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1967-06-27 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奥野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       久保田藤麿君    辻  寛一君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       永山 忠則君    山田 久就君       井上  泉君    太田 一夫君       河上 民雄君    島上善五郎君       依田 圭五君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省行政局長 長野 士郎君  委員外出席者         議     員 細谷 治嘉君         議     員 山口 鶴男君         警察庁警務局厚         生課長     阪野 正明君         文部省管理局福         利課長     手塚  晃君         自治大臣官房参         事官      志村 静男君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 六月二十三日  地方財政法の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出衆法第二六号) 同月二十六日  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(太田一夫君外七名提出衆法第三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政法の一部を改正する法律案太田一夫  君外七名提出衆法第二六号)  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(太田一夫君外七名提出衆法第三五号)  昭和四十二年度における地方公務員等共済組合  法の規定による年金の額の改定等に関する法律  案(内閣提出第一一〇号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  まず、太田一夫君外七名提出にかかる地方財政法の一部を改正する法律案議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)議員 私は、提案者を代表し、ただいま議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、地方財政は、昭和四十年度以降の公債発行政策によって、従来の国と地方間の財源比率がくずれ、地方財政はより深刻な危機に直面しております。また、国と地方間の行政財政の乱れはひどく、国は不十分な財源措置事業計画地方に押しつけ、補助金助成金も単価が低く、当然国が行なうものまで、負担地方に強制しているありさまであります。したがって、それに伴い、都道府県市町村間、または地方公共団体住民間の財政秩序は法令に基づかない寄付金負担金あるいはいわゆる税外負担の強制で大きく乱されているのであります。特に、地方公共団体住民から徴収する税外負担は、小中学校費高等学校費等において著るしく、自治省調査でも百億円をこえているのであります。したがってこれらの地方公共団体住民との間の財政秩序の確立をはかり、地方財政のより健全な運営を確保することは、当面の緊急事であると考えるのであります。  これが本法律案提案理由であります。  次に、本法律案内容要旨を御説明申し上げます。  第一は、都道府県住民にその負担を転嫁してはならない経費についてであります。昭和三十八年の地方財政法の一部改正により、昭和三十九年四月一日から都道府県の行なう高等学校施設建設に要する経費については、住民にその負担を転嫁してはならないことになりましたが、新たに、現在、過大な税外負担によってまかなわれている都道府県立高等学校職員給与に要する経費及び施設維持及び修繕に要する経費を追加いたしたのであります。小中学校について、すでに数年前より禁止の対象になっているこの二項目の措置高等学校にも適用することは税外負担の解消を前進させる上から当然の措置であろうと考えるのであります。  第二は、市町村住民にその負担を転嫁させてはならない経費についてであります。市町村職員給与に要する経費及び市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費については政令により住民負担を禁止せられているところでありますが、この政令への委任を改めて、これを法律事項とするとともに新たに市町村立小中学校施設建設事業に要する経費を追加し、税外負担強要多発現象を解消し、地方財政秩序健全化をはかろうとするものであります。  以上が本法律案提案する理由並びにその要旨であります。  慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 本案の質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、太田一夫君外七名提出にかかる地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。細谷君。
  6. 細谷治嘉

    細谷議員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案趣旨及び内容概要を御説明申し上げます。  最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障水準は、西欧先進諸国に比べ、依然として低水準に置かれております。しかも最近における医療費の急激な増高は、各種共済組合短期給付財政の収支を悪化させ、そのため組合員に過重な負担をしいる掛け金引き上げを余儀なくいたしております。また一方、長期給付におきましても、ここ数年来の異常なまでの消費者物価上昇のもとで、年金受給者生活は極度に逼迫しているのが実情であります。  このときにあたりまして、主として組合員掛け金とそれに見合う使用主負担財源だけで運営される共済組合におきましても、従来の保険主義原則を廃し、大幅な国庫負担の導入により、その社会保障的性格を強める必要かあります。かようにして短期給付長期給付とも、組合員負担がこれ以上過重にならないよう措置いたしますとともに、退職公務員の老後の生活を少しでも安んじさせるよう、前向きの措置を行なうことは、社会保障の観点からはもとより、共済組合趣旨に照らしましても、当然、国の責務ともいうべきものでございます。  以上の立場から、共済組合短期給付並びに長期給付充実改善をはかるため、この改正案提出いたした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。まず、第一は、短期給付に要する費用につき、新たに国庫は百分の二十相当分負担することといたしたのであります。これにより地方公務員等共済組合につきましては、国庫としての国百分の二十、使用主としての地方公共団体百分の五十、組合員百分の三十の負担とすることにいたしております。  第二は、長期給付に要する費用負担割合についてであります。長期給付については、現在、地方公共団体が百分の五十七・五を負担しているのでありますが、そのうち百分の十五は地方交付税に見込まれていますが、その分を百分の二十にし、引き上げ分百分の五をもって組合員掛け金百分の四十二・五の軽減に充て、組合員掛け金を百分の三十七・五に引き下げることといたしております。  第三は、年金給付算定基礎についてであります。従来その算定基礎退職前三カ年間の俸給平均額とされておりましたが、消費者物価上昇の中で、年々ベースアップが行なわれている現状等を考慮し、これを退職時の俸給といたしたのであります。  第四は、年金者遺族一時金の新設であります。現行法では遺族範囲が、主として死亡した組合員収入により生計維持していた範囲に限られており、たとえ親、配偶者がいても、組合員収入によって生計維持していなかったとすれば、給付対象とされておりません。この際、遺族年金を受けるべき遺族がない場合においては、組合員収入によって生計維持していなかった者に対して遺族年金の額の十二年分に相当する金額年金者遺族一時金として支給することといたしました。  第五は退職一時金の引き上げについてであります。現在、国家公務員及び地方公務員共済組合においては、退職一時金の支給額は、組合員期間によりそれぞれ二十日から五百十五日分となっておりますが、公共企業体職員等共済組合では二十日から四百八十日分となっており、著しく不均衡であるばかりか、その支給額も低きに失しております。したがいましてこの不均衡を正し、かつ退職一時金の底上げを行なうため、三十日から六百十五日分といたしたのであります。  第六は、地方職員共済組合等運営審議会及び地方公務員共済組合審議会委員については、共済組合運営特殊性から、共済組合員であった者のうちから職員団体等が推薦した者も委員に任命できるようにいたしたのであります。  以上、この法律案提案趣旨及び内容の概略を申し述べました。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。      ————◇—————
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律案、及び太田一君外七名提出にかかる地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。奥野誠亮君。
  8. 奥野誠亮

    奥野委員 地方団体あるいは国民健康保険に関する団体から、職員共済制度改善について要望書が送られてまいっております。昨年、議員修正でこの問題を取り上げたわけでありますが、内容について改善をしてもらいたいということでございます。  そこで、この点についてお伺いしておきたいのでありますが、地方団体関係団体職員共済組合組合員外地等での勤務年限との通算制を採用するにあたって、年金をすでにもらっている者についてはこの制度適用しない、同時にまた組合職員としても十年以上勤務しないとこの制度適用しない、かなりきびしい条件のもとに通算制度認めたわけでございます。同時にまた年金につきましては、最低額を六万円に引き上げるという措置も講ぜられたわけでありますけれども、実在職年数年金を受けられる最短年限に達していない者については、最低を六万円に引き上げるという恩典適用がない、かように考えているわけでございます。自然また、すでに年金をもらえるようになっているから通算制度はとってやらないのだという人たちのその年金の額には、六万円に満たない人たち相当数あるということになるわけであります。そうしますと、わずかな年金をもらっているがため通算制度恩典が受けられない、かようになるわけでございますけれども、そうなってまいりますと、事実上せっかく取り上げられた通算制度が、一部の人たちに対しまして非常に冷遇をしているということになってしまうと思うのであります。いま私が申し上げましたすでに地方団体関係団体職員共済組合組合員であり、またすでに年金をもらっているけれども、その年金をもらっている人が、いま申し上げましたような関係から、その年金の額が最低の六万円にも満たない人たちがある、こう考えてよろしいのかどうか、まず実情を伺っておきたいと思います。
  9. 長野士郎

    長野政府委員 このすでに恩給をもらっている人たちでありましても、その恩給の額が非常に少額といいますか、少ない人につきましては、そういう人でありましても恩給をもらっているというかっこうでございますので、団体職員期間通算をいたしませんから、そういう人につきましては、お話しのような非常に少額な人が出てくることは事実でございます。
  10. 奥野誠亮

    奥野委員 端的にお伺いしますが、地方団体関係団体職員共済組合組合員であって、すでに年金はもらっているけれども、その年金の額が六万円に満たないのだ、こういう人があるかどうかということでございます。もしあるとすれば、その人についてまで通算制度適用しないということは非常な不合理な扱いになっているように、かように考えるわけでございます。
  11. 長野士郎

