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1967-06-15 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十五日(木曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 中川 俊思君    理事 西岡 武夫君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君    理事 池田 禎治君       齋藤 邦吉君    進藤 一馬君       菅波  茂君    井手 以誠君       木原津與志君    中村 重光君       田畑 金光君    大橋 敏雄君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    中川理一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君         通商産業大臣官         房参事官    荒玉 義人君         通商産業大臣官         房総合エネル         ギー政策課長  田中 芳秋君         通商産業省石炭         局調整課長   千頭 清之君     ————————————— 六月十五日  委員細谷治嘉辞任につき、その補欠として中  村重光君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村重光辞任につき、その補欠として細  谷治嘉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二二号)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  石炭対策基本施策に関連する諸問題について、石炭関係事業団等関係者参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人出頭日時、人選等決定につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  6. 岡田利春

    岡田(利)委員 今回の石炭政策抜本策の中で、特に掘進補助金の新しい制度が打ち出されたわけです。この内容は、起業坑道の場合には四割、沿層の場合には三割の補助ということで予算が計上されておるわけですが、この具体的な支給の基準についてはほぼ煮詰まっておるかどうか、まずお伺いしたいわけです。
  7. 井上亮

    井上(亮)政府委員 坑道進補助の問題につきましては、ただいまおっしゃいましたように、起業坑道基幹坑道につきましては大体四割の補助、それから営業坑道につきましては三割補助ということにいたしておりまして、基準というよりも計算方法については、もう御承知のように、特に営業坑道につきましては昨年の補正予算で一部予算をいただきましてすでに実施いたしておるわけでございますから、これについてはもうはっきりしておるわけであります。今回営業坑道主要坑道についてさらに新しい制度を設けたわけであります。これの基準につきましてはもうほとんどできておるというのが実情であります。内容といたしましては、実際にまず起業坑道、これは営業坑道についても同じでありますが、現実の掘進の内容実態から各社にその費用の総額を出していただきまして、それの三分の二の四割、三分の二の三割というようなことで補助金交付いたしたいというように考えております。
  8. 岡田利春

    岡田(利)委員 この掘進補助金支出は一応実績主義をとっておるわけですが、これは上期、下期に分けて出すものか、あるいはまた四半期ごとに出すという考え方か、この面、いまどういう考えを持っておられるか承りたいと思います。
  9. 井上亮

    井上(亮)政府委員 四半期ごとというのはちょっとあまり繁雑に過ぎますので、年に二回に分けて交付いたしたいというふうに考えております。
  10. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般の委員会でも問題になっておるわけですが、最近の石炭企業金融の状況は非常に困難な状態にあるということは参考人からも言われておりますし、また政府当局もこれは認めておるわけです。そこでもしこれを上期、下期の二期に分けて掘進補助金を出すという場合には、特に融資体制について、この掘進補助金引き当てとしての体制というものがとれるかどうか、融資についてそういう積極的な考え方を展開していく意思があるのかどうか、そういう点については、別にこれは関係はないという立場政府考えられておるのか、いずれかお伺いしたいと思います。
  11. 井上亮

    井上(亮)政府委員 坑道進補助につきましては、補助は国の補助金交付になりますが、これだけで坑道掘進について企業の側から見て十分な体制にはならぬわけでございまして、さらに必要な金額につきましては開銀資金の協調にこれを仰がなければいかぬわけでございますので、開銀融資補助体制というものをやはり一貫して脈絡のある打ち合わせを行なった上で双方の——私のほうのは機械的に実績に基づいて出てくるわけでありますが、それと同時に、さらに追加的に融資で補う面については開銀打ち合わせをして交付いたしたいというふうに考えております。
  12. 岡田利春

    岡田(利)委員 今度の安定補給金の場合には、中小炭鉱再建炭鉱に対して安定補給金が出される。しかし、この場合当然掘進補助金については、その掘進計画に基づいて掘進補助金支出対象になると思うのです。そういたしますと、中小炭鉱で非常に経営がよろしい、黒字経営を続けているというところも八十五炭鉱のうちにはあるわけです。これには安定補助金も出る、それから掘進補助金も出るということになるわけですね。そうしますと、中小炭鉱では相当アンバランスが出るのではないか、こう思うのですが、その点についてはどうですか。
  13. 井上亮

    井上(亮)政府委員 アンバランスという面も、安定補給金につきましては、これは先生も御承知のように、私どものいまの考え方としましては、中小規模以下のいわゆる零細炭鉱、これについてはできるだけ経理内容を調べないで一律交付をいたしたい。これは実際問題として、この零細炭鉱につきましては事務的に経理実態を完全に把握して交付するのはむずかしい。しかし、概括的に一般論的には零細炭鉱は非常に経営が苦しいということは言えますので、見せかけで確かに黒字を出している経営も相当あろうと思いますけれども、しかし、今後の労務者定着政策というようなことになりますと、やはり賃金を今後上げていかなければならぬというような必要性もありましょうから、現に黒字であっても零細炭鉱については調査のむずかしさということに加えて、一般的にそういう事情もあるということを勘案して、できるだけ一律に交付したいというふうに考えております。しかし、一がいに中小炭鉱といいましても大手炭鉱とあまり変わらない相当大規模なものもありますが、そういった零細炭鉱でない企業につきましては、やはり補助金交付原則に戻りまして、これはやはり経理内容等も考慮の上に安定補給金を出していきたいというような考え方をしております。  それから、坑道進補助につきましては、やはり坑道掘進の実態に照らして交付していくわけでございますから、概括的に申しますと、中小炭鉱については、いわゆる大規模起業坑道といいますか、主要坑道というようなものは比較的薄いわけでございますので、どちらかというと、中小炭鉱については沿層坑道といいますか、営業坑道が主体になるのではないかというふうに考えております。
  14. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうすると、いまの局長答弁ですと、経営内容がいい中小炭鉱の場合には安定補給金を出さない場合もある、こういう意味ですか。
  15. 井上亮

    井上(亮)政府委員 中小炭鉱の定義によるわけでございますが、いま私の考えておりますのは、零細炭鉱と言いましたが、これは五十万トン以下の出炭量を一応私ども零細炭鉱考えまして、年間の出炭規模五十万トン以上の企業につきましては、やはり補助金交付原則に照らしまして経理内容等も調べまして、若干の収益は盛り込むべきだというふうに思いますが、著しく高収益をあげているという場合には交付対象としては問題があるのではないかというふうに考えております。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、局長がいまのような答弁をされるということは、五十万トン以下の中小炭鉱で著しい高収益をあげておる炭鉱があるという認識に立たれておるわけですか。
  17. 井上亮

