運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-12 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十二日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 藤井 勝志君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 武藤 山治君    理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       菅  太郎君    小峯 柳多君      小宮山重四郎君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    砂田 重民君       西岡 武夫君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       山中 貞則君    渡辺美智雄君       只松 祐治君    野口 忠夫君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    村山 喜一君       柳田 秀一君    山田 耻目君       横山 利秋君    永末 英一君       田中 昭二君    広沢 直樹君  出席政府委員         総理府人事局長 増子 正宏君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次         長       武藤謙二郎君         大蔵省関税局長 谷川  宏君         大蔵省証券局長 加治木俊道君         国税庁長官   泉 美之松君         建設大臣官房長 鶴海良一郎君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   渡辺 哲利君         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         大蔵省主税局総         務課長     佐藤 吉男君         大蔵省関税局企         画課長     植松 守雄君         大蔵省証券局企         業財務課長   安井  誠君         大蔵省銀行局保         険部保険第一課         長       村田  博君         国税庁税部長 奥村 輝之君         通商産業省企業         局次長     下山 佳雄君         建設大臣官房地         方厚生課長   福地  稔君         自治大臣官房参         事官      志村 静男君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 七月十二日  委員堀川恭平君辞任につき、その補欠として砂  田重民君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度における旧令により共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改正に関する法律案内閣提  出第七五号)  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律案内閣提出第一〇一号)  国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  通関業法案内閣提出第一一三号)(参議院送  付)  資産再評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議開きます。  昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案を議題といたます。  質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 きのう大蔵大臣質問をいたしましたが、その答弁が残っておりますので、大臣にかわりまして、政務次官のほうから答弁ができましたら、お答え願います。
  4. 小沢辰男

    小沢政府委員 たしか、先生の御質問は、長期短期共済掛け金個人負担限度は、一年間について俸給の一カ月分程度限度だと思うが、おまえの考えはどうだ、こういうお尋ねだったと思います。  私どもは、必ずしもそうは思わないのでございまして、組合年間における掛け金負担総額俸給の一カ月分に相当することとなるような例を生じていますことは、確かに御指摘のとおりだと思います。しかし、他のいろいろの社会保険関係負担均衡等考えてみますと、必ずしも一カ月が限度だと言い切るわけにはいかない。また、諸外国の例といいますか、そういうものを見ましても、先生のお説のように、私どものほうから、一カ月を限度だというようにはどうも申し上げられないわけでございます。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 諸外国の場合と単純比較をしてもらったのでは困るのであって、アメリカの労働者賃金日本労働者の四倍、ヨーロッパで二倍というのが今日の実態であります。そういうような立場から、いわゆる社会保険費として支払うべき限度額というものがどうなければならないかということは、生活水準の確保という立場や、その他のいろいろな問題にも関係があるわけでありますけれども、今日までの日本長期あるいは短期共済の動きを見てまいりますと、いまも小沢さんが認められましたように、すでに一カ月分をこえておる地域があるわけであります。そういうような団体等現実に存在をする。たとえば、青森県の市町村共済掛け金率というのは、これは公務員負担分が千分の五十五でございます。使用者負担金率まで入れますると千分の百十、こういうような非常に高いレベルに達しておることは御承知だと思うのであります。なぜこういうふうになったのかということについては、後ほど自治省のほうから説明をしてもらいたいと思うのでありますが、いわゆる長期の千分の四十二というものが、今度十二月からは、保険数理の再計算に基づきまして千分の四十五になる、こういう情勢であります。それに、かてて加えて短期のほうで千分の五十五ということになりますと、はるかに、一カ月分以上の保険費を支払わなければならないという実態になってくる。その基本的な問題といたしましては、やはり給与単価が低いというところに問題があるのであります。  現に、昭和四十一年の三月末の給与実態はすでに統計資料として出されておりますが、市町村の場合には二万九千百七十八円の平均ベースであります。こういう状態であるがゆえに、短期給付掛け金率が非常に高くならざるを得ない。そうして、これは限度ワクがありませんで——健康保険であんならば、労働者負担分は千分の三十五までということで天井がありますけれども国家公務員なり地方公務員の場合には天井がないのであります。そういう立場から考えてまいりますと、これは際限なくその掛け金率をふやしていけばよろしいということになっておるのでございますが、それはやはり間違いではなかろうか。そこには何らかの限度ワクというものがなければならないと思うのであります。だから、保険数理に基づいた一つ掛け金の率の問題だけではなしに、現在の給与体系の問題がどういうふうになっているのかというような問題や、あるいは保険の中における付加給付状態問題等もまた問題になるかと思いますが、そこには、やはりそういうものが源泉徴収の形で、税金と同じように強制的に取り立てられておるわけであります。そういう立場から考えますと、今日の公務員給与ベースというものは、これはほんとうに最低の生活を保障するだけしか賃金が与えられていない、かてて、そこに一カ月分以上の保険料を強制的に取り立てるということになれば、非常に問題が大きいわけであります。したがって私は、そういう立場から、これは公務員給与という問題と総合的に解決しなければならない筋合いの問題がひそんでいると思うのであります。  そういうことで、一カ月分程度というのが、日本の今日の公務員の現状から見た場合には常識的な水準ではなかろうか、それ以上越えた場合には、これはよほど注意をするかあるいは、国のほうで何らかの負担金というものを出すべきではないか、こういうような考え方を持っておりますので質問を申し上げたわけでございますが、味もそっけもない答弁をいただいて、この点はまことに残念に思うわけでございます。今後、やはりこの問題は総合的に大蔵省のほうでも検討を進めていただきたいのでございます。  そこで、自治省お尋ねいたしますが、なぜこういうような状態があらわれてきているのか、これに対してどのような改善措置を講じようとしておられるのか、この点をお答え願いたいのでございます。  それから、小沢政務次官には、あなたは厚生行政についての権威者でございますから、ここで民間との対比を申し上げるわけではございませんけれども公務員のいわゆる福利厚生費というものが非常に低い、それに比べまして、民間の場合の日経連資料等を調べてみますと、四十年度におきまして、一人当たり四万五千三百二十四円といういわゆる厚生福利費が出されておるわけであります。しかも、その中身を調べてみますと、法定外福利費が三分の二で、法定内福利費というものが三分の一の状態である。これに比べて、公務員の場合には、四十年度においては千円しか福利厚生費が計上されておらない。まあ今度若干改善をされておるやに聞くのでありますが、こういう問題を同列に並べて考えるわけにはまいらない。しかも、民間の場合にはそれぞれ医療の機関を持っておりまして、診療機関がある、そこでサービスを受けるという部面があることは、これまた御承知のとおりであります。そういうような点等を勘案をしてまいりましたときに、やはり根本的にこの問題については考えていかなければならない時期に来ておりますから、いまあなたにお伺いをしたいのは、公務員厚生福利費の問題について今後どういうふうにおやりになるつもりであるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  6. 志村静男

    志村説明員 お尋ねの件でございますが、御指摘のように、青森の場合を含めまして、市町村職員共済組合の場合におきましては一般的に財源が高いわけでございます。それでは、その原因がどこにあるかということでございますが、率直に申しまして、その原因は、客観的に正確に把握することはなかなかむずかしい点があるわけでございます。私どもといたしましては、一般的には、やはり薬剤費の増加ということ、あるいは、市町村職員共済組合の場合には、一般的に規模が小さいわけでございますので、弾力性に乏しい、こういうようなことがおもな理由ではないか、かように考えております。  それから、これに対しまして、どういったような対策をとっておるかということでございますが、私どもといたしましては、今回の附帯決議にもございましたので、いわゆる短期給付調整資金制度の創設ということにつきましていろいろ検討してみたわけでございます。  ところが、この点につきましては、先生も御承知のように、市町村職員共済組合は四十以上あるわけでございまして、個々共済組合によりまして短期給付経理が違うわけでございます。いわば利害関係というものが相反するというような点もございます。また、さらに四十一年度におきましては、各単位共済組合経営努力等もございまして、だいぶ短期経理の収支というものが好転してまいりました。したがいまして、私どもといたしましては、いましばらく短期経理推移状況というものをながめながら、短期給付調整資金制度もあわせまして、今後これが対策というものにつきましては引き続いて検討してまいりたい、かように考えております。
  7. 小沢辰男

    小沢政府委員 国家公務員厚生費千円をもつと引き上げないかというお尋ねでございます。  私ども、その問題については、おっしゃるように、民間との開きが相当あることは承知いたしております。人事局等の所管になりますが、御要求があれば、ひとつ前向きに検討していきたいと考えております。  それから、いま弱小の地方共済について限度以上に負担をしている、そういうものについては、何らか国庫から負担をするなり、てこ入れの方法を考えるべきじゃないかというお尋ねでございますが、やはり長期短期とも、国民全体の公平な見地から見まして、これは個々の小さな共済なり、あるいはそれぞれのグループに分かれ過ぎておるのじゃないか、もう少しこれを先生方とも——もちろん、今後いわゆる短期給付についての根本対策長期についても、国民一定掛け金をもって、もう少し広いプールができるような方向でいけばいいのですけれども、どうも、個々のいろいろな利害関係といいますか、実情で、必ずしも労働者側においても賛成がないような実情もございますし、こういう点は、やはり根本対策をもう少し広い視野から検討する必要があるのじゃないかと考えております。
  8. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間もありませんので、私は次の一問だけで打ち切りますが、いま大蔵政務次官お話なさいました福利厚生費増額の問題、これは人事院なりあるいは人事局のほうからの要請があれば、前向きの形で考えてみたいという説明でございます。それにつきましては、それぞれ人事院なりあるいは人事局のほうで、あまりにもけた違いの福利厚生で、民間との比較において差があり過ぎる。この問題については当然お考えをなさって、それぞれ要求をされる立場にあると思いますが、その方向をこの場合明示を願っておきたいのであります。  それから、きのう人事院総裁に対しまして申し上げましたいわゆる三分の二の換算方式、この問題については非常に問題がある。したがって、兵役の期間等については、中身を〇・二五の分を〇・八に見るように改善はされたわけでありますけれども、なお今日三分の二の方式が残っておるということについて非常に問題が発生をしているということを、具体的な例を引いて私はきのう説明を申し上げたわけでありますが、これに対しましては、中身の部分についてはさらに改善をしよう、給与是正について努力をしようという話がありましたけれども、三分の二方式については、まだそこまで触れておいでにならないのでございます。これについても、当然今日の事態によって改善をすべき時期を迎えていると思いますが、やはりその人事院規則の九−八−二は改善される御意思はないのかどうか、この際承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  9. 増子正宏

    増子政府委員 職員厚生費金額の御質問でございますが、いまいろいろお話がございましたように、職員厚生経費につきましては、各省共通の問題でございますので、統一単価というようなことで、一応一人千円というようなことに現在なっておるわけでございます。この金額民間実情等に比べて低きにすぎるという御指摘、私どもも、実はそういうふうに痛感をいたしておるわけでございまして、人事局ができまして以来、実はこの増額にいろいろと努力してまいったわけでございますが、四十年以来据え置きになっておるのが実情でございます。私ども、昨年に引き続きまして、関係各省と協力いたしまして、この統一単価をできるだけ増額できるようにいたしたいということで、来年度の要求につきましてはそのつもりで努力をするつもりでございます。現に、いろいろと現在そういった措置を進めておるところでございます。
  10. 渡辺哲利

    渡辺説明員 御質問の経歴の三分二計算の件でございますが、昨日も総裁からお答えいたしましたとおり、従来可能な限り改善をやってまいったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、途中から参りました者と従来からおります者との均衡の問題もございますし、民間等におきましても、ある程度差もっけておりますので、現在のところは、三分の二計算規則の上での改正考えておらないような次第でございます。ただ、いろいろ情勢もございますので、そのつど、内容につきまして改善すべき点は、今後とも検討してまいりたいと思っております。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わりますが、いまの三分の二方式の問題は、現実に、給与面においても退職手当金にしても、あるいは、将来もらうべき年金にいたしましても、非常にそれが問題になって、一人の人について一千万円くらいの開きがあるところから、いろいろな満鉄の問題等年金換算の問題が基本的には出てきているのだ、こういう認識のもとに、これがはたして実情に沿うているかどうか、もう少しそこら辺は、もうやめる段階にきた職員の問題でありますので、さらに、これらの問題については、前向きの形で人事院としては公務員の身分を守る、生活を守るという立場で取り組んでいただくように私のほうから要望申し上げておきます。
  12. 内田常雄

  13. 武藤山治

    武藤(山)委員 いま村山君から質問された厚生費の問題について、もう少しはっきり詰めておきたいと思うのでありますが、現在厚生費として千円ずつ出しているその目的、性格は一体どういうものですか。ねらいは何であるか、はっきり最初に明らかにしておいていただきたい。
  14. 増子正宏

    増子政府委員 現在厚生経費としていわゆる統一単価が設けられております分について申し上げますと、これは、実は従来からすべてそういう方式できておるようでございますけれども内容的には、大体定期健康診断関係経費と、それからレクリェーション関係経費及び表彰費、大体そういったものを内容として従来積算されておるようでございます。
  15. 武藤山治

    武藤(山)委員 従来の中身は、定期健康診断が三百円、レクリェーションが六百五十円、さらに表彰式典五十円、こうなっておるようでありますが、一体、この程度の金で健康診断というのは年間何回ぐらいやるのか、三百円で一体完全な健康管理ができるものかどうか、あるいは、レクリェーションは六百五十円でどの程度のことを基準にしているのか、その辺の積算の基礎は一体あるのかないのか。ほんのつかみ金的に、従来六百円からだんだんきたんだからこの程度というつかみ金的なものなのか。それからもう一つは、これを支出するのに、何か制度的な法律なり政令なりできちっと支出しなければならないという、制度としてきちっとできているのかできていないのか。その辺の支出状態をちょっと明らかにしていただきたい。
  16. 増子正宏