    長野政府委員 五万円以下の年金受給者相当数ございます。
  12. 奥野誠亮

    奥野委員 そうなってまいりますと、すでに年金をもらっている人については通算制度適用しないのだということは、あまりにも酷な立法であった、かように考えるわけでございます。もちろん昨年の議員修正は、通算制度を取り上げた点において相当な発展を見たわけでありますけれども、おっしゃるような不合理があったと思うのであります。そうなってまいりますと、年金をもらっているから通算制度適用しないのだということはやはり不合理がある。むしろ団体のほうから要望しております点を取り上げたほうがいいと思うのでありますけれども、その場合にどれくらい財源がふえるものなのか、財源率にどういう影響を与えるのか、同時に掛け金率の上にどういう影響を与えるのか、この数字を教えていただきたいと思います。
  13. 長野士郎

    長野政府委員 先ほど申し上げました五万円未満の年金受給者は大体四十名ぐらいございます。そしてお話しのように通算措置を講ずるということになりますと、財源率にいたしまして千分の〇・五、掛け金率にいたしまして千分の〇・二ぐらい影響があるようでございます。
  14. 奥野誠亮

    奥野委員 たしか現在の掛け金率が千分の四十四前後であったように思うのですけれども、千分の四十四前後に対して千分の〇・二の影響しかないということになりますと、まず通算制度年金受給者についても広げていくという制度をとっても、組合員掛け金をふやすという必要はないように判断するのですけれども、この点についてお考えを伺ってみたいと思います。
  15. 長野士郎

    長野政府委員 現行掛け金率は千分の四十二でございまして、十二月から千分の四十四になるという予定でございますが、その際につきましても、いま申し上げましたように、掛け金率が千分の〇・二ぐらいでございますから、そのために掛け金率をふやすという必要は考えられないと思います。
  16. 奥野誠亮

    奥野委員 もう一つ、違った面を確かめておきたいと思います。  かつて公務によって足を失った、腕を失った、そういう人たちについては増加退隠料が支給されている。国家公務員の場合には増加恩給支給されている。共済制度への切りかえにあたって、増加恩給や増加退隠料を放棄しなければ期間通算をしない。資格要件ではなしに、年金額算定について通算をしない。放棄した者についてだけ通算をして退職年金を計算をする。こういうように切りかえ当時に行なわれた、かように考えているわけであります。ところが公務のために傷ついている身であるのに、通算される人についても増加退隠料なり増加恩給なりに類するような恩典を何も認めないということが不合理だということで、今度の改正法案の中では廃疾年金支給するのだ、こういうように出されておるわけであります。これは当然のことではなかろうか、かように判断をするわけであります。ところが、依然として増加退隠料なり増加恩給を放棄しない限りにおいては、この制度恩典にあずかれないのだという態度をとっておるわけであります。私はここに非常に不合理な点を考えるわけでありますけれども、私がいま申し上げた点が事実であるかどうか、まずその点を伺っておきたいと思います。
  17. 志村静男

    志村説明員 現行制度につきましては、いま先生がおっしゃったとおりでございます。
  18. 奥野誠亮

    奥野委員 一般的には通算認められている、通算認められていないようなのは非常な例外だ、こう私は共済制度については承知しているわけでございます。ことに増加恩給とか増加退隠料を支給されるに至らない程度の障害、足を失った腕を取られたというところほどはいかない、そういう公務傷害人たちについては、傷病資金とか傷病年金ですか、そういうものが支給されているように思うのですけれども、傷病資金傷病年金をもらっている人は、別にこれらを放棄しなくても通算になっていると思うのであります。けがの軽い人が通算制度をとられておって、けがの重い人たち通算制度をとられていない。これは非常にアンバランスじゃないか、かように考えるわけでございます。私がいま申し上げたことが事実かどうか、これも確かめておきたいと思います。
  19. 志村静男

    志村説明員 御指摘のとおりでございます。ただいまおっしゃいましたように、傷病年金の場合との不均衡もございますので、今回御提案申し上げているような改正案を御審議をわずらわしている、こういうふうなわけでございます。
  20. 奥野誠亮

    奥野委員 改正案においても、増加退隠料を放棄していない人は、やはり放棄しない限り通算制度適用になっていないと思うのであります。そこが不合理だと、こう考えるわけでありまして、そのような食い違った仕組みをとっている理由を教えておいていただきたい。いま改正案がそれを取り上げているとおっしゃいましたが、私は取り上げていないと思っているわけであります。増加退隠料を現に支給されている、そういう人は、この改正案においてもやはり放棄しない限りにおいては通算制度適用にならない、廃疾年金が受けられない、こうなっていると見ているわけであります。公務のためにけがをした、大きな傷を受けた人が、放棄しない限りは通算されなくて、軽い者が通算される、二重に不均衡だ、こう思っておるわけであります。この点についてお教えをいただきたいと思います。
  21. 志村静男

    志村説明員 増加退隠料等を受ける権利につきましては、その特殊性からいたしまして、新しい共済制度への移行にあたりましては、いわばセットという考えでこれを処置しているわけでございます。つまり、先生承知のように増加退隠料につきましては、その在職期間の長短あるいは給料年額の額にかかわりませず、一定の金額支給される。しかもいわゆる退隠料というのは必ず併給され、しかもその場合は実在職年数年金最短年限に達しない場合におきましても、最短年限金額支給されるというように非常な特殊性がございまして、いわばセットというふうに考えられるわけでございます。そのために新制度移行にあたりましては、原則といたしましていわゆる別建てというたてまえをとったわけでございますが、本人が希望してこれを消滅させるという場合におきましては、これを消滅させ、そのかわりその基礎になった期間組合員期間に算入し、組合員期間に応じて退職年金支給する、こういう現行制度になっているわけでございます。それに対しまして傷病年金の場合は、本質的にはいわば一時金的なものでございまして、しかも昭和二十八年の恩給法改正により、本則としてはこれが消えておる、こういうようなかっこうになっております。また、傷病年金の場合におきましては併給退隠料というものがある場合がございますが、これはあくまでも実在職年数年金最短年限に達している場合に限って支給されるわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、増加退隠料の場合必ず併給されるところの退隠料とはやはり性格が違っておる、かように考えておるわけでございます。したがいまして現行制度におきましては、いま先生から御指摘があったわけでございますが、取り扱いを違えておる、こういうような状況になるわけでございます。
  22. 奥野誠亮

    奥野委員 かりにお話のように増加退隠料や増加恩給の場合には、退職年金なり普通恩給なりとセットになっているものだからという理屈を認めましても、今後こういう問題はもう起きないわけでありますから、やはり増加退隠料を受けている人の立場考えて、放棄しなければ通算認めないというようなことは不合理じゃないか、かように私は指摘をしているわけであります。同時にまた、セットになっているとおっしゃるけれども、現に組合員であります場合には退職年金なり普通恩給なりが停止になっているじゃないか、そして増加退隠料なり増加恩給けが支給されているじゃないか、セットになっているとおっしゃるものが分離して運用されているじゃないか。そうなってくると、あえて増加退隠料、増加恩給まで放棄しなければ通算制度認めないということは、私はやはり不合理だ、こう考えるわけでございます。あえて言うなら、普通恩給を放棄する、退職年金を放棄する、そういう場合には通算認めます、こういう程度のことであるなら、それは私はもっともだ、こう考えるわけであります。この点について再度伺っておきたいと思います。
  23. 志村静男

    志村説明員 確かに考え方といたしましては、増加退隠料等の場合におきましても増加退隠料と併給退隠料とを切り離しまして、いわば傷病年金の場合と同じような取り扱いをするという考え方もあろうかと思います。ただ、現行制度におきましては、先ほど申し上げましたように増加退隠料等権利につきましては、やはりそれはセットであるという前提に立ちまして、いわばオール・オア・ナッシングという考えをとっているわけでございます。しかし、それにいたしましてはやはり傷病年金の場合等に比べまして問題がございますので、今回の改正法におきましては所定の手続を経て再選択の機会を認めて、そして増加退隠料等支給事由となりました公務傷病新法施行前のものではございますが、新法施行後の公務傷病による廃疾と同様に公務廃疾年金支給しよう、こういう改正案を御提案申し上げているわけであります。
  24. 奥野誠亮

    奥野委員 今回の改正案では、増加退穏料を受けている、増加恩給を受けている人たち立場に立った考え方が十分でないということを私は指摘しているわけでございます。今度の改正法でも、放棄しなければ依然として通算認めていないわけであります。しかし増加退隠料、増加恩給を受けている人は、その全都がすでに生活の資に充てられているわけでございます。また、生活の資に充てられているからあえて放棄をがえんじなかった、こう考えてよろしいと思うのであります。ことに足をなくし、腕をなくしている、その償いとして国家であるいは公共団体で保障されている金でもあるわけでありますから、それを放棄しない限りは通算認めないということは不穏当だと思う。だから、むしろ普通の恩給なり退職年金なりを放棄しなければ通算認めない、これならわかる。でなければ、今度の改正法では、法律施行後六十日以内に放棄した場合には通算認めてあげます、こう書いてあるわけですけれども、それはむしろ退職時にその選択をさせたらいいじゃないか、こういう考え方もしているわけであります。しかし、いずれにいたしましても、そういう点に問題があると私は考えるわけですけれども、この点お認めになるかどうか伺っておきたいと思います。すでに生活の資に充てられている金じゃないか、その生活の資に充てられている金を放棄しなければ、依然として通算認めないんだ。これは増加退隠料なり増加恩給なりを受けている人たちの事情というものを無視し過ぎてはいないだろうか、そこに問題があるということをお認めになっているか、伺っておきたいと思います。
  25. 志村静男

