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1967-04-20 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奧野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 山口 鶴男君       佐々木秀世君    塩川正十郎君       中馬 辰猪君    永山 忠則君       古屋  亨君    山田 久就君       井上  泉君    太田 一夫君       河上 民雄君    島上善五郎君       依田 圭五君    折小野良一君       小濱 新次君    大野  潔君       林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         自治政務次官  伊東 隆治君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省選挙局長 降矢 敬義君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月二十九日  委員折小野良一辞任につき、その補欠として  西村榮一君が議長指名委員に選任された。 四月五日  委員太田一夫辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として太田  一夫君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員木野晴夫辞任につき、その補欠として山  崎巖君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山崎巖辞任につき、その補欠として木野  晴夫君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員華山親義辞任につき、その補欠として横  路節雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として折  小野良一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十八日  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第三九号) 四月三日  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号) 三月三十日  特別区の区長公選及び自治権拡充に関する請願  (広川シズエ紹介)(第二一二号)  同(山本政弘紹介)(第二五九号)  地方自治体財源の確立に関する請願平等文成  君紹介)(第二八〇号)  社会保険関係等地方事務官地方公務員とす  ることに関する請願平等文成紹介)(第二  八一号)  料理飲食等消費税軽減に関する請願白浜仁吉  君紹介)(第三三〇号) 四月七日  退職地方公務員共済組合制度適用に関する請  願(小林信一紹介)(第六〇〇号) 同月十四日  地方公務員給与改定に伴う財源措置に関する  請願山中貞則紹介)(第八六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第三九号)  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)  地方財政に関する件(昭和四十二年度地方財政  計画)  地方自治地方財政、警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案、及び内閣提出にかかる国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。藤枝自治大臣
  3. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由内容大要を御説明申し上げます。  地方税につきましては最近の数次にわたる改正により、地方財政実情を考慮しつつ、負担軽減につとめてまいったのでありますが、なお引き続き住民負担合理化をはかっていく必要があると存じます。ただ、昭和四十二年度においては地方税地方交付税等自然増収は見込まれますが、一方国庫予算増加に伴う公共事業費の増大、社会保障充実または地方公務員給与改定に伴う給与費増加等による経費の増高も避けることができませんので、地方財政についてはなお健全化を促進する必要があるのであります。したがいまして、昭和四十二年度地方税制改正にあたりましては、このような実情を考慮いたしまして、第一種臨時地方特例交付金交付にかえて、たばこ消費税税率引き上げることにより、地方税源充実をはかりつつ、事業主控除及び事業専従者控除引き上げにより個人住民税個人事業税軽減する等地方税負担合理化をはかるため所要改正を行なうこととしたのであります。  次に、以下順を追って地方税制改正概要について御説明申し上げます。  第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。まず個人道府県民税及び市町村民税につきましては、中小事業者負担軽減をはかるため専従者控除を二万円引き上げることとしました。また障害者未成年者老年者または寡婦についての非課税範囲年所得二十六万円までに拡大するほか、前年の合計所得金額が五万円をこえる配偶者がある場合の第一人目の扶養控除額も一万円引き上げることとしています。  なお、昨年の所得税法改正による給与所得控除引き上げが本年度以降個人住民税課税標準算定に反映することとなりますので、給与所得者にかかる個人住民税につきましては、本年度約百四十億円の減税が行なわれることとなっております。  また障害者老年者寡婦または勤労学生について現在行なっている税額控除を、所得税改正に準じて所得控除に改めることといたしましたが、この改正昭和四十三年一月一日から施行することといたしております。  次に、法人道府県民税及び市町村民税につきましては、法人均等割り税率合理化するため、資本または出資金額によって税率を区分することとし、資本または出資金額が千万円をこえる法人及び相互会社標準税率道府県民税にあっては千円、市町村民税にあっては四千円に、その他の法人等標準税率道府県民税にあっては六百円、市町村民税にあっては二千四百円にそれぞれ改めるとともに、これに伴い市町村民税均等割り制限税率についても所要調整を行なうこととしました。また租税特別措置法改正により法人税額控除が拡大されますので、これによる減収を回避するため、法人税割り課税標準である法人税額は、この法人税額控除が行なわれる前の税額によることとしています。  第二は事業税についてであります。まず個人事業税につきましては、中小事業者負担軽減をはかるため、事業主控除及び専従者控除をそれぞれ二万円引き上げることとしました。また、農業協同組合連合会が行なっている社会保険診療については事業税を課さないものとしています。  第三は不動産取得税についてであります。不動産取得税につきましては、産炭地域振興事業団が建設する工場用建物取得について、その敷地と同様に非課税とする等合理化をはかるほか、開拓者開拓農地等取得についての非課税及び農業委員会のあっせんによる農地交換分合によって取得する土地課税標準特例は、いずれも昭和四十二年三月末でその期限が満了しますが、その期限をさらに五年間延長することとしました。  第四はたばこ消費税についてであります。たばこ消費税につきましては、第一種臨時地方特例交付金たばこ消費税への移行に伴い、道府県たばこ消費税税率を百分の十・三に、市町村たばこ消費税税率を百分の十八・一に引き上げることとしました。この税率引き上げ昭和四十二年三月以降に売り渡した製造たばこから適用することとしていますので、これに伴い、昭和四十二年四月分及び五月分のたばこ消費税につきましては、この改正後の税率によって算定した税額現行税率によって算定した税額との差額に相当する額を、それぞれ同年六月分及び七月分に合わせて申告納付することとしています。  第五は固定資産税についてであります。固定資産税につきましては、地方鉄道業者または軌道経営者都市計画区域内において所有する地下道または跨線道路橋一定期間内に新設された自動列車停止装置及び重油にかかる水素化脱硫装置について、課税標準算定特例を設けることによりその負担軽減することとするほか、大規模償却資産にかかる固定資産税市町村課税限度額について調整をはかるため、人口五万人以上の市町村についても人口増加に応じて課税定額を順次増額し、人口二十万人以上の市については二十五億円とするとともに、市町村課税最低限度保障額及び課税定額を増額する場合の前年度基準財政需要額に乗ずべき財源保障率引き上げることとしました。  第六は電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、ガスに対する電気ガス税免税点を七百円に引き上げてその軽減をはかることといたしました。また、三年間の非課税期間が満了するポリプロピレン等品目非課税品目に加えるとともに、紙の製造の用に使用する電気に対して課する電気ガス税税率は、当分の間、百分の五とすることとしています。  第七は税制簡素化についてであります。税制簡素化につきましては、国税簡素化とも対応して、延滞金が一日百円につき二銭の割合計算される期間について合理化をはかるとともに、給与等の支払いを受ける者が常時十人未満である事業所等にかかる個人道府県民税及び市町村民税特別徴収税額納期等について簡素化をはかるほか、事業税または法人税割り分割基準である従業者の数についても原則として事業年度等末日現在の従業者の数によることとする等、申告手続についても簡素化することといたしました。  