    増子政府委員 ただいま御質問の件につきましては、たとえば、健康診断等人事院の所掌でございますので、私、その内容を詳しく申し上げることは控えたいと思いますけれども、率直に申しまして、これらの厚生経費は、実は、絶対これだけなくちゃならぬということはないといっていいんじゃなかろうかという感じがいたします。  と申しますのは、いわゆる福利厚生費といいますか、そういう分野に充てられる経費は、実は単価千円の分だけに限られていないわけでございます。いろいろな形で職員厚生福利関係措置がとられ、その経費が支出されておるということがあるわけでございます。ただ、この共通経費として統一単価を定めておる分については、先ほど申し上げましたものを一応の内容としておるということでございますし、その内訳も、大体の一応のめどというふうに考えてよろしいんじゃないかと思います。ただ、私の承知しておりますところでは、いわゆる定期健康診断につきましては、制度的な点のお尋ねもございましたけれども、これは人事院規則に基づきまして、必ず実施しなければならぬ診断、あるいは、特に必要に応じてやる診断なり検査なりというものがございます。そういったものは一応制度的にあるわけでございます。しかし、実際どれだけの経費がかかるかということになりますと、各省庁いろいろな事情があるわけでございます。一定の、従来からの診療組織などを持っておるところ、そういった手段などが自分のところにある場合とか、あるいは外部に委託する場合とか、いろいろなケースがございます。したがいまして、その具体的な経費というものは各省庁によっていろいろ違ってくる、こういう状況でございます。しかしながら、大体の一応のめどをつけまして、この程度はということで予算は計上されておる、実情に応じてそれが支出されている、こういうことでございます。レクリェーション等にしましても、この分野におきましては、特にこれは何々というものが定型化してきまっているものではございません。ある意味では、多々ますます弁ずといってもいいかと思います。しかも、それでは基準もありませんので、大体従来の実績等を考慮して、今日のようなところに及んできた、しかし、先ほど来お話がありますように、民間実情等との比較というものも、実は正確にというとむずかしいのでございますけれども、できるだけこれを増額して、職員福利厚生関係の充実をはかるということは、私ども共通の願いでございます。  その意味で、いろんな角度からいろんなくふうをこらしまして増額をはかりたいというふうに考えておるところでございます。
  17. 武藤山治

    武藤(山)委員 そこで、あなたのほうでは、現在これは別に法律できまっているわけじゃありませんね。そこで、制度として、公務員厚生制度というものをきちっと法律なりあるいは政令程度までのところで確立をする。地方公務員法ですか、四十二条、四十三条、共済厚生制度、いろいろ規定がありますが、そういうものをきちっと一つ体系にして、民間ではとにかく住宅手当、あるいは食事の食堂関係経費、そういうようなものをかなり見ておりますから正確なものではないでしょうけれども、四十年度で、かりに民間では、日経連の調べでも四万五千三百二十四円、この程度福利厚生費を出している。それと千円では、比較した場合に、あまりにも差があり過ぎる。そこで、つかみ銭的に出すいまのやり方を、もっと根本的に公務員厚生制度というようなことを検討する必要は感じないかどうか。もうそろそろそういう制度として考えていいんではないだろうか。そういう点についてはどうお考えですか。増子政府委員 お説ごもっともでございます。ただし、いまお話のありましたうちで、民間福利厚生費というものをどういうふうに考えるか、それに対応する公務員経費は一体どういう種目になっているかということは、実は、現在までにこまかな資料はございません。実は比較は非常に困難だという感じがいたしております。  たとえば、いま住宅手当というような面をちょっとお触れになったのでございますけれども、かりに住宅手当というものを考える場合に、これは福利厚生費であるのか、いわゆる給与の一種として考えるべきなのか、これは非常にむずかしい問題がございます。そういうことと、それから、公務員宿舎というようなものを一体どう考えるか、あれも福利厚生費というふうにすれば、これはかなりの経費を使っておるというのが実情でございます。  そういう意味で、民間福利厚生費といわれるものに対応さして公務員が幾らかというのは、現在のところ非常に比較が困難だということを申し上げるほかないわけでございます。  しかし、一方で、お説のように公務員厚生計画というものを考える必要がないかというと、これは確かにそういう方向に向かうべきであろうと私も考えます。ただし、この点は、どちらかというと、われわれの人事行政分野でも一番おくれているといいますか、いままであんまり手のつけられていない分野でございますので、これを行政的に確立するということは、もう少しいろんな面で検討しなければならぬじゃないかというように思います。
  18. 武藤山治

    武藤(山)委員 ひとつ、いろいろな面で今後十分検討していただきたい、強く要望いたしておきます。  同時に、先ほど村山委員質問に対して、千円は低過ぎると痛感している、増額努力している、来年度はさらに努力したい、こういうお答えがなされたわけですが、本年の予算要求の際にもこれは千円のままでいたのか、千五百円要求したのか。その辺の、各省予算要求の際の態度はどうだったのですか。
  19. 増子正宏

    増子政府委員 幾ら要求したかということを申し上げるのはいかがかと思うのですけれども、四十二年度としましては、各省共通で、たぶん千五百円の単価要求したんじゃないかと思います。
  20. 武藤山治

    武藤(山)委員 政務次官、千円は安過ぎるし、増額努力するということで、本年、聞くところによると増額予算要求をしたけれども大蔵省に切られた——どういう理由で切られたのか。その理由を、副大臣、わかっておったらひとつ明らかにしておいていただきたい。どうです。
  21. 小沢辰男

    小沢政府委員 御承知のとおり、三十年度から三十六年度まで六百円の単価でございました。三十七年度から三十九年度が九百円、四十年度から四十二年度までが一千円、こういうことでございまして、御承知のとおり、大蔵省というものは、いろいろな均衡考えながら予算をつくり上げているものですから、まあまあ従来の経過から見まして、今年もう一年というようなつもりで前年どおりにいたしたわけでございます。決して今後の問題として私どもはおつき合いをしないような気持ちはございませんので、先ほど御答弁申し上げたわけでございますが、ただ、やはり各省共通のいろいろな経費につきましては、いままでの実績等を見まして、そう飛躍的な増加はなかなかできませんので、大体いま申し上げました過去の推移というものを勘案しながら、均衡をとって実は査定をいたしたわけでございます。
  22. 武藤山治

    武藤(山)委員 一人千円では、総額にしてもそうたいしたことはないと思うのですよ。三十万人か四十万人と見ても、総額でどのくらいになるか、次官にはわからぬですか、主計局がおらぬと。
  23. 小沢辰男

    小沢政府委員 たしか六億円近い数字と思います。
  24. 武藤山治

    武藤(山)委員 そこで、先ほど人事局のほうからも、千円は低過ぎる、来年は努力したい、こういう答えが出ているのですが、さいふを握っているのは、大蔵省ですから大蔵省がまたまた値切ったのでは、せっかく人事局でやろうとしても、これはまあできない。  そこで、来年度の大蔵省の態度を、いまここでひとつ確認をしておきたい。小沢さんがはたしてそれまで政務次官をやっているか、十月の内閣改造で首になるかわかりませんけれども、退任をしても、ひとつ次の人に引き継ぐというかたい決意でこの問題については取り組んでいただきたいと思いますが、次官のひとつ御見解を明らかにして、確認をしておきたいと思いますが、いかがですか。
  25. 小沢辰男

    小沢政府委員 政府の国会における答弁というものは、決してその場限りのものでございませんので、したがって、これから前に申し上げました前向きで十分検討したいということは、これはもう私がかわりましても引き継がれていくものと私は確信をいたしております。また、当然、ここで私自身が御答弁申し上げたことにつきましては、私、どこにありましょうとも、大いにひとつ努力をいたしたいと思います。
  26. 武藤山治

    武藤(山)委員 来年度は裁定を少なくとも千五百円、ちょっと奮発すれば二千円、その程度の線は確保するように努力しよう、こういうお約束はできませんか。
  27. 小沢辰男

    小沢政府委員 金額につきましては、私、実は先ほど千円の内訳を申し上げましたように、健康診断、レクリエーション、表彰の三つを合わして大体千円が構成されているわけでございます。健康診断につきましては、各省、少なくとも一回以上はこの経費共済組合の福祉施設等も利用しながら実行いたしてございます。  ところが、一方、国民全体のことを思いますと、老人福祉法のことを考えましても、これは年一回の全老人にわたる健康診断にもなっておらないのでございまして、やはり予算編成をするときは、その辺の全体のかね合いというものをよく考えながら、ことに、国家公務員でございますので、私どもとしてはそういう点も考えていかなければならぬわけでございます。しかし、一方、表彰が一人五十円で済むかということになりますと、これは長い間国家の仕事に従事した方々に対して、現在の表彰の内容あるいは程度というのは、私、何か非常に少ないような気がするわけであります。あるいは、レクリエーション等につきましても、いろいろ限度はありましょうけれども、これは一体六百五十円で済むのかどうか、これも十分検討しなければいかぬと思います。しかし、私、いま前向きで十分検討したいと申し上げたのですが、金額をここで、幾らになるのか、その辺のところは、やはり全体の均衡考えながら、また、個々要求内容を見ながら1私ども要求官庁でありませんので、そういう意味では、ここで金額先生に申し上げる段階ではないと思います。
  28. 武藤山治

    武藤(山)委員 政務次官も引き上げるように努力するということは明らかになりましたから、それは確認してよろしゅうございますね。  次に、宿日直手当の問題について、ちょっと確認をしておきたいのでありますが、現在の宿日直手当は、土曜日は五百二十円、普通の日は四百二十円と、こういうことになっておるようでありますが、これは何年に改定して決定した金額ですか。
  29. 渡辺哲利

    渡辺説明員 宿日直手当につきましては、ただいまの四百二十円、それから土曜日からやりました場合の五百、十円という数字は、三十九年の勧告におきまして、民間と合わせましてきめた金額でございます。
  30. 武藤山治

    武藤(山)委員 三十九年にきめたこの額が、現在の経済情勢、社会情勢に照らして、妥当な金額だと現在お思いになっているかどうか。
  31. 渡辺哲利

    渡辺説明員 先ほど五百二十円と申し上げましたが、五百四十円の誤りでございます。訂正させていただきます。  三十九年以降三年間たっておりますので、その間、物価その他の上昇もございますので、現在あるいは妥当ではないというような気持ちもございまして、本年民間給与調査に取り入れて調査をしておりますので、その調査結果を待ちまして、民間が上がっておりますれば、それに合わせるというようなことで検討は進めたいというふうに考えております。
  32. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、現在民間調査を進めている、その結果、早ければ八月の人事院勧告のときに、同時に宿日直手当の問題も勧告できるかどうか、あるいは、そのとき同時に決定をできるかどうか。いつごろになりますか。
  33. 渡辺哲利

    渡辺説明員 ただいま民間給与の調査の一環として調査しておりますので、民間のほうが上がっております場合には、当然勧告の中に取り入れるというような気持ちで検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  34. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、宿日直手当のことは、今年の八月の勧告に盛られるかもしれませんので、この点については、十分御検討いただきたいという期待を申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  主税局は、宿日直手当についての課税限度、免税点、これを現在幾らに定めており、いつごろその金額を決定したものか、この二点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  35. 奥村輝之

    ○奥村説明員 現在は宿日直料は五百円以下ということになっていますが、これは小額のものであって、実物給与的なもの、あるいは実費支弁的なものについてはあえて追求しない、こういうたてまえで行なわれておるものでございます。  いまこの五百円をどうするかという問題であると思いますが、これは、一体そういうものの支給の実態がどうなっているかということを調べてみなければいかぬと思います。また、先ほどお話がございましたが、人事院のほうで官吏の宿日直料の単価の問題を検討しておられるようでございます。こういう結果を見合せわまして、一体どういうふうな限度が現在適正であるかというような検討をしなければならぬと思います。その際には、現在とっておりますような免税点方式がいいのか、あるいは基礎控除的な方式がいいのか、これもあわせて検討してまいりたいと思います。
  36. 武藤山治

    武藤(山)委員 その五百円という限度は何年の決定ですか。
  37. 奥村輝之

    ○奥村説明員 現在の五百円は、昭和三十年であったと記憶しております。
  38. 武藤山治

    武藤(山)委員 私は、昭和二十八年と聞いておるのでありますが、いずれにしても二年違いくらいですから、昭和三十年から四十年までの間は、あなたも御承知のように、特に三、十五年以来の物価騰貴が非常に激しく、実質的な生活水準というものが停滞をするような年もその間にあらわれてきている。こういう実情を十分把握してみると、どうもいまの五百円の免税点というのは低きに過ぎる。特に民間では千円支給しているところもあるでしょうし、千二百円支給しているところもあるでしょう。そういうような実態から照らし合わせて見た際に、どうしても五百円は低過ぎると思うのですが、あなたの感触はいかがですか。
  39. 奥村輝之

    ○奥村説明員 物価騰貴も、御指摘のように三十年から現在までの間に相当あると思います。したがって、この問題は、先ほど申しましたように、一体実態はどうなっているかということをはっきり見きわめまして、あわせて人事院のほうの調査結果も伺いまして検討してまいりたいと思います。
  40. 武藤山治

    武藤(山)委員 いや、あなたの感触は五百円で——だから感触という表現を使っておるのですよ、確実なぴちっとしたものでなくてもいいから、五百円という免税点は、これは低過ぎる、あるいは、これはまあ妥当だと思うか、いまの時世と比較して、その感触をちょっと伺いたい。
  41. 奥村輝之

    ○奥村説明員 御指摘のように物価騰貴その他の関係もございますので、再検討する時期に来ておると思います。
  42. 武藤山治

    武藤(山)委員 再検討の時期ということを確認をしたようでありますから、早急に人事院ともいろいろ連絡をとり、それぞれの関係官庁担当者と緊密な連絡をとって、早急にこれが改善をするように、強く要望いたしておきます。よろしゅうございますね。  次に、建設省の官房長お見えになったようでありますから、建設省の運営審議会委員の任命について、少しくお尋ねをいたしたいと思います。  官房長、運営審議会委員は、他の省はどんな比率になっているか、事務を主管する者の立場から選出される者、それから純粋の組合を代表する者、その委員は、あなたのところでなくて、ほかの省はどんな比率になって、どんな方法で選出していると思うか、それをちょっとあなたの認識しておる程度をまず伺いたい。
  43. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 比率の問題でございますが、私の承知しております範囲では同数になっておると思います。  それから、選出方法につきましては、各省それぞれの御事情がおありのようでございまして、一律の規定はないように承知しております。
  44. 武藤山治