    志村説明員 先生指摘ございましたように、確かに現に支給を受けている者に対しまして、それを放棄させるということになりますれば、問題があろうかと存じております。
  26. 奥野誠亮

    奥野委員 同時に、これらの増加退隠料、増加恩給、これが公費負担であることは当然でありましょうけれども、また退職時に放棄して通算認められ、廃疾年金支給される場合には、その廃疾年金もまた公費負担であれば、組合員の個々の掛け金には何ら影響がないというふうに承知しておりますが、この点についてもお伺いしておきたいと思います。
  27. 志村静男

    志村説明員 御指摘のように、公務による廃疾年金につきましては、地方公共団体全額負担でございます。
  28. 奥野誠亮

    奥野委員 なお若干お尋ねしたいこともあるわけですけれども、特にこの二点を先に政府側の所見を伺っておきたいと思いましたので、これだけで一応やめさせていただきます。
  29. 亀山孝一

  30. 細谷治嘉

    細谷委員 いままで質疑いたしました点と重複いたしますが、大臣が来るまで質問をしたいと思います。  七十四条の二のスライド制の問題ですが、いままでの答弁では、こういう条文を第五十一国会で設けたのでありますけれども、具体的にどういうふうにやっていくかということについては、何ら確たる答弁がないわけです。このスライド制の実施にあたっては、法律事項だというようなことはおっしゃっておりましたけれども、一体それではどういう法律をつくるのか、どういうテンポ、めどで進めていこうとするのか、こういうことについては何ら話がないわけであります。これについて、だんだん質問が終わりに近づいておりますから、具体的な日程をお聞きしたい、こういうことです。
  31. 長野士郎

    長野政府委員 このスライド制につきましては、前々からいろいろ御質問をいただいておるわけでありますが、このスライド制を実行するためには、別の法律による、それは年金算定基礎になる給料額とか、あるいは算定の基準とかをすべて変えていくことになるわけでございますので、そういう意味で、法律改正が行なわれて、具体的な措置がとられなければ、このままで自動的にスライドするというかっこう規定ではございませんので、そういうことになると思うわけであります。  では一体いっそういう具体的な手順が具体化するんだということでございますが、現在恩給審議会におきまして来年の三月三十一日までをめどといたしまして、恩給関係のスライドの具体的な研究ということにかかっておるわけでございます。共済は一部恩給というものに深いつながりがあるわけでございまして、そういうものとの関連を考える、またほかの年金その他の制度との関係も考慮していかなければなりませんので、そういう両方を考えなければなりませんから、恩給審議会の結論等を得ました上で検討してまいる、こういうことになると思います。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは答弁は一つも進んでないわけですよ。恩給との関係は当然あるでしょうけれども、七十四条の二というものは「国民の生活水準地方公務員給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定」する。よく法律で「当分の間」と書いてあって、二十年もほたくってあるというような例がありますけれども、「すみやかに」というのは、二十年というのは、千年と比べると当分の間かしれませんけれども、ここに書いてある「すみやかに」というのは、相当具体的でなくてはならないと思うのです。ですから、いまの答弁ではどうにもならぬですよ。行政局長、ずばりともっとあなたらしい答弁をしてください。
  33. 長野士郎

    長野政府委員 先ほど来申し上げておりますように、恩給との関係、他の年金との関係、それぞれ関係があるわけでありまして、恩給のスライド制の実施に関する答申が本年末か来年の初めころには当然行なわれてくるわけであります。したがいまして、共済年金につきましても、これと並行して検討することになるわけでございますけれども、共済年金については、先ほども申し上げましたように、他方におきましては社会保険の一環としての社会保険の年金のスライド制とか、それに伴う費用負担取り扱いというものをもあわせて考えなくちゃならないという事情があるわけでございます。したがって、両方にらみ合わせながら考えていくということになるわけでございますので、そういう意味で、共済年金のスライド制の扱いについてすみやかに結論を得ろ、そういう時期は早いということは、当然法律が予定しているではないかというお話、そのとおりでございます。そういう意味で、私ども御趣旨に沿いまして、早期に結論の得られますよう鋭意検討してまいりたい。そういうことでひとつ御了承願いたいと思います。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題については、いろんな審議会等の意見を聞く必要もありましょうけれども、第五十一回国会が済んでからもうすでに一年以上になるわけです。ですから、たとえば超過負担の場合に、自治大臣が、四十二年度を含めて三年以内にとか、解消しますとか、こう答えたわけですね。そのくらいの答えは出なければいかぬと思うのですよ。たとえば、これから一年間、ひとつ審議会等の意見を聞いて検討いたしましょう、そしてひとつ次の通常国会には提案のできるようにしましょう、このくらいの答弁、あるいは、もうちょっと、もう一年長くとかなんとかということで、具体的に答弁していただかぬと、これは最終段階における質問ですから、繰り返し質問しているゆえんもそこにあるわけですから、ひとつお願いします。
  35. 長野士郎

    長野政府委員 御趣旨のありますところはよくわかるわけでございますが、いつまでということが、現在ここで申し上げるように見通しがついていないのでございまして、なるべく早く引き上げに向かって努力をしたいということでございます。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 これは「すみやかに」、と書いてあるわけですからね。すみやかにということであれば、去年のことでありますから、きょう、この国会では、少なくとも次の通常国会には出すようにいたします、このくらいの答弁が出なければ、「すみやかに」という字句をお消しにならなければだめですよ。しかし、局長では無理でしょうから、大臣が来たときに、この辺の答弁はいただかなければならぬと思うのですよ。しかし、ほんとうは、局長、大臣が来なければものを言えないのじゃいかぬですから、もう一辺何かこの点でお答えありますか。——ないですか。
  37. 長野士郎

    長野政府委員 たびたび申し上げておるとおりでございます。もうお説のとおり、一刻も早く結論を得まして、実現いたしたいという気持ちにはいささかも変わりはないわけでございますが、申し上げますとおり、恩給制度なり他の社会保険なり年金制度なりとの関係というものと非常に重要に横につながっておりますので、それらを検討してみませんと、負担の方法なり対象というものもはっきりした見通しがつかない現状でございます。したがいまして、鋭意そういうものとの関連におきまして研究を進めまして、具体的になるべく早く実現したいという気持ちには変わりはございません。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 長野局長にお尋ねしておきますが、この種のものは、法律的にこういう年金制度というものは、さかのぼることができるのですか、できないのですか。
  39. 長野士郎

    長野政府委員 負担のしかたとの関係がございますけれども、また聞いてみますと、従来さかのぼった例はないそうでございますが、負担をどうするかというものとの関連もございますけれども、さかのぼってさかのぼれないことは法律的にはないと思います。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 負担は、たしか掛け金率等の関係があるわけでありますが、過去におさめていない分は適当に差っ引けばいいわけですね。たとえば、三十七年の十二月にこの法律が施行された際に、それまでに、たとえば議員なら議員をやっておった、あるいは公務員になっておったといった場合には、過去の分が通算されてくるわけですから、その場合には年金額は差っ引かれて支給されているわけですから、いいわけですね。それはもう数字の問題ですわ。保険数学の大家もおるそうでありますから、それは皆さまにまかせますが、法律的にはさかのぼってもいい、こういうことですね。それは確認できますね。それは大切なことですからね。
  41. 長野士郎

    長野政府委員 法律的には可能だと思います。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 それではお尋ねいたしたいのでありますが、百十四条で、これはせんだって委員会山口委員から質問があったと思うのでありますが、「組合員のうち給料の額が十一万円をこえる者は、前項の規定適用については、その額が十一万円であるものとみなす。」いわゆる頭打ちの規定でありますが、国家公務員に対しては、法第百条の三項で同じような規定があるわけであります。ですから、各省の局長さん等、長野さんも同様だと思うのですが、みな頭うちにひっかかっているわけですね。県知事は、自治省の交付税計算ではたしか二十一万円ぐらいでしょう。これも十一万円にひっかかっているわけですね。しかも、これは三十四年にできているわけですね。三十四年から今日までは、所得倍増政策のおかげでたいへんに物価が上がっているわけですね。そうなりますと、三十四年にできた規定をこういう形でやっておきますということは、これはたいへんな問題だと私は思うのですよ。これは、先ほど質問いたしました七十四条の二の「すみやかに」というのがこの法律の文章に書いてあるのと、政府の態度というのがこれによく出ていると思うのですよ。「すみやかに」と書いてある。三十四年にできて、その後の経済情勢、国家情勢、給与情勢等を考えれば、十一万円の頭打ちというのはあまりにも非現実的だと私は思うのであります。この点について、これも具体的にお尋ねするのですが、いつ改正する意思がおありなのか、これをお尋ねしたい。
  43. 長野士郎

