運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-05-24 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十四日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    菅  太郎君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君      小宮山重四郎君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    菅波  茂君       砂田 重民君    永田 亮一君       西岡 武夫君    村山 達雄君       山下 元利君    山中 貞則君       渡辺美智雄君    阿部 助哉君       只松 祐治君    野口 忠夫君       広沢 賢一君    堀  昌雄君       村山 喜一君    柳田 秀一君       横山 利秋君    永末 英一君       田中 昭二君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         経済企画庁総合         開発局長    加納 治郎君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省証券局長 加治木俊道君         大蔵省国有財産         局長      松永  勇君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         文部省管理局長 宮地  茂君         林野庁長官   若林 正武君         通商産業省繊維         雑貨局長    乙竹 虔三君         中小企業庁次長 金井多喜男君  委員外出席者         厚生大臣官房審         議官      武藤き一郎君         農林省農地局管         理部長     中野 和仁君         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君         通商産業省企業         局産業立地部長 馬場 一也君         建設省計画局宅         地部長     井上 義光君         建設省都市局参         事官      小林 忠雄君         専  門  員 抜井 光三君     —————————————  五月二十四日  委員村上信二郎辞任につき、その補欠として  菅波茂君が議長指名委員に選任された。 同日  委員菅波茂辞任につき、その補欠として村上  信二郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二一号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、先日本会議租税特別措置法改正内容について質問をいたしたわけでございますが、その内容をさらに本日は委員会で掘り下げていきたいと思うのでございます。  そこで、まず第一点の問題は、土地対策及び宅地対策の問題について、国の政策並びに税法上の今回の特別措置について承ってまいりたいと思うのでございます。  そこで、税制調査会から答申を受けまして、それをもとにして四十二年度税制改正要綱がつくられ、これに基づいてそれぞれの法律措置がなされているわけでございますが、今日、この日本の国の宅地政策なりあるいは土地対策というものを見てまいりますと、どうも基本的な考え方というものが明確にされていない。そこにややもすれば税法上の措置にたよるような形のものがあらわれているんだと私たちは見ているのでございます。そこで、逐次この問題を、それぞれの各省にわたりますので、ただしてまいりたいと思いますが、今回の特別措置土地等譲渡所得並びに住宅建設促進等にあたりまして軽減をされるこの特別措置法上の金額が各項目ごとにどのようになっているのか、一応説明を願っておきたいのでございます。
  4. 塩崎潤

    塩崎政府委員 種々の施策租税特別措置法で講じていることは御存じのとおりでございます。しかし、これは大部分年度というよりもむしろ平年度に影響する問題でございますので、平年度金額でお答え申し上げたいと思います。  まず、住宅対策促進といたしまして、特定住宅貯蓄につきましては税額控除制度を設けておりますが、これが所得税におきまして六億円の減収を見込んでおります。さらに、御案内のように、収用法改正に伴いまして、特定公共事業に収用されますところの土地につきましては、現在七百万円の特別控除がございますが、これを千二百万円に引き上げること、さらにまた、公共事業に準ずるような半ば公共的な宅地造成につきましては、やはり譲渡所得課税最低限を三百万円に引き上げることの改正案を御提案申し上げておりますが、これを合わせまして、土地対策の推進について平年度三十億円の減収を見ております。  以上が、今回におきますところのとられております大ざっぱな減収見込みでございます。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵省のほうから資料をいただいたのによりますると、土地等譲渡所得にかかわる分といたしまして、譲渡所得課税軽減合理化に伴う分が五十九億、それから、工場立地適正化等のためのいわゆる事業用資産の買いかえの特例措置等が、これは工場移転等を伴う分だろうと思うのですが、これが百六十五億、こういうような数字のものをいただいておるのですが、これはどういうことですか。
  6. 塩崎潤

    塩崎政府委員 ただいま申し上げましたのは今年度改正部分でございまして、いま村山先生のおっしゃいましたのは、これまで何年かのうちにわたりまして行ないましたところの租税特別措置による減収額がいま出された数字である、こういうことでございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、先ほどの五十九億なり百六十五億、あるいは登録税の十二億、さらに、割り増し償却の五十億、住宅対策のための所得税上の十二億、これらの数字の中には本年度改善措置の三十億なり六億の数字が中に入っている、こういうふうに見ていいですね。
  8. 塩崎潤

    塩崎政府委員 入っております。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これらを実際適用をいたします場合に、たとえば、民間宅地開発を進める場合には、三十町歩以上のものというような規模制限をいたしまして、その場合には三百万円の譲渡所得についての特別控除を認める、こういうような措置をとられておりますが、住宅建設の場合、いわゆる貸し家をつくりましてこれを貸し付ける場合等についての割り増し償却の分については、何かそういうような点についてやはりそのような何らかの基準なり設定をいたしまして措置がされておるものでございますか。どういうふうにお考えになっていますか。
  10. 塩崎潤

    塩崎政府委員 昭和二十七年から、一定規模建坪あるいはその取得価格の大衆的な借家を奨励する意味におきまして、割り増し償却制度をずっと認めておるわけでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 その基準内容改正の問題についてはどういうようにお考えになっているのか。この点をお伺いしたいのは、経済社会発展計画がつくられておるわけでございますが、その中で、一つ条件が、いま土地取得制度改善民間について進める場合には、「その位置、規模環境等が望ましい形で開発されるものについては、低廉な価格水準を維持しつつ事業適確実施をはかるため、税制上の措置融資保証公共施設整備等積極的な施策を検討」すべきだ、こういうような宅地開発に対するところの経済社会発展計画内容が示されておるわけであります。そこで、不動産会社が三十町歩以上というような大規模宅地を開発する場合には、それに売った者については三百万円については認めましょう、こういう一つ誘導政策がとられておるわけでありますが、ただその規模だけでこれを判定をするという考え方に立つのか、社会開発計画の中に示されておるような、いわゆる環境なりあるいは位置なり、そういうようなものも考えた上で税法上の恩典を与えようとしているのか、この点については実施基準というものはどのように考えておられるのか、説明を願いたい。  それから、今回建設省宅地政策中身を私は調べてまいりましたが、それによりますると、どうも、今回民間宅地造成融資といたしましては、信用保険制度拡充として、住宅金融公庫に対しまする保険基金を一億出資した、こういう程度にとどまっておるわけであります。そのほかには、公庫から民間に対する直接の融資というものも、要請はしたけれども、これは認められるところとならなかった。さらにまた、信用保証協会を設立をして民間宅地造成に対する融資面改善しょうとしたけれども、これまた認められていないわけですね。そこで、わずかに認められましたのは、信用保険制度拡充という、ただ住宅金融公庫に対しまする一億円の出資のみにとどまっている、私たちのほうではそういうふうに見ておるのでございますが、この宅地政策民間に大体半分お願いしょうということで計画がつくられていることは御承知のとおりです。その実施時期等については後ほど建設省からお伺いをいたしますが、そういうように、ことし九万六千ヘクタールの宅地造成をする場合に、約半分以上になりますが、四千九百五十ヘクタール、これだけを造成をしていかなければ、いわゆる社会開発計画の中に定められております目標にいたしましても、あるいは建設省住宅建設五カ年計画の中に見られるような、その計画達成をすることもできない、こういうことになっておるように見るのであります。とするならば、一体このような措置だけで、信用保険制度拡充だけで十分であるのかどうか。この点はやはり税法上の問題と同時に財政政策とも関連をいたしてまいりまするので、この考え方大蔵当局としてはどういう考え方に立っておられるのか、この点を説明を願いたいのであります。
  12. 塩崎潤

    塩崎政府委員 御指摘のように、民間宅地造成、あるいは民間自力貸し家制度というのは、私どもは非常に大事なことだと思うわけでございます。そこで、特定民間宅地造成につきましては収用法に準ずるような考え方応援を与えて、民間宅地造成を御援助しょう、しかもその考え方は、御指摘のように非常に広範な面積条件としておりまするけれども、それは、御案内のように、三十八条の十三に書いてございますように、その地域内におきまして、公共的な道路あるいは公園、それらの面積が百分の二十五以上、四分の一以上あるということ、それから、学校その他の公益的施設の敷地が確保されていること、こういった条件を満たした場合に限る、ここにまた一つの公共的な性格を求めまして私どは応援をすることにしておるわけでございます。したがいまして、こういった要件を——一般的にこの特例を及ぼすことにつきましてはなかなか問題があろうかと思います。譲渡所得税先生案内のように、本質的に非常に問題がございますので、これをどういうように考えますか、今後の根本的な研究に譲りたいと思いますが、一応収用法改正に伴いますところの民間宅地造成事業助成としては、これが私どもは最善のものだと考えております。  一方、先ほどお話がありました貸し家住宅割り増し償却、これはどういう基準でやっておるかという点でございますが、私どもは、先ほどから申し上げておりますように、大衆的なところをねらうという意味におきまして、これも社会開発計画に応じまして将来はだんだんと修正されるのかもしれませんけれども建坪が三十坪以下であるというふうな制限、さらにまた、鉄筋コンクリートの取得価格は坪当たり十五万円、それ以下でなければ認めない、こんなことになっておりますが、しかし、私ども調査したところでは、大体社宅というようなものはほとんど入りますし、東京都内のアパートあるいはそれ以上若干上回るものも一応これで救済されるということで、この制度が相当民間貸し家政策には貢献しておるのではないか、こう見ております。  なお、公団宅地造成全般の問題、さらに、行政上の問題でございますので、建設省から御意見を賜わることにしたいと思います。
  13. 井上義光

    井上説明員 宅地開発につきまして民間事業が今後の宅地供給計画の大半を占めるということから、民間宅地事業につきましては、もちろん一面におきましては事業面なりその取引につきまして規制をいたしますが、助成策も必要であろうと考えまして、先ほど議題になっております一定規模以上の良好な団地につきましての減税のほかに、現在行なわれておりますのは、農地転用を円滑にする、あるいは関連道路公園等公共施設用地整備につきましての事業資金の調達の円滑化ということが大きな眼目になっておるようでございます。  土地取得につきましては、先ほど来のお話にありますように、土地を提供した者に対しまして特別の控除を行なうことになりますが、昭和三十九年に制定されました住宅地造成事業に関する法律によりまして、一ヘクタール以上の宅地造成につきましては各都道府県知事認可にかからしめておりますが、この認可になった団地につきましては、現在宅地造成というのみでは認められておりません農地転用を認めるという方向で運用されております。  また、融資保険につきましては、先ほどお話のように、基金としましては一億円の増額にとどまるということになっておりますが、内容におきまして、宅地造成主体銀行その他の金融機関から資金の融通を受けました場合の保険の率を、現行の八〇%を今年度から九〇%に引き上げる、なお、保険料率も百万分の三十から二十六に引き下げるというような措置が講ぜられております。  なお、公共施設整備につきましては、道路とかあるいは排水施設につきまして本来事業者の負担になるべきものでございますが、基幹的な都市計画道路であるとかあるいは大規模公園であるとかいったものにつきましては、現在住宅地造成事業知事認可を受けます際に都市計画に即応してやらねばならないという関係から、そういったものもあわせてつくる必要がございますので、今後におきましては、そういった基幹的な施設につきましては国なり公共団体におきまして先行的に整備していくようにつとめたいというふうに考えております。  なお、民間事業につきましては、宅地造成事業者がやりますほかに、土地所有者土地区画整理組合というものを設立いたしまして土地整備を行なっておりますが、これにつきましては、従来国から無利子貸し付けを行ないまして、都道府県と折半いたしまして、事業資金の三分の一を限度としまして無利子貸し付けを行なっております。これによります宅地開発面積も、これは村山先生御存じと存じますが、年間に毎年度新規に五百万坪程度やっておりまして、これによります分土地供給相当部分を占めておりますので、こういった助成を今後とも拡充していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 村山喜一

    村山(喜)委員 じゃ、中身についてお尋ねをしてまいります。  ことしの宅地開発計画は九千六百ヘクタールですね。四十一年度目標といたしましては九千四百。この四十一年度実施率達成率は何ぼですか。  そして、いま土地区画整理組合が、継続としてことしは五百四十万坪ですか、それから新規が六百万坪、それに対する財源措置は、地方債として七億円、こういうことですね。この土地区画整理事業、いわゆる地方公共団体のやる分とあわせて、これはいわゆる公共機関の取り扱う分として計画をされている四千六百五十ヘクタールの中に入っているのじゃないですか。いまの説明を聞きますと、いわゆる民間計画のように承るわけですが、それはどの分野に入れるわけですか。
  15. 井上義光

    井上説明員 土地区画整理事業につきましては、地方公共団体がやります分と、民間事業主体がやります分がございますが、いまおっしゃいました公共機関によるものと民間事業によるものの区分につきましては、地方公共団体地方債によりまして年間三十五億程度でございますが、その分は公共機関によるもの、それから、国から七億円、都道府県から七億円、合わせまして十四億円の貸し付け金による分は民間の部類のワクに入れております。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 昨年度達成率……。
  17. 井上義光

    井上説明員 昨年度新規着手達成率につきましては、土地区画整理事業着手いたしましてから三年ないし四年かかっておりますので、現在新規着手分につきましては工事及び換地計画策定中でございます。
  18. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が聞いているのは、そうじゃなくて、なるほど二年ないし三年ぐらいかかるわけですね、そういうようないわゆる継続事業等の分を含むものではなくて、宅地造成としてつくり上げて、ことしはこれだけ利用できるというところまで準備が進められたものが、現に宅地として供給をされるものが九千四百ヘクタールでなければならないという計画をつくったわけでしょう。それに対するいわゆる達成率がどのようになったのかということをお尋ねしているわけです。それの公共機関民間部分との実施率もお伺いしたい。
  19. 井上義光

    井上説明員 お話の四十一年度達成率でございますが、いま村山先生がおっしゃっています供給計画面積と各年度別着手計画面積とには、面積の取り方に若干差がありますので、その点あらかじめ申し上げておきます。予算上、たとえば昭和四十二年度に約九千万坪と申し上げておりますのは全地区の面積でございまして、年度別に新たに供給される面積は、その中から学校用地とかあるいは道路公園用地といった基幹的な都市施設面積を除いた面積になっておりますので、必ずしも各年度別着工面積一定年度後にこの供給計画数字にあがってくるわけではございませんので、大体六割程度が現実の宅地面積なりますが、四十一年度実績は、全体で完成いたしましたのは、計画によりますと二千八百万坪の予定でございまして、それが、公共機関によります分は、大規模公団等団地につきまして用地取得が若干難航したということから、少しおくれておるわけでございます。土地区画整理事業につきましては計画どおり進行しているということでございます。
  20. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、大体二千八百万坪でしたら九千五百ヘクタールぐらいになりますね。ですから、昨年の場合は計画よりも上回って宅地供給できた、こういうふうに見ていいわけですね。  そうなりますと、ことしは九千六百ヘクタールの宅地供給ができる、これはもう間違いない、こういうふうに見て差しつかえございませんか。なお、その中における公共機関民間との比率は現在策定をしております計画どおりに進捗をするものだ、こういうふうに見て間違いないか、この点を確かめておきたい。
  21. 井上義光

    井上説明員 そのようにお考え願って差しつかえないと思います。
  22. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、現在は、住宅金融公庫貸し出しにかかわります信用保険制度拡充保険基金に一億増資した、これによって保証率等も引き上げることに成功をしたし、保険料率は引き下げることになったし、まあ金融上の措置は円滑にいっておるから、いまのところは予算要求のときに、民間のこれらの宅地造成について公庫からの直接融資とか、あるいは信用保証協会を設立するとか、そういうような必要性はなかったのだ、こういうふうに確認しておってよろしいわけですね。
  23. 井上義光

    井上説明員 昨年度民間事業助成するためにいまおっしゃいました信用保証に関します新たな制度というものを要求いたしましたし、その他金融公庫からも貸し出しをするということも要求いたしましたが、財政上の理由等から実現はしなかったわけであります。ただ、それにかわります制度といたしまして、現てん補率の八割を九割に上げるといったような措置を講じますとともに、今後公共施設整備につきまして、優先的に市街化すべき地域につきましては公共投資促進していくという面から助成していくということで、目的は達するものというふうに考えております。現在の制度民間に対する助成が十分であるというわけにはまいりませんけれども、過去の実績等を見ますと、民間事業につきましてはおおむね三分の二は銀行等借り入れ金に依存しており、三分の一が自己資金というふうになっておりますが、この保険制度を活用することによりまして、より長期の、より低利な資金が利用できるものというふうに考えたわけでございますが、現在におきましても良好な事業者につきましては相当金融機関によりまして融資を行なっており、今後も活発になるものというふうに期待しているわけでございます。
  24. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、量の問題だけはこれで解決をした。問題は質の問題です。そしてその宅地造成をしたものが低廉な価格住宅を必要とする人の手にわたっているかどうかというところに問題がある。全体的な計画達成率の上においては大体数量的には間違いはないようですけれども、しかし、その宅地がどういうところにでき上がり、それが国土の利用計画の上から見て非常にスムーズにいっているかどうか、ここに私は問題があると思うのです。そこで、その点についてお尋ねをしてまいります。  これは「都市化近郊農業の諸問題」というので立法考査局のほうから各議員に配られました資料でございますが、この中で次のような問題が指摘をされております。首都圏基本問題懇談会報告によりますると「既成市街地周辺地域土地利用について」の中にこのようなことが書いてあるわけであります。「住宅供給においても周辺地域の比重が大きく、とくに公共住宅でも六割以上が周辺地域立地しているが、その配置は必ずしも計画的でなく、かつ一度立地した近隣は、地価が急騰して追加拡張ができず、地価の割安な地点を求めて無秩序に拡散し、市街地形成の上でも、緑地保全の上でもはなはだ不都合な結果を招来している。また一方、近年の工場立地をみると、首都圏内における新設工場の七四%が一都三県内に立地し、さらにそのうち八四%は周辺地域立地している。この場合も、必ずしも能率的な工業団地を形成せず、周辺地域内の百余に及ぶ市町村の随所に無計画に誘致され、大方は放射線道路に接近しながらも無秩序に散立して、輸送、給排水、さらに公害等の面で無秩序な拡散の欠陥を高めつつある。」、これが指摘をされているわけです。  そこで、お伺いをしてまいりますが、都市近郊市町村では、大体この地域工業地域住宅地域あるいは農業地域という、そういう色分けをいたしました土地利用計画というものを持っております。しかし、ある地域が役所の計画で一たび工業地域であるとかあるいは住宅地域に指定をされましたら、そのとたんにその地域農地はいままでの何倍にも値上がりになってしまう。そこで、実際に工場住宅が入ってくるときには、この工場住宅地域として設定をしたところには入ってこないで、逆に農業地域として設定をしたところにこの住宅やあるいは工場が入ってくる、こういうようなかっこうになっている資料が、統計的な数字でもでき上がっておるわけであります。そこで、このような状態の中から、しかも転用をされる農地は、そういうような地価対策の貧しさと不十分さが伴いまして、優良度から見ると一番優秀な農地がつぶされているという統計もでき上がっておるわけです。そうして、そのまわりは、いわゆる一ぺん工場立地されますると、その周辺地区は今度はさらに値上がりになりまするから、それを期待いたしましたその地域農地は虫食い状態という現象をあらわして、農地がそのまま荒らされた形の中で今日放置をされておる、こういうような報告が出されておるわけであります。さらに、公害も発生しておる、このような指摘がなされておりますが、一体、こういうような状態の中にありますときに、これらのいわゆる宅地政策というものを建設省はどういう角度から進めていこうとしておられるのか、この点について承りたいのであります。  それから、経済社会発展計画の中において述べられておりますように、経済企画庁はこの開発実施体制の整備をやらなければならないということを主張しておられるわけでありますが、一体、経済企画庁としては、その開発体制を進める主体というものはどういうものを頭の中に置きながらこの計画をつくられたものか。そうしてまた、建設省建設省として、これらを進めていく際においてはそれぞれの計画を持っておいでになるということを聞くのであります。いわゆる都市計画法の抜本的な改正であるとか、あるいは過密都市の再開発法案の提出であるとか、そういうようなものを考えておられるように聞きます。そうしてまた、通産省は通産省で、工業立地の適正化法案というような、これは仮称法案であると承っておりますが、そういうような一つの法案を考えておられる。自治省はまた自治省で、それぞれそういうような計画をお持ちである。また、農林省は農林省として、近郊農業に対するところの政策というものを私はお持ちであろうと思う。その場合に、一体、これを総合調整をするといいますか、全体的な立場からこの宅地政策というものの位置づけをどこでどのようにするのかということが明確にならなければ、いまのような形でいくと、これは自然にでき上がる形のままに放任をしていく中において経済的なロスが出ていくわけでございますが、こうなってまいりましたら、経済企画庁が発表した経済社会発展計画に沿わないという結果がみすみす生まれてくるわけです。その点をそれぞれの省庁においてはどういうふうにお考えになっているのか。この際税法上の措置だけやっておったのでは、この問題は抜本的な問題として解決できないと私たちは思っておる。思っておりますから、それに対するところの追及をいましょうと考えているわけですが、現在の時点におけるそれぞれの考え方というものをお示し願いたいのです。
  25. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 全般的な問題にかかわると思いますので、私から最初にお答えいたします。  確かに、御指摘のように、現状は非常に急速な都市化の進展に伴いまして都市の周辺で非常なスプロール現象が起こっております。ある意味では、いわゆる混乱を起こしたような形で人口なり産業が大都市の周辺に集まってきておるわけであります。これをどう整然とした形に直していくか、あるいは大都市にこれ以上人が集まらないような対策をどう立てるかというようなことが基本的には重要な問題であろうかと思いますが、計画的な面から言いますと、やはり、全国のそれぞれの土地の特性に応じた利用といいますか、開発を考えていくことが基本的には重要だ、つまり国土の長期的なビジョンを描くということにまず第一にはなろうかと思います。そういう意味においての長期的な国土のビジョン、つまり人口なり産業の適正配置というものを背景に持ったビジョンづくりをどうしてもやっていかなければならないわけでございますが、これにつきましては、かつて昭和三十七年に全国総合開発計画というものができております。その実施をずっといたしてきております。たとえば新産業都市とかあるいは工業整備特別地域というものもその一環でございますが、全国総合開発計画考えたときの状態よりも、ただいま申し上げました都市化の現象というものはもっともっと深刻でございまして、当時想定したものと違った姿で、いわゆるメガロポリス形成の動きが現在行なわれつつあるわけでございまして、この現状をさらに十分分析し認識した上で、新しい全国的な計画、それはいわば長期的な国土のビジョンということになろうかと思いますが、そういったものをまずつくり上げていく、ほんとうを言いますとそういう全国総合開発計画一つの背景に持った全国の土地利用計画的なものができ上がれば、それにさらにふさわしいことになろうかと思います。ただ、全国的な土地利用計画をつくるということはなかなか容易なことではないと思います。経済社会発展計画におきましても、そのことは非常に望ましいけれども、とりあえず大都市周辺についてそういった土地利用計画をつくるべきだというふうなことを述べているわけでございます。大都市周辺についてといいますか、大都市についてそういうものを考えていくということは、いわば広域都市計画をつくっていくということになろうかと思いますが、そういう意味で、ただいま建設省のほうでは都市計画法の改正をそういう意味も含めて考えられておりますし、一つ制度的な新しい前進がこの都市計画法の改正ということによって進められるのではないかと思います。そういうことによって、大都市の周辺における農地に適正である土地がいたずらに工業地になったりあるいは住宅用地転用されるということのないように、また将来工業用地になるところに住宅が入り込んでくることのないような形で、一つ土地のこまかい利用計画が立てられ、それに基づいた建設が行なわれるというふうな運びになっていこうかと考えます。  また、先ほどの御質問にもありました、実施主体としてはどのようなことを考えておるのかというお話でございましたが、大都市の周辺について新しい住宅都市的なものをつくり上げることによって大都市周辺のスプロール現象をとにかく解消していくんだという計画は立っておりますが、その主体としては、あるいは公団的な組織を考えて、縦割りの行政をそこに横に集約したような形で一つ施策を総合的にやれる機関というものがあることが望ましいという考え方だと思いますが、ただ、必ずしもそれが公団であるか、あるいはもっと別の機関であるか、府県や何かで考えておる事業団的なものであるかというような具体的な問題については、さらに今後の検討に待とうかと思いますが、単に縦割りの形でやっていったのでは新しい大きな住宅都市の建設というものはなかなか困難であろう、また問題が非常に多かろうということで、そういう考え方をいたしております。
  26. 井上義光

