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1967-05-11 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十一日(木曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    稻葉  修君       内海 英男君    佐藤 文生君       塩谷 一夫君    高橋清一郎君       橋口  隆君    藤波 孝生君       稻村 隆一君    木原  実君       武部  文君    楢崎弥之助君       浜田 光人君    山本弥之助君      米内山義一郎君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    稲木  進君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         外務政務次官  田中 榮一君         外務大臣官房長 斎藤 鎭男君         外務省条約局長 藤崎 萬里君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月十日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  渡部一郎君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員渡部一郎辞任につき、その補欠として伊  藤惣助丸君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十日  元満鉄職員であつた公務員等恩給等通算に関  する請願橋本登美三郎紹介)(第八八七  号)  同外四件(桂木鉄夫紹介)(第九一五号)  同外一件(田中龍夫紹介)(第九六一号)  同外五件(永末英一紹介)(第一〇二三号)  同外二件(佐々木義武紹介)(第一〇五三  号)  同外一件(村山喜一紹介)(第一〇六二号)  旧海軍文官退職金復活支払い促進に関する請願  (櫻内義雄紹介)(第九六二号)  阿波丸撃沈に対する賠償請求権放棄に伴う代償  措置に関する請願愛知揆一君紹介)(第一〇  六三号)  委託統計費全額交付に関する請願池田清志  君紹介)(第一〇七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)  在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外  公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  行政機構並びにその運営に関する件      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  行政機構並びにその運営に関する件について、調査を進めます。  本件に関し、その基本方針について行政管理庁長官より説明を聴取いたします。松平行政管理庁長官
  3. 松平勇雄

    松平国務大臣 御説明を申し上げる前に、一言あいさつを申し上げたいと思います。  私、昨年の十二月三日佐藤内閣改造にあたりまして、行政管理庁長官として行政機構の全般にわたる重責をになうことになりましたのございますが、さらに一月の第二次佐藤内閣の成立にあたりまして、引き続いてその職務を担当することになったものでございます。今日まで内閣委員会が開催されませんので、ごあいさつを申し上げるのが延引いたしたのでございますが、本席を拝借して簡単にごあいさつを申し上げたいと思います。  従来から国民のための行政ということばが常に叫ばれてはおりますが、その実現には、なお残されている多くの問題を根気よく解決していくべき必要があると存じます。私、まことに微力な者ではございますが、委員長をはじめ、委員各位の心からなる御指導、御協力をいただきまして、一生懸命努力してまいる所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  昭和四十二年度要求にかかる各省庁機構定員及び特殊法人審査につきまして、その概略を御説明申し上げます。  機構新設につきましては、できるだけ振りかえによって措置することとしたのでありますが、新しい行政需要の動向に対応する必要上、若干の部局新設を認めることといたしました。  まず、外局である航空庁の新設要求に対しましては、これを認めないこととし、局の新設六、改組一の要求に対しましては、郵政省に電気通信監理官、二人を廃止して電気通信監理局を、労働省に労災防止対策部及び労災補償部の二部を廃止して安全衛生局を認めることとし、部の新設八、改組四の要求に対しましては、厚生省環境衛生局参事官廃止して公害部を、通商産業省企業局産業立地部改組して立地公害部を、特許庁に審査第五部を、運輸省の航空局に飛行場部を、自治省行政局参事官廃止して公務員部をそれぞれ認めることといたしました。  また、外務省外務審議官一人を、大蔵省の国際金融局に財務調査官一人を廃止して次長一人を、食糧庁に参事官廃止して次長一人を認めることとし、建設省の日本道路公団監理官一人及び高速道路に関する公団監理官一人を廃止することといたしました。  審議会等につきましては、新設八の要求に対しまして、総理府に公害対策会議及び公害対策審議会を、水産庁に漁業共済保険審査会を認めることとし、その任務を終了したもの二を廃止することといたしました。  次に、定員関係についてでありますが、これにつきましても、かねてから増員は厳に抑制することとし、また、定員配置合理化事務能率向上等をはかるため、昭和三十九年九月四日の閣議決定により欠員補充の規制をしてきた次第であり、このような考え方のもとに昭和四十二年度の審査にあたりましても、きわめて厳格な態度で臨んだのであります。  昭和四十二年度における定員審査基本方針は、四十二年度において緊急に増員の必要があると認められる場合に限り、また、その数は、原則として欠員補充措置で凍結された欠員数の範囲内で最小限度増員を認めることとし、他は各省庁内における事務整理事務能率向上定員配置合理化等、各省庁内部における努力によって解決するよう要請した次第であります。  その結果、増員のための各省庁設置法改正案は、今国会におきましては、公正取引委員会二十九人、科学技術庁九十八人、外務省五十二人、文部省六千四百三十四人、厚生省四百六十四人、通商産業省八十三人、運輸省百二十七人、自治省十四人および防衛庁四千三百三十一人の増員をはかる法律案が提出されることとなっており、そのうち、昭和四十二年度審査にかかる増員法律定員で九千四百四十六人であり、それ以外の省庁におきましては、定員配置合理化事務能率向上等をはかり、増員による設置法改正は行なわないことといたしております。  また、以上に申し上げました法律定員のほかに、五現業等の政令で措置いたすこととなっているものが、三千百九人ありますことを申し添えます。  なお、欠員補充措置につきましては、昭和四十二年度におきましても、継続して実施いたしたいと存じます。  次に、特殊法人につきましては、その新設は極力抑制することといたしまして、新設二十一法人廃止法人要求に対しまして、七法人新設する一方、三法人廃止することといたしました。この結果、特殊法人の総数は、四増加することになります。  諸施策の遂行上必要やむを得ないものとして新設を承認いたしましたのは、石油開発公団京浜外貿埠頭公団阪神外埠頭公団動力炉核燃料開発事業団中小企業振興事業団、環境衛生金融公庫及び日本学術振興会の七つであります。一方、整理統合いたしますのは、原子燃料公社日本中小企業指導センター及び石油資源開発株式会社の三法人であります。  次に、行政改革推進についてでありますが、四十一年度におきましては、審議会等整理文部省調査局廃止文化局新設許認可事務整理などを実現してまいりましたが、なお多くの問題が残されております。  これらにつきましては、臨時行政調査会答申趣旨に基づき、最小の経費で最大の行政能率をあげうるよう、行政組織運営簡素化能率化を今後さらに推進していく所存であります。     —————————————
  4. 關谷勝利

    關谷委員長 引き続き質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。藤尾正行君。
  5. 藤尾正行

    藤尾委員 ただいま長官の御説明にありました一番末尾におきまして、今後の説明に、行政能率をあげ得るよう行政組織運営簡素化能率化推進していくつもりであるということを言われましたけれども、これは具体的にどういうことを意味しておるのですか、まずそれをお聞きしたい。
  6. 松平勇雄

    松平国務大臣 臨調答申では、部局廃止統合、その他審議会廃止統合あるいは許認可簡素化等をうたってございますので、その方針に従って逐次実行に移してまいりたいと思う次第でございます。
  7. 藤尾正行

    藤尾委員 ただいまの御答弁では、臨調答申がそういうふうになっているから、その答申の線に従うのだということでございますが、そうすると、大臣は、大臣自身の抱負として、おれはこれをやるんだという積極的なものはなくて、臨調答申があるから、それを見ていてそれに沿うようにやっていきたい、こういう意味でございますか。
  8. 松平勇雄

    松平国務大臣 行政組織その他に関しまして、現在の段階においては不必要に感ずるものあるいは統合してもいいと感ずるものは、多々ございます。したがって、行管といたしましてもこれを整理いたしまして、ほんとう簡素化した効率のあがる行政機構にし、国民のための行政組織をつくりたいという考えを持っておりましたが、それに関しまして、臨時行政調査会調査を依頼いたしまして、答申を得たわけでございまして、私どもはその答申を尊重して、さらにそれを基礎にいたしまして、行管独自として監察調査をいたしまして、行政組織簡素化能率化をはかってまいりたい、かように思っております。
  9. 藤尾正行

    藤尾委員 どうも話が非常に本未転倒しているんじゃないかという気が、私はするのです。いまの政治といいまするものは、これは政党政治であって、あなたはその政党政治政党の代表として内閣におられて、その意思を持ってどしどしおやりになられる、なっていただきたいということで、党を代表して内閣に参画をして、いまの行政管理庁という官庁職務を行なっておられると私は思うのですが、それと、さきに臨調というものに行政管理庁長官を通じて諮問をした、その答申が出ておるということがあるということとの間に、おのずからそこに政治的判断があってしかるべきである、かように思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  10. 松平勇雄

    松平国務大臣 藤尾委員のおっしゃるとおりと思います。
  11. 藤尾正行

    藤尾委員 ということになりますと、何も臨調答申がこうだからああだからということはないんで、それはどこまでも参考資料であって、その参考資料というものは参考資料として、あなたが腹の中に置かれて、おれはこうやるんだ、それが国家百年の大計のためにいいんだという一つの見識を持ってその仕事をおやりいただけるというのが、私は当然だと思います。そうでございましょうね。そうなってきますと、そこにいろいろ問題が出てまいります。たとえば、これはほんとううそか知りません。しかしながら新聞紙上で拝見をしたところによりますると、あなたがかつて、この二、三カ月前の閣議で、各省委員会審議会等をとにかく各省一つずつにするんだというようなことを提案せられたとかせられなかったとかというようなことが、新聞に出ておったことがございます。こういったことは、どういう根拠に基づいて、どういう御意思発言をせられたのか。事実なのか、うそなのかということをまずお示しいただきたい。
  12. 松平勇雄

    松平国務大臣 いま御指摘新聞記事は、ある一社の新聞に出ておったのでございますが、実は私はその新聞を見てびっくりいたしたわけでございまして、私はああいった発言をしたこともないし、ああいった考えを持ったこともないわけでございます。ただ、審議会というものを整理、統合するということは考えておりましたが、専門家とか顧問のようなものを各省一つずつ置くというような構想は、考えたこともございません。
  13. 藤尾正行

