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1967-06-14 第55回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十四日(水曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 中井徳次郎君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    加藤 六月君       上林山榮吉君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君       羽田武嗣郎君   橋本登美三郎君       井手 以誠君    大柴 滋夫君       小濱 新次君    田代 文久君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         郵政政務次官  田澤 吉郎君         郵政大臣官房長 竹下 一記君         郵政省簡易保険         局長      武田  功君  委員外出席者         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 六月十四日  委員小渕恵三君及び樋上新一辞任につき、そ  の補欠として石田博英君及び小濱新次君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員石田博英辞任につき、その補欠として小  渕恵三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別  措置法案内閣提出第八六号)      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田代文久君。
  3. 田代文久

    田代委員 それでは質問いたしますが、まず最初に本年度における年金契約目標ですね。それから今後の募集目標を聞きたいと思います。
  4. 武田功

    武田政府委員 年金の四十二年度予算目標といたしまして十億でございます。これは年金の掛け金をもって申しております。なお、私のほうは大体九月から八月までを募集年度にいたしておりますので、これに伴いまして本奨励年度募集目標は、近くこの予算の範囲内でもってきめる予定でございます。
  5. 田代文久

    田代委員 それは大体どれくらいされるかということはまだ見当はつかないのですか。
  6. 武田功

    武田政府委員 四十一年度は、実行目標といたしまして八億でただいま進めております。
  7. 田代文久

    田代委員 四十一年度はそれが総額になっておるわけですね。本年度はその八億円よりはふやすという目標なんですか。
  8. 武田功

    武田政府委員 九月から始まります本奨励年度におきましては、現在のところは大体前年同様の目標額でいきたいと考えております。
  9. 田代文久

    田代委員 昨年と同様だといたしますと、大体この法案なり方針としては、基本的にずっと拡大させるという目標を持たれるわけですか。
  10. 武田功

    武田政府委員 ただいま提出いたしております法案は、いわば戦前小額契約整理といったような性質のものでございまして、これと現在の募集目標というものとは直接の関連を持たせておりません。募集目標は、現在におきましては、保険年金と両方で仕事をしております関係で、保険のほうの目標ににらみ合いながら年金のほうを進めていく、こういうふうにいたしておりますから、直ちにこれによって今後すぐに引き上げるとかいうようなところはまだ考えておりません。
  11. 田代文久

    田代委員 そうしますと、これは金額総額ですが、件数ですね。件数は大体どれくらいになりますか。
  12. 武田功

    武田政府委員 大体二万件前後でございます。
  13. 田代文久

    田代委員 そうしますと、大体この保険目標なりそれから総件数達成ということは、つまり四十二年度において十分それは達成できるという見通しですか。またそれは実際可能性があるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  14. 武田功

    武田政府委員 ここ数年来年金関係のほうにおきましては目標を低く立てておりまして、いろいろな事情から予算内の目標で進めておりますので、ただいま申し上げました目標額達成は困難はございません。
  15. 田代文久

    田代委員 そうすると次に法案に直接あれするのですが、特別一時金の支払い所要額が大体三十億円だということになっていますね。そうするとその三十億の内訳ですね。これは総額になっておりますが、特別付加金幾らになるのか、その他幾らになるのか、三十億円の内訳説明していただきたいと思います。
  16. 武田功

    武田政府委員 年金の繰り上げ支払い金総額がそのうちの約十五億でございます。そしてあとの十五億が特別付加金総額でございます。
  17. 田代文久

    田代委員 そういたしますと、結局三十億円といいましても、特別付加金というのはその半分で十五億、そうするとあとの十五億というのは、これは保険加入者が、先どりにはなるのですけれども、当然これはもらう権利のあるそういう金ですね。したがって実際において政府が直接めんどうを見るというのは十五億円、こういうことですね。そうしますと、大体今度切り捨てようという件数は約六十万件ですから、これを一件当たりに割りますと、十五億円は大体二千五百円ばかりしかならないということになるのですね。そうすると実際における政府めんどうを見てそしてその救いのために使うという金は、一件については二千五百円程度しかないということなんですが、実際そういうことですか。
  18. 武田功

    武田政府委員 年金でございますので、その方の生存中の支払い、こういうふうに相なります。したがいましていまこれを的確に細部にわたりますところの数字を申し上げかねますけれども、それを私ども生命表を使いまして平均余命をかけまして算出いたしました額が、繰り上げ支払い金のただいま申し上げました十五億でございます。
  19. 田代文久

    田代委員 ですから実際にそういう繰り上げ支払いというものは、当然加入者がこの法案を出そうが出すまいがこれはもらうべき権利のあるものですね。これは問題ないと思うのです。問題は、つまり特別付加金の問題ですね。したがってこれはこの法案にも書いてありますように、実際説明されましたように、一件当たり平均というのは大体百五十七円見当だ。そうしますとこれは二千五百円の特別付加金をこれで割りますと百五十七円の十五、六倍ということになりますですね。そこでこれは現在の物価との関係でいいまして非常に問題にならない低額だと思うのですが、この特別付加金性格性質は大体どういう意味を持っているか、どういう理由でこういうものを出されるのかということをお尋ねしたいと思うのです。
  20. 武田功

    武田政府委員 第一といたしまして、現在平均百五十七円といったような小額年金をそのつど郵便局にとりに来るというこの煩瑣、手間を少しでも緩和したいということ、またこれによりまして郵政側並び加入者の側もいろいろな不便が除けますし、また郵政側といたしますと将来にわたりましていろいろと事業上の便利もできてまいります。そういうようなことから、将来の事業合理化に対して御協力願うといういわば協力賃と申しますか、そういったような性格を含めまして、なおそのほかに将来の受け取るべき年金の額をきめます際に平均余命を使いまして算出いたしますために、その間に起こりますところの加入者のいろいろな感情、心情というものを参酌いたしまして、そしてプラスアルファという形でつけましたものが、この特別付加金でございます。
  21. 田代文久

    田代委員 そうしますと、この金の性質性格というのは、政府としては当然支払うべき責任のある、そういう義務があるというものではない、いわばこれは恵んでやるんだというこういう性格のように受け取れるのですが、そういうことですか。
  22. 武田功

