農林省のやっていることを大蔵省は仕事の一々について介入するという趣旨では決してございません。
  83. 佐々栄三郎

    佐々委員 この問題はこの程度にしておきます。  いずれにしましても、わずか十八億の出資でこういうようなことに一々大蔵大臣に相談をしなくちゃならぬという、未成年者的な扱い、準禁治産者的な扱いについては、何か農林省のほうに弱みがあるのじゃないかというような印象を受けることをつけ加えて申し上げて、これはこの程度にしておきたいと思います。  それから、次は監事の権限についてお伺いをしたいと思います。  今度同時に提案になっております漁業災害補償法の一部を改正する法律案関係資料、この中に、第百六十四条に新たに三項が加わりまして、「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは理事長又は農林大臣に意見を提出することができる。」という規定が追加されております。これは漁業災害補償法の一部を改正する法律案でございます。ところが、基金の今度の改正案ではこういうような追加規定がございません。どういうわけで、一方の漁業災害補償法のほうでは監事の権限をこういうように新たにつけ加えたのに、今度の基金のほうでは単に従来同様「監事は、基金の業務を監査する。」というだけで追加規定がないのか。これはどういうわけかということを承りたいと思います。私の聞いたところでは、従来からこういうような監事の権限を強化するという方針でいままで進んでまいったように思います。それが今度の漁業災害補償法にもあらわれたのだと思います。それから、昨年の通常国会で農林漁業団体職員共済組合法という同じような法律にも監事の権限の強化規定が入っております。基金だけについてなぜこういう扱いがなされないかということについてお伺いしたいと思います。何か意図があるのか、あるいは手落ちであるかということをお伺いしてみたいと思います。
  84. 大和田啓気

    大和田政府委員 最近公社、公団等の監事につきまして御指摘のような規定があることは事実でございます。しかし、一般の公社、公団は、設立の手続が、設立委員は政府任命ということでございますし、別に連合会の会長あるいは連合会が会員になって総会を構成するということもございませんので、その点は共済基金と性格が違うわけでございます。また、一般の公社、公団ということではなくて、直接この農業共済基金に匹敵するような漁業共済あるいは農林年金についての御指摘がございましたが、漁業共済基金につきましても、その設立の手続は、設立委員を政府が任命するわけでございます。したがって、団体の性格から言いましても、政府が設立委員を任命して設立するということでございますが、農業共済基金につきましては、設立委員も連合会が選んで設立をするということで、政府が設立委員を任命するという関係にはございません。したがって、農業共済基金は、とにかく政府が半額を出資するわけでございますから、政府の意向なりあるいは意図なりというものが相当影響さるべきものでございますけれども、設立委員は自分たちが選ぶ。政府が任命するわけではない。それから、公社、公団と違って総会を持って自主的に運営するものでございますから、したがって、監事に直接特別の権限を与えなくてもやれるのではないかという趣旨でございます。したがいまして、公社、公団とも違いますし、それから漁業共済基金とも設立の過程において違うということを申し上げたわけで、今度の立法の過程におきまして、立法の過程と申しますか、法律案を作成する過程におきまして、監事について特別な規定を置くべきかどうかということをだいぶ議論いたしたわけでございますが、いま申し上げましたように、設立の経過、あるいは自主的な運営ができるということから、監事については一般の権限以外に特別な権限を与えることは適当ではあるまいというふうに判断をいたしたわけでございます。
  85. 佐々栄三郎

    佐々委員 一応今度の改正案についての質疑はこれで終わりまして、引き続き農業災害補償法一般につきまして若干質疑をいたしたいと思います。  現在の農作物に関する農業災害補償法は、三十八年に改正が行なわれて、三十九年度から実施をされておるわけであります。それで、いままでの改正の経過をいろいろ研究してみますと、いわゆる農業共済保険事業団の創設による二段階制の問題であるとか、あるいは国家補償的な性格を強化すべきものか、あるいは保険料的な性格のものでよいか、あるいは町村移譲の問題とか、農家単位か一筆単位かというような、この問題について非常に重要な点についての審議がさきの国会で行なわれたようでございます。現実の問題としても、この改正によって、先ほども局長が言われたように、末端組合の保険手持ち責任が非常に拡大されたとか、あるいは被害率の算定の方法が変わったとか、こういうふうに非常な改革が行なわれてきたわけです。こういうような改革が行なわれて相当年月が経過をいたしておりまして、従来のいろいろな論議に対して、この改革というものの成果というか、あるいは欠陥というか、そういうようなものが一応この段階で評価されていい時期に来ておるのじゃないかと思いますので、改正以後の統計資料どもひとつ御提出をいただければ御提出をいただいて、今日までの運営状況についてお話をしていただければと、こう思うわけでございます。
  86. 大和田啓気

    大和田政府委員 詳細なことはあるいは御必要がありますれば資料を差し上げますが、大体かいつまんで申し上げますと、三十八年に制度改正をやります前は、農家の間に農業共済について相当不満がありまして、解散をしたいという組合あるいは事業をやめたいという組合相当あったわけでございます。そこで、三十八年の制度改正にあたりましては、まず、あまり被害がないところで掛け捨てになるという農家の大きな不満に対しましては、組合別被害率を算定いたしまして実態に合わせたことと、それから、共済責任相当部分組合に持たせることによって、そこに先ほど申し上げましたように手持ちの掛け金を四、五倍ふやすということによりまして、災害が起こらない場合は無事戻しができるようにいたしたわけでございます。それから、さらに、災害が起こりましたときの災害に対する保険の割合も大きくいたしまして、たとえば稲で全損被害、収穫皆無というような場合におきまして六割程度のものが農家に渡るような仕組みに変えたわけでございます。したがいまして、その後の状況を申し上げますと、まだ十分目がたっておりませんから的確に申し上げるわけにもまいりませんけれども、解散をしたいという組合あるいは事業をやめたいという組合が非常に減ったということが一つでございます。さらに、掛け金徴収の割合が非常によくなりまして、これも目立って徴収が早められたというのが実情でございます。それで、農業保険で国の予算がふえたことがいいというわけでは必ずしもございませんでしょうけれども、四十二年度予算におきましても農業保険に関する国の費用というのは三百億をこえる状態でございまいまして、昨年北海道におきまして相当稲作について被害がありました場合の組合から農家に渡りました金も九十億をこえるという状態でございまして、まずまず農家の方の支持を得て制度がうまく運用されつつあるのではないかというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  87. 佐々栄三郎

    佐々委員 事務費、掛け金の国の負担部分と農民の負担部分との数字をちょっと御説明願いたいと思います。
  88. 大和田啓気

    大和田政府委員 組合のいわば基幹事務費につきましては、たてまえとして国が全額支出ということでございますけれども、たてまえと実際とは残念ながら若干の食い違いがございます。最近の例で申し上げますと、四十一年度で申し上げまして、組合の職員の給与費旅費、庁費というものを含めまして国の負担が大体七割近く、こまかく申し上げまして六七・五%というふうになっておるわけでございます。金額にいたしまして、基幹事務費に対する国の負担額が六、十九億三千六百万、約七十億でございます。これは四十二年度予算におきまして約十億さらに増加をいたしております。
  89. 佐々栄三郎

    佐々委員 私がいま御質問をしましたのは、国の負担部分金額と農民の負担しておる金額、掛け金と事務費について一体幾らになっておるか、こういうことをお伺いしておるわけなんです。
  90. 大和田啓気

    大和田政府委員 いま私が申し上げましたのは組合の事務費でございますけれども、より基本的な共済の掛け金について申し上げますと、四十一年度におきまして水稲を例にとって申し上げますと、国の掛け金の負担部分が六二・九%、約六三%でございます。農民の負担が三七・一%で、荒っぽく申し上げますと六分・四分で国と農家が農業保険の掛け金の負担をしておるという状態でございます。
  91. 佐々栄三郎

