運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-18 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十八日(火曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    菅  太郎君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君      小宮山重四郎君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    砂田 重民君       永田 亮一君    西岡 武夫君       村上信二郎君    村山 達雄君       山下 元利君    山中 貞則君       渡辺美智雄君    阿部 助哉君       只松 祐治君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    柳田 秀一君       山田 耻目君    横山 利秋君       永末 英一君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      宮沢 鉄蔵君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次         長       岩尾  一君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省理財局長 中尾 博之君         大蔵省銀行局長 澄田  智君  委員外出席者         大蔵省主計局法 小田村四郎君         規課長         大蔵省理財局次 広瀬 駿二君         長         大蔵省理財局国 大谷 邦夫君         債課長         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 七月十四日  委員田中昭二辞任につき、その補欠として大  野潔君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員村山喜一君及び大野潔辞任につき、その  補欠として米内山義一郎君及び田中昭二君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員米内山義一郎辞任につき、その補欠とし  て村山喜一君が議長指名委員に選任され  た。     ――――――――――――― 七月十四日  公務員共済組合制度改善に関する請願原茂  君紹介)(第三四〇九号)  自動車損害賠償責任保険料等所得控除に関す  る請願池田清志紹介)(第三五〇七号)  公衆浴場業所得税適正化等に関する請願(池  田清志紹介)(第三五〇八号)  公認会計士特例試験延長等反対に関する請願  (大久保武雄紹介)(第三五四一号)  同(田川誠一紹介)(第三五四二号) 同月十五日  公認会計士特例試験延長等反対に関する請願外  一件(河本敏夫紹介)(第三六七五号)  同(相川勝六紹介)(第三七七八号)  同外三十八件(小川半次紹介)(第三七七九号)  同外十四件(永末英一紹介)(第三七八〇号)  同外十件(原健三郎紹介)(第三七八一号)  ソ連長期抑留者に対する公共企業体職員等共済  組合法特例等に関する請願渡海元三郎君紹  介)(第三六七六号) 同月十七日  公務員共済組合制度改善に関する請願(林百  郎君紹介)(第三八九五号)  公認会計士特例試験延長等反対に関する請願外  三十六件(地崎宇三郎紹介)(第三九一一号)  同外二十八件(中山マサ紹介)(第三九一二号)  同外七件(西村榮一紹介)(第三九一三号)  同外二十三件(堀昌雄紹介)(第三九一四号)  同(和爾俊二郎紹介)(第三九一五号)  同(砂田重民紹介)(第四一〇〇号)  同外二十七件(田中伊三次君紹介)(第四一〇一  号)  同(長谷川四郎紹介)(第四一〇二号)  同外十四件(前尾繁三郎紹介)(第四一〇三号)  公衆浴場業所得税適正化等に関する請願(吉  田之久君紹介)(第四〇二九号)  ソ連長期抑留者に対する公共企業体職員等共済  組合法特例に関する請願堀昌雄紹介)(第  四〇九〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十七日  所得税負担軽減に関する陳情書  (第四二五号)  公認会計士特例試験延長等反対に関する陳情書  外一件  (第四二六号)  旧計理士の既得権回復に関する陳情書  (第四  六六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま議題となっております国債整理基金の場合、私がまず第一にお伺いしたいのは、本法財政法との関連でありますが、これはやはり財政法一般法、この法律特別法という関係になると思うのですが、これはいかがでしょうか。これはどなたでもいいですが……。
  4. 岩尾一

    岩尾政府委員 そのとおりだと思います。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういたしますと、この法律明治三十九年に制定されておる、そして一般法である財政法は、日本国憲法制定され、そうして戦後に制定されておるわけですね。そうしますと、この財政法に抵触すると思われるようなもの、また、そういうようなものはやはり改正されるか、これが無効であるというようなことになると思うのです。まあ、原則的なお伺いなのですが、原則としてはそうなるのじゃないでしょうか。
  6. 岩尾一

    岩尾政府委員 一般法特別法関係、並びに法律の先にできたか、あとにできたかという関係は、必ずしも一緒ではございません。一般的な原則をきめる法律がございまして、それに対して、その中の例外をきめておるもの、たとえば、現在の国債整理基金特別会計法におきまして、五条で借りかえ起債というのを規定しております。これは財政法四条に対するある種の特別規定かもわかりません。そういう意味特別法があるわけですが、実際上、先にできたものが大体一般法で、あとでできたものが特別法という関係にありますけれども、戦前からあります法律の中で、戦後新しく変わってきたものにつきましては、その辺の関係をしんしゃくをして新しい一般法をつくっておりますから、特に抵触をするということはございません。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私が尋ねたい趣旨は、憲法財政法では、皆さんも御承知のように、国債の不発行主義だ、そして新憲法下で二十年間とにもかくにも最近までは国債発行してこなかったわけであります。したがって、整理基金法というのは、ほんとうは過去の遺物のような存在であった。そしてこの前の二千億の国債を出すときには特別立法をつくっておやりになった。それが今度は、なくなったような消極的な存在であった整理基金法を活用して今度の国債処理をしようということ自体、何か国民としては割り切れない問題があるので、もしどうしても国債をこういう形で継続して発行していくならば、それに見合うような特別立法をするというようなことで、国民の前に明快にして、それで処理される。私たちは、国債発行そのもの反対であります。しかし、いまのようにこうやって多数で押し切られて出すとすれば、百歩を譲ったとしても、やはりこれは特別に法制定をして国民の前に明らかにして、そうして処理をしていくことが正しい国民の負託にこたえる道だと思うが、その点は大臣いかがでしょうか。
  8. 岩尾一

    岩尾政府委員 お気持ちはよくわかるわけでございますが、先般、特例法を出しまして、四十年に赤字といいますか、歳入補てん公債というのを出しました。これは御承知のように、財政法四条にいっております一般的な建設公債でない公債であるということで、特に特別の法案を出して御審議を願ったわけでございます。一般的に、現在の財政法は、公債は全部出してはいかぬということをいっておるのではございませんで、建設公債の場合には出してもいいということをいっておるわけでございます。  そこで、国債整理基金特別会計といいますのは、新しく国債発行する場合だけに適用される法律ではございませんで、旧債についてのいろいろな借りかえその他のやり方、その他国債全般管理に関する規定をしたものでございますから、したがって、戦後ある時期から建設公債以外の公債は出さないということでやってきておりますけれども、だからといって、国債整理基金特別会計が要らないということではないので、やはり国債管理自体としては必要であったわけでございます。そういう意味でこの国債整理基金特別会計法財政法と並べて運用をしていくということをやっておったわけでございますが、先生のおっしゃいますように、建設公債については四十一年度から新しく道を開いたわけでございます。  その場合に、先生方御指摘になっておりますように、国債反対ではあるけれども、しかし、国債発行について歯どめが必要だという御意見が非常にございました。そういう意味で、その歯どめをしっかりさすために、償還についての減債規定を新しく入れてこれで運用していこう、こういうふうに考えて本特別会計の改定ということをお願いしておるわけでございます。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたがいまおっしゃった問題についてはあとで触れるつもりでありますが、財政法では国債の不発行主義原則としておるというふうに、これは世間でも見ておるし、私もそう思うが、いまあなたの話だと、何かそれは出してもいいのだ——確かに出せないことはない、だけれども、出さないというのがこの法のたてまえだったじゃないか。基本的な考えは、できるだけ国債を出すべきでないというのが、戦後における憲法下において、この財政法制定の精神だと思うのですが、今度は出したのだから、あなたのほうでは何とかそれを拡張解釈したいということなのだろうが、そこをいま私ちょっと聞き忘れましたが、出すことを奨励しておるみたいな答弁なので、私、まことに不可解なんで、もう一ぺんそこを、簡単でようございますから……。
  10. 岩尾一

    岩尾政府委員 公債全体について、不発行原則であるか、あるいは、原則ではないけれども、実際上、建設公債以外のものについては発行してはいけないという趣旨なのか、この判断は人それぞれによって違うと思いますが、私らも、公債は借金でございますからなるべく避けたいという気持ちは持っております。ただ、財政法の四条には「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費出資金及び貸付金財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債発行し又は借入金をなすことができる。」この「但し、」の規定をどのように御解釈いただくかということだと思います。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この問題は、あとでまた触れたいと思いますので次に移りますが、私は、いまのような解釈には少し異論がありますので、あとにいたします。  次に、政府は、本法整理基金改正をして国債信用を維持したいというようなことをいっておりますが、それならば、ほんとう国民信用を得るためには、やはり償還計画というものは、皆さん予算書につけてあるぺらぺらのあんな紙では国民はさっぱりわからない。七年間の国債が七年になったらぴしゃりと返せるということならば、返せるような——これは国民の政治を大臣が預かっておるのですから、大臣はやはりその立場でこれをおやりになるのであって、そういう点で、この償還計画というものは国民にわかるような形で出さるべきだと思いますが、大臣、その点どうですか。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 この問題は、もう御承知のとおり三年越しの問題でございまして、結局、この財政法の求めておる償還計画というのは何であるかということでいろいろ御議論がございましたが、昨年、これは財政制度審議会にかけて、ひとつこの解釈の決定を願おうというようなことでこの審議会に付したわけでございますが、一応従来の政府解釈と同じように、この償還計画というものは、償還財源調達に関する具体的な計画意味するものではない。年度別償還予定額を示すので足りるという解釈をこの審議会でも確定したような次第でございまして、実際問題としまして、この償還財源調達計画を示すということは不可能でございますので、結局、政府が従来の解釈しておった償還計画ということよりほかに方法がないと考えております。  それでは、そういうものなら特にこの財政法がそれを示せということを求めなくてもいいじゃないかという議論も出ましたが、しかし、そうではなくて、これはいまは銘柄が単純でございますから、政府の示す計画も一片の紙ということになっておりますが、そうではなくて、今後多種多様の国債というものが出る、年賦償還国債も出るということになりますと、この年度別償還予定額を示すということは、満期償還公債にあっては、その満期時の償還予定額年賦償還でありましたら年々の償還予定額ということになりますので、これが多様になってきますと、この償還計画も非常に複雑になってきますし、国会審議には十分の参考資料になる、やはりこれはあったほうがいいというのが結論でお示しするということになったようないきさつから見まして、これ以上のものを財政法が要求しておるのではないということははっきりしている問題でございますし、私どもはもうこれは御了解を得ておることであるといまでは考えております。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 了解を得ておるというが、どういう形であれしたのかわかりませんが、社会党の立場としては、やはり了解ができないと思います。それで、これからますます多種多様の国債を出すなんということに対しては、なおさらこれは了解ができないわけです。これは私は、国債を買わされる立場でいうよりも、国の主権者としての国民立場から明快にすべきだ。というのは、あとで述べますけれども、もう大臣承知のように、国債歴史というものは、世界じゅうでそうでありますが、特に日本民族にとっては、この国債歴史というものを、間近な、ついこの前までの歴史というものでわれわれは非常に苦い思いをしているだけにこの財政法原則は、国民立場主権者という立場政府に守ってもらいたい、守るべきだ、こう要求しておるのでございまして、あの程度のもので満足するわけにいきませんし、そして、あれ以上出せないというならば、やはり国債を出さないように、少なくとも銘柄別の、もう少し詳しい償還財源等の問題は明記して、国民安心できるような形で発行すべきだと私は思います。そういう点で、大臣がどうしてもそれは出ないとなれば、やはり国債を出さないようにすべきだと思うのですが、その点もう少しお伺いしたいと思います。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 国債を出しても、国債償還について国民安心のいくようにというために、この減債制度を私どもはここでつくろうとするものでございまして、これがあれば、国債全体の管理が行なわれ、そして国民も、公債はりっぱに返還されるんだということについての安心も得られますし、そういう意味から、この制度が私はまた特に必要になってくるんだというふうに考えます。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 今日の憲法は、明治憲法のもとにおける財政政策と違いまして、新しい憲法、そして財政法、これの一番大切なのは、官僚の手で牛耳られるという財政政策から国民の手に移したというところに今度の財政法の一番大きな意義があると私思うのであります。そういう点からいって、やはりこれは厳正な、出すとしても公共事業に限って、そして公共事業で出したとしても、もう少しきっちりした歯どめを持つべきだということが本旨だと思います。  そういう点で、何か、いまの御答弁でいきますと、いつまでたっても歯どめも何もなくなってしまうのじゃないか。水田さんは、いま私がやっておる限りは何とかだいじょうぶだというふうにお考えになるかもわからぬけれども大臣がかわるたびに国債に対する考え方も変わってくる。そうなっていきますと、国債発行の道を開いたということは、これからの日本財政政策にとっては非常に大きな転換だ、こう考えますので、その点をひとつ将来のためにも私は考えてもらいたいと思います。  だいぶ時間を急がれておりますので、次に移ります。  福田さんの場合に国債発行したときには、まあ不況対策だから、景気がよくなればこれはやめるんだ、そして返済をしていくんだ、こういうことで、不況対策ということで国債が出された。ところが、水田さんになってきたら、今度は好況不況にかかわらず、社会資本の充実のために国債発行する、こう記録に出ておるわけですが、その点はそうでございますね。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 公共事業国民のその年の税負担でやるか、そうじゃなくて、国民の任意の貯蓄を借り入れることによって、税の負担を適正な水準に維持しながら社会資本の拡充をはかる方法がいいかということになりますと、やはり景気不景気の対策としてこの国債を見るのではなくて、そういう国民税負担水準を適正な水準に保つという見地からも公債は今後発行は続けられていいものだというふうに私は考えます。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 今度の国債発行にあたっていろいろ論議があった。たいへんな論議の中でこれが行なわれたのでありますが、この改正にあたりましても、国債信用などと言っておりますが、大臣のかわるたびに方針が変わってくる。いまのお話だと、何か非常に抽象的な、税負担の適正だというような形で国債発行をやられる。市中消化というけれども、それならば、実際、私たちが普通考え市中消化として一般国民が買っておる部面がどれくらいあるか、また、皆さんの権力をもって銀行に引き受けさせておる。私は、それは完全な市中消化とはちょっと言いがたいのではないかと思いますが、銀行で引き受けておる額がどの程度あるか、そのパーセンテージでもいいからちょっと出してもらいたいと思います。
  18. 岩尾一

    岩尾政府委員 現在の国債消化状況でございますが、四十年度の場合には、大体発行額の一一・一%が個人消化額でございます。四十一年度の分につきましては、一一%が個人消化額でございます。あとがいまおっしゃいました銀行等消化になっておるわけでありますが、都市銀行が四十年度の場合には四〇・四%、四十一年度は四〇・五%、あと大きいのは地方銀行が四十年度は一九・九%、四十一年度も同じく一九・九%、あと長期信用銀行信託銀行相互銀行全国信用金庫連合会、農林中央金庫、生命保険会社等でございます。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまお話のとおり、ほとんど銀行が引き受けておる。これは一年間は日銀へいって担保にして出せないけれども、一年たてばそれは担保にもできる。また、最近はそれを半年に短くせいというような話も出ておるということになると、市中消化というのは、こじつけであって、ほとんどは大蔵省の圧力で銀行に買わしておるというのが実態であります。  また、いま大臣のおっしゃった税負担の適正な云々というのを、私はあと速記録でよく見ますけれども、どうもそこまでいくと、ますます国債発行は自由自在に行なわれるという危険性があるのでありますが、そうすると、大臣はこれからどれくらいの期間——もう期間というものはなくなって、いつでも国債発行していくのだ、こういうことになるのですか。それとも、何年くらいこの国債発行して、何年くらいでこれを打ち切る、打ち切るなんていうのは全然考えない、こういうことですか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 国債発行をどうするかは、やはり今後の経済成長の姿と税収の伸びと減税の程度、それから国の財政需要の動向というようなものとのからみ合いからこれをきめる必要があるというふうに考えますので、そうなりますというと、先の予想ということは、非常に私はむずかしいと思います。必要が出てくる場合もありましょうし、もう公債を打ち切ってもいいというような財政事情になる場合もあろうと思いますので、将来の予測は非常にむずかしい問題でございますが、この公債一つ政策でございますので、一つ政策を踏み切るというと、この政策の始末というものは、普通はやはり四、五年を周期として始末されるものという、いろんな従来のあれから見ますというと、踏み切った以上は、やはり四、五年の公債発行というものは考えられると思いますが、それから先はどうなるかというようなことはそう簡単に予測できないことだと考えております。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま四、五年が周期で、四、五年たてば、その時点で考えると言っておりますが、いままでの歴史からいって、国債性格からいってみて、私は、四、五年間も国債発行していけば、これはもう国債を打ち切るというようなことはおそらくはできないのじゃないか、こう考えるわけですが、それならば、百歩を譲って、大臣お話のとおりこれから五年間いまの調子で国債発行していくと、大体集計でどれくらいの国債を出すことになるか、見通しはどうでございますか。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 これもむずかしい問題でございまして、実際いいますと、来年どうするか、来年はどうなるかという見通しすら、いまいろいろ経済情勢、税制のあり方、そのほかとからんで、私どももこれから相当の真剣な検討を要しなければならぬというような状態でございますので、これから先のことはわかりません。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまお話がありましたように、国債性格からいって、いまの大臣のような答弁だと、国債信用しろなんていったところで、これは信用できないのですね。前に向井さんが大臣をやっておられたときに、その当時、朝鮮戦争の直後でございましたが、たしか、自民党やいろいろな方面から国債発行しろ、こういう話があったけれども向井さんは、国債アヘンのようなものだ、アヘンを吸い出したら死ぬまでやめるわけにいかないと同じように、一ぺんこれを発行したらとめることができなくなるのだ、だから、もう苦い経験にこりて私は出さないのだということで、明快にこれを拒否ししたということがあるわけでありますが、水田さん、その辺もう少し、これは日本民族の将来にとってのある意味では命運を決する問題国債なければ戦争なしと言われるくらい、戦争国債というものはからみ合ってきておる問題だという歴史の教訓からして、水田さんは、そういう点で、もう少し将来の展望に立って御答弁をお願いしたいと思います。
  24. 水田三喜男

    水田国務大臣 私どもも、本心は公債をそうやたらに出したくないという意向でございますので、経済情勢、それから、いま申しましたような財政需要、税のあり方、こういうようなものとからんで、できるだけこれを減そうという考えを持っておりますので、当初から、原則として、もう市中消化原則とするということ、それから公債依存度は年々減らしていくという、この二つによって、公債政策というものは、これはもう相当の歯どめをかけられておるということになろうと思いますが、さらに、いま御審議を願っております減債制度を私どもつくるということは、これによって年々相当金額を、定額を減債基金の中に積み立てなければなりませんので、一般会計が非常に圧迫されるということでございますので、公債が無制限に出されるというようなことになりましたら、一般会計が圧迫されて予算編成難ということまで起こしかねない、そうすれば、もう減債基金にたくさんの金を入れるよりも国債を出さぬほうがいいという事態にもなりますので、自分で締められるという意味からも、この減債制度というものはやはり国債の歯どめの作用をなすものでございますので、そういう意味でも私どもはこの制度を置きたい、そういうふうに三つ、四つの歯どめを準備してかかれば、心配されるような国債の弊害というものは避けられるのじゃないか、その範囲内において、できるだけ出さぬようにするというふうに私どもは運営をしていきたいと思っております。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これが大臣としては唯一の国債の歯どめだと、こういうことだろうと思いますが、この程度の歯どめで国債償還が可能だとは私には思えないのであります。昨年の四十一年度と比べまして、四十二年度の場合はむしろ景気の過熱が心配されておったり、これは政府部内でも心配されておる、そうして自然増というものはふえてきておる、当然国債は減らすという絶好の機会じゃないか、国債を減らす絶好の年じゃないかと思うのでありますが、まあ、多少の繰り延べをやるというようなことはお話があったようでありますが、依然としてこれをしてはいけない。そうすると、なるほど財政依存度はかりに少しずつ減ったとしても、財政そのものが、日本の財政は世界じゅうで珍しいほど年々膨張していくという財政なのです。そうすると、国債も依存度の比率においては何ぽか下がるかもわかりませんけれども、やはり金額としては大きくなっていく、そうすると、これは行く行くは、七年後にはこれを全部償還するのではなしに、結局借りかえという段階に入ると思いますが、その点の見通しはどうでございますか。
  26. 水田三喜男

