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1967-07-20 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午前十時十二分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    菅  太郎君       小峯 柳多君   小宮山重四郎君       河野 洋平君    笹山茂太郎君       砂田 重民君    永田 亮一君       西岡 武夫君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       渡辺美智雄君    阿部 助哉君       野口 忠夫君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    山田 耻目君       永末 英一君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省関税局長 谷川  宏君         大蔵省理財局長 中尾 博之君         大蔵省証券局長 加治木俊道君         大蔵省銀行局長 澄田  智君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通関業法案内閣提出第一一三号)(参議院送  付)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一四号)(参議院送付)  税制及び金融に関する件      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  通関業法案及び資産評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。  両案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  4. 内田常雄

    内田委員長 まず、通関業法案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 通関業法内容の整備につきましては、今日の業態の実態の上から見まして適当なものではあるのでございますが、ただ、この内容の中におきまして、論議過程の中で明らかになってまいりましたように、通関士資格要件を法定をいたしまして、国家試験によって資格を付与しながら、身分はどうかというと、通関業者との雇用契約だけに限られて有効である、退職をしたときには名称を使用できない、その名称を使用した場合には三万円以下の罰金に処す、こういうような形になっておることは御承知のとおりであります。さらに、税関長懲戒処分の対象となりながら、しかも、法律によりまして記名押印をして証明をした書類というものも、事実上は通関業務の上に必須のものではないということで否定をされる。このような形の中において通関士というような資格がもてあそばれているというこの法律現状規定は、これは、通関業近代化を考えながら、まことに片手落ちな法律案であるというふうに思うのでございます。  そういうような意味からいたしまして、当然、これらの資格を与えるとするならば、それにふさわしい権利と義務を付与していく中において通関業界近代化されていかなければならない、こういうふうな意味をもちまして、内容的にこの点が不十分であるということを第一の反対理由にあげるわけでございます。  さらに、この業界業態は、論議過程でも明らかになってまいりましたように、いわゆる兼業業態というのが大部分でございまして、港湾運送あるいは陸上運送、これらの関係、さらに倉庫業を営む者との間における関連業態でございますが、これらの業態をさらに近代化してまいりますためには、それらの兼業部門におけるところの近代化とマッチしなければならないわけであります。  しかしながら、今回法律が通過いたしまして、協業化の方式というものがとられるようにはなりましたけれども、この零細な業者に対するところの対策がまだ十分でないという点を考えてまいりますると、いわゆる港湾運送事業との関係における近代化をめぐるいろいろな今後の身分的な問題、生活上の問題が片一方においてあります場合を考えますと、これらの問題との関係において、零細な業者過当競争の中においてどういうふうに将来保障されるのかということが問題になるわけでございますが、それに対する救済措置が十分でないというのが第二点の理由でございます。  以上の理由によりまして、私たちは、この法律案に対しましては、残念ながら賛成をするわけにはまいりません。  以上申し上げまして、反対討論にいたしたいと思います。
  6. 内田常雄

    内田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 内田常雄

    内田委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決いたしました。  次に、資産評価法の一部を改正する法律案については、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  10. 内田常雄

    内田委員長 税制及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。阿部哉君
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 銀行局長にお伺いするのですが、実は全国的にあっちこっちで問題になっておるようでありますが、中小企業協同組合法に基づいて信用組合設立をしておる。これは、御承知のように、これを認証するというか、許可する権限は県知事にあるわけなんですね。したがって、直接的には局長のほうには関係がないのかもわかりませんが、しかし、これが金融業務を扱うとすれば、何といっても、そういう金融関係の一番指導的な役割りをしておる大蔵省がこれに全然無関心であるというわけにはまいるまい、こう思うのであります。  時間が制約されておりますから、簡単にお伺いしますけれども、実は新潟でこれに基づいて朝鮮人たちが朝銀新潟信用組合というものを設立しております。実は、これは長年県知事にお願いをしておったけれどもなかなか許可がおりなかったわけです。ところが、新潟地震の際に、新潟地震にあったけれどもなかなかその復興資金が出てこないというようないろいろな経過をもちましてこれができたわけです。そのできるときに新潟県知事のほうで渋りました一番大きな理由は、新潟県全部におられる朝鮮人たちは、大体六百世帯しかないじゃないか。しかも、それを新潟へつくってみても、そのうちのまた大多数が新潟周辺におるといっても、全体で六百世帯しかない。そうすれば、信用組合というものがつくられても、実際に処置がない、数が少な過ぎるのじゃないかということが一番心配で、なかなか許可がおりなかったわけです。それが、新潟地震というああいう災害のあとで、朝鮮人たちお互いに助け合っていくという立場でこれが設立された。それでその後、役員の努力やそういうことで順調に営業が進み、そうしてあの人たちお互い復興あるいは営業というものに大きな役割りを果たした。ところが最近、韓国系の上のほうからの指導によって、もう一つ新潟自分たちのものを設立したいという要求があるわけです。それで県のほうもだいぶ悩んでおるようであります。これは新潟だけじゃないようであります。そうしますと、いま朝銀の新潟信用組合には、六百世帯人たち、南の人も北の人もほとんど全部がこれに加入をしておるわけですが、これにまたもう一つここへつくるというようなことになってまいりますと、当初から、世帯数が少ないからだ、こういうことで長年認可を渋ってきたという点からいってみましても、だれが考えても常識的には非常に無理であるということが言われておるわけです。しかし、いまのような情勢でありますから、いろいろと要求が強い。しかし、ここで政治的な問題を——全部一ぺんに聞いてしまいますが、政治的な配慮でこれにとやかくすることは、ますますその間に対立抗争を激化させるだけになるのではないかということもこれあり、経済的なこういう問題は、いますんなりといっているのだから、そのまま一つでしていくべきだと思うが、局長はどうせいこうせいということはできないにしても、金融あり方からいって好ましいと思われるのか、好ましくないと思われるのか、その点ひとつお伺いしたいのです。