    佐々委員 それから、もう一つ、反当たりと一戸当たりで付加金と掛け金の農家の負担状況がどういうふうになっておるかということをお伺いしたいと思います。
  92. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十一年の数字につきまして、一戸当たり、それから反当といいますか、十アール当たりの共済掛け金、支払い共済金額を申し上げますと、共済掛け金につきましては、一戸当たり四千九百三十一円でございます。そのうち農家の負担部分が千八百二十九円、これを十アール当たり、あるいは略して反当に直しますと、総額八百二十九円の中で農家が三百七円持つわけでございます。これに対しまして、当年度組合が支払いました共済金で申し上げますと、一戸当たり一万五十六円、十アール当たり四千二百三十二円ということになるわけでございます。農家の掛け金と支払い共済金とを対比して申し上げますと、農家は一戸当たり水稲につきまして千八百二十九円支払って一万五十六円もらった。これはもちろん、支払い共済金を受けた農家でございますから、まんべんなくいっておるというわけでもございませんけれども、そういう結果になっておるわけでございます。
  93. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまの御説明を承りまして、この農業共済制度というものが国としてかなりの出費を伴う制度であり、総体的に見まして農民が相当の恩恵を受けておるということがわかるわけでございます。  ただ、いまの共済金額の交付の状況でございますが、これはやはり災害の非常に多いところもあれ、はそうでないところもあって、ならして、そんなに恩恵を受けておるのだということにはならない。そうでない、共済の恩恵をあまり受けていない地域におきましては、この掛け金負担、付加金負担というものがかなり重圧となっておるというのが実際ではないかと思います。  そこで、私は、今日の農村問題、長口舌をふるうつもりはありませんけれども、現在の農業問題の基本にあるものは何かといえば、やはり価格問題だと思うのです。農産物価格、この問題が一義的な問題であって、損害を補償するという共済制度の問題は、言うならば、いまの農業問題から言えば二義的な問題である、こういうふうに私は理解しておるわけです。そこで、今日のような農業経済の実態から申しますと、何といっても農業の方面に日本の経済がいまあらゆる点からしわ寄せをして、農民の生活が非常に困難な状況に置かれておる、その所得も非常に低いという現状でありますから、共済制度でこの程度のことをするのは当然のことだと思うわけで、何もこれを恩恵というように考えるわけはないのです。  それだけでなしに、特に今日の農家経済の状態から申しますと、この共済における掛け金の負担、付加金というようなものにつきましても、この際一応考えてみなくてはならぬのではないかと思うわけです。私、ある末端の組合について調査をいたしましたところが、支出のうち人件費がほとんど五三%にもなっております。政府の事務費負担、それから農民に対する付加金、これが大体半々です。支出はこれでまかなっておるわけでありますが、それで足らないので町村から寄付を仰いだり農協から寄付を仰いだりというような形でとにかく何とかやっておるというのが末端の農業共済の現状でございます。そういうようなわけでありますので、農民に対してこれ以上付加金を増徴するということも非常に困難な状況だと私は思います。もうこれが一応の限界点ではないかと思います。財政の困難は必然に職員の給与にしわ寄せされます。共済なりあるいは連合会、こういう方面で働いておる職員の待遇改善のためには、こういう付加金の増徴ということによっては解決しがたい時期に来ておるのじゃないかと思うわけです。  そういう点から申しまして、基幹事務費については全額国が負担しておるというような御意見でございましたが、実情は、それは事務費の半分をまかなっているにすぎません。これを文字通り全額国庫負担にすべきだと私は思います。そうしないことには、末端の共済の職員などの待遇の改善ということはとうていできないと思います。私の見た限りで申しますと、役場よりも低いというような現状でございます。これは土地によって違うと思いますけれども。そういう点から言うて、ひとつこの際事務費の全額を国庫で負担をするというようなお考えがあるかないか、そして農民負担を軽減し、末端共済で働く職員なり連合会で働く職員の待遇を改善する、そういう意思はあるかないかということについてお伺いしてみたいと思うわけです。
  94. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもも、共済の事業をうまく運営するためには、職員が働きやすい環境をつくるということが大事でございますから、職員の人件費の補助額の増加については相当努力をいたしております。ことしも、連合会の職員につきましてはベースアップ以外に特別に給与の改定をいたしましたし、組合の職員につきましては、ベースアップ以外特別な処置はできませんでしたけれども、それでも手当を従来三・九ヵ月分でありましたのをたしか四・三ヵ月にアップいたしまして、人件費については相当増加をいたしたつもりであります。しかし、正直申しまして、連合会の職員が二千ないし三千、組合の職員が全国で二万をこえる状態でございまして、農林省はずいぶんいろいろな形の補助職員を持っておりますけれども、補助職員の数としては一番多いわけで、私ども努力いたしておりますけれども、なかなかそう簡単にはいかない。たてまえといたしまして、基幹的な事務費は職員の給与を含めて全額国が見るというたてまえでございますけれども、実際予算単価と実際の給与との食い違いは絶えず若干あるわけで、私ども十分つとめてはおりますけれども、なお全額国費というふうには実態としてまいっておらないわけでございます。しかし、これも四十二年度予算におきましても相当な改善をいたしましたが、四十三年度以降につきましても引き続き改善の努力は十分いたすつもりでおります。
  95. 佐々栄三郎

    佐々委員 それから、先ほど基金の役員の問題に触れましたが、末端共済における組合長、これは兼任の人とそうでない人がありますが、組合長の待遇、それから損害評価会の委員、損害評価員、それから連絡員、こういうような末端でほんとうに汗を流して働いておる人に対していまどういう給与が与えられておるかということについて、全国的に調査をした資料があると思いますので、ひとつその御報告をいただきたいと思います。   〔倉成委員長代理退席、森田委員長代理着席〕
  96. 大和田啓気

    大和田政府委員 資料につきましては、後刻できるだけの資料の提出をいたします。  国が見ておりますものははなはだ少額でございまして、決して満足のいくものではございません。今後も改善をいたすつもりでございます。
  97. 佐々栄三郎

    佐々委員 大体平均どのくらいになっておるかということをひとつ知りたいわけですが。
  98. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、関心と申しては申しわけありませんけれども、職員の給与の改善ということで頭が一ぱいでございますので、組合長がどの程度俸給をもらっておるかということは、実は全国的な調査がございません。私も時間があります限り村へ行って組合長なんかと話して幾つかの実例は聞いておりますけれども、全国的な調査は遺憾ながらございません。
  99. 佐々栄三郎

    佐々委員 私の知る範囲では、組合長が年額六、七万くらいの給与でやっているところがかなりあります。損害評価会委員、損害評価員、あるいは連絡員、これらは全く非人道的な給与でございます。こういうことについてもう少しふだん御調査になられましたならば、この事務費の問題についても、それを全額交付しなければならぬというようなお気持ちになられると私は思うのです。上のほうのことばかり、基金のことについては局長はかなり詳しくて決してぜいたくはしておりませんとか言われたが、実際共済の運営の衝に当たっておる末端の共済組合のこういうような方面について、組合長とかあるいは連絡員なんかの待遇について調査が十分でないというのは、まことに不勉強だと思いますので、ひとつこういう点は十分御検討になって、そして先ほど来申し上げる事務費の増額について一段と御努力を願いたいと思います。  それから、連合会組合の給与でございますが、連合会はことしの予算を見ますと二万七千百十九円、組合は二万二千六百九十一円でございます。県費補助職員のベースが二万八千九百五円ですから、この間に相当の差額がございます。これはひとつ県費補助職員ベースまで引き上げるように御努力をお願いをしたいと思うわけです。  事務費あるいは人件費、職員の待遇等につきましてはこれでやめます。  その次に、麦の共済についてお伺いしたいと思います。  今度の予算案を見ますと、農業災害補償制度運営改善調査費という項目の中で、麦について九十三万八千円、ちょっと百万円近い調査費が計上されておりますが、これはどういう意図に基づくものであるかということをお伺いしたいと思います。
  100. 大和田啓気

    大和田政府委員 初めに、組合なりあるいは連合会の人件費の問題についてのお話がございました。私ども毎回組合の連絡員その他についての実は俸給の増額を大蔵省に要求をいたすわけでございますが、最後の詰めになりますと、どうしても職員の給与に問題がしぼられるものでございますから、なかなか連絡員その他の給与といいますか、手当のアップまでいかないのが実情でございます。私決して基金のことばかり考え組合のことを考えないという趣旨ではございませんので、組合のことも十分考えてやっておりますけれども組合経費のことというとまず組合の二万に及ぶ職員をどうするかということでどうも頭が一ぱいになるということを、ひとつ御了承いただきたいと思います。  それから、麦の問題でございますが、麦の共済の運営改善調査費が九十三万八千円という少額のものを四十二年度予算で用意をいたしております。これは麦の共済制度を根本的にどうするかというようなことをこの際検討するつもりは実はございません。これは大問題でございますから、私の所管の農業保険の問題として議論すべきことではなくて、むしろ農林省全体として麦作あるいは麦の価格をどうするかということを基本的に検討すべきものの一貫として検討すべきであろうというふうに思います。私どもが現在考えておりますことは、麦の主産地ではなくて、防風林というとおかしいですけれども、風よけに麦をごくわずかつくっていたり、あるいは村にとって、あるいは農家にとって麦作の経営上の意味があまりないところで麦の共済をやっているところが相当あるわけでございます。一体それは農業経営上どういう意味があるのか。何しろ農業保険につきましては、米でも相当の支出を国はいたしておりますけれども、戦後ずっと長く見ますと、米につきましてはたしか五億程度のならしての持ち出しでございますが、麦については二百億以上の持ち出しをしているわけでございます。そういうところから、農家の経営にとって麦作が大きな意味を持っているところで農業共済をやめるという趣旨では毛頭なくて、むしろ何のためにその麦作についての保険をやっているのか自分ながらよくわからないような地帯が実際はあるわけでございますから、そういうところで麦の農業保険は一体いかなる役割りをほんとうに持っているんであろうか、このまま続けるべきであろうか、あるいはやめることが農家なり組合にとってもいいのではないかという問題が確かにあるはずでございますから、そういう問題について少しこまかく調査もして詰めたいという趣旨でございます。決して、麦の共済全体について基本的な考え方を整理するというつもりは、今回の調査費ではございません。
  101. 佐々栄三郎

