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1967-06-30 第55回国会 衆議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月三十日(金曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 中井徳次郎君 理事 森本  靖君    理事 小沢 貞孝君       小渕 恵三君    加藤 六月君       上林山榮吉君    木部 佳昭君       四宮 久吉君    徳安 實藏君       根本龍太郎君    羽田武嗣郎君      橋本登美三郎君    安宅 常彦君       井手 以誠君    八百板 正君       樋上 新一君    田代 文久君       古内 広雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         郵政政務次官  田澤 吉郎君         郵政大臣官房長 竹下 一記君         郵政省簡易保険         局長      武田  功君         郵政省電波監理         局長      淺野 賢澄君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   三熊 文雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室総         務)      野村 忠夫君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 六月二十九日  集団住宅電話単独加入電話への切換えに関す  る請願井岡大治紹介)(第二〇三一号)  同(井岡大治紹介)(第二一六九号)  同(阪上安太郎紹介)(第二一七〇号)  簡易郵便局法の一部改正に関する請願小山長  規君紹介)(第二一七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別  措置法案内閣提出第八六号)  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一  三七号)      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別措置法案及び放送法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますからこれを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 昨日、放送法に関連をいたしまして、今後の電波放送行政関係について聞いたわけでありますが、残念ながら大臣は勉強しておったのかしておらぬのか、あるいはしておっても言わなかったのか、いろいろ事情はあろうと思いますが、とにかく混線をいたしまして途中で中切れになったわけであります。これでは審議が進みませんので、私のほうは順序立てて質問をしていきたいと考えますから、大臣のほうもひとつ率直にお答え願いたいと思うわけであります。  まず、昨日約一時間半質問をいたしましたが、その中でわかったことが二つだけあるわけであります。それは、新しい電波法放送法改正案については次の通常国会には出したいということと、Uの免許その他については年内に行ないたい、この二点が明らかになっただけでございます。  そこで、来年度に電波法放送法についてはこれを出したいというふうに大臣は言われましたけれども、いまの放送界電波界の状況から見ました場合に、おそらくこれを出すということは非常に困難であろうと私は考えておるわけであります。そうなってまいりますと、現行の放送法電波法においていわゆる免許を行なうということになるとするならば、具体的にどういう順序を経て、どういう政策をもってこれを行なっていくかということがきわめて重要な問題になってくるわけであります。そこで、これは委員会でありますから、個々の問題についてとやかく私は言うわけではございません。ただしかし、Uの問題について、一体これはどうなっていくかということについて順序立てて聞きたいと思います。  まず最初にお聞きしたいことは、きょうは最初から大臣に聞くと、また話が食い違ってはいけませんので、事務当局に聞いておきたいと思いますが、いま問題になっております徳島NHK教育テレビジョン実験についてはどういう成果をあげているのか、これをひとつ御説明願いたい。それからまず聞いていきたいと思いますが、ただ淺野局長は何かからだが悪いようであります。もし悪いようだったら放送部長がかわって答弁していただきたい。さらに申し上げておきたいと思いますが、電波監理局長はなかなか慎重な発言をするので時間が非常にかかりますから、簡にして要を得た答弁をぴしぴしとするようにお願いをしておきたいと思います。
  4. 淺野賢澄

    淺野政府委員 昨年の四月三十日に徳島に、御存じのようにUの大電力予備免許をいたしまして、ただいままで実験をいたしております。大体その結果につきましてはごく近々、場合によっては一両日中に出てくるもの、NHKにおいてまとまるものと考えております。ただ同時に、都市減衰、こういった面は別途電波監理局みずからやっておりますので、これと合わしたものによって、初めて徳島実験の結果がまとまる予定でございます。これは来月の終わり、場合によっては八月の上旬に電波技術審議会答申という形において出てくる、かように相なっております。
  5. 森本靖

    森本委員 かように相なっておりますということでありますが、技術審議会から答申が出てこなければわからぬというふうな答弁でありますが、これはすでに公式には大臣も言っておりますし、それから電波監理審議会委員も言っておりますし、あるいは非公式にそれぞれ議員も言っておるわけでありますので、その内容については一応のめどがわかっておると思うわけであります。その内容について聞いておるわけでありますので、たとえば、出力によりますところの具体的なエリアの問題というふうなことについても御説明を願いたい、こう思うわけです。
  6. 淺野賢澄

    淺野政府委員 現在やっております試験内容でありますが、第三十八チャンネルに当たります六百二十三メガ帯を使いまして、十五キロ二つでありますが、三十キロワットのクライストロンを使用いたしております。その実験内容といたしましては、送信設備関係受信設備関係電波伝播関係、この三つを実験項目といたしております。お話しのように、三十キロのエリアでありますが、現在十キロの分と三十キロの分と二つ試験をいたしておりますが、普通でありますとV帯の一キロにふさわしいエリアを得たいと思いますと、十キロワットの分で大体間に合うのでありますが、大電力実験でございますから、この際三十キロワットのクライストロンを用いまして、両者相まってただいま実験をいたしておるわけでございます。三十キロの場合は、若干丘陵地帯とか、そういった山ぎわ、こういった面におきましてよいカバレージを得ておる次第でございます。ただ空中線利得のとり方が、必ずしも三十キロワットの分に適するようにはなっていないと思いますので、エリアにおきましては、三十キロワットの分におきましてもそうは伸びていない、かように考えております。しかし、実験の結果は、現在のところきわめて順調でございます。
  7. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これはVの一キロとUの十キロとUの三十キロにおいて、いわゆる電波エリア、そういうものについて一体どういうふうに変化があるのか、それからさらに、VとUと比べた場合に、この建設経費というものがどの程度違うのか、これをひとつ事務的にお答えを願いたいと思います。
  8. 淺野賢澄

    淺野政府委員 建設経費におきましては、大体送信関係で三割強、場合によっては五割近いものもございますが、大体三割強のアップ、こういうふうに判断いたしております。これは送信関係でございます。それからエリアの点につきましては、Vで出しております分の大体五分の一から六分の一、場合によっては、場所によりまして十分の一になる場合がありますが、大体五、六分の一、かように判定しております。
  9. 森本靖

    森本委員 五分の一と十分の一とはずいぶん違うわけでありまして、五分の一と六分の一は大体いいのですが、五分の一と十分の一と違うというような変化がありますか。
  10. 淺野賢澄

    淺野政府委員 Vに比べましてUのほうは回折が非常に乏しくなってまいります。したがいまして、純粋の平たんな場所なれば六分の一とか五分の一だと思いますが、若干そこに凹凸が出てまいりました場合には、もう少し伸びが悪くなるというふうなことを、いまの段階におきましては聞いております。これも正式に答申が出てまいりますと、そういった面がはっきりするものと思っております。
  11. 森本靖

    森本委員 そうすると、平たん地域においては五分の一、それから山間その他については十分の一というふうに大体考えていい、こういうことですか。
  12. 淺野賢澄

    淺野政府委員 ただいまのところ、私どもはそういうふうに考えております。
  13. 森本靖

    森本委員 それから、この建設費については三割強のアップ、こういうことですか。
  14. 淺野賢澄

    淺野政府委員 三割強と考えております。
  15. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、このNHKの三十キロについて——いま三十キロについてやっておるというふうに言われましたが、これはクライストロンを十五キロのやつを二つつけてやっておるという形になっておるわけでありますが、日本の現状において、三十キロ、五十キロというようなものが、こういうようないわゆる最低のクライストロン二つ三つ合同して使うということでなしに、単独でこれができ得るというような形に、技術的にできますか。
  16. 淺野賢澄

    淺野政府委員 大体見通しが立っております。
  17. 森本靖

    森本委員 それはどこでつくっておりますか。
  18. 淺野賢澄

    淺野政府委員 NHK三熊技師長が一番詳しいのでありますが、日電でつくっておるようでございます。
  19. 森本靖

    森本委員 それはつくる見込みがありますか。いまどこからか発注しておりますか。
  20. 淺野賢澄

    淺野政府委員 足りません分は、専門的なものは三熊専務にお願いすることにいたしますが、現在発注はないようでありますが、できる見通しは立っておるようであります。
  21. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、現在はまだこれはつくっておりませんけれども、将来そういうものをつくろうとするならばつくる見通しがある、こういうことですね。これは三熊君のほうからでもけっこうですが……。
  22. 三熊文雄

