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1967-03-18 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月十八日(土曜日)     午後二時五十四分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 武藤 山治君       大村 襄治君    菅  太郎君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君       河野 洋平君    笹山茂太郎君       砂田 重民君    西岡 武夫君       村上信二郎君    山下 元利君       渡辺美智雄君    阿部 助哉君       只松 祐治君    野口 忠夫君       広沢 賢一君    堀  昌雄君       村山 喜一君    柳田 秀一君       竹本 孫一君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         通商産業大臣  菅野和太郎君         郵 政 大 臣 小林 武治君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      宮沢 鉄蔵君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次         長       武藤謙二郎君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省理財局長 中尾 博之君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         国税庁長官   泉 美之松君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         郵政省貯金局長 稲増 久義君         労働省労政局長 松永 正男君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    近藤 道生君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十八日  理事山中貞則君同日理事辞任につき、その補欠  として毛利松平君が理事に当選した。     ————————————— 三月十六日  昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税の源  泉徴収臨時特例に関する法律案内閣提出第  一号) 同月十一日  邦楽器物品税撤廃に関する請願宇野宗佑君  紹介)(第一〇号)  協同組合共済制度維持育成に関する請願(宇  野宗佑紹介)(第二五号)  バナナの輸入関税据置きに関する請願井出一  太郎紹介)(第五三号)  同(小川平二紹介)(第五四号)  同(吉川久衛紹介)(第五五号)  同(倉石忠雄紹介)(第五六号)  同(小坂善太郎紹介)(第五七号)  同(下平正一紹介)(第五八号)  同(原茂紹介)(第五九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第七一号)  同(林百郎君紹介)(第七二号)  同(中澤茂一紹介)(第一一八号)  同(増田甲子七君紹介)(第一三四号)  同(淡谷悠藏紹介)(第一五三号)  音楽、舞踊、演劇、映画等入場税撤廃に関す  る請願阿部哉君紹介)(第七五号)  同(淡谷悠藏紹介)(第七六号)  同(井手以誠君紹介)(第七七号)  同(猪俣浩三紹介)(第七八号)  同(石川次夫紹介)(第七九号)  同(石田宥全君紹介)(第八〇号)  同(石野久男紹介)(第八一号)  同(岡田春夫紹介)(第八二号)  同(神近市子紹介)(第八三号)  同外二件(川村継義紹介)(第八四号)  同(木原津與志君紹介)(第八五号)  同(北山愛郎紹介)(第八六号)  同(黒田壽男紹介)(第八七号)  同(小松幹紹介)(第八八号)  同(河野密紹介)(第八九号)  同(佐々木更三君紹介)(第九〇号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第九一号)  同(島上善五郎紹介)(第九二号)  同(田邊誠紹介)(第九三号)  同(田原春次紹介)(第九四号)  同(楯兼次郎君紹介)(第九五号)  同(堂森芳夫紹介)(第九六号)  同(中井徳次郎紹介)(第九七号)  同外一件(中澤茂一紹介)(第九八号)  同(永井勝次郎紹介)(第九九号)  同外一件(成田知巳紹介)(第一〇〇号)  同(野間千代三君紹介)(第一〇一号)  同外一件(浜田光人紹介)(第一〇二号)  同(原茂紹介)(第一〇三号)  同(平林剛紹介)(第一〇四号)  同(帆足計紹介)(第一〇五号)  同(穗積七郎紹介)(第一〇六号)  同(美濃政市紹介)(第一〇七号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第一〇八号)  同(柳田秀一紹介)(第一〇九号)  同(山崎始男紹介)(第一一〇号)  同(横路節雄君商会)(第一一一号)  同(安宅常彦紹介)(第一五七号)  同(井岡大治紹介)(第一五八号)  同(板川正吾紹介)(第一五九号)  同(大柴滋夫紹介)(第一六〇号)  同(加藤清二紹介)(第一六一号)  同(勝澤芳雄紹介)(第一六二号)  同(唐橋東紹介)(第一六三号)  同(川崎寛治紹介)(第一六四号)  同(兒玉末男紹介)(第一六五号)  同(中嶋英夫紹介)(第一六六号)  同(広沢賢一紹介)(第一六七号)  同(三木喜夫紹介)(第一六八号)  同(村山喜一紹介)(第一六九号)  同(森本靖紹介)(第一七〇号)  同(八木昇紹介)(第一七一号)  同外六件(山内広紹介)(第一七二号)  同(山田耻目君紹介)(第一七三号)  入場税撤廃並びに労音、労演の非課税等に関す  る請願安宅常彦紹介)(第一三七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一三八号)  同(小川三男紹介)(第一三九号)  同外一件(大柴滋夫紹介)(第一四〇号)  同(岡田春夫紹介)(第一四一号)  同(勝澤芳雄紹介)(第一四二号)  同(神近市子紹介)(第一四三号)  同(黒田壽男紹介)(第一四四号)  同(戸叶里子紹介)(第一四五号)  同(細谷治嘉紹介)(第一四六号)  同(松本七郎紹介)(第一四七号)  同(山花秀雄紹介)(第一四八号)  同(河野密紹介)(第一七四号)  同(佐野憲治紹介)(第一七五号)  同(島上善五郎紹介)(第一七六号)  同(下平正一紹介)(第一七七号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一七八号)  同(芳賀貢紹介)(第一七九号)  同(堀昌雄紹介)(第一八〇号)  同(米内山義一郎紹介)(第一八一号)  貸金営業法制定に関する請願鴨田宗一紹介)  (第一五四号)  同(菅太郎紹介)(第一五五号)  燃料関係税増税等反対に関する請願藤本孝  雄君紹介)(第一五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  財政金融基本施策      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についておはかりいたします。  山中貞則君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  引き続き、理事補欠選任を行なうものでありますが、従来の例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、毛利松平君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 内田常雄

    内田委員長 次に、財政金融基本施策につきまして、大蔵大臣より説明を聴取いたします。水田大蔵大臣
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 今後における財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説においてその骨子を明らかにしたところでありますが、本委員会において関係法律案の御審議をお願いするにあたり、私の所信をやや詳しく申し述べ、御参考に供したいと存じます。  まず、現下のわが国経済情勢について、申し述べます。  日本経済は、昨年中の急速な拡大に引き続いて、本年に入ってからも高水準の成長を維持し、その基調には根強いものがあると認められます。  まず、鉱工業生産は、昭和四十年秋を底に、最近まで上昇が続いております。この上昇テンポを過去二回の景気回復期状況と比較いたしますと、今回の上昇速度は、前回、すなわち昭和三十八年当時を上回り、前々回、すなわち昭和三十四年当時の速度に迫る勢いを示しております。  これは、財政支出をはじめ、個人消費設備投資在庫投資など、経済のすべての分野における需要増大によるものでありますが、昭和四十二年度においては、設備投資増勢が一そう強まり、その他の需要も引き続いて増加することが予想されます。  このような情勢を反映して、企業操業度は顕著な上界を見、市況回復と相まって、利潤率も向上し、減価償却増加もあって、企業自己金融力増大いたしました。他方金融情勢も最近に至るまで緩和基調推移したため、全国銀行貸し出し約定平均金利は、二十五カ月間連続して低下し、企業間信用も解きほぐれ、企業流動性増大いたしました。  国際収支動向については、最近、輸出に伸び悩みのきざしが見られる反面、輸入増勢はかなり顕著になってきており、このため、貿易収支黒字幅は漸次縮小傾向にあります。  特に、昨年四月、国際収支に関する統計外国為替統計からIMF方式に改訂された結果、延べ払い輸出等は、輸出長期資本流出の双方に計上されることとなり、貿易収支黒字長期資本収支赤字が、従来より大きく表示されることとなった点は、注意しなければなりません。  昭和四十二年度においては、世界経済成長率鈍化等わが国をめぐる国際経済環境がさらにきびしさを加える一方、国内景気は引き続き上昇すると見込まれますので、貿易収支黒字幅縮小傾向は今後も続くものと判断されます。他方貿易外収支及び長期資本収支赤字は、今後とも増加が予想され、国際収支の先行きには注意を要するものがあります。  次に、物価推移についてであります。近年著しい上昇を続けておりました消費者物価につきましては、昭和四十一年度においては、生鮮食料品価格の安定という事情もあって、前年度に対し五%程度上昇率にとどまる見込みであります。  他方、従来比較的安定した推移をたどっておりました卸売り物価は、昭和四十一年度に至ってやや目立った上昇を示し、前年度に対して四%程度上昇は避けがたい状況にあります。この上昇要因には、海外における銅の市況高騰等特殊事情もありましたが、他方鉄鋼等内需増大を反映した工業製品の値上がりが見られた点は注目を要するところであります。  私は、昭和四十二年度における財政政策課題は、次の二つであると考えます。  すなわち、その第一は、不況を脱して新たな発展段階に入った日本経済が、今後、長期にわたり安定的な成長を持続するよう、拡大速度を適度に調節していくことであります。また、第二は、経済発展の成果として生み出される国民経済全体の資源経済各部門間に適切に配分して、経済の効率を高め、均衡のとれた経済社会拡大実現し、もって国民福祉の一そうの向上に資することであります。  この二つ課題を同時に達成することこそ、日本経済の永遠の繁栄の基礎を固め、福祉国家実現に近づく道であると信じます。  まず、景気変動調整して安定成長実現するという財政政策課題についてでありますが、すでに不況が克服され、経済がすみやかな拡大過程をたどっていると認められる今日、昭和四十二年度財政は、経済に刺激を与えて景気の行き過ぎを招くことのないよう、慎重に運営していくことが必要であります。  このような観点から、昭和四十二年度予算及び財政投融資計画においては、国際収支均衡物価の安定に主眼を置き、財政規模及び公債政府保証債発行額をできる限り圧縮することが要請されるのであります。  次に、国民経済全体の資源を効率的に配分して、均衡のとれた経済社会実現することは、財政に課せられた最も基本的な使命であります。  社会資本整備社会保障充実、文教、科学技術振興、農業、中小企業等近代化交通安全対策公害対策等強化など、社会開発施策を積極的に推進していくことは、今日のような経済情勢のもとにおいても変わることなく強く要請されているのであります。  昭和四十二年度予算の編成にあたって、私は、ただいま申し述べました経済の安定と均衡のとれた発展という二つの要請を調和させつつ、この二つに同時にこたえるよう、特に配意いたしました。  すなわち、一般会計予算規模を五兆円以内に押え、公債発行額を八千億円にとどめ、また、財政投融資計画につきましても、その規模を二兆三千八百億円余に押えることといたしました。一方、予算及び財政投融資計画内容につきましては、限られたワク内において、資金を最も重点的、効率的に配分することといたしたのであります。  次に、税制改正について申し上げます。  昭和四十二年度におきましては、国民生活の安定と企業体質強化目的として、国税において、所得税中心に平年度一千五百五十億円にのぼる減税を行なう等、次のような税制改正実施することといたしました。  以下、その具体的な内容を申し述べます。  まず、所得税につきましては、中小所得者負担軽減をはかるため、夫婦と子三人の給与所得者課税最低限を約十万円引き上げて、年収七十四万円程度まで税金のかからないようにすることを目途に、基礎控除配偶者控除扶養控除及び給与所得控除の諸控除をそれぞれ引き上げることといたしております。さらに、退職者の老後の生活の安定に資するため、退職金課税最低限を大幅に引き上げることといたしております。  また、相続税につきましては、夫婦間の相続に対する税負担大幅軽減を行なうことといたしました。  次に、企業減税につきましては、個人青色申告者専従者につき、昭和四十三年からいわゆる完全給与制実現をはかる等、中小企業体質強化に配意いたしました。さらに、技術開発促進輸出振興社会開発促進等企業の実情に即した税制上の措置を講ずることといたしております。  また、私学の振興土地対策住宅対策推進など、当面の施策に即応する措置にも配慮いたしました。  このほか、印紙税及び登録税につきましては、最近の経済の実態に適合するよう負担調整をはかり、あわせて納税方法簡易化等に留意しつつ、制度の全面的な整備を進めることといたしました。  さらに、利子配当課税交際費課税などの特別措置について、それぞれ改善合理化をはかることといたしました。  また、税制全般にわたり、記帳、申告納税手続簡略化等納税者の便宜を考慮しつつ、税制簡素化につとめることといたしております。  なお、税の執行面につきましては、国民納税についての理解を深め、自主申告自主納税体制推進をはかるよう、日ごろ最善の努力を傾けておりますが、適正公平な税務行政国民の信頼と協力を得るためにきわめて重要であることに思いをいたし、その実現に今後とも不断の努力を払う所存であります。  次に、金融政策について申し述べます。  最近に至り、長く続いた金融緩和基調にやや変化のきざしが見え始めており、今後の金融政策運営には特に慎重な配慮を加えなければならないと考えます。すなわち、わが国経済安定的成長を確保するため、景気動向推移を注視し、財政政策との調和を保ちながら、予防的、弾力的に金融政策を展開していく必要があると存じます。  同時に、政府といたしましては、金融政策が有効かつ適切に作用するよう、金融環境整備し、また、金融制度の一そうの改善努力してまいる所存であります。  また、民間金融機関においても、融資ルール活用等健全金融の確立につとめることを要望いたします。  なお、中小企業金融につきましては、今後とも政府関係金融機関融資の拡充につとめ、信用補完制度充実をはかるほか、民間金融機関に対しても、中小企業金融の疎通に格段の配慮を加えるよう指導してまいりたいと存じます。  次に、企業体質改善資本市場育成について申し述べます。  現在、経済国際化は日々に進み、いわゆる資本自由化の機運が高まっております。また、かねて懸案のガットにおける関税一括引き下げ交渉はいよいよ大詰めの段階に入り、その終結を目前に迎えるに至っております。  このような国際化の潮流の中にあって、わが国経済安定的成長を確保していくためには、企業体質強化が必要であることは申すまでもありません。この目的を達成するため、政府は、諸般の施策を講じつつありますが、企業長期安定資金調達の場である資本市場育成は、特に重要な政策課題であると考えます。幸いにして、株式市場はかつての異常な状態を脱し、また、公社債市場発展歩みを続けております。政府は、今後とも証券流通機構改善等各種施策を積極的に推進していく考えでありますが、企業自体においても経営の合理化財務体質改善に一そう努力されるよう要望いたします。  現在、国外には各種の不確定要因が横たわっております。また、国内には設備投資中心とする景気上昇が今後いかなる展開を示すか、注目を要するものがあります。政府は、これら内外の諸情勢変化を見きわめ、適時適切に、弾力的に財政金融政策運営いたしてまいることにより、わが国経済長期にわたる安定した成長歩みを持続できるよう配慮いたす決意であります。  このように、経済情勢推移に応じて、財政金融政策機動的運営をはかってまいることは、特に公債発行下における財政金融運営の重要な課題であると考えます。昭和四十一年度予算執行にあたり、上期には支出促進につとめ、下期には公債発行額の削減を実施いたしましたことも、この課題にこたえたものでありますが、昭和四十二年度におきましても、経済情勢変化に即応して、財政金融政策の臨機適切な運用により、経済安定成長を確保していく考えであります。  以上、今後の財政金融政策について所信を申し上げました。  私は、このような財政金融政策運営によって、わが国経済は、昭和四十二年度中を通じて安定的な成長を遂げ、均衡のある発展実現するものと確信いたします。  本国会において御審議を願うべく予定しております大蔵省関係法律案等は、昭和四十二年度予算に関連するもの十七件を含め二十六件でありまして、そのうち二十五件について本委員会の御審議をお願いいたすことになるものと存じます。何とぞ、よろしく御審議のほどをお願いする次第であります。  なお、本年四月以後支払われる給与について減税の効果を及ぼし、また、国税課税特例期限を暫定的に延長するため、所得税臨時特例に関する法律案及び国税に関する期限変更に関する法律案につきましては、格別にすみやかな御審議をお願いする次第であります。     —————————————
  7. 内田常雄

    内田委員長 引き続き質疑に入ります。  通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  8. 堀昌雄

    堀委員 本日は、大蔵大臣通産大臣企画庁長官の御出席をいただいて、きわめて微妙な段階になっておる本年度経済の基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  それに先立って、企画庁長官がお見えになっておりませんから、お見えになるまでの間にちょっと大臣にお伺いをしたいのですが、昭和四十一年度における当初予算以後における自然増収というものは、まだこれは四月二十八日まであるわけですから正確には答弁がむずかしいかもしれませんが、今日時点まででわかっておるところでは一体どれくらいになったでしょうか。
  9. 塩崎潤

    塩崎政府委員 堀委員御存じのように、本年度補正予算におきまして、千四百六十億円の自然増収を計上いたしてございます。当時は九月決算の調査をもとにいたしまして、その後の企画庁が発表されました経済見通しに基づきましてつくったものでございますが、その後の経済見通しが、御案内のように若干多くなる傾向でございますので、千四百六十億円以上の自然増収は若干生ずる見込みでございますが、これがいかほどになりますか、現在三月十五日期限確定申告期限、まだ結果もわかっておりませんので、それをもって私どもは確定したいと考えておりますが、いまのところは千四百六十億円の補正予算自然増収以上の自然増収は生ずる見通しでございます。しかし、それが幾らかということはまだ確定いたしておりません。
  10. 堀昌雄

    堀委員 税だけの面から見たら、おっしゃるように、一応当時の見通し千四百六十億円でございますけれども、すでに追加として千六百二十八億円という補正予算歳入があったわけでありますし、もう一つ、この間、二月の十七日でありますか、本年度内の国債発行について三百五十億円の減額をおきめになっておると思うのです。ですから、そういうふうに見ますと、全体としての本年度余剰財源といいますか、当初見積もったよりもふえてきた。歳入として見積もり得るものというかっこうでは、私が実は昨年の十月十九日の大蔵委員会で指摘をしたように大体二千億円にはなった、こういうふうに私は判断をしていますけれども、二千億円をこえることは間違いない。これからあとは、要するに二月十七日段階で三百五十億円の減額をきめたわけですから。それから三月十五日の確定申告申告納税分がどれくらい伸びるか、さらに法人税も三月分があるし、四月分もあることでありますから二千億円はこえる、こう私は理解をしております。大蔵大臣、どうですか。
  11. 水田三喜男

    水田国務大臣 企画庁見通しもその後になって変更されたくらいでございますから、税収の増もある程度あると思いますが、いまのところ二千億円をこえるかどうかは、これは部内でもわからない。二千億円以内——おそらくは二千億円にはならないだろうというふうにいま見込まれているところでございます。
  12. 堀昌雄

    堀委員 その自然増収ということばは、税についてだけあることですけれども、私がいまこの議論をしましたのは、大蔵大臣、よく聞いておいてくださいよ。昨年の十月十九日に当時の公務員ベースアップの問題について、当時の森総務長官が、財源が十分にないので、この際はひとつ五月実施という答申があるけれどもそれを九月からにしたい、こういうことになったわけです。そのときの五月実施と九月実施の差額は二百億円だったわけです。そこで私は当時の福田大蔵大臣に、私の見通しでは、最近の鉱工業生産伸び方、その他全体の経済推移からするならば、本年度経済というのは少なくとも九%上回りますよ。皆さんのほうでは当初見込みは七・五%ですから、それは十月改定が八・七%に修正をされておった時点での話でありますからね。私は、九%ははるかにこえますよ、こういう議論をして、だから二百億円ぐらい問題ではありません、だから、もし財源が出てきたならば、総務長官給与担当大臣として閣議で再要求をしますかということが結論として詰めてあったわけです。私は新聞で拝見したのですけれども、森総務長官閣議で、もう一ぺん私の言ったように財源ができたら五月までにしろという要求をしたようでありますけれども、結果としてはそういうことをしたということが残っているだけで、公務員ベースアップは九月実施はそのままになったわけです。  私の申し上げておきたいことは、要するに、経済のそういう見通しの問題——きょうはこれから経済見通しの問題を少しこまかくやりますけれども、経済見通しの問題については、過去の見積もりは皆さんのほうはきわめて消極的に、もうこまかくこまかく出しておいて、常にオーバーをしている。オーバーしなかったのは、昭和四十年のこれが最近で初めてなんですね。当初見積もりを昭和四十年度は名目成長率一一%、実質七・五%というものを昭和四十年度の当初見積もりに出しておったわけです。ところが、これが途中で、私が昭和四十年の暮れに予算委員会で総理以下に質問をいたしまして、そのときに企画庁が答弁をしたのは、四十年の十二月時点で二ないし三%の実質成長でございますという答弁をしているわけです。四十年の十二月二十三日ごろです。ところが、確報で調べてみると、これは四・七%になったわけですが、ここで千五百億余りの赤字公債というものが初めて出たということでありまして、それ以外は常に皆さんのほうは低い目、低い目に見積もっては常に余剰が出る、こういうふうになっているわけです。  私が申し上げておきたいことは、またことしの人事院勧告が出されると、そこでまた財源がないからまた九月だという問題が再び起こってくる——過去においてそうなのですから、そういうことが出てくると思うけれども、ここでちょっと詰めさしてもらっておきたいのは、いま政府昭和四十二年度自然増収は七千三百五十億円ですか、大体この程度に見ておる、こういうことですね。この点、いまの経済見通しを土台にしてはじいたのだろうと思いますけれども、この七千三百五十億円の自然増収の根拠をちょっと政府から聞いておきたい。
  13. 塩崎潤

