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1967-06-02 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員   委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    菅  太郎君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君      小宮山重四郎君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    砂田 重民君       西岡 武夫君    村上信二郎君       山中 貞則君    渡辺美智雄君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    村山 喜一君       山田 耻目君    横山 利秋君       永末 英一君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次         長       岩尾  一君         大蔵省主計局次         長       武藤謙二郎君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         運輸政務次官  金丸  信君         自治政務次官  伊東 隆治君  委員外出席者         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君         自治大臣官房参         事官      鎌田 要人君         自治大臣官房参         事官      倉橋 義長君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月一日  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(横山利秋君外十三名提出衆法第一三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第四九号)  石油ガス税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  昭和四十二年度における旧令による共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改定に関する法律案内閣提  出第七五号)  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律案内閣提出第一〇一号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  去る五月十日設置が決定いたしました三つの小委員会の小委員及び小委員長を、この際委員長より指名いたします。  小委員の氏名は、公報をもってお知らせすることとし、税制及び税の執行に関する小委員長には足立篤郎君、金融及び証券に関する小委員長には小峯柳多君、財政制度に関する小委員長には藤井勝志君をそれぞれ指名いたします。      ————◇—————
  3. 内田常雄

    内田委員長 次に、石油ガス税法の一部を改正する法律案昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案議題といたします。     —————————————
  4. 内田常雄

    内田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。まず、小沢大蔵政務次官
  5. 小沢辰男

    小沢政府委員 ただいま議題となりました石油ガス税法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  初めに、石油ガス税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  石油ガス税税率は、一キログラムにつき十七円五十銭でありますが、暫定的な措置として、本年末まで一キログラムにつき十円ということにしております。この暫定的な軽減税率適用に関して種々検討いたしました結果、なお二年間延長することが必要であると認めましたので、この法律案提出した次第であります。  次に昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案について申し上げます。  この法律は、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法昭和三十三年改正前の旧国家公務員共済組合法及び現行国家公務員共済組合法規定により現に支給されている年金につきまして、このたび別途本国会提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて年金額引き上げるとともに、所要措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、年金額引き上げであります。  まず、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法規定により支給されている年金につきましては、従来と同様に恩給における改正措置にならい、年金額計算基礎となる俸給の額を原則として一〇%引き上げるとともに、六十五歳以上の年金受給者等にかかる年金につきまして、この年金額計算基礎となる俸給の額に、さらに、一〇%または一八・五%に相当する額を加えた額を年金額計算基礎となる額とすることといたしております。  また、現行国家公務員共済組合法規定により支給されている年金につきましては、現在、年金受給者退職時の俸給をいわゆる二万円ベースに換算した額に、その二〇%を加えた額を年金額算定基礎となる俸給の額とし、その額が退職時における年金額算定基礎となる俸給の額をこえる場合には年金改定を行なうこととしておりますが、今回これを改め、現行法施行前の期間に対応する部分につきましては、年金改定における年金額算定基礎となる俸給の額を恩給における改正措置にならい引き上げることとし、また、現行法施行後の期間に対応する部分につきましては、その社会保険制度としてのたてまえにかんがみまして、年金改定における年金額算定基礎となる俸給の額を一〇%引き上げて、これを基礎として計算した年金額既裁定年金額を上回るときは、その差額に相当する額の引き上げを行なうことといたしております。  第二は、今回の年金額改定に要する費用負担であります。  旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法規定による年金額改定に要する費用は、従来と同様に全額国負担することといたしております。  また、現行国家公務員共済組合法による年金額改定に要する費用につきましても、従来と同様に、現行法施行前の期間に対応するものにつきましては、全額国負担することとし、現行法施行後の期間に対応するものにつきましては、原則として国及び組合員負担することといたしております。  第三は、いわゆる旧勅令による共済組合組合員であった期間取り扱い改正であります。  昭和三十六年の国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律施行の日前に組合員資格を喪失した者の旧勅令による共済組合員であった期間につきましては、現行国家公務員共済組合法施行後に組合員資格を喪失した者の旧国家公務員共済組合法適用を受けた期間取り扱いとの均衡を考慮いたしまして、同日以後に組合員資格を喪失した者の取り扱いと同様にその期間年金額計算基礎とすることといたしております。  第四は、増加恩給受給権を放棄した者に関する取り扱い改正であります。  現行国家公務員共済組合法施行の際に増加恩給受給権を放棄した組合員に対する給付につきましては、その廃疾程度を加味することとし、現行法施行後において公務により廃疾となった者と同様に取り扱う措置を講ずることといたしております。なお、現在増加恩給受給権を有している組合員一定期間内にこれを放棄した場合につきましても、同様に取り扱うことといたしております。  このほか、この法律案におきましては、恩給改正に伴う所要措置等を講ずることといたしております。  以上が、石油ガス税法の一部を改正する法律案外一法案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  6. 内田常雄

  7. 金丸信

    金丸政府委員 ただいま議題となりました昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、旧国家公務員共済組合法及び現行公共企業体職員等共済組合法に基づく既裁定年金の額につきまして、このたび、別途本国会提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定等措置に準じまして、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案による国家公務員共済年金の額の改定と同様の改定を行ないますとともに、その他所要改正措置を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、年金額引き上げであります。  まず、旧国家公務員共済組合法に基づく年金受給者年金につきましては、従前と同様に、今回も、恩給法改正措置にならい、年金額算定基礎となる俸給の額を原則として一〇%、七十歳以上の年金受給者につきましては二八・五%、六十五歳以上七十歳未満年金受給者及び六十五歳未満遺族年金受給者のうち妻、子または孫につきましては二〇%それぞれ引き上げることといたしております。  また、現行公共企業体職員等共済組合法に基づく年金受給者年金につきましては、その年金額算定基礎となる俸給の額は、現在ではいわゆる二万円ベース俸給退職するまで受けていたと仮定した場合の俸給額を二〇%増額した額となっておりますが、今回これを恩給及び国家公務員共済年金改定措置に準じて改め、現行法施行日前の組合員期間に対応する部分につきましては、年金額算定基礎となる俸給の額を原則として一〇%、七十歳以上の年金受給者につきましては、二八・五%、六十五歳以上七十歳未満年金受給者及び六十五歳未満遺族年金受給者のうち妻、子または孫につきましては二〇%それぞれ引き上げるとともに、現行法施行日以後の組合員期間に対応する部分につきましては、年金額算定基礎となる俸給の額を一律に一〇%引き上げることといたしております。  なお、上記により年金額改定した場合に、既裁定年金額の方が多い場合には、従前年金額を、そのまま支給することといたしております。  第二は、今回の年金額改定に要する費用負担についてであります。  まず、旧国家公務員共済組合法に基づく年金の額の改定に要する費用につきましては、従前と同様に全額公共企業体負担することといたしております。  次に、現行公共企業体職員等共済組合法に基づく年金の額の改定に要する費用につきましては、国家公務員共済年金の場合と同様に、現行法施行日前の組合員期間に対応する部分につきましては公共企業体負担することとし、現行法施行日以後の組合員期間に対応する部分につきましては公共企業体組合員負担することといたしております。  第三は、恩給法等改正に伴う措置であります。  第一点といたしましては、恩給法等改正に伴い新たに軍人普通恩給等を受けることとなる者につきまして、軍人普通恩給等退職年金等とが同じ期間について二重に支給されることのないよう所要調整措置を講ずるものであります。  第二点といたしましては、恩給法等改正に伴い、新たに恩給公務員期間とみなされる期間公共企業体共済組合組合員期間に算入されることにより、更新組合員等であった者またはその遺族で新たに退職年金または遺族年金が支給されることとなる者または既裁定年金額改定されることとなる者について、所要措置を講ずるものであります。  第四は、現行公共企業体職員等共済組合法の一部改正であります。  恩給公務員期間加算年を算入して初めて退職年金年限に達する者の退職年金及び遺族年金年額は、原則として、加算年年数を除いた期間年数に基づいて計算して得た額とされておりますが、今回の恩給法改正措置に準じ、七十歳以上の年金受給者年額につきましては、最短年金年限に達するまでの加算年を、年金計算対象となる年数に準じて取り扱うよう改めるものであります。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  8. 内田常雄

    内田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  右三案に対する質疑は、後日に譲ります。      ————◇—————
  9. 内田常雄

