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1967-06-02 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       大村 襄治君    加藤 六月君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       佐々木秀世君    塩川正十郎君       中馬 辰猪君    辻  寛一君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       永山 忠則君    古屋  亨君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       安井 吉典君    依田 圭五君       折小野良一君    大野  潔君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   関  忠雄君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         建設省道路局道         路総務課長   川田 陽吉君         自治大臣官房参         事官      鎌田 要人君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 六月二日  委員佐々木秀世君、山田久就君及び華山親義君  辞任につき、その補欠として大村襄治君、加藤  六月君及び安井吉典君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員大村襄治君、加藤六月君及び安井吉典君辞  任につき、その補欠として佐々木秀世君、山田  久就君及び華山親義君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員災害補償法案内閣提出第一一一  号)(参議院送付)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七〇号)  昭和四十二年度における地方財政特別措置に  関する法律案内閣提出第七八号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公務員災害補償法案議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。藤枝自治大臣
  3. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員災害補償法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  地方公務員公務上の災害に対する補償現行制度は、地方公務員法において地方公共団体補償義務が定められており、労働基準法業務上の災害補償に関する規定一般的に適用されているのでありますが、地方公務員法に基づき条例補償制度を定めている地方公共団体はきわめて少数であり、その場合にも、その補償内容は、労働基準法に定めるところとほとんど同様であります。  また、地方公務員のうち、一部現業職員につきましては労働者災害補償保険法が、また船員たる地方公務員につきましては船員法及び船員保険法がそれぞれ適用されているのでありますが、特別職地方公務員のうち、地方公共団体の長、議会の議員、各種委員会審議会委員等につきましては、公務上の災害に対する法律による補償制度が定められておりません。  御承知のように、国家公務員公務上の災害に対する補償制度は、国家公務員災害補償法中心に統一的に規定されているのでありまして、以上申し上げたような現状にある地方公務員公務上の災害に対する補償制度を、統一整備する必要性がかねてから感ぜられていた次第であります。  さらに、学働者災害補償保険法は、第四十八回国会において成立した同法の一部を改正する法律によりまして、昭和四十年八月から昭和四十一年二月にかけて大幅に改正され、補償内容におきましても年金制度が導入される等著しく改善され、また、それを受けて国家公務員災害補償法昭和四十一年七月から同様の改善がなされたのでありますが、そのために地方公務員のうち労働者災害補償保険法適用を受ける現業職員一般非現業職員との間の補償内容の差異が大きくなったのであります。したがいまして地方公務員公務災害補償内容につきましても、民間労働者及び国家公務員についての補償内容改善に応じて改善をはかる必要が生じているのであります。  さらに、補償実施体制におきましても、現状におきましては、労働基準法適用職員につきましては任命権者労働者災害補償保険法適用職員につきましては労働基準監督機関災害補償認定及び給付を行なっているわけでありますが、任命権者全国三千数百の地方公共団体ごとに分立し、また、同一地方公共団体の内部におきましても任命権者が分立しているため、全国的見地からの統一的、専門的運用が確保されているとは必ずしもいいがたく、これに対し、補償の迅速かつ公正な実施のための体制を確立する必要があると思われるのであります。さらに、これまで災害補償の道が開かれていなかった地方公務員につきましても、その道を開く必要があることは申すまでもありません。  このような諸事情を考慮し、政府といたしましては、地方公務員災害補償制度の確立について鋭意検討を進めてまいりました結果、この法律案を作成し、今国会に提案いたした次第であります。  次に、その内容につきまして概略御説明申し上げます。  第一に、すべての常勤の地方公務員公務災害補償実施機関として、法人たる地方公務員災害補償基金を設置することとし、その組織及び運営について規定しております。すなわち、基金は、全国一本の組織とし、その支部として従たる事務所を各都道府県及び六大市に設けて、業務の円滑な運営をはかりたいと考えております。その業務執行体制については、少数役職員を置くほか、重要事項審議するため地方公共団体機関代表者及び学識経験者をもって組織する運営審議会を置くことといたしております。なお、補償に関する不服審査を行なうため、主たる事務所および従たる事務所にそれぞれ審査会及び支部審査会を置くこととしております。  第二に、基金の行なう補償及び福祉施設内容でありますが、この点につきましては国家公務員災害補償法におけるそれと同一とすることといたしまして、国と同一補償水準を確保することといたしております。すなわち、基金の行なう補償種類は、療養補償休業補償障害補償遺族補償および葬祭補償の五種類でありますが、障害補償につきましては、障害の程度に応じて重い障害については年金、軽い障害については一時金とし、遺族補償につきましては原則として年金とし、例外的に年金を受ける遺族がないようなとき、その他の遺族に対して一時金を支給することとしております。基金は、これらの補償実施のほかに、公務上の災害を受けた職員福祉のために義肢義眼等補装具支給その他の施設をするようにつとめなければならないものと規定しております。  第三に、費用負担でありますが、以上に申し上げました補償及び福祉施設実施主体である基金業務に要する費用は、地方公共団体負担金をもって充てることとし、その地方公共団体ごと負担金の額は、一般職員、教員、警察官、交通、水道その他の現業職員等の、職員職務種類ごと給与総額に、補償に要する費用その他の事情を考慮して政令で定める一定率を乗じて得た額の合計額とすることとしております。  第四に、非常勤地方公務員についての補償制度でありますが、非常勤地方公務員のうち、学校医学校歯科医あるいは消防団員水防団員等のようにすでに他の法律公務上の災害に対する補償制度を定めているものは、それらの制度によることとし、それ以外のものにつきましては、各地方公共団体において条例補償制度を定めることを義務づけることといたしております。この場合、条例内容は、この法律及び労働者災害補償保険法で定める補償制度と均衡をとらなければならないものとしております。  以上がこの法律案の主な内容でありますが、なお、この法律の施行に必要な技術的事項、必要な経過措置及び他の法律の一部改正につきまして所要の規定を設けております。  以上、簡単でありますが、この法律案提案理由及びその概要につき御説明申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、法案補足説明のため、長野行政局長から発言を求められておりますから、これを許します。長野行政局長
  5. 長野士郎

    長野政府委員 お手元にお配りしております地方公務員災害補償法案関係資料の中の法案要綱によりまして、補足説明をいたします。  まず総則に関する事項でありますが、先ほど大臣提案理由説明にありましたように、この法律は、地方公務員公務上の災害に対する補償の迅速かつ公正な実施を確保いたしますため、労勤職員について地方公共団体にかわって補償を行なう基金制度を設け、その行なう事業に関して必要な事項を定めますとともに、その他基金対象とならない非常勤地方公務員補償に関して必要な事項を定めました。そして地方公務員及びその遺族生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするものでございます。  次に、この法律はいろいろ定義しておりますが、この法律職員として一般的に規定対象にいたしておりますものは、基金によりまして災害補償を行なわれる職員であります。それは常時勤務に服することを要する地方公務員といたしております。  要綱の二ページにまいりますが、それは地方公務員共済組合組合員の範囲と同様でありまして、いわゆる非常勤職員を含むものとしておるのであります。  また、この法律給付算定の基礎になる平均給与額というものを用いることにしておりますが、それは公災補償の原因の発生の日の前月末日から起算いたしまして、過去三カ月間にその職員に対して支払われました給与総額をその期間の総日数で除して得た金額をいうものとしておるのであります。  要綱の三ページにまいりまして、第二の「基金に関する事項」というところにまいります。  職員についてこの法律に定める補償等実施いたしますために、地方公務員災害補償基金を設置することといたしました。基金法人とし、その主たる事務所を東京都に、従たる事務所都道府県及び六大市に置くものとしております。  次に、定款業務規程登記等につきましては、基金一般特殊法人の例にならいまして、要綱の三ページ以下にしるしておりますように、必要な規定を置いておるのでございます。  四ページから五ページあたりには、基金本部構成につきまして規定をしておる関係事項がございますが、本部構成につきましては、少数職員を設けますほかに、重要事項審議いたしますために運営審議会を置くことといたしております。  六ページにまいりまして、運営審議会委員は十二人以内といたしまして、知事市長町村長都道府県教育委員会都道府県公安委員会及び地方公発企業管理者等地方公共団体機関をそれぞれ代表する者、そのほかに学識経験者構成をすることにいたしております。  次に、基金支部事務運営円滑化をはかるために、要綱に書いておりますように、地方公共団体の便宜の供与について規定をしております。すなわち、七ページに書いておりますように、地方公共団体機関は、その所属の職員をして基金業務に従事させることができるものとし、また、その管理にかかる土地、建物等を無償で基金の利用に供することができるものとしているのでありますが、これは共済組合の場合と同様であります。  なお、国は、基金の健全な運営がはかられますように、適切と認める技術的な援助をする等必要な配慮を加えるものといたしております。  以下、七ページから九ページにかけまして、基金事業年度とか事業計画予算、決算、その他特殊法人の例にならいまして必要な規定を設けた旨をしるしておるのでございます。  その次に九ページでございますが、九ページにおきましては、基金はそういう特殊法人でございまして、地方団体にかわって公務員公務災害補償を行なうという公的な地位を持つものでございますので、監督官庁としての自治大臣基金に対する監督権というものを規定しておる旨を示しておるのでございます。  一〇ページにまいりまして、第三、補償及び福祉施設に関する事項でございますが、補償実施につきましては、補償を受けるべき職員もしくは遺族等に対しまして、その請求に基づいて補償を行なう原則を定めました。  なお、基金は、定款の定めるところにより、従たる事務所の長に、つまりこの場合支部長補償を行なわせることができるものとしておりますが、実際には災害補償認定なり給付なりの大部分の補償業務支部長に委任する予定でございます。  次に、基金の行なう補償種類、一一ページのところに書いておりますが、療養補償以下五種類でございまして、このうち障害補償遺族補償につきましては、提案理由説明にもございましたように、年金及び一時金としております。これらの補償内容を通じて申しますと、国家公務員災害補償法の場合と同様であります。  それから、一一ページ以下に療養補償休業補償障害補償遺族補償等補償内容規定しておりますが、いま申し上げましたように、国家公務員公務災害補償と同じようなかっこうで規定をしておるのでございます。  次に、二一ページにまいりますが、災害補償基金におきましても他の災害補償と同じように福祉施設を設けることができるということにいたしまして、そうして義肢とか義眼とか補聴器、補装具等支給に関する業務と外科後処置等福祉業務が行なえるような規定にいたしておるのであります。  それから次に二二ページにまいります。費用負担に関する事項でありますけれども基金業務に要する費用は、地方公共団体負担金をもって充てるものとしております。この負担金の額の算出につきましては、政令で定める職務種類による職員区分に応じまして、たとえば一般職員教育職員、警察、消防職員公営企業等現業職員等区分に応じまして、当該職務種類ごと職員にかかる給与総額に、補償に要する費用及び基金事務に要する費用その他の事情を考慮して、政令で定める割合をそれぞれ乗じて得ました額の合計額とすることといたしております。  二三ページのところにまいりまして、第五、不服の申し立て及び訴訟に関する事項でございますが、基金が行なう補償に関する決定不服のあります場合には、審査会に対して審査請求をすることができるようにしております。支部の場合には、支部審査会請求をいたしまして、その決定不服のある者はさらに本部審査会に対して審査請求ができるようにしております。  審査会構成は二四ページに書いておりますが、委員五人、支部審査会委員三人をもって組織をいたしまして、それぞれ学識経験を有する者のうちから基金理事長または従たる事務所の長が委嘱するものとしております。その場合、従たる事務所の長は都道府県知事、六大都市の市長を予定しております。  第六番目は、雑則に関する事項でございますが、年金たる補償の額の改定につきましては、他のこの種の制度に書かれておりますように、いわゆる政策スライドと申しますか、国民の生活水準とか地方公務員給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定措置を講ずることということにしております。  その他、二六ページ以下には損害賠償の免責、第三者に対する損害賠償請求規定を、国の補償法労災保険の例にならい規定しておるのであります。  さらにまた、基金業務執行の実効を確保するための方法といたしまして、出頭とか報告等の命令、一時差しとめの権限についても規定をいたしました。  また、この法律によりまして補償が行なわれる職員に関しましては、災害補償に関する規定船員法関係規定及び労災保険法適用しないこととしております。  このほか非常勤地方公務員に関する事項また罰則等規定をいたしておりますが、これは関係規定として、それぞれ以上申し上げましたような趣旨に応じまして規定の整備をはかっております。  以上で補足説明を終わります。
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 本案に関する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 私は昨日の理事懇談会等の話し合いに基づきまして、次の二点につきまして御質問を申し上げますので、自治大臣大蔵大臣の誠意ある御答弁をひとつ願いたいと思うのであります。  第一は、昨年度特別事業債に振りかえられました公共事業費等地方負担分にかかる明年度以降の元利償還金については、国の責任において処理する必要があると考えますが、この点につき、自治大臣並びに大蔵大臣所見を伺いたいのであります。
  9. 水田三喜男

    水田国務大臣 ただいまの点につきましては、御意見のとおり処理する考えでございます。
  10. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 大蔵大臣からお答えいたしましたとおり、御意見のように処置いたす所存でございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 第二点は、地方交付税法第十条第二項ただし書きによりますと、各地方団体財源不足額合算額普通交付税総額をこえる場合は、調整率を掛けまして、各地方団体に交付される普通交付税の額が減額されることとなりますが、この普通交付税調整減額分については、その年度内に完全に補てんさるべきであると考えますが、どうでしょう。自治大臣答弁をいただきます。
  12. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 従来とも原則としてそのようにやってまいりましたが、今後も原則としてそのような処置をいたしてまいる所存でございます。
  13. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、関連質問として大石委員から発言を求められております。これを許します。大石君。
  14. 大石八治

    大石(八)委員 ちょうど大蔵大臣がお見えになりましたのでお伺いいたしたいと思うのですが、所得税住民税との関係で論議があることは御承知のとおりで、住民税課税最低限所得税の減税に関連して非常に低過ぎるということで話題になっておることは御承知のとおりであります。われわれの委員会でも、前回の地方税法を上げますときに附帯決議をいたしまして、住民税最低限を上げるということを決議したわけであります。大蔵大臣も、その点につきましては予算委員会なりあるいは大蔵委員会地方住民税課税最低限の引き上げについて非常に好意的なといいますか、強い考え方をもって来年度あたりからそれを実現をしていこうという御意思を表明されているようであります。私どももこのことを非常に多としているわけであります。ただ、いままでわれわれの委員会最低限を上げることに、そういうことをしなければならぬというふうに考えながら、ややちゅうちょしている問題は、地方財政自体が非常に窮屈であるということに問題が実はあったわけでありますが、財政を握っておられる大蔵大臣からの発言がありましたことは、もちろんそれの財源的な一つの付与といいますか、確保という問題もあるので、われわれはそういう発言をしていただいているのだろうというふうに想像いたしまして、非常に意を強うしているわけです。この際に、その問題についての大蔵大臣所見といいますか、見解をお伺いいたしたいと思うわけであります。
  15. 水田三喜男

    水田国務大臣 地方住民税課税最低限を引き上げるということは、いま自治省中心にしてこの問題の検討中でございます。そういう方向におきましては私ども十分協力するつもりでおります。
  16. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは林百郎君。
  17. 林百郎

    林委員 特別措置に関する法律の第二種交付金関係しまして、地方自治体における道路行政の問題について大臣にちょっとお聞きしたい。  その前に、警察庁のほうから、ここ三年くらいの間の事故件数ですね、死傷者、それから園児学童のその死傷者の中に含む数。それが国道上に起きた数と、都道府県主要地方道に起きた数がわかったら、質問の初めにお聞きしておきたいのです。
  18. 関忠雄

    関説明員 昭和三十九年から四十一年までの交通事故の概況について御説明いたします。  件数につきましては、昭和三十九年に全国で五十五万七千百八十三件でございます。昭和四十年には五十六万七千二百八十六件……。
  19. 林百郎

    林委員 死傷者ですか。
  20. 関忠雄

    関説明員 交通事故件数でございます。  昭和四十一年におきましては、これはいわゆる人身事故のみの件数をとるように統計方式を改正いたしましたので、四十二万五千九百四十四件でございますが、このほかにいわゆる物件事故約十八万件ございますので、これを加えますと、約六十万件ということに相なります。  それで国道地方道別事故発生状況でございますが、これにつきましては、昭和三十九年及び四十年につきましては死亡事故及び重傷事故発生件数昭和四十一年につきましては軽傷も含めました人身事故件数統計がございます。これによりますと、昭和三十九年は国道上におきまして三万一千四百七十九件、地方道上におきましては七万八千四百七十二件、計十万九千九百五十一件でございます。
  21. 林百郎

    林委員 死傷者ですか。
  22. 関忠雄

    関説明員 これは死亡事故重傷事故でございます。  この比率は四〇・一%が国道上、地方道上は五九・九%ということになります。昭和四十年におきましては、国道上におきまして三万一千九百四十四件、地方道上におきまして八万一千六百二十四件、計十万七千五百六十八件でございまして、比率国道上が三九・一%、地方道上が六〇・九%になります。それから昨四十一年におきましては、国道上におきまして十五万六千八百八十八件、地方道上におきまして二十六万七千四十七件、計四十二万三千九百三十五件。電子計算機計算上のミスが約二千件ほどございますが、そのようになっております。比率につきましては、国道上三七%、地方道上六三%ということに相なっております。  学童園児事故の問題でございますが、統計としましては年齢別にとっておりますので、これによって御説明いたします。園児につきましては統計上出てまいっておりません。六歳未満の、これは死者について申し上げます。三十九年が千五十七名、四十年千四十六名、四十一年千百四十五名と相なっております。それから六歳から十二歳まで、これがおおむね小学生に相当するわけでございますが、三十九年におきましては六百八十二名、四十年におきましては六月二十六名、四十一年におきましては六百七十名、これだけの死者が出ておるわけでございます。国道上、地方道上の分類はいたしておりません。
  23. 林百郎

    林委員 詳しいことは、また道交法の際にお聞きしたいと思いますが、大臣もお聞きのように、五十万から六十万件に及ぶ交通事故が、国道のほとんど倍くらいが地方道で起きております。したがって、人命を守る上からいっても、地方道に対する行政措置ということは非常に重要だと思います。そこで、お聞きしたいのですけれども、こういう状態のもとで、主要地方道それから市町村道等に対して、交通安全の施策、交通安全施設についてどのような措置を構じようとお考えですか。まず大臣から基本的な方向を聞きたいのです、これは人命にかかわる重要な問題ですから。
  24. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 財政需要の詳細については局長から数字は申し上げますが、基本的に、私ども交通安全の対策の柱としては、一つは歩行者の保護それから交通暴力の取り締まり、それから雇用者の責任体制の確立ということを考えております。その中でも歩行者の安全ということを一番に、人対車の事故が三五%くらいございますから、歩行者の安全保護ということを最重点に考えなければならないと思います。そうして、ただいまお示しのように、地方道における交通事故が非常に多いわけでございますから、地方団体がそうした歩行者保護の施設ができるように、そういう点についての財政的な裏づけもやってまいりたいということを根本的に考えております。
  25. 林百郎

    林委員 そうすると具体的には、大臣がおっしゃる財政的な措置ということは、どういうことを配慮しようとするのですか。
  26. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 地方団体財政需要額の中に、相当に交通安全施設交通事故対策の費用を見込んでいくということが一つでございます。それからもう一つは、やはりある種の地方道については、国が補助をいたしてそうしたものをやっていくということだと考えております。
  27. 林百郎

    林委員 六百三億の交通安全施設の三カ年計画というのがありますね。この六百三億のうち、国道地方道と、主要地方道も入れてですよ、この予算関係はどうなっているか、わかりますか。
  28. 川田陽吉

    ○川田説明員 六百三億円の交通安全施設三カ年計画のうち、建設省で実施するものが五百六十億円になっております。そのうち直轄で実施しますものが、事業費で百六十七億六千万円でございます。それから補助で実施いたすものが三百九十二億四千万円でございます。国道関係が百六十七億六千万円で、主要地方道、市町村道も一部含めましたものが三百九十二億四千万円ということでございます。
  29. 林百郎

    林委員 そうすると、この交通安全施設の個所については何カ所で、そうしてそれは国道と、主要地方道も入れて、地方道との分布はどうなりますか。それが一つと、それから歩道について、国道にある歩道の比率地方道にある歩道の比率が出ていたら、それをちょっと聞きたいと思います。
  30. 川田陽吉