    武藤(山)委員 各省が大体どういう手続を踏んで組合員を代表する者を出しているか、ほかの省の場合のその手続の踏み方は大体わかりていますか。
  45. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 各省それぞれ違うと思いますけれども、あるいは職員団体等からの推薦によって選ぶとか、あるいは共済組合の支部長の推薦によって選ぶとか、いろいろな方法によってやっておられると思います。
  46. 武藤山治

    武藤(山)委員 もし支部長の推薦で選んでいる、そういう省があったら、どことどこか明らかにしてください。
  47. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 各省当って全部調べたわけでもございませんけれども、法務省等につきましては、必ずしも職員団体のそういう推薦によらずして選んでいるというふうに聞いております。
  48. 武藤山治

    武藤(山)委員 あなたのところと法務省だけですよ、労働組合関係を経ないで上から大体指名した人を委員に出しておるというのは。これは例外ですよ。なぜ建設省だけそういうことをやるのか。私は、その点、官房長の態度が非民主的で、ことばを悪くいえば、皆さんが操縦しやすいような人だけをばっと出している。ほかは全部、聞いてごらんなさい。衆議院にしても、参議院にしても、総理府にしても、大蔵省にしても、通産省にしても、みんな労働組合に一応相談をして、組合の代表というものを出しておるのですよ。どうも建設省と法務省だけ例外で、組合のそういう手はずを全然踏まぬという態度は、非民主的といわれても抗弁できないと私は思うのですが、あなたのところは非民主的じゃないですか。
  49. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 建設省は非常に例外であるというお話でありますが、現に任命いたしております運営審議会の委員、これは各支部に割り当てまして、各支部の推薦によって任命いたしておりますけれども組合員を代表する委員として支部から推薦のあった人の中には、これは職員団体が推薦してきた人、その人を推薦してきておるという事例もございます。建設省としましては、その人を任命いたしておるわけでございまして、必ずしも例外ではないというふうに心得ております。
  50. 武藤山治

    武藤(山)委員 いいですか。あなたのほうは、組合を代表する者という人の中に、近畿地方は、建設局会計課審査係長でしょう。北陸地方は、水政課行政第一係長、さらに地理院総務課試験登録係長、大久保さん一人が出張所事務主任、大体労働組合側から一般の組合員の不満や要求や希望というものを聞き入れて、それをできるだけ共済運営の中に反映しようという立場の人というのはおらぬじゃないですか。ほかの省はみな、労働組合に、四人なら四人、五人なら五人の委員の人選をまかせておるのですよ。労働組合から学識経験のある人や、共済に特に明るい人や熱心な人を選任をしている。建設省だけこういう方法をとっている。私は、労働組合を認めない、まことに非民主的な態度だと思うのです。こういう態度を——官房長、あなたが副本部長でしょう。あなたがこれは改善をしなければならぬ。そういうあなたの誠意が見られるなら、この問題は改善できると思うのでありますが、あなたがそういう態度をとってもこれは改善できないという、何か障害があるのですか。
  51. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 建設省としましては、地域の分布を公平ならしめる意味で、各ブロックからの推薦制度ということは引き続きやっていきたいと思っております。その場合に、労働組合職員団体の推薦された人を推薦してまいるということを、別にその道をふさいでおるわけではございません。現に、先ほども申し上げましたように、たとえば中部の大久保君、これは職員団体が推薦した人を支部が推薦してまいりましたので、それを任命いたしておる次第でありまして、職員団体の推薦者を完全にシャットアウトしようというような考えは毛頭ないわけでございます。現在の委員は昨年の八月に任命されたわけでございまして、昨年の八月に、大久保君のみならず、ほかにもそういう適任者はないかということでいろいろやったわけでございますけれども組合との間で、——組合といいますか、職員団体との間で話がつかなかったというようなこともございまして、残念ながらこういう結果になっておるわけでございますけれども職員団体の意思を何らかの形で反映していくということは、これはけっこうなことだと思っております。
  52. 武藤山治

    武藤(山)委員 副本部長、官房長は、何らかの形で、今度は職員団体の意向を聞いた代表を入れることは差しつかえないといういまの意思表示ですね。非常にけっこうだと思うのです。そこで、具体的にこの次の改選の時期に、ひとついまの組合と官側の不正常な状態をどうすれば直せるか、また直す努力をどこからしようかという官房長の態度いかんで可能だと私は思うのですよ。  そこで、何らかの障害があるとすれば、どういう障害があなたとしては最も大きな障害だとお考えになっておるのですか。それは取り除けるか取り除けないか、取り除く努力をすれば可能だというあなたの御判断を聞かせてもらいたい。
  53. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 この問題は、職員団体と官側との間の相互信頼関係がどこまで確保できかるということにかかっておると思います。現に、昨年の八月にある職員団体からは委員の候補の推薦があったわけでありますけれども中身を見ますと、刑事事件で起訴されておって、目下休職中というような人を選ばれて推薦してこられたわけでありますが、現在休職中の人を運営審議会の委員に任命するというのもいかがかと考えます。そういう方を推薦されるという雰囲気でなくて、共済組合は、お互いに公務員全体の福祉のためにある組合でありますから、職員団体といえども、これを盛り立てていくのだという、誠意といいますか、信頼感といいますか、そういうものがやはり醸成されなければいかぬというふうに考えておるわけでありまして、私としましても、職員団体に対しましては、信頼感をお互いに持ち得る方向で交渉を持ってまいっておりますし、これからもそういう方向努力して、いい労使関係といいますか、そういうものの確立につとめたいと思っております。
  54. 武藤山治

    武藤(山)委員 それは、理事者側の立場からいえば、休職にされておる者が推薦されてきた、そういうものは任命できぬ、その気持ちはわかる。しかし、なぜ休職の状態に処分されたか、この事の起こりをずっと調べてみると、やはり共済問題の掛け金率の引き上げの問題、この問題をめぐって対立が深刻になり、そこでぱちっといって、その根底にしこりがあるから、今度は処分された者を出すのはけしからぬと片側がいっても、その原因共済運営にあるのだ、そういうようにお互いが平行線のけんかをしておったのでは解決にならぬと思うのです。  そこで、やはり問題は、ほかの省はそれぞれ労働組合からスムーズに出しているのですから、もうちょっと、第一組合、第二組合があっても、その両方の組合と、事、共済の問題については、ひとつうまい比率で両者も話し合って、三者でよく話し合おうじゃないか、そういう前向きの努力をすることによって解決できると思うのであります。特に、紛争当時はあなたではなかったわけです。紛争当時の官房長がいまそれをやるといっても、なかなかむずかしいと思うけれども、あなたはその紛争当時いなかった人ですから、新しい副本部長が調整して、うまく、正常な労使間の慣行ができるようにやろうと思えば、できるわけですね。  この次の改選はあと二年ですか、そのときに、ひとつそういう前向きの形であなたが検討しょう、組合側の意向も十分聞く機会をつくろう、そういう答弁が出るなら、私は過去のことについて質問はやめたいと思うのでありますが、もしそのことがあなたの言質からとれない場合は、一々最初から紛争の状況をひとつ質問しようと思うのですが、いかがですか。
  55. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 運営審議会委員の改選は来年の八月であります。先年の改選につきましても、先ほど申し上げましたように努力をいたしたわけでございますが、来年の改選につきましても、そういう方向努力していきたいと思っております。いろいろ地域によって事情が異なっておりますので、地域別のブロックごとに出するという方向は変えたくないと思っておりますけれども、御趣旨のように、職員団体の意向も何らかの形で反映させていくべきだという方向努力していきたいと思います。
  56. 武藤山治

    武藤(山)委員 ブロック別に出す場合でも、ブロック別に職員団体はあるわけですから、そのブロックの職員団体の代表と十分話し合うことは可能でしょう。それはどうですか。
  57. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 この選任方法につきましては、省全体としてルールを確立していかなければならぬ問題でありますから、本省におきまして、各職員団体との会見、団体交渉もやっておりますから、そういう場合を通じて、来年の改選期においては、良好な雰囲気のもとに問題が解決されるように努力していきたい、かように考えております。
  58. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、あなたの答弁を、来年の八月まで、あなたの誠意がどうあらわれるかを見届けたいと思いますから、来年の八月の改選が済んだあと、また委員会の結果について報告を求めますから、ぜひ誠意ある正常化のための努力を願いたいと思います。よろしゅうございますね。
  59. 内田常雄

    内田委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  本案の処置については、後刻、大蔵大臣の出席を待って議題といたします。      ————◇—————
  60. 内田常雄

    内田委員長 次に、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案通関業法案、資産再評価法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。広沢賢一君。
  61. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 資産再評価の法案についてお尋ねします。  「再評価積立金の残高調」というのがここにございますが、それによると、大体資本金が六兆七千五百六十億円と書いてあります。それで資本剰余金が九千七百八十七億円、うち再評価積み立て金が六千三百四十九億円、これは間違いないですね。
  62. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 御指摘のとおりでございます。
  63. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 これが年次別にどうなっているかお伺いしたいと思うのですが、たとえば、総資本に対する内部留保の内訳などわかりますか。たとえば、具体的にいいますと、二十九年から三十九年の十年間、高度成長のとき、公債発行の前ですね。そのときに、比率でもいいですから、内部留保の内訳を伺いたい。
  64. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 現在、御承知のとおり自己資本が四十一年三月末で一九%になっております。このうち資本金が一一・二%、社内留保が四・六%になっております。
  65. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 ちょっと、内部留保の内訳というのを、資本剰余金と利益剰余金に分けてでもけっこうですから……。
  66. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 資本剰余金と利益剰余金——この中に再評価積み立て金が入っておるわけでございますから、資本剰余金と利益剰余金でいいますと、資本剰余金が一・六%、それから利益剰余金が六・一%、かようになっております。三十一年度からとなっておりますが……。
  67. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 三十一年度でけっこうです。
  68. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 三十一年度は、全体でまず自己資本比率でいいますと二七・三%でございますが、そのうち払い込み資本金が一〇・五%、資本剰余金が九・七%、利益剰余金が七・一%、内部留保のほうが、当時は一六・八%、資本金が一〇・五%、したがって、内部留保のほうが高かったわけでございます。
  69. 広沢賢一

    広沢(賢)委員  そうすると、大体いまおっしゃったとおり、この約十年間に著しく減ったというのは、資本剰余金でございますね。その割合が非常に減った……。
  70. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 そのとおりでございます。
  71. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それで、この資本剰余金が減ったということは、どんな理由ですか。
  72. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 絶対額でいいますと、三十一年が一兆一千七百五十五億円、それから四十年が九千七百八十七億円でございますから、減ってはおりますけれども、絶対額では、比率ほど大きく開いておりません。比率は九・七%から一・六%まで落ちております。  この減ったおもな原因は、再評価積み立て金が資本金に組み入れられた、その組み入れられた金額ほど資本剰余金が減っておりませんのは、資本剰余金としての内部留保、その他の資本剰余金と再評価積み立て金とが振りかわった、しかし、それでも絶対額でも少し減っておりますから完全には振りかわっておりませんが、大体そういった形になっております。
  73. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 いま比率が減った理由を言われましたけれども、そのほかに一番重要なことは、今度は、自己資本と他人資本との関係から見ますと、これは他人資本が非常に多く増加した。そのため、自己資本が絶対額ではふえておるにもかかわらず、他人資本がふえておる率に及ばなくてそういう率になっておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  74. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 そのとおりでございます。使用総資本が、全体として高度成長期でございましたので大きくふくらんでまいりましたが、自己資本がそれに追いつかなかった、絶対額としては、自己資本がトータルとしてはふえておりますが、比率としては下がっておる、したがって、それだけ他人資本の伸びが非常に大きかったわけでございます。
  75. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、資本内容の資産構成の改善という問題がよくいわれておりますが、結局、他人資本が増加しておるというのは、つまり日銀から市銀に、市銀から大企業にオーバーローンが相当高度成長期に行なわれたということが理由だと思いますが、どうでしょうか。
  76. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 オーバーローンの問題は、別の角度の問題が含まれておりますので、経済の成長に見合った通貨の供給、それがたまたま市中銀行に対する貸し出しという形でもって通貨が供給されましたがために、形としてはオーバーローンという形になっておるわけでございますが、この十年間卸売り物価指数がそう上がっていないということを考えますと、インフレによる膨張とは考えられないわけでございます。したがって、大体、企業に提供された資本に見合う国民としての全体の蓄積が行なわれておった。ただ、その配分が、自己資本という形による企業への提供でなく、他人資本という形での企業への資金の提供、これが非常に大きなスピードで伸びてきたがために比率としてこういうことになります。それから、他人資本の中には企業間信用も含まれております。企業間信用もかなり急速に伸びてまいっております。
  77. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 結論を先に言ってしまったわけですが、間接金融のやり方と、それから、言われたとおり企業間の信用膨張、この二つですね。その二つの中で、そこから相当信用が膨張して他人資本がふえた。したがって、その中の多くの部分でやはりオーバーローンも含まれている、そう解釈していいですね。
  78. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 三十一年当時の市中銀行のポジションと四十年度のポジションの数字をいまちょっと持ち合わせておりませんが、ポジションとしてオーバーローンの状況が悪化したかどうか、ちょっとよくわかりかねますけれども金額として通貨の供給総額がふえておりますから、それで、大部分が市中貸し出しでもって提供されておりますから、絶対額としては、おっしゃる意味では確かにそういうことになっておると思います。
  79. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 同じく約十年間、いつをとってもけっこうですが、大体、高度成長期に自己資本が絶対額で約四倍になっている、他人資本が七倍になっている。それはお認めになりますね。
  80. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 金額で申し上げますと、大体それに近い倍率でございますが、自己資本が三兆三千億円が十一兆四千億円、四倍弱、それから負債が三十一年度末の八兆八千億円が四十年度未四十八兆七千億円、ですから、六倍でございますね。
  81. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、自己資本充実のためにいろいろの措置がとられています。とられているけれども、今度の法案は、再評価はインフレの終息で役目が済んだというのですが、今後物価がまた高くなるような状況では、この問題はどうされますか。
  82. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 これは、戦争をはさんだ異常なインフレに対する企業資本の実質維持ということを、単にそれぞれの企業の立場でももちろん考えなくちゃならないのですが、国の政策としても取り上げざるを得なかった、税法でも特例を設けて軽度の再評価税を課して、そういう政策として取り上げたわけであります。しかし、そのような状況が再びあらわれるというふうには私たち現在考えておりません。軽度のインフレというかどうか、物価上昇というものが続いている実態は、これは認めざるを得ませんけれども、この程度のことはそれぞれ個別企業の経営努力によって対処すべき問題だ、かように考えております。
  83. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 物価論争はあと回しにしまして、私は公債発行前の毎年六分から五分、目に余る物価高の原因は、やはり通貨の増発、いま言われました高度成長のときの他人資本の巨額な累積、これが企業内容を不健全にし、それから物価を高くする原因だったと思うのです。ところが一方、自己資本もまた、実をいうと、絶対額はたいへんな増加だと思いますが、これについて、念のためお聞きしておきます。  株式の自己資本は、戦前、九−十一年に比べて、五・九五%が三十六年に五・一四%まで、いわゆる戦前に復帰したと思いますが、どうですか。
  84. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 いまの倍率は、戦前と比較しますと、おそらく絶対額の倍率でなくて物価指数で換算しているんだと思いますが、いまその資料がちょっと見当たりませんが、払い込み資本の割合が四十年度末で一一・二%、この割合は戦前に比べて——戦前は自己資本が全体で約六〇%でございますが、おそらく戦前の払い込み資本の割合は二四、五%だったと思います。三四、五%が内部留保、こういうことだったと思いますが、それではちょっと調べまして……。
  85. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それでは、それはお調べになってください。  それから、その次にお聞きしますが、社内留保も大体戦前の構成をさらに突破していると思いますが、どうですか。
  86. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 社内留保は著しく減ってまいっておるわけでございます。この資料でいきますと、社内留保の割合は、先ほど申し上げましたように、資本剰余金と合わせまして、三十一年度末が一六・八%でありましたものが、四十年度末は七・七%というふうに減ってきておりますが、戦前に比べますと、この落差はもっと大きくなっておる、かように考えます。
  87. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私の見たいろいろな学者の数字によると、戦前が三・四%、それから三十六年が四・五七%になっていますが……。
  88. 安井誠