以上のほか、軽油引取税の保全に必要な担保の提供を命じ、または特別徴収義務者の指定を取り消すことができる等軽油引取税徴収合理化するとともに、所得税法の一部を改正する法律の施行に伴い、昭和四十二年六月一日前に支払われた退職手当等にかかる分離課税にかかる所得割りの額のうち過納となる額について還付の特例を設けるほか、所得税法改正に伴う関係規定整備等所要規定整備を行なっております。  以上、地方税法等改正につきましてその概要を御説明申し上げましたが、これに伴う増減収額は、初年度であります昭和四十二年度におきましては、個人住民税につきまして四十一億円、個人事業税につきまして二十九億円、電気ガス税につきまして七億円、その他一億円の減収が見込まれますが、一方、法人均等割り税率調整により四億円、国税改正に伴い十四億円の増収が見込まれますので、これらの増減収額を差し引きずると初年度においては六十億円の減収となります。また、平年度におきましては、所得税における給与所得控除引き上げに伴う個人住民税減収等により三百八十五億円の減収となるのであります。ただ、第一種臨時地方特例交付金たばこ消費税への移行に伴い、初年度、平年度とも二百六十五億円の増収が見込まれますので、これを加えると初年度においては二百五億円の増収であり、平年度においては百二十億円の減収となります。  以上が、地方税法等の一部を改正する法律案提案理由およびその大要であります。  次に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  国有資産等所在市町村交付金及び納付金制度は、国、地方公共団体または日本国有鉄道等が所有する固定資産について、当該固定資産所在市町村との間における受益関係等を考慮し、その所有者である国、地方公共団体または日本国有鉄道等から、所在市町村に対し、固定資産税相当額交付し、または納付することとしているものでありますが、今回の改正は、最近における本制度の実施の状況等にもかんがみ、対象資産範囲等について所要合理化をはかろうとするものであります。  改正の第一は、地方公共団体が所有する水道施設または工業用水道施設の用に供する土地を新たに市町村交付金対象に加えようとするものであります。水道施設または工業用水道施設はその所在市町村区域内に相当な規模の面積を占め、当該所在市町村受益関係があるにもかかわらず、所在市町村においては、これらの施設から固定資産税収入が得られないため、その財政運営にも少なからぬ影響を受けているのであります。したがって、今回、これらの事情にもかんがみ、水道施設または工業用水道施設の用に供する土地で政令で定めるものについて、その所有者である地方公共団体から所在市町村に対し市町村交付金交付することといたしたものであります。  改正の第二は、日本国有鉄道にかかる市町村納付金負担軽減についてであります。現在、日本国有鉄道は、通勤輸送幹線輸送等の増強を中心とする長期計画に基づき多額の設備投資を要請されているのでありまして、そのため線路増設等に伴う市町村納付金負担増加は今後相当額に達するものと見込まれるのであります。したがって、今回、地方鉄道に対する固定資産税についての負担軽減措置との均衡等をも勘案して、一定期間内に新設された線路設備等にかかる市町村納付金について、最初の五年度間その価格の三分の一の額をもって納付金算定標準額とすることとし、負担軽減をはかることといたしたものであります。  なお、水道施設及び工業用水道施設にかかる市町村交付金の額は約一億四千万円程度であり、また、日本国有鉄道にかかる市町村納付金軽減額は約三億五千万円程度となるものと見込まれます。  以上が、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及び内容概略であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに本法律案の成立を見ますようお願いいたす次第であります。
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 以上で両案に対する提案理由説明は終わりました。  この際、地方税法等の一部を改正する法律案について、補足説明のために、松島税務局長から発言を求められておりますので、これを許します。松島税務局長
  5. 松島五郎

    松島政府委員 地方税法等改正案につきまして、補足説明を申し上げます。  お手元にお配りしてございます厚い資料綴りがございますが、その資料綴りの「地方税法等の一部を改正する法律案新旧対照表」というのが、三分の一ほどめくっていただいたところにございますので、それによって御説明をさせていただきたいと思います。  今回提案いたしております地方税法等の一部を改正する法律案は三条からなっておりまして、第一条関係は、昭和四十二年度分の地方税から適用するものとしこれに必要な改正規定を定めてございます。  第二条関係は、昭和四十三年の一月一日以後に施行することといたしておりまして、昭和四十三年度分の地方税について適用するものをあらかじめ改正しておこうという趣旨のものでございます。  第三条は、昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税及び市町村民税等臨時特例に関する法律、先般成立いたしましたこの法律の一部改正規定したものでございます。  まず、第一条関係から御説明申し上げます。  第一条では、新旧対照表の一ページの第十五条の九の改正でございますが、この改正は、延滞金を四銭と二銭との割合で計算される期間を明確にしようということで、全般的改正を行なっておりますけれども、その一部としての規定整備関係でございます。  次に、三ページにいっていただきまして、第十六条の二、「納付又は納入委託」に関します規定でございます。改正内容は、国税通則法の第五十五条の規定に準じまして、徴収猶予または差し押え財産の換価猶予を受けましたもの以外でも納付委託を受けることを適用するものでありまして、四ページの上の欄の二号、三号がそのために新たにつけ加えられたものであります。すなわち、「納付又は納入委託をしようとする有価証券支払期日以後に納期限の到来する地方団体徴収金」あらかじめ、納期以前に現金化し得る有価証券につきましては、すでに納付委託を受けることができることにしようというものであります。第三号は、「滞納に係る地方団体徴収金で、その納付又は納入につき納税者又は特別徴収義務者が誠実な意思を有し、かつ、その納付又は納入委託を受けることが地方団体徴収金徴収上有利と認められるもの」につきましては、納付または納入委託を受けることにしようとするものでございます。以上の二つの点を加え、納付納入委託を受けます場合を拡張しようとするものでございます。  それから、次は五ページの二十条の四の二という規定でございます。これは延滞金あるいは過少申告加算金その他各種加算金の計算の基礎となります税額についての端数計算規定でございます。現在は、延滞金等の基礎になります税額が百円未満の端数があります場合にはこれを切り捨てる。それから、税額そのもの金額で百円である場合には切り捨てるということになっておりますのを、簡素化の趣旨も考えまして、税額の端数については千円を切り捨て、税額そのものについては二千円までを切り捨てて延滞金加算金の計算の基礎にしようとするものでございます。  その次は、六ページにまいりまして、第二十条の九の三という規定を新たに加えてございます。これは、災害等がありました場合は納期限の延長をすることができるようになっておりますが、その場合には延滞金を免除し得る規定を設けようとするものでございます。  それから、その次の二十三条は、新旧対照表の七ページのまん中あたりの下の欄と上の欄を見ていただきますと、六十九条、七十条とありますのは、法人税法の条文が整理されまして一条ずつ繰り上がりますので、これを整理をしたものでございます。実質的内容は変わりございません。それから、四十二条の三から四十二条の六までとありますのは、従来は四十二条の五でございましたけれども、これを四十二条の六といたしましたのは、租税特別措置法で四十二条の六というものを新設いたしまして、開発研究費につきまして税額控除制度を設けたのでございます。しかし、住民税の基礎になります法人税額については、開発研究費税額控除以前の税額をとって、租税特別措置法の影響が地方税に及ばないようにいたそうということで、それを配慮するために第四十二条の六までと改めたものでございます。  次は、九ページにまいりまして、第二十四条の五、この改正内容は、先ほど提案理由にもございましたように障害者未成年者老年者または寡婦で、住宅税のかからない範囲を、前年の所得金額が従来は二十四万円までとありましたのを二十六万円までに引き上げようというものでございます。それから、現行法の第二項を削除いたしましたのは、現行法の第二項では、いま申し上げましたような障害者事業をやっておりまして、たとえその者の所得が二十四万円以下でありましても、事業専従者を持って事業をやっておるような場合には住民税を課税するということになっておりましたが、それを削除いたしまして、そういう場合でも住民税非課税の取り扱いにしようというものでございます。  次は、二ページにまいりまして、第三十二条の改正でございます。この三十二条の改正は、いわゆる専従者控除限度額引き上げようとするものでございまして、現在青色につきましては十万円のものを十二万円に、白色の申告者につきましては六万円でありますものを八万円に引き上げるという改正でございます。  次は、二ページにまいりまして、三十四条でございます。三十四条は、現行法で申し上げますと扶養控除規定でございますけれども、扶養控除は、御承知のとおり一人について四万円控除するのが現行法の原則であります。しかし、もしも配偶者がない場合は、配偶者控除を受ける方がないわけでありますので、その場合には第一人目の扶養親族に限り七万円まで扶養控除額引き上げるという規定でございます。ただし、配偶者のうちに、前年の合計所得金額が五万円をこえる配偶者がある場合、つまり控除対象配偶者にならない配偶者がある場合に限り扶養親族のうちの第一人目を六万円にするという規定でありますけれども、その際、配偶者の前年の所得金額が五万円であるかどうかを問わず、第一扶養親族を七万円まで引き上げようとする改正であります。  