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1967-05-24 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十四日(水曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 奥野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       佐々木秀世君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    古屋  亨君       井上  泉君    太田 一夫君       河上 民雄君    島上善五郎君       華山 親義君    依田 圭五君       折小野良一君    大野  潔君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         参  考  人         (全国市長会相         談役甲府市長) 鷹野啓次郎君         参  考  人         (全国知事会代         表石川県知事) 中西 陽一君         参  考  人         (全国町村会常         任理事徳島県板         野郡藍住町長) 徳元 四郎君         参  考  人         (武蔵大学経済         学部教授)   小沢 辰男君         参  考  人         (大阪府立大学         名誉教授)   藤谷 謙二君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七〇号)  昭和四十二年度における地方財政特別措置に  関する法律案内閣提出第七八号)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる昭和四十二年度にさける地方財政特別措置に僕する法律案、両案を一括して議題とし、審議を進めます。  本日は両案について、参考人として小沢辰男君、藤谷謙二君、中西陽一君、鷹野啓次郎君、徳元四郎君の御出席を求め、それぞれ御意見を聴取することにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ、当委員会法律案審査のため御出席をいただき、まことにありがとうございます。本委員会において審査中の両案につきまして、何とぞそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いに存じます。  議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ十分程度にとりまとめてお述べいただき、次に本委員諸君からの質疑に対し、お答えをお願いいたしたいと存じます。  なお、参考人の発言の順序でありますが、鷹野参考人から、所用のため委員長の許可を得て先に意見を述べ、これに対する質疑を受けたいとの申し出がありますので、まず鷹野参考人の御意見陳述及びそれに対する質疑を済ませてから、中西参考人徳元参考人小沢参考人藤谷参考人順序で御意見をお述べいただきたいと存じます。  では、まず鷹野参考人からお願いいたします。
  3. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 ただいま御紹介をいただきました甲府市長鷹野啓次郎でございます。  地方行財政につきましては、本委員会の諸先生方には常に特別な御尽力を賜わっておりまして、地方自治体の伸展のために大きく役立っておりますことは、関係者としてまことに感激にたえない次第でございまして、厚く感謝を申し上げる次第でございます。  本日は、私、不肖でございますが、全国市長会を代表しまして、地方交付税制度中心に若干の意見を述べたいと思います。  ただいま、国会に御提案になられております地方交付税法の一部を改正する法律案、及び昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案につきましては、当面の地方財政措置として原則的には賛成を申し上げます。そして、なるべく早期にこれが成立を見ますように、心から希望申し上げる次第でございます。しかし、これにつきまして、以下少しく意見を申し上げてみたいと思います。  第一番に、地方交付税につきましては、われわれは、基準財政需要額算定合理化につきまして、都市的財政需要充実するよう一貫して強く要望してまいったわけでございます。そのため都市的財政需要につきましては、最近、中核都市に対する種地区分合理化並びに清掃費測定単位の新設がなされ、また、昭和四十二年度においては、新たに下水道費測定単位が設定されます等、環境衛生中心に前向きな算定合理化是正措置がとられておりますることに対しましては、私どもありがたく感謝を申す次第でございます。  しかしながら、これは地方交付税総額の絶対量にも関係することでありますが、従来、地方交付税伸びが、都市的財政需要を充足するに足りないために、標準都市における決算の実情と、単位費用に盛り込まれました行政経費内容とを比べてみますと、まだまだ著しい隔たりがあるように見受けられるのであります。  御承知のとおり、近年、都市においては、道路にいたしましても、住宅にいたしましても、環境衛生施設等整備につきましても、あるいは公害対策、あるいは交通安全対策消費者行政等、新しく緊急問題をかかえまして、とみに増高する財政需要にたえられないのが実情でございます。これら都市的財政需要に対しましては、今後さらに積極的な算定強化をはかられますように、強く御要望申し上げる次第でございます。  特に、道路費につきまして申し上げますと、今回、臨時地方財政交付金二十五億円が措置されまして、市町村に対する道路目的財源の道が開かれましたことはありがたいことでございますが、これは、あくまでも本年度限りの臨時的な措置でございますので、われわれが従来強く主張しておりますように、恒久的な道路財源といたしまして、揮発油税市町村への移譲については、真剣に御検討願いたいと強くお願いを申し上げる次第でございます。特に、道路整備五カ年計画の改定によりまして、将来、地方道整備というものに重点が移行されるものだと考えますが、こういうことを考えますときに、かりに一つの例をあげて、住民生活に直接密接な関係を持っております酒、たばこガソリン税等について申しますと、すでに酒税は交付税率にリンクされて、地方交付税として交付されております。専売益金につきましても、市町村たばこ消費税といたしまして市町村の重要な税源とされておるのでございますが、ひとり揮発油税のみは、市町村に還元されておりません。この状態は、私どもの納得できないところでございます。市町村に対する揮発油税移譲につきましては、この機会にぜひとも深い御理解を特にお願いいたしたいと強く御要望申し上げます。市町村道に対します目的財源移譲というものが実現されます間に、ここに二十五億円の臨時地方財政交付金配分されるにいたしましても、国、都道府県道に比べまして、市道に対します交付税単位費用見方というものが、あまりにも隔たりがあり過ぎるのではないかと思うわけでございます。府県道におきまして延長一メーターについて六百六十三円計上しておるのに、市町村道においてはわずか二十六円二十銭しか計上されておらないというような、こういうあまりにも大きな隔たりというものを考えますときに、都市道路費につきまして、もう少し実態に即した重点的な御配分を御要求申し上げる次第でございます。  投資的経費は、地方財政計画に即応しまして、基準財政需要額公共事業裏負担を主として計上されておりますが、都市態容の実際に応ずるような単独事業に対する財源というものも、ぜひ一つ考慮していただきたいと思うわけでございます。特に、単独事業見方につきましては、当該年度地方財政計画というものが、非常に大きくウエートを持っておりまして、これに左右されておりますので、地方交付税総額伸びが著しく低いときにおきましては、比較的その影響を受けやすい傾向があるのでございます。都市における投資的経費財政需要というものの実態からいたしますと、単独事業につきましては、地方交付税算定において十分御配慮を加えられたいと強くお願いする次第でございます。  都市行政におきましては、府県に比べて非義務的性格が強いために、その財源としまして、従来の二五%の市税保留分でまかなうべきものとされておりますために、今日では、全く都市行政で普通化されて、通常行なわれておる事業でさえも、なかなか地方交付税に算入されておらないので、執行できない状態にあるわけでございます。都市行政実態を見ますのに、青少年対策であるとか、あるいは社会教育、あるいは消費者行政商工関係経費等住民対策中心といたします行政経費にその例が多く見られるわけでございます。また、職員数におきましても、本年度において標準団体是正措置がはかられているわけでございますが、その見方におきましても少しく厳し過ぎる面があるので、なお一そう実態に即した改善措置というものをはかられたいことをお願いいたします。  特に近年、行政の質、量がともに増大いたしまして、都市態容に応じた自主性のある事業の実施というものが強く要請されておるにもかかわりませず、二五%の市税保留分では、都市財政需要増高に応じ切れないのがどの市町村もの実情でございます。  都市の形態を見ますのに、一方においては過密都市を生むかと思えば、他方におきましては、停滞現象、あるいは過疎現象まで生ずるようなぐあいになりまして、都市態容というものは非常に流動しておるのでございます。これら動的要因が把握できるような措置をぜひとも考慮していただきたいと思うわけでございます。これらにつきましては、現在、人口急増補正人口急減補正等を通じ、ある程度措置は講ぜられておりますけれども、今後、ますます予測されます都市態容の急激な変動に対しましては、それぞれ生ずる問題の起因を十分認識されまして、実態に即した配慮を払われますように希望いたします。都市態容は、御承知のとおり千差万別でありまして、しかも、その動的要因というものを含めて、地方交付税算定上、これを的確に把握されますことは、もちろん非常に困難なものであるとは思います。国の住宅政策に基づきまして、公団団地等ができました場合に、一つの例をあげてみますと、学校とか、上下水道、道路、し尿、ごみ処理等財政負担というものが、都市財政あるいは都市整備計画等に非常に大きな影響を与えておるのが現実でございます。  私は、以上、地方交付税制度中心にしまして意見を申し上げましたが、これらの問題の所在は、結局、地方交付税の総量を含めまして、地方財源の絶対量の不足というものが起因をなすものであると考えるものでございます。したがって、基本的には、自主財源を少なくとも平均七〇%程度に引き上げまして、自主財源の増強をはかるという方向に検討されますことが、いわゆる地方自治の本旨を生かす上におきましても最も望ましいことであると考える次第でございます。  なお、最近国会におきまして、住民税減税とか、電気ガス税軽減あるいは存廃につきまして、論議がなされておるようでございますが、私ども住民税につきましては、減税はもちろん望ましいものだと存じております。しかしながら、昭和三十一年度から三十三年度平均を一〇〇としまして、昭和四十年度における税の伸びといろものを見ますと、国税においては三〇八%に伸びておるのでございます。地方税で見ますと、やはり三〇六%に伸びておりまして、国税地方税とはややひとしい伸びを示しておるように見えるのでございますが、これをさらに検討いたしますと、都道府県税におきましては三四八%の伸びであり、市町村税につきましては二六六%しか伸びておらないのでございます。都道府県税というものは、国税に比較いたしまして伸びておりますけれども市町村税はむしろ伸びておらないというこの現実を見ますときに、この市町村税影響します減税というものは、どうしてもこれを完全に補てんする前提条件がなければ実施さるべきでないと私どもは強く御要請申し上げる次第でございます。  また電気ガス税等につきましては、税制の性格等につきましては私ども問題があると考えております。しかし、現実都市税財政実態から申しますと、これが軽減あるいは廃止ということに対しましては、絶対に反対せざるを得ない状態でございます。  さらに、住民税均等割り等につきましては、少額のものであるから廃止してしまったほうがいいのじゃないかというような御要望等も強く行なわれておるようでございますが、わずかの金額にいたしましても、住民がその住む地域財政負担をするということは、住民のいわゆる市民意識を高める上におきまして、非常に重要な問題でありまして、地方自治体運営をし、地方自治体に対する強い連帯観念というものがなされる面におきましては、わずかの金額でありましても、ことごとくの住民負担するという形でいくべきものではないかというふうに私ども考えるわけでございます。  以上、ざっぱくでございますけれども、私ども意見を申し上げたわけでございまして、何とぞ地方財政が豊かになりまして、真に地方自治体が、民主的な正しい運営ができますように、委員各位の御協力を賜わりますように、ひとえにお願い申し上げます。  この機会を得られましたことを、全国市長会を代表しまして心から感謝申し上げます。
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 ありがとうございました。  以上で、鷹野参考人の御意見の開陳は終わります。  質疑申し出がありますので、これを許します。奥野誠亮君。
  5. 奥野誠亮

    奥野委員 地方交付税制度は国、府県市町村住民間の負担区分が確立されているということが前提だ、かように考えているわけでございます。先ほどの話で道路財源充実のことを強調しておられて、全くごもっともなことだ、かように考えたわけであります。今日では、市道については、特に舗装されていないと道路予定地だ、こういってもいいくらいに舗装が必要になってきている、かように思います。一般的に市町村道についてもかなり住民負担があるようでございまして、私は市町村道経費は、全額市町村費負担だというたてまえをもっと強く訴えていかなければならない、こういう考え方をいたしているものでございます。ただ従来舗装します場合には、どこも舗装してほしいのを、ある地区を優先的に舗装するわけだから、その場合には、ある程度受益者負担を沿道の住民が持ってもやむを得ないじゃないか、こういう考え方もしておったわけでございますけれども、今日では、いま申し上げたように、舗装されていないようなところは道路予定地であって、道路ではないのだというふうな考え方をすべき時代にきている、こうも思うわけでございます。  そういうようなところから、甲府市で市町村道について経費住民負担させておられるのがあるかないか。同時にまた、新道をつくる場合は格別に考えていいと思うのですけれども、改良やあるいは舗装、そういうものについて住民負担は、私はもう避けていくべき時期にきている、こういう考え方を持っているわけですけれども、それに対するお考え方も拝聴さしていただければと、かように考えるわけであります。
  6. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 御承知のとおり、道路全体から見ますと、市町村道が実に八五%を占めておるわけでございまして、非常に大きなウエートを持っております。そして小さな市町村道というものはたいした影響がありませんが、重要な市町村道は、国道、重要府県道主要地方道に連結いたしまして、それらの道路を効率的に活用させる最も重要な役目等も果たしておるわけであります。したがって、私どもといたしましては、こういう重要な市町村道につきましては、早く拡幅舗装をしたいと考えておるわけでございますが、現実状態におきましては、道路財源が全然ないわけでございます。たまたま補助事業としてやります幹線街路事業等があったといたしましても、甲府市くらいの財政規模におきましてはわずかに三百メートルか四百メートルの部分的舗装が、一カ年間に二カ所くらいやれる程度のものしかもらえない、自分自身の力もないわけでございます。したがって、住民舗装要望する声が非常に強いわけでございますが、これに応ずることができないというので、いま簡易舗装甲府市におきましては過去五年前から八カ年計画を立ててやりまして、中心部道路は、簡易舗装は全部仕上がったことになっております。簡易舗装につきましては、御承知のとおり平米七、八千円しかかけないものでございますので、大体は負担をかけずに全部やっております。いま御指摘のような新道路あるいは細い道路は、特に地区要望のみによって拡幅する場合におきましては、土地の提供等もお願いしまして負担をかけておりますが、普通の状態におきましては、いま言った状態ですから、住民への負担はかけておりません。
  7. 亀山孝一

