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實川委員 行政局長にお尋ねいたします。
私が質問申し上げることは、千葉県山武郡芝山町の議員の解職請求の
経過について御
説明いただきたいのですが、その前に、その問題の起こりました背景について簡単に申し上げたいと思います。
国際空港を千葉県富里につくる
計画がございまして、前後三年間紛糾に紛糾を重ねた結果、この案は廃案になったのです。ところがその隣接の成田に、事前には何らの連絡もなく、突然天下り的に成田空港が閣議
決定を見たわけでございますが、それが昨年の七月四日でございます。自来ちょうど一カ年、この問題をめぐりまして、空港の用地に当たる部分はもちろん、その周辺のいわゆる騒音地域に属する町村におきましては、町や村がまつ二つに割れて、賛成、反対の戦いを現在まで続けて非常に混迷いたしております。もちろん地域の住民はたいへん迷惑をいたしておることは当然でございますが、そこで問題の起こりました芝山町と、
計画されております成田国際空港の
関係でございますが、空港は御案内のとおりSSTという超音速の非常に大型の飛行機を飛ばす目的のようでございます。大体一千六十町歩くらいですかの用地を一応飛行場用地として考えておるようでございまして、四千メートルと三千六百メートル、さらに二千五百と、三本の滑走路が現在予定されておりますが、この三本の滑走路とも芝山町の上空を全部通ることになっております。したがいまして、芝山町は騒音の真下に町全体が入ってしまう、こういう地理的な環境でございます。その上、いわゆる飛行場から流れるいろいろな汚水の
関係でございますが、これも飛行場の周辺に三本の自然河川がございますが、そのうちの二本が芝山町の地域を通って海に出るという
関係でございます。したがって、汚水の
関係から申しましても、芝山町がほとんどその大部分の犠牲を負担しなければならない、こういう立場にございます。さらにまた
東京、千葉、空港、こういうような空港から出発する人、あるいは空港に着いて日本に入られる人の
関係、つまりその方面に高速
道路が当然つくだろうし、将来は鉄道の
関係も、京成電車が延長になるか国鉄が延長になるかわかりませんが、そういう鉄道
関係も何らかの形で整備されると思いますが、そういうようないわば
東京を中心にした空港の表玄関というのはちょうど芝山町の反対側でございまして、芝山町の位置は空港の日陰になるという位置でございます。したがいまして、常識的に言うと、空港が設置されましても、芝山町にとって騒音あるいは汚水以外何ら恩恵に浴するところがないというような不利な立場にこの問題について置かれております。そういうような
関係で、成田空港の閣議
決定を見ましてから今日まで、ほとんど住民はこの空港反対闘争に明け暮れておると言っても過言でございません。芝山町は旧千代田村、二川村の二カ村の合併でございますが、空港に接地いたしております旧千代田は、ほとんど全域をあげて絶対反対の態度を今日までとってまいっております。この問題が出ました昨年の当時の状態は、六月二十二日の夕刊に報道され、その晩のラジオで、成田に空港の白羽の矢が立ったということが報道されたわけであります。この問題が出ますとすぐ町民大会あるいは成田の市民大会というような形で住民の反対意思の表示があったわけでありますが、芝山町におきましても六月三十日に町
会議員の全員協議会を開きまして、そこで空港設置について絶対反対を
決定いたしております。それから七月十日に芝山町、成田市の反対の立場の町民の諸君が三里塚で反対の決起大会を開いたわけでありますが、このときは約三千人ぐらい動員いたしております。そのときは芝山町の町長、町会
議長、町
会議員のほとんど全部の諸君がひな壇に上がりまして、向こうはち巻きで、特に町長は絶対反対の
決意表明をいたしております。それから続いて七月の十七日に、成田市の隣接の栄町というのがございますが、そこに、だれの招集かよくわからないのですが、町
会議員定員二十名、そのうちの十六、七名が栄町に集まりまして、何やら協議をいたしたようでございます。三、四名が事故のために出席しなかった。一名は出席したが途中から退席した。こういうような
経過でございますが、これが七月二十日に町議会が開かれまして、空港に対する議会としての態度
決定をすることになったわけでございます。
〔
委員長退席、
久保田(円)
委員長代理着席〕
先ほど申し上げましたように、芝山町議会は六月三十日には全員協議会で絶対反対を決議し、それから七月十日の町民大会では第一線に立って反対の
決意表明をいたしております。しかるにこの七月十七日の印旛郡栄町の料亭での会合以来、急に態度が百八十度のうち百六十度ぐらいの急転換をいたしまして、条件つき反対というような線を打ち出しかけたわけでございます。そういうような情勢を見まして町民が町議会を取り巻きまして、圧力を加えたということはないと思いますが、相当多数の諸君が出て町議会を傍聴いたしております。そのときに県警からも機動隊が出動したようでございますが、若干の事故はございましたけれども、たいした大げさな負傷事故は起こっておりません。しかし、それを機会に、町民は絶対反対、議会の議員諸君は条件つき反対というようなことで、非常に町民と議会とのずれがまず表面化いたしております。その結果、条件つき反対という議決をしようとしたのが、そういうようないきさつから、強く反対するというような議決に終わっております。このころから議会と町民の間に相当空港問題を中心にあつれきが生じ、対立が生じまして、自後の行動はだんだん議会のほうは議会のほうで先鋭化して、あくまでも空港誘致賛成というような積極的な態度に変わり、町民のほとんど、私の見たところでは九〇%以上は反対でございます。反対同盟に参加いたしておるのはそれほどでございませんが、六〇%ないし六五%くらいだと思いますけれども、空港賛成と腹の底から考えておる町民はほとんどないと申しても差しつかえないと思います。そういうようなことで、議会と町民の
考え方が食い違いまして、いわゆる町税の不納同盟あるいは町の区長とかそれから各種の
委員を辞退をするというようなことで、役場対町民の
関係、議会対町民の
関係は日増しに悪化をし、若干の小ぜり合い等も起こりましたが、そういう
経過をたどりまして、昨年の暮れ町議会で突然、前に空港に強く反対し議決をいたしておりますから、これを撤回して白紙に還元するという議決をいたしたわけでございます。そういうようなことが発端となりまして、いま申し上げました町
会議員二十名中十六名のいわゆる賛成派の議員に対するリコールを始めたわけです。
そういうようなことでございますが、まず第一に御質問申し上げたいのは、芝山町に起こったこの議員解職請求の
経過について、
自治省として御存じになっている範囲の
説明をお聞きいたしたい。
それから、御存じとは思いますが、芝山町の議員解職請求は、一月二十一日署名簿を選管に提出をいたしておりますが、今日まで半年以上たなざらしになりまして、全然結論が出ておりません。この辺について、国としてはどのような指導をされたか。それから、従来こういうようなリコールの
経過を見ますと、千葉県にもその先例がございますが、
地方自治法の空白とでも申しますか、ざるの目とでも申しますか、そういうふうな
関係で、結局うやむやにつぶされてしまった例がたくさんあるようでございます。全国的に見てそういう例が相当あるだろうと思います。そういう場合に、国としてはどういうような指導
措置がとられておるか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。