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1967-06-14 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)委員長指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  税制及び税の執行に関する小委員       足立 篤郎君    大村 襄治君       鯨岡 兵輔君   小宮山重四郎君       河野 洋平君    三池  信君       村上信二郎君    渡辺美智雄君       只松 祐治君    平林  剛君       山田 耻目君    横山 利秋君       永末 英一君    田中 昭二君  税制及び税の執行に関する小委員長                 足立 篤郎君  金融及び証券に関する小委員       奧野 誠亮君    小峯 柳多君       笹山茂太郎君    砂田 重民君       西岡 武夫君    村山 達雄君       毛利 松平君    山下 元利君       広沢 賢一君    堀  昌雄君       武藤 山治君    村山 喜一君       春日 一幸君    広沢 直樹君  金融及び証券に関する小委員長                 小峯 柳多君  財政制度に関する小委員       菅  太郎君    河野 洋平君       永田 亮一君    西岡 武夫君       原田  憲君    藤井 勝志君       村上信二郎君    山下 元利君       阿部 助哉君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    横山 利秋君       竹本 孫一君    広沢 直樹君  財政制度に関する小委員長                 藤井 勝志君 ————————————————————— 昭和四十二年六月十四日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 藤井 勝志君 理事 三池  信君    理事 毛利 松平君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 武藤 山治君    理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君       河野 洋平君    砂田 重民君       永田 亮一君    西岡 武夫君       村上信二郎君    村山 達雄君       山中 貞則君    渡辺美智雄君       只松 祐治君    野口 忠夫君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    村山 喜一君       柳田 秀一君    山田 耻目君       横山 利秋君    田中 昭二君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主税局長         事務代理    結城 義人君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         議     員 横山 利秋君         総理府恩給局恩         給問題審議室長 大屋敷行雄君         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         厚生省保険局国         民健康保険課長 出原 孝夫君         厚生省年金局年         金課長     河野 共之君         社会保険庁年金         保険部厚生年金         保険課長    滝沢 信夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部財         政課長     高橋 英雄君         日本国有鉄道厚         生局長     中西 幸雄君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月七日  委員河野洋平辞任につき、その補欠として増  岡博之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員増岡博之辞任につき、その補欠として河  野洋平君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員広沢直樹辞任につき、その補欠として浅  井美幸君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月十日  証券投資信託法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一八号) 同月三日  公衆浴場業所得税適正化等に関する請願(宇  都宮徳馬紹介)(第一一三八号)  会員組織による音楽、演劇の入場税免除に関す  る請願宇野宗佑紹介)(第一一五〇号)  登録免許税法案等の一部修正に関する請願(保  利茂紹介)(第一一七三号)  貸金業金利調整に関する請願永井勝次郎君  紹介)(第一一八六号)  貸金営業法制定に関する請願中川俊思君紹  介)(第一二四五号)  各種共済組合法増加恩給受給権者に対する不  均衡是正に関する請願砂田重民紹介)(第  一二六五号)  戦傷病者傷病恩給等担保融資額是正に関す  る請願砂田重民紹介)(第一二六六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(横山利秋君外十三名提出衆法第一三号)  石油ガス税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  昭和四十二年度における旧令による共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改定に関する法律案内閣提  出第七五号)  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律案内閣提出第一〇一号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  横山利秋君外十三名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 内田常雄

    内田委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。横山利秋君。
  4. 横山利秋

    横山議員 ただいま議題となりました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びにその概要について御説明申し上げます。  日本国有鉄道日本専売公社日本電信電話公社が、いわゆる三公社として発足いたしまして、その職員は、国家公務員法一般職公務員給与に関する法律などの適用を離れ、賃金をはじめとする労働条件については労使団体交渉により決定するという公共企業体等労働関係法適用を受け、もって企業の民主的、自主的経営の実をあげ、公共福祉に資することと相なりまして、すでに二十年近くに及んでいるところであります。  この間、恩給制度につきましてもそれぞれ公共企業体職員等共済組合法による年金制度に改められていることも御承知のとおりであります。しかしながら、その職員にとって重要な労働条件の一つとなっている退職手当につきましては、公労法により団体交渉事項とされながら、依然として国家公務員と同様、国家公務員等退職手当法適用を受けてきていることは、昭和二十八年七月二十九日、本院大蔵委員会において、「公共企業体等労働関係法との関連において、公共企業体職員本法適用範囲からはずすことが妥当であるとも考えられるが、他方、これと関連してその職員に対しては恩給法並びに国家公務員共済組合法準用規定を排除して、一般社会保険制度適用することも考えられるので、これらの諸問題を公正に解決する方途をすみやかに講じ、早急に再検討することとする。」という附帯決議が採択されていることや、昭和二十八年三月十日、公共企業体仲裁委員会仲裁裁定第十号をもって、当然公労法上の団体交渉事項であることを明らかにしていることなどに見られるように、それ自体問題を残しているのであります。  他面、日本電信電話公社をはじめとしてこれら三公社事業のごとく、技術革新拡充計画などの遂行が今日のごとくその職員に多様複雑な影響を及ぼす状況にありましては、退職手当につきましても多角的な実情に沿った労使団体交渉による決定の必要性が痛感されているところであります。  これらの理由に基づく改正のおもな点は次のとおりであります。  第一に、日本国有鉄道日本専売公社日本電信電話公社のいわゆる三公社職員退職手当については、公共企業体等労働関係法関連において、現在の国家公務員等退職手当法適用を取りやめ、労使団体交渉できめることと改めようとするものであります。  第二に、この場合、公社職員国家公務員相互間の在職期間の通算、及び公社の定める退職手当基準など所要の措置を行なおうとするものであります。  なお、この法律は、公布の日から起算して三カ月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしたいと考えます。  以上が、この法律案提案理由並びにその概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望する次第であります。
  5. 内田常雄

    内田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 内田常雄

    内田委員長 石油ガス税法の一部を改正する法律案昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案の三案を議題といたします。  質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
  7. 横山利秋

    横山委員 最初、政府側に第一に意見を聞きたいことはこういうことであります。  共済組合法というものは、国家公務員並びに公社職員福祉に対して非常に貢献をしておるのでありますが、もとよりそれは、毎月毎月の掛け金をかけて、そして保険的な感覚を持って、不時の問題あるいは老後の問題に備えておるのであります。ところが、私が最近二、三体験をしたことでありますが、たとえば、二十年三十年まじめにつとめておる人が、たまたま最近はやりの交通事故に外であう、つまり、国鉄だとか電電だとか専売仕事を二十年三十年まじめにやっておって、そうしてオーナードライバーでふとしたことで自動車事故を起こす、それが業務過失事故に触れて刑罰に処せられる、休職になる、あるいは懲戒になるということがあるのであります。あるいはまた、これはわれわれ個人的な公職者としての体験でありますが、私どもの選挙運動に一生懸命になって、ふとしたことで何かの形で選挙違反に問われることがある。つまり、私の申し上げたいのは、公社並びに国家に対する日常の仕事には何ら間違いなく長年つとめて、忠実な職員として行動しておる者が、それ以外のことで罪に問われることがある。いまの現行法はそれに対して給付制限をしておる。これは共済組合年金ばかりでなくて、退職金なんかについても同様であります。たまたま過失交通事故をやって相手に死傷を負わしたということは、これは過失とはいいながら、まことに遺憾なことでありますから、そのことの罪を私はどうこうするわけではありません。しかし、それと、職員としての退職金なりあるいは共済組合年金なり一時金にどういう関係があるかということであります。本法が制定されました当時は、そういうことはあまり考えないで、公社職員として、あるいは国家公務員としてその職に直接関係のある汚職をしたとか、あるいは社内におきまして破廉恥罪を犯したとか、こういう場合を想定しておったと私は思うのであります。ところが、最近私がはだえに感じて気の毒だと思いますのは、そういうことじゃなくして、まじめに働いておった者が、不慮の事故によって休職なり、あるいは交通事故有罪判決になれば懲戒免職ということになる、そのために、退職金ももらえぬわ、共済組合年金給付制限を受けるわということではひどいじゃないか、これは立法当時の想定になかったことではないか、こういうことを考えるのであります。これはどなたが御答弁願えますか。
  8. 津吉伊定

