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1967-07-11 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十一日(火曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君       河野 洋平君    笹山茂太郎君       永田 亮一君    西岡 武夫君       村山 達雄君    山下 元利君       山中 貞則君    渡辺美智雄君       阿部 助哉君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    山田 耻目君       永末 英一君    田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 増子 正宏君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次         長       武藤謙二郎君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         郵政省人事局長 山本  博君  委員外出席者         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         厚生省保険局保         険課長     宮嶋  剛君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 黒住 忠行君         自治大臣官房参         事官      志村 靜男君         日本国有鉄道厚         生局長     中西 幸雄君         参  考  人         (証券投資信託         協会会長山一         証券投資信託         委託株式会社         社長)     間島 達夫君         参  考  人         (野村証券投資         信託委託株式         会社社長)   神原藤佐尾君         参  考  人         (日興証券投資         信託委託株式         会社社長)   犬飼 重幸君         参  考  人         (大和証券投資         信託委託株式         会社社長)   西村 正巳君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 七月十日  在外財産基金法案植木庚子郎君外六名提出、  衆法第四〇号) 同月六日  公認会計士特例試験延長等反対に関する請願  (武藤嘉文紹介)(第二五二四号)  同(宇野宗佑紹介)(第二六六〇号)  同外五件(武藤嘉文紹介)(第二六六一号)  公衆浴場業所得税適正化等に関する請願(吉  田泰造紹介)(第二六六二号)  各種共済組合法増加恩給受給権者に対する不  均衡是正に関する請願關谷勝利紹介)(第二  七〇〇号)  戦傷病者傷病恩給等担保融資額是正に関す  る請願關谷勝利紹介)(第二七〇一号) 同月十日  公認会計士特例試験延長等反対に関する請願外  四件(足立篤郎紹介)(第二七六一号)  同(岡澤完治紹介)(第二七六二号)  同(細谷治嘉紹介)(第二七六三号)  同外二件(松野幸泰紹介)(第二八一四号)  同(桂木鉄夫紹介)(第二八一五号)  同外五件(進藤一馬紹介)(第二八五五号)  金鵄勲章賜金国庫債券即時支払いに関する請  願(八田貞義君外一名紹介)(第二八五四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月五日  法定選挙費用税控除に関する陳情書  (第二八八号) は委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一八号)  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国ブラジル合衆国との間の条約の実  施に伴う所得税法及び法人税法特例に関する  法律案内閣提出第八七号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国ノールウェー王国との間の条約の  実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法の  特例等に関する法律案内閣提出第一一九号)  (参議院送付昭和四十二年度における旧令によ  る共済組合等からの年金受給者のための特別措  置法等の規定による年金の額の改定に関する法  律案内閣提出第七五号)  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律案内閣提出第一〇一号)  計理士の名称の使用に関する法律案起草の件      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約実施に伴う所得税法及び法人税法特例等に関する法律案及び所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ノールウェー王国との間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 内田常雄

    内田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。大蔵政務次官小沢辰男君。
  4. 小沢辰男

    小沢政府委員 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約実施に伴う所得税法及び法人税法特例等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、さきわが国ブラジル合衆国との間の租税条約に署名いたしました。この条約については、別途、今国会において御審議を願っているのでありますが、この条約国内において実施するためには、法律により特別の定めを必要とするものがありますので、これにつき所要立法措置を講ずるため、ここにこの法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案内容についてその大要を申し上げます。  まず、配当利子及び工業所有権等使用料に対する源泉徴収所得税に関する事項であります。  わが国所得税法によりますと、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等使用料につきましては、二〇%の税率により源泉徴収所得税を徴収することになっておりますが、このたびの租税条約では、親子会社間の配当一定範囲利子及び工業所有権者等、特定のものにかかる使用料につきまして、それぞれ一〇%をこえてはならないとされております。  そこで、これらの所得に対する源泉徴収所得税税率を、それぞれその条約上の最高限度である一〇%と定めることとするものであります。  次に、非居住者または外国法人のうち、わが国支店等を有しているものにつきましては、国内法では、配当利子及び工業所有権等使用料にかかる所得とこれら以外の他の所得とを合算して課税するたてまえになっております関係上、配当等につきまして租税条約で定める制限税率をこえて課税されることとなる場合がありますので、その点を考慮して、総合課税の場合の税額につき、租税条約規定に適合するよう所要軽減措置をとることといたしております。  その他、このたびの租税条約実施するにつきまして必要な事務取り扱い等につき所要規定を設けております。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ノルウェー王国との間の条約実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、さきノルウェー王国との間の租税条約に署名いたしました。この条約の締結の承認については、別途今国会において御審議を願っているのでありますが、この条約は、昭和三十四年二月に両国間で調印された現行租税条約を全面的に改定するものであります。現行条約国内において実施するための特別の法律として所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税の防止のための日本国ノルウェーとの間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律があるわけでありますが、現行条約改定に伴い、これにつき所要立法措置を講ずるため、現行特例法の全部を改正する必要があるので、ここにこの法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  まず、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等使用料に対する源泉徴収所得税に関する事項であります。  わが国所得税法によりますと、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等使用料につきましては、二〇%の税率により源泉徴収所得税を徴収することになっております。  しかるに、このたびの租税条約によりますと、配当につきましては親子会社間のものを除き一五%、親子会社間の配当利子及び工業所有権等使用料につきましては一〇%を、それぞれこえてはならないとされております。  そこで、これらの所得に対する源泉徴収所得税税率を、それぞれその条約上の最高限度である一五%及び一〇%と定めることとするものであります。  次に、非居住者または外国法人のうち、わが国支店等を有しているものにつきましては、国内法では、配当利子及び工業所有権等使用料にかかる所得と、これら以外の他の所得とを合算して課税するたてまえになっております関係上、配当等につきまして租税条約で定める制限税率をこえて課税されることとなる場合がありますので、その点を考慮して、総合課税の場合の税額につき、租税条約規定に適合するよう、所要軽減措置をとることといたしております。  なお、この場合、このたびの租税条約におきましては、住民税をも条約の対象とすることとなっておりますので、総合課税の場合の軽減措置を講ずるにあたっては、法人税割り住民税をも含めて制限税率をこえることのないよう、所要措置を講じております。  その他、このたびの租税条約実施するにつきまして必要な事務取り扱い等につき所要規定を設けております。  以上、この二法律案提案理由及びその内容を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  5. 内田常雄

    内田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は、後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 内田常雄

    内田委員長 次に、証券投資信託法の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は、参考人として、お手元に配付いたしております名簿のとおり、証券投資信託協会会長山一証券投資信託委託株式会社社長間島達夫君、野村証券投資信託委託株式会社社長神原藤佐尾君、日興証券投資信託委託株式会社社長犬飼重幸君並びに大和証券投資信託委託株式会社社長西村正己君がそれぞれ御出席になっております。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。  本委員会におきましては、本案につきまして審議を行なっておるのでありますが、参考人各位におかれましても、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  まず、間島参考人から証券投資信託協会会長としての御意見をお述べいただき、そのあとに各参考人に対する質疑を行なうことといたします。間島参考人、お願いいたします。
  7. 間島達夫

    間島参考人 ただいま委員長から御紹介のありました間島達夫でございます。  最初に陳述さしていただきたいと思います。  最初に申し上げたいことは、今度政府で御提案になりました投資信託法の一部を改正する法律案は、業界といたしましても、その内容については納得いたしておりますので、ぜひ成立することを希望しておるということを述べさしていただきたいと思います。続きまして、協会会長といたしまして、最近の投信の概況を申し述べ、われわれの心がまえと申しますか、そういうものを申し上げて御参考に供したい、こう思うわけでございます。  最近の投資信託は、皆さま承知のように、ここ二、三年非常に振わないのでございまして、これは株式投信でございますけれども、ここ二年半というものずっと減り続けておるわけでございます。  数字がお手元にあるかと思いますけれども、御参考に申し上げますと、昭和三十九年の十二の末でございますが、株式投信は一兆一千六百十五億五千八百万円の元本を持っておったわけでございますが、ことしの六月の末には、それが非常に減りまして七千四百七十三億八千三百万円、非常な激減ぶりでございます。公社債投信は、これはふえておりまして、これが幾らかなぐさめでございます。株式投信は、いま申しましたように非常に減り続けておるというのが現状でございます。ただここで、多少われわれが心を休めておりますのは、減り方がだんだん減ってきておる、こういうことでございます。参考に申し上げますと、三十九年の十二月とことし六月末の数字を申し上げましたけれども、その間、実に減った額が四千百四十一億七千五百万円でございます。この内訳を申しますと、四十年中に千九百五十二億円減っております。四十一年、昨年一年中、これは暦年でございますが、千六百五十五億円減っておりますが、ことしに入りまして、これは半年でございますが、一月から六月までに五百三十四億円減っております。だんだん減り方が少なくなってきたという点におきまして、私ども幾らか明かるい気持ちになっておる、こういうことを申し上げたいと思います。  実は、この元本の減ると申しますのは、われわれといたしましては非常にたいへんなことでございまして、運用からいたしますというと、ほとんど売り一方の運用になるわけでありまして、非常に運用がやりにくいということでございまして、われわれはここ二年半の間非常に胸を痛めておるのが実情であります。  皆さんは先刻御承知と思いますが、新聞紙で言われておりますように、なぜこんなに投信が減ってきたのか、悪くなってきたのか、こういう点を申し上げますと、過去、高度成長時代にこれは躍進躍進を続けまして、非常に膨張いたしました。かてて加えまして、非常に高率な分配をいたしました。それから償還いたしますときには、おそらく二倍以上の償還、五千円のものが一万二千円とか一万三千円で返す、そういうものだということをお客さまに非常に深く植えつけてしまった、ところが、高度成長時代が終わって、株式市況が沈滞した、こういう時代になりますと、その裏目が出まして、分配は非常に低くなる、それから元本は割れる、こういう状態を現出したわけであります。最近も、お客さまの手紙を見ますと、いまのようなことではとても投信は買えない、昔のような投信をひとつやってくれというような御注文があるわけでございますが、非常にその点で投資家のイメージをこわしたということが大きな原因になっておるかと思います。  そこで、私どもといたしましては、一日も早く投資家信頼を回復しまして、何とかこれを盛り返したいという気持ちに燃えておるわけでございますけれども、それにはわれわれはどういうことをしたらいいか、その根源を探りますと同時に、われわれは非常に反省反省を重ねまして、どういうことをやったら投資家信頼を回復できるかということに腐心いたしたわけでございまして、これはいろいろ新聞紙上にも出ておりますとおりに、われわれといたしましては、何と申しましても、本業証券会社との分離独立ということが根幹であるということに気がつきまして、これをまず第一にやろうじゃないか、それから派生いたしまして、株式の組み入れ限度、これはいままでは幾らでもできたわけなんでございますが、株のいいときはよろしいのですけれども、下がったときには非常にへっこみがひどい、下がり方がひどいということで、基準価格に痛みを与えるということで、株式の組み入れ限度の検討をいたしました。それからもう一つは、いわゆるコロガシ——コロガシというと、ごろが悪いのですけれども信託財産相互間の取引、売買ということでございますが、いわゆるコロガシということ、これも過去は、やり過ぎたということを反省しなければならない。それから、基準価格の下がるのをとめる一つの歯どめといたしまして、株価変動準備金というようなものの積み上げの率を上げまして、だんだん歯どめを大きくした、防波堤を高くした、こういうことをやりました。実はここ二、三年来、われわれはそういうことにつきましていろいろ制度改善をやってまいったわけでございますが、私どもといたしましては、現在の段階でやれることはほとんど全部やった、こういうことが言えようかと思うのであります。その中で、昨年の十一月に協会できめました投信制度改善要綱というのがございますけれども、いままでやりました改善の中でこれが一番大きなものでございます。  御参考に申し上げますと、大体三つの柱があるのでございますが、一つは、委託会社自主的運用体制の確立、むずかしいことを言っておりますけれども、これは実は本業との分離独立をどういうふうにやったらいいか、どういうふうにしたら完全にできるかというようなことがその内容でございまして、その一つといたしまして、本業販売にあまり依存するからいけないのであって、それでは、販売一般証券会社に公開してはどうか、これをひとつやろうではないか、こういうことをきめたわけでございます。それからもう一つは、販売公開いたしましても、われわれの信託財産株式売買本業証券会社だけに出すのではよくないから、これは販売公開して、販売してくれた中小の証券会社にも株式売買注文を出すというようなことをやろう、委託発注の分散と申しておりますが、そういうことをやろうじゃないか。それからあとは、本業との間の役員人事の交流を避けるというようなことが内容でございます。要は、先ほど申し上げましたように、本業証券会社からいかに分離独立するかということが内容になっております。  その二は、証券投資信託協会による自主規制強化ということでございます。過去、募集のできるときは幾らでもやった、それから幾らでも株式を組み入れたというようなことが災いいたしまして、非常に基準価格の下落、元本割れということを現出した点にかんがみまして、協会自主規制強化ということをはかって——具体的に申しますと、理事会会員外理事をお入れし、もう一つは、協会審議会的な機構評議員会というのを設けまして、この中にまた業界外から半分をお迎えしていろいろ御意見を聞く、われわれとして一番これを期待しておりますのは、非常に株式状況がよくなって、投信が売れてしょうがない——早くそういう時代が来ればいいのですが、そういう時代が来た場合、いわゆる過熱の時代に、われわれひとつ自粛して、募集額幾らでもやらないで、なるべくそれは適正なものにとどめておこうということをやろうじゃないか、あるいは、組み入れ比率はいま七〇に押えております。これはユニットでございますが、これも、こういうふうに過熱してきたらひとつ考え直そう、そういうことを自主的にやる機構といたしましてそういうものをつくろうじゃないかということを考えまして、すでに定款の改正をしたわけでございます。  その他は、先ほど申し上げましたように、株式の組み入れ限度、それから早期解約防止——非常に解約が多いものですから、早期解約防止をするとか、価格変動準備金の率を上げるとか、信託報酬の取り方を合理的なものにするとかというようなことをきめたわけでございます。  これで、大体私どもとしてやれることはやったつもりでございますが、なお法律を待たなければできないことということで、今度の改正法案はわれわれの制度改正の総仕上げという形であらわれた、こういうふうにわれわれは理解しておるわけでございます。  そこで、この改正案をわれわれが希望いたします理由と申しますのは、われわれ業者といたしまして、この制度改正あるいは改善というようなことが新聞に出まするというと、そういう業界に問題のある品物というのはなかなか売りにくい。私は各地を回りましてそれは痛感したわけなんでございます。客は非常にきらうわけなんでございます。そこで、改正法案がここで通りまして、一応投信制度改善改正はこれで終わったのだということになりますと、その面のことはもう新聞にも出なくなるということで、われわれとしては、それを出発点といたしまして、これからの発展のために前向きな努力を続けていきたい、もちろん専心これに打ち込む、真剣に打ち込んでいきたい、こういうわけで、早く改正とか改善というあれを打ち切りたいという意味で私は成立を希望した、こういうことでございます。ただ、私どもは、これを出発点と申し上げましたのは、これでわれわれは制度改正した、法律も通ったということで、すぐに品物が売れるということは一つも考えておりません。そんな甘いことは考えておりません。これから投資家信頼を回復した上に、投資家が非常に魅力のあるものだと思うような商品をつくっていかなければならない。現に一生懸命つくっておりますけれども、まだまだ足りませんので、これから大いに勉強して、そういうものをつくって投信販売を伸ばしていきたい、こういうふうに念願しておるわけでございます。  幸いに、この投資信託という制度は、大衆の資金を資本市場に導入する一つのパイプといたしまして、一般からも、これは国民経済的に非常に重要なものであるということを認めていただいておりますのですが、一方におきまして、アメリカあたりでも最近非常に投信が伸びておりまして、最近はアメリカ投信元本が約三百八十億ドル、十三兆円にもなるわけでございます。毎年毎年伸びておるわけでございますが、そういう例を見ましても、投信というものは、必ず大衆に受ける品物であるという確信を持っておりますので、こういう両面から、われわれは投信というものは非常に将来に大きく発展する、伸びる可能性を持った事業であるということを確信しておるわけでございますが、私どもは、そういう将来の明かるさを見詰めながら、一生懸命努力したいと考えておるわけでございます。  一応、これで私の陳述を終わらしていただきます。ありがとうこざいました。
  8. 内田常雄