    水田国務大臣 公債は、期限がくればこれは必ず償還いたします。その償還の資金が何であるか、一般会計であるか、あるいは借りかえの資金であるかはこれは別でございますので、借りかえによって償還するという事態が起こるということも十分考えられますし、また、それはそれでいいと思いますが、借りかえがあろうと、公債の保有者に対しては、全額期限に償還されるということは間違いございませんので、この減債制度ができますれば、これを毎年一般会計から百分の丁六ずつ積み立てるということによって、最終的には全部税収によって支払われるということは間違いございません。この制度がある以上は、途中の返済を借りかえによってやるということも一向差しつかえない、むしろそういうふうに運営されるのが世界各国の通例でございますので、その点は少しも差しつかえないことだと思っております。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、この借りかえというものを当然予測しておられるわけですが、国債を買った個人にはその金は返すでしょう。しかし、大臣立場は、国民の政治財政、国の財政を預かっておる、主権者から財政を預かっておるという立場答弁をしてもらわないと困るわけであります。借りかえということになった場合には、これは建設、公共事業費のための国債発行ではなしに、借りかえるために出す国債というものは赤字公債ということに私はなると思うのですが、それはどうでございますか。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはそうでございませんで、公債によって得た金で何ができるかといいますと、これに見合う道路にしろ何にしろ、国民のためになる資産がこれによってできるということでございます。この資産の効用はどのくらい続くかと申しますと、七年間で終わるというようなものじゃございませんで、公債によってつくられる国民的な資産というものは、平均的に見ても、六十年はその効用を発揮するということでございますから、六十年の効用を持つ資産をつくる借金であるということになりますると、七年間でこれを払うということのほうがむしろ不自然であって、六十年間にこれの支払いができるようにという財政上のくふうがあることがあたりまえであって、このくふうからできたものがいわゆる減債制度ということになりますので、七年間で借りかえで払うということが赤字公債というようなものではないというふうに考えます。
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも、そうなってくると、だんだん大臣の先ほどの四、五年で終わるみたいな話が私にはわからなくなってくるわけです。これは六十年間効用を持つのだから、六十年間で支払えばいいのだということになってくると、借りかえやその他を入れてくると、まあ永久に国債発行が続くというふうに国民が心配をするのは、これは当然のことなんじゃないか。大体、今日非常に収益性のあるようなものは、いろんな公団であるとかということでこれが行なわれておる。はっきりした収益性というものが考えられるようなものは、もうすでにそういう形で出ておるんじゃないか。当然これは財政のワクの中で仕事をしていくべきだ。国債の害悪というものを考えると、そういう観点に立ちますと、ますます国債発行というものが永久に続いていくというふうに私たち考えざるを得ない。そうすると、主権者立場で、個人個人が国債を買ったという買い手の立場ではなしに、国債発行するという立場でいくと、大臣には、何か返済の意思というものが——国債をなくしてきれいにする、借金をなくするという考えというものは初めからお持ちでないように私には聞き取れるのですが、どうでございますか。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 いわゆるドッジ政策によって日本は戦後のインフレを克服したのでございますが、これは非常にいい政策であったと同時に、一面、日本社会資本の蓄積をおくれさせたということは、またこれ間違いないことだと思います。何でもいいから、その年の公共事業もその年の税によってまかなえ、国が借金してはならぬというドッジラインを今日まで私どもは堅持してまいりましたが、これによって社会資本の立ちおくれということが現在はっきりしてきましたので、これを解決するためにも、私どもはここで公債発行することは必要だという政策に踏み切ったわけでございますが、これによって、立ちおくれた社会資本と申しますか、これがある程度取り返しがつくということになりますと、それに従って公債というものはだんだんに発行額を減らせる、同時に、過去の公債によって得た国民資産から税収というようなものもあがってまいりますので、それによって過去の負債を返済する能力というものも非常にたくさん出てくるというようなことと相まって、公債というものは将来無制限に出さなければならぬというふうには私ども考えておりません。いまの時期においてこの公債政策が必要だと考えて踏み切ったということでございますので、これによって永久に公債を出さなきゃならぬとも考えていませんし、先ほどの六十年ということによって、それじゃもう無制限に出してもいいというふうに考えているんじゃないかというのでしたら、公債を出すということと、出した公債償還ということは別でございますので、今後どれだけ出すかということは、経済情勢の変化によって私どもはさめればいいというふうに考えておりますので、今後無制限に公債が出る方向に行くというふうに私どもはいま考えておりません。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣、私はきょうは、この国債反対であるけれども、いまこうやって出されてしまった限りでは、歯どめをどうするかという問題について大臣から明確な御答弁をいただきたいと思って質問しておるわけでありますけれども大臣答弁を聞いておると、何か、国債発行というものに対して、非常に一面的な効用に重点を置いたお話でありますが、私はもう一ぺん、ついこの前私たちが体験してきた歴史の教訓というものを考えてみるべきじゃないか。  とにかく、あの国債発行は、犬養内閣のときに高橋是清さんが、やはり当初は赤字補てんということで出された。しかし、だんだんそれが進んでまいりますと、今度は軍事費のほうにこれが入っていく、そして高橋さんは、当時の質問に対して、歯どめは私自身が歯どめなんだ、そう乱発をしないんだということを繰り返しおっしゃっておったけれどもついにその歯どめが、むしろ自分が育てた軍閥というか、銃剣の前に倒され、そして高橋さんが倒されたあとでは、これはもうほとんどとめどのない国債発行、そして戦争という形に日本民族は突っ込んでいった。財政の面から見ても、この国債発行に関して去年からことしにかけての水田さんの立場というものは、やはり日本歴史に残る重大な転機じゃないか。それだけに、発行されるという決定をしたからには、せめて、歯どめだけはきっちりとしておくということが必要ではないかという点で、この教訓の中から水田さんにお考え願いたいということで私は質問をしておるわけでありまして、水田さん、この歴史の教訓をひとつ考えてもらいたい。そしてもう一つ申し上げれば、この国債発行に手をかした当時の日銀の副総裁でありました深井さんが、翌々年に京都の大学では、私は国債発行する準備をだれも知らないうちにやっておった、それが今日戦争経済にとって非常にプラスでしたという自慢話をしておったけれども、最後に、死ぬまぎわになって、昭和六年の国債発行は、これは何といっても大きなミスだったというように反省しておる。そういう歴史の教訓を考えますときに、いま水田さんの置かれておる立場は、歴史に残る重大な立場だと私は考える。そういう点で、またいま論議をしておる私たちにも重大な責任があると考える。それだけに、いま水田さんからの御答弁では、一体どこに歯どめがあるのか。なるたけ発行はしたくないんだという程度のお考えでは、水田さんのあと国債が続いていくときに、これはどうにもならないところにはまるのじゃないか。歴史の教訓を踏まえて、ひとつ水田さんの腹がまえをお伺いしたい。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、国債の歯どめは、根本的にいいましたら、国債によってつくられる事業、それが生産力の壁にぶつかるというときが限度であるというふうに考えておりますが、それが端的に現象の上にどうあらわれてくるかと申しますというと、結局、市中消化原則とするというこの一点が守られれば、大体公債がインフレの原因になるということが防げるというふうに思っております。したがって現象面から国債を抑制するということは、市中消化原則とする、この一点を堅持すれば国債の限度もはっきりしてくるということで、経済がそういう事態になったときには、国債をそこで調整していくということをすることが、一番有効な歯どめであろうと思っております。ですから、日銀引き受けによる公債を出すというようなことはいたしませんが、市中消化原則とするという一点を堅持することによって、公債の歯どめというものはりっぱにできると考えております。
  33. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると大蔵大臣は、市中消化というものが歯どめだ、その点では抽象的にはわかるのですが、その市中の消化が、先ほどお伺いしたように、国債の市場があって、そして一般の国民が好きでその国債を買うんだというのが限度だということになれば、ある程度私も理解はするわけですけれども、いまの市中消化というものは、皆さんがシンジケートをつくってそれに押しつけるという点では——皆さんは押しつけるのじゃないというけれども、これは現実にはそういうことになっておるのじゃないですか。そこがこの市中消化だという解釈では、歯どめというものは役に立たない。しかも、一年たてば日銀へ持っていって、日銀引き受けと同じかっこうになる。ただ一年間保っておるのかどうかということだけであると、これは市中消化という解釈で歯どめになるとは私には思えないのですが、その辺はどうでございますか。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはもし強制ということをたてまえとしたら、もうそれ自身が市中消化原則としたものじゃないということになりますので、そういう点を正しく見て運営するのが私ども立場でございまして、この運営のしかたは、ひとつしばらく見守っておっていただきたいと思います。
  35. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも、そこが歯どめになるのかならないのか——先ほど申し上げたように、私はこの歯どめをどうするのかということを中心にお伺いしておるわけですが、どうもそこがぼけるわけです。銀行が買った、しかし、一年たったらそれを日銀へ担保にできるのだということをやめさして市中消化とおっしゃるならば、これもある程度わかります。一年たてば、もう日本銀行へ持っていって金を持ってこれるということになれば、一年間だけブレーキをかけた日銀引き受けと何にも変わらないのじゃないか、そう考えるのですが、それでもやはり大臣はこれは市中消化だとおっしゃられるわけですか。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 金融政策からくる日銀のオペレーションというものは、これはまた別のものでございます。このオペレーションの対象というものが、いままで国債発行しておりませんでしたし、非常に少ないということは事実でございますので、そういう点からいろんな問題はございますが、しかし、もう発行して一年もたっているというものは、新規に発行して購買力をつけさせるというようなことではございませんので、この性質というものはもう相当違っている、そう弊害のないものだというふうに私ども考えております。
  37. 岩尾一

    岩尾政府委員 ちょっと補足して御説明申し上げますと、先ほど御議論ございましたように、公債につきまして、いろいろと市中消化が歯どめにならないではないかという御議論もございますし、現在のオペレーションとの関係で同じことではないかというような御議論があるようでございますが、公債につきましては、実際に公債によって取得した金というものがどういうふうに使われるかという面が一つ、それからもう一つは、通貨全体の供給量としてどれだけふえていくかという点が一つあるわけでございます。  そこで、現在銀行の資金を消化の対象としてわれわれ考えておりますが、それは結局いえば、銀行に集まっておる一般の民間の方の預金、そういうものが対象になる。これをもしぼっておきますと、現在の民間の普通の設備投資に回っていく金でございます。これをそっちへ回さないで、大臣もおっしゃいましたように、一般的な公共投資、社会資本、道路とか港湾というようなものが民間の投資よりも従来非常におくれてきておるということで、社会資本のほうに導入していこう、こういうことでございますから、あくまでもこれは市中消化でございまして、個人の消化と変わらない形でございます。  それから、いま申されましたオペレーションでございますが、先生、非常に苦い経験をお持ちになっておるような戦前のやり方といいますのは、日銀にまず公債を引き受けさせまして、そして、政府はそのかわりとして通貨をもらい、これをばらまくという形、ばらまいたものを、あとで市中の金融機関が貯金で吸収をする、こういう形をとったわけでございます。しかし、今回の場合は、そういう形ではございませんで、まず市中にあります金を公債として吸収をいたしまして、それをいま申しましたように公共投資のほうへ振り向ける、そこで振り向けたあとで、市中に抱いておる公債を、今度は、今度は一般の成長通貨の供給の手段としてオペレーションをやるということで買うわけであります。したがって、現在経済の発展に伴って通貨というものはふえていくわけでございますが、その成長通貨の供給手段としては、普通には日銀の貸し出しであります。貸し出しのルートでやるほうがいいのか、あるいは、いま申しましたように、公債に見返りのオペレーションでやっていくほうがいいのかという判断がある。これはどなたがお考えになりましても、公債というものの見返りで供給を押えていくほうが正しいわけでございます。そういう意味で、まず市中に消化をしてもらい、消化したものについて、市中銀行の持っておる公債を日銀があとでオペレーションの対象としてこれを買い上げる、その限度というものは大体二千七、八百億円程度、毎年ふえておるわけでございますが、その程度の限度にとどまっておれば、現在の経済の状況から見て十分正しい姿であろう、こういうふうに思っております。
  38. 阿部助哉

    阿部(助)委員 何か順序が少し変わったような御説明でございますが、いまのように、最後の二千七、八百億円の限度だとたいしたことはない、こういう話でありますが、それでとまるという見通しもはっきりないわけですね。そうしますと、皆さんは、何といっても大きな権力を持っておるわけです。銀行にとってみれば、非常に強大な権力を持っておる。それが買わせる場合には、やはりこれは受ける側とすれば非常に大きな圧力になっておることは間違いがない。皆さんが意識しようとしまいと、相手にとっては大きな圧力になっておることは間違いがない。そして引き受けた。ただその順序が、以前と違って、日銀で金を取ってきてそれからやるという順序ではない、逆になっておるかもしれない。だけれども、それを持ってまた日銀へ金を取りにいけば、市中消化なんというものはない。それならば、公債市場が完備して、そこで自由な意思で買うという形の中においてそれが限度なんだ、こういうお話であれば、私も歯どめとしては、ある程度理解ができます、こう言っておるのです。ところが、いまのお話は、理屈としては通らないではないようだけれども、ちっとも歯どめにならないのではないか。行く行くは、ちょっと皆さんが知恵を出せば、また別の新手を考えてくる。いまの財政法の精神自体が曲げられてくれば、次から次へと、悪知恵というと語弊があるかもしれぬけれども、知恵をお出しになれば手は幾らでもある。そういうふうになると、国債というものは一つも歯どめにならないのではないかという気がするのですが……。
  39. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと関連。  いま岩尾次長が答弁したことは、だいぶ前からこの委員会でやってきておることなんですが、ちょっと大臣、確認いたしますが、いま岩尾君は、国債の金融機関から日銀に対するオペレーションは成長通貨供給の手段なんだ——これは国債であろうと金融債であろうと、金融機関側については同じことですから、そのことにはたいして意味がないと思いますが、それならば、この前すでに私は議論をしたのですが、国債にしても金融債にしても、要するに、日銀のオペレーションの範囲というものは、少なくとも、その時期における財政規模から見た成長通貨、いまようやく二千七百億円くらい、それは三千億円であるにしても、それは全体としての経済機構がだんだん大きくなれば少しずつは大きくなるだろうけれども、常識的な成長通貨の供給量というものは一応あるわけですから、それは国債であっても、金融債であっても何でもいいが、オペレーション総額及び日銀の貸し出し、要するに、日銀の信用膨張そのものは、その範囲を必ず越えないような処置をすることをあなた約束できますか、大蔵大臣
  40. 澄田智

    ○澄田政府委員 ちょっと私のほうから技術的な点を含みますから、大臣答弁の前に申し上げます。  日銀の金融調節の金額と、それから成長通貨の増発量との関係でございますが、日銀の金融調節は、必ずしも銀行券の増発だけのしりを見るということになっておりません。それは堀委員承知のことと好じますが、財政の散超、揚げ超、それと通貨の増発、この両方の合計——財政が散超の場合はむしろそれだけマイナスになりますし、揚げ超の場合は、その揚げ超額と通貨の増発、その両方を見まして、その金額が金融調節の金額、こういうことになりますので、ただいま御指摘のように、成長通貨増発が、即、日銀の信用——これにはオペレーションと貸し出しと両方含まれている、その合計額が同じかと申しますと、その点は違うわけでございます。そのことをまず御説明申し上げます。
  41. 堀昌雄

    ○堀委員 そんなことは私——ともかくオペレーションをやっているのは、散超揚げ超のそれをならすための一つの機能を持っておるわけだから、それは横へどけているわけです。だから、それをニュートラルとして見て、なおかつ上に根っこが出るものがあるから、それをニュートラルとして見た場合における上に上がってくる部分の膨張部分については、少なくともその年度における通貨供給の増発の必要というか、成長通貨の増発量というほうが適当だろうと思うが、そのワクを越えない。要するに、調節機能のほうはわかっているんだから、揚げ超になったときは当然これは出してやらなければいけないし、散超になったときには少し吸収をしなければだぶついてくるわけですから、その機能がニュートラルになるように考える。それをニュートラルにした後における国債発行の問題というのは、要するに、貸し出し及び金融債その他のオペレーション等を全部にらんだ上でそのワクを越えないということに約束できるかどうか。さっきの私の聞き方がちょっと端的に聞いたから、銀行局長から、その部分はどけて考えるんだということで、適切に答弁があったからそれはいいのです。私は当然そこは見込んでの答弁を求めているわけですから、それを大臣、私に約束してもらいたい。
  42. 水田三喜男

    水田国務大臣 必要な成長通貨というものがどれだけあるかということの決定もなかなむかずかしいことでございまして、そうあなたの言うように、それを越えることはないとかなんとかという、そういう運営というのは、実際にはむずかしい、こう思います。
  43. 堀昌雄

    ○堀委員 あなたむずかしいと言うけれども、常識論として、いまたまたま岩尾君は、これはたとえばの話だろうけれども、二千七百億円という数を言ったわけですよ。これは主計局次長として大蔵委員会に正式に数字を言っているわけです。私も、二千七百億円が絶対に正しいかどうか、これは多少問題があると思います。多少流動性のあるものだけれども、しかし五千四百億円というようなことにはなりっこない。大体常識的に二千五百億円から三千五百億円、一千億円くらいの幅があるとしても、このくらいのものが現在の日本の状況における成長通貨の量だ、こう見るのが私は常識だと思うのです。だから私は、何も二千七百億円を一億こしてもいかぬ、こういうことを言っているわけじゃない。ないけれども、一応成長通貨の幅を二千五百億円から三千五百億円、こう押えてみたと仮定するならば、三千五百億円以上さらになるというなら、これは明らかに通貨の増発を起こす、その原因がどこにあるかといえば、国債発行がそれを引き起こす原因になる。これは因果関係がありますからはっきりしてくる。だから、その点がはっきりすれば、これは国債発行に対して一つの歯どめになるわけです。これは初めてきょうここで言っているわけじゃないのですよ。これまでの約二年間にわたる国債論議の中で私は二回にわたって言っているわけだから、この前は、その点についてはそうするという意見があったから、もう一ぺん水田さんも一あなた少し積極論者のほうだから、よけい歯どめをしっかりかけておかないと心配だからそれをちょっと伺いたい、こういうことです。
  44. 澄田智

    ○澄田政府委員 先ほど私がくどく申し上げましたように、財政の散超、揚げ超の関係のしりを金融調節で見る、そのほかは、結局これは通貨の増発、銀行券の増発の部分オペレーションによってまかなわれる、こういうことになるわけでございますから、通貨の増発が、はたしてそのときの経済情勢等から見て妥当かどうか、それが非常に通貨の増発が多いということになりますと、これはインフレというような問題があるわけでございますが、結局は、通貨の増発量、毎月毎月の日銀券の発行額の状況等をにらんでいるのもそういう意味でございまして、通貨の増発量が適正であれば、結局日銀の信用調節というのは、通貨の増発及び財政のしり、こういうものを見て、その結果が日銀の信用調節の金額、こういうことになりますので、話はぐるぐる回るようでございますが、通貨の増発量が適正であるということならば、日銀の信用調節も適切である、こういうことになるわけでございまして、したがって、本年の経済、通貨の増発量がどのくらいになるかというところがむしろ問題でございまして、それが適切であるならば、すなわち日銀の金融調節というものがその通貨増発をカバーしておるわけでございますので、適正通貨量というものを信用調節でもって行なった、こういうことになるわけでございます。
  45. 堀昌雄

    ○堀委員 それはあなたの言うことはわかっておるのだ。だからこれは、通貨の増発量と、国債発行ということが因果関係があるから、そうすると、通貨の増発量というのは結果なんですよ。これが一番先に出ておるわけじゃないのだ。国債発行することが原因で、それが回り回って結局通貨の増発量がふえてきた。だから、通貨の増発量がふえるのは、国債発行関係があるのだ。それで、私がいま言ったのは、通貨の発行量を見ようと、いま私が言うように、成長通貨のワクをどう見ようと同じことですよ。理論的には同じことなんです。その見方の限度をどこで見るかというだけで、根元は同じなんだ。原因は、要するに銀行信用膨張なんだ、その信用膨張をある程度以上にさせないために、原因のところで調節する以外に手がないじゃないか、こういうのが一つある。それだから、国債発行だけが必ずしもそういう問題だとは思っておりませんけれども、企業がどんどん借り入れ金をやることによって、銀行側が銀行信用膨張をどんどんやっていけば、そのしりは当然日銀の通貨の発行量にはね返るわけだ。何も私は、国債だけが通貨増発の主たる原因だとは言わないけれども、両方が、さっきの話し合いのようにかね合っておるわけですよ。だから、岩尾君が言うように、市中の資金の需要を、逆にいえば、ある程度国債発行は押えて、その資金を公共投資へ持っていくということが当面必要だ。話はわかる。話はわかるが、私が前に水田さんに、これが民間と国が競合したらどっちを優先するのだと言ったら、水田さんは、民間を優先するとはっきり委員会で答えておる。民間を優先して、国債は引っ込むのが正しいのだと言われておるのです。民間の資金需要が旺盛なときは、いまの岩尾君のような答弁にはならないわけです。この委員会における大臣答弁はそうだった。民間の資金需要がどんどんふえてくれば、当然国債は引っ込まなければ信用膨張になるのは間違いないのじゃないか。そうでしょう。だから目安を、成長通貨の量で見ようと、あるいは通貨の増発量で見ようと、これは同じことだから、その目安を見ながら国債発行を調節しなければ、いまのインフレというものは避けられないのじゃないか、だから、そこに一ぺん歯どめをかけなさいと要求をしておるのは、理論的には正しいのじゃないですか。大蔵大臣、どうですか。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 大体そのとおりだと思います。したがって私どもは、金融情勢を見ながら、市中消化が無理だというときには、国債をずらせるなり、削減するなり、いろいろな措置を現にとっておるところでございまして、その無理な市中消化をしないという原則を持っていったら、その点、あなたのおっしゃるような心配はなくなってくるだろうというふうに考えております。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一点。市中消化が無理であるかどうかということは、金融機関はもうすでに現在無理だと言っておるのですよ、はっきりと。いまのペースで出されちゃたまらない。この秋はまた金融タイトになります。あしたまたそれについて金融サイドの問題として、全体として議論さしていただきますけれども、そういう情勢があるわけだから、あるときには、政府としては何らかの目安を考えながらいまの国債発行を調節するという意思で、市中消化というのは、さっき阿部君が言ったように、シンジケートになっていて、とにかく政府と金融機関の話し合いになってきたから、しかたがなくて、あれは、喜んでいただきますということになっているわけじゃないわけですよ。だから、あともう一つ残っておるのは、フリーマーケットがないために、いま御承知のように、一般に売った国債がどんどん還流しているわけだ。これはいろんな問題がありますよ。現先のようなかっこうで証券会社の処理をしたものが逆流しておる問題もあるけれども、ともかく、いま証券会社の手元には巨額な国債がどんどん還流しておる。これをどっと市場に出せば、国債価格はぼんと下がるわけですよ。マーケットとしては下がるわけです。ところが、やっぱりそれをどんどん出したら、あまり下がるのはまずいだろうというので、じゃ今度は証券会社どっちを向いていくかといったら、ともかく国債を抱くための証券金融をつけてくれ、ここでこれを抱くことによって信用膨張が起こる。側面からの信用膨張が出てくるわけだ。そういうような無理なことを排除するためには、ほんとうはフリーマーケットができて、ちゃんとそこで売るのだ、そこでどっと売ってきて国債の価格というものが下がったら、あなた方、幾ら市中消化といったって、いまの利回りでは出せないでしょう。少なくともそうなるのは私は当然だと思うけれども、実はそこらにやっぱり証券会社といえどもそこまでやるわけにもいくまいというので、横へねじれて、証券金融をつけてくれという問題がいま出てきているじゃないですか。そういうことにならないようにするためには、やっぱり発行の側がもっと真剣にこれを考えてやらなければ、発行したあとの始末を全部そういう金融の信用膨張のほうでめんどう見るというかっこうをこのままとっていいと私は思わないわけですよ。大蔵大臣、どうですか、それは。
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 私どももそう考えて、いろいろこれからの弾力的な運用をしようとしておるところでございます。
  49. 阿部助哉

    阿部(助)委員 時間が来たようでありますので、私はだいぶ材料を持っておったのでありますけれども、簡略にいたしまして、次に移りますが、財政法改正しまして繰り越し明許費やら債務負担行為をつけた。繰り越しをやるようになりましてから、大体どんな品目が繰り越しになっておるのか、ちょっとわかりませんか。
  50. 岩尾一

    岩尾政府委員 繰り越し明許費と申しまするものは……。
  51. 阿部助哉

    阿部(助)委員 継続費。
  52. 岩尾一

    岩尾政府委員 継続費は、現在は防衛庁の軍艦、駆逐艦でございますね、護衛艦ですか、護衛艦だけでございます。それから潜水艦、この二つだと思います。
  53. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この継続費を制定されるときは、電源開発、その関連のことでこの法律が大体できたというふうに私記録で読んだわけですが、主としてそれが論議され、その必要が強調されてこれができたわけです。ところが、できてしまうと、あとこういう財政法の弾力をつけた部面は全くといっていいほど軍事関係だけに、防衛関係だけに大幅に適用されていくということになってしまうわけですね。そうすると、やはり財政法がゆがめられたり、あるいはいまのような形で国債発行されてくると、これはいま公共事業という、しかも、公共事業も、どんぶり勘定の中ではどこまでの金が公共事業にいき、どの金が軍備のほうに、三次防のほうにいくのかということも、これもわからない。それで名目は公共事業社会資本の充実だ、こういうことで国債発行されているが、これがまたいつどういう形でひん曲がってくるかこれがわからないというのは、いまの継続費の問題を見ても、つくるときはうまいことを言って——うまいことというか、国民が納得するように、電源開発だ、そのために必要だ、こういうことで出ても、行く行くはそのあとはみんな防衛費関係に活用されるというようなことが、私はこの国債にからんで心配なわけです。  そういう点で、私最後に、これで終わりますけれども、いまのお話、堀委員の関連質問を聞いてみても、大臣の歯どめ論というものがひとつも信用し、納得するような方向にはなっていないわけであります。何といっても、国債発行そのものに私たち反対であります。したがって、第一には、まず平和主義、民主主義、健全財政主義をおかさないように国債発行をやめてもらいたいということが第一でありますが、いまのようにそれをわれわれがいかに強調しても、少数党であり、多数党の側からこれを支持されて押し切られておる現在の段階では、何としてもこの歯どめだけはきっちりと大臣考えてもらいたいということを、くどいようだけれどもお願いしたいわけであります。  いま日本の現状は、やっぱり高橋さんの時代よりもむしろ重大な段階になっておると私は思います。しかも、国民にはわからないところでいろいろなことが行なわれておる。そうして、ついこの前も久留米の飛行機が沖縄へ不時着したということによって初めて日米合同演習が行なわれているということが国民の前にわかってみたり、日本海で軍艦がすれ合ったということで初めて日米の海軍の合同演習が行なわれておるというような物騒な事態が国民の前にやっと明らかになるというような時代であります。そうして、いま財界は海外への資本進出というものを盛んに考えておる、また第三次防という計画が行なわれておるというようなことを考えますと、私たちは非常に国債発行というものについて不安を持つわけであります。この国債発行がいまの形から一、二年あるいは三、四年たったときは、やはりこれは防衛関係や海外進出のための資金をまかなうための金になりはしないだろうかという不安をやはり国民は持つわけであります。三矢作戦のあれを見ましても、この中にも国債発行であるとか、あるいは高速度道路の建設だなどというものが軍自体でもう考えられておるということを考え、この資金調達に一番簡単な安直な手として国債発行というものが悪用されていくのじゃないかということを考えますと、私は、大臣に重ね重ね国債発行に対する歯どめというものを真剣に考えていただきたいということを要望いたしまして、時間も来たようでありますので、私の質問を終わります。
  54. 内田常雄

    内田委員長 次は、広瀬秀吉君。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、大蔵大臣は、予算委員会公債に関する質問の中でわが党の委員に対して答えられているのですが、公債発行は、昭和四十一年度からいわゆる建設公債だというようなことで、公共投資、社会資本の充実ということで公債発行政策に踏み切った、公債発行政策に踏み切ったからには、すぐにこれをやめるわけにはいかぬ、大体何年か、四、五年ぐらいは続くだろう、こういうような四、五年という表現も使って答弁をされているわけでありますが、大体、どうしてそういうように四、五年先までこれをずるずると続けなければならないのか。公債発行を打ち切ることのできる四、五年先というのは、一体どういう状況がくるからということを想定なされておりますか。その二点について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  56. 水田三喜男

