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井手委員 政策需要の問題であることは私も
承知しておりますよ。しかし、電力にしろ鉄鋼にしろ、国の保護を受けておることは、これは間違いないのですよ。独占的な電力についても鉄鋼についても相当な
国家資金が融通されておる。
会社の立場からいくならば、それは合理主義でしょうから、安いものを買いたい。しかし、
国民の税金でやろうとする場合には、やはり
国民の納得されるものでなくてはならぬと私は思うのです。これほ
どもうけておる、ばく大な利益をあげておるものならば、何とかそこに説得の方法はなかったか、私はあなたに聞いておるのですよ。理屈じゃないのです。私は日本の
企業というものはわがままだと思う。身がってだと思うのですよ。少し困れば
政府に泣きついて減税を求める。景気になっても、その恩典を続けさせようとする戦後の日本の
企業というものは身がってですよ。
通産大臣はそのくらいのことは
——二、三日前経団連の会長、石坂さんですか、なかなかうまいことを言っておったのだが、少しは身がってな財界に対して警告を発するくらいの勇気があってよろしいと私は思う。あらねばならぬと思うのです。
自分の
努力によってうんともうけることは
資本主義においてけっこうですけれ
ども、国の権力と保護にすがってもうけを維持していこうといういまの態度、
企業としてはそれはもうかることが本意でしょう。けれ
ども、そこにはけじめがあってしかるべきです。鉄鋼が半年の間に二百億ももうかるときに、負担増
対策を唯々として出すような
政府は、私はかいしょうがないと思う。
次に、この一千億の
借金棒引きに類する
対策について、閉山をした場合には、なお回収できなかった分についての二分の一を国は
補償するそうであります。これは少し行き過ぎではございませんか。私は何もきょうは、今度の
対策は
銀行救済にすぎないということを申し上げようとは思っておりませんが、これはあまりひどくはございませんか。閉山したならぱ、整理
交付金が
会社の給付金として渡るはずです。税金の未払いについても、
資材の未払い代金についても、失業保険の未払い金についても、
銀行の
借り入れ金についても支払いが行なわれるわけです。そういう
対策が講ぜられておるのに、
銀行だけさらに、
交付金を受けてもなお足りない分の二分の一を
政府は
補償をしよう、あんまりこれは欲ばり過ぎてますよ。ほかの場合の二分の一の
補償はそれでけっこう。しかし、閉山をしたときに整理
交付金はいくのですよ。そしてそれは、それの割合に応じてもらえるのですよ。それが少ないから、二千二百円を二千四百円に引き上げた、そして
銀行の
借り入れ金もなるべく戻るようにという処置をとっておるのに、税金は半分しか
政府からもらえなかった、
売り掛け代金は十分の一しかもらえなかった、
銀行だけは、また二分の一はもらえるというような、そんな都合のいい話はございませんよ。ちょっとこれはミスのようですね。