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1967-06-08 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月八日(木曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 藤尾 正行君 理事 細田 吉藏君    理事 大出  俊君 理事 山内  広君    理事 受田 新吉君       天野 光晴君    内海 英男君       桂木 鉄夫君    佐藤 文生君       塩谷 一夫君    世耕 政隆君       高橋清一郎君    竹内 黎一君       地埼宇三郎君    橋口  隆君       藤波 孝生君    稻村 隆一君       武部  文君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       吉田 之久君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         労 働 大 臣 早川  崇君  委員外出席者         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         食糧庁長官   大口 駿一君         水産庁長官   久宗  高君         労働大臣官房長 辻  英雄君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  出席政府委員         水産庁調査研究         部長      森沢 基吉君         労働省労働基準         局労災防止対策         部長      鈴木 健二君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月八日  委員赤城宗徳君、井村重雄君、稻葉修君及び橋  口隆辞任につき、その補欠として地埼宇三郎  君、天野光晴君、竹内黎一君及び世耕政隆君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員天野光晴君、世耕政隆君、竹内黎一君及び  地埼宇三郎辞任につき、その補欠として井村  重雄君、橘口隆君、稻葉修君及び赤城宗徳君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月三日  武徳会追放による警察退職者救済に関する請願  (金子岩三紹介)(第一一三六号)  同(倉成正紹介)(第一一三七号)  元満鉄職員であつた公務員等恩給等通算に関  する請願池田禎治紹介)(第一一四五号)  同外一件(山内広紹介)(第一一八三号)  同外一件(足立篤郎紹介)(第一二一七号)  同(松本七郎紹介)(第一二二〇号)  同(田村元紹介)(第一二三一号)  同外一件(永末英一紹介)(第一二六三号)  建設関係現場公務員現場手当支給に関する  請願宇野宗佑紹介)(第一一七一号)  金沢郵政監察局存置に関する請願井村重雄君  紹介)(第一二六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 改正案二つポイントである食糧庁次長を置くことと。遠洋、南西海区の水産機構改善する二と、二の二つポイントが今回提案された法律骨子ですね。そこで、その二つ改正案骨子に触れた質問をいたします。  食糧庁次長を置く必要性、一応この提案理由の説明で理解できるわけでありますが、特に次長を置く理由に、「食糧管理制度の適正な運営とその改善、」という大きな目的があるわけです。このために次長を置くという一つ目的指摘してある。大臣、この食管制度の適正な運営とその改善のためにという、この目的のために置かれる次長、それは食管制度改善、その運営の妙を得ることができ、またその他の所掌事務が一応片がつく場合は、次長を廃止するわけですか。
  4. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、食管制度は、わが国国民主食である米その他必要なものを取り扱っておるわけであります。その結果は、国民経済にも、農家経済にも、大きな影響を持ってまいることは、御承知のとおりであります。そこで、政府といたしましては、やはりこの食管制度はその根幹を維持しながら、そのときに応じて運営をうまくやってまいるということが必要でございます。その取り扱っているものにつきましても、いろいろな種類のものを取り扱っておるわけであります。したがって、この食管制度運営してまいりますためには、この円滑な運営を期する、こういうことが何よりも大切でございます。それからまた、生産者米価、麦の価格を含めて、そういうものの価格及び消費者米価、そういうような算定、配給制度、そういうことについても、ことばでは簡単でありますが、配給制度一つとりましても、なかなかいろいろな問題がございます。そういうことについて、時代に即応してその妙味を発揮してまいるというところが、ただいまのところ食管制度の妙だと思います。そこで、私ども見まして、ただいままであそこに参事官という制度はございましたけれども食糧庁長官というものの主宰いたしております範囲が非常に広範でありまして、これをこの時代に即応して巧みに運営してまいるには、やはり次長という制度がほしい、こういうことで制度改正をお願いいたしておるわけであります。したがって、そういう食管制度というものが存在いたします限りは、やはりそのようにしていただいて、その円滑なる運営をはかってまいることが妥当ではないかと思っておるわけでございます。   〔委員長退席塚田委員長代理着席
  5. 受田新吉

    受田委員 次長を置かないがゆえに食管制度の適正な運営改善ができなかった、こうも言えるわけですね。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 別に食管制度運営に欠陥があったというわけではございませんけれども、いまちょっと申しましたように、あそこの制度を見ますと、やはり長官の下に次長を置いて、そして補佐することが、さらにさっき申しましたような円満な運営をしてまいるには好都合である、こういうことであります。
  7. 受田新吉

    受田委員 食管制度生産者米価消費者米価という二つの大事な体系をつくる責任があるわけでございますが、その基本になる問題を解決するための米価審議会、最近いろいろ政府も苦悩している米価審議会構成の一応の解決めどをどこへ置いておられるのか、御答弁願います。
  8. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米価審議会構成をいつごろまでにするかというお尋ねのようでございますが、審議会委員は六月の七日に任期が切れておりますので、まあなるべく早く委員を御委嘱して編成をいたしたい、こう思っております。
  9. 受田新吉

    受田委員 一応のめどを持たないで大臣がのらくらしておったのでは、大臣実力のなさを天下に公示するようなものでございます。一応大臣として、任期が切れている審議会構成をどのあたりまでには解決をしていきたいという一応のあなたなりの目標がなければ、主務大臣としての権威いずこにありやと疑わざるを得ない。すかっとした実力を発揮してほしい。その意味から、あなたが審議会構成をどの時点において完成するか、そのくらいの自信のある御答弁を願いたいわけです。     〔塚田委員長代理退席委員長着席
  10. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 麦は六月末までにきめなければなりませんから、当然それまでには審議会構成をいたしたいと思っております。
  11. 受田新吉

    受田委員 米価もまた約一カ月の後には答えを出さなければならないし、当面する麦のほうの解決目標にして、月末までには審議会構成をしなければならぬ。機能が発揮できる段階で直ちに麦価がきまるわけではないわけですから、その審議期間が要るわけです。したがって、その審議期間を予定した構成解決めどはどこに置いておられるか。
  12. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大体いままで御委嘱申し上げておった委員さんはみな専門家でありますから、そう時間もかかるまいと思いますが、しかし、いろいろ資料を勉強していただいたりする必要もありますので、およそその辺のところを検討して、それまでにはお願いをいたしたいと思っております。
  13. 受田新吉

    受田委員 食管制度政府が少し頭を働かせ、運営妙味を発揮するならば、この食管赤字累積は防止できる、また、財政運営の点で解決できる問題があると思うのです。それは食糧事務所食糧庁等に勤務する職員給与費というものは、りっぱな行政費の一翼をになっておるものです。したがって、そういう行政費は、食管特別会計でなくて、一般会計のほうでまかなうべきであって、売買勘定等の純粋な食管の問題として充当さるべき会計特別会計に残して、これは一般行政事務ですから、行政費一般会計に入れる。そういう意味特別会計赤字累積をちゃんとした制度の上で解決する道もあると考えるが、これはいかがお考えでしょうか。
  14. 大口駿一

    大口政府委員 食管特別会計の中でいま御指摘になりました人件費に相当する金額は、四十二会計年度予算で二百六十七億に相当いたしております。そこで、食管特別会計予算定員は全部で二万八千七百九十七人であります。なお、食糧庁には、一般会計に属する職員も七十九名計上されておるわけでございます。  ただいまの御指摘の問題は、まず第一に、特別会計に所属せしめるか、一般会計に所属せしめるかという区分の問題と、それから実質的にその人件費負担がどういうふうになっておるかという問題の二つに分けられると思いますが、特別会計に所属せしむべきか、一般会計に所属せしむべきかという問題は、たとえば食糧庁の本庁においては、食糧管理制度に直接関係のない仕事、たとえば食品行政でありますとか、そういう仕事もございますので、一般会計定員があるわけでございます。なお、将来に向かってこの区分を適正なものにいたしたいという検討は、続けるべきものと思っております。  それから、全体の人件費負担区分が現在どうなっておるかということでございますが、会計としては現在特別会計に約二百六十七億の人件費が計上されておるわけでございますが、ただいまの食糧管理特別会計の米麦の管理の実態からいたしますと、結果的には、特別会計人件費金額よりもはるかに多い金額一般会計から繰り入れられておりまするので、最終的には一般会計負担になっておるというのが、現在の実情の姿でございまするが、なお、特別会計一般会計負担区分の問題については、今後の研究問題としてさらに取り進めてまいりたいと考えております。
  15. 受田新吉

    受田委員 これは一般会計に属する職員が少数、百人足らずおるわけです。それと、それは食糧事務所関係の問題、食管の問題とは違った仕事をするから一般行政費からまかなうのだという理屈から言えば、それを分けているということの理屈は一応成り立つわけですけれども、しかし、食糧行政事務というものは、一般行政です。決して管理勘定の問題とは同一に考うべき問題じゃない。はっきり割り切って、一般行政費の一部としてその予算をぴしっと一般会計に充当しておけば、その二百六十七億の金額でさえも差しあたり食管赤字を解消する手段になる。一般会計から別途繰り入れられた分は、別途の方法で使っていけばいいわけです。その給与費というものを特別会計からまかなうような会計ができておるのですから、それがまず、いま漸次検討していきたいという御答弁でありまするが、この問題は一般行政費であるということにおいては、大臣、あなた御自身も、食糧行政を担当する行政事務担当者のお仕事そのものは、一般行政仕事である、これは大臣もお認めいただけると思うのです。
  16. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 受田さん御存じのように、特別会計は、そこの職員人件費というのはその当該特別会計負担すべきものであるということになっておるようでありますから、したがって、食管会計としての特別会計を扱っておる人件費も、食管会計人件費としてまかなうのが普通ではないか。これは、しかし、米価その他に加算されるわけではありませんからして、会計それ自体としてどういうふうに考えを持つかということについては、なお検討の余地があると思いますけれども特別会計人件費特別会計負担するというたてまえでやっておりますので、現在までそうなっておるわけでございます。
  17. 受田新吉

    受田委員 これは食管制度特殊性一つ考えなければいけない、国民主食を扱っておる制度でございますから。これは特別会計勘定の中で行政費も何もかも一緒にしてやっていく、ほかの特別会計もそうだからこれもそうだという理屈をいまこねておられるわけですけれども、ほかの特別会計は、こんなに赤字累積する会計はないわけです。食管会計だけにこういう特異な現象が起こっているということは、この食管制度というものの本質的なものを十分検討するときに、一般行政費の中にこの特殊の事情にある食糧という国民主食を扱うお役所の人件費というものを一般行政費と見る特例を開いても、私は決して不当ではないと思うのです。そういう制度を漸次考えていきたいという御答弁がいま食糧庁長官からあったわけでございまするから、大臣も、特殊の事情にある特別会計制度改善する目標に向かって、行政費というものを分離して一般会計によってまかなわしめるという一つ構想だけは、あなたがちゃんと用意しておられなければいかぬと思うのです。  それともう一つ。この管理勘定の問題になってくるのですが、運送費、この運送費というものに非常なむだがあるのではないか。たとえば北海道生産した米を大阪あたり近畿地方へ持っていっておるんじゃないか。そんな遠隔の地に運ぶむだを省いて、地方グループグループ解決をして、そうして全体としての輸送のむだを省くようなやり方をすべきじゃないか。そうしてもう一つよく問題にされるのですけれども、その運送業務というものを日通という一つの独占的な企業形態に一括して随意契約によって請け負わせておる。こうした国民主食運送する業務を、なぜ特定業者にだけ請け負わせるようにしているのですか。ある地区地区輸送については、その地域で有能な運送業者が数あるのですから、そういうものに競争入札をせしめて、できるだけ低額で、米穀輸送を取り運ぶことのできるような、そういう措置をすべきじゃないか。何かそこに政府自身として、運送費を節約するという目的のための構想の練り方が足らないのではないか。御答弁願います。
  18. 大口駿一

    大口政府委員 事務的なことになりますので、私からお答えいたします。米の例をとりますと、ただいま御指摘になりましたように、北海道でとれました米を相当遠くまで輸送をいたしておることは事実でございます。食糧の需給が逐次ゆるんでまいりますと同時に、消費者の米の品質に対する御要望というものが、非常に強くなってまいっておるのでございます。そこで、日本でとれまする米の中で、たとえば北陸、東北、北海道のごとき地方でとれまする米と、それからそれ以外の地方でとれます米につきましては、水分含有量等に非常な差がございまするので、できるだけ水分含有の多い米はそれほど気温の高くならない時期までに、早期に全国的に配給をして処理をしなければならないという問題それから食味の問題等もございまして、現在ある程度の長距離輸送を全国的な規模でやらざるを得ないという実情に相なっておるのでございまして、これをただいま御指摘のような地区だけの範囲でまかなうということが、現在の生産地消費地との消費人口関係等から申しまして、どうしてもむずかしいという事情が実はあるわけでございます。そこで、御指摘のように、運送費節減につきましては、もちろん大事な食糧を扱っておりますることでございますので、丁寧にやる必要がございまするけれども一般税負担ということになっておりまする関係上、中間経費、特に運送費節減につきましては、従来ともきわめて意を用いておるわけでございまして、ただいまのような運送を交錯的にいたしまする場合も、電子計算機等の設備を導入いたしまして、最も経費節減になるような運送計画の立案ということに意を用いておるのも、その一つのあらわれでございます。  日本通運との関係を御指摘になったわけでございまするが、ただいま申しましたような相当広範な全国的な規模輸送し、しかも適確なる時期に支障なく運送いたしますことを責任を持ってやってもらいますために、現在あります規模として、日本通運が適当であるということでやっておるわけでありまするが、ただ日本通運との運送契約あたりましては、契約の単価を決定いたしまする場合に、運輸省の監督のもとにおいて公定料金がきめられておりまするものは、すべてこの公定料金範囲内で契約を結んでおりまするので、結果的に独占利潤日本通運に生ずるようなことは絶対ないというように私どもは気をつけてやっておるような次第でございまするが、なお、今後とも、中間経費節減で至らざるところ等は、鋭意改善努力を続けてまいりたいと思っております。
  19. 受田新吉

    受田委員 日通運送を独占せしめておるというそのこと自身に、一つ問題があると思います。地域地域輸送については、その地域業者の中に、日通よりもっと高能率を発揮して、地域事情に明るい運送をしてくれる業者がおるはずだ。そういうものに、競争入札方式をとって、できるだけローカル色を生かす。そうした特定業者との国家の約束だけでなくして、広い意味自由競争というものを認めるような形にしていかなければならない。何だかこの点について統制的な、一つ企業だけに食管運送を委託しておるような形になってきていたのでは、何かそこに自由という世界が失われておるような感じがするし、地域、ローカル的な優秀な業者が道を閉ざされているというかっこうができておるわけです。部分的にでもそういう道を開く方針をお持ちではないか。
  20. 大口駿一

    大口政府委員 いまの問題について、特に先生の申されていることに異を唱えるつもりは毛頭ございませんが、実は食糧輸送の中で、現在まだ鉄道に依存しておる輸送が非常に多いわけでございまして、鉄道の貨物駅に出入りをするための免許——これは通運事業法による通運免許という制度が、運輸省の所管でございまするが、この通運免許を持っておりまするものが、逐次日通以外の店でふえてまいっておることは事実でございまするが、ある輸送の両端に同じ業者通運免許を持っておるということが、どうしても一貫輸送のために必要であるということから、現在ローカル色の多いものを頭から全然排除するつもりはございませんが、なかなか実情はそのとおりにいかないという事情一つあることを申し上げたいと思います。  それからもう一つは、現在の全国的な運送契約に基づいてやらせておりまする場合には、ある特定区間運送だけをとってみますると、著しくコスト高運送区間もあるわけでありまするが、コストの安いところだけはわしらは引き受けるけれども高いところはいやだというようなことにならぬように、全国プールをやっておるわけでございまするが、ある特定区間だけをとりましてかりに競争入札ということでやりました場合に、現在の日通よりも安い料金で引き受けるということがあるいは可能な部分もあるかと思いまするが、またその反面の問題があって、全国プールということでやっておるわけでございまするから、そういう事情も御配慮いただきたいと思います。なお全国的な規模ということでそういう制度をとっておるわけでございまするが、いま申しましたような障害のない部分につきましては、何も日通でなければいかぬというふうに頭からきめてかかっておるわけではございませんので、できるだけ地方トラック運送その他については、地方業者を活用して差しつかえない分野については活用するという気持ちは常に持っておりまするし、また今後ともそういう気持ちでやってまいりたい、かように考えております。
  21. 受田新吉

