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1967-03-24 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十四日(金曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 久保田円次君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 門司  亮君       木野 晴夫君    塩川正十郎君       辻  寛一君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    古屋  亨君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       依田 圭五君    折小野良一君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    結城 義人君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税  及び市町村民税等臨時特例に関する法律案(  内閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税及び市町村民税等臨時特例に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 質問に入る前に、この昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税及び市町村民税等臨時特例に関する法律案について、いただいた資料というのがきわめて不十分なんです。これでは審議参考にはちょっとしにくい点がありますから、委員長において、今後法案審議には十分参考になるような資料を整備して提出していただくように、まずひとつお取り計らいを願いたいというお願いをしておきたい。
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 かしこまりました。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 最初お尋ねいたしたい点は、この法律案は四月、五月についての適用でありまして、そういう特例でありますが、どうして、どういう目的でこういう特例法案を出したのか、その気持ちといいますか、精神といいますか、それをお聞きしたいと思います。
  6. 松島五郎

    松島政府委員 この法律案を四月、五月の分につきまして提案をいたしました趣旨は、所得税においても同様でございますが、退職手当に対して課税をいたします住民税につきまして、勤続三十五年で五百万円まで課税されないような立法措置を講じようということを考えているわけでございます。ただ、この法律は他の地方税法改正案と一緒に御審議を願うことになっておりますので、もっとも退職手当につきましては所得税法改正がいわば自動的に計算がこちらに乗るような形になりますが、所得税法改正案国会提案されまして御審議をいただくには相当の時間が必要ではないか。そうしますと、四月中、五月中に退職されました方には旧法規定に従って退職手当課税されるということになりまして、せっかく新法が成立をかりにいたしますならば減税の恩典を直ちに受けられる方々について、その適用がないというのはいかにもお気の毒な場面もあるわけでございますので、一日も早くそういった新しい状態になり得るようにいたしますためには、さしあたり四月、五月の分についてこういう措置を講ずることが適当ではないか、かように考え提案をいたしている次第でございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 四月、五月といいますと、退職される方も普通の月より多いかもしれません。そういうことを勘案されてこの特例法を出したお気持ちは、私は了とするわけですそれならば、すでに一月から三月までに取られておる人がおるわけです。これはまことにお気の毒ですね。このことは考えられなかったかどうか。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 お尋ねの点、まことにごもっともでございまして、私どもも一月から三月までについても何らかの措置を講ずべきではないかということをいろいろ検討いたしたのでございます。しかし御承知のとおり、退職手当につきましては、本年から現年課税の制度になってまいりましたために、その退職手当計算そのものにつきましては、課税の対象となります課税標準計算そのものにつきましては所得税法計算にそのまま乗っかるたてまえになってきておるわけでございます。そこで原則的には所得税法改正が行なわれると、それによって初めて住民税についての退職手当課税標準が新しい法の適用状態に入る、こういう形になるわけでございます。そこで、所得税法改正がいつ通過をいたしますか問題でありますけれども、かりに所得税法改正が六月なら六月から適用になると仮定をいたしますと、一月から六月までは、住民税では、黙っておけばそこまでは旧法によって課税されるという状態がそのまま継続するということになるわけでございます。そこで、いま申し上げましたように、一日も早く新しい法律の目ざすところに近づけようということで、四月、五月分の特例法を出した。しかし、一月から三月までのものにつきましてはもうすでに課税されて、まあ三月と申しましても、あす、あさっておやめになる方はこれから余裕があるわけでございますけれども、ともかく一応法律通過が予想されますときまでに退職手当についての課税旧法によって行なわれてしまっているであろうということが予想されるわけでございます。そういうふうなことを考えますと、それにまで所得税法をさかのぼって適用するということは非常に困難でございますので、これは所得税法の問題が解決をいたしましたときに還付をするという形にせざるを得ない、こういうふうに考えたわけでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 お答えによりますと、六月に所得税法改正がありますと、それに乗っかっていくわけですから、六月以降本法が通った際にできるだけ早くよけい取り立てた分を払い戻す、こういうお考えのようでございますが、むしろそこまでいくのなら、この法律精神からいって、この特例をつくるのならば四月、五月だけではなくて、一月−三月も救済してやろうという親心をこの法律案に盛り込むべきではなかったか、こう私は思うのですね。六月以降すみやかにということでありましょうけれども、一月−三月のものも、四月、五月を救済すると同じように、できるだけ早くよけい取り立てた分は返してやることがこの法律案でできるわけです。どうしてそれを考えなかったか。もうすでに取り立てちゃったんだからしようがないんだ、これは本法が通るまで待てというのは、片手落ち親心じゃないか、こう私は思うのですが、どうですか。
  10. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘まことにごもっともでございますが、実は先ほども申し上げましたように、原則的には所得税法規定によります課税所得計算の上にそのまま乗るというたてまえをとっております関係上、所得税法適用が、今度所得税のほうで特例法を出しまして一月から三月分までも直ちに適用するという措置を講じてございますならば、当然住民税についてもそういう措置を講ずべきであろうと思いますけれども、所得税のほうは御承知のとおり四月、五月分の源泉徴収特例だけを設けて、一月から三月分までについては本法通過の際にあらためて還付の手続をとる、こういうことになっておりますので、それらとの均衡と申しますとことばは適当でないかもしれませんが、つり合いを考えまして、同様の取り扱いにいたしたのでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 まあたいしたことでないから、重箱のすみをつっつくような議論をしたくないのですけれども、この住民税所得税法に乗っかるのがたてまえなんでしょう。ところが、この四月、五月分については所得税法に乗っからないで独自にこの法律で切り離されて出されておるわけですから、一月−三月も当然その親心はまんべんなく、不公平が起こらないようにやるべきじゃなかったか。またできたはずですよ。なるほど、所得税のほうは四月、五月については乗っかり得ないでしょう。そのまま乗っかり得ないからこういう法律案が切り離されてできたわけですね。親子の関係ではなくて、対等の関係で出てきたわけですから、一月−三月も当然考えてやるべきじゃなかったかと私は思うのですよ。いまの局長お話ですと、どうも話の筋が通ってないんじゃないか、こう思うのです。いかがですか。
  12. 松島五郎

