○門司
委員 それでは問題に触れていきたいと思いますが、御
承知のように、しばしばこの
委員会でお話がありますように、
細郷局長が何か世界に冠たる交付税法だと言ったことであります。これは何も
細郷君のことばだけじゃございませんで、
自治省の一つのイデオロギーだと考えている。私がなぜこう申し上げるかといいますと、いまそこに
大村委員もおりますからはなはだ恐縮でありますが、数年前に
大村委員が書かれた本の中にこういうことが書かれておるのであります。大体外国では二〇%内外が国からあるいは連邦から支出されるものであるが、イギリスが多くて四〇%くらいであるが、日本の場合はそれをこえる非常に大きな問題であって、世界で一番いい
制度だ、そういうことを先輩が書いておりますから、それを復習されておるのだというふうに私は考えております。もしこれが
自治省の一つのイデオロギーとして定着しているということになると、ここに議論が当然出てくると私は思います。そこで問題になってまいりますのは、この
法律によって
適用されますいろいろな問題に対する考え方をもう変える必要がありはしないか。今回出されております
法案の
内容を見てみましても、ただ特別法で百二十億ばかりのお金がこちらにくるから、そのお金をこの
法律の中に入れて、そうしてその配分の数値を変えていくというだけのきわめて単純なものであって、三二%は依然として変わりがない。同時に、
大臣の
地方財政演説等を聞いておりますと、地方の自治体の税収が非常にふえつつある。あるいは国税三税も伸びておるから、地方の自治体に何か非常に安心感を与えたような形の
大臣のお話がうかがえるのでありますが、私はここで
大臣にお聞きをしておきたいと思いますことは、なるほど現時点におきましては税収がふえておることは事実であります。それから地方の
財政もそれだけの分が豊かになることも私は事実だと思います。しかし、ふえております分は、一つはベトナム特需だ。約五千億ないし六千億をあるいはこえておるかと思いますが、
政府の発表はそれより少ないようでありますが、特需が一つある。それと、昨年来のいわゆる公債発行による景気刺激という異例な経済状態の中で今日の税収がふえつつあるということ、国民所得がふえつつあるということは、いなむことのできない事実だと思います。したがいまして、こういうベトナム特需というようなことは一日も早くなくならなければならない
関係のものでありまして、これらが終息してまいりますと、そう
大臣の言うように、
地方財政が伸びておるからといって楽観しているわけにはまいらないのじゃないかという考え方が出てくるのであります。
時間がございませんから、立ったついでに申し上げておきますが、こういう
財政に対する楽観の気持ちというものが、日本の今日の
地方財政に非常な行き詰まりをこしらえた原因であります。いわゆる
昭和二十五、六年ころの朝鮮動乱のときの特需その他によって非常に景気がよくなった。このときに
地方財政計画が変えられておりましょう。この
法律も
昭和二十五年に変えておる。それ以前においては
地方財政平衡
交付金として、これと変わった性格を持っておったはずである。ところが非常に景気がよくなったということで、二十五年にいまの
地方交付税法という形でこれが取り上げられ、そうしてこのことが、先ほど申し上げておりますように、世界で一番いい方法だということが今日伝わっておる。そうなってまいりますと、その後二十七、八年の朝鮮動乱の終局後における不景気というものが
地方財政を非常に赤字にいたしてまいりまして、ついに
昭和二十九年になって特別法を設置しなければならぬようになってきた。これにこたえて、同時に行政上におきましても節約するという意味で町村合併が行なわれた、こういう経路を実はたどっております。そこでこれをずっと考えてまいりますると、今日の状態がちょうどまた
昭和二十七、八年のような状態にベトナム戦争が終わるとすれば直ちに突入するような危険性を私は考えないわけにはいかない。そうなってまいりますると、
大臣のお考えのようなことでは、
地方財政の将来に対して危惧するものがどうしても出てくる。
そこでいま考えてまいりますることは、もう一つの問題として
大臣にお考えを願いたいと思いますことは、それと並行して今日の地方自治体の
現状、いわゆる行政需要の増加——
財政需要とは申し上げません、この場合は行政需要と申し上げておきます。行政需要の増加というものは著しいものがある。水道の問題をどうするか、下水をどうするか、学校をどうするか、この行政需要の増加に対して
財政需要の見積もりは、この法の六条が示しておりますような形でこれが行なわれる。しかも五条、六条の
関係は、御
承知のように、
都道府県知事、市
町村長が自分のところで必要な
財政需要を認めて、そして
財政収入との
関係を市
町村長は県
知事に報告しなければならない、県
知事は
自治大臣に報告をする。しかしこれが必ずしも積算の基礎になるわけではない。
地方財政平衡
交付金のときはこれを一応の基礎的の計数数値として取り扱っておりましたが、改正されたこの
法律では、これは必ずしも数値にはならない。それは三税の百分の三十二という一つの限定が置かれておるから、ここで
自治省があんばいをしてというか、数字をいじくって逆算をして、上から天下りのものを地方に押しつけておるというのが今日の
現状であることは間違いございません。したがって、いま申し上げました行政需要の拡大強化というか、拡大いたしておりますものにこれはそぐわないのである。そこに私は問題がありはしないかと考えておるが、この点の触和をどういう形で行なわれようとしておるのか。今日のこの
法案自身を見てみました。百二十億ばかりのものをどこかに突っ込む必要があるからというので、いままで道路、橋と分けておったのを、道路、橋梁ということにしたというので、まるで子供の数字のいたずら——と言うとおこられるかもしれませんが、数字を合わせた、つじつまを合わせたという
法案になっておる。でありますので、いま申し上げたように行政需要の増加に関しまする必然的に起こってくる
財政需要に対して、どうこれからは対処しようとするのか、その意図がございましたらひとつ
大臣からお聞かせ願いたいと思います。