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1967-07-21 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十一日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 中川 俊思君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 八木  昇君       進藤 一馬君    菅波  茂君       野田 武夫君    井手 以誠君       細谷 治嘉君    渡辺 惣蔵君       田畑 金光君    大橋 敏雄君  出席政府委員         通商産業省石炭         局長      井上  亮君  委員外出席者         参  考  人         (電気事業連合         会副会長)   荘村 義雄君         参  考  人         (日本鉄鋼連盟         専務理事)   齋藤 正年君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   藤関 信彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  閉会審査に関する件についておはかりいたします。  石炭対策に関する件については、閉会中も審査をいたす必要がありますので、議長に閉会審査の申し出をいたすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、閉会審査を行なうにあたりまして、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合の人選、日時、手続等に関しましては、あらかじめすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣の申請についておはかりいたします。  閉会審査にあたり、委員派遣を行なう必要が生じました場合の手続等に関しましては、あらかじめすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、石炭対策基本施策関連して、需要実態等について御意見をお述べいただくため、参考人として、電気事業連合会会長荘義雄君、日本鉄鋼連盟専務理事齋藤正年君、電源開発株式会社理事藤関信彦君の御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、本委員会出席を賜わり、まことにありがとうございました。  御承知のとおり、本委員会におきましては、石炭基本問題について今日まで数回にわたり決議を行なったのであります。特に、石炭需要については、これが石炭対策の根幹をなすものと考えますので、各部門別需要等につきまして、電力業界鉄鋼業界電発のそれぞれの立場から見た需要実態及び展望等について、忌憚のない御意見をお聞かせ願いたいと存じます。  それでは荘村参考人からお願いいたします。荘村義雄君。
  7. 荘村義雄

    ○荘村参考人 電気事業連合会の副会長荘村でございます。  本日、石炭対策基本施策関連いたします問題につきまして、意見を述べる機会をお与えいただきましたことを光栄に存じます。  私ども電気事業関係いたします者といたしましては、電気事業本来の使命でありますところの電力の豊富、良質、低廉、そして安定供給という基本命題に沿いまして、常に事業の運営に当たっているのであります。したがいまして、発電用燃料につきましては、低廉性安定性に特に留意をいたしている次第でございます。このことは、総合エネルギー調査会答申の中におきましても、エネルギー政策基本として指摘されているところでございます。  ところが、エネルギー革命によりまして、石炭競合エネルギーでございます石油に比べまして割高となりましたために、政府国会のいろいろな御施策にもかかわりませず一般消費が減退をいたしまして、石炭産業経営を悪化させまして、数年前から大きな問題になって今日に至っておるのが現状であろうかと存ずるのであります。しかしながら、総合エネルギー調査会答申にもございますとおり、石炭最大国産エネルギーでございまして、特に考慮しなければなりません点は、石炭鉱業産炭地方におきます地域経済と不可分の関係にございまして、石炭鉱業に町が依存しておる、こういう関係にございまして、石炭商業の消長は地域社会経済に大きな影響を及ぼすという点であります。国会政府の御苦心もこの点におありではないかと私ども理解されるのであります。  私どもは、経済性の面からだけ判断をいたしますと、石炭を大部分やめまして重油に依存したいのであります。しかしながら、石炭最大消費者であります、ことに公益事業でございます電気事業が、ただ単に経済性という理由だけで石炭の大部分をやめてしまうということは、これはたいへんな問題であります。したがって、私はこれはやってはならぬと率直に申し上げたいのであります。  そこで、若干過去を振り返って御説明をさせていただきたいのでありますが、昭和三十六年に、当時の石炭産業不況状況に、対処ということはなまいきでありますけれども、協力申し上げねばならぬという立場から、石炭産業界長期取引契約を結んだのでありますが、第一次石炭調査団答申に基づきます石炭対策要綱に従いまして、三十八年、三十九年は二千五十万トンの引き取り要請にこたえたのであります。もっとも石炭業界の実情から現実の引き取りは千八百五十万トン程度に終わったかと存ずるのであります。次いで四十年度は、第二次石炭調査団答申に基づきまして、トン当たり三百円の値上げと、量につきましては千九百万トンの引き取り要請に対処してまいったのであります。四十一年度も、石炭鉱業再建抜本策といたしまして、当時の三木通産大臣の御要請によりまして、四十一年度は二千五十万トン、四十五年は二千三百万トンの引き取りをお約束申し上げましたことは御高承のとおりと存じます。そして本年四十二年度につきましては、この線に沿いまして二千百三十万トンの引き取りをお約束申し上げた次第でありまして、これを現に実行いたしておる次第でございます。  なお、総合エネルギー調査会答申について見ますと、四十五年度の出炭は五千万トンということに相なっておりますけれども、この中で四十五年度に電力用炭が占める比率がどのくらいになるのかという点を調べてみたのでありますが、四十五年度の電力用炭——これは九電力だけではございません。電発さん、共同火力その他もございますけれども、広い意味での電力用炭といたしましては二千九百三十五万トンと相なっておるのでありまして、この出炭規模五千万トンの中で原料炭を除きました分に対する電力用炭の二千九百三十五万トンのウエート、比率がどのくらいになろうかと当たってみた結果、実に八〇%を占めているという状況にあるわけであります。  以上のような次第でございまして、私ども石炭産業現状に対しまして、石炭引き取りにできる限りの努力をいたしておりますことにつきまして、深い御理解を賜わりたいのであります。  なお、昨年七月でございますが、先ほどちょっと触れました、当時の三木通産大臣に四十五年度は二千三百万トンを引き取りますことを御協力申し上げますと御回答申し上げたのでございますが、このことは先般衆議院の石炭対策特別委員会で御決議をなさいましたのを拝見いたしたのでありますが、石炭鉱業再建対策推進に関する件、この御決議に重大な関連があることでございますが、私ども通産大臣に当時回答申し上げました四十五年度二千三百万トン引き取りにつきましては、誠実に実行する所存でございますことを申し添えさせていただきたいのでございます。  なお、石炭鉱業再建対策推進に関する件というこの議会の御決議につきましては、以上の石炭引き取りに関します点のほか二、三この機会に所見を申し述べますことをお許しいただきたいと思います。  まず第一点は、電発石炭火力八基までの増設共同火力増設の件でございます。これらの石炭火力で発生いたします電力は結局九電力会社が買うわけでございますから、私どもは、自分石炭をたいて電力を発生いたします場合と影響は全く同じであるのでございます。したがいまして、これらの電発火力共同火力などで発生いたしました電力を買います料金、つまり卸売り料金と言っておりますが、この料金重油専焼火力によります場合の料金との見合いで決定されますように、適切な御措置について御配慮賜わりたいのであります。  それから第二の点は、暖厨房用需要確保の件であります。御決議によりますと、一般需要の減少に対します対策といたしましては、燃焼器具の改良、普及、それからセントラルヒーティングの推進等によります暖厨房用炭需要確保につとめることを御指摘になっておられるのであります。まことに適切な御決議であると存じます。この件につきましては、昨年九月の石炭鉱業審議会におきましても、私も石炭鉱業審議会委員の一端をけがさせていただいておる者でございますが、石炭鉱業審議会でもこの点がたいへん問題になりまして、石炭鉱業審議会の中に小委員会的なものをつくりまして、この問題の推進に当たらねばならぬということが提案されました。その必要が確認されたので、一般炭需要確保につきましては積極的な対策推進が配慮されますことを切に念願を申し上げたいのであります。これは口ではそう申しましてもなかなかむずかしい問題であろうと思います。思いますけれども石炭業界がこのことをむずかしいという理由で怠っている、という言い方は言い過ぎであるいはおしかりを受けるかもしれませんが、その努力を十分いたしませんで、余ったら電力が何とかしてくれるだろうという安易な考えが、ないと存じますけれども、もし石炭業界にあるといたしますならば、ぜひこの点はそういう考えを捨てさせていただきまして、一般炭需要喚起に現在以上積極的な努力をされますことを、切にこれまた要望申し上げたいと思います。  それから最後に第三点といたしまして、出炭規模について申し述べさせていただきたいと存じます。出炭規模につきましては、総合エネルギー調査会答申によりますと、昭和四十五年までは五千万トン程度とされておりますけれども、この出炭規模は無理ではないか、無理だ、こういう御意見もかなり一部の方にあるやに承っておるのでございまして、この点につきましても諸先生方の御検討をいただきまして、合理的な——合理的と申しますと経済性も含めました意味での合理的な出炭規模の御検討がいただけましたら、たいへんありがたいと存ずるのであります。  以上、私の意見を終わらせていただきます。
  8. 多賀谷真稔