    内田委員長 御苦労さまでした。     —————————————
  9. 内田常雄

    内田委員長 これより質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  10. 堀昌雄

    堀委員 私ども、実は投資信託法改正審議をいたしております中で、今度の改正は、私どもが当委員会でこれまでいろいろ取り上げてまいりましたことを体系的に法制化をしたものでありますから、法案内容投資家保護に徹しておるという点において、私たちは望ましい改正だと思っておるのであります。ただ、法律というのは、御承知のように制度ワク組みでありますから、制度ワク組みができても——その制度の中で現実に投資信託を運営をしていかれる代表的な投信委託の四社の社長お越しをいただきましたのは、皆さま方をひとつ投資信託代表者とみなして、少なくとも投資信託法が考えておる方向を具体的に経営なり運用なり、そういう点で生かしていただくのでなければ、私ども国会投資信託法改正をいたしましても、画竜点睛を欠くというか、きわめてむなしい作業に終わるわけでありますから、本日、投資信託法の採決を前にして皆さんお越しをいただいて、皆さん方がこれまでいろいろおやりになってきた中で問題のあった点が私はあると思いますし、その問題のあったことが、いま協会長のお話のような今日の投資信託一つの停滞といいますか、問題の大きな原因だと思っておりますから、やはり私どもは、そういう反省の上に、いま協会長がおっしゃった新しい出発ならば、新しい出発にふさわしい皆さん方の決意を少しはっきり承っておきたい、こう思うわけであります。  この前の委員会で私いろいろな議論をいたしましたけれども、この法律の最も重要視しております問題点、そして、私どもこれまで重要視しております問題点は、協会長もお述べになりましたが、いかにして証券会社、要するに、一般的に業界のことばでは本業と呼ばれておる証券会社皆さん方投信委託会社とがほんとうに実質的に分離をして、委託会社が自主的に投資家のために運用をしてくれるかどうか、これが私は今度の投信改正の最も中心的な問題だと考えておるわけであります。当委員会では、過去十数年にわたってこの問題をいろいろ論議をしてまいりました。しかし、残念ながら、極端な言い方をすれば、今日まで必ずしも私どもが期待をしておったような状態になっていないというふうに私は実は感じておるわけであります。この問題が一つ。  次には、投資家保護という観点から見まして、今度は対本業にも関係がありますけれども投資信託の内部におけるいろいろな問題点によって、ある部分の投資家は有利になるかもしれないけれども、かえってそのためにある部分の者が不利になるというような問題もこれまで見受けられたわけでありますから、それらについては、今度法律によって定めを置くことにいたしました。これも、この間当委員会で質問をいたしたわけでありますが、あとは省令、政令その他にゆだねられる部分がありますから、ここらはきょう皆さん方、実際に運用をなさる責任者から少し問題点を明らかにしておいていただきたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。  そこで、実質分離の問題でありますけれども、私ども、実はこの間の、皆さんが十一月の十四日でございますか、協会でおきめになった改善要綱というのを拝見いたしておりますと、証券会社からおいでになった方が今度証券会社へ帰るときには、一定の期間を置いてからでなければならぬということにしたい、ただし、これを実現するためには、しばらく時間をかしてもらいたいというふうに、実はあの要綱の中には書かれておるわけであります。そこで大蔵省に、この間この一定期間というのは一体どのくらいなんだ、本業から委託に来て、委託から今度帰るときには一定期間たたなければそっちへ帰れないという一定期間というのは一体どのくらいだと聞きましたが、大蔵省は答弁ができなかったわけです。  そこで、これは確かに経営上の問題でありますから、ひとつ皆さんのほうで大体の目安——これは個人的ないろいろな事情もありましょうから一律にいくとは私も考えておりませんが、大体の目安はどのくらいの期間を置かなければならぬというふうに考えていらっしゃるのか、そこらの点について、これも問題がこういうかっこうでございますから、まず協会長のほうから、もし協会としての目安があればお答えいただきたいし、また、そこまで論議が詰まっておりませんようでしたら、各社のほうから、おのおのお考えになっておる期間等をお答えいただければけっこうだと思います。
  11. 間島達夫

    間島参考人 それでは、お答え申し上げます。  三つほどおっしゃったのでございますが、最初の、二、三年いろいろ制度改正をやってきたけれども、実際見ておると、まだ改まっていない点がある、こういうお話でございますけれども、もしそういう点がありましたら、われわれの非常に不徳のいたすところでございまして、今後なお気をつけまして、一そう注意して、制度改正の趣旨に沿った線で運営してまいりたい、こう思っておるわけであります。  それから、途中は省令のお話でございましたが、最後の役員人事の問題でございます。昨年の十一月にできました改善要綱、先ほどちょっと私申し上げました中の本業との役員の交流の問題でございますけれども、私は、本業からもらうことはある、これは人がない場合に、ことに運用部長などは、急にほかから持ってきましてもうまくいかないという点で、将来はわかりませんけれども、とりあえず、やっぱり本業からもらわなければならない。しかし私は、本業からもらった場合に、役員としてもらった場合には本業へ帰さないつもりでおります。そのかわり、全部骨まで見るから、本業へ帰るつもりは捨てて、委託に骨を埋めるつもりでやってもらいたいというふうに話してございます。そのかわり、委託の分離独立のためには非常に強くなってくれということを私ども言っておりますので、向こうへ帰すことは全然考えておりませんので、年限が二年か三年か知りませんけれども、私は、実はその点はあまり問題にしていないということを申し上げたいと思うのでございますが、それでよろしゅうございますか。
  12. 堀昌雄

    堀委員 ただいまの御意見は、これは協会長としてでしょうか、山一投信委託社長としてですか。どちらか、ちょっと承りたい。
  13. 間島達夫

    間島参考人 どうも申しわけありませんでした。  私のいまの最後の答えは、山一投信社長としての意見でございます。出過ぎたことを申し上げて申しわけありませんでした。
  14. 堀昌雄

    堀委員 問題の性格が私も前段で申し上げたように、協会長としてお答えになれるかどうか、そういう話がついておれば別ですが、そうでなければ、各社からお答えをいただくつもりだったわけです。それが、きょう四社においでいただいた最大の理由でありまして、問題が非常に複雑で、多少微妙な問題もありますから、それでは、次々にちょっとひとつ各社長からいまの問題についての御意見を承りたいと思います。
  15. 神原藤佐尾

    ○神原参考人 私、野村証券投資信託委託株式会社の神原でございます。  かねがね、投資信託につきましてたいへんなみなみならぬお力添えをいただいておりまして、このお席をお借りいたしまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。  御承知のとおり、現在投資信託はまだ非常な苦難期に遭遇し続けておりますし、まだ振わないという意味の不振の状況を脱し切れないようなときでもございますので、この際、われわれもこれに全力をぶち込んで、早く信頼がさらに一段と高まり、また、投資信託の発展がさらに堅実に前向きで進んでいけるように努力をいたしておりますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと存じます。  先ほど堀委員からいろいろおことばをちょうだいいたしまして、われわれといたしまして、肝に銘ずる点も多々あったわけでございます。その中で、特に御指摘の点は、この特定証券会社、私のほうで申しますと野村証券会社でございますが、それとの間の関係について御心配をいただいておるのではないかと存ずる次第でございますが、この点につきまして、少なくとも私らは、大体投資信託というものは証券の投資代行の制度である、それで、われわれとしましては、膨大な受益者のとうとい財産をお預かりしておるものである、そういう立場を常に踏まえておるつもりでございまして、それだけに、責任が非常に重い、また大きいものだということを痛感してやっておる次第でございます。特に、いろいろと高度成長時代の行き過ぎなり、あるいは過熱期に遭遇いたしましての全般としての安易な動き、そういう面もいろいろございまして、全般としていろいろと御批判を承ったわけでございます。その御批判も、われわれといたしましては、これを率直に受け入れまして、なお、われわれ自身で十分に反省をいたしまして、悪いところは大いに改めなければいけない、今後とも前向きで、御批判の点はわれわれとして納得のいける点は十分ひとつ改めていかなければならないという気持ちに徹して、ここ二年ほど努力を重ねておる次第でございます。  それで、大体投資信託というものは、兼営時代は別といたしまして、その後分離されたあとでは、この運営の主体は、やはり委託会社でなければいけないのではないかという気持ちでおりますし、その点は、前よりもさらに気持ちとして徹底いたしておる気持ちでございます。そして、それだけに、委託会社が主体的な自主的な立場から投資信託の運営をやるということにならなければならぬのではないか。また、その中で一番肝心な大事なこと、主眼点は、財産の運用でございます。この運用につきましては、私らもこれは信託法の理念に基づきます善良な管理者の注意義務、また、このたびの改正法に盛られております忠実義務、この二つを腹底に深くぶち込みまして、その立場から受益者のために運営していくという気持ちにさらに一段と徹しなければならぬ、かように考えております。  その際に、先ほどのお話の本業との関係になるわけでございますが、私はそういう基本的な立場から出発する限りは、少なくとも、受益者の利益にそぐわないもの、利益にならないもの、そういうものに対しましては、あるいはまた、そういう面の介入なりあるいは干渉という面につきましては、どういうところであろうと、あくまでも矯正していく、そして、われわれの立場に徹して運用に従っていくというふうに考えております。したがって、人材の養成も今後なお一段とやっていかなければなりませんし、また、運用機構の整備もなお充実させていかなければなりません。あるいは運用につきましての運用仕法といいますか、あるいは新しい技術の開発と申しますか、そういう点もさらに徹していかなければならない、かように考えておる次第でございます。  幸いに、当社の場合は、調査関係の資料なども野村証券と独立した会社から供給を受けるような立場になっておりますし、また、計算関係、電子計算機の使用、そういうものも別会社を利用し得るという立場になっておりますので、その点は、本業にあれこれと依存する面は非常に少なくて済むんじゃないかというふうに考えておりますし、もう一つわれわれが考えなければならないことは、有価証券市場に対する配慮、こういう点も、十分われわれとしてはこまかい配慮をいたしまして、むやみに市場に波を立たすようなことのないように、また、公正な価格形成が阻害されないような考え方でやっていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  16. 堀昌雄

    堀委員 私が伺っているのは、前段はいいのですが、あなたのところに野村証券から来た人が、もし野村証券に帰る場合には、あの要綱では、一定期間を置いて帰るようにしたい、こう書いてあるわけです。ですから、その一定期間というのは、さっき山一社長がお答えになったように、どういうふうに考えていらっしゃるか、そこのところを具体的に伺いたい。
  17. 神原藤佐尾

    ○神原参考人 いま私の決意をいろいろと述べたわけでございますが、人事の問題につきましては、いま間島さんからおっしゃったような気持ちと全く同じでございまして、私も、証券から参りました者に対しましては、きつくそういうつもりでやっておりますし、また、本人も委託会社で骨を埋めるという気持ちで仕事をしておるものだと思います。  しかし、私は、ここで一つ考えなければならない点があるんじゃないかと思うのです。それは、いま委託会社としては、まだ人材の育成が十分ではございませんので、その点、証券関係の非常に知識、経験の深い者をやはり相当今後も得ていかなければならないんじゃないか、これは若い者であろうと、あるいはある程度幹部的な者であろうと、必要じゃないかと思っております。そういう人は広く外から求めなければならぬですけれども、やはり一番それを供給し得る立場は本業証券会社じゃないかというようなわけで、本業証券会社に依存するわけでございますけれども、その場合でも、委託に来たというただそれだけで、若い重役は、あと、より高い舞台の、より広範な立場で証券のための仕事に従事できる、そういう立場がなくなるということは、ちょっとこれは考えなければならぬのじゃないかと思うわけです。  しかし、それは私らの思いやりでございまして、委託会社に従事している者は、先ほど申しましたように、骨を埋める覚悟で来ておる、仕事に徹してやるんだという覚悟でやっておるつもりでございまして、これはもう末端まで通っておるわけでございます。  私らとしては、そういう意味でございます。わかっていただけますれば、たいへんけっこうでございます。
  18. 堀昌雄

    堀委員 お一人ずつ聞いてからしたほうがいいのですが、ちょっといまのお話がありましたから、やはり私、最後のところに引っかかるのです。  若い人が本業から投信委託に来た。そしてこの人が、いまのあなたのおことばでは、より高い立場で証券界として働く場合を考えておく必要があるんだ、こういうふうにおっしゃったわけですが、一体、本業に帰ったほうが、あなたはやはり投信委託よりはより高いと考えていらっしゃるわけですね。そうでなければ——私は投信委託本業も証券の仕事をする上において同じだと思っているのですよ。そういう思想が、私は一番根本的に問題だと思うのです。証券会社のほうが上にあって投信委託が下にあるという発想を改めてもらわない限り、この投資信託法の問題は解決しない。だから、同じ高さ——投信委託のほうが高いという必要はありませんが、同じ高さになるという、ここの発想の土台がきちんとしなければならぬ。やはり出向にきて、そうして本業に帰って花を咲かせる、こういう思想が証券会社にもあるわけですよ。証券会社にあるのは、ある程度やむを得ないでしょう、向こう側の問題ですから。投信委託の場合にこれがあったのでは、この法律は意味がないです。その点をもう一ぺんお聞きしたい。
  19. 神原藤佐尾

    ○神原参考人 いま堀委員から再度御質問がございましたが、私がいま高いと申しましたのは、ちょっとこれはことばの不行き届きでございまして、いまおっしゃったような意味で私が申し上げたわけではございません。もちろん、おっしゃったように、投資信託のこの信託財産運用というもの、また投資信託の経常というものは、これは非常に高い立場の仕事である、また、われわれも非常にその点については誇り高く考えておるわけでございまして、本業とわれわれと、高さをどうこうと言っておるわけじゃこざいませんで、私が申しましたのは、投資信託だけじゃなしに、もっと広い証券界——こう言いますと、投資信託は、それでは狭いのかという御意見があるかと思いますけれども、まあ私は、証券界というものは非常に大きい一つ業界である、また、将来ともさらに大きくなっていくものである、また投資信託もそうでございます。しかし、私はそこに証券界としては、投資信託プラス株式なり公社債なり、いろいろそういうような業種別のたくさんのものがある、そういういろんなより広い立場で仕事をする、そういうように申し上げたわけでございまして、高いということばを使いましたのは、そういうような意味じゃございませんで、その点は、ひとつ私、十分なにさしていただきたいと思います。
  20. 堀昌雄

    堀委員 まあ、この問題はあとでもう少しあれさしていただきまして、次の方は日興ですか、順次ひとついまの問題にお答えをいただきたいと思います。
  21. 犬飼重幸

    犬飼参考人 私は日興投資信託委託株式会社の犬飼でございます。  堀委員から御質問のありました件についてお答えいたします。  私は銀行におりまして、二年半前にこの投資信託のほうに参ったのであります。そして、いろいろ勉強をしてみますと、確かに発生的には、本社証券から分離いたしておりまして、その影響を受けている、ということは、すぐに母乳をとめるということは非常にむずかしかったからであります。ところが、昨年の十一月から、募集面につきましては、御承知のように公開販売制度がとられまして、少なくとも二割なり三割なりはその募集の依存を脱却しよう、そして、独立の運営をしようというのが、一つの実行された点でありまして、なおまた、私といたしましては、委託会社は、すべからく金融機関と同じ考えでもって一般不特定大衆の資金をお預かりしておるのだから、かりそめにも証券会社的観念でおってはいけません。そうして、とにかくプライドを持って、自分は独立しておるのだ、そういう信念を各社員に、事あるごとに吹き込んでおるのでありまして、役員人事につきましても、そういう関係でありますから、非常にはっきりいたしておりまして、まあ、私個人で、これから人の運命を左右することを言うわけにはまいりませんが、おそらく、じかに証券会社へ復帰するというような人はいないと思っております。そういうふうでございまして、何とか一般の信用を回復いたしたい、こういうふうに考えておりますので、よろしくひとつ・・・。
  22. 西村正巳

    西村参考人 大和証券投資信託株式会社の西村でございます。どうぞよろしくお願いします。  ただいま堀委員からお話のことに簡単にお答えいたします。  われわれの投資信託委託会社ができましたのは昭和三十四年の暮れでございます。当時私は、大和証券株式会社の専務取締役をしておりまして、この新会社の設立に関しましては、一切私がやったのでありますが、そのときに、重役さんをどうするかということをいろいろ考えまして、これは投資家保護を第一に押すという会社であるから、大和証券だけの役員で構成したのではまずいということで、第三者からそのときにすでに一人入っていただきまして、現在六人取締役がございますが、そのうち二人は大和証券以外のところから来た者でございます。あとの四人、私を入れて四人は大和証券から来た者でございますが、この四人とも、いずれまた大和証券へ帰るというような考えを持った者は一人もございません。それは断言して申し上げたいと思います。これだけ申し上げます。
  23. 堀昌雄