    長野政府委員 この問題についても、御指摘のありましたとおりでございますが、共済年金だけでものを考えるというわけにまいりません。他の公的な年金制度との関連もございまして、また、現実に言われております意見といたしましては、十一万円は確かに高いことはないけれども、現実の支給額を見ますと、十一万円をこえているような人は相当長期の公務期間を有しているものでありますから、現実にはそういう人たち年金額というものは相当程度に達しておりまして、公的な年金の額として、少なきに失するというふうには考えられない、こういうのが、現状でやむを得ないというところの一つの大きな理由になっているようであります。  それからまた、同時に、最高限度額の引き上げということは、この問題だけにとどまりませんで、先ほど申しました年金最低保障の引き上げという問題を誘発することになるだろう。したがいまして、そういうことから考えますと、現在の社会保障制度の健全なる財政負担能力からいって、にわかにはなかなか踏み切れない、これが実際だ、こういうことになっておるのでございます。しかしながら公務員の関係におきますところのアップの問題だけを見ますというと、確かに御指摘のような問題もございますので、私どもといたしましても鋭意検討をしておるところでございます。なるべく御趣旨の線に沿って検討してまいりたい、こう考えております。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 御趣旨の線に沿うて検討してまいりたいというどころじゃなくて、これは三十四年に十一万円であって、その後の物価の上昇の推移というものからいきますと、これはもう当然変えなければならぬ数字なんです。こういうことをほったらかしてあるものですから高級官僚が、公社、公団に行って、そうしてぬくぬくと居すわりをする、あるいは渡り鳥型をやる、こういうことだと思うのであります。ちょうど大蔵政務次官が見えましたが、あなたのほうの所管の国家公務員もそうなっているのですよ。あなたの部下の主計局長も十一万円で頭打ちでいるのですよ。どうお思いですか。これは大蔵が押えているのでしょう。
  45. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 私、御質問の経過をよく拝聴していないものですから的確な答弁になるかどうかわかりませんが、御趣旨はおそらく、年金額計算の基礎となります俸給月額の最高限度が十一万円で三十四年以来引き上げていない、これはおかしいじゃないか、その後物価あるいは経済指数のいろいろの変動があるのにというお尋ねでないかと思うのでございます。  確かにおっしゃるように、昭和三十四年の十月以降据え置かれておることは事実でございます。これは俸給月額の最高限度額を十一万円に押えていますのは、共済年金が公約年金制度の一環であるということから見ますと、他の公的年金のいろいろな制度、たとえば厚年とか、そういうものとの均衡考えていかなければならないのでございます。厚年におきましては、御存じのように給付基礎となります報酬の最高限度額は現在六万円、調整年金制度を採用いたしまして、その場合におきましても認可基準については標準報酬の最高限度を十一万円にしておるわけでございます。したがって、私どもとしては、そうしたいろいろの均衡というものを考えますと、現在の十一万円を引き上げることにつきましては、他の公的年金制度俸給の限度額との均衡からいいまして相当いろいろな問題点が出てまいるわけでございます。  そこで、共済年金給付の体系が、他のいろいろな公的年金制度との関連等を十分調整しあるいは検討して、この額を引き上げるかどうかという点についてはきめていかなければならぬものですから、そういう意味で、従来の厚年あるいは他のいろいろな国民が受けております公的年金制度との関連で、なお慎重に検討しなければいかぬのじゃないか。こういうことから私どもとしては従来は引き上げてこなかったわけでございます。  いま自治省から、なお前向きに検討したいという答弁でございました。昨日でございますか、御承知社会保障制度、特に所得保障の制度につきまして、制度審議会から、統一的ないろいろの観点からこれを取り上げて検討してやっていくべきである、いまのようにばらばらでは困るじゃないかという申し入れもいただいたわけでございますから、政府として十分その点答申の趣旨に沿うような方向で今後も検討しなければいかぬと思うのでございます。そうした全般の検討の際にひとつ譲っていただくように、いま御質問ではありますけれども、ここで私まだこの問題だけを切り離して引き上げをやるというようなことは、御趣旨に沿わぬかもしれませんが、共済年金の問題だけできめていくわけになかなかまいりませんので、そうした総合的な検討を十分やりました上で考慮させていただきたいと思います。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 私は質問時間はないのですが、自治大臣が来るのがおくれたものですから、途中私が飛び入りでやっているわけですけれども、政務次官のお話を聞きますと、他との均衡と言う。均衡というのは現実性があるということを前提に置いた上で均衡ということを議論しなければならぬ。非現実的なもの、そのものを比べて均衡均衡だなんて、そんなことを言ったってこれは筋が通らないと私は思う。一応レールの上に乗っかった上でバランスがとれているかどうかということがバランスであって、調整というのが問題になってくると私は思うのですよ。この問題につきましては、昨年これは主として都道府県議員から起こった問題でありまして、この十一万円というのは非現実的だ、現在の都道府県議員の歳費というのは大体平均十二、三万円になっているのだ、こういうことであるから、ひとつ十五万円ぐらいに上げてはどうかという話がありました。私にあったのですよ。あなた了解できますかというから、それはもう非現実的なものは現実的にすべきでしょうという答弁をしたのでありますが、その後、今度の国会には消えてしまっておった。消したのはどこかというと大蔵省らしい。他との均衡、他との均衡という形で大蔵省が消したようですよ。ところが、都道府県議員が、それはやはり政治的に強い発言権を持っておりますから出ておりますけれども、現実に大きな問題は、知事は二十一万円、あなたの部下の局長あたりでももう十一万円じゃないでしょう。私はこういう問題についてある局長に会いましたら、やはり二十何万円とっているのですよ。何とかしてくれぬか、こういうわけですよ。ところがやはり自分が立法に関係しているものだから、自分のことのようで、我田引水のようであまり言えぬから、こう言うのです。やはりほんとうに言う方もあると私は思うのです。大蔵省は他との均衡というのが一つの理由、それはおそらく財源がないということから来ると思うのですが、もう一つは、過去にさかのぼれないのだ、私も極端にさかのぼれとは言っていないのですよ。しかし、私たち国会議員は頭打ちなしですよ。十年したらそのときの歳費で来るわけですから。ところがほかの法律を自分たちはきめるのだけれども、自分たちのものは頭打ちなしにしておいて、ほかの人たちは頭打ちにする。しかも非現実的な十一万円を押し付けるというのは、たいへんいかぬと思う。ですから、さっきも話がありましたように、大蔵省は痛痒を感じないのだろう。なぜならば、よそにたくさんの外郭団体があるから。居すわり型もおる、渡り鳥型もいる。しかもそれは二十五、六万円という公社、公団の役員になって長くおられるわけですから、痛痒を感じないのじゃないかという声すらあるわけですよ。ですから、これはやはり現実的なものに私はすべきだろうと思うのです。  あと、自治大臣に聞きたいのですけれども、自治大臣、これはある程度はさかのぼっても違法じゃないというのをあなたのところの局長に聞いて、私はしっかり言質としてそれをもらっておるのですから、あとでこの問題については質問しますけれども、きょうは本会議が控えておりますから、私はこれでとめておきます。
  47. 亀山孝一

    亀山委員長 林百郎君。
  48. 林百郎

    ○林委員 私はおもに大臣に、地方公務員の共済の問題をお聞きしたいと思うわけです。ということは、技術的にはいろいろの問題がありますので、政治的に政府の大きな方針を率直にお聞きしたいと思うのです。  そういう意味で重要な問題点だけ拾ってみますと、この地方公務員共済制度の中へ、明確に国が負担するということが規定されている資金が導入されていないという問題があるわけですね。これは、この地方公務員共済制度社会保障としての原則をどこまで貫くかどうかという問題——これを論議していると限りありませんが、基本的にはこれは社会保障の一環として考えるべきだと思うのです。それで社会保障だけは当然国と使用者、雇用主と国、この双方によって保障される、そして労働者の拠出によってはならないということはもう世界的な原則で、これはもう社会保障憲章なんかにもあるわけです。そういう中でこの社会保障制度を貫くということになれば、これは当然国が負担をすべきものというように考えるわけですが、どうしてこの制度の中に国が負担するということが法律的に規定され、また導入するということがなされなかったのでしょうか。その点をあなたと、それからお急ぎのようですから小沢さんに、このことについて大蔵省としては一体どう考えるのか、お答えをいただきたい。
  49. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 地方共済におきまして、国が直接ということでないではないかということでございますが、われわれといたしましては、いわゆる国民の税金でまかなわれる公経済からこの地方共済の経済に入れておるということで、いわゆる社会保障制度の一環としての形をつくっておるというふうに考えておるわけでございます。
  50. 林百郎