    三熊参考人 ただいまおっしゃいますとおり、現在のところでは日電もつくってはいないのですが、われわれがこの三十キロをやります場合にいろいろ検討しまして、その結果におきましては、日電においてつくる能力が十分あるという段階であったわけです。しかしながら、現実につくっていたのは、東芝がつくっていたものですから、われわれは現実につくっておるものをまず採用した。しかしながら、能力とすれば、日電は十分つくる能力はあると私は思います。
  23. 森本靖

    森本委員 そこで、この徳島実験局を選んだということは、私は、徳島地形を見た場合、先ほどの五分の一と六分の一ということについては、この徳島地形から見た場合にはうなずけるけれども、この三十キロのUの電力局を置くにしては、ちょっと実験局を誤ったのではないかというふうな気がしてしかたがない。要するに、これは平たん地として徳島の周辺と淡路島の近辺、それから若干池田のほうに帯状に伸びるということであって、これが平たん地にどの程度伸びていくかということは、実際的にはなかなかわかりにくい。ただし、これの出てきたデータによって、今後に起こりますところの平たん地帯、そういうものに当てはめてみて考えてみるということになろうかと思いますけれども、徳島実験局をつくったということは、徳島教育テレビジョンをつくらなければならぬということはわれわれは前から主張しておったわけでありますが、これについてはそれは十キロであろうが二十キロであろうがやればいいわけでありますが、この地勢を実験局に選んだということが、はたして実験として適当な地域であるかどうであるかということについては、NHKとしてはどうお考えですか。
  24. 三熊文雄

    三熊参考人 Uの実験局をつくる場合に、いろいろな場所考えたわけです。先ほどお話のありましたとおり、都市におきます減衰及び山陰その他の回折の問題、その両方の試験をするのにいい場所はないかという点も十分考慮し、同時に先ほどの教育テレビの問題も一緒にあわせたわけですが、徳島をとりました場合に、いわゆる都市減衰その他は、吉野川に沿うた流域でもっていわゆる平たんの部分がある程度できる。一方NHKの砧にあります技術研究所におきまして、別途十キロワットのUの電波を出しまして、それにより東京におきます都市減衰というものを別途やっています。その両々相まちまして都市減衰の問題はわかる、こう考えています。一方山陰の問題におきましては、ただいま御指摘のありましたいわゆる鳴門の近所、そういう方向山陰になるものですから、そちらの減衰につきましては、現在調査して、そのデータが近々、二、三日中に出る予定でございます。
  25. 森本靖

    森本委員 東京技研のほうの研究等を待ってといいますが、技研のほうの研究についてはこれは三十キロというふうな形にはならないわけで、だから三十キロというものを一応平たん地域において行なった場合にどの程度になるだろうということについては、われわれとして、このデータによって机上計画というかその計算をしてみるほかにいまのところないわけでありますが、それはそれとして、いわゆるこの計画でありますが、これに要した経費でありますが、大体どの程度になっておりますか。これはNHKからでけっこうです。
  26. 三熊文雄

    三熊参考人 送信機は、先ほどお話のありましたとおり、一億七千万くらいの送信機値段実験局でありますためにかかってまいります。同時に中の家、建築その他を改修いたしましたので、約一千万円ほどそれにかかっていますから一億八千万ちょっとがいわゆる徳島に実際にかかった経費でございます。
  27. 森本靖

    森本委員 送信機は八千五百万円程度じゃないのですか。
  28. 三熊文雄

    三熊参考人 一億七千万くらいでございます。
  29. 森本靖

    森本委員 そうするとアンテナはどうなっておるのですか。
  30. 三熊文雄

    三熊参考人 アンテナを含めて考えています。
  31. 森本靖

    森本委員 アンテナ送信機それからその他を含めて一億七千万円、こういうことになると思いますが、それで一億七千万円で一千万円、一億八千万円ということでありますけれども、現実にいまあるアンテナを使って、それに対していわゆるUの電波が届くような形にしておるわけであります、家にしてもこれは改造して云々、こう言っておるわけでありますが、現実に三十キロのテレビジョンのUの放送局単独に設置するという場合にはどの程度かかるというふうにお考えですか。これは電波監理当局にお聞きします。
  32. 淺野賢澄

    淺野政府委員 建物アンテナ等はVの場合と変わらないと思います。送信関係だけが違ってきます。徳島の場合を見ておりますと、アンテナも現在のアンテナを共用して使っておりますから、むしろ先端より少し下のほうを便っておりますので、十六面素子を使って無理をしております。それだけに若干高くなっておるのじゃないか。ですからVでありましてもUにしましても、それを目的としてつくりました場合には、アンテナと庁舎におきましてはほとんど変わらない、かように考えております。
  33. 森本靖

    森本委員 そうすると具体的にいうと、三割強というのは送信機だけが三割強高い、こういうことになるわけですか。
  34. 淺野賢澄

    淺野政府委員 送信機が主体であります。
  35. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、ここでたとえばこの三十キロの単独放送局を設置するという場合には、どの程度これがかかるかということを聞いておるわけです。これは将来あなた方が免許をおろす場合にその程度のことがわかっていなければなかなか免許を簡単におろすとは言えぬわけでありますので、参考までに聞いておきたい、こういうことです。
  36. 淺野賢澄

    淺野政府委員 詳細いろいろ調べてありますが、ただいま手元に資料を持っておりません。
  37. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、ただいま手元にないわけでありますが、一億八千万円というこの徳島の問題について、この中で要するにあのクライストロンも現在のNHK送信所の中にある。それからアンテナについても現在のアンテナにひっつけておるということになるわけでありますが、これは全部単独NHKでかりにやるとするならば、どの程度になりますか。
  38. 三熊文雄

    三熊参考人 先ほど電波監理局長からお話しになりましたとおり、送信機におきましては三割ないし四割程度の増ですが、御承知のとおり電源自体相当金を食います。したがってわれわれがやりましてもやはり一億七、八千万円近く、単独でやりました場合かかるのではないか、そう考えております。
  39. 森本靖

    森本委員 一億七、八千万円じゃ勘定が合わぬわけで、一億七、八千万円というのは現在の局舎設備アンテナに対して共用して一億七、八千万円で済んでおるわけですから、これが単独の新しい局を設置するということになった場合にどの程度かかるか。あなたは長年技術屋としてやっておるから、まあ淺野君と違って胸算用すればどの程度ということはわかるだろう。それがわからぬようじゃもう技術屋の値打ちがない、こういうことで、大体胸算用したらどの程度か、こう聞いておるわけです。
  40. 三熊文雄

    三熊参考人 家その他を考えまして、同時に送信機のわれわれいまつくりましたのは実験のためにつくったものですから、少し値段が上がっておると思います。しかしながらこれを正常になったと仮定しまして申し上げますと、たとえてみますと、建物が約二千万円、それから電源設備が二千三百万円、それから鉄塔、空中線その他が千四百万円、それから送信機自体が大体九千万円、その一他いろいろの諸掛かり及びいわゆるリモコン装置、それから測定機その他を含めまして約二千二百万円程度、そうしますと先ほど申し上げましたとおり一億七千二百万円近くなるということであります。
  41. 森本靖