    塩崎政府委員 堀委員も御存じのように、企画庁でつくっていただきますところの経済見通しに基づきまして私どもは四十二年度自然増収を見込んでおるのでございます。御案内のように、国民総生産は対前年度一三・四%、実質九%成長するものと想定し、鉱工業生産は一四%増加するという想定に立ちまして基本的な計算をいたし、さらにまたこれに各税の実績等をしんしゃくいたしながら七千三百五十億円の自然増収を計上いたしたのでございます。
  14. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いいですか、大臣よく聞いてくださいよ。いまの七千三百五十億円の自然増収というのは、企画庁が今度閣議決定で発表をした実質九%の成長、名目一三・四%、これが土台になっているわけですから、もしこれがもう少し動いてふえてくるとすれば、当然自然増収がふえますね。ここをちょっとはっきりしておかないと、いまから見通しの問題に入りますからね。大臣、これをよく申し上げておきますが、七千三百五十億円は、私のいまの判断では必ずふえるという判断です。大体五百億円くらいは最低ふえる——まあこれは、また先へいけば、私が申し上げたように、皆さんの見通しより私のほうが確実だったということはわかるわけだからあれですが、私は大体いまの私の感じからいって、八千億円にほぼ近い自然増収は起こるであろうという感じです。  そこで、これからひとつ経済見通し議論経済企画庁長官見えになったからさしていただきますが、今度この経済見通しをお出しになった中で、私は二、三ちょっと合点のいかない基本的な問題がありますので伺っておきたいのは、昭和四十一年度鉱工業生産指数が二〇四・四とここに出されているわけです。昭和四十一年度の実績見込みです。よろしゅうございますか。これが二〇四・四となっているのです。ところが、現在はまだ一月の確報までしかありませんけれども、鉱工業生産を一月の確報まで全部置いて、そうしてこれを一年間十二カ月に延ばして、差し引きをして二で割ると、大体二月、三月の鉱工業生産は二三〇・五ぐらいが二つ続かないと、実は二〇四・四というのは出てこない、こうなっているのですよ。これは私、いまの段階では少し高過ぎるのではないか、こう思うのですが、企画庁長官どうでしょう。
  15. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 統計の中で私ども使っておりますのは、季節調整済みの統計を使っております。そこで、それは十二月が二一三と一月が二二〇、これでございます。
  16. 堀昌雄

    堀委員 企画庁にお伺いしますけれども、この鉱工業生産指数の年率のところを出すやつは、私は付加価値ウエートの元指数で計算したというふうに理解をしておって、これまではそうやって計算してきたのだけれども、季節調整で全部計算しているのですか。私、そういうふうにはこれまで理解していなかったのですがね。
  17. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 年度年度の比較をいたします場合には季節調整というのは別にいたしておりませんが、月々の動きを見ますときには、季節調整をしていろいろ計算をしておるのでございます。
  18. 堀昌雄

    堀委員 私がいま申し上げているのは、四十一年度の実績見込みの中の皆さんのほうでお出しになっておる二〇四・四というのは、これは季節調整の数ではなくて、付加価値ウエートの元指数を全部足して、それを十二で割った数になっているはすだと思うのです。季節調整というのは、その月々における情勢を見るのは季節調整ですけれども、ここは年度の年率の計算をしているのですから、季節調整なんか全然必要ないのです。元指数で見るのが正確なんで、それはあなたのほうはそうなっているはずなんです。これは私、何回もやっているので、いま初めてやったわけじゃないのだから、どうですか、はっきりしてください。
  19. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 一月までの実績が出ておりまして、あと二月、三月どういう動きをするかということにつきましては、一月につきましては、季節調整済みの数字をはじきまして、そうしてあとどのくらい伸びるか予想を立て、その計算をして年度の数字を出すわけでございます。年度につきましては、季節調整の必要はございませんけれども、月々のものにつきましては季節調整済みの数字を根拠にして見ておる、こうなっておるわけでございます。
  20. 堀昌雄

    堀委員 私はそんなことを聞いてないのですよ。あなたのほうで二〇四・四というのを出したのは、要するに、元指数を四月から五、六、七、八と、ずっと出してきて、結果としては一−三月まで足したものを十二で割ったのがこの数になることになっておるはずです。だから、私は逆算をして、いまわかっているのは一月までだから、要するに四月から一月まで全部足したわけです。そして二〇四・四を十二倍をして、引いて、そして引いた残りは二月、三月を足したことになっているわけです。だから、二月、三月の足した分を二で割ったら二三〇・五という数が出るから、季節調整じゃありませんよ。理論的だけれども、元指数で二三〇、二三〇ということになるから、それはやや高過ぎるのではないのか。私がいま関西電力でちょっと調べてみたところが、二月の関西電力が出しておるところの季節調整済み指数は二〇二・五なんです。二月はまだありません。今月の二十四、五日にならなければ通産省は出せないのだから。しかし、そうやってちょっと腰だめに季節調整で見ても二〇二・五というのだから、この二月が二三〇、三月が二三〇というのは少し高過ぎるのじゃないか。  これはやはり鉱工業生産指数の押え方というのが実はGNPに非常に関係があるから、非常に重要なウエートがあるものがちょっとずさんではないかというので聞いておるのだから、見通しのことですから、なるかならぬか、いってみなければわかりませんけれども、高くないですかと聞いているのです。いや、それでけっこうですというなら、それでいいのです。
  21. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 二月も三月も出ておりませんし、全部出ましたらわかることでございますが、いまのところこういうことだということでひとつお話をお進めいただけないかと思います。
  22. 堀昌雄

    堀委員 それでは、いまの二〇四・四というのはどうやって出したのか、それを教えてください。要するに、あなたのほうで二月、三月推計したものがあるのでしょう。推計値を出してください。
  23. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 四十一年度の二〇四・四という数字は、一応私どものほうでは四半期別に季節変動修正済みの指数を出しまして、それを平均しております。具体的に申しますと、四十一年の四−六月期は一八九・三、七−九月が二〇〇・〇、十−十二月期が二〇九・〇、一−三月期が二一九・四、こういう数字をはじいております。
  24. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、この出し方というのは、いま聞きますと、季節調整済みの四半期別の平均値を全部足しておいて、そして割って出すということですね。そういうことですね。はっきりしてください。
  25. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 四−六、七−九、十−十二月までは実績でございます。一−三月につきましては、一月の数字はもう出ておるわけでございます。二月は一月に対して〇・五%アップ、それから三月はさらに〇・五%アップということで数字をはじきましていまの数字を出しております。
  26. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、これの土台になっているのは一月の速報ですね。
  27. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 一月の確報でございます。
  28. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまの一−三月の一月分というのは、一月の確報が土台になって、〇・五%、〇・五%と積んだんですか。ちょっと時間的に、われわれに入っている速報で出しているんじゃないかと思う。確報は二、三日前に出たと思いますが、その辺どうですか。
  29. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 この数字をはじきましたときは、一応発表されました数字は暫定の数字しかなかったわけでございますけれども、この数年間の動きを見ますと、一月は常に確報のほうが〇・七、八%低く出ております。したがって、速報で三・三%アップと出ましたものからそれを引きまして、そして二・六%と置きまして、その数字をもとにしてはじいておるわけでございます。確報で出たときぴたっと合っておりますから、したがって、いまの段階で申しますと、確報別で、そういうことで計算したことは間違いないと思います。
  30. 堀昌雄

    堀委員 計算のやり方が、私がこれまで承知しておったのとちょっと違います。これはどうなるのか、あとの問題ですけれども、私の感じでは、ここがちょっと高過ぎる。後半のほうの高さが実は今後の経済見通しに重要な関係がある。先のほうはいいんです。四十一年の四−六から七−九月のときはこれは低かったわけです。特に四−六月になればGNPが出ておるわけですから、そこらのところは鉱工業生産指数にたよることはないが、しまいに来れば、実はこれにたよらなければGNPははじきにくいようになっておりますから、私はちょっと詰めたことを伺っておるわけです。  しかし、それにしても、実は上半期のGNPは、七兆七千八十七億円というのが四半期別の四十一年の第一四半期のGNPです。これは確報が出ております。その次の七−九月はまだ出ない。これはずいぶんおそくならなければ出ないが、いまから二年前、藤山さん時代にだいぶ要求して、総理も予算をつけて早く出しますと言うけれども、これも依然として出ない。出ないけれども、私の推計では、大体八兆円を少しこえるくらいのところに来るのではないか。これはいまの鉱工業生産から推計すれば、大体そこいらに来るということになる、こうなるわけです。そうすると、昭和四十一年の上期というのは、比較的まだなだらかでして、あまり上がっていないんです。それを皆さんのほうは、ここで九・七%の実質成長ということで、GNPを三十六兆一千億円とはじいておるわけです。これ、だけにはじくということは、要するに、十−十二月、一−二月というのはかなり勾配は上がってきておる、こう見なければならないわけですね。なるほどこれは前年が四・七%しか伸びていなかったわけですから、それに対する九・七%の伸びというのはイコールだから、この次も一〇%になるという議論ではありませんけれども、しかし、実はここまでは民間設備投資というものは非常に低調であったわけです。これは通産省のほうの調査によりましても、昨年の九月十五日の四十二年度調査というものは大体八%程度、これはカバレージがどうなるかわかりませんが、前年比で八%程度しか設備投資の予測がされていなかった。この間の開発銀行の調査によれば、非常に急激な伸びをいま示してきているということで、あれを何かGNPベースに置きかえをすると、六兆四千億円くらいになるといわれている。これが最近総理をはじめ、企画庁長官大蔵大臣も、民間設備投資に自粛を求めておられるところだと思います。思いますけれども、私は日本の設備投資というものは、過去の情勢をこまかく分析してみると、スタートに着くと、非常に勾配が上がり、カーブが強いということです。  そこで、私は宮澤さんに、あなたの演説の中でおっしゃっていることでちょっと伺っておきたいのは、今度皆さんのほうでは経済社会発展計画なるりっぱなものをおつくりになった。これは日をあらためてこの問題だけで伺いますけれども、要するに、効率的な投資ということを非常に言っておられるわけです。「わが国経済を効率のよい経済に再編する」——そこでお伺いしたいのは、いま行なわれているあの設備投資というものは、はたして効率的に行なわれているのかどうか。これはあとで通産大臣伺いますが、企画庁長官はどうお考えになりますか。
  31. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いままでのところでございますが、堀委員の言われました景気回復期から現在までの段階のところはシェア競争というものはまだ発生していないであろう、これから発生するおそれがかなりあるというような見方をしております。
  32. 堀昌雄

    堀委員 だから、そのことは効率的でないということでしょう。私はそこを聞きたいんです。シェアを争って設備投資をするということは、政府考えている効率的な投資でない、こういうふうに私は理解をするわけですが、そこをちょっと伺いたい。
  33. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私がこれから先心配だと申しておりますのは、中小企業の高度化投資であるとか、あるいは国際的な規模の利益を考えての投資であるとかというものならばよろしいが、かつてのように、シェア競争のような投資、そのための投資ということが行なわれるならば、それは必ずしも効率的なものとは言えない、こういうことを将来に向かって心配をしておるわけであります。
  34. 堀昌雄

    堀委員 それでは、通産大臣にちょっとお伺いをいたします。  実は、この間から新聞をにぎわしている問題は鉄鋼の設備投資問題だと思います。これは実は鉄鋼というところは、私どもの感じでは、たいへん気ままな世界と申しますか、悪くなったら大騒ぎをして、通産省に粗鋼減産をやれと言って泣きつき、実はああいう、本来日本の法律では適当でない処置、公取の委員長が望ましくないということを二回にわたってやるようなことが繰り返されてきて、のど元過ぎれば熱さを忘れるというのか、とたんに今度は設備投資競争はきわめて激しい状態にきているわけです。  そこで、新聞を拝見しておりますと、通産省は今度は高炉の建設については本年度は二・五基くらいにしてもらいたいというお話があったけれども、企業側は四基建てるんだ。これもこの一基というのが、昔と違いまして、ともかく二千六百トンくらいのたいへんな容量の高炉でありますから、これを一基建てるということはたいへんなことなんです。ところが四基建つ、そうすると、通産省は、最初の二基は四月着工もいいけれども、あとの二基はうしろにずらしてくれという御要望があるけれども、これは現状ではとてもそういうことにはなりにくいのではないか。  それからもう一つ、石油化学がいま東京湾周辺にものすごく集中して出てきて、これもまず私どもの適正量の三倍くらいものを東京湾周辺に建てようという段階に来ておる。石油精製もしかり。いずれもいわゆる非常に非効率な投資が目前に迫っておるわけです。これは通産大臣どうされますか。この非効率投資を、総理以下が声を大にして言った効率のある投資にするためには、できるのかできないのか。
  35. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お説のとおり、民間業者のほうのいろいろな計画は、われわれからいくと、少しシェアに対する設備投資のような気がするので、そこであくまでわれわれのほうといたしましては高炉の制限をやりたいというつもりをしております。これはいま民間業者間で話し合いをさせておるわけであります。まあ、いよいよ話がまとまらなければ、われわれのほうもそれに参画して、そして話し合いをしたい、こういう考えであります。
  36. 堀昌雄

    堀委員 通産省、いまそんな権限あるのですか。法律的に、あなたのほうが出ていって、おまえさんのところは何番にしなさい、何月にしなさいなんで言えますか。言えないでしょう。
  37. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 権限ということになると問題になってきますが、相手方はみな良識のあるメーカーでありますから、そこで、いまお話のとおり、鉄鋼の設備増大ということが過熱をまた引き出す原因になるということをわれわれは心配しますから、日本全体の経済のために少し考えてくれということを話し込むよりしょうがないと思います。
  38. 堀昌雄

    堀委員 まことにどうも、もみ手で懇願するような姿勢でして、私非常に残念に思うのですが、私こういう点はここでちょっとはっきりさせておいてもらいたいのは、実は過去二回粗鋼減産ということをやったのです。いいですか。要するに、通産省が二・五基にしろと言っておるのに一応四基になったということは、通産省の意思に反しているわけだ。意思に反したようなかっこうで設備投資が行なわれてきた限り、生産過剰になっても、今後は法律の定めるところによって品種別カルテル以外はいたしませんということを、あなたはここでちょっと答弁しておいていただきたい。そうすると、あれはだいぶ姿勢が変わってきますから。重大な問題です。粗鋼減産は二度といたしません、もし不況が来たときには、品種別カルテルによって公正取引委員会に申請をして、成規の手続によって減産をする以外には通産省としては処置をいたしませんと、あなたがここで言うか言わないかで、あなたのあとの発言力に関係がある。私は通産大臣の肩を持っている。ひとつ答弁してください。
  39. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 そういうことは自主調整でやってもらうのですから、私のほうからそういうことははっきり明言はできません。
  40. 堀昌雄

    堀委員 自主調整といって——これはいけませんよ。もし自主調整といって、粗鋼減産なりいろいろなことをかってにやれば、これは独占禁止法違反ですよ。減産のことを言っているのです、私の言うのは。私はこういう考えなんですよ。  いまの鉄の問題については、自由に皆さんがおやりになるのなら、資本主義社会だから、やってもいいんですよ。やったなら、自己責任でやりなさい、悪くなってきたら、自己責任で解決しなさいというのがあたりまえでしよう。それを、やるときは自己責任で、困ったときは政府に泣き込むという、こういう資本主義的でないやり方は、私はいかぬと言うのです。だから、自分たちでやりたいのならやったらいいのです。あなたたち、現行法ではとめようがないのだと思う。とめられないのならしかたがない。もっとも、中で抜けがけしようとすると、いやがらせをして、何か、ともかく粘結炭の輸入をどうかするということを言ったこともあったけれども、ああいうのはあまり適切でない。何かまま子いじめみたいでよくないけれども、しかし、やはり公正にやるためには、私は、あなたがここで、そういう自由な競争でおやりになるのなら、粗鋼減産のようなことを、通産省が勧告指導等のようなことはしませんということを言うか言わないかは重大な問題です。これはどうです。
  41. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 自由放任時代であれば、それはもうお説のとおり、われわれのほうは全然干渉いたしません。しかし、いまの時代は自由放任時代ではないと私は思っておるのです。これはもう官民ともに日本の経済発展のためにお互いが相談してやるべきときだ、こう考えておりますから、したがって、いまの高炉の設備などは、われわれ以上に彼らが設けるという場合には、日本の経済事情をよく話をしてやれば私は理解してくれる、こう考えております。
  42. 堀昌雄

    堀委員 するかしないかは先のことですけれども、私は、あなたが言うべきことを言っておかないことは先に問題が残る、こう思います。  それから、大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、実は、最近融資ルールのことが盛んに皆さんの口から出るようになりましたのは、実はやかましく言ってつくらしたのは私ですから、張本人なんだけれども、このごろは非常に悲観的なんですよ。なぜ悲観的かといいますと、だんだんとやはり内部留保が厚くなりましたから、これまでのように融資を少しとめたら、じゃ設備投資のコントロールがきくか、といっても、私は昔のようなことにはならないと思います。おまけに、一応やはり金融機関がある程度密着していますから、なかなか私はこれはむずかしい問題だと思います。これは鉄鋼に限らず、石油化学でも石油精製でも、みな同じことだと思うんです。融資ルールをもう少しきちんとしたほうが、しないよりはいいですよ。  しかし、あなた方もここの中で書いておられるように、これはもう内部留保でやれる。もう七〇%くらいやれる段階にきているわけですからね。私はそういうときの誘導方法なんというものはなかなかうまくいかないのじゃないかと思いますが、大蔵大臣、金融措置としてコントロールできるのかどうか、ひとつ……。
  43. 水田三喜男

    水田国務大臣 お説のように、一説によれば、少なくとも五兆円くらいの設備投資が行なわれるまでは内部資金でまかなわれて、これが銀行への資金需要になってこない、ここまで言われておるのですから、あなたが言われるように、民間の設備投資なんかについての金融のコントロールというものはそう簡単にはきかないだろうと思っています。ですから、私どもがここで情勢を常に慎重に見ていなければいかぬという問題が起こるのですが、問題は、必要な設備投資をとめる必要はないので、必要な設備投資が行なえないことのほうが経済にとっては害があるのですから、そうでない設備投資にどういうふうに向かっていくか、その方向をとめることに私どもが細心の注意をすればいいので、必要な設備投資を私はおそれる必要なんかないと思います。
  44. 堀昌雄

    堀委員 そこで、経済企画庁長官に、今度はちょっと角度を変えて物価の問題を通じてお伺いしたいのですが、皆さんのほうの物価問題懇談会は、かつて、ともかく物価をほんとうに安定させようと思うならGNPの伸びくらいに成長の伸びがなるべきだという答申が実はされておるわけですね。私は実は党の物価対策特別委員長をしておりまして、この前衆議院に物価安定緊急措置法というものを出したのです。その中に、物価安定調査会という機構を内閣総理大臣直属に設けて、消費者代表やその他労働者代表等を入れて、三十名の委員会をつくって、強力にひとつ物価安定に資したいという法案を実は出したわけです。これは廃案になりましたけれども、幸いにして今度は政府が私の発想どおりに、名前だけは変わっておりますけれども、物価安定推進会議ですか、人数もやはり私の提案した三十名、消費者代表、労働者代表を入れてやる、総理大臣の直属のもとに置くという点は同じなのですが、やはり私は、問題は、経済成長のあり方が物価に関係することは物価問題懇談会の御指摘のとおりだと思うのです。  そこで、実は私は、やはり一昨年の十二月に議論をしたときに、安定成長というのは一体どのくらいがいまの佐藤内閣の安定成長だというふうに伺ったら、七%から八%の間くらいが安定成長ですという答弁をいただいたわけです。ところが、今度は宮澤さんのこれを見ると——まあ、安定成長ということばはうまいことばだと思うのですが、「このように経済運営されますならば、昭和四十二年度においても、国際収支均衡をはかりながら、実質九%程度の安定した成長を期待することができる」——初め七%から八%の間というから、八%をこえればちょっと高度になるのだと思ったら、九%になっても依然として安定成長、これは一〇%になっても安定成長、幾らでも安定成長ということばを使えるのだなという気がするのですが、これは、やはり安定成長ということばの一番のもとは物価安定という問題に多少関連がなければ、安定という意味がないじゃないかと思うのですが、宮澤さん、そこはどうなんでしょうか。
  45. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 安定成長というものの考え方は、経済のいろいろな要素、もちろん物価もその大事な一つでございますが、それがある程度バランスをはずさずに斉合性をもって成長していくということ、それを安定というのだと思います。つまり、それがどこからくずれるというような要素がなくて、わりに各エレメントとも整って進んできているという場合を安定成長というのだろうと思います。ですから、それを計数的にどのくらいであるかということを表示するのが多少無理ではないだろうか、こう思います。
  46. 堀昌雄

