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1967-06-22 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員     委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奥野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       塩川正十郎君    永山 忠則君       古屋  亨君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       依田 圭五君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省行政局長 長野 士郎君  委員外出席者         警察庁警務局厚         生課長     阪野 正明君         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         文部省管理局福         利課長     手塚  晃君         自治大臣官房参         事官      志村 静男君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二七号)  昭和四十二年度における地方公務員等共済組合  法の規定による年金の額の改定等に関する法律  案(内閣提出第一一〇号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる道路交通法の一部を改正する法律案議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。藤枝国務大臣。      ————◇—————  道路交道法の一部を改正する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故防止をはかるため、歩行者保護のための車両等通行方法に関する規制を強化し、大型自動車運転資格要件を引き上げ、悪質重大な交通事故を起こした者に対する運転免許効力の仮停止制度新設する等の措置を講ずるとともに、大量に発生している自動車等運転者道路交通法違反事件のうち、現認、明白、定型のものを迅速かつ合理的に処理するため、交通反則通告制度新設すること等をその内容としております。  まず、交通事故防止をはかるための改正規定について御説明いたします。これは、この法律案の第一条に規定されております。  第一は、横断歩行者保護徹底をはかるため、車両等通行方法規定整備することでありますが、これは、前車側方を通過する車両等による横断歩道上の危険を防止するため、交通整理の行なわれていない横断歩道を通過する車両等通行方法に関する規制を強化すること等がその内容となっております。  第二は、大型自動車による交通事故防止するため、所要規定整備することでありますが、その内容は、次のとおりであります。  その一は、一定自動車に関し、安全な運転を確保するため、運行記録計による記録及び保存について規定することであります。  その二は、積載制限違反による危険を防止するため、積載制限違反罰則を強化するとともに、安全運転管理者等積載制限違反運転を下命し、または容認することを禁止することであります。  その三は、大型自動車運転資格要件を引き上げることであります。これは、大型自動車免許資格年令を二十歳に引き上げ、及びその運転免許試験は、運転経験期間が二年以上の者でなければ受けることができないこととし、あわせて第八十五条第五項の政令で定める大型自動車運転資格要件である運転経験期間を三年に引き上げることがその内容であります。  第三は、運転免許行政処分制度合理化をはかるための改正であります。  そのおもな内容は、運転免許効力の仮停止制度新設でありますが、これは、酒酔い運転またはひき逃げの死傷事故居眠り運転による死亡事故等一定の悪質重大な交通事故を起こした者については、警察署長運転免許効力を二十日間仮停止することができることとし、都道府県公安委員会がその者の運転免許取り消し、またはその効力停止するまでの間における危険を排除しようとするものであります。もとより、この仮停止を受けていた期間は、運転免許取り消しまたは効力停止を受けた場合の期間通算することとしております。このほか、運転免許行政処分迅速化をはかるため、都道府県公安委員会運転免許効力停止等に関する事務委任規定を設けること、及び精神病者その他の身体的免許欠格者運転免許行政処分手続合理化することもその内容となっております。  以上のほか、第一条の改正規定におきましては、高速通行路に設ける車両通行帯の数の改正、合い図違反過失犯処罰規定新設及び酒気帯び加重規定整備を行なっております。  なお、第一条の改正規定は、都道府県公安委員会事務委任に関する改正規定等については、この法律公布の日、その他の改正規定については、この法律公布の日から三月を経過した日から施行することとしております。  次に、交通反則通告制度新設のための改正規定について御説明申し上げます。これは、この法律案の第二条に規定されております。  まず、この制度は、自転車荷車等を除く車両等運転者がした違反行為のうち、比較的軽微であって、現認、明白、定型のものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警視総監または道府県警察本部長定額反則金納付通告し、その通告を受けた者が反則金を任意に納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定期間内に反則金納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものでありますが、これによって、大量に発生している自動車等運転者道路交通法違反事件について、事案軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理迅速化をはかろうとするものであります。  次に、この制度は、事案軽重に応じた処理をすることを目的としておりますところから、反則行為をした者であっても、危険性が高いと考えられる無資格運転者、過去一年以内に運転免許効力停止等を受けたことがある者、酒気帯び運転をしていた者及びその反則行為によって交通事故を起こした者に対しては、この制度適用しないこととしております。なお、少年につきましては、この制度適用しないこととしております。  次に、この制度は、警視総監または道府県警察本部長通告によって反則金納付するのがたてまえとなっておりますが、警察官告知制度を設け、この告知によって反則金を仮納付することができることとし、国民の利便をはかっております。  次に、反則金の額は、その最高限度額法律で定め、その限度額範囲内で反則行為種別ごと政令定額を定めることとしております。  また、反則金は、国に対して納付することとしておりますが、国は、当分の間、交通安全対策一環として、反則金収入額に相当する金額を、交通安全対策特別交付金として、都道府県及び市町村に交付することとしております。この交付金は、地方公共団体単独事業として行なう道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、交通事故発生件数、人口の集中度等を考慮して政令で定める一定の基準により交付することとしております。  なお、この制度は、全く新しい制度でありますため、実施のための準備に相当の期間を要することが予想されますので、第二条の改正規定は、昭和四十三年七月一日から施行することとしております。  最後に、第三条の改正規定でありますが、これは、昭和四十年の道路交通法の一部改正によりまして、自動車種類としての軽自動車及び運転免許種類としての軽自動車免許昭和四十三年九月一日に廃止されることになっておりますことに伴い、第一条および第二条の改正規定所要部分をさらに改正しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、本案補足説明のため、新井警察庁長官から発言を求められております。これを許します。新井警察庁長官
  5. 新井裕