  8. 細谷治嘉

    細谷委員 お尋ねしたい点は、先ほどの御意見の中で、地方自主財源を増強してほしい、大体平均いたしまして七〇%以上にしてほしい、こういうようなおことばがあったわけでありますが、この七〇%というのは、いわゆる地方税交付税とを加えたものなのか、あるいは純粋な地方税だけの割合なのかという点が一点でございます。  それから第二点は、ことしは結果として、国税伸びに基づきまして交付税ワクとしてはかなり伸びたわけであります。昭和三十三年ごろかと記憶いたしますが、それ以降、普通交付税特別交付税割合は、現在九四と六という比率に分けられておるわけです。したがって、三十二年ごろまでの九二と八という時期から、大体九四と六というふうに分けられたころの特別交付税ワクは、二百二、三十億程度ワクであったと思いますが、今日は五百三十億ぐらいのワクになるわけですね、特別交付税がふえてきましたから。そういう点で、この段階ではもはや九四対六という普通交付税特別交付税ワク比率を、九五なり九六ぐらいを普通交付税でやって、特別交付税というのは臨時あるいは予測し得ざるものについての補てん措置でありますから、まあ五百数十億というのは多過ぎる――多過ぎるということはないかもしれませんが、この際九六対四ぐらいにしたほうがいいのではないか、こういうような意見もございます。この辺について市長会としてどうお考えなのか。  以上の二点について、御意見を聞かせていただきたいと思います。
  9. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 自主財源を七〇%程度に上げてくださいという要望は、ほんとうの自主財源市税ばかりでなく、交付税というものがある程度そろばんではじかれるものでございますので、この交付税を含めて自主財源考え、七〇%ぐらいの確保を願いたいという意味でございます。  なお、特別交付税の率の配分につきましては、市長会としてまとまった意見はまだ聞いておりませんので、お答えできません。
  10. 細谷治嘉

    細谷委員 はっきりいたしました。七〇%以上というのは、地方税普通交付税を合わせてのものだということでありますから、現状でいきますと、大体地方財政計画の中で二割弱、一七、八%程度というのが地方交付税ウエートでありますから、そうしますと自主財源、いわゆる地方税が変わってきますけれども、大体地方税としては、いまの地方財政計画の構造から見て五割強、五割以上、それに普通交付税を合わせてトータルで七割以上、こういうお考えだと理解してよろしいわけですね。
  11. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 自主財源としての市税等考えますときに、大体四二、三%程度のものだと考えております。七〇%を要望するということはさらにこれに一〇%ぐらいの上乗せがなければならないというように考えております。
  12. 亀山孝一

  13. 太田一夫

    太田委員 ちょっと関連しておるようでありますが、二点お尋ねをしたいのです。  先ほどおっしゃった地方道路財源でございますが、揮発油税移譲してほしいと、こういう話があったのですが、あなたのお考えでは一キロリットルどれくらいという目安がおありですか。  それからもう一つは、いま自主財源七〇%というお話でありますが、たとえば自主財源というと、でき得るならば特定の税目をあなたのほう、市町村税に回したほうがよかろう、新しい税をつくるとすれば別問題でありますが、何か具体的なお考えがありますか。たとえば、現在伸びが著しいのは、自動車伸びが著しいのであって、それが県税にいっておるから、軽自動車税と同じように、自動車税市町村税に回したらどうかとか、あるいは法人税をこうしたらどうかとか、何か具体的なお考えがおありではなかろうかと思うのですが、もしありましたら、その点ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  14. 鷹野啓次郎

    鷹野参考人 市長会としましては、ずっと前から酒の消費税の一部を市町村税に回してくれろという要求をしたこともあるわけでございます。何かしら新しい財源をほしいと願っておりますことは、要するに自主財源をふやしてもらいたいということがねらいでございます。したがって、今回当面した問題は、道路に一番ウエートがかかっておりますので、住民要望が非常に強いのと、交通事故の数が多いということから考えまして、道路税にしぼってて申し上げたわけでございますが、これに関連しますと、やはりガソリン税市町村への移譲ということをお願いしたわけでございます。総額等につきましては、いま数字を持っておりません。
  15. 亀山孝一

    亀山委員長 鷹野参考人には、長時間にわたって貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。     ―――――――――――――
  16. 亀山孝一

  17. 中西陽一

    中西参考人 ただいま御紹介いただきました石川県知事中西でございます。  本日参考人として知事会を代表いたしましてお呼び出しをいただきまして、まことに光栄に思う次第でございます。  皆さま方には地方財政充実地方行政の振興に非常な御努力を賜わりまして、心から感謝申し上げる次第でございます。せっかく当面の地方財政について意見を述べるようにということでございますので、以下に若干御参考までに私ども考えておりまする意見を申し上げてみたいと思うのでございます。  最近の地方財政は、言うまでもございませんが、昭和四十一年度からとられました国の公債発行に伴いまして一大転換を余儀なくされたのでございます。これに対処すべく昨年は特別事業債制度が導入されたわけでございます。また景気対策といたしまして、国税国債など、国の財政の仕組みを活用されますることは、国の立場といたしましては妥当な方策とも考えられるのでございまするが、地方住民生活に密着し、かつ多面的に接触しておりまする地方行政は、その内容が直接景気の動向に大きな影響を与えたり、あるいはそれに敏感に左右されるというような面は、その性質から見ましても、あるいはその使命からいたしましても、非常に乏しいのでなかろうかと思うのでございます。したがいまして、地方財政それ自体が直接景気対策といたしまして、地方税、あるいは交付税、あるいは地方債の操作を行なうということは、多くの疑問を持つわけでございます。ただ、公共投資早期着工という施策に関連いたしまして、ことに今年度暫定予算の際御考慮いただきましたように、積寒地域など、地方団体におきまする工事の季節配分と、補助金交付迅速化などの観点から、大いに地方団体といたしましても歓迎いたしておる次第でございます。  ともあれ、四十一年度におきまして、大幅減税国債発行の関連で、従来の一般財源措置にかえまして、千二百億円の特別事業債が発行されたわけでございまするが、これの取り扱いをめぐりまして、指摘がされておりまするところのいわゆる借金黒字を正す意味からいきましても、全国知事会議といたしましては、その恒久化に対しましては反対いたしておったのでございます。  今年度の予算編成におきましてこの特別事業債制度が廃止されることは、まことに適切な措置と深く感謝いたしておるのでございます。また、そのうち、公共事業関連の約九百二十億円分の利子償還につきまして、このたびの特別措置によりまして、第一種臨時地方財政交付金として補給するようお考えいただいておりまして、この点に関しましてお礼を申し上げたいと思うのでございます。  ただ、われわれ全国知事会といたしましては、政府招集の都道府県知事会議の席上におきまする政府御当局のお話などからいたしまして、また国会におかれましてもこの特別事業債のあと始末については、地方団体に決して迷惑はかけないというような言明があったということを伺いまして、大いに意を強ういたしておったのでございます。  それが今回の措置といたしましては、いささかまだ何かはっきり打ち出されておらない点があるのではなかろうかということを感ずるのでございます。昭和四十二年度、単年度限りの特別措置であり、また昭和四十二年度償還額六十四億円のうち、五十三億円しか計上されておらず、十一億円というものが不交付団体にとって未措置であり、不利益をこうむることにならないかという問題がございます。九百二十億円の元利償還総額は、およそ千五百億円にものぼるのではないかと考えまするが、地方財政の現状からいたしまして、ゆゆしき問題にならないかと実は憂慮いたしておるのでございます。私どもといたしましては、昭和四十三年度以降、この問題の解決がどうなるかということを、非常な関心をもっていま見守っておるような次第でございます。  次に、第二種臨時特例交付金二十五億円の問題でございまするが、先般改定されました新道路五カ年計画六兆六千億円におきましては、道路整備の重点は、従来の国道から地方道中心に移ることが予想されておるのでございます。まだその詳細、財源内訳は決定しておらないようでございまするが、改定前の四兆一千億円計画当時、経費に対しまする目的税源の割合が、国の場合六四%、地方団体の場合四六%と均衡を失しておりまして、新計画におきましても、これが改善方をお願いいたしてまいりたいと思うのでございます。したがいまして、その計画実施の初年度でございまする、本年度の予算に期待するところ大いなるものがあったわけでございまするが、国の事業予算四千百四十億円に充てられておりまする揮発油税、石油ガス税が三千二百九十七億円でありますので、その割合は七九・六%、一方、地方経費単独事業も含めまして三千四百二十一億円と見られておりまするが、これに対しまする地方道路譲与税、軽油引取税、石油ガス譲与税で一千四百八十七億円、割合は四三・五%にしかすぎないわけでございます。  このように、目下緊急の事業である道路整備を、協力して行なうべき国と地方団体経費財源に、アンバランスがあるという点につきまして、われわれといたしましては、その財源充当割合が等しくなるよう、ぜひとも御要望申し上げたいのでございます。  次に、このたびの第二種交付金二十五億円は、今後の道路整備の重点に即応いたしまして、市町村に対し特別にとられる措置と伺っておるのでありまするが、われわれ知事会といたしましても、これは金額的にも臨時措置と解しておるのでございまして、せっかく、今後積極的な税源移譲をはかっていただきまして、均衡のとれた道路整備の進展がはかられますよう、この際格段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  次に、地方交付税法改正の問題でございまするが、この改正案につきましては、その方向におきまして賛意を表するものでございます。ことに態容補正の一種として考えられておりまする投資態容補正は、投資的経費の必要度に応じた的確な需要計算を行なうものといわれておりまして、従来の静態的な需要捕捉から、動態的なものへの移行を示すものといたしまして、従来の仕組みの中で若干問題とされていた点でもあり、地方行政の動向にもマッチするものと考えるのでございます。  ただ、地方交付税制度の目的が、地方団体に一定の行政水準を保障することにある点、さらに交付税額が、各地方団体財源として持っておりまするウエート、これらの観点から見ますると、年ごとにあまり急激な変動の生ずることはいかがかとも思われますので、なるべく弾力的な制度運営をお願いいたしたいと思うのでございます。  ひるがえりまして、今年度地方財政全般を考えてみますると、財政ワク内におきましては、一般財源の総量二兆八千九百三十億円、これは地方税、譲与税、交付税でございますが、これは財政計画規模四兆七千七百十億円の六〇・七%を占めまして、前年度の五八・五%を上回ることになり、一応自主性が高まったと言えるかと存ずるのでございまするが、第十一次地方制度調査会の答申にありまするところの、国税及び国債収入額の合算額に二三%を適用した程度の額が国から地方配分する一般財源のめどとして適当であるという考え方からいたしますれば、今年度交付税、譲与税措置は二〇・六%、これに特別の措置でありまするたばこ消費税の増、臨時交付金を加えましても二一・五%、不足額七百十八億円となるのでございます。  反面、特別事業債の廃止の一部が地方債、一般会計債の増加となっておりまするが、それはそれといたしまして、今回御審議されまする百二十億円の交付金も四十二年度限りの措置でございます。もとより、二三%という数字は一応の経験値でございまして、いろいろと議論もあろうかと思いますが、過密、過疎対策、公害対策、交通安全問題等をはじめといたしまして、各般の仕事を現地におきまして、総合的に国の行政を調整しながら、地域住民の日常生活の向上と地域の発展に苦心いたしておりまする地方団体といたしましては、安心して財政運営が行なえるようなルールの確立を望んでおるのでございます。その二三%論の答申には、これが今年度もとられましたような当面の政策にかえまして、予算編成以前の国、地方財源配分のルールとなるようなことを強く望んでおるような次第でございます。  また、広く地方自治体財源のあり方をながめますと、地方税中心としながら、自主一般財源を増強することは、言うまでもなく基本的な姿でございまして、その需要と使途に応じて、地方債制度を充実することが期待されるわけでございます。したがって、われわれといたしましては、公債発行下におきましても、将来の地方行政の展望に立ったところの恒久的な、安定した地方財政制度の創設を望みたいと思うのでございます。  これには、国と地方の事務再配分前提となる問題でございまするが、それにはまず、国と地方団体間の信頼関係の確立が先決であろうと思います。現在の補助金制度にも、なお合理化を要するものが多いと思うのでございまするが、これらの改善についてもお願いいたさねばなりませんし、具体的な行政施策の執行に当たりましても、実情の理解と認識と、地方側の秩序ある協力が必要だと思うのでございます。このような実績の積み重ねの上に、国民の立場に立ちました行政事務の配分の手がかりが生まれてくるのではなかろうかと考えておるような次第でございます。  はなはだ簡単でございまするが、御審議の参考の一端にもなればと思いまして、当面の地方財政につきまして申し上げた次第でございます。
  18. 亀山孝一