    ○川田説明員 事業量を大きく分けまして、一種関係、二種関係に分かれております。一種関係は大体改築に属するものでございますが、特に代表的な歩道の設置、横断歩道橋の架設、この二つについて申し上げますと、三カ年計画におきましては、歩道が直轄関係で八百十三キロメートル設置することにしております。補助関係におきましては一千九十四キロメートル設置することにしております。横断歩道橋につきましては、直轄におきましては七百二十一カ所つくることとしております。また補助関係といたしましては九百カ所をつくることにいたしております。二種関係につきましては、防護さくの設置について申し上げますと、直轄関係におきまして六百八十キロメートル、補助関係におきましては三千百十六キロメートル設置するようにいたしております。歩道の設置状況、国道地方道別につきましては、ただいまのところ資料を持っておりませんので、後ほど調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
  31. 林百郎

    林委員 それではやむを得ませんから、これはあなたも知つていると思いますが、国道の舗装率、改良率と、地方市町村道の舗装率、改良率をちょっと出してください。
  32. 川田陽吉

    ○川田説明員 一般国道の改良率につきましては、昭和四十年四月一日現在の統計調査によりますと、一般国道におきましては改良率が六〇・四%でございます。舗装率が五一・一%でございます。都道府県道につきましては改良率が三〇・七%で、舗装率が一三・五%でございます。市町村道につきましては改良率が一一・四%で、舗装率が三・七%となっております。
  33. 林百郎

    林委員 大臣お聞きのとおり、舗装率市町村道三%というのです。しかも道路の延長数からいいますと、市町村道が約八十三万キロメートル、一般国道は二万七千二百八十八キロメートル、これを比率で見ますと、話にならぬわけですね。大体都道府県道と市町村道合わせたものが九十四万キロメートルですから、そのうち一級国道が二万七千キロメートルですから、三%程度のものですね。この圧倒的に多い九十四万キロメートルの都道府県道と市町村道の舗装率が、市町村道に至っては三・何%、改良率からいうと一一・何%です。本年度、あなたこれをどのように改良するつもりですか。市町村道の舗装率、改良率はどう高まり、府県道の舗装率、改良率はどういうように高めるつもりですか。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 本年度の地方交付税の措置におきましては、公共事業、いわゆる国の補助直轄事業の地方負担額はそのまま全額を、そのほか単独事業分といたしまして去年よりも二百三十億円の財政需要の増を計上いたしております。これは本年度まだ新しい五カ年計画は五カ年全体としてできておりませんが、その初年度分として、政府で予定をいたしておりますものを全部まるまる消化できるように意図しておるものでございます。なお五カ年計画が全部確定をいたしませんと、五カ年後の舗装、改良率がどの程度になるかということはまだ確定をいたさないわけでございますが、少なくとも本年度におきましてはそういう措置によって前進をさせてまいりたい、かように考えております。
  35. 林百郎

    林委員 私の聞いているのは、もうそんなむずかしい理屈はどうでもいいから、市町村道の改良率一一・四、舗装率三・七はことしは幾ら高まるかということを聞いているのです。大体自治省はそんなことは頭にないでしょう。
  36. 細郷道一

    細郷政府委員 四十年の四月一日現在で市町村道の改良率が一一・四、舗装率が三・七%であるわけであります。これを新五カ年計画をつくることによって引き上げてまいるわけでありますが、新五カ年計画はいま実は建設当局において策定中でございます。したがいまして、いま本年度だけの分の舗装、改良率の引き上げというものは、数字の上からはちょっと私どもから申し上げかねるわけであります。
  37. 林百郎

    林委員 そういうわけです。それで自治大臣もおいでになりますから、もう一つここで私材料を申しますが、あなたも少し道路のことについても真剣に考えてもらいたいと思います。ということは、さっきも聞きましたが、いま年間五十万から六十万の交通事故があるわけですね、しかもその中で通園の小さい子供や学童事故が非常に多いわけですね。これはやはり運転手だとかなんとかいう責任を追及しますけれども道路行政をもっと根本的にやっていかなければ、労働の過重している運転手だけに責任を転嫁しても解決できない問題があるわけですね。それで私はあなたに聞いているわけです。  なお、あなたは国家公安委員の最高責任者ですから、ひとつ材料を引き出して聞きたいと思いますが、警察庁で、警察官の交通事故は三十九年から四十一年までの間にどういう数字がありますか。ちょっと参考までに知らせてください。
  38. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 四十一年度中いわゆる警察官が加害者側といいますか……(林委員「加害者、被害者両方出してください」と呼ぶ)両方で約四百件のうち、加害者になっているのが百七十件と記憶しております。
  39. 関忠雄

    関説明員 警察職員関係事故件数について申し上げます。  三十九年中に、いわゆる物件事故も含めまして、警察職員関係いたしました交通事故は三百二十二件でございます。そのうち警察官が第一原因者となりました事故が六十七件、相手方が第一原因者となりましたものが二百五十五件でございます。昭和四十年におきましては、同じく物件事故を含めまして関連事故が二百八十四件、そのうち警察官が第一原因者となりましたものが百十八件、相手方が第一原因者になりましたものが百六十六件、しかし四十一年におきましてはこの総件数が四百二件でございます。そのうちで警察官が第一原因者となりましたものが百七十件、相手方が第一原因者となりましたものが二百三十二件となっております。
  40. 林百郎

    林委員 警察官ですらそういう事故を起こしているわけですね。これはやむを得ない事故もあるでしょうし、あるいは警察官として非難されなければならない原因もありますけれども、いずれにしても交通事故というのは重大な事態になっているわけです。  そこで、これは別に道交法の際にお聞きしますけれども、そういう中で特に地方道改善について、本年度の改良率、舗装率の改善の数値もまだ出てないというわけですけれども、四十一年度の地方道事業量と事業費を私のほうで調べてみましたら、事業量は改良が千八百五十二キロメートル、事業費二千三百二十九億円です。改良数が千八百五十二キロメートルというと、九十四万キロメートルのうちの〇・二%になりますね。そういう程度なんですね。これではとても舗装とか改良とか、いわゆる改善という部類に入らないように思うのです。また事業費の面についても二千三百二十九億、これは千八百五十二キロメートルで二千三百二十九億円といいますと、一キロメートル当たり一億二、三千万ですかになると思うのですけれども、ところが道路五カ年計画の高速自動車道路を見ますと、七千六百キロメートルで六兆六千億円、これは一キロメートル当たり約五億から九億ぐらいですね。こういう比率になると思いますが、これは建設省の課長さん、どうですか。高速自動車道路計画の一キロメートル当たりは、平均しますと約五億から九億くらいの幅はありますが、そのくらいになるように思いますが、そうですか。
  41. 川田陽吉

    ○川田説明員 おっしゃるとおりでございます。
  42. 林百郎

    林委員 高速自動車道路については一キロメートル五、六億円、それから地方道、これも主要地方道だと思いますけれども、それにしてもその五分の一か六分の一程度の事業費しか出ないということですね。こういう状態の中で、しかも四十一年度の道路整備事業費の財源内容を見ますと、日本の全道路延長数の三%の一級国道に対して、一級国道、有料道路等合わせまして国費が三千六百二十一億円、これに関連して地方の負担が千二百九十五億円、それから有料道路や地方単独事業も入れれば二千九百七十一億円、要するに主として県道を中心としての改良の国費、それはわずか三%ですけれども、日本の道路の九割以上も占める地方道も含めての地方自治体の負担が、しかもそれが国の一級国道あるいはそのほか有料道路等の負担も引き受けて、中央の負担額の九割ぐらいを負担しなければならない。要するに道路の事業負担が地方自治体に非常に重くかかってきており、しかもそれは、本来、日本の全道路の八割から九割を占めている地方道の改良、改善よりは、一級国道あるいは高速自動車道路、こういうところへ地方が乏しい財政から負担する金が、そのほうへ主として使われているという数字がいろいろの面から出てくると思うのです。これはさっき言いましたように、わずか舗装率三%、改良率一一・四%、しかも日本の道路の八、九割が地方道だというのに、地方自治体が負担している道路事業費の負担の大部分が一級国道や幹線自動車道路のほうへつぎ込まれるということになると、これは地方道改善、改良というのは百年河清を待つことになると思うのですけれども、それについて大臣は根本的に何かお考えになっておらないのですか、どうでしょうか。
  43. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かに従来まず国道の改良、舗装ということが優先いたしまして、地方道がおくれていることは事実だと思います。しかし今後国道があれだけできてまいりますと、今後の問題はむしろ地方道にかかってくるわけでございます。そういう意味からいたしまして、私どもは何とか特に市町村の道路財源というものを確保いたしたいと考えたわけでございますが、いまだ結論に至っておりませんけれども、今後もそういう市町村の道路財源の確保ということに努力をいたしてまいりたいと思います。
  44. 林百郎

    林委員 そういう抽象論は幾ら聞いても同じことなんです。具体的にどういう財政的な措置藤枝自治大臣としてはおとりになろうとしているかということを、もう少し具体的にお聞きできないでしょうか。たとえば国からの補助金を大幅にふやすとか、交付金計算単位をもう少し高めるとか、こういう努力をするとかいうような具体的な考えはないのですか。一般的に漸次地方道について財政的にも重点を移行するということはわかります。言われれば、ああそうですかということになる。具体的な措置は何かお考えになっていませんか。たとえば幹線道路五カ年計画六兆六千億、七千六百キロメートル。七千六百キロメートルというのは日本の全道路延長が九十五、六万キロメートルとして、これが約一%程度ですね。そこへ六兆六千億五カ年間につぎ込むというのでしょう。これは政府の政策がそうできている。ことに高速自動車道路に対しては、有料道路だけで一兆六千億という金が五カ年計画でずっと出ていますね。これに対して地方道に対しては何カ年計画、そしてこれはどういう計画で改良率、舗装率をこうしていくとか、その財源措置はこうするとかというものができておらないのですか。
  45. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 目下新しい五カ年計画の詳細な内容を建設省のほうで検討されておるわけでございます。それに見合って私どものほうも財源措置を考えなければならぬ。具体的に、いろいろ議論はありますけれども、補助金というようなものよりも市町村については現在の道路特定財源の一部をそういう方向、市町村に分けるというような方向のほうがいいのではないか、そういうことで私ども自治省といたしましては考えておるわけであります。
  46. 林百郎

    林委員 建設省にお聞きしますが、地方道で新設の要望の出ておる道路の延長キロ数はどのくらいですか。——わからなければわからぬでいいです。
  47. 川田陽吉

    ○川田説明員 ちょっとただいまのところお答えできませんので、おわびいたします。
  48. 林百郎

    林委員 あなたのほうのあれを見ますと、九十八万キロのうち八十三万キロが市町村道です。市町村道についてちょうど幹線道路計画のような何か計画があって、それが漸次改良率を何カ年に改善していくとか、舗装率をもう改善していくとか、そういう計画はあるのですかないのですか。
  49. 川田陽吉

    ○川田説明員 市町村道の総延長約八十四万キロメートルにつきましては、その路線の実態でありますとか、整備のこまかい状況でありますとか、そういった市町村道の整備長期計画を定めるための基礎的な調査を、四十一年度も実施し、四十二年度も引き続き実施中でございます。したがいまして、いま先生のおっしゃるような長期計画は定まっておりません。
  50. 林百郎

    林委員 九十三万キロのうちの八十四万キロの市町村道については何の計画もない。それでわずか〇・〇二%の高速自動車道路、三%の一級国道についてはあらゆる財源措置をして、ちゃんと計画まで立って、財政投融資までするということは、これは地域住民に密接につながっている、血であり動脈である道路について、自民党政府の政策がいかにも乏しいといわざるを得ないのじゃないでしょうか。どこの国へ行ったって、市町村道の舗装率三%というのは、少なくとも近代的な国にそんなものはないのじゃないでしょうか。この点真剣にひとつ私は考えてもらいたいと思うのですよ。事故もまたここから国道の倍以上の事故が現に起きているのです。これは人命尊重の点からいっても放置できない問題なんです。私たちの党としては、こういう地方道に全面的に国の財政資金を投入して、交通安全の万全を期するという政策を立てていますけれども、この問題はえらい時間をとりますので、次の問題に移りたいと思います。  地方交付税の一部改正の法律案ですけれども、これは御承知のとおり、昨年、いまも問題になりました特別事業債千二百億、実質的には交付金該当分が九百億、当然交付されるべき交付金に該当するのは九百億円といわれておるのですが、これはいろいろ根源をさかのぼって見ますと、これは本来ならば国の正常な財政収入があり、その財政収入に基づいて機構的に地方への交付金がきまり、地方はそれに基づいていろいろの事業量がきまっていくわけですね。ところが国のほうは正常な収入で足りないということで、自民党政府の政策として公債を発行するわけですね。そうするとこの公債というのは、これは交付税の対象になる三税の所得の増大でもないわけだし、国のほうは公債の発行でいいかもしれないけれども、しかもその公債発行が地域開発とか公共投資とか社会開発とかいう形で、地方の財政的な負担になる方向に使われるわけですね。ところがそれに見合う、裏づけされるものは、国のほうは公債を発行していいかもしれないけれども、地方へ還元されるほうの本来国の財政収入というのは、それだけのものはふえていないわけですから、したがって公債が発行されるたびに地方財政はそのしわ寄せを何とか処置しなければならないという問題が起きてくるわけですね。これは何も昨年だけの問題ではなくて、こういう基本的な問題というのは、中央の政府が公債を発行している限り毎年毎年問題になるわけです。これについて自治大臣はどう考えていくつもりですか。去年はとりあえず特別事業債というようなものでワクをきめた。ことしはことしで、またあとで聞きますけれども、ことしはどうするつもり、今後はどうするつもりですか。
  51. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 国が公債政策をとることによって、中央と地方との財源の配分についてのバランスがくずれるわけです。したがいまして、それに対しては何か新しいめどをつけませんと、なかなかむずかしくなってくると思うのでございます。地方制度調査会が例の二三%論をされたのもそういうことだと思います。しかし、必ずしも二三%にこだわるというよりも、要するに地方財政の需要額の積み上げをやって、そしてそれに対してどう処置するという一面と同時に、初めからあらかじめ中央と地方との財源配分のめどをつけて、そして一方ではそういうめどをつけながら、片方では地方財政需要額の積み重ねを考えていくということであろうと思うのでございまして、今年度の予算編成にあたりましても、実はそのような気持ちで、われわれは予算編成をいたした次第でございます。
  52. 林百郎

    林委員 この二三%は、それが望ましい、やはり地方制度調査会ではそうすべきじゃないかということであって、あなたはこれを非常に軽く見ていますけれども、やはり国の正常な収入と国債とプラスしたものに対する二三%という数字ですね。これはやはりそれだけのものは交付金としてやるのが望ましいということばで、たしか答申されている。どうでもいいという数字じゃないのです。こうしないと、中央が公債を発行した場合の地方財政との間にアンバランスが出てくるんだという数字だと思うのですね。ことしは、そうすると八千億の公債を発行しましたね。これの地方財政へのしわ寄せについては、どう処置されるのですか。
  53. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今年度は、税の伸び、地方交付税の伸び等が相当多うございます。したがいましてそういう点も考慮いたしまして、お示しいたしておるような地方財政計画が立てられたというようなことでございます。しかし、その際におきましても、そういう中央と地方との財源の分けるめどを一面においては私ども考えて、そして一方地方財政需要額の積み重ね、これとを彼此勘案しながら、予算の編成にあたったわけであります。
  54. 林百郎

    林委員 地方税の増収が見込まれているのが一つの要因だ。ことしは昨年みたような処置をしなくてもよくなったということになっていますね。ここ十年間の対前年比の、地方税の増収の比率はどのくらいの比率ですか。四十一年度まで十年間の平均を出してください。
  55. 松島五郎

    ○松島政府委員 昭和三十一年度の地方税の収入額は四千四百九十億でございまして、昭和四十年度では一兆五千四百九十億、十年間に三倍になっています。
  56. 林百郎

    林委員 平均で、対前年比の地方税の税収入の増加率はどのくらいずつ増加しているのですか。大体一五%でしょう。
  57. 松島五郎

    ○松島政府委員 大体そのくらいになると思います。
  58. 林百郎

    林委員 そうすると、ことしは何%と見ているのですか。
  59. 松島五郎

    ○松島政府委員 たばこ消費税の振りかえを除きますと二〇%であります。
  60. 林百郎

    林委員 自治大臣、そういうわけです。十年間の平均は、対前年地方税の増収の比率は一五%、ことしは二〇%と見ているわけです。異例な増収を見ているわけです。そうでしょう。私のいまの言い方は失礼かもしれませんが、それはおわかりだと思います。ことしは十年来になく地方税増収の比率が高い。そしてそれだけ取ってよろしいという根拠はどこにあるのでしょう。——政治の問題として大臣に聞いているのです。こまかい数字を出されても困ります。大臣答えたがらないので困るのですが、四十一年度の国民所得が新聞に発表になりましたですね。これは国民総生産は三十四兆九千億で、前年より名目で一四・八%ふえて、世界第四位になった。しかし一人当たりの国民所得は詳しく言うと二十八万四千四百十七円、これは米国の四分の一になっておる。前年同様南米ベネズエラと同じ、世界二十一、二位だ、こういう数字が出ておるわけです。ですから四十一年を見ましても、四十一年の後半というものはいわゆる好景気、景気が回復したといわれているわけです。したがってことしは景気の過熱を鎮静しなければならないほど、過熱の見通しもあるのだと、あなた方の政府は言っているわけです。しかし国民一人当りの国民所得は、世界の二十一、二位、アメリカの一人当りの四分の一というのですよ。そういうときに地方住民からかつてない異例の地方税の増収をしていいという根拠を私はお聞きしたいのです。もしそういう根拠があるならば、これはむしろ地方税の不公正、非民主的なあり方をやめて、少なくとも例年並みの増収にとどめて、その分は減税、たとえば所得割りの控除の引き上げをするとか、そういう配慮をしてやるべきではないでしょうか。名目収入がふえたからいいつもりで取ってやろう、中央の赤字公債発行のしわ寄せは地方住民の増税からやっていこう、こういうやり方では、地方住民はその犠牲をしわ寄せされることになるのではないですか。中央の公債発行政策のしわ寄せが、地方住民に増税という形で押しかぶさってくるのではないですか。
  61. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 本年度の税の見込みは、国の法人税あるいは所得税等の見込みに合わせ、しかも経済見通し等も入れまして、そして現在の地方税法に基づくところの各税率をかけて出した数字でございまして、別に意図的に本年度非常な増収をするというようなことを考えたわけではございません。
  62. 林百郎

    林委員 意図的にやらなくても、実際は十年間平均税収の増加率は一五%前後だ。ことしは二〇%だ。だからあなたは、国のほうがそうなっているのだから地方もそれにならうのだ、こう言っていると思うのです。だからおれの責任ではないのだ。しかし私は自治大臣として考えてもらいたいと思うのです。もし地域住民の立場に立って考えるならば、あなたは自治大臣だからお聞きしますけれども、名目の収入がふえたからといって、いままで一五%の増加率を二〇%にする。しかし名目収入がふえるということは、これはインフレーションで物価が高くなるのだから、名目的な支出もふえるということでしょう。それを名目収入がふえたからといって——国も地方もそうです。あなたの場合は地方ですけれども、地方税を増収していくということになれば、これは名目的な支出もふえるのですから、生活に対して大きな重圧になるのじゃないでしょうか。そこをあなたにお聞きしたいのです。それならば、本年度地方税の中で、減税措置として減税された金額、それはどのくらいになるのですか。
  63. 松島五郎

    ○松島政府委員 本年度地方税で減税をいたしましたものは、たばこ消費税の増を除きまして計算をいたしまして、六十億余でございますが、なおこのほかに、昨年の所得税法の改正に伴います、給与所得控除の引き上げによります減税分が百四十億ございますので、総計いたしますと、約二百億でございます。
  64. 林百郎