  12. 澄田智

    澄田政府委員 ただいま阿部先生から御指摘の問題は、新潟県のみならず、いまもお話にありましたように、各地で類似の問題があることは承知いたしております。中小企業協同組合法に基づく信用組合設立都道府県知事認可でございますが、その場合に、認可にあたっては、組合設立された場合に、その事業が、その地の経済情勢とか、あるいは構成員組合員となろうとする人たちの人数あるいは資力等によって事業として十分成り立っていくかどうかというようなことがやはり判断中心になるということは、法律でもそういうふうに規定しておりますし、いままでもそういうふうなことでやってきたわけでございます。私どものほうは直接関知するというわけではないのでございますが、いまおっしゃるように、金融の問題ではありますし、非常に弱小の組合が乱立するというような事態はやはり避けなければいかぬということで、一般的にわれわれのほうも関心を持っておると同時に、個々的な問題として県のほうから相談があるというような場合もあるわけではございます。  具体的のその新潟の場合、三十九年にお話のように一組合設立されて、今回またもう一つ設立の申請が出ているということは承知いたしておりますが、それが組合員数その他から見ましてどうかという点になりますと、これはかなり実情に即して考えなければならぬという問題でもありますので、私ども、先ほど申し上げましたような一般方針は持っておりますが、この場合にどうかということについては、実情もなおよく検討する必要があるかと思います。一般には、県のほうで十分その点も考えて判断をする、こういうことではないか、そういう問題であろう、かように存じております。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 局長としてはその程度しか話がしにくいだろう、こう思いますのでやめますが、実情に即してというおことばがありますように、先ほど申したように六百世帯ぐらいしかない。そうして、その構成員の中には、韓国籍人たちも三分の一いまの信用組合に入っておるわけです。ただ、上のほうの非常に政治的な観点から対抗的にそこに出てこよう。それが局長お話のように、経済的な基盤を持ち得るということになれば、これもまた別でございますが、いまの実情、この世帯数、そういうものから考えてみて、常識的にはとても二つが存立するという可能性はないという点で、県からのお問い合わせや何かの場合にはその辺もお考えいただきまして、そうしてこの政治的な配慮対立抗争を激化させるようなことのないように、ひとつ十分検討していただきたいということを申し上げて終わります。
  14. 内田常雄

    内田委員長 次は、広沢賢一
  15. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 先日の資産評価に関連していろいろと結論がこの間討論で出たと思いますが、最近の資料によりますと、通産省の四十一年下期の経営分析というのがございます。それを見ますと、非常に法人は最近もうかっている、これはもう御承知のとおりだと思います。社内留保が非常に高まってきているということがいわれております。で、社内留保は高まってきているけれども自己資本比率は、利益引き当て金に回したためかえって悪化している、もうかっているのだけれども利益引き当て金に回したためにかえって悪化している、しかし、借り入れ金依存度低下している、それから人件費はちょっと名目的に上がったけれども比率は下がっている、そういう結果が通産省分析で出ています。  これは四十一年下期の経営分析ですが、その後、四十二年の分析はまだ十分ないと思いますが、大体、四十二年三月期決算の大法人売り上げ高、それから申告所得、そういう資料を読みますと、金融業界をはじめとして非常に大幅な利益を引き続きあげています。  そこで、銀行局長にお尋ねしたいのですが、この間の結論は、自己資本比率というのは、西ドイツ、フランス等に比べても、もうたいへんな伸びの率を示している。それから国際的に比較して、また国内的に年代別に比較すると、たいへんな自己蓄積をやっている。したがって、最近の傾向としては、大蔵大臣が一番初め言ったとおり、自己金融力充実傾向にある。大体そういう傾向にあると思いますが、どうでしょう。
  16. 澄田智

    澄田政府委員 一般的に申し上げまして、ただいまお話にありましたように、経済の変化と、それに伴って各種の要因が重なりまして、企業手元流動性というものが非常にふえてきている。と申しますことは、自己金融力増加をしてきている、こういうことになるわけでございます。その状況は、これはいまもお話にありましたようなことでありますが、設備投資が進んできて、そうしてそれの償却が非常にふえてきている。これも当然その累積した償却というものは自己金融力となってあらわれるわけでありますから、自己金融力増加となります。また国債発行に伴って資金流れが変わってきている。金融機関貸し出しによらないで、あるいは日銀信用によらないで、国債発行というものによって企業に直接金が流れるというような面も出てきている。いろいろ相まって自己金融力増加という現象は確かに認められるのではないか、かように考えます。
  17. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、自己金融力が強まっていくという傾向はいいんですが、ただし、今後の方向として、新聞によりますと、下期というか、十一月以降再び会社が銀行に金を借りる動きが一段と強まるのではないかというようなあれがあります。そうすると、自己資本蓄積は、絶対額で、各国に比べても年代順に見ても非常に大きくなっているにかかわらず、また他人資本から借りてくる、銀行から金を借りる、オーバーローンとかその他が進めば、また自己資本悪化ということはもうすぐ出てまいりますね。そういう点はどうでしょう。
  18. 澄田智