    ○安井説明員 数字の問題でございますので、私からお答え申し上げます。  手元にございます資料は全法人平均でございませんで、資本金一億円以上の法人の戦前と戦後の比較でございますが、それをちょっと申し上げてみますと、昭和九年の数字で資本金が四七・四%でございます。これに対しまして、利益剰余金が二二・二%、合わせまして、自己資本が六〇・六%でございました。これが戦後、最近の数字では——先ほど局長が申し上げました一九・〇%と申しますのは、全法人の自己資本比率でございますので、資本金一億円以上に限りますと二一・六%になります。それで、いまの資本金の四七・四%に対応をいたしますのが二二・八%、利益剰余金の一三・二%が五・七%というふうに下がっているわけであります。
  89. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私のほうでも、自己資本が伸びている率については、GNP比率を言うのを忘れましたが、GNP比率でいうと、大体私が言ったとおりだと思いますがね。  それで、今度は国際的に比較します。国際的に比較した対GNP比率は、アメリカ、西独よりも高いですか、低いですか。
  90. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 残念ながら、ただいまそういう的確な資料を持ち合わせておりませんが、いずれにしましても、GNPに対する資本蓄積の割合は、現在は、日本は先進諸国に比べれば圧倒的に高いわけであります。その中で、自己資本という形で提供された比率だけを外国と比べなくちゃなりませんが、特にアメリカの場合は、自己資本中自己調達、内部留保による自己調達が非常に大きいわけでございます。したがって、払い込み資本という形で比べますと、おそらく日本のほうが対GNP比率でも高いんじゃないかと思いますが、的確な資料がちょっと手元にございませんので、推定でたいへん失礼でございますが、そういうふうに考えております。
  91. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 さっきは対GNP比率ということを言い忘れまして、ちょっと答弁相済みませんでしたが、私の言おうと思っているのは、つまりこういうことなんですね。自己資本の比率が低いと言われながら、絶対額それから国民所得に対する伸びの率はきわめて高い。戦前を上回り、それから国際的にも高い。つまり、資本の蓄積というのはたいへん進んでいるということだと思うのです。そうすると、実際的には自己資本の内容が比率が低くて、それで企業の体質改善とかいろいろ言われますが、実際からいうと、それはむしろ他人資本によっている、そういうことだと思うのです。そうすると、この資本構成の是正という大きな目標は今後も続くわけですが、資本自由化に伴って非常に大きな問題とされていますが、これは他人資本、つまり間接金融方式、そういう問題を解決しなければ究極的には解決しないと思うのですが、どうでしょう。
  92. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 全く同意見でございます。
  93. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、重要なことは、現在の政策の方向を、間接金融方式から、株式や公社債市場の育成とか、それから株式の時価発行とか、その他一ぱいありますが、直接金融方式に移らなければならない。大体これが大勢だと思いますが、どうでしょう。
  94. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 直接金融へ比重をかけていく、これをひっくり返すということはなかなかできないと思うのでございますけれども、間接金融から直接金融へということで、いろんな努力を積み重ねておるわけでございます。たとえば、株式、公社債ということになりますれば、直接国民に関心を持たれるのは流通市場で、その資本市場のあり方、この辺が当然問題になるわけでございまして、この辺もこの三、四年の間にかなり面目を一新してまいったと思いますが、鋭意関係者を含めて流通市場の体質改善につとめてまいっております。それから、発行市場のあり方にも必ずしも健全だと思われるものがなかったわけでございます。所有と経営が分離されているにかかわらず、たとえば、企業の内容を株主に知らせない、知せないだけならいいけれども、粉飾する、こういうことで、貴重な資本を企業に提供してもらうことを期待すること自体、無理だと思います。それから、収益力を無視した増資を行なう、株主に対してはそれ相応のリスクキャピタルとして提供してもらうわけでございますから、当然借り入れ資本よりもある程度厚い報酬を与えるべきだと思うのでありますが、そういう収益力を無視した増資を強行して、結果的には増資減配をやる、こういうこともかつては行なわれておったわけでございます。この辺は、増資調整あるいは企業経理の公開、この辺の原則を確立させまして——確立というか、制度的には確立されておったわけでございますが、徹底させまして、この辺の条件も整備していく、あとは、基本は結局経営者の心がまえにかかってくると思うのであります。できるだけ合理化し、収益力を高め、それに応じて内部留保もする、また、それに応じて払い込み資本もとる、こういうことでなければ、いろいろな政策も不備でございます。税制の問題を取り上げましても、直接金融と間接金融が完全にバランスがとれているというふうには、少なくとも私は考えておりません。この辺の問題も、ぜひこれからも検討してみたいと思いますが、いずれにしましても、経営者自身がそういう努力をするということを先行させなければ、政策も必ずしも実効をあげ得ないと思うのであります。こういったことを現在考えております。
  95. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、いま言われたとおりだと思いますが、やはり政策として政府が指導していかなければならない。  そこで、株式の時価発行の問題ですが、これは言われてはいるけれども、過剰株式が四千億円もあるでしょう。大体そのくらい凍結している。そういうものがあって、これはすぐやるということは無理じゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  96. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 たな上げ株がおっしゃるとおりでございます。これは、御承知のような異常時の過程で発生したわけでございます。日本の流通市場は、残念ながらまだ未熟でございまして、どうしても需給関係に支配される。株というものの実態価値を中心に評価し、売買が行なわれる、当然そうあるべきでありますが、株価の居どころによって需給が出る。安過ぎると買いが出る、高過ぎると売りが出る、そういうのが正常な市場でございますが、むしろ需給関係によって株価が支配される、異常な時期ほどそういうことが強かったわけでございます。異常な時期で一つの問題でありましたのは、投資信託の売り越しでございますが、需給関係をスクェアするためにああいう措置をとったわけでございます。特別な需要を市場に出させて投資信託の売り越しに対応させる、それで需給関係の一方的な支配から市場を救おうという措置でやったわけでございますが、結果的には、それがたな上げ株として残ったわけでございまして、いまだに投資信託の売り越しの状況は実は続いております。ただし、これは、現在投資信託の売り越し部分は、生保筋あるいは金融機関筋の機関投資家の買いによって大体平衡が保たれておるのでありますが、その上にいまの凍結株を放出するということになりますと、オーバーラップするわけでございます。供給過剰、したがいまして、ちょっといまの時期では、タイミングとして——考え方としては、市場にとっては異常な、不正常要因でございますからできるだけ早く解消すべきだと思いますが、具体的なタイミングとしては必ずしも十分熟していない。来年になりますと投資信託も自前になってくると思いますが、そういったところが一つの目安だと思います。現在でも、逐次状況を見ながら少しずつ放出はいたしておりますけれども、これを解消するというほどの放出のしかたは、まだちょっと無理じゃないか、かように考えます。おっしゃるとおりであります。
  97. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それに関連して、今度税制調査会で法人利潤税説が取り入れられる。これは当然のことと私たちは思っておる。それが取り上げられれば、これは新聞に書いてあるとおり、株主の配当控除その他の問題から、主として株屋さんのほうからも相当文句が出る。証券局長は、これについてどういうふうに考えますか。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
  98. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 いま主税局と連絡をとって、企業課税の問題についてどういうふうに証券局として考えるか、寄り寄り協議中でございます。主税局の一部で伝えられております利潤税構想は、一つの有力な考え方だと思いますけれども、これははたしてどういう形で施行になるか、むずかしい問題でございます。かりに利潤税構想がとられるという前提でありますならば、法人は独立の課税主体、現在は実質的には株主が法人税を負担するという形になっておるわけでございますね。そういう意味で、源泉で取られた法人税は、受け取り側に対しては控除が行なわれる、こういうかっこうでございますが、独立の課税主体ということになりますと、その控除ということがなくなる、この意味では、受け取り側の配当に一つの問題がでてくることは事実でございますけれども、同時に、これは損金算入、企業側の支払い、たとえば、借り入れ金の利子については損金算入が認められておりますけれども、現在は配当は株主の利益だという観点で、これは損金算入が認められておりません。これが独立の課税主体ということになると、当然その辺のことも変わってくると思うのであります。  それから、間接金融と直接金融のアンバランスの問題は、単に配当課税がどうなっているかということでなく、配当課税と利子所得に対する課税とのバランス問題だと思うのであります。したがって、これはやはりそれはそれとして、この利子所得とのバランスをどういうふうにこの際解決するか、こういう観点から問題を取り上げていくべきだと思うのでございます。負担の公平その他の問題がありますならこれはもちろん考えなくてはならない問題でありますが、その同じ政策のワクの中で、少なくともこの利子所得と配当所得というものが課税上平等に扱われる、これが一つ考え方の基本でなくてはならぬ、かように考えております。
  99. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 これから大蔵次官にお聞きしますが、水田さんがこの間、資本自由化に備えて、法人税は国際競争力強化のために軽減しなければならぬと言っております。法人税の軽減、それからいまの利子と配当の問題、この間からやかましくなりましたが、こういう問題についてこういうことを言っていますけれども、そうすると、さっき私がお聞きした前提ですね。他人資本が非常に大きくなっているいま、自己金融力がついたといいながら、資本構成是正のためにやはりこういうことをやっていくということについて、矛盾があると思いますが、どう思いますか。
  100. 小沢辰男

    小沢政府委員 おそらく、大蔵大臣がそういうような構想といいますか、考え方をお話しになりましたのは、貿易の自由化は一そう進められてまいりますし、一方、資本の自由化というものが進められてまいりますと、他面、日本の経済というものは、何としても輸出入というものを中心にして考えていかなければいけない、そうなりますと、企業の一そう合理化なり、体質強化、改善なり、あるいはまた、国際競争力というものをうんとつけていかなければいけない、そういう意味で、企業減税というものに相当重点を置いた考え方をしなければいかぬではないかというようなお話をされたんじゃないかと思うのでありますが、税制全般につきましては、一方において、所得税の減税というものに相当の重点を置いて今年度も考えてまいりましたし、この考え方は、また将来とも続けてまいらなければいけないわけでございます。したがいまして、まだ今年の景気の見通し、あるいはまた一方に資本自由化の進度といいますか、その影響といいますか、それから輸出入の動向というもの、そういうものを十分勘案して、税制全体をどこに一体重点を置いてやっていかなければならぬのかということは、これからの問題でございまして、したがって、いま私は、大蔵大臣が、これからの税制の方向として、所得税減税よりは企業減税のほうに重きを置くんだというふうに割り切ってお考えを述べたとは考えておらないのであります。これからそうした経済全般の見通しもつけながら、輸出入の動向を見ながら、あるいはまた、国民全体の負担の公平というものをよく勘案しながらやっていかなければならぬわけでございますから、そういう点で、税制調査会における最初の大蔵大臣のあいさつの中身を全体的に御勘案を願って御理解を願いたいので、ただ企業減税だけをやるという意味で申し上げたのではないと心得ております。
  101. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 この間の小委員会でも全国銀行協会の会長さんが言いましたが、つまり、金利を引き下げる——資本自由化に備えては、金利引き下げというのはだれでも言う問題ですが、そのためには資金量を増加しなければならぬ、資金量を増加するためには貯蓄の増強が必要である、そのためには、利子の問題で預金の優遇措置、税金の優遇措置をしなければならぬ、こう言っています。いま証券局長さんも、自己資本というか、直接金融方式を伸ばしていくためには、やはり株を優遇しなければならぬ、同程度にしなければならぬということになると、結局、資本自由化に備えては、なおさら配当も、利子も、この間非難をごうごう浴びてやっと通った暫定措置をさらに強化するという方向となると思いますが、どうでしょう。
  102. 小沢辰男