    新井政府委員 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明いたします。  まず、第一条の改正規定から御説明いたします。  第一は、横断歩行者保護をはかるための車両等通行方法規定整備についてであります。  第三十八条第二項及び第三項の規定は、交通整理の行なわれていない横断歩道を通過する車両等について、横断歩道直前停止している車両等側方を通過してその前方に出ようとするときは、その横断歩道直前で一時停止しなければならないこととし、また、横断歩道及びその手前の三十メートル以内の部分においては、前方を進行している車両等側方を通過してその前方に出てはならないこととしようとするものであります。  現行規定におきましても、車両等は、横断歩道歩行者通行し、または通行しようとしているときは、一時停止してその通行を妨げないようにしなければならないこととなっており、また、横断歩道手前の三十メートル以内の部分は、追い越し禁止場所となっているのでありますが、歩行者通行を妨げないようにするため横断歩道直前で一時停止している車両等側方を通過してその前方に出たため、あるいは、いわゆる追い抜き等追い越し禁止に触れない形態で進行中の前車側方を通過してその前方に出たため、前車の陰になっていた歩行者の発見がおくれ、横断歩道上で交通事故を起こす車両が少なくないことにかんがみまして、さらに横断歩道における歩行者保護徹底をはかろうとするものであります。  なお、この改正と関連いたしまして、横断歩行者保護に関する規定を第三章第六節の二にまとめて規定することとし、あわせて現行の第三十八条の規定と第七十一条第三号の規定の関係を整理することといたしました。  第二は、大型自動車による交通事故防止するための所要規定整備についてであります。  その一は、第六十三条の三の運行記録計による記録に関する規定についてでありますが、これは、道路運送車両法に基づく命令規定により大型貨物自動車等運行記録計の備えつけが義務づけられることとなったことに伴い、これらの自動車を、運行記録計が不備な状態で運転させ、または運転することを禁止して、運行記録計による記録励行をはかるとともに、これらの自動車使用者運行記録計による記録保存義務づけようとするものであります。  その二は、第五十七条、第七十五条、第百十九条等の積載制限違反防止に関する改正規定についてでありますが、これらは、積載重量または積載容量制限違反して、自転車荷車等を除く車両運転した場合の罰則を三万円以下の罰金から三月以下の懲役または三万円以下の罰金に引き上げるとともに、このような違反は、運転者のみに責任を負わせるのは適当でないと考えられる場合もあることから、安全運転管理者その他車両運行を直接管理する地位にある者がこのような積載制限違反運転を下命し、または容認することを禁止しようとするものであります。  その三は、第八十五条、第八十八条、第九十六条等の大型自動車運転資格要件を引き上げるための改正規定についてであります。  第八十八条第一項第一号及び第九十六条の改正規定は、大型自動車免許資格年齢現行の十八歳から二十歳に引き上げ、及びその運転免許試験は、普通自動車免許大型特殊自動車免許または軽自動車免許を現に受けており、かつ、これらの運転免許によって運転することができる自動車運転経験期間が二年以上の者でなければ受けることができないこととしようとするものであります。なお、厳重な規律と監督のもとに、大型自動車運転する者については、資格年齢特例を、一定の技量に達していると認められる者については、運転経験期間特例を認めることとし、この特例を受ける者の範囲をそれぞれ政令で定めることとしております。第八十五条第六項の規定は、資格年齢特例を認めたことに関連した改正であります。  第八十五条第五項の改正規定は、同項の政令で定める大型自動車運転資格要件である運転経験期間を二年から三年に引き上げようとするものであります。  第三は、運転免許行政処分制度合理化をはかるための改正についてであります。  その一は、第百三条の二などの運転免許効力の仮停止制度に関する規定についてであります。  第百三条の二第一項の規定は、運転免許を受けた者が、負傷者救護等義務違反したとき、酒酔い運転をして死傷事故を起こしたとき、または居眠り運転等危険性の高い違反行為をして死亡事故を起こしたときは、その交通事故が発生した場所を管轄する警察署長が、その者の運転免許効力を、その交通事故があった日から起算して二十日を経過する日まで仮停止することができることとしようとするものであります。  第二項から第八項までにおいては、仮停止をした後の弁明の機会の供与、仮停止を受けた者の運転免許証提出義務、仮停止を受けた者が都道府県公安委員会によって運転免許効力停止を受けた場合の処分期間通算等この制度について必要な事項規定することとしております。なお、運転免許が取り消された場合の運転免許欠格期間への通算につきましては、第八十八条第一項第六号の改正によることとしております。第百七条の五第九項の規定は、国際運転免許証を所持する者に対する準用規定であります。  その二は、第百十四条の二の規定についてでありますが、これは、運転免許取り消し停止等事務が激増している現状にかんがみまして、これらの処分迅速化をはかるため、運転免許の保留及び効力停止に関する事務都道府県公安委員会警視総監または道府県警察本部長に行なわせることができることとしようとするものであります。  その三は、第百二条、第百四条等の改正規定についてでありますが、これは、精神病者等身体的免許欠格者であることの認定は、医師診断に基づいて行なうべきものであることにかんがみまして、臨時適性検査方法総理府令で定めることとするとともに、処分迅速化をはかるため、指定の医師診断に基づいて身体的免許欠格者であると認定した者については、聴聞を行なわないで運転免許を取り消すことができることとしようとするものであります。  第四は、その他所要規定整備することについてであります。  その一は、第七十五条の四の改正規定についてでありますが、これは、片側三車線の構造を有する東名高速自動車国道が新たに建設されることに伴い、高速自動車国道左側部分高速通行路に三の車両通行帯を設けることができることとしようとするものであります。  その二は、第五十三条及び第百二十条の合い図違反過失犯処罰規定を設けるための改正でありますが、最近における高速交通の発達によって重要度の高くなっている合い図の励行をはかろうとするものであります。  その三は、第七十一条、第百二十二条等の改正規定についてでありますが、これは、現行の第七十一条第二号から第四号までの横断歩道における歩行者保護等に関する規定違反について酒気帯び加重規定適用できることとしようとするものであります。  次に、第二条の改正規定について御説明いたします。この改正規定は、交通反則通告制度新設するためのものであります。  第一は、第百二十五条の通則規定についてであります。  第一項は、この制度の対象となる反則行為について定めようとするものであります。反則行為は、自転車荷車等を除く車両等運転者がした違反行為別表の上欄に掲げるものとしておりますが、別表の上欄に掲げられている違反行為は、比較的軽微なものであって、現認、明白でおおむね定型的な交通方法に関する違反行為であります。なお、反則行為種別は、政令で定めることといたしております。  第二項は、この制度適用を受ける反則者について定めようとするものであります。同項各号に掲げる者は、反則行為をした者であっても、反則者としないこととしております。  第三項は、反則金の意義及び反則金の額について定めようとするものであります。反則金反則者がこの制度適用を受けようとする場合に国に納付すべき金銭でありまして、反則金の額は、別表に定める限度額範囲内で、反則行為種別ごと政令で定めることとしております。  第二は、第百二十六条の告知に関する規定についてであります。  警察官は、反則者があるときは、反則行為となるべき事実の要旨及び反則行為種別を、また、原則として出頭期日及び場所書面告知するものとし、告知をしたときは、その旨を原則として反則行為が行なわれた地を管轄する警視総監または道府県警察本部長に報告しなければならないこととしております。なお、居所または氏名が明らかでない者及び逃亡するおそれがある者につきましては、この制度適用することができませんので、告知をしないこととしております。また、少年につきましても、告知をしないこととしております。  第三は、第百二十七条の通告に関する規定についてであります。  告知の報告を受けた警視総監または道府県警察本部長は、告知を受けた者が告知されたとおりの反則者であるときは、理由を明示して反則金納付書面通告することとしております。この通告は、反則者告知された出頭期日及び場所出頭しないときは、通告書送付して行なうこととなりますが、この場合には、通告書送付に要する費用納付もあわせて通告することとしております。  また、告知を受けた者が告知されたとおりの反則者でないときは、その旨を通知することとし、  この場合に、告知反則行為種別を誤っているときは、正しい種別反則行為について通告する  こととしております。  第四は、第百二十八条の反則金納付及びその効果に関する規定についてであります。  反則金納付は、任意でありますが、その納付は、通告を受けた日の翌日から起算して十日以内に、政令で定めるところにより、国に対してしなければならないこととしております。通告書送付に要する費用納付についても同様としております。そして、この手続に従って反則金等納付した者は、その通告理由となった行為について公訴を提起されない、すなわち刑事訴追をされないこととしております。  第五は、第百二十九条の仮納付に関する規定についてであります。  告知を受けた者は、告知を受けた日から起算して七日以内に、反則金に相当する金額を仮納付することができることとし、仮納付をした後に、通告を受けたときは、通告に従って反則金納付した場合と同様の効果を受けることとしております。なお、仮納付をした者に対する通告は、通告書によらずに、公示の方法で行なうことができることとしております。  また、誤った告知に基づいて仮納付をした者に対しては、仮納付された金額をすみやかに返還しなければならないこととしております。  第六は、第百三十条の反則者にかかわる刑事事件に関する規定についてでありますが、この規定は、この制度適用を受けることができる者が、直ちに刑罰を科されることがないようにするため、反則者刑事事件に関する訴訟条件について規定しようとするものであります。  第七は、第百三十一条及び第百三十二条の規定についてでありますが、これらの規定は、道警察本部長方面本部長に対する権限の委任及びこの制度実施に関し必要な事項政令への委任について規定しようとするものであります。  次に、第三条の改正規定について御説明いたします。  この改正規定は、第一条の改正規定中、第九十六条第二項において軽自動車免許について規定し、第二条の改正規定別表において軽自動車について規定することとしておりますが、運転免許種類としての軽自動車免許及び自動車種類としての軽自動車が、昭和四十年の道路交通法の一部改正によりまして、昭和四十三年九月一日から廃止されることになっておりますため、これらの規定をさらに改正しようとするものであります。  最後に、附則の規定について申し上げます。  第一項の規定は、この法律施行期日について規定しようとするものであります。  第二項から第六項まで及び第十二項の規定は、大型自動車運転資格要件を引き上げるための改正運転免許効力の仮停止制度新設交通反則通告制度新設等に伴い、必要な経過措置を設けようとするものであります。  第七項から第十一項まで及び第十四項の規定は、交通安全対策特別交付金交付及びその用途、その毎年度分の総額、本来の用途に充てなかった場合の返還命令等について規定しようとするものであります。  第十三項の規定は、自動車保管場所確保等に関する法律違反行為のうち、道路交通法違反行為同一に取り扱われているものについて、交通反則通告制度適用するため、同法を改正しようとするものであります。  以上が、道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山口鶴男君。
  8. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣政務次官もお見えでないようでありますが、そのうち次官のほうはお見えだそうでありますから、まず短期給付についてお尋ねをいたしたいと思います。  行政局長お尋ねをしたいと思うのですが、共済組合短期給付に関連をいたします制度というのは、他に幾つかあると思います。比較的類似をしておりますものとしては、組合管掌健康保険、さらには政府管掌健康保険、そのほか国民健康保険とかあるいは船員保険等ありますが、この公務員共済組合短期給付というものは、一体他のいずれの保険制度類似をしているとお考えでありますか、その点をまずひとつお伺いしたいと思います。
  9. 長野士郎