    澄田政府委員 傾向としては、企業流動性が高まり、そうして自己資本比率が高まってくるという傾向に、今後もいまのような経済情勢が続けば、当然全体としての比重はなるものと思われますが、ただ、ある短期的な期間を見た場合には、その期間に、たとえば設備投資あたりが各企業の間で競合する、集中するというような時期には金融機関への借り入れがふえるというような形で、ある期間、短期的な期間、一年とかあるいは半期とかいうようなものをとった場合には、その期間にはいわゆる自己資本比率が若干低下するというような現象は、やはり経済流れの中では今後もあるのではないか。そういう意味において、現在企業側動向調査によっても、あるいは金融機関側の先行きの見通しを聞いてみても、若干これから資金需要がふえて、金融機関への借り入れ申し込みがふえてくる。その時期は、初めはこの秋くらいからだといわれたのが、どうやら年末ぐらいからとか、時期は少しずつずれて予想されておりますが、いずれにしても借り入れ需要が近い将来強まってくるのではないか、こういう見通しがいわれておりますし、そういう予想で金融機関資金ポジション等も考えているというような面はあろうかと存じます。
  19. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、澄田さんがお書きになった「金融効率化」という「ファイナンス」に載っている論文によりますと、「ロングランにみた場合には、民間部門資金の万年需要超過といったような現象は再来しないと見るべきではないか。」こういうふうに言われております。すると、短期と長期を分けると、長期にはそういう傾向にある、これは非常に歓迎すべき傾向である。それからもう一つ言われておりますが、そういう金融見通しの中で、今後は先進部門先導部門中心から、後進部門を含めた成長でなければならない、それが高度成長の行き過ぎに対する均衡のとれた成長安定成長である、中小企業近代化を進め、大企業重点ではなくて、農業部門やそういう部門もよくしていかなければならないという御意見でございますね。
  20. 澄田智

    澄田政府委員 一般論としては、私、いまお示しのものにも書いたように、そういう傾向にあるのではないか。したがって、金融機関あるいは金融に対する資金要請としても、いままでのように、重化学工業あるいは大企業設備資金中心というものより、もっといろいろな面に対する資金需要というようなものに金融もこたえていくということになり、大企業のほうの設備投資というようなものは、償却等が非常に累積して大きくなるというようなことで、自己金融力でまかなわれる、金融機関に対する要請というものはもっと多方面になってくる、そういうのが今後の趨勢ではなかろうか。先ほども申しましたように、短期的には若干逆転するというようなときもあるいは今後間々あっても、長い方向流れとしてはそういうことではなかろうか、かように考えております。
  21. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、資本自由化に備えて、今度は金融機関の再編成が行なわれる。いま金融制度調査会で議論されておると思いますが、その際に、この間私は全国銀行協会協会長さんに質問したのですが、いまの中小企業金融機関ですね。相互銀行信用金庫は数々の足かせ手かせをやられている。普通の銀行はいろいろとオーバーローンもできるし、日銀と大きく取引できるし、かって気ままに、たとえば零細金融も月掛けもどんどん取ることができる、これは公正な土俵じゃないじゃないか、これを取っ払ったらどうかという質問に対しまして、取っ払うほうがいいんだ、しかし、急に取っ払うことはできないから徐々にやっていく、その徐々にやっていく間、たとえば財政資金財政投融資資金その他開発銀行へ流していますが、そういうものを、やはり何らかの方法で一番中小企業のめんどうをよく見ているそういう中小金融機関になるべく流すようにしたら少しでも改善できるのではないか、こういう話をしましたが、銀行局長の御見解をお願いしたいと思います。
  22. 澄田智

    澄田政府委員 私も、現在の中小企業専門金融機関といわれる相互銀行信用金庫というようなもののあり方につきましては、一方においては、中小企業に対する資金の供給というものがやはりそういった金融機関によって供給されておるといういまの現実、そしてそれを確保していかなければならないというようなこともあります。他面、しかしそういう金融機関の初めからの制限というようなものがいまの状況にあまりにも合わなくなっているという点もありますし、それから、いまお話のような競争というような見地からいっても、不当に拘束をしているというようなことであっては、かえってそういう金融機関として機能を十分に発揮しない、資金コストも高くなるというような結果をもたらすというようなこともあろうかと思いますので、中小企業金融に対する配慮と、それからそういった金融機関効率と両方考えて、漸進的に不当な制限を撤廃をしていく、こういうようなことは当然であろうと考えるわけでございます。そうして、そのために、現在の金融制度調査会において取り上げております検討等においてもそういうような線がしかるべく出てくるということを私どもも期待いたしておるわけでございます。そうして他面、政府資金が必要に応じてこれを量的、質的に補うというような形で中小金融の部面に流されていく。それは現在の政府金融機関というようなものを通じてもそうでありますし、それから直接それらの民間金融機関相互銀行信用金庫政府資金を流すというのがなかなかあれでございますが、たとえば政府金融機関代理貸し等制度を通じ、それからまた他方、−信用補完制度を充実するというような形でそういう信用補完を受けて、そして相互銀行信用金庫といった民間機関から金融を受けられる、こういう形でやはりそういう方面に政府資金を活用する、そういったようなことと相まって、その間の補強、補完をやっていくべきである、かように考えております。
  23. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私もその代理貸し信用補完制度を画期的にやらないといけないと思うのですが、たとえば中小企業倒産状況は、これほどの好景気がずっと続いているにもかかわらずふえ続けている。最近なおひどくなっていますね。そういう状況から見ますと、これに対する対策というのはきわめて大事ではないかと思うのです。  それからもう一つお伺いしますが、銀行が非常にもうかっている。大体各業種の中で一番もうかっているのは銀行である、こういうふうに分析がなされております。その中で、地方銀行相互銀行、それから信用金庫、こういうものはどうかというと、やはり貸し出し金利、利回りの低下があるにもかかわらず、相銀ではやはり貸し出し業態内容拡大ということ、貸し出し増ですね、それがあるので収益をあげている。ところが、もう一つ資料によりますと、経常収支率は悪くなっておる、少し悪くなった。いまの情勢の中でどっちが重きがあるわけですか。
  24. 澄田智

    澄田政府委員 いまもお話しになりましたように、業態拡大というようなことによりまして資金量がふえ、貸し出しもふえる、こういうようなことによって利益がふえてくる、こういうことは確かにあると思います。他方、やはり全体の傾向としては、御承知のようにずっと貸し出し平均金利は下げ続けてきております。二十九カ月連続、これはいままでのうち一番長いわけでありますが、四十一年の一月から今日まで連続して貸し出し平均金利が下がってきている。全国銀行貸し出し平均金利でございますが、下がってきている。こういうことでございますので、その率で計算いたしました利ざやというようなものは逐次縮小をしてきているという状態でございます。これはこれからの金融機関の当面する環境からいえば、当然金融機関はこれに耐えていかなければならないというところでございますが、そのことは、裏を返して申し上げれば、経常収入に対する経常支出の割合がふえてくる、経常収支率悪化をする、こういうような形にもなっているわけでございます。もちろんそういった金利低下に伴う悪化というものは、他面、金融機関としては経営効率化を徹底いたしまして、人件費物件費の節約とか、いろいろな面で効率的な運用をやることによってカバーしなければならないわけでございますが、それにもかかわらず若干経常収支率悪化する、こういう傾向を招いてきている、こういう状態であるわけでございます。こういうところに金融機関として当然耐えて、そして金利もなおこれから下げていかなければならない、こういうことでございます。
