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1967-05-18 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)     午前十一時三十五分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 西岡 武夫君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君    理事 池田 禎治君       鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君       倉成  正君    河野 洋平君       佐々木秀世君    菅波  茂君       砂田 重民君    田中 六助君       中村 寅太君    廣瀬 正雄君       村上信二郎君    山下 元利君       井手 以誠君    木原津與志君       細谷 治嘉君    渡辺 惣蔵君       田畑 金光君    田中 昭二君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君         労 働 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         通商産業省石炭         局炭政課長   村松  寿君         通商産業省石炭         局鉱害課長   藤谷 興二君     ————————————— 五月十八日  委員齋藤邦吉君、篠田弘作君、進藤一馬君、菅  波茂君、野田武夫君及び廣瀬正雄辞任につ  き、その補欠として砂田重民君、河野洋平君、  山下元利君、鯨岡兵輔君、村上信二郎君及び熊  谷義雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鯨岡兵輔君、熊谷義雄君、河野洋平君、砂  田重民君、村上信二郎君及び山下元利辞任に  つき、その補欠として菅波茂君、廣瀬正雄君、  篠田弘作君、齋藤邦吉君、野田武夫君及び進藤  一馬君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五九号)  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二二号)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  内閣提出炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。八木昇君。
  3. 八木昇

    八木(昇)委員 炭鉱離職者臨時措置法案につきまして今日まで幾多の質問をいたしましたが、問題を最終的に次の二点に集約をいたしまして、あらためて労働大臣に御見解を承りたいと思うのでございます。簡潔に御質問いたします。  その第一点は、緊急就労事業の問題でございますが、すでに法律からはこれがはずされておりまして、事実上これを政府予算措置によりまして今日まで継続をされておるのでございますが、それとても閣議決定の線によりますると、来年の三月をもってこれが打ち切りとなるという実情にございます。しかしながら、なお今後多数の炭鉱離職者が発生をいたします客観的な事情にありまするし、本来ならば、緊急就労事業そのものの今後のあり方についてもっと根本的に検討して、内容もこれを改めて、そうして引き続いて事業をやってもらいたいという希望を私どもは持っております。  それはさておきまして、当面現在まで実施をせられておりまする緊急就労事業について今後いかになされるおつもりであるか。少なくとも昭和四十六年の三月末日までは現行どおり実施をしてもらいたい、最小限その措置はぜひとってもらいたいと考えておるのでございますが、この点についての大臣の御見解を承りたいと思います。
  4. 早川崇

    早川国務大臣 まことにけっこうな、時宜に適した御要望でございますので、昭和四十六年三月三十一日までの間は、予算措置によりまして現行の例によって引き続き実施していくように努力いたしたいと考えております。
  5. 八木昇

    八木(昇)委員 それでは第二の点の質疑を申し上げます。  炭鉱離職者休職手帳、いわゆる黒い手帳が切れてなおかつ適切なる就職ができないという事情のもとにあるかわいそうな方々がまだ多数おるわけであります。ところが今度の法律によりまして新しく自営業を開始するという者に対しまして、支度金並びに自営業を開始するための資金などにつきまして、これが借り入れの債務保証雇用促進事業団がやるということにこの法律提案になっておりますが、その対象となる人は黒い手帳を現に保持しておる人ということに相なっております。それでは私はきわめて不十分だと思います。したがいまして自営支度金の問題はやむを得ないといたしましても、少なくとも債務保証措置についてはすでに黒い手帳期限が切れた者についても全面的にその対象とすべきであると実は考えておりまするけれども手帳切れの者を全面的にすべて対象とすることがもし困難だといたしましても、現在の政府原案のものより以上に、もっと現実に適して範囲を考えてもらいたい。でき得べくんば法改正といいますか、政府原案修正をいたしたいところでありますが、法の修正を待つまでもなく何らかの措置をなし得るとすれば、それでもやむを得ないと思います。どういった措置をおとりになるつもりであるか、お答えをいただきたいと思います。
  6. 早川崇

    早川国務大臣 第三次答申に基づく拔本的な石炭安定対策が決定された月以後、自営業を開始しようとしておった人に対しましては、今回の改正法施行前に手帳期限が切れた者に対しましても、この法律によりまして自営業が円滑にできるように、ことばをかえて言えば、債務保証雇用促進事業団がするというように行政的に善処してまいりたいと思います。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 御異議なしと認めます。よって本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより討論に入る予定でありますが、別に討論通告もございませんので直ちに採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 この際、藏内修治君外七名から本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず提出者趣旨説明を求めます。藏内修治君。
  12. 藏内修治