    内田委員長 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。
  10. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 地方財政が、実質財源が非常に貧弱だ、こういうことで、もっと地方税財源を強化しなければならない、こういうふうに言われておるわけでありますが、ことしの地方財政計画を見ましても、たばこ消費税を上げたという程度のことであって、見るべき改善というようなものもないじゃないか、こういうような状況一つあると思うのです。  そういう中で、私ども一つ危惧を抱く問題は、地方財政の中で占める地方債というものが非常にウエートを増してきている。比率をとってみますと必ずしもそうでないように出ておりますけれども、金額的に非常に増大の一途をたどっておる。現在、ことしの場合でも、地方債の総額は六千六百九億円だ、こう言われております。しかし、それは前年に比して非常に減額したものだ、こういうわけでありますが、前年は特別事業債を多額に発行している、さらに公営企業再建債どもあった。こういうものを差し引きますと、やはり六千百八十九億円ということで、前年対比では八百八十二億円も実質的にはこれは増加を見ている、こういうように見なければならぬと思うのであります。  こういうように、年々地方債増加をしてくる、こういうことに対して、一体自治省はどういうようにお考えになっておられるか、まずこの点をお伺いしたい。
  11. 伊東隆治

    伊東政府委員 地方財源の貧弱なことは御承知のとおりでございますので、その財源充実に関しては、いま鋭意努力をしておるのでございます。それで、住民税の最低限の引き上げについても、衆参両院地方行政委員会で決議がありますけれども、それらについても、大いにその点を勘案して、いま努力中でございます。
  12. 鎌田要人

    鎌田説明員 ちょっと事務的に補足させていただきたいと思います。  地方債地方歳入中に占めます割合、あるいはまた地方歳出に対しまして、公債費の占めます割合は、確かに御指摘になりましたように、この率といたしましてはそう高い率を占めていないわけでありますけれども、年々かなりの額の増加というものを見ております。この点につきましては、私ども地方債の銘柄と申しますか、起債目的に応じまして、個々団体財政事情というものも勘案しながら、慎重に許可をいたしておるわけでございます。  なお、総ワクの点でございますが、普通会計債公営企業債に私ども地方債を分類いたしておりますけれども、この普通会計債につきましては、前年度に比べまして、昭和四十二年度の計画におきましては五百九十四億円、特別事業債を含んでおるわけでございますけれども、差し引き五百九十四億円というものは減少をいたしておる、普通会計の面におきましては、そういう形で、公債発行額については増加を抑制しておるという形が出ておるわけでございます。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いずれにいたしましても、地方債というのは借金なわけです。国債の場合でも、今度の減債基金制度改正の問題、国債償還に関する法律改正も実は提案されておるわけであります。そういうようにして、しかもまだ国債の場合には、これはいわゆる経済見通しや景気との関係において、公債発行が適切であるかどうかというようなことについての論議は、ここでの論議ではないことにして譲りますが、いずれにしても、長期の国債というものが、減債基金をもって債還計画を立てていこうという対象になるものが一兆三千億円程度だろうと思うのです。それにしても、これは財政法の制約がきちんとあるから、それに対して国でもいろいろ考えなければならぬわけでありますが、今度法律改正をして国債の信用を維持する、こういうようなことにもなっておるわけであります。  これについての議論は別にいたしまして、そういうようになっておるにもかかわらず、地方債はとにかく累増一途をたどっております。普通会計債あるいは公営企業債の両方に分けましても、これはしょせん、今日の公営企業体の赤字が出れば、結局は大衆に対して値上げをもって負担をしいるか、あるいは、一般会計から繰り入れをするか、あるいはまた、再建債という特別なものも去年あたりから出しておるようでありますが、いずれにしても、そういう形で住民負担に転稼をされていくわけでありますから、総合的にこれをとらえた形において見ますと、かなり膨大な累積が、現在高というものがあるのではないか。これは自治省からいただいた資料によりましても、大体確実にわかっているもので、四十年度で二兆八千三百二十九億円、これをいろいろ差し引き増減して計算をしてみまして、四十二年度の末にはおそらく三兆四千億円をこえるのではないかという程度に見られるわけであります。こういうように累増をしてきている。これに対して、自治省として一体どの辺までが地方債にたよっていいのかということを考えたいわけでありますか。  地方財政全体の歳入の中に占める比率として、資料によりますと、三十五年から大体四・七%、四・六%、四・八%、四・七%、五・四%、六・九%、四十二年度は特別の事情で四・八%、この辺のところで比率としては推移してきているんですけれども、一体地方債というものに依存する比率というものはどの辺のところまでというか、一種のめどといいますか、限度といいますか、そのようなものについてどのようにお考えでしょうか。
  14. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方歳入の中で地方債がどの程度ウエートまでは安全であり、それを越せば危険であるか、こういう目安を立てることは、率直に申しまして、三千幾つかの団体それぞれ個々事情を異にするわけでございますので、一般的な目安というものは立てにくいわけでございますけれども一つ目安といたしまして、私ども公債費比率——歳出の中で公債費の占める割合というものをもって一つ目安にできるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。この比率というものを、大ざっぱに、公式な形でございませんで私ども非公式な形で言っておるわけでございますけれども、一〇%程度までならば、そう不安があると申しますか、危険だと考える必要はないだろう、こういうことを申しておるわけでございますが、そういう点から申しますと、現在の公債費地方債に占める比重というものは、そう心配するようなことはないのではなかろうか、こういう気がするわけでございます。  なお、参考まででございますが、昨年、特別事業債の問題に関連いたしましてこの点が議論になりました。私ども、税収の伸びがかりに年々七%程度ずつ伸びていくという中で、地方債を年々三千億円ずつ出していくということにした場合の公債費比率というものを調べたことがございます。  三千億円の中で、大体普通会計でございますので、二千二百億円程度のものは政府資金、残りの八百億円程度をいわゆる公募資金、こういう資金構成で見てまいりまして、公債比率がピークになりまして九%程度、こういう試算をしたことがございます。大体の目安としてはそういうところを考えておるということでございます。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはもちろん最近の都市化の傾向、さらに一方においては人口の激減によって衰退の一途をたどるような地方自治体もある、あるいは新産業都市のようなところもある。いろいろな形で地方自治体の現状というものが非常に激変しつつあるということはわかるわけであります。しかし、そういうことであっても、昭和四十二年度の地方財政計画説明の中にあらわれました数字をちょっと見ましても、これはたいへんしろうと考えかもしれませんが、元金の償還が八百三十七億円で、利子支払いだけで八百九十四億円になる。こういう姿というものは、これはやはりこれだけのものがもっと健全な財政によってささえられるならば、これだけは少なくとも行政水準の向上のために——いま非常にたくさんのことをしなければならない、道路の問題でも、あるいは学校の問題でも、上下水道の問題でも、住宅の問題でも、いろいろこれはやり足りない、住民の要求というものが非常に強いという状況の中で、こういうものにこれだけの金が支出されていくという姿は非常に不健全な形ではないか、こういうように考えるわけでありまして、もちろん、地方自治体一般民間企業のように破産をするというようなことは、これはまず考えられないことであるから、どうにかそういうのんびりしたことも言えるかもしれないけれども、少なくともこういう点に着目をしてみるということも、これはしろうと考えであるかもしれぬけれども利子支払いだけで千億に近いような、間もなく千億になるだろうと思いますが、それだけずつこの貧弱な地方財政の中で利子を支払う、こういうことをやっているということがはたして健全なのかどうか、もう少し考える余地はそういう面でないのかどうか、こういう点について伺いたい。
  16. 鎌田要人

