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1967-05-31 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十一日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    菅  太郎君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君      小宮山重四郎君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    砂田 重民君       永田 亮一君    西岡 武夫君       村上信二郎君    村山 達雄君       山中 貞則君    渡辺美智雄君       阿部 助哉君    只松 祐治君       野口 忠夫君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    柳田 秀一君       山田 耻目君    横山 利秋君       永末 英一君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         法務省民事局長 新谷 正夫君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省証券局長 加治木俊道君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     住吉 君彦君         大蔵大臣官房財         務調査官    結城 義人君         大蔵省主計局総         務課長     赤羽  桂君         大蔵省主税局税         制第三課長   横井 正美君         郵政省郵務局業         務課長     浅尾  宏君         自治大臣官房参         事官      倉橋 義長君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         自治省税務局固         定資産税課長  森岡  敞君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  登録免許税法案内閣提出第七四号)  登録免許税法施行に伴う関係法令整備等に  関する法律案内閣提出第九二号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  登録免許税法案及び登録免許税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。田中昭二君。
  3. 田中昭二

    田中(昭)委員 きょうは主税局長が出席できないようでございまして残念でございますが、そのかわり有能なる結城さんもお見えいただいておりますから、私たちもしろうとでございますから、ひとつわかりやすく、こちらの質問の要点をつかんで御答弁願いますように、まずお願いいたしておきます。  登録免許税法案につきましては、二十三年に改正があったように御案内がありまして、その後改正されなかった。二十三年から約二十年近く改正されなかったという理由と、その間、印紙税法におきましては昭和二十九年に改正になっておりますが、その改正になったときと同時になぜ改正されなかったか、こういう疑問を持つものでございます。  以上の点につきまして、内部事情がありますならば、そういうものも、ここで答弁できるものは答弁していただきたい、このようにお願いします。
  4. 結城義人

    結城説明員 二十三年に登録税法印紙税法改正がありまして、その後二十九年に印紙税法改正があって、登録税法がなぜいままで二十年近く改正がなかったか、こういう御質問のように承りますが、登録税法印紙税法という法律流通税でございまして、そう毎年毎年改正するというような筋のものではないわけでございます。その税法がよって立つ社会的事情相当程度にまで変わって、税法が適合しないという程度改正に値する程度になった場合に初めて改正するという性質税法かと思うのでございます。その点は、所得税法法人税法ごとく、毎年課税最低限を上げたり、いろいろ特別措置を入れるというような性質のものとは違いまして、やはり法的安定性を第一にすべき税法かと思うのでございます。それが客観的な事由でございます。  なお、これは内部事情でございますけれども、いずれも技術的に非常にむずかしい税法でございまして、一度手をつけるならば、非常に困難にして複雑な技術的な問題を無数に解決しなければならぬというような内部事情がございます。したがいまして、いままで戦後の混乱時代所得税法法人税法中心とした毎年非常に忙しい事務を行なってきております。そういう意味におきましても若干おくれたというような事情があろうかと存ずるのであります。
  5. 田中昭二

    田中(昭)委員 案内によりますと、最低税額が五百円というふうになっておりますが、最低税額が五百円になりましたその理由と、あわせて、この案内によりますと「公簿登載に要する費用としての手数料の面もある」——「登録税性格等」というところに、この登録税の創設されました目的でございますか、これは調査室案内でございますけれども、いずれにしろ、今度の登録税は、公簿登載にかかるものが課税客体になっておる、このように思うわけでございます。  その公簿登載のときに要ります手数料、こういうものと、このたびの登録税改正によります登録税との均衡はどのようになっておるのか。これはたくさんあると思いますが、一、二のものを言っていただきまして、あと明細については、後日資料として提出していただきたい、こう思うものでございます。  問題は、最低税額の五百円の理由と、公簿登載に要する費用としての手数料との関係、これをお願いしたいと思います。
  6. 結城義人

    結城説明員 第一の点でございますが、今回の登録税法改正は、御承知のように、定額税率を、最近の物価、所得の水準に合わせて手直しをするということを第一の目的にしておるわけであります。その目標は、おおむね現行税率の十倍程度に直すということを一応の目標にしておりますので、従来定額税率最低税率は大体五十円中心にできておりますので、ちょうど十倍で五百円という線にしたわけでございます。  第二の、手数料登録税との関係でございますが、登録税の中には行政手数料的な性格も含めておる場合がございますが、今回の改正におきましては、登録税に吸収できるものは吸収いたしまして、二本立てにするというようなめんどうくさいことをしないというたてまえをとっております。しかし、特別にその免許なり登録なりにつきまして手数料を要し、実費がかかるというようなものは、その実費を弁償していただくということをはっきりさせる意味におきまして、依然として手数料を残し、登録税を課するという二本立ての方向をとっております。  具体的に一、二例を、それでは恐縮でございますが、課長からちょっと説明いたします。
  7. 横井正美

    横井説明員 昨日主税局長から、平林委員の御質問に対しまして、登録税課税目的は何かということにつきまして御説明申し上げました。いわゆる担税力を推定いたしまして課税しておるのでございますが、若干手数料的な意味合いも入っておるのでございます。  現在、法務省で要しております一件当たり実費でございますが、おおむね千円近くなっておるわけであります。それらの事情も勘案いたしまして、最低税額五百円ということにいたしておる次第でございます。
  8. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの最低五百円の意味はわかりましたが、いまの公簿登載に要する手数料の問題につきましては、ちょっと私のほうの質問と違った面だと思いますが、私が申し上げているのは、いままで国が免許を与えるとか、そういうものに対しては手数料を払ってその免許取得をしておると思うのです。おわかりでしょうか。そういう手数料がどういうふうになっておるか、どういう金額になっておるか、それと登録税の今度の改正を検討してみたい、こう思いますから、いま国が取っておる登録に要する手数料はどのような金額になっておるかという点、これは資料として提出願います。  次は、課税標準の問題でございますが、案内によりますと、課税標準金額の端数千円未満のものは千円に切り上げる、このようになっておりますが、すべての税法からいきますと、千円未満は切り捨てるというのがほんとうじゃないかと思います。登録税に限って千円未満のそういう小さい金額まで千円に引き上げて税収をはかろうというのかどうか、その辺が不合理だと思いますが、御答弁を願います。
  9. 結城義人

    結城説明員 御質問の点は第十五条の関係かと存じますが、十五条の「課税標準金額を計算する場合において、その全額が千円に満たないときは、これを千円とする。」という条項についての御質問だと存じます。  課税標準に関しましては、登録税につきましても国税通則法規定が働きます。国税通則法規定は、今回の改正によりまして千円未満金額は切り捨てるということになっております。それはこの十五条に関しましても働きます。ただ、その例外といたしまして、全体の金額が千円以下の場合、たとえば八百円というような土地登記をする場合には、千円以下切り捨てになりますと登録税がゼロということになります。その場合には、やはり一件の登録をいたしましてそれだけの手数がかかっておる、したがって、最低五百円だけは納めていただく、そういう趣旨でございます。したがいまして、千円以下は切り捨てるという趣旨は、たとえば一万五百円というのがあった場合には、国税通則法規定でこれは一万円に切り下げになる、こういうことでございます。
  10. 田中昭二

    田中(昭)委員 わかったようなわからないような気持ちがするのですが、なるほど、通則法が適用になるとなれば当然千円未満のものは切り捨てる、もちろん一件が千円未満の場合にはそういう問題もあろうかと思いますが、所得税にしましても何にしましても、一件当たり千円以上のものでありましても千円未満は切り捨てておることは御承知のとおりでございます。でありますから、千円未満を切り上げる、ただ一件当たりが千円に満たない場合は登録税がゼロになるということで、そうすることは少し過酷ではないか。定率でいけば千分の一とか五とかいう税率があるわけでございますから当然千円未満課税標準で、税額ではございませんから。その点について、もう一度御説明をお願いします。
  11. 結城義人

    結城説明員 千円以下でございますと、当然五百円未満税率を適用しますと、いろいろ税率がございますが、大体出てまいります。その場合に、最低五百円という規定で五百円はいただくというのが過酷ではないかという御質問趣旨かと存じますが、最低税率五百円というその五百円がいいか悪いか、これは先ほど御説明いたしましたように、おおむね現行法の十倍ということで五百円ということにいたしたということで御答弁申し上げましたが、その五百円がいいとすれば、やはり一件の登録をなすということによって、国家機関にそれだけの費用なり手数なりがかかるわけでございますので、最低の、いわば固定費部分というような意味におきまして五百円だけはいただくことにする、こういう趣旨でございます。
  12. 田中昭二

    田中(昭)委員 五百円がいいとか悪いとかということは、こっちがきめたわけではございませんで、そちらのほうできめてされたものでございますから、こちらからそれは言うべきことであります。  五百円についても過酷ではないかということは、先ほど申し上げたとおりでございます。そういうようなことはもう少し考えて言ってもらいたいと思います。  それでは、次に移りますが、不動産取得登記につきましては、その課税標準登記時価とするというふうに法にあるようでございます。ただ、当分の間、原則として固定資産課税台帳登録価格基礎として算定した金額となっておりますが、この「当分の間」というのはいつまでをさすものか、まずお伺いしたいと思います。
  13. 横井正美

    横井説明員 ただいまの御質問は、登録免許税法の第十条と附則の第七条の関係の御質問かと存じます。  本法の十条では不動産時価においてとございますが、附則の七条では、当分の間、固定資産税評価基礎とする、このように書いてございます。  「当分の間」とは、たとえば、国におきまして一筆ごと評価ができるような状況が熟成するまでというふうに考えております。御承知のように、不動産時価につきましてはなかなか判定がむずかしいのでございます。たとえば売買価格基準にするというのも一つの方法でございますが、売売価格必ずしも適正な時価だというふうには申せないわけでございます。御承知のように、売り手が強い場合、買い手が強い場合、いろんな場合があるわけでございます。それからまた、登記にあたりまして、そういう売買が行なわれない場合もある、いろいろな場合があるわけでございます。  そこで、適正な時価というものは何であるかということを、何らかの基準で判定していかなければいかぬわけでございます。その場合におきまして、現在のわが国の制度におきましては、固定資産税評価制度、これは一筆ごと評価が定められておりまして、実務登記に非常に便利である、また、全国的に統一が保たれておる、こういうふうな趣旨からいたしまして、現行制度のもとにおきましては固定資産税評価額によらざるを得ない、かように考えております。  したがいまして、「当分の間」ではございますが、これは相当長期にわたりまして固定資産税評価額基礎とせざるを得ない、かように考えておる次第でございます。
  14. 田中昭二

    田中(昭)委員 土地評価が問題でございますが、一筆ごと価額がどう算定されるということになりますか。その「当分の間」というのは、どのくらいをさすかということをお聞きしたわけでございますが、「当分の間」ということにした理由は、いまお聞きして、私は納得のいく点もございますけれども、その基準になりました一筆ごと評価の正しい価額政府として出すのはいつなのか、こういう点について、調査官なり次官のほうからでもお答え願いたいと思います。
  15. 結城義人

    結城説明員 いま申し上げましたように、国の機関において一筆ごと評価ができる時期はいつかということになりますが、これは相当将来の問題でございまして、普通常識的にここ二、三年ではとてもできるような事態にはならぬかと存じます。
  16. 田中昭二

    田中(昭)委員 一応そういう事情によって、固定資産税評価によるのが一番妥当である、このような趣旨に承りますが、固定資産評価につきましても実は問題があるのではないか。国民はそのようなことについてはあまり知らされもしないし、知ろうともしない——知ろうともしないと言いますと語弊がありますが、ほとんど知っておらないのじゃないか。いつも税法審議の場合に問題になりますが、納税者税法を知らないというたてまえでいくならば、固定資産評価を正当な評価基準に持ってきたということについては、私は問題があるのじゃないかと思うわけでございます。  固定資産評価自体は、各地域地域によりましても多少の——多少どころか、相当な差もございます。その固定資産評価につきましては、当局としてはどのようにお考えになっておるのか。固定資産税評価基準に持ってきたことについて、もう一回御答弁をお願いします。
  17. 結城義人

    結城説明員 評価の問題につきましては非常にむずかしい問題でございまして、それぞれの、たとえば国税徴収機関におきましては、相続税贈与税等の場合にまた評価をしなければならぬというようなことがございますし、市町村におきましては固定資産税評価をしなければならぬ、また、登録税関係におきましては、それぞれの登記機関において評価をしなければならぬということがございまして、必ずしも全体が理想的にうまくこん然として統一された形で動いておるとはちょっと申し上げかねることはよく御存じのとおりでございます。  ただ、この際、登録税法におきましてどういう制度を取り入れて、しかも実務上実行可能な方法として実行していくかということになりますと、これが一番いいんだという制度は、現在の状況では実は見当たりません。固定資産税によることが一番無難であり、かつ、実務上実行可能な方法ではないか、かように考えて固定資産税を採用しておるわけでございます。  もう一つ考えられますのは、税務署相続税評価額を採用するということでございます。  これは納税者のほう、申請者のほうが、自分土地坪幾らであるかということが自動的に簡単にわかるというわけにまいりません。御承知のように、たとえば、土地等については路線価方式というのをとっております。これは一々税務署に聞きに行かないとまずわからぬだろう。固定資産税に関しましては、毎年課税当局からそれぞれの土地につきまして通知がございますので、きわめて簡単にわかるというような実務上の便宜があろうかと思うのでございます。そういった点を考慮いたしまして、現在考え得る最善の策として、固定資産税をとる、しかし、決してそれが理想的であり、完全無欠のものである、かようには考えていないわけでございます。その点につきましては、将来の研究課題かと思うのでございます。
  18. 田中昭二

    田中(昭)委員 その固定資産評価額が無難であるという問題でございますが、かりに無難であったとしてみても、その実害を受けるのは国民であります。納税者であります。そうするならば、税法改正におきまして、私は、もう少し納税者実害をこうむらないようなことに考慮されるべきではなかったか、こう思うのです。また、実際の実務をやります場合には、いつも納税者がふしぎに思うことは、税務署に行けば時価というものがいつも問題になる、登録したときの登録価格、それから時価、それから固定資産評価額、こういうものにいつも迷わされるといいますか、税務官庁側の言い分を認めざるを得ない。納税者としては、その評価額とか固定資産評価額というものは、ある程度自分でも納得のいく線でありながら、税務署に行けば、やれ路線価による時価であるとか、そういうものについて説明を聞けば、ああそうですかというようなことで実際課税がなされておる面も多々あるようでございます。固定資産評価そのものの問題につきましても、まあ担税能力の問題からいきましても、都会地固定資産評価額地方評価額というのは差があるのではないかと思います。  ですから、その差というものがどのようにあるのか、それをまずお聞きして、そういう差のあることによって、なおさら格差が出てくるし、税法の公平という問題も阻害されていくんじゃないか。また、担税能力もない、担税能力のないところも割り高登録税を納め、固定資産税も納め、一切のそういうものが基礎になって税金を納めなければならない、納税者はかわいそうである、私はこのように思いますから、もう少しその点につきまして、固定資産評価においては、事実、地域的にどのような差があるのか、いままでどのような課税標準になっておるのか。まず、自治省のほうから来てもらっておりますならば、六大都市並びに地方都市についてはどのような評価をなされておるか、お聞きしたいと思います。
  19. 森岡敞

    森岡説明員 固定資産税におきまする評価の経緯につきまして、簡単に申し上げます。  御承知のように、固定資産税に関する評価の中で、特に土地につきましては全体として地価がかなり値上がりしておりましたが、評価が低く押えられておる、さらに御指摘にありましたように、地域間にも相当な評価の不均衡がございました。そこで、昭和三十六年に固定資産評価制度調査会という審議機関が設けられまして、評価の全体としての均衡地域間の均衡をとるべきであるということで、数年にわたりまして作業を続けたわけでございます。その際、土地につきましては売買実例価額基礎にいたしまして、具体的には各市ごと基準地を設けました。基準地と申しますのは、宅地について申しますと、各都市最高地価格最高地であります。その最高地につきまして売買実例価額基礎にいたしまして路線価をつけました。その路線価を私ども国税庁とも御相談いたしまして、市間のバランスをとる、こういう作業をいたしたわけであります。ほかの地目につきましても、やや内容が異なりますが、そういうふうな方法に準じまして、具体的に作業を進めました。  三十九年に、御承知のようにいわゆる新評価というものを実施したわけでございます。でき上がりました新評価というものは、したがいまして昭和三十八年以前のかなり不均衡でありましたものに比べますと、私どもの見た目では相当均衡化がはかられたと見ておるわけでございます。  ただ、先ほど大蔵当局からもお話がございましたように、土地評価はかなりむずかしい問題でございますので、万全であるかどうかということになりますと、なお今後均衡化をはかっていくように努力しなければならぬ面が残っておると思います。  しかし、繰り返して申し上げますが、三十八年以前に比べますと、いま申しましたような全国的な観点で基準地価格バランスをとる、それをさらに周辺のほうにおろしていくというふうな評価方式施行いたしまして、相当な均衡がはかられたのではないか、こういうふうに見ておるわけでございます。
  20. 田中昭二

    田中(昭)委員 大体わかりましたが、問題は、その基準地がどのような査定になっておるかということです。  ですから、六大都市、たとえば東京ではどこが基準地で、どういう評価になっておるか、それが路線価でもって、全面的に三十八年以前よりもよくなったという、そのよくなったという実例がございますならばそれと、六大都市基準地、並びに基準地以外の問題点があるかどうか。まず基準地からお願いします。
  21. 森岡敞

    森岡説明員 基準地の設定につきましては、固定資産評価制度調査会の答申の内容が、固定資産税評価バランスをはかると同時に、国税相続税などの評価とのバランスもはかるべきだ、こういう趣旨でございましたので、国税庁相続税において路線価を設定しておられます基準地内容的に合わせております。  したがって、東京具体例で申しますと、いわゆる三愛前の土地、これが基準地になっておるわけでございます。大阪で申しますと、阪神百貨店前のところが基準地になっております。福岡で申しますと岩田屋の百貨店前……。
  22. 田中昭二

    田中(昭)委員 金額は言えないのですか。
  23. 森岡敞

    森岡説明員 路線価金額は、私ども固定資産税におきましては、東京が三百五十万円ということになっております。ただ、これは路線価でございますので、御承知かと思いますが、その路線価基礎にいたしまして画地計算その他いたしますから、具体的な評価額は必ずしも三百五十万円そのものではございません。大阪が二百万円ということになっております。
  24. 田中昭二