    井上説明員 現在の市街化が無秩序に行なわれていくことにつきましては、私どももその事実を十分承知しておりまして、現在の産業構造が高度化しまして人口とか産業が都市地域に集中しているということは、いま企画庁からもお話がございました。本来、住宅地域工業地域といった地域制につきましては、その土地の自然的なあるいは社会経済的な条件を考慮しまして最も合理的にきめられることになっておりますが、そういった地域・地区制がきめられない土地につきましては、現在建築物等をつくります場合あるいは宅地造成をいたします場合にまあ自由に行なわれている、特別の規制はないといったところから、いろいろな交通条件とかあるいは地質あるいはその他の公共施設の関係から適切なる地域につきましては地価が高騰するという関係からそこを避けまして、好ましくない地域に市街化が行なわれているということは、現在の土地利用に関する規制なりあるいはその基本になります土地利用計画といったものが不十分であるというふうに考えまして、建設省としましては、いま企画庁からお話がございました全国の総合計画、あるいは首都圏、近畿圏等におきます整備計画といったものを前提にしまして、そういった自然的なあるいは経済的な諸条件から見まして最も合理的に土地が利用されるような計画策定する、その手続及びその計画の効力といったものにつきまして、都市計画法の改正ということにつきまして検討を進めておるわけでございます。  なお、地価そのものにつきましては、やはり土地というものは、本来特殊な性格から売り手市場になりまして、買うほうは買い急ぎする、売るほうは売り惜しみするという性格がございますので、根本的には有効需要によって地価が決定されるということが考えられますので、土地供給のほうを増大するということがまず第一であるというふうに考えまして、土地開発事業予算公共機関につきましてもあるいは民間につきましても進めますと同時に、都市内の再開発による実質的な宅地供給の増大というものをはかるべく、法制上あるいは資金上の措置につきましても検討を進めておる次第でございます。
  27. 中野和仁

    ○中野説明員 先ほど近郊農業につきましては無秩序の都市化のためにいろいろな影響を受けておるという話がございました。私もそのとおりだと思います。農業就業人口は減ってまいりますし、減ってまいりますとそれほど農業に身を入れないということも起こってまいりますし、土地としましても、工場用地住宅用地農地が壊廃していく、そうすると地価は上がってくるということになってまいりますので、その基盤整備につきましてもいろいろ困難な問題が起きております。  そういうようなことがありますので、非常に問題があろうかと私は考えておりますが、最近、都市近郊といいますか、それを中心にしました太平洋巨帯地帯についていろいろ調べてまいりましても、ここで伸びておる農業は、蔬菜といいますか、生鮮食料、それから観賞用花卉という資本集約的な農業がだんだん発展してきております。この地帯の生産額の約三分の二はその二つで占められておるという状況になっておるわけであります。一方、土地を必要とする農業はやはり近郊から地方へ出ていくという傾向にだんだんなってきておると思います。また、われわれとしましても、今後ともそういうふうな方向でやっていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。ただ、その場合に、先ほども御指摘がございました無秩序な都市化につきましては、一番つぶれていきますのは、山林原野もありましょうが、やはり農地であろうと思うわけであります。  そこで、農林省といたしましては、昭和三十四年以来運用基準を明確にいたしまして、具体的な運用をはかっておるわけであります。それのねらいといたしますところは、優良農地はできるだけ確保したい、これは農林省の気持ちでございまが、単にそれだけではまいりませんので、やはり他産業との利用調整ということをやらなければならぬということを第二番目の問題とし、第三番目は、周辺の農地にそういう場合にも悪影響を及ぼさないようにどういうふうに考えるか、なお、あるいはその辺が農地転用の限界ではございますが、転用されました農地が遊休化して、それからその先へ行くというのでは困る、その辺についてもどういうふうにやるかという点について意を用いまして、現実にも運用してまいっておるわけであります。それからまた、先ほども触れましたように、都市近郊につきましてはやはりどんどん都市化が進むということで、たとえば首都圏におきましては、都市開発区域にしましてもその他の区域にしましても、大体一つ地域について市街化区域と農林区域と区分けをいたしまして、市街化区域につきましてはもちろん転用は原則的に認めていくしという運用をいたしますと同時に、農林区域といたしますところでは原則として認めないということで運用はいたしてまいってきておるわけであります。  そういうようなことで、総合的にその辺の調整がまだやられておりませんので、私たちといたしましては、首都圏につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、そのほか、近畿圏にいたしましても、あるいは工場適地の団地を選ぶ場合にいたしましても、それから流通業務市街地の問題、新住宅市街地の問題等いろいろな個別の問題につきまして、大体関係各省と事前に話し合いをいたしまして、あるものはいま申し上げましたように農林地域と市街化地域と分けるということを事前に各省で相談をし合いまして、そしてやっていくという方向で運用をしてまいってきておるわけでございます。ただ、そういうことをやっておりますけれども、それが完全に守られているかといいますと、必ずしもそうでない面もあるかと思います。
  28. 馬場一也

    ○馬場説明員 先ほど先生が御指摘なりました大都市圏の近郊の状況ということは、私も全くそのとおりであろうと思っております。大都市圏にいろんな人口なり産業が集まる勢いというのは、非常に否定しがたい勢いであろうかと思いますけれども、その中で特に工業について見ますと、工業は、御指摘のように、最近の統計で見ましても、大体東京なり大阪なりのいわゆる近郊の数府県に、全国で新築いたします工場の大体三分の一くらいのものが毎年集まっておる、こういう状況になっております。こういう工業の集まる動向、あるいはそういうところに立地しなければいかぬということは、ある程度産業の状況から見ましてやむを得ないものも多いわけでございますけれども、同時に、必ずしもそういう大都市圏の近郊に立地をしなくても、その他のたとえば新産業都市なりあるいは工業整備特別地域なりという新しい工業地帯でやっても十分成り立つというものも相当に多い実情にあるわけでございます。  そこで、大都市圏における工業の問題を考える場合には、一つは、そういう近いところにどうしても立地をする必要がない工業につきましては、まずそれを規制をすると申しますか、調整をするというような方向の政策が必要ではなかろうかということでございます。  同時に、たとえそれを調整をいたしましても、いろいろ産業の立地条件からいたしまして、そういう大都市近郊でなければ成り立たないような産業というものも数多くあるわけでございますから、これはどうしてもそこに立地をせざるを得ないということになろうかと思います。今度は、そこに立地をいたします必要のある産業につきましても、先ほど来御指摘のように、そこでやればどこでもいいんだということにいたしておきますと、いろいろ、住宅との混在とか、あるいは好きかってにいたすことによっていろいろスプロールの問題あるいは公害の問題というような立地の弊害ということが生じますので、そういうところに立地する必要のある業種におきましても、つとめていわゆる工業に適した地区というところにまとめて立地をしてもらう、いわゆる整然と立地をしてもらうというような方向の政策というものを、やはり規制と並行して考える必要があるんじゃなかろうか、こういうのがわれわれの考えておるところでございます。  現在その二つの問題を通産省なり考えまして、先生指摘のございました立地適正化法というような法律を準備いたしておるのでございますが、その第二点の、工場をそれじゃどこにまとめて立地をさせるかという地区を選ぶ場合には、これは単に産業の立地条件がよいからというだけのことではなくて、立地条件もよいし、それから、先ほど来各省からお話のございました住宅なりあるいは農地なりとの関係から見まして、この場所に工業が整然と収容されれば最もよろしいという地区を、そのほかの全体の状況とにらみ合わせながらきめるという考え方が必要であろうということでございまして、現在われわれのほうで考えております適正化法におきましても、そういう工場を入れる地区の設定、指定につきましては、これは通産省がやるのではなくて、建設省なりあるいは農地の関係で農林省というところと十分お打ち合わせをいたしまして、ひとつそちらのほうの御担当の省にきめていただく、それがきまりましたら、そこにどういう工業をつけるかというような中身計画につきましては通産省のほうで政策に照らして考えていく、こういうような考え方をいたしておるのでございます。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 大体各省庁の意見を承ったのですが、問題は、いま建設省考えておるこの都市計画法というものが、それらのものを全部吸収をしながらその有効な措置が講ぜられるかどうかということにかかってくると思うのです。  現行の土地制度のもとにおきましては、これは自由放任といいますか、企業の立地というものが優先をして、そうしてその他はそれに追随せざるを得ないような形に追い込められておるのが実情なんです。だから、優良農地がつぶれ、一ぺんそこに新しい工場立地ができても、それが農地の中にでき上がって、そしていろいろ経済効率の上から見ても望ましくない形のものがあらわれているというのは、先ほど発表された表現のとおりだ。こういう状態の中で、一体国土利用というものについてはこれからどういうふうにしていくんだという全体的な計画というものが残念ながらない。  今度何か建設省のほうで都市計画法というものをつくって出そうとしているように聞くんですが、この都市計画法の抜本的な改正はなかなか難航をして、一向に国会に提出をされるというところまでこないようであります。一体都市計画法の抜本的な改正案はいつ国会にお出しになるのか、その見通しを説明願いたいのです。  それが一つと、いわゆる用途地区制というものを土地利用計画の中ではきめなければならない。そうすると、地域なり区画なり、ここは工場立地として望ましい地域だ、ここは農業地域として残さなければならない地域だということになりますと、それは色塗りをするというかっこうになる。その色塗りをするためには私権の制限が伴うわけです。その私権の制限をどの程度押えるかということが、やはり国全体の土地利用計画の中で、今日あまりにも尊重され過ぎている私権との問題がそこに出てくると私は思う。そういうようなものを一体どういうふうに考えておられるのか、この点についてお伺いをいたしたいのであります。中身はどういうようなものをどの程度まで煮詰められておるのかですね。この点についてお答えを願いたいのです。まだ法案としてまとまってきていないのですから、非常に微妙な形の答弁にならざるを得ないと思いますが、それについてお伺いをします。  それから、この際大蔵省お尋ねをしておきます。いわゆる第三種農地として地域指定をされました農地については、これは遺産相続等の場合においては宅地並みの価格として課税をするということになる。そこで具体的な例がすでに出ておりますが、この問題はどういうふうに措置されているのか、お尋ねをしておきたいと思う。それは、東京の練馬区のある二ヘクタールの専業農家が五千六百万円の相続税をかけられた、これを五年間の年賦払いで納めることにしたけれども、利息だけでも一日一万円以上になって、とても農業経営では負担し切れるはずがない、そこで営農意欲を失ってしまったという例や、あるいは、そのほか同じようなので、結局もう、そういうような相続税等がかかってきますから、農地を売り払って、本人は農業経営をやめて工場の労働者として働かなければならない、こういうような状態になって、いわゆる世代交代とともに近郊農業が消滅をせざるを得ないという状態があらわれてきている。こういうようないわゆる第三種農地としての取り扱いというものは税法上どのような措置がなされておるのか。第一種、第二種はわかりますが、第三種農地の場合の今後の課税政策というものと都市近郊の農業政策との関係を説明願いたいのであります。
  30. 小林忠雄

    ○小林説明員 都市計画法案の提出予定時期でございますが、ただいま法律案を関係各省にお配りいたしまして意見調整をしている最中でございます。来週一ぱいぐらいで政府部内の意見調整ができますれば、内閣法制局で法制的な審議をしていただきまして、来月上中旬までに提出したいという、これは努力目標でございます。  それから、ただいまお話しのように、土地利用を何らか法制的にきめました場合丁当然所有権に対して制限が加わるわけでございますが都市地域のように非常に限られました狭い地域に多くの需要が集まりまして競合する、これが地価の高騰なりあるいはスプロールなどの原因でありますが、やはりそういう狭い地域にたくさんの人が集まって活動をいたします際には、自分のものだからそれはかってに使ってもいいのだということでは結局お互いの不利になるし全体としてマイナス面が多いわけでございますので、全体として最も効率的にその限られた土地を使うためには全体として一番合理的であるという利用計画に従う、そのためには当然ある種の土地の利用について制限を受けるのがむしろ所有者自身をも含めて合理的である、こういう理念に立っていくべきではなかろうか。土地所有権そのものは憲法で保障されておりますのでこれを否定するわけにまいりませんけれども土地の利用につきましてはやはり公共上相当の規制が必要であるということが、都市計画法を改正いたします際の基本的理念でなければならぬと考えております。
  31. 塩崎潤

    塩崎政府委員 相続税の評価の問題につきまして御指摘のございました点についてお答え申し上げます。  農地の評価の問題でございますが、相続税は、御案内のように、財産の時価、売却価格基準とせざるを得ないことは、相続税の性格から、もう先生案内のとおりでございます。そこで、農地にはいろいろな性格がございますが、これまでの私どもの評価のしかたといたしまして、三つに分けまして、純農地、それから第二次転用許可可能農地、第三には、いま申し上げました第三種農地がその中に入るわけでございますが、転用許可済み農地及び転用許可不要農地、この第三番目の型に属するものも、非常に宅地に比準いたしまして、もちろんそこに造成費を引いたり若干のしんしゃくをいたしますけれども宅地で評価するという原則をとっております。これは、相続税の本質から見まして、やはり実勢に着目せざるを得ない、こういうことから来ていると思うのでございます。そこで、固定資産税の問題いろいろな問題がございますけれども、相続税の性格といたしまして、一生に一回起こるだけの相続税でございますから、そうせざるを得ないところから来ておる。  なお、もう一つには、いま一日一万円の利子というお話があり、さらにまた、五年年賦延納ということもございましたが、相続税法では、土地は大部分のときには十年年賦延納、こういうことで担税力から支払いについてゆとりを見ておるわけでございます。そういったところから見て、もう少し検討してまいらなければなりませんが、私どもといたしましては、そんなに無理があるというふうな考えは持っておりません。
  32. 村山喜一

    村山(喜)委員 相続税のあり方、考え方からするならば、私はやはりあなたがおっしゃるとおりだと思うのです。ところが、現実には近郊の市街地化がどんどん進んでいくわけですね。そうして街路や上下水道あるいはその他ガス等が新設をされていきますと、それに伴ってどんどん今度は第三種農地がひとりでに拡大をしていくようになるわけです。なるほど、そういうような税の取り立ての上からいくならば、それだけ農地宅地化されていくわけなんだから、当然相続税というものも財源確保としてはきわめてうまい取り味があるわけなんです。しかし、そういうようなところで農業をやろうと思っても、都市近郊農業として、先ほど農林省の方がお話しになりましたように、工業化された農業といいますか、土地はあまり使わなくても、その上に三百万円ぐらいの資本投下をやりまして、その中で採算がとれるような大量的な蔬菜園芸なりあるいは畜産、そういうような採算の面を考慮した大型の農業経営ができるけれども、そういうようなところにおいては、だんだんまわりが市街地化されてきますから、農地としてやろうと思っても、いろんな住民から住んでいる人たちの苦情がやってきますから、農業が締め出されるかっこうになっていくわけですね。その場合に、その人たちが今度はもう一歩郊外のほうに飛び出していってそこで農業をやるという場合には、何か税法上の措置考えられておりますか。都市化に伴って農業継続ができなくなる、その場合の土地の買いかえ等に伴う課税上の措置とか、そういうようなものを一面においては考えながら、いわゆる相続税等においては宅地並みの税金をいただくという仕組みをとらなければ——そしてまた、都市近郊農業というものがそういうような形になってきたのは、一番初めに工場ができ、あるいは住宅団地ができて、そのまわりが今度は農業ができなくなっていくのですから。そこははたして工場適地としていいのか、そしてまた住宅団地として立地政策上最も望ましい地域なのか、そういうようなのはあまり頭の中には置かないで、企業としてはできるだけ安い土地が手に入るほうが望ましいわけですから、そこに集中をしていくわけです。そういうようなところから考えてまいりますと、やはりこの問題は、ただ税法上の問題だけではなしに、また一つの農業政策やあるいは工業立地政策だけではなしに、もっと全体的な国民の生存をする条件環境の問題等とも関連をしながら総合的な土地政策というものを立てなければならない段階に来ていると私は思うのですが、大蔵省としてはこれをどういうふうにお考えになるか、それもあわせてお答え願いたい。
  33. 塩崎潤

    塩崎政府委員 私も、先生が主として御指摘されるような総合的な土地政策が非常に必要だと思います。そのうちの一環といたしまして、先生指摘の、近郊農地が近郊ではもうやっていけない、遠いところにかわっていくという場合、つまりその近郊農地を売りましてまた別なところに農地を買う、こういった場合に税制上の措置が講ぜられたかという御質問に対しましては、現在御提案申し上げまして期限を延長いたそうといたします事業資産の買いかえの規定は、まさしくそういった場合に対処するものでございます。
  34. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、今回の土地収用法改正案を見てみますと、ごね得をなくするということが中心のように聞くのでありますが、一つ計画そのものを考えてみましても、初めに計画をつくる段階がありますね。成田空港の例を一つとってみましても、初め、どこかに国際空港をつくるらしい、どこか成田のあたりらしいという、上層部の中において計画が練られるころがあります。そのときに、非常にそういうようなのに通じている人は、どこかそこら辺になるようだというので土地の買い占めをやります。そして、いよいよ運輸省が、これは事業計画をつくるわけですから計画をつくる、そして成田にきめる。その時点においてはまたそこの土地が値上がりになる。その周辺が値上がりになる。そうして、今度はいよいよ事業をやるのは建設省、それで事業認定をいたします。計画と認定との間においては約半年ないし一年間ぐらいのずれがある。そこで、その間に事業認定がなされて、そして今度はいよいよ収用法に基づいて裁決をする。いままではこの裁決の時点における価格で収用しておったわけですが、これを事業認定のときにさかのぼってやるという計画ですね。そこで、その段階におきましては、なるほど、事業認定時にさかのぼるのですから、公共事業は割り安にできることは間違いない。この点は確かにそうなんです。しかしながら、それじゃそれをもう一歩さかのぼって、なぜ計画時においてその問題を考えないのかという疑問点が一つ出てくる。それから、なるほど、事業認定時においてやるということになれば、ごね得は少なくなる。ところが、その公共の目的のために収用をされるその土地の所有者は、事業認定時の価格で収用されるわけです。ところが、そのまわりは、今度はそれが空港の場合には騒音やその他があってあまり開発の利益はないと思うのですが、その他別な問題が生まれてきたときには——今度は全公共事業にそういうようなのを適用しようというのですから、単に国際空港だけではないわけですね。そして千二百万の課税上の恩恵を与えようというわけですから、全公共事業においてこれが適用になる。そうすると、そこは坪当たり五万円なら五万円で収用されたとします。そしてそこに何かの施設ができたとする。そうすると、それに伴ってその周辺は今度は坪十万に値上がりをした、こういうような事例が必ずや起こり得るわけです。そのときに、いわゆる開発利益に伴うその措置というものを税法上やるべきであるというのは、これはやはり、経済社会発展計画の中におきましても、いわゆる開発利益のその吸収によって事業を円滑にすべきなんだということが述べられておるわけです。ところが、今回国会に提案をされました収用法改正は、そういうようなものは全然ない。これは前に出されたけれどもつぶれたという過去の歴史があるわけですけれども、そういうような開発利益に対するとこころの、いわゆる土地の値上がり分に対して税金でそれを取るということはなぜお考えにならなかったのか。やはりそれは、総合的な土地政策の上から考えたら、その開発利益というものを吸収をして、それを一部の者たちだけでなしに全国民のものにしていくという考え方がなければならないはずだと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっているか、この点を土地政策関連してお尋ねしておきたい。
  35. 井上義光

    井上説明員 土地収用をいたします場合に、その収用の価格を従前の土地収用委員会におきます裁決時の価格から建設省または都道府県知事事業認定という時期にいたしましたのは、村山先生のおっしゃるとおりでございますが、これを計画決定時にさかのぼってはどうかということも各方面で論議されましたが、土地収用法の適用を受けます事業主体計画策定をいたします段階というものがきわめて不明確な場合が多く、計画決定のみでは、私権を制限し、これを収用するという区域が非常に明確でない場合が多く、また、その事業土地収用に適し得る事業であるかどうかという認定も、やはり詳細なる事業計画と図面とを添えました事業認定がなければ、そういった制限がしがたいのではないかということから、事業認定のときを基準価格の時点としたわけでございます。
  36. 塩崎潤

    塩崎政府委員 ただいまの御質問の、開発利益に対しましてなぜこれを社会に還元する方策を税制上とらなかったのかという御質問でございます。  これは、経済社会発展計画の中でも宿題にされていて、今後の大きな研究事項だと思っているのが第一のお答えであります。  第二には、この開発利益につきましての税制上の措置はいろいろな問題がありますが、二つばかり大きな問題がありまして、昨年の国会におきましていろいろな御論議があり、今回反省いたしまして、もう少し深い角度から検討しようということで、提案はしてないのでございます。  その第一は、ただいま村山先生みずからおっしゃいましたように、たとえば開発利益とは何ぞやという範囲の問題でございます。飛行場の周辺はむしろ収用の結果値下がりしたではないかという御意見も昨年の国会ではずいぶんあったわけでございます。そんなような開発利益、これは私ども建設省にもずいぶんお願いいたしまして、開発利益の範囲を具体的に確定するについて何らかいい方法はないかとお願いして、どうしてもそれはできない。やはり一般的に開発利益を推測していただかなければならぬ。そうしますと、税の普遍的適用という性格から、開発利益があろうがなかろうが、結局譲渡価格取得価格との差額を開発利益と概括的に見ざるを得ない。そこに非常な無理があるのではないか、そういった無理があるのに四分の三という特例的な課税を行なうというのは酷ではないかというお話一つあったわけでございます。これが一つの理由。  もう一つの大きな理由は、第二に、実際に開発利益の吸収も考えなければならぬと思うのですが、いまの法人税、所得税の体系ではたしていいかどうか。これはもう先生案内のように、譲渡所得税は売ったら税金を取るという制度でございます。そこに私は非常に弱点があると思います。しかもまた、先ほどもお答え申し上げましたように、現在事業用資産の買いかえという制度を認めておるような時期でございます。そういたしますと、買いかえのできる連中は何らの譲渡所得課税が行なわれないで、一方、たまたまその金を握る者、これはいろいろな理由があって握るわけでございますが、その人たちが強い課税を受ける。これがはたして担税力の面からのみならず社会の発展、土地の利用の面から見ても適当であるかどうか。これはいろいろケースがありまして一がいにも言えない。このようなことを考えますと、もう少し譲渡所得税の範囲を離れた大きな角度から全般的に検討する必要があろう。  こういった問題で、開発利益の社会的な還元方法といたしましての税制上の問題は、これから私ども税制調査会におきまして専門的な方々にお集まり願って十分御検討願う予定にしておるのでございます。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 たとえば、東京の三多摩で水道があるところとないところでは坪当たりどんなに見ても五万円から一万円ぐらいの値の開きがある。そこで、かりに大きな不動産会社が、そこを宅地化して、そうして自力で簡易水道の設備をします。そうしますと、水道があるということになりますから、それだけ土地が値上がりになる。結局、その簡易水道をつくった分はすぐ土地代の値上がり分で損はしないように宅地開発会社はちゃんと需要者に転嫁できますから、そういうふうにやる。ところが、今度そこに上水道を引いてくるのだということになりますと、そのときは社会的には二重投資になりますね。こういうようなかっこうの中で、最終的には利用者といいますか大衆の肩の上にしわ寄せが寄ってくる。そこで、そういうような一つ土地の値上がり分のうち二〇%なりというものを課税なら課税をするという形の中において、その中から上水道の敷設費を生み出すというような形にするならば、それだけ消費者といいますか需要者は安い価格で手に入れるということができるし、また、社会的に見ても二重投資にならないような形でロスが少なくなるわけですね。あるいは、国鉄の複々線化工事が始まった、三鷹なら三鷹からの通勤距離が短くなり、便利になるということになると、国鉄が投資をすることによってそれだけ土地の開発利益というものが上がってくる。ところが、投資をするために今度は財政資金が要るというので、特別債とかいろいろな形で高い金利の金を借り入れてやるから、国鉄としては、借金は雪だるまのようにふえてきて、利子だけでも一日三億くらい払わなければならない、そういうかっこうでしょう。そのあげくの果ては、それを利用者であるところの国鉄で通勤をする人の運賃値上げに持っていかれるわけですね。そこで、もし国鉄がそこに投資しなければそういうことにならなかったわけですから、運賃からそういうふうにするのじゃなくて、それによる土地の値上がり等によってもうかった人たちから利益を取ることが、資本主義的にも合理的な解決の方法だと私は思うんですが、そういうような立場から、この開発利益の問題についてはまだ研究課題になっておるということでありますが、一つのこういうような都市化現象というような問題が出ておる中において土地利用計画というものをきめていく場合には、そういうようなメリットの面とデメリットの面がやはり出てくるわけですから、そこら辺を社会的に規制をしていくというか、今度都市計画法をつくられる場合においてはやはり規制をしなければならないのじゃないかと思うんですが、そういうようなところまで建設省のほうは考えておるのですか。
  38. 小林忠雄