    鎌田説明員 全体的な議論になるわけでございますが、昭和四十年度末におきまして、普通会計債の現在高一兆三千四百億円余りあるわけでございますが、その中で大部分を占めますものは、御案内のとおり、教育でございます。あるいは土木でございます。あるいは災害復旧関係でございます。やはり考え方といたしましては、現在、御案内のとおり、地方財政法地方債発行を認めております場合の中にいろいろ列挙してあるわけでございますけれども、この教育関係施設でございますとか、土木関係施設でございますとか、やはり起債になじむと申しますか、後年度に住民負担を負わせても適当である、こういうものもあるわけでございまして、一がいに地方債発行というものをただ頭から押える、こういうことはいかがかと思うわけでございます。ただ、全体的な私どもの基本的な考え方といたしましては、一つは大都市でございますとか、あるいは府県でございますとか、かなり発展する勢いにあるようなところでは、ある程度起債というものと税源というものとを組み合わせながら財政運営をやらしていく、市町村、特に後進的な町村の場合でございますと、税源もないわけでございますから、したがいまして、公債償還ということにも難渋をする、そういった意味で、交付税傾斜配分、こういう組み合わせでやっていったらどうであろうか。  それから第二には、一般的な補助事業あるいはいわゆる財政的に見まして、事業負担裏負担になるようなものにつきましての起債というものよりも、やはり単独事業と申しますか、その地域の特性に応じまして、住民の福祉なりあるいは地域産業の振興、こういった面に振り向けていく起債、いわゆる一般単独事業債と申しておるわけでございますが、そういうものはどしどし発行を認めていっていいのではないか、こういうように考えておる次第でございます。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 投資的な経費に対して、いわば国の国債発行の際にも採用されたように、建設的なものに、将来の国民にも負担を分配していくというような立場でのもののふえる面、その点について、もちろんこれは私ども地方債がまるっきりいかぬというような議論を言っておるわけではありません。しかしながら、国債の場合でも、償還計画というようなものについて、非常にちゃちなものではあるけれども、とにかく財政法に基づいて今回出してきている。地方債の場合に、一体三兆四、五千億円に上ろうというこの地方債の累積に対して、償還計画というようなものが、これは投資的な経費であるからやがて見返りがある、税収もあがってくるだろうというような、単なるそういうことであっては私はならないだろうと思うのです。ここまでもう現在高も上がってきておる、しかも、財政上の投資が必ずしも完全に生きてない。たとえば、地方において工場誘致等によく見られるように、何百億というような投資をして土地を買い占めながら、それがいまだに三年も四年も放置されている、しかもそれがほとんど起債でやられているというような不健全な形のものも非常に多いわけであります。  そういうようなことを考えますと、これはやはりもう少しきめこまかに考えていかなければならないし、原則論だけではいけないということと、それから償還計画というようなものをもう少し明確に出して、国がそれらについてどれだけの責任を持つのか、あるいは地方自治体がただばく然と、経済原則からいって投資的な経費だから、やがて見返りが出て税収が増大する、将来にわたって支払っていけるであろうというような、単なるそういうことであってはもはやならない段階にきているのではないか、どういう形でこの償還計画を立てていくかというようなことも、やはり国にならってというと、国のほうを完全に是認するという形になりますけれども、そういう意味ではなくて、やはり国でもそういう計画をもはや立てているということから見て、どういうようにこの償還計画というものを立てていくのか、こういうような点についても伺っておきたいと思うのです。
  18. 鎌田要人

    鎌田説明員 実は国債のほうは一昨年来でございますけれども地方債のほうは、御案内のとおり、戦後も一貫して地方債を出してきておるわけであります。地方債償還計画につきましては、地方団体におきましてそれぞれの団体の議会に償還計画表を出しておるわけでございまして、各団体の議会において審議を行なっておるわけであります。また、私ども事業起債の査定にあたりましては、この償還計画というものにつきましても十分に気を配りながら起債の査定をいたしておるわけでございます。  なお、消極的なチェックの方法といたしましては、御案内のとおり、地方財政再建促進特別措置法の中におきまして、赤字の比率の高い団体につきましては財政再建計画を立てないと起債は認めない、こまかな話になるわけでございますけれども、赤字額が一般財源の、都道府県の場合でございますと五%、それから市町村の場合でございますと二%をこえるような団体につきましては、将来にわたる赤字の解消計画というものを立てないと起債というものは起こせない、あるいはまた、地方債の許可方針におきまして、普通会計におきまする公債費に充当せられる一般財源の総額に対する割合というものが高い、一般財源におきます公債比率が高いものにつきましては、地方債の許可というものを制限する、そのほかにも若干こまかな方針を定めておるわけでございますが、そういった形で、将来の償還ということに累を及ぼすことのないようなチェックもいたしておるわけでございます。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間もございませんからそれ以上申しませんが、いずれにしても、この償還計画というようなものについて、大蔵省も当然でございますが、大蔵、自治両省において、もう少しはっきりしたものを出していくようにひとつしていただきたいと思います。  この点については、大蔵と地方両次官おりますから、お考えを、ひとつ大臣の代理としてお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 伊東隆治

    伊東政府委員 この点に関しましては特に留意いたしまして、地方財政がいよいよ困らぬように留意するつもりでございます。
  21. 小沢辰男

    小沢政府委員 先ほど来自治省からお答えをいたしましたように、第一次的には、県が府県内の市町村の財政というものを自治省の指導方針に従いまして監督をしているわけでございますが、さらに自治省も各県地方課を通じまして、あるいは直接市町村のほうの財政の健全化については常に御努力を願っておるわけでございます。したがいまして、私どもは第一次的に地方債償還計画につきましての責任を持つわけではありません。  しかしながら、予算編成にあたりまして、毎年地方財政計画全般についていろいろ自治省と相談協議をいたしまして、必要な場合には、たとえば今年度の特別事業債の元利の補給分を国から特に計上いたしましたり、いろいろな措置をはかっているわけでございますので、そういうような面で、私どもも間接的ではありますけれども地方財政の健全化には、特にいま先生のおっしゃいます地方債償還が非常な地方財政の圧迫になりまして、将来、地方公共団体財政的に破綻を生ずるようなことのないように常に注意をしながら、また、必要があれば、私ども国の財政面においても援助の方法等も考慮いたしまして、おっしゃるように地方自治団体財政がより健全化していきますように今後とも努力をいたしたいと思います。
  22. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ぜひひとつ十分御検討をいただきたいと思います。  それからもう一つ地方債の問題で、私ども地方行政委員会ではありませんから、私も初めてこういう数字を見るようなわけなんですけれども地方債計画というものが一応出されております。そして地方債の許可実績と対比をしてみますと、計画と実績との間に大きな差がある。三十五年から四十二年度までの計画と四十年度までの実績があるわけでありますが、この表で見ますと、三十五年度において計画を六十四億円上回っている、三十六年度は百四億円、三十七年が二百十二億円、三十八年が二百九十六億円、三十九年が五百十四億円、四十年度が五百八十五億円、こういうぐあいに、一般会計債だけを比較をいたしましてもこれだけ上回っている。これはたいへんな、パーセントにいたしましたら二十何%あるいは三〇%、四〇%というような大きな差ができている。これを総計で見ますと、さらに大きな計画と実績のズレがある。  これは、もちろん災害が発生して災害債を特別に認めなければならぬというようなこともあるでしょうけれども、それだけではないだろうと思うのです。いろいろ過密都市対策とかその他、先ほど参事官が言ったようないろいろな原因はあろうと思うけれども、それならば、なぜ計画をそんなふうに低く出すのか。実績が常にこういうように上回る状況というものが例年あるのに、実績との間にそれほどの差ができないようにできないものか、そこらのところは一体どういう事情に基づくものか、ここらあたりをひとつ聞いておきたいと思います。
  23. 鎌田要人

    鎌田説明員 御指摘になりましたように、地方債計画は、地方財政計画もそうでございますけれども、いわゆる当初ベースで組みまして、その後の補正追加というものをいたさないわけでございます。したがいまして、年度中途で予期しない災害の発生がございますと、その地方債計画で見込んでおりまする、たとえば災害復旧事業債をさらに増ワクをいたします。そういういわゆる計画策定の事情変更と申しますか、そういうようなことによります——まあ、普通の予算でありますれば当然補正をしなければならないものを補正をやらないということに伴う食い違いが一つございます。それからもう一つは、計画外のいわゆる縁故債というものの発行を認めておるわけでございます。  この点につきましては、確かにただいま御指摘になりましたような点があるわけでございますけれども、これは地方債計画のいわば本質論にもなるわけでございますが、財政投融資計画では、いわゆる縁故債、銀行その他の縁故募集によりまする起債というようなものにつきましては、当事者間で直接話し合いできめる、こういう形の起債なものですから、この点につきましての拘束力と申しますか、そういうものがない。片方、地方団体におきましては、特に大都市、あるいは大都市を含む府県でございますけれども、いわゆる過密対策を中心といたしまする事業というものが多いものでございますから、結局、そういった形で計画外に縁故債というものを認めて単独事業を行なっておる。この二つの食い違いと申しますか、そういうものが計画と実績との食い違いになっておるというふうに考える次第でございます。  それだけのことが予想できるのならば、当然地方債計画自身も増加さすべきじゃないかという御意見、ごもっともだと思うわけでございます。その点につきましては、いままでの地方債計画の立て方のいわば沿革というようなものもございまして、なお、私ども御指摘の点も頭におきながら改善に努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  24. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その事情はわかりましたが、しかし、そういうぐあいにして、地方財政計画は予算と同じように補正予算を組むわけにはいかぬからということになるわけでありますが、そういうような計画を、実績が絶えず下回ることがなくて上回ってばかりいくということになりますと、やはりよけい心配も出てくるわけであります。そういうようなことも考慮をしまして、先ほども申し上げたような返還について、どういう適切な財源措置がとられていかなければならぬかというようなことについて、しっかりしたものを確立しておかれるように望みたいと思うわけであります。  それから地方債の資金は公募債、政府資金、両方あるわけでございますが、現在の残高のうち、政府資金がどれだけ、そして縁故債関係がどれだけ、縁故債と政府資金の内訳がどのくらいの額で、どのくらいの比率になっておるか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  25. 鎌田要人