    田中(昭)委員 名古屋は。
  25. 森岡敞

    森岡説明員 名古屋が百六十万円ということになっております。それから福岡が百万円、それから横浜が百万円、大体そういうふうな金額になっております。
  26. 田中昭二

    田中(昭)委員 これはちょっとむずかしい問題だと思いますね。福岡岩田屋の前が坪当たり百万円の価格で、東京の銀座において三百五十万円という評価、ここにおいても問題がございますように、たとえば福岡にしましても、岩田屋以外の辺地におきましては、なおさらこの評価の差が大きくなる、不公平の差が大きくなる、こう私は思うのです。  それをここで論議しましても始まりませんから、そのような評価自体において問題があるものを基準にして登録税課税するとするならば、その評価額が絶対的なものでないということも考えられます。それで、納税者としましては、売買実例の場合には、特殊な場合、評価額に比較して特別な安い価格売買契約なされる場合もあるかと私は思うのです。そのようなものに対するしんしゃくといいますか、そういうものがあるのかどうか。また、根本的には、政府のその基準であるところの時価というものにおいて評価額もあり、時価もありというようなことにつきまして私はまだ疑問がありますが、まず、その固定資産評価が絶対的なものでないものに対して、何かの救済処置、そういうものがあるかどうか、自治省のほうからと大蔵当局のほうからと、両方お願いします。
  27. 森岡敞

    森岡説明員 固定資産税評価額につきましては、もうすでに御承知済みのことと存じますけれども、毎年三月の一日から二十日までいわゆる縦覧という措置をやっております。その縦覧に基づきまして、納税義務者あるいは関係者がその価格が不服であるという場合には、審査請求と申しておりますが、審査の申し出をいたしまして、固定資産評価審査委員会という別の市町村に設けられました委員会におきましてその審査決定をするということでございます。したがいまして、評価バランスは、一方において評価をする立場からできるだけ努力をいたしておりますが、同時にまた、所有者である納税者のほうからも自由に意見を申し出てそれを是正し得る道が開かれておる、こういう仕組みにはなっております。  ただ、土地、家屋につきましては、御承知かと思いますが、三年ごと評価がえするということになっております。いまの審査申し出の決定は三年ごとに行なわれる、こういうことになっております。  しかし、いずれにいたしましても、そういうふうな道も開かれておりますので、最初に申しましたように、評価当局均衡化の努力と、それから納税者の方のいまの申し出制度の活用と相まって、将来、さらに均衡化に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 結城義人

    結城説明員 登録税そのもの評価に実は異議があるわけでございますが、その場合には、国税通則法規定によりまして、たとえば法務局の行ないました評価につきましても、その法務局を所管する国税局長あてに審査請求ができることになっております。もちろん、この審査請求に対してさらに異議ある場合には一般裁判ということになろうかと思います。  したがいまして、固定資産税評価は、先ほど自治省のほうから説明がありましたように、三年に一度でございますので、その間に、たとえば土地の形状が著しく変わったというような場合には、この登録税法律ではその登録の時点における評価でございますので、もちろん法務局等において適宜評価することができるはずでございます。そうでない場合には、いまの審査請求の争訟手続をもって争うことができる、かようになっております。
  29. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま自治省のほうからの説明ですが、その前に、この固定資産評価は、大体いつ改正なされて、それがどのようにいままでなってきたかという問題点もひとつお聞きしたいと思います。  それともう一つ、いま説明された中に、なるほどそういう閲覧の期間もあるでしょう。そういうものを一々見て、そうして言ってくる人というのは、納税者のうちにおいてはそうたくさんないのじゃないか。それは不動産業者か何かであればそういうことも考えられますが、ただ審査会を経てきたからこの評価額が正しいのだというような官庁の形式的な行き方に根本的に問題がある。  この登録税法でもそうです。なるほど物価の上昇に合わせて上げること、それは私は理由があると思いますけれども、その上げ方において実情と合わないものがたくさんある。どうせ改正するならば、実情に合ったように、少々立法機関が立法の時期において手数がかかってみても、国民納得するものができなければならない、そういうものに努力を払われたか、そういう問題が私はあると思うのです。  ですから、ただ、固定資産評価額で、そういう閲覧期間があったり審査会を通してやるからということだけでなく、もちろんそういうことをしてもらわなければなりませんけれども、実際の評価の問題について問題が起こった場合のことを考えて、もう少し余裕のあることを残しておくのが適当ではないか、こう思って申し上げたわけでございます。  それから、いまの不服の場合の審査請求でございますが、それはもちろんそのような措置があると思います。いま言いましたとおりに、当分の間は固定資産評価額によるということになっておりますから、もしもこの評価額に事実が合わないような場合には、もちろんそういう不服の申し立てということもあるが、それ以前に解決できないか、こういうことを言ったわけでございます。今後そういう点につきましては、自治省も大蔵省のほうも話し合いなさいまして、今後の改正においてはそういう点も十分考えてもらっていいのじゃないか、このように私は希望申し上げておきます。  いまの固定資産評価はいつなされたのですか。そのことについてお伺いします。
  30. 森岡敞

    森岡説明員 先ほど申しましたように、昭和三十六年に評価制度調査会の答申がございまして、その後鋭意作業を進めまして、昭和三十九年一月一日現在でその三年間の作業の結果の新評価がえを行なった、こういうことでございます。その評価額が現在課税台帳に登録されておるわけでございます。  なお、御承知かと思いますが、三年ごと評価がえをするわけでございますが、昭和四十二年度におきましては評価がえの作業を実施いたしませんで、状況が非常に変わった地域以外はその評価額をそのまま用いる、こういう特例措置を立法措置として講じております。
  31. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に、この登録税というのは、きのうも当局から説明がありましたが、世界各国の登録税というのはどのようになっておるものか。きのうは世界各国の近代国家も課税になっておるということだけをお聞きしましたが、その課税の詳しい内容につきまして簡単に説明していただきたい。
  32. 結城義人

    結城説明員 諸外国の登録免許制度の例でございます。  まず、フランスでございますが、フランスは、不動産、動産、賃借権、特許権、登録商標権の譲渡、営業譲渡、会社への出資、増資、減資等の資本の流通に対して税を課しております。かようになっております。英国の場合には、蒸留酒の製造販売、それから自動車の登録に対して課しております。かようになっております。それから西ドイツでございますが、酒類販売免許税があります。それから不動産、船舶、航空機の所有権の登記、特許権の登記、会社の登記、弁護士の免許について、わが国の登録免許税に類する手数料を取っております。アメリカでは、酒類、それからバター、チーズ、銃火器の製造販売、それから麻薬、麻酔剤の取り扱い業者、これはお医者さんを含みますが、免許税を課しておる。それから州税、ステーツの税として、弁護士、医師といった自由職業人と、それから映画、サーカス等の興行場、それから劇場、レンタカー業、たばこ販売といったものに免許税を課しております。大体かようになっております。
  33. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、アメリカ、西ドイツ以外の各国は、日本の登録税よりも課税客体も少ないようでございますね。簡単なようでございます。もう一つ、あとでこの各国の登録税の実施状況資料の提出をお願いしておきます。それと、各国の登録税の税収に占める割合はどのようになっておりましょうか、印紙、登録両方で。
  34. 結城義人

    結城説明員 ちょっといまの手元資料ではそこまでわかりませんので、御了承願いたいと思います。
  35. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、それも一緒にお願いいたします。  次は、印紙、切手の売りさばき人の問題でございますが、昨日もいろいろお話しになっておりましたが、私はもう少し確認しておきたいと思いますから、もう一回お尋ねするわけでございますが、このたびの二十二条について、登録免許税が一万円以上の場合の件数は、今回の改正によって引き上げると大体どのくらいの件数になるのか、また、予想金額はどのくらいになるのか、お尋ねいたします。
  36. 横井正美

    横井説明員 昨日主税局長からお答え申し上げましたように、現行登録税の課程実績の一件当たりの平均が五千六百円でございます。今度の改正額によりましても約七千円というふうに見込まれておるわけです。また、税率表をごらんいただきますればおわかりになりますように、たとえば定額税制のものにつきましては、合名、合資会社の設立登記、それから会社の支店の設置、これが一万円超ということになりまして、それ以外は全部一万円以下、こういうふうな定額税率になっております。また、定率税率につきましても、たとえば不動産の保存登記、百万円のものを保存登記いたしましても六千円の税額であるというようなことで、定率税制のものにつきましても、一万円以下が非常に多いということでございます。私ども、はっきりした件数は把握しておりませんが、おおむね九〇%程度は二万円以下ということになるのではなかろうかというふうに存じております。
  37. 田中昭二

    田中(昭)委員 きのうのお話で、印紙、切手の売りさばきを専業にしておる人員でございますが、この軒数、一軒当たりの収入、並びに国からいただく手数料ですか、その総体の金額はどのようになっておりましょうか。
  38. 浅尾宏

    ○浅尾説明員 私たち、売りさばき人と称します場合には、郵便切手と収入印紙を両方やっておる者と、収入印紙だけを売っておる者を専業と申しておるわけでございますけれども、その収入印紙だけを売っております売りさばき人も、郵政省の選定のしかたは、売りさばき所に関する法律の二条で、営利を目的としない法人の中から選定する、こういうことになっておりまして、町のたばこ屋さんあるいは雑貨屋さんなどが収入印紙だけを売りさばいておるというところはないわけでございます。  そこで、昨日申しました五百三十軒の売りさばき額、それと売りさばき手数料でございますが、それだけを抽出いたしました統計はとっておりませんので、御説明いたしかねます。
  39. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、売りさばき人全体の数、また売りさばき人にいくところの収入、それは、全体はどうなっておりますか。
  40. 浅尾宏

    ○浅尾説明員 昭和四十二年度で大蔵省から郵政省に繰り入れます収入印紙の売りさばき手数料でございますが、それは全体で三十三億六千万円でございます。そのうち、売りさばき所にまいりますのが約二十億円程度かと推計されます。と申しますのは、郵便局の窓口でも売るわけでございます。その手数料は郵政省の会計の中で処理しておるわけでございますので、売りさばき人に支払いされますのはそのうちの約二十億円程度、こういう推計でございます。
  41. 田中昭二

    田中(昭)委員 売りさばき人のことは、わかったようでわからぬようなことになっておりますが、結局、陳情も出ておりますように、売りさばき人がいままでわずかな収入で国家の仕事をやってきた。国家の仕事をやってきたといいますと大げさになりますが、そのようなこともありますから、今後、その売さばき人が改正によって困らないように、そういう処置を十分考えていただくことは私はあたりまえじゃないか、こう思いますから、そういう面につきましては、各省の話し合いで、できるだけの便宜を与えていただきたい、こう思うのでございます。  次に、いままでの登録税の中で、医師、税理士、水先人の登録税は、三千円、二千円、九百円であったようでございますが、今度の改正では一律に二万円となっております。これでは不公平ではないかという見方もあるわけですが、いままで差があったものが同じく二万円になったというその理由をお聞かせ願います。
  42. 横井正美

    横井説明員 いま先生のお話がございましたように、従来三千円、二千円、それから九百円というふうに断層があったわけでございますが、これには過去のいろいろないきさつがございます。  まず、水先案内人でございますが、明治二十九年に現行の登録税法が制定されました当時以来、昭和の太平洋戦争中に登録税が引き上げられますまで、水先案内人、医師ともに二十円でずっとまいったわけでございます。それは水先案内人の経済的な収入、それから社会的な地位等からいたしまして、同じような税額ということできたわけでございます。ところが、たまたま戦争中に船員の方がたくさんなくなる、こういう事情がございまして、戦争中に登録税を引き上げました際に、船員だけは見送りにいたしました。その関係で、水先人の登録税は低いままに据え置かれた、こういう状況でございます。今回の改正にあたりまして、水先案内人の収入はどうであるか、あるいはその社会的な地位はどうであるかというふうな点につきまして関係省等と御相談したわけでございますが、水先人の収入が非常に多い、私どもの調べでも、医師と同等以上の所得統計が出ておるわけでございます。そういう点からいたしまして、また、水先案内人が非常に社会的に責任と地位の高い仕事をなさっておるというふうな状況からいたしまして、医師と同等とするのが適当であろう、かように考えた次第でございます。  それから、次に税理士でございますが、税理士は二千円、公認会計士は従前三千円でございました。これにつきまして、税理士会等から公認会計士と同額にしてほしい、こういうふうな御要望がございました。公認会計士もその所得状況等種種ございまして、公認会計士必ずしも高い所得を得ておるということでもございません。そのうちの相当な方は税理士をなさいまして、それによって収入を得ておるという方も多いようでございます。それから、公認会計士と税理士の社会的な地位の問題というふうなところからいたしまして、税理士会としては同等にしてほしい、こういう御要望があったわけでございます。  そういう点からいたしまして、医師、税理士、水先案内人いずれも二万円、かようにいたした次第でございます。
  43. 田中昭二

    田中(昭)委員 その理由だけでは少し納得のいかない点もありますけれども、長くなりますから……。  同じく有限会社と株式会社も同様な問題があると思います。並びに、相互会社は今度は十万円となっております。これは特筆すべきことだと思いますが、このことについて簡単にお願いします。
  44. 横井正美

    横井説明員 有限会社と株式会社の関係でございますが、これは従来ともに資本金の千分の七、最低三千円という税額になっておったわけでございますが、有限会社と株式会社ではその社会的な経済活動に大きな差があるというのが常識でございます。そういう点からいたしまして、今回は最低税額につきまして、有限会社は比率を低く押える、株式会社については大きくした、かような次第でございますが、なおこれでも少ないというふうな御意見も一部にあるように承っておるということで、今後も検討したいというふうに考えておるわけであります。  それから相互会社でございますが、これは相互組織であるということからいたしまして、従来保険業法等におきまして非課税だというふうな規定があったわけでございます。しかしながら、保険会社等の社会におきます経済活動等からいたしまして、非常に大きな規模の会社等と同等以上の活動をしておる、通常の株式会社よりもずっと大きい、しかし資本金がございません。たとえば一億円の株式会社でございましたならば、その千分の七でございますから、七十万円を設立の登記のときに払うというわけでございますが、しかし、相互会社はそういうふうな資本金がございませんので、規模の大きい会社だということで十万円というふうな税額を設定したというふうな次第でございます。
  45. 田中昭二

    田中(昭)委員 相互会社については、いままでは非課税だったのが、一躍大きいからということによって十万円という最高の登録税を納めるということになるわけですね。それだったら、いままで当然課税しそこなっておった、登録税を取りそこなっておったという、こういった解釈もできるのではないかと思います。それはいろいろ理由もあると思いますが、時間もありませんから、先に進めます。  今度新規に課税する対象に定期運送用操縦士の技能証明があるのですが、こういう証明に対して登録税を課するということになっております。これはどういう理由からそのようになったのか、御説明をいただきたい。
  46. 横井正美

    横井説明員 昨日御議論いただきましたように、たとえば看護婦でございますが、これについて種々の議論がございまして、結局三千円の課税をするようになった。船員につきましても、たとえば下級船員もあるのでございますが、やはり課税をするようになった。船員は甲種、乙種、丙種とございます。これについて従来から登録税課税しておるわけでございます。  そこで、登録税の基本に返るわけでございますが、登録税課税趣旨は何かというふうなことから振り返ってみます場合、船員については登録税が課されている、操縦士には課されていない、この辺は一体どういうふうに考えるのかということで、税制調査会等でも御議論願ったわけでございますが、船員に比べまして、操縦士のほうがより収入も多いというふうなことでございまして、同様に課税すべきではないか、ただ、従来の登録税のもとにおきましては、登録ということの形式をとらえまして課税をしておる、したがいまして、船員には登録制度があり、操縦士には登録制度がないということからいたしまして、船員には課税をし、操縦士には課税しなかった、こういうふうなことでまいったわけでございます。  そこで、実質から見ますと、船員が資格をもらうとか操縦士が資格をもらう、これはいずれも国から与えられる排他的な資格でございます。同様に扱うべきではないかという御議論もありますので、操縦士について、その資格が与えられるときに課税をすべきである、これがいわゆる技能証明という段階でございまして、この段階でとらえまして課税する、かようにいたした次第でございます。
  47. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、技能証明というのは、ただ一回限りの課税なんですね。証明を出すたびに課税するという意味ではございませんね。
  48. 横井正美

    横井説明員 一回限りでございます。
  49. 田中昭二

    田中(昭)委員 それではその次に、その下のほうにございます銀行業の認可ですが、開設の免許等に対しては五万円、このようになっておりまして、これは支店の設置の認可の場合五万円となっておりますが、本店の開設という場合はどのようになるのですか。
  50. 横井正美

    横井説明員 本店の開設も同様に五万円でございます。
  51. 田中昭二

    田中(昭)委員 本店と支店の開設の場合同じ金額だ、こういうこともあるわけですね。  そうしますと、いままでずっと論議してきましたものの中には、登録税法の中にもまだまだ考えてもらわなければならない問題があると思うのです。いまの相互会社のように、いままでは非課税扱いにしておったようなものが急に課税になって、最高の登録税十万円の課税になるというような問題、こういう問題については、ちょっと私たちは納得のいかない点もあるわけです。このことについて、ひとつ次官からしかと説明をお願いしたい。
  52. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 保険会社につきまして、いままで役員変更につきましても、あるいはまた、本店、支店その他の設置につきましても課税をしていない、今度新規に登録税の対象にしながら、しかも一挙に最高のということでございまして、確かに先生の御意見もよくわかるのでございますが、実は従来業務規模等から考えまして、銀行と差別をするというのも、むしろ従来のほうが少しおかしかったのではないか、今度初めてそれを調整し、同じような取り扱いをするほうがむしろ妥当じゃないか、こういう考え方に立ちまして課税することにいたしたわけであります。するとすれば、その規模なり、社会的な果たす機能なり、他の類似のことから考えまして、これはやはり先生のおことばではございますけれども、最高の額ということが、むしろ他との均衡上妥当ではないだろうか、こういうふうに考えたものでございますから踏み切ったわけでございます。  なお、本店と支店の区別その他、いろいろ御議論があろうかと思いますが、これらの業種につきましては、なるべくこまかくしないで、ひっくくってやるほうが、実はまたそうしなければ、支店の大小によりましたり、規模のあれによりましたり、いろいろ考えて、整理合理化しようとしてもなかなかうまくいくものではありませんので、そういう意味で実は同じような取り扱いにいたしておるわけでございますので、この点は御了承いただきたいと思うわけでございます。
  53. 田中昭二