    武田政府委員 恵みといったようなものではございませんので、事業に対する協力ということに対しましての功労的な意味も加味しております。
  23. 田代文久

    田代委員 そうしますと、これは政府としては無理に何もそういう付加金をやらねばならないという性格のものではない。ただいわば俗に言えば非常にめんどうなんだから、わずかの年金郵便局電車賃を使ってとりに来てもらう、加入者にも非常にお気の毒だし電車賃より安いようなものをとりに来たってしょうがないじゃないかというような点、それから六十万件にも達するそういうものにいまさら窓口を使うのも実際運営上、業務上非常にめんどうだ、だからこの際これはもう切ってしまおう、こういうことなんですか。
  24. 小林武治

    小林国務大臣 これは田代さんもいろいろ疑問を持たれるのはごもっともでありますが、まあいえばいまいろいろ保険局長がお答えしたように、何やかやいろいろなことを加味して、世間常識としてもこれを打ち切るには、何か従来の国に対する功績とかあるいは役所が今後非常にたくさんの手間が省ける、いろいろなこともあって、これを打ち切るからには、ただ計算の上で出した金だけを払うことがはたして世間から見て常識的かどうか、こういうふうなことも考えられるのでありまして、あまりこれをこまかく分析されると、われわれも説明しにくい、こういうことになるのであります。世間ではあるいはこれを一種のスライドか、こういうふうな質問もありますが、スライドという観念も、私は必ずしもないとは言いませんが、これを導入するということは他にもいろいろな影響があって、国の支払いとしてはいまはできない、こういうことであるから、ひとつ何もかもいろいろなことを入れて、とにかくこれを打ち切るから、何がしかの報労金と申しますか、したがいまして、われわれこれを付加金と名づけたのでございまして、そういうふうなことをすることが、ある程度世間常識にかなう問題じゃないか。金額多寡の問題はむろんありますが、われわれとしましては平均二千五百円の支払い義務があるが、それに対して倍額程度のいまのような性格のものを付加することによって、ひとつ一応の御納得を願いたい。こういうことでやっておりますので、これをあまり分析されると実に説明しにくい金になるということをひとつ御了解願っておきたい、かように考えます。
  25. 田代文久

    田代委員 いまの大臣説明、非常に常識的な意味を加味されている。常識と言われるとわかりやすいようですけれども、私は全く常識的じゃないと思う。この戦前加入者のそういう物価あるいはその他の状態と現在の状態常識的に考えてみた場合、二千五百円というような問題、これは決して常識ではない。それは常識でないという点につきましては、これはなおあとからはっきりさしていただきたいと思うのですが、とにかくこの性格というのは、いわばわかりやすく言えば、先ほど説明されましたように、また私が申しましたように、この際こういうわずかな金額というものは加入者から見てもあるいは当局から見ても、もう処理しなければめんどうでしょうがない、そのほうが実際に年金制度を運営する面からいっても非常にうまくいくんじゃないかというようなそういうところをねらっておられるということのようですが、そういたしますと、私はこの提案説明の中でうたっておられることと非常に矛盾するんじゃないかと思うのでお尋ねします。私は郵便局に行ってこれをいただいたのですけれども郵便年金勧誘のあれにこういうことが書いてある。「かわいいお子さま学資結婚のご準備に定期年金をおすすめいたします」それからまた「明るい老後をすごすために働らける間に準備しましょう」こういうことをうたってこれを勧誘する。だから、これは非常にいいものですからお入りなさいというあれになっていますが、こういう勧誘とらの巻といいますか、こういうものが出ておることを大臣知っておられますか。またこれは政府指導によってなされていると思いますが、それをお認めになりますか。
  26. 小林武治

    小林国務大臣 それは存じておりまして、これはいま勧誘するのにそういうことでお願いをしておる、こういうことでございます。
  27. 田代文久

    田代委員 そういたしますと、いずれにいたしましても事実こういう精神で勧誘されて募集されているということは間違いないわけですね。
  28. 小林武治

    小林国務大臣 そういうことでございます。
  29. 田代文久

    田代委員 それからそういうことをされつつ、この提案説明の中で「郵便年金制度は、国民経済生活の安定とその福祉増進をはかる趣旨のもとに創設され」こういうふうにうたってある。ですから、この年金制度自身のその目的というものは、「国民経済生活の安定」それから「福祉増進」ということがこの中における中心的な目標になっているわけですね。そういたしますと、実際先ほど言われましたように、現在、とにかく二千五百円程度でこれを打ち切るという問題と、それから年金制度の本来のそういう国民経済生活の安定あるいは福祉増進という関係考えます場合に、戦前において、とにかくこれは老後のためになる、またお子さま学資なり結婚のために非常にためになるからお入りなさいといって政府勧誘されたのが、実際上においてこの目標、いわゆる国民経済の安定あるいは福祉増進ということに役立っているかどうかという点ですね、これは私は役立っておらない、全然基本的な目的をそれた結果になっているということを書いたいのですが、それを認められるかどうか。
  30. 小林武治

    小林国務大臣 これはもう私どもは認めざるを得ない。始めるときはわれわれはいまうたわれたような趣旨で始めたのです。国民生活の安定なり加入者福祉の向上のために始めたのでありますが、とにかく一般にわれわれが予想し得なかったような敗戦と貨幣価値変動とのために志が違った、したがって、その点はわれわれとしてもいままでの看板が違ったということは国民に対しても非常に申しわけなかった、こういうふうに思いますが、その事態はもうどなたも否定することのできない戦争とか貨幣価値変動とか、そういうことのために生じたのでありますから、したがって、いままでの昭和二十二年までのものはまことに相済まぬことである、われわれの意図したところと全く違った結果になって、申されたような趣旨に沿わなかったということはわれわれも認めざるを得ない。したがってそういうものはこの際、加入者納得を得て、とにかく一応整理をして出直すのだ、そうして年金本来の姿に向かってこれから再出発したいのだ、こういうことのためにこれを出している、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  31. 田代文久