    鎌田説明員 四十年度普通会計一兆三千四百八十五億円のうちで政府資金が九千五百四十七億円でございます。それから公営企業金融公庫が百四十二億円でございまして、交付公債八百五十六億円、市場公募債百八十七億円、市中銀行、保険会社その他の金融機関が千六百三十四億円と二百八十二億円でございますから、両方で約千九百億円ほどございます。  ちょっといまこの比率を出す時間的な余裕がございませんので、後ほど率を出しましてお届けいたしたいと思います。
  26. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 縁故債は幾らぐらいですか。
  27. 鎌田要人

    鎌田説明員 市中銀行が千六百一二十四億円でございます。それから保険会社その他の金融機関が二百八十二億円でございます。
  28. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その中でもやはり一つ問題があると思います。  これは大蔵省とも非常に関係があると思うのでありますが、とにかく地方財政は不安定だ、ことしは景気の非常な回復によって税収の伸びなどで幾らか好転したといわれているけれども、四十年に経験したように、不景気がくれば一ぺんにそんな状況はふっ飛んでしまう、いまどうやらほっとしているような状況というのが一ぺんにふっ飛んでしまうような、不安定な財源状況というものは一向に改善されていないと私は思っておるわけなのです。そういう中で、この地方債が非常に累増している。まだ一〇%に至らないから大体だいじょうぶだろうというようなことではなしに、これは大蔵省としてもやはりしっかり考えてもらわなければならぬことなんです。いよいよ経済の回復とともに、また設備投資もついに六兆五千億円と政府みずからも見通しを変えざるを得ないという、これは大きな見込みの違いであります。そういうようなこともそろそろ反映して、コールも一銭九厘五毛ですか、これは月越し無条件物はそういうことになっているということであります。国債の利回りはそれよりも低いというようなことでありますから、こういうような状況になってきますと、これはさらにコールなどがふえてくる。昔の二銭三厘くらいまでいくような事態はまずなかろうとは思うけれども、大体地方債の緑故債の利率が七・二、三%、あるいはそれ以上かもしれませんが、その辺のところに大体あるのじゃないかと思うのですけれども地方銀行、特に緑故債を引き受けるような地方銀行、こういうようなものが、コールがそういう異常高というような状態を迎えた場合に、予定どおり今度は地方債に非常に強くたよってきて、地方財政というものがそういう面で大きな支障を来たす可能性が出てくるのではないか。そういうような問題についての当面の見通し、こういうようなものについて、ひとつ大蔵省からお聞きいたしたいと思います。
  29. 相沢英之

    ○相沢政府委員 地方債の問題につきましては、私どもも、かつて地方財政において地方債の占める比率が非常に上がりまして、公債費が毎年発行する地方債を上回るというような、いわゆる自転車操業式になっていた時代のことを思い起こすわけでございますが、そういうような事態をできるだけ避けるように、地方債発行については特に慎重な態度で臨むということで、三十二、三年以降、この地方債発行につきましては特に慎重に配慮してまいったわけでございます。  公債費負担地方財政を今後相当に圧迫するおそれがあるのではないかという御懸念でございますが、最近数カ年間の推移を見てみますと、地方団体歳出中において占める比率は、これは地方財政計画ベースでございますが、三十八年の四%からだんだん下がってまいりまして、三十九年は三・七%、四十年が三・七%、四十一年度が三・六%、四十二年度が三・六%、大体ここ数年は確実に比率が落ちてきているわけでございます。これはもちろん四十一年度の特別事業債発行という特別な事態を除きましては、大体におきまして歳入中における地方債の率というものは、ある程度の線にとどめるという配慮をしてきたことの結果でございます。  地方債の消化の問題につきましては、ただいまお話のとおり、民間の設備投資の増加によりまして金融が引き締まってくる、コールも若干上がってくるというような様子はございますけれども、目下のところでは、そのために地方債の消化が予定どおりにいかないという事態は起こり得ないのではないかというふうに考えております。
  30. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そう急激にそういう事態になろうとは私どもも思っておりませんけれども、ただ、いずれにしても、地方財政に対して、資金運用部の資金といいますか、政府資金を投入すれば大体六分五厘だ、それに対して縁故債にたよれば七・三%以上のところもあるようでありますが、これもちょっと一番高い縁故債の利率も聞いておきたいのですけれども、七・三%ぐらいにはなっておると思う。そういうようなことからいいまして、もう少し政府資金投入の率を地方債の中にも高めていく、こういうような努力をして、幾ぶんでも地方財政を助けていくような形というものがやはり考慮されるべきではないか、こう思いますが、大蔵省の見解をお聞きしたいと思います。
  31. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 地方債に占めます政府資金割合を高めるべきだということでありますが、これは毎年毎年財政投融資計画の中で、やはり政府資金でまかなっていくべき債券をどの程度にしたらいいかということは、ほかとのつり合いもございますので、十分検討いたしまして、その辺のつり合いをとりながら、できるだけ重点的にやるべきところはやっていきたいと思っております。
  32. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点は両者相談をしながらやられることではあるけれども、できる限り地方債について政府資金の投入率というものをふやしていく、こういうような方向というものをやはり確認をしていただきたいと思うのですが、政務次官いかがですか。
  33. 小沢辰男

    小沢政府委員 御承知のとおり、政府資金のワクを地方債においてうんとふやすのだ、こう言われますと、一方において、ことしは非常に経済がよくなりそうだ、過熱が心配されるから、財政投融資全体のワクはある一定のところでなるべく締めるような形でいかなければならぬ、こういう要請もあるわけでございまして、したがって、昨年の予算のときとことしの予算のときの財投の伸び率を見ていただくとわかりますが、ことしは相当引き締めの態度をこの伸び率であらわしているわけでございます。  一方においてそういう要請がございますので、しかもその中で、いま岩尾次長が言われましたように、いろいろな資金需要のバランスというものも考えていかなければなりませんので、私どもとしては、特別に地方債の資金のいろいろな内容について、もちろん原則的には公募債の金利が高いですから政府資金をふやすような努力はしていかなければなりませんけれども、そういうような財投計画を立案する際に、やはり制約も出てまいりますことだけは広瀬先生も御承知を願っておきたいと思うのです。公募債の比率がだんだん高まってくるということは、地方財政の健全化という見地から見ると非常によくないことであります。ですけれども、公募債のほうをある程度自由にさせておいて、そしてその比率が高まったから政府資金をふやせと、こう言われましても、これまたやはり私どもとしてそういいことではないと思いますので、この辺のところは自治省地方財政全般の計画というものについては、よく予算編成のときにお互い協議しながら妥当な線に落ちついて毎年いっておるわけでありますから、今後の方向としては、先生おっしゃるように、地方財政の健全化のためには、公募債のワクをふえないように、一方、政府資金のほうをできるだけめんどうを見ていくような方向をとらなければいかぬということは、これは私ども理解できますので、ひとつ、そういう方向で努力をさしていただきたいと思います。
  34. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 地方債関係はそのくらいにしまして、地方税の課税最低限の問題ですが、これはずいぶん論じ尽くされて、地方行政委員会でも附帯決議がついて、来年は五十三、四万円に最低限が引き上がるということで一応結論めいたようなものが出てしまったようなわけですから、これをここで詳しく繰り返そうとは思いませんが、やはり最低生活費に課税しないという原則から見れば、地方税におけるこの課税最低限の引き上げというのは、まだまだこの程度では足りない。  私はこの前も申し上げたように、少なくとも大蔵省が標準世帯で六十三万七千円というものは基準生計費としてかかるのだというような試算をいたして、これを天下に公表をいたしておるわけであります。そういうところくらいまでは、地方税におきましても、それとぴっちり合わせるという大きい原則というようなものが非常に強く地方の場合には働くというようなことを考えても、なおかつ五十三、四万円のところでは、この最低限度の生活というものがクジラをたくさん食ってみたり何かする無理した献立表でつくり上げた大蔵省の非常にしぶちんの基準生計費というものと比較いたしましても約十万円の差がある。こういうような問題については、少なくともそれに近づける努力というものをさらに一そうしていただくように、これはひとつ要望を強くいたしておきたいと思います。  それからもう一つの問題は、地方税の性格というものは、やはり地方において納めた税金が生活上の利便にはね返ってくるという性格が非常に強いということでこの課税最低限の問題なども論ぜられるし、また地方税のあり方も論ぜられておるわけでありますけれども、そういう問題を考えますならば、この前も資料をいただきましたけれども、いわゆる地方税における租税特別措置法規定が、特に住民税に自動的に作用して適用されている、こういうものが七百八十七億円もある。この問題については、特に地方税、住民税というものが所得税と違った性格を持っているというようなことから考えましても、この道府県民税に対して二百二十三億円、市町村民税に対して四百六十三億円というような、こういうストレートに減税になっている、こういうことは全く筋が通らない話になっていると思うのです。  この点について、自治省としてはどういうようにこれを改善していくか。これらの問題については、租税特別措置全体の問題として大蔵委員会でずいぶん論議された問題であり、将来そういう不公平なものを整理統合をしていくという明確な方向ももう出てまいったわけであります。ところが、地方税にそれがこのような形で直接自動的に作用してこういう減税をしている。これは全く理由のない減税である。政策目的は、もう国のものでもないのだというようなことで、整理統合するのだ、廃止をすべきものは大胆に廃止をしていこうという方向も出ておるわけでありますが、地方税においても当然これは廃止されると思いますし、また、地方独自においてやはりこれに見合ってやっているということはいよいよ成り立たなくなるわけでありますが、この問題についてどういうように措置をされていくお考えなのか。この自動的にやられるものは、国のほうがやれば、やった限度においてはあれですけれども、少なくとも地方税法の改正というような形の中では、自治省自体においてこれを切っていくというような決意、そういうものがやはり一つあってしかるべきではないか、こういうように思うのですが、その点について、責任ある今後の方針というものを聞かしていただきたい。
  35. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 国の租税特別措置地方税に影響を及ぼさないようにという問題でございますけれども、国の政策といたしましては、地方税といたしましても国の政策に協力をいたさなければならない面もあろうかと思いますが、しかし、一般論といたしましては、その都道府県市町村の地域内の負担の公平をはかるという見地から、なるべく影響を遮断をする、こういう考えでまいっておるわけでございまして、今回におきましても、技術開発のために認められた特別措置による軽減が地方税に影響をしないような措置を講ずることとしたわけでございまして、今後ともそういった方針をとって進んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  36. 伊東隆治

