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1967-06-22 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    菅  太郎君       小峯 柳多君   小宮山重四郎君       河野 洋平君    笹山茂太郎君       砂田 重民君    永田 亮一君       西岡 武夫君    村上信二郎君       村山 達雄君    山中 貞則君       阿部 助哉君    平岡忠次郎君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    村山 喜一君       柳田 秀一君    永末 英一君       田中 昭二君    広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省証券局長 加治木俊道君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君  委員外出席者         外務省経済局外         務参事官    伊藤 博教君         大蔵大臣官房財         務調査官    服部誠太郎君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         通商産業省企業         局次長     下山 佳雄君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 六月二十日  委員浅井美幸辞任につき、その補欠として広  沢直樹君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として平  岡忠次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員平岡忠次郎辞任につき、その補欠として  野口忠夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十五日  国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号) 同月十六日  資産再評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一四号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税の回避のた  めの日本国ノールウェー王国との間の条約の  実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法の  特例等に関する法律案内閣提出第一一九号)  (参議院送付) 同月十五日  公務員の共済組合制度改善に関する請願(佐野  進君紹介)(第一三一七号)  同(中村重光紹介)(第一三一八号)  同外三件(平林剛紹介)(第一三一九号)  同(阿部哉君紹介)(第一三四八号)  同(石田宥全君紹介)(第一三四九号)  同(岡本隆一紹介)(第一三五〇号)  同(加藤清二紹介)(第一三五一号)  同(神近市子紹介)(第一三五二号)  同(小松幹紹介)(第一三五三号)  同(後藤俊男紹介)(第一三五四号)  同(下平正一紹介)(第一三五五号)  同(高田富之紹介)(第一三五六号)  同(武部文紹介)(第一三五七号)  同(中井徳次郎紹介)(第一三五八号)  同(松前重義紹介)(第一三五九号)  同(米田東吾紹介)(第一三六〇号)  同(工藤良平紹介)(第一四〇二号)  同(竹本孫一紹介)(第一四五九号)  同(門司亮紹介)(第一四六〇号)  同(本島百合子紹介)(第一四六一号)  戦傷病者傷病恩給等担保融資額是正に関す  る請願伊能繁次郎紹介)(第一四二三号)  同(河本敏夫紹介)(第一四二四号)  各種共済組合法増加恩給受給権者に対する不  均衡是正に関する請願伊能繁次郎紹介)(  第一四二八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  石油ガス税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一八号)      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  証券投資信託法の一部を改正する法律案議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 内田常雄

    内田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。小沢大蔵政務次官
  4. 小沢辰男

    小沢政府委員 ただいま議題となりました証券投資信託法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  現在、証券投資信託は、広く一般大衆の間に普及し、その信託財産証券市場全体に占める割合も相当大きなものとなっておりまして、その健全な運営は、社会的にも、また、国民経済的にもきわめて重要な課題であります。  このような状況にかんがみまして、証券投資信託における受益者保護を一そう徹底するとともに、証券市場の健全な発展に資するため、ここに、証券投資信託法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、証券投資信託委託会社は、受益者に対して忠実義務を負う旨を明らかにするとともに、信託財産の適正な運用を確保するための措置を講じ、受益者保護に資することをはかっております。すなわち、委託会社がその運用指図を行なう信託財産相互間において、一定有価証券取引を行なうこと、及び同一法人の発行にかかる同一種類有価証券一定割合をこえて取得することを指図することなど、受益者保護に欠け、または信託財産運用の適正を害する行為を行なうことを禁止することとしております。また、信託財産として有する有価証券にかかる議決権、その他株主の権利のうち必要と認められる権利の行使については、委託会社にその指図を行なわせることとしております。  第二に、投資信託業界自主規制強化し、その健全な発展に資するために、証券投資信託協会の目的、業務及び監督等に関する規定を設けることといたしております。  第三に、現在、各委託会社は、多数の単位型証券投資信託について運用指図を行なっておりますが、これらの運用を効率化するために、株式等に対する投資を特定の信託において集中して行ない、その信託受益証券単位型の証券投資信託に組み入れることとするいわゆるファミリーファンド方式を認めることとし、このような信託についても、証券投資信託とみなしてこの法律規定を適用することとしております。  このほか、委託会社免許基準監督に関する規定整備、その他投資者保護のため必要な規定整備をはかることといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  5. 内田常雄

    内田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ります。      ――――◇―――――
  6. 内田常雄

    内田委員長 石油ガス税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。広沢賢一君。
  7. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 石油ガス税法の一部を改正する法律案に関連して、まず、そのもととなる石油産業における二つの不安について御質問を申し上げたいと思います。  一つは、石油資源の問題で、中東の局地戦争に伴って非常に大きな不安をもたらしましたが、これについては、広瀬委員からあと石油供給源について多元化が望ましい、特に日ソ経済委員会共同声明にもあるとおり、ソ連との石油パイプライン取引の問題についていろいろ聞くと思いますが、私はもう一つの不安について聞きたいと思うのです。  そのもう一つの不安というのは、石油及び石油化学に対する外国資本支配がどういう状況かという問題であって、この点についてお聞きしたいと思います。  石油は最近エネルギー資源の中の五〇%を占めるに至っていますが、今後この状況はさらに非常に大きくなっていくと私は思いますが、その見通しについて通産省からお答え願いたいと思います。
  8. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘がございましたように、わが国石油精製業もしくは、石油販売業におきまする外国資本進出は、過去におきましてきわめて活発でございまして、今日までのところ外資系によりまする精製業におきまする生産のシェアは約五七%、また、販売面におきましても六割弱といった程度に達しております。したがいまして、われわれとしましては、今後資本自由化体制の中におきまして、石油関係における外資の問題につきましては、きわめて慎重な配慮をもってこれに対処してまいりたいという方針でおります。
  9. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 外資の問題に入りましたけれども、まず私が御質問したいのは、石油エネルギー資源の五〇%以上を占めている、そして、それを受けた石油化学は鉄鋼と結合して各所でコンビナートをつくって、衣料から医薬品、肥料、すべての面にわたって、昔は鉄と石炭といわれたけれども、いまは鉄と石油といわれる日本経済心臓部、動脈を形成しているというこの認識については間違いございませんね。それを通産省からお聞きしたい。
  10. 両角良彦

    両角政府委員 石油が今日の国民経済もしくは産業活動においてきわめて重要な役割を占めておるという点の御指摘は、そのとおりかと存じます。
  11. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうしますと、その一番中心石油産業で、先ほど答弁があったとおり、外資がだんだん半分以上を占めてきているということになると思うのですが、いままでほかの委員会で、たとえば外資支配状況についてその一覧表なり、その他の状況について、大手各社のうちのそういう外資割合とかその他について資料を出しておりますか、どうですか。
  12. 両角良彦

    両角政府委員 特別な資料は提示しておりません。
  13. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 資本自由化で非常に大きな問題になっており、日本産業の今後の方向を左右する重要な問題ですから、大蔵委員会として、やはり石油産業に対する外資支配状況各社にわたって資料を出していただきたいと思います。  私の手元にいろいろと民間証券会社その他からの報告書がありますが、いま石油精製産業の中で、共同石油系統東燃グループ系統二つある。前者は民族資本的なというか、国の産業をもととしている。もう一つは、東燃グループというのは、やはり外資にすっかり支配されているという分析がありますが、これは大体通産省としてはどういうふうに思っておりますか。
  14. 両角良彦

    両角政府委員 共同石油につきましては、これを構成しております精製会社日本鉱業アジア石油及び東亜石油のそれぞれ純民族系の三社でございますので、共同石油につきましては、民族系的企業であるという性格づけは正当だと思います。これに対しまして、東亜燃料につきましては、その製品販売ルートはモービル並びにエッソの二つアメリカ系ルートによって行なわれておりまするために、これをさような意味での外資系というふうに販売面でとることは正しいかと存じます。
  15. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、この問題について、これは「大和投資資料」という民間のあれに書いてありますが、たとえば、通産省石油行政における原則として推進している一外資国内資本方式というのは、どういう意味かおわかりになりますか。
  16. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまのところ、通産省といたしましては、石油精製業における外資の問題ということは、原則として、資本導入におきましては五〇%以下が望ましいということ、また、資本提携といたしましては、日本側の一社に対しまして外国側も一社、一対一の提携関係が好ましいということ、並びに原油購入長期契約等につきましては、資本参加比率までで行なわれることが好ましいということ、この三つの基本的な考え方のもとに現在及び将来の外資問題を考えてまいりたい、かようなことを申しておる次第でございます。
  17. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、通産省意向としては、石油精製産業に対する外資支配に対しては、資本自由化体制のもとでも非常に警戒している、こういうふうに解釈してよろしいですね。
  18. 両角良彦

    両角政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、今日のわが国石油産業に対しましては、すでに十分なる外資が入ってきており、かつ十分なる勢力を持っておりまするので、今後の問題につきましては、われわれは慎重に考えてまいりたい、かような所存でございます。
  19. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 慎重というのは、結局、たとえば民族資本系統石油を重く見て、そのほうを助長していきたい、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  20. 両角良彦

    両角政府委員 したがいまして、今日におきまする石油政策の目標は、わが国に対しまする石油の低廉、安定供給の確保にあるわけでございますから、さような見地から申すならば、わが国石油資源もしくは石油製品に対する自主的な力というものを強めてまいることが好ましいわけでございまして、さような見地からも、民族系企業の育成、それを通じての自主的な力の強化ということにつとめたいと思います。
  21. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私もそうだと思います。  それではその次に、石油精製について今後――いまもどんどんとアメリカ資本中心にして、イギリス、フランス外資進出で申請している企業があると思いますが、それはどれとどれ、大体おもなものをいまあげられますか。
  22. 両角良彦

    両角政府委員 新たに外資提携を求めてきておるという事例は、ただいまのところ私どもは承知いたしておりません。
  23. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 これは確かな資料でないけれども、ガルフ・オイル――これはアメリカですね。それから出光興産、コンチネンタル・オイルスタンダードオイル、ブリティッシュ・ペトロリアム、それからフランス石油、このようにどんどん来ておるというふうに出ておりますし、新聞でも書かれておりますが、これについて、通産省としてはどういうようにお考えになりますか。
  24. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお述べいただきました各社は、わが国に対しまして多かれ少なかれ原油供給を行なっておる相手方でありますから、その面ではわが国石油産業に関連を持っております。また、ただいまの中の一つスタンダードにつきましては、出光と技術上の提携関係を将来とることによりまして、日本海の大陸だなの探鉱活動等共同でやろうというような計画もあるわけでございますが、それ以外に、資本提携の面で新しくわが国に参加してこようというような具体的な動きは現在ありません。
  25. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 とにかく、いま石油産業に対する外資支配予想外に大きい、しかも、これを何とか民族産業中心にして日本心臓部に当たるものを守らなければならぬというように私は大体受け取りました。私も賛成です。  同時に、石油化学産業についてお聞きしたいと思います。  今度の資本自由化に伴って、大体アメリカ資本が集中的にねらっておるのは、電機、いわゆる電子計算機とか集積回路とかその他と同様に、今度は石油化学産業で、この二つはたいへんな成長産業で、日本経済心臓部を形成する。この石油化学産業に対する――まあ石油精製は、先ほどいわれたとおり相当の外資支配です。ところが石油化学産業は、これは日本経済でやっていきたいと思いますが、現在九社、十一センターコンビナートのうち、どのくらいの外資支配が行なわれているか。それについてお聞きしたいと思います。
  26. 下山佳雄

