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1967-06-13 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十三日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 門司  亮君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       佐々木秀世君    塩川正十郎君       辻  寛一君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    永山 忠則君       古屋  亨君    山田 久就君       井上  泉君    太田 一夫君       河上 民雄君    華山 親義君       依田 圭五君    折小野良一君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省行政局長 長野 士郎君  委員外出席者         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         自治大臣官房参         事官      志村 静男君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 六月十三日  都道府県合併特例法案内閣提出第二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度における地方公務員等共済組合  法の規定による年金の額の改定等に関する法律  案(内閣提出第一一〇号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 自治大臣がおいででありますので、自治大臣共済組合法の第一条をどういうふうに理解しておられるのか、まず最初にお伺いしたいと思います。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 地方共済というものが、社会保障制度の一環として、組合員相互救済中心として、病気その他の問題に関しての保障をいたすと同時に、年金制度を設ける、そうして公務の能率をあげるということを目的としているというふうに考えます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 もちろん第一条ではそういうことがうたわれておるわけですが、第一条の第二項に「国及び地方公共団体は、前項の共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加える」とあるが、このことをどう理解しておるのか伺いたい。
  6. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そういう相互救済と申しますか、相互連帯中心ではあるけれども、しかし、それが円滑に行なわれるためには、国並びに地方公共団体もいろいろな援助をしなければならないということを指しておるものと考えます。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 それを指しておるのでありまするから、そうすると、この法律の中で国は地方公務員共済組合法運用にあたってどのような配慮をされて、援助をされておるのか伺いたい。
  8. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 法律の中での便宜供与規定もございますが、そのほかに長期給付について国が一五%の支出をしておるというようなことも、この条文から来る結果だと考えます。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 国が地方共済組合に対して長期給付に対して一五%の補助をしておるということですが、そういうふうになっておるのでしょうか。私、地方公務員共済のなにを調べておるのに、どういうふうになっておるのかどうもわからなかったのですが、えらい愚問ですけれども、そういうふうになっておりますか。
  10. 長野士郎

    長野政府委員 いま大臣から申し上げましたが、本来社会保障と申しますか、社会保険に関する部分を国の負担にするという一五%分を、公経済という意味で、地方公共団体がかわって負担をしておるわけでございますけれども、それについての財源措置その他は国としても責任を持ってそれが実行できるように行なっておる、こういうことでございます。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことは、国は地方公共団体負担しておる分について考えておるというだけであって、すっきりした形において国は何らの財政負担をしていないということは間違いないでしょう。
  12. 長野士郎

    長野政府委員 国が直接に補助金なり負担金という形で出しておるわけではございません。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣お尋ねいたしますが、そういうふうに共済組合法でちゃんと国が必要な配慮を加えなければならないということを書いてある。書いてあるにもかかわらず、国は何もせずに、地方公共団体がやることに対して国は財政的な配慮を与えておるにすぎないというようなことをいつまでもそのまま見過ごしておるというようなことではなしに、共済組合に対する国の財政負担をもうそろそろ明確に打ち出してはどうかと思うのですが、その点についての大臣の御所見を伺います。
  14. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現在のたてまえは、要するに公経済と申しますか、国といい、地方公共団体といい、国民の税金でまかなうそういう公経済負担をするという考え方でやっておるわけでございまして、そういう意味では、第一条の第二項の国または地方公共団体配慮を加えなければならないというこの趣旨には、現在のやり方でも沿っておるのではないかというように考えるわけでございます。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは大臣は、五十一国会において共済組合法の一部改正に関する法律附帯決議がなされたのでありますが、その附帯決議の意向というものをどう尊重されておるのですか。
  16. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 附帯決議は、短期給付についても組合員負担の緩和をはかるために国庫負担制度について検討せよということでございました。これらについては検討を続けてまいったわけでございますが、短期給付について、地方公務員共済ばかりでなく、国家公務員共済等についても、現在においてはそういう国庫負担制度を開いておりませんので、今回の改正案につきましては、遺憾ながらそこまでいかなかったというのが現状でございます。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 地方公務員等共済組合法という法律の第一条の目的が生かされるように、すべての法律改正されていかなくてはならないわけです。ところが、今度の改正に伴い、さらに健康保険法を改悪することによって、この第一条の目的が著しく脅かされてくるわけですが、これについて自治大臣はどう考えられますか。
  18. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 健康保険法臨時特例、これは従来とも共済組合関係短期給付について、それをそのまま受け継ぐという形をとっておりますので、これについての健康保険関係特別措置法についてのいろいろな御意見はあろうかと思います。しかし、現在の時点といたしまして、健保についてあのような措置をするのはやむを得ないことであろうか、そしてまた、それゆえに地方公務員共済短期給付にそのまま移されるというのは、法のたてまえとしてやむを得ないことではないかというふうに考えております。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 法のたてまえとしてはやむを得ないが、しかし、やむを得ないからといって、そのまま見過ごしていくということは第一条の精神に反することになるから、これに対する措置を講ずるのが主管大臣としての責任でないかと私は思うのです。ただ遺憾、やむを得ないというて事を処理しないで、そのやむを得ないことを、自分の所管する地方公務員共済制度について、そういう政府健康保険法の改悪によって地方公務員に大きな負担がかかってくるのだから、これはたいへんなことだ、何とかしてやらなければならない、こういう対策を立てられるのが、私は大臣としての任務でないかと思うのですけれども、そうでないでしょうか。
  20. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 健保特別措置につきましては、いろいろ御批判のあることは十分承知をいたしておるわけでございます。しかし、政府といたしましては、健保特別措置については、これは現在の情勢として緊急やむを得ざるものというふうに考えまして、それが地方公務員共済制度影響のあるということは十分検討をいたしましたが、この程度のことはそれが地方公務員共済制度影響することはやむを得ないことだというふうな判断に立ったわけでございます。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、政府の一員としてそういうふうに言われるそのお気持ちはわかるのですけれども、やはり主管大臣として自治体の職員に対する配慮というものが当然なされねばならないことであると思うし、また短期給付についても、それに対する財政負担配慮する道は当然講じなくてはならないと思うもので、そのことは第五十一通常国会におけるこの附帯決議というものは、これは何も社会党が単独で決議をしたものではないし、政府与党自民党も一緒になって決議をしたものですから、何もそのことを実行することに自民党側から反対があろう道理はないと思うのですが、この附帯決議精神をいつ実行されるめどで検討されておるのか、この機会に承っておきたい。
  22. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この問題は、単に地方公務員共済ばかりではなく、他のこうした医療保険制度全般関係するものでございますので、私がここでいつという期限を切ってのお答えはしにくいわけでございますが、これは関係各省十分連絡をとりまして、検討を進めてまいりたいと考えております。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 せっかく法律を制定したときにはりっぱな法律が制定されておる。しかし、その法律そのものが制定されても、それからだんだん、だんだん、ちょうど政治資金規正法のように、小骨を抜くとか背骨を抜くとかいうようなかっこうで、次々と、共済組合法精神、第一条の目的に反する法改正が相次いで行なわれてきておることを私どもは非常に不満に思うわけです。そういうことは、やはり法を守って運営していかねばならない行政責任者として、もっと筋を通してやっていただきたい、こう思うわけです。今度の健保改正がかり政府案が通るとしたら、地方公務員に対する負担がどれだけ増加するのか、お調べになっておれば、その負担の額を……。
  24. 志村静男