    佐々委員 麦作は、これは全国的な問題ではなくて、西南暖地と申しますか、九州、四国、中国、近畿、こういう地帯がおもに主産地でございます。ただ、私香川県でございますが、香川県なんかも裏作として麦をつくっておるのが非常に多いわけなんです。これは何も、麦ほど農家にとって引き合わないものはないので、適当な裏作が他にあれば、これはもうやめたいというのが実情でございます。そういうような実情でありますが、とにかくかなりの地帯に分布して麦作が現に行なわれている。私のほうでは、特に三十八年のあの長雨被害のときには、この共済制度によって共済金を相当支払いをされたわけです。いまもし麦が必須共済から除外されるというような事態になってまいりますと、こういう地帯にとっては共済制度の意義は半減をされるか、あるいはそれ以上の影響を受けるわけであります。ただいまの局長のお話を聞いて安心をしたわけでございますが、大蔵省の意図が、とにかく二百億以上の赤字は麦が原因だからというので、そういうような方面から示唆をされてこの調査費が計上されておるようにも私は承り、同時に、末端の麦作地帯の農民は、これについて非常に心配をしておるわけです。そうでありますので、ただいまの局長の御答弁は、まあそういう地帯の人にとってまずまず安心ということになると思いますので、どうかひとつそういう趣旨で今後進んでいただきたい、こう考えるわけでございます。  それから、もう一つ麦の問題につきましてお伺いをしたいことがあります。それは、被害率の算定上の問題でございますが、言うまでもありませんけれども、過去二十年間の組合ごとの被害実績によって掛け金率を算定するというのが三十八年の改正一つの重要な点でありますが、例の長雨の被害によりまして影響を受けた地帯が西日本に相当あるわけです。それで、新しい掛け金率を定める審査会の審査にあたりまして、この長雨被害が二十年間の中に算入をせられるということになりました結果といたしまして、非常に掛け金率がふえてまいった。全国的には一・六五倍、香川県の場合は一・八九倍というような、非常な掛け金率の増加になってきておるわけであります。それで、この問題について当時その会でいろいろ共済側から、これを除外してほしい、特例扱いをしてもらいたいという要求があったようでありますけれども、いれられなかった。それで、現実の結果として、いまあげたような数字になってきてまいっておるわけですが、局長のこれについての見解をひとつお伺いしたいと思います。
  102. 大和田啓気

    大和田政府委員 最近麦の料率の改定をいたしたわけでございますが、確かに、三十八年、三十九年の被害が大きいために共済掛け金率が御指摘のように全国で一・六五倍にふえたわけでございます。私どもこれを検討いたします場合に、関係者から三十八、三十九の被害を落としてもらえないかという話が確かにございまして、私ども検討はいたしたわけでございますが、農業保険のたてまえから申し上げますと、長い期間における災害をならしてどうかということを見るわけでございますから、被害が大きいときのものを除くと、被害が全然ないようなところのものを一体どうするかという問題がございます。ある年の被害が大きいからそれを除くということだけでは保険数理が成り立たないわけでごいますので、これは長期的に農業保険収支均衡させるというたてまえからやむを得ないではないかというふうに結論を持ったわけでございます。ただ、実は、被害率は一・六五倍になって掛け金がそれに応じてふえるわけでございますが、国庫負担の割合が相当高くなりまして、農家の負担率というのは全国で平均一・四一ぐらいにとどまったことは、私どもまず幸いであったというふうに考えるわけでございます。国がそれだけ痛い目を見るといいますか、被害率が多くなるにつれて国の負担の割合が多くなるものですから、結果としてそうなったわけでございます。これはいわば長期に均衡させるという保険のたてまえからいってやむを得ない処置として、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  103. 佐々栄三郎

    佐々委員 ただいまの御答弁に対しましてさらにお尋ねしたいのでありますが、この掛け金率を決定する基礎になる被害率の問題については特別災害調整という農林省の内規があります。これはどういうことかというと、最近における土地改良事業等の発展による生産基盤の整備に伴う安定化傾向と、いま一つは、地域的、偶発的集中豪雨等の被害事情等々を勘案して、各年次の被害率のうち一定率をこえる部分に調整を加える、こういうような内規です。私は、この地域的、偶発的集中豪雨等云々といういわゆる特別災害調整の精神が、あのような異常災害によって被害率が非常に高くなるという場合にもやはり貫かれるのがほんとうじゃないか、こう思うのです。長い二十年間だから、やはり飛び出たところは飛び出たままにしておかなくちゃならぬ、これは除くわけにいかぬというお話でありますけれども、現にここに、いまお話し申しました偶発的な問題、そういう天災の問題については考慮するということを言っておるのですから、当然私は考慮されてしかるべきだと思うのですが、どうですか。
  104. 大和田啓気

    大和田政府委員 三十八年三十九年の被害は別に地域的な被害ではございませんで、相当広い範囲にわたって生じた、いわば気象的な災害でございます。いま先生が御指摘になりましたものは地域的、偶発的なもので、それは私どもも、保険数理のたてまえから言って、そういう場合はある程度除外すべきものと思いますけれども、三十八年、三十九年の被害につきましては、どうもその条文から言って除外すべき性質のものではないわけでございます。
  105. 佐々栄三郎

    佐々委員 これは地域的という文句がありますのでそういうふうに言われるのかもわかりませんが、私が言いたいのは、ああいうことは八十年に一回とか七十年に一回というようなことを地元の者はみな申しておるわけです。地元の者は、これは異常なものであって、平常なものとはだれも考えておらない。その異常なものが被害率の中へ算定されるということについてはこれは困るという、この気持ちは局長としても十分おくみ取りいただきたいと思うのです。それを、統計をとる上においてそういうものを一々除外しておったのでは筋が通らぬ、こういうふうに言われるのも私は一つの理屈だとは思うけれども、しかし、農民の感情、あの被害を受けた人たちの気持ちから言うならば、あれを平常なものとして被害率の中に算定されるということについては、納得できないという気持ちを抱くのは当然だと私は思うのです。局長はその会で、今度はやむを得ないが次回には考慮をするとかいうような御回答をなさったかどうか知らぬが、そういうことを言われたように私は聞いておるのですが、その事実がありますかどうか、承りたいと思います。
  106. 大和田啓気

    大和田政府委員 地元の農家の立場から言って、きわめて偶発的なものであって、それをいかに保険が長期的に均衡をとるべきものであると考えても、あれを入れてもらうのは困るという感じがあることは、私も感じとしては十分わかるわけでございます。したがって、先ほども申し上げましたように、掛け金率の改定をいたしますときに、三十八年、三十九年の被害率を入れるかどうかということについては、私自身も問題として検討をずいぶんしたわけでございます。ただ、しかしながら、どうも今回の掛け金率の算定に当たっては、それを地域的あるいは偶然的なものとして全国の数字の中に入れないというわけにはまいらないというふうに考えて、このような結論に至ったわけでございますが、実は、農林省がそういう掛け金率を変えますときに御相談をする審査会がございまして、その審査会の答申といいますか、御希望として、今回はやむを得ない事情があることはわかったけれども、この次にやる場合にひとつ考えてもらえないかという話がありまして、私も、この次変えますときには十分それでは検討いたしましょう、三十八年、三十九年を除くというふうにお約束はできませんけれども、とにかく十分検討いたしましょうというふうに申し上げた経過はございます。私はいまでもそういうふうに考えております。
  107. 佐々栄三郎

    佐々委員 これはもうすでに決定されたあとでございますので、いまとやかく申してもどうにもならぬとは思います。ただ、地元の被災地の農民の感情としては、これを考えてくれないというのはずいぶん無理だという印象を受けておりますので、ひとつ次回には、次回というても、これは三年先でございますけれども、そのときにはぜひ御検討をお願いして善処をしていただきたいと思います。  それから、次には家畜診療所についてお伺い申し上げたいと思いますが、まずその初めに、私どものほうでは農業共済で一番農民が喜んでおるのは家畜診療所でございます。診療所があるので共済に対して意義を感じておるというところが実に多いわけです。ところが、現実を見ますと、単位農業共済あるいは連合会経営の家畜診療所が全国的には減少していっておるように承っておるのですが、その減少状況を過去数年にさかのぼって数字でひとつ示していただきたいと思います。獣医師の数もあわせてお願いします。
  108. 大和田啓気