    小沢政府委員 私は、必ずしもそうすぐになるとは考えません。やはり直接金融と間接金融との全体のバランスというものを考えていかなければいけませんし、それから、税制上利子を優遇する、配当を優遇する、そういうような方法だけが資本力を強化する唯一の道であるかどうか——もちろんそれも一つの大きな支えになると思いますけれども。したがって、全般的にこれから検討してまいるわけでございますので、いまそういう結論を持っているわけではございません。
  103. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 資本自由化についていろいろと問題がありますが、一番重要なことは、中小企業庁の検討で、中堅企業の乗っ取り対策として、中小企業投資育成会社でやるという記事の中に「大企業にたいしては日本開発銀行からの融資があり、とくに電子計算機や自動車などの戦略産業には構造改善の金融などがあるが、資本金一億円前後の中堅企業はどちらからも見放されがち」とあります。しかも、自由化は、中堅企業に対して非常に脅威を与えている、これが一つ。これでは金融政策として非常に片手落ちではないか、このように考えますが、どうでしょう。
  104. 小沢辰男

    小沢政府委員 確かに、おっしゃるように、一億円以上になりますと、投資育成会社のほうでは、一応、何といいますか、めんどう見ないといいますか、一方、中小企業の金融は一億円どまり、税制についても一億円を一応限度としておるわけです。開発銀行その他については、大企業のほうがいろいろ御便宜を受ける道がある、したがって、その中間がどうも手薄じゃないか、こういう意見は私も聞いております。ことに、そういう企業体の方々が、いろいろ組織といいますか、お互いの問題を話し合うような機関を設けまして、その機関の代表の方々からも、特別に考慮すべきだという申し入れを、私受けたこともございます。今後の問題として十分検討していかなければいかぬ問題だと思います。
  105. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 資本構成是正の問題についての話に戻りますけれども、そうすると、いままでお聞きしたのでは、大体、直接金融方式というものは望ましいけれども、なかなかいろいろ障害がある、簡単に言えばこういうことです。先ほどの株式の時価発行論でも、それから公社債の株式の育成についても、なかなかいろいろな障害がある。そうすると、間接金融方式と直接金融方式とよりまぜて、均衡ある発展をしなければならぬというのですが、このオーバーローンが今後すっと慢性化していく状態で、漸次直接金融方式に切りかえるとしても、景気が過熱すればまた資金需要がふえていくと思いますが、その見通しについて、銀行局長がいるといいんですが、銀行局長はこういうことを、言っていますね。ロングランに見た場合には、民間部門の資金の万年需要超過といった現象は今後再び来ないんじゃないかと言っています。で、このオーバーローンを招いているような景気が過熱すれば、すぐどっと殺到して、物価が上がればお金を借りるほうが得だ——大企業はそうだと思います。安易に他人資本にどんどん依存する。これを断ち切っていくということの保証がないと、やはりいろいろ資産再評価でこういうふうに努力をした、それから体質改善強化という名目で、たとえば自己資本の充実ということで資本構成是正の優遇措置、税の優遇措置、それから利子、配当の優遇措置、こういう問題をやって、国民大衆のほうに犠牲をしわ寄せしていながら、どうしても解決しないということになるのですが、その直接金融方式というものについてぐいぐい引っぱっていく、そういういろいろの対策なり意見が基本的にびしっとまとまっているのかどうか、証券局長にお聞きしたいと思います。
  106. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 景気の過熱を来たす、しかもそれが、企業の設備投資意欲が旺盛になった結果景気の過熱がくるというようなことになりますと、おっしゃるとおりのことにたぶんなると思うのであります。手っとり早く他人資本に依存する、ただしかし、これはやはり政策運営としてもそういった過熱状況は防がなくちゃならないということは、政策運営の態度としては基本的に一つあるということと、それから企業も、高度成長期からその後の苦難期を切り抜けて今日までまいって、貴重な体験を得たわけであります。最近、今後の景気の見通しについていろいろな見方が行なわれておりますが、一部に、企業は非常に慎重だということが言われており、また、出てくる実績から見ても、過去の実績に比べますと、かなり慎重な態度がうかがえるのでありますが、それは一つは、非常に償却が進んできておりまして、償却も一種の企業の資金の自己調達でございます、償却資金による新規設備の獲得ということでございますから。それと新規の内部留保、償却と内部留保を含めますと、最近の設備投資需要額を一応前提にしましても、おそらく八割方は償却及び内部留保によって自己調達でまかなっていると思うのであります。そのほかに払い込み資本を別にまたとるということになりますと、いわゆる自己資本による調達力というものはかなり高まってきつつある、この意味で、われわれは一九%という非常に低い自己資本比率がそろそろ下げどまりになるということを実は期待いたしておるわけであります。企業が慎重だというのは、やはりその辺のことも頭の中に置きながら、設備投資をする場合にも、単純なシェア競争ということでなく、自分の体質というものを考えながら、償却、内部留保に見合って設備投資をする場合には大部分をその資金に依存して設備投資を行なう、こういう態度がかなり浸透し始めているのじゃないかということを期待いたしておるわけであります。その期待が現実となりますならば、いままでのような急スピードで悪化していきました自己資本比率の悪化状況というものはかなり改善されるのではないか、また、当然そうあるべきであって、いかなる政策環境を整えてやっても、経営者自身があくまで従来の態度を改善しないということであっては、日本のような、かなりこれからも成長率の高いことを期待しなければならない経済の場合には、どうしても従来のような自己資本比率悪化の傾向は改まらぬと思うのであります。やはり企業の経営者の心がまえに大きな基本がある。今度の資本自由化対策でもその点に最重点が置かれておるわけでございます。  しかし、政策として、そういう企業の態度を前提にしながらも、やはり直接金融と間接金融の間にアンバランスがあるということは、決して私はいいことじゃないと思うのであります。この辺は何らかの意味でバランスをとった措置をとっていくべきだ、かように考えております。
  107. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 その企業に期待するという企業の態度ですが、通産省の企業局、来ておられますね。  たとえば、日本経済調査協議会、これは財界の調査団体だと思いますが、この間、「自由化に戦える企業」ということを提案しています。その中で、自由化に対抗するためには、各産業別はいろいろと提案しておりますが、基本的には、先端産業を重点的に助成するべきで、能率が悪く、採算のとれない限界産業、限界企業の救済、温存は望ましくない、切り捨ててしまえ——主としてこれは中小企業をさすのだろうと思います。それで、先端産業、大企業、それから石油化学とか、そういうものはどんどん進める。そうすると、どうせ資金量というものは、先ほど言われたとおり、間接金融、直接金融、いろいろと限定されていますから、むやみやたらに出せば、これはオーバーローンになり、物価は高くなり、過熱になるということだから、大体限度があると思う。その中で、重点的な政策をどっちへ持っていくかということは、資本自由化に備えて重要だと思うのです。こういう意見の圧力が強くなっている一方、今度は、銀行局長がいなくて悪いのですが、澄田さんが言っていることは、今後の金融の流れは、先進部門、先導部門中心から後進部門も含めた成長でなければならない、大企業重点のみならず、中小企業近代化を進めなければならぬ、農業、流通業も大切にしなければならぬと言っています。これは経済社会発展計画の金融の効率化、経済の効率化を受けて言っておられるのだと思うのですがね。  そうすると、私はこの意見に賛成ですが、通産省としては、大企業の言っているこういう身がってなこと、それから、明らかにこれは自由競争ですね。もうどんどん押しのけるという、こういう考え方に対しては、資本自由化に備えて、どういうように対処いたしますか。
  108. 下山佳雄

    ○下山説明員 ただいま先生のおっしゃった問題、今後の産業政策といたしまして、非常にむずかしい問題だろうと思います。  御承知のとおり、資本自由化をいたしますれば、諸外国から、これは数年後に控えているわけでございますが、巨大な資本が入ってくるということは当然でございます。その場合に、やはり日本の企業を守る、国家的な利益を守るという意味から申しますと、先ほど最初におっしゃいましたようなそういう先端産業、つまり、今後伸びるべき産業、これが諸外国によって支配されることになりましては、これは日本の政治、経済にまで影響が及ぶということで、これはどうしても守っていかなければならない。しかし、何と申しましても、日本の経済力というものには限りがございまして、すべてを守り尽くすということは、あるいはできないかもしれません。とにかく、最も有効に、しかも日本のそういうような経済の独立性というものが侵されないという意味合いにおいて、そういう先端産業について力を入れていくということは当然であろうかと思います。  他方、中小企業の問題でございますが、これは資本自由化の問題と合わせまして、今後出てくるであろう御承知の南北問題のこともございます。やはり中小企業につきましても、流通部門等も含めまして、従来のままでこのままやっていけるものではないだろうというふうに考えておるわけでございますが、そのような意味におきまして、最も流通部門を近代化し、中小企業の中でも当然これは全部、資本自由化いたしました場合に外国によって支配されるものではございませんが、この辺について、もっと有効な政策をとっていく必要があるかと思っております。
  109. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 どうも大企業中心のいろいろなものが新聞面に一ぱい出ます。  それで、資本自由化のスケジュールですが、これも一方非常に急速に進んでくると思うのです。軽井沢セミナーでもっていろいろと通産省企業局長がお話しになったのでは「外国企業の対日直接投資は来年秋ごろに第二回の自由化措置を公表することになろう。三年後には非自由化品目を指定し、それ以外は全部自由化にもっていき仕上げ段階としたい。対外直接投資の緩和は年末までに一応のめどをつける。」ということが新聞に出ておりますが、これはこのとおりでしょうか。
  110. 下山佳雄

    ○下山説明員 ただいま先生がおっしゃいました点、新聞に出ておりました点は、政府としての公式見解ではございません。ただ、今度自由化をいたしましたのは、この自由化の業種の選定にあたりましては、たとえば重大な影響を与えないような産業だけを選んだわけでございます。そうすると、一般産業におきましても、これでいいのだろう、たいしたことはないというふうな感じを持たれては、これはぐあいが悪い、その意味におきまして、ある種の警告的な意味も含めまして、企業局としてはそういう発言をしたかと考えます。別に、それについていずれも根拠がないわけではないので、ただ、そういうことも最も可能性が多いという意味において述べたものだと思います。
  111. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 資本自由化は、そういうふうに警告することはけっこうだと思うのですが、非常にテンポが早くなっている。それにつられて、大企業は、資本自由化ということを口実にして、いま私が御質問しました他人資本がずっと大きくなってくるという面を考えずに、自己資本充実のためのいろいろな法律、それも必要ですけれども、そういうことが次から次に行なわれる。それから税制調査会では、貯蓄増強とそれから預金利子の優遇措置は何ら関係かないにもかかわらず——それは統計上はっきりしているのです。大蔵委員会でどんどん追及したにもかかわらず、それが今後も続けられるおそれがある。配当の問題もそうだということになると、税制の体系を乱す、それから大きな資本優遇の政策を税制調査会でも資本自由化に名を借りてやっている。私はこれはまことに身がってだと思うのです。  いま言ったとおり、物価値上げの原因も、それから資本構成か悪化した原因も、これは全部——かえって自己資本は戦前よりも絶対額はずっと高くなっている、それにもかかわらず、他人資本の増大、大企業が競争して銀行にどんどん金を借りる、それが原因です。そうすると、原因がそこにあって、自己資本の充実といい、いろんなことといい、結果はみな大衆にしわ寄せがくる。中小企業は中小金融に恵まれない、この間お話したとおりです。こういうことが行なわれていたのでは、この間質問したときに言いましたが、世界的な企業と競争するのに、勝つまではほしがりませんということで、際限がないのです。自己資本の絶対額の関係から見ても、これほど驚異的な発達を遂げた高度成長ですから、やはり今度あらためて何かの機会に銀行局長に、均衡ある発展それから安定成長についてお聞きしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  112. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時五十五分開議
  113. 内田常雄

    内田委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。只松祐治君。
  114. 只松祐治

    ○只松委員 最初に、関税問題で若干お聞きをいたします。  今朝来の日経等を見まけと、大蔵省で特恵関税の問題についていろいろ討議がなされておる、ある新聞では、ほぼ固まっておる、こういうふうな報道がなされております。これはわが国の一般的な産業に影響を与えるだけでなく、特に中小企業その他、あるいは労働運動の面にもいろいろな問題を生じてまいる非常に重要な問題でありますので、お聞きしておきたいと思うのです。  その前に、現在韓国等で委託加工が行なわれておりますけれども、その状況について、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  115. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 韓国との保税加工貿易の問題につきましては、ここ数年来いろいろ問題点が指摘されまして、私どもといたしましても、円満な解決の方向を見出すべく努力しておるところでございます。  韓国側の意向は、日本が、たとえば絹織物の生地を韓国に出しまして、韓国におきましてしぼりのくくり作業を実施いたしまして、しぼり地として日本に輸入してくる場合におきまして、日本の税関におきまして関税をかける場合に、韓国におけるしぼり加工賃のみを課税標準としてそれに関税をかけてほしいという言い分でございます。現在は、この生地の価格としぼりの加工賃を合わせました、すなわち、日本の港に入ってまいりますしぼりの生地全体の価格を課税標準としておるわけでございますが、さっき申したようなことで、関税を軽減してほしいというのが言い分でございますが、しかし、それを実施することにつきましては、日本のしぼり加工の業界、これは中小企業をはじめといたしまして、農民の副業という問題もございまして、それに与える影響が非常に大きいわけでございますので、ただいまのところ、韓国の申し分に対しましては、それはできない、すなわち、しぼり生地全体に対して関税をかけるということで実施しておるわけでございます。韓国の労賃が非常に安いわけでございますので、現在のところ、しぼりの生地に対しましては関税率は二割でございますが、全体として関税率二割をかけましても、労賃分が非常に韓国は安い関係上、それでも内地の製品と十分競争できるということも考えまして、現在のところは韓国の主張に対して反対をいたしておる次第でございます。
  116. 只松祐治