    田代委員 その問題もこれは非常にいいかげんな答弁であると思うのです。あとからはっきりさせていただきたいのですが、大体政府物価値上がり、そういうものは全然なくなる、物価値上がりしない、ストップする、そういう前提でこの法案をつくっておられるのかどうか。いわゆる物価とは全然関係なしにやっておられるのか、あるいは物価値上がりというような関係を見てやられているのか、それからまた物価自身が今後はどんどん下がって絶対に値上がりしない、何年かたてば物価値上がりはストップする、そういう見通しのもとにやられているのか。その点を伺いたい。
  32. 小林武治

    小林国務大臣 これは簡易保険なり、郵便年金だけの問題ではありません。一般民間保険も同様です。あるいは銀行の貯蓄も、その他のあらゆるものが同じ社会条件のもとに行なわれているわけでありまして、われわれの年金もその一般のものと同じ立場のもとに立っているということは申すまでもございません。私ども特別事態においてこれをやっているわけではありません。一般のものと全く同じ社会条件のもとにこれを行なう、こういうことでございます。
  33. 田代文久

    田代委員 そういたしますと、大体この年金加入者が資金を投ずるわけなんです。全国民の非常に零細な勤労者がおもにこれは加入するわけなんですが、この年金に対する利回り計算は大体どういう利回り見通しで組み立てられているか。
  34. 武田功

    武田政府委員 ただいま提出いたしております法案につきましては、先ほどから申し上げておりますような形でございまして、特別付加金にいたしましても、利回り問題に関連はしておりません。
  35. 田代文久

    田代委員 いまのこの法案について言っているのではなくて、年金全体の発展のために、したがって年金制度というものをつくられる場合、そういう利回りということは全然考慮されずになされるのかという問題です。
  36. 武田功

    武田政府委員 年金の全体につきましては、保険と同様に予定利率を四分五厘ないし五分五厘という、これは種類によって違いますけれども、そういうふうに押えまして、そして全部の仕組みをつくっております。
  37. 田代文久

    田代委員 そういたしますと、大体四分なり四分五厘ということになりますと、たとえば現在のように、物価値上がりが少なく見積っても年平均六分になる、また佐藤総理大臣は、今度の施政演説でも五%の値上がりは十分見ておるという状態で、客観的な状態としては、物価はますます大幅に上がるのじゃないかと私たちは非常に心配をしておるわけなんですが、この物価が、たとえば五%、六%、七%も上がるという中で四分とか四分五厘では、結局その関係からいえば加入者は一向得にならないという結果になりはしませんですか。
  38. 武田功

    武田政府委員 将来の物価値上がり云々ということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、ただいま申し上げましたのは、保険あるいは年金仕組みの問題でございます。  なお、いわゆる変額年金と申しますか、そういったようなものもやっておる国もございますけれども、この点現在の郵便年金におきましては、そういう方法はとっておりません。
  39. 田代文久

    田代委員 そこに非常に国民納得できないものがあるし、たとえば現在打ち切られようとしておる六十万件にも達する膨大な加入者の問題ですが、非常に損失しておるという問題があります。加入者が加入した当時、少なくとも物価は非常に安かったのです。大体昭和九年ないし十一年の戦前平均の基準になっているあれから見ますと、現在の日銀のあれから見ましても、四百倍近く卸売り物価というものは値上がりしている。そうしますと、二千五百円ほど今度もらう、それは百五十七円の十五、六倍、二十倍としましても、あまりにも開きが実際ひど過ぎるので、基本的に骨われましたさっきの国民経済生活の安定とか、あるいは福祉増進とか、あるいはまた自分子供が大きくなったら、これが非常にたよりになるとか、老後の楽しみとかという目的には、これは全然反する結果になっているわけですね。この関係は大体どうされるのか。大臣はさっき、これは常識的に処理した、これは常識じゃありませんよ。四百倍も物価が上がっておって、貨幣価値の非常に高い当時の金を払っておいて、それがわずか十五、六倍で処理されるということは、これはあまりにも非常識ですよ。これは常識措置ではない、このように思いますが、どうですか。
  40. 小林武治

    小林国務大臣 私が常識というのは、何かを付加するということが常識じゃないか、ですから、いま金額多寡についてはいろいろ議論がありましょう、こういうことを申し上げておる。ただ計算上の支払いだけでは相済まぬじゃないか、何かをつけるというその事柄常識ではないか、こういうことを申し上げたのであります。  それからいまお話しのように、われわれの志と違って非常に御迷惑をかけておるということは、私もはっきり申し上げておりますが、これは年金だけの問題じゃない。一般民間保険もあれば、あらゆる貯金その他の年金等も同じ目にあっておるわけでありまして、年金だけの責めとして受け取るべき問題ではない、あらゆる同様な事柄が全部同じような目にあっている、こういうことを申し上げておきたいのであります。
  41. 田代文久

    田代委員 大体大臣のお考え常識なるものが見当がつきましたが、そうしますと、大体二千五百円程度というのはあまりに少な過ぎる。ですから、そういう現在の通念なり常識からいいまして、これをもう少し上げる。これはあまり安過ぎる。これを物価の比率の四百倍にスライドするということがかりにできないとしましても、これはとにかくあまりに安過ぎるし、また迷惑をかけ過ぎているのだから、これはもうちょっと上げねばならないということをお考えにならないかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  42. 小林武治

    小林国務大臣 これは私どもも、二千五百円が十分な額だとは申しません。しかしいろいろ財政その他を勘案しまして、この程度でやむを得ない、こういうことで、これを御提案申し上げているわけでありますから、この時点におきましては、これをいま変更する、こういうふうな意図は持っておりません。
  43. 田代文久

    田代委員 そうすると、とにかく政府戦前二十年も三十年も前に、非常に価幣価値の高かったときに、国民からばく大な金をそこに集めた。そうして物価がこのように上がったときには、それとはほとんど無関係にひとしい、常識に反するような形で処理する、それをぜひともやるのだというお話でありますが、そうしますと、大臣は、いわゆるこの打ち切り対象になっているもの、それはこの前の第二次世界大戦におけるああいう特殊な事件の中で物価が非常に上がってきたということが前提のようですが、大臣なり政府は、今後こういうことは絶対にない、戦争は起こらないし、また大きなインフレは起こらないという保証がありますか。
  44. 小林武治