    田中(昭)委員 何も高過ぎるというようなことで言ったわけではございませんけれども、確かにいままで課税すべきであったものが課税されてなかったという点がよくわかっていただければいいのではないかと私は思います。  問題は、最後になりますが、登録税法の実施の時期でございますが、二ヵ月間の期間があるわけです。この二ヵ月間で国民登録税改正を十分知ることができるであろうか、こういう面について私は心配するわけでございます。もちろん、このものに関係のある人は当然それは知ると思いますが、いままでの実例からいいまして、こういうものは知らなかった、知らなかったがためにこうなったというような問題もございますが、そういう面につきまして、当局としてどのようなPRのお考えがあるのか。ございましたならば、それの御説明をお願いしたいと思います。
  54. 結城義人

    結城説明員 成立いたしました税法の執行は、実は国税庁の所管でございますので、私のほうから申し上げるのは、あるいは適当でないかと思いますが、国税庁におきまして、あるいは二ヵ月の間に、税務署においてチラシをつくる、パンフレットをつくるというようなことで関係業界に配付をする、あるいはラジオ、テレビのスポット等を通じ、また新聞紙上に解説を出すというように、マスコミュニケーションを通じまして二ヵ月間それぞれ普及宣伝につとめるということであろうと存じます。
  55. 田中昭二

    田中(昭)委員 以上で終わります。
  56. 内田常雄

    内田委員長 次は、平林剛君。
  57. 平林剛

    平林委員 昨日私がお尋ねして、残っていた問題点につきまして、少しお尋ねしたいと思うのであります。  それは、今回登録免許税を課税する対象が、政府改正案によってふえてきたわけでございまして、昨日問題にいたしましたのは、従来も課税対象にはなっておりましたけれども、弁護士、公認会計士、公認会計士補、税理士、弁理士、医師、歯科医師、保健婦、助産婦、看護婦などが、いろいろな登録をするときの税を課せられる対象になっておるのですが、一方、地方公共団体で行なうところの行政書士あるいは衛生検査技師、調理師、歯科衛生士、歯科技工士、二級建築士、准看護婦、栄養士、理容師、美容師、クリーニング師等いろいろあるわけでございますけれども、これとの比較対象で、今後一体自治省側においてはどういう考えを持っておるかということをきょうは少し詰めてみたいと思うのであります。  そこで、その答えをいただく前に、大体地方公共団体で行なう、私がただいまあげましたのは一部ですけれども、まず人の面におきまして、この一年間に大体どのくらいの人が地方公共団体において新たに登録され、その職について許可、認可されたものがあるかということを明らかにしてもらいたいと思うのです。自治省のほうからひとつお願いいたします。
  58. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 お尋ねの件でございますが、件数としてはございませんが、金額としてならばございます。  金額でございますけれども、個々のこまかく分けたものではございませんで、地方公共団体の手数料の総額といたしましては、四十年度の決算におきまして三億五千八百万円でございます。
  59. 平林剛

    平林委員 そうすると、地方公共団体においては手数料をまず課しておるわけですね。それの金額が三億五千八百万円。私の聞いておるのは、行政書士というのは、この一年間に大体どのくらい登録をされたか、あるいは栄養士とか理容師のなり手はどのくらいあるかということで、私らも将来のために参考に聞かしておいてもらいたいと思うのです。つかんでないのですか、そういうことは。
  60. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 数字としてつかんだものはございません。  それからなお、訂正さしていただきますが、先ほど三億云々と申しましたのは、手数料全体といたしまして三百五十八億円でございます。単位を間違えましたので、失礼いたしました。
  61. 平林剛

    平林委員 自治省、これは大体どのくらい行政書士が一年間に登録されるのか、あるいは栄養士、美容師、理容師というのはどのくらいかということを、数字としてつかんでいないというのはどういうわけなんですか。
  62. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 私、直接の担当でございませんのではっきりしたことは申し上げられないわけでありますが、いまお話の栄養士でございますとかいったようなものにつきましては、それぞれの実施官庁がございまして、それらのほうにおきましては統計があろうと思います。私のほうといたしましては、そういったものを全部集計いたしましたものはないわけでございます。
  63. 平林剛

    平林委員 まあ、担当者でなければしょうがないのですけれども、いずれにしても、手数料で三百五十八億円というのは、これはばかにできない数字ですね。  そこで、あなたのほうは、政府のほうが、この際、かわいそうに看護婦さんのようなのは千円から三千円に上げるとか、担税力に着目をして、社会的地位を上げるために取り上げるのだそうですけれども、あなたのほうはどうなんですか。この手数料三百五十八億円の料金というものは、やっぱり最近の物価情勢とか、課税を調整するというようなことで、またみんなから取り上げようというような悪い量見は持っておるのでしょうか。どうなんでしょうか。これはあなたじゃちょっと気の毒かもしれませんけれども、国で行なうものは下これを見習うということになりまして、社会風潮になるおそれがありますものですから、この際聞かしておいてもらいたいと思うのです。
  64. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 手数料につきましては、物価の動向等を勘案いたしまして、洗い直すということはいたしておるわけでございます。
  65. 平林剛

    平林委員 今度政府のほうが登録免許税と、こう統一しましたね。  ちょっと国のほうに伺いますけれども、きのう塩崎さんにお話を聞くと、これは今後の課題として検討中だという物騒なことをおっしゃったわけなんです。国としてはどうなんでしょうか。いま地方公共団体は手数料というような形で三百五十八億円をあげているわけですね。これは物価上昇について洗い直しているというお話でございますけれども、こうしたものと統一して何かおやりになるという考えを持っておるのですか。
  66. 結城義人

    結城説明員 国といたしましては、地方公共団体の扱っております行政書士、准看護婦その他の登録登記等につきましては地方公共団体におまかせしておりまして、国といたしましては、いまのところ何も考えておりません。
  67. 平林剛

    平林委員 自治省に伺いますけれども、この地方公共団体で行なうもの、いろいろな対象がございますけれども手数料を取っているものを、これを機会にさらに引き上げるという計画はあるのですか、ないのですか。
  68. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 この地方公共団体手数料令にはいろいろな手数料が入っているのでございます。それぞれその手数料がきめられました時期もまたいろいろな時期においてきめられておるわけでございます。で、今回の国税改正に伴いまして、それとの均衡上どうするかということについては、いま別段の結論は出ていないわけでございまして、この手数料を全般の問題といたしまして適正な手数料にいたしたいという考えはあるわけでございます。それをどれがどうかということについては、私、主管でございませんので、はっきりお答えするわけにはまいりかねるわけでございます。
  69. 平林剛

    平林委員 適正な手数料にしたいということは、値上げをしたい、こういうことなんだろうね。  まことに、今回の登録免許税法案の及ぼす影響は、やがて地方公共団体に及ぼすそのおそれが非常に濃厚になってまいりまして、あまりいい法律案でないということだけははっきりしておるわけでございまして、私はこの場合に、たとえば看護婦さんから、社会的地位が上がるものだというようなことを理由にして三千円も取るような考えは、地方公共団体ではぜひ起こさないようにしてもらいたいと思うのでございます。政府だって、ほんとうはあまり上げたくなかったらしいのでございまして、ただ、その団体から、上げてもらったほうが社会的地位が上がるというようなお答えがあったもので上げたんだという、責任を他に転嫁するようなことを言っていますが、私、これもやっぱりあまり許しがたいところの理由でございまして、あなた方、一々そうやって、登録免許税あるいは手数料が上がることが社会的地位が上がるなんという変な宣伝をしないで、どうかひとつ、合理的なものでやってもらいたいということを希望して、私の質問を終わっておきたいと思います。
  70. 只松祐治

    ○只松委員 関連いたしまして若干御質問をいたしますが、国関係のこういう登録あるいは免許手数料その他が改正になりますと、これに準じて地方でも当然に改正されると思いますが、その改正はどういうふうなことをお考えになっておりますか、まず、方向についてお尋ねをいたしたいと思います。
  71. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 いまの御質問は、国での税法改正に伴いまして、地方公共団体手数料令の額をどうするかという御趣旨の御質問でございましたならば、先ほどもお答え申し上げましたように、この地方公共団体手数料令につきましては、この額がきめられた時期がいろいろございまして、その古いもの等につきましては、物価の上昇等も考慮いたしまして、適正な額にしていきたい、こういう考えはあるわけでございますが、さらに御質問がほかの御趣旨でございましたら、それに従ってお答え申し上げます。手数料につきましてはそういうことでございます。
  72. 只松祐治

    ○只松委員 そんな抽象的なことを聞いているのじゃないよ。そんなことぐらいなら聞かぬだってわかっているよ。まじめに答えなさい。
  73. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 御趣旨をよく私のみ込めませんで失礼申し上げておりますが、この国税改正に伴いまして、手数料をそれに関連して上げるということは、考えておらないわけでございます。
  74. 只松祐治

    ○只松委員 それでは、国税に準じて地方税において当然引き上げその他考慮さるべき職種の種類を言ってください。
  75. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 この関係につきましては財政局のほうが所掌いたしておりまして、私のほうの担当でございませんので、私からはっきりしたことを申し上げることはちょっとできかねますので、恐縮でございますが、私の承知している限りのことでお許しをいただきたいと思うわけでございますが、地方公共団体で行ないますものといたしまして、行政書士の登録でございますとか、衛生検査技師でございますとか、あるいは調理師、診療エックス線技師、歯科衛生士、准看護婦、理容師とか美容師、クリーニング師、あん摩、マッサージ、指圧師といったようなものがいろいろとあるわけでございますけれども、これをどういうふうにするかということにつきましては、いろいろと勘案いたしまして検討してまいりたい、こういうように考えます。
  76. 只松祐治

    ○只松委員 大体何種類ぐらいございますか。
  77. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 約五、六十ございます。
  78. 只松祐治

    ○只松委員 地方公共団体手数料令によれば現在百九十九ある。このうち全部が全部変わるわけではないと思いますけれども国税が変われば国税に準ずるというのが地方税法のたてまえですね。準ずるということは、大体一年前後というのが普通地方税が国税に準ずるという場合です。そうすると、国税がこうやって手数料を引き上げるというときには、大体地方税もこういうものについては引き上げるということのおよその下相談なりあるいは準備なり何なりがあってしかるべきなんですね。そういうことをお尋ねしようと思った。さっき平林君が質問しておるのも、単に、国税はここで論議しまして、国税関係はこうやって上がるけれども、当然地方税も上がるのではないか。これは私もずっと前、そういう質問をしておるわけです。したがって、百九十九種類になりますと、今度はそれから出てくるおよその人員、これが何十万人になるか。既存のものは遡及しないとしても、いまから毎年何万の人がこうやって関係をしてくるか、こういうことが当然に問題になってくる。十人や二十人ならさして問題はないけれども地方公共団体の許認可事項ということになってくると、相当膨大なものになってくる。そこで、国税と違って、一般の庶民階級に及ぶ率というものが非常に大きくなるし、強くなるわけですね。そういうことを私たちはいろいろ憂慮し、心配しておるから、この問題が地方行政委員会にかかる前に私たちも問題点を明らかにしておきたい、こう思って前から質問をしておるのですから、当然あなたたちも、国税に準じて、国税がこうやって改正になるならば、自分たちもそれに対応する準備をしなければならないわけです。いまみたいな答弁なり何なりで準備ができているとは思わないし、きわめて職務怠慢だ。そういう意味から、そういうでたらめな答弁をやめろ、こう言っているのです。いいですか。もう少しちゃんと調べた範囲内で答弁しなさい。それとも、全然準備がないですか。そういうことを調べてもいないのですか。
  79. 首藤堯

    ○首藤説明員 御質問手数料収入関係のことでございますが、現在の四十二年度の地方財政計画におきましては、特に単価の個別のものにつきまして、現在のところ引き上げをもくろんでおりません。全般的に所得の伸び等の状況を勘案いたしまして、額を計上しておる次第でございます。  なお、収入手数料内容につきましては、個別にそれぞれの徴収の適正化等を検討する必要があると存じておりますが、ただいまの四十二年度の措置として、決定的にこれを幾ら幾らとやり、処置をするという考えは、ただいまのところ持っていない次第でございます。
  80. 只松祐治

    ○只松委員 四十二年度できないくらいのことはわかっている。国税に準ずるということは、通常一年後に地方税の改正を行なうわけでしょう。したがって、明年度からのことをお聞きしているわけですよ。地方行政委員会にはとぼけた人はおるかもしれないけれども、大蔵委員会にはそんな人はいないのだから、まともに聞いて、まともに答弁しなさい。  来年度、国税に準じて行なう方針というものはどういうものですかということを聞いておる。一一説明してもいいですよ。一級建築士というものは数も少ないし、相当優秀な、きわめて大きな建築会社におつとめですよ。そこで多少の手数料が上がって、お納めになっても響かないといっては語弊があるかもしれないけれども、ふところの痛む度合いが少ない。しかし、二級建築士というものは、大工さん以下普通の庶民の人々からたくさん取るものですね。あるいは準看護婦さんでもしかり、いなかから出てきて、ちょっと働いて、それほど貯金もない、こういう人々がこの許認可を受けなければならぬ、こういう人たちは、自分のふところぐあいも少ないけれども、同時に、受ける人数というものは非常に膨大になってくるわけですよ。こういう人の許認可料をどの程度、どういう幅で上げていくかということが庶民にとっては重大な関心事項になってくるわけです、一級建築士やあるいは正規の看護婦や何かと違って。したがって、そういう問題についてどういう方針をお持ちになっておるのですか、こういうことをお聞きしておるので、来年になってみなければわからないとか、行き当たりばったりなら行き当たりばったり、検討しているならしている、検討していないならいないと、そういうことを正直に言ってください。
  81. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいまの段階では、具体的な結論が出ると申しますか、そういう段階までの検討を行なっておりません。ただ、手数料でございますので、手数料の本旨に照らしましての検討は必要かと存じておりますが、具体的な検討を進めておる段階ではございません。
  82. 只松祐治

    ○只松委員 いや、国税に準じて行ないますか、行ないませんか。国税とは全然別個に行ないますか。
  83. 首藤堯

    ○首藤説明員 手数料でございますので、それとは一応別個の立場でありますか、そういう観点を加えて検討すべきであろうと思っております。
  84. 只松祐治

    ○只松委員 そうすると、今回行なわれている国税のような大幅な引き上げは、いま私はほんの少しそういう方々の立場というものを申しましたけれども、そういう立場というものを十分考慮して、国税のように大幅な値上げはしない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  85. 首藤堯

    ○首藤説明員 手数料としての適正化と申しますか、そういう観点から検討すべきだと思いますので、大幅かどうかと申しますことは語弊があるかと思いますが、税金がどうだからどうだということにはならないものと考えております。
  86. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 関連して。  そうすると、いまの登録税手数料というものは、性格的に違うのだ。自治省としてはそういう認識で、登録税がどう手直しされ、上がろうと、地方公共団体のは手数料なんだ、だから片方の流通税という意味とは性格が全然違うのだ、こういう認識に立って、手数料はいじりません、いまも検討はしておりません、こういう答弁が出ますか。どういう解釈ですか。手数料登録税の違いをまず明らかにしてもらわぬと、その辺がぼやっとしていますね。
  87. 首藤堯

    ○首藤説明員 御質問でありますが、地方団体が地方税という観点から税を課するという立場をとります場合におきましては、また税は税としての議論があるかと思いますが、ただいま申し上げておりますことは、手数料としての適正化をはかるという観点でございますので、そういう観点からいたしますれば、国税の額がどうなったから必然的に地方手数料が多くなるということには相ならないと思います。
  88. 只松祐治

    ○只松委員 どうも私は要領を得ないのですが、私はいま概念とまでは言わないが、大まかな方向を聞いておるのです。だから、方向の一つの基準として、よく皆さん方がお使いになる国税に準じてと、こう言う。準ずるのですかどうですかと言えば、それは準ずるようであり準じないようでもあり、なかなか要領を得ない。基準として準じますか、準じませんか。あるいは武藤委員が言ったように、準じない、こういうふうに受け取っていいのか、あるいは同じ手数料の中にも、法令に基づくものと条例に基づくものとあるわけですから、そういうものは順次聞いていこうかと思っているが、まず最初に、皆さん方がきょう答弁しておるように、国税に準じてこうやって大幅に引き上げるのかどうか、国税に準ずるのか準じないのか、こういうことを聞いているわけですよ。準じないなら準じないと、はっきり言ってください。
  89. 首藤堯

    ○首藤説明員 手数料といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、国税の上げ幅その他に準ずることはない、こう考えております。手数料そのものの適正化と申しますか、そういう観点から検討さるべきだと思います。
  90. 只松祐治

    ○只松委員 準じないということだけは、一応わかりました。  適正化というのはどの程度——これもなかなかむずかしいことですが、予定をなさっておるのですか。全然まだその予定はない、あるいは討議する段階ではない、こういうことでございますか、どうでございますか。
  91. 首藤堯

    ○首藤説明員 まだその意味では、検討の結果どの程度にするという段階にまではいっておりません。
  92. 只松祐治

    ○只松委員 そういたしますと、地方公共団体における手数料は幾らございますか。
  93. 首藤堯

    ○首藤説明員 昭和四十年度の決算で三百五十七億八千九百万円、こうなっております。
  94. 只松祐治

    ○只松委員 県と市町村に分けて……。
  95. 首藤堯

    ○首藤説明員 都道府県が百九十億八千百万円、市町村が百六十七億八百万円でございます。
  96. 只松祐治

    ○只松委員 四十年度で都道府県で百九十億八千万円、市町村で百六十七億円これだけ膨大なものでございますね。今回の国税のように大幅に値上げしなくても相当市町村にとっては大きな金額、これが今回の国税のように大幅に値上げになるとするならば、都道府県、市町村においては相当大きな財源になるわけですね。そうでしょう。相当大きな財源に少なくとも現在もなっておるし、将来はさらになる。こういうものを皆さん方がほとんど検討しておらない、たいして意にも介していないというのは、私はどうも合点がいかないわけです。それほどたいしたものでないとお考えになっても、それはそれでけっこうでございますが、どうですか、あまり大きな財源と皆さん方はお考えになっておらないわけですか。いままでも思っておらないし、将来も思いませんか。
  97. 首藤堯

