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1967-07-20 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)     午後三時五分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君       木野 晴夫君    塩川正十郎君       渡海元三郎君    古屋  亨君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       實川 清之君    島上善五郎君       華山 親義君    依田 圭五君       折小野良一君    有島 重武君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 増子 正宏君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省選挙局長 降矢 敬義君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁長官   佐久間 彊君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 七月十九日  委員有島重武君辞任につき、その補欠として大  野潔君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  實川清之君が議長指名委員に選任された。 同  委員實川清之辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会名称変更に関する件  小委員長からの報告聴取  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の給与改定に関する問題等)  請 願    一 山村地方財政の強化に関する請願(坊      秀男君外二名紹介)(第二号)    二 地方自治体財源確立に関する請願(      井出一太郎紹介)(第三九号)    三 同(小川平二紹介)(第四〇号)    四 同(吉川久衛紹介)(第四一号)    五 同(倉石忠雄紹介)(第四二号)    六 同(小坂善太郎紹介)(第四三号)    七 同(下平正一紹介)(第四四号)    八 同(原茂紹介)(第四五号)    九 同(羽田武嗣郎紹介)(第六七号)   一〇 同(林百郎君紹介)(第六八号)   一一 同(中澤茂一紹介)(第一一六号)   一二 同(増田甲子七君紹介)(第一三二      号)   一三 社会保険関係等地方事務官地方公      務員とすることに関する請願井出一      太郎紹介)(第四六号)   一四 同(小川平二紹介)(第四七号)   一五 同(吉川久衛紹介)(第四八号)   一六 同(倉石忠雄紹介)(第四九号)   一七 同(小坂善太郎紹介)(第五〇号)   一八 同(下平正一紹介)(第五一号)   一九 同(原茂紹介)(第五二号)   二〇 同(羽田武嗣郎紹介)(第六九号)   二一 同(林百郎君紹介)(第七〇号)   二二 同(中澤茂一紹介)(第一一七号)   二三 同(増田甲子七君紹介)(第一三三      号)   二四 特別区の区長公選及び自治権拡充に関      する請願広川シズエ紹介)(第      二一二号)   二五 同(山本政弘紹介)(第二五九号)   二六 地方自治体財源確立に関する請願(      平等文成君紹介)(第二八〇号)   二七 社会保険関係等地方事務官地方公      務員とすることに関する請願平等文      成君紹介)(第二八一号)   二八 料理飲食等消費税軽減に関する請願(      白浜仁吉紹介)(第三三〇号)   二九 退職地方公務員共済組合制度適用に      関する請願小林信一紹介)(第      六〇〇号)   三〇 地方公務員給与改定に伴う財源措置      に関する請願山中貞則紹介)(第      八六七号)   三一 消防賞じゆつ金制度改善に関する請      願(池田清志紹介)(第一〇七〇      号)   三二 市町村営有線放送電話助成に関する      請願臼井莊一君紹介)(第一一二      九号)   三三 名神高速道路交通警察費国庫負担に      関する請願宇野宗佑紹介)(第一      一七二号)   三四 戦傷病者に対する地方税減免に関する      請願原健三郎紹介)(第一二六四      号)   三五 同(伊能繁次郎紹介)(第一四一六      号)   三六 同(砂田重民紹介)(第一四二九      号)   三七 同(田村元紹介)(第一五四〇号)   三八 同(藤井勝志紹介)(第一五四一      号)   三九 同(大橋武夫紹介)(第一六四三      号)   四〇 市町村営有線放送電話施設助成等に関      する請願大石八治君紹介)(第二一      二五号)   四一 同(小坂善太郎紹介)(第二一二六      号)   四二 同(中澤茂一紹介)(第二二四〇      号)   四三 東北管区警察学校移転促進に関する      請願愛知揆一君紹介)(第二五二三      号)   四四 特別区の区長公選及び自治権拡充に関      する請願本島百合子紹介)(第二      六五九号)   四五 戦傷病者に対する地方税減免に関する      請願關谷勝利紹介)(第二六九八      号)   四六 市町村営有線放送電話施設助成等に関      する請願登坂重次郎紹介)(第二      七六〇号)   四七 地方税法等の一部改正に伴う財源措置      に関する請願池田清志紹介)(第      二七八一号)   四八 指定自動車教習所助成に関する請願      (愛知揆一君紹介)(第二九七二号)   四九 同(遠藤三郎紹介)(第二九七三      号)   五〇 同(倉成正紹介)(第二九七四号)   五一 同(小坂善太郎紹介)(第二九七五      号)   五二 同(佐々木義武紹介)(第二九七六      号)   五三 同(關谷勝利紹介)(第二九七七      号)   五四 同(内藤隆紹介)(第二九七八号)   五五 同(丹羽喬四郎紹介)(第二九七九      号)   五六 同(福永健司紹介)(第二九八〇      号)   五七 同(保利茂紹介)(第二九八一号)   五八 同(益谷秀次紹介)(第二九八二      号)   五九 同(山口喜久一郎紹介)(第二九八      三号)   六〇 市町村営有線放送電話施設助成等に関      する請願周東英雄紹介)(第三〇      五七号)   六一 同(内田常雄紹介)(第三一六四      号)   六二 同(枝村要作紹介)(第三一六五      号)   六三 同(小渕恵三紹介)(第三一六六      号)   六四 同(亀山孝一紹介)(第三一六七      号)   六五 同(野原正勝紹介)(第三一六八      号)   六六 指定自動車教習所助成に関する請願      (小渕恵三紹介)(第三一六九号)   六七 同(久保田円次紹介)(第三一七〇      号)   六八 同(田中榮一紹介)(第三一七一      号)   六九 同(丹羽久章紹介)(第三四〇八      号)   七〇 同(臼井莊一君紹介)(第三五二八      号)   七一 同(加藤六月紹介)(第三五二九      号)   七二 同(坂村吉正紹介)(第三五三〇      号)   七三 同(山手滿男紹介)(第三五三一      号)   七四 同(早稻田柳右エ門紹介)(第三五      三二号)   七五 市町村営有線放送電話施設助成等に関      する請願外二件(小澤太郎紹介)(      第三五三三号)   七六 同外一件(谷垣專一君紹介)(第三五      三四号)   七七 同外一件(柳田秀一紹介)(第三五      三五号)   七八 同(山口喜久一郎紹介)(第三五三      六号)   七九 道路交通法の一部を改正する法律案反      対に関する請願門司亮紹介)(第      三六二〇号)   八〇 指定自動車教習所助成に関する請願      (赤澤正道紹介)(第三七五五号)   八一 同(小川半次紹介)(第三七五六      号)   八二 同(大平正芳君外三名紹介)(第三七      五七号)   八三 同(岡本茂紹介)(第三七五八号)   八四 同(金丸信紹介)(第三七五九号)   八五 同(亀岡高夫君紹介)(第三七六〇      号)   八六 同(櫻内義雄紹介)(第三七六一      号)   八七 同(田中龍夫紹介)(第三七六二      号)   八八 同(地崎宇三郎紹介)(第三七六      三号)   八九 同(村上勇紹介)(第三七六四号)   九〇 同(山崎巖紹介)(第三七六五号)   九一 市町村営有線放送電話施設助成等に関      する請願外二件(大竹太郎紹介)(      第三七六六号)   九二 同(玉置一徳紹介)(第三七六七      号)   九三 同(柳田秀一紹介)(第三七六八      号)   九四 自動車税軽減等に関する請願麻生良      方君紹介)(第三七六九号)   九五 東京都旧高田本町一、二丁目の住居表      示に関する請願島上善五郎紹介)      (第三七八九号)   九六 東京都旧目白町三、四丁目等の住居表      示に関する請願島上善五郎紹介)      (第三七九〇号)   九七 同(阪上安太郎紹介)(第三八九二      号)   九八 同(依田圭五君紹介)(第三八九三      号)   九九 同(神近市子紹介)(第四〇九三      号)  一〇〇 東京都旧高田本町一、二丁目の住居表      示に関する請願河野密紹介)(第      三八九四号)  一〇一 市町村営有線放送電話施設助成等に関      する請願大橋武夫紹介)(第三八      九六号)  一〇二 同(櫻内義雄紹介)(第三八九七      号)  一〇三 同(竹下登紹介)(第三八九八号)  一〇四 同(羽田武嗣郎紹介)(第三八九九      号)  一〇五 同(廣瀬正雄紹介)(第三九〇〇      号)  一〇六 同外一件(三ツ林弥太郎紹介)(第      三九〇一号)  一〇七 同(小沢貞孝紹介)(第四〇四四      号)  一〇八 同(前尾繁三郎紹介)(第四〇九四      号)  一〇九 指定自動車教習所助成に関する請願      (大久保武雄紹介)(第三九〇二      号)  一一〇 同(松澤雄藏紹介)(第三九〇三      号)  一一一 同(江崎真澄紹介)(第四〇九一      号)  一一二 同(古川丈吉紹介)(第四〇九二      号)  一一三 道路交通法の一部を改正する法律案反      対に関する請願島上善五郎紹介)      (第四〇二五号)  一一四 同(林百郎君紹介)(第四〇二六号)      ————◇—————
  2. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 これより会議を開きます。  固定資産税等に関する件について調査を進めます。  この際、固定資産税等に関する小委員長から、小委員会経過について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。久保田円次君。
  3. 久保田(円)委員(久保田円次)

    久保田(円)委員 固定資産税等に関する小委員会調査経過等について御報告申し上げます。  本小委員会は、第五十一回国会において成立した地方税法の一部を改正する法律に対する地方行政委員会附帯決議に基づき、固定資産税について免税点基礎控除税率調整等を含め根本的な検討を行なうため、去る三月十七日の本委員会において設置されたものであります。  五月十一日第一回の小委員会を開会して以来、すでに六回開会し、その間自治省より、昨年の地方税法改正に伴う影響、特に免税点引き上げによる納税義務者数変動状況固定資産税国民所得市町村普通税総額等に対する割合及び年度別変動状況土地及び家屋に関する租税の負担率の推移、さらには諸外国の財産課税概要等について説明を聴取するとともに、七月十二日には、一橋大学教授木村元一君外二名の参考人より意見を聴取するなど、熱心に調査を進めてまいったのであります。  調査の過程において論議されたおもな内容を申し上げますと、次のとおりであります。  その一は、固定資産税のうち、土地評価に関するものでありまして、地域別宅地価格の上昇と評価額との関係はどのようになっているか、都市近郊農地または宅地介在農地評価方法を実態に沿うよう改善すべきではないか、評価額の三年据え置き制度のため、評価は常に時価のあとを追う形になっているが、これを是正できないのか、等の論議がなされたのであります。  その二は、免税点等に関するものでありまして、昨年の地方税法改正による免税点引き上げにより特に町村の納税義務者が激減したのではないか、宅地及び家屋について免税点未満のものの所有見込面積はどのくらいか、標準的生活に必要な住宅敷地面積にかかる固定資産税免税とすべきではないか、イギリスのレートについて還付金制度が設けられていることと関連して、固定資産税基礎控除制度を設けてはどうか、基礎控除制または累進税率を採用した場合、実務上の影響はどうか、等の論議がありました。  その三は、昭和四十一年度の免税点引き上げに伴う減収補てん措置に関するものでありまして、この点については、四十三年度以降においても補てん措置を講ずべきである、との意見がありました。  このほか、償却資産にかかる減免税地方財政への影響を考えて整理すべきである、新評価による固定資産税の増額による地代、家賃の不当な引き上げを抑制すべきである、等の意見が出されました。  以上が現在まで行なわれたおもな論議でありますが、本小委員会といたしましては、第一に、固定資産税免税点引き上げによる地方公共団体減収分については、政府において四十三年度以降も地方財政状況を勘案し適切な措置を講ずべきである、第二に、今後引き続き固定資産税検討を行なうとともに住民税等を含めた地方税全般についても検討を加えることが必要であるとの見地から、本小委員会をこれに適合する名称に改めるよう措置せられたいとの意見の一致をみたのであります。以上、御報告申し上げます。     —————————————
  4. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 この際、おはかりいたします。  ただいまの小委員長報告趣旨にかんがみ、固定資産税等に関する小委員会名称地方税に関する小委員会に変更し、固定資産税住民税等地方税全般について調査をすることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 これより請願審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は、百十四件であります。  請願日程第一から第一一四までを一括して議題といたします。  まず、審査方法についておはかりいたします。  各請願内容については、文書表で御承知のことでもありますし、また、昨日の理事会において御検討願いましたので、この際、各請願について紹介議員説明聴取等は省略し、直ちに採否決定に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これより採決に入ります。  昨日の理事会において決定いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一ないし第一二、第二六、第二九ないし第三三、第四〇ないし第四二、第四六、第四七、第六〇ないし第六五、第七五ないし第七八、第九一ないし第九三及び第一〇一ないし第一〇八の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決し、日程中第七九、第一一三及び第一一四の各請願は、いずれも議決を要しないものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  残余の各請願は、いずれも採否決定を保留いたしたいと思いますので、御了承願います。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  10. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 なお、今国会におきまして、本委員会参考のため送付せられました陳情書は、地方公務員共済制度改善に関する陳情書外四十件であります。念のため御報告いたしておきます。      ————◇—————
  11. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 これより地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。大石八治君。
  12. 大石(八)委員(大石八治)

    大石(八)委員 簡単に申し上げたいと思いますが、第一点は、市町村道路財源を確保すべきであるということでありますが、ことしの交付税の中で、地中にある芽の程度までをやったわけでありますが、六兆六千億円という今度の新しい道路整備計画というのがあって、それには地方道関係というものがあるわけであります。もともと考えてみても、現在の情勢で、府県道に対して道路財源を与えてある、しかも、ある程度補助制度も続いておる。それから、一、二年前から市町村の特殊の道路に対する補助制度がありますけれども、このことはいまのような自動車の状態からいえば、市町村道路財源がないということのほうが不自然だと思うわけです。たまたま今度六兆六千億の問題を具体的にしようとすれば、当然道路財源の問題が出てくる。二十九年に塚田さんの大臣のとき、ないし三十年だかに川島さんが自治大臣のときに、譲与税趣旨説明というものをやってます。あれを市町村というように書きかえれば、同じように当てはまると私には考えられるわけです。この段階では当然しなければならぬというふうに思うわけでありますが、閣議の決定ももうそういうところにだんだん入ってくると思いますが、それには財源的な措置をどうするかということもありますけれども、この段階決定的にそういう線を打ち出す以外にない。私自身から言えば、極端には、いまの一般府県道に対する国庫補助があるという形は、ほんとうはやめたほうがいいと思うくらいであります。非常に国道との立体交差をしなければならないという事情になって、特に金がかかるというような場合は、これは国庫補助があってもいいと思うのですけれども、府県道補助制度すら、私は、財源さえあれば、府県技術者十分設計もできることでありますから、必ずしもそれに国費の補助をしなければならないということはないくらいに思う。市町村については、これは財源を置かなければならぬ。いまの整備率を見れば、国道が何%、府県道が何%、市町村道はこうだということは数字的にはっきりしているわけでありますから、今度の新整備計画段階で、画期的に道路財源を与えることをしなければならぬと思う。  そのことに関連して、具体的にどういう決意を持っておられるか、大臣の御所信をお伺いいたしたい。
  13. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 市町村の自主的な道路財源を確保するということの必要なことは御指摘のとおりでございまして、四十二年度の予算編成におきましても、そのことが論ぜられたわけでございますが、残念ながら結論に至らなかったわけでございます。  いまお話しの新道路五カ年計画細部策定にあたりまして、これとあわせて市町村自主財源を考えてまいりたいと思っております。四十二年度の予算編成にあたってわれわれが考えましたガソリン税市町村への移譲というようなことを中心にいたしまして、新道路計画細部策定にあたって考慮してまいりたいと考えております。
  14. 大石(八)委員(大石八治)