    下山説明員 ただいまのお尋ねは、現在の石油化学センター外資が入っておるかどうかということだと思いますが、私の記憶いたしております限りにおきましては、ないと考えております。
  27. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 なければいいのですが、ところが、私どもがいろいろ集めたもの、これは権威はないですが、民間のいろんな資料によりますと、たとえばこういうふうに書いてあるのですが、これはほんとうかどうか。生産の中のエチレンの四五%、高圧ポリエチレンの六五%、合成ゴム等、それの四三%がすでに技術提携その他によってアメリカその他の国の意向に沿わざるを得ないのであるというように書いてある。そのほかの資料もありますが、それとちょっと違うと思いますが、公式じゃなくて、実質の状況についてひとつ……。
  28. 下山佳雄

    下山説明員 私ただいま申し上げましたことが若干舌足らずであったかと思うのでございますが、石油化学センター中核体をなしておりますエチレンプラントのメーカー、これには外資は入ってなかった、かように考えております。ただ、いずれも外資技術提携をいたしておることは事実でございます。ほとんどすべての会社技術提携をしておるはずでございます。それから、さらにその誘導品関係につきましては、もちろん純民族系会社もございますけれども、中には一、二提携しておる会社があるかと思います。
  29. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 時間の関係で一足飛びに今後のことについて聞きますが、今後この石油化学に対して、たとえば昭和電工鶴崎地区コンビナートの問題が出ていますが、いろいろ問題点となって出てきている申請、その他問題点となっている会社、それを出していただきたいと思います。
  30. 下山佳雄

    下山説明員 石油化学の今後の新増設につきまして、エチレンプラント三十万トン以上の規模で大規模プラントをつくるということを方針として現在打ち出していることは御承知のとおりであります。ただし、これは外資からの技術導入会社に限っての方針でございまして、御指摘昭和電工のような外資提携と申しますか、外資が五〇、五〇というような合弁会社がつくるものについてはこの限りにあらずという、要するに、ことばを変えて申しますれば、方針を決定してないというのが事実でございます。現在の段階におきましては、私の承知しておりますのは、合弁会社として出ておりますのはいまの昭和電工だけかと考えております。
  31. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 いろいろの資料が出てくるので確かめますと、三菱油化日本石油化学昭和電工は、これは新聞に出ているとおり、通産省も非常にこれはいけないのじゃないか、あぶないのじゃないかという意向を示していると伝えられています。それからポリエチレンでもって日本オレフィン化学ナフサ分解では鶴崎油化というのがある。もう一つ資料によりますと、三井ポリケミカル昭和ネオプレン五〇%出資ということで、アメリカデュポン財閥とか、ダウ、モンサント、グッドリッチとかUCC等合併会社をやりたいといって、もう相当動いているということが書かれているし、それからある業界新聞によると、石油精製並びに石油化学産業は大体今後完全に降伏するのじゃないかというようにいわれていますが、それについてどういうふうに思いますか。
  32. 下山佳雄

    下山説明員 ただいまお話がございました各会社の中で、たとえば三菱油化三井石油化学等はこれは純粋に民族糸会社でございまして、しかもそれがエチレンセンター中核体でございます。ただ、あとお述べになりましたたしかネオプレンでございますか、そのほかの幾つかの会社は、これはたしか合併会社であったように記憶いたします。  今後の問題につきましては、ただいま申し上げましたように、エチレンプラント中核体につきましては、とにかく民族糸で三十万トン規模以上ということの方針が出ただけでございまして、合併会社については出てない。それからあとポリエチレン等誘導品の点につきましては、すでに合併会社がかなり入っていることは事実でございます。したがって、あるいは今後ともそういうことがあり得るかと思います。
  33. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 これは、今後の見通しについてどういうふうになるかは、これからの資本自由化のいろいろな行政措置だと思いますが、全体として見て、いま石油化学産業に、表面上は外資提携動きとか、五〇%のいろいろな支配とかいうのがないといっても、大体今後の見通しとして、各新聞業界紙一致しているのは、非常な不安を抱いているということですね。  この重要な二つ産業について一つお聞きしたいのは、石油化学産業について、開発銀行融資はいままでに総計どのくらいにのぼっておりますか。
  34. 下山佳雄

    下山説明員 石油化学工業に対します開発銀行融資金額についてお尋ねでございましたが、いま私の手元には数学がございませんので、いずれ調べましてお答えすることにいたしたいと思います。
  35. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 突然だから無理だと思いますが、それについて詳細に出していただきたいと思います。  その際に特にお考え願いたいのですが、私どもが見たところでは、昭和三十二年度から三十七年度までに百二十一億円にのぼる融資をしているのです。これは成長産業心臓部に当たるから融資している、私どもはこう思っています。ところが、石油化学産業はいままで外資技術導入等で事実上は相当蚕食されているのですが、この開発銀行融資は、これはもう民族産業だろうが外資提携だろうが、同様に融資せざるを得ないと思うのです。その点について、今後、たとえば外資提携会社がどんどんできてきた場合に開発銀行融資がどんどん行なわれる。それについては、これは昭和電工鶴崎地区コンビナートがもしか成立すれば、これは架空の話ですが、これにも出さざるを得ないということになると、民族産業外資を同様に全部融資しなければならぬということになると思いますが、どうでしょう。
  36. 下山佳雄

    下山説明員 いま私、その詳細につきまして実は手元資料がございませんので、はっきりしたお答えはできかねるのでございまするけれども、また、過去におきまして外資提携会社融資したことがないと言い切ることも、あるいは誤りかと思いますが、今後そういうものが、たとえば並行して出てきたような場合、競合して出てきたような場合には、当然民族系を優先するというようなことはなし得ることでもありますし、また、そういうような方針をとるであろうと思っております。
  37. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 これは今後外資審議会政府でもっていろいろ具体的措置をやる場合に非常に重要だと思うのです。つまり、国民の預貯金、それから健康保険料積み立て金からなる財政投融資から開発銀行資金を出してもらっている。その国民の大切な政府資金公共資金が、外資を育てるのでなくて、民族産業を育てるように努力を指向するということは大事なことだと思います。つまり、資本自由化に備えて、日本企業体質強化民族企業強化といわれるときにはこの問題はやはり重点的に考えなきゃならぬ。  同様に、今度は大蔵省にお聞きしますが、たとえば財政投融資は、いま言ったとおりこの差別はつくと思いますが、租税特別措置法、いろいろなものがありますが、そういう問題について外資が入ってきた会社、いま石油産業を言いましたが、それと電機産業食品産業――まるまる食品産業ではいかれてしまうところがあるし、そういういろいろなところについて、資本自由化に対して体質改善というからには、そういう問題についてははっきりと区別をつけることはできますか、どうですか。
  38. 塩崎潤

    塩崎政府委員 租税負担の公平の原則と申しますか、さらにはまた、外国との間に締結いたしました租税条約の精神から、資本種類によって課税上の条件あるいは特別措置について区別することはできないと思います。
  39. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうしますと、もう一回通産省の方に聞きたいのですが、大体、いまの資本自由化についても、アメリカ資本財閥は、万国博覧会には出品しないのだ、資本自由化がまだまだ日本ではおくれているからというようないやがらせをやって各民間業界人たちを困らしている、心配さしている。こういうアメリカ資本が、今後、たとえば開発銀行輸出入銀行、その他、そういうところから、さっき言われた非常にいい御意見のように、民族産業優先という形でやった場合、日米通商航海条約で内国民待遇にみんなやっている、けしからぬというような声が出てきたとき、断固としてはね返せますか。
  40. 下山佳雄

    下山説明員 先ほど租税の点について御質問ありましたときに主税局長から答弁があったわけでございますが、今後資本の自由化にあたりまして、いろいろな税制措置をどのように講ずるかというふうなことについても、今後大蔵省といろいろ協議してきめるわけでございますが、その際におきましては、何と申しましても、資本自由化によって日本産業が重大な影響を受けないようにいろいろな措置をとるわけでございますので、たとえば合理化機械一つをとってまいります場合に、合理化機械については、これは租税公平の原則はございますけれども、機種の選定にあたってそういう点を十分配慮することは当然でございますし、また、それが諸外国によって非難されることはあり得ない、かように考えております。
  41. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 非常にいい御意見だと思います。やはりくふうすれば何か出てくると思いますが、今後それを国会もそれから審議会もみんな一致してそういうことをくふうすべきではないかと思うのです。  次に、先ほどの租税特別措置の問題その他について十分討議する前に、もう一回外資支配状況について通産省の方に念を押したいのですが、今度は電機産業です。テキサス・インスツルメントが一〇〇%子会社を持つということでがんがんやってきて、それが大きな問題になっていますが、これについての取り扱いはどういうふうにおきめになっているか、腹づもりはどうか、それをちょっとお聞きしたいと思います。
  42. 下山佳雄

    下山説明員 新聞等で御存じのとおり、テキサス・インスツルメントが一〇〇%の子会社をつくりたいということに対して、わがほうとしては五〇、五〇の会社合弁会社でございますが、その他一、二の条件をつけまして回答をいたしておるわけでございます。これについて、なお先方から、その後方針の変更はないかという探りが入っておりますけれども、わが方としては、変更はないということでいっておるわけであります。
  43. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 いまも通産省はがんばっていますが、そういう問題はさらに今後GE、ゼネラル・エレクトリックですか、これは東芝株の三〇%を取得していると思うのです。  それから、私がいろいろな資料で列挙してきたので、こういうことがあります。ゼネラル・エレクトリックばかりでなくて、これがルームクーラー――今後日本がもしか高度成長の消費経済かさらに順調にいけば、このルームクーラーというものは相当成長産業になる。これは三井物産、日本電熱やなんかが努力していたと思いますが、これもゼネラル・エアコンというのと一緒になるといううわさがあります。それから電子計算機は、日本IBM、これはユナイテッド・ステーツのIBMの一〇〇%出資の子会社がほとんどですが、そうすると、電機産業で成長している芽を今後みんなつみ取ってくるということがあると思うのです。石油化学と同じで、電機産業外国技術が優先しているからこうなってきたのだと思いますが、一番成長し、一番重要なこの産業もあぶなくなってくるという懸念があると思うのです。この電機産業についてお考えをお聞きしたいと思います。
  44. 下山佳雄

    下山説明員 電機産業について外資が今後入ってくる可能性が一番多いではないかという御指摘でございますが、確かに、外資としては日本電機産業をねらっていることは事実かと思います。したがいまして、わがほうとしましても、どうしても必要やむなきものは、これはあるいは五〇、五〇、先ほどのテキサス・インスツルメントのような方式で入れることにやぶさかではないと思いますけれども、それ以外のものにつきましては、できるだけそれはお断わりするというような形で進むのではなかろうか、かように考えております。
  45. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それはやはり心意気をお話しになったので、もっとこれはアメリカ資本その他の圧力が財界にくる、それをはねのけて次の自由化措置はもう当然要求してくると思うのです。そのくらい約束しなければ万国博覧会には出ないぞというようなことでおどかしてくる。それに対して、きちっと各産業別にやらなければならぬと思うのですがね。何とかいけるのではないかというんじゃだめだし、それからいままでの審議会での討論は相当真剣であったように承っております。そうすると、業種別にこの問題についての相当な材料があるはずですね。これを国会に出さないというのがおかしいです。法案だって一番最後のときに出して、それで与党の勢力は多数だからのんでしまえなんというのでは、国の一番重大な経済の心臓部を討議するという点で非常に不十分だと思います。  したがって、関連する各委員会には事前に各種度業についての実情の詳しい報告書通産省から出すべきではないかと思いますが、どうですか。これは通産大臣に対して言うことだけれども
  46. 下山佳雄

