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1967-06-30 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月三十日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    内海 英男君       加藤 六月君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    藤波 孝生君       村上信二郎君    山下 元利君       武部  文君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       永末 英一君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         国防会議事務局         長       北村  隆君         防衛庁長官官房         長       海原  治君         防衛庁防衛局長 島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君  委員外出席者         外務省北米局安         全保障課長   浅尾新一郎君         運輸省港湾局技         術参事官    栗栖 義明君         専 門 員   茨木 純一君     ————————————— 六月三十日  委員中尾栄一君、橋口隆君及び吉田之久君辞任  につき、その補欠として赤城宗徳君、山下元利  君及び永末英一君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員永末英一辞任につき、その補欠として吉  田之久君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十九日  松山郵政監察局存置に関する請願外二件(秋田  大助紹介)(第二〇八九号)  同(藤本孝雄紹介)(第二〇九〇号)  同外一件(福家俊一紹介)(第二〇九一号)  金沢郵政監察局存置に関する請願井村重雄君  外一名紹介)(第二〇九二号)  同(坪川信三紹介)(第二〇九三号)  旧軍人恩給に関する請願外八件(青木正久君紹  介)(第二〇九四号)  同(秋田大助紹介)(第二〇九五号)  同外三十四件(荒舩清十郎紹介)(第二〇九  六号)  同外十七件(有田喜一紹介)(第二〇九七  号)  同外七件(伊藤宗一郎紹介)(第二〇九八  号)  同(池田正之輔君紹介)(第二〇九九号)  同外三件(内田常雄紹介)(第二一〇〇号)  同外二件(内海英男紹介)(第二一〇一号)  同外一件(小笠公韶君紹介)(第二一〇二号)  同外十二件(小川平二紹介)(第二一〇三  号)  同外二件(大竹太郎紹介)(第二一〇四号)  同外一件(大坪保雄紹介)(第二一〇五号)  同(大野市郎紹介)(第二一〇六号)  同(金丸信紹介)(第二一〇七号)  同外七件(鴨田宗一紹介)(第二一〇八号)  同外一件(久保田藤麿紹介)(第二一〇九  号)  同外十件(河本敏夫紹介)(第二一一〇号)  同(進藤一馬紹介)(第二一一一号)  同(世耕政隆紹介)(第二一一二号)  同(谷垣專一君紹介)(第二一一三号)  同(竹下登紹介)(第二一一四号)  同外三件(塚田徹紹介)(第二一一五号)  同外十二件(羽田武嗣郎紹介)(第二一一六  号)  同外七件(橋本登美三郎紹介)(第二一一七  号)  同(早川崇紹介)(第二一一八号)  同(藤山愛一郎紹介)(第二一一九号)  同外十件(船田中君紹介)(第二一二〇号)  同外五件(細田吉藏紹介)(第二一二一号)  同外一件(松澤雄藏紹介)(第二一二二号)  同外二件(森田重次郎紹介)(第二一二三  号)  同外一件(渡辺肇紹介)(第二一二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  前会に引き続き質疑を許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 昨日、私どもが三次防をながめておりますと、どうも国防基本方針にありますように、米国との安全保障体制基調としてこれに対処するという一つ基本の上にたちまして、国力、国情に応じた自衛のために必要な限度においてという説明書きがついておりますけれども、効率的な防衛力を、きのう長官答弁にありましたように、漸進的に整備を続けていくのだ、こういうたてまえになっているわけであります。  そうなると安保体制基調になっておりますその上に立っての漸進的な体制整備、こういうことになりますから、その限りにおいては、防衛という名のもとに、防衛という名の武力というものがやはり中心になっていくということになるわけでありまして、しかもアメリカの大きな戦力というものが背景になっている。私どもの見方からすれば、その中に含まれている自衛隊ということになる、こういうふうに解釈をいたしますから、そこで私は、きのうはいみじくも昔の海軍大臣の話が出てまいりましたり、長官からは航空管制体制の中で涙がこぼれたという話が出てさましたり、どうも私も旧軍隊経験がありますから、まさに昔に返ったような話を承ったのでありますけれども、新憲法が消えてしまったような感じがいたします。実はそれではいけないという考え方なんであります。武力防衛という名の武力の前に、政治というものがあくまでも優先をしなければならない筋合いでありまして、その上で国際的な平和というものが確立をされていく、こうでなければならぬと私は思っているわけであります。  しかも、私ども皆さんの間に大きな意見相違がありますが、いずれにせよ、国民的な基盤の上に立たなければ、日本という国の安全というものは確保できない、こう考えているわけであります。だから、私どもは、非武装中立というものの考え方で国論を統一すべきであるという意見に立ってその努力をしている、こういう立場です。ところが、皆さんのほうは、例の自衛隊の発足当時のいきさつにもあるとおりに、逆にアメリカの側から言われてつくったわけでありますから、その姿というものは一貫して今日に及んでいる。だからそのことは、武力中心を置かれた抑止力というものは、一つ間違うと、逆にそのことによって日本の安全が大きく脅かされる結果さえ招来しかねない。ここに私は中心を置かなければならぬと思うわけであります。そうすると、どうも昔の海軍大臣の話が出てみたり、航空管制体制等につきましても、涙のこぼれる話、しかし、きょうもそれでわれわれは安心して生活ができているなどという話になるとすると、非常にその点は危険になる、私はこういう心配を逆にするわけです。  今日の自衛隊は、そういう意味では国民の全体の支持の上に立っている自衛隊とは言えない。だから私は、その意味ではもっと謙虚に、率直に焦点を避けるのではなくて、表に比してしただいて、国民の前で論議をする、そういう姿勢が必要だ、こういう気持ちで、実は想定国ということばはよく使ってきたことばでありましたが、長官対象国なんかにつきましても、予算委員会のあなたの答弁では、対象国なんと言った覚えはないと答えているのですが、きのうははっきり二カ月前までは対象国と言ってきたのだ、二カ月前から変えたのだという話でもあります。したがって、できるだけ事実に基づいて、明らかにするものは隠さずに国民の前に明らかにする必要がある、そうして論議を起こす必要がある、こう私は考えております。そのことを実はきのう質問の中で明らかにしたいと思ったところでありますが、意見相違前提といたしておりますけれども政治があくまでも優先をする、その上で国民的な規模でものを考える、ここに中心を置く、そのためには明らかにするものは明らかにする、これが私は必要だろう、こう思っておりますが、いかがですか。
  4. 増田甲子七

    増田国務大臣 私ども大出さんとの間において、あるいは社会党国会議員、それからその他の国会議員との間におきまして、今日の——今日というのは昭和四十二年六月三十日の今日の事態における防衛関係のことを論議し、国民の前に明瞭にしようというお説は全然賛成でございます。  そこで、私は帝国海軍なんということは言いません。これは言っておりませんし、よく御記憶願いたいと思いますが、他に言った方もございますが、これはたとえとして言ったのではないかと私は思っております。  それから今日の、私が昨日府中に参りましたときに、日本全体が四つの島並びにその付近が哨戒されておる。航空関係においても海の関係においても哨戒が行なわれておって、不法なる侵略者がないようにするということは、一たん事があったときだけではだめなのでありまして、やはり今日ただいまの時点、六月三十日の時点においてもされておりますということを申したのであります。それは何ゆえかと申しますと、自衛隊法の八十四条に、長官は、国際法規その他航空法に違反して日本の領空、領海——もちろん領土の上も入っておるわけでありますが、侵入せんとするものに対しましては、その停止を命じ、またこれを向こうへ出ていってもらうということが今日私に課された、この六月三十日にも課された私の使命でございまして、その使命を私の部下である隊員が遺憾なく守っておる、その状態を私は防衛庁長官になるまでは存じませんで、ほんとうに涙がこぼれた。つまりよく勤務してくれているなあ、こういう感じがいたしたわけでございまして、決して時代おくれのことや昔なつかしの話をしているわけではない、今日以降の話をいたしておるわけでございます。しかしその前提として、ところが対話の関係で、国防状態防衛関係を私が国民の前に明らかにしたいということは、全然同感でございます。ただ、あなたは、われらは非武装中立をもって最もよろしいとするという点につきましては、私は全然意見反対でございまして、今日永世中立を唱えておるスイスにおきましても、男子も婦人も全部軍人でございます。そしてまた、その中立を堅持するために、平素において軍事演習等を一生懸命やっておりますし、また国防費割合等も、国家予算に占める割合は非常に多いのでございます。また、スエーデンにおきましても同様でございまして、でございますから、非武装中立ということを唱えるのはどうも非現実的ではないか、大出さんのような常識の豊富の方に御再考願って、また社会党全体に御再考願いたい、こう考えておるわけでございます。全世界にないことがあり得るかどうか、私自身が「武器よさらば」というのが私の人生観でございますが、現実の問題としてはそうはいかないから、結局ある程度の防備をいたし、訓練をいたしておる、こういう状態がやはり国家国民を守る上からいって一番責任のある良心的な態度だと思うわけでございまして、重ねて、あなたも相当経験もありまするし、私はそういう経験はないのでございまするが、そういう御経験から照らしてみて、われらは非武装中立を最もよろしとするというのは、どうも国家国民を守るという責任の上からしていかがかと思います。私は、その点だけは意見が全然反対でございますということを申し上げておきます。
  5. 大出俊

    大出委員 昨日の三輪さんの御発言の中にもありましたが、相手のほうも日本の周辺を常に活発な調査をしておったり、また対象としての激しい演習が行なわれていたり、したがって、こちら側もそういうことが行なわれることは当然である。ただ、しかし、国際的な、つまりエチケットなどということばをお使いになりましたが、あげ足をとるわけではありませんけれども、こういう公開の席上では言えないんだ。特に特殊な立場方々は、たとえば総理あるいは長官等々は、演習ではそういった想定をする相手があっても、公の立場では言うべきではないんだ、こういう意味のことをきのう言われておりましたが、そのことは、私は一つ間違うと相互不信というものが前提になりますから、日本に対する安全が非常に大きく脅やかされることになるかもしれない。私はこういう立場であります。したがって、スイスにおける状態も、五百万足らずの国民が、三日間で七十万からの動員力を持っておるなどということも百も承知です。承知ですけれども国情おのおの違うわけでありまして、日本の場合には、原爆の被害も受けておりまするし、スイスのような相当長い間にわたって戦争をしてない国ではないわけでありまして、そういう意味でいまでも原爆被災者に対する援護法などというものが大きく問題になっており、戦後処理さえできていない、こういう状態でありますから、そういう国民的基盤の上に立つという立場から考えなければならぬ、私はこう思っているので、見解を異にいたします。  私は、いまの事態の中で非常な事態といえば、そうでない時期からいろいろな準備をしなければならないというお話がございましたが、それについて御質問申し上げたいのでありますが、防衛庁設置法によりますと、第九条に「防衛庁に、参事官十人以内を置く。」という規定がございます。防楯局長さんから始まりまして、教育局長人事局長あるいは衛生局長さん等、各局長さんがおいでになったり、あるいは麻生参事官等もおられますから、こういう方々が入って参事官会議というのは開かれておるのだろうと思うのでありますけれども、ここで三次防の一般方針に言うところの「弾薬確保等後方体制充実を図る。」という文言がございます。この「後方体制充実を図る。」ということにつきましても、これは非常な事態、そのときになって充実をはかろうといっても、これこそ、いま長官のおことばにありましたように、はかれるものではない。  ところで、参事官会議がきめていることがある。つまり非常事態に処する立法措置自衛隊法の百三条と関連をいたしまして、政令等について検討することにきまっているはずでありますが、事実でございますな。
  6. 増田甲子七

    増田国務大臣 参事官会議のことはよく存じませんが、後方体制なりあるいは武器弾薬その他のことにつきまして整備充実をはかるということは、やらなくてはならないことだと思っております。  それから、事があった場合には、各官庁その他あげて御協力願わなければなりませんが、防衛出動の際に、そういう場合には物を収用したりいろいろなことをするというようなことは政令で定めるということになっておりますが、その政令研究もいたしておりまするが、各省間の御了解を得なければならぬわけでありまして、まだ結論を得る段階にはなっておりません。お説のごとく、そういう政令を定めるということには相なっております。また、準備等もいたしておりまするが、政令の出るという段階にまだなっていないのを遺憾としております。  なお、政府委員から補足させます。
  7. 大出俊

    大出委員 長官から参事官会議のことはよく存じていないというお話がございましたので、これは決していまの長官答弁をその意味であげ足をとるわけでございませんが、やはり存じている方から承りたいわけであります。  参事官会議で四十年の八月十一日に非常事態立法研究を始めることをきめておられるわけであります。そのことの事実について、中身あとから申し上げます。
  8. 海原治

    海原政府委員 この点につきましては、当時やはり国会委員会で御質問ございまして御説明をしたところでございますが、この八月十一日という日の朝NHKのラジオで、参事官会議が開かれて、そこで非常時立法の検討が行なわれるという意味の報道がございました。この日は毎週一回水曜日の午前に私どもの間では参事官会議を定例的にやっております。その定例的にやっております参事官会議で、その前に問題になりました三矢研究の際のいろいろな御要望、御質問にこたえて、いわゆる非常時体制についての法令整備ということができていないということがはっきりいたしましたので、このことにつきましては、防衛庁、私ども関係者はいままで怠慢であってまことに申しわけなかった、これからいろいろそういう基礎的な法令研究をしてまいりますということを実はお約束しておるわけであります。そういうお約束に基づきまして、今後どのような方法、手続で非常時立法につきましての研究をしたらいいかということが、その日の参事官会議議題になっておったことは事実でございます。したがいまして、それにつきまして、今後長官官房法制調査官のもとで関係局といろいろ連絡をしながら研究をしていこうということをきめたのが当日の会議でございます。このことは、先ほど申し上げましたように、その当時御質問がございまして御説明しておるわけでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 時間がございませんから簡単に申し上げますが、いまの件は、NHK等でもやりましたし、四十年八月十一日の朝日新聞にも毎日新聞にも取り扱われた記事でございます。そこで、あれからだいぶ時間がたっておりますが、三次坊を特にきめておるその三次防の中で、二次防の文言とは違う点があるのであります。二次防のときには弾薬などというものは一カ月ぐらい確保などというような意味のことがございます。あれからだいぶたっておりますが、この中で取り扱われておりますのは、一つ防衛出動時における陣地構築等作業のための人員動員についての政令自衛隊法百三条に基づいて定める。これが一つあるわけです。自衛隊法の百三条と申しますのは、私も国会図書館の専門員の方その他をわずらわしまして調べてみたのでありますが、自衛隊法ができるときは——百三条というのは雑則ですからね。こういう取り扱いは私はいかがなものかと思っておるのですが、これだけ重要なことを、この百三条については、この法律の成立をするときの論議の中で、どういうわけか全く論議が行なわれていないのです。私、当時おりませんからわかりませんが、記録がない。行なわれないで通ってしまった条項なんですね。これは与野党とも国民に対して責任を負わなければいかぬだろうと思うのです。だから、国民のほとんどの方は知りません。国会でこの問題が突っ込んだ論議をされたこともない。  そこで、私は申し上げるのでありますが、この百三条によりますと、「第七十六条第一項の規定により」こうまずうたってあります。七十六条の規定と申しますのは、御存じのとおり、さっき防衛庁長官がおっしゃいましたが、自衛隊行動防衛出動の項なんですね。したがって、国防という意味ではこれは中心です。この七十六条の規定を受けまして各種の防衛出動が出ております。この規定を受けまして、「七十六条第一項の規定により自衛隊出動を命ぜられ、当該自衛隊行動に係る地域において自衛隊任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、」政令が出ておりません。「病院、診療所その他政令で定める施設(以下本条中「施設」という。)を管理し、」管理ができるわけです。「土地、家屋芳しくは物資(以下本条中「土地等」という。)を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。」昔の旧軍隊時代に言っておりました徴発でありますが、これができる。「ただし、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、長官又は政令で定める者は、都道府県知事通知した上で、」通知だけでいいわけであります。「通知した上で、自らこれらの権限を行うことができる。」明確な規定であります。  さらに、第二項におきましては、なお明確でありまして、時間がありませんから中身だけ簡単に読みますが、「内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、」昨日も論議に出ました、局地戦以下の侵略事態に対してこの地域というふうに定めた場合、こういう意味であります。「前項の規定の例により、施設管理土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資保管命令を発し、また、当該地域内にある医療土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療土木建築工事又は輸送業務と同種の業務長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。」つまり土木建築並びに輸送、医者というような方々は、昔の例で言えば徴用ができる、ここまで考えていい条文だといわなければなりませんし、しかもこれは、後段におきまして、「第一項又は第二項の規定による処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。」できないのであります。通知をして命令をされれば従わなければならない、こういう規定であります。これは手続的な政令その他がございませんから不備であります。したがって、もし非常な事態が起こった場合、三次防でいうところの局地戦以下の侵略事態、だから私はきのう執拗に聞いたのでありますが、起こった場合に、国防会議承認を得ないで事前に緊急に動く場合がある。あと国会承認はできるだけすみやかに受けることになっておりますけれども、そういう場合だってある。そういう緊急な場合に、この百三条というものは直ちに発動される性格のものなんですね。しかも長官がおっしゃるように、きょうという日もわれわれは守られているというほどに緊急な事態であるとするならば、手続的なものがなくてはこれは発動できない。防衛に関しては皆さんと私は見解を異にいたします。いたしますけれども実体法上、法治国家である限りは法律があるのですから、してみれば、不備なるままにこれが発動されたんでは国民はたいへんなことになる。そう考えなければなりません。  そこで、私は、いま申し上げましたように、まず一つあげたんですけれども、明らかに項目がきまっているんですよ、四十年八月十一日。一つは、いま申し上げたように、防衛出動時における陣地構築等作業のための人員動員について政令自衛隊法百三条に基づいて定める。いいですか。それからもう一つは、日赤との関係等があります。赤十字。それからもう一つは、自衛隊員の戦死の場合の補償額、これを高くする。つまり戦死した場合の補償金を特別に高くするための防衛庁職員給与法改正研究、あるいは防衛出動時の職員の給与の留守宅送り、その制度の研究というようなことが当時出ていたわけです。してみると、これは全体を含めて今日まで相当な日時がたっておる。参事官会議では取り扱った、議題にしたというところまではあなたはお認めになった。私のほうで入手しているあれからいけば、議題として研究をするときまっている、こういうわけであります。ならば、どこから考えても研究していないはずはない。しかも長官は、いま冒頭の答弁の中で、非常に怠慢であったということをおっしゃっておるわけです。そうだとすると、怠慢であった、だから研究している、こうおっしゃっておられる。してみると、その研究の成果のほどは一体どういうことになっておりますか。非常に重要な問題ですから、はっきり答えてください。
  10. 海原治

    海原政府委員 ただいま大出委員から具体的な例示をあげての御質問がございましたが、この法律の百三条に基づく政令によって陣地構造の際の人員確保するということは私ども全然考えておりません。さらにあと二点ばかりの具体的な例の御提示がございましたが、これは何らかの誤りじゃないかと思います。今日まで私どもが部内でもって検討しておりますところを申し上げますと、法制上今後整備すべき事項ということで考えられることは、少なくとも数十件ございます。単にいま御例示のような三点だけではございません。いまの御例示の点につきましても、たとえば百三条に基づきましていろいろ命令を出すことになっておりますが、これについての強制手段はございません。したがいまして、有事の場合、たとえば自衛隊の部隊のトラックがないために、一般の民間のトラック業者に対しまして、特定のものを輸送してくれというような依頼、これを命令の形でやりましても、相手がいやだと言った場合、どうしてこれを強制するかということは、強制の手段がございません。そのようなことが、実はこの百三条につきましても問題がございます。こういうようなことで、当時、今後において研究をするということにつきましては、部内におきまして、今日でもいろいろと検討しておりますが、まだ部外の関係部局と御相談をする段階に至っていない、これが現状でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 古いのを持ち出して恐縮なんですが、三矢図上研究なるもの、この中にある中身からいきますと、「国会に提出する戦時諸法令を次のとおり区分する」といって、いまあなたが数十項目あるとおっしゃったが、数十項目あるのです。思い当たる節ばかりある。罰則をきめなければならぬということまでこの中に書いてある。いまあなたが、いやだといった場合に措置のしようがないと言った。だから、罰則をきめようという中身なんですね。これを見ますと、「(1)緊急度に応じ、なるべく速かに法令化をはかるもの(第一グループ法令)、(2)最悪の非常事態に対処するため、必要な法令を情勢の推移に応じて法令化をはかるもの(第二グループ法令)」、つまり緊急度によってグループが分かれている。「各グループの法令の概要、第三グループ法令、現行の防衛関係法令の実施を容易にするために改正を要するもの、手続の簡素化、罰則の制定、」——罰則と明確になっている。そうでなければ、いやと言われたときに措置がない。だから、この法律に基づいてつくるべきである、こういうわけです。「権限等の一部拡張強化等、関係法令の特令又は適用除外」——適用除外は、たとえば公衆電気通信法等のように、除外例は自衛隊法にもある。それだけでは足りないというわけですね。まさにこれは三矢図上研究中身からいうと、足りないことになる、ならざるを得ない。これは三矢にこだわっているわけではないのですよ。現実を申し上げている。そして「自衛隊行動を容易にするため制定を要するもの、一部の物資の統制その他の臨戦態勢等で前項の法令とともに自衛隊行動を容易にするもの」、これもたくさんあります。さらに「防衛目的を達するため直ちに制定を要するもの」ということで「現段階法令化の必要あるもの」というふうに分けている。これはおっしゃるように、これを見ると、八十から八十七あるわけですね。だから、いまあなたのほうでお答えになったことばの中に、いみじくも現行百三条でやったのでは、徴用、徴発の場合に、いやだと断わられた場合に、何かそこに一つなければ強制できないという、いま御答弁なんです。そうすると、長官がさっきお答えになったように、確かに必要なことなんだ、怠慢だったんだ、研究を進めているんだ、こういうわけでありますから、私が冒頭に申し上げましたように、だから申し上げているのですが、こういうことは国民全体にかかわりのあることですから、自衛隊を全体のものにするというお立場に立っておられるのだとするならば、なおのこと避けないでやっぱり言うていただかぬと、あんまりどうもここのところにこれがあるじゃないかということを、ここで皆さんとやり合うのはいやなんです。だから、できるだけ率直に言うべきことは言っていただかぬと……。私は三輪さんを呼んだのもそれなんだ。あそこまで書かれたのだから、長官ははずされないで、三輪さんが言ったことを私は認めるかと思ったら、あなたは三輪さんの言うことを押えたけれども、やっぱり率直になぜ言うていただけぬかと思うのですよ。だから、ひとつ長官、ここのところはもうちょっと具体的におっしゃっていただきたい。
  12. 増田甲子七

    増田国務大臣 この自衛隊法に書いてございまして、政令で定めるという点がまだ政令化できていない点が、大出さんの御質問の中に御指摘のとおり相当ございます。まだ御指摘もございませんけれども、たとえば有事の際は、海上保安庁は防衛庁長官の指揮のもとに働くというようなことがありまするが、これも政令で定めるということになっておりますが、そういうことは早く政令で定めてもらわないと困るわけなんです。しかしながら、これは各官庁に関係いたしまするから、私も、その点は防衛庁長官になりましてから注意したのです。ことに一番先にやっぱり海上保安庁のごときものは一緒に働いてもらわなければ困るじゃないか、その制度をつくっておけよというようなことは、これは命令をしてございます。  それから百三条は、御説のごとく七十六条による防衛出動の場合の物件を使用し、管理するという関係でございまするが、いまそれに関する手続法がございません。しかしながら、罰則というものがなくたって、法令というものはなくたって、やはりこうしてくれればなと言えばやってくれることになるのではないかと私は思っておりますが、政令できちんときめたほうがよろしいということは、大出さんのおっしゃるとおりでございまして、いま三矢というものは、これはもう私はあげつらいたくないのでございまして、せっかく皆さまから御審議願いまして、一事不再議ということになっているのじゃないか。しかし、その内容のいろいろな政令が要る、いろいろな法律が要るということは、何も三矢と関係なしに私は考えております。それは必要だと思っております。  それから、現に自衛隊法にございます、これこれは政令をもって定む、これこれは政令をもって定むということぐらいは準備しておかなければいけないじゃないかということを部下に命令しておるわけでございまして、いませっかく準備段階でございます。もっとも、よその省とも完全な了解を得ないとなかなかいけない点もございまして、別によその省がいいとか悪いとか言っているわけではございませんが、そういうことで時間もかかっておるということを申し上げさせていただく次第でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 海原さんは、先ほど八十幾つあると数字をおっしゃったけれども、どういうものがあるか、どういう項目があるか。あると言っておいて言えないことはないじゃないか。
  14. 海原治

    海原政府委員 これは冒頭申し上げましたように、まだ部内研究段階でございまして、したがいまして、政府委員として申し上げるような筋のものではございませんけれども、ただ、数を申し上げただけでは御了解いただけないということでございますと……。(大出委員「おもなものをあげてみてください」と呼ぶ)おもというと、これはまた問題になってまいりますが、ただいま大臣から御指摘がございましたように、部隊の運用面に関連いたしましては、海上保安庁の統制に関する規定がございます。それからたとえば気象関係につきましても、これは分かれておりますので、同じく海上保安庁と同様な関係において、気象庁との関係をどうするかという問題もございます。さらには、私どもの部隊が動きます場合の権限としまして、現在武器等を使用いたします場合、特定の物件に対しての防護についてのみ認められておりますが、この武器の使用の範囲が一体これでいいのかどうかというような点もございます。さらには、その出動する自衛官につきましても、先般も申しましたけれども、たとえば陣地を構築する、あるいは戦車が橋梁を通行上どうしても破壊するといった場合に、現行法によりますと、いろいろむずかしい手続がきめられております。そういうものの手続は、当然これは有事の場合でございますから、何らかの便宜的な方法がなくてはならない、こういうようなことがたくさんございます。したがいまして、いま申し上げましたような数字を一応私の手元で検討しておりますところでは、三、四十でございます。
  15. 大出俊

    大出委員 この経済の統制だとかあるいは経済の動員だとか、この中には軍用資材だとか、医療機関だとか、輸送機関だとか、土地建造物だとか、それから経済の統制めいたこと——統制めいたことというのは、石油だとか、鉄だとか、希少非鉄金属だとかというようなものを軍事優先でどう扱うかというようなこと、これは非常に大きなことだと思うのです。そうでなければ動きませんからね。それからもう一つは、産業に対する統制を含めての経済統制、武器弾薬を含めてという問題、これはあわせて承りたいのですが、弾薬確保というのがありますね。これは前からの防衛計画の筋道からいけば、おおむね一カ月ぐらいになっていますね。ところが、今度それが文章上はないのですね。しかし、一カ月ぐらいは確保するのだということなんだろうと思う、予算委員会答弁からいけば。ところが、あのときに総理のほうから口にしていることは何かというと、もしそういう事態になるとすれば、生産力というものが問題になる。今日は、日本の工業も相当進歩していて、弾薬の生産だって、武器の生産だって、相当高くなっている。だから、やろうとすれば幾らでもできるから、備蓄量は一カ月しかない、一年間非常事態が続いた——きのう長官がおっしゃったように、騒擾、あるいは内乱だとか、通常兵器による直接的な侵略だとかということが長期にわたっても、だいじょうぶだという主張をされておる。だいじょうぶだということであるとするならば、だいじょうぶだという裏づけとして、この種のものが実際にはなければならぬでしょう。皆さんの側に立って考えても、筋が通らない。そこらのところは入ってないのですか。
  16. 海原治

    海原政府委員 いわゆる産業統制というような広範な、全般的な国の施策に関するものにつきましては、入っておりません。これは、私ども考え方としては、国防会議事務局のほうで御検討いただくべき筋合いのものでございますので、自衛隊のほうからこういうものについての将来整備の必要があろうという意見を提出するということが、私ども基本的なことでございます。
  17. 大出俊

    大出委員 それでは、そこでちょっと横道にそれて恐縮なんだけれども、いま国防会議のほうでおきめをいただきたい、産業というものの調整は、とおっしゃるのですが、そうだとすれば、私はきわめて不可解なのは、防衛庁設置法の六十二条なんかに、国防会議という項があるのがおかしいのだ。法律的にも全然筋が通らない。これは全くへっびり腰で、ほんとうに逃げ腰で、ちょっと入れておきましたという法律、だけれども、いまそれは論じない。この三号に、「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」というのが明確にうたわれている。しかも三番目なんですね。「国防基本方針」がまず第一。二番目が「防衛計画の大綱」、ここまではいまきめている。ところが、三番目に重要な「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」というのは、何ら触れられていない。いわゆる三次防には、国産の問題を含めた大きな問題点が項目の中に指摘されている。しかもいまのお話で、調整計画は国防会議が立てるべきことなんだとおっしゃっている。とするならば、一体ここのところ、三つ目の大きな柱について、何も触れてない理由は、何ですか。長官どうですか。
  18. 増田甲子七

