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1967-06-22 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 藤尾 正行君 理事 細田 吉藏君    理事 大出  俊君 理事 山内  広君    理事 受田 新吉君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       橋口  隆君    藤波 孝生君       村上信二郎君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府恩給局長 矢倉 一郎君  委員外出席者         総理府恩給局恩         給問題審議室長 大屋敷行雄君         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月二十二日  委員井村重雄君及び山田太郎君辞任につき、そ  の補欠として村上信二郎君及び鈴切康雄君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 一昨日、この年齢所得とは違うということから、傷病恩給の中における増加恩給並びに傷病年金、この問題につきまして、年齢規制の形で分けられている点についての質問をいたしまして、総務長官の退席とともに約束どおり打ち切らしていただきましたが、引き続きまして質問を申し上げたいと存じます。  そこで、この対象人員でございますけれども、普通恩給普通扶助料公務関係扶助料増加恩給傷病年金、これについての予算その他を付したものを、あるいは出しておられるのかもしらぬけれども、私の手元にありませんので、簡単にひとつお知らせをいただきたいと思います。国民所得あるいは予算に関するパーセンテージ等あとで必要になりますので、できればお知らせいただきたいと存じます。
  4. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 まず、今回改正分につきましてどういう対象人たちがおられるかという点について、簡単に御報告を申し上げたいと思いますが、今回の改正によります年額増額及び傷病恩給、こういう関係対象になられる方は、二百八十八万五千人でございます。予算にいたしますと、これに所要の額が、初年度九十六億八千万でございます。平年度にいたしますと三百八十七億三千九百万。それから、老齢者に対する加算恩給についての措置でございますが、これは対象が三万三千人でございます。その予算額といたしましては、初年度一億八千百万でございます。平年度にいたしますと、七億二千五百万と相なります。それから、増加恩給特別加給、いわゆる介護手当と称せられる方々、これは対象が二千四百人でございます。それの所要額は、初年度で七百万、平年度にいたしますと二千八百万でございます。それから、旧外地官公署職員であった琉球諸島民政府職員期間通算関係でございますが、実はこれは正確な数がはっきりといたさないので、対象人員を約一千人と押えております。その所要経費として、初年度二千三百万、平年度にいたしますと九千百万という予算を計上することに相なります。それから、特例扶助料関係支給要件緩和に基づきます対象、これも約二千人と押えております。初年度予算が三千六百万、平年度にいたしますと、一億四千五百万というふうに相なろうかと存じます。それから、在職十二年以上十三年未満の旧軍人に対する恩給扶助料給与でございますが、これは対象人員を約五百人と押えております。予算が、初年度八百万、平年度三千万。  大体以上のような対象人員所要額を計上いたしております。
  5. 大出俊

    大出委員 これは五千人ばかり数字が違うのですが、普通恩給、それから普通扶助料公務関係扶助料増加恩給傷病年金、これについての人員の内訳について教えていただけませんか。計二百八十八万五千人とおっしゃったですが、ちょっとそこのところ……。
  6. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 文官恩給につきまして、対象人員が、詳しく申し上げますと、二十一万六千九百七十三人、旧軍人遺族等恩給が二百六十九万二千八百七十五名、計にしますと、大体二百九十九万九千八百四十八人でございますが、先ほど最初に申しましたのは、一応、いわゆる今回の恩給増額措置そのものによって受ける数字というものを申し上げたわけでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 いや、こだわるわけじゃありませんが、普通恩給の今回の対象人員からいきまして、普通恩給が百三十四万人、普通扶助料が二十三万人、公務関係扶助料が百十八万人、増加恩給が六万人、傷病年金が七万人、したがって二百八十八万人ということになるのではないかと思っておったわけですが、少し数が多いので、そこをちょっと聞いたのですが、あとで調べていただけば、それでもけっこうです。  ところで、老齢者に対する加算恩給改善のところで承りたいのでありますが、妻及び子に対する扶助料を除いては、普通恩給最短年限に達している方々算出率百五十分の五十から、普通恩給最短年限実在職年数との差の一年について一定率の差し引きがありますね。旧軍人または警察、監獄職員が百五十分の三・五、それ以外の公務員が百五十分の二・五、こうなっているわけですね。これを七十歳以上の老齢者に給する普通恩給または扶助料についても、妻及び子に給すると同様な年額相当するものを支給するという優遇措置だとは思うのですが、その根拠が明らかでない。なおかつ、今後七十歳以上については、恒久的にこういう措置をおとりになるのかどうか。これは最終答申とからんでまいりますので、この点だけはひとつ明らかにしておいていただきたい。あとでまた問題になると思うので、理由とそれから今後の方針でございます。
  8. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 御指摘のとおり、いわゆる減算率と称する一定の率によりまして、在職年の短い人に加算によって恩給資格を与えつつ、一方、減算により実在職年相当恩給を給するというたてまえをとってきたわけでございます。ところが、先ほど御指摘のように、昨年いわゆる妻子につきましてその減算率をはずすということで、最短資格までの恩給を給するという措置をとったわけでございます。ところで、それに対応いたしまして、妻子を認める場合には、やはり旧来恩給措置として、妻子老齢者優遇という措置を一応一つの先例的な扱いとして方策を立ててまいりましたので、そこで、妻子是認をするならば老齢者是認をするということが、このいわゆる加算恩給についての均衡的措置として適切ではないだろうかという考え方から、こういう措置をとったわけでございます。  七十歳の年齢的措置というのは、確かに旧来年金関係による各種の扱いを異にする方策をとってまいりましたので、今回に限って新しい措置をとったわけではないのでありますが、やはり今後も老齢者優遇という考え方は続けてまいらなければならないと思われますのは、たとえば、今回の措置によりまして、現在六十九歳の人が来年七十歳になりますと、いわゆる七十歳による増加適用を受けてまいりますので、そういう意味で、年金優遇措置というものを一応一貫した形でこれまでやってまいっておるのでございます。したがって、この考え方は、今後もある程度そういう考え方を援用していくということに相なろうかと存じます。
  9. 大出俊

    大出委員 まず一点御指摘を申し上げておきたいのは、年齢優遇なら優遇でやり方があると私は思うのです。そこで、旧来からそうだとおっしゃるのだが、三十三年の十月から、つまり実施の時期についての年齢別段階的な実施という形のものが出てきたわけですが、これが最初です。そこで私は、という話になるとすれば伺っておきたいのは、つまり減算という形の計算をする、最短年限に達している形をとるのだが、実在職年数との間の減算算定をするというのは、一体どういう理由減算をすることにしたのですか。
  10. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 減算措置をいままでとってまいりましたのは、実は加算によって、一応実在職年というものだけでは資格を取得されないのでありますが、あの当時のいわゆる戦地におけるいろいろな状態というものを考えてまいりますと、必然的に通常の在職年とは割り増しをした在職年計算をするということが適切であろう、こういうことで割り増しをいたします場合に、結局実在職年というものをやはり考え方基礎に置かざるを得ませんので、そこで、恩給額そのものは実在職年相当年額を支給することが適切であろうというところから、実は減算率も、最短年月である十二年、あるいは十三年、あるいは十七年というようなものを一つのめどにして計算をいたしておりますので、そういうふうな扱いに相なってまいったわけでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 百五十分の二・五というのは、どういうことですか。
  12. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 技術的な問題でございますので、私から御説明申し上げます。  百五十分の二・五と申しますのは、文官在職年、いわゆる恩給最短年限は十七年でございますから、百五十分の五十、これが十七年相当恩給でございます。百五十分の五十を十七年で割りますと、一年相当の率が出るわけでございます。こういうような計算をいたしております。
  13. 大出俊

    大出委員 つまり明確な根拠があってやっているわけですね。そうすると、妻と子をはずすときに老齢者優遇することになっておったというだけでこの減算方式をとらないということになると、この実在職年というものとそれから最短年限との関係からいって、いま局長説明しているように、明らかに加算によって最短年限に達している。しかし、実在職年はない。ないから一年に割った額を引いた。この根拠、何か知らぬけれども、妻と子、老齢者をはずすという理屈、ここが明確でない。わからないわけです。優遇措置だからはずしておこうというだけでは、あまりといえばどうもおっつけ仕事になる。根拠にならぬと私は思う。
  14. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給資格をどういうふうに見ていくかという点でございますが、資格見方は、たとえば実在職年だけで見ていくという方針、それから加算年を加えて見ていくという方針、いろいろとり得ると思うのです。そこで、資格を見たときに、その資格を見たんだから、その資格を見た範囲の者を金で支給すればいいじゃないかという考え方が、一つあると思う。あるいは、加算によってもっと加われば、限界がもっと伸びる場合がございます。そこまで全部見ればいいじゃないかという主張があると思うのです。しかしながら、大出委員の御指摘のように、恩給というものは確かに理論的に明確な根拠を持つということについての、それのあり方は望ましいのでありますが、しかし、恩給というものを考えていきます場合に、この間も触れたかと存じますが、いろいろな均衡論がやはりかなり大きく支配をいたしますので、昨年妻子に対してそういう措置をとったことの均衡から、本年老齢者に対する措置をとったわけであります。  ただし、もしそう申せば、おそらくそれでは妻子になぜかという問題があろうかと存じます。そこで、妻子にとりましたときに、やはり私たち恩給というものを実生活の面から考えていくという考え方が、新しい、つまり旧来恩給にある程度社会政策的な意味合いというものが次第に加わっておりますので、そこで、そういうふうな考え方を取り上げるときに、妻子の問題というものを取り上げる可否ということが議論になりまして、そこで妻子是認ということが昨年の措置と相なったわけでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 そこで、おととい私のほうから恩給根本的なものの考え方をくどく質問しているわけですよ。ということは、今日現に退職している人、これからやめていく人、あるいは共済年金に入っている人等々からいきますと、これは社会政策的な意味は何にも含まれていない。ところが、今日やめて恩給をもらっている人たち中心にして、特に軍人恩給等中心に社会政策的なものがどんどん加わってきた、あなたが認めるとおり。だとすると、これは戦後処理という意味を含むのか。さもなければ、これを言いたいわけだけれども、恩給というものがあまりにも低額に過ぎて、実情に即さない。なぜならば、今日アメリカのように、フランスのように、法的措置が行なわれていて、物価が上がっていくならいくに従ってこれを回復する措置をとる、こういうことが行なわれてこなかったわけですね。是正といって世の中が大騒ぎを始める。したがって、三年に一ぺんくらい手をつけなければ、騒ぎがおさまらぬだろうという形の便宜的措置ばかりとってきているところに、今日恩給生活できないという問題が出てくる。だから、社会政策的な意味を含めて、一番金のかからぬ方法でそこのところを手直ししていくということになってきている。そこにこういう便宜的措置をとらざるを得なくなっている根本理由がある。だから、戦後処理なら戦後処理で明確にすべきであり、社会政策的意味を含むようになってきたということになれば、その根本を明確にすべきである。なぜかというと、物価がどんどん上がってくる。これは国の政治の責任ですよ。それに即応しない、生活実態とかけ離れた恩給というものを、法律的に改善しようとしないできた。ここに食えないということ、あるいは生活ができないということの上に立って、たくさんの要求がある。根本的なものを直そうとしないで、この種の便宜的措置をとるというところに、一貫しないものが出てくる。ここを言いたいわけです。だから、二条ノ二をつけ加えたけれども、それまた現段階では意味がない。してみると、ここは政府解釈権を持って明確にしなければならぬのではないかと言っておるのです。そこのところをあいまいにしておくところに、この種の問題が次々に出ざるを得ない。それは方々恩給関係各団体から出てくると、受け答えできないですよ、生活実態を述べられるのですから。そうなると、こういう手直しになっておる。それでは恩給というものの筋は通らない。これを言っておるわけです。だから、そこのところを、あとから論議をしますが、もしもそういうことになるとすれば、いま日満日、日満、満日、こういう問題をめぐって何回かの是正措置が行なわれておるのだけれども、これも次々に陳情があらわれて、あとを絶たない。つまりそういう点等とも全部からんでしまうわけです。だから、私はそこのところを、あなたは社会政策的なものがだんだん加わってきたというのだけれども、現状はそうなんだけれども、その根本には何があるのかという点を明確にすべきである、こう考えております。総務長官、どうですか、ここのところは。
  16. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 総務長官にお答えいただきます前に、私から……。実は恩給がいろいろな経緯を通っておりますので、確かに先生が御指摘のような点が、この恩給法をめぐる問題の中にございます。ただし、恩給法そのもの考え方を私なりに理解してみますと、こういうことになろうかと思うのです。つまり恩給というものは、生きものだと思うのです。恩給法そのものも、したがって生きものであることのために、初め恩給法として制定された。それがいろんな恩給法をめぐる社会的あるいは経済的な諸条件というものが、恩給法の、場合によってはワクをある程度考えざるを得ないという点も出てまいりましょう。したがって、今日の恩給法というものを一応私なりに分析してみますと、一つは基本的にやはり恩給法の本質的なものを維持していかなければならない面、それからそれと発展的に出てくる恩給法体系の中で解決されなければならない点、これが今日の一つ恩給法というものをつくり上げておると思うのです。確かに見方によりましては、そういう戦後処理的な見方と思われるものもございましょう。それは必然的にいわゆる均衡論の中から出てくる解決策というものが、いま見られるとおりの恩給的な措置ということになるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  17. 大出俊