  9. 齋藤正年

    齋藤参考人 私鉄鋼連盟専務理事をいたしております齋藤でございます。  われわれ鉄鋼業界石炭産業とのつながりは、主として原料炭の面でつながっておるわけでございます。原料炭は、鉄鋼産業原料といたしましては、鉄鉱石と並んで二大原料でございまして、特に鉱石といたしましては国内の産出は非常にわずかなものでございますから、国内原料といたしましては石炭最大産業でございます。したがって従来から鉄鋼工場産炭地に近いところに立地しておるというような、そういう特別の関係でございまして、したがって鉄鋼業といたしましては、石炭産業とは、もうそもそも最初に生まれましたときからの長いおつき合いでございまして、そういう意味で、国内石炭産業が健全に発達していただくということはわれわれ鉄鋼業にとっても非常に重大な問題でございます。  そういう意味石炭産業が国際的に十分対抗し得る価格で安定的に原料としての石炭をわれわれに供給していただける、そういう体制になることは、われわれ鉄鋼業界にとって非常に重大な問題でございます。しかし、同時に現在鉄鋼産業は、御存じのように輸出入ともに完全に自由化されておりまして、もし、原料価格が非常に上がるということによりまして、鉄鋼価格を上げなければならぬということになりますれば、たちまち国内  マーケットですら維持が困難になる。典型的なケースは西独でございます。御存じのように鋼産業としてはほとんどパイオニアの一つであり、戦前ではイギリスに並びまして世界的な名声を維持しておりました西独鉄鋼業が、現在、高い国内原料炭、あるいは鉱石の面もそうでございますが、むしろ従来西独鉄鋼業の一番の強みでございました原料石炭なり、あるいは鉱石なりを自給しておるということが重荷になりまして、現在、EEC域内では、鉱石石炭も全然持っていないイタリアの鉄鋼業に押されておるというような状態でございます。  また、現在日本鉄鋼業製品の大体二割から三割を輸出しておりまして、単一製品としては現在でも日本で一番大きなシェアを持っておりますが、同時に世界全体といたしましても、EEC諸国域内貿易額——これは一種の国内マーケットと同じようなものでございますから、それを除けば現在世界で一番大きな輸出をやって、世界一の輸出産業になっております。これもごくわずかなところが競争の勝負をきめるわけでございまして、そういう意味で、もちろん鉄鋼業としては自分の本来の分野である技術面あるいは経営面において十分な努力をして競争力を維持していかなければなりませんが、同時に原料価格という問題は、鉄鋼のコストの非常に大きな要素でございますから、この面ではどうしても国際競争力のある外国より安くしていただきたいとは、決してそこまでは——できれはけっこうでございますが、そこまで要求いたしますことは無理といたしましても、せめて国際的に見て十分競争できる価格供給していただきたいということがわれわれの要望でございます。  そういう点から申しまして、残念ながらこの裸のままの国内原料炭価格は、皆さん御存じのように、率直に申しまして十分な国際競争力があるとは言いがたい状態でございまして、そのために、われわれとしては、何らかの方法をもって国際的な競争力の十分あるような石炭供給していただきたいということは、従来から申し上げておったことでございます。  その方法として石油関税還付という方法が従来とられておりましたけれども、この方法はいろいろな点で非常に無理もございますし、もちろん石炭価格を保障する方法としては程度もきわめて不十分でございますが、ことにやり方が非常に無理な点がある。原料炭としての石炭消費と、それから重油消費とが全く別の、片一方では精製工程に使い、片方は製銑あるいは圧延工程という別な方法に使われるのでありまして、その間に直接の関連が全然ない。したがって、石炭よけいに使ったところが必ずしもよけい還付を受ける形にもなっておりませんので、非常に無理な点がございまして、還付の額と同時に、この方法についてもう少し合理的なものにしていただきたいということを絶えず申し上げておったわけでございますが、今回の政府の決定になりました石炭価格補給金政策は、その考え方から申しますれば、全く従来のものに比べてはるかに合理的な、当面としてはベストの案ではないかと思います。  ただ、率直にわれわれの希望を言わせていただきますれば、この七百円という政府のおきめになりました補給額は決して満足できるものではございませんが、ただ、従来の石油関税に比べれば、方法の上ばかりではなしに、金額の面でも非常な改善でございます。これによって現在輸入いたしております輸入炭価格差の点ではかなり改善をされておりますので、現状といたしましてはやむを得ないところかとわれわれも納得いたしておりますが、ただ、これから拡張いたします製鉄工場は、全部需要地の付近に立地することになりまして、産炭地から非常に遠いところでございます。特にこれからの産炭地の主力が北海道になりましたのに対しまして、新しくできます製鉄所は全部瀬戸内に立地しておりますので、今後は、要するに国内炭との値差のますます広がる地域需要がふえてまいりますので、現状ではこの程度でやむを得ないかとわれわれも納得いたしておりますけれども、将来については、この七百円という価格は、事情が変わりました場合には、その実績をベースにしてひとつ十分御検討願いたい、このように思っております。  それから石炭の量でございますが、われわれといたしましては、鉄鋼原料炭のうちで、強粘結炭国内生産いたしませんので、これはいたし方ございませんが、弱粘結炭は、できる限り国内石炭を使っていきたい。現在の見通しでは、昨年の銑鉄生産が三千三百万トン程度でございましたが、昭和四十六年夏は五千三百万トンと年年に比べて約二千万トンふえます。そういたしますと、それだけで弱粘結炭使用量といたしましてはおそらく七百万トンくらいになりますか、ふえるのではないか。本年度は四千百万トンという当初の計画でございますが、それに比べましても千二百万トンくらい銑鉄生産がふえるわけでございまして、したがって、弱粘結炭使用量も今後相当ふえてまいります。むしろ現状では国内炭供給力がはたしてそれに順調についていけるかどうか、その点がわれわれとしては懸念しておることでございます。  これは過去ずっとたびたびこういう問題が起こったわけでございますが、原料炭生産が年によって非常にフラクチャーいたしまして、特にその年に計画されたものがそのとおりに出ない。御存じのように、この石炭のようなものは、特に原料炭の場合にはマーケット生産供給側も比較的余裕がないわけでございます。これは国外でも同じでございます。したがって主要の供給先には事前にあらかじめこれだけのものを引き取るということを約束いたしまして輸入しておるわけでございます。その際に輸入分は、国内供給がこれだけあるということを予定いたしまして、それは政府の御計画を信用いたしまして計画するわけでございますから、それが非常に大きくショートをいたしますと、供給の面でも非常に無理なことになりますし、同時に長期計画で輸送の契約をいたしますと、専用船を使いまして比較的安く契約できますけれども、突然供給が減ったから追加の輸入をしなければいかぬということで臨時の船の手当てをいたしますと、非常に高いものを使わなければならぬような場合が生ずるわけでございまして、これはぜひ計画的に供給していただくようにしていただきたい。  われわれとしてはここ数年間は、少なくとも石炭側からわれわれ鉄鋼産業にこれだけ使ってもらいたいという御要望の数字について、その消化にはまず問題はないと私らは思っております。問題になります点は、むしろ計画的な供給でございますから、その点について十分御配慮を願いたい。われわれの理想からいえば、常にある程度のバッファーの貯炭を持っておっていただいて計画的に供給していただければ、その点は非常にありがたいわけでございます。  まあこういうことが現在の非常に窮迫しておる石炭産業自体で困難でございますれば、政府がその面について何らか御援助をいただければ非常にありがたいと思っております。  私らのほうから全般的に申し上げるのは以上のとおりでございますが、何か伺うところによりますと、高炉原料炭以外に一般炭を使うことができないかというような問題についても意見を聞かしてもらいたいというようなお話を内々伺いました。これはまあ研究としては実にいろいろな研究がございます。  一つコークスをつくる。要するに原料炭かわり一般炭も使うという問題と、それとは別個に、現在高炉重油の吹き込みというのをやっておりますが、その重油かわりに、あるいは重油にまぜて一般炭を使うという問題と二つございます。  この原料炭かわり一般炭を使う、要するにコークス用として、一般炭を使うという問題、これは戦前からいろいろ研究がございます。戦後もたくさんいろいろ研究がございまして、特定の銘柄とかあるいは特定のある限度に限りまして申しますれば、技術的には十分可能である。ただ経済的な面から見ますといろいろの方法考えられておりますが、いずれも相当の処理をいたさないといけませんので、その処理に非常に金がかかりまして、現在の原料炭一般炭との値差程度では、まず現状では経済性がない。よほど思い切った助成策政府で講じていただかない限り、まず経済的に考えにくい状態なのでございます。  その方法といたしましては、ずっと前、政府のたしか資源技術試験所でやられました膨潤炭をはじめ、最近では、たとえば成型いたしましてコークスを挿入する方法とか、あるいは予備過熱法とかいろいろありまして、技術的には、先ほど申しましたようにある限界の範囲内では十分実用的に使えるということはわかっておりますけれども、経済的にはだいぶまだ差があるようでございまして、したがって実用的に使うという研究まではいっていない。工業化試験段階はみな進んでおりますけれども、経済的に見てあまり差があり過ぎるような見通しでございますので、実用化までは進んでいない。  それから、重油かわりに、あるいは重油にまぜて高炉に吹き込みます問題でございますが、それもスラリーとして重油にまぜて吹き込む方法と、それからドライ粉炭のまま吹き込む方法と二つありまして、これも技術的にはやや重油に近い効果がある。要するに、重油高炉に吹き込みますのはコークスを節約するためでございまして、重油一キログラムがコークス一キログラムと大体とんとんだ。私は技術者じゃございませんので、大ざっぱな結論だけ申しますと、大体一キロ、一キロでコークスの節約ができるということになっておりまして、その場合に、微粉炭は大体重油と同じだ。要するに、微粉炭を一キロ吹き込めばコークスが一キロ節約できる、こういう関係になるわけでございます。  ただ重油に吹き込みます場合も、御存じのように、現在すでに単体として重油に比べて一般炭のほうがだいぶ割り高になっておるわけでありますから、これはちょっと、その面だけでも経済的に若干問題がございますが、そのほかに技術的な面で若干まだトラブルがあるようでございまして、工業化試験段階までは終わっておりますけれども実用ということになりますと、まだちょっと問題がある。  それから、ドライのままの吹き込みというのは、これは外国ではやっておりますが、日本ではまだ実現いたしておりません。したがって、まだこうだというようなことを申し上げるところまで至っておりませんが、以上全部をひっくるめまして、技術的にはかなり見通しがついておるものもあるが、現在の一般炭原料炭価格構造では経済的に魅力がない。鉄鋼産業としてぜひやりたいという魅力がない。したがってそれ以上の研究が進んでおらない。はなはだ残念でございますが、結論的に申しますと以上のようなことでございます。
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、藤関信彦君。
  11. 藤関信彦