    藏内委員 ただいま可決せられました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について、次の附帯決議案を付したいと存ずるのでございます。もちろん四派共同の提案でございます。  まず、案文を読み上げます。     炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、炭鉱離職者求職手帳期限が終了した炭鉱離職者について、なお一層再就職促進するよう積極的に努力すべきである。 以上であります。  内容は申し上げるまでもなく現在手帳切れ炭鉱離職者が相当数おり、今後さらに増加することも見込まれております実情にかんがみ、政府におかれてはこれらの方々の再就職に一その努力をされたいというものでございます。  各位の御賛同をお願いいたします。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより本動議について採決いたします。  藏内修治君外七名提出動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 起立総員。よって、本案附帯決議を付することに決定いたしました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所見を承ることにいたします。早川労働大臣
  15. 早川崇

    早川国務大臣 附帯決議の御趣旨に沿いまして努力をいたしたいと考えております。     —————————————
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  18. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑通告がありますのでこれを許します。田中六助君。
  19. 田中六助

    田中(六)委員 ただいま上程されました臨時石炭鉱害復旧法の一部改正案につきまして、数点政府に質問申し上げたいと思います。  いままで政府石炭政策をいろいろやってきましたが、私どもはこの石炭政策そのものを見ておりますと、非常に、大曲線で、政府努力にもかかわらずこの問題は中心に政策そのものが到達していないという印象を受けておるわけでございます。いまさら言うまでもないと思いますが、まず私がただしたいと思いますのは、いままで政府石炭政策の重点をどこに置いてきたかということをお尋ねしたいと思います。
  20. 井上亮

    井上(亮)政府委員 石炭政策は私ども単に石炭鉱業安定対策だけではなしに、もちろん石炭鉱業安定対策が一番中核にはなると思います。石炭鉱業長期に安定いたしますればおのずから雇用の安定あるいは地域社会の繁栄というものが両立できるわけでありまして、石炭鉱業長期の安定ということは中核になると思いますけれども、しかし御承知のような事情のもとに石炭鉱業につきましてはやはりスクラップ・アンド・ビルド政策、これはエネルギー革命の進行とともに山の自然条件の変化あるいは老朽化というような不可避な問題がございますので、どうしても閉山問題というのは避けられない事態に立ち至りました。そうなりますと同時に、ただいままでいろいろ御審議いただいたような炭鉱離職者対策とかあるいは産炭地の疲弊に対しまして、この疲弊した産炭地振興対策というものも必要になってまいります。同時に石炭鉱業に密接な関係がありあるいは地域社会に密接な関係のある鉱害対策等があるわけでございますので、これらを総括して政策を推進してまいっておるわけでございます。今後もそのような考え方でやってまいりたいと思っております。
  21. 田中六助

    田中(六)委員 いまスクラップ・アンド・ビルド徹底策からくるのが石炭対策基本方針で、それから波及するものをいろいろと述べられたわけでございますが、いずれにしても政府方針石炭産業を私企業としていかに貫き通すかという基本方針からいろいろな問題が出てきていると思うのです。それでスクラップ・アンド・ビルド徹底ということ、そういうことに焦点を合わせておる関係上、どうしても鉱害対策というものにつきまして手ぬかりというような強いことは別といたしましても、この対策が非常におくれておる、この対策に対する焦点の合わせ方が非常にぼけておるんじゃないかという気がしてきたわけでございます。と申しますのは、臨鉱法でも第一条に国土保全民生の安定ということを二つの眼目にしておるにもかかわらず、この鉱害問題は民生を不安定にしあるいは国土保全についても非常に問題を起こしておるわけでございます。この点私は、政府はこの鉱害問題について真剣に取り組んできたかということにつきまして疑問を持っております。いままでの鉱害問題に対する努力、それから石炭全般に対する努力につきましては並々ならぬものがあるために、あまりに広範囲な関係鉱害問題というものを置き忘れているんではないかということを痛感するわけございます。今回この臨時石炭鉱害復旧法の一部改正案が出ておりますが、この法律案の持つ内容、そういうものについてお答え願いたいと思います。
  22. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま御審議をお願いしております臨時鉱害復旧法の一部改正でありますが、この要旨は御承知のように四十二年度から石炭対策につきましては鉱害対策も含めまして特別会計予算運営していくということに相なっておるわけでございますが、この特別会計には当然いろいろの予算も入るわけでございます。ところで先生も御承知のように、従来の鉱害予算あり方関係各省にまたがりまして予算計上を行なっていました。たとえば鉱区等につきましては通産省計上され、農地復旧等につきましては農林省予算になる。その他関係各省にそれぞれ分かれて予算計上されておったわけでございますが、今回特別会計設置ということに関連いたしまして、鉱害予算について一括計上ということにいたしたいと思うわけでございまして、これはまた他面から見ますと、従来関係各省に分かれて鉱害復旧をばらばらにやっているのではないかという非難もあったわけでございますが、もう少し各省とも密接な連係をとるべきだというような御意見もあったわけでございます。そういうようなことももちろん念頭に置きまして一括計上する。計上されました予算につきましては、これを一括鉱害復旧事業団に交付いたしまして、そうしてたとえば、農地復旧であれば、農林省農地復旧計画等にもちろん従来どおり関係いたしまして、金の流れ鉱害復旧事業団を一元的に通しまして、工事の施工者に交付されるというような流れに改めたわけでございます。これによりまして、この資金流れが一元化されたというような意味合いから、今後やはり鉱害復旧のいろいろな事務手続につきましては、簡素、強力な姿になるのではないかということを期待しておるわけでございます。
  23. 田中六助

