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1967-07-14 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十四日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君       大竹 太郎君    久保田藤麿君       塩川正十郎君    辻  寛一君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       永山 忠則君    古屋  亨君       山田 久就君    村山 達雄君       渡辺 栄一君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       依田 圭五君    折小野良一君       小濱 新次君    田中 昭二君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府人事局長 増子 正宏君         警察庁刑事局長 内海  倫君         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省行政局長 長野 士郎君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局厚生課長 佐分利輝彦君         警察庁刑事局捜         査第一課長   田村 宣明君         警察庁保安局保         安課長     本庄  務君         通産省化学工業         局保安課長   矢野俊比古君         労働省労働基準         局労災補償部長 中村  博君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 七月十四日  委員木野晴夫君、佐々木秀世君、辻寛一君及び  大野潔君辞任につき、その補欠として渡辺栄一  君、村山達雄君、大竹太郎君及び田中昭二君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員大竹太郎君、村山達雄君及び渡辺栄一君辞  任につき、その補欠として辻寛一君、佐々木秀  世君及び木野晴夫君が議長指名委員に選任  された。     ――――――――――――― 七月十三日  市町村営有線放送電話施設助成等に関する請願  (内田常雄紹介)(第三一六四号)  同(枝村要作紹介)(第三一六五号)  同(小渕恵三紹介)(第三一六六号)  同(亀山孝一紹介)(第三一六七号)  同(野原正勝紹介)(第三一六八号)  指定自動車教習所助成に関する請願小渕恵  三君紹介)(第三一六九号)  同(久保田円次紹介)(第三一七〇号)  同(田中榮一紹介)(第三一七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十三日  行政事務配分促進に関する陳情書  (第三四二号)  地方税財源充実強化に関する陳情書外一件  (第三四三号)  地方公務員定年制実施に関する陳情書  (第三四四号)  高額料金水道事業に対する財政援助に関する  陳情書  (第三四五号)  住居表示整備事業に対する補助金交付に関する  陳情書  (第三四六号)  都市下水道事業等起債充当率引上げに関する  陳情書  (第四〇七号)  市町村交通事故相談所に対する国庫補助に関  する陳情書  (第四一五号)  交通安全街頭指導者事故に対する救済措置に  関する陳情書  (第四一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方公務員災害補償法案内閣提出第一一一  号)(参議院送付)  警察に関する件(房総西線爆破事件に関する問  題)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公務員災害補償法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。
  3. 林百郎

    林委員 地方公務員災害補償につきましては、制度自体が従来も非常に複雑多様な制度をそれぞれ地方自治体が持っておりますし、それから、各委員からもすでに質問がなされておりますので、時間の関係上四点ぐらいにしぼってお聞きしたいと思うのです。  まず、本法制定必要性といいますか、本法制定理由についてですけれども、一応政府側提案理由にあるわけですが、いままでの各地方自治体の採用していた制度を見ますと、一般職員については労働基準法、それから現業の職員については労災法、また条例によって補償されているものというようなものがあるわけですけれども、これらの問題を通じて、地方自治体自主性がある程度貫かれていたわけでありますが、ことに職員は、地方公共団体団体交渉を行なって、休業補償の十割給付等取りきめているわけですね。本法より有利な条件を取りきめているわけですね、付加給付というような形で。しかし、この法律で一本化されるということになると、こういう既得権がじゅうりんされる。これは各委員からすでに質問があるわけですけれども、しかし、それは自治省側答弁によりますと、本法より上回るものがある場合は、たとえば付加給付というようなものがある場合は、その条例、あるいはそのような運用は有効である、また今後もそのような、本法よりは有利な条件自治体職員との交渉の間でなし得るのだというような答弁を聞いておるように思うのですが、その点はどうですか。
  4. 長野士郎

    長野政府委員 災害補償法制定理由は、補償関係の改善と、迅速公正な実施を確保する、こういうことに尽きると思います。そうして、現状におきましては、適用法令が御指摘のようにまちまちでございますし、それから、具体の市町村につきまして、必ずしも十分な補償が行なわれていない現状もあるわけであります。そういう意味で、この法律制定をいたしまして、補償内容充実補償をしやすくする、実施をしやすくするということを考えておるわけでございますが、地方団体によりましては、この法律で定めております補償内容を上回る内容のものが現在条例でつくられておる、そういうところがございます。これにつきましては、この法律そのものは法定の補償内容をきめることと、それから、基金によって地方団体にかわって補償するということをきめるだけでございまして、地方公務員法に定められておるところの給与その他勤務条件につきまして、地方団体条例で定めるという地方団体権能に影響を与えるようなことをここで考えておるわけではございません。したがいまして、そういう意味で、上回る給付というものがあります場合は、この法律のいう補償ではございませんが、一種補償でございます。その補償条例でつくられております限り有効だと考えております。
  5. 林百郎

    林委員 今後、そういう条例制定して、本法より有利な条件をつくるということも当然許されると思うのですけれども、これは、あなたの言うように、地方公務員法給与その他については条例で定めるという原則があるわけですから、それはその法律としてあるわけですから、その余地はあると考えていいのですか。今後の問題です。
  6. 長野士郎

    長野政府委員 法律的にはまさにそのとおりでございます。ただ、公務員災害補償というものにつきましては、地方団体相互間の均衡、あるいは他の補償制度との均衡その他の問題がございますし、今回の災害補償内容は、他の問題を離れて、それ自体考えますと、なおいろいろ不満とか不十分とかいう問題もありますが、現在国が法律でつくっております災害補償内容としては、一番高い水準のものを内容としておるわけでございまして、私どもとしては、これをもって災害補償最小限度要求というものは満たされるものだと考えております。
  7. 林百郎

    林委員 そのことはわかっているのです。最小限度要求だから、これを上回るような取りきめを各自治体が自主的にやり得る余地はある、こう考えているがどうか、こういう質問なんです。要するに、これでなければいかぬということは言わないということは、労働組合が民主的に理事者交渉して、上げるというものを、この法律があるから上げちゃいかぬとは言わぬ、それは、この自主性は認める、局長、こういうように答弁できるでしょう。そうじゃなかったらおかしい。
  8. 長野士郎

    長野政府委員 法律的には、今後これを上回る補償というものも可能でございます。ただし、私どもとしては、これが最低限度でもあるし、かつ最高限度現状であるから、なるべくこれをやってほしいという気持ちは持っております。
  9. 林百郎

    林委員 あなたは、最初のときには、これは最小限度をきめただけである、だから、すでにこれより上回るような条件のあるところは、それはそれで存在させますと言って、いままた、それならば、そういうこれを上回るような条件職員がかちとるということも考えられるのだなと聞くと、いや、これは最高限度ですから、ここら辺でと言う。そうすると、これは職員のほんとうの補償ということよりは、てんでんばらばらになっているのを一本にして、災害補償制度を通じても、中央集権的な官僚機構をつくっていこうというのが真のねらいじゃないかというふうに考えられますね。だから、本来ならば、地方団体はてんでんばらばらだから、その自主性にまかせておいて、もし必要があれば行政的な指導なり、行政的な措置でさせてもいいわけじゃないですか。そして、それが各職員努力によって向上し得るのだという道を許しておいていいのであって、法律でどうしても一本にしなければならないということは考えられないのです。それは、中央集権的な官僚機構を、この際この制度を通じてもつくりたいということがあるのじゃないですか。そうじゃないとすれば、この法律がかりにできたとしても、それを上回るような条件自治体でかちとることは、それはそれで許されるのだ。ことに、地方公務員法の中で条例で定めている。それは厳然として存在しているのだからいいでしょう、局長さん。もしこれを上回るようなことが、今後条例で、あるいは慣行で、地方自治体がそれぞれ独自的な立場で、自主的な立場でするという場合は、これを上回る場合には、あえてこの法律があるからといって、それを規制はしない、こう言えるでしょう。
  10. 長野士郎

    長野政府委員 てんでんばらばらでいいじゃないかという御議論、まさにそういう御議論もあると思います。ただこれは、災害補償というものも一種社会保障的な性質を持つものでございますから、そういう意味で、公務員の福祉の充実という意味での観点からは、補償ということをある程度統一的に内容充実させていくということも、法律による補償ということで許されるのではないだろうかというように考えるのでございますし、また、そうすることが、現状においてむしろ適当であるというように考えているわけでございます。  この上回る問題につきましては、上回るということ自体法律的に規定することはできないことは、繰り返し申し上げたとおりでございます。また、同時に、こういう勤務条件その他の給付につきましても、やはり均衡原則というものも大切でございます。したがって、お示しのような場合、上回るものを持つことが、かえっていろいろな関係でむしろ当然といいますか認められる。そして、その認めることが必ずしも全体の均衡を侵すものではないというような実態にあるような場合におきましては、上回ることもやむを得ないと私どもも思いますけれども、当然上回ってよろしいのだということを大いに慫慂しろというようなことでございますと、この点は、まずいまの限度として考えられ得る一番いいところを内容としておるのだから、一応この辺で出発をしてもらうということでやってもらったらどうだろうか、かように考えておるわけでございます。
  11. 林百郎

    林委員 それは、自治省がこれ以上の既存の条件のあるところは存在を許すから、この水準より上回るような努力をしなさいと職員を激励するということは、われわれもそういうことは考えていないけれども地方自治体自主性職員努力によって、この法律を上回るような条件をかちとる場合は、許さなければおかしいじゃないですか。現に付加給付で百分の百の給付を出すところがあって、それが許されているのに、それじゃおれのところもそれに近づこうといって、理事者もよかろうというようなことを条例なりできめている場合に、自治省のほうが、いや、この法律があるから、そんなことをしてはいかぬといって、職員社会保障としての条件の向上することを押えることはないでしょう。奨励は二の次としても、別に押えることはないということは言えるでしょう。そうでなければおかしいですよ。
  12. 長野士郎

    長野政府委員 自治省としましては、こういうものについての実施についての助言とか勧告ということはいたしたわけでございますけれども、きまったものについて、その効力を否定するというような権能は持ち合わしておりません。したがいまして、御指摘のような場合、縦の均衡がそれによって初めて保ち得るというようなことがあります場合には、そういうこともやむを得ない場合があるだろうというふうに考えるわけであります。
  13. 林百郎

    林委員 局長さんは、職員の地位が向上することがやむを得ないだろうという消極的な答弁なんですけれどもね。  そこで、本法適用対象について、職員規定が二条にありますね。これは、常時勤務に服することを要する地方公務員とこれに準ずる者で政令に定めるもの、とあるわけですね。これにはずれる者が相当ある。これは同僚議員質問で、たしか二百四、五十万というような数字を聞いたのですが、まあ、それを聞きましょう。どのくらいの数字があるか。そこで、その人たちについては、従来の制度がそのまま適用されることになるのか。本法ができた場合、本法から適用除外されて、従来の制度との関係はどうなるんですか。
  14. 長野士郎

    長野政府委員 御指摘のように、この法律がすっぽりかぶりますものは常勤職員でございます。非常勤職員につきましては二通りの態様がございまして、現在個々法律によって適用のあるものもございます。それから、全く適用のないものもございます。まあ、放置されているといいますか、現在までの地方公務員法常勤職員一般職職員しか対象にしておりませんものでございますから、はずれておるものもございます。その中で一番はずれておりましたものの大きなものは、数にいたしますと、民生委員とか統計調査員とか行政委員会委員付属機関委員議員母子相談員婦人相談員、その他にもいろいろこまごまといっては失礼でございますが、非常勤職員がございます。わからない数字のものをはねてわかるものだけで申しますと七十八万五千人ぐらいおります。
  15. 林百郎

    林委員 その人たちにはどういう災害救済制度適用されるわけですか。
  16. 長野士郎

    長野政府委員 そのた人ちに対しましては、この法案の六十九条におきまして新しく規定を置きまして、非常勤地方公務員につきましても、地方団体条例でそういう制度を定めなければならぬことに規定をいたしております。その内容といたしましては、この法律労災保険法、そういうものの水準というものを勘案をいたしまして、その均衡を失しないようにということにいたしております。
  17. 林百郎

    林委員 そうすると、六十九条によって「非常勤地方公務員に係る補償制度」というのは各地方団体条例で定める、そうして、その水準本法水準を上の限界にする、こういうことでいいのですか。
  18. 長野士郎

    長野政府委員 この法律によって初めて条例で定める道を開きまして、そうして水準といいますか、その内容は、この法律に準ずるものを考えていく、こういうことでございます。
  19. 林百郎

    林委員 だから、それもこの法律水準でなければならないということなのか。「補償制度均衡を失したものであってはならない。」ということは、どういうことなんですか。要するに、そこで地方団体自主性、あるいはそこの各職員組合なら組合のそれぞれの過去の実績、あるいは理事者との間の力の関係、いろいろありますからね。だから、こういう「均衡を失したものであってはならない。」というのが、非常に抽象的でわからないわけなんだけれども、どういうことなのか。全然もうこれ以上上にいっちゃいかぬのか。あるいはいろいろな条例で、これ以上の実績もあるわけなんですから、この法律を上回るようなところもあるだろうし、あるいはこの法律水準でとまるところもあるだろうし、それもやはり数多いそれぞれの自治体、あるいはそれぞれの職員の職場の態様がいろいろあるわけなんですから、必ずしも画一的にいかないと思うけれども、この「均衡を失したものであってはならない。」というのはどういうことなのか、もう少し正確に聞かせてください。
  20. 長野士郎