    ○只松委員 いましぼりのお話がありましたけれども、そのほかにどういう業種で委託加工の取り引きが行なわれておるか。それから、いますぐ出なければ、あとで資料でけっこうでございますけれども、数量、金額その他について、おわかりになればお教えいただきたいと思います。
  117. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 韓国に保税加工をやっておりますものは、いまお話ししましたしぼりが九割以上も占めておりまして、韓国で加工いたしまして、日本に製品として再輸入されるものでございますが、その金額を申し上げますと、一九六五年、昭和四十年の統計でございますが。このしぼりが百十五万三千ドルでございます。それから、その次に大きいものが衣類、これは化学繊維その他の衣類でございますが、それにつきまして、ししゅう的な加工をするものでございますが、それが十二万五千ドル、あとは、金額はわずかでございますが、人形の衣装でございますとか、袋物というようなもの、あるいは簡単な身辺細貨、こういうものを合わせて、昭和四十年の統計によりますると、全体として百三十六万ドル程度になっております。そして、まだ統計ができておりませんけれども、四十一年におきましてはこの数字が若干ふえておる、ふえつつあるというのが実情でございます。
  118. 只松祐治

    ○只松委員 若干程度ですか。相当大幅に昨年度から本年度に入りましてふえてきておりますか、どうですか。
  119. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 ものによりましては相当ふえておるものもございます。それがしぼりでございますが、四十年の数字が百十五万三千ドルでございますが、四十一年の一−九月の数字が百九十八万八千ドル、これは相当大幅な増加でございます。
  120. 只松祐治

    ○只松委員 今後の見通しとして、どういうふうにこれが増大していくか——あとでお聞きします付加価値だけということになると、また急速になると思うのですが、これは別にいたしまして、現在のままでどういうふうに発展していくか、増大していくか、その見通しはどうですか。
  121. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 しぼりにつきましては、韓国におきまして、しぼりの加工業者が職人を積極的に養成をしておるようでございますので、日本の生地に対する加工のみならず、韓国産の生地に対してもしぼりを加工いたしまして世界各国に輸出をしたい、これを買い取るのは日本が中心でございますけれども、そういうような状況でありますので、今後とも、現在の制度のもとにおきましても、韓国側としては、しぼりの輸出に対しまして相当積極的な態勢にあると承知しておるわけでございます。
  122. 只松祐治

    ○只松委員 今回新たに付加価値だけの面で課税していく、こういうことが討議されておるようでございますが、その状況はどの程度になっているか、その考えについて局長のほうからひとつ。
  123. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 新聞紙上に出ております事柄は、すべて研究中のことでありまして、なお正確に伝えてはいないようでありますが、ただいま私どもが研究しておりますのは、そういう韓国の申し出がありますので、日本と韓国の貿易の拡大の見地から、日本が韓国から輸入できるものにつきまして個々に検討しておりますが、その中で韓国が力を入れておりますものの一つが、この委託加工貿易による日本への輸出の問題であるわけでございます。その場合に、韓国としては、日本の税関におきまして関税をかけられる場合におきまして、韓国の加工賃部分についてだけ関税をかけてほしいという強い申し出がここ二、三年来出されておりますので、この点をどういうふうにして解決するかということが問題であるわけでございますが、さっき申しましたように、日本の中小企業、また日本の加工をやる方々に対して影響を与えるということは、日本の産業政策として適当ではないと考えられますので、いまのところ従来どうりの方針で、その製品全体に関税をかけておるわけであります。しかし、韓国側の希望が非常に強いものでございますので、韓国の立場考えながら、また、日本の中小企業の立場にも十分に配慮を加えた上で、両方がうまく立っていく方法があるかないかということを中心に研究を進めておるわけでございまして、ただいまのところ具体的にこういうふうにしたいというような、結論めいたような処理方法がまだ出ているわけではないのでありまして、今後とも、いま申したような日本の産業の立場考えながら、なお韓国の主張をどうやって受けとめていくかということで、関税の面でどういうふうにしたらよろしいかということについて、今後とも慎重に研究を進めてまいりたい、こういう考えでございます。
  124. 只松祐治

    ○只松委員 慎重に研究の段階だ、こういうことでございますけれども、新聞は多少早耳なり、早合点をいたしますからなんですが、多少の構想というものが報ぜられておるわけであります。一方、自由化の波は急速に押し寄せてきておるわけでありますから、そういう圧力が強まるだろうということは想定されるわけであります。いつごろまでに結論を出す、こういうお考えですか。
  125. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 まだ、いつごろまでに結論を出すかという時期につきましては、私ども予定はしておりません。予定はしておりませんけれども、現在も日本と韓国との間におきまして、専門家を中心とする貿易会議が行なわれておりまするし、また、八月におきましては、日本・韓国の間の経済関係の閣僚の会議がある予定になっています。しかし、この問題につきましては、与える影響が相当大きいわけでございますので、関係各省、すなわち通産省とか農林省とも十分に連絡をとり、また、業界の意向等も十分に察知いたしまして、適切な方法を考えるということになりますると、相当の時間がかかるわけであります。この貿易会談は毎年やることになっておりますので、そういうようなことで、韓国の強い主張に対してどういうふうに受け答えするかという問題でございますので、じっくり時間をかけまして、慎重に研究を進めてまいりたい、こう思います。
  126. 只松祐治

    ○只松委員 慎重に研究ということでございます。ことばもなかなか慎重で、結論がわからないようでございますが、それでは次に、いま韓国の面だけのお話がありましたけれども、これは韓国だけではなくて、ほかの国々ともこういう面を広げていく、こういうふうにお考えですか。大体、主として韓国だけをお考えになってこの構想を進められておるわけですか、どうですか。
  127. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 韓国が中心でございますが、台湾におきましても、日本よりも賃金が安いという関係で、台湾におきましても保税加工貿易の問題が今後起こってまいると思います。台湾、韓国を中心といたしまして、日本よりも賃金の安いところにおきまして加工することが、ある意味におきましては、日本の産業として必要を感ずるという面もございますので、そういうところを全体としてどういうところに持っていくかということについて、慎重に検討いたしたいと思います。
  128. 只松祐治

    ○只松委員 いまお話がありましたように、私たちが考えても、委託加工あるいは付加価値の問題等が論議され、対象になるのは、日本のこれだけ進んだ工業国家の委託加工をするわけですから、せいぜい韓国か台湾、あるいはフィリピンそこそこで、一応表面上うたわれておりますように、東南アジア全体の問題、こういう角度からこの問題をとらえていくというのは、いささかオーバーといいますか、あるいは、実質がないといますか、私は、そういう全体の貿易あるいは自由化の問題とも関連していると思われる、やはり韓国、台湾に非常にウエートを置いた措置ではないか、こういうふうに思うわけです。  そういうことになりますと、私たち社会党ということだけではなくて、日本国家としても、いろんな問題が今度別の角度から出てくる。きょうはこれの本格的な論議じゃありませんから、また、この法案が出ているわけじゃありませんから、私は賛否について、そういう論議はいたしませんけれども、ただ韓国、台湾だけに対してこういう特権的なものを与える、こういうことは、私たちは厳に慎むべきだと思う。表面上、東南アジアとか、あるいは貿易の自由化というような美名に隠れてやることは非常に危険なことじゃないか、こういうふうに思うわけです。ぜひひとつ、慎重にお考えをいただきたいと思います。  ただ、そういうことだし、それから仮定のことだから何ですが、これがもし実施されるということになれば、いましぼり程度ですけれども、たとえばおもちゃであるとか、いろいろこれから急速に委託加工という問題が表面化してくる。特に、日本のそういう零細企業、中小企業にとって大きな影響を与えてくる。これは大企業ではほとんどないと思います。大企業の面の加工というのは、ああいう後進国家にはそうできるわけではありませんから、やはり中小企業にあらわれている問題の人手不足をカバーしていく、人手不足をカバーするだけならいいけれども、それがわが国の中小企業を圧迫していく、あるいは低賃金政策を進めていく、こういうことにつながっていくんじゃないかと私は危惧するわけですが、そういう点についてはどういうふうなお考えをお持ちですか。
  129. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 この問題の発端となりましたのは、韓国の強い要請であるわけであります。これは日本と韓国の間の貿易じりが、どうも日本が韓国から買うもので適当なものが少ないというふうなことで、韓国におきましても、何かと日本に輸出をしたい、そして貿易じりの改善をはかりたいということが問題の発端であったわけでございます。私どもは、そういう意味におきまして、日韓の今後の貿易の拡大ということは十分考えなければいけないわけでございまして、その問題を主といたしまして、この保税加工貿易に対する関税をどうするかということを研究しておるわけでございます。これは日本の産業政策あるいは中小企業対策という問題が当然に関係してまいるわけでございますけれども、私のほうで、積極的に低賃金の問題の解決方法というようなことで問題を取り上げておるわけではございませんので、いま韓国の要請をどうやってうまく解決していくかということを中心に考えておるわけでございます。したがいまして、全面的に保税加工貿易をやる場合に、関税をどういうふうにしてやるかというような危惧が、まだ日本には出てきておりませんので、将来だんだんそういう問題が起こるかもしれないと思いますけれども、ただいまのところは主として韓国中心に考える、そしてまた台湾の問題もあると思いますが、いま只松委員のおっしゃいましたように、日本賃金政策の面から、関税を通してこれを解決するというような角度で私ども考えておるわけではないのでございますので、今後とも十分業界の意向も聞きながら、また、国会における先生方の御意見も十分に頭に入れまして、そして、日本の国の利益の立場からどうしたらいいかということを合理的に、慎重に研究を進めていきたいと思います。
  130. 只松祐治

    ○只松委員 もちろん日本の国家が不利益になるということではないと思いますが、しかし、日韓の友好なり、あるいは日本の国家でもいろいろの問題があるわけですから、ある業界にとってはそれは部分的利益をもたらすことになっても、いま私が一例をあげましたように、私たち社会党が常々言っておるように、低賃金政策の一つのてこになる、こうやって保税加工だけでも多少の問題が出てきておるわけですが、これが全面的な付加価値だけの問題になって、非常にこれが広がってくる、あらゆる部門にこれが適用されてくるということになりますと、これは、やり方によってはなる可能性があるわけですから、そういうことになりますと、いまでも二重構造だ、あるいは経済のひずみだというようなことをいろいろいわれておりますが、そういうものが順次中小企業全般に及んで、もし労働者賃金が上がったりしてきている中で、過渡的に中小企業者にとって圧迫要因にもなっております。しかし、日本の国家全体としては、この二重構造が薄められていったり、あるいは日本の国家が近代化していく一つの要素にもこれはなっておるわけですから、これがまたこういうことをやることによって、日韓だけの友好なり、あるいは部分的な企業の面から見た国家の利益、こういうふうなことがありましょうとも、日本全体の産業構造をまたおくらしていく、あるいは近代化への脱皮を定着さしていく、こういう面も出てくるわけです。  きょうはそこまでの論議はいたしませんけれども、いま慎重に検討ということでございますから、私はこれでこの質問を終わりますけれども、私がきょう質問をしたのも、趣旨はそういうところにあるわけでございまして、特にいま自民党の政権下にあるわけですから、そういう当面する経済の効率とか、そういう面だけからどうしても中心に考えられるので、私たち野党の立場から賃金政策一つ申しましたけれども、そういう面も十分配慮の上に検討を進めていただきたいということを要望いたしまして、この問題に対する質問を終わりたいと思います。
  131. 谷川宏

    ○谷川(宏)政府委員 保税加工貿易に対する関税のかけ方は、これは当然に関税政策の一つでございまして、私ども関税の政策を進める場合には、国内の産業の保護ということを第一義的に考えてはおりますけれども、と同時に、日本の消費者の利益ということもあわせ考え、なお、産業の保護という場合におきまして、関税があまり高過ぎて過当な保護にならないように十分意を用いなければならないわけでございますので、そういう全体としての関税の考え方を、この保税加工貿易の関税をどうするかという問題の処理につきましても当てはめて考える必要があるわけでございまして、国内の中小企業を中心とする産業の保護に対してどういうふうにしたらいいかということを一つの中心に置きまして、今後慎重に研究を進めてまいりたいと思います。
  132. 只松祐治

    ○只松委員 次に、資産再評価の問題についてお尋ねをして、それに関連する税制の部面についてお尋ねをする予定でございましたが、国税庁長官のほうが何かお急ぎのようでございますから、その部面を省略いたしまして、それから結論的に出てくる部面の質問はちょっとできませんので、資産再評価とはちょっと離れますけれども、そういうものと関連する問題でございますから、一、二お聞きをしておきたい。  土地の問題でございますが、土地の売買の場合はすぐ登記所にわかりますから、これは課税対象になります。賃貸借の場合も大体わかるようでございますが、しかし、これは不動産業者や何かを通っていく場合には確実に捕捉されるわけですね。しかし、そうでない、直接の地主と賃貸借契約の場合なんかは、必ずしも全部捕捉されておるようではないようですね。それから、さらに問題になるのは、現在賃貸しておるのに、引き続いて賃貸していくという場合に、直接これが資産再評価じゃないわけですが、二十年、三十年前は非常に安い賃貸借をやっておった。これが現在になったわけですから、あらためて権利金をもらいたい、こういうことで、相当膨大な権利金というものが取られる。借りているわれわれの側からいけば支払っておるわけです。こういうのはほとんど課税の対象にされてはおらないと思うのです。あるということなら、ひとつどの程度か、あとでお示しをいただきたいと思います。私はないと思う。その状況について、まずお聞かせをいただきたい。
  133. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、土地の売買の場合には、第三者との権利関係からいたしまして、登記をされることが多い関係で、その把握がしやすいということは確かでございます。しかし、登記の場合には、御承知のように中間省略登記などが行なわれますので、登記だけの事実から把握するのはなかなかむずかしい点がございます。しかし、登記を足がかりにして調査していくということにおきましては、売買の場合にはまだ比較的に把握しやすいという面がございます。  しかし、賃貸借の場合でございますと、御承知のように、賃貸借という名称はとっておりましても、実質上譲渡と変わらないように非常に多額な対価で賃貸をしておるというような場合には、これは譲渡と同じように見ることにいたしておりますが、しかし、その賃貸借の事実につきましては、なかなか把握しがたい面がありますことはお話のとおりでございます。ことに地主さんは、いまお話のように、ある賃貸借契約期間が終了いたしますと、その更新をするときに、更新料としてかなりの権利金を取っておるという事例があるようでありますが、地主さんのほうは、それをぜひ伏せておいてもらいたい、そうしなければもっと上げるぞというようなことで、どうも借り主のほうが弱い立場にありますので、借り主は、実際上払いましても、その更新料を払ったということを税務署になかなか届け出にくい、こういったような事情がございまして、実際問題といたしまして、更新料に対する把握というものがなかなか容易でございません。ただ、私どもといたしましては、会社などを調査いたしますと、その会社が賃借している場合、こういった場合には、それぞれ賃借料というものが損費にと申しますか、損金に計算することになりますので、そういう面で把握され、それでは、だれが貸し主であるかということから把握していくことはできますし、また、現在はそういう調査を相当徹底してやるように指示いたしておりますが、個人間でございますと、なかなかその事実を把握しにくいというのが実情でございます。
  134. 只松祐治