    堀委員 実は、佐藤さんがおっしゃった安定成長ということばは、高度成長というものに対比して使われてきたわけですよ。池田さんの高度成長を批判するのに、佐藤さんは安定成長と言われたわけですよ。高度成長だって安定しているわけですよ、バランスさえとれていれば。二〇%だって、バランスがとれていれば、あなたの理屈でいえば安定成長なんですよ。しかし、安定成長ということばを佐藤さんが使い出したもとはそうじゃないのですよ。高度成長がいろいろなひずみを生むから、そのひずみの一番大きいものは物価なんだから、ともかくそういうもので物価が安定するという意味で、やはりあまり高度でない安定した成長ということが、ことばの土台ですからね。  そこで、私が伺ったのに対して、七%から八%の間くらいが適当なんだ、それが一番望ましい安定成長だ——あなたのほうの経済発展計画だと八%、ちょっと修正したみたいだけれども、そのくらいにしているのですから、本来はそこらが一番いいところなんでしょう。それがともかく四十一年度は九・七%になった。九・七%に伸びたもとは、やはり公債の発行量が多過ぎたということなんです。七千三百億円というのは、やはり去年の情勢では少し多かった。それが九・七%という異常に高いものを誘因する原因になったと思うのですが、その次にもう一ぺん七・五%なり八%というものが置いてあるなら、まあ話はわかるのですが、今度は九%は安定成長、来年になったら、あなたはここで一〇%程度安定成長と書くだろうと思うのですね。それではやはり物価は安定しないのですよ。これは物価問題懇談会が答申しているのだから間違いないですよ。いまドラスティックに国民総生産の伸び率と同じくらいにすれば——そんなことができるとも思いませんが、気持ちとしてはそういうことでなければ物価は安定しない、これはわかり切ったことだと思うのですが、この点どうでしょう。いまあなたのほうでは九%の中に落ちつくようにしたいという話ですけれども、これは不確定なことですから、いまからこんなことを議論してもしかたがありませんが、私はどうも四十二年度は九%に落ちつかないのじゃないか、どうしてもやはり一〇%まではいくのではないか、それが私がさっき自然増収が八千億円になるだろうと言う根拠ですよ。どうでしょうね。
  47. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 経済の各分野がほぼ均衡のとれた、くずれの端緒を出さないような成長と言いました意味は、したがいまして、そういうことで運営できれば、経済の山と谷というものが長年月の間にわりに起こらないで済む、こういうことになるはずなんでございますが、佐藤総理大臣安定成長ということを言われました意味は、いわゆる高度成長の時代にかなり山と谷が繰り返された、こういうことがあってはならぬ、こういう趣旨で言われたのであろうと思います。ですから、そのこと自身は、必ずしも七とか八とか九とか、その辺の、私は計数的な意味でなくて、むしろ経済運営の根本的な持続的な成長をどうやるかというお考えの表示であったと思うのでございます。  確かに、物価問題懇談会で、財政の伸びというものを成長とほぼ軌を一にするべきである、こういう勧告がありましたが、その意味は、いわゆる国民所得の項目で言いますと、政府の財貨サービス購入というもの、これが財政が一番直接に影響を与える部分でございますから、それがほぼ成長と見合ったくらいの伸びである、こういう意味に大体了解をしておるわけであります。
  48. 堀昌雄

    堀委員 どう了解したってそれはいいのですけれども、問題は、物価が上がらなければいいのです。私も何も数にこだわっているわけじゃないのですけれども、やはり物価が上がるということが、いま経済の一番重要な問題なんですね。ともかく、あなたも発展計画の中でも一番最初に、第一は物価の安定でありますと書いているように、物価の安定は大事なのです、経済の効率も大事だけれども。だから、それを年三%にするというようなことは……。成長の全体をやはりスロー・アンド・ステディということにならなければいけないのじゃないか。日本の場合そうなっていないのですよ。常に一ぺん落ち込むとぐっと上がって、次に締める。  ところで水田さん、ここで伺っておきたいのですが、国際収支の問題なんですけれども、いま外貨準備が二十億ドルしかない。いまわが国は大体百億ドルの輸出入になったんですね、私大蔵委員会に来て議論するようになってから。例のゴールドトランシュやなんか引いてしまうと正味は幾らですか。旧計数でゴールドトランシュを引いて外貨準備は幾らになるか。村井君を呼んであったはずだけれども……。
  49. 澄田智

    ○澄田政府委員 私のほうからお答え申し上げます。  二月末の数字で申し上げますと、外貨準備高といたしましては二十億五千万ドルでございますが、ゴールドトランシュが二億五千八百万ドルございますので、これを差し引きますと、十七億九千二百万ドルという計算になうておりますが、ちょっと私所管外でございますので詳しいことはよくわかりません。こういう数字でございます。
  50. 堀昌雄

    堀委員 大体いまお聞きになったように、昔は皆さん十七億ドル台に外貨準備がなるといったらたいへんなことだったんですよ。実はいまから四、五年前、これは水田さん、あなたの大蔵大臣のときじゃなかったかな。前のとき、大騒ぎしたものです。ところが、そのころの輸出入といったら、おそらく四十億ドルベースくらいじゃなかったですか。そんな程度で騒いだのに、いま百億ドル動いているのに、一体政府はずいぶんこのごろは——もちろんIMFから借り入れができるから、それはスタンドバイをとっておけばいいという安易感があるかもしれないけれども、この外貨準備の問題については十分政府に真剣に考えてもらわなければいかぬ。この前私は本会議で一ぺんやったんですよ、お聞きになっただろうと思うのですけれども。これは非常に重要な問題でして、昔ならもっと神経質になって国際収支の問題を考えなければならぬときにきておるのに、そうなっておる。  そこで、そういう前提において、いまのような過熱気味、これはわかりませんが、あなた方も心配しておられるように、過熱する可能性は十分あるわけです。そうなったときに、これはいままでのような形では金融引き締めはできませんね。この間日銀総裁は、そうなったら国債の発行条件を変えてもしかたがないじゃないかと言い切っています。そのうち私は宇佐美さんに来てもらって、あなたと並べてじっくりやらせてもらいますけれども、最近日銀の行き方と政府の行き方と少し違うところがあって、なかなかおもしろいと思っていますけれども、あなたその場合、過熱をしてきて引き締めをしなければならぬとき、どうやりますか。
  51. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまの外貨準備の問題ですが、昔のように貿易収支がはっきり赤字で、資本収支の黒で埋めているときの外貨の保有高の問題といまの問題は少し違って、もしこれが債務が急速に返済されなかったり、あるいは円シフトという形で逃げることがなかったら、いまごろはやはり外貨保有高としても相当の額になっておると思います。しかし、それがいまのような形になっても、国際収支内容、質と申しますか、これは非常によくなっておるので、その点、現在の保有高いかんによってどうこうというような心配をする必要はなくなったというふうに私は考えています。  それから、いま引き締めや何かにどう対処するか、どういう方法でやるかというような問題は非常に微妙な問題でございまして、最近私どもはいろんなところからおこられるのですが、日銀総裁と大蔵大臣のおしゃべりほど悪いものはないんだ、引き締めの事態がまだ来ていないのに、来たらどうこうするとか、ああするとか、余分なことを言うことによっていろいろな経済情勢を起こしているんで、しっかりしておって、黙って事態に対処しろ、あまりそういう予測した事態について一々しゃべるなんというのは大蔵大臣の資格を欠いているものだとおこられるくらいなのであります。そういう意味で、私どももまじめにいまの事態に対処するつもりでございますので、やり方というのも私どもはいろいろ考えて、どういう形でやるか、やり方には組み合わせがやはりたくさんございますので、こういうのにはぬかりなく今度はやるつもりでおります。
  52. 堀昌雄

    堀委員 そういうことがあるでしょうが、私はいまの話は少しおかしいと思うのです。なぜおかしいかというと、要するに、いまの問題というのは企業者の問題であろうと思うのです。企業者のビヘービアというものは——大蔵大臣が引き締めのときはこういう処置によって引き締めますよと言ったらすぐ設備投資がしぼんでしまうなら、そんな企業者はやめたらいいのですよ。資本主義というのは——私らは社会主義を志向しているわけだけれども、資本主義というのは、自己責任に徹してものをやるということで、それがはっきりしないで、人がどうこう言ったらすぐこうなる、隣が設備投資をしたらおれもやるというのが、いまの日本の経営者の最大の欠陥じゃないですか。水田さん、そんなことにあなたはこだわる必要はない。国会のこの場所では、あなた方がわれわれに答えて、こういうときにはこうします、それがわかっているほうが彼らとしても対応しやすい。とたんに抜き打ちでやられるほどこわいことはないわけです。いいですか。だから、何も私はそんなこまかいことを聞いているわけではない。  しかし、事実常識的にわれわれが見ても非常ににむずかしいところに来ている。そのことの最終的な問題は何かというと、ある程度過熱をしてきたときには資金需要がタイトになってくるわけですから、そのときに公共のほうにウエートをかけるのか、民間にウエートをかけるのかという選択をしなければならぬという段階が来ると私は思うのです。現在、公共投資、要するに公的債ですね。国債、政保債、地方債、いろんなものがありますが、公的債をちょっと皆さんのほうで資料をいただいて見たら、四十一年度の実績は一兆五千九百七十六億円、四十二年度が一兆七千七百三十七億円、ずいぶんふえているわけです。だから、これがはたして現在の貯蓄に見合って、十分民間の設備投資を補ってなおかつこれが差があるかどうかという問題がやがて来るだろうと私は思う。全銀協が、いま資金不足は一兆一千億円あるとかなんとかいろんなことを言っております。この揚げ超の問題一つから見たところで、一体、昭和四十二年度が、皆さんの言っているように、揚げ超の予定は二千億円になるのかどうか。四十一年度は三千七百億円くらいの揚げ超になるでしょう。理財局長、ちょっと答えてください。
  53. 中尾博之

    ○中尾政府委員 三千億円程度でございます。
  54. 堀昌雄

    堀委員 四十二年度はどうですか。
  55. 中尾博之

    ○中尾政府委員 まだこまかい資料を用意しておりませんけれども、若干の、とんとんに近い散超になっております。こういうことです。
  56. 堀昌雄

    堀委員 揚げ超ですね。
  57. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いま散超です。ほんの少し。
  58. 堀昌雄

    堀委員 四十二年度が……。
  59. 中尾博之

    ○中尾政府委員 ええ。
  60. 堀昌雄

    堀委員 どうも私、そんなもので済むのかどうか、ちょっと疑問があるけれども、きょうは時間がありませんからおいておきますが、これらの問題がそういう非常に微妙なところにきたときに、政府としてはやはりある程度の対策が明らかにされておるほうが私はいいのではないか、こう思うんですよ。  そこで、時間がありませんからちょっとお伺いをしておきたいのは、要するに民間の設備投資と公共投資がある程度競合して、資金不足がタイトになってくる条件が起きたときには、大蔵大臣はどうしますか。
  61. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはり民間の資金需要政府需要が競合するというときには、民間の資金需要の背景となっておる設備投資の実態が、先ほど申しましたように、これは必要な設備投資である、これをもとにした民間需要が旺盛になってきている、政府と競合するというときには、政府財政が引っ込むのが正しいんだというふうに私は考えております。
  62. 堀昌雄

    堀委員 その点、ひとつはっきりしてくださいね。これはまたあとで必ず問題が起きるときがくると私は思いますから。  そこで、いまの質のいい問題というのは、質がよくなるかどうかは、私あまり期待ができない点があると思うのです。通産大臣ももう一つ勇気がなくて、私がいいチャンスを与えているのに一向に姿勢を正そうとしませんから、ああいう姿勢じゃ必ずしも質のいい民間投資ばかりにならない。しかし、質がよくなくても金が出るんですよ。大蔵大臣、いかがですか。質がいいか悪いかばかり言っていられないんですよ。問題は、すでに着工してしまったらどうにもならない、金が要るわけですから。そうなったらどうなるんですか。私はどうもいまの通産大臣の姿勢ではちょっと心配なんです。どうですか、大蔵大臣。それでも公共投資をしぼりますか。
  63. 水田三喜男

    水田国務大臣 その問題は私どもは非常に心配して、経済界の意見も聞いているのですが、やはり前の問題でみなこりて、設備投資には非常に慎重になっておって、大体いまのところはそう心配なことはなさそうだというふうに私どもは思っています。
  64. 堀昌雄

    堀委員 心配でなさそうにしては、施政方針以来あなた方はすいぶん演説をやりましたね。自粛を要望するとか、ずいぶんいろいろなことを言ったのは、あれは心配なんでしょう。どうなんですか。
  65. 水田三喜男

    水田国務大臣 心配なさそうだと言ったのは、そういうめちゃな、不必要な設備投資が起こるというような心配はなさそうだ、もう前の経験でみな非常に慎重になっておる、その点を言ったのです。  しかし、日本の経済は、必要な設備投資はこれはしなければなりませんので、それの意欲が多くなってきそうだという情勢は、これはもうはっきり見通されますので、それに対してはわれわれは注意を十分払わなければならぬ、こういうふうに言っているわけであります。
  66. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いま言われておるものは、質はいいんだということですね。そうすると、もうこれはいまの状態でいけば、鉄鋼のいまの四基、それも質がいいんだし、いまの石油化学もみな質がいい、石油精製も質がいい。そうすると、六兆五千億、六千億というのがみな設備投資になっていく、そうすると、質がいいんだから公共投資は減らすということを、あなたは結果としてここで言ったことになる。いいですか。そこをはっきりしてください。
  67. 水田三喜男

    水田国務大臣 この三年くらいの間設備投資が停滞しておりましたが、それでも年平均五兆円程度設備投資が行なわれていました。しかし、これはいま分析してみますと、むだではなくて、過去三年の設備投資中小企業の部面に多く行なわれておる。この中小企業の投資がこれだけ先行しておることは、物価問題にはこれは大きいプラスであって、私は、そのためにことしの暮れごろから物価は落ちつくだろうと思っているくらいであって、過去の設備投資は少なくなかったのですが、中小企業中心に行なわれた投資であっただけ非常に有効だったと思っています。それが一巡して、今度は大企業の部面の投資意欲というものが出てきた、こういうふうに見ております。  そこで、これは私の分野ではありませんが、私の考えでは、日本の基幹産業は少なくとも一定の規模をもって設備の合理化が行なわれて、二〇%前後の過剰生産力というものが常に確保されるというくらいでなかったら経済成長政策は安心してやれないというふうに私は思っていますので、製鉄部門などは基幹産業であるし、この部門が余剰生産力をなくするというような事態は将来のためによくないので、これをどういうふうに若干ずらせるとかなんとかいう通産省の指導は、これはあっていいと思いますが、基本的には、いま起こっている日本の製鉄部門に対する設備投資計画なんというものは、日本経済としてはやらせるべきものだというふうに私自身は考えています。それを資金の競合によってわれわれが心配する事態に持ってこないようにいかにするかということが、われわれの金融政策であり、同時に産業政策だと、私はそういうふうに考えています。
  68. 堀昌雄

    堀委員 大体、水田さんは成長論者ですからね、あなたのおっしゃることは大体あなたの地をいまおっしゃったと思うのです。二〇%余力があることがはたしてどうかという点は、多少構造的な問題を含めて考えていかなければならないことですから問題があろうかと私は思いますけれども、ここだけ議論してもしかたがありませんから前へいきます。  しかし、このことだけは一つ私はあなたに申し上げておかなければならぬのですけれども、要するに、生産余力で、いま日本で何が一番問題になっているかというと、四・七%ぐらいに結果としては成長があったときにでも公債発行をしなければならぬという風潮がなぜ出てくるのか。諸外国の経済成長の実績を見ると、みなこんなに高くないですよ。日本の場合でも昭和二十九年は実質成長が三・八%というときがあったわけです。これは御承知の一兆円予算の年でありますが、そういうのが一回あって、実質をずっと申し上げると、それ以外、三十年が一二・一%増、三十一年八・五%、三十二年九・七%、三十三年にダウンして、これが三・五%、三十四年が一三・二%、三十五年が一五・二%、三十六年が一三・九%、三十七年が五・三%に下がって、また一二・〇%、一〇・五%、そしてまた四・七%、こうなっておるわけです。最近では、日本では五%程度成長のときは何だかたいへんな不況になるということに結果としてなってきたのですね。これは一体何だろう。これはやはり根本的には企業の借り入れ金が過多だという問題に非常に重要な関係があると私は思います。要するに、損益分岐点が非常に高いものだから、少しの減産に耐えられないようになっているわけですよ。だから、少し減産してくるとすぐ損益分岐点にひっかかって赤字になるから、もう業界はともかく需要を喚起しろ、需要を喚起しろ——実はもう五%くらいの成長があるのに需要を喚起しろという声が出てくる。これは非常に重要な問題だと私は思っているのですよ。いま水田さんのお話のように余剰生産力二〇%を持つのはあたりまえだというようなことになって、そこへちょっと不況がきたら——二〇%というのは平常のときの二〇%ですからね、ちょっと不況になったら四〇%ぐらい余剰になって、またぞろ大騒ぎすることになる。そのために日本の景気というものは落ち込んで、下がってみたり上がってみたりするわけです。これは水田さん、あなたは成長論者であろうとも、そこはもうちょっと、そういう二〇%の余剰を持つなら自己資本比率をうんと高めて——鉄といえども、要するに世銀借款である程度押えてきたのに、このごろは世銀借款がゆるまると借り入れのほうに比重がかかってこようという時期に、私はいまのあなたの二〇%論に賛成できない。二〇%に賛成するためには、自己資本を八〇%ぐらいに上げてもらえば、これは四〇%ぐらいに下がってきたって耐えられるでしょう。しかし、いまのような損益分岐点の高いところで、あなたのような成長論でいいんだといってどんどん設備投資をやらせるようなことは問題が起こるから、この点はよほど慎重に——あなたの持論は持論としても、これは慎重にひとつ考えてもらわなければならぬ根本問題があると思うのです。だから、どうしてもそういうことのために自己資本比率が上がるように大いにもっと努力さすべきであるし、それが整うような周囲の環境づくりについて政府はもうちょっと考えなければなりません。税制でもあんなへの突っぱりにもならぬようなことをやらせておる。そうではなしに、私は今度のこれからの設備投資の問題について言うならば、要するに、自己資本比率が上がるようなかっこうのところ、財務比率のよいところから順位をつけてしましょう、財務比率の悪いところは順番はあとにしなさい、このくらいなことは政府のほうにおいては思い切って言っていいんじゃないか。土台は財務比率です。その財務比率が悪いのに設備を拡大しようということが、今日の、特に四十年の情勢を招いて、公債発行というきわめて重大な転機を起こさしたもとはそこにあるわけですから、私はその点十分考えるべきだと思うが、通産大臣どうですか。
  69. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お話のとおり、自己資本の充実した会社が内容がいいというように一応考えていいと思います。したがって、設備拡大の場合にはそれが一つの基準になるということは、われわれもそういう考えをしております。  それから、先ほどちょっとお話がありましたが、日本の景気が上がったり下がったりするというときに、これはわれわれ政府自身の発言というのはよほど慎重にしなければならぬと私は思っております。日本の民間人は政府の発言ですぐ経済心理が左右していく、そこへしんにゅうをすぐかける危険がある。池田さんの高度成長がしくじったとかなんとかいうことは、私から言うと、これは民間にも責任があると思う。すぐみながシェアで、早く設備拡張しろというふうになる。だからして、そこは外国人と比べて、日本人の合理性のない、計画性のないところにゆえんがあると思うので、その点はあなたの先ほどのお話のとおりです。だからして、われわれ政府の発言というものはよほど慎重にやらぬと、これによって民間人が乗じたり、あるいは景気がいいときにはすぐ増長するし、景気が悪いときには先走ってしまうという危険があると思うので、その点ではわれわれはよほど慎重に発言したい、こう考えております。
  70. 堀昌雄

    堀委員 その慎重な発言、けっこうなんですよ。慎重な発言けっこうなんですけれども、要するに、折り目を正しておいてもらいたいということ私は言っておるわけです。どこかに折り目が正されてないところに、民間のほうもこんなことでいいだろうということになって、その安易感がよくないということです。  そこで、あなたもいまちょっとお触れになったように、きょうの朝の新聞を見ると、高炉四基建てるについては、通産省、私が申し上げたように言ってますね。最初に四月には二基にして、あとは秋にしてください。順番ができるわけですね。この順番をどうするのか。そうすると、八幡製鉄はいきなりぽんと設備の大きいものから先にやらせろと言っておりますね。私の論理からいったら、やはり一番具体的に出ているのは財務比率だから、自己資本比率なり、要するに内容のよいところから順番にいくのが私は合理性があるのではないかという感じがします。その点はどうですか。個々の会社のことは言いませんけれども、ものの考え方を言っておるわけです。
  71. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お話のとおり、それは一つのエレメントであることは事実です。それも考え、他の条件もいろいろ考えて決定すべきだと思います。そればかりで決定することはどうかと思います。
  72. 堀昌雄