    津吉説明員 先生指摘のように、国家公務員共済におきまして、懲戒処分等を受けました場合の給付制限という規定がございます。これは申すまでもないことでございますが、国家公務員法の百七条に規定しておりますように「職員が、相当年限忠実に勤務して退職した場合、公務に基く負傷若しくは疾病に基き退職した場合又は公務に基き死亡した場合におけるその者又はその遺族に支給する年金に関する制度が、樹立し実施せられなければならない。」という規定を大もとにいたしまして、国家公務員共済組合法の第一条に目的として定めておりますように、「国家公務員の病気、負傷、」云々とありまして、「もって国家公務員及びその遺族生活の安定と福祉向上に寄与するとともに、公務能率的運営に資することを目的とする。」というふうにいたしております。したがいまして、国家公務員共済の本旨は、いわゆる職域保険という性格を持ちまして、人事管理上の面と社会保障の面、これを総合いたしまして、公務の適正なる運営、その能率向上ということに資することを目的としておるわけでございますので、公務員において懲戒処分等を受けました場合の給付制限というのは、単純な社会保障というだけの面では非常に問題でございますが、人事管理的側面という点から見まして、ある程度給付制限が認められるのではないか。  これは沿革から申し上げますと、御承知のように、国家公務員共済組合審議会というのがございますが、その答申が三十四年、この新法ができますときにありまして、その答申に基づきました給付制限規定でございます。この給付制限が一律に、これも共済組合法施行令にございますが、禁錮以上の刑に処せられた場合は百分の二十、懲戒処分によって退職した場合はやはり百分の二十というふうな給付制限がございます。先ほど先生のおっしゃいましたような交通違反というような事犯につきましては、これは施行令の十一条の九にございますが、その五項で「給付制限は、各省各庁の長がこれらの規定に定める割合によることを不適当と認め、かつ、その割合範囲内で大蔵大臣協議して定めた割合組合に通知したときは、その割合によるもととする。」というアローアンスがあるわけでございます。全く勤務と無関係事犯につきましてそれを給付制限するのは酷ではないかということ、これはその勤務との関連性におきまして、直接、間接という距離程度の問題がございますので、その間における調整を、二〇%の給付制限という範囲内において、その協議によって操作をするというふうな仕組みになっております。  なお、他の制度におきましても、地方公務員共済あるいは公企体共済、これは制限程度が辛いのも甘いのもございますけれども、同様な職域保険労務管理人事管理上の側面というものを見まして給付制限制度を設けておるという現状でございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 あなたのお話によれば、業務に直接関係のない、たとえば交通事故のごときことについてはアローアンスがあるとおっしゃるのですが、そのアローアンスというのは何ですか。ケース・バイ・ケースで一々相談をされるのですか。統一的な解釈なり協議があなたのほうから出ておるのですか、通達か何か。
  10. 津吉伊定

    津吉説明員 特段の統一的通達をいたしておるわけではございませんが、個々ケースにつきまして、協議を受けて回答をいたしておるという処理でございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 私が申しましたように、私が体験したのは最近少なからずあるわけです。それが、交通事故が起こったのはこういう状況だがどうしようかとか、鹿児島の何町の何番地で何がしがこうしたとかいうようなことが、一々あなたのところまでいかなければならぬということになるわけですか。ばかげたことだと思うのです。  私は、あなたがおっしゃったような、この二段がまえですか、この共済組合法自身立法趣旨について少し変える必要があると思われるが、同時に、現実的処理についても何かここで解釈統一をして、この統一基準のもとに各省において行なわしめるのが普通ではないか。どうも私のそら耳かもしれないけれども、私の言うことは、各省でも大体首肯しておるわけです。もっともだ、気の毒だ、できるだけのことはしようというのでありますが、どうもそれが温情的といいますか、ほんとはいかぬけどね、まあひとつ顔を立てて、というような、そういう雰囲気であるのは、私はかんばしくない、おもしろくない。私は堂々と主張しておるつもりなんです。あたりまえのことだ、こんなことは、ということで主張しておるつもりです。  ですから、この機会に、この給付制限条件について少し緩和する方式をきちんと加えることが必要ではないか、その基準をおきめになることが必要ではないかという点を強く主張したいのですが、どうですか。
  12. 津吉伊定

    津吉説明員 先ほど申し上げましたように、国家公務員共済に限らず、いわゆる共済グループ全般につきまして、農林私学に至るまで、と言いますと変ですけれども、農林私学共済におきましても、そういう職域保険制度という側面からしまして給付制限制度があるわけでございます。これらを総合的に見まして、統一的な基準というのがどの程度可能であるか。たとえば、いま御指摘がありましたように、破廉恥罪であれば給付制限がどれだけ、それ以外の犯罪、たとえば、特に交通違反であればどうというふうに、画一的に直ちにその基準を設定できるかどうか、これは検討を要するところであると思います。  それから、先ほどお答えいたしましたが、アローアンスがあります範囲内で主務大臣がその主務大臣の所管する自分の共済における給付制限態様というものを基準的に検討いただきまして、その基準協議いただくという方式も当然あり得るわけでございます。個々の具体的なケースにつきまして、先ほど例にあげられました某時、某所でどういう交通事故が起こった、これは何ぼ給付制限したらいいかというような意味での協議は、現実にはわれわれのところへはまいった例はございません。
  13. 横山利秋

    横山委員 先ほどおあげになりました共済組合法弟一条ですが、「もって国家公務員及びその遺族生活の安定と福祉向上に寄与するとともに、公務能率的運営に資することを目的とする。」ということの趣旨は、封建的な要素は私はないと思うのです。つまり、一個の人間が、役所ないしは公社以外のところで、公務員として、公社員として恥ずかしきことをしたという昔ながらのものの感覚というものは私はないと思うのです。つまり、公務に忠実に、能率的に尋常普通に精励をしておる人、何ら欠くるところのない人、そういう人が、公務以外の場所で、まあ一番いい例は交通事故でありますけれども、そのほかの問題だと、多少のことをしたところで、それが一体その公務能率的運営にどういう関係があるのか。何か昔風に、お前は国家公務員でありながら人間として恥ずかしくないかというような言い方は、これは近代感覚から少し違うのではないか。どうもそれが、まだまだこの種の公務員法なりあるいは共済組合法の中で潜在意識として、金勘定をするときにあるんじゃないかという感じがするわけであります。この点はどうでありますか。
  14. 津吉伊定

    津吉説明員 先生非常にむずかしい点を御指摘  になったわけでございますが、それは、国家公務員が、国とのいわゆる雇用関係といいますか、勤務関係における立場は、これは通常の民間雇用関係と同様であるかどうか、たとえば、給与は法定されておる、あるいは、公務員労働運動というのが一般民間と異なるというような点もござ  います。さればといいまして、直ちに、人間として全生活が昔の官員時代のように、すべてプライベートな面でもきちっとしておるに越したことはないですけれども、たとえば、交通事故を起こしたらけしからぬやつじゃというので、それを特に問題にするというところまでもそれはいかないかと思います。しかし、そういう直接、間接関係距離はありますけれども、そういう事犯を起こしました場合に、公務遂行に及ぼす影響というものはやはり何がしかあるということがあるわけでございまして、非常に極端に直接に申しますと、これは公務遂行の過程において、その中での破廉恥罪というのが一番極端な例であるかと思いますけれども、交通事故ということで罰則の適用を受けたというようなときでも、これはその程度においてやはり若干の関連がある、それがいま申し上げましたそのアローアンスのどの程度給付制限処理がされるべきものであるかという程度問題はございますけれども、職域保険制度として、公務員の若干の、その程度特殊性という要素が加味された職域保険制度における給付制限としては、制度としてはやはりあるべきものであろうというふうに考えております。
  15. 横山利秋

    横山委員 国家公務員共済組合法施行令第十一条の九ですね。「刑に処せられた場合等の給付制限」、これはきわめて厳密に「次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に掲げる割合に相当する金額を支給しない。」と書いてあるのです。ここにアローアンスはありませんね。私は、支給しないことができるというような趣旨があなたの趣旨じゃないかと思うのですね。そういう理解をしていいのですか。
  16. 津吉伊定

    津吉説明員 ちょっと誤解を招くような御説明をいたしまして恐縮でございますが、いまごらんになりました共済組合法施行令第十一条の九の第一項におきましては、「支給しない。」と書いてございます。これはおっしゃるとおりでございます。その次のページをごらんいただきますと、百十二ページの上の段でございますが、同条の5項で、「第一項又は第二項の規定に該当する者に対する給付制限は、各省各庁の長がこれらの規定に定める割合によることを不適当と認め、かつ、その割合範囲内で大蔵大臣協議して定めた割合組合に通知したときは、その割合によるものとする。」これが実は先ほど申し上げておりますアローアンスの考えられておる部分であるという御説明をいたしておるわけでございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 公社職員はこの十一条の九に該当する条項はございますか。同様でございますか。運輸省、どなたか来ておりますね。
  18. 高橋英雄