    受田委員 その地方運送業者トラック業者というものを活用するということは、日通を通じて日通下請をさせるという意味ではないわけですね。直接にやらせるということですか。
  22. 大口駿一

    大口政府委員 もちろん、私がいま今後その気持ちでやっていきたいと申し上げましたのは、直接でやる場合のことでございます。下請のケースは、現在も相当ございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 大臣、私昨年韓国台湾その他東南アジアの国々を視察したときに、台湾韓国ともに一石当たり五千円から六千円の米価です。日本は約一万八千円。それが国内で準内地米として扱われるときになると九千円、国内の半分くらいの価格になるようでございまするが、この著しい国際価格差、その中で日本の農村が生きていこうとするならば、米生産者の擁護というものに異常な熱意を持って育成強化をはかっていかなければならないと思います。タイ国あるいは台湾韓国のように日本に近接する地域で、その生産米価そのもの日本の三分の一ないし四分の一という低い水準で生産されている国々をかかえておる日本の国として、大臣としては、日本米穀生産者に対しての国際的視野に立つ保護政策というものをどう考えておるか。基本問題として米価審議会生産者米価消費者米価をなるべく接近させるように努力をするとかいう問題とは別に、国際競争に勝てるための日本の米の生産者を擁護する立場には、別の政策が要ると私は思うのです。食管政策だけではなくして別の政策、それをどうお考えになっておられるか。また、これらの低米価国々との貿易関係を伏線とした御答弁を願いたいのです。
  24. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、一般論としては、世界的に食糧は決して余ってはおりません。むしろ人口の増加に伴って、私どもはさらに食糧を増産していかなければならないと思っております。したがって、ただ単にコマーシャルベースだけで、安いものがあるのだから入れたらどうだという、一部そういう御意見もございますが、私どもといたしましては、やはりいまの中東の紛争などを——早く解決したようでございますけれども政府といたしましては、やはりいかなる事態が国に勃発しても国民主食にまごつかせないだけのことを考えておかなければなりませんので、やはり自給度はできるだけ高めていかなければならないと存じております。ただ、ここで一つ問題になりますことは、これは食べものではございませんけれども御存じのように、われわれがかつて数十年前に——たとえば紡績に例をとりましても、その他のものを例にとっても、だんだんと先進国労働賃金が上がり、そしてコスト高になり、そしていわゆる後進国であるわが国先進国立場は奪われてきております。こういう傾向は、やはり先進国の中に入りつつあるわが国としては、われわれが追ってきた足あとを見て、十分にそういうことに対処して考えていかなければならないと思っておるのであります。これは一般論です。  そこで、食糧にいたしましても、そういう角度から申しますと、いまお話しのように、台湾生産費はもっと安いでありましょう。しかしながら、台湾それ自体がそう多くの輸出能力を持っておるわけではありません。私どもといたしましては、やはりそういうことも考慮しながら、しかも日本の農業の生産力の中で一番大きな米につきましては、できるだけ近代化して、その生産コストを引き下げることに政府としては努力をいたしながら、この生産は続けてまいるようにいたしたい。ただいまのところは、それがためにやはり食管制度というものの運用を妙にしていくことがよいのではないか、こう思っております。
  25. 受田新吉

    受田委員 ちょっとほかの委員会があるので、いま呼び出しが来たから、これで質問は終わります。
  26. 關谷勝利

  27. 山内広

    山内委員 締めくくりとして、この法案の内容について若干お尋ねしたいと思います。  何せ農林省の所管は多岐多様にわたりまして、最近問題もいろいろたくさん出ておりますし、また、農林省が発行されました農業白書、あるいは林業、漁業といったような最近出た白書の中身も一とおり読ましてもらいましたけれども、なかなか私思いついた意見もたくさんあるわけであります。しかし、それらはいずれ時を見てお尋ねしたいと思っておりますが、今度の設置法の改正の第一点であります、食糧庁にいまどき次長を置かなければならぬという理由は何か、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど受田さんにお答えいたしましたように、同じ考えでありますが、食糧庁仕事は、山内さん御存じのごとく、ただいまだんだん多岐にわたってまいりまして、非常に広範な取り扱いをいたしております。それに、あそこには参事官という制度がございますが、この参事官が長官にかわって代理をし得るような地位におりません。かたがた、ただいまの食管制度は、先ほど申し上げましたように、その根幹を維持しながら運用の妙を発揮していくことが必要であると申し上げましたが、この食管の扱いの中で、やはり配給制度などにつきましても、だんだん複雑になり、新しい構想をもってやらなければならない問題が、多々続出してきております。物価安定推進会議などでも、いろいろ御議論の出ておるところであります。そういうようなことを考えまして、食糧庁の事務を円満にスピーディにやってまいるためには、あれだけ大きな仕事になりますと、やはりどうしても次長という制度を設けていただきまして、万遺憾なきを期してまいりたい、こういうことが次長制をお願いしておる理由であります。
  29. 山内広

    山内委員 いまの御答弁、想像がつかないわけでもないし、理解もできるわけですけれども、同じ食糧庁で今度全職員の中から五十二名の減が出ておるわけです、うらはらになって。ですから、片一方では、いまお話しのような次長を置くという理由を述べられながら職員を五十二名減ずるというようなことは、相反するように思うのですが、この考え方はいかがですか。
  30. 大口駿一

    大口政府委員 今回御審議を願っております農林省設置法の中で、確かに食糧庁次長を置くという部分と、それから農林省全体の中で定員をやりくりする部分とがございます。食糧庁次長を設置をいたします必要性につきましてはただいま大臣から御答弁がありましたとおりでありますが、ただいま御指摘になりました五十二名の定員を内局に振りかえます問題につきましては、各省の新しい行政需要が生じました際に、これをまかなう方法として、新規の増員を認めない、従来の既定定員の中でやりくりをしてまかなうという政府全体の方針に基づきまして、農林省の中の他の局で生じました新しい行政需要に対しまして、食糧庁の末端の業務に支障のない範囲内で一部の定員を振りかえるということを内容とするものでございまして、先ほど御指摘になりました次長の設置の問題とこの定員を他に活用する問題とは、必ずしも直接の因果関係はない、まあいわば次元の違った問題でありますので、一方において定員を削減することがあるからと申しまして、次長設置の必要性がそれによって減るというふうに私ども考えていないわけでございます。
  31. 山内広

    山内委員 ただいまの御答弁、ちょっとおかしいと思うのですよ。予算書を見ましても、年々業務が増大されていることは、もう何人も認めないわけにはいかぬわけです。そういう中で職員の五十二名を減らしておるわけですね。そうしますと、えらい人が一人ふえる、次長はふえるのだが、実際の仕事をやる末端の人は、欠員の補充あるいは新規採用が停止されているから、それで弱い者にしわ寄せをしている、こういう判断よりほかできないじゃないですか。もう一ぺんその五十二名の減について、もう少し具体的に、弱い者いじめでないという理由を明らかにしていただきたい。
  32. 大口駿一

    大口政府委員 山内先生も御承知かと思いますけれども、現在政府機関には欠員不補充という方針がとられておりまして、各官庁とも相当数の欠員を生じても、それは全部機械的に埋め得ない、いわゆる不補充の欠員を持っておることは、御承知のとおりだと思います。そういう問題も一方においてございますので、ただいま農林省内で定員のやりくりをいたしますための結果として、食糧庁で五十二名の定員の移しかえをいたしますことが、直ちに現実の食糧庁に働いておる実員を移すということを意味しない場合もあり得るわけでございます。そういうことを頭に置いていただきますならば、ただいま御審議を願っております内容について、えらい人をふやして月給の低い人をよそに回すというような実情にもないし、また、そういうことを意図しているものでもないということが御理解いただけるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  33. 山内広

    山内委員 これは議論のために議論しているのではないですよ。あなたのほうからお出しになりましたこの設置法の改正の資料を見ましても、たとえば、この間大出君がついておりましたけれども食糧庁に、植物の防疫業務の強化に伴い本省へ振りかえ減、十五名とありますね。逆にわれわれの党から、あんなことでどうしてこういう植物の防疫ができるのだ、やれないじゃないかという追及を盛んにやっているわけです。ところが、ここには十五名の減ですよ。そのほか、農薬の検査業務の強化に伴う二とか、われわれとしてはかえって現場の実際にこれに携わる人を増員してやらなければならぬと想像できるような業務から、逆に内局に吸い上げているでしょう。そういう点が、私どうもふに落ちないというのです。ですから、これはやはり下部のほうをいじめることになりますよ。もう少し詳しく説明してください。
  34. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 お配りを申し上げております資料の七ページにあります。御指摘の農薬検査業務の強化に伴い本省へ振りかえ減二名、植物防疫業務の強化に伴い本省へ振りかえ減十五名ということは、一番左の欄をごらん願いますと、食糧庁というワク内での説明でございまして、食糧庁の減員がどういうところにいくかということを説明をいたしておるのでございます。本省という意味は、御案内のとおり、農林省は食糧庁、林野庁、水産庁、農林本省ということに相なっておりまして、農薬検査も本省という中にくくられておりますので、本省へ振りかえて農薬検査業務に充てるという意味であり、また植物防疫につきましても、食糧庁から本省へ振りかえをいたしまして、植物防疫業務の強化に十五名を充てるという説明でございます。
  35. 山内広

    山内委員 ですから、お尋ねしているのですよ。林野庁、食糧庁、水産庁、この三つの外局を強化していくというのが大臣のお考えなのか。そして、本省はほんとうの企画官庁として企画をやって、こういう外局をだんだんふやしていくというお考えなのか。それとも外局のほうを減らしていって、本省を強化しようとするのか。今度の設置法の改正の基本的な考え方は、どっちに置いておられるか、これからまずお聞きしてみましょう。
  36. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 まず、事務的に御説明を申し上げますが、農林省全体の定員の割り振り、いわばそういう限りでは一種の流動的な措置を毎年とっておるのでございますが、これは食糧庁長官からの答弁にもございましたように、省内における行政需要の変動があるわけでございますので、基本的には、農林省全体としての総定員数は、行政の効率化ということが国全体の課題でもありますおりから、ふやさないという考え方のもとに、行政需要に応じて流動化を考えたいということでございまして、そういう意味では、本省を充実をして外局の定員を減らすとか、あるいは出先現業部門を減らすとかいうことではございませんで、むしろ基本的には現業部門というものの業務のアンバランスを是正していくという考え方をとっておるのでございます。でございますので、ごらんのとおり、外局でございます水産庁につきましては、遠洋関係の資源調査の緊急必要性という意味から、省内全体の流動化の中で四十四名の増員ということをはかっておりますのも、別に本省、外局という区分をして、どちらを重視する、どちらを軽視するという考え方はとってないことを御説明し得るものかと思います。
  37. 山内広

    山内委員 この資料によりますと、本省は何といっても六十名ふえるわけですね。間違いないですね。そして食糧庁は五十二名の減でしょう。林野庁が三名。そしていま御答弁になった水産庁は四十四名のプラス。ちょっと誤解されているようですからお聞きしますけれども、もうすでに人員不補充の方針を政府がとってから数年になっておるわけです。私どもとしては、最初のうちは定員不補充もよかったけれども、最近の行政のアンバランスから見て、実情に合うようにもう手直しする段階ではないか。何もかにも欠員不補充の原則をこれ以上貫いていくことは、かえって能率が逆になるという考え方を実は若干持ってきておるわけです。そういう意味で、あなた方のほうから、本省はどうしても六十名増さんならぬ、食糧庁は五十二名を減員してもやれる、そういうのであれば、それでもいいのですけれども、そうでなく、これはどうしても食糧庁もふやさなければならぬ。この間から話の出ているように、いろいろ現場の事情というものがわかってきているわけです。ですから、これは言いのがれでなく、実際こういう実情になっているのだという資料を私どもに与えられれば、それを一つの足がかりとして、行管とも交渉し、いろいろこれは論議してみたい、こういう考え方なんです。何かつかれると、あなたのほうは逃げ道ばかりこしらえているようですけれども、どうもこれはふに落ちないのです。もう一度具体的にはっきりとお答えいただきたい。
  38. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私どもも、政府全体の方針として欠員不補充ということは、要するに、行政の効率化によって不補充を守り得る限り、それは十分理解をし、その方針に従うべきだと考えてまいっておるのでございます。ただ、御指摘にもございましたように、行政需要の増減は、必ずしもすべての機関について平均的に起こるものではございません。また、業務の合理化の進展の度合い、そういうものも全部一律にまいるというわけにはまいりませんで、一定期間を経てまいりますと、確かに一種のいびつな状態が起こってくるということでございまして、政府部内でも、端的に申しますと、私どもは、現業業務的なものは欠員不補充のワクから出してもらえないかということを、内々主張をしてまいっておるのでございます。省全体といたしまして私どもは六万二千人という一般行政職員をかかえておる省といたしましては、総ワクはこの程度のワク内でまかなっていくよう努力をいたしたいということは、一致した見解になっておるのでございます。  なお、本省に六十名ふえておるではないかということでございますが、本省に六十名ふえておりますのをごらんいただきますと、多くは現業業務の充実をはからなければならない、それから、国際関係の事務がこのところ非常に事務量としてふえておる、また流通関係等に人員の増を要するというようなことで、六十名の増をはかっておりますが、次のページの一番上の欄の減の計をごらんいただきますと、五十五名の減を本省でもやっておるのでございまして、差し引き本省の純増は五名ということでございまして、本省重点ということではなく、職員定員配置の流動化をこまかく御説明しますために、ふえるものはふえるといってお示しをし、減らすべきものは減らすべきものとしてお示しをしているのでございます。
  39. 山内広

    山内委員 わかりました。はっきりはまだのみ込めませんけれども、そういう方針であれば、それに沿うて検討してみたいと思います。  トータルにおいて一名減をしたのは、今度の次長ができたことに関連して一名減をした、こういうことなんですか。
  40. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 この一名の減は、非常に常識的に申し上げますと、外務省へ定員を割愛いたしまして、在外公館の農務担当の職員をふやしたことの最後の結果であるというふうに御理解願っていいかと思います。もちろん、そこまでまいりますのには、各庁各局間の流動が非常に複雑に行なわれておりまして、総計の結果一名減ということで、それは何かといえば外務省へ割愛した定員数であるというふうに御理解願っていいかと思います。
  41. 山内広

    山内委員 先ほど大臣の御答弁では、参事官は長官の代理ができないので、昇格するという御答弁でしたが、そうしますと、これは他局から持ってくるのでなくて、参事官の昇格、こう理解してよろしいのですか。
  42. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 参事官は総務部の中におりますので、それを振りかえて次長制度を設けます。
  43. 山内広

    山内委員 それでは、水産研究所について少しお尋ねしたいと思います。  これはこの前の国会に出されて日の目を見なかったのですが、やはり受け取る側としては、遠洋漁業に重点が置かれて、どうも沿岸漁業というものは、零細な漁民をかかえているために、私どもはずいぶん重点を置いた施策を考えてきたつもりなんですが、そのほうに背中が向いているような印象を受けますが、これはどういう考え方か、お聞きしたいと思います。
  44. 久宗高

    ○久宗政府委員 遠洋関係につきましては、御承知のように、国際的にもいろいろ問題がございまして、資源調査そのものが交渉の迫力にも関連いたしますので、従来これを幾つかの試験研究機関に分けてやっておりましたが、効率が悪いということで、一カ所に集中する形で御提案しておりますのが、遠洋水研の考え方であります。  この場合、沿岸のほうはどうかということでございますが、沿岸関係におきましても、今回の改正の中にございますように、従来幾つかの研究所のうち、水域を分けまして担当しておりますものは、主として沿岸関係をおもに実施しておるわけでございます。内海区と南海区に分けておりましたものを、今度は試験関係の共通性もございますので、両方一緒にいたしまして南西海区水産研究所という形にいたしまして、部も一つふやしまして、沿岸関係の強化も同時にはかっておるわけでございます。
  45. 山内広

    山内委員 今度遠洋水研の設けられる清水の施設とか受け入れ態勢は、どういうふうになっておりますか。
  46. 久宗高

    ○久宗政府委員 実は昨年ああいう形で流れまして、私ども事実上非常に困惑したわけでございます。当面の措置といたしまして、すでにできました宿舎の保守と管理のために十五名を配置いたしまして、最小限度の管理をはかっておるわけでございます。
  47. 山内広