    松島政府委員 何度も申し上げておりますように、原則的には所得税課税所得計算の上に乗っかりまして、住民税退職所得計算も行なわれるわけでございます。ただその原則をそのままにしておきますと、極端に申しますと、所得税法本法が通りますまでは住民税は黙っていてもいいのだという形にもなり得るわけでございます。しかしそれでは、所得税のほうで四月、五月分について特に源泉徴収についての特例を設けて一日も早く減税の効果が及ぶようにしよう、こうしておる趣旨にも合わなくなると考えまして、その点を所得税と一応切り離しまして、住民税としても同じような取り扱いをしよう、こういうやり方をとったわけでございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 その点はどうもかみ合わないので、この特例法を設けた以上は、四月、五月に限らぬで、所得税法に乗っからぬで独自の法律案として出したわけですから、親心は、一月から三月の退職者方々にも一日も早くよけいとった分を返すようにしてやるべきであった。それがほんとうの親心だ、片手落ち親心はよろしくない、こういうことを強く指摘しておきたいと私は思うのです。しかし税務局長と残念ながら意見の折り合いができませんので、まあ次に進ませていただきたいと思います。  この法律案の第一条に基づく減税額は、税調答申によりましたとおりのことでありますから、税調のこのいまいただきました答申にもありますが、大体年間十五億円程度見込まれるようでありますが、そのとおりでありますか。
  14. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 そこでお尋ねいたしますが、現行法でやった場合の該当者の数、それから改正になった場合の該当者の数はどういうふうに変わってまいりますか。わかりましたら、所得税の場合と住民税の場合と地方税の場合とを区別して教えていただきたいと思うのです。
  16. 松島五郎

    松島政府委員 ただいまその分別した資料ができておりませんので、人数その他についてはちょっと不明でございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 この法律退職金についての控除額がふえていくわけですから、相当大幅な該当者の数の減が起こってくると私は思うのですよ。それを調べておらぬということになると、親心はきわめて抽象的で、さっき私はきわめてはんぱな親心じゃないかと言っておったが、基礎数もわからぬでは、ちょっと問題があるのじゃないでしょうか。
  18. 松島五郎

    松島政府委員 御承知のとおり、勤続三十五年で五百万円まで非課税ということを目途にして本法改正案考えておるわけでございます。まあ今日の退職手当支給状況から申しまして、勤続三十五年で五百万円と申しますと、大体のところは長年勤続されておる方については非課税になるということになるのではないかというふうに考えております。ただ、在職年数が非常に短い方というような場合には、控除額は相対的に低くなりますので、必ずしも全部が全部非課税になるとは限りませんけれども、相当年数在職された方は、一般的な条件のもとで退職される方は、ほとんど非課税になるのではないか、かように考えております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 税調は永年勤続というのを三十五年ということでとったわけですが、三十五年で五百万ということになりますと、いままでは幾らですか、三十五年の五倍ですから、百七十五万というのが五百万までなるわけですから、かなりの部分が救済されると思うのですが、ひとつできましたら、後ほどでよろしゅうございますが、現行法の場合の年間該当者数改正になった場合の該当者数、そういうものを資料として出していただきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのでありますが、大蔵省は来ていらっしゃるのですか。
  20. 亀山孝一

    亀山委員長 大蔵省からは、秋吉主計官が見えています。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 主税局じゃなかったですね。
  22. 亀山孝一

  23. 細谷治嘉

    細谷委員 この内容についての第一点でありますが、税調答申はそのとおりでありますけれども、最低保障控除といいます額は動いていないのですよ。これは税調がそういう答申をしているからということでありますが、検討余地はなかったかどうか。一般退職の場合に二十万円でしょう。これは従来と動いていないわけですね。検討余地はなかったかどうか。
  24. 松島五郎

    松島政府委員 税調で特にこの点について検討されたということについての記憶は私ございませんが、問題は、やはり日本雇用状況から申しまして、同一企業体あるいは官庁等に長年勤続するというのが現在の日本一般的状態でございます。そういう意味からいって、長くつとめて老後の最後の生活のかてとしてもらった退職手当をできるだけ優遇しようという趣旨でこういう減税答申されたのだと考えております。そういう点から、二十万円と申しますと、一年間につき最初の段階では五万円ずつかけてまいりますので、四年勤続した方に相当するわけでございますので、そういうところにまでは考えが行き渡っていなかったのではなかろうか、特に論議にならなかったのではなかろうか、かように考えております。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 いままではずらっと五万円づくしであったわけでありますが、今度は四年以下というのを二十万円にいたしまして、五年から十年までを五万円ずつ加える。したがって、十年の場合には五十万。十一年から二十年までは十万円ずつ加えていく。二十年から三十年までは二十万を加える。三十年をこしますと三十万を加えていく。そしてずっと三十万ずつ加えていくわけであります。その場合、やはり累進していくわけでありますが、この辺の検討も、税調はそのとおり答申はなっておりますけれども、検討をすべきではなかったかという気がいたすわけです。三十五年つとめる人はけっこうなことでありますが、十年ぐらいでやめられる方だっていらっしゃるわけですから、やはり控除額、こういうものについては、この辺も触れておくべきじゃなかったかと思うのですが、これは大蔵省本法所得税のほうでやったので、それにそのまま乗っかるだけだ、こういうことかと思うのでありますが、主計局じゃどうにもならぬですな。これは、まあ意見として申し上げておきたいと思います。  そこで、私はこのこと自体についても若干問題があるということを申し上げると同時に、お尋ねいたしたいことは、これは分離課税なんですね。他の所得と分離されておるわけですね。そうなった場合に、どうも私は、高額の人には有利で、低額の人には不利なような結果を生むんではないか、こういうふうに思うわけです。端的にいいますと、かりに十年つとめたとしますと、五万円の給料取りですと、五十万そこそこですわ。とにかく五十万なら五十万という基礎控除がなされた、自動的に残った十万円なら十万円、退職所得控除後の金額所得がありますと、残った分について二分の一かけたものに普通の住民税税率がひっかかってくるわけですね。で、納めるわけですね、分離されておりますから。本来ならばその分について、総合所得的な考えでいきますと、税を納めないでいい人がおるはずですよね。この辺の関係はどうなりますか。
  26. 松島五郎