    志村説明員 今回の健康保険法及び船員保険法臨時特別措置でございますが、例の財源率の問題につきましては、政管健保だけの問題でございますので、直接関連はないわけでございます。でございますので、先生お尋ねのほうは、入院費あるいは初診時の一部負担金の増あるいは薬剤についての一部負担の新設、こういうことに伴ってどの程度影響があろうか、こういうお尋ねであろうかと存ずるのでありますが、これにつきましては、各組合それぞれ事情が違いますので、一がいにはなかなか申し上げることは困難でありますが、一応政管健保につきまして厚生省が試算をいたしました結果がございますので、これを使いまして、ごく大ざっぱな計算でございますが、試みに二、三の組合について試算しました結果、地方公務員共済組合に対しましては、財源率に対しまして、これは大ざっぱでございますが、大体五%程度影響があるのではないか、かように考えているわけでございます。現行財源率に対しまして、おおむね五%程度影響があるのではないか、かように考えております。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、それだけの大きな影響があるということは、共済組合運営についてもこれはたいへんな影響を来たしてくると思いますが、私は、き、一つ委員会質疑にあたりまして、地方公務員共済組合役員関係資料をお願いをしてあったのですけれども自治省のほうでずいぶん慎重に調査をされておるそうで、なかなかその資料手元に参らないわけです。  それで、いま「昭和四十二年度事業計画及び予算」を私が調べておりますと、業務経理役員報酬が八百三十一万四千円、職員給与が九千五百九十三万三千円、前年度に比較して役員報酬は二百五十二万四千円増で、職員給与が一千二百万の増ですが、この職員給与の増に比して役員報酬が非常な多額にのぼっておるわけです。私は、これを個々の役員報酬の額に応じて御説明を願いたいと思って、その資料を要求してあったのですけれども、その資料がまだ手元に届かないのは非常に残念に思うのですが、一体役員報酬が前年度に比較してこれほど大幅に上がった原因というものはどういうところにあるのか。
  26. 志村静男

    志村説明員 先生お尋ねは、地方職員共済組合事業計画についてのお話であると存ずるわけでございますが、私の承知しておりますところでは、地方職員共済組合には、常勤役員といたしまして、理事長それから理事一名、それから監事一名がおるわけでございます。そして常勤理事につきましては、たしか現在は欠員であろうかと存ずるわけでございますが、予算といたしましては、事業計画といたしましてその分も計上しておる、その結果相当多額なものになっている、かように考える次第でございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 前年度は欠員のままの予算だったのですか。
  28. 志村静男

    志村説明員 たしか前年度におきましては欠員のままの予算ではなかったか、かように考えております。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 私はそういうふうな点をもっと明確に説明をしていただきたいと思って、資料をお願いしたのです。警察共済組合役員関係報酬については資料をいただいておるのでありまするが、これは理事長主務大臣が云々ということになっておるし、いま公団公社役員人事天下りということが非常にやかましくいわれておるが、それと同じように、この共済組合役員ポストというのは、何か自治省役人のみつのようなたまりになっておる、ハチがむらがる一つの巣のように聞いておるのです。いま理事長専従者理事は何人ですか、それからその報酬はどういうようになりますか。
  30. 志村静男

    志村説明員 地方職員共済組合役員につきましては、先ほど申し上げましたように、常勤理事は一名でございます。それから報酬につきましては、理事長の場合はたしか月額二十五万円、それから常勤理事の場合は月額十八万円、常勤監事の場合は十五万円、かように記憶いたしております。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、そういうふうな人事を、何か、今度はおまえがそこの理事をやって、今度は二年で交代する、それで二年たったらだれそれ、その次はだれを据えるとか、そういうふうに自治省のほうでポストを回しておる、こういうような話を聞くのですが、そういうことはないんですか。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 共済組合理事長理事監事につきましては、理事長監事主務大臣任命でございまして、自治大臣のもとで適任者を選考されて任命をされておるわけでございます。それ以上のことを考えておるわけではございません。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは理事長任期は継続した任期でやっておるのか、あるいは監事交代をしておるのか、してないのか。現在の監事理事勤続年数というか、それをひとつ発表願いたいのですが……。
  34. 志村静男

    志村説明員 私の記憶では、理事長の場合は、昭和三十七年十二月一日から新しい共済組合制度が施行されておるわけでございますが、そのときから在任をいたしておる、かように記憶いたしております。それから監事につきましては、すでに交代をいたしまして、いわば初代から勘定いたしますと、二代目の方が現に監事に就任されておる、かように記憶いたしております。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 次に、今度できる公務員災害補償基金、これを運営する人、そういうふうなものは、政府公社公団整理と逆な方向に——今度はそういう公社公団ではないけれども、それと似通ったような性格のものを次々につくり出していく、そういう傾向、それから現在あるところの共済組合の主要な人事に対するポストの振り回し、こういうことについて自治大臣はどう考えておられるのか、御見解を承っておきたいと思います。
  36. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 公社公団その他につきましては、すでに政府で申し上げておるように、整理統廃合を強力に進めていこうとしておるわけでございますが、一面地方公務員災害補償制度というようなものも確立しなければなりません必要から、いま御審議をいただいておるわけであります。しかし、公社公団あるいはそれに類するもの等につきまして、その役員人事というものは常にほんとう適任者を選ばなければならないわけでございまして、そういう意味でやっておるわけです。別に公務員であるものを、何とかそのはけ口を考えるというような意図は全然ないわけでございます。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう意図があるとはなかなか答弁できないと思うのですけれども、結果的にはそういうふうな方向にあるわけです。これは別に天下り人事と言われても、その人が有能で、ほんとう共済組合役員としてその責任を果たしてくれる人なら別にそのことについての文句を言うわけではないのですけれども、それがやはり自治省の持っている一つの権力として、今度おまえがそこをやめれば次はどこそこへ行く、こういうふうな非常に自治省役人というか、そういうものに対する老人ホーム的な考え方をまき散らしておるような気がしてならないので、見解を承ったわけです。私はこの共済組合法改正というものが、単に恩給法改正に伴う改正といって、他動的に改正をされてくるのではなしに、みずから積極的な地方公務員共済組合法の第一条の目的にかのうた方向になぜ改正が次々になされていかないのか、こういうことを非常に疑問に思うのです。行政局長さん、ずいぶんりっぱな本をお書きになって、地方自治体の職員も議員も、ずいぶんあなたの本を読んで勉強し、印税に協力しておるのですが、どうですか。そういうふうなことで、自治法精神からいっても、私はこの共済組合法をもっと前向きに改正していかなければならぬと思うのですが、いつまでたってもわきの法律によって一部改正、一部改正というて、非常にややこしい法律が出されるわけで、その点についての将来に対するお考えを承っておきたいと思います。
  38. 長野士郎