次は、一四ページの三十六条で、「漁獲若しくはのり採取」という「のりの採取」を変動所得に加えておりますが、これは所得税法改正と合わせたものでございます。  次は、一八ページにまいりまして、四十五条の三でありますが、四十五条の三は、所得税法規定に基づきます確定申告書を出されました方は、住民税については申告書の提出を必要としないということにいたしまして、その確定申告書を提出したことをもって住民税申告書が提出されたものとするという申告手続簡素化に関する規定でございます。  次は、二〇ページにまいりまして、第五十二条の改正でありますが、これは先ほど提案理由でも申しました法人均等割り税率を、従来県民税につきましては一律に六百円でございましたものを、資本金または出資金額の段階によりまして税率に差等を設けることといたしまして、一千万円をこえます法人につきましては年額千円、それ以外の法人につきましては年額六百円に改めようとするものでございます。それに伴いまして、税率というのはいつをもってそれぞれの法人に適用するかという関係について二項以下に規定してございます。  次は、二四ページで五十三条でございます。大体が規定整備関係でございますが、第十項のところで、いわゆる粉飾決算をいたしました場合に、法人税について更正が行なわれ、その更正が行なわれた場合には、その更正によって減額となる法人税あるいはそれに伴う法人税割りを翌年度以降において調整してまいるわけでございますが、その場合に、従来はその法人がさらに新たな別な法人を合併いたしましたような場合の手続についての規定が欠けておりましたので、それを入れたわけでございまして、二九ページのカッコのところがそれでございます。  それから三〇ページで第十二項を加えておりますが、第十二項の規定改正は、法人均等割りにつきまして、事務所、事業所寮等があります場合には課税されるわけでありますけれども、寮だけがありますような場合には、法人税中間申告に相当する申告を出します場合に、その寮についてまで申告する必要はないと思いますので、その点の簡素化をはかったものでございます。  その次は一二ページの五十六条でございます。これは延滞金計算方法改正に伴う規定整備でございます。  それから三四ページにまいりまして、五十七条の規定改正は、分割基準簡素化についての改正でございまして、従来は事業年度中の各月末現在の従業員数の総合計をもって課税標準を案分することになっておりましたものを、原則として各事業年度末日現在の従業員数だけで案分をし得るようにいたそうという改正でございますが、原則としてと申しますのは、三六ページにも一、二、三と掲げてございますように、一般的にはそれで問題はないと思いますけれども、たとえば年度の途中で事業所が新設されたというような場合は従業者数に変動がいろいろと予想される、あるいは事業年度の途中で事業所を廃止してしまったという場合、あるいは企業によりまして事業年度中に従業員数の変動が非常に大きい、最初のころは人数が少ないが、季節的に人数がふえたり減ったりが激しいというような場合には、事業年度末日だけの数でもって案分をいたしますことは問題がございますので、そういう場合には、各事業年度中の各月末の従業員数を合計したもので案分をするということにいたそうとするものであります。  次は、三八ページの六十四条の規定は、延滞金計算方法改正に伴います改正でございます。  次は、四三ページの七十二条の十四。改正の第一点は、農業協同組合連合会が行ないます医療事業について事業税非課税としようとするものでございまして、いわゆる厚生連の行ないます医療事業についての非課税でございます。  それから四六ページへまいりまして、四六ページの上の段で「同法第九十三条第二項に規定する利益積立金額等の合計額」というのがございますが、これは清算所得についての課税方法について、法人税の清算所得の取り扱いにあわせまして規定整備をはかろうとするものでございます。  次は、五一ページへまいりまして、七十二条の十八の改正でございます。改正内容の第一点は、事業主控除を二十五万円から二十七万円に引き上げようとするものでございます。第二点は、専従者控除限度額住民税と同じく青色申告者につきましては十万円から十二万円、白色申告者につきましては六万円から八万円に引き上げようとする改正でございます。  それから五三ページへまいりまして、七十二条の二十三の三という規定改正でございますが、これは先ほど住民税について申し上げましたと同じでございまして、合併により消滅いたしました粉飾決算をいたしました法人の更正した場合の繰り越しの控除を、合併法人にまで及ぼすことができるようにする規定改正でございます。  以下ずっと各税につきまして、延滞金計算方法改正に伴います規定整備が続いております。  次は、六四ページの第七十二条の四十八でございますが、これは法人事業税につきましての分割基準合理化に関します規定でございまして、内容は、先ほど住民税法人税割りで申し上げましたものと全く同様でございます。すなわち事業年度中の各月末現在の従業員数によらず、事業年度末日現在における従業員数ということを原則とするというものでございます。  次は、七三ページへまいりまして、七十二条の五十四の規定改正は、法人事業税あるいは法人住民税分割基準改正と同じような意味において、個人事業税につきまして二以上の府県で事務所、事業所等を設けております場合の分割基準合理化しようとするものでございます。  その次は七五ページへまいりまして、七十二条の五十五、この七十二条の五十五のうちの七十六ページに、旧法では二項がございますが、この二項は、所得税等について修正申告書を政府に提出しました場合、あるいは所得税等について更正決定を受けました場合には、その旨を申告しなければならないことになっております規定を削除しようとするものでございまして、これは後ほど申し上げます住民税につきましても共通の問題でございますが、要するに、そういう場合は地方団体側で調べればわかることでございますので、納税者申告の手数を省略いたそう、こういう趣旨の改正でございます。  次は、七八ページへまいりまして、七十二条の五十五の二、これは住民税について申し上げましたと同じ意味で、個人事業税につきましての申告簡素化規定でございまして、所得税確定申告書を提出されました方は、事業税についてもその確定申告書の提出をもって事業税についての確定申告書が提出されたものとみなすことによって簡素化をはかろうとするものでございます。  次に、八〇ページへまいりまして、七十三条の四、不動産取得税非課税規定でございますが、これは産炭地域振興事業団取得いたしました業務の用に供します不動産につきましては非課税にしよう、従来は土地のみでございましたけれども、その上に工場建物等ができました場合もこれを非課税にしようとするものでございます。  次は、八二ページの七十三条の二十七の五、これは事業協同組合等が、公害防止事業団が設置いたしました、あるいは造成いたしました施設を取得いたしまして、それを組合員に譲渡いたします場合、いわば事業協同組合等が中間に介在するわけでございますので、その取得については不動産取得税を課税をしない、免除をしよう、こういう規定でございます。  その次は八五ページへまいりまして、七十四条の二、これは県分のたばこ消費税税率引き上げ規定でございます。  次は、八六ページへまいりますが、八六ページから九五ページまで、各税目につきまして、延滞金の計算規定改正に伴います規定の整理をいたしております。  次が、九六ページへまいりまして、市町村民税に関する改正でございます。市町村民税の二百九十二条の規定改正は、法人税額の定義についての改正でございまして、これは先ほど県民税のところで申し上げましたものと内容は全く同じでございまして、法人税の条文整理に伴います整理並びに開発研究費税額控除住民税では適用しないということのために、租税特別措置法四十二条の六を加えてこれを排除しようとするものでございます。  次は、九八ページへまいりまして、二百九十五条、これは先ほど県民税で申し上げましたと同じく、障害者未成年者等の非課税の範囲を二十六万円まで引き上げるというものでございます。なお、第二項を整理をいたしましたのは、先ほど申し上げましたと同じように、障害者等が専従者を持っています場合には非課税規定の適用がないとされておりましたのを、そういう場合も非課税規定が動くようにしようというものでございます。  それから三百十二条、一〇〇ページでございます。これは法人均等割り税率改正でございまして、従来はこの下の欄にございますように、人口段階に応じまして五十万以上の市では年額二千四百円、五万から五十万未満の市では年額千八百円、それ以外の市町村では年額千二百円となっておりましたものを、人口段階による区分をやめまして、資本金または出資金額の大きさによって区分をすることといたしまして、一千万円をこえますものにつきましては四千円、一千万円以下の法人につきましては二千四百円と改めようとするものでございます。なお、これに伴いまして、第二項において、それぞれ制限税率についても改正を行なっております。三項以下は、その税率を適用すべき日はいつかということを、具体的にそれぞれの法人に即してきめたものでございます。  次に、一〇五ページの三百十三条でございますが、これは市町村民税につきましての青色申告者、白色申告者のそれぞれの事業専従者控除引き上げに関する改正でございまして、内容県民税と同じでございます。  次は、一〇七ページの三百十四条の二でございますが、これは所得が五万円をこえる配偶者があります場合の一人目の扶養控除額引き上げようとするものでございまして、これは先ほど県民税について申し上げたと同じ内容でございます。  次の、三百十四条の四、一〇九ページで「のり」を加えるというのも、県民税改正と同じでございます。  次は一一二ページへまいりまして、三百十七条の三、これも県民税改正と全く内容は同じでございまして、確定申告書を出しました者は、住民税申告書と見なして、その記載につきましては、それぞれ住民税申告すべきことと規定されているものに相当するものとして取り扱っていこうというものでございます。  