    松島政府委員 お尋ねの点は、諸控除がありました場合に、それが一般所得金額、総所得金額から引き切れなかったものについて、さらに退職所得から控除できるのではないか、それが分離されておるために、所得税の場合のように総所得金額から引き切れなかった、たとえば基礎控除でありますとか扶養控除というようなものをさらにこれから引くことができなくなるから、そこの点で不合理があるのではないかという御趣旨であろうかと存じます。これは今回の改正の問題とは直接関係のない点であろうかと思います。と申しますのは、分離課税になりましたのは、すでに昨年の改正においてそうなったわけでございます。これを勤続三十五年五百万円まで非課税にするとかしないとかいう問題とかかわりなく、本年からそういう形にすでになっておるわけでございます。ただ、そういった面もありますことを考慮いたしまして、現在の住民税では現年課税にはいたしましたけれども、普通所得そのもの所得税計算に乗りますけれども、税額住民税税率適用しましたものからさらに一割を控除するという方式をとっておりまして、その間の問題もあわせて調整をいたしております。お尋ねのような場合は、私はないとは申しませんけれども、それは所得税のほうが実際どうなっているか、詳しいことは存じませんが、いろいろな控除が引き切れなくて、さらに退職手当から控除しなければならないというような場合はきわめてまれな例ではなかろうかというふうにも考えられますので、税額において一〇%控除するという現在の住民税やり方は、かなりそういった点についての配慮も行なわれておるものと考えておる次第でございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 昨年、退職所得についての住民税当年度にかける、分離課税とする、こういうことになったわけでありますが、昨年は残念ながら地方税法というのはほかの問題に焦点がいってしまって、その辺の議論があまりなされておらぬづくで地方税法が上がっちゃったわけですね。われわれも反省しておるわけです。御承知のように、配当所得に対する分離選択課税という、金持ちに対してきわめて救済的な、恩恵を与えるような法律が出ている、そういう国会において、この分離課税利害得失というものを議論なしに、まあ翌年度よりも当年度のほうが入ったときだから響きは少ないだろうということで通っちゃったわけなんですが、私はこれは問題があると思うのです。配当所得等について、分離選択で有利なようになるわけですが、これは一切もう分離されておるわけですね。普通の所得と接触するところは一つもないわけです。こういうところから、私は低所得者低額退職者については不利な面が現実に起こってくるのではないかということを憂慮している。その辺について、どうして配当所得にはこういうことを考えておるのに、この場合には考えられなかったのか、現実にはそういう憂慮しておるような点がないということであればいいわけですけれども、あると私は思うのです。この辺はどうなんでしょうか。大蔵省が見えておるようでありますから、ひとつ大蔵省と、自治省のお考えを重ねてお尋ねしておきたい。
  28. 松島五郎

    松島政府委員 配当所得分離課税の点についてお尋ねでございますけれども、国税のほうでは、一定金額配当所得につきましては源泉課税をするかあるいは総合課税にするかを本人が選択できるような仕組みになっておりますけれども、住民税におきましては、それはすべて総合して課税をするというたてまえをとっております。したがいまして、所得税のほうの問題は別といたしまして、住民税については、お尋ねのような問題は配当所得については理論上はないというふうに申し上げられるのではなかろうかと考えております。  なお、退職所得について前年課税と現年課税との二本立てと申しますか、一般所得については前年課税で、退職手当については現年課税にしたことによって、先ほどお話のございましたように、諸控除の引き足りない分を退職所得から引くことができなくなったという問題はどうするのかということでございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、そういった点も考慮をいたしまして、税額そのものを一〇%減額をする、こういうような措置も講じておりますので、お尋ねのような心配はまずあり得ないのではなかろうか、かように考えております。
  29. 結城義人

    結城説明員 ただいまちょっと途中で参りましたので、あるいは御質問趣旨に必ずしもマッチしないかもしれませんが、配当分離課税にしておりますのは、資本蓄積貯蓄奨励という趣旨からなっておることでございますが、税負担の公平という見地から、税務当局といたしましては総合課税に戻すべきであるという観点で種々努力しておるわけでございます。そのため、本年度におきましても政府税制調査会から、一ぺんに総合課税へ戻すのは急激な変化になるので、とりあえず源泉分離税率を五%引き上げたらどうかという答申がございまして、その方向で改正案を準備いたしまして国会へ提出しておる次第でございます。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 これは低所得者に対する親心でこの法律案ができているわけですから、税務局長の話ですと、住民税の場合にはそういう不合理がないと、こうおっしゃっておるわけですが、所得税の場合には私はあり得ると思うのですね。これは当然低所得者、しかも退職金をもらったからといって、その退職所得で余生を送るということが不可能なような今日の状態でありますから、不公平がないように、配当所得等にとっておるように源泉選択分離課税源泉選択制、その辺のことを配慮してやるのが当然ではないかという気がいたします。ちょうど結城さんが見えましたから、この法律案税調答申どおり出ているわけですけれども、税調答申どおりそれをやったんだといえば、それはそのままですけれども、なお税調答申内容について検討余地があったのではないか。たとえば一般退職の場合の最低は二十万円の控除ということになっているのだが、この辺の検討一つもこれは手を加えていないわけですが、やるべきじゃなかったか。あるいは障害退職の場合、五十万加えた七十万ということになっておりますが、あとはずっと並行なんです。この辺について検討あってしかるべきではなかったか、こう思うのでありますが、この点いかがですか。
  31. 結城義人