    長野政府委員 地方公務員共済組合短期給付に一番類似なものといえば、国家公務員共済組合等短期給付が一番似ておるわけでございます。短期給付そのものとしましては、やはり社会保険制度一環と申しますか、そういうことでございまして、その面で実質的には健康保険に非常に関係するというより、むしろ健康保険を代行しておるという性質を持っておると思います。しかし、また同時に、その給付内容その他から考えますと、それは公務員特殊性に基づく内容が上積みをされておるという意味では一種の公務員共済の特有のものである、こういうことになるのではないかと思います。   〔委員長退席久保田(円)委員長代理着席
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 国家公務員共済組合と非常に類似をしておるということは、それは聞くまでもないですよ。私はそういうことを聞いておるのじゃない。国家公務員共済組合短期給付——長期給付も同様でしょうが、さらには公企体関係共済組合、こういうものとは非常に類似というか同一といいますか、若干違いはありましょうが、きわめて酷似をしている、これはもう常識だと思います。そうではなくて、こういった国家公務員共済組合あるいに公企体の共済組合以外のものとしては、一体どれに一番類似をしておるのですかということをお尋ねしているわけです。
  11. 長野士郎

    長野政府委員 共済組合以外のものとこの短期給付がどれに一番よく似ているかということになれば、先ほどもちょっと申し上げましたが、社会保険の一種として健康保険制度、そして健康保険制度の実質は、先ほども申し上げましたように代行と申しますか、そういう性質を持っておりますから、健康保険に一番類似をしておる、こういうことになるわけであります。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 健康保険を代行しているというか、そういう面がある、たいへんそれに似ているというお答えであります。  そこで私はお尋ねをしたいと思うのですが、地方公務員等共済組合種類が幾つかに分かれているわけであります。地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合、東京都職員共済組合、指定都市の共済組合とあるわけでありますが、そのほかに市町村職員共済組合がありますね。これらの短期給付に対する会計の状況は一体どうでしょうか。特に市町村職員共済組合については、いただきました資料等から見ましても、相当額の赤字決算になっている面もあるようでありますが、この点の各共済の赤字の状況、わけても市町村共済の決算の状況、昭和四十年の資料はいただいておりますが、四十一年はどうなっておりますか。
  13. 志村静男

    ○志村説明員 お尋ねの点でございますが、各共済組合におきましては、現在決算を作成中でございますので、確定的な数字はまだ不明でございますが、大体の見込みといたしましては、各共済組合の状況として、地方職員共済組合の場合は、四十一年度末におきまして、実質収支でありますが、二千五百万円程度の赤になるのではないか、不足金が出るのではないかと考えておるわけであります。同じく公立学校共済組合の場合でございますが、大体これも推定でございますが、二十億円程度の不足金でございますが、これが出るというわけでございます。それから警察共済組合、それから東京都職員共済組合、市町村職員共済組合におきましては、それぞれ剰余金が出ると、かように私ども見ておるわけでございます。  以上でございます。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、昭和四十年の経理の状況では、四十七億円ぐらいの赤字が全体で出ていますね。三十九年度の赤字が三十七億程度のようですが、そうすると四十一年度は、公立学校共済では二十億、地方職員共済では二千万ぐらいの赤字であるが、他の市町村職員共済はじめ他の組合では黒字決算、こういうことですね。
  15. 志村静男

    ○志村説明員 先ほどお答え申し上げましたようなことでございまして、全体といたしましては、四十一年度末の実質収支でございますが、これは大体とんとんになる、かように考えておるわけでございます。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 会計の状況も、従来まで、三十九年、四十年赤字、四十一年の収支については集計中、こういうことでありますが、そうしますと先ほど行政局長がお話しになったように、一番似ているのは政府管掌健康保険政府管掌国民保険で、赤字が累積したために、この赤字を埋めるためにどうしたらよいかということが議論になっております。政府としても、国庫補助金を出すというかっこうで、全部ではありませんが、ある程度国庫補助金を今日までも出し、昭和四十二年の場合は二百二十七億ほど出して赤字対策をやろうとしているわけです。ところが共済組合のほうは、赤字があっても、これは一切国が国庫補助しないという点では、制度が似ているものにしてはおかしいではないですか。局長どうですか。
  17. 長野士郎

    長野政府委員 健康保険と似ておるということは先ほども申し上げたとおりでございますが、まあ健康保険の場合には保険料につきまして最高限度の上限の制度があって、そしてそういう一応の歯どめみたいなものがあるということになっておるわけでございます。また同時に、それは保険料収入の範囲内で仕事をしていくということになるわけでございます。たとえば組合の健康保険の場合でありますというと、そういう最高限度に達するまで保険料を取りますけれども、それによって事業を行なうということが、どうしても経営上の赤字が出てできなくなるということになりますと、保健施設に要する経費を減額するとかあるいは付加給付を減額するとか廃止するとかいうことで、保険料収入の範囲内で事業を行なうということがたてまえになるわけであります。それから、それでもうまくいかないという場合には、そういう事例はめったにないわけでございますけれども、組合健保が解散をいたしまして政管健保に移行するというようなこと、そういうことが、非常にそういう制約が出てくるということと相関連をして考えられるということになるわけでございます。したがいまして、この給付内容としては健康保険に非常に似ておりますけれども、片一方で、この共済というものは、これは社会保障制度審議会とかいろいろなところでいわれておりますように、これは使用者と被用者の折半負担を行なうのが共済の本来のたてまえであります。そういう面がございまして、この費用負担とかそういうものとしては折半負担というたてまえをとっておる。そこのところが、経営という問題を加味した費用の負担というような点につきましては、健康保険といき方が違ってくるというような点があるわけでございますし、またある一定限度以上を越えた場合には、越えた部分について公的な負担をするということになりますというと、それが結局公経済の主体として国が負担するか地方団体が負担するか、一定率を越えた部分を負担するということになりますと、やはりこの共済組合使用者としてそういうことをやりますれば、実質的にいわゆる租税をもって補てんをするというようなことになってくるわけでございます。その点では、  一般の健康保険の場合に使用者側がより多く負担するというのも、沿革的な理由その他でいろいろやっておるようでございますけれども、そういう場合とやはり意味が違ってくるという点が出てくるのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、事業の内容健康保険の代行といいますか、そういう性質を非常に強く持っておりますが、共済組合というたてまえからいたしました場合の費用負担の関係というものは、健康保険とたてまえ上必ずしも一致はしていないということになっておるのであります。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは実態を説明すればそういうことかもしれませんけれども、似ておると言ったのですから、金のほうだけどうも似ておらぬと幾ら言いわけしておっても、私は聞こえぬと思うのです。そこが私はやはり制度上の不備ではないかと思うのです。そうじゃないですか。  それでは、市町村職員共済について私はしぼってお尋ねしたいと思うのです。健康保険のほうでは、保険料率といっているようですが、今度、政府管掌共済組合保険料率を六十五から七十二に引き上げるということですが、あれほど国民の批判というものが起きていることは局長も御案内でしょう。しかるに市町村職員共済組合の、この場合は財源率というようでありますけれども、短期給付の財源率を見ますと、保険料率の現行の六十五をはるかにこえて、非常に高いものがあります。私は見て驚いたのでありますが、百をはるかにこえているものがある。青森のごときは百十、岩手が百、秋田が百、それから京都が百四、徳島が百、香川が百、佐賀が百、長崎が百、熊本が百、大分が百じゃないですか。これについて、折半負担は幾らなんでも無理だというので、負担率のほうを少し上げて、組合の掛け金率を下げている組合もあるようでありますけれども、しかし、そういう措置をとらぬ青森のごときは、この百十を折半負担していますから、実に千分の五十五という異常に高い掛け金を現に組合員が負担している。こんな状態は一体正常だと思いますか、お尋ねいたします。
  19. 長野士郎