    大石(八)委員 府県道に対する譲与税をやる経過の中でも、政府の中でも実はそんなに容易ではなかったのであります。私もこの問題は、理屈はそのとおりであっても、必ずしもそれほどあっさりした問題ではないだという想像はいたしております。いたしますけれども、この機会をおいては全く時はないというふうに思いますから、ほんとうに本格的に道路財源を与えるというたてまえに、それも本格化の形でやっていただきたいと思いますから、その点についての自治大臣の御決意をお述べいただきたいと思います。
  15. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 四十二年度において、非常にわずかでございますが、特別な交付金として二十五億を確保したということも、市町村道路財源が必要であるというこの一つの証左でございまして、今後におきましては、それをもっと恒久的な、制度的な形におきまして、もちろん、お話のようにガソリン税譲与というようなことはなかなか困難を伴うと私は考えますが、ぜひともそういう方向で実現をいたしたいと考えておる次第でございます。
  16. 大石(八)委員(大石八治)

    大石(八)委員 それから、これらに関係することでありますが、政府地方制度調査会なりその他がいわゆる行財政の地方移譲ということを何回もやってきているわけです。答申もされている。しかし、現実的にはそれはほとんど進んでいないというのが現状だと私は思うのです。  けさ、ちょうど新聞で見ますと、第十一回になるわけでしょうか、調査会に対していろいろ資料を自治省から出してやっておるようでありますが、非常にいろいろむずかしい問題もあるかもしれませんけれども、金さえあれば地方でできるわけなんです。そういうものはやはり地方にまかせるという考え方、その考え方が第一であろうと私は思うのです。何としても役所のいわゆる中央支配の本能というものがありますから、何でも補助金でやってやろうという考え方。そんなに高度の施設を必要とするようなものではないものまで、中央に金があって、そうして補助金という形でやっていますけれども、しかも何回も答申も出ているわけですから、それを実行するということを考えていかなければならぬと私は思うのです。たとえば土地改良事業などの小さいもの、たとえば農道なんかに補助金を国がやるということをどうして着想するのか。農道設計をすることにそんなにむずかしいことがあるわけではない。少しばかりの土地改良かんがい排水のことをやるといっても、県なり市町村でできることはいっぱいあると思うのです。ですから、そういうことまでもう少し洗っていってみて、そしてできるものは市町村にやる。どうせ国民税金なんです。それが市町村税か国税か、あるいは府県税であるかということは別としても、結局税金なんです。だから、税金を納めるということにおいては差がないわけなんです。とにかく財源というものは世の中にあるわけです。ですから、その財源の配分ができれば、洗っていけば、いわゆる地方団体府県なり市町村に独自でやらせられることもまだまだあると思うのです。いまの様子というものは、補助金がなければ仕事の形ができないということでありますから、市町村会の議員なり府県会の議員というものは、ほんとうに自主的に自分たちで村づくりをする、町づくりをする、県づくりをするというよりは、政府のほうの補助金のついたものでものをやるという感じ方になるわけです。独自に自分たちの村づくりをする、この五年間はこういうところに重点を置いて村づくりをする、その次の五年間はあるいは文教とか、そういうふうにやってもいいですが、そういう財源的な付与がない。行政上にもそういうことをさせられていない。何回も答申ができているわけでありますから、それを決断をしてやってもらう。私ども国会議員の場合も、実は選挙等に関連があるのか、なるべく補助金中央政府に持っていくという傾向が私はないわけではないと思うのです。そういう点は国会の私たちもはっきり全員が認識し、考え直さなければならぬと思うわけです。しかし、いまの実態というものは私は正常ではないというふうに思いますが、この点について、今度の答申を待ってというか、もうできるものからどんどん決断をしていく、一切を全部やろうとするやり方でなくても、できるものからどんどんやる。それを主張するのは、各省にまたがることでありますけれども、自治体の立場ということからいって、自治省がそれの大きな推進力にならなければ私はなかなかできないと思うのです。そのことについての大臣のお考えをひとつ具体的に、この段階に突き当たってどうお考えになるか、どう実行しようとするかをひとつお述べをいただきたいと思うわけであります。
  17. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 確かに補助金制度というものを再検討しなければならない時期であろうと思います。たとえば、道路というもの一つを考えましても、最もそれに精通しておるのはその県なり市町村なのでございますから、そういう意味において、県なり市町村が独自の立場で仕事ができるようにすることのほうが望ましいわけでございまして、先ほどのガソリン税移譲を考えたのはそういう趣旨もあったわけでございます。しばしば出されておりまする中央地方の行政事務の再配分の問題にいたしましても、実はただいまも御指摘がありましたように、いまの第十一次地方制度調査会答申されたようなことで、財源的に考えればどうなるかというようなことを昨日もお示しをしておるわけでございまして、ぜひそういう形で、単に調査会や審議会の答申を待つというばかりでなく、私どもがどうすればあの答申の線に沿えるかということを考えながら、ひとつできるだけ早い機会に結論を出してまいりたいと考えておる次第でございます。
  18. 大石(八)委員(大石八治)

    大石(八)委員 これは質問ですけれども、いままで何回か答申がなされながらできない、しにくいというもののやはり最大のブレーキといいますか、障害になっているものは一体何なんですか。
  19. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 私は率直に言って、できるだけ事業官庁が握って自分の守備範囲を多く持っていたいということだと申し上げたいのでございます。  それともう一つは、そういうものを府県市町村にやらせるとかってなことをやって、ということだと思うのでございますが、少なくとも現在のように進んでまいりました地方自治制度のもとにおきましては、やはりもう少し地方団体の首長なりあるいは議員さん方を信用してと申しますか、仕事を自主的にまかせるという気持ちに各省がなっていただかなければならない、また、なっていただくようにつとめるのがわれわれのつとめであるというふうに考えております。
  20. 大石(八)委員(大石八治)

    大石(八)委員 ぜひひとつ閣議でも発言をしていただいて、早急にムードをつくっていただいてやっていただくようにお願いいたしたいと思います。  それから最後になりますが、明治百年ということばがあるようです。都道府県合併特例法案はあまりうまくないようでありますが、それはそれとして、やはり広域経済、広域行政ということを考えなければならぬ。ところが、町村合併というものが進められておるようでありますけれども、自治省にある数字で見ますと、これも単位がこういう割り方をしておりますからうまくないわけですが、人口が一千以下の町村がまだ十一ある。それから一千から五千のものが三百五十四、五千から八千のものが六百三十九あるという状態であります。何も人口が少ないから自治体の体をなさないということはないと思いますけれども、しかしこういう時代になって、いわゆる末端の自治体というものが人口一万以下のままおるということが一体いいだろうかと思うのです。それは何とか安穏にといいますか、いさかいもなしに、ただシーンと静かに住んでおるというだけなら平穏は保っておるかもしれないけれども、そのくらいの規模の町村では、積極的にこれからの施設なり何かをやっていくことはできないと思うのです。町村合併というものをいままで進めてやってきましたけれども、現にいまこういう段階にある。この段階というものを一体そのままでいいのかどうかという感じがいたすわけです。私は、町村合併でも府県合併でも、合併のさせ方というのはそれほど容易でないと実は思うのです。経済力が裕福なほうの連中に合併に反対させようとすれば、貧乏なほうが入ってくれば荷物になるから割り得ないことは一つもありませんよ、こう言えば、それもそうだなと言う。それから財政力のないほうの人に合併反対をさせようとすれば、どうせ合併すればあっちのほうが中心になって、おれたちのほうはますます悪くなるんですよという言い方をすれば、それはそうだろうとすぐ思ってしまいますから、なかなか合併ということを進めることはむずかしいし、単に町長が二人が一人になったからそれだけ税金が安くなるというようなことを言っても、どんどん物価は上がるし、税金も上がるわけですから、そんな説明はでたらめだと思うのです。しかし、やはりもっと大きな意味でPRをしなければならぬ。明治百年というこの段階が、この町村合併という問題について、大きなトラブルが起きなければそのままでいいのだということで、この程度にしておいていいだろうか。いろいろなことを自主性を持ってやらせるのがほんとうの自治だということを言いましても、その自治体とはどういうものだと言いましたときに、ある機能を発揮できるような規模、そういうものになっていなければやはり意味をなさないわけであります。だから、自主性とか、いわゆる自治体としていろいろなことをさしてやるのにもこの程度のところでいることは、今度は頭は、考え方はできても、実際問題として受け取る機能というものはまことに貧弱で、機能し得ないことになると思う。で、新しい観点に立って町村合併というものを一つのレベルを考えて、そういう自治体に対して指導をしていくという考え方が必要ではないかというふうに私は思いますけれども、その点はどうなんだろうか。府県の場合についても、何十年たちましたけれども、この府県の機能というものを考えた場合に、やはりいまではなかなかそういうことを言うことは案外むずかしいのですよ。むずかしいけれども、中国地方の場合でもああいうふうに、県が全部ああなっていなければならぬかというふうなことをもう少し大っぴらに住民に考えてもらう、そういう自治体の機能がしっかりできるようにしておかなければ、幾ら財源的なものがいく制度をつくってみたって、そこには何にも実は上がってこない。またそういう中でやってみても、やる仕事の程度というものは非常にいさいものであるということになって、政治が期待するような結果は生まれないわけです。どうしてもこの際、日本の国内の自治体の規模という問題について再検討をしてもいい時代に入っているんじゃないかというふうに私個人は思いますが、その点についてはどんなお考えか、ひとり…。
  21. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 確かに非常に小規模な人口の少ない村などでは、だんだんこういう社会情勢が変化しても、それに応じたような行政水準を保つこともできないような場合もあり得るわけでございまして、できるだけ適正規模になることが望ましいわけでございます。ただ二十八年以来合併を促進をいたしてまいりましたので、現在残っている町村というのは、非常に小さくていろいろ地理的な条件その他問題の多いところであろうと思います。しかし一方、ただいま申しましたように行政水準を維持向上していくというような点からいたしまして、やはりできるだけ適正規模な人口になるように、合併等も、奨励と申しますか、勧奨していかなければいけないのじゃないかということが一つでございます。もう一つ、それでもなかなか合併がむずかしいというときに、はたして現在の地方自治法のように、町村なら町村を、三万の町も一千の村も同じようなあれでやっていいのだろうかということも実は——しかし、それをそれじゃ差別して取り扱うといって、どういうことがいいかというとなかなかむずかしいと思いますが、そういう大きな町も非常に小さい村も同じような仕事を要求していくということがはたしていいのだろうかというような問題もございます。しかし、まず当面といたしましては、できるだけ適正規模な人口になるように町村の合併を慫慂していくということが必要だと思っております。
  22. 大石(八)委員(大石八治)

    大石(八)委員 一度奨励の時期は過ぎて、特例法案なりその他でいろいろやってきたという段階も一応終わったような感じがお互いにしているのじゃないかと思うのですが、こういう時代、こういうテンポの中、そして交通というものもこういうふうになってきた中で、そのスピードというのは、奨励をしていた時分よりも非常に今日早いのですよ。ですから、町村規模、町村の機能というような問題でもう一度取り上げてみてもいいのではないか。こういうところは多少いろいろな問題があって、残っておるところがあることは私も承知しておりますけれども、しかしそういうことではなしに、もう一回新しい観点で考えていく必要があるのではないかというふうに思います。さような意味で、もう一回検討してみていただく必要があると思うのですが、そこらについてもう一回お伺いいたします。
  23. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 確かに、ことに最近は人口の流出などが非常に激しくなっております。したがって、五、六年前、十年前には何とかやっていけたというところも、その後急速に人口が減少してしまったというようなところもございますので、いま御指摘のように、さらにこの段階において、あるいは将来を見通して、もう一度適正規模というようなもの、ことにだんだん道路も発達いたしまして、交通の便もよくなってくるわけでございますから、その辺ともにらみ合わせてもう一度検討する段階であるというふうに考えます。
  24. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 それでは、次に實川君。
  25. 實川委員(實川清之)

    實川委員 行政局長にお尋ねいたします。  私が質問申し上げることは、千葉県山武郡芝山町の議員の解職請求の経過について御説明いただきたいのですが、その前に、その問題の起こりました背景について簡単に申し上げたいと思います。  国際空港を千葉県富里につくる計画がございまして、前後三年間紛糾に紛糾を重ねた結果、この案は廃案になったのです。ところがその隣接の成田に、事前には何らの連絡もなく、突然天下り的に成田空港が閣議決定を見たわけでございますが、それが昨年の七月四日でございます。自来ちょうど一カ年、この問題をめぐりまして、空港の用地に当たる部分はもちろん、その周辺のいわゆる騒音地域に属する町村におきましては、町や村がまつ二つに割れて、賛成、反対の戦いを現在まで続けて非常に混迷いたしております。もちろん地域の住民はたいへん迷惑をいたしておることは当然でございますが、そこで問題の起こりました芝山町と、計画されております成田国際空港の関係でございますが、空港は御案内のとおりSSTという超音速の非常に大型の飛行機を飛ばす目的のようでございます。大体一千六十町歩くらいですかの用地を一応飛行場用地として考えておるようでございまして、四千メートルと三千六百メートル、さらに二千五百と、三本の滑走路が現在予定されておりますが、この三本の滑走路とも芝山町の上空を全部通ることになっております。したがいまして、芝山町は騒音の真下に町全体が入ってしまう、こういう地理的な環境でございます。その上、いわゆる飛行場から流れるいろいろな汚水の関係でございますが、これも飛行場の周辺に三本の自然河川がございますが、そのうちの二本が芝山町の地域を通って海に出るという関係でございます。したがって、汚水の関係から申しましても、芝山町がほとんどその大部分の犠牲を負担しなければならない、こういう立場にございます。さらにまた東京、千葉、空港、こういうような空港から出発する人、あるいは空港に着いて日本に入られる人の関係、つまりその方面に高速道路が当然つくだろうし、将来は鉄道の関係も、京成電車が延長になるか国鉄が延長になるかわかりませんが、そういう鉄道関係も何らかの形で整備されると思いますが、そういうようないわば東京を中心にした空港の表玄関というのはちょうど芝山町の反対側でございまして、芝山町の位置は空港の日陰になるという位置でございます。したがいまして、常識的に言うと、空港が設置されましても、芝山町にとって騒音あるいは汚水以外何ら恩恵に浴するところがないというような不利な立場にこの問題について置かれております。そういうような関係で、成田空港の閣議決定を見ましてから今日まで、ほとんど住民はこの空港反対闘争に明け暮れておると言っても過言でございません。芝山町は旧千代田村、二川村の二カ村の合併でございますが、空港に接地いたしております旧千代田は、ほとんど全域をあげて絶対反対の態度を今日までとってまいっております。この問題が出ました昨年の当時の状態は、六月二十二日の夕刊に報道され、その晩のラジオで、成田に空港の白羽の矢が立ったということが報道されたわけであります。この問題が出ますとすぐ町民大会あるいは成田の市民大会というような形で住民の反対意思の表示があったわけでありますが、芝山町におきましても六月三十日に町会議員の全員協議会を開きまして、そこで空港設置について絶対反対を決定いたしております。それから七月十日に芝山町、成田市の反対の立場の町民の諸君が三里塚で反対の決起大会を開いたわけでありますが、このときは約三千人ぐらい動員いたしております。そのときは芝山町の町長、町会議長、町会議員のほとんど全部の諸君がひな壇に上がりまして、向こうはち巻きで、特に町長は絶対反対の決意表明をいたしております。それから続いて七月の十七日に、成田市の隣接の栄町というのがございますが、そこに、だれの招集かよくわからないのですが、町会議員定員二十名、そのうちの十六、七名が栄町に集まりまして、何やら協議をいたしたようでございます。三、四名が事故のために出席しなかった。一名は出席したが途中から退席した。こういうような経過でございますが、これが七月二十日に町議会が開かれまして、空港に対する議会としての態度決定をすることになったわけでございます。   〔委員長退席、久保田(円)委員長代理着席〕  先ほど申し上げましたように、芝山町議会は六月三十日には全員協議会で絶対反対を決議し、それから七月十日の町民大会では第一線に立って反対の決意表明をいたしております。しかるにこの七月十七日の印旛郡栄町の料亭での会合以来、急に態度が百八十度のうち百六十度ぐらいの急転換をいたしまして、条件つき反対というような線を打ち出しかけたわけでございます。そういうような情勢を見まして町民が町議会を取り巻きまして、圧力を加えたということはないと思いますが、相当多数の諸君が出て町議会を傍聴いたしております。そのときに県警からも機動隊が出動したようでございますが、若干の事故はございましたけれども、たいした大げさな負傷事故は起こっておりません。しかし、それを機会に、町民は絶対反対、議会の議員諸君は条件つき反対というようなことで、非常に町民と議会とのずれがまず表面化いたしております。その結果、条件つき反対という議決をしようとしたのが、そういうようないきさつから、強く反対するというような議決に終わっております。このころから議会と町民の間に相当空港問題を中心にあつれきが生じ、対立が生じまして、自後の行動はだんだん議会のほうは議会のほうで先鋭化して、あくまでも空港誘致賛成というような積極的な態度に変わり、町民のほとんど、私の見たところでは九〇%以上は反対でございます。反対同盟に参加いたしておるのはそれほどでございませんが、六〇%ないし六五%くらいだと思いますけれども、空港賛成と腹の底から考えておる町民はほとんどないと申しても差しつかえないと思います。そういうようなことで、議会と町民の考え方が食い違いまして、いわゆる町税の不納同盟あるいは町の区長とかそれから各種の委員を辞退をするというようなことで、役場対町民の関係、議会対町民の関係は日増しに悪化をし、若干の小ぜり合い等も起こりましたが、そういう経過をたどりまして、昨年の暮れ町議会で突然、前に空港に強く反対し議決をいたしておりますから、これを撤回して白紙に還元するという議決をいたしたわけでございます。そういうようなことが発端となりまして、いま申し上げました町会議員二十名中十六名のいわゆる賛成派の議員に対するリコールを始めたわけです。  そういうようなことでございますが、まず第一に御質問申し上げたいのは、芝山町に起こったこの議員解職請求の経過について、自治省として御存じになっている範囲の説明をお聞きいたしたい。  それから、御存じとは思いますが、芝山町の議員解職請求は、一月二十一日署名簿を選管に提出をいたしておりますが、今日まで半年以上たなざらしになりまして、全然結論が出ておりません。この辺について、国としてはどのような指導をされたか。それから、従来こういうようなリコールの経過を見ますと、千葉県にもその先例がございますが、地方自治法の空白とでも申しますか、ざるの目とでも申しますか、そういうふうな関係で、結局うやむやにつぶされてしまった例がたくさんあるようでございます。全国的に見てそういう例が相当あるだろうと思います。そういう場合に、国としてはどういうような指導措置がとられておるか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  26. 長野政府委員(長野士郎)