    結城説明員 退職金課税につきましては、実は政府税制調査会におきまして長期答申というのがございます。これは実は長期にわたって将来のあるべき税制の姿を答申したものだということになっております。まあ長期というのはどのくらいかということでございますが、おおむね三年程度目標にしておるということになっております。税調答申は、三年程度たって御案内のような内容改正案を実現すべきであるというような前提に立って答申されておるのでございます。それを実は昭和四十二年度一ぺんにやるという点に非常に努力をした、財源等関係からやや困難な点がございましたのですけれども、退職金課税については優先的に行なうべきであるということで、第一年度で全目標を達成するという改正案を実はつくったという点にひとつ御了承のほどをお願いしたいと存じます。もちろんおっしゃるような点は、将来にわたっては検討すべき余地が十分あると存じます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 三年間にわたる長期答申であるが、全目的を今回一ぺんにやっちゃった。しかしいま私が指摘したような点については今後検討するということでありますから、ひとつぜひ検討をしていただきたい、こう思います。  この法律案はずいぶん長いので、いろいろ問題点があるようでありますが、この程度にいたしまして、第二条についてお尋ねいたしたいのであります。第二条は、これはただ三月三十一日で切れるのを二カ月間延長しておこう、そして本法に載せようということのようでありますが、一号、二号該当の件数というのはどのくらいあるのか、これに基づいての年間減税額はどの程度になるのか、お尋ねいたします。
  33. 松島五郎

    松島政府委員 二つございまして、開拓農地等につきましての非課税の問題、それから交換分合によります場合の課税標準特例の場合とございますが、いずれも大体六千件程度該当昭和四十年度でございます。
  34. 細谷治嘉

  35. 松島五郎

    松島政府委員 金額は、いま正確な数字がまだ集計ができておりませんけれども、大体数百万円程度のものであろうと考えております。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 私は不勉強であまりわからないのでありますが、三月三十一日までは、これは限時立法であったのでしょう。どうなんですか、一号、二号……。
  37. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりでございます。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 三年間だったのですね。
  39. 松島五郎

    松島政府委員 さようでございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 今度これは特例法でありますが、本法ではどういうふうになるのでございましょうか。
  41. 松島五郎

    松島政府委員 さらに五年間延長をいたしたいというふうに考えております。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 五年間ということでありますが、一の問題はさておきまして二号の問題について、「前号のあっせんによる農地の交換分合による土地の取得」これは年限を限る筋合いのものじゃないように思いますが、どうですか。
  43. 松島五郎

    松島政府委員 御質問の御趣旨がよく理解できませんので、あるいは見当違いのお答えになるかと存じますけれども、農地の交換分合をはかって農業の生産性を高めていこう、こういう施策を講じようと、ただいまそのほかの面とあわせて、いろいろな農業構造改善事業というような施策が講ぜられておるわけでございます。そういう見地に立って考えますと、やはり一定の期間内に集中的にこういうことを奨励をし、推進をしていこうということであると考えるのでございまして、そういう見地から申しますと、永久にということではなく、やはり一定の期間内にそれが促進されるような措置として、期限を切ることが適当ではないか、かように考えております。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっと意味がわからなかったのでありますが、二号は、農業委員会等のあっせんによって農地の交換分合をやった、これは差額に対して課税されるわけでしょう。これはあたりまえのことじゃないですか、差額に対して課税されるわけですから。むろん農業政策として交換分合、構造改善等を進めていくということでありますが、農業の問題であります。あたりまえのことでしょう。Aという土地、交換分合で今度Bになった、その差額が課税されるわけでしょう。あたりまえのことでしょう、これは。それを限時立法にする必要はないじゃないですか。
  45. 松島五郎

    松島政府委員 一般に土地の交換について、これを譲ったもの、譲り受けたもの、さらにまた反対に譲ってまた譲り受けたものという四つの関係が、成立するわけでございますけれども、それを相殺して一つのものと見るかどうかということは、不動産取得税のあり方をどう認識するかという問題にも関連する問題であります。ただいまの税法のたてまえでは、交換の場合であっても、それぞれについて取得があったという前提に立ちまして不動産取得税が課せられるというたてまえになっておるわけでございます。それに対する農地の集団化を促進しますための特例措置としてこういう制度を設けたわけでございますから、やはり私は特例であるというふうに考えておるわけでございます。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 促進するためだ、だから時限立法だ、こういうことで、私は農地に関する限り——ほかのものは別ですよ。土地区画整理事業とか何とかをやった場合にはこれは別ですよ。農地は農業生産をやる基盤ですから、あたりまえのことを、あえて限時立法にする必要もないじゃないか、こう私は思っておるわけです。これは私の意見程度にとどめておきたいと思うのであります。  そこで、時間もありませんから、ちょうど大臣が来ましたからお尋ねしておきたいのですが、この法律とは関係ないわけでありますけれども、ちょうど退職という字句が出ましたものですから、お尋ねしたいのです。  地方公務員の定年制等の問題について、あるいは給与のあり方等について、たとえば藤枝構想、こういうものが盛んに新聞に書かれてあるわけですね。たとえば、大体年功加給的なあり方、給与体系はおかしい、職務給にしなさい、こういうようなのが藤枝構想にもあるようでありますし、あるいは定年制を設くべきだ、その前段として勧奨退職を強行すべきだというのが藤枝構想の第二のように新聞で——これは新聞ですが、書いてあります。それから所得政策を織り込むべきだ——所得政策とは言っておりませんけれども、それに近いようなことを藤枝構想の柱としてあげられておるのでありますが、若干これとも関係がありますから、そういう藤枝構想というのはあるのかないのか、ちょっとお聞きしておきたい。
  47. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 結論的に申しますと、そういう構想、ことに藤枝構想というようなものはございません。ただ、定年制の問題に関連いたしまして、一方において定年制をしくならば、やはりその方々が再就職できるような場というものをつくっていかなければならないのじゃないか。しかし、その場合にはいわゆる年功序列型の給与でなくて、何かほかのものを考えていかないと、非常に地方団体の負担が、給与費が多くなるのではないだろうか、そういうようなものをあわせて考えていく方向で検討をいたしたいというような考え方でございます。それから、勧奨退職を強行すべしなんということは全然考えておりません。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 これはたいへん大きな問題で、新聞で藤枝構想ということでありますから、きょうはあるのかないのか、その点だけを聞きまして、いずれまたゆっくり委員会で議論することにいたしまして、私の質問を終わります。
  49. 亀山孝一