    亀山委員長 ありがとうございました。  次に、徳元参考人
  19. 徳元四郎

    徳元参考人 ただいま御紹介いただきました徳島県藍住町長徳元四郎でございます。  ただいま国会において御審議中の、昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案、並びに地方交付税法の一部を改正する法律案について、全国の町村としての立場から意見を申し述べます。  なお、この際委員の諸先生におかれては、日ごろ地方財政充実強化について格段の御配慮を賜りまして、感謝にたえません。ことに、本年度地方財政対策に対する御尽力に対しまして、この機会に厚くお礼を申し上げます。  今年度地方財政は、ゆとりがあるというのが通説のようであります。事実、四十年の後半から四十一年度にかけて、赤字公債を発行したり、交付税の減額補てんをしたり、苦心してきただけに、今日の立ち直りは真に顕著に認められます。地方財政計画でも、財政規模伸びや、単独事業充実などの改善が明らかであります。しかし問題は、もっと根深く、体質的に改善されたという状態ではないということであります。  その第一は、単年度収支の好転は、景気の立ち直りという外部的要因によるものでありまして、制度的な改革の結果でないということであります。したがって、一度不況となれば、再び逆転するということであります。  第二に、ことしの地方財政対策には、将来に問題を残しておる単年度限りの臨時措置がいろいろありますことは、すでに御審議をいただいておるとおりであります。これらが昭和四十三年以降どうなるかについては、何の保障もないことであります。したがって、人件費の増大は、ますます他の一般経費を圧迫していますし、起債を増発することは、当然公債費の増大を結果し、その面だけとれば、借金返済のために借金するという傾向が見られなくはないのであります。  さらに、町村の立場からは、地方財政内部の矛盾がまた拡大しておることを問題としなければなりません。人口の過度集中が、いわゆる過密都市対策を重大な政治課題としていますが、他面人口減少による過疎地域住民生活の保障も、また深刻な問題となりつつあります。しかも、町村の大半は、第一次産業地域であって、全国的な工業化の波の中で、相対的な後進性をますます深めつつあります。このような地域社会の流動化の中で、現行の地方財政制度は、十分これに対応し得る機能と財源の量を与えられておりません。地方自治の当面する本質的な問題は、ここにあると考える次第であります。  次に、町村として最大の関心は、交付税制度であります。本年度交付税総額は、景気の立ち直りを反映して、千五百億に近い自然増収があり、総額九千億に近い巨額となっております。現状では九割以上の地方団体交付税配分を受け、特に貧弱な町村は、税収よりはるかに多い交付税をもらっています。私の地元徳島県におきましても、四十六カ町村全部が交付税を受け、工場誘致と電源開発の恩恵を受けた四カ町村が、わずかに交付税より税収が上回っておるだけで、他の四十二カ町村は大幅に税収より交付税が上回っております。昭和四十一年度普通交付税二十五億四百七十四万八千円に対して税収は十五億五千七十四万九千円、税収が交付税に対し六二%であります。特別交付税を加えますならば、おそらく五八あるいは九%になります。  このような実態でありますから、私たちの町村は、交付税にすべてを依存せざるを得ない立場にありますので、配分方法にわずかの変更がありましても、当該町村では死活問題となってしまうのであります。近来交付税配分は、毎年いわゆる傾斜配分という名のもとに、後進市町村対策が考慮されてまいりました。今年もまた相当の額が後進団体対策として配分されるよう聞いていますが、これはまことに感謝にたえない次第であります。しかし、率直な話、人口の激変、流出と急増、そうして過密化と過疎化現象の進行、地域格差の拡大といった地域社会の激しい流動には、とうてい対応していないと申し上げなければなりません。後進団体への配分は、単に減るべきものを減らさないという消極対策ではなくて、いわゆる傾斜配分をさらに強化拡充することが重要であり、これは地方自治における地域格差に対してどのように財政資金を地域的に再配分するかという政策上の基本問題であると考えています。  幸いにいたしまして、今年は交付税算定についてもいろいろ新しい方法が考えられているようでありますが、これを起点として、年次的に制度の改善をはかっていけば、地域的にバランスのとれた地方自治の推進が可能になると思われます。  なお、従来の十万都市中心にいたしました交付税算出の標準を、市と町村に区分し、町村の実態に即応した標準を設けていただきたいと思います。同時に、産業構造別に特に御配慮をお願いいたします。  なお、この際、明年度においては住民税の課税最低限の引き上げ、電気ガス税軽減あるいは廃止等が論議されておりますが、住民税減税については地方財政影響から慎重に措置していただきたいのであります。かりに所得税との関連等より、負担軽減を不可避とする場合におきましては、住民サービスを低下させないために、減税財源補てん措置を明らかにして、財政の貧弱な町村に不安を抱かさないよう御配慮をお願いいたします。  また、電気ガス税は、伸長性、安定性のある、市町村にとりましては重要な税源であります。私ども、徳島県におきましても、町村民税に対し六・五%、交付税に対しましては四・二%の比率を占めておりまして、実に町村財政に及ぼす影響は大きいものがあります。この際、これが取り扱いにつきましても、あくまでも慎重を期していただきたいのであります。  なお、先ほど知事さんなり、あるいは市長さんのほうからもお話が出ておりましたように、第二種交付金の市町村道財源につきましては、臨時的な措置でなくして、恒久化し、将来大幅に増額をお願いするとともに、配分の方法も、現在の道路延長だけに配分するということでなくして、将来性、必要性に応じた配分をしていただきたいのであります。  最後に、今後恒久的措置として、多年の課題として、道路目的税を市町村に対しましても付与することを考慮していただきたいと存じます。  以上で、意見を終わります。
  20. 亀山孝一

    亀山委員長 ありがとうございました。  次は、武蔵大学経済学部教授小沢参考人
  21. 小沢辰男

    小沢参考人 御紹介いただきました小沢でございます。  大体、前の知事さん、市長会の方、それから町村会の代表の方がすでに問題点を指摘しておりますので、重複するかと思いますが、一応所信を申し上げさしていただきます。  まず問題点はどこにあるかというようなことでありますが、四十二年度地方財政特別措置は、第一種交付金それから第二種交付金と合わせて百二十億円の臨時地方財政交付金地方に交付するというものでありますが、問題点としましては、すでに御指摘がありましたように、第一にこれらの措置が恒久的対策でなく、四十二年度限りの措置であること、第二に、四十二年度の新規財源措置、特に地方税地方交付税を加えた一般財源保障措置としては、第二種交付金二十五億円にすぎないといえることであります。  第一の問題につきましては、四十年の不況を転機としまして四十一年度から始まりました国の国債発行政策転換に伴う国債発行下の地方財源保障の問題が検討される必要があります。第二の問題につきましては、第一の問題と深く関係するわけでありますが、四十二年度地方財政対策全体を吟味する必要があると考えます。  次に地方交付税の改正問題でありますが、四十二年度地方財政特別措置並びに四十一年度特別事業債の廃止に伴う措置は、これは当然の対策でありますが、重要な点は、四十二年度から新しい財政需要に対する交付税算定方式が登場したことであります。この点につきましては、すでに知事さんもはっきり指摘しておられるところでありますが、この基準財政需要額算定に関するいわゆる投資補正ないし段階補正などの諸問題を検討する必要があると思います。  そこで、国債発行下の地方財源のあり方というようなことについて一言申し上げたいのでありますが、昨年の十二月、第十一次地方制度調査会の答申は、この問題につきまして過去十カ年間、すなわち三十一年から四十年度地方交付税地方譲与税の合計と国税及び国債収入との割合は、経験数値で大体二三%になるから、今後国が国債発行政策を続けるとすれば、この二三%をめどとして地方財源保障措置を実施することが望ましい、こう答申したのであります。この考え方で試算しますと、四十二年度地方財源不足額は千百五十億円だという数字が示されております。しかしその対策は、四十一年度臨時措置でありますところのたばこ消費税四・四%引き上げ分二百六十五億円の平年度化と、すでにあげました臨時地方財政交付金百二十億円の合計三百八十五億円だということになっております。このように見ますと、国の政策に伴う地方財政負担分に対する一般財源保障措置は何としても不十分だといわざるを得ません。  次に、四十二年度地方財政対策の全般についてでありますが、そこであらためて四十二年度地方財政対策を見ますと、四十二年度地方財政計画策定にあたりまして、自治省は当初、歳入歳出差し引き地方財源不足額を千四百二十億円と見込んだようでありますが、政府案では七百五十一億円の不足にとどまると見て、十分だ、こういうことになったようであります。これだけでもすでに小さくなっておりますが、その対策は、すでに見ました三百八十五億円の一般財源措置と三百六十四億円の地方債の発行、それから基地交付金二億円というようなことで措置されたことになっております。これは四十一年度地方税伸び率が、当初五・三%の伸びにすぎないと見込まれたのに対しまして、四十二年度地方税伸びは二二・〇%も伸びる、こういうことなので、地方財源の不足分は地方税地方交付税の増収分でまかなえるはずだというような考えによるかとも思われますが、不況になればまた地方財源不足は、すでに前の参考人の方も言われましたように、深刻になるわけでありますから、地方財政はこのままでは不安定な基礎の上に立っているといわざるを得ません。  なお、臨時地方財政交付金百二十億円のうち、第一種交付金の九十五億円は、四十一年度特別事業債一般財源の分でありますが、九百億円の廃止に伴う元利償還見合い分五十三億円と、四十一年度の固定資産税の免税点引き上げによる第三種特例交付金に見合う四十二年度の交付分四十二億円でありますから、これは四十一年度措置のあと始末というべきものでありまして、新規の対策は、結局すでに見たように第二種交付金の市町村道路目的財源二十五億円にすぎないわけであります。聞くところによりますと、自治省は当初、地方道路譲与税の引き上げというようなことを通じて百数十億円の見込みを立てたようでありますが、まあ顔を出したというところにすぎないわけであります。そしてこれも四十二年度限りの、そしてその金額もとりあえずのものでありますから、やはりその場限りの対策といわざるを得ないわけであります。  次は、基準財政需要額算定に際しましての投資補正ないし段階補正の問題でありますが、高度成長政策の結果としまして、過密都市とか過大都市の問題、他方で農村の過疎問題が深刻化してきたわけでありますが、地方交付税はもともと、たてまえとしては、いうまでもなく財政力の貧弱団体あるいは後進地域に多く配分される機能を果たすべきものと観念されているわけであります。しかし、最近この財政調整機能が弱まってきたというふうに言われております。が、ともかくことしの対策としましては、農村のような人口急減する過疎地域には、段階補正のうちいわば人口急減補正が考えられてしかるべきものだということで、若干措置されるようでありますし、また最近のように急激に増大する新しい財政需要に対しまして、道路の未舗装率ないしは未改良率あるいは交通量、混雑度などを基準にした投資補正が登場したことは、それとして一つの前進だと思います。先進地域のうちでも急速に人口の増加する市町村に対しては、すでに人口急増補正やあるいは首都圏、近畿圏内の市町村の学校建設などに対する国庫補助率引き上げなどの措置があるわけでありますが、そうなりますと、全体として新しい財政需要に対応する財源措置、特に地方債などの対策、あり方が問題になると考えられます。  そこで最後に地方債の問題について一言申し上げたいと思うのでありますが、四十二年度地方税地方交付税など一般財源は大幅な増収が見込まれておるのでありますが、地方税独自の減税は初年度七十六億円の減税というようなことでありまして、なぜこれほど少ないかということは、るる他の参考人の話の中にありましたように、財政需要の増大に対する地方団体財政難によるものとされているわけであります。しかしその財源難というものも、国の道路とか港湾など各種長期計画に伴う義務的経費の急増とともに、いわゆるそれに関連する地方単独事業の推進の必要性に基づくものと考えられております。  その対策としましては、すでに見ましたように国の施策に伴う財源保障措置として四十一年度で千二百億円に及ぶ特別事業債の発行、それから四十二年度の三百六十四億円の地方債の増発などのように、一般財源にかわるいわば借金政策が続けられておるのであります。四十二年度は、四十一年度特別事業債が廃止されて一般財源に振りかえられたのはそれとしてけっこうでありますが、今後地方債のあり方、地方債ワクの拡大、あるいは私たちは年来主張しておるのでありますが、何らか許可制度をゆるめるような方法で考えられないかというようなことが、もう一度再検討される必要があるのではないか、このように思われます。事実四十二年版の地方財政白書によりますと、四十年度の決算で地方財政の赤字は減ったとはいいましても、三百八十五億円もの穴埋め対策をしてようやく三十九年度より少し少ないところの、一般会計で三百四十二億円の赤字ということでありますし、その他公営企業、国保会計の赤字を加えますと、総額で千五百五十四億円の赤字というふうに地方財政白書から計算されます。そして地方債の現在高も、一般会計で一兆三千四百八十五億円、地方公営企業会計で一兆四千八百五十四億円、合計二兆八千三百三十九億円でありまして、他方で四十二年度の公債費は、地方財政計画によりますと千七百三十二億円と見込まれておりますから、四十二年度地方財政計画の一般財源二兆八千九百二十九億円のちょうど五・九%になるかと思われます。地方団体理事者の方々に、財政運営上どのくらいならあまり圧迫を感じないかということをお聞きしますと、大体一般財源の一〇%くらいなら大丈夫だというような御意見がわりに多いように思います。その意味では、まだだいじょうぶだというような考え方もあるかと思いますけれども、私のきょうここで申し上げますことは、いわば国の各種長期計画に伴う地方財政対策は、できるだけ国の一般財源による財源保障を適正化し、なお急増する新しい財政需要に対する国と地方財源配分措置ないしは地方単独事業推進の仕組み、あるいは国が、そのような現在のたいへん急激な経済、行政財政の変動期においては、ある程度地方団体のいわばそれぞれの団体で対応しなければならぬ仕事の単独の財源も見てあげるというようなことが必要ではなかろうかということであります。  私の申し上げたいことは以上であります。
  22. 亀山孝一

