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平林委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、
登録免許税法案及び
登録免許税法の
施行に伴う
関係法令の
整備等に関する
法律案、二案に対しまして、これに反対である旨の
理由を述べたいと思います。
まず第一に、
登録免許税の
性格があいまいであることを指摘しておきたいと思います。
政府は、今次の税制
改正の一環として、
登録税の税負担が、最近における
所得及び物価水準に適合するものとなるよう
定額税率の引き上げ、調整を行ない、これにあわせて
課税範囲の拡大など、
登録税法の全般に検討を加え、その名称を
登録免許税法に改めるよう提案しております。
しかし、
登録免許税とは何ぞやというと、
政府の
説明は、支払い能力に着目して、特権的な地位に対する
課税で、
流通税的
性格を持っていると
説明をしておるのでございますが、個々の
課税対象に検討を加えますと、
法律的にはきわめて不完全であることは
政府みずから認めています。考え方も恣意独断の傾向が強く、
内容におきましても、混乱と矛盾と不権衡に満ちておるわけであります。
もともと、現行の
登録税法は、明治二十九年に日清戦争の国費膨張に対処するため制定されたものであると
承知するのでありまして、権力的な増税のための便宜立法の
性格を持っております。私は、このあいまいな
性格のまま、平年度において百九十億円も増税をするということに対しましては反対でありまして、多くの
国民もおそらく同様の見解を持ち、
国民の理解を得られないだろうと思います。
第二に、今回の
改正によりまして、看護婦をはじめ、比較的
担税能力もなく、特権的な立場でもない者に、調整と称してそれぞれ
登録免許税を値上げしておるのでありますが、中には、非情にして不適当な措置が多いのであります。しかも、この引き上げが、
委員各位の痛烈なる批判にかかわらず、看護婦団体の要望であるとか、
登録免許税の引き上げが、あたかも社会的地位の向上であるかのような錯覚を起こさせながら措置をいたしておりますのは、欺瞞によって増税をはかる結果となり、また、
政府の措置を他の人に転嫁することになるわけでありまして、私
ども認めがたいのであります。
特に、職業に貴賎なしということばがあります。しかるに、
登録税の
課税価格で社会的地位を定めようとする考え方、私は、これはまた別な
意味の批判も加えられなければならぬと思うのでございまして、賛成できません。
第三に、今回の
改正によりまして、人の資格
関係におきまして、
登録免許税の
課税対象になっているもの、あるいは、新たに対象に加えられたものと、
地方公共団体において認可をされる、たとえば行政書士、調理士、栄養士、理容士、美容士はじめ、多くのものには、今日
地方公共団体において
手数料として三百五十八億円の多額を徴しておるのでございますが、これにどういう影響を与えるかということに対し、
政府当局は、今後の課題として検討中という不気味な予告をしておるわけであります。
登録免許税の対象の無限に拡大されるおそれを示唆しておるわけであります。
かくして、今回の措置を批判なしに認めるということは、
政府が財源確保のために、あらゆる業種、あらゆる個人の
登録許認可に対して
課税の道を開く結果になるのでありまして、大衆生活に与える影響を無視することができません。
これらの
理由によりまして、日本社会党は二法案に反対するものであります。
政府におきましても、質疑中に指摘をされました矛盾あるいは批判に対しまして、十分な検討を加え、今後において善処するよう要求をいたしまして、私の討論を終わりたいと思います。