    林委員 二百億程度の減税措置で、ことしは三千四百六十五億の増税を見込んでいるわけですね。ですから、わずかな名目的な減税で、実際はその三十倍もするような、自然増という形で増収を見込んでいるわけです。しかも日本の国民の一人当たりの所得は世界で二十一、二位だといわれているときなんですから、だからそこであなたに考えてもらいたいことは、まず中央が公債発行政策をとって、そして公共投資の事業を拡大していく、そのしわ寄せが地方へ大きくおっかぶさってくる。しかし地方へおっかぶさってきたそのしわ寄せは、地方住民の増税だとかあるいは地方債とか、結局地方の財政の大きな犠牲のもとで、中央の公債発行のしわ寄せをしていかなければならない、こう私は言えると思うのです。そこで二三%という数字も、これを厳格に守ればことしは二三%になってないから、これはなるべく軽く見ようとしている、こういうことになると思うのです。したがって、いまここで議題になっております昨年の特別事業債のあと始末の問題にも入りますれども、これは当然根源をさかのぼれば、中央政府が公債を発行した。これは財政法でも公債発行しちゃいかぬときめてあるのを、あなた方の政府が改正して、公債発行政策に踏み切った。そうして地方財政に大きなしわ寄せがきて、昨年度はこういう異例な措置をした。国が公債発行政策をしたために地方財政にしわ寄せがきたんですから、このあと始末は当然国が見てやるのがあたりまえじゃないでしょうか、私はそう考えているんです。そこで、ことし五十三億というのは利息だけ見てやったということで、これも本年度に限る臨時だというんでしょう。どうしてもっとはっきり、この問題は国の財政政策から発生している問題であるから、国が全責任を負う、具体的にこうするんだという策がどうして示されないのでしょうか。あなたも、地方自治体に迷惑をかけないように片づけるといった。あなたは非常に美しいことばを使うことが得意ですけれども、問題はことばじゃなくて、具体的な政策が必要なんですよ。だから地方自治体へ迷惑をかけないということは、本来中央政府が責任を負うべきこの公債発行のしわ寄せが、具体的にはどう処置されるのか。もっと具体的なあなたの見解を聞きたいのです。さらにいえば、たとえば元利の償還を、本年度は幾らと数字も出ておりますから、これは必ず本年度みたいな特別措置でやっていくとか、こういう方向を、あなた責任を持って言えないのでしょうか。その辺をお聞きしたいのです。
  65. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど細谷さんの御質問にお答えいたしたように、国の責任で処置するということはそういうことだと思います。
  66. 林百郎

    林委員 国の責任で処置するというのは、そうすると、これからの数字も出ておりますけれども特別事業債の元利償還の年次表に出ておる数字を、中央政府財政的な措置でこれを処置していく、こういうように聞いていいのですか。
  67. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほどお答えしたのは、そういう意味だと私は考えております。
  68. 林百郎

    林委員 そうすると、本年度の五十三億は本年度限り、臨時的と書いてありますね。それじゃ来年は具体的にはどう措置するつもりですか。
  69. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いろいろやりようはあると思います。ずばり元利補給ということもございましょうし、ことしのような特別措置でやるということもありましょうし、いずれにしましても、国の責任において処置するということでございます。
  70. 林百郎

    林委員 交付金なり特別交付金の込みで入れてしまう、こういう措置は考えていないでしょうね。念のために聞いておきます。要するに、この問題の措置はこの問題として確定して、そしてこの特別事業債の償還としてこういう責任をとる、明確に政府の責任を明らかにしていくわけでしょうね。ということは、交付金とか特交の中に入ると、地方財政としてはいろいろ使いたいところはたくさんあるのですから、ことに超過負担という問題もあるわけですから、これはこれではっきり政府に責任をとってもらう。それから交付金交付金で、財政需要がちゃんとあるのですから、そのほうへも回すということにしませんと、地方自治体としては込みでこの中にそれも入っているんだぞといって、どんぶり勘定でやられるということは、はなはだ迷惑だし、政府の責任も明確にならないと思いますが、その点はどうですか。
  71. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいまお答えいたしましたように、やり方はいろいろあろうと思います。ことしでも特別措置をして、それを一般の交付税と一緒に分けるという方法をとっておるわけであります。ですから交付税の中に入れちゃいかぬぞというお話はちょっとわからないのですが、おそらく林さんは、一般の交付税が延びた場合にということだと思います。政府が責任を持って措置するということは、政府がこの特別事業債の元利の問題につきましては、それを林さんのことばでいえば、確定して、それに対しての処置を考えるということだと思います。
  72. 林百郎

    林委員 そうすると、かりに来年またことしみたいに異例の名目的な収入が増大した、地方税の増収が四十二年度よりもさらに上回ったものがあった、だから四十一年度の特別事業債の償還についても、この異例な地方税の増収でもうまかなえる、ことしみたいな特別な措置はしないでもいいじゃないか、こういうことはまさか来年あなたはおっしゃらないでしょうね。
  73. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 どういう方法が一番いいかということを、実はそれがきまらなかったので、ことしだけ、本年度限り、特別地方財政交付金という形でやったわけでございます。今後は、将来の問題について、先ほども大蔵大臣がお答えしたような趣旨で、その処置を続けてまいりたいと思います。
  74. 林百郎

    林委員 そういうと、だんだんあなたの言うこともあやしくなってくる。そうすると、来年度地方財政の増収があれば、それも加味して一つの要因になるのだ、だからこの問題は、あくまで明確に政府の責任において処理する、そういうことがだんだんおかしくなってきて、来年度、異常な地方税の増収がかりにあったとすれば、それも要因として考えて、迷惑をかけないのだ、地方の財政の収入が多かったから、このくらいのものは出しても迷惑をかけたことにはならぬのじゃないかという言いのがれをすれば、これは、あなたの言う、国の責任において解決するということは、どっかに吹っ飛んでしまうことになるのです。そういうことは絶対にないということをここで確約ができますか。ということは、来年度は、中央政府は、さらにまた公債発行が考えられるわけです。矛盾はますます拡大していく。最初二千七、八百億を臨時に出したのが、昨年度は七千三百億、ことしは八千億、来年はもっと大きなものが出てくる。しかもこれがほとんど公共投資にされる。それに付随して地方自治体の負担が大きくなる。かりに来年地方財政の収入がふえたとしても、また一方公債の発行もふえていますから、それのしわ寄せを考えれば、来年度の地方財政の増収というのは、中央でことしより多く発行した赤字のしわ寄せを処理するのにせい一ぱいで、四十一年度の特別事業債のあと始末まで、おまえのほうはことしは案外多かったからかわってくれろとやられたんでは、これは地方財政としては非常に迷惑なことです。ですから絶対に地方財政の増収があったからといって、それに依拠して、四十一年度の特別事業債の処理をそれに転嫁するということは絶対いたしません、中央政府の責任において処理しますということをここではっきり言えるかどうか、言ってみてください。
  75. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 国の責任で処置するということは、林さんの設例されるようなことにはならないと私考えております。
  76. 林百郎

    林委員 聞き捨てならぬことです。私の言うようなことにならないということは……。
  77. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 交付税でまかなうというようなことには……。
  78. 林百郎

    林委員 だから、要するに財源は国の明確な責任で片づけて、地方財政の収入が多かったからそれで処理しろというような処置はしないということですか。あなたがちっとも具体的なことを言わぬから、質問もつけないんです。だから四十二年度は、この四十一年度特別事業債についてはこうしますと言えば、何もあなたと私でいつまでもこんなことをやっている必要はないんです。あなたが何も言わないから、ああでもないこうでもないといろいろ議論せざるを得ないんです。来年度の方針をはっきり言ってくれればいいんです。
  79. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 四十二年度は御承知のように特別地方財政交付金処置をいたしました。ただ、これは今年度限りの暫定的な処置というのは、今後の処置について、国の責任でやるその方法がまだ確定しなかったから今年度限りのことでやったわけです。来年度からの問題につきましては、先ほど来お答えいたしますように、国の責任で処置をいたすのでございますから、林さんがいろいろ御心配になるようなことはないと私は考えております。
  80. 亀山孝一

    亀山委員長 林さん、ひとつ御協力願います。
  81. 林百郎

    林委員 わかりました。それではこれで終わりますが、何かわかったようなわからないような、ちっとも明確な責任ある答弁がないので、これはいずれ後刻に譲るとして、あなたも自治大臣として、やはり地方財政の健全化のために一そうの努力をして、たとえば交付税の税率についても一そう引き上げることを考慮されるとか、あるいは大幅な中央からの財政援助を考えるとか、あるいは超過負担についてはこれを解消するとか、そういうように、ひとつ地方財政についてもっと真剣な考慮をすることを要求しまして、時間がまいりましたので、私の質問はこれで終わります。また後刻この問題については徹底的に聞きたいと思います。
  82. 亀山孝一

    亀山委員長 太田一夫君。
  83. 太田一夫

    ○太田委員 私は二点についてお尋ねをしたいのです。第一は、交通安全対策諸施設のために必要とする財源問題、それから第二は、特に最近財政困難を伝えられております大都市の財政強化の問題、この二つについてお尋ねをいたします。  最初、交通安全対策の遂行に伴う地方団体の非常に窮迫せる財源問題、これを自治省としてどう対処をしておられるのか、これは昭和四十一年の、昨年の対策の結果がありますから、ひとつその内容を一度詳しく御報告いただいて、あわせて本年度の財源の手当てについて御説明いただきたいと思います。
  84. 細郷道一

    細郷政府委員 交通安全対策につきましては、御承知のように国会で成立をいたしました三カ年計画の法律があるわけであります。それによりまして四十一年度から三カ年間の整備計画を立てて、四十二年度につきましては、その分が約二百六十億、事業費の総額でございます。建設省並びに警察庁所管を合わせまして二百六十億ございます。そのうち地方の負担となりますものが百十五億でございます。したがいまして、地方財政措置といたしましては、その分を含め交通安全対策のためのものといたしまして、四十二年度は百四十五億の財政需要額を計上をいたしております。  なお、これは国の計画に基づくものでございますが、地方には地方の単独の事業もいろいろあろうかと存じます。その単独の交通安全施設に使われたという事業が、私どもの手元で、いま推算でございますが、四十一年度で見てまいりますと、約九十億ぐらいあるのではないか、こういうふうに見込まれております。これは私どもの交付税計算からいきますと、おおむね道路の単独事業費の需要の中でまかなわれておるものと考えるわけでございます。その道路の単独事業費につきまして、四十二年度は前年度に比べてさらに二百三十億増額の需要措置をいたしております。したがいまして、去年程度のことでありますれば、その伸びに応じた分は同じような形で交通安全に回せるのではなかろうか、かように考えております。
  85. 太田一夫

    ○太田委員 四十一年度は、あなたのほうは施設整備の初年度分としてお考えになりました交付税の数字はたしか四十八億円ということでしたね。そんなふうに私聞いておったと思うのですが、昨年度単独事業として九十億ほどあったというお話ですが、その九十億というのがほとんど道路費なんですね。土木費であったと思うのです。そうなりますと、四十一年度は初年度ですからテンポがちょっと鈍かったわけですね。四十二年度は二分の一であって、非常にテンポが大きくなってきておりますし、また大幅な伸び——伸びがないとかえって国民の期待には沿いがたいものになりますから、相当しりをたたかなければならぬことだと思うのです。そうすると、地方におけるところの指定道路の施設の整備のためには、地方は二分の一の負担でございますが、この二分の一の負担というのが多いという声が非常に多いのです。二分の一も負担させられてはたまらない。せめて三分の二ぐらい国庫の負担にして建設省から出してもらって、地方団体は三分の一ぐらいに少なくしてもらえないだろうか、こういう声が非常に強いわけです。それを今年度も二分の一でやっておるわけですから、地方としてはたいへんなわけです。国庫補助二分の一、そうしてまた地方負担が二分の一、それに、それだけではまだ事足りるような状態でないのです。ですから市町村道などには単独事業として相当やらなければなりません。そうすると、いまのお話の交付税法上の措置はあるということでありますけれども、財源が十分あるなどという市町村があるわけはないですから、おそらく手がつかない状態になるのではないかと思うのです。もし一般財源で措置ができないというような交通安全施設をやろうとしたときにはどういう方法でおこたえいただけますか。
  86. 細郷道一

    細郷政府委員 昨年も交通安全施設のうち、道路に関するものにつきましては、道路事業費としての起債を市町村には特に認めております。その中に含まれておるものがかなりあると思います。それからなお、そのほか昨年は信号機の新設のために特にワク外で生命保険会社からの融資で六億ほどの起債を府県に認めました。本年度も同じような考えで進んでまいりたいと思っておりますが、なお、政府の中でも総理府等に交通安全対策本部がございまして、そこでも緊急の事態に対処すべきことをいろいろ考究いたしておりますので、それらともまたあわせまして、地方の財源措置を考えなければならない、かように考えます。
  87. 太田一夫

    ○太田委員 昨年は信号機に六億か七億が認められ、その他何か制度上の諸施設等の事業費に四億ほど認められた、そんなような話も聞いておりましたね。ですけれども具体的には安全施設としては直接的には信号機です。ところが跨道橋というような金のかかるもの、これは道路費で見れれば見るということでありますけれども、これを思い切ってつくったり、あるいはまた通学路という特殊なものをつくろうとしますと、これは通学路は既存の道路のそばに歩道をつくるということでもよろしいのですけれども、そのためには防護さく等の施設も要ると思います。そういうことをいたしますとしても、これは少々の予算ではまかなえないと私は思うのです。ことしはあれだけのものでやりなさいということでは本年度の重点目標からはずれてくると思いますから、ことしは学童の通学路の安全をはかるとか交通の安全をはかるということに対しては相当重点施策として力を入れなければならないということになれば、昨年度に信号機六億のワク外の起債を認めるというようなことでは間に合わないんじゃないか。これは警察庁関係ですが、信号機だけではなくて、跨道橋あるいは歩道等の諸施設も全部交通安全施設に関する一括した財源をワク外で与える。ワク外でそれは所要のワクを与えます、認めましょうということになれば、地方自治体として安心だと思うのですが、そういう点はどうなんでしょう。大臣に御所見をいただきたいのですが、これもつくりたい、あれもつくりたいのですけれども財源はない、起債は認められないということじゃ、これはできないじゃありませんか。
  88. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いま総理府の交通対策本部でも緊急対策を考えております。それらとあわせて、ひとついまの御意見のようなことも検討してみたいと思います。
  89. 太田一夫

    ○太田委員 大臣、こういうことなんです。時間がないので私の結論をちょっと急いでおるわけですが、交通安全対策諸施設の整備のために必要とする財源は、一般財源で足らないときには、所要の財源については起債を認めていく、当面は、四十二年度はですよ。来年度はまたほかの御意見もあろうと思いますが、本年度は当面する財源対策としては起債を認めましょう、こういう率直な考え方はいいのじゃありませんか。
  90. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは太田さん御承知だと思うのですが、例の三年計画の本年度分についてはすでに見ているわけです。しかしこれじゃ足りない、三年計画では足りないんだ、もっと早くやらなければならぬというようなものが出てくるであろうと思うのです。それはいま交通対策本部でまとめておりますから、それらの結論とあわせて考えてまいりたいと思います。
  91. 太田一夫

    ○太田委員 まとめるというのは、どれくらいどこに需要ですか要求があるかという、その数字をまとめられるわけですね。信号機とかあるいは防護さくだとか歩道だとかあるいは跨道橋だとか、場合によっては踏切の立体交差だとか、そういうもののために要るものは、いまの緊急措置法三カ年計画の分としてはめんどう見てやる、これは細郷さんおっしゃった。それはいいでしょう。けれども単独事業として市町村がやりたい、あるいは都道府県がやりたいというものに対して財源が見てない。それもいままでは信号機にワク外の起債六億を昨年度は認めていらっしゃる。信号機だけでなくて、施設に対してはもっと大きく認めていいじゃないですか。これは将来国庫で全部負担すべきものだと思うのです。道路法によれば、道路というものには交通安全施設はつきものなんです。一番最後のところに書いてある。とにかく安全施設がなくちゃ道路にならぬですから、道路に対するおくれた条件を完備するということは一日も一刻も急がなければならぬと思うのです。それは来年は反則金があるから反則金でなんといってやっておったんでは話にならぬわけです。そんなことで逃げてもらっては困るわけですが、目の前の需要に対してあなたたちは、本年度は起債で認めます、それくらいの決意があってしかるべきだと思うのです。どうしてもそれはいけませんか。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 今年度のすでにきまっております交通安全対策につきましては、地方の負担分を、先ほど来お話ししておりますように十分に見ておると思うのであります。ただ緊急を要するものをどうするか。特に最近いろいろ新聞紙上に出ておりますような通学路あるいは通園路、こういったようなものをどうするかということにつきましては、施設内容がいろいろございます。たとえばペンキを往来に塗るというようなことも施設種類になる。あるいはガードレールをつくるというようなことも一つになる。あるいは跨道橋をどうしても必要とするというようなところもございましょう。押しボタン式の信号機をつくるというようなことも考えられております。いろいろの施設種類によって、どういう措置をするかということは実はいま緊急に総理府を中心に相談をいたしておるわけでございまして、その分につきましては、先ほど来申し上げておりますように、その対策に合わせながら地方の措置を考えていかなければならない、かように考えているわけであります。
  93. 太田一夫

    ○太田委員 だからぼくは財政上の立場で聞いておるのです。交通安全対策施設として何が必要だとか、何カ所必要でございますかというようなことを聞いておるのじゃない。そんなことを聞かなくたって、それは地方にあなたが一たび自分でおいでになれば、ここにも信号機が必要じゃないか、ここには跨道橋が必要じゃないか、ここには歩道が必要じゃないか、ここには防護さくが必要だということがみなわかるでしょう。それを予算がないからやりませんとか、予算を認めてくれませんから私のほうとしてはやれなかったとか、あるいは学校のPTAの方々とか篤志の寄付者に寄付を求めて通学路をつくりましたとか、安全機をつくりましたとか、そんな情けないことであってはたまらぬと思うのです。情けない話だ。本年度の必要なものは当面交付税で見ようということについては、施設がはっきりきまっておるわけじゃありませんから、いささか無理な点もあるでしょう。とするならば、応急対策は起債しかないじゃありませんか。起債だけ見て、将来の元利償還期限についてどうするかということは別の問題として、当面するものについては起債を認めてすみやかに安全施設の整備強化をはかる方針だ、それに即応する財政措置としては起債でやります、こういう決意でございますとおっしゃっていただけばすっきりするわけだ。これは大臣言えませんか。総理府のほうに何かそういうことをおっしゃっては悪いようなことでもあるのですか。
  94. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いま総理府でやっているのは、緊急措置三カ年計画以上にどういうものをどれだけやらなければならぬかということをやっているわけでございますから、それに対応して、その性質によってそれは起債を認めなければならぬものもあろうかと思います。そういうものをあわせて考えるということで、別にどこに支障があるというわけじゃありません。
  95. 太田一夫

    ○太田委員 細郷さん、いま大臣のお話で、いま総理府でどこをどうするこうするという個所を選定するとおっしゃっておるのに、あなたのほうは、交付税は一応見てある、交付税の措置はこれだけ織り込んである、それは総理府の現在作業中の対象の数量と見合ったものが見てあるというのですが、あなたの交付税に合うようなものしか向こうが決定しないなんということになったらたいへんだと思うのです。どういう内容を総理府の対策本部のほうでおきめになっておるか、あなたのほうは何かそれに対応する用意があるのですか。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど来申し上げておりますように、今回の交付税その他に措置をされておりますものは、すでにきめられております三カ年計画の二年度分、これに対応する財源措置をいたしておるわけであります。しかし最近の交通状態にかんがみまして、さらにそれに加えて、またそれの重点として、緊急に措置すべきものに対する対策を実はいま至急に練っておるわけであります。したがいまして、その分につきましてはその対策に対応する財政措置が当然必要なわけでございます。それについては、その対策をいま至急立てておりますから、その樹立の際にあわせて私どものほうの対策も立ててまいりたい、そういう際にはいろいろと御意見のあった点も十分考慮をしてまいりたい、かように申し上げておるわけであります。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 それは大臣、こういうふうに理解していいですか。たとえば総理府の交通対策本部において考えられておる諸施設の強化方針、これがきまりましたときには、その所要の財源は何か地方自治体の負担にかけない方法でめんどうを見るというつもりである、こういうことですか。
  98. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは地方が負担しなければならないものもありますから、その分については地方が出さなければならぬけれども、それの財源措置はいまお話しの起債で見るとか、その他いろいろ考えていかなければならないということでございます。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、いまの道路安全施設の緊急措置法による指定道路というものは、これはきまっております。きまっておりまして、そのところだけはいろいろと計画されておりますけれども一般の府県道並びに市町村道、いわゆる総括いたしまして地方道に対しましては、それが非常に薄くなっているわけですね。ところが実際上あぶないのは、先ほどもお話がありましたが、そういう主要地方道からちょっとはずれたところの地方道あるいは国道に接続する地方道にあるわけです。そういうところにも安全施設を早急に整備しなければならぬ。どこにどういうようにということは、そちらでおやりくださればいいです。だから安心させていただきたい。今日のこの交付税法というものの審議は最終段階ですから、私は地方自治団体に安心感を与えてほしい。それは緊急要請をされておるところの安全施設に対しては、財源は少なくとも最低限度起債で見ますよ、こういうかまえがあるということならば地方は安心します。ところが、それはわからない、いまのあなたたちのきまった既定の財源の中でやりくりしなさいでは、ほかの仕事が圧迫をされます。だからその辺のところは、あなたたちの腹の底をもうちょっと明らかにしてもらったらいいのじゃないか。財源の問題ですよ。実はいい玉手箱があるのだ、それを待っておっていただきたい、そうすれば地方団体に迷惑をかけないでぱっといいものがあるのだとおっしゃるなら、私はもう少し先に延ばしてもいい。
  100. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そういうものについて、これは検討の結果ですからわかりませんけれども、たとえば、あるいは国の補助をもっとふやすというような方法もございます。あるいは地方債で見るというようなこともございますから、とにかくそういうことが支障なく行なわれるような方法を考えますと申し上げます。
  101. 太田一夫