    小林国務大臣 これは、どなたもそんな保証をされる方はあるまいと思います。私どもは、そういうことのないことをもちろん希望しているが、一般社会情勢に従っていくということでありますから、私がこれを保証すると言ってもたいして意味のないことでありますし、そういうことの絶対にないことをわれわれは望んでこういう施策をしている、こういうことだと思います。
  45. 田代文久

    田代委員 そのことを考えることはあまり意味がないとおっしゃいますけれども、それは政府なり小林さんの立場からいえば、あるいはそういうことが言えるかもしれません。しかし加入者立場になってみなさい。自分たちは、とにかく戦前にあれほど血の出るような金、そしてこれは国のためになるということで零細な金を出して加入した。また戦前加入勧告というものは非常に激しかったですね。そういう状態の中で無理して加入した。しかもそれが、やはり自分が将来子供のためにも、自分のためにもこれは役立つという見通しがあればこそやっているのでしょう。したがって、この戦争が起こる、あるいは大きなインフレが起こるということについて何らの保証がありませんということになれば、どんなにあなたたち政府が、今後年金にお入りください、これは非常にいいものですよと言いましても、先ほどここに言われておるようなこういう勧告をされても、国民はだまされませんよ。入っていけますか。こういう長期性を持つ年金制度に対して、国民が非常にとうとい零細な金を使って加入するというのは、そういう見通しなり安定なりがあればこそなんですね。それに対して保証がないということになれば、どうしてこれは承服しますか。その点どうでしょうか。
  46. 小林武治

    小林国務大臣 保証の問題などをいま議論してもしかたがありませんが、政府年金はこれは任意保険でありまして、強制保険ではありませんから、よく御納得いただいてお入りいただく、こういうことになっております。また今度の整理法律案も、打ち切り強制するわけではありません。それぞれのお申し出によって、お話し合いの上でもって打ち切りをする、こういうことになっておりますから、この辺のことをひとつ御了承願いたいと思います。
  47. 田代文久

    田代委員 強制はしておらぬ、事実それはそういうたてまえになっております。強制はしておらなくても、しかし政府ですよ。政治ですよ。政治ですから、政治の中心を政府は握って、そして国民をどういう方向へ、とにかく国民生活の安定なり平和なり、そういう国民の前進ということを指導するのは政府の当然の責任であり、義務ですから、したがって任意制度になっておるといっても、政府はそういうことを指導しておるわけです。指導する基礎になるのは、これに加入するということが非常に生活の安定なり老後に対して役立つ、教育にも役立つという保障があればこそ入ってくるわけです。ですから単なる任意といっても、けんかをするかせぬか、おれはけんかはしたくない、そういう任意性と違うのです。はっきり政府指導のもとに、これはこういう方向にするということが皆さん方のためになりますよという、その保障、裏づけをやるからこそ、国民はどんどん入ってくる。事実こういう貯金の現在の勧告のしかたがそうなっているわけです。ですから任意制度だと言われることは、私は政府は全く逃げていると思うのです。責任を回避していると思うのです。
  48. 小林武治

    小林国務大臣 政府の態度は、物価も安定させよう、いまの貨幣の変動ども将来絶対ないように、こういう指導をし、また努力をし、そういう政策を持っていくということは当然なことでありまして、われわれ政府立場としては、将来も過去にあったような事態がないように、そんなことが絶対起きないように、こういう政策を堅持して、その努力をしていくことは当然でありまして、また国民がさような態度に対して是とすればこそこういうものにも入っていただける、こういうことでありまして、政府の態度等については、もう申されるまでもなく、いまのような態度を堅持するということはあたりまえのことであります。
  49. 田代文久

    田代委員 将来戦争が起こらないとかあるいはインフレが起こらないとかあるいは国民が苦しまないようにする。ないようにする、ないようにする、これはあたりまえですよ。そういうことは常識以前の問題です。しかし問題は、実際においてないようにする、そういう常識的なあたりまえのことじゃなくて、実際にそれをどう保障して、安心して国民が加入できるかどうかということが実際の問題です。もし政府が、いま大臣が言うような説明をされているとすれば、これは全く——ですよ。これは——ですよ。国民の金をたくさん集めて、そして入りなさい、入りなさい、これはこんなに役に立つのです、こんなにいいじゃないですか、あなたの子供さんが生まれて、そして学校に行くようになったらこんなになる。その間に物価はどんどん上がる。その非常にとうとい金を使わして、いざ使おうと思ったらもう役に立たないということになる。そういう可能性が十分ある。また事実過去においてあった。あったということがこの法案の出されているあれですから、それをされるということは——じゃないですか。——だと思うのです。しかも一方においてこういう勧告をして、実に美しい、かわいいお子さま学資結婚の御準備に年金をおすすめいたします、老後のために働ける間に準備なさい。働く労働者がほんとうに骨身を削って働いて、そして自分は当然その日に食う御飯に使いあるいは魚代にしなければならぬ金までも貯蓄してこれに入るのです。たとえそれは任意制度と言われましても、われわれの生活は十分保障されておらないから、したがって何とか自分のとにかく骨までも削って、自分の肉までも削って、そうしてこういうことにしなければ生きていけない、そういう立場から入っているのです。そういうことはわかった上でなさらないと、これは全く意味がないと思うのです。ですから実際いまの政府の答弁というものは、これは国民に対する欺瞞であるということは明らかだと思うのです。  そこで私は、なおこれを別の面からそういうことをよりはっきりさせて、国民の前に明確にする必要があると思うのですが、大体そのようにして集められたばく大な金というのはどのように使われたか。二十二年以前の年金契約総額幾らで、そうして何に使ったか、何に投資されたか。そうしてその内訳は現在どうなっているという点を御説明願いたいと思うのです。
  50. 小林武治

    小林国務大臣 いま田代委員の、——などということばは、これは私はお取り消しを願いたい。——というものはどういうことか、あなたもよく御存じのとおりでありまして、結果的にどういうことになったとしても、——などということばが使われるべき事態でございませんから、そういうことばを私はお取り消し願いたい、こういうふうに思います。——などということばは、政府の行為にあるべきはずもありませんし、結果においてどういう結果があったかは、これは御存じのとおりでありますが、これを始めたものがそういう意図を持ってやったというようなことはあり得ないことでありますから、これは——ではありません。そういうことばを私は慎んでもらいたい、かように考えます。
  51. 松澤雄藏

