○万
仲参考人 雇用促進事業団の
理事長を仰せつかっております万仲でございます。
私
どものあずかっております
雇用促進事業団の
仕事は、
炭鉱だけではなくて、
一般の
産業に対する
雇用の
促進、
離職者の
援護という
意味合いのことが主でありますが、その中の
一つに
炭鉱の
離職者の
援護という
仕事が含まれておる。
形ではこういうことになっておりますが、沿革的に申し上げますと、私
どもの
事業団ができましたのは三十六年の七月でございます。その一年半ばかり前に
炭鉱離職者の
援護会という特別の
組織ができまして、それを収容いたしました
関係上、いまのように
仕事のうちの一部ということになっております。
雇用促進事業団全体の
仕事といたしましては、
労働省の
外郭団体といたしまして、
職業安定所で
雇用をするという
事柄が決定した
人々に対していろいろの
手当を差し上げたり、あるいは
住宅のない、もしくは困っておる
人々に一時的に
住宅の供与をしたり、また特別な別の
仕事をやろうという人に
職業訓練をしたり、また
中小企業が大
企業と
就職の
条件を同じ
ゅうするための一つの方法として、私
どものほうでレクリエーションのいろいろな
福利施設等をつくりまして、これを
貸与してあげるというような
事柄をやっておるのであります。
本日は
炭鉱関係の
事柄について申し上げるのがお呼びをいただいた
趣旨と存じまするので、その点を特に申し上げたいと存じます。
お
手元に「
炭鉱離職者援護事業の
概要」というのを差し上げておりますが、これは説明を申し上げるのに不十分なような書き方になっております点は恐縮に存じますが、これに従って一応申し上げます。
炭鉱離職者の
援護関係のお
仕事は、三ページにずっと細目を出しております。その
内容が四ページ以下に書いてございます。いろいろこまかいことが書いてありますが、ごく簡単に大局的に申し上げますと、第一番目には、
離職して
就職した人に
移住資金を差しあげる。この
移住資金は第
一種移住資金と第二種
移住資金になっております。もともと私
どもの
事業は
離職をした
人々、特に
炭鉱に関しましては、
炭鉱を
離職した
人々に、
炭鉱の
近所ではなく相当以上の
遠距離で別の
仕事に従事していただくということが
目的でありますので、
移住資金というものを、こういうふうに
旅費とか
家族の
手当というようなものをまぜまして差し上げるということにしたのであります。それが第一種なんでございますが、だんだん
炭鉱の
状況が変わりまして、単に
遠距離のよその
事業に従事するということだけではなくて、ある
炭鉱をやめた人でも別の
炭鉱へ行って
就職していただきたい、またそれを勧奨すべきであるというような
状態ができましたので、その後第二種
移住資金というもの、四ページの下のほうに書いてございますが、これは
移住距離二十キロメートルというのは、あんまり
近所ということでは困るというようなこともありますのでしょうが、ある
距離以上、二十キロ以上の
距離の別の
組織の
炭鉱へ行ってお働きを願いたい、そういう場合にも
移住資金を差し上げます、こういう
制度でございます。
支給の
金額は、第
一種移住資金は
予算的には一人当り約九万円となっております。第二種のほうは
近所でありますのと、必ずしも
近所でなくても、
旅費という点は別といたしまして、ほかにいろいろと同じ
炭鉱へ行かれるというようなことがありますので、実績的には半分
程度になっております。
五ページに入りまして、二番目に
雇用奨励金の
支給というのがございます。
雇用奨励金は、これは
家族を持ってよそへ
就職なさった場合に初めからある
程度の収入がないと困る、しかし雇うほうではおれのところの
仕事に対する能力は初めはそんなにない、そういう
誤差が出た場合にその
誤差に対して国からある
奨励金をあげる、これが
雇用奨励金の
支給の原則でございます。初めは
金額の
誤差というようなかっこうでありましたが、その後改正いたしまして、中ほどに書いてありまするように、
年齢によりまして月額六千円、七千円、八千円というふうに差し上げるようにいたしております。
三番目は再
就職奨励金の
支給、これは御