    大出委員 いまのその答弁も、全く筋が通らないのでね。均衡論均衡論と言うけれども、均衡一つ破っておいて均衡論を言ってもしょうがない。均衡がとれておるところに一つ新しいものをつくるから、均衡が破れるのです。その新しいものに対して均衡をとる。たとえば妻と子は減算をしない、こういうことをつくっていけば、老人ということになる。あたりまえのことです。だから、なぜそうせざるを得ないかというところに、恩給というものをどう考えるかという根本に戻らなければ、解決しない、こう申し上げておるわけです。だから、三年ばかり前に、矢倉さんが恩給局長になる前、まだ増子さんがやっている時代に、との委員会で、年額八千円、七千円の恩給をもらっている人たちがあって、生活保護基準適用を受けている方がたくさんあった。こういう大きな論争をこの席上でやったことがある。この一番根本に戻らなければ、解決しない。時間がありませんから、この点だけは申し上げておきます。  ところで次に問題は、一昨日申し上げました介護手当、これなんかも、実を申し上げると、いまここでこういう取り扱いをするのが妥当かどうかという点には、ずいぶん意見があるところだと私は思うのです。ということは、大なり小なり——これは項症別に分けて、一項症、二項症というものは重症度なんだが、じゃ重症度中症度の境目というのは一体何だ。ほんのわずかの差だ。そうなると、重症度あるいは中症度というものにそれだけ大きな差をつけなければならぬかという面が、ある面では出てくる。全体的に低いんではないか、絶対額が低いんではないかという問題が、逆にからんでくる。だから、私は何か手当という性格のものがある——手当というのは俗称だけれども、この際それを少しふやしておく、こういういき方が、どうも私は筋としておかしい、こう考えているのですよ。この点、もう一ぺん答えてみてくれませんか。
  18. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 介護手当をどの範囲まで支給するかという点が、確かにあるわけでございます。しかし、こういう手当を特に設定します場合には、やはりおのずからなる重症度の判断というものが出てまいりますので、そこで二項症以上というごとにして支給してまいる。確かに二項症以上というのは、私たち見ましても、非常に症状が重いのです。かりに結核で二項症ということになりますと、もうほとんど他人の介護がなければやっていけないような人たち、その人たちに対する本来の年金が、もっと額がふえれば一番いいのですけれども、おそらくそこに大出委員指摘される年金全体の基礎の問題があると思う。一方に私たちはそれの増額をはかりつつ、片やそういった介護手当増額をしていかなければ、そういう重症者に対する扱いとして見るに忍びないという点がある。ここに手当を少しでもということで、できればもう少し上げたいというところなんですけれども、一応現在ある手当の額の増額ということに、やむなくそこにとどめたいというのが現状でございます。
  19. 大出俊

    大出委員 これも掘り下げると根本的な問題につながりますから、長くなりますのでやめます。  それから、これは下士官方々とそれから准士官以上の方々、十二年、十三年の問題になりますが、十二年六カ月で、たとえば少尉になった。それでやめたとすれば、十三年になっていないから、士官恩給最短年限に達しない。かといって、つまり下士官のほうも、少尉になってしまったから、十二年ということなんですから該当しないという方々をさしているんだろうと思うのです。これは事実前からあった問題なんですね。これをいまここで持ち出すというのは、どういうわけですか。
  20. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに御指摘のとおり、この問題はちょうど谷間にございまして、本来ならそういう解決をすべきでございましたでしょうけれども、実は制度的に見ていきますと、下士官在職年、それにもちょうどぴたり合わない。それから准士官以上の場合にもぴたり合わない。ちょうど間に入ってしまいますので、制度的には何らかの形をとるべきであったのが、救い切れていなかった。そこで今回これを救うことが必要であろう。おくれたことは確かに御指摘のとおりでございますが、実は制度的にいろいろな問題というものを見てみますと、いろいろな問題を提起されているのは、それはそれなりに十分に理由があるわけでございます。しかし、それを是認していくのには、やはり一つ考え方を立ててまいることが必要であろうということで、今回のこの改定に踏み切ったわけでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 一万円ベースといわれるものは、軍人恩給として二十八年四月から実施されているわけですね。そうすると、いまごろになってこれを是正するくらいならば、じゃ、軍人恩給が戦後実施されるようになってからいままでなぜほっておいたんだ。政府責任問題です。下士官ずっとやってきて士官になる人もいるんだから。そうすると、それはいままではほっておいて、いまになってこれをつけましょう、こういうんなら、いま始まったものじゃない。初めからある。五百人だ。五百人の方々が、いままでたいへんな損失をこうむったことになる。そこら責任の所在というものは、全く考えられていない。どうもそこらがぼくは筋が通らぬ気がするのですけれども、何かうしろのほうで話があるのですが、何ですか。
  22. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 いま、私も実は恩給のことは詳しく存じませんので、まことに説明が不十分で申しわけございませんが、実はこの点については、かつては一時恩給を出しております。それについてこういう谷間に入っている人たちをどういうふうにして救済するかということは、実は制度的にはいままでやむを得なかったのだ、一方でそういう措置をしているのでしかたがなかったんだという考え方、そこでそれを下士官として見るか、准士官として見るかは、それはそれなり一つ考え方もありますので、そこで制度としてどうすればいいのかということは、やはり政府側としては検討の課題を持っておった、かように相なろうかと存じます。
  23. 大出俊

    大出委員 それはあたりまえです。一時恩給なり傷病賜金なんというものを払わなければ違法だから、それはあたりまえのことなんだ。そう言っているんじゃない。年金でなかったことは事実なんだ。そういう点がどうもきわめて矛盾だらけであるという感じなんです。  それから次に、多額所得停止基準是正の問題が出ておりますが、これの考え方についてまず承りたいわけです。今回十五万を二十万に、七十五万を九十万に、これはどういう基準なんですか。
  24. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実はこの多額停止は、御承知のように、浜口内閣当時のいわゆる恩給費節約の線から出た制度であったわけですが、それがずっといわゆる恩給ベース改定のときにはそれに合わせて改善措置をとっていくということで、今回も一方で増額措置をとりましたので、それとの関連で十五万を二十万にした、七十五万を九十万に上げるという措置をとったわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 改正後の停止額というのは、具体的にあげるとどういうことになりますか。
  26. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 停止の額の実額でございますか。
  27. 大出俊

    大出委員 つまり恩給額恩給所得の合計が出ますね。そこで恩給停止額がきまってきますね。それを具体的に言うと、どういうことになりますか。
  28. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実際的には、九十万に改正せられておりますが、この九十万というのは実所得になりますので、大体の計算でいきますと、必要経費の控除がございます。したがって、大体九十万になりますと、百二十万くらいの収入の人は、一つのこういう多額停止のそれによって停止を受けてくる、かようなことになろうかと考えます。実際の数字はもう少し後ほどまた明確にいたします。
  29. 大出俊

    大出委員 ここに一つ計算があるのですが、百十万から百三十万の人の場合に百十万をこえる金額の〇・二、それから百三十万から百六十五万円の方々は四万円と百三十万円をこえる金額の〇・三、恩給年額の三割をこえない、百六十五万から二百二十万、十四万五千円と百六十五万円をこえる金額の〇・四、恩給年額の四割をこえない、二百二十万から上の人、三十六万五千円と二百二十万円をこえる金額の〇・五、恩給年額の五割をこえない、こういう算式があるのですが、そこのところはどういうふうに受け取ればいいんですか。
  30. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この多額停止は、実は一律の停止じゃございませんでして、その所得によって率をきめておりますので、その所得が大きくなればなるほど累進していくという、ちょうど税率と同じような考え方で、いま御指摘のような二割、三割、四割という形で落とされていきます。したがって、その人の所得によっては、たとえば二十五、六万の恩給額の人の実額としては、十五、六万しか恩給年額としては得られない、こういう例に相なります。
  31. 大出俊

    大出委員 というと、いま私が御指摘を申し上げたようなことになるわけですな。これは実は非常にたくさんの関心があって、事内閣委員会ですから、方々からいろいろな問い合わせが参ります。ところが、例年いろいろな論議をするんですが、先ほどの妻と子のつまり減算しなくなったということについても、この委員会では特段な論議が行なわれていない。今回議事録を全部読んでみましたが、行なわれていない。そうすると、この委員会が論議をした中身というものを一般の対象者の方々が手にとってながめてみたら、なるほどこういうことになるのかという点が、複雑であるだけにわかりにくいので、やはりこれはわかるように御説明をいただきませんと、ただ一つ基準だけを申し上げたような形ではわからぬ。そういう点はひとつ気をつけていただかぬと、一般の方々に何を論議したのかという点がわからずじまいになってしまう。そういう意味で少しその辺は親切な御配慮をいただきたい、こう思うわけです。できれば、相当の解説ぐらいは恩給局の皆さんのほうでして、私どもにお出しをいただく。資料はずいぶんいただいたんですけれども、残念ながら、私はどうもわかりにくい資料になっていると思うのですがね。われわれにわからぬものが、一般の方にわかるはずがない。どうかひとつわかるように御解説をいただきたいと思うのです。  それから、元南西諸島官公署職員等の身分、恩給等の特別措置に関する法律の一部改正が出ております。今回ここで旧外地官公署職員であった琉球諸島民政府職員期間の通算、終戦時において台湾、朝鮮、樺太等の旧外地関係の官公署に勤務していた恩給公務員が、戦後琉球諸島に引き揚げた、琉球政府の職員になったという意味です。そうすると、職員となった場合は、前の恩給公務員の在職年数普通恩給最短年限に達している者の場合を除いて、琉球政府諸島民政府職員としての在職期間を通算する、こういう措置をやろうというわけですね。ことで私一つ聞いておきたいのは、戦後日本から琉球政府に帰っていった人、それが台湾、朝鮮、樺太等は認めておって、なぜ日本から帰る人を認めないのか。かってに行ったんだからということは理由にならぬと思うので、御説明をいただきたい。
  32. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 この措置をとりましたのは、旧外地におられまして、琉球、つまり旧沖繩県に籍のありました方々は、通常内地の場合ですと、旧外地から引き揚げられてその土地に落ちつくことが可能であり、比較的職も得やすかったわけですが、ところが、御承知のように、琉球政府になりますと、こういった措置が非常にしにくい、そういう点で、これな特殊な措置としての扱いをすべきではないだろうか、こういうことで、旧外地から引き揚げられて沖繩の琉球政府の職員となられた人たちに対する特別措置を考えたわけでございまして、当時としてみますれば、外地におられた人は外地にとどまることを許されなかった、そういうところに外地在籍の人たちとあるいは内地在籍の人たちとの相違がございますので、そこで旧外地職員に限ってこういう扱いをしようとしたわけでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 沖繩の私の士官学校の同級生なんというのは、みんな沖繩で死にました。したがって、私も何回も沖繩に行って見ております。沖繩では相当たくさん人が死にましたが、沖繩出身の方で、眷族がみんな死んでしまって、おばあちゃんだけ残ってしまった。私の友人にもありますけれども、内地の郵政関係につとめておって、どうしても沖繩に帰らなければならぬ、帰らざるを得ないのですね。帰った人もあります。そうなると、一つの戦後処理という形でものを考えるとするならば、あなたの言われる均衡論が出てくる一番もとを掘り下げていきますと、これはやはり日本から帰った方であっても、それはかってに行ったんだからということにはならぬのですね。そうすると、そういうやむを得ず帰る人、これは当然認めなければ、またそこで逆の不平等ができ上がる、こう私は考える。そういう人は帰らざるを得なくて帰っているのですよ。それはどういう解釈になりますか。
  34. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに内地におられて、旧沖繩で家族を失なわれた方で、やむを得ず帰られなければならないという事情は、それはわからないわけではございませんが、しかし、旧外地におられた人たちは、一律的に、しかもその人の意思いかんにかかわらず、どうしてもその外地を去らざるを得ない、そういうふうな人たちであることによって特別な措置を講ずるという意味は、やはり内地からの沖繩へお帰りになる方々との事情の差異を恩給的には考えざるを得ない、こういうことで措置をいたしたわけでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 それも私に言わせると、だから新しい均衡論を持ち出すことになってしまうのですよ。日本からやむを得ず帰らざるを得ない人、これも戦争の結果なんですね。そうすると、その方々個々人についてみれば、何としても日本に残っていようとしてもいられない。だから帰る。一般論でなくて、個々の人にとってみれば、これは同じ理屈ですよ。そうなると、そういうところを残しておけば、わざわざ沖繩から出てきて——今回政府がこういう措置をとるなら、日本からやむを得ず帰った人をどうしてくれるのだという新しい要求を生んでいくことは、当然だと私は思う。だから、そうだとすれば、戦後処理処理と割り切って、そういうところまで手を伸ばして手当てをするということがほんとうだと私は思っておる。ところが、とま切れに一つ一つやっていくと、あとからあとからたくさん出てきますが、そのたびに新しい均衡論でいく、こういうことなんですね。だから、戦後処理をすべきものはすべきものだと考えて手当てをする。あと出てくるものではないですからね。早い話が、ほんとうに年寄り一代制みたいなものである。そうだとすれば、その処理はきちっとするという考え方に立つべきだ。あなたは提案しているんだから、いまここで、じゃわかりましたとは言えないことはわかる。しかし、それはそれなり理由はわかるとおっしゃった。それなら一体どうするかということについて、将来に向かって検討するのかしないのか、どうするのかという点をやはり明らかにしていただかぬと、逆の不平等が起こる。どうですか。
  36. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 今回の御提案申し上げております趣旨は、いま申しましたとおりでございまして、それはそれなりの緊急性があるという考え方でこの措置をいたそうとするのでございます。いま大出先生の御指摘の点についても、もしもそういうことで個々的に判断をすべきだという考え方に立つならば、仰せのごとくかもしれないと考えられるわけでございますが、問題の所在を御指摘でございますので、私たちも今後恩給審議会もございますので、そういうところでいわゆる戦後処理的な課題をどういうふうに考えるかというふうな点についての検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  37. 大出俊

    大出委員 これは技術的なことだから局長でなくてもけっこうですけれども、たとえば旧日本政府時代に沖繩に五年つとめておられて、以後琉球政府にかわった。その期間がかりに二十年あった。つまり施政権の分離ということですね。その場合、一年につき単利計算で百分の四・五を加えて払う、こういうことになっているわけですね。この単利計算というのが私にはわからぬ。いま私が申し上げた計算が今日とられている計算の方式だろうと思うのですが、そうであるかそうでないかということと、それからなぜ単利にしているかということ——これは日本が見てやるんだという気持ちはわかるが、しかし、いまの単利計算は、何も沖繩だけではない。満州の場合だってある。恩給はおおむね複利計算をするのではないかと私は思うのだけれども、そこのところはどうなんですか。
  38. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 沖繩の公務員に対しましては、昭和二十一年の一月二十八日に行政府にいたしまして、もとの沖繩県におりました方が引き続いて琉球政府に勤務した場合には、恩給公務員とみなしていま恩給の通算をしておるわけでございます。ただし、恩給額計算基礎となります退職当時の俸給は、琉球政府の公務員制度あるいは給与制度がわが国の制度相当違いますので、二十一年の一月二十八日の時点における給与基礎としておったわけでございます。当初は、琉球政府の職員として在職した間、この間は俸給上は何ら見ておらなかったわけでございますが、昭和三十七年の改正だったと思いますが、琉球政府の職員期間一年に対して千分の四十五という割り増しをつけることになっております。これは当時の昇給率がおおむね千分の四十、四%相当であるこいうことを根拠にいたしまして、複利計算的な方法でそれを四・五%、こういうぐあいに、大ざっぱでございますが、まるめて計算してあるわけでございます。今日におきましても、大体公務員の昇給率は四%ということになっております。
  39. 大出俊

