運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-03-20 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十日(月曜日)     午後四時開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 藤井 勝志君 理事 三池  信君    理事 毛利 松平君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 武藤 山治君       大村 襄治君    鯨岡 兵輔君       小峯 柳多君    河野 洋平君       永田 亮一君    西岡 武夫君       村上信二郎君    山中 貞則君       渡辺美智雄君    阿部 助哉君       只松 祐治君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    柳田 秀一君       竹本 孫一君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         国 務 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 松平 勇雄君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 島田  豊君         経済企画庁調整         局長      宮沢 鉄蔵君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次         長       岩尾  一君         大蔵省主計局次         長       武藤謙二郎君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省理財局長 中尾 博之君         大蔵省証券局長 加治木俊道君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         国税庁長官   泉 美之松君         食糧庁長官   大口 駿一君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 三月二十日  委員西岡武夫辞任につき、その補欠として江  崎真澄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員江崎真澄辞任につき、その補欠として西  岡武夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税の源  泉徴収臨時特例に関する法律案内閣提出第  一号)  財政金融基本施策      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  まず、昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税源泉徴収臨時特例に関する法律案議題といたします。
  3. 内田常雄

    内田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。水田大蔵大臣
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税源泉徴収臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における国民負担状況及び経済情勢の推移を勘案し、国民生活の安定と企業体質強化等をはかることを目的として、昭和四十二年度の税制改正において所得税減税中心としつつ国税において平年度千五百億円余の減税を行ないたいと考えております。これらの税制改正のための諸法案につきましては、今国会において逐次御審議をお願いいたすわけでございますが、このうち、国民の期待の大きい所得税減税につきましては、これに関連する法律が施行されるまでの間に支給される給与所得及び退職所得に対しその内容をすみやかに及ぼすことが適当であると考え、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。  以下、この法律案内容について、その大要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和四十二年四月一日から同年五月三十一日までの間に支給される給与所得及び退職所得につきまして、別途所得税法改正法案改正を予定いたしております基礎控除等各種控除の引き上げを基礎として計算した源泉徴収税額表により所得税源泉徴収を行なうこととしております。すなわち、この源泉徴収税額表による税額は、基礎控除を一万円、配偶者控除を二万円、扶養控除を一万円、給与所得控除定額控除及び最高限度額を四万円それぞれ引き上げ、また、現在勤続年数一年につき一律五万円となっている退職所得特別控除をその年数が長くなるに応じて五万円ないし三十万円に引き上げること等をもととして算出されております。  以上、昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税源泉徴収臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し述べましたが、何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  5. 内田常雄

    内田委員長 本案に対する質疑次会に譲ります。      ――――◇―――――
  6. 内田常雄

    内田委員長 前会に引き続き、財政金融基本施策についての質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。只松祐治君。
  7. 只松祐治

    只松委員 大臣は本会議並びに本委員会におきましていろいろ所信をお述べになりました。前回福田さんが大臣になっておったわけですが、福田さんのときは、おとといいろいろ同僚が質問をいたしましたように、終始、いわゆる低圧型の経済情勢である、それはここ二、三年くらい続きますということをお述べになっている。いまその大蔵大臣自民党与党幹事長であります。おそらく福田さんの心境あるいは経済に対する見通しというのは、幹事長をおやりになっておっても変わっておらないと思います。ところが、大臣の本委員会並びに本会議における演説の要旨を見ますと、これは福田さんと違って、たいへん強気でございます。  たとえば、本委員会においてお話しになった中で「昨年中の急速な拡大に引き続いて、本年に入ってからも高水準の成長を持続しており、その基調には根強いものがあると認められます。」、あるいはまた、本会議説明の中で「企業自己金融力が格段に増大している現状にかんがみ、」、こういうどこか一つをとりましても非常に強気のお話をなさっているわけです。同じく自民党幹事長、同じく自民党大蔵大臣として、あなたは、自分の考えが正しい、こういうことをおっしゃるかと思いますけれども政府与党というきわめて密接な関係にある、しかも、財政責任者として、いずれをおとりになるのか、ひとつお聞きをしたい。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 御質問経済見通しの問題ではないかと考えますが、昭和四十年という年は非常な不況でございましたので、このあとを受けて、この不況を克服しよう、どうしたらいいかということでその衝に当たった前大臣が、当時において、まだこの不況は相当続く、一年ぐらいの対策ですぐにこれが克服される状態ではないというふうに考えられたのは、私は無理ないと思います。  ところが、御承知のような事情で、去年の後半期から経済は相当変わってまいりまして、不況が大体克服されたというよりは、新しい経済成長が始まっているのじゃないかと思われるような様相を呈してきている。経済指標、いろいろなところにあらわれますことを見ましても、経済拡大テンポは相当私どもが想像したより早いものがあるという状況に現在なっておるという判断は、大体私は間違いないのじゃないかと思っています。ですから、当時の予想よりも、この回復成長過程は非常に早目に起こっておるということは、これは事実でございまして、それを私どもは率直に認めて、経済基調は強いということを申している。それだけのことだと思います。
  9. 只松祐治

    只松委員 自由主義経済をおとりになっている自民党は、極端に言えば自由放任経済ですから、これはネコの目のようにくるくる変わってと言ってもしかたがないと思います。近代的な資本主義経済では、相当の統計資料やなんかもあるわけですから、そんなに、いかに自由主義経済といえども見通しが狂ったり、経済変動がくるくる変わる、こういうことはあり得ないわけなんです。去年の暮れまでは、とにかく福田さんが大臣をしておられて、たいへん不況不況だ、だから企業減税をやる、公債を発行する、――あと質問いたしますけれども、いろいろなことをおっしゃったし、おやりになったわけですね。ところが、わずか半年もたたない、何カ月かたてば、くるっと変わって、手のひらを返したように、今度は景気がよくなって、あと宮澤さんにお聞きしようと思うけれども過熱さえも心配しなければならない、こういうことになる。でたらめも私はひどいのじゃないかと思うのですね。日本国民は、上に従えというわけで、政府の言うことなり与党の言うことを聞いておりますけれども、少なくとも当面日本政治を指導していく、あるいは経済を指導していかれる与党あるいは政府として、去年の暮れまでは、とにかく不景気だ不景気だというわけで、企業減税や何かとあらゆる手をお打ちになった。社会党は反対したけれども、しかしそれは強引に突破された。ところが、ことしになって、大臣が変わったから、人が変わったからというので、景気がよくなって、しかも、暫定的でなくて、基本的によくなってきた、金融能力さえもこれは余力が生じてきた、こういう強気のようですね。これはまあよくなったほうですから、だからあなたはうそぶいておられるけれども、もし逆に、去年がいいんだいいんだと言っておいて、がぶっと悪くなったということであればどうです。水田さんもこれはおやめにならなければならない。責任問題でしょう。よくなったほうですから、だから、そういうことで済ますといいますか、見通しが違っておったのだ、誤っておったのだ、これで済むかもしれない。逆に悪くなっておったのでは、あなた首ですよ。就任早々失礼だけれども、これはやめてもらわなければならない。このくらいの問題でしょう。だから、幾ら自由主義経済といえども、そういうようにあまりくるくる変わるようなことは、私は、財界その他日本国民にはかり知れない影響を及ぼしておる、こういうことだと思う。したがって、いろいろな国債や何か誤った方針がここに打ち出されてきておるわけです。  それでは、私はこういうことを本論できょう聞こうと思いませんし、そういうことは堀さんや平林さんがだいぶやりましたから、私はただそれを聞いておってもどうしても納得がいきませんから初めにちょっとだけ聞いておくのですけれども、新大臣として、どうしてよくなったかという基本的な――あとでまた宮澤さんや何かにも聞こうと思いますけれども水田さんとして、どうしてそんなによくなったと考えられるか。去年の暮れまでは不景気だと言っておった。しかも、福田さんは、二、三年は低圧型の経済というものは日本では続いていく、こう繰り返しおっしゃっておったのが、こんなによくなったそのおもなる原因、それからまた、年じゅう変わられたのでは国民は迷惑いたしますから、一体こういう景気というものがいつまで続くか、こういうふうな点について大蔵大臣としていかなるお考えをお持ちになっておるか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 どうしてよくなったかということでございますが、これはやはり不況に対するいろいろな財政金融政策が一応功を奏したものというふうに私は考えております。と同時に、おととい御質問にも答えましたが、私はやはり、日本経済の幅といいますか、厚みといいますか、まだまだやはりそう深いものではない、非常に脆弱なものを持っておるのじゃないかという気がいたします。少しの対策、少しの施策によってやはり経済が相当変わるということは、これはやはり経済の深さの問題にも関係しているのじゃないかと思います。したがって、こういう状態になってきたら、これに対処する策というようなものも、これは慎重に、ほんとうに機動的に、その情勢情勢を見そこなわないで手を打つ必要が少なくとも日本経済にはある、私はそういうふうに感じる次第であります。
  11. 只松祐治

    只松委員 だから、そういうことでよくなったとするならば、今後こういう経済状況というものはいつまで続くか、もっともっと好況というものが続いていくのか、あるいはこういう程度上昇過程をたどっていくのか、大臣日本経済に対する見通しについて、本年内、できれば来年――来年大臣をおやめになることはないと思いますから、おやめになるなら別ですけれども、おやめになっても、自民党が政権を担当されるわけですから、ひとつ、大臣として今後の見通しをお述べいただきたい。こんなにくるくる見方を変えられたのでは国民は迷惑いたします。特に、私は時間がないからそういう意味の論争をしないわけですけれども、よくなったとおっしゃるのは大企業だけで、中小企業以下の倒産というものはまだまだ高水準を続けておるわけです。勤労者所得というものは物価に対してよくなっておるわけではない。あなたたちがよくなっておると言うのは大企業だけの話なんだ。しかし、それにもかかわらず、大企業中心皆さん方見方がどういうふうによくなっておるか、よくなるか、今後どういう情勢をたどっていくか、ひとつ大臣考えを、初めてでございますから、私も重ねて聞いておきたいと思います。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは今度の政府経済社会の五カ年計画にも書いてあるように、一応不況が克服されて経済上向きになっておる、この上向きを、一度に上向きにさせて景気を出してしまうということになると、これは持続性がありませんで、途中でまた急激な引き締め政策というようなものによっていろいろな規制を与えて経済の動きに波を打たせるというようなことをしてはいけませんが、それをしないように、慎重な態度で運営して、この経済成長を徐々に長続きのするような形で持っていくということにすれば問題はいいわけでありまして、私どもがいまねらっているのはそういう形で、あと四、五年経済の設計をやったら一応いまの見通しの線へ日本経済を持っていくことはできるだろう、波を打たせないようにとにかくやろう、やる以外にはないと思いますので、そうするためには、いま言った情勢情勢対処策が特に必要だ、これをうまくやればうまくいきますし、これを失敗するといろいろな問題をまた起こすのじゃないか。ことに、さっき景気が悪くなったときはぼくは困るだろうという御質問でございましたが、ほんとう景気が悪くなったのをよくすることの対策を一生懸命やるときのほうがやりいいので、よくなりかけてきた景気を持続させるというのは、政策としても実際はむずかしい問題で、私どももいままでの経験でこの時期にぶつかっておると大体思っていますから、特に私はその問題についていま慎重に考えて、今度は全知全能を傾けてうまくやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
  13. 只松祐治

    只松委員 そうすると、結論的に、おっしゃることは、まあうまくやりたいという、抽象的ですけれども日本経済はこの好況を当分続ける、続くだろう、こういう見通しに立っておる、こう大臣はお考えになっておると思って差しつかえありませんか。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは私は当分続くと見ます。
  15. 只松祐治

    只松委員 そこで、今度は個々の問題を二、三お尋ねしてまいりたいと思うのです。  そういうふうに経済がよくなる、当分好景気が続く、こういうことならば、施政方針の中でもお話しになっておりますけれども、、資本市場の育成は特に大切である、こういうことをお述べになっております。  それで、資本市場のことを全般的に聞きたいけれども、時間の制限がありますし、いろいろ聞きたいので、問題点だけを聞きますが、その問題点一つに、たとえば株の共同証券保有組合というものがあります。共同証券でいまなお依然として十六億株の保有株、一千八百億円、保有組合で約十六億株、一千七百億円、これだけの株というのがたな上げされております。これは簿価でございますから、あとでできれば現在の価格も聞きたいけれども、それだけ景気がよくなって、宮澤さんの説によれば、過熱さえも心配されるというような状態のときに、自由主義経済を重んじられる自民党の中でもチャンピオンの水田さんとして、依然としてこういうものをたな上げしておかなければならない、こういう原因はどこにあるとお思いになりますか。これは景気がよくなれば放出するのが当然だと思うのです、いままでの理論から言うと、依然としてたな上げしておくというのはどこに原因がありますか。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 あとからまた証券局長説明してもらいますが、ああいう事情でたな上げした株式であり、経済がこういうふうになったからといってこれを急速に放出するということは影響が大きいものでございますから、御承知のとおり、百万株単位ぐらいの放出を何回かやって、市況を見ながらいままで放出はしてきましたが、今後もやはり、株式市場に少なくとも悪影響を与えないような形で、状況を見て私たちは徐々に善処しようといま考えておりまして、急速にこの問題をどうこうということは相当まだ経済影響を与える現状だと思っておりますので、いま慎重にこの様子を見ておるという段階でございます。
  17. 只松祐治

    只松委員 いよいよ本論に入りかけたところで、宮澤さんが先に聞いてくれということでございますから、どうも拍子抜けになりますけれども経企長官のほうに先に聞きます。  いまも私が大蔵大臣に聞き、あるいは経企長官にお聞きしたがったのは、重複しますが、前の福田さんは、低圧型の経済が当分続きます、二、三年続きます、こういうことを去年暮れ大臣をおやめになるまで繰り返し本委員会でお述べになり、あるいは本会議でもお述べになって国民に訴えられた。ところが、そういうお考えをお述べになった方は依然としていま自民党幹事長でございます。ところが、今度皆さん方大蔵大臣経企長官におなりになると、ここでもいろいろ読んだのですが、また読みませんけれども、今度の演説を聞いても、本格的な経済の立ち直りを来たしたと言っておる。宮澤さんは御心配になって、過熱論さえ唱えておられる。こういうことではあまりにも政府与党として無責任過ぎはしませんか、こういうことの説明もお聞きしておったわけです。長官として、何でこういうふうに景気が――福田さんも大蔵省出身ですし、財政通といわれ、そういうことで幹事長にもなっておられる。この人は、低圧型で二年、三年続くということを繰り返しおっしゃった。皆さん方は、そうじゃなくて、まるっきり逆ということじゃないけれども、相当違った方向のお話をなさっておる。なぜこういうふうに経済がよくなったのか、今後どういうふうに日本経済が変わるか。大蔵大臣は、当分こういう状態は続いていく、景気は上向く、こういうお話であった。長官のほうでもそういうお考えであるかどうか、お聞きしておきたい。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、先日の本委員会でも申し上げましたように、実は私自身も、個人といたしまして、あの際の国債の発行のしかたがまだ過小であるというふうに考えたくらいでございました。それは誤っておりましたが、考えたくらいでございますので、人の問題ではなくて、基本的な経済のいろいろなデータなり統計なりの解釈のしかた、あるいはあの当時不況だと思った感じ方、そこらに問題があったのではないかと思います。個人個人判断の問題ではなくて、何かもう少し基本的に日本経済体質というものをはっきり示すような客観的な資料なり何なりがもっとなければいけないのじゃないかということを、これは反省として考えるわけでございます。  事実の問題としては、いまから分析いたしますと、景気はすでに四十年の秋ごろには底を過ぎておったらしい。四十年の秋でございますから、まさに私ども不況不況だと言っておったころにすでに底を脱しておったらしいということが、このごろになってわかってきたように思うのでございます。それであれば、その程度のものを不況というべきかどうかということについて、いまになって研究が必要だと言っておる学者もおられるので、したがって、この点は、どう申しますか、個人的なものの考え方の違いじゃなくて、あの当時の不況感、あるいは不況というものを具体的に分析する力に私ども全部が欠けておった。――不況感があったことは、おそらく国民全部が疑われないところでございましょうから、その辺に何か問題があったのではないかと思っております。
  19. 只松祐治