    山内委員 水産研究にはだいぶ力を入れておられるわけですが、この研究の成果というものを国民がこれを活用して事業を営み、あるいは養殖、そういうようなことに手を出すわけですが、そうなりますと、今度は通産省の関係も出てくるわけでございますが、この試験研究の成果をどういうふうに国民と結びつけておるのか、その点についてのお考え方をちょっとお知らせいただきたい。
  48. 久宗高

    ○久宗政府委員 これは各試験場共通と思うわけでございますが、研究所そのものの報告書に毎年毎年の研究をもちろん発表いたしておるわけでございますが、しかし、これらの関係につきましては、また沿岸漁業の関係につきましては、御存じのとおり、都道府県にもそれぞれ水産試験場がございまして特に漁況でありますとか海況の予報関係——これは研究の成果と申しますよりは、現実の漁業にも直接関連する問題でございますので、これらの漁況、海況の予報関係という形で結びつきまして、漁況海況センターを立てまして漁業者に逐一報告をいたしておるわけでございます。  一般的ないわゆる研究そのものにきましては、研究所の報告並びに学界への報告を含めまして、これには関係者が相当注目しておられますので、普及につきまして一段と努力いたしておるわけでございます。具体的な試験研究の結果の普及につきましては、御承知のとおり、普及員というものがございまして、これはおおむね府県の試験場に中心がおりまして、かつ必要な現地には駐在員が派遣されておりまして、これに研究成果が流されまして漁民に対する普及をいたしておるわけでございます。
  49. 山内広

    山内委員 水産庁がお持ちになっておる調査船というのは、何隻、何トンくらいあるのですか。
  50. 森沢基吉

    ○森沢説明員 現在水産庁にございますのは、この秋に竣工いたします大型の調査船を除きまして、十九隻ございます。そのうち全部が試験研究のものではございませんで、取り締まり、調査両方兼ねておりますものが七隻、それからそれ以外が水産研究所の調査船でございますが、船型はいろいろございまして、千トン型のものが一隻、六百トン型のものが一隻、四百トン型のものが一隻、二百トン型のものが一隻、それから百トン以下が三隻というのが、取り締まり船の内容でございます。それから、水産研究所の船では、二百トン型が三隻、百トン型が二隻、それから百トン型以下のものが全部で七隻でございます。
  51. 山内広

    山内委員 水産庁で民有の船を借り上げて調査船として使用しておるものは、どれくらいあるのですか。
  52. 森沢基吉

    ○森沢説明員 現在水産庁で民有船を使いますのは、取り締まり関係と漁場の開発と両方に使っております。全体の数はちょっと明確に申し上げにくいのですが、たとえば、日韓海域の共同取り締まり等につきましては、四隻の用船をいたしまして、それを稼動して、水産庁の研究所の調査船のほかに使っております。
  53. 山内広

    山内委員 それからまた、魚の回遊などを調査し、これを民間の漁船に通報していろいろ便宜を与えておることも、私は承知しておるわけでありますが、それに関連してひとつお尋ねしたいのですが、これは先月の初めに行なわれたことですが、日米合同で日本海で大がかりな海上演習をやりました。国会答弁では、防衛庁長官は毎年やっておるのだというお話なんですが、これの魚の回遊とか漁民に与える影響は、調査の対象になっておるのか、おらないのか、その内容を伺っておきたい。
  54. 久宗高

    ○久宗政府委員 回遊の調査でございますと、やはりある時点の短期間のものではございませんで、年間を通じましてどういう変化があるかというつかまえ方しかできないわけでございます。したがいまして、ある一定時期に、その海域で何らかの事象が起こりまして、それがどういう影響があったかという具体的なつかまえ方は、技術的にも困難かと思うわけでございまして、現在のところ、さような調査はやっておりません。
  55. 山内広

    山内委員 これは防衛庁の関係ですから、防衛庁が来たときには十分私内容を聞くつもりでおりますけれども、ことしの日本海の合同演習は非常に大がかりなもので、潜水艦を対象として海中でも相当大がかりな爆発をやったと推定されるのですが、そういうことになりますと、これは魚の回遊にも影響する、ひいては漁民も無関心ではあり得ない、そういうことで、私どもは沿岸漁民を守るという立場から、非常にこれは大事なできごとだと思うのです。これがもし相当顕著になれば、この被容に対する補償の問題が当然出てまいりますが、こういうことについては調査研究されたことがございますか。どういうお考えでおりますか。
  56. 久宗高

    ○久宗政府委員 一般的に申しまして、ある海域を指定いたしまして、特に砲撃演習というような場合には、一定の海域に相当な期間にわたり被害があるというようなケースにおきましては、防衛庁のほうの規定によりまして、当然私どものほうに御連絡がありまして、そのような海域を指定する場合にわれわれの意見を聞くことになっておるわけでございます。どの程度の演習、どの程度の海域ということにもよりまして、その通報がある場合とない場合とがありますが、先ほど御指摘の問題につきましては、一部に若干漁具の被害が起こりまして漁民のほうから問題が出ておりましたので、私どもは防衛庁のほうにも御連絡をいたしておるわけでありますが、被害が出ました場合の問題といたしましては、私どもといたしましては、被害の額が確定し、その加害の事実が明らかになれば、当然漁民のお立場に立ちまして完全な補償が受けられるように努力いたしたいと考えております。
  57. 山内広

    山内委員 これはなかなかめんどうな問題でございまして、損害額が決定すれば、これはもちろんいま御答弁のようなことになることは当然ですが、そういうはっきりした金額が出る前に、魚の回遊が変わったとか、あるいはそれがいろいろなところに影響があると思うのです。私も、これはどれぐらいの被害があるかわかりはしませんけれども、しかし、当然いろいろな施策を講じて沿岸漁民の生活を守るということで、国費も入っております。そのほか、各都道府県でもそれぞれやっておるわけですが、そういうときに、沖合いへ持っていってばんばんこういうことをやって被害を与えるということになると、これは金額の確定を待たないで何かの対策を講じてやらなければならぬ事態が発生すると思うのです。そういうときにどうやるかという基本的な態度ぐらいは、水産庁としてはお考えになっておく必要がある。漁民に騒がれてからじゃ手おくれだと思うのです。その点について、もう少し詳しくお聞きしたい。
  58. 久宗高

    ○久宗政府委員 全く同感でございまして、従来の事象は、別に防衛庁のみならず、ほかの補償関係におきましても、事態が事実上先に進行いたしまして、結果を持ち込まれて非常に困る場合が多いわけでございます。いまの防衛庁の関係におきましては、損害が予想されます場合に、油域を指定してある演習なら演習をなさるという場合におきましては、明文上もこちらに御通報がある形になっておりますし、臨時的なものとか、期間の短いものにつきまして、こちらに必ずしも御連絡がないために一部被害が起こりましてごたごたしたことがございましたけれども、私どもといたしましては、どの程度の被害があり得るかという問題につきましては、できるだけ事前に御連絡を受けられますように、何度も防衛庁のほうに申し入れをしておるわけでございます。最近そのような事態が二、三ございましたので、先般も正式に申し入れをいたしたわけでございます。
  59. 山内広

    山内委員 防衛庁とアメリカの艦隊との合同ですから、なおさらそういう魚のことまで考えてやっていないと思うのですよ。国民の生活を守るのはやはりあなた方の責任ですから、事前にそのやり方なり規模なり、そういうものを通告を受けて、被害が大きいと思ったら、そのやる場所の位置の変更とか、そういうことは当然あなた方が忠告もしなければいかぬ立場にあると思うのです。最近毎年行なわれておりますし、規模もだんだん増大しておるようです。これは防衛庁所管のときにお聞きしたいと思いますけれども、あなた方もそういう点は十分の御配慮をいただきたいと思います。終わります。
  60. 關谷勝利

    關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  61. 關谷勝利

    關谷委員長 ただいま委員長の手元に細田吉藏君外三名より、本案に対する修正案が提出されております。
  62. 關谷勝利

    關谷委員長 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。細田吉藏君。
  63. 細田吉藏

    ○細田委員 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げますと、原案ではその施行期日を「昭和四十二年六月一日」としているのでありますが、すでにその日は経過いたしましたので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願いいたします。     —————————————
  64. 關谷勝利

    關谷委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、細田君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  66. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  これにて農林省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 關谷勝利

    關谷委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  68. 關谷勝利

    關谷委員長 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  69. 大出俊

    ○大出委員 前会、時間が限られておりましたから途中で中断をさしていただきましたが、重ねてお伺いをしたいわけであります。  先般の労政局長答弁だったと思いますが、横浜の労政事務所からだろうと思うのですけれども、ラジオ関東の労働関係についての争いをめぐる事情について、何か入っているのじゃないかと私が申し上げたら、あなたお読み上げになりました。その件で実は引き続いてお伺いを申し上げたいのでありますが、まず、この労政事務所と申しますものは、通常どういうことをおやりになるのでございますか。
  70. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 労政事務所は、労働省の労政局系統の末端の行政機関でございまして、御承知のように、県の中に労政課——まあ名前は労政課でない、ほかの訓練と労政と合わせたようなものがありますが、県庁の労政の課を通しまして末端において各地区の労政事務所が労政の仕事をするということになっております。主たる仕事は、労使関係の安定、それから労働組合の発展という問題につきまして、常日ごろからいろいろな資料の提供あるいは講座の開設等を通じまして労働教育活動を行なう。それからまた、労使関係者が労使関係につきましていろいろ問題が出ましたときに相談に乗ってあげるということが主たる仕事でございますが、そのほか、県内の各種の労使関係事情につきまして、県の労政課の求めに応じて調査をしたりあるいは情報を提供したりというような仕事をいたしております。
  71. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、二つ承りたいのですが、労使関係の安定という一つの大きな仕事を持っているのですね。ところで、先般のあなたが読み上げられた資料なるものは、県の労政課を通じて労政事務所からとった資料、こう理解していいわけですか。
  72. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 私が手元に持っておりますこの資料でございますが、これは県の労政課で調べて報告をしてきたものでございますが、労政事務所に問い合わせたかどうかにつきましては、私どもはよく存じておりません。
  73. 大出俊

    ○大出委員 労政課が直接出ていってやるということは通常考えられませんから、してみると、労政事務所というふうに判断をしたいわけでありますが、あなたのほうはどういう形でその資料をおとりになりましたか。
  74. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 普通の場合でございますと、主たる労使紛争につきましては、県内だけの紛争でございましても、労働省の労働組合課のほうに、県下の労働事情ということで連絡がございます。しかし、場合によりましては、県内だけで、しかもそう影響が大きくないというような場合には、報告がこない場合もございます。それから今度の場合のように、相当紛争が長引いておる、あるいはまた本日のように国会で御質問があるというような際に、私どものほうから県の労政課のほうにどうなっておるのかということを聞きまして、県としてその事情につきまして労働省に報告をしてもらうというようなやり方をしております。
  75. 大出俊

    ○大出委員 あなたのほうは、先般私の質問のときにそれを直接お出しになる予定ではなかったようでしたが、たまたま私のほうで、これは、あなた、調査をされて資料をお持ちでないかと言ったら、あなたお出しになったわけなんですね。だから、前もって何を質問すると申し上げてありましたから、あなたのほうで用意をされたのだろう、こう善意に解釈をしております。  ただ、そこで一つはっきりさしていただきたいのは、主体になってこの問題の相談にあずかってやっておるところは、県の労政課ではなくて、横浜の労政事務所なんですね。その間のやりとりの事情をあなたのほうで御存じなしに、単にこうこういう資料が県の労政課からきた、あるいはあなたがおとりになった、これがほんとうだと思うのですが、その限りでものを言われると誤りが起こる、ここを私ははっきりしていただきたいと思うのです。理由を申し上げますが、横浜の労政事務所に対しまして、組合側から事情の説明に参っております。以前から行っているわけでありますけれども、五月二十七日にやっている中身のほうを申し上げますと、県の労政課等を通じまして、三十一日の日に会社側に出てきてくれということを要請をしたわけですね。その理由は、組合側からいろいろ事情の説明を聞いた。したがって、双方から聞きたい、こういう意味で使用者側のほうに出てきてもらいたいということを連絡をした。ところが、これを使用者側のほうは断わってきたわけですね。その理由は、組合が横浜の労政事務所から会社側に出てきてくれという連絡をしたということを何かの情報に載せたということ、このことを理由に断わってきたというわけであります。それから労政事務所のほうでは、もし会社側が来なければ労政事務所のほうから会社にお伺いをしたい、こういうふうに申し入れをしたのですね。ところが、会社のほうは、これもまた断わってきたのです。断わった理由は、スケジュールが折り合わない、いずれまた都合がつけば会社のほうから連絡をしますという断わり方ですね。したがって、実情は、組合側から労政事務所に事情の説明に行って聞いてもらった、こういう状態では、小さい組合だし、また会社だし、困るから、労政事務所の立場でひとつ会社側との間の関係、紛争について事を分けてさばいてもらいたい、こういう趣旨で話した。ところが、来てくれといっても来ない。それから労政事務所のほうから出かけていくといっても断わる、こういう事情があるわけですね。そうすると、労政事務所のほうとしては、組合側からはよく説明を聞いたけれども、県の労政課に対しましても、あるいは皆さんのほうに対しましても、片方から聞いたという限りでは実情の報告のしようがないというので押えている。とすると、ほんとうの意味の中身は、あなたのお手元には来ていないのであります。つまりまことに一般的な現象として第三者側からながめた限りの資料しか、あなたのほうには差し上げてない、こういうわけです。そうすると、中身はわからないということになる。一つそういう前提をこれは明らかにしておいていただきたいわけであります。  そこで、先ほどの問題に返りますけれども、労政事務所の側からこのような働きかけをしておるにもかかわらず、会社側が依然として出席しない、これは労政行政のあり方からいっても、どうもあまり感心したことではない。したがって、何がしかそこであなた方のほうで県の労政課を通じて、あるいは事務所に対して、もう少し行政指導の面でものを言っていただきたいと考えるわけでありますが、そういう措置をおとりになりますか。
  76. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 県の労政課あるいは労政事務所というところは、一言で申しますと、これはサービス機関でございまして、したがって、その主たる活動分野は、平常時、紛争状態になる前の状態のほうが、主たる活動分野であるというふうにわれわれは考えております。しかし、そうかといいまして、いざ紛争になりました際に、やはり各会社の労使関係をいろいろ扱っておりますので、何か解決について援助ができればいつでもお手伝いしたい、こういうかまえでおるわけでございます。したがいまして、いまお話のございました横浜の労政事務所も、あるいは労政事務所長なりあるいは担当官としては、いま労政事務所が出れば何か円満解決ができるような情勢判断をしたのかもしれませんが、その場合に、やはり原則は、御承知のように強制権限は何もございません、やはり労使両当事者がぜひひとつ間に入ってもらいたいというようなことがあれば、その解決に乗り出すこともけっこうなことではないかと思うのでございます。しかし、たてまえといたしましては、労働委員会という制度、機関がございまして、紛争が自主解決できない場合にはそこにいくというのが基本のたてまえになっておるわけでありますので、労政事務所が、どうしても経営者がいやだというのに強制的に、あるいは無理押しに割って入るのがいいかどうかという点につきましては、その労使関係実情、あるいはまた従来その労政事務所と労使関係の間においてどんなような関係にあったか、たとえば非常な信頼関係があるとか、あるいはまた過去においてそういう紛争を解決したような実績があるとか、そういったような事情によりまして、まあ個々の生きたケースでございますので一律にはまいりませんが、この辺のところは、具体的な微妙な事情につきましては、私どももそこまでは調査をしておりませんので、この際、いまおっしゃいましたようなことで直ちに会社の態度はけしらかぬというふうにきめつけるのも、私どもとしては即断のような気がいたします。どちらにいたしましても、労使関係者の間で自主的な解決というのが何といっても望ましい理想の姿であると思いますが、それをお手伝いできる、解決に向かって一歩でも進めるような可能性があるかどうかという状況判断によるのではなかろうかと思います。
  77. 大出俊