承知のように
就職手帳を持ちまして約三年間に
就職するというような年限がございますので、早く
就職されるほどこれは両方とも好都合でありますので、早く
就職された方に再
就職の
奨励金を差し上げる。
手帳を得てから一年
未満に
就職された方には
就職促進手当の七十五日分、一年以上一年半までの方には五十日分、それから三十日分というように、早いほどよけい差し上げるという意味の
奨励金であります。
第四番目は、
職業講習の委託、これはいろいろな
意味合いで
地方公共団体に
講習を委託するような場合があります。そういう際に、一人
当たり幾らという
お金を差し上げていろいろなことをおまかせしてお願いするという
やり方でございます。
五番目の
労働者住宅確保奨励金、
支給金額にはいろいろな
条件がございます。四つの種類になっておりますが第一種と申しますのは、
自分の金もしくは
自分で借りた金で
住宅を建てられる場合には、入られる人一人
当たり二分の一の費用を持つというたてまえで、
最高二十万。第二種と申しますのは、私
どもの
事業団で
お金を貸す
制度がございます。あるいは
住宅金融公庫、年金福祉
事業団などから
お金を借りて、それで
労働者住宅を建てられるという
人々につきましては、
最高十万円の
奨励金を差し上げる。第三番目は、
自分の家とかあるいは借り受けた家なんかを改造もしくは増築する、そういう場合には、
家賃は入れませんで、
最高三万円まで差し上げる。第四種というのが、これが
家賃のかわりを差し上げるようなことになります。他人から
住宅を借りた場合に、毎月の
家賃の額に応じまして一ヵ年間だけ、こういう段階をつけて、二千円、三千円、四千円、五千円を差し上げるという、こういう
やり方をいたしております。
八ページにまいりまして、
住宅関係、これは
宿舎となっておりますが、これは
住宅のことであります。
住宅関係につきましては、ここに
移動宿舎の
貸与あるいは
労働者用簡易宿舎の
貸与及び管理と書いてありますが、ここに書いてない
事柄で
一つ大きな、私
どものほうで
移転就職者用宿舎というものの
貸与というものをやっております。これはたまたま
会計が
一般会計で、普通のところになっておりますので、ここのところに書いてありませんが、
炭鉱離職者援護会時代から、
遠距離に行って
住宅に困られる人に対しては、臨時的にお入りなさいということで建て始めたのでありまして、初めは
炭鉱労働者の
離職者用でありましたが、
事業団に合併しましてからは、
一般用にもやりますので、現在は経理的には
一般会計になっておりますので、ここに特にあらわれておりませんが、
住宅公団が建てられますものと
内容的にはほとんど変わりはありません。そういうものを建てまして、一ヵ年間を限度として、その間に
事業主もしくは御当人が特定の
住宅をお求めになる、あるいはお買いになる、その間ここへお入りなさいという
住宅であります。これは最初は
年度に千戸、二千戸というふうにつくっておりましたが、最近は毎年一万戸をつくる
予算をちょうだいしております。すでにこの五月の下旬に三万戸ができ上がって、だれでも入れるようになった
状態のものが三万戸を突破いたしております。五月末現在では三万七百戸ぐらいになっております。もうすでに三万一千以上になったでありましょう。そういう
住宅を
貸与いたします。初めてつくりましたときは、いろいろ
建築費も安いし、いろいろな
関係等もいまほど便利にできておりませんので、二千七、八百円の
家賃、最近は四千円ぐらいの
家賃でお貸ししているというのがございます。その約三万できておりますうちで、
炭鉱離職者かどれだけ入っているかといいますと、四八%、一万五千
ちょっと未満の者が入っております。この
住宅につきましてはよく世間的に問題になりまして、
住宅はつくったけれ
どもちっとも入ってないじゃないかというようなお話がございますが、これは私
どものほうでいろいろと
条件を考えますはかに、むろん
労働省の
安定所でも考えますが、
県当局にもいろいろとお考え願って、そうして県と
労働省と私
どものほうと三つの
意見が合致したところに建てるわけでありますが、たまたまできたあとすぐに人が入らぬというような