    長野政府委員 「均衡を失したものであってはならない。」というのは、同じことばを置きかえることになって恐縮でございますが、つり合いがとれたものであるべきだ、こういうことでございまして、ただしかし、この法律で直接規定しておりますのは、常勤職員に対する公務災害補償内容でございます。それから、ここで条例で定めようとしております非常勤職員についての公務災害補償でございます。常勤だから内容がよくていい、非常勤だから内容が悪くていいという理由はございませんけれども公務災害というものの観念勤務態様における観念から申しまして、その意味ではおのずから常勤職員公務災害補償内容がこうだということであれば、この均衡を失するという点だけから申しますと、私は必ずぴしゃり同じでなければならない、あるいは少しでも上回ったらいかぬということは、そこのところまで厳密にこの法律がいっているとは言えないと思いますけれども、しかし常勤非常勤との関係におけるところの均衡論、この均衡として——それはこの中で直接言わぬわけでありますが、性質からいたしましてあるだろうと思います。したがいまして、私は、非常勤職員についての災害補償につきましては、この法律にいう災害補償内容を上回るようなことを考えるということになりますと、均衡がとれたものとはなかなか言いにくいんじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  21. 林百郎

    林委員 当該自治団体では常勤非常勤とあるから、あなたの言うように、非常勤常勤より上回るというのは、やや異常な事態だと思いますけれども、しかし、当該自治体常勤一般よりは非常にレベルの高いものをかちとっている、それに比べて、非常勤のものがそれより以下であるけれども一般的な全国的な水準でいく常勤よりはいい条件を、特定の自治体では非常勤でもとれる場合があるわけですね。そういう場合でも、この法律があるから、一般的な常勤非常勤という形で全国水準常勤の一番下ですね、それ以上もうどこの自治体もいっちゃいかぬ、非常勤だから、という意味ですか。
  22. 長野士郎

    長野政府委員 この条文で見ていただきますとわかりますように、こういうふうに第二項におきまして、条例で定める補償制度は、この法律労働者災害補償保険法で定める補償制度均衡を失しちゃならない。したがいまして、お話にございますところのその団体が、特に上回った補償内容をしておるから、非常勤職員が、その団体においては上回ったものを含めて均衡という問題があるではないかということでございますけれども、ここで考えておりますものは、その上回った部分を非常勤職員について考えるということで法律をつくっておるわけではございません。この条例で定める補償制度は、この法律労働者災害補償保険法補償制度均衡を失しちゃならないということを書いておるのでございまして、その団体の上回った補償内容均衡を失するものであってはならないというふうに定めてはいないのでございます。それはなぜかと申しますと、やはり、先ほど申し上げました、常勤職員非常勤職員というもののおのずからなる性質というものを考えれば、このあたりがせいぜい妥当なところではないかというふうに考えておるのでございます。
  23. 林百郎

    林委員 そうすると、この法律の本性というのは、それぞれの多様性を持った自治体、そしてそれぞれの過去の実績や、それから労働組合の民主的な努力等によって自分の社会保償としての災害補償をある一定の水準までかちとっている労働組合職員組合、あるいはかちとる力を持っている職員組合があっても、しかも非常勤人たちも含めてそういう力を持っていても、この法律ができることによってそういう芽はつみ取られる。要するに、職員組合の民主的な運動をやったって、もうこ法律があるのだから、君たち非常勤の者はだめなんだぞ、これ以上は上がらないよといって押える役割りを果たすことになるのじゃないですか。そこが国家公務員と違うところでしょう。あなたも御承知のとおり地方自治体職員というのは、それぞれ多様性を持っているわけなんですから、場合によっては、過去の実績や力の保有度によって向上させる条件を持っているところがあるのだ、非常勤の人も含めて。それがこの法律があり、この法律の六十九条で労災法基準より均衡を失してはいかぬということになると、それを押えることになるというように思うのですが、どうですか。
  24. 長野士郎

    長野政府委員 非常勤条項運営につきましての公務災害補償制度というものは、先ほど申し上げましたように非常に不整備でございまして、ほとんど大多数の職員については、その公務災害補償制度がないにひとしい。ありましても非常に乏しい内容のものであったのでございます。それを今度は、法律補償制度の根拠を置きまして、そして地方団体条例補償内容を定めることができる道を開いたわけでございます。そういう意味で、実質はあらためて整備されたということになりますし、また、地方団体条例で定めることにいたしませんと、個々非常勤職員態様が非常に複雑でございまして、その実態に応じたものを考えることがいいだろうということもあったわけでございます。その水準についてどう考えるかここで述べておりますのはもちろん一般原則でございます。そして、一般原則としては常勤職員非常勤職員というもののかね合いから考えまして、その補償内容というものを、むしろ第二項におきましては、私どもとしては補償内容を押えるという御指摘ですが、押えるのではなくて、補償内容をここまで引き上げることをある程度保障いたしますために、少なくともその補償内容に関しましては、この法律なり労災保険法で定める制度均衡を失しないように、こういうことを強調いたす意味も含めまして第二項という規定を置いたのでございます。
  25. 林百郎

    林委員 局長は、盛んに下のほうを引き上げる、引き上げると言うし、私のほうは、過去の実績があるのを尊重すべきじゃないか、そこのところに食い違いがあるわけですね。しかしいまの六十九条の二項を見ましても、労働者災害補償保険、いわゆる労災保険均衡を失してはならないというけれども幾ら条件の悪いところでも、労災保険水準まで、これは法律的にも適用もありますし、これより以下にきめちゃいけないということは、この二項の適用の場合は考えられない。むしろこれより上げるようなことをするなという作用のほうが強いようようにわれわれは思う。それはそれでいいです。もうこの問題はあなたと私と基本的に考えが違う。私どもとしては、地方自治体自主性を認め、そして各職員組合自主性を認め、その民主的な努力をむしろ進めるべきではないかというように思いますけれども、これは局長と私と見解が根本的に違います。  その次が、同じ性質のこの制度が、民主的であるかどうかの一つの基準として、これも各委員が聞いているのですけれども、この基金運営についての、ことに十一条の運営審議会、それから五十三条の審査会、これにどうしていわゆる理事者でない職員の組織の代表というようなものを除外するのですか、そこをお聞きしたいのです。十一条、五十三条、いずれもそうです。
  26. 長野士郎

    長野政府委員 基金運営審議会は、基金そのもの地方団体の一部事務組合的な性格、要するに基金を支払うために一部事務組合をつくったと同じ性質を持っておるわけでございます。それはちょうど町村が恩給を払いますために、かつて恩給の支払いについて一部事務組合をつくってそういうことをやりましたと同じような性質を持っておるわけでございまして、そういう意味では、基金は、公務災害につきまして、使用者の無過失責任を完全に履行するということで、その運営、管理というものは、使用者が集まって運営、管理をやるということで、その責任は私どもは果たされるものと考えます。しかしながら、そういう意味では、基金の執行機関だけに事をまかせるということが適当でもございませんので、使用者といいますか、任命権者の代表が、運営審議会というもので審議会を構成をいたしまして、そして基金運営の重要事項に関して審議をする、こういうことにいたしましたほうが、使用者にかわって行ないます基金の使命というものを、確実にするゆえんであるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、ここで学識経験者を入れましたのは、基金の運営の内容をなしますところのものは、公務災害補償の認定なり給付なりというものを確実に実行するということでございますから、そういう意味で、医学的な見地でありますとか、また保険数理的な専門技術というものもこの中に加えていきまして、運営を確実にすることのほうがいいというふうに考えまして、学識経験者もこの中に加えることにいたしたわけでございます。  もちろん、そういう意味で、私どもは、学識経験者の中に、職員であってそういう能力を備えている人は必ずおると思いますので、そういう意味で加えることはやぶさかではございませんけれども公務災害補償の責任というものは使用者の全責任であり、使用者が全額を負担して責めを果たすという体制でございますので、その意味職員代表を必ず加えなければならないという性質のものではないのではないかというふうに考えております。
  27. 林百郎

    林委員 これは重要ですから大臣にお答え願いたいのですけれども災害補償で一番重要な問題は、やはり認定ですね。これが公務災害であるかどうかというような認定ですね。認定の場合は、やはり使用者と被使用者の間の利害が非常に対立するわけですよ。これはあなたは御承知だと思います。対立する場合に、被害者、災害をこうむった側の代表が、一人も認定の権限を持つ機構の中に入らなくて、使用者側の人たちだけ、使用者側の利益を代表する者だけで認定権限を持つ機構が運営されるということは、非常に不公平じゃないでしょうか。これは局長も言っているのですが、これが社会保障制度だということになりますと、地方公務員災害補償を民主的に適用させるということは、地方公務員の当然の権利なんですから、そうすると、その地方公務員理事者側でない職員の当然の権利を代表し、ことに利害が鋭く対立する認定の問題に、災害を受けた者の代表を入れない、まあ、学識経験者というのがありますけれども、その利益を代表するものじゃない。これは条文を見てもわかりますように、都道府県知事を代表する者、市長を代表する者、町村長を代表する者、といって、全部理事者側を代表するようになっておりますけれども、学識経験を有する者、かりにこの中に、局長の言うような職員組合の中の人をピックアップするにしても、それは職員組合を代表するものじゃないんですから、そういうものをどうして入れないのか。要するに、利害が対立している場合に、その利益が守られなければならないほうの側を代表するものを、どうしてこの運営審議会なりあるいは審査会の中に入れないんですか。これは民主的な制度といえないんじゃないでしょうか。
  28. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 第一に、運営審議会でございますが、先ほど局長もお答え申し上げましたように、この基金は使用者たる地方公共団体にかわって補償をやる、いわば地方公共団体の無過失損害賠償の仕事をかわってやるという形のものでございます。あくまで使用者の一種団体みたいなものというふうに考えまして、したがって、その基金の運営、運用というものにつきましては、これはやはり使用者側といいますか、使用者の団体でありますから使用者側の代表と、そして専門的な知識も要りますから、そういう学識経験者を入れたということで、あくまでこれは使用者たる地方公共団体にかわって補償をするというこの基金の性格からいたしまして、その運営についてはこのような代表で、このような構成でよろしいのではないか。いま認定にあたって、災害を受けた人と、その補償をするほうとが、しばしば利害が対立いたすということ、御指摘はそのとおりだと思います。そこで審査会におきましては、これはいろいろ御議論はあろうかと思いますが、審査会のこの学識経験者というものは、そういう意味において中立的な、第三者的な学識経験者、特に医療とか、あるいは法律的専門知識を持っておる、あるいは人事行政について専門的な知識を持っている第三者的な人を選んで、そしてその審査を公正にいたすという態様をとった次第でございます。
  29. 林百郎

    林委員 金を理事者側が出しているから、運営は理事者側だけでいいということだったら、社会保障制度にならぬでしょう。局長が、社会保障制度社会保障制度と言うなら、社会保障制度というのは権利なんですから、それは民主的に運用される権利を社会保障を受ける側は持っているわけなんですから、その権利を保障されているものの代表がだれもその運営の中入っていないという、そんな運営がどこにありますか。ことに、いままでは認定は、御承知のとおり地方団体で、それぞれ理事者側と職員側が交渉してやっているんですよ。そして、そこでは、職員組合の力や、あるいは情も通いますから、大体被災者側の言うことがほとんど通って、そして理事者側もそういう承認をして、そして労災なりあるいは労基法の適用も受ける場合もあると思いますけれども、そうやっているわけでしょう。ところが、今度は一本になっちゃって、府県の窓口、あるいは中央の審議会、非常に遠いところへ行っちゃうわけですよ。それだけもう遠いところへ行くということだけで直接の責任を持って——過失責任か無過失責任かは別として、責任を持って理事者側と職員交渉をするところから、県単位や中央の運営審議会、こんなところへ行かなければならない。そこで認定をされる。これだけでも、もう当該職員としては民主的な権利が奪われているわけですよ。その上、その持っていく場所へ行ってみると、自分の利益を代表してくれる人がだれも入っていない。それは全く民主的な運営と言えないんじゃないですか。金を理事者側が出すのはこれはあたりまえですよ。金を出すから運営は自分の思うとおりだ。なるべく金を出したくないから、認定もなるべくきつくしようということになったら、社会保障制度の本質はなくなっちゃうんじゃないですか。これは考えなければならない問題じゃないですか。
  30. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 第一に、運営審議会は、運営審議会そのものが認定の実際業務を行なうわけではございませんで、基金の運営の大綱について運営審議会がやるわけでございます。現実に認定をいたしますのは、おそらく支部の窓口ということになろうと思います。したがいまして、その運営審議会が実際の認定をするというふうなことじゃないのでございまして、あくまで基金の運営について、その専門的な知識、あるいは地方公共団体の代表としての発言をするわけでございます。したがいまして、この運営審議会職員を代表するものがないからといって、認定についての大きな影響はないわけでございます。むしろ窓口である支部ということになろうかと思います。ただ、実際に認定をされた、それが災害を受けた人に非常に不利であるというようなことで審査の申し出をする。その審査委員会につきましては、先ほど申しましたように、厳正に、第三者的な、中立的な専門家を入れまして、そこで審査をしていただくという手段をとっておるわけでございます。
  31. 林百郎

    林委員 それは詭弁ですよ。補償を行なうのは基金がやるわけですよ。しかし、基金の運営は運営審議会がやるわけです。だから、ここで大きな方針がきまってしまうわけですよ。少し認定がゆる過ぎる、あるいは、こういう認定は従来の慣例からいってゆるいとかというような問題だって、最高の決定はそこでやられるわけですから、これが民主的かどうかということは、この基金の運営全体が民主的なものになるかならないかのかなめですよ。それが自治大臣が任命する者や、あるいは理事者側の代表というようなものだけだというようなことになると、その運営全体が民主的にならないということは言えるんじゃないですか。かりに、あなたの言うように、各府県単位の窓口で実際の認定はやるんだとして、その実際の認定をやる窓口に、災害を受けた側の職員の組織の代表が入っているのですか、いないのですか。同じことでしょう、そんなことは。上のほうの審議会に入っていないなら、下の窓口だって、そんなものが入る余地があるんですか、ないんですか。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 通常の災害補償の認定は、大臣が申し上げましたように、各府県、六大市の支部で行ないます。異例のものについてだけ本部で考えるということで運営をしていくわけでございますが、その支部の認定の際に、職員を代表する者が入っておるか。支部は支部として基金の組織でございますので、職員を代表する者は入っておりません。
  33. 林百郎