  25. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 その銀行収益は長い目から見るとどんどん増加している、上がっている。一番大もうけしているのは銀行だとよくいわれておりますが、それにもかかわらず、経常収支率が一時の現象として悪化する。そうすると、人件費物件費を節約しろ。この経常収支率が最も評判が悪いわけですね。それで締めつけてくる。信用金庫相互銀行に働いている人たちというのは、これはもうボーナスでも何でも全部経常収支率という口実のもとに頭打ち、締められるということで、ここ三、四年そればかりが問題になっている。じゃ、今度信用金庫経営主のほうはどうかというと、これも経常収支率で頭が痛いということですが、最近経常収支率について少し変えていくという方向がいわれておりますし、新聞記事にも出ておりますし、やはりどういう経過で経常収支率を変えなければならぬか。変える方向にある、それは当然だと思うのですが、どういう方向でやっていくか、こういう点についてお聞きしたいと思うのです。
  26. 澄田智

    澄田政府委員 これはこれからの検討でございますが、一つは、信用金庫に対して統一経理基準というようなものを実施するようにいま業界と話をいたしております。従来償却とか積み立てとかいうようなものも各行自由にやってきておりますが、そういうものも、ある一定の基準でもってやっていくというようなことにすべきではないかというようなことで考えております。  そういうふうなことで、銀行の決算経理の面で、ある基準ができるというようなことになってまいりますと、経常収支というようなものも当然もう一度見直しをいたしまして、経常収支率のところでそれが七八とか八〇とか、そういうような率だけで縛る、こういうことにしてまいりますのは、今後全体として貸し出し金利というものを引き下げていかなければならない状態でありますので、形式的な率だけでいくべきではない、こういうようなことも言える面があるわけでございます。経常収支率の計算自体も、いろいろな面で今後経理基準等ができました場合に、それを前提といたしまして内容を見直しまして、そしていままでの経常収支率による金融機関経営に対する判定というようなものは、そういう意味で改正を加えていくべきではないか。たとえば、その内容としては、経常収支率には減価償却というようなものがコストの中に入ってきていない、こういうようなことがございますので、当然その資金コスト全般を見るためにはそういうものも入れて考えなければならぬ、こういうようなことで、内容も洗い直して考えていくべきではないか、かように考えております。
  27. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 大体私は、経常収支率内容を変えていくということが、やはり現在の非常に窮屈な中小金融機関の建て直し、それから、それを理由にして歩積み・両建てからいろいろなずっと矛盾が出てきたことを改善して、さらに大銀行に対して平等な立場に立つような方向へ持っていかせる大事なことだと思います。銀行で働いている労働組合の皆さんというのは、これはもうこれが非常に恨みの的になっておる。いまの収支率改正について、どうぞこの金融制度調査会その他にいろいろ反映さして、いい方向に持っていっていただきたいと思う。  そこで、お聞きしますが、以上のように、大資本、大法人のもうけというのが非常に高まっている。連続ずっと続いている。そこで、たとえば鉄鋼業ではこういうふうに書いてあります。「鉄鋼大手五社の申告所得の伸びは一一九・〇%で、前期の一三六・二%より伸率が小さかったのは各社が多額の特別償却等を実施したためである。」と書いてあります。それで、全部のランクからいうと、鉄鋼業というのは大幅増益です。ずっと今国会中鉄鋼業についていろいろお聞きしましたが、このような特別償却の伸び率の差が大体一七%、これに五社の申告所得をかけてみるとばく大な額になっておるのです。そうすると、特別償却というのはたいへんな法人に対する利益を税金の面でカバーしているんじゃないか、こういうふうに思いますが、どうでしょう、主税局長
  28. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 おっしゃるように、特別償却の性格は、その期におきましては特別償却の額だけ申告利益が減ることは当然でございます。しかし、それはその後の期から償却額の減少という形でまた耐用年数の期間にわたって税金は取り返される、こういった傾向を持つことは御案内のとおりでございます。
  29. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 いまの資本自由化のもとで、技、術革新、それで終わったらすぐまた次の機械を入れる、次のをやるということで、どんどんこれは繰り返していくと思うのです。だから、さっきの分析にあったとおり、自己金融力の充実とか、それから自己資本の絶対額のものすごい増加ですね、こういう状況が続いているわけですが、これがさらに今度資本自由化に伴って、この間私が質問したとおり、いまもって体質改善、それから自己資本率の強化、そのためには税制上いろいろなことをやりなさい——今度の税制調査会で出てまいりますが、いい面も出てくるけれども、その中で矛盾しているのは、いろいろ住民税の減税はやろうとするけれども、しかし、資本の自由化に伴う税金の軽減とか、そういう問題の要請があるので、なかなかそのかね合いがむずかしいと新聞には出ております。  そこで、私、大蔵政務次官並びに主税局長さんにお伺いしたいのですが、資本の自由化ということで、せんじ詰めるとこれはワールド・エンタープライズ、世界的な企業に対してお互いに合併、集中だけではこれはやっていけない、それだけが手ではないといっているのです。たとえば朝日新聞に出ておりますが、石坂泰三さんまでが言っているのですが、これは石坂泰三さんのことばではなくて朝日新聞の記事ですが、「これまで、外国資本の攻勢に立向うには産業再編成、つまり合併や合同を進めて少数の合理化された大企業を育てることが、第一のキメ手とされてきた。だがそれだけではどうにもならないことを、“怪物”に一足早く見舞われた欧州諸国が証明したのである。」と言って、重要な問題は技術格差ですね、テクノロジーギャップ、このごろはやっていますが、これが問題なんだというふうに結論づけております。それで、技術格差を縮める方法は一ぱいあると思うのです。大企業それぞれが研究開発費の税金をまけてもらってどんどんやるという小さな小手先細工では、これは片づかないと思うのです。それは国をあげて技術格差を縮める。それから、それを乗り越えるために国をあげての基礎的な技術の自主開発が必要だ、こういうふうに思うわけです。そうすると、まず第一番に必要なことは自主開発を大幅に進める、そのほうが資本自由化に対する抜本策である。ことに、コカコーラとかそういうものでなく、もっと基本的な基礎的な技術の開発、これが一番重要じゃないか。それについて、大蔵政務次官の御意見どうですか。