    大出委員 いま行なわれている形ですから、これを論議してみても始まりませんが、そこでいまの台湾、朝鮮、樺太等の方々が琉球に引き揚げた場合は、いまの算例と同じように考えるのですか。
  40. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 今回の改正に基づくものでございますね。台湾、朝鮮、樺太等から引き揚げてこられまして琉球政府の職員になる、こういう場合には、通算措置を講じたわけでございますが、その俸給のとり方という点につきましては、目下——そのほかにいろいろな点がございます。結局琉球に引き揚げた期間、いつまでをもって引き継いだものとみなすか、こういういろいろな点がございますので、すべて政令で委任する、こういうかっこうになっておりますが、南西諸島の公務員が引き続きまして琉球政府の職員になったという場合の均衡を考慮いたしまして、おおむね同様な措置をとりたい、こういうふうに考えております。
  41. 大出俊

    大出委員 これを見てもちょっとわからぬのですよ、おたくのほうから出しているのを見ても。いまのはさまっているのですか、いないのですか。いろいろの例がある、そのいろいろの例は、きまっているのですか。
  42. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 すべてこまかな点は政令で委任する、こういう形になっておるわけであります。
  43. 大出俊

    大出委員 政令というのは、いま案が出ていないのですか。
  44. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 先ほど申し上げましたように、勤続とみなすそういう範囲を、いわゆる引き揚げ者の実態に即してやはり規定しなければならぬ、こういう問題がございますので、ただいま特連を通じまして琉球政府、いわゆる現地でございますが、そういうところにいま実態を調査してもらっておる、こういう状況でございまして、この実態の調査ができ上がりましたから、政令の内容を確定したい、こういうふうに考えております。
  45. 大出俊

    大出委員 先ほど局長のお話しの、約一千人で初年度二千三百万、平年度約九千百万というのは、あくまでもまことに大ざっぱなつかみ金である、こういうことですか。
  46. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は、私のほうでは、この条件に合う人はもうすべて救わなければいけない、漏れては困りますので。そこで、当時実は特連を通して琉球政府にどういう人たちが条件に合うだろうかということの調査を依頼したわけですが、しかし、そのときに明確な数字がつかめませんでして、約千人ぐらいあげてもらえば大体十分におおえるだろう、こういうことで実は千人をあげ、そうしてなお引き揚げたあとで、たとえば半年で就職しているかあるいは一年で就職しているか、ちょっとはっきりいたしませんでしたので、こういう措置をとった以上、措置から漏れては困るので、そこでそういう調査の上にこの政令で明確に救うよう講じていかないと、この制度意味をなくしますので、ちょっとそういうことで多少実ははっきりしない点が内容になっております。
  47. 大出俊

    大出委員 そうしますと、先ほど私が申し上げている日本からの人の場合に、個別選考をすれば事情は明らかになるのですが、一人も漏れなくというところまで気を使ってこれをおやりになるというならば、その気持ちの中には、事情やむを得ず琉球に日本から行かざるを得なかった人もあるのだから、当然そういう方々から不満が出るのはあたりまえだ、それについて、いまあなたこれを提案されているのだから、修正でもしない限りはそうはいかない。それは相談はします、私ども理事会には提案をするつもりでいますけれども、あなたのほうでやはり検討をする考えがあるのかないのか、ここのところでもう一ぺんはっきりしていただけませんか。
  48. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は制度的にはいろいろな救済の措置を講じてきておりますけれども、救済措置を講ずるには、やはり一応救済の一つ根拠を明確にしなければなりませんので、そこでその根拠を明確にするときに、一つ基準線をどこへ引いていくのか、こういうことで今回の措置をいたしましたので、ただいま御指摘の問題については、この問題を決定をいたします段階では、少なくともわれわれは配慮の中に入れておらなかったわけでございます。したがって、いま御指摘のような点については、あらためて事情も私のほうで調査をしてみたい、かように考えております。
  49. 大出俊

    大出委員 施政権の分離というものは、日本の国の責任です。これは政府責任ですよ。だとすると、分離していないとすれば、日本から沖繩へ行ったって、これは別に問題は起こらない。分離してしまったというところに問題が起こるわけですから、その一点に関する限りは、条件は一緒なんです。だから、私はこれは当然検討しなければならぬ、こう思っております。その点はつけ加えておきたいと思います。  それから遺族に対する特例ですね。先ほど御説明になった遺族年金の支給範囲を広げようという特例の問題です。これは二十五回国会での自民党の皆さん方のもともと議員立法なんですね。これは公務扶助料の額の六割ぐらい普通扶助料よりはよい、こういうことなんだろうと思いますけれども、ここでまずこまかく聞きたいのは、旧準軍人といっているのは、これは士官学校の生徒その他——その他はありますか。
  50. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 旧準軍人と申しますのは、正規の軍人——ほとんど将校でございますが、正規の軍人になる前の学生、生徒。したがいまして、士官学校の生徒でございますとかあるいは見習い士官でございますとか、あるいはその当時いろいろな陸海軍の学校がございましたが、そういうところにおりました生徒、そういうことでございます。
  51. 大出俊

    大出委員 このワクを広げる根拠をひとつ説明してください。
  52. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 これはすでに提案理由説明にもございますように、実は結核等によって非常に長期療養をしておられる人が多うございますので、そういう場合を考えていきますと、やはりこの期間をある程度延長して、いままで救われなかった人たちを救っていく、ほばこういう方については十二年にすれば救われる人たちが大部分であろう、こういうことで十二年というふうな期間延長をいたしたわけでございます。一般のほうも、それに伴って、ちょうど倍増したかっこうになっておりますので、それに合わせた期間を決定をいたしておるわけでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 これはどうなんですか。たとえば六年だというと、六年たったら、翌日ということはないが、だれか死んでしまったということになると、これはかからないわけです。その病気の性格と申しますか、十二年たってぽかっとなくなったという方もあるわけで、そうなると、これは十二年に広げてみても該当しない。どうせこういうある意味で先ほど来のお話の社会政策的なということだと思うのですが、だとするならば、これは六年を十二年にしたさしたる根拠はない。いまのお話なら、十年だってそうです、一区切り、九年だって一区切り、二十年だって一区切りです。そうすると、指定されたこの種のものについては、つまり制限年限は要らないのではないかという気がするのです。救う、そういう原則を社会政策的に立てたって、一つも悪くない。社会政策的にということを強調しておられましたから、その社会政策的な見地に立って要らないのではないかと思うのですが、どうですか。
  54. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かにこれはそういうふうな撤廃してはという御意見もないわけではございませんが、しかし、私たちといたしましては、この特例扶助料というものを考えますときに、公務関係の傷病と死亡との関係というものの因果関係をやはり見ていかなければなりませんので、そういう因果関係を見ていく限界をどこへ引くか。確かに十年でもいいしあるいは二十年でもいいじゃないかというお考えもあるかもしれませんが、しかし、旧来、たとえば結核については六年といたしておりますので、いままでのいろいろな特例扶助料に対する問題の提起の中で、大体十二年という期限がよくはなかろうか、かように考えたわけでございます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 もう一つ理由は、職務関連傷病者で現在療養中の方がございます。その人との均衡から考えましても、実は撤廃をするということには、私たちは積極的にはなり得ないわけでございます。
  55. 大出俊

    大出委員 この出されている新しい——これは今国会の提案でありますから、一応これは全部聞いておきたいのでありますが、国民年金法の一部改正、この老齢福祉年金等と公務関係扶助料、あるいは増加恩給等との併給の限度額の引き上げですね。この十二万九千五百円までというのは、どこに根拠がありますか。
  56. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 これは厚生省関係でございますが、十二万九千五百円と申しますのは、今回の七十歳以上の公務扶助料額にプラスしまして、改正前に、公務扶助料給付者につきましてはおおむね九千円程度の併給額がございます。その今回の七十歳以上の公務扶助料額に従前の併給額九千円をプラスしてそれを丸めた、こういうぐあいに聞いております。
  57. 大出俊

    大出委員 あなたのほうの所管ではないからしかたがないのですけれども、この十八号のつまり兵の方々、これをこの間私御質問申し上げましたように、月額一万円なりという一つの前提で逆算をしたということで年齢の問題も出てきたのだと思うのでありますが、それが一つ基礎になっている、こういう理解をしなければならぬわけですな。
  58. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 併給額の基礎は、公務扶助料の額、これが基礎になってございますから、仰せのとおりであります。
  59. 大出俊

    大出委員 どうもこれもずいぶんこそくな感じでございますが、どうせおっつけ仕事ばかりやっている感じの中身でありますから、それ以上言ってもしょうがないと思うのです。  そこで、いまやたら矛盾だらけという点を実は申し上げてきたのですが、私はその上に立って承りたいわけなんですが、外国政府職員の通算の問題ですね。三十六年の十月に外国政府職員の通算をおやりになったわけですね。それで以後、特殊法人九法人、これが入って、これは基準はたしか二十年八月八日、ソ連参戦の日ですか、が基準になっている。この基準もどうも何となくはっきりしない感じがいたしますが、その後三特殊機関を認めたわけですね。そこで、いま計算のしかたその他の中でどうもたいへん矛盾が多いのではないかということで、以後いろいろな方面での議論に尾を引いてきているわけです。そこらの点について、ひとつ個条的に承ってまいりたいわけであります。  そこで一番最初に、たとえば満鉄もありますけれども、満州電電の社員の場合、つまり日本の国の官吏から満州電電の社員になったいわゆる日満といっているケースです。満州電電に入社をする前に普通恩給最短年限に達していた人は、満州電電の在職期間を通算して恩給改正が行なわれていない、つまり改正措置から除かれていたわけですね。日本の官吏として在職しているうちに最短年限に達していたこの人の場合には、これは据え置かれているわけですね。そこで恩給年限に達していない方の場合には、先ほど三つ申し上げました中に入ってきているわけですね。そういうことになりますと、当時の恩給額のことですから、当時最短年限に達していた人の場合に据え置かれてしまっておりますから、その後満州電電勤続期間を含めて最短年限に達した方々等のケースと比べて、むしろその方々より安いということになっている方々がいる。これは明らかな矛盾、こういわなければならぬと私は思うわけであります。したがって、この点をいままでほうっておくというのはどういうわけか、承りたいわけなんです。
  60. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 これは経過がございまして、特殊機関を通算する場合にこういうような方法を講じましたのは、昭和十八年にいわゆる外国政府職員の期間でございますが、これを通算した場合に——日満日の場合です。この場合に、満州国政府の職員になる前にすでに普通恩給年限に達していた、こういう方々については、普通恩給を支給しつつ現地の俸給をもらう、こういうことが望ましいというような経過で昭和十八年の立法措置がとられたわけでございます。昭和三十六年あるいは昭和三十八年に外国政府職員、たとえば満鉄の方、こういう方につきまして通算措置を講じた場合にも、その経過を尊重いたしまして、同様に、普通恩給年限に達している人については対象にならない、こういうような経過になっておるわけであります。
  61. 大出俊

    大出委員 つまりこういう理由ですね。在職年数に達していた、だから、満州電電に行ったけれども、恩給をもらっていた、だから、したがって通算措置をとらない、こういうわけですね。ところが、これを逆説的にものを申し上げると、戦後社会保障的な、あるいは政策的なそういうものがつけ加えられて、さっきから申し上げておるようにいろいろなことになってきている。そうすると、いまのお話による、つまりもらっていた年金があるとすれば、それは別に返したっていいわけでしょう。つまりずいぶん安い年金で、これに是正措置が行なわれて今日までほっておかれたわけですから、それも計算してみるとたいへんでしょう。だから、それならば、ひとつ差し引き計算をして、安い時代にもらっていたものがあるとすれば、それはお返しをする、返還措置、これは当然でありましょう。そうしてこの是正措置が行なわれて以来今日まで、三十六年十月以来ほうっておかれているわけですから、そこにさかのぼって是正をしていただければ、たいへんな取り分が出てくるわけであります。それらを全部再計算をしていただいて、今日片手落ちだといわざるを得ぬ、こう考えますから——あとのが先になってしまって、あとから入った方々が通算措置でよけいもらっていて、前に入った方々がまさに低額で据え置かれているということは、放任ができない。ひとつそういう計算をしていただくことにして、これは是正しませんか。
  62. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 戦後措置としていろいろな措置をとってきたわけでございますが、いま御指摘のいわゆる恩給最短年限に達し、あるいは恩給をもうすでに受給中の人たち、こういう方々がそれぞれ満州電電あるいは満鉄その他にお入りになった、こういう人たちに対しては、恩給を受けつつのことでございましたので、必然的に措置対象になるのは、そういう関係に立たない人たち、かように旧来考えてきたわけでございますが、いま御指摘の点の御要望のあることも、承知をいたしております。したがって、先ほど申し上げました戦後処理的な一環の一つとして、今後私たちは審議会等でも御審議をいただこうか、かように考えておるわけであります。
  63. 大出俊

    大出委員 この日満日の人には、まるまる在職年を見ているわけですね。つまり満州国政府職員になるのには、何かそのときにならなければならぬすすめがあったこと、それが一つ理由になっているようですね。それから満日なんというのは、本人が進んでなった、だから、最低在職年だけ見る、十七年なら十七年、そうしてあと百五十分の一ずつふやすというのを、これはふやさない。それから日本をやめて満州に行った日満、一年間に百分の四・五、千分の四十五ですね、これを単利計算でふやしていった俸給表をそういう形でつくる、こういうことなんだと思うのですが、そういうことになると、私はここでひとつ冒頭に申し上げておきたいのは、百分の四・五というきざみ方がまず一つ問題、これをまずあなた方の現時点におけるものの考え方で将来ともにこれでいいとお考えかどうか、ここのところをまず聞いておきたい。どんどん開くのですか。
  64. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 いわゆる一般の昇給率は、審議室長から申し上げましたように、ほぼ四%というのが一般の現在でもとられている昇給率でございますので、そこでそういうことを根拠にして、やはり据え置きをするということは適切でないので、そういう額の見直し方をいたしておるわけであります。これについては、先ほどの琉球政府の問題と同じく、これらについての改善を求められていることも事実でございます。これらも今後の私たちの検討の素材にいたしてまいりたい、かように考えております。
  65. 大出俊