    ○首藤説明員 使用料及び手数料は、地方財政にとりまして決して少なからぬ収入でございまして、財源としては大事なものだと考えております。
  98. 只松祐治

    ○只松委員 特に東京都におきましては相当膨大な額を占めておりまして、大きな財源だと思うのですが、これを国税がこうやって引き上げられる、それで、論議をされておる段階に全然論議もされておらないし、こうやって私たちがお聞きしましても、その方向さえもさだかでないというのは、いささか私はどうかと思います。だから、今日わからぬけれども、一年たって来年度ぽんとお上げになる——直接皆さん方、都道府県に指示をされるわけですから、都道府県にその方向を出されるということになりますと、これはたいへんに国民一般としては困ってくる。国民に迷惑を及ぼしてくる。少なくとも、国税関係がこうやって変わるならば、地方公共団体においては明年度以降こういうふうな方向をとるということくらいは、たった一年先のことですから、皆さん方は明らかにする任務があると思う。きょう私は、もう少し上げ幅なり、あるいは、したがってその結果何万人くらいの人にどういう影響が出てくるか、こういうこともお聞きしようかと思ったのですが、私は多少調べておりますけれども、皆さん方にお教えする必要もない。皆さん方はそれほど勉強しておられないようですから私はこれ以上質問をやめますけれども、もう少し一般国民、特に私の言うように、順次庶民に影響を及ぼしてくる都道府県、市町村のこういう手数料その他の問題については、もっと明らかに——一年足らずですから、もう六月ですから方向くらいはお出しになっておく必要があるだろう。これは一般国民だけじゃなくて、都道府県自体が明年度の予算を組む場合にも、これは当然理事者側としても必要になってくると考えられるわけですから、そういう親切心くらいは私はあっていいと思うのです。  そういうことを私は要望いたしまして、どうも要領を得ませんので質問を終わりますが、先ほど一言ありましたように、国税に準じない、こういうことだけは明らかになりましたから、ひとつ、先ほどから、平林委員が申しましたように、国税に準じないということを明らかにして、明年度大幅にそういうものを一斉に上げないということを強く要望いたしまして、私の関連質問を終わります。
  99. 倉橋義長

    ○倉橋説明員 先ほどの都道府県手数料令の問題といたしますれば、財政課長のほうから御答弁をしたとおりでございますが、先般の印紙税法の立案の際におきまして、運転免許課税客体にするという問題が起きましたことがあるわけでございますが、その際に、これは地方税として取るべきであるというような御意見もございましたし、また、そうしたような場合におきましては、これを市町村の道路財源に充当いたします場合に、偏在等の問題等もありまして、またそういう問題がありまして問題は見送られたということもあるわけであります。  なお、そういった問題につきましては結論があるわけではございませんが、慎重に検討してまいりたいということはあるわけでございます。これは、御質問手数料令の背後にそういうことをお考えだとすれば、そういう問題があって、これはなお慎重に検討を要する問題であるということを一言申し添えさせていただきたいと思います。
  100. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国の行なう免許、許可の場合には、きのう主税局長が、支払い能力に着目し、特権的な地位に対する流通税だ、こういう性格規定をしましたね。ところが、同じように、片方は国が許可する、片方は地方公共団体が認可、許可する。たとえば看護婦と准看護婦の場合あるいは行政書士と税理士との関係、こういうものを比較してみると、片方は手数料地方公共団体が免許可するのは手数料、国のほうのものは登録税で取る、そこらが私はやはり混乱しているから、主税局長の論理が正しいという前提に立つならば、やはり手数料というものをこの際登録税という形で地方登録税というような形にするか、どっちかに統一する、あるいは国のほうを手数料制度に改めて、ほんとうの手数料に匹敵するだけ取ればいいので、一挙にぽかっと二万円、三万円幅を上げるということは、これは税金を強化するためにやったと判断をされますね、こういう混乱を統一しなければ。  そこで私は、やはり地方関係手数料というものの性格規定が一体どうなっているのか、そういうものを免許可するために、実際人件費がかかる、手間がかかる、紙代がかかるものだからこの程度手数料を取るんだという考え方なのか、それとも、主税局長の言うように、支払い能力に着目し、特権的な地位に対する流通税的な手数料なのか、そこらをやはりはっきりさせなければいかぬと思うのですよ。いまの議論を聞いていて、両方その感じをどんなふうに受け取っておるか、御答弁を願いたい。自治省主税局長。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  101. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 この登録税につきまして、さらにまた新しく追加いたしました免許税、これは私がきのう定義を申し上げましたところと考え方は変わっておりません。ただ、地方公共団体が手数料として徴収するかあるいは免許税——昔シャウプ勧告によってやめられる前は免許税という形でございましたが、こういったふうに取り上げるかどうかは、地方自治のたてまえでございますので、地方自治の独自の考え方からあるいはやられていいのではないか、ことに、財政事情も違うものでございますから、私は、別途の判断があっていい、国は国といたしまして、税制上こういったものが適当であり、さらにまた物価に及ぼす影響、それからまた所得税の減税財源、これらの点から考えて、国としてはやはりこういった形のものが適当である、こういうように考えております。
  102. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  手数料として徴収をいたします場合には、どちらかと申しますと、前段御指摘がございましたように、どの程度費用がかかるのか、コストがかかるのか、そういうことを重点に置きまして、それをまかなうに足る適正な価格手数料としてきめるということになるかと思います。そのような手数料を取ります場合において、当該対象者に担税力があって、それに対して課税するかどうか、これは課税の議論でございまして、そのような場合には、税としての性格から、どれだけの課税をすればいいのか、こういうことに相なろうかと思います。
  103. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうしてみると、いまの地方自治体の手数料の中には、税の性格を帯びたような手数料というのはありませんか。
  104. 首藤堯

    ○首藤説明員 手数料におきましては、基本的には、課税的なと申しますか、そういう性格を帯びたものはございません。ただ、免許関係で、非常に特権付与と申しますか、特権的なものがあります場合は、完全な原価計算から見て幾らか高い、こういうものは幾つかあります。
  105. 只松祐治

    ○只松委員 きょうは時間がございませんから、もう一言だけ言っておきます。  そういう議論だと、一級建築士は国に登録しなければならない。同じ建築士でも、二級建築士は今度は県でいい。片一方の一級は税の性格を帯びる、片一方は税の性格は帯びていない。登録手数料だけだというのですね。こういう意味で、同じ建築士でも、一級建築士と二級建築士というものに例をとりますとそういうことができますね。こういう問題を論議しますと、時間が長くなりますから私はしませんけれども、いまの御答弁では私たちは納得できません。したがって、この問題はいずれ機会を見まして、また税小その他でも討議したいと思います。  ただ、さっきから言っておりますように、自治省は違うとおっしゃる。手数料だ、税の性格を帯びていない、こういうことを重ねておっしゃっているわけですから、ひとつ、国税に準じて引き上げないように、強く要望いたしまして、私の関連質問を終わります。
  106. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 横山利秋君。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 私は、今度の登録免許税法案を見ながら、早稲田や明治大学の騒動を思い出したわけであります。というのは、いま入っておるやつは授業料は上げぬ、これから入ってくるやつは授業料を上げるということですね。この値上げも、いまやっておるやつはまあ文句言うな、おまえは何も関係ないから、これから就職する、免許を受けるという者については上げるぞ、こういうわけですね。早稲田や明治大学がなぜそれでは騒動が起きたか、この登録免許税についてはなぜ不満が出てこないのかと言いますと、結局あなた方はこすいですよ。実にこすい。学生というものは連帯感がある。けれども納税者は連帯感がないから、これから上げるやつについては、弁護士になれるか、うちを買うかわからぬから、上げたってだれも文句は言わぬだろう、せいぜい社会党や野党が文句を言うだけであって、だれも、大蔵大臣けしからぬと言うてくるやつがないという、足元を見透かしたような雰囲気があることは、まことに私遺憾でありますが、これは私どもが反対する第一の理由であります。別に反対討論をやっておるわけではありませんけれども、そのところを心してあなた方は考えなければいかぬと思う。心してこういう立案はしなければ、ある意味ではこすいし、陰険である、こう私は思うのであります。  お伺いしたい第一は、この登録免許税のうち、金額にしてどのくらいのパーセントが法務局の登記所を通るか、わかりませんか。
  108. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 正確には、調べて申し上げたいと思いますが、九〇%程度登記所から税金が入るような仕組みでございます。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 そこで、塩崎さんには一服してもらって、私は九〇%が通ってくる登記所の問題について聞きたいわけであります。  不動産登記法十七条、十八条、ちょっと念のために読み上げてもらいたい。
  110. 住吉君彦

    ○住吉説明員 ただいま民事局長、参上中でございますが、その間かわってお答え申し上げます。  「登記所二地図及ビ建物所在図ヲ備フ」これは十七条でございます。十八条の第一項が「地図ハ一筆又ハ数筆ノ土地毎ニ之ヲ作製スルモノトシ各筆ノ土地ノ区画及ビ地番ヲ明確ニスルモノナルコトヲ要ス」、二項、「地物所在図ハ一箇又ハ数箇ノ建物毎ニ之ヲ作製スルモノトシ各箇ノ建物ノ位置及ビ家屋番号ヲ明確ニスルモノナルコトヲ要ス」このように規定されてございます。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 おそらく同僚諸君も御経験、御記憶があると思うのでありますが、不動産登記法十七条、十八条は、明白に地図、建物の所在図を備えよ、各筆の区画も明確にしろとなっておるわけであります。ところが、実際はどうでございます。率直な状況を伺いたい。
  112. 住吉君彦

    ○住吉説明員 結論を端的に申し上げますと、必ずしも法律の期待に沿うような地図は整備されておりません。
  113. 横山利秋

    ○横山委員 必ずしもじゃない。全然です。率直に言ってもらわぬと、あとの追及がきびしいですよ。
  114. 住吉君彦

    ○住吉説明員 それはいまから御説明申し上げますが、従前、登記所には地図というものはなかったわけでございまして、シャウプ勧告によります税制改革前、これは土地台帳、家屋台帳というものが税務署の所管になっております。その段階におきましては、税務署土地台帳、家屋台帳付属地図というものがございました。ところが、地租、家屋税が国税から地方税のいわゆる固定資産税ということになりました際に、税務署の保管しておりますこれらの帳簿及びその付属図面、地図が登記所のほうに所管がえになってまいりました。そして、現在登記所にはその公図——いま俗に言います地図を公図と申しておりますが、それと台帳を管理しております。ところが、昭和三十五年におきまして不動産登記法の一部を改正いたしまして、いま読み上げましたような規定を入れたわけでございます。  その趣旨は、台帳と登記簿という二木立ての帳簿で不動産登記を扱っておりますと、国民の側にも不便でございますし、役所側も二度手間を使わなければならないというところから、台帳を登記簿のほうに持ち込んでいきまして——私どものほうはこれを一元化と申しておりますが、全国の登記所を昭和三十六年度から十カ年計画でもって一元化の作業をするということで、台帳、登記薄の一元化作業を現に実施中でございます。本年度はちょうど六年度目に当たるわけで、昭和四十五年度に全国の登記所におきまして台帳というものは姿を消してまいります。ただ、地図はその当時の台帳付属地図、これを現在登記所に持っておりますが、先ほど申しましたように、本来税務署で持っておりました地図というものは、地租の対象にするという趣旨から、税金の面であまり重く見られない。たとえば山岳地区あるいは農地、雑種地等、宅地以外の地目が多い地方におきます地図は、現行不動産登記法の予定しております、あるいは期待しておりますような明確な地図ではございません。ただ、旧市街地の宅地部の地図、これはわりと精度の高いものがございます。  以上でございます。
  115. 横山利秋

    ○横山委員 つまり、土地にしろ建物にしろ、登録税を納める要件になっておる現実の事態というものは、登記所における台帳と登記簿が違う。それから、さらに台帳の中にあります付属図面が現実とまるっきり違う場合がほとんどである。そういうような状況で、納税者あるいは土地、建物を持っている人にいろいろな紛争というものが絶え問がないのであります。不動産登記法十七条、十八条によって地図を備えなければならない、それはきちんとやらなければならないというのは、一体どこの責任になっておりますか。だれがそれをやる責任になっておるのか。
  116. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 不動産登記法によりまして公図を備えることになっております。これは登記簿の所管を法務省がいたしております。したがいまして、地図の整理も当然法務省の責任においてやる筋合いのものでございます。
  117. 横山利秋

    ○横山委員 法務省はその地図をつくる作業をいまやっておりますか。
  118. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 住吉課長からあるいは御説明申し上げたかもしれませんが、明治初年の丈量申告に基づきましてできました地図が非常に不備であることは、これはその当時の状況から申しまして、むしろ当然であったとも言えるわけでございます。それが現在まで引き続いて地図として使われておりますところに問題があったのでございまして、われわれとしましては、登記法の地図としてこれを備える以上は、やはり客観的な土地状況に合致した正確な地図を備えなければならないということは十分意識いたしまして、そのような方向でただいま努力をいたしておるわけでございます。  この地図の問題は、もうすでに昭和二十五年に土地台帳を引き継ぎましたときからの問題でございましたが、いろいろの都合もありまして早急に整備ができなかったのでございます。しかし、最近におきましては年々三千万円程度の予算を計上いたしまして、不備な地図を補修いたしますと同時に、さらに地図のないものにつきましては新しく地図を作製しなければならないということから、これも別途予算を計上いたしまして、正確な地図の作製にただいま努力いたしておるわけでございます。  四十二年度におきましては、従来の地図の補修のための経費が大体二千三百万円くらい計上されております。さらに、登記法上の十七条の公図を作製するということのために約九百万円ちょっとこえるくらいの予算を計上いたしまして、これは新しいやり方によって、精度の高い地図を逐次作製していこう、こういうことにいたしております。
  119. 横山利秋

    ○横山委員 私の聞いているのは——三十五年からまさに七年です。いまの話を聞くと、地図のきたないものは整理をするとか、あるいは登記してきたものの争いのないものは整理するとかいうようなお話のようですね。私の聞いているのはそうでなくして、法務局が自発的に地図の作製を現地を調査してやっておるか、やっておらぬかということです。
  120. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 登記所の立場において測量して新しい地図をつくるということは、ただいまのところやっておりません。
  121. 横山利秋

    ○横山委員 しかし、不動産登記法十七条、十八条でそれはやらなければならないことになっておるのではありませんか。
  122. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 登記法上公図を備えることになっておりますので、登記所といたしましては、地図が欠けておる場合にはそれを作製すべきものであるというふうに申し上げざるを得ません。  ただしかし、現状から申しますと、登記所の側といたしまして、直ちにいま新規の地図を作製するということは、実際問題といたしまして非常に困難でございます。とりあえずはいろいろの資料を集めまして、そういった面からまず地図の整備に取りかかっていくということから、先ほど申し上げましたように、新しい方式による地図の作製に着手したわけでございます。横山先生のおっしゃいますように、どこにも地図がないというふうなものも、あるいはあるかもしれません。冒そういう場合におきましては、いずれは、法務省といたしましても計画的に地図の作製をやらざるを得ないというふうには考えておるわけであります。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、いま直ちにそれが着手できないような状況にございますので、さしあたり可能な方法でとりあえず整備をはかっていこうということで進めておるわけでございます。
  123. 横山利秋

    ○横山委員 責任をひとつ明らかにしてもらいたいのですが、この種の紛争というものは、台帳と登記との違い、台帳の中の付属地図と現実とがほとんど違っておるということが現実なんですね。そして十七条、十八条では、地図をつくらなければならない役所としてのあなたのほうの責任を明示しておるわけです。その点は、まずあなたも腹に入れてもらいたい。そうして、それにもかかわりませず、七年たっても自発的には地図は何にもつくられていない。登記してきた人の問題で争いがない、これが事実でございますと言うと、それを確認してやっているだけだ。これでは百年河清を待つようなものではありませんか。いまわれわれは登録税審議をしておる。登録税が円滑に納められることが本委員会の任務である。しかし、登録税を納めるについては、その登録税を納める前段の要件というものがもっと整備し、もっと適切な運営がされなければならないのに、法務局の付属地図はてんでなってない。そのための争いが全国至るところにある。あなたのほうは、自分のほうは何もせずに、争いのないところだけ整備していく、そうして今度はどういうことかというと、区画整理法ですか、あるいは土地台帳ですか、地方でやったものを御利用させていただくということであって、法務省の民事局として、本来自分の役目であることを自発的に何にもしてないということはけしからぬじゃないかというのが私の意見であります。  あなたは、将来はやるでございましょうと言うんだが、それじゃ、将来というのは、いつですか。台帳と登記簿が完全に一元化されるのはいつですか。
  124. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 台帳と登記簿が一元化されます時期は、昭和四十五年の予定でございます。
  125. 横山利秋

    ○横山委員 四十五年になったら一元化されると、まず仮定して、それから地図にかかるわけですか、やらぬですか。
  126. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 先ほど申し上げましたように、補修を要する地図と、新しくつくらなければならないものと二通りございます。補修を要するものは、すでに数年来その補修にかかっております。
  127. 横山利秋

    ○横山委員 補修とは何ですか。
  128. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 これは税務署から引き継ぎました地図がございます。これは非常に古いものでございます。と同時に、破損がはなはだしいものでございまして、全国的に一挙にこれを整備するということは、実際問題としても不可能でございますので、計画的にこれまでこれを整備いたしてまいりました。しかし、そのほかに新しく地図を作製する必要がございます。この地図を作製するということは、登記所の現状から申しますと、相当の計画を立ててやりませんと簡単にはできないと思うのでございまして、とりあえずは、いま一元化の作業もやっております。その他、いま戦後の登記制度の改善のために、能率をあげるためにいろいろの制度の改善をやりつつあります。そのさなかにございまして、地図の作製ということもこれは重要な問題でございますけれども、これもあわせてやることは、法務局側といたしましては、実際問題といたしましては不可能であろう、こういうふうに考えておるわけであります。横山先生おっしゃいますように、責任を自覚していないというのではございませんで、われわれも十分その責任は痛感いたしてはおりますけれども、実際問題として、一つずつ片づけていかなければならないような問題がございます。たくさんの問題をかかえておりますだけに、どれもこれもというわけにまいりませんために、いま申し上げましたような新規の地図の作製の方法につきましては、新しい方式によって、現在予算化いたしましてそれに着手しておるということでございます。いずれは、そういうもののほかに、土地の測量もして正確な地図を作製し、登記所に備えつけるということが必要であることは申すまでもないことでございます。  ただ、いま法務局がいろいろやっております作業関係から申しまして、一挙にそこまで手を及ぼすことは不可能でございますので、しばらく時期を見、さらに慎重な計画を立てましてやらざるを得ないだろうというふうに考えておるわけでございます。決して責任を痛感していないとかなんとかいうのではございません。われわれとしてはぜひやりたいわけでございます。しかし、現在の登記所の置かれた諸般の事情から申しまして、一挙にそれができないという点も御了承願いたいと思います。
  129. 横山利秋