    只松委員 それは、いま言われたこともありますけれども景気が悪いと言ったのがよくなったからまあまあですね。しかし、あなた方がよくなるよくなると言ったのに逆に悪くなったら、皆さん方責任問題ですよ。首までかけなければなりませんよ、こう言っておる。しかし、不況不況だと言って去年は事業税中心企業減税をおやりになった、あるいは公債を発行された、あるいは、いまも最初にお聞きしたのだが、そのちょっと前だけれども証券をたな上げされたり、擁護されておる。そういうことで、一般国民保育所もほしいしあるいは道路もつくってもらいたいし、交通事故でこういうこともしてもらいたい、ああいうこともしてもらいたい、社会保障費も上げてもらいたい、こう思っておったのをがまんして、不況不況だというので企業中心独占資本の立て直しということが行なわれたわけですね。一般国民はたいへんな迷惑を受けておるわけです。そうしておいて、結局、いまは過熱を心配しなければならない、こういうことをおっしゃっておられるわけですから、たいへんな無責任だとぼくは思うのです。それから、政府は膨大な権力とともに調査機構を持ちながら――これは政府に匹敵するものはほかに民間にないわけです。その政府経済見通しなり何なりが立たないで誤っておったならば、民間や何かは信頼するところがないでしょう。そういう意味でも大きな責任があると私は思うのです。だから、そう軽々しく誤っておったというようなことだけでは済まないのです。  したがって、私が重ねてお聞きしておるのは、しからば、そういうようによくなるとおっしゃるならば、そのよくなった原因というものが明らかにならなければ将来の展望も出てまいりません。したがって、原因はどこにあるかということを大蔵大臣に聞いたし、また、その展望というものをお聞きしておるわけですが、今度よくなると言っておって、ちっとよくなるというので過熱防止の手を打ったら、不景気でがたりときてしまったというようなことになったら国民はたいへんなことになりますよ。独占資本、大資本皆さん方が手当てされるからいいですよ。中小企業や何かは、右や左にいってばたばたと倒れていくという状態、まだ依然としてそういう状態が続いておる。政治の力の及ばない中小企業なり何なりはたいへんな目にあう。私はこれについては、時間がありませんし、堀さんや平林さんがだいぶ論議されたから私はあまりしませんけれども、私は、前提として、二人の話を聞いておってどうしても納得がいかないのでさらにお聞きしておるわけですけれども、あまりにも無責任過ぎやしませんかということを言っておるわけです。だから、今後の問題についても、おそらく福田さんは幹事長をやっていてそれほど誤ってないと思っていると思うのです、あれだけ二年や三年低圧が続くとおっしゃったのだから。ところが、あなたは、景気過熱防止策もしなければならないということをおっしゃっておる。ここでもう一ぺん、将来の見通しやそういうことについてお伺いをしておきたい。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこで、不況考えまして政府国債を発行して不況打開策を講じた、その対策並びにその結果というものは、私は、明らかに効果をあげた、予想したよりも早く、しかも大きな効果をあげたと考えますから、このこと自身に誤りはなかったと思っておるのでございます。  そこで、少し理屈っぽくなりますけれども、私どもこうやって経済見通し等を出しておりましても、幾つかの大切な点が実はわかっておるようでわからない。たとえば、一番大事な投資乗数効果というようなものが、御承知のようにはっきりわかっておらないわけでございます。ですから、かりにこれだけのデフレギャップがあってこれだけの信用を創造すれば投資乗数効果で何年のうちにこうなるはずだというような、そういう研究というものはわが国の実態に即しては存在していないわけでございますから、実際その辺の政策運営というものは、ある意味で手探りでやっておるということは事実でありますから、私はやはりそういう認識の上に立たなければならないと思うのでございます。そういう投資乗数効果であるとか、あるいは一定の資本投下がありましたときに、それがどれだけ設備の車新に向けられ、どれだけ新しい生産力として付加されるかというその割合すら、実はいまの諸統計ではわからないわけでございますから、そういうものの上に立って私どもはやはり経済見通しを立て、運営をしておるのだ、――決して不正直な見通しなり政治的配慮をした見通しをしておるという意味ではなくて、予算というものにそれだけの制約があるのだということだと思うのでございます。それにはいろいろな理由があると思いますけれども一つは、やはりわが国が戦後今日まで管理通貨というものをやってきて、これは私は大局的には断然成功をしておると思っております。イギリスなんかの場合に比較しまして、これはことに成功であると思っているのでございますが、それだけに、企業自身の持っておる自己資金と申しますか、つまり、企業の自己資金比率、財務比率というものは御承知のようなものでございますから、企業が出します投資計画というものが自己背任になりにくい。つまり、自分の金で、こういう利潤を目的にしてこうやるんだというのではなくて、多くのものを借りてやるということでございますために、景気の動向に従ってその投資計画というものが非常に変わってくる、そういう変わり得る見通しに基づいて私どもがまたそれを積み上げて作業をしていく、その辺のところに問題があるんじゃないか。これは少し固苦しいようなことでございますが、そういうふうに思っております。
  21. 只松祐治

    只松委員 いま宮澤さんもお答えになりましたように、多少の誤りはあったけれどもと、強気なんですね。そういうことになりますと、慎重を期さなければならないということはわかりますけれども、それだけ強気の見通しになったら、自由主義経済、その一番メッカとしての証券市場を完全に自由化するということは当然じゃないですか。これをいつまでもあるところの管理下に置く、こういうこと、しかもまた、全然別個に、これが本格的不況――あなたがさっきおっしゃったように、まだいろいろ底の浅い面もある、少してこ入れをしたらよくなったり悪くなったりするということなら、それならそれで、恒久的に何とかするとか、いろいろ方法もほかにあると思うのです。たとえば、保有組合は本年末で大体終わりですか、そういうことになると、やはりいまからどうするかということも方針を出しておかなければならない。ところが、いまのようなお答えでは、どういうお答えか、私自身よくわからないくらいですから、わからないようにおそらく答弁してあったと思うのです。しかし、証券界、国民はそれでは困りますから、わかるようにもっと具体的にお答えをいただきたい。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 この間関西へ参りましたときもこの問題が出ましたが、これは、ここに証券局長おりますが、証券局長の話を聞いた関西経済界の人の話でも、何だかわからないということでございましたが、私も明確な方針でいつどうするというような方針は実際に立っておりませんし、実情によって、これはその場その場で、いままでのようにやはり徐々に解決をはかっていくというよりほかにはしようがないんじゃないかと私自身は思っております。
  23. 只松祐治

    只松委員 当面のことはわかります。それでは原則としてお聞きいたしますが、こういうふうに経済が上向いて、ことしも来年もよくなっていくということになれば、これは放出される、完全放出される方向をたどっている、私はそうだと思う。そうでなくて、当面やはりこの状態を続けていく――わずか一千八百億円、合わせて三千五、六百億円くらいのものを、これだけ景気がよくなれば、永久にたな上げするということは私は必要ないと思う。しかし、いや、そうじゃない、必要があると思うならお思いになってけっこうだけれども、その方向だけは原則的には新大臣として当然にその抱負を語るべきである。ほかのことは一生懸命で抱負を語ったり、ラッパを吹くけれども、こういうことになれば黙して語らずというのでは、それは業界の代表、証券界の代表とそれだけ八百長をやっているといわれてもしかたがない。これは一般投資家にいろいろ迷惑を及ぼしているのです。保有株を操作したり何かして、ちょっとおどかしたり何かしている。一応の方向を明らかにすべきです。大臣の話を聞いて、それから証券局長の御意見を伺います。
  24. 水田三喜男

    水田国務大臣 原則はやはりそうだと思っております。
  25. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 原則については何ら異論がないところでございます。できるだけ早く異常事態に生じた残滓というものは正常時に入れば解消するのが、またそれ自身が市場を正常化するということになるのでございますけれども、御承知のように、資本市場の内部ではいまだに投資信託の資金需要が安定していないということ、それから、将来経済が伸びていくということは、同時に金融上にも従来のような緩和状況が必ずしも継続されないで引き締まりぎみに推移する、こういう点は資本市場プロパーにとっては金融的には需給関係はマイナスに働く可能性もあるわけで、それやこれやで、具体的にタイミングをどういうふうにするか、われわれとしては関係者の良識に従った善処を期待しておる、こういうことでございます。
  26. 只松祐治

    只松委員 原則的には放出する、これは資本主義経済の当然の結果です。  そうすると、逆にお聞きしておきますが、イタリアあたりでもちょっとやったことがありますが、恒久的にたな上げ機関をつくる、こういう考え方はいまのところない、こういうふうにお考えですか。そういうふうに見ていいですか。
  27. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 当初の保有組合なり共同証券をつくりました政策的なねらいは、暫定的な異常時における特別施策ということ、ことに保有組合民間といいますか、証券会社、いま残っておりますのは投資信託関係でございますけれども、投資信託が異常な時期を脱するまでということでございますので、これを全く別個の形で、伝えられるようなそういう機構に組みかえるということはいまのところは考えておりません。ただ、去年放出し始めましたときにいろいろな問題が発生したわけでございます。その一つに、特に最近資本の自由化を控えて発行会社側に、株主安定化工作のためには何らかの形でこれを活用すべきじゃないかという意見が出たことは事実でございますが、本来の政策的な目的から言えば新たな問題でございます。したがって、この辺は、そういう方面の意向を聞きました上で、はたしてこの機構というものがそういう方向で利用できるものかどうか、また、資本市場にとってそれがはたして望ましいかどうか、この辺は十分慎重に検討してみないと、軽々に結論を出すべき問題ではない、かように考えております。
  28. 只松祐治

    只松委員 大体のお考えはわかりましたが、共同証券のほうは公共性がより強い、保有組合のほうはいま十四社ですかで持っているわけです。したがって、そこいらは、何なら放出するぞとか、ちょっとにおわしたり、過熱状態だから出したほうがいいのだ、こういううわさを流したりすれば、株は上がったり下がったりする。いまこれをめぐって株価の操作が行なわれておる、こういうことが一部に言われておるわけです。もしそういうことがあるならばたいへんなことだと思います。私は、そういうことを含んで、証券市場の正常化、皆さん方から言えば資本主義の正常な運営のために、こういうものは一日も早く、こういうふうに景気がよくなったよくなったとおっしゃるなら、わずか三千億、四千億円の株を出してもどうということはないのですから、すべきだと思うのです。むしろ株の操作のために使われて残されているのではないか、こういうことも言われておる。しかも、ある政界の筋とそういう情報の流し合いをしておるのではないかということを私は仄聞しております。そういうことはないと思いますが、万一そういうことがあればえらいことだと思います。だから、穏当な、健全な、大臣がお述べになったように、資本市場の健全な発展を望まれるならば、当然にこの問題にも一定の方向づけをして、極端に売るとかなんとかということになると株が下がったり市場が混乱すると思いますけれども、そういう方向についても、あまり公表しないで、すっとさばく方法もいろいろあるわけであります。単に公表してばっと出したら下がるというならいろいろな方法もあるわけです。いやしくもこれが株の操作に利用されるということが絶対あってはならないと私は思います。ないように、大臣なり証券局長のほうも御留意をいただきたい。もしあれば、ひとつそういうふうに厳重に注意をしていただきたい、こういうふうに私は思います。  次に、同じようなことですが、そういうふうに景気が上向いてきておるのに、ことしは依然として八千億円の公債をお出しになっておる。私たちは、当初から、一ぺん公債政策に踏み切ったならば、何としてもこれは金融財政としては一番安易な政策でございますから、決してとどまるところを知らないで、少なくとも最小限五、六年間は公債発行という事態を続けていかなければならないだろう、こういうふうに注意をし、反対をいたしました。事実上そういうことになってきておりますが、大臣は、やはりここ当分公債は発行しなければならないというふうにお思いになっているか、それとも、もうことし限りで、りっぱに景気が立ち直ったのだからやめる、こういうふうに断言をなされますか。公債に対する大臣の所見を承っておきたいと思います。
  29. 水田三喜男

    水田国務大臣 経済が均衡をとって発展するというためには、国内施策がやはり均衡を保たなければいかぬ、そういう意味から言いますと、民間投資がどんどん進んでいるというときに、御承知のように政府投資が非常におくれている、社会資本のおくれというものが経済成長を非常にアンバランスにしている面が目立っておりますし、またそれが物価問題の一つ原因にもなっておるということでございますから、どうしてもここで、今度の計画にもありますような線に沿った社会資本の充実ということは、必要な仕事として政府が今後やらなければならぬということになりますと、この必要な需要というものは、計算するといま相当なものになっております。これを全部税によってやるか、そうじゃなくて民間の蓄積を公債という形で活用してやるかということになりますと、やはり、不況とかなんとかの対策でなくても、公債の必要論とかいうものは別個な問題としても当然出てくる問題でございますが、そういう点を考えますと同時に、すでにその問題を割り切って、去年公債を出した、しかもそのために減税を相当大幅にやったというようなことから考えてみまして、私どもはできるだけ今度は公債を縮めようという苦心はしましたが、一ぺん公債を出すということをやってしまいますと、これを急激に打ち切るというようなことをやったら、これは経済成長をもっともっと阻害する形になってきますので、そういう点を勘案して私どもは最低限にとどめた八千億円ということをきめたわけでございますが、その公債をどのくらいにするかという今度やった作業の経験から見ますと、やはり公債というものは一ぺん踏み切ると急速にやめられない、少なくとも四、五年間くらいはどうしても続けなければ公債を打ち切れないということに事実上はなるのじゃないかと考えておりますので、そうだとしますと、何年続くか、そこはわかりませんが、とにかく毎年依存度をできるだけ下げていくという努力をもってこれに対処するよりほかにはしかたがないだろうと考えております。
  30. 只松祐治

    只松委員 そうすると、あと四、五年くらいは少なくとも公債は発行していかなければならない経済状態である、また、景気がよくなっても悪くなっても、そのこととは別に続けなければならない、こういうことでございますか。
  31. 水田三喜男

    水田国務大臣 この四、五年というとこは、これもわからないことでございまして、いま申しましたように、もういろいろなことにかかわらず公債というものは出していいのだというような点から言いますと、これはもっともっと続いてもいいことになるでしょうし、ここらをどういうふうに計画するかということをおとといの質問で答えましたように、私は、この公債をどういうふうに続け、どういう償還計画を立てるかという、一ぺん出した以上、公債に対する長期の財政計画をここでどうしても持たなければいかぬ、そう考えているのも、いま言ったようなことからでございまして、これは何年ということはいまのところまだ全然見当はつきません。
  32. 只松祐治

    只松委員 そうすると、当分自民党公債政策を続けていく、こういう話になると思います。  そういうことになりますと、たとえばここで試算をいたしまして、去年七千億円、本年八千億円というような形の程度の伸び率に試算をしてまいりますと、あと四、五年たちますと利子だけでとにかく五千億円近い利息を払っていかなければならない、そういうことになりますね、いまの状態の伸び率で。まあ、できるだけ押えたとおっしゃるが、悪ければもっとお出しになる。自民党の中で九千億円とか一兆円とか言っているが、そういうことになる。これは別にいたしまして、いまのように押えた額に見積もっても、五年後で低く見積もっても三千二百九十八億円というものが出てまいります。六年後には四千二百二十六億円というものが出てまいります。それに、あと五年たちますと元本の支払いが始まってまいります。こういうことになりますと、ことしでも予算の中に占める国債の費用は一千百五十二億円ですか、そうなりますね。相当の額になってきておりますが、七年先になりまして元本の支払いが始まってまいりますと、予算の中に占める公債の比重は非常に多くなってくる。したがって、それを支払うための公債というものをまた出していかなければならない。いわゆる公債の書きかえというものが当然にそこで起こってきますね。そういうことになれば、あとでまたそれに関連する問題もお聞きいたしますけれども日本の国家予算というものはたいへんなことになるし、日本経済はえらいことに追い込まれる。そのことを見越して私たち社会党は当初から反対をしておったわけですけれども、事実もう本年になって公債費の占める割合は相当多くなってきた。毎年毎年利息は加算されて、あと六年たったならば元本支払いが始まってくる、こういうことになります。たいへんなことだと思いますが、そのときになって――いまからおれはそのとき大臣じゃないだろうから知らないとおっしゃればそれまでですけれども、元本の書きかえということを皆さん方自民党としては本来お考えになっておるか、それとも、そのときのことはいま言うように計画をいまから立てるのだということでお逃げになればそれまでですけれども、いまから計画を立てて、支払うか繰り延べにするかどうするかということを考えるのだということをおっしゃれば、根本的には、そこで支払っていく、こういう立場でこの公債計画をお立てになるのか、それとも、繰り延べていく、こういうことですか。いまの大臣の心境といいますか、お聞かせをいただきたい。
  33. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはりしっかりした減債制度を確立するということが必要であって、これができれば、期限が来れば全部繰り延べるというような安易な方針をとる必要はございませんで、減債制度をつくればいいのであって、今度ことしからそういう制度はつくりましたが、その国債の今後の趨勢によってはこの制度をまた強化するというようなことをやって対処するよりほかは当分しかたがないのじゃないかと思います。私どもは、昔、こういう形の公債を出したらいいのか、そうでなければもう道路公債だけに限るというようなことにして、その償還財源をガソリン税に求めるというようなことをすれば、何年か公債を発行して、道路はよくなっていく、それにつれて日本経済が伸びるのですから、償還財源というものは先がだんだん大きくなる財源、これを当てにする公債というようなことだったら、相当思い切った公債を出しても最後に心配ないようになるのじゃないかというようなことで、ガソリン税を償還財源にした道路公債というようなものを考えた時代もございましたが、そういうことは実現しませんで、今度のような公債発行となったわけでございますが、発行に踏み切った以上は、いま言ったやはり減債制度の問題で対処するよりほかないわけであります。
  34. 只松祐治