    高橋説明員 お答えいたします。  公社の場合にはただいまの施行令云々と同じような条項はございませんで、本法の二十条に「給付制限」という点がございまして「この法律に基く給付を受けるべき者が故意に給付事由を発生させたときは、当該給付事由に係る給付は、その全部又は一部を行わないことができる。その者が懲戒処分を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときも、また、同様とする。」という規定がございまして、この規定に基づいて運用しているということでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 総理府はちょっと呼んでないのですけれども、見えておりますか——大蔵省、前に退職金をやっておられるのですが、退職金の場合はどうなっておりますか。運輸省でも大蔵省でもけっこうです。退職金については、この種の問題はどういう関係になりますか。
  20. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 退職金は、総理府では人事局なのでございます。
  21. 津吉伊定

    津吉説明員 人事局に所管が移りました問題を申し上げるのはおこがましいのですが、沿革によりましてお答えいたしますと、国家公務員等退職手当法の第八条にございまして、これは「退職手当支給制限」でございます。申し上げるまでもなく、普通退職あるいは長期勤続退職、それから整理退職というような退職態様によりまして退職手当割合は違いますが、そのいずれの退職手当につきましても「左の各号の一に該当する者には支給しない。」とありまして、「懲戒免職処分又はこれに準ずる処分を受けた者」という要件がございまして、これは支給しないということになってございます。
  22. 横山利秋

    横山委員 残念ですが、その担当の総理府が来ていないで、問題の焦点に近づいておるのですけれども、ぐあいが悪いのですが、しかし、これは運輸省並びに各省にも考えてもらいたいのです。  いま私は交通事故を例に出しているのですが、そのほうが一番わかりやすいから言っているのです。まじめに働いておった人が外でオーナー自動車運転をしておって、過失によって人を死傷さした。今日、それは刑法による業務過失致死罪に該当する、それによって懲戒免職を受ける、それによって、いまの御説明によると、直ちに退職金は全部もらえない、そうして、共済組合年金についても、十一条の九によれば、禁錮以上の刑に処せられたときは百分の二十、二割ですね。私はこの点について非常に気の毒だと思うのです、故意ではないのだから。この点は公務員法公社法それ自身に実は問題がある。きわめて簡単に、禁錮以上に処せられたときは懲戒免職だというふうに割り切ることに、実は問題があると考えられるのであります。これは国家公務員法なりあるいは公社法を改正するのが先議でありましょうけれども、それはそうだとかりに一歩譲ってみて、今度は退職金並びに共済組合年金について、懲戒免職を受けるという意味と全然別の観点——自分も掛け金しているじゃないか、長年働いているじゃないか、まじめにやってきたじゃないか、こういう別の観点からこれは改善をする必要があるのではなかろうか。外で交通事故で有罪になったことが、はたして退職金を支給しない、あるいは共済組合年金、一時金その他を一部給付制限をするという、するべきであるという根拠というものはないではないか、今日の社会情勢から言っても、近代的感覚から言ってもないではないか、こういうことを私は強く痛感をするわけであります。これは、本来大臣か政務次官に聞かなければいかぬことだと思うのですけれども、担当しておられて、最近そういうことが多かろうと思うのですが、私の申し上げることについてお考えはありませんか。  ちょっとその前に、国鉄出ていらっしゃるから、現場を預かるものとして、私が申し上げたことをよくおわかりになったと思うのでありますが、感想を承りたいと思います。
  23. 中西幸雄

    ○中西説明員 ただいま御指摘になりましたような事例は、過去においてはあまり聞きませんのでございましたが、最近、原付単車というものまで含めますと、非常に多数の職員公務上以外に自分で自動車を持ち、それで自分の用に使い、たまたま事故を起こすという事例が最近私どものほうにも耳に入るようなことが出てまいっておりますことは事実でございます。  それで、現在の法のたてまえから申しますと、先ほど大蔵省給与課長並びに運輸省政課長が言われましたとおり、ある程度自動的な運用をやっているわけでございますが、現実は、このいわゆる共済組合社会保障的なものと、それからもう一つは人事管理的な面との調和という問題にぶつかりまして、それからもう一つは、各共済組合法律が全部この趣旨統一されております関係上、実際問題として処理する上におきましては、御指摘のように、情において忍びないものもあるかと考えられますが、その運用の幅が現在のところございませんのでそのようにやっている実情でございます。
  24. 横山利秋

    横山委員 これは一応官ということでもないが、まとめとして大蔵省ということになると思うのでありますが、これは一回検討に値することではないかと私は思うのであります。本来ならば、国家公務員法及び公社法という立場で論議をするのがほんとうであります。私は、交通事故があったから直ちに懲戒免職だということ自身、もう今日世間的にあまり納得させられないものがあると思います。そこで争いたいのでありますが、そこはまた別の機会にするにいたしましても、年金だとか一時金だとか遺族年金だとか退職金だとかをそういうことでやらない、あるいは、おまえは二割だというようなきめ方自身にやはり第二の問題がある。どういうふうに改正をしたらいいのか。この運用は、いまあなたからもお話があったように、まだ多少のアローアンスはあるけれども、やはりきめ方がむずかしいとあなたもおっしゃっておられる。なぜむずかしいかというと、法律は、原則としてやらない、ないしは制限をするということになっており、その天井があるからだ。だから、天井の一部だけは私はとるべきだという感じであります。その点について今後ひとつ検討してもらいたいと思うのでありますが、どうです。
  25. 津吉伊定

    津吉説明員 先生おっしゃいますように、国家公務員法、その他公務員勤務関係規定いたします基本的な法規による制度をどのように考えていくか、その性格を考慮いたしました上で、先ほども御指摘ありましたような、退職手当においても、これは懲戒免職の場合に支給しないということになっておる、それから共済年金につきましては、先ほど来お話のとおりであります。これらはいずれも、本来国家公務員法公社法の問題として議論すべきであるがとおっしゃるところ、全くそのとおりでございまして、そういう勤務関係の本質というものが、こういう諸種の給付等の制度に反映してやはりあらわれてくるものであろうかと思いますので、われわれ共済を担当しております者の立場からだけ申し上げますと、そういう公務員関係あるいは公社職員公社における勤務関係というものがどのように性格づけられて評価されるべきであるかという検討がされました上で……。(横山委員「上でじゃなしに、それとは別にやってくれというのだ。別にやるだけの理由がある。」と呼ぶ)やはりそこはそういう勤務関係の性格論というものが一つありまして、それで、公務員関係というものを給付面において処理する諸種の制度の評価というものがきまっていくべきものであろうかと思いますので、検討をしないかとおっしゃいますれば、もちろん検討しないという答弁をするわけではございませんで、検討はいたします。しかし、それは国家公務員公社職員勤務関係の性格を前提にいたしまして、慎重にそれを検討した上で——上でというのは、あとでという意味じゃなくて、同時に検討をすべきものであろうかと思うわけでございます。
  26. 横山利秋

    横山委員 あなたもどうも政治家づいてきて、検討しないかと言われれば検討すると言いますが、しかしながら慎重にやって、しかも、公務員法の検討が済んでから——何を言っておるんだかわけがわからぬ。検討するのかせぬのかということは、しますと、はっきり言えばそれで済む。あなたの速記録を読んでいったら一体どっちを向いているかわけがわからぬのでは判断に困るから、結論をはっきり言ってください。
  27. 津吉伊定

    津吉説明員 不明確で恐縮でございますけれども、十分公務員及び公社職員勤務関係の性格の検討を前提にいたしまして、同時に、総合的に給付の面についての検討を慎重にいたしたいと思います。
  28. 横山利秋

    横山委員 私の聞くところによりますと、ある動物園長さんですか、交通事故をやりましたね。あれはどういう処置になったか御存じでございますね、あなた。それから、某有名な小説家が交通事故をやって人を殺しましたね。どういう結果になったかあなた御存じですか。だから、ケース・バイ・ケース現実的解決というものは適当にやっておるところがあるのです。それをみんな認めておるのです。だから、現場の職員だけがそれがきかないというばかげたことはないと私は思うのであります。しかし、そういうような人が適当に行なわれた処置について私は非難しているわけじゃないのですよ。世間も、あの人は気の毒だ、なすべきことをよくやったからそういう処置でもいいわけだ、そういうふうに言っておるわけだ。それに対してはだれも非難していないのです。それが現実なんだから。あなたが慎重に国家公務員法と相比べてなんて言っておる間に現実は適当な解決がなされているのです。それをだれも非難していないのです。上のほうばかりうまいことやって——うまいことじゃない、あたりまえの適切な解決だと思うのですけれども、現場の人間だけが、いかにも恩着せがましく、おまえはいかぬのだ、公社職員として恥ずかしいことだけれども大目に見てこれだけやるぞというようなやり方が、私は腹が立つ。だから、もっとすなおに、近代的感覚を持ってやったらどうか。それを、これは役所に、公社に一生懸命つとめた、十年も二十年もつとめた人じゃないか、それが役所に何も関係なく、たまたま交通事故で、過失で人に死傷を負わした、だから、おまえは法律によれば退職金は一文もやらない、共済組合は二割だ、こういうことが現実感覚とそぐわぬと私は言っておる。あなたは国家公務員法の改正を待ってということを頭にかぶしたいらしいけれども、私は国家公務員法の問題は別のところで争うけれども、しかし、それがかりにそうだとしても、年金だとか退職金というのは別の次元で議論ができるではないかと言っておる。現実にそういう処理もしておるのだから。  いまあなたに検討してくれと言っておることは、検討ということは検討なんだ、検討ということに何か三つも四つも冠詞をかぶして、実際、あなたが誠意があるかないかわからぬようなことでなくして、率直にぼくの言うことが納得できるなら、情状としてわかるというのなら、すなおに検討すると言ったらどうです。
  29. 津吉伊定