    伊東政府委員 ただいま参事官から述べた趣旨と同様のことでありますが、特に最低限のことについては両院の地方行政委員会で議決もあったことですから、この件につきましては鋭意努力中でございます。そうして、いまの特別措置の問題につきましては、いま参事官が述べたとおりでございます。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはやはり整理をしていく、この理由のない租税特別措置というものが非常に多い、これは国税における以上にその問題があるのだという考えなんですけれども、そういう不公平を打破するためにそういう方向でやっていく、そしてまた、地方住民税というものはいわゆる応益原則が非常に働いているのだというようなところからいけば、全く、こういうものを自動的に取り入れて減税していくという姿に、より一そうの不合理性というものが強いのだ、こういうことを確認した上で、これをさらに整理改善をしていく、こういう方向を確認していいのかどうか、はっきり答えてもらいたい。
  38. 伊東隆治

    伊東政府委員 従来もそういうことに努力してまいったのでございますから、これからもやはり努力してまいりたいと存じます。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今回の特別会計法の一部改正の中で、去年の特別事業債地方交付税の基準財政需要額を削減して、地方交付税による一部財源付与、その代替として配付をされた、こういうものである以上、やはりこの元利償還というものについては、最後まで国が責任を持っていくべきだ、こういう主張をいたしながら私前回も質問いたしたわけでありますが、非常にばく然たる答弁であって、これはやはり非常にけしからぬと思うのであります。  こういう点について、もう一ぺん、自治省としてどうお考えか、それに対して、また大蔵省としてどういうように考えるか。自治省としては、特に去年出した特別事業債の性格、千二百億円全部がそうではないにしても、少なくとも九百億円程度というものは、いま私が申し上げたような性格の交付税の代替として配付されたものだ、こういうように考えられる以上、これはやはり国が当然最後まで責任を持つべきだ。しかも、当時の福田大蔵大臣もそういうことを公約をしておった、こういうことが言われている以上、この問題については、いま私が申し上げたような方向で自治省としては当然大蔵省に要求していくものと思われるわけですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  40. 伊東隆治

    伊東政府委員 そのとおりに御了解なさってけっこうでございます。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 去年この特別事業債の配付を受けた各県、市町村すべてがこれをそういうように望んでおるのですから、自治省としては大蔵省に強力に要求をしていただきたいと思うわけであります。この点については、大蔵大臣がお見えになってからまた別途詰めることにいたしたいと思います。  それからもう一つの問題は、ことしの特別会計の百二十億円の中で二十五億円が市町村の道路財源として、道路延長に案分して配付をされたということでございますが、しかもこれが今年限りの措置だということでございますが、建設省来ておりますね。  建設省にお聞きしたいのですけれども、二十五億円で一体どれだけの事業が市町村道の改善としてできるのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
  42. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいまのお尋ねの件につきましては、今回の特別交付金の性格にかんがみまして、自治省当局で配分等についていろいろ御検討なさっておられるようでありまして、私ども直接その点は承知をいたしておりませんので、自治省のほうからお答えを得たいということでございます。
  43. 鎌田要人

    鎌田説明員 二十五億円の配分でございます。  私ども、これから具体的に関係各省と話を詰めてまいるわけでございますが、配分額が少のうございますので、どういう基準で分けるかということにつきまして私どもの腹案として持っておりますのは、幅員二・五メートル以上の道路に限定したらいかがであろうか、それにいたしましても、キロメートル当たり大体四千円くらいの額にしかならないわけでありまして、大体人口十万程度のところで、大ざっぱな目の子でございますが、二百万円前後のものがまいる、こういう形でございまして、それによってどれだけの道路の改良ができるという試算までは、とてもまだ進んでおらない段階でございます。
  44. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 建設省のほうは直接ではないということで、自治省のほうは人口十万のところに二百万円いくぐらいのところだ。これはスズメの涙ということばがありますけれども、それ以上にひどいものだと思うわけです。地域住民にとって一番利用する、日常もう朝起きてから夜寝るまで利用する道路が市町村道です。これが地方へ行きますと実にひどい道路になっておることは御承知のとおりだ。道路については建設省も緊急整備計画ども立てているわけです。それには非常に熱心であるけれども地域住民にとって一番利用度の高い——これは見方によりますけれども地域住民がその地域でとにかく生活している限りにおいて非常に利用している、毎日利用している、そういう市町村道というもの、これの整備が全く手がつけられていないような非常にひどい状況に対して、建設省もこれはほとんど眼中にない、自治省も、府県道くらいまではかなり具体的な答えもできるだろうけれども、市町村道になると、ほんとうのスズメの涙ほどの補助をやって、あとは市町村でかってにやれ、こういうことにしかならない。将来これを一体どうするつもりなのですか。これは建設省としても、また大蔵省としても、そういう現状というものを考えるならば、少なくともそういう状況が主として財源の関係にあるのですから、幾らか有力な財源くらいはやるというようなことにでもし、さらにその責任の所在というものも、自治省ももう少ししっかりしなければいかぬし、また建設行政全体、これは市町村までとても手が回らぬという建設省の立場もあろうと思うけれども、これは三者が一体になってこの整備を進める緊急の必要というものはやはりあるだろうと思うのです。  一つの案としては、いわゆる道路財源としての最も有力なガソリン税というようなものなんかを、一部でもいいから、とにかく市町村の道路財源として譲与する、こういうようなことなんかも、これは第十一次の地方制度調査会というようなところからも言われているのじゃないですか。こういうことについて、それぞれの立場で、いま御質問した点について建設省の考えも聞きたいし、また自治省考えも聞きたいし、特に財源の問題等についての方法というようなものについて大蔵省の見解も聞きたいわけであります。
  45. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 市町村道の整備を今後どういうふうに考えるかというお尋ねかと思いますが、私どものほうは、国道、府県道につながる末端道路といたしまして、市町村道の重要性、ことに国民の生活に直結いたしました末端道路としての市町村道の整備というものは十分関心を持っております。したがいまして、これの整備については、限られました道路投資の中におきまして極力重点的、効率的にこの整備をはかりますために、今日まで国の補助事業といたしまして国の施策に関係のある市町村道を取り上げてまいっております。昭和四十二年度におきましても、百三十億円程度事業規模で補助政策でもって市町村道の助成をいたしております。  しかしながら、何と申しましても、日本の今日の交通需要、それに対する道路の整備の状況からいきまして——私とものいろいろな調査によりますれば、なるほど日本の道路の総延長の中で市町村道の延長は八五%も占めております。しかしながら、現実にその交通量が国道、県道、市町村道でどういうふうに配分されて通っているかという調査をいたした結果を見ますと、市町村道は一五%以下の交通量にしかなっていない、つまり、延長からいきますと八五%でありますが、交通量からいくとそういう逆の状態になっている。したがいまして私どもは、まず国道はむろんのこと、地方道におきましても、やはり何といいましても、府県道中心の幹線道路の整備に、今日の時点においては全力を注がなければならない、それとの関連におきまして、市町村道のうちでもやや幹線的なものは重点的にこれを手がけていくというような考え方を持って対処いたしておるわけでございます。行く行くは、道路整備が進んでまいりますれば、むろん末端の市町村道を全国にわたり普遍的に取り上げる時代が必ずまいると思います。そういう際におきましては、私どもは十分これに対処して、御指摘のガソリン税等の配分におきましても検討を加えてまいりたい、かように考えておるのでありまして、今回の五ヵ年計画におきましては、そういった点も自治省からも強く要望がありまして、その点は、今後の見通し等を考え、また、市町村道の実態というものを今後私どもは把握してまいりつつ、それとの関連におきまして十分検討を加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  46. 鎌田要人

