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1967-05-23 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十三日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       佐々木秀世君    塩川正十郎君       辻  寛一君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    永山 忠則君       古屋  亨君    山田 久就君       井上  泉君    太田 一夫君       河上 民雄君    島上善五郎君       依田 圭五君    折小野良一君       小濱 新次君    林  百郎君  出席政府委員         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七〇号)  昭和四十二年度における地方財政特別措置に  関する法律案内閣提出第七八号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  さきに自治大臣から両案の提案理由説明を聴取いたしましたが、この際、細郷財政局長から補足説明のため発言を求められておりますので、これを許します。細郷財政局長
  3. 細郷道一

    細郷政府委員 最初に、地方交付税法の一部を改正する法律案について補足説明をさせていただきます。資料の、地方交付税法の一部を改正する法律案関係資料というとじたものの三番目の青い紙のところに改正法律案が載っておりますが、便宜それで御説明させていただきたいと思います。  最初は、第十二条の第一項の規定改正でございます。十二条の第一項は、御承知のように、経費種類測定単位について定めた規定でございます。それにつきまして今回一部を改正いたしております。考え方は、現在の動態的な経費算定を従来より、より効率的にしたいというような考え方によりまして、たとえば「道路橋きょう費」を一つ費目にまとめました。そのほか、その他の土木費の中の測定単位整理いたしまして、従来その他の土木費のうち面積分算定をしておりました砂防関係経費河川費のほうへ算入するように直しました。また、土地区画整理事業につきましては、その他の土木費人口において算入するように改めた、こういうふうに統合をいたしております。一ページから二ページへかけまして、府県分についてのいま申し上げたことがそれぞれ改められております。  それから二ページの中ごろから市町村についての改正でございます。「道路橋りよう費」を一つにすることは府県分と同じでございますが、市町村におきまして新たに「下水道費」という費目を起こしました。従来「都市計画費」の一部あるいは「清掃費」の一部に入っておったのでございますが、下水道事業都市計画上の地位の重要性にかんがみまして、今回「下水道費」というのを新たに新設をいたしております。  それから第十二条の第二項は測定単位の数値の算定について定めておる規定でございますが、それにつきましては、ただいま申し上げました測定単位の変更並びに下水道費について「人口集中地区人口」というものを新たに加えましたので、それについての規定をつけ加えております。「人口集中地区人口」は、御承知のように国勢調査におきます調査単位ごと密度の高いところについて特に調べられた人口ということでございます。  それから第十三条につきましては補正係数につきまして定めておる規定でございますが、それの第三号について、これは従来態容補正規定でございましたが、それを改めました。これは従来種別補正とかあるいは密度補正あるいは特別態容補正というような方法によって投資的経費についての算定をいたしておったのでございますが、今回それらを合理化かつ簡素化する意味で、投資態容補正というものに取りまとめることにいたしました。それに応じまして、その根拠となります規定を改めたものでございます。  それから第十三条の五項は、補正種類についての規定でございますが、いま申し上げました投資態容補正新設等に伴いまして、費目ごと補正種類整理合理化をいたしたものでございます。  四ページ、五ページ道府県分の現在の適用になっておるものでございますが、それを五ページから六ページにかけてのように改めております。たとえば二、三申し上げますと、道路費道路延長で、従来種別補正密度補正とございましたのを、それを今回は改めまして、延長分からはそういうものを除くというような方法によっておるものでございます。  それから七ページから八ページにかけましては、同様市町村分についての補正種類規定改正をいたしております。これにつきましても、従来の補正種類合理化統合をはかっております。  それから一〇ページでございますが、市町村徴税費算定につきまして、市町村間に税収入格差が生じたことによりまして、従来方式ではどうも的確な算定ができない。(「ページが違うぞ」「一七だろう、段階補正だろう」と呼ぶ者あり)ページが違いますか。これはどうもたいへん失礼いたしました。法律改正案の第十三条第五項の最後のところでございます。第十四条の改正規定のすぐ前でございます。徴税費について新たに段階補正を加えて適正な算定をいたしたい、こういうふうに改めようとするものでございます。  それから第十四条第二項というのは、規定整備でございます。  それから別表で、御承知のように単位費用の額が別表で定められておりますので、これを今回、給与の改正でありますとか、あるいは生活保護基準の改定でありますとか、あるいは投資的経費の算入といったような意味で、それぞれ単位費用を改定いたしております。法の形式上、別表全体を取りかえておりますが、災害復旧費とかあるいは特定債償還費といったようなものにつきましては従来と同じでございます。その他はほとんど全部少しずつ変わっております。  それからあと附則でございますが、公営企業金融公庫法附則市町村における草地改良事業を新たに基準財政需要額に算入することに関連して、公庫融資対象草地改良事業を加える。  それから後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律で、過去三カ年の年度をとります際に、昨年、昭和四十一年度特別事業債がございましたために、財政需要額が普通の年と違った姿で出ております。縮小されて出ておりますので、その年度を除くことによって、過去三年の平均が適正なものになるというふうに、法の規定を改めたものでございます。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案内容でございます。  次に、昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案内容について、補足説明をさせていただきます。  第一条は、ここにありますように趣旨を書いたものであります。  第二条で百二十億の総額を定めました。内訳を第一種交付金九十五億、第二種交付金二十五億と、それぞれ区分をいたしております。第一種交付金の九十五億につきましては、普通交付税と合わせて算定をすることといたしております。交付事務便宜上、都道府県に全部渡します。それから第二種交付金は、市町村及び特別区に対して交付をすることにいたしております。  第三条、第四条がそれぞれその算定方法でございますが、第三条は、第一種交付金算定にあたっては都道府県財源不足額案分をする。それから第二種交付金につきましては、四月一日現在におきます市町村、特別区が管理する道路法市町村道、これに案分をする、こういう考え方でございます。  それから第五条は、第一種交付金交付税と合わせて算定をいたしますために、交付税特例をここに技術的に規定をいたしたものでございます。それの第二項におきまして、特別事業債償還費という財政需要を立てるようにいたしております。また、市町村分につきましては、市町村道路橋梁費に、財政需要算定の基礎になる単位費用特例を定める、こういうふうにいたしております。  それからあとはそれぞれ規定整備でございます。  それから附則にいきまして、産炭地域振興臨時措置法、それから新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律、これにつきましては、いまそれぞれ申し上げました第二種交付金基準財政収入額収入見込みに加えることに伴う規定整備でございます。  以上でございます。     —————————————
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 これより両案の質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを順次許します。河上民雄君。
  5. 河上民雄