    井上(亮)政府委員 五十万トン以上については、私どものいまの調査では、そう何社もございませんで三社程度しかございません。この実態は、まあまあ経営を続けておるという程度で、著しい高収益ではございません。したがって、私の見通しでは、おそらく交付対象になり得るのではないかと思いますが、これはまだもう少し調べてみないと何とも言えぬわけであります。それから以下の炭鉱については、先ほど申しましたような趣旨で、これはまだ関係官庁とも完全に打ち合わせが済んでおりませんが、私の気持ちとしては、できるだけ一律交付いたしたいというふうに考えております。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 私どもは、中小炭鉱に対しては一律交付するという理解に立っておったわけですが、著しく高収益ということは、具体的な基準というものが非常にめんどうになってくるわけです。石炭局経営見方というのは、大体償却費あるいはまた法定引き当て金あるいは積み立て金というものが、法定限度内に満ぱいに詰まって引き当てもされておるし、減価償却もなされておる、その上に立って、いわゆる黒字が大幅に出る、たとえば、一割配当以上のそういう体制になった場合に高収益というのか、その考え方が今後非常に大切だと思うわけです。特に中小炭鉱の場合には、労働賃金を非常に安い水準に押えてきておるわけです。そういう相対的な関連があるわけです。もう少し具体的に言えば、この安定補給金交付対象にならない経営内容のよさといいますか、収益をあげておる経理内容はどういうことを一応想定して局長は言われておるのか、伺っておきたいと思います。
  19. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま岡田先生からお話がありましたように、私ども経理見方は、単に見せかけだけの公表損益的な見方ではなくて、やはり健全な企業のあり方ということを想定して収益があるかないかというふうに判断いたしたいというふうに考えまして、現実損益等につきましては、ただいまおっしゃいますように、実質面を考慮して判断を加えたいというふうに考えております。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 起業坑道掘進の補助の場合には、一応四割となっておるわけですが、メートル当たりにして最高限度があるかどうか、これはいかがですか。
  21. 井上亮

    井上(亮)政府委員 メートル当たり単価につきましては、ただいま大蔵省と話し合い中でございまして、できるだけ早くきめたいと思っております。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 単価がきまる場合、日本の各炭鉱主要坑道費用というものはほぼ想定はつくわけですね。しかし、四割補助するという場合に、一応の限度額があれば、その基準を越す場合については四割補助にならないということになるのではないか、それともいかなる立米の坑道であっても、あくまでも四割なら基準単価の四割の補助を貫いていく考え方なのか、この点についてお伺いしたいわけです。
  23. 井上亮

    井上(亮)政府委員 これは役所の事務でございますから、やはり標準単価というようなものを想定せざるを得ないということから、頭打ちというと語弊がありますけれども、私は、できるだけそこに山の実態に応じた幅を持たしたいというふうに考えますけれども、その場合にでもやはり幾つかのグループに分けた標準炭価というようなものが設定されるのではないかというふうに考えております。そういう意味合いでは、先生おっしゃったように例外的といいますか、には頭打ちというようなこともあろうかと思います。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは起業坑道の場合と営業坑道といいますか、この場合では相当補助の意義が違ってくるのではないか、私はこういう気がするわけです。たとえば起業坑道の場合には、これは開発計画に基づいて基幹坑道の展開ということになってまいるわけですね。その次に炭鉱生産規模あるいは立地条件、あらゆる面からこの程度坑道規模は必要である、こういう展望に立って坑道の掘さく規格というものが決定されてくるわけです。営業のような場合には、これはいろいろな意味を持ってまいりますから、長期的な展望に立っての骨格が組まれていくという意味では相当違いが出てくると私は思うのです。したがって、むしろ起業坑道の場合には限度額をつけること自体がどうも坑道の性格からいっておかしいのではないか。しかし営業関係坑道については、これはある程度規制をされてきても当然ではないか、そういう措置をとられることがいいのではないか、私はこう思うのですが、しかし起業坑道の場合には、いろいろな、相当大型の場合も予悪されるわけですから、四割なら四割しか補助対象にしないということになってしまうならば、本旨にもとってくるのではないか、私はこういう気がするのですが、いかがですか。
  25. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ごもっともな御意見だと思いますけれども坑内でも各企業それぞれ御承知のように自然条件もみな違いますし、坑道掘進の態様も非常に千差万別といっていいかと存じますけれども、その一々につきまして完全に掘進の実態を把握するということも、国の業務としてはなかなかむずかしいわけでございますので、その実績といいますか、実態につきましては、企業の報告といいますか、提出されました資料をもとにいたしまして、もちろん監査等もいたして決定したい。  その場合に、岡田先生のおっしゃるのは理論的には私も精緻な御意見だと思いますので、できるだけそれに近づけるように標準炭価というものをつくるように努力したい、というふうに考えております。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 この坑道進補助金というのは、坑道掘進に対して補助するわけですが、石炭政策の全般的な立場からいえば、単に坑道掘進の補助金であるという考え方だけに終始する点については、無理があるのではないか、こう私は思うわけです。それは、安定補給金を出す、こういう答申がなされた。これを受けて特に坑道進補助金という、新しい答申にない政策に移り変わってきたわけですね。ですから坑道進補助金思想の中には安定補給金的な思想が入っているのか入ってないのか、これはどうお考えですか。
  27. 井上亮

    井上(亮)政府委員 その点は岡田先生ちょっと御認識いただきたいと思いますが、答申によりますと、答申の中でやはり坑道進補助の問題は大きくうたっておるわけでございます。答申の中にはまず坑内近代化を進めるというような前向きの政策を大きく取り上げる必要がある。そのためにはやはりその中核としての助成施策として、炭層探査及び坑道掘進についての国の補助助成制度を拡大強化するということばが答申の中にうたわれているわけでございます。今回の坑道掘進につきましての補助制度は、やはり答申に基づきまして制度をつくったわけでございます。  安定補給金は、肩がわりをしましても、あるいはそういった助成措置を講じましても、なお安定を期しがたい場合には、あわせて安定補給金交付するというようなことになっておりますので、直接安定補給金のかわりに坑道進補助をやったという考え方はございません。それをしてもなお経営としてなかなか困難だ、その場合にはあわせて安定補給金を出す、こういう思想でございます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうすると、坑道進補助金というのは、あくまでも炭鉱近代化合理化を促進をしていく、そうして骨格坑道というものを合理化していく、こういう純粋な立場に立って、この答申の面を受けて、政策としてこれは出したんだ、こういう理解でいいわけですね。
  29. 井上亮

    井上(亮)政府委員 そのとおりでございます。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、今度の石炭答申の中で特に議論になった、全般的に各社に対して安定補給金を出すべきではないか、こういう議論というものは一応たな上げになっておる、こういう理解でよろしいわけですか。
  31. 井上亮