    ○横山委員 了承できませんよ。なぜかというと、来年からはやる、再来年からはやる、それがいつごろできる見通しであるということならば、私はこうも言いません。しかし、四十五年までは台帳と登記簿を一元化する、それから、いまの話の模様であると、地図に取りかかるらしい。全国で土地、建物にかかわる紛争が、この種の台帳、付属地図が明確でないため、どのくらい争いがあるかわからぬですよ。  それでは、四十五年から地図の作製にかかって、全国的に完了するのはいつごろだと思いますか。千年過ぎですか、万年過ぎですか。この法律は空文じゃないか。どうなんです。
  130. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 四十五年に登記簿と台帳が一元化いたしまして、それから先のことにかりにいたしますと、われわれとしましても、全国的に地図の整備の状況、あるいは新規に地図を作製します場合の資料の収集が可能であるかどうか、いろいろ計画を立てた上でやらなければならぬわけであります。いますぐ四十五年度から地図の作製にかかるとした場合に、どのくらいかかるかという御質問でございますけれども、私どもとしましても、それを正確に申し上げるだけの自信はございません。
  131. 横山利秋

    ○横山委員 そうでしょう。だから十七条、十八条というものは全く空文である。できもせぬことを不動産登記法の中になぜ入れたかと、むしろ私は言いたいのであります。書く以上は、この十七条、十八条を制定する以上は、あなた方としても責任を持ってやらなければいかぬ。  十七条、十八条が制定されたのは何年ですか。
  132. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 登記簿と土地台帳とを一元化いたしますために不動産登記法を改正いたしまして、土地台帳法を廃止する措置をとったわけでございます。そのときに土地台帳の付属地図として公図があったわけでございますが、一元化いたします以上は、これを登記簿の地図として備えつけなければならないということになるわけです。その時期は昭和三十五年でございます。
  133. 横山利秋

    ○横山委員 昭和三十五年に、あなたにしてみれば夢みたいなことを、法律に、当然のことであるけれども制定された。制定されてから七年たった今日、またこの法律を実行されるということは、あなたに言わせれば夢みたいなことだ。三十五年からかりに地図にかかるにしたところで、完全に——完全にと言わぬにしても、まず国民納得するようにやられるということは、千年過ぎか万年過ぎかというような話ですね。怠慢ですよ。私はそう思う。もしもそれができぬなら、こういうような十七条、十八条は、制定することが空文であるから間違いである。少なくともそれが制定されたときに、地図をつくる、建物の所在図をつくるということが、国会の意思として、国の意思としてきまったんですから、きまったらきまったように作業を進めなければだめなんですよ。人から言うてきた、これは私の土地です、私の建物です、と言うて持ってきたものだけは、これは争いがないなんというので整理する。それから県や市あるいは国か何かの関係で、ほかの省がやったやつだけは、ああそうですが、いただきますと言って、いただいてそれにやる。本来の責務に対して法務省民事局は毫も前向きの仕事をしていないということは、明らかに怠慢である。あなたは自分の責任であるとおっしゃるならば、少なくとも、それが一体どうしたらできるか、どうしたらそれが一歩でも、半歩でも三十五年以来前向きの姿勢を示して、みずからそれを実行するという体制をとらなかったか、ふしぎに思うのであります。  一体、なぜそれができないのか、予算なのか、人員なのか。あなたは大蔵省にそれを要求されましたか。
  134. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 先ほど申し上げましたように、現存の地図の補修と、さらに可能な範囲で新しい地図をつくろうということで、毎年予算の計上をいたしております。その範囲のことは現在やっておるわけでございますが、それ以外に、さらに地図のないところを積極的に整備していけ、こういう御趣旨であろうと思います。  これは、先ほど申し上げましたように、現在の法務局はいろいろの能率化あるいは制度の合理化、改善のための作業をやっております。そこへもってきまして、この地図の作製に法務局自体でかかるということは、これはまことに残念なことでございますけれども、実際問題としては不可能なわけでございます。  また先年、これは横山先生も御承知と思いますが、那須地区におきまして地図がないためにいろいろの紛争が起きたという事態がございました。これは、調べてみますと、確かに、ずっと以前から地図が存在していないという事実がございましたために、われわれとしましても、この地図の整備をまずやらなければならぬということから、関係の各省庁あるいは県なり地元の協力を得まして、いろいろいま作業を進めておるわけでございまして、これが一つのテストケースになろうかと思うのでございますが、これをやりまして、地図ができました上で、さらに全国的にそういった不備の点も調べまして、計画的にやる必要があろうということは考えておるわけでございます。
  135. 横山利秋

    ○横山委員 登記所というところは、大体その書類がきちんと整備されておれば受け付けるというところですね。確認をしないところです。それが実際何がしの土地であろうとなかろうとわからぬから、書類が整備されてきて、これが私の土地でございます、建物でございますと占えば、受け付けて、きちんと登記をしてしまうところですね。そこに私はずいぶん問題があると思うけれども、その念査をする方法がないというお話だそうであります。念査をするにも、大体自分のところで持っておる地図があいまいであって、打っておりながら何ら客観的に明白な証拠とならないというコンプレックスがある模様である。したがって、この争いの中には一刻も早く、一秒も早く登記してしまえということがあり得るわけです。これまた、ずいぶん登記所をめぐる問題点なんです。  それはもちろん、これだけの全国の地図をつくるということが容易なことでないことは私も百も承知をしておるけれども、七年たっても、さらにこれから二年たってもあなたのほうにやるかまえがないということに対して、国民を代表して、きわめて遺憾の意を表さざるを心ない。法律にはちゃんと書いてある。あなたのほうの責任として、地図、建物の所在図を備うと書いてあるのです。書いてあることをちっともやりもしないで、また、将来もやるかまえが全然ないということについては、これはあなた方は法律を実行しない怠慢のそしりは免れがたいですよ。現状としては困難だとおっしゃるかもしらぬけれども、あなた方は法律上の任務なんだからやらなければだめですよ。私は、一夜に全国の地図が完成するとは思わぬ。五年かかるか十年かかるかわからぬ。わからぬけれども、七年ほうっておいて、そうして、またさらに二年待ってくれ、二年待ってもなおかつ地図をどうやってつくろうか、ちょっと見当がつかぬというようなことでは、私はこれは絶対納得するわけにいかぬです。それは、あなた方が大蔵省へ要求をした、それに必要な予算や人員を要求したというなら、これは大蔵省の責任だ。要求もしなければ、そこで大蔵省の総務課長、たばこを吸ってのんびりかまえていらっしゃるけれども、これはあなた方の責任ではないですね。私は、大蔵省はいかぬと思って大蔵省から来てもらったのだけれども、これは大蔵省の責任ではない。あなたのほうの全くの責任じゃありませんか。そんな破れたものを修理するということであるならば、これはあたりまえのことですよ。ほめた話ではない。あたりまえのことですよ。どう思いますか。  それとも、あなたが法務大臣に、どうしても十七条、十八条をやらなければいかぬ、だから予算要求したけれども、法務大臣がそれは待てと言うて、けったというなら、法務大臣に来てもらう。それとも、あなたが部下から言われても、私はやらぬのだ、そんなものは無理だからやめておけというなら、あなたは職を辞すべきだ。これは法律ではっきり書いてあるのだから、やらぬということはおかしい。
  136. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 地図の作製をしないと申し上げているのではございません。先ほども申し上げましたように、不動産登記法に地図を備えるということが規定されております以上は、私どもとしては、これはどうしても地図の作製、備えつけをやる責任がございます。ただ、それをやりますにつきましては、それほど簡単にできる問題ではございません。現に那須地区をいまやっておりますが、これとても相当めんどうなものでございまして、登記所だけの力ではとてもやり切れないのが実情でございます。全国的にそういった地図の不備のところを全部整備するということになりますと、ますますこの問題は大きく、かつ困難なものになろうかと思うのでございますけれども、われわれも、現在いろいろやっております法務局の作業の進捗状況とにらみ合わせて、将来の計画を立てて地図を整備しなければいけないということは、十分に認識しておるつもりでございます。ただ、横山先生のおっしゃるように、いますぐにでもこれにかかれという、こういう御趣旨でありますけれども、これもごもっともな御趣旨であろうと思いますけれども、いまの現状としてはなかなかむずかしい問題であろうということを申し上げているわけでございます。
  137. 横山利秋

    ○横山委員 いろいろなことを言っていらっしゃるけれども、やる気のないことに対して私は納得ができません。やる方法は幾らもあると思うのであります。  たとえば、全国的に地図をつくるということは、いま全国一斉にかかるということはたいへんむずかしい。けれども、地図をつくるスケジュールをつくって、そうして、まず第一段階として、全国的なことをやるためにはどういうことが問題なのかというモデル地区をたとえばつくって、モデル地区の地図を集中的につくってみるという方法だってあるはずであります。その予算要求なら、それは大蔵省はああ、それは当然だ、横山からしかられるから銭を出すということに必ずなると私は思うのであります。つまり、あなた方がちっともやらぬことに私は腹が立つ。いろいろなことを言うけれども、地図をつくろうともしない態勢が私は腹が立つ。これは全国至るところにこの苦情がある。私はこの間名古屋へ帰りまして、この種の関係がありまして土地の調査士の諸君と懇談をしてみました。あるいは法務局の意見を聞いてみました。どこにもこの問題が山積しておる。登録税が今度相当高額になる。あなたのほうが一番、その九〇%の税収をあなた方に骨を折って確保してもらわなければならぬ。そういう登録税のときになったら、大蔵省に、この十七条、十八条を、この重大な問題があると言って、なぜ協議の段階に入らなかったか、私はふしぎに思うのであります。  登録税という税法は、いままでずっとやりっぱなしになっておった。今回たいへんなアップ率であります。あなたのほうとしては一言なかるべからずというところではあるまいか。当然この十七条、十八条の問題が台頭してこなければうそだと私は思うのであります。  どうなんですか。あなたがそういう御答弁ならば、一ぺん法務大臣に出てもらって、法務大臣に言わなければならぬ。この地図をつくる責任は法務大臣にあるのだから、法律で寸毫の仮借もなく明白に書いてあるのだから、それをちっともやりそうもないという態勢については、どうしても納得ができません。
  138. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 地図を作製する気持ちが全然ないというおしかりでございますけれども、これはそうではないのでございます。私どもとしましては、先ほど申し上げましたようないろいろな事情がございますので、さらに那須地区の、これは一つのモデルケースになると思いますが、この地図の作製にいまかかっております。こういった経験に基づきまして、先ほど横山先生から御提案がございましたが、モデル地区を設定して、そこでやってみた上で全国的に広げたらどうかという御意見でございますが、その点につきましては、私ども全く同感でございます。のみならず、これからこの地図の整備をする必要があるということを考えまして、モデル地区二、三ヵ所につきましての計画を立てて、これを一応予算化してやってみようということは考えまして、大蔵省にも御相談はいたしたわけでございます。しかし、これは来年度の予算としては認められることになりませんでしたので、今後なお私どもとしましては、そういった点についての努力は重ねる所存でございます。
  139. 横山利秋

    ○横山委員 そうですが。大蔵省がけったんですか。  なぜこんな大事なことをあなたはお断わりなさいました。
  140. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 お答えをいたします。  御要求がございまして、それをなぜ大蔵省が切ったかというお話でございますが、ただいまのお話は、正式要求ということでございませんので、土地台帳全般の整備、こういう事業の一環といたしまして、将来そういうところに話が及ぶぞよ、こういうようなお話が係のほうにあったというぐあいに伺っております。  それで実は、いま法務省のほうからいろいろ御答弁申し上げておるわけでございますが、私らのほうの考え方といたしましては、土地台帳全般の整備ということで金をつけているという感覚でございまして、そのいままでやっておりますところの事業、つまり、既存のものを現状に合わせるように改修をしていくという事業、その仕事と、たとえばいま那須というお話が出たわけでございますが、まあ、明治以来から何もないところもあるのだ、そういうところをまた整備していくんだ、こういうやっとは仕事の質が全然違う、こういうぐあいにわれわれは考えておらないわけでございます。土地台帳の整備の事業ということになれば、質的には同じだ、量的にそういった部面が今後たいへん残っておる、こういうぐあいに了解をいたしたわけでございます。しからばといいまして、じゃ、質的に違っておらぬ、量的に同じであるから、そういったものはいままでずっと予算をつけておるからその中でやるので、予算をつけるつもりはない、こういうことを申し上げておるわけではございませんので、ただいま伺いましたところによりますれば、ただいま進行中の年次計画によってやっております古いやつの改修事業、これが終わりますればそういった新しい仕事が出てくるというお話でございますので、それがまた年次計画ということで出てまいるかと存じますが、そういったことで正式に御要求がございますれば、われわれといたしましても、慎重審議いたしまして、予算に計上するかしないか、検討をいたすということでございます。
  141. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは量の問題だと言うが、違うのですよ。破れたものを補修する、それから台帳と帳簿を一元化する。これはいまやっておることなんです。その問題でなくて、十七条、十八条に地図を自発的につくることを要求しておるわけです。あなたは間違えないようにね。過去にその要求があったかないかは、これは両省の間で議論がありそうですから、後向きのことは省略をいたしましょう。省略いたしますが、地図をつくるということは法律で明記されておることであり、しかも、単なる個人の問題でなくて、全国的にこのために紛争が絶えないのであるから、政府はつくることを命ぜられて、三十五年にきまっておるんだ、なぜやらないかということになって、あなたのほうにも予算をつけてやれ、こう私は言っているんです。それで、私は膨大な予算をすぐに要求するものではない。少なくとも、いま直ちに地図を作製する仕事をするための予算は、あと二年を待たずしてやる責任がある、こういうわけですから、お間違いのないように答弁してください。
  142. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 ただいまお話のとおりでございまして、私らもそれに異を立てるつもりはございませんので、予算要求が正式に出てまいりますれば、よく検討いたしたいと存じております。
  143. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官、おわかりでございますね。これは野に隠れたるといいますか、町へ行けば、これだけ都市が発展し開発され、そして大都市においては区画整理がどんどん進行しておるわけであります。したがいまして、その区画整理あるいは都市発展の陰に山積しておる問題なのであります。ところが、法務局というところは、いま言いましたように、実は内実うそであろうと何であろうと形式主義であります。形式が整っておればすぐ登記してしまうということで、あとになってこの争いが多いのであります。だから、かりに長年かかりましょうとも、三十五年以来放置されており、まだこれから二年も放置されるというような状況で、二年放置されて三年目に一体地図がほんとうに緒につくかどうか、私は率直にいって疑問がある。これは国土地理院ですか、あちらのほうの全国的な仕事もあり、県市の仕事もあるわけです。結果として同じような結果になる仕事もあるわけです。しかし、明白にこの種の仕事は法務省の民事局が命ぜられておる職責なんですが、それが現実問題として、地図をつくるという作業がいまでは百年河清を待つようなものであります。国民のために、土地、家屋の所有者並びにその紛争が山積しております問題について、少なくとも明年度の予算から着実にこの仕事が進むように大蔵省としても十分考えてもらいたい、こう思いますが、どうですか。
  144. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 私、いま質疑応答を拝聴いたしておりまして、法務省のほうでも、先生おっしゃるほどには意欲がないとは聞かなかったのでございます。非常に熱心に、そのテストケースとして那須の問題から手がかりにしまして、また法務省だけでできるものではございませんで、やはり市町村なりその他の協力を得なければいかぬ、また非常にめんどうなことでございますので、したがって、慎重に御答弁をされたわけでございますから、必ずしも私は先生がお聞き取りのようには不熱心に聞かないのでございまして、その法律規定されたものを守っていこうとする努力は今後もされるものと私は思います。  その際に必要な予算の計上という問題が起こりましたならば、私どもとして法律を曲げるわけにいきませんので、十分御協力を申し上げなければいかぬというふうに、私いまの質疑応答を聞きながら感じたわけでございます。  なお、いままで一体どれくらいの予算がありまして——先生おっしゃるように、今度の問題は質が違うのだということでありますけれども、予算項目として何も違うものを出さなくともいいだろうと思いますし、どれくらいのものが必要になり、どういうテンポでそれが行なわれていくのかという点も、十分法務省の御意見を私承りまして、月並みなことばですが、前向きな姿勢でひとつ取り組んでいきたいと思います。
  145. 横山利秋

    ○横山委員 ほかにも質問があるのですけれども、あまり言うと、私の言った落差を失いそうでありますから、きょうは、これだけ、横山利秋が地図の問題で強調したということのほうが印象が残りそうでございますので、私の質問はこれで終わりにいたします。
  146. 内田常雄