次は、一一七ページの三百二十一条の五の二、この規定改正は、給与所得者についての市町村民税の特別徴収につきまして、従業員十人未満の小規模の事業所におきましては、毎月徴収した月の翌月十日までに毎月毎月納めているということもたいへんでございますので、納期の特例を設けまして、年二回にまとめて納めていただくというように改正をしようとするものでございます。  次の一一八ページの三百二十一条の八、これも県民税で申し上げましたと同じように、粉飾決算をいたしました場合の法人が合併した場合の規定、それから寮等のみが所在する市町村に対する中間申告の省略というような改正でございます。  次に、一二四ページの三百二十一条の十二は、延滞金の計算規定改正でございます。  次は一二七ページの三百二十一条の十三、これは分割法人につきまして規定の明確化をいたしますとともに、明細書を出すことになっておりますのを、その明細書を事務所のあります全部の市町村でなくて、主たる事務所所在の市町村に対してだけ出せば事が足りるようにしようという改正のほか、分割基準簡素化をはかったものでございます。  次は一三二ページの三百二十七条、これも延滞金計算方法改正に伴うものでございます。  一三七ページの三百二十八条の五の改正規定は、先ほど月々の課税徴収税額について、十人未満の小規模事業所では納期の特例を設けることといたしましたが、退職所得につきましての住民税の特別徴収につきましても、同じように納期の特例を準用しようとするものでございます。  次は、三百四十八条の改正でございますが、一四二ページに、土地改良事業団体連合会というのを新たに非課税団体として加えてございます。  次は、一四六ページの二十項の改正でございます。これは都市交通対策に資するために私鉄等が設けます地下道あるいは跨線道路橋というようなものについて、負担軽減をはかろうとする改正でございます。  次に三百四十九条の四、一四七ページの改正は、最近における大規模資産所在市町村の財政需要の増蒿の実態にかんがみまして、市町村がとり得る課税限度額引き上げようとするものでございまして、引き上げ内容は、一四八ページにもございますように、市町村の人口段階別に定められております。課税限度額を、従来五万人以上は全部十億円で打ちどめでございましたのを二十万人まで引き伸ばしてまいりまして、そこの段階を二十五億円にしようとするのが第一点でございます。それからその市町村に所在します固定資産のうち、少なくとも十分の二は課税し得るという従来の規定を十分の三まで課税し得るというふうに、十分の二を十分の三に改めようとする改正。それからさらに、基準財政需要額と財政収入額との割合で課税限度額を定めておりますその割合を、従来百分の百四十でありましたのを百分の百五十に率を引き上げようとするものでございます。  それから同じように、一五二ページの三百四十九条の五は、新設大規模償却資産につきまして、基準財政需要額と基準財政収入額との関係できまってまいります課税限度額を、従来の百分の百九十のものを百分の二百、百分の百七十のものを百分の百八十、百分の百五十のものを百分の百六十に、それぞれ一〇%ずつ率を引き上げようとする改正でございます。  次に一五九ページの四百六十五条は、市町村分のたばこ消費税税率改正でございます。従来の百分の十五を三・一%引き上げまして百分の百十八・一としようとするものでございます。  次の四百八十九条は電気ガス税改正でございまして、従来三年間非課税の取り扱いをされておりましたものを、その期限満了に伴いまして、一般的な非課税のほうに繰り入れようとする改正でございます。内容はポリプロピレン、アセチレン、アセトアルデヒドというような四種類を加えようとするものでございます。  次は一六三ページの四百九十条の二の改正でございますが、これは電気ガス税免税点を、現行五百円から七百円に引き上げようとするものでございます。以下、各税目について延滞金規定改正に伴います整備が続いております。  一七三ページにまいりまして、軽油引取税改正でございますが、七百条の三、これは特別徴収義務者につきまして義務違反等がありました場合には、今度は取り消すことができるようにしようという規定改正をいたしておりますけれども、取り消しました場合に、特別徴収義務者がまだ未課税の軽油をたくさん保有しているというような場合があり得ますので、その場合には特別徴収義務者が他の者に引き取りを行なわなくても、すなわち持っておるもで課税ができるようにしようとする規定改正でございます。  それから一七四ページでは、七百条の四、「特約業者及び元売業者以外の者が軽油の製造又は輸入をして、当該製造又は輸入に係る軽油を自ら消費し、又は他の者に譲渡する場合における当該軽油」についての課税であります。従来は輸入だけしかございませんが、自家製油をした場合もそういうことをできるようにいたそうとするものでございます。  それから一七七ページにまいりまして、七百条の十一の二、これは、軽油引取税徴収を確保いたしますために、特別徴収義務者に対しまして、保全担保の提供を命じ得る規定を置こうとするものでございます。  それから一七八ページにまいりまして、七百条の十一の三、これは、先ほども申し上げましたように、特別徴収義務者であります特約業者に対しまして担保の提供を命じたけれども、それに応じないとか、その他特別徴収義務者としてこのままにしておくことが不適当だという場合には、特別徴収義務者としての指定を取り消すことができるという規定を設けようとするものでございます。  次は、一八七ページにまいりまして、七百三十四条の改正規定は、法人均等割り等の改正に伴います都の特例の読みかえ規定改正でございます。  それから一九〇ページへまいりまして、附則の改正でございますが、附則七項の改正は、開拓農地の取得に対する不動産取得税非課税の特別措置等の延長を、昭和四十七年三月三十一日まで五カ年間延ばそうとするものでございます。なお、これにつきましては、先般の特例法によりまして、五月三十一日まで一応二カ月間延長されておりますが、それをさらに四十七年の三月三十一日まで延ばす、こういうことでございます。農地の交換分合につきます不動産取得税特例につきましても、同様でございます。  それから、附則第六十五項の規定改正は、区分所有にかかります住宅についての固定資産税軽減措置についての合理化をはかるための規定整備でございます。  次は、一九九ページの附則九十四項にまいります。「生命保険事業を行なう法人事業税課税標準特例」でございますが、生命保険会社が、厚生年金基金またはこの連合会と契約を結びまして厚生年金関係の仕事を取り扱うという場合に、その収入保険料につきましては、当分の間、事業税課税標準から除外をしていこうという改正でございます。  それから、その次、二〇〇ページの附則九十五項は、交通安全対策の見地からその設置が要請されております自動列車停止装置につきましては、昭和四十二年一月二日から昭和四十七年一月一日までの間につくったものに限りまして、課税標準特例を設けて、二分の一にしようとするものでございます。  それからその次の、二〇一ページの附則九十六項は、重油の水素化脱硫装置、通常脱硫装置といっておりますが、重油から硫黄分を抜くことによりまして、大気中における亜硫酸ガスの拡散を少なくしていこう、こういうことで、重油精製の段階で硫黄分を減少させる装置をこれからつくっていくという問題がございます。そういうものにつきましては、昭和四十二年一月二日から昭和四十五年一月一日までに新しくできたものに限りまして、固定資産税について、二分の一の課税標準特例を設けようとするものでございます。  それから、二〇二ページの附則九十七項は、紙の製造に使われます電気ガス税につきまして、当分の間、その税率を百分の五としようとするものでございます。  以上が、第一条関係改正でございます。  次に、第二条関係改正について申し上げます。  第二十三条の規定で、「老年者」というものの定義に、「六十五歳以上の者で、前年の合計所得金額が五百万円以下であるもの」というふうに限定をいたしましたのは、後ほど御説明を申し上げます、従来は税額控除でございましたのを、所得控除に改めようと考えております。所得控除に改めますと、所得の高い方は、上積み税率が適用になりますので減税幅が大きくなるというような問題がございますので、そういった事情も考慮して、老年者については五百万円までの者に適用するという意味で、五百万円以下の者に限るとしたのでございます。  その次は、三十二条の改正は、青色専従者と配偶者扶養親族等の控除は、納税者の選択によることができるように改正をしようとするものでございます。  次に、二〇八ページにまいります。第三十四条の改正は、従来税額控除でありました障害者老年者、寡婦、勤労学生についての控除所得控除に改めようとする改正でございまして、五万円とありますのは、従来税額控除が千円でございましたので、その千円を最低税率でもって割り返しますと五万円の所得に相当することになりますので、五万円の所得控除にいたしたいということの改正でございます。  なお、二一〇ページの五項の改正は、いま申し上げましたような障害者控除とか老年者控除とかという控除制度に切りかえましたので、規定整備をいたしてございます。  次に、二一九ページの三十七条の二、「外国税額控除」とありますのは、従来、いま申し上げました障害者老年者、寡婦、勤労学生につきましては税額控除でございましたので、ここに税額控除に関しますそれらの規定が入っておりましたのを、全部所得控除に移しかえましたために、ここのところを削除いたしました。結果、残りましたのは外国税額控除規定だけでございますので、改めたものでございます。  次に、四十五条の三の改正規定でございますが、これは、先ほど申し上げました所得税確定申告書を出された方は、住民税申告書を必要としないというふうに一応改めましたが、なお、来年度以降に適用いたします場合にさらに規定整備をしておく必要がありますので、その関係規定整備をはかったものでございます。  