    井上(亮)政府委員 答申閣議決定の線では、御指摘のように安定補給金は、肩がわりをしても、あるいはこういった助成策をしてもなお安定が期しがたい場合には、安定補給金トン当たり百円程度支出する必要があるという趣旨でございますから、したがいまして本年度予算におきまして、安定補給金再建企業中小炭鉱というふうにいたしましたのは、まあ答申の線からしますと、答申の目一ぱい見たわけではございません。その点はお説のとおりでございます。ただしかし、政府といたしましては、本年度におきましてはその程度石炭鉱業はやれるんじゃないかというような見通しから、安定補給金については範囲を御承知のような点にいたしたわけでございます。
  32. 岡田利春

    岡田(利)委員 今度の合理化法改正の中で、いままでの石炭運賃延納については、これは取りやめることになったわけです。これはトン当たり幾らですか。それと、特に内陸に入れば入るほど運賃トン当たりのあれが変わってまいるわですが、その点の最高といいますか、平均だけではなくて、実情についても若干承りたいのです。
  33. 井上亮

    井上(亮)政府委員 運賃延納トン当たり影響でございますが、トン当たりは、四十一年度分として六十一円程度でございます。それからなお三十六年度にやはり運賃の値上がりがありまして、これも半額延納ということをいたしました。これは大体三十円程度でございます。
  34. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまのは全国、平均ですね。
  35. 井上亮

    井上(亮)政府委員 そのとおりでございます。
  36. 岡田利春

    岡田(利)委員 北空知の場合は幾らですか。北空知から室蘭もしくは苫小牧の場合は幾らでありますか。
  37. 千頭清之

    ○千頭説明員 山別には資料を持っておりませんので、会社別に申し上げますが、たとえば北炭につきましてはトン当たり百三円、住友の場合につきましては百四円でございます。
  38. 岡田利春

    岡田(利)委員 結局、特に北空知の場合の延納措置が今度は一応打ち切られたということによる、コストに対するはね返りというものは非常に大きいわけですね。これに加えて炭鉱労働者の年金の負担がある。さらにまた賃金もございましょうし、また合理化事業団に対する納付金引き当てという面もあるわけですね。私は、そういう意味において、まあトン当たり六十円というけれども、実際には、北空知の場合のように百円をこすという面が出てまいりますので、この点特に私どもとして今後の石炭政策を具体化する問題点として十分ひとつ記憶にとめておかなければならぬ問題ではないか、かように実は考えるわけです。  そこで、合理化臨時措置法改正点の第四点の質問に移りたいと思うのですが、これに、新たにきめられました再建資金貸し付け、これはもう予算ワクがきまっているわけですね。しかし、従来はもちろん財投でやっておりましたから、そのつど再建資金というものの貸し付けが行なわれた。今回無利子になったけれども予算で、もう明確に計上されておるわけですから、非常に弾力性を欠くのではないか、こう判断せざるを得ないわけなんですが、一応今年度予算はいずれの企業に対して再建資金を出すという前提で予算を組まれたのですか。
  39. 井上亮