    森本委員 わかりました。大体実験の結果、要するに、エリア関係あるいは電波特性というものもあったり、それからある程度これを建設するについてはどの程度の金が要る、いままでUの場合については相当の金額がかかるということでかなりしり込みをしておったという面があったわけでありますけれども、ここで一つめどというものが一応ついたということになってきたわけでありますが、この程度であるとするならば、ただまあVの一キロとUの十キロ三十キロというものとエリアがあまり変わらぬ。現実問題としてはこの徳島を見た場合Vの一キロと三十キロとそれほど変わらぬという形になるわけでありますが、しかしこれが平たん地になった場合にどの程度になるかということになると変わってくるわけでありますが、それからたとえば中継所の設置についても、関東地区平たん地域においていままでやろうとするならば、これは東京からそのままということになっておったわけでありますけれども、このデータを見た場合に、かりにUで許可をするということになれば、どこかに中継所を置かなければやはりこれは届かないという形に平たん地においてもなると思います。そういう点から考えてみますると、Uについては実用——しかしながら、混信その他の関係から見ると、この波はいまのVよりもよろしいということになって、いいところと悪いところとあるわけでありますが、とにかく一つデータが出たということについては、これは一応実験は成功であるというふうに考えてしかるべきであろうと思います。ただしかし、今回のUの問題について、これを従来のVと同じように考え許可するということについては、やはりUの特性考えていかなければ一つの失敗を演ずることもあり得るというふうに考えるわけでありますが、そういう点について十分に大臣のほうにも、利口な電波管理局長でありまするから、よく話をしてあるというふうに思いますが、ここから先は事務当局ではありません。大臣にもう一回お聞きをいたしますが、いま私が言いましたように、一応教育テレビジョンNHK徳島実験の結果が、大体アウトラインがわかった。これが技術審議会答申案として出されてくる。その内容も一応わかっておるということになってくるとするならば、ここに新しくUというものの開発が行なわれていかなければならぬというふうになるわけであります。  そこで、あまり大臣質問をしておりますと、大臣はとんちんかんになってもいけませんので、私がひとつ大臣にかわりましてその内容を言うてみたいと思いますので、もしそれが間違っておったら間違っておる、あるいはその方向が大体そうなるであろうということであるとするならば、まあそうなるであろうというふうに、適当にじょうずにひとつお答えをお願いしたいと思うわけであります。  要するに、ここまできますと、ある程度ここでUの全国的なチャンネルプランというものをつくらなければならぬということは、これは事実であろうと思います。しかし、全国のチャンネルプランをつくるということは、言うはやすいけれども、これを行なうことはなかなかむずかしい、こうなってくると思います。しかしながら、いま問題になっておりますところの、前からいわれておりまする九州近畿あるいは名古屋、こういうようなところの緊急性というものについては、これは解決をつけなければならぬ、こういうふうに大臣もしばしばこれは言われておるわけでありますので、おそらくそれを早急に解決をつけなければならぬということについては、私は大臣がお考えであろうと思います。  そこで、問題になりまするのは、そういう緊急地区についてのみこのチャンネルを与えて、それを免許するという形をとるということでなくして、そうやりますと、これは一つのある程度の邪道になると思います。少なくとも緊急地区についてもUの免許をおろそうとするならば、全国的に一体現在のVのテレビと、さらに今後起こるところのUのテレビというものを、どういうふうに日本電波界放送界を持っていくかという一つの基本的な政策をもって、そうしてその基本的な政策の上に立って、緊急地区であるから緊急にこれを許可をするというふうな形であるとするならば、私は、これはある程度うなづけると思います。ところが、全国的な基本的な政策、あるいはそういうものを言っておったんではわあわあいうてもめてうるさいから、とにかく緊急地区だけをやるということは、これはやりやすい。やりやすいけれども、電波政策上としては大きな間違いである。そこで、全国的な今後のUの開発いかようにしていくかという一つの基本的な政策を立てて、そうしてその上に立って緊急地区をやるということになるとするならば、一応話は筋道が通る、そういう考え方に立っておるのかどうか、これはひとつ大臣に聞いておきたい、こう思うわけです。
  42. 小林武治

    小林国務大臣 私が間違いのないように言うてくださって、それをどうか、そういうことで、まことにありがとうございます。  大体御趣旨のとおりでございます。
  43. 森本靖

    森本委員 大体これはだれが考えても、常識で考えてそういうふうになっていくものであるというふうに考えられるわけでありますが、そこで、そうなってまいりますると、緊急地区というのは、これは前から問題になっておりまする九州あるいは近畿名古屋ということになろうかと思うのであります。ただ、そこで問題になりまするのは、やはり近畿の問題が一番大きな問題であります。これは四つのものをストレートに流すのか、あるいはこれを親局を置くのか。親局を置くとするならば、一体これを姫路、京都、和歌山、そういうものを全部にするのか、あるいは一部にするのかということも、これは大きな問題になろうと思います。これはかなり政治的な解決をつける道が必要になってくるわけでありますけれども、ここで近畿の問題を論じておりますと時間が長くかかりますので、一応私はやめにしておきますが、いずれにしても、そういう形になるのではないかということをまず聞いておきたいと思いますが、どうですか。
  44. 小林武治

    小林国務大臣 さようでございます。
  45. 森本靖

    森本委員 そうなりますと、ここで一つの問題になりますのは、その緊急地区についてそういうふうにやるということについては一応わかりますけれども、そのもとでありますところのいわゆる基本的な日本の将来のUの電波的な政策というものをいかようにこれを具体的に立てて、そうしてその内容はいかなるものであるかということが一番大きな問題になってくるわけであります。これは個々のいわゆる放送局をどこへどう免許するという問題ではありません。全国的に一つの基本的な政策というものをどうするかということになってくるわけでありますが、ここで私ははっきり申し上げておきたいと思いますることは、前の放送法改正案で与野党が妥結をしたときに、この点については全然これは与党の内部においても意見がありませんでした。それは要するに、今後の電波放送のこういう免許の問題については、しばしば紛糾を来たしておるのですから、こういうものを免許する際には、全国的な周波数の使用計画を分配計画というものを立てて、その大綱についてはこれは電波監理審議会、さらに場合によっては国会審議にまでゆだねる。そうしてその基本的な方針のもとに郵政大臣が個々の行政権をもって免許をおろしていくということについては、これはほぼ意見が一致を見ておったわけであります。これについてはほとんど意見が違っておりません。そこで、この問題が一番大きな問題であるわけでありまして、基本的な政策を立てずして、個々の問題を個々の政治力によるところのいわゆる免許をどんどんやっていくということになりますと、これは電波がねじ曲がった方向に発射せられるという可能性があるわけであります。そこで、今回、先ほど言いましたように、緊急地区をやるにいたしましても、全国的な私はここでチャンネルプランを作成して、それを即時に発表せよとは言いませんけれども、そのチャンネルプランにかわるべきところの一つの基本的な政策というものを持ってしかるべきではないか。たとえばいま民放二十五社が問題になっております。あるいはまた、複数局については反対であるというようなことを言っておりますけれども、これについても、過般の放送法改正案のときについては、現行の民放局についてこれを複数局にするということについてはどなたからも反対はございませんでした。だから、これはいわゆる現在のマスコミのいわゆる公平化という点から見ましても、これが一社独占ということよりは、採算がとれるとするならば、二社以上になったほうがよろしいということについても、これはほほもう意見が一致を見ておったわけであります。ただ、現在においてはそれぞれ利害関係がありますので、反対、賛成という意見が出ておりますけれども、やはり政治という場におきましては、そういう基本的な政策についての意見の不一致はございません。そういう点から見た場合に、現在の民放局というものが一局あるところについては、それは将来三年かかるか四年かかるか、それはわかりませんけれども、Uが今回こういう形において開発をせられるという限りにおいては、複数化ということについては、当然の問題として将来なっていくであろうというふうに私は考えておるわけであります。同時に、それが二局になりあるいは三局になり、そういうところはそれぞれの経済情勢、地勢によって変わってくるけれども最低民放局は二局以上の複数局になっていくであろう。それが三局になるようなところについては、これはその土地の経済力その他の情勢によって変わってくるであろうけれども、そういう点についてはおよそ現在の電波界放送界の常識として考えられる。そういう点について、私は、大臣が基本的な政策というものを一応明示をして、その上にいまの緊急地区というものを免許をしていくということになるとするならば、一応電波界としての筋の通った電波の行政になる、こう考えておるわけでございますが、これに対する大臣の所見をひとつ聞いておきたい、こう思うわけであります。
  46. 小林武治