    大出委員 私は、基本的に、恩給の絶対額というのがもともと低過ぎるという解釈をとっておるわけです。二十八年ですか、人事院が勧告をしたときには、たしか二五%という負担率だったのですから、だから給付率、納付率の関係からいけば、納付率は少なくして給付率はふやす、これはマイヤース勧告の趣旨を多少ながら受けておるわけです。それは恩給の該当者をその年度予算の当初に調べて、その分だけ予算に組んでしまうという形の無拠出制を勧告しておるのですから、だから、その趣旨を多少ながら生かそうと、当時の慶徳次長さん、あなたのところの坂中課長も努力された。だから、ものの解釈が、一面では私はそういう筋合いのものだと考えておるわけです。だから、恩給の絶対額が低過ぎるところに、是正措置が、外国を一昨日例にあげましたように、アメリカなりあるいはフランスなりの例のようになっていないところに、問題がよけい起こってくる。だから、私は、この際恩給法というものを根本的に考え直す気はないかという点を、どのくらい継続するのかということとあわせて冒頭にものを言っておるわけです。そういう点からすると、この種の片手落ちになっていると一般的に考えざるを得ないものを、さっき例を幾つかあげましたが、こういう筋を立てて逐次改正をしてきた。そのつど理由を言っている。その理由というものはそうくずしたくないというのが先行して、やむを得ないという、あるいはこれから検討してみるということだけでなくて、この際、こういういろいろ足を運んで各方面から陳情にこなければならぬことにしておくことはよくない。だから、やがて答申も出るわけですから、抜本的にこれらの問題を全部片をつける。何しろ在外財産というこの種の問題までケリをつけようという世の中ですから、やはりケリをつける、こういうことで、いまの百分の四・五というのは、昇給率が百分の四なのを〇・五ふやしたんだからというようなことは、理屈にならぬ。だから、まるまる見たってちっとも悪くない。かってに満州に行きたくて行ったんだというような理屈をつけなくていい。日本から沖繩に行った人だって、どうしても沖繩に帰りたくて行った人と違うということは、へ理屈です、戦争をやったのは日本政府だから。そういうふうに割り切って——そんなことを言えば、在外財産なんていうものは一体どうして認めるのかということになる。だから、こういう雰囲気になっている時期だから、この種のものは一切片づける、こういう考えにどうしてならないのですか。
  66. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給についてはいろいろな問題を含んでおりますし、ただいま恩給の額の低さということも御指摘になったわけでございます。したがって、私たちは、旧来とも恩給改善政府側としてもできるだけの努力をしてまいったわけでございますし、本年の年額改定につきましても、一般からはかなり大幅な増額だと指摘をされるような増額改定が行なわれようということで、今回の提案になっておるわけでございます。さらに基本的には、実はこれまで御指摘の二条ノ二のような規定がなかったわけでございます。この点から申しますと、昨年の改正は、実は国会でも御賛同をいただきましたように、非常な恩給としては古いからを破った、法律としては大きな前進だったと思うのですが、ただ、その内容をいかように実現していくかということは、実はこれからの問題であり、また今回の調整規定はその他の社会保障制度とは非常に質を異にする国家公務員の給与というものを入れておるというふうなところにも、非常に前向きの姿勢がこの調整規定に、実はいろいろ御批判はあるかもしれませんが、入っておる、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  67. 大出俊

    大出委員 それからこれは基本的なことを一つ申し上げておきたいのですが、満州電電なり満鉄なりというものをどう見るかという点が、どうも旧来からはっきりしてない。いろんなものの言い方が議事録を見るとありますが、私も実は郵政の出身ですから、郵政省の専門学校に戦時中在学しておりましたから、満州電電の話も再三聞かされたものです。そうすると、これは満州建国と同時に、満州の電気通信事業というものはどうあるべきかということがだいぶ論議をされた。日本政府が全部経営しろという非常に強い意見が一つあり、それから満州国政府が経営するといういろいろ案があり、それがいろいろ両国政府間で論議をされて、利害得失、国際的な波紋等々が論議されて、あまりどうも日本が何もかもやっておるということになってはぐあいが悪いということから、これはまた別な会社をつくるべきだというので、落ちつく先が満州電信電話株式会社。全く同じことがいえるのは満鉄なんですね。日本政府が満鉄を経営する、こういう気持ちが非常に強かったことは事実です。日露戦争の唯一の利権だというわけですからね。ところが、これまた国際的なことをいろいろ考えてみると、形だけは別なものにしたほうがいいというので、満鉄ができている、こういうわけです。そうすると、これはそういう時の政策でなっただけであって、明らかに日本政府がやっていたと言っていい。それを何かしらぬけれども、どうも政府ではないんだからという形のものの考え方が、今日まで何となく先行している。これは、私は戦後処理をしなければならぬ今日の事情からいって、間違いだと思う。こっちから引き揚げてきた人たちの財産まで問題になる世の中なんですから……。そうだとすると、満日であれ、あるいは日満日であれ——日満日は一応片づいておりますが、日満であれ、やはりそういう基本的なものの考え方に立つで解決しなければいけない、こう私は思うわけです。だから、そういうことが理由になる差別というものは撤廃をしたい、これが原則だろうと思うのですね。もうその時期に来ているし、そうでなければ、気の毒過ぎるという気がする。だから、そこのところを、いまのお話で検討しないというのではない、検討するというんだから、ここで提案し直せと言ったって、そうはいかないわけですから、意見を申し上げておいて、これは前回の国会における附帯決議の趣旨もございますから、したがいまして、これはまたあらためて各党の皆さんと相談をしなければならぬと思いますけれども、もう恩給審議会の最終答申が目の前ですから、やはり今回は強力な附帯決議でもつけて、あわせてこの種の問題は結論を出す、こういうふうに私は進めるべきだと思う。これは意見です。つまりいま申し上げているのは、まるまる通算をしなさい、こういう趣旨です。  それから、終戦後ソ連または中国等に抑留をされた期間、あるいは留用された期間を在職年に通算するという問題これも前からあった問題です。これについてどうお考えになりますか。
  68. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 抑留及び留用された期間の通算問題については、これまでもこの国会でたびたび議論になっておりまして、御質問の御趣旨、それから政府側の答弁、いずれも一応論議が尽きているのかもしれないと思われるのでございますが、しかし、これも実はいままでお答え申しておりますとおりに、たとえば一般の抑留者との均衡等が課題にもなりますので、そこでなかなかこれまで踏み切れなかったというのが実態でございます。したがって、いま御指摘のように、恩給審議会等も来年の三月末ということの終期でございますので、これらの問題についても十分御審議をいただこう、かように考えておるわけでございます。
  69. 大出俊

    大出委員 これは外地にあった公務員ですね。朝鮮総督府だとかあるいは関東州等のそれは、文官分限令によってほんとうならば廃庁廃官というのを、帰ってくるまでは認めるということで、そういう過渡的な措置をとったという先例もあるわけです。だから、前の議事録等をいろいろ読んでみますと、その点はいろいろ論議がされている。されていますが、先ほど私が例にあげたように、私は、戦争犠牲者というものは、国民が平等に負うべきであるという原則を実は持っているのです。これは西ドイツの一九五〇年法なんかにはそう書いてあります。だから、在外財産という問題は、そういうふうな原則からものを見なければいかぬと思っている一人なんですが、しかし、それにしても、そういう問題がいま当面問題になって、どこの委員会が所管するのかわかりませんが、処理をしなければならぬ、ここまできている。こうだとすると、財産についてもそのようにというのであるとすれば、その人のかつての身分についてはなおのこと、これは明らかにすべきものはしなければならぬ、そういう意味で私はどうしてもこの際抑留期間あるいは留用期間等についても、ここでいろいろな論議はいたしましたが、これはもう一ぺん検討しなければならない筋合いだ。戦犯で処刑された方々だって、これは今日通算されて扶助料をもらっているわけですから、そういう点等を考え合わせたときに、どうしてもそれが必要だ、こういう考えです。  それから二十年の八月八日まで、終戦時まで在職した者に限るという規定がございますね。これはなぜいままで置いておかなければならぬかということですね。これについて、ひとつ考え方を承りたい。
  70. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給は、やはり一つ措置をとりますときにはある一つの時期を限った形で措置をしなければなりません。そうでないと、権利を取得される人とされない人との混淆が起こります。したがって、その意味において二十年八月八日という、一つの決定的時期を境といたしたわけでございます。
  71. 大出俊

    大出委員 これも申し上げるとまたずいぶん長くなりますけれども、これは電電にもありますし、満鉄にもありますが、時の政策によって、傍系の会社におまえ行けというので行った人もある。そういうのは、あのころ言われて、いやとは言えない時期であります。そういう方々は、その人の運命といってしまえばいとも簡単なんだが、事身分ですから、それでは済まないのですね。そういう点で、先ほどの日本から琉球に帰らざるを得なくして帰った人、これだって個々にいえば先ほど申し上げたようなことになる。だから、やはりそういう点はきめこまかに処理をするならするで、全部片をつけなければならぬ。こういう考え方なんです。だから、けじめをつけなければならぬということではなくて、どういう実情にあったのかということが先だ、こう私は考える。そうでなければ、いままでやってきた処理意味がなくなる、こう思っておるのですね。そこの点どうですか。
  72. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 やはり制度は、それぞれいたしますときには、ことに権利関係の問題は、どういうふうな対象方々が権利を取得するかということを明確にする一つのけじめを、それぞれの条件に即して考えられていくことが、立法としてはせざるを得ないわけでございまして、そういう点から、このような二十年八月八日、ソ連参戦のときということで、一つの決定的時期をきめたわけでございます。
  73. 大出俊

    大出委員 日満公社の通算で、「外国特殊法人の職員となるため公務員を退職し、」という条件が入ってますね。これはどういうことですか。撤廃する気はないですか。
  74. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 「職員となるため」ということは、やはり一つの人事管理上の考え方というものが必然的に出てくるであろうということで、さような制限を設けてあるわけでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 受田さんが一時間半質問があるということでありますので、あとだいぶありますけれども、個条的に承っておきます。  役員と社員の関係、これはどういうふうにお考えになりますか。役員は入っておりませんね、そのところ。
  76. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給的には、実は役員を除外し、社員が対象になる。つまりこれは恩給の守備範囲というものが、御承知のように、旧来の官吏、いわゆる政府職員としての官吏という身分によって措置をいたしておりましたので、それとの関係上、社員として考えられる人たちをこの恩給通算の中に入れたわけでございます。
  77. 大出俊

    大出委員 満州電電——これは満鉄もそうでございましょうけれども、総裁以下は政府任命でしょう。そうすると、これは実質的にはどうなんですか、高級官吏あるいは高級使用人じゃないですか。外国政府官吏の場合には、特任官——親任官ですか、これも入っていますね。そうすると、旧来実態から見て、これはどこがどう違うか。
  78. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 これは立法いたすときに、通算関係をとります場合に、一応三公社の業務をやっておる機関ということを標準にしておるわけでございます。それで三公社の共済関係では、役員というものが入っておりませんので、そういうものの見方から役員というものは省いたわけでございます。
  79. 大出俊

    大出委員 今日の三公社というものは、戦後の産物で、戦後処理対象にはなりません。ということになりますと、これは明らかに矛盾です。いまの二つを対比してものを申し上げれば、外国政府官吏の場合の特任官は、通算措置に入っている。そうするとすれば、実体上どこも違うところはない。いまおっしゃる三公社というのは、戦後のそういう公社をただ基準に求めたというにすぎない、なかったわけですからね。私は理由にならぬと思います。それから役員といっている中には、役員でない方からぼつぼつみんな昇格して入っていった方々相当あるわけですね。そうすると、これは社員として在職しなかったということで通算措置から除外をされる、こういうわけです。ということになると、これは社員期間も無視されてしまう。ずっと社員でいた。ところが、まぎわになってから役員になった。この人の場合には、役員になっていたからというので除外をされてしまう、これも明らかに矛盾ですね。この辺はどうお考えになりますか。——もう一ぺん言いましょう。つまり満州電電なりあるいは満鉄なりの社員でずっとやってきた。終戦の直前になって、ソ連の参戦のちょっと前になって、役員にぽっと推された。そうすると、そのことだけでもって是正措置から全部除外、これは矛盾ですよ。
  80. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 御承知のように、実は恩給として措置をいたしますのは、最終的な身分関係が基本にされるというのが本則でございます。つまり通常の場合考えてみますと、雇用人は守備範囲から離れておったわけでございますが、その雇用人も官吏になることによって資格を取得する形になりますので、逆の場合に、社員から役員におなりになりますと、役員でおやめになりましたときが一つ恩給を考えるときの基礎に相なりますので、こういう措置に相なっておるわけであります。
  81. 大出俊

    大出委員 そういうことをおっしゃるなら、じゃ、さっきの下士官少尉の例を申し上げれば、十二年と十三年——十二年ちょっと前に少尉に任官してしまった。しかも十三年に満たないでやめてしまった。終戦になってしまった。なりたくてなったのじゃないのです。そこでおしまい。だから、いままで何にも見なかったわけです。そうでしょう。やめたときは少尉であっても、十三年ない。そうすると、これはほんとうを言えば見ようがないのですよ。見ようがないのだが、その谷間を救おうということになったでしょう。なぜか。終戦という現実の前に、本人は好むと好まざるとにかかわらず、やめざるを得なかったということです。だから、下士官というところで救おうというのでしょう。そうすると、これは終戦ということがなければ、満州電電、満鉄は両方とも続いていますよ。そうでしょう。やめざるを得なかった。だから戦後処理なのでしょう。終戦という現実がなければ、少尉のところでかってにやめた者なら、これは見ない。本人の意思にかかわらずやめざるを得なかったということでしょう。それだけのことです。最終的な身分関係からいけば十三年ないのだから、この人に、下士官の待遇であろうと、十二年というところで線を引いて措置をするという必要はない。そこに特異な状態であったということが前提になればこそ、今日まできて救おうということでしょう。何ら変わらぬでしょう。
  82. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 一見矛盾するように確かにお考えになるかもしれませんが、実はただいま御提案申し上げておりますいわゆる准士官以上というのは、実は恩給対象の人間として特例的扱いではなくて、本質的にそうあるべき筋の人たちであったわけであります。ところが、満鉄ないしは満電等の関係会社につきましては、御承知のように、一つの戦後処理として特例措置としての扱いをいたしておりますので、そこで特例措置を考えますときに、確かに戦後できた、たとえば三公社のそれに合わしていくことには問題があるかもしれませんが、しかし、制度というのは何かのよりどころを求めざるを得ませんので、そこで現在の共済制度扱いというものとからめて、いわゆる特例措置をどのように考えていくか、かようなことで旧来措置をいたしたわけであります。
  83. 大出俊