    井上(亮)政府委員 本年度予算は、先生も御承知のように一応特別会計におきまして五億を計上いたしておるわけでございますが、実は、要求はもうちょっと多かったわけでございまして、ですから、査定されました五億の内訳につきましては今後検討していかなければならぬ。私ども要求といたしましては、再建会社が現在四社あり、それから近く一社再建会社に追加される予定があるわけでございます。その再建五社のうち、三社を一応考え予算要求を出したわけでございますが、私ども予算要求に対しまして査定されておりますこの配分については、さらに現実と照らし合わせて検討いたしたい。なお、足りない場合には、私は補正予算の必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  40. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは非常に大事なことなんですよ。先般総理にも質問したわけですが、いま手を打たなければ——いま手を打てば何とか助かる。しかし、一歩対策の時期がおくれてしまうと、残念ながら中途はんぱなために再建ができないということになるわけですね。企業は生きものですから、刻々情勢も変わってくるわけです。しかし、予算ワクはきめられておる。もちろん補正予算を組むという方法もありますけれども、そういう弾力的な企業に対する対応策をとるためにはどうしても金融面でききえておく、こういうことが私は必要じゃないかと思うのです。再建資金対象になるのは普通の金融ベースには乗らないわけですね。なかなか金を貸さないわけです。ですから、相当努力してみてもなかなか一般金融べースには乗らないということで、結果的にこの再建資金を出すまでのききえというものがとれずにあきらめてしまわなければならないということになるのが落ちではないかと私は思うのです。こういう問題については、一体どう対処されていく考えですか。
  41. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お説のように、再建資金についてはやはり必要に応じて配慮していかなければならぬ面があるわけでございます。特に再建資金交付します場合には、相当大きな炭量があり、また多数の労務者をかかえておられるというような、いわゆる相当な地域社会への影響の甚大な企業が、何らかの事由によりまして非常に窮境におちいった。これに対しまして、立ち上がり資金を供給しないとなかなかこれは経営を継続できない。しかし、立ち上がり資金交付することによって立ち直る見通しがあるというような場合にこの再建資金融資をいたすわけでございますけれども、そういった事態というものは非常に緊急を要する問題であり、かつまた、いつどういう事態が起こらぬとも限らぬという意味からいたしますと、先生おっしゃったように弾力的な配慮が必要になると思います。  ところで、予算につきましては五億を計上いたしておりますが、私どもとしましては石炭特別会計予算全体の中で——予算というものはそう流動的であってはならぬ、やはり政府としての方針できめておりますので、簡単に動かすわけにまいりませんけれども、私は少なくともこの再建資金につきましては、先生おっしゃるような弾力的な配慮が必要だろうというふうに考えておりますので、これにつきましてはそういう必要な事態が起きましたときには当然のことでございますが、また法律の規定にもありますが、再建を執行いたしますときには、合理化法によりまして石炭鉱業審議会の議を経て再建資金支出すべきだということになっておりますので、この審議会中立委員をもって構成いたします経理審査会におきまして十分審査をして、出すべきだということになれば、私は必要な資金をこれは予算追加要求をいたしたい。で、具体的なやり方としましては、予算臨時国会か何かなければとれないわけでございますが、特に審議会のほうで再建資金交付が必要だという結論が出れば、大蔵省とも打ち合わせをいたしまして、必要な額をおよそ事務的には見通しをつけ、そうしてそれにつきましてはつなぎを考えるというようなやり方をいたしたいというふうに考えております。
  42. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、特に今年度石炭特別会計予算の中で、この面が非常に——なるほど利率を無利子として新しい制度を設けたわけですけれども、実際に運用上は実情に合わない面が出てくるのではないか、むしろこれは財投再建資金をやって利子補給をする、そういうような形であれば、ある程度弾力的に私は運用されると思うんですね。ところがこういうぐあいに、確かに前進はしておるのだけれども予算に計上してしまいますと弾力性を欠いてしまう。しかし再建資金の性格上からいえば、どうしてもそういう弾力的な取り扱いが必要である、こう言わざるを得ないわけですね。これはどうですか、そういう方向に改めたほうがいいんではないですか。
  43. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ごもっともな御意見ではございますけれども、この再建資金融資の原資を財投融資にするか一般会計からの融資にするかというような点につきましては、これは多年にわたってこの再建資金制度ができて以来、絶えず私ども政府部内においても検討いたしましたし、審議会の中でも検討したわけでございますが、その結論として、財投ではなくしてやはり一般会計といいますか、特別会計——国の財政をもって貸し付けるのが適当だという結論になったわけですが、その大きな理由としましては、財投ではもはや融資を受け入れないという実態があるわけでございます。財投融資ということになりますと、これは必ず期限がさましたら政府に返さざるを得ない。これは郵便貯金からの金でございますので、この返済につきましては相当厳格な条件が付せられております。ところが石炭鉱業の今日の実情から見ますと、やはりそう簡単に返済できない場合もございます。できればよろしいんですが……。最近の石炭鉱業実態財投融資にふさわしくなくなっておりますので、むしろ国の特別会計から融資するというほうが現実的だというようなことから、そういたしたわけでございます。
  44. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度の場合には石炭答申が行なわれて、石炭政策というものが二年近くずれたわけです。ですから、大体あの社とあの社とこれは再建資金対象になると一応想定できたから、予算を組めたわけです。しかし今後はなかなかそういかないのではないかと思う。特に災害があった、そのために思わぬ深手を負って、どうしても立ち上がり資金が必要であるという事態も、特に炭鉱の災害状況から考えればあり得るわけですね。不意に出てくるわけです。そうすると、それに対して、機動的に対策が立たないわけなんです。しかもほかではまして金を貸すところはないわけですから、私はそういう意味で、今年は予算がすでに決定されましたけれども、ひとつくふうをすべき点ではないかと思うのですが、いかがですか。
  45. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お説はよくわかるわけでございますが、やはり財投資金融資する場合と、特別会計資金融資する場合では、財投資金融資する場合には、政府資金はルーズに調べるということはないわけでございますけれども、やはり返済ということが財投の場合には特にこれは郵便貯金が原資になりますので、非常に強い制約条件になろうと思います。一般会計のほうはどうしても返済できないという場合には、返済猶予、しばらく返済を猶予するということもできやすいわけでございますが、財投の場合には、やはり返済というのは絶対要件だということになりますので、むしろ石炭鉱業の今日の実情、あるいは先生おっしゃいますように、非常緊急事態というような場合、それはあり得るかとも思いますけれども、そういうような場合にも、かえって特別会計からのこういう基金、再建資金というようなものから出すほうがより実態にふさわしいのではないかという考え方です。  ただ先生おっしゃいますように、しかし緊急事態があるじゃないかということに対しましては、私はほかの会計は別としまして、再建資金についてはそういう性格がありますので、それにつきましては、これに限っては、と言ったほうがいいのかもしれませんが、私は相当思い切った弾力的な運用が必要ではないかというふうに考えておりますので、そのように配慮してまいりたいというふうに考えております。
  46. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭特別会計に相当額の予備費があって、特にそういう緊急事態が発生した場合に、それが流用できるというような予算の組み方であれば、弾力的にある程度できると思うのです。しかし来年度考えれば、これは想定される企業に対して再建資金交付するということで、一応予算を計上すると思うのです。積算基礎がなくては予算は出てこないと思うのです。再建資金を、握り金方式で予算に計上することは私は不可能だと思うのです。しかし事実問題としては、杵島あるいはまた北海道の日曹炭鉱のほうに災害が起きた。そのために再建資金が必要である。こういう事態が災害と必ずついてこれから出てくる。ぎりぎりの限界で経営をしておるわけですから……。そこで大きな出水あるいは坑内爆発があるというような場合には、どうしても機動的に再建資金立ち上がり資金というものを出さなければ、とてもその山の再建というものは期すことができない。補正予算で組んでも、これは時期によっては半年も一年もずれてしまうわけです。こういう点について、特にいまここでなかなか結論が出ないでしょうけれども、ひとつの問題提起として、石炭特別会計のあり方、特に再建資金の問題について問題を提起しておきますので、十分ひとつ検討を願いたいと思います。  次に、本法改正の中で特に触れられておる点で、鉱区の問題が実は出ているわけです。これは規制を伴わない鉱区の調整というものは、相当思い切って進めていくのだということがし、しばしば大臣からも答弁されておるわけです。当面五年ないし六年あるいは十年以内の鉱区調整については、ほぼ業界も協力体制ができてきたと思うわけです。しかしその鉱区調整で評価される価額、この面にどうも問題点があるのではないか。言うならばトン当たり百円以上の鉱区料を払うということは、その企業の負担にとっては相当な重荷になるのではないか。私はそういう意味において、もちろん鉱区の評価はいろいろあるでしょうけれども、国もこれだけの政策を出しておるわけですから、この面については一定基準というものをつくるべきだ。その基準になるものを、大体現在租鉱炭鉱の場合には租鉱料を払っているわけですね。それ以内でなければ基準としてはいけないのではないか、こう私は判断するわけですが、鉱区調整の行政指導をされる場合、Aという会社とBという会社で鉱区買収の価額が協定されるわけですが、この面についてはどういう考えで指導されておるか伺っておきたいと思います。
  47. 井上亮

    井上(亮)政府委員 鉱区調整の問題につきましては、しばしば申し上げておりますように、今後私どもは、積極的に国としてもあっせんに乗り出したいというように考えております。  それから最近鉱区調整は非常に順調に進んできている面もあることは御指摘のとおりでございまして、特に大手間の鉱区調整、これは最近になりますと、従来に比べますと相当な進展を見せております。昨年に例をとりましても、七事案のうち四事案につきましては解決を見た。なお三事案残っておりますが、三事業につきましても、三事業のうち二事案はほとんどいま解決に近いというような現状でございまして、進んでいることは御指摘のとおりでございますが、ただいまさらにこれを将来円滑に調整するための何か増価の基準が必要ではないかというようなお話でございますが、この点につきましては、確かに租鉱料収入ということも私は一つの価額決定、仲裁裁定いたしますときの参考になろうと思います。しかし単に租鉱料収入だけでなしに、最近の事例では消滅鉱区、いろいろこの消滅鉱区との鉱区調整というような場合もあります。そういう場合には国が、消滅鉱区を事業団が一応買収しまして、それから譲渡するというような場合がありますが、その場合にはやはり国の交付金、閉山に際しての交付交付というような問題もありますので、そういった金額も一応やはり参考にすべきだというふうに考えております。  ですからお説の点は、消滅鉱区や何かがない場合には一つの基準の基本的な考え方になろうと思いますが、特に中小炭鉱等につきましては、特に本法に関係いたします消滅鉱区との調整等につきましては、ただいま申しましたような考え方もやはり加味して考慮して決定せざるを得ないというふうに考えております。
  48. 岡田利春