    大和田政府委員 資料を手元に持っておりませんので、後刻差し上げたいと思います。
  109. 佐々栄三郎

    佐々委員 それでは、私が調べたのを申し上げますが、三十三年には一千六百ヵ所、獣医師が二千百五十三名でございました。それが三十八年には一千三百七十七ヵ所になっております。それから獣医の数は二千九名になっております。四十一年度には、これは四十一年六月二十日に委員会で政府が答弁せられた数字でございまして、獣医の数はわかりませんが、個所として一千ヵ所になっております。そうすると、三十三年から四十一年までに六百ヵ所減っておる、こういうことになります。それから、獣医師も当初の二千百五十三名が今日ではあるいは二千名を割っておるのではないかと思うわけであります。何がゆえに、農民がきわめて重要視しておるこの家畜診療所の数がこういうふうに減り、そこに従事する獣医師の数がこういうふうに減ってまいったかということについて、局長の見解を承りたいと思います。
  110. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十一年の四月一日現在の診療所の設置個所数は千百七で、獣医師の数が千八百十五でございます。したがいまして、御指摘のように、設置個所も減り、獣医師の数も相当減っておることは事実でございます。これは、なかなか診療所の運営がむずかしくて、いわば赤字をかかえており、農家としては相当歓迎すべきものとして考えているけれども、経営としてはなかなかむずかしいということで、私は一つの大きな問題であろうと思います。私ども最近調べましたもので申し上げますと、連合会が設置いたしましたものを三十三ヵ所調査をいたしましたところ、不足金のある診療所が、三十三ヵ所のうち二十五ヵ所でございます。一ヵ所当たり約二百二十万円の不足をいたしております。それから、組合が経営をしておりますものの調査を四百二十二ヵ所についていたしておりますが、この全体といたしましては、四十年度の収入と支出とを比べまして、収入のほうが多くて十四万円ほどの黒でございますが、四百二十二ヵ所のうち不足金のある診療所が百三十四ヵ所に及びまして、その不足金の平均が約十六万円という状態になっております。以下、市町村その他が置いてありますものの調査がありますが、省略させていただきます。  結局、農家としては相当歓迎すべきものとして考えているけれども、経営がむずかしいので少しずつ減っているというのが残念ながら実情であろうと思います。したがいまして、私ども四十二年度から家畜共済について相当思い切った改正をいたしますので、これは間接に診療所の収支相当いい影響があるのではないかというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  111. 佐々栄三郎

    佐々委員 聞きもらしたかもわからぬと思うのですが、こういうふうに減少してまいった原因は一体どこにあるかということについて、もう少しはっきりしたお答えをいただけたらと思うのです。
  112. 大和田啓気

    大和田政府委員 私、簡単に、経営がむずかしいことが一つの大きな理由ではないかというふうに申し上げましたが、経営がむずかしいということの実質的な意味の一つとして、家畜頭数が相当減ったということが大きな原因になっていると思います。これは、制度的な問題を別といたしまして、現実に牛が減り、乳牛は多少ふえておりますけれども、役畜が減り、馬が減りということで、家畜数の減少一つの大きな理由ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  113. 佐々栄三郎

    佐々委員 なるほど、家畜の頭数が減ったということも、私、資料をいただいておりませんのでその事実についてはわかりませんが、あるいはそうかもわかりません。しかし、何といっても現在の診療所の経営困難ということは、私は国庫の補助対象の獣医の数が非常に少ないということに根本的な原因があると思います。香川県の場合を例にとりますと、香川県は連合会の経営でございますが、国庫補助対象の、いわゆる確認獣医といれわておる者が七名おります。総員では二十二名でありますが、七名だけが国庫補助の対象の獣医でございます。そのほかの獣医は、いわゆる掛け金率乙による診療収入によって独立採算的に自分の収入を得ておる。   〔森田委員長代理退席、委員長着席〕 そういうようなところから非常に経営が困難だというのが、これが本質的な問題点じゃないか、こう思うわけです。そこで、そういうふうなことのために獣医がいつかない。私のほうである診療所の状況を聞きますと、二十年間の経験のある獣医の給与が年額にして八十八万三千円でございます。これは、一般のその他の県の獣医師、それから開業医などの収入と比べまして非常に低いと思うのです。そういうふうなところから、だんだん医師がいなくなる。医師がいなくなれば閉鎖をするというようなことで、今日のような、次々と診療所の数が減り、獣医が減ってまいるという原因がそこにあるのではないかというふうに考えるわけです。  そこで、私が先ほど来申し上げたように、家畜診療所というものに対して農民が非常に感謝しておるというこの現実を考えてまいりますと、そういうふうに数がどんどん減ってまいるのを傍観しておってよいわけはないわけです。ですから、ひとつ国においても獣医の給与だけは国庫がこれを負担する、そういうような方向で進めないものか、そしてこの診療所というものがますます農民の期待にこたえて発展をするようにできないものか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  114. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、家畜診療所の充実強化ということについては今後も十分努力いたすつもりでございますけれども、直接獣医師について国が現在以上に介入することがいいかどうかということについては、私、実は多少の疑問を持っておるわけでございます。これは今後の研究問題として考えたいと思います。
  115. 佐々栄三郎

    佐々委員 それから、もう一つこの際お伺いしておきたいことがあります。  それは過剰診療の問題でございます。政府からのそういう交付金がないというようなところから、採算的にとにかく診療の点数をあげる、診療の点数をあげないことには自分らの給料にもならない、普通並みの給料にならないというようなところから、過剰診療がいま非常に行なわれておるように私は見受けるわけです。過剰診療の結果はどうなるかといえば、これは事故率の増加、掛け金率の増加、加入者の減少というような形で悪循環をしてまいるわけです。こういう問題について、結局のところ、こういうようなことになってくると、待遇が悪いから加入者の犠牲でそれがカバーされる、加入者が減少する、加入者が減少するから待遇は悪くなるという繰り返しをやるようなことになっておるのです。このような悪循環をどこかで断ち切る必要が私はあるように考えます。これについてどういう見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  116. 大和田啓気

    大和田政府委員 なかなかむずかしい問題でございますが、私ども、獣医師の人件費の増加ということに備えまして、実は四十年度から診療点数のうちで技術料の部分について一割四分ほどのアップをいたしたことがございます。それから、もう一つは、過剰診療ということの弊を防ぐこともございますし、それから家畜共済制度が有畜農家といいますか畜産農家に対するサービスという意味もございまして、損害防止事業ということに相当力を入れまして、一種のこれは家畜の健康診断、集団診断というふうにお考えいただいていいと思いますけれども、そのための費用として四十二年度に新しく一億八千万円程度経費を計上いたしました。これは経費の約七割を国が見るという考えで一億八千万円の予算を組んだわけでございますけれども、この家畜の集団検診あるいは健康診断をうまく動かすことによって、相当過剰診療、したがって農家の負担がかさんで農家が離反するという悪循環は断ち切ることができるのではないかというふうに期待をいたして、連合会組合等の指導に現在つとめておる次第でございます。
  117. 佐々栄三郎

    佐々委員 問題が家畜共済損害防止事業交付金の問題に触れてまいりましたので、これについてあわせてお伺いしたいと思いますが、これに見合う金額として三〇%連合会が負担をするわけです。しかもこの連合会が家畜診療所の経営をしているケースが非常に多いわけです。私のほうではそうなんです。そうすると、お金がこれに出るからよくなるだろうと言われるが、これは三割出るわけですから、連合会としてマイナス面もあるということも御承知おきを願わなければなりません。  それから、家畜共済損害防止事業の交付金によって獣医師の待遇がよくなるのだというような印象をおことばから受けましたが、現実にこれが獣医師の待遇改善となるか、なるとするならば、一億八千万円のうちの何割くらいが現実に待遇改善となってくるのかというようなことについてお伺いしたいと思います。
  118. 大和田啓気

    大和田政府委員 損害防止事業の補助金の一億八千万円が直接獣医師の待遇改善になるというふうに申し上げたつもりはないわけでございます。直接には診療点数のうちの技術料部分を四十年度に一四%程度上げたということが一つ。それから、もう一つは、私ども四十二年度から家畜共済について相当根本的な改正をいたしまして、いままでの一頭一頭の引き受けではなくて、包括的な引き受けにいたしましたり、あるいは掛け金の国庫負担について相当な改善をいたしましたことから、まだスタートを切ったばかりでございますから、四十二年度一ぱいたちませんと効果はあらわれないわけでございますが、家畜頭数の引き受けは相当ふえるのではないかというふうに期待をいたしております。家畜頭数、家畜の共済の引き受けがふえることが獣医師の待遇に関係することは、これは私は十分あり得るというふうに思うわけでございます。
  119. 佐々栄三郎