    藤尾委員 いまの新聞記事が全然うそなんだということであれば、この問題は問題としてお話し申し上げてもしょうがないのでございます。うそのことを言ってもしょうがないので、その問題はその問題としておくとしまして、それでは一つ伺いますが、これは臨調答申の中にもありますけれども、行政委員会、それから調査会審議会というようなものが、いろいろあるわけですね。そのほかに懇談会なんというものもある。そういったものが非常にたくさんあるということなんですけれども、これを今後どういう方針で、どのように整理されるつもりなのかという方針だけでもお伺いしたい。
  14. 松平勇雄

    松平国務大臣 整理方針に関しましては、ただいま行革本部において検討さしておりまして、その方針がきまりましたならば、それに従ってやる考えでおります。
  15. 藤尾正行

    藤尾委員 それじゃ、大臣の決意というものは、まだ固まっていないようであります。これに対する御質問もやめさしてもらいます。  それじゃ、ちょっとそれに関連をして伺いますけれども、一体責任政党内閣というものをあなたはどういうふうに心がけておられますか。
  16. 松平勇雄

    松平国務大臣 内閣組織いたしました政党政策を忠実に行政面実行するのが、政党内閣の本来の姿であると思います。
  17. 藤尾正行

    藤尾委員 政党が大体こういう方針でいくんだということをきめたら、責任を持ってそれを推進するというのが政党内閣であるという、いまの御解釈だと思います。そうしますと、いままでの行政委員会審議会調査会等設置のもとになっておる法令におきまして、その答申を尊重しなければならぬというような趣旨の規定を、その設置の理由にあげておるものがたくさんございます。そういった尊重をするということと、いまの責任を持ってやるんだということとの間に、どういう関連がありますか。
  18. 松平勇雄

    松平国務大臣 審議会等、いわゆる諮問委員会では、結局は意見を聴取するのでありまして、あくまでも行政責任というものは、政府にあるわけであります。ですから、その審議会答申そのままを行政面実行に移すか、あるいはそれを尊重して、それと多少違ってもその方向でいくというふうな、そういった考え方でもって行政面実行に移すことができると思います。あくまでも行政責任というものは、その政府にある。したがって、答申をそのまま実行しなくても、それは責任を持っておる政府考え方でありますから、それでよろしいと思います。
  19. 藤尾正行

    藤尾委員 なかなか力強い御答弁で、私は非常に頼もしいと思う。ぜひそうやっていただかなければならぬ。そこで、いまの審議会とか委員会とかいうものを尊重するということはあっても、尊重するのと責任をとるということは違うんだということでありますから、これもあえてとやかく申しませんけれども、ともかく審議会とか委員会とかいうものが多過ぎる。したがいまして、これを整理統合するんだというのが、従来の方針だと思います。こういったことについて、どの辺まで一体これを整理統合していったら非常にあなたの御趣旨に合うのかという方針を立てておられますかどうか。
  20. 松平勇雄

    松平国務大臣 ただいまその問題に関しまして、先ほどお話しいたしましたように、行政改革本部において、一応具体的な案を作成中でございまして、それに従って検討いたしまして決定いたしたいというふうに考えております。
  21. 藤尾正行

    藤尾委員 なかなか質問したいことがたくさんあるのですけれども、予算出席要求のために後日に質疑を回してもらいたいというあれでございますから、あまりこういうことについてとやかく申し上げてもしかたがありませんけれども、できれば、行政責任をとるというのが行政官庁であるというならば、しかもその頭首である大臣というものが政党政治の全責任を持ってやるということであるならば、審議会とか委員会とかいうようなものの力をかりないでも、民意を反映するやり方というものは他にあるはずであります。たとえば、国会審議会過程参考人を呼んで審議するとか、あるいは政党政策を審議する過程民間意見をいろいろ反映をさしていくとか、いろいろ私はあると思う。したがいまして、こういったものが二百数十もあったり、あるいは何十もあるというようなことは、私は、責任政治責任のあり方を回避するところが非常に多いものであって、益するところがきわめて少ない、かように私は思います。したがいまして、この点について一言だけでけっこうですから、あなたの御見解を伺いたい。
  22. 松平勇雄

    松平国務大臣 審議会は益するものはないと藤尾さんおっしゃいますけれども、やはりそういったほんとうのエキスパートなり学識経験者等意見を聞いて、あるいは民間の一般の人の世論を代表する人たち意見を聞いて、行政面にそれを反映したいというような考えもあるわけでございまして、そういった意味において、私は、審議会が全部必ずしもその必要のないものであるというふうには考えないわけでございます。
  23. 藤尾正行

    藤尾委員 いま大臣は、学識経験者なんというのはえらくえらいようなことを言われましたけれども、学識というのは一体何ですか、経験というのは一体何ですか。
  24. 松平勇雄

    松平国務大臣 学識は、まあ学問と知識、読んで字のとおりでございます。経験は、やはり経験を経た経験者ですか、それまでいろいろ経験をしたということだろうと思いますが、読んで字のとおりです。
  25. 藤尾正行

    藤尾委員 委員会審議会行政の衝に当たるあなた方がその基準に置いて任命をしておられる委員とかなんとかいうものが、はたしてそのことに学識があり、経験があるかどうかということは、はなはだ疑問ですよ。たとえてみれば、私の友人ですからよくわかるのですが、この前の公務員制度調査会ですか、審議会ですかの委員長になった前田君なんというのは、NHKの会長ですけれども、新聞記者上がりで、たいした学もなければ、たいした識もありませんわ。しかも、公務員というようなことはやったことはないから、これはたいした経験なんてありゃしません。それが学識経験者であるとかなんとかいうようなものの判断基準は、私は非常におかしいと思うのですね。私は、大臣のほうがはるかに学識なり経験なりをお持ちだろうと思うのだが、そういう非学識、非経験の人を学識経験者なんと誤認をして、そうしてそういった者の非常にわずかな間の会合による結論というようなものを、どうしてもこれを尊重するというようなことで、これに従っていくというようなことになりますと、これはまた行政責任という問題との関連において、非常に私は疑問のある点が出てくるだろうと思う。こういった点をひとつお考え願いたい。別にこれは答弁要りません。  それから、ついでですからごく簡単に言いますけれども、これは私はその真偽だけを伺えばよろしいのですけれども、これもこの間のある新聞紙上によりますと、公団公庫というようなものを整理しなければならぬ。いまの時世にもう合わなくなった公団公庫というものがたくさん存在しておるということ、これは私は大体常識だろうと思う。そういうものがたくさんある過程において、そういうものを別にたいした支障もなければなおその存続を許してもいいというようなことを、あなたのほうのどなたがお言いになったか、言わないか知りませんけれども、お言いになったというような記事が出ておりましたが、その真相はいかがでございますか。
  26. 松平勇雄

    松平国務大臣 この問題に関しまして御理解をいただくために、一応書類の出た経過をお話し申し上げたいと思います。  実は、臨調答申実行するためにはどういうふうにしたらいいかというので、行革本部でもって検討いたしました結果、たとえば今度問題になりました許認可の問題に関しましては、行政改革本部の中に推進班というものをつくりまして、そうして各班に分かれまして、その実行推進をはかると同時に、関係各省におきましても、それと別個に、その答申実行に関しまして検討するかまえで進んだわけでございます。その推進班ができましたのは、臨調答申がでましてから間もなくの三十九年十一月十八日でございます。その後、この検討の過程におきまして、推進班のほうから意見を付して出したのが先般新聞に出ておりました書類でございますが、本来ならば、いままで行管といたしましてやっておりました仕事の形から申しますと、こういったものはメモで往復してお互いの意見を交換し、そうして結論を得るようにやっておったのでございますが、たまたまこれは行政改革本部に一応書類でもって提出しなければならないというような関係から、その推進班班長の名前で、推進班として考えた一応の素案を関係官庁官房長のところに出した。その書類が御指摘書類でございます。しかし、この書類は、班長のところにまとめられまして、さらに行革本部事務を担当いたしております行政管理局長のところに提出されたのでございますが、行政管理局長といたしましては、多少この意見に異論がございましたので、それを行革本部に結局は提出しないで今日までそのまま持っておったというのが、現状でございます。したがって、その書類はいわば事務遂行上の過程において出されたメモのようなものでございます。しかし、書類はやはり形といたしましては公文書の形になっておりますけれども、内容、本質というものはそういった種類のものでございまして、行革本部書類でもなければ、行政管理庁事務官あるいは局長あるいは長官の名で出た書類ではないのでございます。御了承願います。
  27. 藤尾正行

    藤尾委員 非常にごたごたいろいろなお話がございましたけれども、要は、それは下僚役人がかってにつくったもので、まだそれが結論を得ていないものだという御趣旨だと思います。しかしながら、下僚が作成してどこでとまったのか知りませんけれども、何であろうと、そういう考え方をあなたの下僚がお持ちになるということ自体問題がある。非常に不謹慎きわまりない。そういうことがありますから、きょうはあなたはこれから参議院の本会議に出られなければならないので、私はこれ以上追及しようとは思いませんけれども、なおこれで打ち切るには問題はあまりにも重大であると思いますので、一応私の質問は保留をいたしまして、委員長におかれてはよろしくお取り計らいをいただきますようお願いをいたします。      ————◇—————
  28. 關谷勝利