    河上委員 昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をいたしたいと思うものであります。自治省並び大蔵省の責任ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 まだ大蔵省政府委員は来ておりませんから、呼びますけれども、それまでひとつ自治省への御質問をお願いいたします。
  7. 河上民雄

    河上委員 それでは自治省の御答弁をいただくことにいたしまして、大蔵省のことはまたあとでお願いいたしたいと思います。  私は、国会に議席を置きましてまだ日が浅くて、これまでやってまいりましたことも、地方財政とは少し違うところにございましたので、全くいわゆる専門家ではございませんので、私の質問の中には、専門家の方からごらんになりますならば、的はずれの点もあるかと思うのでございますが、いわば一市民として非常に素朴に感ずる点を申し上げてみたいと思うのでございます。あまり専門的な点、技術的な点にはまり込んでしまうために、かえって見落とされるような点をつくようなこともあるかと思いますので、そのようなおつもりで御答弁願いたいと思うのであります。第一に、はなはだ基本的なことでございますけれども、私この二カ月あまり伺っておりまして、地方財政仕組み地方財政制度というものが部分的には非常に精緻をきわめておりまして、また合理的であるように見えるのでありますけれども、はたして全体としてそれだけの合理性を持っているのかどうかというようなことにつきまして、はなはだわからないのでございます。その実、最近の経済社会情勢の変化に伴って、あまりにも精緻であり合理的であり過ぎるために、かえって身動きならぬ状態に追い込まれているという面があるのではないか、こんなふうに疑問を感じておるのでございます。ことに練達の専門家である方々には非常に敬意を表するのでありますけれども、数人のいわば職人的な人にしかわからない、一般市民にはとうてい及びもうかない複雑さというものは、地方自治の本旨を実現すべき地方財政趣旨に沿うものであるかどうか、私は非常に疑問を持っておるのでございます。もっと簡素化する道はないのだろうか、こういうことをお伺いしたいのであります。巷間伝えられるところによりますと、地方財政の非常な専門家で、多年の経験を有する方々の間におきましても、もっとわかりやすく、そして大まかにやっても、今日のような精緻な制度と、結果においては大差ないのではないかという反省が起こっているやに聞くのでございます。ことしは戦後二十年、地方自治の歩みを歩んできたわけでありますが、このあたりで地方財政のあり方を根本的に考え直すお考えはないのかどうか、このことをお伺いいたしたいのであります。
  8. 細郷道一

    細郷政府委員 あまり精緻に過ぎてわからないということが、よく実は地方交付税算定について言われる点でございます。地方財政全体の仕組みといたしまして、住民理解を得ながら地方財政運営ができるというような仕組みは、制度的に考えます場合には、全部地方団体みずからの徴収する税をもって財政運営を行なう、こういう仕組みになりますれば、一番住民との間に直結の関係が生ずるのではないか、かように考えます。しかしながら、御承知のように、現実には地域的に経済社会にいろいろな意味での格差があるわけでございます。租税を徴収いたします場合に、その地域格差を全部カバーするような税制というものはなかなかむずかしいのではなかろうか。御承知のように、税はいろいろの所得あるいは消費あるいは財産の所有、取引といったような行為、その他の課税客体に対して課するものでございますが、ひっきょうするに、最後所得に対する担税力をいろいろな形でとらえるというのが税制であるわけでございます。したがいまして、地域的に経済格差が生じておりますると、どうしてもそこに所得上の格差が生じますので、税制だけでいまの三千五百の地方団体に全部それぞれの需要をカバーできるようなことは、実際問題として非常にむずかしい、まず不可能に近いだろうと思っております。そこで、それを補完する意味ておきまして交付税制度があるわけでございまして、交付税によりまして、その税収入の少ないところへも交付税が行くようにする、多いところには行かないようにする、こういう一つ調整をいたしておるわけでございます。ただ、その場合に、財源調整をするにあたりまして、近代国家が進んでまいりますると、いずれの地におきましても、この程度行政の保障はしなければいけない。いなかいなかでいいんだ、学校はきたなくてもいいんだ、古くさくてもいいんだ、教育程度は低くてもいいんだというわけにはまいらないわけでございまして、どの地帯におきましても、どんなへんぴなところにおいても、教育について均等なる機会を得、かつそれに伴う財政需要を満足させていかなければならない。こういうようなことから、交付税地方交付するにあたりましては、その需要をそれぞれ算定いたすわけでございます。その算定にあたりましては、教育については教育民生については民生衛生については衛生、こういうふうにそれぞれの行政項目ごとに、その必要とされる需要額算定いたし、それと税収入との差を交付税交付をいたします関係上、どうしてもその需要算定にあたりまして、勢いこまかくならざるを得ないわけでございます。御承知のように、日本交付税制度は、世界的に見ても、非常に合理的、進歩的であるといわれておるわけでございますけれども交付税配分にあたって、人口とか面積とかいうようなもので包括的に算定をして交付するというのも、確かに一つの行き方だと思います。思いますけれども、何しろ国全体が狭い国土であり、これだけ社会経済、文化、通信その他の伸展に伴って相互に共通的な要素を持っております日本段階におきましては、どうしてもそういう意味においてある程度の精緻さというものも要求されるわけでございます。しかし、私どもも、できるだけこれに伴う事務の繁雑さを避け、そういうことによって合理化簡素化ということを常に頭に持ちながら、行政項目ごと測定が合理的にいくように考えておるのでございます。  今回の改正におきましても、先ほど補足説明で申し上げましたように、たとえば道路橋梁というようなものを従来分けておりましたので、それぞれ計算をいたしますときに、道路道路面積分橋梁橋梁面積分と分けて計算しておったのでございますが、そういうことを今回改めまして、道路一本でこれを算定していく。こういうように改めようといたしておりますことも、そういう線をいささかでも出そうという努力あらわれである、こう御理解をいただきたいと思うのでございます。
  9. 河上民雄