    ○長野政府委員 芝山町のリコール問題でございますが、お話がございましたように、昨年の七月二十日に町議会は空港設置の反対決議をしております。それをまた昨年の十二月二十七日には反対決議を白紙に還元する、これも決議だと思いますが、そういう決議が行なわれた。そこで本年の一月九日に、白紙還元に賛成した十六名の議員に対しましてリコールの署名収集が行なわれる、こういうことに相なったのであります。私どもの調べたところによりますと、その後一月二十二日には選挙管理委員会に署名簿が提出をされております。そして、いわゆる有権者の三分の一の数というのはこの場合二千人ばかりでありますが、十六人に対しましてそれぞれリコールの署名をとったわけでございまして、三千人程度の署名がそれぞれの議員のリコールについてとられた、こういうことになっております。県を通じまして調べましたところでは、そのころちょうど衆議院選挙という事態がございまして、なかなか審査に入るのが困難であったというようなことでございます。そして衆議院選挙を終わりまして、二月の初めに書面によりますところの審査を始めました。そして四月八日に書面審査を一応完了しております。そのころまた統一地方選挙というようなことがあったので、そういう準備等がありまして、四月八日までかかったというのも少しかかり過ぎておると思いますが、県の説明はそういうことになっておりまして、そして四月九日から十八日ごろには約六十人の人に出頭を求めまして、署名の実質的な審査を行なった、こういうかっこうできたわけでございます。ただ四月の末、二十二日になりまして、選挙管理委員の三名、補充員の四名が辞職をいたしました。そして現在一名だけ在職をしておるという状況でございまして、そこで選挙管理委員会が構成できない。選挙管理委員会が欠員を生じましたときには議会で委員を選挙するということになるわけでございますが、この六月の定例議会の際に、選挙管理委員の選挙というものを議題として提出をしたけれども、本会議で取り上げられない。そして総務委員会におきまして別途提案をしたいというようなことで六月の定例議会が終わっておる、こういうような状況でございます。したがいまして、現在はリコールが成立したとかしないとかいうことがはっきり確定をいたしませんままに今日に及んでおるというようなかっこうでございます。  こういうような事例はほかにたくさんあるかというお尋ねでございますが、リコールの手続の途中でいろいろ事故が起きました事例はございます。ございますが、このように途中で審査が立ち往生といいますか、そういうかっこうで相当期間を経過しているという例はどうもあまりないようでございます。それから、いろいろなこの種の事件によりまして選挙管理委員辞任をするというような事例も、これは実は間々あることでございます。そういう場合にも、辞任しっぱなしということにはとうていなり得ませんので、多少の時間はそれぞれかかっている場合もございますけれども、また選挙管理委員というものは構成されておるというのが他の事例でございます。私どものほうでも県に対しまして、まあ県当局もそういう趣旨で努力はしておるようでございますが、現在のところいまのような状況で、町の議会は選挙管理委員の選任ということに踏み出していないという状況でございます。
  27. 實川委員(實川清之)

    實川委員 大体あなたのおっしゃったところで、実際の経過はもう少しひどいのが実情ですが、その程度だと思います。ただ私たちが一番奇異に感じますのは、空港問題が起こってから、さっき申し上げたように、議会あるいは町当局というものが県の強い指導と申しますか、圧力があったと申しますか、とにかく県の出先機関に完全になり下がって、むしろ町民の行き方とは正反対の方向をとってきております。たとえば町会議員についても、確証はございませんけれども、相当多額の買収金がばらまかれた、一般にはこう信ぜられております。これは隣接の成田市の議会議員に対して、おおむね一人当たり二十五万円の買収金か行動費か、内容はわかりませんが、とにかくそういう出所不明の金が届けられております。これは断わった者から問題が表面化してきたわけですが、芝山町については残念ながらそういう証拠みたいなものはあがっておりませんが、とにかく経過を考えますと、手のひらを返すように自説を変えてしまった。そういうような経過から見、あるいはまたさっき申し上げた料亭に招かれた人だけが態度が変わって、事故のために出なかった連中は変わらなかった、こういうような点から逆算いたしましても、相当その会合がくさい会合だったし、その裏には何か怪しげな取引があったのではないか、こう推察するのもやむを得ないと思うのです。  いずれにしましても、そういう強い態度で町村役場を引きずり、町議会を指導してまいったのが県庁です。必要以上に、県は頭がどうかしているんじゃないかと思われるほど空港問題にぶち込んでおりますが、その県が選管の怠慢に対しては何一つ指導していない。われわれが逆に申し上げますと、県が指導して故意に選管をして審査をおくらしたんじゃないか、こういうような解釈も成り立つと思います。  それから四月十八日の県会議員の選挙が済んだ直後に、委員長山室新、一人を残して、全員が辞職をしている。こういうのも、私は一つの強力な指導が背後になされた結果だと考えております。それでこの町議会の議長以下の諸君は、県庁の空港調査室を自分の役場の分室ででもあるような気安さで絶えず出たり入ったりしておるし、県の出先機関化して空港の問題には狂奔している。こういうふうな実態から考えましても、むしろ県選管の怠慢なりあるいはまた委員の辞職というような問題は、私たちはすべて県選管の指導だと考えております。この点について私は非常にけしからぬと思っておりますが、もちろんこれを表向きにやりましても、そんなことはないと突っぱねられるにきまっておりますから、そういうばかなことは聞きませんけれども、こういうような問題について、なぜ国は県をもう少し強く指導しないのか、あるいは監督権を発動しないのか。空白状態です。単にこの選挙の問題だけじゃなくして、税金の不納同盟とかあるいはまたその他町のやるべきことがほとんど麻痺しております。特に町長は、これも県の指導だと私は言いたいのですが、町民の空港反対闘争がだんだんと盛り上がって熾烈になった際に、二カ月の所在不明を続けております。これは県庁へ出頭して、その席上からどこかへ消えてしまったのですが、蒸発をしたんじゃないのですけれども、二カ月間所在不明になった。調べてみたら鶴舞病院という病院の一室に、軟禁されておったと私は申し上げたいのです。実は私も町長とは個人的には懇意ですから、病室へ見舞いに行って、こんなところに君いないで、町へ帰ったらいいじゃないか、もちろんたいした病気ではないのですから。そういうような不明朗な事件が相次いで起こっております。   〔久保田(円)委員長代理退席、委員長着席〕 これは明らかに県の圧力によるものだと判断せざるを得ないのです。そういう状態を放置しておいたのはやはり国の怠慢ではないか、私はこういうふうに考えております。その点についていかがですか。答弁を求めます。
  28. 長野政府委員(長野士郎)

    ○長野政府委員 芝山町の問題につきましては、私どももいろいろな話も聞いておりまして、できるだけ県を通じまして——地方課でございますけれども、地方課を通じまして、事態の合法的なといいますか円満な解決というものがはかられるようにという努力を実はいたさしておるつもりでございます。ただそれは、内面的にいろいろと連絡をしながら事態の推移というものを見ておるわけでございます。  私どもとしても、この選挙管理委員会などの不存在といいますか、構成できないような状況を放置するわけにはとうていいかないということで考えておりますが、現在の地方自治制度におきましては、選挙管理委員会の構成不能の場合の代替措置というものは、議会が成立していない場合に限って臨時に選挙管理委員というものを選任できる措置がございますが、この場合議会が存在しておりまして、しかもなお選任をしないというようなことになりますと、その点では臨時に選挙管理委員を任命するという方法手段を欠くわけでございまして、もっぱら現実の指導によってそういう事態を回復していくということで考えるほかしかたがない、こういう事態でございますので、一日も早く常態に復しますように今後とも努力はいたしたいと思います。
  29. 實川委員(實川清之)

    實川委員 それでは、国はこの問題について、千葉県に対して具体的にいつどんな形で指導されたのか、その点をお伺いいたしておきます。
  30. 長野政府委員(長野士郎)

    ○長野政府委員 いま私、担当の者から直接こまかいことを聞いておりませんが、この事件はだいぶ長いわけでございまして、その間に応じまして、県の地方課と連絡をとりながら、事態のすみやかな解決をはかるための指示はそのつどいたしておるわけでございます。(「いつ何をやった」と呼ぶ者あり)具体的に、いつ何をやった、どうしたという——文書によって措置したというわけではございません。常にそういう意味の連絡をとっておったということでございます。
  31. 實川委員(實川清之)

    實川委員 どうも私たちから見ますと、政府も同穴のムジナになって、やるべきことをなさなかったのじゃないか、こういうような感じがするのですよ。  これは私、運輸大臣に申し上げたいのですが、国際空港をつくるということについて、やり方が適当ならばわれわれ何も必ずしも反対をするのじゃないのだ。ただ住民を一方的に犠牲にして、ただ、国策だから、こういうことで天下り的に押しつけられてもこれは承服できない、はっきりしたものを出しなさいということを言っているのですが、特に、いわゆる周辺の騒音地帯に対してはほとんど見るべき対策というものがございません。御案内のように、今度国会で周辺地区の、それもきわめて限られた範囲内で、三里塚空港の場合ですと滑走路の前面二千メートル、それから滑走路の中心から左右六百メートル、この範囲内に限って用地の買収、家屋の移転というようなことをできるように、法律的に初めてなったわけです。そのような程度でございまして、実際に騒音の被害というのは、一説では、飛んでみなければわからないという暴論も運輸省のある役人も言っておりましたが、これは科学的に学者がある程度論証しておりますし、現在の飛行機から類推しても、どの程度の騒音の被害があるか、あるいは汚染の被害があるかということは推察できるわけですが、そういうことについてはほとんど何にもやってない。地元の騒ぎが激しくなって、ようやく若干手をつけたという程度のことで問題を糊塗している。したがいまして、私どもはつくることに必ずしも反対ではないが、それについて、やはり国策なら国策らしい姿で問題を解決してもらいたい。そういう点について、県があまり空港誘致に逆上する——していると私は思いますが、そういうようなことのあまり、地方自治を完全にじゅうりんしている。むしろ弱い町村を圧迫してこういうような事態を引き起こしている、こう私は言いたいのです。  さっきも申し上げたように、町長を二カ月も隠してしまったり、その間にいろいろな混乱が起きて、町政というものは現在なお全然機能麻痺の状態です。こういう状態をほうっておくと、単に選挙管理委員会の運営の機能が麻痺したというだけじゃない、町村の自治体自身の御破算の寸前ですよ。これに対して私は、県のやり方が、国があまり空港問題に熱中するあまり、いわゆる本体を殺してしまっているのではないか。この点については、その程度の御説明ではどうも納得がまいりません。したがって、具体的にいつどういうことをしたか。私の知っている範囲では、ほとんどやってないはずです。二カ月前に自治省のある局長さんに、私以外の別の人を通じて事情を聞いてもらったのですが、その当時の話から類推いたしますと、何にもやってないというのが実態のようです。その後おやりになったかどうかわかりませんが、少なくとも二カ月くらい前までは何らの手を打たれていない。この点をひとつお調べになりまして、ここで、いつどこでどうやったということにはこれ以上お伺いしませんが、少なくとも国はもう少し責任を持って、強く千葉県に対して適当な指導監督をされるように要求いたしたいと思います。  なお、愚問になりますが、来年の二月は芝山町の町会議員の選挙でございます。大体議員諸君の考え方は、できるだけそれまで管理委員の選任をずらして——これは選挙管理委員会が正当に構成されて審査をすれば間違いなくリコールが成立するのです。したがって、できるだけ、一日でも長く自分たちの首をつなぐために選挙管理委員を選任をしない、こういうこともいわれております。来年の二月の選挙ですから、二月の直前までほうっておくのではないか。町長に聞いてみますと、適当ななり手がない。それじゃ反対同盟に持っていきなさい、幾らでもなり手があるし、場合によってはぼくがなってもいいと冗談を言ったのですが、そういうようなことで、全然誠意がないのです。それを裏づけているのはやはり県なんですよ。けしかけているのです。これは、この質問をする前に私は地方課長に聞いてみたのですが、そんなばかなことは、そうやりましたという答えはもちろんあるわけじゃないのですけれども、とにかく県が背景になりまして、町長及び町会議員を扇動してこういう不当な行為を続けさせている、こう思っております。来年の二月までこのままの状態をほうっておいても差しつかえないのですか。
  32. 長野政府委員(長野士郎)

    ○長野政府委員 私どもは、さいぜん申し上げましたとおり、来年二月までほうっておいていいと決して思っておりません。一日も早く選挙管理委員が選任をされまして、そしてこのリコール問題をまず最初に決着をつけるということがどうしても必要だと考えております。
  33. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 實川君、実はきょう特別に時間を繰り上げ、お一人三十分以内という申し合わせでございますので、その点どうか御了承願います。
  34. 實川委員(實川清之)

    實川委員 最後に一つお伺いしておきますが、正常な形に復することを御希望なすっていらっしゃるわけですが、いつどのような形でそれを指導されるおつもりですか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
  35. 長野政府委員(長野士郎)

    ○長野政府委員 さらに県とも十分連絡をとりまして、町の議会が選挙するという形にならなければなりませんので、先ほどもお話がありましたが、町の議会は、選挙しようと思ってもなり手がないのだ、往々にしてこういう事例が、どういう理由からそういうことになるかわかりませんが、いろいろ政争でもめましたところでは起こりやすい、また理由としてあげられやすいことがあるわけでございます。そういうことがあって、多少の時間はかかるかもしれませんけれども、とにもかくにもこの選挙管理委員を選任するということが、出発というか解決のための最大の前提でございますので、その方向へ向けて努力を尽くしたいと考えております。
  36. 亀山委員長(亀山孝一)