    津吉説明員 私はすなおに検討いたしますということを申しておるのでありまして、これは理屈といいますか、筋、たてまえといたしましては、先ほど申し上げましたように、退職金年金制度というのは、国家公務員法の第百七条が大もとになっておりまして、国家公務員法というのは、申すまでもなく、公務員勤務関係というものの性格をあらわして諸種の規定があるわけでございますので、その中の退職金年金制度というものを考えていくにつきましては、やはり国家公務員の全般的な勤務関係の性格というものを考えなければいかぬということを申しておるのでありまして、共済年金のほうの、いま御指摘になっております懲戒処分がありました場合の給付制限について、これを検討しない、あるいは、誠意を持って検討しないというための冠として、国家公務員法の検討をしなければおれのほうはやらないということを申しておるわけではございません。これは筋の、理屈の問題として申しておるわけでございます。
  30. 横山利秋

    横山委員 はい、わかりました。十分にひとつ善処をお願いしたいと思います。  次は、遺族範囲の問題でございますけれども、国家公務員退職年金制度が、公務員または死亡後における本人または遺族のその後における適当な生活の維持をはかることを目的とするというものであれば、その遺族範囲は、公務員の在職中における被扶養家族と大体において一致されてもよいのではないかという考えを持っておるのであります。これが第一番の問題であります。  それから第二番目には、現在、遺族のうち、子または孫については十八歳未満の者に限るという年齢制限があります。しかし、十八歳というのは、通俗的に、昔からあるいろいろな角度でいわれておる数字でありますけれども、青少年の進学の実情、高校全入から、大学にも相当子弟が行っておる実情からいたしますと、私も大学生のむすこを一人持っておるわけでありますが、われわれの年配からいいまして、われわれがもし不慮の事故がありましたときに、十八歳未満だからということになりますと大学をやめさせなければいかぬ、ないしは、それらの子供が就職していたところで、家計を維持していないことは当然の状況でありますから、最近の青少年の状況から考えましても、十八歳未満に限るという年齢制限については再検討する必要があるのではないか、もう少し年齢制限を引き上げたらどうかと思われる。  また、夫、父母または祖父母に対する遺族年金については、その者が五十五歳に達するまではその支給率が停止されることになっていますが、遺族年金を受けることができる夫、父母または祖父母は、元来、公務員の在職中その俸給によって生活費が支弁され、生計を立てていたのがもうほとんどといっていいでしょうね。だから、年齢にかかわりなく支給さるべきではないかということが考えられないものであるかどうか。  号それから、旧法並びに改正後の災害補償法の例にならって、年金を受けるべき遺族とその他の給付を受けるべき遺族範囲とに分かち、職員との親族関係等の深い一定の要件に該当する遺族、すなわち、現行法による遺族には従来どおりの年金を支給し、当該遺族がない場合には、遺族年金を受けるべき遺族範囲の者のうち、生計維持要件、年齢制限等を撤廃したところの遺族に対して、組合員または組合員であった者のせめて払い込み掛け金相当分ないし持ち分処分的な考え方に立った一定額の一持金を支給することを検討することをしたらどうか。  この三番目の問題では、私が先般、ある長年働いていた職場の女性で体験をしたことでありますが、該当者としてだれももらう人がいないということですね。あれは葬祭金だけはたしかもらえるのですね。あと、年金だとか一時金というものはだれももらう人がないから一文ももらえない。それで、みんなが集まって、ちょっともらえないのか。退職金は別でありますが、掛け金もかけてあるのだから、どうしてそんな無慈悲なことだろうか、一人が死ねば、あといろいろその人のものがあれば整理もしなければならぬ、だれかがめんどうを見なければならぬということになりますと、いささかこれは酷ではないかということが、親族じゅうのお通夜の当然の話題になった。この点はどうお考えになりますか。
  31. 津吉伊定

    津吉説明員 まことに、先生のおっしゃる側面は、その面におきまして非常にお気の毒であり、ごもっともであると思います。ただし、共済年金制度といいますものは、これは組合員がそれぞれ拠出をいたしまして、もちろん国庫負担もございますが、そういう一定の財源をもちまして諸種の給付をやっていくという制度でございます。おっしゃいますように、非常に気の毒であるという場合、これをどの程度給付の対象にしていくかというその範囲によりまして、言うまでもないことでありますけれども、財源率に影響があるということは当然でございます。  したがいまして、そういう給付を前提にする設計をいたしまして、掛け金はそれに応ずるように取る。これはちょっと余談になりますけれども、いわゆる掛け捨て防止ということを一般的に考えてしまいますと、これは財源が一体幾らになるか、これは特に具体的にはじき出してはおりませんけれども、その給付範囲によりまして財源率に影響があるということは当然の話でございます。  したがいまして、国家公務員共済だけではございません。厚生年金におきましても、若干の遺族の対象の入り繰りはございますけれども、たとえば、ただいま御指摘になりました子供について、十八歳未満という要件は、これは国家公務員共済、厚生年金同様な給付条件でございます。また、たとえば労災において、ずっと遺族をさがし歩いて年金支給遺族がおりません場合には、非常に緩和な条件で、たとえば配偶者とか、あるいは最後に、とどのつまりは子供である、あるいは父母である、孫である等ということだけで一時金が支給されるという対象になる遺族であるという制度がございますけれども、これは本質的に、共済年金という制度と労災の補償という制度がやはり性格的に差異を持っておるところであると私は考えております。ということは、労災は、やはり事業主が労働災害につきまして賠償責任を負うという、その賠償をいかなる形においてもやはり当然やるべきである、したがって、その賠償金、補償金を受け取る遺族はやはり一定の順位に応じてさがしていきますけれども、その補償金は何とかして受け取るべき相手を見つけてこれを給付するということが、むしろ賠償の本旨であるというので、遺族範囲は、共済あるいは厚年に比べますと非常に広範になっておる。これは共済年金と補償制度、賠償制度との性格上の差異がここにあるのではないかというふうに考える次第でございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 財源問題となれば、一挙にこれはすべての問題について、何といいますか、議論が全然別な次元になってしまうのです。もちろん、あなたのおっしゃるように、財源問題を抜きにして議論はできないじゃないかと言われれば、それもそうではありますが、しかし、私の提起しておることが、全く新しい問題、むちゃな問題というと語弊はありますけれども、そういうことであればともかくとして、筋からいって、ほかの民法なり労基法なりと比べ、国共法、公共法、厚生法等を比較してみますときに、ほかの法律では、たとえば兄弟姉妹がそうでありますが、適用しておるではないか、民法なり労基法なり。それで、しかも先ほど申し上げたように、死んでしまって、上受け取るべき遺族がだれもないけれども、事実問題としては、本人は掛け金をかけたじゃないか、あと始末はだれかがやらんならぬじゃないかということなんかは、当然私は筋の通った話だと思うのであります。該当者がいない場合には、この一つの案では、私どもが社会党として出しておりますのは、遺族一時金に相当する額または遺族年金を一カ年分を一時金として親族に支給しろ、これが私どもの主張なんではありますけれども、もっと庶民的なお通夜の会議では、私どもはこれはこう言ってもいいのだといっても、しかし、それでもそう言わぬにしても、それにしてもひどいじゃないかということですね。出した掛け金はどうなのか、いや、あれはもうほかの組合の皆さんが別な意味で恩典を受けるのだと言っても、そういう説明では納得しないのですね。そのつもりで自分が出しているのですからね。だから、筋の通ることだといっても、これは財源問題ということに籍口することは私はできない問題である、こう考えるわけです。これはあなたも、事情としてはどうも同情に値するという話なんですけれども、どうなんですか。これまた検討ですか。
  33. 津吉伊定