    藤関参考人 電源開発株式会社藤関でございます。  石炭鉱業再建のために日夜御苦心をなさっておられます国会の諸先生方に、まずもって敬意を表したいと思います。  石炭産業再建重要性につきましては、いまさら私から申し上げるまでもございませんので省略させていただきますが、私ども電源開発会社が現在石炭産業に対しまして行なっておりますところの協力状況につきまして説明さしていただきます。  御承知のように、昭和三十七年に政府石炭対策基本方針が樹立されまして、石炭需要確保策の一環として、電気事業に対し四十二年度において二千五百五十万トン、四十五年度において三千万トンの石炭を引き取るようにという要請がございましたのに基づきまして、当社は、御承知のとおり現在揚げ地石炭火力三地点、合計五台でございますが、百二十八万キロの建設をいたしております。  このことは元来石炭火力は、重油火力に比べまして非常に経済性が悪うございまして、民間電力会社の負担にはおのずから限度がありますので、国の低金利資金を活用し得る当社が電気事業者の一員といたしまして、建設を担当することに相なったのでございまして、三十九年に磯子地点で一台、高砂地点で一台、竹原地点で一台、合計三台の着工が正式に決定されました。また四十一年の八月の閣議におきまして、引き続き磯子並びに高砂の地点におきましておのおの一台を早急に追加着工すべきことが決定されたのでございます。  このような経緯に基づきまして、当社は石炭対策に協力の実をあげるべく、その後鋭意工事を進めてまいったのでありますが、おかげさまをもちまして、磯子の一号機はことしの五月二十五日に営業運転に入りました。また竹原火力は現在官庁試験を実施中でありまして、今月の二十五、六日ごろには予定どおり営業運転を開始する見込みとなっております。特に磯子の一号機につきましては、従来にない記録的な短い工期をもって完成させることができまして、現在きわめて順調に運転を行なっております。高砂の一号、二号につきましては、地元の事情のために着工がだいぶおくれましたが、その後は順調に進んでおりまして、一号機は四十三年の七月、二号機は四十四年の二月に運転を開始すべく目下順調に工事を進めております。ただ磯子の二号機につきましては地元事情のために今日までのところ、いまだ着工の同意が得られるに至っておりませんことはまことに残念でございますが、近々横浜市の御了解も得られるものと思いますので、近く正式に着工の運びとなし得るものと考えております。  以上のような建設状況でございますが、ただいま申しましたように、一部の地点におきまして、地元事情あるいは用地関係で着工がだいぶおくれましたために、遺憾ながら四十二年度におきましては、当初予定いたしておりました年間二百五十万トンの石炭を消化することができなくなりまして、約百十万トン程度の消化にとどまるのではなかろうかと思われます。予定どおり三百三十万トンの消化が可能になりますのは四十五年度になるものと考えておりますが、今後ともこの建設中の工事をできるだけ工期を繰り上げることに努力をいたしまして、御期待にこたえたいと考えておる次第でございます。  なお、この揚げ地の石炭火力の建設にあたりましては、政府をはじめ関係各方面の格段の御協力を得ておりますが、特に政府におかれましては、非常に困難な財政事情のもとにおきまして、低金利資金の供与あるいは石炭の値上げに対する炭価差補給のための交付金等、格別の御配慮をいただいておりまして、また一方、私どもの電気を受電していただく電力会社側におきましても、当初の計画に比べて資金コストが非常に高くなってまいりましたのにかかわらず、受電の料金あるいは受給条件等について非常に御理解のある態度をお示し願っておりまして、目下受給契約も円満に話が進みつつあることを御報告申し上げておきます。  しかしながら最初に申し上げましたように、石炭火力は元来建設費が重油火力に比べまして非常に高うございます。また燃料費も油に比べまして非常に割高でございまして、その経済性の向上につきましては私どもの会社といたしましても可能な限りの企業努力をいたしてまいるつもりでございますけれども、何と申しましても政府の御尽力に負うところが大でございますので、諸先生方におかれましても今後とも格段の御支援をお願い申し上げたい、かように存じておるような次第でございます。  簡単でございますが、どうも……。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これにて参考人の御意見の陳述は終わりました。      ————◇—————
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより参考人の御意見に対する質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  14. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 日ごろ石炭対策についていろいろ御協力を賜わっておりますことを心からお礼を申し上げたいと存じます。いま貴重な御意見を拝聴いたしたわけですが、若干、順次参考人の方々にお伺いいたしたいと思う次第です。  初めに齋藤さんにお伺いいたしますけれども、いま申し述べられた中で、原料炭昭和四十五年を展望しますと、北海道に比重が非常に大きくなってまいるわけです。大体九百七十万トン程度は北海道で生産される。したがって北海道の原料炭供給が、いわゆる瀬戸内海のおそらく水島あたりの鉄鋼所まで供給されることになるのではないか、こう実は私どもは判断をいたしておるわけです。したがって、この輸送距離が遠くなってまいりますから、その改善策として大型の石炭専用船を建造しなければならない、あるいはまた、一体それだけで運賃格差の問題が解消できるかどうか、こういう問題を実はかかえておるわけです。それと同時にまた、現在の製鉄所の各配置されている引き取り価格検討してまいりますと、関東方面の引き取り価格が実は一番高く、漸次西下するに従って傾向として原料炭引き取り価格は安いわけです。ですから従来北海道の原料炭は関東方面を重点にして供給していたわけですが、今後増産される分については西下をする。距離が遠くなって、しかも引き取り価格が実勢価格検討いたしますと安くなる。この二重の問題点が、四十五年度を展望し、この対策を一体どう立てるかということが非常にいま問題になっているところです。引き取り炭価については歴史的な経過もあるわけです。大体いままでは供給先は九州がおもでしたけれども、今度は変わる、そういう傾向があるのですけれども、同じ日本鉄鋼生産に要する原料炭価格が相当の価格変動があるという点については、ある程度是正されるような面で総合的に検討されなければいかぬのではなかろうか、こういう問題がやはりわが国の産炭構造、九州、北海道に偏在しているという問題で宿命的に出てまいるわけです。この傾向はすでに御存じかと思いますけれども、こういう点について一体どういう対策を立てることが望ましいか。もちろん流通関係につきましては、いま申し上げましたように専用船をつくるとかなんとかして、そういう流通の合理化をはかることを積極的にしなければならぬことはもちろんでございますけれども、そういう原料炭価格、関東、関西方面、九州、こういう価格差というものについて一体どういうお考えを持っておられるか、もちろん実績としてそれが鉄鋼生産銑鉄生産のコストになって出てまいると思うのですけれども、こういう点について何か検討されておられることがありましたら、また齋藤さん自身の何かお考えがあれば承りたいと思うわけです。
  15. 齋藤正年

    齋藤参考人 北海道炭の西地域向けの供給価格についての御質問でございます。これは石炭業界からわれわれのところにも非公式に申し入れがございました。申し入れの趣旨は、石炭業界立場から見ればごもっともな点が確かにあるように私も感じます。ただ御存じのように自由企業の体制におきます価格と申しますのは、特に生産者同士の価格と申しますか、あるいは企業同士の売買価格と申しますのは、同一のものでも非常に差があるわけでございまして、これはわれわれ鉄鋼業界自分製品を売ります場合にも、これは公販制度というものがございまして、政府に幾ら幾らで売りますということをお届けしてあるわけでございますが、実際はそのお届けしてあります価格は最高価格になっておりまして、実際の供給価格は非常に極端に異なっておる。極端な場合には同一メーカーが同一のユーザーにお売りするものについても、値段がいろいろになっておるような状況でございまして、したがって鉄鋼業者でも、ある会社とある会社と比べてみて、そこに価格差があるからそれを直せとおっしゃるのは、これは自由経済のたてまえから申しまして無理な点があるのではないか、基本的にそう考えるわけでございます。特に石炭の場合は同じ製鉄業者でも歴史の古い会社と歴史の新しい会社とございまして、古くから取引のございます会社とそれから古くから供給をしております石炭会社との間には、いろいろの歴史的なやりとりがあるわけでございまして、そういうやりとりの上に現在の価格がきまっておるというような点がございますので、これをイギリスのように国営というようなことになりますれば、たてまえとして同一価格ですべてのユーザーに公平に売らなければいかぬというような問題が、それは取り上げられるのじゃないかと思いますが、私経済の段階ではちょっとそれを調整するということはむずかしい。少なくとも政府施策というような形で調整されることは困難でもあるし、またわれわれとしては望ましくないものと思っております。  ただ、御要望は、先ほど申しましたように、石炭業界立場から見ればごもっともな点が——特に現在の石炭企業のあり方から見まして、ごもっともな点があるわけでございまして、その点は関係会社に伝えてございます。ただその解決の方法として、御存じのように、実は運賃と申しますのは、すべてたとえば坑口価格は全部一律にいたしまして、それから実際にかかりました運賃を乗せたものをその値段でユーザーに渡すというようなことは、自由経済では必ずしもそうなっておりませんので、必ずある程度のプールを売り手の自分のふところの中でやっておるわけでございます。そういうプールの問題がございますので、それがなかなか画一的にきめがたい。したがってもしいまのお話の西向けの分、具体的に申しますればあるいは水島とかあるいは福山とかいうところの需要が今後非常にふえるわけでございますが、そういう地域の分について特別のことを考えるとすれば、現在石炭の取引は御存じのように全部CIF価格になっておりますけれども、それをむしろFOBにしまして、運賃分についてはユーザーが自分である程度専用船なり何なり考えて、運賃差を吸収するというようなことも考えられるのじゃないか。これは全部そういうふうにしていただきたいということを申しておるわけではございませんで、二、三の特に関係のあるユーザーにいろいろ話をしましたところ、御存じのように鉄鋼の場合には西のほうにあります製鉄所の場合には、中部あるいは関東に大きなマーケットがございますから、製品の輸送をある程度やらなければならぬわけでございまして、製品の輸送と原料の輸送とコンバインして、そこに何らか運賃差を吸収するような方法があるかもしれない。そういう面もあるので、そういった販売方法の変更というようなことは、一つの手段として考えられるのじゃなかろうかということでございまして、この辺は全く取引の問題でございますから、関係会社の間で話し合ってもらったほうがいいのじゃないかと思っております。  なお、例の電力用の原料炭のように、共同販売会社をつくって、その販売会社で運賃プールをしたらどうかというような考え方も考えられる方法でございますけれども、先ほど申しましたように、自由経済のたてまえからいってそれは非常に好ましくない。われわれとしては、その点はむしろ従来どおり個別の契約で、ただ会社間に非常にアンバランスがありますれば関係会社同士の話し合いで是正していくというのが筋で、そういう方向でこの問題はあくまで解決していただきたい、そういうふうに考えております。
  16. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 運賃の場合は、大型専用船もつくって合理化をはかる。場合によっては運賃価格差の補給もするとか、そういうような方法でも解決する方法はあるわけです。ただ実際に工場渡しの原料炭価格で見ますと、東京、関東が高いのです。ずっと九州に行くに従って安いわけです。ちょうど関東から九州にかけて価格が傾斜になっているわけです。ですからいま輸入原料炭、弱粘結炭原料炭との格差に対して、ある一定の負担増対策もとっておる、こういう面もあるわけですから、そういう面も加味して、ある程度価格の適正化と申しますか、大体輸入炭の場合には九州にあげようがこちらにあげようが、そうこれは差があるのではございませんから、そういう意味ではそういう負担増対策もあるわけですから、そういう中からある程度の適正化というものがお互いの理解で検討されていいのではないか、実はこういう気持ちを持っておるわけです。したがって、自由経済でございますからいろいろ問題もあろうかと思いますけれども、産炭構造がいま申し上げましたような方向になりますし、これからできる新しい製鉄所というのは、どうしても瀬戸内海周辺に増強される、こういう宿命、傾向を持っているわけです。そういう意味である程度の適正な負担増対策も含めたそういう適正化というものが検討されていいのではないか、こういう実は気がいたしておるものでありますから、こういう点についてぜひひとつ鉄鋼業界としても、政府あるいは石炭業者、こういうような中で十分ひとつ御検討賜わりたい、かように実は存ずるわけです。  次に、これもお話がございましたけれども一般炭のコールスラリー吹き込みの問題でございますけれども、これはある面においてはすでに実用化されておる。たとえば室蘭富士製鉄や日本鋼管では、これはもう実用化されておるように私聞いておるわけです。したがって大体実用化段階に入ってきた、こういうぐあいに私自身は理解をいたしたわけです。しかもサルファの低いもの、〇・三ないし〇・二の一般炭の場合には、そういうサルファが少ないというメリットもあるわけですし、実際コール吹き込みの重油というものは、サルファの低い大体一%以下の重油が使われている。これは産地も限定されてまいるわけですから、そういうメリットもございますし、大体価格の面でもそう問題がないのではないか。大体いま六千五百円ぐらいと見れば、電力用炭としても、一般炭のいまの価格から見れば、おそらくこれは十分経済ベースで供給できるのではないか、こう実は考えておるわけです。そういう意味でそれぞれの企業でこれを研究をし技術開発をしたという面もあるわけですが、これが全体的に実用化されて二五%ないし五〇%ぐらいまで持っていければそれだけ外貨の節約になってまいるでしょうし、あるいはまたこれは特定輸入先になる重油でございますから、そういう面における一つ対策にもなるのではないか、こういう点で私どもとしては非常に実は期待をいたしている問題なのです。  そういう点でこういう問題を、鉄鋼業全体で技術公開をし、鉄鋼関係全体とそれに見合う一般炭生産の業者あるいはまた政府機関の技術開発の機関、こういうような面で受けとめて、積極的に検討を進められていくべきではないか、そういうことが非常に望ましいと期待をいたしているわけですが、今後そういう点で、いま申し上げましたような方向で進めることが業界として困難が伴う問題かどうか、こういう点についてお伺いいたしたいと思うわけです。  あるいは一般炭コークス化の問題は、なるほどいま申し述べられましたようにむずかしい面が多々ございますが、ただ、いまのコークス化のコークスに対して一般炭を大体五%までは混炭して使っても、むしろコークスの強度が出てくるというメリットもあるのではないか、実は私ども技術的にいろいろこういう話を聞いておるわけです。一般炭そのもので、これを主体にして、あるいはまた相当パーセンテージを上げてコークス化するということになりますと、先ほど述べられたように多くの技術的な問題もありますし、いますぐの段階にはならぬと思いますけれども、そういう限度をつければ、五%なら五%ということであれば、そうむずかしい問題ではないのではないかと思います。技術開発の方々から実は意見を私聞いておるわけです。そういうような面で、たまたまその他の企業でも実験的にやられたというような話を聞いておるわけですが、そういう面について特に何か御意見がありましたならば、この二点について承っておきたいと思います。
  17. 齋藤正年