    長野政府委員 お話しのように、市町村職員の共済組合の中で、いわゆる財源率が、御指摘のように、青森の場合でございますと百十ということになっておりまして、非常に高いことはそのとおりでございます。そういう場合に、青森の事情もいろいろあるようでございまして、その点につきましては、確かにそういうように困難な経営になっておるということでありますが、実情を調べてみますと、どういいますか、医療給付というものについての組合員の利用のしかた、あるいはその認定なり給付そのものもいろいろとなお合理化する余地も必ずしもないわけじゃないという点もありまして、この点では、最近では非常に改善、くふうをこらしまして、努力をしているように聞いております。ただ、政管健保と比較いたしますと、こちらの百というのは高いのでございますが、それは政管健保の場合の七十二というのと、こちらの百というのが大体相当するように聞いておりまして、その点で、それでもまだ十だけ高いじゃないかということになれば、まさに御指摘のとおりでございますけれども、だからといって、共済のいわゆる折半負担という原則を直ちに変えまして考えるということはいかがであろうか、そういうことでございましたので、昨年来、いわゆる調整資金制度というようなものを考えまして、それぞれの組合からの拠出によりまして、資金をプールいたしまして、そして、この掛け金率なり、そういう財源率が非常に高い組合に対しまして、てこ入れをするというようなことをいろいろと検討したわけでございます。ただ、四十一年度の末から四十二年度にかけて、青森の場合はだいぶ改善されてきたようでございます。また、その他の困難な共済組合におきましても、相当事態が落ちついてきたようなところがあるようでございます。それは結局各組合のいわゆる経営の努力とか組合員の自覚とか、あるいは給与改定によりますところの短期資金の増収でございますとか、そういうようなものがいろいろ影響しているだろうと思いますが、多少事態が好転のきざしがあるというようなこともございますので、現在のところ調整資金制度というものについての考え方は一応持っておりますけれども、事態の推移をよく見た上でということで、引き続いて検討するということにいたしておるわけでございます。   〔久保田(円)委員長代理退席、委員長着席〕
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 青森で落ちついてきたというのでありますが、私のいただいた資料では、四十二年四月一日現在の財源率百十、掛け金率が五十五ですよ。この数ヵ月の間に幾ら下がったんですか。このままじゃ落ちついたといっても、とにかく政府管掌国民健康保険保険料率は千分の六十五、今度上げるか上げないかということで国民の世論があれほど高まっておるものですら千分の七十二。全然話にならぬじゃないですか。落ちついたらと言うなら、この数カ月の間に幾ら落ちついたんですか。お答え願います。
  21. 志村静男

    ○志村説明員 いま局長がお答え申し上げましたのは、市町村職員共済組合全体といたしまして、差し上げました資料にございますように、四十一年度の単年度収支といたしましては約六億円の黒字、実質的な剰余金といたしましては二億六千万円というようにだいぶ出ておるわけでございます。市町村共済組合全体といたしましては、四十年度に比べてだいぶ改善されてきた、安定してきた、そういうことを申し上げたわけであります。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうお答えならば、初めからはっきりそうおっしゃっていただければいい。青森のごときは落ち着いてきたと言われるから、私はただいまのようなお尋ねをしたわけで、その点よく注意していただきたいと思います。  しかし、どうですか、とにかく健康保険類似だと言うから、健康保険類似として質問しているわけですが、こういう形で異常に掛け金率が高い。そうなれば、五十一通常国会で、組合財政の健全化及び組合員の負担が過重にならないようすみやかに国庫負担制度について検討せよという国会の附帯決議が出ているわけですね。こういう事態になれば、政府管掌保険に比べて著しく高いというようなところは、少なくとも政府管掌と同じくらいまでに下げるための国庫負担制度くらいはとうに開いていいのではないか。また、そうでない組合管掌健康保険と見合いでもし議論をするとするならば、組合管掌の場合は、組合員の掛け金が著しく高くなった場合、七十五条の二で、千分の三十五を超過する場合は、超過分は事業主の負担にするんだという規定もある。とするならば、その趣旨を生かして下げていこうとするならば、当然公共団体に対して思い切って財源を見ることによって、公共団体の負担をふやす。そうして組合の掛け金率をせめて千分の三十五くらいまで下げるという努力をやったらどうですか。私は青森の例を申し上げたのでありますが、市町村共済全般を通じて四十二年四月一日現在より、お話しのように、落ちついて、少し下がったとはいうものの、掛け金率は下がっていません。全体は四〇・一に達しているではありませんか。青森のごとく五五というのもある。こういうのを放置しておいて、そうして国会の附帯決議の趣旨等も尊重なさらぬというのは、一体どういうおつもりなんですか。その点をひとつ私はお答えをいただきたいと思います。
  23. 長野士郎

    長野政府委員 確かに、市町村の共済組合を中心にいたしまして、短期給付についてはいろいろと御指摘のような困難な問題がございます。ただ、理屈を申し上げるようではなはだ恐縮でございますが、やはり社会保障制度審議会とか、そういうところでの考え方といたしましては、共済というものについては使用者である地方団体と被用者である組合員との両者が負担していくということがたてまえであって、そうしてその負担方法は折半負担ということが原則だということが、繰り返し確認をされておるようなかっこうで強調されておる。しかしながら、同時に現在の困難な問題の一つは、先ほど申し上げましたいろいろな、組合自身として改善に努力をしていくということも相当余地はあるわけでございますけれども、同時にその根本には、現在の医療保険制度、医療制度全般の抜本対策というものが必要だということも、これはもうつとに指摘をされておるところであります。そこで、そういうものと、いまお話のありましたいわゆる国庫負担といいますか使用者負担といいますか、そういうものをふやせという問題とは、そういう抜本的な対策の検討の一環としてそういう際に考えるべきものだということが、これらの審議会を通じて指摘をされておるところなんでありまして、いま直ちに公務員共済組合についてだけ——そういう社会保険制度の一つの原則というようなものがあるといたしますと、公務員の共済制度というものについてだけ、短期給付について国庫負担なりあるいは折半負担の例外をつくるというようなことをすることは適当じゃないということにいわれておるわけでございまして、この問題につきましては、確かに御議論のようなところもそこにあるわけで、私ども検討しなければならぬと思っておりますが、結局それは医療保険の抜本対策というものと関連をいたしまして、そういう検討の推移を待って考えていくということが必要じゃないかというのでございます。さしあたって、それまでの間に何か考えるということにどうしてもなるということでありますと、かねていろいろ御指摘もございましたが、いわゆる短期給付の調整資金制度というようなものを考えて当分の間つないでいくという方法しかないのじゃないか。それにつきましては、先ほど申し上げましたが、全体としての事態は多少落ちつきのきざしを見せておりますので、いま少し推移を見てまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  24. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 社会保障制度審議会ですかでいろいろと御議論があることは、もちろん承知をいたしておりますが、しかし政府が、それでは各種の審議会なり——かつてここでも地方財政をめぐって議論もいたしましたが、地方制度調査会の答申というようなものを完全に実施しているかといえば、していないですね。大体金のかかる答申についてはサボる。お金のかからぬような、金を出すことを制限するような答申についてはよくお守りになるというのが、大体政府のお好きな傾向ではないかという気がするのです。ですから、審議会の答申ということを前面に掲げるならば、じゃ審議会の答申というものをみな尊重するのかといえば、そうでもないわけです。現に自治省では、いま問題になっております政治資金規正法、答申を完全に実施しましたか。しないでしょう。そういう中でいま議論もされておるわけですから、同じ自治省の中でつい最近だってそういう例があるのですから、片方は尊重し、片方は尊重せぬというような、常識的に考えて非常におかしなことはおやめになっていただきたいということをお願いいたすわけです。  そこで、次官にお尋ねをいたしたいと思うのですが、とにかく地方職員共済、たいへん現状がひどいわけであります。財源率が百から百十というのも、これははなはだしいと思いますし、それから青森のごときは、こういった非常に高い財源率を折半負担でやっておるわけですね、ほかのところでは、財源率があまりに高いというので、折半負担でなくて、この掛け金率のほうを少し下げておるところもあるようですが、それにしても全国平均して四〇をこえる掛け金を、全国の市町村職員共済組合の組合員は負担をしている。政府管掌健康保険の負担率、それから組合管掌の負担率というものから考えて、あまりに高過ぎる。こういう現実は次官もよくお認めいただけると思うのですね。しかも一方におきましては、四十一国会におけるところの、この国庫負担等を考えることによって、組合員の掛け金率が非常に高くなることについては、これは解消するように検討するという附帯決議も出ているわけですね。そういうものを考えて、どうですか、こういった市町村職員共済の著しく高いものについては、思い切って国庫負担を導入してでも改善をするという御決意はどうでしょうか。
  25. 伊東隆治