    ○只松委員 私もきょうはほんとうはこの質問をする予定でなくて、ほかの質問を準備いたしておりまして、この面に対する金額その他をまだ算定いたしておりません。しかし、これは何十億円台ではなくて、何百億円という相当膨大な額にのぼります、この額というのは。したがって私は、国税庁のほうで、ある程度モデル調査をして試算をしていただきたい。  日本ではいろいろな問題点があるし、ひずみがありますけれども、この土地政策というのは、交通政策とともに……。(発言するものあり)ちょっと静かにしておってくれ。
  135. 内田常雄

    内田委員長 御静粛に願います。
  136. 只松祐治

    ○只松委員 土地政策というのは、これは近代社会の大きな問題であるし、日本における一つの盲点になっていますね。それから、会社の場合はいろいろ金を出しても、いま損金算入とかで、それなりに支払いできますが、個人の住宅政策の場合、特に土地政策というものが重大な関連を持ってきます。そうして、その中において新しく賃貸借契約する場合も、大体土地の売買価額の七割ないし八割というのが権利金として支払われております。それから家——私は土地だけきょうちょっと聞いておきますけれども、住宅を借りる場合でも、いろいろなそういう同じような問題があるわけです。それから住宅の場合、ほとんどの場合が引き続いて借りるわけです。移転をしましても、今度新しく人が入ってくる、その人が引き続いて居すわるわけです。たとえば移転する場合でも、泉さんがここにおられて、私が次に借りるというときには、新しく借りる人がやはり地主に対して相当の権利金を取られるわけですね。あるいは、泉さんが二十年なり三十年なりの期限が切れて引き続いてお借りになるという場合にも、相当多額の1前にあなたか借りたときには非常に安かったからというので、多額の名義料といいますか、事実上の権利金というものが支払われておるわけです。さらに家の建て増しをする。同じ土地を借りておりまして建て増しをするだけで、大体坪五千円から一万円、これは私のほうで相場です。これが単に平地だけでなくて、二階を建て増しする場合でも、平地に三坪の建て増しをする、上と合わして六坪になるということになると、二階まで含んで取られていくわけです。そうじゃないと地主さんが判こを押さないのです。契約書を見てごらんなさい。町で売っている契約書の一項の中にも、増築その他の場合には地主の了承を得る、こういう一札が入っていますよ。それによって全部そういうものを取っているわけですね。この額を合計いたしますと、私は膨大なものだと思う。これは合法的に、その地主さんたちの、あるいは家主さんたちの収入としてあなたたちは把握しておらないと思う。もしあるならば、課税対象額はどの程度であるか、ひとつお示しをいただきたい。私は、今日までそういう面の税収などということは聞いたことがない。税務署あたりに行って聞いてみても、これは非常に少ない。ところが、これは膨大な額にのぼっている。私は、一昨年、ホステスの税収額で、あれは百億円とか二百億円とかあなたは出しましたけれども、脱税はとてもそれに匹敵しない膨大なものだと思うので、どういうふうに把握されておりますか、またお考えになっておりますか、ひとつお考えを聞きたいと思います。
  137. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、土地あるいは家屋の賃貸借の場合に、将来、その賃貸借の契約期間が満了したときには返すという約束で保証金として取っている場合と、それから、将来返すという約束なくして、いわば権利金として取っている場合、いろいろあるわけでございますが、その権利金として取っている場合は、当然不動産所得の収入になるわけでありまして、これに対して課税することになるわけであります。現在、私手元に不動産所得で幾ら課税しているか、数字を持っておりませんが、本来、不動産所得の中には通常の賃貸料も入りますので、その賃貸料と、いわゆる権利金と分けた場合に、権利金の部分がどれくらいであるか、これはちょっと調べてみないと、なかなか明確な数字が出てまいらぬと思いますが、しかし、それにつきましても、先ほど申し上げましたように、法人が借りている場合、あるいは法人が貸しておる場合におきましては把握しやすいのでありますけれども、純粋に個人間同士で賃貸借が行なわれております場合におきましては、先ほど申し上げましたように、借り主が弱い立場にありまして、ことに、事業をやっていないような場合におきましては、その支出した権利金などについて、損金算入、必要経費算入といったような問題も起きてまいりません。したがって、税務署においてそうした資料から把握するということがなかなかできにくい。この金額は数百億円に達するだろうというお話でございますが、私も正確にまだ調べておりませんからわかりかねますけれども、しかし、そういった現象は大都市に多い現象でありまして、必ずしも全国津々浦々というわけではありませんけれども、しかし、大都市におきますそうした事例を考えますと、かなりの金額がそうした権利金として収入されておる、しかし、実際上これが把握しがたいような事情にあることは確かでございます。  私どもといたしましては、そういう意味におきまして、不動産についての課税を、土地政策の面からいたしますと、軽減しなければならない面と、しかし課税の把握を充実して適正な課税をすべき面と、両面出てまいるわけでありますが、その把握を適正にすべき面につきましては、今後十分努力いたしたい、このように思っております。
  138. 只松祐治

    ○只松委員 これはいなかにおいでになりましても、ちょっとしたところは坪二万、三万としておりますように、こんなところが、何だ坪二万かというようなふうで、土地を買うということになりますと、そのくらいはしております。土地問題というのは、単に大都市だけではなくて、なかなか容易ではないわけなのです。さっきから言うように、売買の場合は明らかになります。賃貸の場合、それから引き続いての場合は、私が多少方々聞きましても、ほとんど課税対象にならぬ。私は浦和に住んでおるわけですけれども、あの周辺のことを聞きましても、それが収益にみなされたということは、寡聞にしてまだ聞かないわけです。権利金として取ったのを皆さんが捕捉されて、地主にどの程度課税されたか、もしあったら、ひとつお示しをいただきたいと思います。特にひどいのは、家の建て増しをするのに、子供の勉強部屋一つ建てたって、一ぺん借りておる上に、全部権利金を取るのですよ。近ごろ借りて、坪七万円のときに七割とするならば、七、七、四十九、約五万円の権利金を払った、それで、たとえば、また、バラックみたいな子供の勉強部屋を建てても、金を持っていかなければ判こを押さないわけですからね。  だから、こういう問題を出しますと、皆さん方に知恵をつける結果になって、国民から税金を取る、こういう形になりますから、私はほかにもいろいろこういう問題点を持っておりますけれども、今日まで、積極的に取るなという話は常にいたしまして、泉さんからおこられるのですけれども、取れというような話は私はあまりしない。ただ、この前家庭内職に対しては五万円から、しかしホステスにはほとんど課税しておらないという実態はあまりにもひどいじゃないかというお話をしたのですが、私はいろいろ見てまいりまして、きょう、資産再評価の問題をめぐって、ほんとうは生命保険会社の問題や何か、そういう問題からずっと入っていこうと思ったけれども、生命保険会社があれだけどんどん広大な土地を郊外に買い、あるいはりっぱな店や何か——ああいうものが必要であるかどうか私にはわからないのですが、金があり余っているからすばらしいものを建てる。しかし、一向に十年前、二十年前、三十年前の保険料をスライドしない、こうやって保険会社だけ栄耀栄華をきわめる。こういうことは、私は許されるべきじゃないと思う。そういう問題から入って、この問題を最後に聞こうと思ったけれども、ほかの委員会にお出になるということですから、関連がないようですけれども、評価の問題と関連しますから聞いておるわけです。いつか私はこの問題を聞こうと思っておったのですが、この額は、私が言うように、試算はしておりませんけれども膨大なものになると思う。  皆さん方のほうで、この問題について徹底的に調査研究をされ、これからどういうふうに対処していくか。実際上これを取るのはなかなかむずかしいと思う。この家が二十年目、三十年目になって、そのときに権利金を幾ら取られたかというのを捕捉するのはなかなか容易じゃないと思いますけれども、しかしこれは、いま皆さん方は、少々の交際費を否認されたりあるいはリベートの否認をされておる、こういう商業を営むあるいは経済行為を営むために、ある意味ではやむにやまれない形でやっているのを、皆さん方非常に強い形で否認なさっておりますけれども、こういう弱い者いじめをされるということ——地主さんは、どんどん土地の値が上がって、いい目にあっている。それが全然隠されておる。私は、この問題は時間があればもっとやりたいのです。家屋の権利金にいたしましても、結局、五十万円なら五十万円の権利金を取っても、一時的な金にしますと税金がかかってくる。だから、毎年十万円ずつの権利金を取って、五年で還付した形にして契約書だけは結ぶわけです。そうやって、いいところの商店街に商店を持ち、家を持っている人や何かは脱法行為をやっている。そういうことをあまり皆さん方に教えると、国民をいじめる形になりますから、私はそういうことは言わない。しかし、この地主の問題はあまりにもひど過ぎるのですよ。ぼくのところにもちょいちょい来ます。多少事情がよくなって安定したから家を建てたいが、地主さんから十万円持ってこい、二十万円持ってこい、三十万円持ってこいと言われた、どうしようか。家の建築費だけやっと銀行から借りたり何かして、間に合って建てようとしたところが、地主さんから、持ってこい、持ってこなければ建てさせない、こう言われる。ぼくは、そんな金は一万円か二万円でいい、文句があったらぼくのところに来い、こう言っております。ぼくの名前を出すと、半分か三分の一になるようでございますけれども、あなたたち、その税金を納めているか聞いてみなさいといって、言わせたら、納めておりません、こういうことで、二、三軒そういうことでぴたりと来なくなりましたが、これはたいへんな額です。だから、交際費や何かは否認をされておるが、そういう面に皆さん方があまり力か入れないで、こうやって持っておる、しかも、不労の所得に対して課税をさぼっておる。ぼくらからいえば、さぼっておると言ってもいいのです。これは厳密な意味の資産再評価にはなりませんけれども、土地の値上がりその他によって、更改していく場合に再評価の問題と関連するものですから言ったわけだが、きょうは時間もないようですからこれ以上論議しません。あとは税小その他でまた取り組んでいきたいと思うのですけれども、お考えをいただきたい。ただ、方針だけここでお聞かせいただきたい。
  139. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、貸し地、貸し家につきましては、昔から税務署におきましては貸し地、貸し家調査というカードがありまして、それに基づいていろいろ調査をいたしておるのであります。ただ、戦前に比べますと、戦後は、御承知のとおり貸し地、貸し家がだいぶ減少する傾向にありまして、税務署のほうでもまた、貸し地、貸し屋につきましては賃貸料を押えられておったというような関係がありまして、その調査をなかなかしにくいし、また、調査してもその額が小さかったというようなことで、ややなおざりにされておった感があると思います。しかし、お話のように、昭和三十年以降の高度成長に伴いまして、土地に対する需要が非常に高まってまいりました。同時に、住宅建設も、経済が落ちついてまいりましたので相当行なわれてくる、両方の面から、土地に対する需要、家屋に対する需要というものが非常に多くなってまいっております。したがいまして、課税の面におきましても、そうした時勢の変転に応じて調査の重点を移行しなければならない点が確かにあると思うのであります。  ただ、現在まで、先ほど申し上げましたようないろんな事情からいたしまして、個人間の賃貸借につきましては、まだ調査が徹底いたしておりません。したがって、私どものほうといたしましては、貸し地、貸し家の調査につきまして、もっと徹底した調査をするように努力いたしたいというふうに考えまして、いろいろ施策を講じております。しかし、その成果がまだ十分あがっていないことは御指摘のとおりであります。  私どもといたしまして、今後そうした面におきましては、やはり不動産の収入でございますから、お話のとおりの、いわば不労所得といった性格——まあ、不労所得というと、あるいは語弊があるかもしれませんが、資産所得でありますので、担税力の面からいきますと相当あると見て差しつかえないと考えますので、これらにつきましては適正な課税を行なうようにつとめてまいりたい、このように考える次第であります。
  140. 只松祐治

    ○只松委員 いま、やっておるけれども十分でないというようなお話なんですね。それは国会答弁だからそうおっしゃるかもしれませんけれども、そういうお答えならば、私は逆に、職務怠慢だ、こう言っても、私は言い過ぎではないと思うのですよ。そういう膨大な課税源が、しかも相当明白にとらえられるものがありながら、そういうものが現在まで手をつけられておらない。いま、不労所得じゃない——不労所得か資産所得か、ことばは別にして、こういうものが手をつけられない。一方、さっきから言うように、中小企業なり何なりの生産所得というものは、非常にきびしい態度がこのごろとられておる。こういうものを見ますと、ぼくは、あえて越権行為とまでは言いませんけれども、一面を阻害しているわけですから、これは皆さん方の責任問題だと思いますよ。だから私は、いままでやっておったけれども不十分だというような形ではなくて、やはり落ち度というものは率直にお認めになりまして、そうして、そういう面について不十分だったから、あらためて、そういうものについて対策を講ずる、こういうことをおっしゃるべきだと思う。  これはひとつ政務次官のほうからもその点は明らかにしておいていただきたい。
  141. 小沢辰男

    小沢政府委員 おっしゃるような点で、いろいろ徴税上の問題点がまだほかにもたくさんあろうかと思います。全国五万の税務職員は非常な努力をいたしておりますけれども、私は、国税庁当局に対するおことばではありますけれども、怠慢というよりは、むしろもう限度を越えたいろいろな努力に問題がありますので、私どもとしては、税務職員の能力が向上しますような面でできるだけ配慮し、あるいは人員の配置の面につきましても、今後一そう努力をいたしまして、国税当局がそういう面で足らない面が出ないように、できるだけ善処をいたしたいと思っております。
  142. 只松祐治