    亀山委員長 ありがとうございました。  それでは次に、大阪府立大学名誉教授藤谷謙二君。
  23. 藤谷謙二

    藤谷参考人 私、ただいま御紹介いただきました藤谷でございます。突然のお呼び出しにあずかりまして、特別の準備らしい準備もいたしておりません。大ざっぱな私の感想という程度でお聞き取り願いたいのであります。  私、本日の公述にあたりまして、実は本年度地方財政計画につきまして一言申したいと考えておりましたのでありますが、先ほど来お話がいろいろ出まして、特に小沢さんのほうから相当詳しくお話がございました。また時間の関係もございますので、この点は割愛させていただきたいと思います。ただ私の申し上げたかった点を申しますと、一般に本年度地方財政計画は昨年度に比較して相当明るいものだ、そういうかなり楽観的な見方が多いように見受けるのであります。私は、なるほど表面上の数字を前年度と比較しますと、そういう結論が出るかもしれませんけれども、少し内容に立ち入って見ますと、決して簡単に楽観できる内容のものではないのではないか。その理由を申し上げなくてはなりませんけれども、ただ一点だけ申しますと、これも先ほどどなたかお触れになりましたけれども地方税の大幅な増収が見込まれておるのであります。非常にけっこうなのでございますけれども、そういう増収を見込んだ原因はどこにあるかといいますと、御承知のように景気の好転、景気がよくなったということをその要素にしておるようでございます。しかしこの景気の動向がはたして今後どうなるか、そういう見通しはなかなかつけにくいのではないか、やはり景気の動向に必ずしも簡単な楽観的な期待を持つことができないのではないか。そういう意味で不安定であると思います。  もう一つの点は、そういう増収は具体的には法人関係地方税、これは特に景気影響を受けるものでございますから、さっき申したことと深い関連がございます。もう一つは個人関係地方税、特に住民税あるいは固定資産税の増収が見込まれておるのでありますが、これも御承知のように、たとえば住民税をとってみますと、負担は非常に重くなっている。負担の過重が訴えられておる段階であります。こういう状況で、ただ増収が見込まれるということで簡単に楽観してよろしいかどうか。やはりそこに不安定な、あるいは不健康な要素が含まれているのではないか、こういうことを考えるのでございます。その他の点につきましては、地方財政計画につきましては一応割愛させていただきます。  そこで、本日の議案に関しまして簡単に申し上げたいのでございますが、今回の地方交付税法の改正案、それから四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案、これは御承知のように、四十二年度に見込まれました地方財源不足額七百五十億円というものを、別途財政投融資計画におきまして処理されますところの地方債の増額とあわせまして措置されるわけでありまして、その金額の大きさ、規模から申しまして、またその措置内容から申しましても、これは私の主観かもしれませんが、私としましては、今度の法律案内容につきましては特に取り立てて大きく問題とするほどのことはない、あるいは少ないのではないかというふうに考えます。ただ、しいて今回の措置内容から注目すべき点を拾い上げてみますると、第一に、四十一年度におきまして、国、地方ともに非常な財源難にあいまして、その結果、異例の措置としてとられた特別事業債につきまして、四十二年度には旧に復して、一般財源措置がとられましたことが注目に値します。また、この特別事業債の償還費が基準財政需要額に算入されることになった。これも重要な点ではあると考えます。しかし、この点につきましては、それが四十三年度以降におきましても引き続き恒久的に措置されるかどうか。これは先ほど来もお話が出ておりますけれども、やはり本年度限りという臨時措置でなくして、引き続き恒久的に措置される必要があるということを指摘いたしたいと思います。  第二に注目に値すると思いますのは、市町村道整備のための目的財源といたしまして第二種交付金が交付されることになった点でございます。この問題につきましては、今日までにずいぶん紆余曲折があった模様でございますが、私どもしろうとから見ますと、二十五億円という金額はあまりにも少ないというふうな、ふしぎなような感じがいたすのが率直な考え方でございます。しかし、これが本年度限りでなくして、いわばこういう新らしい制度の道を開いたということでありますれば、それはそれで意味があると思うのでありますが、税制調査会や地方制度調査会におきまして出されました答申にもございますように、市町村道整備ということは今日の急務となっておるわけでございます。そこで、道路整備五カ年計画、そういうものとの関連におきまして、早急にやはりこの措置を恒久化する必要がある、同時にその財源関係を明確にする必要がある、またその金額もさらにさらに増大する必要があるように考える次第でございます。  直接本日の議案に関連したことは以上にとどめますが、もう少し時間を拝借いたしまして、この機会に、やはり本日の議案に関係はございますが、やや広くといいますか、やや離れて、今日の地方財政の問題、地方財政制度の問題につきまして、できるだけ簡単に触れてみたいと思うのでございます。  まず第一に、今日の地方財政制度、あるいは地方財政問題を見まして、第一に疑問に感ずる、あるいは不満に思いますのは、臨時措置の繰り返しということでございます。昨年、地方財源に関する臨時措置が行なわれましたが、これは、はたしてそのすべてが臨時措置が必要かどうかということがまず問題でございますが、それはそれとしましても、本年度におきましても、やはり一部分は恒久化された部分がございますけれども、やはり臨時地方財政交付金という形で、これは必ずしも恒久化の保証のない制度が臨時措置としてとられておる、こういう点がなぜ、つぎはぎと申しますか、その場限りの応急措置にとどまって年を重ねるのか、こういう点をやはり私は疑問視いたすわけでございます。  それから、第二の問題は、地方交付税制度についてでございます。特にこの制度のあり方につきましての感想を申し上げてみたいのでございます。これは御承知の数字でございますが、昭和四十年度普通交付税の交付状況を見てみますると、町村の九七%、市の八五%、これが交付税の交付団体となっております。特に、従来富裕団体と見なされてまいりました大都市、今日六大都市となっておりますが、四十年度におきましては、この六大都市の全部が交付団体になっております。また、都道府県におきましても、四つの都府県を除きまして、残る全部が交付税の交付団体になっているようでございます。このように、都道府県市町村を通じまして、圧倒的な部分が地方交付税の交付団体になっておる。こういう姿ははたして正常なと申しますか、あるいは望ましい形であるかどうか、この点が検討を要することで、私は疑問を抱くわけでございます。これをどういうふうな形で解決するか、どういう方向へ持っていくのが妥当な姿であるかということは、またいろいろ議論が分かれるところであろうと思いますけれども、それをもし是正すると申しますか、交付団体の数をもう少し減らす方向へ策を講ずるとしますと、当然のことながら、国のほうから地方に大幅な税源の移譲をするということは当然考えられなければならぬと思うのであります。なお、この点につきましていろいろ問題があるかと思いますが、一応割愛さしていただきます。  第三に問題といたしたいのは、府県税市町村税との関係についてでございます。先ほど甲府の市長さんからもこの問題に触れられたように存じますが、御承知のように、シャウプ勧告は、地方財政につきましては市町村優先主義をとったわけでございます。地方税制につきましても、こういうふうな考慮のもとにつくられたと思われるのでありますが、最近の状況は、むしろ府県税収入のほうが相対的には優位を占めまして、特に収入の弾力性という点につきましては、府県税市町村税は格段の相違があることは御承知のとおりでございます。これも、はたしてこういう形でよろしいかどうかという問題になると思うのでありますが、特にこういう市町村の、特に都市、とりわけ財政需要が非常に急激にふえておりますところの大都市におきましては、いまの弾力性の欠除ということが非常に顕著にあらわれておりますし、財政運営にも非常な支障を来たしておるのであります。この点の解決のためにも税源の移譲、特に国と府県市町村、この三つのレベルの間でどういうふうに税源を配分すべきかという問題が出てくるわけでございます。そういった問題につきましても、具体的な方策は簡単には出ないかと思いますけれども、私思いますに、まあそういう弾力性の欠除とかあるいは府県税市町村税との、アンバランスということばははなはだ適当でございませんけれども、府県税のほうが優位に立っておる、そういう関係をもし是正するといたしますと、一つの問題になりますのは、法人所得課税というものを注目する必要があるのじゃないか。弾力性あるいは税収の豊富な点、検討の一課題として、法人所得課税というものを国と府県市町村でどういうふうに配分すべきかという問題が一つその中にあるのではないかというふうに考えるのであります。  私、申し上げたいことは大体以上のとおりでございますが、御承知のように、今日、地方財政の領域におきましては、解決の必要の迫られておりますところの問題、懸案が非常にたくさんございます。地方税制に限って見ましても、たとえば国の所得税の一部を住民税移譲する、そういうことがいいか悪いか、あるいは事業税を改組いたしまして、その中に付加価値税の要素を導入することのよしあし、あるいは土地課税というものにつきまして根本的にどういう方針をとったらよろしいか、いろんな問題が山積していると思うのであります。そういった場合に、これは問題が困難なせいもございますけれども、とかく地方税制の一部分のみを取り上げてその解決を考えていく、あるいはその応急的な改正にとどまるというふうな傾向が多く見られるのではないかと感じるのでございますが、こういう際に地方制度調査会あるいは税制調査会におかれまして、当面の措置にとどまらず、長期的な展望のもとで、たとえば三年先の昭和四十五年度に実現を期するというふうな目標を立てまして、しかも総合的な――税制だけでなく当然ほかに関連いたすわけでございます。税制、補助金の問題、交付金の問題、さらには行政にも関係いたすであろうと思いますが、そういう総合的な、そして根本的な対策を、当面とか明年度さしあたり実施を要するということでなしに、少し長期的な目標をはっきり立てまして、検討され、そこに具体的な案を示されるように私は期待いたしたいのでございます。  これをもちまして終わらせていただきます。
  24. 亀山孝一

    亀山委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  25. 亀山孝一

    亀山委員長 質疑申し出がありますので、これを許します。  質疑なさる際には、参考人の御氏名をまずお示しを願います。同時に、できれば本日はあと一時間、四時をもって終わりたいと思いますので、お含みおきを願います。  奥野誠亮君。
  26. 奥野誠亮

    奥野委員 時間を節約するために、質問を全部申し上げてしまいます。  最初に中西さんにお尋ねいたします。  先ほどもちょっと申し上げましたように、地方交付税制度負担区分が確立されているということが前提でなければならない、かように考えておるわけでございますが、そういうようなこともあり、先年、府県立の高等学校の建設費を他に転嫁しないようにしてもらいたい、こういう考え方のもとに、地方財政法の中に、「都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」という規定が設けられたわけでございます。ところがその後も相当多数の府県が、おそらくこれは任意の寄付なんだ、だから法には触れないのだというような言いわけはしておられるんだろうと思うのでありますが、実態的には完全な負担転嫁が行なわれておるわけでございます。私はこれはまことに遺憾な実態だと思うのであります。石川県においてどうされておるか、これは私は知りません。知りませんが、この辺の問題は知事会全体としてひとつ御反省いただいたらいい問題ではなかろうか、かように考えておるわけでございますので、これについての御見解を伺っておきたい、かように思うわけでございます。  もう一つは、近年産業構造が大きく変わってまいってきておるわけでございまして、たしか第一次産業就業人口が総産業就業人口の中に占める割合が、三十年に四〇%くらいであったものが四十年で二五%に下がってきておる、四十五年には二〇%を割るだろう、こういわれておる。事実そういうこともあって、府県立の農業高等学校の卒業生のうち、農業関係に就職する人たちが数%にすぎないという府県も相当数にのぼっておるわけであります。言いかえれば九〇何%は農業以外の関係に就業しておるというような事例も私いろいろ聞いておるわけであります。これは私一例を申し上げただけでありますが、世の中の変化に対応して地方行政のあり方を思い切って変えていかなければならない問題がたくさんある、私はかように考えておるわけであります。たまたま地方交付税基準財政需要額算定方法が、本来あるべき財政需要額を算入するという態度をとるべきだと思うのでございますけれども、発足当時、激減を避けるということもあったりして、多くのものについては現実にある財政需要額、これを基準財政需要額に算入しておるわけでございまして、高等学校の経費などにつきましては、現実の種目別の高等学校の生徒数というようなものが算定の基礎になっているように理解しておるわけでございます。こういうような点について、世の中がどんどん変わってくる、それにつれて府県行政運営のあり方も思い切って変えていかなければならない。ところが必ずしも基準財政需要額算定等がそういう点について十分配慮が行なわれていない、こういう点についてお気づきの点があればおっしゃっていただいたらいかがかと思うのであります。先ほど公害対策のこともおっしゃったわけでございますので、御指摘いただいたらけっこうでございます。  次に徳元さんに伺いたいのでありますが、傾斜配分を強調されておりました。また、国のほうでもそういう方向をとっておると思います。同時に、減るべきものを減らさないだけじゃなしに、もっと積極的に過疎対策等のことも考えろというお気持ちでおっしゃったのだと思います。そうすると、町村の場合にどういう経費についての基準財政需要額算定が不十分であるのか。道路の問題、これは火がついた問題だと思いますが、町村だけのことでなしに府県市町村を通じての問題であろうと思うのであります。あるいはまた農業問題などを考えてくると、従来と違って積極的に農業関係に向けて公費を使っていかなければならない事態に来ておると私は思うのでありますが、あるいはどういう点で算入が不十分であったか、具体的に御指摘いただければしあわせだ、かように考えるわけでございます。  小沢さんに伺いたい問題は、たいへん地方団体に同情のある御見解を披瀝していただきまして、けっこうなことだと思います。けっこうなことでありますが、財源を与える以外に、現に府県市町村が使っておる金、これがそんなに要らないような方向をとることも消極的な財源対策だと思います。現にまた国民の多くの層から、地方団体経費の乱費が指摘されたりもしておるわけであります。あるいは行政運営合理化することによって経費の節減をはかることもできるわけでございます。こういうような面について、お考えの一端でも伺わせていただければ幸いだ、かように考えるわけでございます。  藤谷さんに伺いたい問題は、今日大部分の地方公共団体が地方交付税の交付を受けている。これはやはり不自然ではなかろうかという御指摘がございました。もっともなことだと思うのですけれども、一応現在のたてまえを基礎にして、御指摘になったように、あるいは大都市財政の弾力性を回復するのだとかいうような意味の改正を行なうとすれば、国庫補助金でありますとか、あるいは地方交付税交付金でありますとか、そういうものを減らして地方の独立税に移しかえるというこになるのじゃなかろうか、かように考えるわけであります。地方交付税の基礎になっております法人税とか所得税とかを、住民税の所得割りや法人税割りに移しかえるとか、そのほかいろいろな方法があると思います。あると思いますが、その結果は、地方交付税の不交付団体にもこの独立税が増額されていくということになるわけであります。自然、交付団体の財源量を減らさないとすれば、結局は国民の租税負担をふやしてもらわなければならない、こうなるわけであります。しかし、現在の国民の租税負担から考えれば、民主政治の基礎を築くのだ、地方自治伸長のためには若干は負担がふえてもいいじゃないか。それよりも財政の弾力性を回復させる、のべつに地方交付税交付金を受けるような姿をやめたほうがいいのじゃないか、こういうお考えもあっておっしゃっているのかどうか、これは私がかってに推測したのかどうか、その辺のところをお教えいただければ幸いだ、かように考えるわけでございます。
  27. 中西陽一