    岡田(利)委員 いままでの鉱区調整で協定された価額は、トン当たりにしてどういう水準になっていますか。
  49. 井上亮

    井上(亮)政府委員 従来の例といたしましては、トン当たり価格につきましては非常に安いところは三円程度、それから非常に高いところは、上限的なところですが、二百五十円程度、こういう実績が出ております。平均的に見ますと大体五十円から七十円程度というのが現在の例のようでございます。たとえば昨年三井砂川、北炭空知との間で鉱区調整いたしましたが、これはどっちかというと後者の金額できまっておるようでございます。
  50. 岡田利春

    岡田(利)委員 合理化法で歴史的に鉱区調整協議会があって、それが改組されて、いま大体、審議会のほうに調整問題については、移ったような感じがあるわけなんですが、私はやはり石炭鉱業というもの長期的に安定させるという場合に、もうすでに開坑されておる坑口を中心とする最終採掘可能フィールドというものはおのずから決定されてくるわけですから、そこまでの鉱区調整はしなければならないわけですね。これはすべきだと思うのですね。積極的にまた業界もみずからこれに対しては協力しなければならないと思います。そうした場合に、いまの機能では不十分ではないか。私はそこで一足飛びに強制力を持つ機能を持てとは言いませんけれども、少なくともいまの審議会でやっておられる方法では不十分ではないか。やはり専門機関をつくって、とにかく一定期間を定めて現状坑口当たりの最終採掘可能フィールドを決定する、こういう前提を置いて作業できる機能を持った鉱区調整機関というものがどうしても必要である、こう思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
  51. 井上亮

    井上(亮)政府委員 鉱区調整につきましては、現行法でも相当きつい規定がありまして、まず当事者間で話し合いをすることになりますけれども、話し合いがつかない場合には国が仲裁裁定をできるというような規定があるわけでございますが、法体系といたしましては、相当きつい最終決定ができる体制があるわけであります。したがいまして、それ以上強いことは要らないと思います。  要は、やはり国があっせんに乗り出し、あるいは裁定をするというような場合にも、これはできるだけ当事者間との話し合いを十分遂げまして、円満に処理したいということのために時間がかかるというのが例でございましたわけでございますが、最近は大手炭鉱におきましても、この鉱区調整につきましては原則的に非常に積極的な気持ちになっておりますので、今後は先ほど申しましたような国の最終裁定権というようなもの一応持ちながら、あっせんいたします場合には、大体において鉱区調整はできるのじゃないかというふうに考えております。また、私どもも積極的にやっていきたいというふうに考えております。
  52. 岡田利春

    岡田(利)委員 局長がそう言われるのは筋なんですよ。しかし実情はそうではないのです。これはいますぐどうしても再建整備計画を出す。その場合に鉱区調整が必要であるというものについては話が持たれ、ある程度解決もされるわけです。しかし、鉱区調整を言い出す側と受ける側では、言い出したほうは、積極的に言い出すということは値段が高くなる、こういう側面を一つは持っているわけですよ。それからまた、すぐにこの鉱区調整に対して資金岳必要とするわけですね。そうすると、再建整備計画を出す期間内に必要な鉱区については希望を出しますけれども、しかしそれ以降の長期的な鉱区調整については、なかなか希望も出さなければ言い出しもしないというのが、私は実態だと思うのです。ですから、むしろ申告主義といいますか、長期的に、二十年なら二十年、三十年なら三十年、その坑口の最終採掘可能フィールドというものをそれぞれの炭鉱帯にきめなきい。そこで、鉱区調整が必要なものは全部出しなさい。何かそういう強力な指導があれば、やはり最終採掘可能のフィールド内にある鉱区調整問題については、各企業も出すと思うのですよ。それが九州なり北海道なり炭田別にいろいろ出てまいるわけですから、各社間の調整というものは大体大口でまずできる。それから具体的に今度は調整をしなければならぬところも出てくる、こう私はなってくると思うのですね。これをやらなければ、われわれが石炭特別委員会で長年主張している鉱区調整ということは達成されないですよ。これはやる意思がありますか。
  53. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お説のとおりだと思います。私どもとしましては、ただいま再建整備計画を受け、あるいは再建整備計画を受けない企業につきましては長期計画という名前で、長期の計画の提出を求めておるわけでございますが、この際、各企業に申しておりますのは、今後鉱区調整につきましては、国としても積極的に鉱区調整を行ないたいというような趣旨から、相手方と話がついている案件でなくても、希望であっても、一応それを記載して長期計画を提出してもらいたいというような指導を行なっておりまして、まさに岡田先生ただいまおっしゃいましたような方針で企業に呼びかけておるわけでございます。そうなりますと、今度は話のまだあまり進んでいない鉱区調整の問題もペイされてくるわけでございますが、私どもそういった問題については、先ほど先生もお触れになりました審議会の鉱区調整部会で議題にいたしまして、これをどう扱うかというようなことを検討いたしまして、長期計画の中に反映さしていきたいということを考えております。
  54. 岡田利春