    河上委員 いま局長からるる御説明がございまして、日本地方財政制度、ことに地方交付税制度世界に冠たるものであるというような、自信に満ちた御答弁があったわけでございますが、参考までにお伺いしたいのでございますけれども、近代的な国家においては、というようなお話でございましたが、一体諸外国ではどうなっておるのか。イギリスでは、聞くところによりますと、もっと簡単な仕組みでまかなっておるという話もあるのでございます。地方財政につきまして、イギリスアメリカ、西ドイツ、フランス、大体この四国である程度世界の大勢はわかると思うのでございますけれども、こういう四国における現況というものを御参考までに伺っておきたいと思うのでございます。
  10. 細郷道一

    細郷政府委員 外国地方行政あるいは地方財政制度日本の場合を比較するときに、一番大事なことは、行政地方分権がどの程度行なわれておるかということにあろうかと思います。私は、いろいろ議論はございまするけれども日本が一番たくさん府県市町村に仕事をやらしている国だと考えております。  そういった前提はございまするが、税、財政制度自体から見てまいりますると、いま例が出ておりましたが、イギリスにおきましては、御承知のように、市町村というか、日本のいわゆる地方団体に当たりますものの財政は、たった一つの、日本でいえば固定資産税に当たるような税だけでございまして、あとはもっぱら国から調整金を渡す。その調整金の渡し方は、だんだんと個々の補助金から包括的な補助金に移りつつある、こういう状況でございまして、日本のように相当程度地方税収入を持っておる国とは多少行き方も違っておるのでございます。  それから、日本の場合は、御承知のように、戦後のいろいろな経緯から、アメリカ的な制度がかなり入っておると思うのでございますが、アメリカにおきましても、日本のようなこういう包括的な地方交付税制度はございませんで、わずかに教育につきまして交付税制度といいますか、平衡交付金制度といったようなものがとられておる程度でございまして、むしろ勧告をしたアメリカ視察団自体が、日本の包括的な交付税制度に感嘆をしたというようなことも、私はうわさに聞いておるのでございます。  あとは、ドイツは比較的地方制度といいますか、分権制度が早くから発達しておるところでございますが、ここは、御承知のように、一方では非常に中央集権的な面がございまして、地方団体をいろいろ区分をいたしておりますけれども、反面では非常に中央統制的な行き方を持っておるのでございます。ただ、ここにおきましては、税制優等において、御承知のように多少違っておりまして、州で取った税を連邦に納めるといったような点、これは財政前提となります事務配分の違いからきておると思うのでございますし、また連邦州政府といったような、日本と違った行政仕組みからきておると考えておるのでございます。
  11. 河上民雄

    河上委員 いまのお話では、日本地方財政制度は非常にすぐれておるというお話でございますが、にもかかわらず、現在こういう非常に大きな問題を生んでおるわけでございまして、その一つの原因は、シャウプ勧告案でそういう制度は取り入れられたけれども、十分な財源の裏づけがないということと、もう一つ事務の再配分をその際行なわなかったということに原因するのではないか、こういうように思うのでございます。いまの四カ国の状況につきましては、いまのようなお話だけではまだ十分わかりがたい点もありますので、できますならば資料でいつか出していただきたいと希望いたすわけでございます。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、行政事務配分とい前提がいろいろ違っておりますので、なまの資料だけでは比較が困難かと思いますが、一応国と地方におきます税源の分配その他、手元にありますものを資料として提出さしていただきたいと思います。
  13. 河上民雄

    河上委員 今日、地方自治というものは非常な危機であるということは、もはや自治省の内部でも通説になっているようでございまして、先日の本委員会において細谷委員から紹介されました論文の中では、絶対的危機という表現さえ使われておるわけでありますが、その危機の焦点になっているのが地方財政でありまして、また、その地方財政危機が一番集中的にあらわれているのが都市財政赤字であるというふうに私は考えるのでございます。地方交付税の体系の中では、大都市というものは一般富裕団体とされているわけでございますけれども、そうした都市が、実は急増する財政需要に応じ切れず、むしろ実質は貧困団体であるといわなければならないというふうに感ずるのであります。ことに私の出てまいりました神戸市などは、そうした問題を非常に深刻にかかえているわけでございます。こういう一つ状況都市財政赤字というものの背景にあるものが何であるかと考えますると、今日、日本社会一つの大きな変貌の中心的なあらわれであります都市化現象というものがそこにあるわけでございまして、この際そういう激しい経済社会環境の転換に対処する上で、現行の税財政制度というものが十分でないのではないかということを感ずるのでございます。都市財政赤字に対処するために、財源調整についてかなり思い切った対策が必要ではないかというように感ずるのでございますが、次官の御答弁をお願いしたいと思います。
  14. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと、次官がお答えする前に、今回の改正法案の中身にも関連いたしておりますので、私から説明させていただきます。  先ほど申し上げましたように、税財政制度仕組みとしてはともかくといたしまして、日本におきます社会経済の動きというものに対処してどういうふうにこの制度を適用していくかという問題は、御指摘のとおりにあるわけでございまして、その一つとして、都市化現象に対するこの制度運営をどうしていくかというような問題がございまして、私どももそれに対していろいろと知恵をしぼっておるわけでございます。今回交付税算定におきましても、都市化の面につきましては人口の急増の補正をいたしますとか、その他都市化的なものとして、たとえば、先ほども申し上げました下水道費、そういった算定合理化充実をするといったような方法によりまして、都市におきます財政需要に適合するように努力をいたしております。私どもも、しかしこれだけでは十分だとまだ思っておりません。したがいまして、もっと、より抜本的なことを考えていかなければならないと、いろいろと研究題目として考えておるわけであります。
  15. 伊東隆治

    伊東政府委員 地方財政充実という問題は、なかなかむずかしい問題でございまして、これを中央からどの程度充実していこうかということは、なかなか重要なる研究問題でございます。しかし、現在におきましては、相当の力をこれに注ぎ込まないと、地方財政はやっていけないという現状でございますので、その配分については常に財政当局におきまして研究をいたしておる次第でございます。
  16. 河上民雄

    河上委員 そういう抽象的なことではなくて、もう少し具体的な御答弁をいただきたいのでありますが、たとえば法人税所得税の移譲なんというようなことにつきましては、大蔵省ではどういうふうにお考えか、ちょっと伺いたい。
  17. 秋吉良雄