    松澤委員長 委員長から申し上げます。  田代文久君のことばの中で、不穏当のことがありましたら、委員長において処置することを御了承願います。
  52. 田代文久

    田代委員 大臣はそういうことばじりをとらえておっしゃいましたけれども、——的じゃないですか。実際において、——的じゃないですか。問題は、そういうことばじりをとらえてかれこれ言われるのではなくて、実際に国民はどういう立場に立っているか。年金に加入する特に勤労者がどういう立場に立っているか、その本質を見ずに政治が実際にやれますか。私はとにかくそれはそれとしまして、いま質問しました二十二年以前のそういう年金契約総額幾らで、何にそれを使ったか。何に投資して、そうして現在それはどうなっているかという点を御答弁願いたいと思います。
  53. 武田功

    武田政府委員 昭和二十年を例にとってお答えいたします。  二十年は十六億三千二百万でございまして、これを地方公共団体に一億七千四百万、それから地方債を二億九千九百万、国債を三億二百万、社債及び株式三億二千百万、契約者貸し付けが三百万、資金運用部に預託金といたしまして五億三千三百万、こういうような使い方でございます。
  54. 田代文久

    田代委員 そうしますと、それは全部そのまま現在生きておりますか。いわゆる戦時中にそこに損金とかそういうものは出なかったですか。
  55. 武田功

    武田政府委員 ただいま申し上げました中で、社債とかあるいはその他のものの中で、その後の特別損失処理法で整理されたものもございます。
  56. 田代文久

    田代委員 そうしますと、その使途については御説明で大体わかったのでありますけれども、そのような国民の、特に勤労者から集めた零細な金というのは、これはそういう方々に対するお返しということよりは、むしろこれは戦争のためにあるいは戦争のいわゆる軍需産業でもうけをやる、そういう形の投資ということが中心になっておる。ですから実際においては国民の金を非常にたくさん集める、集めるけれども、それはそういう人たちにお返しする、その人たち老後なりあるいは生活を安定させるということが直接的にまた大前提目的でなくて、その集めた金をむしろほかのほうに使う、それは戦争の準備のためにうんと使った、あるいは軍需産業をどんどんやってもうける、そういう資本家のために投資されたということが大きな比重を占めておるじゃないですか。したがってこの年金制度そのものは、大体そういうことが内容になっているということであればあるほど、なおさら政府国民に対して十分責任をとって、そうして戦前におけるそういう価値の高い金を加入者は払ったわけですから、現在の物価スライドするような形で払うというたてまえを堅持されることにこそはっきりした目標を持つべきであると私は思う。ところが実際において現在の物価が四百倍に上がっているにもかかわらず十五、六倍でこいつをやってしまうのだというようなことは非常に正しくない。そういうことであれば私は年金制度はとても見込みがないし、発展しないと思う。どんなにこいつを発展させたいとお思いになりましても、国民がこのからくりをはっきり知った場合に、こんなもの入ったって損じゃないか、こういうことになるのじゃないですか。実際において、自分生活を将来何とかして守り抜かなければならないということで、零細なのを無理して年金に入っておられる方がある。その人たちのほんとうの日本社会なり日本の国を思う立場からの金に対して、政府は十分これに報いなければならないと思います。したがって、その正義というものは十分に貫いてほしいと思う。ところが実際においては、そういうふうになっておらない。その辺を私ははっきりさしてもらいたいと思う。
  57. 武田功

    武田政府委員 先ほど御説明申し上げましたのは当時の積み立て金の運用でございまして、御案内のように年金あるいは保険で集めました金は、加入者契約条項に基づいて返しますまでにこれを通用するわけでございます。その運用の状況を御答弁いたしましたけれども、いま御指摘のような一部のものというのはあるいは社債、株式かと思いますが、これも一八、九%程度でございまして、私ども年金あるいは保険の積み立て金の運用は、できるだけ加入者還元あるいは地方還元ということをたてまえとしておりますので、先ほど申し上げましたように地方公共団体あるいは地方債、国債、そういう方面に大多数を投資しておるわけでございます。   〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕
  58. 田代文久

    田代委員 いまの説明も私はやはりごまかしだと思うのですよ。実際において現在財投に使っている金あるいは運用部資金なんかの集めた金というのは、私が言った方向に基本的には使われておるということは否定できないじゃないですか。  そこで、私は結論を早く申し上げたいと思うのですけれども、こういう年金、過去においてそういう実績があり、将来においても十分安心して加入できるかどうかわからないというような年金を拡大するというために、現在たとえば郵便局に勤務されている、あるいはこれに関係する方に対して、ノルマ制をとって、これだけはとにかくどうしても勧誘せよというような、そういう措置をとられておるのか。加入者が、ひとつ入ってみようかという、そういう気持ちで自発的にやられるのを自然のままにずっと待っておられるのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  59. 武田功

    武田政府委員 私どもの仕事はやはり積極的にいろいろと勧奨するという性格のものでございます。ノルマということでございますが、ノルマと申し上げるようなことを私ども考えておりません。しかしやはり勤務いたします際に、だれしもその努力目標あるいは仕事の目標を立てて、そうして働くのが常でございます。したがいまして、私どもも先ほど申しましたように、大体年間の目標額をきめまして、そしてそれをそれぞれの局に配分し、またそれぞれの局におきましては職員とも話し合って、そして大体の働く目標をきめて募集をしておる次第であります。
  60. 田代文久

    田代委員 そうしますと勤務員なり勧誘される方々は、やはり政府としてはできるだけよけいに勧誘し、できるだけよけいに件数をふやしまた金額をふやすということは好ましいことであるという立場に立たれるのは当然でしょうが、そういう関係勧誘されている方々をお互いに競争させ合う、そして実績競争をさせる、またこの勧誘なり実績というものがあまりあがらない勤務者に対しては、これを差別すると言ったら語弊がありますけれども、あるいは昇給とか昇格とかいう場合に考慮されるというような処置がとられるのか、そういうことは全然配慮されないのかどうか。
  61. 武田功