    亀山委員長 門司亮君。
  50. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡単に一つ、二つだけお聞きしたいと思います。いま同僚から大体聞かれておりますが、最初に聞いておきたいのは、たいへん迂遠な話をするようですけれども、大蔵省に聞いておきたいのですが、退職金自体を一体どう見られておるかということ、退職金の見方です。これを給与と見るのか、何かということ、そういうことで課税の方針が当然変わらなければならないと私は思う。これは単なる所得だ、単なる給与だということで見られるということが、いまの日本の働いておる諸君の現状からして、はたしていいかどうかということですね。普通の給与の場合は一応の生活のかてというふうに見ておるのですが、退職金にかけられた労務者の期待というものはかなり大きいと私は思うのです。老後これをどうするかとか、あるいは自分のうちを建てたいとか、あるいはこれによって生活をしていきたいとかいうように、これには相当期待がかけられていると思うのです。そういう点について大蔵省はどういうふうに解釈されているのか、その点だけ聞かしておいていただきたい。
  51. 結城義人

    結城説明員 むずかしい問題でございますが、政府税制調査会答申というのがございます。そこに書いておりますことがあるいはお答えにマッチするかと思いますので、政府はこの税制調査会答申をそのまま採用いたしておりますので、ちょっとお読み申し上げます。それによりますと、退職所得は給与所得の変形ではあるけれども、老後の保障的な意味を持つので、課税に当たっては十分注意すべきであるということを申しております。政府といたしましても、そういう考え方に基づいて税制考える、こういうことでございます。
  52. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こういうことになりますか。今後の日本の給与体系が、いま大臣のお話のように、やはり能率給的にだんだん変わると私は思います。そうしていまの年功序列の形はだんだん少なくなるのじゃないかという気がいたします。それは機械がどんどんオートメーション化してまいっておりますので、それほど昔のような勘で働くとか、あるいは年功の技術がものをいうという面は、だんだん事業の中から少なくなっておることは事実であります。そうなってきますと、いまの答弁だけでは私は問題が残ろうと思います。答申がどんなであろうと——政府はよく答申答申と言われますけれども、都合のいいときには答申を言って、都合の悪いときにはみなやめてしまうんですね。隠れみのというか、言いわけにこんなものをこしらえておる。答申というものは、私はなければならぬと思う。一つ参考意見にはなるかもしれない。多くの学者を集めて意見を聞かれることは悪いとは言わない。しかし、それに隠れるということは私はどうかと思う。ことに退職金の少ない人、三十年、三十五年ということになりますと——最近の労務行政からいいますと、在職期間が非常に長くなっておることは事実であります。しかし三十年、三十五年になりますと、年齢からいいますと、ほとんど一生ここに勤めておるということですね。そうして一つの産業にずっと長い間奉仕しておって、それが所得であるということで割り切れば、本人がもらえば、本人の所得であることに間違いはないのですが、これは単なる給与所得の形、これの変形と見るという行き方には実際は賛成しがたいのです。やはり退職金というものについては十分性格を明らかにして課税すべきだと思いますが、これ以上押し問答しても、なかなかいまの答弁から言えば、ただ配慮しておると言われるだけであって、別段たいした配慮もない。  それからもう一つお聞きしておきたいと思いますが、最近、中小企業の破産や倒産が多い。これらに勤めておる人々の退職金はわずかであって、問題にならない。実際取り扱いの上で、ときどきわれわれの耳に入ってくるトラブルがあるようです。それは、一応退職金は出す、しかし、会社に現金がないから払わない。それから事実上は一ぺんに払わないで、毎月分割という形で払っておる。しかし税務署の届けでは払ったことになって、ちゃんともらったことになっておる。こういうものがときどきあるのですが、これはどういうふうに考えられますか。退職金の分割払いで、税金だけは一ぺんに取られてしまう。もらうほうは分割でもらっておる。こういうものについての配慮は、何か指示されておりますか。
  53. 結城義人

    結城説明員 これは税務執行の問題かと存じますので、実は国税庁の所管になります。本日国税庁は来ておりませんので、ちょっと責任あるお答えがいたしかねるのでございますが、未払い金として立てておる、ないしは分割払いをしておるという場合は、やめられた職員が債権者でございます。その債権をどう評価するかという問題かと存じます。実際に取れそうもないということであれば、取れそうもないという評価になりますので、課税の点では当然考慮されておるかと存じます。
  54. 門司亮

    ○門司委員 国税庁でないから的確にはわからぬと言われるのですが、私はそういう逃げた答弁はどうかと思うのです、配慮するというようなことで。だから問題は、実情に沿ってやはり課税すべきものは課税する。私どもときどきそういう陳情を受けることがあるのです。税金がきたのだけれども、金はみなもらっちゃいない。金をもらわないうちに税金を取るのですかという問題が出てくる。だから、この種の問題については、特に、さっき言いましたような、その月々の給与から取られておって、さらに、働く者の一つの大きな魅力、というと悪いのでありますけれども、期待をかけておるものについて、そういうことでは困ると思いますが、これはあなたのほうでわからなければ、ひとつ大蔵省の内部で国税庁のほうに話しておいてもらいたいと思います。  それからもう一つだけ聞いておきたいと思いますことは、先ほど細谷委員から聞かれましたが、自治省の答弁の中で、これによって一体どのくらい減税されるのか正確にわからぬということで、よくこんな法律を出したものだと思うのです。実際は、このくらいの勘定ができていなければ財政計画は立ちやしません。だから、この法律適用されると、一体これでどのくらい減税になるのです。わかっておるはずです。
  55. 松島五郎