    堀委員 どうも通産大臣きわめて慎重な答弁で、あまり聞いても意味がないような答弁なんですが、あなたの立場もありましょうから、本日はいまの問題はそのくらいにいたします。  そこで、郵政大臣総務長官おいでになっていただきましたから、この問題は途中ですけれども、先に片づけておきます。通産大臣悪いですけれども、ちょっとお待ちください。  実は水田さん、今度内閣がすっかり入れかわりになりまして、連続性がないというのは、われわれ議論をするのに困るのですが、この春に、御承知のように春闘というのが始まっておるわけですが、この中で、私が昨年ここで橋本官房長官、福田大蔵大臣、それから郡郵政大臣にお越しを願って議論をしたことがあるのです。それはどういうことを言ったかと言いますと、毎年毎年公労協の問題について実は団体交渉をやる。ところが、これは皆さんも御承知のように、全然自主交渉権がないものを相手に団体交渉をやらしておいて、そこで団体交渉ではどうにもならないから公労委の調停に入るけれども、ここでも何にも出さないでおいて、そこでしかたがないから、労働組合の側は、それではということで、残念ながらストライキのようなことが起きてくる、そうすると、これは仲裁へ入って、仲裁裁定が出ると、それで話がきまる。これが毎年繰り返されておるわけですね。そこで私はこの問題を取り上げて、これは塚原さんにおいでいただいているのは、あなたが給与担当大臣でございますからおいでをいただいた。ほんとうは官房長官にお願いしたのですが……。そこで私は去年申し上げて、皆さん、検討しよう、こういうお話になっているわけです。このエコノミストにもこういう書き方をしている。わかっちゃいるけど、やめられない、と書いて、この問題に触れたわけです。  そこで、私が申し上げたいのは、同じことを仲裁で出すのなら、調停段階で出して、それで区切りがつくように考えてくださいということを去年私はお願いをしたわけです。皆さん、法律的にもいろいろあるけれども、ひとつ前向きにやろうということでお約束をいただいておるわけですが、ことしはまだ少し先のことですけれども、これは今後の問題について非常に重要なことで、結局、ストライキのようなことが起きたときに、労働者も別に得するわけでもなければ、国民も得するわけではない、あるいは公社や郵政省が得するわけでもなければ、政府や大蔵省が得するわけでもない。すべてのものが損をするにかかわらず、そういう通路を通らなければそういうことが解決できないというのは、私は、政治が不在だから、こう言っておるわけです。  そこで、ひとつ私、郵政大臣に、あるいは電電公社の副総裁来ていますね。——私は、郵政大臣が郵政省の当事者であるし、電電公社の総裁は病気だそうですから副総裁に来てもらっているわけですが、皆さんとしたって、やはり調停の段階で結論が出たほうがいいのだろうと思うのです。ちょっとそこを郵政大臣、それから電電公社副総裁にお答えいただきたいのです。
  73. 小林武治

    ○小林国務大臣 それはもちろん出たらけっこうだと思います。
  74. 秋草篤二

    ○秋草説明員 できるだけ早く紛争を解決するためには調停のほうがよろしいと存じます。
  75. 堀昌雄

    堀委員 大蔵大臣、まあ当事者側とすれば、やはり紛争にならないようにするためには、調停で出るものは出たほうがいいのだ、そうすると、調停で出る金額と仲裁で出る金額が同じだとするならば、もうそれで実は済むのです。  電電公社の副総裁に伺いますが、昨年は、電電の場合には調停段階でかなり話が煮詰っておったように思うのですが、ちょっとそこのところをおっしゃってください。
  76. 秋草篤二

    ○秋草説明員 昨年は七百二十円調停でつけられて仲裁に持ち込まれ、一昨年は公社回答五百円、調停で百円付加されて仲裁に持ち込まれました。
  77. 堀昌雄

    堀委員 そんなことは話にならないのですが、ですから大蔵大臣、それから総務長官もちょっとお聞き願いたいのは、総務長官にはこういうことを言ってあるのですよ。公務員ベースアップの問題について、去年森さんが、財源がないから九月でがまんしてくれという問題が起きた。公務員ベースアップを五月から実施するには二百億円要るわけなんです。そのときは、私は財源があるからやれますと言ったけれども、大蔵大臣財源がないと言い切ったわけです。今日になってみると、十分財源があったわけです、使うかどうかの問題は別ですけれども。公務員にスト権がないので人事院がそれをかわってやっておるわけだから、人事院の勧告というものは、財源があれば完全実施をやってやるのがあたりまえである、そういう議論をしたのですが、去年はそういうことだった。ことしもまた自然増収がふえて、お金があるから、今度はそういうことのないようにしてもらいたいという要望をさっきちょっとしてあったのですが、それは秋のことですから、また先にいってやりますけれども、この春の問題についても、あなたは給与担当大臣で、必ずしも公労協のあれじゃありませんけれども、給与を担当される立場からして、やはり紛争の解決について、紛争の起きないよう解決するのが一番いいことなんですから、仲裁で出る金額を調停の中で出るようにするために努力してもらいたい。そこは総務長官どうでしょう。
  78. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 双方の自主的な交渉によってまとまることが一番望ましいことですから、ぜひそういうふうにありたい、そういうことを願っております。
  79. 堀昌雄

    堀委員 それは抽象的なんですけれども、そのことはそのとおりなんで、大蔵大臣どうですか、そういう方向で今度何とか少し前進できませんか。
  80. 水田三喜男

    水田国務大臣 調停段階で円満にきまるのなら、これは私どもも一番いいと思います。しかし、問題は、公共企業体も国会の議決によってきめられる予算の上に運営されているものですから、その面からいろいろ当事者にも制約が出てくると思います。ということは、結局、公共性を持った企業体であるからそういう制約を受けているのですから、同時に、その企業体の公共性というものを労使両方が十分に承知の上でこれが適正にきまるということでしたら、仲裁を必要としないで調停でもきまるのではないかと、私はそういうふうに考えます。
  81. 堀昌雄

    堀委員 実はそうじゃないのですよ。結局、私はこれは大蔵省に問題があるのだろうと思いますが、もし仲裁で出る金額の話が調停で出ておれば、実は話がつくんですよ。ところが、調停では、いま副総裁が言ったように、五百円だの、百円だの、結果としては昨年の場合三千四百円ですか幾らか、こう出るわけですね。結果としては仲裁によってそういうものが出る。それが実は調停では五百円だの六百円だのという話しか出さないということが、あまりにもいまの日本の近代的な政治をやっている中でおかしいのではないか。だから、法律的に不備な点があるなら、いまからならまだ間に合うから、ひとつ皆さんで法律的な問題を含めて検討して、調停段階で話がつくようにできる道を開いたらどうでしょうか、こういうことを私は言っておるわけです。常識論を私は言っておる。大蔵大臣わかりますか、私の言っておる常識論が。
  82. 水田三喜男

    水田国務大臣 だから私もさっき言いましたように、両方で結局仲裁裁定を待つ、どうせそれを待つのだということで、調停段階では歩み寄りしていないというこのやり方がいけないので、もう掛け値なしに、企業体の公共性からここらがお互いにいいところだという折衝の慣行がつけばやっていけるのではないか、そういうふうに思います。
  83. 堀昌雄

    堀委員 郵政大臣 それでやれますか、いまの大蔵大臣の言うようなふうに。
  84. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは、そういう努力をするということは当然だと思いますが、しかし、いまの公共企業体の従業員の問題も一般民間賃金とかあるいは一般公務員、こういうものと権衡のとれるようにしよう、こういうことになるからして、もし一般民間の賃金等とも権衡のとれるような情勢があればある程度できる、こういうふうに思っております。
  85. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、これは昨年の問題については——労働省入っておりますね。労働省に伺いますが、昨年の十八業種の春闘によるところの獲得金額といいますか、それは幾らですか。
  86. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 昨年のいわゆる春季賃金闘争によりまして、私どものほうで調査いたしましたところによりますと、大手百六十七社でございますが、総平均におきまして、いわゆる定期昇給も入れまして、定昇込みで三千二百八十円というふうになっております。
  87. 堀昌雄

    堀委員 皆さんのほうの調査では、公労協は大体どうなっていますか。
  88. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 公労協は三千四百二十五円というふうになっております。
  89. 堀昌雄

    堀委員 これは労働省の調査でありますから、一応信用いたします。この中には、いまの十八業種の中には石炭のような非常に不況なものも入れての計算ですから、全体としてはやや低目に計算が出ているわけでありますけれども、大体民間賃金に見合うようなところに結果としてはなったように思います。ですから、これは民間賃金がある程度目安がついてきたら——いいですか、大蔵大臣、よく聞いておいてくださいよ。目安がついてきたならば、もう調停段階で、皆さんに相談なしに郵政や電電が出せるわけはないのですよ。そこで武藤君がぐっと大きな目玉を光らしておるけれども、やはり武藤君あたりの判断なくして郵政も電電も回答は出せないだろうと私は思うから、そこらは緩急自在を心得て、ひとつ本年度においては、私はやはり労働組合側も常識的にやってもらいたいと思います。できるだけ常識的にやる中で、民間賃金と同じようなところでひとつ考えてもらいたいというふうにおそらくなるでしょう。そういうようになるならば、やはり公社あるいは郵政側も常識的に努力をして、そうして大蔵省側も同じような立場に立って大局的に問題を発展させるということで、ひとつことしはぜひやってもらいたい。これはおそらく公社だって反対はないと思うし、郵政だってその限りにおいては反対ないでしょうね。ですから大蔵大臣、この点ひとつ、しつこいようですが、経済成長は、宮澤さんの見通しによれば九%実質成長があるわけだし、物価は四・四%といわれているから、これを信用したとしても、やはりこういう物価上昇プラス生活向上分といいますか、そういうようなものについて——ことしは民間のベースというのはおそらく四千円以上になるだろうと私は思うのです。だから、そこらを含めて十分御検討をいただきたいと思いますが、大蔵大臣いかがでしょう。
  90. 水田三喜男

    水田国務大臣 たとえば両方の交渉の金額が予算上、資金上むずかしいというときには、これは仲裁以外にはできないのだ、仲裁によればこの予算の変更ができるということがあるために、そういう意味で、予算上、資金上の問題で大蔵省が常に関係しているということでございますが、この問題のない形なら、もう関係しなくてできるのだ、こういうのが筋のようでございます。ですから、さっき言いましたように、やはり要求側についてもこれが常識的なことであって、当事者側とその調停の段階で話ができるようなことだったら、私はおそらく問題なくそういうふうにできるのではないかと思っております。
  91. 堀昌雄

    堀委員 実はそこに問題があるから、私は、法律改正を含めてひとつ前向きに皆さんで考えなさいと言っておるのですよ。去年は間に合わなかったから、いまからならまだ間に合うから、仲裁ならいいのだ、調停では国会を拘束できないとなっておるから、そこでどうしても仲裁をして、そういう法律技術のためにそんなばかなことが起きるようなことは、やはりあなた方は一流の政治家がおるのだから、まあひとつ考えたらどうか、こう言っておるのです。どうですか、水田さん、塚原さんもそういう意味で閣議で一ぺん検討してもらいたいと思うのです。わかり切ったことなんだから、仲裁でなら、法律的には、きまったものについては国会なりそういうものが拘束されるという表現は適当ではないけれども、ルールに乗ってくる、調停ではだめなんだ、これだけのところに問題があるのだから、法律を変えればいいのですよ。そこのところを、要するに調停であっても政府が認められる範囲なら当然考えていいことなんですから、そういうふうに何らか考えるべきだということを私は言っておるのです。常識論なんです。
  92. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 ちょっとこまかいことですが、補足いたしますと、仲裁裁定ですと、給与総額の範囲をこえてできるわけでございます。しかし、予算上、資金上できないということになりますと、これは予算を直さなければいかぬ、そういう二段階になるわけです。
  93. 堀昌雄

    堀委員 それはわかっておるのですよ。あとの補正の問題は法律ではないですよ、政治的判断の問題ですから。ところが、いまのところは、仲裁ならば総ワクをこえられるけれども、調停ではこえられないでしょう。だから、そこを調停でもこえてよろしいということになっておれば、あとは皆さんの政治的判断で処置できるのではないですか。いまのようにがんじがらめにしておいたらどうしても仲裁でなければできないということは、そんなばかなことは私は納得ができない、そういうことを言っておるのです。皆さんよくおわかりになったでしょう。大蔵大臣どうですか、前向きに法律改正を含めて検討してもらいたい、どうです。
  94. 水田三喜男

    水田国務大臣 問題は、公共性を持った企業体でございますから、どの辺までそういう問題のきめ方をルーズにしたらいいかという問題で、十分研究します。
  95. 堀昌雄

    堀委員 いまの研究するという点はいいのですが、あなたのルーズにするという表現は適当ではないですよ。そこをちょっと直しなさい。常識的な処置ができるようにするために、こう言ってもらいたい。
  96. 水田三喜男

    水田国務大臣 ルーズはちょっと悪かったかもしれませんが、やはりこういう問題は相当厳格な手続を踏むべきであって、どの辺までそういう点を自由にできるようにするかどうかということは、やはり一つの研究事項だと思いますので、そこらをわれわれは勘案して勉強します。
  97. 堀昌雄

    堀委員 それでは、いまの問題は終わります。私の持ち時間はあと三、四分しかないから……。  もう時間がありませんから、私、ここで大体締めくくりのあれをさせていただくわけですけれども、私は、ことしの経済というものは確かに非常にむずかしいと思うのです。むずかしいのですけれども、私がここではっきり申し上げておきたいことは、やはりいまの程度では少し財政の比重が高いような気がする。あなたがさっきいみじくも公共投資のほうを少し押えたいとおっしゃったけれども、やはりいまの上りカーブの段階ではいろいろな点で少し大きいように思うのです。まず民間にいろいろものを言うこともいいけれども、国が率先して処置をするという段階が必要なのではないか。アメリカの経済を見ながら一つ感心するのは、アメリカというところは、今度は少し引き締めがきき過ぎているというような問題があるようですが、私はそんなにきき過ぎているとは思っておりませんけれども、かなりドラスティックに増税をしたり、投資の免税をぽんとはずしたり、財政の面でアメリカの政府はかなり責任を負った処置をしておることを見ながら、私は、日本政府も、そういう経済運営については、必要な際には、財政のいろいろな問題については、必要に応じてある程度思い切った処置がされるべきだろうと思うのです。やはり日本の場合いつもおくれぎみだと思う。アメリカでも今度の場合おくれぎみだったと思いますけれども、いま皆さん、今度は予防的にいろいろおっしゃっておることはたいへんけっこうだと思いますけれども、しかし、私は、これがおくれることが日本の禍根を常に招いていると思いますから、その点については、ひとつ今度は、金融だけではなかなか締まらないということは前段で申し上げておりますし、特に公債発行下の現状でありますから非常にむずかしいわけでありますから、その点について、ひとつ財政の主導的な運用について十分御検討をいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  98. 内田常雄

  99. 平林剛

    平林委員 私は、きょうは経済見通し中心にいたしましていろいろとお尋ねをしてまいりたいと考えております。  そこで、経済情勢をどういうふうにつかむかということはなかなか困難だし、最近の経済情勢を見ると、いろいろ微妙な動きがあらわれてまいりまして、答えるほうもむずかしいかもしれませんけれども、私は、きょう衆議院の大蔵委員会大蔵大臣所信表明を聞きまして感じましたことは、やはり何か一つ抜けておる。何が抜けておるかというと、現下の経済情勢政府財政担当の大臣としてお話しになったその前提、それまでの問題について抜けておる。そこで、その問題についてきょうは少しお尋ねをしておきたいと思うのであります。  つまり、私の言いたいことは、去年までは不況脱出にいろいろ苦労されまして、福田さんも財政新時代と称して公債発行政策を取り入れられた。ことしは手のひらを返したように——全く手のひらを返したかどうかわからないにいたしましても、景気の過熱に対する警鐘的な意見も出ている。そうすると、去年あれだけ議論をしたところのデフレギャップというものは一体どういうことになってしまったのか、そのデフレギャップというのは一体どういうふうに説明をするのか、デフレを克服するために——いや、デフレギャップがあるから、そのために政府はいろいろな財政措置をとってきたのでありますけれども、半年か一年の間に、あのときあげられた膨大なるデフレギャップというのは一体どうなったのか、この説明がちっともない。  それから、福田大臣は、私どものこの大蔵委員会経済見通しをいろいろ議論したときに、少なくとも二年や三年は低圧経済が続く、したがって、金融も緩和状態が続く、こういうお答えがございまして、福田さんから水田さんに大蔵大臣がかわったといえども、佐藤内閣がいろいろな経済政策を進めていく上においては、統一した見通し、統一した見解、またその中にはつながりというものがなければならない。きょうの水田大蔵大臣所信表明も、そういう意味では前からのつながりがなければいけない、こういうことにつきまして一体どうなのか。同時に、きょう政府経済見通し、その他いろいろお伺いいたしましたけれども、私は、一体どこまでこれを信用したらいいのか、きょうお話しになっていただきました所信を大体どの程度まで信用していいのかということも、従来の経緯から見てこう言わざるを得ないと思うのでございます。  そこで、こうした問題につきまして、所信表明を行なわれた現情勢はこれから逐次お尋ねをしてまいりますけれども、その前の今日までの情勢がどうしてこういうふうになったのか、いま私があげました点は一体どうなのかということを御説明をいただきたいと思うのでございます。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
  100. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、お尋ねの意味は私に実際よくわかりますし、非常に正直を申し上げますと、私自身も、いわゆるデフレギャップというものはどういうものであったのであろうかということをいろいろと考えております。それから、学者の中でも同じような検討をしておられるのでございますが、いまになりまして大体言われておりますことは、景気の底は昭和四十年の夏か秋か、どうやらその辺であったらしいということが、このごろ、過去のいろいろ国民所得の計算であるとか統計なんかが確定をいたしまして、いまごろ言われておるように思います。そういたしますと、当時言われておったデフレギャップの深さ、及びそれがいつ、どのようにして埋まるであろうかといったような予測というものは、どうも現状に照らしてみると学問的には必ずしも正確でなかった。それなら、どれが正確であったのかということは、まだ統計類が出てまいりませんのでわからない部分が多いのでございますけれども、そういうことは私はやはり御指摘のようなことがあったのではないだろうか。もちろん、政府がいろいろ見通しを立てますとき、あるいは民間の経済研究機関がいろいろな発表をいたしますときに、むろんいいかげんなことをいいかげんで言うつもりで申しておるのではございません。ただ、利用し得る統計でありますとか指標の中でも、かりに先行指標と申しましても、かなり予測的なものでございますから、そういったようなものを使ってつくるところの見通しというものにやはり一つの制約がある、かなり大きな制約があるということが、現在まだ事実なのではないだろうか、これは非常に学問的なお尋ねだと思いますので、私も政治的な観点をまじえずに申し上げるのでございますけれども、そういう感じがいたします。
  101. 平林剛

    平林委員 私は昨年のデフレギャップの議論があったときにも申し上げたのでございますけれども、結局そういう議論がありまして、そうして膨大なところの企業減税をやってきたわけですね。一般の国民所得税減税を求めていたのに対し、いや、企業減税が必要なんだ、この不況を脱出するためには、いま卵を産む鶏を大事にしなければいかぬといって企業減税をやってこられたわけです。それからまた、ある程度両刃のやいばといわれるようにインフレの危険もあると指摘をされながら、膨大な公債発行の政策に踏み切ったんですよ。私は、いま企画庁長官がおっしゃられた程度の御説明では国民に対して相済まぬと思うのですよ。政府経済見通しというものはそんなものであったかということであっては、今日まで多くの国民が忍んできた犠牲というものから比較をすると、私はどうもいかぬじゃないかと思うのです。大蔵大臣、いかがでしょうか。福田さんは低圧経済が二、三年続く、あなたはもうこれからは大体経済というものが上昇機運であって、拡大をしていくというふうに見込まれるというふうに御説明になるのですが、それについて、やはり政府としてつながりのある統一的な見解をひとつお示しをいただきたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その前に補足をさしていただいてよろしゅうございますか。——私のいま申しましたことは思っているとおりを申しましたし、私自身も、実はあの当時、政府の発行する公債は少しこれでは少ない、まだ少な過ぎると、実は私思っておったほうなんでございます。そういう点で、私は当時役人ではございませんけれども、私自身の見通しも違っておったといま思っておるのでございますが、ただ、ああいう公債発行をいたしまして、ともかく国民の間に不況感があったことだけは事実でございますから、それから今日まで回復したという政策そのものに、私は誤りがあったとは思わない。比較的早くあの不況感を脱し得た、経済が正常になったことは、その間しかも為替銀行のポジションが非常に改まった、よくなったということをあわせ考えますと、私は政策としては誤っていなかったといまでも思います。
  103. 水田三喜男

    水田国務大臣 かつて、昭和三十三年でしたか、いわゆるなべ底景気といわれておった不況時代に、私どもはその不況克服策を研究したことがございます。あのとき、私どもは、日本経済がいわゆる底が浅い、厚みがないということをつくづく思ったのですが、あの以後、日本経済成長というものはたいへんなもので、規模はここまで拡大しておる。今度は私どもは、日本経済の厚みはあのときと比べて画期的なものがあるだろうというふうに感じていました。ですから、いま宮澤長官が言われたように、去年、私どもも、この程度需要喚起策でデフレギャップが一体どの辺まで解決するかという疑問を持っておりましたが、これがあの程度金融政策財政政策でいまのような状態になるということになりますと、私個人は、実はまだ日本経済の厚みはそうたいしたことはないというので、むしろ悲観しているくらいでございますが、事実は私はそうだと思います。福田さんが言っているように、二、三年低圧経済が続くという見方も、やはりそういう見方じゃなかったかと思うのですが、事態は違って、予想が狂っていまのようなことになったのですが、この現象を称して、テンポが予想外に速いとかなんとか、いろいろなことで表現しておるのですが、大体あのときに想像したデフレギャップは、ここのところへきたら一応もう解消しているのじゃないかと見ていいんじゃないかと思います。
  104. 平林剛