    鎌田説明員 自治省といたしましては、市町村道は、国道、府県道と並んで同じ道路でございます。同じ道路で市町村道だけ自動車が走らないという保証があれば別でございますけれども、国道、府県道と並んで同じように自動車が走っておる。特に一方には、国道、府県道には道路目的財源、端的に申しますと、ガソリン税でございますとか、あるいは地方道路譲与税あるいは軽油引取税、こういうものがあって、市町村道だけない。正確に申しますと、指定都市以外の市町村道だけない。これは何といっても理屈が立たぬではないか。  第二点といたしましては、ただいま御指摘になりましたように、確かに、全国の交通量全体の中で市町村道八十三万キロに乗るものは少ないかもしれない、しかし、生活道路でありまして、われわれサラリーマンが日常利用する、あるいは中小企業の経営者が製品の出荷やら原料の仕入れに使う、にもかかわらず整備が悪いということで、一番不満の多い道路でございます。改良率はわずかに一一%余りであり、舗装率も四%に満たない、こういう道路の現況でございますので、当然市町村に対して道路目的財源を付与すべきだ——最初は、国と地方団体とのそれぞれの道路財源の中で特定財源比率を同じにすべきだ、こういうことで、国からの道路財源の移譲ということを要求したわけでございますけれども、一ぺんにそういう高飛びをいたしましても実現の可能性がないわけでございますので、揮発油税の中から千円を市町村に移譲する、こういう案まで後退をいたしまして、これが実現に努力をいたしたのでございますけれども、御案内のような経過でございまして、最終的には単年度限りの二十五億円というものにとどまったわけでございます。この点は私どもは、これをよく善戦健闘したと見ていただけますか、あるいは、もっとしっかりやれ、こういうことになりますのか、評価の分かれるところだと思うのでございますけれども、さらにこれをもとにいたしまして、恒久的な市町村の道路財源の確立というものを、五ヵ年計画の整備とあわせ考えながら実現を期してまいりたい、これが自治省としての考え方でございます。
  47. 小沢辰男

    小沢政府委員 いまお聞き取り願いましたように、建設省の考え方自治省考え方、やはりそれぞれの立場に立って理解をいたしますともっともでございますけれども、片方は、道路計画全体の整備の責任官庁として、建設省が重点的に今日の不足な財源の中から一体どこから整備をすべきかという考え方に立っていろいろ検討いたしますと、やはり一番利用度の多い国道、府県道というものを中心にしながら逐次市町村道に及ぼしていきたいという考えでございますし、一方、自治省といたしますと、いまの鎌田事官の意見のように、市町村道の性格、いろいろ利用の実態から見て、当然自主財源をもって大いにこれを整備していきたいというのも、またこれ、自治省の側から見ますともっともでございます。  そこで、いずれに、どういうような裁定を下すかということは、実は今年度予算編成にあたりましては、まだ道路計画全体の六兆六千億というものの、将来の市町村道までを含めた詳細な計画ができておりませんので、とりあえず、自治省の非常に熱烈な要望もございますので、私ども大蔵省としては、それにこたえる意味で、若干ではありますけれども、市町村道の自主財源というような形で二十五億円の予算を計上いたしたわけでございます。  これは確かに必要な整備費全体から見ますと、ほんとうにスズメの涙であることは先生の論をまちません。しかし、将来私どもがこの自主財源をどうするかというような点で、道路のいろいろ軽油引取税であるとかあるいはガソリン税等の問題については、これはやはり六兆六千億の詳細な点がきまってきませんと、どういうようにすべきかという点をいまからきめるわけにまいりませんので、道路計画の五ヵ年計画というものを詳細に積み上げる段階におきまして、なおひとつ検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  48. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後になりますが、いまのお答えを聞いておりますと、確かに国道、府県道、これは交通量というような利用度というものが非常に強いことは十分承知しております。しかし、そういうお答えの中にあらわれておるものは、やはり人間の生活と密着した生活環境というものに対する配慮というか、道路行政の中にも全くそういう視点が欠けておる。  自治省が善戦健闘して二十五億円取った、その点でほめていただきたいということでありますが、その努力には敬意を表するけれども、そんなことでは全く不十分きわまるわけでありまして、この道路計画全体の中で、まず必要度の高いところから順々にやって、終わってからこうやっていくのだという考え方、それはやはり人間の生活そのものを無視する立場が一貫しておると思うのであります。そうでなくて、若干の差はあってもいいから、同時に、同じようなテンポで進める総合的な道路計画全体の中にやはり市町村道を整備する計画というものを含めていくべきだ、そういう観点での努力が全くなされていないのではないか。今度の場合、ようやく芽を出した状況でございますが、この点、人間の生活環境の整備という点については、人間尊重であるとか社会開発とか、すべてそこへ落ちつくわけでありますが、そういうことをことばでは言うが、実際の政策ではあらわれてこない。  こういう道路行政の面でも、子供たちが学校に通い、ほんとうに雨の中あるいはほこりの中で全く苦労しておる、そして地域住民はその中で毎日生活しておる。そういうものに対して、その道路を整備するという視点が非常に弱い。  この点については、三省とももう一ぺん道路計画を練り直す、こういうようなことで、市町村道も早急に整備する、もっとしっかりした財源なんかも、たとえばキロリットル当たり千円なら千円でもよろしい、そのくらいは市町村の安定した道路財源として供給をされて、国道、地方道と並行しながら——若干のズレはあるにしても、ある程度並行して、一番最後に回されるのだということでなしに、そういう形で道路政策というものについて、もう一ぺん計画を練り直すくらいの気持ちがあるかどうか。この点について、両次官からひとつ聞いて、その方向を確認して、私の質問を終わりたいと思います。
  49. 小沢辰男

    小沢政府委員 市町村道の整備を大いに進めたいという気持ちは、関係各省みなあると思います。ただ、限られた財源の中でどこから先にやっていくかという問題がございます。したがいまして、それらはやはり住民のいろいろな利用の実態をよく見ながら検討してまいらなければいかぬと思います。  また、お話の中に二十五億円が非常に少ないということがございました。確かにそうでございますが、市町村道の整備につきましては、御承知のように、起債が約百億円ばかりございます。それから都市計画関係では、建設省都市局の所管するもので市町村道の整備なんかどんどん進められているわけでございますから、私どもは、必ずしも市町村道に無関心であり、あるいはウエートのかけ方が全然少ないという感じは持っておらないのでございますが、先生のおっしゃるように、それぞれの地域住民に直結したいろいろな利便というものがございますから、今後とも、市町村道の整備については、御意見のような方向でわれわれも大いに努力してまいりたいと思います。
  50. 伊東隆治