    ○伊東政府委員 お説のとおり、地方団体の負担率の大きいのは非常に遺憾でございまして、国の財政力を投入いたしたいことはやまやまでございますが、ほかの事態とも、たとえば健康保険の問題とも関連いたしまして、これは相当考慮を要する問題でもございまするので、やはり今後の検討事項の一つに加えていきたいと存ずる次第でござ  います。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 伊東政務次官の経歴を拝見いたしましたら、外交官生活が長くて、社会保障制度の進んでおりますヨーロッパ各国等を歴訪される機会も非常に多かったんじゃないかと思っておるわけですが、そういったせっかくの御経歴の上に立ちまして、どうですか、確かに、局長がそばに  いましていろいろなことを言っておられるんじゃないかと思いますが、政府管掌共済組合が折半負担だ、だから共済の折半負担をくずすのはまずいというようなお話だろうと思うのですけれども、掛け金率から比較をすれば非常に高いのですから、政府管掌保険料率のように、組合員の掛け金率が三二・五であるというのならばいいですよ。もうそれを著しくこえているわけですからね。  それからいま一つ、それじゃ組合管掌健康保険と比較した場合どうかということになれば、組合の掛け金が三五をこえる場合は使用者が負担する、こういうわけなんですから。とすれば、当然これは国のほうからめんどう見なければいかぬということなんでしょう。どっちと比較しても、こんな組合員の掛け金が千分の五五にも達するというような、そういう異常に高い掛け金というのはないのですよ。ですから、掛け金率が、比較するものと同じであるならば、そういう議論も私はある程度了承しましょう。そうでない、こういう現実に立って、これは他との関連というようなことは私は聞こえないと思うのです。こういう異常な高い掛け金率を一体いいと思っておられるのかどうか、それをまず次官にお尋ねいたしましょう。
  27. 伊東隆治

    ○伊東政府委員 この率が異常に高いということについては、これは確かに今後検討を加えていくべき事項だと思っております。
  28. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 掛け金のほうは、これ以上幾ら議論しても同じだと思いますから、大いに検討したいという次官の意欲的な御答弁が実現するようにお願いいたしまして、また他の委員からもこの点はいろいろ御質問があると思いますから、今度は長期のほうに移って御質問してみたいと思います。  まず、法律案に関係する部面についてお尋ねしたいと思うのですが、大蔵省の方が来ておられますから、大蔵省の方にお聞きしたほうが一番正確だと思うのですが、昭和三十五年三月三十一日を一とした場合に、昭和四十二年十月一日、これはこれからでありますが、このころの消費者物価指数は一体幾つになるとお見通しですか。
  29. 津吉伊定

    ○津吉説明員 ただいま手持ちいたしております資料によりまして申し上げますと、全国消費者物価指数、三十四年を一〇〇といたしますと、四十  一年におきまして一四七・二ということになっております。
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、昭和三十五年の三月三十一日から昭和四十二年十月一日もおよそ——これは将来も入りますからわかりませんが、このくらいの傾向だということはお認めになりますね。そうしますと、この法律改正を見ますと、三二%しか上がらぬわけですね、そうでしょう、六十五歳未満の方の場合。そうしますと、この程度の改正では、物価指数から見てはるかに落ちているんじゃないですか。これでは、今回の恩給法の改正、これに伴います共済組合年金改正がございましても、物価の変動にはるかに及ばない、一五%も及ばない、こういうことになりますね。これでは幾ら何でもかわいそうだと思いませんか。法律制度のたてまえは別としましても、常識から考えて、このような改定では全く問題にならぬというふうに考えますが、お考えはどうでしょう。
  31. 津吉伊定

    ○津吉説明員 すでに申し上げるまでもなく、われわれ国家公務員共済組合について申し上げますと、三十四年の十月一日、あるいは現業の官吏でいいますと三十四年の一月一日から、官吏はそれまで恩給を適用されておりましたが、恩給を統合いたしまして、いわゆる社会保険制度として共済組合制度ができたわけでございます。われわれ共済組合給付をいたしますときに、そういういわゆる過去勤務というものを吸収いたしまして、共済年金の中にあるいは資格期間として、あるいは金額算定の基礎としての期間として通算をいたしまして、それぞれ恩給の場合は恩給のルールにより、それから、こまかい話になりますけれども、旧陸海軍あるいは旧外地、それから旧法という国家公務員共済組合法が二十三年からできておったわけでございますが、それより前の旧勅令の共済組合というものがございます。もちろん新法に入ってからの年金の計算は、そのルールによってやるわけでございますが、それぞれのルールによりまして計算をした年金額を新共済制度において給付をするということにいたしております。先生の目的とされるところは、いわゆるスライド調整規定という問題につながってくるのであろうかと思うのでございますけれども、現段階におきまして、共済は、いま申しましたように、恩給公務員期間というものをそのまま引き継いでおる、あるいは恩給公務員と並行いたしまして、雇用人に適用されておった共済制度というものをそのまま引き継いでおる。したがいまして、その期間が相当にこれまた長い。いま申し上げましたように、三十四年から発足をしておる新共済制度でございますので、その前における恩給公務員、あるいは旧法、旧勅令の共済組合期間というものを引き継いできております関係上、経過的には恩給における増額改定というものに一応現在の段階においてはバランスをとって、増額改定をするという態度をもちまして、三十七年度、四十年度、いずれもそういう改定を行なってきておるところでございます。ただし、しからば共済はいつまでたってもそういうことをやるのか、恩給追随であるということはしょっちゅういわれておるわけでございますが、それは現段階における、いま申し上げたような趣旨で追随せざるを得ないという状態に対応する現在のバランスの取り方ということでありまして、もちろん共済、恩給その他の厚生年金保険社会保険制度全般の調整の問題といたしまして、これは申すまでもなく、法律上の規定としては、同様の趣旨のいわゆる調整規定規定されておりますが、それの具体化について総合的に検討が進められて——それで、もちろんいま指摘されました物価という要素がございますが、賃金——公務員で言いましたら公務員の給与あるいは生活水準その他の事情も勘案してということになっておりますので、そういうファクターを、いずれをどれだけとるべきであるかということ、それから申すまでもなく社会保険制度における負担の関係というものは、これは給付が上がれば上がるほどいいわけでございますけれども、放置して、給付だけ出まして財源がないというわけにもまいりませんので、その負担区分のほうも同時に検討されなければいかぬという調整の問題として基本的に上がってまいるという次第でございます。これはしつこいようでございますが、現在の段階における増額改定というのは、われわれ恩給とバランスをとって、それぞれの期間に対応するバランス上の増額改定を行なっておる状況であるというわけでございます。
  32. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 地方公務員共済の場合は、七十四条の二ですが、国家公務員共済組合の場合も同じ規定があると思います。まあ、その規定に関連してもお答えがありましたが、これはあとで議論をしたいと思いますので、一応おきましょう。今回の改正では、物価上昇にはるかに及ばない、一五%も物価上昇を下回っておる、こういうきわめて貧弱な改定でしかないということを私はこの際強く指摘をいたしたいと思うのです。さて、そこで、これに関係する費用の問題でありますが、調査室のほうからいただきました資料を見ますと、この改定に要する費用は、四十二年度一億六千万円、平年度三億八千万円程度だということであります。自治省のほうからいただきました資料もたしかそのような額だったと思います。そこで問題になりますのは、この部分に対応する費用については、これは全額地方公共団体が負担をするということでありますから、これは追加費用として完全に見るということだろうと存じます。その点をまずひとつお尋ねをしたいと思うのですが、問題はそのあとの部分ですね。国家公務員共済組合の場合は三十四年に発足をしておりますから、なお問題は大きいと思うのですが、地方共済の場合は三十七年の十二月一日から発足をした。しかしこの施行後の三十七年十二月一日以降、組合員の期間を持っておる方についても、これは二千六百円べースでありますから、若干関係をしてくる。この関係をしてくる分は、金額的にはたいした額ではないようでありますが、この金額がおよそ幾らですか。それからこの費用については現在の三者負担というかっこうであるようでありますが、しかし私は、それは理論的におかしいのじゃないか、当然こういう分についても追加費用として全額見るべきではないか、かように思うのでありますが、この点についてひとつ御見解を承りたいと思います。
  33. 志村静男