    齋藤参考人 お答えをいたします。先ほどお答えしました問題について再度御質問がございましたので、その点からまずお答えいたしますが、大体、今度の価格差補給金の制度が設けられまして、これはわれわれの希望どおり鉄鋼業としては国際的な面で非常にいろいろ——たとえばアメリカの業界が申しておりますサーチャージの付加というような問題もございますので、われわれが政府から補助をしてもらう、われわれが補助金を受け取るというような形は非常に好ましくないということで、これはわれわれの希望どおりに生産者のほうに補給金を出して、生産者からその補給金財源に相当する分だけ安くわれわれに供給してもらうということになっております。その点非常に政府にもわれわれ鉄鋼業界立場考えていただいて感謝しておるわけでございますが、そういうたてまえでございますから、この価格差補給金をいまお話のような形にある程度運用するということは、技術的には十分可能じゃなかろうかと私も存じます。  ただこれは、実は石油関税還付制度がこの補給金制度に切りかわったというようなこともございまして、過渡的にはこれの実質的な配分と申しますか、それについていろいろいきさつがございまして、いま先生のおっしゃいましたような形にすぐ切りかえられるというふうにはちょっと業界内部の事情がいきかねる面もございますが、すべてこういう問題は、それぞれ当該の企業同士の話し合いできめられるべきものだ、私、個人的なことを申してはなんでありますが、私自身石炭業界とは、もといろいろな意味でおつき合いがございまして、業界の方もよく存じておる人たちもございまして、私も個人としては非常にごもっともな点もある、何とかしたいと思っておりますが、これはあくまで関係会社同士の話し合いで処理していただくのが一番適当だ、ただその処理をする場合に、いまお話のございます価格差補給金の操作、これは石炭業界がお受け取りになるものでございますから、それをある程度操作して若干のテコにするということは考えられることではないか、そういう問題について石炭業界から何か具体的な御提案がございますれば、われわれとしても十分検討していきたいと思っております。  これは同じ関西なら関西の中にございます製鉄所でも価格差が相当あるわけでございまして、ということは要するにいろいろ歴史的な因縁があるということでございますし、それからこれはコークスの製造につきましてもそれぞれ各社で自分の得意のやり方がございまして、そのやり方によりまして同じ銘柄でもメリットの差が出てくるわけでございますので、なかなか支持価格が幾らだからというので一律にということは、急にはなかなかむずかしい問題があるということだけは御了承願いたいと思います。  それから次に、特にいまお話がございましたのは、沈殿微粉のスラリー吹き込みの話だと思います。これは実は私は故意に申し上げておらなかったのでありますが、沈澱微粉と申しますのは、これは生産量にも制限がございますけれども、それよりもこれはよく御承知のように、非常に水分を含んだ特殊なものでございまして、遠距離に輸送するということになりますと、輸送上にもいろいろ問題がございますので、さしあたり使うといたしますと、室蘭とか八幡とか戸畑だとか、産炭地に近い製鉄所でないとちょっと無理な点がございまして、今後の製鉄所の主力は全部——需要地でございます室蘭とか八幡あたりは現在拡張するような予定は全然ございませんので、なかなかむずかしい面があるということでございます。ただ沈澱微粉は、御存じのように値段も非常に安いわけでありますからメリットは確かにある。それから現在使っております重油は、ローサルファと申しましてもかなり硫黄分が高いものでございますから、硫黄分の点はお話しのようなメリットの点は確かにあるわけでございます。ただこれは技術的に申しますと、スラリー状態にいたしました場合に各羽口から重油と一緒に吹き込むわけでございますが、重油にまぜまして羽口から吹き込みますまでの間に、局部的に偏在して沈でん現象を起こしましたり、あるいはノズルその他の閉塞現象を起こすようなトラブルがあり得る、これが一つと、それからスラリー状態にして吹き込みます場合に、御存じのように高炉にはたくさんの羽口がございますが、各羽口から常時コンスタントの濃度のものを吹き込まないと部分的に炉内の状況が変わりまして炉況が悪くなるというような点があるそうでございまして、そういう重油にまぜましてから、羽口から吹き込むまでの間に微粉炭の縣垂状態と申しますか、要するに重油の中における分布状況を常に均一に保つ。それが狂った場合に、それを敏感に検知してフィードバックするような、そういう組織といいますか、そういうメカニズムが必要だそうでございます。私はまあ技術屋でございませんからあまり詳しいことは知りませんが、そういう点になお開発を要する問題があるということでございまして、ただ沈でん微粉だけについて申しますればある程度経済性がある。したがって考えられることである。その点については先生のお話について、別に異議を申し立てる意味は毛頭ございませんが、ただ沈でん微粉については、いまのような供給の制限もございますので、一般的な対策としてはむずかしい。ただし、経済的にはある程度可能でございますから、そういった問題について技術的に見通しがつけば使用可能である、こういうふうに考えます。  それから一般炭コークス化の問題でございますが、これは石炭業界のほうも非常に熱心に研究しておられますし、鉄鋼業としましても、先ほど一般陳述の際にも申し上げましたように、むしろ国内弱粘結は供給が足りないぐらいでございまして、弱粘結も若干輸入しておるような状態でございますから、われわれとしても一般炭原料用に使えますれば非常にいいことでございます。特に一般炭に比べて原料炭は値段がやや高いわけでございますから、非常にけっこうな話になるわけでございますが、どうもやはり、たとえば予熱法にいたしましても、比較的簡単と考えられますが、予熱法にしましても、現在のコークス炉作業に対して生産プロセスを相当思い切って変えなければいかぬわけでございますが、そういう点について、それだけの思い切った設備投資、これはどういう形の設備をつくるかなお今後研究を要する問題でありますが、それだけの設備投資をしてなおかつメリットがある、そういう見通しがない限り、現在の態勢では熱が出てこない。しかし、そういう点、むしろ価格的にはある程度、そういった問題を乗り越えるような何らかの助成措置と申しますかを考えるから研究してみよということでございますれば、鉄鋼業としてはさらに研究を進めることについては何ら異議はない。先ほど申しましたように、工業化試験段階では、実際に高炉に使いましてやりましてこれは十分使えるということはもう実験済みでございますから、価格面について、現在の段階では詳しい計算をいたしておりません。いたしておりませんけれども、どうも従来のは、御存じのように微粉炭コークス炉へそのまま吹き込むだけの簡単な、何もないわけでございますから、それに成型法にいたしましても予熱法にいたしましても事前に相当大きな設備をしなければいかぬ。したがってそれだけの手間をかけまして、なおかつペイするというには、この一般炭については、現在の原料炭一般炭との値差程度ではなしに、もっと大きな値差がある。さっきのスラリーのように非常に値段が違うので、これはあるいはそれだけの投資をしてもペイするかもしれぬ、そう考えるほどの何らかのメリットを研究するからもっと進めろということでございますれば、これは十分進められるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  18. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 もう一点お伺いしておきますけれども、海外から原料炭を年々輸入してまいるわけですが、特に低揮発分の強粘結炭原料確保は、いまの場合、長期契約で、長期的なある程度見通しにある。もちろん銑鉄生産の技師がどの点まで高炉技術にたよっていくのか、将来技術開発が行なわれて転換が行なわれる可能性ももちろん想定はされるわけですけれども、しかし、一応長期的に高炉技術、銑鉄生産が行なわれるという理解に立ちますと、海外原料炭についても、ある程度鉄鋼業界としては注意深く目を向けられておるのじゃないか、こう考えるわけです。御存じのように米炭輸入に相当依存をいたしておるわけですが、最近アメリカの鉄鋼資本はカナダ及びオーストラリアに低揮発原料炭の鉱区を押え、そうして開発をする、こういう動きが顕著になっておることも御存じのとおりだと思うわけです。ただ日本の場合には、石炭技術としてわが国で開発した技術も実は持っておるわけです。しかし、いま石炭が海外を開発する力は、自分経営にも手が回らないわけですから、ないわけです。もちろん、これをめぐっていろいろな動きがあることも、私ども承知しておるわけですが、鉄鋼業界としても、そういう海外市場については相当な情報も得られておると思いますので、鉄鋼の企業がこれならばと思うような地点もあるのではないか。そうしますと、そういう点で鉄鋼の資本と、日本が開発し持っておる石炭技術というものを結びつけて海外開発を進める。もちろん、これに対していろいろ要望があれば政策考える。今度の国会御存じのようにすでに石油については石油開発公団が参議院にいまかかっておるわけです。通過する予定であります、そういう趨勢にかんがみ、年々増加していく強粘結原料炭輸入見通しから考えて、この点具体的に検討されていいのではないか、実はこういう考えを持っておるわけです。そういうような点で特に何か検討されたことがございましたらお伺いをいたしたいと思いますし、また御意見があれば、あわせてお伺いいたしたい。
  19. 齋藤正年