    大出委員 だから、先ほど来わざとものを言ってきておるのですが、均衡論はよりどころではないのですよ。あくまでも均衡を保とうというにすぎないわけだ。妻子減算をしないということにしたから、今度は老人もということは、よりどころなんか何もないんですよ。単なる均衡論です。だとすると、社員で終戦になった人の通算措置をされておるにもかかわらず、その一日前に役員になった人はされない。そんなばかなことはないじゃないかということになる。極端な例を言えば、一日前に役員になった人は、通算措置から除外されますから、社員の通算措置が行なわれていなければ、この問題は出てこない。先ほどの老人優遇の場合だって、妻子減算措置が取りやめになっていなければ起こらない。均衡論です。そんなことを言えば、私がいままでずっと質問しておるような、根拠がないものが幾つもある。だから、それは社会政策的なとか、あるいは戦後処理でやるとかという名がついておる。そうでしょう。そんなことを矢倉さんがおっしゃるならば、あなたの以前の恩給局長は、ずいぶんぼけたのがそろっていたことになる。本来これは恩給法対象になるべきものであったというのに、終戦後からいままでなぜほっておいたか。いまごろになって出すという理屈はないでしょう。そういう理屈をつけないで、戦後処理なら戦後処理でやるべきです。気の毒なことは事実だから、やるべきものはやる、こういうふうに割り切らなければ、筋が通らない、こう申し上げておるわけです。
  84. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに大出先生の言われる均衡論という点からいきますと、どこまで均衡が延びるかという点がやはり政府側措置の中の課題でございます。したがって、その均衡をどういうふうにある限界線を持ちつつ考えていこうかというところに、今日の提案しておりますような課題も出てまいったわけでございまして、役員の点についての御主張も旧来存することを私たちは承知をいたしておりますが、しかし、先ほど来申しておりますように、その均衡論の限界の引き方の問題として社員に限っていくというふうな扱いをいたしたわけでございます。
  85. 大出俊

    大出委員 在外財産問題などを例にとりましても、政府の皆さんは出すのか出さないのか、いまのところはわかりません、出すだろうと思いますが、これなんかも、そのように言い出せば、戦争で焼けた人はどうするか、疎開した人はどうするか、家族の死んだ人はどうするか、これは一ぱい出てくるんですよ。在学中に召集を食って出かけたぼくらみたいな人間はどうするのか、これは切りがない。そこで、戦争による犠牲を補償するのに、ドイツみたいに、焼けない家から税金を取って、それを基金にして負担の平等化を考えておる国もある。均衡論というのをあなたはおっしゃるけれども、いままで均衡上ここで一つの線を引いた、今度はそれを中心にしてやったが、それで均衡がとれない、そこでまた線を引いた、それはまた均衡がとれない、またここにいく、こういうようにずっとやってきたわけです。恩給四団体、あるいは五団体になるかもしれません。普通公務員の方々がおるから、退職公務員連盟がありますからね。そうすると、それらの方々の言い分を聞いてやると、均衡論が出てきて認める、また均衡論が出てきてまた認める、こうなってここまできておるじゃないですか。そうでしょう。そうだとすれば、恩給問題の審議会が最終答申を考えておるということになるとすれば、このあたりでケリをつけるべきではないか。だから、冒頭に恩給をどう考えるか、恩給は一体何だという御質問を申し上げた。そうすると、恩給の本来のあり方からすれば入ってこないはずのものを入れてきておるということになる。現に入れておる。いまから繰り返して申し上げませんが、入れておる。だとすると、やはりこの種のものの処理をしなければならぬ時期にきておるのではないかということを申し上げておるわけです。これは満州電電にしろ、満鉄にしろ、当然そういうことになる。  ところで、恩給予算というものについて、どういうふうにお考えになりますか。
  86. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給予算についてどう考えるかという御趣旨、ちょっと私理解しにくい点があるのでございますが、恩給予算というものを国の財政負担全体の中でどういうふうに考えるかという点も、一つ考え方ではなかろうかと存じますが、確かに恩給を考える場合に、当然一方において財政上の課題というふうなものもあろうかと存ずるのであります。現在計上されようといたしております恩給予算は、一般会計予算では約四%ぐらいの割合に相なっております。かつては九%ぐらいを占めた場合もございます。したがって、その意味においては、現在の財政がいろいろな行政需要に基づいて膨大化しておりますので、一がいには申せませんが、恩給予算の占める率というものは、現状においてはそれほど高くないという言い方も可能ではないだろうかという感じがいたします。ただしかし、これは比率の比較でございます。
  87. 大出俊

    大出委員 恩給亡国論などという論議がはなやかな時代もあったわけです。これは戦前でなくて、戦後人事院がマイヤース勧告を受けて、さて勧告をしようといって作業を進めてきた二十七、八年ごろに、ずいぶんありました。ところで、現在の予算を見ると、四十二年度予算に比べてみれば、パーセンテージは三・九六、四十一年は四・〇四、四十年は四二六、三十九年は四・四九、三十八年は四・三二、三十七年は四・七五、三十六年が五・八一、三十五年が六・六六、三十四年が七・四一、三十三年は七・四八、三十二年八・〇八、さかのぼればさかのぼるほど、予算対比決算額から見ればふえている。三十一年は八・六四、三十年が八・五九、二十九年九・四九、こうなっている。二十八年は一・五八、これは復活前だから、そういうことです。そうなると、先ほど九・四九というときもあった。九・四九から八・五九になって、ずっと減ってきて、四十二年が一番予算対比上減って、四%を割って三・九六です。これは幾つも理由がある。予算規模がふえたということもある、確かにお説のとおり。そうすると、予算規模に応じて恩給はふえていかなかったということになる。ところが、予算規模がふえるということは何を意味するかというと、ある意味では物価も上がり、現職公務員の給料も上がるということに現になっている。そうなると、それに対比してこれだけ少なくなっているということはなぜかというと、退職公務員の方々、公務扶助料あるいは普通扶助料をもらっている方々を含めて、恩給増加恩給傷病恩給をもらっている方々は、たいへん苦しい結果になっている。これは予算上見て明らかなんです。だとすると、くどいようだけれども、在外財産まで云々される世の中なんだから、財産じゃない、生きているおれたち生活の問題じゃないかということになる。そういう問題を解決しなければならぬ時期だということとあわせ考えると、三・九六という予算額だということについて、これが二十九年の九・四九で悪いかというと、悪いという理屈は成り立たない。つまりいまいろいろ出ている例を取り上げて予算額がずっと明示されているけれども、この際この予算対比のこの率からいっても、思い切って恩給というものを抜本的に考え直す、そして戦後処理という意味では、必要なものは処理をする、それから均衡論という面で足りないものは均衡させる、こういうことで、附則の中に軍人恩給をぽんとくっつけておくというようなことでなくて、これはだれがながめてみても、だれが読んでみてもわかるように整理をして、恩給というものの筋をあらためて立てる、私はその必要があるように考えている。なぜならば、二条ノ二というものをつくったんですから、これは一つの契機ですよ。そういう時期に来ていると思っている。したがって、冒頭に恩給とは何ですかという質問から始めているというわけなんです。ここまでまいりますと、政策的なことですから総務長官に承りたいわけなんですけれども、それでいていただきたいと申し上げてきたわけなんだが、これは象のしっぽをつかまえたり鼻をつかまえたりしているのじゃなくて、全体としてどうするということをお考えになる時期に来ている。また、そういう観点に立っていただかなければ、最終答申と考えられるものもいいものにはならない、こう私は思っているので、ひとつそこらのところを総務長官のお考えを承りたい。
  88. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 ただいままでの質疑応答を静かに聞いておりましたが、確かにこれで完全というものはなかなか見出し得ない、これはこういった問題にありがちなことであると思います。ことに戦後のいろいろな問題、在外財産の問題等も出ましたけれども、あれなども、例にとって恐縮でありますが、たとえば昨年出たきわめて抽象的な答申を基調として法的措置を講じなければならぬ。また、恩給の問題についても、いろいろ御意見があることは私よく存じておりますが、やはり国家対国民という関係から基本的に考えていかなければならない問題も、十分あると私は思っております。そこで一つ一つ、たとえば満州の例、それから少尉少尉になる前の准士官の例等も伺っておりましたけれども、やはりものごとをきめるに際して一つ基準というものを守らなければならないということは、これは私は認めるのであります。しかし、その間における矛盾をそのままほおっておいていいかどうかというと、これは私は問題があると思う。そこで、今日の恩給については、衆参両院の内閣委員会中心として、たいへん熱心な論議も展開され、かつ数々の附帯決議があることも、私はよく承知をいたしております。これらの政府としては重視しながら実行に移すべく努力をいたしておりますが、まだ御批判も確かにあるでしょう。ということは、やはりそこに問題のむずかしさというものがあると私は考えております。こういう委員会におけるいろいろな御意見、さらにまた権威ある恩給審議会の御審議も願っており、その答申も完全なものを私は望んでおるのでありますが、決してケースバイケースじゃなく、また圧力団体に屈するという意味ではなく、こういうむずかしい情勢の中でも合理的なものを見出して、そして前向きの態勢でいくという形をとるのが、現在の段階ではなかろうかと考えます。国家対国民の関係においてこれを処理すると同時に、社会保障的な見方というものも一方に強くありますので、この問題については、ひとつ基本的な考えをまとめるときに来ていると私は考えております。
  89. 大出俊

    大出委員 ひとつ前向きでぜひ御検討いただきたいことをつけ加え、かつ事務局を担当されておる総理府の立場もございましょう、あるいは恩給局の立場もございましょうから、したがって、最終答申に向かってみなさんのほうでもいろいろ意見が言えないわけでもないので、できるだけこの際またあとに尾を引くようなことでなく、ひとつけじめをつけていただきたい。そのことが私はいま一番必要ではないかという要望をつけ加えまして、終わります。
  90. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 山内広君。
  91. 山内広

    ○山内委員 大出委員がだいぶ広範にわたって触れられましたので、   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 たった一問ですけれども、大出委員の触れられなかった点をお聞きしておきたいと思います。  と申しますのは、今度の改正で該当者が二百九十一万人、証書の書きかえ等たいへん業務がふえるわけであります。なぜこの問題を私取り上げなければならなかったかと申しますと、実は用がありまして、この恩給年金の支払いの窓口である貯金局に参りまして、いろいろの話のついでに聞きましたところが、最近の証書は非常に錯誤が多い、誤った証書を出されているために、それの訂正などに非常に迷惑を受けているという貯金局の訴えがありました。それで、人の役所に迷惑をかけている実態はどこから出てきているのかということで、恩給局にちょっと電話で聞きましたら、いやそれはアルバイトの子がやったんだ、こういう回答なんです。それで、一体アルバイトを使ってこういう証書の書きかえ業務をやることがいいのか悪いのか、またそうせざるを得ないのか、人の官庁にまで迷惑をかけているんですから、できれば正しい、人から指摘を受けないような、誤りのない証書をやはり発行すべきだと思うのです。それで、これだけの業務がまだまだふえるわけですが、これを一体どういうふうにして処理していこうとしておられるのか、少し御意見を承っておきたいと思います。
  92. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は昭和四十年の改正、これが三カ年計画で行なわれ、それを昨年さらに繰り上げて二年計画にいたしました。また、今回提案いたしております恩給改善につきましては、御指摘のとおり、二百九十万という大量の証書を作成しなければならない。したがって、恩給局の責めに任じております私といたしましては、これの処理にどういうふうな考え方をとればいいか、先生御指摘になるまでもなく、私自身も一つの大きな悩みでございます。しかし、恩給受給者の立場を考えていきますと、できるだけ早い時期に改定結果が恩給権を持っている人たちに手渡されるということが必要でございます。一方で非常な仕事の量が多いということと、片方で受給者の早期の受領ということを考えてまいらなければなりません。したがって、私たちは、これに対する措置をどのようにするかという点につきましては、現在はこの法律がまだ国会提案中でございますけれども、しかし、先ほど申しましたようなことを考えてまいりますと、早期に準備を進めていくことが、受給者の立場に立った場合に必要でございます。そこで、これらの対策のとり方として、現在は恩給局に約七百二十名ばかりの職員がおるわけでございます。この職員だけでこの処理ができるかという点については、実は予算的にも非常勤職員の予算化がなされておりまして、この非常勤の補充的な役割りと合わせてこれらの仕事の処理に当たらなければならない。もしも恩給増額が恒常的に進んでいきます場合と、現在のようにその年度年度増額改定が考えられてまいります場合との対策は、おのずから違ってくると思うのであります。現在までの大勢は、少なくとも先生御承知のように、たとえば昭和四十年に改正が行なわれて、二年計画、あるいは本年はさらに増額というかっこうで、年次的に続いているようなかっこうに現在はなりつつありますので、この意味において、実は仕事の処理にはそれなりに局としての苦労があるわけでございます。こういう点で、将来のことはともかく、当面どういうふうにしていくかということを考えますときに、やはり七百二十名ばかりの定員の職員と、それから非常勤職員の力とを合わせまして、この処理に当たらなければならぬ。そういうことについて、ただいま御指摘で、貯金局のほうに、誤りが多いということでございましたが、実は私たちのほうは貯金局と絶えず打ち合わせをいたしております。また、ときに貯金局の幹部職員の人たち恩給局の幹部職員たちとの定例の打ち合わせ会等も持ちまして、そういう問題のあります点についての吸上げをいたして、そうしてそれに対する諸対策を講じていく、こういうことで進めいているわけでございますが、その場合にも、いま申しました非常勤職員の使用という点については、もしもそのことによって誤りがあっては困るということで、改定については改定をするときの基準書なるものをつくりまして、そうしてそれによりつつ計算をしてまいる。そうして必ずその計算結果については、十分恩給計算についての経験を積んだ職員のあとでの監督ということを行なっておりますので、いまの御指摘の点、確かに誤りもあったのではなかろうかという点、その点はおわびを申し上げなければなりませんが、しかし、現状において可能な限りの仕事の完遂を実はしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  93. 山内広