    ○只松委員 税務職員の方が相当オーバー労働であるし、それから、非常に誘惑が多くて、いろいろ引き込まれたりなんかされている、そういうことは、事実私は山ほど知っておりますよ。そういうことを言っているのではないのです。国税当局の基本方針として、こういう膨大な課税対象というものは、しかもわりに安易に取れるものがあるのに、おやりになっておらなかったじゃないかということを言っているのです。だから、方針として、こういうものに対しては明確な方針をお立てなさい、こう言っているわけですよ。職員の問題は、そういうことを聞かなくても、御苦労だということは——ほかの業種から見れば、常に金銭が伴っていることですから、これくらい誘惑が多い仕事はないですよ。おりあらば、すきあらば税務職員をろうらくしようとかまえているのですからね。そういう中で、振り切ってやっていくのは容易なことではないのですよ。あなたに聞いているのは、そういう職員のことではなくて、方針を大蔵省としてお出しなさいと、言っているのです。
  143. 小沢辰男

    小沢政府委員 長官がいろいろお答え申し上げましたように、方針は立てておるのでございますが、なかなか実効はあがらぬので、いま先生のいろいろ御批判になるようなことがあったわけでございます。実効をあげるために、私どもとしてはできるだけ努力をいたしたいと思います。
  144. 只松祐治

    ○只松委員 再評価の問題についてもいろいろおききをしたかったのですが、きょうは国会も変則国会になっておりますし、時間も少ないようでございますので、これも一、二点だけお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。  一つは、さっきちょっと言いましたいわゆる生保や損保、こういうのは相互が多くて株式組織が少のうございますから、いろいろむずかしい問題があると思いますけれども、しかし私は、本来、大蔵省の中でも一部議論が出てきておりますように、こういうものはやはり株式組織にすべきで、現在の重役の方々が各県に一名か二名の総代を指名する、出てきた総代の人々は、今度は重役をまた選ぶ、これは私は、その辺のデンスケ賭博よりもインチキきわまりない状態が生保のこの経営状態だと思います。そういうことですからいろいろな問題を含んでおるわけです。そういうことで、一部に、実際上いろいろな土地や何かお持ちになっている、あるいは、株も現在少し下がりまして千五百円になったけれども、安かったのが、千八百円ぐらいにばっと上がった、そこで資産内容がよくなった、こういうときでも、生保や損保、こういうところは、支払い金額をふやしたりスライドしたりなんかすることは一向しません。  こういうものの資産の評価というものは、皆さん方としては、現在のままでいいとお考えになっておられるか、何らかの形で、特に一般論としてはいろいろ言えると思いますが、午前中広沢君の御質問にありましたように、少なくとも現在までは相当の速度でインフレーションというものが進んでまいってきておるわけですね。現在でも、なおかつ私たちはインフレだと思いますけれども、公債が発行されて、物価は五%前後上がってきておる、こういう中において、どういう形で資産の評価というものを行なってきておるか、また、皆さん方はそういうものに対してどういう御指導をなさっておるか、そういう点についてお聞きをいたしたいと思います。
  145. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 生命保険の再評価、あるいは資産の再評価、資産の運営その他の問題は、生命保険の監督当局のほうに答弁してもらいますが、一応、私のほうの再評価の関係をデータとして申し上げますと、あるいは、これも向こうで聞いたほうが早いかと思いますけれども、私のほうで調べた限りでは、四十一年三月末の生命保険会社だけの再評価積み立て金の残高が二十五億五千三百万円ございます。おそらく、生命保険は相互会社が大部分でございますから、例の強制再評価の対象になったものはないのじゃないかと思いますが、いずれにしましてもそういう状況でございます。先生も御指摘のとおり相互会社でございますので、資本金という勘定はない、したがって、今回も、再評価法の最終処理は、株式と有限会社とだけについて行なわれて、これを資本準備金に組み入れるということになるのですが、そういう対応科目はないのでございます。したがって、これをどういうふうにするか、あるいは、生命保険会社の運営の問題とどうからめるかは、生命保険会社を監督している立場からどういうふうにするか、そちらのほうにおまかせしたい、かように考えております。
  146. 村田博

    ○村田説明員 若干生命保険関係につきまして御説明をさしていただきたたい思います。  生命保険の資産の評価につきましては、原則といたしまして、保険業法六十七条によりまして、商法の規定を準用して評価いたしております。したがいまして、商法の規定がそのまま適用されるわけでございますが、決算指導の面におきましては、私のほうでは、さらに資産内容の堅実化をはかる見地から低価法で指導しておるわけでございます。低価法というのは、できるだけ低い価格で評価する、ということは、資産内容をできるだけ堅実化することを意図しております。生命保険の契約というものは、二十年、三十年の保証契約でありますので、将来にわたる不測の事態に備えなければならない、できるだけそういうことに備えるようにやっておるわけでございます。これはほかの金融機関も同様だと思います。  しかし、いま先生の御指摘は、将来にわたっては相当含み資産が出るのじゃないか、たとえば、生保が持っております不動産、株というものには含み資産が出る、これをどうするか、こういうお話かと存じますけれども、このことにつきましても、やはり商法の評価でやっておりますが、不動産につきましては、御承知のように、処分して初めて利益が出るわけでございます。  この問題につきましては、私のほうは、当該財産を何らかの形で処分したときにこれを初めて利益と見なしております。その分配については、大蔵大臣の承認を得てやらしておりますが、この性格はきわめて臨時的なものかと思います。  と申しますのは、不動産の実体は、大部分が営業用不動産でございます。営業用不動産を処分するという場面において初めて利益が計上されるわけです。しかし、営業用不動産を処分するという場面は少ないので、そういうケースはあまり考えられません。  むしろ、問題は株でございますけれども、株は現在生保資産二兆七千億円のうちの二五%くらい持っておりますが、これももちろん含みがございます。現在五〇%程度の含みを持っております。五〇%程度の含みで、はたして今後長い将来それでいいかどうかということになりますと、日本の株価の変動というものは、上下の幅がかなり広うございますので、そういう点からいたしますと、必ずしも万全ではない、したがいまして、もっと含み資産が出てまいりますれば、場合によっては、契約者のために利益還元ということは当然考えていいのじゃないかということは考えております。
  147. 只松祐治

    ○只松委員 これも短い時間で、いまの株なら株がほんとうに三〇%なり四〇%なのか五〇%なのか、私もよく存じませんが、いまお答えでは五〇%ということでございますが、私は五〇%じゃきかないのじゃないか。かりに五〇%といたしましても、自民党さんがおっしゃるように、ますます高度経済成長が続いて株が値上がりしていく、そういうことなら、下がるのがおかしいので、上がると思うのですけれども、そういう展望に立つならば、現在ですでに五〇%ならば、何らかの指導なり処置をすべきではないか、こう思うのです。  たとえば、さっきちょっと言いましたように、日生でも有楽町のどまん中にあれだけすばらしいビルが建っている。一体、生命保険、銀行でもそうですけれども、裏路地にあったって、金を借りたい人は借りに来るわけです。むしろこういうところに頭を下げて借りに来る。生命保険会社があんなところにあんなりっぱなビルを、新宿の駅前の、坪何百万とするあんなところにつくる必要があるのかどうか。いわば、あまりにも含み資産があり過ぎるし、金というものが自由になるからで、被保険者のこと、スライドをするということはもちろんですけれども、配当増額するというようなことや、あるいは従業員の外務員や何か、非常に無理をしてお集めになっておりますけれども、こういうものに対して改善をしない。諸外国では、保険外務員というのは、試験があって、相当の高い資格を与えられて、一つのプライドを持った仕事をしておる。日本では、奥さん方の、半分は手内職みたいな形でやられておる。しかし、本社はああいうりっぱなもの、さらに富士山ろくに広大なものをつくって、そこに一都市を形づくるのだ、こういうことが言われておるのみでなく、現実に行なわれようとしておりますね。こういうのが、ほんとうに国民保険行政を考える、生命や財産の安泰を考える生保や損保の正しいあり方であろうかどうか。皆さん方はどうです、多少疑問にお感じになりませんでしょうか。将来長きにわたって生命財産を保証するのだから、先を見越して、ほかの産業に比してこういうりっぱな建物を建てたり、雄大な構想を持つのがあたりまえだ、こういうふうにお思いになりますか。どうです。たとえば、簡易保険と対比いたしましても、簡易保険がそれほどりっぱな宿舎に入ったり、そういう形をしておるかどうか。他産業と対比しなくても、簡易保険と対比してお考えになっても、いささか——私は、この内容にわたって、交際費や何かそういうものは調べておりませんから、こういうものまでも調べて問題というものを摘出していきますといろいろな問題が出てくるのじゃないかと思いますが、こういう現在の保険行政のあり方、資産評価の問題ですから、あまり中に立ち入ったことはあれですけれども、一番長期的な資産をもって運営していこうとするこういうところ——あとで聞きますけれども、電力、私鉄というものも当然そういう部類に近いものになってくると思いますけれども、まず保険のことについてどうお考えになっておりますか。
  148. 村田博

    ○村田説明員 生命保険会社の資産、不動産の運用につきましては、私どもといたしましても、なるべくこれが圧縮をさすということで原則的な指導をいたしておるわけでございます。  原則といたしまして、今日、現在の営業用不動産の比率も年々減らしてきておりますが、昭和四十一年度の決算で申し上げますと、大体営業用不動産は八%を少し切っておる、こういう状況でございます。従来は一〇%以上でございましたけれども、年々圧縮をはかっておるわけでございます。、これが具体的なケースになりますと、たとえば、日生劇場でございますとか、御指摘の富士山ろくの新都市建設とかいうことになろうかと思うのでございますが、私どもといたしましては、やはりその事業計画を事前に取り寄せて、こういった営業所が必要であるかどうか検討した上、そういったところが必要であるということでございますれば、つぶさにその詳細計画を聞きまして、その事業計画が適当なものであればこれは認めていこうということでやっております。ただ、金額その他につきましても、非常に原価的な要素までタッチいたしまして、十分な審査はいたしておるつもりでございます。決してぜいたく華美にはわたらないように注意はいたしておりますけれども、やはり、できますればこれは人目を引くことはございましょう。そういう意味で、私も今後ともこの不動産取得につきましては、なお、できるだけ強い立場で、押える立場でやっていきたいと思います。たとえば、一つの会社でそういう営業用不動産のでかいものをつくれば、当然その会社については、ほかの営業用不動産の取得については全面的に押える、できるだけその資産運用について非効率的な非稼働的なものを押えていく、こういう気持ちは強く持っていきたい、こういうふうに考えております。
  149. 只松祐治

    ○只松委員 最後に、電力、私鉄のように、非常に不動産あるいは固定資産の多い業種、特に電力、私鉄はそれが多いわけですけれども、こういうものの再評価あるいは資本への組み入れ、そういうものは電力料金なり運賃の問題等とも関連もしてまいりますから微妙な問題もあるかと思いますけれども、これも皆さん方が適正に行なわれておるかどうか、あるいは、現在のままであっていいのかどうか、これも一つの研究課題として、私もさっきから時間が超過しておりますのでやめますけれども、皆さんのほうで、現在のままでいいのかどうか、いまある程度の方針があれば、いまお聞きしておってもいいんですけれども、今後よく研究をしていただきたいと思います。
  150. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 数字を申しあげますと、電力は十社で、再評価積み立て金を資本組み入れした後の残高が三千百八十九億円、発生総額に対して資本に組み入れた割合が二二・六%、現在の電力会社の資本金に対しての残残割合は六五・四%、陸運は会社数で八十二社、この資産再評価積み立て金の残高が四百四十三億円、資本に組み入れました割合は二一・三%、現在の資本金に対する残存割合は三一・四%、これは現在の電力なり陸運の資本金に対して再評価積み立て金として残っておるものの残高の割合ですが、その後資本金がふくらんでおりますので、当初資本金に対しては非常に大きな割合ですけれども、現在の資本金に対してはこういう割合になっております。電力及び陸運を除きますと、他の業種は全体としては約六〇%くらいすでに資本に組み入れまして、現在の資本金に対して残っているものの割合はわずかに七・七%になっている、こういう状況でございますから、非常にきわ立った懸隔があるのは御指摘のとおりでございます。ただこれは、一定の資本組み入れをやらなければ配当を制限するという強制措置をもって、あるいは、償却を十分にやらなければ配当制限するという間接強制をもって資本への組み入れを促進してまいったのでありますが、会社のほうにしますと、資本に組み入れられただけ配当率を維持しようとすると、それに伴う収益というものの見込みがなければ、資本に組み入れる自信がないということであります。電力、私鉄は現に認可業種でございますので、もっぱら経営者の経営手腕のみによってこの問題を必ずしも左右できない面がある、こういうことと、それから、非常に両業種とも不動産比率の圧倒的に高い事業でございます。したがって、当初の発生総額でも、当初の再評価時の資本金に対しては、再評価積み立て金が、電力で十二・七倍、私鉄で約五倍という状況でございますので、こなすボリュームも非常に大きかったということでございます。  しからば、今後どうするかということでございますが、これは、今回資産再評価法で一種の最終処理をとるわけでございますけれども、私企業の実質資本の維持という観点からこういう措置をとったわけでございますが、本来、これはそれぞれの企業努力によって解決すべき問題である、それを国の政策としてこのようにとるというのは、国全体としての経済の実質というものを維持したい、あるいは拡大したいという政策的な立場からでありますが、もう二十年ばかりたちまして、すでにその時期は過ぎたのではないかということで最終処理をとるわけであります。そうすると、電力、私鉄が、いまの数字のようにかなりおくれてそのまま最終処理ですべり込む、こういうことになるわけでありますが、この辺は電力、陸運事業の運営をどういうふうにするか、また、どういうふうに合理化するか、どういうふうに体質改善するか、これは当該企業の経営者及びこれを監督しておる立場にある通産など、それぞれの監督官庁が、それぞれの業法に基づく監督をいたしておるわけでありますが、その方針に待ちたい、かように考えております。
  151. 内田常雄

    内田委員長 暫時休憩いたします。    午後三時六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