○田畑
委員 私が特に
大蔵大臣に頭に入れておい
ていただきたい
ということは、今回の
予算措置、
立法措置によっていろいろな援助
措置が講ぜられ
ておりますが、同時にまた、このような火の車の
経理をやっておる
石炭企業においてはいろいろな
政策的な負担を負わされておるわけです。たとえ
ば、昨年の年末の臨時国会において
石炭政策の一
環としてとられた合理化事業団に対する各個別企
業の納付金の
問題、これは御承知のように、先ほ
ど質疑応答の中にも出ておりましたが、
トン当た
り四十五円になっておるわけです。さらに、先ほ
どもまた取り上げられました年金
問題を見まして
も、過般の
石炭鉱業審議会の年金小
委員会で、と
にかく炭鉱
労働者のために年金制度を創設する、
そのために
企業主が
トン当たり四十円を負担しな
くてはならぬ、こういうこともあるわけです。さ
らにまた、いままでの
石炭政策の一つとして国鉄
運賃の延べ払い
という
問題がございましたが、こ
れも御承知のように本
年度から
石炭企業はそれぞ
れ国鉄運賃をさかのぼって払わねばならぬ。これ
もおそらく
トン当たり四十円前後にのぼるでしょ
う。こうなってきますと、これだけでも
トン当た
り百二十円前後に及ぶわけですね。せっかく
政府
が、
安定補給金であるとか債務の肩がわりである
とか、あるいは各種補助金等々の
措置をやってみ
ても、すでにまた
石炭企業は
トン当たり百二十円
を負担せねばならぬ、こういう
問題が出ておるわ
けです。あるいはまた、賃金の
問題を見ても、御
承知のごとく、いま
一般産業の賃金のベースアッ
プ
というのは一〇%から一五%、一八%に及んで
おるわけです。ところが、炭鉱
労働者の賃金の引
き上げ
というのは、
石炭の長期
計画の基礎計算に
おいては七%以上見てはおらぬ。七%で押えられ
ているわけですね。七%
という額は幾らか
という
ことですよ。これは一昨年は一方七十円、昨年が
たしか七十八円だと思いますが、八十二、三円で
しょう。二千円前後ですね。二千円足らずですか……。こういう
状況で地下
産業の
労働者が押え
られて、その上に立った長期
計画だ
ということを
認識していただきたい。
同時にまた、もう一つ
考えておいてもらわなけ
ればならぬことは、
石炭の長期
計画の基礎になる
物価の
問題です。物価の
問題は、炭鉱経営上の諸
資材の値上がりを一%だと見ておるわけです。一
体今日一%の物価値上がりで済むと思っています
か。あなた方の
政策の失敗で、一%どころか、た
いへんな物価の値上がりじゃございませんか。そ
れを炭鉱の長期
計画の基礎資料には物価の値上が
りは一%に見るんだぞ
という形で押えられて炭鉱
の長期
計画ができておる
ということを見たとき
に、
石炭産業があくまでも大きな視野に立ってわ
が国の国民経済の中で五千万
トンの
石炭を確保す
ることが絶対の課題であるとするならば、私は、
やはりそれに応ずる
施策を当然やってもらわなけ
ればならぬし、やるべきだ、こう思うのです。こ
のことを私は強く
大蔵大臣に申し上げておきた
い。
もう一つ特に
大蔵大臣にこの際頭に入れておい
ていただきたいのは、昨年の七月の
答申、八月の
閣議決定に基づいて、いまこの
予算措置、
立法措
置がとられておるわけです。ところが、振り返っ
てみますと、昨年七月の
答申は、いつ
通産大臣が
諮問したのか
というと、一昨年の六月、時の三木
通産大臣が
石炭政策の安定を期するためにはどう
すればよろしいか
という諮問案を出して、それが
昨年七月の
答申となり、この国会でようやく
法律
と
予算の審議をやっておる。
先ほど大蔵大臣も心
配されたように、
予算が通り
法律が通って、これ
に基づいて個別の
石炭企業が
政策的な援助
措置を
受けるのがおそらく八月、夏以降になるでしょ
う。そういうことを
考えてみたならば、当面火の
ついておる
石炭企業はどうしていまの苦境を切り
抜けるか
という大きな
問題に立ち至っておるわけ
です。私は、そういう
意味において、
石炭企業の
当面の金融
措置をどうするか、資金繰りをどうす
るか、この
問題が特に大切だと思うのです。これ
は、
通産大臣も四苦八苦、一生懸命努力されてい
ることは私も敬意を表しますが、やはり、何と
いっても銀行に顔のきくのは
大蔵大臣ですから、
大蔵大臣がほんとうにこの
問題について親身に
なって努力してもらわなければうまくいかぬの
じゃないか、こう
心配しておるのです。この点、
大蔵大臣の
見解を承っておきます。