    秋吉説明員 地方と国の税財源配分の根本問題の御指摘かと思います。これは先ほど自治省から御答弁があったと承っておりますが、やはり事務配分前提として、その上に立ってしかるべき税財源配分をするということでないといけないかと思います。そこで、問題は、税財源の偏在の調整の問題とか、地方交付税制度の問題とか、あるいは国庫補助金制度の問題とか、いろいろな基本的な問題にからむ問題でございまして、今後とも大蔵省といたしましては自治省と相談いたしまして慎重に検討いたしたい、このように考えます。
  18. 河上民雄

    河上委員 いまの各政府委員の方の御答弁では、とうてい、いま爆発的に起こっております大きな都市化現象というものには十分対処できないのじゃないかというふうに考えるのでございます。最近、政治的な動きといたしましても、各党とも、都市問題こそ現在の日本の重大な問題であるということに着目しておるのでありまして、いまのようなゆうゆうとした態度では、とうてい事態の解決はむずかしいのじゃないかということをおそれるのであります。ことに、私が申しましたようなことにつきましては、いわばこれはしろうと議論ではないかというような感じでおられるのではないかと思いますけれども、いま、むしろ必要なのは、そうした素朴なしろうと議論の中にある真理というものを、もっとまじめに取り上げる必要があるのではないかというふうに私は考えておるのでございます。  先般来、わが国に、東京都の都知事の招待で大都市問題の診断のために呼ばれて東京に来ておりますロブソン博士の近著、見解によりますると、地方財政問題に触れまして次のようなことを申しまして、自主財源というものが最低五〇%に達しなくては地方自治の実態はないのだということを非常に強調しておられるのであります。ロブソン博士の著書の翻訳が出ましたに際しまして、日本版に対する序文を贈っておられるのでありますけれども、その中に次のような一筋があるのであります。「最後地方財政の問題がある。いかなる法律が制定されようが、十分な地方税源の裏付けなしには、地方自治はその効率を発揮できない。英国の地方政府は、平均すればその収入の半分以上を地方税ではなく、中央政府の補助金から得ている。私は、同様な状況日本にもおきているのを知っている。中央政府に対するそのような過度の財政的依存は、自治体の自由と独立の根底を危くするものである。」というようなことを述べておられるのであります。私はこの意見に非常に賛成するのでありますけれども、こうしたロブソン博士の意見も、やはりしろうと議論であるというふうにお考えになるかどうか、政府の御見解を承りたいのであります。
  19. 細郷道一

    細郷政府委員 私はロブソン博士の、いまお読み上げになりました部分について承知をいたしておりませんが、新聞その他で見てまいりますと、日本の現状に対してなかなか含蓄のある発言をしておられるのでありまして、その内容は、単に財政問題のみならず、行政財政を通じましていろいろ参考になる意見を発表しておられるわけであります。私どももこれについては今後十分研究をして、いいところは取り入れるように努力をしなければならぬ、かように考えております。
  20. 河上民雄

    河上委員 地方財政制度についての政府の皆さま方の御意見については、はなはだ不満足でございますけれども、ただ、最後にここで協調しておきたいのは、地方自治二十年の歩みを経た今日、いますけれども、ただ、最後にここで強調してお非常に重大な転換期に直面しているということでございまして、それに対処するためにはかなり思い切った対策が必要である、態度の変更が必要であるということを私はここで申し上げておきたいのでございます。  次に、昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案につきまして、二、三の点をお伺いいたしたいと思います。  本年度地方財政措置における問題点は大体二つあると思うのでありますが、その一つは、第十一次地方制度調査会の答申をいかに実現していくかということと、いま一つは、前年度の臨時応急の地方財政措置の事後処理の問題であろうと思うのであります。そこで後者につきまして、特に大蔵省自治省の御見解をいただきたいのであります。私は前年度のことにつきましてはあまり詳しく承知いたしておりませんで、ただ記録によって見ているだけでございますけれども、臨時地方財政交付金につきましては、昨年度の本委員会における附帯決議あるいは大蔵大臣、自治大臣からお約束もありますので、この点特に明確な御答弁をお願いしたいのであります。大体地方団体といたしましては、このような臨時的な措置では非常に不安でありまして、来年の計画にも支障を来たすのではないかとおそれているようであります。  そこで、次の四点についてお伺いいたしたいと思います。  第一点は特別事業債、本来交付税でやるべきもの九百十九億のうち、交付団体分としての七百六十億に対する元利償還分として五十三億あるわけでございますけれども、これが単年度措置、本年度限りとなっておりますのはどういうわけでありましょうか。ことに前年度の衆議院本地方行政委員会審議の過程で、事業債については国の責任において元利償還をすべきではないかという質疑がなされまして、それに対し自治大臣から、地方財政を圧迫しないような方法で必ず処理するということを申されておりますし、また今回も、四十三年度以降につきましても地方に迷惑をかけないように措置するというような意向があるやに聞いているのでありますが、この点につきまして明確な御答弁をいただきたいと思います。
  21. 細郷道一

    細郷政府委員 特別事業債一般財源を削って去年措置をいたしたのでございますので、その分の元利につきまして私どもは全部補給をするようにという要求をいたしました。しかし結果は明年度だけということで、四十三年度以降の問題は後日に残されました。私どもも非常に自分の力足らずと思って、不満足に思っております。たまたま四十二年度がまだ利子だけの支払いしか始まらないといったような事情もあったりいたしましてそういう措置になったのでありますが、今後どうしても四十三年度以降もこの元利補給が完全にできますように私ども努力をしたい、かように考えております。
  22. 河上民雄

    河上委員 大蔵省のこの問題に関する御答弁をいただきたいと思います。
  23. 秋吉良雄

    秋吉説明員 四十二年度地方財政は、御案内のように、四十一年度に比しましてはかなりの好転を期待できるのではないかと思っております。しかし、なお一そうの地方財政の健全をはかる趣旨からいたしまして、御審議を願っておりますように、臨時地方財政交付金といたしまして百二十億の財源交付をいたします。また恒久的な自主財源という意味合いからいたしましても、たばこ消費税の引き上げをいたしたわけでございます。そこでこの百二十億円の臨時地方財政交付金の中に、特別事業債の利子支払い財源に充てるため、臨時でございますが、五十三億円の措置をいたしておることは御指摘のとおりであります。そこで四十三年度以降の問題はどうなるかということ、それから臨時措置ではないかということでございますが、要はこれによりまして地方公共団体の財政運営に特別の支障がないようにということで、今後とも私ども将来の措置を検討いたしたい、かように考えております。
  24. 河上民雄