    水田国務大臣 いままで行政のあり方として、そう長期の見通しもできない、そうかといって、見通しのない行政はやれないというようなことから、各種の計画というようなものが行なわれておりますが、やはり大体五年ぐらいを一期にした計画が立てられて、それによって行政が推進され、そのくらいの時期を見て一応過去の施策を見直して、そうして現在の成果を評価して、そうして次の対策を立てるというようなことになるのが一般のやり方でありまして、そこに一つの区切りを置いたいろいろな計画を持って出発することはいいことだというふうに考えております。  それと同じように、やはり公債政策というようなものに一ぺん踏み切って出発してみましても、現に、政府はいま経済の五カ年計画を持っておるときでございますので、この一応の五カ年計画が終わったというようなときには、やはり公債政策というようなものも、日本の経済のあり方、いままでの政策の成果をもう一ぺん見直して公債政策を立て直もれるべきだというふうに私は考えておりますので、五年たったらやめるのか、あるいは四年でやめていいのかというような何年という問題じゃなくて、大体いまのわれわれの立てている経済政策から考えても、公債政策は四、五年先の昭和四十五、六年前後が一ぺん見直す時期だというふうに考えて申しておることでございまして、そのほかの特別な根拠はございません。
  57. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 四、五年先に見直すのだということばを使われたわけですか、そのときの財政状況は——予算委員会で答えられたのは、四、五年続けざるを得ないであろう、しかし、四、五年たてば見直して、そこらではもう公債発行しなくても済みそうだという一応の何らかのめどがあったから答えられたんだと思うのです。一九七〇年、昭和四十五年ないし六年、大体四十六年ぐらいには公債発行しなくてもやれそうだという目安で答えられていると思うのですが、いまのままのような状況でいって、公債発行しなくてもいい財政の状況といいますか、あるいはまた、財政金融の状況というものはどういう状況であるかということについて、やはり四、五年というめどを出した以上は、そのときの財政状況なり金融の状況というのはどういう状況にあるだろうかということを、これは公債発行が四、五年先にやめられるそのとき、条件的にはどういう条件が到来しているだろうか、こういう目安であるから四、五年ということが出てくると思うのです。これはどういうことを目安に、条件に置いてやめられるだろう、そこらで見直す時期が来るということをおっしゃっているのですか。その点をお聞きしたい。
  58. 水田三喜男

    水田国務大臣 大体、今後四、五年によって、日本社会資本の充実のために二十七兆円なら二十七兆円ぐらいが投入される、そうした場合には日本の経済はこういうふうになる、国民の所得はこれくらいふえるというような一応の設計図をいま私どもはかいておるときでございますので、それに合わせていろいろ考えて、国民の減税計画におきましても、しばしば私どもが言っておりますように、租税の課税最低限をどのくらいまで持っていくかというような計画を持っておりますので、そこらといろいろにらみ合わせて考えますと、昭和四十一年度は公債発行するというふうに踏み切ったために、いままでとは違った異常に大きい減税もこれによってやれたという状態でございます。もしここで公債発行を打ち切るということにしますと、国民税負担というものは減らせない。いまの状態で、財政需要がこういう状態であったら、一挙に減税はできない、むしろ増税しなければならぬという事態にならぬとも限らぬ。そういう点を考えましたら、さっき申しましたように、国民の租税負担水準を適正にしながら、一方、いわれておる社会資本の充実ということをにらみ合わせて考えますと、あと、四、五年の推移によりましては、日本経済からくる国民の無理のない租税負担で一応の必要財政需要をある程度補えるというような事態になるのではないか、そういういろいろな見方からそう申しておるわけでございまして、五年くらいたったら、この公債政策はりっぱに見直しできる時期になるだろうというふうに私は考えております。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
  59. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 公債発行の問題で、先ほどの阿部さんの質問に対しても答えられたわけですが、いわば歯どめは、公債発行の額の歳入に占める比率のいわゆる依存度を毎年低めていくことと、市中消化という二つの歯どめがあるのだ、こういう  ことを言われておるわけであります。そこで、大体その予算規模は、ことしは昨年に比較いたしまして一五・九%くらいだというようなことで、大体これから昭和四十六年くらいまでの間一五%くらい対前年比で伸びていくだろう、こういうように仮定いたしまして予算規模を一応推算してみますと、四十六年度には八兆五千億円くらいになる。一五%でいくとすればそのくらいに想定される。それで、公債発行の依存度を毎年一%くらいずつ減らしていくというようなことで、昭和四十二年度大体一六%と見まして、四十六年度には一二%くらいの依存度にするといたしますと、そのときの公債発行高は大体一兆二百七十億円くらいになるわけであります。累積額といたしますと、昭和四十年から四十六年までで大体五兆五千億円くらいの累積額、そういう計算をしただけで非常に膨大な累積になるわけでありますが、大体この程度にはなるという二とを大臣もお認めになりますか。
  60. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、さっき申しましたように、この予想はいまのところできません。現に、来年どうなるかというようなことについても、いまあなたの考えられているような方向へいくかどうか、これはもっと依存度の非常に低いものにならぬとも限りませんし、この予想はいまのところできない状態であります。
  61. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 おおよその見当もつきませんか。大体これは非常に機械的に、算術的に試算をしたものですけれども大臣のお考え方としては、ことし、昭和四十二年度ですらかなり公債発行額を減らさなければならない。一六・七%の依存度だといわれた昭和四十一年度も実質的には一五・四%くらいでとどまったようでありますね。したがって、それじゃ、ことしの分くらいはお答えいただけるんじゃないかと思いますが、昨年一五・四%くらいの実質依存率で済んだ。ことしはこれを一六・一%ということで出発したけれども、この依存率は昨年の実績以下にする、しなければならない、そういうお考え方でしょうか。そうすれば、大体発行額もかなり減らす、こういうことが当然に予想されるわけでありますが、そういう点、ことしのことでございますから、見通し——これから過熱状況が経済指標軒並みに上昇を示しておるわけでありますから、すでにそれで七月、八月の分は四百億繰り延べをする、これは九月にその分を乗っけてやるか、あるいは七、八月分の下げた分はそのまま第一次減額分としておくかというようなことも考えられるわけでありますが、その点、ひとつ大臣のお考えを伺いたい。依存率の問題として、ことしの景気の見通し、国際収支の問題も、この前申し上げましたようにかなり警戒警報を発せられるような状況になっている、おそらく三億ドル近くの赤字が国際収支の面で出るんじゃないかということもほぼ常識になっております。そういうような面からいいまして、これをどの程度去年の実績よりも公債依存度を減らす、こういうことは、先ほどの御答弁からいっても当然なさるべきことだと思いますが、その点をひとつ確認をしておきたい。
  62. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは参議院でも前に申し上げましたが、実質依存度は下げるという方針はとっております。しかし問題は、本年度の税の自然増の見通しでございますが、まだ確実な見通しは立たない、こういうものとのからみ合いにより、また一面、公債市中消化のいろんな状況によって、私どもは今後そういう方針に沿った弾力的な運営をはかっていきたい、そういう意味でいろいろ情勢を私どもは検討しておるところでございます。
  63. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 実質依存率を昨年の実績依存率よりもことしは下げていく、そういう結果を出す、こういうことでございますね。  今度は若干数字をお聞きいたしますが、これは事務当局でけっこうですが、この前年度首の公債累積残高の百分の一・六をこれから積んでいく、こういうわけでありますが、まず前年度首の数字を、残高が幾らなのか——いろんな資料をとってみましても、どうもその結果がなかなか一致をしない。四千四百十五億円くらいが前年度首かなというように思うわけですが、別な資料を見ますと四千六百億円くらい、このようになってみたり、こういう数字もはっきりいたしませんものですから、まずその算定の基礎になる残高が幾らか、そしてそれに百分の一・六をかけた数字も同時にひとつ示していただきたいと思います。
  64. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政法の二十八条に基づきまして国会に提出いたしております国債及び借入金償還年次表をまずごらんいただきたいわけでございますが、四十年度末実績といたしまして一兆七千六百六十五億円という数字がございます。これは四十年度末でございますから、今度は四十一年度首と同じことになりまして、これがまず基礎なるわけでございます。  その内訳といたしましては、いろいろ分類がございますが、この法案でいっているように、まず借り入れ金等は対象になりません。また、短期の証券等も対象にならないわけでございまして、実際に長期の国債について返済の対象にしていいものを別に規定しております。その分がどのくらいになるかということでございますが、まず一兆七千六百六十五億円から短期証券七千百八十六億円、借り入れ金三千二十三億円を引いていただきまして、国債としては七千四百五十七億円がまず全体の額というふうにお考えいただきたいと思います。それから、この中で、この法律にも書いておりますが、割賦償還の交付公債というものは繰り入れ対象からはずすということにいたしておりますので、それをとります。それからこの表にございます中には例の出資国債と申しまして、無期限要求払いの外国に対する公債がございます。これは除きますので、これも除きまして、最後に出てまいりますのは五千十二億円でございます。この五千十二億円を各会計ごとに分類いたしますと、一般会計が四千六百二十五億円、産業投資特別会計三百五十五億円、開拓者資金融通が三十一億円という中身になっております。
  65. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、今回の国債整理基金特別会計法の一部改正で百分の丁六の繰り入れをやるということを今年度から実施されるわけですね。そうすると、百分の一・六を掛ける対象というものは五千十二億円である、こういうことですか。大体百分の丁六ですから計算して幾らになりますか、予算書にもちゃんと盛ってあるのですか、一体何億あるわけですか。
  66. 岩尾一

    岩尾政府委員 ただいま申しました五千十二億円でございますと、その百分の一・六ということで八十億二千万円ということに相なるわけでございます。
  67. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 八十億円は、いわゆる定率繰り入れというものが八十億円ということになるわけであります。  それで、先ほど申し上げましたように、これは大蔵大臣非常に慎重を期しておって、大体四十年度に出した公債償還期限である四十六年、これはまあ二千億円しか出しませんでしたが、そこで支払い期に達するには、二千億円で、八十億円ずつ七年間積んだところで、大体これは残高が逐次ふえていきますから累増はいたしますでしょうけれども、二千億円についてみましても、八十億円から百何十億ぐらいのものを七年間にわたって大体五百六十億円ぐらいしか積まれないはずでございますね。特に昭和四十年度の分については、これは借りかえなんかはやらないんだということも言われておりますね。前の大蔵大臣の福田さんが言っているはずでございます。これはそのとおりこの二千億円はそのまま返す、借りかえはやりません、こういうことは、前大蔵大臣同様にお答えできますか。
  68. 水田三喜男

    水田国務大臣 前大蔵大臣が、この分だけは借りかえをやらぬと申したといたしますと、それは大臣の約束でございますから、そのとおり私のほうもしたいと思っております。
  69. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういった場合に、この二千億円に対応する分としてはそういうとらえ方がなかなかむずかしいわけですが、毎年これから国債も累増する、その累積額に比例して百分の丁六でありますから、計算もめんどうくさくなりますが、これはしかし、二千億円を返すについても、このいわゆる定率繰り入れというのはかなり足りないだろうと思うのですね。それともう一つ、財政運営上も、国債返済制度というものと関連をいたしますと、剰余金が出るというような場合には、これからはこれを支出に振り向けるよりは、大体公債発行をしている段階なんだから公債を減額するのだということになりますと、剰余金が出て、その剰余金の半分を翌々年度に減債に充てるということは、大体これはあまり期待できないということになってくるのじゃないか。あと予算を当年度において措置をするということになるわけでありますが、そうなりますと、当然そのときに、四十六年度でございますか、この積み立てをしていった、定率繰り入れをしていった分の累積額に対して、不足分は全部これは大体において当年度の予算で措置をする、こういうことにならざるを得ないわけですね。
  70. 水田三喜男

    水田国務大臣 この減債基金の中には、いま言った定額な積み立て、剰余金の二分の一と、もう一つ、必要と認める額を一般会計から積むことができるという規定がございますので、これを一年でやるか二年でやるか、前もって必要と認めて一般会計の中から特別に基金の中へ移しておくということはできますので、前年度とは限りません、いつでも償還がもう来る期限はわかっておりますから、それに対して不足分を用意しておくということはできようと思います。
  71. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間もありませんので重点的にお伺いをいたしますが、赤字公債ではなくて生産公債だとか、公共投資あるいは出資金というようなもののために発行するものは、いわば建設公債であり、それから収益性も出てくるし、また見合いの資産が出てきて経済に寄与し続けるであろう、こういう説明がなされるわけでありますが、そこで、当然公共投資なり社会資本に対する投資が行なわれる、そういうために七千三百億円なりあるいは八千億円というものが出される、来年もかなり相当なものが出されていくだろう、こういうものに対して、その公債発行分は少なくとも確実にそういうところに投資をされたのだということを、どうやってわれわれはとらえたらいいのか。一般会計の規模はただふくらんでいく。それで、たとえば昭和四十年度と四十一年度の場合に、七千三百億円、実質は六千七百五十億円だそうでありますが、いわゆる公共投資というような面がそれだけふえているのかということ、予算の数字はそうなっておりますか。そうでなければ、たとえば六千七百何十億円のうちかなりの部分が、あるいは軍備に使われたとわれわれが言うたっておかしくないことになるし、あるいは公務員の賃金を引き上げた分になった、あるいは米価の引き上げ分になったのだ、こう言ったところで、これは反駁というものがないのじゃないかと思うのです。そういう点では、やはり確実に——これは公債で集めた金も税金で集まった金も、しるしがついているわけじゃありません。そういうような点で、たとえば、このつくり出された資産が六十年ぐらいは働き続けて、国民経済を潤す資産として働いていくだろうというようなことから百分の一・六というものをはじき出したというのでありますが、そこらのところは、やっぱりそういう面できちんとした、これはこの面、この面、この面に公債発行でまかなった分が働いているのだというような形にならないと、国民にそう説明してみてもぴんとこないわけですね。何かこう非常に長期にわたって返すのだというようなことで、国債に対する信用力というものを失わせるようなことになっていくのじゃないか、こういうようにも考えるし、そしてまた、それは同時にインフレを高進させる要因に非常に強く働いている、害悪の面がむしろ国民の目にはあらわれていくということにならざるを得ないのじゃないか、そういうように思うのですが、そこらの関連をひとつ数字で説明していただきたいのです。
  72. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政法四条に規定いたしております公共事業費あるいは出資、貸し付け金の対象として公債発行することができる、この規定によりまして、公債発行いたしました場合に、実際上、ある道路について使われた金が、公債金収入がそのまま色をつけて流れていったというふうには言えないわけでございます。言えませんが、予算全体として見ました場合に、先ほど大臣からお話もございましたように、全体の歳出の中で、これだけの金が公債金収入として入り、そしてそれは、いま申しましたように、公共事業費、出資金、貸し付け金の範囲内であるということであれば、そのものは全部そういった公債金収入をもってつくったものであるというふうに解釈せざるを得ない、また、そう解していただくのが適当であろうと私は考えております。したがって、金に色目はございませんから、実際に入った金をこの道路に使うということはできませんけれども予算として見ていただきました額の中でその公共事業費の範囲内にとどまっておるならば、その範囲内で十分使われたというふうに御理解いただきたいと思います。
  73. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それは、先ほど私も言ったように、金にしるしはないのだし、色をつけて出すわけじゃないのだから。だけれども、四十年度と四十一年度の予算公共事業費というものは、一体その七千三百億円ふえた、公債発行したその分だけきちんとそれがふえておった、少なくともそれ以上ふえておったというようなこと、少なくともそういう状況にはあるのですか。
  74. 岩尾一

    岩尾政府委員 もちろん、予算の御審議をいただくときに、実際上の財政法四条によります公共事業の対象としてはどういう経費を充てたかということを御審議いただいておりますから、したがって、最初に発行いたします際に、公共事業費なり出資貸し付けの財源の中にあるということは、はっきり言えるわけでございます。結果的に申しますと、四十一年度におきましては、予算では公共事業費等が大体七千六百五十億円というふうになっておりますが、実際上公債金収入として予定いたしましたのは当初七千三百億円でございまして、最終的には、先生先ほど御指摘になりましたように、減額をいたしまして六千六百五十五億円ということになっております。したがって、いま申しました七千六百五十億円のうち六千六百五十五億円ということでございますから、当然公共事業費の範囲内に入っておるということでございますし、四十二年度予算でも、公共事業等の総額は八千六百九十六億円でございます。これに対しまして、公債金の収入は八千億円ということでございますので、この範囲内であるということになると思います。
  75. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 公債発行する際に、昭和四十年度の分は、これはもうきわめて明確に、税収が足りなかったということで、税収補てんといいますか、一般財源の補てんのためにいわゆる赤字公債を、こういうふうなことも言われ、それはそれなりに納得できるわけですが、あと、そういう場合にフィスカルポリシーというようなこともあった。そうしてその成果も確かに出てきた。こういうことがあるわけなんですが、また昭和四十一年度の分についても、これは四十一年度に集中的に財政支出をふやして景気浮揚力を、財政主導型の景気浮揚をやろう、こういう明確な目的もあったし、またそういう条件もあった。しかし、四十二年度については、過熱が心配されるような状況の中で、そのフィスカルポリシーを公債にと言われれば、これはもうそれを発行すべき段階ではなかったんじゃないか、こういうことも当然言えるわけであります。税の自然増収なんかもかなり大幅に見込まれる。しかし、ただ社会資本が貧弱なんだ、こういうことでそれをやっていくということも、これはやはり景気を過熱させるというようなおそれのあるときに、その社会資本の充実というものをその上にプラスしてやっていくということは、はたしてほんとうにいい経済政策であるのかどうかということは問題があるだろうと思うのです。非常に不況局面になったというようなときに、ほんとうにそのフィスカルポリシーを発動すればそういうときに大幅に出すということは、これはある程度了解がつくし、そういうときこそ社会資本をうんとふやしていく、そうしてその民間設備投資等を中心にして景気が過熱におもむくようなときに、財政の需要を新しくそれにつけ加えるような形で過熱を促進するというようなことは、やはりどうもやり方としてはおかしいんじゃないか。もう建設公債という場合も、そういうことになると、やはり性格というものがかなりフィスカルポリシーの面でも説明のつかない状況というものを迎えているんじゃないかと思うのです。  そういうことで、これからもそういう局面がいろいろとあろうと思いますが、ことはやはり公債を出すべきではなかったんじゃないか、こういう考えを持つわけでありますが、将来の問題を含めて、それらの点について大蔵大臣の所見をひとつこの際承っておきたいと思います。
  76. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はお説のとおりに思っています。したがって、もしも経済が過熱しそうだという情勢が出てきた場合には、これはやはりフィスカルポリシーを行なわなければならぬというふうに私ども考えておりますが、まだいまのところ経済情勢相当拡大均衡といいますか、経済は伸びておりますが、金の需給が均衡している状態で、卸売り物価も落ちついているというようなことで、経済の過熱状態というものは現に見られておりませんので、はたして公共事業予算を圧縮するとかいうような事態が必要であるかどうかということは、いまのところまだ見当はつきませんが、あなたのおっしゃられるように、過熱状態というものがきましたときには、この公債による需要量の拡大というような政策については、私どもも、運営の面でいろいろ考えなければならぬことが起こらぬとも限らない、そういうふうにいまでも考えております。
  77. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後に一つ、それは国債が市場において非常に値下がりをしておる。これは金融情勢の逼迫を反映したものである。国債発行の減額を求める民の声なき声がここにあらわれてきているというような新聞報道もなされておるわけでありますし、また、こういう状況になって国債が値下がりをするというような状況というものが、一体どういうところからきているか、これは当分こういう傾向が続くかどうか、そういう見通し、それから、これが非常に個人償還という問題について影響が出てくるんじゃないかと思われるわけですが、このことをお尋ねいたしたいわけであります。  時間がないものですから、とりあえずこれだけとして、あと会議が終わりましてから、また一、二伺いたいと思います。
  78. 広瀬駿二

    広瀬説明員 国債の相場でございますけれども、取引所の出来値で七月五日に第三回債が九十八円三十五銭、四回債が九十八円三十銭と、それぞれ五銭安となったわけでありますが、これの原因でございますけれども、債券の市場価格一般は金融情勢の需給関係等によりまして変動いたしますが、最近の債券市場も、おおむね主として金融環境の先行き見通し等から軟調が続いているような状況であります。国債相場そのものは、ほかの債券に比べますと一番安定した姿で従来推移してまいったわけでございますが、やはり債券市場全体の空気が国債にも若干反映してこういったふうな事態になったと思われるわけでございます。  そこで、新発債は現在九十八円六十銭で発行されているわけですが、このような市場価格の新発債の消化に影響するのではないかというお話でございましたが、これは既発債を顧客が購入する場合には出来値そのもので買うわけではございませんので、それに若干の手数料が必要になるわけでございます。結果的には新発債の値段とそんなに違いない。したがいまして、この程度の相場の下落が、新しい国債消化に大きな影響を及ぼすということにはならないというふうに判断しております。
  79. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いろいろ見方はあるでしょうけれども、やはり国債について新しい減債制度を設けるんだといいながら、非常に中途はんぱな、国債信用力といいますか、そういうものをほんとうに確実なものにするような減債制度も提案されてないんだというような反発もあるんだというようにとるべきだと思います。  また、一つの問題点としては、これほど国債を出してしまうと、景気過熱のような時期になってまいりまして金融政策を果断にとらなければならないようなときにも、やはり国債発行ということを考えながら、金融操作といいますか、そういう面でも身動きがとれないような事態というもの、国債発行しなければならぬというその先入観、そういう立場があれば、やはり金融操作というようなものも弾力的にはもう動かぬ、そういう大きな問題点もあると思います。そういう問題点については、大蔵大臣どう考えますか。それだけ聞いて、もう午後に持ち越さないようにしたいと思います。
  80. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまお尋ねの、国債発行しておる、したがって、国債消化を前提にして金融政策でもってある政策をとろうとする場合に、どうしても国債消化のほうが先に立って思い切った措置がとれないのではないか、こういう御質問でございますが、その点は、国債発行下におきましては当然金融政策財政政策が両方相まっていかなければならない、国債発行の量、時期等についても十分これは調節して、そして他面、必要なら金融政策をこれと並行する、こういうことでございますので、当然その国債発行の事態もそのときの金融情勢を勘案し、金融政策と歩調を合わせてこれを行なう、こういう性格に変わってきておる、こういうことだと思います。国債はかまわずに発行し、これを消化をする、そのことのために金融政策のほうがゆがめられる、こういうことがあってはなりませんし、そういうものではない、当然、金融政策財政政策と両方、その時期時期に機動的に、弾力的に併用してやっていく、こういうことだと思います。
  81. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後三時二十七分開議
  82. 内田常雄

    内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。只松祐治君。
  83. 只松祐治

    ○只松委員 本年度の経済見通しにつきまして、これも同僚議員からすでにいろいろ論議があったと思いますが、当初の大蔵省の見積もりよりも上回ってきております。概略調査されたいろいろな報告が出ておりますが、二一%をこす投資意欲がある、こういうことが報告されております。事務当局でいろいろ御調査になっておるわけですが、皆さん方からごらんになっても大体そういうふうにお考えになりますか。
  84. 中尾博之

    ○中尾政府委員 所管は経済企画庁のほうでございますが、私どもも関連がございますので、いろいろ検討はいたしてございます。しかしながら、何ぶんにもまだ年度が始まって間近いものでございますから、究極のところどういう姿になるかということにつきまして、いろいろ議論、検討等はいたしておりますけれども、それがどの程度におさまるかというようなことにつきまして、申し上げられるような段階にはなっておりません。なおここ数カ月様子を見まして、経済見通しその他につきましても検討が行なわれることと存じますが、それらの作業をあわせまして、さらに検討をしてまいりたいということでございます。
  85. 只松祐治

    ○只松委員 それは、皆さん方が厳密にといいますか、科学的にといいますか、計算されるには、本年度はいろいろ選挙等がありまして六月一日からの本格的な経済諸活動の開始ですから、まだあまり時間がたっておりません。そういうお答えになるのはやむを得ないかと思いますけれども、しかし、科学的だ何だとおっしゃるけれども皆さん大蔵省等で推定あるいは算定されたものも毎年大きな狂いを生じてきているのです。だからといって、そういう推定や算定をするなと言うわけではありませんけれども、ぼくは、そういう意味で、あまり科学的なものを、事務当局ではありますけれども、求めようと思っているのではない。  一般に新聞あたりにもどんどん書かれておりますように、本年度の投資意欲、経済の情勢というようなものを、通産省は通産省の局長会議大蔵省でも局長会議、いろいろやっておられますね。そういう中から大体の方向というものが出てきているのじゃないですか。そういうものを事務当局としてまだわからないということでありますが、しかし、大体の方向が出てくれば、この程度で上昇していくならば何%ぐらいの上昇になるだろう、こういうことは言えるのじゃないですか。どうですか、言えませんか。
  86. 中尾博之

    ○中尾政府委員 一応最近の経過というものをたどりましていろいろ検討はいたしておるわけでございますが、これが究極的にどういう姿になるのであろうかということにつきまして、公正に現状の規定をつかむということはまだちょっと無理な状態にございます。実際問題といたしまして、お話のとおり、昨年度はやや見積もりより高い設備投資になったと思います。それから、今年度におきましても、経済の回復基調は意外に早かったのでございまするが、しかし、設備投資意欲といったようなものは、いろいろ予測調査的に伝えられましたような底力があるものであるかどうかということにつきましては、実はいろいろ見方もございまするし、議論もございますが、これらにつきまして固まった形でこういう席で申し上げるということにつきましては、まだそれだけの固まった見通しを申し上げる段階になっていないということで、せっかくの御質問でありますが、われわれとしてある程度の結論を持っていて、それでここで特に申し上げることをはばかっておるということはないのでありまして、現状は非常に規定のしかたがむずかしいという状況でございます。ただ、現在の事態をもって直ちに過熱ということにつながるという印象を持っておるわけでもございません。しかし、公債をかかえた経済でもございまするし、経済の運営ということにつきましては今後なお慎重に事態を見守っていかなければならないということは当然でございまするので、そういう点でさらに検討は続けておりますけれども、いまのところ、御質問のような数字につきましては申し上げるべきものがございません。御理解をいただきたいと存じます。
  87. 只松祐治