    下山説明員 ただいまのお話は資本の自由化の問題と関連しての御質問だと思いますが、各業種が資本の自由化をした場合にどういうような影響を受けるであろうか、そのほかについて、われわれといたしましてももちろんいろいろな手だてで調べております。調べておりますが、これに対してまだ十分自信がない、われわれとしても十分な自信がないということで自由化もしなかったわけでございます。いろいろな資料は整ってございますけれども資本の自由化とからめてどうかということについては、結論は出ないということが実情でございます。
  47. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 ほかのいろいろな民間の経済研究や何かのところではわりあいに一覧表が出ているのです。資本自由化された場合にはどうなるかと、通産省の見解も経団連の見解も全部一覧表になって出ています。生産規模技術水準、価格水準、それから外資の直接投資の可能性の問題、総合判定でもって順位をきめたりしている。これはあると思うのです。これはさっそく出していただきたい。出さなければいけないと思うのです。  特に不安に思っているのは食品産業です。新聞によりますと、お菓子屋さんが破滅状態になるといって不安を起こしている。それからコーヒーはほとんど外国のコーヒーで、森永が二〇%だけである。これは貿易自由化の結果ですが。歯みがきからベッドまでということで大騒ぎをしていますね。中小企業、ことに食品産業、そういうものに相当脅威を与える。それについては、通産省の御意見も新聞で伺っていますが、そのとおりだと思いますが、通産省はどうですか。
  48. 下山佳雄

    下山説明員 いま中小企業と申しましても、御承知のとおりいろいろございます。中小企業独自の分野と申しますか、中小企業だけでもって構成されている分野、あるいはまた大企業と競合している分野、それから大企業の下請を形成しているような分野、大きく分けましてその三つによって構成されておると思いますが、それぞれによってかなり影響は違ってくると思います。やはり一番大きな、一番問題になるであろうというのは、大企業と競合している業種であろうかと思います。それで、大企業と申しますのが、特に諸外国において大企業であって日本では中小企業である、この辺が一番影響があるかと思いますが、この辺につきましては、特に今後十分業種別に検討を進めていきたい。今回の自由化につきましては、それについては極力触れなかったというのが実態でございますけれども、今後は、特にそういう業種別に資本自由化との関係について掘り下げてみたい、かように考えておるわけでございます。
  49. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私がいろいろと資料を集めたり確かめたりしたところでは、大体今度の資本自由化の脅威は、鉄鋼、造船など、そういう大きな世界水準のものは、一〇〇%自由化されているとおり、そう心配はない。一番心配なのは中小企業その他であるという結論に達しましたが、大蔵省通産省もそのとおりのあれでもってあの自由化の措置をやったのだと思いますが、大体そのように理解してよろしゅうございますか。
  50. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いまおっしゃったようなことで御理解願えばけっこうだと思います。
  51. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そこで、資本自由化に伴う措置の問題に入る前に、もう一つ日本の場合の資本自由化というのは、ヨーロッパの場合と違って、賃金がヨーロッパよりか低い。いい技術を持っていながら賃金が低い。貿易自由化のときには、安い賃金が、外国の商品とのいろいろ競争の上で大きな役目を果たしたと思うのです。ところが今度の場合には、この低い日本の賃金というものが今度外国企業の大きな武器になる。したがって、大きな産業でも、そういう点では油断できない。たとえば神戸製鋼が外資提携して、そして日本で安い賃金でやった場合に、鉄鋼もあぶなくなるなんという議論も出たほどだと思います。したがって、資本自由化に伴って、いろいろ政策が出ておりますし、今後もやろうとしておるもくろみがあります。それから、税制調査会でも、一つの大きな項目で、資本自由化に伴って産業界から要望の強い各種の税の優遇措置をどの程度まで認めるかということを大きな項目にしています。  ここで疑問に思うのは、賃金の問題ということには一つも触れていないのですね。こういう問題をのけて、それでしかも税と金融で大企業を優遇するというのでは、これは先ほど申しました各種の矛盾とぶつかるのじゃないかということを私は特にこれから強調したいのです。  まず、通産省にお聞きしたいのですが、今後は賃金が、貿易自由化と違って、われわれの武器になるのじゃなくて、この低賃金、非常にいい技術と安い労働力というのが外資産業の武器になるということをお認めになりますか。
  52. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 資本自由化に関しましては、メリット、デメリット、両論ございますが、ただいまおっしゃったような賃金という問題一つを考えますと、やはりそれに対応するような施策が必要かと存じております。特に、賃金のみならず、週給制の採用であるとか、あるいはまた一週四十時間労働であるとか、そういうようなものがやはり派生してくることを覚悟しておかなければならぬと心得ております。
  53. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、資本自由化に伴っては、やはり外国のILO条約その他のこういう国際水準並みに、私たちもやはりそれになれていかなければ、資本自由化したというたてまえから、なかなかいけないのではないかということを私は確かめたいのでございますが、いまの答弁で、大体そうだと思います。  もう一つは、ヨーロッパも、最初は資本自由化にたかをくくっていたけれども、やはり現在は警戒ぎみだと聞いております。通産省は外務省と一緒にいろいろと調査されていると思います。その資料があると聞きますが、国会へ出てきておりません。そういう資料はございますか。
  54. 下山佳雄

    下山説明員 資料はもちろんいろいろつくってございますけれども、ただいまの御指摘にぴったり合うようなものがあるかどうか調査いたしまして、御提出したいと思います。
  55. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 やはり国会でヨーロッパにおける資本自由化がどうなったかということを――ルノーがまるっきりとられてドゴールがかんかんになっておこったとか、こういう問題について、やはり資料を出してもらって十分討議しないと、日本の国会内外の世論というものがわき立ってこないし、通産省もやりにくいと思いますから、そこで、そういう問題についての資料を今後出していただきたい。これは第二番目の資料要求です。  特に、私が重要だと思うのは、日本とヨーロッパと違う点は、ヨーロッパはEEC共同体で対抗する大きな広域経済である。日本はただ日本一国の経済力で、ワールドエンタープライズというやつですか、これは私は実質上はアメリカ独占資本だと思うのですが、このアメリカ資本に対抗するということはたいへんだと思うのです。先ほどの低賃金の問題とそれからこの広域経済、EEC――日本では太平洋、アジアにわたって形成されていない、そのほかの国もみんな大きな企業のえじきになる低賃金国、後進国です。  したがって、一つの問題としてこういうことを私どもは考えるのです。つまり、後進国がみな一致結束して、アジア、アフリカその他の国が国連に働きかけて、それで投資についての国際条約を結ぶ。これは韓国でもそれからインドネシアでも、その他のアフリカの国でも、みんな先進国、一番進んだ国の、ことにアメリカ外資に対しては警戒をしていると思うのです。したがって、アジア民族の先頭を切って、平和、友好とアジアのほんとうの大衆的な開発のためには、国際的な投資の約束を、ILO条約と同じように――あまりにワールドエンタープライズがコカコーラを世界じゆうにはやらせる、こういうことは、貿易の点ではいいけれども、まるまる資本支配するようなことのないようなことをおやりになったらどうか。国内のいろいろな措置はこれからお聞きしますが、矛盾が多い。それよりも、そういう問題について大きな対策を立てたらどうかという議論はありましたか。
  56. 下山佳雄

    下山説明員 ただいま先生のお話にございました、そういうような考え方で諸外国に働きかけろというようなお話でございましたけれども、われわれとしてまだそこまでは考えておりません。おりませんけれども、基本的な気持ちといたしましては、今回の外資審議会の答申の中に述べられておりますように、特に外資に対しましては一項ございます。そうして「当分の間、実質的に対等な結合による合弁会社の方式を原則とし、わが国企業との共存共栄をはかる」このようにしてくれということを外資に望んでおります。この点は先生のいまのお気持ちと同じようなことだと思っております。
  57. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 非常に私どももそれで意を強くして、世論を今後喚起していかなければならぬと思うのです。まさにそのとおりだと思うのですね。  それで、今度具体的な問題について伺います。  大蔵省外資審議会の答申案というのがあります。閣議決定がされたのだけれども、まだ国会に出されていない。もちろんこれは国会へ出すという義務はないのだけれども、しかし、これを早く出して、この問題について十分討論することが大事ではないかと思うのです。答申案を出して十分いろいろ討議することについて、通産省としてはどのように考えていますか。
  58. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 資料としてお出しすることはかまわないと思いますが、別に法律事項でも何でもございませんので、その点は、もし御必要なら出してもよろしいということにいたします。ただし、わが国企業に与える影響が非常に大きゅうございますから、このことに関しましては、先般第一次のものについて発表されておりますが、どの企業が第二次、どの企業が第三次というタイムスケジュールというものがない。貿易自由化の場合にはそういうテーブルスケジュールを持っておりましたが、資本自由化の場合にはそういうものがないということだけは御了解賜わりたいと存じます。
  59. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 大体それは知っているから先ほど強調したのです。つまり、先ほど言ったとおり、国の心臓部がえらい故障して、人に支配されるかどうかという重大な問題なんだから、したがって、法律上どうこうということではなくて、国会の中でやはり十分討議をする、そのためには、早くいろいろとこの問題についての資料として出すなら出す、それから、国会もこれについての特別の討議をやはり委員会で自発的にやるということが大事だと思うのです。  それで、不正確ですが、新聞で見ますと、メリット、デメリットについて四つの点があがっています。これを一つ一つやるのは非常に大切なことだと思いますが、時間がないからあとに回しまして、重要な問題点についてお聞きしたいと思います。  第一番目に、ここでもって技術について心配しています。これを見ますと、メリット、デメリット、両方とも出ているのですね。おかしいのですよ。つまり、すぐれた外国技術がどんどん入ってくる一方では、日本の自主技術の開発が阻害される、そして持っていかれる。これは弁証法的だと思いますが、二つの側面があるというふうに出ております。その次に、競争原理、よそと競争することが経済の刺激になり、効率化を促すといっているのですが、「資本力の格差からくる外資支配力によって企業あるいは産業支配が生ずる」――たいへんなことになる。それからもう一つは、経営の合理化、近代化をどんどんやっていくのに便利だ。これは、労働者並びに中小企業にとってはたいへんなことになる。ところが、デメリットのほうではやはりそのことに触れているのですね。過当競争を激化して、そうして日本産業の中で向こうに寝返りを打つというような産業が出てくると思うのですね。やはり一つはこれを意味しているのだと思いますが、これはあとで御答弁願いたいと思いますが、中小企業が多数存在するわが国では非常にたいへんだ。それからもう一つは、消費者の利益を非常に増進すると書いてありますが、その中で重要なことは、消費者の、コカコーラを飲むことよりも重要なことは、デメリットの中で外資が非協力的態度をとることにより、長期的な構造政策や短期的な景気調整策等の円滑な遂行が阻害される、これは大蔵省にとって大問題だと思います。塩崎さんにとっては大問題だと思いますが、これはコカコーラをみんなが安く飲めるかどうかという問題ではない。そういうようなカナダの例があるのです。  したがって、この四つの問題について、いい側面と悪い側面をあげた問題については、これは今後十分に検討しないとたいへんなことになる、私はそう思います。  そこで問題は、佐藤総理が人間尊重と言っておりますが、これは政策の面からいうと、日本の経済の二重構造を解消しなければならないということだと思うのですよ。ところが、資本自由化に伴ういろいろの措置を見ますと、どうしたってこれは大企業コンビナートや何かをどんどん助長する、合併を助長するために租税特別措置や何かをほんとうはやるということになると思うのですね。通産省は大いにそれを大蔵省に頼んでいるわけなんです。  ここで、私は重要な問題があると思うのです。その外資支配に対して、われわれが一致協力して日本経済の自主性を守るという点では同じです。しかし、今度日本の独占的な大企業をどんどんどんどん大きくすることによってこれに対抗しようとするのだったならば、アメリカのワールドエンタープライズ、この世界的な企業資本力とどの程度までいったらいいか。これは政務次官に聞きたいのですが、そうすると、昔の、東条さんの勝つまではほしがりませんというやつで、資本自由化が、ずっと自由になって、裸になって外国とどんどん競争するのだ、したがって、日本企業はどんどん大企業の合併集中や何かをして、とにかく強くしなければ対抗できないというのだったら、いつまでたっても、たとえば、そのために租税特別措置をするとか、安い利子で財政投資をするということをどんどんやっているのでは、国民大衆にとっては勝つまではほしがりませんということになる。この点のたいへんな矛盾について、大衆の不安について、通産政務次官はどうお考えになりますか。
  60. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いまのメリット、デメリット、それをいろいろ考慮いたしますと、たいへんなことであるということは間違いございません。そこで、いまおっしゃいましたとおりに、各企業ごとによってそれぞれ性格が違いますので、先ほどもおそらく次長から答弁があったと思いますが、私どもは、国内産業の各企業の性格等を十分に吟味いたしまして、たとえ資本自由化ということに抗し切れない場合がございましても、やはり抵抗すべき点は最終的段階までは抵抗しなくちゃならない、こういうふうに考えておりますので、一般的なお答えしかできないと思いますが、それで御了解を賜わりたいと思います。
  61. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、今度はもう少し深く入ってお聞きしますが、財界はもちろん税制上、金融上の措置をとるということを非常に強く要望しております。それで、新聞によりますと――水田大蔵大臣がおられるといいのですが、水田大蔵大臣と財界代表の小林外資審議会会長代理とが会った場合に、大蔵省はこれに抵抗し、財界はこれについて強い要求をしている。それで、私どもはこの大蔵委員会において租税特別措置について一番問題にして、最後のときに二年間延長をするという場合に大蔵省塩崎さんの答弁にもいろいろありましたが、なるべく租税体系を乱さない、負担の公平適用の原則を尊重する、したがって、自由化は企業の努力で、企業減税はしたくないという意向大蔵省にあると思うのですね。それは私賛成なんですが、新聞にいろいろ書いてある。大体、大蔵省はどういう考えですか。
  62. 塩崎潤