    松島政府委員 金額では十五億円でございます。
  56. 門司亮

    ○門司委員 金額では十五億円というと、人も大体わかっておるでしょう。これはわかっておらなければどうにもならぬのです。
  57. 松島五郎

    松島政府委員 全体の統計の見合いから出してございますので、個別的にどの階層でどれだけ落ちるかということまで、ただいまのところ計算ができないということを申し上げたわけでございます。
  58. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、これを大蔵省にもう一ぺん聞いてみなきゃならぬのですが、大蔵省の統計をときどき見ておると、たとえば所得税の徴収でも、四十一年度でも九百幾らというのだから、ことしは税制改正しても、所得税を納めている人が千幾らかになっておりますね。千百万にはならないが、幾らかになるわけです。そういうように、ちゃんと統計が一方にあるのです。要するに、自治省のその統計がないというのはおかしいでしょう。ほんとうにわかるのなら、ひとつ早急に調べておいてもらいたいですね。ただ大まかに、いまこれだけ入っておるからこれだけだといわれたところで、積算されるランクがあるはずですから……。どうしてもわからぬのですか、ほんとうに。
  59. 松島五郎

    松島政府委員 資料につきまして詳細に検討いたしまして、調査の上で、資料として提出さしていただきたいと思います。
  60. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つ。これは大臣でもだれでもいいのですが、この問題についてだけ聞いておきますが、さっき細谷君からも話がありましたように、当然一月からさかのぼるということになろうかと私は思います。だから、こういう法律を四月、五月だけに出さなければならないというのはどういうわけなんですか。私は、もし特例が必要だというならば、本法の通ったとき、税法の通ったときに、この法律の通った日からさかのぼって、一月以降に納めた人については還元するなら還元するということを書いておけば、それで片づくんではないですか。そうすればみんな安心するんじゃないですか。何か分離されているところに妙なものがあるような気がするのですが、これはどういうわけですか。
  61. 松島五郎

    松島政府委員 お話の点、先ほど申し上げたとおりでございまして、所得税法所得計算の上に乗って住民税課税をいたしますので、所得税法改正になりますまで、いわばほうっておくと申しますか、ほうっておけば、所得税のほうは一月一日にさかのぼる予定でございますので、所得税計算がさかのぼると住民税もさかのぼる、こういうことで、自動的にある意味においては解決するということは御指摘のとおりでございます。ただ、自動的に解決はいたしますけれども、所得税のほうで四月、五月に源泉徴収するものはこれから先のことだから、せめてそこからでも新しい法律に予定しているところまでは減税の効果を及ぼそう、こういう配慮をされておられますので、住民税のほうでも、そこのところは納税者のために有利になることでもございますので、適用しよう、こういうことでございます。
  62. 門司亮

    ○門司委員 私はこの法律審議するにあたって、われわれはなぜそういうことを言うかといいますと、われわれは親法自身についてはかなり強い批判を持っているわけです。それをここだけ抜き出されて出てくるものを——親法はまだ十分審議されていない。政府から提案されたものをそのままのむかのまぬかということについても審議されておらぬ。まごまごしていればわれわれは組みかえ案を出すかもしれない。しかし、ここだけ抜き出されてくると判断に非常に困るのです。何も反対する筋合いのものではないじゃないかといわれればそれだけのものだが、さかのぼって親法がどうなるのかわからぬものに一体賛成をするのか反対をするのかという議論も当然出てきますし、こういう出し方をされると、われわれの立場としてはちょっと取り扱いに困るのです。与党はそれでいいかもしれない。これからやりにくいからそう聞いておるのであって、もしさっき言いましたように、本法なら本法でさかのぼってこういうことをするのだと書かれておれば、別に大した問題ではない。抜き出されてくるところに問題がある。いまのように、ただ四月、五月納める人が、こういう法律かできれば納めなくてもいいから、それだけでも住民のためになるのだという、それだけを考えれば、この法律自身の内容に立ち入っての審議は私は非常に困難だと思う。したがって、これ以上住民税の問題について議論をすれば、まだ住民税自体にもかなり議論があろうかと思う。しかし住民税の中から抜き出して、ここだけこれをやろう、こういう考え方でありますから、われわれとしてはちょっと、さっき言いましたように、やりにくい法案だから聞いておるのであって、政府の意向がそうであれば、それだけをここでとやこう申されてもしようがないと思いますが、私どもの気持ちはそういうことで聞いておる。その辺は取り扱い考えておいていただきたいと思います。  それから、もう一つ大臣に聞いておきたいと思いますことは、いま申し上げましたように、地方税所得税との関係にからみ合わせてきておるということと、それから税法改正というものはすべてこういう形で出てくる。これは地方税の中の一部分の便宜なんですね。税法からいえば、地方税だって一つの税法の中に含まれておる。そこで地方税をこの際私は整理する必要がありはしないかと考えるのです。地方税という法律で全部網羅してしまっておる。国税のほうは一つずつきちんときめられておる。この辺の税法上の取り扱いについてどうお考えになりますか。国税と地方税と違うのですか。地方税という中にたくさんの種目があって、国税とは全然別になっておる。これについての取り扱い答申の中に何にも書いていないようですが、答申どおりというふうに言って逃げられるわけにはいかぬと思う。
  63. 松島五郎

