○
堀委員 大体、水田さんは
成長論者ですからね、あなたのおっしゃることは大体あなたの地をいまおっしゃったと思うのです。二〇%余力があることがはたしてどうかという点は、多少構造的な問題を含めて
考えていかなければならないことですから問題があろうかと私は思いますけれども、ここだけ
議論してもしかたがありませんから前へいきます。
しかし、このことだけは一つ私はあなたに申し上げておかなければならぬのですけれども、要するに、生産余力で、いま日本で何が一番問題になっているかというと、四・七%ぐらいに結果としては
成長があったときにでも
公債発行をしなければならぬという風潮がなぜ出てくるのか。諸外国の
経済成長の実績を見ると、みなこんなに高くないですよ。日本の場合でも
昭和二十九年は実質
成長が三・八%というときがあったわけです。これは御承知の一兆円
予算の年でありますが、そういうのが一回あって、実質をずっと申し上げると、それ以外、三十年が一二・一%増、三十一年八・五%、三十二年九・七%、三十三年にダウンして、これが三・五%、三十四年が一三・二%、三十五年が一五・二%、三十六年が一三・九%、三十七年が五・三%に下がって、また一二・〇%、一〇・五%、そしてまた四・七%、こうなっておるわけです。最近では、日本では五%
程度の
成長のときは何だかたいへんな
不況になるということに結果としてなってきたのですね。これは一体何だろう。これはやはり根本的には
企業の借り入れ金が過多だという問題に非常に重要な関係があると私は思います。要するに、損益分岐点が非常に高いものだから、少しの減産に耐えられないようになっているわけですよ。だから、少し減産してくるとすぐ損益分岐点にひっかかって
赤字になるから、もう業界はともかく
需要を喚起しろ、
需要を喚起しろ——実はもう五%くらいの
成長があるのに
需要を喚起しろという声が出てくる。これは非常に重要な問題だと私は思っているのですよ。いま水田さんのお話のように余剰生産力二〇%を持つのはあたりまえだというようなことになって、そこへちょっと
不況がきたら——二〇%というのは平常のときの二〇%ですからね、ちょっと
不況になったら四〇%ぐらい余剰になって、またぞろ大騒ぎすることになる。そのために日本の
景気というものは落ち込んで、下がってみたり上がってみたりするわけです。これは水田さん、あなたは
成長論者であろうとも、そこはもうちょっと、そういう二〇%の余剰を持つなら自己資本比率をうんと高めて——鉄といえども、要するに世銀借款である
程度押えてきたのに、このごろは世銀借款がゆるまると借り入れのほうに比重がかかってこようという時期に、私はいまのあなたの二〇%論に賛成できない。二〇%に賛成するためには、自己資本を八〇%ぐらいに上げてもらえば、これは四〇%ぐらいに下がってきたって耐えられるでしょう。しかし、いまのような損益分岐点の高いところで、あなたのような
成長論でいいんだといってどんどん
設備投資をやらせるようなことは問題が起こるから、この点はよほど慎重に——あなたの持論は持論としても、これは慎重にひとつ
考えてもらわなければならぬ根本問題があると思うのです。だから、どうしてもそういうことのために自己資本比率が上がるように大いにもっと
努力さすべきであるし、それが整うような周囲の環境づくりについて
政府はもうちょっと
考えなければなりません。
税制でもあんなへの突っぱりにもならぬようなことをやらせておる。そうではなしに、私は今度のこれからの
設備投資の問題について言うならば、要するに、自己資本比率が上がるようなかっこうのところ、財務比率のよいところから順位をつけてしましょう、財務比率の悪いところは順番はあとにしなさい、このくらいなことは
政府のほうにおいては思い切って言っていいんじゃないか。土台は財務比率です。その財務比率が悪いのに設備を
拡大しようということが、今日の、特に四十年の
情勢を招いて、
公債発行というきわめて重大な転機を起こさしたもとはそこにあるわけですから、私はその点十分
考えるべきだと思うが、
通産大臣どうですか。