    岡田(利)委員 この炭鉱の坑口当たりの最終可能フィールドを決定するのだ、この思想が貫かれていないと鉱区調整というものは中途はんぱである。ですから長期安定のためにはどうしても最終可能フィールドを決定する、その中にある鉱区の調整をどうしてもやるのだ、特にこの問題を提起してずっといままで議論もされてきておりますので、強く要望しておきたいと思うのです。それともう一つは、新鉱開発制度がとられておりますけれども、いま日本の炭鉱というのは非常に外国と違って急傾斜もあれば緩傾斜もあり、摺曲作用も非常に激しい炭層状態にあるわけです。そういう面から判断いたしますと、既存の炭鉱の若返りということが非常に必要なわけです。しかも実際若返りをやりたいということで設計をしてみたところが、この若返りをすることによってペイしない。それだけの新しい坑道ができるということになれば、炭鉱は若返ることがわかっているのだけれども、それをやると実際採算に合わないということで残念ながらあきらめざるを得ない、こういう状態のところが有力炭鉱でもあるわけです。私の知っているところでも二、三あるわけです。これをもし若返りをきして長期的にこの埋蔵炭量を効率的に採掘するということになれば、どうしても若返りを断行しなければならないわけです。そういう新しい坑道の展開というものは、今度の新しい掘進補助金だけでは解決しないわけです。それにはどうしても新鉱開発と同じような考え方に立ってやらないと、実際問題としてやればいいことがわかっていても手がつかないというのが実情だと思うのです。特に私はこれをやらなければ、普通一般に考えてこの炭鉱はだいじょうぶだろうといわれている炭鉱でもライフが極端に短縮されて、縮小整理段階に近いうちに入っていかなければならないところが出てくるのではないか、残念ながらそういう個別の山の名前を私は申し上げることはできませんけれども、そういう点について議論がされたということがあるかどうか、またそういう点について要望が出たことがあるかどうかという点についてひとつ承っておきたいのです。
  55. 井上亮

    井上(亮)政府委員 新鉱開発につきましては、御承知のように特別会計の中で本年度も十億ばかり予算を計上しているわけであります。これは主として原料炭の開発ということに重点を移行しておりまして、御承知のように北海道の大夕張、九州の有明、この二社の大規模な原料炭の開発について特別の融資をするという体制をとっておるわけでございます。ただいま申し上げましたのは新規地区についての文字どおりの新鉱開発でございますが、それ以外でもいわゆるビルド鉱といわれるような山につきまして、新鉱開発と同然の開発の必要も御指摘のようにあろうかと思います。これらにつきましては岡田先生も御指摘がありましたが、当然坑道進補助というものが対象になるわけでございます。特に新鉱開発同然の坑区の増強といいますか、これは当然に対象になるわけでございますが、そのほかにも純然たる新鉱開発もそうですか、坑区の増血といいますか、ビルドのための増血というような新鉱開発同然の開発もほかにあるわけでございます。こういった点について、国といたしましては、やはり炭量調査が非常にむずかしいために、なかなかそういうビルドの計画を進めていけないという例があると思います。この炭量調査については、今日の石炭鉱業の現状から、なかなか積極的に国の費用を使ってやっていくというだけの余裕がございませんので、炭層探査とか、あるいは鉱量調査というような点について、国が補助、助成するというようなことで、いわゆるビルドの鉱量増大のための開発といったようなものについても、助成を加えておるわけでございます。なお実情によりまして、必要があれば、私どももう少し知恵を出してもいいというふうに考えております。
  56. 岡田利春

    岡田(利)委員 長期的に石炭産業が安定するためには、拠点炭鉱というのがあると思うんです。五千万トン生産する、そのうちの主力になる炭鉱というのはあるはずですね。私に言わしむると、ことばが適切であるかどうかわかりませんけれども、これは拠点炭鉱であると思うんです。その拠点炭鉱の中でも、若返りをやれば、長期的に安定するんだけれども、このまま放置して、いまの掘採計画を続けていけば、意外と命を縮めて、縮小、閉山の方向の道をたどらざるを得ないという傾向が目に見えてくる気がするわけです。政府は四十五年までと言っていますから、あまり問題は出ていないのです。しかし、エネルギー答申にあるように、昭和六十年まで五千万トン生産を確保するという立場に立てば、相当生産規模に狂いが出てくる、実はこう見ておるわけです。ですから、政府は当面四十五年度で自立させるということで再建計画を出しておりますけれども、拠点炭鉱に対しては、少なくとも昭和六十年程度までの展望というものを積極的に出させるべきじゃないか。これを出さして、十分検討しないと、ほんとうに地についた政策というものを打ち立てることは困難ではないか、実はこういう判断を持っているわけなんですが、そういう点についてはいかがですか。
  57. 井上亮

    井上(亮)政府委員 全く同感でございまして、特に今後の石炭の安全保障というような点からいたしましても、拠点炭鉱について十分な調査を行ない、しかも、その調査に基づきまして、長期にわたる安定生産の基礎を立てなければならないというのは、石炭政策の中で前向きの政策として最も大事なことだと考えておりますので、お説は全く同感でございます。ただ実際問題として、私ども全くそういう考え方で、私どものほうの計画課あたりはそういうことが仕事でございまして、ただいま企業とも連携をとって、そういう角度で常時検討を加えておるわけでございます。お説ごもっともでございますから、すでにやっておるから、もうそれ以上やらないということは申しません。さらに私どもは反省しまして、足らない点があれば、お説のように、さらにまた努力していくというふうに考えております。
  58. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただ、いまの政策だけでは悲観論を持たざるを得ない要素というものはずいぶんあるわけです。しかも、いま日本の石炭政策の中で、戦略的に原料炭の確保ということは実は至上命令でもあるわけなんですけれども、私がいま言った議論は、一般炭よりもむしろ原料炭にそういう問題があるということで、残念ながら、ここでは個別に炭鉱をあげて議論することはできませんので、ぴんとこないかもしれませんけれども、いずれ具体的にそういう点に触れて委員懇談会等で意見交換等をしたいと思いますが、別に拠点炭鉱を優遇せよという意味でなく、拠点炭鉱対策を打ち立てておかないと、五千万トンの生産規模を維持する柱というものはくずれていくということだけは十分肝に銘じていただきたいということを申し上げておきます。  次に、エネ調の答申では、昭和六十年まで五千万トンの石炭の位置づけを実はしたわけです。その中で問題なのは、流通面については非常に抽象論なんです。私のこれを読んだ範囲内では、石炭鉱業審議会である程度さわっている程度しか実はこの答申には盛られていないと思うわけです。そこで、御存じのように、原料炭の場合には、北海道に全ウエートがかかっていく。九州は五百万トン程度まで漸次下がっていくということになっていくわけですが、その場合、一番大事なことは、先般も石炭特別会計議論したときに問題にしたのでありますが、この流通問題について積極的に触れられていないという点については、私は非常に失望しているわけです。特に原料炭は大体東京、横浜、この関東の鉄鋼各社の引き取り炭価というものは一番高い。関西に行くに従って漸次手取りが少なくなる。しかし、北海道の供給主力である関東を越して関西、中国のほうまで北海道原料炭が供給されなければならない。一方では手取りが下がる。一方では運賃コストが上がっていく。二重の問題が出ておるわけです。私は、この問題を解決しないで、幾ら原料炭を開発してみたところで、手取りが変わってくるわけなんですから、当初の計画等に大きな狂いが出てくるのではないか。四十五年度まで一体どういう再建計画を出しているか知りませんけれども、おそらく一応政策需要を予想して再建計画を出しているのではないかと実は考えるんですが、この流通問題について今後どういう形で触れられていくのか。エネ調の答申を具体化していく場合、よりこれを深めていく場合に、こういう点について積極的に触れられていく考えなのかどうか、伺っておきたいと思うのです。
  59. 井上亮