  37. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 主として公営企業、特に地下鉄並びに路面電車ですが、これはいま一番路面電車の中でも、特に大阪とか、いろいろありますが、東京の場合、きょう現在都議会で審議中でありまして、その再建計画内容につきましてはいろいろ意見がありますが、ここでは省かしていただきまして、特に今回東京の場合、一例を取り上げますと、それによってだいぶたくさんの職員が整理されるといいますか、一応その職場を失うわけであります。その人たちを新たに迎える一つの職場として、地下鉄などが一応話に出ておるわけであります。それに関連いたしまして、私は若干最近の地下鉄問題一般論につきまして、包括的な御質問を簡単に申し上げて、当局の御意見を聞きたいと思います。  まず第一に、最近国鉄のほうで、五月の九日に日本経済聞新に出ておるのですが、「大都市交通に第二国鉄」をつくりたい、こういうような新聞報道が行なわれまして、国鉄が国営の公社、新しい機関をつくって、ここに統合していくんだという意味合いのことが述べられておりますが、いわゆる俗に言う第二国鉄論、これに対する運輸省側の御意見を拝聴いたしたいと思います。
  38. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 お答えいたします。  五月だと思いましたが、日本経済新聞に、ただいまお示しございましたような第二国鉄をつくって、その第二国鉄が地下鉄その他東京近郊の鉄道を担当するというような記事が載ったことがございますが、この件に関しましては、わが省では全然関知しないところでございまして、おそらく記者の想像に基づく記事かと存じております。
  39. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 すでに各種の諮問をされました諮問機関が、たとえば都市交通審議会あるいは地方公営企業制度調査会等の諮問機関が相当第二国鉄論とは反対の方向の内容答申をいたしておる。そういうさなかにおいて、しかも委員会の速記録の中において相当その点が質問をされて、当時の柴田財政局長あたりから、相当突っ込んだ御答弁が記録に載っておるわけですね。そういう段階で、そのさなかに国鉄が第二国鉄論という形で都営その他を全部吸収いたしましてやるという大胆なアイデアを公式に発表するはずはない、こう私は思っておるのですから、いまの御答弁で、全く荒唐無稽の話であるという御意見で、一応了解いたしたいと思います。  次いで、昔、昭和十三年でありますかにできました、いまだに生きておるといわれておる陸上交通事業調整法ですか、これは昭和十三年大震災の直後につくられた法律であって、当時疎開をいたしたり避難いたしたりして、いろいろ情勢が違った、これがいまだに有効であるかどうか、また、これがたとえば路線の認可等に関連して唯一絶対の基本的な精神であるかどうか、これを当局からお聞きしたいと思います。
  40. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 お答え申し上げます。  陸上交通事業調整法は、ただいまお説のように戦前の法律でございまして、当時は東京は市でございましたが、東京市並びにその近郊におきますところの交通が非常に混乱をいたしまして、この交通の混乱をどのように解決したらよいかということで、陸上交通事業調整法ができまして、これに基づきますところの調整方法というものが一応決定をいたしました。当時の事情といたしますれば、東京市の中におけるところの路面電車並びにバスにつきましては、これは原則として東京市が行なう、あるいはたとえば東北の部分におきますところの地方鉄道等につきましては、たとえば東武鉄道とかあるいは京成電車とか等がこれを担当する。あるいは東武線なり京成線の間におけるバス事業はどこどこが担当するというような調整がございました。さらに東京市におきまする地下鉄事業が二社ございまして、この二社につきましては、これが帝都高速度交通営団という組織によって統一的にこれを行なうということが適当だという調整方法決定がございました。当時これによりまして一応の調整を行なったわけでございます。その後、この陸上交通事業調整法の中には調整委員会の制度というのがございまして、重要なる事項につきまして一応調整委員会の議を経るということになっておりますが、戦後この委員会につきましては廃止をいたしまして、現在まだ復活をいたしておりません。  そこで、現在この法律が生きておるかどうかということでございますが、これが法律が廃止をされておらないという意味におきましては、まさにこの法律は生きておるわけでございますが、しかしながらこの法律によるところの調整委員会の制度というものを現在持っておりませんので、実態上はこれによって動き得ないような状態になっております。したがいまして、現在この調整法というものが直接の足がかりとして、ただいまお話のございましたようないろいろな区域を定めるというようなことはございません。ただそういった従来の精神というものを尊重いたしまして、いろいろと審議をしているということでございます。
  41. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 廃止法令がないから形式的には生きておる。しかしその中で重要な事項については必ずかけなければならぬ機関としての調整委員会が、すでにGHQの当時、戦後これは廃止されましていまはない。ですから、この法律法律として発動される作用、これは現在救済方法がない状態である、しかし、この精神は生きているのだというお話ですね。  そこで私はお聞きするのですが、当時大震災のあとで、おそらく当時自動車の数は何万台ですか、戦前五万といいますから、二、三万台ではないかと思います。いま百万をこえ、毎月八千台から一万はふえている。こういうときと、震災直後の東京が焼け野原になって地方に全部疎開した、それが出てくる。それについては東京の交通事情を少し整理しようじゃないか。それで公営関係は都内の路面をやれ、営団は地下をやれ、それから京成、東武あるいはその他の東急ですか、これはそれぞれ郊外地域をやれと区分をいたしまして、荒川から中、山手線の中はこれは公営でやれ、こういうことを当時きめましたね。その当時と比べて、いま公営企業というワクの中に都営交通なり何なりが残されまして、一方では企業性を要求されておる、いわゆる独立採算を要求されておる、利益を上げなくちゃならない、採算をコマーシャルベースに持っていかなくちゃならない、一方では公共性の要求も十分に満たして地域住民の要求にもこたえてもらいたいという。こういう重大なわが国の交通問題を議論するときに、もう何十年も昔に、震災直後のときの客観的な条件、データによりましてつくられました法律が、その精神において、精神というのは区分割りですね、区分割りにおいていまだに生きておる。当時は都内では二、三万の自動車だった、交通難も何もなかった、いまは百万をこえるのです。こういうときに、精神では生きておるということを、運輸省の一番このプランの中心の方が公の席ではっきり申されることは、われわれとしてはどうも完全に納得できないのですが、重ねて御質問申し上げます。
  42. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 交通事業の経営主体がどういう主体で行なわれるべきかどうかということにつきましては、いろいろ問題もあると思います。ただ、従来の私どものやってまいりました一つの行政上のやり方といたしましては、とにかく一応当該事業におきまするその企業体というものの貢献と申しますか、たとえばこの地帯のバスはこの事業者が経営をしてきたというような従来の実績なり貢献度というものがございます。そういう地域的なものによりまして、そしてその地域におきましては採算のとれるものもあれば採算のとれないものもあるというようなものはございましても、その地域の経営主体は大体においてこの会社なりこの事業体が行なってきたという、そういう実績なり貢献度というものを一応の参考とし、また考慮の段階において新しい要請が起こりました場合等に、どれをやらせるかということの決定の指針とするという行政運用のやり方をしておりますわけでございますが、ただいま精神が生きておると申しましたのは、まさにそれに近い意味でございまして、法律それ自体がまだ脈々として生きて動いておるという意味ではなくして、そういう従来行なわれたところの行政の区域といいますか、その区域で、たとえば現実に道路運送法なら道路運送法の免許をする場合にそれを考慮して行なうという意味でございます。そういう意味でございまして、その場合に当然、ただいま先生御指摘のように、戦前と現在の交通事情というものは違うわけでございますから、現在の交通事情にのっとって行なうことになろうかと思います。
  43. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 いま、精神が生きているというのは私もあなたと同じ意見なんです。実は形式的に法律が有効であるかどうかという点は私は疑問がないと思うのです。ただ、その重大な決定機関である調整委員会がいまないから、何らこの法律を発動する余地がないという意味でこれはどうかということを聞いたので、私が申し上げましたのは昭和十三年当時、区内の路面は公営だ、地下は営団だ、郊外は私鉄なんだということにきめまして、しかも全部をその公営企業の形で、一方は私企業でございますけれども、ワクをきめて、独立採算制というものをとことんまで追求されて現在まできておるわけですね。こういうことで、たとえば七号線、八号線、これはこれから質問いたしますが、この許認可の問題あるいは六号のうしろのほうの問題、あるいは十号の問題、これらの許認可の問題について一番立案の中心になるのは民鉄部長ですから、ここでお聞きしたいのは、気持ちが生きておる、それは過去の貢献度に比例して、スライドして認めていくんだ、こういうことなんですが、これは運輸省の統一的な見解でございますか。
  44. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 たとえば先ほどお話がございましたように、東京都の旧市内におきます部分につきましては、現在の東京都が経営主体であるという一応の調整方法になっておりますが、現在東京都のバス事業等におきましても、現実に東京の旧市内の外に出て免許を得て経営をいたしております。また営団のほかに東京都も昭和三十二年以降地下鉄建設を都営としていたしておりまして、また新しく一号線のほかに現在六号線も免許を得て建設を行なっている段階でございますし、今度新しく建設をすべき路線というものの決定につきましては、したがって、東京都というものと営団というものと、いろいろ具体的な各種の事情等を考慮して検討するということになろうかと思います。
  45. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 部長さん、大体一号線なんかは路線として採算とれないのですよ。それは部長さんのほうがよく御承知ですよね。ですから二号線以下が実現してきて、一番先に実現したのは三号線、銀座線が実現したわけです。採算のとれるところからやっておるわけです。しかし、路面電車の撤去その他のいわゆる公営企業のほうの再建問題というものは、こういう地下鉄の計画とは必ずしもパラレルに、並行しないのです。これは地下鉄は地下鉄で採算のとれるところから、また採算のとれるような路線に随時変更いたしまして、六号線の三田から南のほうも同じでしょう、採算とれないから変更しようというのでしょう。七号線も同じでしょう。今度は十号だってやはり同じように採算とれないから全面改正をしようというわけですね。こういう自由なやり方をやっておるわけです。そのしわを食って、もうほとんどどうにもこうにもならぬ、都内交通がどうにもならぬ。軌道内にもどんどん車が入っていく、道路交通法の一部改正をいたしましてどんどん入っていく、ですから車は動けない。こういう面における公営路面電車の合理化については、一方では自治省から企業の採算性の問題からどんどん請求される、やむなく現在やっておりますが、これはこの全体的な中でやはり考えていただきたい。これは路面電車も地下鉄もあるいはバスも含めて、東京がこのように膨張してきた、そうしてだんだんに狭くなってきた。昭和十三年当時の震災の直後に通用した法律の基本精神で、いまだにそれは過去の実績を認めるんだ、そんなことを言い出したら、公営企業も何も成り立たないでしょう。そんなことじゃないと私は思うのです。株式会社何々鉄道がどのくらい貢献したか私は知りませんよ。貢献の度合いによって——株主に配当もすれば、いろいろやっております、一つの独占企業なんだから。みんな公共性の上に立って、多かれ少なかれ、都営のものでも、あるいは大阪でも名古屋でも、あるいは私鉄でも、それぞれ公の立場に立って公共性を持ちながら、経営形式は株式会社であったりあるいは公営企業であったりするわけです。過去においての実績なんて、それはどうなんですか。それがもしその基本原理でもって、昭和十三年当時の法律をそういう形でもりて基本的な理念をとらまえて、将来も運輸省が中心になって指導していくんだということになると、たいへんな問題になると私は思うのです。その辺をもう一ぺん聞かせてくれませんか。
  46. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 先ほど例として申しましたのは、バス問題につきまして、たとえば具体的に採算のとれる路線と、採算のとれない路線ではあるんだけれども、ある一定の区域におきまするところのバスというものは一応その企業体が責任を持ってやるべきものである、そういう意味における一つの責任度というものと同時に貢献度というものもあるということで、そういったようなものを考えに入れるということが必要なわけじゃないか、その意味で、交通事業調整法がかつて行なったところの調整区域というものも、精神としてはまだ生きておるのではないかという意味で私は申し上げたつもりでございます。したがいまして、地下鉄の問題となりますと、いまのバスとはだいぶ違う性格がございます。各線、各線は一応別々でございまして、たとえば銀座線があるからといって、それでは一号線はどうだということではないわけでありまして、ですからその点は具体的な路線につきまして、その事業の経営の内容あるいは建設の速度あるいは建設の能力、その他各般の事情を考慮して具体的にきめていくということになろうかと思います。
  47. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 あと十二、三分しかありませんから、それはそのくらいにしておきましょう。  財政問題なんですが、これは二、三日前ちょっと資料を見せてもらいましたら、若干数字が違っているというので、きょう訂正されました数字が参ったようですが、いわゆる都市交通緊急整備対策に関する建議ということで、昭和四十一年十月十九日の都市交通審議会の答申に基づいてつくられました数字だと思いますが、これについて、地下鉄の借金が非常に多いわけですね。一々質疑をして数字を確かめていく余裕はありませんから、私のほうで申し上げますが、概算して、大体七千七百億に対して約五百五十八億の利子補給を五年間にわたってなそう。これが昭和四十二年度ではとりあえず十八億ということなんですね。これで十分ですか、その点をひとつまず聞きます。
  48. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 今年度の予算におきまして、ただいまお話しのように地下鉄整備補助に関しまして、十八億四千五百万円の補助が計上されております。この補助の制度につきましては、昨年都市交通審議会におきまして、とにかく現段階においては地下鉄をどうしても整備しなればいかぬ、それで特に大都市の交通におきましては、都心におきましては交通量の八〇%以上というものは、地下鉄その他の鉄道によらなければならない。路面交通ではどうしてもやっていけないということで、地下鉄の緊急な整備が必要だ。しかしながら地下鉄の整備につきましても、その工事費が非常にばく大なので、これをいまのままほうっておいたのでは、なかなか整備ができないということで、その建設の促進をはかるためには、どうしてもある程度の国の助成をし、そして収支の均衡をはからせるような方向でやらなければいかぬだろうということで、助成方法の建議をいただきました。その建議に基づきまして、今年度予算から始まりました新しい制度は、一応前年度の工事費というものを基準といたしまして、これに建設費利息相当額あるいは関接費用等若干の修正を加えたものに対しまして一〇・五%というものを、おおむね五カ年間で補助をするということでございまして、その第一年度が本年度十八億四千五百万円。来年度以降、本年度の対象工事といたしますものに対する助成、それから来年度の工事に対する助成というものを含めまして、漸増してまいるということになっております。それで、この制度で地下鉄補助か十分かどうかという点につきましては、私ども、これがあくまでも前向きの建設促進というためでございまして、この建設促進のためにこれだけの助成というものをやる必要がある、このように考えておるわけでございます。
  49. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 これは要するに負担区分の問題なんですが、これは去年の速記録等を読むと、当時の柴田財政局長、いまの次官が、五月二十四日、担当者とよく相談して一年以内に「負担区分の明確化をはかる趣旨は、今日でももちろん捨てておりません。関係各省とこの一年間相談をするということ」で結論を出したいと言って、ちょうど一年間たっておるわけです。細郷さんにお聞きいたしておる時間がありませんので、ひとつこの趣旨を生かすように、できておればけっこうであります。できておらなければ努力してもらいたい。その一環として、いま質疑いたしております十八億の問題が出ておるのですが、これは運輸省のほうはどうですか。私はおかしいと思うのは、大体いま八十キロくらいしかないのですね。ロンドン、パリ並みにするのには二百五十キロから三百キロくらい。東京のほうが大きいですから、三百キロをもっとこえなければいかぬかもしれませんけれども、大体最低二百五十や三百キロまで持っていかなければロンドンやパリ並みにいかぬ。現在八十キロしかない、そのうち一割は都営である、こういう状態の中で、これを将来五カ年間で、合計百六十キロですから八十キロですか、そのくらいふやすというのですね。それに対して所要資金が七千七百億円かかる。ことし十八億出す。それを逆算していくと二・一%になるのですね。利子補給のような性格を持っておりますが、これは二・一%なんていう利子はないですよ。もう最低七分から上ですね。いろいろ込みで、預金部資金や一般市中銀行の金を使いますと七分四、五厘になるのですね。こういうふうにして五%くらいの開きがあるのです。私あまり算数には強くないのですが、大体五年間にやると千二百五十億くらいの一般の企業体が負担すべきお金が出てまいるのですね。この数字はあなたのほうの資料にもあるから、これは間違いない数字だと思います。千二百五十億円、これは膨大な利子負担ですね。これを政府のほうは二・一%、二%強を補給して、公営企業なり私鉄なり営団なりにこれをまかせておくわけです。これはこういう原則でしょう。ともかく償却を無視して、償却をしないで、五年間だけ利子を二・一%に押えておる。三・五という数字だったのですが、おたくのほうから数字の訂正がありましたから二・一らしいのです。その数字が十八億なんです。それで公営企業だというのですね。これは地下鉄がもう全くオール借金でやっておることはみな知っておるわけなんですが、実際千二百五十億円も利払いをし、しかもこれに対して借りかえ、借りかえで借金をしていくわけですね。しかも全体の償却はどうです。ひどいのは、駅舎なんというのは四十年くらいの償却です。電車は大体十三年です。トンネルがせいぜい四、五十年、あるいはレールなんかもっと少ない。二十年か何かそんなものですね。大体二、三十年たてば大かた地下鉄の主たる内容をかえなくちゃならぬ。全部償却して残存価値がゼロに近づいていく。ですからそれだけまた借金をしてまた再投資しなければならぬ。こういう状態の中で、負担区分の問題に関連して、五年間に十八億程度の補助でもって、これから二百キロから三百キロ、あるいは四百キロくらいまで建設しなければならぬ。その最初の三分の一くらいの建設過程の中において、この程度の補助しか国がしない。しかもこれは赤字じゃないか、どうしようもない。ともかく総収入より多いのですよ。都営地下鉄の場合は十二億が年間の収入です。利払いが二十億ある。人件費はわずか六、七億なんです。総収入の倍近い利子を大銀行に払っている。それで審議会から——審議会は内容を一言も言っておりませんからね。私は審議会について何もいろいろ差し出がましい口をきくつもりじゃありませんが、審議会の内容をずっと書いてある議事録を見ると、前後五、六回会議して二、三回目に事務局の原案を審議なさっておるのですね。事務局の原案とは民鉄局長さんかお出しになった原案ですよ。そうして全然具体的な答申はしておらないのです。肉づけはどこがしたかといったら、これは運輸省がしたのです。肉づけはあなたのほうでしたのです。そして五年間で二・一%で十分なんだ、あとは、公営企業なんだ、独立採算でやっていけ、合理化しろ、こういうことを言って、いま東京でも累積赤字百何十億だといって、きょう現在でも都議会で大騒ぎしております。その点について御答弁ください。
  50. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 ただいまの一番初めにおっしゃいました地下鉄の建設が現在わずか東京都八十一・七キロ程度で、非常に少ないではないか、まことに御説のとおりでございまして、この地下鉄建設につきましては、先ほども触れましたように、大いに促進をしなければいかぬと思っております。それで、現在都市交通審議会の審査を経ておりますのが一応十路線二百六十七キロ程度でございますが、これをさらにいろいろと改定をいたしまして、必要な路線を各事業者によりましてこれを整備しなければいかぬと思うわけでございます。この場合におきまして、営団はじめ東京都等、力を合わせてその建設を促進していただかなければならぬと私ども考えております。  それから第二の問題の七千七百億は、これは実は東京都だけでなくて、大阪名古屋を含めました七千七百億でございますが、それはそれといたしまして、ただいまの二・一%というのは、たぶん一〇・五%の五分の一という意味で二・一%に当たるという意味であろうかと思います。これは結局一〇・五%を五年間に分割をして補助を出すという趣旨でございます。それで、一〇・五%の根拠と申しますのは、ただいま先生ちょっとお触れになりましたように、償却前の赤字をおおむね消すという額が一〇・五%に一応相当をするという意味でございます。これは、一応ある特定の線路を選びまして平均的な原価計算を行ないまして、その平均的な原価計算をいたしました場合に、工事に対するおおむね一〇・五%程度の償却前赤字を生ずる。それで償却前赤字を生じました場合には、企業といたしましては、借金の利子の支払いのためにさらに借金をしなければならないというわけでございまして、いわば借金があくまでも雪だるまのようにどんどんふえていく、企業の経営がますます悪化をするというわけでございまして、どうしてもこれだけは国がめんどうを見ないわけにはいかないという趣旨のものが一〇・五%でございます。それで償却につきましては、償却はもちろん必要でございますが、一応は企業としてはその償却を行なう場合には内部留保的な性格になるわけでございますので、償却後の赤字という問題につきましては、内部留保がおくれるという問題に相なるかと思います。これにつきましては、先生の御指摘のように、これもやはりほうっておくわけにはいかないわけでございまして、ある適当な年度においてこれを解決をして、そして償却後も黒の姿に持っていくという必要があろうかと思います。それで、この試算におきましては、おおむね五年間償却前赤字がある。そして十年ぐらいたちまして、償却いたしましたあとの、償却後の黒字が出てくるという一応の試算をいたしまして、そうしてその初めの五年間に相当する赤字の部分、償却前赤字の部分を国が助成をいたしますと、あとは償却後の赤字につきましては内部留保がしばらくできないということになりますし、その後十年ぐらいたちまして償却後も黒字が出てまいりますと、さらにその償却後の赤字を消していけるということになりまして、そういう意味で建設が長期的に見れば可能である、こういう試算の上に立ちまして一応この諸制度を確立いたしました。本年度十八億でございますが、来年度は倍以上になるのではないかと私ども思っておりますが、そういうことでやってまいりたいと思っております。
  51. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 七千七百億というのは、十八億だって全国なんで、同じことなのです。一〇・五というのは五年間で、年度別に割れば二・一になってしまうから、ちっとも間違ってはいない。だいぶお話が長いので、私も浅学非才でわからないこともありますが、あまりピントはずれのことを御質問しているのではない。むしろ運輸省の立場に十分理解をいたしながら発言をしているつもりでおりますが、そのことをあまり言ってもしようがない。七号、八号の認可は一体いつごろですか。これをひとつわかったらはっきり。それから六号の三田以降の路線、それから九号の見通しについて、まとめて御答弁を願います。
  52. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 現在東京都が建設いたしておりますのは、一号線の大門以遠と、それから六号線の巣鴨−志村間でございます。それで先ほども先生がお触れになりましたように、東京都の地下鉄事業の収支が非常に悪い原因の一つは、一号線が、三十二年から手をつけましたがまだ完成をしていないというところにあるわけでございまして、これを何としても早期に完成させなければいかぬということであろうと思います。そこで、一号線につきましてはそういうことで、泉岳寺まではとにかく一番早くやらなければならぬ。さらにそれから西馬込のほうの建設を促進するということが必要でございまして、一応現在の予定では西馬込間は四十三年十月に一応完成の予定ということで建設工事を急いでおりますし、また志村−巣鴨間につきましては一応四十三年六月に完成をする予定で急いでおります。それから、ただいまお話がございました九号線につきましては、これは交通営団がしておりますが、四十四年三月を目標にいま建設を急いでおります。なお東京都の六号線につきましては、巣鴨までではまだ路線の建設が完成しないわけでございまして、どうしても、少なくとも大手町、都心部まで入ってこなければいけないわけでございますので、この建設の促進につきましては大いに督励をいたしたいと思います。それから問題の七号線、八号線でございますが、これは私どもなるべく早くやはり手をつけなければならぬというふうに考えてございます。先ほどもちょっと触れましたが、現在の地下鉄網の路線の答申が三十七年にございましたが、その後の情勢の変化がややございます。たとえば国鉄の新総武線の東京駅乗り入れだとか、その他の事情の変化が若干ございまして、そういった面をあわせまして、この秋に都市交通審議会を再開いたしまして、そこで路線網の計画を新しく検討していただくということになっております。それを待ちまして、早急にこの地下鉄の建設を促進する、こういうことになろうと思うわけでございます。
  53. 依田委員(依田圭五)