    伊東政府委員 この町村道の問題につきましては、わが自治省といたしましては、最大の恨事として語りぐさになっておることでございまして、第二種交付金として二十五億円を取ったことは、鬼の首をとったのではなくて、最初にこれだけでも取ったので、これから拡充をしていくという意気込みを非常に強くみんな持っておるわけでございます。  そして、その拡充方については、よりより非常に強い意向を持っていま計画しておるのでございまして、大蔵省にもひとつこの機会にお願いいたしたいと思っておるわけでございます。この二十五億円を全国の町村に配賦しますと、十万円にも足りない額になるので、それこそスズメの涙というもおろかな額だそうでございまして、自治省の語りぐさになっております。
  51. 内田常雄

    内田委員長 次は、武藤山治君。
  52. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵大臣が見えるまで、ほんのわずかの時間ですが、お尋ねをいたしたいと思います。  最初に、自治省の政務次官に、政治的な判断でありますが、今回の四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案を出すにあたって、全国知事会あるいは市長会では、四十一年度の特別事業債償還財源としてこういう特例措置はできるんだろう、したがってこれは、今後も昨年の特別事業債償還し切れるまでこの制度は続くんではないか、続けてもらえるのではないか、そういう希望が知事会や市長会では強かったのではないか、そう私は感ずるのでありますが、当局の次官としては、知事会や市長会の空気はどのように受け取っておりますか。
  53. 伊東隆治

    伊東政府委員 まさに知事会や市長会の意向はそのとおりでございます。
  54. 武藤山治

    武藤(山)委員 ところが、今回の措置は、大蔵省では本年、四十二年度限りだ、もうあとは続ける意思はないんだ、これが質疑応答の中である程度明らかになったのでありますが、そういう処置で自治省は一応引き下がりますか。それとも、来年もとにかく四十一年度の特別事業債のうちの約九百億円ぐらいの分は何とか国で負担をしてもらいたい、大臣も本会議で、地方に迷惑はかけない、心配はかけない、こう言っていらっしゃるのですから、自治省としてはそういう方向で来年もひとつ強く推し進めて、何とか事業債の分だけは全部国で持ってもらおう、こういう強力な意思で折衡なさいますか。その点明らかにしてもらいたい。
  55. 伊東隆治

    伊東政府委員 これは四十二年度の特例法と思いますから、一カ年限りでのことじゃないかと思うので、知事会でも非常に心配してそういうような意向の表明があったように思いますが、自治省といたしましては、やはり知事会の意向どおりに、国としてのめんどうは見てあげたいという一念でございます。
  56. 武藤山治

    武藤(山)委員 政務次官、知事会や市長会のそういう強い意向を、大蔵省を担当する政務次官として、ほんとうにこれは本年度限りで、全くあとは心配しないんだ、これはもう全く別なことにしてしまうんだ——ところが、いま自治政務次官の答弁を聞いていて、それに関連して、大蔵省の立場からあなたはどうお感じになりますか。
  57. 小沢辰男

    小沢政府委員 御承知のとおり、私どもはこの法律提案の主管官庁といたしまして、この法案、ごらんになっていただけばわかりますが、四十二年度限りの臨時地方財政交付金でございますから、いまそういうお尋ねがありましても、あくまでも本年度の臨時の措置であるとお答えせざるを得ないわけでございます。
  58. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、大臣が本会議で、昨年度の分については地方公共団体に不安を持たせない、心配をかけないんだ、こういう演説をいたしておりますが、その意味を政務次官としてどのようにそんたくされておりますか、大臣発言の意味を……。
  59. 小沢辰男

    小沢政府委員 四十二年度限りの臨時の措置ではございますが、また来年度の地方財政計画全般を見まして、もし地方財政に非常に迷惑がかかるというような場合には、これは私ども地方に迷惑をかけないたてまえで十分検討してまいるつもりでございます。そういう意味で大臣もお答えになったものと理解しております。
  60. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、野党としては、知事会や市長会の意向を反映した附帯決議をつけようと実は交渉を与党といたしておりますが、そういう政務次官のいまの答弁で、明年度以降の財政事情を十分勘案して、不安のない、心配をかけないという大臣の答弁は実行されるようにするのが当然だといういまの政務次官のお考えのようでありますから、そういうことであるならば、私たちは、ここで附帯決議をつけなくとも、政務次官を信頼して——本年度限りという法案ではあるが、あなたのいまの答弁を信頼して、われわれは附帯決議を取り下げる、こういう態度に出てもよろしいと思うのでありますが、ひとつ、大政務次官の貫禄を示して、いまの答弁がまことなうそにならぬように肝に銘じておいていただきたいと強くお願いをいたしておきます。  それから次に、自治省にちょっとお尋ねをいたしますが、今回の二十五億円の配分方法について、地方財政の特別措置に関する法律案の五条の二項に、従来「辺地対策事業償還費」だったのが、十の中に「特別事業債償還費」というのを新たに挿入をして、その計算基礎道路の延長一メートルにつき二十九円とする。従来は二十六円二十銭、したがって二円八十銭引き上げをするわけですね。一メートルについて二円八十銭引き上げるというのは、この二十五億円の配分をするためにこういう改正が行なわれるのですか。
  61. 鎌田要人

    鎌田説明員 お説のとおりでございます。  この市町村の道路橋りょう費でございますが、道路橋りょう費の道路の延長分に対応します分がいまの二十五億円に見合う分でございます。
  62. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、先ほど広瀬委員の質問に対しては、道路幅二・五メートル程度以上の市町村道、こういうものにこれからやろうと思うのだが、まだ配分の方法や基準はきまっておらぬ、こういう答弁をあなたなさったんですが、この法改正でいくと、一メートル当たり二円八十銭引き上げる基準財政需要の計算の中で、これが二十五億円に大体当てはまるのだということになりますと、大体この二・五メートル以上の道路というのは、全国の市町村でどのくらい計算をしているわけですか。どういう計算で二円八十銭上げると二十五億円になるのですか。その積算の基礎をちょっと明らかにしてみてください。
  63. 鎌田要人

    鎌田説明員 ちょっといまここに積算の基礎を持ってきておりませんので、後ほど御報告にあがりたいと思います。
  64. 武藤山治

    武藤(山)委員 これはいずれにしても、一メートルについて二円八十銭基準財政需要の単価を引き上げるのですから、一年度限りというと、来年またここのところは修正でとるわけですか。それとも、本法の中には二十九円というのは入れずに、これはあくまで臨時の暫定基準ということで処理をするのか、本法のほうはいじらないのか、その辺はどうなのですか。
  65. 鎌田要人

    鎌田説明員 特例法で単位費用を上げております。したがいまして、明年度以降恒久的な道路財源措置ができますと、今度は本法の単位費用を上げる、こういうことになるわけでございます。
  66. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、従来の道路の延長一メートルにつき二十六円二十銭というのは、何か暫定措置でそういう規定はあるのですか。これは本法のほうの価格ですか。
  67. 鎌田要人

    鎌田説明員 本法の単価でございます。
  68. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、これは建設省や自治省両方に聞かないとわからないのですが、いま国道の距離はどのくらいあって、舗装率はどのくらいになっておるか、それから県道の距離、さらにその舗装率、市町村道の距離、これをちょっと明らかにしてください。
  69. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 四十一年度末の状況で申し上げますと、国道の実延長二万七千三百四十一キロ、それから県道の延長は十二万四百六十七キロになっておりまして、国道につきましては、改良率は七二・一%、舗装率が六九%、それから都道府県道につきましては、改良率が三三・七%、舗装率が一九・七%、以上でございます。
  70. 武藤山治

    武藤(山)委員 市町村道はどうなっていますか。
  71. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 市町村道は実延長は約八十二万キロでございます。改良率が一二・三%、舗装率が四・五%でございます。
  72. 武藤山治

    武藤(山)委員 建設省は交通量の多い国道からまずやって、順次市町村道に恩恵がいくような予算の使い方だ。こうなりますと、県道が一九・七%の舗装率というと、まだまだこれはたいへんな先の話で、五十年六十年先になってしまうんじゃないかという不安が先に出てくるのですが、建設省の計画では、地方主要道路と申しますか、県道のおもな道路、これは何年後ぐらいには全部舗装になるという長期見通しはどうなっているのですか。
  73. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お尋ねの件は、目下私のほうで今度の新五ヵ年計画の各道路種別事業費の配分等を作業中でございまして、はっきりしたことはお答えいたしかねますけれども、私どもの五ヵ年計画を立てます前提に、一応の道路の長期ビジョンというものを持っております。この長期ビジョンは、二十年後のわが国の道路整備の目標ということでございますが、その道路整備のビジョンでまいりますと、大体昭和六十年を一応目標にいたしまして、一般の府県道等は改良なり舗装を全部終わりたいというふうな考え方を持っております。しかしながら私どもは、そこまでに到達するまで市町村道は全然手をつけない、こういう意味じゃございません。やはりバランスを見ながら一般の市町村道も逐次これは整備をはかっていきたい、こういうことでございます。
  74. 武藤山治