    小林国務大臣 お話しのとおりであるべきだと思います。
  47. 森本靖

    森本委員 きわめて簡単な答弁でありますけれども、いま言ったようなことであるとするならば、これは一応筋が通った形になるわけでありますので、そういう形においてひとつ電波界放送行政というものをまげずにやっていただきたい。  さらに、この内容についていろいろ入っていきたいと思いますけれども、私は重要な点だけをきょうは聞いておきたいと思います。もう一点は、今回のこのUの許可に並びまして、大臣はFM放送についても許可したい、こういうふうに言っておるわけでありますけれども、私の長年のこういうことに対する経験からした場合に、一方でUを許可し、一方でFMのラジオを許可するということは、事務的にも非常に困難な問題が多い。さらにまたこれを具体的に実行する場合においても、全国のラジオ、テレビ界におけるところの内容からして、非常に困難であるというふうに考えるわけであります。しかし困難ではありますけれども、FM放送についても、これを早急にやらなければならぬということは事実であります。現にNHKのFM放送というものがかなり成功しておるわけであります。  そこで、大臣に聞く前に、まずNHKに聞いておきたいと思いますが、現在FM放送について実験局というものが一体何局あって、その聴取者というものをどの程度に把握しておるか、これをNHKから聞いておきたいと思います。
  48. 三熊文雄

    三熊参考人 はなはだ申しわけないのですが、正確なる数字はいまないのですが、大体FMの局が百三十局近くありまして、それで聞いております。カバレージでありますと大体八五%程度になっておる、こう思っております。
  49. 森本靖

    森本委員 これの受信機はどの程度に普及しておりますか。
  50. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 大体六百万台と推定されます。
  51. 森本靖

    森本委員 いまの中波の受信機はどの程度になっておるのですか。
  52. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 御承知のように、契約甲で包括されております分と、契約乙で示されておる台数がございますが、全体的に一世帯で何台も持っておると思いますが、生産台数その他で推定いたしまして大体三千万台と思われます。
  53. 森本靖

    森本委員 一応、現在の中波が三千万台、それからFMが六百万台、大体これは推定でありますので、明らかでありませんが、ついででありますので、この法律に関連をしてNHKに聞いておきたいと思いますが、この法律が通った場合に、ラジオについては一切もう聴取料を取らないということになりますから、ラジオにおけるところのいわゆる調査事項というものはほとんど不可能に近いことになろうと思います。一体FMの受信機がどの程度あるのか、あるいは中波受信機がどの程度あるのか、短波受信機がどの程度あるのかというような国の行政上の参考資料になるものがとれないということになる。いま電波監理当局が、こういうものの資料にいたしておりますのは、NHKの受信料制度においてのこれが唯一の資料になっておる。将来この法律が施行されて動き出した場合に、そういうラジオにおけるところの日本の動態、そういうものは一体どこで調査し、どこで押えようとしておるのか、その方法についてひとつ聞いておきたいと思います。
  54. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ただいまお話しのとおり、FM等につきましては、サンプル調査によります抽出で大体六百万台という推定でございます。ただ、ただいま御指摘のように、もちろんFM等を含めましてラジオ全般の調査は現にいたしておりますし、またかりに契約乙が廃止になりました以降におきましても、協会といたしましてはEDPMの機械を中軸といたします全国的な地域管理の中でラジオ聴取者の動態調査を的確に把握し得る、またそうしてまいりたい、このように考えております。
  55. 森本靖

    森本委員 せっかくの答弁ではありますけれども、そうやりたいと思っておっても、現実にはなかなかむずかしいということは、私はよく承知いたしておるつもりであります。だから、口では非常に言いやすいけれども、実行はなかなか困難であるということをよく念頭に置いておいてもらいたい、そう思うわけであります。  それから、これは電波監理当局としても、こういうものの資料あるいは基礎的な指数というものは、すべてこれは政策の基本になる問題でありますから、単にNHKだけに頼むことなく、やはり全体的な資料というものを電波監理当局としてはつかむという努力を将来やっていかなければならぬと思う。たとえば短波放送についても、NHKの短波とあるいは民間の短波がなされているが、それが一体どういうふうに聞かれているのか、どういうふうな聴取ぐあいになっているのか、その聴取分布がどういう分布図になっているのかというところまで、やはりある程度電波監理当局がつかんでおかないと、今後のいわゆる正確なラジオ政策というものはとり得ない。こういう点から、私はいまの電波監理当局のそういう点の調査というものについては非常におぼつかないと思います。機構と人員と経費の点からいって。  そこでNHKの報道とか番組という問題については、これはもうはっきり言って郵政省は一切容喙してはならぬということになっておりますし、また当然のことでありますけれども、こういうふうな行政の参考資料になるような指数の掌握あるいはそういうものの集計というものについては、私は大いにNHK当局と郵政省とは連絡をし合って、ひとつ正確な基礎資料というものをつかんでほしいということを特にこの際申し上げておきたいと思うわけであります。  そこでもとに戻りまして、大臣は、このFM放送について早急にやりたいというふうに言われておったわけでありますけれども、私の考えといたしましては、当面このFM放送を行なわしめるということになるとするならば、いまのNHKが行なっております実験放送局というものを、これを現在の中波と同じ程度に全国的に分布させたらどうか。同時に、現在の中波のラジオにおいて、外国電波によって非常に混信の多いところがある。そういうところについては早急にFM放送にとってかわる。これは民間であれNKHであれ、そういうふうに変えていくべきである。混信対策としてはもはや電力をふやすとか、あるいは周波数を変えるとかいうことをやりましても、もう今日の中波の周波数におきましては、限られた周波数でありますから、これを変えたところで混信対策にはなりません。それから大電力にいたしましても、いまの混信対策にはあまり役に立たないということになるとするならば、当面FMのラジオ放送を使うとするならば、NHKの全国的なFMの基幹放送というものを一応つくる。同時に、民間放送においても、NHK放送においても、現在の中波放送で外国電波の混信の多いところを早急に救うという意味において、このFMのラジオ放送というものを開始していく、こういうことが当面一番いいのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、この点の大臣の所見を聞いておきたい、こう思うわけです。
  56. 小林武治

    小林国務大臣 これもお話しのとおりであろうと思います。
  57. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、そのことがFM放送におきますます第一段階としてのやり方になるわけでありますけれども、これは話が非常に飛躍をいたしますけれども、UとVとのテレビの混在ということが将来行なわれていくということになりますと、これも私の想像になってくるのでありますけれども、やがてはテレビチャンネルについても、波はほとんどUに移行していかなければならぬだろう、結局Vの波というものはその他の方向に使うことになるであろうというふうに将来の展望については考えていかなければならぬと思います。これはおそらくそうなっていくであろうと私は考えております。と申しますのは、いまの交通関係その他からいたしましても、Vの波についてはいま少し利用度が別の方向に動いていかなければならぬ。そうなってまいりますと、日本テレビ放送については、最終的には、相当の時間がかかるのでありまするけれども、ほとんどUに移行されていくのじゃないかというふうに考えるわけであります。同時に、ラジオについても変わった方向に行かざるを得ない。いま当面の策としては、混信対策、あるいはまた基幹放送としてのNHKのFM放送に対する任務、こういう点から、当面FMのラジオ放送についてはそうなるといたしましても、将来のこの日本のラジオ放送というものはいかよう考えていくべきであるかということをわれわれが考えた場合に、現在の中波ラジオ放送にさらにいま短波放送があるわけでありますが、——もっとも、この短波放送は、民間放送は一社しかありません。ありませんけれども、現実に、いまの民間放送の中波放送と、NHKの中波放送、その上に新しくFM放送という形の三つのラジオ放送ということが行なわれることについては、これは前田会長あたりと私は相当意見が違いますけれども、これは少し日本の現状においては、ラジオ放送においては、ぜいたくではないか。そういう点を考えた場合に、FMラジオ放送というものに、現在の中波ラジオ放送は、いま行なっておりまする県域放送あるいは地域放送の中波放送というものは、将来にわたってはこれが変わっていく。同時に、そうはいっても中波ラジオ放送を全面的に廃止をするということではない。その場合に中波ラジオ放送としては、受信機の進歩発達という点もありますし、また現実に中波というものの利用価値から考えていった場合に、将来生きる道というものは、地域的に、たとえばいまの電力会社のように、あるいは、エリアの問題がありまするので電力会社とはだいぶ違いますが、NHK、民間ともに一社くらいは、一応この地域的な大電力中波放送というものは残し、現在の県域放送というふうな形の中波放送はFM放送に移行していく、こういう形が将来のラジオ放送については一番いいのではないか。そうして、UとVとの混在が行なわれますが、テレビ放送も将来はUにとってかわるという形が、いまの段階においては、日本の将来におけるテレビ、ラジオのあり方ではなかろうかと私は考えておるわけであります。私はラジオに対する考え方についてそういう考え方を持ち、前からそういうことを主張しておるわけであります。今回のFMの免許に際しまして、そういうふうに将来にわたってかなり遠大な構想を持った形における免許をしていかなければ、大きな間違いを生じるというふうに考えておるわけでありまするが、これについてひとつ大臣から、FM放送と中波放送の将来の問題について御意見をお聞かせ願いたい、こう思うわけです。
  58. 小林武治