    増田国務大臣 御指摘のごとく、第一に国防会議というものは、国防会議あるいは国家安全保障会議というふうに、自民党の安全保障問題調査会等におきましては、言うほうがいいということを言っておりますが、そのことをあわせて申し上げます。要するに、国防会議というものが防衛庁設置法のすみのほうに入っておるというようなことは、これはおもしろくないことはお説のとおりでございます。私は、国防会議設置法というものをつくりまして、皆さまの御賛成を経て制定公布されるべきものである、その点は同感でございます。それから第一号、第二号は、国防基本方針、それから防衛計画、この二つのことはきめておりますが、第三の産業計画等は、まだ国防会議議題になっておりませんが、いままで決定されました第一次防、第二次防、第三次防の範囲内におきまする、つまり自衛隊法第七十六条による防衛出動の際の産業全体がどうなるとかいうようなことまで想定するのが、おそらく第三だと思います。それから第四が、いよいよもって事があったときの出動でございます。出動の可否等はここできめますけれども、これは要するに諮問会議でございます。その諮問会議を経て閣議がきまり、閣議がきまった場合に一番必要なのは、皆さまの組織していらっしゃる国権の最高機関の国会でございまして、国会に事前の御承諾を得る。やむを得ない場合には——これはただし書きでございまして、やむを得ない場合には事後の承諾を得る。事前の承諾を得るということは、やはり国会というシビリアンをもって構成しておるこのシビリアン全体の、防衛庁という一つの実力部隊を指揮、監督しておるのだと私は思っております。一番大切なときには、事前もしくはやむを得ない場合には事後において御承諾を得る。治安出動の場合には、事後において御承諾を得る。御承諾がなかったならば、そのとき以後においてそういうことはできない、こういうことになっておるのでございまして、その前の前の準備段階——第四号を申して恐縮でございますが、防衛出動の可否ということは、まだこれは議題になっていないのですが、この議題になるときは、国会が一番議題になるべきところなんでございまして、第三はおそらく相当事があった場合のことを想定しましての産業計画だと、私は考えております。でございますから、いまのところ一次、二次、三次防の範囲内におきましては、まだ相談をいたしておりませんが、しかし、事実上の国防会議の議員等におきましては、通産大臣も科学技術庁の長官も事実上のメンバーになっております。正式のメンバーは、経済企画庁長官と外務大臣と私と大蔵大臣と総理大臣だけでございますが、これはしょっちゅう閣議で会いますし、この第三というのがあるから、おいおいこれは考えなくちゃいかぬじゃないでしょうかというようなことを私はちょいちょいお話はいたしております。
  19. 大出俊

    大出委員 私はここで整理をさしていただきたいのですが、この百三条に基づいて、これは論議されていない条項ですから、ここでいま明らかになってまいりましたのは、政令等は、怠慢だった、研究をしている、何とか早くきめなければならぬという点が一つありました。それから、もう一つは、三十ぐらいきめなければならぬ項目があって、そうでなければ、一項、二項に分けて言えば、たとえば物の徴発にしても、人の徴用にしても、本人が拒否をする、あるいは持っている所有者がいやだと言った場合に、対抗措置がない。したがって、それらの問題を含めて、先ほど幾つか例をあげた問題も入れて、その種のものを何とかきめなければならぬ。いまこういう段階だということ、またそう考えている、そこのところは、まずこう理解していいのですな。
  20. 海原治

    海原政府委員 私が御説明いたしましたのは、あくまで防衛庁内部の、事務当局としての立場でのことでございます。したがいまして、法律政令その他の事項等が、その制定の必要があるかどうかということは、もう少し高いところの御判断にかかるかと思います。私どもは、いわば武士のたしなみということで、上から御命令があった場合に、こういうことをお願いしますということについて、十分勉強しておく必要があろう、こういう心がけでやっておるものでございます。お答えといたします。
  21. 大出俊

    大出委員 それでは、ひとついまの点、長官に承りたいのですが、不備であることはお認めになっている。政令も怠慢であったとおっしゃっている。研究をさせているとおっしゃっている。しかも、他に例まであげて、手続法規がないことまでおっしゃっている。そうすると、それらのことは早急に何とかしなければならない、こうお考えだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  22. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず、大出さんの御質問のうちで、百三条というのはほとんど附則みたいなものでわれわれほとんど知らずに通ったということは、これはやはり国会を通った法律でございまするから、十分審議されたというたてまえでございますから、そういうことは国会議員としてはおっしゃらないほうがいいんじゃないかと私は思います。要するに、百三条はあなたの全面的の御審議を経て、そうしてあなたのほうでは青票を出されたかもしれませんが、国会としては意思決定をされた法律として制定、公布されております。  それから諸般の政令が、自衛隊法を見ただけでも要ります。この諸般の政令を早くやったらいいじゃないかということですが、私は、まずこの法律を全部、二、三回通読いたしましたが、そのときに、これは政令をもって定むとある、その政令を見せてくれというようなことを最初言ったのでありますが、その政令作業をしていることはしていますけれども——これは率直な話ですよ。あとでいろんなほうに迷惑のかからないようにしてほしいのですが、いろいろ関係各省もありましてややこしいですから、なかなかその政令がうまくできない点もございます。こういうことを私の部下が言っておるわけなんで、怠慢ということを私が申してあなたに恐縮の意を表したというのではないのでございまして、ただ、政令がまだできていないことを、私は遺憾としております。  それからなお、いま官房長のお話大出さんのお話を承っておりますというと——この自衛隊法に基づく政令がまだ不備であるということは、もう一応これは申し上げました。あと、産業調整計画の大綱、これを国防会議等におきまして立てました場合に、事が法律事項であるならば、立法措置を講じまして国会に提出し、皆さまの御賛成を得て制定、公布すべきである、その準備等はぼつぼついたしておるということが官房長のお答えだと思いますが、私はそれでけっこうだと思っております。しかし、私は長官という立場におきまして、督励をいたしておるということだけは申し上げておきます。
  23. 大出俊

    大出委員 ここで時間をとる気はないのですが、督励をいたしておるとなりますと、総理答弁と食い違いがございますので、そこだけ明らかにただしておきたいのであります。  総理は、その必要はないとおっしゃっておる。これは予算委員会における民社党の永末君の質問に対してお答えになっておられる。いまそういうふうな国際的な事情にはない。だからその必要はないと考える、こうおっしゃっている。あなたのほうは督励をするとおっしゃっておる。この関係はいかがでありますか。
  24. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは私は総理の御発言のときにいたかどうか、たぶんいたと思いまするが、おそらく永末君が総動員法のごときものを定める必要があるかどうかといったようなことを御質問になったと思います。総動員法のごときものは必要ではない、こう言ったわけだと思います。ただ、第三項はまだ国防会議の議決事項になっておりませんが、しかし、議決事項になった場合に法律が要る場合はどうかと言われれば、総理大臣もおそらく、その法律の必要なものは法律を考えなければならない、こういうふうにおっしゃるのではないかと私は考えます。総動員法のごときものを考えていることは全然ございませんということは、総理もおっしゃいましたし、私も同感でございます。
  25. 大出俊

    大出委員 総理がおっしゃっておられるのは、総動員法じゃないのですね。私がいまの論点で申し上げた各種の不備があるではないか、どうするのだ。三矢の例や、いま私があげたようなことをあげて、こういう非常事態に処する各種の立法措置、これが今日どういうことになっているのだという質問が出ているのですが、それに対して今日の現象から見てそういう必要はない、こういうふうに答えておられるわけです。いま督励しているとおっしゃっておられるのと、関係が明らかになっていない。その席にあなたはおられたですよ。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は部下に勉強しろといったような意味でございます。
  27. 大出俊

    大出委員 どうもそこらが、私に言わせると、避けて通ろう、通ろうとする。長官の頭の中では、督励をして政令その他も逐次きめていく、こういう意味で督励をされておる、こう先ほど言い切られていたわけです。ところが、私が永末英一氏の質問の中で答えている総理の言を持ち出したところが、そういう言いのがれをされるのだけれども、それはやはりあなたが督励をするというお気持ちなら、長官なんですから、総理にはっきりものを言って、こういうものはつくっておかなければならぬものですよと言わなければならぬと思うのです。でないから、二十二人も十七年間でかわっているじゃないかと言ったら、私がやっておる限り、何ぼかわってもいいという、総理答弁をされる。おそらくあのとき増田さんは腹の中でおこられたのではないかと思う。総理はけしからぬことを言う。おれが長官やっておる間はそういうものではないと、ここらのところはっきりしてもらわなければならない筋合いだと思いますが、どうですか。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 仮定の上の仮定からだんだんこうなっておるようでございまして、現在勉強しろ、準備をしろということを言っておるのは、自衛隊法政令をもってこれを定むというのがたくさんあるわけでございまして、そのうち私が一番必要なふうに感じたのは、百三条に、いまの七十六条に基づいて出動した場合、府県知事が長官もしくは政令の指定する者の要請によって、各種の物を収用したり、使用したりすることができる。そこで、その手続は第五項において政令をもってこれを定むと書いてある。その手続規定がなければ、百三条はさっぱり動かないじゃないかということを私は部下に言いました。それから、海上保安庁長官は有事の際は防衛庁長官の指揮のもとに働く。しかし、そのやり方は政令をもってこれを定む、こう書いてある。そこで、運輸省のほうともかけ合ったりいろいろしろ、そうして政令をつくったほうがいいというようなことを私は申しております。そこで、この国防に関する産業調整計画の大綱というものがかかった場合に、もしそれが法律を要するならば、その法律のことも勉強はしておりますということを官房長が答えているわけでございます。しかしながら、その職務は国防会議それ自身でございます。その下準備くらいの準備はいたしておりますということを答えておるのでありまして、その産業等の調整計画の大綱が、経済企画庁その他聞いてみましても、一応まだかける段階ではございません。しかし、かかった場合に、事が法律事項であるならば、私は別段総理と食い違いがないと思いまするが、法律事項を政令で定めるなんということはとんでもないことでありまして、やはり民衆の生命、身体、財産、あるいは産業等を尊重する上からいっても、この産業計画の大綱がきまった後において、法律事項が出てくる場合であるならば、法律で定めていくのが当然であって、政令なんかで逃げることはとんでもないことである。私の頭に浮かんでくるのは、総動員法なんというものは、大体のことはすべて政令にゆだねてございました。昔のことばで言うと、勅令でございます。勅令以下にゆだねてございましたが、そのようなことはよくない。いかにしても命令ということはよくないので、事柄が法律事項である場合は、やはり総理もそこまで御認識になった上でのお答えでは——正直のところ、あなたと私の対話ですが、永末さんの御質問も、その程度、その御認識の上でいやしくも法律のことは全然考えておりませんと言ったわけではないのではないか、総理を弁護するわけではございませんが、そう考えております。
  29. 大出俊

    大出委員 いやどうも一ぺんおっしゃったことを何となく方角を変えるときには話が長くなるものでございまして、いまずいぶん長い御答弁をいただきまして恐縮なんですが、総理にまた御質問申し上げる機会が近くございますから、いまの点は私のほうから申し上げないで、そのときにいたしますから、どうかひとつ議事録でも調べておいていただきたい、こう思うわけであります。いまのところは議事録に残っておりますように、督励をする、こういうことなわけでありますので、その限度にしておいていただきます。  それから、いまのところとちょっと関連がありますから承りたいのですが、九日の日に、長官は内局の皆さんに、国防白書を研究せよという意味の指示だと思いますが、指示をされている。これは私、関係方々に聞いてみた。二日ばかりいろいろと尋ねた。そうしたところが、前後の事情もよくわかりまして、西村さんたちのほうから、それからまた船田さんのほうから話があって、言うならば建言があって、長官もこれは総理におはかりになっている。ところが、総理は一九七〇年というものを目途に考えれば、国民に認識を深める必要があるという意味で、これは大体お認めになっている。その上に立って、長官は事務当局に対して国防白書についての指示をお与えになっている。こういう経緯ですね、簡単に申し上げると。したがって、先般勉強しているというお話だったのですが、そこらのところをもうちょっと詰めてお話しいただけませんか、簡単でけっこうですから。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 防衛の必要性あるいは防衛の実態等を国民にPRいたしまして、何と申しましても国民の同意と御協力のもとに自衛隊というものが存立、発展するわけでございますから、国防白書というようなものはいかがであるかということの示唆を総理から受けたことはございます。西村政調会長も、もちろん私どもの政党の政調会長でございますから、話は承っておりまするが、いまこれも研究さしておりまするが、この書き方いかんでなかなかややこしいですから——武装中立を唱える方もございまするし、そこでこの国防白書をつくって、そして世界の国防はこうなっているといっても、てんで受け付けられないということもございまするし、ただいまやっておるのは、広報、宣伝のことを主管いたしておる官房長からお話しいたしました映画、あるいはその他のパンフレット、リーフレット、あるいは書物等もございまするし、いろいろいたしておりまするが、白書ばかりでございまするが、その白書の流行にすぐ乗ってどうこうするというようなことは、慎重にやらなければならぬ。しかし、これは研究研究ということばを使い過ぎますが、いま研究中でございます。総理の御示唆はございましたが、まだ御命令という程度ではございません。御示唆はございました。
  31. 大出俊

    大出委員 示唆に基づいて検討している、こういうことになりますな。
  32. 増田甲子七

    増田国務大臣 そうです。
  33. 大出俊

    大出委員 あと二つばかり承りたいのですが、これまた非常に重要なことなんですが、これはきのう三輪次官からちょっと話がありました。幕僚長ということばがありましたが、つまり防衛計画——整備計画でございますから、防衛計画ではない。防衛計画を立てる場合、また作戦、私どもから言えばそういうことばになりますが、を立てる場合、この手続的な点についてひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。  各幕がまず取り扱うことになるのだろうと思うのです、法律から言えば。たとえば陸の幕僚長の、陸の純然たる軍事的な要求がここで検討される。空幕あるいは海幕も同様だと思います。これは統合幕僚会議に持ち込まれる。そうして統合幕僚会議議長のところが最後のところだろう、こう思うわけですが、これと内局との関係は一体どういうことになるか。防衛局長の島田さんおられますが、防衛基本に関することというのが、防衛庁設置法上、防衛局の所管でございます。シビリアンコントロールという問題とからんで、ここのところをどういうふうにおやりになっているかという点を、また権限の——これはきわめて抽象的なんですよ。防衛局の所管というものは、基本に関すること、どこまでが一体基本かということが明らかでない。そうすると、各幕との関係できのうの三輪さんは非常に御遠慮してものを言われた、私はあと質問しますと言ったのだが、非常に大きな問題、幕僚長がとかくそっちに権限があると言わぬばかりのきのうの御発言、そうすると、防衛基本に関することを所管をする防衛局は、内局という立場でどれだけの権限が一体あって——めくら判を押されるのでは困る。そこのところはどういうふうになっておりますか。
  34. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 まず規定上から申し上げますと、防衛庁設置法の第二十六条の統合幕僚会議の中に「統合防衛計画の作成及び幕僚監部の作成する防衛計画の調整に関すること。」というのがあります。さらに第二号で「統合後方補給計画の作成及び幕僚監部の作成する後方補給計画の調整に関すること。」とございますが、二十三条におきましては、幕僚監部の所掌事務に関することがございます。そこで、これの手続関係でございますが、現在やっております手続としましては、まず統合幕僚会議におきまして、統合防衛計画、年度の統合防衛計画というものを立案いたします。それを私どもと両者間におきまして十分審議いたしまして、長官の御決裁を得るわけでございますが、長官は、この統合防衛計画に基づいて各幕僚監部に、それぞれの自衛隊防衛及び警備に関する計画を作成せよということを長官から指示される。それに基づきまして、各自衛隊におきましては、幕僚監部、幕僚長が中心になりまして、翌年度の防衛及び警備に関する計画を立案し、それにつきまして長官承認をされる。その場合に、長官から各部隊、たとえば陸上自衛隊でいいますと、方面総監あるいは師団長に対しまして、陸上幕僚監部が作成いたしました計画に基づいてそれぞれの段階における防衛及び警備に関する計画を作成せよということを長官から部隊長あてに命令をされる、こういうことでございまして、内局は当然その統合防衛計画並びに各自衛隊防衛計画を作成いたします段階におきまして、十分審議をいたしまして長官を補佐する、こういうことにいたしておるわけであります。
  35. 大出俊

    大出委員 内局が十分審議をするということですが、審議の場所というものは、参事官会議でもおやりになるのですか、それとも、防衛局が基本に関する権限を持っておりますけれども、どことどこでチェックする場所があるのですか。いまのお話では明らかでない。
  36. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは防衛局が中心になってやっておりまして、一々参事官会議というものはやっておりません。
  37. 大出俊

    大出委員 そうしますと、鈴木さんのところの経理関係だって関係があるのではないか。そちらのほうは関係がないのですか。防衛局だけでやるのですか。
  38. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 それぞれ作成いたします一つ段階におきましては、関係各局との調整はやっておると思いますが、案そのものにつきましては、防衛局が中心になってやっております。
  39. 大出俊

    大出委員 たとえば自衛隊の核訓練ですね、「てるづき」の写真が新聞に出ておりましたように、核洗浄、核によごれたから洗浄訓練をやるとか、陸上自衛隊としましても、九千人の師団は一つあるはずです。あとは八千人の師団です。なぜ九千の師団にしているかということについても、これで縦に分散しまして、核爆弾を受けたときに一ぺんで二つの師団なら師団がやられないようにという基本を立てておられるでしょう、そういう形で核訓練の演習をやっておりますね。しかも被服まで全部そろっている。国民には全然核に対する準備はさせないで、自衛隊のほうは一生懸命やっているわけだ。それらのことは、全部あなたのところにそういう計画が入ってくる。内局もそれは認めるものは全部認めて、そこで最終的にきめる。めくら判じゃなくて、権限がありますか。明確にだめならだめと言えますか。
  40. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいまお話のありましたような事項、たとえば教育訓練の問題でありますとか、あるいは編成をどうするかというふうなことは、これはここにいう国防計画、防衛計画ではございませんで、それは毎年毎年のいわゆる業務計画というものによりまして、翌年度の各自衛隊の一年間に遂行します業務の目標、それに対する達成要領というものを業務計画の形で作成いたすわけでございまして、この年度の業務計画を作成します過程におきましては、参事官会議に重要事項につきましてははかりまして、十分の審議を尽くして翌年度の業務計画を作成する、こういう手続にいたしておるのでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 もう一つ聞かしてください。そうしますと、この業務計画と防衛計画、あるいは訓練計画、いろいろあると思うのですが、それがこの法律上は、私が幾ら調べてみてもわからないのです。たとえば例をあげますが、私どもが非常に心配をするターターとか、アスロックだとか、核弾頭を使える、つまり核を使える兵器がある。たとえて申し上げれば、ターターなんかは、最近はおたくの海上自衛隊のほうの「あまつかぜ」、これが米軍と一緒になりまして、沖繩近海で射撃訓練をやってますね。事実がある。それからアスロックなんかについても、おたくの「やまぐも」ですか、これにまた搭載をすることにきまっていますね。そうすると、ターターとかアスロックとか、核に関係はないとは言えない。そういうものは使いませんということだけであって、ナイキハーキュリーズと一緒です。そうでしょう。非核弾頭というが、つまり私どもから見ると、心配になる点があるのです。そういうものが一ぱい出てくる。それらのものは、年度の防衛計画の中に、どういうものの訓練をやり、どういうものの演習をやる、そういうふうな形になってあなたのところに出てくるのじゃないですか。全然それは別ですか。
  42. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 まず、ターターが両用兵器であるというふうにおっしゃいますが……。
  43. 大出俊

    大出委員 核、非核の論争はいいですよ、時間がありませんから。
  44. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そこで、そういう兵器を採用するかどうかということは、これは防衛計画には直接関係はございません。もちろん防衛計画としての前提になるわがほうの能力を向上するという意味におきましては関係があるのでございますけれども防衛計画は、要するにそういうものを使用しまして、翌年度にもし事がありました場合に、どういうふうに対処していくかということをきめておるのが防衛計画でございまして、いまのような装備品を採用するかしないかということは、業務計画によって審議いたすわけでございます。したがいまして、翌年度に各自衛隊がどういうふうな訓練をやり、募集をやり、あるいは装備を取得し、あるいは調達し、あるいは施設整備する、こういうふうな問題は、全部これは業務計画でやっております。したがって、防衛計画というのは、要するに現在のそういう自衛隊の能力というものの基盤の上に立ちまして、その翌年度においてどういうふうに対処するかということをきめるのが防衛計画で、いわばおのずから作戦計画に……。
  45. 大出俊

    大出委員 そうすると、業務計画というのは、内局との関係では、どこと関係があるのですか。
  46. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 それは、その業務計画を審議いたしますのも防衛局が中心になりますけれども、これはそれぞれ、人事は人事局、教育、訓練は教育局、施設整備は経理局、こういうところと各幕僚監部が十分審議いたしまして、その総体の取りまとめを防衛局がやる、こういうことになっております。
  47. 大出俊

    大出委員 各幕僚監部が審議をする場所というのは、どこにあるのですか。
  48. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは特定の場所があるわけではございませんで、それぞれ連絡によりまして行ないます。それから、われわれ防衛局でやるのは、これは会議室でやるわけでございまして、どこでというような……。
  49. 大出俊

    大出委員 いいです、時間がありませんから。それを私は非常に心配して聞いたのですが、やはりそういうことだ。幾ら調べてもない。会議室でやるのはあたりまえです、会議室だから。ただ、特定の場所があるわけではないということになると、私はチェックの場所がなくなる。各幕がいろいろやって、金の問題になれば経理にいく、教育、訓練なら教育局長施設なら小幡さんのところへ行くということでは、総合的にものを見られないわけです。そうすると、シビリアンコントロールと名がついているのだけれども、戦時ではなく、平時でもシビリアンコントロールという、きちっとした機構というものをつくっていかなければ、これはとてもじゃないが、コントロールできるものではない。一つ間違ったら、アメリカンコントロールになっちゃう。各幕ともやっているのだから、全部つながりがあるのだ、第五空軍みたいに。そうすると、そこのところは、長官、この種の訓練計画、「やまぐも」と「てるづき」、いろいろあるやつ、そういう訓練まで含めて総体的に審議する場所がない、会議室でやっています、こういうことでは、長官、これはシビリアンコントロールができない。時間がありませんから、そこのところは、長官、私は念を押しておきますが、せっかく長官が先ほどもおっしゃっているように、そう簡単な長官じゃないという意識でやっておられるのですから、そこらのことは十分御注意をいただいて、シビリアンコントロールがきちっと行なっていけるように、ひとつ御検討をいただきたい、こう思います。
  50. 増田甲子七

    増田国務大臣 シビリアンコントロールというものは、私は総理大臣というせびろを着た人がコントロールすることであると思います。それから、その部下の隊務を総括をする防衛庁長官が、せびろを着ておるということだと思います。それからその下に事務次官がおりまして、総括的な補助をいたします。官房長その他の部局長がおりまして、私が幕僚長あるいは統幕議長等を指揮、監督する場合に、シビリアンである、せびろを着ておる私を補助するという形において、幕僚長あるいは幕僚のそれぞれの部員、副長等を指揮、監督するわけでございまして、直接に防衛局長やその他の部局長が、幕僚長、あるいは副長、あるいは海幕、陸幕、空幕の各部長を指揮、監督するわけではございませんが、私も一々目が届きませんから、便宜上私を補助する意味の内局が、部隊のほうをつかさどっておる幕僚部に来てもらいまして、防衛計画その他を私のかわりに見て、これでけっこうですとか、けっこうでありませんとかという補助を私にするわけでございます。それから、あくまでもシビリアンコントロールの最高のものは、国会でございます。国会議員七百数十名の方が、シビリアンコントロールのトップに立っておるわけでございます。でございまするから、こうやって皆さまに質疑を受けて、私も一生懸命答弁いたしておるわけでございます。これがシビリアンコントロールの象徴であると、私は思っております。そこで、その次に政府といたしましては、内閣総理大臣であり、防衛庁長官である。それから私を助ける者として、内局にシビリアンがおりまするが、内局の者はユニホームを直接指揮するわけじゃございませんから、シビリアンであるこの私服を着たしろうとの増田甲子七が幕僚長その他のユニホームを指揮するというのが、日本防衛隊のあり方でございまして、これがシビリアンコントロールであります。私服が何がわかるかということをいえば、あなた方も何がわかるかということになりますから、何もわからないわれわれは、しかし良識は持っております。この良識を持っている者が、ユニホームをきびしく監督してまいる。いやしくも行動は許さない。また行動を大いに訓練すべきところはこれから訓練するということで、こういうことは、内局の部下の補助を受けて私がユニホームを指揮する。あくまでもこういう形に分かれる。シビリアンコントロールの最高は、国会であるということを御認識願いたいと思います。
  51. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから……。いまの点は、幾ら長官が強調されてもされ過ぎるということはないのであって、もうそれこそどんなにシビリアンコントロールを強調されても当然でありまして、大いに強調していただかなければ困る。ただ、チェックする特定の場所がない、つまり計画を立てる以前に、立てる過程、あるいはあとで、特定の場所がないということになると——会議室ではなくて、特定の場所ですよ、これがなければ困る。時間がありませんから、総理のときにまたあらためてお尋ねいたしますが、ここのところだけは私は検討しておいていただきたい。念を押しておきたいと思います。いまの点はそれでけっこうです。  ところで、最後に外務省に御出席いただいておりますし、防衛庁との関係も多少ございますから、一点だけ伺っておきますが、八月下旬にエンタープライズが寄港するという新聞記事があります。エンタープライズ号の寄港問題というのは、前に浅尾さんに昨年の五月二十八日だと思いましたが、御質問申し上げて、初めて一昨年十一月二十六日にアメリカ大使館から外務省に公な文書が入り、エンタープライズ号を第七艦隊に編入した、したがって、近い将来日本に寄港することがあるということが伝えられたということになっているわけです。ところが、これが私の手元にある私のほうのローカル紙によりますと、少しややこしい手続で、つまり国会があるから、国会が終わったその辺のところで安全性の確認行為が行なわれる。一カ月くらいかかりますからね。そういう記事が最近出ておりますが、これはあるところでは来年だという話飛んだり、いろいろ現地を迷わしておるわけであります。この点どういうふうにお考えになっておりますか。
  52. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 たびたび国会お話ししておりますように、一昨年の十一月アメリカ大使館のほうから、エンタープライズその他の原子力艦艇が第七艦隊に編入になった。したがって、近い将来に日本に寄港するかもしれないという連絡がございました。その後、アメリカ側から正式に寄港させたいという申し入れば、いまのところございません。  それからもう一つ、新しい事態といたしましては、新聞に報じられておりますように、六月六日、第七艦隊司令長官が那覇において、このエンタープライズは六月の末に米本土に帰る、第七艦隊に復帰するのは十二月または明年一月だ、こういうことだけわかっております。
  53. 大出俊

    大出委員 そうしますと、八月下旬にも寄港かというこれは、あなたのほうには全くそういう情報は入っていない。那覇で第七艦隊の長官が言ったとおり、本年は入らない。つまりアメリカ本土に帰ってしまって、第七艦隊に復帰しないというふうに確認しておいてよろしゅうございますか。
  54. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 八月あるいはいつか日本に寄港したいという申し入れば、全然ございません。ただ、わかっているのは、第七艦隊司令長官が先ほど申し上げた言明を那覇でしたということだけであります。
  55. 大出俊

