○永末
委員 私は、ただいま議題となっております
租税特別措置に関する
期限を変更するための
法律案に、民主社会党を代表いたしまして、反対をいたします。
そもそも、この
法律案の中身はいろいろと含まれております。しかし、その中には、
理由のあるものも私
どもはあろうと思う。しかし、特にこれらとからませつつ
利子、
配当の軽減措置を含めておるこの一点について、われわれは断固として反対をいたすものであります。
すなわち、
利子、
配当の軽減措置は、すでにその当初設けられた目的を喪失し、しかもまた、わが国の
税制体系にきわめて異常な混乱を来たしておるからであります。
第一に、これが設けられました第一の
理由は資本蓄積のためという
理由でございましたが、本
委員会の審議を通じて、それでは、はたしてこの
特別措置が貯蓄と関係があるか、あるいはまた、資本蓄積、あるいはそれを象徴的に示す株価との関係があるかということを審査してまいりましたが、いずれともこれは関係がないと私
どもは判定をいたしました。したがって、これが設けられました資本蓄積のためというにしきの御旗は、いまやどろにまみれたものとなったと考えます。
第二に、この
特別措置を存続せしめることは、高額所得者に合法的な脱税のチャンスを認めることになることであります。すなわち、今回の審議に際しましても、たとえば
配当につきましてこの新しい措置がとられました
昭和四十年度以降の傾向を見ましても、
源泉選択をとったもの、あるいはまた申告不要分になったもの等をとりましても、人員また課税所得、それぞれ激減をいたしております。その
金額はおおよそ五百億円になんなんとしておるのであります。これはすなわち、その分だけ取るべかりし
租税をわが
政府は取らなかった、こういうことでございまして、この点だけ、私
どもはこの
配当なり
利子なりの所得者分布が低額所得者よりは高額所得者に大きく分布されている実情から考えまして、高額所得者に合法的な脱税のチャンスを与えるものと断ぜざるを得ません。
さらに、このようなことを認めますと、ただ単に
所得税のみならず、相続税等、他税の面におきましても取るべかりし
租税を取らない、こういう門戸を開くものであって、これらの点につきまして、私
どもは、たとえ二カ月でございましょうとも、変わるものはこの際
廃止をして、これを延期すべからざるものと考えます。
さらに重要なのは、わが国
政府が一貫してとってまいりました累進課税の体制、これを乱している事実であります。これは先ほどの法案の討論にもございましたように、累進課
税率は、
自民党も所得再分配の機能を通して
国民の経済社会に対する
政府の機能をうまくやっていくものだ、こういう意見を
自民党も持っておられるようであります。ところが、これがくずれておるのでございます。すなわち、たとえば、納税人員にいたしましても僅々八千人
程度の人のために、さらにまた、これらの人のために、その
税率におきましてはいまの場合約一〇%
程度、
配当におきましてはもう少し上がるのでございますけれ
ども、その
程度で、高額所得者の
税率を、いわばこの一点において、総合所得であれば課せられるであろう高度累進率から引きおろして、きわめて優遇したやり方をとっております。これらの点は、われわれとして断じて見のがし得ないものであります。
このような状態が、はたしてわが国の租
税体系に好ましい影響を与えているかと考えますと、断じて与えてはおりません。
これらの点について、われわれ当
委員会における
質問に対して、税務当局は苦渋に満ちた面持ちで説明をされました。その面持ちを察しても、この
特別措置がどこから一体発せられたかということを考えまするときに、私は、日本の政治の体質そのものが、この
一つの
特別措置に集中的に表現せられていると断ぜざるを得ません。
このようなことであればこそ、
国民は日本の
税制全体系に対して不信の念を持ち、さらにまた、税務職員の士気にも重大な影響を及ぼすものがあると考えます。
これらの諸点よりいたしまして、わが民社党は、かかる
期限を延長する法案は、百害あって一利なし、断固として反対いたすものであります。