    小林国務大臣 この問題も、少し遠い将来を展望すればお話のようになろうかと思いまするし、またFMの免許にあたっては、これとある程度並行して、現在の中波の調整、こういうものも必要になってくるであろう、かように考えています。
  59. 森本靖

    森本委員 大臣の御意見はわかりましたが、ここでちょっと、前田会長の意見がこの点についてはいままでよく違うわけでありますので、ひとつこの点、ラジオ放送における将来の展望についてのNHK会長としての見解を、聞いておきたい、こう思うわけです。
  60. 前田義徳

    ○前田参考人 原則的にはそれほど変わった見解は持っておりません。御承知のように昭和三十四年の放送法の一部改正において、いわゆる標準放送のほかに、さらにFM放送が追加されたわけであります。当時の思想から考えますと、主として混信——まあ簡単に言いますと、日本の地理的状況から見て、ラジオ放送の本質をFM放送との関連において考えるべきであるという法律改正が行なわれているわけであります。したがいまして、私どもは、過去の第一次五ヵ年計画においても、第二次六ヵ年計画においても、この思想を潜在さして今日に至っているということをお答えできると思います。  簡単に結論を申し上げるならば、私は、国際的環境において中波の権益を放棄すべきではないという前提に立って、国内放送政策としてNHKの立場からラジオの波の運営を将来どう考えるかという場合においては、特にNHKについては、お説のとおり、できれば地域放送はこれをFMにかえ、全国一波による中波の大電力を中心とする同一放送を行なってまいりたいというのが私の考え方でありまして、したがって、その点については大きな食い違いはないかと考えておりますが、しかしこれはNHK自体の考え方であって、やはり国の放送政策がどの点を指向するかによって私どもの立場はかなり流動的な立場にある、このように考えている次第でございます。
  61. 森本靖

    森本委員 いまの会長答弁考えてみますると、これは前の委員会のころから見ますとだいぶ進歩いたしまして、意見がだいぶ合ってきておるわけであります。これは、大臣の発言と、それからいまの会長の発言、私が申し上げました内容、こういう点からいきますと、これは非常に簡単に考えがちでありますけれども、日本のラジオの将来にとりましてはきわめて重要な発言になっておるわけでありますが、それについてはまあほぼ意見が合うという形になっておるわけでありますので、ひとつそういう点については十分にそういう方向における努力をお願いをしたい、こう考えるわけであります。  さらに今回のこの行政的な問題について、私は大臣に聞いていきたいというふうに考えておったわけでありますけれども、いま私が質問をいたしましたのは、テレビとラジオの将来の問題についてでありまするが、そこでもう一点これと並行して考えていかなければならぬ問題は、何といたしましても受像機の問題と受信機の問題であります。Uの受像機については、御承知のとおりいまだにあまり発展はございません。そういう点からいきますと、いまオールチャンネルの受像機の問題についてとやかくいわれておりまするけれども、これに対するところの政府としての方針、こういうものは具体的にいいますとどういうふうに考えておられるのか。たとえばオールチャンネル受信機について、これを普及発達をさせるということについては、具体的にどう考えておられるのか。あるいはまた、FMの受信機についての発達は、これをどう具体的に考えておられるのか。そういう点について、むろんこれは通産省の所管になりまするけれども、これを推進をしていくということについては、やはりこれは逓信行政の方向になるわけであります。この点については、まず、大臣よりも事務当局のほうから、ひとつ聞いておきたい。電波監理局長はどういう考え方を持っておるかということをまず聞いておきたいと思います。
  62. 淺野賢澄

    淺野政府委員 オールチャンネルテレビの受像機でありますが、現在輸出いたしておりますテレビの受像機の大半はオールチャンネルの性能を持ったものでございます。したがいまして、メーカーの態勢におきましては、受け入ればいつでもできる、こういう状況のようであります。  結局問題とするところは免許方針にかかってきておるわけであります。大臣も、本件につきましては、非常に、私どもに指示をしておられます。メーカー等につきましても、私どもの段階におきまして工業界と接触をいたしております。工業界におきましても、大体いままでのような状況でいつでも方針さえきまれば量産配給体制ができる、かように考えております。現在のところ、値段につきましては、まだ徳島実験をやっておる段階でございますので、五千円ぐらいのアップ、これは量産になりますとさらに千円、二千円安くなってくるものと期待いたしております。  FMにつきましては、これまたアメリカ等に大量に出ておりますので、また国内におきましてもすでに六百万に近づいておりますし、カバレージも八五%、本年度をもって八七%ぐらいになるといたしますと、これはもう業者の自主体制において逐次伸びていくもの、かように考えております。
  63. 森本靖

    森本委員 大体の当面やっておるという状況はわかりまするけれども、そこで具体的に、たとえばアメリカにおいてはこれはオールチャンネル法というものを実施して、一応これが成功しておるという形になっておるわけでありますが、日本ではそういうふうに法的規制をしなくても、これは業界自体がそれだけ自主的にやっていけばよろしいという意見と、いや、やはりオールチャンネル法というものは実施をしたほうがよろしいんだというような意見と二つあるわけであります。私はどちらかといえば、この点についてはやはりオールチャンネル法というものを一応実施をして、そうしてやったほうがいいというふうに考えておるわけでありますけれども、この点については大臣の談話等では、その点はいまのところ必要はないというふうにお考えのようでありますけれども、この点は大臣どうですか。
  64. 小林武治

    小林国務大臣 これはまだどちらとも結論を出しておりませんが、必要ならこれは出したらよかろうと存じますが、まだ関係者あるいは党との話し合いがついておりません。しかしこれの推移によってはあるいはそういう必要も出てくるかもしれません。ただいずれにするかということはまだ結論を出しておらない、こういう段階でございます。
  65. 森本靖

    森本委員 この問題についてはもうすでにアメリカでは数年前にこの問題をやって、そして三年間の期間を置いてもうすでに実施の段階に移されておるというふうなことになっておるわけでありまして、私は将来UとVの混在という形においてなされていくとするならば、やはりこの点は十分に考えていかなければならぬと思いますが、これは関係業界もございましょうし、ただ法律をつくって業界に命令をすればいいという問題ではございません。やはりそれを受け入れするところの業界の諸君もこれに積極的に賛意を表し、その方向にいこうということでなければ何にもならぬわけでありますから、そういう点については早急に検討し、またそれぞれの機関と打ち合わせを願いたい、こう思うわけであります。それから次に、この前の予算委員会において藤枝自治大臣並びに郵政大臣にお聞きをいたしたわけでありますが、今度のUのこういう全国的な開放というものは、今回のいわゆる選挙放送というものについて絶好の一つの機会である、この機会をのがしたならば、テレビにおける選挙放送というものを公営化していくということについては非常に困難な状況になる。これは特に関東それから近畿、さらにいま問題になっておりまする名古屋あるいは北九州というようなところについては、特にこの必要性が認められてくると思うわけであります。さらに四国の場合におきましても香川あるいは岡山、こういう地域についてもこの選挙放送における場合については考えていかなければならぬ問題が出てくるわけであります。この地域だけを見ましても、そういう点については、いまのような放送のやり方においては、選挙放送というものは技術的にやりたくてもなかなかでき得ない、こういう情勢にあるわけでありますけれども、先ほど私が言いましたように、全国的にこのUとVの混在を行ない、将来テレビ放送というものはかくあるべきであるという方向にいこうとするならば、その政策の中に公営でテレビ選挙放送ができ得るという体制をとっていくべきである。これは具体的にどういうことになるかといいますならば、これはやはりその県域放送というものをある程度許していくということにならざるを得ない、私はこう思うわけであります。この選挙放送についてやりたいということはわかりまするけれども、やりたいというふうに政府が考えておるとするならば、それをやる方向に行政政策というものを持っていかなければならぬ、こういうふうに考えるわけでありまするが、これについては大臣はどのようにお考えか、ひとつ御答弁を願いたい、こう思うわけです。
  66. 小林武治