    ○大出委員 私が申し上げているのは、事情をもう少し知っていただきたいという意味です。先ほど申し上げたように、第三者的な一片の報告が来た、あるいはおとりになった限りでは中身がわからない、そういう意味です。  ところで、この組合側のいろいろ申し立てに対して、労政事務所の方々のほうは幾つか判断を言っているわけです。委員長さんが首になったという現象があるわけです。ところが、首になったその解雇理由が、就業規則に違反をするのだということなんです。ところが、その就業規則に違反をするという中身は、ストライキをやったからということです。これはここに書いたものがございますけれども、この就業規則の中に「業務上の指示、命令に不当に反抗し、会社業務運営を妨害した場合」、こういうのがあるのです。それから、「故意または重大な過失によって会社に損害または迷惑を及ぼした場合」、こういう項目がある。この項目に基づいてストライキをやったからという形で首を切った、こういう中身なんですね。そうすると、業務上の命令に反抗したというわけでありますけれども、ストライキ権がある組合でありますから、ストライキをやろうとすれば、業務命令を出す。当然それには従わない、ストライキ権に基づいて。したがって、ストライキが起こる、こういうわけです。会社の解雇理由は明確にされておるわけです。この解雇理由からいたしますと、ストライキをやったから。それは何に該当するかというと、就業規則の五十九条に該当する。その中身は私がいま申し上げたとおり。だから解雇したというわけです。そうすると、経過としてはいろいろな事情があるにせよ、少なくともこの解雇理由からいきますと、はたしてこの解釈からいって、このことはどういうことに該当するのだろうかという点についての労政事務所の判断は、就業規則で解雇するということはおかしくはないかという点で、いま私が申し上げた限り、おかしいという解釈をとっておりますね。だから、会社のほうに出てきてくれと言っているわけですね。ところが出てこない。ここに私はなぜ取り上げたかという理由を申し上げれば、労使関係というものは、いろいろなことがからみますし、労使慣行もありますし、これはなかなかむずかしい。ただしかし、解雇理由というものはおのずから明らかにされるわけでありますから、そうすると、公式に明らかにしておる解雇理由の中で、ストライキをやったから、指導したから首にした、そして該当条項は就業規則だぞ、不当に会社の命令に従わない、妨害をしたのだ。そうなると、労組法七条というものも存在をする。したがって、その関係で筋が通るのか通らぬのかという点、これは皆さん方のほうの分野でありますから、そういう点を一つずつ明らかにしていただきたい、こういう意味で私は質問をしておりますので、あなたの御判断で、いま私が申し上げました中身、先ほど申しましたように、ここで私が申し上げた限りの御答弁をいただいて、いま来ている報告だけではわかりませんから、そういう意味で、その実情について再度おとりをいただければ、明確な判断が出ると思いますから、私がいま御質問申し上げておる点についてのお答えをまずいただきたい、こう思うわけです。
  78. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 私どものほうも、先生いま御指摘のございましたように、県からの一応の報告を聞いております。それから、それに付属をいたしまして、会社から組合に対する通告書とかいうような印刷物も手にいたしております。しかし、きわめて具体的な事実関係でございますので、私どものほうとしても、事実がこうであった、ああであったということまでは、ここでその事実をどうするというような自信はございません。一般的な一応の報告でございます。したがいまして、先生がおっしゃいましたいまの前提に立ちましてどうなるかということについてお答えを申し上げますと、一般的にいいまして、ストライキをやったから解雇をする、業務命令違反で解雇するという場合に、そのストライキが正当なストライキである限りにおきましては、先生がおっしゃいましたような意味で、争議権のある組合でございますから、直ちにそれで解雇の理由になるということにはならないと存じます。
  79. 大出俊

    ○大出委員 つまり会社の出しております解雇理由は、もう一ぺん申し上げれば、就業規則第五十九条第六号により制裁解雇とする、こういう文章であります。これが解雇の理由であります。ところで先ほど申し上げましたように、この会社の就業規則第五十九条の六号と申しますのは、「業務上の指示、命令に不当に反抗し、会社業務運営を妨害した場合」、こうなっておるわけですね。そうすると、ストライキを理由にということになると、これは一般論としては筋が通らないということに私はなると思っておるわけであります。この点をひとつ確認をしておきたいわけであります。なお、組合からの申し立ては、十分時間をかけて労政事務所に説明がなされております。もちろん労政事務所の性格上、会社側に対してどこまでものが言えるかという問題は、別な問題であります。したがって、私はそこらの理由を、あなたのほうでせっかく資料をとっておられるわけですから、お調べをいただければ幸いだと思っているわけであります。  それからもう一つ一般論としてお伺いをしたいのでありますけれども、基準法等に基づきまして、これは日本の特色でありますが、生理休暇だとかあるいは産前産後の休暇だとか——産日も入りますけれども、これは法律上は有給だという規定はないわけであります。しかし、今日までの労働省の行政解釈的な通達その他を含めまして、払うべき法意であるというように理解をしていいのではないかと、私は長年の労働省とのいろいろなやりとりの中で理解をしておりますが、そこらはいまどうお考えになっておりますか、一般論として。
  80. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 お答えいたします。基準法に規定されております母性保護のための諸規定がございますが、生理休暇あるいは産前産後等でございますが、この点につきましては、法律上は、もちろんこれを有給とするか無給とするか、はっきり申しておりません。また行政指導といたしましても、従来からその点につきましては、これは労使間の話し合い、契約によって定めることが当然である、このような線で指導してまいったわけでございます。
  81. 大出俊

    ○大出委員 この問題は、旧来私も長く労働省といろいろやり合ってきたことなんです。  ところで、実情を申し上げておきますと、この会社の従業員、つまり組合員の方々の中に、目下妊娠をされている方々が何人かおられる。そこで、そのことをめぐりまして、御本人に会社側のある担当の重役から、いいかげんで土俵をおりたらどうだということを直接言った。土俵をおりたらどうかということは、やめたらどうかということなんですね。そこで、旧来会社との間で契約が締結をされておって、世の中一般が認めております産前、産日、産後の休暇あるいは生理休暇等については、有給であるということになって進んできている、これが規範事項かどうかということは別問題といたしまして。協約一般についての破棄通告を出して、それが有効になるところまで待って、つまり解雇その他の問題が取り上げられて、そしてあわせて生理休暇なり産前産後の休暇なりというものについて、これを無給にするということを通告をしてきている。まだ明確に就業規則改正までいっているかどうか、これは手続がありますから簡単にまいりませんが、そういう実態にあるわけです。そうすると、このあたりのことについて、これは一つ紛争のポイントになると私は思いますが、旧来そういう協約が結ばれてきている。破棄通告を行なって、一方的に破棄を通告した。そして三カ月たって、破棄通告が一応生きるという見解をとったのだと思いますが、そういう意味の通告をしてきているという事情、これは一般的に考えてどういうことになりそうですか。
  82. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 労使関係の実態としてどうあるべきかという議論と、それから法律解釈上どうなるかということと、二面があると思います。  法律解釈としては、先生も十分御承知のように、期限の定めのない協約につきまして、三カ月たてばそれは失効するということは、平板には言えるわけでございます。ただ、労使関係として、そのような一方的な通告が法律上できるから、すぐするのが妥当かどうかというような問題につきましては、やはり当該労使関係の実態というものから見まして、その労使関係において適当かどうか。一般論としましては、できるだけ労使の間で話し合いをして、納得ずくで事を処理するということが最も望ましい、これは言えると思うのであります。
  83. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。  これは実情を申し上げておくわけでありますけれども、どうも組合員の方をつかまえて、出産を控えた方に早く土俵をおりたらどうだとか、そういうものの言い方というのは、正常な労使関係を望む会社側の態度としては好ましくない、こういうふうに私は思っておるのでありますが、ある意味では、明らかに理由なく退職を勧奨したということにも受け取れる、こういうことですね。それから、おまけにこの産前産後の休暇などを無給にするなどというめちゃくちゃなことがあるか、いままで長年それでやってきたのにと言ったら、子供は亭主の責任で産めばいいじゃないかと言う。こういうことになると、これは世も末だという気がするのであります。そういう状態の中で行なわれているということなんですね。したがって、私は、しゃにむに人を減らしたいという気持ちがあるのではないかという気さえする、こういうふうに実は思うわけであります。この点も、私はまた社会労働委員会等におきましてあらためて御質問申し上げるつもりでおりますので、ひとつかみ合うという意味で、この点も調査いただきたいと思うのであります。  ところで、先ほどあなたのほうでもお手元に幾つか資料をお持ちだ、こういうことですから、あるいはその資料にあるのかもしれません。あるのかもしれませんが、先ほど例にあげましたように、就業規則に基づいて解雇をする。法律の筋道からいけば、先ほどの解雇の件は労働組合法第七条との関係で問題があるのではないか。まさに一般論として、就業規則五十九条の六をあげましたが、しかも、そういう解雇通告の中身を申し上げましたが、七条との関係で一体どういうことになるかということですね。一般的見解をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  84. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 いまの御質問にお答えします前に、私どものところに来ております資料によりますと、産前産後の規定につきましては、就業規則の改正問題というふうに報告が来ておりまして、これについての協約があったかどうかということがはっきりいたしておりませんので、協約がありとせばということで御理解をいただきたいと思います。  それから、ただいま御質問になりました組合法七条との関係でございますが、これも大出先生よく御存じのとおりでございまして、労働組合の正当な行為をやったことを理由として解雇をしたというような場合に、不当労働行為が成立するということになるわけです。その他不当労働行為は二種類、別にございます。したがいまして、結局就業規則違反ということでなされました解雇は、その七条に規定します不当労働行為の構成要件に該当するかどうか、不当労働行為の意思があるかどうかというような点につきまして、私どもとしては直ちに該当するとかしないとかという結論を出すことは、非常にむずかしいと思います。制度的に申しますと、労働委員会——地労委、中労委という制度がございまして、ここで専門の委員が相当時間をかけまして、正規の手続を踏みまして事実の認定をいたしまして、結論を出すということになりますので、具体的には申し上げるべきではないというふうに思うのでありますが、少なくとも正当な労働組合の活動を行なったということだけであった場合に、それを解雇した場合に組合法の七条違反になるということは申し上げることができるのであります。
  85. 大出俊

    ○大出委員 先般の質問のときに申し上げましたが、事の発端というのは幾つもあるのでありますけれども、例の郵政省の電波監理局長を呼んで私が申し上げましたように、「ベイ・オブ・トーキョー」という番組につきまして、これを読売等が取り上げたベトナム戦争にからむ「死の商人」というものをきょうの新聞のできごとというので取り上げて、プロデューサー、アナウンサーが編成した。これをどこがチェックしたか知りませんけれども、スポンサーから忌避されたということで、アナウンサーをかえ、プロデューサーをかえる。そして、アナウンサー、プロデューサーを仕事のないところへ持っていくということになると、これは簡単に申しますと、配置転換ですね。「今日の暦」という番組がございまして——これはラジオ関東で朝六時三十五分からなんでありますが、これはスポンサーは横浜の伊勢佐木町にある有名な有隣堂という書店の御主人である。それで「今日の暦」というのは、何年か前のきょうはこのようなことがあったということを放送する番組でありますが、それは社会の末端にあるものを取り上げた放送で、聞いている人から非常に好感を持たれている番組であるということでありますが、これをスポンサーが忌避しているということで、アナウンサー、プロデューサーをおろそうとする。そこで、アナウンサー自身が直接有隣堂の主人に聞きにいった。有隣堂のほうも、スポンサーでありますから、聞いておるわけでありますが、いいといってほめている。忌避する気持ちは毛頭ないと言う。ところが、会社は、忌避しているからと言う。そういうことは明らかにうそであります。私はこの書店の主人はよく知っている人物でありますが、こういうことをやられると、組合の側もどうしても黙っていられない。そこで、配置転換が起こる。これは組合的にやらざるを得ない。こういうところがポイントになってきているわけです。ところで、この間ロックアウトの問題が出ましたが、かえると言われて、困ると言うと、指名で、あなたは出てこないでいいという形になる。ほかの人をあと補充する。それがそれに従わないと、従わなかったことを理由に、また指名で、出てこなくともいいというようなことがずっと続いて、相関連しているわけであります。ということになると、これは正常な形の労使関係というものは、今日の現象形態だけをながめて、組合側の言い分は成り立つと思いますけれども、事の発端がこういうところにあるということでありますと、これはマスコミの性格からいって、いつまでもほっておくわけにいかない気がします。したがって、私はこれを取り上げておる、こういう趣旨であります。  そこで、これはあなたのほうでなかなか答弁しにくい点だろうと思いますけれども、こういうことがあるということを申し上げておきたいわけであります。ラジ関なるところの会社側の労務担当重役ということになるのだろうと私は思いますけれども、どうも世間一般の常識からは理解ができないことを次々にやっておりますし、また言っておるわけであります。先ほど生理休暇、産前産後の問題を申し上げましたが、別な人でありますが、やはり妊娠中の方に、ストライキばかりやっているといい子供は産めないぞ、こういうことを面と向って本人に言う。こういうことになると、これは少し常識を逸脱しているという感じがする。面と向かって本人にそういうことを言うということは、これは佐藤さんという労務担当の重役だそうでありますが、こういうことはどうも感心しない。そこへ持ってきて、この方は、先刻申し上げましたように、麻布台ビルの三階の一部に休養室その他があったのをなくしてしまって、したがって執行委員会も開けない。だから、組合の執行委員会は深夜——夜通しでやっておりますから、職場でしか場所がないから、そこでやる。そこに労務担当の重役さんは一ぱいひっかけて——前後四回くらいやってきておるようでありますが、必ず一ぱいひっかけて入ってきて放言をするわけであります。柔道の佐藤といえば毎日新聞では聞こえた男だという前提で、柔道三段かそこらで、毎日新聞から来た人だそうでありますが、おれが一声ほえれば東京じゅうの右翼は一ぺんで集まってくる、こういうことを言っている。これはたくさんの人が聞いているわけであります。異口同音に、話にならぬと私に言っております。そういうことで妨害をするので、執行委員会にならぬというわけです。中には仕事をしている執行委員をつかまえて、おまえ表へ出ろというような場面さえ出てきている。したがって、組合のほうとしては、かみ合わない人を相手に苦労しながらやっているというのが実情です。一声ほえて東京じゅうの右翼が集まってしまうなんていう世の中ではいまないのですけれども、実はそういう人物なんです。したがって、やはり異常な労使関係にしてしまっている。そこへひとつ機械の面で——電音百アールというのがございまして、これはアナウンサーが朝一度吹き込んでおけば次々と何時に何と同じ放送をするという機械であります。ここに三名のアナウンサーの方がおいでになるのですが——柴田、岡本、樋口さん、こうおるのですが、つまり電音百アールに変えて三人をどこかにやりたい、あるいはおろしたい。これはある種の機械化、合理化ということになると思うのでありますが、そういうねらいが一つ明確にある。あるのはいいのでありますが、労使間で協議すればいいのでありますけれども、そういう正常なルートを通さずに、つまりある意味では挑発といえるのでありますけれども、こういうことをやっておいて、そこで組合が反発をする。反発をすれば、就業規則をたてにとって、会社に来ないでよろしいと言うというのですね。あと補充を拒否すれば、今度は拒否したことを理由にまた、おまえさんは来なくてよろしい、こういう形が続いている。それならば労働委員会に持っていけばいいじゃないかとおっしゃるかもしれないけれども、それはおのおの筋道がありますから、ただすべきものはただした上で持ち込むべきものは持ち込むということになると思います。実は今日、こういうかっこうの労使関係です。  そこで、これはお答えいただけるかどうかわかりませんけれども、ひとつ承っておきたいのでありますが、チェックオフの問題であります。給料から差し引いておるわけですね。ところがチェックオフの面で、一万二千七百四十四円という金を組合相手に引いた。これは何かと思ったところが、春闘でいろいろ賃金なんかの要求を出して戦っているときでありますから、幾ら幾らよこせという——ラジオ関東というのは、同種の系統で一番安いのでありますから、回答も一番安いのでありますから、ステッカーを張った。そうしたところが、管理権をたてにとったのだろうと思うのでありますけれども、何にも知らない、一言の通告もないままに、引かれたのを見たら、ステッカーのはがし代ということで、会社側が三千円を徴収している。これは大和サービスというビル清掃の機関がありまして、これも何か麻布台ビルに同居しているのだそうでありますが、ここの三千円の受け取りを入れて、組合に対して、引いたぞということなんです。そういうかっこうの、つまり一方的に、チェックオフの段階で、ステッカーのはがし代ということですね。これは組合側がはがすことを認めて、会社にはがしてくれと言うたのならいざ知らず、かってに会社のほうで大和ビル清掃の人を入れてはがさして、三千円かかったというので、はがし代として、一言の断わりもなく給料袋から天引きしてしまった。これは私が前に総評の副議長時代に、富山のある中小企業でこういう例がありまして、私も現地に行きましてこの解決に当たった経験があります。ちょうど似たようなことです。これは警察その他にも持ち込みましたが、私どものほうの筋が通りまして、向こうが改めたわけでありますけれども、こういうふうなことを——これは法的にいうとあなたの分野でないかもしれませんけれども、どうも一般的にあまりにも話にならぬ事情なんで、どうお考えになるかという点だけはひとつ聞いておきたい。長年労使関係をいろいろお手がけになっておる労政局長さんでありますから、したがって、もし御答弁いただきにくいことだというならば、それでけっこうでございますが、一言申し上げておきます。
  86. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 ステッカーの問題は、そういう紛争状態になりますと、廊下や事務室などにべたべた張るというような場合がございまして、それをめぐってときどき紛争が起こりますが、一般論といたしましては、そういうところにステッカーを張るべきではないということはいえると思います。それからまた、それを取り除く際にも、厳重に通知をいたしまして、組合みずからの手で取り除いてもらうというのが通常の状態でございますし、どうしても取り除かない場合に、かわりに取り除くということもできると思います。ただ、その場合には、あるいは私個人の考えになるかもしれませんが、協約等に基づきましてやりましたチェックオフのお金とは別に徴収するなら徴収するということが、常識的な手続ではなかろうかと思いますが、その際に、労使双方のトラブルの状況、興奮状態等から見まして、そのとおり行なわれない、目には目、歯には歯というような心理状態に労使双方ともになる場合がございますので、一般論としてはいろいろいえると思いますけれども、おそらくそのような心理状態ではなかったかというふうに考えます。
  87. 大出俊