    大出委員 確認しておきます。
  56. 藤尾正行

    ○藤尾委員 関連して。ただいま大出委員の御質問に答えられて、島田防衛局長が非常に重大な発言をせられたと私は思うのです。これは各幕僚監部あるいは統合幕僚監部におる者がそれぞれの業務計画その他を立案をする際に、内局と同時にこれは検討をせられておる。その所管の内局部局というものがきわめてあいまいで、そうしてこれは会議室でやっておるのだというような趣旨の御発言がありました。これは私は容易ならぬことなんで、あなたはこれは早急に訂正をせられなければいかぬと思うのです。あなた方内局の方々には、各幕僚監部に対する指揮権あるいはその他チェックする権限はないはずでありますけれども、あなた方は、これは長官に進言をするために十二分の検討をせられておるはずであります。その中心であるべきものが、島田さん、あなたがおやりになっておられる防衛局であるはずでありまして、私はあなたがその点を不明確なまま過ごされると、これは後々のために非常に誤解を与えますから、この際発言を求められて、そのあなたの発言を訂正せられるよう私は求めます。
  57. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほどの私の答弁の中に適切を欠く点がありましたことを訂正します。  翌年度の防衛計画、業務計画につきましては、各幕僚監部におきましては、前年度の当初から詳細な検討を加えておるわけでございまして、事実関係を申し上げますと、それが内局に案としてあがってまいりますのが六月ごろでございまして、そこで内局におきましては、防衛局を中心といたしまして、六月、七月、さらに八月にもかかりますけれども、その間に関係幕僚を呼びまして、あらゆる角度からそれぞれの計画につきまして十分な検討を加えるわけであります。ただ、それぞれの専門の問題につきましては、内局にもそれぞれの専門の部局もございますので、そことの調整をはかりますけれども、全体計画としては、全体の調整をどういうふうにとっていくか、来年度の事業の重点をどういうふうに置くかというふうな問題は、これは防衛計画との関連におきまして、防衛局が中心になって真剣に検討いたすわけでございます。その中の重要な事項につきましては、これは私先ほど御説明申し上げましたけれども、一一参事官会議にかけまして、参事官会議におきましても、何回となくそういう問題については慎重に審議をいたしまして、最後に防衛庁長官に御説明し、決裁を得る、こういう手続になっておるわけでございまして、防衛局といたしましては、防衛計画の作成と同時に、この業務計画の作成ということが、最も重要な仕事であるというふうに考えております。また、事実そうでございます。
  58. 藤尾正行

    ○藤尾委員 そうすると、いまのあなたのお話によりますと、大出委員が御指摘になったチェックポイントといいますものは、まず内閣総理大臣にある。次に防衛庁長官にある。その前に、これはほんとうの意味のチェックをする権限があるかないかということは別として、防衛局あるいは経理局、装備局あるいは教育局、参事官会議その他において十二分にチェックする予備的な検討を行なっておる、こういうことですね。
  59. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  60. 大出俊

    大出委員 これは検討を行なう行ない方の問題なので、特定な場所がない形の検討のあり方というのは、私は技術的に非常にむずかしいシビリアンコントロールですから、これは非常に大きな問題だ、こう私は理解しておるのです。ただ、これは特定な場所がないというものについては、私も法律を調べてみましたが、ここが一番大きな問題だと私は思っておる。長官がいかに能力がおありになっても、なかなか全般的にすべてを見通すわけにはいかない。してみると、その下のところに実質的に事前、事後、あるいは中間でチェックしていく場所というものがなければならぬ、こう私は考えているのです。ところが、その特定の場所がないという御発言ですから、これは私は総理にあらためてお伺いしたい、こうさっき申し上げたわけであります。  ところで最近、私は衣の下によろいが見えるという形で論議されてきたものが、どうもよろいのまままかり通るという形になってきているような感じがするのです。それだけに、私はなおのことそういう点について、百三条にしてもそうです、参事官会議にしてもそうです、それからいま言ったチェックの問題にしてもそうですが、こういう点はきちんとしておかなければ、将来に大きな悔いを残すことになる。国会の事後承認という形が出てくる、承認しなかった場合には出動した者は帰ってこなければならぬことになりますが、先ほど長官は言わなかったけれども、これはそれだけでは足らない、こういうふうに私は考えておるわけであります。以上で終わります。
  61. 關谷勝利

    關谷委員長 浜田光人君。
  62. 浜田光人

    ○浜田委員 私は、さっきわが党の大出委員は三次防等について広範囲な質問をされましたが、これからは主として安保体制下における日本防衛のあり方、特に駐留軍の基地等の問題を含めて質問をいたしたいと思うわけであります。  そこで、まず第一の点は、政府は口を開くと常に日本の安全と独立、平和は安保体制によると言っておられますが、現在日本の国を守るための米軍の日本における比重と、日本自衛隊の比重はどのようなウエート、比率関係になっておるか、大臣に御答弁をいただきたいと思うのであります。
  63. 増田甲子七

    増田国務大臣 浜田さんにお答えいたします。  御質問の要旨をつかんでいなかったならばまた再質問をお願いすることとして、お答えいたします。  いまの安保体制のもとにおける自衛隊の比重はどうなっておるか。自衛隊は陸海空合わせて二十五万人ございます。それから、防衛庁員、防衛施設庁員等を含めまして二十八万人ばかりございます。ところが、米軍の陸海空——もっとも陸軍は補給部隊しかいないのでございまして、海空がおもでございます。この陸海空を合わせて四万人足らずである。現在のところこういう比重でございます。
  64. 浜田光人

    ○浜田委員 数からいきますと、大臣のいまの御説明のようかと思うのでありますが、いろいろいままでの国会のやりとりの議事録等を調べてみたりして、ずばり言って、戦略的な見方として、米軍が日本の安全、平和、独立を守るために、実際どのくらいの位置づけというか、いままでやっておるのか、できればひとつ見解を聞かしていただきたいと思います。
  65. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 在日米軍の兵力につきましては、日本におきます配置状況は、陸軍が約八千百名、海軍が約八千名、海兵隊が約二千三百名、空軍が一万八千名、合計約三万六千四百名でございますが、その中で陸軍は、日本におきましては、実動部隊と申しますか、第一線部隊は配置いたしておりません。主として行なっておりますのが管理、補給でございまして、管理、補給部隊でございます。海軍は、わが国におきましては第七艦隊の基地を横須賀及び佐世保に置いておるわけでございます。それに関連いたしまして、第七艦隊の艦隊の航空隊及び海兵隊の航空隊、これが厚木、岩国等に配置をせられておるわけでございます。ただこれは、それぞれ横須賀、佐世保に艦隊の基地隊を持っておりますけれども、これは主として第七艦隊に対する補給関係等を律しているわけでございまして、これは日本の領域内に海軍としてのいわゆる実動部隊というものは、一部航空機が配置せられておるということで、現在は主として補給関係に従事をいたしておる。ただ、空軍につきましては、横田及び三沢に戦闘機を配置いたしておるわけでありまして、横田には105の部隊を一応三スコードロン、三沢におきましてはF100の航空機を二スコードロン配置をいたしておるわけでございまして、そういう関係におきまして、もし事がありました場合に、直ちにわが国の自衛隊と共同して作戦を行ない得るというのは空軍だけでございます。陸軍は管理、補給部隊、海軍も主として基地関係の補給部隊でございます。それが直ちに実動部隊とはなり得ないわけでございます。したがいまして、有事におきまして在日米軍に依存するという場合におきましても、空軍に依存するわけでありますけれども、陸海軍におきましては、直ちに在日の米軍に依存するということは、少なくとも初期の段階におきましては非常に困難であるというふうに考えております。
  66. 浜田光人

    ○浜田委員 いろいろ戦略的な問題は質問の最後に集約することにいたします。  そこで、米軍が日本に基地を持っている数とか、いろいろ新聞等にもかつて出たことがございますが、その中で、次の質問に関連いたしますから、まずお聞きいたしますのは、日本における米軍が使っておる基地で、特に弾薬関係、それから試射場、こういう点について、個所、それからいろいろトラブルが今日あろうかと思いますが、そういう点についてまず御報告願いたいと思う。
  67. 小幡久男

    ○小幡政府委員 まず最初に弾薬庫について申し上げます。  弾薬庫は、衣笠弾薬庫、川上弾薬庫、広弾薬庫、それから山田弾薬庫、針尾の集積等ございます。  それから、試射場というのは特にございませんけれども、射爆場を含めて申しますと、三沢対地射爆場、それから水戸の射爆場、それから九州の芦屋の射爆場、そういったものがおもなものでございます。
  68. 浜田光人

    ○浜田委員 そこで、質問にこれからずっと関連して入るのですが、まず日本国とアメリカとの相互安全保障条約の六条の実施に関する交換公文で、例の、しばしば国会でも問題になり、安保のときにもずいぶん国会論議され、昨年あたりは、例の爆撃機のベトナム戦争への参加によってもやはり論議された事前協議の問題でございますが、ここの中では、装備における重要な変更並びに日本国から行なわれた戦闘作戦行動、こういうようになっておるのでありますが、まずこの事前協議の対象になる項目といいますか事柄、そういうことに対して御説明がいただきたいわけであります。
  69. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 交換公文におきまして事前協議の対象となります事項といたしましては、「合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」ということでございます。この場合の「合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更」と申しますのは、陸軍でいいますれば一個師団以上、海軍でいいますれば一機動部隊以上、空軍でいいますれば一スコードロン以上の日本への配置というふうに解釈されておるのでありまして、日本国からこの種の兵力が外国へ出動するという場合は含まれておりません。  その次に、「合衆国軍隊の装備における重要な変更」といいますのは、解釈といたしましては核兵器の持ち込みでございます。核兵器の持ち込みというのは、一つは核弾頭の持ち込み、一つは中長距離ミサイルの持ち込み、さらに中長距離ミサイル基地の建設、こういうことを行ないます場合には事前協議の対象になるということでございます。  さらに、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」につきましては、これは文字どおり日本国から戦闘作戦行動に出発をしていくということでございまして、この場合は、単に日本国内の基地を兵たん基地として使用するという場合は含まれないということに解釈されておるわけでございます。また、日本国からの移動、あるいは外国へ一たん移動いたしました後におきまして、その外国の作戦行動基地として使用するというふうな場合はこれに含まれない、こういうふうに解釈をされております。
  70. 浜田光人

    ○浜田委員 そういたしますと、日本の国から、直接戦闘する武器弾薬、これはむろん日本の領土から向こうへばっとやるやつは文句なく当然事前協議ですね。そうすると、この弾薬は、直接ベトナムならベトナムの戦闘に参加する兵器だから、当然これは対象となるべきだと私たちは思うのでありますが、いままでの議事録等いろいろ調べてみますと、そういう弾薬は、直接ベトナムならべトナムへいっても、そこの部隊が使用するのだから何ら事前協議の対象にならないと聞いておるのでありますが、その点どうでありますか。
  71. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そういう武器弾薬のいわゆる補給基地として日本を使用します場合には、これは事前協議の対象にならないというふうに従来の解釈はなっております。
  72. 浜田光人

    ○浜田委員 補給基地、日本に弾火薬庫がありますね。それから、たまたまそれは目的といいますか、ベトナムに運んでベトナムの一線部隊がそれを使用するという場合もあるでしょう。しかし、反面リバティ一等で輸送いたしますと、あるいはその途中で直接そのたまを撃つ場合もあるでしょう。そういうときはどんなになりますか。
  73. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは戦闘作戦行動、コンバットオペレーションということばを使っておりますが、日本におります部隊がそういう戦闘作戦行動の目的のために日本の基地を発進をするというふうな場合におきましては、これは事前協議の対象になりますけれども武器弾薬を一たん特定の国へ輸送いたしまして、その国に配置されております部隊が、その武器弾薬を使用するというふうな場合が予想せられるにいたしましても、日本の基地を補給基地としてその武器弾薬を使用するというふうなことは事前協議の必要がない、こういうふうに従来からの解釈はなっておるわけであります。
  74. 浜田光人

    ○浜田委員 私、いま質問いたしましたのは、一たん向こうの領土あるいは戦闘地域に運ぶ以前にですよ。運ぶ船はすでに戦闘ができる船ですね、そういうときにはどんなになりますか。
  75. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いまのお話の場合は、たとえばアメリカの軍艦が日本の基地を使用いたしまして、日本の米軍の基地にあります武器弾薬を搭載いたしまして、それを持って作戦地域に進入していく、進出していく、こういうことであろうと思いますけれども、これは、艦艇等につきましては、実はそれはむしろこの条約の解釈の問題でございますので、外務省のほうが有権的な解釈を下し得るわけでありますけれども、そういう場合に、直接戦地に行って戦闘行動をやるかどうかということについては、わが国としては確認できないわけでございます。たとえば航空機の場合におきまして、日本を基地としてベトナムならベトナムの攻撃に従事するということが明らかでありますれば、これは事前協議の対象になると思いますけれども、その辺が必ずしも明確にし得ない。艦艇等は、一たんどこかに寄りまして、それから発進をするという場合もありましょうし、そういう作戦行動の内容については、一々米軍から確認をするというわけにはまいらないというふうに思うわけでございまして、そういう意味におきましては、直ちにそれが事前協議の対象になるというふうには考えられないというふうに考えております。
  76. 浜田光人

    ○浜田委員 私は、あなたが説明されるのが矛盾があるように思うのであります。飛行機では確認できる——飛行機だって、爆弾積んで実際ベトナムに行って爆撃してみなければ、したということにはならぬでしょう。軍艦だってそうですよ。たまを積んで向こうへ行く。しかしトンキン湾の近くで、それはしかたがない、北ベトナムと交戦状態なんだから、出てくると、たまも撃つでしょう。それから、私が言うのは、リバティーやあるいはLST、こういうのはちゃんと船首と船尾にはそういう砲台を持っているのですね。そうすると、これは当然そういう状態が起きることは予想できるし、予想しなければならぬですよ。しかもLSTなどというものは日本の船員が乗っておる。だから、機密を保持するように言われるでしょうけれども、実際は、これからずっと出てきますが、江田島なんかから弾薬を積んでいく。その船員はみなぼくの組合員ですよ。そうすると、当然そこから、アメリカの軍用船が入って、どこへ行くのかという話を聞くと、まっすぐベトナムに積んでいくのだ、こう言う。ですから、正式に皆さんが調査しようとするなら、当然その行く方向はわかる。いままでも事前協議の問題は、いや沖繩に行って、沖繩から行くのだから、これは事前協議の対象にならぬのだということを答弁なさっておりますけれども、私は、そういう問題はほんとうに調査する気で政府がやられるなら、調査できる、だから、これらは当然事前協議の対象になるのじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  77. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 私は、特に航空機の場合、艦艇の場合、明確に区別できるというふうに申し上げておるつもりではございませんで、一応仮定の問題としてお話し申し上げておるわけでございます。したがいまして、たとえば航空機におきましても、一たん沖繩の基地に着陸いたしまして、そこを戦闘行動の基地として使用するというふうな場合は、これは事前協議の対象にならないというふうに従来からいわれておるわけでございます。  また、ただいまのLSTというのは、その主任務は人員物資輸送でございまして、それが作戦行動に従事するというふうには考えられない。もちろん、その船自体といたしましては、防御のための兵器を積んでおると思いますけれども、それはあくまでもその船の主目的ではございませんで、主目的は人員物資輸送であるというふうに考えられますので、そういうものは日本から戦闘作戦行動を目的として発進をしたということには解釈をしておらないわけであります。
  78. 浜田光人

    ○浜田委員 実際の状態から見て、あなたと私はだいぶ見解が異なりますが、時間が限られておるから、この論議は後日の問題に残します。  長官——長官といっても大臣のほうですが、いま全国で基地問題がいろいろ起きつつあります。御承知と思いますが、かつて三十年時代の砂川基地問題が再現するのじゃなかろうか。あるいは新島問題もしかりですね。また、いま広島県では、これは長官、新聞を見られたか知りませんが、各新聞とも、弾火薬庫の使用再開ということで、たいへんな問題が起きつつあるわけです。こういうことは、私は、地区の人が、この弾火薬庫なんぞというのは非常に危険だということが、まず第一に大きな問題になってくると思うのですね。次には、やはりその地区の開発、経済の発展という点に支障を来たすという点で、反対ののろしが上がっておろうかと思うのであります。  ところが、政府は、米軍側に遠慮されておられるのか、あるいは安保条約に基づいて、安保体制の一環であるからというので、なかなか強い交渉もされておられぬように思うのであります。特に、アメリカといえども日本の経済の安定、地域の開発、こういう大きな障害をおかしてまでも基地の再使用とか継続ということを、わからぬのに文句言うなというふうな形で言い張るとは思われないのであります。特に、さっき申し上げた安保の前文でも、「友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則」といっている。ただ国会で自民党が多数を持っておるからこれで議決すればいい、こういうのは、私は真の民主主義ではないと思う。少なくとも地域的な問題等については、地域の自治体がいろいろ検討して実情に即して政府にも問題点を訴えられておると思うのであります。しかも、二項では、「それぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、」こうなっておるのですね、長官。また、これらに付随して、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定でも、「日本国のための防衛援助計画の策定に当っては経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことができない要素であり、また、日本国の寄与がその経済の一般的な条件及び能力の許す範囲においてのみ行うことができることを承認し、」こうなっておるのです。そういう観点から見ましても、さっき申し上げました、かつての基地のような、三十年当時のような問題が所々方々でいま起きつつありますが、これらについて大臣はどのような見解といいますか、所信を持っておられるか、お伺いしたいのです。
  79. 増田甲子七

    増田国務大臣 一般的に米軍基地あるいは米軍の弾薬庫についての私の考えといたしましては、お説のごとくそれぞれの国に対する福祉に寄与するように、それから民主主義的の諸原則を尊重しということは、浜田さんと全然同感でございます。ことに基地の存在する場所、弾薬庫の存在する場所の付近の住民等に対しましては、きめこまかなる配慮をする必要がある、こう考えておる次第でございます。ただ、しかしながら、日米安保体制のもとにおきまして、基地そのもの、弾薬庫そのものを供与するということは、これまた約束せられておるわけでございまして、付近住民の福祉に寄与し、御納得と御協力を得まして、基地を維持し、あるいは管理し、あるいは弾薬庫を維持、管理する、こういう方針でやってまいりたいということを米軍とも話し合っておる次第でございます。
  80. 浜田光人

    ○浜田委員 さっき施設長官説明によりますと、所々方々の弾火薬庫の接収地域説明がございましたが、そういう全国的な弾火薬庫の位置、個所、そういうものが民家、特に市街地、少なくとも今日日本で何々市といって何万という人口が密集しておる市街地と、弾薬の荷揚げ場や貯蔵中継基地が、三百メートルあるいは五百メートル以内の個所にあるところはどういうところか、御説明いただきたいのです。ないならないでもいいし、あるとすればどういう個所か。
  81. 小幡久男

    ○小幡政府委員 一例を申し上げますと、九州に山田弾薬庫というのがございまするが、そこへ集積するための荷揚げ場所は、これは門司港の中でございます。したがって、門司の町の中の港で弾薬の荷揚げをやっておる。それから、北九州市の付近を通りまして山田弾薬庫へ弾薬を納めておるということでございます。
  82. 浜田光人

    ○浜田委員 中継基地でもいいのです、火薬庫だけでなくして。そういう民家、市街地に非常に近い地区を今日も軍が使う、こういうことは、私は日本政府として、普通ならば返還させるような交渉をすべきであろうし、それから、実際過去において何年も使わない、十年も十二、三年も使わないようなところは、今日まで当然返還して住民の期待にこたえてやる、安全を確保してやる、発展の阻害を除去してやる、こういう手を打たなければならぬと思うのであります。特に問題になっております広島県の黄播地区、それから国道百八十二号線あるいは二号線、これらを経由して四十何キロかの川上の八本松の弾薬庫に運ぶというようなことは、これは常識で考えても、真に米軍のみの弾薬庫として弾薬を貯蔵、確保するというのなら、そういう中継基地を持ってとんでもない方向に運ぶということは、私はナンセンスだと思うのです。  そこで、大臣にお聞きしますが、個所は具体的にいま指摘いたしましたが、少なくとも日本自衛隊と、特に自衛隊等の弾薬の配分、それらを含めた戦略的な八本松が弾薬庫ではなかろうかと思いますが、そういう点について知っておられますならば知らしていただきたい。
  83. 増田甲子七

    増田国務大臣 私、基地並びに弾薬庫一般のことをまず申し上げます。  基地並びに弾薬庫全体は、講和条約発生当時は、日本の坪にいたしまして四億坪あったわけでございます。それを漸次縮小もしくは返還してもらいまして、いまは約一億坪でございます。それから、米軍の基地や弾薬庫等のあったところを、日本自衛隊の基地あるいは弾薬庫に転用させてもらっておる点が多々あるのでございます。約一億坪のものを日本自衛隊の基地もしくは弾薬庫に転用させてもらっております。アメリカのほうは四億坪が一億坪になったわけであります。日本自衛隊は現在二億坪の基地あるいは弾薬庫等を使っております。御指摘の矢本町の弾薬庫は日本自衛隊は必要のない弾薬庫であります。しかしながら、浜田さん御指摘のごとく、アメリカといたしましては、相当必要な弾薬庫でございまして、われわれも地元民の御要望がございますから、時々米軍に何とかならぬかということを意思表示をいたし、要望はいたしておりますが、いまのところ、向こうさまでもなかなかこの弾薬庫は必要だから困ると言っておるということの段階であるということを正直に言ってきております。
  84. 浜田光人

    ○浜田委員 長官、いま必要ないといって米軍のと、こう言われるのだが、ここが旧海軍の兵学校のあった、いま実科学校のある江田島ですね。これがいま米軍の弾火薬庫ですよ。ここにたくさん貯蔵しておる。これは元海軍の弾火薬庫である。これから船はここに入っておる。そして、いままでここに陸揚げし、一部をこれからこの狭い有名な音戸の水道を通ってこの黄播と——これが問題の黄播なんですね。これから論議しますが、ここに揚げて、そして、これからこれが呉市の中の広町、これは三、四万の市街地ですよ、これをこう通って、こういうように運んで、これからここの八本松の、川上のここに運ぶのだ、こういう関係で、広島県下では百二十万坪というものが接収されているのですよ。そこでかつてあなたたち政府は、これから防衛分担金で防衛道路だといって弾丸を運ぶ道路をつくられています。それならここが基地で弾薬庫ですから、その辺政府にお聞きしますが、あくまでこれは中継基地といっているのですよ。どうですか、質問します。
  85. 小幡久男

    ○小幡政府委員 主として中継地でありますが、その中継の基地と申しましても、若干の期間集積をしておく余裕は持たしておる基地でございます。
  86. 浜田光人

    ○浜田委員 次から次に運ぶ間の中継点としてであって、弾薬庫としての格納、貯蔵する場所ではないということは、私たちも自治体の人たちも全部書類で書いてもらっておるが、どうでしょう。間違いないですか。  そこで、そういう状態なら——大臣、よく聞いておいてくださいよ。今日海上事故はたくさんあるのです。ましてこういう日本で一番狭い狭水道です。ここから、こういう狭水道を通って運んで、そうしてここからこういうふうに迂回して、この防衛道路をつくられて、こう運ぶんだ。これはいま二号線で交通量も非常に多くなっている。それならどうして——ここにあなたの管轄下の十三師団がございますが、ここから海上を行けばきわめて近距離です。しかもこれで防衛道路をつけられた意義が果たせるはずです。なぜこういうコースを通られないのか、質問します。
  87. 小幡久男

    ○小幡政府委員 この十三師団が海田市にありますことは事実でありまして、そこで若干の火薬を積み上げるということも、これまた浜田先生御存じのとおりであります。ただ、しかし、ここの大体の状況を申し上げますと、現在中国火薬が海田市でやっておりますのは一回に四、五十トン程度であります。それから、ここは集積ということはできませんので、揚げてすぐ貨車に積む。ことに、この場所を見ますと、大体百五十メートルから二、三百メートルのところにいろいろの施設がございまして、とても集積地として保安上の安全を期す場所ではないというところでございます。他方、この広のほうは、そういう余裕を持った集積可能の土地でございますので、海田市とは少し違いますので、その点申し上げておきます。
  88. 浜田光人

    ○浜田委員 かつて昭和三十五年から六年にかけて在日米軍は、港全くここは、呉市の開発のためには——これはもう旧軍港地ですが、どうにもならぬ。したがって、市長さんもあるいは議会も、こぞって呉市の開発は広しか方法がないんだ。したがって、広を開発するためには、これがのど首なんですよ。だから、どうしても返してもらわなければいかぬ。今日ではここに国立工業試験所も建てようとしている。これは十二万坪から十五万坪接収しているんですよ。かつて飛行場のあった、一番飛行機をつくる十一航空廠のあったところです。したがって、自治体ではどうにもならないので、私も県会にもおり、市会にもおったが、しばしばこれの返還運動をしました。県会十六年の間に十回ぐらい決議して持ち込んでおるんです。市会のときもそうです。今日では、市会も広島県議会もおそらくきのう決議しておるでしょう。そういうようにして、筋の通らないこの地区を、軍はどうして全面返還しないのか、してくれないんだろうかと、住民が今日たいへんもない非常な騒動になっているのです。  そこで、長官、こういうところからこういうふうに迂回をしたり、あるいはここからは、ここに県道を改良して舗装したらこれを通って近道でこう行くんだ、あるいは貨車で輸送するんだと言われるかもしれません。質問しますが、そういうことをしなくても、米軍だけなら、瀬戸内海に無人島は機らでもあるんです。今度でも米軍は六十万ドルを投じようというんです。そうすると、ここにはかつて海軍の亀の首の試射場があったところです。こんなところは弾薬を納めようと思えば何ぼでも納められる。それに私は、どうしても自衛隊との関連性、戦略的な関連を考えなければ、常識では考えられないんですよ。そういう点で、時間がないものですから意見が多くなりますが、どうしても全面返還ができないのかどうか、お聞きします。
  89. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ただいま浜田委員のおっしゃいましたとおり、いろいろ経緯がある問題でございまして、かつては全面返還も要求いたしましたし、また、ある時期には、これは浜田委員も御承知のように、代替地があればいいということになりまして、一時代替地の検討がされたこともございますが、しかしながら、今日、先ほどから申しておりますように、米軍のほうでどうしてもここを再開して使用したい、少なくともそういう能力を整備したいという申し入れがありまして、われわれもいろいろ土地の民情も話しまして、いろいろ折衝をしましたが、やはり米軍の意向が強いということが判明いたしまして、現在はそういう状況になっておる次第でございます。
  90. 浜田光人

    ○浜田委員 大臣、私は地図で説明いたしましたが、一応安保条約のそれは別としましても、実際あの地図で見て、あの地区がほんとうに筋の通らない接収地域であるというふうにお考えになりませんか。
  91. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、呉それから山の裏の広というところも地理的には知っております。そこで、広の発展を阻害しておるという浜田さんのお説も同感できるわけでございます。そこで、従来日米合同委員会会議にある程度持ち出したこともありますが、米軍のほうでは、この広の集積地でございますが、集積地を若干使わせてもらわないと困るというようなことで、運搬関係につきましては、——運搬ということもなかなか危険でございまするから、運搬関係につきましては、自動車を排して貨車専用とするというようなことの配慮もあるようでございますが、広自体が返ったならば、呉、広はいま一体として発展するわけでございますから、発展には非常に寄与するというお説には同感でございまして、これから後も、何とかならぬかということは言い続けるつもりでございまするが、現在のところ、申し上げておりますのは、現在のところは運搬を自動車なんかで運んで、京浜関係におきましても大爆発を起こしたこともございますから、ああいうようなことにつきまして、地元民が危惧の念を持つであろうということは想像できます。お説は非常に私は同感できるわけでございまして、できれば広を返してほしい。できないならば、運搬関係を厳重に注意して、貨車で運ぶように、自動車、トラックでは困るということを部下に言わせる。また、言わしておりまするが、(山内委員長官が自分で言わなければだめだ」と呼ぶ)これからも言わせ続けるつもりでございまして、ある程度浜田さんのおっしゃる目的、御希望に沿うようにいたしたいと思っておるわけでございます。実は、日米合同委員会というのは、私の部下をもって構成しておりまするが、いま山内さんから自分で言えという御発言もございましたので、私自身としても申すつもりでございます。
  92. 浜田光人

    ○浜田委員 大臣、その地域のことも考えられるのでしょうが、本来安保条約なり援助協定なり地位協定から考えて当然なんですね。なぜ当然かといえば、さっきも言ったように、ここは十二、三年使っておらないのです。その間なぜ政府はもっと強力に返還させるようにしなかったのか、正直言いまして不満があるのです。しかし、大臣はたびたびかわられるのですから、大臣の罪とは言いませんがね。  そこで、軍が再開して弾丸なんか運ぶと言ったら住民はびっくりしますよ。そこで、施設長官のほうから、軍がどういう要求をしてきているのか、伺いたい。
  93. 小幡久男

    ○小幡政府委員 軍としましては、いま直ちに何千トンの弾丸をどうこうという具体的な話ではございません。現在ある施設整備いたしまして、そのキャパシティをいつでも常時即応にしたいという申し入れでございます。ただ、その前提といたしまして、現在折衝中の国鉄との折衝の経過から見ますと、日量何百トンという数字が出ておるようでございますけれども、正式にいつから幾らどのようにしていくかということは、まだ現在終局的な決定は私どものほうに連絡してまいっておりません。
  94. 浜田光人