次は、二三〇ページへまいりまして、三百十三条の改正規定でございますが、三百十三条の改正規定は、青色専従者と配偶者扶養親族等は、選択によってどちらか納税者にとって有利なものを取り得るということの改正に伴うものでございます。  その次は、二三五ページの三百十四条の二の改正規定は、税額控除につきまして、先ほど申し上げましたのは道府県民税でございますが、市町村民税について所得控除に改めるという、同じ内容改正でございます。  以下、住民税につきましては、いま県民税で申し上げましたと同じ条文の立て方で改正が行なわれておりますので、そういう意味での規定整備が続いております。  次は、二五七ページの「第三条による改正」でございます。第三条によります改正は、昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税及び市町村民税等臨時特例に関する法律の一部を改正するという形となっておりますが、内容的には、六月一日前に支払われました退職手当について、所得税法改正法律によって計算をいたしました場合の退職手当に対する住民税の過納が起こったという場合には、その過納分を、一般の原則は、特例徴収義務者に返すことになっておりますが、そういう手続をとらずに直ちに退職手当の支払いを受けた人、すなわち退職者に直ちに返し得ることにいたそう、そういう改正でございます。それに伴いまして、関係条文について所要の調整をいたしてございます。  以上が改正案内容でございます。      ————◇—————
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、地方自治地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。  まず、昭和四十二年度地方財政計画について、政府から説明を求めます。藤枝自治大臣
  7. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 このたび昭和四十二年度地方財政計画を策定いたしましたので、その概要を御説明申し上げるとともに、これを中心として、本年度地方財政の見通しと地方財政に関する政府施策の概要について申し述べたいと存じます。  昭和四十二年度は、給与関係経費、社会保障関係経費等義務的経費がかなり増加するほか、行政水準の立ちおくれを取り戻すための公共事業費、社会経済情勢の変化に即応して地域の特性に応じ実施しなければならない単独事業費等の経費を増額する必要があります。一方、最近の経済は順調な回復を示しており、地方税地方交付税等の地方一般財源はかなり増収を期待することができるのでありますが、また他方では昨年度地方財政対策の決定の際の経緯等から特別事業債の廃止等事後処理を要するものもあり、さらに市町村における道路財源のように財源確保の必要性の生じてきているものもあります。  そこで地方財政計画の策定にあたりましては、これらの客観情勢を念頭に置き、地方団体が財政の健全化を促進しつつ地方行政水準の引き上げをはかり、地方財政の自主性を高めることができるよう措置することを目標といたしたのであります。  すなわち、計画策定の方針といたしましては、第一に、地方独立財源の充実をはかりつつ、地方税負担軽減合理化を推進するため、昭和四十一年度の第一種臨時地方特例交付金にかえ、たばこ消費税税率引き上げ事業専従者控除及び事業主控除引き上げにより個人事業税及び住民税負担軽減する等地方税負担合理化をはかることといたしました。  第二に、道路整備五カ年計画、下水道整備五カ年計画等の各種長期計画に基づく昭和四十二年度事業の円滑な実施を確保するため、所要の措置を講ずることといたしました。  第三に、地方財政の現況を考慮して、昭和四十一年度に臨時に設けられた特別事業債を廃止するとともに、地方団体がその地域の特性に応じて実施する事業の財源を確保するため、単独事業債等の地方債を増額することといたしました。  第四に、昭和四十二年度に限り、特別事業債の償還財源及び市町村に対する道路財源等を確保する趣旨で、臨時地方財政交付金百二十億円を交付することといたしました。  第五に、人口急増地域、後進地域その他各種地域の態様に即した行政水準の向上をはかるため、基準財政需要額算定方法を改善するとともに、特に投資的経費にかかる基準財政需要額充実することにより地方交付税配分の合理化を推進することといたしました。  第六に、零細補助金の整理統合、超過負担の解消等国庫補助負担金の合理化をはかるとともに財政秩序の確立につとめることといたしました。  なお、第七に、地方公営企業の財政再建につきましては、最近ようやく軌道に乗ってまいりましたが、これをさらに促進するとともに、その経営基盤を強化するため必要な措置を講ずることといたしました。  以上の方針のもとに、昭和四十二年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四兆七千七百十四億円となり、その前年度に対する増加は六千三百六十六億円、一五・四%となるのであります。  次に、歳入及び歳出のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、歳入についてであります。  その一は、地方税収入であります。ただいま申し上げましたとおり、昭和四十二年度事業主控除及び専従者控除引き上げ等により個人事業税及び住民税負担軽減合理化をはかることといたしましたが、経済の現況から自然増収についてかなりの額が期待できます上に、たばこ消費税税率引き上げを行なうことといたしておりますので、前年度に比較して三千四百六十五億円の増収となる見込みであり、この結果、本年度地方税の総額は一兆九千二百六億円となります。  その二は、臨時地方財政交付金であります。  ただいま申し上げましたような経緯から、昭和四十二年度限りの措置として百二十億円の臨時地方財政交付金を交付することといたしたのでありますが、このうち九十五億円は特別事業債の廃止等昭和四十一年度地方財政対策の事後処理的な趣旨をもって、また、二十五億円は市町村の道路財源に充てる趣旨をもって、それぞれ配分することといたしております。  その三は、地方交付税であります。  地方交付税については、国税三税の大幅な増収が見込まれる結果、八千九百二十一億円の交付が見込まれ、その前年度に対する増加額は一千四百五十四億円となります。  その四は、地方債であります。  本年度は財政の健全化を促進する見地から昭和四十一年度限りの措置として発行された特別事業債を廃止することといたしました。一方、社会経済情勢の変化に即応して必要とされる事業の財源を確保する見地から、単独事業債等についてはこれを大幅に増額することといたしました。この結果、昭和四十二年度の地方債の発行予定額は六千六百九億円となり、前年度と比較して九十八億円の減となりますが、特別事業債を除きますと、前年度に比し八百二億円の増となります。このうち地方財政計画に算入いたしましたのは、一般会計債二千五億円、特別地方債のうち一般会計分二百九十六億円、合計二千三百一億円であり、前年度に比較して、特別事業債の減等を除きますと、実質三百六十四億円の増加となっているのであります。  第二は、歳出であります。  その一は、給与関係経費であります。給与費につきましては、給与改定の平年度化及び昇給に伴う経費、警察官、高等学校の教職員及び消防職員等の職員の増加に要する経費等を見込み、前年度比較一千八百四十九億円増の一兆六千五百二十八億円を計上いたしたのであります。  その二は、一般行政経費であります。  この一般行政経費のうち、国庫補助負担金を伴う経費は、総額五千五百五十八億円と見込まれ、前年度に比し七百八十七億円増加いたしました。また、国庫補助負担金を伴わない経費については、地方公営企業に対する繰り出し金、税外負担の解消等を含めて前年度比七百三十九億円増の四千二百四十三億円を計上いたしたのであります。  その三は、投資的経費であります。  まず、国の直轄事業に対する地方団体負担金は、前年度に比し八十億円増加し、六百九十億円となっております。  次に、国庫補助負担事業につきましては、道路整備事業、治山治水事業、港湾整備事業、住宅対策事業及び農業基盤整備事業等にかかる経費の増加により前年度に比し一千四百四十三億円の増加となり、総額は一兆八百十一億円と見込まれます。  次に、国庫補助負担金を伴わない地方単独事業費につきましては、道路、港湾、下水道等の各種長期計画による事業、その他過密都市、新産業都市、辺地等それぞれの地域の特性に応じて地方団体の実施する事業費等について増額をはかりました結果、前年度に比し、九百八十二億円の増加となり、その規模は六千七百三十二億円となったのであります。  なお、先般、政府は地方公営企業の基盤を強化し、その健全化を促進するため同会計と一般会計との間の経費負担区分を明らかにするための法令の規定整備いたしましたが、本年度はこの原則に立脚して一般会計から同会計に対する出資その他の繰り出し金を増額し、総額五百五十一億円を一般行政費及び投資的経費の単独分に計上いたしております。  以上、昭和四十二年度地方財政計画概要を申し述べたのでありますが、これを要するに、本年度地方財政は景気の回復に伴い、その収支については前年度よりはやや改善される見通しにありますが、なお、その運営には十分慎重を要する点が多いと思われますので、中央、地方一体となって国民の福祉を増進しつつ、地方財政の一そうの健全化をはかるよう引き続き努力を重ねてまいる所存であります。
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 引き続き、細郷財政局長から補足説明を求めます。
  9. 細郷道一