    ○小林説明員 ただいまお話がございました鉄道の敷設に伴う利用利益というところまでは計画法としては手が及ばないわけでございますが、一定団地を開発するという場合に、当然そこを市街地化いたしますために街路あるいは下水道というものが必ず必要なわけでございます。これをだれが負担するかという問題が一つございまして、いままでの方式でまいりますと、公共団体が最終的に負担する場合もございますし、あるいは先ほどお話のように土地代にかけて負担している場合と、両方あるわけでございますが、この交通整理を土地利用計画との関係でどのように調整していくかというのが一つの課題でございます。まだ最終案は出ておりませんけれども宅地審議会の答申でもその点は割り切っておりますように、市街地化をすべきところときめましたところにつきましては公共の責任において公共施設整備を行なう、しかし、市街地化すべきでないというふうにきめましたところに、もしある特定のまとまりのある団地が例外的に認められました場合には、そういうものの中の公共施設については開発者が負担をする、具体的には宅地の売却価格の中に含ませるということにいたしたいと思います。ただし、その維持管理という点になりますと、これをいつまでも民間に持たすということはできませんので、法律一定のものにつきましては、あとの管理は公共団体が引き受けるということを義務づけたいと思います。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 建設省の新しい抜本的な都市計画法の改正案はどの程度まで煮詰まってくるのかわかりませんが、先ほどの小林さんの話を聞きましても、あるいは私たちがいままでに聞いております声からいたしましても、どうも今回の国会には間に合いそうもない、そういうような気がしてならないわけです。六月の中旬ごろ出されましても、この会期はいまとのころは一応六月一ぱいということになっておるのですからね。各省間の縦割り行政の中で、それぞれのセクションで取り組んでおられる今日のそういうような機構の中で、地方公共団体まであるんですから、だれが開発の事業主体なり、そして各省にまたがる事務をどういうふうに調整をしながらやっていくかということになると、やはり土地の利用政策に対する基本的な法律がないから、建設省の一所管の中で都市計画法の抜本的な改正をやられても、あっちこっちでひっかかりが出てくる、そういうような気がしてならないんですよ。この点については後ほど佐藤総理に抜本的な基本的な点をもっとただしたいと思うんです。いずれにいたしましても、土地利用計画が不十分だということは、各省ともそれぞれお認めになっていらっしゃるのですから、これをどういうふうにしたらいいのかという問題を考えながら、税法上の問題、特別措置の問題はその一環として取り上げて、これがいいかどうかということを論議しなくてはならぬと思うのであります。  そういうような立場からいままで質問をいたしましたが、この点についてはこれで終わります。  その次に、租税特別措置法の中にございます。いわゆる教育費に関する問題でございます。  今度税制調査会のほうから、御承知のように、私学の振興ということで答申がございました。それを受けて、税制改正要綱の中で、税額控除を所得控除に移して、三〇%を一五%方式にしたり、あるいは指定寄付金の対象を拡大したり、あるいは収益事業の中からあがりました益金を損金に繰り入れる限度額を所得の五〇%に引き上げたり、こういうような措置がとられておるわけです。これによりましてどれくらい私学の助成になるのか、大蔵省としてはその計算をされておるわけですか。そしてまた、お伺いしますと、私学振興会が寄付金を集めましたら、それは全部免税措置をするんだということで話し合いがついたように聞くのでありますが、こういうような形の中でいわゆる税法上の措置がとられてまいりましたことは、これは税制調査会の答申を受けての措置でございますけれども、一体この面からどれだけの効果があるというふうに判断をしておられるのか。これが特別措置の中なんかで金額がちょっとはっきりしないものですから、はっきりこの際お伺いしておきたいと思うのであります。
  40. 塩崎潤

    塩崎政府委員 御指摘のように、たくさんの措置を去年から、私学のいろいろな事件を契機といたしましてやりかかっておりまして、今年度も、おっしゃるような寄付金の控除制度改正あるいは法人寄付金の範囲の拡大、これらをいたしましたが、そこで、どの程度の効果があるかということは、なかなかむずかしい問題で、いつも租税特別措置効果ということで御論議になっておるところでございます。  いまのところ法人の寄付金は三百億円、ここ三年くらい大体同額でございます。そのうちの私学への寄付金は三十五億円ばかり、こういうふうに見ております。      ————◇—————
  41. 内田常雄

    内田委員長 この際、租税特別措置法の一部を改正する法律案の質疑を一時中断し、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより各案について討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許可いたします。阿部助哉君。
  42. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題なりました三法案のうち、相続税法の一部を改正する法律案に対しては賛成、所得税法の一部を改正する法律案並びに法人税法の一部を改正する法律案に対しては反対の討論を行なわんとするものであります。  所得税法は、何と申しましても近代税法の中心でありまして、国民生活に与える影響もまた大きいのであります。したがって、応能の原則、公平の原則とともに、生計費には課税せずという原則が貫かれていなければなりません。ところが、このたびの改正案を見ますと、この原則に照らして幾つかの欠陥があります。  その一つ一つを申し述べる余裕がありませんので、そのおもなる点をあげるにとどめますが、反対の第一点は、課税最低限が低過ぎる、すなわち、低額所得者に過重な税がかけられているということであります。四十二年度は設備投資の過熱が心配され、物価も政府の想定する四・五%をこえて大幅な値上がりが心配されております。すなわち、消費者米価の値上げによる負担分千二百億、政府管掌健康保険税の負担増四百九十四億だけで、公共料金や一般物価の値上がり分を別にいたしましても、千六百九十四億円であって、減税額千八十億をはるかに上回っております。財政収入の面から見ましても、四十二年度の税の自然増は、政府の控え目な発表によりましても七千三百五十億円、所得税だけでも二千二百四十五億円であって、千八十億円は物価調整減税としても足りないのであります。大蔵省の示す男子一日二百五円、一食わずかに六十八円の食費を押しつけていることを見ても、税金が生活を圧迫しておるといわなければなりません。わが党は、民社、公明両党と話し合い、相提携して課税最低限の引き上げを強く要請し、本委員会においてもあらゆる角度から追及してまいりました。しかし、政府は話し合いの政治を放棄し、三党協定を無視してきたことに、強く不満の意を表するものであります。  次に、身体障害者、老齢、寡婦控除に対する六千円の税額控除を七万円の所得控除に切りかえたのでありますが、身体障害者と寡婦とを同列にすることにも問題がありますが、さらに、身体障害者、老齢者を持つ低額所得家庭にはほとんどその恩典はなく、高額所得家庭により大幅な減税効果を与えているのでありまして、これまた公平の原則からはずれた考えであることを指摘せざるを得ないのであります。  法人税法については、簡素化をうたっておりまするが、会計処理の基準のように、大法人には恣意的な運用によって粉飾決算の余地を与える反面、中小法人には従来にまさるきびしい徴税の方向が隠されております。通達主義、記帳義務を強化するものであります。  わが党は、法人税法改正にあたっては、当然、一つ、留保所得につき税率を三七%に引き上げ、年所得三百万円以下の軽減税率を二七%にすべきこと、二つには、配当分に対する軽減税率は廃止すべきである、三には、法人の受け取り配当の益金不算入制度を廃止すべきである等々を考えております。  さらに大きな不満は、今日国民の不信と疑惑の焦点となっている法人の交際費並びに寄付金に対する規制の強化こそ急務であると考えているのでありますが、これに対する処置はまことに不十分であります。  大衆に重く、大企業、高額所得者には手厚い優遇措置をとって、不公平、不均衡を一そう助長せんとする所得税法並びに法人税法の一部改正に反対し、相続税法に賛成して、討論を終わります。
  43. 内田常雄

  44. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題なりました税制関係三法案について、政府提出の各原案に対して賛成の意を表するものでございます。  国民経済の均衡ある発展と拡大を推進するためには、国民生活の安定が重要な条件一つであり、税制のあり方においても健全な家計の形成に寄与し得るよう不断の配慮を要することは言うまでもないところであります。  所得税は、納税者にとって、また家計にとって最も負担感が強く、その税率の累進的仕組みを考えるときに、経済の成長と所得水準の上昇に応じて負担の軽減をはからなければ、その負担が急速に増加する傾向を有することも周知のとおりであります。わが自由民主党並びに政府は、このような見地から、中小所得者を中心とする所得税減税に最重点を置く減税政策実施してまいったのでありますが、このような政策は今後ともこれを推進する必要のあることは申すまでもございません。特に、標準世帯の所得税の課税最低限を財政経済の事情の許す限り一日も早い機会に百万円に引き上げることは、わが党が国民に公約し、また、わが党が政権をとっている政府にとって当面の租税政策の最大の目標であります。  政府提出所得税改正法案は、まず右の目標への第一歩として、課税最低限を七十四万円程度に引き上げることを目途として、諸控除の引き上げを行なうほか、永年勤続者優遇に配慮して、退職所得の特別控除の引き上げを行なうことを主眼とするものであり、まことに時宜を得た措置考えます。  第二に、昭和四十三年度分からいわゆる完全給与制の実現をはかるため、専従者控除制度改正を行なう点は、懸案の問題の解決をはかる画期的な措置であり、中小事業者の体質強化に資するところ少なからざるものがあると認められ、ここに賛意を表するものであります。  さらに、所得税整備合理化あるいは簡素化をはかるためのその他の改正も、適切な処置であると考えます。  政府原案は、今日までの審議の過程においても明らかになったとおり、中小所得者の負担の軽減を最大の眼目とし、国民各位の大きな期待にこたえるものであると思います。  私は、政府に対して、課税最低限百万円の実現に今後とも格段の努力を傾注されんことをこの際特に要望いたしまして、この原案に賛成する次第であります。  次に、法人税法改正法案につきまして申し述べます。  経済活動の直接のにない手である企業に対する課税の中心である法人税のあり方が、企業活動へ与える影響を通じて経済の安定成長に重要な関係を有するものであることは、いまさら多言を要しないところであります。  今次改正においては、法人税の基本的仕組みについて根本的再検討を要するという事情等もあり、企業の体質改善、中小企業の体質強化等の要請にこたえる企業税制面の施策は主として別途租税特別措置法改正によることとし、本法の改正制度整備合理化の範囲にとどめられているのでありますが、その内容は、清算所得課税方式の改正税制の簡素化等、いずれもこの際妥当な措置と認められます。特に、主として中小法人に対する申告手続の簡素化をはかる中間申告省略限度の引き上げ、あるいは課税所得計算に関する会計慣行の尊重、その他税制の簡素化措置は、この法人税だけに限られるものでありませんが、常に税制上の原則であるべき納税者の便宜優先の考慮において画期的な一歩を進めたものであります。よって、私はこの原案に賛成するものであります。  最後に、相続税法改正案につきまして申し上げます。  ゆとりのある家計の育成に資するという面から、中間層に対する相続税負担の軽減に特に配慮する必要があると考えられますが、政府原案は、まず、現在配偶者について設けられている相続税の二分の一課税をこの際全額免税にしようとするものであり、夫婦間における財産の形成について配偶者の貢献を認め、また、夫の死後における妻の生活を保障するという点において、大きな意義を持つ処置であります。このほか、生命保険金及び死亡退職金の非課税限度額の合理化も、同様に国民の期待に沿う適切な処置と考えられます。よって、この改正案についても私は政府原案に賛成するものであります。  以上簡単でありますが、政府原案に賛成の意を表しまして、私の討論を終わります。
  45. 内田常雄

    内田委員長 次に、竹本孫一君。
  46. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、所得税法の一部改正案には反対、法人税並びに相続税の一部改正案については賛成の意を表する次第でございます。  所得税法改正につきましては、もちろん政府も御努力がないわけではございません。しかしながら、私どもは、百万円までは標準家庭において課税の最低限を引き上げるべきであるという基本的な主張の立場をとっております。これは、御承知のように、社会党、公明党、われわれの党と、三党が共同一致いたしまして、その実現のために非常な熱意を傾けておる問題でございます。政府のほうにおきましても、四十四年度になれば何とか解決の見込みがつくのではないかというような御答弁もございました。しかしながら、公にこれを約束するということについては、大蔵大臣をはじめ、政府としては常にちゅうちょをされております。まことにこれは残念でございますが、私どもは、この際、少なくとも四十四年度にはこれの実現を約束する、こういうお約束がいただきたかったのでございまして、暫定予算の場合にも、あるいは予算委員会における附帯決議の場合にもこういう点を強く主張いたしましたけれども、最後まで政府は公にそれを約束されることがなかったのであります。これは、いわば、野党三党が歩調を一にして政府に迫った問題について、あくまでも政府はわが道を行くという態度でありまして、民主的な政党政治のあり方から申しましても、野党がこれだけ歩調を一にして政府に要望いたしておる問題が何ら実質的に前進と解決を見なかったということはまことに遺憾でありまして、私どもはこれに賛成することができないのであります。  もちろん、今日社会経済条件を異にいたしておりまする米国のように一躍百三十万円までというわけにもまいらないかもしれませんけれども、少なくとも、日本の経済が世界で第三位とか、あるいは近くは第二位に自由主義国家群の中ではなろうというこの際でございますので、せめてフランスやイギリス程度までは課税最低限を引き上げるべきであるとわれわれは考えておる次第であります。  なお、私は、この際に物価政策がとかく忘れられておることを指摘したいと思います。減税問題を論ずる場合においてもほとんどこの問題に触れられていなかったのでございますけれども、経済政策、減税政策の中で一番大切なものは物価政策でございまして、ここでも御指摘がございましたように、百万円減税と申しましても、それは実質であるか名目であるかさっぱりわかりません。しかも、実質的に検討してみれば、平林委員が御指摘なりましたように、八十九万円程度ではないかということも言われました。こうした物価騰貴の上昇傾向の中で、どうしても減税問題というものは生活安定の最低限の問題としてもっと大幅に考えなければならないのではないかと思います。  特に、私は時間がありませんから詳しくは申しませんけれども日本の物価騰貴の傾向というものは、ことし、来年で簡単におさまるものではない。政府が力を入れておられますところのフィスカルポリシーというものは、実はやはり公債を発行して漸次物価を上げてインフレ的手法によって日本の経済の景気を回復しようというものであると思いますので、この物価問題の重要性を特に指摘したいと思います。誤解がないように申し上げますが、企業間信用が弱まって押し込み販売が困難になりましたその瞬間から、物価の引き上げが非常に強くなっておる。したがいまして、私どもが言っておるように、インフレ的手法によって今日の不景気を打開しようというのが経済政策の基調であるということは、強く指摘しておかなければならぬ問題だと思います。  いずれにいたしましても、納税人口が二千万であるということは、一見、われわれ国民の所得がふえてけっこうなことのように思えますけれども、いま申しました物価の問題を十分検討いたしてみますと、二千万人に納税人口がなったということは、所得がふえて喜ぶべき現象の結果であるというよりも、税そのものが実質的に大衆課税としての悪税的な要素を大きくしておるという点において問題があろうと思うのであります。  こうした意味におきまして、私どもは、課税最低限百万円を実現することができなかった、あくまでこれは実現すべきものであるという立場に立って、所得税の一部改正案には反対であります。  法人税につきましては、今回の清算所得の課税方式を改正したこと並びに中間申告の提出不要限度を引き上げるといったようなことは、租税簡素化の立場において私どもも賛成であります。  ただし、希望を申し上げますならば、やはり、企業減税のあり方、先ほど指摘のありました交際費や寄付金の問題等につきましてもこの際本格的な検討を加えるべきである。さらに、中小企業等に著しく不利に機能いたしておりますところの法人擬制説、これは一日も早くやめていただいて、法人実在説に立って問題の処理に取り組んでいただきたいということを強く要望いたしておきます。  最後に、相続税につきましては、今回の改正に賛成であります。問題は、はたして三千万円の遺産があるだけのゆとりのある生活が何人約束せられておるかというところに問題があろうと思いますが、一応、税のあり方としては賛成であります。  以上、簡単に討論を終わります。
  47. 内田常雄

    内田委員長 次に、田中昭二君。
  48. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております税制改正の三法案につきまして、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案に対し反対、相続税法の一部を改正する法律案に賛成の意見を表明し、討論をいたすものであります。  まず第一に、所得税法の一部を改正する法律案については、わが公明党も強く要求してまいりましたところの、課税最低限を百万円までに引き上げることがなされておりません。この改正では、憲法第二十五条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」との規定を充足するにははなはだ遠いものであります。いわゆる生活費には課税しないという原則を侵すものであります。その改正内容につきましては、諸控除の引き上げ等については一歩前進したものであるとは認められますが、しかし、不公平であってはならないという租税制度の原則がいまだ十分に満たされたものではありません。  次に、法人税法の一部を改正する法律案に対しましては、わが党の要求の基本的問題であります中小企業法人に対する税率の引き下げがなされておらず、大法人に対する税率も現行どおりであります。税率の段階的適用が考慮されていないことは遺憾に思うものでございます。  そのほかにつきましては、このたびの改正案はその進歩も認められますが、いまだ中小企業並びに零細法人は現下の経済情勢から見ても異常な圧迫を受け、倒産件数さえ減少しておりません。その救済手段につきましては焼け石に水であります。今後ますます大法人との格差を増大し、社会不安を惹起するものであります。  以上の理由によりまして、二法案に対して反対するものでございます。  相続税法につきましては賛成の意を表しまして、討論を終わります。
  49. 内田常雄

    内田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより順次採決に入ります。  まず、所得税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  50. 内田常雄

    内田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  51. 内田常雄

    内田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、相続税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  54. 内田常雄

    内田委員長 午後一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後一時五十五分開議
  55. 内田常雄

    内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。武藤山治君。
  56. 武藤山治

    武藤(山)委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案には、非常にたくさんな特別措置が盛られておるわけでありますが、今回新たにたいへんまた特別措置が設けられますので、きょうは個々の項目にわたって各省のそれぞれの担当官から、特別措置の効用や設置をする理由や、これによって受ける効果などについて、ひとつ常識的な問題でございますので、通告をしないで失礼でありますが、いろいろ適切な御答弁をいただきたいと思うわけでございます。  まず最初に、技術開発の促進という項の中で、特に国内の技術を大いに開発するという目的で、従来よりもさらに拡大をした試験研究費に対する控除制度を認めよう、こういう趣旨のようでありますが、これによる減収八十七億円というのは、主としてどういう産業に多いかを最初に通産省に伺いたいと思います。
  57. 塩崎潤

    塩崎政府委員 私から申し上げて恐縮でございますが、この科学技術の研究は各省にまたがっております。工業技術院あるいは科学技術庁というふうにまたがっておりますので、私から深い答えにはなりませんけれども答えますと、主として製造業に片寄っているということは言うまでもございません。
  58. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、従来、大蔵省の知り得る最大の研究費を支出した企業は一体どういう企業ですか。
  59. 塩崎潤

    塩崎政府委員 個別の会社につきまして最大のというところまで比較しておりませんが、私どもの見ましたところでは、東洋レーヨンの合成繊維についての研究費が一番大きなような印象を受けました。これは印象でございますので、絶対額を全部の会社について比較したわけではございません。
  60. 武藤山治

    武藤(山)委員 大体一社で最大の研究費というのは、どのくらい使っているものでしょうか。一番大きいのを、上のランクだけでもちょっと教えてもらいたい。
  61. 塩崎潤

    塩崎政府委員 個別的な会社の資料は、はなはだ恐縮でございますが持っておりません。業種別に一応私ども用意しておりますが……。
  62. 武藤山治

    武藤(山)委員 業種別でけっこうですから、それでは幾種類か出してみてください。
  63. 塩崎潤

    塩崎政府委員 業種別に見まして、四十一年度の見込みにおきまして、最も大きな支出金額を絶対額で申し上げますと、電気機器が四百二十億円でございます。その次を見ますと、化学が二百九十二億円でございます。それからその次は輸送用機器二百二十三億円、繊維が百六十五億円、こんなふうに並んでおります。
  64. 武藤山治

    武藤(山)委員 その業種別の中で、大企業と中小企業に分けた場合はどういう比率になりますか。
  65. 塩崎潤

    塩崎政府委員 大企業と中小企業の基準、なかなかむずかしいわけですが、一億円に分けまして、私どもはいつも租税特別措置法で大企業と中小企業とどの程度片寄っているかということで見ておりますが、それを基準といたしますと、九割は大法人と申しますか、八十七億円のうち七十九億円は大法人の減税になる、こういうふうに見ております。
  66. 武藤山治

    武藤(山)委員 八十七億円のうち七十九億円が大企業だ。常々私ども社会党は、特別措置が大企業偏重にならぬようにということを非常に強く主張してきたわけでありますが、きょうはこういう一つ一つを洗ってみたいと思うのであります。  従来、試験研究用機械については、取得価額の九五%を控除しましたね。大体これだけに限った場合の減税額がどれくらいあって、それの大中、分けた場合にはどれくらいになりますか。
  67. 塩崎潤

    塩崎政府委員 減収額で十三億でございます。その減収額の内訳は、いま資料を調べますが、傾向といたしましては、いま申し上げました科学技術研究の特別措置減収とそんなに大差はないと思いますが、いずれまた詳細は御説明を申し上げます。
  68. 武藤山治

    武藤(山)委員 では、この問題は通産省で、たとえばこういう制度をやることによって今回のような国産のこの開発をやるというようなことで、はたしてほんとうに国産の開発ができるんだろうか。特に通産大臣なり総理大臣から表彰をしたような、ここ二、三年の間に国内で開発した技術が具体的にあったら、ちょっとお示しを願いたいと思いますが、大蔵省ではまだそういう資料は何かありませんか。特に国産の技術開発をしたというので、国から特に大きな発明で表彰を受けたような例はありますか。
  69. 塩崎潤

    塩崎政府委員 いずれ工業技術院に照会いたしまして、お答えを申し上げたいと思います。
  70. 武藤山治

    武藤(山)委員 次に、繊維局長にちょっとお尋ねをいたしますが、今回繊維産業の構造改善をやろう、こういうねらいで法案も商工委員会のほうへ提出をされておるようであります。それに関連をする特別措置が本委員会にかかっているわけでありますが、通産省の考え、この構造改善のねらい、構想、その概略を簡単にちょっと御説明を願いたい。
  71. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 簡単に申し上げます。  繊維産業がかつて日本の経済の大黒柱であったのでありますが、現在でも非常に重要な役割りをしておる、この認識には間違いないと思います。ところが、この繊維産業が、国の内外の事情で非常に追いかけられております。国内は、一番端的なのは労働の需給関係がすっかり変わったということであります。それから海外においては、後進国の追い上げと先進国マーケットにおきます先進国の繊維産業の立て直しでございます。このよう一なことで、日本の繊維産業はいま非常にピンチに立っておりますが、今回の措置は、この繊維産業の中の特に中核になっております紡績におきましては綿スフ紡績業、それから織布につきましては綿スフ織布と絹合繊の織布、この三つの業種を対象にして構造改革をやろうということでございます。  構造改革のポイントでございますが、まず、紡績業につきましては、近代化投資を促進するということで現在千二百六十万錘紡機がございますが、これを五年後の仕上がりには約三百万錘を減らしまして、減らした残りは全部近代化紡機に切りかえたい、これが第一でございます。第二は、適正規模企業の育成でございまして、紡績業三百五十社ございまするけれども、十大紡と新紡、新々紡の一部を除いては、いずれも紡績業を営むにもあまりにも零細でございますので、この規模を適正化いたしたいというのが第二でございます。第三は、先ほど第一に申し上げましたうらはらになりますけれども、過剰、老朽の紡機の整理をいたしたい。これが第三でございます。第四が、転廃業を円滑化いたしたいということであります。  それから織布業につきましては、第一は、設備の近代化であります。現在、織布業を通じまして耐用年数超過織機が四七%にのぼっておりまするけれども、少なくともこれを半分程度に下げるという近代化は五年間に完了をいたしたい。第二は、過剰設備の処理であります。やり方といたしましては、新鋭織機を入れます場合に、綿スフ織機については一台に対して一・六台を、絹合繊織機は一台入れますについて一・五台をよけいに廃棄させる。この〇・六なり〇・一五をわれわれ簡単に上乗せ、廃棄と言っておりますけれども、上乗せ廃棄を進めますことによって過剰織機を整理いたしたい、これが第二であります。第三が転廃業の円滑化でありまして、以上のような措置が骨子になっております。  この骨子を遂行いたしますために、予算税制、財投で所要の措置をお願いを申しておる次第でございますとともに、なお、先ほど先生指摘のように、所要の立法措置を今国会に提案している次第でございます。
  72. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、転廃業をしたいという業者の場合は、何か一定規模制限はあるのですか。たとえば私も織物産地の足利の出身なんでありますが、非常に零細な十台、十五台あるいはひどいのは五、六台の家業的な織物屋さんが非常に多い。こういうところで廃業したいという場合に、スクラップ化でこれの適用やあるいは何か転廃業の融資の適用、そういうような零細な織物屋さんまでスフ人絹、こういう織機ならば適用になるのかどうか、その点はいかがですか。
  73. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 簡単に申し上げますと、完全転廃業者の場合には、全国一律に、いま申し上げました種類の織布業者でございますならば適用になります。これはただいま繊維工業整備促進協会がありまして、ここで買い上げるということで転廃業の円滑化をはかっております。
  74. 武藤山治