    武田政府委員 現在、郵政職員の中で保険関係あるいは貯蓄関係に携わっております者は、基本的にはやはり郵政職員としての協約に基づきますところの給与体系に入っております。そしてその上で募集高に応じて募集手当をもらう、こういうシステムでございまして、昇給、昇格にいたしましても、協約に基づいたワクの中で実施しております関係で、御指摘のような競争させてどうのこうのというようなことはございません。
  62. 田代文久

    田代委員 そのような答弁でありますけれども、実際に勤務者のお話を聞きますと、とにかくそこでお互いどっちがよけい成績をあげたかというようなことをせり合わして、結局は非常な労働の過重になるというようなことになるから、これは出しておられなければ非常に幸いなんですけれども、そういう点はひとつ政府としては注意していただきたいということを申し上げたいのです。  最後に、六十万件に近いそういう整理をされるとしますと、そういう事務なり運営の業務というものはそれだけ簡素化されるわけですから、当然そこに余剰人員が出るのじゃないかと思うわけですが、これを処置されることによってどれくらいそういう人員の余剰を見込まれておられるのか、またもしそれが出るならこれをどう処置されようとしているのか、合理化によって首を切られるのか、そういうことを絶対やらないのか、その点をお尋ねしたいと思うのです。
  63. 小林武治

    小林国務大臣 これは御指摘のように事務の簡素化がある程度行なわれる、こういうことはおわかりいただけると思います。しかしこれはほとんど保険の仕事と一緒に兼ねてやっておりますので、計算上はそういうものが出ても、あるいは余剰人員が出てこれを首切りするなどということは全然考えておりません。そのほかの仕事にみなそれぞれ従事する、こういうことになりますので、御指摘のような事態のことは心配いたしておりません。
  64. 田代文久

    田代委員 大体余剰人員が出るということの大臣の答弁がありましたが、実際においては大体どれくらい出るような見当ですか。
  65. 武田功

    武田政府委員 かりに六十万件直ちに当該年度にとりにこられて、全部それが整理されると仮定いたしますと、約百人近くの数になるかと思います。しかしながらこれは二年間の余裕期間をつくっております。また任意に払っていただくという問題、それからただいま大臣が申されましたように、勤務が保険と総合しております。いろいろそういう関係がございますので、結果を見なければ何とも申し上げかねますけれども、先ほど大臣の言われましたように、計算上の形からすれば百人近く内外を含めて出るというようなことでございます。
  66. 田代文久

    田代委員 そういうことであれば、その余剰人員が出たからということで、いわゆる合理化によって首を切るとか、あるいはそれにひとしい措置をとるというようなことを絶対にやられないように要望して、私の質問を終わります。
  67. 志賀健次郎

    ○志賀委員長代理 加藤君。
  68. 加藤六月

    加藤(六)委員 今回の特別措置法の対象となっておる年金の種類別件数及び金額、これについて、この一表、二表、三表でちょっとわからないと思いますので、その点について御説明願いたいと思います。
  69. 武田功

    武田政府委員 まず、この表で御説明申し上げますと、第一表は、これは新規契約も含めまして現在の契約状況を出してございます。また第二表は、これの対象となりますところの件数でございまして、年金は御案内のように終身年金定期年金と、この二種類でございます。ただ、この種類の中で、それぞれ保証期間の問題とか、据え置き期間の問題とかいろいろございますので、その点は非常に数が多くなりますが、種類といたしましては終身と定期、この二つの年金でございます。第三表は、これは二十二年以前の対象となります契約金額と、それから種類別、ここに終身と定期に分けまして出しました実態でございます。
  70. 加藤六月

    加藤(六)委員 いまの金額は全部でどうなっておりますか。これには金額は出てないんですが、今回の措置法の対象となるやつは……。件数と百分比だけなので……。
  71. 武田功

    武田政府委員 この第二表のところに件数金額を明示してございまして、年金額といたしますと約九千三百五十八万三千円、こういうようなことでございます。
  72. 加藤六月

    加藤(六)委員 この年金額の階級による金額というのはわかりませんか。もちろん第二表の分を計算していけばわかるわけでございますが……。
  73. 武田功

    武田政府委員 ただいまお尋ねのような統計をつくっておりません関係で、恐縮でございますが、お答えいたしかねます。
  74. 加藤六月

    加藤(六)委員 本案の施行月日を昭和四十三年一月一日からとされておりますが、この理由はなぜであろうかということをお答え願いたいと思います。その理由は、四十三年一月一日からされたという趣旨はわかるわけですが、この特典をできるだけ多くの加入者に均てんさせるためには、施行期日をなるべく早くしたほうが適当ではないか、こう思うわけでございます。さらに、それに関連しまして、施行月日を四十三年一月一日としたために本法の適用外となる契約がどの程度あるかということもあわせて御説明願いたい、こう思います。
  75. 武田功

    武田政府委員 私どもも御指摘のように、できるだけ早く施行することを考えたわけでございますけれども、何ぶんこの契約が長期間かなり放置された形になっておりまして、現住所もわからない方も多うございますし、また第二といたしましては、これに対するいろいろな事務的な諸準備に相当期間を要するという問題、またもう一つは、本法が企業内で作業をするというたてまえをとりました関係で、予算上の問題もございまして、そしてちょうどたまたま契約年次を二十二年の十二月三十一日できめました関係上、そういう区切りのことも考えまして、四十三年一月一日ということにいたしたわけでございます。ただ、確かに仰せのように、その間に、本法をかりに七月成立とさせていただきますと、約六カ月近くございます。月間約二千件ばかり契約消滅されるものがございます関係で、約一万件ぐらいがこの間にあるいは満了するということが想像されます。
  76. 加藤六月

    加藤(六)委員 これに、年金契約を消滅させる旨の申し出は「その到達前に、これを発した者が死亡したときは、その効力を生じない。」というこの第二条の二項の規定を設けておられますが、この理由はどういうところにあるのでしょうか。
  77. 武田功