    ○志村説明員 今回の新法年金の改定に要する費用でございますが、先生の御指摘がございましたように、新法年金のうちいわゆる旧法部分につきましては、追加費用というかっこうでもってこれは負担をするわけであります。それから新法年金のうちのいわゆる新法部分でございますが、これは四十二年度におきましては所要額は約九十万円、平年度におきましては約二百万円、こういうかっこうになるわけでございます。それから次に、この新法年金のうちいわゆる新法部分につきましては三者負担ということにしているわけでございますが、これにつきましては、やはり地方公務員の新しい共済制度、新しい長期給付制度社会保険制度一環でございまして、社会連帯の思想に基づくものであるというふうに考えておるわけでございます。この場合の社会連帯という思想の中には当然世代連帯という考え方も入っておるというふうに考えております。さらには厚生年金保険におきましては、既裁定年金の改定に要する費用は三者負担ということになっておりますので、やはりこれにもならった、こういうことでございます。さらには先ほど申し上げましたように、平年度におきまして約二百万円、昭和四十二年度におきましては九十万円ということでございまして、財源率に及ぼすところの影響といいますのは千分の〇・〇〇一三五というように非常に小さいということでございますので、それらの事情を勘案いたしまして、国家公務員共済組合の場合にならい、同じく三者負担、こういうことにしたわけでございます。
  34. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、そういうかっこうで推移したら一体どうなりますか。確かに現状では九十万円、平年度二百万円、それで済んだかかもしれぬ。しかし先ほども大蔵省の給与課長のほうの御答弁もありましたが、また恩給のべースが改定になっていけば、当然これは現在の消費者物価の上昇の傾向を見ていけば、今回の恩給法の改定ですら物価上昇に追いつかない。一五%も下回っているということなんですから、これは恩給受給者の方々の不満というものは解決したとはいえないでしょう。一年たち二年たちという場合は、当然また恩給の改定ということは問題になると思います。いままでそうだったから、当然なるでしょう。そうなった場合に今度は共済組合でもって、いや、その分の負担というものは三者負担なんだ、法律どおりなんだということになっていって、追加費用ではそれは見ないということになれば、現在の財源率は確かに千分の〇・〇〇一三五かどうか知りませんけれども、これが将来はどんどん大きくなるということは常識で考えておわかりじゃないですか。その場合、いつまでもこれは三者負担だということを言っておられなくなるじゃないですか。それでは今度は、当然そういったものまで長期給付の財源率で見なければならぬということになれば、それはその財源率に及ぼす影響は非常に大きくなると思うのですね、そういった将来の見通しからいって、いまのように追加費用でなくてよろしいのだというような考え方ではたして通りますか。
  35. 志村静男

    ○志村説明員 御指摘のように、将来どのような改定が行なわれるか、そういった内容によりましては財源率に及ぼすところの影響もある程度出てくろのではないか。これは十分予想されるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、現在私どもといたしましては、今回御提案申し上げております部分につきましてはいわゆる三者負担ということにし、それにつきましてはいま御説明申し上げましたように現行財源率に対する影響は非常に小さいわけでございまして、しかもこれは次の再計算の場合にあわせてやるということでやっていけるというふうに考えているわけでございます。それでは将来どうするかということになりますれば、当然またそのときにおきまして十分慎重に検討していかなければならぬ、かように考えているわけであります。
  36. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 将来の再計算のときにはお考えになるということですが、そうなったら今後の——私はあとでまた国庫負担の問題に触れても質問したいと思うのですけれども、現行のように国庫負担は一五%にくぎづけしておいて、そういった本来追加費用で見るべきものまで共済組合のほうにどんどんしわ寄せが来るということになれば、組合員の掛け金率というものは雪だるま式にふえていくのじゃないですか。  この際ちょっとお尋ねをしてみたいと思うのですが、皆さんのほうで計算いただいております財源率についてです。昭和四十一年十一月で長期給付に要する費用の再計算をおやりになったようです。その基礎になっておりますのは、昭和三十八年から三十九年の給与実態ないしはこれに伴う残存率あるいはその他というものをいろいろ計算をされて財源率計算をおやりになったようですが、この財源率計算をやっておりますV、利率ですね、これは一体幾らで見ているのですか。
  37. 志村静男

    ○志村説明員 五分五厘でございます。
  38. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それで所要財源率の計算ですが、これは分母が給料現価総額、分子が給付金現価総額、すなわちΣstバーbtバーctバー/ΣbtバーDtバーこれでもって計算をされている。その場合、確かに数式を見ればこまかくいろいろ計算をされているようですが、当然このVに対しては五分五厘の利率を見ている。ところがこの給与の実態は三十八年、三十九年のものであって、その後給与改定で給与が変化をしている、こういったところについては見ているのですか。
  39. 志村静男

    ○志村説明員 給与改定につきましては、財源率再計算の時点におきましては、これは将来行なわれるかどうか確定をいたしておりません。そういう意味におきましては不確定要素でございますので、再計算の場合には入れておらないわけでございます。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 入れてないですね。そうすれば、こういったかっこうで財源率を計算しても、この給与改定の推移いかんによってはこの財源率は何もならなくなるじゃないですか。
  41. 志村静男

    ○志村説明員 給与改定につきましては、いまお答え申し上げましたように、将来行なわれるかどうか不確定でございますので、やはりその再計算の時点におきまして織り込むわけにはいかない、こういうことでございます。そういうことになりますれば、先生の御指摘がございましたように、給与改定があった場合におきましては、その分だけ不足するじゃないか、こういうことになってくるわけでございますが、この問題につきましては今後スライド制の実施等いろいろ問題もございますので、それらと関連をさせまして、十分検討していきたい、かように思っております。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 結局、この財源率計算では、給与改定の推移いかんでは不足するわけですね。相当額不足するでしょう。さっき私が指摘したように、また恩給べースの改定によって当然影響が出てきますね。これを追加費用で見るというならいいですよ。見ない。そうして三者負担でやっていくということになれば、それでも不足をしてくるじゃないですか。そうなれば、結局このようなかっこうで計算をいたしまして、財源率がこうなる、だからこうだということで御説明をいただいても、結局、現行の会計では、これはもう将来へ行けば行くほど赤字といいますか、この現在予測しなかった不足金というものがどんどん出てくるじゃないですか。そうでしょう。とすれば、この際思い切って恩給べースの改定に伴う費用ぐらいは追加費用で見るということをやっていかなければ、これは会計自体回っていかなくなるじゃないですか。だから、私はそういう心配があるからこそ、単年度九十万円、それから平年度二百万円程度の少ない金額であるけれども、これが将来は非常に大きな影響を及ぼすということを懸念をして聞いているわけです。このままで済まして済むとお考えですか。ひとつこれは局長なり次官からお答えいただきましょう。
  43. 長野士郎

    長野政府委員 御指摘のように、今後べース改定があり、あるいはまた恩給等の改定があり、あるいはまたこのスライド制というものがだんだん実行されていくようになるということになりますと、いまの三者負担というものがそのままその形で維持できるのかどうかというような問題があるではないかというお話でございます。その点は、確かに私どももそのとおりでありまして、将来につきましては、これは十分検討していかなければならない。要するに、それが被用者の負担というものと、使用者側の負担と、それから国による負担、しかし、いずれにしても、それぞれにも負担能力、あるいは財政力、いろいろな限界もあるわけでございます。これは根本的な問題でもありますし、また他のいろいろななこの種の年金制度その他とも全部に影響して、相関連する問題でありますから、これは非常に大きな問題として、関係機関が集まりまして、慎重に検討しなければならぬと思いますが、とりあえずのところは、今回の改定、恩給法の改正に伴う改定につきましては、これをずっとやっていくかどうかということまでここで考えてしまっておるというわけではないともむしろ言えるわけであります。とりあえずのところは、それほどたいした——たいしたと言っては語弊がありますけれども、大きな変更にはならないということで、まあ従来からやってきました。この新法部分についての増加費用につきましてはいわゆる三者負担ということで、これは現在の厚生年金制度その他についても同じようなシステムが行なわれているわけです。それとも関連をして、こういうかっこうでやっていく。やっていくについてそれほど大きな財源率に影響はないから、まあこれでやっていこうということでございます。今後どうするか、さらにこういうものが加わっていった場合にどうするかということになれば、いまのような年金全体に影響を及ぼす会計でありますから、これはやはりこれがこのまま維持できるのかどうかということを含めまして考えていかなければならない問題だと思います。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵省の給与課長さんにお伺いをいたしますが、国家公務員のほうは共済の発足が早いですから、いま問題になっている部分費用というのは相当になるんじゃないかと思いますが、共済組合で恩給改定に伴いまして要する経費はおよそ幾らで、財源率上どの程度の影響が出ていますか。
  45. 津吉伊定