    堀委員 いまのお答えで、私皆さん方の心がまえというのを拝聴いたしまして、私がさっき申し上げたように、ちょっと神原さんの御答弁にこだわるわけではありませんが、私は証券界、確かに広いと思います。広いと思いますが、この前の証取法改正を私ども国会審議をいたしまして成立をいたしました趣旨は、やはりここには職能分化を明らかにしていきたいという問題が一つあるわけです。アンダーライターはアンダーライターとして、ブローカーはブローカーとして、ディーラーはディーラーとして、ある程度の分化をしてもらいたいという前提に立っておりますので、おのおのが専門的な才能を持って仕事をしていただかなければ、あれをやったりこれをやったり、適当にやって、結果としては会社だけがもうかっていいということになろうとは思っていないわけであります。ですから、どうしてもそこでは、投信運用をする方たちも、アンダーライターの仕事をされる方も、ブローカーをされる方も、これはおのおのその道に専心をしていただくことによって、投資家の利益を守った結果が、証券会社なり投資委託会社なりにプラスにはね返るというのが、私は、ものごとの順序、筋道ではないのかと思うのであります。  ですから、そういう意味では、いま神原さんを除いた方は、ともかく投信へ来た者は、みんながんばって最後までやるんだ、こういうふうにお答えをいただいたので、私はそういうことでひとつお願いをしたいのだ、私どもが考えておる考え方というのはそういうことだ、こう申し上げたいわけです。  別に皆さんの御出身に関係があるわけではありませんが、いまおいでになっている四人の方のうちのお二人は、いま日興の社長もおっしゃったように、これは銀行の御出身でありますから、私は、やはり銀行で長くいらっしゃった方のものの感じ方というのは、私どもとより近いようなふうに感じられるわけであります。しかし、大和証券の西村さんは、いまもお話のように、きっすいの大和証券の方でありますが、大和証券ではいまのように非常にはっきりした方向を打ち出していただいておるので、私はちょっと率直に申し上げますけれども、やはり野村投信委託の問題というのは、ちょっといまの御答弁ではまだ引っかかるわけです。より広いところで働いてもらいたい—それはどっちの考えかは別として、より広いところというのは、要するにやはり投信に一ぺん来たけれども、またどこかへ行くのだという発想だと思うのですね。私は、そういう発想は、投信というものの比重が十分に認められていない、やはり何か証券界の中の一段下のランクのものではないかというふうにどうにも理解されるわけです。  そこで、ひとつ神原さんに——こういう事情はあると思いますよ。いま皆さんのほうは確かに会社が新しいから、皆さん投信委託に入社をした方が幹部になるためにはまだ十分の時間がないかもわかりません。人はほしいということは間違いないかもわかりません。そのときに、こっちが下で、こっちが上だということを証券会社も理解し、皆さんも理解している限り、人材は来ませんね。優秀な者は、みな本業に残っていて、こっちで大をなしたい、投信委託へ行くのは、言うならば左遷だなんという感触がもし委託の側にもあり、本業の側にもあり、あるいはどっちかにあったとしても、この問題は私は解決しないと考える。それがある限り、こっちへ戻るという問題が起こるわけです。だから、その点はきわめて重要な本業分離との関係の問題だと私は思うのです。本日皆さんに来ていただいたのも、法律ワク組みはどう考えてみたところで、こういう格差があるのだということを経営者がみずから自覚をして、そういうものだという固定概念にあられた以上は、法律で何を書いたって意味がないのですよ。これでは独立できないのです。だから、四社がおいでになって、三社は私どもの願っている方向を明らかに御答弁をいただいたわけですが、最大の投信委託である野村投信委託としても、国民の前にこの点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  24. 神原藤佐尾

    ○神原参考人 ただいま堀委員からいろいろおことばをいただきまして、どうも、私もことばが足りませんで、いまのようなお考えあるいは御質問をいただいたのじゃないかと思いますが、私はもうとにかく、あるいは私以下、野村委託におります者は、投信委託のこの仕事というものは終生のものである、先ほども申しましたように、これは一番誇り高いものだというふうな自信に満ちあふれて仕事をしているものでございますので、その点は、どうぞひとつおわかりいただきたいと思うのでございます。  私が先ほどちょっと申し上げましたことで、いろいろ御意見なり御批判をいただきましたけれども、これは私はごく限られた場合の話をしておりますので、ちょっと、ここで申し上げますと一般論のようにお聞きいただいたかと思いますが、そういう意味ではございませんで、一般的には、先ほどからるる申し上げておりますようなそういう気持ちに徹して役員全部がおります。また、われわれの野村証券に対する考え方も、これは全然別の会社であるという気持ちに徹してやっております。先ほど申しましたのは、ただそういうような場合もある、若い者について、そういう場合もあることをわれわれとしては考えてやらなければならないのではないかということを申し上げただけでございまして、これはほんの一部の例外的なものの考え方でございますので、そこのところをどうぞよく御了承いただきたいと思うのでございます。気持ちは十分徹してやっておるつもりでございますから、その点どうか・・・。
  25. 堀昌雄

    堀委員 それでは、気持ちはいいのですが、問題は、ごく下の方の問題ということは、わざわざ本業からとらなくとも、もう皆さんのほうでかなり育っているのじゃないか、ほんとうに要るのは、運用責任者のような、そういうところの人に私は一番問題があるのじゃないか、運用を預かる人以外の、事務を預かっている人のことは、実はあまり問題にならないのです。要するに、そのことはどこにあるかというと、やはり私は会社の社長のビヘービアにあると思うのです。問題は、あなた自身が、うちに来たものは帰しませんと、瀬川さんにはっきりそう言ってくれるならいいのですよ。あなた自身の心がまえをここではっきりさせていただければいいのです。ところが、会社というのは、社長がやはり帰しませんと、こう言っているものを、出したほうから帰せと言って、それを聞いたら、もう主体性がないわけですからね。だから、社長の権限の中で、あなたは独立した一個の会社の社長なんだから、証券会社から帰せと言われても、お帰しできません——本人がもし帰るというのだったら、これは帰すのではなくて、首を切るべきですよ。ともかく、そういう者は一罰百戒で、首を切って、天下に公表してもらいたい。そういうふうに首を切られた者を本業がとるようなことがあったら、これは私は、ここではっきりと問題にいたします。少なくとも、投資信託の会社の社長が首を切った者を、それをまた元の本業が拾うということになったら、これは重大ですから、あなた方の権威の問題ですから、そういうことを私どもは認めるわけにはいきません。  要するに、私がここで言いたいことは、投資信託社長としての権威を明らかにしてもらって、本業と対等なのだという、ここをやはり心がまえの中で明らかにしていただきたいということが主たる眼目でございまして、一定期間なんていうことは、たいした問題じゃないわけですから、どうかひとつ、その点、意のあるところを御了承いただきたいと思います。  その次に、これまでの問題の中で、私はこの間もジャパンファンドの例をとって当委員会で少し話をいたしました。ジャパンファンドのミスター・セガマンですか、セガマン氏がここで発表しておりますのは、五月八日にニューヨークの証券アナリスト協会で「日本の株式市場とジャパンファンド」という話をしておられる。その中で「東証の二二五種平均株価は一九六二年四月以降、現在までに五・七%しか上がっていない。これに対してわが社の一株当りの純資産は五七・一%、純資産総額は五一・二%の値上がりとなっている」こういうふうに言っておられるということが伝えられておるわけですね。一体、このジャパンファンドができてから今日までのユニットの値上がり率というのはどのくらいでございましょうか。一番古い御経験のある神原さんが一番お答えいただくのに適当かと思いますので、ひとつ、神原さんばっかりでたいへん恐縮でありますが……。
  26. 神原藤佐尾

    ○神原参考人 お答え申し上げます。  ジャパンファンドとの御比較をいただいたわけでございますが、私らも海外の投資信託につきましては十分な検討をいたしておりまして、それの運用のしかたなりあるいは現状なりあるいは今後の改革なり、いろいろ検討しておるわけでございますが、このジャパンファンドにつきましても、われわれは非常に関心深く取り上げて考えておるわけでございます。  いまの御質問の中で、ユニットの比較ということでお話をいただいたわけでございますが、ちょっとこの数字——これはジャパンファンドは三十七年の四月に売り出したものでございますが、三十七年の十二月から昨年の十二月までの四年間をとって数字を見てみました。そうしましたら、ジャパンファンドは、大体分配金を込めた修正の上がり方としては四割四分八厘上がっておる。ところが、これは当社の場合でございますが、当社のユニットの加重平均では、分配金を入れまして一割九分二厘の上がりである。この点につきまして、ユニット投信とジャパンファンドの関係におきましては、当社のユニット投信のほうが上がり方が少ないという点は、われわれもこの事実は率直に受けまして、そしていままでユニットが悪かった点をいろいろとまた再検討いたしまして、これ以上によくなるような形でなければいかぬのではないかというふうに考えておるわけでございますが、反面、私どものところで運用しておりますほかの、たとえば大型ファンドあたりを例にとってみますと、これは六割一分六厘ほど上がっておりまして、ジャパンファンドよりもいい上がり方をしておるなというふうに考えておるわけでございます。反面、去年の六月からこの六月の一年間をとってみますと、ジャパンファンドの上がり方は七分六厘、私のところのユニットは六分七厘の値上がりである、前よりもだいぶん数字が接近してきたような形でございます。その中で、ジャパンファンドは、御承知のとおり市場価格は相当減価いたしておりますので、これの—いま申しましたのは一株当たりの純資産についての数字を申し上げましたが、市価について申しますと、それまでにだいぶん下がっておった関係で、この一年間はジャパンファンドの市価は一割二分九厘上がっております。ところが、最初からいままでの動きを見てみますと、ディスカウントの関係を入れましたら、お客さんのほうの関係は、純資産価格が上がっておるほどプラスになっておらないというような数字が出ております。一株当たり純資産は、配当込みの上がりは六割三分七厘である、市場価格を中心にしてのものは九分九厘の上がりであるというような数字も載っております。これも特徴のある投資信託でございますので、われわれも、この動きあるいは運用の考え方につきましては非常に関心を持って考えておる次第でございます。
  27. 堀昌雄

    堀委員 いまのお答えのように、ジャパンファンドは——純資産の比率を調べてみますと、大和投資信託と野村というのは非常にいいわけです。これは解約率も非常に少ないということも、やはりあずかって力があるだろうと私は思うのですが、しかし、いま後半でおっしゃった市価の問題は、これは運用上の問題じゃありませんから、これはディスカウントになるというのは需給関係の問題ですから、これは私は何ら意味がないと思うのです。  ここで問題なのは、純資産総額がどういう形になっておるかということが運用のメリットをあらわしておるわけですから、それで対比をされた場合にこういうことが起こる中で、いみじくも、これは「日刊株式経済」というのをちょっと見ておりますと、こういうことが言われておるわけです。ある大きな投信委託運用重役に会ってこの話を聞いてみた。そうしたところが、ジャパンファンドはスケールが小さいから、われわれのほうよりは非常に小回りもきいて有利だ。そこまではいいのですが、そのあとにこういう話が出ておるわけです。第二には、何を買おうと何を売ろうとジャパンファンドは自由であるが、われわれのほうはがんじがらめに縛られているということだ、こういう問題が出ております。これは私は、まことに言い得て妙あり、こう感じておるわけです。ということは、私が少なくともこれまでに承知しておる限りでは、ある投信委託会社がそこへ組み入れられておる株の多くのものは、いろいろなものがありましょうけれども、比重としては、本業証券会社が幹事であるものの比重が非常に高い、これは間違いのない事実だと思います。  これは、後ほど一ぺん大蔵省から資料として提出をしてもらいたい。何々会社という必要はありませんが、現在の投信委託が持っておる組み入れ株の中における本業が幹事であるもののウエートは一体どれだけあるのかを、各社別に一ぺん資料として提出を願いたいのですが、私はこれが分離をされてない一つの姿として非常にわれわれの目には映るわけです。これが第一点です。  第二点の問題は、運用上の問題として、日本の投資信託運用は、回転率は一体どういうことになっているのだろうかということなんです。私は、これもよくわからないのですが、結局、市場における回転率は、御承知のようにアメリカが非常に高い。しかも、投信運用上の問題としても、これをただじっと持っているだけでは、投信運用とはなるわけではないでしょうから、やはり最も理想的にいうならば、一番高いなと思ったところでその銘柄関係を売って、そうして今度下がったなと思うところで買って、また高くなったら売るということが行なわれておれば、実はジャパンファンドのような四四・八%の純資産の増額ということになってくるのじゃないのか。ところが、さっきお話しになった野村の場合が一九%、全体としては一二、三%からこの間ぐらいに入るのじゃないかという感じが私はするわけですが、こまかいことは一々伺いませんが、その差額になっているもとというのは、やはり運用上の問題です。その運用上の問題というのがいまの株式の銘柄その他にも影響されておる点がないとはいえないのではないかとう気が私はするわけです。これが第二点です。  第三点は、シャパンファンド——私もまだあまり詳しく調べておりませんが、この前、明治学院大学の江口先生か何かがお書きになっているのを見た中でも、ジャパンファンドの組み入れの中にはかなり値がさ株も入っておる。なるほど大型株もあるけれども、値がさ株もある。しかし、銘柄が非常に小さくて、非常に小回りのきく運用ができるようになっておる。これは私は運用者として当然だろうと思うのです。要するに、資産を高くするために多数の銘柄を持っていて一体運用ができるのかどうか。投資信託は義理やつき合いで株を買ってもらうわけじゃないですから、受益者のために最も有利にしようと思えば、たとえば、ある程度大型の株というものは、インカムゲインをある程度確保していくためには、ある程度そういうもののほうがいいという問題もありましょう。しかし、キャピタルゲインをある程度この中へ持ってこようというのならば、やはり値がさ株というものがある程度入っていて、それが小回りのきくかっこうで目が届く範囲の中の銘柄に限られておったときに、運用の妙というものが具体的に実現できるのではないか。この間のソニーが、たまたま外人方面の資金が入ったといえば六百円からばあっと上がる。そういうような値がさ株というものの問題も、私はここらにジャパンファンドは適切に運用しておるのではないかというふうに感じておるわけです。私もこれからもう少しジャパンファンドの分析をしてみますけれども、そこで私は、まず第一点としての問題は、そういう組み入れ株が日本の場合には一時非常にたくさんあった。何か投資信託というものは、株がちょっと余ったときには入れておくような、投資信託は物置きかというような感じがするような時代もあったように思うのであります。最近はいろいろお考えになって、だいぶ間口が狭くなったと思いますけれども、ここらの点は、これまでのことは、私はしかたがないと思います。これからは、どうかひとつ、売りも買いもがんじがらめなんというようなことではなくて、要するに、投資家の利益のためには何を——自分のところの本業が幹事をしておろうがおるまいが、ともかくも、やはり客観的に投資家の利益になる形で運用をしていただくということを、ここで私は四社の社長からひとつ御答弁をいただきたいのです。お一人ずつどうぞひとつお願いいたします。
  28. 間島達夫

    間島参考人 お答え申します。  最初の御質問の中でスケールの点をおっしゃいましたけれども、これはいろいろ見解がございまして、外国の例をあげて申しわけないのですけれども、この間マンハッタンファンドのゼネラル・サイ・ジュニアという人が社長でございますけれども、総会のときに投資家からそういう質問を受けておるわけでございます。あそこはいまたしか四億五千万ドルぐらいあると思うのでございます。マンハッタンは少しずうたいが大きくなって、小回りがきかないからやりにくいのじゃないかというような質問をしておりますが、ゼネラル・サイ・ジュニアは、それに対しまして、そういうことはないのだ、大きければ大きいほどまたやりいい面もあるというような答えをしておったかと思うのでありますが、スケールが小さい、大きいということは、私どもは問題にしてはいけないかと思います。  それから銘柄の点でございますけれども、さっきちょっと幹事会社の点をおっしゃいましたが、これは、たしか昔はそういうことがあったかと思います。昔のユニットの組み入れ銘柄は五百八十ぐらいあったのでございますが、おっしゃいますとおりに、これは少ないほどいいということで、現在はそれは私のほうでは、山一では百八十九ぐらいに減らしておりますが、実際に入れておりますのは百足らずでございます。これらの点は、おっしゃるとおりに、銘柄の少ないほうが目が行き届くという点は確かでございます。  それからもう一つは、幹事会社の銘柄をたくさん入れておるのじゃないだろうか、こういうことをおっしゃいましたけれども、この点は、私が投信に参りましてから五年ぐらいになるのでございますが、一番最初に気がついた問題でございまして、ちょうど山一証券社長が交代をいたしましたのは三十九年暮れかと思いましたが、新社長が就任された早々、私どもは幹事会社のゆえに投信にそれを組み入れなければならない、組み入れたら最後、それは売ってはならぬ、それから、もっと買えというようなことは非常に困るのだから、それはひとつ含んでもらいたい、われわれは安いときに入れて高いときに売るのだから、それは幹事会社というようなことを考慮いたしませんということを宣明いたしたわけでございますが、新社長は、そのとおりだ、それはそういうふうにひとつ私も幹事会社に言って歩こうということを言ってくださったので、私は非常に意を強うしておりますので、私どもは、現在のところはそういうことは考慮しないで売り買いをやっております。  そんなことでよろしゅうございましょうか。
  29. 神原藤佐尾

    ○神原参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  私のところは二年ぐらい前から銘柄を非常にしぼっておりまして、現在は五百四十銘柄の運用可能のものがございますけれども、実際に入れておりますのは三十、多くて四十三というようなことになって、十分しぼってやっておりますわけでございます。  それで、いま幹事会社関係のお話がございましたけれども、私のところは、少なくとも私らは、野村証券の幹事会社がどうこうという、そういう観点から組み入れしておるものは全然ございません。すべてこれは、その会社がいいから、あるいは、その会社が将来なお成長していくから、そのことは信託財産のプラスになるからという、あくまでもそういう立場から組み入れをやっておるわけでございます。
  30. 犬飼重幸