    ○只松委員 皆さん方が慎重に慎重を重ねていろいろ推計や算定をされておる。一昨年の当委員会では福田さんが、不況のどん底でありますから赤字公債発行してくれ、昨年度も、経済は回復基調には向かおうとしておるけれども、なかなか容易ではない、ここ二、三年、いわゆるつま先上がりにはよくなると思うけれども、回復の見通しはありません、少なくとも二、三年あるいは数年、このひずみを是正するのには要するかもしれません、そういうことを繰り返し福田さんは言いましたね。あなた方もそばにおってお聞きだと思う。これは福田さん個人の勘ではなくて、皆さん方がそういう数字を出されて大臣経済情勢その他を進言されたから、大臣もそういう答弁をしたし、したがって、公債発行したり、そういうように経済政策が大きく転換をしていった、そういうことがあるから、この段階で本年度の経済見通しもまだ確実な方向が見出せない、こういうことをおっしゃるのかどうか知りませんけれども、しかし、民間等ではいろいろな推計を出しております。あるいは新聞等にもそういうものを非常に報じておるわけです。きょういまここでほんとうは二時間くらいこの問題を論議しようと思っておったわけですけれども、まあいろいろな諸情勢でたいていでやめますけれども、たとえば、その論議しようと思った中で、いまから下期にどういうふうに国債発行していくのか、これは金利の問題などいろいろありますけれども、やはり、経済の見通し、そういう面から、銀行筋等が、繰り延べしてくれとか減額してくれとか、いろいろ言ってきているわけでしょう。そういうものが全然なくて、いま国会で、確たるものが一つもありません、こういう程度で、皆さん方は、繰り延べしたり何したり、どういうふうなお考えがあるのか、どういうお考えを出されるのか、私は一向にわからないのですがね。経済の見通しが事務当局にまだない、こういうことでは、お粗末にすぎると思います。あなたのところになければ、ほかでもいい。企画庁は来ていないけれども、主税局長が来ておられる。税収の伸び等の面から見たって、そういう面は大蔵省全体としてどこからか出てくると思うのですよ。それが、いまの状態で何%伸びていくか全然わからないですか。あなたのところでわからなければ、ほかのところでもいいですよ。
  88. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いま申し上げましたようなことで、国民経済計算上の数字がどういうふうになるかという問題につきまして、当初の見通しをどういうふうに変えていったほうが実際に近いものになるかということにつきましては、なおただいま検討中であるということを重ねて申し上げるほかはないのでございまするが、なお、経済の実勢に即応いたしまして公債をどういうふうに運営していくかという問題につきましては、いわゆる市中消化ということを根本的な原則にいたしておりますので、したがって、市中の状況に応じまして弾力的に運営していくということに徹しておるわけです。現在までもそういうふうにやってまいりました。それから、今後もそういうことでやってまいるつもりでございます。これが国債発行以来の一貫した方針でございます。
  89. 只松祐治

    ○只松委員 いま市中消化ということをおっしゃいましたけれども市中消化といっても、そういう問題は一もう四十分ですから大臣が来なければならないわけですが、大臣が来たら聞こうと思ったのですが、結局、第四回公債が九十八円三十銭、発行値段が九十八円六十銭、二十五銭ないし三十銭くらい、とにかく新しく発行するほうが現在の公債よりも高い。こういう状態の中で、あなたたちは、経済行為を考えられて、一般市民が進んで公債を買う、こういうふうにお思いになりますか。卑近なことばで言うならば、押し売りじゃございませんけれども、各家庭に回ってきて鉛筆や万年筆を買ってくれと言われるような場合、これは高いとみすみすわかっていても、おどされるから買わなければならぬ、こういうことで家庭の奥さんは買いますね。それと同じで、大蔵省や国がおそろしいから、割り当てがあるから買うのかもしれませんけれども、ほとんど銀行筋や何かが買っているだけであって、市中消化などとおっしゃいますけれども一般国民がそういう発行値段よりも下がっていくようなものを買うと思いますか。大臣が来ないから質問があと先になって、いまこういうことを言っておるわけですけれども、ぼくは初め、経済の見通しから大臣にずっと聞いて、最後はそういうところへ持っていこうと思っていたのですが、いまの国債発行を、まともな市中消化ができるという状態における国債発行とお思いになりますか。そういう問題についても、一応の経済の見通し、成長の度合い、そういうものがわかっておらないと、あなたがおっしゃる市中消化ということば一つとらえても、できないことです。あなたたちが押し売りをすれば別ですよ。進んで日本国民に買ってくれと言ったって、発行されているものが市中に横行しているのより安かったら——デパートで売っているものが安かったら、そこらの商店で買うよりデパートで買うのと同じですよ。経済行為ですから。  そういう問題についても、皆さん方が発行される国民が買うか買わないかという問題に全部関連する基本的な経済見通し、成長の度合いもわからない。たとえば、新聞等にはある程度数字も出ておるでしょう。本年度の投資予測が六兆五千億円でございますか、どんなにしても六兆五千億円は下らないだろう、あるいはそれをもっとこすだろう、こういうことが言われている。大蔵事務当局は、現在確たる算定数字はないけれども、見通ととしてはこういうふうになっていくのではないだろうか、こういうことぐらいわかると私は思うのだが、それさえもわからないで、それでこの法案だけは通せというのでは、あまりにもなめた態度というか、お粗末に過ぎるじゃございませんか。政務次官、どうお思いになりますか。そういう答弁なら、大臣が来るまで質問をやめておきますよ。
  90. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いろいろ検討いたしておりますが、当初の経済見通しに対しまして、これを修正した姿のほうが実際に近い姿になる要素も若干あると思います。しかし、まだ経済の運営に入りまして二カ月でございますから、これがどの程度になるか、いまのお話にございました設備投資の問題につきましても、非常に高いような予測から、それほどでもないという予測から、いろいろ行なわれておるわけでございます。これが現実にどうなりますか、その全体のファイナルな姿がどういう程度におさまりますというふうにここで申し上げることは、実はちょっと無理じゃないかと存じます。いろいろ経済の落ち込みが非常に激しかったものですから、回復も非常に急速度に回復してまいっております。それを強く見るほうは何ぼでも強く見られる。また、数字の取り合わせもあろうかと思いますが、一方で、輸出の見通しでありますとか、あるいは資本の蓄積でありますとかというような面からいろいろ検討してまいりますると、一がいにそう強気なことでもないわけであります。その辺は、いろいろ検討をいたして、毎日検討を続けておるわけでございますが、それを固めた姿でいま申し上げるというにはまだ早いという意味で申し上げたつもりであります。  それと関連いたしますが、いま国債の値段の話が出ましたので申し上げておきたいのでございまするが、九十八円三十銭というのは上場の相場でございます。これは、現実にお客さんがその相場に従いまして既発債を買います場合には、手数料が必要なわけです。それを乗せますと九十八円六十銭というものに実はリンクしている相場になっているわけです。現実に毎月六十億円程度のものがスムーズに消化をされているわけです。したがって、大きな取引と申しますのは、実は新発債の消化のほうが大きいのでございます。既発債の取引のほうは、これに比べればごくわずかでございます。したがって、どうしましても相場は新発債のほうの相場にさや寄せされます。現実の取引の買い値を拝見してみましても、既発債につきましては、大体九十八円六十銭を基準にいたしまして、ある場合にはこれよりも若干高い場合もあるし、ある場合には低い場合もあります。株のように一律的にはまいりません。しかしながら、九十八円六十銭というものが基準になって相場が立っているというのが実情でございます。
  91. 只松祐治

    ○只松委員 基本的にはこれは政府の責任ですから、あなた方はそれこそさらに答弁できないとおっしゃるかもしれないが、事務当局としては、こういう経済の立ち直り状況のもとではあと何年ぐらい公債発行が必要だというふうにお思いになりますか。
  92. 岩尾一

    岩尾政府委員 公債をどれくらい発行するかということでございますが、結論的に申し上げれば、先ほどから大臣がお答えになっておりますように、どこまで続けられるかということははっきり申し上げることはできないわけでございます。しかし、考え方といたしましては、公債発行というのはどういうことのためにやるのかと申しますと、実際上は民間にございます預金と申しますか、民間の特別資金と申しますか、そういうものをもって国の長期的な社会資本というものを充実していく、そして民間も民間の設備によって資本を充実していく、それによって経済全体を発展さしていく、そういった場合に、そういった国の資産を全部税金でやるほうがいいのか、あるいは、いま申しましたような民間の蓄積を使ってやるほうがいいのか、こういう判断になるわけであります。そこで、現在の財政状況あるいは国民経済というものを考えまして、税金をうんと安くしたほうがいいのか、あるいはその税収をもってそういう公共資本の充実に充てるほうがいいのか、あるいは、それよりもさらに、現在の蓄積を使って、税のほうはもう少し負担を減らすという方向をとるほうがいいのか、こういうのはそのときどきの判断でございます。私らといたしましては、そういう点を総合判断をして今後の公債発行というものを考えていきたい、そういたしますと、現在の状況ではそう早く公債発行がとまるというようなことは考えられないのじゃないか、かように考えております。
  93. 只松祐治

    ○只松委員 そう簡単にはやめられない、こういうことですが、事務当局は、公債発行をするときには相当抵抗されたといいますか、最初はあまり賛成ではなかったが、ある意味では押し切られた形で、特に赤字公債発行ということについては相当異論を出されたという立場だった。そういう立場からすれば——まあしかし、一ぺん出してしまったのだから自分たちにも責任がある、あるいはいろいろな形でということで、そう簡単にはやめられない、こういうことかもしれませんが、大蔵の主流というかどうか知らぬけれども、事務当局関係者の間では必ずしも公債論は賛成ではない、こういうふうに聞いておるのです。そういう観点からすれば、できるだけ公債を早期に縮小していく、あるいはやめる、そういうことに努力をされておるのではないかと私は思うのです。それは、もちろん自民党の政権下にあるわけですから、自民党が公債発行すると言えば、あなた方が抵抗しても最後は押し切られるわけです。しかし、事務当局は事務当局として行政機構としての一応の立場というものはあるわけですから、そういう政治的な立場からではなくて、事務当局の面から見て、そう簡単にはやめられないという答弁ではなく、少なくとも社会党が言っておるように——社会党の立場は違いますけれども、できるだけ早く縮小なり、やめる方向にいく、こういう形の答弁がいただけるものだと思ったのですが、そういうことではないですか、どうですか。
  94. 岩尾一

    岩尾政府委員 ただいま申されましたように、事務当局は非常に反対だけれども、特に押しつけられて公債発行したということではございません。私らが判断をいたしまして公債発行をやったわけでございます。特に、最初に申されました歳入補てん公債につきましては、あの状況において税収が不足をしておる、しかも、不況の間にあって、その間このままで歳出を削減していくということをいたしましたならば、かえって不況に輪をかけるのではないかということがありましたので、特に特例法をお願いをして通していただいた、こういう経緯でございます。  さらに、四十一年度から開始しております建設公債につきましては、先ほど私が申し上げたような議論から、ある程度そういった社会資本の充実のためには公債財源というものを活用していくということも当然考えなければいけないという意味で、全体の歳出の中で必要なものは公債をもってまかなうという立場で検討いたしておるわけでございます。ただ、気持ちとしては、なるべく公債を減らす方向に賛成ではないかという御議論に対しましては、私らも、もちろん税をもってまかなうほうが、少なくとも国の債になるわけでありますから、そのほうがいいとは思いますけれども、それはまたそれで国民税負担を高めるということになるわけでありますから、その辺の関連を考慮した上で、今後の見通しを申し上げれば、先ほど申し上げたようなことになるということを申し上げたわけでございます。
  95. 只松祐治

    ○只松委員 どうも大臣が来ないとあと先になったり何かして論理が一貫しないのですけれども公債と税収を対置したような形でいまお話しになりましたが、それじゃ、本年度の税の自然増収はどのくらいあるか。おそらく相当の額に達する、こういうことが予測されておるわけであります。そういうことになりますと、当然に、自然増収が出てくれば本年度の下期の公債発行は大幅に削減する、大幅に自然増収が伸びれば削減する、いまのことばじりですけれども、税の関係だけからいけばこういうことにもなってくるわけですよ。だから、確かに、事務当局ですから技術的な面もあるでしょうけれども、基本的にどういうふうにお考えになるかということを聞きたい。  ついでに、主税局長、どうですか、私は最後にこれは聞こうと思ったのですが、どうもあと先になってしまったけれども、本年度の税収はどの程度といま予測されておりますか。
  96. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 この問題は、当委員会のみならず、予算委員会におきましても、ずいぶん御質問のあった点でございます。先ほどの設備投資に対する理財局長からのお答えのようになってはなはだ恐縮でございますが、新年度が始まりましてまだ四月、五月だけの収入実績が明らかになっただけで、その点につきましては資料でお示ししたとおりでございます。その収入実績から見まして自然増収が生ずるというような見当はつくようにも見えますけれども、はたしてこれがどの程度生ずるであろうか。これはやはり、もう少し経済見通しの推移あるいは個々の税目の推移、さらにまた、財政政策といたしまして確実に利用できるものといたしましては、やはり九月決算の数字を見て申し上げるほうが的確ではないか、こういう意味で、現在のところどの程度自然増収が生ずるかは申し上げる段階に来ていないということを繰り返して申し上げる次第でございます。
  97. 岩尾一

    岩尾政府委員 ただいま御質問になりましたが、自然増収の見通しはなかなかわからない。それから、今後かりに自然増収が出た場合に公債を減額するかというお話でありますが、これは大臣から先ほど来お答えになっておりますように、われわれはできるだけ公債を減らしたいというふうに考えております。しかし、それは景気の面あるいは全体のいわゆる金融サイドの面から見た考え方で減らしたいということではなく、財政本来の考え方からいたしまして、やはり公債というものはそうふえていくことは正しくないが、現在の局面では、金融機関は非常に金が締まって預金残高が少ない状況でございます。したがって、もし公債消化させれば、ますます苦しくなる、しかし、過熱をとめるためには銀行の貸し出しをなるべく押えるほうがいいのではないかという考えもあると思います。そういう意味から、公債を減額することはかえって民間の設備投資に輪をかけることになるのではないかということにもなるわけでございます。そういう点を考えまして、私らは、そういう金融その他のサイドから見、公債を減額しようと言っておるのではなくて、財政本来の姿から言って、なるべく公債は少ないほうがいいというつもりで、減額をいたしたい、かように言っておるわけであります。
  98. 只松祐治

    ○只松委員 年限としては、経済の情勢によって何年続けていくかわからない、こういうことのようですが、なるほどそれもそうかなとも思う。しかし、わが国の経済の成長率、成長の度合い、特に直接の国家財政、国家予算というものは、もうここ数年先ぐらいのものは試算がされておるわけですね。そのくらいのことができなくて、国家財政の指導は、いかに自由主義経済といえどもできないわけです。社会主義経済の場合には、最低五カ年計画というものが組まれて、その上にさらに五カ年計画を第二次、第三次ぐらいまで組んで、その上に計画経済をするわけです。資本主義経済、自由主義経済ですから、そこまでやらないとしても、三年ないし五年先ぐらいの数字は、一応経済企画庁あたりでははじいていると思う。そういう前提に立って、何兆円ぐらいまでわが国の財政で公債というものが発行できるか、かかえていけるか、事務当局のほうの試算等がありましたら、ひとつお伺いしたい。
  99. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政収支の見通しができておるかというお話でございますが、われわれいろいろな試算はやっております。しかし、お答えできるような数字はございません。これは、先ほど申されました経済社会発展計画の中で、四十五年でございますか、四十五年のある程度の財政収支のフレームワークというものは示されておりますけれども、これは地方その他全部含めました全体の国民経済における財政収支というもののある程度のフレームワークを示しておるわけであります。  そこで、一般的な国の、特に一般会計を中心といたしまして財政収支が今後にわたってどの程度になるかという見通しはつけられるかというお話でございますが、こういうものは、そのときのGNPあるいは税収、あるいは減税をどうするか、そういったいろいろな要素によって変わるものでございますし、単なる仮定の数字をいろいろ並べても、かえって誤解を招くことになります。外国等においても、長期の財政計画というものは発表すべきではないということを英国あたりでも言っておりますし、われわれも、そういう意味では、いろいろな試算はしておりますが、この場でどれくらいにするかということは申し上げられない。ただ、先ほどおっしゃいました、どれくらいになったらおまえは公債をやめるかという御質問でございますが、現在の一般会計予算の中に占めております公債の割合は、先ほど来議論がございましたが、去年が一五・四%でございます。補正を入れて一五・八%くらいでございます。そういうパーセントは外国と比べても決してそう低くはない。公債の累積高から言いますと非常に低うございますけれども一般会計の中でその年に占めておる公債の割合としてはかなり高い。これは今後の財政経済におきます景気調整その他の弾力性を失わせることになりますから、したがって、なるべくその依存度というものは低くしたいというのが私ども考えでございます。
  100. 只松祐治

    ○只松委員 そうすると、事務当局も、公債政策には確たるものがなくて、何年たったらやめられるか、そのときの経済情勢を見なければわからない、あるいは全体の発行額、累積額、公債に対する依存度というものもそのときの経済情勢を見なければわからない、こういうことですか。たとえば、一般会計その他の予算の中で一〇%なら一〇%、一五%なら一五%の限度内にとどめるべきである、あるいは発行額の最高が一五%で、以後漸次一〇%なり八%に縮少していくべきである、こういう一定の方針くらいは、事務当局は事務当局なりにあっていいのではないですか。皆さん方は、ここへ来れば、国会に対しては行政府の事務当局か知りませんけれども、三権分立の中の一つである行政の権限を持っておられて、その任務を遂行する立場にあるわけですから、大臣がいなくてもそのくらいのことは答えられるでしょう。方針はあるのだけれども答弁できないからしないのだろうと思うのですが、その点は答弁できないのですか。
  101. 岩尾一

    岩尾政府委員 私が申し上げておりますのは、幾らになるかとか、幾らのパーセントになるかということは申し上げられない、しかし、考え方については申し上げられます、そこで、考え方としては、現在の依存度は少し高いわけですから、これをなるべく減らしていくという方針で進めたいという考え方である、こういうことを申し上げたわけであります。
  102. 只松祐治

    ○只松委員 事務的に見て何%くらいが正しいか言えないというけれども国民の前に言えなければ、どこで言うのですか。
  103. 岩尾一

    岩尾政府委員 ただいま申しましたように、昨年でございますが、大体一五・四%から一五・八%、一般会計に占める割合がその辺のところで、一割をこえております。その一割をこえておるような状態はなるべく早く払拭したいという気持ちを持っておる、そういう考え方を運用しておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  104. 只松祐治

    ○只松委員 ここからは皆さん方の問題じゃなく政治的な問題になるわけですが、初年度出すときには、赤字公債だからということで、何としても税収が伸びないんだからということで財特をつくって出されたのですね。ところが、いま繰り返しておっしゃっているように、何年先になってもやめるかやめられぬかわからない。それで建設公債だと言う。時間をかけて私二時間くらいきょうはやろうと思ったのですが、ここにずっと公債発行されて使われている先を追跡していって、建設公債としてどこの道路に——道路は別ですが、港湾に投資されているとか、どこに投資されているとか、そういうものを皆さん方は公債の場合全部追跡されていますか。また、そういうことは出せますか。それから出てくる経済効果なり何なり、そういうものを全部皆さん方として出すことができますか。時間の関係もありますから、ぼくのほうで事例をあげるのもあれですし、きょうは大臣への質問を予定しておりますから、そういうことをぼくはきょうは追及しようとは思っておりません。本来ならば、この資金計画にいたしましても、私たちとしては銘柄別に立てるべきだという厳密な財政法解釈を持っております。しかし、当面する公債の使用条件にいたしましても、厳密に予算が執行されている場合に、公債はこれだ、一般会計はこれだ、これが県におりていった場合には公債はこうだ、市におりていった場合にはこうだと、ぼくはそういうふうにいっているとは思っていませんが、皆さんのほうではそこまで追跡されたり、また、そういう自信をお持ちになっているわけですか。
  105. 岩尾一

    岩尾政府委員 建設公債の中身が実際に公共事業のほうに充てられておるかということでございますが、これは、午前中広瀬委員の御質問にお答えいたしましたように、金に色目はついておりませんから、公債金収入がそのまま流れていくということはないわけでございます。しかし、その公共事業財源として公債金が充てられたということは十分言えるわけでございます。それは、予算の中で公共事業費が幾らあるか、その公共事業費の範囲内に公債金収入が入っておれば、必ずそういうものは公債をもって充てられたということが言えるわけでございます。したがって、私らは、そういう意味において、毎年毎年の予算の中で、公共事業費あるいは出資金あるいは貸し付け金というものの総額の範囲内で、しかもその対象としてどういうものを選んだかということは、全部経費を国会に御提出をして御審議を願っておる、こういう状況でございます。したがって、必ず充てられておるというふうに解してけっこうだと思います。  それから、道路や港湾の効果でございますが、これはなかなか一言にしては言えないと思います。ただ、私らがこの減債制度を立案いたしました気持ちは、いま申しましたような公共事業が、かりに税法なりあるいはほかの統計なり、そういったものとの比較においてどれだけ経済的な効用を持っておるかということを考えた場合に、昨年の七千六百五十億円の公共事業費に対しては実際六十年ぐらいの効用を持つのではないかということが言われましたので、そういう意味で、現在六十分の一ということで百分の一・六という率を御提案申し上げているわけでございます。  大体以上でございます。
  106. 只松祐治

    ○只松委員 そう言っちゃ何だけれども大臣答弁ならば、いまみたいなことだって、それはこまかい数字がわからないからということでその場を過ごされるかもしれません。しかし、事務当局の答弁として、いまみたいな答弁はどうですかね。金に色目はつけられない、こういうことをおっしゃっているわけです。わからないならわからないとあっさり言うか、あるいは公債の中の何割程度までは建設公債に回っておる、現にこうこうこれだけのものが、たとえば筑波学園郡市なら筑波学園都市をつくったり、ここならここにこう残っております、こういうことを言うのが、事務当局として正直なところじゃないですか。いかに国会答弁といえども、いまみたいに、金に色はついてないからというようなことでは——それはあたりまえのことです。しかし、そうは言っても、本来の論に戻れば、五十八年なり六十年間子孫に対して借金を残す、公債というのはこういうことになるわけですからね。借金を残す場合に、昭和四十一年なり四十二年において国会に議席を置いて国民の代表として論議をなしたわれわれとしては、借金は残したけれどもこういうふうに具体的なものを残した、こう言うことができればいいわけですから、皆さん方のいまの答弁みたいな形では——もちろんわれわれは反対しているわけだけれども、自民党の諸君といえども、あなたたちの論をもってすれば、こうやって赤字公債は残した、しかし、こうやってそれは具体的なものを残した、こういうことが言えぬじゃないか。ことしのは試算していませんけれども、昨年あたりの試算でいけば、政府のおよそ建設と名のつくものを総洗いしましても、去年の公債とほとんどとんとんに近いものです。じゃ、国の予算というのは一般の経費だけであって、そういう建設と名のつくものは全然国家予算とはしないのか、いままではしなかったか、いままでは赤字公債を出さなくともしてきた、じゃ、今後はしないのか、今後は公債を漸減していってなくしていく、その場合にも、いま公債でまかなわれておる建設費用というのは、今後全部公債をなくしたって、するわけでしょう。だから、そういう答弁ではなくて、やはり事務当局としては、まあ一般のやつをまかなっておるとまで言えば政府から怒られるから、そこまでは言えないかもしれないけれども、とにかくさだかではない、事務当局としてはこういうもっと正直なお答えというものがあっていいのじゃないですか。どうです。
  107. 岩尾一

    岩尾政府委員 また私の説明であるいは御理解いかないかもわかりませんが、金に色目はございませんから、一般会計の歳出の中で公債金収入がどれくらいあるか——財政法では、公共事業と出資金と貸し付け金に対しては公債発行することができるという規定があるわけでございますから、そこで、一般会計に対する公債については、いまの範囲内にあれば発行できるわけでございます。  そこで、四十一年度のいわゆる公共事業費というものがどれくらいあるかと申しますと、先生方に御審議をいただきましたように、四十一年度予算では、主要経費といたしまして公共事業関係費が八千八百三億円ございます。このうちガソリン税収入等をもってまかなうものが二千九百三十五億円ございますので、これは公債対象というふうには言えませんから、これを引きますと五千八百六十八億円でございます。この五千八百六十八億に、その他いま先生の申されましたようないろいろな建設、たとえば産業教育施設整備でございますとか、公立文教施設整備でございますとか、そういったいろいろな施設費がございます。これは一種の公共事業みたいなものでございますから、そういうものをあと七百九十四億円足しまして、それから、出資金といたしましては七百九十九億円、貸し付け金として百八十七億円、これらを合わして七千六百五十億円というものが公債発行の対象として可能な額であったわけでございます。ところで、実際には、この七千六百五十億円に対しまして、予算としては七千三百億円の公債金収入を予定して予算を組んだ、しかも、実際上は七千三百億円ではなくて六千六百五十億円になった、こういうことでございます。  四十二年度について申し上げますと、四十二年度は主要経費として公共事業で計上いたしておりますのは一兆円でございます。このうちガソリン税等によって控除すべきものが三千四百九十六億円ございますので、残りは六千五百八億円でございます。この六千五百八億円に、いま申しましたようなその他の施設費を加えますと、これが九百二十億円でございまして、これにさらに出資金あるいは貸し付け金、それぞれ加えますと八千六百九十五億円、これが公債発行の対象として可能な額でございます。そのうち、実際上予算に計上いたしましたのは八千億円でございます。  こういう状況になっております。
  108. 只松祐治