    林委員 いや、私の聞いているのは、災害を受ける側の職員の組織を代表する者がその窓口の中に入っているかどうか、こういうことです。
  34. 長野士郎

    長野政府委員 組織の代表は、支部の組織の中には入っておりません。
  35. 林百郎

    林委員 それで大臣、これは法律の読みは、それぞれの理事者を代表する者と、それから学識経験を有する者については自治大臣が任命する、こういうふうな解釈ですか。これは局長、それでいいんですね。大臣が任命するのは学識経験者だけでしょう。
  36. 長野士郎

    長野政府委員 すべて委員は自治大臣の任命でございます。
  37. 林百郎

    林委員 私、法律の続きがわからなかったわけです。そうすると、ますます問題なんです、率直に言って。大臣、聞いてもらいたいのですけれども、自民党の大臣が、労働組合側の利益を真に理解する人を任命するかどうか、かりに学識経験者としても。これは心配するほうがあたりまえだと思うのです、社会党や共産党の政権じゃないのですから。そうすると、あなたが任命したこの運営審議会基金の運営の最高の方針をきめる。認定についても、おそらく基本的な方針はそこから出る。そうすると、今度は資本家のほうの側から考えてみますと、たとえば、労働基準法適用なんか見ますと、認定がきびしくなされるほうが自分の出費が少なくて済むから、これはきびしくやってもらいたいわけですね。そうすると、この公務員災害補償の認定から積み重ねられてくる。従来よりはもっときびしくなった認定が、実績として積み重ねられてきて、それが労災や労働基準法のほうへはね返ってくるということは、きびしくあればあるほど資本家にとっては有利なんですから、そういうてこにこれが使われる。自民党の政府の大臣が任命するこれらの人たちによる運営審議会ということになれば、私はどうしてもそういうことが考えられる。そういう意味で、この制度が民主的に運営されるという保証は私はないと思うと同時に、従来各地方自治体の中で積み重ねられてきたこの認定の民主的な範囲というものが狭められてくるのではないか、こういうことを私は指摘せざるを得ないのですけれども、大臣どうお考えですか。
  38. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 公務災害の認定ということは、私は、単に力関係だとかそういうことできまるのでなくて、客観的な基準できまってまいるものと思います。また、単に公務災害ばかりでなく、労災等の過去のいろいろな積み重ねもあるわけで、そういう意味で、客観的にきまってまいるものでございますから、運営審議会が、認定を無理にきびしくしろとか、そういうような方針を打ち出せるものではないと私は考えております。また、自治大臣が任命するのだから、自民党の都合のいいようにというお話でございますが、この任命する中の学識経験者というものは、先ほど局長もお答えいたしましたように、医学的な知識とか、あるいは法律的な知識、あるいは保険数理というようなものを考えるわけでございまして、そういう意味におきまして、どっちに都合のいい人間を選ぶというようなものではないと私は考えておるのでございます。
  39. 林百郎

    林委員 大臣、あなた、国会の席上だから、そういうきれいごとが言えますけれど、しかし、労災にしても、労基にしても、あるいは今度できるこの制度にしても、実際、災害補償として、どのような認定がなされ、どの級の認定にするか、あるいは基本的には、それが公務上の災害として認定されるかどうかということが、働く者の側にとっては決定的なんですよ。もう災害補償のいままでの長い歴史というものはその戦いなんですよ。働く者の側は一歩でもそれを広げていきたい。たとえば国会の職員の諸君だってですよ、自分のうちから国会へ通う途中で、電車が何かゆらいだ拍子に押されて、そして電車のガラスが割れて手を切ってしまった、そこからばい菌が入った、そして一月休まなければならない、それが公務として災害補償を受けるかどうかということは、これは国会の職員の諸君にとっても決定的なんですよ。ところが、普通電車で通っている場合は、それは交通の制度のほうの責任であって、職務上、公務上の災害でないとかあるとか、そういうことが非常に問題になるわけです。だから、そういう場合に、あなたの言うように、客観的にきまっているから問題がないなんて、実務的にはそんなきれいごとで済まないのですよ。そこをあなた、よく考えてみてください。この制度をつくっても、そういう災害補償を受ける人の側の利益を代表する者がいなくて、理事者側で、しかも大臣が任命する者ばかりでつくられた制度というものは、決して民主的でない、私はそう確信を持っておるわけですけれどもね。  来ていただいて何の質問もしないのは恐縮ですので、この問題について労働省の労働基準局長さんと人事院の島職員局長さんに、やはりこの災害補償の問題は、その認定が非常に大きな要因だ、ことに、受ける側の者にとってはそれが決定的な要因だ、——いろいろな問題がありますけれどもね。そういうことを過去の実績からお考えにならないでしょうか、どうでしょうか。ひとつ両局長さんに、あなた方のいままでの経験からいってどうだということをお聞きしたいと思うのです。
  40. 島四男雄

    ○島政府委員 ただいま、地方の場合におきます審査会の構成についていろいろ御議論があったわけでございますが、国におきましては、そのような場合に、一応不服のある場合には、人事院に審査の申し立てがなされることになっております。人事院は、それを受けまして、災害補償審査委員会を設けまして、その構成は人事院の職員並びに学識経験者をもって構成いたしておりますが、その審査委員会において、意見を付して人事院にそれを提出するわけでございます。人事院において最終的に公務上、外の認定をする、こういう制度になっておるわけでございますが、私どもこれを運用いたしまして十数年になりますが、いま申しましたような角度から特に問題になったようなケースはございません。
  41. 中村博

    ○中村説明員 私のほうといたしましては、労災関係では二十年の経験があるわけでございます。したがいまして、いろいろな事案、事例の積み重ねもあるわけでございます。そういったものを前提といたしまして、個々の事案につきましては、審査制度を前提とし、同時に、できるだけ労働者の方々に有利になるように、法の許します範囲内におきまして、そういった精神でこの問題に対処しておる、こういう状況でございます。
  42. 林百郎

    林委員 島さんにお聞きしますが、あなた、むしろ人事院で公平に公務員の利益のことを考えなければならない立場の人が——不服の申し立てがあったときのことばかり私聞いているわけじゃないのですよ。公務員災害補償の場合に認定をどうするかということが、公務員にとっては非常に重要な要因ではないかということを聞いているのに、問題がありませんとは何ですか、あなた。そんなばかな話はないですよ。不服の申し立てがあった場合に、あなたの手腕によって解決したという、そんな自慢話なら——まあ聞きますけれどもね。
  43. 島四男雄

    ○島政府委員 確かに、先生のおっしゃるとおり、公務上、外の認定は、私どもこれを実施する立場といたしまして、非常に問題でございます。この問題につきましては、絶えず各省庁からいろいろ御照会をいただきまして、そのつど私のほうで指示をいたしておるわけでございます。しかしながら、この問題について、いま先生のおっしゃったような角度から、私ども全く問題がないという角度で申しておそわけではございませんので、あくまでもその制度的な機構としてどういうふうになっておるかということを申し上げたわけでございます。
  44. 林百郎

    林委員 これは国会の調査室の資料も私拝見したのですけれども、この中でも、やはりこの問題が非常に取り上げられているわけですよ。私は無理ないと思うのだ、公務員である限りは。いつ自分の身にどういう災害が振りかかってくるかわからぬ。その災害が、いやそれは公務上じゃないのだ、自分の責任だ、いやそれは他の組織の責任だから、公務員災害補償はないのだというようなことを言われたら、それはあなた、安心して公務員の諸君は働けませんよ。ことに、下級の警察官だとか消防だとか、あるいは現場の労働者なんというのは、特にそうですよ。たとえば、この調査室の例を見ましても、非常に微妙な例があるわけですね「公務上の負傷による疾病については、次の各号のいずれかに該当する場合の疾病」、公務上のものと認めるべきじゃないかという意見ですね。「(イ)負傷した当時、全く健康であって何等疾病の素因を有していなかった者がその負傷によって発病した場合」、これも認定いかんによっては、その病気は負傷とは因果関係がないのだから、あなたの負傷はもうなおって、それとは別個な病気だというようなことで、災害補償を受けられないという場合がある。それから「(ロ)負傷した当時、疾病の素因はあったが発病する程度でなかったものが、その負傷によりその素因が刺戟されて発病した場合」、これは非常にデリケートな場合です。(イ)として「負傷した当時、疾病の素因ありしかも早晩発病する程度であったものがその負傷により発病の時期を著しく促進した場合」(ニ)「その疾病を著しく増悪した場合」、これが疾病の場合ですけれども、そのほか非常な微妙な場合は、「所属官署の式典(創立記念日等)において提供された場合又は勤務の特殊性により給食が通例となっている場合の当該飲食物による食中毒」が起きた、式典に行ってごちそうを食べて、食中毒になって一月も寝込んでしまった。そういう場合、それは式典に行けと言ったわけじゃない。また、食べろと言ったわけじゃない。かってに行ってそんな意地きたなくごちそうを食べて病気になったのだから、それは公務災害適用はないとか、あるいは「伝染病に罹患のおそれのある地域に出張旅行することにより罹患した場合の当該疾病」、そのほかいろいろありますけれども、こういうように、大臣、客観的に公務災害基準がきまっている。あなたの言われる、そんなところは問題がないのだということはないのです。長い間の労働者の戦いで、公務災害だということで戦ってきて、その限界を広げてきているわけですよ。これは、だからどうしても労働者の側から言うと、自分の利益を代表する委員を、認定の権限を持つところに入れなければ、どうしたって使用者と被使用者というものは利害が決定的に対立しておるのですから、使用者が被使用者側の利益を代弁しろといってもできないことなんです。それを保障してやらなければ、この制度が民主的な制度であるとは言えない、私はこう思うわけです。  時間の関係でもう一問だけ。  次に、負担の問題ですが、費用負担の問題、これは地方公共団体の負担ですよ。いままで労災保険、いろいろかけているわけですね。これとこの制度による負担とは全国的にいうとどうなるのですか。
  45. 長野士郎

    長野政府委員 従来の公務災害補償については、適用区分が非常にまちまちでありまして、なかなかその実態がはっきりしない面がございますけれども、私どもの調べましたところでは、労災関係労働基準法関係というのを全体で見てみますと、負担金の率は、従来より下がることはありましても上がることはまずないというふうに考えていいのじゃないかと思っております。
  46. 林百郎

    林委員 総金額を聞いているのです。いままで労災に全自治体が払っていた金は何億幾ら、今度はこの制度によるとどのくらいの金額になるということを聞いているのです。数字がわからなければいいですよ、あとで資料として……。
  47. 長野士郎

    長野政府委員 労災関係に払っておりました保険料は、大体八億円程度であります。今後その部分の職員についての公務災害補償として払うもの、これは推定でございますけれども、大体五、六億円程度じゃないだろうかというふうに考えております。
  48. 林百郎

    林委員 その部分でなくて、全体として幾らになるかと聞いているわけです。地方団体の負担は……。
  49. 長野士郎

    長野政府委員 全体の負担としては十七億くらいであります。
  50. 林百郎

    林委員 それを言わなければこすいですよ。だから倍になるということですよ、地方団体の負担としては。そこで大臣、交付税の対象にするのですかどうですか。
  51. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん交付税の対象にいたします。先ほど局長ずるいとおっしゃいましたけれども局長の申し上げたのは、その八億というのは労災関係だけで、そのほかに労働基準法その他によってやっている負担もあるわけでございますから、直ちに十七億というのが倍になるという意味ではないと思います。
  52. 林百郎

    林委員 それじゃ、聞きましょう。それでは労基で払っている金と労災の掛け金と全部で幾らか、今度のは十七億という数字が出ましたが、どうなるのですか。
  53. 長野士郎

    長野政府委員 三十八年におきまして常勤職員についての補償は約八億でございます。それから、三十九年でそれが伸びまして十億五千万円くらいになっている。それから、四十年度でまた十二億くらいに伸びている。そういうことから推計をいたしてまいりますと、四十二年度におきましては、大体十七億程度になっていくのではないだろうかというふうに考えております。
  54. 林百郎

    林委員 そうすると、それは労基による支払い金と労災の掛け金を合わせて十億というのですか。そうじゃなくて、労災の掛け金とは別に労基による支払いが十億あったというのですか。
  55. 長野士郎

    長野政府委員 いま申し上げました十七億とか十二億とかいいますのは、労災関係あるいは労働基準法関係みんなひっくるめまして職員が受け取ったほうの額であります。それで、払ったのと受け取ったのとということになりますと、いままで労働基準法関係適用のありますものは、地方団体事故の起きましたときに払っておりますから、だから受け取るのと払うのというのは労災関係しかない。労災関係の場合は、先ほど申し上げましたように、八億円ほど払いまして、四、五億円受け取っておった、こういうことであります。
  56. 林百郎

    林委員 労働基準法で使用者として払う場合もあるでしょう。あなた、それがあると言ったじゃないですか。だから、それと労災保険の掛け金と合わせて幾ら、今度はこの制度で十七億地方団体は負担になるじゃないか。あなたが自分で言ったから、それじゃ聞きましょうと言っている。それじゃ、労災保険の掛け金だけ地方団体は負担になるじゃないかと聞いているのです。
  57. 長野士郎