    武藤(山)委員 今回の税制改正の中で、スクラップの場合に取得価額の一〇%に相当する金額を税額より控除する、こういう特別措置でありますが、このスクラップの対象というのは一カ年間でどのくらいを対象にして考えていて、大体どういう規模のところのスクラップを考えているのか。たとえば先ほどの三百五十社の中に該当するような業者だけがこのスクラップ化の対象になるのか、その辺はどうですか。
  75. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 ただいまの御指摘は紡績業者のスクラップ化の場合に特別の税制をお願いいたしております。  まず、お願いしておりますやり方を簡単に申し上げますと、千二百六十万錘現在ございますのを、さしあたりなるべくすみやかな機会に一括処理をいたしたい。この一括処理のやり方でございますが、業者にまかせておきますと迅速にできませんし、また、スクラップしたと称しまして必ずしもそれが完全に実行できないという場合もおそれられますので、先ほども申し上げました繊維工業の構造改善事業協会に集めまして、事業協会で破砕をする、つぶすというやり方をとりたい、こういうことでございます。現在、業者が個々にスクラップをいたします場合には十分の一の税額控除の恩典がございまして、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド、近代化が非常に強力に進められておるのでございますが、今回の紡績業の一括処理は、業者が自分で破砕をいたしませんで、先ほど申し上げましたように、事業協会に引き渡してそこで一括破砕させる、こういうことになっておりますので、現在の税制がそのまま適用にならないということで、特別税制をお願いしておる次第でございます。  三百五十社の中でどのような紡機がこの破砕対象になるかということでございますが、これは過剰処理でございますので、転廃業者の紡機とは限りません。残存業者の紡機が破砕対象になるということでございますので、希望優先でございますけれども、業界で、通産大臣の指示に基づきまして一括処理の契約と申しますか、これが結ばれます。大体各人の所有しておる紡機に見合って破砕が進められるというふうに想像いたしております。
  76. 武藤山治

    武藤(山)委員 この特別措置を何年間くらい続けたいと考えているわけですか。
  77. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 本年から五年をもって完成いたしたいと思っております。
  78. 武藤山治

    武藤(山)委員 主税局長、これを五年間くらい続けたいという通産省の希望のようでありますが、本法律案によりますと一カ年間になっておりますね。その理由と、それから七億円の減税になるという計算の根拠、これをちょっと明らかにしていただきたい。
  79. 塩崎潤

    塩崎政府委員 先ほど留保いたしました開発研究機械の特別償却の大法人と中小法人の片寄りぐあいでございますが、八〇%が大法人、二〇%が一億円以下の法人、こういうふうに御記憶願います。  第二の御質問は、スクラップ化の促進措置をいつまでやるかという御質問と、もう一つは、この減収七億円の算出根拠でございます。  まず、期限の問題でございますが、これは繊維だけに適用する特別措置ではございません。産業全般の近代化をはかる意味においての廃棄促進でございますので、昨年の税制改正の中でお願いしてでき上がったものであることは、もう武藤先生案内のとおりでございます。租税特別措置は、一般的にマンネリズム化、既得権化しない意味におきまして、期限をつけておるわけでございます。それは個々の特殊な産業の事情を考えるということではなくて、むしろ税の見地を相当強く出しまして、二年間程度の期限の中にみんな入れまして、その間どういった効果を生じたか、はたしてこれが今後存続する値打ちがあるかどうか、こういった点から検討することにいたしておりますので、ただいま乙竹繊維雑貨局長から五年と言われました五年という意味も、ちょっと私も十分理解できませんでしたけれども、私は、今度の繊維工業の廃棄という問題は今度の特別措置の中で相当吸収できるのではないか、これを期限をどうするかということは、ひとつ一年がたちました後に慎重に検討いたしましてどうするか、ことにまた法人税制のあり方、あるいは特別償却のあり方、これらと関連して基本的にひとつ検討し、国会に御提案申し上げたいと思います。  なお、その次は七億円の算出根拠でございます。昨年は、私どもはこのスクラップ措置が非常に進むと思いまして、三十億円の減収を立ててみました。ところが、実際ふたをあけてみますと、それだけのあれはなかったわけであります。そこで、一応今回は新しく実績を算出いたしました。四十一年の五月から十二月までのスクラップ化設備の確認額をもとといたしまして、それを年換算いたしまして見込みましたものでございます。なお、四十二年度の若干ふえるという見込みは入れておりますが、主として実績をベースといたしまして算出いたしてございます。
  80. 武藤山治

    武藤(山)委員 いま主税局長の御答弁はまことに適切で、私どもは、特別措置は常々その効果について洗い直して、これはもうあまり効果がないというものは廃止すべきだという議論をいつも立ててまいりましたが、おそらく通産省では五年間これを続けて近代化をはかっていこう、こういう方針のようでありますから、それらの点については、これからの一年間を十分見直しながら今後の措置をとるべきだと思います。  次に、中小企業庁の方にちょっとお尋ねをいたしますが、今回新たに協業組合という組織を考えたようであります。一体、協業組合とは何かということがなかなかよく理解できないのでございますが、いままで協同組合を組織せよと指導し、あるいは企業組合があり、さらに加えて協業組合というものを設立するというねらいは一体何であるか。今回の特別措置にも協業組合を加えるという措置があるのでありますが、この性格、ねらいをひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  81. 金井多喜男

    ○金井政府委員 協業組合制度につきましては、ただいまお尋ねのように、従来協同組合、企業組合その他の中小企業についての組合制度があるにかかわらず、なぜつくるのか、そのねらいを説明せよとのことでございます。  端的に申しまして、御承知のとおり、中小企業は全国で三百五十万程度ございまして、最近の内外の情勢、すなわち、内から見ますと、労働需給の逼迫等を中心に需給構造の変化が非常に進んでまいりました。そういう情勢に即応する対策、それから外的には、後進国の追い上げ、あるいは資本の自由化等によりまして、だんだんと日本の産業が一〇〇%開放経済体制に向かいつつある情勢でありまして、これに対する中小企業対策。以上、内外の二つの見地から、私ども、中小企業三百五十万企業の成長発展をはかるためには、もちろん一方において個々の中小企業の近代化は必要でございますけれども、やはり日本の中小企業の過小、過多性というものと、こういう情勢変化に即応しまして、この際協業化というものを一段と進めていかなければならない情勢にある、このように存ずる次第でございます。  そういった点から、たとえば、お話のございました協同組合制度につきましては、そもそものねらいが共同事業を推進するために一部事業を協同化する、こういった思想でございます。一方、企業組合におきましては、資本と労働とを持ち寄って中小企業者が寄り集まって仕事をやっていく、こういうものでございます。そのいずれをとりましても、そこに一つの問題は、協業化を進める場合には、一部の協業から完全の協業というものに進むのが望ましかろうと思います。少し勇ましく申しますと、そんなら合併をすればいいではないか、こういう議論も出ようかと思いますけれども、いきなり中小企業について合併するということはなかなかむずかしいことでございまして、そういったような点から、過去、中小企業基本政策調査会におきまして、二年間ほど学識経験者その他の、中小企業対策について豊富な知識をお持ちの方々に検討していただきました結果、協業組合制度というものを新しくつくることが協業化の推進に非常に役に立つのではないか、こういうことでございます。  これは従来の協同組合、企業組合とどういう点で特色があるかと申しますと、端的には、ただいま申しましたように全部協業への道が開かれる、それから制度的には、従来のいわゆる協同組合原則というものは、加入、脱退が自由である、それから議決権が一人一票である、また、別途共同事業をやっても、それと同じようなことを協同組合のメンバーがやっても、別に法律上は差しつかえがない、こういう点が協業の妨げにもなっておりますので、今度協業組合に参加したならば、協業組合のやる事業については兼業を許さないというような点が新しい特色でございます。そういう意図から協業組合制度の創設に踏み切る次第でございます。
  82. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、大体形態は協同組合とやや同じと認識していいわけですか。たとえば事業所はA、B、C、D、それぞれ別なところに工場があり、一カ所どこか協業組合の事務所があって、仕入れも販売もそれぞれの企業が別々にやるが経理は一本に統一をする、その程度の形態ですか。どうも協同組合と協業組合と形態が違うのかどうか、そこらもはっきりわからぬわけです。
  83. 金井多喜男

    ○金井政府委員 お尋ねのように、一部協業から完全協業へのステップを順調に生かすための組合制度でございますので、当初、たとえば全部をいきなり協業しないで一部協業をやっていく、こういう場合も乗れるかっこうになっております。しかしながら、根本は、協同組合と違いまして、終局的には全部協業を目ざしていくという点が目的として違いますし、今度は実際の運営につきまして、先ほど申しましたように、任意加入、任意脱退とか、あるいは一人一票とか、兼業はやってもいいとか、そういうことが協業組合につきましては制限されるというかっこうでございます。結論的に申しますと、当初の段階においては一部協業ということも協業組合ではやり得る、こういう体制になっておりますが、帰するところは全部協業へスムーズにいけるような、そういう加入、脱退を中心とした新しい組織、制度考えている次第でございます。
  84. 武藤山治

    武藤(山)委員 主税局長、この協業組合が新しくできることによって、五年間割り増し償却三分の一をこの組合に適用する、この改正減収は大体どのくらいになるのですか。
  85. 塩崎潤

    塩崎政府委員 中小企業の割り増し償却の一部でございます。金額はもう幾らにもならない、約一億円足らずというふうな見積もりでございます。
  86. 武藤山治

    武藤(山)委員 さらに、従来事業協同組合には所得に対する軽減税率、配当にあたっての所得に対する特別税率の軽減、合理化機械の特別償却あるいは留保所得の非課税、こういうような適用がございましたが、今度の協業組合にもこのものはそっくり適用になるのですか。
  87. 塩崎潤

    塩崎政府委員 協同組合に対する特例税率その他税制上種々の優遇的な仕組みがございますことは、いま御指摘のとおりでございます。しかしながら、協業組合は、先ほど来通産省からもお話しのように、むしろ事業主が片一方にきておりまして、事業主の企業を容易にするというよりも完全協業のようなほうに進める、いわば企業組合と同性格の事業体と考えるべきだと思います。したがいまして、普通法人と私は考えておりますので、本来は、法人税法は普通法人として考えざるを得ない。ただ、問題は、協同組合から協業組合へ移るものもございます。それにつきましては、御指摘のような緩和措置を経過的に設けることといたしておるのでございます。
  88. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、税制の面だけをとらえて考えた場合には、協業組合のほうが事業組合よりもちょっと不利ですね、税金の面では。そう解釈していいわけですね。
  89. 塩崎潤

    塩崎政府委員 税制上は、協業組合も企業組合も同じと考えております。
  90. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、先ほど軽減税率の問題や合理化機械の特別償却問題、これはそのまま協業組合には適用しないという答えだったわけでしょう。適用するのですか。普通法人と全く同等に協業組合は取り扱うという答弁だったでしょう。そうなると、協業組合は協同組合より不利なんじゃないですか。
  91. 塩崎潤

    塩崎政府委員 協同組合に比べまして、企業組合は、税率それから事業量分配の分配金に対する課税方式は、おっしゃるように不利でございます。しかしながら、一方、事業体でございますので、協業組合と同じく、あるいは普通法人と同じく、近促法に基づきますところの割り増し償却は認める、しかしながら、私ども事業体と考えていない協同組合には、したがいまして割り増し償却を適用しないことにいたしております。そこが違います。しかし、全般的にいいまして普通法人として取り扱われ、協同組合に比べまして協業組合のほうは税負担が高目になることは間違いございません。
  92. 武藤山治

    武藤(山)委員 次に、中小企業庁の方にお帰りいただく前に、もう一つ、直接今度の税法には関係ありませんが、今度から償却資産について稼働率によって償却率を高めることができる、こういう主税局の説明が一応前にあったわけです。たとえば機械などは、八時間労働ということで計算をしている。それを十時間、あるいは十二時間、あるいは二十四時間三交代でフルに動く、そういうような場合には償却率を高めることができる、こういう改正になるわけですね。そういう場合に、特にプラスチックや何かの場合、非常に稼働率の高い中小企業の機械が多いわけですね。  そこで、通産省としては、そういうものの指導、たとえば稼働がこうなった場合には税金がこう安くなりますよ、そういうような中小企業に対する指導というのは、一体中小企業庁ではどんなことを考えていますか、今回の改正で。
  93. 金井多喜男

    ○金井政府委員 一般に中小企業に対する税制等の指導につきましては、特に零細企業、私どもは普通これを小規模企業と呼んでおりますが、こういった小規模企業体につきましては、特にそういう税制改正等があった場合に、その周知徹底については中小企業なるがゆえにその必要性が高いわけでございます。そういった点で、私ども商工会法による商工会に、経営指導員あるいは事務補助員等を全国的に相当設置いたしまして、そういった商工会の税務指導というような面で徹底をはかっておるわけでございます。一方、当然私ども中小企業庁あるいは通産局、府県、こういった三者の間は緊密に連絡をとっておりますが、特に私ども中小企業庁関係におきましては、とかく政策ができても、それが中小企業者になかなか徹底しないうらみがございますので、その点から、四十一年度から中小企業庁長官官房に施策普及室というものを設けまして、ある程度予算大蔵省から特別にもらいまして、パンフレット、リーフレット等によりまして、中央官庁、地方官庁の組織、あるいは全国中小企業団体中央会、商工会議所、ただいま申しました商工会等の組織を通じましてこの辺は相当積極的にやっておりますし、今後ともやってまいりたい、このように考えております。
  94. 武藤山治

    武藤(山)委員 主税局長、いまの稼働率による償却率を高めることが可能だという場合に、よく業者から質問を受けるのでありますが、八時間以上使ったかどうかという認定を、税務署がスムーズに電気料か何かで認めるかどうかということです。その場合の何か記帳というものは、回転日誌みたいなものできちっと時間をとらなければいかぬのか、税務当局に、どの程度の証拠がなければいかぬということにするのか、そこらの指導方針をちょっと。
  95. 塩崎潤

    塩崎政府委員 いままでは、そんなようなトラブルを防ぐ意味におきまして、事前承認の制度をしまして、そういうむずかしい資料を提供さしておりましたが、それがなかなか資料ができないために、資料をつくるのに、聞いてみますと一カ月もかかるというような話もあり、私はどうも、いま先生のおっしゃいましたようなことを考えますと、客観的な、たとえば超過勤務の支払いの実績とか、そういった別な客観的な資料が備わっておれば事前承認でなくてもいいではないか、これは事後の届け出で十分確認ができればいいということに考えまして、今回の簡素化の一環といたしまして、そういう客観的な電気代とかあるいは超過勤務の支払いの実績とか、こういったところで判断するということに改めまして、しかも事後届け出にしよう、こういうことにいたしております。
  96. 武藤山治

    武藤(山)委員 次に、万国博覧会の出展準備金の控除について、通産省に簡単に一問だけお尋ねいたします。  アメリカで開かれた万国博覧会を見て、実はびっくりして帰ってきた一人なんです。あの規模とあの内容と、これは膨大な金のかかるものである。日本でこれをやる場合に、この出展の費用を全部控除するということは、たいへんな減税をしなければアメリカに匹敵するような博覧会はできないであろう。そこで、日本でいま考えている博覧会の規模——規模といってもいろいろ比較するものがあると思いますが、出展の金額、出展のものを金額に直した場合か何かで、規模はアメリカのと比較した場合にどの程度なりますか。
  97. 橋本徳男

    ○橋本説明員 博覧会の規模は、先生御承知のように、それぞれの国によりましてやや違っております。ニューヨークの場合には非常に大規模でございましたが、たとえば、現在開いておりますモントリオール、この規模は、正確なことはわかりませんけれども、あれに比べれば相当規模としては小さいという感じがしております。  ただ、日本の場合に現在考えておりますことは、会場全体につきましては、大体五百数十億円程度の金によりまして会場をつくりたい。それから、おそらく日本の国内企業といたしましては、現在この出展を招請中ではございますが、大体三百億ないし四百億円程度の企業の出展が期待されるのではなかろうかという見通しを現在立てております。それ以外に、外国企業としましても相当のものが来るだろうと思っております。
  98. 武藤山治

    武藤(山)委員 各省の担当官の方には恐縮ですが、総理がお見えになりましたので、皆さんにお尋ねする時間がなくなりましたから、お引き取り願ってけっこうでございます。  さっそく総理にお尋ねをいたしますが、非常に重要な租税特別措置の法案を審議いたしておりますので、総理にどうしても一、二点伺っておきたい、こういう希望から本日出席願ったわけでございます。  まず第一にお尋ねをしておきたいことは、総理もすでに御承知のように、いま日本税制というものが非常にねじ曲げられている。総合累進税制という、所得税の生命ともいうべき累進税率というものが、配当、利子の取り扱いによってねじ曲げられている。このことは、所得税の体系というものをほんとうに紊乱をして、好ましからざる税体系になっている。特に、前総理大臣の池田さんは、税務出身の方でありましたためか、非常に税制というものを大事にしました。私ども委員会で質問をいたしましても、また、本会議で配当の分離課税をしないようにという注文に対して、私が総理の間は絶対いたしません、こういうかたい決意を池田前総理は国会で内外に宣明をしたわけであります。その言明を最後まで守り通して配当の分離課税をしなかったわけであります。ところが、佐藤さんが総理になりましたら、配当の分離課税を認めるという制度が生まれてきた。このことを、私どもは大蔵委員として非常に残念に思っているわけであります。  そこで、これらの利子、配当の特別優遇措置というものを一日も早くやめる方向に総理としては指導なさるべきではなかろうか、こう考えるのでありますが、総理大臣のお考えはいかがでありますか。
  99. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 それはもう武藤君も御承知のように、税の特別措置でございます。これは名前が示すように、こういう制度がいつまでも恒久化されるという筋のものじゃございません。だから、これは政策的減税だといわれておりますが、その目的を達した、あるいは十分効果を発揮しないとか、そういうようなことを十分考えまして流動的に処置する、さようなものでございます。
  100. 武藤山治

    武藤(山)委員 流動的に処置するということは、やがては、特別措置であるから、効果が消えうせたときには廃止するという意味に理解をいたします。  しかし、今回の措置は、あれほど非難があり、あれほど廃止すべきだという国民の批判というものに、今回、とうとうまた耳を傾けずに三年間延長なさる。私はこれは、明年あたりまでの一年ぐらいの延長で——八月には税制調査会の答申の基本的なものが出て、これらはもう廃止をするのが正しいという方向は、税調でも再三論述をいたしておるわけでありますから、私は、三年間延期するというのは少々長過ぎると思うのであります。総理の御見解いかがですか。
  101. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これは税調の答申を十分尊重して実はきめたのであります。こういう問題を、思い切って短期間の間に解決するというのは少し無理がかかる、だから、漸進的にひとつ解決しよう、こういうのでございます。中身はよく御承知だと思いますから重ねては申しません。  それじゃ、この期間が経過したら一体どうなるのか、そういう問題がございますが、それについては、まだ申し上げる段階ではございません。
  102. 武藤山治

    武藤(山)委員 総理、利子、配当の特別な優遇措置について一般国民から、佐藤さん、ひとつこういう利子は税金を安くしてくれ、配当の分離課税を認めてくれ、そうしなければ貯金もしないぞ、あるいは株も買わないぞというような陳情は、おそらく総理は一度も受けてないと思うのであります。大蔵省のまとめた陳情、請願書を見ましても、この優遇措置を強く要望しているのは銀行協会と証券業界だけでございます。したがって、私は、そういう業界の強い要望にこたえてこういうねじ曲げられた税体系が押し通されるということは、政治の姿勢として正しい姿勢ではないと思うのであります。風格ある社会をつくるためにも、こういうでこぼこな税制というものはよろしくないから、やはりただいま申された流動的に解消するという言明が、単にことばで終わらないように、ひとつ総理に一そうの決意を私は促したいのであります。  その関連でひとつ総理の耳に入れておき、さらに決意のほどを聞きたいのでありますが、身体障害者や重症心身障害者、未亡人、こういう人たちの税金については、いままでは税額で六千円安くしておりました。今度は所得で七万円安くしよう、所得で控除しよう、こういう制度に改めるわけでありますが、大蔵省資料によりますと、厚生省は大蔵省に対して、心身障害者や重症心身障害者とは程度が違うのであるから、税額の控除もひとつ心身障害者を一万円、あるいは重症身障者は二万円、こういうようにランクをつけてくれという陳情をしておりました。ところが、こういうものには涙のある、血の通った手をつけない。税制改正しない。片方、利子、配当には手厚く保護をして、こういった人たちには全く冷たい仕打ちである今回の税制改正は、佐藤さんの指図で行なわれているのか、それとも大蔵省がそこまで総理の耳に入れずに気がつかなかったとおっしゃるのか、ひとつ総理のお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
  103. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 税の問題は、武藤さんが言われるまでもなく、たいへん大事な問題です。ひとり税だけではございません。私も政治についての最高責任者でありますから、私が知らなかったとかなんとか言って責任をのがれるつもりは毛頭ございません。だから、そういう点で、大蔵の当局でこういう案をつくりましても、その責任を私は負うものだ、かように御了承いただきたいと思います。  そこで、いま利子所得あるいは貯蓄減税、そういうもので一体だれが利益をしておるか、これは銀行だけではないかというお話です。(発言する者あり)そういうような言い方に実は聞けたのです。私は、そうではなくして、やはりみなが喜んで、安心して貯金ができるような制度が望ましいことだと思うのですね。しかし、税負担という観点からそういうものが特別に考えられるときは、やはり経済情勢等から判断すべきだ、かように私は思っております。  したがいまして、過去の問題についての取り扱い方についてはとやかくいろいろな批判はありましょうけれども、とにかく、その点は私どもと皆さん方と意見が違っております。しかし、今回それを、少しではありますがもとに返そうとしておる、その努力、これをひとつお認め願って、方向は賛成だということにぜひとも願いたい。  また、厚生省との問題について、いろいろ事務当局同士の折衝が行なわれた、確かにそういう折衝も行なわれたと思います。こういう事柄は、一省だけでかってに結論を出してきめるものではございません。いろいろ不満はあったでしょうが、厚生省のほうも最終的には納得して、そうしていまの原案を出しておる。それらの点もひとつ御理解をいただきたい、かように考えます。
  104. 武藤山治

    武藤(山)委員 次に、いま政治資金規正法問題が、時の問題として脚光を浴びております。制度調査会からいろいろ案を出して答申をして、自治省も法案を作成する。ところが、政府・与党はどうも答申の線が気に食わぬ、ここしばらくの間、たいへん騒々しいいろいろな角度からの議論が行なわれてまいりました。しかし、総理、ここで政治資金規正法をいじることは大切なことでありますが、同時に、寄付する側の問題として、私は総理にぜひ考えていただきたい点が一つあるのであります。  それは、いまの寄付金制度というのは、資本金の千分の二・五と所得の百分の二・五、その合計額の半分までは、どこのだれに寄付しても税金がかからないのであります。損金に算入される制度になっております。したがって、東京電力のように一千五百億円の資本金、あるいは大きい電力会社のように一千億円以上の資本金を擁する会社の献金可能額というものはたいへんなものであります。一社でもつ三、億円、三億円の寄付が可能な大資本の会社があるわけであります。しかも、そういう会社は、そういう一般寄付以外に、学校、赤十字に対する寄付、社会保障に対する寄付は別ワクでまた指定寄付金として出すことが可能なのであります。そこで、私が四十年度のベースで主税局にお尋ねをしてみますと、一般寄付で大会社から出ている寄付金は、学校や何かを除いて大体二百億円だと発表されております。これだけの金が、右翼にいこうが、あるいは極端なことを言えば、ごろつきみたいな団体のところに寄付を出そうが、その限度内ならばどこに寄付してもいいという制度なのです。私は、この制度は改めてしかるべきではないか、もっと寄付金を、使用目的に応じて学校などにはうんと出せるようにして、一般寄付のほうの、いまの資本金と所得の比率による寄付金の額というものはもっと縮めるべきではないか、こういう感じがするのであります。総理の御見解はいかがですか。
  105. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 政治資金規正法を今度改正しろという答申といいますか、この意見は、御承知のように、会社の場合は二千万円、そういう制限なのですね。個人の場合は一千万円。これはもうあらゆる寄付をなし得る総額だ。そういうきびしいものをいま選挙制度審議会では出しておるわけですから、そのほうはしばらくおきまして、ただいまの寄付の場合、あるいは指定、一般寄付等において、いわゆる寄付可能な範囲といいますか、そういうものが少しめちゃくちゃじゃないか、こういうことを言われておるのですが、こういう点について、いわゆる交際費というような名目で損金に落とす場合——そういうものでなしに、そういういまのお尋ねのようなことについては、主税局でいろいろ検討しておるところであります。
  106. 武藤山治