    塩崎政府委員 わが国企業は、御案内のように外国企業に比べまして底が非常に浅いといわれております。そういった意味で、私どもは、減税を通じての企業の基盤の強化は、財政が許しますれば好ましいことだと考えております。  ただ問題は、所得税の負担に比べて企業税がどうであるかということが第一の理由であります。第二の理由といたしまして、法人税を通じての企業減税という方向は、法人税の基本的な仕組みが、たびたび御案内のように非常な問題をはらんでおりますので、これも適当ではございません。したがいまして、さらに企業減税が財政上許されるとするならば、これは一つの政策の焦点に合ったような企業減税といった形が望ましいことであると思うわけでございます。  資本自由化の問題は、最近クローズアップされた問題でございます。現在の税制は、過去のわが国企業の立ちおくれ、近代化促進の見地からもうすでに種々の特別措置を講じていることは御案内のとおりでございます。さらにまた、資本自由化の声にこたえまして、合併の助成あるいはスクラップ化の促進の措置を昨年講じました部分もございますし、試験研究費の助成といったものもことしお願いいたしまして、特別措置の中に入ったことも御記憶に新しいところでございます。言うならば、税制の中に相当種々の措置を設けておりまして、広沢先生のおっしゃいましたような国内企業強化の面にはこたえているつもりでございます。ただ、それが非常に総花的である面もございます。その効果も十分明らかでないのに、ただ漫然と残っている面がございます。このあたりは十分反省いたしまして、効果のあるものに限定して、そうして、こういった租税特別措置がなくても、できる限り早く企業が自立し得るような体制に持っていきたい、かように考えております。  なお、先ほど私が先生の御質問に対しまして、資本種類と申しますか、資本の厳選、たとえば、外国資本であるか内国資本であるかによって、租税特別措置を適用するとかしないとかいったことはできない、こういうふうに申し上げておりますが、それはそのとおりでございます。ただ、通産省企業局次長が申されましたのは、たとえば特別償却で対象機械を選ぶ際には外国企業ではすでに採用しておるけれどもわが国企業ではまだまだ古い機械を採用しておる、その際に、外国企業ではとうてい使わないような機械を特別償却の対象機械に指定いたしまして、そういうものについて特別償却を認めるならば、これはおのずからくふうによって国内の企業のおくれを立ち戻させる、こういった意味があろうと思うのでございます。そういったことは可能でございますが、そういった機械を指定いたしましても、外国企業がこれを採用した場合に、これに対して特別償却を認めないというようなことができないのは、私どもの言う負担公平の原則並びに租税条約の内国民待遇の精神から当然のことでございます。
  63. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 塩崎さんはこの前なかなか筋を通して答弁されたと思うのです。これは大蔵委員会のみんなでもって努力した討論の結果だと思うのですが、いまの答弁はそれよりちょっと後退しているような感じがするのです。財界とか通産省の圧力に負けたのではないかと思うのですが、通産省の方、おこらないでいただきたい。  問題はこういうことだと思うのです。資本自由化の名のもとに、これがにしきの御旗になって、どんどんと何でも大きな企業合併促進、それから各種の優遇措置がこれ以上とられたらたいへんだ。税制調査会の答申でもその点については繰り返し繰り返しずっと強調されていることなんです。そこで私は、いまの資本自由化の名のもとに、塩崎さんが答弁をされたとおり法人税のいろいろな優遇措置があり、それが外国企業であるか、こっちの民族的なといっていいか、自主的な企業であるかによって差別がつけられないということになれば、資本自由化に伴っての法人税の優遇措置ということについてどういうように効果が出るかについて、通産省の方にお聞きしたいと思う。
  64. 下山佳雄

    下山説明員 ただいまの御質問、たいへんむずかしい問題でございますが、先ほど私が申し述べましたように、この問題は租税の公平の原則と、これが民族系企業に対して――民族系と申しますか、日本企業に対しまして効果があって、外資系に対してはあまり効果がないというような形のものをどういう形にしたらいいかということは、今後いろいろ検討しなければならない問題でございます。御趣旨の点はそういういろいろな前提があると思いますので、そういう前提の中でどういうふうにこの問題を考えていくか、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、十分に大蔵省とも協議してまいりたいと思います。
  65. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 最後のあれですから、もう少し時間をいただきまして……。  いろいろの新聞によりますと、今後の方向を出すということで、税制上、金融上のいろいろの措置をとるということについてどんどん頭は出てきていますが、まだ大蔵省通産省の中での一番優秀な方々、中堅の人たちの意思統一がされてない、意見交換がされていない、ただ、あれは頭が出ただけだ、私はそういうふうに思います。そうすると、今後この問題について十分吟味しなければ、軽々にこの問題について、財政上、金融上の措置をとるというにしきの御旗のもとにどんどんいろいろなかってなことをやることは許されないと私どもは思うのです。それが一つ。  それからもう一回、今度は塩崎さんにお聞きしますが、一〇〇%の鉄鋼や造船には、資本自由化の名のもとの租税特別措置がこれ以上やられるということは必要ない。これは当然だと思うのです。これが一つ。  それから、この間質問しまして、八幡など四つの鉄鋼会社の交際費が年に三百十一億円、べらぼうですね。売り上げがどのくらいかといいますと、八幡の売り上げがたしか三千六百億円ぐらい、それで交際費が八幡だけで十五億円ぐらい、たいへんな割合です。そうすると、これを今度は英国のように課税して、設備の近代化に回すとか、その他の措置をとれば、これこそほんとうの企業体質強化だと思う。つまり、現在の利子、配当の分離課税、それから交際費の非課税等々は、全く資本自由化に伴う体質強化のための租税優遇とかなんとかいうこととは無縁である、反対である。そういう点について大蔵省としては、資本自由化に対して、その名のもとに、どろぼうにも三分の理ということで今後いろいろの要望が一ぱい来ると思うのです。そのときに、き然として以上のような態度で貫いていただきたい。塩崎さんのお考えと、政務次官の確固たる信念をお伺いします。
  66. 塩崎潤

    塩崎政府委員 おっしゃるように、租税特別措置租税特別措置でございます。負担公平の原則の例外でございますから、それが採用されるにあたりましては、厳密なる審査を経なければならぬことは当然でございます。したがいまして、たとえば特別償却でも、その効果を果たしたようなもの、また、最初のねらいと違ったようなものは当然はずさるべきであることは言うまでもありませんし、私どもは二年に一回あるいは三年に一回それを絶えず検討しているわけでございます。そういった意味では、たとえば鉄鋼について、当初は高炉まで特別償却の対象にいたしておりましたが、現在は高炉ははずしまして、特別な部面の機械に限定しております。こんなことは当然許さるべきことでありますし、また、そういったはずされた金額によりまして財源が浮きますならば、できる限り中小企業の特別償却のほうに回すように、こういうふうにつとめてまいりたい、そして資本の自由化によります企業の不安を解消したい、こういうふうに考えておりますし、いままでもつとめたつもりでございます。  交際費につきましては種々の御批判がございまして、今回も若干の規制措置を進めたわけでございます。ただいま膨大なる金額の御指摘がございましたが、当然、今回の規制措置によりまして、私どもは交際費の増加は制限される方向にある、こういうように考えております。
  67. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 塩崎さん、よそでしゃべっているよりずっと控え目です。もっとはっきりと、交際費はいけないんだというくらい言ってもらいたいのですが、それでは、政務次官からひとつどうぞ。
  68. 小沢辰男