    平林委員 なお、そういう意味で、経済見通しについてやるつもりですけれども、郵政大臣の都合があるようだから、先にちょっと郵政大臣のほうの問題に移っておきたいと思います。  これは大蔵大臣にも関係があることです。私は、きょうはあとで郵便貯金の利子の引き下げの問題と、少額貯蓄非課税制度の問題についてお尋ねをする予定であったのですが、先にこれをお尋ねします。  きょうの所信表明の中でも、税制改正が行なわれることになりまして、その中で私ども最も重要視しておりましたのは、利子、配当に対する特例が今回五%引き上げられることに関連をいたしまして、郵便貯金の利子の引き下げの問題が表に出てまいりました。それからまた、少額貯蓄非課税制度の緩和が検討されておったのであります。私は、これにつきましてはいろいろ注目をしておったわけであります。きょうの新聞を読みますと、少額貯蓄非課税制度の緩和を含めて、その他のこともあった、税法の問題もあったのですけれども、この少額貯蓄非課税制度の緩和が閣議としてもきめられた。そこで、私は、きょうこの大蔵委員会が開かれるということは前々から大臣も関係者も御承知だと思うのでありますけれども、そのときにも、私はこの問題をやりたいということは通告しておいた。けさ新聞を読むと、これはきのうきまった。私は、大蔵大臣、こうした問題ですね、いろいろ国民の間からも専門的に検討すれば議論があるような問題について、少なくとも大蔵委員会で関係議員の意見を聞いてからこれはきめるというくらいの配慮があっていいのじゃないかなと思うのですよ。それがきょうの閣議で、もういろいろ検討してきたけれども、きまってしまった。私は、大蔵委員会というものは、こういう問題についてやはりある程度議論をして、そうしたことを背景にして、なかなかむずかしい問題や、政治的な影響のある問題については、一応議論の方向を聞いてきめるという態度が望ましいのじゃないかと思うのですよ。私はそう思うのですけれども、大蔵大臣はどうなんですか。これからもあることだと思うのです。
  105. 水田三喜男

    水田国務大臣 税制改正については、全部もちろんこの大蔵委員会の御審議を願わなければできないことでございます。そのとおりにいたします。
  106. 平林剛

    平林委員 いや、そうじゃないのですよ。郵便貯金の利下げの問題のときもそうだったのですけれども、この少額貯蓄非課税制度の問題についても、はっきり言って、配当、利子について五%引き上げる問題について取引したのですよ。金融界からの強い要望があって、これはどうだ、あれはどうだ、あなたは政治的に判断したのでしょうが、これは大臣をやっているから何でも政治的判断はできないということはないですけれども、こうしたいろいろな影響を与える問題につきましては、私は、少なくとも大蔵委員会がきょう開かれるのだから、そういう、要するに国民を代表しての委員会なんだから、そういう意向もある程度確かめてきめる程度考えがあってよかったのじゃないか。私は、これは大蔵大臣が金融界に対する一つの約束、それに迫られて、結局こういうところに落ち込んできたのじゃないかと思うのですけれども、それはどうなんですか。
  107. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはこの五%とか、非課税中心にして私どもがいろいろな措置審議したときに、関連した問題として私どもがきめて、この大蔵委員会審議をお願いするつもりで準備してあることでございまして、急にきまったわけじゃございません。この利子課税についての前進的な措置をどうとるかという討議をやっているときに一緒に出た問題でございます。
  108. 平林剛

    平林委員 法律案になってこれから出てくるといって、そのとき審議するというのはわかっています。わかっていますが、こうした問題については、私は、いろいろな議論があるだろうから、やはり大蔵委員会というのは、いわば国民を代表してそうした問題についてどんどん積極的に意見を述べていくところなんでございますから、そういう意向も聞いてきめてもらいたかった。特にこれは利子、配当の問題をめぐって出てきた金融界の要望であるだけに、そうした点についてはわれわれ国民の代表の意見も聞いて、そうしてきめるくらいな態度が望ましいということを私は申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、この少額貯蓄非課税制度の問題に郵便貯金の利下げの問題が出たのですけれども、これは金融界あたりから強い要望があったことを、私は動きとしても承知をいたしておるわけであります。また蔵相自身も、旅先でございましたけれども、新聞記者会見で、利下げの方向で検討、調整する必要があると述べられたことも承知いたしておるわけでございます。しかし、これがどうも立ち消えになったように私は承知をしておるのでありますけれども、郵政大臣、あなたにお尋ねしたいのはこの点なんです。これについてはあなたはどういう見解をもって臨まれたか、郵便局に貯金をしておる全国民に対してひとつ答えてもらいたい。
  109. 小林武治

    ○小林国務大臣 私は、今回の問題につきましては、多少利回りの差異があっても〇・〇二五と、かような程度でありまして、率としてはたいした問題はありませんが、このことは、一般の貯蓄している大衆に与える心理的影響が非常に大きいということでありまするし、また、銀行利用者と郵便局の窓口利用者は、大かた階層も違うということからいたしまして、私は賛成しがたい、こういう態度をとっております。
  110. 平林剛

    平林委員 私もあなたと大体同一見解でして、この零細な大衆の郵便貯金の金利を下げるというのは、私は、いま物価上昇のおりからも好ましくない現象だと思っております。それから、大体、伝えられておりました郵便貯金が銀行預金に逃げていくというようなことは、こまかい資料を検討してみると、考えられないですよ。そしてまた、最近では、銀行店舗の過剰サービスで、むしろ郵便貯金の伸びのほうが縮まっている段階ですから、こんなときに郵便貯金の金利を下げろなんというようなことは、これは横車もはなはだしいものだ。大体、こういう政令を出すのは郵政大臣ですから、しっかりしてくださいよ。郵政大臣は政令を出すようなつもりはないですね。
  111. 小林武治

    ○小林国務大臣 ありません。
  112. 平林剛

    平林委員 お聞きのとおりです。水田大蔵大臣、あなたもこれは利下げの方向で検討するということをおっしゃって、これは総理大臣のほうから言われたのだろうと思いますけれども、あなたも一応はそういうことを検討したような気配を示したのでありまして、いまのお答えのように、郵政大臣はしないと言っているのだから、これはするようになると首にしなければならぬことになりますから、たいへんな問題になりますよ。この辺ではっきりと郵便貯金の金利の引き下げはしないと、ひとつわれわれにもお約束をしていただきたいと思います。
  113. 水田三喜男

    水田国務大臣 郵政大臣には、こういう問題があるので検討をしてもらうときがあるかもしれぬというお話はしましたが、引き下げの申し出をしたことはございませんで、そのままでいままで過ぎておるということですから、下げろと言ったこともございませんし、したがって、下げないということもないので、そのままでいままできたということでございまして、いまのところ引き下げを申し出るという考えはございません。
  114. 平林剛

    平林委員 いまのところ引き下げる気持ちのないということで、間接的にはまあまああきらめてもらいましょう。やるときは、あなた郵政大臣を首にしてからでないとだめですよ、国会に対してそういうお約束をしたわけでありますから。郵政大臣、どうぞお帰りください。けっこうでございます。  さて、しかし、この少額貯蓄非課税制度の緩和については、私まだ問題があるわけです。私は、今度の取りきめは、従来少額貯蓄非課税の場合には、一人一店舗一口座百万円まで非課税ということであったわけですが、おそらくいま検討し、法律案として出されるものは、百万円までなら一人何口座でも非課税にする、そういうようなことで、割引債もこの適用対象にするというようなことであろうと思うのでありますけれども、私、この点で非常に問題があるのじゃないかと思うのであります。これもいわば水田さんがその次に考えた——水田さんというよりも、金融界のほうからそういう要望があって考えられたことだと思うのですが、これも非常に問題がある。  そこで、国税庁長官にお尋ねしたいのですけれども、従来の一個人一店舗百万円、こういう場合でありましても、実際上の取り扱いを見ておりますと、ある銀行に百万円入れる、よそにも百万円あった、それが要するに二重申告をされて、そのために、結局あとで六月か七月国税庁のほうがチェックしていくのだけれども、チェックしたときに二重申告だということがわかったときには、その預金者が銀行から金を引き下げてしまったというようなことになると、残るのは、その銀行が利息についての税金を源泉徴収しなければならぬ義務が残る、こういうことになりまして、いままででも、私は、源泉徴収義務という事務上、経費上の大きな負担が銀行にあったのではないかと思うのでありますけれども、国税庁は、こういうケースはどの程度にあるか、あるいはその金額はどのくらいかというようなことについてお調べになっておると思うのですけれども、その点を発表していただきたいと思うのです。
  115. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知のとおり、少額貯蓄非課税制度が設けられましたのは、昭和三十八年四月からでございますが、そのとき以来私どものほうで実施いたしましたところによりますと、第一回の名寄せを行ないましたのが昭和三十八年の秋でございますが、このとき二重あるいは三重の申告となっておりましたのが調査対象の約一〇%、その結果に基づきまして銀行のほうで徴収していただきました税額が一億七千八百五十七万円、第二回は昭和三十九年の春に行ないまして、そのときは調査対象の約二一%がそういった二重あるいは三重の申告になっております。それに基づきまして納付された税額が一億六千二百六十万五千円、第三回は昭和三十九年の六月から昭和四十年五月までに実施したものでございますが、その場合の二重、三重申告の割合は一六%でございます。それに基づきまして納付されましたのは一億四千七百四十五万二千円、第四回は昭和四十年六月から昭和四十一年五月まで実施いたしまして、その二重、三重の申告の割合は一四%に相なっております。なお、それに基づきまして納付額が幾らになりますかはまだ集計ができておりません。
  116. 平林剛

    平林委員 これは、今度百万円までならば一人何口座でも非課税にしていくということになりましたら、事務上どうなんですか、国税庁はうれしくてたまらないというくらいそういう仕事ができるのか、それとも非常にたいへんな仕事になってしまうというふうにお考えなのか、ここら辺は、勘どころを水田大蔵大臣によく説明してやっておいたほうがいいと思うが、国税庁長官いかがですか。
  117. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、現在は一店舗一銘柄に限ってそういう百万円までの非課税貯蓄ということになっておるわけでございますが、今後店舗の数を問わず、それからまた貯蓄の種類を問わずということになりますと、非課税貯蓄の申告書が非常に多数になることが予想されます。したがいまして、その名寄せを行なうことが非常に手数になることは事実だと思います。ただ、従来の制度でございますと、一人一店舗ということでございますので、一店舗に預金しておる額はわずかで、三店舗あるいは二店舗合わせて百万円にならないという場合でも、最初に非課税貯蓄の申し込みをいたしました以外の店舗に受け付けましたものは、二重申告ということで非課税貯蓄として認めないということになっております。概していたしますと、そういうことのために、わずかの金を方々の金融機関に預けた人がかえってその適用を受け得ないという点があったわけでございます。それを今回はそういう人を救おうということで新しい制度を設けることになったものと考えております。
  118. 平林剛

    平林委員 私は、まだ新しい税法改正の中の様子は見ていないのですけれども、とにかく従来二重申告、三重申告でとかく問題のあった税務署段階の名寄せが一そう繁雑になるということははっきりしておる。ところが、金融界のほうは、したがって、それなら徴税義務を免除してくれというような虫のいいことを言っておる。これは今度はそういうことをするのですか。
  119. 塩崎潤

    塩崎政府委員 この改正案につきましては、いずれ所得税法の一部改正法律案を御提案申し上げまして、ここで御審議を受けることになっておることは、先ほど大臣が申されたとおりでございます。自分の責任によらない税金を自分の負担において支払うことについての金融機関の要望は種々ございます。しかし、金融機関と預金者との関係その他を考えますと、源泉徴収義務者としての義務はやはり給与所得者給与の支払い者と同じような関係で律するということが私は適当だといまのところ考えております。
  120. 平林剛

    平林委員 私はこのほかにも、これには大体何店舗にすれば——幾つの店舗でもいいということになったら、税務署に名寄せした結果百万円になったら、一体どこの銀行が限度額をこえた銀行になるのか、こっちのほうは免除されるのかというようなこともあると思うのですけれども、たとえば、一人の人がこっちには五十万円、こっちには三十万円、こっちには二十万円、あと十万円と、かりにあったとします。どこから取るか、どこまでの銀行は免除してどこからは取るというようなことになるかは、これは実際上の運用としてはなかなか困難なことで、きょうは私は全部言いません。言いませんけれども、こういうような少額貯蓄非課税制度については議論があるからおやめなさいということをわれわれは言いたかったのですよ。私は大蔵大臣閣議決定をしたあとこれをまた変えるということはなかなか困難だとは思うけれども、こういうようなことをおやりになることは、今回の総選挙がどういう立場で国民から見られていたかということに自粛と反省があるならば、私は絶対にこんな法律案を持ってこなかったと思う。ですから私は、幾ら金融界が配当と利子の五%の問題で、公債のことも協力しているのだ、あれも協力しているのだというようなことを種にして郵便貯金の問題あるいは少額非課税制度の問題を要求されても、筋を通すのが水田大蔵大臣、あなたの任務である、ですからこれはおやめなさい、こういうことを申し上げたかったのです。きのうそんな閣議決定がなければ、私はこれは声を大きくしてぜひ水田大蔵大臣に善処を求めようと思っていた。だから、最初に言ったように、少しは私らの意見も聞いてからやってもらいたいこともありますよということを申し上げたのです。これはもう、だめなんですか。
  121. 水田三喜男

    水田国務大臣 だめかどうかということは、法律案でここへ出してこの委員会審議にかかってからのことでございますから、よろしくお願いいたします。
  122. 平林剛

    平林委員 私はおきめになったことの経緯その他から見てはなはだ遺憾でありまして、あらためてまた議論しますけれども、佐藤総理が言っているように、いろいろ議論は尽くすけれども、最後は多数決だなんて言って多数で通してしまったのでは、世の中だんだん間違ったことでもまかり通ってしまうということになるわけでございますから、ぜひひとつ、審議の結果柔軟な態度を政府がおとりになっていただくように、この際期待をしておきたいと思うのであります。  そこで、時間もなくなってしまいますから、最初の経済見通しの問題について質問をしてまいりたいと思うのであります。  先ほどは経済見通しについて、どうも政府見通しその他どこまで信用できるかわからぬということから申し上げましたが、宮澤経済企画庁長官、あなたは景気の先行きは注意を要するということを何かの機会にお述べになったと聞いておりまして、それから景気の先行きについて警戒論がいろいろな方面から議論されるようになりました。たいへんいいことだと思うのでありますけれども、大いに議論をされて、政府経済見通し必ずしも正しいものではないし、それからまた、多くの専門家がこうした問題の議論をすることは、今後の政策をきめていく上の基本ですから必要なことだと思うのですが、ひとつ景気の先行きに注意を要するという警戒論を出されましたその見通しの根拠を企画庁長官からひとつ、こういうことだったのでわしはこういう意見を出したということを御説明をいただきたいと思うのであります。
  123. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実は、先ほども申し上げましたように、実績の統計経済を見ておりますと、御承知のように、どうしても二月ぐらいはおくれてしまう傾向がございます。先行指標というようなものもございますけれども、ある程度予測が入ってくるものでございますから、そこで、計数的には非常に大まかなことしか申し上げないのでございますが、その前に、先ほども堀委員国際収支のことを前提にしてお話しになっておられました。私のその点で前提にしておりますことは多少違うのでございまして、つまり、昭和三十九年の六月ごろから四十一年一ぱい、二年半ぐらいの間でございますが、外国為替銀行のポジションというのがおそらく九億ドルぐらいは改善されておるわけでございます。ですから、ある意味で流動性がそれだけ余裕が出てきたということと思います。そうして、往年の国際収支のパターンと違いまして、貿易ではともかく相当な黒字をかせいで、その中にはIMF方式ですと信用で出す部分も入っておるわけでございますから、それでもわかりますように、信用供与をする部分が日本としては相当多くなってきている。いわば信用供与国になりつつございますから、それだけよけいに貿易収支のほうではかせいでおかなければならない、したがって、毎月の貿易収支の幅というものは従来よりももう少し大きくないといけない、こういうような考え方が基本にあるわけで、国際収支の先行きがすぐに昔のような意味で悪いとかいいとか言っておるわけではないのでございます。  それを前提にいたしまして、さて、昨年暮れ、と申すよりことしに入りましてから、機械の受注とか建設工事の着工とか——これはある意味で先行指標になると思いますが、見ておりますと、相当急激な上昇がございますし、信用状を見ておりましても、どうも二月も、三月もただいままでのところあまりいいとは——むろん赤にはなっておりませんけれども、信用状なしの輸入のことなんか考えますと、先行き思ったほど毎月の黒字が出てこないような気がするのでございます。  そういうわけでございますし、他方で、先刻申しましたように、中小企業なりあるいは将来の国際競争を考えますと、効率のいい投資はしておらなければならない。それらのことを総合して考えますと、従来のようなシェア競争に類する投資があまり行なわれるならば、それだけ効率投資に振り向け得る資源資金も圧縮される、押えられる、そういう考え方が基本で、それでこれは水田大蔵大臣の御判断であったわけでありますが、国債発行についても、本年度分及び予定された明年度分の一部を削減をしたのでございます。一連の大体そういったようなものの見方と申したらよろしいのじゃないかと思います。これが輸入が自由化されておりません時代には、こういうことを申しますと、すぐにかけ込み輸入というものが起こったわけでございますけれども、今日そういう心配はございませんので、できるだけ早い機会にそういうことを申しております。と申しますのは、各企業とも新年度の投資の計画というのを大体二月とか三月に銀行に相談に参りますので、そのときに借りるほうも貸すほうもそういう認識を持っておってもらえば早目に調節をしてもらえるのではないか、こんなような気持ちで申したわけであります。
  124. 平林剛

    平林委員 宮澤企画庁長官はむしろ遠慮しいしい、控え目にお話しになっておるのですけれども、私はあなたを前から尊敬しているのですよ。参議院の時代から宮澤さんのような人はこれはなかなか経済に明るいし、りっぱな人だと思っておるのでありますから、警戒しなければならぬような情勢がおありになったら——確かに二カ月、三カ月ずれることもあるけれども、もっと元気よく積極的にそうした警鐘はどんどん出してもらう必要がある。  コール市場の状況を見ましても、あるいは卸売り物価情勢などを見ましても、さっき議論がありました設備投資状況を見ても、私は、この傾向は今後弱まることはない、むしろ強まっていくと見ておるわけであります。それだけではなくて、四十二年度予算の編成当時の経済見通しと現在の見通しと比較をしてみますと、それは思いがけなく急速な違いがありますね。たとえば、いろいろな経済見通しをお立てになったときでも、私どもこの間からいろいろの角度から検討してみたのでありますけれども、非常な違いがある。たとえば四十二年度予算編成のときの経済見通し政府のやつを調べてみたところが、名目で一二%だったですね。それが最近の経済見通し、きょうの水田さんのお話ですと、これは一三・四%ですね。わずかの期間に名目におきましても一・四%の違いが出てきておる。それから実質の成長についても、四十二年度予算の編成の当時は八%だったやつを九%に直しておる。それから民間設備投資でもそうです。予算編成の当時には大体六兆二千億円、一三・四%と見込んでおったやつが一四・八%に変わっている。これは政府の相当の景気抑制策をとったときの伸びでありまして、もしこれが失敗すればもっとこれは伸びるだろうと私どもは見ておるわけであります。鉱工業生産も一三%が一四%の伸びになる。輸出入についても、予算編成当時は輸出が二・二を最近では一一・一に直し、輸入は一四・一であったやつを一四・八と修正をする。内輪に見ても、この程度の開きが出てきておるわけです。  また、こういうような諸指標をながめてみますと、私は、やはり現在の政府のおとりになっておる経済政策というものが、不況のどん底からいま拡大成長の方向にわずかの間にいくというのは、財政か金融かその他の制度か知らぬけれども、われわれが知らない以上の大きなものがあるのであるから、私は、相当注意をしないと再び過熱の状態を招くのではないかと実は考えておるわけです。佐藤総理などは、選挙演説か何か知らぬけれども、こういうふうになってきたのは、政府のいままでの経済政策がよかったんだなんといって自慢していますが、そんなものと、いまわれわれがここで議論しているものとは違うと思うのです。これは選挙演説向けでやるなら、自由民主党の経済政策は、見ろ、あの不況のどん底からわずかの短い間にこれだけの状態にさせたじゃないかといばっていてもいいけれども、私たち大蔵委員会議論するときにはそんなことは通りはしないのですよ。経済見通し状況から見て、こんなに短い間にくるくる変わるということは、いまの経済をしっかり把握しておかないと、とんでもないことになる。  そこで、私は大蔵大臣にも申し上げておきたいのでありますけれども、財政金融政策の機動的、弾力的運用でそうした行き過ぎを防ぐと、こうおっしゃっておるのですけれども、ことばじゃないのです。ことばで幾ら言ったって、そんなことはどうにもならぬです。そこで私は、具体的にこれはどういうことなのか、われわれが心配をしておること、大蔵大臣がお考えになっておる具体的な機動的、弾力的運用——ことばではない、具体的な問題として安心できるかどうかということを、これは国民とともに確かめたいのです。具体的にはどういうことをお考えになっておるのでしょうか。
  125. 水田三喜男