    ○林委員 だから、公経済であればあるほど、その負担の一部を国家負担する、公の社会保障制度であればあるほど国が負担するということが当然じゃないですか。なぜ負担しないのですか。
  51. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ですから、使用者としての地方団体でなくて、公経済としての地方団体からその分を負担しておる、こういうことでございます。
  52. 林百郎

    ○林委員 公経済としての国の負担というのは、具体的にはどういう負担のしかたですか。もしそういうことをしているなら、どうしてそういうことを法律的に明記されないのですか。
  53. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いや、国の負担でなくて地方公共団体、いわゆる使用者としての地方公共団体でなくて、公経済としての地方公共団体、これが負担をしておる、こういうことでございます。
  54. 林百郎

    ○林委員 社会保障である限り国が負担するということは、これは原則なんですよ。あなた、使用者としての地方公共団体が公的な性格を持っていると言いますけれども——そういうことでしょう、違うなら違うでいい、ちょっと待ってください。しかし、地方公共団体といっても、三割自治とか二割自治とかいわれますけれども、実際の仕事は国の委任事務というものが非常に多くなってきているわけでしょう。しかも財政的に交付税方式がとられて、ほとんど国のひもつきの財源地方財政はまかなっているわけでしょう。すると、実質的な使用主、実質的な地方自治体の財源の責任者というのは国じゃないですか。その国がどうして地方公務員社会保障的な責任の面にいくと姿を消してしまって、一言もそのことが法律の中に出てこない。これは一体どういうことなんですか、私にはわからない。ことに、これはもう各地方市町村職員共済組合から、厚生年金保険が四十年度の改正によって国庫負担が百分の十五から百分の二十になったんだから、ぜひこのことを明確にし、定率化すようにこの際努力してもらいたいという要望が、私たち委員のところ全部にきているわけです。これはもう地方公務共済組合あげての熱望なんですね。私は、基本的には、原則として国が全額負担すべきだという方向を持っておりますけれども、しかしいまの日本の現状からいって、とうていそういうことを言ってもほど遠いと思うのです。しかし、少なくとも国がこれだけの定率のものを責任を持って負担するということがどうして地方公務員共済制度の中にだけは出てこないのか。もう一度あなたにお聞きしたいのです。
  55. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほどからお答えしておるのは、一五%については公経済としての地方公共団体が、それを使用者としてではなくて負担をしておる、そういう点で社会保障制度性格を持っていると申し上げているわけでございます。また、それを二〇%にしろという各方面の御希望、御要望については、先般来お答え申し上げたように、われわれもそれを社会保障制度の進展として、それが実現するように努力をいたしたい。もちろん地方共済だけが独走するわけにはいきませんけれども、そういう方向で努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  56. 林百郎

    ○林委員 それじゃ小沢さん、時間があれですからお聞きしますけれども、どうして国が一定の率を責任を持つ——それは使用者としての地方自治体ではなくて、公的な責任を持った地方自治体だと言うけれども、そうすると使用者という面は全然ないと見ていいんですか。地方公務員共済の制度の中には、使用者負担というものは全然ないんだと、それでいいんですか。それじゃ全部が公的色彩を持った地方公共団体掛け金率以外のものは負担している、こう言っていいんですか。それならば、最高の責任者である国家が、国が、地方自治団体をしてこうさせるとか、交付税の中に国家は毎年定率的にこれだけのものを負担するとか、そういうことがどうして国ということで法制化されないか、自治大臣はその点。  小沢さんについては、この問題をどう考えられるのか。ことにこの十二月一日からは財源率を上げなきゃならないという問題がある。それから、これはあとで聞くつもりですけれども、ことに短期給付の健康保険関係では赤字があるという理由で、これも財源率を上げるというような問題がある。さっき言いましたように、実際の仕事は委任事務で国の大きな仕事をしょわされて、このために地方公務員は非常に労働が強化されている。そして財源からいっても、自主的な財源というのはほとんどない。ほとんど中央がひもつきの財源をしている。財源からいっても国がひもつき、仕事の上からいっても委任事務が膨大だ、そして社会保障の面は国は知らぬ顔をしている。一定の金を預金部へ預託しろ、あるいは公債を買え、それはどういうことなんですか、一体。地方公務員共済について、国というものは、政府というものは全然責任を負わないということでいいんでしょうか。もう一度お聞きしたいと思います。
  57. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この共済の負担の割合は、御承知のように、一五%は公経済たる地方公共団体が見る、そうしてあとの残りの八五%を使用者たる地方公共団体組合員とが折半をいたしておる、こういう形でございます。この一五%の公経済として負担する分については地方交付税で見ておる、こういうことでございます。   〔委員長退席、久保田(円)委員長代理着席〕
  58. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 国がなぜ地方公務員共済に負担をしないのか、あるいはまた法律でそういうことを書かないのか。これは自治大臣がおっしゃっておられますように、国が出すと同じことなんでございまして、公経済としての公共団体が、まあいわばそれは厚生年金等あるいはその他の年金で国が一定の負担割合を出しているのと同じ意味に解していただければ、私はどうも疑問はないんじゃないかというふうに思うのでございます。大臣のおっしゃられるとおりで、私どももそう考えておるわけでございます。  それから一五%と二割の問題でございますが……。
  59. 林百郎

    ○林委員 いや、一五%を交付税で見ていると自治大臣は言いますね。しかし、そのままでいけば、この十二月には財源率やいろいろ短期も長期も増額するような傾向があるわけですよ。その場合に、かりに百分の十五をどこが負担するかは別として——交付税で見ていると大臣は言いますが、百分の十五というものは変わらないのですか。その率は上がるのですか。
  60. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 財源率の再計算期をたしか十二月に迎えるのじゃないかと思うのですが、その十二月の再計算期の前に、私どもがいまここでその率を、じゃ大蔵省としてどう考えるかと言われましても、やはり再計算のいろいろな結果を見ないうちは、私どもとしてはその意見を申し上げる主管官庁でございません。ただ、いまお話しの、国についていろいろおっしゃいましたり、あるいは一五%をさらに——これは全然国が関与してないじゃないかとおっしゃいますけれども、地方財政全般ということで、国はまたいろいろと地方財政全般についての配慮はしているわけでございますから、そういう面で地方公務員共済組合の本質的な点を考えますと、これは、御質問ではございますけれども、自治大臣がおっしゃるようなことで、他の公的年金と同じようなことに考えていただいていいのじゃないかと私は思っております。
  61. 林百郎

    ○林委員 小沢さんにまた聞いてもお気の毒な気がしますから。これは再計算のあれというのは自治省では試算が出ておりますし、それをいまもう強行しようという方向が出てきているわけです。そういう中で、いわゆる自治大臣の言う交付税の中へ幾らの負担を込めるかどうかということがいま問題になっている。地方自治体が負担するかあるいは国が負担するか、地方自治体の財政に重大な影響を及ぼすから、それは小沢さんわからぬならわからぬでけっこうです。どうぞ向こうの委員会へ行ってください。  そこで大臣にお尋ねしますが、あなた、百分の十五は交付税で負担するというのは、法律のどこにそういうことが明記してあるのですか。地方公務員共済組合法の中にありますか。
  62. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 地方共済法の百十三条の二項の第二「長期給付に要する費用」「掛金百分の四十二・五、地方公共団体負担金百分の五十七・五」五十七・五というのは、先ほど申しましたような公的経済としての十五と使用者としての負担分四十二・五、これを合わせたものでございまして、それを財源措置として交付税で見ておる、こういうことでございます。
  63. 林百郎

    ○林委員 だから、そんなことは法律に書いてないでしょう。百分の十五負担するってこの百十三条のどこに書いてあるのですか。五十七・五とあるだけじゃないですか。
  64. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 五十七・五というのが、いま言ったように一五%と四二・五%、これの合計額でございます。
  65. 林百郎

    ○林委員 どこにそういうことが書いてあるかと聞いているのです。
  66. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 一五%というのは書いてございません。
  67. 林百郎