    ○浜田委員 長官はいまそう言われるが、使用再開の時期等については、それは秘密に属しているのでなかなか言うわけにはいかないでしょうが、少なくともどのくらいを輸送したいということは、日本の国鉄、ここにきて折衝しているのでしょうから、当然窓口である施設庁が知っておると思うのです。そういう点はどのくらいのトン数でどうしようとしておるのか、お話し願いたいのであります。
  95. 小幡久男

    ○小幡政府委員 先ほど申しましたように、総トン数は言ってきておりません。何千トンとか……。(浜田委員「一日にはどのくらいですか」と呼ぶ)一日には、国鉄に対しまして日量八百トン輸送をお願いしたい、こういうふうに申しておるわけであります。
  96. 浜田光人

    ○浜田委員 そういたしますと、さっき大臣は、たしか道路を通るのは危険だから貨車輸送するようにと言うておる。そしてまた、長官のほうもそのように言っておられるが、これは一日八百トンでしょう。呉線は、呉地区はよく知っておられると言うが、単線ですよ。しかも呉線の単線が海田市から広島に引き込んで、それからバックして八本松まで山陽本線を通っていかなければならぬ。そのときに、およそ専門家ならどのくらい輸送できるかは、そろばんをはじけばすぐ出ることなんです。私の同僚もたくさん国鉄におるから、そういう点を技術的に検討してみますと、一日百八十トンからせいぜいいって二百四十トンまでです。そうすると、八百トンと言っておりますから、あと六百トン近いものはどうするかという問題になる。八百トンというのは一番多いときなんだ、そう言われるかもわからぬ。けれども、それをそこに滞貨することになったら、これまたたいへんですよ。たとえば船舶、いわゆる軍用船とかそういうものは、豊後水道には小さい船しか入らないでしょう。これが一日二百トンくらいの輸送力であったらどうしますか。たとい五千トンにしても、二十五日かかる。こんな船舶の荷役は絶対あり得ない。一日でも早く出港しようという船舶なんです。そうすると、そこに黄播地区に滞貨することになると、住民は危険でたいへんなことになるのです。そうすると、好むと好まざるとにかかわらず、あなた方がどんなに弁解されても、トラック輸送にならざるを得ないのですよ。こういう点をどのようにお考えになりますか
  97. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ただいまお話しのように、米軍は八百トンを要求しておりまして、国鉄は現在り段階では日量二百四十トンぐらいだという話であります。ただ、折衝の経過を見ておりますと、国鉄のほうも輸送力を無理してやればもう少しできる可能性はあるのですが、いずれにしても、短期間なものですから、相当な増員とか、そのためによその配車計画を変更するようなことは、なかなか条件が渋いという状況であります。他方、米軍のほうも、日量八百トンというのはまだ打診の段階でございまして、ほんとうに最終的な日量が八百トンであるのかどうか、まだ若干時日を要して折衝してみる場があろうかと思っております。  われわれとしましては、この交渉の経過を見まして、また、米軍ももう少し日量を落としてもいいという結論になるかもしれない。あるいはもう少しゆっくり運んでもいいという結論が出るかもしれない。いろいろ持ち込む船も、そう大きな船にしないという方法もありましょうし、その点、日量だけで議論しても、現在の段階ではまだほんとうのところがつかめないという事情でございまして、これは若干日をかしてもらって、十分詰めた上で、最終的な判断をしたいというふうに考えております。
  98. 浜田光人

    ○浜田委員 施設長官の言われるのも苦しそうだけれども、私はそれよりか——大臣よく聞いておってくださいよ。昨日からの論議を見ても、一たん緩急あるとき、軍というものは弾薬なんかも必要なんです。平時ならほんとうは要らないのです。一たん緩急あるときこそ、弾薬というものは急を要して使うようになるのです。それは、たとえばアメリカが中共と戦争をするようになる、あるいはもっと日本に近いところでやって、いざ川上、八本松から弾薬を出すというときに、おもむろに国鉄と折衝して、貨車何両編成で持って来てくださいと言っても、これがいまの状態なのだが、そういう一たん緩急有事の際には、絶対にそういうことは考えられない。勢い文句なしにこれはトラック輸送です。そのときには、さっきも申し上げましたが、これはもう山陽道のこの二級国道というものは、今日でも飽和状態にあるのです。これはもう一番多い。ここいらは中小企業が山ほど進出してしまって、これからここの瀬野川地区には事故がしょっちゅう起きているところなのです。だから、当然アメリカは、おそらくそういう要求をするでしょうし、また、弾薬なんかの必要性というものは、防衛庁皆さんがよく知っておるとおりで、そんな性格のものなんです。それが貨車でここへ入ってきて、おもむろに海田市あるいは広島へ行く。実は、私が調査した範囲では、この広島の操車場でもどうにもならないから、この呉市の広駅からこう持っていって、第一回はこう入れるが、ここに入った次の貨車十両は、ここの五日市の操車場に持っていって、待っていてもらわなければどうにもならないというのが今日の状況である。そういう状態で、あなた方らが考えるように貨車で輸送して、八百トンからの一日のトン数のものを、どうにかなるという問題ではないのです。これは国鉄の技術屋に調べさせてごらんなさい、文句なくそう言うだろう。そういう状態で、皆さんが考えられておるような安易な考え方で、これが再開使用を許したならば、たいへんなことになるのです。どうしても再開使用させようとするならば、まずこういう問題から解決して、向こうが貨車輸送でと言ったって——事実上私の言うのが筋が通らないか、現実離れしているか、防衛庁の人は大臣にもよく話してあげてください。絶対間違いないから。そのときにどこを通るかというと、勢い二級国道です。この線は若干交通が緩和されているから、ここは県道で改良舗装されているわけですよ。これは私県会議員のときに軍にそれを言ったけれども、なかなか一文も出さないから、しかたがなく全部県がやった。やったら今度はここを通るかなと思った。ところが、ここを通るためには、ここはさっき言ったように密集地帯、市街地、商店街ですから、絶対この地域だけは通れっこない。通ろうとするととんでもないことになる。そうすると、それらを考えずして再開使用ということを政府がほんとうに許したら、住民の皆さんがどういうことをするか、暴動が起きるか、——私がさっき言ったように、今県議会をやっているが、もう四十何ぼという決議をしておる。また、おとといからここらの住民が、市長さんをはじめみんなで、東京へ陳情のお願いに来ておられる。こういう状態の中で軽はずみなことをしたら、第二の砂川か何か知らぬが、たいへんなことになる。私は原子爆弾を受けた広島市ですが、いままで比較的米軍にも協力的であったと思うのです。ところが、それがいわゆる安保体制前提になるところの友好を阻害するもとになっている。だから、そういう点、私はほかにもありますが、まずこういう筋の通らないことについて、いわゆる地位協定の二条の二項、三項に基づいて、防衛庁が正式に日米合同委員会等の議題にして、ほんとうに十何回となく自治体がお願いします、お願いします、と言ってきたことにこたえられたことがあるのかどうか。ただし四項に基づいては共同使用等でやっておられるわけでしょう。もし必要なら議事録も見せていただきたい。そういう点をひとつ答弁してください。
  99. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 広弾薬庫の返還につきましては、昭和三十四年の十一月に広島県知事並びに呉市長から、臨海工業地帯として必要であるから、全面返還をしてもらいたいという陳情が提出されたわけでございます。そこで、当庁といたしましては、さっそく施設特別委員会を通じまして米側に全面返還方を提案したわけでございますが、昭和三十五年の五月には、米側からどうしてもこの広弾薬庫は必要であるから返すわけにはいかない、代替施設を提供してもらうなら考慮する余地があるという回答がまいったわけでございます。それで米側といたしましては、代替施設といたしましては、広弾薬庫の裏側に小坪地区という地区がありまして、その小坪地区が日本政府において提供せられるならば返還する用意があるという回答がまいったわけでございますが、遺憾ながら小坪地区の皆さまがこの小坪地区提供について非常な反対をされまして、その案はついに実現しなかったわけでございます。ところが、昭和三十七年の三月に呉市長は、全面返還が困難ならば、せめて一部の地区でも返還してもらえないものだろうかということで、約四十三万平米の一部返還について要望が出てまいりました。これに対しまして、日本政府といたしましては、さっそくその地区の一部返還についての要求を施設特別委員会に申し入れたわけでございますが、昭和三十七年の九月に、この一部返還もやはり広弾薬庫の運営上支障が生ずるので、一部返還についての日本政府側の要望には応じられないということで、この問題もついに日の目を見ずに終わったわけでございます。さらに昭和三十九年の七月に、広島県知事及び呉市長は、全面返還もできない、一部返還もできない、そういうことならば、せめて港湾施設の一部の米側との共同使用ができないものだろうかという要請が当庁にまいったわけでございます。当庁は、その案につきまして、昭和四十年三月米側に対し強硬に共同使用について申し入れを行ないましたけれども、四十年の八月に至りまして、この共同使用も認めるわけにまいらないということで、この共同使用の申し入れについても残念ながら成功しておりません。ただ、昭和三十九年の六月に、広弾薬庫の近くにある東洋パルプが、貯木場として約二万八千平米の一時使用の要望がありまして、これを米側に要求いたしましたところ、昭和三十九年の九月に、その部分の一時使用が認められたというのがいままでの返還あるいは共同使用についての米側との折衝の経緯でございます。
  100. 浜田光人

    ○浜田委員 ただいま御説明いただいたのですが、私が調査し確認したところでは、そういう状況は、三十七年度はこの地区は発送が一両十五トンですよ。三十八年はゼロだ。一つも使っておらぬ。三十九年に二十一両で二百五十トン、一カ年間ですよ、大臣。四十年度が二両で二十トン、四十一年度はなしだ。こういう軍が使わない個所を、しかもさっき説明なさったように、県、市、住民こぞって、どうしてもあそこは返還してもらわなければどうにもならないと言うておる。これが真剣になって、いま地位協定四項に基づいて共同使用は初めて実っておるけれども、合同委員会等でほんとうに正式の議題としてやっておられるというような気がしない。しかも、さっき第一番に御説明なさった代替地の問題、代替地のときに、軍はどのくらい坪数があったらいいと言いましたか、質問いたします。
  101. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 小坪の代替地につきましては、当時図面によりまして米側といたしましては埋め立て地、相当の坪数、三千坪ないし五千坪必要であるという要求で、別途さらに周囲に保安地区といたしまして一万五千坪程度の土地が必要である。合計約二万坪の土地を要求した次第でございます。
  102. 浜田光人

    ○浜田委員 そこで大臣、いまお聞きのとおりですよ。かつて代替地のときには、いいですか、ここへ代替地をしたならば、いま言われたように実際集積する平たん地部は三千坪から五千坪で平たん地部になる。そして保安地区を含めて——山のことですね。それで一万かせいぜい二万だという。ところが、ここは十二万坪から十五万坪いま接収しているのですよ。筋が通らぬでしょう。軍がそういって代替地にしても、いずれにせよ、これから八本松へ輸送する中継基地だというのですからね、格納するというのではないのだから。ここでよその地区へ行ったら当然それはみんなきらいます。弾薬庫なんか扱うところは、どの行政区域へ行ってもきらうのですよ。私も県会議員のときに知事に対して、知事としては大所高所に立って、あなたも指摘しておるように、こういう大切なところは地域開発のためには早く返すよう、どこか調整しなさいと、ずいぶん言うたけれども、代替地はきらう。だから、ここに集約するか、ここの十三師団と併用するしかないのですよ。文句なしに返させなければならないけれども、どうしても使うならこの二つしかないのです。しかも三千坪か五千坪要ったら、この十二万坪か十五万坪のうちの南端のここに集約するようにどうして交渉されないのか。けっこうそれで間に合う。広いにこしたことばないでしょう。それはアメリカ側は潤沢に使ったほうがいいでしょう。それは向こうさんのことだ。日本政府としては、日本国民を守ってやるために、こういうことが放置されていいと思われますか、大臣。
  103. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の部下から聞いたところでは、小坪というところにかわりたい、また、米軍もそれでけっこうですと言った段階がございます。それから武器弾薬取り締まりというようなことを——私は警察という立場から長年やったものでございますが、浜田さんのおっしゃるとおり、遮蔽地というものは相当要るわけでございまして、もし小坪であるならば相当の山がある。山が自然に障壁になってくれまするから、もし事故があった等の場合には人命が保護できます。しかしながら、肝心の小坪のほうで歓迎しないというところから、これはしようがないのですが、小坪のほうで歓迎してくださるのでしたら、あなたのおっしゃるとおり、弾薬庫自身は、火薬庫自身は三千坪で済みましょうし、自然の形勢が山になっておるのですから、もし事故があっても完全にほかの方方は保護されるわけでございます。でございまするから、小坪等で一ぺんか米軍も同意し、けっこうですといって、それでそういう交渉をした段階があるのでありますが、いまのところはできていないことは残念でございます。結局、広のほうが十二万坪近くで非常に広いというのは、やはり何か事故が起きたときに広い場所がちょうど障壁になるわけでございます。でございますから、ある程度の爆発があっても、多少は、土手くらいはございましょうが、土手があっても、ある程度の空地があることは、広のわれわれの大切なる国民を守るゆえんでございまして、十二万坪を広過ぎるなんということをおっしゃると、これは語弊が生じやせぬか。やはり広の市民は日本国民でございまして、大切な国民でございます。これを守る上からいっても、一方は十二万坪、もし一方に移った場合には、お説のとおり一万数千坪で済む、こういうわけでございまして、私は広は知っておりまするが、広の代替地のほうはまだ知っておりません。地図の上から知っておるわけではございません。私は広というところは昔参りまして、呉と一体となって開発、発展さるべき重要な土地であるということは存じあげております。でございますから、広並びに代替地の方々すべて国民でございまして、大切である、危険なことがあってはならない、重要に考えておるというのが長官の考えでございます。
  104. 浜田光人

    ○浜田委員 とんでもないことで、さっきお話になった小坪の代替地の保安の山と、現在接収しておる山の高さはどちらが高いでしょう。あなたは局長でおられたのだから知っているでしょう。
  105. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 わかっておりますことは、小坪の地区につきましては、ぐるっと山が取り囲んでおるということで、広の場合と多少相違がございます。
  106. 浜田光人

    ○浜田委員 だから、保安上からいきまして、この地区のこの山のほうがおそらく一・五倍くらいですよ。したがって、この南端に持ってくることは、保安上からいっても一番その目的を達するのですよ。せっかく軍が三千坪か五千坪という言質を与えてくれるのに、これをなぜそれにくっついて集約せぬのか。反対は位置が違うのです。同じ十二万坪、十五万坪のところへ、その周囲を集約するのだからだれも反対する者はおりはせぬですよ、筋が通るだろう。だから、保安上から見ても、大臣がさっき実情がわからぬというのは無理がないと思うけれども、そういう言質を与えてくれて、そのときにこそずっとくらいつくべきですよ、そして住民にこたえる、これが政府の仕事だと思うのだ。したがって、時間がございませんから、あと五分あまりしかありませんから、ここの位置にせめて三千から五千と言っているのですから、三千くらいに集約すればいいと思うのですが、まあ譲って五千坪から一万坪に集約しても、この南端でけっこうです。それはちょうど山の高さからいい、かつての代替地よりか高いところです。ただ米軍がぜいたくなんですよ。広ければ文句なし、より使いやすい、これでは日本国民はたまらぬでしょう。せっかく三千坪、五千坪といったらそれは言質ですから、当然そのくらいの坪数に集約さすのはあたりまえですから、これらを含めてさっき大臣に答弁いただいて、大臣もみずから日米合同委員会に出て発言してやってやる、こう言われたので非常に感謝いたしますが、ほんとうにこういう問題も含めて日米合同委員会で勇敢に折衝してもらわぬと、実はとんでもない騒動が起こりますから、その点で最後にこういう点をどういうふうにお考えになっておりますか、ほんとうに真剣になってやっていただけるかどうか。
  107. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は広の十二万坪というものは、必ずしも米軍としては広過ぎるとは思っておりません。一たん事故があった場合には、やはり相当の障壁もありましょうが、その弾薬庫の近所の場所が広くて喜んでおるということはちょっとないのじゃないかと思います。やはり広の民衆はわが大切なる一億国民の重要構成部分でございますから、できれば広をやめてもらいまして小坪のほうに移ればよろしい、こういうことをいまでも小坪の方がおっしゃるならば私は交渉を継続します。そうして、ほんとうは弾薬庫自身は三千坪でよろしくて、障壁のほうがかかるのですから、その障壁が自然の障壁になって、鵯越みたいになっているのでしたら、けっこうな話でありますから、大体あそこは山岳地帯で、私もよく知っております。三方が山に囲まれておるということは火薬庫としては理想的なんです。しかも、自然の山なら一番けっこうなんでございますから、浜田さんのおっしゃるとおり、一万数千坪を障壁として供与する、それから弾薬庫自身も三、四千坪供与する、広のお隣の小坪の方が同意してくれるなら——これはほんとうでございますね、ほんとうにそういうことでございましたら、日米合同委員会を構成しておるものは施設長官以下でございますが、私は喜んで駐留軍の司令官等とも会いますし、なるべく民衆に迷惑をかけない形において火薬庫が存在しておるということが理想的な形でございますから、これは交渉を継続するつもりでございます。
  108. 浜田光人

    ○浜田委員 いやいや、それは小坪の代替地のことを言っておるのじゃないのですよ。あの十二万坪の小坪の代替地のときに、平たん地は三千坪か四千坪、これはあなた大臣でないときに大蔵省へ要求されたんだから。そこで、そういう坪数だけこちらへ集約して残りを返還させる、こういう点をあなたがさっきも言われたが、やられる意思がございますか。ぜひやることが私は義務だと思っておるが、どうですか、こうお聞きしておるのです。
  109. 増田甲子七

    増田国務大臣 お説は、私もわかっておって答弁申し上げておるのですが、十二万坪というものは、火薬庫としては広過ぎるというものではございません、ことに平たん地である場合は。しかしながら、広の発展に非常にじゃまになっておるということも広の方々の痛切なお訴えでございますから、私は機会あるごとに広の弾薬集積地を狭めるように、お説に従いまして交渉いたしますことをこの際言明しておきます。
  110. 浜田光人

    ○浜田委員 ではさっきも申し上げましたように、特に私たちの先輩のかつての清瀬議長の葬儀でもございますし、私は時間一、二分前でぴしゃっとやめまして、あと問題を残しますが、最後に、さっき言ったいろいろな問題がありますが、特に最悪の場合、道路を通るときには弾薬というものはどういう性格のものかよく御承知ですから、そのとき当然全面返還してもらう、貨車輸送だが、これはもうさっき言ったようなぼくの見解で納得いかれたと思うので、そういうときにはまず使用再開よりか、そういう問題をどうするかという方向づけをどうするか、まずそれをやっていかなければかかられないと思いますが、そういうことについて前向きでやる御意思があるのか、その点だけ大臣から……。
  111. 増田甲子七

    増田国務大臣 浜田委員が県会議員当時から長年にわたってこの問題に取り組まれて努力されておるという点については、私は敬意を表します。  そこで、貨車といたしまして一日二百四十トンしか運べないということは私はよくわからないのですが、鉄道当局が言っておることであれば、それもございましょう。しかしながら、この台数のほうの編成はいろいろ関係がございまして、具体的には申し上げかねますが、一列車で貨車を平たん地で運び得るとするならば、三十六両で二十トンというのが常識となっております。すなわち七百二十トンまで、単線でございましても運べるわけでございまするから、国鉄の関係からもできるだけ奮発してもらいまして、なるべく道路にたよらないということにさせてもらいたいと思っております。  しかしながら、どうしても道路にたよらなければならぬという場合には、あなたが県会議員当時苦労してつくられました県道もあるわけでございまして、その県道を利用さしていただくことになりますが、しかし、その県道に達する場合、広の市街地を通るということは大問題でございます。これは広の市民の生命、身体、財産を守る上からいって大問題でございまするから、バイパスをつくる、そうして市街地に関係のないところからあなたのおつくりになりました県道に連絡するということで、前向きに解決してまいりたいということをこの際言明して、広の市民の方々に浜田議員からお伝えを願いたい、こう考えておる次第でございます。
  112. 關谷勝利

    關谷委員長 午後三時から再会することとし、この際休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後三時十八分開議
  113. 關谷勝利

    關谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。米内山義一郎君。
  114. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私は、この質問をするにあたりまして、増田さんに防衛問題を中心とした国民に対する対話を求めたいと思います。  きのう質問にお答えになった増田さんの御答弁の中に、日本のいまの高度成長は、膨大な原料を輸入しなければならぬし、たくさんの工業生産物を輸出していく、そのためには長大な海路を船で運んでいく、その安全はアメリカ海軍力の保護のもとにある、このいうふうなお話をちょっと聞いたような気がします。詳しいことは速記録をあとで読んでみないとわかりませんが、もし私の聞き違いの場合は訂正申し上げます。こうなりますと、私ら子供のとき、小学校のときに、林子平という人のことを先生から聞いたのですが、日本は島国だ、これから大いに国を発展させるためには、何としても海を中心国防が必要だということを聞いた記憶があります。これにやや近いような感じがしてならなかった。一体、防衛問題というのは軍事問題です。防衛能力を高めようというのは軍事力を高めようということなんでして、これは使いようによっては国の経済、政治の形態もそのために変わることもあり得る。民族の運命にかかわることですから、いいかげんなことで国民をだましながら防衛力を強化しようなんということは、大きな間違いだと思うのです。  そこで、私は、ここで増田さんからお聞きしたいことは、いま戦争中じゃないのです。これから世界の情勢が険しくなったときそうなるかもしれないというのかもしれませんが、現に日本の高度成長というものは、出発して十年このかた、われわれから見ると、日本の商船が北極へ行こうが、南極へ行こうが、地中海を通ろうが、アメリカの軍事力が保護しなければ日本の通商貿易が安全でないというのは、どうも考えられません。これは増田さんの説であるのか、だれかの説であるのかを、まず最初にお聞きしておきたいと思います。
  115. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が大出さんに対する御答弁の中に申し上げたことばだと思います。そこで、私どもは子供のときからそういうことを聞いておるということも私はつけ加えました。すなわち、貿易が盛んなときは旗のもとである。旗と貿易とは相互連関がある。その旗というのは大体軍艦旗でございます。  そこで、いまの日本は海上自衛隊が護衛艦約四十隻あるだけでございまして、海上のトレードルートを——これは原文のまま申し上げますことをお許し願いたいと思います。トレードルートがセブンスフリートとかシックススフリート、つまり日米安保条約の関係日本のカーゴボートでもタンカーでも、外国の領海に入らない前は日本の領域でございます。公海の上は日本の領域でございます。日本の船自身が日本の領域なんです、日本の国籍を持っておる船でございますから。そういうようなトレード、貿易というものの道は、USネービーが守っておるということを、日本人のうちで知らない人もあるという文献を見たのでございます。その文献を見て私は実はびっくりしたようなわけでございますが、なるほどそういうものがあるということを感じました。と申しますのは、いまでも海賊も相当あるわけでございます。ことに何々列島なんというところの近所は、海賊が出没するということで有名な列島もあるわけでございますから、そういうわけで日米安保体制のもとにおいて、アメリカのフリートが、日本——間接でございまして、コンボイではございません。護衛船団をつくっておるわけではございません。戦時中ではございません。そういうもとにおいて間接に貿易ルートが保護されておるということで、出入りほぼ二百億ドルに対する貿易も伸展しておるのであるということを、この際この席をお借りいたしまして、国民の皆様にわかっていただきたいということを申し上げた事実はあるのでございます。
  116. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いまの増田さんの御答弁、私実はわからぬのです。というのは、私、日本人でしてね。しかも、昔の中学三年しかいっておりませんから、英語は知らないんです。アメリカことばを使わないで、日本の子供にもわかるようにひとつ御答弁願いたいと思います。日本の子供にもわかるように、これは大事だということは、きょうも仲よく兄ちゃんと学校へ行けるのは兵隊さんのおかげだという唱歌もあったのですが、このことは実に子供の将来の運命にもかかわることです。たとえ兵器やそういうものがアメリカからいただいたものかもしれないが、日本防衛というものは、日本人が日本人のことばを使いながら納得できるものでなければならない。ここに問題がある。  そこで、きのうもシビリアンコントロールなどということを言っておりましたけれども、一体それはほんとうに安全弁になるのですか。制服を着たものと洋服を着たものとの違いは一体どこにあるか。そこで、私はお聞きしたいが、制服組というのは明らかに職業軍人で、技術者としての軍事専門家であるかもしれない。ここにいらっしゃる方々はそういう意味でないかもしれないが、軍事専門家だと思います。私はしろうとです。そこで長官は、そういう意味での軍事専門家と私が理解しながらお聞きしてもいいのですか。
  117. 増田甲子七

    増田国務大臣 いろいろの御質問がございましたが、シビリアンコントロールということばを使ってはいけないとおっしゃいましたけれども、これは社会党の議員も民社党の議員も公明党の議員も盛んに使っていらっしゃるのです。つまり文官がコントロールする、統制をする、つまり文官というのは、これはほんとうは民間人といったほうがいいかもしれないが、シビリアンという字はいろいろあります。文官もありましょうし、お互い国会議員政治家もこれはシビリアンでございましょう。とにかくそのシビリアンです。一方のほうは制服組といっております。要するに、制服を着ておる自衛官を指揮監督する。その行政面においての最高の指揮官は内閣総理大臣というせびろを着た人である。その上官のもとにおいて隊務全体を統轄するのは増田甲子七というせびろを着ておる文民でございます。それから、制服を着ておる統合幕僚会議議長並びに陸上、海上、航空自衛隊の幕僚長を私が指揮監督して、そうして右向け右、左向け左、とまでは言いませんけれども、東北へ行けとか、あるいは近畿のほうへ行けとかというのは私が命令を下す。もし命令を下さずに彼らが動けば、これはたいへんな法律違反になるわけでございます。それがいわゆる文民統制でございますから、やはりシビリアンコントロールくらいなことばをお互い使うことをお許し願いたいと思うのです。と申しますのは、われわれの術語がまだ熟しないのでございまして、たとえばDDTに似たようなDDSなどというのもございます。これはデストロイヤー・デストロイヤーなんとかという、何だかわけのわからないようなことで私もだいぶ苦しみましたが、いまの段階は、私は防衛庁長官になってから七カ月でございます。それから、前に安全保障問題調査会の委員として約三年ばかり働きましたから、その範囲で多少の知識を持っておる。大出さんもきのう、きょうお聞きしておりますと、なかなか勉強家でございまして、かなわない部面がたくさんございますし、石橋政嗣さんなんかも非常に勉強していらっしゃいますし、社会党にも相当研究家がおる。だから私が職人という立場において聞いてよろしいかと言われても、どうもそういう職人といったような、軍事専門家といったようなところまでは困るのでございまして、せびろが制服自衛官というものを指揮、監督するという立場であるということで万事お聞きを願いたいと思っております。  それから、トレードルートということを言ってはぐあいが悪いということでございますが、私の読んだ文献から拝借したわけでございますから、貿易路でございます。地中海あるいはインド洋あるいは太平洋あるいは大西洋における日本の貿易路が安全に守られてあるのは、実は安保条約において——平時でございます、戦時ではありません。この平時において、間接にアメリカの艦隊がおるということが、この七つの海における自由なる貿易を発展させておるゆえんであるということは、私の常識であり、信念であります。
  118. 米内山義一郎

    ○米内山委員 実は私、最初にお願いしたのは、わが党の大出さんや石橋さんあたりに対しては、与野党のやりとりのときには、シビリアンコントロールもまあ国会では通常語でしょうが、ここの話のやりとりで、国民との対話をお願いするというのですから、その点であまり過度に国民のわからない専門語を使わないでひとつお願いしたい。  そこで、シビリアンコントロールなんというむずかしいことばを使っているそのきき目は、昔の東條さんが総理大臣をやり、陸軍大臣をやったような危険な状態にならないようにする安全弁だという理解を持たせようとしたり、国民はまたそこに何かちょっと安心感があるような気持ちがしているのですが、シビリアンコントロールというのはそういう考え方ですか。
  119. 増田甲子七