    武藤(山)委員 いま総理、重大な発言がございました。政治献金と、いま私が言った寄付とが全く別のもののような感じで受け取られたのかもしれません。この一般の寄付の限度内で政治献金も行なわれておるわけですよ、総理。したがって、政治資金規正法が、いま言ったような法人からの寄付というものをある程度締め出していこうという方針ならば、総理は、法人税法のこの政治献金が行なわれる寄付金の条項というものを改正すべきである、こういう認識に立たれますか、それとも政治資金規正法のほうがある程度規制をし、制限をしてきても、この法人税法三十七条の寄付の限度額というものはいじる必要はない、こうお考えなりますか、そこはひとつはっきりしてください。
  107. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私、ちょっと実情がわかりませんから、大蔵大臣から答えさせていただきます。
  108. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまの問題は、政治資金規正法のあり方のいかんによって寄付のワクをきめるというふうに、私どもは、今後の検討をそういう方向でするつもりでございます。
  109. 武藤山治

    武藤(山)委員 どうも歯切れの悪い答弁で、さっぱり要領を得ぬのでありますが、私の持ち時間はもうございませんから、最後にお伺いたします。  総理も御承知だと思いますが、昨年十一月八日に、本委員会で、佐藤総理の本部への政治献金二千万円問題が議論になったことがあります。しかし、これは経過したことでありますから、私はとやかくもう質問はいたしませんが、そのときに、政治家一般に対する不信感というものが国民の間に非常に強うございました。いまでもかなり、代議士でも税務署への申告しない人がおるとか、代議士の月給は一体申告で間違いないのだろうかと、いろいろ非難があります。しかも、前に総理大臣をやった人が、なくなってみたら相続税の対象になる金額がとほうもなく多かったとか、あるいは、大臣経験者は何億円の相続財産があった、一体政治家の財産というのはどういうことになっておるのかという国民の非難の的になっております。そこで私は、そのときに、アメリカのニクソン副大統領当時に、疑惑を受けたら、自分の私財を、全財産を公表してテレビで国民に知らしめて、政治家というもののえりを正したということを聞いて、私は、この際、佐藤総理もみずから国民の前に財産を公表して、私はこういう苦しい実態にあるということを知らしむべきではないか。総理大臣が年間九百五十万円の収入で、それはたいへんだと思うのです。だから、決して総理大臣というものはそんなに、国民が見るほど裕福な財産を持っておるわけではないのだということを進んで公表すべきだと思いますが、総理の御所見いかがですか。
  110. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 たいへん御理解のある御意見でございます。  過日参議院の本会議で、公明党から、一体九百数十万円の申告をしているが、これは間違いじゃないかというようなお尋ねがございました。私は、神明に誓って、決して隠してはおりませんと、はっきり、きっぱりお答えをいたしたのであります。  そこで、私の財産そのものを適当な機会にひとつ公表しろというお話、しかし、これはいかがですか、私自身、そういま非常な疑惑を受けているとは思っておりません。私は、これは必要があればいつでもいたしますが、ただいまそこまでは決心はしておりません。
  111. 武藤山治

    武藤(山)委員 ありがとうございました。
  112. 内田常雄

    内田委員長 次は、村山喜一君。
  113. 村山喜一

    村山(喜)委員 五月十二日の本会議で、佐藤総理に、私、租税特別措置法の問題で質問をいたしました。その中で、交際費のいわゆる損金不算入の問題につきましてお尋ねをいたしたのでございますが、佐藤総理が答弁をされた中には、交際費というのは遊興飲食のためにのみ使っておるのではない、それはあくまでも経営の合理的なといいますか、良心的な問題だ、こういうふうふうに答弁されたことを御記憶になっていらっしゃると思うのであります。  そこで、私たちは、税金というのは国民が納得の上で喜んで納めてもらうような形に持っていかなければならない、社会の発展のためになくてはならないのが税金だ、こういうように考えております。ところが、租税特別措置法という法律の中には、いろいろな政策上の必要性に基づいて特別な減免措置がなされているものもあります。しかし、その中において、ただ経営者の良識にまたなければならないというようなものの判断だけではなしに、これは特別に税金を安くしてやるという法律なんですから、そういうような点から、そこにはやはり国民が納得をする社会的な常識の線において、いわゆる良識において、みんなが納得をしてくれるようなものがなければならないと私は思う。  そういうような点から考えてまいりますると、交際費の、いわゆる良識的な限度というものがなければならないのじゃないか。これをただ経営者に求めるだけではなしに、税法の中においてもそういうような措置をとることができるような、たとえば一人当たり交際費として、接待をする場合には、今日の時世でございますから五千円なりというような一つの目安というものがなければ、私はおかしいのじゃないかと思う。そういうような点から、法律の中でそれらを規制することは、政令にゆだねる中において可能であるわけです。たとえば、ゴルフの入会費等については、これは交際費の中からはずすというような点も大蔵省としては考えておるようでありますが、そういうような方法というものがなければならないかと私は思うのですが、総理は、そのような国民の良識というものに税法もこたえるべきだ、これは、本来なれば課税をされなければならないものが、特別に法律によって免除されているのですから、そういう立場から、ただ経営者の良識の問題にまかせるのではなしに、政治の良識の問題として適当な介入をすべきだと私は考えるのですが、現在のような形でいかれるつもりか、その基本的な態度についてまず承りたいのであります。
  114. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 まあ、交際費、これも本来免税しておる、だから政府がこれに介入していくという、そういうことだが、一々事業を経営しておるについて、あまりこまかく政府が介入することは、これは好ましいことではないですね。  ただ、いま村山君が御指摘なりますように、最近特別な、社用族というようなことばまでできておる。その行動一切が会社の交際費で払われておる、そういう——これは待遇か何かわからないといいますか、そういうような処置になっておる。こういうところは少し目に余るといいますか、そこで、ただいまのような、これに何とかもっと手を入れたらどうだ。これはいまのやり方が目に余っておる、私はそういうように思うのですよ。だから、そういう意味から交際費に手をつけようというのでございます。しかし、本来から申せば、交際費が経営者の良識であるならば、非常に厳格に出されるだろう。たとえば外国商社とのつき合いの非常に多いところのもの、それと、あるいは国内でも卸売りあるいは小売り等の関係から見ると、いろいろ微妙な実際問題があるわけですね。今日、いまのような、いわゆる交際費で支弁されるということが一つの常識になっておる。そして、それはつき合いだ。つき合いがそれより以上に出ておる。こういうようなこともありますから、ただいま大蔵省がこういうことについていろいろくふうし、今回のような特別な税の問題もからみ合わして問題を解決する方向へ向かってみよう。これは、私はたいへんいいことだと思うのです。いま言われることは、あまり理屈っぽく言うと、交際費は実際に経営上役立つものだ、こう言ってしまうでしょうが、しかし、いま社用族ということばまで起きておるのですから、これは不都合であることははっきりしておりますね。
  115. 村山喜一

    村山(喜)委員 総理は、社用族ということばが不都合なんだということをお認めになっていらっしゃるのですから、そういう立場から、今回の措置も、交際費を減額したらメリットを与えようという考え方には立っておる。しかしながら、その中身までやはりいまそういうようなお気持ちを持っていらっしゃるのですから、もっと中に入り込んでおやりになるべきだということを私は申し上げておるわけです。そういうような点から、いまの総理のお気持ちが、さらに今後の具体的な内容の中で生かされるように大蔵当局では善処されるだろうと思いますので、姿勢の問題としてその点はお尋ねして、確認をしておきたいと思います。  それから第二の問題は、土地政策の問題でお尋ねをいたします。  けさほども各省から呼びまして、それぞれ今日の土地政策の問題をただしたのであります。総理は、本会議の席では、宅地というものの供給については、できるだけ安い価格で大衆の要望に沿うようにしてあるんだ、これについては建設大臣から答えさせる、こういうことでございました。ところが、この土地利用の問題につきまして総合的なものがないというのは、各省ともこれを認めているわけであります。  そこで、いま建設省では、土地利用計画というものがつくられるようにやろうということで、都市計画法の抜本的な改正を進めているように聞くのでございます。ところが、これが縦の行政的な機構が入り乱れておりまして、各省庁にもまたがる問題が出ている、こういうようなことで、なかなか難航をいたしておる。実施主体をどこにするのかということも、これまた中央官庁と地方公共団体との関連性もございますので、実施主体が明確にならない、こういうようなことで、国土の高度利用、土地利用計画というものが、十分な措置がなされない形の中で、いびつな成長が行なわれている。そこに、宅地政策予算的な措置は行なわれているけれども、量的には確保できますが、質の上において、大衆の望むような形の中で、安くてよい土地が手に入らないような仕組みになっているというのが、偽りのない姿であります。  そこで私は、総理大臣として、そういう各省にまたがる問題を総合調整して、決断を下される任務があろうと思うのです。そういう立場から、国土の高度の利用計画というものをどういうところで確立をしようとお考えになっているのか。建設省のやろうとしている都市計画法の抜本的な改正で対処しようとしておられるのか、それとも別個に、総合的な開発計画を出す用意がおありになるのか、その点についてお尋ねをしておきたい。
  116. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま政治的に私ども一番力を入れなければならないことは、それは土地の問題だと思います。ひとり地価だけの問題ではございません。価格価格ですが、同時に、取得の方法、さらにまた、もっと積極的な利用、提供、こういうような問題が実はあるわけです。こういう問題とひとつ政治的な観点から取り組もうというので、建設大臣を中心にしてこの問題と取り組ましておるのであります。そこで私、せんだっての本会議では、建設大臣に答えさすのが一番適当だ、かように思ってお話をしたのであります。  そこで、いま村山君からも御指摘なりますように、土地の問題と取り組む場合には、土地利用計画というものがなければならない。これが部分的にはいままで、あるいは新産都市だとか工業整備特別都市だとか、いろいろの名前をつけて地方開発に乗り出しておりますけれども、しかし、大都市周辺等から見ると、土地利用計画というのが立ってない。そうして税の問題等もこれにからんでおりますが、基礎になる利用計画がないときに、税の問題だけ云々しましても土地問題は解決されるものじゃない、私はかように思っております。そこで、そういう意味の総合的な取り組み方が必要だ。宅地審議会におきましても、ただいま私が申し上げるような意味でこれの問題と取り組む、こういうことであります。  そこで問題は、いまお話がありました都市計画法であるとか、あるいは都市再開発法とか、あるいはそれが同時に憲法の問題ともからむいろいろの問題をはらんでおるわけです。そうして、取得の問題は比較的に早く手をつけるべきだというので、いま土地収用法改正案を御審議をいただいておる、かように私は思っておりますが、とにかく総合的な一体としての問題、またたいへん広範であり、大きな問題だ、かように思っておりますから、簡単には結論は出てまいりません。しかし、ただいま申し上げるような諸点に問題がありますので、これらと真剣にただいま取り組んでおるという姿でございます。
  117. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、今度の国会には都市計画法を、まだこれは閣議で決定を見ていないわけでありますが、そういうような土地の総合的な立地政策というものについては、お出しになる御用意があるのですかないのですか。その点だけ承ります。
  118. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまの収用法、これはいま提案して御審議を願っております。それから都市計画法案、これはただいま各省との関係を調整中でございます。もう一つの都市再開発法案、これはただいま法制局でいろいろ案を練って、よほど進んだ具体的な状況でございます。これらのものがそれぞれ準備でき次第、続いて御審議をいただく、かように私考えます。
  119. 村山喜一

    村山(喜)委員 土地収用法改正なりあるいは都市再開発法案の提出なりは、部分的な解決のため、あるいは公共事業促進のためにはなり得る。これに伴う租税特別措置もしかりであります。しかしながら、伝え聞く建設省都市計画法の抜本的な改正、これ等によりますと、それぞれいわゆる利用計画に基づいた土地利用の高度利用というものがなされるやに聞くのであります。しかし、これもゆがめられたら、こういうような総合的なものは生まれてまいりません。したがいまして、経済社会発展計画もできたことですし、また、住宅の五カ年整備計画もできたことであります。最近、都市農業の問題等にいたしましてもいろいろな問題がありますし、工業立地政策にしても、これまた問題があることは御承知のとおりであります。  したがって、そういうような、一つの基本になるようなものをおつくりをいただかなければ、それぞればらばらのものが出ましてもなかなか所期の目的を達成できないのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、総理大臣が、総合調整の立場で、この点をもっと明確にしていただきますことを要望申し上げておきたい。  それから、時間がありませんので、一言だけお尋ねをいたします。それは教育費の問題であります。  六月の末には、御承知のように臨時私学振興方策調査会から結論が出るそうであります。今回、租税特別措置法におきましても若干の寄付金等の限度額を引き上げる、こういうような措置が出ておるわけでありますが、予算委員会等におきます答弁をお伺いいたしますと、総理は、よく検討をさせる、こういう程度で終わっているように見受けるのであります。  御案内のように、ことしは百八十万くらいの中学の卒業生がおりますが、あと五年くらいいたしますと百五十万人程度に減るのであります。それに伴いまして、私立の中学校、高等学校の経営者の中には、御案内のように、すでに倒産をしつつある、こういう事例も出まして、私学振興会が貸し付けました福岡電波学園などは、八千名の子供を預かっておりますが、これが不渡りを出してつぶれそうになっておる、こういうふうな状況も出てきておるわけであります。この問題については、勤労学生のいわゆる教育費控除というものが、前には税額控除で六千円であったものが、今度は所得控除で七万円に引き上げられました。これとも私は関連性もあると思うのですが、所得税法の中で、やはり教育費控除というものが考えられなければならない段階をすでに迎えておると思うのですが、佐藤総理のこれに対する見解を一言だけお伺いをして終わりたいと思います。
  120. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 わが国の国民性から申しまして、たいへん教育には皆さん熱心でございます。ただいまもそういう観点からのお話だと思いますが、まあ、そのおかげとでも申しますか、これは世界的に見て、日本の教育水準は高い。義務教育は世界一になっている。さらに高等学校、中途のところで世界で二番目、さらにまた大学、これを考えましても世界で二番目でございます。こういうように非常に高いですね。そういうところから、現状でうまくいっておるとは私は申すわけではありません。教育に熱心なあまり、いろいろの無理もそこに出てきているが、国民がそういうような意気込みで教育に力を入れておるなら、政府も、もちろんこういうことについて特別な考慮を払っていく、そうして国民のこの意欲にこたえるのが、私は筋だと思います。  したがいまして、この前もこれを十分検討さすというお話をいたしました。御承知のように、大蔵当局におきましてもいろいろ検討しております。これは金額的には二百五十億にもなるだろう、かようなことを申しておりますので、そう簡単に一口に、きめ方もございましょうが、踏み切れないというものもあるようであります。もう一つは、税制調査会等の意見も十分聞き、そうして他とのつり合いの問題も、これは税の当然の問題でございますが、考えなければなりません。そういうことで、ひとつ前向きにこういう問題と取り組んでみよう、かように実は考えておる次第でございます。
  121. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間があと三分ぐらいあるようでございますので、ちょっと申し上げますが、私学の学校経営の実態調査をやった結果が報告をされておりますが、これによりますると、もう現在の納付金に依存をするのは限界が見えた。そうして、施設整備拡充のために私学の財政が非常に圧迫をされて、それが学生納付金をつり上げる結果になっているという状況であります。こういうようなことから、大学生の七五%が私学で学ぶ中で、父兄の声としては、われわれはいわゆる税金の二重払いじゃないか、こういう気持ちがあるわけです。そういう中において、今日私学は、先ほど申し上げますような状態の中で、これから先は児童、生徒の減少を著しく示してまいるわけであります。そういうようなところで今日の非常に深刻な問題が出ておりますから、ぜひ前向きの形で対処するという総理の答弁を——来年度税制の中では、税の百万円控除の問題とも関連をしながら検討をお願いを申し上げておきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  122. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 お願いされるのはよろしゅうございますが、その期待に沿えるかどうかということが問題なので、お願いは私は幾らでも伺いますけれども、問題は、やはりこれを実現をさす、先ほどの前向きの姿勢、そういうところで結論を出さなければならない、かように思いますので、十分検討をさしていただきたいと思います。
  123. 内田常雄

    内田委員長 次は、竹本孫一君。
  124. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は総理に、中小企業の問題に焦点をしぼって、三つだけお伺いしたいと思います。  第一は、中小企業の重要性についてでございますけれども、生産については中小企業が六割以上を担当しておるとか、あるいは労働者の七割もしくは八割近い数が中小企業で働いておるとか、さらには輸出については五一%ぐらいは中小企業が受け持っておるとか、こういうふうに経済問題を中心に中小企業問題が大体とらえられております。  しかし、私、最近いなかを回って感ずることは、その中小企業の方々あるいは農民の方々、いわゆる中間層の思想というものがだいぶ悪化しておる。そういう意味において、中小企業問題は、単なる経済問題だけでなくて、思想問題の立場からももう少し真剣に取り組んでいかなければならないと思いますが、総理の御見解を承りたいと思います。
  125. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま竹本君の言われるように、いわゆる中小企業というもの、これが経済的に果たしておる役割りは非常に大きい、これはそのとおりでございます。しかも、その事業所の数というものがだんだんふえておる。最近になりましてもふえておる。四十一年は四百二十万事業所。まあこれが三十五年時分は三百五十五万といわれ、また三十八年は三百八十八万といわれておる。四十一年でただいま言うように四百二十万にふえておる。また従業者の数もだんだんふえておる。だから、これが同時に国民を形成しておる、国民のプロポーションのうちで、中小企業の占めておる地位は非常に高いのです。そういう意味で、ただ経済的な効果はかりを考えないで、こういう方がほんとうに国の中堅として、また中核として社会に貢献しておる、そのことは考えなければならない。ただ単に、いま言われるように、思想問題というのじゃなくって、社会的、国民的な働き、これは十分私ども考えなければならぬ、かように思っております。
  126. 竹本孫一

    ○竹本委員 総理がいま御指摘なりましたように、四百二十万の国民の中核を形成しておる人々の中小企業の問題でありますが、これが実は中小企業基本法ができました——農業基本法と並んでできたわけでございますけれども、この基本法はきわめて抽象的で、まあ、ないよりは一歩前進でありましょうけれども、具体的には何ものも書いてない、あるいは何ものも約束してない。こういうことで、実は、大蔵大臣もいらっしゃいますけれども、この基本法ができて後になって、かえって中小企業の金融問題なんというものは条件が悪くなった面がたくさんあるのです。でありまするから、口の悪い人は、基本法というのは、もとの本というのじゃなくて、キの字は棄てるという字を書いて、もとを棄てる法だという人もありますが、それは冗談といたしましても、とにかく今日の中小企業は、特に困っておりますのは金融の二重構造であります。  租税につきましては、たとえば中小企業の場合、中小の法人については軽減税率が考えられておりまして、結果的には、大企業の租税特別措置の関係がありますので、中小企業のほうが大企業よりも軽いとは容易に結論が言えないのでございますけれども、しかし、少なくともそういう努力はいたしておるわけです。ところが金融の場合には、軽減金利というのはないのです。逆に金融の場合には、中小企業の歩積み・両建ての問題が予算委員会において毎国会問題になりますけれども軽減金利ではなくて、金利は中小企業には特に重くなっておる。そのために、金融の二重構造ということを学者も指摘しておるくらいに、高度成長のときにも、一番しわ寄せをされたのは中小企業であり、税法上も若干の努力はありますけれども、最終的には、はたして中小企業の法人のほうが軽いかどうか問題があります。特に金融においてはその矛盾が大きい。そこで、今日におきましては、大体中小企業の多くのものは、税金を払って手形を落とせばまず満点なんです。その手形が落とせないので、倒産をしたり、不渡りを出したり、処分を受けたりしておるわけでございます。  そういう意味で、一番大事な中核を形成しておる四百万の中小企業の人たちが、特に金融の二重構造のために今日非常に苦しい立場に立っておるということを、総理、御認識いただいておるかどうか。社会開発を説かれる総理において、特にわれわれの関心のある点であります。
  127. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これは竹本君と議論するつもりはございません。いま金融ということを言われますが、中小企業に対する金融、これはずいぶん私ども骨を折っております。特殊な金融については、これは三分五厘以下に扱えるようなものも考える、あるいは担保なしで融資するというようなものもございます。  したがって、ただいまのところ、中小企業に対しての金融、これは信用補完もいろいろやられておりますから、私は必ずしも不十分だとは思いません。しかし、多く言われますのが、ただいまお話にありましたように、どうしても中小企業はやみ金融に流れやすい。やみ金融とまでいかなくても、小規模金融機関のやっかいになることが非常に多い。そういうところで、どうしても金利が高くなるということが言われております。だから、そういう点で特別に政府がめんどうを見なければならぬことは、もう御指摘のとおりだと思います。中小企業、ことにこれから成長するような中小企業に対しての金融は、私はたいへんうまくいくだろうと思いますが、いわゆる零細企業に対するいまの無担保金融あるいは信用補完しておるような金融の場合に、これが実際にうまくいっているかどうか、さらにトレースしてみる必要がある、かように私も考えております。
  128. 竹本孫一

    ○竹本委員 総理の御指摘なりました三・五%の特に安い金利だとか、あるいは無担保金融というようなものはいろいろあります。しかし、それは実際に四百万からの中小企業に対して実効的に役に立っておるかということを考えてみますと、多くは盆栽趣味であって、ただそういうものがあるんだという概念の整理には大いに役に立っておりますけれども、あまり実効的ではないと私は思うのです。  そこで、第三番目のポイントを伺って終わりにいたしたいと思うのでございますが、先般、総理は西ドイツの社民党のブラント外相にお会いになりました。西ドイツの社民党につきましては、私どもは党の立場におきましても、その行き方に非常な注目を払っておる党でございますが、私、西ドイツに参りまして特に感心いたしましたことをここでひとつ指摘して御意見を承りたいと思うのであります。  西ドイツの社民党が、あるいはそこの労働組合が赤旗を立てるのをやめたとか、階級闘争に重点を置かなくなったというようなことは、わりに日本によく紹介をされておりますけれども、西ドイツの社民党の政策綱領の中で一番注目すべき点は何かというならば、これは、中小企業や農業といったような、資本主義の社会において自由競争で弱い立場に立っておるものについては、単なる自力更生とか自由競争ではだめなんだという政策的な認識の上に立ちまして、いわゆる底上げ政策、ある一定のところまでは政府の力、国の力で中小企業なり農業なりは体質改善をしてやる、これは本人が自力でやるのではなくして、国がやってやろう、そしてあるところまで持っていって、その上で大いに自由競争をやりなさい、大いに市場でがんばりなさい、こういう点に立っていることだと思います。すなわち、中小企業や農業に対しては、できもしない観念的な自力更生とか自由競争を呼びかけないで、まず政府が政府の責任、国の力においてあるところまで持ち上げてやろう、底を上げてやろう、これが西ドイツの社民党の一番すぐれた政策のあり方だと思うのです。  そこで、わが国の中小企業や農業にしても全く同じでございまして、今日のような自由競争経済の中において、中小企業にわずかな無担保金融を五十万か百万やってみたって、これは助かるものじゃありません。どうしても三カ年なりあるいは五カ年計画を立てて、国の力、政府の力で中小企業はここまで持っていってやろうという思い切った政策転換をやらなければ、私は日本の中小企業問題は解決しないと思います。  そこで、建設的なプランを一つ申し上げるわけでございますけれども、石炭については、御承知のように、この間も石炭対策特別会計法がここで通りました。ところが、これはいままでにすでに九百二十六億円の政府資金をつぎ込んで、今日一九%、将来は五%以下のシェアしかない石炭のためにもこれからまた一千億円の肩がわりをしてやろうということで、合計二千億円の金をつぎ込むわけです。あるいは山一証券の問題でも議論がありましたが、三千億円ばかりを日銀が出しました。そこで自己責任主義といういまの資本主義経済の根本に立って考えた場合に、中小企業をいま世界からくる開放経済あるいは自由化のあらしに対してどう守っていくか。また最近は大企業がどんどん中小企業の分野に押し出てきております。この大企業のあらし、自由化のあらしから中小企業を守るためには、単なる租税や単なる金融措置ではだめなんだ。やはり西ドイツが考えている程度の大規模な国家的な力で底上げをしてやらなければいかぬ。  その具体的な例を申しますならば、たとえば租税につきましても、租税特別措置法はこれからたいへん問題になるわけでございますけれども、本会議等において大蔵大臣等にお伺いをいたしましても、中小企業のために、たとえば特別な租税特別措置法をつくれ、こういうふうに言いますと、いや、租税は公平でなければならないから、中小企業のためだけの特別措置はむずかしい、不公平になる、こういう御答弁でございます。しかし、私は政策意図というものはある程度の不公平がなければ政策効果はないと思うのです。みんなにフェアプレーでやっておったら、政策の効果はありません。でありますから、中小企業を一定のところまで持ち上げてやろうというならば、たとえば大企業があらしのごとく攻めてくるのを守るために、あるいは自由経済に対処するために、私の建設的なプランで申しますが、それぞれの事業について、カメラについても、あるいは洋食器についても、あるいはミシンについても、適正規模があると思うのです。その適正規模にいくまでは内部留保について特別措置法で大目に見てやる。そのかわり、そこまでいって体質が改善され、近代化されたならば、あとは大いに税金も取ろう、こういうかまえになれば、中小企業は努力して早くそこまで持っていく、持っていったところで、あとは税金もかけていただいてけっこうです。そのくらい思い切った手を打たないといけない。少し利益があれば全部取ってしまう、そして、あとはどうなろうとしかたがないということになったのではどうにもなりませんので、私は、租税特別措置法を中小企業のために制定されるお考えはないか、それがなければ、石炭対策特別会計と同じように、中小企業が困ったときには、少なくとも中小企業対策特別会計をおつくりになる考えはないか、その点だけお伺いいたしたいと思います。
  129. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、民社党の方も、社会党と一緒に租税特別措置には原則として反対かと思っておりましたが、ただいま中小企業に対する租税特別措置法を立てろという御意見で、私は、私どもがこの租税特別措置をとっておる立場を御理解いただいたことをたいへんうれしく思います。中小企業に対しまして、今度は完全給与制というか、そういうような制度をとります。これなども、明らかに中小企業に対する特別措置だとお考えいただいて間違いないのであります。いま言われるような特別措置がどういう内容を持つか、これは私は十分明らかにいたしませんが、今日私どもが個々の場合に具体的にとっておるのが、ただいま申し上げた特別措置でありますので、これをひとつ御了承いただきまして、なお御提案がございましたから、十分事務当局によって検討することにいたします。
  130. 竹本孫一