    津吉説明員 おれは掛け金をしたじゃないか、掛け金をしたのに、給付要件に該当しないので給付されないではないか、これは程度問題はございますが、基本的にはやはり保険制度によりまして運営されていく、社会連帯を前提にする保障制度として社会保険制度が動いているというときに、常に、おれが出したお金はそれだけは返してくれということに当然なりますと、これは共済制度というものは本質的に成り立たぬと思います。そこで、給付の緊要性というものを、やはりこれは厚生年金においても国共と同様な要件をとっておるわけでございまして、また、先ほど再び御指摘になりましたような労基法とか労災法のほうの遺族範囲というものは、これは共済年金における遺族のつかまえ方と非常に違いまして、広範であることはたしかでございますが、これは重ねて申すようでございますが、災害補償責任を負っておる事業主がその賠償をするという意味での労災であるわけでございまして、労災あるいは厚年とのシステムの性格上の差異というものを十分見きわめてその遺族範囲を考えていくべきものだと思いますので、社会保険制度全体として総合的な検討を要するところかと思います。
  34. 横山利秋

    横山委員 いまの問題につきましては、まあ型どおりのお話でありますけれども、あなたも冒頭におっしゃったように、実情気の毒だと思うということについては、ひとつぜひまた別の角度で議論をいたしますから、検討をお願いいたしたいと思います。  次は、公社職員からこういう希望が出ておるわけであります。これは公社職員のみならず国家公務員でもそうでありましょうが、退職した場合に、病気にかかって退職した場合には、引き続きそこの職域健康保険の病院なりあるいは関係医療機関を利用できる。民間でもそうですね。ところが、退職するときの病気ならば、ある年限継続して医療機関を利用できるけれども、それがなおってしまえば、もう利用ができない、ないしは、退職したあとに病気になった場合にはその医療機関の制度が利用できないということなんであります。  長年国家公務員として、公社職員としてあるいは企業の従業員として働いた者が五十五歳なり六十歳になって退職したあとは、長年の労働によって病気が出てくるということは通常ありがちなことであります。しかも、五十五歳を過ぎて、からだも弱っておりますからね。その場合は、いまは国民健康保険に加入をする、そして国民健康保険の被保険者として町のお医者さんにかかれということになっておるわけでありますが、これらの人の言い分は幾つもあるわけであります。  一つは、一番基本的には、長年自分のからだをよく知っているそこの職域の医療機関にかからしてくれよということであります。掛け金を払ってもいい。そこでいう掛け金という意味は、複雑な意味、むずかしい問題があるということは、私どもにはわかるのですけれども、その人々はきわめて単純に、掛け金を払ってもいいからかからしてくれ、それが第一であります。  第二番目の本人たちの言い分は、「国民健康保険料は、平均して市町村税の約一・五倍であり、退職後二ケ年間は現職当時の収入を基礎として、保険料を徴収されるので、退職者にとっては、大きな負担となる」。これは調べましたところ、場所によって二年、ところによっては一年だそうでありますが、いずれにしても、一年ないし二年は退職当時の収入が基礎になるので、これはたいへん負担が大きいというのが第二番目の訴えであります。  それから第三番目の訴えは、これは私はそんなことはないはずではないかと思いますが、一応確かめておきますのは、「例えば本年三月退職した者は三月までは共済組合への掛け金を行っていたのに拘らず、国民健康保険はその年一ケ年分を納入しなければならぬような、一部二重負担をさせられている向もある。」ここで一部二重負担をさせられているというのですから、全部じゃないらしいのですが、どうしてそんなことになるのか私にはちょっとわかりかねるのでありますが、事ほどさように、ずいぶん長年勤続をして退職した人にとっては問題があるようであります。一例をあげてみますと、「東京では、本年三月三十一日退職した者が、国民健康保険に加入すると、昭和四十五年三月分まで十五万円(年額五万円)かかる。  この年額五万円の計算の基礎は、住民税算定の基礎となった前年度の収入が百十九万円以上のものである。保険金は、この額が最高限度となっている。  国鉄共済組合における現行短期給付分の掛金は千分の三五となっている。」——これは別のことでありますが、この人たちの訴えというは、実情としてはかなりわかると思いますが、以上の訴えについて、政府側の御意見を伺いたいと思います。   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
  35. 出原孝夫

    ○出原説明員 御質問の第一番の点の、退職をしたときに、引き続き同じ保険制度の中で、たとえば健康保険なり共済組合の中で医療にかかりたいという御希望につきましては、従来からもいろいろいわれておる問題でございます。ただ、医療保険の制度が国民健康保険制度を締めくくりにいたしまして国民皆保険の制度になってございますので、職域の保険が、退職されますと国保の対象になるということでございますが、引き続き、特に老齢の人についてどうするかといったような問題は、医療保険を総合的に考えるべき大きな問題でございますので、抜本対策の課題としまして、その一環として検討されることになっております。  それから第二番目の、退職後一年ないしは二年間、退職時の、つとめておりましたときの所得を基礎にして保険料が課されるという問題でございますが、被用者保険の場合と異なって、国民健康保険の場合には一年間の所得を基礎にせざるを得ないということで、前年度の所得を基礎にするということはやむを得ない事情があるわけでございます。  退職後二カ年間、要するに二年前のものを使っておるというのは、東京都をはじめごく若干の少ない例なんでございますが、これは市町村民税の基礎になります所得をもとにして国民健康保険税ないしは保険料を賦課するという事情がございますので、さらに一段と時期的におくれなければならぬ、非常に膨大な量をかかえておるところは、前年度の所得をそのまま当該年度の市町村民税の所得を基礎にするということは、技術的に困難な事情がございまして、二年前に及ばざるを得ないというのが実情であるわけでございます。おっしゃるような問題点が若干あるわけでございます。一面におきましては、二年前の所得でございますので、現在の所得よりも前のほうが低い場合もございますが、逆に高い場合も出てくるというようなことで、御質問のような矛盾はあるわけでございますが、これは私どもとしましては、できるだけ前年度の所得をとるように指導はいたしておりますけれども、やむを得ずその前をとる、そういう場合には、特別なものにつきましては、保険者の裁量によりまして減免の措置もとることができるようになっておりますので、現在の状況ではそれを活用するというほかはないわけでございます。  それから二重課税の問題でございますけれども、保険料ないし保険税につきましては、それぞれ被保険者になった日の属する月から保険料を課する、被保険者の資格を失った月は保険料を課さないという形をとっておりますので、他の制度と二重に課税するということは、国民健康保険の制度上避けるようにこしらえておるわけであります。ただ、御案内のように、医療保険の制度がかなり多岐にわたっておりますので、若干一カ月ばかりのズレというものが出てくるケースがございますので、完全に調整できておるかどうか、ちょっと疑問の点もございますが、おおむね一年間にわたって、あるいは二カ月、三カ月にわたって重複して保険料を課するというようなことはございません。何か、あるいは陳情の趣旨の取り違いかもしれませんけれども、そういうことはないかと考えます。
  36. 横山利秋

    横山委員 第一、第二の問題は、ひとつ御検討を願いたいと思います。特に第二の問題は、手続上やむを得ないから退職後の二年間は現職当時の給料で起算するということが手続上の問題であるならば、どう考えてもこれは適当でないと思います。何か十分検討をされて、是正されるように要望をいたしたいと思います。  次は、厚生年金法の特例老齢年金の問題でありますが、旧陸海軍の共済組合組合員期間につきましては、すでに二十五年、三十六年、四十年の改正によりまして、厚生年金法の被保険者になった者は、旧令共済の期間を厚生年金保険受給の資格期間としてだけ通算するようになりました。これは非常に当時改善をされたと考えられる点ではありますが、それにしても、当時も議論されたところでありますが、実際問題として、この資格期間だけでなくて、実際の期間をやってもらいたい。そんなに多くの数ではないのでありますが、ほかの保険等と勘案してみて、厚生年金額計算の基礎になる被保険者期間として取り扱うようにしてもらいたい。また、前項の改正措置がとられるまでの間、特例老齢年金受給者が死亡した場合には、遺族年金を支給するようにしてもらいたいという訴えは、これは旧軍属の今日民間におります諸君からの要望であります。  国家公務員共済組合法並びに公社共済組合法におきましては、旧陸海軍及び外地共済組合員の問題につきましては相当改善をされておるけれども、いま民間におります人たち、私の承知いたしておりますのは駐留軍関係に多いのでありますが、そういう人たちはいささかこの均衡を欠くと感じられるのでありますが、いかがでございますか。
  37. 河野共之