    小沢政府委員 交際費の問題は、この前も御議論がございましたときに申し上げておると思うのですが、私は、ある企業がいろいろその企業のための営業政策を進めるにあたりまして、正しい意味における交際費というものをお使いになる場合には、これはもう交際費は本来経費であるべきだと思うのでございます。ただ、それがたまたまいろいろ批判もございますし、また同時に、必ずしも正しい営業上必要な経費と認定できるかどうかというような御議論もある経緯もございまして、また私どももそういうように考える点もなきにしもあらずでございますから、したがって、今回の、過般御審議を願いました税制の改正案で一歩それを規制をし、合理化しよう、こういうことでお願いをして御審議をいただいたわけでございます。したがって、その考え方で法律改正の結果の具体的な効果というものをよく見まして、その上で、さらにまた、いろいろ新しい立法についての他の面からする動きも御存じのようにございますので、そういう点もいろいろ見た上で私どもの態度はきめていきたいと思います。現在のところは、局長が答弁している内容が私どもの考え方でございます。
  69. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 いまの答弁は非常にがっかりしました。やはり交際費は今後だんだんと認めていかないんだという将来の方向をはっきり堅持して、これはもう資本自由化企業体質強化なんて全然関係ないのですから、これはほとんどが飲み食いだなんてこの間ずいぶん議論したわけですからね。そうすればこれは与野党一致して賛成するはずなんで、そういう方向について、八月に今度税制調査会が始まるのですから、国会と大蔵政務次官の断固たる決意があれば、それを税制調査会に反映させて、それで押しまくっていく、そうすれば税制調査会で非常にいい結論が出るんじゃないか、それを期待して私は特に強調したわけです。  時間が過ぎましたが、最後に、中小企業の問題についてもお話したかったのです。なぜかというと、この前の中小企業白書についての各新聞の批判点が一致している。なぜかというと、大事な資本自由化に対して中小企業白書は何らこたえてないということが、非常に批判点の集中したもとになっているんですね。それで、いろいろ見ますと、この新聞にも書いてあるとおり、食品市場の中小企業に対しての資本自由化の脅威というものが相当にある。それでいろいろの措置を見ますと、二重構造の格差を広げていくような大資本中心租税特別措置、それから金融措置というものが財界から要望されている。中小企業はどこへいったらいいのだということが、資本自由化のもとでこれは非常に重要な問題だと思うのです。したがって、中小企業に対する安心のいくような資本自由化に伴う措置をもっと明確に強く出すべきであるということをいろいろ実証したかったのですが、その問題を要望しまして、これから資本自由化対策の審議に入るわけですから、大蔵省の税制調査会に対するあれと、この二つをかたく要望しまして、終わりにします。
  70. 内田常雄

    内田委員長 広瀬秀吉君。
  71. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 石油ガス税法の一部改正に関連をする諸問題について若干質問をいたしたいと思います。  最初に、四日間戦争といわれた今回の中東の戦乱をめぐりまして、今日、産業発展のために、経済の発展のためにも実に重要な地位を占めている石油の需給関係というものが、やはり三日ないし四日ぐらいで戦争は終わっているけれども、非常に不安をかもしだしたというような事情は先刻御承知のとおりでございます。このような非常に不安定の状況にある日本石油供給の確保、石油に対する安全保障の問題、こういうような問題が非常に心配されたわけでありますが、これからの需給の見通しと申しますか、使用量がどういうぐあいにふえていくだろうか、それに対する供給をどうやって確保するか、こういうような問題についての見通し、対策、こういうようなものを、数字をあげてひとつ通産省の考えを明らかにしていただきたいと思います。
  72. 両角良彦

    両角政府委員 今回の中東動乱によりまして、わが国に対する石油の需給状況につきましていかなる影響があったかという点につきましては、幸いにしましてわが国の厳正中立なる外交政策もございまして、石油供給の面では今日まで大きな障害は起こっておりません。したがいまして、アラブ諸国は米英向けに対する禁輸措置は行なっておりまするが、わが国向けの石油の出荷は、現在のところ、ごく一部の部分的な障害を除きましては、全般的に順調に行なわれておるというふうに御理解いただいてけっこうであります。しかしながら、スエズの封鎖によりまして、一部黒海を通ってまいりまするソ連、ルーマニアの原油もしくは重油が部分的にストップをいたすわけであります。もしくは遅延をいたす可能性があるという点が影響として考えられるかと思います。  今後は、御承知のように西欧諸国におきまする石油の需給関係が相当緊迫をいたさざるを得ない動向にかんがみまして、世界的に油送船腹の問題が出てまいるかと思います。その場合には、今回の中東動乱の結果といたしまして、輸送の面でタンカーのフレートの上昇、それがわが国に対してある程度の影響を持ってくるということは不可避かと考えております。  かような状態でございますが、われわれといたしましては、石油わが国一次エネルギーの中できわめて大きなウエート――現在におきましてすでに六割、将来、昭和六十年度におきましては七割五分といった圧倒的な地位を持つことにかんがみまして、これが安定供給ないしは低廉供給ということを確保しなければならないということを政策目標といたしまして、鋭意各種の努力を重ねておるわけでございますが、特に、御指摘のございました供給の安定化のためには、輸送面におきまする一そうの体制整備を考えますほかに、備蓄の増強、あるいは海外における原油開発の推進ということによりまして、わが国自身の手によりまする石油安定供給源をできるだけ強化していくという方向でつとめてまいりたいと考えております。  なお、どのくらいの率で将来石油の消費が伸びていくかという点につきましては、現在のわれわれの計算では、おおむね年率一割程度の消費量の増大が起こるであろうというふうに考えております。これに対応する原油の確保ということを、諸般の方策によってつとめてまいりたい、かように考えております。
  73. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 総合エネルギー調査会の答申でも政策目標を――いま局長のおっしゃったとおりでありますが、それを達成するために、供給源を分散するといいますか、多元化するといいますか、そういう問題と備蓄の問題と開発促進という三つの大きな問題点指摘されておるわけであります。  そこで、一つ一つこの問題について現在どういう対策を準備して安定供給という問題を解決されるか、こういう点について、供給源を分散し、多様化する、特に中東だけに依存をしている、現在は九一%依存だといわれておりますが、そういう体制をどういう形で――国内の開発という問題もあるでしょうけれども、海外における開発を促進するというようなことで、どの辺のところにいま目を向けておられるのか、そういう、もうすでに石油資源開発株式会社、特殊法人もできておるわけでありますが、そういうものの現状を兼ねあわせながら、今後どこらに新しい供給源を――増加分について中東に肩がわりする供給源を求めていこうとしておるか、そこらの考えをまず伺いたいと思います。
  74. 両角良彦

    両角政府委員 石油供給源の分散につきましては、安全保障という見地から、できるだけ地理的にもわが国にも近接をいたし、かつ、政情が安定した地域というものを中心として進めてまいりたいということで、主として太平洋周辺の地域を目ざしておる次第でございます。具体的には、北から申しまして、アラスカ、カナダ、さらにインドネシア、カリマンタン等々の各地域、さらにはオーストラリア等の地域に至るまで現在石油資源開発会社あるいはアラスカ石油会社あるいは現地法人を通じまして、それぞれ事業計画の策定並びに開発の促進のために努力をいたしておる次第でございます。
  75. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 国内の開発という問題、この点は、日本の場合には国内開発の余地というものはもう大体ないのだ。さっきは日本海沿岸の大陸だなですか、スタンダード石油あたりが探鉱の申し入れをしておるというようなお話もあったわけですが、これはどのくらい期待できるというような見通しを持っておられますか。
  76. 両角良彦

    両角政府委員 国産原油につきましては、御承知のように、過去数年間年間七十万キロリットルの生産量というところで、大体横ばいの推移を示してきております。しかしながら、これをもって直ちにわが国における原油の賦存量がすでに限界に達したというふうには私どもは考えておりません。すなわち、今後はより深層の探鉱につとめることによりまして、あるいは、ただいまお話のございました日本海の大陸だなにおきまする海底の探鉱を進めることによりまして、新しい油層、油脈の発見を期待いたしたいと考えております。
  77. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま国内ではそういうことだ。海外では太平洋地域ということで、インドネシアあるいはマレーシア、オーストラリアあるいはアラスカというようなところをあげられたわけですが、こういうところを開発した場合、中東に原油を仰ぐ場合とコストの関係というようなものはどういうことになりますか。非常に高くなるのではないかということは一般的に予想されるわけでありますが、単位を忘れたのですが、一バーレル当たりかもしれませんが、中東の原油採取のコストが十五セントぐらいだということに対して、インドネシアあたりでは五十一セントぐらいになるのではないかというような話もあるわけでありますが、そういう関係はどのようになりましょうか。
  78. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、今日世界で中東地域の採油が一番割り安であるということは事実でございます。したがいまして、わが国に対する石油供給の確保という点から申しますと、安定供給も大事であるが、同時に低廉供給も大事であるという要請がございますので、その意味では中東の安い油というものにも将来相当程度これは依存しなければならないという面があろうかと思います。しかしながら、供給源の分散の見地からは、なおその他の地域の開発を進めていく必要がある。しかし、この場合にもやはり基本原則は、コマーシャルベースと申しますか、経済計算にのるというコストでの開発を原則とすべきであるという考え方であります。ただ、安全保障という見地から考えますと、これに対しまして多少の安全保障費といいますか、その辺の多少のコストの割り高の問題につきましては、ある程度考えていかなければならないという場合もあろうかと思っております。
  79. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今回商工委員会石油開発公団法が提案されておるわけでありまして、この石油開発公団が中心にこれらの海外石油資源の開発をやっていかれるわけでありますが、もちろん、安定して低廉な石油を、しかも今度の中東戦争のようなもの、あるいは国際外交の緊張ということで、どこで起こるかわかりませんが、そういうようなものに左右されることなく、低廉かつ安定した供給が得られる、こういう目的で開発公団も発足するわけでしょうし、私どもも、公団全般については、要らざる公団が非常に多いというようなことであれですけれども、この問題についてはむしろ賛成をする立場に立っておるわけでありまするけれども、しかし、かりに四十億円政府が出資をするということになりましても、これでたとえば国内の資源を開発するにしても、非常に深層開発をやらなければならないというようなことになりますと、この費用はかなり膨大で、幾何級数的にこの開発費も伸びてくるというようなことにもなりますし、さらに、インドネシアあたりでも政情不安の問題などもあったりして、いろいろな障害なども加わって、この四十億円、もちろんこれは石油資源開発株式会社の百二十八億円を引き継ぐということで、百六十八億円ぐらいになりそうでありますけれども、大体アラビア石油の開発で、これは正確な数字はわかりませんが、約二億ドル近く、一億九千四百万ドルぐらい投資をして、現在の日本の輸入石油原油の中に占める比率が二二%ないし一四%ぐらいまでいっているのじゃないかと思うが、それにも約二億ドル、七百二十億円もかかる。こういうことでありますから、それらを考えますと、これはなかなかむずかしい問題だろうと思うし、いいかげんな、日本の政策がままそうであるように、中途はんぱなものであっては、そういう政策目標を達成する――特に通産省は過日新聞発表をいたしましたが、大体三〇%程度ぐらいは中東からの依存を減らしていきたいというような数字も出ておるようでありますが、それは一体どのくらいの年次で達成できるだろうかというその目標年次、それから四十億円、これは百二十八億円プラスしても、もう微々たる開発費ではないのか。こんなことで安全保障そして低廉な供給というものができるだろうか。そういう点について、やはりわれわれ危惧を持っておるのですけれども、そこらあたり、石油開発公団を発足さして、どこらあたりでそういう目標というもの――三〇%は自力で確保したい、外国石油会社支配されない原油を確保したいということが達成できるのか、そこらの見通しをひとつ明らかにしていただきたい。
  80. 両角良彦