    武藤(山)委員 大臣お見えになりましたからやめますが、ひとつ国道、県道、市町村道の四十一年度の予算額、国道はこれだけ予算をかけた、県道はこれだけ、市町村道はこれだけという、実績でもいいですから、ちょっと数字を出してください。
  75. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 四十一年度で申し上げますと、国道が二千二百五十九億円、これは事業費でございます。事業ベースで申し上げますが、地方道が二千三百三十二億円、この地方道の内訳を申し上げますと、主要地方道が一千七十九億円、一般県道が七百七十六億円、市町村道が四百七十七億円、以上でございます。
  76. 武藤山治

    武藤(山)委員 この数字を見ると、これは高速道路や何かが入ってないと思いますけれども、有料道路や何かは全部除いて市町村道が四百七十七億円というのは、どう見ても、地方住民の便益ということを考えた場合には、比率から見てもあまりにも少な過ぎる感じがいたすわけです。そこで自治省も本年二十五億円の市町村道予算というものを確保しようというので真剣になったんだと思うのでありますが、いずれにしても、市町村道に対する国の財政措置というものは非常に微々たるものである。もっともっと力を入れなきゃいかぬと思いますが、大蔵大臣、採決前に一、二点確認をしておきたのであります。  今回、地方道予算に二十五億円の財政措置を国が考える、しかし、これはあくまで四十二年度限りだ、こういう説明でありますし、そういう法案であります。しかるに、先ほどからの議論をいろいろ検討しておりますと、市町村道というものが非常におくれをとっている。しかも、末端住民の直接利益を受ける交通道であるという立場から、本年度限りということにしないで、今後ともこの制度というものを続けていったらどうか、続けるべきではないか、そういう意見は知事会や市長会にも非常に強いと、いま自治省の政務次官からも聞きました。  もう一つは、四十一年度の特別事業債を一千二百億円政府は認めて、それの償還のために何とかめんどうを見ようということで本年九十五億円の予算計上をいたした、しかし、これも本年限りだ、こういう法の趣旨になっておるわけであります。ところが、大蔵大臣は本会議の演説の中でも、地方財政の窮状を政府はめんどうを見る、心配はかけない、不安は持たせない、こういうような演説をなさったわけでございますから、本年度限りというこの法の精神をひとつコンクリートしないで、これをさらに、昨年無理してやった事業債の分を償還するまではこういう制度を続けて、地方自治体に心配をかけない、こういう姿勢を明らかにしていただきたい、こう思うのであります。大臣の本会議演説と関連して、ひとつここで確認をしておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  77. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 地方財政に迷惑をかけないようにするという答弁をしてまいりましたが、それについていま地方行政委員会で呼ばれまして、そういう方向でやってくれるかというような御趣旨の質問に対して、そういう御意見のように処置すると、いま答弁してまいったところでございまして、そういうふうにしたいと思います。  それから、道路財源の問題につきましては、御承知のようにいま道路計画のこまかい点の検討をいたしておりますので、細目決定の過程において、地方道の財源というようなものについても確保方を関係省で相談するということになっていますので、その財源の確保につとめたいと思っております。
  78. 武藤山治

    武藤(山)委員 これで質問を終わります。
  79. 内田常雄

    内田委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
  80. 内田常雄

    内田委員長 これより討論に入ります。  通告がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。
  81. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の意思を表明し、討論をしたいと思います。  まず最初に、地方財政全般の問題から考えまして、地方自主財源の抜本的な拡充、こういう問題が非常に強く要求されておるにもかかわらず、何ら今回の措置において見るべき改善措置が行なわれておりません。  第二は、過密都市の対策であるとかあるいは地域開発事業、こういうようなものを安易に地方団体負担に転嫁をいたし、しかもそれを、起債にその財源を求める、こういう危険な方向が強くあらわれてまいりました。これらのことは、一そう地方住民負担増加を強める結果になることをおそれるものであります。  第三には、地方債の安定的な消化、あるいは発行条件の改善、政府資金の大幅な投入をふやす、こういう点についての具体的な政策が見られません。さらにまた、これらについて累増する地方債についての確実な償還計画というものも立てられていない、こういうような点がございます。  さらに、ただいま議題になっております法律の一部改正案の内容について見ましても、四十一年度配付の特別事業債が、本来、一般財源であるところの交付税をもって措置すべきものの代替として配分されたにもかかわらず、これが元利償還は、そういう意味からいえば、その元利が完済されるようになるまで当然国が責任を持って措置すべきものと思われるのでありますが、これについて、政府はついに明確な答弁をいたしません。そのようなことでは、これは当時の福田大蔵大臣の言明にも相反する、いわゆる食言ともいうべきものでございます。また、地方行政委員会等において付しました附帯決議の精神にも反するものと思う次第でございます。まことに遺憾のきわみであります。  最後に、今日非常に立ちおくれている市町村住民の生活環境の中で、実に重大な問題をもたらしておりまする市町村道の未整備の状況というものに対して、二十五億円というものを初めて配分することになったわけでありますが、これは質問の過程の中でも明らかになりましたように、自治政務次官ですら、スズメの涙にも満たないものだと自認されるように、きわめて少額であります。しかも、これを今年限りの措置で打ち切ってしまうというような態度に対しては、私どもは断じて承服するわけにまいりません。地方自治の健全化のために、また地方財源の自主的充実、こういうような見地から見ましても、特別事業債に対する償還に見合うものとしての措置も今年限り、こういうような、まさに地方自治に対する非常に冷淡な措置に対して、私どもは賛成するわけにまいらないわけであります。  以上の理由をもちまして、私は反対の意思表明をいたすわけであります。ただ、大蔵大臣が、ただいま武藤委員に対し、また、本委員会における質疑に対してお答えになられたように、地方自治体にこれらの問題について迷惑をかけないようにするという、この点を、特にそのとおりに今後実施されるように強く要望いたしまして、反対討論を終る次第であります。
  82. 内田常雄

    内田委員長 次に、永末英一君。
  83. 永末英一

    ○永末委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、本案に対して賛成をいたします。その賛成の趣旨をこれから申し上げたいと存じます。  わが国の社会構造は、一路都市化の方向へ向けて進んでおります。都市化というのは、人口の都市集中、それに伴って減少してまいります住宅、生活環境、交通あるいはまた公害、いろいろな問題が集中してまいるわけでございまして、地方公共団体は、言うなれば第一義的にそれらの問題に対して対処しなければならぬ、こういう責務を負うておるのであります。すなわち、地方公共団体の事務量は爆発的に増加しつつある。したがって、国は、この地方公共団体の事務の増大に伴う国の制度、そうしてまた財政措置に対して、公共団体住民の希望に沿えるような措置を講ずべきであるとわれわれは考えます。  この観点から交付税、譲与税配付金制度を見まするに、これはすでにこのような状況に対応する措置とはみなされなくなっているとわれわれは判断をいたしております。すなわち、所得税等三税を基礎において一定率をもって配付金制度をやっていくというのは、その変貌しつつある地方公共団体財政的要望にはこたえ得ないのである。その点につきましては、私どもは、一刻も早く地方公共団体に、これらの地方住民の要望に即して業務を行ない得るよう抜本的な財政制度の改善を行なうべしということを主張してまいりました。  この観点から考えますと、今回の措置はまことにこう薬ばりであります。今年度限り臨時地方財政交付金を一般会計から特別会計に繰り入れるというのであって、それならば、先ほど申し上げましたような、未来を見通しつつどうするかということに対して、政府の基本的な方針は全く明らかにされておりません。しかしながら、昨年度も固定資産税の免税点の引き上げに伴って、第三種特別交付金をつくって、そうして何とか糊塗しようとした。また、自主財源を与えなければならぬのに、特別事業債発行せしめて、その償還財源がないからといってこれに充てようとしている政策はこう薬ばりであります。  しかし、わが党がこれに反対して、これがつぶれるということになりますると、現在の地方団体は本年度きわめて困難な状況に立ち至るのである。私どもは、この点を考えつつ、血を吐くような思いで、政府は必ず抜本的な対策を立てて、この地方住民の希望にこたえるその用意をすべきことを強く期待しつつ、本案に対しましては、賛成をいたすものであります。
  84. 内田常雄

    内田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  85. 内田常雄

    内田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  87. 内田常雄

    内田委員長 次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会