    小林国務大臣 いま選挙審議会においてもテレビを活用したい、こういう御意見が非常に強いのでありまして、さような結論がやがて出るだろう、私はこういうふうに思いますが、そうした場合におきましては、それのテレビによる公営なりができるように、われわれ電波当局としては準備をしなければならぬ、こういうふうに思いますので、さようなことがもし結論として出る場合には、いままでのいわゆる広域放送圏の中の都市にもその必要が出てくると思います。したがって今度のいわゆる基本計画等の場合においては、それらを想定した考えを持って臨んでいきたい、かように考えております。
  67. 森本靖

    森本委員 この答弁もきわめて重要な答弁でありますので、現実にこれができ得るような態勢に、ひとつ今回のこの情勢から、十分に選挙放送の点についてはお考えを願いたい、こう思うわけであります。  それでは私は放送法改正案の具体的な内容に入ってまいりたいというふうに考えるわけであります。  まず放送法改正案でありますが、最初にお聞きしたいと思いますことは、この改正案がこの国会で通った場合には、現実に来年の四月一日から払う必要はないということになるわけでありますが、そうなるとラジオの聴取料を納めるという意欲が非常になくなってしまうというふうに、この点を非常に心配しておるわけであります。御承知のとおり、いまラジオの聴取料については年間契約、三カ月契約あるいは半年契約というふうにあると思いますが、昭和四十二年におきまするラジオ聴取料の契約数のうちにおいて、年間契約と半年契約とどの程度になっておりますか。
  68. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ラジオの契約が四十二年の四月初頭におきまして、大体有料百五十万ということになっております。このうち大体一五%が前納になっております。
  69. 森本靖

    森本委員 前納だけを聞いておるわけじゃない。よく人の質問を聞いてもらいたい。これは半年契約というものもあると思うが、一年契約と半年契約と月間契約というふうにやっておると思うが、そのラジオ聴取料についての内訳はどうなっておるか、こう聞いておるわけですよ。
  70. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 失礼いたしました。契約の四十二年三月末の調査の数字を申し上げます。  六カ月前納数が二十五万三千、十二カ月の前納が十六万九千、前者が二八・三%で、後者が一〇・八%になりまして、双方合わせまして四十二万二千という数字になります。
  71. 森本靖

    森本委員 そうすると、毎月徴収しておるやつは何ぼありますか。
  72. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 したがいまして、先ほどお答えいたしました大かた百五十万のうちから、ただいま申し上、げました四十二万を引いた百万ばかりが、御承知のように二カ月を一期として徴収をいたしておるものであります。
  73. 森本靖

    森本委員 この徴収原価は幾らになっておりますか。
  74. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 昨日も実は当委員会の質疑で出ましたけれども、大かた一ヵ月単価五十円に対しまして四六%、四割六分というものが徴収の原価になっております。
  75. 森本靖

    森本委員 五十円で四六%ということは、金額にして幾らですか。
  76. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 大体二十四円見当でございます。
  77. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと関連して。  いま、お返事があったが、去年ぼくが聞いたときは十七円と言ったよ。一年でそんなに七円も高くなったのか、どうなんですか。ぼくは去年、ラジオなんかやめてしまえということを言うたときには、いや、やはり財源でございます。こう言うから、それじゃ一軒当たりの徴収費用は幾らかと言ったら、十七円五十銭、あと三十三円ばかり実収入になりますから、貴重な財源でございますから残しておきます云々ということがありましたね。それはテレビのほうは安くついてラジオは高くつくだろうとは思うけれども、ちょっとえらいじゃないか。それはあんまり便宜的な答弁じゃありませんか。
  78. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 協会側の答弁といたしましてそごいたしておるような御指摘でございますが、今年の予算で全体をながめてみまして、ラジオ契約乙の年間の収入六億四千万円と記憶をいたしておりますが、そのうち大かた三億二千万円が徴収経費に当たっておりまして、先ほど来申し上げました大体四六%くらいの徴収コストになっております。ちなみにテレビ関係につきましては全然別でございます。
  79. 中井徳次郎

    ○中井委員 去年からことしにかけて人件費が急に上がってさらにまた加入者が減ったんでそういうふうになったのかもしれませんけれども、それにしては少し説明が一年であんまり変わり過ぎておる。聴取料をそういう五十円とか六十円とかあるいは三百円とかいうふうな零細な金を集めるいまのNHKのやり方ではだめだ。いま日本に自動車が何台あるかということにつきまして、三百万台か二百万台か忘れましたが、その自動車が売り出されるときに、ラジオつきのものなら自動車一台について三千円くらい取っといたらどうだ、そういうことで二百万台あれば三千円取っておれば六十億あるじゃないか、一体あなた方何をしておるんだといったお尋ねをしたときの中の一節でございます。そこで私は十七円五十銭という数字はよく記憶いたしておりますが、去年からことしにかけてそんなふうに急に高くなった理由もこの次の委員会で聞かしていただきますけれども、何か説明のための資料ということがもしありましたらそれは困りますからおやめを願いたいと私は思うのです。テレビの料金でもラジオの料金でも、この取り方については去年から私は申し上げておる。皆さんそのときはごもっともだと言うが、ちっとも御研究なさらぬし、全然お聞きにならぬ。私の言うような方法でやればNHKの人件費の節約になる。労働組合があるいは人員整理というふうになるかもしれないからまあまあたいへんだろう。中井さんは社会党だがあんなことを聞いていいのか、そういうひやかしまで言われましたけれども、私は大局的な見地からいいまして、どうもいまの料金の徴収方法が納得できません。私の選挙区なども放送局というのはあるので行ってみましたら、ちっとも波が出てないわけだ。料金を集めているのと、あと近ごろは放送記者がおられますけれども、これは材料を収集なさっておられるのです。放送記者だけで波がなくて三十円。こういうことでこの次のときにお尋ねをしますが、何かその辺のところでもう少し基本的な面でお話し承りたいと思うので、ちょっといま森本さんの質問に対して、二十三円とか四円とか急に高くなって四割六分なんて驚きましたのでお尋ねしたわけです。確かに二十四円かかるのですね、うも一ぺん。
  80. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 そのとおりでございます。
  81. 森本靖

    森本委員 これはいま中井さんが言われたようにちょっとおかしいと思いますが、どうせ中井さんがいずれあらためて質問をせられると思いますので、この点についてはまたあとで中井さんのほうから御質問を願いたいと思いますが、ただこれはやはりNHKに申し上げておきたいと思います。その場その場の答弁はひとつやめてもらいたいということを特に私は言っておきたいと思います。  それからこの放送法改正案の提案をするときに、私はちょっと逆に聞いておきたいと思いますが、政府当局からNHKに対してこの放送法改正案に対する意見の問い合わせがあったかどうか。こういうふうな法律案を出そうと思うがNHKはどういう考え方であるかという問い合わせがあったかどうか、ひとつちょっと会長に聞いておきたいと思います。
  82. 小野吉郎

