○松島
政府委員 課税最低限の問題につきましては、ただいま所得税との差を数字をもっておあげになりましていま
お話がございましたが、この課税最低限は、現在の仕組みの上では二つの方法で上がっていくわけでございます。
一つは、所得税の計算方法にそのまま乗っていきますことから上がっていきますものと、所得税との影響を遮断しております部分について、
住民税が独自の改正をいたすことによりまして上がる分とがございます。そのうちで所得税の改正に伴いまして、いわば自動的にと申しますか、上がる部分としては、御承知のとおり給与所得控除があるわけでございます。給与所得控除につきましては、昨年の所得税法の改正によりまして、所得税におきましては昨
年度から給与所得控除の
引き上げがございます。それで、
住民税は現年課税でございますので今
年度から影響いたしまして、その分は今
年度の
住民税の課税最低限の
引き上げとなっておるわけでございます。その分が昨年に比べまして約一万円の課税最低限の
引き上げになっておるわけでございます。また今
年度所得税におきましては、約四万円の給与所得控除の
引き上げを行なうべく所得税法の改正案を国会に提出しているわけでございますが、この所得税法の改正案が通過いたしますと、
住民税におきましては明
年度以降においてその計算がそのまままた反映をしてきて、課税最低限が
引き上げになるということになるわけでございまして、それによりまして、平
年度計算では課税最低限が約四万円上がっているという形になるわけでございます。そういうふうに所得税法の改正に伴って上がっていきます課税最低限が一方においてはあるわけでございます。一方において基礎控除、扶養控除、配偶者控除のように、所得税法とは別個に控除金額を
地方税法で定めておりますために、
地方税法それ
自体の改正をいたしませんと課税最低限が上がらないという分もございます。
なぜ課税最低限の
引き上げをやらなかったかという
お話でございますが、先ほど申し上げますように、所得税法の改正に伴います分として、昨年所得税の改正によって今年に
住民税の課税最低限が上がります分が、税額にして約百四十億円減税が行なわれることになるわけでございます。一方においてそういった
事情がございますと同時に、
地方財政の現況から申しまして、なかなか引き続き課税最低限を上げていくということも困難な状況でございます。御承知のとおり、昨
年度は
住民税
自体の課税最低限の
引き上げといたしまして、基礎控除、扶養控除をそれぞれ
引き上げたわけでございます。三百億余の減税を行なったわけでございますが、それが本年はそのままその規模で行なわれるわけでございますから、そういった
事情、それをさらに上乗せて、ことしまた新たにやるということも、
地方財政の上から困難だというようなことを
考えまして、今
年度は課税最低限を、
地方税法を独自に改正して行なうということには至らなかった、こういうことでございます。