    只松委員 いま話がありましたように、中身についてはほとんど触れられていないわけですから、ぼくらが一番最初から懸念したように、赤字公債だ、建設公債だ、いろいろ論議したけれども、これをここでこう分けるのだというような机上の説明がありましたけれども、その後なおこの予算で全部お分けいただければけっこうだけれども、実際上八千億円発行された公債がどこに使われているのかわからないわけですから、財政の中に組み入れられているわけですから、きょうはそういう個々の問題を突っ込むつもりはなくて全般的にお聞きするのですからやめますけれども、ただ、ここで問題になるのは、こういうふうに景気が立ち直ってきて、資金需要や何か活発になってまいりますと、なかなか市中公募というのが容易ではなくなってくる。私たちが知っておる金融機関等でも、多少の圧迫感を感じてきておりますね。こういうふうにだんだん一金融機関でも公債が累積されて毎年買わされるということになると容易ではなくなってくるわけでございますけれども、市中金融機関が無制限にその公債に応ずる、こういうふうに大臣はお考えですか。一つも負担感はない、こういうふうにお思いですか。
  35. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、公債を発行するようになりましてから、一応発行の懇談会というようなものができまして、そこで政府は消化についての相談をするということになっておりまして、去年からやっておりますが、今年度の公債の発行問題についても、この懇談会を開きまして、私どもからいろいろ御相談をいたしたのでございますが、そのとき、それは昨年でございましたから、八千二百億円という案を出して、みなけっこうだとは言いませんが、その程度ならこれは民間で消化できるというような大体の空気によって八千二百億円ということをきめたわけでございましたが、その後の情勢によって、新しい今度の内閣によって当時の編成方針を少し変えまして、八千二百億円という公債の発行額を八千億円にきめた、こういういきさつもございますので、大体私はこの市中消化はいまのところ可能であると思っております。
  36. 武藤山治

    武藤(山)委員 関連して。  いま大蔵大臣はなかなか重大な発言にさしかかったと思うのでありますが、国債の残額に対して本年度から償還できる財源として積み立てようとする。パーセント、大体いま予定しているのはどういう積算で積み立てをしようとしているのか。近いうちに閣議で決定されるわけでしょう。ちょっとわからなかったら理財局長でもいいです。
  37. 中尾博之

    ○中尾政府委員 新しい減債制度の繰り入れ定率の御質問と思います。それは目下最終的には考え方を固めております。大ワクにつきましては、もちろん、昨年来しばしばお答えいたしましたように、それについて検討いたしておりまするが、結論に近くなっておりまするが、最終的な政府の決定をまだ見ておりませんので、いま大体内容的にはほぼ固まりまして、あといろいろなこまかい考え方等を調整いたしておる段階でございます。もうしばらくお待ち願いたいと思います。もう不日きめまして、すぐに御審議に供したいと思います。
  38. 武藤山治

    武藤(山)委員 理財局長、そうなりますと、けさほどの大蔵委員会理事会で大蔵省の担当官は、大体公債残高の一・六%を定率で積み立てをする、こういう法案ですという説明をきょうやっておるんですよ。それは、理財局ではやや固まって、閣議の承認を受けるだけのところにいっているから本日の理事会に出せたと思うんです。公債残高の一・六%、これを年々積み立てするという方針はまだ固まっていないのですか。それは重大ですよ。同じ大蔵省の役人がきょう言っているんです。
  39. 中尾博之

    ○中尾政府委員 失礼いたしました。多少連絡が悪かった関係がございますが、真意はお話のとおりでございまして、理事会等で申し上げるに足る内容は固まっておるわけでございます。前のお話を承ったものですから、答弁が少し慎重過ぎたかもしれませんが、別に他意はございませんで、お話のとおりでございます。
  40. 武藤山治

    武藤(山)委員 しからば、公債残高の一・六%ずつ積み立てるとして、もし書きかえをしないで積算をしてみたら、何十年かかれば公債が償還できますか。どうですか。その積算した場合、大体どういう根拠で一・六という数字をはじいたのか。これで一体、心配なく公債が全部償還できるのには何年ぐらいかかるのですか。どうですか。
  41. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 いまの御質問は、一・六%の内容でございますが、一・六%の繰り入れというのは、いろいろな要素がございまして、最初に大臣の申されましたように、建設公債でございますから、したがって、国民の資産になるものをつくって、そうしてそれが経済効果を生んでいく期間というものを考えまして、その見合いとして公債を出すわけでございますから、そういう意味公債の効用発揮期間というものを考えますと、土地や何かは百年ぐらいと考えまして、あといろいろ税法によります償却の年数等を考慮に入れると大体六十年ぐらい見ていいのではないかと見たわけでございます。したがって、そういう意味で六十年の間に大体返せるというのが、いわゆる税金をもって返す期間でございます。実際上の償還は、計画に出してありますように七年で返すということで現在の計画をつくっておりますけれども、そういうたてまえでおります。  いま申しましたような繰り入れ以外に、財政法によります六条の剰余金の二分の一という法律もございますし、必要に応じて予算上の繰り入れ等も行なうということで十分対処し得ると思っております。
  42. 武藤山治

    武藤(山)委員 六十年から六十七年間という長い将来でなければ、とにかくいま発行している国債のきれいな償還ができない。そういう間に幾らか一般会計からさらに繰り入れが、景気のいいときには増収の中から繰り入れできるだろうという、そういう期待はやや持てるかもしれませんが、それにいたしましても、七年後からの償還期間を考えたときには、寒けのするような感じを私どもは持つのであります。ですから、大蔵大臣としては、やはりこの国債問題については、いま只松委員の発言のあった問題について、もっと真剣に、どうすれば返せるのか、また何年後にはこういう形に発行された公債は処理されるのだということを、もっと親切に真剣に答弁をする必要があると痛感したので、私は関連質問をしたわけであります。
  43. 只松祐治

    只松委員 武藤委員のほうからとどめを刺してもらったような形であれですけれども、私のは市中公募の話で、だんだんこういう形になってきますと、結論はいまみたいな形になりますが、それの途中において市中公募ができなくなって、日銀がやはり引き受けなければならない、あるいは市中金融機関が持っていたのを日銀に持ち込んでしまう、こういう形にだんだんならざるを得ないだろう、こういうことを金融機関の人も言っております。そういうことになれば、六十年、七十年の償還を待たずして、この公債政策というのは、社会党が初め指摘したとおりくずれてくるわけですね。こういうことで公債政策がくずれてくると日本経済というものがたいへんに破壊されてくるわけですから、もっと何か――安易にお考えになっておりますけれども――私は時間がありません。ほかにもう二、三聞きたいと思いますから、この問題は突っ込まないでおるわけですけれども、当然に、たとえば、いまから第三次防衛計画が始まる。あなた建設公債だとおっしゃったけれども、そうじゃない。今度の第三次防衛五カ年計画というのは、アメリカから兵器をもらうのだけじゃなくて、国内での生産、こういうことに重点が置かれてくるわけですね。兵器の国内生産というのは非常にウエートを持っているわけです。そういうことになってくると、勢い公債というものはそこに流れていく、さらに足らなければ公債を発行していく、こういうことで、軍需生産との関係でそれこそ満州事変の前夜のように向かわざるを得ない。あなたたちがさっきから言うように多少好景気になるとしても、もし好景気になればそういうことにならざるを得ない、こういうことになるのですよ。いまの公債政策はたいへんないろいろな問題を含んでおるわけですから、もう少しこれはあらためて論議をいたしますけれども、ひとつお考えをいただきたい。  そこで、非常に小さい問題ですが、その問題と関連する問題の一つとして、公債政策によって国の財政をまかなってまいりますと、当然その中で、建設公債とおっしゃるように、いろいろな建設部面が多くなってくる。確かに、本年度の予算の内容を見ましても、事業費というのは九千百四十二億円の一八・二%、こんなに高い割合を占めておるのは世界にもあまり例がありませんね。こういうふうに占めております。そうすると、地方がいろいろなものを――国が半分なり三分の一なりすると、県、市町村も事業を行なうことによって負担をしていかなければならない。しかし、国税を吸い上げておいて、そうして事業だけ押しつけてくるわけですから、当然それに付加されてくる地方税というものは下がってくる、下がってきて、事業だけ押しつけられる。こういうことで、地方の財政というものはたいへんに苦しくなってくるわけです。したがって、単に国の財政だけでなくて、大蔵大臣は当然に地方の財政ということもお考えにならなければならないし、そういう点をひとつあわせて今後御検討をいただきたいと私は思うのです。地方税との関連についてどういうふうにお考えになっておるか、地方財政との問題についてどういうふうに国債をお考えになっておるか。全然影響がない、こういうふうにお考えになるのか、地方財政にもいろいろ影響を及ぼして相すまない、こういうようにお考えになっておりますか、どうです。
  44. 水田三喜男

    水田国務大臣 当然地方財政影響があると思います。今年度も地方財政との問題は十分に私どもは配慮いたしましたが、御承知のように、地方財政の増収がことしは相当ございますし、いろいろやってみました結果、本年度は地方財政はいままでと違ってわりあいに円滑に仕事がやっていけるという状態だと思っておりますが、今後の問題についても、地方財政を圧迫しないような方式は、私どもは十分考えてやりたいと思います。
  45. 只松祐治

    只松委員 ほんとうは地方税との関係でもう少しこの問題は突っ込んで聞こうと思っておったのですが、だんだん時間がなくなってきましたのであれですが、まとめて聞いておきますけれども、地方財政との関係で、たとえば、きょうの読売ですかに載っております、軽い交通違反の反則金を自治省と大蔵省が取り合いをやっておりますね。これは私はきょう突然として質問するのじゃなく、こういうものくらいは地方に渡して、道路交通等の整備のために使ったらどうかということを前国会でも提案したわけですけれども、いま新聞を見ると、こういうふうに百四十億円くらいの金をめぐって大騒ぎになっております。  あるいはまた、これは別個なあれになりますけれども、青色申告で来年度から完全給与制がしかれる。しかし、来年度からそういうことになりましても、なおかつ事業所得者というものは依然としてそういう問題は完全に解決されない。特に本年度じゅうは、たとえば二十二万円まで国税においては認められておっても、地方税では十二万円で切られて、十二万円以上のものは事業主の所得としてみなされて課税されてきておる。こういうことで、地方税には国税との間で非常な矛盾があります。こういう問題についてもきょうは問題提起だけをいたしておきまして、いずれ各税法が本格的に論議になる場合に私は論議をいたしたいと思いますが、地方財政と国の財政とのあり方、したがって、こういう国債をはじめとして税収の問題、あるいは交通違反の罰金の問題、そういう問題についても、もっと私は真剣にお考えをいただく必要があるということで、大臣のほうで善処方を要望いたしますが、よろしゅうございますか。御検討いただけますか、そういう問題について。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 承知しました。
  47. 只松祐治

    只松委員 次に、戦災補償の問題についていろいろお聞きしたいと思います。  これも今朝来の新聞等を見ましても、在外財産補償についていろいろ与党内でも難航をいたしております。大蔵省は三百五十億円、引き揚げ者側は六千億円、こういうことのようです。基本的に大臣はこれに対してどう対処されるお考えであるか。この在外補償の問題について、在外財産あるいは戦災補償、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 昨年の十一月に在外財産問題審議会から答申を受けたのですが、私は、大体この答申の趣旨に沿って、財産に対する補償措置というのではなくて、引き揚げ者の置かれた特別な事情にかんがみて、政策的な措置として、引き揚げ者に対し特別の交付金を支給するというような形でこの問題の解決をはかりたいと考えておりますが、まだ関係当局間においてこの具体的内容についての結論は出ておりません。検討しておる段階でございます。
  49. 只松祐治

    只松委員 出すことは出す、こういうことですか。出すこともまだ検討中ですか。
  50. 水田三喜男

    水田国務大臣 この答申の趣旨がそうなっておりますので、これに沿って、出すという方向で検討しております。
  51. 只松祐治

    只松委員 佐藤総理の演説の中にも、戦後のいろいろな問題はこの引き揚げ者の財産補償で大体ピリオドを打って、あとは社会保障的な面でいろいろな問題を善処したい、こういうお話がありました。私たちは、その前に、農地報償その他でも本質的に社会保障制度で解決すべきだ、こういうことを申し上げておったのですが、ただ農地報償はする、あるいはほかのことはして、在外の人だけしない、こういう不公平なことであってはならないと思います。原則的には社会党も賛成をしておるわけですが、しかし、そのほかに、たとえば東京のように、あるいは地方の都市でもそうですが、たいへんな戦災を受けて、海外の引き揚げ者と同じように、ある場合では一家全滅しちゃって、それ以上に悲惨な形になり、そういう被害を受けておられる人がたくさんあるわけですね。たとえば、、そういう疎開をしておる人あるいは爆撃で被災を受けた人、あるいは死んだりあるいは負傷をしたり、こういう同じ戦争の被害を受けた人がたくさんあるわけですが、こういう人々に対して、あるいはもっとこまかいことを言えば、学徒動員で行って学校を卒業できなかった、あるいはいろいろなそういう被害を受けた人たちがあるわけですが、自後そういう者には一切何もしない、こういうことでございますか。それとも、やはり在外財産のそういうことを補償すれば、当然にそういういろいろな問題が起こってくるが、こういう問題についてもあらためて考えたい、こういうお考えですか、どうですか。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 もう戦後二十年を経過しておりますし、私は、戦争の犠牲者に対する措置ということはもう今度の措置くらいでピリオドを打ちたいというふうに考えています。そのためには、まだいまおっしゃられたような人たちがおられますが、住宅給与金、家財給与金とか、いろいろなことを戦災者にいままでやった例もございますし、そういう問題も勘案し、また、他の戦争犠牲者に対していままでやってきた措置との権衡というようなものも十分考えて、今度の措置をなるたけもうこれを最後の措置にしたいというふうに私は考えております。
  53. 只松祐治

    只松委員 そういたしますと、ここに郵便年金に付加金平均二千五百円、こういう形で郵政省のほうでは今国会に提案をする、こういうことが出ておりますね。そうすると、いまあなたがおっしゃったことと違って、いや、それは郵政省の関係で、おれの知ったことじゃない、こういうことでございますか。それとも、いや、年金のほうはこれはまた別個で、それもやるんだ、こういうことですか、どうですか。いまの話と多少違ってくる、多少矛盾をしますが、どうですか。
  54. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはいまの戦争犠牲とは関係がなくて、少額で整理のつかないものをこの際特別会計の中で整理をつけようということでございまして、この問題とは関係ないのでございます。
  55. 只松祐治