    河上委員 この問題は特別事業債が設置せられました本来の経過から見まして、元利償還は国で責任をとるという方針が当然である、あまりにも当然である。単に何とか努力したいというだけではなく、この委員会におきましてそうした方針を明確にするということが、本年度におけるこの地方行政委員会一つの重要な仕事ではないかというふうに思うのであります。ひとつそのようにぜひとも努力していただきたい。次官にその点についての御確約をいただきたいと思うのであります。
  25. 伊東隆治

    伊東政府委員 この点、自治省当局におきましても、明年度からも一切迷惑はかけないように努力をいたす方針であります。
  26. 河上民雄

    河上委員 迷惑というのは非常に抽象的な表現でありまして、先ほどから細郷財政局長世界に冠たるものとして誇った、精緻かつ合理的な地方財政を論議している場としてははなはだふさわしぐない表現であると思います。そういう迷惑ということではなくて具体的に——元利償還は国で責任をとるというあまりにも当然なことを明確にできないということははなはだ遺憾でありまして、私が最初に申しましたのも、非常に部分的には精緻かつ合理的であるにもかかわらず、全体としてはたして合理性を持っておるか、科学性を持っておるかということについて非常に疑いを持ちましたのも、一つはこういう点があるからでございます。ひとつ、どういう方法でというよりも、いま言ったような方針を明確にするように努力するということをここで約束していただきたいのであります。
  27. 伊東隆治

    伊東政府委員 いま、迷惑をかけないということが抽象的なということでございましたが、これは元利償還につきまして責任をとっていこうということでございます。
  28. 河上民雄

    河上委員 いまのような押し問答をしても切りがないようでございますけれども、これは本来、そういう元利償還は国でやるという方針を確立することが先決でありまして、元利償還計画というようなものも全く明らかにされないで、ただ単年度限りを繰り返すということも非常に問題があるというふうに思うのであります。その償還計画につきまして、いますぐ資料が出せないならば後ほどでもけっこうでありますが、ひとつ資料を提出するように要求したいと思います。
  29. 細郷道一

    細郷政府委員 特別事業債九百十九億円の元利の償還額は、全体といたしまして申しますと、四十三年度で百十四億一千七百万、四十四年は百二十七億一千万、四十五年は百二十三億四千八百万、四十六年は百十九億八千六百万、四十七年は百十六億二千三百万、四十八年は百十二億六千百万、四十九年は百八億九千七百万、五十年は百五億三千五百万、五十一年は百一億七千二百万、五十二年は九十八億一千百万、五十三年は九十四億四千八百万、五十四年が九十億八千五百万、五十五年が三十七億五千六百万、五十六年が三十七億五千六百万、以上であります。
  30. 河上民雄

    河上委員 ただいま償還計画を伺ったわけでございますが、これの元利の内訳というものは大体わかっておりますか。
  31. 細郷道一

    細郷政府委員 ただいまのは元利の合計でございまして、内訳はいまちょっと手元にございません。
  32. 河上民雄

    河上委員 それでは、後ほどその資料を出していただくようにお願いしたいと思うのです。
  33. 亀山孝一

    亀山委員長 細郷財政局長、いまの河上君の御要求はいいですか。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 提出いたします。
  35. 河上民雄

    河上委員 第二点といたしまして、去年の第三種特例交付金五十億の交付団体にかかわる四十二年度の四十二億についてでございますけれども、この問題につきましても、ただいまと同様今後の措置、また四十二年度限りとなっているのはどういうわけかということにつきまして、自治次官の御答弁をいただきたいと思います。
  36. 細郷道一

    細郷政府委員 これにつきましても、実はたばこ消費税で補てんするようにという要求をいたしましたが、話がまとまりませんで、本年度交付団体、こういうことで本年度の臨時の措置にいたしたわけでございます。したがいまして四十三年度以降につきましても、この税の収入の推移、地方財政全体を見て措置を検討しなければならぬと考えております。
  37. 河上民雄

    河上委員 わが党の立場から申しますと、それは承服できないのでございます。(「わが党じゃない、国会だ」と呼ぶ者あり)国会の立場からという先輩委員からのお話がありましたが、まさにそのとおりでございまして、こういう問題につきまして常に単年度措置ということを繰り返すことは、地方団体としては非常に不安であるということがいえるのでありまして、ぜひともこれにつきましては長期的な方針というものを今年度において明確にする必要があろうと思います。その点につきまして重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  38. 細郷道一

    細郷政府委員 私ども一つ一つの案件を恒久的な形で処理したいという気持ちは強く持っております。ただ本年度におきましては、こういったような財政の事情、経済界の事情の急進展といったようなこともございまして、かつ恒久的な措置についての政府部内における話し合いがまとまりませんために、不満足ながらこういう形になっておることは私ども非常に遺憾に思っております。しかし先ほど来お答えいたしましたとおり、明年度におきましてはこれが措置を恒久的に処理できるよう私どもとして最大の努力をいたしたい、かように考えております。
  39. 河上民雄

    河上委員 ひとつ何としても四十三年度以後におきましてはそういうことをぜひとも実施するということを今年度において明確にしていただきたいというふうにお願いしたいのであります。  第三点といたしましては、本年度の第二種交付金として、道路目的財源として二十五億計上されておるのでありますけれども、私ども非常にしろうと的かもしれませんが、道路新五カ年計画というものが一兆一千億円というふうにいわれておりますのに対します財政措置としては、あまりにも貧弱に過ぎるのではないか、こういうふうに感ずるのであります。またこの第十一次地方財政に関する答申の第三、地方税の中に述べられております趣旨から言いましても、四十二年度限り、単年度措置というのは少しおかしいのではないかと思うのでありますが、この点に関する自治次官の御意見を伺いたい。
  40. 細郷道一

    細郷政府委員 道路五カ年計画は、いま政府におきましては総額を六兆六千億にするという方針だけ実はきまっておりまして、中身は目下策定中でございます。おそらく秋ごろにはできる運びになろうと考えますが。したがいまして、その公共事業分の地方負担がどれぐらいになるかといったようなことは、現段階では未確定でございます。あわせて、単独事業の財源に対する措置も必要でございますので、五カ年計画策定の際に地方道路財源をどう確保するかという問題を処理したいと実は考えております。本年度も、そういった五カ年計画に関係なく地方道路財源を増強するというようなことも一つ方法であろうというふうに考え、いろいろ折衝もいたしたわけでございますが、何ぶんにも具体的な数字にならないために、臨時の措置ということに終わったわけでございまして、これも先ほど申し上げたような五カ年計画改定の際の重大な検討事項である、かように考えております。
  41. 河上民雄