    ○太田委員 支障なく行なわれるという対象には、地方自治体の単独事業も含まれますね。
  102. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そうおとりいただいてけっこうでございます。
  103. 太田一夫

    ○太田委員 実は大阪へ行きますと、大阪の横断歩道というのはゼブラ模様が書いてないのです。ゼブラの模様がない。線が二本引いてある。向こうにも二本線が引いてある。そうすると四本引いてあるわけですけれども、四本引いてあると、どこが横断歩道かちょっとわからない。これが離れておればいいのですけれども、四本が離れてない。まん中はよかろうということでまん中の広いところを通って、うば車を押していく方を拝見しましたよ。なぜゼブラ模様を書かないのですかと聞いたらば、五十万円かかります。その五十万円の予算が出ません、ですから信号機のあるところは信号に従うのであるから、横断歩道の外側だけ表示しておけばいいでしょう、中の白いゼブラ模様は節約してあります。安全思想もここまでくるとみみっち過ぎて、りっぱと申しますか何と申しますか、驚きました。そういうことでございますから、安全施設費用というものは、にわかに焦点を浴びておるだけに非常にお金がかかるわけです。それに対して、いまあなたのおっしゃるように迷惑はかけない、迷惑をかけずに必ず起債なりその他補助率の引き上げ等によってまかないますとおっしゃってくださるならば、これは急速に進むものと思います。これは藤枝自治大臣としても交通対策本部のメンバーとして、ひとつ大いにがんばっていただきたいと思うのです。  それから、これは踏切除却などにつきまして、大体国鉄あたりはずいぶん負担金を出していただくのですが、当該市町村が出しますのが大体四分の一、二割から二割五分ぐらいのものを負担しなければならないわけですね。ですから大都市にまいりますと、二億前後のお金が一つの踏切を除却するのに要るのです。こんなに要りますとなかなかたいへんで、ことし一つ来年一つというふうにして、テンポがにぶくなるわけですね。これをひとつ大いに、この財源措置等についても見落としのないようにしていただきたいと思うのです。南海電鉄の事故のありましたのは泉南町でございますか、あそこも分担の問題でもめて、道路は立体交差に指定をされたけれども、それができない。話がまとまらない。要はお金でしょう。お金の問題でできない、まとまらないから、立体交差の計画は立たない。そのために交通制限をしておりますけれども、これはいつまでも交通制限で日を送る対象ではないわけです。そういう点で、ひとつ交通安全対策に対しての予算の裏づけについて、思い切った決意をしていただきたいと思います。  建設省の道路総務課長さんがいらっしゃいますので、この際ちょっとお尋ねしておきたいのでありますが、今度の道路整備五カ年計画、これは六兆六千億ですか、非常な予算でございます。それから交通安全施設等の整備に関する緊急措置法の三カ年予算というのが、約六百億なんですね。ところが六百億というのはあまりにも少ないとわれわれは考えまして、いろいろ各方面の所要の予算というものを集計してみますと、大体十倍ぐらい要るような感じがする。五千億ぐらい要るような感じになったのでありますが、建設省のほうにおきましては、緊急三カ年計画六百億、これで何とかまかなえる、あるいはこれでだいじょうぶだというような確信がおありなんでしょうか、もしおわかりでしたらお答えいただきたい。
  104. 川田陽吉

    ○川田説明員 交通安全施設三カ年計画の建設省所管分五百六十億円につきましては、昭和四十二年度の進捗を入れて考えますと六三%となっております。事業費といたしまして約三百五十一億円になるわけでございますが、現在交通事故発生状況を見まするに、必ずしもまだそれをもって十分とは言いがたい状況でございます。しかも四十三年度になりますと、四十二年度よりも、いまの三カ年計画の残でまいりますと減るということになるわけでございますが、そのようなことでは事態に対処しきれないのではないか、こういうふうに考えまして、目下具体策につきまして詳細な資料をとりながら前向きで計画を再検討しよう、こういうことになっております。
  105. 太田一夫

    ○太田委員 したがって、建設省のお考え方といたしましては、緊急整備三カ年計画を再検討いたしまして、第二次三カ年計画というようなものに改変してみなければならない、発展的にさらにこれを拡大しなければならないという御意見なんですね。
  106. 川田陽吉

    ○川田説明員 調査の結果でございますが、おそらくそういう見通しになると思っております。
  107. 太田一夫

    ○太田委員 もう一つ道路局のお考え方を承りたいのでありますが、三カ年計画が大体予定どおり進捗いたしましたものとして、三年目には交通事故はどれぐらい減ると目算を立てていらっしゃるか。これは減る率ですね。どれぐらい減るか。
  108. 川田陽吉

    ○川田説明員 現在の三カ年計画をつくるに際しまして、警察庁当局と双方調査の結果では、交通事故発生すべきものが二割は防止できる、こういうことでございます。
  109. 太田一夫

    ○太田委員 主計局いらっしゃいませんね。まあ金を出すほうが大蔵省だから、主計局にこの際ちょっと聞いておきたいと思ったのだが、大臣いらっしゃるから、大臣ひとつ御答弁いただけませんか。いまのように三カ年計画、緊急措置法によるその効果というものは、三年目において二〇%の減になると言う。私も大体、欲目で見て、そんなものだと思うのです。へたするとふえるのですよ。こう思うのですが、ふえるということはまさかないでしょうから、減ると見て、一〇%ないし二〇%だと考えるならば、この交通安全施設の緊急措置というものは、この整備は少なくとも三年で終わるものではない。これは、道路計画と一緒で、一次、二次、三次、四次、五次というところまで行くんじゃないかという気がします。ある程度半永久的になりそうですね。さらに、三年度の予算額は非常に減りますから、これを強化すると同時に、来年度は一ぺん抜本的に改めまして、法律そのものの内容を改めて、さらに拡大するというようなことになるのではなかろうかと想像されますが、御所見はどうですか。
  110. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まさにそのとおりだと思います。さらに道路もふえますし、車も多くなるわけでございますから、この三カ年ですべてが終わるというような問題ではないと思います。むしろ、さらに金額もふやし、事業量もふやしていかなければならない傾向であろうと思います。したがいまして、これに対する財政的な措置も考えていかなければならないと思います。
  111. 太田一夫

    ○太田委員 そうだと思うのです。四十二年度について間に合わないと思うのですから、何でもかんでも急ぐものは急がせて、財源の裏づけを自治省としては見る、こういうことで私はまかなっていくよりしようがないと思う。来年度は、そんなわずかな事業費でもって乗り切ろうとするような事態ではありませんから、ひとつ建設省におきましても思い切った対策を講じていただきたい。そのためには、いま大臣がおっしゃったように、三カ年計画の延長問題、第二次三カ年計画の策定ということにつながるであろうということを期待しておきます。  それから、主計局いらっしゃいませんから、これは大臣からお話ししておいてください、お金のほうのことは。  あとは大都市問題でございますが、これを一点だけお尋ねしておきます。大都市問題の議論はしばしば行ないましたが、どうも大都市に対する財源というものが与えられない。先回の参考人の御意見の中でも、ずいぶんと道路財源の不足ということが言われておったのでありますが、いまでは、大都市の土木費というのはおよそ四〇%をこえて、半分近くになろうとしているような勢いにあるわけです。しかも、それでも不十分なんです。ということになれば、道路目的財源というものをもう少し考え直してみる必要があるということです。これは調査会の御答申などを聞くまでもなく、だれでもそう思うことですが、具体的にはどういう方法をいま考えておられるのか。これは、大臣でもだれでもいいですから、お答えいただけませんか。
  112. 細郷道一

    細郷政府委員 道路目的財源の市町村への移譲ということをことしも考え、二十五億ということで終わりましたが、引き続いて、五カ年計画改定を機会に、その改定の方向で進みたいと考えております。
  113. 太田一夫

    ○太田委員 二十五億の問題もさることながら、大都市、特に指定市などにおいてはもうどうにもならぬのじゃありませんか。そこで、私は指定市というのは、これは府県と同列にものを見る必要もあろうと思うのです。だから、指定市の中から出てくるところの府県税というものも、府県税はこれを幾分かを市に与えていく、そんなようなことも必要じゃないかと思いますが、それは府県と市が引っ張り合っていけというようなみみっちいことではいけませんから、新しい財源を考えていただきたい。それにしても、道路財源としては道路譲与税の問題がありますが、ひとつガソリンにかける税金を一本化して一ぺんミックスしてみて、それを、どれくらいの割合で中央と地方に分けるかという、こういう点を、ひとつこの際明らかにしてもらう必要があるような気がしますが、お考えはありませんか。
  114. 細郷道一

    細郷政府委員 従来から国と地方の道路目的財源の配分については、私どもも地方にもっとふやせという線でずっとやってまいったのであります。特に最近市町村道を充実しなければならないという問題が非常に出てまいりましたので、さらにその方向でやりたい、かように考えておるわけでございます。
  115. 太田一夫

    ○太田委員 大臣、どうですか、ガソリン税ですね、二万四千七百円といたしまして、それを半々にするというような考え方、国の取り分がその五割、残り半分は地方だ、こういうふうにしまして、譲与税が非常に大幅にふえるわけでございますが、そういうことにでもしてみたらどうだろうか。大体国道の整備というのは終わっておるじゃないですか。それをいつまでも大蔵省がガソリン税を一キロリットル二万四千三百円ですか、ちょっと持ち過ぎるような、欲が深いような気がしますね。主計官がいらっしゃったようですけれども、主計官の考え方としては、渡したくないというのは人情の自然だろうと思いますが、自治省のほうから見れば、半分くらいほしいのですね。ミックスして半々、これはいい線だと思うのですが、どうですか。
  116. 細郷道一

    細郷政府委員 御承知のように、先般の行政調査会の答申でも、道路の特定財源の事業費に対する割合は同じくらいにしろ、こういう意味の答申が出ておるわけです。現在の税率その他でこれを大まかに見てみますと、税率で三千円分くらいを国の分から地方へ移すと大体同じくらいになるというようなことから、そういう答申が出ておるわけであります。したがいまして、いまおっしゃるようにガソリン税の配分ということも一つの考えでございます。目的財源全体として、そういうのをやはり一つのめどにするべきではなかろうか。本年度もそういう意味で千円分についての移譲を主張したような次第でございます。
  117. 太田一夫

    ○太田委員 自治省の考え方には、ある程度地方団体に対する味方の気持ちがあるのですね。大蔵省のほうになると、何か少し意地の悪いようなところがある。たとえばきょうも、先ほどわが党の細谷委員質問にいろいろとお答えなさった大蔵大臣の考え方と藤枝大臣の考え方が一致しておって、りっぱだと思うのですが、地方住民税の非課税最低限を幾らにするかという問題は、藤枝さんが一番はっきりおっしゃることですね。あなたが言えばいいと思うのです。大蔵大臣は何も、幾らにするつもりでございますなんていうようなことをそこらの委員会でおっしゃらなくても、あなたがおっしゃればいいと思う。大蔵省というのは、とかく金を握っておるから、強情なおやじが子供たちに対して何か強情ぶりを発揮するようなもので、なかなか聞き分けの悪い点がある。だから道路財源なんか半々でいいんですよ。私は地方に半分くらいやらなければならないと思うのです。これはぜひひとつ自治省としてがんばってもらわなければ、自治省の存在価値なし。自治団体は自治なんだからかってにやれということになりますよ。自治宣言、独立宣言をしてもいいんじゃないかと思うわけです。自治省は、ほんとうに自治省の本来の存在価値を示されるようにお願いしたい。  秋吉さん、せっかくおいでいただきましたので、お尋ねしますが、さっきあなたにお尋ねしようと思っておりましたが、道路の安全施設の整備三カ年計画というのは、緊急三カ年計画が二年度に入りましたが、三年度が事業ワクがあの当初予算では非常に減るという見通しでありますので、さらに来年度以降これはあらためてつくり直さなければならないだろう。それから、もう一つは、第五次五カ年道路計画六兆六千、地方負担もいろいろたいへんだと思うのです。それで財源的に指定道路をあまり局限しないこと、なるべく多くの道路を指定して、そうして補助率は二分の一でなくて三分の二にする。道路安全施設ですね。そのくらいのことをしませんと、二分の一というのは地方団体が半分負担するということでしょう。だから三分の二に引き上げるべきだという意見が非常に世論化しておりますが、お考えはいかがなものか、大蔵省を代表して、この際一言お答えしておいていただきたいと思います。
  118. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 せっかく大蔵省を代表してということでございますが、私、はなはだ失礼でございますが、代表する立場にございませんので、私が承知いたしております点でお答えさせていただきたいと思います。  道路整備の安全緊急の三カ年計画の変更の問題については、これはやはり社会情勢を見つつ弾力的に検討していくべきではないかと思います。  それから補助率の問題につきましては、これは全体の補助率の体系ともにらみ合わせつつ検討しなければならない問題ではございますが、しかし、これは御承知のように、道路交通法の一部を改正いたしまして、反則金に見合う金を交通安全対策特別交付金として交付するというようなこともございまして、それとの一連の関連をも考慮しつつ、今後検討すべきことかと思います。  さらに道路特定財源の問題でございますが、これは建設省が公式に言っているかどうか、私がここで申し上げるのはあれかと思いますが、やはり特定財源はパー、パーにするという議論はあります。しかしながら、一方、現在道路整備緊急措置法で補助率が非常に高くなっているのは、やはりそういった面もあるのじゃないかという意見もございます。そういったものもあります。また、軽油引取税制度があるじゃないかという意見もございます。要は、投資可能資金量がうまく道路整備計画の再編にマッチできる体制にあるかどうかという問題でございます。今後道路整備五カ年計画の改正の策定の際に、そういったいろいろの問題を含めまして、十分検討さしていただきたいと思います。
  119. 太田一夫

    ○太田委員 きょうは秋吉さん、非常に楽な気持ちで御答弁いただいたほうがいいと思うのですね。むずかしい気持ちで御答弁いただくというと内容が誤解されるから、楽な気持ちで……。道路は拡張しなければならない、改善しなければならない、安全施設も整備強化しなければならない、その財源は当然見なければならない、これはあたりまえな話ですね。ですから、大蔵省としてとやかくのことは申しません、地方の窮状、よくわかる、実情、よくわかる——地方財政に対する配慮が非常に少ないのがこの委員会の一番遺憾とするところでございますから、そういう点について、新時代に即応する新しい大蔵省の行き方として、自治省の言いましたところのいろいろな問題については、二十五億の道路財源だなんというようなけちなことをおっしゃらないで、ひとつ大幅に思い切った理解をお示しくださいますように希望しておきます。  それから、大臣、一言だけ最後に、地方の大都市の財源問題ですね、これは何といっても急を要する問題だと思うのです。毎年毎年附帯決議を繰り返してきておるでしょう。記録によれば、毎年附帯決議を繰り返して、一向に強化されないでほったらかしになっておるわけですが、すみやかに大都市財源の強化の問題については結論を出すということに踏み切っていただきたいと思いますが、お考え、いかがでありますか。
  120. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かに御指摘のように、大都市の住民の需要と申しますか、要望と申しますか、そういうものは非常に大きくなっておるわけでございまして、それに対応する財源が必ずしも十分でないことは、これはもう明白なところでございます。どういう形でその財源を配分するかということは、いろいろ考究を要するものがあると思いますが、いずれにしましても、そうした大都市の需要を満たすような財源措置は考えていかなければならないと思っております。
  121. 太田一夫

    ○太田委員 終わります。
  122. 亀山孝一

    亀山委員長 次は、安井吉典君。
  123. 安井吉典

    安井委員 地方財政一般的な問題につきましてきょうまでずっと議論が続いてきたわけでありますが、地方公営企業の分野についての質疑があまりなかったそうですから、私、その面に重点をしぼりまして若干お尋ねをいたしたいと思うわけです。  地方財政の全体的な論議の中では、普通会計の分野だけを議論していては、十分問題点に到達しないわけであります。今度の地方交付税の改正や、あるいはまた地方財政計画の中でも、特別会計への繰り出しの問題について触れておりますし、あるいはまた地方債の問題についても地方公営企業の分野に対するいろいろな配慮が昭和四十二年度においても施されていることは、すでにお話を受けたとおりであります。地方公営企業の普通会計に対する位置づけでありますが、この間いただきました政府地方財政白書でも、普通会計の約二五%規模ぐらいに昭和四十年度はなっているそうであります。その比率は大都市ほど高くなって、特に東京都などはいわゆる普通会計の規模よりも特別会計の規模の合計額のほうがずっと上回っておるというのが実態ではないかと思います。こういう実態を踏まえましての地方財政全体に対する配慮というものが必要ではないかとわれわれ思うわけであります。その点につきましての大臣の御理解をひとつ伺っておきたいと思います。
  124. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御指摘のように、地方公営企業が持つ地方財政の中のウエートと申しますか、これは特に大都市においては相当重いわけでございます。したがって、地方公営企業の健全な運営というものが期せられなければ、地方自治体自体の健全な運営に相当な影響があるというふうに考えておりまして、公営企業についてのいろいろな処置をやっておるわけでございます。
  125. 安井吉典

    安井委員 昭和四十二年度の地方公営企業の財政規模というような面については、自治省はどういうふうに発表されておりますか。
  126. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 昭和四十年度の地方公営企業の決算状況について、財政状況を見ますと、法適用企業におきまして、すでに九百七十一億の不良債務額をかかえておるわけでございます。
  127. 安井吉典

    安井委員 いや、私が伺っているのは、昭和四十二年度の地方公営企業の全体的な財政規模、経営規模といいますか、そういうようなものについて押えた形で、地方公営企業の全体に対する指導をなさっていらっしゃるかどうかということです。
  128. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと私、御質問の趣旨を取り違えておったわけでございますが、公営企業の規模を押えて指導をしておるかという点につきまして、どういうふうにお答えすればいいのか、よく私、理解できないのでございますが、公営企業の財政の規模、それから普通会計の規模、こういうものの大きさの比較、こういうことになりますと、公営企業会計は普通会計に対しまして四分の一のウエートを持っておる、決算規模におきまして二五%、こういう規模を持っておるわけでございますし、職員数の規模におきましても三割に近い規模を持っておる、こういう理解をもって公営企業に対する行政指導に当たっておるわけでございます。
  129. 安井吉典

    安井委員 私が伺っているのは、四十年度のものは、この決算状況は財政白書にはっきり出ています、四十二年度についての見通しを持っておられるかどうかということです。
  130. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 四十二年度に対する見通しということでございますが、規模についての見通しということでございましょうか、あるいは経営収支についての見通しということでございましょうか。経営収支についての見通しということでございますと、昭和四十一年度の決算状況自身がぽつぽつ明らかになっておるわけでございますが、それを前提に置いて赤字の規模というものを想定しながら指導しておる、こういうことを申し上げたいのであります。
  131. 安井吉典