    ○林委員 書いてないでしょう。あなたがそういうことを言うなら、どうして法律に書かないのですか。あなたがそういうように言っているだけで、また事実上そうなっているということだけでしょう。なぜ国家の責任を明確にできないのですか。それを聞いているのです。あなたは口で百分の十五は交付税でやるやると言っているけれども、そんなことは法律のどこにも書いてない。便宜上そう扱っている。あるいはどこかの取り扱い規程にあるかもしれないが、法律にはないのです。なぜそれを法律に明確に、国家の責任を、私は百分の十五ぐらいでいいとかなんとかいうことは言ってませんよ。しかしどうして地方公務員共済制度に、国家が、財源の点から言っても、仕事の点から言っても、責任のある国家がこれだけの責任を負うというところがどうして明記されないのですか。たとえば国と直接関係のないような、私立学校の教職員共済組合とか農林漁業団体職員共済組合なんか、これこそ国と直接関係のないところでしょう。ここにはちゃんと国の責任が、多い少ないは別です。われわれはそれについてはたくさんの意見がありますけれども、しかし私立学校だとか農林漁業団体、農協の職員には国がこれだけの責任を持つ。中央政府がですよ。それに対して地方公務員の共済については、どうして中央政府がこれだけの配慮をするということが法律で明記できないのか。あるいは、実は自治省としてはそういうことをいろいろ大蔵省へ要望しているのだけれども、政府間のいろいろの調整で、まだ林さんの言うようになかなか実現できないというならできないで、またあなたの衷情がわかるけれども、ところが開き直って、そんなことはあたりまえだ、書いてない、五七・五の中の一五はそうだよ、あなたがそう言っているだけでは、自治大臣としての、少なくとも地方公務員社会保障について行政的に最高の責任を持つあなたが、あなたの責任を果たしたとは私は考えられないのです。どうしてそういうことが明記できないのですか。
  68. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 元来、共済というものは使用者と被用者との間の折半、それに何らかの公経済が入ってくる。したがいましてこの掛け金四二・五%というそれに見合うものは、当然使用者としての地方公共団体では四二・五%であるわけです。したがってそれを引いた一五%というものが当然公経済としての負担ということにこの条文からもなると思うのでございます。そうしてその五七・五%につきまして交付税でこれを見ておる、財政需要として見ておる、こういうことでございます。
  69. 林百郎

    ○林委員 交付税で見ていると言いますけれども、あなたは地方財政実情をおわかりでしょう。農協の職員や私立学校の教職員共済に政府が責任を持って負担してやるというなら、地方財政の一助として明確にそのことを法律化し、定率化して、これだけの責任は負うということがどうして明記できないのかということなんです。これは明記するかしないかの問題ではなくて、本質的な問題だ。要するに、日本の政府の社会保障に対する全般的な考え方がここに象徴されているので、私はあなたに言うわけなんです。御承知のとおり社会保障最低の基準をきめておる条約がございますね。ILOの百二号条約です。これは日本の政府は批准しているのですか、ないのですか。
  70. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 まだ批准をいたしておりません。
  71. 林百郎

    ○林委員 これは御承知のとおり、私があなたに言うまでもなく国際的な社会保障最低の基準ですね。どうして日本の国ではこの条約の批准ができないのですか。
  72. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 私も浅学にいたしまして、百二号の批准ができない理由につきまして十分承知はいたしておりませんが、一般の社会保障制度についてはこの百二号にほとんど合致しておると思われるのですが、災害補償関係でなお疑問があるので、これらについて検討されておるというふうに聞いております。
  73. 林百郎

    ○林委員 災害補償だとか家族給付だとか、そういう点で日本の国は最低基準に達してない、そういうことで批准する資格もないということで、日本としては社会保障については最善の努力をしなければならない。まあこれは私あなたに説明するまでもなく、自治労の組合の資料を見ますと、日本の国民の一人当たりの平均国民生産額はイタリアの国民一人当たりの平均国民生産額の一・三倍だ。しかし国民総生産に占める社会保障費の比率からいうと、フランスが一三・二%、西ドイツが一五・四%、イタリアが一二%、スウェーデンが一二%、日本は驚くなかれ四・一%ということです。だから、国民は非常に勤勉で、先進的な資本主義国に負けないだけの生産をあげているのに、社会保障の点に至っては先進的な資本主義国の四分の一かそれ以下だという、そうして国際的には社会保障最低の標準を示しているILO百二号条約までまだ批准できないという、こういう状態の中で、地方公務員の共済について政府はもっと積極的な意欲を示すべきではないかということで私は先ほどの問題をあなたに聞いたわけです。これは実は組合員が約二百三十万といわれ、その被扶養者も入れれば約六百万近くの営々として働いている地方公務員並びにその家族の人にとっては切実な問題なんです。そういうとき、それは地方自治体が責任を負うと書いてあるから、国がそんなところに法律上責任を明記しなくてもいいのだという言い方は、これはやはり六百万の地方公務員と家族の者に対する政府の責任の立場からいって許されないのではないか、こういうふうに私は思うわけです。  そこで、具体的な問題についてお聞きしたいのですけれども、時間がありませんので、短期給付のうち、特に健康保険の保険事業が赤字になっていることは、みなから聞いていることと思いますからあなたも御承知だろうと思います。したがって、その財源率も三十八年には七四・七%、三十九年は七九%、四十年は八三・五%、四十一年は八六・三%、ずっと財源率が上がってきているわけですね。四十二年度にはこれがさらに上がると思うのですけれども、これが上がるかどうか。将来これに対して根本的にどういう処置をとるのか。かかるからといって財源率をどんどん上げていくだけで処置していくつもりかどうかということが一点と、しかも将来、いまの短期給付財源率からいいますと必ずしも折半でないところがあるわけですね。これはいろいろ組合員諸君の戦いの結果、掛け金率のほうがうんと低くて負担率のほうが高いという、こういうのを将来折半に全部画一的にするのだ、こういう方針を自治省が持っているという話を聞いているのですけれども、この短期給付の保険事業の赤字について、財源率がことしは昨年に比べてどうなるのか。将来これを根本的にはどういう措置をとるのか。さらにこの折半説というのがいま行なわれているけれども、これに対してはどういう考えなのか。まず大臣に大きなところを聞いて、そしてあと局長に若干こまかい点を聞きたい。この短期給付の赤字問題ですね。いわゆる赤字、これは大臣はどういうように考えるのですか、大きな方向だけ。毎年毎年赤字が出ている、財源率はだんだん高まり、掛け金率がだんだん高まっているわけです。これを根本的にどうするのですか。
  74. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 根本的には、健康保険その他医療保険制度全体のいわゆる抜本策というものを政府はいろいろ検討をいたしておる、それにのっとっていくということになろうと思います。  それから赤字の問題でございますが、お話のようにだんだん赤字が多くなってくる、しかし最近の情勢はそれが少し落ちついているという形であろうかと思います。数字的には事務当局から説明申し上げます。
  75. 長野士郎

    長野政府委員 財源率について先ほどお話ございましたが、ある意味で、おっしゃるように……。
  76. 林百郎

    ○林委員 簡潔にやってください、時間が制限されていますから。
  77. 長野士郎

    長野政府委員 確かに、年々上がってきているところが多いということは御指摘のとおりであります。結局その点については、先ほど大臣が申し上げましたように、医療制度の根本的な問題との関連で考えていかなければならないという問題でもございますし、私どもも矯正策といいますか、是正策というものについてもいろいろ検討しているところでございますが、従来折半負担でないところをだんだん折半負担さしておるようなところはないかというお話でございます。これは共済の福祉事業については折半負担原則だ、短期給付については折半負担原則だということは、社会保障制度審議会などでも繰り返しいわれておるところであります。従来、たとえば健康保険との関係等におきまして、沿革上使用者負担のほうが多いというところが、現在も折半負担でない形で暫定的に残っておる、こういう状況でございます。
  78. 林百郎

    ○林委員 残っているから、残っているのを漸次折半の方向へ自治省は指導しているんじゃないか。ということは、せっかく地方自治体の職員がそれぞれの戦いで、そして折半負担から使用者負担を増加さして掛け金率を下げているときに、これを自治省のほうは逆に組合員のほうの掛け金率を上げて折半しろ折半しろと指導している、そして職員の諸君の戦いの成果をつぶそうとしている、こういうことがいわれているのですが、そういう指導は絶対しないのですか。それと、たとえば私の資料で見ますと、東京都職員のあれを見ますと、短期財源の、これは福祉のほうですけれども、掛け金率が一六、負担が四四というのが出ているわけです。これは非常に大きな幅の違いのあるところです。こういうのはやはりみんながそれぞれ戦ったり団体交渉をしてこういう成果を獲得したと思うのですが、こういう成果のあるところは成果のあるところとして、これを認めるのですか、直さしていくのですか。
  79. 長野士郎

    長野政府委員 いま申し上げましたように、短期給付については労使折半の原則ということは、これは一つ公に確認されているところでありまして、どうもお尋ねと逆なことを申し上げなければならないのはまことに残念でございますが、共済組合法の附則に三十二条という条文がございまして、それによりまして特例として現在折半負担の例外が認められておるわけでございます。むしろ昭和四十八年の三月三十一日までの間だけ例外を認める、特定のケースについて例外を認めようということでありまして、たてまえは、お話ではございますが、実は逆でございまして、四十八年の三月三十一日までにはむしろ折半負担というものに切りかえるということが法律上のたてまえになっておるのでございます。
  80. 林百郎

    ○林委員 それから事務的なこと、数字的なことを聞いておきますが、ことしの短期給付財源率は平均してどのくらいと計算していますか。昨年より上がっているかどうか。
  81. 志村静男