    佐々委員 そうしますと、家畜共済損害防止事業交付金は、間接的に診療点数が多くなってふえるというだけであって、直接的にこれは待遇改善の資とはならぬかどうか、これをお伺いしてみたいと思います。
  120. 大和田啓気

    大和田政府委員 一億八千万円の交付金でございますが、これは待遇改善に通じないというふうに一がいに申し上げるとやっぱり正確を欠きますので、多少数字について申し上げますと、この一億八千万円のうちの直接費と技術料の割合を申し上げますと、直接費が約五七%で、技術料が四三%でございます。したがって、その分は獣医師に対する待遇改善といいますか、獣医師の収入に回る部分があるというふうに申し上げたほうがむしろ正確であろうと思います。
  121. 佐々栄三郎

    佐々委員 大体わかりました。しかし、結論として家畜診療所についてもう一度私は繰り返して申し上げたいと思います。家畜診療所を、先ほどから繰り返して言うように、農民は非常にこれは感謝をしております。また、獣医師も犠牲的によく活動いたしておるのでございます。そういうようなものであるにもかかわらず、だんだんこの数が減少し、医師はこの世界から逃げていくというようなことに今日までなってきているわけでありますが、この際ひとつ抜本的に各診療所の拡充なり獣医師の待遇の改善ということについて御努力をお願い申し上げたいと思います。そうでありませんと、せっかくの損防事業なんかにつきましても、これは現在でも人が少なくて獣医師が非常に苦しんでおる、その上いたずらに過重な負担をかけるということだけになったのでは困りますから、待遇改善と家畜診療所の拡充について一段の御努力をお願い申し上げて、これはこれでとどめたいと思います。  それから、もう一つ畜産のことについてお伺いしたいのでありますが、掛け金の国庫負担対象金額についてでございます。現在掛け金の国庫負担対象金額は幾らになっておるかということと、時価に対して、共済価額に対してどういう割合かということをひとつ御答弁願いたいと思います。
  122. 大和田啓気

    大和田政府委員 従来、国庫負担対象共済金額の限度額は、三十年度から三十二年度の平均共済価額の五〇%を対象といたしておったわけでございます。また、掛け金の国庫負担額は、掛け金のうち死廃部分の二分の一を限度として掛け金率の高さに応じて三つの段階に区分して行なっていたわけでございます。ところが、今回の改正にあたりましては、国庫負担対象共済金額の限度額は三十九年度から四十一年度の平均共済価額の六三%、これは五頭目まででございますが、六頭以上につきましては五〇%というものを全国一律に対象といたすことにいたしまして、国庫負担の額につきましては掛け金率の高さによって段階制を設けることは廃止をいたしたわけでございます。このため、従来の国庫負担額と掛け金率との関係で国庫負担対象共済金額が高目に定められていました一部の地域におきましては限度額が多少引き下げられるということもございますが、国庫負担割合が死廃部分の二分の一から掛け金全体の三分の一以上に改善されましたので、農家負担が従来より増加するということはまず非常に少ないのではないかというふうに考えております。
  123. 佐々栄三郎

    佐々委員 ちょっと話がこまかくなったので、局長の御答弁も、どうも私の質問の的からちょっとはずれているのではないかという気がするのです。むしろ課長さんからお答え願ったらいいのではないかと思いますが、私がお伺いしておるのは、四十二年三月三十一日に農林省告示で掛け金の国庫負担対象金額を通牒せられておるわけです。その額をあげていただきたい。そして、それが時価に対して何割ぐらいになっているかということを知りたい。金額でおっしゃっていただきたいと思います。
  124. 大和田啓気

    大和田政府委員 非常にこまかい御質問でございますので、あるいは私の理解が行き届かないところがあるかとも存じますが、国庫負担の対象共済金額の限度額は、乳牛の雌で申し上げますと、五頭目までが八万五千円でございます。六頭目以上が六万八千円でございます。平均の共済価額、これは先ほども申し上げましたが、三十九年から四十一年の平均でございますが、それが十三万五千円でございますから、五頭目までの八万五千円というものをこの十三万五千円に比べますと六三%、それから六頭目以上の六万八千円というものを十三万五千円に比べますと五〇%という勘定になるわけでございます。
  125. 佐々栄三郎

    佐々委員 どうもそれは、東京でおられれば、牛の相場、一般取引が幾らでされておるかということについておわかりにならぬのは無理ないと私は思うのです。しかし、私は全国的なことは知りませんが、私の香川県のほうでは、乳牛の成牛が大体二十三万円、それから、和牛の肉牛、肥育牛ですが、これが二十万円、こういうような相場になっております。いま十三万五千円と言われたが、これは何の金額をおっしゃったのか、私にはちょっと理解に苦しむわけです。  ただいま申し上げた牛の一般の時価に比べますと、今度定められたところの国庫負担対象金額というものは、乳牛の雌、五頭まで八万五千円、六頭以上六万八千円、肉牛五頭まで六万七千円、六頭以上五万三千円というのは、先ほど言うた一般の時価に比べて四割にもなっておらない。非常に低い金額でこの対象金額が定められておる、こう申してよいと思うのです。  そういうことになりますと、なるほど農民は時価の八割まで、共済価額の八割まで共済に加入をすることができるけれども、現実はやはり、この八割加入したものには掛け金の国庫負担がないわけですから、結局下げて、国庫負担のある部分のところまで金額を下げるよりほかに国庫の負担を受けることは不可能なわけです。そういうことになってまいりますと、せっかく今度の改正によって五分の二の負担になるのだ、四割になるのだというようなことを申しましても、時価と国庫負担対象金額というものとの開きがこれほどありましたのでは、従来の平均した国庫負担二割の線ぐらいしか実際は恩恵を受けられないということになっておると私は思います。  そこで、現在の一般の取引価格、牛やその他対象家畜の価格をもう少しよく検討をせられて、農民は保険に入る以上は全額補償を得たいという気持ちを持っておるわけですから、こういう国庫負担という点を足かせにして、低いところへ共済金額を定めざるを得ないというようなことはひとつやめてもらいたい。つまり、国庫負担対象金額というものをもっと実情に適したように上げてもらいたい。そうすれば農民は限度額一ぱいに入るだろう、こういうのが私の結論でございます。  この点について、現在の対象金額を固執せられるつもりか、あるいはもう一度検討し直してみて通牒を改める気があるかどうかということについて御答弁をいただきたいと思います。
  126. 大和田啓気

    大和田政府委員 ただいまやっておりますことは、これはもう始めておることでございますから、それを直すというふうにはまいらないわけです。それから、将来国庫負担の対象にいたします共済金額について検討すべきではないかという御意見でありますれば、私、そのとおり実情に合わせてだんだんに改善をいたしてまいりたいと思います。ただ、私申し上げたいことは、実は家畜共済は四十二年度から制度の改善をいたしますが、いままでのいろいろ実際実施をしておりました経験を申し上げますと、たとえば三十六年ぐらいの乳用牛の共済価額を申し上げますと一頭当たり十万九千円ほどでございますが、実際農家が共済にかけておりますものは四万七千円で、共済価額に対する共済金額の割合は四割三分ほどでございます。また、それが三十九年になりまして共済価額は十一万六千円ほどに上がりましたけれども、共済金額はやはり四万七千百円程度で、共済価額に対する共済金額は約四割、四〇・四%でございます。したがいまして、共済価額まで、あるいは限度額一ぱいに共済に入るということは、実情としてなかなかないわけで、国庫負担の限度を打ち切っているから共済金額が上がらないのだというふうに一がいには申し上げられないだろうと私は思います。国が国庫負担いたします額まで農家が共済に入るようになって初めてその限度を少しずつ引き上げていくということが、まず順当なやり方ではないだろうか。いま先生がおっしゃいました国庫負担の対象額をふやせという御議論は、私は将来の問題として当然検討すべきものであろうと思いますけれども、なかなか実態としてはそこまでいかない。国庫負担の限度を押えているから共済金額が引き上げられないという関係にはまだ直接にはなさそうだ。これはもう少し実態を検討し、特に四十二年度制度が新しく始まる中で、あと一年ほどたちますと農家がどのくらいの金額を選ぶか、限度額一ぱいまで選んでもっと限度額を上げろというふうな態勢になるかどうか、まだよくわかりませんので、そういうことの実態がわかりましてからの一つの問題として検討さしていただきたいというふうに思います。
  127. 佐々栄三郎