    齋藤参考人 海外原料炭鉱山の開発について鉄鋼業として積極的に資本を出し、石炭業界と共同でやらないかというお話でございますが、率直に申しまして、鉄鋼業は現在、国内自分の本業でございます製銑、製鋼、圧延の設備資金にも十分ではないというような状態の際に、とても海外原料の開発までは手が回らない。国内原料についても、鉄鋼業者は、直接出資しておるものは非常に少ないわけでございまして、まして、現在は鉄鉱石につきましても石炭につきましても、あるいはその輸送は大半専用船でやっておりますが、その専用船につきましても、現在直接に鉄鋼企業が出資しておるものはほとんどないわけでございます。それは一に鉄鋼業自体が自分の設備の資金に追われておるということと、それから幸い、現状鉱石石炭も全体としてはバイヤースマーケットでございまして、買い付けの長期契約をすれば、生産業者が自分で資金を集めて自分で開発をして確実に供給してくれるという体制でございますので、率直に申しまして、日本の製鉄業者はその点については非常に熱意が足りない。ただ諸外国、先進国の製鉄業を見ますと、これは原料あるいはその輸送手段につきましては、少なくとも半分程度自分でコントロールする、自分で投資して自分で持つか、あるいは子会社、あるいは関連会社を持つか、いずれにしても、たとえばキャピタルマインとかキャピタルキャリアとかいうことばがございますように、一番自分のいわば米のめしに当たるものは、少なくとも半分は自分確保するというのが業者のむしろ常道でございまして、ロングランには先生のおっしゃるような方向に逐次進んでいくのじゃないかと思いますが、少なくとも現状では、原料については自分で直接投資するというのはおそらく非常に異例のケースになるのではなかろうか、一般的に申してそういうことだろうと思います。  ただお話の出ました低揮発分の強粘結炭につきましては、これは非常に資源が少ない。もう良質のものは現在でも大部分米国のペンシルバニア炭に依存しておる状態でございまして、先ほどちょっと申しましたように、ヨーロッパの製鉄国も、自国あるいはヨーロッパ産の石炭を使ったのでは、だんだん競争に追いついていけなくなるというような状況から、米炭の使用がふえておりまして、そういう面から見ましても、この強粘結炭につきましては、決してわれわれは安心あるいは満足しておるわけではございません。特に輸送距離も非常に長くて運賃も高いわけでございますから、何らか新しい資源がございますれば、開発について何らかの程度力をかすということは十分考えられることでございますが、ただまあ現在業界にわかっております範囲では、そう飛びついて開発するというほどすぐれた強粘結炭の資源はないようでございます。ただ、豪州におきましても、あるいは特にカナダあたりは、まだ現在調査されておりますのは非常に限られた地域でございますから、あるいは何らかそういう有望なものがあるかもしれませんので、たとえばそういうものの調査とか、あるいはある程度それがめどがつきますれば開発とか、それについては鉄鋼業界も、特に強粘結炭についてはある程度考えられるのじゃないかと思いますが、それはやはり具体的にこういうものがあるというものが明らかになった段階でないとちょっと申し上げにくいので、まだ現状ではそういう段階のものはちょっと見当たらないというふうに申し上げておいたほうが確かかと思います。
  20. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 次に、荘村さんにお伺いしたいと思います。  石炭火力の場合に、石炭専焼火力石炭重油の混焼火力の二つがあるわけです。特に昭和四十五年度までにはたとえば関西電力の尼崎第一とか第二ですか、これは廃止するという予定もあるようですけれども、大体現在四十一年で二千五十万トンの石炭が引き取られたわけですが、石炭専焼火力あるいは石炭混焼火力、この稼働率はどの程度の実績が出ておるでしょうか。
  21. 荘村義雄

    ○荘村参考人 ちょっと私も稼働率という点につきましては実は明確に先生にお答えできるような勉強をしていないのでありますが、石炭専焼火力というのは、一口に言いますと非常に古いものが多いという意味から、私は東京電力出身でございますから、ある程度わかっているのでありますが、鶴見の一、二号基あたりは石炭専焼で戦前できたのでありますが、近年の新鋭重専に比べますと、非常に能率が悪うございますので、この辺は近く廃止をするということでございますけれども、やめてしまうということは、非常な変動時にはやはりこんな老朽、ロートルでも動かして役に立つ場合もございますから、ちょっとその辺踏み切りかねておりますけれども石炭専焼の古いものは稼働率が非常に減りつつあるということだけは、概括的に申し上げられるかと存じますが、具体的に数字的な御説明がいたせませんことをお許しいただきたいと思います。
  22. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 次に、最近の新規の火力発電所の開発はほとんどが重油専焼あるいはLNGですか、今度新たに東京電力でいま電源開発調整審議会に申請をいたしておるようですが、産炭地である九州、北海道の場合には、これは石炭専焼火力ということで決定どおり着工されておるところもあるようです。しかし、先ほど申し述べられましたように、昭和四十五年には九電力としては二千三百万トンの石炭を引き取ってこれを消化する、こういうお話がございましたので、そういう判断からいきますと、相当ロードの面では余裕がある。ただ経済ベースに合わないから、結局重油の新鋭火力にたよる、こういうことになっておるのではないか、私は実はかように考えたわけです。  そこで、いま御存じのように貯炭が非常に多うございまして、電力引き取りの場合には、毎月コンスタントにいかないものですから、どうしても一時的な貯炭というものがある、また一方において供給側の悩みも実はあるわけです。最近のように坑所貯炭がふえて、貯炭経費だけでも月当たり三百万円程度かかるという状況に各山とも置かれておる。こういう面の何らか改善策というものが一体ないものか。たとえば、私どもは、せっかく電力用炭販売株式会社ができたのであるから、ある程度需給調整の機能を持たしてはどうかという意見も実は述べておるわけですけれども、ある程度コンスタントにもう少しいく方法というものがないだろうか、たとえばある一定時期は重油のロードを落として、石炭をコンスタントに引き取る、そうして渇水期になれば今度重油のほうのロードをぐっと上げるというような、発電所別の操作でそういうことができないものだろうか、実はそういう気がするのですが、こういう点についてはいかがでしょうか。
  23. 荘村義雄

    ○荘村参考人 第一点の、四十五年に二千三百という、これに関連するものでありますが、産炭地の北海道、九州などにおきましては、油をあすこまで運んでたきますよりは、石炭のほうが安いという特殊性がございますので、北海道、九州では石炭専焼の計画が四十五年まで長期計画にあげられておりますほか、東京電力にいたしましても、四十三年に川崎の六T十七万五千、これは石炭火力、こういう計画もありますので、二千三百万トンを約束してもとれるであろうかという御疑念ごもっともでございますけれども、そういう産炭地を主といたしましたそこでの石炭専焼の建設が長期計画で予定されておりますので、二千三百万の引き取りに私どもは支障がないかと考えておるのであります。  それから第二点の、引き取りがコンスタントにできないかという御指摘は、石炭業界立場からいえばまことにごもっともであります。この点は上、下、特に月別に引き取りが平均してできるような配慮をしてくれぬかという要請は、毎々石炭業から受けているのでございますけれども、この点で一番支障ができますことは、ことしは若干例害といいますか、非常な例害と申し上げるほうがいいと思いますが、一般に上期は豊水でございまして、石炭を平均して引き取りますと、貯炭施設に実は困るという点がございまして、そういう点で、どうしても上、下平均、しかも細分いたしますと月別に平均して、ということにはいきかねる点は御理解いただけるかと存じます。  なお、四十二年度の二千百万トン、さらに下期にプラス三十万トン、こういう約束をいたしておりますけれども、これも二千百万トンの上下の配分は、上期が四五%、下期が五五%、こういう比率にしていただいておりますことも、いま申し上げました上期は豊水であり、貯炭施設の関係がありまして、どうしても下期にウエートがかかるという点を御理解をいただいた結果、かようなことになっているかと存じます。私も、石炭再建対策のために資金繰りその他の点で極力そういう均平化の引き取りに賛成でございますけれども、そういうネックがございますので、これにも限界がございます点、御理解を賜わりたいと思うのでございます。  それから、第三点の、電炭会社にこういう機能を持たせられぬかということでございますけれども、いま申し上げましたように、上、下に消費面でのアンバランスがございますので、平均いたしますためにはどうしても電炭会社が膨大な、しかも各地区におきまして貯炭施設をつくられねばならぬという点が大きな問題でございまして、その点資金の問題やらコストアップという点も出てまいろうかと存じますので、これまたなかなかごもっともな御指摘でございますけれども、よく検討いたしませんと、なかなかすぐに踏み切りがたい点がありはせぬかと存じます。
  24. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先般、磯子、高砂、竹原の電発関係引き取り単価、各社納炭の割り当て、こういうものがきまったわけですが、九電力の場合には長い歴史的な経過もあるわけです。大体電発の場合も九電力の実績に追従をして今度の場合きめたように私は思うわけです。そこで、これは九電力電発ともに関係があると思うのですが、従来と変わって、わが国の一般炭の八〇%がとにかくいずれにしても電力で消化をされる。しかもエネルギー答申で見れば五千万トンで押えて、一応推定をいたしますとこれは長期的に続く、こういう新しい段階を迎えたと思うわけです。しかし、この石炭契約とかあるいは納炭の方法とかは、従来長い歴史的な経過もあるものですから、それを踏襲をしておるということなんです。私は、やはりこういう新しい段階を迎えた場合には、ある程度そういう面について改善といいますか、そういうことがどうしても必要ではないか、こういう意見を実は持っているわけです。たとえば炭鉱会社でも、昔は百五十万トンも石炭生産いたしておりましたけれども、いまはほとんど石炭はやっていない。今度宇部さんがやめれば、宇部さんの場合もこれは生産実績がなくなっていくわけです。古河さんのほうにもほとんど実績が——もう昔日の面影はない。こういうところもあるわけです。しかし電力会社に対しては従来の実績ワクというのですか、これがあるわけですね。そうすると、この石炭はどこからか買ってくるわけですね。それで従来のワクで納めているわけです。ただこれは名義を貸しているのではないと思うのですね。やはりそこにはその権利ワクがあるわけですから、ある程度——トン当たり百円になるか、商社を経由すれば大体百三十円、こういわれておるわけですが、そういう手数料を取って納めさせるということが現在あると思うわけです。また商社の場合には、かつて石炭を集めるのが非常に困難なときに、商社に頼んでいろいろ買い集めて、そうして確保した、こういう実績もあることは実は十分承知をいたしておるわけです。しかしながら、いま申し上げましたように、長期的に、わが国の一般炭の八〇%は九電力電発が主体で納められるということになれば、この面の改善策というものは、もちろんいろいろ困難もあるでしょうけれども検討すべき問題点ではなかろうか、こういう私は考えを持っているわけです。  石炭御存じのように、いま特別会計をつくって五百二十億の国家の資金を出して対策を立てているわけですね。そういう意味では、一方商社の場合に、三井物産とか三菱商事とかはもう大会社ですから、わずかの石炭を扱ったから扱わなかったからといって、そう別にどうということもないわけです。そういう面で、私は、国も国民の税金を出して石炭対策をし、そうしてまた需要先の皆さん方の協力も求めて、ある一定の石炭生産需要確保しようじゃないか、こういう新しい段階を迎えているわけですから、そういう面についても、それに対応したある程度対策が必要ではないか。もちろん自由企業でございますし、営利事業でございますから、いまよりも高くなるということになるとこれは問題でありましょうけれども、少なくともそういう実勢の価格が変わらないのだとかという前提があれば、少なくともその面の改善策は、関係者の協力を求めて、これはできるだけ合理化すべきではないか。こういう私は気持ちを実は持っているわけです。非常に古い歴史的な経過がございますけれども、この面はやはり問題点ではなかろうか。九電力さんがある程度改善策がないと、結局電発は九電に売るわけですから、おまえのところにおれのところとは違った石炭の買い付けをやっている。したがって、その結果発電コストが高くて、高い電気をおれのほうに持ち込むのはけしからぬということにもなってくる。そういう因果関係にあるものですから、電発自体としてもやりたいという気持ちがあってもなかなかできないという面があるのではないか、こういう点について荘村さんと藤関さんから御意見を承りたいと思います。
  25. 荘村義雄