    中西参考人 ただいまの、私に対しまして二点御質問がございましたが、それについてお答えいたしたいと存じます。  まず最初の負担区分の問題でございまするが、仰せのとおり地方交付税制度というものは、負担区分が確立されておることを前提といたしておると思うのでございまして、私どももそれを承知しているつもりでございます。そこで、例にあげられました都道府県立高校の施設についての負担の問題でございまするが、石川県の例を申し上げますると、すでに数年来、基本的なものは全部県費負担で建設することを確定いたしておるのでございます。いわゆる三十八年度前後の急増対策におきましては、率直に申しまして、いろいろとございましたが、現在のところは、いま申しましたように、基本的設備と申しますると、また個々に問題を生じまするが、要するに、図書館とかプールは若干おくれても、基本的なものは全部県の予算の責任であるという方針を明確に打ち出したのでございます。  御参考までに申し上げますると、それによりますと、石川県の場合、あとほぼ四十億円を必要といたしております。そのうち校舎設備で大体三十二億円、そのほかの設備関係で八億円、四十億円でございまするが、これを五年で割りますと一年間八億円、また四年で割りますればそれ以上の経費を要するわけでございます。三十八年度前後の急増対策費には、国のいろいろな援助措置もございまして、それがない現在におきましてはかなり苦しいわけでございまするが、何とか私といたしましては、負担区分ということをはっきりいたしまして、基本的な高校整備負担は、はっきりと県でやる。ただしもう一つ体育館がほしいとか、もう一つ図書館を広げたいというお話がある場合は、これは別だ。ちょっと断わっておきませんと、あとで食言しちゃなりませんので。実はそういうつもりでおるのであります。ただ知事会全体といたしまして、他の府県はどうでありまするか、私、事情をつまびらかにいたしませんが、きょうのお話の趣旨はよく知事会の皆とも相談いたしたいと思います。おそらく各県知事もそういった気持ちを強めておると思うのでございます。  それから第二に、最近の産業構造の変化に伴って、交付税測定単位をどうするかということでございます。これにつきましては、私どもいろいろと意見を出しているわけでございます。その前提といたしまして、日本の地方制度というものが、まだ農耕社会的なと申しては非常に表現が荒っぽうございますが、そういう雰囲気がまだかなり残っておるのじゃなかろうか。これは財政制度のみではございません。仕組み自体にもかなりそういうものが見られるのじゃなかろうかと思うのでございます。もちろん私どもはこれからも農業を大事にしてまいりたいと思いますが、同時に社会全体が産業社会としての色彩をきわめて強く持ってまいっておりまする今日、やはり測定単位といたしましても、あるべきものをやはり測定単位にかなり導入していただく必要があるのじゃなかろうか。もともと本来そういうものであったほうがいいのじゃなかろうかと思うのでございます。とっさのことでございまするので、どういうことをお答えしていいか浮かばないのでございまするが、たとえば単独事業などが、実際の問題といたしまして、たいへんいま窮屈になっておると思います。交付税等の財源措置が行なわれましても、公共事業に見合う財源措置地方団体としては手一ぱいでございます。しかし単独事業というのは、かつて地方団体のいわゆる赤字をいわれましたころに、何かその場の人気とり政策に単独事業があるのではないかという御意見も一部にございまして、私は単独事業はそういうものではないので、文字どおり地方自治体としては単独事業を行なえることに地方自治体の値打ちがある、こう思うのでございます。特に公共事業のいろいろなギャップを埋めるのも単独事業の責任だ、こういうふうに考えておるのでございまして、そういう意味からいきますると、いわゆる都市化的傾向に対する測定単位のとり方、この辺に私どもはもっと要望を申し上げたいものがあるわけでございます。  なお、最近のテレビの普及によりまして、農村部におきましても都市化的な要望が非常に強いわけでございます。したがいまして農村は簡易水道でよいとか、あるいは家庭にあるホームポンプでよいという時代ではございませんで、そういうことも込めまして、今後のやはりあるべき姿をひとつ地方交付税の上でも打ち出していただきたい、こういうふうに思うのでございます。  はなはだ不十分でございますが、一応これをもってお答えにかえたいと思います。
  28. 徳元四郎

    徳元参考人 お答えいたしたいと思いますが、先ほど先生は道路、下水道の道路部門は別だというようなお話がございましたけれども、先ほど知事さんからもお話がございましたように、私どもの町村の大半あるいはほとんどは、交付税と税収だけで今日の町村を維持していくということが非常に困難であるわけでありまして、先ほどもお話が出ておりましたように、町村民の行政需要にこたえることがなかなかできないというのが実態でありまして、ようやく公共事業だけ何とかつじつまをつけておるというような事態でございます。特に道路の問題にいたしましても、非常に今日のように各家庭に自動車を持つような時代になってまいりまして、また農業上から見ましても非常に道路の必要性が迫ってまいりますと同時に、最近のように各町村とも水道ができますと、これに伴いまして下水道あるいは排水の必要を感じてまいっておるのでありますが、こういうものにすら、とうていいまの町村財政では手がつかないというような状況でありまして、その他の農業関係にいたしましても、あるいは環境衛生の問題にいたしましても、とうてい現在の財政の中では運営ができませんので、そうした町村に対しましては、交付税配分につきましては特に御配慮いただきたいということでございます。
  29. 小沢辰男

    小沢参考人 奥野議員さんの質問は、一番痛いところを、答えにくいことを質問されまして、藤谷先生と二人で、これは弱ったぞといま言い合っていたところなんですが、私、原則的には奥野議員さんも言われておりましたように、国と地方財政負担区分ないしは行政事務配分ができるだけ確立されるような努力がしてほしい。それからもう一つは、国の出先機関が非常に多いのでありますけれども、この国の地方出先機関を整理して、たとえば地方団体の中に組み入れて、国と地方を含めて総合的にこの経費を安くする、こういうことも一つ考えられると思いますし、これはたいへん大きな問題だと思います。  それから一つは、地方団体の人件費が多いというのでございますけれども、この人件費の内容というのは、実は人件費即事業費という面が非常に強いのでありまして、一般職員につきましても、たとえばケースワーカーだとか農業改良普及員――あるいは農業改良普及員というようなものはもう少し整理すべきだというような意見もあるかと思いますが、やはり相当現業に即しておりますので、これは国の中央各省の協力を得ませんと、十分な効果があがらないんじゃないか。当面の措置としまして、たとえば「地方税財政に関する当面の措置についての答申」という第十一次地方制度調査会の答申によりますと、上下水道とか清掃施設とか病院などは、広域的運営をやって経費の効率化を高めるように、こういうことが書いてございます。第二は、地方団体の事務事業のうち、必ずしも地方団体が直接実施する必要のないもの、し尿、じんかいの収集、保育所の経営などは、むしろどちらかといえば間接経営に移したらどうかというような提案がなされております。第三点は、国としても国庫補助職員その他について応分の効率化を行なうように、こういう意見が出されておるのでありますけれども、私、これについては、逆にいいますと、全く賛成だというわけにもいかないのでありまして、これこそ、たとえば保育所などにつきましては厚生省もまだ、率直に申し上げまして、自分の行政の中に十分取り込んでおりませんので、補助率も低いとか、これについての総額を認めるということも非常にちゅうちょされておるわけでありますが、こういったものはむしろやれれば地方自治体がやってもいいんじゃないか、こういう住民の気持ちからする考え方もあるかと思うのでありまして、地方制度調査会の答申では、経費の効率化というところでこういうことをあげておりますけれども、私、住民立場からいえば、財源さえ許せばこういう事業、特にし尿とかじんかいの収集処理とか保育所の経営などというのは、できたら地方団体が一生懸命やっていただくほうがいいんじゃないかというような気もするのであります。この点はやはり財源問題もありまして、地方制度調査会のほうで、このような経費の効率化の中で、できるだけ間接経営に移すようにというふうな意見がまとまったのだと思いますけれども、しかほどさように、地方経費合理化というようなことについて考えるところはないかということだと思います。私少し勉強して実態を知るだけに、はなはだ答えにくいことを質問されまして、たいへんどうも的確なお答えができないのでありますけれども、基本的なことと当面の対策とが、ちょっと離れ過ぎてたいへん申しわけないのですが、これでお答えにかえます。
  30. 藤谷謙二

    藤谷参考人 奥野さんの御質問を、少しのみ込みが足りないかもしれませんけれども、私、伺いました限りでは、地方交付税の現在のあり方は不正常と申しますか、望ましい形でないということはわかる。それを変えていく場合に、いろいろな方法があるのだろうが、まず国税の一部を地方移譲する、そういう方法もあるだろう。国庫補助金とも関係がある。その場合に地方住民負担はどうなるのか、特に不交付団体の住民負担はどうなるのかというふうな御質問でございましたか、少し聞き違えておりましたらまことに恐縮でございますが……。
  31. 奥野誠亮

    奥野委員 国民の総租税負担がふえなければそうならないんじゃないか。若干ふえても地方自治のためにいいんだ、こういうお考えが内部にあるんでしょうかと伺っているわけであります。不交付団体に新たな財源が追加されるわけですから、あなたのお気持ちを……。国税、府県税市町村税全体を合わした場合に……。
  32. 藤谷謙二

    藤谷参考人 私は、そういう措置によって総合した負担がふえるということは考えておりません。ふやすのが望ましいというふうには考えておりません。これは非常にむずかしい問題になると思いますが、国税の一部をさく、国のほうはやはりそれだけ減るのはやむを得ない。税収は固定しておるわけじゃございませんから、国税としても伸びる、これはもう当然前提にいたしますけれども、その移譲財源の欠陥というものは、国のほうがまたそれを補てんするために増税するということは一応考えていないわけであります。現実から非常に離れたとおっしゃれば、まあそれまででございますけれども……。
  33. 亀山孝一