    松島政府委員 私から先に事務的なお答えをさしていただきたいと思います。  御指摘のとおり、国税の場合は所得税法あるいは法人税法というふうに、それぞれの税目別に法律ができております。そのほかに、国税全体を通じます通則的な規定であります国税通則法とか、あるいは国税徴収法という別の法律がございます。こういうふうに幾つもの法律をそれぞれ税目ごとに別にするということが適当なのか、あるいは現在の地方税法のように、一つ法律の中に幾つかの税を組み合わせていくのが適当か、これはいろいろ考え方があり得ると思うのでございます。ただ国税の場合でも、所得税法、法人税法というそれぞれの税についての法律がございますと同時に、先ほど申し上げましたように、全体を通ずる法律が必要だというところから、通則法でありますとか、あるいは国税徴収法という多くの法律がございまして、それがまたすべての所得税の徴収なり、あるいは法人税の徴収について適用されるという法律になっております。したがって考えようによっては、所得税法だけ読めばものが片がつくかと思えば、やはり国税通則法を読まなければ片がつかない問題がございまして、必ずしもそれだけが便利だというわけにまいらない面がございます。その点は、地方税法一つ法律になっておりますので、地方税のことなら地方税法を見れば全部がわかるのだ、こういう利点もあるわけでございます。したがいまして、それぞれ利害得失がいろいろございますので、どれがいいかという問題は、必ずしも一概には決定しがたい点があろうかと思います。何と申しましても三千有余の地方団体にわたる税制でございますので、やはりその団体の側からいえば、一つ法律を見れば全部わかるのだ、こういう立て方のほうが、地方団体あるいは納税者にとっても便利ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  64. 門司亮

    ○門司委員 私はこれ以上討論をしてもしようがないと思うのですけれども、ただ、取り扱いの上で……。だから地方税法も実は最初はもっと条文がたくさんあったのですけれども、削ったのです。そういう重複する点だけ削るということで、できるだけ簡素化しよう、いま局長の答弁の趣旨に沿ったようなことでこしらえた法律ですけれども、私はどう考えても、こういう法律は、地方税地方税として一つ一つにしていただいたほうが、納める人あるいは審議する側には非常に便利だと思う。徴税するほうからいえば、通則法がなければぐあいが悪いということになるかもしれませんが、納めるほうは、通則法と実際は関係ないのです。役人のほうは関係があります。だから、もう少し税を簡素化しようとするには、私は、こういう一本の法律よりもむしろ分けたほうが税がわかりやすくて簡素化することになるのではないかと考えられる。このことは、税金を納めておる人はおのおの自分たちの関係した分だけしか納めておらない。とすると、地方税法という形の中で一括されておるよりもいいんだ。この点は国税と地方税を——多少意見になりますけれども、考えていただきたいのは、一般の国民がずっと考えてまいります場合に、同じ国税でありましても、実は、この税金とこの税金は納めないんだ、この税金は関係ないんだ、こういう形で、わりあい国民の頭の中には入りやすいんです、ところが地方税になってきますと、一つ地方税という中でずっとあげているのですから、その点の分離が、なかなか一般の国民からいえば理解しにくい点があろうかと思います、われわれが見てもそういう規定がときどきありますから……。  私はこれ以上議論はいたしません。税制調査会でこの点に触れておりませんので、実情をちょっと聞いてみただけですけれども、あとにまだ質問者があるようですから、私はきょうはこれ以上質問をいたしません。これで私の質問を終わります。
  65. 亀山孝一

    亀山委員長 小濱新次君。
  66. 小濱新次

    ○小濱委員 提案されました昭和四十二年分の退職手当等に係る道府県民税及び市町村民税等臨時特例に関する法律案、この点について若干自治大臣にお答えをいただきたいと思います。  今度のこの法案の趣旨につきましては、これは所得税及び住民税につきましては、退職所得控除額を大幅に引き上げ、そして退職手当等からのその軽減を——これは退職者からのその軽減をはかることがその趣旨のようでありまして、私どもとしましては、長い間生涯をかけて勤務をしてきたそういう方々退職金、これは本人にすれば余生を安楽に過ごしていくためのとうとい浄財になるわけでありますが、そうした所得に対する課税という問題で、非常に大きな問題であろう、こういうように考えておるわけであります。  そこで、この一般退職者と障害退職者とに分けられてあるようでありますが、この内容についてもまた問題があろうかと思いますけれども、こうした方々のための今度のこの法案は、まことに当を得た措置として私どもとしては了解しておるわけであります。この中に障害退職方々に対する控除額が示されておりますが、この障害の内容にもよりましょうけれども、この提案理由の内容の中には、この「控除額を大幅に引き上げ、」こういうふうに書いてありますが、障害退職者の場合には、今回は相当上げられておるようだけれども、なお一そう努力をしてやるべきではないのか、これは大衆福祉のたてまえから私どもはそういうふうに考えるわけでありますが、自治大臣にひとつお考えをお聞かせいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  67. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 お話しのように、障害を受けられてその職を退職しなければならなくなったというような方々は、たいへんお気の毒でございます。十分考慮をいたすべきことと存じますが、今回は所得税のほうと符牒を合わせまして一般退職者の控除プラス五十万円ということにいたしたわけでございます。今後なお検討すべきものはあると存じます。
  68. 小濱新次

    ○小濱委員 どうか恵まれない方々のために、いまお答えをいただきましたようにひとつ大いに今後努力をお願いしたい、こういうふうに思います。  それから今度の問題で、国税と地方税が大幅に控除額を引き上げられることから問題が起こってくるわけでありますが、御存じのように、いま地方財政は非常にその危機を招いておるという実情については大臣はよくおわかりになっていると思いますが、今度の措置について、これは地方税を若干、あるいはどういうふうになるか数字はわかりませんが、減税になることは事実であります。そうして地方自治の危機といわれるような現状において多少の減税でもされることは、地方自治体としては大きな打撃になるわけであります。その地方自治体に対して、政府としてこの減税となる問題について何らかの方策がおありになるかどうか、もう一度大臣のお答えをいただきたいと思います。
  69. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 御指摘のように、実は景気の回復を待ちまして四十二年度地方税あるいは地方交付税等が相当に伸びるわけでございますが、しかし、それは現在の地方財政からいきましたならば、まだまだ困難なわけでございます。したがいまして、今回の四十二年度地方税改正におきましても、相当減税の御要望もあったわけでございますが、なかなかその要求にこたえられないというような事態でございます。したがいまして、ただいまお尋ねのこうした今回の特例その他地方税法改正による減税が相当にあるわけでございますが、しかし、四十二年度におきましては、一方たばこ消費税の税率の引き上げあるいは臨時交付金の交付等によりまして、こうした減税に対応する措置をある程度とった所存でございます。
  70. 小濱新次