    内田委員長 次は、渡辺美智雄君。
  147. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 登録税法について若干質問をさしてもらいたいと思います。  まず、今回の登録税法、の改正は、名前が示すとおり登録免許税法、こういうふうなことになりまして、いままでの課税をしていなかった免許可事務についても課税をする。この理論的根拠は、手数料主義的なものの考え方から、主税局長の非常に明快なる理論である支払い能力あるものに着目をした特権的な流通税的な考え方である、こういうふうに税の本質が変わってきたのだと解釈をしてよろしいかどうか、まずそれをお尋ねいたします。
  148. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 専門家に私が申し上げるのも恐縮でございますが、昨日申し上げました定義は、一般的な核心的な意味においての登録免許税の性格を申し上げたつもりでございます。  私は、今回の改正によりまして、基本的に登録税性格が変わったとは思っておりません。今回追加いたしましたことは、やはりこれまでは、人的資格に対しまして支払い能力に着目をした課税が行なわれる、しかし、よく考えてみますと、人的資格の登録は、弁護士でありますとか、税理士でありますとか、公認会計士でありますとかいう方々だけでは、全体のバランスから見ると足りないのではないか。やはり同じく登録によって、あるいは免許によりまして、あるいは許可によりまして、反射的な利益を得る企業関係の許可あるいは免許についても同じような考え方から、租税の支払い、納付を求めてもいいのではないか、こういった考え方から、今般新しく各種の免許、許可の問題も免許税の対象になる、こういう趣旨でございます。
  149. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 そういうふうな御答弁であっても、いずれにしても手数料的な考え方から、特権的、流通税的な考え方に相当移行しておるということだけは事実でございますね。
  150. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 中には、確かにおっしゃいましたように手数料を徴収していたものもございますので、そのうち手数料のかわりに今度の免許税にかえたものもございます。そういった意味では先生のおっしゃるとおりでございます。手数料といたしましても、先般自治省と御討議の際に気がつきましたように、完全なコスト計算というものもなかなかできかねるし、いろいろな意味において許可に与える対価をしんしゃくせざるを得ない、こういった意味手数料も過去にあったかと思います。
  151. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 私は、変わったことを悪いというのではなくて、もともと税金というものは国家の財政需要を満たすために、必要によって非常に都合のいいようにつくられるのが本質ですから、そういう点においては、私は別に取ってもいいようなものを取ることに反対をするわけじゃないのです。しかし、登録税というものが確かにそういうふうに変わってきても、やはりもともとこの登録税法というものは、きわめて腰だめ的な常識的な法律であって、課税標準その他について科学的、合理的な計数的な根拠というものがあまりないのじゃないか、まあまあ常識的なものじゃないか、こう思っておるのですが、政務次官、いかがでございますか。
  152. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 まさにそのとおりであると思います。
  153. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 したがって、私も、いまから常識論議をいたしますから、あまりむずかしい話はいたしません。きわめて常識的な話をしてみたい、こう思っております。  しかしながら、今回の登録免許税法改正というものは、やはり腰だめ的とは申しながら、いままでの登録税法から比べてみると、体系的にも非常に合理化をされてきたということは言えるのじゃないか。一方においては税率の引き上げ、課税最低限の引き上げというものも行なわれておりますが、また一面においては、不動産の抵当権あるいは質権の設定登記のように、税率の引き下げというようなものもやっております。ただ、この中で非課税関係というものが非常に多くて、いままで登録税、印紙税というものがわかりにくいと言われた一つの原因は、非課税規定のほうが本文よりも長過ぎる、非常に多いということであって、この非課税規定の整理ということについて、われわれはいままで相当強い意見を言ってきたのでありますが、いままで非課税にしておったものを今度は課税をするというようなことで、整理したものはどれくらいありますか。
  154. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 もう立案の過程におきまして種々御勉励を賜わりまして、私どもも各方面とも折衝したわけでございます。それがいろいろの理由から、先生の御指摘のような経過にはならなかったわけでございますが、それでも若干の整理はしてございます。  たとえば、これまで相互会社が非課税でございましたが、相互会社は新しく株式会社と並びまして課税する、こういった改正をやっております。しかし、先生のおっしゃいました一般的な非課税法人の整理あるいは非課税物権の整理、これは新しく課税になったものはほとんどございません。むしろバランス上追加したものがある程度でございます。
  155. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 私は、もう少し非課税関係の整理をする必要があると思う。具体的なこまかい問題について言いますと長くなりますから申し上げませんが、そういうように思っております。  それからもう一つは、内部バランスというような問題でございます。バランスというふうな問題について、特に私は常識的に考えていただきたい。そのバランスということは——法務省、いますか。一つは、不動産と有価証券とのバランス、それからもう一つは、登録税内部におけるところのバランス、これがどうも常識的じゃないところが相当あるのじゃないかと私は思います。もう少し常識的にこのバランスをとらせる必要があるというように思うのであります。  以下、それらについて質問をするわけでありますが、不動産売買というものは千分の五十というような、移転登録税としては相当高額なものであります。ところが、これに対して、同じ財産であっても、出資持ち分とか株とか、そういうふうなものを持っておった場合は、移転についてはこれが非常に安い。有価証券取引税の関係を見ましても、これは一万分の十五、証券会社を中に入れて取引をした場合は一万分の六ということであります。これは実は何十倍も安くなっておる。こういうふうな点で、有価証券とそれから不動産とを持っている場合に、きわめて不均衡が起きないであろうかという疑問であります。  まず、登記の中にはいろいろあります。しかしながら、直接不動産登記する場合、それから出資持ち分を登記する場合があります。たとえば合名会社、合資会社、こういうふうなものは、その持ち分を直接登記をいたします。三井本社というのがあって、日本の財閥であった。これは三井合名会社であったと私は思う。これは日本の代表的な財閥であります。合名会社である場合は、当然その持ち分を登記するわけであります。しかしながら、この持ち分だけの変更登記を行なった場合は、それは何によって登録税課税をいたしますか。これはまず大蔵省ですな。
  156. 横井正美

    横井説明員 いまの最後のお話につきましては、登記制度がございませんので、課税はいたさないということになるわけであります。  それから、最初のお話でございますが、先生御承知のように、不動産につきましては、いわゆる登記によりまして第三者に対する対抗力が生まれるというふうなことがございまして、こういう利益に着目して登録税課税しておるということは御承知のとおりでございます。株式等につきましては、いわゆるそういうふうな登記制度による登記というものがございませんので、おっしゃるようなスタイルになっておるということでございます。
  157. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 課長は私の内容をよく理解してないのだと思います。合名会社、合資会社の場合は課税をいたしませんというお話をいたしましたが、これは持ち分の変更は登記事項です。たとえば、私が一億円の持ち分を持っておった、それをあなたに名前をかえた場合は、これは登記の変更をしなければならない。商業登記の会社の中の社員の変更登記というものをやらなければならない。この場合の登録税はいかがですか。
  158. 横井正美

    横井説明員 前は先生のおっしゃいますような制度であったのでございますが、最近の改正におきましてその関係登記はなくなった、こういう事情でございまして、登録税も取らないということであります。
  159. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 ちょっと法務省にお尋ねしますが、合名会社、合資会社の場合は、持ち分の登記はしないですか。
  160. 住吉君彦

    ○住吉説明員 三十七年の商法改正でございましたか、それでもってその趣旨規定登記事項から除きましたので、現在はいたしておりません。ただ、役員の場合は、役員の変更登記というのがございます。代表者その他でございます。
  161. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 そうすると、合名会社、合資会社の場合は、現在は持ち分については登記しないということですね。  それからもう一つは、持ち分の登記を要求された場合は、登記事項じゃないから、登記はできないですか。
  162. 住吉君彦

    ○住吉説明員 登記できません。
  163. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 それでは、民法によるところの組合等の場合、共有財産を持っておるような場合において、持ち分の登記はできませんか。
  164. 住吉君彦

    ○住吉説明員 不動産の共有持ち分、これにつきましての移転登記はいたしております。
  165. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 その間が、もしできないとすれば、私は非常に不均衡ではないかと思います。合名会社とか合資会社というのは、株式会社等と比べて非常に非公開的な性質を持っておる会社であるから、だから、いままでは持ち分登記というものをさしてきたのだと思います。株式会社、有限会社は公開的な会社であるから、そういうものの必要はないけれども、合名、合資というものは非公開的なものであるから、持ち分についても登記をする。ことに合名会社の場合は、ほとんど全員が無限責任社員、合資会社の場合は、無限責任社員と有限責任社員ということで、これは個人がどこまでも責任を持つ。非公開であるかわりに、個人が責任を持つ、こういうことだから登記の義務というものを果たしてきたのじゃないかと思いますけれども、その点は、もし変わった場合、これはそれではどういうふうにこれから処理していくつもりですか。
  166. 住吉君彦

    ○住吉説明員 ちょっと私も詳しい事情を存じておりませんが、たしか、無限責任社員は登記事項になっていたのではないかと思います。私、主として不動産のほうを所管しておりまして、たいへん失礼でございますけれども、会社法人の件につきまして至急担当者を呼びまして……。
  167. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 私はあなたの言ったことばにどうも正確でないと思われる答弁があって、あとで速記録を直してもらわなければならないのじゃないかというような気がするのですが、もしおわかりにならなければ、それ以上追及はいたしませんから、帰ってからひとつよく研究をして、あとで私のほうへ納得いく御回答をひとつ願いたい。  私は、非常にそういう点でアンバランスを実は感じているわけなんです。出資持ち分との関係、それから共有財産の持ち分の登記関係、こういうふうなこと等について、それと不動産の千分の五十という所有権移転登記との関係があまりにもアンバランスである。実質的には同じ財産の所有権移転でありながら非常にアンバランスであるというような気がするから、私は質問をさせていただいたわけであります。これがアンバランスであるかないかということについて、ひとつよく御検討していただきたい、こう思うのであります。  それからその次は、役員の変更登記というのがそこにありますが、商業登記であります。これについては、今回変更登記について千二百円のものを、一億円以上の会社が一万円、一億円未満の会社が五千円、こういうふうに分けたのでありますが、私はこれにはもっとランクをつけるべきである、特権的流通税的なものの考え方に変わってきたのだからこれは分けたんだろうけれども、これにもつとランクをつけろということを主張しました。ところが、法務省のほうは、そういうふうなランクをつけるということは、一々資本金が幾らであるかということを調べるのにきわめて困難である、だからランクをつけることについては反対だというような意見があったそうでありますが、ご意見を承りたいと存じます。
  168. 住吉君彦

    ○住吉説明員 お答えいたします。  資本金を、たとえば一千万刻みとかいうふうにこまかく分けますと、特に支店登記におきまして、本店のほうの増資の登記というものとのつながりが瞬間的にできておりません。会社の資本金の変動を逐一登記所で把握しておかなくちゃならないということでございまして、特に支店あたりの場合問題になろうかと思いますが、そういう意味で索引簿をこまかくつくり、しかも増資をそれに瞬間的に反映しておかなくちゃならないという点で、事務的に若干支障がございますので、はなはだ大まかなといいますか、一億円ということで切らしていただいた次第でございます。
  169. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 非常に苦しい答弁だと思いますね。一億円で判断がつくなら、十億円だって判断がつくはずだし、ほんとうに判断がつかないなら、絶対に判断がつかないはずだ。それは確かにあなたがおっしゃったようにそういう困難があるかと思います。きのう増資をしたばかりで支店のほうで別な登記をするというような場合において、瞬間的に、はたして資本金が何ぼであったかわからないというようなことは例外的にはあろうかと思いますが、しかし、一億円というものを基準にして、それ以上の会社であるか、それ以下の会社であるかということの判断がつくなら、やはり十億円を基準にして、それ以上であるか、それ以下であるかという判断はつくはずだと思いますが、どうですか。
  170. 住吉君彦

    ○住吉説明員 その点は御指摘のとおりでございます。資本金が多額になればなるほど会社数が少のうなりますから、そういう意味で、御指摘のとおり十億円以上と十億円以下というような分け方は可能だと思います。
  171. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 やはりそれが分けられるとすれば、これは役員の変更登記というものを特権的な流通税というような観点から考えれば、それは八幡製鉄の社長の登記をするのに一万円だ、日銀総裁の就任登記が一万円だ、そこらのそば屋のおやじや洗たく屋のおやじの就任登記は五千円だ、その差がともかく倍しか開かぬというのは、これはどうも常識的に少し差がなさ過ぎるのじゃないか。特権的流通税の考え方なら、まああまりうんと分けるということも、一方において手数料主義的な考え方もあるからそう極端にはできないと思うけれども、もう少し段階を分けて、一億円以下は五千円、それから十億円未満は一万円、十億円以上は三万円とかいうような分け方も、やってできないことはなかったのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その点は大蔵省のほうはどうでしょう。
  172. 横井正美

    横井説明員 そういうかねてからの御議論があったわけでございますが、御承知のように、法人税等におきましても一億円超と以下で二つに分けて大小をやっておるというふうなこと、それから、実は従来は千二百円一本やりできておりまして、規模に応じて分けるべきだという御議論で、二つに分けまして一歩前進がはかられたということ、そういう点で今回は二段階にとどめたわけでございますが、先生のおっしゃるような御議論、もっともだと思いますので、今後引き続いて検討いたしたいと思います。
  173. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 大蔵省のほうもそういうふうにしたいと思うけれども、これはこれから初めてやるやつだからあまり高く課税するということもどうかと思うという意味で、とりあえず今回は私の言うこともわかるが二つに分けたのだ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。  それと同じようなことが言えますが、会社の変更登記で支店の設置というのがあるのですよ。この支店の設置については、これは御承知のとおり変更登記になりますから、支店の設置は二万円だと思いますが、これは支店の設置の中にも非常に不合理ではないか。三菱銀行とかあるいは大和銀行なんかが支店を設置をする場合は幾らですか。
  174. 横井正美

    横井説明員 会社登記といたしましては、先生の御指摘のように、大会社も小会社も二万円でございます。しかしながらこの関係におきましても、大会社はたくさんの支店を設置するであろう、小会社は少しの支店を設置するであろうということで、ある程度登録税の納税額が違ってくるということでございます。  そのほかに、先生最初に御指摘いただきました登録免許税のほうの関係で、銀行の支店につきましては別途五万円という課税免許税としていただくわけであります。そのほかに、銀行の支店が設置されますと、当然に為替業務のライセンスとか、そういうふうなことになりますので、それにつきましても同様免許税が三万円程度かかります。いまのお話の、銀行の支店ができました場合は、合わせまして十万円程度登録税ということになろうかと思います。
  175. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 たまたま私は銀行に例をとったからあなたもそういうふうなことを言うのであって、それじゃ八幡製鉄の大阪支店を設けるというような場合も、ここのすし屋が赤坂に一つ店を持っておるのが新宿に一つ支店をつくるという場合も、これはどっちも二万円なんですね。それはいかがですか、間違いありますか。
  176. 横井正美

    横井説明員 いま御指摘のように、必ずしも常識的でない点があると思いますが、たとえば、会社でありましても、その支店は小さい場合もございましょうし、本店の規模によりまして大会社はこうだ、小会社はこうだというふうにきめるのはなかなか困難な技術的な点もございます。  そこで、先生の御議論、もっともと思うのでございますが、今回の改正におきましては、最初に申しましたように、大会社は支店をつくることも多いし、それからまた、資本金の増加の場合等において登録税を払い、あるいはまた役員の変更において払い、そういうふうなことがございますので、全体を勘案いたしまして支店の設置の登録税は一律に二万円と、かようにいたした次第でございます。これにつきましても、今後検討いたしたい、かように思います。
  177. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 検討してくれると言うから、それ以上言うのは差し控えましょう。差し控えますが、ただ、大会社は支店の数が多くできるからという御答弁は適当でないし、何十億という資本金を持っている会社でも二つか三つの支店しかないところもあるのですから、そのお考えはちょっと不適当ですよ。念のために御注意を申し上げておきます。  それから、会社の解散の登記というものを見ると、これは一律に、資本金に関係なく一万円、清算結了の登記が一千円ということになっております。これはこれで、清算結了は財産を分配するんだから千円だというようにしたのかもしれませんが、これは手数料的なものの考え方としても、いままでの三百円を千円にしたんだと思いますが、ちょっと額が少ないんじゃないかという気がいたします。いままでのバランスからいって、その点はどうですか。
  178. 横井正美

    横井説明員 先生の御指摘のように、会社が消滅するわけでございますから、そこで多額の登録税を納税させるというのは酷であろうということで、現行の三百円を千円ということにとどめたわけでございます。
  179. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 消滅するからといっても、やはり貨幣価値が違いますから、適当な額にすべきではなかったかと私は思っているわけです。  この際、ついでですから、法務省の方、ちょっともう少し権威のある答弁をしてもらわんと困るんだけれども、会社の解散、清算ということについて、先ほど登記簿の問題で同じような問題が起きているということを言われたが、会社の解散、清算事務についても非常に問題があるのです。御承知のとおり、現在登記簿を見ると、どぶろく製造株式会社とか、あるいはまた、たばこ製造販売株式会社というものがたくさん各地にあります。当然そういうものはあるはずがない。あるはずがないのにそのまま生きておるという事例がたくさんあります。あるいはまた、会社が解散をしたのに、清算結了をしないで五十年も放置されておる例もたくさんあります。社長の生年月日を登記簿で見ると、百三十五歳くらいになっていたり、役員が百歳以上になっていたりという例がたくさんある。これは現在のところは登記関係の法規では抹消することができないらしい。私は詳しいことは知らないが、しかし、無限にこのまま放置しておったならば、もうほんとに意味のない会社がともかく登記簿にぎっしり並んでしまって、見分けがつかないのではないか。同じ登記所の管内に、同じ名称のもの、同一商号のものをあとからする人は登記できないということになります。したがって、これらについて、幽霊会社の整理というものについて何か研究していますか。どういうふうな姿勢でこれに取り組んでいくというような方法を考えておりますか。
  180. 住吉君彦