    田中(六)委員 この法案趣旨事業団特別会計から資金を流して、これが流通機構整備というか、一本化されて、鉱害復旧事業にも非常に便利になったという趣旨ということでございますが、問題は、かって政府石炭鉱業審議会答申案を要求している。これが約一年間の経過を経まして、昨年の七月に、審議会の会長の植村さんから答申案が出されておるわけでございますが、この答申案がどの程度この改正案に盛られたか、これは非常に問題だと思います。いまの石炭局長説明では、この答申案趣旨がどの程度盛られておるかということを非常に疑問に思うし、一年間かかってこういう答申が出ているわけですが、これは氷山の一角でエキスである、こういうふうに答申しているわけでございます。したがって、これを具体化する大きな責務が一応政府としてもあるわけでございますが、どの程度この答申案がこの改正案に盛られているかということにつきましてお聞きしたいと思います。
  24. 井上亮

    井上(亮)政府委員 御指摘のように、昨年石炭鉱業審議会答申に際しまして、鉱害につきましても長らく鉱害部会検討を続けました。その内容を同時に答申をされました。政府といたしましてはこの答申の線を尊重しまして、今後これらの措置を全面的に実施していきたいということについて決意を明らかにいたしたわけでございます。  その実施状況につきましては、まずこの答申の第一といたしまして、鉱害復旧長期計画策定という問題があるわけでございますが、この点につきましては、この答申の線に沿いまして、今後鉱害復旧計画的に処理するというような方針のもとにただいま作業を続けておるわけでございます。これはぜひ答申にありますように、既存の安定鉱害だけでも相当多額にのぼっておりますので、それらの残存鉱害処理については、これは計画的に処理するというような決意のもとにただいまそういった作業を続けておるわけでございます。  それから次の鉱害復旧促進地域制度の確立という点でございますが、これは御承知のように、今日までは終閉山の無資力鉱害につきまして、地域指定を行なうというような措置を講じておりましたが、この答申では、単に終閉山の無資力鉱害地域制度指定というようなことのほかに、終閉山しました有資力鉱害地帯につきましても、その地域を追加すべきだというような御提案があるわけでございますが、これにつきましては、本年度から単に従来のように無資力鉱害地帯だけでなしに、有資力につきましても追加いたしたいということで、ただいま地域選定等について事務的に進めておる次第でございます。  それから次の第三点目ですが、答申では鉱害審査会設置をはかるべきだという御提案がございます。これは先生も御承知のように、鉱害処理促進をはかりますためには、何といいましても和解仲介といいますか、被害者加害者の間の話し合いがなかなかつかない場合がありまして、これが鉱害処理促進をはばんでおる事例が相当あるわけでございますので、紛争に対しますこの仲裁裁定、これを促進する意味鉱害審査会設置をはかるべきではないかというような御提案があるわけでございます。この点につきましては、通産省全体といたしましては、これは諸先生方承知のことと思いますけれども鉱業法改正をかつて国会に上程いたしまして、それがただいま流れまして、今後鉱業法改正をどうするかというのが一つ問題点になっておるわけでございますが、この改正鉱業法の当時の考え方では、こういった鉱害処理等紛争につきましては、地方鉱業審査会というものを設けまして、この審査会みずからが鉱害賠償に対する紛争についての裁定権を持つというような原案であったわけでございますが、これが国会審議の過程で一応いま流れておる現状でございますので、この鉱業法系統でこれをやるべきか、臨鉱法系統でこういったことをやるべきかというような、これは通産省内部の問題で恐縮でございますが、いろいろの議論がありまして、なかなか議論に手間どっておるというようなことで、ただいま今日現在ではこの答申に基づく鉱害審査会設置ということはしばらく見送らさしていただいております。