    長野政府委員 確かにお話のとおりでございまして、今回の改正恩給法改正に伴う改正でございますが、元来この地方公務員共済組合制度というのは、恩給制度のような、公務員という身分に伴いまして与えられるいわば恩恵的な年金制、これが恩給制度ということになっておるわけでありますが、そういうものとはたてまえを異にしておりますところの一つ社会保険制度でございますから、言ってみますと、恩給年額改定が行なわれたからといって、当然に共済組合関係改定を行なうという必要はないわけでございます。しかしながら、現在のところでは、共済年金を受けております者はほとんどかつての恩給法の適用を受けておる者が多いわけでございまして、そういう意味で、恩給制度改正が行なわれますと、それに随伴してといいますか、実質上はそれにならいまして年金改定ということをいたしませんと、均衡論が生じてくるわけでございます。今度の改正はそういうことで改正をお願いしておるわけでございますが、元来からいいますと、共済制度独自の観点に立ちまして改定その他を行なっていくという方向に進むべきものであるということは、御指摘のとおりだろうと思います。そういう点で今後いろいろ検討しなければならないわけでございますし、またさらに制度運用その他も考えていかなければならないということにたってまいるわりでございます。もっぱらそういう関係におきますところの検討につきましても、これもそう言いますものの、各種年金制度その他との関係もございますけれども、そういうことで関係機関を通じまして今後検討を進めまして、共済独自の道を歩んでいくということに向かっていかなければならないと考えております。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 共済組合法規定による幾つかの組合があるわけですが、大体その組合のそれぞれの経理状態、特に地方公務員共済組合、それから学校教員共済組合、こういうようなものの経理状態というか、運営状態というものは健全にいっておるのかどうか、これをひとつ、だれが御返事していただくか、御返事願いたいと思います。
  40. 志村静男

    志村説明員 お尋ねの件につきましては、地方公務員共済組合は八十九ございまして、それぞれ共済組合事情を異にしておりますので、概括的にこれを申し上げますことは非常に困難な点があるわけでございますが、まず長期給付という点で申し上げますと、これにつきましては、先生承知のように、現在のところは入るほうに比べまして出るほうが少ないわけでございますので、こういったものにつきましては当然全部積み立てということになっておるわけでございます。四十一年度末におきましては、その総計が約四千四百億円ということになる予定でございまして、四十二年度末では大体五千七百億円程度になるのではないか、かように私ども思っておるわけでございます。  それから次に短期給付関係でございますが、これまた共済組合によりましてそれぞれ事情を異にし、財源率にいたしましても高低はございます。あるいは剰余金という点においてもいろいろあるわけでございますが、四十一年度単年度収支という点から全体をながめてみますと、大体三十五億円程度の黒字が出る、かように私ども考えておるわけでございます。また四十一年度末の実質収支という点ではほぼとんとんになるのではないか、かように推定をいたしております。  次に、三番目の仕事といたしまして、福祉事業という点があるわけでございますが、これにつきましては、各共済組合でいろいろな仕事をしているわけでございますが、私どもといたしましては、やはり疾病予防という点を中心にいたしましていろいろ仕事をしてもらいたいと思っておるわけでございまして、各共済組合それぞれ自主性を発揮し、できるだけ共済組合としていい仕事をやるようにつとめておる、こういう状況でございます。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 この地方職員共済組合事業計画及び予算で、前年度繰り越し不足金二億二千三百三十六万一千円、これは非常に膨大な繰り越し不足金ということになっておるのですが、これについて、これは共済組合でないからあなたのほうでは説明できないでしょうか。できれば説明していただきたいのです。
  42. 志村静男

    志村説明員 先生お尋ねの点は、短期収支であろうかと存ずるわけでございますが、この点につきましては、地方職員共済組合といたしましては、私の記憶では、四十一年度末におきましても、いま御指摘がございましたように、多少の赤というものが出ているわけでございます。四十二年度以降におきましては、この点につきましては、情勢に急変がなければ相当改良される、かように私ども考えているわけでございます。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 質問が非常に数字的なことになって恐縮ですけれども、この経理の中で、貸し倒れ引き当て金というのが金額がずいぶんあるのです。二億か幾らかあったと思いますが、この資金貸し付けというものが、それほど引き当て金を充てねばならないほど不良貸し付けがこういうふうな公務員共済組合にあるのかどうか、御説明願いたいと思います。
  44. 志村静男

    志村説明員 お尋ねの点でございますが、たとえば貸し付け経理というような経理がございます。そういたしますと、これにつきましては、現在の制度におきましては、一定の金額貸し倒れ引き当て金として計上するようにしているわけでございます。確かに先生の御指摘のように、相手が公務員でございますので、貸し付け経理の場合におきましても、それほどの引き当て金というものを構成といたしまして必要ないじゃないかという議論もあるわけでございますが、一応私ども、やはり全然その危険がないわけではございませんし、また経理におきましても、余裕がございますればそれ相当の貸し倒れ引き当て金の計上は困難じゃございませんので、そのような制度でやっておるわけでございます。はたしてどの程度貸し倒れ引き当て金が妥当かどうかというようなことにつきましては、さらに今後私ども検討してまいりたい、かように考えているわけであります。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 それじゃ、貸し倒れ引き当て金が現在二億四千二百二万円あるわけですが、大口で現在まで出ておる貸し倒れというものはどういう性格のものか、この点も資料によって承知をしたいわけですけれども共済組合運営をする側において、相当投機的な面における貸し付け金があって、その貸し付け金が投機的な貸し付けをしたがために、こげついて結局払えなくなった、だから貸し倒れ金ができた、こういうふうに聞く面があるわけなんです。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 これだけの貸し倒れ引き当て金を持っておるということは、相当な貸し倒れ金が現在までもあったと思わねばならないわけでしょう。そういうふうな大口の貸し倒れ金の額——費用というか科目というか、それを大口から十くらいあげてもらいたい。どれだけ貸し金が回収不能になって引き当て金を使ったのか、大口の分を十くらい、わかりませんか。
  46. 志村静男