    両角政府委員 総合エネルギー調査会の答申の中にも、御指摘をいただきましたように、一応現在の目標といたしましては、昭和六十年度におきましてわが国供給される原油の三割をわが国自身の手によって確保いたしたい、実量で一応の数字としましては一億四千万キロリットルというものを予定をいたしておる次第でございます。したがいまして、一億四千万キロリットル程度の原油わが国自身の手によって開発されるためには、毎年幾らぐらいの探鉱投資が必要であろうかということを逆に考えてまいりますと、政府資金民間資金を合わせまして約二百億円というものが一応の数字としては出てくるわけでございます。これは今後石油開発公団の設立をお願いいたしまして、公団を中心に、政府といたしましても探鉱資金面での十分な協力を申し上げるべきかと思いますが、あわせて海外開発に投入さるべき民間資金の動員ということにも大いに心がけてまいりまして、ただいま申し上げました目標の達成を期したいと考えております。
  81. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 一億四千万キロリットルぐらい確保したいという、そういう目安であることは承知しておるわけでありますが、民間資金の動員、これも、それがどういうことでやられるかわかりませんが、先ほど広沢委員が質問をいたしましたように、日本の大手の石油会社というもの、石油精製業者といいますか、そういうものは、ほとんどひもつき原油を輸入している状況になっている。直接外資との提携会社もあるし、あるいは間接的な提携をしておるもの、あるいはまた、民族系だといっても、そのいろいろな設備資金や何かについて外国石油会社からの借款などによって相当自主性を失っている、こういうような問題なんかもあるわけであります。そして、毎年二百億円程度ずつで足りるという、そういう見通しをいま立てておるように思うのですけれども、この程度のことで一億四千万キロリットルが確保できるという自信はおありなんですか。
  82. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、探鉱事業は、きわめて危険度の高いと申しますか、当たる確率の少ない仕事でございますので、かりに毎年二百億円を投入したら昭和六十年度において現実に一億四千万キロリットルの油が日本の手によって確保されるかということのお尋ねに対しましては、確保されるかもしれませんし、あるいはされないかもしれない、逆に申しますれば、それだけの努力をすれば、何億キロリットルものより多くの原油が確保され得る可能性もありますし、あるいはそれ以下しか確保できない可能性もありますが、一応の現在の世界各国におきまする探鉱成果というものの平均的な数字を基礎に考えますと、おおむね可能ではなかろうかというめどをつけておる次第でございます。
  83. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうような場合に、かりにそういうことならば、私ども専門家ではございませんからその点よくわかりませんが、そういうめどを立てて毎年二百億円ということも算出されておる、こういうことですが、それでは一体進出する会社と申しますか、開発に当たる会社は、特別にアラビア石油のような形態をとるのか、既存の英米系の資本が非常に高率に入っている、目一ぱいに入っているそういう会社が開発に当たっていくのか、ここらのところはどういうことになりますか。
  84. 両角良彦

    両角政府委員 開発に当たります企業の形態は、いろいろな形態があり得るかと思います。  第一は、ただいまお話がございましたように、純粋に日本系の企業と申しますか、日本に本社があって、その一〇〇%の子会社を現地に持つといったような、たとえばアラスカ石油あるいはジャペックス・カナダといったような形態の企業もあり得るわけであります。また、現地で現地資本と合弁の形態で行なう合弁企業形式もあり得るかと思います。  いずれにいたしましても、わが国としての原油の確保に有効な支配力ないしは統制力を持ち得るような形態で、かような開発に当たる企業を考えてまいりたいと思います。
  85. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そのことは非常に重要なことだと思いますので、これから石油開発公団が発足しました際に、その点は特に重視をしていっていただきたいと思うわけであります。  供給源の安定的な確保の一環として、ソ連の石油の問題については、これは単にチューメンですか、あるいはオムスクからナホトカあたりまでパイプラインを引けば、そのまま少なくとも大体一千万トン以上ソ連の石油を安定的に輸入する可能性もある、これはずいぶん前から長い年月かかって言われたことでありますが、ココムの制約といいますか、そういう問題等もあって、なかなか実現しない。今度の使節団が行きました日ソ貿易経済合同委員会ですか、ここでも、この問題についても前向きで検討しようということになっていると思うのですけれども、それらの問題について、開発大いにけっこう、しかし、そういうところにもやはり安定した供給源というものがあるという形で、この鋼管パイプの輸出というものがアメリカの好まざるところであるという、そういう制約だけで、あるいはまた新聞等の伝えるところによると、その鋼管を輸出した分の支払いのしかたというものにも若干問題があるようですけれども石油供給源を多様化するというような面から非常に有力なものではないかと思うのですが、それについての考え方を、これは通産次官、それから外務省の立場、両方からお答え願いたいと思います。
  86. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 ソ連からの石油の輸入ということは、通産省といたしましても考えていかなくちゃなりません。特に、仰せのシベリアは非常に近うございますから、西シベリアはナホトカへパイプを布設して、ナホトカからわが国へ輸入するという方法は、今般の日ソ経済合同委員会におきましても討論をされております。したがいまして、アメリカもそれに対して、日本政府に対しそういうことは困るといわれたような体験は、私たちはないわけでございまして、これはあくまでも日ソ間の話し合いとしてわれわれは推進していきたいと存じておるのでございます。  ただ、そうした場合の取引条件がどうなるかということでございますが、今日までまだ詳細の報告は受けておりませんが、生産分与方式と称しまして、こちらが送った資材、そこから発生するところの生産物を買い取る、ソ連はわが国にそのことだけの取引条件を示したわけでありますが、これでございますと、わが国が不要とする品物も押しつけられる可能性が多うございますので、それ一点ばりの取引条件では困るというので、今回、やや前進いたしまして、バーターシステムも加味するというようなことで大体話し合いが進んでおるように承っております。だから、通産省といたしましては、将来の需要確保並びに供給源の分散という点から考えましてもこのことは必要だと考えておる次第でございます。
  87. 伊藤博教

    ○伊藤説明員 実は私、今度の日ソ経済合同委員会にオブザーバーとして出てまいりましたのでございますが、そのときに日本側からは、石油の低廉かつ安定的な供給を受ける、そういう方針に合致するものであれば、シベリアのほうから石油を受けるということは好ましいことだ、一九七五年でございますか、一千万トンないし一千二百万トンの受け入れば可能である、したがいまして、この問題につきましては互恵平等、そういう立場でやらなければならないということを日本側の代表のほうから申しまして、こういうことで合意ができるのであれば将来具体的に話を進めようということで、今後関係者の間で具体的な話を進めるということで今度の委員会では話が大体ついたようでございます。ただ、何ぶんにも非常に大きな計画でございまして、すべて今後の話し合いになっているということでございます。  外務省のほうといたしましては、シベリア開発その他の問題につきましては、これが日本の利益になるということであれば非常にけっこうなことだと考えておりますし、いま通産政務次官がおっしゃいましたように、アメリカのほうから文句が出ているというふうなことはございません。
  88. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 アメリカに気がねをしたとかしないとかということは、ここで言っても水かけ論になりますから、アメリカからの圧力はないということが確認されればそれでけっこうです。  それで、日本企業が海外に進出する際に、いまおっしゃられた生産分与方式、プロダクションシェアリング、そういう方向が非常にこれから多くなるだろうと思うのです。特に資本自由化の段階におきまして、日本企業外国にどんどん進出していくだろうと思うのです。そういう場合に、要らないものまで押しつけられては困る、これは当然国益に合致する考えだと思いますが、しかし、石油を安定的に一つ供給源としてそこに求めていこうというような立場をもう少し強く出す必要はあるのじゃないか、このように思うのですが、そこら辺はどうなんですか、全体的ににらんで。これは専門的になりますから局長から御答弁願いたい。
  89. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま政務次官から御答弁申しましたとおり、われわれといたしましては、ソ連の原油は、わが国に対する供給源としましてきわめて重要なものの一つであると考えております。したがいまして、現在日ソ貿易協定によりまして、年間約四百三十万トン、将来は五百万トンというような数字で取引を行なっておるわけでございますが、これを今後増大をしてまいりまして、ただいまのパイプライン計画が具体化する暁におきましては、一千万トン以上の原油供給を期待することも、あながち不可能ではないと考えておる次第でございます。
  90. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ソ連のほうでは、大体一千万キロリットルくらいは少なくとも日本に出せる余力があると称しておるようでありますが、そこらのところまでいくのは大体どのくらいの目安――外務省のほうでも前向きに進めていきたいということを言っておられるのですけれども、どのくらいの年月を要してそこらまでいこうということですか。向こうでも売りたい、これはいろいろその間にその他の事情も介在するのでしょうけれども……。
  91. 両角良彦

    両角政府委員 ソ連原油のパイプラインによります輸入計画につきましては、先ほど外務省からもお話がございましたように、現在民間ベースで、日ソ経済合同委員会におきまする論議の段階でございまして、われわれとしましては、まだ計画の具体的な内容を公的に議論をしておる段階に入っておりませんので、どのようなめどでこれが実現されるかという点につきましては、ただいまの段階ではお答えをいたしかねる次第でございます。
  92. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間もございませんから、その点これ以上は追及をいたしませんけれども、もう一つのこの問題は、今回の場合には不安は一応持ったけれども、そう直接的な影響はほとんどなかった。石油がそのために値上がりしたとか、あるいはその他のLPG、もろもろのものが値上がりしたというようなこともなかったわけでございますが、ルーマニアとかソ連のほうの原油がいくらか強含みになった点もあると思いますけれども、国内の原油の備蓄体制というもの、あるいは製品等の備蓄も当然含まれると思いますが、主として原油の備蓄体制、CTSの問題になりますが、これはやはり民間企業だけに――もちろん財政的な何らかの援助ということもお考えのようでありますが、そういう考えも聞いておきたいと思いますが、それと同時に、石油開発公団というようなものは、石油を安定的に低廉な価格で供給していくという政策、大目標に向かって、もっとさらにこれを強化したような形をとって、備蓄の問題まで公団自身が乗り出す、将来の姿としてそういう構想というようなものはございませんか。備蓄関係は何らかの財政的な援助をして、あくまでそれぞれの精製会社にまかしていく、こういう考えですか。そういう大きな構想にまで開発公団を、名称にこだわらずに、名称なんかどうにでも変わるのですから、そういうところまでやるお考えというものはないかどうか。そういう構想というものは通産省にございませんか。
  93. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘のございましたように、わが国におきまする原油及び製品の備蓄体制は、今日のところ必ずしも十分ではない。したがって、これを強化いたしてまいりますためには、私どもといたしましては、まず民間企業の手によるところの備蓄の増強を推進をしてまいりたい。具体的には、この前お話の出ました大型の共同原油基地の建設ということに対しましては、政府といたしましてもできるだけの協力援助をいたしまして、かような基地建設を通じまして原油備蓄の増強をはかってまいるというのが第一に私どもとしてはつとむべき点かと思います。  ただいまお話のございました石油開発公団というようなものが備蓄の面にまで乗り出してはどうかという御提案につきましては、きわめて前向きの積極的な御提案でございますので、十分私どもとしても検討いたしてまいりたいと思います。
  94. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題は大いに検討に値する問題ではないかと思うわけであります。  さらに、時間があまりないものですから、LPGの問題をちょっと伺っておきたいのですが、LPGは国内の原油精製過程からも当然出るわけでありますが、なお輸入で直接石油液化ガスを入れておる。これは東京液化ガスだけがやっているそうでありますが、これは国内産のLPGと直接LPGのまま輸入したものと、価格の関係等においてどういうことになっておるのでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  95. 両角良彦