    依田委員 最後に一言だけ自治大臣から……。百六十三の再建団体が申請いたしております。また、それをもうこれからしようとする団体もあるでありましょう。特に東京都でいま、きょうあした問題になっております人の問題あるいはいろいろの財政の問題等を含めまして、一般的な指導方針を一言お聞きして私は質問を終わります。
  54. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 指定されました再建団体につきましては、相当部分はすでに申請が出ておりますし、再建の計画の認可その他をやっておりますが、まだ大どころは、いまお話しのように、東京都はきょうあしたということだろうと思います。そういうものが出ました場合に、一方においてその再建の計画が十分正しくと申しますか、再建されるような計画を出していただくと同時に、われわれとしてはその再建計画というものが一日も早く軌道に乗るようにいたしたいと思いますので、その内容を十分検討をいたしまして、できるだけ早くこの再建計画を軌道に乗せまして、そうして財政的な面その他を見ながら、その再建計画が十分に計画どおりに行なわれるように、一方において政府助成その他を考えますと同時に、また経営者側におきましても十分企業努力その他に注意を払いまして、そうして円滑な再建計画ができまするように両々相まってまいりたいと考えておる次第でございます。
  55. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 この際、関連質問の申し出がありますので、これを許します。太田一夫君。
  56. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 いま大臣の御所信がありましたから、それに関連して最初にお尋ねをしますが、東京都の再建計画というのは、骨子としてどういう点に置かれるものと想像されておられますか。
  57. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 ただいま私どものほうに連絡を受けております内容によりますと、都電の撤去をすること、それから料金の引き上げ、改定を行なうこと、それに関連いたしまして、若干身体障害者その他につきまして料金の改定の際の軽減措置を講ずること、その他通学生等についての経過措置を講ずること、さらに、都電は先ほど申し上げましたように五年間で撤去をするということでありますが、トロリーバスにつきましては二年間で撤去をするようにしたい。そうして職員につきましては合理的な配転計画を立てていく。大体そういうようなことで、今後七年間をもって過去の赤字、いわゆる四十一年三月末の不良債務を解消することになっております。大体そういうふうに承知しております。
  58. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 線路をめくって、そうして運賃を上げて、職員は減ったところはどこかへやる。これは三本の柱です。これは大臣、あなたにお尋ねしたいのですが、都市交通の今後たどるべき道というのは、再建計画という名前のもとにそういう姿になっていくものですか。
  59. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 大都市においては、どうしてもこの路面電車というものはなかなか経営がむずかしいんじゃないか、たとえば一時間当たりのスピードにいたしましても、だんだんのろくなってくるというようなことでございまして、どうしても大都市の交通においては路面電車というものは廃止の方向をたどらざるを得ないのではないか、そうしてそれにかえてバス網の充実であるとか、地下鉄網の充実であるとか、こういうものにたよらざるを得ないというふうに考えております。
  60. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 これは細郷さん答えていただきたい。電車は、五年間とにもかくにもまだ残るんだが、それは配置転換される従業員の気持ちも暗いが、残る従業員の気持ちも暗いのです。私は、石炭がエネルギー革命によって過去の燃料となって、炭鉱労働者がたくさん地の底からはい上がってきて一般の社会に出ていくというこのケースと、路面電車がだんだんスピードがダウンしてきてどこかへ消え去っていくということとは同列に論ずべきではないと思うのですね。路面電車を取れという時代の要請があるんですか。路面電車を取れという時代の要請があると細郷局長は認識しておられますか。
  61. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 これは前の地方公営企業制度調査会等においてもすでに議論がなされたことでございますが、一般的に見まして、都市におきます現在の交通事情からいたしまして、路面電車はそのスピードの点におきまして、至って時代の要請に合わないようになってきつつある。そしてそのことが、逆に言えば、路面電車の利用者が他の交通機関に転換をしていくというような現実の問題もございまして、やはり路面電車につきましては順次これをバスその他に転換をしていくべき方向にある、かように私自身も考えております。また御承知のように、世界の大都市におきます事情もそういう方向に向かっているのでございます。
  62. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 かつてアメリカは、自動車の時代がやがて来るであろうというて、あの豪華けんらんであった大陸横断鉄道も過去の遺物としつつあった。ところが、日本に新幹線というのができて、それで初めて世界の陸上交通界は新しい目を開いた。鉄道は過去のものではない、こういうことに相なって、世界の知識ある先覚者が日本の国の新幹線を視察に来る。おそらく国鉄総裁は鼻が高いだろうと私は思うのです。そういうことは何かといえば、いままでの鉄道は踏切が多く、カーブが多く、停車駅が多くて能率が悪かった。交通事故が多く、時代の要請に合わなかったからだんだん衰微の運命をたどった。ところが、それを克服した新幹線というのは直線的であり、快スピードであり、踏切がないから事故が少ないという、ここに特徴がありまして、近代的な要望にぴたっと合ったということではありませんか。すでに一億以上の人を運んだという新幹線を考えてみたら、東京都の都電がのろのろになったと言うんなら、なぜのろのろになったやつを早くするということをお考えにならないか、大臣、どうですか。
  63. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 新幹線と御比較になりましたが、東京都の人口が、たとえば政府の施策と申しますか、によって、いまの一千万人が五百万人か三百万人に減るような施策があって、そういうことなら別なんでございますが、たとえそうした東京都に対する人口の流入を抑制するような措置がとられましても、いまのように自動車がふえるというようなことを考えますると、はたして都電をもっとスピードをあげて走らせる可能性があるかということになりますと、これはなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。ですから、大都市において路面電車をはずしていくということは、時代の要請とか、そういうことよりも、大都市の交通混乱からきて、企業として成り立ち得ないというような、そういう面から廃止の方向にあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  64. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 まあ調査会でだれが何と言ったとか、だれがどう言ったとかいうことは、それは一つのものの見方でしょう。けれども、自治省は早く再建計画を出せ、再建計画を出せというようなことであまりせっつくから、東京都では、ゆうべも、おとといの晩もあのようなことになって、議会が混乱しておるじゃありませんか。何もそんなことあわてなくてよろしい。細郷さん、あなたもサイゴーといえば気の長い、太っ腹のような気がするのだが、もっと気の長い、太っ腹になって、近代的な交通需要というものを考えなければいかぬ。都市の中の交通自身が大量輸送じゃありませんか。先ほど依田さんとのお話の中に、いまじゃ地下鉄が何十キロとかいうような話があったが、そんなちゃちな見本のような地下鉄をつくっておいて、いま早急に都電をはずせ、バスにしなさい。これは科学的ですか。それはバスそのものさえも、三十九年、四十年の総計を見ると、七万人この東京都では輸送人員が減っちゃっておるでしょう。バスそのものもだめでしょう。交通機関としてのろのろがだめだというなら、バスだってのろのろですよ。のろのろがだめだと否定されれば、バスに変えるということも不合理でしょう。細郷さん、どうです、バスはいいですか。
  65. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 いろいろ交通事情は複雑でございまして、電車のような軌道のレールの上を走る固定的なものもございますし、また路面全体を使えるバスのようなものもあるわけであります。もちろん今後バスに転換するにいたしましても、経営者はあるいはワンマンバスといったものの採用によって経営上の採算性をとっていくということも必要でございましょうし、また将来道路の混雑を防ぎながら、かつバスのスピードをあげるためには、停留所におきます施設を整えていくといったようなことも考えなければならないとは思いますけれども、何ぶんにも現実には先ほど来出ておりますような、都電のスピードの非常な低下と、それに伴います利用者の不足というようなことから、都におきましても「病める東京都の交通」といった冊子の中にもそういった事情をるる述べておるというような点から見まして、私どももやはり一般的な判断としてそういう方向にあるべきものと考えております。
  66. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 自治省というのは公営企業の一番司令塔であるようなものだから、そのあなたのところの青写真というのが間違っておったら、市も全部間違っていきますよ。バスの停車場をつくれば早く走れるなんという考え方も、これまただれが教えたか知らぬけれども、細郷さん、あなたは頭がいいんだから、何かそんな変な天下の妄論などに巻き込まれて、頭から信じ込んでおるということでは困りますよ。当面保持してやりなさいということならば、それはしかたがない。それは道は狭い、その狭いところを分けて通りなさい、それはわかりますよ。しかし都電をやめてバスを走らせる——自動車のほうは制限しないでしょう。運輸省が絶対に自動車を制限するなんてしないでしょう。自動車は都内には入れないんだ、だから、これからじゃんじゃん電車でもバスでもハイヤーでも走れるんだ、三十キロ、四十キロの平均スピードで走れるんですということなら、あなたやってください。そうでなければ、バスはバスの専用の停留所をつくれば早く走れるなんて、その停留所も、そこにバスが入るのにたいへんじゃありませんか。前にいっぱい自動車がおるでしょう。そこをどうやって入りますか。入ったら入ったで今度はどうやって出ていくのですか。冗談じゃありませんよ、そんなことは。だから天下の妄論などにあなたはあまり耳を傾けてもらっては困る。もっと堂々と、いまの都民が都電を求めておるのだったら、都電を生かすことを考えてくださいよ。それは何かと言えば、道路交通法関係もあるけれども、道路交通法は、何も都電の線路の上をなるべく車を多く通らせて、早くあの電車の線路をでこぼこにしてしまいなさいなどと言っておるわけじゃない。やむを得ず通らしておる。認めておる。とめればいいじゃないですか。おとめなさい。そうすれば、前はずっとあいておるから、昔のスピードに戻りますよ。また、バスに乗っておる者は、いまのバスなんていうのはたいへんなもので、足腰の弱い人はたいへんですよ。電車というのは乗っておっても楽ですね。その大衆性のある電車を、しかもいままでにつくってしまった建設費の安いもの、これをはがして、そうしてキロ当たり五十億もするような地下鉄をつくろうなんて、どこからそんな問題が出てくるのですか。いま山口さんが、五年間に一〇・五%の補助金を出すとおっしゃった。ことし十八億幾ら、まあ昨年よりは多いに違いない。だが、そんなもの、償却前の赤字を埋めるのだと言うが、償却が始まったら、完全に償却されるという保証はないでしょう。ましてや営団といえども配当の保証はないでしょう。そんなキロ当たり五十億なんという地下鉄を掘って、これで企業がそろばんの上で成り立つ道理はありませんよ。何でいまの電車をまっすぐ四十キロくらいでずっと走らせぬのですか。新幹線都電というやつ。それはたとえば大塚から錦糸町なら錦糸町へ行くという、こういうようなよく乗る系統だけは指定して、その指定した路線だけはまっすぐ走らせることを考えなさい。お客さんもさっと乗ってきますよ。いままで二十人しか乗らなかったというのが四十人乗れば、運賃が倍に上がったのと同じようなものだ。そのために電力がよけいかかるわけじゃない。お客がよけ乗ったって、前の運転手は二人になってくれ、うしろの車掌も二人になってくれと言うことはないでしょう。どうですか。そういう点ほんとうに真剣に再建計画の中に考えたことがありますか、細郷さん。
  67. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 御承知のように、いまお話しのような都電をはずすかはずさないかということもかなり大きな問題であろうと思います。東京都自体におきまして、どういう方法がいまの社会環境のもとで近い将来に一番いい線を出せるかというので、いろいろと苦心をされた結果出てきたものであるわけであります。しかもその方向なるものが、先ほど来申し上げますように、いわば一般的な大都市におきます一つの傾向に合致しておるというふうに私どもは見ておるのでございます。したがいまして、そういう面におきまして、なお都の再建計画なるものがいずれ議会で決定になれば提出になると思いますが、その際に私どももその内容をもちろんよく検討をして結論を得なければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。都電の撤去あるいはバスの増強、トロリーバスの撤去、そういったようなものによりまして、ほっておけば御承知のように一日二千万の赤字が出るということになりますと、私も実はあまり気は短いほうではございませんけれども、やはりそういう状態であるならば、他日のことも考えますと、そういう点を早く是正するということも必要なことではなかろうか、かように思います。
  68. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 しからば聞きます。いま都電の総延長キロは何キロですか。−お答えがなければまあいいです。それでは地下鉄のキロはわかっておりますね。五年先の地下鉄は何キロ予定されておるのですか。
  69. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 地下鉄につきましては、ただいま着工中の一号線と六号線がそれぞれでき上がるといたしますと、四十一・四キロでございます。
  70. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 ちょっと…。もっと正確に言ってくださいよ。いまもっとあるでしょう。営団の線路だって七十・幾らあるでしょう。全体で幾らになっておるか。
  71. 山口説明員(山口真弘)