    ○小濱委員 やはりこうした問題を法案として出されたからには、何らかの裏づけが示されなければならないというように私どもは考えておるわけであります。今回は、地方交付税も三二%まで引き上げられたようでありますが、私どもとしては、これは三七%以上に引き上げるべきである、このように主張してまいりました。残念なことにその意思がまだ実現されないわけであります。私はこの問題については、趣旨は賛成でありますが、やはり片方の利益のために片方が犠牲になるというようないき方は、これはやはり当事者としては当然考えなければならないことであって、それに対する何らかの方策を示されるべきである、こういうふうに考えておるわけであります。いまお答えをいただいたわけでありますが、なおひとつ重ねて大臣のお答えをいただきたいと思います。
  71. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 地方の財政全体といたしまして、なお非常に困難な状態にございます。いまおあげになりました交付税率の引き上げというようなことも一つの方法だと存じますが、これら全体を考えまして、特に現在地方制度調査会でも御審議をいただいておりまする中央、地方を通じての事務の再配分、それに伴う財源の裏づけ、そうした総合的な観点からこの問題は考えていきたいと思う次第でございまして、とりあえず四十二年度には、先ほどお答え申し上げましたように、たばこ消費税の税率の引き上げ等をもって対処した次第でございます。
  72. 小濱新次

    ○小濱委員 お答えをいただきまして了解ができるわけでありますが、次の問題については、これは先ほどの説明でいきますと、すでに不動産取得税の課税標準特例についてはもう三年経過しようとしておる、こういうお話でございました。それで、この問題についてはもう三年間取り上げられてきたが、今日においてまた二カ月間これを延長し、そしてまた新しい段階について、先ほど年間と言いましたか、そういう提案考えを持っているということであります。今度取り上げられましたこの内容については私どもは問題がございませんが、参考までに一つお伺いしておきたいことは、この法律内容を通して、いままでに起こったトラブル、そういうもめごと等の事例がありましたならば何点かお示しをいただきたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
  73. 松島五郎

    松島政府委員 御質問趣旨がちょっと私わかりかねますが、開拓農地の取得についての非課税の問題あるいは農地の交換分合課税特例そのものについて、いままでに特別に事件があったとか問題になったとかということは、私どもただいままでのところ聞いておりません。
  74. 小濱新次

    ○小濱委員 以上で私の質問は終わりますが、自治大臣として、大きな使命をになって地方行政全体を見ておるわけでありますから、次の機会には、私も大臣に所信表明の中からいろいろとお尋ねしたい、こういうふうに思っております。昨日の予算委員会で大臣が示されたその勇断といいますか、決意を私も見ておりました。やはり地方自治を守っていく立場の自治大臣、そういうことで、きのうは偉大な決意をされてお示しになった、そのあらわれであろうと見ておったわけでありますが、どうかひとつこれからもなお一そう、きのう示されたあの勇断、ああいう勇気をもって実際の処置について善処していっていただきたいことを最後にお願い申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。
  75. 亀山孝一

    亀山委員長 華山親義君。
  76. 華山親義

    ○華山委員 途中で出てまいりましたので、もう質問が済んでおりましたならばけっこうなんでございますが、一言自治省及び、きょうは国税庁が出ておいでにならないそうでございますけれども、大蔵省のほうから国税庁へお伝えを願いたいのでございます。  一月ないし三月に退職した人は、もはや源泉徴収をされているわけでございます。ところがこの人たちは、退職後はそう収入もございませんし、またこの法律というものを一般の人々は存じません。すでに一月−三月に納められた源泉徴収分は、この法律よりも多額の源泉徴収をされているわけでございます。これにつきまして各人各人にでも、超過して取っているのだということを徹底いたしませんと、そういう微細な申告をする人は、もはや税務署とも関係なくなるわけでございますから、取られっぱなしという場合が往々にして生ずる。私はそういう人が非常に多いのではないかと思う。これは私の体験から出ております。私ももう少しで取られっぱなしだった。申告をするといういろんな注意書きはございますが、この点に深く触れておらない。私もそういうことをたまたま知ったので、税務署の方にいろいろ相談をしたところが、お出しなさいというふうなことで、書き方まで習って、そうしてよけいな分は返してもらった。その際に、たまたま今度の場合のように退職金改正のあったときだったものですから、そういう体験を持っておりますが、その点につきまして、一月ないし三月に源泉徴収された人々には、各個々にでも注意する程度の親切心があってほしいと思うのでございます。これは私の一つの強い要望でございますが、この点につきまして自治省及び大蔵省におきましてそういうふうな親心を示されるかどうか、どういう方法で示されるか、お願いをし、御答弁を願いたい。
  77. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、ごもっともでございますので、私どもはすでに徴収されました、新しい税法のもとでは還付されなければならない方には、個別に通知して取りにきていただくような措置を講ずべく、地方団体も十分指導してまいりたいと思います。
  78. 結城義人

    結城説明員 これは国税庁の所管でございますが、便宜内局である私のほうからお答えいたします。  従来でも国税庁におきましては、改正法が通りますと、源泉徴収義務者である各会社及び個人でふだん源泉徴収をしておる徴収義務者には個別に通知をいたしております。それ以外に、それぞれPRをいたしておるということでございます。もちろん御注意の御趣旨に沿いまして今後一そうその趣旨を徹底するように、国税庁のほうにもお伝えをしておきます。
  79. 華山親義

    ○華山委員 ぜひひとつ各人各人にわかるように徹底していただきたいと思います。
  80. 亀山孝一

    亀山委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は、公報をもってお知らせいたします。    午後零時八分散会