  34. 細谷治嘉

    細谷委員 一括して御質問をいたしますので、あとそれぞれからお答えいただきたいと思います。  私は、まず藤谷先生に感謝したいと思うのです。率直に現在の地方財政制度を指摘されまして、たとえば地方団体が困らないようにいたしますという抽象的な名目で、いつでも臨時措置臨時措置とやっている政府に対する非常な大きな警鐘を鳴らしていただいた、あるいは交付税制度というのが一体財源保障なのか、財源調整なのかという二つの目的があるにいたしましても、性格がぼやけているような点の指摘なり、あるいは県と市町村の税制のあり方等、率直に指摘していただいて、やはり抽象的じゃなくて具体的な長期的な青写真をつくるべきだ、これは大賛成でありまして、先生の御意見に心から敬意を表したいと思うのであります。  ところで、小沢先生にお尋ねしたいのでありますが、これは中西知事さんあるいは徳元さんにもお答えいただきたいと思うのであります。  第一点は、今度交付税方式というのが新しい方式、言ってみますと、投資補正という補正を入れてまいったわけであります。おことばにもありましたように、従来の静態的な把握から動態的な把握に移行しつつある。ことばを変えていいますと、客観的な財源調整という性格から政策的な性格に移ろうとしておる。これが今度出されておる交付税制度の新方式の性格ではないか、こう思っておるのです。客観的なものから政策的なものにいっちゃう。動的というのか、政策なんです。ここに問題がありますから、おそらく徳元さんのおっしゃった、配分がいかぬというのが町村にとっては死活問題だ、こうおっしゃっておりますけれども、まあ激変は起こらないようにうまくごまかしていくでありましょうけれども現実にはやはり格差が拡大されていくと私は思うのであります。こういうような交付税制度というものがいいか悪いかということになりますと、私は徳島県の現在の貧弱団体である町村にとりましては、こういう方向というのは、やはり町村にとっては必ず悪い結果をもたらすということになるんじゃないか。それから貧弱な府県はやはり傾斜配分どころじゃなくて、逆傾斜になってくるんじゃないか、こういう感じがいたすのであります。小沢先生はこの方式についておおむね賛成だという御意見のように承ったのでありますけれども、私はそういうふうに理解しているのであります。学者として、投資補正なり段階補正等については十分な検討を要するというおことばがありましたけれども、もう一度この問題について、交付税制度が新しい方向に転換しようとするこの時期でありますから、ひとつ御意見を聞かしていただきたい、こう思うのであります。  それから第二点は、小沢先生にお聞きしたいのでありますが、よく、人件費がふえて公共事業がやれなくなった、今日の地方財政困窮の原因というのは人件費の増大からきているのだという結論を聞くのであります。ところが、昭和四十二年度、今年度地方財政計画を見てみますと、地方税というのが大体において四兆七千七百億円という規模の中でおおむね四割なんですね。地方交付税というのが大体おおむね一割八分、二割弱。これは過去数年間ずっと洗ってみましても、今年はまあ地方税が三八%くらいに下がりましたけれども、大体四割前後で、これはほとんど変わっていない。交付税ウエートも変わっていないのですよ。ところが、変わっておるのは何かといいますと、国庫支出金なんですね。これは七、八年前と比べますと、大体八%か九%ぐらい国庫支出金がふえていっているのですよ。今度の地方財政計画を見ますと、三十四、五年ころに比べますと、一割近く国庫支出金がふえていっております。でありますから、その歳入構造を鏡に映すように、歳出のほうではどうなっているかといいますと、人件費というのは三十四、五年くらいには四割あった。地方財政計画の中に四割占めておった。今度では大体三四%なんですよ。六%下がっておるのです。ところが、今度は支出のほうの投資的経費というのを見てみますと、どういうことになっているかといいますと、大体七、八年前、三十四、五年ごろは二割強であったのが、今度は三割八分くらいになっておるわけですね。二倍近く伸びていっているのですよ。その大部分というのは公共事業なんです。公共事業は、先ほど言ったように、国庫支出金が一割近く伸びているのですから、鏡に映るように映してきて公共事業伸びてくるのがあたりまえです。いってみれば、国庫支出金の一割の伸びというのと人件費の削減五、六%というのは、そういうものを加えた結果、公共事業をやっておる、こういう形になっておるわけなんですね。そうなってまいりますと、今日の地方財政の困窮というのは、いろいろな節約が足らぬとか、地方団体にも黒い霧があるというけれども、構造的な問題としては、人件費よりも、やはり財源を付与せぬづくで公共事業を重点的に押しつけられてきておるところに、今日の根本的原因が地方財政計画の構造の中に如実に証明されておるのではないかと私は思うのであります。この点についてひとつ小沢先生どう見ていらっしゃるのか、やはり人件費が多いために今日の地方団体財政困窮におちいったというのか、いってみますとこのことは、地方財政というのは中央政府の中に組み入れられていっておる、こういうことになっておるわけですれ。ですから今度の交付税制度というのは客観的なものをとらえるんじゃなくて、今度は投資的なものをとらえる、いってみれば政策的なものであります。政策でありますから、これは当然やはり中央政府の下請機関化する傾向というのを濃厚にしたと、こういうふうに申さなければならぬと思うのであります。この辺を私はそう理解しておるのでありますが、ひとつ小沢先生でも藤谷先生でも、学者という立場から、学者の窓からどうごらんになっているか、この辺をひとつお尋ねしたいと思うのであります。
  35. 小沢辰男

    小沢参考人 たいへん手きびしい御意見をいただきましたが、最初の投資補正のことについては、若干おわびかたがた説明が要るかと思います。  いま考えられている投資補正というのは、大体府県段階について考えているようであります。府県段階で考えられていて、これはどういうことになるかわかりませんが、やはりおっしゃるとおり、政策経費としての道路中心考えられているようであります。したがいましてこのままいけば、確かに基準財政需要額がそのような政策的な需要の強いほうに大きく出ますから、確かにそちらへ流れて財政調整機能は弱められる、こういうことになると思われるのでありますけれども、実は私の申し上げたいのは、大都市も含め、あるいは大都市近郊の市町村のいわば町の中の道路費ですね、それから学校建設費その他、これもいわゆる投資的ということばで呼ばれておるわけでありますけれども、私が一歩前進と言った意味は、そういう現在の急変する地方団体財政需要の変化を動態的にくみ上げるという考え方が出てきたことは一歩前進だが、正確にいえば、ことしは何といっても三千幾つかある市町村だとたいへんな作業になるということがありまして、さしあたり四十幾つかの道府県について考える、こういうことでありますので、もし、たとえば道路というようなものだけを非常に中心にして考えるということになりますと、細谷議員さんのおっしゃるように、国の政策によって非常に変わってくるのではないか、これは私そのとおりだと思います。ただ、これは府県だけではございませんので、大都市、中都市、町村、含めましてたいへんな激動期でありますので、こういう問題を何とかして考えるような機運というものが非常に必要ではなかろうかというふうに考えておりますものですから、私は内容としては、団地がふえる、団地がふえれば市町村の一般的な財政需要がふえるというようなことなんでありますから、もっともっとそういう点を十分考えていいんじゃないか、それはおそらく補正というようなことだけでは間に合わないんじゃないかというようなつもりが実はしておるのでございますけれども……。そんなことであります。  それから第二点のほうの人件費の問題については、四十二年版の地方財政白書によりますと、四十年度の決算ではむしろいままでよりか人件費がふえたというのでありますが、これは御存じのとおりの四十年度が不況の年で、特殊な財政構造を持っておるということで人件費がふえたことになっておるのでありますが、長期的な傾向としては、いま細谷議員さんが指摘したとおりの傾向であると、私はやはり統計的に見てそうなっているということを認めるにやぶさかではありません。そのことは事実、人件費はそういう意味では、たとえば施設がふえるというようなことになりますと直ちに人がふえるということでありまして、私は保育所などはあまり市町村はふやさないほうがいいという見解の裏には、保育所をつくりますと保母さんその他人件費がどうしてもふえるわけですね。だからつくらないほうがいいというようなことで、道路ども、これはやるとなると管理費を含めましてやはり人件費がふえるわけでありますが、しかし、たとえば道路などのほうがはるかに人件費のふえ方は事業費に比べてはおそらく少ないというようなことになるだろうと思います。そういう点で、どちらを重視するかということは、まさに住民の代表である議員さん方がほんとうに真剣に考えていただいて、いま地方健体では何が必要かというようなことも率直に十分考えていただくということがむしろ議員さんのほうの任務でなかろうかと思うくらいであります。これはちょっと逃げた答えのようでありますけれども、事実はやはり人件費の割合が三十年ころに比べてみて、割合として低くなっているということは統計的に言えますが、ときどき不況の年でもあると、やはり人件費が相対的にふえるというようなことになると思います。なぜかというと、事業費は相対的に縮めますから、どうしてもそういうふうになるのだと思います。その点については大体細谷議員さんのおっしゃるとおりだと思います。  前の投資補正につきましては、若干ことばが足らなかったことをおわびして訂正しながら、現在の地方行財政需要の急激な変動というものを何とかして十分に考慮に入れるような財政運営をしてほしい、そういう意味で申し上げたということにとどめます。
  36. 中西陽一

    中西参考人 いまの御意見でございまするが、私ども考えておりまするのは、交付税が果たします使命には、財政調整と財源保障の二面があると思いまするが、現在のわが国の経済発展の地域的な分布を見ますと、やはり格差是正ということが交付税について行なわれることもわれわれは期待いたしておるわけでございます。そういう意味からいきまして、格差是正の観点からいたしまして、特に格差と申しますれば社会資本の蓄積ということが問題になるのだと思います。そういう点からいきましても、交付税算定にあたりまして、従来の静態的な観点でなく、たとえば都市化の様相を強くいたしておりますところには、それに対応いたしました補正を行なうことによって、現在生じておりまする交通障害の問題あるいは公害問題、また社会福祉その他の問題の解決のための措置というものが、交付税を通じてでも行なわれることが望ましいと思うのでございます。また同時に山村部におきましても、だんだんと過疎対策ということが問題になっておりまするが、交付税配分のやり方によりまして、たとえば未改良道路は未改良道路といたしまして単にそのままを交付税算定に反映するのではなく、それが当然改良されるべきものとして算定されるということが今後大事ではなかろうか。現在すでに自治省の御算定もそういうふうになりつつございまするが、そういったことをさらに強めていただきたい。現在どんどんと動いておりまする、いわば工業社会的な様相を強くいたしておりまする地域におきましても、またそれの反射的な対照といたしましての過疎地帯におきましても、そういったことが交付税の上で果たされる機能があるのではないか、こういうことを申したのでございます。
  37. 徳元四郎

    徳元参考人 本年の交付税算定につきましては新しい方法が考えられておるわけでございますが、どうかこれを起点にいたしまして、ただいまも知事さんからお話がありましたように、現時点だけをながめるということでなくして、現時点の財政を救済するという考え方ではなくて、近代的な町村がつくり上げられますように、地方の格差是正の方向におきまして今後の交付税算定をしていただくようにお願いをしたいと思います。
  38. 亀山孝一

  39. 太田一夫

    太田委員 私は中西参考人、並びに徳元参考人並びに小沢参考人、三人の方にお尋ねしたいと思うのです。  まず中西さんにお尋ねをいたしたいことは、非常にいいことをおっしゃっていらっしゃると思うのです。国の道路財源地方道路財源とが率において非常に格段の開きがあるから一つにせよというのはまことに明快でありまして、私ども賛成なんです。交通安全対策を安心してやれるような財政確立をとおっしゃったことは、全く時宜に適していることでありますが、その財源充実するということについては、これまたこの前甲府市長さんにお尋ねしたことと一緒なんでありますが、何か財源的に、この財源がほしいなという財源がありますか、これをお尋ねいたします。  それから、返上したい事務がたくさんおありだろうと思いますが、これはほんとうに金がないのに仕事をやれといわれれば、みんな返上したくなるわけで、全くそうだと思うのです。これはお尋ねいたしません。  それから徳元町長さんにお尋ねしたいのは、あなたのおっしゃるように、実際人口の少ない市町村などは、私もほんとうに交付税で思い切ってめんどうを見なければならぬと思うのですが、ちょっとおっしゃったことに、住民税の課税最低限の引き上げということがございますね、この問題にお触れになりましたが、人口が少ないところはやはり所得も少ないわけでありますから、そういうところで住民税のほうにしわ寄せしたり税外負担にしわ寄せして財源を調達するなんということをやっていたのでは、これはますます人間が逃げていくわけでございます。そこでその課税最低限度の引き上げということには大いに力を入れて、その財源をしかるべく補てんしろということで私はいいと思うのです。その方向は確かに正しい。そこで、私ども住民税の場合、五人家族でございますが、課税最低限度はことし六十万、来年度は七十万ぐらいに引き上げたらどうだろうかというのですが、なかなか政府はかたくてうんとおっしゃらないわけです。ところが、四十四年度には、所得税のほうでは百万円ぐらいまで課税最低限度を引き上げるというのです。所得税のほうは非常に善政を行なうが、住民税のほうは苛斂誅求だという非難を受けてはたいへんでございますから、なるべくテンポを早めなければならぬと思うのです。私ども、六十万から七十万に一、二年の間にしなければならぬと考えておるのですが、そういうことについてのお考えはどんなものでしょうか、この点をお尋ねいたします。  それから小沢先生、ひとつ大学の先生としては特に若く将来を嘱望されておる先生として、非常にいいことをおっしゃったことが一つあるわけですが、私は地方税の賦課原則についてお尋ねしたいと思うのです。先ほどお尋ねになった奥野先生も、朝にあるときには、応益原則といいますか、負担分任の精神というもの、負担分任主義によって、住民である限りはだれも同じように納めるというところから税というものなんかは賦課すべきだという思想があったわけであります。われわれはやはり力ある者から出してもらわねばいかぬというのですか、お金のある人から多くの税金を出してもらうという応能主義によって、税金なども地方税もいただくべきじゃなかろうかと言ったのですが、それはなかなか今日自治省も、そんなことを言っておったらだめだ、地方には貧乏な人がたくさんおるから、そのたくさんおる人からなるべく多く取らなければいかぬという、数学的には正しい話なんですが、そういうことをやっていらっしゃるのです。地方税というものは、特に住民税中心といたしまして、負担分任、いわゆる応益主義でいくのか応能主義、能力ある人に応じて賦課すべきか、このことはいかがでしょう。小沢先生は先ほど、地方債の許可制というのはけしからぬということをおりしゃったと思うのです。起債なんというのは何も許可をしてもらわぬでもいいのであって、やれる限り自由にやればいいのですから、私はその説に賛成なんです。一日もすみやかにそういう運用をすべきだと思いますが、これは賛成です。そういう点から、ひとつ小沢さんの新しい感覚によると、いろいろな地方税その他住民に課するもの、負担させるものは、いかなる主義によって、考え方によってやるべきか、こういうことについてお尋ねしたい。藤谷先生のお話は、非常にいいことをおっしゃっていただいて、全面的に賛成なんで特別にお尋ねはいたしませんが、ひとつ学者を代表して、小沢先生からお願いしたいと思います。
  40. 中西陽一