    志村説明員 いま申し上げましたように、確かにどの程度貸し倒れ引き当て金を計上すべきか……。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 現在不良貸し付けがあって引き当てた金があると思うのですよ、いままでの経理では。その引き当てた金、こげついて、結局この貸し倒れ引き当て金をもって引き当てた金が、大口で、たとえば一億の金を高知県の何々に貸した。たとえば住宅の敷地購入に貸したとか、あるいは群馬県の何々に貸した。ところがそれが非常に投機的な貸し付け金であったがために、共済組合としては回収が不能になった、こういうふうな金額が相当あるように聞くわけです。何かそういうふうな不良貸し付け、つまり共済組合理事会で適当な貸し付けのしかたをやったがために相当大口の金がこげついておる、こういう話を聞くのですが、そういうことはないですか。
  48. 志村静男

    志村説明員 私ども承知している範囲では、先生がおっしゃるようないわゆる大口というものについては、私ども聞いたことがございません。それで先ほどお答えいたしましたように、元来が公務員でございますし、それから貸し付けをする場合などにおきましても、一番問題になりますのは、住宅貸し付けが相当大口になるわけでございますが、地方職員共済組合の場合でございますと、やはり将来支給を受けるべき退職手当あるいは退職年金というものに見合うものの限度におきまして、これを貸し付けておりますので、そういう点の心配は一般的にはないわけでございます。ただ共済組合によりましては、そういった担保的なものの限度をこえて貸し付けておるという場合がございますので、ある程度貸し倒れ引き当て金の必要性も出てくるわけでございます。ただ、どの程度あったかということにつきましては、いま申し上げましたように、私ども記憶では、地方職員共済組合の場合におきましては、多少極端な言い方かもしれませんが、ほとんど皆無に近いような状態であるというように私ども承知しているわけでございます。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 それは皆無であるのに近い状態にあるのが当然だと思うのですが、あまり膨大な貸し倒れ引き当て金があるから、私はそういうことに——公務員共済ではないけれども、いろいろな共済組合が思惑に土地を買ったとか、あるいは株を買ったとかいうようなことを聞くわけなので、あるいはこの中にもそういうふうな部類がないのかどうか、そういうことをお尋ねしたかったわけです。  ところで、この貸し付け金の金利が、非常災害の場合に四厘八毛、住宅貸し付けが四厘八毛、一般貨し付けの五厘と二毛しか違っていないわけですが、こういうふうな非常災害にあった場合の一般貸し付けとか、住宅貸し付けとかいうようなものについては、これは無利子で貸し付けをするとか、何かそれこそ国が財政措置をしてやるのが当然だと思うわけですが、その点について自治大臣としてのお考えを伺っておきたいと思います。
  50. 志村静男

    志村説明員 お尋ねの件でございますが、やはり貸付経理の原資という点になりますと、現行制度におきましては、長期経理資産の運用ということでやっているわけです。長期経理資産は当然将来の年金原資ということでございまして、他の経理貸し付ける場合におきましては、五分五厘を下回ってはいけないという規定等もございますので、現行制度におきましても、災害の場合におきましては相当考慮しているわけでございまして、さらにこれが利率の引き下げということにつきましては、努力をする余地がないとは申し上げませんが、やはり無利子にするということにつきましては、現行制度上非常に問題がある、かように私ども考えておるわけでございます。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 それは現行の規定では五分五厘という規定がある。あるからそれはできないですけれども、やはりそんな規定があるからできなければ、その規定改正をして、公務員が非常災害にあったときには、それだけの恩恵が受けられるような配慮をしてやるのが共済組合精神ではないか。あなたたちは規定規定と言われるのだが、その規定をつくってくるのもあなた方ですから、そういう不合理を規定があるとするならば、そういう不合理を改めて、やはり公務員共済組合法としての精神に沿うた資金運用の方法に持っていくような改正をするのが、これがあたりまえだと思うのですが、そのことにあまりこだわってやるところには、何か大きな壁でもあるのですか。
  52. 志村静男

    志村説明員 いま申し上げましたように、長期経理資産の運用ということになりますと、長期経理資産は将来の年金の原資になるわけでございます。したがいまして、そういうような点からいたしますと、運用利回りということにつきましては十分考慮していかなければならぬ。それはやはり組合員の利益というものに一致をするというように考えておるわけでございます。確かに御指摘のような点につきましては、非常災害の場合でございますので、その点からいきますれば、できるだけ金利を引き下げるという、こういう要望もよくわかるわけでございますので、現行の利率がはたしていいかどうかという点につきましては、十分検討する余地があろうかと私ども思っておるわけでございます。ただそれにつきまして、ゼロにするというような点につきましては、やはり長期経理資産の運用であり、長期経理資産というのは将来の年金の原資であるということから考えますと、非常に問題が大きいのではないかというように考えておるわけでございます。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 最後に、この共済組合資金というものは相当な金額で、地方公務員がこの恩恵に浴し、利用しておるわけですから、これに対していつまでも国が全然負担を計上しない、負担をしないということは、これは不合理なもので、それを一五%地方財政の面で配慮しておるといっても、それははっきりした金額で明示をされてないわけですから、おまえのところに交付税で見てやるのだ、あるいは特別交付税で見てやるのだというようなことにしかなっていないのであって、もうそろそろ次の段階には、法改正の中で国庫負担の区分というものを明らかにしていただきたい。それは単に長期給付短期給付にのみならず、共済組合負担区分の中で、国が二〇%、地方公共団体が五〇%、本人が三〇%というような負担区分をしてやることが、共済組合法意図する、目的とするところにかなった行為だと思うのですが、それをいつまでもやらずに、法律改正になったら、他動的に共済組合法の一部を改正するという形で年々経過をしていかないように、やはり自治体としてのきちんとした、自主性を持った法改正を、自治省としては立案をして国会に出して、国民の審判にこたえるべきだと思うのですが、その点について自治大臣の御見解を最後に伺っておきたいと思います。
  54. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先般河上さんにもお答え申し上げましたが、地方公務員共済制度というものは社会保障制度の一環でございます。したがいまして、社会保障制度というもの自体が、常に前進すべきものであるということから、いろいろ改善をしなければならない問題があろうと思います。ただ各種の公的年金制度等がございますので、地方公務員共済だけが独走をするというわけにもいかぬとは思いますけれども、各種こうした制度を一体といたしまして、社会保障制度の前進という意味におきまして、いまお尋ねのような問題については検討したいと考えております。   〔大石委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 私は非常に未熟なもので、国会の審議のあり方というか、そういうことについてきわめて不十分で、わからないわけですけれども、やはり国会の中で論議されたことが、次の時点では法律なりあるいはまた行政行為なりに反映をして出てくるのが当然だと思うわけですけれども、どうも法律をつくっていくのに、やはり法律のもとになる第一条の目的に沿うた形で法改正というものをやっていただかなければならないのに、お役人はそのことを怠ってというか、そういうことをせずに、その一条の目的が次々に削り取られていって、せっかくのりっぱな法律もその価値が失われてきておるということを非常に残念に思うわけです。相次ぐ政府の、この国会に出されておるいろんな法律案を見た場合に、非常にそういうことについての疑問と不満を持つものですが、いま自治大臣の言われました精神というか、その方向というものが次の共済組合法改正の中では十分生かされるものであるということを期待をして、私の質問を終わります。
  56. 亀山孝一