    ○荘村参考人 たいへんむずかしい御質問でございますが、これは一般的に言えることかと存じますが、生産面の合理化と並行いたしまして、流通面での合理化ということは現在物価安定推進会議でも大きな問題となってございますし、当然それは検討され改善されねばならぬと存じますけれども、いま先生御理解いただいておりますとおり、私どもの商社との取引は、かつて非常に石炭需給が逼迫いたしましたときにいろいろ援助してもらった歴史的な事実もございます。さようなことからでもございましょうか、基準炭価をきめます段階にもこの問題がいろいろ討議をされたのでございますけれども、やはり過去の例を一ぺんに無視することは非常に無理であり混乱が起こるということから、従来の商社を通します慣習が前提となって是認され、金額が決定されておるやに聞いておるのでございまして、こういう点は御理解賜わりたいのであります。そういう意味から、電炭会社に一本化しょうというメリットは、私もよく勉強しておりませんけれども、複雑な機構よりも単純な流通機構でやりますことがメリットがあろうということは私も理解はできますけれども、要は、先生御指摘がございましたいまの値段が上がるということでありましたら、これは何のための流通機構の改善かということになりますので、いまの値段を維持、むしろいまの値段が下がるという方向、しかも業界が混乱しない、こういう方向でありますならば、流通機構が改善されますことは一ぺんにはなかなかいかぬ問題であると存じますけれども、漸進的にはそういう方向に持ってまいりますことがコストダウンということにつながる道ではないか、かように考えておるのでございます。
  26. 藤関信彦

    藤関参考人 ただいまの先生の御意見、まことにごもっともだと思いますが、いまも荘村さんからお話しがございましたように、流通機構の合理化ということは日本の物価問題の大きなポイントであると思いますので、これが合理化されてしかもコストが安くなるという方向に進むことはまことにけっこうなことと存じますが、何ぶんにも私のほうの電気はあげて電力会社さんに買ってもうわなければならないという立場にございますので、私どもだけが別の価格石炭を引き取るということになりますと、さなきだに資本コストが高くなって、当初の予定よりも非常に発電コストが上がってまいっておる現状に加えまして、石炭をさらに高いものをわが社が購入するということになりますと、やはり電気の引き取りに問題が生じてまいりますので、私どもといたしましては、長い歴史でもって今日まで来ておられる電力会社に比較して、決してそれよりも安く買おうとはいたしておりません。しかしながら高く買うことは電気をさばく上において非常にネックになりますので、やはりいまの段階では、電力会社さんに右へならえをせざるを得ないというのが現状でございます。私どもとしましては、電力会社さんのような石炭業界との古いつながりはございません。大部分が新しい行為でございますので、先生がおっしゃるような点ももっともと思いますけれども、いま申しましたように、電力引き取り先に御迷惑のかからないようにということで、重ねて申しますが、電力会社より安く買おうとはいたしておりませんが、しかし高くても困る、こういうのが実情でございます。御理解いただきたいと思います。
  27. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 五千万トンの石炭が堀られて、原料炭鉄鋼を中心にして行き先がきまっておる、それから、一般炭の場合には八〇%は電力関係に行くのだ、これを合わせますと五千万トンのうち大体四千五百万トン前後になるわけですね。この流通合理化ができますと石炭の流通合理化はほぼ完成した、こう言えるですね。理論的には実ははっきりしておるわけなんですけれども、私ども政府を相手にしてずいぶんこの委員会でやっているのですが、いま述べられたようなことが実は答弁として述べられておるわけです。非常に困難な問題がありますけれども、やはりできるものからある程度合理化の方向、改善策というものを検討をしていかなければならぬ問題ではなかろうか。それにはそれぞれの関係者の理解と協力が必要である。私はそういう意味で、商社、電力会社鉄鋼会社、あるいはまた石炭を納める側といいますか、そういうような面で、何らかそう混乱を起こさないで改善できるものは改善するという前向きの姿勢がまず望ましいのではないか。そういう一つの提唱があった場合には、ぜひひとつ協力をし、できるものからやっていく、こういうような方向で得検討を願いたいということを、この機会に強く要望申し上げておきたいと存じます。  それともう一つは、私の調査の範囲では、いまの九電力の場合でもロードさえあがれば、いま以上に石炭を引き取る能力、キャパシティはあるように見ているわけです。一方、いまの一般炭需要が減退いたしますから、新しく火力発電所をつくらなければならぬ、こういうことで先般決議も行なったわけです。ですから、言うならばいまの協定は四十五年度二千三百万トンなら二千三百万トン、それ以上の分については、燃料費が重油と大体同じような水準であれば百円トンよけいたくということになれば、新しい百万トンの発電所をつくらなくても消化ができるという、これも理論的にはそういうものの言い方が実はできるわけです。そういう点について可能性というものがあるだろうか。いままでずいぶん修正はしてまいったのですけれども、最近の一般炭一般需要の減退というのは、当初予想以上に加速度的に低下しているわけですね。また北海道なんかでも、十条製紙をはじめ合理化の一環として自家発電をやる。それを油でやる。これは港がありますから油でやる。こういうようなことで、予想しなかったファクターが次々と最近は出てきている。こういう現状にかんがみて、一方また、先ほど荘村さんの発言もございましたように、五千万トンラインの維持というものは一体長期的に見た場合にどうなるか、こういう面があるとするならば、いまここで特に特別政策需要といいますか、政策需要のまた特別な政策需要というものを緊急にある一定期間考える措置をするというようなことが理屈としては可能なんですけれども、実際問題としてそういうようなことが可能であるかどうか。これは九電力があるのですから、一人の方にこれに対する明確な見解を求めるということはなかなか無理かもしれませんけれども、−何か御意見があれば承っておきたいと思います。
  28. 荘村義雄

    ○荘村参考人 もう少し石炭火力に対する油の混焼率を下げますとたけぬかという御質問であったかと存じますが、だんだん年を経まして、石炭産業にひとえに御協力申し上げるということから、混焼率がだんだん下がってまいっておりますと、先生よく御存じと思いますけれども、四十一年では一七・六という実績、これは全体のあれでございますが、ただ専門家に言わせますと、一五から二〇%が——これは発電所によっても一律にいきがたい点がございますので、一五ないし二〇、こういう言い方をしておるかと存じますが、そういう基準からいたしますと、おおむね限界に近いたき方をしている、混焼を減している、石炭よけいたいておるというのが現状であろうかと存じますが、しかし個別的に検討いたしますと、もうちょっといける、こういう動きがありましたら、御期待に沿うような努力をいたしまして、もう少したくということも配慮できるのではないかと考えられます。
  29. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど決議で旧日発関係五基、さらに三基あるいは共同火力の開発という点が実は当委員会でも議論されまして、一応ああいう与野党一致した決議になったわけです。私ども現実に石炭を扱っておる立場から見ますと、これからの需要対策としてどこが一体問題だろうか、そう考えてまいりますと、九州では三池炭対策というものが一つ考えられるわけです。現状ですでに百万トンの貯炭を持っておる。三池は日本最大の炭鉱でありますから、この荷の動きによってはいろいろな影響というものが出てまいるわけです。そういう意味で三池炭対策、この対策とすれば、発電所をつくってたく以外にないわけですけれども、この対策一つ考えられるわけです。  それと第二には、先般常磐も視察をしてまいったわけですが、常磐の生産計画等からいろいろ検討してまいりますと、常磐の共同火力七号基の建設、これはどうしても必要ではないかということを石炭サイドから見れば考えられる点があるわけです。  さらに北海道の需要減退、これは北海道は寒地でございますから、現地の石炭需要が多かったわけですが、これが急速な減退を示している。この北海道炭をどこで受けるか、関東一円から小名浜付近まで含めて、これを受ける発電所の建設というものはどうしても必要ではないか、こういう考えが出てまいるわけです。それと同時に電発がかつて若松において初めて——いろいろ当委員会でも商工委員会でも問題になりまして、電発の低粘炭火力、これが着工されて一基すでに動いているわけです。これは当初二基建設がありましたけれども、一基だけになって、三千五百カロリーの低粘炭対象でこの火力が動いていると思うわけですが、いまの現状で二基を考える場合には、三千五百カロリーの低カロリーではなくて、五千以上のある程度のカロリーを考えて、三池も含んだ全体の炭の供給、こういうものを考える。若松電発の二基というものは敷地もあるし、配置というものは若干問題があるわけですけれども、敷地がすでにあるのですから、建設コストも安いということが明らかに言えるわけです。そういう地点というものは、大体だれが考えても予想されるのではないか、こう実は思うわけです。したがってそういう共同火力あるいはまたいま言った若松の電発の第二基をカロリーを上げて二基を建設し、若松発電所の発電コストを下げる、こういう点、三池対策というのは電力会社でやるか、また別にやるかという問題は私はあると思うのですが、考えられる。それから北海道炭の需要対策、こういう点が私どもとしては考えられるわけですが、電力業界として、そういう点についていままで検討された経過があれば、それぞれについてお伺いいたしたいと思いますし、また一般的な御意見があれば承りたいと思うわけです。
  30. 荘村義雄

    ○荘村参考人 三池の百万トンの貯炭が、荷動き次第では大きな問題、御指摘のとおりかと存じますけれども、あの炭はカロリーが高いという点に加えまして、サルファの含有率が高いという点で、公害問題の対象にしなければなりません今日の現状といたしましては、なかなかたきづらい点があることを御理解賜わりたいと存じます。その辺、荷動き次第で大きな事態が起こること、関連影響が出てくるという点につきましては、そういうネックの面で何か考えがあるかという御質問、私は特に考えを持っておりませんことを率直に申し述べますことをお許し賜わりたいと存じます。  それから常磐共同火力七号基、先生ごらんになってこれは必要だという点でございます。常磐共同火力が低品位炭をたきまして発電いたしましたものを、東京、東北で折半という原則が確立いたしておりますけれども、この辺もどういうコスト計算になるのか、その辺の根本問題もございましょうかと存じますので、いま私の立場で、個々の会社の問題と関連いたしますので、明確な御回答をいたしますことはお許しいただきたいと思います。  それから北海道の需要が非常に減っているということは、特に暖房に石炭がきらわれて油にどんどん切りかえられておるということが主因であるやに聞いております。したがいましてその出ます炭は小名浜ぐらいまで持っていく。それ以上になりますと運賃が高くなるというデメリットがございますが、これはよく理解できるのでありますが、ただ問題は、それならば石炭火力を小名浜以北につくります場合に、どういう原価でできるかという点が私ども大きな関心を持つ点でございまして、これは冒頭申し上げましたとおり、重専火力の発電に見合うものでなければなりません。北海道から小名浜までの間に石炭専焼火力をつくりましても、問題はそれから発生いたします電力の原価がどうであろうかという点について検討いたしますと、確かに諸先生方の御配慮もありまして、四十二年度からは負担増対策が変わりまして、三十六年の千六百十八万トンをこえた分につきましては、値差の補てんが石炭会社への補給金という形で実施されておりますけれども、問題は各石炭の値段というほかに、建設費が、火力でありますと重専に比べて建設費が二割方高い。したがって、キロワット・アワー当たりの原価も割り高になりますという大きな問題がございますので、この点もくどいようでございますけれども、重専火力から発生いたします電力と見合いの発電原価で、ただいまお話しの地区の石炭火力の発電原価ができますような特別の措置の御配慮をいただけませんと、いろいろと大きな問題が私はあるのではないかと考えておるのであります。以上でございます。
  31. 藤関信彦