    安井委員 四十一年度ですよ。四十一年度における地方公営企業の総財政規模という一応の見通しを持って四十一年度はスタートしてなかったと思うのですよ。これは毎年ないのですよ。私もゆうべ一応調べものをしながらふとその点に気がついたわけです。だから非常に意地の悪いような質問になったかもしれません。これは四十二年度はおそらくないと思うのです。いままでの地方財政の全体に対する取り組みは、自治省一般会計、普通会計を中心にしての取り組みであったと思うのです。だから地方財政計画はいただくが、その中にあるのは一般会計の分だけなわけです。ただ特別会計に対してこれだけ繰り出すのだというのは出ています。それから企業債の内容もあの中につけたりのように出てはおります。決算の段階になりましたら、一般会計のものも、これはもう詳しく報告されるわけですね。それから特別会計の分もここに詳しい分析が載っております。ところがスタートの段階の基準になるところの計画といいますか、そういうようなものについては一般会計しかないわけですね。特別会計については少しもいままでないわけです。また、この地方行政委員会に私もずいぶん長くいるのですけれども質問したこともありませんでした。その点どうもこちらから質問しないのですから、質問しないからといって政府のほうも御準備になってなかったのかもしれません。それからまた法律の上でも、地方財政法は一般会計から各特別会計を全部カバーする法体系になっているわけですね。それからまたその地方財政法の三十条の二ですか、地方財政白書発行の義務が政府にあるわけで、それによっての内容も決算段階では両方知らされているわけです。両方知らされるという形でなされております。ところがこの昭和四十二年度地方団体の歳入歳出総額の見込み調べというのは、これはたしか地方交付税法第七条の規定によると思いましたが、これには歳入歳出総額の見込み額ということで、一般会計ともそれから特別会計とも別に書いてありませんから、一般の理解としてはこれは一般会計だけだということでずっといままで来ているわけですね。だから地方公営企業の、ことし一年はどうなるのかという俯瞰は年度当初になされないままにスタートしてしまっているというのがいままでの姿ではないかと思います。ところが一方政府は、一般会計に対するいろいろな補助金は、その行くえを追跡するためにこの見込み額調べあるいは地方財政計画というもので国会に出されているわけですが、特別会計のほうにお出しになったものは、これについての資料は、出たほうはあるけれども、受けるほうの資料がないわけですね。それからまた地方債計画についても、これだけのものは要るのだと言われるが、しかしそれの基礎になるものの資料が、水道なりあるいは交通なりその他に対してどういうふうになされるかという計画が私はなかったような気がするわけです。もっとも、そういうふうな当初計画を自治省につくっていただくように強くお願いしたら、それを種にして自治体のほうをぎゅうぎゅう痛めつけたりするとこれはまた困るのですが、しかし何かことし一年の地方公営企業がどうなるのかという一般的な諸情勢がわかるような資料は、私は国会審議の中にあってもよろしいのじゃないかというふうな気もするのですが、その点どうでしょうか。
  132. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 愚鈍でございまして、ただいま初めて御質問の趣旨が了解できたような次第でございまして、まことに申しわけないと思っておる次第でございます。ただ、この地方公営企業につきまして当該年度の見通しをあらかじめ立てるということ、これは確かに私必要だとは思うわけでございますが、地方財政計画の場合と同じような角度で地方公営企業のいわば収支見通しといいますか、そういうものを立てるということになりますと、一つはその実益と申しますか、財政計画の場合でございますと、それに伴ってその年の地方財政の収支の標準的な規模におきます状況がわかり、それに伴って財源措置がなされていく、こういう過程がとれるわけでございますけれども、公営企業の場合には、やはり一般の企業会計の場合と同様にやはり決算中心ということに重きが置かれ、またそういう形で経営に対する反省というものがなされていくという、われわれのいままでの考え方であったわけでございまして、これはそういう当年度の当初の会計を立てるということの必要性と、実益という点につきましてはもう少し検討さしていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  133. 安井吉典

    安井委員 私もいまここで結論を出していただくつもりはないわけでございますが、国の予算の中でも普通会計の予算と各特別会計それぞれの予算、それから企業会計の予算、三公社五現業、そういったようなものを一括、予算委員会の論議に付されるわけです。それの資料として、地方公共団体のほうの一般会計の分は資料が出てくるわけです。特別会計のものが出てこないというと、バランスがくずれるといいますか、何か一つ足りないような気がするのです。ただ国の企業と地方企業とはだいぶ様子が違うわけですし、しかも法適用企業から法適用外の企業もある。非常に千差万別であります。だからどこを焦点にして押さえたらいいかということ、これも非常に問題があると思います。そうしてまた普通会計の場合でありましたら基準財政収入だとか基準財政需要だとか、そういうようなものの押さえようがあるわけですが、企業の場合にはこれはなかなかめんどうです。そういうふうないろいろな問題がからんでまいりますから、私はここですぐに、ことしを含めて、将来そういうものを出せとか、出さなくてもいいとか、そういうようなことをお答えをいただくつもりはありませんし、私どもは私どもなりにこの問題についてもっと検討してみたいと思うのでありますが、ひとつ自治省においても、これはひとつ宿題にしておきたいと思いますから、御検討おきを願いたいと思います。  次に、一般会計からの繰り入れの点につきましては、地方財政計画の中では、四十一年度よりも百二十八億円増の五百五十一億円というふうな計上になっているようであります。これがどういう形で歳出に見込まれているわけですか。それからまた交付税にはどういう形で算定されているか、その点を伺います。
  134. 細郷道一

    細郷政府委員 対前年比で百二十八億、中身はいわゆる一般の繰り出し金と出資金とに分かれておりますが、百二十八億の増の措置をいたしております。そのうち繰り出し金に当たります部分は財政計画上の一般行政経費の中、それから出資金に相当する分は投資的経費の中にそれぞれ計上いたしております。なお、それの交付税の需要算定上の措置といたしましては、水道事業に対します繰り出し金、それから病院事業におきます看護婦養成所に要する経費についての需要をそれぞれ対前年に比して増をいたしております。具体的に申しますと、水道につきましては十億六千二百万円、それから看護婦養成に対しましては一億四千万というのをそれぞれ対前年増として需要に見込んでおります。
  135. 安井吉典

    安井委員 それ以外の増は何ですか。
  136. 細郷道一

    細郷政府委員 それ以外は、御承知のように公営企業が各事業を通じまして全府県、全市町村に普遍的でございません。交通にいたしましても、ほとんど府県は少なく、市町村も全部でないといったような関係もございますので、それら以外につきますものは、財政計画上の処置としましてはそれぞれ負担区分政令に沿った見込み額を計上いたしておるわけであります。
  137. 安井吉典

    安井委員 負担区分に関する政令がことしの二月八日に出たわけですね。これは私どもも選挙中ですし、国会がない時期ですから十分目を通さないままに出てしまって、それによって地方財政計画も何もみんな組まれているようでありますが、この政令内容についても昨年の地方公営企業法の大改正の審議経過の中から、私ども若干不満に思う点があるわけでありますが、今度組まれました五百五十一億円というのはこの政令の分だけであって、それ以外の分はない、こういうことですか。
  138. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 そうでございます。
  139. 安井吉典

    安井委員 いままで地方公共団体では、私もきょういただいたわけですが、この政令のうち水道事業や工業用水道事業、病院事業、それから軌道事業にもございますけれども、こういったもの以外に出していた部分が、いままではありますね。現実論としてはあったと思います。いままでは法律もなかったし、政令もなかったわけですから。そういうようなものが今度の場合には全く考慮してないということですか。
  140. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 一般会計から繰り出しをいたしますものは、負担区分政令に基づきまして一般会計の負担、あるいは負担出資でありますか、というものに帰せられるものだけに限定すべきである、それ以外のものにつきましては財政計画上は考慮する必要がない、こういう考え方に立っているわけでございます。
  141. 安井吉典

    安井委員 去年の地方公営企業法の改正に際しまして、社会党の私どもは、党独自の対案を出しまして、その通過をはかろうとし、最終段階では話し合い、修正という形で処理されたわけでありますが、私どもの主張の一番重要な点は、地方公営企業は、企業というよりも、むしろ行政の一部なんだという考え方から独立採算制という原則をくずすべきではないかという、そういうふうな論点から、一般会計の繰り入れの余地をもっと広げようというのが最大の主張点であったわけであります。それだけに、この繰り入れの問題について、昭和四十二年度の財政措置がどうなされるかということについて関心を持っているわけでありますが、いまこの財政白書から数字を拾ってみましたら、昭和三十九年度は繰り入れ決算額は六百十二億円、昭和四十年度は七百六億円、四十一年度は、これはまだ出ておりませんけれども、おそらく相当多額になっているのではないかと思います。ところが四十二年度のは計画額だけで五百五十一億円です。四十二年度五百五十一億円というのは、おそらく四十一年度はこのカーブから言いましたら九百億円くらい出ていたのではないか。八百億ないし九百億出ていたと思います。それが四十二年度では計画で五百五十一億円というようなことで、相当減ってしまうような、そういう印象を受けるわけであります。それは法律の改正とそれに基づく政令の公布という、そういう新たな事態があるということはわかるわけでありますけれども、そういう一つの大きな変わり方に対して、特殊な考慮は必要はないでしょうか。
  142. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 公営企業と普通会計との関係というのは、いろいろ議論があり得ると思うわけでございますが、昨年の公営企業法の改正の際に繰り返しるる申し上げましたように、やはりあくまでも独立採算というものが基本でありまして、災害があった場合でございますとか、あるいはそれに類するきわめて例外的な場合に限って一般会計から繰り入れるほかは、負担区分という原則を明確にすることによって普通会計と企業会計との持ち分というものをあらかじめきめておく、それに基づく繰り入れというものに限定をすべきだ、こういう考え方に立っておるわけでございます。現実に他会計から繰り入れをしておるではないか。それと財政計画との間の数字の相違という点につきましては、やはりこれは計画上はあくまでも負担区分を前提とするものに限定をしつつ、それ以外のものについて必要のあるものにつきましては当該団体の自主的な判断に基づいて財政措置をして出していく、こういうことで割り切るほかにない、こういうふうに考える次第でございます。
  143. 安井吉典

    安井委員 それなら、結局その政令規定が問題になってくるわけですよ。今度取り上げているのは、私どもの従来の主張のうち消火栓に関する費用と、それから病院の看護婦養成等の費用というふうなことでありますけれども、第十七条の二の第一項、能率的経営を行なってもなおその経営に伴う収入のみで充てることの困難な経費、この分野についてこの政令は少し範囲が狭過ぎるのではないか。これはもう少し検討する余地があるのではないかと思いますが、どうですか。
  144. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 率直に申しまして、地下鉄の問題でございます。この地下鉄の問題につきましては、私どもは俗に申します三方損方式というもので負担区分を明確にしたい、こういうことで、都市交通審議会にもこれが検討をお願いいたしたわけでございますが、結論的には補助方式ということになりまして、この点は私どもの宿題といたしまして、負担区分政令を将来において充実してまいりたいと思っておる次第でございます。
  145. 安井吉典

    安井委員 これは大臣にはっきり確かめておかなければいけませんが、負担区分の明確化というのは、ことばはひどく専門的になっておりますけれども、独立採算制をどこまで守るかという限度の問題がそういう技術的なことばで表現されているわけです。だから、この扱いというようなものが、水道や交通の料金の問題から、住民の生活に非常に大きな影響のあるものになってくるわけであります。一方またそのぐあいによっては、企業会計の財政の状態が一般会計へ影響をもたらすというふうな面もあります。それだけ非常に重大な問題でありますので、この政令は一応は二月段階でこういう形が出てはおりますけれども、いま鎌田参事官からも御答弁がありましたように、内容についてはもう少し今後の事態を見ながら十分御検討をする必要があると思いますが、どうでしょうか。
  146. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 具体的な例は、いまお答え申し上げたような地下鉄の問題がございますが、それ以外につきましても、もちろんこの負担区分政令につきましては、事態に応じて再検討をいたしていく必要があろうと思います。
  147. 安井吉典

    安井委員 一応ここで区切っておきます。
  148. 亀山孝一

    亀山委員長 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後四時十七分開議
  149. 亀山孝一

    亀山委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。安井君。
  150. 安井吉典

    安井委員 問題はたくさんあるのですが、なるべく委員長に協力して短くしたいと思います。  交通の問題について、午前中も運輸省からおいでいただいていてお待ち願いましたので、その点から伺ってまいりたいと思いますが、昨年の地方公営企業法の一部改正にあたり、「水道事業及び地下鉄事業に対する国の財政援助措置の強化に努めること。」という附帯決議があったわけでありますが、地下鉄事業に対しまして、運輸省はことし若干国庫補助の強化措置を講じたと聞いておりますが、その内容について伺いたいと思います。
  151. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  地下鉄事業につきましては、昨年の七月でございますか、都市交通審議会という諮問機関がございますが、この都市交通審議会におきまして、都市交通の緊急整備対策に対する国の助成の方策について検討いたしました。その検討におきましては、現在の大都市交通というものは主として鉄道輸送を中心とする通勤・通学輸送対策というものを早急に講じなければ、都市機能の確保も困難であろうし、また、都市が麻痺してしまうというようなことでございますので、そういう助成措置を緊急に講じて、その整備を促進する必要がある。そうして、その内容といたしまして、国鉄、私鉄、地下鉄等に対しまする各企業に即したところの助成措置を講ずべきであるということになりまして、その中で地下鉄事業に対しまして補助金の大幅な増額という点を打ち出して、関係大臣に建議をしたことがございます。  その建議の趣旨に従いまして、政府といたしましては四十二年度予算内容にそれを盛り込みまして御審議を願ったわけでございますが、この内容を一口に申しますと、地下鉄事業というのは、御存じのとおり建設にばく大なる経費を必要といたします。したがいまして、これに要する資本費というものは非常にばく大でございまして、企業の運営上当初は非常に膨大な赤字が山積をする。その状態というものは、しばらくの間は償却をなし得ないことはもちろん、償却前においても非常な赤字が増大する。このように償却前においても非常な赤字が増大をするというような状態におきましては、企業はいわば利子を払うためにさらに借金をしなければならぬというようなことになりまして、企業の経営状況というものは極端に悪化をするということが予想されるので、この点を助成措置でカバーする必要がある。そこで、本年度の予算におきましては、その点にかんがみまして、、おおむね償却前赤字というものに見合うという点を一つのめどといたしまして、そういうことによったところの計算をした補助金というものを計上いたしたわけでございまして、その額としては十八億四千五百万円でございます。ただ、この補助金に対しましては、来年以降も続けて行なうというようなことになろうと思います。これによりまして、地下鉄建設というものが、今後相当促進をされるということを期待しておるわけでございます。
  152. 安井吉典

    安井委員 補助率一〇・五%ですか、補助の補助率やあるいは補助のしかたにおいて、ずいぶんややこしいし、地下鉄の現状から言うと、いま償却費をカバーするのだということでありますけれども、そういうふうな目的にしては少し内容がお粗末過ぎやしないかというふうな気がするわけです。現在でも地下鉄は、たしかメーター当たり三百万円くらい建設費がかかって、利子だけでも二十万円くらいかかっているようですね。ところが収入は、東京都営なんかの場合でいうと、メーター当たりにすると七万円くらい、利子だけで二十万円も払ってメーター当たりの収入が七万円くらいでは、これは合わないのはあたりまえなわけです。そういうような意味で、私どもはもう少し実のある地下鉄に対するバックアップ措置が必要ではないかということを主張いたしていたわけであります。自治省のほうのものは切られて、運輸省のものだけが生きたということのようでありますけれども、少し政府の考え方が、内容が不十分ではないか、こう思うのですが、その補助率の問題や補助対象の問題、そういう点についてもう少しお聞かせ願いたい。
  153. 山口真弘

    山口説明員 今回の地下鉄の事業でございますが、現在地下鉄を建設し、運営している事業は、東京都、名古屋市、大阪市のほかに帝都高速度交通営団、この四者が建設、運営をやっております。それで、地下鉄に対する収支並びに経営状況は、先ほど申しましたような特別の事情がございまして、特にいまも先生御指摘のように、多い場合はキロ当たり五十億円ぐらいの建設費がかかるという場合もございます。したがいまして、それによりますところの資本費というものは非常にばく大なものがございます。したがいまして、当初は収入をもってしても通常の経費と、それから利子だけを払うことができないような状態でございまして、もちろん減価償却もできないということでございますので、そのような状態におきましては、企業としてはますます悪化をしてくるということになります。  そこで、私どもこういう状態を何とかカバーするためにはどうしたらよいか、いろいろ都市交通審議会の場においても試算をいたしたのでございますが、結局、これは各地下鉄線の事情によっても違います。建設費につきましても、五十億のものもあれば三十億のものもある。あるいは、その通る路線のお客の度合いというものもございますし、さらにこれを経営いたしまするところの各企業体の経営の内容、人件費等も違いますし、そういった経営の内容等も違いますので、そこで一つのモデル的な線を選びまして、そのモデル的な線において、その建設費並びにこれに要するところの利子あるいは運営費というものを算定をいたしまして、そういう算定の上に立ちまして一応償却前赤字というものをカバーできるだけのものをやりますれば、非常に長期的に見れば何とかやっていける、短期的には非常に苦しいのでございますが、その短期的なものを助成をいたしまして、長期的に見れば何とかやっていけるというようなところになるのではないかということで算定をいたしましたのが今年度の予算に計上いたしました額でございます。これにつきましては、いろいろと御議論もあろうと思いますので、今後とも十分に検討をいたしまして、地下鉄建設が促進できるように措置してまいりたい、このように考えております。
  154. 安井吉典

    安井委員 どうもいまの御答弁ではあまりきちっとしたお答えにならぬと思うのです。一キロ当たり五十億の建設費がかかるというふうにおっしゃったが、この十八億四千五百万円を何キロに補助されるのですか。
  155. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  ただいま申しました一キロ当たり五十億円というのは、一つのモデル線をとりまして計算をしたわけでございますが、これによりまして利子が幾らかかり、それから減価償却費が幾らかかり、そうして、この線が開業いたしました場合に運賃収入がどのくらいあがり、これの運営をいたします場合の人件費は幾らか、修繕費は幾らかというような各種の計算をいたします。そういたしまして、各年度の収支状況、収支じりというものを見てみますと、当初は償却前の赤字というものが非常に出てまいります。これが約五年くらい償却前赤字が出てまいりまして、それが五年過ぎまして少しずつ事態が回復をしてまいりまして、非常に長期をとってみますれば、償却前の赤字がなくなり、そうして償却がある程度なし得るけれども、依然として赤字だ。さらに長期をとってみますと、償却もなし得る、こういう状態になるわけでございます。その場合に、その償却前の赤字というものは、これは利子が利子を生むという形でございますので、これを放置しておくならば、当該事業というものは、悪化によりまして運営できなくなるわけでございますので、償却前赤字に相当するものを補助いたしまして、そうして運営をしたいというのが十八億四千五百万円でございます。この十八億四千五百万円は、いまのようなモデル計算を一応の基礎といたしまして、各事業体の前年度の建設費を基準といたしまして、それに対しまする補助をいたします。その分が十八億四千五百万円でございます。
  156. 安井吉典

    安井委員 どうも何を対象にして十八億四千五百万円をばらまこうとしておるのか、私の質問にちっともお答えになっていないのですよ。対象はどれなんですか。何を対象にしてこれだけを出そうと御計画なんですか。
  157. 山口真弘

    山口説明員 申し上げます。  ただいま申しました工事費というものを基準としてと申し上げましたが、昨年度の各事業体におきまする工事費というものを基準といたしまして、その工事費に対しまして一定の率をかけまして、この一定の率をかけたものに対する一〇・五%というものを五カ年間に配分して補助するということでございます。したがいまして、第一年度が三・五%、次が二・八%、二・一%、一・四%、〇・七%というふうに、五カ年間にわたりまして補助する。つまり四十一年度の工事費に対しまして、四十二年度以降五カ年間にわたりまして補助を継続して行なう。それから、四十二年度の工事に対しましては、四十三年度以降五カ年間補助をする、そういう基本的な考え方に従いまして、今年度の十八億四千五百万円というものを考えておるわけでございます。
  158. 安井吉典

    安井委員 ちょっと時間がかかりますから、はしょりますが、どうもこういう程度の国庫補助の姿ができたということでは、私ども附帯決議を付した趣旨に非常に遠いものだというふうに思います。鉄道監督局長がお見えでありますが、明年度以降の見通しはどうですか。それから、もう一つついでにお聞きしたいのは、社会党の私どもは、この前の場合には、都市鉄道整備促進法案を出して、地下鉄等に対する国庫補助の道を強力に開くべきだというふうな主張をいたしたわけでありますが、今度政府が計上されている、従来からもあったのを大きくされたわけでありますが、法的根拠は何ですか。
  159. 増川遼三

    ○増川政府委員 先ほど民営鉄道部長からるる御説明を申し上げたところであります。それによりまして、来年度以降におきましては、本年度よりもさらに補助金を増額せられますので、相当の成果が上がり得るものと思います。
  160. 安井吉典

    安井委員 私が質問しているのは法律の根拠です。
  161. 山口真弘

    山口説明員 ただいま局長からお答えいたしましたように、本年度の予算の十八億四千五百万円と申しますものは、先ほど申しましたように、四十一年度を基礎といたしまして、それに対する工事費の三五%……(安井委員法律の根拠だ」と呼ぶ)申し上げます。それでございますので、それが五カ年間継続いたしますから、その分の来年度分というものがございます。さらに四十二年度の工事を今度は初年度といたしますものについては、さらに四十三年度におきましてその分の補助がございますので、それがプラスになりまして、したがいまして、その意味で、この補助方式によりましては、相当の増額が期待されるという意味でございます。  補助の根拠でございますが、これは現在補助金の適正化に関する法律がございまして、この補助金の適正化に関する法律によりまして補助をいたす、こういうふうになっております。
  162. 安井吉典