    關谷委員長 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  29. 大出俊

    大出委員 五月二日付の読売新聞に、例の原子力船核燃料補給用サービスサイトの建設をめぐりまして、横浜にきめたがごとき記事が載っているわけであります。この読売に載る前に、神奈川新聞その他には四、五回載っているわけでありますけれども、この辺の真相をとりあえず御説明いただきたいと思うわけございます。
  30. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま大出さんがおっしゃいました新聞記事のことでございますが、ここではっきり申し上げておきたいことは、科学技術庁原子力商船サービスサイト横浜地区にきめたということは、全然ないのでございます。これは間違いでございます。  この問題は、御承知のとおり、ことしから原子力商船の建造にかかるわけでございますが、これができますと、どこか船をつける場所をどうしても設けなければならぬ、これは明らかでございます。このサービスサイトをきめる問題は、御承知のとおり、いま原子力船開発事業団というのがございまして、ここが計画に基づいて船をつくるわけでございます。したがいまして、この事業団が定係港と申しますか、船をつける港をきめて、そのきめるにつきまして、原子炉を持っておる船でございますから、その安全性について、原子力委員会に専門部会がございますから、そこに諮問をして、そうしてそこで水深とか、あるいはは船が入ってくる道とか、あるいは住民との距離とか、あるいは原子炉自体に関する安全性というものを審査いたしまして、間違いがないということによって初めて科学技術庁が総理大臣に対しまして認可を申請する、こういうたてまえになっております。したがいまして、現在までのところ埋め立て地はまだ運輸省のほうで許可になっていないというような状況と承っております。これらのことについては、大出さんには従来から非常に御協力願っておるということは聞いておりまして、また地元のお一人でございますので、私どもも地元の方々の協力、理解を得ていかなければならないことは当然でございますので、そういうことからいたしましても、市長とか、市議会とか、商工会議所の方々、あるいは地元選出の皆さん方にも御了解願って、御協力いただかなければこれはきめられないわけでございます。そういう手続を経た上で最終的に場所がきまる、こういうことになっておりますので、その手続の上から申しましても、まだそういう手続は全然踏まれておらない現在の時点におきましては、科学技術庁がきめたとかいうことは全然あり得ないことでございます。こまかい手続につきましては、局長もおりますが、そういう手続を経た上できめるということになっておるわけでございます。
  31. 大出俊

    大出委員 この問題は、だいぶ方々で大きな問題になっておるわけでございまして、事サービスサイトになりますと、あとから御質問申し上げますけれども、原子炉をめぐります核燃料その他の廃棄物を含めての運搬あるいは廃棄等々を含みますから、一つ間違うとそれはえらいことになる、こういう性格のものでございますので、原子力船の建造についての議会決定等がありますけれども、しかし、住民一般にとってみれば、相当大きな不安を感ずる筋合いでございます。しかも、ローカル紙にトップ記事で再三扱われているということになりますと、実は相当な関心を呼んでいる問題なんです。  そこで、科学技術庁長官というお立場で談話の発表その他があったようでございますけれども、しかし、これを議会あるいは委員会で取り上げられたというのはいままで聞いておりませんから、そういう意味では、これは明確にしておいていただきませんと、間違いが生じます。そこで、いま冒頭に、科学技術庁としては決定をしていないとおっしゃった。したがって、現在いろいろ取りだたされておるのは、あくまでも原子力船を建造する側の一つの構想程度のものであって、きまったものではない、こうはっきり確認をしていいわけですか。
  32. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先ほど申し上げましたように、原子力船開発事業団は理事長が石川さんでございますが、先日新聞に出ましてから私のところにもいろいろ問い合わせがありますし、また新聞などにも出た関係もありまして、当然私のほうといたしましても話は明らかにしておかなければならぬ関係もございまして、そのために私の談話も発表いたしたわけでございます。石川さんにも来ていただきましてお話を承りましたところが、原子力船が着工になると、四年後には竣工するわけでございます。ところが、このサービスサイトには、岸壁とか、あるいはそれに対する設備をいたさなければなりませんし、そういう仕事に三年くらいかかるわけでございます。したがって、船ができるまでにはそのサービスサイトをぜひつくっておかなければならぬということで、事業団とされましても、全国に——全国と申しましても、これは商船ですから、おのずから入ってくるところがきまる。とにかく大きな船になる傾向もございますので、商船として入る場所は常識的にわかるわけでございます。全然人家もない、町もない、都会から遠く離れたところにそういう港をつくることはあり得ないと、私は考えております。そういう関係から、神戸とか横浜とかその他の地域、全国二十カ所くらいを昨年来ずっと調査をしておられたようでございます。その結果しぼられてきたのが、横浜地区が一番よかろうというような結論になって、目下石川さんのほうから飛鳥田市長さん、あるいは商工会議所とか、あるいは議会のほうにも先般来いろいろ話はしておられるようでございます。そういう程度の話し合いでございまして、事業団とされましては、横浜地区をしぼった中の一つの有力な候補地として考えておられる、こういうふうに御了解願っていいのじゃないかと考えております。
  33. 大出俊

    大出委員 幾つか候補地を検討したが、原子力船開発事業団としては、その中で横浜が最もいいところだ、こういうことで折衝を始めている、こういうことですか。そうまとめて理解をしていいですか。
  34. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私の承っております石川さんのお話では、大体そういうようなことであったようでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 それから順序が不同になりますけれども、ただいま長官から、商船であるから人家その他とそう離れたところではあるまいという話がありましたが、となりますと、これは使用目的をおのずから明らかにさしていかなければなりませんけれども、私の記憶では、当初この問題が持ち上がったときには、海洋研究に使うというお話であったはずであります。ところが、昨今の事情をいろいろ承ってみますと、どうも使われるほうの側が喜ばないということで、海洋研究ではなくて、特殊なものを運搬するというふうに、目的が変わってきているように聞いているわけです。特殊なものということになると、これは今度は逆に核燃料だとか云々ということになるのじゃないかと私は思うのですが、そこらの使用目的をまず明確にしておいていただきたい。
  36. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま大出さんがおっしゃいましたとおり、最初の計画は、海洋観測船というような名前の船であったようでございます。したがって、規模も小さかったわけです。ところが、その後いろいろ、諸外国がつくっている原子力船等の現状等も調査、研究いたしました結果、やはり特殊な目的を持った船に切りかえたほうがよろしかろう、こういうことで、計画内容も変わってきて、したがってまた建造の費用も大幅にふえてまいったと思っております。そこで、この燃料でございますが、やはり天然ウラン等特殊なものを運ぶ、こういう目的にしたほうがよかろう、言うならば実用船的なそういうものに切りかえたほうがよかろうということに、計画が変更になったように聞いております。
  37. 大出俊

    大出委員 それからもう一つ、この際明らかにしておきたいのであります。先ほどお話のあった、この候補地にあげられている横浜の富岡先の八区というところでありますが、この埋め立て計画地域、予定地域は、二階堂さんのお話がございましたように、私二年半ばかりかかりましてこの委員会で前後四、五回質問をいたしましたが、それは単に横浜に関する問題というのではなくて、提供地域ではないのでございまして、したがって、埋め立て地の入り口が富岡の基地である弾薬陸揚げ場と隣接をいたしておりまして、その陸揚げ場を埋め立てによってふさがれるということから、埋め立て地域に移しまして、その間に通路をつくる。この通路が、提供地じゃございません、管理責任者は横浜市でございます。ところが、ここに地位協定等に基づく提供地でないにもかかわらず、国内法規を上回るような措置が講ぜらるとなりますと、国として締結をするわけでございますから、大きな先例になるというふうなこともございますし、広範な問題になってまいりますから、そういう意味で防衛庁、外務省、大蔵省との間で、かつまた米軍との間で、私自身もいろいろ話してまいりまして、ようやくまとめたといういきさつが実はございます。そういう意味の協力でございまして、これは原子力船の予定地候補になることについては全くノータッチですから、その点はまずもって明らかにしておいていただきたいのでございます。  ところで、あそこに日本飛行機という会社もありまして、その日本飛行機は、接岸する岸壁がないと会社として成り立たないのでありまして、この会社の接岸地域が埋まってしまいますから、それを一番てっぺんに出してくれ、こういう会社側の強い要望があります。そうすると、その地域は、いま原子力船開発事業団が予定しておる地域にかち合います。そういうふうな問題も一面出てくるわけでありまして、そういう点もございますから、そこで私はノータッチではありますけれども、目的その他を明確にしておいていただきたいということで、実は幾つかの質問をこれから申し上げたいわけです。  ところで、まず三十八年にこの予算計上をされた額はたしか三十六億くらいだったと思いますけれども、今日の原子力船建造にあたりまして必要経費、これは五十五億六千七百万、こういうのだそうでありますが、大体そんな見当でいいのかどうか、まず明らかにしておいていただきたい。
  38. 二階堂進

    二階堂国務大臣 局長から答弁させます。
  39. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま御指摘のとおりでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 完成目途が四十六年というのですが、これもそのとおり間違いがございませんか。
  41. 村田浩

    ○村田政府委員 そのとおりでございます。
  42. 大出俊

    大出委員 ところで、つくるところは、非公式な話でありますが、私、話がちょっとございまして、どうも筋が違うので聞きたいわけであります。石川島播磨でつくる、実はこういう話がありました。実は、石川島播磨が横浜の磯子の埋め立て地域のところにあるわけでございます。この原子力船開発事業団が予定をしたいと考えておられる地域のすぐ隣接地でありますが、ここでつくるのだというお話が非公式に私にございましたが、いろいろ承ってみると、どうもそうではないらしい。東京の豊洲でつくる、こういうことのようでありますが、そこらのところ、御存じでございますか。
  43. 村田浩

    ○村田政府委員 御案内のとおり、この原子力第一船は、船体については石川島播磨重工業、また、搭載いたします原子炉については、三菱原子力工業が製作に当たることに相なっております。しがたいまして、船体そのものは、石川島播磨重工の、ただいまの予定では豊洲の工場でつくられることに予定されております。
  44. 大出俊

    大出委員 そうしますと、まず船体は石川島播磨の豊洲、それから原子炉のほうは三菱原子力工業、こういう理解でよろしゅうございますか。
  45. 村田浩

    ○村田政府委員 そのとおりでございます。
  46. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは非公式な話を表へ出して恐縮なんですけれども、私のところへお話のあった方からは、すぐ隣接地でつくるのだから、こういう言い方だったのですが、そちらのほうに回航をするということが将来あり得ても、つくるところは隣接地域ではない、東京だということになりますか。
  47. 村田浩