    犬飼参考人 申し上げます。  私のほうは、やはり二年前ごろから銘柄を二百三十口にしぼりまして、そのうちで重点銘柄といたしまして七十口、それを順次組み入れていきますし、また、はずしていきまして、結局、バランスのとれた銘柄を入れまして、安定運営、基準価額を割らない、これを原則といたしまして、いろいろ成長株とかございますが、無理をしないという方針でございまして、今後もその方針をとっていくつもりでございます。
  31. 西村正巳

    西村参考人 お答えします。  第一に、銘柄数でございますが、私のほうはいま百七十銘柄が銘柄として入っております。しかし、実際これに運用しておりますのは五十ないし七十、ユニットによって多少違います。しかし、それなら五十、七十にすればいいじゃないかということでございますけれども、やはり時と場合によりまして、また選ぶべきものが変わってまいりますから、やはりワクとしてはこれだけ許していただいて、そのうちで、時によって変わっていく、こういうことでございます。  それから幹事会社の銘柄が多いじゃないかというお話、これは、確かに成立当時から見ますと、当時は幹事会社がたくさんあったということは否定できないと思います。しかし、これはある意味におきましては、幹事会社というのは非常に情報が入るという点がありまして、そういう利点があるのです。全然幹事会社以外のところは利点がない、しかし、幹事会社だからといって、われわれは入れるというわけではない、いいものは入れるし、悪いものは入れない、これは方針でございます。ただ幹事会社のほうがそういう利点があるということだけ申し上げておきます。
  32. 堀昌雄

    堀委員 いま伺いまして、私も実情がわかりませんから、この新聞記事によって、おそらくこういうことになっておるのじゃないかという感じがしたわけですが、どうかひとつ、たとえこういう新聞といえども運用の重役が、向こうは売り買い自由だけれども、こっちはがんじがらめだなどということを不用意にも口にされることは、私は、火のないところに煙は立たないというふうにこの問題を感じるわけでございます。どうかひとつ、この法案が、投資家のために運用するのであって、証券会社にいろいろ関係があるから、あるいは、幹事会社であってそっちから頼まれたから、いまは売りたいけれども売らぬとかというようなことのないように、売り買い自由の原則を確認をさしていただきましたので、どうかひとつその方向でおやりを願いたいと思います。  その次に、いろいろと利回りその他の問題を考えられる場合に、売買関係ですね。いまこの投資信託は、非常なああいう時期を経てきておりますから、大蔵省の指導方針も実はディフェンスの方向に傾いておると思います。皆さんも、この際でありますからやはりディフェンスのほうを重視しておられることはよくわかります。ただ、そのディフェンスを重視をするからといって、大型株だけがどんどん入ってきますと、これはさっき回転率のことが伺ってないわけなんですけれども、売り買い関係で見ると、手数料の関係で見ると、実は、安い大型株というのは相対的に手数料は高くなるわけです。かりにひとつ、専門家の皆さんに言うのもおかしいのですが、五百円の株式を百万円組み入れる、こうすると二千株ですが、この場合には、手数料七円ですから、これを組み入れるときの手数料は、二千株ですから一万四千円になる。五十円の株を百万円組み入れようと思うと、二万株ですから、そうすると、この手数料が一円五十銭だから三万円実は手数料が出ていく、こういう問題があるわけです。ですから、そうなると、私は、大型株というのは一ぺん買ったらあまり売り買いされてはうまくないと思うのです、投資家の側からいうと。インカムゲインは取っていただくのがいいでしょう。それは、おそらく配当がかなりあるという意味で組み入れられるわけでしょうから。しかし、こういうものは、よく投機より投資だというふうにいわれるわけですが、やはりその方向でやっていただかないと、これをちょいちょい売ったり買ったりされると、本業には手数料がたいへん入ってけっこうだろうけれども投資家側からすると、たいへんなデメリットがきてしまう、こういうことになると思うのです。ですから、たいへんこまかいことを言うようでありますけれども、私は、やはり内部的にだれが聞いてもなるほどという運用がされることが今後の非常に重要な問題点ではないかと思う。  それに関連して、この前、もう二年ぐらいになりますか、神原さんとはちょっとお話をしたことがあります。そのコロガシの問題ですね。今度はだんだんとそういうことがなくなる制度になると思います。今度のファミリーファンドの構想は、マザーファンドとベビーファンドがありますから、そういう点ではコロガシという問題は、今度はマザーファンド間のコロガシになりますから、そういうことは非常に少ないと思いますけれども、この間大蔵省に聞いてみると、今度法律で一応禁止をしておるものについての具体的なことは政令か省令で書くんだ、こうなっているわけですが、その中では、大蔵省側としては、資金上やむを得ざる場合には投信間の売買を認めよう、こういう考えのようであります。投信間の売買を認める場合は資金上の問題——非常に解約が殺到してくる、こういう場合ですね。そこで、これまでとは制度が変わってきたと私は思うのです。  これまでですと、あるユニットに非常にたくさん解約がくれば、当然どうしてもこの株を売らなければならない、この株をいま売ることは必ずしも適切でないという時期があれば、それを自分のところのどこかのユニットにそのメリットを与えてやりたい、これは私はよくわかります。しかし、今度は条件が違うと思うのです。少なくとも、ベビーファンドのほうにマザーファンドの受益証券が入っていましょうけれども、それは七割なら七割として、やはり三割ぐらいは支払い準備が積んでおられなければならないと思うのです。当然いまのような解約——大体三%くらいずっと解約が続いておるわけですから、そういう状態では、どうしても私はベビーファンドのほうにも、それは三割がいいか、幾らがいいかは皆さんのお考えですが、ある程度のものは積まなければならぬ。同時に、マザーファンドのほうも、全部を運用していいのではなくて、ここもやはりベビーファンドが受益証券を売ってきたときに、それに対応できるための支払い準備は当然ここに積まなければならぬ。今度は二段階支払い準備が積めるわけですからね。こういうふうにして積んであるから、私は、これまでのように、資金上のやむを得ざる投資信託間の売買ということは非常に激減をしなければおかしい、こう思っているわけです。そこで、激減しても、なおかつその支払い準備が食い尽くされてしまって、どうにも売らなければならぬ、しかし、適切でない時期があるというときは、これは確かに投資家の利益のために、その他の投資家、自分の中のマザーファンドの別のところへ移すことはやむを得ないものであると思います。それは、私この間も大蔵省に言っておりますのは、客観的にそれが立証されるような場合に限るということにしてもらいたい、こう言っているわけです。  というのは、要するに、私もよくわかりませんが、皆さんのいろいろな座談会や書いたものや何かを伺っておると、株式市場には一年に二回か三回山と谷がある、こうなっていれば、ともかく運用七年となっている中で、大体の目安で運用がされておるならば、高いときがきたときに売るものは売ってある、安いときがきたときに買うものは買ってあるというかっこうで、きわめて適切な運用がされておるし、おしまいのころなり、解約がどうもいろいろな情勢から見てまずいなというときに、やはり事前の処置が十分講じられていれば、資金上やむを得ざるというのは非常に少なくなってくるのじゃないか。  だから、私が言いたいのは、運用の適切でない点を資金上の問題にすりかえてコロガシをやられることはお断わりをしたい、端的に申し上げますと、こういうことなのです。これについて、ひとつ皆さんの御見解を伺いたいと思うのです。  この間ある雑誌で見ると、コロガシにはいいのと悪いのがあるんだ。そこで、大体コロガシがいけないなんというのは、事情を知らない者の言うことだというようなことが出ておりました。私どもあまり事情をよく知りませんけれども、しかし、どうも私は、われわれくらいの事情を知った程度の者が理解できないほど、コロガシというのは、妙味というのか、いろいろなことがあるのかどうかよくわからないんで、専門家がいらっしゃるから、コロガシというものには、いいのと悪いのがあるとか、コロガシがいかぬというのは、どうもそういう運用のいろいろなことを知らないからそういうことになるんだという点があれば、ひとつそれを教えていただきたいと思いますので、それとあわせて二つ、お願いいたします。
  33. 間島達夫

    間島参考人 お答えします。  最初マザーファンドのお話をなさいましたけれども、この点は、いま各社ではいろいろ研究しておりまして、いろいろなタイプができておるわけでございますけれども、この法律がここで成立いたしまして施行されるのは、いまのところでは十月一日ということになっておりますので、それまでに皆さんのものを持ち寄って、そして十月一日の施行後、これをやりたいというところができましたときにはすぐ取りかかれるようなふうに取り運びたい、こう思っておるわけであります。  なお、参考に申し上げますと、実は、マザーファンドの話は管理本数を減らすというような発想でありまして、管理本数を減らす方法にはいろいろあるわけで、いま申し上げましたマザーファンドもその一つでありますが、もう一つは、ユニットでありますが、隔月に募集をやるとか、あるいは三カ月に一ぺんやる、現にそういうところもあるわけでありまして、それも管理本数を減らす一つの方法であります。それからもう一つは、信託財産同士の合併と申しますか、このごろ合体ということばを使っておりますけれども、毎月やったユニット、これ二本を一つにしてしまうということも管理本数を減らす方法で、このどれをとるかということは各委託会社の自由になっておりますのですが、いま申しましたように、やりたいというところができましたときにすぐやれるように、十月一日までには一つのあれをまとめたい、こう思っております。  コロガシの点でありますが、これは世間に非常に悪名を流しましたものですから、私といたしましては、きわめて局限された範囲内において、やむを得ない場合にこれを正当にやっていく、その場合に、いつもわれわれが考えなくてはいけないことは、それが一体受益者のためになるかどうか、こっちの信託財産にはいいけれども、こっちの信託財産には困るというものはやりたくないという考えでございます。  なお、参考に申しますと、さっきコロガシのために非常に手数料をよけいに払って、信託財産を痛めたのではないかというお話、過去には確かにそういうことがあったのでありますが、最近は委託手数料のあれは非常に減ってまいりまして、そうたくさんの手数料を出さない、ということは、売買もそうひんぱんにやらない、コロガシをひんぱんにやってないということで、売買の中に占めるコロガシのパーセンテージは非常に減っております。この点は、そういう気持ちでやっておりますので、御安心願いたいと思うのでございます。  もう一つは、大型株の売買を激しくやるとよけい立つからよくないのではないか、こういうお話がございましたが、私どもの大型株に対する考え方は、要するに、おっしゃいましたようにインカムゲインを取るために入れるわけでありまして、株の上がり下がりによって、大型株を入れる割合というのはしょっちゅう上下するわけでございますが、要するに、たとえば電力株のようなものは、これはなかなか買えないものでございますから、われわれとしては最低一割は続けるだろうという見込みで、これはあまり売買しておりません。中に、たとえば鉄鋼株のように、安く買ったものが上がってキャピタルゲインが取れるというものは、大型株につきましても売買をいたすことはありますが、そうひんぱんにやるということはないと思います。  こんなことでよろしゅうございますか。
  34. 神原藤佐尾

    ○神原参考人 お答え申し上げます。  信託財産相互間の売買についての御質問でございますが、私たちとしましても、これはごく限られた範囲でしかやるべきものじゃないというふうな気持ちでこれを考えておるわけでございまして、先ほどお話がございましたように、マザーファンドのような形のものができますと、御承知のとおり、いままでのようなコロガシの必要というのは相当少なくなってくるのではないか、相当減少するのではないかというふうに考えております。ただしかし、そういう場合でも、あるいはオープンの場合なんかを考えましても、予期しない解約というのが集中的に起こるということもございましょう。あるいはまた、マザーファンドにしましても、いまそれをどういう形で組んだらよいか、いろいろ検討しておりますけれども、やはり償還というものをマザーファンドに置くかどうかという点でございますね。置かなければよろしゅうございますが、もしマザーファンドに償還期というものがございますと、やはりそれにからんでの売り買いが起こるということもございましょうけれども、まあ、制度が変わりますと、いままでよりはずっとその必要度は減ってくると思っております。しかし、現在のところでは、まだ前の制度のユニットがたくさんございます。これはやはり償還の準備のためとか、あるいは信託報酬あるいは分配金あるいは株価変動準備金の積み立て、そういうような場合のための売り、あるいは、そのためのあとの資金補充、そういうために売り買いが起こることがあり得ると思います。しかし、基本的には、それぞれの財産にマイナスにならぬようにやっていかなければならぬと同時に、また両方の財産にプラスになるように、両方の財産にそれぞれ意義があるような財産相互間の売買というものに限ってやりたい、最小限度に限ってやるというふうに考えております。
  35. 犬飼重幸

    犬飼参考人 コロガシにつきまして申し上げます。  私のほうにおきましても、コロガシにつきましては、極力自粛いたしておりまして、最近は二〇%を割っているような低率になっておりまして、この根本的考えは、各信託財産間のバランスを失しないように、つまり、受益者に損害を与えないようにというのが根本的な考え方でありまして、御指摘のように、資金繰りで売る、資金繰りで行為をするというようなことにつきましては、今後厳に慎みたいと思っておるのであります。この信託相互間の問題につきましては、本法案にも出ておりますので、全員身にしみて自粛をする覚悟でございます。よろしくお願いいたします。
  36. 西村正巳

    西村参考人 信託相互間の売買というものは、厳に制限すべきものだと思います。これをやる場合は、両方のユニットにともに利益になると考えられる場合に限るべきものである、口でそう申しますが、実際にこれを実績で示さなければなりませんので、私のほうでどういう実績であるかということをちょっと申し上げますと、昭和三十九年には全売買高に対するコロガシの割合が五三・三%、非常に多かったのでございますが、四十年には一〇・六%、四十一年には一六・二%、ことしの一月から六月までの集計は一一・四%、数年前に比べまして非常に減っております。今後ともこの程度でやっていくつもりでございます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 いまお話しになった中で、皆さん努力していただいて改善をしておられることと思いますが、論理上の問題としてちょっとひっかかりますのは、二つの投資信託があって、どっちにもマイナスにならないで、どっちにもプラスになるという売買は、私は論理的にはあり得ないと思うのです。よろしゅうございますか。要するに、どっちかが売って、その価格がいま上昇過程にあるか下降過程にあるか、ここらのところに問題があるわけですけれども、もし上昇過程にあるときに、投資信託のこっちのほうが売ってこっちへいくとすれば、こっちのほうはやがて高くなるわけですからいいでしょう。ところが、下降過程にあるときに、こっちがこう売ったら、それをコロガシとして受け取ったほうは、下降過程にあるほうは損をするわけですね。株価というものは、最近はたな上げ株の影響があって、まるでぬるま湯に入ったような調子で、一向に上がりもしない、下がりもしない、けっこうこんなことをやっていると、かぜひきやしないかという感じがするわけですが、それは別としても、それでもやはり上がり下がりあるわけですから、論理的には私は、こういう売買がある場合には、どっちかがプラスでどっちかがマイナスになる。だから、そいう問題は論理的にはあるけれども、実際はどうかという問題が、実情を知るか知らぬかの境になるのだろうと思うのですが、そういう問題があるので—時間もありませんから簡単にしておきたいのですが、客観的にあまり著しいマイナスの起きないというくらいの範囲にしていただかないと、それは両方がうまくいくなんということは、論理的にはないと思うのです。一ぺん席を改めて詳しく伺ったほうがいいかもしれませんが、さっきの資金上のお話、神原さんが、償還とか信託報酬を払う関係があって、こうおっしゃったのですが、償還なんてわかっておるのですよ。あといつになったら償還、信託報酬をいつ払うかきまっておるのです。きまっている資金需要に対してコロガシは私は困ると思うのですよ。きまっているなら、もっと事前にやっておいてもらいたいわけです。ただ問題は、不可避的な問題、解約が殺到してきて、資金上、売らなければどうにもならぬという不可避的な条件にひとつできるだけしぼってもらいたい。それでなければ、当然償還なんというのはわかっておるのだから、そういう時期、もし場合によったら一年先に売っちゃって、そうして、それがプールになっていてもいいんじゃないか、それを、もうちょっと持っていたら上がるだろうと思って持っているうちに、なかなか上がりもしないで売れない、売れないからと思って、持っているうちに償還が来たから、これは乗りかえだ、こうなれば、これは私は投資家のために必ずしも適切な運用ではないような気がしますので、その点ひとつ、私の意のあるところをおくみ取りいただいて、あとは専門的な皆さんのほうのお考えによりますが、原則的にはそういう方向で、不可避的な資金需要によっては売らざるを得ない、そういう場合にその売買をやらなければならぬ、こういうふうにひとつお考えを願いたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから、あと二つばかり申し上げたいのは、私は、投資信託は非常に改善をされたと思うけれども、今日に至るもまだ改善をされない点がある、こう申したのは、どうも解約が非常に大きいわけです。この解約が依然として続いておる中で、私は、どうも押し込み販売が行なわれているのではないかという気がしてしかたがないわけです。私は、当委員会で実は生命保険のセールスの問題にも触れて、大蔵省はこのごろぼやぼやしておって、生命保険の解約問題は一向に前進をしていない。最近ちょっと資料を見たら、ともかく、ちっとも改善されておらないという実情になっているので、これはそのうち追ってやろうと思っているのですが、投資信託解約の中にもどうも押し込み販売という問題の影響があるのではないのか、こういう感じがするわけでございます。  これについては、四人からお伺いするのもあれですから、ひとつ協会長から、一体押し込み販売というのは、よその会社のことはわからないかもしれませんが、どうなんだろうか、感触だけちょっとお伺いしたい。
  38. 間島達夫