    水田国務大臣 この政府経済見通しには条件がございまして、私どもの財政金融政策がよろしきを得た場合に昭和四十二年度経済はこういうふうに見通されるということでございまして、この政府の希望的な見通しに持っていくためには、財政金融政策のしっかりした運営というものがあってのことだということになっておりますので、私どもはいまその責任の非常に重いのを実際は感じておるところでございます。ちょうど質は違いますが、形の上から見ると、昭和三十五年、六年という時代を私どもは経験しておりまして、そのときに形の上では似ている印象が非常に多いときでございますから、そういう意味では、私どもは一つの経験者だと私自身は思っております。したがって、経済の実際の情勢を見ながら、早目にもういろいろな手を打っていくということをしたいと思います。  どういうことをやるかという具体的なものですが、たとえば四十一年度におきましても、すでに御承知のように、最初は予算の繰り上げ使用をするというようなことをやって事態に対処しましたし、終わりにきましては、今度は情勢を見て、四百億円の市中消化が予定されておった国債を五十億円だけは民間で消化しましたが、あとは全部これを削減するというような態度もこの四十一年度運営ではとっておりますし、こういうやり方は、四十二年度においても、情勢を見て行なわれることだろうと思いますし、そのほか、これは単に財政政策だけではいきませんので、金融政策と歩調を合わせた、いろいろな組んだやり方があると思いますので、こういう点について、要するに機動的に、時期を失しないように私どもはやってまいるというつもりでございます。
  126. 平林剛

    平林委員 あとで公債の問題についてもお聞きしますけれども、私は、万一の場合、これから機動的、弾力的運用で行き過ぎを防ぐという場合、いまのお話はわかりますけれども、これから心配するのは、むしろどういうふうにして押えていくかということです。しかし、われわれ従来三十二年のときも、三十何年かのときにもいつも感じてきたのですけれども、大きな企業とか大きな資本を持っておる人たちは、どんな波が来ても、それはデフレが来ようがインフレが来ようが耐えていけるのだけれども、耐えていけない階層がおる、こういうことを考えますと、私は、経済企画庁長官は遠慮をしながらお話しになっておるけれども、かなり警戒しなければならぬ要素が出てきておるので、むしろ二、三カ月たって、ほら出てきちゃった、そらやれというような火事どろ的なことをおやりになってしまっては、やはりその間大きな犠牲者が出てくる。池田さんの高度成長政策で批判されたのはその点だと思うのです。これは高度成長はいい、高度成長はいいけれども、権衡がとれなければ、中小企業とか農業、あるいは一般の国民物価ということで苦労される。その点に画竜点睛を欠いたので今日いろいろな批判が出てきておるので、この場合もそうです。現状においてもそうです。万一の場合あなたはどちらの方面に引き締めの重点を置いていくのか。この点は、やはり国民としては聞いておきたいと思う。
  127. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまおっしゃられましたように、この高度成長政策が悪いというわけではない、これがうまくいかなかったときに、これを押えるために引き締め政策をもって対抗するよりない、この引き締め政策の犠牲というものが、中小企業そのほかへ大きい影響を与えるということでございます。したがって、私どもが用心するのは、あのときの経験から見て、この引き締めをやる事態を起こしたくない、引き締めをやらないで済むような運営をやりたいということがいま中心でございまして、もし失敗したときには、どういうふうな引き締め政策をとるかというのではなくて、私どもがこれだけ用心しながら、もういかぬといって引き締め政策をとるというときは、半分われわれの施策が少し抜かっておったということになるのですから、私は、いままでの経験から急激な引き締めというのはやりたくないために、これから苦労しようと思っているところでございます。
  128. 平林剛

    平林委員 引き締めをやりたくないということで努力をされるというのはけっこうですけれども、いま私どもが心配しておるのは、具体的な諸指標をあげて、もう二、三カ月後にはということになってまいりますと、そんなときに引き締めをおやりになると政治的な責任は重くなるのですよ、正直言って。これでまた責任のがれをしたら、国民はもう政治家を信用しませんよ。いわんや経済を専門に担当しておられる水田さんの信用、株が落ちてきてしまう。  私は、企画庁長官にちょっとお尋ねしたいのです。民間の設備投資にも節度を示してほしいということをたびたびおっしゃられております。きょうのこの中にも、たしかそんなことが書いてあったと思うのです。先ほど私、通産大臣企画庁長官のお答えを比較対照して聞いておったのですけれども、もうすでに見解が違っておったのです。あなたは、さっきは、設備投資の状態の中にシェアの競争はまだないとおっしゃられた。将来中小企業の高度化とか国際企業に勝つための投資なら、これはやむを得ない、やむを得ないが、現在シェア競争のほうはない、こうおっしゃった。通産大臣は、もうすでにあらわれてきていると答えた。そういうところでは、企画庁長官通産大臣の答弁は全く食い違っているのです。ほんとうを言えば、先ほど委員会はストップしてひっくり返るところだった。通産大臣はいま席にいないけれども、あなたもお聞きになったとおりだ。あなたの言ったのとすごく違ったことをしゃべった。これは予算委員会だったらおさまらないところだった。私も関連質問をやろうと思ったけれども、堀さんの質問が続いているからやめたのです。  そこで、民間の設備投資に節度を示してほしいと言われますけれども、それは一体、その予防のために押えられるのかどうか。それから、先ほど議論がありましたけれども、現在の設備投資増加になっている傾向は、一体健全なのか、好ましいのか、それとも不健全で抑制すべきものであるかどうかということなのでございまして、節度を示してほしいということは、そういう心配がすでにあらわれているからであって、あらわれているからそういうような発言をなされると思うのでありまして、そうすれば、先ほど議論がありましたように、たとえば一つのルールというものを事前に示すというようなことが必要じゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど通産大臣が答弁されたのを私横で伺っておりましたが、あのきとはお話が鉄のことになりまして、そうした現在の高炉建設をめぐっての議論が、これがへたをするとシェア競争になりやすいということを通産大臣は言っておられたように私は聞いておったわけです。つまり、適正な基数でありさえすれば、鉄鋼業の操業度は相当高いのでありますから、これならばいいのだが、それが行き過ぎるようになると困るのだ、こう言っておられたのだと思います。私も以前から頭にあるのは、むろん当面の問題としては鉄でございまして、これが全くルールなしでたくさん着工されてしまっては、それこそシェア競争そのものになるだろうと思っているのでございますが、政府がある程度警戒色を出したという——何もそれだからとばかりは申しませんけれども、やはりそういう背景があって、ともかく何基かに押えようじゃないかという空気があるということで、具体的にそれが政府としては何ができるのだということになりますと、これは私の観察なんでございますが、ああやって議論をしていきますと、どうも一定の基数で押えなければならぬということはわかる。しかし、自分たちでは、もう結論はわかっておっても、だれも言い出せない。そこらで産業構造審議会とか、しかるべきところがあることを言ってくれれば——おかしな話でありますけれども、そういうことはございますので、第三者が言ってくれれば、それに従おうという程度の認識が熟す方向にいっておるのではないだろうか、そういう意味での雰囲気をつくる、土壌をつくるという役割りは政府として果たしておるのではないだろうか。それからまた、どうも先行き、経済は必ずしも順調に伸びるばかりじゃないという意識を持ちますと、今度は、金融機関にしても、また借りるほうにしても、中には、だから急いで借りてしまおう、貸してしまおうというのがあるかもしれませんけれども、しかし、そうなると棒上げの経済の予定をして投資を組むのではぐあいが悪いというふうに考える向きもございましょうから、そういった意味での間接的な雰囲気をつくる役割りは、これは果たせるのではなかろうか、少なくともそういうことはできるのではないかと思うのであります。
  130. 平林剛

    平林委員 次に、私は物価上昇見通しについてちょっとお尋ねしておきたいのですが、きょうの大蔵大臣所信表明、あるいは総理の施政方針演説、企画庁長官の今日までのいろいろなお話などを聞いておりますと、消費者物価は、昭和四十二年度予算を提出するときの見通しによりますと大体五%、それから卸売り物価が四%、これは避けられない。そして、こういうことを前提にして五兆円の予算あるいは公債発行政策が組まれておるのでありますけれども、私は、初めから消費者物価は五%上がる、それから卸売り物価は四%避けられないなんといって所信表明をされるというのは、このごろは物価上昇にちょっと無神経になり過ぎているのではないかと思うような気がするわけであります。国民生活にとっては、物価が一%上がっても、いまの状況ではゆとりある家計もできるものでもなければ、これからの生活設計も成り立つものではないのにかかわらず、たよりにしておる政府のほうが、初めから施政方針演説や蔵相の所信表明に、消費者物価は五%、卸売り物価は四%なんといって、ものをお考えになったのでは、一体だれをたよりにしたらいいかといって、国民生活の悩みをいよいよ深くするに違いないと思います。それを基礎にした財政政策というものは、私は認めるわけにはいかないのです。むしろそれをどうやって下げられるかというような問題について、具体的な策を私は聞かなければならぬと思う。政府はこのことのために鋭意努力をする、努力しても消費者物価は五%だ、卸売り物価は四%だというのでは、一体何のために政治をやるのかということになるわけでありまして、これはお互いむずかしい問題だと思いますけれども、私は、この点は少しお互いに無神経になっては困る、特に政府はこうした問題にもっとシビアーな気持ちで臨んでもらわなければ困る、こう思うのであります。そこで、そのためには何をすべきかという点がいろいろあると思うのでございまして、総理大臣の御説明も本会議場で聞きましたけれども、根本的なことを忘れておって、何かこれでだいじょうぶだとか、確信をしているなんて言われたって、国民は承知しない。  そこで私は、現在の状況から考えまして、政府のおっしゃられるような消費者物価は五%、卸売り物価四%というのは自信を持っておられるのかどうか、これだってたいへんなことだけれども、これで押えてみせるという自信を持って経済政策をおやりになっていただけるのかどうか、この点を聞きたいのです。
  131. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いろいろすっかりおわかりになってのお尋ねでございますが、つまり、政府所信表明の中に来年度物価見通しが述べられますのは、これは来年度経済見通しをつくりますために、その結果を国民に向かって申し上げておるわけであります。経済見通しというものがなければ、何もそういうことを言わないでも済むわけかと思いますが、しかし、ある程度不正確ではあっても、一つの経済見通しがあって運営の指針を政府がきめるということは、そうでない場合に比べてやはりそれなりの進歩だと考えておるのでございます。そういたしますと、今度は経済見通しでこうありたいということと、こうなるんじゃなかろうかという一つの予測の部分とが、経済見通しの上では微妙にからまってまいりまして、ことに物価の部分は一番それがはっきり出てまいります。何も政府は、この来年度消費者物価が四・五%——もっと低ければいいと思っていることはもちろんでございますが、しかし、国民が見られて納得のできないような希望だけを述べるということも、経済見通しとしてはいけないことでありますし、そうかといって、何も努力いたしませんということもいけないわけでございますから、一生懸命努力をいたしましてここまでのところへ持っていきたい、これならば不可能な目標ではございますまいというようなところを出していく。先ほどおっしゃいましたのは四十一年度の数字でございますけれども、この四十一年度はもうあと一月しか残っておりませんから、ほとんど事実と、もうここまで来ればそう変わらないものを掲げることができますが、四十二年度につきましてはそういう性格のものになる。もしこれをうんと低く出すことができますれば、まあ、ある程度賃金の上昇なんかにも多少の——どう申しますか、押える役割りを果たすわけでございましょうが、しかし、できないことを言って誤った結果になってもいけない。で、四・五というのはそんなにできない数字であろうかと申しますと、私は必ずしもそう思っておりません。本会議で申しましたように、これは四十一年度との対比でございます。四十一年には一月に米が上がりまして、一月でございますから四十年度は三カ月分で、四十一年度のほうにむしろ九カ月分かかったわけで、ですから、これは相当上がるほうの力に働きました。その次に私鉄があり、それから国鉄があり、郵便料金がありでございましたが、四十一年度は大きなものが四つかかっております。四十二年度は、ただいま予定されておりますのは、十月にある程度の消費者米価の引き上げがある。これは、予算の計算上では一四%と一五%の間ぐらいな計算になっておりますけれども、この場合、これが十月でございますから、物価指数としては、四十二年度にはその半分しか響きません。あと四十二年度にはウエートの大きなものはございませんので、したがって、四十一年度を五%でやれたとすると、四十二年度四・五%を努力目標とすることは、そんなにできもしないことを政府が言っておるという部類には入らない。むしろ四・五というのは、まだはなはだ高いのじゃないかとおっしゃられれば、遺憾ながら高うございますけれども、しかし、努力目標としては毎年下げてまいりたいと思って、そういう表示でございます、そう申し上げるほかないのでございます。しかし、できがたい目標だとは私ども思っておりません。  卸売り物価のほうは、これはやはりざっくばらんに言えば、一種の商品市況のような要素が多いのでございますが、工業製品が多うございます。まあ木材でありますとか、砂利であるとか、そういう鉱産物、つまり突然マスプロダクションのききませんものは別であります。そうでありませんものは、おのずから市況に対応して供給がふえてくると考えてよろしいと思いますので、したがって、卸売り物価については、私は四十二年度内にはむしろ下降がある、こう見ておるわけであります。反落があると見ておるわけであります。それでも四十一年度の上がりが多うございますから、年間の上昇率としては一・二ということになりますが、この一・二を達するためには、四十二年度自身は実は下降線をたどらないといけない。これは私は、毎年棒上げに上げていくという性格のものではなくて、むしろ反対の性格のものだ、こう思っておるわけであります。
  132. 平林剛

    平林委員 もう一点だけ。私は、実はこの政府経済見通しの中で、国民が最も強い関心を持つのは、物価上昇、特に卸売り物価上昇というものが従来のように時期的な特定なものじゃなくて、別な面から、もう全般的な面から上昇を続けていくというような傾向があらわれてきましたので、これは今後も卸売り物価は、この四%はやはりずっと上がっていく、それは消費者物価にはね返ってくるということを考えますと、消費者物価を四・五%と見られたのは低過ぎるのではないか。これはなぜかというと、昨年の十二月ですけれども、都銀の九行で明年度経済見通しをまとめております。私、それを読んでみたんです。これは富士とか住友とか、三菱、三和、東海、第一、三井など、いろいろな各銀行の専門家の人がそれぞれ経済見通しをされたわけでありますけれども、それと今度の政府見通しとを比較してみますと、とても四・五%でおさまるんでしょうかねと、こう言いたくなるような状態なんです。この都銀九行の見通しによりますと、いわば、私はこれからの経済というのは、やはり設備投資が主導していくような形で拡大をしていくだろうと思うのでありまして——それ以外の要素もありますよ。ありますが、それが先行していくような拡大だと考えますと、これは民間設備投資は、その当時九行とも、低いところは大体一〇・四%くらいに見ておる。一審高いのが三菱でございまして、一六%と見ております。しかし、その他は大体一一・六%とか一一・五%とか一三・一%とか、こういうように非常に低いわけです。政府はこれに対して一四・七%ですね。それからもう一つ、卸売り物価上昇については、この当時九行の見通しは、低いところは大体一・〇%、高いところでも二・〇%と見ておる。政府見通しは四%ですね。卸売り物価がどの程度消費者物価にはね返ってくるかということはいろいろ議論がありますけれども、決して低くなるほうには作用しないで、高くなっていく。それから、その他のいろいろな諸指標を見ましても、どうも政府見通しよりも低目低目に見ておりながら、物価のほうの上昇率はいずれも五%を最低にして、最高は七・五%という見通しを立てておるわけですね、四十二年度は。そういうことを考えますと、私は、いまの政府のこの経済見通しとしてお話しになりましたけれども、施政方針演説で言われていることも、これは国民のはかない夢と消えるのではないか、それには何か極力な手を打たねばならぬのではないかということを感ずるのでありまして、こういう都銀九行の見通しなどから見まして、自信を持って四・五%くらいで、公債の問題についても何か考えなくても、だいじょうぶだというふうにわれわれにお示しになれるんでしょうか。
  133. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実はさっき申し上げようかと思って、つい申し上げずにおったんですが、私が少し遠慮をして申し上げておるんじゃないかというふうに御指摘でございますけれども、必ずしもそうではありませんで、一月、せいぜい二月の指標の一部がわかっておるわけでございますけれども、この一月という月が普通の月でございませんし、二月も必ずしもそうでないものでございますから、まだ、非常にはっきり、こっちの方向もどうしてもはっきりとるというところまで、私ちょっと言い切れないところが気持ちの中にございます。それは各銀行のかなり高い設備投資の予測に出ておりますように、上昇機運にあるということは企業がみんなわかっておりますので、計画なんかでも、ある程度需要に属する部分があるのではないだろうか。つまり、いまかりに、二十借りると言っておって十にする分にはかまいませんが、逆になりますと困りますし、過般の形鋼とか丸棒なんかについてもかなりそういうことがあったようでございますが、仮需要的な要素がこういう上昇期には必ずあるので、一月、二月くらいのところでもうこれは非常にはっきりこういう方向をとると即断するには、私自身がまだ幾らかちゅうちょを感じておるわけでございます。そういうこともございますから、いま御指摘になりましたようなほど、私はそこまでは感じておりません。したがって、いずれにしても非常に設備投資政府見通しより大きくなり、また、消費者物価の、あるいは卸売り物価の押えがきかないのではないかというようには、私はまだ思っておらないのでございます。
  134. 平林剛

    平林委員 企画庁長官、けっこうです。  私の割り当ての時間もわずかになってまいりましたので、少し急いでお尋ねしますが、いま議論をしておりましたように、私は、実は物価上昇の今後の傾向について、なお釈然としないものがあるわけであります。そこで、やはり今後の財政が、予算規模もそのとおりですけれども、特に公債の発行の力というものをどう評価したらいいかという点で、今後の公債発行政策についてかなり大蔵大臣は手綱を引き締めてもらわねばならぬということを感じておるわけであります。  たとえば、昭和四十一年は、不況克服という名目で、不況の中で七千三百億円の公債発行がされました。今度の暫定予算でもまた千何百億円か新たに公債が発行されることになり、財源とすることですから、かなりの数が出ることになるわけであります。ことしは、先ほどの所信表明でありましたように、景気動向は著しく変わってきておるわけです。民間の設備投資状況から見ても、昨年から見ると状況が違う。そこに八千億円の——これは二百億円ばかり大蔵大臣努力で削ったと言いますけれども、それはもうゼスチュアにすぎないのでありまして、八千億円という膨大な公債の発行がされることが、いまの情勢をさらに激化させる心配はないか。また、全国銀行協会の発表では、四十二年度需要見通しが五兆二千億円で、預金ほうは三兆五千八百億円だ、資金不足というような状況が報道されておるわけでありますが、このときに公債発行が八千億円ということで金融機関が消化するのに困難を感じないか。もしそういう事態になると、われわれが指摘しておりましたような公債がいい面に働くときはいいけれども、悪い方面に大きく動く、われわれが想像しているように大きな力を持っているのではないかということを考えますと、公債の発行については、私はもっと大胆に縮小するような考えを持たねばならぬのではないか、こう思うのでありますけれども、大蔵大臣の御見解を承りたい。   〔吉田(重)委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕
  135. 水田三喜男

    水田国務大臣 増発する必要が出るという事態はおそらく考えられないと思いますが、これを相当思い切って縮小する必要があるという事態になるかどうかも、いまのところは、まだ私は予想するのが少し早いのではないかと思います。しかし、私どもの態度は、民間資金との競合が出てきたというようなときには私どものほうが引っ込むべきだというような基本的な問題を堅持して、はっきりしておればそのときどきに対処できると思う。また、この公債八千億をきめるときもいろいろ問題がございまして、当初は、もう少し必要だという議論もずいぶんありましたし、もうちょっと削れるという議論もあったくらい経済見通しにはいろいろ問題がございましたが、この八千億をきめるときのいきさつは、そうこれが膨大で民間で消化できぬ金額だというふうには考えませんでした。また、民間の金融界そのほかに集まっていただいて相談をしたときも、積極的に賛成ではございませんでしたが、まあその程度公債政府保証債ならこれは引き受けざるを得ないだろう、よかろうというような了解までとって出発したいきさつから見ますと、これが膨大過ぎて、当然これくらいは縮小されていいだろうというような予測は、やはりいまのところ、まだ正確にはできないところでございます。もう少し情勢を見ないと私はわからぬだろうと思います。
  136. 平林剛