    山口説明員 お答え申し上げます。  現在地下鉄を建設いたしております九号線と申しますのが二十三キロ、五号線と申しますのが三十一キロ、それから四号線の一部が三キロ、それから一号線でございますが、これが約十九キロ、六号線が二十二・五キロでございますから、現在建設中が九十五キロくらいでございます。
  72. 細郷政府委員(細郷道一)

    細郷政府委員 都電の四十一年度期末の総延長は三百二十五・二キロです。
  73. 太田委員(太田一夫)

    ○太田委員 私はそれを言いたいのです。いまあるのを合わせて、二百キロそこそこの地下鉄が五年先にできる。それに対して三百何十キロというような都電というものがなくなる。それが合理的であるという道理はない。そのことばいまでもそうでございましょう。国鉄の利用者が都内で一番多い。一日に七百万から運んでおる。私鉄の五百万を除きましても、その次にはいま都営交通で二百五十万ほど運んでおる。営団地下鉄で二百万運んでおる。あるいはバス、ハイヤーで二百万運んでおる。一日二千万からの人が東京で乗りものを使って動いておる。そういうときに、大量輸送でさらにバス、自動車というのが路上に充満しようというときに、道路計画とのにらみ合わせ、あるいは自動車の増加というものの趨勢等にらみ合わせて、都内の交通機関は何が一番妥当か、もちろん地下鉄は必要だ。必要ではあるけれども、一番停留所の数も多く安直に乗れる都電というものが、都民に長く親しまれてきている。日常生活に密着しているんだ。金がかからないじゃありませんか。利子補給なんか要りませんよ。これにたくさん乗せることを考えるのが再建計画の随一である。それをあなたのほうがはずせ、はずせ、はずさなければ再建計画にならぬなんということは、私は少なくとも公営企業の全体を担当する自治省としては、不見識の点があると思う。これは私の意見ですよ。  私、時間になりましたから、ここでやめますけれども、実際そんなむちゃな、電車がのろのろだってお客さん乗るんだから、何で走らせることを考えないのか。それなら自動車を通さなければいいじゃないですか。簡単なことですよ。それは将棋だって金と歩とあれば、金の前の歩は取り払われる。もともと電車は走っておった。そういうところに自動車が入ってきたら、いままではよかったのだがだめだ、自動車が通るのを認めなければ電車は走るでしょう。ここのところは、大臣、大事な点ですよ。ひとつこれはおふろにお入りになってゆっくりお考えになってください。
  74. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 次は細谷治嘉君。
  75. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 私は人事院勧告と厚生制度の問題、二点について御質問いたしたいと思うのであります。  人事院の方、尾崎給与局長さん、見えていますね。  現在民間給与関係等を集計、検討をされていると伺っておるのでありますが、すでにきょうは七月の二十日でございます。昨年は八月十三日に人事院勧告がなされたわけでございますから、従来の例からいきますと、あと三週間余りの期間しかないわけでありますから、当たらずといえども遠からずというところは、もうおつかみになっているんじゃないかと思うのでございます。そこで、ことしはいつごろ勧告を出される予定なのか、大体その内容はどの程度のオーダーになるつもりなのか、この辺をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  76. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 人事院といたしましては、ことしも従前どおりということで、民間給与調査を四月分について実施いたしまして、その調査は六月十七日をもって終わったわけでございます。その資料をもちまして、その後統計局において必要な集計をやってもらっているわけでございまして、まだその結果を得ておりませんが、間もなくその調査の結果が得られるものと期待しております。すでに集計を終えております国家公務員関係のデータを突き合わせまして、いわゆる官民格差というものを今後算出をいたしまして、それで結論をつけるということをするわけでございますが、そういうペースは大体昨年度とほぼ同様な方向できておりますので、結果はおおむね昨年と同じ程度の時期に勧告ができるのではないかというふうに考えているわけでございますが、結果は、いま申し上げましたように、まだ集計作業中でございまして、その結果待ちという段階でございます。
  77. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 内容については集計待ちということのようでありますが、すでに資料が集まってから一カ月になるわけですね。昨年は八月十三日でありますから、大体もうあと二十二、三日もしますと八月十三日というのがくるわけです。ことしは民間の給与というのは、昨年と比べますとかなり上回っておると思うのであります。したがって、私は、勧告の内容というのは、おそらくいまは知っていてもおっしゃれないんじゃないかと思いますけれども、昨年を上回る勧告がなされるだろうということは、これはしろうと考えでも想像するにかたくないわけでありますが、その辺はどうですか。
  78. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 現在得られております資料は、たとえば労働省の毎月勤労統計とか、総理府の物価統計とか、そういう一般的に知られている統計でございます。その関係を見ますれば、消費者物価の上昇率は去年よりは下がっているわけでございますけれども、民間賃金の上昇率は昨年に比べて上昇をいたして、上昇率が高うございます。御指摘のように春闘の結果につきましても、昨年は一〇%程度であったかと思いますが、ことしの調査では、労働省調査では一二・一%ということになっているわけでございまして、その関係では、確かに御指摘のように高めになっているわけでございますが、その結果がどのように集計に反映をして、国家公務員との格差という関係から申しましてどのような結果になるかという点につきましては、今後の調査待ちということでございます。
  79. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 今後の調査待ちということでありますけれども、いまのおことばの諸要素を考えますと、消費者物価というのが若干横ばいだということであります。民間給与というのは去年よりも上がっているわけですから、人事院というのは客観的な資料に基づいて客観的な勧告をするということでありますから、政治的な勧告をなさらぬということになりますれば、去年より上回った勧告がなされるというのも、これは常識的な帰結として出てくると思うのでありますが、そのとおり理解しておってよろしいでしょうか。
  80. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 ただいま申し上げましたように、一般的な資料は、物価につきましては上昇率が下がっており、民間賃金の上昇率につきましては、去年よりは上回っておるということは確かでございます。ただそれをいわゆる官民格差ということで人事院が例年どおりの調査をいたします場合には、民間の動向と、それから公務員の動向と両方の面がございますので、そういう関係につきまして調査をいたしていくということでございます。それ以上のことは、現在の段階では何ぶんにも申し上げかねるというのが実情でございます。
  81. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 なかなか結論が出ないので、私は特にこの点でお願いしたいことがあります。  人事院発足当初は、第三者的、いわば客観的な資料に基づいて客観的に勧告するということで人事院は高く評価されておったのでありますけれども、どうも昨年、一昨年ぐらいから政治的な要素を加えた。政治的な要素というのはいい意味じゃないわけですね。客観性をはずれて勧告をするんじゃないかという新聞等の世論もあるようでありますから、ひとつ人事院は当初の初心を忘れないで、今度はりっぱな勧告をしていただきたい、こう思います。これは要望しておきます。  そこでお尋ねいたしたい点は、人事院勧告直前になりますと、いろいろなところから、あすこを上げてくれぬか、あすこを上げてくれぬかという申し込みがたくさんあるようであります。いままでどういう大臣が、どういう形で、どういうことをしてくれということの申し込みがあったか、ちょっとお聞かせいただきたいのです。
  82. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 例年、勧告に際しましては各省庁の人事管理当局、それから職員組合その他いろいろな関係する団体から、それぞの御要望がございます。これは給与に関係することばかりでなくて、もうあらゆる関連するいろいろな問題について御要望があるわけでございますけれども、私どもとしましては、この点につきましても、勧告に際して十分いろいろ検討をいたしまして、できるだけいい勧告をつくるということで努力しているわけでございますけれども、ことしもそういう関係でいろいろ各方面からございました。また現在でもございます。そういう関係を一々ここで明らかにするわけにいきませんが、そういう関係は非常に多うございます。
  83. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 ことばじりをつかまえてたいへん恐縮でありますけれども、できるだけいいじゃなくて、客観的に確信ある勧告をいたさなければならぬのでありますから、聞くべきは聞き、そして十分それをそしゃくして勧告する、こういうことになると思うのであります。私は新聞等で見ておるのでありますけれども、政府当局等あるいは団体等からの申し入れといたしまして、厚生大臣が医療職の給与表をひとつ大幅に上げてほしいという申し出があったかと思うのであります。それから、ここにいらっしゃいます藤枝国家公安委員長と新井警察庁長官が、十五日の日に人事院をおたずねいたしまして、そして「警官の職務の特殊性を考慮して「警察職俸給表」を新設してほしい」「警部補以下の第一線の警官の俸給は現行では他の行政職と三千円の格差を設けているが、職務の危険性や勤務時間の長いことなどを考慮し、さらに四千円を上積みし、格差を七千円にしてほしい」という申し込みがあった。それからもう一つは、全国市長会から、地方公務員の定年制を勧告してくれ、こういうふうな新聞記事を最近拝見いたしておるのであります。これは事実ですか。
  84. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 いま御指摘のように、厚生省におきまする医師の給与の改善についての御要望は例年のとおりあったわけでございますが、警察職員につきましても、組合がないという関係から申しまして、われわれといたしましても十分考慮をする必要があるというふうに考えているわけでございますが、全国市長会からの要望といたしましては、給与水準の引き上げに関連する事項といたしまして、必ずしも給与水準のお話だけではございませんが、そういうことにつきまして要望があったことは事実でございます。
  85. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 そこで、国家公安委員長にお尋ねしたいのであります。私は、警察官の日常のお骨折りについては敬意を表しておるわけであります。いま三千円の格差があるのでありますが、これに四千円上積みするという。これは自治大臣であり、国家公安委員長でありますから、かなりの根拠を持った形において人事院に要望されたかと思うのでありますが、この際ひとつ、国家公安委員長として申し込みなされた、そのよってきたるところを聞かせていただきたい。
  86. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 御承知のように現在給与表の中の公安職につきましては、行政職(一)との間に格差がございます。大体二・五号ぐらいだったと思います。ところが現実に人事院で勧告されるのは、主として警察と申しましても幹部職員と、それから国家公務員である警察官と皇宮警察でございますけれども、これがやはり基準になりまして、一般の地方の警察官も大体それに準じられることになるわけで、したがいまして、その意味において人事院勧告の中でも取り上げていただきたいと考えたわけでございます。   〔委員長退席、和爾委員長代理着席〕 現実の事態を見ておりますと、こうした警部補以下の第一線警察官は、初めのうちは一般職との違いが出ておりますけれども、だんだん一般職のほうの改善もされてまいりますので、ある程度の年数になりますとむしろ逆転するというようなこともございます。そういうような点を考えまして、さらにそうした格差をつけていただきたい。第一線警察官の現実の仕事の量あるいは性格等から考えまして、格差を広げていただきたいということを申し入れたわけでございます。
  87. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 私は残念ながら、いまの国家公安委員長のおことばだけでは——国家公安委員長自治大臣の管下には二百数十万の地方公務員がいらっしゃる。警察官もいらっしゃいますし、消防署の職員もおります。一般職の職員もおります。あるいは地方公営企業の職員もおりますし、毎日ほこりと異臭の中で働いておる清掃職員もおるわけであります。その中で特にこれを取り上げて、現に二・五号俸ぐらい差のある、三千円でありますから二・五号俸強じゃないかと私は思うのですが、それが七千円になりますから、五号か六号俸ぐらい上げようということでありますから、相当確固たる客観的な事実がないと、私は問題があるのじゃないかという気がいたすのでございます。いまの大臣のおことばだけでは、私はことさらこれを取り上げたということについてはどうも理解できない点がございます。時間がありませんが、お答えいただけますか。
  88. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 もちろんおあげになりましたようないろいろな職種があるわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、人事院の勧告、これは国家公務員についてでございますが、その中でも警察の職員がおるわけでございまして、七千円と申しますか、さらに上積みをすることに理論的根拠が乏しいではないかというお話でございますが、私は警察官、ことに第一線に働いております警察官の職務の性質、量、そういうものからいたしまして、この程度の差をつけていただきたいものだということでございます。
  89. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 せんだって道交法をやったとき、オイコラ警官というのが復活するのじゃないかということがいろいろ議論されたわけです。私は、稲は実れば実るほど頭を下げるということでありますけれども、これは聖人君子のことでありまして、おれは給料も上がった、道交法によるばく大な権限ももらったということになりますと、ちょっと大臣、心配な点があります。これは心配な点があるのですよ。一般職よりも今度は四千円も上回って給料を上げた、とにかくえらいものだ、そして道交法では裁判権はおれらが取って、とにかく捜査から判決までおれらがやるようになったのだということになりますと、名実ともにオイコラ警官というのが生まれるのじゃないかということを憂慮しております。しかし大臣、時間がありませんから、私のちょっと心配な点だけを申し上げておきたいと思うのです。  そこで人事院にお尋ねしたいのでありますが、人事院の勧告というものに基づきまして、都道府県の人事委員会というのがやはり常に知事と県議会に対して勧告をなさるのであります。私は、私の住んでおります県の人事委員会の勧告というのをここ数年読んでおるのでありますけれども、それを拝見いたしますと、どうもやはり人事院勧告というのは民間給与との格差ということについてあまり実態をつかんでいない点もあるのじゃないか、こういう気がいたすのであります。たとえば、昨年も申し上げたのでありますけれども、昨年の勧告を読んでみますと、こういうことが書いてある。あとで厚生制度についても関連が出てくるわけでありますけれども、この勧告の問題として申し上げておきたい。「住宅手当については、地方自治法上、現在支給されていないが、民間における支給状況のすう勢および県職員の住宅事情にかんがみ、公舎、寮等の施設の拡充を図るとともに本手当が制度化されるよう、同法の改正について努力する必要がある。」と、こういうふうに言っておるのであります。そしてその基礎というものも、たとえばこういうふうに書いてございます。「民間事業所における住宅手当の支給割合は、当委員会調査によると、逐年、漸増の傾向にあり、本年四月では調査事業所のうち四四・一%の割合を占め、その手当額の平均は、一般職員で二千八百六十四円となっている。また、社宅、寮等の住宅施設をもつ事業所の割合は八一・〇%であり、これらの事業所における従業員の入居率は二八・八%となっている。」ところが一方、県職員ではどうかというと、知事部局において一五%だ。こういう点で、地方自治法上、手当というのが法定されておるわけでありますけれども、現実にはやはりこの点を考えてやりませんと人事院の勧告が片手落ちになるのじゃないか、こういうようなことを言っております。  そこで、これは毎年のようにこの勧告は主張いたしておるのであります。ですから、ひとつ人事院ではこういう問題について考えるつもりがあるのかどうか。または自治大臣といたしまして、これは自治法の改正をしなければならぬのでありますから、やはり改正をしてやるのがよろしいのじゃないか、私はこう思うのでありますが、その辺の御見解のほどを承っておきたい。
  90. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 ただいま御指摘になりました福岡県の人事委員会報告の中に、御指摘のような点がございますことは、送付していただいたものの中で私も承知しておるところでございます。  人事院といたしましては、住宅手当につきましては職員の要望も非常にございますし、この点につきまして非常に関心を持って、毎年調査をいたしてきておった状況でございます。もっとも住宅手当は、これがどういうわけで必要であるか、どういう方法で支給するかという点につきましては、これはなかなか問題のあるところでございまして、各人によっていろいろ意見も異なるところでございます。また民間の事業所の支給の方法もいろいろ異なるところがございまして、そういう点に問題があるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、人事院といたしましては、こういう住宅手当のような手当が民間におきまして非常に一般的になるという場合には、国家公務員においてもそういう手当をつくるほうが望ましいというふうに考えているのでございますが、現在民間におきましては、昨年の調査では支給事業所は全体の三七%にすぎないのでございまして、今年もその関係調査しておりますが、その調査の結果を待って措置をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  91. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 やはりこれは国家公務員との均衡の問題もありますので、もちろん人事院におかれて住宅手当支給についての勧告等がなされ、それを政府が実行するということになりますならば、地方自治法の改正等も考えなければならないと思っております。
  92. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 少し人事院も消極的でありますが、ことさら自治大臣消極的のようであります。問題があるということは、積極的に人事院まで飛び込んで申し入れを行なったわけでしょう。    〔和爾委員長代理退席、委員長着席〕  御承知のことでありますからいまさら申し上げませんけれども、国家公務員には宿舎法というものがあるわけです。国家公務員宿舎法、これも一体その基準がどうなのか、臨時行政調査会もこの問題を指摘しておるのであります。これは厚生的なものではなくて職制上の必要からという逃げを打つのじゃないかと思うのでありますけれども、そういうことがからんで、高級公務員の住宅はきわめて安過ぎるが、今度課税するのだということを大蔵省あたりが言っておるようでありますが、いろいろ問題があります。この住宅問題というのはやはりたいへん重要な問題でありまして、国家公務員にはそういう法律はありますけれども、地方公務員に対してはないわけです。特に県あたりでも一五%ぐらい、積極的にやっている県でそのくらい、市あたりにまいりますと、これは皆無と言ってよろしいのである、自分の家があるから通ってくるだろう、こういうことであります。しかし大臣、いまは公務員であっても親のところに大体おらないのであります。結婚すると大体は別世帯ということになるのであります。こういうことでありますから、きわめて深刻な問題であろうと思うのでありますから、住宅手当等の問題についてこそ−こそというのがいかぬならば住宅手当についても、ひとつ人事院は地方公務員については考えてやるべきである、自治法の改正は自分はしたいと思う、こういうことぐらいはなぜ申し入れしなかったかと私は思うのであります。ひとつ大臣、もう少し積極的な姿勢でお答えいただきたいと思うのであります。
  93. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 人事院において、かねてからこの住宅手当について真剣に御調査なり、いろいろ研究されていることを承知をいたしておるわけでございますので、その人事院の御調査あるいは結論等を待ちたいと考えたわけでございます。
  94. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 人事院の局長さんにお尋ねしますが、住宅手当は三分の一ぐらいだ、これは大事業所をおたくのほうは主として調べたのでしょうけれども、何%になったら考えるりもりですか、五割を越したならば考えるつもりですか、ちょっとお聞かせいただきたい。百年河清を待つような話じゃどうもならぬ。一言……。
  95. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 考え方といたしましては、そういう手当が民間で非常に普及しておるということになりますれば、同じような形で国家公務員について支給することが、支給のしかた、給与の配分として適当だということになりますので、民間に一般的に普及しているというような状況になりますれば、公務員においても支給するようにいたしたいというふうに考えるわけでございまして、それが何%になったらどうかということは具体的に判断をすべきことじゃないかというふうに思っております。
  96. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 いまの民主主義の世の中というのは、五〇・一%になれば、もうこれは多数なんですよ。ですから、これはやっぱり民間のあなたのほうの調べている統計も客観的なはずでありますけれども、なかなか客観的でない場合もあるわけなんで、私は今日この段階においては、この住宅費というのは非常な大きな負担になっておる。しかも、ちょっとしたことで毎年のように上がっていく。そればかりではなく、家など借りようとしますと、二カ月分をお礼でございます、三カ月分は敷金でございますという形で、五カ月分ぐらいを持っておらなければ家に入れないというのが現況なんですね。しかも今日では、一畳当たり東京では二千円ぐらい、たいへんな問題なんですよ。ですからひとつこの辺は十分に御検討いただいて、自治大臣おっしゃらぬのでありますけれども——国家公安委員長じゃないですよ、自治大臣おっしゃらないのでありますけれどもひとつ今度の勧告の中に、昨年も申したのでありますが、住宅手当のことは入れていただくように、考慮していただくように自治大臣にかわって私からお願いしておきたいと思うのであります。  そこでこの問題についてお尋ねしたいのでありますが、大蔵省の次長さんいらっしゃっておるのですけれども、今度は税の自然増収がたいへん多い。この間の予算委員会でも、大体ことしは予想外に税の自然増収が伸びて、四千億こすのじゃないか、こういわれておるのであります。そこで今度は、財源上の理由でということでいままで値切り値切りしてきたのでありますから、そういうことはおやりにならないと思うのですが、これは勧告が出ていませんから、勧告のあとのことでありますけれども、国会が終わっちゃうといけませんからお聞きしておくのであります。これはひとつ値切らないように、財源は十分ありそうでありますから、考えていただく。  もう一つは、大臣にもお尋ねしたいのでありますが、地方公務員財源措置というものもこれはやっていただかなければならぬ。国税が幾ら伸びるかということによりまして、おそらく地方税も伸びていくでしょう。また交付税のはね返りもあるでしょう。そういうことでありますから、国税のほうは大蔵省で、地方税のほうは自治大臣、大体自然増の伸びというのはどのくらい期待できるのですか、ひとつお答えしていただきたいと思います。
  97. 相沢政府委員(相沢英之)