    只松委員 直接戦争とは関係ありませんけれども、これは、この中身をぼくも全部が全部まだ知っておりませんが、大正から昭和二十二年までの、結局戦前から戦後の間くらいのときのこういう問題ですね。というのは、これに関連して、たとえば、私も軍隊に行ったわけですが、ぼくらが戦争中貯金をさせられましたね。そこいら、うしろにおる人も兵隊に多かれ少なかれ行っておった人だと思いますけれども、軍隊で貯金をさせられて、軍隊の解体と同時に、幾ら天引きさせられておったかどうかわからないわけですが、こういうものはどこか郵便局に保管させられておるのではないですか。こういうふうに、たとえば年金だけに整理をするならば、こういう政府に貯金をしておった――単に海外に置いてきたというだけじゃなくて、正規に政府に預貯金をしておった、そういうものはどうしますか。こういうものは切り捨てて、全然対象にしないということですか。これも、いまあなたのおっしゃったように、全然これで終わったというならば、幾ら預けておったという額を調べて訴訟を起こす方法もあると思いますけれども、そういう問題が出てまいります。これは単にそれを打ち切るということじゃなくて、もっと公平な形でいろいろな戦争犠牲者に対処をしていかなければならない、こういうふうに思います。  だから、在外財産をするならば、当然にほかのそういう問題についてもいろいろな問題で考慮を払う必要がある、こういうことを私は思います。単にこれで打ち切るというのはたいへんけしからぬ話で、一応これはこれとしても、あとこういう問題については善処をする、こういうことを言うのが、私は為政者の公平な立場だろうと思います。どうですか。そんなことはぼくら考えていない、訴訟を起こすならかってに起こせという考えですか、どうですか。全然あと考える余地はないということですか。それとも、これはこれで在外財産の補償はする、そのほかにもなるほどというものがあったら補償していく、こういうふうにお考えですか、どうですか。
  56. 水田三喜男

    水田国務大臣 もう、いま申しましたように、戦後二十年もたっておるものでございますので、国民すべてこの戦争によってはいろいろな犠牲を受けておりますが、そのうち、特に一般の国民とは違って特別に措置をしてやらなければならぬというものだけの措置を今日までやってきて、もう最後になっておりますので、今後、ああいう戦争なら戦争が原因であって、そのために現在生活苦におちいっておるという国民がございましたら、これは別個に社会保障の強化というような面から考えてやるべき問題であって、これを一つ一つ厳密に戦争の犠牲を拾い出して公平に処置するということは、もう私はしなくていいのじゃないか、そういうふうに考えております。
  57. 只松祐治

    只松委員 そういうことをおっしゃるならば、たとえば軍人恩給という問題がありますが、以後、軍人恩給はびた銭一文上げない、あとは軍人恩給で一お困りの方は社会保障制度でやるべきだということを社会党は主張しておるのですが、軍人恩給も戦争の犠牲者の問題ですから、そういうものはびた銭一文上げない、こういうふうにお約束なさいますか。以後、社会党が言っているように社会保障制度でやるならそれで筋が通ります。そういうふうにお約束なさいますか。
  58. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはまたいまのものとは別の問題であろうと思います。これは恩給制度という制度をもって対処しておる問題でございますので、この制度の運営については、一般の同種の制度との比較において、社会情勢の変化によっていろいろの変化があることはやむを得ないと思っております。
  59. 只松祐治

    只松委員 軍人恩給というのは一般の公務員の恩給とは違うのです。戦地におったら一年が二年になったり三年になったり、いろいろなことをやられておるわけです。軍人に対して戦争犠牲者としての特別のあれを与えておる。いま施行されておる、二十年つとめてもらえる共済制度、そういう形ですか。そうじゃないでしょう。軍人に対する特別のものです。それが引き上げられるということは、戦争犠牲者に対する一つの恩恵になる。そのくらいのことはおわかりでしょう、ごまかさぬでも。そうすると、それを引き上げることは今後に問題を残すことです。だから、あまりそういうきれいなことを言わないで、軍人恩給を将来引き上げるということをお考えならば、あなたたちは、どうせインフレーションを進めるから上げざるを得ないといって圧力がかかってきて、上げます。そうすると、やはり戦争犠牲者全般に対しても特にそういうものがあるなら配慮するというのが私は為政者の立場であろうと思う。そういうふうに答弁を訂正なさる意思はございませんか。こまかく出していけば、原爆の被災者の問題や何かいろいろあるんですよ。
  60. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま言いましたように、戦災に対する救済というような施策はもうこの辺でやめたい、ほかの形をもって対処するのがいいのじゃないか、私はこう思っておるのでございまして、特にこういう問題は別であるという問題が出てくればこれはまた別でございますが、いまのところは、おそらく在外引き揚げ者の問題が、戦争のあと始末に対する措置としては大体最後ではないかというふうに思っております。
  61. 只松祐治

    只松委員 重ねてお聞きします。大臣としては在外財産の補償に大体幾らくらい払うように思っておるわけですか。
  62. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだ関係省間で全く結論がいまのところついておりません。
  63. 只松祐治

    只松委員 大蔵省の案を――大蔵省は三百五十億円というのがあるわけですが、妥当とお思いですか、それはけしからぬ、少な過ぎるとお思いですか、大蔵省案に対して。
  64. 水田三喜男

    水田国務大臣 大蔵省自身も目下検討中でございまして、まだはっきりした数字は出てまいりませんので……。
  65. 只松祐治

    只松委員 事務局原案に対してどういうお考えをお持ちですか。
  66. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 先ほど三百五十億円というお話がございましたが、あるいはきょうの毎日新聞をごらんいただいたのだろうと思いますけれども、われわれのほうでは三百五十億円というような数字を申し上げたことは一切ございません。何かの間違いだろうと思います。
  67. 只松祐治

    只松委員 最後に、米価の問題についてひとつお伺いをいたしますが、予算案に大体含まれておりますし、このように十月一日で上げるということでございますか。食糧庁長官、来ていますか。
  68. 大口駿一

    ○大口政府委員 昭和四十二年度の食糧管理特別会計の予算編成に当たりまして、現在の消費者米価を十月一日から一四・四%引き上げるということを前提といたしまして政府の売り渡し価格を計算し、これを予算編成の前提として織り込んでおる次第でございます。
  69. 只松祐治

    只松委員 一四・四%ということになりますと、これはまあ地域差はいろいろありますけれども、その計算は上米の乙地の値段を、昨年の千二百十五円に対して千三百九十円ということの結果が一四・四%というふうに理解してよろしゅうございますか。
  70. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいまの一四・四%という数字の算出の基礎は御指摘のとおりでございます。
  71. 只松祐治

    只松委員 そうすると、ほかの並み米やいろんな米、あるいは地域によってはまた違うと思うが、一応の政府が指標とするところは、平均というか、いままでの指標が一四・四%ということですか。
  72. 大口駿一

    ○大口政府委員 具体的に消費者米価を改定いたします際には、その直前の時期において得られる資料をもとにいたしまして最終的に政府原案を決定いたしまするので、まだ、ただいま御指摘のように他の種類の米についてそれぞれどういうふうな率を適用するかというような問題については、その時点において政府部内において最終的に結論を出すというふうに考えておりまするが、一応現時点において、予算編成の基礎として、先ほど御指摘のような数字を前提として予算に織り込んだ次第でございます。
  73. 只松祐治

    只松委員 そうすると大蔵大臣、昨年は百五円ですか、本年はいまおっしゃった平均というか、標準価格は百七十五円、去年よりも七十円もよけいに上がるわけですが、これは国民生活をたいへんに圧迫する、こういうふうに思いますか。いや、たいしたことはないと、こういうふうにお思いになりますか。
  74. 水田三喜男

    水田国務大臣 まあ、これはやむを得ない値上げだと思っております。
  75. 只松祐治

    只松委員 やむを得ないといえば、政府としてはやむを得ないかしらないけれど、国民としてはたいへんな迷惑なわけです。これも時間がなくなりましたから全般的な話はできませんが、たとえば本年度の米の総買い入れ高が約七百八万トン、しかし、実際上消費されるのは六百五十万トン、したがって五十八万トンくらい残る、こういうことになるわけですね。しかし、食管会計で一四・四%上げて全部穴埋めをする、こういうことになりますと、もちろん政府からも幾らか出しますけれども、五十八万トンという余った米の買い入れに対しても一般消費者がこれを負担する、いわゆる自分で食べない、買わない米に対しても、食管会計で買い入れた米に対して消費者が負担をする、こういう結果が出てくるわけです。いままでのように米の足らなかったときならばこれは別ですけれども、米がだんだんだぶついてくる、余るということがいまのところでは推定されておる。しかも、これは二・五%ですか、米の消費率が伸びるという前提に立ってもこれだけ内地米が余るわけです。さらに準内地米や外米も余ってくるわけですから、私は時間がなかったので推計いたしておりませんけれども、約一千億円、この十月からお米の値段が上がれば国民が負担する――五十八万トンといえば六百五十万トンの一割ですが、国民は食べない米の値段をとにかく負担する、こういう形になってくるわけですが、こういう点について、そういうものまで全部国民に負担させることは当然とお思いになりますか、別途そういう問題についてはいろいろ考えなければならない、こういうふうにお思いになりますか。長官のほうからでもお答え願いたいと思います。
  76. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいま米が余るというお話がございましたが、おそらく、いまの五十何万トンという数字は、現在の米穀年度、すなわち昭和四十二米穀年度の需給計画上、年度末に翌年度に持ち越される古米の持ち越し量が需給計画上六十八万トン余りになっておりますので、その数字を申されたのではないかと想像いたすわけでありますが、現在、米の需給全体を概観いたしますると、内地米の生産だけで日本人の米の総需要をまだまかない切れないという状態が続いておるわけでございます。もちろん、昨年の米が政府に集まりまする度合いは、その前年に比べまして非常に順調にまいっておりまするが、しかし、まだ内地米だけでは日本人の米の需要全部をまかない切れないという状態でございまして、新米が出回る前に前年度の米が持ち越されておるからといって、その米は全然消費をしないで、いまの只松先生のおことばをかりれば、余って要らない米であるというふうな形にはなっておらないわけでありまして、その意味で、余った米の分を消費者が負担をするというような形にはならないで、それぞれ年度末に持ち越された米は次年度の米の需要に充当されるわけでございまするので、そういう趣旨での見方というのは私どもはとっておらないところでございます。
  77. 只松祐治

    只松委員 時間がなくなりましたからこの論争をする瞬間はないけれども、では、準内地米やその他の米の払い下げ運動がいま始まっておりますが、そういうことは全然ない、将来そういうことをする意思はない、こういうふうにお答えになりますか。
  78. 大口駿一

    ○大口政府委員 先ほど申し上げましたように、米全体の需給としては、まだ内地米だけではまかない切れないという現状でございまするが、ただ、日本米の作柄の豊凶によっては当然要輸入量というものが若干の変動をするととは、これは当然でございます。昨年産米の政府の集荷がきわめて順調でありましたことの結果、準内地米についても、この流通規制の方法を若干修正をすべきではないかという御議論もちらほら伺っておることは確かでございますが、まだ本年の米の作柄等も十分見きわめもついておりません現在において、直ちに的確なる結論を現在持ち合わせておりません。
  79. 只松祐治

    只松委員 最後に大臣にお伺いしまするが、十月から上げる、この場合に、大幅な赤字が出ておることは当然ですが、食糧検査員等の人件費から始まって、いろいろな、たとえば当然社会保障なら社会保障の場合に、政府が職員を雇ってそこで業務を行なう、あるいは地方公共団体が職員を雇って事務をする、こういうものが食管会計の中から相当額支払われておるわけですね。こういう問題について今後一考して、やはりそういうものは当然に国民の重要な食生活の問題として政府の一般会計の中で支払うようにする、あるいは一挙にしなくてもそういうものを考究していく、研究していく、こういうお考えがあるかどうか。やはり食管会計は食管会計としてあくまでも独立をして、そういうものも全部、人件費もこれは消費者米価の中から支払っていく、こういうふうな政策をとっていくというふうにお考えでございましょうか、ひとつお聞きをしておきたいと思います。最後ですから、時間がございませんが、できれば私の要望としては、そういうものはやはり国民生活の重要な問題として一般会計の中から行なっていく、こういうようにすれば、消費者米価の値上げ等もこういう大幅な値上げというものは少なくて済む、これはほかにも要因はありますけれども、その一つだけでも取り除いていけば、大幅な消費者米価の値上げというものはしなくても済む、こういう問題があります。前からも論議されておりましたけれども、なかなか政府側はそれをうんとおっしゃらないわけですが、ここであらためて聞いておきたい。大臣のほうからもひとつ……。
  80. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在の米を管理いたしまするために、中間の経費、たとえば食糧庁で直接管理事務に従事しておる職員の人件費でありまするとか、あるいは運賃、保管料、金利等の中間経費、それぞれにつきましてどれだけを消費者に負担せしむるべきであり、またどれだけは一般会計で負担をすべきであるという議論は、過去においてもしばしば行なわれておるとおりでございまして、これについてはいろいろ見方によって議論が分かれるところであろうかと思います。しかしながら、現在の状態はどうなっておるかと申しますると、十月から引き上げを前提としない現在の消費者米価と現在の政府の買い入れ価格と比較いたしますると、買い入れ価格よりも、消費者米価のほうが、全国地域によって若干違いますけれども、石について千数百円安いという状態に現在相なっておるわけでございます。このことは、管理の経費を全額一般会計で負担をし、さらに価格差として消費者米価が生産者米価より安い部分をも負担をしておるという事態になっておるわけでございまして、今回の消費者米価の改定が、一般会計で負担をすべき部分と消費者に転嫁をすべき部分との見解の相違から出てきておるわけではございませんので、現在では全額一般会計で負担をして、なおかつ価格差まで、逆ざやの分まで負担をしているという実態でございますので、私どもといたしましては、今回の消費者米価の改定というものは、いまのような御指摘の御議論の以前に、食糧管理制度の健全な運営にぜひとも必要だという基本的な考えを持っておる次第でございます。
  81. 水田三喜男

    水田国務大臣 大体そういうふうに、事実上一般会計が負担しているというのが現状でございます。
  82. 只松祐治

    只松委員 今度のやつは大体きまっているわけですから一挙にできないと思いますが、今後そういうことを御考慮いただけますかということも、簡単でけっこうですが、ひとつ・・・。
  83. 水田三喜男

    水田国務大臣 この特別会計というものを置いている以上、これはそのための特別会計でありますので、一般会計とはやはり事務費や何か画然と区別して、特別会計の中で持つ、そういう会計になるべきだと私自身考えています。
  84. 内田常雄