    亀山委員長 折小野君。
  57. 折小野良一

    ○折小野委員 御質問申し上げます。  今度の地方公務員等の共済組合法改正につきましては、特にこの長期給付につきまして、恩給関係改正に準じて改正するということでございます。したがって、いわゆる二万円ベースの給料で算定した額の三二%増額した額に引き上げるということでございますが、大体私ども年金というものを考えます場合に、これはやはり一つの生活保障であるというふうに考えざるを得ないと思うのであります。たとえ現在の時点におきましてそれが十分でなかったにいたしましても、それはやはり生活を支えるものである、そういうふうに考えてみました場合に、二万円ベースで考えられた時期と今日と、今度は三二%増額して、それに応じようというふうに考えられておられるわけでございますが、その間の物価の上昇の程度、あるいは生活費の上昇の程度、あるいは公務員、この場合は地方公務員でけっこうでございますが、地方公務員の給与の比較、こういう面からいきますと、三二%というのは大体どういうふうな地位に考えられますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  58. 志村静男

    志村説明員 昭和二十六年と申しますのが恩給と給与とが一致しておったときでございます。その昭和二十六年を一〇〇といたしますと、公務員の給与指数は昭和四十年で約三五〇、それから消費水準につきましては、同じく約二一〇、それから物価の関係におきましては約一七〇というふうに私記憶しておるわけでございます。そして、二万円ベースの二割増し、さらにその一割増しということでございますと、おおむね消費水準でございますからこれに大体見合うものである、したがって、物価水準というものは上回っておるというふうに承知しておるわけです。
  59. 折小野良一

    ○折小野委員 生活という面からいきますと、ただ単に物価上昇をカバーするというだけではなかろうと思っております。給与ベースの中には、いろんな面が考慮されておるわけでございます。したがって、一ぺんやめて、そうして年金をもらうようになったら、とにかく食えさえすればいいというわけにはまいりませんでございましょう。そういう点からいきますと、いわゆる年金のスライド制というのは、やはり新しい時代の生活に即して、その額がスライドされなければならないというのがその本旨であろうというふうに考えるわけでございます。そういう点から、先般も藤枝大臣のほうで、その基準につきましてはいろいろ検討されておるということでございますし、私どもできるだけ早急にその検討をしていただきまして、各種年金の額のスライド制というものを制度の上ではっきり実現させていただきたい。いまのところ、法律に一応規定はあるにしましても、実際はそのとおりに行なわれていないというのが現状でございます。そういうような面からいたしまして、現在検討されている段階におきまして、あるいは自治省において省独自の立場でお考えになっておる段階におきまして、そのスライドを、物価上昇と申しますか、そういう面を基準としてお考えになるのか、あるいは、それぞれの時期における公務員あるいは国民としてのいわゆる生活費、そういうものを基準としてお考えになろうとしておられるのか、その辺の御見解を承っておきたいと思います。
  60. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 元来、年金制度というものは退職時の給与というものを基準にするのだというような従来の考え方であったと思います。それに対しまして、昨年の各種公的年金法改正によりまして、そうではなくて、やはり生活水準なり、公務員の給与なり、物価なり、そういうものを考慮してスライドすべきものであるというような思想が取り入れられたと思うわけでございます。したがいまして、あの、いわゆるスライド条項というものを実際に運営する場合におきましては、そうした物価とか、公務員の給与とか、そういうものを基準にして、何らかの具体的なものさしをきめなければならぬと思います。要するに、そうした各種の要素を総合勘案いたしましてものさしをきめるということであろうと思いますが、しかし、具体的に何かやろうとすれは、やはり公務員の給与というようなものが、物価なり、あるいは国民の生活水準なりというものをあらわしているものでございますから、そうしたものを基準にするということになろうかと思います。そういう点で現在検討をいたしておる次第でございます。
  61. 折小野良一

    ○折小野委員 そういう方向にございますし、そしてまた、それが実現することを各方面で期待されておりますので、ひとつぜひ早急にその実現を御期待を申し上げてまいりたいというふうに考えております。  ところで、先般の質問でもすでに出ているわけでございますが、各種年金につきまして国庫負担がなされておる、あるいはなされていない、あるいはその率が二〇%であり、一六%であり、一五%であるというような相違がございます。この点につきまして、先日の御答弁によりますと、大体この比率で均衡を得ておるのだ、各種年金の内容その他から考えまして、この比率で均衡を得ておるのだという御説明があったわけでございますが、私ども、その御説明で、なるほどそうかというふうには必ずしも受け取り得ないわけであります。厚生年金関係が前に国庫負担一〇%から一五%に上がった。その際に、地方共済も同じにそういうことで上がった。その後厚生年金が二〇%に上がった。ある時期においては同じ率が均衡を得ておったというふうに考えられるわけでございましょう。そして今回は、こういうふうに率が違うことが均衡を得ておる、こういうふうにおっしゃるわけでございましょうが、その御答弁の根拠と申しますか、その点をはっきりひとつお知らせをいただきたいと思います。
  62. 志村静男

