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只松委員 まあ、一会社としてはそういうことも言えるかと思うのですが、私は、時間がありませんからいろいろ
説明はいたしておりませんが、たとえば膨大化、複雑化というのは一会社だけではなくて、その系列会社というのがたくさんできておりますね。系列会社に、たとえば
中小企業ですと、私がいま相談にこられておるのもそうですが、
一つの会社でほかに融資をしておったというような——その融資もあまりいい方法じゃないのですが、それが
税務署にばれた。これは大会社に至っては私は山ほどあると思うのですし、私が知っておる
相当程度の会社ですけれ
ども、やはりそういうことをやっておりますね。これはどっちも普通の製造会社ですが、そうでない、私がときどき引例いたしますように、この前も東京ガスの問題をちょっと話しました。結局、東京ガスが不動産会社をつくる。ゴルフ場はどこのものか知りませんが、おそらくその不動産会社がゴルフ場をつくっておるのじゃないかと
思いますが、公益事業を行なう会社がゴルフ場をつくっておる。あるいは生命保険会社などが、その会社としては変な経理ができないので、やはり土地会社をつくったりしておる。ほとんどの会社が土地会社をつくっておりますね。そしていろいろなことをやっておる。
十万円の土地を五万円にすれば多少わかりますけれ
ども、六万円、七万円、八万円にすると、これはごまかしがつくわけです。したがって、この生命保険会社としてはいろんな資金の操作ができないけれ
ども、土地会社においてはそういうことがすぐ操作ができる。また現にしておる。そういうものが会社重役のマンションや何かに一千万円、二千万円の費用を出してめかけを囲う、こういう費用に転じていく。そうでないと、いかに大会社といえ
ども、三十万円や五十万円の俸給だけではああいうマンションは買い切れないのですよ。ああいうところを調べてみると、野球の選手とか女優とかいうものはのけて、大体そういう例が多いのです。これは都会に咲いた悪の花の一例ですけれ
ども、そういう枝葉ではなくて、そういう大会社の経理
内容というものは非常に複雑化しておるのです。自分の会社はあれだけれ
ども、銀行から第二会社なり第三会社なりに借りさせて、その利潤はとって、自分の金は無記名の定期預金に入れるというような形でいろいろなことをやっておるわけですね。証券
関係のほうから、傍系会社の資産の一覧表というのもいま問題になっておりますけれ
ども、私は、こういうふうに複雑化したり膨大化してきた場合には、国税庁も、
税制の面からもそういう傍系会社なり関連会社の一貫した調査というものを行なわないことには、一社だけとっていっても——税法上なかなかむずかしいところだろうと
思いますけれ
ども、しかし、完全にそういう大会社の収益を捕捉しよう、したがって
課税を正しく行なおうとするならば、私はそこまでのことをやらなければなかなかできぬと思う。大きな会社へ行けば税理士さんを何人も雇っておりますし、公認会計士も雇っておりますし、あなた方が行けばおとなの話をして、わかりましたということで、商店のようにきゃあきゃあ、かみついたり何かするわけではない。そしてサロンでゆっくり話をして、わかりましたということにしていく、そうすると、話は大体ついたということになる。
しかし、いま言いますように、第二会社、第三会社をつくったり、そういうようなことをいろいろやっておる。あるいは、私がある会社に行って、ここの工場長さんいないか、こう聞いたら、この人はいません。守衛さんがぺらぺらめくるのを見たら、何百という
関係会社があるのですね。それはもちろん超一流の会社ですから傍系会社はある。いや、ここにありました、いまはここの工場長ですよとこういうことで、結局、ある傍系会社の工場長になっておる。会社の名前は全然違うのですけれ
ども、同じ会社の傍系会社をぐるぐる回っているのですね。人事までそういうことをやっているぐらいですから、そういう収益の
関係なんかもほとんど一体化しているようなものもあります。だから、こういう複雑化、膨大化というのは、一社だけの問題ではなくて、特にいま会社合併をあなた方
促進させようとなさっていらっしゃいますけれ
ども、完全に一本の会社になる場合もあれば、そうでなくて、重役も何人か残したりして、第二会社をつくったりいろいろしておりまして、そういうものの捕捉というものはなかなか容易ではないと思うのですね。これを昔のままの
税務行政なり、昔のままの
税務官僚の感覚でそういうものを調べようと思っても無理だと思う。
アメリカあたりにおいては
相当そういう面の調査研究が行なわれておるようですから、どういうふうにして海外派遣なんかなさっておるか知りませんけれ
ども、そういう面の
税務行政の外国における研修その他だったら、自衛隊あたりがアメリカにミサイルの一個小隊も一個大隊も実地訓練に行く、そういうばかなことをやめて、十人でも二十人でも何十人でも
税務署の人をアメリカでもあるいは英国にでも連れていってマスターしたらいいだろう。そういう面の
税務行政の
近代化、こういうものをはかっていかないことには、いまの複雑化したり膨大化していくこの
社会情勢に
税務行政が立ちおくれてついていけない。結局
中小企業者だけをいじめている。これは昔の感覚、昔の技術でいきますから、そば屋のそばの仕入れからしょうゆの仕入れから何から、ずっと調べさえすればぱっといきますよ。薬屋でも、昔の、間口が
幾らあるか、店の坪数が
幾らある、店員を何人使っている、そうすると、大体君は
幾ら出してこい。
さっきの
秘密標準
規定じゃないけれ
ども、
秘密じゃなくて、
課税する場合にはある程度明らかにして、浦和あたりでも、薬局に対して全部出してきなさいといって、いま修正
申告をだあっとやっていますね。やっているでしょう。そういう形で
中小企業や商店あたりにはやっている。それで薬屋が一億円脱税した——修正ですから脱税には取り扱わないと
思いますけれ
ども、バナナ屋が
幾ら脱税した、こうやって、だあっとやられるわけですね。しかし、これは大会社から見たら、額にすればスズメの涙みたいなものだとぼくは思う。こういうことはいいことじゃないけれ
ども、そういうことじゃなくて、もっと根本的に、日本の経済そのものが高度経済発展をしてきて独占化をしたというときには、
税務行政というものもそれに対応していかなきゃならぬ。私は大蔵
委員会に三年有余おるわけですけれ
ども、そういう面ではほとんど対応しないで、私が電子
計算機のやつを持ってきて、木村さん、これわかるかと言ったら、たぶん電子
計算機のものでしょうというぐらいな話だった。その後電子
計算機の読めるのが何人かできたようでございますけれ
ども、操作技術なり何なりがどの程度進んでいるか知りませんが、日本では電子
計算機でやっているのが大幅に二百社をこえているわけですね。そういうものを、昔のままの
税務官では、そば屋や薬屋はいじめることはできても大会社の調査はできない。だから、そういうふうにもっと
近代化に対応すべきだと思うのです。そういう点に対する努力を現在までどういうふうになさっておりますか、あるいは今後なさるおつもりですかを聞いておきたいと
思います。