    ○大出委員 これはわざわざ指名をいたしまして、会社に出てこなくてよろしいということを執行委員の諸君に通告をしておいて、そうして会議を開いて、この処置は労務担当重役に一任をするなどということをきめて、そのことを電波特信という業界紙にわざわざ載せて、そうして執行委員のある人物を呼んで、ここにこういうのが載っておるのを読んでおけといって読ませて、男がものをやるときには首をかけてやるとか命をかけてやるとかなんということを言ってみたり、それからまた、きょうそういうことで電話が入ってまいりましたが、前から言っておるのはその点でございますが、組合の人間で会社の悪口をよそに行って言った者は首にするということを警告してきたりして——これは労政事務所に行っていろいろ説明したことが対象になっておるとすれば、労政事務所という一つの機関があるから事情の説明に行くので、行って説明した労政事務所の方に手落ちはないので、会社側も呼んでおるのですから、ただ来ないというだけで、調べに行くと言ったら断わった、そういうことをつかまえて、よそに行って会社の悪口を言ったらけしからぬじゃないかとかいうようなことを折り返しものを言う、これまたまことに異常で、それならば労政事務所に相談に行きようがない、こういう結果にさえなるわけであります。労政事務所にものを言いに行って、それが逆にはね返って、そのことを理由にして、会社の悪口を言ったから首にするというようなことになるとすると、これまた皆さんのほうにひっかかってくるのだけれども、どうもちょっと異常だという気がするのです。労政事務所にものを言いに行ってはいかぬですか。
  88. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 先ほど申し上げましたような、労政事務所はそういう性質の機関でございますので、そこでいろいろ事情を聞きました際に組合の意見等を申し述べるということにつきましては、これは通常のことであろうと思います。ただ、その内容がどういうことであったかということはつまびらかにいたしませんので、それが適当なことであったのか、あるいはいわゆる会社に対して非常な悪声を放ったのか、その辺の判断はつきませんけれども、労政事務所の尋ねたことに対して組合の主張を申し述べるということは、ごく通常のことでございます。
  89. 大出俊

    ○大出委員 そこもひとつあなたのほうで調べておいてください。私、あらためてまた社会労働委員会等で質問する機会を見つけたいと思っておりますが、正当な労使関係の、先ほどの生理休暇、産休あるいは不当な解雇等々の話をされておるというふうに、私のほうの連絡ではなっておるのであります。そうすると、労使関係の問題を正当に話に行っておるわけです。したがって、そういうことをとらえて——それだけではないかもしれませんが、その種のことをとらえてそういう言い方を会社側がするということは、これまた後にひとつ大きな問題になる点であります。また、ここの担当の重役さん等は——森下さんという人事部長もおいでになるようですが、労務担当の重役さんとお二人で、番組からおろされる方々を、何とかそれはやめてくれということを言いに組合の諸君が廊下に集まった。そこへもってきて、うしろのロッカーみたいなところにからだをぶつけて、その反動で——プロレスまがいですね、ロッカーに自分のからだをぶつけて反動で組合の中に飛び込んでくる。柔道三段だからそういう実力があるのかもしれませんが、そういうことで、しまいにはくつを脱いでロッカーの上に上がってしまった。おれがおまえたちの中に飛び込むぞというわけですね。飛びおりるなら飛びおりてみなさいということになったら、とうとうおりなかった。そんなことで、民間の会社だからかってにそういうものを使ってやっておるのだから、しかたがないといえばしかたがないんだが、そういう公共性のある仕事をやっておる職場で異常な労使関係が続いておるということを、われわれは第三者だからといって黙って見ているわけにいかない。そういうかっこうで組まれている番組を、世間一般の人々は、ラジオ関東だ、ラジオ関東の放送だということで聞いておるんですね。したがって、私は、先ほどの一般的な法的な問題と、それからこういう事実があるということをとりあえず明らかにしておきたいということで申し上げておるわけであります。したがって、調査すべきものはあなた方の範囲でお調べをいただいて、私どものほうもなお調査をいたします。そこで、目的の焦点は、将来また労働委員会に持ち込む場合も出てくるでしょう。しかし、目的は、やはり正当なる労働組合運動というものが守られていかなきゃいけない、かつまた労使関係というものは正常でなければならない、そうでなければ、この種の公共性の非常に強い仕事をやっておる、そういう意味の公共性が守れない、こういう実は社会一般的な面からくる心配を私はしている、こういうわけです。したがって、せっかくおたくの現場の労政事務所のほうも、この点を取り上げて、会社側の出席を求め、かつ来なければ、行って事情を聞かしてもらいたいとまで言っている、しかも一般論でしょうけれども、訴えに対して労政事務所の見解を幾つか述べておられる、こういうことですからね。ですから、そういう状況というものを御判断をいただいて、労使関係の安定ということに寄与する責任のある事務所ですから、そういう意味で、その責任が果たせるように、できる範囲においてということにならざるを得ませんけれども、皆さんのほうでひとつ御配慮をいただくということにしていただけぬものかという気がするのですが、そこら辺どうでしょうか。ひとつ聞いておきたい。
  90. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 労政事務所の任務といたしましては、先ほど申し上げましたように、労使関係ができるだけ早く正常な状態に戻るようにという考えにおきまして動いておるものと私は考えておるのでございますが、しかし、先ほども申し上げましたように、たとえば紛争の処理につきまして、労働委員会にかかりました場合にも、労使両当事者の状態があまりに険悪化した場合には、労働委員会といえども、労、使、公益の三者構成でやりましてもなかなか解決できない場合もございますので、やはりこの労政事務所としては、解決のためにプラスになるのかならないのかという判断が、非常に大事なことではなかろうかと思います。私どもといたしましては、労政事務所の指導といたしまして、やはりその労使関係実情なり、あるいはまたその紛争の性質なり、あるいはまた解決の潮どきなり、そういうものの判断につきましても、十分に慎重なかまえをいたしまして、解決できるものなら解決をするように指導をいたしたい思いますし、それからまた、労使双方、ただいまの御発言でもわかりますように、相当関係がこじれてきておるのではないかと思われますので、よく調べた後でないとわかりませんけれども、あるいは県なりあるいは労働委員会なりのケースにもうなっておるんではなかろうかというふうな気もいたします。そこら辺もよく事情を調べました上で、先生おっしゃいましたような紛争が早期に解決できるような態勢というものにつきまして、できるだけ努力をいたしたいと考えております。
  91. 大出俊

    ○大出委員 私も不当労働行為なんというものを——それは私も組合の責任者の時代に、これは今井一男さんが公労委の委員長時代、公労委として初めて取り扱った不当労働行為の事件でありますが、私のほうが勝ちましてね。昭和二十九年です。そして郵政大臣の依命通達で、その種のことを一切やっちゃいかぬということを流した例がある。ですから、これは私自分で手がけてきていることですから、知り過ぎているんです。まずもって不当労働行為を労働委員会に持ち出すなんというのは、正直に申し上げて組合が弱いからですよ。なめられておるからですよ。結束が強くて、それこそ筋の通った組合なら、とてもじゃないが不当労働行為なんというものは相手がやれるものじゃないと思っているんですよ、原則的には。ところが、相手が異常な場合には、これはやみくもに何でもやるということになる。気違いに刃物みたいなものです。となると、これは常識ではいかないのですね。そこから目には目、歯には歯ということになっちゃっては話にならぬ。だから、これから先そうしたくないなら、やはり会社側も改めるべきものは改めて、そうしてみずから会社の責任において、公益性の強い仕事をしておるのですから、してみると、その公益性をほんとうの意味一般の聴取者の皆さんのために発揮できるようにする。だとすれば、ほかの労使の使用者よりも、世間一般の常識的でなければならぬし、かつまたより一そう正常化を強く望む態度でなければならぬと思っておるのです。実はまだえげつない話を申し上げれば山ほどあるのですけれども、かつまた赤字赤字だと言っておりながら、最近私が調べてみると、ここのところ、どういう理由か知りませんけれども、たいへん収入はあるのですね、ラジオ関東というのは。聞いてみると、赤字の話ばかりです。似たような系統で粉飾決算をやってつかまったり起訴されたりというような会社もあるので、これまたどうも粉飾決算をやっていたんじゃないかというくらい急激な伸びが出てきておるわけです。ふしぎな話ですよ。そういう事情の中で、かつ賃金の面からいうと、民放の中で一番低いのですね。そうすると、これはますますどうも正常な感じがしない。そこで、私これだけくどく申し上げたわけですが、この問題はひとつあらためてまた社会労働委員会等の場面で、もう少し実情も調べて明かにしてまいりたい、こう思っておりますが、いまの御答弁にありましたように、十分皆さんのほうも御調査いただいて、公益性という性格の上に立って指導できるものなら指導するということにしていただきたいと思います。たいへんこれに時間をとりましたが、とりあえず一応いまの問題は終わらしておいていただきます。あとまた別な機会に申し上げます。  それから次に、有馬さんがお忙しいところをお見えになっておりますので、港湾労働に関しまして一つ承っておきたいのですけれども、原則として、港湾労働者が、今日一般の労働者に比べまして非常に条件が悪過ぎる。そこにいろいろな問題が起こる。だからこそ三・三答申などというものも出てきた、こういうわけでありますが、港労法というものができ上がって、適用されてから今日までをながめておられて、まず港湾労働者の労働の条件というもの、賃金というようなものを含めて、よくなってきているとお思いになりますか、それともどうもあまり感心しないと思っておられますか、そこらのところを、港労法の当面の責任者にひとつお伺いしたい。
  92. 有馬元治

    ○有馬政府委員 昨年の七月港湾労働法が施行になりまして以来、約一年になるわけでございますが、この間におきまして、港湾労働法の目的とするところはおおむね達成しつつあると思います。たとえば労働条件、この中でも賃金の問題にいたしましても、施行前と施行後の今日の状態におきましては、荷役の種類によって若干違いますけれども、船内荷役においては約一五・二%アップいたしております。これは八時間換算の比較でございます。そういうふうに漸次よくなっておりまするが、一面港湾労働法で原則的に禁止されております直接募集が、まだまだ労働法が考えておるような、ごく例外的な場合にのみ発動されずに、多少残っておるというふうな弊害面もございます。その他いろいろ運用上の弊害面も若干ございますので、これらについては、昨年の十一月に港湾労働審議会から出された建議書をもとに、運営改善に万全を尽くしておる段階でございます。
  93. 大出俊

    ○大出委員 いま一五・二%でしたか、船内においてよくなったというのですけれども、一年たちますと、賃金引き上げをやるんですよ。賃上げ率というものを考えると、簡単に一五・二%なんて言われても、私のほうも調べてみますが、さっぱりぴんとこない。そこで、私は、港湾労働者に対する根本的な対策があると思うのです。ということは、私横浜におりますから、その意味実情がある程度わかっておりますけれども、港湾労働者の中に新規労働者がなかなか入ってこない。こういう実情にあるのですけれども、そこいらのところ、お調べになっておりますか。統計等ございますか、この一年間どのくらい新規労働者がふえたか。
  94. 有馬元治

    ○有馬政府委員 港湾労働者の確保の問題、これは非常に困難な問題でございますが、港湾労働者の登録の状況を見てまいりますと、常用については、昨年施行当初に五万人であったものが七千人ばかり現在ふえております。日雇いにつきましては、この関係で定数から見ますと相当下回っておりますけれども、今日の港湾荷役の状況から申しますならば、まずまず労働力は確保できつつある。しかし、先ほど申しましたように、直接募集に依存する度合いがまだ二割前後ございますので、これをもっと圧縮して、正規の登録制にもっていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  95. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと資料は古いのですけれども、三十九年六月一日から四十年五月三十一日までの一カ年、この間における入職者数及びその退職者数というのを調べたものがございます。これによりますと、沿岸荷役に携わる方々の場合には、二百二十四人新たな入職者が入ってまいりまして、百四十八人退職をいたしておりまして、一年間で退職率が六六%。それから船内は、百十六人入ってまいりまして、これは三四・一%に当たります。五十人が退職いたしております。退職率が四三%。だから、沿岸、船内を入れまして三百四十人が入ってまいりまして、百九十八人がやめている。退職率は五八%、こうなっているんですね。これは横浜に港湾経済研究会というのがございまして、いろいろな関係の方が集まって研究を続けているのであります。これをやっている方は横浜の原田港湾作業の専務の喜多村さんという方です。ここで喜多村氏が言っておるのによると、船内労働では九カ月、沿岸労働では十カ月経て、ようやく荷役労働環境に順応するということになる。やめる人はその間にほとんどやめてしまう。これが今日の実情だというわけですね。クレーンだとか、フォークリフトだとか、コンベアなどの運転、そういうふうなものを本格的に訓練をする、あるいは教える、そういうことを公の機関が相当力を入れてやっていかないと、なかなか新しい入職者が定着をしない。したがって、港湾労働法という法律のたてまえで云々ということよりも、まず港湾労働者層というものを厚くする。つまり新規労働者、若年労働者が入ってくる、こういう労働環境をつくるということに重点があるのではないか。こういうものの言い方が出ているのですが、私もまさにそうだと思うのです。まずこんなに魅力のない職場があるかといって、高卒の若い方が入ってきてすぐやめてしまう。これは目立ってやめてしまう。だから、ここで残っているのは、ほかから入ってきた中高年齢層だけだ、こういう今日の実情なんです。だから、港湾労働者には新規の若い方々はほとんどいない。旧来やっていてそこに定着している人、プラスほかで使いものにならぬ、と言っては悪いけれども、そういう人が入ってきて、何とかかんとか残っている。私は、これが今日の港湾労働者の実情だと考えているのですけれども、そこらのことは皆さんのほうはどういう判断をされておりますか。
  96. 有馬元治

    ○有馬政府委員 港湾運送事業の労働者は、御指摘のように中年層が多いわけですが、他産業からだんだんと転職してきて港湾運送事業に定着をしておる、こういう状態でございます。他の産業のように、学卒がストレートに入ってきてそこで育っていくというふうな状態は、ごく一部、例外的にございますけれども、御指摘のような他産業からの流入労働者でまかなっておる、こういうことでございます。これはやはり従来労働条件あるいは労働環境等の点において他産業と比較して魅力がなかったということが、一番大きな原因だと思います。港湾労働法が施行されて着々実効をあげておる面もございますので、今後できるだけ優秀な労働力を引きとめるように、私どもとしては努力したいと考えております。
  97. 大出俊