    内田委員長 次は村山喜一君。
  85. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、初めに行政管理庁の所管事項であります行政改革の問題と、今回四十二年度の予算編成の上にあらわれました五つの公団、中身は三つが改組でありますが、純然たる新設が二つあるわけです。これらのいわゆる公社、公団等に対する政治の姿勢の問題について、まず松平行政管理庁長官並びに水田大蔵大臣にお尋ねをしてまいりたいと思うのでございます。  御承知のように、行政監理委員会は、新聞にも出ておりましたが、公団の再編成を急ぐように政府に申し入れをすることがきまり、松平さんのほうからもその旨を取り上げられておいでになるわけであります。閣議でもこれの整理統合については推進をするというふうにきまったように聞いておるわけでございますが、三年前に臨時行政調査会が公社、公団等の改革に関する意見を出しまして、現在百八ほどある公社、公団、特殊法人、これに対しまして、その時点において調査が終了をいたしました十八の公社、公団、特殊法人等につきまして、これを整理統合をすべきであるという勧告を行なったのは三年前でございます。その後今日に至るまでほとんど処置されない中において、さらに今回新設二つを含む五つの公社、公団が顔出しをしているわけです。しかも、その業務内容等を、これから一つずつ取り上げますが、見てみますと、なぜ公社、公団として設立をしなければならないのかということが国民にわからない形の中で出されようとしておるわけであります。これらはやはりそれぞれの委員会でやることになりましょうから、私はこの点については基本的な問題だけをお尋ねをしておきたいと思うのでございます。  そこで、私が行政機構改革の問題を本日の委員会で取り上げるということになりましたら、あちらこちらからやはり電話が入ってまいるのであります。愛知用水公団の組合のほうからもわざわざ電話が入ってまいりまして、どういう形で取り上げるのだということであります。これは自民党の人であるならば、おそらくは愛知県の知事あたりから、あるいはそのほかの角度からそれぞれ圧力がかかってくるだろうと思う。そういうような形の中で、一ぺんでき上がりますと、なかなかこれがつぶせないというのが今日の行政組織の実態であろうと思うのです。それをやはりこの際あえてつくらなければならない。また、行政監理委員会としてもさきに答申を出しているわけですから、この答申が行なわれることを期待をし、また、そういうような方向で今後の行政を進めていかなければならない責任が私はあろうと思うのです。  そこで、この予算書を見てみますると、どうも行政管理庁の場合には、予算の増額というものもほとんど見えませんし、人員の増員というものも見えないわけであります。しかしながら、新聞によりますと、この公社、公団の整理の問題については積極的に取り組んでいくんだ、こういうようなことが述べられておりますが、一体、予算はつかない、人員もふえない形の中で、現在のスタッフでこれを処理していくということについて、どういうような決意のもとにおやりになろうとしているのか、この際、明らかにしていただきたいのであります。  それと、やはり私たちがこの整理をこれからやらなければならないということになってまいりますと、これは非常に大きな決意をもって取り組まなければならないかと思うのです。社会党といたしましては、基本的にはさきに臨時行政調査会が打ち出しておりましたこの答申の方向というものは承認をするという形の中で、党の態度を決定をいたしております。この行政機構改革というのは国民の声だ、この国民の声にこたえなければならないんだという立場から取り組んでいるわけであります。しかしながら、具体的な、現実的な問題として出てまいりますと、たとえばこういうような問題がございます。  今度動力炉の事業団ができるということになってまいりますが、この名前がどういうふうになるのかはっきりまだわかりませんけれども、動力炉核燃料開発事業団、こういうような名前になるようでもございます。その場合に、現在原子燃料公社、それから原子力研究所がある。これらの事業内容を引き継いでいくんだということになっているわけであります。しかし、原燃公社が現在やっております内容というものは、いわゆるプルトニウムの採取、それから国内におけるところのウラン鉱の発掘等を中心といたしました事業内容形態でございます。大体従業員が七百名くらいおるわけでありますが、そのうち二百名くらいは国内におけるウランの発掘というものに人形峠等を中心にして働いておる。ところが、今回、ウランがだぶついて価格が落ちておりますから、外国から輸入したほうが安あがりである。こういうようなこともございますし、海外における新しいウラン鉱を発掘するということを民間の会社に委託をするというのが事業内容として出ているわけであります。そうなってまいりますと、この新しい高速増殖炉の開発の問題をめぐりまして、いま原子力研究所で研究いたしているわけでありますけれども、それらの問題の中から、当然海外からウラン鉱を輸入するという体制をとるためには、いま国有化しております核燃料というものを民有化していくという方針がはっきり出てこなければならない、これが一つの問題であります。さらにまた、今度は現在国内においてウラン鉱の発掘に当たっております諸君の身分の問題と生活の問題に関係が出てくるのでございます。したがって、現在これらのものを吸収した上で、四十名ほどの定員を積み重ねて、これを統合した形の中で新しい事業団をつくっていくんだという構想のように承るのでありますが、その場合に、いわゆる定員、働いている人たちの首切りという問題、これが一番労働者としては切実な問題として出てくるわけであります。したがって、統廃合イコール合理化であり、首切りである、こういうような考え方に立てば、これに対する抵抗というものが非常に大きくなってまいります。したがって、そういうような問題を処理する場合においては、この公社、公団、特殊法人の機構改革にあたりましては、やはりそこに働いている人たちの生活の不安、雇用条件の悪化という問題を頭に据えながら、そういうような方向には持っていかないんだという基本的なかまえというもので行政制度の改革はやらなければならないかと思うのでありますが、それと取り組む政府の姿勢というものは、どういうような方向のものを持っておるのかということをお尋ねしておきたいのであります。  それと、これは大蔵委員会でありますから、私はそれに関連をする問題としてお尋ねをしているのでございますが、現在一番問題になっておりますものは環衛公庫の新設の問題であるようであります。これについては大蔵官僚が激しく抵抗をして、世界の国々の中でバーやキャバレーにまで政府の資金を、国民の税金を使うようなばかな国がどこにありますかというようなことで憤慨をした、その記事等も私は見ました。全くそのとおりだと私は思うのであります。しかしながら、実際の取り扱い要綱といいますか、そういうようなもので、そういう国民の声にこたえながら、姿勢を正した形で業務内容の策定が行なわれつつあるようでありまして、ただ、私はその内容はまだ確定はしていないだろうと思うのですが、実際これが動き出す中身といたしましては、取り扱い業務は国民金融公庫であるとか、あるいは中小企業金融公庫、さらに商工中金、そういうものにまかして、そしてその資金量は三百億円で発足をする、こういうふうなことに承るのであります。しかも、そこには特利をつけるというようなことで、基準金利よりも安い金利で特殊のものについては種目をしぼりましてやろうというかまえであります。しかし、その資格者、これらの環境衛生関係の事業団体の総数がはっきりしたものはわかりませんが、かりに五十万件だということにいたしますと、これらの資金量三百億円というものを割り算してみますと、一件当たり六万円程度にしかならない。しかもそれが三百万円ぐらいの近代化事業をやるとするならば、一年に一万件くらいしか出ない。五十万件の処理をするためには、これによってすべてをやり、物価対策として取り上げるのだ、近代化のために取り上げるのだということをおっしゃるとするならば、それを消化していくために、この環衛公庫をつくることによってどれだけの目標が達成され、何のためにこのようなものが生まれてきたのかということが国民の前に明らかにはならないと思うし、また実効性の上から考えましても、この点については非常に問題があるのではないか。むしろ今日、国民金融公庫の内容の改善なり、あるいは運営方針の中において今日までとられてまいったような方法の中で解決をするほうが、かえって実際の利益にも合致するし、それらの業態の人たちの利益にも合致するし、また、あえてそういうような機構をつくって役員を置いて、そこには役員は理事、総裁、そういうようなものを置かれるということになるならば、これに対しては二十万円から三十万円の月給を払い、一期つとめたら一千万円以上というような退職金を払う、まさに官僚の隠居場所を与えているようなかっこうになっていくと私は思う。そういうようなものをつくり上げていくということが、はたして統治能力のある自民党並びに政府のやるべき行ないであるのかどうかということについては、私は非常に問題があろうかと思うのであります。特にこの行政制度の問題につきましては、荒木調査会が、賛成をすべきものとして、四つの問題については整理することを承認をしようじゃないかという態度を党自体においてもきめております。魚価安定基金、愛知用水公団、森林開発公団、畜産振興事業団、こういうようなものはもう取りやめるべきだ、解消すべきだということを、党自体においても、あなた方のところにおいてもきめて、それがなぜできないのかということになってくると、非常に私は問題があろうかと思いますので、これらの点に対する基本的な考え方だけでけっこうでございますから、お聞かせを願っておきたいのでございます。
  86. 松平勇雄

    松平国務大臣 村山委員は、行革の問題に関しましては長らく携わっておられたので、あらためて申し上げる余地もないかと存じますが、政府といたしましては、臨時行政調査会の答申を尊重いたしましてその実現をはかるということは、総理大臣並びに歴代の行政管理庁長官がしばしば申し上げておったとおりでございます。  御承知のとおり、臨時行政調査会の答申はきわめて広範にわたっておりまして、現行制度の基本に触れるものも多いのでございます。また、行政監理委員会の意見等各方面の意見も十分尊重しつつ、慎重に検討を行ない、実施を推進していきたい、かように考えております。  御指摘の、いわゆる特殊法人と称するのが百八ございますが、そのうち、三年前の臨調の答申には、大体十八の公団、公庫その他を指摘されまして、これは整理統合あるいは組織がえをすべきであるという御答申が出ておりました。私どもといたしましては、今日までこれらの問題をまず取り上げまして、いろいろ調査をいたしておるわけでございます。ただいま御指摘の自民党の荒木調査会において、四つだけ党としても当然これはやるべきだという問題がございますが、大体これは農林省に集中されておるのでございますが、私どもといたしましては、各省においてこういう指摘されたものの中から、各省普遍的に一応私のほうといたしまして調べて、もちろん、私のほうから出す場合には勧告という形になって出るわけでございますから、それには確たる調査の結果による公平無私な、また、あらゆる方面からの意見を聴取いたしまして、確たる資料に基づいた調査によりまして勧告という姿になるわけでございまして、着々その仕事に携わっておるわけでございます。  今回、御指摘のとおり七つの特殊法人ができまして、それに引きかえに三つ廃止することになったわけでございますが、臨調の答申にもございますとおり、社会並びに経済の伸展に伴って行政に対するいろいろな要望というものが変化してまいるので、それに応じた姿にしなければならぬ。したがって、何が何でも新しいものはいけないという御趣旨ではないようでございまして、それに合うような新しい機構なりあるいは特殊法人なども必要であろう、しかしながら、一面、要らなくなった、あるいはまたその機能を十分果たして、いまとしてはもう存在の意義もだいぶ薄らいできておる、あるいはまたほかのものと統合したらいいんじゃないかというようなものが出ておるわけでございまして、それを整理いたしまして、そうして一面新しいものをつくると同時に、一面それを整理するという仕事に行管として取りかかりたいと思っておるわけでございます。従来は一つをつくるなら一つを、それに見合うものを整理していくというようなことでやっておりました関係上、予算の編成期になりまして、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの形で、何か代替を持ってこられてやっておったようなわけでございます。しかし、代替を持っておられる省はそういうこともできますけれども、代替を持っておられない省で、しかも新しい機構なり特殊法人を必要な省があるわけでございます。そこで、行管といたしましては、省別じゃなく、各省全体として要らないものは廃止して、そうしてその廃止された省じゃなくても、要るほうの省に必要なものをつくるというふうな形をとりたいわけでございますが、なかなかそれは言うべくして実行が非常に困難でございます。しかし、今回は、私といたしましては、新しい特殊法人なりあるいはまた機構もつくりましたので、それと見合うという形でなくて、臨調でもって答申が出ているもの、あるいはまた、それをわれわれのほうで調査して、なるほどこれは必要がないというものは、新しくできたものと関連なく、消すほうは消す、あるいはまた統合するものは統合する、改組するものは改組するというふうな形でやってまいりたいというふうに考えております。  この方針は、先般の三月七日の閣議申し合わせとして決定していただきまして、各省において臨調の答申を再検討して、そうして答申に沿うものはみずから進んで整理統合をするということになっておる次第でございます。
  87. 水田三喜男

    水田国務大臣 今度の公庫、公団、事業団等の創設につきましては、いま行政管理庁長官から言われたような方針で、私どもはやはり必要と認めたものは既存の施設を改組するか、これを廃止して新しくするというような方針でやりましたので、純然たる新設というのは、いまおっしゃられたように外貿埠頭公団、それから環境衛生金融公庫――埠頭公団は二つですから、この三つくらいがいわば新設といわれるものだろうと思っております。
  88. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 松平さん、あなたは私の質問に答えていません。それは方針として臨時行政調査会におきましても決定を見ているわけですね。首切りはしないんだ、それは有効な配置転換によってやるんだということをきめられておりますね。この考え方というものは、やはり基本的に筋道を押し通してもらわなければ、ますます抵抗が強まるし、また、そういうことを私たちは認めるわけにはまいりませんので、その点を明確にしておいていただきたい。  それから、水田大蔵大臣にお尋ねをしているのは、その環衛金融公庫が生まれた、しかし、特利というものをつくってやる。一体そういうようなのをやりながら、あなた方が打ち出されているものが、大蔵省はしぶしぶ承認をしたわけでしょうが、国民の期待にこたえるような形で、あるいは業界の期待にこたえるような形で、はたしてその処置が今後うまくいくという見通しがあるのかどうか、このことをお尋ねをしておるわけです。その点について、私は、一ぺんこれをつくり上げたら、今度はさらにその特殊ワクをもっとふやせという運動が必然的に政治的な勢力として生まれてくる、そのことは、ほかの団体、ほかの職域においても同じようなことが生まれてきて、果てしのないところの競争というものが生まれてくるのではないかということを懸念するわけです。そういうようなことはいたしませんということをおっしゃる何かあるならばおっしゃっていただきたいわけです。
  89. 水田三喜男

    水田国務大臣 金融機関が業種別にあるというようなことは、これはいいことではございませんで、一ぺんそういうことをやると果てしなく広がるだろうという御懸念はごもっともでございますが、環境衛生関係の業種は、これは特別な行政、法令によって非常に押えられている、監督されている面が非常に多い特殊な業種でございますので、そういう意味から、もうすでに昨年度国民公庫に特別ワクをつくって、この特殊な金融をやるということで発足しておる関係から、今回こういうことになったわけでありますが、はたしてこういう形の公庫がこれからうまくいくかどうかということは、これは少し技術的な問題でございますので、この点は銀行局長から説明してもらいます。(「技術的な問題ではない。」と呼ぶ者あり)いや、これは非常に技術的な問題がたくさんあります。私もあまり自信は持っておりませんから……。
  90. 澄田智

    ○澄田政府委員 私からお答え申し上げます。  いままで国民金融公庫に特別のワクを設けまして、そして環衛業種に対します特別貸し付けというのを実施してきたわけでございます。そうして、これは環衛関係業種に貸し付けをするというのではございませんで、そのうちの指定した特別な施設に対して貸し付けをする。これは環境衛生関係の営業には、いま毛大臣からも申し上げましたように、衛生的な見地からいろいろ規制を受けている。また料金その他物価関係からの規制もあるということで、そういう特殊な条件のもとにおける営業の近代化、合理化というものをはかるために特に必要な、衛生的見地から特に緊要なものというようなものについての施設についてやってきたわけでありますが、今回それに対してさらにこれを充実して、その範囲、貸し付け限度等もさらに拡張するようにというような要望も非常に強く、従来は国民金融公庫がやっておりましたが、中小金融の一環として国民金融公庫が処理をしているものの範囲よりも、あるいは中小企業金融公庫あるいは商工中金、こういう機関の業務の範囲と同じくするもの、こういう方面にもこれを拡充して融資対象とするというような要望が強く、そういう要請にこたえまして、国民金融公庫の固有の業務の範囲に該当するようなものについては、そういう特別の施設について国民金融公庫、それから中小企業金融公庫の範囲に該当するようなものについては中小企業金融公庫、あるいは組合等でありまして、商工中金に最も該当するようなものについては商工中金が、それぞれ代理業務として業務をする、こういうふうな形にそれぞれ分けてやるということでもって、従来国民金融公庫だけがやっておったのでは果せない範囲というようなものにこれを拡張して融資を行なうことができる、こういう効果があるというようなことで独立の公庫をつくるということに相なった次第でございます。  そういう意味で、御質問の、どういう効果があるかという点につきましては、従来国民金融公庫の対象であった貸し付け限度等が、さらに中小公庫や商中の対象の領域というところに該当する、そういう指定施設というようなものに拡張されるということがその効果ではあろうかと思います。  なお、お話にあった特利の点でありますが、基準金利は中小企準業金融公庫、国民金融公庫並みの八分二厘でございますが、その中で、特に一般の中小金融に対する政策金融、政府機関の金融の基準とバランスをとりまして、近代化、合理化、近代化促進法に基づく近代化基本計画あるいはこれに準ずるような近代化計画をつくって、その計画達成上必要な施設については、ちょうど現在近代化促進貸し付けというのをやっておりますのと同じく七分七厘という特利を適用することにしてはどうか、また、現在労働基準法に基づく産業の安全衛生施設に対する中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の特利は六分五厘でございますが、この貸し付けとちょうどバランスをとりまして、この例に準じまして、衛生管理上特に認められる設備、しかも、もっぱら衛生管理という見地だけに用いられるというようなものについて、同様三年間六分五厘、三年たつと七分になりますが、こういう特利を設けたらどうかということで、現在これを検討を進めておりまして、大体そういうふうなことになるように相なるわけでございます。こういうことで、一般の中小金融のいままでのやり方に準じまして、そうして環境衛生関係業種というような特性に応じてそういう特別の施設について貸し出しをする、こういう性質のものでございます。
  91. 松平勇雄