    増田国務大臣 大体において米内山さんのおっしゃることと私の考えとは同じでございまして、たとえを申してはなんでございまするが、外国の国防大臣なんというものは相当シビリアンがやっております。  それから——まあそのくらいにしておきます。
  120. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それでは、近衛さんが、あの人はシビリアンだったと思います。なくなった近衛、戦争をやった人、暴支膺懲とかなんとかということを言った総理大臣がありましたね。かりに近衛公爵、シビリアンが総理大臣をやっても、これは安心がいかないものだということがある。しかもあのときのあやまちというものは、実に日本の軍国主義者が侵略した、相手にも一千万という人命をそこなわせ、わが国民もこのためたいへんな犠牲を払ったことは事実です。だから国民は、口先だけでの安全弁、シビリアンコントロールというものには安心ができないと思うのです。とにかく、シビリアンがやっても、ものの見方を誤ると、軍事論というものはたいへんです。あのときだって、蒋介石政権相手にせずというようなことから戦争が拡大をして、ああいう結果を来たしたのですが、軍事というものは政治と切り離されていないでしょう。そうして、その際に一番誤ったのは、中国というものに対する見そこないが、常に日本の大失敗のもとであり、相手を苦しめ、みずからが反省しなければならない結果を生んだ。これは何も太平洋戦争のいきさつだけじゃなく、明治以来一貫して日本のシビリアンというのが中国見そこないからえらい失敗をして、国民を犠牲にしておるのですが、防衛と言っても何と言ってもいいが、そこを一番重要視しないと、口で何と言っても結果はたいへんなことになると思うのです。おおよそ仮想敵国とかなんとかと言わずに、新しいことばを使うことに増田さんは部下ども命令したそうですが、しかし、いずれにしても、わが国の軍事能力というものは、いわゆる日米安全保障条約下にあり、アメリカの軍事力のかさの中で、自分自体の自由な行動はできない状態です。そうすると、結局アメリカの指向する方向に日本防衛というものは進まざるを得ないのじゃないかと思うのです。(「そんなことはないよ。」と呼ぶ者あり)そうでなければそうでなく言ってもいいが、そこでわれわれが一番心配しているのは、日本の一番近い近所に容易ならざる事態があると思う。朝鮮の南と北の境における軍事的なといいますか、そういう一つの小規模な衝突が近ごろ非常に頻度が激しくなっておるということを聞いているのです。防衛庁としてはこういうことについてどの程度知っておられるのか。どの程度対策を考え、心配しておられるのかをまずお聞きしてみたいと思うのです。
  121. 増田甲子七

    増田国務大臣 米内山さんの御質問は大体において三つあると思います。近衛さんの問題と、それから相手方を見そこなってはいけないということと、それから、日米安保条約の関係で、好むと好まざるとにかかわらず、米国の指向する方向に日本は動かされておる。したがって、三十八度線付近の問題は非常に気になるが、どう考えておるか。  そこで、まず近衛さんの問題から申し上げまするが、近衛さんは相当えらい人ではございますが、当時の憲法、帝国憲法でございます。十一条というものがございまして、帷幄上奏、統帥権というものがございます。もちろん天皇陛下が統帥権と国政と両方持っていらっしゃいますけれども、近衛さんは国政のほうだけしか発言できないという、いわば明治政府はかたわの政府でございまして、でございまするから、近衛さんが幾ら中国を相手とせずとかなんとか言ったって問題にならぬ。(米内山委員昭和だ」と呼ぶ)昭和でも二十二年の五月二日までは帝国憲法が支配しておったわけでございまして、昭和二十二年五月三日以後は日本国憲法が支配しておるわけでございます。  そこで、日本国憲法のもとにおける自衛隊法といたしましては、天皇は国事を行なうだけでございます。憲法一条から八条まで書いてあるだけでございまして、内閣の助言と承認において行なう、いわば全責任は政府にあるわけでございます。そこで、自衛隊の平素の行動は、最高指揮司令官並びに軍政の——昔のことばで申します。いまは防衛行政事務と言ったほうがいいですか、そういう方面は両方とも内閣総理大臣がこれを握っておりまするから、近衛さんも公爵でえらいかもしれませんが、佐藤榮作内閣総理大臣のほうがはるかに権限がある。また、皆さまに対して義務を背負っておる。でございまするから、めったなことはございませんから、佐藤さんが何か声明されればそれは安心してもよろしい。近衛さんが幾ら中国を相手とせずと言ったって、これはどうも信用しにくかったのは、いわゆる帷幄上奏のほうで、かってなことをやらかすからなんです。今度はそういう憲法ではございませんから、旧帝国憲法時代の御質問は御容赦願いたいと思います。  それから、その次に相手を見そこなうとたいへんなことになるということは同感でございます。われわれはすべて周辺諸国のみならず、世界全体のどこの国、ここの国というようなことの調査を一生懸命——日本国も独立権国家としては当然の権利と義務があると思っておりまするから、英国がどれくらいのGNPがあるか、中国がどれくらいのGNPがあるかということは、個人の趣味といたしましても、最近この四、五年間中国のGNPを計算しておりましたが、大体において中国は人口は七億ございまするが、日本の半分しか国力はございません。しかしながら、われわれは好戦国民ではございませんから、相手を見そこなって、相手が小さいと思ったからどうするなんということは絶対にないのでございます。われわれはもうミリタリストでも何でもない、膨張主義者でもない。このことはもう憲法が厳粛に宣言しておりまするし、われわれは憲法に従ってお互いに立法府も行政府も司法府も動いておるものである、こういうことでございまするが、ただ、あなたのおっしゃったうちで、相手方を見そこなってはいけないということばは、教訓として承っておきます。  それから第三に、日米安保条約の関係で、日本自衛隊は、好むと好まざるとにかかわらず、米国の指向する方向に制約されるのだということはございません。たとえば、安保条約の第五条によりまして、日本の施政下における、領域における米軍のベースあるいは施設等に対しまして、あるいは日本の本土等に対しまして、武力行使が行なわれたる場合に、共同しておのおのの憲法の規定に従って防衛行動に出る。これが日米安保条約の第五条第一項の精神でございまして、これ以外にかれこれ言われることはいまや全然ございません。  それから、昨年まではアメリカ日本に援助物資として武器を援助してくれたこともございます。これはMAPといいまして——これもしかられるかもしれませんが、普通MAPと言っておりますから。MAPというものはもうなくなったわけでございます。したがいまして、MAPがある間は、くれてやった武器はこういうふうに使ってくれというようなことは、事実問題としては文句はあるかもしれませんが、もうMAPはありません。まだFMSがある。向こうの政府から市価よりは安く買うという武器が第三次防には約三百億ばかりございます。しかし、これはいずれ金をわれわれは払うわけでございます。ただでもらうわけではないのですから、幾分安いというだけのことでございまして、われわれの行動に対しまして、かれこれ言うということはありませんから、好むと好まざるにかかわらず、日米安保条約がある以上は、米国の指向する線に制約されるのであるという意見は、あなたの御独断ではないかと私は考える次第でございます。  それから、最後に朝鮮関係の、三十八度線の近所に事件が頻発しておる。これは心配にたえないが、防衛庁自衛隊はどう考えておるかということでありますが、私もひとしく心配いたしております。ただ、あそこにはいまでも国連軍がおるわけでございまして、国連軍と韓国軍とが南のほうにはおります。北のほうには北鮮軍がおりますが、小ぜり合いは多少ございましょうとも、休戦協定を守っていくであろう。両方とも良識ある権威であり、国家でございまするから、多少の小ぜり合いはあろうとも、重大なることにはならないというのが、われわれ防衛庁としての良識ある見方でございます。
  122. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私は、いまの質問ではことさらに議論は避けます。ただ聞きたいところだけ聞きますから、どうぞ。  最近軍部の、と言えば将来のことだが、いまの軍部じゃない、軍の子供の制服を着た人と、いわゆる洋服を着た人との間にたいへんな不信感があるということをぼくは聞いております。それはシビリアンの制服に対する不信ではなく、鉄砲を持つほうの側がネクタイ側に重大な不信を持っておるという話を聞いておりますし、事実も知っておりますが、その頭目、かしらである増田さんは何か知っておることがあるか。あなたがシビリアンと外国語を使ったから、ぼくは満州で使ったことばを使ったって、これはあいこですからね。  それからもう一つは、軍事というもの、これは孫子のことばを引用するまでもなく、おのれを知り敵を知るということがまず第一だ。日本自衛隊の現在の防衛能力といいますか、軍事能力というものは、いまの段階でどの程度の力量があるか。世界の中心国、先進諸国と比べて現状はどの程度の能力があるのか。これはひとつおのれを知るためにお聞きしたい。それから、敵を知るために、参考のためですが、中国の軍事力というものの度合いをどの程度に御認識になっておるか、お聞きしたい。人口は七倍であるが、経済力は半分だと言われましたが、中国の持っておる現在の軍事能力というものは、これは敵でないかもしれないが、どの程度に御理解なさっておるか、お聞きしたい。
  123. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず軍部の卵なんていうことばはあまりよくないと思うのです。幾ら日本語でも、これはやはり御修正になったほうがいいと思う。満州で使われたかもしれませんが、軍部などということばは、私どもは耳にくるとすぐいやな感じがしますから、これはぜひお互いが取り消したいと思います。しかしながら、米内山さんが使われるのも無理はないのでございまして、と申しますのは、自衛隊にふさわしいような日本の用語がすべて完成されていないのです。自衛隊という用語が日本語にございませんから、ときどき、たとえば軍部の卵というおっしゃり方をするかもしれません。私のほうでもたまには、たとえば防衛計画というところを作戦計画なんていうように間違って言うこともありますが、そういうときには英語でオペレーションと言うと一番いい。オペレーションということば、電話の交換手というものと同じですから、これが一番いいのですけれど、これはときどきは出ましても、なるべく慎みたい、こう考えております。  それから、孫子の兵法とか呉子の兵法というのはあまり私どもは好きではないのです。これも、しかし制服のほうではおそらく研究しておるでしょう。昔からの兵学の研究をしたり、いろいろしておりますからなんでございますが、私は近隣諸国という意味において中国の兵力、これは軍力と言っていいでしょう、向こうは軍備を持っておるのですから。兵力はどの程度あるかということは防衛局長から補足説明させますが、ただいまのところは陸上兵力は二百二十五万、海上兵力は二十万トン、航空機は二千機内外。それから、それにプラスアルファーで、まだ兵器になるかどうかわかりませんが、原爆をずっと開発しておりまするし、第六回目には小規模ながら水爆を実験しただろうということは識者がみんな認めておる次第でございます。
  124. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 世界各国の軍備、つまり兵力におきまして、わが国が占めます地位、これは具体的にどれだけの力を持っておるかということを、数字的に申し上げることは非常にむずかしいわけでございますが、一応これを陸海空、それぞれ陸軍につきましては兵力、海軍につきましては艦艇のトン数、空軍につきましては航空機の数、こういう点で比較してみますと、陸軍の兵員数におきましては二十四位でございます。海軍の艦艇トン数及び空軍の航空機の数におきましてはそれぞれ十一位というのが統計上出ておるわけでございます。  さらに、中共の軍事力でございますが、これはただいま長官から概略御説明申し上げましたけれども、陸軍につきましては約百十五個師団二百二十五万人、海軍につきましては約九百隻、この中に潜水艦約三十隻を含むわけでございますが、約二十万トン、海兵隊が約二万八千名、空軍の航空機は約二千三百機でございまして、ほかに海軍の航空機が約五百機あるということがいろんな資料からわれわれ承知いたしておるわけでございます。  これに比べまして、わが国の自衛力は、陸上自衛隊におきまして現在兵員が十七万一千五百、海上自衛隊の艦艇が約十一万六千トン、航空自衛隊の航空機が千機そこそこということでございますので、数量的に比較いたしますと、おのずからそこにかなりの差が生じてまいります。なお、中共は、在来型の兵器、通常兵器の面におきます兵備の近代化ということには、着々努力をいたしておりまするし、何よりも核の開発、核の装備ということに非常に力を入れておるわけでございまして、先般の第六回の核実験も、すでに水爆の実験に到達しておるというふうにいわれるわけでございますし、これが航空機に搭載いたします原子爆弾なり、あるいはミサイルの弾頭なりというふうな形で今後装備化されてまいりますと、これはわが国の防衛上も決して無視できない大きな力を発揮するというふうに考えておるわけでございます。
  125. 米内山義一郎

    ○米内山委員 増田さんは私の質問の重大なのを一つ聞き落としたのか、御答弁が漏れていますが、いわゆる洋服組に対して制服組が重大な不信感を持っている事実があるが、長官としての増田さんは何か気がついていることはないかということが一つ。それからもう一つは、中共の軍事力につきまして、いわゆる民兵というもの、民兵の果たす役割り、その量と質と申しますか、日常の武を練っているというような状態についてはどの程度の御理解、認識があるか、それが一つ。増田さんにはさっきのことをひとつ……。
  126. 増田甲子七

    増田国務大臣 制服自衛官が私服自衛官に対して不信感を持っているかどうか、そういうことを自分は聞き及んでおるということを米内山さんがおっしゃっておりまするが、私はあまり聞き及んでおりません。ただ、シビリアンコントロールといえば、私の部下の局長や課長が制服組をコントロールすることではないのでございまして、私が幕僚長以下の制服組をコントロールするということでございます。私がコントロールする際に、ここに控えておりまする部局長等が私を補助する、こういうわけでございます。そのことが明確になるにつれて、だんだんと制服組も認識があると同時に、やっぱり理解が深まってくるんじゃないかと私は考えております。それから、制服組は今日まで——私が防衛庁長官になりまして、実はこれも驚いたのでございますが、市ケ谷に殉難者の碑というのがございまして、自衛隊ができて以来今日まで、八百名の殉難者がございます。これは、平時において八百名の殉難者があるわけでございまして、いかに命をかけて、一たん事があるときに、国を守り、一億の皆さまが安らかに生活ができるようにしておるかという、犠牲を相当払っておるのでございまして、これに対する御理解が——制服組の筆頭、お互いの背広の筆頭である国会議員の各位において御理解があれば、制服組のほうもさぞ喜ぶであろうと私は考えます。
  127. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいまの二百二十五万という正規軍のほかに、いわゆる公安部と称せられておりますものが約二十五万ございます。それ以外に、御承知のとおりに、中共の軍事思想というのは、いわゆる人民戦争理論というのでございまして、相手方が攻め込んできた場合には、人を中心として、人によって相手方を包囲してこれをせん滅するというふうな軍事思想があるわけでございます。ただいま御指摘の民兵というのは、具体的にどのくらいの数になるのか、相当膨大な数だと思いますが、正確に申し上げられませんが、正規軍のほかにそういう組織を持っております。これがいろいろいわゆる陸上におきます訓練をやっておるというふうに承知をいたしております。
  128. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その不信感の問題ですが、これは増田さんは、甘い目で見ているから記憶がなくなったと思われる。あなたの前任の元帥が、自衛隊の軍楽隊を連れて、自分の選挙区を約一週間楽隊をつけながら回った。これは制服組だけじゃなくて、全国民がひんしゅくしている。こういう人たちが、特に内部の部下の諸君がどんなに肩身の狭い思いをしておるか知れぬです。こういうことでは、何ぼいい鉄砲を持たせたって、いい飛行機を持たせたって、士気というものは高揚できない。まるで焼け石に水というか、さいの川原の石積みみたいなもので、それはシビリアンコントロールというものの重大な欠点であり、そうしてシビリアンコントロールを崩壊に導く重大な問題だと思う。これはひとつ心していただきたい。  それから、ソ連にまで、銭をくれて軍事スパイを出すくらいなら、敵視はしていないが、対象国にしていないかもしらないけれども、もっと中国の軍事能力というものは、新聞記者の諸君もいまでは行って見ていますし、もっと詳しく積算して、国会答弁では、調べなければわからぬということでなく、率直に答えられるようにしたほうがいいと思う。それは、何も政府が野党に答えるんじゃなく、責任者が国民に納得を得るためには私は重大な措置だと思う。そこで、いまのような変な大臣が、シビリアンコントロールだからといって胸をたたいたって、これはだめだ。  もう一つ聞きたいのは、アラブの中近東の戦争で、なぜナセルを中心としたあの軍隊がべらぼうに、想象以上に弱くて、イスラエルのほうはなぜああ強かったか、その根拠は那辺にあるとお考えになっているか、ひとつお聞きしたい。
  129. 増田甲子七

    増田国務大臣 米内山さんに、これは個人としてならお答えいたしますが、私も、中近東方面までは、国防大臣じゃございませんから、あまりよくわからないのでございます。
  130. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それは答えづらいことだと思いますが、要すれば武器だけそろえても戦争にならぬということなんです。国内にこういうふうに——あなた方、高度成長、高度成長と言うけれども、経済が成長すると、その反面に必ず矛盾というものが拡大してくる。その矛盾をそのままにしながら、国を守ろうなんといったって、これはなかなかむずかしかろう。一番いい例はベトナムの戦争じゃないですか。いわゆる正義でない戦争というものは、何百倍の武器を持ったって勝てないじゃないか。負けないかもしれないが、勝てないじゃないか。はだし、サンダルのあのベトコンの解放戦線の強さというものをあなた方も見直して、精神教育の種ぐらいにしたほうが、鉄砲の節約と金の節約にもなると思う。こういうことを軽視しながら、防衛防衛といって、たいへんなものです。私は農民代表という気持ちだ。国会へ出てきたのも、政治がよくならなければ農業はよくならないということを考えて、ぼくは出てきたつもりなんです。ところが、十数年の間の日本予算を見ますと、農林関係予算防衛関係予算は、その比率においてはちょうどはねつるべのようになっています。これは増田さんも御存じでしょう。総額じゃなく、予算の中における比率と申しますか、食糧増産のときは農林関係予算がこうだった。そのときは警察予備隊から自衛隊になりかけたときで、防衛予算はこうだったが、だんだんに防衛予算がふえた。直接関係ではないかもしれないが、そういう関係もあるし、したがって、鉄砲買うにも、なるたけ安い鉄砲で、きき目のある鉄砲をじょうずに撃てるようでないとだめでしょう。そこで、今度のこれからの第三次防というものは、膨大に金のかかる防衛階段へ入るわけですが、これはとにかく聞いておきたいのは、何といいますか、はり、きゅう師、漢方医みたいな兵器が、国産化されるか輸入になるか知りませんが——農産物においては、いま国内の高いものよりも外国から安いほうを買ったほうがいいというのが、政府の意見であり、政策なんです。そのための自由化なんです。武器だけは、高くても国内でつくりたい。全くここの面でも、農業面と防衛面のつるべの関係がある。このために国民には犠牲が伴っている。ところが、こういうものを国内生産することによって、三菱重工であるか、何製作所か知らないが、こういうものだけはべらぼうにもうけるということであれば、これはなかなか防衛も渋くなると思うのですが、防衛庁として、今後の兵器生産について、こういう独占資本の兵器生産による不当な利益を抑圧するという考えを持ってやっていますか。
  131. 増田甲子七

    増田国務大臣 ナセルのほうは大負けに負けたが、ベトナム紛争は、アメリカもあまり勝っていないのは、正義の戦争であることがきわめて明瞭に証明されたとおっしゃいますと、私も別段方々の国の国防大臣じゃございませんけれども、そうすると、イスラエルが非常によくて、ちょっとやはりブレジネフやコスイギンのほうでつむじを曲げるようなことになりゃしませんでしょうか。これは私個人としてあなたにお聞きしておきます。一方は圧倒的に勝ったのですから、これはやはり正義は大勝利だということになりますから……。ベトナムはいわゆる制限戦争でございますので、あれをやっちゃいかぬ、これをやっちゃいかぬというようなことになりますし、また同胞同士のことでございますし、いろいろな関係もあると思いますが、私は、防衛関係からは、ただ見ておるだけのことでございまして、答弁いたしかねますが、あと、米内山さんの御質問のことに対しましては、私は、正義であるか不正義であるかということに対しましては、総理大臣か外務大臣の答える点をふえんいたします。すなわち一九六二年からICC、国際監視団が報告するところによりますと、北ベトナムの正規軍が南ベトナムの十七度線の南へ侵入して、侵略してきておる。その侵略に対する反撃をしたかったけれども、なかなか反撃ができなくて、一九六五年すなわち一昨年の二月に反撃としての北爆が始まったのである。普通透、浸透といっていますが、どうも吸い取り紙にインキがしみるようなあんばいで、よくわかりませんが、明瞭に言えば、侵略ということばをICCは使っております。アグレッションということばを使っておりますが、そういう侵略を正規軍がやったのだ。これはゲリラなんかだったら浸透かもしれませんが、正規軍だから、これは明瞭に侵略でございまして、その侵略に対する、動に対する反動としての、正当防衛として北爆が始まった。しかしながら、なかなか膠着状態になっている関係のことはどうもよくわかりませんが、私どものほうの大使館員も行っておりますけれども、目下研究中でございまして答弁能力は乏しいということを申し上げておきます。  それから、安くていい鉄砲を買えというお話でございますが、私どももできれば安くていい鉄砲を買いたいと思っております。その他、あなたのおっしゃることは、鉄砲に限らず、すべての武器に適用することだと思っております。そういうふうに受け取りまして、御教訓を体してまいりたいと思います。  それから、三菱重工業その他特定の軍需産業だけをもうけさせてはいけないというお説も、ごもっともでございまして、承っておきます。いやしくも武器をつくるのでございますから、りっぱな正確な武器をつくる。それで、その武器によってもうけるなんということは、とんでもない話であるというふうに私は考えております。私の個人的な人生観かもしれませんが、きびしく正しい態度で臨んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  132. 米内山義一郎

    ○米内山委員 きのう大出さんとのいろいろなやりとりの中で、通常兵器による戦争行為ということばがありまして、ダムダム弾も通常兵器でないというようなお話でしたが、大体常識的に考えて、いまの戦争で通用する通常兵器とはどの程度のものからどの程度のものであり、それをこえたものはいわゆる通常でない兵器なのか、ひとつお知らせ願いたい。
  133. 増田甲子七

    増田国務大臣 通常兵器とは、ヘーグの陸戦法規等において、交戦国相互を縛る国際公法があるわけでございますが、そのヘーグの陸戦法規において禁じられたものは、細菌戦術でございます。それから毒ガスでございます。つまりそういうような化学兵器があって非常に害を与えるといったようなものは、禁止されております。それから、ダムダム弾というものも、ヘーグの陸戦法規にうたってございます。まだ国際法規のできていないのは、核兵器でございます。その核兵器は、しかしながら、われわれは使うべきものではない。広島、長崎のごときものは、人類の歴史にとって非常に遺憾なことであると私は考えております。  そこで、通常兵器でないものは、とてもわれわれはその侵略に対処できませんが、通常兵器による——つまり消極的にこれはいけない、あれはいけないというわけで、あとはどうかといえば、大砲、鉄砲、機関銃、爆弾といったようなものでございます。そういうようなものには対処できる、こういうふうに考えております。しかも、それは局地的の侵略に対処できるだけでございまして、全面的の侵略にまでは日本自衛隊は実力を持っていない、こういうことをきのう来大出さんにお答えいたしておるような次第でございます。まずその範囲で御了解願って、あと一つ一つの、鉄砲の何口径だとか何ミリだとかいうことは、どうもわかりませんから、御容赦願いたいと思います。
  134. 米内山義一郎

    ○米内山委員 ヘーグの条約できめた以外は通常兵器だというような意味だと思うのですが、核兵器にも、きたない水爆、きれいな水爆というのがあるそうだが、兵器にもきたない兵器もあるわけです。ダムダム弾というのは、人を一回百人も殺しません。ただ撃たれた傷あとの処理が困難だというので、あれは古い戦争のときに非人道的だといわれたのですが、近ごろはだんだんに科学が進歩してきまして、鳥、けものまで死ぬような、農薬といえば農薬だが、これを軍事的に使っておる。これは世界周知の事実です。これはアメリカがベトナムにおいて作戦上使っておる。これは禁止兵器ではないかもしらぬが、及ぼす影響というものは、これは人類だけではなく、一般自然界まで破滅的な状態にするので、こういうのを使う戦争は、これはきたない戦争といってもいいと思うのだが、アメリカのやっている戦争は、そういう意味できたない戦争だ。日本防衛庁は、そんな研究はしてないかもしれませんが、少なくとも、新聞や何かの伝えるところによると、米軍がベトナムで使っているナパーム爆弾というか、火薬ではないそうだが、人が窒息死する、焼け死ぬ前に窒息死するのだというような、たいへんなものを日本でつくっておるそうですが、戦争というものは、きれい、きたないは抜きにして、残虐なことは変わりはない。ですから、われわれは政府にとくと国民立場からお願いをしておきたいことは、守るに必要な軍備を進めるよりも、守るに足る国家、社会をつくってもらいたい。それと並行するならば、国民はクマが出てきても、素手でも立ち向かうだろうと思う。国民の意思に反して兵器だけを鍛えて防衛なんということは、言うべくして行ないがたいものです。私は、日本の戦争の歴史の上から、そう思わざるを得ません。そこでこの問題は打ち切りまして、質問を転換します。  こういうふうな、政府が重要な防衛をすると言っているが、防衛に対する国民の負担というものに著しい不合理と不公平がある。それは何かというと、米軍基地なりあるいは自衛隊の大きな基地のある周辺の住民に及ぼす有形無形の損害というものがあります。昨年の国会で、基地周辺整備に関する法律というものをつくりましたが、今日なお非常な不十分と不合理があります。私は具体的に話を進めていきますが、国の基地対策というものは、弱い者——協力的なとは言いかねますが、国のなすことであるならやむを得ないであろうという住民の多いところには、きわめて薄い。むしろ旗を立てて戦えば、厚い。この間砂川へ調査に行きまして、これは聞いた話ですから正確かどうかはわかりませんが、十年ほど前に騒いだときに、判をつかなかったために、隣の何とかいう人は約一億円ももうかった、こういう話を聞きました。ぼくは滑走路の中に一千坪ばかりの土地を貸してあるんだ。その貸し上げ賃は何倍になったという話を聞いてきました。これはごく最近そういうふうになったそうですが、砂川においては、この間は飛行機が滑走路を越えていって、ある民家のそばまで、接触するようなところまで行った。この辺の人たちが、これは危険だというので売りに応じたそうですが、こういう人たちを含む、防衛施設庁としてはっきり金を渡して、土地の登記を受け取ったかどうか知れないが、相手を納得させた金額はどの程度のものであるかを、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  135. 増田甲子七

    増田国務大臣 基地に関するこまかいことは、施設長官から御答弁申し上げます。  先ほどあなたのおっしゃったうちで、防衛費はだんだんふえてきて、農林省関係はだんだん減ってくるというお話でございまするが、それはあべこべでございまして、最初米軍に対する調達費というものは、予算の一割、二割という状態でございました。それがだんだん減ってまいりまして、現在は七・七といっておりますが、正確に申せば予算総額の七・六九%、だんだん落ちてまいります。それからほかの社会福祉とか、農林関係とか、公共事業とか、建設省の予算とかいうものは、だんだんふえてまいります。でございますから、日本の経済の底がだんだん深くなって、しっかりしてまいっておる次第でございます。あなたのおっしゃっていることは、あべこべというわけではございませんが、数字を基礎にして申し上げますと、いま本年は三千八百九億円であることは御承知のとおりでありますが、社会福祉の費用は七千百八十二億円でございます。これに加えて都道府県の会社事業の費用というものがあるわけでございます。青森県なら青森県の社会事業の費用というものがございまするし、また八戸市なら八戸市の社会福祉費がございます。ところが八戸市の国防費というものは聞いたことがないのです。青森県の国防費というものも聞いたことがございませんで、それにだんだん上載せしてまいりますと、社会福祉の費用というのは、おそらく一兆四千億くらいでございます。防衛費は国で予算を計上するだけで、県費の防衛費、あるいは市町村費の防衛費というものはございませんで、三千八百九億円というものの比率はだんだん下がってまいりまして、社会福祉その他公共事業の、皆さまのしあわせに直接役立つような費用は、どんどんふえてまいる。この防衛費は間接に皆さまの幸福に役立つわけでありまするが、その費用はだんだん比率的には減ってまいっておるということを、米内山さんもせっかく農民のために国会議員になったとおっしゃるのですから、そのことを正確に御認識になって、農民の皆さまは喜んでください、こういうふうになっていますということを、どうぞ国会報告会等においてはお話を願いたいと思います。
  136. 小幡久男