    ○只松委員 そう言えばもっともらしく聞こえますけれども、では、公債発行するまではそういう費用は何からお出しになっていましたか。
  109. 岩尾一

    岩尾政府委員 従来は、先ほども申し上げましたように、建設公債発行しないときには、税収その他の一般財源をもってまかなっておったわけでございます。したがって、公債発行してこういう建設的な仕事をやるということになりまして、いまの差額、公債発行対象可能額の差額は、依然として税収をもってまかなう、こういうことでございます。
  110. 只松祐治

    ○只松委員 公債発行するまでは、別にこれは建設公債とか赤字公債とかいうものではなくて、一般予算から全部これはまかなっておったわけですね、一昨年までは。この公債発行をやめたら、いまあなたが述べたような資金というのはどこから出るのですか。
  111. 岩尾一

    岩尾政府委員 まず、一番最初に申し上げました特例法によります四十年の赤字でございます。これは、税収補てん、税収が減った分に対する公債でございますから、したがって、本件とは別でございます。  それから、いま議論になっております建設公債につきましては、先ほど申し上げたように、実際上の予算の面から見ました発行対象として可能なものはこれだけある、しかし、実際上は、公債としてはこのうちこれだけを充てようということで予算を組んでいったわけでございます。そこで、将来もし公債発行しないということであれば、この公共事業というものをやめてしまうか、あるいは一般財源をもってこれをまかなうか、こういうことになるわけでございます。  私が先ほど来申し上げておりますのは、将来の財政の弾力性を持っておくためには、公債依存度を高くしておくよりも低くしておくほうがいいのではないかという意味で、なるべく減らしていきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  112. 内田常雄

    内田委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 内田常雄

    内田委員長 速記を始めて。
  114. 只松祐治

    ○只松委員 大臣が見えましたので、いままで事務的な面で二、三質問をしてきたわけですけれども、多少重複する点もありますが、ひとつお尋ねをいたします。  まず最初に、大臣は現在の経済——ほんとう経済情勢を少し論議しようと思ったのですが、時間がありませんからそれはしません。あるいはほかの同僚議員もすでにしております。そういう情勢の中で、あと何年くらい発行——まあ、大臣が何年大蔵大臣をやられておるかは別ですが、もしずっと水田さんが大蔵大臣をやっておると仮定をした場合に、いまの経済状態の中で何年間くらい発行を続ける、その額は総額幾らになり、予算の中において依存度は何%くらいを限度とすべきか、こういう点について、ひとつ総まとめをしておきますから、お答えいただきたいと思います。
  115. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっきお答えしましたように、あと何年先ということはほんとうにむずかしい問題でございまして、先ほどから申しましたように、来年度の公債発行額をどのくらいにすべきかということすら、まだ、いま検討しておってもなかなかむずかしい問題であるという状態でございますので、あと何年たったら国債をやめるのかというような、そういうことについての予測は、いまのところ全くできない状態でございます。
  116. 只松祐治

    ○只松委員 何年するか、幾らするかも、予算の中に占める国債の。パーセンテージも将来も何もわからぬと言われるが、いかに自由主義経済、放任経済といっても、それは無定見に過ぎやしないですか。やはり大臣として、わが国の財政指導として、国債というものはこういうふうにありたい、それと関連して経済をこういうふうに指導していきたい、こういうふうにお考えになり、お答えになるのが当然じゃないですか。まあ、きょう通るのは山が見えているからということかもしれないが、あまりにもいまのような話ではそっけない話じゃないですか。これだけ日本経済に関連のある問題ですから、いわばそういう無責任な答弁ではなくて、もう少し国民にわが国経済に占める公債の問題について明らかにしておく必要があると思います。そうでないと、償還計画その他も、それじゃどれだけ発行してどうするのか。償還不要論というものがあるみたいに、こういう状態では、私は返さないということを国民の前に明らかにしたほうがいいのじゃないか。これはあとで質問しますけれども、もう少し公債について基本方針をこの際お示しいただきたいと思います。
  117. 水田三喜男

    水田国務大臣 先ほども申しましたように、公債発行の意義ということは、やはり国民税負担水準を適正に保ちながら社会資本を充実させるというところに公債発行意味があるわけでございますから、今後といえども公債発行はするであろうというふうに考えておりますが、その額とか何年続けるかとかいうことになりますと、今後の経済の状況、それに伴っての国民の所得増からくる税の増収のぐあいがどうなるかとか、あるいは税負担を調整するためにどれだけの減税を政府政策としてやるか、こういう問題と全部からんだ問題が国債発行額ということになりますので、ここでそう簡単になかなか予想はできない。しかしながら、公債というものは、一ぺん発行すれば、国民負担の問題にしましても、急速にこれを変更するということはむずかしゅうございますので、一ぺん発行すると四、五年は継続させなければうまくいかない。しかし、同時に四、五年の一区切りを待ってこの政策は見直さなければならぬという時期が来るので、この見直しの時期において次のいろいろな経済政策なり公債政策も立てられるだろうというふうに考えられますので、私どもは、まず始めていま二年目になりましたが、あと三年ぐらいのことは予想できると思いますが、そのあとはどうするかということは、これは経済の動きに応じて別個に考えなければならぬ時期になるだろうというふうに私は考えております。
  118. 只松祐治

    ○只松委員 前の福田大臣も、まあ初年度は赤字公債——あの人は建設倉という名を使われたわけですが、私たちから言えば赤字公債である。そのときでも、さっきも言いましたが、つま先上がりに日本経済はよくなってきつつあるということを強調された。それでもなおかつ、二、三年ないし、あるいは経済の状況によっては四、五年ぐらいこういう低迷状態が、あの人は低圧型ということばを使ったのですが、そういう状態が続きますということを、繰り返しここで言われました。あの人は単に大臣だけではなくて、大蔵官僚出身ですから、大蔵省の事務当局その他全般のそういう意向も含んでの一つ考え方だろうと私は思います。福田さんは福田さんなりに、そういうことに、最初でもあった関係もありますが、公債に対する一つの方針というものをお話しになりました。いまやっと、あと三年ぐらいして見直しの時期がくるかもしれぬ、こういうことをお話しになりましたけれども、私たちが初めから公債反対し、あるいはそれから起こってくるインフレあるいは公債発行の歯どめその他、これは繰り返してもしょうがありませんが、執拗にここで政府並びに行政当局に要望をした。しかし、一度発行されますと、整理基金法案が出されてきて、こうやって討論をやっておりましても、もう出したものはしかたがないんだ、出してもいつまで出すか、どの程度出すかわからないんだ、こういう態度というのは、私はまことにけしからぬ態度だと思うのです。それは税金とは確かに異なりますよ。税金とは異なりますけれども、税金は法定主義で、法律によって定められたもの以外は取ることができません。しかし、六十年先の償還ということは、日清、日露戦争当時の公債はもちろんのことながら、大東亜戦争公債といえども、今日貨幣価値を持っておると皆さん方はお考えでしょうか。六十年先の償還というのは、これは国民に対しては、公債を返さないということと同じじゃないですか。きょうも院内で清瀬さんの追悼があったときに、よく三十八年もという話が出た。これは公債が六十年だが、さてこの中に六十年生きておる国会議員が一人でもあるか、こういう話が出たわけですけれども、要するに、少なくとも現在の政界の者はおそらく一人もいないと言っていい時代までこの公債というのは返還しないわけですよ。そのことは、私は、返還不要論じゃないけれども、それに通ずるものだと思うのですね。だからといって、それを無定見に出したり、経済情勢によって少しよけい出したり引っ込めたり何したり、かってに行政機構だけでそういうものをいじるというのは、いささか越権だと思うのですね。これは任意的に買うものだ、こういうふうにおっしゃるが、もう少しやはり公債に対して政府当局は責任ある態度をとってもらいたい。さもなければ、七年なら七年が来たらどんどんお返しになる。それなら別ですよ。しかしそうじゃなくて、七年の期限が来たって十年の期限が来たってこれを返すわけではなくて、繰り延べをされるわけです。それは必要な人は返します、こういうことをおっしゃるけれども、なかなかそういうものじゃない、これは国の基本政策でありますから。こういう機会でもないと皆さん方のほうで明確な方針をお述べにならないわけですから、こういう際に、私はもっと責任を持った——税金とは異なりますけれども、それに対する態度と同じように、厳格な態度というものをひとつとっていただきたいと思います。
  119. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま何かお話が、七年なら七年で返せばいいが、返さないことがどうというようなお話でございましたが、そうじゃございませんで、国債は期限が来たら全部償還します。七年なら七年で返しますし、十年なら十年で返す。返さなければ、これはたいへんなことでございまして、公債の保有者に対しては一応全部現金償還をするというたてまえでございますので、これが間違うということは絶対にございません。
  120. 只松祐治

    ○只松委員 それは、いますべて返すとおっしゃいましたけれども、全部返すということになりますと、これは百分の一・六のこの積み立て、あるいは剰余金の二分の一、こういう程度のこういう積み立てや償還計画では、ほんとうにいま九〇%程度は金融機関が持っておりますから、特に政府と一体の関係にある金融機関が即座に返すというようなことを要求するとは常識的には考えられません。皆さん方もそうお思いでしょう。しかし、これを返す、これを買い上げてくれ、こういうことになったら、七年たったら、今度の八千億円、それに利息がついてずっとこうなっているわけですから、ことしの八千百億円、これは膨大なものになっていくわけですね。来年は九千億円、再来年は一兆円出されるとする。そうすると、今度それを予算の中に組み込まなければならないわけです。そういうことまでして返す、こういうふうにおっしゃるわけですか。
  121. 水田三喜男

    水田国務大臣 当然でございます。公債の期限が来たら、公債の保有者に対して全部現金償還をいたす、次にこれを借りかえの資金でやったという場合には、保有者は変わるでございましょう。別の新規の国債に応じた人は別にあっても、保有者は変わっても、旧国債の保有者は全額償還されるというのは当然でございまして、国債が期限が来て返されないというような事態というものは全然考えられません。
  122. 只松祐治

    ○只松委員 いや、それは個人に対してであって、金融機関等は、いま言うように金融機関が九〇%前後のものをいま買っているわけですから、大臣がお見えになりませんでしたからさっきもちょっと聞いたわけですけれども、市中公債が九十八円二十五銭か三十銭、新規発行が九十八円六十銭、こういうことで、さっき、手数料入れたら九十八円六十銭になるのだ、こういうお話がありましたけれども、いずれにしても、少し下がったり、ほとんど妙味がない。だから個人のやつはどんどん売りが出てきておりますね。金融機関のやつはまだほとんど売りが出てきていない。しかし、証券会社等の手持ち株が急増して、いろんな問題が生じてきておる。こういうことは連日新聞等が報じてきておりますね。こういうふうに、株の実態というものが、大東亜戦争のときのように、国民個人個人に買わして持たしているものじゃないわけですから、一般に書きかえでやる、それを返す、こういうことをおっしゃいますけれども、個人個人が借りておるということになれば、いまの発言というものは私はたいへんな責任問題だと思うのです。そうじゃなくて、金融筋が持っておるわけですから、そういうことはないというのでいまみたいなことをおっしゃる。これで時間がありませんから、その問題は深入りいたしませんけれども国民全体が、金融機関がこれを書きかえをしないというときには戻す、そのときに公債発行してなかった——いま続いておりますけれども公債がすでに停止されておる、七年後は公債発行されておらなかったというときに、七年後に八千億円なり一兆円返すということになると、わが国の財政というものはえらいことになるんじゃないですか。  それからこの百分の一・六なり、今度のこの法案が出されておるということは、そういう全部を返すという前提ではなくて、私が極論として不要論ということばを使いましたけれども、不要論ということまでいかなくても、とにかく、借りかえによって事を処理していくのだ、こういう前提に立って、まあそれだけでも何だからというので今度の法案を一応気持ちとしてお出しになったということがほんとうじゃないか。ほんとうなんでしょう。だから私は、それならそういうふうに国民に対して、やはり今後そういう公債に対する基本方針というものをお示しになっておくほうがいいと思います。
  123. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき何か、書きかえというようなお話がちょっとございましたが、いずれにしましても、たとえば昭和五十年の何月に返済するといって出した公債というものは、その時期になりましたら全額償還されて、もう古い国債というものは紙一枚残っていないというふうに、これは完全に償還されるものでございますし、したがって、この期日は、ほんとうは国としては長いほうがいいと思うのですが、いまの日本の情勢から七年ということになっておりますが、七年たって償還の期日が来たらむろん全額償還になる。  しかし、その場合に、それを何で償還するかということになりますと、いまここで御審議を願っているこの減債制度ができますれば、これに一般会計から定率の積み立てをしておきますし、また、必要と認める金額をこの基金の中に入れておく、そういう金で不足する場合には公債の借りかえということをやるかもしれませんが、いずれにしましても、そういうもので償還し、これを何回か繰り返していくうちには、国民資産から生ずるいろいろな、経済の発展から由来するいろいろな税収というものも期待されますので、こういうものをもって最後には全部返済される、それを計算していろいろ積み立てをしておくというのがこの減債制度でございまして、この基金の中でいろいろな操作をしながら、期限の来た公債は全部償還をしていくということを保証されるのがこの減債制度であるというふうに私ども考えておりますので、何か、ちょっと御質問の趣旨がその点はっきりしませんでしたが、借りかえ、書きかえというのが、同じ証文を、期限を保有者に対して延ばしてもらうというふうにお考えになっているのじゃないかと思うのですが、もう一切そうじゃございません。全部期限には現金償還を完全にするというのがたてまえでございます。
  124. 只松祐治

    ○只松委員 大臣は形式論を言っておるわけで、私は実際論を言っておるわけです。そこでかみ合っていないわけですよ。銀行筋等が持っておるわけですから、あなたの言うことを聞かぬということはない。たとえば、さっき言ったように、ほとんど妙味のないものでも、それから資金需要が、この前ちょっと経済の伸びや何か聞いたわけですが、こうやって経済が伸びてきて資金繰りが困難だ、コールレートでも一、二厘上がっていく、こういう状況の中で、私たちが聞いても、中小金融筋等は公債を押しつけられるのをあまり好んでおらぬのですね。信用金庫や相互銀行という、こういうところが全部買い上げておるとお思いですか。去年あたりの資金需要がないときには、ほとんど妙味のない公債でも、まあまあということで買った。しかし、いまこうやって資金需要が旺盛になってきますと、中小零細金融というものはそんなに好んでいないです。しかし、大蔵省のごきげんを損じないように割り当てを——さっきも言ったのですが、デパートに行けば五円で売っている鉛筆を、ちょっと買ってくれというわけで、押し売りじゃないですけれども大蔵省のほうから押し売りに来るから、おっかないから割り当てられたものを買っているというのが実態ではないじゃないですか。そこまで言っては極端になりますけれども。だから、そういう関係にある大蔵省と金融機関ですから、借りかえてくれ、書きかえてくれということで、これは話がおさまる。形式論としてはそうですが、実際論としては、六十年間基金によって返済していくということをこうやってお出しになっておるところを見れば、極論すれば償還不要論というものがあるように、皆さん方としてはこうやってどんどんインフレを進ませておいて、その中で実際上公債の価値を下落させていく、あるいは、実際上それがなくなっていくということの中において公債というものを自然消滅させていく。大東亜戦争前の何億かの公債というものは、今日紙切れのごとくなっている。そういうことを私は言わんとしているし、言っておるわけなんです。  まあそれはそれといたしまして、そういうふうに資金需要が旺盛になって、上場されている公債の値段も発行額よりも下回る、金融機関もいや気がさしてきておる、こういう状態の中で、依然として本年度の公債をこのまま計画どおり発行されていく。これはもちろん税収との関係になりますけれども、税収も幾ら伸びるかわからぬということですが、多く見積もる人は五千億円、あるいは三千億円くらい自然増収があるといわれている。私たちとしても、もちろんまだ確かな数字を出し得ておりませんのでその数字は言いませんけれども、本年度は相当多額の増収があることだけは確かなことですね。そういう状況の中で依然として公債発行する、それとも、いま論議されているように、上期のものを下期に延ばしたり、ちょっと減らすというのじゃなくて、相当大幅に減らしていく、こういうお考えをお持ちですか、どうですか。
  125. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもうしばしば申し上げておりますように、金融情勢、経済情勢を見て、私どもはこの公債発行については弾力的にこれを運営すると言っておりますとおり、その方針には変わりございません。
  126. 只松祐治

    ○只松委員 それでは最後に、五月十八日の委員会で大蔵大臣にデノミの問題を少し聞いたわけですが、そのときには、デノミは時期を見てやるべきだと思うし、やりたい、まあそれには経済の諸情勢の安定その他というような前提条件がありましたけれども、そういうお答えをいただきました。ところが、私が本会議においてこの基金の質問を、これは佐藤総理にしたわけですが、佐藤総理は、当分そういうことは考えておらないというような答弁があったわけです。あそこでは再質問ができなかったので質問いたしませんでしたが、総理大臣と大蔵大臣とのデノミに対する考えというのは、相当大幅な開きといいますか、違いがあったと私は思います。  その後も大蔵大臣は、デノミはやはりそういう条件が整えばやったほうがいいというお考えですか、それとも、総理から言われたり、説得されたりして、そういうことは当分やらない、こうお考えが変わられましたか、どうですか。
  127. 水田三喜男

    水田国務大臣 この点は、総理との食い違いは、私はたいしてないのじゃないかと思います。総理の答えたのは、このデノミ問題はまだ現実の政治日程にのぼっていない、さしあたりの政治の日程の中に入っていないということを言っただけでございまして、これを研究して、経済の安定期を得れば、十分国民が納得する時期においてこの問題の解決をしたいという方向については、意見は同感だろうと思います。
  128. 只松祐治

    ○只松委員 そうすると、本質的に違っておるのじゃなくて、多少のニュアンスの違いといいますか、こういうことであって、大蔵大臣としては、やはり諸条件が整えば、現在の経済情勢——私はインフレの進行度合いということを言うのですが、皆さん方はそういうことばをお使いにならないのですが、経済の度合いから見て、いずれデノミというものは日程に乗せていきたい、こういうふうにお考えになっておられるのですか。
  129. 水田三喜男

    水田国務大臣 デノミをやっておりませんのはいま日本とイタリアだけということになっておりますので、やはり適当な時期を見てこの問題を解決する必要があるだろうと私は考えております。
  130. 内田常雄

    内田委員長 次は、永末英一君。
  131. 永末英一

    永末委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、今度国債整理基金特別会計法の一部を改正するにあたって、久しぶりに百分の一・六という定率積み立てをやるということをきめられました。いままでの御説明を伺っておりますと、何か六十年という期間を目ざしておるというのでありますが、これは一体、その説明のしかたは、いまこの基金が対象にしておる国債、すなわち一兆一千億円程度のものは六十年間は政府はくずさない、——徐々にくずしていくでしょうけれども、くずさない、こういうことを国会に、法律的ではございませんが、承認をしてほしい、こういうお気持ちですか。
  132. 中尾博之

    ○中尾政府委員 六十年間そのままにしておくということではございませんので、発行いたしました国債、これを償還いたすのでございます。この償還財源一般会計からどういうふうに繰り入れてその財源として積み立てるか、その計画が六十年、こういうことでございます。毎年毎年入ってきますから、それを右から左へ返してまいりますれば、どんどん債額は減ってまいります。しかし、実際問題としては、財政経済の総合的な運用の見地から、経済状態あるいは金融情勢、それらのものを勘案いたしまして、さらに国債管理するたてまえから、金利の先行き、あるいは国債の値段とか条件とか、いろいろな関係がございましょう。それらを見て、実際には繰り上げ償還をしたりすることもございます。それから借りかえてつなぐこともございましょう。しかし、六十年間にわたりまして財源はこれに繰り入れていくわけです。したがって、事情が許せば、繰り入れた金額を右から左へ償還をしていく、それによって債額を減らしていき、利子の負担を軽くしていく、こういうことでございます。
  133. 永末英一

    永末委員 私の伺っておるのは、そういう借りかえとか、いろいろなことがあるでしょう。あるでしょうが、いまある、この基金の対象部分になっておる一兆一千億円程度は、最長六十年間にはちゃんと政府は借金として残らないようにいたしますということを、一体政府のほうは国会に言われておるのかと聞いているのです。来年もし一兆円公債を出したら、それは来年から始まってまた六十年程度にくずします、こういうような方針をこの一部改正でいわれておるのかということを伺いたい。
  134. 中尾博之

    ○中尾政府委員 お話のとおりでございまして、今後かりにまた何ほどかの国債を出す年度があれば、それによって債額がまたきまりますから、それの百分の一・六というものをずっと六十年間積み立ててまいる、積み立てるというのは、一般会計からこの特別会計に繰り入れるわけでございます。ですから、特別な事情がない限りは、それをもってどんどん返済をしていくということになります。しかし、必ずしも右から左というわけではないと思います。そのときの財政金融の状況がございますから、それらの状況に合わせまして、いわゆる国債管理の観点から、先ほど申し上げましたような観点からこれを返していく、しかし、全体として六十年にはこれをなくしていくという考え方がこの基礎になっておるわけでございます。
  135. 永末英一

    永末委員 普通、減債基金ということばを聞きますと、何か償還計画みたいな気がするわけですね。しかしこれは、いままでの御説明を承っておりますと、六十年間という、人間でも還暦を迎えるような、生まれて還暦になるときには自分が一体どうなっているかわからぬというような長い期間を将来に見つつ、いまの時点で、大体六十年ぐらいでこの分は政府の借金としては残しません、これぐらいのことを言っておるのであるが、そのこと自体は、これから一体幾ら公債発行するかということとは無関係ですね。政府は、公債発行するのは減債基金制度とは全然無関係のものである、そのように解釈してよろしいですか。
  136. 中尾博之

    ○中尾政府委員 御質問の趣旨がうまくつかめないので、あるいは失礼いたすかもしれませんが、無関係ということではなく、今後幾ら発行するかというその金額は、これは毎年度の財政の問題でありますから、整理基金とは関係がないということは言えるわけです。しかし、一たびこれを発行いたしますれば、今度はこの整理基金関係の条文が動きまして、積み立てをしていくという姿になる、こういうことでございます。したがって、将来積み立てる金額というものは、債額が大きくなりますと金額としても大きくなります。したがって、国債のほうを適度に発行していくという  一つの歯どめと申しますか、そういうものとしてはあるいは動く時期もあろうかと思います。さしあたりはそういうことはございません。その程度でありまして、全然関係がないということではないわけであります。
  137. 永末英一

    永末委員 これは歯どめになるという説があるんですが、私はどうもその辺が納得できない。たとえば一兆一千億円程度の対象に対して百分の一・六なら百六十億円程度でしょう。利子は払わなければならぬので、その利子を計算する。こと費は約一千百五十二億円、そして見合っておる国債部分が一兆一千七百億円程度ではないかと思うのですが、そうしますと、政府が持っておる国債、支払わなくちゃならぬと考え国債に対して、本年度の財政がになう痛さはその約十分の一である。したがって、歯どめになるというのは、その年の財政で政府国債償還に充てようと決意したその額が歯どめになるのであって、ここで百分の一・六積み立てると言いますけれども、積み立てたものはすぐにそれは償還に回るべきものであると私は思いますけれども、この百分の一・六に意味があるのではなく、むしろ年々の予算を組む場合に、政府国債費で何ぼ出すかということが歯どめにはなるかもしれませんけれども、この百分の一・六自体にそんな大きな意味はないとわれわれ思いますが、その辺の見解をひとつ伺いたい。
  138. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はりっぱに歯どめになると思います。と申しますのは、御承知のように、日本でもいままで一時、一万分の百十六という定率積み立てを繰り入れをしておりました。これは大体八十年という計算で過去にこの減債制度ができておったのを、今回は六十年ということでございますが、過去の一万分の百十六のときでも、公債額が膨大になってきますというと、この繰り入れが一般会計を非常に圧迫することになりまして、その積み立てばやめたというのが過去の歴史でございますので、私は今年、来年というふうにだんだん公債発行されていきましたら、この全体に対する百分の一・六というものは一般会計への大きい圧迫になるというふうに思われますので、そうなってきたら、公債を出すのが、逆に公債を出さないで削減するほうが予算の編成には楽であるといりような問題にも必ずすぐぶつかる問題だというふうに考えております。
  139. 永末英一