    河野説明員 ただいま先生から御質問のあった点でございますが、厚生省といたしましては、御質問の旧令共済組合の皆さま方が戦後大体厚生年金の被保険者として資格を得られるという方がきわめて多かった、そういうようなことから考えまして、厚生年金の面、あるいはその後引き続いての国民年金の改正もございましたけれども、厚生年金、国民年金の分野におきまして、それらの旧令共済組合の方々につきましては一応これを資格期間として見る、こういうふうな改善をいたしたわけでございます。  その考え方といたしましては、これは老齢年金等の通算、通算老齢年金、こういうことで制度がまたがっております場合にその年金の通算をいたす、こういうことを考えたわけでございますが、その特例といたしまして、この旧令共済につきましての資格期間を厚生年金あるいは国民年金において見る、こういうことにいたしたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、それらのものを見る場合に、厚生年金あるいは国民年金の被保険者としてあった期間だけをその厚年、国年の制度で見るというのはやむを得ない措置かと存じておるわけであります。
  38. 横山利秋

    横山委員 やむを得ないというのは、資格期間とするのが精一ぱいだという意味ですか。
  39. 河野共之

    河野説明員 私どもといたしましては、これを通算年金の特例といたしまして、資格期間の中に見込むという改善をいたしたわけでございまして、これは実際の問題といたしまして、それをから期間でなくて実をつけるという問題は、これはまた別の問題であろうかと考えておるわけでございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 その別の問題を聞いておる、別の問題をしてやってくれないか、こう言っておるのです。資格期間にしたことは改善ではあろうけれども、しかし、それではほかの公社職員国家公務員の旧令共済の期間のものと比較して気の毒ではないか、だから、百尺竿頭一歩を進めて、つり合いをとってやれ、こういう意味で言っておるのです。
  41. 河野共之

    河野説明員 御質問の趣旨はよく承知いたしておりますけれども、厚生年金あるいは国民年金制度といたしましては、それらのものの資格、それらのものの被保険者であった期間について見るということになるわけでございます。
  42. 横山利秋

    横山委員 それはわかっておるから、実をつけてやったらどうかという意味なんです。
  43. 河野共之

    河野説明員 厚生年金制度としては……。(横山委員「これは実がつけられないのか」と呼ぶ)はい、そういうことです。
  44. 横山利秋

    横山委員 はい、といって、それだけ大きな声でおっしゃるのだけれども、実をつけてやったらどうか、他の関係もあり、つり合いをとってやったらどうかと言うのですけれども、これはたいした数じゃないです、私の承知しておるところでは。——ちょっといま人数を忘れたのですけれども、あなたのほうで、どのくらいの人数で、どのくらいの財源が必要かということを計算されましたか。
  45. 滝沢信夫

    ○滝沢説明員 私のほうは現業面を担当しておりますが、ただいまの特例老齢年金の件数につきましては、二月末現在におきまして百三十一件、年金額におきまして平均四万三千円でございます。
  46. 横山利秋

    横山委員 たいしたことないな。どうなんだね、河野さん。
  47. 河野共之

    河野説明員 通算老齢年金と申しますのは、資格期間を、それぞれの制度、二本以上の制度でございますが、それを通算して老齢年金の資格が出る、こういう形でやっております。それぞれの給付の額につきましては、厚生年金は厚生年金の被保険者だった期間の額を見る、それからほかの制度についてはほかの制度で見て、その額を合わせた額が支給される、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、通算される場合には、厚生年金あるいは国民年金としての資格期間であった額を見るというのがたてまえになっております。そういうわけでございますから、それにつきまして、そういう原則的なものの例外というような形になるわけでございます。そういう意味で私ども先ほどから御返事を申し上げておるわけでございます。
  48. 横山利秋

    横山委員 百三十人ぐらいの人で、金額としても四万円平均だということで……。(発信する者あり)委員長、静粛にするよう命じてください。いま大事なところなのです。
  49. 藤井勝志

    藤井委員長代理 御静粛に願います。
  50. 横山利秋

    横山委員 与党の諸君にもわかるように言いますが、とにかくわれわれは、旧陸海軍の共済組合組合員、その人たちで国家公務員なり公社職員になっている人についてはうまいこと処理をしてきたわけだ。ところが、その旧陸海軍の人たちが、民間で駐留軍や何かにおるときには、その期間を資格期間として通算されてないわけだ。だから、実をつけてやれと言っておるわけですよ。それが向こうの話になると、全国で百三十人くらいになる。百三十人くらいで四万三千円平均ですか、つり合いがとれぬですよ。百三十人くらいなものだから声が小さいわけだ。ほかの人は、国家公務員公社職員はうまいことやっておるのだが、なぜわしのほうは実をつけてくれぬのだ、こう言うわけだ。大体皆さん御賛成のようですがね。どうですか。
  51. 河野共之

    河野説明員 先ほどから申し上げておりますように、旧令の共済組合員の資格であった部分について厚生年金で見るというのは筋が違うということであろうかと思います。(発言する者あり)
  52. 藤井勝志

    藤井委員長代理 静粛に願います。
  53. 河野共之

    河野説明員 これは先ほどから申し上げましたように、もし厚生年金あるいは国民年金で見るというのは、ほかの老齢年金を通算する資格期間として見る場合でも、すべてそれぞれその被保険者期間であった制度によって見る、こういうたてまえになっておりますので、旧令共済組合につきましても、その旧令共済組合員であった部分につきましては、厚生年金あるいは国民年金以外の制度でもってめんどうを見るというのが筋であろうか、こういうことを申し上げているわけでございます。
  54. 武藤山治

    武藤(山)委員 関連して。  しかし、いまの議論は、理論としては一応成り立っても、現実共済にはいま入ってない、それで厚生年金のほうへ全部移ってしまっている、国家公務員ではない、そういう人のことですね。したがって、それを共済のたてまえは共済で救済すべきだといっても、もう共済では救うひもが全然ついていないわけでしょう、本人とのつながりが。だから、どうしてもそういう場合には厚生年金是正する以外にない。  その場合、厚生年金法を、そういう人を救済するために変えると、どういう支障があるのですか。特例で変えたっていいのじゃないですか。法律さえ直せば救済できるのじゃないですか。どうですか。いまある法律の中ではできないけれども、その法律を直すことによってどんな不都合が出るだろう。ちょっとそこを明らかにしてください。
  55. 河野共之

    河野説明員 これは、厚生年金のたてまえとしましては、一応厚生年金の被保険者として保険料を徴収し、厚生年金保険の被保険者である範囲についてこの法律でめんどうを見る、こういうたてまえをとっております。したがいまして、そういう基本的なたてまえをくずすという形になりますし、また旧令共済組合員につきましては、これは旧令共済のほうでいろいろと処理をされておられるかというふうに存じておりますので、そういう問題もございまして、これを厚生年金等で扱うということには、私どもとしては問題があると考えております。
  56. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、いま横山委員の取り上げている問題を旧令共済のほうで一応通算期間に見て、それから厚年のほうでこの百三十人についてはこういう計算、手直しをしました、そういうことを旧令共済に基づいていまからでもやることは法的にはできることなのか、できないことなのか。手続上、国会で承認しさえすればできるのか、できないのか。それはどうなんですか。旧令共済で、ではその分は見て、それで厚生年金のほうでこういう特例ができたので、この百三十人については、全部計算のし直しをして給付を認める、こういうことはどうなんですか。できるのですか、できないのですか、今の時点では。
  57. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 せっかくの御希望なりお問い合わせでございますが、それはやはり厚年のほうの問題でございますので、この共済のほうの問題で解決をされるということは少し無理だと思います。  なお、先ほど来、私どもの大蔵省の所管ではありませんけれども、やはり厚年というものの性格から見まして、資格通算のときにもいろいろ問題があったのですけれども、資格だけは一応通算をしても、給付のときの金額の計算については、これは厚年の立場から見ますと全然別個な制度の対象者の問題でございますので、いま百三十人というおことばがございますが、これをやりますと、今度他の通算の関係の方々にも全部響く問題でございますので、厚年がそれぞれやはり厚生年金加入者の保険料、そういうものでいろいろ財源計算というものを長時にわたってその見通しをつけながらやっていかなければならない、そういうたてまえから、これは制度としてなかなか困難じゃないかと私は思うのです。しかし、これは厚年のほうの立場で十分議論をしていただかなければいかぬ問題である。いま武藤先生のおっしゃるように、こちらで何かしろ、こう言われましても、少し無理かと思います。
  58. 横山利秋