    ○小幡政府委員 砂川の土地の問題について御質問がございましたが、御承知のように、立川飛行場の拡張につきましては、昭和三十年九月に、約五万三千坪の用地提供の閣議決定を行ないまして、それ以来買収を行なってきたわけであります。先ほどお話がありましたように、航空機が一、二事故がありまして、いままでなかなか買収に応じられなかった向きも、そういう危険性があるならということで買収に応じてもらっておるという実情でございますが実際買いました土地の値段を申しますと、宅地を例に申しますと、昭和三十一年は、一坪約四千円で買っております。それが四十一年には、三万七千円で買っております。この間約九倍ちょっと上げておりますが、これは根拠のないことではございませんで、東京近郊の不動産研究家の調査によりますと、東京近郊の土地の値上がりは、該当年次に九倍から十一倍に上がっております。決してこれは不当な価格でわれわれが認定したものとは考えておりません。
  137. 米内山義一郎

    ○米内山委員 高過ぎるとは言いません。そうしますと、今後すべて演習地でも、そういう工地を買うときは、その割合の物価係数をかけて買うということだろうと理解しておきます。  次に、もう一つ聞きたいことは東富士演習場。これは演習場の用地をとるために、そこの開拓者その他の農民に非常に積極的な対策を立てておられます。これは一体どの程度の年数と、どの程度の金額で、どの程度の効果を期待してやった仕事でございましょう。
  138. 小幡久男

    ○小幡政府委員 土地の価格の問題につきましては、相当専門的になりますので、あとから施設部長が答弁申し上げますが、東富士演習場につきましては、大体九億四千万くらいを投じまして、畜産、老朽田の改修、あるいは水産というようなものを考えてみたいと思っております。それから演習場としましては、これも御承知のように、現在は米軍が使用しております。年間おそらく七、八十日、米軍が使用しておると思っております。そのほかに、自衛隊相当回数、その三倍以上になるかと思いますが、使用しております。将来は、自衛隊がこれを米軍から返還を受けまして、逆に米軍に貸すという使用転換の方式で、これは将来とも重要な演習場として確保していきたいというふうに考えております。
  139. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 当庁におきまして土地を買収する際に、たとえば農地の場合におきましては、当該地区の農業委員会におきまして、前年隻と当年度との上昇率をまず調べます。それから当該地区の税務署にも行きまして、上昇率を調べ、さらには近傍類似の売買物件、こういったものも調べまして、そういう資料を勘案いたしまして適正な価格を割り出す、かようなことにいたしております。
  140. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その際、防衛庁施設庁の経費以外に、国有林、国有地の売り渡しもしておりますし、あるいは農林省の経費も出ているかとも思いますが、総合して、あの演習用地接収のための買収費以外の対策費というものは、一体およそどの程度使われたのでありますか。
  141. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいまの先生の御質問の趣旨は、いままで全国の基地周辺にどのような補助金等を交付したかという実績の御質問かと思いますが、まず防音工事で申し上げますと、御承知のとおり、これは自衛隊と米軍の基地両方があるわけでございますが、自衛隊の基地につきましては、昭和三十二年度、米駐留軍の基地につきましては昭和二十八年度から、学校防音工事等に対しまして補助金を交付しておるわけでございまして、昭和四十一年度までのおおよその実績は、約二百億以上を交付しているということでございます。それから、周辺の災害防止対策工事補助金におきましては、四十一年度までに約百億円の補助金を交付しておる、かような実績になっております。
  142. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私が特にお聞きしたいのは、東富士演習場の対策について、どういう要領で、トータルとしてどれくらいの国費を注いで事後対策を民生安定のためになされたかということをお聞きをしたい。
  143. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 東富士につきましては、昭和四十一年度までの実績を申し上げますと、防災工事補助金につきまして約十八億、それから道路関係につきまして十八億、その他の補償事業につきまして五億七千万、合計約四十二億円の補助金を交付しております。
  144. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、これは増田さんとくとお願いしたいのですが、飛行場とか、射撃場とか、対地射爆場というものは、東京のすぐそばにあるものじゃなくて、富士のすそ野とか非常に未開発な地帯にありがちなものなのです。そこで、広大な土地がそのために提供されて、地元の人は土地の売り払い代金は受け取るかもしれないが、いまの立川の例のように、十年前は四千円だが、十年きっぱれば九倍になるというような事実を見た場合に、当、時金を払ったからものが片づいたというわけにはまいらない。したがって、爆音による被害に対して防音校舎を建ててやるとかいう程度のものでは、時代にマッチしなくなる。合わなくなっています。しかも、こういう地域は生産の底いところであるとすれば、これを泣き寝入りさせておくというわけにはまいりません。騒いだものは手をかけてやるが、声を出さないものはそのままにしておくということは、あまりにも冷酷無残な防衛対策だと思う。外国軍隊が占領地の住民を宣撫するという考えならば別ですが、国民と運命をともにしながら国を守ろうという場合には、これは思想としても間違いです。しかもこれはだんだんに深刻になってきつつあると思います。ですから、これからは、国の態度としては、要求があるから供給してやる、陳情があるからこたえてやるということではなくて、国の総合された行政能力を活用して、そういう地域に対して積極的な対策を立てる必要があると思います。いまの基地周辺整備法律というものは、その点で、私から見るならば、ていのいい宣撫工作だとしか考えられなくなっております。たとえば、これは事実を申し上げますが、三沢の射爆場のある地域というものは、青森県でも最も開発のおくれた底所得地帯です。こういうところに騒音の度合いによって、これは防衛庁用語でRA3とか2とかいうので補助率の違いがあって、防音校舎が鉄筋コンクリートでできる。ところが、私はこういう陳情を受けました。米内山代議士ね、防音校舎を建ててもらいたいが、水洗便所だけはやめてくれ。なぜだ、と言ったら、紙の経費がたいへんだ。これは何を物語るかというと、こういう地域の町村財政がそこまでひどいということです。ところが、都市化した地域の防音校舎ではどういうことを言うかというと、暖房を北海道並みにしてくれ。北海道では空気暖房するそうであります。津軽海峡を越えて青森へ来ると、それよりも緯度が底くて温度が高いというせいか、ストーブになる。そうすると、冬の間、便所にはストーブを置くわけにいきませんから、凍っちゃうのです。千人も生徒のいる小学校の水洗便所が凍ったら、一体どういう事態になる。実に驚くべきこっけいきわまりない基地対策をやっておるのが、現状なのです。こういうふうなことを増田長官がつぶさに御視察なされ、つぶさに説明をお聞きになって、こういう子供の笑うような対策を、子供の喜ぶような対策にすべきじゃないでしょうか。私はこのことを御要望申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、こういう一つの企業会社でもない、国鉄や何かと違う防衛庁関係は、公務員は身を持するに最も堅固で清潔であってもらいたいと思う。奉職している間は清潔かもしれないが、やめようとなったとき、やめたあとの不潔さというものは、受け取る住民から見ると同じです。役人が防衛庁にいるとき、補助の陳情を受けます。退職します。防衛庁出入りの会社に就職します。そうすると、補助審査を受けたときの知っている町村を回って歩いて、おれは今度は定年だ、こういう会社へ入るんだが、手みやげがないと困るから、ひとつこの学校はこういうふうにというふうに回って歩く。これもまた、シビリアンコントロールというのは、しびれが切れる話なんです。特にこれは、こういうことがだらしなくなりますと、対策問題で、私の地域で災害防止のために三億円をかけて新しい河川放水路の掘さくに取りついておりますが、もう何年かかったか知れないが、事業費はもう九割以上使ったはずだが、できそうにもない。一体何のためにこういうふうなことが起きているのか。経過から今日までの問題点を、施設長官から私は御説明を聞きたい。
  145. 小幡久男

    ○小幡政府委員 高瀬川の放水路につきまして御質問がございましたので、お答え申し上げます。高瀬川の放水路は、御承知のように、昭和三十七年より引き続きまして昭和四十一年までに、全体計画の事業費四億一千八百万円のうち、二億五千三百五十万円を実施しておりますが、昭和四十二年度以降におきましても、大体毎年五千万円ずつ実行いたしまして、四十四年度には完工したいと思っております。これは御承知のように、小川原湖の水を演習場を通って放水することがむずかしいという判断をいたしまして、射爆場の手前を掘さくしまして海中に流れを持っていく、こういう工事でございます。
  146. 米内山義一郎

    ○米内山委員 わずか距離にして一キロ程度の放水路を掘り、四億円程度の仕事に五年も七年もかからなければならないというのは、やっているのかやっていないのかわからない。しかも、これは災害防止の仕事なんですから、この点も長官、ひとつ問題にして厳重にしかっておいてもらいたい。こんなだらしないことをやって、住民にも喜ばれない、効果の発生しない金を、その年度年度にさいておくということは問題ですから、ひとつこれは——私はこの問題はこれだけでとめておきます。  次に、直接の被害だけでなしに、間接の被害も出てきます。いわゆる旧海軍ができたころ、敗戦直後というものと今日では、基地周辺の条件は変わってくる。ある場合には都市化が進む、あるいは米軍兵舎そのものからふん便が流れてくる。排水が汚濁される。たんぼが、稲のでき過ぎになる。それは下流の湖水へ行って酸素を消耗して、生物がいれないような事態になる。これも直接、間接の被害なんです。いまの基地周辺の整備という法律の中には、こういう事実を知らないために、実に不十分な点があるから、こういう点もきめこまかにやるようにしてもらいたい。  それからもう一つは、基地があるために、その地域の開発が阻害されています。三沢周辺基地を含む一体の地域は、政府が指定した八戸新産業都市の区域であります。しかも、その新産業都市の一つの目玉というものは、基地の場所にくっついてある七千町歩の湖水を港湾化して、ここに鉄、石油コンビナートをつくるという話なんです。ところが、そののどの出入り口に対地射爆場があります。そのために、こういう開発がおくれている事実がある。これは補償のしようもない。基地が行く以外に開発ができないということにもなりますが、そこでこういう政策に対して、政府として統一ある調査と見解をもって対処してもらいたい。地元の声としては、運輸省へ行って陳情し、聞いたところが、運輸省の港湾局では、日本じゅうさがしても、二十万トンのタンカーを入れるにいい場所というのは、これを除いてないと太鼓判を押した。そうだとすれば、これはたいへんな宝が射爆場のために宝にならないでいると思う。きょうはそういう意味で運輸省のお方の御出席も願っておりますが、それらを総合して、この問題点に対する御答弁をお願いしたいと思います。
  147. 小幡久男

    ○小幡政府委員 まず最初に、いろいろ基地周辺のこまかい地元住民の苦情等をよくやるようにという御指摘でございましたが、これにつきましては、御承知のように、整備法でも特に四条を設けまして、いろいろ政令で列挙いたしております。さらに、政令で落ちました分につきましては、拾い得るような措置も講じております。これは新しい事案が発生いたしますごとにわれわれのほうで事案を採択していきたいと思っております。なお、私のほうでも積極的に地元に働きかけまして、もし御不満の点がありましたら言ってください。多少おかしいものでも言ってください。その中でわれわれのほうで取捨選択しまして、これではきます、これはできませんということを申しますということまで申し上げてやっております。  それからなお、先般、基地を持ちます関係都道府県知事会議がありましたが、私もそこに出まして、法律ができまして運用を見ておる。ある県では法律で許されている以上のものを持ってくる。ある県ではそこまでいかない要求しかこない。これでは本法の趣旨が徹底しないので、どうかひとつこの法にうまくはまるようないい案をつくって持ってきてくださいということを、わざわざ申した次第であります。さよう御了解願いたいと思います。  それから石油コンビナートの件につきましては、実はまだ運輸省からも正式に伺っておりませんので、それがどこのどの地区に、どの程度の大きさになるかという点も、基地と関係づけて検討いたしておりません。さよう御了承願いたいと思います。
  148. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 港湾の関係につきましては、ここ数年来、あの海岸の調査をやっております。御承知のように、太平洋岸でございますので、非常に波が強いし、それから砂も動くであろうということで、港湾になるかならないかという調査をやっておりますが、あの近くに八戸という港がございまして、現在開発中でございます。したがいまして、まだ調査が完了した段階ではございませんが、港湾としては築造は可能であろうというふうに考えております。ただ、その規模をどうするかということにつきましては、これは新産業都市の計画は経済企画庁でお取りまとめになる関係もございますので、背後地の開発計画がきまりましたら、どの程度の規模の港湾にできるかどうかということを検討したいというふうに考えております。
  149. 米内山義一郎

    ○米内山委員 じゃ結論とします。基地対策につきましていろいろ申し上げましたが、確かに不十分もあり、矛盾もあると思いますから、これをほんとうに国民生活の安定という考えに立って政府の善処を要望して、私の質問を終わりますが、最後にそれを前進させるために、いまの段階長官はどのような御感想、御方針をお持ちになっているかをお承りして、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 増田甲子七

    増田国務大臣 基地周辺整備に関する法律をお願いいたしまして、制定、公布されております。その精神は、これをあくまで体しまして、前向きの姿勢で基地問題を解決してまいりたい。  それから米内山さんの御指摘の、不当利得をしておる者が相当あるというお話でございますが、その辺も十年前と十年後では、物価の騰貴もございますけれども、いわゆるごね得というようなことがないように気をつけてまいりたいと思っております。  それからなお、私は東北開発委員長も長年いたしましたが、小川原沼というのは、非常に将来有望なるもので、開発をしてよろしい。ちょうどいま苫小牧に港をつくっておりまするが、あれは人造で、土を掘って湖みたいなものをつくるわけで、海抜は大体において同じでございます。小川原沼の開発も、ほとんど太平洋と変わっていないようでございまするから、りっぱなものが将来新工業地帯としてできるのではないか、そういう場合には基地のことは考えます。基地がじゃまになるのでしたら、考えさしていただきますということを申し上げておきます。  それからなお、高瀬川の放水路をつくるのがあまり長年かかっておっていつになるかわからぬじゃないかというお話は、ごもっともでございます。これは予算関係で縛られている関係もございまするが、一年五千万ずつ使って、そして三年もかかるのでは、これはいけませんから、切り通しをつくるだけの話でございますから、早く切り通しをつくって災害を防ぎたい、そうして付近住民の御要望にこたえたいと考えております点は、米内山さんのおっしゃるとおりでございます。
  151. 米内山義一郎

    ○米内山委員 大臣はいま不当利得を得ておる者があると言いましたが、私はそうは言いません。不当に損をしておる者があると申し上げたのですから、その点だけはひとつ間違いなく……。終わります。
  152. 關谷勝利

  153. 永末英一

    永末委員 防衛二法案というのは、四十八回国会以来出て通過していない。防衛庁長官、なぜ通過していないとお考えか、御意見を伺いたい。
  154. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは従来の国会と、それから政府といたしましては防衛庁でございまするが、私どもはいつも一生懸命努力をいたしておりまするが、不幸にして時間切れというようなこともございましたし、また重要法案が山積いたしまして、一度は衆議院を通過いたしまして参議院へ参った法案でございます。人数等は変わっておりまするが、内容の本質的部分は全然変わっていないのでございます。一度衆議院を通過いたしましたが、参議院へ参りましても、二日とかあるいは三日くらいしか余裕がなかったというようなことで、時間切れにも相なっております。要は防衛庁長官の努力の不足でございまして、私は、責任の継続性という意味合いから、その責任の重大さを感じております。この際、ぜひとも皆さまの御賛成を得まして両院を通過し、そうして自衛隊充実整備できるように御高配あらんことを切にお願い申し上げまして、お答えといたします。
  155. 永末英一

    永末委員 いま長官お話の中で、他に重要法案もこれあり、何か防衛二法はあまり重要でないような御感覚で言っておられるような気がしますが、防衛庁長官の努力が不足で通過しなかったというような御意見です。私から、一体どっちを向いて努力しているのかと言いたい。それはもし国民がこの法案が重要であるということを強く認識しておるならば、これは通せという世論が出てくるでしょう。ところが、いままで長年かかってこれが通過しなかったというのは、これに対する重要度が一つもわかっていない。防衛庁長官は、何よりもまず防衛の問題の重要度を国民に認識してもらわなければならぬということの努力が、全く欠けておったのではないかと思われてなりません。あなたの御意見を承りたい。
  156. 増田甲子七

    増田国務大臣 三年間もたなざらしになっておったというようなこともございまして、防衛庁といたしましても非常に痛痒を感じておりますから、それから皆さんのほうにおきましても、それぞれ御理解を深めていただいておるように思います。また世論といたしましても、今度は防衛二法はぜひ通してやらずばなるまい、国会もわれわれの期待にこたえるであろうというような世論も聞くわけでございまして、このことは今度こそはだいじょうぶじゃないか、こう感じております。
  157. 永末英一

    永末委員 私どもも世論調査をしておりますが、増田長官の言われるような世論なんてあまり聞いたことはない。根本は、一体この種の法案が日本防衛のためにどういう点で役立つのか、またそこで維持されておるものが日本人の命のためにどう一体役立つのだろうかということに対して、防衛庁国民に対して訴えたことがあるかどうか。その辺に問題があるのではないか。私は、その意味合いで、ぜひこの機会に、防衛責任者であるあなたが、日本防衛というものはこういうものだということをやはり国民に訴える、こういうつもりで事態を明確にしていただきたいと思います。その角度から質問いたしますから、ごまかさないように、率直にお答え願いたい。  六月十七日に中共が水爆の実験をいたしました。私どもは、この問題は日本の平和と安全について重大な関係があると考えております。防衛庁長官は、中共の核武装というものについて、どういう判定をしておられるか、日本の平和と安全に関係づけてお答えを願いたい。
  158. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、このごろ他の議員からお聞きになりましたようなことでお答えをいたしましたが、世界に、別段特定の国はさしませんが、無責任なる軍国主義者、膨張主義者がある間は、やむを得ない形において自衛隊の存在が必要であるということを、この国会を通じてしばしば申し上げておるつもりでございます。そこで、中共の核爆発は、前後六回にわたって行なわれました。昨年の十二月三十日に行なわれたものと、本年の六月十七日に行なわれたものは、水爆に近いものである。十七日は、ことに水爆であるというふうに世界の軍事評論家は見ております。また、アメリカの原子力委員会はそういう発表でございます。われわれも、航空機を飛ばして調査いたしましたところでは、一回以外は放射能は検出されておりませんけれども、水爆であろう、こういうことになっております。また、大々的に、この水爆実験が成功したことを、北京等におきましては宣伝もいたしておりますし、この宣伝ということが——やはり人を殺傷する、ことに大量に殺傷する武器でございますから、この宣伝ということは一つの脅威ではないか、私どもは非常に悲しんでおる状態でございまして、もし国交でもあるならば、正式に総理大臣から国民を代表して中共に抗議を提出する。前にイギリスにも抗議を提出したこともございます。そういうふうな抗議を提出すべきではないかというくらいに、われわれはおごそかに考えておる次第でございまして、軽々には考えていないのでございます。日本防衛に直接至大の関係がある、困ったことであると心配をいたしておるわけであります。
  159. 永末英一

    永末委員 長官は、日本防衛に直接至大の影響がある、こういうことですが、その点を伺いたい。中共はいま核弾頭をどの程度持っておると判定しておられますか。
  160. 増田甲子七

    増田国務大臣 通常核弾頭は、とにかく、あそこはウラン二三五の原材料がございますから、相当のものを製造しておるのであろう。ただ、水爆はまだ今回の実験がおそらく初めてであって、昨年の十二月二十八日のものは、それに類似しておるけれども、そうではないというふうに識者は言っております。そこで、水爆でもたくさん持ち、しかもこれを有効に運搬する手段、すなわち長距離爆撃機でない手段、MRBM、IRBM、ICBM等を開発して、この弾頭に重水素の弾頭でもつけるようになればたいへんである、こう考えております。しかしながら、結論的に日本防衛に至大の関係がございますけれども日本は日米安保体制のもと、アメリカの強大なる核兵力のかさのもとにございまして、核戦争というものは未然にこれをじゃまをする——抑止力というのはじゃまをする力でございます。じゃまをする力がございますから、まずまずわが国は平和と安全を守り得る。日米安保体制の必要を今日ほど国民皆さんが痛感しているときはないのではないか、こう考える次第でございます。
  161. 永末英一

    永末委員 私はいまの時点のことを伺ったのだけれども長官は何かだいぶあとのようなことも一緒に答えられた。私は、防衛の問題は時間の要素というものをはっきりと見届けていかなければならぬと考えます。その意味合いで伺っておるのは、現状を伺っておるのでありますから、現状について、わが国の防衛の最高責任者のあなたが、どういうような材料を持っておられるかということを少なくとも国民に発表していただくのが、義務であろうと思います。もう一ぺん聞きます。水爆にあらざる核弾頭、これを一説には三十ないし四十保有しておると伝えられておるが、防衛庁はどのように御判定になっておるか、伺いたい。
  162. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは私どもの得た情報だけのことでございまして、情報によれば、普通の原爆を三十発ぐらい持っておるだろう。それから水爆の開発は今回したでございましょうが、有効なる運搬手段というものは、やはりICBM、IRBM——ICBM、IRBMはMRBMを含めていいますが、つまり短距離弾道弾、中距離弾道弾、長距離弾道弾、そのうちの短距離弾道弾と中距離弾道弾は、ここ一、二年のうちに開発しはせんか、ICBMは一九七〇年ごろに開発しはせんかということをマクナマラ国防長官が言っておるということを申し添えておきます。
  163. 永末英一

    永末委員 通常普通の核弾頭をすでに三十個程度保有しておることを認められました。この弾頭は、いま中共の持っておる爆撃機、これに搭載可能であるかどうか、伺いたい。
  164. 増田甲子七

    増田国務大臣 そこまでわかりませんが、爆撃機というものは相当の重量を運び得るのですから、爆撃機で運ぶなんということは、一番原始的なことですから、運び得ると思います。
  165. 永末英一

    永末委員 弾頭はそこにある、運び得る運搬手段をすでに持っておるということであれば、わが国の防衛計画は、これに対処するものがございますね。
  166. 増田甲子七

    増田国務大臣 爆撃機くらいのものが日本まで来た場合に——これはすべて仮説でございます。あなたの問題も仮説でありますから、私も仮説としてお答えいたしますが、そういう場合には、日本の航空自衛隊の能力は、これをインターセプトする、じゃまをして、要撃して、そして撃墜するだけの力はございます。
  167. 永末英一

    永末委員 長官は、先ほどMRBM、IRBM程度のものを持っておるのではないかというようにお答えになったと思うのです。一九六六年十月二十七日の中共の核実験は、いわゆる核ミサイルの実験であったと伝えられております。だといたしますと、いま防衛庁は、そういうミサイルの上にくっつける小型の弾頭を開発したと御判定になっておるかどうか、伺いたい。
  168. 増田甲子七

    増田国務大臣 このミサイルが約六百四十キロ飛んだと言われるのは第四回目の実験でございまして、永末さんは軍事通でありますからよくおわかりでありますが、十二月二十八日のは第五回目の実験であります。第四回目は十月であって、六百四十キロ……(永末委員「十月二十七日、第四回目」と呼ぶ)それじゃ私が答えるより正確に知っていらっしゃいますから、それで御了承いただきたいと思いますが、そのときには六百四十キロ飛ばした。その飛ばしたミサイルに核弾頭がついておったということでございますが、その核弾頭は原爆であり、水爆ではもちろんないというふうに考えております。  それからMRBM、IRBMはマクナマラの言うところによりますと、ここ一、二年内に開発するであろう。六百四十キロはMRBMのまたMRBMでございますから、非常に短距離の短距離で、これが彼らの兵器として使える状態に装備されておるというふうには、まだ考えておりません。私が今日もうすでにMRBMを開発したかのごとく言ったのは、何かお聞き違いであろうと思います。
  169. 永末英一

    永末委員 現在、中共の爆撃機の行動半径には、わが国は入っておる。中共の所有しておる何らかの誘導弾でも、弾道弾でも、ミサイルといえばみなカバーできるかもしれませんが、そのミサイルの射程距離に入っておるかどうか、どう判定しておられますか。
  170. 増田甲子七

    増田国務大臣 長距離爆撃機は六千キロも七千キロも行動半径がありますから、そう言えば、日本も入るし、ソ連も入るし、あるいはトルコあたりも入るかもしれません。とにかくそういう意味において、日本は、中共の持っておるであろう長距離爆撃機の行動半径に入っておるということは言えます。
  171. 永末英一

    永末委員 わが国に到達し得る射程距離を持ったミサイルを持っておると判断されますか。
  172. 増田甲子七

    増田国務大臣 長距離爆撃機に搭載するであろう原爆のことをいま申し上げたわけでございまして、今度は、新しいミサイルといえば、飛び道具みたいなものであります。飛び道具は、ロケット式の飛び道具でありまして、これは六百キロや七百キロのものは、おそらく日本がこれから非核用として備えつけるが、ナイキハーキュリーズといったようなもの、あるいはそれ以上ちょっと進歩したもの、たとえばメースのBでございますか、そんなものは、まだ——ナイキハーキュリーズのことは私はよくわかりませんが、ただいま核弾頭をつけたミサイルはまだ持っていない。ただし、六百四十キロというものは、昨年の十月に実験しておりますから、持ったでございましょうが、中共の所有し、装備しておる兵器というところまではいってないのではないかと思っております。
  173. 永末英一

    永末委員 先ほどの御答弁で、あと一、二年すれば中共は日本を射程距離内に置き得るミサイルを開発するであろうというマクナマラ長官の言明を、あなたは信用しておられるように思いました。信用しておられるなら、あなたもそう思っておられると思います。そうしますと、あと一、二年たてばわれわれは原爆の弾頭をつけた中共のミサイルの射程内に入るということになりますか。
  174. 増田甲子七

    増田国務大臣 射程内に入るということにはなります。
  175. 永末英一

    永末委員 第三次防衛力整備計画は、まさにこの一、二年と申しますと、この期間のうちに実験は行なわれるわけですね。そうしますと、やっとまとめられた防衛力整備計画でありますが、その整備計画を包む全体の防衛計画は、いま一、二年たってそういうことが起こったときには、変化がありますか、ありませんか、伺いたい。
  176. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもは、五カ年計画を一応現在の時点における国際情勢から見てよろしいと考えておるのでございます。しかし、条約にいたしましても、法律にいたしましても、国家計画にいたしましても、あるいは経済計画にいたしましても、重大なる事情変化の法則は、すべての準備に共通する一つの公理でございまして、重大なる変化というようなものがあって、たいへん状況が変わってきたという場合は別でございますが、それはおそらく極端なる場合でございまして、一応これで五年はやっていくつもりでございます。
  177. 永末英一

    永末委員 いまのような、中共の核弾頭をつけたミサイルがわが国をその射程内に置くということは、いまあなたのおっしゃった重要なる状況の変化にはなりませんか。
  178. 増田甲子七

    増田国務大臣 そこで一番初めにお答えしたことが、あなたに対する答弁としてカバーすることになるわけでございますが、わが国は、岸内閣以来、行政の方針として核兵器を製造せず、持ち込まず、また保有せず、こういう方針を堅持しておるわけでございまして、日本の国内の基地へ、米軍の基地へも持ち込ませないのですから、しからばどういうことになるかというと、結局アメリカの核抑止力に期待をいたして、そうしてMRBMを中共が開発しようが、IRBMを中共が開発しようが、ICBMを中共が開発しようが、これは数が大問題でございまして、あなたのような軍事通はよくおわかりでございますが、バランスによって世界の平和が保たれていくように軍事専門家は考えておりません。米ソの原子力の核、兵器のバランスでなくて、アンバランスによって保たれておるというふうに、一応専門家は言っておりますから、私もその専門家の意見には一応従っておりますが、すなわち圧倒的なアンバランスが米ソの間にあるから、そこで核兵器を用いる野蛮なる戦争はなくて済む、日本アメリカの断然有力なる核兵器のかさの中におるということは事実でございまするから、正直に申し上げたほうが、この際国民皆さんも御安心がいくと思いまするから、申し上げるわけでございます。
  179. 永末英一

    永末委員 あなたはいま、MRBMないしはIRBM、これを中共が保有したときと、ICBMを中共が保有したときと、いずれにしても同じ扱いをされたように思います。私の考えるところでは、IRBM、MRBMを中共が持ったときに、わが国がその射程内に入っても、アメリカには直接の影響がない。その場合のわが国の防衛考え方と、直接にアメリカ大陸に届くICBMを中共が保有した場合には、大いに変わってくるはずだと思います。先ほどのお話では、一九七〇年ごろICBMを中共が持つであろう、こう言われた。少し前までは、一九七五年ごろでありましたが、五年ほど早くなったようであります。一九七〇年と申しますと、まさしくこれまた第三次防衛計画中ですね。非常に大きな、私は変化が来るのではないかと思う。あなたの御見解を伺いたい。
  180. 増田甲子七

