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前田参考人 ある意味では先生のおっしゃるとおりだと私どもも考えているわけでございます。この
建設の基礎となった考え方は、過去十年にわたる二回の長期
計画の中で、
NHKの施設というものは、御承知のように歴史が古いだけに、新しい技術革新に即応する機会がなく、ことに敗戦という時代を通じて再
検討という問題が実行上困難であったという時代を経過しているわけでございます。したがいまして、第一次五カ年
計画、第二次六カ年
計画を貫く精神は、やはり御
指摘のとおり
建設という点にかなり重点を置いたわけでございます。すなわち、第一には陳腐化したものを新しくする、第二には、技術の革新、テレビの
発展、最近は御承知のように宇宙通信の
発展に即応する施設をすることが聴視者のためである、われわれの責任であるという考え方で、今日までその方向を堅持してまいったわけでございます。とりわけ御
審議をいただいております三十九
年度は、御承知のように日本が
放送の面では世界を代表して各国に
放送を提供するという立場に立たされたわけでございますので、したがって、それを中心として外からごらんになりますと、いかにも
NHKが突如としていろいろなものをやり出したという印象を与えたかと考えますが、これらはすべて第二次六カ年
計画の中に織り込まれたものを、
年度を繰り上げて実施しているという形で、実は実施されたものでございます。ただし、これを契機としてその後
計画を越えて実施しなければならなかった問題は、第一には置局の促進であり、第二には宇宙中継による設備の開発と研究並びにその限度における実施でございます。したがいまして、第二次六カ年
計画を振り返ってみますと、今
年度はその最終
年度になるわけでございますが、
計画から見て、いわゆる置局の促進という点から申しますと、
計画のおおよそ一五〇%を上回る
程度に置局が促進された。これはオリンピック番組をできるだけえこひいきのないように、あまねく全国の方に見ていただくということが実は最初の出発点になっていたわけでございます。このようにして、曲がりなりにも皆さんの御鞭撻と郵政
当局の御指導によって、第二次六カ年
計画をもって一応過去三十年間の古い施設をこれまで十年間かかってようやく取りかえるという
段階に達したわけであります。そういう点で、先生の御
指摘のとおり一応形は整ったということが言えると思います。御
審議をいただいておりますこの
決算の中でも、いわゆる
資本の充当分と申しますか、
固定資産の
増加、これと関連する
減価償却費の増高というような点もすべてこの方針と関連するわけでありまして、したがいまして私どもとしては、今
年度予算の御
審議をいただく場合にも、いわゆる考え方が粗雑ではございましたけれども、これからは
経営を集約的にしてまいりたいということを申し上げております。これは今
年度を最終
年度として終わる第二次六カ年
計画に続く新しい
経営の基礎観念でありまして、その観念に立ちましても、今後は
建設は二次的な地位に立つであろうということは当然私どもも考えなければならないところだと考えております。したがって
放送番組と関連いたしましても、先ほど来御
質問もいただきましたいわゆる
機械化という問題と関連して、いよいよ集約的な質的向上を目標とする番組制作に転換してまいりたい、このように考えている次第でございます。