    平林委員 もうこれで最後です。  私は、公債というものは一度出したらなかなかとまるものでないと思う。それで現在の状況から見ますと、特に公債が公共事業、いわゆる建設公債と銘を打ってやっているだけに、これからの拡大する経済のもとでは公共事業費というものはだんだんふえていく、そうすると、公債もしたがってふえていく、これは避けられない。ですから、一たん出したものを引っ込めてゼロにするということはなかなか困難であったとしても、絶えず公債の発行限度を押えていくというような基本的態度がありませんと、ますます取り返しのつかないことになってしまう、私、こう考えるのであります。特にこれからの経済が、どっちかというと、ここしばらく設備投資によって拡大をしていくということになりますと、不況の去年の一・一%くらいのときに七千三百億円、ことしは一四・七%という伸びのときに八千億円というのは、何か押えたような感じでお考えになっておるように聞こえるのです、けれども、私はそうじゃないと思う。設備投資がわずか一・一%しか伸びなかったというか、伸びないという見通しの上でこれを脱出するために七千三百億円の公債発行を考えたときと、一四・七%あるいはもっとふえるかもしれないというような設備投資増加のときの八千億円というものでは、これは力というものが違うのではないだろうかと考えるわけです。ですから、これは二百億円や三百億円削ったからいいという問題ではない。特に先ほど堀さんから税収の問題について過小評価ではないかという議論がありましたが、私どももある学者の人の意見を聞きますと、こんな意見を述べている人がいるわけです。  たとえば、いままで景気過熱があった年の昭和三十二年と三十六年、その三十二年におけるときに税制改正なき場合を想定した税収実績は、三十一年度、つまりその前年の予算計上の税収見積もり額の四一%であった。それから三十六年のときには、税制改正なき場合を想定した税収実績が五八・五%であった。三十二年、三十六年とはそれは経済事情はいろいろ違いますけれども、しかし、単純比較をして、四十二年度で同じような税収実績を当初予算計上の税収見積もり額の五〇%程度に押えたらどのくらいになるか。そうすると、政府予算に見積もったものよりふえまして約四兆七千億円くらいになる。そうすると、初年度減税分八百三億円を控除しても、四十二年度の税収見込み額は八千六百億円程度になりやせぬか。これは先ほどお話しになりました七千億円よりも千億円ばかり多いわけでございますけれども、大体そんな説を立てる人もいるわけですね。これは後において証明されることでございますから、一年後にまた議論すればいいことですけれども、そういう説をとる人もおるわけであります。かりにこの八千六百億円ほどの自然増収があるならば、いまの公債というものは、税収でひとつなくそうという気がまえを立てれば、一年でそのくらいにはいきませんけれども、かりにその決意があればなくせない数字ではない。   〔藤井委員長代理退席、吉田(重)委員長代理着席〕 それはいろいろのはね返りがありますから、私はそう外で言うように端的なことはここでは言いませんけれども、しかし、なくしていく努力をせねばならぬということだけは間違いない、また、そう言うだけの余力はあるのだ、これを頭に入れてもらわねばならぬ。  そこで、今度も、私は偶然か何か知らぬけれども、財政公債に対する依存率が昨年よりはちょっと低下しているのですね。予算が大きくなったからこれはしょうがないのだけれども、率は下がっている。せめてこういう依存率というものは相当重要視して、低めていくというような考えはできませんか。
  137. 水田三喜男

    水田国務大臣 今度の経済計画を見ましても、公債の依存率は低めていくべきであるというふうにあの計画の中でも公債問題についてははっきり書いてございますとおり、私どもは、この依存率は年々低めていくという方針でいきたいと思います。  それで、本年度も、そういう点で公債発行額を幾らにするかはずいぶん苦心したところでございますが、さっき話したように、問題は税収の見込みとの関係ですが、これが七千何百億か低いというふうに一般にいわれておりますが、これを計算した当事者から見ると、そう低いということは、なかなか低いという結論は出てこない。去年の大きい税制改革をやった本年度への影響がもう一千億はありますし、これが自然増収から引かれてきますので、そういうものを加えると、もうすでに八千何百億円ということになりますから、それ以上の増収がどれくらいあるかということはなかなか私どもにも判断できなかったというようなことから、公債の額もそれらを勘案してやはりきめられたものでございますが、むろん税収が予想よりも多く出るというような事態になったら、これを今年度のようなときには経費に回すべきではなくて、公債発行額を切るほうへ回すというふうにするのがほんとうだと思うので、その点も私どもはもう少し事態を見てから善処したいと思っております。
  138. 平林剛

    平林委員 いろいろなおお尋ねしたいことがありますけれども、予定の時間がきましたので、これで終わります。
  139. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 竹本孫一君。
  140. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、先ほど来いろいろと質問があらゆる角度から続けられましたので、なるべく重複を避けて、二、三の問題をお尋ねしてみたいと思います。  まず最初に、いわゆる五兆円予算でありますが、「よく五兆円を食いとめた」と読むのだと新聞で読みましたが、大臣も大体五兆円を食いとめた、よく食いとめたというような実感でおられますかどうか。
  141. 水田三喜男

    水田国務大臣 この五兆円というのはやはり意味がございまして、予算ワクを去年の伸び率よりはふやさない、低目に押えるとか、あるいはこの予算内の経費の使用、特に政府の財貨サービスの購入というような支出が経済成長率よりもやはり低いところへ押えるとかいうような、いろんなことを考え予算規模をきめるということになりますと、やはり五兆円が一つのめどになるというのは早くからの検討でなされておったのですが、それを、その数字をとって五兆円五兆円と、それ以内に組んだから成功だというふうにいろいろ言われてきましたので、私どもも予算編成を五兆円以内にすることがいいというふうに考えて五兆円以内の予算を組んだというのですが、過程にはいろいろございまして、結局五兆円以内におさまったということは、やはり私どもとしてはよくやったというふうに思っております。
  142. 竹本孫一

    ○竹本委員 その点を少し伺ってみたいと思うのでありますが、五兆円というものが一つのめどになっておるという、一般にもそう言われておりますが、そこに科学的にどういう根拠があるのかということが問題であります。特に、私は、昨年の九月六日に閣議に出た概算要求が五兆五千億円、財投が三兆二千億円、それを報じました新聞が、当時大蔵省はこれに大なたをふるって、一般会計は四兆九千億円に、財投は二兆四千億円程度にしよう、圧縮をするのだ、そういう考え方であるというような記事も同時に出たと思うのであります。いま大臣がおっしゃるように、前から五兆円と、こういうのでございますけれども、これもちょっと感じとして、勘でいくとしても、先ほど来いろいろ論議が尽くされましたけれども、三年前に過熱の心配があまりなかったときと、いま相当過熱の心配をしなければならぬときと、同じように五兆円というものが答案として出されるということもおかしい。  時間がありませんから、まあついでに言いますけれども、大体健全均衡財政というのが、従来は財政の一つの基準になっておりました。これは、これもあまり科学的ではないと思いますけれども、自然増収の範囲内に予算のふくれるやつを押えていけば、一つのそれが歯どめになり、めどになり、安心感を持つのだ、こういうような考え方であったと思います。ところが、今回の五兆円というのは、あらためてお伺いしたいのでございますけれども、何を計算の根拠にして五兆円というのか、あるいは五兆円ならば大体適正な規模考えるのか、それについての科学的な基礎というものがどうもよくわからないからお尋ねをするわけでございます。極端な言い方をしますと、今度の予算というのは、大体、これもいろいろ議論がありますけれども、公債を八千二百億円といくか八千億円といくか、まあ公債の消化というものはその辺ではないかという見当から、逆に逆算して五兆円というのが出されたような疑いがある。いずれにいたしましても、これからの財政、先ほど来だんだんに膨張してくるのではないか、歯どめはどうするのか、いろいろ御心配の論議が出ましたけれども、私もその点において同感でありますが、日本の財政の膨張率というものはどういうところで押えていくのか、何を根拠にあるいは五兆円あるいは六兆円としていくのか、その辺についての大臣のお考えを承りたいと思います。
  143. 水田三喜男

    水田国務大臣 五兆円というのは、単純なめどというのではございませんで、相当科学的な根拠を持っておる数字だと私は思います。と申しますのは、先ほども申しましたように、財政当局が四十二年度予算をどういうふうに組むか、あらゆる角度からこれを検討しておる間に、たとえば公債なら、こういう経済情勢のときに公債依存度を昨年よりも上げるということは、これはできませんので、公債依存度は下げるというようなこと、それから、さっき話しましたような政府支出が経済成長に寄与する割合を申しますと、たとえば、去年はそれを三割と四十一年度予算では見ている、これは少し依存のしかたが大きいので、今年度は二割と、思い切ってその度合いを下げるというような、これが大体姿としていいだろうとか、一つ一ついろいろな角度から積み重ねてくると、大体五兆円というのが一つのめどになってくるだろうと思います。また一方、最近特に社会資本の立ちおくれが目立ってまいりまして、このために日本の物価問題にまでこれが影響するというようなところへ来ましたから、こういう立ちおくれを解消する資金配分というものはやはりいま急務になっている。そういう意味から、たとえば道路にしましても、いままでの伸びが一八%というふうになってきていますが、こういう公共事業費を来年度伸ばす時期かどうかというようなことを考えまして、それ以下に押える、一四%前後に押えるのが適当じゃないかというふうに、公共事業の伸びまでもこのくらいに圧縮するのが適当じゃないかというような、あらゆる要素の検討から積み重ねてくると、ここらが一応いわゆるめどになるということが出てきましたので、それを中心予算編成にかかったというようなことでございまして、これは全くそう根拠のない数字だとは私、考えておりません。
  144. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間の倹約のために結論で申し上げますが、私は、日本の生産力その他の科学的な調査が行なわれて、その上に立って長期経済計画というものが立てられて、それとの見合いにおいて長期財政計画というものがあって、その中で来年度予算あるいは財政計画が適正であるとか、ないとかいうことを考えるべきだと思います。  そこで大臣に結論でお伺いしますが、いま長期財政計画というものはあるのかないのか、あるいはないとすれば、どういうふうなお考えを持っておられるのか、それから、財政制度審議会はそういう問題についてはいかなる取り組み方をして、いかなる成果をあげておるか、この二つの点をお伺いしたいと思います。
  145. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、先ほど企画庁長官が申されました経済計画というものが、一応政府の指針としてきめられるということになりました。この計画に応じて財政計画も一応これに拘束されるということになっておりますので、たとえば二十七兆円の投資を必要とする、これに対応する財政計画は今後どうあるべきか、道路がどう、何がどうというようなものもいま私どもがやっているところでございまして、ことしはその計画の初年度になりますので、この計画に相当道路計画そのほかの計画をあわせて考えて来年度予算を編成しておりますが、この政府の指針になる計画ができた以上は、これから財政計画もこれに沿った一応のものを私どもは立てなければいかぬと思って、いうそういうことをやっている最中でございます。
  146. 竹本孫一

    ○竹本委員 重ねて伺いますが、新しい経済社会発展計画といいますか、これとの見合いでやらなければならぬ。たまたま企画庁長官お帰りになりましたので、その関係の論議は他日に期したいと思います。ただ、経済社会発展計画というものがあって、それに拘束されながら、あるいはそれを前提にしながら財政計画を考えなければならぬというお考えはわかりました。しかし、それについてまだ長期財政計画というものはないようにいま伺ったのでございますが、そうでありますか。また、もしそうだとしますならば、昔、大臣御承知のように財政十カ年計画というものを立てたことがあります。あるいは五カ年計画というものが考えられたことがあります。日本も、もはや戦後ではない。第二期の成長発展をしようというときになりますと、特に安定成長を強調せられております政府のことでございますから、経済の全体の動きに一番大きな影響力を持っておる、あるいは経済発展計画のバックボーンにならなければならない財政の重要性を思うと、逆に言えば、財政長期計画のほうがバックボーンになって、その上で経済発展計画が考えられるべきである、そういうのに、まだこれから考えようというお話のようでございますけれども、いまはないのか、ないとすればいつごろになればそれが考えられるのか、また、先ほど伺いました財政制度審議会はそれについてはどういう機能を持つのか、その点だけお伺いしたい。
  147. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだそういうオーソライズされた計画というものは現在ありません。ところが、こういう経済計画は出てきましたし、私は、公債を今後どうするか、いつまで出していつごろ打ち切るとか、公債についての計画だけはどうしても持たなければならぬと思っておりますので、これとからんだ計画をどうしても検討してつくりたい。そういうふうににわれわれは考えています。
  148. 竹本孫一

    ○竹本委員 ぜひひとつ長期財政計画を早くおつくりになるように私は希望しておきたい。  ついでに大臣に、最近よくいわれるフィスカルポリシーについてお伺いをいたしたいと思います。いわゆるフィスカルポリシーというものについては、大臣はどういうふうなお考えを持っておられるのか、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。
  149. 水田三喜男

    水田国務大臣 昔は、景気は循環する、人力じゃないで自然に循環するのだというのが通説であったようですが、いまどこでもそう申す人はございませんで、各国とも財政の力というものが非常に強くなっておりますので、国の財政の力によって、景気というものはよくすることも悪くすることもできるといわれておりますし、また、現にそうだと思いますので、したがって、私どもが財政を今後どう運営するかというのがきわめて大切だと思っております。御承知のとおり、四十年のあの不況をようやくここまで克服してきたのも、やはり財政政策の結果であるというふうにも思っておりますので、今後も、フィスカルポリシーというものについては、われわれは慎重に取り組むようにしていきたいと思っております。
  150. 竹本孫一

    ○竹本委員 大臣のお考えを承ったわけでございますが、大体一昨年の不景気以来、そういうフィスカルポリシーで、確かに大きな役割りがありまして、ある程度の成功をおさめましたが、ただこれには一つの前提条件があります。  先ほどもちょっと申しましたけれども、ケインズの経済学、あるいはフィスカルポリシーというものは不況経済学であるとさえいわれておるくらいで、生産力の面に非常に余裕がある、余りがある、余剰がある、設備の面、労働力の面、そういった面で生産力に非常に余裕があるとき、あるいは稼働しないものがたくさんあるとき、こういう場合に非常に効果を示すものであります。ところが、最近においてはそうでないと思うのでございます。  ひとつ経済企画庁のほうにお伺いいたしますが、現段階における操業率等から見た生産の余力というものをどの程度に判断しておられますか。
  151. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 通産省で出しております稼働率指数というのを見ますと、最近の指数はいままでにない高い水準になっております。もちろん、業種別に見ると事情は多少違うと思いますけれども、最近におきましては、業種別に見ましても相当稼働率が高くなっておりまして、生産の余力がほとんど限界にいまきているような業種もあちらこちら見られる。機械工業等につきましては多少余力があるように見られますけれども、たとえば鉄鋼の場合などもほぼ限界に近くなってきておる、こういうような実情でございます。
  152. 竹本孫一

    ○竹本委員 もう少し具体的に公債政策を導入した段階以後のあらましの動きは、ちょっとわかりませんか。
  153. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 これも通産省の調査の引用でございますが、二、三例を申し上げたいと思います。  たとえば、粗鋼につきましては、昨年の稼働率は大体七〇%くらいでございますが、ごく最近の稼働率はこれが九三%という程度になっております。それから、同じようにして昨年とごく最近のものを比較して申し上げますと、電気銅は八七%が九四%、石油精製につきましては八二%が九八%、それからあまり上がってない例でございますが、セメントが六七%に対して六一%、それから合成繊維が八五%に対して九九%、それから紙は八三%に対して八六%、機械はそれほど上がっていませんが、たとえば工作機械は四五%に対して七四%、それから、たとえば電気洗たく機あたりですと、六六%に対して七四%、例でございますが、大体こんなような感じでございます。
  154. 竹本孫一