    志村説明員 先生のおっしゃる点は、厚生年金保険が一五%の時代に、公務員共済も一五%になっておったじゃないかというところに重点があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、公務員共済組合の公的負担が一五%になりましたのは、厚生年金保険が一五%だからそれに右へならえをしたというのではございません。私学共済、農林共済が一五%でございまして、私学共済、農林共済の給付水準というものが公務員並みになってまいりましたので、それに合わせまして、共済制度間の均衡をはかるという意味で一五%にしたというように私ども承知をしておるわけでございます。
  63. 折小野良一

    ○折小野委員 いまの御意見のとおりでございますならば、私学共済あるいは農林関係が一六%、現在の地方公務員共済が一五%という、わずか一%であったにいたしましてもそこに差がある。ある時期においてはそれに合わせるというようなことで一五%、いまここにまた差が出てきておる。ここにも何か理由がなければならないと思います。そしてまた、こういう共済と厚生年金の間の差というものにも、当然そこに根拠というものがなければならないと思うのでありますが、そういう根拠が明らかでございましたらお知らせ願いたいと思います。
  64. 志村静男

    志村説明員 現時点におきましては、御指摘のように厚生年金保険の場合は二〇%、私学共済、農林共済の場合は一六%、公務員共済におきましては一五%、こういう公的負担になっておるわけでございます。まず厚生年金保険との関係でございますが、この点につきましては再三申し上げましたように、給付水準、給付内容という点からいたしまして、厚生年金の場合と地方公務員長期給付とでは差があるわけでございます。具体的には、年金の支給開始年齢の相違、あるいは給付算定の基礎になりますところの給料、あるいは標準報酬の算定方法というのが違いますので、そういった点を考慮に入れますと、厚年の給付レベルというのは共済レベルに引き直してみますと、大体六割ないし七割程度になるのではないか、かように私ども考えておるわけでございます。したがいまして、厚年におきますところの二割というものを共済レベルに直してみますと一二ないし一四%の国庫負担だということになりますので、一五%の公的負担とおおむね均衡がとれているというふうに私ども考えておるわけでございます。  それから次に、私学共済、農林共済との関連でございますが、これにつきましても御説明申し上げましたように、私学共済、農林共済の場合におきましては、給付算定の基礎になりますところの標準給与額の最高限あるいはその給付算定の基礎になりますところの標準給与額の算定期間というものが違っておりましたので、これを直したわけでございます。直しました結果、給付に要する費用が当然ふえましたので、組合員負担を軽減するという意味で一%上げたわけでございますが、公務員共済制度におきましてはすでにそのような給付水準に達しておりますので、一五%はそのまま据え置いた、こういう事情にあるわけでございます。
  65. 折小野良一

    ○折小野委員 今日までの過程におきまして、それぞれの年金制度がそれぞれの実態に合わせて違った形ででき上がってきておるというのは、これはある程度やむを得ないと思っております。しかしながら国民の年金福祉、こういう立場からいきますならば、逐次それらを統合していけるような、少なくもだんだんレベルをそろえていく、差がありましたならばその差を縮めていくというのが今後の一つ方向じゃなかろうかというふうに考えます。そういう面からいたしますと、現在ありますそれぞれの年金の差、これは給付の差もありましょうし、あるいは負担の差もありましょうし、いろいろな面の差があるわけでございましょうが、そういうものを国民年金という広い意味年金保障という立場から逐次その改善をはかっていく、一本化をはかっていく、そういう方向に努力していくのが正しい方向じゃなかろうか、私どもそう考えます。そういう点から、当然地方公務員関係年金制度につきましては、自治省のほうで今後の方向というものを考えておられるだろうと思っております。たとえば、国庫負担の導入というものも考えておられるはずだと思います。あるいは各年金を通じまして、そういう国庫負担を同じ程度にやっていくというような形も考えておられると思いますし、あるいはその給付のいろいろなものを大体同じような方向にそろえていくということも考えておられるだろうと思っております。そういう立場から、自治省として地方公務員共済制度を今後どういう方向に持っていこうとされますか。その中の二、三の点、特にここでいま私問題にいたしておりますのは、公的負担あるいは国庫負担というものでございますが、これについての自治省としての今後のお考えあるいは態度、こういうものをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほども井上さんにお答えいたしたわけでございますが、社会保障制度そのもの、これは常に前進させていかなければならない、そうしてその中におきまして、地方公務員共済制度についても、その充実をはかっていく必要があるわけでございます。ただいま、おことばにもありましたように、各種年金制度というものは大体肩をそろえていく必要があろうと思います。  それで、下へ押しつけておるじゃないかというお話もありますが、むしろ高いものに肩をそろえる必要があるわけなんでございまして、たとえば例におあげになりました公的負担の割合をふやしていくというようなことも一つの方法であると私も考えております。もちろんそれは単に地方共済だけが独走するわけにもいかないわけでございまして、ほかの公的年金制度との均衡をとりつつ、しかもそれが社会保障制度の前進という意味において、公的負担をふやしていくというような方向をとらなければならないものと私は考えております。
  67. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣の時間がそうないようでございますので、次に入ります。  地方公務員共済短期給付につきましては、前から出ておりますように、健保法の改正におんぶするというような形になっておるわけでございます。ところが健康保険法改正というのは、政府管掌健保の赤字解消、それに対する臨時特例措置というのがその主要な目的でございます。ところが共済の場合におきましては、健保にありますようないわゆる赤字というのは表面上出ていない。そういう違った制度健保法の改正に伴って、あるいはその中で改正しようというふうにされるのは、どうも私どもふに落ちないのでございますが、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まさに御指摘のような点はございます。ただ各種共済短期給付につきましては、すべて健保制度をそのまま導入するという、全体の体系がそういうことになっておるわけでございまして、それを、今回の政府管掌健保について赤字解消の一つ臨時特例措置をするから、それを何も地方公務員共済短期給付に導入しなくてもいいではないかという御議論はあろうかと存じます。しかし、全体の体系が常に健康保険関係のものをそのまま導入するという体系になっておりますので、これを今回に限りくずすということは非常に問題もあろうということで、あのような措置をとったわけでございます。したがいまして、これによって、先ほども事務当局からお答えいたしましたように、ある程度組合員負担がふえるというような問題もあろうかと思いますが、一面それによって保険財政が、短期給付の財政が楽になりますならば、組合員負担を減らす、あるいは付加給付であるいろいろな新しい施設を充実するというようなことにいたしまして、組合員の福祉の増進に役立たせたいというふうに考えておるわけでございます。
  69. 折小野良一