    佐々委員 それは、限度額一ぱい入ろうにも、それに入ると国庫負担がないから入らないという面があることをお忘れにならぬようにしていただきたいと思うのです。だから、せめて八割まで加入ができるわけなんですから、共済価額の八割まで共済金額を定めることができるわけですから、その金額までは国庫負担をするというふうにしていただいたらと思います。現実にそういうことにはならぬのだ、農民はそこまで入らぬのだと言われるならば、これは予算の支出もないし、そういうところへ入れるように措置をしても財政的には影響はないわけですから、決してお困りになることはありません。ですから、その中で特別な人はやはり八割ぐらいまで入りたいという人があるのですから、そういう人たちの要望にもこたえるために、ひとつこの点を考慮していただきたいと思います。現実の国庫負担対象金額があまりにも低過ぎるということを特に私はこの際強調しておきたいと思います。この点はひとつ、どうか実情を御研究になって、この金額を改めるようにしていただきたいと思います。  畜産についてはそれで終わります。あともうわずかでございます。それも特に意見をお聞きするだけでございますので、続けさしていただきます。  まず第一は、畑作共済、その中の果樹共済について。これも今度予算措置が講じられておりますし、それから果樹保険臨時措置法案というものが提案されるように私承っております。これについての構想を、簡単でよろしゅうございますからお聞かせをいただきたいと思います。
  128. 大和田啓気

    大和田政府委員 まだ提案をいたしておりませんものでございますから、確定的なお話はできないわけでございますが、私どもがいま考えております果樹保険について御説明申し上げますと、果樹保険は、先生よく保険のことを御承知でございますが、なかなか実施がむずかしいわけでございます。とにかく米麦についてはもう相当な経験と積み上げがございますけれども、果樹につきましては、昭和三十四年の例の伊勢湾台風のときに、長野あるいは山梨の果樹がしたたかやられまして、果樹共済をやってほしいという声があがって、それ以来私ども調査研究を続けてまいりましたけれども、ミカンとリンゴをとりましても、経営の実態が違うし、果樹保険に対する要望がまるで違うものがございます。したがいまして、私ども、米麦と同じような形で全国一律にしかも強制的に災害補償の制度をしくというふうにはとても考えられない実情でございますし、といっていつまで調査検討をやっていてもらちがあかないわけでございますから、臨時措置法という形で、五年間の期間を限りまして、リンゴ、ミカン、ナツミカン、桃、ブドウ等々、果樹の中で相当面積のある有力なものにつきまして、それぞれの面積の一割程度を主産地について実験的に保険にかけてみる。そうして、その保険をつける場合は、大体主産地で相当果樹地帯としてまとまったところで希望者を募ってやる。強制的ではございません。あくまで任意でございます。そこで、米麦のように実は被害の調査の機構も十分そろっておりませんから、農家単位で三割以上被害のある場合にめんどうを見るという制度と、五割以上被害のある場合にめんどうを見るという制度と、二つの選択を地帯によって認めまして、これを特別に法律で権限を与えまして、それぞれ県の連合会が保険の主体になる。そうして、米麦と違いまして強制ではございませんし、また経営の内容も違いますから掛け金の国庫負担というふうになかなか踏み切るわけにもまいりませんけれども、やはり何かの形で国がめんどうを見るべきものでございますから、加入奨励金ということで実体的に一部国が掛け金についてめんどうを見る。あわせて事務費について国が負担をする。それから、漁業災害補償等いろいろいままでも実験的な試みがございまして、それらにつきましては、実験的ということで、国が特別会計で再保険するということは実はやっておらないわけでございますけれども、今回の果樹保険につきましては、国が特別会計で再保険をする、できるならば連合会不足金に対して、先ほどいろいろ御質疑のありました農業共済基金から融資の道を講ずるということで、とにかく五年間果樹保険をやってみる。いままでも、どれだけ保険料を取りどれだけ保険金を払うというようなことを机上ではやっておりましたけれども、実際掛け金授受をやらないと、一体被害がどういう地帯でどれだけのものが起きるかということの確認はなかなかむずかしいわけでございますから、五年間そういうデータを積み上げて、そのあとでその検討をまって、本格的に実施すべきものであれば実施する、その間に問題を十分詰めたいということが実は私どもの真意でございます。提案をいたしました暁には、ひとつ十分御審議をいただきたいと思います。
  129. 佐々栄三郎

    佐々委員 そうしますと、この果樹共済については、掛け金、事務費を国庫負担をするということと、国が再保険をして特別会計でめんどうを見るということについては、この点は間違いないのですね。
  130. 大和田啓気

    大和田政府委員 連合会が保険の主体でございますから、連合会の事務費について国がめんどうを見る、それから、特別会計で国が再保険するということはそのとおりでございます。それから、掛け金の国庫負担というのは、果樹経営の実態から言って実はなかなかむずかしいわけでございます。しかも米麦と違って強制ではございませんから、任意でございますから、国庫負担ということはむずかしいので、私どもは、掛け金の国庫負担はやらない、しかし何らかの形で国がめんどうを見るということで、交付金といいますか、あるいは加入奨励金といいますか、名前は別といたしまして、掛け金の一部を国が実質的にめんどうを見るという形で現在整理をいたしておるわけでございます。
  131. 佐々栄三郎

    佐々委員 あと二点だけ質問をして終わりたいと思います。  二点の中の一点は、これはいつもよく出る問題でありますし、また私のほうの香川県などでは、たばこをつくっている農家が多いわけです。このたばこが共済から除外されているということについて相当不満がございます。現在専売公社から見舞い金というようなものが出ておりますが、これはいわばその程度のもので、この葉たばこ共済についてどういうふうに考えておられるか、今後どういうふうにせられるつもりかということをまずお伺いしたいと思います。
  132. 大和田啓気

    大和田政府委員 たばこは普通の作物と違いまして専売物資でございますし、それから専売公社で一種の災害補償制度をつくっておるわけでございます。したがって、それ以上の保険をするといたしますと、実際の損害のうちで、専売公社の見舞い金といいますか、専売公社のいう災害補償で補てんされない部分を、いわば任意共済の形で農業保険の系列でやるかどうかという問題でございます。これは、私どもも、現地の組合連合会あるいは農家から直接そういう制度をつくってくれという声がございますが、専売物資でございますから、いきなり農林省なりあるいは連合会の系統がやるというわけにもまいりませんので、現在連合会なり、あるいは全国の協会なりで相当検討をして、専売局と多少の話し合いはしておるわけで、私どもも、専売公社との話し合いがつくのであれば、任意共済という形でたばこの共済をやることも十分意味があるのではないかというふうに、現在検討いたしておるわけでございます。
  133. 佐々栄三郎

    佐々委員 専売公社と話がつくのであるならばというようなおことばですが、専売公社とこの問題について積極的に話をせられたことがあるかないかということを承りたい。
  134. 大和田啓気

    大和田政府委員 正直申し上げて、私が経済局長になりましてから、専売公社にこういう話を直接しかけたことはございません。これは、役所の立場で話すよりも、むしろ団体の立場でまずできるだけ詰めて、それから役所が乗り出すことが、事を円満に運ぶことになるのではないかということで、しばらく団体のほうで検討する結果を見ているというのが、正直申し上げての実情でございます。
  135. 佐々栄三郎

    佐々委員 そういう方向へひとつ御努力を願いたいと思います。  最後に、鶏と肉豚の共済でございますが、これについては今度も調査費用が計上されております。毎年計上されております。ずいぶん調査期間が長くなっておると思うのですが、これについてどういうふうにお考えになっておられるかということ。特に私が申し上げたいのは、いわゆる農業基本法による選択的拡大政策というものが早くからうたわれて、畜産、果樹に対して非常に奨励的な政策が講じられておるにかかわらず、果樹あるいは畜産の中の現在非常に多い鶏とか肉豚について共済制度が確立されておらぬということは、これは共済制度が政策的に非常におくれておると私は見ておるわけです。これをやはり一日も早く実現することが、自民党の農業基本法政策に即応する、マッチするゆえんだとも、私は思うわけなので、いつまでも調査調査と言っておらずに、すみやかにこれを実践に移さるべきだと考えますが、この鶏、肉豚共済が今日に至ってもなお実践の段階に至らない原因は何かということをお伺いするとともに、あわせて今後の実施の見通しについて局長の見解をお聞きしたいと思います。
  136. 大和田啓気

    大和田政府委員 私も、農業生産の選択的拡大といいますか、そういうものを推進する立場から言って、できるならばそういう選択的な拡大部面について農業災害補償をだんだん積み重ねていくことが至当であろうというふうに考えます。そういう趣旨で、今回も事務的には相当無理をして果樹保険の相当大規模の試験実施に踏み切るわけでございますけれども、ただ、肉豚、鶏につきましてはなお調査中で、ちょっと簡単には結論が出ませんのは、経営の実態が、鶏で申し上げますと、私から申し上げるまでもなく、副業的な養鶏から専業的な養鶏、その中でも一万羽養鶏とか十万羽養鶏というものが出てきまして、鶏の共済をやるとすれば、一体そういう経営内容の違いをどういうふうに被害率なりあるいは掛け金の算定に反映させるかということが実は非常にむずかしい問題でございます。肉豚につきましては、鶏ほどではございませんけれども、これも相当経営の内容の分化がございます。あわてて雑な共済制度を始めることは、かえって健全な共済制度の発達をおくらせることになると思いますので、その点十分見通しがつくまで、やはり調査検討をして、十分慎重に見きわむべきものであろうと思います。私は、いま鶏、肉豚の共済について、これはとてもできないというふうに結論を出しているわけではございませんけれども、ちょっと時間がかかっていることをひとつ御了承いただきたいと思います。
  137. 佐々栄三郎