    井上(亮)政府委員 流通問題につきましては、御指摘のように、答申にも触れられておるわけでございますが、答申内容は弱いと私ども決して思っておりません。この流通問題に対する答申は、昭和三十七年度に出されました第一次石炭鉱業調査団の答申あるいは第二次から今回の答申、これらすべてにわたりまして相当ディスカッションされて出されておるわけでございます。ただ、私、率直に言いまして、遺憾ながら、流通問題についてはなかなか目に見えるきめ手が少ない。したがいまして、一般的に言って、まだ不十分だというような御批判があろうかと思います。ただしかし、岡田先生も御承知のように、いままでの流通対策の中で相当効果をあげたものが幾つかあるわけですが、その一つには、専用船対策、これを昭和三十七年から断行いたしまして、今日まで四カ年で二十九隻の専用船をつくりまして、輸送コストはトン当たり二百円近い合理化効果をあげておるわけでございまして、私ども今後ともこの専用船政策につきましては、いま一応一服いたしておりますけれども、やはり実情によって、いま御指摘がありましたように、今後北海道の炭がふえてまいりまして、九州の炭に比べて北海道に生産のウエートがかかってまいりますし、同時に、北海道の炭というものは、原料炭が相当ふえてくる。しかも、原料炭の供給につきましては、北海道から関東地方だけでなしに、関西以西に及ぶわけでございます。特に輸送コストの軽減については特段の配慮をする必要があると思いますので、この政策については、私どもさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、岡田先生がよく御指摘になります流通機構といいますか、通流体制合理化というような点につきましては、私どもも指導の方向としてはできるだけ共同化によるコストダウンの効果をあげるようにという指導をいたしております。従来の実績といたしましては、共同荷役とかあるいは共同輸送というような点で成果をあげておりますが、なお突っ込んだ研究が必要だというふうに考えております。
  60. 岡田利春

    岡田(利)委員 きょうは大臣が来ておりませんから、この問題はあまり詰めて議論してもなかなかむずかしかろうと思うのですが、私は審議会に対して、具体的に問題を提起をして、石炭鉱業審議会のそれぞれの、需給部会なら需給部会でこの問題を扱わないと、従来のような審議会に対する諮問のしかたではもう限界にきているのではないか。これ以上具体化するといっても、やはり具体的な問題を提起をして、それに対する答申を得るとか、あるいは一定の結論を得る、こういう態度で臨んでいかないと、実際問題、もう何年もやってきてメンバーは別に変わってないわけですから、ある知恵はいままで出し尽くしたと思うのです。一応善意に立ってもそう考えなければなりませんから、そういう意味では、柱になる問題点というものは提起をして審議会にかけたらどうか。たとえば電力用炭に対しては、山と電力会社との間にどういう形でいくのか。従来のように商社の取り扱いを認めるのか認めないのか。これを改善するのかしないのか。こういうような問題を提起して議論していかないと、私は流通対策の問題というのはなかなか解決できないのではないか、こう思うわけです。いずれこれはあらためて大臣が来たら質問しますけれども、事務当局としても十分詰めて、ひとつ検討しておいていただきたいと思うのです。  それと同時に、先般運輸省の海運局関係から私の聞いた話でございますけれども、きょうは残念ながら委員会関係で出席願えないわけです。しかし通産省と運輸省の間に、原料炭の生産が昭和四十五年には北海道が九百五十万トン程度になる。九州は五百五十万トン程度になる。これに対する原料炭輸送の専用船対策というものが、まだほんとうの窓口ぐらいで、感触ぐらいで、別に具体的な話し合いはなされていないように私は聞いているわけです。私はこの問題もあらためて運輸省から来てもらいまして、本委員会で十分時間をかけて質問をいたしたいと思っておりますから、通産当局でも十分運輸省との間にこれらの問題について詰めて、ひとつ検討しておいていただきたい、こう思うわけです。私の知り得た範囲では、まだこれはそういう話がさあっとほんとうの窓口で接触されている程度だ、したがって別にまだ強いお話でございますので、あらためて質問いたしますから、この点も詰めておいていただきたいということを要望いたしておきます。  それともう一つは、エネ調の答申で、大体石炭対策というのは、石炭エネルギーの問題は国内に重点を置かれて、輸入の原料炭に対する政策といいますか、考え方というものが何も具体的に知らされていないわけです。石油に関しては相当なスペースをきいて微に入り細にわたりとにかく自主性の確保とか安定供給体制をどう一体立つべきかということに触れられているのですが、残念ながら原料炭については別に触れられていないわけです。  私が特にここでお聞きしておきたいのは、エネ調として長期的に強粘結原料炭の確保については別に問題はないという認識に立たれておるのか。あるいはまた、今日の原料炭産炭国の各炭田、鉱区がアメリカ資本に押えられておる。特にここ数年そういう傾向が高まってきているわけですね。こういう傾向を考える場合に、原料炭の安定確保についてもいまから非常に配慮を払わなければいかぬのではないか。しかも鉄鋼は今日非常に好景気の傾向にございますし、そういう意味では、鉄鋼資本としてもどう一体強粘結炭を確保するかということは非常に大事な問題だと思うわけです。炭鉱には金がないけれども、鉄鋼には金がある。炭鉱には海外開発の技術はあるのだ、しかし金がない、こういう状態にあるわけだから、いま炭鉱資本が海外炭田開発をするということは非常に困難なわけですね。私は、そういう意味で、石油と同じように年々急増していく原料炭の安定確保、そうしてその中に自主性を確立する政策の具体化をはかっていくべきではないか、こう思うのですが、そういう検討はエネ調答申がなされる場合に詰めて行なわれたことがあるのかないのか。触れられていないのか。今後の課題として残されておるのかどうかという点について経過を伺っておきに緊急に国としてある程度の手を打たなければいかぬという問題を中心とした議論をいたしました。したがいまして、いまの海外において鉄鋼需要の伸びに従っての強粘結炭の確保という問題は、これも当然あるかと思います。ただし、この場合は御承知のように鉄鋼メーカー自身がかなり自主的に、しかも強力な力をもって推進している。国がエネルギー対策としてすぐ手を打つという点につきましても、業界が自主的にある程度やっていくというほうが先に考えられましたので、いまのところ触れてはおりませんが、しかしだんだんそういったことだけでは済まされないという問題も予想されるかと思います。したがいまして、今後やはりそういった電電もあわせて考えていかなければならぬというふうに考えております。御承知のように、この答申自身がエネルギー関係全部を網羅しておりません。あとにも書いておりますが、いろいろな問題を残しております。とりあえずそういう理由で触れてはおりませんが、今後はやはり大いに検討しなければならぬ問題かと思います。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 海外からの原料炭輸入の見通しは、昭和五十年でどの程度ですか。
  62. 田中芳秋