    ○折小野委員 共済組合短期におきまして、赤字がないということになっておりますが、ということは、その組合短期給付の面においてきわめて健全に運営されておるということでは決してないのであります。同じような状態というのは、政府管掌健保とそれから共済組合短期給付とそう大きな違いはない。しかしながら、片一方は赤字だということで、二百二十五億の国庫負担によってその赤字を少なくとも単年度において解消しようとしている。ところが片一方におきましては、表面上赤字がないということになって、したがって国庫負担というものは全然ない。その赤字分というものは、結局組合員が掛け金という形におきまして、あるいはそれぞれの事業主が負担をしておるという形になっておるわけであります。したがって、政府管掌保険の赤字に相当する部分というものは、各共済短期給付におきましてもやはりそれだけ組合員その他の負担増という形であるはずでございます。したがって、そういたしますならば、健保の赤字を解消するための政府のいろいろな施策が行なわれますならば、この共済短期給付につきましても負担軽減という面で同じほどの何らかの施策があっていいんじゃないか、私どもはそういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。
  70. 志村静男

    志村説明員 短期給付につきましての国庫負担の問題につきましては、いろいろ先生指摘ございましたように、御議論はあるわけでございますが、私どもといたしましては、地方公務員共済制度職員相互救済制度でございますので、本来のたてまえといたしましては、使用者としての地方公共団体組合員とが折半をして負担をする、これが正しいあり方ではないか、かように考えておるわけでございますが、こういったような考え方につきましては、昭和三十七年八月に出されました社会保障制度審議会の基本的な答申あるいは勧告という中でも私ども指示をされているのではないかと考えておるわけでございます。お尋ね政管健保につきましての昭和四十二年度におきます二百二十五億円の補助でございますが、これは御指摘のように、赤字のためのものだというように私ども考えておるわけでございます。一方、地方公務員共済組合におきましては、四十一年度末におきまして、これは推定ではございますが、大体私どもとんとんにはなっておるというように考えております。また、やはりこれを比較する場合におきましては、単なる料率ではなくて、給付水準、給付内容というようなものも考えるべきであろうと思っております。また、御承知のように、政管健保の場合の保険料率というものは標準報酬というものが土台になっておりますが、地方公務員共済組合の場合におきましては、これは給料というものが根拠になっておるわけであります。それ以外にいろいろ法定給付という点におきましてもあるいは付加給付という点においても差があるわけでございまして、全体をながめておりますと、私どもそういった両者の間に均衡を失しておるというようなことはないと考えておりますので、この点につきましては、同じような事情にあるということでちょっと議論はできないのではないか、かように思っておるわけでございます。
  71. 折小野良一

    ○折小野委員 政府の立場としては、そういう御答弁が出てくるのももっともだろうと私ども考えております。しかし、政管健保で赤字がたくさん出て、そうして各共済短期給付で赤字が出てないという一つの原因は、政管健保におきましては、標準報酬に対する千分の八十という最高限度のきまりがあるわけであります。そのうちの千分の三十五各組合員負担するということになっておる。ところがこの地方職員共済、こういう面におきましては、その最高限度がない。したがって、ところによりますと千分の百以上という負担が今日出てまいっております。もちろん、この千分の百というものと政管の千分の八十というものを、ただ数字だけで比較するということはできませんでしょう。その点につきましては、確かに志村事官からお話しのようないろいろな条件というものがございます。しかし、私ども、このため考えられますところは、千分の百であったといたしますならば、政管健保の千分の八十というものと比較いたしましてやはり地方公務員の場合のほうがその負担は重い、こういうふうに見ていいんじゃないか。いろいろな違った条件を加味してみましても、やはり地方公務員の場合の負担のほうが重いのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。医療保障という大きな立場からいたしましても、これも将来は一元化していかなければならない、一本化していかなければならない。これがやはりすべての人が考える一つ方向であろうと思います。そういう立場からいたしますならば、逐次それぞれの制度のあり方あるいは給付の内容、負担、そういうようなものを一本にそろえていく、そういう努力がなさるべきじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この短期給付の問題につきまして、たまたま政管健保の赤字ということで問題になってまいっておりますが、この赤字解消につきましても、いろいろな不合理あるいは他の共済との不均衡という問題が出てまいっておるわけであります。そういうような面から考えて、今後自治省といたしまして、特に地方公務員共済関係につきまして、特にその短期給付につきまして、どういうふうなお考えで運営をし、あるいは制度改正を予定しておられるのかどうか、その辺の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  72. 志村静男

    志村説明員 お尋ねの件につきましては、やはり私ども、医療費問題につきましての抜本的な対策、解決、そういったところにまつところが非常に大きいだろうと思っておるわけでございます。したがいまして、このような問題につきましては、ひとり地方公務員共済制度としての短期給付制度だけでなく、全体の医療制度との関連におきまして、抜本的に、根本的に検討されるべきものである、かように考えておるわけでございます。しかしながら、私どもといたしまして、それではそれまで何もしないということはもちろん許されることではございませんので、私どもとしてできるだけのことは今後とも最大限にやってまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  73. 折小野良一

    ○折小野委員 私どもも、医療保障制度につきましては、この際、早急に抜本的な対策が講ぜられなければならないというふうに考えております。この点、政管健保の赤字解消のための臨時応急の措置としてとられておるものの中に、いわゆる薬価の一部負担という問題が出てきておるわけでございます。しかし、このことは、臨時応急の措置としてなさるべきものでなしに、むしろ抜本的な対策として考慮されるべきものであろうというふうに考えております。そのことにつきましては、自治省としましては、いわば所管が違うということでございましょうが、地方公務員共済短期給付が今回の臨時措置法と直接関連あります関係からいたしまして、自治省としましては、この薬価の一部負担につきましてはどういうお考えを持っておりますか。
  74. 志村静男

    志村説明員 健康保険法改正によりますところの薬剤についての新たな一部負担、これは私ども、やはり政管健保の赤字対策の一環である、かように承知をしているわけでございます。
  75. 折小野良一