    間島参考人 お答えいたします。  このごろは各業界に押し込み販売ということがありますが、最近、さっきおっしゃいましたように、解約率が非常にふえておるわけであります。私のほうといたしましては、早く申し上げますと、設定額は少なくとも、解約の少ないほうがありがたいということをかねがね本業のほうに申しております。販売会社にも申しております。そこで、この件につきましては、しょっちゅう販売サイドと相談いたしまして、ひとつ無理なことはしないでくれ、私のほうは設定は少なくともいいのだから、さっき申しましたように、解約の少ないほうがいいのだから、ぜひそれはやめてもらいたいということを常々申しておるのでございます。  地方の営業店へ参りますと、営業マンというものは、たくさん募集ものがあるものでございますから、短い間にきゅっきゅっとやろうということで夜まで働いておって、非常に過酷な労働条件のもとで働いておるわけでございますが、それにしても、どうしてもこれだけやらなければいかぬとかなんとかということになりますと、いまおっしゃいましたように、押し込み販売という問題が起きるものですから、そういうことでなしに、できるだけ新規にお客さんを開拓してもらいたい、そうすれば押し込み販売というようなそしりを受けないで済むのではないかということで、そのようにわれわれは督励しておるつもりでございまして、私どもは無理な押し込み販売というものは決して勧奨しておるわけではございません。そういうふうに御了解を願いたいと思います。
  39. 堀昌雄

    堀委員 実は、私この解約の問題を少し調べておりまして、最近でもそういうことが行なわれておるという感じがする問題があるわけです。  それは何かと申しますと、皆さん方が、大型のオープンを各社、ある月にこう集中してどんと何百億と売っておられるわけですね。これを売っておる前の月くらいから解約率がぽんと上がるわけです。そして売った月も上がって、その次くらいまでその余波が残る。これは皆さん各社でひとつお帰りになって御検討いただきたいわけです。各社全部そうですから。要するに、大型オープンを売るときには、必ずその前の月くらいからどんどんそれを売るために解約をすすめておる、それはセールスはどこのやつを解約させているかわかりませんけれども。しかし、少なくともその前は平常にきたのが、その前月に急に解約率が上がって、その次が高くて、そのあとへ少し余波が残る、こういう姿は、これはやはり大型のオープンを売るときには押し込み販売をやっておるという明らかな事実だと思うのです。皆さんがやっておられるのではない。これは本業がやっておることですからね。だから、どうしても私は問題は皆さん方解約を少なくするためには、無理のない販売をするということからいかない限り、これはともかく、たくさん設定してたくさん解約になるのなら、やらないと同じことなんですね。問題は、手数料だけがどこかへ入っちゃうだけのことになるのでして、これは私は投資家不在の問題になると思う。  どうかひとつ、この点については、皆さんはもう御承知のことだと思いますけれども、お考えいただきたいのと、それから、大蔵省に一つ要望しておきたいのは、こういう事実が起きる限り、大型ファンドの設定は、私はちょっと考えてもらいたいと思う。要するに、大型をやっても解約率は変わりませんという状態が保証されない限り、ともかく、よそのやつを解約させて大型ファンドだけに突っ込むためにやるんだというようなことなら、投資信託は、証券会社あって投資家なしということになるわけですから、この法律の趣旨に照らしても、そういうことのないように、ひとつ厳重にこの取り扱いについては考えていただきたい、こう思います。  最後に、今後のマザーファンドについて皆さんいろいろ御研究いただくことだと思うのですが、私は、さっき山一の社長もおっしゃったように、アメリカ投資信託というのは、いずれも運用者が非常にはっきりしているわけですよ。ゼネラル・サイ・ジュニアがマンハッタンファンドをやる、こう言えば、それにきゅう然として資金が集まる、要するに、これは運用責任者に対する信頼の問題なんですね、投資信託というのは。日本の投資信託というのは、一体だれが運用しているのかさっぱりわからないわけですよ。私に言わせれば、これまでは十ぱ一からげのやつを一人で—数人でやっていられるでしょうけれども、分担なんかきまっていないからコロガシということが起こると思うのですよ。どれをやったって、自分のところの会社のワクの中は同じじゃないか。しかし、投資家はみな違うのですね、個々の投資信託に投資をしているわけですから。そこで、少なくとも今度マザーファンドをつくる以上は、マザーファンドの運営者はだれですということをひとつ販売の際に明らかにしてもらいたい。そうして、やっているうちに、あの運用者は非常に運用率がいい——各社内に、ちょうどいまのジャパンファンドと日本のユニットみたいな差が一つの会社であったって出ていいと私は思うのですよ。それだけに、真剣にひとつ運用責任者が投資家のほうを向いてやるならば、今度は運用責任者と社長との間で、もしかりに社長が、おい、本業のあれに関係があるからこうしてくれなんて言ったって、運用責任者は、冗談じゃありません、これは私の責任で、信用に関しますからお断わりするというようなことも起こるかもしれぬ。そのくらいにひとつ責任を明確化して、投資家の利益を守るというその姿を確立していただくならば、今度の投資信託改正というのは生きてくるのじゃないかと思います。どうかひとつそういうことで、ぜひこの運用責任者を明確にして、それができたら——それは二つくらいはいまの状態で持たれるようになるかもしれぬが、将来的には、運用責任者は一つ持って、それを真剣にやっていくというような姿にしていただくならば、私は、この問題は非常に前進するのじゃないかと思うのですが、これについては、時間もありませんから、それに対する心がまえ——大型ファンド解約の問題に対する問題と、いまの運用責任者を明確にする問題について協会長から御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  40. 間島達夫

    間島参考人 お答え申し上げます。  実は私、最初の陳述のときに申し上げようと思って申し上げなかったのですけれども、ちょっと触れましたマンハッタンファンドのゼネラル・サイ氏の問題でございますけれども、ゼネラル・サイ氏はフィデリティーというファンドのディレクターをしておりまして、運用をして非常に成績がよかった。運用の方法については、これはいろいろ問題があるかと思うのですけれども、それが独立してマンハッタンファンドを昨年の二月にやりまして、最初二千五百万ドル募集するつもりが、何と、十倍以上の二億七千万ドル集まって、その後株式市況の不振につれて下がったのでございますが、これは実際純資産も下がったのでございますが、なお信頼を得まして、現在四億五千万ドルくらいの財産を持つようになったわけでございます。これは会社でなくて、ゼネラル・サイ氏の運用責任を買ったわけです。  私は実は、私の生きている間に実現するかどうか知りませんけれども投信というものはそこまで持っていきたいという考え方を持っておるわけでして、そういうビジョンを持ちながらいま運営しておるわけでございまして、先ほどおっしゃいましたように、いろいろ運用の際に、運用責任者はだれであるかということを明確にして、あれがやるなら安心だというものに仕立て上げたいものだ、こういう気持ちでおるのでございます。  よけいなことを申し上げましたが、そういうことでよろしゅうございますか。
  41. 堀昌雄

    堀委員 終わります。
  42. 内田常雄

    内田委員長 参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、御意見をお述べくださいまして、ありがとうございました。  御退席いただいてけっこうでございます。     —————————————
  43. 内田常雄

    内田委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  44. 内田常雄

    内田委員長 本案については、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  47. 内田常雄

    内田委員長 この際、計理士の名称の使用に関する法律案の起草の件について議事を進めます。  この件については、先般来、本委員会提出法案として理事会において御協議願い、一応の起草原案を得ましたので、お手元に配付いたした次第であります。
  48. 内田常雄

    内田委員長 本案の趣旨を申し上げますと、御承知のとおり、計理士制度廃止の措置は、昭和三十九年に成立した公認会計士特例試験等に関する法律によって、わが国の職業会計人制度を一本化して、その発展を期するために、計理士に公認会計士の資格を与えるための特例試験の実施とあわせてとられた措置であります。この特例試験法は、法律自体が本年三月三十一日を期限として特例試験の実施を五回に限ること及び計理士制度を廃止することを内容としており、また、これらの期限は決して延長さるべきでない旨が国会における審議を通じて幾たびか確認されており、さらに、当委員会においても、そのようなことがないよう政府が最善の努力を尽くすべき旨の附帯決議をいたした次第であります。  このような経緯にかんがみると、再び特例試験を実施するとか、計理士制度を復活するとかいうことは、絶対になすべきでないことは明らかであります。  しかしながら、長い歴史を有する職業会計人としての計理士の名称は、世間的にも相当の信用が付加されているのでありますが、計理士制度の廃止に伴い、計理士の名称が一般にだれでも使用できるようになったため、従来計理士でなかった者が計理士の名称を乱用するおそれがあると存ずるのであります。  そこで、これらのことを考え合わせて、計理士の名称の使用を従来の計理士に限り認めることとし、一般には制限しようとするものであります。  関係方面の一部では、この法律案内容が、計理士制度の復活、あるいはこれにつながることを懸念する向きもあるようでありますが、われわれとしては、そのようなことは毛頭考えておらず、計理士制度の廃止を前提として、不幸にして公認会計士の資格を得られなかった計理士の立場を考慮して計理士の名称使用を認めるとともに、計理士の名称を信頼する第三者の保護に資することを目的とするものでありまして、公認会計士法において制限する監査証明等の業務を行なうことができないことは申すまでもございません。  これがこの本委員会提案を試みる趣旨であります。     —————————————
  49. 内田常雄

    内田委員長 本件に関して何か御発言はございませんか。——別にないようでありますので、おはかりをいたします。  この起草原案を本委員会の成案として決定し、これを委員会提出法律案として本会議提案するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  52. 内田常雄

    内田委員長 次に、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。
  53. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 国家公務員の共済組合法あるいは公企体共済組合法、さらにまた地方公務員共済組合法、健康保険の関係、そういうものの中で、共かせぎの場合の被扶養者の認定、この問題について前回質問をいたしたわけでありますが、それぞれの共済組合法なりあるいは健康保険法なりということで、被扶養者は、主としてその組合員の収入によって生計を維持している者だ、こういうたてまえになっておるから、いわゆる被扶養者が実際にありながら、どちらからも認定を受けないで宙ぶらりんになってしまう、現実にいわゆる共済組合の医療給付を受けられない、こういうような不都合は出ないはずだ、こういう抽象的答弁があったわけであります。そこで、事実関係を明らかにして、この問題を今後どう統一的に処理して、そういう不合理がなくなるかという問題についてはっきりさせる、こういうことにいたしたわけであります。  現実の問題として手元に届いております資料によりますと、国家公務員の郵政省関係で、会計検査が郵政局から末端の郵便局に対してあった、こういうところから問題が出たわけでありますが、一人は徳島県の川井郵便局につとめている新田仁志さん、こういう郵政職員がおりますが、その奥さんが近くの木屋平小学校、ここにつとめております。それで、参考までに申し上げますと、御主人の郵便局員新田仁志さんが二万四千三百円で、奥さんの学校の先生をしていらっしゃるほうが四万一千五百円、こういう具体的な事例でございます。この御夫妻は三人の子供があるわけであります。いまここに証明書が届いておるわけでありますが、小学校のほうでは長男一人だけが奥さんのほうの扶養者として認定をされている、こういうことになっております。ところが、長女と次女の場合、これが郵便局のほうでは、給料が安いからというので全然認定になってない、被扶養者として認めないということで取り扱われておるわけであります。そのほかにも二、三例があるわけでありますが、もう一つ、これは健康保険との関係で問題があるわけでありますが、やはりこれも徳島県の石井郵便局の矢部勝義さん、本俸三万六千三百円、奥さんが四国銀行の国府支店につとめて四万九百円、こういう内容でありますが、子供さんが二人おります。これは四国銀行の奥さんのほうでも被扶養者として認定をしないし、郵便局のほうでも認定をしないということで、宙ぶらりんになって、両方から被扶養者として医療給付を受けることができない状態になっている、こういう事実関係が明らかになっているわけです。これは、この前抽象的に、法律のたてまえは被扶養者というのは、組合員の収入によってその主たる生計を営なむ者だ、こういうことはあるわけでありますが、しかし、現実の問題としてそういうことになっている。しかも、夫婦共かせぎの場合に、たとえば、いま申し上げたようなことで、片方が三万六千円で片方が四万円だ、こういう場合で子供が複数の場合に、法律の条文そのものに書いてあるものについて、やはり認定の問題というのが、健康保険なりあるいは国家公務員共済組合法なりというところで当然起きるわけであります。全部給料の高いほうに押っつけて、はたしてそれが主たる生計を維持する者に該当するかどうか、こういう疑問も当然出てくるわけであります。  そういうようなことで、一体これはどう整理していったらこういう事例が起きないのか、こういうことで、やはり問題の発端になったのは国家公務員共済組合法の関係でございますので、大蔵省の給与課長から、そういう事例をなくするためにはどうすればいいんだという見解をまず聞いておきたいと思います。
  54. 津吉伊定

    ○津吉説明員 お答えいたします。  国家公務員共済組合におきましては、被扶養者の認定の基準といたしまして、国家公務員共済組合法の施行令に規定がございます。法律で申せば、被扶養者の規定は二条でございますが、その二条に規定する主として組合員の収入により生計を維持することの認定に関しては「一般職の職員の給与に関する法律第十一条第二項に規定する扶養親族に係る扶養の事実の認定の例に準じ、大蔵大臣の定めるところによる。」こういうことになってございます。したがいまして、扶養手当のほうの支給の態様のいかんによりまして、共済組合の被扶養者になるかならないかということが一つの大きな要件でございますけれども、給与法の扶養手当に該当いたしません、たとえば十八歳以上の子でありますとか、六十歳未満の父母でありますとか、そういう人につきましても、主として生計を本人によって維持しておるという実態を考慮いたしまして、家計の実態、社会常識等、総合勘案いたしまして、共済における被扶養者とする処理になっております。(「具体的にこのケースの場合はどうなんだ」と呼ぶ者あり)その郵政省の例につきましては、郵政省のほうで具体的に処理をされる腹案があろうかと思いますので、その所管において御答弁されたらけっこうかと思います。
  55. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 給与課長に聞いたのは、こういう場合があるのだという現実の例をあげまして、これは国家公務員共済組合法のことでございますから、大蔵省の見解はどうなんだということですが、また、たいへん抽象的な答えだけをなさったわけですけれども、問題はそれではやはり解決しないわけですよ、現にこういう問題が起こっておるのですから。これはまただんだんに質問をいたしていきますけれども、きょうは郵政省の人事局長もお見えになっておりますので、主として、いま問題が起こっているといいますか、この種の問題が集中的に出ているのは、郵政関係を軸にして、いろいろな問題が郵政の共済組合と地方公務員の場合、あるいは健康保険の場合、あるいはまた公企体の場合、郵政職員が御主人であるということで、それらのところに、民間に、あるいは公企体にあるいは地方公務員に奥さんがつとめておる、しかも、その奥さんのほうが給料が高いという、大体そういう共通的な事例をめぐって問題が起きて、現実に夫婦共かせぎの中で、極端な差はないにしても、あるいはまたある場合もありますけれども、いずれにしても、両者の協力によって扶養されているに違いない子供のうち、全部あるいはその何人かが被扶養者としての認定を両方から受けられないという事例なわけなんですが、そういうことに対して、これは大蔵省が答えられたとおりの運用を郵政省としてはやったわけなんです。給料の高いほうに扶養義務者として認定をするということに取り扱いを厳格にやった、こういうことから問題も起きたわけです。こういう事例は、徳島県だけではなくてほかにもあるように聞いておりますが、そういう事例についてどの程度把握をしておられるか、あるいはまた、これを今後どのようにして、そういう不合理と申しますか、どちらからも被扶養者として認定を受けられない、したがって医療給付も受けられない、あるいはまた、この問題とは直接関係ありませんけれども、給与法上の扶養手当とも関連いたしますが、それはさておいて、この共済組合法の医療給付を受けられない事態を解消していくためにどういうお考えを持って対処されるか、このことをひとつ郵政省からお聞きいたしておきたいと思います。
  56. 山本博

