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依田委員 その問題はもっとやるべきでありますが、時間がだんだんなくなりました。どうもおかしいですね。実際、
長官のあれは全然了解できないです。非常に……(「やむを得ないとは言えない」と呼ぶ者あり)言えないです。一般的な
原則を掲げて、しかも三十五年に通用した紙をさらにことしも、九日も十日もこれを使って、これでもって
理由が十分だ、こういうようなことは重大な問題だと思いますよ。
公安条例については全国で約八件の高裁ないし地裁の違憲
判決が出ておるですね。ごく最近も、五月十日に、二年間の時間をかけて、
日韓デモに対して違憲
判決が、一カ月足らず前に出ているのです。それがすべて
長官のいま
お答えになったようなことに関連して、
公安条例第三条の
条件をつけるかどうかに関連して、これが乱用であってはならない。限界を越えてはならない。越えたら直ちにこれは二十一条の違反なんだ。
警察のほうは、これを越えたら直ちに逮捕するわけですね。それですぐに懲役にかけるのだ。納税者を懲役にかけるわけだ。事は重大だから、これを慎重に扱ってもらいたい。この報告書、
理由ですね。これに対して裁判で救済がないから、一方交通ですよ。これはだれかがプリントして届けて、地裁に持っていって終わりなんだ。倉庫へほうり込まれて終わりなんだ。二十七条三項、六項の
理由書は出しました。だれも追及する余地はない。裁判所もできない。法治国家において、三権分立の国家において方法がない。ないからこそ、われわれはこの扱いについては慎重の上にも、慎重を期してもらいたいということを言っているわけです。
私個人がこの
委員会でいろいろ質問してもまたあれですから、関連いたしまして、この問題について世論がどう
考えているかということについて、若干
長官の御
意見をお聞きしたいと思います。
大体世論を
判断する方法としては選挙その他ありますが、当面そういうことはありませんので、やはり大新聞の論調
——世論調査、抽出あたりによればけっこうですが、それも時間がないので、大新聞の世論を若干御披露いたしますが、十一日の朝日はこういうことを言っておるのです。「しかし、司法の決定したものを内閣がみだりに取消すようでは、司法の権威を引きずりおとし、」こういうことを言っておるわけです。また読売は、同じ日に、朝刊ですが、「それほど緊急な事態でもないのに伝家の宝刀をぬいたものである。また、「
公安条例の
運用に関して、行政庁と裁判所の間に、これだけ
判断の差がある限り、問題はつぎつぎ起こりかねない。」こういうことを言っておる。それから毎日では、「政府もまた、
行政事件訴訟法による
法律上の権利を軽々に発動することによって、
司法権を圧迫し、
表現の自由の権利を侵害する恐れのあることを少しでも一反省したであろうか。むしろ、このような
法律的権利を発動させねばならぬようなことが、なぜ起こるのかという点についてまず政治的な
責任を
考えるべきであろう。」これは毎日ですね。それから同じく十一日の読売新聞は、「敵は本能寺で、きたるべき安保論議をめぐる
デモ騒ぎを
考えてのことかも知れないが、すくなくとも影におびえて宝刀を抜いたという印象はぬぐい切れない。」また次のサンケイにこういうことを言っているのですね。「率直な印象としては、いわゆるニワトリをさくのに牛刀をもちいた感じがないでもない。」と言っております。また朝日は、これは夕刊でありますが、評論家の臼井吉見さんにインタビューをしたところが、
お答えの中に「朝、新聞を見てちょっと異様だ。こわいという感じがした」こう言っております。これが今回
公安委員会委員長あるいは
警察庁がその
責任の窓口といいますか、担当の事務局になりまして一応鎌倉においでになる
総理大臣に連絡をしてとった、地裁
判決、杉本
判決の処置に対する反響なんです。これらの大新聞に出ました反響に対して、
長官はどのような姿勢といいますか
考え方をお持ちですか、これは少し明瞭に聞かしてもらいたいと思います。