    武田政府委員 年金法におきましては、保証期間内に年金受け取り人が死亡したときは直ちに年金継続受け取り人が年金契約上のすべての権利義務を承継する、こういうたてまえになっております。したがいまして、年金受け取り人が契約を消滅させる旨の申し出を郵送いたしましたといたしますと、その後に死亡したような場合には、死亡した年金受け取り人の意思よりも、違った新しい権利者であるところの年金継続受け取り人の意思をあらためて問うことが妥当ではないか、こういうような観点がございまして、この点を考えまして、この第二項をつくった次第でございます。
  78. 加藤六月

    加藤(六)委員 年金契約消滅の申し出ができる期間を二カ年としたのはどういうところに理由があるのでしょうか。
  79. 武田功

    武田政府委員 これもあるいは常識的なきめ方かもしれませんけれども、できるだけの期間を置いて、そうして漏れなく周知ができるようにとこう考えました。また、ちょっと関連ではございませんけれども、類似の立法例といたしまして、金鵄勲章年金の場合とか農地報償の場合とかそいうものを参考にいたしまして、二年ときめたわけでございます。
  80. 加藤六月

    加藤(六)委員 この昭和二十二年以前の郵便年金契約小額年金整理を二カ年間に完全にできるというお考えをお持ちでしょうか。できると考えておられますか。
  81. 武田功

    武田政府委員 私どもといたしましては、できるだけ周知をはかりまして、また住所不明の方の場合も調査をいたしまして、二年間に全部を対象としてやりたい、こう考えておりますが、だいぶ長年たっておりますので、かなりの数はこれから漏れるのじゃないかと思っています。
  82. 加藤六月

    加藤(六)委員 漏れた方に対する処置はどのようにされるようになっておりますか。
  83. 武田功

    武田政府委員 ただいま申し上げましたように、いろいろ周知方法なり案内なりをいたしますけれども、それでもなお漏れました場合は、これは遺憾ながら不明ということで現状どおりの形で残るわけでございます。
  84. 加藤六月

    加藤(六)委員 これは郵便年金法ですが、年金法の第二条の二に規定されている、国は、年金等支払い保証する、こうなっておりますが、この「保証する。」というのは年金の実質的価値を維持するということになるのではないか、こう考えるのですが、お考えはどうでしょうか。
  85. 武田功

    武田政府委員 この第二条の二でございますけれども、ここに書いてございますように「郵便年金契約に基く年金等の支払を保証する。」と、こういう立て方でございまして、本法のたてまえといたしましては、この年金法、またこれに基づきますところの約款、これらに基づく支払い保証でございます。したがいまして、たとえば厚生年金法あるいは国民年金法等にございますような形におきますところの保証ではない、こういうふうに私どもは解釈しておるわけでございます。
  86. 加藤六月

    加藤(六)委員 次に、この特別措置法に移るわけでございますが、この三条の三項に、随時払いの年金についての算定基準額を昭和四十二年三月三十一日までの払い込み掛け金額としておられますが、これはどういう趣旨から出たものでしょう。
  87. 武田功

    武田政府委員 随時払いの制度は現在はございませんけれども、かつてありましたものが残っておりまして、そしてそれにつきましては、現在でもさらに、いわゆる掛け足しと申しますか、新しくまた加算いたしまして足しますと、その契約額に相なります。ただこれは、この法律がすでに提案になっております関係で、こういう制度がわかりますと、ときに悪用されるような場合も予想されます。したがいまして、そういったようなことがないように、公平の観点から、一時この時期を定めまして、この時期以降については今度の措置と同じ措置をとりたい、こういうことからこの特例をつくったわけでございます。
  88. 加藤六月

    加藤(六)委員 今回の特別整理について、郵政省当局が加入者に圧力を加え、半ば強制的に整理するというようなおそれは考えられませんか。
  89. 武田功

    武田政府委員 本法は申し出を待って処理する、こういうたてまえになっております。したがいまして、私どもといたしましてはそのお尋ねのような強制その他のことは考えておりませんけれども、ただ、先ほど来大臣からも御答弁ありましたように、この法律をつくりました目的が、従来の小額契約をこの際加入者の同意を得てそしてできるだけ整理をしたい、こういう気持ちでございますので、そういう点におきまして十分周知徹底をはかって、そして理解を得たい、こう考えております。
  90. 加藤六月

    加藤(六)委員 先ほど田代委員が若干触れておられましたが、今回の特別措置が今後の郵便年金の新契約募集に及ぼす影響という点については、どのようにお考えになっておられましょうか。
  91. 武田功

    武田政府委員 確かに、戦後のあの異常な事態によりまして影響を受けております関係で、従来は、この年金の募集にあたりまして、やはりこれがかなり差しつかえになっておったことは事実であります。したがいまして、これが加入者の同意一を得て整理されるといたしますと、募集上は今後はかなり好影響をもたらす、こう私ども考えております。
  92. 加藤六月

    加藤(六)委員 今回この措置法の中で特別一時金を出されるようになっておるわけでございますが、この特別一時金の財源は高額契約の剰余金からも出ているのではないかということも考えるわけですが、もしそうであるならば、公平を欠くようになるのではないか、また高額契約者は将来が不安になるのではないか、このように考えるわけでございますが、この内容はどのようになっておりますか。
  93. 武田功

    武田政府委員 特別一時金の財源をどこに求めるかということは、私どもいろいろと苦慮したところでございますけれども、たまたまただいまのところ剰余金が二十二、三億程度ございます。したがいまして、この剰余金は、あるいは御指摘のように高額契約者によるところのものという見方もございますけれども、剰余金が今日まで繰り越して現在の形をなしておりますのは、やはりもともとからの積み立てた結果でございます。したがいまして、そういうような協力度も考えますと、これを剰余金に財源を求めることは不当ではない、こう判断いたしまして剰余金にこの財源を求めた次第でございます。
  94. 上林山榮吉