    ○竹本委員 そういたしますと、いまお聞きのような形で、もちろんこれは操業度とかいったようなもの、稼働率とかいったものにつきましては、通産省や企画庁の中にもその信憑性についていろいろ議論があるし、われわれもまたいろいろ疑問を持っておりますが、一応これを受け入れるといたしまして、いま御説明にありましたように、七〇%のものが九〇%の稼働率になっておる。こういうことになりますと、大体もうフル運転になっておる。フルに動いておる。こういうことだと生産力、ことに労働力の問題につきましてはいま御説明がありませんでしたけれども、機械の設備が九三%、九四%大事なものについてはもう動いておるのだ。さらに労働力のほうはもうたいした余力はない。農村からの流出まで限度にきておる、あるいは労働時間はこれからだんだん短縮をしなければならない、こういうことを理由にして、OECDあたりでもこれからの経済成長率を落として考えておるようでございます。日本も、もはやその段階にきておると思うのでございます。この際に、去年に比べれば確かに率が少し落ちたかもしれませんけれども、いわゆる五兆円の予算というのはあまりにも刺激的である。何に対して刺激的とか、刺激的でないとか考えるか。  私は、先ほども申しましたように二つの基準しかないと思うのです。長期財政計画というものがあって、この計画に照らしてみれば、ことしは少し行き過ぎた、来年はたいへんだとか、こういう長期的な視野からの検討をするというものさしが一つと、それからもう一つは、この財政需要が発動してきた場合に、民間の生産余力がどれだけあって、それに対してどういう影響を与えるか与えないか、これがひとつ五兆円がよくいったのか、よくいかなかったかということの判断の基準になると思うのであります。  そういう意味で、長期財政計画は、大臣いま御説明のようにまだないのだ、これから考えるのだ、生産力のほうも労働力のほうも、あるいは物的設備のほうももうフルで、ちょうどアメリカのベトナム需要でフル運転をやっておるのと同じような九三%、九四%の操業度になっておる、ここにまた大型の予算が出てくるということになれば、これは五兆円というものは少し大型過ぎるのではないか、こういう判断になるのではないかと思いますが、大臣のお考えはいかがでございますか。
  155. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、私どもは、当初のいろいろな判断から、積み重ね作業から、ここらが一応適当な予算ワクだろうというふうに考え予算の編成をやったのでございますが、これは情勢変化で多過ぎたことになるかどうか、まだこれをはっきりここで結論をつけるのには私は早過ぎるのじゃないかと思っております。
  156. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、いまここで結論をつけるのが早いとかおそいとかいうことを言っておるのではなくて、やはりいまの段階においてお互いにこれが妥当な予算規模であるかどうかということを判断するについては、そうしたものさしが要るのではないか、ないのがおかしいではないかということを強く言っておるわけでございまして、はたしてどちらが正しいのか。もちろんこれは、どちらの議論も一年たってみなければほんとうの結論は出ません。しかし、いまわれわれが予算審議したりいろいろ問題を考える場合に、そうした具体的で、しかも科学的なものさしがないでおるということは、非常に不都合ではないかということを私は強調いたしておるのでありますが、問題は他日に譲りまして、次に移ります。  そこで、フィスカルポリシーをやるという場合に、日本とアメリカとのやり方の一番大きな違いは、私の考えでは、アメリカは、その財政政策をやる場合には、公債政策と減税政策と、それからもう一つ歳出の節約という点と、三本の柱の上に問題を立てておると思うのであります。ところが、日本のほうは、公債減税についてはいろいろ議論がありますが、とにかく減税ということはやっておりますけれども、アメリカのように、フィスカルポリシーを成功させる一つの大きな条件である歳出の節約といった問題については、どうも努力が足りないように私には思えてなりません。たとえば、アメリカはベトナムの経費が出てきても、それがそのまま予算の膨張になっておりません。それは、節約をする部分は節約をして、たとえば七十億ドルの場合には、五十億ドルは節約でいって、二十億ドルを予算の面でふくらましておる、こういうう形で非常にまじめな努力をしております。ところが、日本のフィスカルポリシーはきわめてイージーゴーイングじゃないか。そういう点で、もう少し日本の財政の膨張を押える努力、特に歳出の節約をするといった努力が、大臣もずいぶんなさっておると思うのでございますけれども、われわれが顕著に、目に見え政府が真剣に財政政策を成功させるために、公債もなるほど出しておる、減税考えておるが、より多く歳出の節約という問題については真剣に取り組んでおるのだ、こういうような感じをわれわれがまだ持つに至っておりません。その点は、大臣いかがでございますか。
  157. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はお説のとおりだと思います。今度も、予算の節約については、御承知のように、全国知事会でいろいろ協力してくださいまして、こういう零細補助は打ち切ってもいいんだというのを知事会で勉強してくだすったものがございますが、そういうものを私どもは取り入れまして、零細補助を整理するというようなことはやりました。しかし、これは金額から見てもそう大きいものじゃない。結局、いま予算の弾力性を失っておるものは、何といってもやはり私は人件費だと思います。公務員の俸給が高いというのではなくて、もっと公務員の待遇をよくしてベースアップしてもいいと思うのですが、この中央と地方の行政機構のあり方、これをほんとうに改革することによって、国費の節約というものはたいへんなものになるんじゃないかということを私は考えていますが、いままでこのことは十分できておりませんが、これからの日程としてこの問題と取り組むときがこなければならぬと私どもは考えています。中央には委員会があって、行政の簡素化そのほかについていろいろ答申がなされておりますが、この答申がそのとおりに実行できないということは、あの中央機構の改革だけで済む問題じゃない。中央と地方の行政配分、機構の統合というようなものに触れていかなかったら、ほんとうの行政改革も行政節約もできない、そういうところにいま私どもは来ておるのではないかと思いますので、これはおっしゃられるように、こういう問題を解決するということは、これからの予算の編成の大きい一つの問題だろうと思っております。
  158. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは、きょう官房長官がお見えになれば官房長官にもお尋ねするつもりでございましたけれども、いまお話しの機構の改革の問題と関連いたしますが、アメリカでは歳出として出された一ドルの金が、はたしてどれだけ経済的なエフィシェンシーをあげたかということについて非常に真剣な検討を加えるというような動きがあるようでございますが、ただに行政機構の整備簡素化だけの問題でなくて、日本には会計検査院がありますけれども、御承知のように、会計検査院は会計検査院として、ただ法に合っているかどうかということのあとの監査をやるだけでありますが、そうではなくて、経済のエフィシェンシーという面から見て、日本の行政、あるいは予算の支出の具体的な内容について検討をする機関、機能というものが一体どういうふうに日本の政府には用意されておるか、あるいは行政管理庁というお考えもあるかもしれませんが、これははたしてそういう意味で役に立っておるのかどうかという点について、どういうお考えでございますか。
  159. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、やはりなかったらたいへんで、あるだけ相当いま役立っておるものと思っております。
  160. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、実はこれはあまり役に立っていないと思うのです。もちろん勧告はやっておりますけれども、勧告は尊重されるべくしてあまり尊重されていない。それから実際の問題として、日本の行政のエフィシェンシーを科学的に検討するような能力がまたあるかどうか、はなはだ失礼な言い方でございますけれども、これもたいへん問題だと思います。これは昔、産業何とかというのがありまして、単なる査察でなくて、これは戦争中でございましたが、能力を中心にして、行政査察を財界の長老によってやられたことがあります。やはりそれは一応聞くべき意見を出されて、私どもはそういう意味において、いまの単なるお役人の、法律を中心としたような検討ではなくて、いま申し上げたように、経済のエフィシェンシーを中心とした検討のできる人ができる機構をつくってやらなければ、五兆円の予算の一割のむだをひとつ根本的に直すということになりましても、これはたいへんな財源が浮いてくるわけでございますので、ぜひひとつ——これは機会をあらためて論じますけれども、日本の予算がふくれるほうについてはずいぶん努力はされておりますけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、節約する側についての努力というものはきわめて弱いように思います。  そういう意味で、予算がこうしてふくれて、つまり、公債もどんどん出て困るという段階でございますので、ぜひひとつ予算の歳出の具体的内容について、エフィシェンシーを中心とした再検討を一度まじめに取り組んでいただきたいと希望を申し述べて、次へ進みます。  次は公債の問題でございます。  いまのままでいけば、公債はなかなか減らないのじゃないか。公債というものは、御承知のように、一番最初には、四十三年までは公債は出さないというようなことがいわれた時期もあります。また、公債の額は減らしていくし、減らすことが安定成長路線の不可欠の条件であるというような御答弁もこの委員会においてあったことがあります。しかし、御承知のように、公債はだんだんふえていく。大臣は、これについてはひとつ計画を立てなきゃならぬというもっともな御発言がございましたけれども、ぜひひとつこの公債をどこかで食いとめることも考えなきゃならぬと思うのであります。それにつきましては、私自身、われわれの立場は公債は直ちにインフレだというような考え方でもありません。公債は全部反対だという考え方でもありませんけれども、しかし、いまのように、予算の組み方自身が何だかわけのわからない、租税でまかなうべきものをキャピタルバジェットの考え方で公債に依存しても、一応合理的な根拠のあると考えられるものは、何もかも一緒くたであります。また会計年度も、単年度長期計画でやるとか、その場合にはあまり適切でない制度になっております。  そういう意味で、ひとつこれから公債計画を立てられる場合には、そういうあらゆる角度からの検討をした上で公債計画を立てていただかなければならぬと思います。  ただ、ここでお伺いしておきたいのは、このままふえていけば、もちろん予算もふえるのでありますから、一がいに公債の額だけおそれる必要はないかもしれませんが、公債はもう、四十五年前に五兆円を突破するようなことにならないかと思いますが、大臣は大体どの程度見通しを持っておられますか。
  161. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、この問題は私どもがどうしても計画を立てなければならぬ問題だと思っておりますので、これからそういう計画を立てたいと思っていますが、要するに、公債政策というものは、一ぺん踏み切ってしまったら、これを途中で簡単にはやめられない。昨年の例を見ましても、七千三百億円出すことによって三千六百億円の減税をやっているというようなことでございますので、必要な経費の需要をまかなうために全部税金でやるということはもうできないという形になりましたので、あとはできるだけこの公債の一般会計に占める依存度というものを年々減らしていく努力をしていくというよりほかはないと思いますが、それにしましても、これが長く続くというようなことでしたら、わずか一年公債を出すだけでも、本年度予算ではすでに利子が四百何十億円というように多くなってきますので、こういうことを考えましたら、これは公債のあり方について本格的な長期財政計画を立てなければならぬと私どもは思っておりますので、この作業をいたしますが、とりあえずは、もう何でもいいから毎年依存度を下げていくという努力をする以外にないと思っております。
  162. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、八千億円の公債が多いか少ないか、先ほど来平林委員その他から御議論がございましたが、私もそれに若干関連してお伺いをいたしたいと思います。  先般、四十二年度の全銀協の資金需要見通しというのが発表になっている。われわれ新聞で見た程度でありますが、まず資金の運用面で、貸し出しが二兆九千五百億円のものが、大体ことしは三兆五千億円、一五・五%ふえるだろうというような数字が出ておりました。  そこで、銀行局長にもお伺いいたしたいと思うのでございますが、三兆五千億円、一五・五%程度資金需要増加として押えて、大体民間の必要な資金、特に先ほど中小企業の立場での御批判もございましたが、そういうものをやや充足できるかという点についてのお考えはどんなものでございますか。
  163. 澄田智

    ○澄田政府委員 全銀協の先般出しました数字は、御承知のとおり、これは全国の普通銀行だけでございまして、資金需給の全体をあらわしているものではないわけでございます。いまお示しの数字、貸し出しの最近の趨勢等から見まして、相当の伸びが、四十二年度においてはやはりあるのではないかという予想は当然立つわけでございます。ただ一方、預金の伸び等につきましても、全銀協はわりあいに控え目な数字を出しているような感じがしないでもないと思われます。そのほかの金融機関の資金収支等を見まして、昨年よりは資金需要が強くなってきている、そういう趨勢はうかがわれるわけでございますが、四十二年度資金需要供給の関係というのは、まだいろいろ今後われわれのほうでも検討しなければならぬ数字が残っているというような感じもいたします。  御質問のような点で、民間の、その中には中小企業方面も含めての資金需要というものに対して供給のほうはどうなるかというような関係につきましては、全体として現在の情勢では、去年のような一応緩慢という形ではございませんが、若干締まりぎみながら充足されていくのではないかというふうに現在の段階では考えております。
  164. 竹本孫一

    ○竹本委員 銀行筋は、御承知のように、公債の上期と下期の引き受け額を大体半々にしてくれというような要望も出し、新聞によれば、政府、日銀大体それを了承したというようなことも出ておりましたけれども、そういう要望が出るということ自体、すでに公債の圧迫といいますか、重圧を感じておる。感じ方にはいろいろな理由がありましょう。一つは、いまの三兆五千億円ではやはり足らないのではないかという心配だろうと私は思います。それは先ほども御指摘がありましたけれども、開銀の調査によれば、民間の設備投資は二七%にふえるのだというような数字が出ておるようでございます。したがいまして、一一・四%とかあるいは一四・八%とかいったような、政府で言われておるような数字とは比較にならない、これは倍になる数字であります。  そこで、経済企画庁にお尋ねいたしますが、最近の設備投資の動きというものを見る場合に、いわゆるジュグラーの波で見た場合に、むしろこれから第二の設備投資の大きな波が四十年ぐらいから始まっているのではないか。御承知のように、四十年はジュグラーの波もキチンの波も一番谷底へ来ました。それが重なったので特に不況が深刻であったと思いますが、在庫投資のほうは別にしまして、設備投資にしても、従来の経済の動きをずっと十年ごと見ておりますと、ちょうどこの辺から新しい波が始まっておる。したがって、設備投資はこれからはむろしふえると見たほうがいいのだ。したがいまして、その山に登っていくか、なめらかに横ばいをするのか、下っていくかという大きな波を考えないで、ただ去年との比較で、大体この辺でいいじゃないかというパーセンテージだけの比較では全体の観測を誤るのであって、むしろ設備投資は、去年あたりからまた前後十年にわたって伸びていくと見るほうがほんとうじゃないか。そうなれば、開銀の調査が仮需要が入っておるとか、いろいろ吹っかけておるとか、こまかく言えばいろいろ議論がありましょうけれども、全体の流れから見れば設備投資需要は民間において非常にふえるのだ、したがって、一五・五%程度に見ておるということは、全銀協自身自信がないのだ、そこでいろいろの注文が出てくるのだと、こういうふうに見なければ設備投資の大きな流れの把握が十分でないと私は思いますが、その辺はいかがですか。
  165. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 ただいまのお話の、これからの設備投資の動きが、いわゆるジュグラーの波に乗ってかなり長期にわたって強気に推移するのではないかということでございますが、設備投資の波について、まだ経済企画庁としても長期にわたってはっきりした想定を下してはおりませんが、今度の経済社会発展計画を検討いたしました際にも、どちらかというと、これから四、五年の間を見ますと、設備投資がかなり活発になっていくのではないかというふうな姿が出てまいるやに考えております。ただし、その程度は、非常に大きなものというふうには現在考えておりませんけれども、今後しばらくの間、ある程度活発な水準が続くのじゃないかというふうに考えておりますが、そこいらにつきましては、まだ十分な結論を得て申し上げる段階に至っておりません。
  166. 竹本孫一

    ○竹本委員 政府の御答弁を聞いておりますと、財政についても、設備投資の波につきましても、長期的な検討というものがどうも非常に不足しておるように思いますが、ぜひこれはもう少し長い目で科学的な検討を加えて、その上で議論をしていきたいと思います。  なお、関連して伺いますが、日銀のクレジットラインが七百五十億円ほど引き上げられたというのはどういう意味合いのものでございますか。
  167. 澄田智

    ○澄田政府委員 先般日銀がクレジットラインを引き上げましたが、これはかねて証券対策といたしまして、証券保有組合等に対しまして資金を供給するために日銀がこういう特別な貸し出しをしておったわけでございます。こういうものが逐次返済をされてまいりまして、その分だけ、結局通貨全体の量、信用全体の量から申しますと、一般の金融に振りかわってきている。こういうことがありまして、実質的には、引き上げました額相当額が従来の証券関係の特別ワクから普通の金融に振りかわった、こういう実態があるわけでございます。たまたまこの第四四半期の揚げ超も含めまして全体の金融が逼迫をしておりまして、クレジットラインが一ぱいになるような情勢でもありましたので、実勢が証券関係の貸し出し分の振りかわり相当のものだけをクレジットラインを引き上げる、こういうことで、特にこれが日銀の信用の態度を変更するといったような性質のものではないと承知いたしております。
  168. 竹本孫一

    ○竹本委員 次へ進みますが、貸し出しの三兆五千億円は、いま申しましたように、設備投資の大きな波から考えると、ますます民間の需要はふえて、これは公債の消化という問題に重大なる影響がある。したがって、銀行筋も公債の発行をなるべく減らしてくれという声が出てきたと思いますが、それを押えることができない。貸し出しの需要がどんどんふえていくといった場合には、公債の発行といったものに支障が考えられはしないか。これは指摘だけにとどめておきます。  さらに、運用の面で、発表を見ますと、証券の保有が九千九百億円から一兆四千五百億円に、約四千五百億円ばかりふえております。これをふやすのか、あるいはその程度にするのか、あるいはもっと少なくなるのか、いま言った問題にも関連をいたします。しかし、こうした問題が議論せられるのは、前提になっております資金の調達の問題でございます。預金がふえるだろうという問題は、先ほどお話がありましたが、これはすでに全銀協のほうも三兆二千億円が三兆五千八百億円というのですから、一割以上ふやして考えております。大体その程度じゃないか。そうしますと、この最後の解決は、一兆一千二百億円の資金が不足するということが新聞にも出ておりましたけれども、これで見ましても日銀の信用を五千億円から六千億円にふやしていこう、それから市場調達を、わずかに八百五十億円のものを五千二百億円にしようということで、この二つで一兆二千億円、こういう考え方のようでございますが、はたしてそうなるかどうかという問題であります。  まず、市場調達のほうでございますが、コールによるか、あるいは市場で債券売却によるのか、五千二百億円の市場調達というものはやむを得ずやるのだろうけれども、たいへん困難ではないかと思いますが、その辺は、大体その程度はいくと見てよろしゅうございますか。
  169. 澄田智

    ○澄田政府委員 先ほども申し上げましたように、この全銀協の資金需給見通し自体、きわめて不確定な要因を御承知のとおり非常に含んでおります。そういうようなことで、いまお示しのような数字につきましても、いま的確にどうこうと申し上げることは非常にむずかしいわけであります。四十一年度におきましても、都市銀行あたりは、かなり日銀の信用以外に一般に手持ちの有価証券の売却というようなことをいたしておりまして、そうしてそういうふうな上で公債その他の債券の消化を行なっておる、こういう形でございます。この辺の趨勢が四十二年にどうなるかというようなことが、やはり四十二年の国債消化というような場合の一つの問題ではあろうというふうには考えるわけでございます。  この辺につきまして、一般の資金需要状況、それから債券の消化の見込み等にもよるわけでございます。一応全銀協の見通しは、四十一年にも行なわれましたような日銀の信用、そのほかコールの関係、あるいは債券の売却、こういうようなところを合わせて資金の需給のつじつまが合う、一応こういうような考え方に立っております。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 竹本孫一

    ○竹本委員 全銀協の資料を中心として議論をしても、確かにしかたがありません。あるいはまた、これが正確なものでないかもしれませんが、それなら、政府にそれにかわるような正確な資料がありますか。
  171. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 政府経済見通しに即しまして、資料を例年つくりまして出しておるわけでございますけれども、これがまだ、ことしは予算や何かの作成が多少おくれてきたこととか、あるいはそれとの関連におきまして、民間の借り入れ条件であるとか社債の発行、増資その他の計画も明らかになっていないということのために、現在そのデータをいろいろ集めておる段階でございまして、できるだけ早くそういうものをまとめて明らかにしたいということでございます。いま作業中でございます。
  172. 竹本孫一

    ○竹本委員 政府は自分のものを持たないで、人のものにけちだけつけるような傾向はあまり感心いたしませんが、政府自身、むしろわれわれの予算審議の場合に十分な資料をある程度早くまとめて提出してもらいたい。しかし、正確度は一応別にいたしましても、また、政府があとで出される資料もおそらくそうでありましょうが、日銀の信用とか、あるいは市場調達であるとか、特にこれは増資その他に四千億円も期待いたしておりますけれども、これは一応数字を見れば、今度の公債八千億円の発行ということがいかに民間の資金需要を押えるものであるか、そして最後には、日銀の信用の造出による、そういう形における解決以外にはないのではないか、したがって、またそれがいわゆる本格的なインフレへの刺激になるのではないか、そういう点をわれわれははっきり読み取ることができるのであります。この点は、今日政府から資料が出ておりませんから、あらためて政府の資料をいただいた上で、結局日銀が信用でやる以外にはないではないかということについて、十分あらためて検討いたしたいと思いますが、大臣、この公債発行はやはりことしすでに相当の重圧を加えておる、あるいは加え過ぎておる、したがいまして、これはもちろん正確でありませんが、この間銀行の皆さんが公債発行の世話人会をやられた場合に、下期に計画を立てるときには事前に連絡をしてもらいたい、発行条件、発行額等については事前に連絡をしてもらいたいということを強く申し入れて、政府もそれを了承したように新聞は報じておりますが、はたして事実はそうであるか、また、そうであるとするならば、その理由は、下期の場合には銀行が、ただ政府の言いなりに公債を言われただけ引き受けることができない、別の条件を出すという含みであのことを言っているのじゃないかと思いますが、大臣のお考えはどういうことでしょうか。
  173. 中尾博之

    ○中尾政府委員 世話人会の席上でそういう話し合いがございましたことは事実でございます。これは、ことしも実は言っておりました。毎年の形式でございます。  なお、そういうこととは別に、国債発行懇談会という別の話し合いの場を持っております。これは公債発行以来の制度でございますが、こういうようなものを必要に応じて開こうではないかというようなお話はございました。これにつきましては、政府側でも常々そういう考え方で考えておるわけでございます。そこで意見が一致した、こういうことでございます。非常に何か、来年度の国債自体が、発足にあたりまして直ちに問題を前提としておるからという体の議論がございますが、全体の国債をシ団側としても引き受けます前提で話し合いが行なわれたのでございます。
  174. 竹本孫一

    ○竹本委員 議論は行なわれなかったけれども、私は含みがあったのではないかと思うのです。含みがなかったにしても、おそらくあとで、発行条件等の相談について、いま政府考えておるような甘い話ではなくて、銀行側が相当きびしい希望というか、要望を出すのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、公債の八千億円というものが、先ほどもお話が出ましたように多過ぎる、それからまた、今日は自然増収その他の考え方から見て、それだけの必要がないのではないか。もちろん大臣も弾力的に運用するということを言っておられるので、必要のない場合には大いに削っていこうとお考えだと思っておりますが、もう少し真剣に、発行額を減らすということについての政治の姿勢というものがやはりなければならないと思います。  そこで、先ほどもお話が出ましたが、公債発行が予算の全体に対してのパーセンテージはなるべく一定にする、あるいはだんだん下げていくということになるのだろうと思いますが、そうでありますか。  それからもう一つは、かりにそうなりましても、予算全体の規模がどんどんふくれていくのですから、パーセンテージが少々下がってまいりましても、やはり公債が全体として非常にふえていくということにはあまり意味がないのじゃないかと思いますが、その点について大臣のお考えを承りたいと思います。
  175. 中尾博之

    ○中尾政府委員 先ほど大臣から御答弁がございましたとおり、公債政策を継続していきます上につきましても、現在の依存率はやや高いだろう、諸外国に比べてそういう認識は持っておりまして、十分検討いたしております。それで、具体的な今後の方針といたしましては、依存度をだんだん下げていくということを方向として大臣も先ほど申し上げたわけでございます。
  176. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がなくなりましたから、簡単に一つだけちょっと伺っておきたいのですが、コールレートの問題です。行き過ぎを押えるという意味において、金融の緩和期に入ったけれども、五毛程度しか下げることはできないだろうというような見通しも伝えられておりますけれども、政府のお考えはどういうことでございますか。
  177. 澄田智

    ○澄田政府委員 コールレートは、これは申し上げるのもあれでございますが、政府が下げるというような性質のものではございませんで、コールの実勢によりまして動くわけでございます。一月から二月にかけて二回、結局合計いたしまして、それぞれ翌日物とか、あるいは無条件物、月越し物、いずれも一厘は上がった形になっております。今月中にはもちろんこれが下がるような情勢はないと思いますが、四月に入りましてどういうふうになりますか、それは毎年四月は、御承知のとおり金融はゆるむ時期ではございますが、ことしの四月の状況はどうなるか、四月の実勢でこれがはたして下がるかどうか、その辺の状況はまだわからない状態でございます。
  178. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がまいりましたのでこの辺で終わりたいと思いますが、もう一度、先ほど大臣にお尋ねいたしましたが御答弁がなかったのですが、長期財政計画を考えるという場合に、財政制度審議会はこれに取り組んでいるのかいないのかということについて伺いたいと思います。  なお、もう一つそれに関連しますが、物価問題懇談会も提案として公債を減らすようなことを言っておるのでありますが、今度の物価安定の推進会議のほうはこれからの問題でございますけれども、やはりそうした物価安定ということは、財政長期計画を抜きにしては考えられないと思いますが、その推進会議には何を政府は期待しておられるか、特に財政の計画化を中心としての見通しをお伺いして、終わりにいたしたいと思います。
  179. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政制度審議会に対しては、長期財政運営の基本的な考え方というようなことについて諮問いたして答申を得ているというふうに、過去二回もそういう諮問をして研究は願っておりますが、先ほど申しましたような長期財政計画というものを諮問したり、ここで検討願うということは現在やっておりません。
  180. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、やはり財政制度審議会はそういう問題を取り上げる最もふさわしい機関ではないかと思いますが、あるいはそれ以外に名案があればそれでもけっこうですが、いずれにしても、公債だけではなくて、全体の長期財政計画というものを政府が持って、その上に立って五兆円の予算がいいとか、あるいは大き過ぎるとか小さ過ぎるとかいうことが十分科学的に論議されるように、ひとつデータをそろえ、機構を整備していただくように希望して、私の質問を終わります。
  181. 内田常雄

    内田委員長 次会は、明後二十日、月曜日、午後二時より理事会、午後三時より委員会を開会することとして、本日は、これにて散会いたします。    午後七時一分散会