    ○津吉説明員 地方公務員共済について言われましたところにならいまして申し上げますと、いま申し上げましたように、制度としては旧令と旧法と新法とございまして、初年度では六億七——七百万、平年度化いたしますと十六億二千五百万、財源率には、掛け金で申しますと千分の〇・〇一四影響いたします。それから負担の問題は、これは旧令、旧法及び新法の施行前の部分につきましては国の負担でございます。新法の、純粋新法部分といいますか、新法施行後の部分につきましては、先生から御指摘いただきましたように、いわゆる三者負担でございます。
  46. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 国家公務員共済のほうは財源率からいって〇・一ですから、計算上ちょっとまあ顔を出す程度ですから、当然これが数年後さらに改定が行なわれるとすれば、これは財源率、掛け金率には影響する数値になってくるとお認めになりますね。地方共済でも同じだろうと思いますね。そういたしますと、今回再計算をいたしまして、地方職員の場合は財源率が千分の一〇七・五、従来は九九だったわけですが、したがって組合の掛け金率が四二か四五という形でふえてきているわけですが、これですら、ことしの地方財政計画では、十二月からですか、新しい掛け金率になることを予想して地方財政計画をおきめになっていますが、組合の掛け金率が再計算によって千分の三上がることについても、組合員の人たちが相当大きな関心を示しているということは、皆さん御案内のとおりだと思うのです。としてくれば、制度上のいわば、確かにお互い、何といいますか、社会保障でなくて社会保険なんで、お互い持ちつ持たれつだというお話をすれば、それはそれで済むかもしれませんけれども、現実に組合員の掛け金率が非常に上がってくる。先ほど短期の場合を指摘しましたが、長期の場合も、恩給べースの改定によるものも、これは掛け金率、財源率に影響して、組合の掛け金も上がってくる。さらには給与改定の推移によって、当然それも再計算の際に織り込むということになれば、その影響によるところの財源率も上がり、組合の掛け金率も上がっていくということになれば、組合の掛け金率というのは天井知らずで、どんどん上がっていくことになるじゃないですか。とすれば、各共済組合のほうの要望している長期給付に対しても、この際、一五%国が持っているのを二〇%持つというような形をとっていくというようなことは、これはもうだれが考えても常識じゃないかと思うのです。この際、どうですか、いま申し上げたように、長期給付についての掛け金も将来どんどん上がっていくという予想が立ちますときに、この公的負担一五%、これを二〇%、さらには二〇%をこえて上げていく。そうでなければ組合員の負担というものは非常なものになっていくということは、次官も十分御案内だと思うわけでありまして、この点に対しても、公的負担というものをふやす、公共団体または国の負担というものをふやしていく、そうして組合の掛け金というものをある程度上げないという措置をとるということについて、一体どうお考えでございますか、ひとつ承りたいと思います。
  47. 伊東隆治

    ○伊東政府委員 お説のとおり、それは、組合員の負担能力を軽減する意味で、公的負担を少しずつ上げていくということは、いいことだと思っております。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いいことだと思う——いいことだと思ってさっぱり実現しなかったというのでは、これはぐあいが悪いと思うのです。かつて政務次官は当委員会におきまして、住民税に関連しまして均等割りは廃止すべきものだという御答弁をされました。そのほうがいいことだと言われましたね。いいことだと思ったけれども、現実には、明年度地方財政計画あるいは地方税法が国会に提案されて、ふたをあけてみたら、自治省の中には、均等割りを上げたらどうだという御意見も相当あると承っておるわけであります。いいことだと思ったけれども、現実には逆な法律が提案になったということでは、私は問題だと思うのです。よいことだという御答弁はけっこうなんでありますが、それをことしは大蔵省に要求したけれども、実現を見なかった。しかも十二月からは再計算による財源率というものが動きだすならば、組合の掛け金が現に上がっていくということは目睫の間に迫っておるわけですから、少なくともこの再計算による財源率が組合員の掛け金率に影響を及ぼさないように、現実には掛け金率が本年度においては上がらないように公的負担をふやすという御熱意がありますか、ひとつ承りたいと思うわけでございます。
  49. 長野士郎

    長野政府委員 国とか、公的負担部分をふやすべきだ、たとえば一五%を二〇%にすべきだ、そういうことによりまして組合員の負担の軽減をはかるべきではないか、これはもう、そういう意味で職員の側から年来主張されておることは私どももよく承知しておるわけであります。それにつきまして、いろいろな共済制度年金制度についての国庫負担の割合というものが必ずしも同一ではない、そういうことからいろいろ問題があるのじゃないかということでありますが、これにはそれなりの、またいろいろと別の立場からの説明も実はあるわけでありまして、実額においてはこれで均衡がとれているんだという議論もございます。しかし、形式においては、共済のほうは一五%で厚生年金のほうは二〇%じゃないか、あるいはまた私学共済は一六%じゃないか、そういう意味では、少なくとも形式的な負担割合は非常に違うじゃないか、こういうものをそろえるべきだという議論ももちろんあるわけであります。私どもも、そういう意味で、これは地方公務員の共済だけの問題でもございませんので、共済全体の問題としてぜひ各機関によっていろいろ検討して、事態の推移に応じて考えてもらいたいということの要請をしておるわけでございます。今後ともそういう意味での努力はいたしてまいりたいと思っております。  ただ、現在のところでは、むしろ厚生年金等については二〇%に上げることによって、実質やっと、国家公務員共済とかその他の共済の一五%にやっと実額では均衡したのだという考え方もあるわけなんでございます。その点いろいろございますが、お話しのような線に沿いまして、今後とも検討し、努力をしてまいりたいと思っております。
  50. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも局長の御答弁の一番最後は気になるんですね。他との均衡を言うのだったら、また短期へ戻りましょう。市町村職員共済の短期の掛け金率は一体どうなんですか。
  51. 長野士郎

    長野政府委員 短期はどうだとおっしゃいますが、短期につきましては、短期についての共済の考え方というものは、私どもは全体の均衡を考え、考え方をある程度統一しなければならぬものと思っております。御指摘の点は、個々の、先ほども青森の話が出まして御指摘がございましたが、個々の共済組合での財源率と申しますか、したがって、掛け金率が高くなっておるのじゃないか、これを何とかしろというお話、これは、その高いという事情から出てくる問題としては私ども了解できるわけでございますけれども、やはり短期給付短期給付として、共済というたてまえからしましては、これは全部折半負担というかっこうで行なわれておるわけでございまして、その点の全体の一つのたてまえというものとの調整に実は苦慮をいたしておるわけでございます。  それから長期給付は長期給付でまた他との関連を考えざるを得ないというところに困難性がいろいろと出てくるわけでございます。短期と長期とでそれぞれ考え方を異にしておるのは、共済全体として、短期については折半負担だけで考えて、長期についてはそういう公的負担部分があるというたてまえ、そのたてまえの中での均衡を考えていく、こういうことにならざるを得ないというのが現状でございます。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、どうですか、長期のほうは、むしろ掛け金が四五になったって、公務員との比較を考えればいいじゃないかというような趣旨のお答えだったから、私はいまのようなことを申し上げたのです。だから長期は長期で均衡を保つ、短期は短期で均衡を保つという、そういうお考えのほかに、それじゃ組合員の負担というものは一体どうなんだといった観点からのお考えというものが必要じゃないかと思うのですよ。だから青森県の例を引いて恐縮ですけれども、青森県の組合員の場合は、短期で千分の五十五ですよ。そうでしょう。それから長期の場合は市町村共済、今度再計算で四四になるそうです。そうすれば青森県の組合員の人は千分の九十九、まさに一割の掛け金をみな負担しなければならぬということになるのじゃないですか。こういった掛け金の負担というものが現行公務員の賃金の実態、生活の実態というものから考えて、はたして適切であるかどうかということですよ。まさに一割もの負担をかぶせて、それでその負担が過酷でないとお考えですか、どうなんですか。
  53. 長野士郎