    藤関参考人 従来の三池炭対策並びに常磐七号、北海道炭の需要減退の三つの問題につきましては、私、意見を申し上げることを差し控えさせていただきたいと思いますが、最後の電発の若末の低品位炭火力と、さらに追加をして三池炭も使えるようなことを考えたらどうかという点について申し上げたいと思います。  いま荘村さんからおっしゃいましたように、電力会社さんの側から見ると、どうしても重油火力と比較して、非常に石炭火力割り高になる。したがいまして、若松は低品位炭そのものは安うございますが、それでも若松の発電コストは三円を大きく上回っておる。その上に、先ほど先生の御指摘のように、灰捨て場で非常に苦労しております。キロワット・アワー当たりのコストで申し上げまして、十何銭かの灰捨て費がかかっております。こういう状況でございますので、ここでさらにもう一基追加するということは、確かに現在、当初つくりました灰捨て場は余地がございますけれども、できあがった電力のコストが、どうにな電力会社側から見て引き受けていただけるようなコストにならないという点に最大のネックがございますので、やはりこれにつきましては、少なくとも三円を割るようなコストになるような御配慮が別途なされないと、非常に私ども単独で進めることには困難がございますので、この点御理解いただきたいと思います。
  32. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 田畑金光君。
  33. 田畑金光

    ○田畑委員 ほとんど質問は尽きておりますから、重複しない点を一、二、参考人の三名からまとめてお尋ねしたいと思います。  第一に、先ほど荘村参考人のお話の中に、結論として、昭和四十五年度の五千万トンの需要確保については検討する必要があるであろう。特に経済ベースの観点に立って再検討願いたい、こういうようなお話がありましたが、この点、どの程度の規模ならば適当であるというようなお考えであるか、これを率直に承っておきたいと思うのです。いままでのお話なり、あるいは質問の受け答えを通じて、明らかにされたように、四十五年度電力関係需要が三千万トン、さらに原料炭については、これは政府計画もそうでありますが、四十五年度前後には千三百万トン以上、千五百万トンぐらいにもなるかもしれません。そうなってまいりますと、それだけ、四千三百万トン、四千五百万トンというのが政策需要として確保されるわけであります。したがって、五千万トンの規模をさらに割るということになれば、先ほど参考人のお話にもありました暖厨房炭であるとか、あるいは運輸その他の国鉄関係需要であるとか、こういうものがほとんど需要が期待できぬというような想定にもなってくるわけです。政府見通しを聞いてみましても、昭和四十一年前後、一般炭は千六百万トン−千七百万トンであったのが、昭和四十五年度前後は七百万トン前後に落ち込むであろう、こういう想定、見方を立てておりますが、経済ベースに乗せた合理的なわが国の生産規模というものはどの程度想定すべきであるかということを、荘村参考人から承りたいと思います。  この点は、同時に齋藤参考人にもひとつ。齋藤参考人はかつてのりっぱな、そしてまた輝かしい功績をあげられた石炭局長でもあるわけで、いまは鉄鋼関係においでになりますが、先ほどのお話を聞いてみますと、全くりっぱな鉄鋼マンに徹されておるお姿を拝見して力強く思いましたが、はたからいろいろながめておりますと、いまの石炭政策のあり方などについて御意見もあろうかと考えておりますので、そういう意味で、ひとつ齋藤参考人の御意見もこの際承っておきたい、こう思うのであります。  それからもう一つ、荘村参考人に承っておきたいことは、特に最近中東の動乱に関連しまして、C重油の値上げの要請というものが強く出て来ているわけです。キロワット当たり五百円ないし七百円値上げの要請をしておる、こういうことを聞いておるわけでありますが、この影響というのはおそらく下期以降、電力事業その他にも影響してくると、こう見ておるわけで、この影響が想定されるのか、これをお聞かせを願いたいと思っております。  先般新聞によれば、先ほどお話しの増加引き取り交付金ですか、これについて電力業界としても通産省、大蔵省と、四十二年度の上期のそれであるかどうか知りませんが、交付方についての話もなされておるというような話も聞いておりますが、こういう点について、この際荘村さんから御説明をいただきたい、こう思うのです。  さらにまた荘村参考人のお話の中に、電発であるとかあるいは共同火力の発電コストというものが相当高くついておるので、重専火力と見合うような、コスト切り下げについて格別の措置を希望するというようなお話がございましたが、どの程度具体的に、たとえば一キロワット・アワー当たりの発電原価においてどの程度の違いがあるのか。  これは同時に藤関参考人にもあわせて御答弁をいただきたいと思うのです。電発石炭専焼火力というのは、言うならば政策的には、国会決議にも見られるとおり、われわれとしても非常に期待をかけておるわけです。ところが、発電原価が非常に高くつくということは、これまた、これを買ってくれる電力の側からいうと相当敬遠しておるような趣でありますが、この間の調整というのは非常に問題もあろうかと考えております。特に藤関参考人もこの点について、最後にいろいろな政策的な要望ということを述べておられましたが、もっと具体的にどういうことを政策的な措置をやれば、いま言った発電原価についてのコストの引き下げについて成果をあげることができるか、こういう点などについて、もっと具体的にお話をいただければありがたいと思っております。
  34. 齋藤正年

    齋藤参考人 私、鉄鋼連盟の人間としては、いま田畑先生の御質問にお答えするような立場ではないと存じますが、ただ、私、先ほど話が出ました一般炭需要対策問題について、政府のつくっておられます小委員会のお手伝いをいたしております。その委員の一員としての意見をこういう席で申すのははなはだ僭越でございますけれども、私、感じた点を申し上げますと、五千万トンの出炭ベースの問題、それ自体は、政府がもう非常な長時間の完ぺきな御研究の結果きめられたことでございますから、私どもがとやかく言うことではございませんで、何とかして、それだけの需要確保するということに力をいたさなければいかぬわけです。  この一般炭需要問題対策一つとして、従来から御存じのように、官公需の確保ということが取り上げられておるわけでございます。しかし、これは閣議決定になったということで、モラルなオブリゲーションはあるはずですが、実際は新しくできております官庁ビルはみな重油でやるというような形になっておりまして、結果としてはさっぱり守られておらない。それはそれぞれ官庁は独立に予算をもらっておりまして、その範囲で最も経済的に有効に資金を使うということは、これまた同時に官庁に課せられておる任務でございますから、そういう見地からいえば、何らか特別な対策がない限り、重油に転換するのは当然じゃないか。要するに、官公需の確保について、閣議決定だけで、いわばモラルな制約だけでそれを確保しようという点に非常に無理な点があるように思われます。それについて、何らか特別の措置を講ずる必要があるんじゃなかろうか。  私、全く個人的な考えでございますが、最近、官庁街はすべて例の共同ビルというような形になりまして、場所的にも一ヵ所に集中して、たとえば東京で申しますれば、大手町に集中しておる。それがそれぞれ個別に予算が割り当てられておるということで、重油の暖房設備をやるなどということはどうも私納得できない。役人の衣を脱ぎ捨てて、民間におりますと、なおさら納得しにくいわけでございまして、それならば、むしろ暖房関係の予算を一ヵ所にまとめて、石炭専焼の設備をやる。もちろん町の中心部でございますから、ばい煙防止については十分な措置をしなければならあないんじゃないかと思いますけれども、要するに、どこか一ヵ所にまとめて、そのために特別の予算を立てて、それであとそれぞれの官庁が温水なりスチームなりを受けるという形にするなら、それぞれの官庁は別に節約の責任を持たなくて済むわけですから、機構的に、予算的に特別の措置を講ずれば、何とかならないかという感じがいたしております。  もう一つは、これも前にお話が出ましたが、産炭地需要確保についてでございます。これは消費地と産炭地との間には相当の格差があるわけでございます。したがって、産炭地ではまだ重油との格差は比較的少ない。それでございますから、何らかそこに産炭地については、特にある程度のまとまった需要について、特別の措置を研究される必要があるんじゃないか。ただ、それがどういう措置が必要かという点については、これは私がいまこうだというような名案があるわけではございませんで、ただ、これは石炭業界にその分を負担してやれといいましても、いまの業界の実力ではなかなか負担能力がないわけですから、何らかの形で政府がその分を応援されるということが必要じゃないかと思いますけれども、具体的な方法については、そうなるならば、むしろ政府がお考えになるべき問題じゃないか。ただ、産炭地需要については、何らかその大口需要について特別な考え方もできるのではないかというふうに感じております。  それからもう一つ、先ほど原料炭問題としてお話がございました。この値段の地域差の問題でございますが、そのときにちょっと申し忘れておりましたけれども、実は現在の石炭の大部分は、御承知のとおり、海送でございますが、この運賃が——専用船ができて安くなったということでございますが、なおまだもう少し——これは単に船運賃だけではございませんで、荷役費その他も全部ひっくるめて考えますと、なおもう少し合理化の余地があるような感じがいたします。  たとえば鉄鋼石の例で申しますと、豪州と日本の間は四千マイルも離れておりますが、最新の専用船を使いますと、二ドルそこそこの値段で運べるわけでございまして、これに比べましてどうも石炭の内航運賃と申しますか、内航海送の経費がまだややかかり過ぎるように思います。これは何らかやり方があるのではないか。ただ、いままでのような銘柄買炭というようなやり方、あるいは従来のような荷役のやり方あるいは船型その他、そういう点ではもちろん十分合理化がされておると思いますが、そういうものをこの際もう一ぺん再検討されますならば、その分は——われわれユーザーとしては最終炉前価格が変わらなければよろしいわけでありますから、この輸送運賃の節約ということについて、もう少し何らか手の打ちようがあるのではなかろうかという感じがいたします。  これはいずれもしろうとが十分研究した意見でございませんので、お聞きのがしを願いたいと思いますが、特に御質問がございましたので、お答えいたしたわけでございます。
  35. 荘村義雄