    ○竹本委員 一応終わります。
  131. 内田常雄

    内田委員長 次は、田中昭二君。
  132. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 首相にお尋ねいたしますが、今国会におきまして、施政方針演説に対する野党の質問に対しましてお答えになったわけでございます。その中で、税制については変えない、そのような趣旨の総理の答弁があったわけでございます。御記憶があるでしょうか。——今回、税法につきましては特別それ以上の改正の意思は持ちません、そのような答弁がありました。それは御記憶なければ、私は議事録を持ってまいりまして——きょうは急な質問でありましたから、したいと思いますが、私も大蔵委員会に初めて参りましていろいろ見ておりますと、税制改正につきましても、政府提出税法につきましては、委員の審議がなされても、その委員の審議が税法改正に反映しない、そういう問題を強く感ずるものでございます。  それとは直接関係はございませんけれども、現在の所得税の申告関係から見ましても、実はきょう聞いた話でございますが、ある税務署においては、ある政治家が歳費だけの収入しかないのに対して、確定申告におきましてその必要経費を認めた、このようなことを聞いたわけでございます。歳費は、あくまでも所得税法でいいます給与所得に該当することは、御存じのとおりと思います。そうするならば、所得税法二十八条並びに必要経費の三十七条、また百二十条、百二十一条に申告を要するもの、要しないものの規定がございます。それからいきましても政治家についてそのような所得税法に違反するような行政が実際の末端において行なわれている。私は、総理としても、水田大蔵大臣としましても、そういうことを御存じないのか、それとも歳費の収入が所得税法に規定する給与所得じゃないと考えるのか、そういう面についてお尋ねしたいと思います。
  133. 塩崎潤

    塩崎政府委員 非常に技術的な問題でございますので、私から簡単に申し上げます。  おっしゃるように、歳費は税法上給与所得でございますので、現行法では最高限度十八万円までの費用しか控除いたしません。おそらく、私は事例はきわめて少ないと思いますが、考えられますことは、ほかのほうの、たとえば雑所得に損失があった、その損失通算の規定を適用しました結果歳費が減少した、こういうことではないかと想像されます。それは法律上違反というふうには——事実に当たってみなければわかりませんが、違反ではないと思います。
  134. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことを主税局長がおっしゃるけれども、私も二十年の税務経験がございます。歳費の収入だけしかない人に必要経費を認めたという事例を聞いたんです。それは当然御存じないと思いますけれども、ある税務署においてそのようなことがある。政治家としての歳費は給与であるときまっている。その給与から必要経費を引くというようなことに対して、そのように第一線の行政において間違ったことがなされるということについては、私は国民の皆さまに申しわけないと思う。国民の一般納税者に対しては、必要経費がちょっと多い少ないということについて厳格な判定をすることについても——これは私は総理にお尋ねしたのであります。総理から、そのようなことがもしもあったならば、それはいけない、それはさっそく国税庁長官に命じて調査をして善処します。そのようなことを私はお聞きしたかったわけでございます。
  135. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 納税者というのは、ほんとうに法を守り、また神明に誓って間違いのない申告をする、そういう国民の第一義的な義務が果たされなければなりません。私は、今日、政治家はもちろんそういう点におきましてみんなの模範になるものだ、かように信じておりますし、みずから顧みて、自分にはそういう間違いはない、こういうことが言えるのでございますが、まあ、全体の方も私は間違いのない方だ、かように思っております。ただいま田中君からいろいろ御注意がございましたので、十分今後気をつけてまいりたいと思います。
  136. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これは、ちょうど確定申告も終わった時期でございますし、今後気をつけていくという問題ではなくて、私は、そういう事実があるかないかを、当然国税庁としてはどのようになっておるのか調べるのがあたりまえではないか、こう思うわけでございます。
  137. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 事実はさっそく調査いたします。
  138. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 では、次の問題に移ります。  昭和四十二年度租税及び印紙収入予算説明というのをいただきました。私も、国会に初めて出てまいりました関係上、予算の歳入につきましては、その内容がどのようになされているのか勉強したわけでございます。それで、当委員会におきましても、主税局長、大蔵大臣にも私お尋ねしたわけでございますが、その中で大蔵省は、自分たちのやったことについては間違いないと言う。それは間違いないでしょうけれども、ここに書いてあることと筋を通していくならば、それをこちらから見るならば、どうしても間違いである、このように言いたい条項があるわけでございます。歳入の見積もりの問題でございますから、私は大蔵大臣にもそのことをお尋ねいたしましたが、総理に御報告がなされておるものか。また、御報告がなければ、ここで総理にもその条項を見てもらって、私が言っておることが筋が通らないのか、大蔵省で言っているのがあいまいなのか、そういう点につきまして——簡単なことでございますから、私はここで総理自体が目を通していただきたい。これでございますが、この九ページの始まり、私読んでみます。「給与所得以外の所得に対する源泉所得税」、「最近までの課税実績等を基礎として推計した現行法による昭和四十二年度収入見込額に、今次税制改正による利子所得及び配当所得に対する税額の増収分並びに退職所得に対する税額の減収分等をおりこんで」として、そこに具体的に出ておるわけでございます。私は、この問題につきましては、特別措置の問題からいたしましても、いま読みました「課税実績等を基礎として」、これがたいへんあいまいなのでございます。その前の八ページを見てもらいたいと思います。これは源泉所得税の四十二年度の収入歩合が九八%になっております。下から七行目でございます。総理、おわかりでしょうか。
  139. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 はい、わかりました。
  140. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この九八%の収入歩合が昨年は九九%になっております。この九九%の昭和四十一年度の収入歩合を、なぜ本年は九八%と一%下げたか、このように私はお尋ねした。それに対しまして、こちらの要求もないのに大蔵省の主税局のほうは、自分たちでその数字を並べて持ってまいりました。私もいただきました。ここにその表がございます。これを見ましても、前年度の課税実績を基礎にしたということは何も成り立ちません。この数字を見ていただきますとわかるように。四十二年度の源泉所得税の基礎になったのは、九八・六%という実績が基礎になる。いいですか、総理。四十一年度は収入歩合が九九%になっておるのを、四十二年度は九八%に下げた。四十一年度実績の基礎は九八・五%なんです。そこにちょっと書いていただけませんか——。ようございましょうか。四十一年度は九九%、その基礎になったのは九八・五%だ、こういうのです。おわかりでしょうか。そうしますと、四十二年度実績は何を基礎にしたかといいますと、九八・六%という実績を基礎にした。そうすると、四十二年度実績の基礎になったものは、かえって四十一年度より〇・一%上がっている。上がっているのに対して、収入歩合を一%も下げるというのは——これは、そのときは当局におきましても特別な説明はございませんでした。ところが、委員会においてそのお話を聞きますと、ただ健全に見るためだ。これはそこにいらっしゃる塩崎主税局長の御答弁でございました。健全に見積もるためにそうした。それは健全に見積もるでもいいですけれども、それならば、ここに書いてあることと説明が違うじゃないか、こう私は申し上げているわけでございます。  なぜ私がこの問題をこう言うかといいますと、当委員会で一番始まりに大蔵大臣が、見積もりに間違いがあった場合には訂正をいたします。このようにおっしゃった。それで、私はその辺が、総理がおっしゃった、税制については変えないということもございましたし、大蔵大臣は誤りがあれば訂正するとおっしゃった。誤りとこちらが見るか、主税局がかってにやった、自分たちがやったことは健全のためにで、間違いない、こうやって言い張るかの問題に終わるわけでございますけれども、ここで総理に、そのような内容になっておったということについて、責任ある御答弁をお願いしたいと思います。
  141. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 田中さんは、税務経験二十年と言われ、どうもそれをたてまえにしてのお話で、たいへん御存じですから、いろいろなことを私しろうとが申し上げても、なかなか納得されぬだろうと思いますが、しかし、いまここに書いてあるのを強弁するわけではありませんけれども、最近までの課税実績等を基礎にして——これはこういうことを言ったのか、このことば自身は非常にあいまいなんですね。したがって、昨年の実績がこれだからなぜそのとおりやらないか、こういうものじゃなくて、いま  の見込みの問題もありましょうし、事務当局では、これにすることが望ましい結果だ、こういうので、確信を持って提案したのだと思うのです。しかし、いまなかなか田中君を納得さすわけにいかないのです。しかし、それも御議論として私も筋があるように思いますので、そういう点は伺っておきます。私自身に責任ある答弁をしろと言われましても、これはちょっと無理ですから、それだけはお許しをいただきたい。
  142. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 結局、九八%という問題は、総理がわかってもらえばいいのです。大蔵省はそんな間違いをされる方ではないと思っております。  一番計数について明るい、私たちもかつては上司として尊敬しておった人たちばかりでございますから、そういう点で、そこをわかってくださればけっこうでございます。  私の質問は、これで終わります。
  143. 内田常雄

    内田委員長 村山喜一君の質疑を続行いたします。村山君。
  144. 村山喜一

    村山(喜)委員 先ほど塩崎さんのほうから、寄付金額三百億円のうち、この私学に対するものが三十五億円程度、今度は……。
  145. 塩崎潤

    塩崎政府委員 その問題は、なおちょっとふえんして訂正させていただきます。  いまの数字、少し大ざっぱでございました。確かに法人の寄付金総額は三百億円前後に推移しております。私学に対する寄付金は、文部省の調査によりますと、法人からの指定寄付金の分が十九億七千七百万円、これは三十七年度の統計です。それから個人からの寄付金と申しますか、特定の寄付金がございます。これは指定寄付金はそのうちにも入っているかと思いますが、それが十六億六千二百万円、合わせまして三十五億円、こういうふうに申し上げたわけであります。しかし、私学の法人が、別ワクの寄付とか、後援団体とか、いろいろなルートから寄付を受けております。その金額全体は百九十四億九千七百万円でございまして、そのうち大学は九十八億八千八百万円、短期大学が十二億四千七百万円、こんなような数字を私どもは持っております。
  146. 村山喜一

    村山(喜)委員 私がお尋ねをいたしておりますのは、今回の税制改正によりまして、どれだけのものが期待が持てるのかということを、これはやはり主管省である文部省が、一応こういうふうにしてもらったらこれくらいは見込みが出るだろうという目安を立てているのじゃないかと思うのですが、これは大蔵省、そういうふうな推定ができるのだったら、それをお示しを願いたい。
  147. 塩崎潤

    塩崎政府委員 こういった制度によりましてどれだけ寄付金がふえるか、なかなかむずかしい見積もりになります。しかし、いままでの実績から見まして、そんなに大きな金額はすぐにはふえまい。ただ、だんだんと趨勢を見ると、相当な金額が期待できるのではないか、こういうふうに見ております。特に、私学の寄付金の趨勢を見てみますと、個人の寄付金は法人の寄付金よりもだんだんと増加の傾向にございます。所得控除に改めることによる効果は、将来相当期待できるのではなかろうか。まあ時間はなかなかかかるかと思います。
  148. 村山喜一

    村山(喜)委員 税額控除の三〇%方式をこのたびは一五%の所得控除方式に改正をする、こういうようなことなんですが、これによって、それだけ税の上においては恩恵を受けるわけですから、将来においてはそれが伸びるであろうという期待は持ち得るわけです。持ち得るが、こういうように措置をすべきであるという税制調査会の答申を出して、全くそのとおりの形でこれを法律改正をしようとしておられるわけですが、何かこれによるところの見通しがなければ、法律をただ出すだけではその問題の解決はできないのではないか。これは明らかに、今日私学の問題が非常に大きな問題になっている、そういうことから、税法上において私学に対する優遇措置をやるべきだということで答申をしたものだろうと思うのです。それを受けてあなた方も、その他の措置については、臨時私学振興方策調査会の答申を受けてから文部省のほうとしても本格的に取り組んでやるつもりでありましょうし、それを受けて立つ大蔵省としても、どういうふうになさるか、そこはわかりませんが、そういうような形でやろうとしていらっしゃるのじゃなかろうか。だから、それには将来期待が持てるという程度でなしに、やはり何かの見通しというものをお示し願いたいと思うのです。
  149. 塩崎潤

    塩崎政府委員 もちろん、一番大きな改正の所得控除への変更、これによっては、私ども減収も見積もり、さらにまた寄付金の若干の増加があるということも見ております。大体この改正によりまして、指定寄付金が約三〇%増加をすることになっております。それによるところの減収を見込みまして、個人の所得税減収が約三億円というふうに見込んでおります。しかし、これはもちろんふえた分に対応する問題ではなくして、税額控除から所得控除に変わることによる減収もその中に含まれておりますが、指定寄付金は三割ぐらいふえるのではなかろうか、個人の寄付金はそれによって三割ぐらいふえるのではなかろうか、そのうちの大部分は私学に向かわれるもの、こういうふうに見ております。
  150. 村山喜一

    村山(喜)委員 文部省はどなたかいらっしゃいますか——それでは、文部省が見えるまで大蔵省お尋ねをしてまいりたいと思いますが、最近、私学法人、学校法人で不渡りを出したり、倒産のところまできている例が二、三あるわけです。もうすでにそういうものが出まして、私が調べたのでも、福岡電波学園は二十五億円の借り入れがありまして、そして不渡り手形を出した。その中で私学振興会の貸し付けもたしか五億六千五百万円あるようであります。その債権確保という問題よりも、やはり私学の経営そのものが非常に問題になっている、具体的な生きた例としてこれは出てきている問題だと私は思います。  ただこの場合に、学校がそういうようなことで経営が成り立っていかないようになりますと、閉鎖という問題が出てくるわけですね。この福岡電波学園の場合にはく千名という子供がおる。この子供の教育ができないようでは、これはまた生きている人間たちですから、たいへんな問題です。それで、債権確保というよりも、再建策を立てなければならない、こういうことに重点が置かれようかと思うのです。その際に、いま市中銀行あたりから高利の資金を借りまして、そして設備資金等に充当している場合が多いわけです。今度、私学振興会のほうで、どういうような高利の旧債の借りかえ分につきましては、五十億円程度資金計画を立てて、七分程度の金利で実施しようとしておるようであります。その場合、五十億円程度ではとてもこれを解消はできないと思います。それは全体の資金ワクの問題に関係があると思いますので、このような場合に、それを急に解消しようと思えば、学生が納めます寄付金なり納付金というものでこれを引き上げまして、そして緊急な措置をするという手もありましょうし、そうなると、いわゆる授業料なりあるいは納付金というものは、一種の公共料金みたいな性格のものなんですね。それが軒並み上がるということになると、一つの物価政策の上から考えても望ましいことじゃないわけでありますが、こういうような私立の経営が悪化する中において、そのような理由がどこにあるのかということは、個別の学校法人に当たらなければわからないわけでありますが、少なくともその設備投資に使いました資金の返済等に伴う経営の悪化という問題については、高利の借りかえ債というようなものについて、もっと資金ワクを大蔵省としてめんどうを見るというような方途はお考えになっていないのか。また、それに対して文部省としては、いま私学振興会がそういうような五十億円程度資金ワクを用意してやっておるようでありますが、はたしてそれで十分なのか。十分でないとするならば、そういう問題を大蔵省にどういううような要請をなさっていらっしゃるのか。この具体的な問題をどのようにして解決をしようとしておるのか。この際お尋ねをしておきたいのでございます。  それと、今回はこの税法の上で、設備の旧債返済資金については指定寄付金の対象として追加する、そういうようなことをされたわけですが、借金を返すから、その資金に充てるからひとつ寄付をしてくれというようなことで、対象ワクは広がったものの、はたしてそれで救済できるのでしょうか。そういうように形で税法上の措置で救済できるというふうにお考えになったればこそ、設備の旧債返済資金についても指定寄付金の対象になったのだろうと思うのですが、こういうようなうしろ向き政策のものに寄付をするという考え方がはたして生まれてくるかどうか。これを政策的に税法の中で配慮なさいましたそのいわゆる有効性というものをどの程度考えておられるのかをお聞かせ願いたい。
  151. 宮地茂

    ○宮地政府委員 ただいまの福岡電波学園に例をお引きになっての御質問でございます。  まず、福岡電波学園の不渡り手形を出したという問題でございますが、実はこの学校は、終戦後、各種学校をやっておりましたものが高等学校をつくり、短期大学をつくり、四年制大学をつくるというふうに、十年足らずの間に、先ほどおっしゃいましたように、学園としては八千人の生徒、学生を収容するほどの非常に大規模学校になったのであります。いろいろ学校もございますが、特にこのように短期間に非常に規模を大きくしました学校といたしましては、勢い、一般の会社等で申しますれば、過剰設備、過剰投資と申しましょうか、ただ寄付金だけではなくて、非常に多額の金を借りまして、そして今日までの学校を短期間につくり上げたので、そこに非常に無理がある。その他、一般の学校は三十年、五十年の伝統を持っておって、少しずつ規模が拡大しておる、福岡電波のほうはそうでなくて、十年ばかりの間に今日の八千人の生徒になった、そういう特異な学校でございますので、一般の私立学校の姿が今回の福岡電波学園に見られておるのだという見方は、ちょっと当たらないかと思います。そういった意味で、まことに遺憾な事態でございますが、私立学校は経営が苦しゅうございますが、中でもきわめてまれなケースとして、福岡電波学園が今日のような状況になったというふうに考えられます。原因につきまして、こういう席で申し上げるのもいかがかと思いますが、理事長の経営がきわめて放漫であったというふうに、一口で言えば言えるのではないかと思います。この人は、たとえば今年度もございましたが、いまの電波学園をもとにしまして佐賀県に伊万里大学をつくるのだというようなことで、設置認可をついことしに入ってやってきておったのですが、いろいろ調べてみまして、とてもこれ以上伊万里に大学をつくるだけの財力はございませんので、これは不認可にいたしました。そういうことから、こういう一流の手腕を持たれた方でしょうけれども、いわば次々と学校をつくっていく、それで、世にいいます自転車操業と申しますか、そういうかっこうで資金回転をしていく、ところが、伊万里大学をつくるのが不認可になったために、そこで自転車操業に破綻を来たした、そういうようなことから、いろいろな債権者から問題が急に出てきたというように私どもは感じております。もちろん、文部省といたしまして監督が十分でなかったということは、まことに申しわけないと思いますが、学校の経営につきましていろいろ私ども年次監査もいたしますし、また私立学校振興会からここに数億の金を今日まで融資いたしまして、そういう際にはいろいろ調書もとっております。そういうときに出されました書類が、正直に申しますと、相当部分がでっち上げの書類をつくっておられたというふうに見られる点もございます。そういうようなことでございますが、それに関連いたしまして、いろいろな借金についての、特に利子の高い負債についての肩がわりの問題で五十億円ばかり融資したそうだという御質問がございましたが、これは、四十一年度から私立学校経営が非常に苦しゅうございまして、特に大学急増等の関係で施設を急に充実していった、銀行から金も多額に借りた、そういうことで、その高利債の肩がわりをしようということから、四十一年度から三カ年間で百億円の高利債の肩がわりの融資をしようということで始めました。四十一年度三十億円、今年度は三十五億円を予定いたしております。利子は大体七分でございますが、日歩二銭以上ということにいたしております。大体の調査をいたしますと、学校関係で日歩二銭以上で特に施設等に使う金を銀行から融資した。その二銭以上のものが三百億円くらいあるようでございます。したがいまして、それが三年間で百億円でございますので、必ずしも十分ではございません。  そういったような実態から、ただいま、私立学校の振興につきまして抜本的な対策を検討するために、臨時私立学校振興方策調査会という調査会ができております。この調査におきましても、過般、この四十二年度予算ですぐにでも間に合わされるようなものについては即刻対策を講じたいということで、中間答申をいただきました。  その中には、最後に先生が触れられました税金の問題も一項目ございます。それから、いま申しました高利債の肩がわり等を含めましての私立学校振興会の融資額の増大、それから融資条件、いわゆる利率なり償還年月ですか、そういったようなものの改善、こういったようなものを含めまして、四項目ばかりの中間答申がございました。この六月末までに本答申が出ますが、経常費問題を含めまして、いまの振興会の融資、この融資は政府の出資金と財投から原資を仰いでやっておるのですが、そういったようなことを、税金の問題、あらゆる問題につきまして、現在審議をいただいております。それで、六月末答申が出ますれば、この答申を、私どもとしましてはよりどころといたしまして、全面的に答申を尊重して、今後の予算要求もしたいというふうに考えております。
  152. 塩崎潤