    長野政府委員 四十年度で申し上げますと、いまのようなところであれば、労災に払いましたものが約八億、労働基準法関係で使用者が払いましたものが約八億、十六億であります。
  58. 林百郎

    林委員 そうすると、四十年を基準にして十六億、今度は約十七億、とんとん、幾らか多いわ。  そこで、大臣にお聞きします。そういう状態ですよ。しかし、掛け金率はたしか政令で定めるとなっていますから、これは自治省がどういうことにもできるわけですけれども、そこで、十四条で国が交付税で見る、見ると言いますけれども、国の必要な配慮を加えるという、これであなたの言う交付税で見るということが、この中に意味されていると言っていいのですか。交付税で見ると言うが、どこに法律的に規定されているのです。
  59. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この十四条は、条文にあるような「適切と認める技術的援助をする等必要な配慮」そういう意味でございます。交付税で見るというのは、法律にそのまま書いておるわけじゃございませんで、当然、地方公共団体の共通した経費でございますから、それを基本財政需要額に見る、こういうことでございます。
  60. 林百郎

    林委員 そうすると、本法の中には、国が財政援助をするとか支出するとかいうことは何ら規定してない、こう聞いていいわけですね。それが一つ。  それから、交付税で見るというけれども、掛け金率が幾らで——総額は十七億出ましたけれども、これは交付税で幾ら見るのですか。十七億全部見るのですか。
  61. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 結局、最初の国が補助するとかなんとかという規定はこの法律案にはございません。  それから、交付税で見ると申しましたのは、この掛け金率等がきまってまいりまして、その地方公共団体の負担が、財政需要額がわかるわけでございます。その中で、要するに基準財政需要額にその地方公共団体の負担を見る、こういうことでございます。
  62. 林百郎

    林委員 局長、もっと具体的な数字で聞きましょう。  掛け金率が幾らで、その財政需要額としての計算はどういう計算ができるのですか。もっとわかりやすく言えば、十七億地方自治体が負担するというのだけれども、財政需要額として幾ら見てくれるのですか。十七億全部見るというのですか。
  63. 長野士郎

    長野政府委員 大ぜいの計算のやり方につきましては、この法律に書いてありますような、職員の職種ごとの負担金率というようなものを基礎にいたしまして、給与総額に対する割合を出して基準財政需要額に算入するということでございます。
  64. 林百郎

    林委員 だから、具体的な数字で説明してくれと言うのですよ。たとえば、それぞれの職場でいろいろの率があるから、それを平均すると給与総額に対して幾らになるんだ、それから、財政需要額は率でどのくらい、金額でどのくらい見るというのか、十七億という数字が出ておるのですから、具体的な数字で言ってみてください。
  65. 長野士郎

    長野政府委員 十七億というのは一つの推計でございますが、現在までのところ、この法律に基づきますところの負担金率というものの確定案をまだ持っておるわけではございません。いま検討中でございまして、大体のところは、ここにあります推計の結果といたしましては、平均といたしまして、職種によって違いますが、千分の〇・八七%ということで考えられるんじゃないかということになっております。ただ、ことしは、年度途中で実施いたしました。しかしながら、ことしもすでに、地方交付税の基準財政需要額の中にはこの災害補償の額が算入いたしてございます。それでいきますと、一般会計に属する職員につきましては約十三億ばかり算定されております。これは公営企業関係職員が除かれておりますので、ことしの需要額の算定の方式と私どもの推計とは大体見合っておるというふうに考えております。
  66. 林百郎

    林委員 そうすると、大体十七億は財政需要額としてほとんど見るということですか。それとも、十七億のうち十三億は、公営企業体の関係がはずしてあるから十三億で、それも入れれば十七億になる、ほぼそういうことになるということで  いいのですか。
  67. 長野士郎

    長野政府委員 はずれておる公営企業関係を入れますと、ほぼ見合ったものになると考えております。
  68. 林百郎

    林委員 そうすると、大臣こう聞いておいていいのですか。本法による地方自治体の負担金、これはほぼ全額が財政需要額として見られ、交付税として交付されるのだ、こう聞いておいていいですか。
  69. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 財政需要額としてはその額が見られるわけでございます。ただ、御承知のように、交付税で見るわけでございますから不交付団体には行かないということもあり得るわけでございます。
  70. 林百郎

    林委員 それは当然のことなんです。時間もまいりましたから結論を申しますが、結局、御承知のとおり労災関係も、いま約三百億くらいの基金を持っているわけです。本法によって自治大臣が掛け金率の決定権を持っているわけですけれども、将来これで掛け金率を上げて、この基金を政府が掌握して、場合によってはこれを財投のほうへ運用するとかなんとかということも考えられます。当分の間は十七億十七億でとんとんですけれども、将来こういうような基金を政府が握って、これを中央の財政に運用するというようなことを考えているかどうか、ここでそのことを念のために聞いて、時間ですから私の質問を終わりたいと思います。
  71. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 基金の金は、一年間に支払われる災害補償の費用に見合うもので十分なわけでございまして、この基金をだんだん大きくしていって財投に入れるとかなんとかいうことは全然考えておりません。もし公務災害が少なくなって、それほど掛け金が必要でないということになれば、負担率を下げるというようなことも考えられるわけでございます。
  72. 林百郎

    林委員 それじゃ私の質問を終わります。      ————◇—————
  73. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、警察に関する件について調査を進めます。  房総西線爆破事件に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。太田一夫君。
  74. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、たいへん時間が制限されておりますので、うしろの方々も少ないようでありますが、昨晩の房総西線の鉄道線路二カ所の爆破問題につきましてお尋ねをいたします。  昨晩十一時半ごろ、つまり夜中に終列車が五百人くらいのお客さんを乗せて通過をしたほんの二分ぐらい後、二カ所から爆発が起きて線路が破壊されたというニュースがあるのでありますが、これについて警察庁におきまして概要がわかっておりましたら、わかっている限りこの際お答えをいただきたいと思います。
  75. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  概況を目下あらゆる面で調査中でございますので、ただいま私どもの手元に到達いたしております範囲でお答えを申し上げたいと思うのであります。  場所は千葉県の長浦、房総西線であり、時間は昨夜の十一時十五分ごろ、こういうことであります。  爆発事故のありました状況ですが、下り列車が通過した三分後に軌道が破裂をした。二名の不審な者が現場から逃走したのを見ておる人がございます。  被害の状況でございますが、線路のまくら木の下に三メートルぐらいの間隔に導火線のようなものがしかけられたようでございまして、深さ二十ないし三十センチ、直径三十センチぐらいの穴があいて、軌道敷の石が飛散しておるようであります。  列車の運行には支障を生じておりませんし、乗客あるいは付近におった人というふうなものについての被害は起こっておりません。  遺留品は現在いろいろなものを集めておりますが、いま私どもが公表し得るものは導火線二本ということでございます。  その他いま捜査中でございますので、その点はなお発表しかねますが、犯人と思われる者は、目撃者の言等によりますと、二人で、しかも山のほうへ逃げた模様であり、ゴム長をはいておったらしきそういう足跡がある、こういうことでございます。
  76. 太田一夫

    ○太田委員 八両連結の旅客列車ですから、一両六十人くらい乗っていたというのですから、約五百人、かりにそういうことが常習化されてまいりますと、たいへんなことが起きると思いますので、きょうは特別お時間をいただいてお尋ねするわけであります。  内海さん、この間の六月一九日の山陽電鉄の電車の中におきます爆破事件で二人の犠牲者が出た。このときに、もうあと二、三週間が山である、いまちょっとお話はできないけれどもという、何か含みのあるお答えがあったわけですが、あれは犯人は逮捕されたのでございますか。
  77. 内海倫

    ○内海政府委員 あのときに長官から、二、三週間ということばを使いまして、新聞記者の方々からも、二、三週間の間に犯人をつかまえるというふうな答弁であったのではないかということでいろいろ聞かれたのですが、実はあれは、こういう捜査については二、三週間における捜査がきわめて大事であるということを申し上げたのでございまして、その間に犯人を逮捕するというふうな意味合いで申し上げたわけではございません。  それはさておきまして、山陽電鉄の爆破事件につきましては、現在もあらゆる努力をして捜査を続けておりますが、いまだ犯人を逮捕するに至っておりません。
  78. 太田一夫

    ○太田委員 たとえば、手がかりくらいはつかめているのか。何か鉄板とか鉄棒に指紋が検出されたというお話も聞いたように思いますが、犯人の逮捕の糸口くらいは何かつかんでおるのかどうか。
  79. 内海倫

    ○内海政府委員 結論から一言いますと、まださような犯人を特定する、あるいはさらに逮捕するというふうな糸口はつかんでおりません。
  80. 太田一夫

    ○太田委員 日本の科学警察というのは世界に冠たるものだというお話であるし、われわれもそうであってほしいと思いますし、相当知恵はあると思うのですが、どうもこの爆破事件というのがつかまらない。たとえば、ことしに入りましてから、一月にありましたのが、あれは神戸大丸デパートにおける爆破事件、二月に入りまして羽田空港の爆破事件は、二人重傷を負いましたが、これは犯人を逮捕された。三月に入りまして東京駅八重州口新幹線出札所における爆破事件、二十二人の重軽傷者が出ましたが、これが何とも犯人の目鼻がつかない。四月になりましてひかり二十一号の網だな事件、六月に入りまして山陽電鉄の車内における爆破事件、二人の犠牲者を出しております。七月に入りまして今度房総西線二カ所線路爆発事件というような問題が起きておりますが、こういうようなことをずっとやってまいりますと、ことしになって月に平均一カ所ずつあるとすると、じゃ七月は房総西線、八月はどこだろうなんという話になってくる。こんなことでいけば、一年に十二回出るわけですね。これに対して非常に厳重な何かが行なわれるように聞いていたのだが、どうもそれが実を結ぶに至っていない。ちょっと残念だと思いますが、捜査の秘密に属することを私は聞こうと思いませんから、それでよろしいですけれども、山陽電鉄の爆破事件がありました直後に、同じように大阪の南海電鉄並びに近畿日本鉄道に対しまして爆破の予告がなされております。こういうようなことから、関係者は戦々恐々でございます。  それからもう一つは、いつのことでしたか、かつてアメリカで飛行機が爆破された事件がありまして、そのときにアメリカの科学捜査陣は何をやったかというと、そのばらばらになった破片を集めて飛行機を復元をして犯人の手がかりを得たということがありました。金がかかるかどうかということは私は知りませんが、内海局長、どうですか、日本の警察も、ひとつここら辺であざやかな何かをやって、うも二度とこういうことはさせぬようなあかしを立てませんと、続発するような危険、心配があるのですが、どんなものですか。
  81. 内海倫

    ○内海政府委員 もう先生に仰せをいただくまでもなく、私どもも警察捜査の権威をかけて爆発事件の犯人検挙に当たっておるわけですけれども、遺憾ながら、先ほど申しましたように、犯人の検挙に至っておりません。しかしながら、この事件捜査につきましては、たいへん口幅ったい言い方でございますけれども、現在世界の警察の到達しておるまずまず最高といっていい捜査力を発揮して、これの捜査に当たっております。いわゆる科学的な面におきましても、あるいは聞き込みあるいは遺留品に対する出所の追及、こういうふうなものにつきましても、一々お話しすれば長くなりますが、何らかの機会に聞いていただければ、なるほどそこまでいっておるのかといわれるほどに徹底した捜査をやっておりますが、なかなか犯人の検挙に到達しない。  この前、京都で新幹線に妨害物を置きまして、新幹線のひかり号を妨害しようとした犯人をつかまえましたが、これを調べてみますと、こういうことを言っております。自分は腹が減ってしかたがない、銭もない。おれだけどうしてこういうふうにひどい目にあうのか。金閣寺はもうすでに前のやつが焼いてしまったし、銀閣寺を焼きたいけれども、マッチでつけていれば燃え上がるまでにつかまるだろうと思っておると、そこへ新幹線が通った。よし、こいつを何とか妨害しようということで、実は妨害いたしました。こう言っておるのです。  こういうふうな事件の犯人を見てみますと、全くわれわれの犯罪捜査という常道で進めていく外にあるような、そういう人間が現在はいろいろな犯罪を犯しておるわけであります。こういうものを対象にして、私どもは捜査力の全力をあげて当たっておる、かように申し上げるのみでございます。
  82. 太田一夫

    ○太田委員 刑事局はいみじくも社会不安ということを表現されました。私も、そういうところに一つの、こういうとんでもない非行のもとがあるのじゃなかろうかと思うのです。それは、若い者がやったか、年を取った者がやったかという、年齢ということに関係なしに、そういうことを考えている者が幾多あるのではなかろうかという気がする。現在日本の国民の中で、ストレスに悩まされている者、追い立てられている者がどのくらいあるだろうか。何かひとつやりたい、何かひとつやらなければ虫がおさまらない者、それから、何ということなしにうっせきした気持ちの処理のしようがないという者がたくさんあるとすれば、これは政治の世界でも解決しなければならないものだと思います。思いますけれども、爆発物、火薬類を使ってこういうことを行ないます、社会に対する挑戦というものに対しては、断固としてこれを摘発して、是非曲直を明らかにしなければ、私は社会の不安というものはおさまらぬと思うのです。したがって、めしが食えないとか、金がないとか、事業に失敗したとか、私だけ不利な扱いを受けたとか、ばかにされたとか、いろいろなものがあるでしょうけれども、そういうものは、そのものに対する対策を別途考えるとして、房総西線の線路爆破事件などというものが、これは子供か少年かわかりませんけれども、そういうようなことが続発するという端緒にならないように、少なくとも、ひかり号の事件が未解決でございますが、あれも材料があったはずだ、山陽電鉄の車内の爆破事件にも材料はあったはずだというようなものから、世界最高の科学捜査陣を誇る日本の警察が威力を発揮していただきたいと思うのです。これはほんとうに自信があって、やがてあとになって聞きましたときに、刑事局長、日本の警察庁は実にたいしたものだと、われわれがここで讃辞を申し上げるようなことが近くありますね。
  83. 内海倫