    河上委員 道路計画の緊急性ということを考えますと、いまのような御答弁ではたして実際に間に会うかどうか、非常に懸念するわけでございますが、この地方制度調査会の答申によりますと、この問題につきまして「国と地方団体間における道路目的財源配分割合を変更する必要がある。このため、国から地方団体特に市町村道路目的財源の移譲を行なうとともに、道路整備計画の改定とも関連し軽油引取税等の増強について必要な措置を講ずべきである。」というようなことが述べられておるのでありますが、この点に関しまして、自治省並び大蔵省の見解を承っておきたいと思います。
  42. 細郷道一

    細郷政府委員 道路が国道、府県道中心から市町村道へ移ってきておるということからいたしまして、私どもはその答申の考え方に全面的に賛成でありまして、その趣旨の実現につとめたい、かように考えます。
  43. 秋吉良雄

    秋吉説明員 道路の問題につきましては、自治省大蔵省のみでなく、建設省の立場ということがあるのは御案内のとおりでございます。建設省の意見といたしましては、私、公式にはどうかと思いますが、やはり補助方式ということの考え方があるように承っております。そういった問題もございますが、特定財源を均一にするという問題につきましても、地方制度調査会の答申につきましては、その御趣旨については私どもわからないわけではございませんけれども、私どもといたしましては、そういった道路五カ年計画なら五カ年計画の実施について、投資可能資金量といった問題もやはりあわせて検討する必要があるのではないかと思いますが、いずれにいたしましてもこの問題は重要な問題でございまして、道路五カ年計画の具体的な内容が策定される段階におきまして、道路財源の問題は、自治省大蔵省、建設省ともども検討さしていただきたい、かように思っております。
  44. 河上民雄

    河上委員 いまの御答弁では、どういう方法でやるか、またどういう時期にやるかということははなはだ不明確でございます。ただ、この趣旨はけっこうだけれども、ということになりかねないように思うのでございまして、何といってもこの二十五億という貧弱な財政措置というのは解せないのでございます。ひとつこの点につきましてはさらに本委員会質疑を通じてもう少しはっきりさしていきたいと思いますが、次の問題に移ります。  最後に、先般この地方行政委員会地方税法に関連いたしまして附帯決議がなされました。課税最低限に関する附帯決議がなされたのでございますが、こうしたことに伴って地方税の減収が予想されるわけでございます。こういう問題につきまして完全に補てんする意思があるのかどうか、また控除額を一万ずつ引き上げをいたしますと、三百億減収が見込まれておるわけでございますけれども、こういう問題につきまして、自治省はどういうように考えておるか、御見解を承りたいと思います。
  45. 細郷道一

    細郷政府委員 課税最低限の各種控除の引き上げを一万円ずつやろうとすると、約三百五十億ほどの減収が見込まれる。別途、明年度におきましては、本年度所得税で実施されます給与所得控除の適用段階になりますので、その分も三百億くらいあると聞いております。したがいまして、税負担の問題も十分検討しなければならないと思いますけれども地方財政がやはり円滑にいけるように、私どもとしては財政全体としてこれを見て処置をしていかなければならない、かように考えております。
  46. 河上民雄

    河上委員 いまのお話にもございましたが、給与所得控除引き上げに伴う分を入れますと六百億になるわけですけれども、それについて完全に補てんする考えであるというふうにいまの御答弁理解してよろしいでしょうか。
  47. 細郷道一

    細郷政府委員 明年度財政状態がどうなるか、まだちょっと見通しがつきません。したがいまして、ことしと全く同じであるといたしますれば、減収分だけについては何らかの補てん的措置が必要だろう、かように考えます。
  48. 河上民雄

    河上委員 いまのような御答弁でございますと、最初局長が言われたような精緻、合理的ということから見ますとはなはだ遠い御答弁でございまして、今後われわれとしてはもう少し明確な御答弁をこの委員会においていただかなければならないように考えておるのでございます。  はなはだ御答弁には不満の点もありますけれども、時間のこともございますので——何ぶんにもいま地方財政が非常に窮乏し、地方財政の窮乏化ということが一つの大きな原因となりまして、地方自治そのものが非常な危機に直面しておる。加えまして、国の出先機関の拡大あるいは公団、公社の増大というようなことを通じまして、地方自治は絶対的危機という表現が用いられるような状態になっておるのでございまして、いま起こっていますような種々の点につきまして、ひとつ地方財政が一そう大きな負担に苦しまないように善処を期待いたしまして、私の質問を一応終わりたいと思います。  なお、いま申しましたような諸点につきましては、さらに同僚委員より追及していただくことにいたしまして、いま答弁の中ではなはだ不明確な点につきましては、ぜひとも今後この委員会において明確なる答弁が得られるようにこの委員会全体として考えていきたいと思うのでございます。ひとつ何とぞ自治省の御健闘をお祈りいたしたいと思います。  以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  49. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。太田君。
  50. 太田一夫

    ○太田委員 財政局長、いま河上さんの質問の中でどうもわからない点があるので、関連してお尋ねしますけれども都市下水ですね。下水の関係というのは、緊急整備法等、法体系が整備されてきますと、これは普遍化してまいりまして、事業費なんというのは急にふえることと思うのです。それに対して自治省としては、この事業費に対してどういう割合の想定をしておるか。補助金、自主財源、どうでありましょうか。これは今後都市下水に対してどういう割合を想定して今後交付税というものの算定をするとか、基準財政需要額に繰り入れるとかあるいは起債を考えるとか、そういうことがあるでしょう。ですから基本的な考え方を聞いておきたい。
  51. 細郷道一