    細郷政府委員 お手元にお配りしてございます昭和四十二年度地方財政計画説明という資料がございます。それに従って補足説明をさしていただきます。  一ページは、ただいま大臣から提案理由で御説明申し上げた方針を書いてあります。  二ページにおきまして、歳入について、昨年の当初計画との対比をいたしてございます。  地方税につきましては、一兆九千二百六億、昨年に比し三千四百六十五億の増。それから地方譲与税は六百八十二億、昨年に比して百十五億の増。それに臨時地方財政交付金百二十億。それから地方交付税八千九百二十一億、千四百五十四億の増。国庫支出金が一兆三千七百五十八億、千八百億の増。地方債が二千三百一億円で、これは特別事業債にも昨年入れておりますので、形式的に五百九十四億の減ということになります。概して増減の率をごらんいただきますと、地方税、譲与税、交付税等がかなりな伸びを示しております。  それから三ページには、歳出の関係について、同じく対前年度の増減比較をいたしております。給与関係で一兆六千五百二十八億、千八百四十九億の増。それから一般行政経費九千八百一億、千五百二十六億の増。それから投資的経費で一兆八千二百三十三億、二千五百五億の増。この中で国庫補助負担金を伴うものが一兆八百十一億、千四百四十三億の増。それから国庫補助負担金を伴わないもの、いわゆる単独事業でございますが、六千七百三十二億、九百八十二億の増、こういうようなことでございまして、対前年度増減の伸びを見てまいりますと、一般行政経費、それから投資的経費、特にその中の単独事業の伸び等が全体の規模の伸びを上回るというような姿になっております。  それから四ページは、その結果の歳入歳出の構成比を示したものでございます。ただいま申し上げましたような結果を反映いたしまして、四十二年度におきましては構成比で処方税の比率あるいは地方交付税の構成比がやや上がっておりまして、反面地方債の比率が下がっておる、こういう結果になっております。歳出のほうにおきましては、給与関係費で、わずかでありますが、一%ほど下がっております。その分が投資的経費あるいは不交付団体の平均水準をこえる経費、そういったものに増が出ております。  以上が全体的なものでございますが、五ページから歳入のそれぞれについての参考資料が掲げてございます。五ページ、六ページは地方税でございます。六ページの一番下のところに合計が出ておりますが、一番下の右から三番目であります。改正によります地方税の増が二百三億、たばこ消費税の増率分が入っております。その結果、収入見込みとしては一兆九千二百六億、こういう姿になっております。  七ページにいきまして、譲与税、臨時地方財政交付金、交付税、それぞれの数字が説明をしてございます。特にその下の表の地方交付税の算定基礎、四十二年度の欄をごらんいただきますと、国税三税の三二%で八千九百八十一億七百万、今回は精算、返還がございません。例の借り入れ金の残りがなおございまして、借り入れ金として三百億、返還金として三百六十億、実質的に六十億の本年度の返還、こういうことで、交付税として交付し得るものは八千九百二十一億七百万、こういうことでございます。  それから八ページは国庫支出金の内訳でございます。全体としては千八百億昨年に比して増になっております。普通補助金、公共事業費あるいは失業対策事業費、それぞれの費目に分けて、対前年の増減率があがっております。特に去年より大きくふえておりますのは公共事業の普通建設事業費補助金九百二十一億円、率にして一九・一%の増、こういう姿でございます。  それから九ページは地方債でございます。地方債のうち、一般会計、その財政計画に計上しております部分についての表でございます。ここでは、先ほど提案理由にございましたように、一般単独事業につきまして百四十五億から二百六十五億、百二十億の増、これは過密対策あるいはその他の地域の特性に応じた事業に充てたいということで、百二十億の増になっております。それから辺地対策事業、公共用地先行取得事業、こういうのを新しく設けてあります。そのほかでは特別事業債の廃止、こういうことになります。  それから一〇ページ、一一ページにわたりましては、地方債計画全体を書いてございます。一般会計債についてはいま申し上げたとおりでございます。準公営企業債では、特に三番目の下水道事業というものにつきまして、今回国の補助率も四割に上がりました。そういった事情もあり、下水道事業の推進に資したというところから、昨年より大幅な増額をいたしております。公営企業債につきましては、二番目の上水道事業並びに四番目の地下鉄事業について、それぞれ昨年より大幅な増額をしております。  それから一二ページにまいりまして、歳出のほうの概要でございます。一二ページは歳出全体についての増減事由による数字でございます。給与関係費では、人事院勧告の平年度化あるいは昇給、そのほか警察官及び高校教員等の増によります。そのほかでは、その他の中に警察職員等の待遇改善に伴う増、警察職員の外勤の場合の手当、あるいは駐在所の妻の手当等を増額あるいは創設をいたしました。また消防職員につきましても出動手当を設けたというようなことも、ここに計上いたして、それぞれ交付税の基準財政需要額の中で措置いたしております。それから一般行政経費では、国庫補助負担金を伴うものは生活保護の基準アップ等をそのまま受けておるわけでございますが、そういう補助金を伴わないものについて相当額の増額をいたしております。この中には、交通相談に関する国の補助の伴わないもの等も多少計上いたしておりますほか、税外負担の解消、その他地方財政健全化のための経費、それから公営企業会計への繰り出し金の増額といったようなものを中身として計上いたしております。  それから投資的経費では、直轄あるいは国庫補助負担金を伴うものは、それぞれ国の予算に計上いたしておりますものに相応ずるものでございます。  国庫補助負担金を伴わないものとして九百八十二億の増が書いてあります。それはあとから内容が出てまいりますが、国の長期計画の単独の分、そのほか地方の過密対策等の単独事業費等を見込んだものでございます。  一三ページは給与関係のいま申し上げたことの説明があり、それから一四ページには財政計画上の職員数の増加の一覧表でございます。今回一万四千三百九十六人、計画上にも人員を増加しております。大きなものは警察職員、特に警察官六千人三年計画増員の二年目でございます。このほか消防あるいは高校教員等でそれぞれ国の法令等の規定に根拠を置きました増員分を計上いたしております。一般職員で二千六百十五人ほど出ておりますが、この中で大きいのは清掃施設市町村のし尿処理、じんかい処理、そういったような施設ができましたことに伴ってふえていく、こういうものをそれぞれ計上いたした次第でございます。  それから一五ページ、二八ページの表は、国から出ております普通補助金の所管別の内訳でございます。  それから一七ページの一番上にいわゆる一般行政経費の中の単独の、先ほどもちょっと申し上げましたが、七百三十九億円増になっておりますが、それには公営企業会計への繰り出し、あるいは税外負担の解消、その他健全化合理化のための経費というものを計上してございます。  それから一八ページには投資的経費について、直轄事業、国庫補助負担金、公共、失業対策事業に分けて、それぞれの増加額の説明を加えてございますが、その内容は一九ページに費目別の一覧表として出ております。直轄事業につきましては四十二年度の地方負担額の一番下の計の欄で六百八十九億八千九百万円、これが財政計画に盛られておるわけでございます。  次に二〇ページ、二一ページにかけましては公共事業費、普通公共建設事業それから災害復旧等を入れて、それぞれ費目別に内訳を示してございます。  それから二一ページは失対の国の補助の伴うものについての内訳についてでございます。  それから二二ページに国庫補助負担金を伴わないいわゆる単独事業についてのうち、普通建設事業事業別内訳がそれぞれ示されております。道路、治山治水、港湾整備等につきましては、それぞれ国の計画によりまして地方単独分の財源措置をいたすべく歳出に計上いたしました。  それから公営企業出資金につきましては一般会計と公営企業会計との間の負担金として法令で定められたものを計上しております。  その他単独事業は、その注にございますように、公共用地の先行取得とかあるいは都市過密対策その他それぞれの特殊な地域的な事業に対する需要というものを計上しておるものでございます。  以上、簡単でございますが御説明を終わります。
  10. 亀山孝一

    亀山委員長 以上で、昭和四十二年度地方財政計画についての説明は終わりました。      ————◇—————
  11. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、藤枝国務大臣からの所管行政の説明に対し、質疑の申し出がございますので、これを許します。大石八治君。
  12. 大石八治

    ○大石(八)委員 突然なので、数字的な整理の上に質問するわけではありませんが、今度地方税法の改正がされて、それぞれ軽減措置なり合理化がされるわけでありますが、まず事業税について、自分の意見も込めて質問いたしたいと思うわけですが、事業税自体というのは一体どういう性格かということです。事業にかけるといいますけれども、内容的には収入金額にかけるというふうなことで、一般的に所得税の二重課税だというような言い方もありますし、そういう意味で多少問題点が含まれている税金だと思うのですが、それは一体どういうふうにだんだんやっていけばいいかということです。たとえば個人事業税についてはどうかということもありますが、それは法人との均衡という問題で多少問題があると思うのです。この際だんだん軽減をしていきますけれども、国税のほうの所得税がもうかからなくなった人もあるわけであります。その所得税のかからなくなった、つまり国税でいえば欠格者、それについては府県の事業税も同様にかけないというふうに考えていっていいのではないか。個人事業国税もかからないというような人に対しては、府県の事業税をかけるということも問題ではないか。同時に、税をかけない業種もあるわけです。たとえば農業とか漁業というような、これは相当の収入金額があっても、自家労働でやれば、これは政策的見解だと思いますけれども、対象からはずれているというような点からいきますと、私は個人事業税について、いわゆる国税所得税がかからなくなった人は、これは府県の事業税も近い将来やめていくという考え方で事を進めていったほうがいいのではないか。地方財政との関係もありますけれども、だんだんそういう方向に持っていったらどうだろう。府県の税務関係職員の問題を考えましても、実はいまは一々申告しなくても、所得税の確定申告の部分については、それを資料にしてやるようになっているのでありますが、それのないやつは自分自身でいわゆる調査をして、こまかいことを調べなければならぬ。それはまた手厚く調べてやらなければいけないわけです。小さい人ですから。だからその業務というものは非常に膨大です。また、職員もそのために非常にたくさん必要であろうと思います。徴税を能率化する意味からいっても、それから非常に零細な、ほんとうにこれは事業というよりも一文商い、そういう人たちの立場から考えれば、所得税を納めなくなった人たちに対する個人事業税は近い将来に、同様にこれはかけないという方向にいくことがいいんではないかと思うのですが、その点についてのお考え方をお伺いしたいと思います。