    ○内海政府委員 その点については、何とも私申し上げかねますが、ともかく全力を尽くして捜査に当たっておる、かような点だけを申し上げておきます。
  84. 太田一夫

    ○太田委員 きょうは、捜査課長も保安課長も来ていらっしゃるようでありますけれども、とにかく、みんな後手後手になっているということにならないで——新幹線の八重洲口は三月でしょう。三月からのものがそのままになっておるわけでございますから、早く何かひとつ実績をあげていただきたい。それを特にお願いします。  そこでひとつ、その原因について私はこの際所感を承りたいのは、火薬類取締法というのがあります。この火薬類取締法では、第一次取り締まり管理者は通産省であり、第二次の管理者が警察ということに相なっておりますけれども、これはほんとうに立ち入り検査等をやられておるのですか。この実態について……。
  85. 本庄務

    ○本庄説明員 火薬類の立ち入り検査につきましては、御承知のごとく、通産省のほうと警察のほうと両方が立ち入り権限を持っておるわけであります。  警察のほうにつきましては、従来から各府県警におきまして県内の実情に応じてやっておるわけでございます。ことしになりましてから、御承知の羽田空港等の事件が起こりましたので、各府県警まかせだけではなしに、全国的に少し統一をしてさらに強化をいたしたい、その第一といたしまして、四月に全国一斉の特別立ち入り検査を初めて実施をいたしております。当時、北海道は積雪でございまして実施いたしておりませんが、北海道を除きまして約二万四千カ所、正確に申しますと二万三千八百三十六カ所実施をいたしております。これは現場の消費場所等が中心でございますが、火薬庫、販売店等も実施いたしております。そのうちで違反を発見いたしました件数が五千六百十八件、パーセンテージにいたしますと二三・六%という数字になっておりまして、私たちが予想しておりましたよりもかなり大きな数字でございました。  こういったことにかんがみまして、先般通産省と相談をいたしまして、立ち入り検査の強化等五点を内容といたしまする火薬類の取り締まり強化についての一応の成案を得まして、六月の中旬に通産次官、警察庁次長共同通達で全国の都道府県知事並びに公安委員会に指示をいたしまして、その指示に基づきまして、各府県におきましてその後取り締まりの強化を実施いたしております。  ごく概要を申し上げます。
  86. 太田一夫

    ○太田委員 通産省の見解を聞きたい。
  87. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 通産省のほうの検査の実施でございますが、メーカー、いわゆる火薬製造事業者につきましては、これは直轄工場という形でございまして、年に保安検査が少なくとも一回、そのかわりいろいろと施設の変更によります完成検査というものかございますが、その際には各工場——これは全国全部で二十七工場ございますが、これはその際に立ち入り検査をいたしますので、大体年に二回以上にわたっております。  問題は、むしろ販売店におきます問題であります。この辺は数が千というような事業者でございます関係で、どうしても警察の御協力をいただかなければならない。この前当委員会でもおしかりを受けましたけれども地方の担当官の人員の手薄ということもございますので、過去におきましては、二年あるいは三年に一ぺんくらいしかできないという体制もございましたけれども、この間のお話にございましたように、先ほどの次官通達というようなことの線もきめまして、先般保安の審議会におきましても、今後一年に一回励行できるように、これに応じての人の確保もはかるように県のほうに要請をしているという実態でございます。
  88. 太田一夫

    ○太田委員 いわば四カ所に一カ所違反が出たということであり、全体の大体八割から九割くらいの立ち入り検査が行なわれたということであります。しかし、いま火薬類の入手は自由にできるじゃありませんか。たとえば、山陽電車の中の爆破事故がありましたときに、その付近の町工場という町工場には、塩素酸カリとか硫黄だとかいうものがぞろぞろころがっている。だれでも手に入るのだということでございますが、そういうものを一々取り締まるのには、いまのような通産省の製造元というようなところに重点を置いておるのはもちろんのことでありますけれども、体制として不十分なんじゃありませんか。本庄保安課長、あなたはいま二万八千ほどおやりになったというのですが、そういう町工場まで行っているのですか。
  89. 本庄務

    ○本庄説明員 いま御指摘の町工場につきましては、実は立ち入り検査の対象になっておりません。というよりも、できないということであります。  なお、それに関連いたしましてつけ加えますならば、ことしになって発生いたしました、火薬類を使用した犯罪に使用された火薬類につきましては、御承知のように、ダイナマイトのようにしろうとでは容易に製造できない、販売店なり、あるいは火薬庫なり、あるいは現場の取り扱い所から盗んでくる、あるいはそこから不正に流れたものでなければ手に入らないようなものと、それからもう一つ、容易に製造できるというと何でございますが、特別の専門的な技術並びに知識を必要とせずして製造できる火薬と、両方あるわけでございまして、前者につきましては、先ほど申しました、法に基づく立ち入り検査を厳重にやりまして管理の徹底を期する、こういう方向で進めてまいりたいと思っております。(太田委員「塩素酸カリだって火薬だろう」と呼ぶ)  後者の点につきましては、塩素酸カリそのものは、私は技術的なこまかいことは知りませんが、塩素酸カリそのものだけでは火薬でございませんで、それが他の物品と混合いたしますと火薬になる。そこで、無許可の火薬製造ということになるわけでございますが、そういった容易に製造できる火薬の原料自体が現在は自由に入手できる、あるいはそういうものの管理がルーズである、そういう点につきましては、何らかの行政指導あるいは法的措置が必要であろうかと思いまして、その点につきましては、関係の省庁と先般来協議をいたしております。
  90. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問の申し出があります。井上君。簡単に願います。
  91. 井上泉

    ○井上(泉)委員 火薬というものはどこの店でも売っているものではないし、火薬の行く先が製造元から末端の消費者まで——私は火薬の行き先ほど書類上は明らかになっている品物はないと思います。そういう点からも、これは取り締まろうと思えば取り締まりの範囲というものが非常に狭まってくるから、その点は逆に容易ではないかと思うわけです。今度の事件なんかになりますと、導火線が発見されたというようなことから、比較的取り調べがたやすいと思うのですけれども、いま二万四千調査された時点で、端末で火薬を使用しておる場所というものは何件くらいあったのか、その辺お調べになったですか。
  92. 本庄務

    ○本庄説明員 先ほど申し上げました四月に実施いたしました全国一斉の立ち入り検査の際、その時点におきまして立ち入り検査を実施いたしました消費場所、これは全部で一万五千九百九十五カ所でございます。
  93. 井上泉

    ○井上(泉)委員 一万五千九百くらいだったら、これは簡単なもので、警察官が一万五千九百人行けば一カ所一カ所立ち入り検査ができる。  それから、二三%という違反件数の中には、火薬の消費の状況が明らかになっていない違反件数がどれくらいあったのか。
  94. 本庄務

    ○本庄説明員 五千六百十八件違反件数があったと申し上げましたが、その中には、たとえば警戒さくを設けなければならないという規定があるにかかわらず、火薬庫のそばに警戒さくを設けていなかったということでございますので……。
  95. 井上泉

    ○井上(泉)委員 火薬の消費の状況が明らかになっていないのが幾らですか。
  96. 本庄務

    ○本庄説明員 これは法定帳簿と現品の不一致を合計いたしまして九百八十七件でございます。
  97. 井上泉

    ○井上(泉)委員 九百八十七件になると、また行くえも狭まってきたわけでしょう。九百八十七件の火薬の在庫と帳簿と使用した消費数量と合わないその火薬の行くえというものをどうお調べになったのか、その点。
  98. 本庄務

    ○本庄説明員 九百八十七件の中で、これをさらにこまかく申しますと、法定の帳簿自体が全然ないもの、それから、帳簿と現品の不一致というのが、これが大部分でございますが、その帳簿と現品の不一致についてさらにこまかく追及いたしますと、これはいずれも克明につけるべきものをつけていない。横流しされたというよりも、朝持ち出したときにすぐ伝票で落とす、それからまた、使い残りを夕方持って帰ってその際また伝票で整理をする、あるいは、さらにこまかく申しますならば、調査に行った時点において、たとえば午前十一時に行った。ところが、朝の八時に幾らか現場に持ち出しておった。ところが、それをそのつどそのつど克明に整理をしていない。これは現場の事務の連中がやりますから、ななかか正確を期しがたいのですが、そういった面で帳簿と現品の不一致から、直ちに実質的な犯罪につながるというふうに認められるものは、先般の調査の結果におきましては出ておりません。
  99. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そんなに、九百八十七件行くえがわからない、それは現場の説明であって、その火薬の取り扱い者がそういう説明をされるということにおいて、あなたはりっぱに行くえはわかったんだ、こう思っておるのでしょう。そうでしょう。そうじゃなかったら、火薬が盗まれて違反を起こすわけはないのですから、やはりそれにはその行くえを徹底的に追及するということが、私は捜査の中でも一番大切なことじゃないかと思うし、それがまた、将来にわたっての火薬の管理体制を重視するということにおいてきめ手になりはせぬかと思うのですが、これは内海さん、どうお考えになりますか。
  100. 内海倫

    ○内海政府委員 私どもも、こういう爆発事件の予防ということは、そういう爆発物あるいは火薬などが横流れしないということが徹底的に行なわれることにある、かように考えております。そういう意味で、いまお話しのように、現段階における火薬取り扱い者が厳密な取り扱いを行ない、そういう違反というもの、盗難あるいは横流しというようなものが徹底的に追及されるということは、私どもの最も希望するところであります。ただ、実情を聞いてみますと、いま一斉取り締まりでこういうふうな数字をあげでおりますけれども、実情は、取り扱いそのものが業者において——業者といいますか、末端の取り扱いをする者においてどうもずさんなようでありまして、思わぬところでダイナマイトが出たりしておるようなことがあるように聞いております。警察側において徹底した取り締まりが行なわれることを期待しますが、同時に、行政の元締めである通産省においても、これらに対する徹底した行政措置が必要かと考えます。
  101. 井上泉

    ○井上(泉)委員 ここでおきますが、一万五千九百末端の消費場所がある、これは大きなところです。それで違反が九百八十七、その九百八十七とかいう違反にいたしましても、いま保安課長さんの言われるように、朝出したのを昼十一時に検査した。ところが、朝出したものを帳簿に記入してなかったということは、これは違反とは言えないでしょう。そこで、現実に帳簿を整理して、朝、ハッパをかけるのにこれだけ持っていった、そんなら現在使っていないものを持ってこさせる、それが立ち入り検査じゃないかと思います。厳密に火薬の行くえを追及していきましたら、これはそういう言いのがれで糊塗することのできない仕組みになっておるはずです。そこにやはり火薬取り締まりについて、通産省と警察庁との間の仕事に何か不一致がありはしないかと思うのですが、これはまた次の機会に、徹底的に火薬取り締まりについての対策を立てていただかないと、太田委員の言われるように、今度はどういうことが起こるかわからぬ。今度はダイナマイト一本持ってきて、それを雷管一つ入れてやれば、線路一つくらい吹っ飛ばすことは容易なことで、ダイナマイト一本くらい、ポケットに入れてやってくるのですから、五十センチの導火線があれば、汽車が来出してそこにほうり込んでおいて逃走しても十分逃走ができるのですから、これは、もっと行くえの捜査ということについては、厳重な姿勢で臨んでもらいたいと思います。
  102. 太田一夫

    ○太田委員 最後に、私は通産省にきょうも来ておっていただきますし、通産省が法制定の所管省であるということを否定するわけではありませんけれども、今日の段階になってくると、火薬が凶器になっておる。しかも社会不安、混乱を巻き起こしておるのに、この取り締まりというのは実は形式的だということは残念だと思う。そこで、銃砲刀劔等は所持に対して取り締まり法が厳重に施行されておりまして、これは公安委員会のもとにだあっと警察庁も実にりっぱにやっていらっしゃると思うのですが、ダイナマイトを中心とする火薬類の取り締まりについても、警察庁が中心になってやるくらいの体系を、この際御協議の上新たにつくるようにすべきじゃないかと思うのです。そういう点、二度とこんなことは起きないという保障をどっかでおやりにならないと、あちらで協議し、こちらで協議し、向こうはああ言う、こちらはこう言う、そういうことじゃ、私は結論が出ないような気がしてしょうがない。最後に、その点について刑事局長の見解をひとつ聞いておきたい。
  103. 内海倫

    ○内海政府委員 私、所管でありませんので、どういうふうな措置を政府においてとるべきかということについては、意見は申し上げかねますが、犯罪が起こったならば捜査をしなければならない立場にある私どもとしましては、ともかく、先ほども申しましたように、こういうふうなものの行政上の措置が適切に行なわれて、不法にちまたに出ていくというふうなことのないような措置が適切にとられることを期待いたしております。
  104. 亀山孝一

    亀山委員長 本会議散会後再開することといたしまして、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ————◇—————    午後三時四十五分開議
  105. 亀山孝一

    亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方公務員災害補償法案を議題とし、質疑を行ないます。細谷治嘉君。
  106. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方公務員災害補償法案につきまして、質問は私がしんがりのようでありますので、できるだけ重複を避けますけれども、条文を追うて質問をしてみたいと思うのであります。  その前に、労働省からお見えになっておるようでありますので、お尋ねいたしたいと思います。第一点は、いままで地方公務員全部ではありませんけれども労災法のワクの中で補償されてまいったわけでございますが、これが全面的にはずされるわけでございます。この点につきましては社会保障制度審議会等でも、地方自治権という立場からいっても問題があるということを指摘しておるのでありますが、こういう労災法というものは社会保障一種として一元化すべきであろうという議論もあるのでありますけれども、労働省はどう受けとめておるのか、お尋ねしたいと思います。
  107. 中村博

    ○中村説明員 確かに細谷先生のようなお考えもあることと存じますが、私ども今回この地方公務員災害補償法案に同意を申し上げましたのは、やはり地方公務員の方々の特殊性、それから同時にいままでカバーしていなかった方々が相当おられるわけでございます。そういう方々が一本になりまして、このような公務員災害補償制度のもとに業務上の負傷疾病に対する適切な給付が行なわれるということにつきましては、非常にけっこうなことかと存じます。
  108. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方公務員一本になることはたいへんけっこうなことであろう、こういう御答弁でございますけれども、私の聞いておる範囲におきましては、労働省においては、よくいわれるなわ張り根性ということではなしに、これについては必ずしも賛成という立場にはなかったということをお聞きしておるのでありますけれども、それは単なる杞憂にすぎなかったと理解してよろしいのですか。
  109. 中村博

    ○中村説明員 この点につきましては、自治省との間にも十分お話し合いを申し上げておりますし、また詳細な点につきましてもお話し合いをいたしたわけでございます。したがいまして、労働省の中でそのような意見が最終的にあったということではないという状態でございます。
  110. 細谷治嘉

    ○細谷委員 労働省の考えを表明されましたので、これ以上私は質問いたしませんが、労働省御承知と思うのでありますけれども、ILO百二十一号条約というものがございます。これは業務災害の場合における給付に関する条約でございます。これについて労働省はいつごろ批准をしようというお考えを持っているのか。これが一つ。もう一つはこの百二十一号条約と比べまして、いま出されております地方公務員災害補償法案あるいは現在の労災法とは、そのレベルにおいて水準においてどういう違いがあるのか、この点につきましてひとつお答えいただきたいと思うのであります。
  111. 中村博

    ○中村説明員 御質問の第一点でございますが、百二十一号条約の中身は非常に高度の内容を持っておるわけでございます。わが国の現状からいたしますれば、一挙にこのレベルのものを実現するということには、直ちにまいらないと思います。  批准の時期というお話でございますが、この点につきましては、いま何とも申し上げかねるわけでございます。ただ労災につきましては、三十五年の改正で年金の導入をいたしまして以来、四十年の、全面改正に近い大改正にいたしまして、年金の大幅な導入をはじめといたしまして、相当内容を高度化いたしたわけでございます。こういった方向につきましては今後とも努力を続けて、引き続き、さらに検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
  112. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ILO百二十一号条約というのはたいへん高度なんだということでございまするから、言ってみますと、現在労災法なり地方公務員災害補償法案の描いておる水準というものはそれよりもかなり低い、こういうふうに労働省も受け取っていらっしゃると思うのでありますが、そこで、自治省と労働省にお尋ねいたしたいのでありますが、第一条の目的に、「地方公務員の公務上の災害」こういうことが書いてございます。一体公務上というのはどういう限界なのか。百二十一号条約と比べますと、給付水準ばかりではなく、公務上という範囲がかなり違っておると私は思うのであります。この点についてひとつ両省のお考えをただしたいと思います。
  113. 中村博

    ○中村説明員 労災法に書いてございまする業務上の事由によるというものにつきましては、これは業務と因果関係がある事項はすべて含まれるわけでございます。しかし、先生十分御承知のように百二十一号条約におきましては通勤途上災害を含むということになっておりまして、その部分が異なるわけでございます。
  114. 長野士郎

    長野政府委員 地方公務員の公務上の災害につきましても、考え方は、ただいま労働省から述べられましたこの業務上の災害と同じであります。公務に関連する事項に基づくものというふうになっておるわけでございます。したがいまして、事故の範囲の中には、百二十一号条約の通勤途上の事故を含むというのと、地方公務員災害補償法案におきましての事故の範囲には通勤途上の事故を含まない、その違いはございます。
  115. 細谷治嘉

    ○細谷委員 公務上ということは、一体どれが公務上かということはたいへん重要でありますが、私はやはりILO百二十一号に貫かれておる精神というものを尊重すべきであると思うのであります。私がいまさら申し上げるまでもなく、現に公務上であったかどうかという範囲につきましては、いろいろと問題点が起こっております。たとえば、し尿ホースを運搬中、それが公務にならなかったり、宿直中になくなった場合はほとんどそれが公務にならなかったり、あるいはマラソンの指導中にそれは既往症なんだという形で片づけられて公務にならなかったり、あるいはむち打ち病とか、こういうもの等々で、たいへん問題になっておるわけですね。百二十一号は、やはり公務の際に、もううちを出かければ、玄関を出ればすでに公務に直結しておるのだ、こういう考えに立っておるわけです。したがって、今日、行政局長御承知と思うのでありますけれども、相当数が公務上であるにかかわらず災害補償適用を受けないで、赤字と言われる健康保険のほうに押し込まれておる、こういう事例が多々あると思うのであります。こういうことでありますから、この公務上の災害ということは、たいへん重要な意義を持っておる、こう思うのであります。これについて、今後この法律の運営にあたって自治省はどう対処していくつもりなのか、どういう方針なのか、労働省としては、こういう問題についてどう対処してまいろうとするのか、これもお尋ねしておきたいと思うわけであります。
  116. 長野士郎

    長野政府委員 この公務上の災害という問題の範囲なり取り扱い方というものは、現在のところ労災法等におきましてのこの業務上の災害というものと考え方は大体同じになっておるわけでございまして、それは国家公務員災害についても同様なようになっております。したがいまして、通勤途上の災害というようなものにつきましては、一般に現在のところは公務上の災害として取り扱うということは困難でございます。ただ、今後の問題としましては、問題は二つございまして、外国等の例から考えまして、全般的に解決すべき問題があるというふうに考えるべきものではないかという問題が一つあるわけでございます。それからもう一つは、一般の業務上の問題はともあれとして、公務の特殊性に基づく問題として何か取り上げておかなければならない性質のものはそこには出てこないのか、くるのかというような問題も、もう一つの別個の公務の特殊性という点から考えていくことが必要であるという考え方も、場合によってはあるように思われます。したがって、こういう問題につきましては、労働省、人事院におけるところの国家公務員の取り扱い、労働省におけるところの民間労働者問題の取り扱いとの関係もございますが、自治省といたしましては今後ともに、この公務上の災害の範囲というものも通勤途上の問題だけではございません、先ほどちょっと申し上げましたような問題も含めまして検討してまいりたいと思います。
  117. 細谷治嘉

    ○細谷委員 今後検討するということでありますけれども、現在までの労災法の運用にあたっても、私がいま申し上げたような非常な問題点があるわけです。しかも百二十一号条約は出勤途上の場合も、これはやはり公務上の災害だ、こういうことをはっきりとうたっておるわけでありますから、これは十分検討して、この法律の趣旨が十分に生きるように、さらには現在の労災法等の運用等も、批准を早急にいたさなければなりませんけれども、少なくともそういう精神に向かって具体的に前向きで進まなければならないと私は思うのであります。この点について、ひとつ労働省のお考えも承っておきたいと思います。
  118. 中村博

    ○中村説明員 ただいまの御趣旨に従いまして、前向きの方向で検討をしてまいりたいと思います。  なお、通勤途上災害につきましても実態調査を始めるとか、その他いろいろな他の点にもわたりまして対策を講じてございますで、前向きの姿勢であるということを一言申し上げたいと思います。
  119. 細谷治嘉

    ○細谷委員 労働省にお尋ねいたしますが、今年の二月に安全衛生管理要綱というものをつくられたと思うのであります。この安全衛生管理要綱というのをつくられたのにあたりましては、特に市町村の仕事であります清掃業務、こういうものに非常に災害が多発いたしておりますので、それに応じて安全衛生管理要綱というものをつくって対策を講じていこう、こういうことになったと思いますが、そのとおりでしょう。
  120. 中村博

    ○中村説明員 直接所管ではございませんが、安全衛生管理要綱を策定いたしてございます。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それをつくられてからまだ半年ぐらいの時日しかたっていませんけれども、その成果といいますか、これができてからの状況というのはどういうことになっておりますか。
  122. 中村博

    ○中村説明員 ちょっと数字的な資料はいまつかんでございませんので……。
  123. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省にお尋ねいたしたいのでありますが、この安全衛生管理要綱なるものが今年の二月に労働省でつくられて、これに基づいて労働省としてはやっていらっしゃるということを御存じでしょうか。
  124. 長野士郎

    長野政府委員 承知いたしております。
  125. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この安全衛生管理要綱といいますのは、長年の自治体職員、特に清掃関係職員の切実な要求に基づきまして労働省がつくったものだと聞いているのであります。そこで、今度清掃関係職員の方々が、この地方公務員災害補償法案というものが成立しますと、これに基づいて災害補償を受けることになるのでありますが、せっかくいままでの実績にかんがみて前向きでつくられたこういう要綱でありますから、この要綱を生かしていただかなければ災害は減らない、こう私は思うのであります。そこで安全衛生管理要綱というものはできたばかりでありますから、これから十分に成果をあげるように運用してまいらなければならないのでありますが、これについて自治省としてはどういうふうにやっていこうとするのか。言ってみますと、そういう地方公務員の労働災害については、労働省と密接な連携をとってやっていくというお考えなのか、労働省はまたこの安全衛生管理要綱に基づいて、やはり労働者に災害が起らないようにチェックをしていく、こういう考え、態度がおありになるのかどうか、これをひとつお答えいただきたいと思うのであります。
  126. 中村博

    ○中村説明員 災害防止につきましては、労働基準行政の中で最重点事項でございます。と同時に、また労働省といたしましても、人命尊重の見地から、これにつきましては最重点の施策といたしまして、今般安全衛生局も設置されることとなったわけであります。したがいまして、この点につきましては、今後この災害防止行政というものはさらに一そう強力に省の中心の行政として進められていくという方針になったことを申し上げたいと思います。
  127. 長野士郎

    長野政府委員 地方公務員法四十二条におきましては「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない。」こういう規定があるわけでございまして、その厚生に関する事項と言いますものの中には、職員の安全及び衛生に関する事項も当然に含まれるわけでございます。具体的な、いま御指摘のような職員関係につきましての安全及び衛生に関しましては、労働基準法に基づきますところの労働安全衛生規則によりまして、職務環境の整備でありますとかあるいは危険の防止及び危険業務への就業制限、安全衛生教育、健康診断などなど、各方面にわたりまして規定整備されまして、これが実施に移されることになったことは先生御指摘のとおりでございます。自治省といたしましても、労働省のそういう御方針というものは、もちろん十分連絡をとりながら、これらの規定に従いまして今後一そう災害を防止する体制を進めてまいる、これは当然の責任でなくてはならない、こう考えております。
  128. 細谷治嘉

    ○細谷委員 特に労働災害については一元的に労働省が任務を負うべきものだ。まあ炭鉱の災害等については通産省、それからこの地方公務員災害補償法ができますと、地方公務員災害問題についてはこの法律だということになりますと、ますます労働災害というものがばらばらになってくるのではないかと思うのであります。そこで、せっかく安全衛生管理要綱なるものができて、特に市町村の清掃関係の多発しておる労働災害というものを防ごうという意欲に燃えておるわけでありますから、ひとつ今後も十分に労働災害が起こらないように——この法律補償を受けるのか能じゃないのであります。要は災害が起こらないようにするというのが第一の要諦であろうと私は思うのでありますから、十分にひとつ労働省としてもそういう点を要綱に基づいてチェックしていただきたい、こう思っております。部長さん忙しいようでありますから、これだけ一つ決意のほどを承って、あとお帰りになってもけっこうです。
  129. 中村博

    ○中村説明員 先生のお考えに沿いまして、なお一そうの努力をいたしたいと存じております。
  130. 細谷治嘉

    ○細谷委員 けっこうです。  それでは第二条について伺いたいのであります。「この法律で「職員」とは常時勤務に服することを要する地方公務員」ということになっております。そして、地方公務員に準ずる者で、勤務形態が常時勤務に服することを要する人については政令できめる、こういうことになっておるわけです。御承知のように、地方公共団体には正規職員ではなくていわゆる臨時職員という者がおります。その臨時職員という者がこの補償の際に常に問題になってくることであります。その臨時職員というのはこの対象になるのかならぬのか、これを政令できめるわけでありますから、明確に承っておきたいと思うのでございます。
  131. 長野士郎

    長野政府委員 基金対象になりますところの職員常勤職員原則にしておりますが、いわゆる非常勤職員のうちにおきましても、常時勤務しておりますところの地方公務員について、定められております勤務時間以上に勤務をいたしました日が、いわゆる引き続いて十二カ月をこえるに至った者で、その後もなおそういう状態にあるというような者をいわゆる常勤非常勤、こういう普通の言いならわし方をしておるようでありますが、主としてそういう職員につきましてはこの基金対象にいたしたい、こう考えております。
  132. 細谷治嘉

    ○細谷委員 念のために伺っておきたいのでありますが、常勤非常勤というのは具体的にはどういうものをおさしになりますか。たとえば一カ月のうち十五日以上とかなんとかいう、そういう尺度がなくちゃならないでしょう。
  133. 長野士郎

    長野政府委員 常時勤務を要する地方公務員について、定められている勤務時間以上の勤務をした日が引き続き十二カ月をこえるという、これを月にいたしました場合には二十二日ということに考えております。
  134. 細谷治嘉