しかしいずれにいたしましても、この問題は今後のやはり鉱害対策を強力に推進していくというような筋合いから申しましても、私はこの鉱害審査会設置、あるいは鉱業法関係につきましても同じ趣旨のことが行なわれるわけでございますが、いずれにせよこういった機関設置ということが必要であると考えております。したがいましてこれは答申に盛られておりながら本年度当初から実施できなかったことはきわめて遺憾でございますし、私どもも反省をいたしておる点でございますが、この必要性につきましては十分私ども認識いたしておりますので、できるだけ近い機会に省内の思想統一をいたしまして実現いたしたいというふうに考えております。  それから次は鉱害復旧事業団全国統一の問題を示唆されておるわけでございます。これは鉱害復旧事業団機能強化のために、現在全国四つ鉱害復旧事業団があるわけでございますが、これを全国統一をしたらどうかというような御提案でございます。ところが、これはただいま四つ事業団がございますが、この鉱害復旧につきましては、それぞれ鉱害地域特殊事情等もありますので、四つ事業団があるということもそれ自体私は意味のあることであると思います。しかしこの答申によりますと、四つには分割されておっても、地域事情特殊性等もありますから、意義はあるけれども、今後の鉱害復旧あり方といいますか、今後の鉱害復旧政策方向としましては、やはり今日の石炭鉱業現状、無資力鉱害が非常にふえているというような現状、あるいは有資力鉱害につきましても、なかなか負担をしがたい経理事情、そういったような点からやはり国の関与する面が相当強くなるわけであります。特に国の助成面において強くなる傾向があるわけでございますし、またそうしなければ、鉱害復旧を強力に進めるということができないわけでございますので、そういったような今後の鉱害復旧の見通し、政策方向というような点からいたしますれば、あえて全国統一に踏み切るべきではないかという御意見でございます。私どももこの趣旨政策方向については全面的に替成でおったわけでございます。卒直な表現ではなはだ恐縮でございますが、実は全国統一原案をつくったわけでございますが、御承知のように、公団、事業団等の新設の制限というような問題もありますししまして、それともう一つは、相当長い歴史を持っている四つ事業団が業務の運営をしてまいっておりますので、それを一本に統一するための事務的準備というような問題もありまして、今回の法律改正には間に合わなかったわけでございます。  そこで、私どもはただいまこの答申とはちょっと違いまして、答申よりももっと強力な姿で、全国統一をはかるべきではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。それは、答申では四つ鉱害復旧事業団全国統一ということがいわれておるわけでございますが、私ども四つ鉱害復旧事業団だけでなしに、鉱害基金まで加えまして、鉱害関係の文字どおり一元的な復旧並びに助成機関というような形のものをつくりたいというふうに考えておるわけでございます。そういった意味で、ただいまこの事業団の統合問題につきまして原案検討を進めておるわけでございます。次の国会には必ずこれは出したい、鉱害基金も加えました統一にいたしたいというふうに考えております。  それから次は、地方公共団体財政負担対策でございますが、これにつきましては、本年度予算におきまして、たとえば農地復旧あるいは家屋等復旧につきまして、従来国と地方公共団体負担割合があるわけでございますが、それらにつきまして、国の負担割合を重くして、地方公共団体負担を軽くするというような措置をことしからとったわけでございます。  それから、その他鉱害復旧手続整備問題等ございますが、こういった点についても、これは法律事項ではございませんが、実際の運営円滑化という意味で、すべて必要な事項ばかりでございますので、本年度から実施するように努力してまいる所存でございます。
  25. 田中六助