    塩崎政府委員 旧債返済のための寄付金を大蔵大臣の寄付金の指定対象にすることが、はたして効果があるかという御質問がございますが、確かに、寄付する側にとってみれば、魅力は少ないようにも見えますけれども、私どものところに、いつから施行するかというような問い合わせが各大学から相当ございます。そういったところから見ると、この措置も相当の効果が期待できるのじゃないかと見ております。
  153. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 私学振興会の借りかえ資金をもう少し増額するような方向を考えておるかということは、きょうは、私、大臣にかわりまして申し上げられることは、今年度予算編成にあたりまして、御承知のように、私どもは、私学振興については非常に大きな重点事項の一つとして臨んだわけでございまして、従来に見ない画期的な振興策、あるいは振興会に対する出資金なり財投なり、あるいは税制措置もその一環としてとったわけでございまして、あるいは一般会計におきましても、いろいろ文部省の要求に応じまして、大学の急増対策に応ずるような措置をとりました。もちろんこの方針は来年度も続けてとってまいるつもりでございますので、その中における私学振興につきましては特段の配慮を継続してまいりたいと思います。
  154. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間もありませんので、もうここあたりでやめますが、先般行われました私立学校経営の実態の調査を見てみますと、振興方策調査会が報告した分ですが、納付金依存にも限度がある、経理方式等が非常に不統一で非合理だ、こういうような経理内容についての注文といいますか、こういうようものも出すと同時に、今日施設整備拡充のために私立の財政が極度に圧迫されておる。これが今度は学生の納付金等との関係において、非常に性格のあいまいなものがたくさん出されておるという報告も聞きます。さらにまた、最近におきましては、入学金なり、あるいは何というのですか、特に希望という形によりまするいろいろな寄付金というものが、入学前に、あなたは幾口寄付を受け持ってくれるかということをちゃんと確めて契約をしておいて、そうして入学をせしめるという方式をとっておるようです。その金額を調べてみますと、まあ金もかかることでございますが、私立の理工科系、特に医学関係の学科等につきましては、とてもじゃないが、開業医師のむすこくらいは入学ができても、普通の生活をしておる人には、そういうようなところへは入学をさせることができないような状態にまでなっておる。  これはやはり門戸を広く開放するという意味において、能力のある者に教育の機会を均等に与えるという立場から見ましても、非常に私は問題がある段階にきておるのじゃないかと思う。そういうようなことは、やがて今度は私立の経営の上にもあらわれてくるのですが、私たちが聞きますところでは、その臨時私学振興方策調査会も六月の末に答申を出すやに聞くのですが、しかし経常費の問題については、結論を得ることは困難ではなかろうか。その問題は長期的な立場からさらに文部省として検討をしてもらいたいということに落ちつきそうで、暫定的な措置が今度の六月の末には出てくるのじゃなかろうかと世上いわれておるわけです。これについては、経常費に対する補助なり、特に教職員の人件費等に対する補助要求というものが非常に強まっておりますが、そういうようなもの等も含めまして、六月末には完全な答申というものが期待できるのかどうか。私たちが聞くのでは、それはむずかしいのじゃなかろうかという見方が強い。また、そういうような助成等をする場合には、勢い今日の会計方式の中からは、それに対する規制という問題が浮かんでくるわけです。  そういうような問題とあわせ考えながら、今度税法の中で三点ほどの特別措置というものがなされるようになっておりますけれども、これによりますと、先ほど説明でわかりましたが、三億円程度所得税減収という形になってあらわれるのじゃなかろうかという見通しであります。そういう税法上の措置が今後どの程度科学振興のために役に立つかということについては、これは実施してみた結果でなければわかりませんけれども、あまり大きな効果はさほど期待できないのじゃないかと私たちは見ておるわけです。  したがいまして、やはり基本的な問題は基本的な問題として、そこに私学振興政策というものを文部省が立てて、そうしてそれが大蔵省が財源的に裏打ちする中において生まれてくる問題だと考えますので、一体、臨時私学振興対策調査会の答申の見通し等はどういうふうに事務当局としては考えておるのか、この点をお聞かせを願っておきたいと思うのです。
  155. 宮地茂

    ○宮地政府委員 実は、臨時私立学校振興方策調査会につきましては、先ほど申し上げましたように、先般中間答申をいただきましたし、また、これは文部省設置法で時限的に六月三十日まで存続ということになっておりますので、勢い三十日までに答申があることを期待しております。調査会におきましては、目下非常に馬力をかけられまして審議を続けておられます。したがいまして、この段階で調査会としての答申の見通しを私が申し上げる段階でもございませんし、こういうふうにいくであろうと見通しができる程度で、まだ審議が煮詰まっておりません。  そういう意味で、はっきりしたことは申し上げられませんが、ただ、私立学校の経営が一般的にいって現在困難であるという事実は、皆さんよく認めておられます。それから私立学校が、昔のように、金を持った人がぽんと基金を出して、あとは民間の寄付をたよりにして、国立学校と同じぐらいな授業料を学生から取って経営していけるというふうには、現在と昔は違いますので、必ずしもそのようには考えておられません。  ただ、私立学校の経営難という場合に、授業料というものは国立との対比においては非常に私学は高いのですけれども、授業料という名目のもの以外に、施設費とかいろいろな名目で臨時的なものが取られておるわけでございます。授業料そのものについてはさほど高いことはない。しかし全体の納付金が非常に高くなっておる。その原因は、結局、戦後建物を鉄筋コンクリートにして大きく建てていき出した。それをごく短期間の間、五年なり七年の間に償還するといったような計画で、五年なり七年ぐらいの間の学生納付金でこれをまかなおうといったようなところに無理があるのではないか。したがって、先ほど申し上げました、私学振興会の融資金の利率の引き下げとか償還年限の延長と関連するのでございますが、もっとそういう方面で相当大幅に振興会融資条件改善をすれば、現在授業料という名目でない臨時的な名目で取っておるものは、相当減ってくるのではないかといったようなこと、そういうことから、全体の経営がもっともっと楽になるのではないかといったような意見もございます。  それから、そういうことではあっても、やはり先生の給料というものは国立学校と比べて低いのだとか、あるいは、全般的に国立大学の先生ほど私学の先生は専任の数がいないのだ、もっともっと専任の先生をふやさなければいけないのだ、そういったようなことから、先ほど申し上げましたような措置をとってもなおかつ経常費が足りないのだから助成すべきである、大まかに申しまして、そういったような意見がいろいろ出ておりまして、まだ結論に達しておりません。  したがって、見通しをこの際私が申し上げるということは、事柄上はばかりたいとも思いますが、また、現実の問題としても、申し上げる段階まで煮詰まっておりません。
  156. 村山喜一

    村山(喜)委員 国有財産が普通財産として十二万四千ヘクタールあるわけですが、この中で未利用のいわゆる宅地としてはわずかに千六百ヘクタールしかない。そこで、特定庁舎等の整備計画に基づいて、立体化等によりまして、この周辺の官公庁の敷地の余剰分を二十ヘクタールぐらい見つけ出したのだ、こういうふうなことを聞くわけであります。その集約化、立体化に伴いまして余剰地が出てくる。あるいは移転、再配置に伴うあと地があるわけですね。こういうような問題をひっくるめて、いままで、この大蔵省の調査いたしたのを見てみますと、特別ワクの予算方式で土地を三十六ヘクタール取得をしているとか、あるいは国庫債務負担行為方式によって四十四ヘクタール、さらにまた建物交換方式によって、渡した分もあるけれども、受け取った分として六十四ヘクタールあるのだとかというようなことがわかっておるわけでありますが、この際、前から問題になっておりましたいわゆる都市の再開発、特に東京の都市の再開発の問題に関連をいたしまして、研究学園都市の建設の問題がありまして、筑波山ろくに国立大学を移転をさせるというような計画がありました。  結局、そういうような問題に関連をいたしまして、特別会計方式で、大蔵省としては、国有財産の普通財産についての処理をしたらどうかという考え方があるやに聞くのですが、そういうような考え方があるのかどうか。その場合に、いわゆる余剰地を処分をして財源的な必要なものに充当をするという考え方が出てくるわけですが、今日においては、都市の再開発がなったといたしましても、今度は、時代が移り変わってきますと、またさらに大きな再開発をしなければならない時代が来ないとも限らないわけですね。そういうような問題が将来の問題として浮かび上がると同時に、東大をはじめ国立の大学等の移転に伴ういろいろな経費の問題なり、あるいはあと地の利用の問題等については、きわめて深刻な財政上の問題もありますけれども、今日マンモス都市の再開発という意味からも、きわめて大きな問題だと思うのですが、現状は一体どういうところまで進んでいるのか。そうして、宅地政策との関係において、あるいは都市の再開発政策との関係において、この国有財産の中の普通財産については、どういうふうな基本的な処分の方針なり利用の方針を持とうとしておられるのか、その点について一言お伺いしておきたいと思います。
  157. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 国有財産を何らかの形で土地政策地価問題等にも活用、役立たせたいということは、私たちも、現下の土地問題の中の一環として、そういう考えを持っております。事実、普通財産として現在残っておりますところの土地は、非常に限られておる。統計の上では相当な数が出ておりますけれども、特に大都市周辺とか都市問題との関連で見ますと、非常に限られておる。それから、普通財産として残っておりますものも、現にそれは戦後開放された旧軍財産を転活用するという趣旨から貸し付けておって、これを取り上げるということがなかなか困難であるという状態であります。そういう形で、いわゆる未利用の形で普通財産が残っておるというものは、都市周辺では非常に少ない。今後、こういう観点から国有財産を活用するということは、現に行政財産として使っているものも、その利用が比較的平面的であって、場合によればその活用が十分でないというようなものもあろうかと思います。  そういう趣旨から、これを立体化して、そのあと地をそういうものに転活用していくという考え方で、御承知のように、昭和三十三年から特別会計を設けてこれを進めてきておりまして、現在までに約三十三件のそういう立体化を終えておるわけであります。四十二年度におきましても八件さらにこれをやろうといたしております。  さらに、これが全体でどの程度の期待ができるかということはなかなかむずかしいと思いますが、私たちとしては、大都市の土地問題というものが特に困難なだけに、そういう観点からこの問題に取り組みたい。特に、いま御指摘のありました学園都市の問題につきましては、すでに閣議決定も、三十九年でありましたか、得まして、現在その事業着手いたしております。現段階では、住宅公団において用地の買収を行なっている段階でございますが、これ全体を首都圏整備委員会のほうで計画化し、調整して、現在進めております。これによって起こりますあと地の処理というものを、そういう都市問題あるいは社会開発というものとの関連において有効に活用したい、それがためには、現在持っております特別会計というものをもう少し活用できないかという議論がございます。私たちも、まだこれをどうするかということをきめておるわけではございませんが、そういう観点からこの特別会計に息吹きを与えるという形で活用できないであろうかということを現在検討している段階であります。
  158. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、宅地政策の問題の解決の中で一つの問題として提起したんですが、問題は、学園都市開発の問題特に東京大学であるとかというようなところを移転するという問題が当然出てくるとするならば、そのあと地の利用という問題等を特別会計方式の中で考えていった場合には、売り払うということにならざるを得ないのではないですか。そうしなければ、特別会計方式の中でそういうようなものを緊急な用に保有をしておくということにならないで、学園研究都市の建設に充てるとなった場合には、特別会計方式で出発をしたのでは、どうしても採算がとれないというような問題が出てくるし、これはそういうような事務的な問題でなしに、その移転の問題等については、閣議で決定したあと、一体どういうようになっておるのか。いま住宅公団のほうで土地の買収に当たっているというのですが、その建設計画というものは、文部省ではどういうように進められていますか、見通しはどういうふうに持っていこうとしておられるか。
  159. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 これは実は、私が答えるよりも、首都圏整備委員会のほうで所管いたしておりますので、首都圏整備委員会のほうから詳しくお答えするのが至当かと思いますが、私が存じております限りで申し上げますと、実は移ります学園都市の総建設費としては、約四千億円程度事業費を予定しておるわけでございます。これは土地の買収あるいは建物、施設の建設ということになるわけでございます。計画は一応十カ年ということで、四十年の予算から用地買収に入っているということで進んでおります。なお、移転は、研究機関とか学校とかについては、まだ最終的な決定までには至っていない、政府部内においてなお種々の調整が行なわれておるという状態でございます。それから、先ほど、特別会計を設けてやったのでは、資金の回転、いわゆる独立採算というような点から、なかなかむずかしいのではないかという御意見でございますが、確かにそういう点があるわけでございます。ただ一面、先ほど述べましたように、学園都市の建設だけをとってみましても、四千億円という事業費がかかるわけでございます。十カ年といたしまして一年四百億円、これが新たに加わるということは、財政的にも非常に大きな負担になるわけでございます。そういう点から、いまの通常の状態で推移すれば、この事業は、直ちに移転ということは言うべくしてなかなかできない状況にあるわけでございます。  そこで、私たち一つ考えとして、あと地をただ何でもたたき売って財源にするんだということでなく、財源にするということと、その土地を社会開発その他の都市問題の解決に活用するという問題と、二つの問題を両立させることはできないであろうか、もしそれができれば、言うべくしてなかなか実現できない移転のための財源措置ということとあわせて、可能になるのではないかということで検討いたしておるところでございます。しかし、それによってもなおかつ全部の財源をそれで生み出し得るというものではございませんが、相当それの一助にはなり得るのではないか。これにはいろいろな角度から批判もございます。目下検討いたしております。
  160. 宮地茂

    ○宮地政府委員 全般的な問題につきましては、ただいま大蔵省のほうでお答えになられたとおりでございます。移転する機関については、まだ部内で調整中であるという前提で、特に私のほうの学校関係につきましてちょっと補足いたします。  文部省といたしましては、いろいろ考え方はございます。ただ、いろいろな事情によりまして、たとえば、中には、移転をするためには、大蔵省のほうで予算もいただいて、それが決定しないと移転がきまらない、現在そういう施設がない場合です。そういうものもございますが、それとは別に、都内にございます既存の大学の移転、特にその点につきましては、一応東京教育大学を予定しております。これは小さな単科大学を移転したのではあまり意味がございませんので、少なくともある程度の総合大学ということで、それと、教育大学自身が、いまの施設は各地に分散をいたしておりますし、それから、それ以上に充実しようとしましても敷地がないというようなことで、かねてから教育大学では、適当な敷地を探すべく学内ではそういう会を持たれておるというようなことから教育大学を予定いたしております。しかし、正式に大学が一致して、ぜひ筑波山ろくに行くという意思決定をする段階にはまだ至っておりません。
  161. 村山喜一

    村山(喜)委員 われわれは、予定地の筑波山ろくの地価の上昇という問題が一つのブレーキになっておるということを聞くのですが、これは、そういうような学園都市等の建設が現在住宅公団の手によりまして進められておる場合、支障なくその取得がいまできておるわけですか。その点は御承知でございますか。
  162. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 私が承知いたしておりますのは、総額約百四、五億円の土地買収を計画し、そのうちすでに買収を終わったものが三十数億円というふうに聞いております。地価の単価の問題につきましては、当時あの計画をきめます際に、いろいろと単価を引き上げたいという動きもあって、これには千葉県知事、茨城県知事等も入りまして、単価の問題はわりあいに円満に解決したというふうに聞いております。
  163. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  164. 内田常雄

    内田委員長 次は、広沢賢一君。
  165. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 第一番目に、昨日開かれた委員会での参考人の意見を聞いた結果を要約して主税局長にお伺いしたいと思います。  私の理解したところ、その席で松隈さんは、租税特別措置利子、配当の分離課税の問題について、税制調査会の答申案を会長代理として答弁なさいました。その答弁は、要約すると、一番初め問題にしました租税特別措置について、流動的改廃が主眼であるのかその政策目的に合致した強化が主眼であるのかという問題では、もちろん流動的改廃が主眼である、ただし、これをやめていくについて、経済的に混乱を起こさないように持っていきたいという結論だと私は伺いました。で、答申案を読むと大体そのようなあれです。それから、利子配当の分離課税の問題についても、これはよくないものである。非常によくないものである。もう説明を要しませんが、政策目的に全然統計上も合っていないし、いろいろと悪評ふんぷんであって、よくないものである。これは松隈さんが言ったんじゃないですよ。私が理解すると大体そういうあれです。ただしこれも経過措置が必要であるということになると思うのです。そうすると結論は、この経過措置をどういうふうに考えるかということでございますが、一つ問題になるのは、もうすでに経過措置については大蔵省が答えを出しているのですね。たとえば、一つは、昭和四十一年の十一月末、大蔵省税制調査会に対し、利子配当優遇措置の取り扱い試案を提出した。これは新聞に書いてある。これは優遇措置の存続というのが一つ、段階的な廃止というのが一つ、一年継続で廃止、この三案を提示したと書いてある。これは事実であろうと思いますが、その三案についてのいろいろの考え方の概略を承りたいと思います。
  166. 塩崎潤

    塩崎政府委員 租税特別措置は流動的な改廃が生命だと思います。しかしながら、松隈会長代理もおっしゃいましたように、その経過措置もまた、廃止の場合あるいは改正の場合には非常に大事でございます。そんなような趣旨から、税制調査会でいろいろな案を練っていただいておるその過程におきまして、三つの案を私ども出したわけでございます。第一は存続、これはやはり税制調査会という租税目的の大切なところでは、なかなか簡単には受け入れられない案でございます。そしてまた、一年継続、それから廃止ということも、これもまた経済に与える影響から見まして、なかなか取り入れられない。結局は、段階的に漸進的な措置を講ずる、これしかないということは、たいていの改正案がそんなような経過をたどっておりますので三案を出しましたが、結局五%の引き上げ、しかし、二年間存続という形で落ちついたわけでございます。  なお、政府案では二年が三年になっておることは、御存じのとおりでございます。
  167. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 税制調査会では、いろいろ議論して大体そういう結論になったと思うのですね。ところが、一番慎重で、いろいろ政策的な効果も勘案する大蔵省自体が、一年継続で廃止の案を出したということは、これはやはり大蔵省自体が、税制調査会の答申よりも、もっとうんと早くこれを切り上げたいという気持ちがあった。それは、そんなに経済的に混乱を引き起こさない、こういうふうに思ったと思うのですが、その一年継続で廃止の案というのはどういう内容ですか。
  168. 塩崎潤

    塩崎政府委員 私ども出しました三案は、大臣として考えられて、しかもまた、それが典型的なものということで税制調査会の御審議の材料に御提出したものでございます。一年継続して廃止ということは最も賢明な廃止の方向で、一年ということが同時に経過措置意味しているわけでございます。しかも、るる私どもの大臣が申し上げておりますように、この措置は、ことに預金利子につきましては、長らく財蓄奨励の形としてとけ込んでおる、数字的な効果というよりも、むしろ貯蓄者の心理状態に合致しておるようにも見受けられるものでございますので、こういった一年継続して直ちに廃止ということは、税の見地から適当かとも思われますけれども、貯蓄の面から見ますとなかなか影響が大きいということで採用にならなかったものでございます。
  169. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 いまの御答弁は受け取れないですね。もう少し積極性があっていいと思う。なぜならば、いままでの経過から見て、統計上、貯蓄とは、いまおっしゃったように、数字的にはもう全然関係はないといわれているのを、ただ、心理にとけ込んだというそれだけの点で、悪いとわかっているのをちゅうちょするということは、これはよくないし、何か目じるしをつけて早く廃止すべきである。具体案があれば、お考えになることがほんとうだと思うのです。後ほど私どものほうのほかの委員からそういう具体案が出ると思いますが、やはりこれは廃止していく。そういう段階的に廃止していく、これを二年なり三年なりの先に廃止していくということについては、この案を出した形からいっても、これは考えられますね。そう考えてよろしゅうございますね。
  170. 塩崎潤

    塩崎政府委員 先ほど来申し上げておりますように、特に利子につきましての分離課税の制度は、明治三十二年の公社債の利子から始まりまして、源泉分離課税といたしまして長らくとけ込み、総合課税が行なわれましたのは昭和二十五年の一年しかない、あとは源泉だけで徴収して、そこで税負担は終わりにするということで、多分に貯蓄者になじまれた、非常に沿革のある制度であるだけに、私はその措置はむずかしいと思われるわけです。むろん税の見地からいえば、おっしゃられるような点もございます。しかしそれには、長い経過を経てきた制度だけに、かわるべき制度の熟知と申しますか、習熟ということをもう少し考えてみなければ、簡単にはこれにかわる制度はないのではないかというのが私どもの見方でございます。
  171. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 どうも初めの答弁から見るとちょっと後退しているような感じがします。やはり本心は、いろいろ新聞でも拝見しましたし、交際費の問題といい、利子配当分離課税の問題といい、なかなか筋の通ったお考えだと思うのです。それから池田前総理も、やはりこの問題については筋の通った考え方をしていると思うのです。したがって、とけ込んだとか、いろいろとむずかしいということではなくて、これは廃止すべき方向に持っていくべきであると思います。  それからもう一つ、これと同じように、廃止しなければならないという先ほどの基本的な方向のあった租税特別措置ですが、先ほど一番初めに総理は——総理がおられないのであれですが、いい答弁をされていましたが、最後になってから、中小企業の租税特別措置を要望した、だからこれは、野党も認めているんだろうというような、いわばあげ足取りのような答弁をされております。これは全く私は本末転倒だと思うのです。なぜならば、この租税特別措置が非常に問題になっているのは——土地問題とか中小企業のための租税特別措置というのは、これはだれでも認めているのです。今度の場合も野党も問題にはしておりません。  問題は、たとえば、この間も中小企業と大企業の租税特別措置の問題で議論しましたが、こういうことがあると思うのです。多く中小企業に役立っている面があるといって、大蔵大臣もずいぶん強調されました。ところが、いろいろの資料を見ますと、たとえばこういうことがありますね。租税特別措置の約八割が一億円以上の法人にしか利用されていないという立論がある。  その具体例として三つあげております。一昨年、中小企業の特別措置として銘打って拡大した貸倒引当金の利用は、資本金一億円以上の会社や銀行で八〇・五%、五千万円から一億円では三・五%、五千万円未満は一六%にしかすぎない。それからもう一つあります。海外市場開拓準備金では一億円以上が七六%、ほとんどですね。五千万円から一億円で四%、五千万円未満が二〇%、これは三十九年度のあれです。  こういうことを考えますと、やはりいろいろの名前で——価格変動準備金も同じだと思うのですが、価格変動準備金を銀行が計上しているということですね。銀行価格変動準備金を、インフレになるから、お札が減価するからやっているのかどうか、そういうことがいわれています。したがって、やはりこれは中小企業のためにならないで、多くが大企業のためになっているということで問題になっておるわけですから、これについてどういうふうにお考えなりますか。
  172. 塩崎潤

    塩崎政府委員 私どもが、広沢先生の御要求だったと思いますが、本委員会提出いたしました企業向けの特別措置のうちで五十五%が中小企業に向けられておる。その他が四五%、これは大企業を含めての話でございますが、そういう資料提出してございますが、いま申されました貸倒引当金繰り入れ限度額の特例も一億円以下の法人にしかないわけでございますから、いまおっしゃいましたのは、全体の貸倒引当金のことだと思います。私が申し上げておるのは、貸倒引当金の割り増し分、これは小法人しか措置しておりません。それから海外市場開拓準備金全部を含めてのお話でございますが、全体的な見地から見ると、いま先生が申されたような数字にはなっていない、やはり特別措置は中小企業向けに相当行なわれておる、こういうことを数字的に申し上げたつもりでございまます。
  173. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 この資料が確実かどうか、後日議論することにしますが、そうすると、こういうことが考えられます。  中小企業とかその他、野党も一致してもうそのとおりだと思う問題についてはさておいて、非常に問題になっている、完全に大企業ばかりが優位しているという問題の租税特別措置については、これは答申案のとおり改廃をしていく、その改廃をしていくについては、これは多くが期限が三年ですから、そうすると、三年先までにどういう形でこれをなくしていくかという、段階別に処理していく方向を考えて、それでなくす案を考えまして、税制調査会でも考えるし、国会でも考えてなくする、そういう方向に持っていくのがほんとうだと思いますが、これは大蔵大臣はどう思いますか。
  174. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 政策効果を発揮しておるかどうかという問題は、これはもう絶えず研究しながら流動的に改廃すべきものだ、そういうふうに考えております。
  175. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そこで、いろいろとなくしていくことについてのくふうがその間されるわけですが、一つ問題なのは、多くが三年の期限になっておりますが、税制調査会では二年になっております。そうすると、悪いものはどんどん早くなくしたほうがいいし、利子配当の問題では、大体一千億と私は思う。この間二千億と言ったのは間違いで、一千億だと思いますが、これだけ巨額な金がずいぶんあるのですから、なるべく早く、三年といわず、二年を期限とすべきではないか。二年を三年にしたが、その理由、根拠はどうでございますか。
  176. 塩崎潤

    塩崎政府委員 租税特別措置は種々の形のものがございまして、あるいは二年、あるいは三年、あるいは五年という期限がついております。しかし、新しく設けましたのは大部分二年ということで、そこでもう一ぺん見直す、弾力的な改廃を行なうつもりでございますが、先生の御指摘は、利子配当につきまして三年にしたのは、これは一番大きな特別措置でありながら、なぜ三年にするかというお尋ねではないかと思うのでございます。  この点は、期限切れの特例法案のときにもるる議論がありまして御説明申し上げましたように、五%という非常に大幅な引き上げであり、これは昭和二十八年以来一〇%の税率をずっと維持してきたのでありますが、これを五割上回るというきわめて異常な——異常と申しますか、引き上げ幅の大きい改正でございますので、その効果を見たい、そしてまた、存続あるいは改廃、これを検討する意味で三年にしているというのが第一点でございます。  第二点は、今度は通行税の特別措置までやめまして一〇%に返すことにいたしておりますが、これもやはり七月から施行いたしますように、やはり増税につきましては、いま申し上げましたような見地から、ゆとりを置くという必要があろうかと思います。それは言うなれば、預金者に与えますところの利回り、採算、これをひとつ十分のみ込んでもらう、それには準備期間が必要であろう、こんなようなつもりで三カ月のゆとりを置いております。それからまた、そういった安定いたしました利回りをしばらく続けていく、そういった期間を三年くらい置いておくことが適当ではなかろうか、こういう意味で、この利子配当につきましては三年の期限をお願いしている次第でございます。
  177. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 慎重にという意味に受け取りますが、あまり確実は根拠はないように思うのですが、先ほども、通産省が五年間と言ったのに大蔵省が二年間くらいにしたということもあるから、年限は伸縮自在だと思います。そのように解釈しますが、来年の八月に税制調査会の答申がまたあると思うのです。  税制調査会の答申を背景にしますと、一つは、法人擬制説と実在説、これが入りまじってあっちこっちに書いてあって、結局、結論は、こういうことがあるから、これも片づかない、あれも片づかない、租税特別措置というのはやはり存続せざるを得ないのだという形になるのですね。これは根本的に間違いで、この間参考人を呼んだときに松隈さんも言われておりましたが、大体、法人擬制説というのはもはや成り立たない方向にあるのだ、行き詰まっているのだ、こう申しておられました。まさにそのとおりだと私は思いますし、イギリスやフランスの例から見て、いま、目下検討中だという。そこで税制調査会が来年の八月までかかって、擬制説と実在説の問題についてやや明確な実在説への方向をとってくると思うのです。私の推測ですが、大体そうなるのです。いろいろのものを読んでもそうなると思います。そうした場合には、やはりこの利子配当の問題、ことに配当控除の問題ですね。それからそのほかの租税特別措置について大手術を来年の八月にしなければならぬと思いますが、どうでございましょうか。
  178. 塩崎潤