    横山委員 時間がなくなりましたのでなんですが、しかし、政務次官のおっしゃるのも少し筋が通らぬところが一つある。  それは、あなたも認めておられるように、この四十年に厚生年金保険法の改正によって、旧令共済の期間を厚生年金保険受給の資格年数としてだけ通算をしたという事実、これはまあ、やっちゃったわけですね。ですから、オール・オア・ナッシングならあなたの理論も通ると思うのですが、資格年数として厚年法の改正によって入れてしまったわけです。うちの中へ、玄関までは入れてしまったわけだ。それが座敷へ入っていかぬというのがそちらの話なんだけれども、いずれにしたって、うちへ入れてやったじゃないか、入れた以上は、玄関に立っておれというわけがないじゃないかというのが私の言い分です。あなたは、いや、玄関だけしか入れぬというつもりで入れたんだと言うけれども、うちの中へ入れたことは入れた。その点は、あなた、論理が矛盾していますよ。(「お茶ぐらい出すべきだよ」と呼ぶ者あり)ですから私は、玄関まで入れたら——いまうしろで、お茶ぐらい出せと言っているけれども、なんで座敷へ入れぬか、そんな理屈の通らぬ話があるかというのです。しかしこれは、時間がございませんのであれですが、私はまだ問題も残っておりますから、次回にもう一度厚生省とよく話し合ってみたいと思います。あまり長くなっては恐縮でありますから、次回までに話を打ち合わせてみて、問題をさらに詰めて提起をいたしたい。その際には、ひとつ政務次官も玄関説を振り捨てて、奥座敷説まで譲歩されるように要望いたしまして、きょうの私の質問を終わります。
  59. 藤井勝志

    藤井委員長代理 只松祐治君。
  60. 只松祐治

    ○只松委員 賛成法案でございますから、与党の議員が少ないけれども、いたし方なく質問をいたしますが、前回この法案が審議される際には、私たちはまっこうから反対をしたわけです。私たちの強い反対の結果、初年度五千円、二年度一万円、三年度一万七千五百円、三段階の課税がなされる、こういうことになりました。本年度は第二年目になり、現在一万円になっておる。そこで今度の法案は、これをあと二年間続けよう、こういう趣旨の法案であるわけでございます。私たちは賛成ということを言いましたけれども、本来は、これを廃止すべきだ、こういう立場をとっておったわけですから、これはもろ手をあげての賛成ではなくて、これもいたし方なくの賛成、こういうことになる。  そこで、本来はこれは運輸省の自動車局長等においでいただいて聞いたほうがいいかと思うのですが、泉さんでもけっこうでございますが、この法案が施行されまして、私たちが反対いたしましたように、これだけの物価高の中でタクシー料金が上がらなくて済みました。あるいは、小さいタクシー会社というのは、大きく上がれば倒産をしなければならない、こういう状態でありましたけれども、幸い需給状況が一応好転をして、ガス料金が下がる、こういうことで、タクシー会社の倒産もそう見ないで済んだ、こういうことだと思うのです。私たちが強く反対をいたしました原因がいかに正しかったかということが私は立証されたものだと喜んでおります。長官もそのようにお考えになりますか、どうですか。
  61. 泉美之松

    ○泉政府委員 昨年から石油ガス税が課税になりまして以来の状況をいろいろ見てまいりますと、お話のように、石油ガスにつきまして、需給の関係が、それ以前に比べますと、かなり円滑になってまいっておりまして、その関係で値段も、石油ガス税が課税になったからさらに大きく値上がりするといったようなことはなくて、むしろそれ以前とあまり変わらないといったような状況でありますので、タクシー料金の値上がりを見ずして現状に至っておる。そして一時は、本年から税額が一万円に上がった分についてだけは納税しないといったような業者の意向も見られたわけでありますけれども、しかし、先ほど申し上げましたような業界の状況からいたしまして、幸いにして円滑に納税をしていただいております。そういう点では、現在のところ問題はたいしてないというふうに感じております。
  62. 只松祐治

    ○只松委員 ここで私は少し通産省に今後の需給状況の見通し——こういうガスは貯蔵タンク、貯蔵設備というようなものが非常に重要な関係になってまいりますので、そういう問題について若干お尋ねをしようかと思っておったのですが、来ておらないようでございますが、大蔵省のほうではわかりますか。——ては、この問題は次にでも譲ることにいたします。  そうやって課税されたわけでございますけれども、私が見聞する限りでは、私たちもいつもいろいろ要望をいたしましたし、あるいは業界にも配慮を要求したわけでございますが、いわゆる中間の業者がこういうふうに大きな課税をされるということはあまり例が少ないわけでございます。それにもかかわらず、初めてこういう中間の中小企業者が相当多額の税を国税当局に納める、こういうことをすることになったわけでございますが、私の見聞する限りではわりあいに調子よくいっていると申しますか、そう大きな滞納もなく今日にきておるようでございますが、その後の収納状況といいますか、税の徴収状況はどういうふうになっておりますか。
  63. 泉美之松

    ○泉政府委員 いま申し上げましたように、石油ガス税の課税状況は相当円滑にいっておりまして、たとえば四十一年度の状況について申し上げますと、これは御承知のように、四十一年の三月に出荷したものから四十二年の二月に出荷したものの一年間でございますが、その課税数量が八十一万千四百五十九トンでありまして、それに対する税額が四十七億九千九百五十八万九千円、こういうふうに相なっております。もちろん、この間には税率が本年一月から上がっております。それまでの前の税率の分が相当多いわけであります。しかし、税率が上がりました後におきましても納付の状況は円滑にまいっておるように見受けられます。
  64. 只松祐治

    ○只松委員 いまの国税庁長官のお答えでも、円滑にいっておる、こういうことのようでございます。そこで、本年おそらくこの税額は百億円をこす、こういうことになるだろうと思います。税率も上がりますし、また使用自動車の台数等も伸びておりますから上がるだろうと思います。百億円をこすだろうと思います。ところが、一般の酒造組合であるとか、あるいはガソリンの場合は一年分まとめて納めるとか、税によっては、大蔵省あるいは国税当局がそれぞれに優遇措置なり何なり講じておるわけですが、きょうは時間がありませんからそれほど論議いたしませんが、山中委員からも強い付帯意見が出されましたように、何と申しましても、中小企業者の中間業者、メーカーでもなれけば直接小売りでもない、そこにこういうものが課税をされている。  たとえば、いま多く手形が使われているわけですけれども、その手形というのは、一カ月、二カ月というのはほとんどなくて、三カ月なり半年なりというのが多い。そういう中で、この税だけはカ月ごとに納めなければならない、こういう状況にある。そこで延納の手続やなんか、延納でも二カ月しかできないわけですが、それをするのに国債及び銀行保証に限られておるわけですが、銀行保証をとるにも平均二十日から一カ月近くかかる、平均二十五日ぐらいかかる、こういうことでございます。というのは、支店長じゃなくて頭取の認めをもらわなければならない、こういうことに銀行保証はなっておるようでございます。これが、非常に収納状況が悪いとか、税の徴収に非常に危険が伴う、こういうことになれば、もっと手続を強くするとかなんとかいうことを考えるべきでしようけれども、いまの状況で、しかも、今後においてもそう収納状況の悪化というものは予測されない場合は、しかも、こういう本質的に課税の対象にするのはどうかと思われるような中間業者、スタンド業者に課税をしておるわけですから、私は、大蔵当局、国税当局が何らかの優遇措置をやはり講ずべきだろう、そういうものの一つとして、いま二カ月になっているのを何とか三カ月にする、あるいはこの保証を、受け取り手形でも認める、こういう形のものをお考えになってもいいのではないか、こういうふうに思うわけです。そういう点について何らかの便法を講ずる余地というものがありますかどうか。
  65. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知のとおり、石油ガス税につきましては、一カ月の間にそのガソリンスタンドで出荷と申しますか、移出いたした分につきまして、その翌月末までに申告いたしまして、さらに翌月末に納付する、したがいまして、平均して十五日とかりにいたしますと、納付までに二カ月半の期間があるわけでございます。まあ、三十日の月もあれば三十一日の月もありますから、日数であらわしますと七十六・二日とかなんとかいう数字になるようでありますが、そういう期間がありますので、問題は、その間に代金が回収されるかどうかということにかかっておるかと思います。私どものほうで代金の回収状況を調査いたしておりますが、東京地区と大阪地区で若干違いがあるようでありまして、大阪地区では七十・八日ということでありますから、これはもう十分その期間の中に入る、それから東京地区におきましては七十八・七日ということでございますので、若干いまの七十六日を二日ほどオーバーしておるような状況であります。しかし、御承知のように、その納期限から、担保を提供しますとさらに一カ月延納ができるということになっておりまして、通算いたしますと、正確にいうと百六・何日ということになるわけであります。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 常識的にいっても三カ月半でありますから百五日ということがいえるわけでありまして、三十一日の日数なんか計算すると百六・何日ということになるわけであります。その期間からいたしますと十分回収できるのでありまして、もちろん、いま申し上げました代金回収の日数というのは平均でございますので、長いものがございます。お話のように三カ月の手形というものもあるようであります。しかし、平均いたしますと、いま言ったような数字になっております。  したがいまして、たとえば東京国税局管内におきます延納の状況を見ますと、業者が二百八十業者おるわけでありますが、そのうち、延納を申し出ておりますのは十四件だけでありまして、その数はかなり少ない姿になっております。もっとも、こういう人たちはスタンドを一カ所だけでなしに数カ所持っておりますので、そういったことからいたしますと、スタンドごとに延納を認めておりますので、延納件数といたしましては十八件になっております。しかし、いずれにしましても、その数字はたいしたことはないようであります。  ただ、いまお話の担保につきまして、実は、私どものほうで担保の制限をいたしておりますのは、揮発油税と地方道路税だけでありまして、石油ガス税につきましては、別段、銀行保証に限るとか個人保証を認めないというようなことはいたしておりません。個人保証でもいいということにいたしております。ただ、個人保証の場合におきましても、もし延納した税額が納付されないということになりますと問題が起きますので、信用力のある個人に限る、こういうことにいたしておるわけであります。先般も、たしか只松委員からお話がございまして、こういったスタンド業者の人が協同組合をつくっている、あるいは以前からスタンドの協会があります。そういったところで連帯保証をするというようなことはどうだろうかというようなお話があったわけであります。ただ、現状におきましては、協同組合が一応できたのでありますが、ほとんど活動いたしておりません。それからスタンド協会のほうは、会費を集めるだけでありまして、資産が全然ありません。したがいまして、私どもとしましては、別段どういう保証でないといかぬということはないのでありますが、やはり資金を持っておって、それが納税について延納を認めるについて担保になり得るという資力がある場合に限らざるを得ないということになろうかと思います。無資産のものに保証といわれても、ちょっと、万一のことを考えますと問題がございますので、したがいまして、何らか資産がありますれば、それをもとにいたしまして連帯保証でも認めることができると思うのでございますが、いかんせん、現在のところ資産がございませんのでそこまで至っておらない状況にあります。
  66. 只松祐治