  30. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 その面においては、私は同感でございます。
  31. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、やはりこの次の税制調査会でいろいろ大衆減税の問題もありますが、同時に、さっき言ったように、大企業に対して、勝つまではほしがりませんで、みんな税金もがまんしなければならぬ、軽くしてやらなければいかぬ、金融も大資本に集中するということでは資本自由化には対処できない、これは確認できたと思うのです。  そこでお聞きしますが、税制調査会では法人擬制説を今度はやめる方向にある、法人利潤に対する比例税とか、そういうものを考えておられると思うのですが、そういう方向が私は正しいし、すっきりしているし、その方向へいく、その方向へいくについて、さっき申しましたように、大企業というものはべらぼうにもうけておる、したがって、中小企業、ことに中堅企業以下が、資本自由化に対しても来年の秋から一番風にさらされて、一番重要な問題になる。そうすると、さっき銀行局長さんが言ったとおり、中小企業に今度は非常に重点を置かなければならぬ。そうすると、やはり法人累進比例税とでも私はつけたわけですが、そういうものについて累進税を取るとか、その他について考えられると思いますが、主税局長のお考えいかがですか。
  32. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 資本の自由化に備えて、企業の体質、特に中小企業の体質の改善は、私も広沢先生の御指摘のとおりだと思っております。税制も昭和二十七年から種々の特別措置が入りまして、特に特別償却を通じて日本の設備の近代化が行なわれてきたわけであります。ただいま御指摘の鉄鋼業の特別償却などは、むしろ私ども圧縮ぎみでございます。現在残っておりますスペックと申しますか、特別償却の機種は二種類しかない。これまでは高炉、たとえば、いわゆる上吹き転炉は特別償却を認めてきたわけでございますが、昨年の改正以来、高炉については特別償却を認めない、こういった特別償却はむしろ中小企業のほうに向けたいといことで、合理化機械の特別償却は、一中小企業の体質の改善の意味でも進めてきましたことを一つ申し上げたいのでございます。そのような意味で、鉄鋼業の今回の申告では、特別償却の金額は多くなかったわけでございます。これは、過去の新設いたしました高炉についての特別償却の権利がまだ残っておったために、このような特別償却が実施できた。今後おそらくこれは減ってまいりまして、むしろ特別償却中小企業のほうに多く回ってまいるであろうと思うのであります。  私は数字を見てまいりましたが、昭和三十六年には資本金一億円未満の法人の合理化機械の特別償却はわずか四十四億円、一億円以上の法人の合理化機械の特別償却は二百二十四億円、こんなような格差があったわけであります。四十年について見てみますと、資本金一億円未満の法人の特別償却額は百五十億円と三倍以上になっております。資本金一億円以上の法人のほうは逆に減りまして、百六十三億円、八〇%になっておる、こういったことが、私ども皆さん方の声を反映いたしまして、とにかく中小企業税制上におきまして非常に評価しておる、こういうように御理解願いたいのでございます。  そこで、お話のいわゆる擬制説的な法人税から実在説的な法人税にかえること、そうしてまた、中小企業の体質改善の意味におきまして、特に累進税率を用いて、大所得のものについては高く、中小所得のものについてはもう少し低い累進税率を設けたらどうか、こういう御意見でございます。この点につきましても、先般所得税法、法人税法の改正案の際にも、私どもは、私見と申しますか、税についての見解を申し上げたのでございますが、これは非常に主観的な意見といわれてもしかたないかと思います。  しかし私は、法人税は所得税と少し違った課税原理を持つものではないか、かように思っております。個人所得税は、まさしく支払い能力原則に基づいた最も大事な税金でございますので、累進税率が最も適応すると思うのであります。企業のほうは、そういった富あるいは所得の分配の促進という理由よりも、むしろ社会費用を分担さす、あるいは企業の受ける利益に対して企業が納めるものとしての税金でございます。そういう点で見ると、累進税率よりもむしろ比例税率のほうが適当である、私はこういった考え方を持っております。先般、日本経済新聞に宇田川先生と私の小文が「私の意見」という形で出ておりますが、そういうふうに考えております。  しかもまた、所得といいましても、大法人はたくさんの株主の資本が集まったものでございますし、中小法人の資本というものはむしろ株主が少ない、これをどういう大きさで評価するか、これはまたなかなかものさしがむずかしいと私は思うのであります。さらにまた、累進税率の弊害は、企業利益というものが非常に変動するわけでございます。八幡製鉄といえども赤字になることがございます。むしろ中小法人のほうが安定するような傾向を持つのであります。そういたしますと、欠損の繰り込み、繰り戻しという危険が生まれておる不十分な現在の仕組みでは、非常に大企業に対しまして酷な結果になっている、こういう企業利益の変動性の理由からも累進税率はとれない。過去に超過所得税というような制度をやってみました。結局は、これはむしろ中小法人に対しまして自由化された結果になった、こういう危険があることを私はいつも申し上げております。外国の実例を見ましても、私はそういったことを反映したものだと思いますが、法人税につきまして累進税率をとっておる国はないと言って過言ではございません。あるといたしますれば、二段階程度の非常になだらかな税率、私は、これが最小限度の、現在世界各国が法人税に考えておる税制ではないか、かように思います。  もちろん、いろいろな考え方がございますので、検討はしなければならぬと思うのでございますが、そういった意味で、私ども法人税率というものはやはり比例税率のほうがいい。しかしながら、現行の中小法人の問題は大事でございますので、所得の三百万円以下の軽減税率は考えられる制度であろうと思います。しかし、現在の配当軽課法は、これも「私の意見」の中に書いておきましたが、支払い配当を重視するという見方は、結局は中小法人に相対的な不利という結果を招きます。このあたりは、どの程度の軽減税率を設けたがいいかは今後税制調査会で慎重に検討していただこう、かように考えております。
  33. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 累進方法についてはいろいろと御意見があるし、私どもも検討しますが、法人比例税ですか、これが金融制度調査会で取り上げられ、採用されておりますが、おそらく反対意見が出てくると思う。これはいま言われましたとおり、配当が少なくなるという兜町その他からの意見だと思うのですが……。  そこで私は思うのですが、この前ちょっとお話ししました株の値下がりで、自己金融力をつけるというので株が値下がっちゃいかぬ、上がったほうがいいということでいろいろ気を使っているけれども、株の値段の上げ下げというのは、たとえばベトナム休戦説が出れば下がるですね、ずいぶん悪い傾向だけれども。それから凍結株が四千億もある。その他ソニー株が最近上昇するとか、つまり、株の値下がりといま言った利子配当に対する特別の優遇措置というものとは、直接関係は科学的に立証されないと思いますが、証券局長さん、どういうふうにお考えになりまか。