    中西参考人 道路財源につきましては、全国知事会といたしましては、市町村には揮発油に関しまして一キロ当たり千円程度を分けるべきである、こういうことを実は私どものほうでも聞いておるわけでございます。おそらく町村会でも同様なお考え方ではなかろうかと思うわけでございます。そこで、道路財源は一体何に求めたらいいかという御議論は、これはひとつ皆さま方でもまたわれわれでもいろいろと考えなければなりませんが、ともかくモータリゼーション、自動車時代に入りまして、もう私たちのコントロールを越えようとするようないまの自動車のラッシュでございます。そこで、たとえば石川県の例をとりますると、金沢の中心部あたり、たとえ歩道をつくるにいたしましても、坪四十万円からするわけでございます。そういたしますると、自動車一台が占有いたしまする面積は、もちろん走っておるわけですから瞬間的占有にすぎませんけれども、大体八十万円のものを踏んでおるというかっこうになると思います。ところが、自動車一台はそれより値段が安く手に入るわけでございます。したがいまして、自動車の税金と申しますると非常に差しさわりがございますが、自動車負担する道路に対する割合というものはいまのままでいいかどうか、こういうことがどうも私はいつもふしぎに思うのでございます。町角を立ちのかせますと、たちまち一千万円からの金が必要になってまいります。その金をたとえば農村の環境衛生に使えば、うんと有効に生きるのでありますが、同時に都市計画をやらざるを得ない。そういうことを考えますると、私ども非常に混迷しておるというのが実情ではなかろうかと思います。そう言っております瞬間にも、自動車の登録台数はまだふえつつございます。そういう状況でございますので、私は道路財源が公債をどこまで導入するか、あるいはまた税金をどこまで導入するかというようなことがもっと取り上げられなければ、地方の交通ラッシュも解決できない、こういうふうに考えておるのでございます。
  41. 徳元四郎

    徳元参考人 ただいまの金額の面につきましては、どれがどれだけであるかということにつきまして、まだ町村会でも検討いたしておりませんが、私個人の考え方だけからいたしますならば、住民税については、ことに給与所得者の面につきましては特に考慮していく必要があるということを考えております。
  42. 小沢辰男

    小沢参考人 私に対する質問は、地方税の賦課原則というようなことでございますが、私たち、学校で学生に講義いたしますときは、大体税金は三つの側面から考えなければいけない。一つ財政収入をはかるという見地から、一つは税の負担率の問題から、それからもう一つは、言ってみれば税負担の公平の問題から、こういうふうに申しておるわけであります。その点で、だれでも言うことでございますが、地方税現実から見ても、実際的にも、やはり一方では安定的な税金であることが望ましい。したがって物税みたいなものはそれに非常に適しておるということで、固定資産税みたいなものは、言ってみれば応益的な考え方がいままで強かったわけであります。ところが人に関する税はできるだけ応能的に課するのがよろしい、こういうことになっておるのであります。しからばここで言う均等割り、いま問題の出されております均等割りとは一体何であるかということでありますけれども、大体その当面の責任を負っております自治省の見解では、昔ながらの負担分任の精神を継ぎまして、現在では大体入会金みたいなものだという解釈をとっており、また地方自治という考え方から見て、地方自治というのはその団体の中の構成員がやはり幾らか税を負担する、たとえば所得税制とか住民税制でいえば、いわば所得割りについていえば負担する必要のない人でも、幾らか入会金的な意味も含めて、地方自治をになうという意味で、近代的な新しい意味負担分任の考え方をすべきではないかというのが、大体当面の責任者である自治省の見解であろうかと思うのです。ところがことしの税制調査会では、聞くところによりますと、住民税の個人均等割りを引き上げるということについて、たいへん各委員の反対が多くて、さたやみになりまして、御存じのように法人の均等割りが引き上げられた、こういういきさつでありますが、私たちからいえば、やはりこれは人にかかる税でありますから、やはり近代的税制という立場からいえば、応能的にやるべきであろう、したがってでき得れば、均等割りはやはり大衆課税的な性格を持っているので、ないほうがいい、私たち学者としましては、そういう見解を持っておるのでありますが、実際問題としましては、実は市町村などへ参りますと、特に町村あたりへ行きますと、均等割りでもかなりの割合になるわけでございますね。したがってこれは財政収入を上げるという点からいえば、あったほうがいいという考え方もかなり強いだろうと思うのです。そこで私は最後には税源配分の問題、たとえばこれは私たちは試みの案としていつも申し上げておるのでありますけれども、所得税についても地方所得税というようなものは考えられないか。所得税の下のほうのたとえば税率一五%ぐらいのところをとって、これを何らかの形で地方に配るというようなことが考えられないものだろうかというようなことで、やはり国と地方全体を通ずる税源配分というようなことを考えないと、なかなか均等割りをやめるというようなことはできなかろう。それから地方自治体である限りは、何らか少しでも税金を負担すべきだというのは案外強いとも言えるわけでありまして、私たちの考えとしては、やはり応能的に考えるべきであると思うけれども、その辺はぜひ議員さんのほうで大いに国会で論議していただきまして、均等割りをやめてもいいようにしていただくのが趣旨ではないかというようなことで、お答えにかえさせていただきたいと思います。
  43. 太田一夫

    太田委員 非常にりっぱで、よくわかりました。
  44. 亀山孝一

    亀山委員長 次は華山君。  実は参考人の方みなお忙しいようでございますので、特に少し延ばしていただくようにお願いしましたけれども、あまり長くは延ばせませんということですから、簡単にひとつお願いいたします。
  45. 華山親義

    ○華山委員 小沢先生に伺いますけれども、われわれが地方で仕事をいたしまして、また国会議員になりまして、ここで地方行政を担当しておるわけでございますけれども地方財政というもの、あるいは地方行政というものが楽になったためしがない。いつでも何らかの困難な問題をかかえては苦しんでいなければならないのが実態でございますが、今日過疎の問題でまた苦しみ出した。初めてことしの地方財政白書にも出てきておりますけれども、こういうふうなことでございましたならば、いまのような人口の流動する時代におきましては、いつまでたったって地方財政の問題は片づかないのだ。何かこれを流動期においても永久に安定させる方法というものがあるものでしょうか、ないものでしょうか。ないとするならば、いまのような人口の流動をとめていかなければならないというふうなこと、まことに抽象的でございますけれども、ひとつお考えをお述べいただきたいと思うのでございます。  その次に石川県知事にお伺いいたしますが、県庁に関する限りは私も事情はずっと知っておりますが、県庁の職員というものは非常に多いのだ、遊んでいるのだ、こういうふうな風評がときどき言われますことは、私は非常に心外なんです。とにかく最近のこの公共事業の多い――ほんとうにもうそういう時期になりますと、毎日のように超過勤務をしてやっている、中央官庁では見られない実態、そういうふうな実態というものが、これは私だけが見ている実態なのか、あるいは石川県知事として、石川県なりほかの県にもそういう実態があるのかどうか。そしてあの人たちのやる仕事は、まず公共事業をやって、そしてそれがひまになってから単独事業のほうに手をつけるという実態である。そういう実態なのかどうか。いま御自分で見られているので、お答えを願いたいと思うのでございます。  それから徳島県の徳元町長さんにお伺いいたすのでありますが、過疎、過疎ということを言われる。なるほど過疎の現象はひどくなっておるわけでございますけれども、都会でございますれば過密のために交通の問題、上水道の問題、いろいろな問題があるわけでございますから、現実に非常に困るだろうということはわかるわけでございます。けれども、過疎地帯におきましては一体何が困るのか、町村制において何が困るのか。収入が入らなくなったからといって、過疎地帯においては本来あまり当てになる財源ではなかった。それを何とか定住させたい、そういう点でお困りなのか。どういう点が一番悩みとしてお困りなのか、その点をひとつお聞きしたい。
  46. 小沢辰男

    小沢参考人 現在の日本経済をどう見るか、特に現在行なわれている高度経済成長政策をどう見るかというような御質問かと思いますけれども、御存じのように、新しい経済社会発展計画でも実質で八・二%というような、かなり世界的に見ますと高い成長率を予定して、これでも安定成長だと考えておるわけでありますから、今後好むと好まざるとにかかわらず、一方では過密ないし過大都市問題、他方では農村の過疎問題はますます進行し、それから日本の経済の実態から申しまして、残念ながら太平洋沿岸ベルト地帯にますます集中し、やがては東海道メガロポリスというような実態現実化するというような考え方が、もうすでに所々方々から出されてきていると思うわけであります。したがって、一番簡単な方法は、いわば高度経済成長政策のやり方をもう少しダウンしたらどうか、たとえば昭和三十二年の長期経済計画でございますと、大体六%ないし六・五%なら当時完全雇用は可能だという想定であったわけでありますから、たとえば高度経済成長政策の立場でいう率をもう少し下げるような経済並びに財政運用をやったらどうかという考え方も確かに一つ考え方であろうと思いますけれども、しかし、これはかなりたいへんな意見の違いの中で現在のたとえば経済社会発展計画が出されていると思いますだけに、その受け身の立場にあります地方行政地方財政といたしましては、いま申し上げましたような矛盾といいますか、問題点がますます激化するということを想定してかからなければならないのではないか。したがって、行政当局並びに地方行政財政問題に関係のある議員さんの方々あるいは政府、特に自治省あるいは地方団体当局の方々がやはり声を大にしてこの問題にとにかく対応しなければ毎日子供が死ぬのだとか、毎日ますます公害がひどくなってくるのだということを、あと始末としてほんとうに真剣に考えていただく必要があるのじゃなかろうかということで、お答えにならないかもしれませんが、かなり高度経済成長政策は続くものと前提しなければいけないのではないか。そうなると地方行政地方財政で引き受けるべきこと、地方団体の引き受けるべきことはますますふえるのだということを、中央各省並びに議員さん方がますます理解していただくことがいいのではないか。私何か地方団体に同情的だというのではないのですが、私は現在の経済成長政策の中でわれわれの、つまり国民の生活生活環境の改善が困難になりつつある、このことが非常に重要ではなかろうかということでありまして、必ずしも地方団体に味方しているということではなくて、客観的に見てこの高度経済成長政策をなかなかやめるという動きはおそらく起こり得ないだろうと思うだけに、その結果として出てくる矛盾にはなるべく早く十分に対策をするということ、これをやはり何でも高度経済成長政策のいいところばかりやろうとしても無理なので、必ず矛盾が出てくるわけでありますから、やはり少なくとも最低限矛盾の対策はやるべきじゃなかろうかということで、抽象的な御質問でございますから、私もそんなことで勘弁させていただきたいと思います。
  47. 中西陽一

    中西参考人 お答えいたしたいと存じます。  私もかりに、県庁職員が多い、あるいは遊んでいるというようなことの批評がございましたら、まことに心外で、残念だと思うのでございます。なるほどたくさんおります職員でございますから、全国合わせますと何万となるわけでございますので、そういう不心得な者も中にはあるかも存じませんが、ほとんどの職員は、いまお話しのように残業等もやりまして、ようやくにいたしまして責めを果たしておるのが現状ではなかろうかと思うのでございます。特に最近公共事業が非常に伸びておりますし、また私たちは公共事業をできるだけ伸ばしてまいりたい、またそれとあわせまして単独事業その他も大いにやりたいわけでございますが、やはり職員といたしましては、それに対応するだけふやすわけにいかぬのでございまして、極力少ない人数で私どもは処理いたしておるわけでございます。特に御参考までに申しますと、地方税関係におきまして、おそらくどの府県も同様だと思いますけれども、税務職員はこの十年間を見ますと、漸減いたしておるのでございます。税収はふえておりますが、一方税務職員等は漸減いたしておりますし、私たち各県の知事は、おそらく管理部門、統制部門等の職員は極力節減いたしまして、それで現場の不足を補うというふうな苦労をしているのが実態でなかろうか、こういうふうに私は思うのでございます。
  48. 徳元四郎

    徳元参考人 人口が減ってまいりますと必然的に労働力の不足を来たしますと同時に、たとえ人口が減りましても、町村の行政事務につきましては何ら変わりがないわけであります。そういう面からいたしますと、やはり財政的な影響が及んでくるのでございます。かような面で、非常に人口の激減してまいります市町村につきましては非常に財政力が苦しい、こういうことでございます。
  49. 亀山孝一

    亀山委員長 折小野君。
  50. 折小野良一

    ○折小野委員 時間の関係もございますので、簡単に申し上げます。一言でお答えいただいてけっこうでございます。  まず徳元さんにお尋ねいたしますが、今回の地方公付税法の改正、特にこの中で過疎対策が講ぜられておるというふうに自治省は言っておられる。これに対しまして、地元の町村という立場において、この程度の改正が行なわれましたならば過疎対策において効果がある、こういうふうに実感としてお受け取りになりますかどうか。  それから次は、藤谷先生に一言お伺いいたします。現在の交付税地方財源の中の比重と申しますか、あるいは町村の九七%、ほとんどの地方自治体にこの交付税が配られておる、こういうような実態になってまいっておりますが、これに対して学問的な立場から見て、交付税というものは全体の地方財源の中で大体どの程度にあるべきであろうか、こういう先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  51. 徳元四郎

    徳元参考人 現在だけでは満足と考えておりません。今後とも改善を加えていただきまして、特に補正等につきましては、態容補正等につきましても細分化をしていただきまして、人口段階だけを見ることでなくして、もっと産業構造その他実際に即応した面で、しかも将来性を考えた面で御配慮をいただきたいと思います。
  52. 藤谷謙二

    藤谷参考人 お答えいたします。  地方交付税総額地方税収の中でどれくらいのウエートを占めるのが適当と思うかという御質問だと思います。簡単にたとえば半分見当とか、そういう目安はなかなかつけにくいと思うのでございますが、もちろんこれはほかの制度、たとえば税収の関係それから国庫納付金、そういうものと密接に関係しておりますから、ほかの制度を現在のままにしてどうかということにもなるかと思いますけれども、これが御承知の三千数百の地方団体の事情がまちまちでございます。それが全部比重を同じくするということはあり得ないわけでございますから、私、簡単に一言で、その何%が適当かということにはちょっとお答えしにくいのでございますが、まあ、そういう答えにならぬ答えで……。
  53. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろな条件があると思います。しかし大体考えまして、現在地方公共団体のほとんど全部、九十何%というのが交付税を受けている。しかし交付税の本来の性格からいえば、大体半分ぐらいの市町村が受けられる見当ぐらいがどうだろうか、こういうような先生の御意見ですか。
  54. 藤谷謙二