    安井委員 補助金の適正化に関する法律というのは、名前のとおり、補助金が間違って使われた場合には懲役を含むいろんな刑罰を科しますよという法律の趣旨なんですよ。だから実定法がなければいかぬように思うのですが……。
  163. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。今回の地下鉄に関しまする補助は、予算の定めるところによりまして補助をいたします。その運営の方法につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、補助金の適正化に関する法律でもって行ないます。
  164. 安井吉典

    安井委員 予算補助でしょう。予算補助というようなことでは私はいかぬと思うのです。やはり腰を据えてかかっていかなければ、いまの交通の非常に大きな変化に即応できないと思うのですよ。いま都市では路面電車が大きな問題になって、地下鉄が、あるいはその他の交通手段もないわけではないですが、一つの大きな問題になってくると思うわけですよ。だから、国として腰を据えてかかるという、法律をきちっとつくって、それに対する内容の充実した国庫補助措置、こういうようなものでなくてはならないと思います。どうですか、局長
  165. 増川遼三

    ○増川政府委員 ただいまのお話につきましては、十分われわれも検討をいたしたいと存じております。関係自治省とも十分協議の上で、現在とっております制度だけで十分とは考えておりませんので、さらに検討いたしまして、現在以上のもっと抜本的な措置を考えてまいりたいと考えております。
  166. 安井吉典

    安井委員 それをひとつお願いをしておきます。  そこで、自治省のほうに、再建計画について、路面電車の撤去といったような計画があって、それからその次に地下鉄に移行するというものも出てくるわけです。ところが、場合によりますと、どうも路面電車の撤去だけが終わって、地下鉄は金の関係やなんかで四、五年おくれて始まるというふうな事態が起きますと、再建計画の実質的な進行に非常に差しつかえがあるわけです。そのことを住民も、あるいはそこで働いておる労働者の人たちも非常に心配しております。だから、再建計画の場合において、その後の地下鉄というものとの結びつきをきちっとやってもらわなければならないですね。その点は、自信を持ってお進め願いたいと思うのですが、どうですか。
  167. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 再建計画の作成の過程におきまして、路面電車の撤去という問題がございます。この路面電車が撤去せられたあとの代替交通機関を何に求めるか。すべて地下鉄というわけでもないわけでございまして、御案内のとおり、バスに移行する、こういうものもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、市民の足に不便をかけるということにならないように、代替の交通機関の整備ということについては、私どももこの市の計画に即応しながら配慮を加えてまいりたいと思っておる次第であります。
  168. 安井吉典

    安井委員 では運輸省けっこうです。  厚生省の環境衛生局長においでいただいておりますので、水道の問題についてちょっと伺っておきたいと思います。  同じ附帯決議の項目で、水道に対する国庫補助も、財政援助の強化の問題が出ていたわけでありますが、自治省のほうでは、料金格差の是正についての利子補給をたしか予算要求されていたのが認められなかったようでありますが、水道については、国庫補助がごくわずか七億円くらいにしても一応認められたということがあるわけです。しかし、何しろ七億円というふうな、額にすればササにつけてふるような額で、これではたして水道に対する国庫補助ができたということが言えるかどうかということであります。したがって、そのわずかな額をどうやって配るのか、その配りように苦労されるような事態ではないかと思うのでありますが、その問題についてどうお考えか。あるいはまた、これを将来はっきりした形に進めていかなければならないわけで、昨年の地方公営企業法の改正でも、社会党の私どもは、水道法の四十二条でしたか、簡易水道だけに国庫補助の規定があるわけですが、それを上水道にも国庫補助の仕組みができるようなそういう改正案をも提案をしていたのであります。しかし、それは自民党が反対して否決されたわけでありますが、この水道の問題も、いま私が地下鉄について申し上げたと同じように、予算補助というふうな形ではなしに、水道法を改正して本式に取りかかるというふうな態度がなくてはならないのではないかと思います。その補助の配分の問題と、それから法律根拠をきちっとする問題についてのお答えをひとつ願います。
  169. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お尋ねのとおり、本年度の水道に対します補助金はつくことはついたわけでございますが、一千数百億という事業量から見れば、七億という額は決して多いものではございません。したがって、その使途はきわめて効率的といいますか、七億の意義を発揮するようにという当初の計画どおり、非常に高い水道に組み入れたいということで、水源開発にあたりまして、非常に先行投資性の強い水道、具体的に申しますと、現在の給水人口の五割以上の給水人口を増加するような長期投資的なもの。したがって、それを直ちに現在の市民に料金としてはね返らすにはあまりに過酷であるというようなものに対しまして補助対象にする。  いま一つは、原水単価が非常に高い。すなわち開発費が非常に割高につく。従来は原水単価トン当たり二円が通常であったわけでありますが、それを三円以上というような割高の水道に対して補助対象にする。このようなものでございまして、しかもこの事業が完成をした後の起債の元利償還が、トン当たり十一円以上あるいは用水供給事業にございましては四円以上に当たるような高い水、これはいま申しました十一円とか四円とか申しますのは全国平均でございます。全国平均以上に起債の元利償還金が高くつく、こういうものに対して補助金を出していきたい。補助率は三分の一ということで考えておるわけであります。  それからいま一つは、これらのものに七億のうち六億を回しまして、残りの一億は水道が将来ともに広域化をすることが機能上も、あるいは財政的な面からも、料金の上からも合理的であるということから、広域化を促進する意味合いにおいて一億円を広域化の水道に回したい。その幹線だけに対しまして四分の一の率で補助金を出す、かように決定いたしておるわけでございまして、仰せのように本年度は非常に少ないわけでございますので、明年度以降大幅にこの額をふやしてまいりたい。その上で水道に法律上簡易水道と同じように補助金を交付するというたてまえで進むという方向で私どもとしては努力してまいりたい、かように思います。
  170. 安井吉典

    安井委員 この上水道に対する補助は、私どもが工業用水道に国庫補助があって、上水道にないじゃないかということに対する一つの答えとしても政府がおやりになったと思うのですが、しかし、額において七億というのは問題にならないし、一方、工業用水道のほうも、いままで二〇%ないし二五%の補助、今度一〇%補助率を上げたのですね。それから上水道のほうは、三分の一あるいは四分の一の補助というふうなことで、補助率においても相変わらず企業本位というふうな姿があらわれておりまして、額も少ないし、それから率のほうにおいても、これはまだまだ検討する余地があるということをひとつ申し上げておきたいわけであります。  たくさん問題がありますから、環境衛生局長のほうは、いずれまたあらためていろいろ伺うことにいたしまして、いまお話しになりましたことしの国庫補助のやり方等について資料でひとつ御提出を願いたいと思います。  それから、委員長にお願いしておきますが、さっき忘れましたが、地下鉄のほうについても資料を運輸省のほうから出していただくようにお願いしたいと思います。  それからなお、環境衛生局長せっかくでありますから、いまの干ばつで、水の問題について心配はないか、対策はどうか、これだけひとつ伺っておきます。
  171. 舘林宣夫

    舘林政府委員 これは気象庁のほうから報告を受けたわけでありますが、ことしの渇水の状況は昭和三十三年の渇水の模様に非常に似ておるということであります。昭和三十三年のときには、七月の上旬まで非常な水不足で、東京都内の公衆浴場は八割が休んだというほどの深刻な状況になっております。したがいまして、私どもとしては、この事態をきわめて警戒をいたしておるわけであります。きょう実は関東地区の担当者を集めて目下会議中でございます。  そこで、この水不足は、全国的に私どもが調査をいたした結果によりますと、水道の数でいえば三十二カ所が断水または減水いたしておりますが、雨の状況から申しますと、気象庁の発表どおり南関東地区が異常に雨が少ないわけであります。その中で、従来は東京都が非常な水不足を来たしておったわけでありますが、幸いにも利根系の水が取れるという事態のために、現在小河内と村山を含めましたあの貯水池に許容能力の六割の水を持っております。日数にいたしますと、現在東京都で使います水のほぼ半分が村山、山口系の貯水の水を食いつぶしつつ進んでおるわけであります。この状況で、なお、私これから帰りましてその会議の状況を詳細に聞くわけでありますので、はっきりは申し上げかねますが、昨日までの東京都からの報告によりますと、おおむね六十日分はだいじょうぶ、雨が一滴も降らなくてもだいじょうぶだという状況であります。問題は神奈川県下の特に横浜、川崎でございまして、この水系となります相模ダム並びに津久井ダムが非常な渇水状況でございます。特に津久井ダムに至りましては許容水量の一四%を割ろうというほとんど湖底が出るという状況でございます。したがいまして、神奈川県は川崎、横浜両市が節水を始めたわけであります。これらの水源から東京都は現に水を相当量もらっております。それとの調整をどうはかるかというようなことも今後検討してまいりたい、そして長期的渇水対策を考えて、いまから節水なりその他の施策を考えてまいりたい、こういう状況でございます。
  172. 安井吉典

    安井委員 厚生省で雨を降らすわけにはいかぬでしょうけれども、しかし管理体系の変更とか、そういうようなことで対策はいろいろあるし、さらにまた、将来とも水不足が起きないような措置であるとか、そういうような面についてさらに御検討を願いたいと思います。  最後に、再建の問題について若干お尋ねをいたしたいと思いますが、自治省からお調べをいただいた資料によりますと、財政再建団体は一応百六十三団体の申し出があって、現段階では百三十三の団体が承認済みで、残りについてさらに進めつつある、かようなことのようであります。いままでの段階において、すでに承認済みのものについてうまくいっているかどうか。それから、これからあと残ったものについての考え方、これをひとつ伺います。
  173. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 すでに計画の策定を終わりまして、自治大臣の承認を得ておりますところの百三十二団体につきまして、おおむね順調に計画が進捗しているものと認められております。今後の計画の策定にまつものといたしましては、大口のいわゆる東京、大阪、北九州、神戸、京都、こういった都市交通の再建があと残っておるわけでございます。これらの計画の策定にあたりましては、ちょうど首長の交代、あるいは議会の構成メンバーが一新したというような関係もございまして、現在鋭意計画の策定中でございます。私どもといたしましては、やはり事柄の性質上、一日も早く計画を策定されて軌道に乗せていただきたい、こういう希望を持って関係団体の指導に当たっておる次第であります。
  174. 安井吉典

    安井委員 この間、ある新聞では、東京都の交通について自治省のほうで特別に通牒を発して、六月の定例議会で東京都はどうしてもきめなければいけないということの督促をして、美濃部知事は非常に苦しい立場におちいったというふうな記事が出ていて、細郷財政局長もそのあと談話を載せておられたわけでありますが、東京都についての特別指導というような形ではなされていますか。
  175. 細郷道一

    細郷政府委員 いろいろ地方団体も地方選挙その他の関係がございまして、昨年暮れに指定を受けたものの、理事者側あるいは議会側も選手交代といったような事態が起こってまいりまして、現実問題として再建計画の策定が手間どっておったわけであります。そこで、私どもとしましては、選挙も終わった現在におきまして、いまだ計画を策定しておりません各団体に対しまして、できるだけ早く、できれば次の議会に計画の策定、承認を得て、再建計画の実施に入るようにという一般的な通知を出しました。その後いろいろ各団体から、各団体の事情を述べてきておられます。その中に東京もございます。東京につきましても、この六月に定例議会があるということでどうしたものか、こういったような内々の相談も実はございました。したがいまして、私どもは、既定の方針どおりできるだけ早い機会にやるという、この間通達を出したこともこれあり、ぜひ六月にでもやっていただきたい、こういう意味で申し上げておるのでございます。
  176. 安井吉典

    安井委員 そこでお尋ねでありますが、その料金の値上げだとか、あるいはまた、そこで働いている労働者に対するいろいろなしわ寄せだとか、そういうようなものが再建計画の中に起きがちなわけであります。また自治省も、そういうふうな指導をされているわけです。したがって、再建計画の策定というのは、非常に慎重でなければいけないし、しかも議会の議決が必要であり、その前にそこの住民の納得が必要なわけであります。さらにまた、そこで働いている人たちの納得も必要なわけです。だから、計画の内容もさることながら、そこに至る経過というものが非常に大事で、住民の支持を受けないような再建計画なら、そんなものは、いかにりっぱなものであっても、私はだめだと思うのです。だから、そういうふうな点から、六月に間に合わないというふうなことになっても、別段法律的にも、それからまた自治省の指導方針としても、間に合わなければ間に合わないでしようがないのでしょう。
  177. 細郷道一

    細郷政府委員 間に合わなければしようがない、こう言われるとしようがないわけでありますが、少なくとも昨年公営企業法の改正を御審議いただきまして、いろいろ御議論があったと思いますが、ともかく国会において成立をいたしました。国の援助が十分でないとかいろいろな影響もありながらも、ともかくああいう形でスタートしたわけでございますので、私どもとしましては、その法律執行をあずかる役所といたしまして、これはすみやかに再建計画をつくっていくべきである。ことに、御承知のように再建計画の基礎となります不良債務額は、昨年三月末現在のものをもとにいたすわけでございますので、御承知であろうと思いますが、具体的に東京都の場合には一日約二千万円くらいずつの赤字が出ていくという現状におきましては、私は一日も早くこれをやっていただくのが本筋ではなかろうかと思いますし、私どももまた、そういうふうな指導をすべきではなかろうか、かように考えておるものでございます。
  178. 安井吉典

    安井委員 私が伺っておるのは、努力してもどうしても間に合わなければしかたがないのでしょう、こういうことです。
  179. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもとしましては、いま申し上げましたように、この法律執行を責任をもって行なうべき官庁としては、一日も早くやるべきである、こういう態度はずっと持ち続けてまいりたいと思います。東京都が一体これをどういうふうに扱うか、これは都議会の問題にもなりましょう、あるいは都の内部の問題にもなりましょう。しかしながら、私どものいま考えておりますところでは、指定が昨年の末でございます。その後におきまして、すでに半年経過しておるわけでございます。しかも一日一日に赤字が出てくる、こういうような状態でございますれば、理事者は必ず都民のための再建計画をやるんだ、私はこういうふうに考えておるものでございます。
  180. 安井吉典

    安井委員 私は東京都だけを取り上げて言うのじゃないのです。全体的な中で、住民の納得もないままに、ただ自治省が言うだけで、役人だけの作業でこんなものはつくろうと思えばわけなくできますよ。しかし、そういうものではだめでしょう。実行できるという姿勢が全部の納得の中でできてこなければだめです。だから、そういうことを含んで指導されるのが態度としてほんとうじゃないかと思うのですが、どうですか。
  181. 細郷道一

    細郷政府委員 各団体とも、昨年法律ができて後指定を受けるまでに、すでに半年以上いろいろと研究をされておるわけでございます。それぞれの市当局者も、どういうふうにして再建計画をつくり、また、その基本方針はどうあるべきだ、それを団体によりましては議会にお話しをしているところもあるわけでございます。すでにそういう方針はそれぞれ基本方針として団体としてみな持っておるわけでございます。あとは再建計画をどうこなしていくかというところにあるわけでございまして、これはまさに具体案が出てまいりませんと議論にならないわけでございます。いつまでも一般の世論その他の考慮をするばかりで、案自体が出てまいりませんと、これは批判も出てまいらないだろうと思います。私は、そこらにやはり自治体としての苦しい面もございますが、また自治体としての自主性もあるんだろう、こういうふうに考えているのでございまして、私ども先ほど申し上げた基本方針は変わらないのでございます。
  182. 安井吉典

    安井委員 案はつくらぬというのではないですよ。どんどんそれは作業しているのではないかと思いますが、しかし、いまのあなたのお話の中では、住民の世論よりも自治省の指導のほうが大事だというふうな言い方に私はとれるのですが、そうじゃないでしょう。やはり、地方自治なんですから、住民の意思を尊重するというふうな形で問題をつくってくれなければ自治省は困るのでしょう。そういう御指導がほんとうの自治省の指導方針だと私は思うのでありますが、大臣どうです。
  183. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 住民の意思と申しますか、それを代表するのは議会であろうかと思いますが、それにしても計画が出て、それをどう議会がこなしていくかということでございまして、その計画を早くおつくりなさいというのは、われわれの指導としては当然やらなければならぬことだと思っておる次第でございます。
  184. 安井吉典

    安井委員 ですから、その計画をつくる段階において、住民の意思というのは尊重すべきでしょうね。その点はどうですか、大臣
  185. 細郷道一

    細郷政府委員 私からも通達を出した責任者として一言申し上げます。一応、やはり議会にはからなければ、もちろん計画をつくることはできません。しかしながら、たとえば東京の場合でありますれば、昨年の九月ごろから何度も議会に基本方針を実ははかっておるわけでございます。その基本方針のもとにおいて再建計画をつくろう、こういう段階でございますので、私は具体案を示して議会に批判を受けるなり何なりすべき段階だろう、こういうふうに見ております。
  186. 安井吉典

    安井委員 大臣、もう一回お答え願いたい。知事がかわったのです。そのことも含めて、私が端的に伺っているのは、住民の意思というものを尊重すべきだと思うがどうかという、それだけです。別にほかのむずかしいことを聞いているのじゃないのですよ。それだけです。
  187. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 理事者側が住民の意思と申しますか——住民の意思といっても、一人一人、たとえば東京都一千万人の人間をあれするわけではありませんけれども理事者側が計画を立てるのに、住民の意向というものを取り入れることは、それは当然だと思います。ただ、そういう意向も取り入れて、できるだけ早く計画をつくりなさいと理事者側にそういうことの指導をするのは、やはり自治省としてはその責任があると考えております。
  188. 安井吉典

    安井委員 だから、そういうふうな指導をするという自治省の主体的な立場だけをおっしゃっているだけでしょう。そういうことですね。だから、その指導に従って、現実に、東京を含めて全国の各自治体では作業が行なわれているのだろうと思いますよ。だけれども、住民の意思というものをその中で尊重するような、そういう作業がなければ、これはいかぬと思います。だから、その点は知事市長がかわったということで方針がかわるということは、どこだってあり得るわけです。それによる対住民の納得作業というか、そういうのが必要になってくるわけです。だから、単に拙速で問題を解決しようということはかえってトラブルが大きくなるばかりでありますから、ひとつその点を十分に含んだ指導をしていただきたいと思います。
  189. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 繰り返すようですが、理事者側が再建計画をつくるのには、それはやはり住民の納得のいくようなことを、住民の意思を尊重しながら計画をつくるのだと思います。ただ、そういう計画をなるべく早くつくってくださいとわれわれは言っておるわけでございます。
  190. 安井吉典

    安井委員 借りかえ債を、私どもは、特に去年の改正の際に、条文を修正することによって入れたわけでありますが、これについての自治省の努力が非常に足りないように思うのですが、どうですか。
  191. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 今年度の地方債計画におきまして、公庫債におきまして二十億の借りかえ債というものをつけておるわけでございます。この二十億の運用につきまして、いわゆる公庫債を公庫債に借りかえる、こういう以外に縁故資金を公庫資金に借りかえる、こういったことも含めまして、現在努力をいたしておる最中でございます。
  192. 安井吉典

    安井委員 その不良債務、赤字たな上げ分以外にも、だいぶあると思うのですね。実際問題として非常に高利のものがある。二十億ぐらいじゃとても足りないように思うのであります。特に自主再建という道を私どもは開いたわけでありますから、その自主再建という中でやろうというところにも、やはりそれを励ます意味での借りかえ債なり何なりそういう措置が必要だと思うのです。これがもう少し増額されて、しかも適当な形ですみやかに出されるというふうな期待を私持っているわけでありますが、どうですか。
  193. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 本年度の場合でございますと、四十年度の赤字企業につきましては、やはり私どもといたしましては、当然再建計画に乗っておる、こういうことを考えておるわけでございます。自主再建という事柄の問題でございますが、私ども、四十一年度以降において不幸にして赤字を生じた、こういうものについて、いまのいわゆる準用再建の道を開いているわけでございますが、これらはいずれ再建計画の内容を見まして、いずれにいたしましても、企業債というものは信用が担保でございますので、そういう計画の誠実な履行というものを前提にして、御趣旨の線に沿って借りかえ債の運用をはかってまいりたいと考えておる次第でございます。
  194. 安井吉典