    ○山内委員 七百二十名の職員でこの二百九十万件以上のものを処理するわけですが、これはノルマとしてはどのくらいが平均でちょうどいい手ごろなのか。この七百二十名で二百九十万件というのは、どれくらい過剰なのか。それから、アルバイトとして予定されている人員は何名なのか。予算面ではどれだけこれを見積もっておるか。その点を詳しくお知らせいただきたい。
  94. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実はノルマ的な計算ということばが適当かどうかわかりませんけれども、一応二百九十万を来年の三月までに終結するという場合に、御承知のように、それぞれ所掌の仕事が実は部課によって違うわけでございます。しかし、こういう改定作業につきましては、できるだけやはりその他の職員も協力する態勢をとらなければなりません。しかし、だからといって本来の既定の仕事が実はおくれては、これもまた申しわけない。こういうことで、一応私たちのほうでは、すでにこういう法案が成立した場合を予測いたしまして、六月から来年の少なくとも二月末ぐらいまでには一応の仕事が完結できるようにということで、それぞれの課別に、実は大体これくらいの恩給改定の作業を進めてもらいたい、こういうことでいたしております。それを完遂するために、約三百名ばかりの非常勤職員というものをこの仕事に協力をさせる。延べにしますと約三万二千百二十六人ぐらいになろうかと存じますが、これは所要全体の関係として私たちが一応計算をしてみておる数字でございます。したがって、あまり職員にこのことによって特別な過重な負担がかからないようにというふうな配慮を一応はいたしておりますが、やはり職員としてもこれに対して十分な努力を願わなければ、この仕事の完遂はなかなか困難ではなかろうか、かように考えております。
  95. 山内広

    ○山内委員 これは別に恩給局ばかりに言えることではなくて、最近欠員の凍結というものはもう限界にきておるのだ。各現業というものは、非常な業務量で人がふえないで、いま申し上げたような現象というのは、何も恩給局だけに起きているのではなくて、いま全般的にそういうような点をにらみ合わせている段階です。そういう意味で、今度この二百九十万件の処理のために三百名ほど非常勤の者を使う。四十年から見ておると、毎年もうそれだけの仕事は平均恒常的になっておるのであって、決して臨時でもって処理するというような状態ではないと判断される。そうしますと、当然これは国家行政組織法の十九条の二の適用を受けて、あなたのほうでは恒常的な職員を養成もしなければならぬのですから、これによって定員増ができると私は判断しておる。その点のお考えはいかがですか。
  96. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに、ここ数年を見てまいりますと、やや恒常的な形で増額改定が行なわれております。これは先ほど大出先生の御質問の趣旨ともからむわけですが、それはやはり恩給年額増額改定が強く迫られているという点もあろうかと思います。だからこそ、私たちはその調整規定というものも設けていただいたわけでありますが、今後この調整規定の運用をどういうふうにしていかれるかということで、政府側の、実は審議会の出方によっては、この増額の問題というものがどういうふうに進んでいくかという一つのめどがついてこようと思います。したがって、これに即応する職員体制というものを当然整えなければならぬ、かように考えておりますが、現在の段階では、実は本年度も増員要求をこれを予測していたしたのでございますが、しかし、大蔵との交渉の中で、やはり仕事は当面は単年度考え方ではなかろうか、こういうことで、実は昨年よりも非常勤職員をほとんど倍増していくというふうなかっこうに相なったわけでございます。
  97. 山内広

    ○山内委員 これは年間自然減耗をどれくらいにお考えになっておりますか。病気とか高齢退職とか……。
  98. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は私の承知している範囲で、正確な数字をいま持っておりませんが、現在の一般的な見方でいきますと、実は従来おやめになる数が比較的多かったのが、最近はおやめになる数が非常に少なくなっておりまして、実は女子職員を約六割使っておりますが、女子職員の人々も最近はむしろおやめになる方のほうが少なくて、それに対して先ほど御指摘の凍結の関係がございますので、私たちもおやめになること、あるいは転勤による影響というものを非常に心配をいたしておりまして——ただ、この凍結につきましては、恩給は現業的色彩というのが強いから、その凍結の締め方をゆるやかにということで特別な配慮を行管に求めておりまして、その配慮に行管もこたえ、できるだけそれに即応しようということで、最近も行管から直接仕事の調査にもまいっておるような状況でございます。
  99. 山内広

    ○山内委員 御自分の仕事ですから、手ぬかりなく計画は進められると思いますが、これだけの三百人も非常勤の者を使えば、しかもこれはしろうとですから、これは監督指導の人も何十人かは——七百二十名のうちから三十人ぐらい、大ていああいう現業というのは十名に一人ぐらいはつけなければならぬのですから、そうしますと、この七百二十名という人は、また六百何十人に減ってしまうわけですね、実際に働くという人は。私は、貯金局へ行って非常に誤りが多いというのは、やはりその辺に原因がある、こう判断しているわけですが、ひとつこの点は今後とも、あまり非常勤労働者を使って人の役所に迷惑をかけないように御配慮をいただきたい、こう思っております。
  100. 關谷勝利

    關谷委員長 受田新吉君。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 今回の法改正は、恩給審議会の中間答申に基づく特別措置を主軸にしておられるようです。私は、当委員会でしばしばたび重ねてお尋ねしている問題があるのですが、それは現職の公務員の処遇が毎年のごとく人事院の勧告による改定が試みられておること、それから物価の上昇、生活環境の改善等によって、退職公務員の退職当時の給与を基本にした恩給年金受給者というものは、著しい低水準の処遇を受けているのにとどまっている、これをどう改めていったらいいかという恩給法上の基本問題、この基本問題についてお尋ねをしてみたいと思います。  今回の特別措置によりまして、せっかく恩給審議会のばく然とした中間答申に基づく措置がされておるようでございますが、この恩給年金を受ける退職者というものは、退職時の俸給を基礎にした仮定俸給というものを設けられて、そこから算定された年金額がきめられておるのでございますが、退職当時の生活を現時点においてもこれを延長した形で認めてやろうという基本的な考え方が、恩給法の根底にひそんでいるかどうか、お尋ねをしたいのであります。
  102. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 私たち恩給のつまり年金額を考えますときには、御承知のように、いままではベースの引き上げ、昭和四十年からは二万円の二割増という恩給改定、今回は一〇%から二八・五%の範囲内において増額をしていく、この増額考え方基礎は、先生の御指摘のとおり、できるだけ恩給の実質価値というものを今日の状態で保持し得るようにというたてまえで実は恩給年額改定措置をこれまで講じてきておるわけでございます。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 恩給法というこの法律は、大正十二年に基本的改正を見て今日に至っておるわけでございますけれども、従来の軍人恩給文官恩給というものがここへまとめられておるわけですが、この恩給法を見ると、目的が書いてないわけです。戦後は、法律にすべて目的が書いてある。この目的のない恩給法というものは、国民に理解がむずかしいことになる。だから、いまのような問題が起こるわけだ。恩給法の目的は何でございますか。
  104. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに御指摘のように法律に明確な目的というものが規定されてございませんので、そこでこれまで恩給の性質についていろいろな論議がございました。特に最近は、これは社会保障と見ていいんじゃないだろうかというお考えさえ出てきております。しかし、先生御指摘のように、大正十二年という非常に古い時代につくられた法律が今日まで連綿として続いているわけでございまして、したがって、その法的性格は、やはりこの最初に法律をつくられたときに考えられた趣旨が一応一貫的に生きていると考えざるを得ないのでございます。そういう立場から考えてみますと、私たちは一貫して、いわゆる長期に在職した公務員の経済的な取得能力の減損を国が見ていくという立場で考えるのが筋ではないだろうか、かように考えております。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 私は、どうもこの恩の字が気にかかってしようがないのですが、恩給法という法が現存しておるわけです。恩という字はどういうところに理由があるのですか。
  106. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩という字を分解して申し上げるというのは非常にむずかしいのでありますが、説によれば、これはやはり恩恵的な意味合いというものを持つのではないか、本質的には恩給を恩恵的なものとして考えるというところに問題点がなかろうかという指摘もございまして、したがって、恩給なる名前は今日的ではないので、むしろ恩給という名前を変えてはどうだろうかという説のあることも、私たちは承知いたしておるわけでございます。しかし、国がいわゆる長期在職者に対して国家補償としての立場に立つという意味合いにおいてこの恩給というものを解すべきではないか、かように考えております。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 恩給制度、それから退職年金制度、さらに国民年金制度、この一貫した体系の変遷というものを見ていかなければならないと思うのです。恩給というと、非常に旧時代的な印象を受ける。しかし、恩給を受ける皆さんは、その文字を非常に愛着しておられる。しかし、現実には恩給はすなわち退職年金という形になっておるんだということになるならば、この機会に恩給という制度を公務員退職年金法という形のものに変えて、近代的な文章にみなこれを変えて、思い切った法律の改正をする必要がないか。この文章は、非常にむずかしい用語が使ってあるし、さなきだにこの恩給という制度の複雑、多様化というもので理解に困る法律なんでございますので、もっとわかりやすくこの法律を書き変えて——大正十二年にでき、また恩給制度が生まれてすでに九十年の歴史があるわけなんですから、その歴史の中に新紀元を画する新しい法律を、この古い文章でなくて、近代的な文章にして、目的も明記し、そしてその規定もわかりやすい文章をもってつくり直していく。旧時代的な法律がそのままいま生きているわけでございますので、現代の一般国民には、何だかこの昔の法律、古典的なものが印象づけられて、恩給ということばを誤解しておるものもある。たとえば、仮定俸給をもってばかに高い恩給をもらっているような印象を受けている。高額の仮定俸給というものを基準に見てくださるものですから、恩給そのものが低いにもかかわらず、非常に高額の所得を得ておるような感じを受ける国民が、大半じゃないかと思うのですよ。こういう意味から、恩給法を変えて、私がいま指摘しました公務員退職年金法というような、共済組合法と別のこの恩給法を近代的に——社会保障という性格のものを最近相当取り入れられて、家族加給みたいなものが入っておるわけでございますから、この法律をひとつ根本的に改めるという考え方を御検討されたことはないか。これは恩給審議会では議題になっているかいないか、お尋ねいたしたいと思います。
  108. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給法は、先生御承知のように、非常に古くて新しいという感じで私たちはこれを受け取っておるわけですが、その意味においては、先生御指摘のように、公務員退職年金法というふうなことばがあるいは適切だという御高説については十分傾聴に値する御意見だと考えるのでありますが、御承知のように、昭和三十四年に一応共済年金に現職公務員の分は移っておりますし、地方公務員にいたしましても昭和三十七年には移っておりますので、そこで現在の恩給法の守備範囲というものは、必然的に現在いわゆる恩給対象として残っておられる方々対象であり、またこの歴史はそれなりにやはり一つの意義を持っておりますので、したがって、関係方々のお心持ちを考えますと、むしろ恩給ということばに、先生御指摘のように、かなりの執着もございます。また、もう一つの御指摘として、だからこそ恩給法が非常に複雑、難解であるというお考え、これもごもっともな点があるわけでございますが、私たち考えますのに、旧来、この旧恩給法によって権利の発生した人たちが、その後どういう経過をたどって今日の状態に置かれているかというふうな点が明確になるのには、やはりこういう法形式をとることが一応必要であろうという御判断のもとに、かような法形態をとってきたのではなかろうかと考えるのであります。そういうふうにいたしますと、先生の御指摘のように、いわゆる仮定俸給方式というものが、仮定俸給そのものが恩給であるかのごとき印象を受ける、私自身も実はこれについては、一般の印象が、そのことのゆえに恩給は高いんじゃないかという御印象があるという、ことを何とかして払拭してまいらねばならぬ、少なくとも恩給はいわゆる仮定俸給の三分の一であり、さらに遺族になればその二分の一だ、こういう意識が一般の方々に浸透することによって恩給に対する一般の是認がふえていくんじゃなかろうか、かように考えるのでありますが、法形式としては、現在の状態においていま申したような形に相なっております。しかし、審議会もございますので、実は法の基本的な改正、あるいはいま先生御指摘恩給なることばそのものについても、実は審議の対象に相なったわけでございます。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 いま審議の対象にしておられると承っておるから、一応期待したいと思いますが、法体系そのものも根本的に考え直していかなければならぬ。総務長官、あなたの御所管の中には人事局があるわけです。その人事局は、公務員の退職年金扱いをしておられるのですね。
  110. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 そのとおりであります。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 退職年金扱いをされ、特別職の給与扱いをされる役所になっておる。同時に、ここで考えなければならないのは、退職年金や特別職の扱いを総理府でやっておられることになるならば、国家公務員並びに地方公務員等の共済組合制度というものの扱いも、これは当然公務員の年金関係扱いをすることになるのであるから、大蔵省がいま持っている組合管掌方式による共済組合法の対象になる人々の扱いも、恩給法対象になる人々の扱いも、一括して総理府がそのお仕事を担当すべきである。これは、総務長官は国務大臣であるがゆえに、大蔵省との間の折衝も十分できることだし、大蔵省は——人事院が昭和二十八年に公務員の退職年金制度に関する勧告をしておる。それは人事院は、これがよもや大蔵省にいくと思ってなかった。ところが、いつの間には、資金調整を担当するという理由のもとに、大蔵省が共済組合制度、組合管掌方式の制度をおつくりになって、政府管掌方式をとる恩給局に対立する機関を向こうへつくってしまった。したがって、昭和三十四年の六月までに恩給法適用を受けた人は、そのときに退職しておった人は引き続き恩給法対象になる。その以後やめた人は、三十四年六月までの恩給法の起算を基礎にし、それから後は共済組合法の適用を受ける。つまり自分の長い公務員生活の中で、恩給法の部分と共済組合法の部分と両生しておるわけですね。現在やめる人々は、全部そういう立場に立っている人である。そうすると、やはりその人の公務員生活の長い流れを見た場合に、いまころやめる人は、恩給法適用を受けるほうが大半だったわけです。共済組合法の適用を受けるほうは、調整規定で非常に幅の狭い期間しかない。また、いまお尋ねしようという問題は、大蔵省が来られたから、そのほうはあと回しになったが、それを尋ねてから、こっちに入るのが筋であるが、乗り出した船だから、先にやっておきます。  そういう立場になっている退職公務員の処遇に対して、一番いい方法をとろうとするならば、退職年金の申請をする、そして裁定をしてもらう。これは恩給法適用を受ける部分は、恩給局で一応何か確認をしますね。それから今度、共済組合のほうの分で最後に整理して裁定をする。その間に役所を行ったり来たりするものだから、役所が違うと、申請から裁定までに時間がかかる。だから、総理府人事局に公務員年金局という対応するものがあって、そこで一括扱いをするならば、こんな便利なことはない。申請から裁定までさっとあっという間に片づいて、世間から裁定がおくれるという非難も消え去っていく。これは世界的な制度はどうなっているか知らないけれども、それを御調査になっておれば、一緒にひっくるめていただいてもいいんですが、少なくとも日本の制度上は、恩給局を公務員年金局に改めて、大蔵省がいま握っている共済組合の資金調整などの権能というものは大蔵省へ残しておいていいかどうかは別として、機構上は独立の機関として総理府に公務員年金局というものを置くべきだと思うのです。それですべてが解決する。
  112. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 総理府に人事局ができました経緯は、受田委員よく御承知のとおりだと思います。総理府の仕事は、各省ばらばらの行政を総合調整して妙味を発揮するという大きな仕事があるわけでありますが、いま御指摘のとおり、労務管理と申しますか、人事行政の面で、確かに受田委員がおっしゃるように、そのほうが手取り早いというか、便利である。また考え方としては、私はこれに敬意を表したいと思います。現在、恩給局を直ちに年金局にということについては、少し検討を要すると思いまするが、ただいま御指摘の点については、十分これを調査し、検討し、行政の円滑化を期する意味において、また利便を受ける方々のお気持ちになって、この問題の解決に当たっていきたい、このように考えております。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、大臣としては、公務員年金制度というものを一括してやるたてまえは、原則として共鳴されるわけですね。
  114. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 受田委員のおっしゃる恩給局を改組して、それと一体化して統合しろということについては、いま時期的にどうかと思います。恩給局には恩給局のいまなすべき仕事があります。そうなりますれば、恩給自体についての考え方というものは、また少し違う面が出てくるかと思います。今日の段階で、恩給局を改組してこれを年金局にするというところまでは、私は考えておりませんが、人事行政上の一貫性、利便を受ける方々の身になって考えれば、御指摘のようなことを研究対象にしなければならない、このように考えております。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 そのとおりです。やはり総務長官、国務大臣として大所高所から退職公務員の年金を一括扱うという役所を総理府に置くという考え方、これは別にセクト主義の問題じゃない。だれが見ても正しいと思う。  給与課長さん、いま大蔵省には、この共済組合法の担当をされる職員は何人いらっしゃいますか。
  116. 津吉伊定