  13. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 地方税全体と申しますか、その分に応じて地域社会の経費を広く分担するという性格を持っておりまして、国税とはやや趣を異にしておると思います。事業税につきましても、実はそれが収入があるからというばかりではなくて、その事業を営んでいることによって、その地域団体からサービスを受けているというような意味もあるわけでございます。しかし、事業税の性格、だんだん収入金額というようなものが重点になってきておることは否定できません。税制調査会におきましても、その意味で、事業税について何らか付加価値的なものを加味したらどうだというような意見もあるわけでございます。ただ、いま御指摘のように、一方において農業等には事業税はかかっていない。しかも個人事業税につきましては、今回も事業主控除専従者控除引き上げましたが、これがだんだん引き上げられる、あるいは将来問題になります国税において専従者控除を完全給与制度に認めていくというようなことになりますと、個人事業税というものが一体いつまでいまのような形でいけるのかということは相当考えなければならぬことだと思います。そういう点もあり、地方財政とのにらみ合わせでございますが、将来の問題としては、特に個人事業税については十分な検討を加えなければならないものと私も考えております。
  14. 大石八治

    ○大石(八)委員 問題点はいろいろあると思うのですけれども、事業税自体についていろいろ議論していては切りがないのですが、いろいろ合理化する、軽減するということでやり得ることの一つだろうと私は思うのです。しかも、数字を持っていませんけれども、府県の中におけるその部分の収入のパーセンテージというものは、私はそんなに大きいものではないんじゃないかというように思いますので、ぜひ勇敢にひとつお願いをいたします。  これとは少しまた矛盾する意見になりますけれども、事業税はかける項目が、何々業というふうに書いてあるわけですね。所得税のほうはそうじゃないわけです。私、最近聞きますと、経営コンサルタントというようなものがあるようであります。それは膨大な収入を持っておるようでありますが、これはいま書かれている業務の中に入っておらないのです。したがって明らかにいわゆる税の対象からはずれているようであります。これはほかにもそういう事業的なものがかなりあるんじゃないかと私は思うのですけれども、この事業税について、そういう点はしばらく触れないままでいいのか。たとえば電気ガスのほうじゃ毎年ぴらぴら、ああも親切ていねいにしなくてもいいくらいにつけ加えて減税をやられておりますのに、事業税のほうについてはちょっとノータッチ過ぎるじゃないか。そういう営業が近来は私は出ていると思うのです。あれをつくったときの商売というものは、昭和の初めくらいの商売じゃないかと思うのです。そういう点について検討をされる必要があるのじゃないかというふうに思いますが、その点について……。
  15. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、事業税は課税対象になります事業を列挙いたしてあります。世の中が刻々と移り変わってまいるわけでございますので、新しい事業と申しますか、業種、業態というものが出てくるわけでございます。したがいまして、適当な時期に法律で全体を見直してまいりませんと、御指摘のような問題が起こる可能性がございます。私どもといたしましても、ほかにも二、三そういう問題を持っておりますので、適当な時期にこの問題について検討をいたしてまいりたいと思います。  なお、所得税との問題がございましたけれども、所得税のほうは、どういう形の事業なりあるいは活動から生ずるものであろうとも、すべて所得という形でもって把握いたしますので、事業税のように一々列挙しておかなくても、およそ所得を生ずれば何らかの形で所得税の課税対象になり得る、こういう趣旨でございますので、そこはやはり若干事業税だけなぜ列挙するかという問題とは違った問題があろうかと思います。
  16. 大石八治

    ○大石(八)委員 事業に課するというけれども、内容的にはどんどん所得課税の方向に流れてきておるのが実態で、それを根本的に改めるなら別でありますけれども、所得税法のたてまえと違うというだけで、この問題を将来に長く見送ることは妥当でない。なるべく早くやるべきじゃないかというふうに思います。  それから法人事業税についてお伺いしたいのですが、数府県にまたがる法人事業税を、分割して府県に与えるやり方をしておるわけですが、その分割の基準というのは従業員でやるわけであります。しかし、これもまだ大正時代であれば、工場には人間がいるということで考えれば当然だろうと私は思うのですが、いまはほんとうに機械でといいますか、ほんとうに一人で、ワンマン・コントロールのような施設がだんだんできて、しかもそれは巨大な投資額のものであります。そういう点から考えますと、私は従業員数だけで——それを無視しろとは言いませんけれども、この点はもっと現実に合うようなやり方に変えていかなければならぬじゃないかというふうに思います。ことに、最近の巨大な近代化学施設はよけい人が少ないわけです。そういうような意味で、その点について少し変えなければおかしいのではないかと思いますが、その点をひとつ……。
  17. 松島五郎

    松島政府委員 法人事業税分割基準の中に固定資産の要素を取り入れるという問題については、かねてから私どもも検討をいたしておるところでございます。御指摘のとおり最近は施設は非常に大きなものができましても、そこで働かれる従業員が非常に少ないという傾向が出てきておりますので、そういう実態からいって、単なる従業員数だけではなくて、施設固定資産を分割的にとったらどうか、こういうことで検討をしてきたわけでございます。ただ、これをどういう観点から法人事業税の分割というものを考えるかという考え方にもよるわけでございまして、できるだけ財源の配分が偏在をしないようにという観点から、従来までは検討を続けられてきておりました。しかし、そういう観点から、固定資産を分割的に取り入れたらはたしてうまくいくかどうかということになりますと、従来までの傾向では、必ずしもそうはならないのでございまして、そこで財源の各地方団体間における分配をいかに適正にするかという点からは、必ずしも固定資産をとることのみが、あるいは固定資産の要素を入れることがうまくいくというように結論としてはなっていない状況で、なおこの点についてはわれわれとしても検討を進めていきたいというふうに考えております。
  18. 大石八治

    ○大石(八)委員 それも問題点があるということが指摘されるなら、やはりなるべく早く結論を出していただくようにお願いしたいと思います。  いま固定資産税の話が出たので、固定資産税の点についてお伺いしたいのですが、今度人口割りでいわゆる償却資産市町村と府県の関係の是正をすることになったわけですが、この段階になれば、もう市町村にやったらどうなのか。今度は二十万の人口で二十五億ですか。そこまでのことになったら、府県にその分を考えないで市町村にやる。そういう巨大なものをつくるときには、いわゆる公共的な付帯事業をやらなければならないのでありますから、そういうふうに今度改正したばかりでありますから、すぐその上追いかけさせることもどうかと思いますが、方向としてはそういう考え方がないかどうか、ひとつお伺いしたい。
  19. 松島五郎

    松島政府委員 償却資産につきまして、県と市町村との配分につきまして現在それぞれ課税限度額を定めているわけでございますが、だんだん市町村の分を少しずつ引き上げていくくらいなら、いっそのこと市町村に全部移してはどうかという点につきましても、私どもも当然そういう問題は考え得る問題でございまして、検討をいたしたのでございます。しかし現段階におきましては、やはり一律にそういう取り扱いをすることには、本制度が設けられておりましたそもそもの趣旨から、なお問題が残っておるのではないか。最近のように大きな工場が新しくできて、そこでは従業員もたくさん入ってくる。そのための学校、道路その他いろいろな施設をしていかなければならぬというようなところにおきましては、御指摘のとおりたくさんの財政需要が殺到してまいるというようなことから、なるべく制限を緩和していくというほうが適当だと思いますけれども、一方山間僻地にあります発電所のような場合には、必ずしも全部一挙に制限を撤廃してしまうことがいいか悪いかという問題につきましては、なお問題が残っておるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  20. 大石八治