    ○大出委員 私は、ずいぶん現場に行って歩いて、いろいろな系統の会社の船内、沿岸、はしけ、回漕あるいはいかだ関係も含めて、個々に労働者諸君と話し合ってもみております。ところが、何としても根本は、港湾労働者の労働条件、こまかく言えば、時間内賃金なり災害対策なりを相当程度高めていく。それから免許をとってやらなければならぬ機械関係仕事等についても、意欲的にそっちに取り組んでいけるような環境をつくってあげる。法律をいじるよりも何よりも、私はこれが一番大きな問題だと思う。若い労働者が飛びついてくるという状態をつくる。そうしなければ、港湾労働者の人手不足、ギャング数、口数不足などは片づかない。一例をあげておきますが、ある組合の大会に私は顔を出した。そこの三十くらいの若い方でありますが、一ギャング編成十六名で船内に出かけていった。さて、重いものをかつぐところに行ったところが、ほかの連中はぶらぶら遊んで、さっぱりかつがない。しようがないから、その人は腕力もあり体力もあるから、一生懸命かついだ。ところが、ほかのやつはぶらぶら遊んでいる。しゃくにさわるが、しかたがないから一生懸命やった。二日続けて、さて三日目、またそういう状態。さすがに精も根も尽きて、四日目に休んだ。そうすると、すばり給料は引かれた。ところが、ぶらぶらしながらやっていれば、何とかかんとか給料はもらえる。一体、労働組合の執行部の諸君は、おれみたいに三日間一生懸命に、人の何倍もかついで、帰りにしょうちゅうを食らって寝て、また翌日、また翌日と行って片づけている。それが一生懸命働いて休んだら、ぽかり引かれる。成績が悪いと言われる。こういうふうな状態になっているのをどうしてくれるという、この質問には、執行部の人も困って答弁ができない。なぜそうなるかというと、他産業の、食い詰めてといっては悪いが、ころがり込んできた方々、あまり働く意欲のない方々が、たくさん港湾労働者としている。その方々が一ギャングを編成してもっていかれる。そういう状態になるから、中には寝番なんて、寝ているのがいて、二日、三日くらいいて三百円くらいもらって、おまえ、寝ていたのだからということになるのであります。いまだにそういうことになっているので、やはり根本的な問題が必要になってくる、私はこう思います。  そこで、港労法についてものを申し上げたいのでありますが、私も港労法には賛成をして、何とかこれはいいものにして通していただいて——有馬さんがだいぶ運輸省との間にやりとりをして、どうやらまとめたわけであります。したがって、よりよくしなければならぬと考えている一人なんです。だから、港湾労働法がけしからぬと言っているわけじゃないのだけれども、そういう立場でものを判断いたしてみましても、今回の港労法というのはたいした役割りを果たしていない、こう私は実は断ぜざるを得ないのであります。そこで、私は前もって申し上げておきますが、私が先般廊下で有馬さんにちょっとものを言ったのだが、そうしたところが、現場の職業安定所の所長さんのほうで、調整手当をもらってまだ働いておるのがおってけしからぬというようなことを私が言うたというので、そういうことは厳に取り締まれというようなことで連絡があったというので、まあ私の名前が表に出てしきりに調査に入ったというようなことから、各方面から私に電話がひんぴんと入ってくるのであります。言うたことは言うたんだからかまいませんけれども、やはりそこらを、あなたは将来の問題として、やはり労働省としてものを判断して言うていただかぬと、だれだれが言うたからということになるとすれば、これは先々そういうふうに考えなければいかぬ。そこのところは、私はひとつ御注意をいただきたいと思っておるのですが、いかがですか。
  98. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この前大出委員からお話がありまして、横浜の職業安定所に対して実情を調べるようにという事務連絡をいたしたわけでございますが、その際大出委員の名前を軽率に使ったという話がありますので、私もその点は重々注意してまいりたいと思います。もちろん大出委員が言われたことは、そういう取り締まれとかなんとかいうことではなくて、実情どうなっているんだというような趣旨のお話があったものですから、それを受けて、まあ私も実はあまりそういう実情承知いたしておらなかったものでありますから、実情の調査を命じたわけでございます。名前が出たことにつきましては、重々おわび申し上げたいと思います。
  99. 大出俊

    ○大出委員 実は私が申し上げたいのは、私がまだここで質問しておりませんから、どういう角度でああいうふうにお話をしたかということが、まだおわかりになっていないはずです。そういう段階で言われると、別に出してほしくないというわけじゃないけれども、気をつけて言っていただかぬと——というのは、私がどういう角度からこの問題を判断しているかということが明らかにされてない、こういう段階です。ところが、現にこれはというようなことで入り込まれると、私の意図と相反する方向にいってしまう、そういう意味で申し上げておるわけです。  そこで、調整手当をもらったんだが、しかし、ほかに働きに行った、こういう例が現にある。これは、法律的にはいろいろめんどうなことになる。しかし、これは実情を申し上げますと、私のところに手紙がきておりますが、この青手帳を職安に出しまして、そうして紹介、あっせんをしてもらおう——輪番にしろあるいは有期にしろ、してもらおうと思って出した。ところが、十時間という時間で、そうして賃金のほうが千三百円、これが職安とのやりとりで千四十円しか出せないと言った。そこでほかのほうの状況を見ると、八時間で千三百円もらっているじゃないか、この仕事は。にもかかわらず、われわれに千四十円で働け、しかも十時間だ、そんなばかなことがあるかということで、職安でもんちゃくが起きた。そこで、所長も中に入って非常に困って、旧来、この種の場合には、職安の握り金みたいなものが多少あって、どういうふうに会社と話をつけているかわかりませんが、そこを何とか話をつけて、じゃ働こうというようなことで働いてきたケースがある。ところが、この日は職安のほうからも、そういう会社側との間に入って握り金みたいな話のつけ方も出てこない。これじゃ働きようがないじゃないかということで拒否をするぞと言ったら、所長さんのほうも、拒否されてもいたし方がない。他の会社は八時間で千三百円、同じものを千四十円と言わざるを得ないのだから、しかたがない。やりとりはこうなったわけですよ。それで所長さんのほうは、それじゃ調整手当八百二十円、これは休んでおれば三百円ぐらいしかもらえない人もある。それじゃ食っていけないじゃないかという話になった。ところが所長さんのほうは、それならいいところがあればお行きになってくださいと言う。したがって、調整手当はもらったが、所長も了解している。それじゃ食えない。それじゃと、ほかのほうに出かけていった人たちがある。全部じゃありませんよ。こういう事情になっておるわけですね。私は実はそのことを御存じか、こういうことを実はこの間申し上げたつもりなんです。そこでいま申し上げた、これはほんの一例ですが、これは登録されている日雇いの方々ですよ。そこで、ほかのほうに行くとどうなるかということを申し上げますと、やみでほかのほうに行きますと、黙っていて千七百円から千八百円くれるんです。職安を通じて行きますと、千四十円しかくれない。それでも港労法のたてまえからするならば、他にあるように——東京港というのは東京があり、川崎があるんですからね、すぐわかる。だから、千三百円くれるならばということたったけれども、千四十円だという。しかたがない。そこで、やみで行けば千七、八百円には間違いなくなる。そこに持ってきて、おまけに職安を通じてあっせん、紹介をしてもらえば、日雇い健保から始まって三つばかり引かれるのは引かれるんですよ。そうすると、その千四十円は手取りじゃないんです。これはそうなってくると、だれかばかばかしくて登録日雇いなんかやっていられるかということになる。そうでしょう。そこで青手帳をみんなぶん投げちゃって、かってにしろということになった、三百人もの人間が。そうでしょう。こういう状態になぜなるかということ、ここのところをあなた方のほうはどう判断されているかということを聞きたいんです。
  100. 有馬元治

    ○有馬政府委員 非就労の場合に調整手当を支給するというのが港湾労働法の仕組みでございますが、いま御指摘の場合の就労を拒否した、あるいはそれが正当だということで八百二十円の調整手当を支給して、なおかつ八百二十円では食えないから、食えないならば他に適当な職場を見つけろというふうなやりとりがあったようでございますが、私ども登録制をとっている以上は、やはり調整手当で生活の保障ができるというふうなねらいで調整手当の金額をきめておりますので、八百二十円で食えるとか食えないとかいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、調整手当の金額としてはまずまず妥当な金額ではないかと思います。これも今度七月一日から今年度は改定をして、九百八十円を最高に持っていきたいと思っておりますけれども、これで食える、食えないという議論になりますと、これは非常にむずかしい問題だと思いますが、漸次日額を改定することによりまして、日雇い労働者のあぶれたときの生活保障を考えていくという前提で、その場合に他に就労するということに相なりますならば、そこで手当と就労の賃金との二重取りという問題が出てまいります。そこをどう調整するか、これは非常にむずかしい問題でございますが、登録制をとって手当制を施行しております港湾労働といたしましては、やはりそこはきちっと管理をしなきゃいかぬというたてまえで現地を指導しておるわけでございます。
  101. 大出俊

    ○大出委員 有馬さん御存じで、その一番大事なことをおっしゃらぬわけなんですがね、これはひとつ問題なんですよ。というのは、このすべてを職安を通す、こういうことにすれば、これはそれでなければ雇えないんだから、それでもなおかつ職安をすべて通すことになっているのにやみで雇ったら、それは雇った使用者が悪い。すべて職安を通すということにする限りは、二重取りも何もない、これははっきりしている。ところが、十六条ただし書きなんというものがくっついているものだから、それが逆にこの法律適用以前に比べて悪くなっていく、そこに問題があると私は指摘しているわけです。いいですか。あそこの所長が、千四十円しか会社側が払わないという。その場合に、それじゃ違うじゃないか、千三百円なぜ出せないんだ、こうなる。だめなんだ。だめならば、そんなところに行くやつはないじゃないか。けとばしてしまう。では八百二十円払うから——しかし、日数が足りない人は、調整手当は三百円に落ちているのですよ。そうなると、問題はそこから先は職安の窓口じゃないのです。職安が他の職を世話したのじゃないのです。八百二十円もらって、泣き寝入りで帰ってきた。ばかばかしいじゃないかということになって、やみで、職安を通さないでほかに行っているわけです。だから、形の上で二重取りにはなっていない。わかるはずはないじゃないですか。職安はあっせんしなかった。だから、調整手当をもらって帰ってきた。そしてほかのほうにやみで、職安を通さないで港湾労働に従事できるところがあるから、そこに行くのです。職安の所長さんは、自分のところで紹介できなかったのだから、調整手当を払ったのはあたりまえだ。そこから先のところは、今日の法律上からいったら、職安のあずかり知らぬところですよ。ここに問題の焦点がある。こういうわけです。職安局長、おわかりになると思うのですがね。  そこで、朝の六時という時点で青手帳を出す。六時から紹介しますから。そうすると、六時の時点で千三百円という。それから、いやだちょうちんだといって時間がだんだん過ぎてくると、だんだんおそくなればなるほど千三百円がはね上がる。これが実情です。そうすると、ばかじゃあるまいし、六時に行って、すなおに待っておれるかということになる。そうこうしているうちに、川崎と横浜の例をあげれば、六時から両方紹介が始まる。会社のほうは七十口ギャングがほしい、そう思っているのだが、横浜で大体三十口くらい、こう見当をつける。三十口くらいをもらっておけば、大体そのあたりで十六条ただし書きの発動が行なわれる。そうなると、制約解除になってしまう。川崎のほうに山ほど人がいるのです。川崎のほうに手を打ってある。そこからやみで足らない分は引っぱってくる。こういうかっこうですね。そうすると、職安の窓口を通してすなおに行ったら千三百円。ところが、やみで川崎からということで、川崎から行く人は千八百円もらう。しかも正規の職安のルートを通った人は、引かれるものは全部引かれる。そうなると、一体これはどういうことになるのかということになる。いまの法律がそうさせているのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  102. 有馬元治

    ○有馬政府委員 確かに十六条のただし書きによりまして直接雇い入れの道がございますので、それをルーズに運用しますと、そういったケースが出てくるわけでございます。それともう一つは、安定所の軒先の賃金と実際に支払われておるやみ賃金との間に格差があるというところに、そういった矛盾が出てくるわけでございます。この両面を適正化するといいますか、対策を講じなければ、いまの問題は解決しない。私どももこの両面を並行的に解決していこうということで努力をいたしておりますが、何せいま御指摘のような日雇い労働市場というものが、東京、横浜の場合におきましては、川崎というのが中間に存在するというふうな実態もございまして、その辺が指導あるいは取り締まり上なかなかむずかしい問題がございますけれども、両面につきまして十分指導を加えていきたいというふうに考えているわけでございます。
  103. 大出俊

    ○大出委員 ところでもう一つ承りたいのですが、これの一つの大きな問題は、広域紹介の失敗なんですね。東京といったら、京浜港なんですね。だから、港のほうはポート・オーソリティの関係その他から言ったって、港湾法上いろいろな問題があるわけです。しかし、広域紹介の面でいえば、東京は東京の職安がある。川崎には川崎である。横浜には横浜である。それぞれはっきりしている。これは区域は明らかでしょう。そうすると、その範囲でのみ処理をするということにしなければ、横浜と東京、これは行政上は分かれて全然無連絡、こうなったままで下のほうはくっついてしまっている。そうなると、横浜と川崎とてんびんにかけてながめていて、横浜のほうは何時まで待てば、川崎のほうは十六条ただし書きで直雇いのルートができる。そうなっておったのでは、広域紹介というものは何のためにやっているのだということになる。だから、これは行政上の大きな盲点であり、失敗ですよ。だから、そういう点はまず明確にする。そしてやはりすべて職安を通す。この原則に近づける努力をしていただかなければ、十六条ただし書きがあることによって、業者の諸君だって高いものを買わなければならぬ、こうなるのですよ。さっき私が例にあげたのは、喜多村さんという原田港湾作業の専務です。この専務さんが書いているので、港湾経済学会が発行している研究会の本、この中身を読んでみると、痛切にこれを論じている。それは港湾労働というものの幅を広げなければどうにもならぬという。いまの港労法ができて、会社は高いものをつかまされる。つまり労働者が安過ぎて首を振れば、これは調整手当を払わざるを得なくなる。そうなると、まじめな人は青手帳なんかぶん投げて、初めからやみで行きたくなりますよ、働く意欲のある人は。会社は千八百円払ったって、そっちのほうが仕事になるのですから。だから、そういうことを考えていかないと、私は——三・三答申を受けまして港労法を立案をされたのはあなた方なんだから、一年やってみましてこういうことになってしまっているのに、そのままほっぽっておく手はない。してみると、さっき申し上げた原則、職安をすべて通ずる、こういうことにもう持っていかなければならない時期がきている。もう一つ、その根底には、港湾労働というものの市場を広くするためには、新規労働者、若手労働者が入って来られるようにするためにはどうするか。ここのところをもう一つ明確にしていなければならぬ。それから、広域紹介というもののあり方、ここのところをどうするかということ、こう考えていかなければ、このせっかくつくった法律は前に進まない、悪い面ばかり出てきている、こういうことになる。そのところどうですか。
  104. 有馬元治

    ○有馬政府委員 悪い面ばかり御指摘がございましたけれども、施行後一年たった今日におきまして、改善は逐次加えられているわけでございます。たとえば釜ケ崎の問題にいたしましても、バス輸送の問題も解決いたしまして、登録制に一歩近づけてきております。横浜の関係が非常にむずかしい状態に相なっておりますことは御承知のとおりでございますが、これも私どもとしては、今後御指摘のような方向で解決をしていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  105. 大出俊

    ○大出委員 だから、登録日雇い労働者という制度をつくった。どうなったかというと、健保、失保、厚生年金、これをかけるということになった。あとは同じだという。そうなると、手取りが減るということ、それだけだ。そうなると、これはつまり五カ月雇用、二カ月雇用、いろいろ有期紹介をする。そういう形のつまり労働者になったという形ができただけであって、中身は健保、失保、厚生年金を持って行かれる、払うということであり、そういうことにしかなってないのではないか。これは例は時間がありませんから一々申し上げませんが、そういう意味でずいぶんたくさん問題がある。だから、私はくどいようですけれども、ここで何とか十六条ただし書きに触れて、すべて職業安定所というものを通す。ここに、何といわれてみても焦点が向いていかなければならない——。間違いましたか、ここのところは。とうですか。
  106. 有馬元治