    増田国務大臣 永末さんのおっしゃる相当の変化が来ることは、私も認めます。ただ、防衛五カ年計画を改定するかしないかというと、私は中共がICBMを開発いたしましても——ICBMを中共が開発されるということになりますと、あなたのお説のごとく、大陸間弾道でございまするから、大陸と大陸、すなわちアジア大陸とアメリカ大陸との間に届くということになりまするから、アメリカ合衆国そのものにも脅威を与えることにはなりますけれども、われわれは核兵器は製造せず、保育せず、持ち込まずという原則を貫いておりまするから、事情変化にはなりまするが、五カ年計画はこのままやっていくというのが、現在の私どもの確固たる決意であります。
  181. 永末英一

    永末委員 私の伺っておるのは、たとえばイスラエルとアラブの戦争というのが、なぜああいう形で終わったか、その背後には、私はアメリカとソ連との、やはりお互いの核抑止力が働いておったと見ます。したがって、そういう観点からいまの問題に振り返りますと、アメリカに届かないミサイルを中共が保有しても、すなわちアメリカの核兵力に対して中共の抑止力が直接には働かないという場面と、ICBMを開発した中共は、直接にアメリカの核兵力に対して抑止力を持ってくるということは、いまの核戦略時代からいえば、ちょっとやそっとの変化ではないと私は思う。その内容は、もし中共の核抑止力アメリカに対して働き得る段階になった場合には、通常兵器によるところの戦争というものに、もし中共がその意を定めるならば、わが国の周辺にはそういう問題が起こり得るということを考えざるを得ないのではないかと思います。そういう変化があり得るとあなたはお考えになりませんか、伺いたい。
  182. 増田甲子七

    増田国務大臣 通常兵器では間に合わないというような事態も、起こり得ると思います。
  183. 永末英一

    永末委員 そういうことを聞いているのじゃなくて、ちょっと答弁の趣旨、私の質問の趣旨をねじ曲げてお答えだったかどうか知りませんが、そういうことを伺ったのじゃない。私はあなたが、IRBMを持とうが、ICBMを持とうが、アメリカに対しては、日本安保体制でいく、こういう御答弁をされるので、その安保条約の意味、すなわち自民党政権がこの条約によってアメリカの核抑止力に依存をしておる、こういう形が、ICBMを中共が持つに至るやいなや、きわめてその性格を変えてくるのだ。この御認識を持って第三次防を遂行せられるのか。いや同じことなんだ、何を持とうと同じことなんだ、こういう角度で防衛計画を推進されるのか、その点を伺いたい。
  184. 増田甲子七

    増田国務大臣 同じだと思います。
  185. 永末英一

    永末委員 これは同じだというのは、現在までのたとえばベトナム戦争でも、その背景にあるものは、ソビエトの核の力、これがアメリカに対して核抑止力として働いているから、私はアメリカはああいう形の制限戦争の形をとっていると見ます。しかしながら、もしソビエトはアメリカに対して核抑止力として働かないならば、ベトナム戦争は様相を一変しているのではないか。たとえば現在核防条約にあらわれるような、あるいはコスイギン首相の訪米にあらわれるような形でのアメリカとソビエトの関係は、中共がICBMを開発すれば、私は変わると思う。あなたは同じだと思われますか。
  186. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本防衛五カ年計画は変えないということを、まず第一に答えたわけです。  それからいま中近東がああいう形でおさまっているのも、ベトナムのエスカレーションがないのも、アメリカあるいはソ連の核抑止力関係であろうというお説は、私は承っておきます。そういうお説には私は賛成なんです。  そこで、中共がICBMを開発しようが、もう数なんかは問題でない、無視し得る数であると私は考えております。たいしたことはない。もし、しかしながら中共の指導者等が気違いにでもなって、そうして三発か五発あるものをもって、それで自殺してしまいたいというのなら、これは別でございますが、中共自身も、自分のほうは積極的に核兵力による侵略があるまでは使わないのだということを毛沢東も言明していらっしゃるし、あんなことばを信じたときに、それからまた物理化学その他から見まして、中共の力が——アメリカがたとえばソ連の三倍以上持っておることは明瞭でございますから、これでバランスによって世界の平和が保たれておるのではなくて、アンバランスによって保たれておるということを軍事専門家はみんな言っております。そういうわけで、そのアンバランスも、とてもひどいアンバランスで、よくアメリカの核兵力のことを毛沢東その他の方方はペーパータイガーなんということを言っておりまするが、自分の開発した核兵力が一番張り子のトラではないか、こう考えております。
  187. 永末英一

    永末委員 毛沢東は、自分の国が核兵器を持たない間は、そのアメリカの持っておる核兵器の性格について、張り子のトラ、こう言うたのであって、それは逆に言えば、核兵器の力というものは、私は毛沢東は一番よく知っておると思う。知っておればこそ、ズボンをはかなくても核兵器をつくるというので、いままでやってきたのじゃないか。あなたのその見方は、私は逆ではないかと思います。したがって、そういうつもりで核兵器の開発をやってくるならば、当然その運搬手段についても、スピードアップするであろうし、数はとるに足らぬというのではない。もしそれを持つに至るならば、アメリカだって、もし中共の数発のミサイルがぶち込まれるだろうということを予見した場合に、私はアメリカの政策は変わってこざるを得ないと思う。そのアメリカの核のかさだけをたよりにしておる日本国の防衛計画というものは、アメリカの態度が変わった場合に一体どうなるのかということを、私は考えざるを得ないのではないか。しかもその時点が、すでにあと——一九七〇年とあなたが言われたのだから、御計画の中にそういう状況の変化、その時点に対する日本防衛計画、こういうものはひとつ考えておいていただかなければ無責任のそしりを免れないと思いますが、いかがですか。
  188. 増田甲子七

    増田国務大臣 七五年と前に言ったと永末君はおっしゃいますけれども、これはマクナマラがそういうことを言ったのですよ。それをマクナマラが今度訂正いたしまして、七〇年代とこう言ったわけなんです。それで、できたところで、おそらくまだ三次防衛五カ年計画の、昭和四十六年に終わるわけでありますが、そのときまでには、数発くらいのものができるかどうかといったようなところではないか。私はICBMというものは、そんなものはほんとうは信じないのです。IRBMやMRBMはつくるかもしれませんが、大体六百四十キロ飛ばしたと言ってえらくいばっているのですから…。日本の核をどうするかということを私が答えることをあなたも期待していらっしゃいましょうが、日本は断じてそういうことはありませんから——人工衛星その他はやります。人工衛星は、何千キロも飛ぶやつを操作を現にやっている。これは世界の驚異にもなっているわけでありますが、まだ衛星が軌道に乗るまでいかないことを私どもは恥といたしておりますが、すべて平和利用という関係については、相当日本も発達いたしておりますが、軍事利用というものは断然しないのであるということを明確にしておきます。
  189. 永末英一

    永末委員 私の期待していないことまで期待されることはないと私は思いますが、いまのおことばでございますと、ともかく核兵力というものを中共がまさに、一九七〇年代と申しましても代はもうすぐなのでございますから、近い未来においてこれが行なわれる。しかし、それはおそるるに足らぬという、こういう御判定でございますが、私どもは、やはりその核力を持つということは、同時に中共の周辺において争いがある場所には通常兵力が繰り出される可能性を、やはり計算の中に入れて考えるべき問題ではないかと思うのであります。ところが、この際明らかにしていただきたいことは、中共の脅威ということばがよく言われている。あなたは中共の脅威ということばをどうとらえますか。
  190. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、中共の脅威ということばは寡聞にしてあまり聞かないのでございます。よく米中対決とか、コンフロンテーションということばは聞きますが、どうも米中対決ということばも妙なことばでございまして、大体日米対決ということがとんでもないことだったのです。先ほど米内山さんもおっしゃいましたが、そのために日本はたいへんなひどい目にあったんだから気をつけろよとおっしゃいましたが、日本の十倍もGNPのあるアメリカに対抗していくということはとんでもないことであったということに、ようやく昭和二十年の八月十五日に目ざめたわけです。そこで、中共のGNPというもの、国力というものは、日本の半分しかないのですから、その半分しかないものが——日米対決にしたって、気違いだと人は言います。これを米中対決とか何だとかということがマスコミに乗っているということが、私はとてもこっけいでしょうがないのです。これはおかしな話で、いわんや中共の脅威ということはよくわかりませんが、ただ共産主義の脅威だということだったら、私はあなたにこれが私の所見ですということを申し上げます。
  191. 永末英一

    永末委員 本年の一月二十三日、あなたの好きなマクナマラアメリカ国防長官が、議会に対する報告の中で、中共の核の脅威ということばを使っているのです。アメリカ自身がやはり脅威と感じておるわけなんです。聞いたことないと言うが、あなたはあれだけマクナマラ長官が好きですから…。彼らはスレートニングという——あなたは英語をお使いになるから、私は言いたくないのだが、英語で言えば、そういうことを言っている。彼らはそういうことを言っているんだから、それはあなたも正確にお認めの上ものを判断していただかないと、言わないような議論は聞かれるし、ちゃんと言っていることは忘れるしということでは、日本防衛のためにきわめてわれわれは不安な感じを持つわけであります。そこで、核の脅威というものについてはあなたは非常に低く評価されておりますが、それならば、中共の現在の海軍力、これはわが国に進攻し得る能力があるかどうか、この点はどう御判定されておりますか、伺いたい。
  192. 増田甲子七

    増田国務大臣 得る、得ないということを——私は、ただ得るとか得ないとか言っても、補給、兵たんがつかなかったら、得る、得ないということは言えないと思う。もちろん中共の七億の人人は食うや食わずでありまして、私どもは経済、政治体制が違いますけれども、中国の民族に罪はないのでありますから、事情が許せば、中国七億の国民を助けたいと思っておるのです。あなたのほうでは、私の話には同感くださると思うのです、人道主義の上に立っていらっしゃいますから。それくらいの人々が兵たんもつかず、補給もつかずに日本に来得るかと言えば、それは来得るには来得ましょうが、有効には来得ません。
  193. 永末英一

    永末委員 空からやって来るようなことをお考えになりますか。
  194. 増田甲子七

    増田国務大臣 空からというと、つまりボンバーでやって来るということですね。やって来るか、来ないか。やって来たときには、これは途中で、お気の毒でございますが、必ず撃墜する力がございます。
  195. 永末英一

    永末委員 中共に対する脅威について、脅威ということばについて防衛庁長官がそれぞれ考えておられることは伺いました。あなたは、私がこの前予算委員会質問いたしましたときに、陸から来れば陸上自衛隊、海から来れば海上自衛隊、空から来れば航空自衛隊で守るのだ、こういうようなことを答弁されました。そのときには、ほかに忙しかったものですから、拝聴したままになっておりますが、きょうはひとつこれをじっくり伺いたいと思います。いま手がかりといたしまして、たとえばボンバーのごときは、わが航空自衛隊は全部やっつけ得る能力を持つのだ、こういうようなお話でしたが、撃墜率の問題は、この前の予算委員会でも聞きました。そのときに、あなたは、何か爆撃機、ボンバーは持たぬ、こういうようなことをあの予算委員会でお答えになりました。ひとつこの際明らかにしておきたいのは、一体どういうボンバーを持たぬ、こういう意思なんですか、伺いたい。
  196. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは、石橋さんの御質問に対してお答えしたことと、それからあなたの御質問に対してお答えしたことと両方ございますが、まず、戦闘爆撃機ということばを石橋さんのほうで、F86Fが現在射爆をいたしております、爆弾を搭載して爆撃演習をしておる、これはボンバーではないかとおっしゃいましたから、そのF86が現在やっております範囲のものでしたら、俗称ファイターボンバー、つまり戦闘爆撃、こう言われても、その範囲は持てます。外国に脅威を与えませんし、〇・五トンの爆弾を積んで、行動半径は三百五十キロ内外でありますから、外国に脅威を与えないことは明瞭でございます。国内に外国の侵略がかりにあった場合に、かりに侵略者が侵略してきた場合に、これを排し、これを阻止するために、爆弾演習もいたしてやるわけでございます。それ以上のもの、たとえばF104に対しましては、爆撃装置は施しません。西独においては、同じF104に爆撃装置を施して演習しておるそうでございますが、日本ではやりません、こう言っております。多少足が長いですから。それから将来のFX戦闘機——いかなるものを選ぶかわからぬというのがXでございますが、そのFXを、F戦闘機を選ぶ場合でも、爆撃装置は施しません、こういうことを総理も私もたびたびお答えをいたしております。すなわち、私どもが持ち得る——戦闘爆撃機とは俗称でございます。普通はファイターかボンバーかというわけでございます。しかし、ファイターボンバーということばをお互いに石橋さんも私も使ったわけでございます。それは、そのファイターボンバーは、F86Fの範囲において持ち得るということ、そういうことをこの際さらに明瞭にする機会を与えられましたことを非常に感謝いたしておきます。  それから陸上自衛隊の主たる任務は、陸上において行動すること……。
  197. 永末英一

    永末委員 それはまたあとで聞きます。いまのお話では、F86Fというような足の短い飛行機には、爆撃装置を備えて現に使っておる。しかし、足の長い航空機に対しては爆撃装置はつけない、こういうお話なんですね。それならば、F86Fという飛行機は、あと何年たったらなくなりますか、消耗しますか、伺いたい。
  198. 増田甲子七

    増田国務大臣 昭和四十八年になくなるという勘定でございます。
  199. 永末英一

    永末委員 日本の航空自衛隊が、わが国の周辺で戦闘状況が起こった場合に、爆撃能力のあるのはF86Fだけであって、F104はなくてよろしい。あとはFXを採用しても、それは持たせない、こういう方針ですか。
  200. 増田甲子七

    増田国務大臣 爆撃装置を施さないというわけでございまして、どうしても、日本の本土に上陸してきたというような場合で、爆弾を空中から投下せんならぬという場合には、爆弾を持って、爆撃用照準器のないもので落とすということは、あり得ると思います。
  201. 永末英一

    永末委員 あなた、これは質問していますけれども、妙なことを言いなさんな。昔、第一次世界大戦で、青島の上に行って、そして照準器も何もなくてぽんと落とした、あんなことが行なえると思いますか。ばかなことを言いなさんな。われわれの命の問題じゃないか。そんなばかな答弁はやめなさい。ただ、あなたの言われたことを好意的に解釈すれば、足の長い航空機、すなわちよその国の上空に達し得るものには爆撃装置をつけぬというようなことかいなと思っておりましたが、あなた、絶対にやらぬ、こんなことになったら、これはわが国の航空自衛隊のこれからの装備については、重要な問題です。しかし、いま言いましたね、速記録がありますから、よく考えてください。航空自衛隊の搭乗員に、何も使わないで爆弾を落とせ、そんなことを防衛庁長官命令して、航空自衛隊は動きますか、もう一ぺんお答え願いたい。
  202. 増田甲子七

    増田国務大臣 お笑いになりましたけれども、やはり爆撃装置は施さないのでございます。
  203. 永末英一

    永末委員 現在持っております104、これの兵器は何と何であるか、お答え願いたい。
  204. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 サイドワインダーと、二・七五インチのロケット、二十ミリのガンでございます。
  205. 永末英一

    永末委員 その場合に、ロケットというのは何ですか。ロケットというのは、どういう作用をしますか。
  206. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ロケットは、空対空の戦闘場面においても使用いたしますし、空対地の場合においても使用いたします。
  207. 永末英一

    永末委員 爆弾というのは、大体空対地のようですね。その用に供するロケットは——空対空もあり得るかもしれませんが、空対空は主としてサイドワインダーとバルカンではないか。ロケットは、アメリカがいまベトナムで使っている使用方法を見ても、大体空対地で使っておるのが通常ではないかと思いますが、いかがですか。
  208. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 わが航空自衛隊は、ロケットによります空対空の訓練をいたしておるわけでございます。空対空も使いますし、空対地も使うということであります。
  209. 永末英一

    永末委員 ロケットを空対地に使った場合、爆弾との差異は何ですか。
  210. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 投下いたします場合の威力の問題でございまして、作用としては同じであります。
  211. 永末英一

    永末委員 つまり空から下へ攻撃するという場合に、いわゆる爆弾、爆撃装置はつけない。たとえばナパーム弾のごときものをつって落とすということは、私は104でできると思いますが、できますね。
  212. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ナパーム弾を使うことを予想いたしておりませんので、まだそういう訓練、実験をしたことはございません。それによって発射できるかどうか、ちょっと私ども確信がございません。
  213. 永末英一

    永末委員 たよりないことを言いなさんなよ。ベトナムでやっておる戦闘の状態をあなたが御存じなかったら、とんでもない無責任だ。よく御存じだと思う。——では、申し上げましょう。ナパーム弾をつって、それを使った場合に、爆弾とどういう差異がありますか。
  214. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ナパーム弾は、御承知のとおりに、非常に広範囲にわたって目的物を焼き払う、そういう力を持っておるわけでありまして、爆弾は、その爆発威力によりますところの殺傷である、こういうふうに考えております。
  215. 永末英一

    永末委員 多人数に対して被害を及ぼすのは一緒ですね。
  216. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その点は同じでございます。
  217. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官、伺いますが、あなたは、先ほど、つまり爆撃装置はつけない、こういうようなことを言われましたが、ナパーム弾のごときはつけられますか。
  218. 増田甲子七

    増田国務大臣 ナパーム弾のことは、よくわからないのです。
  219. 永末英一

    永末委員 これは重要な問題でございますから、よく研究してください。当然多人数を殺傷するというのは、機能は同じである。機能は同じであれば——いわゆる爆弾をつけない。しかし爆弾なんて、爆弾の形は、いろいろ進化してくるわけであって、われわれが二十年前に戦争しているときでも、彼らはいろいろなものを発明してきたわけであって、おれのところではいままでの爆弾はつけません、そんなことは通りやしません。殺されるのは一緒だ。  そこでひとつお伺いしたいのは、バルカン砲を積んでおるのでありますけれども、これは何かよく当たらないということを聞いて、心配をしております。どの程度射撃精度が——地上でなく空中で、搭載しておるバルカン砲の命中精度は、どの程度ですか、伺いたい。
  220. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 104を採用いたしましてから、もっぱらパイロットによりますところの飛行訓練を当初行なっておりましたが、そういう兵器によりますところの射撃訓練を行なった初期の段階におきましては、実はガンもなかなかあたらなかったわけでございますけれども、最近この数年間の訓練の状況を見ますと、逐次命中率が向上しておると思いますが、具体的な数字につきましては、いま持っておりません。
  221. 永末英一

    永末委員 あれほど大問題になった命中率ではありませんか。具体的な数字は持っておりませんで済むのでしょうかね。  では、サイドワインダーというのは、何発出ますか。
  222. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 サイドワインダーは、通常二発でございます。
  223. 永末英一

    永末委員 わが104は要撃戦闘機だと思うのですけれども、上がっていって、サイドワインダーを撃つ。しかし、それは一目標ないし二目標いけるかどうかわかりませんが、それに対応するだけであって、もし飛んでくる対象が多数であった場合には、一体どうするか。サイドワインダーを撃ってしまえば終わりだ。そうすれば、バルカンにたよらざるを得ない。したがって、私は、バルカンの命中精度というものは、重要な問題だと思う。お答えを願いたい。
  224. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 三十八年度、訓練を実施しました当初でございますけれども、命中率が——これは実施の回数が十三回でございますが、命中率が八%、昨年度の第三・四半期、統計によります一番新しいものでございますが、実施回数が六百三十二回、命中率は六七%であります。
  225. 永末英一

    永末委員 現在104は、実働機数は何機ですか。
  226. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 百七十四機でございます。
  227. 永末英一

    永末委員 百七十四機中、バルカンを搭載しておる機数は何機ですか。
  228. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 約半数でございます。
  229. 永末英一

    永末委員 なぜ半数しか搭載していないのですか。搭乗員は、先ほど申し上げましたように、要撃任務を与えられておっても、サイドワインダーというのは、先ほど申し上げましたように、撃てばおしまいだ。そうしますと、自分の任務を果たすためには、バルカンにたよらざるを得ない。どうして半分しか搭載しないのですか。お答えを願いたい。
  230. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 目下その点については検討をいたしておるところでございますが、諸種の、主として財政的な事情もございまして、当初全部の航空機には搭載しておりません。サイドワインダー、ロケット及びガン、この三種類を持っておりますので、ガンにつきましては当初は半分でございますけれども、われわれとしては今後の検討問題としておるところでございます。
  231. 永末英一

    永末委員 おかしな話ですね。先ほど防衛庁長官、胸をたたいて、そんな通常のボンバーのごときものは航空自衛隊は全部撃ち落としてみせる、こう言われた。ところが、いま聞いてみますと、半数しかバルカン砲を搭載していない。そんなことでいいのでしょうか。国民に対して申しわけが立つでしょうか。財政的な問題だということになりますと、一体どういう財政的な問題なのか。予算上は計上してなかったですか。
  232. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 当初百八十機全機数につきまして、生産いたしましたときには、予算関係等もございまして、半数程度でございますけれども、今後の検討課題としていま検討しておるところでございます。私どもの希望としましては、全機に装備したいというふうに考えております。
  233. 永末英一

    永末委員 正確に聞いておきますが、そうしますと、104は実働機数がいま百七十四機、これは予算で全部立てた。しかしながら、それに装備すべきバルカンに対しては、予算上も半数しか入手していない、こういうことですか。
  234. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  235. 永末英一

    永末委員 入手したのは半数——百七十でございますから八十ぐらいじゃないかと思いますが、実際に稼働しているバルカンは何丁ですか。
  236. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 訓練に支障を来たすことはございませんが、いま大部分稼働していると思いますけれども、何%稼働しているかという数字は、ちょっと持ち合わせておりません。
  237. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官、この答弁をお聞きになって、あなたどんな感じがしますか。私どもは心配しておるわけだ。ともかく国民の税金で、たとえば104を一機つけるかわりに住宅を建てたら何戸できるかわからぬ、こういう世論があるときに、無理して無理してこの飛行機を買い込んでいる。それが全力投球もできないような状態でいま航空自衛隊にある。その搭乗員は、一体どんな気になるでしょう。飛ぶには飛ぶ、しかし兵器ではない、こういうことであっては困るじゃありませんか。いま予算上は八十程度だけれどもあとはわからぬ。実際につけて訓練しておるのは、つまりスクランブルをやっておかしければ発砲しなければならないのに、発砲し得ないような航空機を持っておったって、しようがないじゃありませんか。八十のうち一体幾つが発射可能になっておるのか。その半数以下だということが、われわれの耳にも入ってきます。半数以下とすれば、四十程度ではないか。百七十数機の実働可能機数を持っておって、四十数機しか実際に使えないというようなことをやっておるのは、だれの責任ですか。防衛庁長官、お答え願いたい。
  238. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、全部の戦闘機につけることが望ましいと思います。しかし、財政当局のことを援用してはいかぬとおっしゃっても、やはり財政のこともございますから援用せざるを得ないのでございまして、行く行くは、おっしゃるように、国民もせっかく信頼しておるのでございますから、航空自衛隊の飛行機も要撃能力が完全にあるようにいたすべく、私は努力をいたします。  それから、あなたも御承知のとおり、ほかにもいろいろあるのでございまして、ナイキハーキュリーズもあれば、アジャックスもあるし、ホークもある。それから地上高射隊もありまして、いろいろな網にかかって、最後にはおっこちるということになってしまうのです。
  239. 永末英一

    永末委員 防衛庁長官、私が申し上げておるのは、少なくとも104を採用して、これで要撃戦闘行為をやらせようとするなら、その行為ができるように、その能力をちゃんと一〇〇%持たすのが、あなたの責任じゃないかと言っておる。それは財政的かどうかわからぬが、あなたはあとナイキ何とかがある、ホークがある、そんなことは別の問題だ。ナイキはナイキで問題がありますよ。その部品生産を日本でやっておりますか。飛ぶか飛ばないか、だれがわかりますか。神さましかわからない。それはそれで問題がある。しかし、私はそれを聞いておるのではない。なぜ一体この104に対して全力投球できるようなことにしてないのか。だれかが責任あるじゃないですか。おかしいじゃないですか。もう要らぬのですか。バルカンは104につけぬでもよろしい、サイドワインダーとロケットだけでよろしい、こういう御趣旨ですか、伺いたい。
  240. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 104の主力兵器はサイドワインダーであると考えておったわけでございまして、そういう意味でガンの入手につきまして若干そういう問題がございますけれども、それは今後の問題として十分検討してみたいと思います。
  241. 永末英一

    永末委員 サイドワインダーと言われるから、先ほど申し上げた。サイドワインダーは、一ぺん遭遇して撃ったら終わりだ。しかし、対象は一波だけで来るのではない。たくさん来る。したがって、そういう場合に、第一次遭遇でサイドワインダーを発射したら、第二次が来たときに無能力な航空機に乗っておる搭乗員は、一体どんな気持ちになるか。この辺はもっとしっかり考えてもらわなければ、あなた方にまかせるわけにいかぬ。
  242. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、このサイドワインダーというのは赤外線を追っていくということで、必ず相手の後方に回らにゃならぬということに対しては、不満を感じておる者なんです。すなわち、赤外線でなくて、正面からすぐ撃墜できるようなしかけのものを、二兆三千四百億の中で必ず早期に装備いたしたい、こう考えておることを申し上げておきます。
  243. 永末英一

    永末委員 サイドワインダーについては、前の松野長官も、その赤外線追尾ではだめだ、だからレーダーをつけてやると言っておりましたが、それは別ですよ。しかし、それはどっちにしたって、たとえ一機で四発持っておりましても、それで何機落とせるか、わかり切っております。しかし、第二次遭遇に対して104を使わないというなら別、使うというなら、使えるようにするのがあなた方の義務だということを申し上げておるのです。その責任問題をやっておりましても、財政的に大蔵省に責任があるような話だ。けれども、財政取ってくるのは長官、あなたの責任だ。  そこで、この前、これは空から来れば空だ——どうも空もたよりなくなったのでありますけれども、この第三次防衛力整備計画の大綱というものの中に、次のようなことばがございました。航空自衛隊関係としては「重要地域の防空力を強化するため、」こういうことですが、重要地域というのは何ですか。
  244. 増田甲子七

    増田国務大臣 この重要地域というのは、常識にゆだねておるわけでございます。重要地域というのは、経済、財政、あるいは工業、人口、そういうような見地から見まして比較的重要な地域、こういうわけでございまして、本来は日本本土全体というべきなんです。だけれども、やはり主力をそういうところへ注ぐというようなことで、重要地域と書いてあるわけでございます。
  245. 永末英一

    永末委員 それは伺えませんね。ともかくナイキの配置場所、ホークの配置場所、それから要撃戦闘機の配置場所等々から勘案してくれば、この重要地域というのは、一体どういうものか、どういうものを想定してこの文字を書いたかということば、御答弁があってしかるべきじゃないか。そんな、人口とか経済とか常識的に……。私は、やはりそれぞれの部隊が任務を与えられるのは、ここの地域を守れ、こういうことで任務を与えられておるのであって、常識的にやれなんというような任務をあなたはお与えになっておるわけはないと思う。もう一度、重要地域についてお答え願います。
  246. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この大綱で重要地域といっておりますのは、ただいま長官からお話がございましたように、政治、経済の中枢地帯、あるいは交通の要衝、あるいは防衛上の要点、こういうものも考えておるわけでございまして、したがいまして、ナイキ、ホークの配置場所につきましても、そういう観点からその場所を選定いたすわけでございます。
  247. 永末英一

    永末委員 重要地域というのは、政治、経済、交通、防衛、それぞれの重要地域だ。具体的には、政治、経済の中心地といいますと、僻村ではなくて、人口のたくさんおる大都市ということになろうと思う。交通の要衝といえば、それはそういう交通網の集結しているところ、大都市が多いのでございますが、その他にもございましょう。防衛上の重要地域日本では防衛上の重要地域といえば、わが自衛隊の航空基地——普通の航空戦闘が行なわれるときには、まず航空基地をたたく。イスラエル空軍がアラブの空軍基地をたたいた最近の事例を見ても、ごく明らかだと思う。その場合に、日本にはアメリカの空軍基地があるわけだ。一体その防衛上の重要地域という場合に、アメリカの基地、日本の基地、そういうものは入ってくるのじゃないか。一体どういう段落をつけて考えておられますか、伺いたい。
  248. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本のことですから、具体的に申したほうがいいと思うのです。私は、基地というよりも、やはり京浜地方とか、あるいは中京地方とか、あるいは阪神地方とか、北九州地方とか、あるいは青函海峡とか、あるいは北海道の札幌、千歳、苫小牧とか、そういうようなところにこの重要地域というものは着目しておると思います。
  249. 永末英一