    安井委員 借りかえ債の問題は非常に重大な問題だと思いますので、ひとつ進めていただきたいと思います。  最後に、再建計画と労働協約との関係でありますが、団体交渉権だとか団体協約締結権は、再建団体であるがゆえに制約されないということは、昨年の地方公営企業法改正の審議を通して確認されたところでありますが、どうですか。
  195. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 おっしゃるとおりでございます。
  196. 安井吉典

    安井委員 再建計画の内容をオーバーして、たとえばベース改定でありますとか、そういうふうな話し合いができて、そういう措置が講ぜられるという場合は、どういうことになるわけですか。
  197. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 非常になまなましい問題でございますが、一般的には、先ほど御指摘になりましたように、再建計画と労働協約という関係は、先ほどのとおりでございます。ただ、私ども、その際、去年の公営企業法の改正の際にも特に申し上げましたのは、公営企業の財政再建、いわば一種の異常事態でございますが、そういう異常事態の中におきまして、労働関係というものは、やはりそういう立場から、給与改定の問題その他につきましても、職員団体もこの再建に協力するという立場から、大乗的な立場の協力というものを期待するということを申し上げておるわけでございます。具体的な問題といたしまして、再建計画に織り込んでない給与改定ということで、現在問題になっております。これはあまりホットな問題でございますので、ここで深く立ち入ることはやめたいと思いますけれども、そういう中で労働協約といった形で定まってまいりましたものにつきまして、それの財源を具体的にどういうふうに生み出していくかということになりますと、これはまさに再建計画改定の問題になってまいるわけでございまして、そこではっきりした財源の見通しというものを立てて、任命権者のほうは給与改定に臨んでいただきたい、こういうことを私どものほうといたしましては申し上げておるわけでございます。
  198. 安井吉典

    安井委員 再建計画の中にベースアップ財源は認めないというふうなたてまえだというふうに聞いているわけでありますが、しかし、物価はどんどん上がるわけですね。一般公務員をはじめ労働者の給与も、その物価の騰貴に従ってベースも上がっていくわけですよ。いかに物価の騰貴があろうとも、ベース改定は一切まかりならぬという考え方は、私はどうもおかしいと思うのですが、その点はどうですか。
  199. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 給与改定の問題につきましては、その団体の給与水準という問題がやっぱり一つあるだろうと思います。諸物価が上がっていく中で給与だけをくぎづけにする、こういう態度は当然とっておらないわけでございます。ただ、参考までに申し上げておきますと、ただいま具体的な問題になっておる市におきましては、市におきまして市長が市議会に提案をされまして、自治大臣の承認を受けられました再建計画それ自体が給与改定という点を織り込んでおらない、こういう計画になっておるわけでございます。したがいまして、そういうものを前提にいたしまして十四年間の再建計画というものをお立てになっておるわけでございますので、その給与改定というものを計画に織り込んでないものをおやりになられるということになりますと、その財源というのはやはり企業内の努力で生み出していかざるを得ないわけでございまして、そこのところが非常に問題があろうかと思うわけでございます。
  200. 安井吉典

    安井委員 私は一般論として申し上げているわけで、これはもうこれからどこの都市でも再建計画を出しているところは出てくる問題ですよ。去年もベース改定が行なわれた、ことしもおそらく人事院の勧告があって改定が行なわれる。来年もおそらくそうでしょう。これは佐藤内閣が物価の値上がりをストップさせてくれれば別ですけれども、おそらく物価の値上がり傾向の中ではそういうものが出てきますよ。しかし、いつになってもいまの再建計画に違反するからだめなんだということではおかしいと私は思うのです。やはりそういうふうな事情に応じて再建計画そのものの変更措置、こういうようなものも当然考えられてよろしいのじゃないか。私はベース改定の問題だけ取り上げましたけれども、それ以外にだっていま予想してなかった事態が起きないとも限りません。そういうような場合にも、再建計画の変更という問題が起きてくると思います。法律もまたそのことを予想した規定のしかたにもしてあるわけですね。どうでしょう。
  201. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ばく大な赤字をかかえまして再建計画を立てるわけでございますので、これの再建をはかるための手段といたしましては、歳入と歳出、収入と支出という両面があるわけでございますから、収入の増大をはかるか、支出の節減をはかるか、その両方の手段を併用するか、これはだれが考えても結局それよりほかにぎりぎりの形では方法がないわけでございます。したがいまして、ただいまの給与改定の問題だけではございません。ほかの事情の変更によります計画の改定という問題が出てまいるわけでございますけれども、これに対しましては、やはりいま申しましたような形でこの収入の増加をはかって、その中でまかなっていくか、あるいは既定の経費の中で節減をはかって、その中でまかなっていくか、これよりほかにはやはり方法が当面としてはなかろう、こういうふうに思うわけでございます。
  202. 安井吉典

    安井委員 それじゃ一般論としてではなしに、ケース・バイ・ケースとして再建計画の変更の問題は考えていくのだ、こういうことですね。
  203. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 おっしゃるとおりでございます。
  204. 安井吉典

    安井委員 最後にちょっと大臣に、公営企業の料金の問題でありますが、予算委員会等においての大臣の御発言もあるようでありますけれども、水道、交通等の料金全般についての値上げの問題について、大臣といいますか、政府の御見解はいまどうなっていますか。
  205. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 一般の公共料金につきまして皆さんのほうから、相当期間ストップしたらいいではないかというような御議論がありますが、これはどうしてもやはり各企業その他を考えていかなければならないのではないか、そうして特に再建計画を立てなければならないような地方公営企業については、一般論としてはある程度の値上げはやむを得ないのではないかという態度でございます。
  206. 安井吉典

    安井委員 寺間が来ておりますので、いまの御意見に対する私の意見もありますけれども、それは機会を改めることにいたしまして、一応きょうはこれで終わります。
  207. 亀山孝一

    亀山委員長 門司亮君。
  208. 門司亮

    ○門司委員 私が最初に聞いておきたいと思いますことは、大臣がせっかく見えておりますので、先ほどからちょっと問題になりました例の補助金等の適正化の厳密なことば、「補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律」というこの法律が先ほどちょっと問題になったのであります。この法律が施行されてから今日までの実態を先ほど調べてもらいますと、きわめて遺憾ではありまするが、知事にはさすがにないのでありまするけれども、市町村長、それから農協の役員等、大体百十四名、うち有罪と決定したものが八十一名でありまするか、その中で八十名の諸君は大体有罪と決定はいたしておりまするけれども、罰金あるいは執行猶予というような形で一応のがれております。一人だけが有罪の判決で体刑を受けておりましたが、これも最近仙台の高裁において執行猶予になったようであります。しかし、このことはきわめて遺憾なことでありまして、その内容等につきまして私存じ上げていることを申し上げればいいのでありますけれども、事、市町村長に関する問題でありますので、できるだけ内容は申し上げないことにいたしますが、私はこういう問題が起こってくる原因をどうしてもやはりなくすことが必要じゃないかということであります。補助金をうそを言ってよけいにもらって使うということ、また申請した補助金を国からいただいておきながら、その申請した用途に使わなかったというようなこと、こういう問題に対して自治大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。この法律はきわめて国辱的な法律であって、国と地方公共団体の間で、しかも住民から選ばれた長がこの法律によって補助金等を適正に使わなかったということで罰迂られる。これは悪いことでありまするから罰することは必要であるかもしれない。しかしながら、その間には会計検査院があり、あるいは各省庁が地方の自治体に対して内部監査と称する監査をしておることは事実であります。したがって、内部監査の段階において私はこれは発見されなければならない問題であるということが考えられる。  それからもう一つは、ついでだから申し上げておきますが、いかにも補助金が適正でないということ、額が非常に少ないということ、あるいはこまかい補助金等があって、その使用が使用目的にそぐわないというような、実情やむを得ないものが今日の補助金の中には多少あると私は考えておる。何しろ千百幾つですかありまするこの補助金の極数でありますから、したがって、この補助金のそうした現実の前に立って自治大臣はこれについてどういうふうに対処されようとされるのか、このことだけひとつ承っておきたいと思います。
  209. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 市町村長等にその補助金の適正使用に反したものがある、これはまことに残念でございまして、もちろん一つにはそうした長の心がまえの問題もあろうかと思いますが、またいま御指摘のような補助金制度そのもののあり方もあろうかと思います。かねてからいわれておりましたいわゆる零細補助金の整理というようなことも、そういう弊害をなくす一つの方法であろうと思います。私は今後と屯田の補助金の全体について、ことに地方自治体が関係する補助金の全体について常にこれを見直して、そうしてそういう犯罪等が起こらないように未然の防止の措置をやるのが本筋だと考えております。
  210. 門司亮

    ○門司委員 これは、この前の行きがかり上、さらにもう一つ突っ込んで聞きますが、私がさっき申し上げましたように、この法律はもう廃止していい時期ではないか。この法律のできた三十年代は台風の非常に多かったときでありまして、至るところに補助金の詐欺にひとしいようなものが横行しておった——と言うと語弊がありましょうが、非常に多かった。それに対処するために、やむを得ざる処置としてできた法律でありまして、大体世界の歴史を見てみましても、こういう少なくとも、地方住民の信頼を受けて地方公共団体の首長になっている人の行為、しかも、それは私の行為ではなくて公につながる行為であって、それに対してどうも懲役にやるというような法律が存在していることがいいか悪いかということは、もう今日の段階では一応お互いが反省して、これをなくすることがよろしいのではないかと考えておりますが、この辺に対する大臣の御感想をお聞きしたい。
  211. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かにこの法律は、いま御指摘のように、非常に災害などが多くて、災害に関連する補助金の不当使用がいろいろと国会でも問題になった、そういう時代にできたものと記憶をいたしております。したがいまして、先ほどお答え申しましたように、一方においては市町村長等の心がまえ、これはやはりだんだんそういう点については反省もし、またいろいろと研究をされておるわけでございます。そうして、一方においてまた補助金制度のあり方、そういうものを正してまいりますならば、こういう法律によって一種の不当使用を禁止するような法律が必要でなくなる方向であるということは御指摘のとおりだと思いまして、十分今後関係当局とも研究をいたしたいと思います。
  212. 門司亮

    ○門司委員 それでは問題に触れていきたいと思いますが、御承知のように、しばしばこの委員会でお話がありますように、細郷局長が何か世界に冠たる交付税法だと言ったことであります。これは何も細郷君のことばだけじゃございませんで、自治省の一つのイデオロギーだと考えている。私がなぜこう申し上げるかといいますと、いまそこに大村委員もおりますからはなはだ恐縮でありますが、数年前に大村委員が書かれた本の中にこういうことが書かれておるのであります。大体外国では二〇%内外が国からあるいは連邦から支出されるものであるが、イギリスが多くて四〇%くらいであるが、日本の場合はそれをこえる非常に大きな問題であって、世界で一番いい制度だ、そういうことを先輩が書いておりますから、それを復習されておるのだというふうに私は考えております。もしこれが自治省の一つのイデオロギーとして定着しているということになると、ここに議論が当然出てくると私は思います。そこで問題になってまいりますのは、この法律によって適用されますいろいろな問題に対する考え方をもう変える必要がありはしないか。今回出されております法案内容を見てみましても、ただ特別法で百二十億ばかりのお金がこちらにくるから、そのお金をこの法律の中に入れて、そうしてその配分の数値を変えていくというだけのきわめて単純なものであって、三二%は依然として変わりがない。同時に、大臣地方財政演説等を聞いておりますと、地方の自治体の税収が非常にふえつつある。あるいは国税三税も伸びておるから、地方の自治体に何か非常に安心感を与えたような形の大臣のお話がうかがえるのでありますが、私はここで大臣にお聞きをしておきたいと思いますことは、なるほど現時点におきましては税収がふえておることは事実であります。それから地方の財政もそれだけの分が豊かになることも私は事実だと思います。しかし、ふえております分は、一つはベトナム特需だ。約五千億ないし六千億をあるいはこえておるかと思いますが、政府の発表はそれより少ないようでありますが、特需が一つある。それと、昨年来のいわゆる公債発行による景気刺激という異例な経済状態の中で今日の税収がふえつつあるということ、国民所得がふえつつあるということは、いなむことのできない事実だと思います。したがいまして、こういうベトナム特需というようなことは一日も早くなくならなければならない関係のものでありまして、これらが終息してまいりますと、そう大臣の言うように、地方財政が伸びておるからといって楽観しているわけにはまいらないのじゃないかという考え方が出てくるのであります。  時間がございませんから、立ったついでに申し上げておきますが、こういう財政に対する楽観の気持ちというものが、日本の今日の地方財政に非常な行き詰まりをこしらえた原因であります。いわゆる昭和二十五、六年ころの朝鮮動乱のときの特需その他によって非常に景気がよくなった。このときに地方財政計画が変えられておりましょう。この法律昭和二十五年に変えておる。それ以前においては地方財政平衡交付金として、これと変わった性格を持っておったはずである。ところが非常に景気がよくなったということで、二十五年にいまの地方交付税法という形でこれが取り上げられ、そうしてこのことが、先ほど申し上げておりますように、世界で一番いい方法だということが今日伝わっておる。そうなってまいりますと、その後二十七、八年の朝鮮動乱の終局後における不景気というものが地方財政を非常に赤字にいたしてまいりまして、ついに昭和二十九年になって特別法を設置しなければならぬようになってきた。これにこたえて、同時に行政上におきましても節約するという意味で町村合併が行なわれた、こういう経路を実はたどっております。そこでこれをずっと考えてまいりますると、今日の状態がちょうどまた昭和二十七、八年のような状態にベトナム戦争が終わるとすれば直ちに突入するような危険性を私は考えないわけにはいかない。そうなってまいりますると、大臣のお考えのようなことでは、地方財政の将来に対して危惧するものがどうしても出てくる。  そこでいま考えてまいりますることは、もう一つの問題として大臣にお考えを願いたいと思いますことは、それと並行して今日の地方自治体の現状、いわゆる行政需要の増加——財政需要とは申し上げません、この場合は行政需要と申し上げておきます。行政需要の増加というものは著しいものがある。水道の問題をどうするか、下水をどうするか、学校をどうするか、この行政需要の増加に対して財政需要の見積もりは、この法の六条が示しておりますような形でこれが行なわれる。しかも五条、六条の関係は、御承知のように、都道府県知事、市町村長が自分のところで必要な財政需要を認めて、そして財政収入との関係を市町村長は県知事に報告しなければならない、県知事自治大臣に報告をする。しかしこれが必ずしも積算の基礎になるわけではない。地方財政平衡交付金のときはこれを一応の基礎的の計数数値として取り扱っておりましたが、改正されたこの法律では、これは必ずしも数値にはならない。それは三税の百分の三十二という一つの限定が置かれておるから、ここで自治省があんばいをしてというか、数字をいじくって逆算をして、上から天下りのものを地方に押しつけておるというのが今日の現状であることは間違いございません。したがって、いま申し上げました行政需要の拡大強化というか、拡大いたしておりますものにこれはそぐわないのである。そこに私は問題がありはしないかと考えておるが、この点の触和をどういう形で行なわれようとしておるのか。今日のこの法案自身を見てみました。百二十億ばかりのものをどこかに突っ込む必要があるからというので、いままで道路、橋と分けておったのを、道路、橋梁ということにしたというので、まるで子供の数字のいたずら——と言うとおこられるかもしれませんが、数字を合わせた、つじつまを合わせたという法案になっておる。でありますので、いま申し上げたように行政需要の増加に関しまする必然的に起こってくる財政需要に対して、どうこれからは対処しようとするのか、その意図がございましたらひとつ大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  213. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まず最初に、私が、ことしの交付税の伸びについて地方財政を楽観しておるかのような御趣旨でございましたが、この席でもしばしばお答えいたしましたように、なるほどことしは税が伸びました。交付税が伸びましたけれども、これでようやく多少回復したのであって、地方財政自体は依然として苦しい。ことに従来から国の公共事業のおつき合いに追われておって、地方単独の特色のある仕事、単独事業が片すみに追いやられておるという形である。したがって、これを本来の姿に直すためには、さらにいろいろと税の問題と地方財政の問題を考えていかなければならないというふうにしばしばお答えをいたしておるわけでございます。御指摘のように、現在の地方税の伸び、地方交付税の伸びというようなものは、国全体の経済の動向によっての問題でございまして、あるいはこれが非常に下がる場合も将来考えられるわけでございます。したがって、そういうことも考え合わせまして、事務の再配分に基づく税源の再配分というようなことも根本的に考えていかなければならないのではないか。もちろん、交付税の算定単位等につきましても、できるだけ実情に合わすような方向で努力をいたしておるわけでございますが、根本的にはそうした税源の再配分というようなものを含めて考慮していかなければならないと思っております。ただその際でも、やはり税をどのように分けましても、現在のような人口の移動の激しいときにおきまして、全都道府県、あるいは全市町村に適当に分けられるような税源というものはなかなか見つかりがたいわけでございますから、したがってそれの調整をやるための現在の交付税制度というものはやはり残していかなければならないのではないかと考えております。
  214. 門司亮

    ○門司委員 私はこの制度をやめてもらいたいという質問をしているわけではございません。さっき申し上げましたように、行政需要が非常にふえておりまして、それに対処していくには、いやおうなしに財政需要がふえてくるわけであります。それが補われなければ地方の発展はあり得ないのである。同時に、いまの日本の社会はそれを要求しておる。ところがこの税法は依然として将来の展望にこたえるような配分になっていないところに私は問題があると思う。いま大臣もお話しになりましたように、事務の再配分でありまするが、これはシャウプ勧告の柱であります。シャウプ勧告は、税制改正を根本的に行ないまして、そうして国と地方の税制は別にすべきである、都道府県と市町村も別の税源を求むべきである、そうしておのおの独立した税財源の中で運営さるべきであるということを主軸にいたしまして、そのためには少なくとも日本の行政機構の改革、いわゆる事務の再配分をすべきであるということを強く勧告しておるのであります。その上に立ってあのシャウプ勧告が成り立っておると考えても差しつかえないと私は考えておる。ところが、シャウプ勧告の税制のほうはいろいろいじくっておりますが、事務の再配分については、私は政府の怠慢ではないかと考えておる。今日まで何がなされましたか。もうシャウプ勧告以来何年たちます。約二十年近くにことしはなろうかと思う。その間ほとんどシャウプが勧告した税制改正あるいは地方財政の健全化のための一翼であるこの事務の再配分というものが全く行なわれてない。私は故意にされたのではなかろうかというほどの疑いを持つのであります。なぜかならば、国家独占資本のいわゆる一部階級層の自分の意見を通そうとすればそういうことになろうかと私は思う。だからある意味においては、そういう意味における故意のサボタージュでないかとさえ考えられるのであります。したがっていまの大臣の御答弁から考えてまいりますと、事務の再配分についてどういう形で自治大臣としては行なおうとしておいでになりますか、その点をひとつこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  215. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 第一に、事務の再配分を怠っておるのはむしろ故意にやっているのじゃないかということでございますが、別に故意にやっているわけではございませんが、なかなかむずかしい。しかも事務の再配分をするためには、それに従ってやはり財源が伴わなければならないわけでございますから、従来地方制度調査会等で事務の再配分についてのいろいろの答申をいただいておりますが、あの線に沿って、しかもそれに裏づけをする財源を考えていかなければならないのじゃないか、そういう意味で、いま財源の再配分についていろいろ検討いたしておるところでございます。
  216. 門司亮