状況のところもありまして、現在の実情は、この三万戸のうち、全体的に
比率を求めますと、八五%ちょっと、コンマがつきますが、約八五%入っております。ただ、これはできた翌日のものも入れておりますので、できてから六ヶ月間にだんだん入りますということで、できてから六ヵ月たったものだけを勘定いたしますと九三%、五月末現在では九三%入っております。これは別の面から言いますと、常時一〇〇%、常に入り切りでありますと、新しく
住宅に困った方にここにお入りなさいというのに、その余裕がない。どんどんどんどんつくれるものならいいのですけれ
ども、そうはまいりませんので、理想的に言いますと、逆の意味ではありますけれ
ども、幾らかの余裕がいつもあったほうがいいのですけれ
ども、その幾らかの余裕というものがあまり多くては困る。そこでいろいろ問題になるということでございますが、現在は全体で八五%余り、六ヵ月たったものを勘定しますと九三%すでに入っております。これは移動しますけれ
ども、大体その率が続いているということでございます。それはここに書いてございません。ここに書いてありますのは、貸すのではありますけれ
ども、どこへでも移動できるように組み立て式の
住宅をつくります。そういうものは、最初それをやったのでありますが、だんだんだんだんといまのように
住宅公団と同じようなものを建てるようになりましたので、今日ではそれはほとんど使われないようになっておりますけれ
ども、こしらえたものは千戸ばかりのものを持っております。
それから簡易
宿舎の
貸与というものも、これも一時的にたくさん
離職者が出て
遠距離に行くという場合に、これは五戸もしくは十戸をこしらえて、これは簡単に移動できませんけれ
ども、パイプハウス式のものをつくりました。これも千戸ばかりつくりまして、これは東京の近郊、大阪の近郊、名古屋の近郊などに持っております。これな
どもだんだんそのほうの利用がなくなり、いまの大きなほうの
住宅公団と同じようなものを利用するということのほうが多くなってまいっております。
それから今度は、
炭鉱離職者の
職業訓練であります。
職業訓練は、私
どものほうでは総合
職業訓練所と申しまして、原則的には二年間訓練をする。
職業訓練所を現在各都道府県に
一つは必ず持っております。
二つ、三つあるところもありまして、ことしの四月現在、五月でもようございますが、六十三カ所持っておる。そこのうちの
炭鉱地方に
関係のあるところ、たとえば岩見沢であるとかあるいは荒尾であるとかあるいは内郷であるとか小野田であるとかというようなところは、主として
炭鉱の
離職者を収容するという
やり方をいたしております。それに対して、九ページですが、所内訓練とかあるいは県もしくは
事業所に委託して訓練するという場合もございます。
その場合に、訓練
関係のいろいろな
手当を出します。その
手当も一〇ページ、一一ページに書いてございます。
それから十番目は、一二ページの下のほうに
職業訓練宿泊
施設の管理、これもこういうような
炭鉱関係の特殊なところには
炭鉱関係独自の
住宅をつくって、そこに
炭鉱離職者に入っていただいておるというようなこともやっておりますわけでございます。
それから最後の一三ページでありますが、簡易生活補導
施設の運営及び
炭鉱離職者の
家族の生活指導、これは若い子供さんたちの悪化するのを防ぐためにも、福岡県で三ヵ所ばかりつくっておりますが、そのほか
家族の女の方にいろいろな指導をするとか、あるいは裁縫その他を教えるとかというようなレクリエーション的なものもまぜまして、福岡県では香春にもつくっております。ここには四つ書いてあります。
そのほかには、最近この七月から始めようと思いますのに、開業
資金の債務保証ということを新たにやろうと考えております。また自営で商売その他をおやりになる場合には、その支度金を
支給する。開業
資金の債務保証というのは、原則的には百万円まで確かな
方々に対してはお貸しする。場合によってはそれ以上になる場合も必要なときには考えるというようなことになっております。
きわめて簡単に、しかもあちこちはしょりましたが、一応御説明申し上げました。
御質問に応じてまたお答えしたいと存じております。