    両角政府委員 LPGの元売り価格でございますが、原則といたしまして、輸入LPG価格に比較いたしまして国内産の価格のほうが多少割り安かと思いますが、輸入価格は現在採算点が大体キログラム当たり十七円ないし十八円くらいの水準でございます。
  96. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現在のLPGの消費量が、国内産のものでは足らないということで、それじゃ、若干でも高いものを輸入しているのかどうか、ここらのところはどうですか。
  97. 両角良彦

    両角政府委員 現在昭和四十二年度の計画で申し上げますと、LPGの年間の供給量を約四百十万トンと考えております。このうちの三割強を輸入に依存をいたしておる次第でございまして、残りを国内の石油精製業ないしは石油化学からの生産に待つという態勢になっております。
  98. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 やはり輸入を直接LPGのままで輸入をしなければ間に合わない。国内の精製過程から発生するLPGだけでは足らない、需給関係で足らないから輸入をしておる、こういう関係ですね。
  99. 両角良彦

    両角政府委員 さようでございます。
  100. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点、わかりました。  主税局長にお伺いしますが、自動車関係のLPGが非常に使われるようになってきているわけでありますが、昭和四十年度で自動車用は六十三万五千トンですか、キロリットルですか、これが八十一万トンに伸び、昭和四十二年度では九十六万八千トンというように伸びて、昭和四十六年には百四十万トンくらいまで伸びるというように言われておるわけでありますが、このLPGを使用した車と、あるいは同じ車種でガソリンを使用したもの、こういうものについての輸送原価に占める比率というものは、どういうように大蔵省としてはとらえられておりますか。
  101. 塩崎潤

    塩崎政府委員 私ども石油ガス税の課税の根拠が、ただいま広瀬先生御指摘のガソリンあるいは揮発油を使う場合とのLPGのメリットの問題であると思うわけでございます。燃料費だけで見ますと、対ガソリンに比べまして三円十八銭ばかりLPGのほうが十円の税率で計算いたしましてまだ得をするという計算になります。
  102. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 通産省のほうにも少し聞きますが、業界紙に出ているLPG供給計画というものがあるわけですが、これは輸入の面でもかなり大幅にふえるようになっておりますが、将来の生産と価格の問題を通じて、やがて非常に安定、低廉な開発等も、石油開発公団の威力が発揮されてそのような時代を迎える、こういうようなことになった場合に、LPGの価格と非常に接近をする、こういうような状況は予想されますか、それとも差は逆に開くか、あるいはいまのような状況でいくか、ここらの見通しについて、生産、需給の関係などとにらみ合わせて、その価格問題の推移、これはやはり課税根拠として、それだけの人員をかけてでもプロパンガスがなおかついまのところは安いということでありますか。そういうものを含みながら、その見通しはどうかという点についてお聞きをしておきたい。
  103. 両角良彦

    両角政府委員 LPGとガソリンとの税抜きの比較では、ただいま主税局長がお答え申し上げましたようにLPGのほうが割り安になっておりますが、このような傾向はなお当分継続するものと考えております。それは別途、LPG自体の価格の変動並びに揮発油自体の価格の変動、両者の見通しもからむわけでありますが、現在の状況のもとにおきましては、なおLPGの割り安傾向というものは継続するのではなかろうかと考えます。
  104. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後に一つ、これは保安課の関係ですが、今回LPGの消費者保安立法が別途商工委員会提案をされ、議案書も配付されておるわけですが、ここでLPGの末端の、家庭用燃料としてのLPGが主でございますが、非常に零細業者が多いわけであります。そういうようなところで、災害防止のために今度はそれぞれの零細業者が保安度向上のためにかなり負担がふえてくるわけでありますが、さらに非常に急速な勢いをもって使用家庭数が千三百万世帯をこえた、こういうような状況の中で、災害防止ということは非常に重要な段階を迎えておることはそのとおりなんですが、こういう状態にありまして、現在容器検査手数料だとか、あるいは販売権の許可手数料だとか、充てん所やスタンドの施設許可手数料とか、そういうものが非常に多いわけです。今度の法案が通過いたしますと、またさらにこれがふえるだろう、こういうようなものを全国的にプールをいたしまして、これを業界のものは業界に返せというそういう考え方に基づいて、保安投資といいますか、LPG関係の保安投資にそういうものを回していくというような構想が、一部に、通産省の中にもおありだというようなことを聞いておりますが、そういう方向での検討はなさっておりますか、そういうものについての見通しを聞いておきたいと思います。これはたいへんけっこうな構想だと思うのですが、通産次官、いかがでしょう。
  105. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 今度出しました法案は、いま先生おっしゃったように、消費者保護の考えからいたしまして、それに対する保安確保ということを中心にいたしております。したがいまして、零細業者に対する負担増も当然あろうかと存ぜられますが、いま申されました御意見を十二分に私たちも尊重いたして今後検討いたしたいと思っております。
  106. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 以上で終わります。
  107. 内田常雄

    内田委員長 次は、平岡忠次郎君。
  108. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ただいま上程になっております石油が入税法の一部を改正する法律案提案理由等は、配付されました書類でお伺いをいたしておりますが、一応その骨子と、今度提案されまする理由につきまして主税局長から御説明をいただきたいと思います。
  109. 塩崎潤

    塩崎政府委員 LPGにつきましては、昭和四十一年の二月から新しく課税になったわけでございますが、それが四十一年中には五円、四十二年から十円に引き上がり、さらにまた四十三年から十七円五十銭に引き上がることは御承知のとおりでございます。しかし、最近ハイヤー、タクシー業者の収益については非常な問題があったことも御存じのとおりでございます。さらにまた、LPG燃料のタクシー料金に及ぼす影響、これらにつきましても非常な御議論のあるところでございます。  こんなような状況を考えまして、今回、将来上がるべきところの十七円五十銭の負担は二年間ばかり十円で据え置きまして、いま私があげました二点の問題につきまして対処しようというのが、今回の提案の趣旨だと考えております。
  110. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 主税局長の御説明ですと、ハイヤー、タクシー業界の収益問題等がその理由である、それから、むろんガソリン税との均衡というようなこともあろうと思うし、国家財政の収入を担当する主税局とすれば、やはり財源ないし徴税の角度からというような理由もあろうと思うのですが、そのほかの角度からこの問題が検討されたことがありますか。
  111. 塩崎潤