    細郷政府委員 今回、本年度から下水道につきましては御承知のとおり国庫補助率が引き上げになりました。かつ下水の五カ年計画と申しますか、そういうものも策定して充実をはかりたい、こういうふうに考えております。そこで、御承知のように下水道につきましては補助事業分、単独事業分、こういった問題もございますし、また準公営的な企業部分と一般会計的な部分もございますので、設例をもって申し上げますと、全体でかりに六十億という事業費であるといたしますれば、そのうち半分の約三十億が補助事業、残りの半分の三十億が単独事業、補助事業の三十億に対しましては国庫支出金が十二億、それから受益者負担金として五億、残りの十三億が市町村負担、その十三億のうち九億分につきまして地方債を充てる、四億分につきましては一般財源交付税によって措置をしていく。それから単独事業分につきましては、三千億のうち受益者負担分が五億、残りの二十五億が市町村の負担でございます。そのうち二十億を地方債、あと五億を一般財源で措置をする、こういうような措置のしかたをいたしております。
  52. 太田一夫

    ○太田委員 いまのお話から見ましても、六十億の事業費の都市下水の計画にしました場合、受益者負担というのは両方で十億、こういうことをいまおっしゃいましたが、この程度では私は済まないと思うのです。実際あなた方の計画は、十億なら十億だとしてかりに聞いてみましょう。そしてあと一般財源というのが五億と四億で九億、大体見合ったものですね。地方債が九億に二十億、約三十億ですから、これは半分地方債によってまかなうということですね。そうするとその地方債については、今後利子並びに償還は交付税の中に、基準財政需要額の中に入れて見ていただけますか。これは全然だめですか。
  53. 細郷道一

    細郷政府委員 この地方債の償還財源としては、一部は料金改定分によって措置をすべきものがございます。一部はいわゆる一般財源によって措置をすべきものがあるわけです。一般財源によって措置をすべき部分については、交付税需要額としては見ておりません。
  54. 太田一夫

    ○太田委員 それから、自治省で今度下水道整備五カ年計画ができますね。これは指定制度でしょう。指定をするわけですから、全部入れるなら指定をするということは必要ないわけですから、これは制限をするわけだが、現地市町村の要望に対してどれくらいこの中に入る見積もりですか。何か建設省と打ち合わされたものがあるのですか。
  55. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと私、担当ではございませんので、お尋ねの点はっきりわかりません。しかし本年度あたりの下水道の事業を見てまいりますと、地方団体の要望するほど、地方団体自体としてもその地域内におきます計画の達成がなかなかむずかしいようであります。いろいろ地元民との関係があったり、受益者負担制度の問題があったりいたしまして、なかなかむずかしいようでありまして、私ども地方債の面で見てまいりますと、下水道事業につきましては四十一年度はほぼ計画の額で処理ができるというふうに見ております。
  56. 太田一夫

    ○太田委員 これは法案の審議に入っているわけではないので、説明を聞いているわけじゃありませんから、これは除外しまして、大ざっぱに言いまして、公共団体には、五カ年計画に対応してすみやかに整備をはかるようにつとめなければならぬという義務を背負わされているわけです。その際に、その五カ年計画をつくる中に自治大臣は入っておらない、これはどういうことでしょうね。今後地方財政を圧迫するというだけの面から言うわけではありませんが、地方団体の要望する量と、建設省がいろいろと五カ年計画の中に盛り込む内容とが合致しないことはしばしばある。また盛り込まれた、五カ年計画の中に入った指定都市下水については、すみやかに整備をはからなければならないという義務を負う。するとその財政的なめんどうはだれが見るのか、自治省に成算ありや。これは五カ年継続するわけですか、どうなんです。その辺のところは十分打ち合わせ済みでありますか。
  57. 細郷道一

    細郷政府委員 実は五カ年計画はまだ具体的にはできておりません。目下策定の準備中でございます。関係各省とは、その策定にあたっては、勉方団体の負担の問題があるので、十分打ち合わせするように申し合わせをいたしております。
  58. 太田一夫

    ○太田委員 申し合わせをしてあるということは、経済企画庁長官や厚生大臣、建設大臣が相談するのではなくて、自治大臣もその中に入るということですか、だれが申し合わせるのですか、相談をするのですか。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 建設大臣が自治大臣に相談をするということです。
  60. 太田一夫

    ○太田委員 それはどうして法文の中に入らなかったのですか。それは任意でやるわけですね。
  61. 細郷道一

    細郷政府委員 法文の中には入っておりませんけれども、そういう両省庁の約束をいたしております。
  62. 太田一夫

    ○太田委員 約束であるとか了解事項であるということで、私どもはまじめにそれが行なわれることに別に異議を差しはさむわけじゃありませんけれども、今後の都市下水という問題について、環境衛生関係する諸事業については、自治省はもうちょっと新しい事業として交付税などを考える場合におきましても、起債の将来の計画を考える場合にしても、財政計画の中でひとつ十分練っていただきたいと思うのです。実際はたいへんな負担になると思うのです。  それからもう一つわからなかった点は、ガソリン税の問題です。これは指定都市にはいっているのですが、市町村にいかないで、二十五億しか大蔵省は認めてくれなかった、こういうわけなんですが、これはいかがなものでございますか。指定都市そのものが、実はいま河上さんのおっしゃったとおり、都市再開発のために非常に困っていらっしゃるとするならば、いまのレートを引き上げるということは当然必要なことだと思うのです。これは将来何か具体的な見通し……。
  63. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の二十五億円は、指定都市、いわゆる大都市にも市町村道延長に応じて案分をいたします。したがいまして、二十五億は指定都市にいかないということではないわけであります。  なお指定都市につきましては、御承知のように国道、都道府県道の管理権がございますので、この点については現在でも道路財源上特別な措置をいたしておりますが、先ほどお答えいたしましたように、新五カ年計画を策定いたします際には、その点も十分負担として考えて措置をするようにいたしたい、かように考えます。
  64. 太田一夫

    ○太田委員 そのことは、地方道路税の税率を引き上げるということを意味しているのですか。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 新五カ年計画の内容が固まりませんと、公共事業地方負担部分が出てまいりませんので、単独事業も合わせました地方の五カ年間における負担が出てまいらないわけでございますので、その出てまいりましたところで、国の負担分ももちろん反面出てまいりますので、目的財源をどういうふうにするか、あるいはその中で移動をするのかというようなことも考えていかなければならない、かように考えております。
  66. 太田一夫

    ○太田委員 大蔵省に伺いますが、いまガソリン税はどういうふうに分けていますか。ちょっと現状を……。
  67. 秋吉良雄

    秋吉説明員 こまかな数字ですが、一キロリットル当たり、ガソリン税といたしましては、全体で二万八千七百円、うち揮発油税が二万四千三百円、それから地方道路税が四千四百円、この率は八五対一五というふうに承知いたしております。
  68. 太田一夫