    志村説明員 市町村職員共済組合の場合でございますが、負担金のほうといたしましては千分の……。
  82. 林百郎

    ○林委員 財源率です。
  83. 志村静男

    志村説明員 財源率といたしましては千分の八十七程度でございます。
  84. 林百郎

    ○林委員 そうすると昨年より上がっておるわけですね。昨年八十六・三でしょう。
  85. 志村静男

    志村説明員 昨年よりちょっと上がっております。ほんのわずかでございます。
  86. 林百郎

    ○林委員 ちょっとなんて言わないで、上がっておることは間違いないですね。  大臣にお聞きしますが、短期給付財源率が実に百とか、百をこしておるようなところがあるわけですね。こういうところを見ますと、北海道だとか青森、岩手、秋田それから徳島、香川、長崎、熊本、大分というような地方自治体で、財源が何か貧弱といいますか、そういうところほど短期給付については、これはむしろ財源率は非常に高いですね。千分の百以上ということですね。こういうところについて、先ほども言いますように、この政府の負担というものを、かりに名前は交付税で負担するという、そういう形をとるにしても、そういうものを考えておらないのですか、増加してやるとか、特別な配慮をしてやるというようなことは。
  87. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 根本的には、先ほど申しましたように、他の医療保険制度の抜本的な改正とにらみ合わせなければなりませんけれども、短期給付については、たとえば当委員会の附帯決議で、短期給付についても国の負担制度を入れたらどうだというような決議もあります。そういうものともにらみ合わせて、この財源率の高いところについては考えてまいりたいと思います。
  88. 林百郎

    ○林委員 それから局長さんにお聞きしますが、五十七条の二項に、健康保険の改正に伴って負担の増加した場合、一部負担金を当該医療機関に支払うという条項がありますね。   〔久保田(円)委員長代理退席、委員長着席〕  五十七条の二項による健康保険法の四十三条ノ八の場合ですね。これはこまかいから局長でいいです。おわかりですか。これは健康保険法のほうを見ますと、たしか初診料だとか入院料ですね、入院料について一定の額を負担するわけですね。そうすると、今度かりに、健康保険法がどうなるかわかりませんけれども、あれによって初診料や入院料が増額すれば、この地方公務員共済の五十七条の二の一部負担金も上がることになるのですか。
  89. 長野士郎

    長野政府委員 健康保険法の臨時特例に関する法律によりまして、やはり法律の三条で「他の法律規定で健康保険法第四十三条ノ八の規定を引用し、又は同条の規定の例によることとしているものは、前条の規定を引用し、又は同条の規定の例によることとしているものとみなす。」というような規定がこの特例法のほうに入っております。したがいまして健康保険の特例が実施に移されますと、自動的にいま御指摘の二項の条文に乗り移っていく、こういうことになっております。
  90. 林百郎

    ○林委員 要するに、初診料や、それから入院ですね。入院する場合、三十円が六十円になるということになると、要するにそれだけ、健康保険で上がるだけのものはこの条項に関する限り上がっていく、こういうことになるわけですね。
  91. 長野士郎

    長野政府委員 そのとおりでございます。
  92. 林百郎

    ○林委員 時間の関係で、次に十二月一日の問題ですね、財源率なり掛け金率は幾ら上げる腹です。
  93. 長野士郎

    長野政府委員 長期給付財源率の再計算、いろいろ計算をした結果によりまして、地方職員につきましては、財源率が千分の八・五引き上げになる、公立学校につきましては七・五、一般職員の警察につきましては九・五、警察の特例職員については九、市町村職員につきましては六、都市職員につきましては、七、こういうふうに上がる予定でございます。
  94. 林百郎

    ○林委員 それは、自治省はそういう予定だということですね。ところがこの再計算の資料ですけれども、これにだいぶ問題があるということが、いま組合でもまた運審でも問題になっておる。あなたのほうも御存じかと思うのですけれども、基礎になった三十八年と三十九年という年は、これは定年制を問題にして退職の勧奨が非常に行なわれたときで、特に退職が多かった年なんです。それを計算の基礎にしておるという問題、それからこれは同僚の山口議員も聞かれたのですけれども、積み立て金の運用率が五分五厘というのですけれども、実際は六分五厘から六分二厘くらいのところですね、六分と計算してもいいんじゃないかという問題がありますし、そのほかこまかいことを言うと、地方公務員共済組合としては資料がないので、国家公務員共済からの資料を使っていろいろ埋めている、そういう、考えようによってははなはだといいますか、どうもずさんな計算で、いま言ったように財源率掛け金率を上げていくということがよろしいとお考えですか、どうですか。自治省はそういうことを考えているにしても、この問題についてはわれわれはもちろん反対です。全額国で負担しろということです。そういうことを一方的に、再計算表が何か絶対的な権威のあるものとして、これを地方公務員の諸君に押しつけて、それで通るとお考えになっていますか、どうですか。
  95. 長野士郎

    長野政府委員 自治大臣が示しました財源率算定の方法につきましては、私どもといたしましては、保険数理の専門官が鋭意検討いたしたわけでございますが、その場合には、組合の実態を検討しながら十分な検討をしたということで考えておるのでございます。また組合の実態の分析については、個々の組合がそれぞれの資料に基づきまして最も適した方法によってとるということも、これは当然のことでございます。したがいまして、そういうことで、組合によって分析のしかたに多少の差異が出てくることもあると思いますが、今回行なっておりますところの再計算の方法というものは、資料の問題等の御指摘もございましたが、現段階におきましては、一応最も周到に検討した結果というふうに私どもは考えております。
  96. 林百郎

    ○林委員 それはいずれ、自治省がそうお考えになっても、そういうあいまいな資料に基づいた再計算表を絶対の権威あるものとして自治省が無理押ししても、これは相当の問題が起きるというように私はいまから警告をしておきますがね、いけないですか、そう警告しては。納得しないような顔をしておりますけれども、しかし地方公務員共済の資料がないからといって国家公務員共済の資料をいろいろ借りてきたりするという、そしてようやくこういう計算をしておるわけです。それは地方公務員の諸君としては納得できない。  最後に、大臣にお聞きしますが、長期給付のほうの責任準備金の問題ですけれども、これはいまどのくらいあるのですか。
  97. 長野士郎

    長野政府委員 手元にございます資料でございますと、四十年度の末におきまして、全体で三千三百四十七億四千七百万円。
  98. 林百郎

    ○林委員 お聞きしますが、かりに五年後になると、どのくらいにふえるのですか。
  99. 長野士郎

    長野政府委員 大体千五百億程度ふえてまいるそうでございます。
  100. 林百郎

    ○林委員 毎年……。
  101. 長野士郎

    長野政府委員 はい、約一兆円……。
  102. 林百郎

    ○林委員 一兆円になるわけですね。ですから、これは重大な問題ですね、大臣、おわかりでしょう。数字からいっても一兆円の責任準備金が積み立てられてくるわけですから、この運用の問題については重要ですね。そこで原則からいうと、これは乏しい財源である地方自治体とそれから地方公務員の諸君が積み立てた金ですね。これがいまどういうふうに、大臣、一体運用されているのですか。
  103. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 四十一年度末の決算見込みで四千四百五十四億円程度、それに対しまして一番割合が多いのは、長期貸し付け金が全体の三四・五%、それから有価証券が三〇%というようなところが大きいところでございます。
  104. 林百郎

    ○林委員 そういうところですね、だから一号資産というのですか、一号資産の百分の五十五以上というような規定上運用のワクが与えられている。これを見ますと、現金、預金、貯金、地方公共団体の一時借り入れに対する貸し付け、資金運用部に対する預託、金銭信託または有価証券、要するに百分の五十五はこれは直接の地方公務員の福祉と結びついた運用ではなくて、むしろ銀行の預金あるいは有価証券あるいは資金運用部資金あるいは金銭信託というような、これは大きな資本家的な運営ですね、ことばをやわらげて言いますと。はっきり言えば、独占資本ということばをわれわれよく使いますけれども、この独占資本のほうへつぎ込まれて、そしてほんとうに地方公務員の福祉の面に使われるのは二〇%かそこらになるのではないか。しかも奇妙なことには、これは共済制度をとっているからそういうことになるわけですけれども、地方公共団体地方公務員は、自分の出した金を、今度はまた自分が利息をつけて借りるということになるわけですね。これはそういうことになるでしょう。地方自治体の一時借り入れに対する貸し付けだとか、あるいは組合員への貸し付けだとか、そういうことに対して、大臣としてはそういう運営のしかたがそれでいいとお考えになるのかどうか。もっと直接的に、これは利息を取る取らないという場合は、共済制度ですからいまの制度としては利息を取るのだとあなたはおっしゃるかもしれないけれども、少なくとも資金運用部預託だとか、あるいは銀行預託だとか、あるいは有価証券信託だとか、こういうものはやめて、もっと直接地方公務員の住宅の取得だとか、あるいは土地の取得だとか、そういう自分の将来の生活設計に結びついた方向へこれを大ワクに使わせる、そういうことを考えるべきだと思いますが、どうですか。
  105. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この長期資金の分、これは何としてでも確実に確保されていなければならない。それが非常な、たとえば不良貸し付けのようなことになってはならぬ。財産の保全というものが第一に考えられなければならないと思うのでございます。したがって、そういう点からいうと預金というようなものが一番確実であるわけでございますが、しかしこの資金の性格からいたしまして、たとえば不動産取得のための貸し付けとか、そういうものをやっている。ただ、そのときに利息を取るのがどうだというお話でございますが、いま申し上げたように、財産の保全というものが一番大切なわけでございますから、そうなっております。しかし、これらにつきましては時代の推移も考えながら、いろいろこの資金の保全方法については改善をすべきものはあろうかと存じております。
  106. 林百郎