    ○村田政府委員 少しくその点を申し上げますと、原子力船をつくります際には、船体はただいまの石川島播磨の豊洲工場でつくりまして、それから原子炉は三菱原子力工業が三菱傘下の三菱重工業、三菱造船所等と協力して原子炉をつくってまいります。しかし、これがある時期になりますと、船に原子炉を積むわけでございます。その積む作業をどこで行なうかということでございますが、その積む作業を当初石川島播磨の根岸地区で行なうというような話が、一時あったことがございます。しかし、現在ではそうではございませんで、ただいま問題になっております横浜の埋め立て地区における定係港、サービスサイトが可能になりましたならば、そこを使って原子炉を積む作業を行なうようにしたいというのが、ただいま事業団が考えておることでございます。
  48. 大出俊

    大出委員 そこははっきりしていただきたいのですが、この船足が、特殊な船でありますから、おおむね八メートルくらいある。してみると、水深が八メートル以上ないと、港として使いものにならない。そこで、コンクリートの厚い防護壁等をつくるというようなこと等を含めまして、相当な港が必要である。だから、そういう観点から見ていくと、横浜の、先ほど長官がお話しになっておりました場所が最適な地である、こういうことになっているように思うわけでありますが、それにもし間違いがないとすれば、船体ができ上がるとそこに回航をする。いまの船体と申しましたのは石川島重工業ですが、一方三菱原子力工業のほうで——これは場所はどこであるかわかりませんが、御存じならばあわせてお知らせを賜りたいのですが、こっちのほうもでき上がる。そうすると、これはまたたいへんな例のキャスクというものがあります。それだけでも五十トンか六十トンだということでありますから、そうなると、組み立ててから運ぶということにはまいらぬことになる。してみると、その原子炉が完成の過程を追って一つずつ運び込まれて、その船体に取り付けられる、組み立て作業を行なわれる。これは、つまり予定候補地であるところに船体を持ってきておいて組み立てる、こういう筋書きになるのかどうか。
  49. 村田浩

    ○村田政府委員 大体の考え方は、ただいま大出先生お話しのとおりだろうと思います。原子炉自体は、私ども承知しますところでは、これはまだ契約ができておりませんから、最終的なものではございませんが、原子炉の容器、これは厚い鋼鉄でつくられるものですが、これは重工業のほうの工場でつくられます。それから、これに入れます燃料は、三菱原子力工業自体の工場、大宮に工場がございますが、そちらのほうでつくられることに相なると思います。そういたしまして、実際に船としてまとめます際には、船体はほぼでき上がったものを予定します場所に回航しまして据えつけて、そこで原子炉容器を入れ——その前にコンテナをつくるわけでありますが、その中に原子炉容器を入れ、調整をしましてから漸次燃料を入れていく、そしてその前にタービンなども入れまして艤装を行なう、こういう手順に相なると思います。
  50. 大出俊

    大出委員 ところで、この原子炉のほう、燃料を入れるまでのところ、それから船のほう、これは工程が違うだろうと思うのですが、さっき四十六年完成と言われたのでありますけれども、その手順としてはどういうふうに進めていきますか。
  51. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの予定では、四十六年の末に全体としてまとまり上がるという予定でございます。したがいまして、原子炉の据えつけは、それより前に始まるわけであります。これはまだ現在一応の予定でございますから、最終的なものではございませんが、ただいま事業団のほうから報告を受けております現時点における予想では、四十四年の末ごろから原子炉等の艤装に入る、こういうことを予定しております。
  52. 大出俊

    大出委員 そうしますと、四十四年ごろ船体が大体でき上がって目的地に回送をする、片や原子力工業のほうで大宮の研究所等があるようですが、あっちのほうでこしらえたものもでき上がって、一方また重工のほうでやっておる原子炉の燃料以外のもの等ができ上がってきて、運び込まれて組み立てられる。こういう手順ということになりますと、四十四年ということで、六年に完成ですから、ここに大体二年間ばかりそういう作業あるいは試験的な運転その他が行なわれる、こういうことですか、順序は。
  53. 村田浩

    ○村田政府委員 原子炉部分の積み込みが始まって実際に完成するまで約二年でございますが、その間には設備としての完成後の性能試験といいますか、機能試験的なことも一応含まれております。これが半年余り含まれております。
  54. 大出俊

    大出委員 いまのところで手順はおおむねわかるわけでありますが、さてそこで問題になるのは、かつて原子力潜水艦が入ってくるときのいきさつで、村田さんもあのときからずっと続けてやっておられますが、愛知さんと私だいぶ長時間安全性の問題で論議したことがあります。そういう意味で国際条約のたてまえからする海上における人命の安全に関する条約的なものもございますし、もう一つは国内の原子力基本法的なものの中における原子炉安全専門審査会その他の関係もございます。それらのほうは、聞くところによると、四月三日に安全審査を申請しておられるように聞いておりますけれども、こちら側のほうの取り扱いはどういうふうに進んでいるか。原子炉等規制法との関係その他少し要点をひとつ明らかにしていただきたい。
  55. 村田浩

    ○村田政府委員 御指摘のとおり、原子力船開発事業団のほうから、原子力船そのものの設計につきまして安全審査を申請してきておりまして、四月から原子力委員会の安全専門審査会にかけまして審査を開始いたしております。まだその審査は作業の途中でございます。ただ、現在審査いたしておりますのは、船体、原子炉等船自体についてでございまして、実際に安全審査を完了するためには、ただいま問題になっておりますサービスサイトというものの場所における安全性の評価ということも行なわれなければならないわけでございます。
  56. 大出俊

    大出委員 そうしますと、この四月三日に審査の請求が出て、安全専門審査会といいますか、ここで今日審査をやっている過程だという点も、これは明らかにしていいわけですね。  そこで次の問題は、核燃料を持ち込むわけですが、いまの原子力船開発事業団のほうの計画として、どういう形で持ち込んで安全の保障をしながらやっていこうと考えておられるのか。かつまた、サービスサイト横浜に限らず、どこになるにしても、その場合に廃棄物の廃棄あるいは燃料交換その他に伴う問題がもう一つ出てくるわけですが、そこのところをどういうふうに計画を立てておられるのか、概略のところをひとつ明らかにしていただきたいのであります。
  57. 村田浩

    ○村田政府委員 サービスサイトが、事業団が希望するがごとく、地元との御了解が得られまして定まりましたならば、事業団のほうからあらためてその点につきましての追加申請がなされる予定なんであります。その追加申請がなされましてから、安全専門審査会でサービスサイトとの関連における安全性の審査が始まるわけでございまして、その安全審査の中には、ただいま大出先生御指摘のように、この場所において原子炉を積み込み、燃料を積み込み、性能試験をする、そういった過程における安全性についての評価並びに先々、消費燃料取りかえ、廃棄物処理をするというようなことも含めましての安全性の審査等も行なうことに相なるわけであります。
  58. 大出俊

    大出委員 ということになりますと、手続的にひとつ承りたいのですけれども、まず運輸省の建設許可が要るわけですね。それから、この船は特殊な船でございますから、船体、原子炉ともに安全専門審査会の議を経る、こういうかっこうになるのだろうと思うのですが、そこから先、つまりその結果として文書か何かで原子力委員会に専門審査会からものが上がってまいりまして、今度は原子力委員会の取り扱いとしては、それをだれに一体答申をするのでありますか。
  59. 村田浩

    ○村田政府委員 船でございますから、運輸省のほうの許可が必要なわけでありますが、安全性に関しましては、運輸省のほうの安全審査と原子力委員会で行ないます安全審査とを、事務的には並行して行なうという形をとっております。したがいまして、原子力委員会のほうの安全審査が行なわれた後に、また別途安全審査を行なうということは、手続的にはございません。安全専門審査会のほうから結論が出ましたときに、そのことは当然原子力委員会答申されるわけでございますが、原子力委員会では、サービスサイトを含めまして専門審査会の安全審査についての内容をもう一度委員会としてチェックし、さらにそれ以外の点におきまして、規制法に定めるところの許可基準に合致しているかどうかということを評価して、その結果よろしいということであれば、総理大臣に対して答申いたすわけであります。その際に、安全性以外でいろいろ検討いたします事項としましては、たとえばこの船の運航者がこの船を安全に運航するに必要な技術的能力を持っておるかどうか、つまり原子力船開発事業団にこれを運航させるにふさわしい人材あるいはその他の機能が備わっておるかどうかということ、それからまた、この事業団は特殊法人でございますから、特に問題はないと思いますが、これを運航するにあたっての経営的な基盤があるかどうかというような点につきましても検討いたしまして、その結果を総理大臣答申をする、こういう手順になっております。
  60. 大出俊

    大出委員 ここで確かめておきたいのですが、五十五億六千七百万というのは、サービスサイトその他を含めていないのではないかと私は思うわけであります。そうしますと、いまのような手続その他一切やっていかなければならぬ、そういう意味サービスサイトも必要であるというこうになりますと、金は一体総額どのくらいかかるのですか。
  61. 村田浩

    ○村田政府委員 御指摘のとおり、ただいまの五十五億六千七百万円は、原子炉を含めまして船自体の価格でありまして、そのほかにただいまのサービスサイト、これが、将来建設します施設等を含め、大体十七億数千万程度かかると見込んでおります。それから、建造費の中には、中に入れます燃料の費用が入っておりませんから、燃料の費用がさらに四億五千万程度必要と見ております。そのほか乗員の訓練費その他一般管理費等含めまして、総額で四十六年度までに約百八億かかるものと予定しております。
  62. 大出俊

    大出委員 百八億かけて特殊なものを運ぶ、こういうことなんですがね。これは、道楽というわけではないのですが、ずいぶんえらいことになると思うのですが、とにかくここでもう一つだけ技術的な問題を聞いておきたいのですが、原子炉設置の許可は、規制法二十三条だったと思いますけれども、それから規制法の二十八、九条の施設検査あるいは性能検査というようなものがありますね。これら規制法に基づいて、両方にまたがるわけですね。つまりサービスサイトのほうも含めてこの条文が生きている。これがポイントになりますね。大体その結論が出るのは、予定といたしましていつごろになりますか。
  63. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの施設検査等は、工事に取りかかりまして、工事の途中において随時行なわれるものでございますので、その結果、この工事の施行の工法の変更を命ずるというようなことになりますと、全体のプログラムがそれだけ影響を受けるわけでございますが、工事施行方法の認可をいたしまして、その線に沿って、十分安全上問題のないように工事が進められておるかどうかということを、施工検査でやっていくわけでございます。この点も、科学技術庁運輸省とが共同して行なうことでございます。したがいまして、ただいま申し上げました四十六年中に完成というのは、そのような施工検査が順調に進んだときという前提での予定でございます。
  64. 大出俊