    ○折小野委員 私どもは、これは抜本的対策という立場において考慮さるべきものであって、赤字対策としてこのような方法を導入すべきではないというふうに考えておるわけでございますが、自治省としましては、自治省独自のお考えをお持ちになるということもいろいろ御無理だろうと思いますので、これ以上申し上げません。  最後に、長期給付資金運用に関してでございます。これにつきましては一応法律で規制があるわけでございます。また趣旨としましては、年金の原資でございます関係で、それを有利に運用しなければならない。しかしまたそれぞれの組合員の掛け金が半分あるというような面、あるいは制度の趣旨からいきまして、組合員の福祉につながるような方向でできるだけ運営されるというのが趣旨だろうと思っております。その中に、いわゆるワク外債という形におきまして、市町村のいろいろな事業に伴います起債を出しておるという現実があるわけでございます。こういうワク外債と称せられるものが現在はたしてどの程度活用されておるのか、またこのワク外債といわれるものはいわゆる自治省のそれぞれの年度の地方債計画の中に入って、そしてその中で運用されておりますものなのか、あるいはそれぞれの組合とそれぞれの都道府県との間の打ち合わせといいますか契約といいますか、そういうようなことで運用されておりますものか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  76. 志村静男

    志村説明員 長期経理資産の運用につきましては、先生承知のように、地方公共団体行政目的の実現あるいは組合員の福祉増進という見地からなされるわけでございまして、いまお尋ねのございました地方債の取得関係につきましては、長期経理資産の当該年度におきますところの増加見込み額の三分の一、これはいわゆる義務取得ということになっておりますので、結局その残りの分がどうか、こういう御質問であろうかと思うわけであります。いわゆるワク外債の取得関係につきましては、これは地方債計画外のものでありまして、先生いま御指摘がございましたように、個々の共済組合によりまして資金事情というものが違いますので、個々の共済組合が具体的には府県なら府県の当事者と相談をいたしまして、その範囲でもって具体的に取得をする、こういう状態になっているわけでございます。私ども承知をしておりますところでは、市町村の場合でございますと大体土木施設でございますとかいったようなもの、あるいは庁舎というような関係でございますとかこういったものにワク外債が充てられる面が相当大きいのではないかと、かように思っているわけでございます。
  77. 折小野良一

    ○折小野委員 地方債の計画外だということでございますが、私も実は十分調査いたしているわけじゃございませんが、九州だけの市町村共済の長期経理、その中から出ておりますワク外債の額が本年度で四億から五億くらいになっておるというふうに大体見当をつけております。これが全国になりますともっともっと多いだろうと思いますし、その他の共済組合におきましてもそういうものがありますかどうか知りませんが、とにかく相当額の資金がいわゆる計画外の起債という形で動いている。このことは日本の経済全体にやはりある程度影響があるのじゃなかろうか。そういう面からしますと、むしろやはりある程度政府のほうでそれをつかんで、そうして計画内のより効率的な運用というものをはかることのほうがいいのじゃなかろうか。これは共済の立場を離れてですが、そういうふうに感じます。また今後おそらくそれはふえてくるのじゃなかろうか、そういうふうに感じます。その点についての自治省としてのお考えをお聞かせいただきたい。  それから、もしこれが今後ふえてくるということになってまいりますと、組合員の福利のために使われる資金、もちろんこれはただ単に福利のためと申しますか、それと同時に資金を有利に運用するという面も当然加味してのことでございますが、そういう組合員の福利のために使われる資金というものがそれによって圧迫されてくるのじゃなかろうか、むしろ行政機関、都道府県の圧力というものがある程度高まって、そうして組合員に対する福利的な使途というものが押えられてくる、こういうような傾向が出てくるのではなかろうか。もしそういうような傾向が出てくるということになってまいりますと、共済という立場におきましてはやはり好ましい傾向ではないのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。  また、その資金の使途につきましても、ただいま土木施設とかあるいは庁舎とかいうふうな面をおっしゃいましたが、その内容につきまして、組合員の福利に多少とも関係する、たとえば組合員の福利施設であるとか、あるいは住宅であるとか、こういう面にむしろその使途は向けられるべきではなかろうか、そういう面の指導を今後自治省のほうでやっていかれるお気持ちがございますかどうか、この問題についての今後のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  78. 志村静男

    志村説明員 長期経理資産につきましては、先ほどから申し上げておりますように、やはり将来の年金原資でございますので、そういったような点から申しますと、共済組合といたしましてはできるだけ高く運用する、こういった要請が一方にはあるわけでございます。しかしながら他方におきましては、やはり地方公共団体負担金あるいは組合員の掛け金でもってまかなわれているわけでございますので、地方公共団体行政目的の実現あるいは組合員の福祉増進というものにやはり向けなければならぬ、こういうことになるわけでございます。そういたしますと、やはりそのような面では低利回りと申しますか、そういったような問題が私は起こってくるのではなかろうかと思っております。一方、現行制度におきましては長期経理資産の資産構成というものをきめておりまして、いわゆる預貯金等につきましては全体の五五%以上でなければならぬ、それから不動産を取得するための部分は二〇%以下でなければいけない、それ以外の貸し付けに充てる部分は二五%以下でなければいけない、こういう規定があるわけでございます。ただこれはたてまえでありまして、その構成割合は変えられるようになっておりますので、いま先生から御指摘がございましたように、最近の住宅事情等にかんがみ、組合員の住宅事情について強い要望というものもございますので、これについては私どもといたしましては重点的に貸し付けるということで、このような資産構成割合につきましても大幅な例外というものを認めておる、こういうような事情にあるわけでございます。  ワク外債の取得という点につきましては、やはりこれは何と申しましても、現行制度におきましては共済組合は自主的に民主的に運営されるというたてまえになっており、共済組合によりましてはそれぞれのお考えもあり、また資金事情というものも違うわけでございますので、そういった自主性というものは十分尊重いたしまして、関係当事者におきましてワク外債というものは無理のないようにきめられるべきものである、かように考えておるわけでございます。  それからなお、いわゆるワク外債につきまして地方債の計画外になっているという点でございますが、これにつきましては、私直接担当しておるわけではございませんけれども、十分関係部局のほうとも今後相談をしてまいりたい、かように思っております。
  79. 折小野良一

    ○折小野委員 大体以上で終わりますが、何と申しましても、この共済組合運営というのは多くの職員の生活に関係をいたしておる問題でございますので、その運営がより適切であることを私ども心から念願をいたしております。と同時に、それぞれの組合はそれぞれの自主性を持っておる。また、それぞれの地域あるいはその他の実情というものを踏まえて運営されなければならない。そういう面から考えまして、自治省といたしまして、十分握るところは握って、指導するところは指導していく。と同時に、それぞれの地域の自主性というものを十分生かして、そしてそれが多くの職員の福利につながるように、そしてまたひいてはそれが地方行政の能率につながる、そういうことで十分な運営をお願いいたしたいと考えております。  私の質問を終わります。
  80. 亀山孝一

    亀山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時一分散会