    ○大石(八)委員 その点、少し私も自分自身の追及が足りませんから一応その程度にしておきますが、住民税の減税その他合理化をしていただいているわけですが、府県の住民税というものについて、あれはできるときは、県民なり自治体のものである、そういう意思をかなり込めて県民税というものをかけてきていると思うのですが、いろいろほかの関連等もあって、最近における市町村住民税個人のウエート、県税の個人のウエートというのが、だいぶ比重が迫ってきているというふうに感ずるわけであります。実はわれわれ国会で市町村住民税のオプションを、ああするとかこうするとかいろいろしてやりますけれども、切符は一枚。だから市町村税の減税をしましたということを言ってみても、県税のほうは所得その他関連して実質的にはどんどん上がるものですから、一枚の切符を分けて、自分の分は市町村税はこうだとかああだとかいうふうには見ないわけですね。ですから減税の恩典というものをあまり感じとれないという事実もあるわけであります。さような意味で、とにかく府県より市町村がたいへんなんだという事実もありますから、府県の住民税を思い切って減額するか、そうでなければ、市町村と府県との分け前を、一つのものを分けるわけじゃありませんけれども、もう少し——私もこれは突然ですからあまりこまかく追及し切れませんけれども、とにかく個人の府県の住民税が高いという感触を持っています。これは直さないのですよ。市町村のほうはどんどん直して減税しましたけれども、県のほうはあまりタッチしないで今日まできている。ほかの関連で上げたときもある。そういうことで、現在では個人県民税というものは高いという感じがぬぐい切れないのが事実であろうと思うわけです。府県の個人住民税を減税するか、ないしは市町村とのバランスを、住民税というものの性格からいってももう少し直していく方向というものを検討すべきではないかと思いますが、その点について政府の考え方を聞きたいと思うわけであります。
  21. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、市町村民税につきましては課税方式が幾つもあった時代もございます。さらにそれが若干整理をされてもなお本文方式、ただし書き方式というようなことによりまして、しかも準拠税率をとり得るというようなことで、かなり重い負担住民税市町村民税にあったわけでございます。だんだんそういうやり方を排除してまいりまして現在の制度に移ってまいりまして、それは実質的には市町村民税の減税となってきたものと考えられるのでございます。したがいまして、市町村民税に比べて県民税のほうが重いではないかという御指摘でございますけれども、重いか軽いかの問題は別といたしましても、住民税全体の中で県民税のウエートが市町村民税のウエートより若干現在では高くなりつつあるという傾向はございます。したがいまして、そういうような点から県と市町村との財源の配分のしかたはどうあるべきかという全体の問題としてこの問題は解決していかなければならないと思います。この問題に関連をいたしますと、単に住民税所得割りだけの問題でなくて、そもそも現在の地方税の配分を県と市町村との間でどうすべきかという根本問題にも触れてまいるむずかしい問題でございます。私ども、むずかしいからといって回避するわけではざいませんが、非常に重要な問題でございますので、いずれにいたしましても慎重な検討を加えた上でなければ結論を出すことは困難であると考えておりますが、問題のありますことは御指摘のとおりでございますので、十分検討してまいりたいと思います。
  22. 大石八治

    ○大石(八)委員 最後に一点だけ申し上げたいと思います。これはやや実務的な感じがするわけでありますが、自動車税のことであります。府県の税金として、私は自動車税というのは将来やっぱり相当の税金になると思う。その税金を四月一日現在でかけるわけです。ところが、実際は移動が非常に行なわれているし——自動車税というのは、頭の中では非常に親切にできておるわけですね。納めて、自分が車を廃棄すればその分を返すとか、税のたてまえは納税者に親切にできておると思う。しかし、そのことが実は問題をたくさん起こしている。これはちょっと納税者の立場と違いますけれども、府県の徴税の立場からいたしますと、非常に問題を起こしている。非常にばく大な事務量、おそらく府県において税務職員の半数近くが自動車関係の事務をやっていると思うのです。これは実務の問題も少し考え直してやる必要があるのじゃないかと思うわけであります。これは実務上の問題ですから、私は結論的にすぐどうこうということは申し上げられませんが、簡単に言えば、車検のときに払うということをすれば、車検は普通自動車の場合は二年に一回くらいです。それから、トラックの場合は一年に一回ですけれども、普通自動車の場合に二年に一回というところに問題があるかもしれませんけれども、しかし、自分がその自動車をほかの人に売る場合は、その分の税金を取るか取らないか、あるいは売買価格の中でやるかどうかという問題もあり得ると思うのです。実際問題、私どもは聞きますと、非常にこれは実務にほんろうされている。しかも、それはほんろうされるだけじゃなくて、的確にあとをやり切れぬということに事実なっているわけで、したがって、これは実務のことですけれども、自動車税の徴収についてもっと簡便的確な方法を私は考えていいんじゃないかというふうに実は思いますが、その点について、実務的なことに少しなるわけでありますけれども、そのことを考えておるかどうか。  以上で終わります。
  23. 松島五郎

    松島政府委員 自動車税の課税事務につきましては、御指摘のとおり府県の事務を担当しております者から、非常に事務量が多く、かつ繁雑であって、何とかこれを改善してもらいたいという要望が非常に強く出ております。この問題は、納税者にとってできるだけ便宜であるように、あるいは負担感を増さないようにというようなことで分けて課税をすればするほど問題はむずかしくなるということでございます。いま御指摘のように、二年に一回課税したらどうかということになりますと、そのときに二年分一ぺんに払うということでは、また払う側に立ちますとたいへんな苦痛でもあるという問題もございます。どうやったら一番この問題が円滑にいくか。最近は自動車も非常に御指摘のとおりふえているのであります。また、ふえているのみならず、移動も非常に激しくなってきておりますので、そういった事態に即してどうすべきかということについていろいろ検討中でございますけれども、できるだけ御趣旨も考えまして、簡便な方法で、かつ納税者にも大きな苦痛が、これ以上の負担がかからないような方法で検討していきたいと考えております。
  24. 亀山孝一

    亀山委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。井上君。
  25. 井上泉

    ○井上(泉)委員 自治大臣に二つだけ。  一つは、税が非常に減税になっておるという話ですけれども、地方税は減税ではなしに、国民所得の伸びから考えても大幅な増税になっておるという数字が出ておるのですが、これについての大臣の所見と、さらにもう一点は、いま大石さんの質問の中に出ておりました事業税。私は、所得税のかからないものに事業税を云々ということについてはたいへん賛成をしておるのですが、その質問の中で、一次産業の農業、漁業に対する課税のことを云々され、一次産業の農業、漁業について、課税のことを何か考えざるを得ないような情勢にあるというような説明を大臣はなされたのですが、そういうふうなお考えを持っておるのかどうか、その点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  26. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 地方税の全体の国民所得に対して占める割合の御指摘がございました。もっとも、たばこ消費税引き上げ等もございますので、その辺もお考えいただきたいと思いますが、確かに全体として地方税がまだ高いといいますか相当負担が重いという事実は私ども考えるわけでございます。何とかそういう負担軽減をはかりたいと考えておりますが、何ぶんにも地方財政が御承知のような状態でございます。それと、昨年約三百億ぐらいの減税をいたし、さらに昨年の所得税の大幅な減税が本年の収入に響くというような点もございまして、非常にわずかな一種の調整的な手直ししかできなかったのでございますが、将来に向かいましてはさらにいろいろと一もちろん中央、地方の行政事務の再配分とそれを裏づけする税源の配分という根本問題とも取り組まなければならないと思いますが、与えられた条件のもとにさらに減税につとめてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから事業税について、農業等の第一次産業に課税を云々ということを申し上げたのではないのでございまして、個人事業税については、一方第一次産業等には課せられていないし、さらにだんだん事業主控除あるいは専従者控除等を引き上げてまいりまして、今後もその引き上げる方向にあろうと思います。しかも、国税においては、専従者控除を今度は完全給与制に切りかえていこうという方向に進んでおります。そういうことをあわせ考えますと、個人事業税というものについて相当再検討の余地があるのではないかという意味で申し上げた次第でございます。
  27. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、農業、漁業については個人事業税は将来においてもかけるというお考えはない、こう確認しておいていいですか。
  28. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 さようでございます。
  29. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは、次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十七分散会      ————◇—————