    ○只松委員 いまあまり延納の必要はないというような趣旨のお話があったわけですが、これは、初めてできたのに、今後国税当局に善処分を要望したりいろいろなことをする、その場合に、滞納したり何かしたりして納税成績がよくないと、そんなことではだめだというので、私たちも、事あるごとに積極的に納めるように、あるいは滞納している人があれば、業界の人がお互いに切磋琢磨して納めさせるように、こういうことをやっておるようですね。そこで私は、そんなに悪くないはずだ、こう言っておるわけですが、お互いに業界同士でも、悪いところが一カ月か滞納すると、あそこは悪いじゃないかということで、知った人を通じて督励して納税させるとか、そういうことで非常に納税成績があがっておるようです。そういう結果、東京あたりではこういういい結果——全国的にそうですが、いい結果が出ている。何ぶんにも中小企業者でありますから、納税するのにも手間がかかるし、いろいろなことから始まって、それから個人担保といいましても、やっと自己資金でスタンドをつくった、こういうことで、いわゆる酒造メーカーあるいはガソリンや何かのメーカー、こういうメーカーと違って、大きな金を動かしたり、あるいは銀行にそんなに強い信用力があるというものではないわけですね。にかかわらずこれだけの成績をあげてきている。しかも、本年から多少税率が上がるわけですから税額が全国で百億円をこすという状態になってくる。そうするならば、たとえば酒造組合に対していま二千万円からのものが奨励金みたいな形で出ておりますね。こういう形にするか何かは別にしたところで、とにかくこういう納税組合に対しては若干の奨励金が出る、こういう形のものがあるわけですが、中間業者がこれだけ苦心して、国税当局、国政に協力しておるならば、何らかの優遇措置というものはやっぱり講じてもいいのではないか、こういうことを思うわけですね。そういう点について、私はここで法案として酒造組合のような形でせよということまでは申しません。しかし、ガス税法案ができるときは、委員会でも附帯決議にいたしましたか、そういう意見を若干出したわけですけれども、まあ考慮する、こういうことに——これは議事録を調べてみなければ、附帯決議になったかどうか私はちょっと覚えませんが、そういうことをひとつお考えになっていただきたい。というのは、これもそのときちょっと申しましたけれども、たとえば、タクシーは全部納めておるけれども、トラックなり何なり、こういうことを順次——これは出ておりますように、一酸化炭素の量が少ないとか、あるいはほかのいろいろな面で乗用車とかタクシー以外にも普及してきておる。こういうものは、スタンドを使わないで、家庭ボンベ等で入れる向きその他も出てきておりますね。こういうような面等、いろいろなことを考慮して、やはり納めるべき税金は納める、そのかわり、納めたものに対しては、青色申告に対していろいろ優遇措置を講じておるように——白色に対してはそれほどでないけれども、青色は優遇措置を講ずる。来年度からは完全給与制を実施する、白色にはそういうことをしない。こういうふうでありますように、国政に協力する、こういう納税団体に対しては、しかも、スタンドという中間業者のこういうものに対しては、やはり優遇措置を講ずべきではないだろうか、こういうことをそのときも思って、その後一年間の状況というものを見てまいりましても、皆さん方の前に行けば——国税当局に何か二、三日前も呼び出されたそうですが、内容がわからないということで行かなかったようでございますが、国税当局等に参りますと、やはり業者ですからそう強いことが言えない。ぼくらのところに来れば、そういういろいろな悩みやなんかをいろいろおっしゃるわけですから、ひとつ、そういう点も十分に御配慮をいただいて、円滑な納税行政を行なうように努力されたらどうだろうか、こういうことを思っておるわけです。こまかい問題、スタンド協会の資金運用その他等、ここで論議をすべき問題ではありませんから私は論議いたしませんけれども、そういう点の御配慮があれば、そういうふうにも私たちは善処をさしたいと思います。ひとつ、重ねて長官のそういう点に対する善処方をお願い申し上げたいと思います。  特に、これも技術的な面になりますが、手形で不渡りになれば、それはすぐ業者が責任を負うわけですから、それもほとんど問題は生じてこないと思うのですが、手形で銀行保証にかわって一カ月くらいのものを認める、こういうことができるかどうか。その点も、きょう即答ができなければ、あとで検討してお答えいただいてけっこうでございます。
  67. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、石油ガス税の納税義務者になっておりますのはいわゆるスタンド業者でございまして、中小企業者でありますことはお話のとおりであります。したがいまして、私どもといたしましても、あの法案が成立する際いろいろお話がございました点を十分考慮いたしまして行政をやっているわけでございます。たとえば、石油ガスの容器の表示証を私のほうで印刷いたしまして、これを協同組合を通じて各組合員に配って、それを表示することによって、課税のものであるかそうでないかということが明確にできる、それによって協同組合としての力を強めていくことができるというような形もとっております。いろいろ御相談に応じて措置をしてきているわけであります。  ただ、先ほども申し上げましたように、せっかくつくった協同組合があまり働きをしておらないのが現状であります。この点につきましては、ひとつ通産省ともよく打ち合わせまして、どういう形が業界として最も望ましいのであるか、どうして協同組合の形でうまくいかないのであるか、そういった点を十分検討いたしました上で、さらに適切な措置を講じたい、このように考えております。  なお、手形で保証したらどうかというお話でございますが、手形にもいろいろございます。銀行の保証のある手形ですとあれでありますが、個人間の手形でございますと、なかなかそれを担保に保証というわけにはまいりかねると思います。それよりはむしろ、いま申し上げましたように、協同組合なりあるいはスタンド協会なりに資金がありまして、その資金を見返りに連帯保証するといったような形のほうが望ましいのではないか、このように考えております。
  68. 只松祐治

    ○只松委員 通産省がお見えになっておりませんので、これで私の質問を終わりますが、いままで、たとえば都市ガスにいたしましても、石炭ガスだったのがプロパンなりブタンなりナフサなりぶち込んできておる。あるいは都市ガスが七百万戸に対してプロパンガスが千二百万戸、こうやってふえてきております。あるいは、明年度あたりから新たにLMGとかあるいはLNGとか、こういうものがアラスカ等から入ってくる。こうやって日本の燃料革命というのは、家庭燃料あるいは工業燃料その他大きく変化をしてきている。またすると思うのです。したがって、こういう問題に対する課税のあり方、あるいは、その前に全体としての燃料エネルギー行政といいますか、当然それに伴ってどう課税をしてくるか、いまガソリン税とか揮発油税がかかっておりますが、LNGにはこういうものがかかるのかかからないのかわかりませんけれども、こういう新しい燃料革命というか、燃料体制のもとにおいては、私は課税についてもやはり総合的な検討を必要とするのではないか、こういうことを考えております。したがいまして、エネルギー革命といいますか、燃料革命といいますか、そういうものに対応する税務行政というものを今日からお考えになっておく必要があるのではないか、こういうことだけを申し述べまして、その対象となるべき通産省の鉱山局の人がお見えになっておりませんので、私の質問を終わります。
  69. 内田常雄

    内田委員長 次回は、明後十六日、金曜日、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会