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塚原国務大臣 ただいま
議題となりました
恩給法等の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び
概要を御
説明申し上げます。
この
法律案による
措置の第一点は、
恩給年額の
増額であります。
現在、文官及び旧軍人並びにこれらの者の
遺族の
年金恩給は、
昭和四十年
法律第八十二号によって同年十月に改定され現在に及んでいるのでありますが、この
恩給年額につきましては、昨年十一月
恩給審議会から当面
恩給の
増額は、緊急に
措置するのが適当であるとの
中間答申がなされました。
政府といたしましては、この
答申の御
趣旨を尊重するとともに、六十五歳以上の
老齢者、妻子である
遺族、
傷病者の置かれております立場を考慮いたしまして、次の
ような
改善の
措置を講じ
ようとするものであります。
まず、
普通恩給及び
扶助料の
年額を、その
受給者の年齢に応じ、七十歳以上の者については二八.五%、六十五歳以上七十歳
未満の者並びに六十五歳
未満の妻及び子については二〇%、六十五歳
未満の者については、妻及び子を除き一〇%の
増額を行なうこととし、また、
公務傷病者にかかわる
恩給につきましては、
増加恩給及び七十歳以上の者が受ける
傷病年金については二八・五%、七十歳
未満の者が受ける
傷病年金については二〇%の
増額を行なうこととし、
昭和四十二年十月から実施いたそうとするものであります。
その第二点は、
老齢者に給する
加算恩給の
改善であります。
現行法におきましては、
戦地事変地等に勤務した公務員には
加算年を認め、これを算入して
普通恩給最短年限に達する場合にはこれに
普通恩給または
扶助料を給することとしておりますが、その
年額につきましては、妻及び子に給するものを除き、
普通恩給最短年限に達しているものの算出率百五十分の五十から、
普通恩給最短年限と実在職年との差の一年につき一定の率を減じて計算することといたしているのであります。今回の
措置は、七十歳以上の
老齢者に給する
普通恩給または
扶助料につきましても、妻及び子に給するものと同様に
普通恩給最短年限の場合の
恩給年額に相当するものを支給し
ようとするものであります。
その第三点は、
増加恩給の特別加給の額の
増額であります。
不具廃疾者に給する
増加恩給のうち、第二項症以上の重症者に給するものにつきましては、
増加恩給の
年額に
年額二万四千円の加給を行なっておりますが、この
年額を三万六千円に
増額いたそうとするものであります。
第四点は、旧外地
関係官公署
職員であった者が、琉球諸島民
政府職員として在職した場合の当該
職員期間の通算に関する
措置であります。
終戦時において、台湾、朝鮮、樺太等の旧外地
関係の官公署に勤務していた
恩給公務員で戦後琉球諸島に引き揚げ、
恩給公務員に相当する琉球諸島民
政府職員となった場合には、当該琉球諸島民
政府職員となる前の
恩給公務員としての在職年が
普通恩給最短年限に達している者の場合を除き、琉球諸島民
政府職員としての在職期間を
恩給公務員期間に通算いたそうとするものであります。
第五点は、旧軍人等の
遺族に対する特例
扶助料等の支給条件の緩和であります。
旧軍人等の
遺族に対する
恩給等の特例に関する
法律によりますと、旧軍人、旧準軍人が内地等で職務に
関連して負傷し、または疾病にかかり、在職期間内に死亡し、あるいは在職期間経過後、厚生
大臣の指定する結核等にあっては六年以内、その他の傷病にあっては二年以内に死亡した場合には、その
遺族に対しまして特例
扶助料または特例
遺族年金が給されることとされております。今回の
措置は、この支給要件である六年を十二年に、二年を四年に延長することにより、特例
扶助料または特例
遺族年金の支給範囲を広げ
ようとするものであります。
第六点は、在職年十二年以上十三年
未満の准士官以上の旧軍人に対して
普通恩給を支給し
ようとすることであります。
終戦により准士官等として退職した旧軍人で、その在職年が下士官としては十二年
未満、准士官としては十三年
未満であった者について、准士官等となる直前の階級による旧軍人としての
普通恩給または
扶助料を支給し
ようとするものであります。
右の
措置のほか、一の
増額措置に伴いまして
普通恩給についての多額所得者に対する
恩給停止基準を改めますとともに、その他所要の
改正をいたすこととしております。
なお、以上述べました
措置は、
昭和四十二年十月一日から実施することといたしております。
以上が、この
法律案の
提案の
理由及び
概要であります。
何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
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