    ○林委員 それは政府の、共済制度だとかそういうことにはおきまりに言うことなんですけれども、政府はいま年金保険やそのほかの積み立て金を入れますと約三兆二千億くらいのものを持っているわけですね。これの大きな部分は、資金運用部資金にいけば、資金運用部資金の中には御承知のとおりいろいろ独占資本のほうへ投資されるという面が非常に多い。それから銀行預託といっても、これは大きな銀行が何にその金を主として使うということはおわかりだ。ところが責任準備金を準備しておかなければならないというのだけれども、しかし、この人たち退職したりするときは、同時にまた新しい職員も入ってきているわけなんですから、これだけの何兆という金を常に準備していなければ責任が果たせないということはないんじゃないか。むしろ私の考えとしては、こういう共済制度という名のもとに、責任準備金を、何兆という金を握って、これを政府が財政投融資に使ったり、あるいは本来政府自身が見なければならない地方自治体への財政的な援助をこれでまかなおう、こうしておるのではないのでしょうか、そういうことについてもっと考える必要がないか。参考までに局長にお聞きしますけれども、金銭信託、それから銀行の預貯金というのは、どういう銀行へしておるのか、金銭信託というのはどういうところへ信託しているのか、ちょっと具体的にその先をお聞きしたい。それから大臣には、そういう何兆という金を常に持っていなければならない根拠というのはどこにあるか、その点をお聞きしたいと思います。
  107. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 共済、ことに長期給付についての共済、これは保険数理から出てくるわけでございますから、そうした保険数理からいたしまして、非常に大きい金にはなりますが、やはりそういう長期給付という性格からいたしまして必要ではないか。またその資金の運用方法は、これは林さんとは少し所見を異にするのでありますが、やはりこれを確実に保全するという意味からいたしまして、現行のようなものが必要だと思いますけれども、しかしこの保全の方法についてはさらに改善の方法を検討する必要はあろうと思います。
  108. 長野士郎

    長野政府委員 銀行は、施行規程の十二条というのがありまして、そういう資金の運用につきましての金融機関というのは、「臨時金利調整法第一条第一項に規定する金融機関」だというようなことになっております。これは信用金庫あたりまで入っておりまして、具体的な例と申しますと、それぞれ組合によって運用しておる機関がいろいろあると思いますが、銀行で申しますと、いわゆる市中銀行とか地方銀行はほとんど全部この中に入っております。それから信用組合等にも地方共済組合では預金をしております。それから金銭信託は信託銀行がほとんど全部これに当たっております。
  109. 林百郎

    ○林委員 有価証券が千二十一億ですね。このうち地方債はどのくらい持っておりますか。地方債は有価証券の中に入っているのか。
  110. 長野士郎

    長野政府委員 四十年度現在におきまして、地方債は六百五十六億ぐらいになっております。
  111. 林百郎

    ○林委員 三千三百四十七億の責任準備金のうちの五分の一ぐらいが地方債だ。その地方債も利息をつけて返さなければならない。自分の預託した金で地方債を持ってもらって、そしてそれに利息を払う、地方自治体としては二重の負担になるという計算になると思うのです。もう少しはっきり申しますと、いま三千億積ませる、五年先には一兆円だ。しかしインフレはどんどん進行していく、いま値打ちのある金を使っておいて、そしてその人が退職金だとか恩給だとか、そういうものでもらうときには非常に軽い金を払えばいいことになる。だから、政府としては共済の掛け金として自治体の組合から前取りしている。そうして値打ちのある金を使っておいて、先に行って軽い金を払うということは、これは笑いごとじゃないと思う。第二次世界大戦のとき、ドイツがこういう積み立て金をもって全部戦争のための戦費をまかなったわけです。そして戦争に負けちゃってものすごいインフレになって、全部ぱあになっちゃったわけですね。だから、いま政府はデノミネーションということを盛んにいっているわけですけれども、そうするとあなた方は、いま責任準備金だとかなんとかもっともらしいことを言って金を積んでおいて、将来のインフレに備えてどうするつもりですか。いま言ったようにスライドが問題になる。スライドが問題になれば今度はそれが逆に——インフレーションなんて国の責任ですよ。国の責任なのを、どんどん物価が上がるから退職金も上げなきゃならない。それがまたぶっかぶってきて、地方自治体と共済組合組合員の肩へかぶってくる。政府は積み立て金を十分使っている。こういうからくりになるんじゃないですか。これは局長さんをおこっているわけじゃないんですけれども、本来、大臣、だからこそ社会保障というものは国家が全責任を負わなければ、こういう形で地方自治体や地方職員から値打ちのある金を前取りしておいて、払うときには軽いものにする。じゃインフレが悪化するからスライドしよう。スライドするには今度は掛け金率財源率がこう要るから、どうしてもことしの十二月一日にはもうやるように掛け金率を上げなきゃならない。医療費財源率を上げていかなければならぬ。こうしてまた負担がこっちへかぶさってくる。これでもって将来かりに戦費とかなんとかいうものをまかなうようなことになれば、それはえらいことになっちゃうじゃないですか。そういう意味で私は、根本的にこの地方公務員共済制度というものは、これは社会保障制度としての原則を貫くべきものであり、社会保障制度というのは、社会保障憲章、世界的な原則として、国が全面的な責任を持つ、あるいは資本家が責任を持つ、こういう態度を貫くべきだと思いますけれども、これについて大臣の答弁を聞いて、そうして将来の責任を、あなたの明確な責任を質問しまして、私の質問を終わります。
  112. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いろいろ設定をされての御質問でございますが、社会保障制度そのものを常に前進させなければならない、またそれは国としての責任があることは申すまでもございません。それをどういう形で実現するかということについては、いろいろやり方はあろうかと思いますが、そういう意味で常にこうした共済制度というようなものも検討を続けまして、そうしてよりよき制度にするべく努力するのが政府の責任であろうと考えております。
  113. 林百郎

    ○林委員 私の見解を今度申し上げますけれども、共済制度ということで準備金を積み立てておくと、これによって公債を持ったりいろいろすることが、逆にインフレを促進する一つの道になるわけです、こうやって公債をいろいろ引き受けさせるということは。そうすると政府は公債を発行しますからね。そうするといまの積み立て金は減価されるわけです。そうでしょう。ここにおる局長さんだって、さっき十一万が多い少ないという問題になっていたでしょう。戦前の十一万なんというのはどんなに大きな金ですか。それがいま十一万じゃ少ない少ないという論議が公然となされている。それほどインフレが進んでいるわけです。だから、今度、戦前の郵便年金の積み立て金二百円をだれもとりに来ないから、この際二千円か何かで引いてしまう、それでもとりに来なければ棒引きだという。戦前の二百円といったら、われわれ年配の者ならわかりますけれども、一月生活を豊かにできた金です。そのころ年金は積ましておくわけです。郵便年金とかなんとか積ましておくわけです。ところが、戦後のいまになってみると、二百円では、汽車賃だけでもとりにいけば費用がかかるから、いいといっているのです。いまの政策、このインフレーションの政策が進行していけばそういうことにならないという保障がどこにあるかというのです。だから、一方では共済という制度で積み立てをさせる。これがインフレの要因になる。積み立てた人は血の出るような金を積み立てたけれども、それが減価されて、実際もらうときにはまるで軽い金になってしまう。二重の負担を負わされる。その上スライドすれば掛け金率がまた高くなる。三重にも負担が大きくなる。だから、どうしても私たちは社会保障制度ということを貫くならば、そういう一切の国の財政的な責任を地方自治体や地方公務員負担させるべきでなくて、全額国で負担する無拠出の社会保障制度を貫くという立場をやっぱり一歩一歩もっと真剣に努力すべきじゃないだろうか。安易に財源率を上げ、掛け金率を上げ、安易に五年先になれば一兆近くの共済の金を積み立てておく、これを運用していく、そして実際には積み立て金を減価させていく、こういう政策についてはやっぱり根本的に考えるべきじゃないのか。そして社会保障制度原則に努力すべきじゃないだろうか。こういう意見を申し上げまして、私の質問を終わります。
  114. 亀山孝一

    亀山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十五分散会