    ○小野参考人 今回の提案直前に特別にあらたまってのお話はございませんでしたが、過ぐる今年度の予算案が党機関を通ります際に、いろいろこの問題は、いわゆる本年度から免除をいたしましたこの関係と、政府でお考えになっております関係との間に件数上の不一致を来たしまして、その関係についての御質問大臣にありました。大臣は、現行法で可能な限度のものをさしあたり予算上四十二年度から免除する、現行法で措置できないのは法律改正によらなければならない、したがって、これは法律改正によって措置したいと思う、こういう御答弁をせられまして、NHKはどう考えるかという質問がございました。私どもは、かねがね放送法にきめられた趣旨に従って業務を運営するという立場におきましては変わりございませんので、そのような法案が国会を通過すればこれに従うことは当然でございます、こういう答弁をいたしております。い、ずれはこういう法案が出るであろうということを十分に予想ができますし、問題の内容もはっきりしておりますので、あらためて御連絡をいただくまでもない、このように考えております。
  83. 森本靖

    森本委員 NHKがいかにえらかろうと強かろうと、法律が通ってきまったらその法律に従うのは当然であります。当然でありますが、法律を出す前に、こういうふうな法律を出すということについては、NHKに非常に関係のあるととであるからNHKの意見はどうかというふうに聞かれたかどうか、こう聞いておるわけです。
  84. 小野吉郎

    ○小野参考人 全然連絡がなかったわけではございません。近くこういう法案を提出するのだという御連絡は受けております。事柄自体につきましては先ほど申しましたような状況で、NHKとしては法律に対する発案権は持っておりませんし、政府の発案権にかかることでございますし、その内容もおよそわかっております。そういうことで近くそういう法案を準備し提案をするということの御連絡は受けております。またその内容として条文はこうなんだ、こういうことも御連絡は受けております。
  85. 森本靖

    森本委員 私はそういうことを聞いておりはせぬのだ。NHKの自主性、独立性ということはこの放送法においてやかましくいわれておるわけだから、そこで法律を出すのは政府が出すし、審議をするのはわれわれが審議をしてきめる。しかしながらその法律を出す前に、こういうふうな法律を出すがその当事者であるNHKはどういう見解を持っておるかということを、民主主義の世の中でありますから当然聞いてしかるべきである、こう考えておる。だからそういうふうなお問い合わせがあったかどうか、こう聞いておるわけです。なければないでいい、あなた方は無視されておるわけだから、ないと言っていい。あったら、あったけれども私のほうは反対であります、こう言いましたけれども政府のほうではこういう法案を出しました、これでいいわけだ。はっきりしてくれ。何やらふにゃふにゃわからぬことを言って先にいこうとしては困る、こう言っておるわけです。
  86. 前田義徳

    ○前田参考人 具体的にはっきりと御相談をいただいたことはございません。
  87. 森本靖

    森本委員 初めからそう言えばはっきりしておるものを、何か相談があったようなないような、ふにゃふにゃというようなことを小野副会長が言うからよけいにややこしくなる。相談がなかった、こういうことになるわけでありますが、そこでNHKとしては今回のこの法律案については、これが通ったならばそれに従うのは当然です、法治国家でありますから。そうでありますけれども、提案になっておるこの法律案そのものについては、NHKとしては一体どういう考え方を持っておるのか、それをひとつ聞いておきたい、こう思うわけです。
  88. 前田義徳

    ○前田参考人 乙料金の問題につきましては、私ども自体が乙という名称をつけた理由は、これは過渡的形態の料金制度の一部であるという考え方を当初から持っていたわけであります。理想的に申しますと、甲料金というものの中に当然乙部分に相当するものがあるというたてまえに立って、理想的な姿では、実際上も、いわゆる今度は中身を具体的に申し上げれば、テレビとラジオのカバレージが全く同一になるという事実が可能であれば、この考え方は私どもが従来とったとおりにいけるであろう。ただ問題はその時期がいつになるかという問題でございまして、これは別に政府との関係、あるいはそれらと関連する外部との関係においてではなく、私ども自体が決定した方式でございます。現在御承知のように、テレビジョンのカバレージはほぼ九五%を上回る状態にあり、中波の標準放送の第一放送は、おおよそ九九%に近づいているわけでございますが、これが理論的にもしくは理想論としても、多少のカバレージ上の差異はございますけれども、私どもとしてはすべてが有料ではなくて、ある意味では当然数年前からこれは放送法の精神あるいは当委員会の従来からの御意向とも関連しまして、いわゆる負担能力のなきもの、あるいは社会的に不幸な環境にある方々に対しては免除の方式をとってまいっております。そういう実際問題等を勘案いたしますと、ほほその時期は近づきつつあるというような印象を私どもは持っておりました。ただそれが当年度あるいは明年四月一日からはっきりそうなるかどうかということは、これは自然にまかせる場合にはその見通しはつきかねると思います。ただここに一つの問題点は、NHKの受信料というものは、聴取者との関係において理論的にどういうものであるかという点の問題だと思います。簡単に申し上げて、NHKは国民の機関であり、したがって聴取者各位の御支持によって経営し成立し発展していくものである。したがって一般的な用語を用いますと、公平な負担というたてまえをとって、その放送の手段が何であろうとも、これは利用してくださる方からは公平な負担をしていただくというたてまえだと思います。このような二つの観点から、実際上の問題としてどうこれを解決するかということが私ども自体の問題でございまして、これについては当委員会で当年度予算を御審議いただきました際にも、私どもとしては新しい長期計画の形でNHK放送法上行なうべき義務と責任を土台として、聴取者との関係、したがって聴取料の問題を自主的に解決していく方針であり、できれば理想のスタートに戻って、放送料という一本料金ですべてを吸収し得るかどうかを検討いたしたいということをお答え申し上げております。そういう意味で、この放送法の一部改正をも私どもNHK自体としては受け取っているわけでございます。
  89. 森本靖

    森本委員 まだこれは相当聞かなければならぬ点がありますが、もう一つちょっと聞いておきたいのは、具体的に申し上げまして、五十円のラジオ聴取料というものをこれによって廃止をするということになりますと、三百三十円の甲の料金ですね。この甲の料金を設定をしたときには、私もそのいきさつをよく覚えておるわけでありますが、御承知のとおりNHKの会計は、あれはいつだったか、ラジオ会計とテレビ会計とに分かれておったわけです。それを当委員会においてこれは一緒にすべきである、こういう意見によってテレビもラジオも一緒に一つの会計にしたわけであります。それから数年を経て、この三百三十円と五十円という形になったわけです。このときにこの三百三十円というものについてはラジオとテレビを含めてこれは三百三十円である、こうわれわれは解釈をしておるわけである。同時に、五十円はラジオ単独の料金である、こう解釈をしておるわけです。そして五十円というものを一切廃止するということになると、当然三百三十円についても三百円くらいにこれをまけなくてはならぬ。そうして三十円足らぬということになってくれば、その三十円足らぬ分については、私がこの間言ったようにテレビ塔に広告をするとかなんとかやって、とにかくその財源をまかなわなければならぬ、こういう理屈になるのじゃないか、率直に言って。これは電波監理局長、どうですか。
  90. 淺野賢澄

    淺野政府委員 今回御提案いたしております考え方は、三百三十円の料金の中に、これはテレビを、いただきます場合の一つの目じるしにしております。ラジオを持った人も一緒にもらうわけであります。結局テレビとラジオは一緒に、テレビだけの人も三百三十円、テレビとラジオの人も三百三十円、ほとんどはいま両方でありますから、ほとんどの人がテレビ、ラジオは持っておるだろうという意味で三百二十円は変わらない、こういうことであります。
  91. 森本靖

