○羽田
委員 私は有線放送電話について、御質問いたしたいのであります。電電公社の幹部にお伺いいたします。
さきの第五十一
国会で、公衆電気通信法及び有線電気通信法の一部を
改正する法律の一部を
改正する
法律案に対する、当逓信
委員会が付した附帯決議が、有線放送電話関係者に複雑な波紋を描いております。すなわち、その決議の第二項には、「有線放送電話については、公衆電気通信業務一元化の基本方針にのっとり、地域の実情に即して、その電話業務は公社電話への移行等を促進し、また放送業務は有線放送
施設者の自営のもとにその健全な発展を期し得るよう措置すること。」というのでありますが、有線放送
施設者は、電話の度数料収入によって経営をしておるのでありまして、放送だけでは経営ができないのであります。その有放の弱みにつけ込むがごとくに公社の農村集団自動電話すなわち農集が精力的に有放の地盤に販売普及を行なっておるために、全国各地で混乱を招いておるのであります。
たとえば群馬県の赤城村の例でありますが、当初村議会では全村有線放送電話を設置するために、許可申請を
郵政大臣に提出する運びになりましたが、四十一年九月ごろから渋川電話局が農集をすすめて、村議及び一部有力者とはかり、村執行者に農集に変更しようとする空気が強まってまいりました。村長及び村
会議員の背信を怒りまして、有放推進者四十名が村役場で四日間のハンストを行ないまして、重大なる社会問題となったのであります。この結果、結局村の大半が有線放送電話の設置をきめたのであります。
また長野県茅野市の金沢農協では、
昭和三十五年十月から五百二十六戸の加入者により有放を運営してきましたが、昨年秋ごろから公社のすすめによりまして、部落の有力者によって農集の普及宣伝が行なわれ、半数以上に及ぶ二百七十戸が有放と二重に農集に加入をいたしまして、四月から開通したのであります。電話料を徴収して有放の
維持費に充てておったが、有放の利用度が少なくなり、電話料金の収入が極度に
減少しましたので、経営が困難となりました。やむなく有放の運営を午前八時から午後五時までに短縮しまして、人件費を削減してようやく経営を続けておるのでありまして、やがてはこれも解消の運命にあるのではないかと村人から心配されておるのでございます。
また茨城県の笠間市では、有放推進者側と農集設置期成同盟会側とが互いに市長候補を立てまして、市長選挙を争いました。結局有放側の市長が勝って、大半が有放に加入しましたが、市民の対立感情が残りまして、その行政に支障を来たしておるのであります。
御承知のごとく、有放の全国
施設数は市町村営によるものが五百二十二
施設、加入戸数が七十六万戸、利用人口が五百万人であります。また農協経営が二千四百六十四
施設、加入戸数が三百四万一尺利用人口が千五百万人であります。その投資総額は実に七百億円に及んでおるのであります。かくしまして、全国農漁山村の約六割が広報連絡機関として、行政の浸透、産業の振興、
教育文化の向上、災害の予防、防除等に、放送と通話を有機的に結合して利用し、いまや農山村、漁村においては新しいなくてはならぬ
施設となっておるのが有放であります。
そこでまず第一にお尋ねをいたしたいのでありますが、有放関係者の間には、公社が附帯決議の第二項をたてにとって、一方的に農集を強行し、電気通信業務の一元化を強行するのではないかとの懸念が相当あるのでございます。私はさようなことはないと信ずるのでありますが、不安を生じておることは事実であります。そこでお伺いいたしたいのでありますが、無用の刺激、摩擦を避けるためにも、有放の既設地域には農集の普及を抑制して、このような
地方には積極的販売を行なうべきではない、こう考えております。これについて電電公
社総裁の御意見を承りたいのであります。