    佐々委員 もう少し調査をしたいということでありますが、調査をしておるうちに、毎年のように豚コレラでずいぶん養豚農家が打撃をこうむっておる。御承知のとおりです。鶏なんかもこの間じゅうニューカッスルで非常な打撃を受けました。皆さんが調査をしておられるうちに、刻々と、政府の畜産奨励、選択的拡大政策に即応してやっておる農民が被害を受けておるのが実情でございますので、せっかく畜産を奨励せられるのであるならば、こういう最も緊急緊要な鶏とか肉豚について一日も早くこれを実施されることを望みたいと思います。法定伝染病、こういうものを中心にして実施をすれば、私はそう困難なものではないと思うので、せっかくひとつ早期実現に御尽力をお願いいたしたいと思います。  私の質問はこれをもって終わりたいと思います。
  138. 本名武

    本名委員長 中野明君。
  139. 中野明

    ○中野(明)委員 ただいま佐々委員のほうから長時間にわたって詳細に質問がございましたので、私は重複を極力避けましてごく簡単に二、三点お尋ねしておきたいと思います。  まずその第一点といたしまして、今回の基金出資金が、当初と違いまして任意制をとられた。こうなってまいりますと、出資金の性質が当然二つに分かれてくるようになるわけですが、将来そういうことがあってはならぬと思いますが、将来において再び出資をしなければならない、そういうふうな事態に立ち至ったとき等を考えますと、この基金の性質が二つに分かれるということに問題があるんじゃないか。任意制ということになると、当然出資をしない農家なんかがもしできた場合に、ますます複雑になるのではないか、そのように考えられるのでありますが、この点局長の見解をお尋ねしたいと思います。
  140. 大和田啓気

    大和田政府委員 お話のように、三十億の分につきましては強制出資で、今回の六億円分については任意出資でありますことは、形式的に言えば統一がとれておりませんから、できるならば一緒にするということが望ましいことであるわけでございます。ただ、それでは形式的に違って非常に困難な問題が生ずるかといいますと、私は、必ずしもそうではなくて、今回のように三億の任意出資にいたしましても、連合会がとにかく応分の負担をして出資するということを了承しているわけでございますから、三億の出資連合会からあることは確実でございますし、これに基づいて政府も三億の出資をするということで、出資の確保については、別に任意出資であるからといって格段の心配は私どもいたしておらないわけでございます。強制出資か任意出資かということは、前回におきましては、先ほども申し上げましたように、ほとんどすべての連合会不足金がございまして、とても任意に出資を募るというわけにはまいらなかった事情がございます。したがいまして、農家から拠出金を求めるような法律の規定も置いたわけでございますが、今回は、これも先ほど申し上げましたけれども赤字連合会はございますけれども、全体としては相当力がついて、しかも三億という、従前の五分の一の額でございますから、任意出資ということで、とにかく農民に拠出を強制的に行なわせるという法律の規定を要しないで、まずまず無事に任意出資が行なわれる見通しがございますので、あえて強制出資にはしなかった。強制出資というのは本来はできるだけ避けるべきものであって、事情が許すならば任意出資のほうがよかろう、それで出資が行なわれるものなら任意出資のほうがいいであろう、今後基金事業の拡大その他いろいろな都合で出資をまた仰ぐということがあり得るわけでございますけれども事情が許すならばやはりその際に任意出資という形をとったほうがいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  141. 中野明

    ○中野(明)委員 今回の場合、先ほど局長のお話にもありましたが、約一割程度農家から出資をしてもらわなければならないような様子だということが、連合会との話し合いの中であったというふうにおっしゃったようですが、その点、農家の出資見通しはどうでしょうか。
  142. 大和田啓気

    大和田政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、私ども連合会との話し合いの中で、特別積み立て金をくずしたり、あるいは一時借用したり、県から補助金をもらったりすることで大体三億の出資がまかなえるのではないか。中には組合に対して拠出を求めるものがありそうだ。ありましても、私どもの感じでは五%前後というふうに現在は判断をいたしておりますけれども組合に対する出資といいますか拠出をお願いすることであって、組合にも相当特別積み立て金その他の余剰の留保がございますから、その中でまかなわれるものがほとんどすべてではないだろうか。したがいまして、今回の三億の出資に関連して農家から拠出をさせるというふうにはまずならないのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  143. 中野明

    ○中野(明)委員 了解しました。  次にお尋ねしたいことは、先ほど佐々委員の質問にもありましたが、基金運営経費についてでございます。これが、最近のものからちょっと見てみましても、三十七年に四千六百万から、四十二年度予算では九千万と、ほとんど倍増になっておるような状態であります。この内訳について一点お尋ねしたいのですが、運営費の中の事業費の内容についていま少し詳しく説明を願いたいと思います。
  144. 大和田啓気

    大和田政府委員 お答えを申し上げます。  四十二年度予算におきまして、事業費は総額二千八百九十一万五千円というものを組んでございます。これは主として会員に対するサービスを目標とした経費でございまして、おもなものを申し上げますと、多少冗長にわたって恐縮でございますが、まず調査指導費でございます。これは千八十五万六千円、これは会の事業運営に資するために基金がいろいろ調査をいたしますことの諸費でございます。それから普及費が二百八十五万円ほどで、これは基金の行なう業務あるいは財務状況を共済団体に周知させるための広告印刷費等でございます。特にことしは、基金といいますか、農業災害補償制度ができましてから二十周年でございますので、その記念事業の金が多少この中に含まれておるわけでございます。さらに、基金の月報を出しております金が二百三十万円ほど。それから、会員の行なう掛け金の徴収推進事業に協力するための推進費が九百四十万円ほどございます。また連絡事務費が二百二十万円ほどございます。総額合わせまして二千八百万円をちょっとこす状態でございますが、いずれも、単に基金の事務ということだけではなくて、基金と会員とを結びつける、あるいは農業共済事業の周知宣伝にも資するための費用であろうというふうに考えております。
  145. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほどのお話の中で、各共済の事務費の国庫負担の点でございます。これが、全額負担にすべきであるところを、現在では残念ながらそうなっていません。そういう点にからみまして、いまのお話の中にも、保険料の徴収に対してある程度奨励的なものの経費もこういう中に含まれている、そういうようなお話であったように承ったわけです。そういうことは当然この事務費負担で国のほうからすべきものを、基金のほうである程度補っているのではないか、基金のほうからそういうものが出るというのは筋が少し違うのじゃないかという感じを受けるのですが、その点いかがでございましょうか。
  146. 大和田啓気

    大和田政府委員 国が負担しております事務費は基幹的なものでございまして、職員の給与、手当、それから旅費、庁費等のようなものでございますが、農家から組合が掛け金を徴収する場合に、それを促進する費用はどうも国として予算に組みがたいわけでございます。これは当然組合なり連合会なりの仕事でございます。それに対して共済基金が若干の推進費を組むということは、多少行き過ぎといいますか、基金の本来行なう仕事からはやや離れている感じもいたしますけれども、実際は基金連合会がつくっておりますもので、農業共済事業を円満かつ健全に推進させるための制度でありますから、そこから多少お金を配るといいましても、たしか一連合会十五万円程度で、それほど大きいものではございませんから、事業を健全かつ円滑に行なわせるための費用として基金が出すことは、それほど不適当だといって私どもきめつけるほどのものではないのではないかというふうに考えております。
  147. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほどもお話がありましたように、この事務費負担のことについては、極力今後努力していただくように、私のほうからもお願いしておきたいと思います。  なお、次の点でございますが、これも同じく先ほどお話が出ておりましたが、監事の権限についてでございます。現在一般新聞紙上でも非常に問題になっております特殊法人、これのことにつきましては、人事のことにつきましても、官吏の横すべり人事じゃないかとか、あるいはその内容その他についてるる世間で問題になっております。こういう機会でございますので、この法改正を契機にして、当局としても前向きの姿勢になって、この際監事の権限を強化して、世の中の世論がそういうときでありますから、この機会改正をしてちゃんとしていく、特に金融機関的な性格を基金としても持っております関係上、監事の権限を法の上でももっと強化されたほうがいいのじゃないか、私どももかように考えるわけですけれども、重ねてその点についてのお考えを、できれば次官のほうから御答弁を願えればと思います。
  148. 大和田啓気