    ○有馬政府委員 方向はそのとおりでございます。
  107. 大出俊

    ○大出委員 そこを、私はともかくはっきりさしておいていただきたい。それで、この法律がうしろ向きにならないように、地区安定審議会もございます、あらゆる場面でひとつそちらの方向に向いていくようにお互いが努力するということでなければならぬ、こう私は思っておる。特に、その中心は労働省の皆さんがやはりその役割りを負っていただかなければならぬ、こう思っているわけです。そういうは意味で、私は、実は調整手当問題はあらかじめ地元の職業安定所長さんのほうに連絡がいけばおわかりが願えるだろう、となれば、論議がかみ合うだろう、実はこういうところで申し上げたわけなんで、ひとつそういうふうに御理解をいただきたいと思っているわけです。  それから地区安定審議会の中で、公益側の方々もいまの調整手当の扱いについて、もうちょっとふやせというようなことも含めて大蔵省にもものを言っているわけですね。ですから、この点についてはさっき食える食えないの論議がありましたけれども、これもやはり改善すべきものは改善していただかないと、うまくないと私は思うのです。そこらのところ、将来に向かってどうお考えになりますか。
  108. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この四月一日から最高九百八十円まで上げたいと思います。それから点数制による減額支給の場合の最低保障を、一級からいきなり最低の三百三十円に落ちるということのないように、五百円どまりという措置も講じてまいりたいと思います。こんなことで、ことしは昨年度よりも一歩前進した形で日額の改定を行なっておるわけでございます。
  109. 大出俊

    ○大出委員 さっき申し上げましたように、三百円に落っこちるようになっておったのじゃ、これは三百円でがまんして、ほかに行かないで食っていけといったって、無理な話です。そういう場面に行かない事情の人もあるのですが、そうだとすれば、五百円も私は納得できませんけれども、やはり歯どめをしていただかないと、三百円に落っこっちゃった、それでもう調整手当一ぺんもらったのだから、こういうのじゃ、私はどうにもならぬ、こう思うのです。  ところで、大臣にひとつ承りたいのですが、港湾労働法を施行される当時は、大臣おいでにならぬ時期でございます。だから、そのときあいきさつは申し上げません、大橋さんが一生懸命やった結果だと思いますから。ただ、私がいまここで明らかにいたしましたような矛盾がある。どうしてもやはり職安というものを通して港湾労働者というものは仕事につくのだという原則、これを十六条ただし書きが破っているところにあらゆる逆の問題が出てきているわけですから、将来に向かって格段の、職安をすべて通す、こういう方向に持っていく御努力をお願いをしたいわけですけれども、論議は先ほど来安定局長専門家局長といたしておるとおりでありますが、大臣の御所見を賜わりたいと思います。
  110. 早川崇

    ○早川国務大臣 港湾労働法施行以来、いろいろむずかしい問題——普通の労働者と割り切れない特殊事情がございます。ただいま大出委員の御主張も、有力な意見の一つとして今後検討してまいりたいと思います。
  111. 大出俊

    ○大出委員 それから労働災害の問題で、旧来基準局にありましたものを今回は安全衛生局という形で局にしよう、こういう意欲的なお考えでありまして、賛成でありますが、そこで、いま港湾の問題と関連して承りたいのですが、港湾労働の分野における事故発生率というふうなものの推移、特に港湾建設等に非常に労働災害が多い事情にあります。これについて当面港湾労働等の——いま港湾労働から始めましたから、たまたまその関連で承りたいのですが、さわめて多発的な職場である、こういう意味でどうおとらえになっているかというところを承りたいわけです。
  112. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 港湾労働の災害をいわゆる港湾荷役にしぼってみますると、遺憾ながら災害の発生実数はほとんど変化なしという形になっております。具体的に休業八日以上の業務上災害について申し上げますれば、昭和四十年は一万二千九十名の死傷者がございました。死亡者は百十二人でございます。三十九年は一万三千三百四十七、死亡者は百三十三人、三十九年に比較しますと、四十年はよい成績をあげたのでございますが、しかし、三十八年は一万二千五百三十七、死亡者は百十ということで、三十八年と比較しますと、四十年はほとんど改善されておらない、こういう実数に相なっております。ただしかし、労働者数を加えまして、いわゆる年千人率という観点から災害発生率を見ますると、若干の改善は見ておるわけであります。たとえば三十六年当時は一四三・六でありましたが、それが漸次低くなりまして、昭和四十年は一〇三・八、こういうように労働者数の増加という要素を考慮に入れますと、災害発生率においては低下の傾向を示しておるわけであります。この港湾荷役業における労働災害の防止は、各種の産業の中で私どもは最も困難なものであるというふうに考えております。沿岸荷役の場合はさておきまして、船内荷役になりますと、船舶の施設、構造等の関連もありまして、特に外国船などにおきましては、法律的な権限から見ましても、なかなか手の及ばない点があるといったような事情にございまして、船内荷役についてはいろいろ苦慮いたしておる次第でございます。しかしながら、災害防止の体制といたしましては、従来の行政体制のほかに、港湾荷役労働災害防止協会を三十九年度秋から発足させまして、そうして民間の自主的な努力による港湾荷役の災害防止の努力をいたさせておるようなわけでございます。そういうようなことで、年千人率から見ますと低下の傾向にあるという点につきましても、そういった国と民間団体との協力した形が、若干ではありますが、あらわれておる。しかし、今後におきまして、港湾荷役の災害の問題は、実は先ほど来先生御指摘のように、単に災害防止の技術的な問題だけでなくて、労務管理の問題にかかわるというふうに私ども承知いたしております。特に労働時間管理が非常にルーズであって、いわゆる八時間労働制のたてまえがきわめて不明確である。このことからして、先ほどの賃金の問題も実は労働時間とのからみ合いでいろいろ問題があるわけでありますけれども、災害の面で非常に大きな問題がございますので、目下やっておりますのは、船内荷役労働者の就業規則を必ず作成させまして、これを詰め所に掲示させ、その中に労働時間を明確に規定する、こういったような努力をいたしておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、労務管理そのものについても十分配慮いたしていきたい、かように考えております。
  113. 大出俊

    ○大出委員 時間がございませんから、実はきょうは労働省関係はあがらなくてもいいと思っておったのですが、そうもいかぬので、この辺で私のほうからみんな言ってしまいますから、一括お答えを願いたいと思うのです。  全国港湾荷役振興協会の横浜支部でとっております統計がございます。昭和三十九年の港湾労働、特に船内が一番事故が多いわけですが、労働災害発生状況というのがあります。度数率が八〇・一六、強度率が六・一三、こうなっているのですね。全産業平均でいきますと、度数率が一三・四五、強度率で一・二五、全産業に比べて話にならぬほど高い。全産業一三・四五に対して八〇・一六なんですから、べらぼうに高い。四十年度では多少減っているのです。度数率が七一・九九、それから強度率が四・〇六、全産業でまいりますと、度数率か一二・三八と減っております。それから強度率が一・三〇、全産業の中では強度率のほうが高いのです。性格が変わっておりますね。しかし、いずれにせよ港湾労働に関する、特に船内の事故多発率は、これでおわかりいただけると思うのです。  そこで私は承りたいのですけれども、ILO条約並びに勧告がございます。一一九号の条約、これがございます。この中でILO加盟国の政府、使用者に対して保障を強制するという形の中身が一つあるのでありますけれども、ここで「防護装置の不完全な機械の販売、賃貸及び使用の禁止」こういう条約ですね。これは中身は百十九号、これが一つあります。れれから特に災害の多発産業である港湾荷役、それから建設業、この安全について勧告をしていますね。御存じですか。これを一体どういうふうに受け取っているかという点。いま申し上げたように、港湾なんというのは特に高いんだから、ILOの中でも特に港湾建設なんかには勧告が出ている。加盟国ですから、これをどう受け取られるかということ。  それからもう一つ、使用者の災害防止対策について、あなたのほうは港湾貨物運送事業労働災害防止協会に港湾貨物運送事業労働災害防止規程なんというものをつくらしているわけですよ。それから新産業災害防止五カ年計画関係資料、これはおたくのほうからいただきましたのがあります。ありますが、これでは災害防止にならない、私はこういう結論を持っている。そこで、いまの勧告の扱いとそれから条約の扱い、それからまた使用者の災害防止対策の中で法規制による監督を強化しなければ、これはどうにもならぬということ、根本的に片がつかないということ。そこで現状を申し上げれば、あなた方はこれは御存じのはずなんですけれども、二百十七万に及ぶ労働基準法適用事業所が全国にございますね。そこで、これを監督する皆さん方の陣容は、二千五百九十八名しかいないのですね。あなた方の労働基準監督官は、二千五百九十八名であります。そこで、全国二百十七万人に及ぶ基準法適用事業所が存在する、厳然たる事実です。そうなると、適用事業所を監督するために監督官が回ってみるにしても、十年か十二年間に一回しか回れない、調査できない、こういう数字になる。だから、これはおざなり監督にならざるを得ない。これで一体局をつくってはたしてやれるかと私は言いたいのであります。  それからもう一つ、使用者の災害防止対策、国の監督行政、これに対しまして、労働災害の被害者である労働者の発言権を徹底的にこれは強くしていただかぬとだめだということです。そういう意味で、ILOが三十一号の勧告をいたしております。公の監督機関の地位に資格ある労働者を任命すること、労働者が監督官の臨検を求め得ること、臨検中の監督官に労働者が面会し得ることなどの規定があります。これらのものを最大限にあなたのほうで取り上げ活用していただいて、そういう前提で新しい五カ年計画をつくり、安全衛生局をしたがってつくるというならば、話がわからないわけでない。ここらのところを実はこう一ぺんに言ってしまいたくはなかったわけでありますが——一ぺんに言ってしまうと、それは無理だという話になりかねない、だから、私は例をあげながら進めてまいりたかったのですけれども、残念ながら時間がない。だから、私は私が考えている原理、原則を先に申し上げたので、つまりそういうところに中心が置かれていかなければ、産業労働災害の防止ということはそう簡単にできない、こう私は思っている。そこらのところをどうお考えになりますか。
  114. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 御指摘の点、私どももかねていろいろ検討いたしております問題に触れる点が多々ございます。同感の点も少なくございません。そして、たとえば労働者の発言権を増大するというために安全委員会を事業所に設置さす、これを義務づけるといったような規則改正も、すでに考えております。漸次前向きの方向に進めているわけであります。定員にいたしましても二千五百九十八名、これを若干ではありますが、少しずつふやしている、こういった関係にございます。安全衛生局の発足を契機にいたしまして、より総合的な形で体制を進めていきたい、かように考えている次第でございます。
  115. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係であと一つだけ最後に申し上げて終わりにいたしますが、さっき有馬さんに申し上げましたように、港湾労働と申しますものは、特に労働者層が新しくならない、若く新規の労働者が入ってこない、沈滞、停滞をした中高年齢層、しかも世の中のあらゆる産業の中からはみ出した方々が流れ流れてあらわれたというケースが非常に多い。だから、朝っぱらから一ぱいひっかけて、しょっちゅう飲んでひっくり返っておる。橋のたもとなんか、至るところそうですね。そこへ手配師が来てつかんでいく、そういうことですよ。そうすると、一ぱいひっかけて船内に行かなければ仕事にならない、そういう種類の方々が非常に多いですね。なぜそうしたかということは、これは政治的責任です。しかし、現実はそうだ。そうすると、ハッチやなんかのふたがあいていると、そこから落っこっちゃう。だから、幾ら締めろとか何とかいろいろ言ってみても、やはり防げないということになるわけであります。根本的には、そういう労働者が世の中になくなるようにしなければならない。もっと港湾労働者を収容するうちをつくって、船内に住んでいる人をおかに上げることも、三・三答申も出ているのだから、どんどんやらなければいけない。やって、そういう形で野放しになっている労働者をなくしていかなければならぬ。調整手当にしたって、いきなり三百円に落っこちないで、もう少し上に上げなければならない。そういう形で再生産をはからねばならぬ。そういうところに、私は労働災害を防いでいく根本がもう一つあると思うのです。したがって、あわせて労働者の安全衛生局をおつくりになる契機ですから、そういう意味で担当行政諸官庁である労働省という立場でこれを積極的にお進めを願いたいと思いますけれども大臣に最後にひとつその辺のところのお考えのほどを承っておきたいと思うのであります。
  116. 早川崇

    ○早川国務大臣 安全衛生局というものを設置することによりまして、局ができるというのはたいへん大きいことであります。これを契機といたしまして、産業災害は六十八万人もいるということであります。また、いま直ちに整備というわけにはまいりませんけれども、局設置を契機といたしまして専門に局長ができれば、人命尊重という立場でいま御指摘のいろいろの面を含めまして検討し、また、来年度からは第二次の産業災害防止計画が実施されるわけでございます、またアメリカには産業災害を防止する専門の職業ができております、日本にはまだできておりませんが、しかし、ある横浜の大学では災害防止の学科が工学部にできるというような、非常に新しいそういう専門の研究をやるという学科もできつつある、こういう社会情勢でございますので、局の設置を契機といたしまして、一そうこの問題に真剣に取り組んでまいりたいと思っている次第であります。
  117. 大出俊

    ○大出委員 終わります。
  118. 關谷勝利

  119. 受田新吉

    受田委員 労働省設置法の一部を改正する法案のポイントは、安全衛生局の新設であります。ところが、先ほど来の政府の御答弁を聞いていると、いかにも大げさな改正案のように見えるが、実体はあまり変わっていないのだというお話でございました。安全衛生局の労働省組織令による担当の課及び定員というものを、この法の改正に伴ってどう用意しているのか、具体的に何か資料を示していただきたかったわけですが、一局ができるのでございまするから、組織令の改正が当然されるはずだと思う。どういうふうな構想を持っておられるか。
  120. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 安全衛生局の課の編成は、計画課、安全課、労働衛生課という三課の編成になるわけでございますが、現在は部がございまして、安全課と労働衛生課だけでございますが、局の新設に伴いまして、計画課が一つ増設されます。ただ、定員につきましては、ふやしておりません。いわばやりくりで体制を整えていこうとしておる次第でございます。
  121. 受田新吉

    受田委員 労災防止対策部と労災補償部を今度やめるわけでしょう。それは部長のポストはどうなるわけですか。
  122. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 二部が廃止されますので、部長ポストは二つなくなります。そして一局が新設されるということになります。
  123. 受田新吉

    受田委員 二部を廃止して一局をつくる。現に部長の地位にある者が、さしあたり失職をするわけです。あるいは局長になるか……。それに伴う人事異動というものは、同時に考えなければならぬわけですね。その部長のポストというものが廃止された場合に、部長の行くえというものはなかなかデリケートになってくる。局長は一人しか要らないという、人事異動に対する部長立場というのは、まことに微妙な問題があると思うのですがね。大臣、二部廃止というこの現実の問題に対処しての構想だけ——別に個々の処置でなくてけっこうです。
  124. 早川崇

    ○早川国務大臣 まことにありがたい御配慮でございますが、局長部長というのは、大臣と政務次官ほど違うのですね。局長は、政府委員ということで国会に堂々とあれする。それから二部をつぶして局というものに昇格したということは、労働省の職員の士気をたいへんふるい立たせておるわけでございます。したがって、部長さんというものの中から局長になる人があるか、あるいは二部つぶすのですから、あとの部長さんはどうするか、それぞれの地位、能力に従いまして十分処遇をしてまいりたいと思っておるわけです。
  125. 受田新吉

    受田委員 これは一人の部長が昇格しても、一人の部長は、局長に栄進する機会が同時に行なわれない限りは、労働省のポストはないわけです。そういうことは十分前提にして考えておられますか、どうですか。
  126. 早川崇

    ○早川国務大臣 局設置というものは、二つの非常にむずかしい矛盾したことの調和として実現したわけでございますが、それは行管のほうで行政機構とか部とかいうものをできるだけふやさないという基本方針ですから、われわれといたしましては、質をとって、二部廃止しても局のほうが行政上大事だという観点に立ったわけでございます。部長の処遇につきましては、審議官とか参事官のポストもございますし、あるいは公団の監理官という同等のポストもございますから、省内の人事はひとつ大臣におまかせいただきたいと思います。
  127. 受田新吉