    松平国務大臣 整理統合の対象になる特殊法人等等に働いておる従業員の生活とその身分の問題等が重大なので、行管としては、そういった場合に首切りなどはしない方針かどうかというようなお尋ねでございました。  これは臨調の答申にもございますとおり、首切り等はしないで、配置転換によってそういった者を吸収するようにつとめて行なうことというふうになっておりまして、私どもといたしましても、そういった方針のもとに整理統合をやってまいりたい、かように考えております。
  92. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私はこの問題を中心にやるわけではありませんからこれで終わりますが、先ほどの局長説明を承っておりましても、やはり今日あります三公庫の中で十分処理できる問題だと思うのです。これはしかし法案としていずれ国会に出されてまいりましょうし、そのときにまたそれぞれの委員会で取り上げることになりましょうが、金融機関別の業種別貸し出し残高を調べてみましても、環衛法適用のものは大部分がサービス業関係の中に入っておるわけですから、それを調べてまいりましても、このシェアというものは、国民金融公庫の場合、あるいは中小企業金融公庫なりあるいは商工中金を入れましても非常に少ないのですね。一般のいわゆる都市銀行なりあるいは相互銀行、信用金庫というような、そういう金融機関から貸し出されておるもののウエートが一〇対一くらいの割合になっておる。こういう形の中で考えていくならば、やはりそこにはそういうような公庫を設けるためには特殊な理由というものがなければならない。どうもその特殊な理由がないままの中で、業態別の金融機関がずらりと並んでいくようなかっこうになっていったら、それをコントロールする能力というものがはたして大蔵省にありやということになってくると思うし、この問題については、そういうような役員ばかりつくり上げてみても、これは役人の諸君が天下りするのには都合がいいでしょうが、そういう国民の不信を招くような行政組織というものは、今後非常に厳重にあなた方が注意してもらわなければ、今度は水田さんは押し切られた形だろうと思うのだけれども、これはやはり納得をするわけにはまいりません。その点だけ申し上げて、この問題については終わりたいと思います。松平さんのほうでは、ひとつしっかりやっていただきたいという要望意見を申し上げておきます。  そこで、三次防が御承知のように二兆三千四百億円の決定を見たわけでありますが、もちろんそれには上下に二百五十億円の幅がついているようでございます。私は、やはりこれだけの長期計画、第三次防衛計画というものが策定をされるにあたりましては、それなりの決定の背景というものがなければならないと思う。それにつきましては、昨年の十一月に決定を見ました防衛の基本方針、整備計画の大綱なりあるいは今回の整備計画の主要項目、こういうものの中で出されておると思うのであります。  そこで、一体今日の時点において、第三次防計画の内容的なものにつきましては、所管委員会であります内閣委員会で私は触れてまいりたいと思いますので、それについては省略をいたしますが、われわれの基本的な概念といたしましては、国の安全保障政策というものの下に国防政策というものが位置づけられ、それのまた手段として防衛という軍事的な内容を含むものが位置づけられている、こういうような形において問題をとらえておるわけでありますが、それにつきましては、この新しい国防の基本方針といいますか、国防の基本というものが第三次防衛力整備計画の大綱の中に第一に打ち出されているわけであります。この基本というものは一体変わったのかどうか。  さらに、ここに掲げてありますように、あなた方が考えておられる国家の安全という問題についてはどういう概念規定をしておられるのか。そしてまた、最近よくナショナルコンセンサスということばが使われるのを耳にするのでありますが、この安全保障の前提条件というのは一体どういう考え方を持っておられるのか。そして、この中にも侵略に対する抑止力として整備をするんだという方針が出されておるけれども、その抑止機能の本質というのは一体どういうようなものなのか。こういうような基本的な考え方をお持ちになった上で二兆三千四百億円というものは策定されたものだと私は思うのであります。そういうような考え方のもとに、当切、御承知のように、松野さんが防衛庁長官をしておりましたときには、国民所得の二%を充てるんだ、それは金額にして三兆一千億円ぐらいになったかと思うのであります。それがだんだんに下がってまいりまして、バナナのたたき売りではありませんが、二兆七千億円になり、そうして最終的には二兆三千四百億円ということにおさまった。  そこで、私は大蔵大臣に、あなたは財政当局ですからお尋ねをしたいのは、今日この防衛庁の軍事力が膨大化していくのは、財政当局が押えているようなかっこうであります。これもまことにおかしなことでありますけれども、その財政的な考え方のもとに二兆三千四百億円というものの策定がなされたと思うのでありますが、この策定の根拠というものは一体何になっているのか、いわゆる国民総生産の数字で見通しをつけているのか、それとも国民所得中心にして打ち出しているのか、さらにまた、政府の財貨サービス購入の経常支出を中心にして問題をとらえているのか、それは純然たる政府の財貨サービス経常購入の経費だけが積算の基礎になるのか、それとも府県なり市町村なりを含めたものがこの際その基準として打ち出されたものなのか、やはりそこには、私は、この防衛計画というものが昭和四十二年度を起点にいたしまして四十六年まで策定をされている、片一方においては経済社会発展計画が同じ長期構想として出されている、これとの関連性というものがなければならないと思うのです。そういうような立場から、今年度においては三千六百億円ですか、という数字をきめられておる。そうして全体計画として二兆三千四百億円ということになる。この数字から見てまいりますと、大体一年間に防衛力の増分が四百億円ぐらいずつ積み重ねられて、最終年度の昭和四十六年度においては五千八百億円ぐらいの防衛経費になると、私は全体計画から見通しをつけたわけであります。そうなりますと、大体昭和四十六年度におきます政府の財貨サービス経常購入が五兆八千五百億円ですか、ということになっておるようでありますが、これとの関連性から、四十六年度における防衛費は、予算額として五千八百億円というものが打ち出されているのではないかと見ているのですが、それの根拠というものはどういう作成の基本をお打ち立てになっておられるのかということを大蔵大臣から説明を願っておきたいのであります。
  93. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはあとから防衛庁長官から話があると思いますが、現有の自衛隊の装備の老朽化、また各国の装備がどんどん近代化していく状況にかんがみまして、今度の計画は自衛隊の装備の質的な近代化をはかって、そうして現有能力を維持するということを目的としておりますので、非常に量的には縮小された部門が多いかわりに、これだけの能力を維持するための質的な改善をはかったということと、その目的を達成するために、いままで第二次防のときに払っておりました防衛努力を引き続き維持する、大体あのときの計画のいろんな伸び率というようなものを三次防にも引き続き採用するというような形で、特別に従来の防衛力増強比率を今度の場合増しているというようなこともございません。もちろん他の施策との関係もございますので、国民所得に対する比率というようなものは大体従来の姿を踏襲して、そういういろんな角度から質的改善の計画にまず一つは縛られるということと、それを査定するための基準は、従来の防衛努力に対する基準とそう違わない姿でこれを実現しようという両面から、私どもは最後にこれに要する財政の姿を一応ここで策定したという事情でございますので、いまの国力の伸び方、財政力の伸び方から見て、私どもは無理のないところへおさめた計画だと思っております。
  94. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 村山委員にお答えいたします。  ただいま大蔵大臣のおっしゃったとおりに考えております。
  95. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私があなたに聞いたのは、GNPに対する問題やNIに対する問題として聞いたのじゃないのです。あなたには、やはり三次防の決定の背景というものがあるだろう、その場合には、やはりそこには、国防の基本方針の中に出ておるように、国家の安全とか、あるいは安全保障の前提条件とか、あるいは抑止機能の本質は何かということをとらえた上でこうなければならないのだという、やはりそれらの考え方、基本的な構想というものがあって初めてこの二兆三千四百億円という数字が策定をされなければならない、そういうものをお持ちにならなければ、防衛庁長官としては私はおかしいと思う、そういうようなものがあるでしょう、だからそれはどういうふうに考えておられるでしょうかという質問をしているわけです。だから質問の対象が違う。
  96. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 国防の基本方針というものは昭和三十二年に決定されたものでございまして、自後一次防、二次防、三次防となっておりますが、基本方針に変更はないわけでございます。すなわち、通常兵器による局地戦争的の侵略に対処して、そういう侵略がないように抑止するということが大綱でございます。その大綱から見まして、二兆三千四百億円というものはまずまずというところでございます。これは相対関係でございますから、いずれの数字をとってもよろしいのでございます。とり得ますけれども、やはり財政関係から見ましても最も適当と思われる数字をとらえたわけでございまして、私どもは、昭和三十二年から閣議決定されております国防の基本方針、すなわち、通常兵器による局地戦争的の侵略に対処して、そういう侵略がないように抑止しようとする海上あるいは航空あるいは陸上の防衛力を持つ、こういう大綱のもとにつくられたのが今回の十一月二十九日に決定されました第三次防の大綱でございますし、また、三月十三日に決定されました主要項目でございますし、同じく三月十三日に決定されました所要経費でございます。
  97. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まあ、それはわかるのですがね。あなた方が打ち出された、昨年の十一月二十九日に決定された――二ページにありますが、お持ちですか。ちょっと見てください。そこには新しいのが入っているのですよ。「内外の情勢、国力の伸長、国際的地位の向上等を勘案しつつ、」ということばが入っていますね。内外の情勢をどういうふうに見るか、やはり私は、そういうような見方を防衛当局としてはされなければいかぬと思う。本会議の席において佐藤総理は、中国、ソビエトというのは敵視しないということを言われた。しかし、防衛計画をつくる場合には、あなた方は、これはいわゆる潜在的な侵略の能力を持つ国家として考えているのでしょう。その点はどうですか。
  98. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私どもは、特別に、中ソ不可侵条約にございますような仮想敵国というものを考えておりません。
  99. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 中ソは仮想敵国ではない。それでは、潜在的な攻撃国家としても見ないわけですか。その点どうですか。
  100. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 中国あるいはソ連を攻撃的の国家とは、現在のところ考えておりません。
  101. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そうしますと、これは経団連の防衛生産委員会が、ちょっと古いのですが、意見書を六四年の末に出しておりますね。それに、こういうふうに述べておりますよ。防衛庁の防衛整備計画には基本的な戦略構想が欠如している、不明確である、相互依存性を十分に反映しない陸、海、空の個別の企業の集合である、潜在的対立国を想定する必要のない基本的戦略構想に基づいて防衛努力を行なうとするならば、それは非効率の最たるものというよりも、独立国のアクセサリーという以外にはない、全然むだな努力である、こういうふうな意見を出しておりますね。そして、彼らのねらいというのは、アメリカのマクナマラ戦略による計画方式というものを打ち出している。そうして、今度の経団連の提案事項の中にもありますように、防衛計画に産業界の意見を反映させるために、総理の諮問機関として、民間人で国家安全保障問題審議会を設置するように提案をしているでしょう。そして防衛産業が政府に四点について注文をしておりますね。  こういう形の中で、今度、いま水田大蔵大臣からお話を聞きますと、器材の更新である、近代化である、こういうふうに言われておるわけですが、量的には縮小する部門も確かにあります。しかしながら、一体器材の更新の分が幾らで、増強分は一体どういうふうに二兆三千四百億円の中でなっているのですか。やはりこの中身については、防衛産業が今度の予算案を見て非常に喜んで、そして、あなた方が国会に出された予算書を見ましても、国庫債務負担行為及び継続費が昨年の場合よりも五割もふえて、九百九十七億円という長期的な契約方式をとろうとしておいでになるわけです。そういうような点から言うならば、すでに防衛産業が要求をしております長期生産体制を可能にするための、翌年度契約ではなくて長期一括契約を採用せよという要綱が、予算書の中にはちゃんと実現をされているじゃないですか。私はやはり、二兆三千四百億円のこの分類について、財政当局は財政当局なりに、防衛庁は防衛庁なりに、どういうふうになるのだという見通しをつけておられるはずだと思う。それなくしては、やはり国民の税金を不当に使うことになると思うのですよ。  そこで、それに対する答弁をしていただく前に、防衛庁長官には、その内外の情勢を一体どういうふうに見ているのか、直接侵略の可能性が増大をしつつあると見られるのか、その能力は一体どうなのか、その意図というものは一体どうなのか、やはり防衛計画をつくる以上はそういうようなものがなければ私はおかしいと思う。そういうようなものがないにもかかわらず、こういうような強大な軍備を持って、そして軍隊をミサイル化していくような計画をつくる必要はないですよ。そういうようなアクセサリーをつくる必要はないわけです。ですから、やはりそこには、あなた方は国民納得せしめ得るような論理体系に基づいた内外情勢の分析というものをお持ちにならなければならない。持っておられるでしょう。それをお示しを願っておきたいのです。
  102. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 たくさん御質問でございまするから、答えの不足な分はまたお示しになればお答えするということを前提として申し上げます。  日本がいやしくも独立主権国家であるならば、自衛力をある程度持つべきものでございまして、いまどこかの団体がおっしゃったということも聞かないわけではございませんが、自衛力として独立主権国家がある程度のものを持つべきことは当然でございまして、アクセサリーではないということをこの際はっきり申し上げておきます。  それから、わが国の周辺の状況は必ずしも油断を許さない状態でございます。やはり、独立主権国家がその存在を維持し、発展するためには、ある程度の自衛力を、日米安保体制のもとにおいても持つ必要がある。その範囲は二兆三千四百億円でございまして、主要項目は発表されたとおりでございまするが、なお細目等はまだ検討中でございます。しかし、一応の見当をつけたものは、あるにはございます。
  103. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 一体緊張の度合いは高まりつつあるのですか。
  104. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、緊張が高まった低まったということは、それぞれの観察にもよりますが、私は、防衛庁長官としては、アジアの周辺の状態は必ずしも楽観を許さない、こう考えておる次第でございます。
  105. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 楽観を許さないということは、日本に対する侵略が 自衛隊は、自衛隊法によって、日本に侵略が行なわれたものを排除する法律上の義務があるわけです。そうすると、一体侵入をしてくる外国の侵略の可能性というものについては、能力と意図という内容から分析をしなくちゃいかぬと思いますが、その能力がとみに増大をしておるのかどうかという分析をあなた方はしておられるのかというのです。そして、そういうような意図を持っておるのだ、だから緊張の度合いが極東においては強まっているのだ、こういうふうに見ておられるのか。その点を明確にしてもらわないと、あなた方が出されたこの全体の計画はおかしなことになるじゃないですか。
  106. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 通常兵器による局地戦争的の侵略を抑止する力は、現在の自衛隊はあると思っております。また、そういう範囲の自衛力は維持発展さすべきである、こういう考え方であります。
  107. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 あなたはわざと答弁をはぐらかしておられるのだろうと私は思う。というのは、わからないはずはない。あなたは防衛庁長官は初めてだけれども、すでに国務大臣は二回もおやりになって、今度三回目ですから、もう知っておられるはずなのです。だから、あなたを補佐する事務当局が、やはり能力は増大したというふうに認めておるのじゃないですか。能力は増大した、その侵略の意図は減少をした、こういう基本的な想定がなされた上で防衛計画というものがつくられたのじゃないですか。ただ目の子勘定でいまのやつを維持すればいいだろう、こういうようなことで打ち出されたのですか。
  108. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 意図は、各国が日本を侵略するかどうかというようなことにつきましては検討はしておりまするが、情勢が別に悪化もしなければ、よくもなっていない。すなわち油断は許さない状態である、こういう答えを明確にさらに繰り返しておきます。  それから、現在の自衛隊の力というものは、通常兵器による局地戦争的の日本に対する侵略戦争を抑止できる力である。この力は従来どおりでいいじゃないかということはないのでございまして、各国とも防衛力の近代化ということはやっておるのでございまして、その近代化をいたしておるのがこの三次防でございます。
  109. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まだお答えになっていない。油断は許さない。油断は許さないということは、意図というものは持っておる、だから油断は許さないんだ、こういうふうに受け取るよりほかにないのですね。そうすると、その意図は増大をしたのですか。というのは、そういうような仮想敵国もなければ潜在的な侵略国家もない、しかし、ばく然とした極東の緊張が油断は許さない、これでは一体、それを聞いている国民はどういうように判断をすればいいのですか。あなたは防衛庁長官なのですから、こういう見方に立ってこういう計画をつくるんだ、だから国民は税金を納めてくれと言えば、自民党を支持する人たちは賛成するかもしれない。われわれは反対がすがね。それで、その問題について、能力と意図の問題をやはりあなたは自分の職責の立場から、もっと明快に国会を通じて国民の前に明らかにする責任がありますよ。ただ油断を許さないだけでは、私はその答弁を納得するわけにはまいりません。長官が答えられなければ内局が答えなさい。
  110. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 わが国に対する現実的な脅威があるかどうかということでございますが、これは三次防を計画いたします場合も、前提として当然われわれは周辺諸国、わが国に影響を及ぼすであろう諸国の情勢につきましての判断をいたすわけでございます。ただ、脅威につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、一つは国の意図がどこにあるかという問題でございまするが、もう一つは、その国がある意図を持てばどれだけの力を持つことになるかという能力の面、両方が脅威の二つの要素だろうというふうに思うわけでございます。  極東におきますところの情勢につきましては、現在大きく世界的に見ますると、二大陣営というものが対立をしておる。そうして、それぞれ集団安全保障体制のもとにおきまして相対峙をしているという、こういう情勢につきましては、今後もこれは継続されるであろうというふうに考えられるわけでございますが、ただ現象的には、東南アジア、ことにベトナムを中心としまして局地的な紛争が継続せられております。世界全体の紛争というものが、あるいは脅威というものが、むしろヨーロッパよりも極東のほうに移っておる、これはマクナマラ長官も言っておりますし、英国の国防白書等でもそういう見方をしておるわけでありまして、したがいまして、世界全体の紛争というものが非常にアジアの緊張を高めつつあることは否定できないわけでございます。  したがいまして、われわれといたしましては、そういう周辺諸国の紛争がわが国に波及をするおそれがあるかないかということも当然に考えなければなりませんし、また、能力的には周辺諸国が、現在、意図は別としましても、どういうふうな趨勢にあるかということは当然分析をいたしておるわけでございまして、先ほど長官からもお話がありましたように、周辺諸国の軍備というものは、必ずしも兵力量的に増大しておるという点は見られませんけれども、その内容につきましては非常に著しい近代化が行なわれておるわけでございまして、それを戦力として判断いたします場合には、能力面から見ましたところの脅威というものは相当増しつつあるというふうにわれわれは判断をいたしておるわけでございます。  ただ、今日、核戦争を含みますところの全面戦というものが成立する可能性はきわめて少ないというふうに思うわけでございますけれども、ベトナムに見られましたようなああいう国境をめぐりますところの紛争、あるいは民族解放戦争的な紛争というものはやはり今後も継続せられるであろうし、そういうものが極東の諸国のいろいろな紛争に波及をするということも、当然われわれは考えなければならぬのでございます。わが国は、あくまで自衛ということが防衛の基本でございますけれども、自衛隊としましては、そういう直接間接の侵略に対しましてこれに対処するという任務を持っております以上、そういう情勢に対しては絶えず注目をし、また、そういう能力に対しましても、わが方としても十分これに対処し得る抑制力というものを持つ、こういうことが国防の基本でなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  111. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 あなたは、端的に言えば、能力は増大した、しかし、意図は減少しつつあると言う。意図も増大しているのですか、長い説明はいいですから簡単に……。
  112. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 意図は、要するにそのときの情勢の推移と申しますか、情勢の変化によって生じてくることでございまして、現在どういうふうにあるかということは、なかなか判断しにくいというふうに思っております。
  113. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その問題はまたあらためてやることにします。  ただ、国防兵器の受注争奪戦――前にありましたように、ロッキード、グラマンの争奪戦に見られるような激しい競争が現在業界においては行なわれているのです。そうして週刊誌にも――ここに私は持って来ましたけれども、週刊新潮にも、とにかく防衛庁は三菱にそっぽを向かれたら計画がスムーズにいかない、三菱も防衛庁から仕事をもらわなければたいへんなことになるという関係になっておる。三菱グループが防衛産業において占めているシェアというものは大きなものがあります。こういうような形の中で日本の防衛と防衛産業とが癒着をしておる、このことは増田長官はよく御承知だと思う。これから黒い霧というようなものがかつてはあって、そうして盛んに怪文書なんかも出されたりして、それを告訴したりしたような事件等も過去にあるわけですね。この問題については、やはり十分な警戒を防衛当局としてもとっていただかなければならないということの指摘だけを私はしておきます。  そこで、時間がありませんのでもうそろそろおしまいにしますが、今度、御承知のように昨年の十一月の十日、恵庭事件の公判が行なわれましたときに、札幌の地裁で開かれておりますが、自衛隊の器物損壊罪、これに対します論告は、求刑なしの論告に終わりましたね。裁判長が職権でそれをやりました。今度の三月二十九日には、いよいよ結審を見るようであります。これの中身は、今日の自衛隊は憲法違反である、こういう判決が下る公算が私たちは強いと見ている。なぜかなれば、今日、公法学界の中におきましても、公法学者を調査対象にして自衛隊の違憲、合憲をめぐってなされた調査を見ましても、八八%は自衛隊が憲法違反だ、こういう考え方を持っておるわけですね。この求刑なしの論告に終わったという事実を見ましても、これはきわめて重大な問題だ。こういうようなことが、やはり今度一国の軍隊を――これは戦力ではないというようなことを検事あたりは言っておるようでありますけれども、今日ミサイルまで備えたナイキからホークから、そして海にはターターというようなものまで持って近代化された力を持ったのが兵力でない、そういう解釈を幾ら下してみましても、そのことは大衆は認めない。国民も認めない。こういうような内容から、今度は、一国の軍隊が憲法違反であるという判決が私は出てくると思う。そういうようなのに対しまして、あなた方はどういうような措置をとられようとしているのかわかりませんが、今日自衛隊は、第三次防を見てみますと、先ほど大蔵大臣は近代化だとおっしゃった。近代化だけじゃありませんよ、兵器の更新だけじゃありませんよ、この中には明らかに増強分が入っているじゃありませんか。増強分は入ってないと大蔵大臣は見ておられるのですか。そういうような判決が下ることは間違いない。今度の国会の会期中においてそういうような判決が下った場合には、やはりこの三次防については、憲法との関係もあるので、少なくとも増強だけは私は見送るべきだという考え方に立ってこの問題は処理しなければならない問題だと思うのです。先ほどは、大蔵大臣は器材の更新である、近代化であるということに終わっておられますが、そうじゃないでしょう。純粋の増強分というものがあるじゃないですか。そういうようなきわめて重大な問題でありますから、これについて防衛庁長官はどういうお考えを持っておいでになるのですが。いま申し上げます裁判の問題……。
  114. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 裁判のことは司法当局におまかせいたしたいと思っております。
  115. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そうしなければおかしいですね。それに干渉したら三権分立でなくなる。だけれども、そういうような事実が生まれてきますよ。だから、侵略の可能性というものは、これは非常に緊張の度合いが高まり、油断をしてはならないんだとおっしゃるけれども、一体侵略の可能性のある国々の兵力なり、あるいは今日の軍事力なり、あるいは侵略をしてくるためにはそれだけの資材がなければならぬ、そういうような資材なり、あるいは兵員の訓練体制なり、こういうようなものを考えてまいりますと、侵略の可能性というものは、空からやって来る場合にはそれはあり得るとしましても、陸からやって来るのは、海を渡ってやって来るのはないでしょう。そういうような力を持っているところはないじゃないですか。こういうような問題の中において、陸上の自衛隊を十八万人にふやすなんというのは、全くそういうような戦略思想というものがない、ただ、いままでの惰性の上に国民の目をごまかしながら積み上げてきた自衛隊の歴史を、さらにあなた方はつくり上げていこうという考え方にほかならたいということを言われてもしようがないじゃないですか。その点、第三次防の改善の分、あるいはまた増強の分等についても、後日時間があります場合に申し上げますが、私はきょうはこれで終わります。先ほど申し上げました、一体どこを基準にしているかということについては回答がございませんでしたけれども国民所得か、あるいは国民総生産か、あるいは政府のサービス購入の経常支出なのか、財政当局は基準を明確にしているだろうと思いますが、その点は今後に及ぼす影響がきわめて大でありますから、その点についてまた後日確かめておきたいと思います。  終わります。
  116. 内田常雄