    ○田中説明員 エネルギー調査会におきます昭和五十年度におきます原料炭の海外依存でございますが、一応二千九百五十万トンを見込んでございます。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 約三千万トンの原料炭を輸入しなければならないわけです。国内生産の弱粘結原料炭の倍になるわけですね。私は、むしろこれを上回る傾向にあるのではないか、むしろ上回るという前提にある程度立たねばならないと思うのです。そういたしますと、これは当面の石炭政策と直接関係はないと言われるかもしれませんけれども、海外原料炭の流通の問題ですね。いわゆる石炭専用船という問題は単に国内だけではなく、内外の問題ではないかということが一つ言えるわけね。強粘結の場合にはアメリカである。しかしいま日本の貿易構造から見て、将来これを分散するとしても、カナダあるいはオーストラリア、こういうところに限られてくると思うのです。もちろん共産圏の中国、ソ連を考える場合にはまた変わってくるでしょうけれども、現時点では大体カナダ、アメリカ、オーストラリアに限られてくるのではないか、こう思うわけです。そういう意味で私はこの三千万トンの原料炭を輸入するということは、そういう面でいまから対策を立てなければ、鉄鋼はいろいろな面で日本の国は有利である、こう言いますけれども、エネルギーの面でやはりある程度自主性というものが押えられてくる、あるいは炭価引き上げが国際的に行なわれた場合に割り高な原料炭を買わなければならない、こういうことになるのではないか。特にアメリカ資本の最近の原料炭の炭田確保の傾向から見れば、そういうことを強く意識せざるを得ないと思うのですね。そういう面から考えてこの海外開発について、これは石炭局もおりますけれども石炭局は国内だけでございますけれども、技術を持っておるわけですよ。それで通産全体からいえば、鉄鋼としても重大関心を寄せざるを得ない、こういう立場にいま立たされてきておるわけです。そういう意味では総合エネルギー政策から考えて、特に海外原料炭の確保、これをどう一体結びつけていくか、問題を解決しいくかということは非常に私は重要な問題に必ずなる。しかもそれは大体約三年間くらい——どうしても開発には年月を要するわけですから、いまかかっても昭和四十五年以降になるから、ここ二、三年後になれば、昭和五十年を展望して原料炭を確保するということになってまいりますので、そういう海外原料炭確保について、特に通産省と鉄鋼各会社との間に議論がされたことがあるかどうか、何か打ち合わせをされたことがあるか、ないのか、その点を伺っておきたいと思います。
  64. 荒玉義人

    荒玉説明員 実は鉄鋼業界あるいは通産省自身この問題はきわめて重大な問題だと認識しております。先ほど申しましたように、業界自身も相当長期的な設備を考えると同時に、やはりむしろこの強粘結炭の確保というのが実は大きな問題になるということも十分認識しております。通産省といたしましてもそういう意味では業界とこの問題はやはり長期的に考えていくという考え方でやっております。ただ、先ほど申しましたように、エネ調答申自身はいろいろ問題を残しております。とりあえず必要なものをきわめて重点的に出しておりますので、触れておりませんが、そういう意味で重大な問題として考えております。当然鉄鋼業界、通産省ともたびたび話し合いを進めております。
  65. 岡田利春

    岡田(利)委員 局長、この問題は石炭局も腹をきめるべき時期にきておるのじゃないかと思うのですよ。これはこのままいきますと、せっかく日本の余力のある技術というのが活用されないで死滅するわけです。枯渇してしまうわけです。大体私どもの技術的判断では、非常に炭層条件の安定しているところはアメリカ資本が押えておりますよ。結局残っておるところは急傾斜ですね。日本の開発した、たとえば水力採炭方式でやるとか、そういうような技術による開発地点というものが残されておるわけですね。そういう意味ではいま技術力には余力があるわけですから、石炭局としてもそういう技術を活用していく。そうして外貨を節約していくとか原料炭の安定確保をはかる、こういう面からもそういう点の判断は石炭局の方専門なわけですから、もうそろそろこの面については口を減らしてものを言わないのでなくて、ある程度こういう問題についてはそういう技術を持っている石炭局の場合には、私はそろそろふん切って検討段階に乗り出すべきではないか、こう思うのですが、そういう意思はありますか。
  66. 井上亮

    井上(亮)政府委員 従来鉄鋼用の原料炭につきましては、率直に言いまして、石炭局立場では、国内炭が主として輸入弱粘との関係において問題になりますので、その角度で原料炭の輸入の問題については鉄鋼業界としばしば会合を持ちまして、特にこの輸入弱粘につきましては、これは国内弱粘結炭を優先的に使用するというような原則論が一応確立いたしておるわけでございまして、特に輸入弱粘につきましては、そういう面で鉄鋼業界と話し合いを何回かいままでやってまいっております。ただいま御指摘のありました強粘結炭の今後の需要の増大、これに伴いまして鉄鋼業界もこの確保につきましていま非常な努力をしておられます。ごく最近でも従来手をつけなかったポーランド炭に対して、強粘の依存をしようというふうな話し合いも進められておりますし、いろいろやっておるわけでございます。御指摘のありました国内における炭鉱の生産技術、この活用等の関係におきましては、鉄鋼業界がただいま自主的にいろいろ強粘結炭の確保について世界各地について努力しておるわけでございますが、特に開発の面におきまして国内の探鉱技術、この活用の問題にからみまして、最近石炭業界でも非常に強い関心を示し始めておりまして、具体的な例といたしましては、豪州炭の強粘の開発とかあるいはカナダの強粘結炭の開発についてもただいま三井鉱山、あるいは三菱鉱業というところが積極的にいま鉄鋼業界とタイアップして協力しておるというのが実情でございます。特にカナダ炭につきましては、先生おっしゃいましたような急傾斜採炭の地区があるようでございまして、特に急傾斜採炭というようなことになりますと、日本の探鉱技術は世界的にすぐれておりますので、そういった面で日本の技術を活用してもらうということで、現在鉄鋼業界と石炭業界とが関連を持ちながら現地の調査をやっておるというような実情もございます。
  67. 岡田利春

    岡田(利)委員 話が少し大きくなってきましたから、あとは質問したポイントを今度大臣に出席してもらって、関連政府委員にも出てもらって、あらためて質問することにしまして、終わりたいと思います。
  68. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時十八分散会