    ○山本(博)政府委員 ただいま御指摘になりましたように、私のほうの関係といたしましては、両方から扶養親族として認定されない件数が全国で七件ございます。これは、ただいまお話がございましたように、俸給が奥さんのほうが高いということで、現在の認定方法によりますと、子供さんたちが医療給付を受ける機会がなくなるというケースでございます。確かに、こういうような事例がございますことは、現在の認定方法そのものを厳格にいたしますと免れない問題として出てまいりますが、事実といたしましては、非常に不合理な点を私たちも認めますので、私たちといたしましては、これは労働組合との間に、手当の問題としてある程度の基準をきめまして、それに即しまして、この扶養親族の認定としての医療給付の問題が起こってくるということでございますので、労働組合とも話をいたしまして、大体一定の基準を設け、その基準によってこういう矛盾を解消するという方法を現在組合と話しまして、大体この方法によりますと、現在ございます七件は、ほとんど全部解決をするというふうに考えております。  現在の取り運びの模様は以上でございます。
  57. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 何らかの基準を設けていきたいということで、承るところによると、大体六十歳以上の両親が被扶養者として認定されるかされないかという限界の収入限度額といいますか、これが十万八千円だということで、月額九千円程度、郵政職員の御主人のほうがその程度の差であれば郵政職員のほうに被扶養者として認めていく、こういう見解でございますか。
  58. 山本博

    ○山本(博)政府委員 大体そういう基準で処理したいと思っております。
  59. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これは大蔵省に聞きますが、そういうことでおやりになられる。それでは、月額一万円の差があった、そういった場合には、やはりまたそこに問題が発生する可能性があるわけですね。その場合に、そういうことで、これはやはり相手のあることでありますし、そういう事例もこれから出てこないとは限らぬわけであります。給料の差が、奥さんのほうが月額九千円以上高くない場合ならば、それで郵政省の問題は片づくけれども、それがもう少し上回る差が出てくる、こういう事例だって必ずしもないわけではない。それではやはり制度的にこの問題は解決したとは言えないわけですね。その問題について、一体どうお考えになり、どう対処されるか。
  60. 津吉伊定

    ○津吉説明員 お答えいたします。  先ほど私、ちょっと先生の御質問をはき違えまして、お答えが合わなかったかも知れません。それからまた、いまの御質問につきましても、まことに失礼でございますが、所管の問題でありますけれども、私のほうでお答えをすべき問題ではないと思います。  しかしながら便宜申し上げますと、これは一般職の職員の給与に関する法律に人事院の権限が明定されておりまして、これはこの法律実施とか解釈に必要な人事院規則あるいは人事院指令を出すというような権限とか、包括的にこの法律の完全な実施を確保し、その責めに任ずることという権限がございます。したがいまして、また一般職給与法の第十一条に扶養手当の規定がございます。その運用におきましては、人事院の通達によりますと、要旨は、いま申し上げるような立場でわれわれ理解をしておるわけですが、所得のみをもって認定すべきではなくて、主として職員の扶養を受けているかどうかによって認定をすべきものと解する、なお、主として職員の扶養を受けているかどうかという点は、これは家計の実態及び社会常識等を根拠として判断することになる、こういう通達を人事院として出しておるわけでございます。したがいまして、われわれ大蔵省給与課のほうで扶養手当の運用をいかにするか、どう考えるかという点につきましては、直接の問題でございませんが、そういう人事院通達が出ております。それに従ってわれわれ自身もやっておりますし、各省ともに、この通達による運用をやっておるというふうに了解をいたしております。
  61. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 自治省に伺いますが、先ほどあげたケースの中で、地方公務員共済組合法の適用を受けるケースで、小学校の先生をしておられるほうが給料が若干高い、それで、一人は認定したけれどもあとの二人は認定をしない、こういうような事例もあるわけでありますが、そういう関係で、かなり問題が起きるわけですけれども、自治省としては、やはり法律のたてまえにのっとって、あくまで給料が高ければそのとおり全部を認定をする、そういう方向でございますか。自治省関係の地方公務員共済組合法のたてまえで、どういう気持ちでこれから運用をされるおつもりでありましょうか。   〔委員長退席、三池委員長代理着席〕
  62. 志村靜男

    ○志村説明員 お尋ねの点でございますが、具体的に主たる扶養者がだれか、その場合の認定基準という問題、あるいはその運用という問題になろうかと思いますが、このたてまえにつきましては、地方公務員の共済組合の場合、国家公務員のそれと同様にしているわけでございます。お尋ねのような点につきましては、あくまでも、社会通念あるいは扶養の実態ということにかんがみまして認定すべきものでございますが、一般的には、私どもやはり収入の多いほうが主たる扶養者ではないかというように考えておるわけでございます。  しかしながら、この点につきましては、御承知のように、夫婦のうちの一人なら一人の被扶養者だけというようなことにいたしますと、たとえば、非常にこれは例外的な場合かもしれませんが、遺族が全然なくなってしまうというような場合もございますので、私どもといたしましては、その実情に応じまして、全員をある一人の組合員の被扶養者にする、あるいは分けてやるというように、これはあくまでも実情に応じて適正に認定をしていくべきではないか、かように考えているわけでございます。
  63. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 厚生省にお聞きいたしますけれども、健康保険の場合に、先ほど例を一つあげたわけですが、先ほどのような実態がある。これに対して、厚生省としては将来どうしていかれるつもりですか、こういう不合理が出た場合にですね。
  64. 宮嶋剛

    ○宮嶋説明員 健保組合の扶養の認定の問題につきましては、ただいま自治省のほうから御答弁がございましたように、当該世帯における家庭の実態、その他、社会通念によりましてもさばくわけでございますが、一般的に申しまして、一番目安になるのは俸給の多寡であると思います。しかし、そうは申しますものの、個々の世帯の実態によりまして、必ずしも所得の多寡によって論ずることができない場合が多いようでございまして、そういう場合における取り扱いにつきましては、これまた、いま自治省から答弁がございましたような方式でやっております。
  65. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いずれにしましても、こういう事態が出て、現実にこの問題が片づいていない、不合理というものが出ておるんだ、これを現地で話し合いをしてもなかなかまとまらぬというケースが非常に多いわけです。これについては、いろいろなケースが千差万別あるだろうと思うのです。どのくらいの給料の違い、それから、生活の実情とか、社会通念というようなことも人事院規則で入っているということも聞きましたけれども、そういうようなことは、これはいわば抽象概念であります。そういうことで、現にその話し合いに入った地方公務員の場合に、その共済組合の係の者と郵政省の係の者とで、子供三人のうち、二人はあんたのほうで持ってくれ、うちのほうは安いんだから一人は持ちましょう、こういうことをやっても、地方公務員のほうでは、給料が高いといったって、だんなさんのほうで二人持ってください、こういう事例というものは事実出るわけですね。そういった場合に、これをどう調整して、どう話し合いの決着をつけていくかということは一体どこが責任を持ってやりますか。話し合いがつかなければ落ちこぼれが出てくるということにやっぱり依然としてならざるを得ないわけですね。これは一体どうなりますか。
  66. 小沢辰男

    小沢政府委員 私は政府全体の調整の任に当たる責任者ではありませんけれども、私、ただいま御審議を願っておる主管の政務次官として、おっしゃいますように、被扶養者がどこかで穴があいちゃってどこへも行くところがないという、こんなばかな事態を放置するわけにはいきませんので、しかし、それぞれの短期給付の当面の責任者にしますと、自分のほうの短期給付の労使それぞれやはり収支状況というものが非常に問題なものですから、何も自分のほうで全部被扶養者をかかえる必要はないのではないか、それは向こうのほうじゃないかというようなことが起こって、そういうようなことになるのじゃないかと思います。したがいまして、この解決は、どうしてもそれぞれの法律主管の審議会にまかしておいてもやはりそこにブランクが出るおそれがありますので、おそらく木曜日に政務次官会議がございますから、その際、私各省の政務次官とよく協議をいたしまして、そういう事態の今後起こらないように善処、努力いたしたいと思います。
  67. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これは、ばらばらに共済組合があって、それぞれその財源等の充実の度合い等も違うというようなことで、弱いところはやはりできるだけ引き受けたくないというような、そういう気持ちもあるというようなことからこういう問題も出ると思うのでありますが、これはやはり厚生省にもまたがることだし、自治省にもまたがることだし、あるいは、その他各省にそれぞれ共済組合を持っておる所管のところは全部関係があるわけです。そういう場合に、やはりそれを調整して各省間で話し合えば、必ずこれはどこかできまりがつく性質の問題です。しかし、現実の問題では、現地の第一線でやり合っておって、なかなか話がきまらぬということで現在こういう動きが出ているわけですから、これをいま政務次官は、政務次官会議にもかけたいということを言われたのですけれども、各省の課長レベル程度でもけっこうでありますから、そういう関係の問題が出たら、地方からこういうことでまとまらぬというようなものが出たならば、各省の連絡会議というようなことで、そういう問題をすっぱり処置し得るようなそういうものを、これはどこまで権威あるものであるかは別にいたしまして、実際上の運用として、そういうものをぜひひとつつくってもらいたい。各省の担当の課長クラスあたりで実際の出先の状況を把握して、こうしようじゃないかということで、上部の考え方として裁定をして、勧告をしていくというようなことになれば、大体において問題はすっきり解決するであろうと思う。そういう点でひとつ配慮をする、そういうようなお答えをこの際いただきたいのです。
  68. 小沢辰男

    小沢政府委員 おっしゃるとおりに善処いたします。
  69. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 すぐにやってもらいたい。
  70. 堀昌雄

    堀委員 関連して。  いま政務次官のおっしゃったことでいいのですけれども、善処というのは、後がはっきりしませんからね。実はこの問題は、扶養手当の問題と社会保障の問題と、二つあるわけですからね。私のほうは、いまここで扶養手当をどうするかという問題は、これは各所管の問題がありましょうから、これは一応別にしても、扶養手当の問題を離れて、社会保障、社会保険として、その両方が社会保険の被保険者でありながら、被用者保険の被保険者でありながら、子供は国民健康保険へいくなんというばかなことが、はっきり言うと、国の政策としてあり得ようはずがないわけです。そうすると、どういう処置をするかといえば、そんなむずかしい問題ではないわけですね。まず、共済なら共済の側がきちんとしてみて、こっちへはみ出した、はみ出した残りは全部健康保険で見るのなら見るのだということをばちっときめれば、それでしまいになるのですよ。あなたは全部健康保険の、要するに被用者保険たる健康保険の被保険者にするのだ、被扶養者に認めるという、それをひとつはっきりしないと、いまのように、協議をして、問題が出たら、こっちにするかあっちにするかなんということでは、これは問題の解決にならないと思うのです。小沢さんは御専門だったのだからよくおわかりだろうと思うけれども、要するに、共済というのは特殊的な問題があって、扶養手当やいろいろな問題もたくさんあるだろうから、それならば、あとの残りは——しかし、それはあとの残りといったって、ともかく適正なところまでは幅を広げなければ健康保険のほうとしても問題があるから、まずそこまでは幅を広げて、ここまでは幅を広げますけれども、これから先の問題については、やはり奥さんのほうが給料が二万円も高いのなら、これは社会通念上から見たって一人くらいこっちの被扶養者にしたっていいわけだから、そういうところについてはきちんとルールをはっきりしてもらって、あとは健康保険が被用者保険で全部見ます、これをはっきりしてもらいたいわけですよ。これはいいですね。
  71. 小沢辰男

    小沢政府委員 私が申し上げましたのは、いずれかの被扶養者に必ずするように善処いたしますというふうに申し上げたわけで、ただ、いまおっしゃるように、共済関係で一応どこまで見るかということをはっきりきめて、あとは全部健保で見ろ——健保の勤務員でない人の問題が間々こういうことが多いわけでございます。たとえば地共の関係、教職員の方々と郵政の方々になると、健康保険とは関係がありませんので、したがいまして、私が申し上げますのは、健康保険であろうと、地共であろうと、あるいは公共企業体のあれであろうと、私学共済であろうと、そういうものをひっくるめまして、どちらかで必ず家族が見れるようにひとつ統一的に話し合いをいたしまして、必ず善処したいと思います。
  72. 堀昌雄

    堀委員 私がいま申し上げたのは、こういうことなんです。  地共だろうと、国共だろうと、これは政府関係したワクの中の話ですから、そんなものは当然なんですよ。もう話し合いできまるのはあたりまえのことで、きまらなかったらおかしいのですよ。ただ、健康保険には健康保険組合というものがありますから、これは政府がそういってみたところで、そうならぬわけでしょう。私らは、健康保険組合はそういうことはお断わりしますということになるから、私が言っているのは、要するに、国に関係のあるところは当然やっていただく、しかし、国に関係のないところの分については、国はこれだけきちんといたしますから、あとはそっちでひとつめんどうを見てもらいたいということがきちんとならないとこの問題は締めくくりがつかないと思いますから、そういう意を体してひとつ——いつまでにそれははっきりしますか。その時間もあわせて伺っておきたい。
  73. 小沢辰男

    小沢政府委員 私はそんなに時間はかからぬと思います。ただ……。(「三カ月」と呼ぶ者あり)そんなにかからぬで、一生懸命やりますから……。(「一カ月」と呼ぶ者あり)一カ月と言われましても、これはそれぞれのほうから通牒を出したり、末端に徹底するような措置をとらなければいけませんし、私どもの中央で打ち合わせをすることは、もう一カ月もあれば十分できると思います。
  74. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 もう一問お聞きいたします。  この問題はいまのでけっこうですが、満鉄期間の通算の問題でございますが、どうも恩給関係を先にやらなければ共済は先走れない、また、恩給のほうでは、共済が独自でやられてもけっこうなんだ、それに対して別に文句を言うつもりはないんだ、こういうことで、お互いにボールを投げ合いして責任を回避するような状況が見られるわけでありますが、これは今日、日満目が通算をされ、日満が通算をされている段階において、満目ケースといわれる、最初満鉄に入った期間を、現在公共企業体なり国家公務員としておられるそういう人たちが実質期間としては通算されない、最短年限に達するまでだけは見ようという、いわば、きわめて中途はんぱな解決しかなされていないというこの問題に対して、現実に非常に大きな不合理が出ている。こういう問題について、一体、恩給の措置を待ってしかできないものであるかどうか、恩給の措置を待たずにも、前向きの姿勢で、実施を前提にして検討を進め、実施の方向に持っていく、こういう気持ちがあるかどうか、この一点だけ、率直な意見を、よき返答を聞かしてもらいたい。時間がありませんので、あまりまた食いつかないでもいいような答弁を願います。
  75. 小沢辰男

    小沢政府委員 御納得いただけるかどうかわかりませんが、この前の委員会でも申し上げましたように、やはりこれは事柄の性質上、恩給先行でないと困りますので、恩給のほうでそういうような取り扱いが行なわれて初めて私どもがついていく、というとおかしいのですが、これはそうせざるを得ないような性格だと思います。この点はぜひ御了解いただきたいと思います。
  76. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それでは、少なくとも恩給のほうで何らかの新しい手が打たれるならば、文句を言わずにそのままやります、こういう態度ですか。
  77. 津吉伊定

    ○津吉説明員 お答えいたします。  恩給のほうでやればそのままやれるかということばに、二つ意味がございまして、われわれのほうでは、御承知のように、共済年金は恩給をそのまま引き継いでおりますので、恩給公務員期間というものを通算しておるわけでございます。その恩給公務員期間というもの自体については、これは恩給法のほうでどうおやりになるかというのが、そのままわれわれのほうに流入してくるという問題でございます。  それから、たとえば満鉄のケースのように、官吏相当として恩給のほうで、完全通算あるいは最短年金限までの通算ということをおやりになりました場合に、それを雇用人の面においてどのようにバランスをとってわれわれは見ていくかというので、あくまでそういうことで恩給のほうの措置というものに追随せざるを得ない事柄の話でございまして、別に、誠意のあるなし、あるいはやる気のあるなしという話ではございませんので、御了解を願いたいと思います。
  78. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 あとまだ二人質問者が残っておりますので、私、この辺できょうはやめておきます。
  79. 三池信