    内田委員長 田中昭二君。
  117. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣にお伺いしますが、私も初めてでありますし、いまからお尋ねしますことに対しましては、ひとつわかりやすく、具体的に、親切にお答えいただきたい、こう思うのでございます。御了承いただけるでしょうか。――まず、このいただきました予算の説明書でございますが、私も勉強したいと思いまして、この説明書を早く手に入れたい、こう思っておりましたが、この委員会開会の十八日にいただきまして、その検討もすることもできませずに終わったわけでございますが、今後はこのようなものはひとつ早目にいただけるように要望しておくわけでございます。  次に、今から申し上げる二点につきましては、後日文書でけっこうでございますからお答えいただきたい、こう思うのでございます。  まず第一番に、予算書を見てみましたところが、「前年度予算額は、本年度予算額との比較対照のため組替掲記したので、成立予算額とは符合しない。」このようなところがありますが、この「成立予算額とは符合しない」というところを私は教えていただきたい、こう思うのでございます。ようございますか。予算書の九五ページです。  次は、大蔵省全体としまして、増加要求額が約千百三十億円出ておるようでありますが、その中でおもなものを五つ、国債費並びに予備費を含めましてその内訳を知りたいわけでございます。これは予算書の三七一ページでございます。  次に、租税収入の見積もりについてお尋ねするわけでございますが、その前に、佐藤総理も野党の質問に対しまして、減税については再検討する必要はない、いたしません、そのように言明なさっておりましたが、もしもその見積もりに計数の間違い等があれば、大蔵大臣としてはどのようになさるお覚悟か、それをお聞きしたいわけでございます。
  118. 水田三喜男

    水田国務大臣 おそれ入りますが、もう一度ちょっと……。
  119. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 租税収入の見積もりでございますが、歳入をよく検討しましたところが、歳入の租税収入の中の計数に間違いがなければいいのですが、もしも間違いがあった場合には、大蔵大臣としてはどのようになさるか。総理は検討する必要はない、そのように言明なさったわけなんですが、そういうことです。
  120. 水田三喜男