    ○相沢政府委員 税の自然増収がことしは相当出るのじゃないかということは、かねがね、最近までの数字を見ますと私どももそういう想像をしているわけでありますが、何ぶん税収の見積もりは私どもの局ではございません。国税庁あるいは主税局でございます。伝統的に、税の見積もりに関しましては、私どもの査定と同様に渋いことを申します局でございますので、目下のところ先生がおっしゃったような数字はとても言っておりません。じゃどのぐらいかということになりますが、まあはっきりした数字はまだまだ三月ぐらいしかたってないから言えないと言っております。そういう状況でございます。
  98. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 本元の国税がわからぬと言われておるのでございまして、したがいまして、どうも私のほうもなかなか見積もり方がむずかしいわけでございます。その上、これはもう釈迦に説法でございますが、地方税でのことしの景気のいかんによって変動いたします大部分は法人関係でございまして、個人の住民税あるいは事業税は前年度課税でございます。ことしの景気の変動によって動くというのは法人関係の税だけでございますので、ちょっといまのところは見通しはつかないというところでございます。
  99. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 主計局次長さん、もう去年私どもはこりごりしたのだ。小沢政務次官が参りまして、新聞では、千二百億円の自然増があるのだ、こう言っておった。ここに来て、幾らかといったら、六百億円、六百億円で、幾らたっても六百億円ですよ。当時もう新聞では、千二百億円は下らないと言っておった。そうして補正予算が出たら幾らかといったら、千五百五十億くらいの増収になってきたのですよ。ですから、大蔵省の言い分は、残念ながら石橋をたたいても渡らぬ。石橋をたたいて渡ってもいいじゃないですか。そういうことでは私は困ると思うのです。ですから四千億とか、はなはだしい人になると、どうも大蔵大臣七千五百億なんということを言ったとか言わぬとか言うのですけれども、私は常識的に七千五百億なんというのはちょっと問題があるけれども、やはり三千億円ぐらいは少なくとも伸びるのじゃないか。というのは、ごくわずかでありますけれども新聞等に出ておる租税の徴収状況、毎月の状況等を見てみますと、どうもそういう気がいたすのであります。そういうことでありますから、主計局次長さん、いまのところ言えないなら言えないでいいのですけれども、うそは言わぬでください。千二百億円とか千五百億円ぐらいつかんでおるのに、その半分にも足らぬ数字をここで申されても私ども困りますから、ひとつ、言えないものは言えないでいいですよ。外交の秘密だ、いや税の秘密だといえば、それ以上これは追及しません。うそは言わぬでください。しかし、私は自然増が十分あると思う。  ちょうど自治省の税務局長も来ております。自治大臣のことばをかりますと、国税の自然増がありますと、大体において四割五分程度は地方税が伸びるのだ、その上に交付税のはね返りが二割二、三分くらいあるのだからというのが理屈でありますが、補正の場合にはそのとおりにはいかぬと思うのです。いかぬにしても、今度は従来の方式に基づく財源措置というのは、勧告どおりやっても私はいけるのじゃないかというように思っております。大臣は六人委員会の重要なメンバーでありますから、ひとつ勧告が行なわれる前に、今度はひとつ自治大臣としてがんばりますということをここで約束しておいていただけませんか。
  100. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 六人委員会の中心である総務長官も、ことしは少なくとも一歩前進二歩前進と考えているということを強調されております。私も同様に考えておるわけでございます。
  101. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 一歩前進、二歩前進、三歩前進、四歩進めばもうよろしいんですよ。大体勧告の内容には問題がありますけれども、二歩進んで四歩進めないということはないわけですから、ひとつ大臣、がんばっていただきたいと思います。  時間がありませんから、せんだっても私は御質問いたしたのでありますが、これは自治大臣とそれからおそらく総理府の人事局長さんの関係になると思うのでありますが、地方公務員法の四十一条には「職員の福祉及び利益の保護は、適切であり、且つ、公正でなければならない。」こういう大きな歌を歌っております。そして四十二条に「厚生制度」という形で、「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない。」と義務づけておるのであります。四十三条は、この間審議いたしました共済制度でございます。四十五条は、これもこの間審議いたしました公務員の災害補償の問題でございます。災害が起こったら補償いたしましょう、病気になったらお互いに助け合いましょう。それで予防はどうか。これから能率が上がるようにいたそうじゃありませんか、病気にならないようにしようじゃないですか、そういう厚生制度というものは三本の柱です。これは国民生活の三本の柱であります。ところが残念なことに、この四十二条の厚生制度というのは義務づけられておるにかかわらず、四十三条、四十五条の共済制度や公務災害補償のように、法律で定めるということをうたってないのであります。たった三行書いてあるだけなんであります。そうして、やらなければならぬと義務づけております。内容はどうかといいますと、たった千円であります。民間では四万五千円をこしているということは、この前申し上げたとおりであります。そうなってまいりますと、大体後の手ばかり打っている。この厚生制度の確立というものは、たいへん私は重要だと思うのであります。しかもこれはいってみますれば、これはやはり賃金総額の中に加味されるものなのであります。でありますから、この四十二条にはひとつ積極的に取り組んでいただかなければならないと私は思うのであります。これについてひとつ総理府も含めて、大臣のお答えを聞きたい。
  102. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 先般もお答え申し上げましたように、確かにこれは公務員の待遇の一つの問題だと思います。その金額が非常に少ないじゃないか、まあおあげになりました民間の厚生関係のが四万何千円ということ自体についてはいろいろ議論もあるようでございますが、それはそれといたしまして、現在見ておりまする金額が少額であるということは率直に認めるものでございまして、今後これの充実には最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  103. 増子政府委員(増子正宏)

    ○増子政府委員 国家公務員関係につきまして申し上げますと、ただいま御指摘があり、また地方公務員につきまして自治大臣からお話しがありましたところでありますが、一般にこの職員の福利厚生関係のいわゆる人事行政といいますか、人事管理といいますか、そういう面につきまして、民間と比較しましてきわめて手薄いという実情であることは、これは否定できないところであろうと存じます。ところで、先般の国家公務員法の改正によりまして、地方公務員法のただいまおあげになりました条文に該当するのは、国家公務員法では七十三条でございますが、七十三条は「能率増進計画」というような表題になっておりまして、若干法律の立て方が地方公務員法と国家公務員法と違っており、内容的にいいますと、地方公務員法のほうが考え方が整理ができておりまして、非常にすっきりしていると思うのでありますけれども、国家公務員の場合には、いわゆる保健とか安全、厚生といった面が能率増進計画という観点からとられておるのは御承知であろうかと思います。これらの関係は、従前は人事院が所掌いたしておりましたのが、いま申し上げました改正の際に総理大臣の権限となり、私ども人事局の所掌となったのでございますが、これらの具体的な内容につきましては、すでに人事院規則が制定せられておりまして、それに基づきまして、各省が具体的な事項を実施いたしております。それらの経費は、先ほど千円というお話がございましたが、もちろんこの千円というものは一人当たり年額千円という、いわゆる単価でございます。これがこの面の経費に充てられることはそのとおりでございますけれども、その他各省庁におきまして、それぞれいわゆる庁費の使用というようなことによりまして、それぞれの実情に基づきましてのいわゆる厚生計画というものを立てて実施いたしております。ただ、先ほども申し上げましたように、これらのものがまだ決して十分な状況でないということは、私ども痛感いたしております。今後われわれ最も力を入れて拡充強化していかなければならぬ分野であるというふうに考えております。
  104. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 大臣、念のため伺っておきますが、地方公務員法四十二条にあります厚生制度というものと、地方公務員共済組合法百十二条の福祉事業というのは、どういう関係があるのでしょうか。
  105. 長野政府委員(長野士郎)