    大出委員 ところで、ここで長官一つ承っておきたいのですが、先ほどのお話からいけば、事業団のほうで幾つか場所を調べたけれども横浜が最適であるという結論を持っておられるように承るわけですが、その点について、科学技術庁として長官はどうお考えになっておりますか。
  65. 二階堂進

    二階堂国務大臣 このサービスサイトの問題につきましては、先ほどから局長がお答えいたしておりまするとおり、安全性の問題が一番大事な問題でございます。それと関連いたしまして、地元住民の反対が非常に強いというところに押し切ってつくられるものではございませんし、その地元の住民、市長なり市議会なり市民なりが納得して、よかろうということにならなければいけないわけでございます。そこでそういう話し合いとか、あるいは手続上のことにつきましては、これから事業団のほうでおやりになる、こういうことでございますが、二十カ所もあっちこっちさがした——私はどこどこをおさがしになったかということについては聞き漏らしておりますけれども、ここが一番よかろう、こういうことの御判断であるようでございます。このことについては、いま私が申し上げましたとおり、たとえば原子力発電所をつくる場合にも、地元の方々からいろいろな苦情が出ておるところもありますし、またあるところは喜んで来てくれというところもありまして、一県に二カ所もつくっておるところもあるようでありますが、そういうこと等もございますので、そういうことを十分考慮されて、ここが一番適当なところであろう、こういうふうにおきめになったと思っておりますので、先ほどから申し上げますとおり、もし地元の方々の御納得を得て、手続上間違いがないということになるならば、そこが一番いいのではないかと、いまは考えております。
  66. 大出俊

    大出委員 これは横須賀の久里浜なんということも一応あって、検討したという過程を私ちょっと聞いておりますけれども、いま長官が言われたこと、まことに穏当なお答えだと思っておりますが、地元がいろいろな意味の不安——これは核アレルギーという意味ではないのでありますが、いまの世の中で、規制法その他ありますけれども、これは絶対に安全性を確保できるのだと科学的に断定し得るものではなくて、非常に船舶航行の激しいところですから、衝突なんかということもあり得るわけです。ついけさの新聞にも大きな事故が起こっておりますが、何が起こるかわからないわけでありまして、いかなる防護装置をこしらえてありましても、人間がやることでありますから、一つ間違えばえらいことになる、こういう不安は抜け切れないわけであります。そういう意味で地元が賛成しがたいということになった場合に、無理はなさらぬ、こういうふうにいまの御答弁では聞こえるわけでありますが、そこで問題は、原子力船開発事業団としては、ということをおっしゃっておられる。つまり原子力船開発事業団がこれから地元を説得したり云々するのだ、こういうお話だった。科学技術庁長官という立場で直接おやりになるというようなことは、お考えになっていないわけですな。あくまでこれは原子力船開発事業団がおやりになる、こういう理解でよろしゅうございますか。
  67. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま私のほうから、ぜひともここにきめてくれ、そのための協力をしてくれということを積極的にやる考えはございません。これは、先ほどから申し上げますとおり、事業団が主体になっていろいろ話し合いをするわけでございます。また、事業団のほうから、しかるべき当局とか、方々に協力方の要請がございますれば、これは当然私のほうも協力いたしたいと考えております。
  68. 大出俊

    大出委員 予算委員会からの通知がきておるようですが、実はこれから先がだいぶ問題の多いところになるのであります。というのは、外務省の方がお見えになっておられませんしするので、的確なところを聞けないと思うのでありますが、サバンナ号が日本に寄港するということであったのを、相互に多少行き違いみたいな点があってとりやめたということになっているわけですが、この問題をめぐりましても、いろいろ実は私も調べてみましたし、論議もしてみたわけであります。サバンナ号ができてからの、各外国の港に寄港している、かつまた、たいへん採算がとれないという事情、それから日本の側から多少サバンナ号自体の安全性の確認的なことをおやりになった事情、いろいろあるわけでありまして、それに対する私の考え方、これも実は申し上げておる時間がなくなったわけであります。したがって、時間のことでございますので、ひとつ次のときにもう少し承りたい点もございますので、その点を御配慮いただく前提で、一つだけ、サバンナ号が日本寄港をとりやめた、皆さんの側で考えておられる理由——外務省その他の方がおいでになりませんから、論争は私あらためていたしますけれども、その理由について、ひとつ簡単にお答えおきいただきたいと思います。
  69. 村田浩

    ○村田政府委員 先生御承知のとおり、サバンナ号が一九六二年から動くようになりまして、今日までずっとヨーロッパ諸国、十二カ国を訪問航海しておるわけでありますが、いずれ極東方面にも来るだろう、こういう予想は前々からいたしておりまして、そのための規制法の改正等も一昨年行なったわけであります。もっとも、その規制法改正を行ないますにあたっては、先ほど御指摘ございました一九六〇年の海上人命安全条約が発効するという事態に備えての国内法の整備という立場で行なったわけであります。その際に、海上人命安全条約に定められております原子力船の安全性の問題、これを法律の中に取り入れまして、そうして実際には同じように安全審査をいたすわけでございますが、その際に提出される資料等は、海上人命安全条約に定められた安全説明書というものの提出を求めることになっております。これにつきましては、実はサバンナの運航者から相当以前に技術資料を送ってきております。で、私どもそういうものを、わが国の原子力第一船の建造計画もございますので、いろいろ利用して関係者は勉強してまいったわけでございますが、先般、三月の十三日でございましたか、このサバンナ運航委託を受けておりますファースト社という会社から、わが国水域への立ち入り許可の申請が正式になされたわけです。これはもちろん総理大臣あてになされたわけでございまして、規制法の定めるところに従い原子力委員会諮問され、原子力委員会では、直ちに原子炉安全専門審査会に安全審査を依頼された。三月の十七日であったと思います。その後、原子炉安全専門審査会で約一カ月の間に非常に熱心に、かつ慎重に、送られました技術資料を審査しまして、その結果、距離等についての若干の条件を付しておりますが、安全性については問題ない、こういう答申を原子力委員会になされたわけであります。そこで、先ほど申し上げましたように、原子力委員会ではその安全性について、原子炉安全専門審査会の見解を一応再チェックいたしますが、あわせて運航者の技術的能力あるいは経済的能力というもの、並びに原子力商船の場合には、これは国際間を動くものでございますから、もう一つ原子力関係の特色でございます万一の原子力損害の際における賠償措置、これについての国際約束というものが取りかわされておる。この内容が、原子力損害がかりに起こりました際にも、それを措置するに足る国際約束であること、このことの確認を原子力委員会がされる、こういうことになっておるわけでございます。そこで、この申請がありますと同時に、外務省を通じまして、米国側、これは米国政府でございますが、これに必要な国際約束の折衝をしていただいたわけでありますが、その結果、だいぶ経緯がございましたけれども、途中省略いたしますが、米国側としましては、私どものほうで原子力委員会にも御相談しまして、こういった条項を盛り込んでほしいという国際約束の案に対しまして、いま直ちにそれを調印することは困難である。その理由は、米国政府としては、その中に米国議会の承認を得なくてはならぬことが入っておるということで、直ちに調印することは不可能である。ということは、この国際約束というものは、いわゆる行攻べースでの協定という形では結べないということが明らかになりました。他方、米国政府がこれを入れては困るという条項は、わが国の原子力損害賠償法に定めますプリンシプルからしますと、わが国政府としてはぜひ入れてほしいということでございましたので、協議は結局不調に終わりました。その結果、原子力委員会としましても、現在、日米間でこれならよろしいというところまできておるものでは足りると見られないということに相なるわけでございまして、残念ながら安全性の点では一応よろしいということであったわけでございますが、損害賠償措置のほうで条件が相整わなかった、こういうような次第でございます。
  70. 大出俊

    大出委員 時間の関係でやめますが、長官、事が事だけに、またパイオニア的なことについては、とかくいろいろな問題が起こるわけでありますから、したがって、先ほどお答えをいただきましたように、地元が賛成しかねるという場合に、どうしてもあそこがいいのだからというような御無理は、私はなさらぬでいただきたいと思うわけでありますが、これからどういう努力を原子力船開発事業団が行なうかという点等はわかりませんが、かつまた、冒頭に申し上げましたように、あの地域というのは、埠頭その他をつくる予定地域でございまして、埋め立てがうんとおくれましたから、たいへん急いで待っている方々が非常に多い地域でございますから、そういう点等も別な大きな理由としてありますので、その点は、ひとつ十分御配慮の上でお進めいただきたいと思うわけであります。  時間の関係で、以上で終わります。
  71. 關谷勝利

    關谷委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時十二分開議
  72. 關谷勝利

    關谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案、及び在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。稻村隆一君。
  73. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 外務大臣にお尋ねしたいのですが、去る四月の二十四日、ロギノフソ連民間航空相が福永官房長官、三木外務大臣、大橋運輸大臣を訪問して、ソ連は新潟——ハバロフスク間の旅客機のローカル線を開設してもよろしい、こういうことを言っているのですが、それは事実でありますか。
  74. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 事実でございます。
  75. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それに対していろいろ新聞等に伝えられておりますが、政府のお考えはいかがですか、外務大臣のお考えは。
  76. 三木武夫