    水田国務大臣 計数の間違いがあれば、訂正いたします。
  121. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それじゃちょっと、歳入の中の租税収入の中で、主要税目別にその減税額、その数字をあげて、その妥当性を説明してもらいたいわけでございます。八百三億円ですか……。
  122. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 お手元に差し上げてございます「昭和四十二年度租税及び印紙収入予算の説明」に現行法によりますところの各税目の収入見込み額、さらにそれから改正による各税日ごとのまた減収見込み額も計算してお示ししてあるとおりでございます。その三ページを見ていただきますと、総体的な昭和四十二年度の租税及び印紙収入予算額を提出申し上げておりますし、四ページ、五ページには、四十二年度税制改正による事項別増減収額を、所得税、相続税、企業減税等、減税を総計いたしまして書いてございます。さらにまた、税制の調整合理化、これは印紙税、登録税の調整合理化、租税特別措置等の整理合理化、この二つからなっておりますが、これらに示してあるところで私どもはいま適正な見積もりをしておる、こういうように考えております。
  123. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それですから、減税になりました種目が三項目しかありませんから、その三項目のそれぞれの税目の減税額とその前年度との特に大蔵省は前年度とよく比較検討なさいますから、前年度と比較して割合が少ないのだ、その妥当性を説明願いたいわけです。所得税と法人税と相続税としかないわけでしょう。
  124. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 ただいま申し上げました説明の中の四ページ、五ページ、これに所得税、法人税、いま申されました相続税、さらにまた印紙税、登録税、租税特別措置、これにつきまして各項目ごとの減収額を掲げてございます。一々これを説明いたしますと、おそらく三時間も四時間もかかろうと思いますが、もしも御要望の点で不審に思われておる点がありましたら、その項目を御指摘願えれば、その項目にしぼりましてお答え申し上げたいと思います。
  125. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が聞いておるのは、そんな三時間なんかかからずに、いまでも三項目しかないんですから、八百三億円の内容を言っていただいて、それが前年度がどうだったのか、それをこういうようにしましたと、このように言ってもらいたいと思うのです。初めから申し上げましたように、私どものほうも十分この説明書を見ております。それをただ読むだけだったら、それは何時間もかかると思います。そういうことを言っておるわけではありませんから、それはそれといたしまして次に移りますが、源泉所得税減税は幾らになっておるのでしょうか。
  126. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 説明の四ページにございます。初年度と平年度に分けまして、源泉所得税の初年度の減税額は千二十二億六千七百万円でございます。平年度の源泉分の減税額は千百八十八億四千九百万円でございます。
  127. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 源泉所得税減税しましたその減税した後の税収は幾らでございますか。
  128. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 三ページに返っていただきまして、「第2 昭和四十二年度租税及び印紙収入予算額」の所得税のうちの源泉分、改正法による収入見込み額八千七百四十億三千七百万円、右から二番目の欄でございます。
  129. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その給与所得並びにその他の源泉所得税の額を私お聞きしたのですけれども、その前の額を言ってありまして、それはそれでいいでしょう。  それじゃ利子所得、配当所得のそれぞれの税収の出てきました課税所得と税収額をお願いしたいわけです。
  130. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 利子所得と配当所得につきまして、御案内のように今回は五%の税率の引き上げが行なわれることになっております。それはいま田中先生の御疑問を持たれた源泉の税金が引き上がることになりますので、その部分だけ法人税との相殺が行なわれる、こういうことになります。  そこで、利子所得の増収額は九十九億七千万円、配当の増収額は四十九億八千四百万円、これは平年分でございます。
  131. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が聞いておりますのは、源泉所得税の中で給与所得以外の所得税の中で、利子の所得税が幾らか、その税収のもとになった所得は幾らか、配当所得は幾らか、税収は幾らか、このように聞いておるわけです。
  132. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 これもまた技術的な点は省略いたしまして、結論だけを申し上げますと、現行法では千四億八千九百万円が利子所得に対する税額でございまして、改正法の結果、初年度でございますが、千四十三億五千六百万円になります。配当所得に対する税額は、源泉では、現行法では七百二十七億一千万円でございますが、改正法の結果千二十三億六千五百万円になります。そのことは九ページに示してございます。
  133. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 問題は、その所得を聞いておるのです。所得が出なければ税額が出ませんから、所得はどのように出ておりますかと聞いておるのです。
  134. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十二年度の見込みでは、利子所得の課税分が九千七百四十八億円でございます。
  135. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 配当は。
  136. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 配当金は全体といたしまして、支払い配当総額を四十二年度約八千億円と見ております。
  137. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、説明書によりますと、この税額を出したのは、四十一年の実績より推計したとありますが、その四十一年度の実績はどのようになっておりましょうか、課税所得と税収ですね。
  138. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 利子所得について申し上げますと、課税分につきましての四十一年度の見込み額は八千四百七十六億円と見ております。
  139. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 税収は。
  140. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 配当額につきましては、七千百億円と見ております。先ほどの御質問は源泉分離の課税でございますから、税額は一〇%でございます。
  141. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、利子は八百四十七億円ですか。
  142. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 利子は、したがいまして九千七百四十八億円の一〇%の九百七十四億八千万円となるわけでございますが、これは法人、個人突っ込みでございまして……。
  143. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことを聞いているのではなくて、四十一年分の実績によって推計したと説明書に書いてあるから、四十一年度分の利子所得と税収は幾らになっておりますかと聞いておる。四十一年分の実績です。
  144. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十一年度は、実績見込みはただいま申し上げました利子所得は八千四百七十六億円でございます。
  145. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 だから、それの税額を言ってもらえばいいわけです。
  146. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 そこで税額を申し上げますと、八千四百七十六億円の個人分と法人分に分かれまして、個人分はそのうちの四千三百九十五億円が個人分でございます。これだけが源泉分離でございますから、一〇%の四百三十九億円が源泉の税額となります。法人分は一応源泉が一割取られますが、法人税で精算される、かようになります。
  147. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、四十一年分の実績を四十二年はどのように見られたのでしょうか。
  148. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 八千四百七十六億円を九千七百四十八億円と一応見てございます。しかしながら、これは少額貯蓄非課税制度の緩和によりまして、改正法の結果は八千六百三十五億円と、課税分は百六十億円ばかりの利子所得がふえる、こういうふうに見てございます。
  149. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、一括しまして、三十九年分から四十二年分までの利子、配当のそれぞれの税収を言っていただきたいと思います。
  150. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 法人、個人、いろんなこんがらがった説明をしなければなりません。  利子所得についての税額で念頭にありますのは個人だろうと思います。複雑でございますので、ひとつ資料で差し上げたいと思いますが、いかがでございましょう。
  151. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま法人、個人とおっしゃいますけれども説明書によれば、個人分は個人分としまして税収が出ておりまして、それから還付税額も出ております。還付税額がどのようにふえてきておるものか、そういうものは説明書には全然しるしてありません。そういう点で疑問を抱いておるわけなんです。ですから、ただ法人と個人が一緒だから、そのように言われましても、私はよく了解するわけにいきません。  次に移ります。間違いがあればということを言っておりますから、これはまたあとで指摘することにいたしまして――あとで出していただくのでしょう。
  152. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 資料で出します。
  153. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に、税の自然増収でございますが、まず自然増収の四十一年、四十二年分につきましては幾らになっておるのでしょうか、その税額と割合。
  154. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 自然増収ということばの意味でございますが、当初予算に対しまして私どもは自然増収ということばをよく使うわけであります。四十一年度におきましては、昨年の国会におきまして、千四百六十億円の補正予算におきまして増加を計上いたしました。当時の経済見通しと最近の経済見通しは少し、一回り大きくなってまいりましたので、千四百六十億円の自然増収よりも少し多目の自然増収が生ずるであろう、こういうふうに見込まれております。最終的には幾らかは、先日堀委員に申し上げましたように、三月十五日の申告所得税の最後の締めくくりもまださだかでございませんので、はっきり申し上げる段階に至っておりません。四十二年度は、先ほど来御説明申し上げておりますように、七千三百五十億円の自然増収を見ておるところでございます。割合といたしましては、昭和四十一年度は一八・九%、昭和四十二年度は二〇・五%の伸びを見てございます。
  155. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの自然増収でございますが、それは何に対する割合でございますか。
  156. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 当初予算に対する割合でございます。
  157. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、当初予算に対する自然増収が四十二年度のほうが割合が多くなっておりますが、四十一年度の実際の減税額と見た場合には、その割合で引き伸ばすというわけにいきませんか。
  158. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十二年度の自然増収の伸びが大きいのは、四十一年度の経済が四十年度の不況から脱出しました最初の年でございます。四十二年度がそれがもう少し一回り大きくなる関係で自然増収の伸びが多い、こういう関係でございます。  なお、御質問の点、若干私も完全に理解していない点がありますので、もう一度補足していただければしあわせでございます。
  159. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう一度言いますと、実質の増収でございますが、昭和四十一年度は幾らになっておりましょうか、四十二年度は幾らになっておりましょうか。
  160. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十一年度につきましては千四百六十億円の補正予算で補正を計上いたしましたが、それがまだ決算期が至っておりませんので、実質がどれだけということにもまだ至っておりません。  四十二年度は、これにつきましていろいろな御議論がございますけれども、もちろん私どももこれが一番適正なる見積もりだと思っておるところでございます。
  161. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、四十一年度の実質増収というのは、一応この説明書を見ますと――ちょっと見ていただけますか。三ページの二番目の三千七百七十九億円ですか、約三千七百八十億円、これを実質増収と見て差しつかえないでしょうか。
  162. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 ちょっと田中先生、三ページのどこのあたりでございますか。
  163. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 三ページの補正後予算額に対する増減収額というのがあるでしょう。
  164. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 そのうちのカッコ書きの七千三百五十三億円……。
  165. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 四十一年分ですよ、私が言っているのは。四十二年分でもいいです。四十二年分であれば下のカッコ書きじゃないほうが……。
  166. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 三兆一千九百七十七億一千百万円……。カッコ書きは、四十一年度の自然増収という欄は表示してございません。
  167. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうすると、現行法でいけば、四十二年度は実際増収になる分は五千八百九十三億円ですか。
  168. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 自然増収ということばは、私どもは普通当初予算に対して使っております。いま先生御指摘の五千八百九十三億一千万円というのは、補正後の昭和四十一年度の予算に対する増加分でございます。普通の意味に直しまして、当初予算に比べましての自然増収を見ますと、七千三百五十三億二千七百万円、こういうふうにカッコ書きで示してございます。
  169. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、四十一年分はやはりカッコ書きの一千百八十九億円でございますか。
  170. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 当初予算に見積もりました自然増収は仰せのとおりでございます。
  171. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、いまの主税局長お話によりますれば、四十一年は千百九十億円の自然増収であり、四十二年は七千三百五十三億円の自然増収であります。そのようなときに、四十一年の減税額と四十二年の八百二億円という減税額、この関係をお願いします。
  172. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 自然増収が七千三百五十億円と膨大にありながら、ことしの減税がわずか八百三億円である、昨年度におきましては、千百八十億円の自然増収にかかわらず二千億円の減税をしたのでございますが、この関係は、御案内のように、昨年におきましては公債を発行いたしまして、これでもって公共事業に充てておりました財源を減税に回した、これによりまして大幅の減税ができた、そういう関係でございます。本年度はその公債の増発によりまして減税財源を生み出すことができませんのでこれだけの減税になった、こういうふうに御理解願えればと思う次第でございます。
  173. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次は、同じことを繰り返すようでございますが、税収の伸びについてお尋ねします。  まず、税収の伸びは、決算額に対しまして歳入予算額と収納歳入額というものを見てみますと、毎年収納額が多いようでございます。特に一昨日いただきました収納状況を見てみますと、相当の収納が予想されます。ここに率も示してありますとおりに、四十二年度は一月末で当初予算に対しては八六・二%の収納率を示しておりながら、前年は当初予算に対しましては、七四・八%、このような状態でございます。そうするならば、当然四十一年度の歳入額を収納額は超過するんじゃないか。その見通しはいかがでしょう。
  174. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 田中先生御指摘の印紙収入額から見まして、今年度の収納状況は好調でございます。一月末におきまして収納歩合は一・八%ほど好調でございますが、これもいつも国会で御説明申し上げておりますとおり、法人税の延納の歩合が低下した、これがございますので、これを相殺いたしますと一%くらい、これによりましても補正後の千四百六十億円を追加したところの租税収入状況に比べまして増収が生ずることは先ほど来申し上げたとおりでございます。私どももできる限り、歳入予算の見積もりの適正化をつとめておるわけでございますが、経済見通しとしてなかなかむずかしい問題があり、そのとおりにもまた経済も動きませんので、こういった事情が生じております。一方、三十九年、四十年度において、実質的には、御案内のように、租税の収入を予算に見積もったことは記憶に新しいところでございまして、御存じのとおりだと思います。
  175. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ところで、いまの一・八%でございますが、その前に、私がさっき申し上げました各年の収納状況と歳入を見てみますと、三十九年を除いてはほとんど多いようでございます。この点はどうでございましょうか。
  176. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  177. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうすると、その一・八%の収納増加を約二%と見た場合には、大体いまの歳入額よりも二千七百億円くらいの収納が見込まれるわけでございますが、その計算がそちらですぐできますか。できなければ私のほうから言ってもいいんですが、確認の意味で申し上げましょうか。
  178. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 歳入見込み、なかなか技術的な点がございますので、私どもいろいろなことを申し上げなければならぬのですが、先ほど来申し上げておりますように、一・八%でよろしい、その中の〇・八%程度は法人税の延納歩合が低下し、つまり、逆に言いますれば、即納率が向上した。この一月末の実績を見ていただきましても、一番いいのは法人税でございます。前年は八四・七%と補正で相当多目の法人税を見積もりながら八九・三%と、ここで四・六%の向上がございますが、これは二銭の利子を払って延納するということが、現在の金利状況でばかばかしいというので、これが非常に進んでまいりました。だんだんこれも低下してまいります。去年からそれが進んできたわけでございますが、そういった要素を相殺いたしますと、私どもの見積もりでは、先生の数字とは違った、半分くらい、一%くらいに見込んでおるわけでございます。そうすると、一%と申しますと、三兆三千億円の一%でございますから三百三十億円が補正後の租税収入に対する増加見込みであることは簡単に計算できます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、申告所得税の実績は相当大きく租税収入に影響いたしますものでございますから、これらを見きわめて、四十一年度の自然増収額と申しますか、決算剰余については申し上げたい、こういうふうに申し上げておりますので、一%というのはまことにかりの数字でございます。
  179. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 主税局長はいつもそういうようなお答えをなさるわけですが、いまのパーセントにしましても、八四・七%というものはあくまでも前年の決算額に対するパーセントでありまして、その次の八九・三%というのは、あくまでも補正後の予算に対する収納額であると思います。当初予算に対すれば、法人税については九九・四%の収納率が正しいのじゃないでしょうか。それと、そういう収納状況につきましては、いま申告所得税の話をなさいましたが、申告所得税は租税の全収入に対しては、そんな膨大な数字は占めておりませんし、一つ一つ税種目別に収納状況を見てみましても、いま局長が答えられた一・八%の伸びが当然現段階において予想されるならば、それをどうして半分にするとか、そういうことをおっしゃるのだろう、こう思うわけでございます。
  180. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 田中先生御指摘の八四・七%、あるいは本年度の八九・三%というのは、単純に比較したらいいわけでございます。八四・七%は当初予算に対する収入額でなくて、決算に対する収入額でございます。これに比較されるべきものは補正後の予算額ということで八四・七対八九・三、これでいいわけであります。その中から延納分を相殺したらいい、こういうことになります。  第二点の申告所得税、おっしゃるように三兆三千億円のうちの申告所得税の割合は少ないわけでございますけれども、この一月分の収入額の調べにありますように、一月末で本年度五四・七%しか入っておりません。申告所得税は前年度も五三・八%しか入っておりません。つまり、申告所得税は三月が納期でございますので、半分近くは三月の納期で入ってくる、こういう技術的な観点からこの収入が非常に大事である、こういうふうに申し上げたつもりでございます。
  181. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これはひとつ主税局長さんとよくひざを突き合わせて――私がさっき言いましたように、毎年収納状況が多いじゃないですか、そういうものが当然四十二年についても、四十一年度の歳入が多くなるのであれば、その分をどうして見ていないか、こういうことに論点があるわけでございますから、これはお互いに持っております数字をもちまして、また御検討さしていただきたい、このように思います。  次に移ります。今度の改正によりますと、所得税の最低税率を〇・五%引き上げる、こういう項目があるわけでございますが、これはどういうことになっておるのでしょうか。
  182. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 いずれまた所得税改正案につきましては 提案後ここで御審査を受けることになるわけでございますが、この改正点につきましていま申し上げますと、昨年来の継続的な改正の一連の作業、こういうふうに言ったらいいかと思います。所得税の最低税率は、課税最低限の高さと密接な関係がある。課税最低限を上げてまいりますと、最低税率は比較的高目からとってもいい、しかし、課税最低限が低いときには、低目の税率のほうが小額所得者の負担から見て適当ではなかろうか、こういうことでございます。そういった意味で、八%の税率を〇・五%ずつ上げてまいりまして、去年は〇・五%上げましたが、今年度も〇・五%、こういうことでございます。なお、八・五%という税率は外国の税率に比べまして低いことは御存じのとおりでございます。
  183. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、四十二年分については〇・五%の税率は、最低限については高くなったということは、それでいいわけですね。
  184. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 さようでございます。
  185. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、四十一年も〇・五%引き上げた、四十二年も引き上げた。その毛のはこの説明書の中を見てみますと、その〇・五%引き上げたことによって税収は増になるのか減になるのか、こういう問題をお聞きいたしたいのであります。
  186. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 増収平年度におきまして百五億七千八百万円ございます。この分だけ課税最低限が引き上げられた、百五億円の増収分をもちまして課税最低限七十四万円の方向に近づいた、こういうふうにお考え願えればいいかと思います。
  187. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、四十一年はどうなりますか。私は四十一年と四十二年を聞いたわけでございます。
  188. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十一年度も同様な考え方で課税最低限を引き上げてまいりました。
  189. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうすると、四十一年もやはりそれだけ増収になっているわけですね。
  190. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 さようでございます。
  191. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ところが、この説明書を見てみますと、四十一年はこの税率の緩和においては五百三十二億円の減になっておるようでございますが、これはどういうことでございましょう。
  192. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十一年度におきましては、御案内のように最低税率は引き上げましたけれども、中間税率は大幅に緩和いたしました。そのための減収が生じたわけでございます。それと相殺いたしまして減収額が計上されておる、こういうことでございます。
  193. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、中間の税率が緩和されたことによって四十一年は五百億円の減になっておった。それが同じ〇・五%最低税率を引き上げた場合に、四十二年度は逆に百五億円増税になっておる、これでいいわけでしょうか。
  194. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十一年度は実は五百三十二億八千八百万円の減収になっておりますが、相殺した結果でございますので、そのときも百十億円ばかりの増収は生じたことは間違いございません。
  195. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に、今度の改正によります専従者に対する完全給与制の実施でございますが、これによりますと、課税所得の減少というようなことはどのような、また専従者の給与の完全給与というものに対する大体の主税局の考え方はどのようなものでございましょうか。
  196. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 この点もいずれまた所得税法改正法律案がここで御審議になる際にきびしい御批判があるかと思います。  御案内のように、現在の中小企業状況のもとにおきまして、家族労働者の地位というものはいま非常に大事なものでございます。法人企業になりますれば給与が認められる、この法人企業ということも、多分に現在の企業の実態から見ますと不自然なものもございます。法人企業になれば家族労働者の給与が認められ、個人企業ならば給与が認められないで、二十四万円という税法できめられた専従者の控除が認められるのでいいかどうか、これが根本だろうと思います。しかしながら、御案内のように、家計と企業との分離の不十分な個人企業のもとでは、これを完全に費用に見るということも、これまでの税務執行の状況から見たら適当でない、こういうふうな考え方があっわけでございます。しかしながら、最近の家族専従者の状況から見まして、やはり将来の進歩の方向に、企業形態が法律上の差異があってもこれは同じように扱うべきが至当でないか、税務もそれに対して相当な準備をして認めるべきでないか、こういう考え方で昭和四十三年から税務も個人企業のほうも十分な準備をしてこの問題を解決したい、かように考えておる次第でございます。
  197. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が聞いておりますのは、この専従者給与を実施することによって、四十二年の税収の見積もりにはどのようなことを考えているのか、この辺のこともお聞きしたかったわけです。
  198. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 四十三年分からでございますので、四十二年には専従者控除の減税額は計上いたしておりません。
  199. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう一つ、やはり所得税法改正によるものでございますが、ホステスに対する源泉徴収でございますが、これはどのようにお考えになっておりますか。また、これと直接関係さすのはおかしいかと思いますが、昨年国会議員の確定申告未提出の者が新聞に発表になっておったようでございますが、この確定申告していない国会議員に対しては、どのようにその後調査なり結果が出ておるでしょうか、その点をお願いしたいと思います。
  200. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 ホステスに対する源泉徴収の問題も、これまた所得税法改正案で御審議を受けると思います。申告納税が完全にいけば、御案内のように、源泉徴収といった方法はできる限り避けたほうがいいというのが正しい考え方かもしれません。しかしながら、御案内のように、ホステス等、移動の激しい働く方々はなかなか完全な申告納税も期待できない、そんなふうな意味におきまして、事業所得というふうに見られるものでございまするけれども、経営者が支払う際に源泉徴収をさしていただいて、前もって納税に備えさせていただくという、こういう考え方でございます。  なお、政治家等につきましては執行上の問題でございますので、国税庁長官からお話があろうと思います。
  201. 泉美之松

    ○泉政府委員 いまお尋ねの、政治家の方で四十年分の所得税について申告しておられない方の数字は、別段新聞に発表したことはございません。申告されなかったのは、歳費以外の所得が五万円をこえるものがなかったということで申告されなかったことと思います。  ただ、国税庁といたしましては、はたして事実そうであるかどうか、並びに、申告されておられる方におきましても、申告額が正当であるかどうかということにつきまして昨年以来調査をいたしまして、今回四十一年分の所得税の申告の際にその点をあわせて是正していただくというように、各国税局、税務署に通達いたしておるのであります。その結果の集計は、去る三月十五日に申告が終わったばかりでございまして、まだできておりません。
  202. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 先ほどちょっと聞きまして、私もはっきり了解してなかった分が利子配当所得の問題でございますが、これはいまの主税局長お話では、四十年分四十一年分についてはその所得額、税収額についてまだはっきり聞いておりませんから、これはまた次の機会にその問題をお聞きしたい、このようにつけ加えておきます。  以上でございます。
  203. 内田常雄

    内田委員長 次会は、来たる二十四日、金曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十一分散会