    ○津吉説明員 私ども主計局給与課といたしましては、三十名でございます。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 三十名の方々でこの膨大な共済組合法の扱いをしておられる。連合会を通じて運用されておるから、三十名で済んでおると思うのですが、その大蔵省がこれを握っておられる。握らなければならない——握るということばはあまり適当でないかもしれませんが、掌握していなければならない大きな理由はどこにあると課長さんはおぼしめされるか、お答え願います。
  118. 津吉伊定

    ○津吉説明員 非常に広大な問題でございまして、われわれごときが御答弁できるかどうかわかりませんが、一応私が考えておりますところは、御承知のように、主計局は、大蔵省の中でも予算、決算及び会計に関する事柄を一般に所掌しております。それで、具体的に、個別的に申し上げますと、われわれ給与課に旅費及びその他実費弁償に関する権限、これは直接公務員に対する一つの給付態様として残っております。それで、これは行政機構の問題でございますので、絶体的に大蔵省の主計局給与課にのみ所管をさるべきであるかという点の証明はできないわけでございますが、機構というものは便宜、実態に応じて形成されるものであろうかと思います。それは御承知のように、予算上も、職員の福利厚生費あるいは官営の福利厚生施設というようなものもございますし、それから、先ほど御同情いただきましたけれども、非常に貧弱な内容をもって共済組合運営を監督をしている。それは、実はわれわれ出先といたしまして、財務局、財務部というものがございます。御承知のように、それぞれ各省単位の共済を持っておりまして、その共済の本部及び支部、それから所属所というように、これは申すまでも重重ないわけでございますが、全国全般にまたがっておるわけでございます。そういう便宜面も考慮されまして、われわれ給与課が所掌しているという状態に相なっておろうかと存じております。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとここで具体的な事例をあげたいのでございますが、恩給法適用を受ける人人と共済年金適用を受ける人とで非常な不公平ができている事例、これは傷痍軍人の場合です。増加恩給を受けておる人が公務員に再就職をして共済組合法の適用を受けるに至ったという場合に、一昨年私が指摘して、つまり増加恩給部分の扱いをどうするかという質問をさせていただきまして、給与課長から十分検討したいというおことばがあったわけでありますが、課長さん、御多忙のようでございますから、たいへん失礼ですけれども、先にあなたにお尋ねさせていただきますが、これは非常に大事な問題が発生してきておるわけであります。今度大蔵省から出された旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案が出ておりますね。その中にも、廃疾年金制度を十分生かして、増加恩給を受ける人々の廃疾性というものをその廃疾年金で十分考慮するという精神のようです。ところが、実際問題として、第五項症の増加恩給を受けておる方々の場合に——片目の摘出をした場合は第五項症。その方は、今度廃疾年金の上では制度の上にない。そういうことになってくると、増加恩給を受ける人が共済組合法の適用を受けておやめになるときに、根っこになる五項症が消えてしまうことになる。これは一体どういうことになるのか。これは恩給局長給与課長、両方からお答えを願いたいと思います。
  120. 津吉伊定

    ○津吉説明員 非常に具体的な御指摘でございまして、私直ちにそれをどう処理すべきかというお答えはできないのでございますが、大体一般の考え方を申し上げますと、法案にもあらわれておりますように、従来ならば、増加恩給受給権を放棄しないと、恩給公務員期間はいわゆる共済年金額の基礎になる期間として通算をされなかった。通算をされるために増加恩給普通恩給とともに放棄、あるいは法令上なくなるということでございますが、年金計算基礎とはなるものの、退職年金基礎あるいは年金年限に達しないと、退職一時金というだけの処理でございました。これでは、前後いたしますが、本来三十四年に共済組合の新法が発足いたしましたときに、恩給をそのまま取り込みまして発足をしたという考え方方針にはまたいろいろ議論もございましたでしょうし、現在でも先生指摘されるような矛盾がございます。それで、若干の前進といいますか、とにかく新法施行後において公務上廃疾を受けたという場合における人とバランスを見まして、また傷病年金受給者とのバランスを見まして、公務廃疾年金の受給者としての対象にしようという処理を考えたわけでございます。これは、社会保障制度審議会でも、議論がいろいろ出ておるようでございます。いわゆる調整規定の具体的運用をめぐりまして、社会保険制度の一環である恩給であるのか、それとも全然別な性格を持つものであるのか、その年金とおっしゃる点については共通をいたすかもしれませんけれども、その共通部分、その異同、それを合理的に区分をいたしまして、もちろん国の負担あるいは本人の負担ということに当然はね返ってまいりますので、そこの仕訳をした上でそれぞれ適切な措置を講ずべきであるという大きな宿題がございます。これは、先ほど先生が御指摘になりました共済の所管をする機構問題というものと当然合わさりまして、共済年金恩給その他社会保険全般の年金とのからみにおきまして総合的な検討がされる状態が、そう遠くない、遠くあるべきでないというふうに私は考えております。したがいまして、いろいろ、たとえば五項症ですか、御指摘をいただきましたけれども、これはさらに検討をいたしまして、必要がありましたならば、経過的な措置があるいは要るかもしれませんし、大もとは、いま申し上げましたような基本的な年金の性格の異同についてどう考えるか、したがって、それの所管はいかにあるべきかというふうなところが、遠からず議論されて、その基本的な立場に立ちまして最もバランスのとれた給付がなされるべきであろうというふうに私は考えております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 だいぶ大蔵省も検討しておられるようです。たとえば五項症が消えてしまう、こういう場合には、何らかの経過措置をとりたいという検討もしたい、そういうふうな御意思と判断をしてよろしゅうございますね。
  122. 津吉伊定

    ○津吉説明員 しつこいようでございますが、恩給を取り込みましたとは申しますものの、社会保険制度としていわゆる脱皮をしたといわれる共済年金でございまして、その共済年金の新法施行後における公務廃疾年金受給者の障害程度というものともバランスを考慮いたしました上での措置でございます。それで、先ほど先生おっしゃいました今回法案において経過措置を条文として考慮するかという御趣旨の御質問でございましたならば、これは遺憾ながらいまだ若干の検討の余裕をいただきたいというふうに思います。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 これはいま大蔵委員会に出されている法案と、この恩給法改正法案と、いまの問題は一例を引いただけです。非常に問題があります。  委員長、大蔵委員会の法案とこの恩給法の法案と、できれば何らかの形で、理事間の話でもいいが、増加恩給を受ける人の既得権が消えてしまうというような事態が起こる可能性があるわけです。こういうものをちょっと前に大蔵委員会の皆さんと十分相談して、あちらにひとつ注文をつけて、当委員会の要望を付しておくように、委員長同士のお話でもけっこうですから、お計らいを願っておきます。  同時に、今度恩給局の問題ですが、傷病年金を受ける傷痍軍人と、それから増加恩給を受ける傷痍軍人、七項症とそれから一款症、七項症で増加恩給を受けている人が公務に従事する場合には、普通恩給は消えるわけですね。ところが、傷病年金を受ける皆さんの場合は、傷病年金の受給者というものは全期間を通算されるし、それから退職後もまた年金をもらえることになって、これは一応筋が通る。しかし、増加恩給を受ける人の場合に、一款症の傷病軍人と七項症の増加恩給を受ける傷病軍人では、増加恩給を受ける人のほうが、いま指摘した在職中の普通恩給部分がなくなると同時に、退職後において増加恩給部分が消える可能性が起こることがある。ここに増加恩給を受ける七項症と、それから傷病年金の一款症の間に、非常に大きな差ができてきておる。昨年でしたか、改正のときにちょっと私指摘しました減額措置一割五分というのが増加恩給を受ける人のほうに特に与えられた事例も起こっているわけですが、この通算上の処遇上の差、それから増加恩給部分が消える可能性のある非常に不利な状況にある増加恩給受給者、七項症の場合に例をとって申し上げますると、七項症より一款症のほうがいいじゃないかという気持ちの人もあって、むしろ裁定を一款症にかえてくれという希望者も出ていると漏れ聞いているのですが、この増加恩給傷病年金のきわどい間の扱い方については、何か具体的な対策がおありなのでございますか。
  124. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実はいま御指摘のいわゆる増加恩給共済年金範囲に来たときにから回りする問題、確かにこれは先生御指摘のように課題であったわけであります。したがって、これは大蔵のほうでいかように措置をするかということにまたなければならない。放棄しなければ、当然恩給の支給範囲の中であります。ところで、もう一つの課題として、傷病年金の調整率の問題が、先生の御指摘でございます。つまり七項病の金額と一款症の金額が、七項症は六万円という額になっております。これは増加恩給の場合は、どのような在職年でございましょうとも、普通恩給が必ず併給になることに相なっております。片や一款症以下の款症部分につきましては、在職年がそれぞれの資格年限を満たさない限り、普通恩給がつかない。そこで款症部分についての第一款症、この額を実はある程度引き上げておるわけでございます。これが七万五千円になっております。そこの七万五千円と六万円の比較でございますと、明らかに一款症は高いという感じが出てまいります。しかし、そこで普通恩給併給部分というものを加えて考える場合に、片一方、一款症の人が普通恩給を受給される場合には、一款症の受給者のほうが実は額が高く相なりますので、この額を計算してみますと、約九万九千円という、そういう額のほうが適切ではないだろうかという一つ計算がなされます。七項症は十万三千二百六十七円というふうな額に、兵の場合を考えますと、相なります。そこで、いま十万三千円と九万九千円というものを考えてみますと、一応のバランスがとれる額になりますので、そこで七万五千円の十分の七・五という形で減額をするという措置によって、七項症と一款症の一つのバランスをとるという考え方をとっておるわけでございますが、これについては、これまでもそういう減額措置をとる必要がないじゃないかというお考えがございまして、実は私たちのほうも、一応金額的にはこの両者のバランスがかような計算をすることによって維持されると考えたわけでございますが、先生の御指摘もございますので、なお今後の検討にまたしていただきたい、かように考えております。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常にデリケートな問題で、しかも増加恩給を受ける皆さんの場合は、増加恩給を受ける人に対して、年限が足らなくても普通恩給が付与してある。それが今度、再就職した場合に、傷病年金の受給者はずっと最初から通算される。増加恩給が消えてしまうと、根っこの恩給も消えるわけです。その部分だけというのが、非常な不安の状況に置かれておるという危険があるわけですね。これを傷病年金を受ける人と同じように、傷病年金も受ける、退職年金も受ける、こういうかっこうで通算がずっとされるような形に、増加恩給を受ける人も同様な扱いをするなら、これは問題が解決すると思うのです。そういう扱い方、つまり傷病年金受給者と同じ通算制度というものをここで採用するという形は、私は非常に大事なことだと思います。いかがでしょう。
  126. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ただいまの課題は、おそらく先生の御指摘は、共済年金法の規定の考え方の問題ではなかろうかと存じます。その点においては、確かに先生の御指摘のような、少なくともから回りをしてしまうというふうな点には問題があるのではないだろうかと思うのでありますが、必然的に、この問題は大蔵省で十分な検討をいただきたいというふうに私たちとしては考えるわけでございます。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 後のほうは大蔵省で検討される部分で、それから初めのほうは恩給局で処理できる問題、両方ともひとつ御検討を積極的に取り扱っていただきたい。総務長官、よろしゅうございますか、御確認を願います。
  128. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 よくわかりました。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 私はここでまた基本の問題に戻りますが、恩給法第二条ノ二の規定は、これは恩給審議会で基本的問題としていま討議していますか。
  130. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給審議会の一番重要な内容は、先生の御指摘のように、調整規定がいかにあるべきか、これは実は将来の受給者にとって大きな課題でございますので、ただいま審議に入りつつあるところであります。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 今回の改正案の中に、年齢制限がされて三段階に分けられておる。これは恩給法のたてまえからいって正常かどうか、お答え願いたい。
  132. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 正常かという点については、私たちは正常と考えております。と申しますのは、やはり恩給というのは恩給受給者の立場から考えていくのが本筋ではないだろうか。先ほど先生御指摘の実質価値の問題を考えましても、その意味からであろうかと考えるのでありますが、その場合に、やはり年齢的な要素というのは、その人にとっていろいろなその後の問題に響きを与えますので、そこで七十歳以上の人はやはり早い時期に二八・五の増額、引き続いて同年齢になった方々にはやはり同じように二八・五というふうに適用されていくことが望ましい。かようなことで、私たちは正常な方向ではなかろうかと判断したわけでございます。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 たとえば傷痍軍人の皆さんの場合は、これはいままで年齢による差異をつけていなかったわけです。このたびそれが生まれてきておるわけですね。これは新型ができておるわけです。これはどういう理由でしょう。
  134. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 傷病恩給、いわゆる増加恩給傷病年金は、これはもう一つのファクターとして取り上げております。と申しますのは、傷病の重症度によって考えていくということも、一つ恩給的なものの考え方ではないだろうか。そこで、重症者であるいわゆる先ほど御指摘増加恩給受給者には二八・五、傷病年金受給者については二〇ということにいたしました。ただし、その傷病年金受給者も、七十歳になられますと、二八・五というふうに、同じく年金受給者として軽い方であっても、一般的な原則が七十歳ということをとる以上は、そういうふうな考え方が適切ではないだろうか、かように判断したわけでございます。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 一般的な原則を適用したというお話でございますけれども、これはやはり従来も段階をつけてあった。今度始まったわけじゃない。このたび特にこれを取り上げた理由を明示していただきます。
  136. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 今回の取り上げ方は、少しこれまでの年齢扱いとは違いまして、これまでは、ある一定増額率をきめておいて、年齢停止をきめていくというかっこうでございました。今度は停止じゃなくて、上がっていく年齢的な要素、これを増額に結びつけていくということで、旧来と多少方針を変更いたしたわけでございます。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 それは性格は同じことですよ。たとえば全然上がらない、停止をしておくか、差をつけるかの問題だけであって、性格は同じですよ。これはそういうこじつけの御議論は、私は成り立たないと思うのでございます。特に従来そういう停止制度を受けていなかった傷痍軍人の皆さんの場合に、ここで新型のものを生じたという前例をつくったわけです。今後またこういう扱いをされる危険があるという懸念がある。これは私としては賛成ができない、筋が通らない問題だと思っております。同時に、若年停止規定というのは、旧恩給法にもあったわけです。いまの古い制度にも残っておったわけですが、しかし、これは三十五歳までに軍人が早くやめて恩給をもらったような人とか、四十歳とか四十五歳というような若年停止というなら、それは働ける者が停止されるのは当然だと思いますけれども、六十歳ということになれば、一般的な通念からいって、国民年金受給、老齢年金受給資格を持つ年齢です。そのあたりから一括した処遇をすべきだと私は思っておる、これはいかがでしょう。
  138. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 御趣旨のほどはわからないわけではございませんが、一応私たちは社会的にある程度の稼得能力のある年齢をどういうふうに見るか。御承知のように、余命年数も延びておることでもございますので、そこで年次別格差というものを設けてやったわけでございますが、先生の御主張の点も、私たちはわからないわけではございません。ただし、今回の改正は、かような措置にいたしたわけでございます。
  139. 受田新吉