    ○細谷委員 月にいたしまして二十二日勤務しておる臨時職員は、これは常時勤務に服する職員、政令できめる場合の臨時職員も通算する、こういうことになるわけですな。
  135. 長野士郎

    長野政府委員 そのとおりでございます。
  136. 細谷治嘉

    ○細谷委員 念のために伺っておきますが、二十二日という根拠はどこから出たのでしょう。
  137. 長野士郎

    長野政府委員 これは非常勤職員といいましても、その勤務の体系が常勤職員と変わらない程度の者をどのようにして救済するかという問題になりますのは、この公務災害補償だけではございませんで、共済関係職員の範囲というようなもの、むしろそちらのほうからそういう問題が出てきたわけでございまして、年金の通算とか、そういうものの対象に含めますために考えました範囲が、いわゆる常勤非常勤としていま申し上げました月のうち二十二日以上、こういうことになっておるわけであります。そういう意味で、いわゆる常勤非常勤職員といいますと、その範囲が一応いまのところは確定をしておるようなかっこうでございます。そういう意味で、公務災害補償におきます職員の範囲にもその者はぜひ加えたい、こう考えております。
  138. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いままでの慣例ということのようでありますが、いま国会に出ておりますたとえば住民基本台帳、こういうものをやっていく場合に、これを二年間でやろうというわけでありますが、実際には巨額の経費と相当数の臨時職員を雇い込まなければとてもやれないと思うのです。そういう臨時職員が二年間やった後に、たとえば試験に合格して正規職員になっていった、こういうことになりますと、この二年間を棒に振るというわけにいかぬわけですから、これはやはり通算していかなければならぬ、常時勤務してまいったのでありますから。それはそういうことになるわけですね。
  139. 長野士郎

    長野政府委員 いまお示しのような職員の場合には、そのままお話しのとおりにつながってまいるものでございます。
  140. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょうど大臣見えましたから、大臣忙しいようでありますが、お尋ねしたいのであります。私はいつも申し上げるのでありますけれども、今度地方公務員についての災害補償というのは、この法律できめるということになったのであります。いままでは条例できめてまいったわけです。したがって、これはいいますれば地方公共団体の固有の事務である、こういうことになるわけでございます。ところが、この法律を見ますと、第一条の「地方公共団体に代わって」ということから始まりまして、五条の定款の認可、十三条の「地方公共団体の便宜の供与」、十七条の「事業計画及び予算」、それから十八条の「決算」、十九条の「借入金の制限」、いずれもこれは自治大臣の承認であります。二十条から二十二条までは「自治大臣の権限」、二十三条は「自治省令への委任」、五十条の費用の負担は自治省令、こういうことで、これは自治大臣、この法律基金制度でありますけれども、自治大臣がものすごい権限を持っておる、先ほど本会議議論されたような法律なんであります。自治省はよく他省に対しては、たとえば外貿埠頭公団が自治権の侵害になるのではないか、あるいは中小企業振興事業団法はやはり自治権の侵害になるんだということでずいぶんがんばっていただいた、これは私は高く評価しているのでありますけれども自治省みずからは、みずからの権限の範疇においては大いに中央集権化を進めておると申さなければならぬのでありますが、どうでしょう。これは、この法律はそうなっておるのですか。
  141. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 お話しのように、そういう見方からすれば一つの何か中央集権的なやり方ではないかということでございますけれども、これはやはり地方公共団体にかわって公法上の行政処分をいたす特殊法人でありますので、いわば自治大臣が地方自治体にかわっていろいろ監督をするということなのでございます。根本的に申し上げて、現状はこういう補償制度について非常にばらばらである。それをできるだけ高い水準にまとめて、しかも全国できるだけ同じようにするというのには、やはりこういう、いわば地方自治体の連合体みたいな形でやることが公正に迅速にできるということでこの基金制度をやったわけで、それなら一々自治体に助言を与えて、こういう高い水準条例をつくるということを指導したらそれで足りるじゃないかという御意見もあろうかと思います。しかしやはり危険分散というようなものも考えますると、こういう制度地方公務員の待遇の改善をいたすことが妥当ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  142. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、現在中央集権だ、それからさらには選挙のときにいわれることでありますが、気に入らない知事や市長になると交付税も特交も減らすぞ、こういうことに対して自治大臣が、いや中央集権というのはよろしくないのだ、またそんなことはあり得ないことだ、人によって交付税や特交が減るということはあり得ないことだ、こういうことで、地方自治を大いに大臣として鼓吹をされておることについては敬意を表するわけです。敬意を表するわけでありますけれども、大臣、この法律はやはり明らかに従来固有の事務であったものを、地方公務員法を改正いたしまして、それに基づいてこの法律ができるということでありますから、しかも各条文にわたって自治大臣の承認、許可、こういう形でありますから、自治権という観点に立って申しますと、これはやはり自治権の侵害というそしりを受けかねない内容のものだと私は思うのであります。  そこで私は、その代表的な例を条文を拾って申し上げてみたいと思うのであります。  第十一条、運営審議会に関する規定でありますけれども基金運営審議会委員を十二人置くことになっているのであります。ところがその十二人というのは、十一条三項によりまして、都道府県の知事を代表する者、市長を代表する者、町村長を代表する者、都道府県教育委員会を代表する者、都道府県の公安委員会を代表する者、地方公営企業の管理者を代表する者、これで合計六人なんであります。そして、及び学識経験を有する者六名で、自治大臣が任命して構成するというのであります。大臣、労災法を見てみますと、これは労働大臣の任命になっておるのでありますけれども、労働者、使用者、公益代表おのおの同数、こういう形になっておるわけです。私は、この条文を見まして、なるほどこれは全体を貫いてずいぶん自治大臣の権限が強くなっておる、自治大臣の本意ではないのじゃないかという気がいたしたのであります。この、知事の代表、市長の代表といういわゆる管理者の代表を六人やって、あと六人は学識経験を有する者ですという法律のていさいは、大臣の従来の主張からいきますと、ずいぶんはずれておるのではないかと私は思うのであります。労災法を受けておった人が、今度はこの法律へ組まれてくるわけでありますから、少なくともその精神は貫かれていかなければならない。言ってみますならば、労、使、公益の三者のおのおの同数の構成でつくらるべきだという議論も私は成り立つと思うのであります。そういう点で、私はこの十一条三項については、たいへん不満があるのであります。そこで私はこの法律をぜひ大臣に直していただきたいと思うのでありますけれども、会期が迫っておりますし、しゃにむに委員長は通す通すと言うものですから、なんですが、とにかく学識経験を有する者の中に、参議院の答弁におきまして、適当な人があれば学識経験者として地方公務員組合員を代表する者を入れてもいい、しかし適当な人がなければだめなんだ、こういう答弁をなさっておるのであります。それはだれが判断するかというと、任命者である自治大臣が判断するのであります。いろいろと苦労したけれども適任者はありませんということでゼロになったって、これは言いわけは立つわけであります。これでは私は大臣の本意じゃないと思うのでありますが、ひとつここで、やはり大部分の補償を受ける人は、なるほど常勤職の知事も入りますし市町村長も入ります、今度入ってくるのですけれども、大部分は一般職員であります。災害を受ける人も大体その人たちであります。この人たちにとってはたいへんな問題であります。本人ばかりでなく、家族にとってもたいへんな問題であります。でありますから、やはり私は組合員を代表する者をこれは必ず入れるべきであると思うのであります。大臣、ひとつこれについて明確なお答えをしていただけませんと、この法律はたいへんです。
  143. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 最初に、この基金は、先ほども林さんにお答え申し上げたと思いますが、要するに使用者たる地方自治体にかわってその補償の義務を履行するということでございます。したがって、基金の運営等については、そのかわられた地方公共団体の代表者、あるいはさらに、こういう補償というものは非常な専門的知識も要するものでございますから、学識経験者の中から選ぶといたしたわけでございます。それ自体私は、いわば自治大臣のここにおける権限というのは、数千の地方公共団体、使用者たる地方公共団体のかわりに監督をするという性格のものであろうと思います。その限りにおいて、この十一条の規定も私は御理解いただけるものと思いますが、現在、先ほどおあげになりましたように、職員の中にもこうした公務災害補償というようなことに非常に練達たんのうの者もおるわけでございますから、そういう適任者があれば、これはその学識経験者として入れることにやぶさかでないと考えておる次第でございます。
  144. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、適任者があればということ——あればではいかぬですよ、これは。日本の国のすみずみまでさがして適任者を求めて、必ずその代表を入れるようにしますぐらい言ってもらわぬと困る。月の世界までさがさぬでいいのです。これはたくさんあるのですよ。あればではなくて、必ず適任者を求めて組合員の代表的の立場の人を入れます、このぐらい言明していただけませんと、ちょっとこれを終わるわけにいかぬです。
  145. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 こういうものに練達たんのうの人があればと申しましたが、あれば入れるということは、なければ入れないというようなことでなくて、おそらく二百三十万人もいる地方公務員でございますから、その職員の中にはこうした仕事にも相当練達たんのうな人がいるであろうということは、私も想像をいたしております。
  146. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まだちょっと……。二百三十万人からということを言っておるわけではないのです。草の根を分けても——草の根民主主義といわれておるわけですから、草の根を分けても適任者を選びますと、ここまで言っていただけませんか。大臣の気持ちはそこにあるだろうと思うのです。
  147. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 非常にたくさんの地方公務員でございますから、こういう仕事に非常に練達たんのうな、学識経験を持っている人も確かに存在しているであろうと考えます。したがいまして、その御趣旨に沿って、できるだけ善処いたしたいと考えます。
  148. 細谷治嘉

    ○細谷委員 御趣旨に沿って、できるだけ善処いたしますというのではなくて、大臣のことばを、できるだけというのを除いて、御趣旨に沿って善処します、こういうことだと私は理解したいと思いますが、異議ありませんか。——頭を下げましたから、委員長もおることですから、了承したいことだと思います。  次に、五十三条でございます。不服の申し立て及び訴訟という章でありますけれども、この五十三条に基づきまして、不服がありますと異議の申し立てをする。それは審査をするわけでありますが、これは非常に重要なのであります。この五十三条によりますと「審査会は、委員五人をもって組織する。」とこうなっております。「委員は、学職経験を有する者のうちから基金理事長が委嘱する。」こういうふうになっておるのでございます。ところで、大臣、私はこれもかなり一方交通だと思うのであります。御承知のように、労災法は、労働災害保険審査官というものがございまして、そこに不服の申請をするのであります。これは労働省の役人がやるわけでありますけれども、必ず労使の代表者二名ずつを選びまして、何といいますか、指名をされる人がおるのであります。その指名された人は、常に意見を述べることができるように法律で保障されておるのであります。これでは何らの保障がないのであります。制度的にもこれは労災法から見ますと、かなり一方交通でありまして、ほんとうに補償を受ける人は、先ほど申しますように、自分ばかりでなしに、家族の問題でありますから、やはり民主的な公正な運営ができるような制度を打ち立てておかなければならないと思うのであります。これについて大臣、このままでは困るのでありますから、何かいい名案ができそうなものだと思いますが、いかがですか。
  149. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 審査会委員は学識経験者、しかも、おそらく認定の問題、公務に入るか入らないか、しかもその限度はどういうことであるか、こういうようなことが争いの中心になると思います。したがいまして、そういうことに練達たんのうな学識経験者、中立的なと申しますか、第三者的なものを選んでやるように運営をいたしてまいりたいと思いますが、おそらくこの審査をいたす場合におきましては、本人なりあるいは本人にかわってその利益を主張するような人の意見も審査会においては聞くようになると思います。また、おそらく実際問題としてはそういうことではないかと思いますので、その辺は労災と違って、制度的にここには書いてございませんけれども審査会が審査をする場合に、本人なり本人を代表するものの意見を十分聞くとか、そういうような運営の方法は考慮されるのではないかと思うわけでございます。
  150. 細谷治嘉

    ○細谷委員 労災法におきましては、労働保険審査官及び労働保険審査会法というものがありまして、これにきちんと制度法律的に確立されておるのであります。そこで、私は、大臣は非常に良心的な人でありますけれども公務員にとっては一生の問題であります。大臣はこれから一生自治大臣をやっておるかどうかわからない。私はやっていただきたいと思うのでありますけれども。  そこで、大臣、この法律に基づいて、いろいろ問題があると私は思うのでありますけれども自治省令というものが出るのであります。でありますから、私は、本来ならば法律労災法に基づいて直していただきたいと思うのでありますけれども、この段階ではそこまでは申しません。そこで、自治省令というものが出されるわけでありますから、その自治省令に、この審査についての運営、指名をしておく、いわゆる参与制度と申しますか、そういうものを自治省令にきちんと書いておく。この基金について、業務規程というものがつくられるわけであります。その自治省令を受けまして、この十二条の業務規程の中でそういう運営をやるんだという裏づけが、自治省の良心にかけましても最低限やっておかなければいけないことだと私は思うのでありますが、いかがでございますか。
  151. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、審査会の審査の実態につきまして、被害者なり、その被害者を代表する人の意見が十分聞けるような方法は考えられると思いますと申し上げたわけでございます。自治省令に書けという御提案につきましては、ただいま初めてお伺いいたしたわけでございますが、そういう方法もあろうかと思いますので、十分検討いたしたいと思います。
  152. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そういう方法もあろうかと思いますとおっしゃいましたが、この五十三条の運営について、労災法の趣旨にかんがみまして、解決の道は二つある。一つは、労災法に基づいてやはり法律規定するか、あるいはこの法律に基づく自治省令でそういうものを裏づけて、それを受けて業務規程でそういう運営をするんだということを保障する。これはきわめて後退した形でありますけれども、そのいずれか一つをとらなければならないと私は思うのであります。そのあとの後退したほうでもよろしいから、ひとつこの際、大臣からはっきりものを申していただきたい、こう私は思うのであります。
  153. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 業務規程に書くということにつきまして御提案があったわけでございまして、後退したとおっしゃいますけれども、この業務規程に書くということにおきまして、公務員の権利の保護になるわけでございますから、そういう方向で検討をいたします。
  154. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣忙しかったので、行政局長のいままでの答弁を、私は確認しているのですが、少し忙しかったので、勉強不足とは申しませんよ、どうも歯切れが悪い。少なくとも自治省令に基づいて、労災法にのっとったようなそういう制度で運営するように、自治省令に書いて、業務規程等で受けて、そして運営するようにいたしましょう、そういうことでないと、大臣これはちょっと困るのです。
  155. 長野士郎