    ○住吉説明員 いまおっしゃいましたように、登記法上の、休眠会社といいますか、死んでいるのか、眠っているのか、起きているのかわからないという法人がたくさんあることは御指摘のとおりでございます。これにつきましては、職権抹消ということも一時法制審議会で議論されたこともございますが、現行法上、若干無理があるであろう、そういうことで、いずれにいたしましても、これは早急に整理をしなければ、現実に活動していない会社がいたずらに商号の独占権を乱用するという形になってはまずいということで、現在法制審議会の商法部会で検討いたしております。
  181. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 そこで、これは主税局長にちょっとお尋ねをしたいのですが、いま言ったように、非常に幽霊会社がたくさんあるわけなんですよ。その中には、こういう幽霊会社があるということをあなた知っておるかどうか知りませんが、たとえば、大正時代に資本金十万円で東京のまん中にたくさん土地を買って、そうして貸し家住宅みたいなものをやっておった。ところが、そのあとで解散をした。土地を何万坪も持っておるわけですね。解散はしたが、清算結了するとえらいこと取られるということのために、会社は解散して、土地の名義は会社の名義になっております、会社は解散したが、土地の名義は変わらないのだから。結局、清算所得税を取られるのがおそろしくて、何代も何代もこれから続いていくというようなことがあるのだけれども、何か税法上、こういうふうなものは清算を促進させるような方法を今後考える必要がないかどうか。
  182. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 御指摘のようなケースは昔から指摘されておりまして、税制で何らかの手を打つ必要がないかというふうに私どもも聞いております。先般も古い会社が清算中でございましたが、やっと財務財産の分配が終わった、この場合いかなる税法を適用するかという問題がございまして、私どものところでもずっと議論をしたことがございます。今回の清算所得税改正は、合併促進の見地を加味いたしましただけでございまして、法人税だけで済まし、分配されたものは配当所得とするという考え方で、いまよりも少し私は合併促進には役立つと思っております。しかし、先生おっしゃいましたように根本的な解決にはなりません。やはりそうなりますと、もう少し税金を安くするというような形が必要かとも思われますが、これはひとつ土地問題の一環といたしまして研究したらどうか、こんなふうな感じがいたします。
  183. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 解散をして清算事務に入って、正当な理由がなくて清算をしないということは、一つの脱税行為ですよ。これは何百年もこれから続いていけば、清算人の数をふやして、その土地をちびちび売って、片方においては会社をうんと赤字にして、土地を売ったやつで赤字を補てんするから、これは税金がかかりませんよ。片方は月給なり何なりもらってしまうということで、非常にまじめに解散するところと比べて不公平になる。だから、こういうようなものに対しては、みなし配当というのが別の規定であります。それに類似した、何か正当の理由がなくて、いつまでも脱税を目的に清算事務を結了しないということが明らかであるものに対しては何らか手を打っていくべきである、こういうように思いますから、今後検討してください、この際ついでですから。
  184. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 検討してみたいと思います。
  185. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 それから特許権、著作権等の有償譲渡についての移転登記ですね。これは著作権は六千円、特許権は五千円、こういうことになっております。特許権というようなものは、何十万という程度のものもありましょうが、中には億のものもあるはずです。一般の不動産については従価税と申しますか、定率税額を設けておる。権、所有権の移転については、これは定額税を設けておるということは、その間が不均衡でありませんか。
  186. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 そういった面、若干のアンバランスがございましょうが、何ぶんこれまでの旧税は良税ということで定額税率に引き上げたということであります。なお、御指摘のような点も加味いたしまして、特許権に対する定額税率の引き上げ方は、先生のような考え方を若干いれまして、引き上げ幅を大きくしてございます。
  187. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 私は、やはり不動産というものに対しては、なんでもかでも大蔵省はいじめる気になっておると思う。それで無形固定資産についてはそのわりではない。その点に非常に疑問を持つ。土地収用法の改正に伴う特別措置法の改正で、土地については全額課税方式を持ち出してみて、こういうような特許権とか著作権というようなものについては、いままでどおりの二分の一課税方式、つまり譲渡所得の方式ですね。それもそのまま残しておいたでしょう。やはり今度の改正案でも、前の法律がそうなっていたからそうなんだというようなことで税金の安いのをそのまま引き継ぐことは、これは旧税は良税だということでいい理屈をおつけになったわけなのだけれども、しかし、特許権といってもピンからキリまであって、登録税の移転をする場合、土地一坪移転する場合は従価税なので、たとえばそれが十万でも二十万でも従価税なんですよ。片方は一億円の特許権を移転しても五千円で済むということは、これは適当でない。私は将来こういうものについても検討をする必要があると思いますが、御検討の意思ありますか。
  188. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 負担の公平は私どもの租税の生命であると思いますので、そういった角度から検討したいと思います。
  189. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 その次は、これは先ほどからあったからごく簡単に申しますが、弁護士、公認会計士、税理士を一律に二万円にした。ことに税理士は二千円から二万円、弁護士、公認会計士は三千円から二万円にしたわけです。そうすると、税理士のほうは十倍、弁護士、会計士のほうは六倍だ。この理由は、税理士会のほうで同じくしてくれと言ったから同じくしたのだというふうな説明が先ほどありました。まあそういうようなことは、あるいは言ったかもしれませんけれども、理論的に申し上げますと、税理士というのは、税理士業務だけしかできないのですよ。弁護士というのは、弁護士業務ができて税理士業務ができるのです。それから弁護士というのは、一部については訴訟代理権を持っていますから、弁護士業務ができるのです。それと同時に弁理士の業務ができるのです。この人たちの三万円は私は権衡がとれると思うけれども、税理士は税理士だけで二万円にするということは権衡がとれないと思うのだけれども、どうでしょうか。
  190. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 もう専門家でいらっしゃいますので、私から詳しく御説明する必要はありませんが、やはり社会的な評価といたしまして、登録税の面であまり職業の中の一部の種類に着目しまして差別するのもどうか。私は、登録税というのは、できる限り簡単な、あまり区別がないほうが、これは常識的な説明で恐縮でございますけれども、いいと思うのであります。そういった意味で、私は、公認会計士と税理士と、それからまたお医者さん、この三者程度を一緒にすることが、いまの社会的な評価として適当ではないか、税理士の方々がそのほうが適当であると言った意味は、おそらく社会的な、常識的な評価から来ているのではないか、かように思っております。
  191. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 まあそれはいいでしょう。  その次に装蹄師の登録というのがあるのですよ。装蹄師というのはほとんどなくなってしまったのです。これは簡単に言えば馬の金ぐつですよ。馬車引きの馬の足に金ぐつをはめる人を装蹄師と言うのですが、この装蹄師について千円の登録税を取る。先ほど准看護婦、看護婦について相当話題がありましたが、装蹄師に対して特権的な登録税を取るというのは、装蹄師協会がそうしてくれと言ったからこうやったのだという説明を私もいつか聞いたことがあるのですけれども、装蹄師に登録税をかけるくらいなら、むしろ個人の資格についてもっと登録税をかけていいものが私はあるのじゃないかというような気がするのであります。たとえて申しますと、これはもうたくさんありますが、これに出ておる中のアンバランスを見ても、定期のトラックの運転手は技能証明といって六千円取られるのだというのです。特権的税金だから。定期のトラックの運転手はどんな重要な仕事をやっているか私は知りませんが、定期のトラックの運転手が六千円で、ジェット機のパイロットが四千円というのは、どうもこれはバランスがとれないのじゃないか。
  192. 横井正美

    横井説明員 操縦士が六千円でございます。トラックは課税ございません。
  193. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 技能証明……。
  194. 横井正美

    横井説明員 それは飛行機の操縦士でございます。
  195. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 私の言っていることがもし間違っていたらあとで訂正をしてもらってけっこうなのですが、個人の資格の登録または許可というところで、定期運送用操縦士の技能証明といって、これについては六千円取られる、それから飛行機のパイロット等の技能証明については四千円とこの表に書いてあるのですが、これは表が間違っているのですか。
  196. 横井正美

    横井説明員 実は定期運送用操縦士と申しますのは、飛行機の操縦士の最高クラスでございます。ジェット機等の操縦士もあるのでございまして、外国貿易船の船長よりもはるかに高い給料をいただいておるというような方々でございます。それらバランスをとりまして、なお、上級事業用操縦士のはそれより一級下がったパイロットでございます。
  197. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 そうすると、私のほうの考え違いで、定期運送用操縦士というのは、私は定期トラックの運転手かと思って質問したのですが、これは飛行機の定期運送ですね。
  198. 横井正美

    横井説明員 そうです。
  199. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 そうですか。それはたいへん御無礼をば申し上げました。  では、ともかくその次に移ります。その次の免許可業務の中で、たばこ小売人の指定または個人タクシー業が五千円、免許可についてこれは手数料的に取る。これは私は取るなら取ってもいいと思いますよ。しかし、酒の小売り業が一万円、それでタクシー業の場合、タクシー会社は三百台、五百台持って、あれは最低百台かそこらなければ許可にならないと思うのです。それについては一万円、個人タクシー業が五千円というのは、これはバランスがとれないじゃないかというふうに思います。  それからもう一つはデパート、銀行、保険会社は五万円だ。最初に新規の免許を受ける場合に五万円だ。デパートというのは百貨店でしょう。銀行というのは、信用金庫、信用組合よりも上のクラスで相当むずかしい基準が、詳しいことは知らぬが、何かあるのじゃないかと思うのですよ。保険会社についても同様だと思うのです。信用金庫も五万円だという。銀行も五万円だという。いわゆる信用金庫と銀行について相当なハンデをつけて考えているならいいけれども、ここらのところもどうもちょっとバランスがとれないのじゃないかという気がしますけれども、これはどうでしょう。
  200. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 おっしゃるように、バランスにつきましては見解がいろいろ成り立つと思います。この許認可関係につきましては、新しく今回御提案申し上げるときだけに、渡辺先生のおっしゃいましたような御批判が出ようかと思います。  私どもは、ここにくるまで各省あるいは大蔵省の中でも各局とずいぶん話し合いましてやっとここまできたわけでございますが、初めての税金だけに、人の資格と比べましてもまだまだ問題がございます。しかし、これはだんだんとこれから世の中の評価をいただきまして、完全なものに近づけたいとまず思っております。  なお、銀行の支店は五万円でございますが、信用金庫は本店こそ五万円でございますけれども、支店は三万円と、気は心かもしれませんけれどもこれだけの差別はいたしております。  それからまた、たばこにつきましても、私どもは酒の小売り業との比較——これは先般も利益状況の御質問がございましてお答え申し上げましたように、やはりそういった社会的な常識的な評価でまずまずこんなところが妥当ではないか、こんなふうに見ておりますが、なお、おっしゃるような御批判も十分私どもも検討いたしまして完全なものに近づけてみたい、かように思っております。
  201. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 これはやはり初めてですから、これからだんだん完全なものにしてもらってけっこうなのですが、私は、銀行なんというのは、新規営業の申請があったら五十万円くらいの登録税にしたってだれもおこる人はないと思うのですよ。本人は、五十万円でも、どうぞしてくださいと言うにきまっているのだし、既存の銀行は、なるべくだったらうんと取ってもらって、同業者をふやしてもらいたくないということで、あっちもこっちも、銭取りながら喜ばれるのじゃないかというような気がするわけです。ですから、もしふやすとすれば、額をふやすということで今後検討をしていただきたい。  それから各省の免許可事務というものを見た場合においては、これは大蔵省関係なんかのものは、あるいは人のことなんかについてもつかまりやすいものはみなつかまえてあるのだ。ところが大臣許可で営業を許可するものがあるのですよ。そういうようなものは、これは全然登録税を取っていないのだが、装蹄師まで取るなら、もう少し取ってもよいじゃないかという気がします。たとえて言えば、職業紹介所、これは労働省の、労働大臣の許可です。しかも一年更新です。それから、たとえばマネキンを集める業務というようなものもこれは全部大臣許可業務です。こればかりではなくして、そういうのはたくさんあるわけです。だからほかの看護婦や何まで取るのですから、それとの権衡上もう少し取ることも少し研究していただいてはどうか、こう思うのです。  ひとつ、今後御検討いただくことにして、大臣がお見えのようですから、野党の方に花を持たして、私はこれで引き下がります。
  202. 内田常雄

    内田委員長 堀昌雄君。
  203. 堀昌雄

    ○堀委員 最初に、登録税法不動産登記の問題でありますけれども、現在申請者価格を表示をして登記を申請をする、この認定が登記所の側に一応まかされておると思います。これは不服であれば国税局に対して不服の請求ができる、こういうことになっておるわけですが、一体、その登記所が登記をした土地について、現在の機能として適正な価格をそこで評価できるものかどうか、この点をひとつ……。
  204. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 おっしゃいますように、不動産はその価格の認定がなかなかむずかしいわけでございます。そういった意味では、申請者売買値段、実際価格ということもなかなかこれはとりがたい。そういった価格基準にいたしますとアンバランスが起こりますので、やはり一つの統一された評価額によらざるを得ない、かように思います。しかし、先生のおっしゃいましたように、登記所はそれが専門の職業と申しますか、部面ではございませんで、したがいまして、これはどこかの機関がつくりました評価額を参考とせざるを得ない。現在のところは、御案内のように、固定資産税評価額基準といたしておりますのが原則でございます。しかしながら、登記時と固定資産税評価時との間にはズレもございますので、固定資産税評価だけによるというわけにもまいりません。そこで、登記所もその間固定資産税評価額基礎としながら、それとバランスをとりながらある程度小範囲の価格評価を行なわざるを得ないのが実情でございます。さらにまた、固定資産税評価だけで不十分なときは、相続税評価額をも参考にしてきめておるというのが実情でございまして、おっしゃるような不十分さは、そういった他の専門の評価機関価格によるということでその欠陥を補っておるつもりでございます。
  205. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでちょっと伺っておきたいのは、これまで、いまの評価額が不服だということで国税局にそういう請求がされて、その結果、その価格が変わった実例があるのかどうか、これをひとつお答え願いたい。
  206. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 私も国税局長をやっておりましてその経験でございますが、数は非常に少のうございます。と申しますのは、実際の時価固定資産税評価額が違っておるということ、したがいまして、固定資産税評価額ということでおそらくそのままいっておらず、中には、これはおかしいというのは、私も二、三回実例もつかみました。  一番問題なのは、実は固定資産税評価もそうでございますけれども登録税はさら地で評価する、そういたしますと、人に貸しておる土地、これは賃借権でございますが、登録税の問題は登記しない限り課税にならない。ところが、土地の所有者の感覚では、どうも時価は賃借権を引いたものである、こういった感じを持たれるせいか、そこにときどき審査請求が出てまいりまして、これは古くからよく、私も国税局長をやっておるときからだいぶ問題になっておる。それ以外はそんなに、私の経験では固定資産税評価額基準とする場合に対する異議申し立てば少ないようでございます。
  207. 堀昌雄

    ○堀委員 国税庁が来ておりませんからあれですが、ずっとこれは見ておるわけで、やはり土地価格というものは最近非常に変動の激しいものであるし、同時に、固定資産評価というものが毎年毎年評価がえをしておるわけではないし、ある面では実はその価格そのものが非常に不当に安い価格でそのまま認定されて登録税のほうにいくものもあるし、あるものによっては相当高い値段で実はやられる。ちょうどいまの固定資産評価をやりかえたときに売買があったものは非常に損をして、それからある程度時間がたって、その次に評価がえをしなければならぬような時期にきておるのは得をするという、そういう制度ではないのかと思うのです、現状は。だから、ここらは私はやはり何らかもう少し、これが登録税にはね返ってくるわけですから、納税者の側にすれば正確な土地評価がもっと適切に行なえるような措置がないと一つの問題になるのではないだろうかという点を感じておりますので、この点は、それは法務省側との問題でありましょうけれども、何らか適正な価格基準になるということになるべきであろうと思いますので、要望しておきたいと思います。  それから、先ほどからだいぶ議論があったと思いますが、私はきょうは他の委員会で質問しておりましたから、同僚議員の質問を聞いていないわけでありますけれども、今度の登録免許税の中で、弁護士であるとかあるいは医師であるとかいうものが、みな弁護士になり医師になれば収入があるからということで、実はいま税理士の問題も出ておりましたけれども、いずれも大幅に引き上げられておるわけであります。しかし、こういう業種の免許というものは、受けるときはおおむねみな実は収入のない時期なんです。御承知のように、医師が免許証を受ける時期というのは全然収益力のない状態で、免許を受けてそれではすぐ収入があるかというと、必ずしもまだ収入がないという状況にある。これはおそらく弁護士等においても実情はそうであろうと思うのであります。  だから、ここから考えてみると、その他の権衡という問題で、どうも日本人にはおかしな意識があると私は思うのですがね。免許料をたくさん払ったら、何かその業種のオーソリティーが上がるような、そんなべらぼうなことはないと私は思うのだけれども、そういうものの考え方をする者がいて、そしてその他の業種との関係で、自分の業種をオーソライズするために登録免許税を高くしてくれというようなことを言う業種があるかのように聞いておるわけですけれども、これは問題は別ではないのか。その業種におけるオーソリティーの問題と免許登録は、何も同一にしたからオーソライズされるものとは私は考えていないのですが、そこはひとつ大蔵大臣は一体どう考えているのですか。
  208. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 税の税率評価の問題でございますので、私からお答え申し上げます。  私も、先生のおっしゃいましたように、税率が高いから社会的評価が高いということは、必ずしも正しい考え方とは思わないわけでございます。しかし、過去におきまして、何らかの理由で税差があった場合、これを変更するには、よほどの事情がないと、世の中の方々から見ますと、新しい評価が生まれる、そういったときには慎重に取り扱わざるを得ない。やはり過去に設けられました税率バランスをとりながら、現在の経済情勢あるいは貨幣価値あるいは所得水準に合わすということが、最も穏健な、妥当な方法だと考えております。
  209. 堀昌雄

    ○堀委員 主税局は税金が入るほうなら別に問題がないという感触ではないかという感じがするわけです。ですから、私どもは、その時期における所得水準の問題がありますから、その時期における所得水準をにらんで問題をある程度考えないと、やはりこれは負担の公平という意味からいって、皆が親のすねをかじっていて、親は十分金があるのだということだと話は別ですけれども、必ずしも私はそうなっていないのが現状ではないのか、こう思いますから、その点については、私も少し過大なものが数多く見受けられて、これについては同僚議員もいますでに御発言がありますから深くは触れませんけれども、考え方としては、今後もしこれを改正する場合には、そういうものとは切り離して、要するに一種の、看護婦が幾らならば医師は幾らだとか、薬剤師だったらどうだとかという、そういうものの考え方とはこれは別個の問題ではないのか、だから、そういうのをわれわれは事大主義というのではないか、こう思っておるわけですね。話はだいぶ平たく言ってありますから、大臣、あなたの見解をひとつこれについて承りたいと思います。
  210. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大体堀さんの考え方でいいと思います。
  211. 堀昌雄