    ○長野政府委員 共済組合の福祉事業と地方公務員法の厚生制度、境目のところが御指摘のようになかなか両方入りまじるようなかっこうになるわけでございますが、たとえば共済組合のそういう事業の関係といたしましても、いまの保健なり元気回復なりという事業も行ない得るわけでございます。そこで、私どもといたしましては、市町村の共済組合等の福祉事業の場合に、なかなか財政的に困るところも多いわけでございます。そういうところでは、できるだけ、つとめて一般の公務員法に基づきますところの厚生計画の充実というようなことで補っていくほうに力を入れていくというふうなこと、両々相まちまして、職員の保健とか元気回復というものをやっていくというふうに考えております。
  106. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 百十二条の福祉事業というものと、地方公務員法四十二条の厚生制度というのは違うものなんでしょう。法律だってはっきり四十二条は厚生制度をやらなければならぬと義務づけておる。百十二条は「できる。」こう書いてある。やってもやらなくてもいいと書いてある。その内容を見ても、もう時間がありませんから、これ以上議論しませんけれども、福祉事業と厚生制度というのは法律のたてまえが違うのですよ。そうでしょう。四十二条、四十三条、四十五条、さっき言ったように書いてあるのですから。私はこの問題について、自治省はどうもけしからぬと思っている。大体この共済組合法の福祉事業にすりかえておる、こう申さなければならぬと思う。その証拠は、四十一年六月十六日に、自治省行政局長、あなたの前任者の名前ですよ。都道府県知事にどういうことが出ているかといいますと、文字どおりすりかえです。いま都道府県では条例をつくって、互助会というのをつくっている。各人が出し合い、地方公共団体も金を出して、互助会というのをやっておる。その中には自主的なものもありますけれども、この地方公務員法四十二条がうたっておる厚生制度の範疇に入るようなものもやっておる。そういうことがある。それで、この通達を見ますと、これは昨年、互助会の掛け金を課税するかどうかといってもめたときの、それを受けての通達ですよ。だんだんそういうものは百十二条の福祉事業のほうに移していきなさい、移さないやつは税金を取るぞと書いてある。これは、地方公務員法の精神を無視した通達をあなた方は出しているのです。ですから大蔵省のほうも、税金を取ろうか取るまいか、あげくの果ては四十四年までは取らないようにしようやと、その間に全部福祉事業に移してしまいなさいといって、四十二条は消していこう、すりかえていっておるのですよ。けしからぬことだと思うのです。その辺についてひとつ長野その後の局長——大臣よく御存じないかもしれぬが、大臣、おかしいでしょう。はっきり答えてください。
  107. 長野政府委員(長野士郎)

    ○長野政府委員 互助会につきましては、その厚生事業と申しますか、地方公務員法の四十二条から福祉事業にすりかえるためにという先生のお話でございましたけれども、そうではございませんで、互助会の事業そのものがむしろ一種の、広い意味では共済的な、共済の福祉事業と非常に範囲とか対象、性質も似るようなところが多いわけでございます。したがいまして、共済制度というものがだんだんと軌道に乗ってまいりました現在におきましては、互助会の事業というものは次第に共済事業のほうに取ってかわられるべき性質のものではあるということは言えるかと思うのでございます。だからといって、そういうことからいたしまして、この地方公務員法四十二条の厚生制度をないがしろにいたせということを申しておるわけではございません。先ほども少しく触れて申し上げましたが、たとえば共済事業そのものの短期給付その他の経営の苦しいところにつきましては、むしろ私どもとしては一般会計によるところの厚生事業というものの充実によりまして、そういう共済の経営の補強と申しますか、そういうことも考えていくようにという指導をいたしておるようなこともございまして、決してみんな共済なり互助会に押しつけてしまうというようなことを考えておるわけではございませんので、御了承をお願いします。
  108. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 押しつけられぬですよ。百十二条の二項には何と書いてあるか。短期給付に要する費用の九十五分の五が限度だ、こう書いてあるのですから、押しつけられっこないでしょう。だから、それをいいことにして千円でやっているのですよ。これは人事院勧告は何とおっしゃっていますか。時間がないから読みませんよ。ですから私が申し上げるのは、共済制度におけるこの第五章、福祉事業の百十二条と、それから地方公務員法にいう四十二条というのは、これは全く異質のものなんだ。ですから、地方公務員災害補償法も、いままでは条例でやらしておったのを、今度は国のほうで法律まできめてやってやろうということで、四十五条の大改正を行なったわけです。それに基づいて地方公務員災害補償法というのはできた。四十三条はもう共済制度として法律ができておることは御承知のとおり。四十一条に基づいて四十二条というのが全くお留守なんです。これも第二項にひとつこのことについては法律で定めるというぐらいに、法律改正していただきたい。そしてその法律改正して、大臣にお願いしたいことは、このままでは、主管の局長自体がちゃんと知っておりながら、それで共済制度か厚生制度か、私ども聞いていて何が何やらわからぬような答弁をしておるのですよ。わかっているのですけれども、まだまだやはり検討を要する点がありますから、ひとつ自治大臣とそれから総理府のほうに伺っておきたいことは、この問題についての厚生制度審議会なり調査会というものを早急につくって十分な調査をして、制度はどうあるべきか、どういうことで運営していこうか、こういうことについて、たとえば制度としてはこの間つくったような基金制度、こういうようなものをつくってやることもけっこうでしょう。どういう事情であるか、現在どうなっているか、どうあるべきか、そしてどういう形で運営しようかという結論を出す厚生制度審議会あるいは調査会というようなものを早急につくるべきだと思うのであります。これについてひとつ大臣と総理府のほうでいい返事を伺って、いい返事を聞けたらこれで終わります。
  109. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 厚生制度の問題につきましては、われわれ自治省といたしまして、その責任においてやはり実情も調査し、あるいはよき制度を編み出すように努力していかなければならぬと思います。おしかりを受けるかもしれませんが、公務員部をつくりましたのもまたそういう点もございます。  調査会等をつくれという御提言につきましては、拝聴いたす次第でございます。
  110. 増子政府委員(増子正宏)

    ○増子政府委員 私ども考えておりますところも、ただいま自治大臣がお答えになったとおりでございます。私のほうは公務員部でございませんが、私どもの人事局の仕事としてそういうものを調査、研究するのは当然のことであろうというふうに考えておりまして、さらに一そう勉強したいと思っております。
  111. 細谷委員(細谷治嘉)

    ○細谷委員 では、早急にこの審議会をつくって検討していただくことを重ねてお願いして、終わります。
  112. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。山口鶴男君。
  113. 山口(鶴)委員(山口鶴男)

    山口(鶴)委員 時間があれですから、自席から質問させていただきます。  大臣、いま給与改定の問題について、一歩前進、二歩前進というふうなことを言われましたか、昨年はこの給与改定の閣議決定段階で、自治大臣地方財源を苦にいたしまして一番渋い態度を示されたと私ども聞いておるわけでありまして、ことしは、先ほどのお答えがございましたから、昨年のようなことはないものと信じました上で、二つばかりお尋ねをいたしたいと思うのです。  昨年、六・九%の給与改定がございました。しかし、現実には実施の時期がずらされましたので、これは年間に引き直しますと、せいぜい四%くらいにしかなっておりませんね。ところが昨年は物価は幾ら上がったかというと、四・五%上がっている。そうすると実施の時期が大幅にずらされたために、現実にはこの物価の上昇にも追いつかぬ年間に引き直した場合の改定であったということでありますが、そういう状況であったということはお認めになるでしょう。人事院の局長さんのほうからお答えいただいてもけっこうです。
  114. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 昨年の給与改定は、官民格差六・九%を埋めるようにということでお願いをしたわけでありまして、五月から実施をお願いしたわけでございますが、結果として九月実施ということになったわけでございます。もちろん勧告そのものは昨年度と申しますか、昨年五月以降の話でございまして、昨年中の水準をどうするという勧告ではないわけでございます。しかしながら、昨年度中において幾ら上がったかということでございますれば、先生の御指摘のような、平均すれば下がるということにはなるわけでございます。
  115. 山口(鶴)委員(山口鶴男)

    山口(鶴)委員 そういうことなんですね、大臣。一年に延ばせば四%にしかならぬ。物価は四・五%上がった。人事院のお答えのとおり。ことしはそのようなことは、私は常識的に考えてあるべきでない、かように思いますが、自治大臣、御感想と決意はどうでしょうか。
  116. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 なるほど一年に引き延ばせば四%しか上がらなかった。それなのに物価は四・五%上がったじゃないか。そこまで物価と関連させての御議論たと、多少異論を申し上げたくなる。というのは、要するに五、六、七、八においては上がらなかった。しかしその後は六・九%上がった。その五、六、七、八の間の物価の上昇というものはどうであったかということも考えないと、平均したから四%で、四・五%、けしからぬぞという、すぐにそういう結論になるかどうか、頭が悪いのでわからないんですが、それはそれといたしまして、先ほども申しましたように、私は人事院の勧告、それに地方公務員は準ずるわけでございますが、それはできるだけそれに近い線になることが、近い線と申しますか、完全実施ができるような、そういう方向になることがもちろん望ましいというか、正しい方向であると考えております。そういう意味で、できるだけこの実現に努力をする決意を持っておるわけでございますが、ただ実際、これは水田大蔵大臣の所論なんですが、四月以前にその年の給与総額を議会で議決をしておいて、それがすぐに五月からまた改まった給与総額になるというようなことが、議会との関係でどうなんであろうかということを考えますと、藤枝理論なんというなまいきなことを言うわけじゃございませんが、何か給与総額を議決していただくときに、そういうものを予想して、何らかのふくらみをつくるというようなことも将来の問題としては考えていかなければならないのじゃないかというようなことも思っておるわけでございます。
  117. 山口(鶴)委員(山口鶴男)

    山口(鶴)委員 いわゆる藤枝理論を議論しますと時間が長くなりますから、それはやめておきます。とにかく先ほど私が指摘したような事態が起きたのは、一つには勧告も悪かった。一つはまた実施の時期が値切られた。この二つの悪い要素が組み合わさってああいう結果になった。したがって今回はその二つを是正する、この決意で人事院も自治大臣も努力をいただきたいと思います。  そこで、この質問だけで終わりますが、人事院の局長さんに御質問したいのですが、人事院はもとより国家公務員を対象にして勧告をいたします。しかし、及ぼすところは地方公務員にも及ぶのであります、そこで私は地方公務員の場合を申し上げたいと思うのですが、一つは通勤手当です。地方公務員の場合はバイクで通う、自転車で通う、こういう人が非常に多いのです。こういう点に対する配慮は、国家公務員がそういう方が少ないせいか、人事院は非常に足らぬと思います。五百円や五百八十円でどうにもならぬことはおわかりいただけると思います。それからいま一つは、バスを利用する通勤者が非常に多いということです。国家公務員の方の場合は、先ほどお話があった地下鉄なりあるいは国電でお通いになる。地方公務員の場合はバス、そうするとこの割引率が一割かそこらですね。そうしますと、六千円あるいは七千円という通勤費が現にかかるという人が相当おります。現行の千六百円プラス八百円ではとうていこのワクに入りません。したがって私は、国家公務員を対象にして出す勧告ではありましょうが、やはり地方公務員のそういった通勤実態というものを十分配慮していただきたい。また自治大臣も、警察の職員について御要望を申し上げるなら、そういった国家公務員地方公務員の通勤実態の違いというものを見詰めて人事院に御要望いただきたかった、私はかように思うのであります。  それからさらに市町村、わけても貧弱な町村の公務員の給与の場合であります。一応給与改訂をするような形はとるのでありまするが、昇給ストップを三年も四年もやっておるという町村が現に群馬にもございます。何ですか、人事院が地方公務員の給与が上がることについては非常に熱心に指導というか、文句を言われる。しかし現実に国家公務員に比べてあまりにも劣悪なんです一数年間も昇給ストップがあるというような町村の公務員の給与の是正という、上がっているものを下げることには熱心だが、下がっているものを上げるという努力は全く自治省にないんじゃないかという感じがする。今度公務員部が設置をせられるというところの重点は、むしろ私は国家公務員の水準にはるかに及ばない劣悪な条件にあるこれらの人たちの改善にこそ自治省の重点が置かれなければならぬ、かように確信するのでありますが、自治大臣のこれに対する決意、並びに地方公務員の給与実態に対する人事院の局長さんの御答弁をお伺いいたしたいと思います。
  118. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 国家公務員より高いのを非常に文句を言うというお話でございますが、そう文句を言っているつもりはないのでございます。  それから一方、低い町村、ことに村などで相当悪い事態のありますることはもちろん承知をいたしておりますし、いろいろ生活環境、生活の状態等もございましょうけれども、あまりにも低い、しかもいま御指摘のように昇給を三年もストップするというようなものにつきましては、これが改善方については十分今後も指導してまいりたいと考えております。
  119. 尾崎政府委員(尾崎朝夷)

    ○尾崎政府委員 地方公務員の実情につきましては、それぞれの組合の方々からいろいろな御要望がございまして、そういう関係につきましては、私どものほうといたしましては担当は国家公務員でございますけれども、まあ横目で見ながら、そういう実情をいわば頭に置きながら検討するということにしておるわけでございますが、何ぶんにも直接調査その他につきまして所管ではございませんので、そういう関係はなかなか手が届かないという点もございます。ございますけれども、いま申し上げました通勤手当の関係なんかにつきましても要望がございましたので、なお検討をいろいろいたしたいというふうに思っております。
  120. 山口(鶴)委員(山口鶴男)

    山口(鶴)委員 やめようと思ったのですが、横目で見ながらというのが残念なんで、私はそういうことは解決の方法が二つあると思うのですね。地方公務員をかかえておる自治大臣が、これは警察の職員の方についていろいろ御要望しているのと同じように、地方公務員のやはり実態に即した勧告をされるように強く人事院に働きかけていただく、要請をしていただくということで解決をする方法が一つ。いま一つは、地方公務員法のたてまえに立つならば、条例できめるのですから、とすれば、人事院さんは横目で勧告された。しかし地方公務員の通勤実態はこうだ、住宅の問題も先ほど細谷委員から御指摘あったとおり、そういうものがあるならば、自治体としては積極的にこういう問題を地方自治のたてまえ、地方公務員のたてまえに立って解決をしろ、そしてその場合の財源措置も、大蔵省の主計局次長さんもおられるが、横目でもって見るというようなことではなしに、やはり自治省も財政的に、また大蔵省としてもそういった地方自治のたてまえを貫くというならば、それに立ち向かうような処置のしかたをお考えになっていただく、このいずれかでなければ私は解決をしないと思うのです。大臣としてはどちらの方法改善をされたほうがいいと思いますか。
  121. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 実態は、人事院の勧告の中にそういうことが入り得るならば、それが人事院の国家公務員に準ずるという立場からはいいのでございますが、なかなか横目でにらむというのは、そういうことの困難性を人事院は言っておられるのだと思うのでございます。したがいまして、さらにわれわれとしても地方の実態を把握しながら、地方の人事委員会、たとえば府県の人事委員会等がその通勤の実態等を調査しまして、その実態に即したような勧告を出していただくというようなことが、あるいは実情に合うものではないかというふうに考えております。
  122. 山口(鶴)委員(山口鶴男)

    山口(鶴)委員 しかし現実は、地方人事委員会が国家公務員の基準よりもいい意見を出したところ等、部分的にもありますね。しかしそういうことに対して、結局先ほどの話じゃありませんけれども、自治省財源措置関係、それから国家公務員に準ずるというような規定等から、結局県の人事委員会の公務員の実態に即した勧告というのは、ほとんど無視されているというのが現実の問題として現状ではないですか。ですから当面やはり自治省は、人事院をして横目で見させるのではなくして、正視さして、そして地方公務員の実態も十分把握されて勧告を出させる、これにひとつ全力をあげていただきたい。この点に対する決意をお伺いしまして、私の質問は終わります。
  123. 藤枝国務大臣(藤枝泉介)

    藤枝国務大臣 人事院が出されるとき、国家公務員地方公務員ではいろいろ困難な事態もあろうと思います。しかし国家公務員の中にも地方部局等がございまして、それらについては地方公務員と似たような通勤の状況であろうかと思います。そういうことも考えまして、今後人事院と十分御相談をしてまいりたいと思います。
  124. 亀山委員長(亀山孝一)

    亀山委員長 次会は明二十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十三分散会