    大和田政府委員 政務次官にかわって申し上げます。  先ほども申し上げましたように、私ども改正のときにその点十分検討いたしました。御趣旨のように、監事が正当にまた厳正に業務を行なうべきことは私どもも期待しているところでございますから、公社、公団並みにそういう規定を置くほうがいいのではないかというたてまえで相当検討いたしたわけでございますけれども、どうも、団体の性格から言って、国が出資しているものでございますけれども、設立の際に国が設立委員を任命するという団体ではございませんし、それから、公社、公団等と違って会員組織のものでございますから、そこで、総会でもいわば運営が会員の意思によって十分行なわれるわけでございますから、特別に公社、公団あるいは漁業共済基金等にあるように直接監事の権限を強化しなくても、十分監事の権限が適正に行なわれるような団体であろうということで、私どもあえて法の規定を設けなかったわけでございます。共済基金はとにかく相当な金を預かっておる団体でございますから、その業務が適正に行なわれるように私どもも十分監督をいたしますし、また、監事が内部牽制組織として十分監事としての職務を行なうべきことを期待することは、先生と全く同様でございます。
  149. 中野明

    ○中野(明)委員 現在いろいろと、当然あり得べからざることが起こっているのが実情でございまして、一応いま局長が言われたように、そうあるべきが至当だとだれも考えるわけですけれども、多額の金を動かしているものでありますし、金融機関的な性格も持っておる関係上、それに加えて国の金も相当これに出資されているたてまえから考えましても、この機会に監事の権限強化の項目をつけ加えておいたほうが、何かと将来の点についてもいいのじゃないか、重ねて私はこのように強く考えるわけでありまして、だれしも、そういうことは起こらないという善意のもとに出発していると思いますけれども、それが起こっておるのが今日の実情でありまして、私どもも、この機会にはっきりと明文化しておいたほうが禍根を残さないで済むのじゃないか、このように考えるのですが、もう一度……。
  150. 大和田啓気

    大和田政府委員 法律の問題といたしましては、私が前々申し上げておりますように、基金の会員組織であるという性格から言って、また設立の際の政府の関与のしかたにおいて、監事がいきなり農林大臣に意見を具申するという形は法律の規定としてなかなかとりづらいわけでございます。私も、できるならばそうすることが監事の職務を適正に行なわせるゆえんの一つでもございますから、そういう規定を置くことに決して反対をいたすものではございません。ただ、団体の性格から言ってどうもそれが無理だということで法の規定にいたさないだけでございまして、監事が今後も一そうその職務に精励することを十分指導をいたすつもりでございます。
  151. 中野明

    ○中野(明)委員 ではこの辺でおいておきまして、これに関連しまして共済保険のことについて一点お尋ねしておきたいと思いますが、この共済保険の被害の評価をする評価員というのがいらっしゃると思いますが、この評価員のメンバーは大体どういうふうな仕組みになっておりますか。その点お伺いしておきたいと思います。
  152. 大和田啓気

    大和田政府委員 農業保険の評価が適正に行なわれるかどうかということは、実はこの制度を健全に動かすことができるかどうかということのきめ手であろうというふうに私は思います。とにかく、先ほど申し上げましたように、掛け金に比べて、災害がありますと国からも相当金が出るような仕組みでございますから、しかも、普通の火災保険等々におきましては保険会社が損害の評価を査定するわけでございますが、農業保険につきましては、自己評価といいますか、農家の評価あるいは組合の評価から出発して国が最終的にチェックする、そういうシステムになっておるわけでございますから、評価が適正に行なわれなければ、いいかげんな評価に基づいて国が農業保険金を出すというシステムでは、とても制度がもてないわけでございます。したがいまして、村で評価員をきめます場合は、十分慎重にきめて、相当な篤農家でありましたり、あるいは農業にたんのうな者で、その村でも相当信用のある人を委嘱してやっておるのが通例でございます。村でそういうふうにして村自体が抜き取り調査をやってそれを確認するということもございますが、県の段階でまた抜き取り調査その他の調査をやって、全県的に調整をして国に持ってまいりました場合に、国といたしましては統計調査部のあの相当膨大な機構を動員いたしまして被害の調査をやりまして、その統計調査部の調査と見合って県の連合会からの調査をいわば査定するわけです。査定しないでそのままフリーパスということももちろんございます。そういうことをやっております関係で、従来は多少評価について国と連合会あるいは連合会組合組合と農家との間でトラブルがあったわけで、それが、三十八年の制度改正以前の問題として、農家が農業保険についていや気を起こして、あんなものつぶしてしまえというような声が相当起こったことの一つ理由であろうかと思いますが、最近まず部落なり村なりの評価員の人柄が定まりまして、あまりむちゃな評価を村でしなくなった。県なりあるいは全国的なチェックが相当適正に行なわれることになりまして、四十一年度の水稲につきましても、私ども連合会との間でそんなにトラブルを起こさないで、またしたがって組合と農家との間でも、全然トラブルがなくなったというふうには私ども申しませんけれども、大体いいところにおさまって、まずまず新制度が軌道に乗ったというふうに申し上げてよろしいのではないかと思います。
  153. 中野明

    ○中野(明)委員 あと一点、被害額とそれから保険金が支払われる額との比率なんですが、これは大体どの程度になっておりますか。何段階かに分かれていると思うのですが……。
  154. 大和田啓気

    大和田政府委員 水稲で言いますと、一キロ当たりの共済金額は四十一年で九十円が最高でございます。四十二年はそれが百円になったわけでございます。それで、下はたしか三十円ぐらいまで階段を置きまして、農家が自由に選択をする。選択の場合の基準は、被害があった場合にもらえる金は多いけれども掛け金もしたがって多い、低い場合はその逆ということで、農家が自分で選択をするわけでございますが、たしか最高金額の五割ないし六割ぐらいのところで選択が実際行なわれておる、全国平均で申し上げますとそういう状態であったかと思います。
  155. 中野明

    ○中野(明)委員 その被害額になるだけ近い大きな額で保険金が払われるような、そういう現在の率を将来上げていくというお考えはございましょうか。
  156. 大和田啓気

    大和田政府委員 農業保険のたてまえといたしまして、被害が三割までのところは農業保険の対象にいたさないわけでございます。したがいまして、水稲につきまして収穫皆無の場合でも、理屈で考えて七割が限度でございます。共済金額と実際の価額とを一〇〇%イコールにするということは農業保険のたてまえから言ってはなかなかむずかしいわけでございますから、現在は共済金額の九割をとっておるわけでございます。計算のやり方で多少の端数はあるわけでございますが、七割掛ける九割で、全損の場合は六三%、これは実際は六割くらいでございますが、そこまでは、全損といいますか被害が一〇〇%の場合は農家が保険金をもらえるというシステムでございます。これは相当いいところまでいっている。しかも、水稲でございますと、農家単位ではございませんで一筆単位でございますから、農家単位では一割の被害であっても、一筆単位にいたしますと五割の被害ということがよくあるわけで、そういう場合は、農家単位で三割の被害がある場合でなければ保険の対象にしないという場合には保険金はもらえないわけでございますけれども、一筆単位で三割の被害がありますれば、その分について保険がもらえる。その制度が非常に合理的であるかどうかということについてはまた別の議論でございますが、現状はそういうふうになっておるわけでございます。
  157. 中野明

    ○中野(明)委員 最後に、保険料の徴収でございますが、昨年度保険料の未払い者は全国でどれくらいの数字になっているでしょうか、ちょっとお知らせ願いたい。
  158. 大和田啓気

    大和田政府委員 保険料の支払いの状況制度改正以来相当よくなりまして、翌年の三月末で統計をとったのがございますが、三十六年産では三月末までに八六・二%しか徴収できなかったわけでございますが、四十年産の共済掛け金につきましては、それが九六・三%というふうに、三月末をこえてまだ四月、五月で徴収が相当あるわけでございますから、この九六・三%を一〇〇から引いた三・七よりも、掛け金を支払わない者の数は少ない、大体ほとんど全部が徴収されておるというのが実情でございます。
  159. 中野明

    ○中野(明)委員 未払い者に対する最終的な保険料の徴収、それについてはどういうふうな処置をとられているでしょうか。その点おわかりになれば……。
  160. 大和田啓気

    大和田政府委員 法律のたてまえでは、農業災害補償法では掛け金の未払いに対して町村税等々と同じような滞納処分ができることになっております。しかし、これは村で行なっておる制度でございますから、滞納処分をして掛け金を取るという例は、私は聞いておりません。おそらくないであろうと思います。払わない者に対しては、部落の人ができるだけ払ってくれるように説得をしたり、あるいは共済組合の係員が日参をして払ってもらっているというのが実情であろうと思います。
  161. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほどの佐々委員の質問で大体私の尋ねたいところは網羅されておったようでありますから、簡単でございましたが、以上で私の質問を終わりたいと思います。
  162. 本名武

    本名委員長 次会は、明十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会