    長野政府委員 お話しのとおりの意味に私どもも実は感じておるわけでございます。したがいまして、青森県の場合だけを例にするわけでもないわけですけれども、ああいうところについての事情もいろいろと調査もいたしましたし、実態についてもいろいろと検討を加えたのでございますが、そういたしますと、青森県自体としても相当改善をする余地はあるようでございます。それは組合員の負担が非常にかかるということが決して望ましいわけではございません。そうしてまた決して高くないじゃないかというお話もそのとおりでございます。しかしまた同時に青森県の市町村共済組合としても、なおなお改善くふうをこらし、組合員としてもやはりそれに協力をしていくという余地も実はあるようでございます。その事態の推移を見ておるのだということを先ほど申し上げましたが、そういう意味でこれはとてもいかぬということになれば、どうしても方法、手段を考えなければなりません。そういう意味でいわゆる調整資金等のものも考えていかなければならぬと思います。私どもも決して負担が軽いとか軽過ぎるとかいうことを申しておるわけではございませんが、そういうことの中で何とか改善を重ねながら、くふうをこらしながら、なるべく負担を軽減する努力をしていく、それから全体としてもそういう方向での長期、短期を通じても考えていくときが必ず来るでございましょうし、また常時検討を重ねまして、改善をしていかなければならぬもの、こう考えております。ただ、共済には共済全体のいろいろ共通した理屈、たてまえがありまして、ある程度足並みをそろえるということも必要であります。この辺の調節をどのようにしていくかということにかかっておるというふうにも言えるわけでございまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今度は少しほかの官庁の方にお尋ねしましょう。  警察庁の厚生課長さん、お見えでございますね。警察の特別職員の再計算の結果によりますと、百十五ですか、掛け金率が四十八、非常に高くなるわけですね。こういった負担の著しい状態というものについて一体どうお考えですか。さらに警察のほうも、短期の掛け金率は三十一・三五、こういう状態です。短期のほうは他との比較であまり著しく高いという状態ではないのですが、長期については共済組合法の規定の関係もあって、これはどうしても高くなるのだろうと思います。そういった負担の状況を考え、この際、公的負担を導入をして掛け金率の増加を防いでいくということについては、特に警察の特別職員の方の場合についてはそういう気持ちが強いのではないかと思いますが、御見解を承りたいと思うのです。  同じく文部省の福利課長さんがお見えのようでありますから、文部省の課長さんにお尋ねしたいと思うのですが、公立学校につきましても、財源率百七・五、再計算をいたしますと、掛け金率が四十五になりまして、現行の四十二から見ると、千分の三上かります。しかも私立学校共済については公的負担が百分の十五ではなくて十六ですね。そういった公立学校の現状、私立学校の公的負担の割合、こういうものとの比較において、本年度内は掛け金率の増加を何としても防いでいく、そのために公的負担を、掛け金率を上げなくて済むように、それまでに間に合うように公的負担の増加をかちとっていく、こういうおつもりはあるのですか。あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  55. 阪野正明

    阪野説明員 警察共済組合の長期給付の財源率の問題でありますが、御指摘のように高いのでありますけれども、その理由といたしましては、警察職員が地方職員に比べまして在職年数が短い、つまり早くやめるということがその理由になっております。したがって、三十八年、三十九年の調査によりますと、退職年齢が警察の場合では地方職員に比べて約二年、公立学校の職員に比べて約一年短い、したがって、それに伴いまして、掛け金が少なくて、逆に年金の受給年数が長くなるということが財源率を高くしている一つの理由に考えております。  あと一つの理由といたしましては、給与指数が片寄っておるように考えられます。つまり警部補から警部になります際には、警察の特例のほうから一般組合員のワクのほうに入るのでありますけれども、俸給の高い者をそのまま持ち込むということになりますので、それに伴って警察の一般のほうの財源率が高くなるということの理由になっております。  それからあと警察の特例のほうは、警察の中の一般の組合員の財源率に比べて高くなっておりますけれども、これは一つは年金のつきます期間が警察の特例の場合は十五年でありまして、一般組合員の場合には二十年ということでありますので、したがって、受給年数が長いということもありまして、掛け金が高くなるということになっております。なお警察の特例のほうは一般組合員に比べまして、男子職員ばかりでありまして、女子職員かいないというふうな状況でございます。したがって、退職一時金をもらってやめるという者がありませんで、ほとんどが年金の受給者でありますので、それが警察の特例の側の財源率を高くしている理由に考えております。確かに御指摘のように高いのでありますけれども、この高さはまだ権衡を失するほどのものではないというように考えております。  それとなお御質問になりました公費負担の割合を百分の十五を百分の十六に上げようという問題でありますけれども、自治省側が御答弁になりましたように、私どもといたしましても、厚生年金に比べまして、実質的にはほとんど同じであると考えられますし、国または地方の制度との権衡を考えながら慎重に検討いたしたいと考えておる次第であります。
  56. 手塚晃

    ○手塚説明員 お尋ねのございました組合員の長期の掛け金率が現在千分の四十二、それを十二月から千分の四十五ということになっておりまして、三の引き上げでございまして、確かに引き上げるということについては組合員の負担がそのために加重するので、できるだけ組合員の負担を軽くすることが望ましいという気持ちを持っておりまして、そういう方向に努力したいと思っております。しかし、現状におきましては、いま自治省その他からもお話がございましたとおり、厚生年金等の実額、組合員と申しますか、年金受給者の実際に受け取る金額との権衡等を考えますと、まだこちらのほうが若干、少しはいいのではないかというお話もございますし、それから私学共済との比較でございますが、私学共済は私学振興という立場からできるだけ私学の教職員の待遇を公務員に近づけたい、特に長期の関係、年金制度におきまして、公務員の処遇に近づけたいということでございますが、新法部分に関しましてはほぼ同じようになったわけであります。新法を適用するそれ以前の問題につきましては、まだ公務員に比べると非常に違っておりました。それを昨年特に公務員べースに相当近づけることができました。それに要する費用は全部、その引き上げに要する部分だけは少なくとも国でめんどうを見たほうがいいのではないかということで、比較均衡のために、むしろ私学共済につきましては百分の一の、負担割合を百分の十六ということにいたしたわけでございます。しかしこれでも私学共済の立場からいたしますと、公務員に近づいたというだけでございまして、これでも十分満足しているということではございません。その点で均衡は、非常にこまかい厳密な計算はできませんが、比較的ほぼ現在の段階で均衡している。そういうことからいいますと、将来としては組合員の負担を上げるということは好ましいこととは思いませんが、現在としてはほかとの均衡上やむを得ないと考えております。しかし今後とも、将来ともできるだけそういうことについては配慮していきたい、こう考えます。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 文部省の課長さんが御答弁になりましたから、公立学校の関係についてひとつさらにお尋ねしたいのですが、公立学校共済組合の教職員の掛け金でなくて、負担金の分、短期、長期、それから追加費用、すべてこれは交付税で見ていますね。半分交付税、それから半分国庫負担金ということでしょう。
  58. 手塚晃

    ○手塚説明員 義務教育ですか。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ええ、義務教育関係ですね。そこで私はお尋ねしたいと思うのですが、少なくとも追加費用については、半分交付税で見て、半分負担金で見るというのはおかしいんじゃないか。公立学校共済は全国一本でしょう。そうした場合に、交付税でかりに見た場合に、東京都の場合は一体どうなるのですか。それから国庫負担金で見るとあとの半分についても、当然東京都の場合は政令で国庫負担金が頭打ちになっていますね。そうした場合に当然国が見なければならない追加費用、それから負担というものについて、結局当該の府県にいわば著しい犠牲を背負わせることになるのじゃないですか。この点、こういった追加費用なり負担というものを交付税で見ることについては非常におかしいのじゃないか、私はこういう感じを受けるのですが、その点どうでしょう。
  60. 手塚晃

    ○手塚説明員 交付制度の関係の問題でございまして、これは自治省のほうからお答えするのが筋と思いますが、東京都等の頭打ちをしていること、あるいは交付税が現実に行かないのはどうかということでございますけれども、一応自主財源を持っているというたてまえで、交付税上は考え方としては見ておられるように私は思います。  それで、国庫負担が直接なければけしからぬではないかというお話でございますが、公立学校共済組合のうち義務教育の職員は六十数%でございます。それについては、ほかの制度でもって半額を見るという制度が確立しておりますので、国といたしましては、長期給付の関係の使用者負担分、公的負担分と合わせましても、都道府県の負担分について半額を見ているわけでございます。それにつきましては、一般の給与の問題と同じではないか、私はこういうふうに考えております。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、全国一本の公立学校の共済、しかも必要な追加費用、さらには公的な負担の問題、こういうものを交付税でこういう形で見ることについては私は問題があると思いますが、このあと理事懇談会等があるようでありますので、この追加費用等の問題を交付税で見る問題、さらにはスライド制の問題等につきましてはあとに譲りまして、本日はこれで一応打ち切らせていただきます。
  62. 亀山孝一

    亀山委員長 次会は、明二十三日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十三分散会      ————◇—————