    ○三木国務大臣 最初からこの路線は話があったのです。しかし、航空路の設置というのは、首府対首府でやるべきである、これが一応ノーマルな状態になってから、ローカル線はやるとすればやるという方針でやってきておったわけです。そういうことで、従来、この話は前からあったのですが、取り合ってはいなかったのです。今度はこういう申し出があったことは御指摘のようでありますから検討を各省でしょうとは思っています。しかし、まだモスクワと東京が完全でないのですからね。ほんとうの、日本が完全な形で航空路ができたというわけでない。二年ぐらいの間はソ連の飛行機でやらなければならぬ。そういうことともにらみ合わせて、今後各省間で検討いたしたいと思っております。いまどうだという結論は、御質問を受けましても、まだ何とも申し上げられるだけの検討が済んでいないというのが現状でございます。
  77. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 このローカル線は、日本の国内から非常に方々から希望がありまして、これは運輸省関係ですけれども、現に航空路の許可申請、免許申請が出ているのですね。そういうわけで、向こうとしてはやはり日本の国内にそういう意見があるし、やっても損はない、ソ連のほうでも損はないということで、そういう意思表示をしたと私は思うのですよ。ただ、それは私は率直に受け取っていいと思うのです。ところが、いま大臣は検討中だと答えておりますけれども、二十四日、朝日新聞によりますと、牛場外務次官は、この人はいつでも——やはり外務次官が言えば日本の外交を代表するものだと思っておりますよ。モンゴルの代表が来ているときに、モンゴルの代表がまだいるときに、モンゴルと国交を回復しても日本に何の利益はないなんというふうなことを言っている。普通なら、これは外交儀礼に反する非常識な言い方なんですよ。同じようにやはり二十四日、これはうそじゃないと思うのですが、二十五日の朝日新聞に出ておる。記者会見で、ローカル線については新潟——ハバロフスクについてはソ連側と話し合う意思はない、こういうことを言っているのですが、これは一体外務省運輸省と話し合ってこういうことになったのですか。それとも大臣の指示のもとにこういう意見を発表したのですか。
  78. 三木武夫

    ○三木国務大臣 まだ日本の各省間の検討中ですから、牛場君の言うように、ソ連と話し合いをするような段階でいまはないのです。この問題は、いま言ったように、ローカル線というものに対しては、まだ本線のほうが完全でないときに、いろいろローカル線をやることはどうかという考えが、政府にあるわけですね。だから、日本の政府内の話し合いというものは、まだこれを詰めなければソ連と交渉という段階ではない。それを、牛場君正直者ですから、だからついソ連といま交渉する気持ちはないというのは、途中を略しておるのです。そういうことでございます。
  79. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 そういう正直者は全く困るですね、外務次官というものは、非常に重要な責任を持っているのですから。これは意思はない、こう言っている。そんなこと言う必要はないです。これはとくと検討してみたいと思うぐらいならいいけれども、意思はない、こう言っておる。越権ですよ、あの人はいつでも。アメリカに対してはこんなことは言わぬだろうと思う。実際これはいかぬと私は思うのです。常識上考えて、いま共同運航をやっているのだから、共同運航をやっていても、これと並行してローカル線の開設に対して検討してやってもかまわないと思っているのです。これはいま大臣の言うように矛盾しないと思うのです。矛盾する理由は何もありません。これは何か障害があるのですか。共同運航がいわゆる自主運航になるという話もあるのだから、それに対して障害でもあると、こういうのですか。
  80. 三木武夫

    ○三木国務大臣 障害というよりも、これはほかの国でもちょっとそういううわさが出た場合もあるのですね。しかし、どうしてもやっぱり航空路というものは、首都対首都の航空路というものが完全になって、そしてローカル線に手をつけるのが、私は順序だと思うのです。だから、モスクワと東京との間の完全な運航ができるようになれば、こういうローカル線というものは十分検討してもいいのではないか。それがまだ完全にいかないのに、ローカル線をいろいろふやすことが、航空政策上どうであろうかという考えが日本の政府にあるわけです。しかし、そういうふうなソ連の申し出もあったんですから、もう一ぺん各省間で検討してみなければいかぬということで検討をいたしておる段階ですとお答えをしたわけです。基本にはそういう考えがあるのですよ。
  81. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 どうもしかし大臣答弁がおじょうずだからあれだけれども、実際そんなことは共同運航をいまやっているんだから、それがいずれも自主運航するというのでしょう、完全な状態にするということは。それまでローカル線をやらぬほうがよろしい、やるかどうか検討しよう、こういうのでしょう。そんなことは少しも必要はないだろう、日本のために利益になれば。外交上かえってわれわれはいいだろうと思うので、何もソ連がそれによって私は自主運航をやめるとか、あるは東京——モスクワ間の運航にソ連が支障を来たすようなことを、特にそのローカル線をやったからといってそういうことに反対する、それをこわすというふうな事情にはならないだろうと思うのです。そんなことはないだろうと思うのです。私は、一応やはりローカル線をやったほうがいいんじゃないか、ちっとも差しつかえないと思うのですね。これはおかしいと思うのですよ。
  82. 三木武夫

    ○三木国務大臣 検討をいたす、こういうことを申し上げたので、全然だめだとお答えをしておるわけではないのですが、まあこれは順序としては自主運航をやり、もっと回数をふやしたらいいですね。これはやはり少ないですからね。そういうメインルートというものをもっとしっかりして、それで枝葉にいくというのが順序じゃないかなという気はしておるわけです。しかし検討はいたします。
  83. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 これは見解の相違ですけれども、私は、いまの段階でやはりローカル線はすぐやったほうがいいだろうと思うのです。  そこでお尋ねいたしますが、二年後には、あなたもお考えになっているように、完全な自主運航ができるような見通しがあるわけですか。
  84. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この間も航空大臣が見えまして、私は、何もシベリア上空を飛んだからといったって、人間人工衛星が飛び回っているときに、軍事的秘密もないだろう、それでもう二年後は自主運航ができるように、ソ連のほうもそれはやってもらわなきゃ困る。向こうは、何かレーダーとか何か、そういう地上設備というものもやはり飛行機に合わせてやらなきやならぬので、そういう準備もかかるんだ——私は軍事的な理由に重点があるのかと思って、いまごろになってきてそんな秘密も何もないだろうと言ったら、いやそういうことよりも、いま言ったような地上設備なんかもいろいろやらなきやならぬということを言っていました。これはわれわれもそういうことを期待しまして、この間も航空大臣のときにも念を押して言ったわけですよ。これは相手があることですからね。おまえ必ずここで二年後にそういう約束をできるかといっても、相手がありますから、これはここでそのとおりになりますとは言えませんが、われわれはもうそういうふうになるものだという期待を持っておるものでございます。
  85. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 私、三年前にソ連に行ったときに、この問題を向こうの当局と話をしたのですが、それから私の考えたことは、これは実際問題としてなかなか自主運営はむずかしいと思うのですよ。実際業務協定を見ても、二年後には自主運営をやるというような協定は何一つありませんね。ありますか。
  86. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 合意議事録に、日本国政府の代表者は、両締約国の指定航空企業がそれぞれの航空機及び乗り組み員によって行なわれ、相互の運営の意向をできるだけすみやかに、暫定運航の開始後約二年以内に実現することを強く希望し、ソビエト連邦政府の代表者はこれを了承した、こういうことがうたわれておるわけでございます。
  87. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それは、ソビエト連邦の代表者は、日本国政府の代表者の強い希望を了承した、こういうのです。自主運航を承知するというようなことは、何も書いてない。外務次官あたりは、これは自主運航に害があるから、ローカル線はこの際やらぬほうがいいと盛んに新聞なんかにあれしておるけれども、これは何も約束していない。いま大臣は言われましたけれども、私が向こうへ行って感じたことは、御存じのように、ソ連は、軍の人事権は党が握っていることははっきりしていますよ。ところが、軍事上の問題になると、軍は他の容喙を絶対に許さないのです。これは率直にいって、日本の昔の軍部と同じなんです。これは向こうの外務省の連中が言っているのです。たとえば、福永官房長官が一番よく知っています。福永官房長官が初めてソ連に飛行機で行くときに、外務省はシベリアを通っていくことをいいじゃないかと賛成した。ところが、軍が強硬に反対して、シベリア上空を通らないで、カラチか何かを通ってソ連に入ったのでしょう。だから、あなたの言うとおり、いまの時代に、人工衛星もできているのだから、秘密なんかあろうはずはないのだが、ソ連の軍部というものは非常にがんこなんです。それで、外国の飛行機がウラル地帯の軍事機密のあるところを通ることに絶対に反対している。これは周知の事実です。日本の新聞記者に聞いてごらんなさい。向こうにいる新聞記者は、よく知っています。そういう状態ですから、自主運航というものは簡単にいくものじゃない。かりに自主運航の過程に——われわれはあくまでもこれはがんばらなければいかぬ。強硬にがんばるのは当然ですよ。しかし、同時に向こうの国内事情も考えなければ、外交にならぬ。しかし、だからといって新潟とハバロフスクの間のローカル線は、自主運航には何ら害はないと思うのです。それほどがんばるのは、一つの観念論だと思うのでです。そういう点で、まじめに外務省考えてもらいたい。この間、稲葉議員が予算委員会の分科会で大橋運輸大臣質問しておりますが、ちょっと外務省と違った考え方を持っておる。柔軟な考えを持っておる。外務省はこういうふうに盛んに反対するが、それはどういうわけか、どこに原因があるか。これは日航の連中が反対しているのです。大体国家予算をもらって、公の金で仕事をしている日航あたりが、いろいろなことで陰で自分の発言をして、外務省運輸省を引きずるということは、もってのほかです。それは政府指導すべきものです。これはずいぶん前から日航が反対しているのは、明瞭な事実です。まだ共同運航ができない前に、ハバロフスク——新潟の問題がしばしば問題になったときに、日航が反対しております。それに外務省が引きずられているというのが、現状なんです。そういう点は間違いないでしょう。三木さんは御存じだと思うのです。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  88. 三木武夫