    ○太田委員 それで、いまの一五%ですね、いわばこれもちょっとしたつかみ金くらいのつもりで一五%という、四千四百円というわずかな税率しか計上されておらないと私は思うのですが、これが非常に少ないというのが地方指定都市の世論でしょう。都市再開発のために、この四千四百円ばかりで何をいっているのだ、こういう声が長年あるのですけれども、それが今回も引き上げは見送られておる。これは一般市町村道の場合は二十五億円で、だれかの説明じゃありませんが、ある町村においては二十万円ぐらいいただけるだろうという話ですが、この道路というものに対する建設省ないしは自治省の取り組み方というものは、そう間違っているとは私は思わないのです。建設省は第三東海道をつくるといっておる。これから部分的にバイパスをつくりながら、それを結んで、早急に第五次五カ年計画の中で第二東海道までつくる、この揮発油税というものもその一つに使われるというので、別にとやかく言うわけじゃありませんけれども、県市町村道地方道の問題については、さらに非常な増強が迫られておるときに、たとえば指定都市に対して道路譲与税四千四百円、二万八千七百円の一五%、そればかりのつかみ金のような金額で指定都市にしたとこるでどうにもならないのじゃないだろうか。思い切って、ガソリン税についてはひとつ配分を再検討、してみるときが目の前に来ている。この国会でやらなければならなかったと思うのですが、それが出なかった。出なかったがこうするつもりだ、指定都市についてはいまの四千四百円を倍額くらいにするとか、あるいは指定都市以外の市町村にも譲与するのだとかいう基本方針くらい固まっているときだと思うのですが、ほんとうの腹の中は大体きまっているのでしょう。これは来年のことも考えなければならぬから、もし大体の素案があるならこの際発表していただきたい。責任追及はしませんよ。
  69. 細郷道一

    細郷政府委員 地方道路財源、特に市町村道路財源を増強したいということにつきましては、私ども自治省としては考えは十分固まっております。ただ先ほど申し上げましたように、五カ年計画の具体的な内容がまだきまっていない。それに関連をいたしまして、補助政策でいくかいかないかといったような問題もございます。したがって、それぞれ政府部内で十分な折衝と検討を続けないと結論が出てこないと思いますが、私どもとしては基本の線で大いにがんばっていきたい、かように考えております。
  70. 太田一夫

    ○太田委員 今国会におきまして、交通安全対策特別委員会というのが別にできて、交通安全対策はそちらのほうでいろいろ議論されております。建設省もそれから大蔵省も、ともに安全対策の財源については十分な配慮がなされているかのごとき趣旨答弁がなされておるわけです。ところが現実には、何も全部補助金によって道路の立体交差ができるわけじゃなし、全部補助金によって歩道橋ができるわけではなし、あるいはまたでこぼこ道の舗装ができるわけじゃなしということになれば、道路財源の問題は大問題だ、人命尊重の一番大事な財源一つじゃなかろうかと思うのです。ところが、それがこの際明らかにされておらない。今度の地方交付税法の一部改正に対する御説明の中にも、特にそれに力点が置いてあるように思われる節々が認められない。それから大蔵省のきょうの主計官のお話でも、四千四百円、この地方道路譲与税の税率の問題については、いますぐに引き上げる、来年度からこれだけにするとか、本年度はこれだけにするという引き上げの御意同は示されていない。一般市町村道については二十五億円のつかみ金だ、こういう点からいって、交通安全対策を強力に推進しようとする——きのうから交通安全運動に入っているが、あちらこちらで歩く道がないから人間が死んでいく。歩く道がないから車道を歩くでしょう。あれは車道を歩くのではないのです。本来道路というのは人間が歩くためにつくったのでしょう。そこに割り込んだのが自動車じゃありませんか。だから人間を中心にして、自動車を排除すればいい。自動車というものは遠慮してもらうようにしなければ人間の生命は守れない。そのためにもいまの狭い道では、あるいは舗装の悪い道では、そうあまり目にかど立てたことも言えない点がありますから、そこで建設省は道路改良第五次五カ年計画に取り組まざるを得なくなった。それならば県、市町村も同じことでしょう。その財源はどうするのだという問題になってくれば、揮発油税の四千四百円を倍額にするくらいのことはしごく常識的な話じゃないか。それさえ今日明言ができないということで、地方はどうして本腰を入れてその道路整備計画に取り組めるかと私は思うのです。先ほど河上さんは、面積とか人口とか大ざっぱな外形から交付税を出したらいいじゃないかということをおっしったが、私も、それくらいの幅を持たせてもいいと思います。細郷さんのおっしゃる巧緻ということは、巧は巧みということだが、緻は遅々たるの遅じゃない、こまかいという字でしょう。そうこまかいところを見ていて、いまの大道路革命、交通革命の時代に対処できるのか。何か明快な道路拡充の財源を、あなたたちが大胆率直にこうだと言っていただくような方針はないでしょうかね。  もう一度重ねてお尋ねしますが、指定都市に対する道路譲与税の税率四千四百円を倍額に引き上げるということは、本年度はいかなかった、来年度はその可能性があるとわれわれは理解しておいてよろしいですか。
  71. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、十分努力をいたしたいと思います。
  72. 太田一夫

    ○太田委員 主計官、同意見でございますか。
  73. 秋吉良雄

    秋吉説明員 道路五カ年計画策定の際に、建設省、自治省大蔵省ともども検討いたしたいと思います。
  74. 太田一夫

    ○太田委員 期待にこたえていただきたいと思う。これは一億国民の命を守るという悲願ですよ。国民は合掌してあなたたちのほうに向かっておる。この気持ちを忘れないでいただきたい。  終わります。
  75. 亀山孝一

    亀山委員長 次会は明二十四日午後一時三十分から委員会を開会し、参考人として、武蔵大学経済学部教授小沢辰男君、大阪府立大学名誉教授藤谷謙二君、全国知事会代表、石川県知事中西陽一君、全国市長会相談役、甲府市長鷹野啓次郎君及び全国町村会常任理事、徳島県藍住町長徳元四郎君の御出席を願い、内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる昭和四十二年度地方財政特例措置に関する法律案の両案の審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二分散会