    永末委員 アメリカの基地も入っていますね。
  250. 増田甲子七

    増田国務大臣 京浜地区の中には、それは横田も厚木も入るでしょうけれども、われわれは京浜地区というようなことで呼んでおるわけでございます。
  251. 永末英一

    永末委員 この前の予算委員会で、あなたに対して私は、アメリカ軍との間に連合計画のごときものはあるかということを質問いたしました。あなたはそういうものはないと言われた。しかし、いまの重要地域防空ということだけを考えましても、一体それならばアメリカ軍の基地はだれが守るのか。アメリカ軍はベトナム戦争のために、その大部分の要撃戦闘機を日本の内地から外へ出しているように思います。そうしますと、まさにいまあることが起こった場合に、それらの基地の防衛というものを、日米安保条約の趣旨に照らせば、わが航空自衛隊がやらなくちゃならぬ、こういうことになるのじゃないか。だといたしますと、一体アメリカ軍の防空力とわが航空自衛隊ないしその他の防空力との間に、何らかの守備範囲についての協定、計画があり得なければおかしい、こういうように思います。お答え願いたい。
  252. 増田甲子七

    増田国務大臣 相互に連絡をとりつつ防衛はいたしますけれども、共同防衛計画なるものは、この前の御質問もございましたが、全然ございません。  それから、京浜地区といえば、やはり横田も入れば、入間も入れば——これは日本のほうでございまするが、あるいは百里も入れば、相当広範なものでございまして、地点、地点ではないのでございます。相当の広いエリア、地域である。要すれば私は、日本全体をほんとうは守るというのが当然なんでございますが、こういうところへ主力を注いでおるということが大綱に書かれておりますから、申し上げるわけでございます。
  253. 永末英一

    永末委員 何かアメリカ軍と協定をしたら、何とか計画ではないかと言われそうな気持ちがあなたにあるのかもしれませんが、実際に有事即応ということで航空自衛隊が動いておる限りにおいては、もしあなたが航空自衛隊の搭乗員あるいはある一隊の指揮者であるのなら、自分の守備の限界がわかっておるわけだ。そうならば、自分の限界以上のところは一体どうなるのか、これはだれだって心配するのが当然だと思う。協定がないと言われるから、あるだろう——持っていれば出して、これ見ろと言いたいところですが……。  それではちょっと話を変えまして、この前日本海で第七艦隊とそれからわがほうの海上自衛隊とが共同演習をした。これはあなたも国会で御報告になったと思うのです。あの共同演習の場合に、わが海上自衛隊は一体どういう分担をやったのです。お答え願いたい。
  254. 増田甲子七

    増田国務大臣 こまかいことは防衛局長から補足させるということを前提としてお答えいたします。九日間にわたる共同訓練でございまして——ども演習と言っておりません、共同訓練を行なっております。それからその訓練はどういうことか。潜水艦を発見する訓練、潜水艦を発見した場合は、これに爆雷を投下して、命中するか命中しないかということは、これは仮設爆雷でございますから、ほんとうの爆雷でははないわけでございますが、その爆雷が命中する度合いというものは、潜水艦のほうで認識して教えてくれます。要するに両方で連絡をして、そうしてめいめいの指揮官がありまして、日本のほうにも指揮官がおる。これは海将補でございます。向こうのほうには向こうのほうの指揮官があって、連絡をしつつやったわけでございます。  それから永末さんは、共同防衛計画があるということは機密であって、それを知られるのが心配だということで私が隠しておるんじゃないかとおっしゃいますが、共同防衛計画があったって、これはかまわないことなんです。日米安保条約第五条第一項に基づいて共同防衛計画をやってしかるべきことなんで、あたりまえのことなんです。ないからないと言うわけであります。ちっとも悪いことではないので、あたりまえのことで、何もただひた隠しに隠すことはない。第五条第一項で安保条約自身も明瞭にしておるわけですから……。また、国防基本方針も明瞭にしております。第二次防衛計画のときの大綱も、明瞭にしております。第三次国防計画の大綱も、またこれに関する主要項目も、所要経費も、明瞭にしております。ただ、防衛計画の内容は、日本は持っておりますよ。日本は持っておりますけれども、その防衛計画を示せといっても、これは機密でございますかう示すわけにはまいりませんということを申しておりまするが、日米共同で防衛計画を立てていないのですから……。立てておるならば、立てておる、しかし機密でございますから申し上げかねますということは言いますが、立てていないのですから、立てていない。そんなことじゃけしからぬじゃないかということをおっしゃいました場合には、またあらためてお答えをいたします。
  255. 永末英一

    永末委員 私どもの党の考え方は、あなた方とは別なんです。しかしながら、あなた方が日本防衛責任者であって、しかも現在の安保体制の中で日本防衛を考えると、こういうことになりますと、あなた方の義務として、私はやはりアメリカ軍との間の何らかの打ち合わせ、協定、名前はどうでもいいですよ、どういう任務分担なりどういうような作戦になるかということを持っておられなければ、日本人の側からいたしましても、きわめて不安心ではないかと思われてなりません。  それでは一例を申し上げましょう。一たん有事の場合に、たとえばわが陸上自衛隊は、どの程度たえ得る弾薬量を持っておりますか。どういう計算をしておられるのですか、伺いたい。
  256. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はこまかい数字は存じませんけれども、この前、国会におきましては約一カ月と申しました。それから一カ月たてばなくなってしまう、けしからぬじゃないかという御質問もございましたが、われわれはそれぞれ国防産業のほうにおいて弾丸なりその他のものをどんどん製造しておりますから、相当程度は続くということも申し上げておるわけでございます。しかし、それ以上の場合はどうするか、仮定の御質問があったと仮定して私はお答えいたしますが、それ以上の場合には、やはりアメリカ弾薬なり武器なりにたよるということに相なるんじゃないかと思います。
  257. 永末英一

    永末委員 わが国で戦闘行為が行なわれる場合に、どんどんよそで弾薬を製造しながら戦闘が続く、そんなばかなことはありゃしませんよ。めちゃめちゃになっていますよ。私どもが考えているのは、そういうような戦闘行為をわが国土内でやらぬようにしよう、これが一番われわれの目的なんで、あなたの言うように、片っ方で弾薬工場があるからだいじょうぶだ——それはまっ先にやられますよ。しかし、いまここで伺いたいのは、おそらく現在の自衛隊方々が任務を与えられて訓練をするその場合には、単独の訓練であるかもしれぬけれども、やはり片っ方でアメリカを見つつ訓練をしておられると思う。その場合に、アメリカ——たとえば弾薬の話を出しましたのは、一カ月はわれわれが持ちこたえても、一体アメリカが戦争を継続してくれるんだろうかというようなことが心配だろうと思う。死ぬまでやれといって初めて戦えるので、それをおまえたち一月がんばればいいんでは、なかなか戦うという意思がはっきり固まらぬのではないかと思う。その意味合いでは、アメリカとの間の連合協定なり何なりというものが、私は防衛庁長官としてやるべき問題だと思いますが、その最後のところですね、あなたからはやっていないという現状を伺いました。しかし、あなたはやるべきだとはお考えになりませんか、伺いたい。
  258. 増田甲子七

    増田国務大臣 定期的に日米安全保障協議会は開くわけでございまして、その際に、一たん事があればお互いに助け合うくらいな話は行なわれているわけでございます。その中身までは申し上げかねますけれども、そんなに御心配ないのでございまして、あなたは、日本がやられればすぐ兵器工場が先にやられて何も戦争はできないのだとおっしゃいますが、私は自衛隊の存在によって日本に戦争が持ち込まれない、侵略がないということについて相当の効果がある。自衛隊が存在し、猛訓練をしておるということによって、日本に戦争が持ち込まれない、戦争抑止力がある、こう考えているわけでございまして、これくらいなものはしようがないからやめろというような話になりますと——第一、戦いが始まれば、そこらの兵器工場は全部やられるのだし、もうお手上げだなんというようなことは、心からはあなたはお考えになってはいらっしゃらないと思いますが、自衛隊はある程度の戦争抑止力がある。そのために猛訓練もしておるわけでございます。これは存在するだけではしようがないのでございまして、猛訓練をしておりますというと、向こうでもばかにはしませんから——向こうというのは侵略者のことでございます。侵略者がばかにしませんから、日本にやってこない。こういう意味において、自衛隊の訓練なり、活動なり、存在というものは、重要な意義がある。いまやユニフォームの連中も、そういう使命感に徹しておると私は考えております。
  259. 永末英一

    永末委員 問題を取り違えていただかないように……。われわれは、ともかく日本の国を守るのは日本人だ、この意識を日本人が持つ、そしてその上にやはり自主防衛の体制をつくるというようなところから、日本防衛問題を解きほぐしていきたい、このようにわが党は考えております。そういう目からあなたのほうを見ますと、訓練しておればいいんだと言うけれども、先ほど出したように、わが104についている機銃というものは、あの程度しかやっていない。いま予算を使ってやっているその点でも、そういうことである。訓練訓練と言うけれども、実戦を想定していなくては訓練というものはできないわけである。その実戦をやった場合に、たとえば弾薬の消費量はこんなものだ、これでしまいだというような思いが、ほんとうにわが自衛隊の隊員にどのような一つの確固たる意思力を与えるか。この辺は、私は、防衛庁長官はもっと全体的に見てお考えを願いたい問題だと思います。  共同計画、の話はいまのようなことでございますが、私、先ほど日本海の共同訓練の話を伺いました。どこが共同なんですか、伺いたい。
  260. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の知っている範囲以外のことでしたら、また政府委員から補足させるという前提でお聞き願いたいと思います。潜水艦の供与を二隻受けまして、これが仮想の侵略者としての潜水艦になってくれたわけでございます。その潜水艦の発見のしかたを太平洋において半分行ない、日本海において半分行なった、こういうわけでございまして、向こうでは駆逐艦、日本では防衛艦でございます。同じものでございますけれども、私ども防衛艦と呼んでおりますが、この防衛艦が相互に発見して競争し合うというようなこともやるわけで、そうすると、お互いの力もわかるわけなんです。潜水艦発見能力というものがこれは一番大切でございまして、発見できれば、あとはある程度しめたものじゃないか。つまり仮設爆雷の投下の演習も、ずっといたしたわけでございます。
  261. 永末英一

    永末委員 発見のしかたが共同だと、こういうお話のようでございます。(増田国務大臣「提供してもらっております」と呼ぶ)そこで一つ伺いたいのは、従来の日本自衛隊の潜水艦というのは、はなはだ足がおそい。そこで原子力潜水艦、これをソ連も持っておるようだし、中共はよくわかりませんが、足の速い潜水艦というものが走ってきた場合、これを一体いまの護衛艦の力で捕捉し、そしてこれを撃沈するという場合、事態は変わってくるのじゃないか。おそらくこの日本海の共同訓練の場合には、足の速いアメリカの潜水艦が走っておったのじゃないかと思いますが、そうですか。
  262. 増田甲子七

    増田国務大臣 そこまでわかりませんが、われわれのほうは護衛艦五隻出まして、護衛艦が一生懸命発見する努力もいたしました。またP2Vというようなものも出まして、そして潜水艦の発見につとめたわけでございます。何しろ日本の周辺海域を防護するというのがわが自衛隊員のつとめでございますから、そこでP2Vを使ったり、それからS2何とかという、もうちょっと対潜能力は低いようでございますが、そういうようなもの、ソーナーその他を使ってやるというようなことまでして、共同——つまり向こうの海軍の持っておる各種の力、日本の海上自衛隊の持っておる航空能力、それから護衛艦の能力というものをフルに使って、共同して訓練をしたわけでございます。
  263. 永末英一

    永末委員 一番新しい潜水艦は、従来の葉巻き型の潜水艦と型を変えて、ティアドロップ・タイプ、アメリカの攻撃型潜水艦みたような、こういう太短い型を作製中と伝えられますが、その意図は何ですか。
  264. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは水中における運動性能並びに相手方の水上艦艇なり潜水艦に対する探知能力を拡大する、そういう意味で、従来アメリカ等におきましても採用しておりますティアドロップ・タイプを今度は新設していこう、こういうことであります。
  265. 永末英一

    永末委員 それはアメリカの型をまねているのですか。わがほうの探知能力を訓練するために、その対象となるであろうところの潜水艦もそういう形になっているからつくっている、こういうのですか。
  266. 増田甲子七

    増田国務大臣 今度予算でようやく一隻とれたのが、涙滴型でございます。これは日本語でやはり申しましょう。涙滴型の新型の潜水艦でございまして、従来の長いああいう形のと比べておおよそ違っておりますが、要するに潜水艦の能力が相当向上しておる、こういうわけでございます。
  267. 永末英一

    永末委員 能力が向上という意味は、速度が速くなりますか。
  268. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 速度も速くなりますし、水中深度も従来よりもさらに高められており、またソーナーの能力というものも、従来よりもさらに高めていきたい、こういうことであります。
  269. 永末英一

    永末委員 先ほどの話に戻りまして、防衛庁長官、先ほど答えかけられた問題、すなわち陸から来れば陸上自衛隊——わが国の場合、陸から来る場合をお知らせ願いたい。
  270. 増田甲子七

    増田国務大臣 陸から来ればというのは、陸上へ上がってきたらということであります。
  271. 永末英一

    永末委員 陸上に上がる場合は、わが国の周辺はみな海でございますから、空から来るか、海から来るかしなければ陸上には上がれない、こういうことになるかと思うのであるますが、そうですね。
  272. 増田甲子七

    増田国務大臣 まあ海から来ても、空から来ても、陸上から来るということには、やはり陸に上がってくれば、なります。
  273. 永末英一

    永末委員 陸上に上がってきた場合には陸上自衛隊行動を起こすわけでありますけれども、一体長官、空から来る場合と海から陸上に上がるために来る場合、そのことに対してわがほうの陸海空三自衛隊は共同でこれに対処する、そういう訓練を何べんくらいやりましたか。
  274. 増田甲子七

    増田国務大臣 回数はわかりませんから、局長から答えさせます。
  275. 中井亮一

    ○中井政府委員 私も正確には覚えておりませんけれども、統合演習ということで、沼津付近の沖で一度やったことを覚えておりますほかに、陸と海との関係で、海の輸送——海の上陸支援艇を使って陸上の部隊を輸送するような訓練というものは、各方面隊ごとに各年度ごとに一度ぐらいずつはやるように配慮しております。
  276. 永末英一

    永末委員 いま何か、年度ごとに一度ずつぐらい、こういう話ですが、私どもは、一体現在の陸海空三自衛隊というのは、それぞれ歴史的経過が違った形で発展してきたと思うのですね。一番欠けておるところは、いまのような沼津沖という話が出ましたけれども、ある一つ状態想定して、これら陸海空三自衛隊がどうやってこの侵略を排除するかというようなことで、任務分担をしつつつくられてきたというようなことがなかったのではないかと思われてなりません。いわゆるわが防衛庁設置法におきましても、自衛隊法におきましても、統幕の統合機能というものが、法律上明確になっていません。何かばらばらな寄せ集めである。たまたま防衛庁長官という増田甲子七氏一人に、人的にこれが統合されておるのである。実際に機能的に統合されていないのではないかと思われてならない。今度の第三次防には、似たようなことが初めて書かれました。この辺の運営というものを増田長官はどうお考えか。あなたが、陸から来れば、空から来れば、ばらばらに言われたあの表現そのものが、私は問題があったと思う。本質的にはやはりそういう感覚があなたにあったと思う。そうではなくて、やはりばらばらに来るわけないですよ。海から来る場合には、必らず同時に空から来るわけだ。まず、それに対して陸海空三自衛隊がどう対処するかということを考えざるを得ない、こういうような問題ではないかと思いますが、この辺の考え方をお聞かせ願いたい。
  277. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が、敵が来た場合にどういうふうに対処するかという御質問に対してお答えした点は、ちょっと有名になりましたが、陸から来た場合は陸上自衛隊、海から来た場合は海上自衛隊、空から来た場合は航空自衛隊と申したことは、事実でございます。これはあなたも御承知自衛隊法三条第二項に書いてあるのでございまして、すなわち、陸上自衛隊は主として陸上において行動するものとする、航空自衛隊は主として空中において行動するものとする——もっともナイキハーキュリーズなんか、これは別でございますが、これは航空自衛隊に入っておりまするが、海上自衛隊は主として海上において行動するものとするという正確なる御答弁を申し上げたわけでございまして、別にユーモラスでも何でもないのでございます。しかしながら、一面におきまして、統合幕僚会議というものもございまして、その議長もございます。それから防衛出動を七十六条において行なった場合に、その出動総理大臣の命令によって国会承認を得て行なうわけでございまするが、総理大臣が防衛庁長官に指揮命令をする。防衛庁長官が各陸上、海上、航空の幕僚長に指揮命令をする。それで初めて防衛出動ができるわけでございまするが、両方の自衛隊、あるいは三つの自衛隊が総合して働くことが、もちろん必要でございます。このことは、もうあのときはあれで答弁はおしまいでございましたが、やっぱり共同動作ということが必要でございまして、その共同動作をしてある地域に対する防衛出動をするというような場合には、陸上幕僚長、海上幕僚長だけでもいけないときには、統合幕僚議長がその際には幕僚長のつとめをして、海上と陸上との総合的の指揮をするのである。また、航空と陸上との共同動作をするというような場合も、相当出てきましょう。そういう場合には、同じく統合幕僚議長が指揮をとるのである。しかし、やっぱり議長に対する指揮は、総理大臣が指揮監督者でございまして、私がそれを受けて隊務を統括するという意味におきまして、幕僚長を動かし、統合幕僚議長を動かす、こういうわけでございます。
  278. 永末英一

    永末委員 ただいま防衛出動の話が出ましたけれども防衛出動をやる場合は、法律に定められております。しかし、具体的にその命令を受けていよいよ自衛隊防衛出動する場合には、どういう基準でやるか。あなた方の隊を動かす場合に、いろいろな訓令を出しておられますけれども防衛出動の訓令はつくっておられますか。
  279. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 防衛出動の手続に関する長官の訓令のようなものは、まだ定めてありません。いろいろ幕僚等で研究いたしておるところでございますけれども、訓令は作成しておりません。
  280. 永末英一

    永末委員 治安出動に関する訓令は、すでに前につくられておる。これは国会に提出をされまして、われわれも承知しております。なぜ防衛出動に関する訓令をつくらぬのですか。
  281. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 治安出動に関しましては、警察との関係と申しますか、要するに自衛隊が治安出動いたします場合には、警察のうしろだてとして、警察がまず治安維持に当たりまして、なおかつ一般警察の治安維持力をもってしては収拾ができないというふうな場合に、自衛隊がそのうしろだてとして治安の確保に当たるということでございまして、平素から警察との関係におきまして連絡を結ぶ必要もございます。主として訓令の内容という点におきましても、そういう警察との任務分担と申しますか、そういう点についての規定をいたしておるわけでございます。防衛出動につきましては、これもいろいろ外部との折衝問題、調整問題というのがあると思いますけれども、まだ実は研究がそこまで進んでおらないわけでございます。そういう意味で、治安出動のほうはすでに訓令化されておりますけれども防衛出動については、まだ目下検討いたしておる、こういう段階であるわけでございます。
  282. 永末英一

    永末委員 防衛出動をやらなくちゃならぬような場合、特に陸上の場合には、この国土内で弾薬が炸裂するわけですよ。そうしますと、国民には非常な迷惑をかける。そういう場合、一体国民がどうなるのか、そういうようなことが一つも、この前の予算委員会でも、あなたのほうは研究してなかった。だいぶ日取りがたったので、ああやって私が火をつけておきましたから、御研究になったと思う。そういうことは、やはり防衛出動の中で動いていく部隊に、これこれこれこれということをぴしゃっと与えておかなければ、動けない問題だと私は思います。防衛庁長官、あなたはいまのような問題を含んだ防衛出動の場合に、自衛隊の動く基準というものをつくることは必要だとはお考えになりませんか。お答えを願いたい。
  283. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず、この法律の七十六条がございまして、そうして国会承認を事前に得て、それから防衛出動するというのが原則でございます。そこで、あと行動のしかたというものは、すべて私の部下でございますから——もっとも、私の命令というものは幕僚長を通じて行なうということになっておりまして、直接司令官等は動かしません。幕僚長に、東北のほうに行けなら行けという範囲のことはやりますが、あとはやっぱり制服のほうがよく訓練しておりまするし、各種の演習等もいたしておるわけでございまするから、何も訓令がなくても動かし得ると思うのです。法律的根拠があって、そして命令を下し得たならば、幾らでも——いろんな場合があるのですから、昔でいっておそらく野外要務令というようなことをあなたは期待していらっしゃるのでしょうけれども、まだこれは研究中でございます。でございまするから、直接できてはおりませんけれども、しかし、防衛計画というものは国会には示してはおりませんが、毎年毎年防衛計画もございまして、こういうときにはこういうふうにするのだ、ああいうときにはああいうふうにするのだということの計画はございますが、計画どおりにはまたいかぬものでございまして、そのために訓練にいそしんでおる、猛訓練をさせておる、こういう状態でございまして、いま訓令がないというのは、各種の場合がございまするから、昔のような画一的の野外要務令といったようなものは、まだ研究中である。しかしながら、隊を国民の御期待に沿うて国家国民を守るために動かし得るか得ないか、国会の御承認があれば動かし得るわけでございます。
  284. 永末英一

    永末委員 私の申し上げたいのは、大体自衛隊というのは、いろんな訓令で動いているではありませんか。そうして防衛出動と治安出動——一番重要な問題は、自衛隊にとっては防衛出動と治安出動で、治安出動まで訓令を書いて——何も内容は警察だけのことじゃありませんよ、国民に関する問題があるではありませんか。ところが、防衛出動についてはつくらぬのだ。動けやしませんよ。あなたは、そんなものなくたって動けるのだ、先ほどの爆弾の話と同じで、そんなものじゃないですよ。死にに行かすのですよ。そしてそれとともに国民もまた死に至るわけだ。そういうな一つのけじめ、基準というものをつくっておくことが、私は、防衛庁の隊員が自分の任務範囲、これを知ることになると思う。これはひとつ御研究を願いたい。  もう一つ、与えられた時間が終わりに近づきましたので、ぜひこの際伺っておきたいと思いますのは、国防会議のことでございまして、佐藤内閣ができまして以来、国防会議は何回開かれ、大体一回の会議は何時間か、お答え願いたい。時間がありませんので、ひとつ簡単にお答えを願います。
  285. 北村隆

    ○北村政府委員 お答えいたします。  四十年一月二十一日、それから四十一年十一月二十九日、四十二年三月十三日。大体平均一時間くらいでございます。
  286. 永末英一

    永末委員 防衛庁設置法の第六十二条に国防会議規定がございますが、その第二項第三号の「産業等の調整計画の大綱」なんというのは、まだ一ぺんもやったことありませんね。
  287. 北村隆

    ○北村政府委員 ございません。
  288. 永末英一

    永末委員 防衛庁設置法の中に国防会議が設置されておるということが、この国防会議議題になる事項が防衛力整備計画にとどまっておる。そこに私は原因があると思う。そこで、日本の国の平和と安全についての問題は、何も自衛隊だけの問題ではない。自衛隊以外の問題はたくさんあるわけである。現在の国防会議は、言うならば、日本自衛隊を乗せて、これを機能せしめるその他の問題、ないしはまた自衛隊行動した場合、一たん有事の場合に国民に起こるであろうところのいろいろな被害というものを、政府は責任を持ってこれを処置していく、こういうようなことが、私は日本防衛計画にはなくてはならぬ問題だと思う。ところが、これらの問題について、一体この国防会議は有効に措置をする機能を持っておるかどうか、お答えを願いたい。
  289. 北村隆

    ○北村政府委員 お話のとおり、国防の範囲は、小銃から核に至るまで、非常に範囲が広いわけです。大体国防会議を開催する場合は、あるものを決定する場合に国防会議の決定、こういうことにいたしております。それ以外の場合においては、大体国防会議議員懇談会という形式で、各般の事象について問題を提起して、その時期時期に応じて御討議を願っておる次第でございます。
  290. 永末英一

    永末委員 この国防会議の内容が、いま事務局長が言われたとおりきわめて貧弱であって、国防会議というからには、実態を知らないものからいたしますと、ここでやはりわれわれの命の問題の大綱が論ぜられ、その方針が決定しているかのような期待を抱くわけである。したがって、わが党としては、このような国防会議というのは、ひとつこの際発展的に解消して、国家安全保障会議、すなわち政府が直接に国民の命に責任を持ち得るようなそういう機構をつくり、編成をし、そうしてそこに人を集め、そうやってその責任のありかをはっきりさしていく、こういうことが必要だと思いますが、防衛庁長官はわれわれのこの意見に賛成ですか。
  291. 増田甲子七

    増田国務大臣 永末さんのお顔は午前中拝見しませんでしたが、午前中に、そのことは実は社会党議員のきわめて妥当なる御質問がございまして、お答えをいたしておきました。  それから、その前に一つお答えしなければならぬのは、七十六条に基づいて出動した場合に、物件を使用、収用させるというようなことを県知事に委嘱して、県知事がこれを行ないます。それは政令でこれを定めるというようなことが書いてございます。また、一たん事があるときには、これも午前中あなたのお顔は見えませんでしたが、社会党から適切なる御質問がございまして、たとえば海上保安庁長官というものは防衛庁長官の指揮下に入る。しかし、どんなふうに働くかは、政令でこれを定める、こういうような政令もまだ準備してございません。これは準備をしなくてはいけない。各省関係でいろいろ文句もあろうけれども準備をせいということを私は部下に命じたということをお答えいたしております。  それから、あなたのおっしゃる訓令というものは、これはもう政令以下のものでございまして、政令で定めなくても、内部の訓令でございますから、勉強しろというおことばというふうに、つつしんで承っておきます。  それからその次に、今度は国防会議のことでございまするが、私は安全保障調査会を三年ばかりやりましたけれども国防会議というものをアメリカ国家安全保障会議のようにして、そうして相当国家国民責任の負える形にしたほうがいいじゃないかという愚見を、これは私見でございまするが、ぼくは持っております。  それから、六十何条とかいうような防衛庁設置法の端っこのほうに書いておかないで、国防会議設置法、国家安全保障会議設置法といったようなもので定めて、職員充実して活発に動いてもらいたいと思います。しかし、要するにこれは諮問委員会でございます。やはり行政について最高の責任を負う者は総理大臣であり、各省大臣が連帯して国会に対して責任を負うというようなことでございまして、憲法の規定以上に、何か決裁官庁、執行官庁としての合議体を予想されておるならば、これは憲法違反になりますから、要するに諮問委員会にすぎないのです。でございまするから、いまの国防会議職員充実させまして、活発にいろいろな研究をして、防衛庁だけではできない問題もございまするから、よその省も削ってもらって、たとえば海上保安庁長官を増田防衛庁長官の部下にするといったようなことは、運輸大臣もなかなかえらいでしょうが、そこのところを国防会議の事務局長なんかがうんと働いてもらう。それで、これは一たん緩急あるときは国家国民の生命を守るのだから、ひとつ頼むぞというようなことで、どんどんやってもらうことを私は期待しております。あなたの御質問を心から歓迎する次第であります。
  292. 永末英一

    永末委員 これで質問を終わりますが、私どもがあなた方の政府に要求をしておるのは、少なくともわれわれ日本人の命の問題は、時々刻々これを受けてこれを守っていく体制だけは、責任を果たしていただきたい、こういうことであります。そのためには、その命を守る基本のところがきわめてあいまいなまま過ぎてきたことを、わが党はきわめて遺憾としているわけであります。そこでいまの問題も、そういう機構をつくり、そうしてその機構で全般的な国民の命、すなわち防衛のことについての政府の意向のあるところをはっきりさせる。私は、決定機関なんて一つも言っておりません。内閣が決定するのであって、総理大臣が最終的意思を決定するのです。ただ、その意思を決定せしめるについての内閣というのは、別のことがたくさんあるわけだから、この防衛についてそういうことを政府機関の中で専門にやっていくものをつくるべきだ。そういうことをやっておらぬから、シビリアンコントロールというものがぼやぼやしてくるのではないかと思われてならぬのです。もちろん国会には、各党とも三矢小委員会で申し合わせましたとおりに、防衛に関する委員会をつくって、やはり真剣に国民の命の問題に対しては受け答えする、こういう体制をつくるべきだと考えております。その意味合いで、きょうはそのはしりのところを質問を申し上げました。これで質問を終わります。
  293. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、来たる七月四日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後六時十八分散会