    ○三池委員長代理 村山喜一君。
  80. 村山喜一

    村山(喜)委員 人事局長がちょっと所用があるそうでございますので、初めにそちらのほうの問題から何しますが、人事院総裁もお見えでございますが、これは人事院とそれから人事局に共通の問題であります。  ただいま広瀬委員が話をいたしました問題にも間接的に関係があると私は思うのでありますが、いま、御承知のように、初任給の決定とかあるいは昇格、昇給の基準につきましては、人事院細則の九−八−二によりまして学歴あるいは経歴の認定をいたすわけでありますが、これによりますると、過去における取り扱いが、御承知のように、同種の職種につきましては八割、それから兵役期間については、抑留期間も含めてでございますが〇・二五、そういう取り扱いをして年数計算をいたしました上に、三分の二の方式を用いて計算をいたしておったことは事実でございます。それに基づいて、最近におきましては、この内容が若干改正をされておりますが、たとえば兵役期間については、その職務と関連のある者については十割認める、そうでない者については八割は認めるというように換算の方法が改善をされておりますけれども、依然として三分の二という方式は残されているわけであります。  そこで、これらの問題から、いま切実な要求としてあらわれてきているのが、たとえば、国鉄の退職者の中で、満鉄勤務の人がある場合の現在におけるところのいわゆる給料の月額支給額というものと、同じような経験年数を持っている者との間において、月額において約二万円の開きがある、このことが、結局退職金のほうにも及んでまいりまするし、現在受けておる給料の上においてもあらわれてくる、あるいは退職一時金の中にもあらわれてくるというかっこうになるのでございます。そういうようなことから計算をいたしてみますると、大体ストレートに内地で勤務をし、そして現在まで引き続いてきた、約三十数年間働いた人のもらった給料あるいは退職金、あるいはこれからもらうであろう年金、こういうようなものを計算いたしてみますと、その一生の間において、一人について約一千万円の開きが出てくる、こういう計算が具体的に出てくるのでございます。  そこで、問題になるのは、いわゆる満鉄の期間を年金の中に通算をしてもらいたいという要求は、やはりそういうような、あまりにも開き過ぎるところの現実の給与の問題、あるいは将来の年金の問題、さらにまた、やめたときの退職金の問題、ここに関係がある、基本的には、現在の給料そのものにも関係があるということが言えると私は思うのであります。  この問題については、それぞれの官公庁によって違います。組合が非常に強くて、前歴計算については非常に有利に認めさしたところの職場とそうでないものとの間においては大きな開きがあるわけであります。ある場合には、官公庁によりましては、終戦直後の場合には、出向という形をとって、そしてそういうような経歴を認めてきたところもあります。しかしながら、そうでない場合もあります。いろいろな、まちまちの処理がされておりますから、いわゆる学歴、経歴の認定の不統一という問題が出ているわけであります。そこに私は、いま広瀬委員の提起をしました問題点の一つのかぎがあるのではないかと思うのでありますが、これについて、やはり給与の再計算等において、現在の人事院細則の九−八−二にあります二十四条で、各省庁の長が、人事院の承認を得て、昇格のときとか、あるいは特別昇給のときとか、こういうような場合に調整をする規定があるのでありますから、そういうような、今日の不統一な、いわゆる学歴、経歴の認定についての実情をもう少し把握をされて、そのような方向で努力されることが必要ではなかろうかと思うのでありますが、これに対します人事局長の見解並びに人事院としての今後の方向というものを明示を願いたい。
  81. 増子正宏

    ○増子政府委員 前歴計算の取り扱いにつきましての御質問でございますが、給与法の関係で申しますと、人事院の定めるところによって運用が行なわれておりますので、これについていかなる方針で臨むかということにつきましては、私、それを申し上げる立場にございませんので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  82. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 職員の前歴計算の問題につきましては、現在規則におきまして二つのたてまえにしておるわけでございますが、一つは、官職に採用する場合に、その資格を持っているかどうかという点で、従前の経歴につきまして、同種か同種でないかというような、そういう判定におきまして、同種ならば十割、あるいは同種でなければ八割などという形で一応前歴を計算いたしまして、そういう官職につく資格があるかどうかということを一つ検討をいたすわけでございます。  第二点につきましては、そういう資格があった場合にはその官職につけるわけでありますけれども、官職の初任給一号からスタートさせるのには経歴が非常に多いという場合には、その経歴につきまして、従前から在職しております者と、それから中途採用された者との均衡という観点におきまして、やはり従前からいたほうが、若干の貢献度という点を考慮しまして、中途採用者につきましては、従前からおりました者に対しまして約三三%のハンディキャップをつけまして、つまり、いわゆる二分の三計算ということをやっておるのでございます。この関係につきましては、従前から、一つには、官職に採用される場合の資格がそういうことで適当かどうかという問題、それから一つには、中途採用者と部内職員とのいわば貢献度につきましての均衡問題、そういう関係におきまして、民間の労働が逼迫してきた場合などには、そういう関係はいろいろ変化してまいりますので、そういう関係を絶えず注目をして、必要に応じて、かなりにわたって逐次改正をしてまいっているのでございます。しかしながら、この関係は、現在におきましても、大体大まかには民間の状況とそう違っていないという点が現在の事情でございますが、なお、どうしても今後のために必要だというような場合には、先ほど御指摘のような特例を設けまして、二分の二を採用するとか、そういうことをやっているわけでございますが、いま御指摘のように、次第に労働が逼迫してまいりましたことによりまして、どうしても採用上必要だということで規則が緩和されてきておりますので、従前から採用された人につきましては、現在に比べてきつく採用されておるという面がございます。  そういう関係につきましては、いわば逆転を生じないという点におきまして是正をしてまいっておるのでございますが、新しい制度におきまして全部修正をするということになりますと、やはり従前からの均衡の問題、そういう関係で、最近におきましても、いわゆる技能労務職員についてやったのでありますけれども、相当この問題の反響がございまして、そういう関係につきまして、やはりいろいろ問題がある。したがいまして、今後もそういうバランス関係を考えながら、あまりひどい場合にはそういう点の指摘をいたしまして、必要に応じて妥当な是正をし得る場合にはするというようなことを指導してまいっておるのでありますが、今後そういう関係を注意してまいりたいというふうに思っております。
  83. 村山喜一

    村山(喜)委員 おっしゃるとおり、逐次改善をされて、採用しがたき職種等については二分の二方式のものがとられておることは事実であります。しかしながら、四十年一月十一日に人事院の通達で、旧満鉄在職期間の経験年数の換算についての通知によりますと、外国政府職員としての在職期間に準じて取り扱ってよろしいということになっておるわけであります。ところが、前に採用された人は、十年間満鉄に勤務しておりますと、その期間は八割だけしか認められておりません。そうして、なおソ連の参戦によりまして、抑留を五年間されたら、その期間は〇・二五しか、四分の一しか見られていない。そうして、実際上は十五年間苦労をいたしましても、やはりそれは三分の一は切って捨てられるわけでございますから、十五年間が七年分に認められる、だから八年後の後輩と同じ給料で採用をされたという事例があるのでございます。そういうようなことから、今日のこの通算の問題をめぐりまして、年金の問題として要求が出てきているその基本的な根源は、私は、そういうような過去において採用した者の前歴計算の不合理是正というものが国鉄においてはなされていない。そこにこの問題が出てきている。あとからそういうような取り扱いの通達がなされまして、有利な取り扱いになるようになったならば、それを受けて、やはりそのような方向で国鉄としては善処をするというのが正しい方向ではないかと思うのでありますが、あなた方は、そういうような取り扱いが変更になったあとをどのように今日まで処置しておいでになったのですか。
  84. 中西幸雄

    ○中西説明員 ただいまの御質問の問題につきましては、私の担当でございませんで、職員局長でございまして、材料も持っておりませんし、お答えできかねるので、何とぞよろしくお願いいたします。
  85. 村山喜一

    村山(喜)委員 人事院にお尋ねいたしますが、あなた方はそういうような取り扱いについての通達をお出しになるだけでなくて、そのような通達をお出しになれば、それに基づいて、やはり給与の不合理是正というようなものについては実施ができるように努力要請をされるのが当然だと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  86. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 先ほど御指摘のような問題がありますので、私どものほうでは、その実施についても十分関心を持って注目しておるつもりでありまして、たとえば給与簿の調査ということをやっております。これも実は人員が非常に少ないものでありますから、抜き検査的なものではありますけれども、給与簿の調査に行って、各官庁の給与簿を調べさせていただきますような場合に、そういう点にも十分注意をさせまして、これはひどいじゃないかというのが見つかりました際には、そのつど指摘をして、注意を促しておる、あるいは、私ども公務員の諸君とたびたび会見をいたしまして、いろいろな代表者から苦情を直接承る機会がありますが、そういう場合に、具体的にそういう事例が出ることがございます。そういうときには、やはりそれを具体的につかまえて、具体的に、一体どういうことでこうなっておるのかということを、やはり所属官庁のほうに照会いたしまして、なるほど、これはちょっと扱いが不親切ではなかったかということがあれば、そのつどそれを御注意申し上げておるというだけの心配りは十分やっておるつもりでございますし、今後も努力してまいりたいと思っております。
  87. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、だから、たとえば兵役の問題一つを取り上げてみましても、兵役の期間、並びに引き続いて抑留された場合等においては、これは職務に関係のある者については十割見る、そうでない者についても八割は見るということで、給与上は見られるようになりました。しかし、恩給法上はこれが十割以上に戦地加算までついて認められるという式になっているわけですよ。そこに私は、まことに現在の給与の算定基準と、恩給のそういうような資格年数を付与する場合の恩恵と、同じ政府が出す政策でありながらばらばらの政策が出されている。過去においては、その抑留期間は四分の一しか計算をされないで放置されておる。そういうものが、今日なお給与の面において不合理として存在をして、これが力関係において見過ごされているところに問題があると思う。  職員局長がお見えになっていないので、厚生局長ではちょっと無理かもしれませんが、そういうような問題が今度は厚生のあなた方のところに年金問題として派生的に出てくるわけなんですよ。やはりその相関関係というものは十分に押えてもらわなければならないと思いますので、あなた、お帰りになりましたら、国鉄の首脳部と十分に話をしてもらって——満鉄関係問題というものは一般公務員の問題じゃないのです。あなた方の問題が、今日もうやめる段階に差しかかってきた人たちの問題として国会で論議されている段階になっているのだ、このことをお考えいただいて、人ごとではないのだということで取り組んでいただきたい。このことだけあなたに要望申し上げておきますので、十分処置願いたいと思います。  そこで私は、先般内閣委員会において大出委員から人事院総裁に対しまして、ことしの給与改定の問題についての見通しに関し質問がなされたのに対して、大体、常識的に見た場合には七%を下ることはないであろうという一つの観測を打ち出されたことを議事録で拝見いたしました。なお、新聞等においても出されておりますので、民間調査の客観的な事実に基づいて数字というものは出てくると思いますから、大体常識的な見方として七%を下ることはないだろう、こういう見方をされて説明をされたものだと承るのでございます。そこで、作業がいま進められて、八月の中旬でございますか、人事院勧告が出されるであろうと思うのでございますが、問題は、出されても、それがいままでのように実施の時期がおくれてしまったのではこれは意味がないわけであります。仲裁裁定については、原資があろうがなかろうが、とにかく裁定どおりにやるということで、従来政府は裁定については忠実に実行してこられました。今回の場合においても、国鉄の場合等においては、財源がない、しかし、何らか、今後において補正予算をするか、あるいは他の企業収益の増加によってまかなうか、何らかの道をつけることによってその裁定の実施をやろうという態度で臨んでおられることは、私たちもよくわかっておるのでございますが、この公務員の給与改定についても、その内容的な問題もさることながら、いわゆるこれを実施しようという、その尊重をいたしますという内容のものがやはり勧告どおりにやってもらわなければ、それに見返った形で公務員のストライキ権というものが制限をされている、その公務員を保護するためにつくられたものであるという立場からするならば、当然政府が責任を持って人事院勧告のとおりに実現をするという立場でなければならないと思うのであります。  その点については、いま大蔵大臣がお見えになりましたので、最近の税収の上昇等の見通しからいっても、三千億を下ることはないであろうということがよくいわれておる、そういうような情勢の中にあって、当然私は、財源がないから実施ができないのだというようなことはもう言われないだろうと思いますし、人事院総裁は、その計数に基づいて正しく勧告をされるであろうと思いますが、その内容、並びにそれを受けての大蔵大臣としての考え方をこの際明らかにしていただきたいのであります。
  88. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 人事院の勧告は従来も尊重してまいりましたが、従来と同じように、今度も勧告が出ましたら尊重いたすつもりでおります。
  89. 村山喜一

    村山(喜)委員 勧告の内容については、あなた方は尊重されたでしょう。人事院勧告の内容のとおり実施された。しかし、実施の時期については、財政上いろいろな理由があるので、九月から実施ということで値切られてこられたでしょう。これは、従来尊重してきたから、従来のとおりやるといえば、九月からやるという意味ですか、大蔵大臣。
  90. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のように、まだ勧告は出ておりませんので、勧告が出ましてから、それを政府は検討の上、これを尊重して実施するという方針でございますが、まだ勧告が出ていませんので、何月にさかのぼれというような、まだ勧告を受けておりませんから、いまのところは何とも申し上げられません。
  91. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまのところは何とも言えない。もちろん、白紙の状態にあるだろうと思うのですが、私は、やはり大蔵大臣のこの勧告を受けての態度というものは、前向きの形で受けとめてもらわなければならないと思うのですよ。やはり政府としての基本的な姿勢だろうと思うのですが、その点だけでも言えませんか。前向きの形で対処するということは言えませんか。いかがですか。
  92. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは私の考えですが、しばしば申し上げましたように、前向きということばが、さかのぼることが前向きであるか、もっと公務員には損のないいろいろ給与の上げ方がありはせぬかということを、政府部内でこの三年間研究しておりますが、今年度は間に合わなかったといういきさつもございまして、この勧告のしかた、政府のこれに対する措置のやり方によっては、私は、いまよりもいい公務員のベースアップのしかたはあるのじゃないかと思っておりますので、前向きということになりましたら、むしろそういうほうが前向きであって、予算を組んでしまった後に、勧告でずらずらさかのぼるというようなことのほうが、私は少しうしろ向きみたいな気がするので、そこらの点については、私どもはこれから十分合理的な考え方をしようといま研究しておるところでございますので、ただそのままさかのぼれば前向きというふうには、いま私は考えておりません。
  93. 武藤山治

    武藤(山)委員 関連。  大臣は、五月十八日の参議院内閣委員会におきまして、公務員は他の公企体や民間と比較して不利になっている、そこで、不利にならないようにやり方を考えようと思う、こういう答弁をしておるのですよ。議事録もここにあります。  そこで、人事院総裁、いま公務員は、民間と比較してどういう格差がついているか。それから、公共企業体と比較してどのくらい賃金の格差があるのか。常に皆さんのほうでは五月実施を勧告しているにもかかわらず、九月あるいは十月からしか政府はやらない。こういうことで公務員が損害を受けておると思うのですよ。不利に扱われておると思うのです。おそらく、そのことを水田さんも承知の上で参議院でそういう御答弁をなさったと思うのです。そこで、その実態の数字をちょっと明らかにしていただけませんか。
  94. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 去年の調査の結果によって去年勧告いたしまして、五月にさかのぼって実施していただきたいということでありましたけれども、遺憾ながらこれは九月ということになったわけで、完全にその間の格差が埋められたかどうかということは、精密な議論としては言えないわけなんですけれども、とにかく実態としては、給与勧告の内容としては、一応その勧告によって去年四月の格差は埋まったと言えるわけで、その後一年たちましたいま、これがどういう格差になっておるか、これを私どもは四月現在で調査をいたしました。六千数百の事業所をシラミつぶしに当たってその票を集め、目下集計中ということになりますので、その調査票をいずれ検討いたしまして、はっきりした格差が出る、その格差がどのくらいの見込みになるかということは、先ほどおことばにありましたように、いろいろ推測がありますけれども、私どもとしては推測はできない、この開票待ちということの一言に尽きるということでおるわけでございます。
  95. 武藤山治

    武藤(山)委員 総裁、いま調査しておるものがわからぬということも真実ではないと私は思うのですよ。もう八月に勧告するんでしょう。八月の中ごろにするということは、あと一カ月後ですよ。もう大体、人事院としては数字の詰め合わせばかなりできておると思うのです。いま調査段階だと言っても、あと一カ月ですよ。ほんとうにできていないのですか。できていないとすれば、去年の段階で、五月実施をしなかったために民間とこういう差がつく、その数字はおそらく出ておるはずです。それだけでもけっこうですから、もし総裁で無理ならば、担当官がおるわけでしょう。その格差をちょっと明らかにしてください。
  96. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 一応私からお答え申し上げます。  去年、五月の実施期が九月に切り下げられたということによる額は出ます。出ますけれども、私どもとしては、もうすでに給与法の改正として国会でそれが成立してしまったものでありますから、今後ことしの分としては、これを全部御破算の新しい白紙の立場から四月調査をしなければならぬ、その結果によってまた勧告を申し上げるならば、それについて完全な実施をお願いするという立場におるわけでありまして、ただいまのおことばに、もうそろそろわかっておるころではないかということがございましたけれども、これは十分御理解いただかなければならないことでございまして、私どもはいろいろなデータがあります。いわゆる春闘による上昇傾向あるいは公労委の仲裁裁定あるいは物価の上昇というような客観的なデータはいろいろございますけれども、私どもは、それはさておきまして、やはり先ほど申しました六千数百の事業所、四十七、八万の民間の従業員を個々に当たって、確実なデータをとらえて、その水準を求めて、そうして公務員の四月現在の給与と突き合わせて、そこで出た数字は絶対埋めていただきたいという形で、はっきりしたデータを掲げて臨んでおるわけでございますから、先ほど申しましたように、目下まだ票を集めておる段階でございますから、全然見当はつきませんと申し上げるのが、一番正直ではないかと思います。
  97. 武藤山治