    ○三木国務大臣 稻村さんに申し上げておきたいのは、一日航に外務省が引っぱられる、そんなことはありません。日航はそんな大きな存在ではないです。それは絶対にない。それはいろいろ全体の航空政策の上から、運輸省ともそういう——運輸省が柔軟性のある考え方を持っておるとするならば、われわれと協議する場合でも、各省間で話し合うのですから、いろいろ話が出てくるでしょうが、そういうような日航ということではないのです。また、自主運航ができぬではないか、こう言われますが、(稻村(隆)委員「できぬじゃない、なかなかむずかしいというのだ」と呼ぶ)むずかしいと言われますが、それはソ連は約束はしてないですよ。しかし、日本の強い希望を了承したということは、何か手がかりになることは事実ですよ。だから、稻村さんも一緒になって、こいつを手がかりにして、やはりあれを完全な運航にして、もっと回数もふやしたらいいと思うのです。これは一番欧州への近道ですから、そういうことで、約束ではないけれども、これは外交交渉の大きな手がかりにして、こっちからやいやい言って、そういうふうなことを実現するように努力すれば、不可能だとは言えぬですから、努力をしたいと考えております。
  89. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 私は、むずかしいが、絶対に不可能とは言えぬけれども——あるいは言えるかもしれぬですよ。ローカル線をやったってちっとも差しつかえないじゃないですか。差しつかえるのはおかしいので、これは日航の反対がありますよ。私は、当時日航に行ったのですけれども、そうしたら課長みたいなのが、国家百年の大計で絶対反対だと言う。外務着へ行ったら同じことを言っている。当時の日記を持ってこないからわからぬけれども、同じことを言っている。国家百年の大計という立場から反対だなんて、まるで矛盾しているのです。そんなことを一企業会社の課長が言っているのは、これは実際上日航は反対なんです。これはローカル線は自分がやれないから、こういう考えなんです。日航にやらしたらいいじゃないですか。日航はローカル線をやれるでしょう。やれませんか。これは条約局長に聞きます。
  90. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 日航がどうかということは、私は全然存じません。それから先ほどお話がありましたが、運輸省等が前向きで、外務省が消極的だというようなこともないのでありまして、両方で検討中でございます。
  91. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 私は、日航はやはりいろいろな国際的な航空協定に入っているのですから、だから日航がローカル線をやれるかどうかということです。私が聞いているのは、法律的にやれないですかということです。
  92. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私どもが承知している限りでは、そういう制約を受けているということはないと存じます。
  93. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 制約はないのですか。
  94. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私どもは承知いたしておりません。
  95. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それなら、これはあなた方いろいろ言うけれども、これは日航が非常に敏感で、ローカル線に対しては日航は終始一貫反対しているのだ。そんなことは知らぬとかなんとか言うけれども、日航にやらしたらいいのです。国際協定に入っていて不可能なら、日航に別会社をつくってやらしたらいい。この問題は片づくのです。いろいろな政治的な動きがあるのだから……。  それから私はさらに申し上げたいのは、最初高碕達之助さんが生きているとき、あの当時は直行線はだめだった。それは大臣も御存じでしょう。そこで高碕さんがいろいろ民間使節で交渉したのです。これは高碕さんに直接聞いている。初めソ連が一対一から一対三まで、高碕さんが生きているときに譲っている。それが一対五に譲っている。つまりこっちが五往復やれば向こうは一往復でいい。これをやらなければ日本のために損じゃないか。そのときはソ連はまだ東京−モスクワの直航線をやる意思はなかったから、それだからそれまで譲歩したのかもしれないけれども、それで譲歩しておったわけなんです。いまでもこれは生きていると思うのです。そこで私は、日本の利益からいって、いまの共同運航は、直接ローカル線をやれば客は減りますよ。それはそうでしょう。運賃を見てごらんなさい。ソ連は国際的な協定に入っていないから、非常に安いわけなんだ。いま日航がチャーターでやっているものは、一等でもって三十一万五千円かかる。それから二等でもって十九万三千九百円たしかかかる。ところがローカル線を利用すると、新潟だったか東京だったか忘れたが、東京だと思うのですが、東京からハバロフスクに寄って、さらにハバロフスクに降りてモスクワに行こうと思えば、七万円で済むのです。そうすれば、利用客が非常に多くなるわけなんです。これは私は採算がとれるかどうかわからぬが、採算はとれると思うのです。そうなれば、外国人だってみなこのローカル線を利用しますよ。そうなれば、こっちの直航線のほうはお客は減るからなかなかあれだけれども、どうせ赤字なんだから、国の金でやっているのだから、そういう点はローカル線を日航にやらせればいいのです。そうすれば問題は片づく。それはこういうふうな経済的な利益もあるし、しかも裏日本というものは表日本と格差があるのだから……。そうすれば、安いからヨーロッパへ行く者もどんどん利用するから、お客さんはふえるし、一方直航線は赤字でも、一方は黒字になるかもしれぬ。しかし、ふえるから、裏日本が表日本になるのです。特に今度貿易問題、漁業問題でいろいろ裏日本との関係が密接であるときに、それは非常に日本の経済的利益になると思うのです。これをやらないとかいうのはおかしいのだ。こんなことは、外務省人たちはだれでも知っていますよ。三木さんだって知っていらっしゃると思うのですよ。こういう点はどうですか。こういう点をやらないということは実際おかしいのだ。日本の利益になって、しかも裏日本が繁栄をする。私は、自主運航などは、ローカル線を許したって、将来の自主運航に何にも障害になるようなことはないだろうと思っている。この点どうお考えですか。
  96. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはいま言ったように、各省間で検討しようと考えておる問題でございますから、稻村さんが非常に御熱心にこれを開設せよという御希望のあったことも頭に体しまして、今後各省間で検討をいたすことにいたします。
  97. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 そういうことは、もう検討も何もないのです。わかっているはずですよ。そんなことがあなた、おわかりにならぬはずはないのですよ。やる気がないのですわ。いろいろな問題でやる気がないから、そんなことを言う。牛場外務次官がああいうきつい発言をして、協議に入る意思が全然ないと言ったが、これは実際上やる気がないのだ。そんなことはわかっているのだから、これから検討してみるというのは言いのがれなんだ。やる気がないんじゃないですか。ほんとうにやる気があるのですか。利益があるのだから、前向きにやったらいいでしょう。私の言っていることは間違いないでしょう。三十一万五千円もかかるのを七万円で行けるのだ。しかもそれをやらぬという手はないでしょう。一対五で、しかもソ連はこれをここでひっこめるというようなことはあり得るのですか。そんなばかなことはないじゃないですか。
  98. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはこういう点もあるのですね。枝葉のほうが非常に盛んになって、メインルートのほうが——東京−モスクワというのはメインルートですからね。これは枝葉のほうが、こちらのほうから行くようになって、メインルートというものに非常に大きな影響を及ぼすということも、航空政策上いろいろ考える点があるのですよ。そういうことで、これはいま裏日本の人にみな便利になるじゃないか、すぐやれ、こう言われますけれども、国全体としてはいろいろ考えなければならぬ点もございますから、ここでいろいろ御熱心な御質問を受けても、いたしますという答弁は、きょうのところはできないのですよ。今後、これは御熱心な御要望のあったことも頭に入れて、この問題は外務省だけの一存にもまいりませんから、各省間で検討させていただくことにいたします。
  99. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 三木さんは非常に答弁がうまいですから、われわれ質問はきわめてへたなんで、つかみどころがないのですが、しかし日本の国益になるんですよ。日本の国の利益になるのです。明瞭です。裏日本が栄えるし、それからハバロフスクに用事がある人は実際多いのです。だから、こっちのほうのモスクワに直航する人は、役人であるとか損得を言わない人とか、一日も早くモスクワに行かなければならぬとか、あるいはヨーロッパへ行かなければならぬという人が利用するでしょう。しかし、商売人とかそういうものは、これは何たってハバロフスクに寄らなければいかぬですよ。モスクワまで行ってハバロフスクに戻るなんというのは、あれですからね。そういうわけで、これは国の利益になろうと思うので、検討も何もする必要はないだろうと思う。そんなことを、ぼくはどうもあなたは言いのがれだけ言っていると思うです。何か陰にあるのですよ。日航の反対か、あるいは何か政治的な圧力か、外交上何かある。あなたの御答弁はうまいこと、何か奥歯にもののはさまったようなことを言っている。はっきりものを言いなさいよ。そんなことはっきりわかるじゃないですか。
  100. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私が稻村さんに申し上げておきたいのは、だれも圧力はないのですよ。モスクワ−東京間航空路ができているのですから、ローカル線をつくることに圧力があるわけはないし、また日航といったって、そんな力はありませんよ。日本政府を動かすような力はないので、ただしかし航空政策上の配慮ということでしょうね。それだけのことで、だからこれは外務省だけの一存にもいかない。運輸省のいろいろな意見も聞かなければならぬし、そうことで相談をしたいと思うのですよ。だから、永久にローカル線はいかぬというわけではないのです。結局は時期というものでしょうね。そういうことで、やはりこれは言いのがれのための検討——よく検討検討と政府は言いますけれども、この場合は言いのがればかりではない。やはり将来、ソ連に限らず、いろいろそういうふうなことも起こってくると思いますよ。だから、こういうローカル線の開設というものを航空政策上国益に照らしてどう考えるかということは、やはり初めてのケースですから、だからそういう点で十分検討をいたします。言いのがれの弁にあらずということをつけ加えておきます。
  101. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それでは、向こうから言ってきているのだから、向こうのほうがやりましょうとわざわざ言っているのですから、ほんとうに早急に検討しますか、そのうちに、そのうちになんて言わないで。
  102. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは必ずしも検討の結果イエスだということではないかもしれませんが、早急に検討をいたします。
  103. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 二年後にもしソ連が自主運営を承知しなかったら、あの業務協定はどうするつもりですか。承知しないかもしれませんよ。その場合はどうします。
  104. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私、あまり国際関係を仮定を置いて考えると、混乱が起こると思うのですよ。こうしなかったらどうする、そういうふうに仮定をいろいろあまり考えておると、かえって何か物事の混乱が起こりますから、合意議事録をたてにとってひとつやろうじゃないかということで、極力自主運営をやるように努力をしないと、国会質疑でもうあきらめて、できぬ場合にはどうだという論議があるということは、外交交渉の上においても迫力を欠きますから、仮定の御質問はごかんべんを願います。
  105. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それはこの前——ぼくはきょう資料を持ってこないので、はなはだこっちの手落ちだけれども、これは私のところにあるのですよ。この前、外務省のだれかが、二年後に自主運営ができなければ協定を破棄すると言っているのです。実はきょう資料を持ってくるのを忘れてしまったので、あとで持ってきますが、だれだったか、これは言っているのだ。そういう大胆なことを言っているのです。それで私はお尋ねしたのです。あなたはそんなことは言わぬでしょう。かたくななことを言われぬと思うけれども、それだからお尋ねしたのです。そういうことはないですか、だれか言ったはずですが。あとで資料を持ってきます。そういうことはありませんか。絶対にないですね。
  106. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私は、そういう答弁をした記憶はございません。
  107. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 それではまたあとで調べてなにします。  私はもっといろいろお聞きしたいことがあるけれども、このくらいにしてやめますけれども、最後に、私これも三木先生にお聞きしてもなかなかはっきりした答弁を得られないと思うけれども、モンゴルの問題ですが、これはこの前お尋ねしておるけれども、モンゴルのほうでは一日も早く国交を回復をしたい、樹立をしたいと言っている。それを牛場外務次官が、モンゴル代表がいるのに、国交を回復しても日本に何の利益もないなんて言っているのです。あなたにお聞きしたら、いや検討中だ、こう言っているのです。これは検討する必要がありますか。向こうがしたいと言っているのだ。国連に入るとき日本は拍手を贈って承認しているのだから、それを国交を樹立するのにこれから検討するなんというのは、どういうことですか。これは向こうから言ってきている。この間モンゴルの連中が来て、あす全部帰りますが、野党の私に、何とかしてくれないか、政府のほうに話してくれないかといったところで、あなたにお聞きすれば、何だかつかみどころのない御答弁なんですが、これはやったらいいじゃないですか。やらぬ理由は何もないんじゃないですか。国の利益がないといって、どういうように利益がないのですか。おやりにならぬのは、国民政府とのいろいろな関係ですか。検討なんというものじゃないですよ。検討の余地はありませんよ、もう認めているんだから、事実上承認しているんだから。この点いかがですか。
  108. 三木武夫