    受田委員 一応あなたが、大臣の下に局長と同格の監理官も一つあるというので、それらを含めての人事異動を同時に考えておられるということで、良識の措置を要望しておきます。  そこで、この改正案の中に、最近における労災発生状況が異常な数字にのぼっているということが指摘してあるわけなんです。従来の労働省は、その機構を改めなければ、この労災の防止ができなかったのですか。機構で防止ができるのかどうか、私はこうした年間死傷者が死亡者の六千余人を含めて七十万に近いという、その経済的損失が二千七百億の巨額に達するというような事態を、労働省は行政監督の立場からえらい怠慢であったものだと指摘せざるを得ないのですが、局いじりをすることでこれが解決する問題ではないと私は思うのです。真剣に労働行政を進めていってくれる限りは、こういう死傷者が著しく増加するという現象は起こらなかったはずなんです。いかがでしょうか。
  128. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 局の新設をまつまでもなく、労働災害の防止は、労働行政の重点として鋭意努力してきたわけでございます。しかしながら、御承知のような新技術の採用あるいは新しい原材料の使用といったような関係から、新しい災害、しかも大規模なものが発生しておるというのが、最近の傾向でございます。そこで、体制として考えますに、現在は労働基準局で所掌しておりますけれども、賃金部だとか、労災補償部だとか、それに労災防止対策部が一般監督を行なう、こういった体制になっておりますので、この際、最近のそういった災害の傾向にかんがみまして、新しい局を設置いたしまして、専任の局長を置いてこれを推進したいということであります。このことは、特定のものは除きますけれども、ほとんど全産業にわたる労働災害の防止につきまして推進しておる体制としては、従来までの体制は十分でなかったというような見方もあるわけでございまして、従来、おしかりを受けましたけれども、年々死傷者数とかあるいは千人率は全体としては低下してきておるわけでありまして、そういった減少傾向をさらに飛躍的に伸ばしていきたい、こういう観点からも、局の設置をお願い申し上げておる次第でございます。
  129. 受田新吉

    受田委員 交通事故による死傷者が一万三千人、その半数の死者が労災で起こっておる。交通事故と労働災害で年間に二万人というとうとい生命が失われている、これはもうたいへんな事態だと思うのです。これは文明の度が高まり、また技術の進歩に伴うて、大型の、新型の事件が発生しておるということでございますが、それはそれなりに文明の度を高める労災防止対策によって救われるはずなんですね。これだけのばく大な人を、依然として労働省は殺しておるわけです——労働省が殺しておると言っては極言かもしれませんが、労働省の指導、監督よろしきを得れば、この数はぐっと減るはずですね。そういう問題があると思う。そこで、地方の労働基準監督署その他を通じて、末端の労働行政に不行き届きの点があるのじゃないか、人員不足で十分の監督ができないものがひそんでおるのじゃないか。いかがでしょう、大臣
  130. 早川崇

    ○早川国務大臣 御指摘の産業災害は、本年までで五カ年計画を実施いたしまして、昭和三十六年では千人率二一・〇五という死傷率でありましたが、五年後の四十一年におきましては一三・八と、成績を非常にあげてまいっておるわけでございますが、しかし、それでもたいへんな死傷者数でございます。そういう観点から、今回、局を設置いたすことになったわけですが、あるいはおそきに失するほどの大きい問題である、そういう立場でお願いをいたしておるわけでありまして、その出先機関といたしましては監督署があるわけでありますが、これも大出委員にお答え申し上げましたように、二千八百人そこそこに——本年も予算におきまして、監督官三十名、職員八十名の増員を予算で承認をいただいたわけでございまして、決して十分とは申し上げられませんけれども、それを補う方法といたしましては、各事業所に災害防止のオルグといいますか、指導員と申しますか、委員会をつくらしまして、監督官の数だけでなくて、広く事業所のそういう指導員を動員いたしまして、新しくまた五カ年計画を設置して、この膨大な産業災害を一刻も早く軽減さしていく、こういう考え努力をいたしておるわけであります。
  131. 受田新吉

    受田委員 鉱山保安関係は、これは通産省の鉱山保安局というのが担当しておる。しかし、ここにおける事故というものは、これは引き続き、特に炭鉱労務者の死傷事件というのは大型なものが頻発しておるという情勢です。これに対して、労働大臣及び労働基準局長が、一応通産省の大臣局長に勧告権を持っているのですが、その勧告権をどのぐらい発動しておるか、勧告権発動件数を示していただきたい。
  132. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 勧告の例といたしましては、四十年の山野、日鉄伊王島、あの災害がございました直後に、局長勧告のほか大臣勧告を新たにいたしておりますが、それ以前のものは、局長から局長に対する勧告でございます。三井三池の災害直後の勧告、それから三十五年の勧告、三十一年の勧告、最近の例をとりますと、おもなものは四つでございます。三十一年、三十五年、三十九年、四十年、四回勧告いたしております。
  133. 受田新吉

    受田委員 そのうちで大臣勧告は一つしかないということですね。ここに労働省が示された数字の中で、鉱山保安関係の死者というものはどれだけあるわけですか。六千名の中に入っているのか、入っておらないのか。
  134. 鈴木健二

    ○鈴木説明員 約六千名の中に入っておりますが、そのうち大体百七十名程度が鉱山関係の死亡者でございます。
  135. 受田新吉

    受田委員 これは引き続き、法律で規定された勧告権をひんぱんに発動して鉱山の死亡者を少なくするように、事故をできるだけなくするように、大臣としても努力していただきたいと思います。  今度は、十分くらいで質問を終わることにしますので、法案に関連する問題としてお尋ねをしたいことがあります。  これは、婦人少年局長も来ておられるわけでございますが、この労働基準法には、男女の賃金の差を認めない平等の原則が打ち立てられておる。公務員関係は、一応それぞれの関係法規の俸給表によって男女の差がつけられていない。けれども、民間企業には男女の賃金差というものが大きくあらわれておるわけです。労働基準法違反をやっている。同じ高等学校を出ても、男子の場合と女子の場合とではスタートから差がつけられ、五、六年もしたころには非常な大きな差がつけられておるという、この男女不平等の現象をどうごらんになり、またこれに対してどういう扱いをしておられるか、これを婦人少年局長と労働基準局長、両方から御答弁を願いたいのです。
  136. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 男女の賃金の実態といたしましては、先生御指摘のように、その平均給与額等を比較いたしますと、かなりの格差があるようでございます。漸次その格差は縮小の傾向にございます。最近の数字では、男子を一〇〇といたしますと、女子は四八というような数字が出ております。これはいろいろな職種にかかわらず、全国的に算術平均をしたものでございます。  このような格差が生じます原因といたしましては、主として女子の労働者が、現状におきましては比較的年齢の若い層に多く、また、学歴等も男子よりも平均いたしますと低く、また、労働時間等も、男子と比べまして、保護規定等の関係もございまして、平均的に労働時間が短い、あるいは扶養家族手当等の特別な給与が一般的にいって低いとか、いろいろな要因が重なっております。また、一般的に見られます年功序列的な賃金体系の中で、年の若い女子が一般的に平均給与が低くなるということも考えられるところでございます。そのように算術平均では低いのでございますが、これが必ずしも基準法の規定に違反しているとはいえないのではないかと思います。  この賃金の格差を縮小してまいりますためには、女子がより一そう技術を持ちまして、職場における地位を高めていくことが何よりも第一に必要なことと思われますので、私どもといたしましては、そのような面での指導並びに一般的な啓発を行なっております。
  137. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 四条違反の監督につきましては、私どものほうで所掌いたしておりますから申し上げますと、たとえば昭和四十年度におきます監督の結果、四条違反は三十三件という件数が出ております。もちろん実態的にはもっと多いんじゃないかというようないろいろな観測もできますけれども、行政的に明確に四条違反であると指摘いたしたものは、三十三件でございます。しかし、その内容を見ますと、いわゆる初任給における差別待遇というよりも、むしろ諸手当支給の条件が違うとか、いろいろな場合があるようでございます。一般的傾向につきましては、いま婦人少年局長からお答えしましたとおりであります。
  138. 受田新吉

    受田委員 たとえば銀行、証券会社等に勤務する職員にしても、同一学歴、同一勤務年数において基本給が違っておるわけです。これは男女賃金平等の原則に明らかに違反しておるという実態は、これは個々に当たってみられたらはっきりわかる。同じ学歴で同じ勤務年数で基本給が違っておる。労働省としては、この男女の賃金差というものを公務員並みに切りかえていかせぬと、女子の民間企業における地位というのは、一向上昇しません。婦人の地位を高めるというところに、労働省の大きな目標一つある、労働省の設置の任務の中にある。それが民間企業の場合には、大目に見放されて、きびしい監督をしてない。思い切って婦人の地位を高める——賃金というもの、サラリーというものは、やっぱり勤務者にとっては生命線です。これは勇敢に、特に婦人少年局長をいたわる意味で、男子の局長がしっかりささえてあげなければいけない。大臣いかがですか。
  139. 早川崇

    ○早川国務大臣 全く受田先生と同感でありまして、今国会に同一価値の労働に対して男女の差別をしてはならないというILO百号条約を率先して政府として御批准を願っておるのも、先生御指摘の男女平等をさらに推進していこう、こういう趣旨でございます。民間企業で同じ年限で、同じ学歴で差がある、これはおそらくつくポストが違うから、そうなっておるというケースもございますが、長年の社会慣習で、日本は亭主関白、夫唱婦随、男子優先というか、ジェントルマンファートの長い傾向がございます。民主主義になりましたので、逐次直ってきておりまするが、ILO百号条約の批准を契機といたしまして、一そうそういう社会風潮と賃金格差の是正に労働省としてはつとめてまいりたい、全く同感でございます。
  140. 受田新吉

    受田委員 全く同感と承って、よろしい。それもまた強力に実行してもらいたい。  もう一つ、雇用関係、職安局長大臣とで御答弁願いたいと思います。雇用促進のための雇用対策法というのがある。ところが、中高年齢層と身体障害者の場合は、せっかく法律でできるだけ一定率の雇用ができるようにという奨励規定はありましても、実際問題で、たとえば身体障害者が大企業にどれだけ就職しているか、大企業がこの雇用対策法をどのように実行してくれておるか、どんなに働いておるかということで、私、労働大臣にひとつ例を指摘しますが、身体障害者を大企業はことさら避けております。やむなく中小企業等に身体障害者は勤務し、また公務員関係で救われておるというような形になっておる。中高年齢層またしかり。私は、この雇用対策として、力を持った中高年齢層が、その能力に応じた適切な職場を求めようとするときに、すかっと目的を果たせるような法律の運用、行政の運営をやってもらいたい。身体障害者雇用促進法という法律ができておる。この法律はつとめなければならないという関係法律である。優先雇用というきびしい基準を設けた身体障害者優先雇用法——西独などが実行している、こういう法律をすかっとおつくりになって、御提案になって、ワクをはめて、大企業が身体障害者や中高年齢者を救済するような措置をおとり願いたいと思います。
  141. 早川崇

    ○早川国務大臣 まず、身体障害者雇用といたしましては、雇用率を設定いたしまして、民間企業では一・一二%を義務づけておるわけでありまするが、これは一個人個人の企業は別といたしますが、統計上、全産業、民間企業におきましては、この雇用率をほぼ達成いたしております。官公庁におきましては、一・五%の雇用率を設定いたしておるわけでありまするが、大部分が達成されておりまして、ただ電電公社の関係が達成されておりませんでしたが、最近身障者を千名採用しようという計画を立てられまして、これまた身障者の雇用率の充足に努力いたしておるわけであります。  中高年につきましては、われわれといたしましては、これからますます若年労働力が不足してまいりますので、中高年の方には大いに働いてもらう。その一つとしては、定年制の延長も民間企業に勧告いたしておりまするし、中高年の雇用促進のために、月四千円の住宅奨励金の制度を今度は設けました。それから、中高年の職業訓練者に対しましては、月一万八千円という手当を差し上げるなど、諸般の施策を講じてまいりまして、中高年の方に大いに産業その他で働いてもらう施策を強力に推進いたしておるのが、現状でございます。
  142. 受田新吉

    受田委員 大臣、あなたは定年というものをどのくらいまでお認めになっておるか、個人の見解でけっこうです。人命はどんどん延びておる。中高年齢層で、企業によっては大体五十五歳、五十七歳、五十三歳、国家公務員でも、林野庁などは五十三歳で退職勧告をやっているような現象が起こっている。一応あなたの良識の判断で、勤務の年齢の上限をどこに置くか。そうしてそれに対処してどのような指導をされるべきか。御答弁を願いたいと思います。
  143. 早川崇

    ○早川国務大臣 国民年金、厚生年金は六十歳から開始されるわけでございまして、老齢年金にリンクするという意味では、臨時行政調査会、佐藤調査会の勧告が六十歳前後という勧告になっておるわけでございます。これは大いに根拠があるので、戦前に比べて五十五歳以後の平均余命が、戦争前は十五歳であったのが、いまは大体二十歳。四、五歳延びております。平均余命は二十歳に延びておりますが、定年を考える場合には、五十五歳以後の平均値をとりますと、四、五歳延びております。他方若年労働力が減っているということを考えますと、六十前後くらいが妥当だと私個人は考えている次第でございます。
  144. 受田新吉

    受田委員 これは公務員の場合にも通ずる問題ですが、一応六十歳から国民年金の対象になる、そういうところで定年法というものが考えられるのかどうか、お答え願います。
  145. 早川崇

    ○早川国務大臣 公務員関係は、実は私の所管ではなく、総理府長官の所管ですが、一般に民間の場合には、定年を延ばしたら、自動的に年功序列で賃金も上がる、退職金もふえる、こうなりますと、経済の能率を害しまするから、よし六十歳といたしましても、同時に自動的に賃金が年寄っていくに従って上がっていくという年功序列賃金を改めなければなりません。職務給、能力給というものを含めて定年の延長を考える。こうならなければ、経済全体の能率を害しますから、そういう観点からいたしまして、年齢だけとれば、六十歳前後という臨調の答申が、民間でも、あるいは公務員でも、妥当なところではないでしょうか。賃金体系は、機械的に、自動的にただ年をとったらふえていくということは、再検討の余地がある。これが労働省の見解です。
  146. 受田新吉

    受田委員 最後に、労働省設置法の第三条には、労働者の福祉と職業の確保とをはかるという目的をもってあなたの役所の仕事が始まっている。労働者ということばは、どういう範囲を対象といたしておりますか。
  147. 早川崇

    ○早川国務大臣 これはなかなかむずかしいので、農民も入れば、一般工場労働者も、公務員も入るわけでありまして、法律上の定義は局長からお答えさせますけれども、労働省としての労働者というのは、非常に限られた労働者というふうには私は思っておらない、働く人全部を含める、こういうふうに考えております。
  148. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 これは先生御承知と思いますが、労働組合法では、「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。」労働基準法では、「この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、」労働基準法八条の「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」こう法律に明記いたしておりますが、しかし、いま大臣が御答弁のように、今後は家内労働者とかいろいろな問題が含まれてくるわけでございます。そういった点、行政の対象としてはいろいろな考え方が成り立ち得ると思います。
  149. 受田新吉

    受田委員 賃金を得て生活をする立場を前提とすると、最初の解釈によるならば、大臣局長も労働者の一人だ、そう了解してよろしいか。
  150. 早川崇

    ○早川国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、労働組合法の労働者という狭い考えを労働省という場合の労働者にはとっておりませんので、私なんかも大いに働いておる労働者である、こう考えております。
  151. 受田新吉

    受田委員 それでよろしいです。
  152. 關谷勝利

    關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  153. 關谷勝利

    關谷委員長 ただいま委員長の手元に、細君吉藏君外三名より本案に対する修正案が提出されております。
  154. 關谷勝利

    關谷委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。細田吉蔵君。
  155. 細田吉藏

    ○細田委員 ただいま議題となりました労働省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げますと、原案では、その施行期日を「昭和四十二年六月一日」としているのでありますが、すでにその日は経過いたしましたので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。よろしく御賛成をお願いいたします。     —————————————
  156. 關谷勝利

    關谷委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の通告もありませんので直ちに採決に入ります。  まず、細田君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  157. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  158. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  これにて労働省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 關谷勝利

    關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  160. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、明九日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会