    ○受田委員 年齢が延びたから、だんだんと弱年停止に準じたような扱いを上のほうに持っていくということなんですが、問題は、予算の都合ということでございましょうか。予算の都合がつけば、こういう差額をつけなかったということですか。
  140. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに問題は、恩給を考えます場合にも、必然的に財政上の問題も考慮いたさなければなりません。しかし、もう一つの要素として、たとえば重症度、重傷病者と軽傷病者の差というものはあっても、これはやはりそれなり一つの合理性があるんじゃなかろうか、こういうことを加味いたしまして、いわゆる重症者優遇年齢優遇妻子優遇というふうなことを今回もやはり一つ基準線といたしたわけでございます。
  141. 受田新吉

    ○受田委員 予算の面も考慮した。全面的に二八・五に実施した場合には、どれだけの予算がふえると見られたのですか。
  142. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 正確な計算はいたしておりませんけれども、これを全額を実施いたしますと、おそらく一千億をこえようかという感じがいたします。
  143. 受田新吉

    ○受田委員 一千億をこえるという数字は、この政府が用意されている十月一日から実施をした本年度予算が一千億ふえるということですか。
  144. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 私の推計でございますので、正確なことは申し上げかねますが、いま申しておりますのは平年度予算と考えられます。したがって、平年度、現生の提出予算でいきますと、四百億、それがさらにいまのような形にふえようかと思います。
  145. 受田新吉

    ○受田委員 こういうときは、初年度予算の上で数字を比較してもらわないと、本年度に要る予算措置と平年度にいく分と一緒にされていくと、いかにも高額の増額が見られるような印象を与えます。こういうことで、いずれにしても、このたびの措置は、私多年申し上げたとおり、年齢的な差というものはもう取りやめてもいい時期がきておるのだということで今後の御処理を考えていただきたい。  なお、私が先般ちょっと指摘したのですけれども、退職公務員の年金額が著しく低位に置かれている場合に、恩給法第二条ノ二の規定を新設して、前提条件があって、これらの著しい変動があったらという場合で片づけておるわけですが、この著しい変動ということばは、恩給審議会が、答申でその著しいということばをやめる場合もある、あるいは私がこの前指摘したように、現職の公務員の給与の八割を下回った場合というような具体的な数字をあげる場合——私はいま具体的な数字をあげるのが一番適切な比較だと思うのですが、そういうような改定の方法をとることが予想されるかどうか、お答え願います。
  146. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給法の二条ノ二は、実は昨年本内閣委員会でも御賛同を得て設けられたばかりでございまして、その規定の中には「著シキ変動」ということばが記載されておるわけでございますが、恩給審議会の審議の範囲は、やはり国の最高機関である国会で御決定いただき、またその法をいかに運用するかという場合の考え方の問題ではなかろうかと考えます。したがって、それを運用するときに、いま先生の御指摘のような、実は何%というふうな考え方を運用の基準として出し得ないかということになりますと、出し得ないわけではないだろうと考えますが、これも審議会の御審議の模様によることでございます。
  147. 受田新吉

    ○受田委員 人事院の給与局長の尾崎さんにお尋ねしたいのですが、人事院は、国家公務員法の中の百八条でしたか、退職者に対する年金制度の意見を国会及び政府に提案することができる権限がある。人事院は、この国家公務員法に規定されている人事院の権限をいかに生かしておられるか。二十八年の勧告以来一向やっておられないのでございますが、この部分の法律の活用ということは忘れておられるのかどうか、お答え願います。
  148. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 御指摘のように、国家公務員法の百七条には、公務員の年金制度のあり方につきまして規定がございます。つまり退職公務員につきまして、その後適当な生活を維持するように保険数理によって制度を立てるということが基本でございます。その勧告権が百八条にございます。これに基づきまして、人事院は昭和二十八年に現在の年金制度基礎になる勧告をいたしまして、これが実質的に現在の年金制度の、昭和三十五年に改正されたものの基礎になっているわけでございます。その後の年金制度の運営につきまして、やはり人事院としては責任がございますし、それにつきましていろいろ検討はしているわけでございますけれども、その中でそれに関連しまして、いま御指摘がございましたように、昨年共済組合法の中にも、恩給法の中にも、スライド的な規定が設けられたわけでございます。御承知のとおり、この制度は毎年毎年の給与勧告のように、いわば短期的なそのときの生産状況に応じて分配をする、こういう性質のものではございませんで、非常に長期的な問題として考える必要がございます。したがって、やはりこの問題は軽々に、大きな制度でございますので、簡単に動かすというわけにはなかなかまいらないという点が特徴でございます。百七条の考え方では「適当な生活」ということが書いてございますけれども、これには物価——消費者物価は言うまでもございませんけれども、それにさらに年々の生活状況、経済の拡大に応じまして実質賃金、つまり消費水準が上がってまいっておるわけでございまして、諸外国の年金制度の規定におきましても、物価でやる消費者物価スライドという思想と、それがら民間賃金スライドという関係がございます。したがって、この関係をどのように——消費者物価でやっていくということは言うまでもございませんけれども、その上にどの程度消費水準的な上昇をつけ加えるかという点につきましては、やはり非常に議論のある問題でございますし、かつ長期的な問題でもあるということで、人事院としても慎重にいま検討しておるわけでございまして、かつ関係省庁で総理府に設けられております事務的な会議でございますけれども、公務員年金制度協議会においていろいろ議論をしているというところでございます。
  149. 受田新吉

    ○受田委員 議論だけではしようがない。すでに恩給法も、他の共済組合法も、いまの調整規定というものを法文化しておる。その法文化するときには、やはり人事院が勧告してから法文化するのが筋だと思ったのですが、それがいまできていません。そして今度私が申し上げたように、公務員の給与は、五%民間給与などが上がるならば勧告することになっておる。それに応じていま私が具体的に現行の公務員の給与の八割を下回った場合には退職者の年金改定をせよというような具体的な数字一つの例としてあげたわけです。そういうようなものをやはり人事院が勧告をしなければいかぬ。勧告権、意見開陳権がある。これをこちらだけにまかしておくのでは、人事院は怠慢だと思うのです。そういうようにいろいろ話し合いをしておるというだけでなく、人事院がすかっとこういう基本改定のときには勧告して、それがなされるというふうにしなければならぬと思うのです。特に恩給法の場合には最高二八・五になっているが、共済組合のほうは一〇%しか上がらないことになっている。恩給法と共済組合のほうは非常に差ができておる。こういうところにも一つのアンバランスを生み出す原因が、人事院の職務怠慢から起こっておるのではないかという問題が一つあると思うのです。退職公務員としては、同じような扱いを人事院はされなければならぬと思うのです。いかがでしょう。これは非常に大事な問題ですが、人事院はもう少し積極的に国家公務員法の規定を生かして、勧告権、意見開陳権を適用されるというように、積極的に取っ組んでいただけるかどうか、お答えを願います。
  150. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 ただいま申し上げましたように、この問題は制度のあり方が非常に長期の問題でございますし、一度きめましたら容易には直せないという問題でございます。この点は、しかも公務員の年金制度ばかりでなくて、社会保障制度における年金ベースアップというものとの関係も十分考えなくちゃいかぬという関係がございますので、そういう関係について、相当慎重な検討を経た後にこれを改定すべき性質のものじゃなかろうかというふうに考えているわけでございまして、御趣旨につきましては十分わかるわけでございますので、そういう方向で、御趣旨につきまして、われわれのほうにおきましても十分さらに調査を行ないたいと思うのでございますけれども、問題はなかなかむずかしいということでございます。
  151. 受田新吉

    ○受田委員 私、日ごろはあまり注文しませんが、恩給法だけ私は一時間半をいただきたいという御要望を申し上げておいたので、もう五分ほどやって、まだ残りがあるんですが、本会議が終了してからでもいいし、御相談していただいて、またあすに回していただいてもいいし、そこは私御無理は申し上げません。日ごろは言いませんが、このたびだけは質疑を一応やらしていただきたいから、よく各党と御相談していただいて……。  恩給法にはいろいろな問題がまだ残っておるのです。ひそんでおる。この機会に疑義を晴らしていかなければならぬ。恩給局長、たとえば今度の症状等差委員会が報告を出しておられる、この中にいろいろな規定が書かれていますが、実は項症あるいは款症の度を下げて、あるいは上げて、いろいろと入り組んでおりますが、下げた場合の既得権者の優遇というものはどういうふうに考えられておられるか、お答え願います。
  152. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 確かに症状等差の中では、下がる分もございます。しかし、既得権尊重だけは、私たちはいたしてまいりたい。したがって、額で下げるということはいたさないということでございます。
  153. 受田新吉

    ○受田委員 たとえば四項症が五項症に下がった場合に、国鉄の無料乗車券などでも、四項症は十二枚もらえるし、それから五項症になると六枚に下がってくる。これは既得権侵害になるが、それは同様に認めるということになるのか。それから次のベースアップのときに、いま押えた金額を整理するというような、つまり既得権を尊重した、確保した金額を次のベースアップの場合には五項症に下げるというような扱いをするのか。四項症としての従来の実績は生かすという式でやるか。たとえば、これから後に、片足切断したという場合は、これは今度五項症に下がっておる。これから傷痍軍人が片足を切断した場合に、四項症から五項症に下げるというのであって、いままでの四項症は四項症として確保するという立場をとっておるのか、とろうとするのか、扱いですが……。
  154. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は私たちは、まだ方針を最終的にきめておりませんけれども、これは実は総務長官とも御相談申し上げなければなりませんが、考え方といたしましては、四項症を保障するのではなくて、四項症で受給しておられる金額を保障していく、この線でございます。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 国鉄の切符などは下げられるのですか。
  156. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 それらにつきましては、できるだけ先生の御趣旨のほどを国鉄にお伝えしたいと思いますが、実は私のほうの範囲の中で考えていく問題を主体に考えております。しかし同時に、先生の御指摘のような点につきましては、できるだけの努力をしてまいりたいと思います。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 従来の四項症を持っていた人は既得権ですね。これからそういう該当者になった場合には、四項症が五項症に下がる、こういう行き方でいくべきだ。従来もらっておった四項症の人が急に一項症下げられるという行き方は、金額でというお説でありますが、これは私は問題があると思う。金額ということになるならば、次のベースアップのときに、従来恩給で戦地加算、激戦地勤務などの分も、高い比率が下がってしまった。その次のベースアップのときに差し繰られて下げられた。そういうことで、次のベースアップのときに差し繰られる危険があるのじゃないですか。その金額は四項症として最後まで見るのかどうか。そこを確認しておきたい。
  158. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 御趣旨のほどはわからないわけではございませんが、実は項症を新たに見直したという関係でございます。新しい医学によって項症を新たに見直していくというのでありまして、要するに、その人にどういう固定した症状があるかという判断、その判断結果が、実は新たな傷病恩給の査定というかっこうになるわけでございます。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 それは酷だと思う。つまりこれから該当する人は、新しい制度適用を受けるが、従来の既得権者は、既得権を尊重するというたてまえで考えていただかないと、憲法二十九条の規定というものは死んでしまう。ひとつ十分御検討願いたい。
  160. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 実は上げる場合も考えなければなりません、下げる場合も考えなければなりませんので、そこにかような判断が出てまいるわけでございます。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 あした三十分時間をいただけるそうですから……。もう一つだけ、一分ほど。——これは議論ですので、きょうはやめましょう。
  162. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、明二十三日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会