    長野政府委員 いまのお話でございますが、審査会におきまして審査するにあたりまして、関係者の意見を聞くというような方法について、業務規程の根拠になります自治省令の中に定めることができるかできないか、可能か可能でないかということでございますならば、それは私どももそういうやり方は可能だというふうに考えます。
  156. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は時間がないから、ほんとうはこの法律の中における自治省令と業務規程との三者の関係というのは一体どうなるかということをつまびらかに聞きたいと思っておった。しかし、この法律案を見る限りにおいては、自治省令というのは絶大なる権限を持っているわけだ。書くことができるでしょうぐらいでは、これはいかぬですよ。自治省令にお書きになったらいいでしょう。労災法は新しい法じゃないですよ。ですから、自治省令にそういう労災法にのっとったような運営をいたします——労災法ではちゃんと、関係労働者及び関係事業主を代表する者二名、こういう者が指名されるわけであります、法律五条に基づいて。そしてこの人たちが意見を述べることができるのであります。そういう運営を、言ってみれば自治省令を受けて業務規程に載せて一種の参与制度という形で——どういう名前か知りません、これは仮称ですが、そういう形で運営するようになれば、一方交通だというそしりはある程度免れることができるのではないか。運営さえ気をつければ、この労災法と同じような精神で運営できるものと、こう思いますので、私は、重要な点でありますから口をすっぱくして申し上げておるわけです。もう一度これははっきり聞かしていただきたい。
  157. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 実は最初の御質問のとき初めて伺ったことでございますので、いろいろ考えておりましたが、再三の御質問で大体御趣旨はわかりました。それで、御趣旨の点をとりますならば、自治省令で書いて、そうして業務規程に入れるということの方向でやります。
  158. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう一点、これは私の大臣に対する切なる希望でありますが、この委員は中央の審査会が五名、支部審査会が三名ということになります。その支部というのは都道府県とそれから指定市に置かれるわけでございます。この審査会というのは、学識経験を有する者でありますから、これはやはり医学上の知識も必要でありましょうし、あるいは法律上の知識も必要でございましょう。いわゆる学識経験者であろうと思うのでありますが、この運営にあたりましては、九九・九%の対象者というのは組合員であるわけでありますから、この選任にあたりましては、中央の場合には理事長であります、それから支部の場合は事務所の長がやるわけでありますけれども、その選任にあたっても、組合の代表者だとか、あるいは使用者の代表者という形ではありませんけれども、やはり中立公正な審査会ができるように配慮しなければならぬだろう。したがって使用者、管理者側の意見も聞くことが必要でありましょう。あるいは、組合員の意見を聞くことも必要であろうと思うのであります。そういう形におきまして、中立公正な委員が選任されるように特段の配慮をする必要があると思うのでありますが、この点いかがでございましょう。
  159. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 審査会の審査委員というものは、ほんとうに第三者的な公正中立なものでなければなりませんから、その人選については、各方面の意見を聞いて、真にこの審査会委員にふさわしい人間を選任するように指導してまいりたいと思います。
  160. 細谷治嘉

    ○細谷委員 真にといいますと、大臣、少しくどいようですけれども、この法律がずいぶん一方交通の感かありますので、いまの私の質問を通してだいぶ公正中立な方向に向いておるわけでありますけれども、この法律のような形式、タイプで、これが公正中立でございますとやられますと、これは問題があると私は思うのであります。そこでひとつこの選任にあたりましては使用者のほうに、あなた何かこういうのに適当な人はないだろうか、あるいは組合員のほうにも、何か適当な人がないだろうかという形で、やはり広く知識を、世界に求めるのではなくて、労使の間に求めて、そうして万機公論に決するような、中立公正な人を選ぶ努力をお約束していただきたいと私は思うのであります。いかがでしょう。
  161. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 各方面の意見を聞くと申し上げましたのは、あるいは職員団体、あるいは使用者、あるいはその他を含めて各方面と申し上げた次第であります。
  162. 細谷治嘉

    ○細谷委員 少し気にかかるところがありますけれども、大臣を信頼いたしまして、次に移りたいと思うのであります。  先ほど来申し上げましたように、この地方公務員の中には、団体交渉権を持っております地方公営企業の職員もおるわけでございます。その人たち団体交渉に基づいて団体協約を結ぶことができるわけであります。そういう人たちも今度入ってくるわけでございますし、また、この地方公務員災害補償につきましては、条例ですでに定めたところがございます。その条例に幅がありますから、この法律は一つの基準を設けまして、災害補償が真に災害補償たるようにしようというところから出ておると思うのでありますが、私がお尋ねいたしたいことは、先ほどの自治権との関連もあるわけでありますけれども、すでに条例ができておった——条例から下のほうの人は、これは法律規定する水準まで上げなければいかぬでしょうけれども、それより上回っておる分も幾つかあるわけであります。これはやはり地方自治体の自主的な交渉等に基づいてできたものでありますから、一種既得権であります。これはやはり尊重されなければならないのではないか。それがいわゆる地方自治体の固有の条例制定権でもあるのだ、こう私は思うのであります。したがって、この問題についてひとつ大臣の率直なお考えを承っておきたいと思うのであります。
  163. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今回の地方公務員公務災害補償制度、これはわが国の現在のこの種災害補償制度の中にあきましては、相当高い水準であると思います。したがいまして、これ以上につけ加えるということは必ずしもどうかと思いますが、いま申されたように、団体交渉の結果、既得権としてこれを上回っておるものがある、そういうものを、それはいけないというようなことは言うつもりは全然ございません。
  164. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、急がれておるようでありますし、大臣は言うつもりはないということでありますから、最後に、大臣だいぶもらいがかっておるそうでありますから、線香は十分つけたいと思うのですけれども、五十七条であります。いわゆるスライド制でございます。地方公務員等共済組合法には、法律の大原則、通則のところに七十四条の二というものを書いておるのですよ。スライド制は内容は同じなんです。それから労災法では、十分じゃありませんけれども、一応スライド制というものを確立しておる。物価等の変動で二割以上デビエーションがあった場合は調整するとはっきりと書いてある。不十分ながらスライド制が確立しています。言ってみますと、これは労災法から出た子供といってもいいわけであります。この法律の五十七条に書いてあるのであります。これが大臣、何と雑則ですよ。通則じゃないですよ。これは法律の中では、私は、スライド制というのは共済に書いてあるから書かなければならぬというわけで雑則に書いたのではないかと思うのです。つけたりじゃないかと思うのです。これは気に食わぬのでありますが、書いてありますから、それ以上申しませんけれども、このスライド制というのは、私は言ってみますと、共済組合以上に切実な問題であろうと思います。しかも労災法では確立しているのでありますから、これについての大臣の決意のほどをひとつ伺っておきたいと思う。
  165. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この点に関しましても、国家公務員災害補償等とも関連をいたしますが、労災との関係もございますので、至急にこの制度の確立に努力をいたしたいと考えます。
  166. 細谷治嘉

    ○細谷委員 六十五条、「この法律又はこの法律に基づく条例により支給を受けた金品を標準として、租税その他の公課を課してはならない。」こういうことがあります。「支給を受けた金品を標準として、」というのは、これは一体どういうことですか。たとえば、先ほどありました条例できまっておるものが、この法律より上回ったプラスアルファがあった場合には、そのプラスアルファの部分については税金がつくのですか、これをちょっとはっきりしてくださいませんか。
  167. 長野士郎

    長野政府委員 この六十五条の「金品を標準として、」といいますのは、金品を課税標準としてということでございます。「この法律又はこの法律に基づく条例により支給を受けた」ものについてはそうでございますが、それ以外の地方団体の独自の条例でいままでつくっておりますものにつきましては、所得税法の施行令等では現在非課税の取り扱いをしております。
  168. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうすると、条例でもらったものも非課税の取り扱いですね。
  169. 長野士郎

    長野政府委員 現在そういう取り扱いをしております。
  170. 細谷治嘉

    ○細谷委員 プラスアルファがあった場合、どうなりますか。
  171. 長野士郎

    長野政府委員 税法上非課税の取り扱いをしております。
  172. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでいいですね。  もう一つ、小さいことでありますが、第七十条、これはいわゆる常勤でない人ですね。「当該地方公共団体条例の定めるところにより、審査を申し立てる」、これは条例でどういうふうに定めようと期待しているのですか。これの不服審査、議員等の場合ですね、どういうふうに条例で期待しているのですか、聞かしていただきたい。
  173. 長野士郎

    長野政府委員 法律に基づきますものについての審査の申し立ての手続等につきましては、先ほどお話に出ました業務規程によって手続をつくる予定でございますが、地方団体条例で定めますものにつきましては、地方団体条例で不服審査の申し立ての手続をつくるわけでございますが、内容につきましては、おおむね法律でつくりました不服審査の申し立てのやり方と大体似たものでつくることになるように指導いたしたいと考えております。
  174. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、忙しいようでありますから、一点だけ、これは大臣にお聞きしたい。  地方公務員関係は、四十五条の災害補償というのは、今度のこの法律によりまして従来条例によっておったものが法律規定されることになるわけであります。四十三条は共済制度であります。これは法律によって共済制度はきめると書いてあります。四十二条に厚生制度というのがあります。これは市町村の義務になっておるのでありますが、災害補償法律が今度できた、共済制度法律ができた、そうしますと、一番いま不十分なのは厚生制度であります。地方公務員法四十二条の規定であります。これについてはまことに不親切なんですね。これを今後どういうふうにするおつもりなのか、承っおきたいと思います。
  175. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 お話しのように、地方公務員法四十二条の厚生制度について、この財源付与等について従来不十分であることは御指摘のとおりでございまして、これについては、交付税の財政需要額、基準需要額の問題その他を含めまして、厚生制度充実には今後力を入れてまいりたいと思います。
  176. 細谷治嘉

    ○細谷委員 終わります。
  177. 亀山孝一

    亀山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  178. 亀山孝一

    亀山委員長 これより地方公務員災害補償法案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに本案の採決を行ないます。  地方公務員災害補償法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  179. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  180. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、塩川正十郎君、山口鶴男君、折小野良一君及び小濱新次君から、四派共同提出をもちまして、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。塩川正十郎君。
  181. 塩川正十郎

    ○塩川委員 ただいま議題となりました地方公務員災害補償法案に対する附帯決議につきまして、私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派を代表して、その趣旨を説明いたします。  まず最初に案文を朗読いたします。    地方公務員災害補償法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、とくに左の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、基金運営審議会の学識経験者のうちに職員を代表する者が選任されることにより、基金の民主的運営が確保されるよう配慮すること。  二、地方公務員災害補償基金審査会の審査にあたっては、あらかじめ、職員を代表する者の意見を求めることとする等適切な措置を講ずること。  三、公務災害による年金受給者等の生活を保障するため、スライド規定実施のための具体的措置についてすみやかに検討すること。   右決議する。 以上が案文でございます。  次に、その趣旨を説明いたします。  まず第一点につきましては、御承知のように、労働者災害補償保険法における運営審議機関の委員は、労使代表と学識経験者の三者構成であり、大臣任命による中立的性格を有しているのであります。本法案もこれと同種の地方公務員公務災害補償制度でありますことにかんがみ、本制度の民主的運営を確保するため、基金運営審議会の学識経験者のうちに職員を代表する者を選任するよう配慮すべきものとしているのであります。  第二点につきましては、災害を受けた場合の給付決定等に対する不服審査制度におきまして、労働者災害補償保険法におきましては、社会保険審査会委員の任命につき、衆参両院の承認を得て総理大臣が任命する等の方法により中立的性格を保障するとともに、中央及び地方の審査機関には、それぞれ労働者及び使用者が推薦する者を参与として指名し、その参与に意見の陳述、立ち会い等の機会を与えているのであります。したがいまして、本制度におきましても同様の趣旨に基づき、中央及び地方審査会の審査にあたっては、あらかじめ職員を代表する者の意見を求めることとする等、適切な措置を講ずることにより、その民主的運営を期そうとするものであります。  第三点は、いわゆるスライド規定についてであります。労働者災害補償保険法におきましては、賃金が従前の二〇%をこえて上昇した場合には、これに対応して災害補償年金額等を引き上げる、いわゆるスライド規定が設けられているのであります。したがいまして、本制度におきましても同様に、公務災害による年金受給者等の生活を保障するため、スライド規定実施のための具体的措置をすみやかに検討すべきものとしております。  以上が本決議案の趣旨であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
  182. 亀山孝一

    亀山委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  183. 亀山孝一

    亀山委員長 起立総員。よって、塩川正十郎君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、藤枝自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。藤枝自治大臣。
  184. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議についきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。     —————————————
  185. 亀山孝一

    亀山委員長 おはかりいたします。  ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきまましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  187. 亀山孝一

    亀山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五分散会