    武藤(山)委員 人事院総裁は、昨年も大蔵委員会において、五月完全実施をされなかったために公務員が損をした金額は幾らぐらいになるかという委員会における質問に対して、去年の分を入れずに、その前の四十年分までの三十五年から五カ年間で約九万六千円公務員は損をしております、金額にして約二千六百億円程度がおそらく値切られた、公務員が損害を受けた金額はこのくらいになるでしょう、そういう答弁をしておるわけです。ですから、これは公務員が不利な扱いをされておるということは大臣も認めておるわけですね。大臣、内閣委員会における五月十八日の議事録は、あれは思い違いである、公務員は不利であるという答弁をした覚えはない、こうおっしゃいますか。大臣の見解はどうですか。きょうの心境はどうですか。
  98. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 九月実施としますと、五カ月分ずつが毎年ずれて公務員の損になるということで、十年間に五カ月の十倍というものではなくて、五カ月ずつ常にずれて損をしておるということでございますから、考え方、やり方いかんによっては、この損をさせない方法というものも考えられるのではないかというふうに私は考えております。
  99. 武藤山治

    武藤(山)委員 そこで水田さんは、国会におけるもう一つの答弁の中で、三十九年に池田総理は一カ月早めて支給をした、その原因は、財政状態が好転をしたからなのか、他の原因なのか、こういう質問に対して、財政の事情ではないと思う、こう答えておるわけです。池田さんが当時一カ月繰り上げたのは、どういう理由でありますか。池田総理の誠意の問題である、公務員に対するあたたかい思いやりの問題である、こうお考えになりますか。
  100. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 沿革を申しますと、たしか、昭和三十四年の前だったと思いますが、勧告があっても実施は翌年の四月からというのがそれまでの慣習でございまして、それを池田内閣になりまして、ちょうどそのとき私は大蔵大臣でございました。このとき初めて翌年の四月実施を十月に繰り下げるというので、十月実施というものをそのときから始めて二年やりましたが、池田内閣の三年目に、田中大蔵大臣のときに九月へさらにさかのぼるという措置をとったと思いますが、おそらくいま言われているような議論で、できるだけさかのぼれという議論を時の内閣が聞いて一カ月さかのぼったのじゃないか、財政上の理由ではなかったのじゃないかというふうに私は考えております。
  101. 武藤山治

    武藤(山)委員 どうも奇妙な意見が出てまいりましたが、そうすると、水田さんの本心は、勧告は五月だと言われても、それは、従前は、三十四年当時は翌年の四月から実施したのであるから、五月に勧告を受けても九月にやるのは当然のことなんだ、五月から完全にきちっと実施するのじゃなくて、九月、十月にやるのはもう当然なんだ、こういう認識に大臣は立たれておるのですか。人事院の勧告が五月というのは、ことしの五月ですよ。この八月に勧告されるのはことしの五月なんです。それをあなたは昔の例を引っぱり出して、昔は翌年の四月から実施したんだから、九月からやることはより前進じゃないかといわんばかりのニュアンスの発言です。そういう認識は間違いだと思うのですが、いまでもそういう認識ですか。当然五月からやるべきですよ。
  102. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは機会あるたびごとに私は言っておりますが、予算を編成する、そうして、国会が予算をきめるということは、これは非常に厳粛な仕事でございまして、国民の税をどう使うかということをきめることでございますから、予算の編成いとうものは、非常に厳粛なものだと私は考えています。ところが、これだけ厳粛なことを与野党とも約二カ月かかってきめて、その間に不要な予算はないかとか、これは多過ぎはせぬかと国会議員がまじめに予算を論議して、そうして正しい妥当な予算だときめた、その予算を執行しだして二カ月くらいのときになったら、何百億の金を出さなければならぬという事態にぶつかる、しかも、政府がそういうことをやったら、これにならって地方財政も全部そういうふうになるんだということが年中行事になったら、なかなかこの厳粛なるべき予算というものが守られない、私どもが各省の予算を監査し、政府関係機関の監督をしろと言われましても、何かどこかへそういう予想したものをみんな入れ込んでおかなければ、人事院の勧告が出たときに対処できないというようなことは、国会自身、私ども審議しておる予算が、もう相当厳粛、厳密なものじゃないということを承知の上でやっておるというなら、予算編成についてのいろいろな国会のあり方というものは、ずいぶん国民の前に忠実でないものになりはせぬか、こういうことを非常に私はおそれておりますので、やはり予算というものは厳粛に執行される、むだがない、で、途中からそういうふうに出てきた問題があったら、三月にきめた予算をすぐに五月にさかのぼってどうこうするというような予算の使い方がいいか悪いかということは、私は国民の代表の国会として、もう少し深刻に考えていいのじゃないか。問題は、公務員の方に損をさせなければいいのであって、場合によったら、勧告の分を次の年度に正式に予算に盛って、それを埋めるとかなんとかということがあってもいいのであって、金が惜しいのではなくて、私は、そういう予算の仕組みというものについて国会は考えていいのじゃないか、私は、そのほうが前向きだというふうに考えて主張しておるのでございますが、遺憾ながら、いまのところいい案がないで困っておりますが、困っておるからといって、このままそういう形のものをずるずるやるべきでないというのが、私の主張でございます。
  103. 武藤山治

    武藤(山)委員 これは大蔵大臣として、政府閣僚として聞き捨てならぬ発言ですよ。法律をいつも提案している大部分は、それは政府の仕事じゃありませんか。われわれ野党が法律改正案を出したって審議もしないで、政府案だけを審議しておるのが国会の姿ですよ。そんなことは水田さんは百も承知のはずですよ。もし五月勧告というのが、予算が編成され、実行段階に入ってからの期間でまずいというならば、政府は十月に勧告制度を変更して、きちっと十二月の通常予算に予算が計上できるようになぜ改正せぬのですか。それは政府の怠慢ですよ。しかも、あなたなどは政府の相当古い大幹部で、日本の政治を動かす実力者じゃありませんか、大蔵大臣は。もしそういう予算の執行がまずいということがわかっておって、ここで便々と述べるのだったら、法律改正を当然手続すべきですよ。十月ごろ勧告を受けて、十二月の予算編成にはきちっと公務員給与が予算の中に入るようにしたらいいじゃないですか。それを怠っておいて、泣くのは公務員だけ、犠牲を受けるのは公務員だけ、制度がそうなっておるから、その制度が気に食わなくとも、まずかろうが、法律で定められておるその規則に従ってできた結論については、政府は忠実に守る義務があるのですよ。責任があるのですよ。しかも、スト権を取っておいて、公務員には、人事院というものによってきちっと出すから、おまえたちはストをやるんじゃないという法律をつくっておいて、今度人事院が出すのが五月実施だから、予算ができちゃってからだから予算の執行上好ましくない、まずい、そういう発言を大臣がここでできるはずはないと私は思うのであります。  私は、あなたの責任のがれのいまの答弁を聞いて、いささか、水田蔵相に対する私の尊敬心は少し減りました。そういう答弁をしないで、やはり内閣委員会で答弁をした、公務員が不利にならないように、本年はひとつきちっと前向きで、できるだけ早い時期から、勧告を受けたら完全実施をいたします、補正予算も何月ごろまでには組みたいと思います、そういう答弁をするのが、私は、スト権を取り上げた政府のとるべき態度ではないかと思うのです。まことに不満です。  そこで、一つ尋ねますが、主税局長、自然増収はどのくらい見込まれておりますか。再三大蔵委員会で答弁しておりますが、いまの時点で大体どのくらい自然増収が見込めるか明らかにしてください。
  104. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 この点につきましても、しばしば申し上げましたように、四十二年度の歳入は四月から始まりまして、まだやっと五月の収入実績を発表し終った段階でございます。種々の計算もいたしておりますが、まだ私どもは、すぐに発表し得るだけの自然増収の見積もりを持ち合わせていない、これはやはりもう少し時期が経過いたしまして、客観的な、より信頼できる数字ができましてから申し上げるというのが過去の慣例であり、またそのほうが適当だ考えております。
  105. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは塩崎さん、あなたが大蔵委員会で再三答弁をした見通しの自然増収約七千三百億円から七千五百億円程度、こういうややの見通しについては、いまだそんなに狂っていない答弁を大蔵委員会でしてきたとお考えですか、もう七千三百億円から七千五百億円の自然増収という見通しは、その場限りの、大蔵委員会で税法をあげたいために答えた数字であるということになりますか。もう一回その見通しのほどを、金額を示してひとつ・・・。
  106. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 七千三百五十億円の自然増収は、二月ごろの状態におきまして、当時の経済見通しに基づいて計算いたしたものでございますので、私どもは当時の計算といたしまして、また正しいものだと考えております。ただ、見通しは、今後の見通しがどういうふうになるかというそこにかかるものでございまして、私はこれまでの計算がそんなに間違ったというふうには考えておりません。
  107. 武藤山治

    武藤(山)委員 いままでの計算、七千三百億円から七千五百億円の自然増収はそんなに誤っていないと思う、こういう主税局長の答弁ですね。本年は七千三百億円から七千五百億円の自然増収がやや見込まれるという財政状態、ですから、財政状態が好転をすれば、予算執行後に生じた災害、米価、人事院勧告、こういう問題については、政府は誠意を持って処理しようとするならば、完全実施が一番誠意を示したことになると思いますが、大蔵大臣の見解はいかがですか。
  108. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 先ほどの話にまた戻りますが、私は、公務員に損させるという考えはいささかもございません。で、五月にさかのぼれとかなんとかいうものは、別に法律事項ではございませんが、さかのぼるなら、四月にさかのぼらなければ意味がないというふうにも私は考えておりますので、そのために、もう少しいいやり方はないかということをいまでもまだ検討中ということでございますので、できるだけこれは矛盾のない解決のしかたをしたいと私は考えております。  それから、自然増の問題は、いま申しましたとおりで、わずか二月でいまどうとも言えない段階でございます。多い自然増があったら、まず第一に私どもは公債の発行を削減するという方針を当初から持っておりましたが、そういうことができる状態にあるかないかの自然増の状態も、いまわからないところでございますので、それ以上、この自然増を政策費に使える余地があるかどうかというような問題については、いまのところは何とも申し上げられません。
  109. 武藤山治

    武藤(山)委員 予鈴が鳴ってしまいまして、関連でたいへん長く時間をとって失礼ですが、総務長官に一つだけ。  総務長官は、公務員団体との会見の中で、従来のマンネリを本年は打破したいと言われた。従来のマンネリを打破したいというその意味は、真意はどういうことでございましょうか。
  110. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 人事院のあり方、また人事院の勧告というものは、これはもちろん私は尊重しなければならないものであると考えております。しかし、ここ十年ぐらいの間完全実施ということが行なわれないで、いろいろ批判があり、また、私たちもいろいろの苦情を承っております。私、昨年十二月の初めに給与担当を引き受けまして、この問題に重要な関心を持ちまして、給与関係の六人委員会という、もちろん大蔵大臣も入っておりまするが、ひとつ、今年こそは何か従来の批判から脱却するものをやろうではないかということで、御相談を続けてまいったのであります。しかし、いろいろな案がありましたけれども、やはり今年も、四月に春闘の終わったあと調査、そして八月勧告という従来のスケジュールをたどるということになってしまったわけでありまするが、しかし、今度八月に勧告が出ました場合にも、これを全面的に実施するということが一番いいたてまえではあります。   〔三池委員長代理退席、委員長着席〕 もちろん、これは財政状況とにらみ合わしてやらなければならないことでしょう。しかし、従来のようなあり方でいいかどうかということ、その点については、私も深い関心を持っておりまするので、一歩でも二歩でも前進する形をとりたい、そういう考えのもとに、寄り寄り六人委員会でも御相談をいたしておるようなわけであります。したがって、いま武藤委員が御指摘になりましたことばは、国会委員会じゃなくて、私が組合の方とお目にかかったときのお話だと思いますが、その考えは私は十分持っております。いままでの百年一日のごとき形はいけない、従来のマンネリを打破して、一歩でも二歩でも前進する方向にいきたいという気持ちを申し上げたわけでございまして、何ら他意はございません。少しでも前進する態勢を示したいという気持ちのあらわれであります。
  111. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がありませんので、私、きょう人事院総裁に勧告の内容の中身についてもお尋ねしたかったのでありますが、一つだけ、中でも重要な問題だけお尋ねしておきたいと思います。  それは、推計四万四千円ベースぐらいになるという見通しについて説明されておいでになりますが、この中で最近大きな問題になっておりますのは、住宅手当の問題だと思うのです。そしてまた、この問題は、いわゆる暫定手当との関係があると私は思うのです。というのは、今日三、四級地がそのままの形で残されておる。これを定額で支給をしていく中において、都市手当的な性格に変わっている、そういうような点から、人事その他については、これがあるがために非常に問題が残っているわけであります。この問題は、やはりからみ合わせながら、住宅手当の問題とにらみ合わせて考えなければならない問題が、いわゆる当面の情勢ではなかろうかと思うのでありますが、そういうような点をお考えになっているかどうか、この点だけをお答えいただきたいのであります。  それから、私は大蔵大臣にこの際最後にお尋ねをしておきたいのは、御案内のように、昭和二十八年に一万五千四百円ベースでございました。今日ベース換算をいたしますと、公務員が大体四万四千円ベースぐらいになっているということを人事院総裁も申しているのであります。これに比べまして、恩給ベースは一〇%上げるところが、これは単純計算でやった場合でありますが、二万六千五百円ベースになる。それから二〇%のところが二万九千円、それに二八・五%上げたところが、これが三万一千円ベースぐらいになるようであります。これはいろいろな計算方式がありますが、大体の単純計算方式によるとそういうふうになる。そこにおいて、明らかに、今日のいわゆる公務員の給与との間には大きな開きがあることも事実であります。  そこで、私、共済の立場からお尋ねをしておきたいのは、この共済の掛け金率の限界をどこに置くのかということをやはり基本に押えなければならないと思うのであります。いま長期の負担が千分の四十四でございます。それに、それぞれ各保険数理に基づいて、短期のものは三二、三%というところになっているようでございますが、これを今日計算をいたしてみますると、地方公務員がことしの十二月からまた長期の分が千分の四十五に上げなければ保険数理の上から合わないようになってくるようであります。そして短期のものを三十二で押えましても、これを十二カ月分納めるわけでございますから、その倍率を掛けますと、大体上げたときに〇・九二四カ月分になるのであります。この数子から見まして、私たちは、長短合わせて、今日大蔵省メニュー等によりましても明らかなように、公務員の給与の実態から見まして、一カ月分というのがもう限度ワクであろうと思うのであります。そういうような問題について、あなた方はもちろんベースとの関係もありますけれども、公務員一人当たりの賃金が上昇をしたら、掛け金率は変わらなくても保険金額は多く集まるわけでございますから、その点から、この問題についてはどういうお考えをお持ちであるのか。旧令の共済組合法の改正案を上げるにあたりまして、公務員の今日の生活の実態の上から、最高限度ワクというものをどのあたりに設定をしたらいいのかということをお考えになっているとするならば、お聞かせを願いたいのであります。
  112. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 暫定手当の問題は、御承知のとおりに現在二段階残っております。ただ、現在残っております二段階を各地域についての物価の地域差と比べてみますと、そう度はずれて不合理な形にもなっておらない。  それから、いまお話の人事の交流関係につきましても、御承知のように、十二カ月だけは保障してやっているというようなこともございますし、いまぜひこれを何とかというところまでは、あるいはない問題かもしれませんけれども、御承知のように、これまたわれわれとしては大きな宿題にしております。暫定手当、いずれはこれは基本的に改定しなければならないという宿題として、今日ただいまでもなお検討を続けておる段階でございます。  もう一つ、住宅手当をこれに関連してお話がありましたけれども一つの根本的な改革の問題としては、たとえば、家賃の地域差というようなものを織り込んで地域手当式なものに一本にならないかというような基本的な考え方も、これは頭にのぼらないではありませんけれども、当面私どもは、住宅手当は住宅手当として、これの検討を進めておる、しかし、何ぶんにもやはり民間の状況というものがどうしてもわれわれとしては一番大きなよりどころになりますものでありますから、毎年民間の企業の住宅手当の支給状況を調べておるわけで、ことしも調べております。これが、非常に多くの企業が住宅手当を支給するということになりますと、公務員の場合もほってはおけないだろうということでございますが、昨年の調べでは、住宅手当を支給しておる企業体が三七%ですか、というようなことでございまして、これが圧倒的に多数の企業体が手当を支給するというところまでいきますかどうか、ことしも調べております。ことしの結果を見なければわかりませんけれども、そういうこととかね合いで考えております。しかし、一方において公務員の宿舎という実質的な面においては、これはどうしてもないがしろにできない問題でありまして、公務員宿舎に入っている人と入れない人とのアンバランスというものは、どうしても少しずつでも解消していかなければならぬということで、大蔵大臣にも毎年お願いいたしまして、公務員宿舎の整備、それから独身寮の整備、これは着々やっていただいております。
  113. 内田常雄

    内田委員長 次回は、明十二日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会