    ○堀委員 私の考え方でいいということでありますから、話を次へ進めます。  実は、きょうは、この登録登記関係をしてお伺いしたいと思いますのは、最近大蔵省が問題提起をして、私もこの問題提起はきわめて適切だと考えておりますところの、利益過小表示の問題であります。  大蔵省が指摘をしておりますのは、公認会計士の限定意見がつけられた百四十七社について、この利益の過小表示の問題について照会をしておる、こういうふうに出されておるわけでありますが、お聞きの委員の皆さんがおわかりにくいかと思いますので、簡単にこの問題の経過について、証券局長からひとつお話し願います。
  212. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 企業の経理の適正処理及びその公開ということがわれわれの目的でございます。過般、粉飾決算の問題について、いわゆる重点処理というやり方をやって処分まで結了したわけでございますが、経理の適正処理という観点からいいますと、単に赤字を粉飾するということだけが必ずしも問題ではない。経理については、保守的な経理は正しいのだという考え方がかなり浸透いたしておりますけれども、所有と経営が分離してまいりました今日においては、やはりその経理の内容を適正に経理すると同時に、わかりやすく公開する、これが私は企業経営者としての基本的な責任の一つであると考えておるわけでございます。  そういう観点からいいますと、若干問題の性質は違いますけれども、利益の過小計上、特に引き当て金という科目による過小計上、しかも公認会計士の限定意見を付されたものがかなりあったわけでございます。いまおっしゃいましたように、こちらでピックアップしまして、限定意見のついたもの百四十七社について、本省所管会社だけでございますけれども、いろいろな内容がございます。  それを照会しました事項は、会社に対して個別に照会いたしたのでありますけれども、その設定の目的がどうであるか、それから計上しました計上額についての算定の根拠があればその根拠、それからその引き当て金の最近五年間における繰り入れなり取りくずしの実績がどういうふうになっているか、それから、公認会計士から限定意見が付されておるにもかかわらず、相変わらずこれを改めてないわけでございますが、会社側は、それに対して会社側としての一種の見解を持って改めないでいるのかどうか、こういう点を照会いたしたのであります。
  213. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでちょっとお伺いしたいのは、私ども委員会で以前に例の山陽特殊鋼の粉飾決算問題を取り上げ、これを公認会計士法の改正あるいは監査基準改正に進めてもらったという経緯があるわけですが、しかし、今日でもやはり赤字であるにかかわらず黒字に粉飾しておるものもあるだろうと思います。逆に、いま問題のように、黒字があり過ぎるので、これを各種引き当て金の中に埋没をさせて、計上利益を過小に評価をしておるものと、二つあると思います。しかし、前段のほう、利益がないにもかかわらずあるように表示をしておるものは、限定意見が付されておるもの等については現状でどのくらいあるのか、ちょっとそれを言ってもらいたい。
  214. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 限定は個別事項の限定でございまして、総合的に適正か、不適正か、あるいは意見を差し控えるというような関係もあるわけでございますけれども、そういうものは一応こちらで、実績といいますか、計数的に調べておりますけれども、そういう意味での限定意見を付されたものの集計計数をただいま実は準備いたしておりません。ただいま不適正処理の状況はかなり改善されてきております。不適正処理の状況といいますか、会計処理の適正化の状況は非常に前進いたしております。非常に不適正意見が少なくなってきております。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、準備がないようでありますから話を進めますが、いまあなたのほうで調査を出された百四十七社の中で、一体、実際上の計上利益に対して過小評価をしたものの一番大きなものは、利益に対してどの程度の割合になっていますか。
  216. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 この単純に限定意見が付されたものの総額だけで申し上げます。これは会社側の意見も聞いてみないと、はたして限定すべきであったかどうか疑問のものもあり得るわけです。たとえば租税特別措置で認められているものをまるまるこれは限定している場合もあるわけです。われわれのほうでは必ずしもこれは政策上、しかも法律で明らかになっているわけですから、引き当て金計上があっても限定意見を付さなくていいにもかかわらず、どういう理由があってか、限定意見を付されたものもかなりあるわけですが、単純にそういった内容の分析を行なわずに申し上げますと、今回照会しました会社の中で、資本金、払い込み資本金ですね、払い込み資本金に対して限定引き当て金の総額の割合がどのくらいかということで、会社名を発表することはひとつごかんべん願いたいと思いますが、一〇〇%以上のものが一社でございます。それから五〇%以上一〇〇%未満のものが十一社、したがって五〇%以上のものが十二社ございます。
  217. 堀昌雄

    ○堀委員 大蔵大臣、いまお聞きのように、これまでの慣行では、利益が出たときには、それをひとつどこかに引き当て金に少し組み入れておいて、そうして将来もし利益がなかったときに、それをまた引き出して利益平準化をやろうというような、保守的な経理の処理のしかたというものはおおむねとがめられないというかっこうで来たと思うのですね。しかし、大体公認会計士の制度によって監査報告をわれわれが求めておるのは、株主が、投資家が、その会社の実態を正確に把握をさせるために実はこのディスクロージャーのシステムはとられておるわけですから、その年の利益がないのにあるかのごとく粉飾することも適当でなく、利益がせっかくあるそのものを計上利益に出して、そのあとで内部留保に残すということに処置をするということが当然であるにもかかわらず、引き当て金等で利益に計上されない額が資本金と同額のものが一社あるということは、その粉飾で横へどけたものが一社ある、五〇%から一〇〇%のものが十一社あるなどということは、ゆゆしき問題ではないのか。やはりこの制度の主たるねらいであるところの、投資家に正確な判断をさせるというために設けられておるこの監査制度を、私どもは、もう少し厳格な処置によってやる必要があるのではないか。今回大蔵省が調査をしておられて、その調査に基づいてこれから問題提起をされようということでありましょうから、この調査結果が出ましたときに、今後われわれもひとつもう少し詳細な論議をしたいと思いますけれども、ここでちょっと論議をしておきたいことは、ややもすると、現在のそういう企業は、景気がいいとずいぶんもうかるわけですね。しかし、もうかったらもうかったということを明らかにすることが、株主に対する責任を果たすことになるのであって、それを株主がわからないようなところに各種引き当て金で入れられたのでは、一般の株主には利益はないのかという錯覚をもたらすことになるので、これはやはり粉飾という意味では、上へやるのは悪いけれども、下のほうは罪一等は軽いんだなどという感覚で見る性格のものではない。制度の主たるものから見たら、これはやはり正確にやらせるような指導が必要で、少なくとも、利益があれば計上利益の中に明らかにして、そうしてそれを内部留保に残すなら残すという公正な処置が行なわれるような指導が当然必要だと思うのですが、大臣の御答弁をお願いいたします。
  218. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いままでもこういう問題がたくさんあったのが、最近までそうきびしく言われなかったというために、けっこう普遍化しているんではないかと私は考えています。  ですから、今度のように実態調査をやり、また調査の結果によって限定意見が付せられていないものでも調査する。調査というよりは、むしろ調査即指導になると思いますが、そういうことをもっと今後積極的にやりたいというふうに考えています。
  219. 堀昌雄

    ○堀委員 いま大臣がお答えになったように、私も限定意見の付されていないものの中にも、やはり引き当て金の中に過剰な引き当て金がしてあるものがあって、しかし公認会計士がそれを気がつかない、あるいは気がついても限定意見を付するほどのものではないというものもあり得るだろうと思うのです。だから、これはやはり公平を期する意味においては、監査報告の出されておるものについては、限定意見のあるなしにかかわらず、各種引き当て金等の項目については十分ひとつ精査をして、この問題については、やはりこの際この問題提起はたいへんいいことだと考えておるわけでありまして、ややもすると、企業側の圧力によってこういう問題について公認会計士が逆の圧力をかけられて、限定意見を付さないもののほうが何か企業にとって有利なような判断をされるようなことがあるならば、正しく限定意見を付した正しい公認会計士がかえってばかをみるということになりかねないわけでありますから、そういう面を含めて、この問題については大蔵省としてもき然たる態度をもって制度趣旨を貫いてもらいたいということを、ひとつ強く要望しておきたいと思います。  それから、最後に、これはちょっと問題の性格が別なんでありますけれども法務省にちょっとお伺いをいたしますが、現在無籍地というものがかなり全国にあるようであります。私どもの周囲にもかなり大きな無籍地が実はございまして、登記所へ行っても、それは無籍地だとか、しかし面積は一万坪近い無籍地だというようなものがあるようであります。これは最近大蔵省の財務局のほうで調べてもらったらば、無籍地ではあるけれども、かつてはだれかの所有であったというもののようでありますね。だれかの所有であったものが最終的に無籍地になるということは、売っていくときの分筆のしかたで——さっき横山委員が地図があるかという問題を提起されておるのですが、地図がきちんとあればこういう問題は解決するだろうと思うのですが、地図なしで分筆をしていった結果、もう周辺の土地は全部処置されたけれども、まん中のところにぽこっとそういう無籍地が残るという問題が出てくるんじゃないか、こう思うのです。そういう無籍地の所有権、登記がされてない所有権の問題というのは、これはどういうことになるのですか。
  220. 住吉君彦

    ○住吉説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいますいわゆる無籍地といいますのは、公簿上に地番号の付せられてない土地でございます。先生のおっしゃいますように、一筆の土地を分割して分譲していって、いわゆるなわ延びができた、そういう場合にその土地が無籍地になるのではないかという御趣旨のように承ったわけでございますが、通常の無籍地は、いわば官民区分、明治五年でございましたか、その際に一応国有地として扱われた土地、これが登記所にございます地図上に地番号がふられておりません。これにつきましては、先般来、国有財産局と法務省のほうでいろいろお話し合いがありまして、そして実態的に民間人がそれを時効によって取得しておれば、それは民有地という扱いにしていくということになっております。  それから、いま御指摘のなわ延びの土地でございますが、これは実態的に従前の地主の所有地でございます。
  221. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、地番もないし、登記もされていない、しかし所有者はある、こういうことになるわけですね。
  222. 住吉君彦

    ○住吉説明員 その場合に、もし登記簿上そのことを明示する方法といたしましては、地籍の更正という手続がございます。すなわち、面積がたとえば一千坪という公簿面積であったが、実測したところそれが千二百坪であった、それを百坪ずつ分譲していきまして、結局十人に分譲したら、そこで残りがないはずなんですが、その際に二百坪の余剰地が生じたという場合には、登記簿の公簿面積を更正いたしまして、そして従前の土地千坪を千二百坪、このようにしていただきますると、登記簿上その土地がだれのものかということが明示されることになります。
  223. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの該当の土地は非常に古く、だれかが所有しておったらしいので、少なくとも国の所有ではなかった。しかし、現在は無籍地で所有者はないということに、現在の登記所ではなっているわけですね。しかし、土地はあるわけですね。まことに摩訶不思議な問題だと思うのです。これは本日議論をすべきあれもありませんけれども土地登記の問題に関連しておりましたからお尋ねをしたわけでありますが、きょうはもうお約束の時間でありますから、本日はここまでにいたしておきます。
  224. 内田常雄

    内田委員長 両案に対する質疑は、これにて終了いたしました。
  225. 内田常雄

    内田委員長 これより両案を一括して討論に付します。  通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
  226. 平林剛

    平林委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、登録免許税法案及び登録免許税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案、二案に対しまして、これに反対である旨の理由を述べたいと思います。  まず第一に、登録免許税の性格があいまいであることを指摘しておきたいと思います。  政府は、今次の税制改正の一環として、登録税の税負担が、最近における所得及び物価水準に適合するものとなるよう定額税率の引き上げ、調整を行ない、これにあわせて課税範囲の拡大など、登録税法の全般に検討を加え、その名称を登録免許税法に改めるよう提案しております。  しかし、登録免許税とは何ぞやというと、政府説明は、支払い能力に着目して、特権的な地位に対する課税で、流通税性格を持っていると説明をしておるのでございますが、個々の課税対象に検討を加えますと、法律的にはきわめて不完全であることは政府みずから認めています。考え方も恣意独断の傾向が強く、内容におきましても、混乱と矛盾と不権衡に満ちておるわけであります。  もともと、現行の登録税法は、明治二十九年に日清戦争の国費膨張に対処するため制定されたものであると承知するのでありまして、権力的な増税のための便宜立法の性格を持っております。私は、このあいまいな性格のまま、平年度において百九十億円も増税をするということに対しましては反対でありまして、多くの国民もおそらく同様の見解を持ち、国民の理解を得られないだろうと思います。  第二に、今回の改正によりまして、看護婦をはじめ、比較的担税能力もなく、特権的な立場でもない者に、調整と称してそれぞれ登録免許税を値上げしておるのでありますが、中には、非情にして不適当な措置が多いのであります。しかも、この引き上げが、委員各位の痛烈なる批判にかかわらず、看護婦団体の要望であるとか、登録免許税の引き上げが、あたかも社会的地位の向上であるかのような錯覚を起こさせながら措置をいたしておりますのは、欺瞞によって増税をはかる結果となり、また、政府の措置を他の人に転嫁することになるわけでありまして、私ども認めがたいのであります。  特に、職業に貴賎なしということばがあります。しかるに、登録税課税価格で社会的地位を定めようとする考え方、私は、これはまた別な意味の批判も加えられなければならぬと思うのでございまして、賛成できません。  第三に、今回の改正によりまして、人の資格関係におきまして、登録免許税の課税対象になっているもの、あるいは、新たに対象に加えられたものと、地方公共団体において認可をされる、たとえば行政書士、調理士、栄養士、理容士、美容士はじめ、多くのものには、今日地方公共団体において手数料として三百五十八億円の多額を徴しておるのでございますが、これにどういう影響を与えるかということに対し、政府当局は、今後の課題として検討中という不気味な予告をしておるわけであります。登録免許税の対象の無限に拡大されるおそれを示唆しておるわけであります。  かくして、今回の措置を批判なしに認めるということは、政府が財源確保のために、あらゆる業種、あらゆる個人の登録許認可に対して課税の道を開く結果になるのでありまして、大衆生活に与える影響を無視することができません。  これらの理由によりまして、日本社会党は二法案に反対するものであります。政府におきましても、質疑中に指摘をされました矛盾あるいは批判に対しまして、十分な検討を加え、今後において善処するよう要求をいたしまして、私の討論を終わりたいと思います。
  227. 内田常雄

    内田委員長 次に、竹本孫一君。
  228. 竹本孫一

    ○竹本委員 ただいま議題となりました登録免許税法案並びに同関係法令の整備法の二案に対しまして、私は民社党を代表して、反対の意見を申し述べるものであります。  まず第一に、現行の登録税法は全面的にこれを改正して、新たに登録免許税という名称にしようとしておるのでありますが、先ほども御指摘のありましたように、登録免許という本質的に異なる性格のものを雑然と一つにまとめているところに問題があります。さらに、その課税範囲を拡大して、新規に課税対象を多数追加しているところに特に問題があるわけであります。政府は、現在課税されている登記登録とのバランスを考慮して課税範囲を整備したと言っておられるのでありますけれどもバランスを考慮して課税範囲を縮小するのならば賛成でありますけれども、これを拡大することにはこの際われわれは反対であります。  しかも、課税対象、課税標準あるいは税額等におけるアンバランスがきわめて大きいことは、先ほど来本委員会においてしばしば具体的に指摘をされております。政府の御説明によれば、印紙税と違って、本税が非常に複雑であるためにその改正がおくれたというお話でございましたけれども、もしそうであるならば、おくれついでにもう少し検討を加えて、すべての対象の間にアンバランスのないようなまとまったりっぱな税法にして出されたらいいのではないかと思うのであります。  第二に、今回の登録免許税の改正税率は、現行税率の五倍ないし十倍という大幅な引き上げであります。昭和二十三年以来据え置かれていたとはいえ、一挙に十倍も引き上げるということは、今日の物価値上がりムードに対する影響も考えまして、決して適当ではないと考えられます。昭和二十三年を基準にして総理府統計局の消費者物価の統計を見ましても、物価の値上がりは、大体今日でも二・六倍程度でございます。これに比較して五倍十倍という大幅な税の引き上げは納得できないのであります。  政府は減税減税と言っておられますけれども、初年度八十三億円、平年度百九十六億円の増税をこの際やろうということは、どうしても納得ができないのであります。しかも、その内容をしさいに調べてみますと、必ずしもその担税力に相応しないような過重な負担を課している事例も見受けられます。特に、先ほども御指摘のありました社会的地位の向上ということで、関係者から希望があれば、待っていましたという形で税を引き上げる態度は、行政当局としては、無原則、不見識のそしりを免れないと思うのであります。  なお、最後に、現金納付の制度に変わりましたために、収入印紙を売りさばいていた関係業者に与える影響も相当深刻ではないかと思いますので、これに対する慎重なる考慮を要望しておきたいと思います。  以上の理由によりまして、私は、民社党を代表して、反対の意思を表明するものであります。
  229. 内田常雄

    内田委員長 次に、田中昭二君。
  230. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております登録免許税法案並びに登録免許税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案に対しまして、反対を表明し、討論をいたすものであります。  税制調査会は昭和二十八年、三十一年の二回にわたりまして、定額税率の引き上げ、法文の平明化等の登録税法の抜本的改正をするよう答申しましたが、実現を見ないまま今回の改正となったわけであります。  今回の改正は、昨年十二月、税制調査会が指摘した定額税率、納付方法等に関する問題点を具体化し、解決したものと言われております。しかしながら、実際にこの改正案を手にしたときに、政府の努力が認められないわけではありませんが、やはり現実を無視した、大衆を忘れた政策になっておるのであります。  たとえば、不動産登録につきましても、その課税標準であります固定資産評価という政府答弁においても矛盾があるものをそのまま採用しております。そうすることは、金をもうける人には安い登録税で済み、もうけの少ない人は割り高の税金を納めていくというようなことがあるわけでございます。すなわち、定額税率の引き上げ等の負担の調整、新規課税の対象の選び方、担税力の問題等にまだまだ考慮すべき余地を残しております。  ここに述べておきたいことがあります。それは政府の官僚的、独善的行き方であります。  今回の改正昭和二十三年以来のものであり、現実にマッチした徹底的改正を試むべき性格のものでありました。しかし、いま指摘しましたように、種々の問題を残しており、当然、より前進さすべき責務があるのに、何ら実践しておりません。政府のこのつくったものを変えようとしない、それが最高であるかのごとき錯覚におちいっている官僚的行き方に大いに不満を覚えるものであります。  よって、公明党は、登録免許税法案並びに登録免許税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案に反対を表明いたすものであります。
  231. 内田常雄

    内田委員長 これにて討論は終局いたしました。  続いて、両案を一括して採決いたします。  両案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  232. 内田常雄

    内田委員長 起立多数。よって、両案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  234. 内田常雄

    内田委員長 次回は、明後六月二日、金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十分散会