    塩崎政府委員 法人税の基本的な仕組みにつきましては、たびたび申し上げておりますように、これから深い研究をしなければなりませんし、また、その深い研究の結果が、企業あるいは投資家の中に生きるようなPRをし、納税者に理解してもらわなければならぬと思っております。いっそういった御答申が出るかわかりませんし、また、その内容もいまから予測するわけにいかないわけでございますが、今後の検討に待ち、何回も申し上げておりますように、大きな変換の場合には、与える影響を考えてみなければなりませんので、非常に慎重に取り扱うべきだ、こういうふうに見ております。
  179. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 慎重にというのはわかるのです。わかるのだけれども、悪いものである。しかし、経過措置や何かをやはり考えて、慎重にやっていかなければならぬということだと思うのですね。  そうすると、大蔵大臣にお聞きしますが、つまり、来年の八月に答申案が出た場合、やはりその答申案にいろいろと大蔵省も国会も働きかけて、いい結論を出していただいて、その上に立って、一日も早くいまの法人税体系の混乱——完全に混乱ですよ、この答申案を見ると。混乱と思うかどうか、まず大蔵大臣にお聞きしたい。  もう一つは、やはりこれを早く整理する、八月に答申が出たら整理する、それがお約束できるでしょうか。
  180. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 法人税の根本的な検討ということはなかなかむずかしい問題で、私は、税制調査会からこの問題についての明確な答申を来年いただけるかどうかということについては、まだ自信がございません。しかし、さっきおっしゃられたような方向で解決しようということはいまやっておりますので、答申が出てくるというときには、むろんそれをもとにして、私どもも、税制についての相当大きい変革になろうとも、これは取り組んで解決しなければいかぬというふうに考えております。
  181. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 私も、それで、今後の法人税の混乱とかその他について、非常に明確な見通しができたと思います。  そこで、一番評判の悪い利子配当非課税の問題の次に評判の悪い交際費の問題についてお聞きします。  国税庁長官の泉さんがおられないので、御本人不在のときにいろいろやるというのはよくないけども、これはほめることばで、引き合いに出すわけですから……。  泉長官はこのように申されております。これは中央公論に出しておるのですが、非常にいいことを言っておるのです。「外国では、そういう会社営業上必要な交際接待かどうかはっきりしない限りは、損金に認めないという態度をとっているわけです。」こう言っています。先ほど非常に交際費の問題が議論になりました。国税庁長官もこういう議論を持っておるということで、したがって、ひどい答弁のときでもがまんしたわけですがね。非常にいい答弁だと思う。  それを裏づけるように私はこう思いますが、外国の例がございます。外国の例を私がしゃべるのではなくて、大蔵大臣がお話しになったほうがいいのですが、一応書いてあるのをお話しまして、それで大臣は、大体このとおりであるかどうか、お答え願いたいのです。「英国では輸出取引きを除いては交際費を一切認めず、」——主税局長は必要経費だと言われますが、英国では一切認めず、「贈与も年間千円まで、食料品、煙草、商品券のやりとりもだめ」、そうですね。「年間千円まで」、これは確実な資料じゃないですから、そちらのほうが詳しいでしょう。「西ドイツでは贈与は九千円以下、ヨットやモーターボート等も接待用に使うからという理由で減価償却を認めない。またアメリカでは、三年前の通達で、使用交際費が商売と関係のあることを税務署に立証しなければならなくなり、」これは、先ほどうちの委員がいろいろ総理の答弁を求めたら、総理は答弁を逃げてしまったのですが、やはりこれは当然だと思うのです。領収証や何かもらわないで、それでもってあかしを立てるというのはめちゃくちゃです。「そのためバーやキャバレーにはほとんど行かなくなっている。」——これはちょっと大げさだと思います。アメリカの話ですが、大体諸外国でこういう例があると思うのです。諸外国は非常に進んでおると思うのです。こういう例についてどういうふうに思いますか。
  182. 塩崎潤

    塩崎政府委員 私どもの調べをおそらくそこに出されたと思いますから間違いないと思います。そのほか、なお先生おっしゃられましたが、アメリカでは一人当たり二十五ドルという限度がございます。
  183. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 諸外国のまねをするというのもあれですが、しかし、いいことはやはり例にならわなければいけない。法人等のときは、イギリスの顔がどっちに向くかによって結論が出ないのですから。したがって、諸外国の例がこんなにあるのだったら、交際費はある程度必要経費しかし、ほとんどこれに対してきびしい態度をとるという総理の先ほどの公、社用族——公は除いて社用族のそういう問題があるのだから、したがって、これに対してはきびしい態度をとるという方向については大体意見一致すると思いますが、大蔵大臣、いかかですか。
  184. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 先ほどの質問で、たとえば一件五千円以下というようなことをしたらどうかという御質問でございましたが、金額でそういう制限をするということについては、御承知のように抜け穴があって、それ以前の金額で済むのでも五千円まではいいというようにするとかいうようなことで、抑制するためには適当な措置ではございませんので、性質によって相当きびしい規制をする。たとえばゴルフの入会金を会社が支出するというようなことは交際費として認めないというふうに、性質によって、私どもは相当きびしい規制をしたいという方向でいま検討しております。
  185. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 性質によって、そのとおりだと思います。一件五千円というのは、たとえば遊興飲食のとき、一人当たり五千円とか、一回やったのが五千円とかいうことですね。一人当たり五千円なんて、とんでもない話です。それは三億円交際費を持っている会社は一ぱいあるのだから、ワクを持っている。やるかもわかりませんが、これが悪の根源だというのだから、道徳を悪くするのだから、したがって、一人当たり五千円まで、もしくは一回、そういうことをやったときに公給領収証がくるわけですから、そのときに五千円以上は認めない。だって、一ばい抜け穴というものはあるでしょう。ほかにだってあるでしょう。理由は幾らでもあがりますよ。だから、そのくらいのことはやればどうかということです。どうでしょう、大蔵大臣。
  186. 塩崎潤

    塩崎政府委員 これは非常に技術的な税務上の規制の問題でございますので、私からお答え申し上げます。  いま大臣は、そういった抜け穴が多い方法よりも、明確な基準で規制するほうがよい、こういうお話を申し上げましたが、それから考えてみますと、一人当たり幾らというようなことは、先般も申し上げましたように、どうも人数の水増しとか、あるいはいろいろな方法で抜けられる、そういったときに、税務官庁と納税者との間の争い、さらにまた、税務官庁もいつも疑いの目でもって見るというようなことは、少し外国と違いまして、日本の土壌には向かないものだ、そういったことは、納税者の自覚あるいは総額で規制していく今度の総額規制の方式のほうが、そういった交際費規制の皆さん方の御要望にこたえる趣旨ではないか、かように思うわけでございます。しかし、ゴルフの入会金のように、名義もはっきりし、だれに帰属したということがはっきりしたものは、これはまさしくそんなに抜け穴がないわけでございますから、こういったところからひとつ規制していこう、そして、外国の例は確かに貴重な例でございますけれども、そこは、外国の税務行政の環境とわが国の税務行政の環境とは相当違っておるように見受けられますので、今回は、御提案申し上げておりますような総額規制の方式で、できる限り遊興飲食に向かうような費用を少なくする、そして、少なくした費用に恩典を与えるような形で交際費の節減をはかっていくほうが、より適当ではないかというように考えております。
  187. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 交際費の問題は非常に前進しておりますが、いまの主税局長のお考えは、合理的な主税局長のいままでのお考えとちょっと違っていると思うのですよ。それは、つまり日本的ということなんですね。それは、上原正吉さんさえそのときの座談会で、そんなに交際費を認めた商売というものは本ものの商売ではないと言っておるのです。外国はこれで十分やっているわけなんです。イギリスでもどこでも。つまり、その場合の日本的ということは、前近代的なんです。前近代的なものを残しておくから一そのようなわけで、五千三百億でしょう。これがそのほかの措置によって、たとえば企業のほかのほうに使われれば、非常な大きな企業の体質改善になるはずなんです。したがって、日本的ということは今後お考えにならないで、やはり近代的に企業というものを——経済の問題はスマートにいかなければならないと思うのです。したがって、いま言われた総額そのほかの問題は、今後いろいろ技術問題として議論しますが、私はそれほど違いはないと思うのです。したがって、きびしくこれをやるということ、これは大体意見が一致したわけなんです。  そこでお聞きしますが、いまの四百万円プラス資本金等の千分の二・五ですね。それから出てきたあれに二分の一をやるという損金に認めない方式、これはやはり一種の非常に甘い——最高限度というものが、たとえば、そこまで使わないと損というか、どうせ税金に取られてしまうんだからということで、これはいろいろな資本別の交際費のあれがありますが、資本別の中で奨励するようなところがあるんじゃないか。資本金の階級別の交際費というのをお調べになったことはありますか。
  188. 塩崎潤

    塩崎政府委員 税務統計にもすでに発表されておりまして、私ども、資本金階級別に損金不算入額の割合がどうなっているかというような数字は持っておりますし、御必要ならば資料として提出してもよろしゅうございます。
  189. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 大臣は御多用であると思いますから、結論を早く言いますと、こういうことだと思うのです。つまり、限度以上にいたしかたなく使って税金をかけられるところと、限度目一ぱいまで使ってなくて、何とかして早くこれを使ってしまって損金算入にしておいたほうがいいという  ことでいる会社と、二つあると思うのです。だから、一がいに言えないにしても、資本階層別に見ると、交際費の限度目一ぱい使っていないところも出てきている。こういうところはどんどんと交際費を使ってしまう。むしろ税金がキャバレー遊びを奨励しているようなものだというようなことがいわれております。したがって、このやり方は早く変えなきゃならぬ。一回やってみて、来年くらいに変えていかなければならぬ問題だと思うが、大蔵大臣どうでしょう。
  190. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 早く限度まで使わなければ損だということにならないように、これを倹約したら、した恩典があるんだということを今度きめて、一歩改善をするということをやったわけでございますので、この結果をやはり一年、二年見てから、それによってまだ欠陥があるということでしたら、さらに改善をするということで、一ぺん今度の改正によって少し結果を見たいような気がします。
  191. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 結果を見るんだったら、一年くらいで十分だと思うのですよ。  それで、問題はこういうことだと思います。五百万円の資本金の会社が百三十三万円、それから百億円ぐらいだと三億七千万円という、一率の算定方式だとそうなるのですが、これもずいぶん開きがあると思いますが、どうでしょう。
  192. 塩崎潤

    塩崎政府委員 御案内のように、交際費は事業経費と関連いたしますが、やはり事業規模との関係があると思います。過去には売り上げ金と結びつけまして一つ基準をつくっておりましたが、これが非常に混乱して税務上トラブルがあった、そこで、四百万円という絶対額だけでいくということも無理だ、何らかの形で損金算入の限度を設ける必要があろうかと思うのでありますが、そのときとりましたのが資本金でございます。したがいまして、資本金の大きいものにつきましては、相当な限度がくるわけでございます。これは一つ事業経費という性格から見てやむを得ない基準だ、こういうふうにお考えになっていただきたいのが第一でございます。  第二は、そうはいいましても、大体資本金の上へいけばいくほど否認割合が大きいのは、おそらく広沢先生数字を持って、御存じの上で私に質問されておると思うのでございます。ただ、いま申されました、百億円をこしますと、いまの資本金基準が少し働いておりますので否認割合は落ちてまいりますが、全体として見ますと、上にいけばいくほど否認割合が高くなる、ただ百億円のところで落ちていく、そして中小企業のほうはほとんど否認割合は少ないという結果が出ております。
  193. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 いま否認割合の問題が出ましたけれども、おそらくそういうことで一律的な答弁になると思うのですが、庶民の実感でいうと、一体三億七千万円の交際費なんというものはどうやって使うんだろうということになると思うのです。それで交際費の中身が今度問題になる。  その問題に入る前に大蔵大臣にお伺いしたいのですが、大蔵大臣がいま言われたことは、交際費というのは、悪いというか、必要悪である、なるべく早くこれはなくしていかなければならぬ、そのために、今度の場合に、ある一定程度節約すれば、これは減税の対象になるという形で、だんだん減らしていく、こういうふうに言われました。そうすると、目標はなくすこと、だんだんとそういう特権は取っていくんだということに変わりはないと思うのです。そうですね、大蔵大臣。
  194. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 交際費は、結局企業の一部必要経費でございますので、取っていくといっても限度がある。その必要の経費で許されておる交際費が、いま直接営業と関係のないような私的な消費にいろいろ使われておるということが、さっきの総理の答弁のように、目に余るものがあったりして問題になってきておるということでございますから、そういうものをなくして、ほんとうに企業の必要経費として認められる交際費、合理的な交際費までにそれが圧縮されることが望ましいことだというふうに考えております。
  195. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 交際費のワクに入ると、たいへんな議論になってくると思いますが、ここに一つ資料があるから、大蔵大臣に考えていただきたいと思うのです。  もちろん大蔵大臣も御承知だと思いますが、従業員慰安のための運動会、演芸会、旅行等の費用は交際費には入らない。それからカレンダー、手帳その他の贈呈費用は入らない。それから会議における茶菓、弁当等、これも入らない。酒を飲むと交際費になる。それから新聞、雑誌等の出版物、その他放送番組を編集するための座談会なんかは費用には入らない。海外取引のためのバイヤー等の国内における旅行及び宿泊のための費用、これは今度あれになりましたが、こういうように、まじめな費用は交際費に入らない。入るのは、先ほど総理が言われたように、二次会、三次会の費用、それからおみやげをお客さんに持たせる、それからお中元や贈答品——さっきのあれじゃないですよ。もっとすごいやつです。それから相撲とかゴルフその他いろいろ出てくると、世の中で悪いといわれるものほど、大体これが交際費の内容になっております。したがって、総理も社用族の交際費はいけないと言われておるのですから、これはなくすほうがほんとうだと思う。  そこで、大蔵大臣がいま言われました、だんだんなくすためにこういう措置をやったんだ、この一つの努力は認めます。しかし、世の中は、これはきわめてもう甘いものである。もうこんなものでは追っつかない。こんなに悪い中でもって、これだけ努力しても全然追っつかないですよ。そういうことで、もっと大きく前進しなさい、こういうのが圧倒的世論であります。総理を含めた圧倒的世論だと思うのですよ。したがって、この際は勇断をふるって、この一年、二年の経過措置のあとでどういうようにやっていくかということ、これについて大蔵大臣の御見解を承りたい。
  196. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は、交際費が多く使われることをさっきおっしゃいましたが、やはりいまの税制との関係もあるんだと思います。いま、たとえば運動会の費用とか言われていましたが、これは会社の厚生費というようなことで、別個に必要経費として認められている。交際費の中ではこれは認められないというだけで、そういう必要経費は認められておりますが、しかし、一定の利益を出すと税金を取られる。税を計算して、企業全体に浪費というものが行なわれているということは事実でございますので、こういう点と、税制のあり方とも関係しながら、この二年実施して、交際費の減りぐあいを見て、やはり税制との関係から、次にこれを改正するときには、交際費だけの問題として考えない措置が必要ではないかというような気がいたします。
  197. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 経過を見て、どのくらい節約をしたかでもって判断されてはいけないと思うのです。今度の場合に、私が申しましたのは、これは一万分の一ぐらいの効果しかない。進歩は進歩、したがって、それによって節約したものがあっても、それを判断して今後どういうふうにするかというのではなくて、大英断をもって——イギリスがやっているんですが、イギリスはほとんど認めないんだそうですね。したがって、イギリスがやっていることだから、やはり資本主義国のわが国も同じで、やるべきだと思う。だから、一歩前進してこれをおやりになる。  で、一ぱい書いてありますが、寄付金と交際費の区分、それから値引き、割り戻しと交際費の区分、広告宣伝費と交際費の区分、福利厚生費と交際費の区分、給与と交際費の区分、会議費と交際費の区分、あげたらずうっと幾らでもある。交際費が必要といっても、ほんとうに小さな必要でありまして、あとは要らない。  したがって、今度の場合に、この改正案による効果でなくて、ぜひ抜本的に、積極的にされたらどうですか。これは道徳的に非常に大きな問題です。これは抜本的なことをおやりになると、自民党政府の名声が非常に高くなるんです。非常に高くなると思うのですが、どうでしょう。
  198. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申しましたように、やはり法人税というものを検討することにしておりますが、法人税検討の過程においてこういうものを研究されることが、私は合理的だと思います。さっき言いましたように、税制いかんによりましては、こういう冗費を使ったら逆に損だ、利益をもっと出したほうが得で、冗費を節約したほうが得だという方向への税制が研究されるなら、これはもう、こちらが言わなくても、こういうものはなくなるということも考えられますし、法人税の検討のときとあわせて、そういう点についてのくふうをいろいろ考えたいというふうに考えております。
  199. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうしますと、ちょっとお聞きしたいのですが、四百万円プラス資本金等の千分の二・五の問題ですが、これはどういう基準でおきめになったのですか。もっと高い基準にきめたって、何ら差しつかえないでしょう。それはどういう基準できめたんでしょう。
  200. 塩崎潤

    塩崎政府委員 たいていの税制の仕組みのように、多分に沿革的なものでございます。  昭和二十九年から交際費の制限が始まりましたときにいろいろな基準がございまして、混乱に混乱を重ねたわけでございます。そこで、昭和三十六年にそれを非常に簡素化したわけでございますが、そのときの一つで、まことに簡単な基準といたしまして、中小企業法には適用しないという一つの線を引く、それが四百万円でございます。それから、その当時基準が二つございましたが、基準年度基準、さらにまた売り上げ基準というのがございましたが、その二つの基準を織り込む意味におきまして——これは企業規模ということに関連いたしますが、その基準を織り込む意味におきまして、資本金の千分の二・五、当時の交際費によってあげておる税額を大体一定するという見地を含めましてきめましたのがいまの制度でございまして、多分に沿革的なものを含んでおります。
  201. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 多分に沿革的なものだと私も思います。科学的な基準というのはないんじゃないかと思うのですね。沿革的な基準というのは、やはりいろいろな基準があるということは、これは、そのときの政治判断によって、ずばりと高くするということも可能なんですね。条件によっては可能だと思うのです。主税局長、うんと言われておりましたから、一応可能だということにとっておきます。  そうすると、いま大蔵大臣が言われましたが、全体の方向としては、これは来年の八月までの税制調査会の答申案の中にも大きく入れるようにこの問題を討論して、国会なんかの意見についても入れるように努力したい、それは非常にいいことになると思うのですが、その点で、大蔵大臣にかわって今度は小沢さん、責任を持って、交際費を大英断で一年か二年でほとんどなくしていく、そういうことについての熱意ある御答弁をひとつお聞きしたいと思います。
  202. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 御承知のとおり、二年後にまた今回の改正の期限が切れるわけでございます。したがって、二年後には再検討をさしていただきたいと思っております。  いろいろ御議論はございますが、ほうっておけば当然損金算入をされるわけでございますので、したがいまして、私どもは、国会その他各般の層からの御意見をいろいろ承りました結果、できるだけ合理化もしたいという気持らから、今回の改正案を御提出申し上げたわけであります。これでひとつやらしていただきまして、二年後にまた期限が参りましたら、そのときにまたよく実態を把握いたしまして、検討した上で、私ども考え方について国会の御意思を問うようにさしていただきたいと思っております。
  203. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 先ほどまでの議論では、来年の八月に再度税制調査会の答申案が出るということですね。その際に、法人税体系の混乱の原因になっている法人擬制説と実在説、これはなるべく早く片づけなければならぬ。いつまでたったって、これはそういうふうになったら延びるばかりですから。それに応じて、大蔵大臣が言われました法人税の整理と勘案して、交際費の問題について抜本的にいろいろ考える、たぶんこう言ったと思うのですがね。そうすると、来年の税制調査会の八月答申のときに、そういう問題を含めて真剣に討論して——そうすると、来年の八月というと、ほぼまる一年ですね。そのときから準備をして、それで二年の期限前に、こういう問題についてきちっとした——ことに、交際費と、それから先ほどいった配当利子の非課税の問題、この問題については、これは一、二年、できれば一年半、二年以内に明確な結論をつけて、期限到来内にわれわれはこれを明確に結論をつける、いい方向に持っていく、私どもから言わせれば、なくしていくということにしていただきたいと思うのです。そうすれば、国民の税金に対する信頼感、納税に対する信頼感が一段と上がるし、国税庁長官も非常に助かるだろうし、そういう意味で、一年か二年の間の問題として、この大蔵委員会で十分今後も討論する。もう期限があと三年だから、そのときに議論しましょう、今度はあまり議論しないで、これはずっとあとにしましょうなんてことを言わないで、真剣に今度の国会、次の国会で、来年の税制調査会の結論を待って十分片をつけたい。これは私の要望です。小沢さんの御意見を……。
  204. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 おっしゃるように、この委員会におきまして、非常に大きな法人税の関係の基本的な議論として、法人擬制説をとるか、あるいは実在説でいくのかというようなことにつきまして議論のありましたことは、私もよく承知をいたしております。また、税制調査会においても、この根本問題についての検討を急いでおるわけでございまして、また交際費は、先ほど言いましたように、二年間の期限として私ども考えておるわけでございます。税制調査会では来年の八月というお話がございますが、おそらく秋まではかかるのじゃなかろうかと思います。ちょうど期限が切れたときに検討するのではなくて、もちろんその検討を待ちまして、私ども真剣に取り組んでいくつもりでございます。  ただ、配当利子等の特例の問題につきましては三年間ということでお願いをいたしておるわけでございますが、これは先生もおっしゃいますように、法人税のあり方に非常に関連があります。実在説をとるか、擬制説をとるか、それがいわゆる所得のほうでとるような形になるのか、いろいろなことに関連がございますので、当然この利子、配当につきましても、調査会のその基本的な問題をめぐる御意見が出ました暁におきましては、もちろん、三年について、たとえもう一年あるからというようなことでこれの検討を見送るというような考え方はございませんで、そうした基本的な考え方について、いろいろ調査会の明確な答申が出ますならば、それとの関連において私どもさらに検討するというつもりでございます。
  205. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それでけっこうなんですが、さらにもう一つ要望しておくことは、税制調査会というのは与野党のいろいろの意見——真剣に年がら年じゅう議論しているのは、税制調査会よりも与野党の大蔵委員会の真剣なやりとりのほうが、やはりずっといい進歩的な意見もあると思うのですよ、いろいろ与野党一致して。そういう場合には、税制調査会に働きかけて、与野党の意見としてこういう意見がある、こういう意見があるということについてきつく申し入れる。これは国会の権威を高めるものだと思いますし、何も権限逸脱ではないと思うのです。したがいまして、こういうことについて直ちに税制調査会の審議に——答申が出てからあわててみるのじゃなくて、その審議経過はどうだということで一々刺激をする、そうして初めていい税体系ができると思いますから、それについてもお約束を願いたいと思います。
  206. 小沢辰男

    ○小沢政府委員 従来も、私どもは国会の議論を整理いたしまして、その御意見は税制調査会にも克明に報告をいたしてございます。今後ももちろんそういう態度でいきたいと思います。  それからなお審議経過につきましても、これは私はまだ十カ月くらいしか経験いたしませんが、いままではこの委員会に、御質問に応じまして審議経過については報告を申し上げているところでございます。
  207. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 お願いします。  以上で終わります。
  208. 内田常雄

    内田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、明二十五日、午前十時、理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会