    ○上林山委員 関連。この郵便年金制度について、ただいまあなたから答弁がありました。小額の問題を今度調整していけば、将来はこの郵便年金制度は非常に発展する、こういう見通しの答弁がありましたが私は、せめてここ三年間でいいですが、あなたが記憶があるならば、三年間の推移はどうなっておるか、発展の方向にいっておるのか。あなた方が役人的なセンスでこれを少しくらい改正し調整しても、本制度は労多くして効果はない。だから、発展の方向に進むという御議論に対しては、私は批判的であります。とてもむずかしいだろう。だからそういうことに精力を使わないで、特に力を入れていかなければならない貯金、保険という郵政省本来の仕事のほうにさらに改善を加えて、ウエートを高くしてやっていくこと自体が、国家に貢献し国民に奉仕する郵政事業である、こういうように考えるのです。それはよくなると思いますというて単純に御答弁にならないで、この際、ここ一年間くらい間を置いて、ひとつ研究して、昭和四十三年度には廃止するか、あるいはこれを存続していくにはいかなる抜本的な改善を加えるか、その辺のことを——この質疑応答は、当委員会で、私も十二年くらいおつき合いしておりますが、何回か聞いた議論です。一向に改善されない、こういう考えを持っておりますが、いかがですか。これは、この機会にちょっと頭をかすめたのでお聞きしたわけです。通り一ぺんの答弁なら要りません。
  95. 武田功

    武田政府委員 先ほど申し上げましたのは、今後募集上にも好影響があるという意味で御答弁した次第でございます。なお、この年金は先生御指摘のように従来いろいろ問題がございまして、特に目標設定にあたりましては、ここ数年目標額を変えないでいっております。と申しますのは、かねてから小額契約整理ということがまず第一問題でございまして、これを何とかしなければならない。それからまた保険のほうがただいまのところやっと集中満期を出しましたけれども、三十九、四十年をピークといたしまして集中的に満期になる、こういう事態でございます。そのほうに精力を振り向けたい、こういうことであります。それから第三点は、かねがね御指摘のように、従来の形の年金がはたして魅力あるものであろうかという点、この点で変額年金がはたして組めるであろうか、こういう点につきまして私どももいろいろといままで検討もし、また、郵政審議会あるいはその他からも——主として郵政審議会から勧告を受けるというようなことでございまして、はなはだ言いわけじみますけれども、いま変額年金なりあるいは新種年金の能否をもう少し時間をかけて検討したい、その上において今後の行き方をきめたい、こういうのが私どものただいまのところの気持ちでございます。
  96. 小林武治

    小林国務大臣 私から一つお答えしておきますが、上林山先生の御意見に私はかなり同感なところがあります。長い間年金をやってきて今日の始末である、こういうことであるからして、私はやはり根本的にひとつ検討をして、また大々的にやるか、あるいは整理段階にすべきか、こういうことについてはこの二カ年の期間の間にひとつ決定的な結論を出したい、かように私は郵政当局に申しておりますし、今日お願いしているのは、その第一段階である、まずこういうものをやめて、そして非常な無用と申しては何でありますが、煩瑣な事務を去って、そしてひとつ真剣に考えていきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  97. 加藤六月

    加藤(六)委員 いま上林山先生から非常にいい意見が出たわけでございますが、その件については最終的に私も実は若干申さしていただきたいと思っておったわけでありますが、さっきの続きの関連について申さしていただきますと、繰り越し剰余金を見返りに特別付加金を支給した場合、将来抜本的対策を考える前に、現状のままいくとして経営上の欠損を生ずるときはどうされるつもりですか。剰余金は二十二、三億しかないといういまの御説明でございましたが……。
  98. 武田功

    武田政府委員 年間大体二、三億ずつふえて剰余金も出ております。そういう関係と、それから今回の場合でも二年度に分けまして剰余金を振り当てる、また同時に、剰余金も全部使うことなく、そのうちの十五億をもって充てる、こういうような形にしておりますので、私どもとしては、経営上欠損を生ずるということはないようにつとめるつもりでございます。
  99. 加藤六月

    加藤(六)委員 いま年間二、三億ふえるというお話がございましたが、この特別措置に伴って年金勘定剰余金が減少する、それに対して特別にこの資金運用面で剰余金を増加せしめる方法という点についてはお考えになっておるでしょうか、それとも現状のままの増加でいいというお考えなんでしょうか。
  100. 武田功

    武田政府委員 お説のとおり、資金運用面におきましてもできるだけ高利回りのものに振りかえるというようなことを検討いたしております。したがいまして、額としてはわずかながらでございますけれども、一分でも五厘でも高利回りのものを持ち、そうして年金勘定のほうを有利にしていく、こういうふうな考えで処置したいと考えております。
  101. 加藤六月

    加藤(六)委員 私の質問は大体これで終わらしていただきたいと思うのでございますが、これはだいぶ前のことになるのでございますけれども、簡易保険郵便年金福祉事業団が熱海にホームを持っておられる。これを視察させてもらったときに、熱海におけるホームの管理者等が、小額年金者に対して非常に入居その他で気を使っておられるということを目撃しまして、たいへんうれしく思ったことがあるわけでございますが、ただいま上林山先生の御質問に対しまして、武田局長あるいは郵政大臣から抜本対策に対して意思の開陳があったわけであります。郵政省の関係者の皆さんは、こういう戦前あるいは終戦直後に行なわれた年金加入者に対して、物価変動その他に対して、加入者に対して非常に申しわけないという気持ちで、誠心誠意そういう人にどうしたら本来の趣旨で喜んでもらえるかという点について、末端では非常に気を使った、心のこもった措置がとられておったわけでございますが、しかし、そういう気を使い、心のこもった措置だけではこの年金というものはだめなんではないかという印象も強く持っておりますので、郵政当局もひとつ英断をもって今後この年金制度に当たっていただきますようにお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  102. 志賀健次郎

    ○志賀委員長代理 森本靖君。
  103. 森本靖

    ○森本委員 資料の要求をしておきたいと思いますが、新聞等で見たわけでありますが、京都中央郵便局におきまして、第一組合、第二組合の問題に関連をして若干の暴行事件があったということで両方が告訴しておるようでありますが、それの詳細な内容をひとつお出しを願いたいと思います。  それから大阪郵政局から、管内の各普通局に対しまして不当労働行為は絶対にやってはならぬというふうな通達を昨年の十二月か本年の二月ごろに出しておるようでありますが、その通達の与しをひとつ資料として御提出を願いたい。この二つです。
  104. 竹下一記

    ○竹下政府委員 第一の件につきましては、資料を用意いたしまして提出いたします。
  105. 志賀健次郎

    ○志賀委員長代理 明十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午前十一時三十七分散会