  34. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 株価の変動はいろいろな要因によって変動するわけでありますが、現状においては、企業収益力、一応これが注目されておるようであります。ソニー株も、外人投資家筋は、やや日本の市場における関係者の判断と違った判断を持っておるわけですが、やはり収益力に重点を置いた考え方で実需が出てきて、それでああいうふうに上がった、その後若干戻しております。企業の実態、それに即してこれをどう評価するかはいろいろな尺度があると思うのでありますけれども、これをかりに実勢値と言うならば、実勢に従って動くということは何人もこれを抑制することはできないと思うのであります。またそれが正しい株価形成の原理だと思うのであります。  ただいまの御質問は、そういうことでなくて、法人利潤税といいますか、企業課税の方式が変わることによって、従来よりも受け取り配当が不利な税率になるのじゃないかという点、これが株価にどういう影響を与えるかという、こういう御質問だと思うのでありますが、それは現在の税制を、その他の配当課税あるいは企業課税のあり方についてその面だけが変更されるということであれば、確かにそのとおりであります。しかし問題は、この投資家あるいは貯蓄をしている人が、その金融資産をもって、預金を選ぶかあるいは社債を選ぶか、株式を選ぶかという選択の過程において税制が公平になっておるかどうか、この点だと思うのであります。したがって、絶対的な税率の水準そのものではなく、むしろ主として預金課税との権衡を考えればいいと思うのでありますけれども、預金課税と受け取り配当の課税、この辺がどういう形が実質的な公平ということが言えるか、こういう問題だと思うのであります。税率の絶対的な水準そのものでは答えが出てこないと思います。
  35. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 確かにそのとおりです。そうすると、やはり今度利子に対する優遇措置をやめなければいけない。両方ともやめれば文句がないわけです。そういう結論だと思うのです。  そこで今度貯蓄の問題です。貯蓄の問題では、たとえば国民生活白書なんか見ますと、たいへんな貯蓄増です。最近は都市勤労者の貯蓄というのは、保険料払い込みや有価証券の購入を含めて、前年に比べて一三・八%もふえている。これはいろいろ原因があると思うのです。物価がちょっとでも落ちつけばやはり貯蓄する気になるし、社会保障の補完的な意味で、十分社会保障がないものだから貯蓄する。子供の教育費のために貯蓄するという点もある。この貯蓄と、それから、いつも問題になっているのですが、貯蓄の額と、減免したからそれがそうなったかということとはほとんど関係ない。これは統計上はっきりしていますね。そうすると、利子、配当全部これはやめてしまって何ら差しつかえないと思うのですが、金融制度調査会にいろいろ意見が出ると思いますから、一応どの程度までかまわないか。今度ちょっと前進しましたが、もっとずっと前進しなければならぬと思いますが、その点はいかがですか。
  36. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 税制は、すべての投資あるいは各種資産から生ずる所得に対しまして中立的であるべきである、こういう御意見に尽きると思います。そういった意味で、特別措置がいかなる効果を有するかは、先般ここでもずいぶん御議論になったところでございます。しかしこの問題は、先般、租税特別措置法の改正で五%税率を上げて三年間安定さすということになりましたので、税制調査会では、この問題についての論議は、私は今度は少なかろうと見ております。  問題は、法人税の税額、これは配当には影響いたしておりますが、現在の企業経営者の心理から見ると、影響するような、していないような、投資家が見ると、また影響を受けていないような、そのあたりは非常に複雑なものでございます。私は、法人税というものは、そんなむずかしい税金じゃなくて、法人企業から、利潤を対象といたしまして納めていただくものが法人税であって、配当あるいは賞与、あるいは留保、これには関係ないという世界の大勢がとっておるたてまえが一番わかりいい常識的な税だと思うのでございます。したがいまして、利子、配当についての議論よりも、法人税の基本的な仕組みにつきましては、もちろん配当に及ぼす影響も考え、さらにまた配当と利子との関係も考えなければなりませんけれども法人企業は、はたして独立の納税単位となるかといった問題を研究しています。そして、これも簡単に仕組みを変えることは影響も非常に大きいことでございますので、各方面の深い研究をお願いし、さらに、各方面に対します周知徹底と申しますか、PRをお願いして、シャウプ税制が全く無意識のうちに配当率の決定などに影響しないようなやり方で入り込んだことの結果の失敗をおかさないようなことをひとつねらっていきたい、かように考えておるのでございます。
  37. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 今度は、税制調査会の中でいろいろ議論がある中で、赤字の部分は、たとえば地方公営企業とか、それからサラリーマンの家計とか、たとえば月千六百円の赤字で内職をしておるというサラリーマンが多いということは、これは都の調査で明らかです。そうすると、赤字の部分には赤字の補てんでいかなければならぬ。だから、住民税の減税とか、教育減税とか、それから一番必要な、必要経費が認められていないサラリーマンに対して基礎控除を上げていく、こういう問題が中心です。資本自由化に対しては、これは財界からいろいろ要望が出てくると思うのです。理屈にならない理屈でどんどんこじつけられてくると思いますが、それをはね返して、正常な税体系、租税負担の公平の原則、そういう応能の原則に合った税体系をつくっていかなければならぬ。これは一致していかなければならぬと思いますが、主税局長大蔵政務次官の考え方をお願いします。
  38. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 もちろん、税制の基本的な基準は負担の公平でございます。しかし、もう一つは、やはり税制によって経済効果が生ずるということが私は大事だと思うのでございます。こういった広い角度から、当然税制調査会の御検討をお願いすることになろうかと思います。
  39. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それで、その経済効果で全然効果のあがってないものを一つあげますが、それは交際費ですね。これは幾ら上げても、もう結論がついておると思うのです。大体五千七百四十九億円、これに英国並みの課税をしたらどのくらいになるかお聞きしたいと思うのです。どのくらいになりますか。