    ○三木国務大臣 まあ私はこれは接触を続けていって、話し合い——賠償の問題もございます。こういう問題ももう少し話を詰めて、モンゴルの問題というものは、今後とも出先で接触を続けていこうと思っているのです。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕  それは国連のときに日本は賛成をしたわけですから、まあ実際からいえば国連加盟で賛成したのだから、事実上の承認を与えたようなものですから、そういうことで、このモンゴルの問題というものを非常に否定的に私は考えてないのですよ。今後やはり接触を続けて話すべきことは話し合いをして、そうして今後この問題というものを何か処理できる方法はないかということを十分考えたいと思っておるのです。ただ、いまのところはまだすぐに承認ということの段階にまでは——承認というか、国交、外交関係の樹立というところまでは、まだ段階にいきませんが、この問題は、やはりいろいろ接触を通じて考えてみたいと思っておる問題でございます。
  109. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 賠優の問題は、具体的に話し合いをしたことがありますか。外務省のどなたかにちょっとお尋ねしたいと思います。
  110. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 賠償問題の内容にわたって話したことはございません。
  111. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 私は、去年モンゴル革命四十五周年記念日に招待をされたときに、偶然の機会にツェデンバル首相に会ったときに、条件は何かあるかと言ったら、絶対に無条件だと、何度もそう言うのです。日本の新聞記者にも言いました。その意味は、賠償を問題にしないという意味に私はとったのです。というのは、賠償を要求しますか、要求しませんかなんということは、やぶをつついてヘビを出すようなものだから、私はそのことは聞かなったけれども、どうも賠償をとるというふうな考えはないのじゃないか。借款とかなんかは言うかもしらぬ、あそこは人口は少ないが、資源は非常に豊富で、開発されていないのだから。私は、話のしかたによっては、賠償なんというものは要求しないのじゃないか。ところが、外務省のある人が、賠償の話をしたら、賠償のことはあとの問題だとか、賠償を要求するらしいなんてだれかが話したように思っているが、私はそう感じないのです、ツェデンバル氏と会ったときは。これは賠償は要求しないと思いますよ。それから、利益があるかどうかを検討中だというふうなことをいいますけれども、利益がなければ、イギリスやフランスがあそこへ大使を置いておりませんよ。貿易上の利益はあまりないでしょう、人口が少ないですから。人口は何百万しかないのに、国土は日本の四倍あって、資源が非常に豊富なんです。そういうわけで、直接経済上の利益はないと私は思う。何の利益もないという、牛場次官の言うことは、うそだと思うのですよ。いろいろな政治的な利益はありますよ。あそこは一番先端ですから、中共の情報も入るし、ソ連の情報も入るし、それからいろいろな政治上の利益はある。だから、イギリスやフランスはあそこに大使を置いておるのです。各国とも大使を置いているわけです。そういう点を考えれば、私は早急に検討して、やはり正常な国交回復をやるのが——向こうはやりたがっているのだから、向こうは好意を持っているのだから。ソ連の人よりも日本人に好意を持っていると言っていましたよ、パオへ行ったところが。ソ連人よりもよほど日本人のほうに親近感があると言っているのです。同じ顔をしているし、同じ蒙古民族の血が入っていることを知っている。そういうわけだから、そういうところと直接経済上の利益がないからいまやる必要はないということは、これは間違っています。政治上のいろいろな利益があります。それだから、西欧諸国でも大使を送っているのですよ。そういう点、十分、大臣、検討してくださいよ。早急に国交回復したらいいんじゃないですか。ぼくは、何でちゅうちょするか、非常に怪しく思う。その点いかがでしょうか。
  112. 三木武夫

    ○三木国務大臣 稻村さんの御意見は、貴重な御意見だと思います。十分われわれも、国連において日本は加盟に賛成したのですから、はやもうすでにこういうところに一歩前進しておる、事実上の承認といってもいいかもしれません、こういう関係がありますから、いまるるお述べになりました稻村さんの一つの御見解というものは、非常に貴重なものがある。われわれとしても、十分この問題は検討いたしたいと思います。
  113. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 ほめられてもしかたがないのですよ、あなたのほうから早くやると言っていただかないと。貴重な私の意見を参考にする——しませんよ、たいして。だから、やはりぼくは、あなたが前向きにやると言われる——やらない理由は何もないのですから。それは、国民政府の反対か何かでちゅうちょしているのじゃないですか。国民政府は、一体モンゴルの宗主権を要求する権利が国際法上ありますか。どうですか、条約局長さん、何もないでしょう。
  114. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 中華民国は一九五一年でございましたか、モンゴル人民共和国を承認いたしておるのであります。その後五三年にこれを取り消すということを声明したのでございますが、やはり承認というものは取り消し得ざるもの、客観的事態が変われば別でございますけれども、そういうことに一般国際法上はなっております。
  115. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 だから、歴史的にも、事実からいっても、国際法からいっても、宗主権を主張するなんというあれは全然ないのですね。第一、モンゴル革命というのは、国民政府の革命より先なんだから、しかも御存じのように、一たんヤルタ会談のときに、モンゴル人民共和国を承認すると第一条にあるのですから、それを国民政府は認めているのだから。それをいま宗主権を要求するなんということは、荒唐無稽なんです。そういう点を主張して、新聞によると、外務省にモンゴルとの国交回復に反対の申し入れをしたということをはっきりいっているじゃないですか。新聞に書いています。新聞はそううそを書きませんよ。それから牛場次官のごときは、四月十七日、わざわざ国民政府の日本駐在の大使に対して、モンゴルと国交回復する意思はないということを通告している。それも新聞に出ているのですよ。そんな外務次官がありますか。外務省責任ですよ。とんでもない話だ。それは陰で言うことは、これはまあ私はかれこれ言うわけじゃないのだ、わからないように言うのは。モンゴルの外務大臣が帰らぬでいるときに、あんなことを言う外務省がどこにありますか。外交も何も知らないじゃないか、そんなことでは。だから、私は牛場外務次官をやめさせろというのだ。国交回復をしないと言うような、そんな無責任な外務次官はない。冗談じゃない。正直だとあなたは言うけれども、ああいう無軌道な外務次官はやめさせたらいいのですよ。田中政務次官がおるのだから、何もあんな事務次官に外交上の重要な問題を発言させる必要はないのだ。三木大臣の監督は不行き届きですよ。どうですか、その点は、大臣、どうお考えになりますか。
  116. 三木武夫

    ○三木国務大臣 牛場君もあとで私にもいろいろ弁明しておりましたが、いまのところ、ということが新聞記事に落ちておったのですね。そうですよ、稻村さん、ほんとうにそうなんです。いまのところ、というのが新聞には落ちた。彼のコメントは、いまのところと、こういうことであった。また、国民政府に通告するという性質のものではないのですね、通告というようなことはないわけですから。そういう点で牛場君が、まあ現在のところはこれはいろいろまだ多少接触しなければなりませんからね、いまの時点ではということで正直に言ったのでしょうが、牛場君は私の大事な片腕でもあり、田中君と両相まって助けてもらわなければ困るわけでありますから、どうぞ罷免せよなどおっしゃらずにお願いをいたします。
  117. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 どうもああいうふうな軽率な外務事務次官は困るですよ。国民政府に何で通告する必要があるか。それを新聞に何で出す必要があるのですか。黙って通告するなら、われわれは知らぬでおるから、それまでほじくるというわけではないです。外交上の機密があるから。それを何で新聞に出すなんということをやるのですか。これもいろいろ言いのがれするだろうと思うけれども……。
  118. 三木武夫

    ○三木国務大臣 通告なんかする義務は何もないわけですから——何か大使などがいろいろ情報を聞きに来るのですよ。そういうときにいろいろ日本の政府考え方を述べる場合もあって、そういうことは間々あるのですよ。しかし、通告というような性質のものでは、おそらくないと考えております。そういうことで、稻村さんの御意見は、これを前向きに検討せよと、こういうことでございますから、われわれもこの問題は前向きに検討をいたしたいと思っています。
  119. 稻村隆一

    ○稻村(隆)委員 終わります。
  120. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は明十二日午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会