    永末委員 一万分の百十六ということを当初きめました明治三十九年というのは、日露戦争の軍事公債、この額は当時の財政からするときわめて巨大であった。したがって、これをどうするかということをはっきりしなくちゃならぬので、その当時出し得る償還額を逆算をして出した数字である、しかし、これはあくまでも軍事公債で臨時的なものです。したがって、これをくずそうというのではじき出された数字だと思うのです。しかし、その場合の対象となっている国債総額というものは臨時的であって、額が上限がきまっておる、こういう性格のものであったと思うのです。ところが、いまの百分の一・六というのは、これから幾ら公債が出るかわからぬという現象を前にしての百分の一・六だから、しかも百分の一・六というのはきわめて少ない数字である。しかもこれをころがしていくとすれば、ことしも六十年を見込む、来年も六十年を見込む、再来年も六十年後、あとのことは、あとはおぼろで、だれが責任持つかわからぬ、こういうことになりますと、その歯どめの力というものはきわめて少ないのではないか。あなたは歯どめになるとおっしゃるけれども、むしろ百分の一・六——現在の場合一兆円に対して百分の一・六というものは、ことしの国の予算に比べましてもきわめて少いですね。そのもの自体というものは、大蔵大臣、これから生まれるであろう歴代の大蔵大臣国債発行の誘惑にかられたときに、これが歯どめにきいておって痛いんだということになるのかどうかということを考えますと、きわめて少ない、このように思いますが、いかがですか。
  140. 中尾博之

    ○中尾政府委員 将来のことでございますから、どういう場面が出てまいりますかわからないのでございますが、いずれにいたしましても、公債を出そうと思ったら、この整理基金のほうを見たところ、これはたいへんだというのでやめるというところには実はまいらぬのであって、その前の段階で常に減債制度というものがございますと、その債務の残高というものが財政運営上意識されておるわけです。それに連動いたしまして、それで百分の一・六というものは、本来義務費として計上しなければならないという姿になってまいるわけであります。これらの事柄を通じまして、将来の財政運営上何か壁に当たって、国債はもうここでやめるという意味の歯どめではなくて、常に財政を運営してまいります場合の配慮すべき一つの象徴としてかっこうのものがここに備わってくるということであろうかと存じます。そういう意味で、やはりこれは歯どめと申しますか、一つのそういう財政運営上のコントロールの指標になるべきデータをここでつくり出していく制度になっている、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  141. 永末英一

    永末委員 私は思いますのに、ここで百分の一・六そのもの自体が、公債発行がこれから続発するといいますか、そういう場合に歯どめになるのではなくて、むしろその年々に公債発行をしようとするならば、それに対してともかく手当てをしなくてはならぬというふうに、定率でございますから制度をしいた。それで、その年には国債償還——いままでの償還の来たものは返す、あるいは利子の支払いをやらなくちゃならない、どんどん借りかえしていけば、債額は減らぬのでございますから、したがって、その額がその年度の収入に対してどのような一体痛手であるかというところが私は問題になると思います。これは、そのときの財政当局はどうしたって計算しなくてはならぬ問題である。ことしの場合ですと、一千億円程度のことで考えているからたいした問題ではない。これがもし現在の予算規模の一割、五千億円程度になるなんということになると大問題になる。しかし、その場合に百分の丁六というのはどれくらいきくだろうかというと、あまりきかぬのではないかという気がするのです。いわば制度を開いたということが歯どめになるのだ、あるいは歯どめを誘発する作用を及ぼすかもしれぬけれども、このこと自体は歯どめだということにはまだ距離が遠いのではないか、こうわれわれは認識するのでありますが、もう一ぺんお考えを伺いたい。
  142. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いまの百分の一・六そのものの考え方と、それから制度考え方を分けて御議論がございますが、そういう面もあるかと思います。ただし、百分の一・六と申しましても、予算の中でこれを義務的に取り扱うということになりますと、やはり相当な荷物です。ことに、国債には利子もあるわけですから、これを両方合わしてみますれば、やはり決定的な義務費でございますから、予算の中というものはそう自由に財源のやりくりができるものではございませんので、これはやはり相当ないましめになるという点はあると思うのであります。それを利子とおっしゃったのだけれども、その制度と分けてお考えのようでございますが、私結局同じことだと思うのであります。
  143. 永末英一

    永末委員 私は、先ほど理事さんとお約束で時間がまいっておりますので長らく質問することを差し控えますけれども、要するに、国債整理基金特別会計というものをつくっておる、これは国債を払っていく窓口である、その窓口に今度新しく定率法を久しぶりで導入されるということでございますが、そこの定率法に問題があるよりは、いまの御答弁のとおりに、国債の総額がふくらんでいけば、金利部分が大きくなるということが重圧になる。ただ、ここで特別会計というようなトンネル機関をつくっておくことによって、国債は整理しなければいかぬぞ、こういうことは歴代の、これからの財務当局なり大蔵大臣の念頭を絶えず離れない。いまの大臣がめちゃめちゃに国債発行すると次代の大蔵大臣が困る。われわれが政権をとったときも困ります。ただし、いまのこの制度の物理的な百分の丁六が歯どめになるというのを大きな声で申しますと、何か、いま出しておる国債の出し方に歯どめがかかったような気がする。そうではない。国債発行は、別途の観点から、そのときどきの政府が出していくのであって、六十年というのは、あとはおぼろということでわからぬということだと思うのです。むしろ、歯どめになるかならないかは、そのときの財政状態、そのときの財政の組み方だと思うので、私はもう一ぺん繰り返しますが、歯どめになるという歯どめの度合いは、ここに特別会計という制度があって、その中で定率法を入れたというのは、たとえ制度であっても、これからの大蔵大臣の念頭を去らさせないような制度が開かれた度合いで歯どめの芽みたいなものだ、このように思うのですが、大蔵大臣、一ぺん答えてください。
  144. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、先ほども答弁しましたように、国債の歯どめというものは、むしろその経済状態からくるものでして、国債発行によって造出される需要が生産能力と衝突するというような国債の出し方は、これはインフレを起こさせるものであって、インフレにしないようにという国債の限度というものはまずそこにある、私はその発行の限度はそこにあると思います。これが質的に現象の上でどういうふうにあらわれてくるかと申しますと、やはりその国債消化できる経済情勢にあるかどうかということを見て、日銀の引き受けではなくて、市中消化という原則を持ちながら、これがもう実際的な歯どめになるのだ、そのことを言っているのでございまして、かたがた、この減債制度も歯どめの一つの役をするだろう、これが唯一の歯どめ策だというようなことは私さっきから申しておりません。そういう意味で、あなたのおっしゃるとおりだと思います。
  145. 永末英一

    永末委員 大体私の考え方に大蔵大臣同調されましたので、質問を打ち切ります。
  146. 内田常雄

  147. 村山喜一

    村山(喜)委員 私も議事に協力をする意味におきまして簡単に御質問を申し上げますが、答弁次第では長くなります。経済企画庁お見えになっていますか。
  148. 内田常雄

    内田委員長 見えております。
  149. 村山喜一

    村山(喜)委員 ただいま大蔵大臣から、国債の歯どめの問題につきましては、市中消化をやる、日銀引き受けをやらない、そうして日銀信用に依存しない、価格支持政策はやるかやらないかわかりませんが、これはあとでお尋ねしますけれども、マーケットメカニズムに応じて流通市場で形成される相場がはね返ってくるような形において発行量を規制をしていくのだというような意味での説明を承ったのでございます。  問題は、この四十二年の資金需要見通しの問題で、経済企画庁は三百億円の払い超、こういうような見方をされているわけでございます。しかし、昨年、四十一年の資金需要を振り返ってみますと、御承知のように財政対民間収支の当初の計画は一千億円の払い超であったのでございますが、それが二千四百億円の揚げ超になった。その結果三千四百億円の狂いが出てきたことは御承知のとおりであります。そこから算出をされる資金不足というものが約六千億円あるのだ、こういうようなことがいわれておるわけでございまするが、これらの要因というものを分析してみるならば、租税の自然増収が非常に伸びてきたということ、あるいは資金運用部資金の吸い上げが郵便貯金や簡保の伸びで大幅に伸びたというようなこと、あるいは国債発行市中消化によりまして民間の資金が吸い上げられたというような事情等によりまするその情勢の変化というものが、こういう資金需要に対する狂いとしてあらわれてまいったと思うのであります。  しかし、最近の動きを見てまいりますと、経済の情勢をどういうふうにとらえるかということによりましてこの資金需給の見通しもまた変わってくるわけでありますけれども、どうも当初経済企画庁が予測をされましたその三百億円の払い超になるという基調は、これは今日においてもそのとおりの姿の中で経済は進展をしていくかどうかということについて、初めにお伺いをしておきたいと思うのでございます。
  150. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 昭和四十二年度の総合資金需給見込みは、四十二年度の当初予算それから経済見通し、これを前提として作成されたものでございまして、財政資金対民間収支三百億円の払い超という数字は例年のとおり、四十二年度の予算案に基づきまして大蔵省が試算したものをそのまま計上したわけでございます。最近におきまする民間の景気上昇がきわめて好調なことから申しまして、租税の自然増収が当初の予想を相当上回るということは考えられるところでございます。また、郵便貯金等の好調を反映いたしまして資金運用部の揚げがかなり出るとも見られます。この二つを合わせますれば、財政資金の対民間収支というものはむしろ揚げ超となるというふうな傾向をたどっておると思いますけれども、これらの計数につきましては、まだ確定する段階には至っていないわけでございます。前提となります経済見通しにつきましても、当初われわれが見込みましたよりは多少高めに走っておると思いますけれども、いろいろなデータからそれを改定するような段階になっておりません。  したがいまして、それに基づきますこういう需給見通しにつきましても、数字がどういうふうに変わるということを御説明できる段階にはなっていないのでございます。
  151. 村山喜一

    村山(喜)委員 景気がよくなりまして税収が伸びてくる、そうして郵便貯金の伸びも非常に好調である、運用部に相当の余裕資金が出てくる、その段階の中で予定どおり八千百億円の国債発行するということになりましたならば、これは大幅な揚げ超になることは間違いない事実であります。すでに、金融機関筋におきましては、まあ少なくとも二百億円の揚げ超にはなるであろうというような予測をしているようでございます。そういうような財政資金の揚げ超という事態が出てまいりました場合においては、当然、日銀が成長通貨を上回る追加資金をやらなければならない、こういう事態が出てまいりますと、それは勢い国債の日銀引き受けと同じような結果が出てくる、こういうような事態になろうかと思います。  そこで、だんだんに今日まで質疑をされております内容を承っておりますると、いまいろんな角度から国債の減額論が論議されておるようでございますが、政府の説明、佐藤総理大臣予算委員会等におかれます説明等を承りますると、税収の伸びに見合った国債の減額をやるというたてまえ、やはりそういうような基本的な考え方で取り組んでおられるように方向としては見受けるのでございますが、この国債の減額の問題については、大体考えられる方向というものは三つあろうかと思います。  第一の方向は、国債発行総額をそのままにしまして、民間引き受け分を運用部で肩がわりしたらどうだ、こういうような民間金融機関の意見等が出ておるようであります。それに対しまして、いや、そういうようなやり方でなしに、この財政支出の削減と見合って国債を減額をする。これは公共投資の減額の方向でありましょうが、社会資本が充実をしていないんだから、これもとるべきでない。  いろんな意見がございまするし、いまの市中発行の七月分から九月分にかけましてのものにつきましては十月以降に引き延ばしをするという、そういうような措置もとられているわけでございますが、景気の情勢に問題があるから、公共事業を押えて国債を減額をしろというようなことも、これはにわかにとりがたいとするならば、先ほどの大蔵大臣の、民間の金融というものを重視していかなければならないという立場から処理するという方向を出されるとするならば、当然税収歳入の伸びに見合った減額措置というものがとられるであろうと思うのでありますが、そういうような方向で大蔵大臣処理しようとお考えになっているかどうかということの方向をお聞きいたしたいのであります。
  152. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いませっかくのお尋ねでございましたが、前提になりまする経済見通しなり、あるいは自然増収なりというものに即した議論を打ち立てるデータを私どもはまだ持っておらないものでございますから、その意味でごく抽象的な考え方になりますので、私からかわってお答えいたしますけれども公債発行いたしておりまする以上は、これはどうしたって市中消化でございますから、市中に無理のあるような消化ということは、実際問題といたしましてできません。したがって、そこに限界がございまして、常に市中との間におきまして、弾力的な態度をもちまして無理のない発行をしていくという、これが基本でございます。それによりまして、場合によっては、計画どおり出ないこともありましょう。しかし、そういうような場合には大体におきまして経済の上昇の速度の相当高いときですから、おのずから自然増収等も出てくるであろうというような関係になっておるわけでございます。しかし、現段階におきまして、具体的な問題として、これをまとめるとしてどういうことにするかというな段階でございませんので、ごく抽象的にお答えさせていただいた次第でございます。
  153. 村山喜一

    村山(喜)委員 理財局長、そういたしますと、この前政府の措置がとられましたね。七月から九月にかけての発行繰り延べ措置、これはどういうふうになされておりますか。
  154. 中尾博之

    ○中尾政府委員 こだわるわけではございませんが、繰り延べというようなわけではないのでありまして、ただ四、五、六と三カ月分を最初市中を前提にして発行をいたしました。その次に七月分をきめるときは七、八、九と三カ月分を大体通観いたしました見通しを前提にして交渉をいたしますので、その交渉におきまして百億、百億、千四百億という数字が出たのでございます。それで初めて実は示したものでございます。ただ六月が三百億でございました。去年が六、七、八と二百億ずつだったのです。したがって、それから連想して、元来三百億であるべきところを百億にしたんだというふうに伝えられておるのでございます。実際問題といたしましてはそういうことではございません。実は、知らずに百億、百億千四百億を出したのでございます。それは、もともと国債発行でございます。金融市場を相手にいたすものでございますので、金融市場の状況に応じまして無理のない姿で出していきたいということが基本でございます。そこで、このたびは若干景気の上向きの時期でもございますので、この六、七、八月という市中の資金需要も相当強い、それから国のほうの揚げもやはり大きくなっておる、そういうような時期でございますので、それらの市中の資金需給の状況に合わせまして発行額を調整した、その結果、去年は二百億であったものが、ことしは百億になっている月が出てきたということでございます。
  155. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、調整であるという名目はありましても、事実上はそれだけ繰り延べをしたというのです。実質的に減額して発行したわけですから、資金需要の多い金融の逼迫期にあたってそれだけの配慮をしながら、もし当初のように八千百億円発行するんだったら、それが九月以降にずらされた、こういうようなふうに受け取っていいわけでしょう。そうなれば当然税収が伸びてくる。民間の資金需要との関係から市中発行という原則に立つならば、税収との見合いの中において減らすべきものは減らさなければならぬという思想がなければそういう調整措置はとられないものだと思う。  一体大蔵大臣は、やはり八千百億円というのは既定の路線として発行していくという思想はずっとお持ちなんですか。これはやはり今後の国債政策の問題に関連をする大きな問題だと思いますので、事務局答弁でなしに、大臣答弁をお聞かせ願いたい。
  156. 水田三喜男

    水田国務大臣 これをいつ、どうするということは言えませんが、私は前から述べておりますとおり、国債発行を弾力的に運営するということを言っておりますので、この八千億円をずっとしまいまで持ち続けるというような考えは最初からございません。
  157. 村山喜一

    村山(喜)委員 佐藤総理もそのような意味答弁をなさっておいでになりますし、他面、大蔵大臣がおっしゃったとおり、弾力的に措置されるものだとわれわれは期待をしておりますがゆえに次の質問を申し上げるわけでございます。  それは、七月の五日でございますか、国債の九十八円三十銭の新安値が出た、こういうようなことから、証券界のほうからは、国債発行額を減らすかあるいは発行条件を流通価格に合わせて改定をしてもらいたい、こういうような要望等も出ているやに聞くのでございますが、これに対する大蔵省の意見としては、われわれが売るのはこの発行価格の九十八円六十銭であり、手数料三十銭ですか、その範囲内において価格が一時的にそういうふうな状態としてあらわれているんだ、だから何ら心配する必要はない、長期的な立場に立って見た場合には問題になるような程度でもないということで、非常にこの現象を軽く見ておられるように承るのでありますが、国債発行価格よりも下回るというような事態が、今後においては資金需要との関係においてだんだん出てくる可能性というものがあるんじゃないかと思うのです。その場合にはどういうような措置をお考えになっているのか、まずこの点からお聞かせを願いたい。
  158. 中尾博之

    ○中尾政府委員 先ほども実はお尋ねがございましたので申し上げたので、ダブリますが重ねて申し上げておきますと、現在、国債の値段が七月の五日に、割合で、新しいほうの分が五銭改定になったことは事実でございます。しかし、九十八円三十銭という相場は、これは百万以下の取引でもって、買い手の手数料三十銭を考慮いたしますと、これは実は九十八円六十銭にくっついている値段なんです。したがって、これは下がっておるということではございません。やはり九十八円六十銭を基準にいたしまして、そのちょっと上をいったり下をいったりという姿になっておるわけです。株式と違いまして、公債のほうは上場される分はほんのわずかでございます。したがいまして、大体の大勢がそこに出てくるわけです。その大勢は依然として九十八円六十銭の分に乗っております。それに連動いたしていると私は理解いたしております。ただ、一般に季節的な関係もございまして、いま証券関係の値が非常に弱含みになっておるという時期であることは事実でございます。それの間接的な影響は受けておると思います。しかし、大きな取引が国債についてあるわけではございませんから、そうストレートに下げておるというようなところまでまだきておるとは私は考えておりません。  ただ、御質問にもございましたようなことはきわめて大事なことであって、これが非常に一時的なものであるか、あるいは基調として何らか変わるようなものがあれば、いち早く私どもとしてはそれを察知しまして、それなりの対応策を考えなければいけないわけで、それらの点につきましては、国債発行いたしました初めから私どもは毎日いろいろな事態を振り返って検討しております。それらの立場に立ちまして現状を見ましたところ、まだ基調的に別に変わったことがあるというふうには考えておらない次第でございます。  なお、下がった場合どうするかというお話でございますが、何しろ発行額に対して非常にわずかなものが上場されておるわけです。しかも、まだ国債の累積がないものですから、マーケットの底が非常に浅いわけでございます。ランニングストックもまだ少ないというような状況にございます。もともと、株と違いまして、公社債のほうはちょっとしたまとまった取引がありますと、値段が大きく動くおそれがあるものなんです。需給関係が非常に弾力性がないものですから、そういう意味で、場合によりますと、公社債の信用とかあるいは需給関係を表現しないような値段が立つおそれはあります。これらの点につきましては、業界でもやはり公社債市場の育成ということは一番大事ですから、そういうことがないようにいろいろ気をつけておられます。だんだんと市場が底が深くなっていき、銘柄がふえてまいりますとその危険はだんだんなくなっていくだろうと思います。その程度考えておるわけでございます。  なお、一般に金利水準が改定になるといったような場合に公債の条件が変わってくるわけです。そういう際には値段にも反映すると思います。こういうような場合は、それはいわゆる市中消化でございます。客観的な条件に合わせてやっていくという考え方でございます。
  159. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、新規のやつはそういうような現象でありますが、七月上場国債の中で第四回国債ですね。これが九十八円三十五銭という値段がついておりますね。その価格というのは実勢価格に近づいたのだ、こういうような表現で受けとめておるようでありますが、国債発行量そのものが非常に少ないので、いまのところそういうような一つの指標になるかどうかはっきりわかりませんけれども、それだけ国債価格が下落をするということは、この金利の水準というものが実質的に上昇の過程にある、こういうふうにわれわれは見なければならないと思うのでありますが、その場合に、いわゆる国債発行下における金融政策という問題を考えてまいります場合には、当然、今日日銀が中心になりまして、公定歩合の操作であるとか、あるいは日々の資金繰りの指導等によりましてコールレートの価格安定策をとっておられると思うのでありますが、そういうような、国債消化を円滑にするためのコールレートの上昇を押えるという金融政策、こういうような政策はこれからずっと続けていかれるわけでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  160. 中尾博之

    ○中尾政府委員 公定歩合の点はともかくといたしまして、コールレートの立て方、あるいはその改定といったようなもの、これは日銀がやっておるというようなお話が前提のようでありますが、私どもは必ずしもそうは考えておりません。やはりこれは実勢を反映した建て値が立っておるのだろうというふうに考えております。  なお、公債発行に際しまして、公債の資金の配分なり資源の配分なりというものに意欲を燃やすために、金利なり何なりを国債消化のため、あるいは発行のために特別な操作を加えるというような考え方は、私どもは全然持っておらないのでございます。それをやりましたのでは、もういわゆる市中消化ということのメカニズムというものをみずから放棄するものであるので、そういう考え方は絶対にとっておりません。
  161. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がありませんのでやめますが、そういたしますと、国債の価格というものも人為的な政府の買いささえ政策というものはとらない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  162. 中尾博之

    ○中尾政府委員 ただいま申し上げましたように、それが公正な金利体系の中における値段を示すものであります限り、これに手を加えるべきものでないと存じます。ただ、まだマーケットが浅いものですから、ちょっと四、五千万円の買いが出ても値段が七十銭になったということもございます。これらに対しましては、あまり変動があってはぐあいが悪い、そこはマーケットも相当弾力的な、合理的な心がまえというものが必要だろうと思います。もしそれがそれらのものを超越いたしまして、実際の値段といいますか、評価以上の相場が立つようなことになれば、何らかの手を講じなければいけないかもしれません。しかし、それは本格的な条件改定につながるような場合に、そういうことをやってはいかぬのでありますから、そういうことの事態であるかどうかということの具体的な判断は非常にむずかしいわけであります。ただし、非常に幸いなことには、現在までそういう状況はありません。近い将来にもそういうふうに乱高下がありそうな状況はないのであります。ある程度まとまった取引も、数日の間をおきまして、うまく出合いをとらせて業界でもって仕切っておられるわけです。したがって、具体的には心配ないと思いますけれども、もしあれば、そういう場合であるということです。
  163. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、やはりそういうような人為的な措置をとらないためには、この国債発行下における金融政策というものによほど注意して、去年のような資金需給の状態がアンバラな状態にならないような運営をやる中において、国債発行量そのものを十分御配慮願うように要望を申し上げまして、質問を終わります。
  164. 内田常雄

    内田委員長 平林剛君。
  165. 平林剛

    ○平林委員 大蔵大臣、私はきょうは一つだけ財政法で定められておる国債償還計画、これがどういうものであるかということは、しばしば今国会において議論されてきたことでございますし、けさ方阿部委員からもこれについて触れられておりますので、その議論は繰り返しません。ただ、私どもとしては、財政法のたてまえからいっても、銘柄別それから償還財源も付して償還計画というものを出すべきであるということを要求しておるということはおわかりのとおりでございまして、ここで並行線の議論はするつもりはありませんけれども、ただ借りかえの問題について私は少し議論があるわけです。  そこで、先ほどから公債発行によるわが国経済に対する悪い影響を押えるためにいろいろな歯どめを研究せねばならぬという立場から、借りかえの問題についても、ある程度歯どめを考えるべきでないかということを主張したいと思っておるわけであります。  そこで、初めに、最近二、三年間における償還期限が到来した国債銘柄別償還実績をちょっと政府のほうから御説明をいただきたいと思うのです。それから私の議論を展開して、ひとつ大蔵大臣にお考えを聞きたい、こう思っておるわけです。まず最近二、三年の状況について御報告をいただきたいと思います。
  166. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 お答えいたします。  三十九年度、これは三分半利国庫債券でございますが、これが二百七十三億円ございます。それから同じ三十九年度、五分半利国庫債券、これが三百三十二億円ございます。端数整理しまして合計で六百六億円でございます。それから四十年度、これは五分半利国庫債券二百十九億円ございます。それから四十一年度、五分半利国庫債券が百二億円ございます。それから特別国庫債券、これはちょっと別のものでございますが十七億円、四十一年度は合計で百十九億円ございます。そういう状況になっております。
  167. 平林剛

    ○平林委員 そのうち現金で償還したのは幾らで、いわゆる借りかえで償還したという形になるのは幾らかということを一緒に……。
  168. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 三十九年度でございますが、六百六億円のうち現金償還が百十一億円でございます。借りかえによって償還したもの四百九十四億円ということになっております。四十年度は、二百十九億円のうち、現金償還が十一億円、借りかえによる償還二百八億円ということでございます。四十一年度は、百十九億円のうち現金償還三十四億円、借りかえによるもの八十四億円、こういうことでございます。
  169. 平林剛