    塩崎政府委員 おそらく平岡委員の御念頭には、公害問題、LPGのほうが、公害防止の見地から見るとガソリンよりもより奨励すべきではないか、こういうような御意見を頭に置かれまして私に質問されておられるのではないかと思います。そんな点につきましても、私どもも前々から聞いたこともございます。  しかし、何と申しましても、このような点につきましては道路の建設需要のほうが大きい、公害防止という点も大事でございますが、これらを比較考量いたしました際には、やはりこの程度の税負担は石油ガスから得られるべきであろう、こういうふうな検討の結果を私どもは持っております。
  112. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 先回りしてのお答えでありますが、まさに私は公害問題の点から論議を進めたいと思うのであります。  御承知のとおり、公害対策基本法がすでに政府から提案されまして審議中であります。こういう基本法が制定されようとするまで事態は深刻となっておると思うのであります。朝日新聞の六月十二日の朝刊でありますけれども、東京都の、正式の名前は東京都小中学公害対策研究会、これは会長さんは伊藤和という江東区立水神小学校長がなっておりますが、たしか朝日新聞の後援のもとに、学童の健康管理の点からすでに二、三年公害問題に取っ組んでおるようであります。そして、この六月十二日の朝日新聞の伝えるところによりますと、結局、教育環境がいいか悪いかという質問に対して、都下の――これは都心と郡部を合わせてでございますけれども、中学校が四百九十一、小学校が千四十四、これにアンケートを発しまして、相当多くの学校から回答がきておる。その回答のうち、教育環境が悪いと答えておるのが五三%、低いのでは杉並の二五%というのがありますけれども、とにかく悪いという。しかも、その悪い理由のうちで公害を理由とするものが、やはり区部の小中学校におきまして四〇%ないし五〇%、それから郡市部の小中学校におきまして六〇%、かように出ております。そして朝日新聞は、具体的な問題として、子供の衣類で白いものが一日でもう着られなくなってしまうということ、それほどひどくなっておるということを伝えておりますし、なお、大気汚染が子供ののどを痛め、鼻をおかす結果、たん、せきの出るのが非常にふえておる。やりかぜ以外のときにたん、せきの出る子供が多いという区部の小学校は、江東区の二五%を筆頭にしまして、十五区がみなこのことに脅威を感じておるという結果が出ておるのでございます。それから郡部におきましても例外ではありませんで、平均しまして六%の学校がこの被害を訴えておる、こういうことであります。一〇〇のうち六、六%というのはたいしたことないようですが、たとえば阿賀野川の水銀化合物の問題とか、あるいは水俣の同様な問題等は何十万人に一人の被害割合なんですね。都下の小中学校が、都心部と郡部をひっくるめまして六%もたん、せきが異常に出るというようなことを訴えるということは、これ以上もうほっておけない問題であると思います。  そこで、公害問題の焦点は何かということになろうと思うのです。今度各省のセクショナリズムの集大成としての公害対策基本法というものが出てまいりましたけれども、やはり焦点がどこにあるかということを見きわめる必要があると思うのです。この法律案それ自身について、この作成の前にお手伝いをしました大内兵衛さん等による社会保障制度審議会が、この政府の取り上げ方に対して気に食わぬということで、きのうあたりいちゃもんをつけておるようであります。  その一つに、公害をどう処理するかの具体性に欠けているということを指摘しております。そして、産業界はよろしく公害防止を企業経営の条件として取り入れて、公害対策に前向きの態勢を整備すべしということをいっております。要するに、無過失責任を企業の側で共同でとりなさいとまでいっておるわけです。企業にさえこういうことを要求しているのですから、いわんや、政府とか国会とかいうものは、もう率先して、もっと積極的に公害問題を究明する必要があると思うのです。  結局、私の結論とするところは、公害問題でいろいろなことが羅列はされておりますけれども、現在並びに将来に向かいましての一番大きな公害問題は、もう大気汚染に対する対策、わけても、自動車の排気問題に対する対策でなければならぬというふうに私は思っております。私が思っているのでは平岡の主観であろうという反論がありますので、実は、英国と米国の場合の私の見聞してきました点を申し上げまして、皆さま方のお心にぜひとめていただきたい、このことを申し上げたいのであります。  昭和三十九年のちょうどオリンピックのさなかに、たまたま英国の総選挙がありましたので、その要務を帯びて参りましたが、総選挙が明けまして、めずらしく英女王政府の招待ということで、二週間ほど英国にとどまりました。無為に過ごしてはいかぬというので、阪上君という地方政治のベテランもおった関係ですが、公害問題をひとつ掘り下げてこようということで、自分たちでテーマをつくったわけであります。長々とそのことを申し上げるわけにもまいりませんけれども、英国におきまして公害問題の現状がどうかということになりますと、これは英国といたしましても中心的なロンドンでありますけれども、水質の汚濁対策はすでに完了しております。テームズのタワー・ブリッジ付近にはマスの銀りんが見られるということはつとに報ぜられておるところであります。テームズの支流は七つありまして、本流との合流地点はろ過装置が設けられまして、それぞれ本流への流入が最終的に浄化されております。これより先、支流に入りますところの工場の廃液の流入等は厳格な処理基準によって無害なものとされておることは論をまちません。  大気汚染の防止につきましては、ロンドンが寒冷地のために、家庭ストーブによる大気汚染は従来著しかったのでありますけれども、条例によりまして無煙炭以外の禁止、それから、住宅の高層化に伴う石油ストーブの普及化によりまして石炭スモッグは解消されております。いまや皆無となっておるわけであります。工場の煙突ばい煙も、ロンドンの都心にある火力発電でもうもうと煙をあげておりましたが、これは何たることかといいますと、全部水蒸気だということですね。無害の水蒸気になっておるほど、すべて蒸気による沈下でこの大気汚染と工場の煙突ばい煙とはすでに無縁となっております。ただ一つ残っておる問題は自動車の排気ガスであるということでありまして、さすがに英国政府は公害対策の問題では進んでいるという感じを受けたのであります。  それから、別のおりに米国に参ったときなんですが、米国においてはどういう状況かといいますと、水質の汚濁は解消済みでありまして、排気ガスの大気汚染だけがやはり問題になっている。米国ではニューヨークパターンとロスアンゼルスパターンと二つに区分しましてそれぞれの対策を研究中であります。ニューヨークパターンとは、工場廃棄ガス、すなわち亜硫酸ガス対策でありまして、ロスアンゼルスパターンとは自動車排気ガス対策をいうのであります。ロスアンゼルスの場合、日本の場合の一酸化炭素COの害悪及び不飽和炭化水素CHの害悪とは違いまして、気候が高燥だという特殊事情から一酸化窒素NO、それから二酸化窒素NO2の害悪となってあらわれている点が特徴的でありまして、まず目をやられる、それからまた自動車のタイヤに亀裂を生ずる、それから視程が悪くなるということによって交通妨害を派生するということで、別の公害と結びついておる、こういう特徴を持っているわけであります。  いずれにいたしましても、二国の例に徴しまして、水質汚濁対策は、日本ではいまだきものとはいいながら、そう奥行きの深いものではありません。政府のやる気だけの問題であります。企業のやる気だけの問題であります。結論的には、二国同様、排ガス特に自動車の排気ガスに徴底的に取り組まなければならないのが、この二国の例に徴して明らかにされておると思うのであります。そして工場廃ガスの防止につきましては、抜本塞源的には硫黄分の除去についての科学的技術開発、これがあるわけです。しかし、この硫黄を取り去るということは、もしできますればノーベル賞を受賞できるような問題でありまして、たいへんむずかしい問題と聞いています。  かたや、自動車の排気ガスにつきましては、完全燃焼装置ないしろ過装置の開発でありますけれども、ここで私の意見でありますけれども、最も有効なのは、ガソリン使用をやめてプロパンないしブタンガスへの転換が注目されなければならぬということであります。そういう角度から石油ガス税の問題を視野を広げてひとつ御検討をいただきたいというのが私の質問趣旨であります。結局、自動車排気ガスの問題が今後にわたりましての公害問題の中心課題であるということと、したがいまして、自動車燃料の転換が必要だということ、それだからこそ、ブタン、プロパンの転換ということが政府の政策目的のうちに加えられてしかるべしということであります。  こういう点を踏まえての御研究があったのか、今後それをするのかということ、この点につきまして、ひとつ大蔵大臣からお答えをいただければ幸いです。
  113. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御指摘のように、排気ガスの対策はもういま緊急の問題でございますので、この点については、通産省中心にいま研究をしているという段階でございます。  これをガソリンをやめて、公害対策のために石油ガスに自動車燃料を転換したほうがいいかどうかという問題については、まだいまのところ十分の検討をしておりません。むしろ、現在のガソリンによる排気ガス対策をどうしようかということを中心にいま研究しているという段階でございます。
  114. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 きょうは、大蔵大臣がいままでの閣議での討議とか、その経験にこだわってものをおっしゃるであろうことはわかっておりました。そうではなしに、非常にたいへんな問題だということを御認識をいただいて、大蔵省から積極的にこの打開のための旗を振っていただきたい、かように私は思っておるわけであります。結局、わが国ではガソリンも大部分原油として輸入されるわけで、LPGも輸入されるわけですから、大部分輸入される点においては同じなんです。したがいまして、禍害の少ないほうがいいほうをとるべきなんです。そうすると、主税局長等、さいふの入りぐあいのほうに関心の強い方は、LPガス税をキロ当たり十円のままであと二年も延ばせばいいんだろうというような、そういうこまかい専門に堕するお気持ちになろうと思うのですけれども、それはそうではなしに、やはり税制も他面において政策目的も持っているわけなんで、このガソリン消費にかえてLPGを大いに使うという、そういう方向をとっていただきたいのです。現状におきまして、タクシーだけが大体プロパン装置をつけておりまして、私の聞き及ぶところでは、しかもハイヤー、タクシーの営業で六〇%ほどがLPガスを取りつけ、自余のものはまだガソリンである。自家用車はほとんどつけていない、こういう事情にあるようですが、これをタクシー業界は全部、自家用車まで、およそ自動車の燃料は全部LPガスにしてしまうということ、そういう刺激を与えるためにやはり税金の立場においてはガソリンとの格差をつけておいてLP使用を誘導し、馴致するような方式をとっていただきたいということ、できるならこの際、英断をもってプロパンガスの課税はやめるべしということ、税金は、一応全部プロパン化が完成した後において、国家財源を考えてその時点で適当な課税をすればいいのではないかということと、その中間にむろん並行的な行き方があるし、いまあなた方が提案されているような暫定率が、二カ年に限らず、かなりもっと長い期間続けられるという、そういう形をとる併用的な行き方もあるでありましょうけれども、いずれにいたしましても、プロパンガス、ブタンガスに切りかえるという大方針を、単なる大蔵省のセクショナリズムとか徴税官僚の感覚ということでなしに、大きく取り上げていただかなければならぬと思うのであります。  私がきょうここに参りましたのは、そういう点につきまして、大蔵省、特に大蔵大臣に旗を積極的に振っていただいて、政府の公害対策に対する積極的な姿勢を、態度をもって示していただきたい、このことをお願いするためであったわけであります。  ただ、それならば、日本のガソリン用原油、重油――自動車燃料として使う部分は確かに相当多いのですね。そのガソリンをやめて、プロパンとかブタンにかえるにその補給がつくかどうかが一応問題であろうと思うのです。その辺の見通しですね。鉱山局長からひとつお聞かせいただきたい。なお、プロパン、ブタンとなりますと、家庭用燃料にもまいりますから、それがプラスされるわけですが、そのことも踏まえまして、供給の点について問題があるかないか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  115. 両角良彦

    両角政府委員 LPGの需給面から見ました場合に、現在乗用車に使われておりますLPGの量は大体全体の供給量の約四分の一、実量が百万トン近くでございます。これをガソリンで換算いたしますと、百四十五万キロリットル、ところが、自動車用ガソリンとして使われております量は千三百四十万キロリットルでございます。ガソリンで走っております車の使用量が千三百四十万キロリットル、LPGで走っておりますガソリン換算量が百四十五万キロリットル、こういうことに相なります。したがいまして、現在の乗用車がすべてLPGに転換するということは、量的に見ましてきわめてゆゆしい大問題になってまいります。したがいまして、LPGの全体の需給面から見ますと現在四分の一を占めておりますものを、さらに大幅な増産をはかっていくというようなことになりますと、現在の石油精製もしくは石油化学から出てまいりますLPGの量というものはさらに人為的に高めていく装置が必要になってまいります。このことは、たとえばアイソマックス装置というものを使いますとかえってコスト高になりまして、ガソリンとの価格の対比におきまして、LPGが必ずしも有利ではなくなってくるという可能性も出てまいるわけでございます。  したがいまして、公害対策上から見ましてのLPGの望ましさはまさに御指摘のとおりでございますが、需給面から見ますと、なお検討すべきいろいろな問題があろうと考えております。
  116. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 LPの取得先を確保するために三つのソースがあると思うのです。いまあなたのお話では、石油精製過程からのバイプロダクト、それから石油化学系統のものの御示唆があったと思うのですけれども、一番大きなものは、やはり純一無垢の純度の高いものは輸入の液化天然ガスであると思います。むろん、産地は中東に多いわけですが、この点はほとんど無尽蔵ではないのですか。
  117. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおりLPGの第三の供給源は輸入でございますが、今日まで輸入が占めております比重は全体の供給量の約三割でございます。むしろ安定供給という面から考えますと、石油と同じくLPGにつきましても、中東からの輸入をさらにふやしまして国内供給のウエートを高めるという点につきましては、なお慎重に考えてまいりたいと思います。同時に、石油化学及び石油精製発展によりまして、この方面から不可避的に出てまいりますLPGの量に増大せざるを得ない、それと全需要面とのバランスを考えてまいりますときに、輸入ソースを特に拡大をしてまいるという点は慎重に検討いたしたいと思います。
  118. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 経済性の問題はむろんありますけれども、まずもって、絶対量自体がガソリンに対比し得ないというのだったら私の議論は成り立たないわけですが、いまお聞きしますと、できるならば、石油精製過程ないし石油化学系統の開発によって、自給までではないのですけれども、多くの部分をそれに求めるということ、それからあとは、背後に中東に無尽蔵にあるということをお伺いすれば足りるわけです。中東からのものは輸入液化天然ガスとして入るでしょうから、船腹の問題等につきましては、一般の原油、重油とそう違わないものだと私は確信をいたしております。そういうわけで、需給上のバランスが、将来自動車燃料が全量プロパン化してもその点では問題はないということだけが明らかになれば、私としては満足であります。  とにかく、公害問題はほんとうに重要な問題でありまして、いま私が説明申したように、大気汚染、わけても、自動車よりの排気ガスの一酸化炭素の害悪の処理の問題というものは一番焦点になるということに真実お気をおとめくださいまして、せっかく議題のLP課税方式等につきまして、今後とも深く御検討をわずらわしたいと思うのであります。  緑を枯らし、空気を汚濁させ、小鳥も水も追っ払ってしまう。公害にむしばまれるのは、単なるこの美しい自然だけではないのでありまして、先ほどの東京都の小中学校の生徒の健康に憂うべき傾向の見られるように、結局、人間の肺とか、のどとか、はだから思考力にまで黒い手を伸ばしてきておるわけですから、この問題には大局的な立場に立ちまして御考慮をわずらわしたい。プロパンガスの課税の問題が、ハイヤー、タクシーの収益問題とか、財源ないし徴税の角度からだけ論ぜられることでなしに、大きくこれを政府自体、政策課題として取り上げていただきたいことを要望いたします。  大蔵大臣の最後の御答弁をちょうだいしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  119. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御指摘の点は、十分今後検討いたします。
  120. 内田常雄

    内田委員長 本案に対する質疑は、これにて終了いたしました。     ―――――――――――――
  121. 内田常雄

    内田委員長 本案については、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  124. 内田常雄

    内田委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  金融及び証券に関する小委員会において、金融に関する件について、金融制度調査会の代表者に参考人として出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来たる二十七日、火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会