  40. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 英国並みの課税と申しますのは、交際費は、輸出取引に関するものを除きましてその他は全部法人税を課税する、こういうことだと思います。いますぐ計算いたしますから、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  41. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 いま計算していただいてみると相当の額になると思うのですが、その間に大蔵政務次官にお聞きしますが、もう一つ問題があるのです。  こういう問題です。いま東京都の都電、都市交通が赤字で、ごらんになっておるとおり、美濃部さんが再建案を  団体指定を受けざるを得ないというので受けました。そのために都議会が非常に混乱が起きております。これの根本的な原因は何かというと、これはもうだれが見ても明らかなとおり、佐藤総理みずからが、地下鉄など公営企業の赤字は、これはもう独立採算でこれをなくすのは無理だと言っております。わが党の北山さんの質問に対してそういうふうに答えております。そうするとその点は大蔵政務次官としても、やはり総理大臣が言っておるのですから十分お気づきになっていると思いますが、それについて御所見を承りたいと思います。
  42. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 おっしゃるように、地下鉄につきましては、その建設費が非常に多額を要するために、最近における地下鉄の建設の進捗、そういうようなものによりまして、営団とかあるいは各公営企業の収支が非常に悪化しつつありますことは、私どももそのまま率直に認めております。ですから、四十二年度の予算において御審議願ったように、相当大幅な地下鉄建設の補助金を増額をしたわけでございまして、そういうような意味で、公営企業の財政の安定に資するように、私どもも逐年この点については配慮しているつもりでございます。
  43. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 ところが、掘れば掘るほど地下鉄というものは赤字が出る。だから、いままで以上のたいへんな赤字に対する整理をやるやり方をとるばかりでなくて、全国的に年次計画で解消していかないと、公営企業はみんなたいへんなしわ寄せを受けて、たとえば病院の看護婦さん、それから来年は東京都の水道、その他にずっと響いてくるし、地下鉄のあれは掘れば掘るほどなんですがね。  一つ税制調査会に関係したことでお聞きしたいのですが、結局、掘れば掘るほど赤字になっている一方、今度は掘って駅ができたところは地価が値上がりします。私鉄などは、開発したところは全部自分が買い占めて、値上がりしたのは自分のふところに入れて大もうけをしております。公営企業はそれができない。したがって、物価問題懇談会でもって、そういうものについては値上がりの利益を吸収しなさい、こういっております。それで新聞によると、税制調査会では、土地のいろいろな空閑地税その他がずっとあって、同時に、この問題について取り組むということを言っておりますが、その点はどのくらい進捗しておるのですか。
  44. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 土地税制の問題は、今回の税制調査会の大きな課題といたしまして取り上げまして、第一回の土地税制部会を去る七月七日に開催いたしました。先ほど広沢先生御指摘のような問題点も、その他数多く提起してございます。民間の方々、特に不動産に関係のある学識経験者の方々から、八月中くらいには実地調査、あるいは業界の意見、あるいは学識経験者の意見をまとめていただきまして、九月の初めにはそのような意見をひとつ出していただく、こんなふうにお願いしてございます。
  45. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、その問題について九月になってからわかるわけですか。どの範囲までの値上がりをどういうふうに税金で吸収するか、方法についてもうちょっとわかったら伺いたい。
  46. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 この問題も、土地収用法の改正と関連いたしまして、ここでも御議論になり、さらに、ことしのみならず昨年も非常に御議論のあったところでございます。結局、値上がり益、社会開発利益というものをどのように吸収したらいいのかというのは非常にむずかしい問題であります。現在の土地問題に対する世間の関心は、単に地価対策以外に、土地の供給の増加、こういった面が非常に強いかと思うのでございます。不効率に利用されておるところの土地を効率的に利用できる方々に供給させる、こういったことが非常に関心を持っておられるところでございまして、私は、空閑地税をやるということはそのあらわれだと思うのでございます。ところが、現在の国税におきますところの税制は、多分に、譲渡いたしましたときに徴収いたします、いわゆるキャピタルゲインと申しておりますが、法人税でも譲渡利益、所得税でも譲渡利益に対しますところの課税でございますので、これを極端な形で徴収いたしますと、むしろ売り惜しみの結果を生ずる、そこに私はこの問題のむずかしさがあると思うのでございます。イギリスも開発利益の徴収を先般始めたようでございますが、それらがどんなふうな経過をたどっておりますか、私ども十分検討いたしまして、ひとつ売り惜しみのないような方向で、しかもまた、社会感情でありますところの開発利益、自分の額に汗しないところの利益に対する課税の評価、この問題を総合的に検討してみたらどうか、こういうふうに考えております。
  47. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 時間がないですから、さっそく法人税の問題ですが、法人税はどのくらいになりますでしょうか、英国で課税したような形で。
  48. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 いま非常にラフに計算いたしまして、約千億円ばかりの追加的な収入が生ずるというふうに考えられます。
  49. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 五千七百四十九億円の交際費の中で一千億円くらい取ったって交際費はまだまだ残っていますね。これじゃ私は不十分だと思うのです。不十分だと思うのですが、国民だれもがおかしいと思っていること、飲み食い、それからキャバレー遊びを奨励しておるようなものだという悪評さくさくのこの交際費を、英国並みにやれば一千億円取れる。これはもう道徳面からいっても、税収一千億円といったら、相当税の問題は解決すると思うのです。したがって、これはぜひとも今度の税制調査会でやらなければならぬと思うのですね。それが私は一番お約束をとりたいことですね。大蔵政務次官をはじめとしてずいぶん努力していると思いますが、それについてのはっきりした答弁をお願いしたいと思います。