    ○平林委員 そこで、最近二、三年の現状はただいま御報告なさったとおりでございまして、三十九年度は、国債満期の到来をした金額六百六億円のうちおおよそ八〇%、これは借りかえで措置をしておる。四十年度は二百十九億円のうち借りかえで処理したのが二百八億円ですから、九四%は借りかえに終わっている。四十一年度は、期限の到来した国債の額は百十九億円、かなり下回っておりますけれども、借りかえで償還をしたのは八十四億円ですからおおよそ七〇%、こういう実情になっておるわけですね。  今後、四十二年度、大体どのくらい満期の到来額があるかということを調べてもらいましたら、昭和四十二年度は六百四十五億円、昭和四十三年度は三百三十三億円、四十四年度が二百四十四億円、四十五年度は三百四十九億円、四十六年度は五百十八億円、こういうふうに満期到来になるわけです。いままでの考え方でいきますと、おそらくここ二、三年で、まあ七〇%、八〇%、九四%でございますけれども、これからもこういうような形で借りかえ借りかえということになりますと、その分だけ日銀が引き受けて、国債はそこにまたたまっていく、昭和四十七年になりますと、今度は最近問題になった新たに発行した国債が期限が到来しますから、二千二百十三億円とふえてくる。  これで私は考えるのですけれども、こういうように借りかえ借りかえという措置をおやりになっておったのでは、たとえば国会に、ことしは八千億円の国債発行します、七年後にはお返しします、簡単な償還計画ではない償還計画が出されるけれども、実際の期限になったときに、同じように借りかえということになったならば、これは私は、ことばを変えていえば、償還計画という名において国会に対する一つの欺瞞をしたことになる、同時にこれは財政法に違反することになる、こう思うのですけれども、現在のような借りかえの措置、これは妥当なものと思っておられますか。大蔵大臣にお答えいただきたい。
  170. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政法の上でも、借りかえの財源によって公債償還するということは違法ではないということになっております。
  171. 平林剛

    ○平林委員 違法ではないと言うけれども、好ましい傾向ではないと思いませんか、大臣
  172. 水田三喜男

    水田国務大臣 好ましいかどうかということでございますが、公債によって得た資金が国の財産をつくっていくということから考えますと、短期間になすというのではなくて、むしろこの資産が効力を発揮するこの期間においてこれが完全に税収によって返済されるということがほんとうは好ましいのでございますから、したがって、その間を借りかえでつなぐということは、どこの国の国債償還の場合を見ましても、むしろこれが通常ということになっておりますが、それで少しも差しつかえないものだと考えております。
  173. 平林剛

    ○平林委員 たとえば、そうすると、ことしの国会でも問題になりまして、国債発行について償還計画を出せという問題がありましたね。そうしたら、政府のほうからは、七年たてばこれは返す、こういうお話ですが、それは借りかえを前提としておるのですか。たとえば、いままでの経過から見ると、七〇%も八〇%も、ひどいときは九四%も、最近の例でございますけれども借りかえに転じているのですね。これは違法でないということで、今国会に出されたものも、それを前提として償還計画とお考えになっておるのですか。
  174. 水田三喜男

    水田国務大臣 前提としておるというわけではございませんで、そのために返済制度を置いて、ここに定額の繰り入れをしたり、新たな資金を一般会計から繰り入れるというようなことをいたしますし、なおそれで不足する場合には借りかえの資金によるということも考えてはおりますが、これは経済情勢財政事情によることでございまして、公債を出す以上は、できるだけ剰余金の出ないようにという運営をするのがたてまえですから、いわゆる剰余金の二分の一の積み立てというものは、もう今後期待できないだろうと思いますが、しかし、先ほど申しましたように、四十年度に発行した債券は、国債は別のものであるから、これはもう借りかえによらないで償還するというふうにはっきり方針を立てたものは、その期限が来る前に一般会計からあらかじめ借りかえによらないで返済できるような措置を講じておきますし、これは、国の財政事情によって今後もそういう考慮を私どもはするつもりでございますから、最初から借りかえということを前提としたというわけではございません。
  175. 平林剛

    ○平林委員 借りかえということは、結局、ただいま私が指摘した相当数の金額は、大体日本銀行に一たん償還した形をして新たに借りかえるわけですから、こういうものは一体どういう概念なんですか。新たなる国債発行というふうにみなすべきかどうか、ちょっとその概念をお聞かせ願いたい。
  176. 中尾博之

    ○中尾政府委員 技術的な点でございますからお答えいたしますが、これは現在の国債整理基金特別会計法第五条に規定がございまして「政府国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ起債スルコトヲ得」こういうふうにありますが、これによりまして発行いたしますので、これは借りかえと言っておりますが、この概念は法律上必ずしもはっきりしません。使い方によっても違いますけれども、ただ一つ明瞭なことは、新しく発行いたす国債は別の国債を出す、これだけは間違いございません。手続的には前の証券をもって代用払い込みに充てる場合もありますし、それからお金をちゃんと新しくいただきまして、それで現金で払う場合も手続的にはあると思います。しかし、間違いなく新規の国債発行でございます。
  177. 平林剛

    ○平林委員 財政法の第五条には「すべて、公債発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」こう書いてあるわけですが、借りかえによる新規の国債発行というものについては、財政法との関係はどういうふうに解釈をなさっておるのですか。
  178. 小田村四郎

    ○小田村説明員 お答えいたします。  財政法第五条におきまして「すべて、公債発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならないという。」本則がございまして「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」ということになっております。  そこで、昭和四十二年度の予算について申し上げますと、四十二年度の特別会計予算総則の第五条におきましてこういう規定が置かれております。「国債整理基金特別会計において、「財政法」第五条ただし書の規定により、政府が昭和四十二年度において発行する公債日本銀行に引受けさせることができる金額は、同行の保有する公債の借換えのために必要な金額とする。」という規定が四十二年度の特別会計予算総則第五条に規定されておるわけであります。こういうことで、国会の御議決を受けまして、日本銀行が保有しております公債の借りかえに必要な金額を限度として借りかえ債を日銀に引き受けさせることができるということになっておりますので、決して財政法に違反しておるわけではないのであります。
  179. 平林剛

    ○平林委員 それは財政法の第五条にはっきりと「すべて、公債発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」こういうふうになっておるものですから、借りかえといえども、それは新規の国債発行ということになれば都合が悪いものだから、予算総則の中にそれを入れただけであって、私は、精神から見ると財政法に違反するものだと考えるわけです。  そこで、やはりこうした借りかえ発行につきましても、最近二、三年でも、満期の到来したものが八〇%ないし九四%、七〇%というぐあいに、借りかえ借りかえでやっておる。昭和四十二年度は六百四十五億円、四十三年も三百三十三億円と、毎年のように巨額の満期期限が到来するものもあるわけでございますし、加えて、この発行日本経済に及ぼす影響を考えると、いろいろな角度で歯どめをしなきゃならない、この法律も歯どめだ、こういうふうにおっしゃって、歯どめについて熱心な大蔵大臣であるから、こうした借りかえ発行についても一つの制約をすべきではないかと私は思うのです。こういう、単にいまの予算総則で書いてあるからということや、違法ではないとかいうような形で、借りかえ借りかえで逃げるということは、私は、国債発行によって及ぼすいろいろな影響として悪いほうに拍車をかけるだけで、いいほうにはならない、そういうことを考えますと、借りかえ発行についても一つの制約をすべきだ、少なくとも財政法と同じような制約をさせるべきだ、こう思うのです。大蔵大臣の御見解を承りたい。
  180. 水田三喜男

    水田国務大臣 公債発行して公共事業を行なうということは、先ほどから申しておりますように、その年の税をもってやるというのではなくて、むしろそういうところに、公債発行して社会資本の充実をはかるという意義があるのですから、その点から考えましたら、外国のように五十年公債とか百年公債というものを出すのでしたら問題はないかもしれませんが、日本の経済事情、金融事情によって短期の公債しか事実上発行できないという状況におきましては、むしろ公債発行のねらいというものが、長期にわたって効力を発揮する国民資産をつくろうということでございますから、短期の公債を出す場合には、これを借りかえという措置によって返済するということも、むしろ、運営としては私は本則といっていいのじゃないかというふうにすら考えておりまして、経済事情、財政事情によって、定率積み立て以外に一般会計から繰り入れができる余裕が十分できるということでしたら問題ございませんが、それができないというようなときには、国債が非常に短期でございますから、したがって、借りかえというものが二、三回起こり得るということは少しも差しつかえのないことであって、そうすることができるからこそ、公債というものによって社会資本を充実するということの意味があるのだとすら考えております。
  181. 堀昌雄

    ○堀委員 関連して。  戦前の公債償還年数というのは一体どれくらいだったのですか。戦前の四分利債、五分利債の償還期限は大体何年ですか。
  182. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いろいろございますけれども、二十年前後が金額的には多うございます。
  183. 堀昌雄

    ○堀委員 財政法第五条に書いておるのでは、ただし、特別の事由がある場合に限りなんですね。いいですか、特別の事由がある場合に限りです。いまのように七年ものを毎年出しておいて、それが毎年毎年どんどん償還期限が来たときに、それが毎年毎年出てくるやつは特別の事由ですか。私は、財政法がいう特別の事由というのは、めったにないことが起きたときの特別の事由であって、初めから予測されておる、七年目には必ずそれが償還になるということを前提としてこういうふうに発行しておる。二十年のようなものが出ておるときには、それが何らかの場合は処置をしようということなら、これは特別の場合ですよ。しかし、七年ものを連続でここで出せば、七年から先  へ行ったら毎年毎年その問題が起こるでしょう。それは特別な事由という財政法のこの条項には該当しないですよ。予算総則にあなた方がこう書いたからいいというものではない。特別な事由というものは、やはり特別な事由なんだ。これはあたりまえなんだ。それはちょっといまの財政法解釈はおかしいのじゃないですか。
  184. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政法第五条でいっております特別の事由と申しますのは、発券銀行としての日銀が直接引き受けることを忌避しておるのでございまして、したがって、発券銀行たる日銀が引き受けることによって新規の購買力を注入するというような性格のものは、これはいけない、しかし、それ以外で、たとえば市中消化の範囲内であるとか、あるいは国民貯蓄の範囲内であるとか、そういう特別な事由についてはこれはかまわないというふうに解することが、財政法の正しい解釈ではないかと考えるのでございます。
  185. 平林剛

    ○平林委員 大蔵大臣、先ほど言いましたように、あなたは、この借りかえというのは、借りかえによる返済ということばを使っているのですね。日本語というのは便利だから、普通のところならそれでいいかもしれないけれども、さっき言ったように、借りかえによる新規国債発行法律上の概念はそうなんですよ。それを、あなたはことばをすりかえて、借りかえによる返済と言う。返済じゃないのですよ。新たなる国債発行という法律的概念なんですよ。ことばはすりかえないようにしてもらいたい。  それで、いまの場合には、金額はそんなにたくさんでないけれども、たとえば昭和四十七年になれば、最近の国債政策導入によった金額は二千億円の償還期限に七年ものがなるわけですね。その翌年は六千七百四十八億円になり、その翌年は八千百十四億円になり、昭和五十年になると八千六百六十一億円になる。それを借りかえによるところの償還だなんということになれば、もっと前に、五年くらいでもって見直すと言っているけれども、いまのままの考え方、いまのやり方でいけば、野方図もない国債発行ということになってくるんじゃないですか。そこで私は、この借りかえについても、ある程度の制約を受けるべきだ、財政法と同じように制約を受けるべきだ、こう言っているのです。これをおやりになる御意思がございますか。
  186. 水田三喜男

    水田国務大臣 かりに極端なお話をしましたら、一年で返済する国債公共事業をやるということでしたら、もうほとんど無意味だと思います。同様に、これが少なくとも二十年というような長期の公債によって公共事業が行なわれ、社会資本の蓄積が行なわれるということでしたら、これも非常に楽な公債の出し方だと思います。しかし、できるだけこれは長いほうが望ましいのですが、いまの日本の金融事情から申しまして、公債を出そうとしたら、やはり七年くらいの公債でなければ発行できない、こういう事情に制約されているときでございますが、七年で償還するということでしたら、五十年、百年の効力を発揮する資産をつくる資金としては非常に短か過ぎるということになりますので、一般会計から全部償還するということは、これは年限から見ても最初から相当無理だということが言えます。しかし、無理であっても、それならいままでのようにおくれた社会資本の充実をその年の国民税負担でやるかといったら、これはたいへんなことでございます。  そういう意味から公債発行の意義というものを私どもは認めて発行しているという以上は、借りかえというものは一応あるということを考えてやらなければこの公債は出せないというわけでございますので、できるだけ借りかえということをなくするということは言ったことはございませんが、しかし、借りかえによって返済するということも、こういう公債政策をとった以上、少しも悪いことじゃないというふうに考えております。先ほど、借りかえによる返済ということでしたが、これはまさにそのとおりであって、借りかえということは、理財局長も言うように、新規に発行したその財源をもって一方の期限の来た公債償還するということでございますので、借りかえによる償還であって、公債金額がふえるということではございません。
  187. 平林剛

    ○平林委員 そういうことは、国債償還計画ということで麗々しく国会に提出をしたものが、初めから借りかえを予定し、それは違法ではないという前提で出していることは、ほんとう意味償還計画とは言えない。そしてそれは、国会に対して、作為、不作為を問わず、うそをついたことになると私は思う。  それから財政法にはっきり、堀委員がいま指摘したように「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」と書いてある。この解釈からも逸脱するようになるから、私ははっきり、いまの借りかえの措置をそのままとるということは財政法に違反をすると考えるわけですよ。新たな国債発行ということになるとすれば、例えば、財政に対する寄与率なんかもこれに加えて計算をしてあるかというと、計算して加えてないというようなこともありまして、この借りかえによるところの新規国債発行というものもシビアーに考えていかないと、みんな日銀引き受けになってしまって、これでは、われわれが指摘しているようにインフレになる。ところが、国債発行のみそ——これはわれわれと見解の相違はあるのですよ。そういう効果はあったにしても、それが結果的にはインフレにつながることをおそれての議論をしているわけです。そういうことよりも、むしろ、国債発行によって経済に悪影響を与えないために、歯どめをどういうふうにするかということを考えなければならぬ、私はそういう前提で言っているのですよ。  きょうは時間がないんだから大論争はやめましょう。やったってしょうがないんだ。しかし、こうした問題について何らかの歯どめを考えるべきだ、考えなければおかしいじゃないですか、こういうことを言っているのですよ。それをひとつはっきり考えてもらいたい。
  188. 中尾博之

    ○中尾政府委員 借りかえ、ことに七年ものしか現在のいわゆる公社債の起債市場というものは許されないという事態は、私はそれ自体、あまり正常な状態でないと思います。これ自体相当特殊な状態でございまして、しかも、それで建設公債をやっている相当期間、要するに効用を発揮する期間というものにこれを分散して税の負担に持っていくということでございますから、どうしても借りかえはやらざるを得ない、それをやらなければ意味をなさないという筋道に実はなっておるわけです。  ただ御心配は、いつまでも借りかえをやっておるのか、それじゃきまりがつかぬじゃないか、これはまことにごもっともな御質問なんです。それは、そういうことではございませんで、この六十年にわたり毎年法律でもって定率をもって、義務費をもってこの経費を国債整理基金に入れるわけですね。これを遊ばしておいて、償還しなければ損になります。国債の利子というものは高いのでございますし、政府のほうの金、こういう短期の金をそう有利には回せないわけです。そういうことになりますから、これは財政当局に管理の責任を押しつけておる金になっておるわけでございます。この規定に従いまして、私どもは借りかえもいたしますし、繰り上げ償還もいたしますし、そのときそのときの財政の状況あるいは金融情勢、経済運営とあわせまして、そこをきめこまかくそのときそのときの情勢によって回転、運転をしていかなければならない、こういうことでございます。そういうことによりまして、一番必要なのは財源なわけであります。その財源を義務費としてここに繰り入れる、イアマークとして入れてしまう、こういうことでございます。  御心配の点はよくわかるので、御質問の趣旨も私心得ておるわけでございます。まさに、そういう点につきまして用意をいたしておりますのが今回の制度でございます。そこをひとつ御理解いただきたいのでございます。
  189. 平林剛

    ○平林委員 最近の国債発行の論争をするときには、政府のほうでは、この国債は、さっき大臣が言われたように建設的なもので、国民全般にその福祉を与えるものであるからということで、われわれとは見解が違って国債発行政策のみそを言うのだけれども、借りかえによるところの新国債発行というのは、私に言わせれば建設公債じゃないですよ。そうでしょう。建設公債じゃないでしょう。借りかえによるところの新規発行国債というのは、建設公債とい4理屈はついてこないでしょう。  そこで、こうした問題については、普通ちゃんとけじめをつけていかなければいけないから、歯どめを考えるべきだ。私の気持ちはわかるわかると言うけれども大臣、実際どうするかという答えがないわけでしょう。答えを一つ出してもらえれば、これでもう私はやめるのです。こういう問題についてどうするかという答えを出してくれれば、私は質問をやめます。
  190. 水田三喜男

    水田国務大臣 償還のための借りかえ、新規公債を出すということは建設公債ではないというのですが、建設公債を出して、そうして国民資産をつくっている。その資産に見合っているものであって、しかも、新規公債発行したことによって公債の額がふえるんじゃなくて、古い公債が全部償還されてしまうということでございますから、結局、建設公債が依然として続いておるというふうに見べきであって、これは単なる公共事業投資とは離れた公債であるという解釈はできないだろうと思います。
  191. 平林剛

    ○平林委員 あなたのは、私に言わせると詭弁に属するほうで、どうも短い時間では議論できません。  しかし、先ほど五年たったらこうした公債発行政策について見直す、こう言われたわけですね。質問に答えてそう言われた。大蔵省の主計局次長さんは、いや、五年たってもすぐ国債発行政策をやめられるという状態ではございません、これは正直な答弁です。私もそう思うのだ。ところがあなたは、五年くらいたったら国債発行政策を見直す——やめるとは言わぬ。見直すと言っておる。見直すということは、どういうことなんですか。私の推測では——。(「推測は言わなくていい」と呼ぶ者あり)とにかく、見直すということはどういうことなのか、聞かしてください。
  192. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま発行しておる公債政策の成果というものは、何年かの後に当然あらわれてまいります。その成果を検討して、そうしてさらに、社会資本の不足ぐあいがどうか、これの蓄積がまだまだ急務であって、それに対する国民税負担というものがまだ耐えられないという状況かどうかということを見直すということでございますが、私は、公債発行をいまのような調子でやって、これはほんとうに全部当然建設事業に向けられるものですから、これを数年積み重ねるということによって相当事態が変わってくる。社会資本の立ちおくれというものが、民間の資本蓄積と比べてどういうふうなバランスを示してくるかということを見直したら、いまのように公債発行をずっと続けていかなければいかぬという事態には私はならぬじゃないかという気がします。
  193. 平林剛

    ○平林委員 これは七年たったときに、われわれの今日までの議論とあなたの考えとがどういうふうになってくるかということで、またその功罪ははっきりしてくると思いますが、私は、やはりその時期になると、あなたの見直すという意味は、新たに長期の国債発行せざるを得ないような状態に追い込められて、ますます抜けることのできないどろ沼に入っていくと心配をしているわけです。ですから、きょうは借りかえの問題について大蔵大臣はまだぴんとこないようだけれども、やはり私どもが心配しておることをもう一度検討して、そして、借りかえについても一つの規制を設けて、これを歯どめにする。いまここに提出した法律案が、市中消化の問題とともに歯どめになるとかならぬとかいう議論、それを一歩進めて、こうした問題について検討してもらいたい、検討すべきであるということを要望しまして、私の質問は終わっておきたいと思います。
  194. 内田常雄

    内田委員長 次は、広沢直樹君。
  195. 広沢直樹

    広沢(直)委員 まず、大蔵大臣にお伺いいたしますが、現在四十二年度の当初、国債発行予定額八千億円の減額かあるいは繰り延べかということで相当問題になっておりますが、現在の景気、あるいはまた金融情勢に伴って国債の減額が問題になっているけれども大蔵省は、四十二年度の発行予定の国債を年度じゅうに最低五百億円減額をするとの方針を固めて具体的な検討に入った、こういうふうに報じられておりますが、実際にそういうように検討に入っておられるのですか、まずそれからお伺いいたします。
  196. 水田三喜男

    水田国務大臣 何かどこかに記事が出ておったとすれば、推測記事だと思います。私どもは、これはそうじゃなくて、もう年初からこの経済情勢というものはずっと見ておりまして、必要がある場合にはいつでも弾力的な措置をとると言っておりますが、その態度でずっと見ておるだけでございまして、もう何百億をどうというふうにきめて、別に検討に入っているという事実はございません。
  197. 広沢直樹

    広沢(直)委員 現在七、八月の発行額、市中引き受けを繰り延べしております。ということは、やはり現時点においてこの金額は、これは推測だと言われればそれまでかもわかりませんが、いま申されたとおり、経済情勢を勘案して、そうしてそういった点については具体的に検討している、こういうわけですね。  そこで、これはまた報道記事になるのですが、早ければ七月、おそくとも九月には正式にきめる考えである、こういうふうにいわれておるわけですが、その点についてはどうでしょうか。
  198. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき理財局長から話がありましたように、七月の国債発行は百億円、八月は百億円、九月が千四百億円と、こういう一応の予定を立てたということを中心にして、九月はたとえ散超のときであっても千四百億円ほんとう大蔵省発行するかどうかとかいうような問題をめぐっていろいろ論議が行なわれておることは、これは御承知のとおりでございますが、まだこれに対して——七月、八月のことは大体きめましたが、九月どうするかというような問題は、まだいま私ども論議はしていないという状態であります。
  199. 広沢直樹

    広沢(直)委員 私は、さきの予算委員会で大蔵大臣に質問いたしました。そのときに、税収の伸びは、過去三十五年から今日まで二〇%の税収の伸びを見た年はない、これは大蔵大臣のお答えなんですが、経済成長率を当初の見込みのとおり考えていくなら、税収の伸びは七千三百五十三億円は過小ではない、こういうお答えをいただいておったわけでありますが、いま申しますとおり、確かに繰り延べは認めておりますし、この報道はよるところもあながち単なる架空ではないと思われるわけでありますが、いまのお答えにもありましたとおり、経済の成長を考えながらそれを進めているということですが、今後の経済の成長率を、当初から比べてどのくらいにいま見ておられますか。
  200. 水田三喜男

    水田国務大臣 これもまだ今年度は四月、五月と、実績にあらわれてきているのがわずか二カ月のところでございますので、一年全部を見通すということはまだ的確にできないという段階にございますので、この点はまだ何ともいまのところは言えない状態でございます。
  201. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それも先ほどの種々の答弁に出ておったわけでありますけれども、やはりこういった国債の減額が当然いまもう問題になっておりますし、あらゆる状況から見ましても、前年と対比してみましても、すでに税収の伸びはずっと伸びている。あるいは、三月の決算を見ましても非常に伸びている。おそらく九月の決算もそうなるのじゃないかと思われるわけでありますが、そういう一般あるいは金融機関の判断、そういったものは、確かに経済成長率が伸びるから税収の伸びも相当伸びるのではないかという見当はついているわけなんです。ところが、大蔵省当局はいまもってそういった問題は明確に答弁がない。わからないわけはない。それは、ある程度そのことを考えていかなかったならば、いま繰り延べになっておりますが、七月ないし九月に当然減額の問題が起こってくると思う。予算委員会のときに大蔵大臣は、税収の伸びが相当あった場合においては国債を減額するということを、これはまあ総理も言っておるわけですが、大蔵大臣もはっきり答弁していらっしゃるわけです。ならば、現在、一般に成長率もあるいは税収の伸びも非常に伸びているということを判断されているわけですが、その点はいまもってはっきりわからないわけですか。
  202. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまわずか二カ月の実績しか出ておりません。それによりますと、収入歩合いは大体一五・九%ということでございますが、昨年の前年度の予算においても二カ月においては一六%というので、大体本年度と収入歩合いの点は同じというようなことでございます。自然増が本年度どれくらい多くなるかということは、見通すのはまだ少し早いというふうに思います。
  203. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは、実際にいま金融機関等一般に見込まれているとおりの増収がありとするならば、それは国債の減額に振り向けるというわけでありますね。
  204. 水田三喜男

    水田国務大臣 自然増が非常に多い場合には、まず第一に国債の減額に振り向けるというのは、最初からの私どもの方針でございます。
  205. 広沢直樹

    広沢(直)委員 国債発行の問題に関連してくるわけでありますが、景気の過熱の三十二年あるいは三十六年の後期のときにも、一般会計国債に依存はしていなかったわけであります。大体、財投が公募債に依存していた率というのも二〇%前後だったと思われるわけでありますが、四十二年の財投の依存度はもう三分の一、相当大きな額に達しております。そこで、一般会計、財投計画ともに公債依存度が過去の景気過熱の年よりもはるかに高い。もしも財投に景気調整の機能を持たせるためには、後期には国債依存度をとめなければならないと思われるわけですが、その点についての見解を伺いたいと思います。
  206. 中尾博之