    ○荘村参考人 第一点の、冒頭私が四十五年度の五千万トンの出炭ベースについても再検討が願わしいと申し上げたのでありますが、どのくらいを考えておるかという御質問でございますが、これは私は専門家でございませんので、わからないことを率直に申し上げたいのでありますが、総合エネルギー調査会答申を取りまとめます段階におきましても、五千万トンという出炭ベースについては非常に大きな論議の対象になったやに承知をいたしておるのでありまして、その論議の途中に一部の方から、三千五百万トンあるいは四千万トンあるいは四千五百万トンといったような意見も出たのでありますけれども、そんなに減らしますことは石炭産業に依存しております地域社会経済影響考えて、五千万トン程度答申がされたやに聞き及んでおるのであります。なお総合エネルギー調査会委員の方々の中からそんな意見が出たというのとは別に、石炭業界——経営者はそんなことは申しませんけれども経営者じゃない方から伺いましても、現在の労務状況、特に労務者がどんどん都会へ持っていかれる——品の悪い言い方でありますけれども、そんなことから、四十五年に五千万トンというのは荘村さんそれはとても無理だという話を聞いた。その辺を総合いたしまして申し上げたのでありますが、私自身科学的な計算根拠に立って申し上げたものでございませんことを、御理解いただきたいのであります。  なお、もう一つ申し添えさしていただきたいことは、四十二年から、皆さんや政府の御配慮によりまして石炭の増加引き取り分については油との値差を補給いただきます措置、石炭会社を通じて結局私どもはそれだけ安く買えるという措置をお取りいただいたのでありますけれども、それで全面的に負担増が解決したということにはならぬのでありまして、三十六年度の九電力の実績千六百十八万トン、私ども俗に一六一八と言っておるのでありますが、それ以上たきます場合にはいま申しました措置が——先ほど齋藤さんからも出たかと思いますが、従来の関税還付制度がいかにも不合理でありました点が是正されました点、たいへん合理的な措置と感謝しておるのでありますけれども、それは本年二千百三十全部が値差がなくなったという御措置をおとりいただいたというところまでまいりませんで、三十六年の千六百十八万トンまでは値差はみずからかぶる、それ以上については政府が配慮してやろうということでございます。そういう点もございますので、あわせて御理解を賜わりたいと思います。  それから第二の、中東動乱に関連しまして重油の値上げ要請が出ているのではないか、しかも、この影響は下期に出てこよう、どう想定しているかという御質問でありますが、最近新聞で、中東動乱の結果スポット船の運賃が三百円ないし五百円、これは上期平均のキロリットル当たりであろうかと思いますけれども、そういうことが新聞にたびたび出ているのでございます。私どもは、現在のところ石油連盟から検討はしてくれという要請は受けておりますけれども、値上げをしてほしいという要請はまだ直接受けておりません。先生のおっしゃるとおり、下期にたいした影響は出ないかと私は存じます。  下期に動乱が長引くような情勢いかんによりましては影響は当然出てまいろうかと存じますが、スエズ運河の閉鎖に関連いたしまして、こういうフレートの暴騰が現実化いたしておりますけれども、アラブ連合諸国というものは国の存立が油に依存していると申し上げても過言でない。こんなことを先生方に申し上げますことは釈迦に説法、お笑い、おしかりを受けるかと存じますが、そういう現状から判断いたしますと、政治的いろいろな意味合いからスエズ運河の閉鎖ということは当然あり得る、今日の国際情勢からいってあり得ることでありましょうけれども、これが長引くということはアラブ関係諸国、産油国自体みずから首を締めるということにもつながるので、私はそう長く続くことはないのではないか、あるいは見当違いなことをおまえ言うとおしかりを受けるかと存じますけれども、私はそんなに考えているのであります。  なお、現在の時点におきまして、何と申しましても日本は原油の八五%あるいはそれ以上をあの辺の地区に依存いたしております関係から、十年前のスエズ動乱の体験もあり、あそこにはそういう問題が起こりませんでも、船が通ってまいります途中の国、この辺もまた政情必ずしも安定している国とは考えられませんので、途中に何か動乱騒擾がありまして、それでまた荷動きが影響を受けるということもあろうかと存じまして、私ども電力は現在大体二十四、五日分の油の備蓄をいたしておりますが、なお情勢楽観を許しませんので、今後はもう少し、EEC諸国のように九十日分くらいの備蓄をせねばならないと考えております。この九十日と申しましたのは油会社と合わせてでありまして、いま私は九電力が大体二十四、五日分の備蓄を持っておると申し上げましたが、石油会社は原油の形、それから製品にいたしました形、もう一つ、すでにあの辺の地区の船への積み出しを終わりまして、現在日本向けに航行中のもの、これらを合わせますと石油業界といたしましては四十日あるいは四十五日程度のものを計算できる。したがいまして石油会社と私どもと合計いたしますとまず二月は持っているのでありまして、動乱がうんと続けばこれは別でありますけれども基本的にはあの動乱がそんなに長く続くことはあり得ないというふうに考えますと、その辺の備蓄で若干窮屈な、先がどうなるかわかりませんから、先を予想いたしますと窮屈だという感じはいたしますが、現実にはそう影響が起こらないのではないかと思っております。  なお、こういうことに関連して、四十二年度について石炭の増加引き取りについて通産と話し中ではないかという御質問でございましたが、現実に私はそういう事実を承知していないのであります。ただ申し上げられますことは、先ほども申し上げたと存じますが、四十二年の引き取りは二千百万トン、それに別口三十、この二千百万トンの配分でございますが、岡田先生から均平化しようというごもっともな御指摘がございましたが、出水状況その他の関係で均平がなかなか困難でありますので、上期四五%、下期五五%、こういうことで、関係当局の御了解も得て実施しておるのでありますけれども、あいにく今年は六月がたいへんな渇水、そんなこともあり、かたがた、油を二十四、五日持っておりますけれども、動乱の先行き次第では大切にせなければならぬというような配慮もあるのでありまして、上期四五%をこえて引き取らねばならぬということも予想されます。当然考えねばなりませんので、その辺につきましても、実は予算措置が講じられておりませんので、事情を通産省担当局へ申し出いたしました結果、四十二年、上期の四五%をこえた分については、四十二年はもう予算がきまっておりますからとうにもなりませんが、四十三年度——四十二年の下期の五五%分は、これは四十三年度の予算に計上されるよう、当局にも十分御理解いただきまして、大蔵省とお話し合いを進めていただくことになっております。増加引き取りという点につきましては、そういう問題点以上には私は承知いたしておりませんことをお許し願いたいのであります。  話があれこれいたしまして恐縮でありますが、重油の値上げ要請は現在私ども電気事業連合会としては受けていないのであります。ただ、四十二年の下期にどうなるかという点でありますが、これも動乱次第でありまして、動乱が拡大、長期化いたしますと当然影響が予想されます。その際、先般の社長会議でもこの問題が論議されたりでありますが、結論を申し上げますと、上期は心配ない、下期は、動乱次第では影響が予想されないこともないが、もしそういう事態になっても、石油業界がフレートの上がった分をごっそり電力に頼むという、そういう安易な態度は承服できない、油種別に上がりました分を割りつけをいたしまして、電力向けC重油はこういう計算根拠でこの程度の負担増は避けがたいので配慮してほしいという根拠が明確に示されましたら、これは電力事業として断わるというわけにいかない。それにしても、そういう根拠を示されないで、つかみで幾ら、こういうことは困る、こういう話に集約された点も説明を補足させていただきたいと思います。  それから最後に、電発なり共同火力卸売り料金というものは九電力の重専料金の見合いで決定されるようなそういう原価になるような特別な、いろいろな御配慮を賜わりたいと申し上げたこの点につきまして、どの程度の違いがあるかという先生の御質問でございますけれども、これは、私は一般論として申し上げた。現に、電発火力にいたしましても、つくります当時、私どもが約束いたしました値段とはかなり、むろん、情勢がいろいろ変わったという点はございましょうけれども、高くなっているという点もありますし、地点別に——同じ電発火力と申しましても、横浜でつくります場合と、中国その他へ持っていっておつくりになります場合と、発電原価が違いますので、ずばり幾ら、どの程度、重専と電発ないし共同火力との発電原価の値差があるかということは、ちょっと私はよくつかみ得ておりませんので、御回答できないことをお許しいただきたいと思います。
  36. 藤関信彦

    藤関参考人 私に対する御質問は、重油専焼火力電発がつくっております石炭火力との値差はどのくらいあるのかという御質問と、電発が、もし、さらに新たな石炭火力をつくる場合には、具体的に一体何を要求するのか、こういう御質問だと思いますので、そのつもりでお答えさしていただきたいと思います。  重油専焼火力の場合に電力会社がおつくりになっておる場合は、一応金利といいますか、フェアリターンを八分と見まして、安いところは二円四十銭から二円五十銭ぐらいの単価で、八分としてそのくらいでできる見込みにいまなっておるわけです。これに対しまして、私どもが現に磯子なり竹原でつくりましたものは、当初三分八厘程度の資金コストになるように政府の出資を約二百八十億でしたか、つけていただくということでスタートをしたわけでございますが、財政事情窮屈なおりから、現在までお約束していただきました出資金は四十二年度分を含めまして六十五億円、あとは余剰農産物の金が七十七億円、残りが運用部資金ということになりまして、いままでのところの平均資金コストは五分一厘一毛になっております。三分八厘程度考えておったものが五分一厘一毛になっておりますので、この関係だけで十何銭高くなっておるというような事態でございます。しかも、これが磯子の場合と竹原の場合とはキロワットアワーで三十銭違います。と申しますのは、東京近辺の炭は高い。炭代で二十四、五銭違いますし、それから特に磯子の場合は灰捨て場の関係で灰捨て費に非常に金がかかる。そういうことで、地点別に言いますと、三十銭も違う、こういう関係でございます。したがいまして電力会社さんが自前で八分の金でおつくりになっても、二円四、五十銭といういまの重油火力からすれば、あまりにも高いということになりますので、具体的な問題といたしましては、幾らならば電力会社さんで受けていただけるか、また引き受けていただけるであろうコストにするには、政府からそれに必要な出資が十分得られるかどうかという点がポイントでございまして、この辺のところは、現在すでにやっております五台につきましても、当初の約束と非常に違っておるという点で、電力会社さん側には非常に御迷惑をかけておるというのが実情でございますので、この辺の事情をとくと御理解いただいて、もしわれわれがやるとなりますならば、そういうような対策を十分講じていただかなければ電気を受けていただけないという実情にあることを申し上げておきたいと思います。
  37. 田畑金光

    ○田畑委員 わかりました。
  38. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位にごあいさつ申し上げます。  本日は御多用中のところ、本委員会に御出席くだされ、それぞれの立場から石炭需要に関する諸問題について貴重な御意見をお述べいただき、石炭政策立案上非常に参考になりました。厚くお礼を申し上げます。  暫時休憩いたします。    午後一時四十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