  50. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 交際費課税の問題につきましては、租税特別措置法をここで御審議をいただきました際に、委員長発言でございましたか、交際費の中をきめこまかく洗って、個別的な着眼をしろという御意見がございました。そういった点につきましては、税制調査会にも御報告申し上げまして、国会の御意向はこういうことであったということを御説明申し上げ、御審議願うことにしてございます。  ただ、交際費課税の問題は、先般の御審議の際に私どもの御説明申し上げましたように、やはり時限立法になっておりまして、ことしの三月で切れますものを、また二年間延長さしていただいたのでございます。そういった意味では、租税特別措置でございますし、期限が切れるものをあれだけ議論いたしまして、今回二年延長し、しかも、その延長に際しましては、節約したならば減税の恩恵を与える、増加したならばむしろ増税の制裁を与えるという独特の方式を入れたわけでございます。そういった意味では、私はこの結果がどうなるかをひとつ十分見守っていきたい。交際費課税は、先生のおっしゃるところは、これから税金を取れということじゃなくて、五千七百四十九億円の税収をむしろ試験研究費に回せとか、あるいはベースアップに回せというようなことが望ましいのではないか、税を徴収するのが目的ではないと思うのであります。そしてむしろ企業の体質を改善できるではないかという御警告だと私は思います。今回の改正は、交際費を減らせば減らすほど税金が軽減されるという仕組みをとっておりますので、こういった経過を見て、またひとつ大きな判断をしてまいりたい。なお、国会で御決議のございました公給領収証の問題、あるいは特定の飲食の問題を排除するという問題私的な場合はできるだけ交際費を排除するという問題、これらは十分きめこまかく税制調査会で御審議をいただくつもりでございます。
  51. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 あやまちを改めるには早いほうがいい。いいことは早くやったほうがいいと思うのでして、そういうことは幾らでも与野党協力すればできるわけですから、早く改めるということが大事だと私は思うのです。だから、二年でなくて、来年改めればすぐできる。それを企業体質の強化——それはけっこうだと思うのです。研究開発費の助成とかそういうほうへ回すことができれば、そういう措置をとるとかいうことをおやりになったほうがいいと思うのです。そういう点では大蔵政務次官がやはり断固たる決意を示さなければいかぬと思います。いま私が申し上げました税金の問題と金融の問題、二つの制度調査会がありますが、この調査会に対して、理屈を話したら、これは社会党の主張ではなくて、当然過ぎるほど当然の主張ですから、これを反映して、ぜひ早くこれを実現するという点について、大蔵政務次官の所信をお伺いしたいと思います。
  52. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 私が簡単に、おっしゃるような方向で大いに決意を持って進みますと答弁すれば御納得いただけるのだろうと思いますけれども、交際費については、私は実は本委員会で税制の問題をいろいろ御議論を聞いておりまして、私自身実は町の非常に零細な企業でありますが、一つ経営者になって、きめられた限度の交際費の半分くらいも使っておりません。しかも、交際費というものは、私は本来営業活動に必要な経費であろうと思うのであります。それが批判の対象になるということは、経営者のやり方が悪いのだ。私は、税制がいいとか悪いとか言う前に、まず経営者のやはり心がまえというものが問題なんだ。いかにも皆さんの批判の対象になるような使い方が世の中に行なわれている結果そういう議論が起こるのであって、本来交際費というものは、法律できめられた立場から見れば、私は、企業を発展させ、維持し、あるいはいろいろな企業経営をやる上において必要な経費じゃないかと思うのでございます。それを目のかたきのように議論をするのは、むしろ経営者側のほうでもっとほんとうにりっぱな経営者の精神に徹して、全く企業のための正しい使い方をやるなら、かえってそのためにそれは必ず企業収益に還元をしてくる、反映をしてくるというような交際費であらねばいかぬので、そういうものであれば、交際費はそんなに目のかたきにしてわあわあ言うような必要はないのじゃないかというふうに、私は基本的には自分が経営者としてやってみても思うのでございます。しかし、世の中には、いかにそう言いましても、おっしゃるように、何か非常に目につくような乱費をされておる、交際費の名のもとに、いわゆる社用族というものが自分たちの私的なものに使い過ぎておるような面がある、現実にそうだということは、私もやはり認めざるを得ないわけでございます。  したがって、そういう面では、これはいかに精神訓話をやりましても直らない部分がございますから、その面について、一体税制の面からどういうふうにそれを締め上げるといいますか、合理的にしていくかということは当然考えなければならぬ、その意味で今回の改正をお願いをして、交際費をできるだけ切り詰めて、減らしていけばいくほど税制上優遇されるような方向でひとつやろうというのが、今度御可決願いましたあの例のやり方でございます。  ですから、いま法案を御可決願って、この推移を見ないで、ここですぐまた来年からどうするのだというようなことは、ちょっと政府としては申し上げるわけにいかないわけでございます。しかし、いま局長が言いましたように、交際費をできるだけ節約して、研究開発なりその他の面で経費を使っていくような方向を助長するということについては、私どもも大いに進めていかなければいかぬと思います。そういう面で一そう調査会等の意見を求めて、私どもも検討を進めて、できるだけそうした方向がとられていくように、私も責任者の一人として熱心に取り組んでいくつもりでございます。
  53. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 もうやめようと思ったけれども、一言言います。  道徳論や何かで、経営者の態度による、この間委員会でそういう御答弁がありました。これは政務次官じゃないですが、道徳論とか、自分でもってみずから正しくしろといったって、経済法則というのと違うと思うのです。これだけは税金がかからぬと思えば、がむしゃらに何に使っても落としていく、こういうあれがあります。だから今度の措置になったと思うのです。少しは前進した。やはり資本主義の世の中ですから、経営者に道徳論を説いても始まらないので、それは断固たる態度に出なければいけないと思います。「ロンドンエコノミスト」にこう書いてあるのです。これはもうお読みになったと思いますが、外国人から見た日本の経営態度というのは、「使用総資本の七 ○−八〇%を銀行借り入れ金に依存しており、そのうえに、膨大な企業信用のピラミッドがそそり立っている。まるでバクチだ。」その次に「それを監督しているのは、世界で最も口のうるさい官僚。」と書いてありますが、これはとにかくとして、口うるさくしたほうがいい。「さい配をふっているのは、酒びたりで身もちの悪い経営者」1そうばかりじゃないと思いますけれども、そういうふうに映るのですね。したがって、やはり道徳論ではなくて、きちっと英国並みの課税、それからもっとさらに進んだ課税、これをやるというように政務次官が言わなければ、金融制度調査会は変わらないのです。いろいろな意見があります。だから、そういう点は、自民党として政治を預かるからには、きちっと金融制度調査会に態度を示されることが非常にいいことだ、私はそう思います。  以上で終わります。
  54. 内田常雄

    内田委員長 次回は、明二十一日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午前十一時三十四分散会