    ○中尾政府委員 何が絶対的に高いかどうかという問題につきましては、いろいろ御議論もあろうと思います。戦前のノーマルな状態でも三割くらいの国債依存度があった時代もあるのでございます。しかし、一般的な考え方といたしまして、やはり景気の波に合わせまして弾力的に運用していくという心がまえが大事であろうと存じます。具体的に現下の状態がどういう状況になっておるかということを踏まえまして考え方を固める時期ではないわけです。その点につきましては、先ほど来御答弁申し上げておるとおりであります。
  207. 広沢直樹

    広沢(直)委員 政府の税収見積もりは、当初予算考えたよりも確かにふえていっているとは思われるわけですね。その点の見通しについてもう一度……。
  208. 水田三喜男

    水田国務大臣 増加傾向にあることは間違いございません。
  209. 広沢直樹

    広沢(直)委員 過去の好景気には、財政支出の二〇%くらいの増大をまかなえただけの自然増収が出てきたということは一応考えられるわけですが、それだけの自然増収を計上せずに国債依存というものを脱却しようとしていない。そういった面について非常に疑義があるわけですが、一般会計への国債の導入というものは、財投計画における公募依存度の傾向を誘い出していく、また、今後五カ年間にもわたって毎年平均約一兆円に及ぶ国債発行していく、こういうふうに、新しい経済計画の中におきましては今後相当国債が累増されていくというなにが出ているわけであります。このように、公債日本経済に定着してしまうという考え方になってくるわけですが、そういうことになってまいりますと、起債市場というものは、政府によって占められてしまうのではないか。そうであるならば、企業が必要とする整備拡張資金は内部資金あるいは銀行借り入れに依存しなければならなくなってくる。金融機関は、民間資金の需要、あるいは、さっき話のありました新規発行国債その他の公債消化にも応じなければならないのは当然でありますし、そこで、銀行が貸し出し資金調達のためにこの保有国債を売却していこうというようなことになってまいりますと、当然日銀は買いオペをやっていかなければならなくなってくるのではないか、そういうことになってくると、これはやはりインフレの方向へといかざるを得なくなってくるのではないか、このように考えるわけですが、その点についてお願いします。
  210. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いろいろ御心配の点を御指摘があったわけですが、私どもも実は同じことを心配いたしておるのであります。したがって、そういうことがないようにということで初めから考えております。  公債をどうするかという計画をいたします場合に、ただ公債だけではないのでございます。まだほかの地方債もありますし、政府保証債もありますし、民間の起債もありますし、さらにその他の金融機関に対する資金の需要、それから一方で蓄積があるわけですから、その全体をながめまして、それで財政規模を適正に押えて資金配分の適正をはかって、その前提のもとに出しておるわけなんです。したがって、公債発行のしかたの問題でございます。そういうようなやり方は、私どもはいたしておらないわけでございます。そこに公債金額の策定というのは非常にむずかしい点があるのでございます。現に、今年度におきましても、当初予算の編成の方針をきめ、その後わずかではありますが、なお経済の見通しが変わってきたということに合わせまして公債発行計画をきめこまかく改定しているわけです。そういうような点は十分に気をつけておるわけでございまして、したがいまして、何か金融機関のほうで公債を売りに出すとか、あるいはそれによって日銀が何か動き出すというような事態は、これは何らあるべきものでもございませんし、私どものようなやり方の公債のもとにおきましてはとうてい予想できないところであるというふうに御理解をいただきたいのでございます。
  211. 広沢直樹

    広沢(直)委員 要するに、国債発行国民からの借金の証拠には違いないわけですけれども、四十一年度末の公債発行高は幾らになっておりますか。
  212. 中尾博之

    ○中尾政府委員 これは内国債の合計で申し上げます。一兆四千二百十八億円でございます。
  213. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは、もう一点お伺いいたしますが、一般会計の当初予算に対する比率は何%になっておりますか。
  214. 中尾博之

    ○中尾政府委員 四十二年度予算におきまして一五・九%でございます。一六%と御理解いただきたいのであります。
  215. 広沢直樹

    広沢(直)委員 この公債発行高は四十一年度末で一兆四千二百十八億円、これは一般会計の当初予算の比率とずっと比べてみますと、三七%になると思います。四十一年度末の国債発行高一兆四千二百十八億円ということになりますと、そうなりませんか。
  216. 中尾博之

    ○中尾政府委員 割合をおとりになりますとそういうことになります。ただし、公債一般会計公債だけじゃありません。現在の債務残高一兆四千二百十八億円の中には、特別会計に所属するものもございます。それから、ものによりましては、一般会計債だけではないという点がありますので、ただこれをぶつけてみてもどうということにもならぬかと思います。
  217. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そういうことになってまいりますと、四十二年度末にはこれは累積されると二兆二千数百億円になる、その比率はこれまた高まって四六%ぐらいになるのじゃないかと考えられるのです。そこで、新しい経済計画の目標年次である四十六年末には大体六兆円ぐらいになるのじゃないか。もうすでに発行されている分を加えてまいりますと、相当な、約十兆円近くの累積額となってくるのですが、このように累積されていく公債を具体的にどのように償還していこうとお考えになっていらっしゃるか、その点お聞きしたい。
  218. 中尾博之

    ○中尾政府委員 ただいま申し上げました中には割賦償還によりますところの交付公債等がございますので、それらのものにつきましては、そのつど財源をもちましてそれを返していくということであろうと思います。こういうものは借りかえというような問題はございません。それから、その他定率繰り入れの対象になっておりますような、いわゆる建設公債を中心といたしました分、こういうものにつきましては、今後万分の百六十、百分の一・六という率によって財源を繰り入れてまいりますから、それと、それから剰余金の二分の一でありますとか、そういうような財源、それから借りかえ、これをからみ合わせまして、そのときそのときの状況によって、あるいは借りかえてみたり、あるいは繰り上げ償還をしてみたりというようなことをしてまいるわけであります。ただ、全体として六十年たちますればこれを償還するに足る財源がみんな入ってくるわけでありますから、それ以内にこれを償還する、もう借りかえませんで償還するという形になると思います。ただし、具体的にその六十年間にどういうふうに返すかという問題になりますと、それはそのときの財政金融状況を見まして、最も適当な方法をとるわけです。
  219. 広沢直樹

    広沢(直)委員 いまその償還についてのお話の中に、具体的な計画として六十年という、今度の法律改正のところでも出ておりますけれども、その償還が先ほどから問題になっている点でありまして、やはり返済の期日、あるいは一体何年先に幾らの償還をしていくのか、また幾ら借りかえをやっていくのか、そういう基本的な計画というものはすでにつくられているのですか。
  220. 中尾博之

    ○中尾政府委員 これはあらかじめ計画をつくって実施していくというような仕事に実はなじまないものでございます。それで、実際問題といたしましては、一般会計から資金を入れますと、これはいつでも使えるように予算の措置をとるわけです。これはその年度に使わなければ逓次繰り越しまして、その金は、まとまっているだけは何年たってもいつでも使えるという流動性を持たせておきまして、そしてあとは市中の金融状況あるいは経済情勢、それらのものに合わせまして、あるいは金利の見通しとかいうようなものに合わせて、国民経済運営上一番いい方法で、同時に財務管理上一番有利な方法をそのつど選ぶわけでございます。したがって、あらかじめ何年何月にこういうことをやるというわけにはちょっといかないわけでありまして、そのときそのときの情勢に合わせましてそこをやっていくということになります。
  221. 広沢直樹

    広沢(直)委員 しかし、大体七年七年で返還するということになっているわけでしょう。ですから、これから国債発行してやっていくと考えていくならば、当然そういった返済の期日だとか、あるいは何年先に幾ら償還していく、あるいは借りかえをどういうふうにやっていくかというその基本計画というものは、国債政策をとっていく以上は当然これは考えていかなきゃならない問題だと思うのです。その点は、そのときそのときでやっていくということは、やはり長期にわたる公債発行あるいは償還見通しが非常に困難である、そういったことを意味しているんじゃないかと思われるわけですが、そういった点から考えてまいりますと、非常にこういった面に不安を感ぜざるを得ないわけですけれども、その点についてお願いしたいと思います。
  222. 中尾博之

    ○中尾政府委員 そういうことではないのでございまして、これはどんな事態が起っても非常にリジッドな計画のもとにやるということが許されるものでは実はないわけなんであります。先行きを見まして、買い入れ消却を有利とする場合にはそれに遅滞なく飛びついていかなきゃならない、それから繰り上げ償還によって国庫の利益が得られるという場合には、繰り上げ償還あるいは買い入れ消却というような打つ手もございます。それからまた、ある場合には、市中に対して資金をどういうふうに供給するかという資金の需給関係ですね。それからそれが経済運営に非常に影響があるわけでございますから、大きな金を動かすということになりますと、そのタイミングも考えなければいけないというようなことからいろいろ制約されまして、そして運営をしていくわけで、そのために国債整理基金という基金制度というものができているわけです。あらかじめこれが予算でやるとか、ある年度でやるとかいうなら基金は要らないわけで、基金というものでここにファンドをつくっておきまして、適時機を逸せず出ていくということが一番大事なことでございます。そういう程度のところでございまして、決して見通しが立たないとかいうことではありません。
  223. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこでいまの減債制度になってくるわけですが、いまの減債基金の繰り入れというわけでありますけれども、常識的に判断していっても、政府のいう百分の一・六というのは非常に少ないじゃないか。こういった低率の消却を考えていると、結局は継続的な、先ほど話にありました借りかえによる国債期限が長期にわたってまいりますし、国債の累増的増加をもたらすことになってくる。少なくとも国債残高の累増あるいは償還基金繰り入れ額の累増も考えられるし、またそういうことになってまいりますと、国債の増発をチェックしていくという財政面からの歯どめ、そういったものが行なわれなくなってくるのじゃないか、こういうことが考えられるわけですが、その点について……。
  224. 岩尾一

    岩尾政府委員 百分の一・六というのが非常に低率であるという御意見でございますが、先ほど大臣からお話しございましたように、戦前にやっておりました定率繰り入れは万分の百十六でございます。したがって一・一六ということで、八十六年ということに相なるかと思います。それから、外国では現在では大体有名無実ということで減債制度というのはやっておりませんが、残っておるもの、あるいはいままでやったものについての年限は大体五十年あるいは百年ということで、二%とか一%というものを入れるというのがおもなところでございます。  なお、基本的な考え方といたしましては、従来から御説明をいたしておりますように、建設公債によってつくられていく国民財産というものが効用を発揮する期間、その見合い期間というものをどのくらいに見ようかというと、それは大体六十年くらいであるということになりましたので、六十分の一というので百分の一・六という計算をしたわけです。したがって、百分の丁六は低いわけではなく、私らとしてはむしろ外国その他の例からいいまして、相当高いものであると思っております。
  225. 広沢直樹

    広沢(直)委員 最後に、大蔵大臣にお伺いいたしますが、国債に踏み切った段階において政府の判断に誤りがあったのではないか、こういうことを一つ指摘しておきたいと思うわけです。  というのは、四十年度の国債は税収欠陥を埋めるためのものである、四十一年度においては、それは財政法第四条による建設国債発行して景気の上昇をはかったわけですが、形式は異なったとしても、臨時的——赤字公債にしてもあるいは恒常的な建設国債にしても、深刻な不況克服という政策目的が国債発行の原動力になってきたことは事実ですけれども、しかし、当時は不況は長期に続くという判断をしておったと見られるわけです。  そこで、四十一年の二月ですか、前大蔵大臣福田さんも、昭和四十二年度、四十三年度という時期も、大体四十一年度のあの不況の底にあったそれと同じような経済の判断をされて、そこでそういう経過を経ながら民間の経済力もだんだんついてくるし、そこで四十四年、四十五年あたりが境目になる、日本経済が公債発行政策を主軸とする経済政策によって回復する時期は、必ず四、五年先にはやってくる、そういう際には税収のほうは高まってくるわけだから、だんだんと公債発行額は縮めていける、このような判断のもとにまず赤字公債発行した。そうして、四十一年度にこのようにおっしゃっていらっしゃるように、景気を回復させよう、こういうふうに考えられたわけでありますが、それは、御存じのように、四十年まで待たずに二年間で回復してしまった。  そこで問題は、そのときの銀行の、日銀の総裁も、国債発行は景気の沈滞から民間資金需要が低調であればこそ行なわれるのであるから、資金需要が旺盛であれば、巨額の国債発行による財政面からの景気策も不必要である、このように言っておりますし、また大蔵大臣も、国債発行中は金融の緩和基調をもって金融機関にはしわ寄せをしない、こういうことを言明しておるわけです。  現在の状態を見ますと、金融市場に非常なゆがみが目立ってきておりますし、国庫、運用部資金、そういう公的部門では資金が非常にだぶついてきて、民間、特に市中金融機関の手元にはそれが窮迫してきて、そのために国債価格が下落してくる、あるいは金融債の引き受けを削減しなければならない、そういったような問題が出てきている。そこで政府は、市中の金融の窮迫を緩和するために、これを削減するかあるいは繰り延べするかということで問題になってきておるわけでありますが、その問題に関して、これは減額するという方向に考えていらっしゃるかどうか、その点についてお聞きしておきたい。
  226. 水田三喜男

    水田国務大臣 税の自然増のあり方、金融市場のあり方によって適切な措置を私どもはその際弾力的にとるということでございまして、どういう形をとるかということは、これからの推移によってきまるだろうと思います。
  227. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、先ほど申し上げましたとおり、好景気には財政を圧縮していく、あるいは自然増収分は国債を減額していくということで当初国債発行がなされたわけです。しかしながら、四十二年度の予算編成のときには、四十二年度の一般会計予算は前年に対して大体一四・八%、伸び率がそういうふうになっておるわけですが、その対前年度の四十一年度は一七・九%で、非常に下がっているわけです。景気上昇期下の当初予算の規模としてはかなりやはり大型のものとなっておりますが、しかも予算内容を見ますと、既定経費の軽減に不十分な上に、あるいは公社、公団、そういったいろいろなものを含めて、税収の見積もりも明らかに過小な見積もりをしておったのではないか。そこで、予算規模そのものにしても、国債発行規模はもっと圧縮できたのではないかと考えられるわけですが、その点についてはどう思われますか。
  228. 水田三喜男

    水田国務大臣 昨年の予算編成期におきましたときの経済情勢あり方、そのほか、いまのそれに基づいた税収の見積もりというようなことにつきましては、しばしばもう御説明したとおりでございますが、その当時はまだ税収の見込みも、いま国会で承認していただいた予算よりも二百億円少なかった。しかし、国債発行額も二百億円多いことを予定しておりましたが、選挙後、新しい経済の情勢に応じてもう一ぺん予算編成の方針を吟味しました結果、税収をふやし、そして国債発行額も減らしたということでございまして、こういう調節を加えてできたのがいまの予算でございますが、その後この予算の執行の過程におきまして、いろいろ当初の見通しに違った変化が出てきておることは事実でございますので、この変化に応じて、今後財政政策についても相当弾力的な措置を必要とするだろうと私ども考えておる次第でございます。
  229. 広沢直樹

    広沢(直)委員 四十二年度の予算は、要するに景気の過熱が心配される段階にありましたので、それを押える意味において、予算総額においても五兆円を下回る、あるいは国債発行にしても、これは四十一年度においては歳入に対比して一六・九%の発行、ところが六百五十億円の減額をやっておりますので、結局は歳入予算に対しては一五・四%に依存度は低下しているわけです。ところでその当時、確かに国債においても当初予算に比較してみるならば一六・九%であるが、四十二年度の八千億円は、これは一六・四%か二%だったと思うのですが、そういった線で低く見積もって、決してそれは過大ではない、こういうお話をなさっておったわけですけれども、現実の問題として、四十一年度は約六百五十億円の減額をやっておりますので、歳入に対する依存度というのは大体一五・四%ぐらいに下がっているわけです。当然、そうなってくると、本年度の八千億円の国債発行というものは、当初予算に比較していままでにない相当過大な考え方になってくるわけなんですが、その点から考えていくならば、こういう四十一年度は確かに不景気であった、四十二年度、四十一年後半から非常に好景気になって、現在景気がいい、こういった場合に、国債を圧縮する、いや減額していくということが、当然国債発行下においては考えていかなければならない問題だと思うわけですけれども、この問題について、前年に対しても非常に過大になっているわけですが、これを下げていくお考えがあるのかどうか。
  230. 水田三喜男

    水田国務大臣 もうしばしば申し上げていますとおり、国債の依存度は前年度より下げるという方針を私どもは持っておりますので、国債依存度は下げたいというふうに考えております。
  231. 広沢直樹

    広沢(直)委員 では最後に、当初予算で一六・四%ぐらいの依存度になっているわけですが、結局は、これは本年度はそういうふうに——いま前年度比べましても一五・四%になっておるわけですが、それ以下に下げるという意味ですか。
  232. 水田三喜男

    水田国務大臣 当初予算におきましては、昨年度よりも——昨年度は依存度が一六・九%だったと思います。今年度は一六%でございましたが、おっしゃられるとおり昨年すでに一五・四%という依存度の実績が出てまいっておりますので、本年度は、私どもは情勢を見て弾力的な運用によってこの依存度は昨年よりも下げたいというふうに考えております。
  233. 内田常雄

    内田委員長 本案に対する質疑は、これにて終了いたしました。     —————————————
  234. 内田常雄

    内田委員長 これより討論に入ります。  通告がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。
  235. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私は、ただいま議題となりました国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表して、反対の討論をいたしたいと存じます。  第一に、私どもは、政府が今日行なっております公債発行政策そのものについて反対であります。財政法第四条は、原則として、国の歳出について、公債、借り入れ金以外の歳入をもって財源とすべきことを期待しておるわけであります。もちろん、公共事業費あるいは出資金、貸し付け金等の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で公債発行、借り入れ金ができることになっております。しかし、その趣旨は、社会資本の充実、公共投資の立ちおくれを理由にいたしまして、使い道が特定されないような形で、一般会計の中で無責任な放漫無計画公債発行されることを許す趣旨ではないはずであります。公債は、国の国民に対する借金であります。いずれは国民の税金で返済されなければならないものであります。今日、公共投資、社会資本の充実の名において、独占資本に多くの利益をもたらすような財政投資が盛んに行なわれておりますが、国民の真に要求いたしております生活環境の整備、向上であるとか、あるいは大衆の健康をそこなう公害、こういうものに対する防止の施設などについては、非常に軽視をされておるのが現状でございます。そういう財源の調達を、建設公債の名において合理化し、将来の国民大衆の負担を無制限に増大をすることは、負担公平あるいは応益負担原則に照らしても納得ができないところであります。  第二に、政府がいかに答弁されようとも、公債発行はインフレを助長する結果となります。特に今年のごとく、製造業はフル操業、フル生産の状態にあり、いわゆる設備投資主導型の好況局面を迎えた際に出される公債は、いわゆる資源、資金の完全な消化がされている状況における公債発行でありまして、これはインフレに必ずつながるといってもよいのであります。さらに、財政法の四条二項の公債だから建設公債だというわけでありますが、一般会計発行される公債は、それがどの建設に投ぜられ、どのように生産的あるいは収益性のある面に使用されたか裏づけることはできないわけであります。したがって、一般会計における財政需要の増大に対して歳入が不足をしている、そういうことを補うために発行されるしょせん赤字公債だと言うこともできるわけであります。もちろん、赤字公債でも、経済の不況期に出される場合には若干生産的効果は期待される。しかし、好況局面の資金、資源の余裕のないことしの場合においては、全くインフレにつながる公債発行であると言わなければならないわけであります。このようにして発行されるものに対して私たち反対なのであります。  第三には、このようにして公共事業に投資する公債は資本支出だから、そして公債にその財源を求めることとしますと、公共事業に対する財政需要は強いのです。これは年々限りなく増加の傾向をたどります財政の中に公債が完全に組み込まれてしまって、公債の元利の償還というようなことを通じて財政の硬直化をもたらす大きな要因にもなるわけであります。したがって、そういう状態になりますると、四、五年先には何とか見直す、あるいは公債発行しないような状況にしたいという願望は申しておりまするけれども、そういうチャンスをつかむことはまずできないであろう、とめどもなくやはりこの種公債が、社会資本の立ちおくれを是正する公共投資だという名前はつけながら、累増の一途をたどらざるを得ないではないか。こういうような状態の中で累増する公債は、昭和四十六年度あたりには五兆円をこえるでありましょう。しかも、借り入れ金を合わせれば、四十七年度における元利の償還は二千五百七十七億円、四十八年度には七千四百五十七億円、四十九年度には九千十八億円というような巨額にも達するのであります。これは政府が出した財政法二十八条による償還年次表というものにそういうことが書いてあるわけであります。まさに、このような実態に備えて、今回、もはや放置することができないということで、国債整理基金特別会計法の一部を改正して、前年度首の国債残高に対して百分の一・六の定率繰り入れをやろうというのが今回の改正点であります。しかし、これは減債制度の名に値しないものであるというように考えられるわけであります。すでに定率繰り入れの対象となっている公債は、今年度末には二兆円になんなんとしております。しかも、財政制度審議会の答申にもありましたように、政府公債発行に対するいわゆる節度ある発行が可能なために減債制度の充実というものが要求されたはずでありますが、このような低率な繰り入れによっては、いわゆる公債発行の歯どめというようなものにも全く寄与しないものであろうと思うわけであります。昭和四十六年度には五兆円をこえるそういう累積が予想される公債償還財源として、今年度八十億円程度の定率繰り入れだというようなことは、まことにおざなりの、お義理一とおりのものにすぎません。決してこれが財政の健全化、国債信用維持、そういう面に役立つものとは思われないのでありまして、また、財政法の精神に沿った国債整理基金あり方についても、いまこそ、より真剣な立場で検討が行なわれなければならないと思われるにもかかわらず、そういう面で根本的な検討を怠ったものと言わなければならないのであります。最近における国債の市中価格が値下がりを続けているというようなことも、この一つの反映ではないかというように考えられるわけであります。整理基金特別会計においては、容易に公債の借りかえができるようにそのことが予定をされ、しかもそれが、日銀引き受けということが行なわれるたてまえになっている。しかもそれは、財政法違反ではないのだ、こう強弁をされるわけでありますが、財政法原則というものをしっかりと踏まえ、その精神に従って真に国の健全財政を打ち立てていく、そしてまた、長期にわたって安定した経済の姿を維持していくというような立場から見まするならば、今回の改善策は、まことにびほう的な、当面を糊塗するものでしかないわけであります。しかも、借りかえ借りかえでいく、しかもそれが、日銀手持ちの限度において日銀の引き受けになっていく、こういうようなことが許されていくといたしますならば、より一そうインフレ助長の要因になりかねないわけでありまして、この面についても十分な危惧を表明いたさなければならないわけであります。  次に、財政法第四条二項の、公債発行する場合はその償還計画国会に提出しなければならない。また、同法の二十八条で、償還年次表を国会に提出すべきことが命ぜられておるわけであります。そういうことになっておるわけでありますが、政府は、国債償還計画を少なくとも銘柄別にその財源を示し、償還年次計画の額、あるいは方法等を示したものを出さなければ償還計画というものに値しないと考えるわけであります。財政法二十八条による予算参考書類として国会償還年次表が出ておりますが、七年満期のものの国債の支払いの時期は、発行年から七年経過したら支払います、これだけの額でございますというだけでございまして、これはいわゆる償還計画を出したのだというようなことには全くならない。七年目の期限をつけた公債が七年目になったらこれだけの額でございます——それは一体何の意味があるかというようにすら思うわけでございます。財政法四条二項で求めている償還計画としては、全く国会に提出をされてない、こう断言せざるを得ない状況にございます。このようなことが許され、今後も財政違反が続けられて、正確な償還計画が示されないままに長期にわたる巨額の国債発行されるならば、そして百分の一・六の非常に低い定率繰り入れを主とした減債制度で運営をされていく、こういうことになりまするならば、日本の国家財政はいよいよ不健全な姿となって、インフレを推し進める結果となり、国民経済、国民の生活に重大な結果をもたらすでありましょう。私どもは特にこのことをおそれるわけであります。  このような政府公債発行に対する態度、公債発行に節度を求める一つの有力な方法であるべき減債制度をこのようなことでお茶を濁すやり方、こういうものを考えます場合に、政府公債発行が、いつの間にか社会資本の充実だ、あるいは公共投資の場、こういう名によって、やがては第三次防衛計画、あるいはそれに引き続く軍事予算の増大のための軍事公債にいつ何時転化をしていくかもわからない、国民戦争のどろ沼に追い込むような状況がこれらの面から出てこないとは何人も保障し得ないのではないかと思うわけであります。すでに軍事公債の犠牲を身をもって味わった国民の大多数を代弁しながら、法案に反対するものでございます。
  236. 内田常雄

    内田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  237. 内田常雄

    内田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  239. 内田常雄

    内田委員長 次回は、明十九日、水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後六時五十八分散会