    藤谷参考人 半分が適当という考えを私、固めておるわけではございません。ただ、いま思い出しましたのは、御承知のイギリスの補助金制度でございます。イギリスは補助金という名前で調整作用もやってまいりました。特に九年前になりますか、一九五八年に大きな改正をいたしまして、現在と過去とだいぶ内容が違っておりますけれども、私の記憶にありますのは、少し大改正前の事情が頭に浮かびましたのでありますが、当時は全体といたしまして、地方団体の半数見当が交付団体で調整を受ける、半数以上は調整を受けない、こういうふうな状態にあったように記憶いたしております。しかしそれでいいのか悪いのか、それによってどういう影響があったかということを詳しく私は存じておりませんけれども、これはイギリスだけの事情なのか、日本にもそれが参考になるのか、その辺もまだ私は研究不足でございますけれども、いまのような状態よりも、大まかに申しまして、半分というのは少し大胆過ぎますけれども、相当多数が不交付団体でいいんじゃないか。特に、当然不交付団体のほうは超過財源とかいうことが問題になって、最近までやられましたように、いわゆる富裕団体は財源調整を受けるということがございましたが、もしかりに不交付団体が相当ふえますと、おそらくまたそれにつきまして財源調整ということが問題になるかと思います。最近の状況から見ますと、不交付団体といえども、まだまだ富裕団体という段階にはなかなかこないのじゃないか。将来大きく変われば別でございますけれども、相当不交付団体がふえましても、その財源の若干の余裕をすぐ余裕財源と見る段階はまだまだ先のことではないか、こういうふうに考えております。
  55. 亀山孝一

    亀山委員長 林百郎君。
  56. 林百郎

    ○林委員 時間がありませんので、二点ほど参考人にお聞きしたいのです。  一つは超過負担の問題で中西さんと徳元さんに、それぞれ府県団体と市町村団体にお尋ねしたいと思います。御承知のとおり、地方交付税法の一部改正で、態容の補正や単位費用について手直しがあるわけです。これは毎年やることです、しかし、それにもかかわらず超過負担が毎年出てきております。四十一年度では約千四百四十三億という数字も一応出てきておるようです。皆さんが行政の実務上財政需要額の計算をする場合に、どういうところが問題になって、どういうところを改善してもらったらいいだろうか、そして超過負担を解消するためにはどういうことを考慮してもらいたいかということを、各府県団体と市町村団体で遠慮なく聞かしていただきたいと思うのです。ここでいろいろおっしゃったから自治省がどうこうということはありませんから、どうぞ安心してやっていただきたいと思うのです。  それから藤谷先生と小沢先生には、中央政府が赤字公債を発行した場合に、学問的にそれが地方財政にどうはね返ってくるのか。御承知のとおり、中央政府が四十年度の補正予算で約二千五百九十億の公債を発行した。四十一年度は七千三百億、四十二年度は八千億という、実に雪だるま式の公債をどんどん中央は発行しているわけです。昨年度は、これは公債発行という要因ばかりじゃないのですけれども、これも一つの大きな要因になって、約千二百億ぐらいの特別事業債を発行して、三税収の減少もからんではいるのですけれども、一応幕を引いたわけです。ことしは、先ほど皆さんのおっしゃるようにわずか九十五億でとりあえずの措置をするというのです。しかし中央政府はますます膨大な赤字公債を発行していく、こういう中で、学問的にそれが地方財政にどうはね返ってくるのだろうか、それに対してことしの措置は、去年は千二百億の特別事業債を発行したのですが、ことしは自然増が三税あるいは地方税ともあるから、それで何とか幕が引けるだろうということで、とりあえず九十五億の特別交付金で幕を引こうとしておるわけです。そういうことでことしは幕を引くことができるかどうか。また根本的には、こういう中央政府の膨大な赤字発行政策が地方財政へどういうようにはね返ってくるか、それに対してどういう措置をすべきであろうかというような点について、藤谷先生と小浜先生にお聞きしたい、こう思うわけです。  以上二点です。
  57. 中西陽一

    中西参考人 超過負担の解消につきましては、全国知事会といたしましてたいへん強い関心を持っておるわけでございます。具体的にどういう方策を毎年講じているかということでございますが、ともかく知事会の出しました資料を御信頼いただきたいということになるのでございます。私どものほうで作成いたしました資料を信頼していただきまして、それを年次計画で、一挙にと申しましても、補正予算の御都合もございましょうが、なるべく早く年次的に解消していただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  58. 林百郎

    ○林委員 どういうところに問題があるのか、どうして超過負担が出てくるのかということをお聞きしたいのです。
  59. 中西陽一

    中西参考人 それはちょっと御質問の要旨を取り違えたわけでありますが、超過負担といわれておりまする内容にも、実は若干態様の違うものがあろうかと思います。国のほうでは最低基準としてこの程度でよいときめたもので、地方で見まするともう少し足したほうがよいと思われるものもある。そうすると、国の意思と地方考え方とにギャップがあります。それも超過負担といえるものもあろうかと思うのでございます。要は、やはり各省が予算編成時期におきまして、これについて強い関心をお持ちになることが第一じゃなかろうか。もう一つは、いつまでも補助金制度を現状のままで固定するのがいいかどうかという問題もあろうかと存じます。どちらにいたしましても、超過負担をいたしておりますることが、おそらく地方財政計画の収支の上ではどこかにしわ寄せがあるのではなかろうかと私ども思っておりますので、そういう意味におきまして、超過負担の解消ということは知事会といたしましても昨年来重点的に取り上げているわけでございます。ことしも大体二百億円以上解消されたというように承っておりまするが、まだまだ私たちは先にいろいろとあるだろう、したがいまして超過負担の資料を政府御当局、そして知事会というものがはっきりと数字を持ち寄りまして、それを年次的に解決していただきたいものだ、こういうふうに考えておるのでございます。
  60. 徳元四郎

    徳元参考人 超過負担につきましては、私ども全国町村会を通じましていつもやかましく叫んでおるわけですが、一つの例から申し上げますと、坪数ははっきりいたしませんが、たとえば屋内体育館をつくります場合に、六学級でありましても、六学級に相当した坪数しか認められないわけですから、どうしてもそこで、体育の振興をしていきますために一つのバレーコートをこしらえます場合におきましてもある数の面積が要るわけでありますが、その差額分につきましてやはり当然超過負担になってくる、こういうものにつきましては、当然文部省のほうにおきましても、そういう最低の学級数の場合におきましても、あらかじめこれだけの体育施設につきましては必要だという面積につきましては、やはり国のほうにおいて考えていただきたいと思います。将来ともそういう超過負担の面につきましては、私ども町村財政を圧迫する一つの大きな問題でありますので、これはひとつ国のほうにおきまして当然御配慮いただきたいと思います。
  61. 藤谷謙二

    藤谷参考人 非常にむずかしい大きな問題につきまして御質問を受けまして、満足なお答えもできかねると思います。これはもう私がお答えしましてもお答えにならない、皆さん御承知のことを申し上げるかもしれませんが、国の公債政策、特に赤字発行が地方財政にどういう影響を与えるか、また、それに対してどういう対策が考えられるかという御質問でございますが、一般論、抽象論としましては、赤字公債の発行がたとえば物価にどういう影響を及ぼすかということが面接の問題になるかと思います。物価に影響するか、あるいはどの程度影響するかということは、これは抽象論では片づきません問題でありまして、そのほかのいろいろなもの、特に経済の状況と密接に結びつく問題でございますけれども、大まかに、赤字公債の発行はしばしば物価を騰貴させる、あるいはインフレをもたらすということが言われるのであります。もしそうといたしますと、地方財政に対する影響、これは国の財政にも大きな影響が及びますけれども、物価の騰貴は当然経費増高、こういう関係をもたらす。税収その他の歳入につきましても影響がございますけれども、おそらく収入と支出のバランスを失する。地方団体の経営の困難ということになろうかと思います。  もう一点は、物価の関係をしばらくおきまして、その赤字公債の発行によりまして国がどういう施策を行なうかということとも関連をすると思うのであります。過去のにがい経験といたしまして、戦争中に政府が赤字公債を発行した、それが地方財政に大きな影響を及ぼしたという経験をわれわれも持っているわけでございますが、こういった過去の事例が今日にそのまま当てはまるとは考えられません。政治的にも経済的にも、また社会的にも条件が大きく違っておるのであります。しかし、違っておりますが、それは別といたしまして、たとえば政府がそういう公債を発行しまして、それを財源としまして、たとえば産業基盤の整備とか公共事業の方面に大きな事業を拡張、拡大していくという場合、これはまた御承知のように当然地方団体にも影響するわけでございまして、補助事業として行なわれますと、当然地方負担分がそれだけふえてくるというかっこうで、もし国の公債対策がそういう方面に施策の拡充に用いられますと、当然地方もまたその余波を受ける。  そういうわかり切ったようなことを申し上げましたが、対策といたしましても、抽象的に申しますと、これを地方の責任において、たとえば経費を無理やりに切り詰めるとか、しいてバランスを合わす、あるいはそのために地方債を起こす、こういうことは本来のあり方ではない、間違った行き方だと思います。そういう結果につきましては当然国が責任を持つ。地方財政がそのために困るならば、中央がその善後処置、財源措置を当然国の責任において行なうべきである。まことに答えにならない抽象的な話でございますが、こういうふうに思います。
  62. 小沢辰男

    小沢参考人 大体基本的には藤谷先生のお答えでよろしいかと思いますが、実は四十年の十月に自治省が当時の財政制度審議会に資料を提出しております。当時言われておりましたのは六千億円の国債発行――実際は四十一年度は七千三百億円発行しましたが、六千億円発行すると、地方財源の不足はどのくらいになるかという試算を自治省当局がやっております。これによりますと、大部分が公共事業費で、一部が社会保障に行って、それが地方におりてきますると、これは当然地方負担増になるわけでありますが、そういうことを勘案しまして、大体三千九百億円にのぼるという数字を出しております。ですからこれだけ穴があくのだということでありまして、四十一年度は七千三百億円出したのでありますが、地方団体の税収は若干でもふえるとかあるいは節約するというようなことを含めまして、四十一年度財源不足は、自治省計算では二千八百九十億円ということになりまして、その半分くらいは、千二百億円の特別事業債を出して、あとは臨時特別措置をやった、こういうことになっておりますが、もし国債発行六千億円が国税の自然増収であったとすれば、おおむね国税の二割くらいが地方交付税になりますから、千二百億円が普通の場合だったら来るはずだ。それから六千億円国税伸びるようなときには、大体経験的に見てその四割くらい、二千四百億円くらいふえるはずだ。これで三千九百億にはならないかもしれないが、大体そういうことになるべきものが、国債を発行して――日本の自治体は世界にも珍しい自治体でございまして、非常に国の仕事を分担しておるわけでありまして、そういう意味で国と地方関係が非常に密接でありまするから、結局日本の場合は、特に国が公共事業中心に赤字国債を発行するという場合には、地方がどうしてもそれだけ財源不足になるわけでありますから、その対策はでき得れば、国の政策に伴う措置だから、やはり国が責任を持って一般財源で保障してほしい、ただでも地方地方債を場合によれば発行して仕事をしなければならないから、そのままで今後続けていくとたいへんなことになるのじゃないかというのが、今度の第十一次地方制度調査会の、少なくともその限りでの答申の趣旨であったと思います。  それから第二点は、藤谷先生が申し上げましたように、林議員さんも国庫補助金の超過負担が千億をこすではないか、自治省もここ一年、一生懸命中央各省に行って減らしておるけれども、相変わらずなかなか千億を下るということがないようだという御意見なのでありますけれども、事実赤字国債を発行しますと物価はどうしてむ騰貴する方向へ作用いたしまするから、そうしますとどうしても行政はあとからあとからついていきますから、単価を直すとまた物価が上がって単価が上がってくるということで、なかなか超過負担が解消できないという意味での反映が一つあるのではないか。それから地方団体には国が責任を持って財源保障を確実にやってくれればいいのですが、やってくれなければ、その限りで地方債がふえていきまして、地方債は、まあ借金できるところが借金すれば返せるわけですが、一般行政の費用として借金でやりますると、いわば財政貧弱団体もこの負担を負わなければならないということで、たいへんな問題が起こる可能性があるということであります。  このように赤字国債を発行してでも仕事をやるということになりますと、現在の国と地方自治体関係におきましては、関連する単独事業費がいやでも増大せざるを得ない。それをやらなければ、たとえば大きな道路ができたときに、バイパスをつくらなければうまくないということがどうしても出てきますと、いやでも単独事業をふやさざるを得ないということになると、そのほうから財政負担がふえるという形で、これは何としても日本は世界に珍しい自治体だということ、この点がはっきりいたしませんと、非常に国の仕事が直ちに地方の仕事になる――代理負担ということでありますが、なるという仕組みを十分中央各省が考えてくれないと困るのじゃないか。議員さんにおかれましてもそういうことを十分考えていただかないと、国家財政のことばかり考えたのじゃだめなんだということはよく言われているとおりだと私は思うわけであります。  大体そんなことであります。
  63. 亀山孝一

    亀山委員長 参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  次会は明二十五日午前十時より理事会、午前十時三十分から委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十九分散会