    ○門司委員 財源だと言われておりますが、大体この地方交付税あるいは地方財政平衡交付金の前身でありますもの、これは日本になかったわけじゃございませんで、昭和の初期に大体この問題は起こってまいりまして、法制化されたのは昭和十年であります。さらに十五年にこれを改正をいたしております。その当時の実態をごく概略、書いたものを読んでみますると、昭和十年にできたものは、財政補給金制度というものでこれが発足をいたしております。それが十四年まで続きまして、十五年の税制改革によってこれが配付税という形に直ってきまして、そしてそのときも問題は所得税法人税、入場税、遊興飲食税の一部を還付するという形できております。それと同時に地租、家屋税あるいは営業税の全額というようなものが地方に配付されておるということが、その当時における問題であったと考える。したがってこの地方交付税法の歴史というものはそう日本では浅いものではございません。古くからあったものである。しかしこの当時における国と地方との財源関係を調べてみますると、実は地方財政のほうが大きいのですね。戦争に突入してから急に悪くなってまいりましたが、実際はこの時代における国と地方との財源関係につきましては大体五〇%、五〇%ずつくらいであった。ある時期におきましては地方自治体のほうが非常に多かったことが二、三年続いております。私はこういうことを考えてまいりますと、この歴史をずっとたどってみますると、今日のこの交付税につきましては自治省では十分考える必要がありはしないか。先ほどから申し上げておりますように自治省の一つのイデオロギーとして考えられるようなこの税法ではございますが、しかしこの税法については一つの大きな欠陥を持っているということである。この欠陥の所在はどこかということになってまいりますと、これはすべてを事務または事業の単位によって一々補助金といいますか、この場合補助金ということばはあたりませんが、単位数をきめておるのでありまして、したがってこの制度の欠点というのは画一的の単位件数によってものがきめられておる。このことについてあなたは、態容補正をやっているからということを御答弁になろうかとも思いますが、しかし態容補正をかりにするといたしましても、この画一的の数値によって計算されておりまするものについては、私は必ずしも地方の自治体の実態に合わないと思う。ことに、先ほどから申し上げておりますように、非常に発展して伸びておりまする今日の地方自治体の行政需要にとても追っつくものではないのであります。ただ、そのあるものを対象として計算をいたしておりまするから、投資的経費については何らの考慮は払われておらない。今日の地方の自治体の最も大きな問題は、限りなく伸びておりまするいろいろな問題、きょうの本会議でありました公害の問題に対する地方の自治体の需要はどうなっているのか、この中にちゃんと織り込んでありますか。先ほどこの委員会でも問題になっておりました交通災害の問題が、この中に織り込んでございますか。こういう問題を一つずつ勘定してごらんなさい。これは無計画、無方針と言うとおこられるでありましょうが、宅地造成その他が行なわれて、そして事業をする人は金をもうけてさっさと行ってしまう、しりぬぐいは全部地方自治体がしなければならない。なるほど頭数において費用が出るようになっておりまするが、人間が一万人ふえれば小学校が一つ必要であり、二万人ふえれば中学校が必要になってくる。四万五千人ふえれば結局そこに保健所を置かなければならない。十五万人ふえれば労働基準監督署を置かなければならないということが、法律で地方自治体に押しつけられておる。こういうものは、この交付税の算定の基礎の中には現在としてはなかなか入りかねる、はいれないといったほうが私はよろしいかと考える。それに即応する道路あるいは橋梁を新しくこしらえなければならない。あるいはそこに交通機関を持っていかなければならない。地方の自治体の今日の状態というのは、先ほどから申し上げておりますように、この交付税できめておりまする、配付する一つの大きな基準になっておりまする数値のほかに、たくさんの要素を今日含んできておる。したがって、私はこの辺でこの地方の交付税法の改正を根本的にする必要がありはしないかということが考えられてまいりますが、これについて大臣のお考えをお伺いをしておきたいと思います。
  217. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この税源は各地方団体によって非常に不均衡でありますから、ある税を考えた場合にも、あるところではそれが非常にたくさんとれるけれども、山村僻地ではとてもいけない。さらにまた先ほど申しましたように、税源の再配分をいたしましても、ある地方団体はそれによって非常に潤うけれども、他の地方団体は一向に潤わないというような事態がありますから、どうしてもいまの交付税制度のようなものは一つの財源の再配分として考えなければならないと思います。そこでいま御指摘になりましたように、ことに最近の経済社会の非常に急激な変動がありますときに、交付税法によって定めておりますいろいろな数値というものが必ずしもその実態に即しておるかどうか、静的にはとらえておりますけれども、動的なとらえ方がなかなかむずかしいというようなことがありまして、そうした測定単位につきましても、常に、いかにその動態にマッチするか、どういう単位をとればそれにマッチするかというようなことは、私ども研究をいたしておるわけでございます。しかしそれだけでは、そういういまのようなやり方ではどうしてもとらえにくいという場合に、さらに他のよき方法があるかどうか、これも検討しなければならぬと思いますが、ただ数多い地方団体の標準的な財政需要というものをつかむときには、常に改善はしつつありますが、やはり現在のような何か客観的な測定単位を持たなければならないというふうに考えます。ただそれがどうしてもとらえにくい、それでは現状に合わないのだというようなものがもしありますならば、それは他のよき方法も考えなければならないと思います。
  218. 門司亮

    ○門司委員 どうしても合わないのですよ。実際は合っていないのですよ。いま申し上げておりますように、御承知のようにこの法の中に書いてありますものはすべて既設のものに対する勘案であって、新しく伸びていこうとしておるものは何も考えられておらない。したがって地方の自治体ではこの投資的な経費というものに非常に大きなウエートを置かなければならないのが現実の姿ですよ。だから東京あるいは大阪あるいはいま五大都市といわれております都市が赤字になるというのは、そこに原因があるのですよ。税収は従来のように上がってきている。税収は非常にたくさん上がってきておるのは間違いはない。東京のごときは日本の富の大体二〇%、学者によっては二四%集めているとさえいわれておる。富は非常に高いのである。にもかかわらず実際は赤字でどうにもならないという状態を来たしているのが今日の東京の現状です。これは一体どこに原因があるか。これは少なくとも都市の変容しつつある今日の状態がこういう結果をもたらしておることは、私は自治省はわかっているはずだと思う。その自治体の変容に即して、先ほどから申し上げておりますように、行政需要の増加に何ら対応することのない、二十年もこのままの法律で過ごそうとしているところに問題の伏在しておるところがありはしないかということである。これではいつまでたっても今日の日本の地方自治体の赤字というものは絶えない。ことに心配をいたしますのは、先ほど来申し上げておりますように、ベトナム戦争等の特需がなくなったときにおける日本の地方自治体の現状というものは、二十七、八年ごろ、朝鮮動乱の終わった時期と全く同じような状態を再び繰り返すことになりはしないかということです。こういうことを心配をいたしますから申し上げておるのでありまして、何らかのほかの方法でとおっしゃるなら、税法で改正なさる御意思がありますか。もう少し国の税金を地方に回される、たとえばたばこ消費税をみんな持ってくるならみんな持ってくる、これも一つの方法だと思います。そういう意図があるなら、そういう意図のあることをこの際明らかにしておいていただきませんと、これにたよっておったのではどうにもならないところまで地方の自治体は来ておるということです。その辺をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  219. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いま御指摘になった、特に大都市の行政需要に対応する財政の確保というようなものは交付税だけでやれるものではないと私は考えます。やはり税制と両方合わせて考えていかなければならぬ。そうしてそのためには、かつて一度そういう企画をされましてやめたことのあります所得税住民税との再配分の問題等をこれからやはり考えていかなければならないと思います。ただ所得税から住民税への移譲という場合におきましては、場合によっていろいろ低所得者の税負担の増額を来たすようなことがあってはならないわけでございますから、よほどいろいろとくふうをしなければなりませんけれども、やはりそういう方向で考えるほかないのじゃないかと私は考えております。
  220. 門司亮

    ○門司委員 どうも一向はっきりした答弁がございませんで、この際大臣からぜひ聞いておきたいことは、そういうものに対しては画然とはっきり対処していくという態度を実は大臣から聞きたいのであります。なぜかといいますと、繰り返して申し上げますが、いろいろ問題がある。ことに税制の中に、これは私の憶測かもしれませんけれども政府の一部の中には、いま例の事業税は県税としての中心をなしておりますが、これがあまりよくないということで、シャウプ勧告にあった付加価値税を検討されておるということを聞いておりますが、これが事実であるかどうかということをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  221. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 税制調査会の答申の中に、付加価値要素等外形要素を事業税に入れたらどうだという御意見はあります。われわれも検討しております。しかしそうした外形標準を事業税に入れますと、個々の税負担者に非常な激変を来たすような場合もございますから、それはよほど考えないといけないのではないか。検討はいたしておりますが、まだ結論を得たわけではございません。
  222. 門司亮

    ○門司委員 政府の結論を得ていないということばの裏には、国会に出すまでは結論を得ていないということが往々にして伏在しておるのであって、いまの大臣のおことばも、ややそれに近いのではないかという疑いを持つのであります。私どもの仄聞するところでは、大体この意見はかなり固まっておるのではないかということを聞いておるのでありますが、何かしゃくし定木のように、国会に提案したときがきまったときだ、それまではきまっていないのだというような感じでものを言われたのでは、われわれの議論が非常にしにくい。ここで付加価値税のよしあしを議論する時間もありません。しかし付加価値税については、かつてシャウプ勧告の中にあった一つの税の柱であったことは間違いありません。しかしその柱がいけないということで、大臣も御承知のように、税法だけは国会を通しましたが、実施をしないで今日に至っておる。日本の今日の実情にはあまりそぐわない一つの税法でありまして、これはおそらく世界じゅうどこにもあまりこうした税金はないと思います。ことに最近物価が非常に高くなっております。消費者物価が非常に高くなっておりますときに、こういうような付加価値税という税金がかりに創設されるということになりますと、物価に及ぼす影響はかなり大きなものであって、住民生活に及ぼす影響はかなり大きいと思う。したがってこういう問題は、こういう機会に、さっきから申し上げておりますように、大臣のほうで出さないなら出さないということをひとつ明らかにしておいていただかぬと、どうも国会に提案するまでは固まっていないのだということでだまされてしまって、国会にぽかっと提案されて、さあたいへんだということで議論するのもいかがかと思いますので、検討の段階だということばではありますが、これは近いうちには出されませんね。
  223. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま申し上げましたように、個々の納税者の負担に激変を来たすようなこともございます。また、いま門司さんおあげになりましたような物価との関係もございますから、これはなかなかむずかしい問題だと考えております。
  224. 門司亮

    ○門司委員 どうもなかなかはっきりしないようでありますが、私は強く要望をいたしておきますが、もしかりに地方税の問題について付加価値税が登場してくるというような時期が政府の中で赤るとするならば、やはり国会にも早く相談をされるなり、あるいは内容を明らかにしていただきませんと、先ほどから申し上げておりますように、この税金は非常に広範にわたる税全体の問題として取り扱いをしなければならぬようになってまいりますから、働く者にとっては、きわめて税法上の搾取といいますか、税法上の収奪が行なわれる素因を持った税制でありますので、これ以上きょうは質問はいたしませんけれども、ひとつお考にを願っておきたいと思います。  もう一つお聞きをしておきたいと思いますことは、先ほどから聞いておりまするように、この税法で、いま都市行政における問題としての一つの大きな考え方としては、きわめて短い期間、短期的の現在の時限に対しまする需要額と、それから、先ほどから申し上げておりまするかなり長期的な、ある意味においては潜在的な需要というものがかなり地方の自治体では悩みの種になっておる。これらに対してどういうふうにこの法律によって対処されるのか、私は別の方法があれば別でよろしいと思いますし、この法律によって処置しようとすれば、先ほどから申し上げておりまするように、行政需要の増加に対する分をどこかでこれを織り込んでいきませんと、このままの姿でこれを幾らやってみたってどうにもならぬと思うのです。この辺のところを、はっきりした御答弁をこの際伺っておきたいと思います。
  225. 細郷道一

    細郷政府委員 毎年そういうつもりで実はやっておるのでございますが、なかなかむずかしい点がございます。考え方といたしましては、やはり投資的な需要、それをどううまくとらえていくかということになろうと思うのであります。いま交付税制度で、大きく分けて、消費的な経費と投資的な経費とに分けておりますが、消費的な経費の場合はどちらかというと静態的、投資的な経費は動態的に把握するような方向で毎年検討いたしておるわけでございます。ただ、動態的にこれをとらえます場合にも、いま御指摘のように、おくれているのを取り返すものと、将来あらわれるものをどう事前にとらえていくか、この二つの問題があるわけでございまして、いずれも財源が、どの程度に国民の負担が許されるかという問題に最後は帰着するわけでございますが、私どもといたしましては、現在都市等におきましては、ともかくおくれている部面がかなりあるのではなかろうか、それをできるだけこれに吸収していきたい、あわせて将来の問題につきましては起債の活用等にまって当面の対策を考えてまいりたい、こういうふうに基本的には考えております。
  226. 門司亮

    ○門司委員 そうなってくると、具体的にもう少し聞かなければならぬようになってくるのですが、この法律の五条に対する都道府県や市町村の自治省に対する報告というか申告といいますか、これに対して自治省はどういう指導をされておりますか。いま申し上げたように、行政需要の非常に伸びておるものも全部計算して自治省に持ってこいという御指示をされておるのか、あるいはこの法律の範囲内で持ってこいという指示をされておるのか、これはどういうふうに指示をされるものでありますか。
  227. 細郷道一

    細郷政府委員 理想的には、あるべき数字を資料としてとるべきであろうと思いますが、現実問題としては、財源の限られた範囲内でございますので、法律の単位費用自治省令で定められております補正、そういったものを基礎にして資料を徴集いたしております。
  228. 門司亮

    ○門司委員 私もそうだろうと考えておりますが、そうなってきますと、これが普遍的な地方財政をまかなう交付税の性格とやや離れて、ある意味における固定した一定の補助金というような形をかもし出さないわけにはまいりません。この事業についてはこれだけのものをつける、あの事務についてはこれだけのものをつける、こういう固定されたものになってきて、おおよそこの交付税の性格と違った形の個々の補助金と同じような姿が出てくる危険性がそこから生まれてくる。しかし、これも一つの考え方であります。たとえば事務あるいは事業というものを、個々の自治体の貧富等を十分に考慮に入れて公平に補助金を出すことも、地方に財源を配分する一つの考え方であることに間違いはございません。だから、この方法をとるか、あるいはいまやられておりますような事務事業に対する一定割合についての補助をされるかというような、地方財政を中央から補給してあげる分には大体三つか四つくらいの方式以外には考えられないが、そのうちのこれは一つであります。そうすると、いまのお考えからいきますと、結局は、表面上は地方財政の足らないところを補ってやることになっておりますが、実際には自治省の指令、自治省の指導によって地方自治体が財政的に動かざるを得ないという、官僚統制が非常に強くなる一つの隠れみのみたいなものがこの税制ではないかということが考えられますが、そういうことになりはしませんか。せんだってから例の特交に対する、そういう意味のいろいろな質問がありましたが、私は特交だけではなくて、全体がそういうことであって、自治省の査定する数字はこれとこれとこれだ、地方自治体もこれとこれとこれ、一体どれだけの費用が要るか申し出てこいということになると、実際問題としては、平衡交付金であった当時の、地方の足らざるところを積算してそれを補ってあげるという当時の法の精神とは似ても似つかないものであって、全くシャウプ勧告の趣旨にも沿わざる、先ほどから申し上げておりますように、行政の面においても故意に事務の再配分をしない、財政の面においても大きく考え方をゆがめて、そうして今日の地方自治体の貧窮を来たしておる、こういう考え方に最後に立たざるを得ないのでありますが、そういうようにこれは解釈しておいてよろしゅうございますか。
  229. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 門司さんの御解釈を変えてくださいと申し上げるわけにはいかぬかもしれませんが、私どもはそうは考えていないのでありまして、やはり測定単位等をできるだけ実情に合わせ、そうして地方団体のあるべき姿をできるだけ正確につかまえるという努力をしていかなければならないと考えておるわけでございます。
  230. 亀山孝一

    亀山委員長 門司君、六時近いですから御協力を願います。
  231. 門司亮

    ○門司委員 それでは御協力を申し上げることにいたします。  最後にお聞きしておきたいと思いますが、自治省のお考えでは、地方の自主財源は大体どのくらいあればいいというようにお考えになっておるかもそのめどをひとつ聞いておきたい。よく税制調査会あるいは地方制度調査会では五〇%くらいだという意見もございますが、しかしシャウプが勧告したときの——シャウプはデトロイト銀行の頭取でありまして、かつて一九五八年の決算を見てみますと、デトロイトでは自己資金は七八%になっておる。そうして残りのものはほとんど全部といっていいほど財産税を中心とする税金でまかなっております。あそこは独立しておりますから、そのほかの手数料とか罰金とか科料も市がとっておりますが、そういうものは全部別にして、税制だけでまかなっておりますものが大体七八%にもなります。同じアメリカにありますミネソタ州のミネアポリスは人口五十二万ばかりの中都市でございますが、ここでも自己財源が五八%で、そのほかに、使用料とか手数料とかいうようなものが一七%、罰金、科料が一四%で連邦からの補助金というようなものは大体一一%程度におさまっておりまして、そういうことを考えてまいりますと、いまの自治省の考え方では、地方財政を豊かにする、あるべき姿にすることのためには、大体自主財源をどの程度まで引き上げることが理想だとお考えになっておるか、その点をこの機会にはっきりと示しておいていただきたいと思います。
  232. 細郷道一

    細郷政府委員 地方税の自主財源の割合が地方財政の中でどの程度を占めるかということは、非常に議論の多いところでございます。先般税制調査会においてもや日本の権威のお集まりの席で、どのくらいがいいかということについていろいろ御相談を申し上げたわけでございますが、なかなか数字は出てまいらない、しかし、さりとて現在のような姿ではこれはだれも十分でない、こういうような御議論が大勢であったわけでございます。その場合に、一体どのくらい先の時点をとらえてこのパーセンテージをきめるべきか、あるいはもうちょっと近い時点でものを見るのか、これも実は議論が分かれてまいったわけであります。私ども、実は内部で絶えずいろいろその議論をいたしておるわけでありますが、自治体というものは個々にいろいろな特性を持っておりますので、大まかな一律の数字で各自治体を律することもなかなかむずかしいと思いますが、一つの見当といたしまして、マクロで五割ぐらいの地方税収入があることをまず目途とすべきではなかろうか、こういうような考えで、実は税制調査会でもその御議論をいただいたわけでございますが、なかなか結論が得られないままになっておるというのが現状でございます。
  233. 門司亮

    ○門司委員 きょうはそのくらいにしておきましょう。  それではこれで終わります。
  234. 亀山孝一

    亀山委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  235. 亀山孝一

    亀山委員長 これより両案の討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決を行ないます。  まず、地方交付税法の一部を改正する法律案の採決を行ないます。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  236. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、地方交付税法の一部を改正する法律案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  次に、昭和四十二年度の地方財政特別措置に関する法律案の採決を行ないます。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  237. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、昭和四十二年度の地方財政特別措置に関する法律案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  238. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、木野晴夫君、山口鶴男君、門可亮君及び小濱新次君から、四派共同をもって、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、提出者よりその趣旨の説明を求めます。木野晴夫君。
  239. 木野晴夫

    ○木野委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨説明を行ないたいと思います。  附帯決議の案文は、お手元に配付されておりますので、朗読は省略させていただくこととし、提案の趣旨を御説明申し上げます。  第一に、都市特に大都市税財政の拡充強化につきましては、数次にわたり附帯決議が行なわれたばかりでなく、税制調査会あるいは地方制度調査会の答申等においても、その税財源を充実強化すべき旨が強調されているのであります。  近年、特にこれら都市においては、交通安全、公害、再開発等の社会開発の推進についての住民からの強い要求もあり、これが政策を緊急に処理すべき必要に迫られているのであります。かかる事態を根本的に解決するためには、国・地方を通ずる税・財政制度の全面的な改革を早急に行ない、財源の充実をはかる必要があると考えるのであります。  特に申し述べたいことは、これら都市を富裕団体とみなし、し尿処理施設整備費、公立大学整備事業費等におけるいわゆる差等補助率を適用することはすみやかに完全に廃止し、財源増強に資すべきであると思うのであります。  第二に、近年地方債計画における政府資金の比率は累年低下の傾向を示し、資金コストの高い縁故債に対する依存度が大きくなってきております。このため、地方公共団体の起債のコストを引き下げ、地方財政の健全な運営に資するため、特に地方債における政府資金を大幅に増加し、資金構成内容改善をはかるとともに、あわせて公営企業金融公庫の融資対象の拡大、貸し付け条件の改善等により機能、内容の充実強化につとめる必要があると思うのであります。  以上が提案の趣旨であります。何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。    —————————————   〔参照〕    地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方財政現状にかんがみ、左の事項についてすみやかに措置すべきである。  一 都市とくに大都市は、交通安全、公害、再開発等緊急に処理すべき対策に迫られている実態にかんがみ、その税財政制度にさらに検討を加え、財源の充実に努めること。とくに現存する差等国庫補助負担率はすみやかに廃止すること。  二 地方財政の健全な運営に資するため、とくに地方債については、政府資金の大幅な増加により、資金構成内容改善を図り、公営企業金融公庫の融資対象の拡大、貸付条件の改善等に努めること。  右決議する。    —————————————
  240. 亀山孝一

    亀山委員長 本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  241. 亀山孝一

    亀山委員長 起立総員。よって、木野晴夫君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、藤枝自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。藤枝自治大臣
  242. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま御議決になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処いたします。     —————————————
  243. 亀山孝一

    亀山委員長 おはかりいたします。ただいま議決されました両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  245. 亀山孝一

    亀山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時五分散会