    森本委員 君の答弁は君らしい答弁だが、さっぱり終わりのほうがわからぬ答弁になってしまった。これは迷いの答弁で迷答弁になるわけです。この三百三十円をきめたときは、ラジオもテレビも入っておる。しかしテレビだけ持っておるところでも三百三十円取りますよ、こういうことになったわけだ、君の答弁どおり。しかし速記録をよく見てもらったらわかるとおり、しかしながらテレビだけを持っている人が少ない、ほとんどがテレビとラジオと両方持っておるから三百三十円というものは甲だ、こういうことになったわけです。その当時の速記録を見たらはっきりわかる。私は原則論を言っておるわけだから、これは法律の審議だから原則的な問題の質疑をかわしておかないとあとあと困るわけだから。三百三十円というものについては当然ラジオの分とテレビの分が含まれておる、こう解釈をするのが当然です。これはその当時の速記録を全部読んでみたらわかるとおりです。そうすると五十円のラジオの聴取料というものを廃止する、これはけっこうです、賛成です、こういうことになるけれども、それならば一体三百三十円のほうのラジオとテレビも含まれておる分について安うせぬということは不合理じゃないか、これは国民を代弁すれば当然そういう意見になる。それに対して迷いの答弁でなしに明快にその答弁ができるようにしてもらわぬと、われわれは安うなることだから賛成をしても、かえって国民から、それなら三百三十円はどうなっておりますか、こう聞かれたときに、君がいま言ったような答弁をしておったら選挙民におこられる。だからやっぱり選挙民にちゃんと説明ができるような、この三百三十円を安うしないということなら安うしない理由がなければならぬ。これはないのだ、実は。これは非常にむずかしいことになるわけでありますが、この回答はいずれあなたのほうでゆっくりひとつ勉強して、検討して、そしてこの回答をしてもらいたい、そしてわれわれのほうとしてもそれに対する一つの選挙民に対してちゃんと説明ができるような答弁をしてもらいたい、こう思って、あとまだいろいろ質問がありますけれども、公明党の樋上君のほうで質問があるそうですからそれに譲ることにいたしまして、後日あらためて質問をすることにして、本日の私の質問はこの程度で終わります。
  92. 松澤雄藏

    松澤委員長 次に樋上新一君。
  93. 樋上新一

    ○樋上委員 十分間ほど……。実はこの前も私が質問をいたしました年金のことにつきまして、私の質問とそれから御答弁をいただいたところに少し食い違いがある。私の質問の要点が徹底しなかった、こう思うものでございますので、ただ一点だけ質問いたしたいと思います。  それは昭和四十一年三月末において契約総数が百十二万件、七二%、すなわち八十万件が実質的価値を失った年金契約だと発表されておりますが、これは間違いありませんね。
  94. 武田功

    ○武田政府委員 当委員会参考資料といたしまして御提出いたしました資料をごらんいただきますと、その二〇ページに出ております四十一年度の二月までの統計でございますが、それで現在の契約件数は正確に申し上げますと百九万五千九百四十七件というふうに御報告しております。
  95. 樋上新一

    ○樋上委員 この郵政要覧ですね、これを見ますとこう出ております。「四〇年度末においては件数一一二万件、年金額六二億円である。なお、件数が毎年大幅に減少し、年金額は逆に三〜四億円増加する現象は二四年度から続いているが、これは平均年金額の低い支払終了等の契約と、平均年金額の高い新契約の交替によるものである。四〇年度末の平均年金額は五、五二三円で、平均月額はわずかに四六〇円である。しかし、二四年度以降締結契約の現在契約中に占める割合は、件数では二八%であるが、年金額では九八%に達し、その平均年金額は一万九、四二八円となった。したがって、保有契約一一二万件のうち七二%は、ほとんど年金価値を失った契約であるといわなければならない。」こういうぐあいに出ております。そうしますと、今回整理しようとする小額年金の件数は約六十万件でありますから、差し引き二十万件が残る。金額にして三千万円になりますが、この内訳を見ますと、昭和四十一年三月末の年金額が件数にして百十二万件、契約金が六十三億円、昭和二十三年度までの件数が八十万六千四百件、契約金が一億二千四百万円、今回整理されるものの件数六十万件、契約金が九千三百万円、差し引き残る件数は二十万件である。この契約金が三千万円になる。だから実質的価値を失なったものは七二%である。だからこの三千万円という差し引き残ったものはどうするか、こう尋ねたのです。
  96. 武田功

    ○武田政府委員 いまごらんいただいておりますのは郵政要覧の数字かと思います。これは四十年度を中心にいたしまして書きましたものでございますので、資料といたしましては今回御提出いたしましたこの参考資料のほうでごらんいただきたいと思います。  それからなお統計の関係は、戦後のいろいろな事務簡素化等もございまして、特に年金関係をこまかい統計はとらない仕組みになりましたので、推計もございますので、その点御容赦いただきたいと思います。  なお、いまお尋ねのこれでございますが、この要覧のほうによりますと、二十四年度というのはたまたま郵政省設置法ができましたときでございますので、この要覧全体の立て方からして、区切りを二十四年度にしております関係で多少数字が違います。その点は御了解いただきたいと思います。  それで四十年度は確かにここに書いてございますように保有契約百二十万件、正確に申し上げますとこの二〇ページにございますように百十一万九千七百十二件、こういったような数字でございます。それからいまのを差し引きいたしまして二十万件くらい差があるのじゃないか、こういうお尋ねでございますが、年々年金は消滅していくのがかなりございます。そういった消滅したもの、また長年取りに見えなくて結局期間が満了してしまったもの、そういうものもございますので、私どもはそれを推計いたしまして、今回二十二年末までの有効契約で本件の特別措置の対象となるものを六十万件、こういうふうに推計した次第でございます。
  97. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは結局二十万件ないということになるのですね。
  98. 武田功

    ○武田政府委員 統計上の数字から申しますとそういうふうになります。  またもう一つつけ加えますと、要覧の七六ページに書いてございます「ほとんど年金価値を失った」という意味は、その額の問題を主として表現したものでございます。
  99. 樋上新一

    ○樋上委員 そうしたら、区切ったその線がどうにもしようがない。結局二十二年度を二十三年度にした場合どうなるかということに結論はなってくる、どうですか。
  100. 武田功

    ○武田政府委員 先般もお答え申し上げましたように、二十二年度で打ち切りました理由はあのとおりでございます。ああいうことで切りましたので、いまお尋ねのことに関しましてごく正確な数字を申し上げかねるのでありますけれども、二十三年度になりますと新規契約七千五百一件というふうに出ております。ただ、そのときに消滅のほうをとっておりませんので、的確な数字はちょっと申し上げかねます。
  101. 樋上新一

    ○樋上委員 大体もう十億円ですね。十億円くらいの金があるならば、その辺で全部解消するのではないかと思うのですよ。私の言うのは、こうした残る小額契約者に対して、もう一つ親心を持って、打ち切りの年数をもっと繰り上げてやるならば、十億円ほどの金があれば全部——全部というのじゃないですけれども、相当消滅が救われていくのじゃないか。その金は、予算のうちではもうできないとおっしゃるならば、いつかあなたのおっしゃったように、この整理にあたって将来経費の合理的なことで十億円くらいの金は浮いてくるだろう。そういう複雑な事務的なことを解消すれば十億円くらいの金は浮いてくるだろうということをおっしゃったことがあったのですが、どうですか、そういった合理的に事務的な能率をあげていくならば、この小額契約者に対して、もっと救いの手が伸べられる、私はこう思うのですが。
  102. 武田功

    ○武田政府委員 年金額が少ないということにつきましては、私どももいろいろと頭を痛めておりますけれども、先般来お答えいたしておりますように、どの時期で切るかということについてはいろいろ御議論もありましょうが、単なる中の事務手続の問題ではなしに、これを利用されますところの加入者の方のことも考えまして、ちょうどたまたま制度的に、最高額も、また最低額も、ある区切りでございました。また、物価指数等を見ましても、そういう区切りになりますので、それで二十二年十二月三十一日で切った次第でございますので、その点御了解いただきたいと思います。
  103. 樋上新一

    ○樋上委員 これは何ぼ言うてもそういう結論が出ておるのだったらしかたがございません。  それでは最後にお伺いいたしたいと思うのですが、小額年金契約を消滅させる旨申し出をする際、年金契約者が契約者であることを証明する資料、たとえば年金証書などを亡失している場合はどうするか。申し出を受け付けないか。そういうことはどうですか。
  104. 武田功

    ○武田政府委員 現在、地方簡易保険局に、申し込み表がございます。これはいわば原簿に相当するものでございまして、もし亡失した方がありましたら、もよりの郵便局に申し出て、大体何年ごろにどこの郵便局で取り組んだはずだ、こういうことを言っていただきましたら、できるだけ調査いたします。
  105. 樋上新一

    ○樋上委員 そうですか。  以上で終わりたいと思います。
  106. 松澤雄藏

    松澤委員長 次会は来たる七月五日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会