    田中(六)委員 答申案に盛られておるものがほとんど改正案には実は盛られていないということがはっきりしてきたわけでございます。いろいろ問題があるから重要なことを一年間でいろいろな法案に盛ることはできなかったのだろうと思いますが、将来の展望として、何とかしてこれを実現していきたいというふうな見解が述べられたわけでございます。私どもに言わせますと、鉱害復旧長期計画策定そのものが第一はっきりしていない。それから事業団統一にしても、一つ考え方としては非常にりっぱでございますが、これは考えておるとか、あるいは計画しておるということでは抜本対策になりませんし、これが実現の方向にぜひとも持っていくことが政策趣旨でございますし、私どもの本旨である。したがって、一そう御努力をお願いしたいと思います。まあこういうような抽象的なことで済まされる問題じゃなくて、ほんとうにもう少し早目に、いつも考えておるとか、考慮してこうしている、計画中だというようなことで毎年毎年済むということでは困りますので、今後一そうの努力をお願いしたいと思います。  鉱害をいろいろ検討してみますと、まず第一に私どもの頭に浮かぶのは、政府がどの程度鉱害量を頭に描いて対処しようとしておるのかということだと思うのです。それで昨年も通産省が各地方の通産局に命じて全国鉱害量を調査したはずでございますが、この点いろいろいわれて、八百数十億とかなんとかというような数字が流れておったりしてさだかではないのですが、はっきりできる点をはっきりしてもらいたいというように考えます。
  26. 井上亮

    井上(亮)政府委員 御指摘がありましたように、昭和四十年度全国鉱害量調査をいたしたわけでございます。ただいま私どものほうの手元で権威のある一応の調査資料といたしましてはこれでございますが、これによりますと、既採掘鉱害残存鉱害、これは農地、土木、水道、鉄道、学校、公共建物、家屋、その他全部合わせまして六百七十億程度ではなかろうかという集計の結果に相なっております。それからさらに将来の発生鉱害、これの予測もいたしておりますが、これが大体百五十億程度のものに上るのではなかろうか。合わせますと、先生おっしゃいましたような、大体八百億程度のものになるというような一応の調査の集計ができております。しかし、私ども将来の問題につきましては、まだ不確定な要素が多分にあるわけでございますから、今後さらに実情を見ながら検討してまいりたい。さしあたり長期計画的に鉱害処理をするというような場合には、対象としては、やはりこれらのいま申しました既採掘だけでも六百七十億ある、その中で安定鉱害と不安定な鉱害が入っていますので、安定鉱害につきましてこれを長期的に処理する。それから不安定なものは、安定するのを待ってその計画の中に追加していくというような計画を作成いたしたいと思っております。
  27. 田中六助

    田中(六)委員 これも人間のやることだからいろいろ問題があるでしょうが、鉱害量が非常に多く、現実にわれわれの選挙区でも、鉱害問題というものが炭鉱が閉山されていけばいくほど大きな問題で、民政にも大きな響きを与えておるわけです。いま全国の調査で、この計算で八百二十億というようなことがはっきりしたわけでございます。今後発生するであろう鉱害を含めて大体八百二十億。そうすると、このときの基準ベースを何年に置いたかということが一応問題になると思う。将来も含めてそれに対処するということなんですが、これは基準年度はどこに置いたわけですか。
  28. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま申しました全国鉱害量調査は四十年度実施いたしましたが、基準は三十九年度で考えております。
  29. 田中六助

    田中(六)委員 三十九年を基準にして金額にして八百幾ら、そうすると、だんだん年月がたてば、今度四十一年になるわけですが、今度われわれの施行しようとする予算関係しますと、四十二年度ベースになるわけですが、そこのタイムラグの金額というようなことは頭に入れておるかどうか、入れておるとするならば、それはどの程度になるのですか。
  30. 井上亮

    井上(亮)政府委員 年々の予算要求に際しましては、私どもはたとえば本年度、四十二年度復旧すべき地域というような点がはっきりいたしますので、その地域についてケース・バイ・ケースに検討を加えた予定計画予算を要求いたしておるわけでございます。
  31. 田中六助

    田中(六)委員 私が調べた範囲では八百数十億、まああなたのおっしゃるような八百二十億程度とした場合でも、今年度の四十二年度ベースに直すと一千二百億円くらいになるというふうに言われておるわけですね。そうすると四十二年度予算要求額に対して、獲得できた予算が六十七億ですか。六十幾ら……。
  32. 井上亮

    井上(亮)政府委員 本年度予算は、復旧の補助費といたしまして六十億余りでございます。それを復旧ベースに直しますと七十七億でございます。
  33. 田中六助

    田中(六)委員 そうすると安定鉱害対象にしたものでも約六百億くらいで、四十二年度が七十七億、約八十億といたしましても、大体それが臨鉱法との関係を見ますと問題が起こる。つまり臨鉱法は一応昭和四十七年で切れるということ、そうすると五年間で大まかな計算で割ってみて、年間に百二十億は少なくとも要る。それが七十七億程度で済まされる、そうすると臨鉱法のこの時限立法との関係で、これからの鉱害というものの対処のしかたをどういうふうに考えていますか。
  34. 井上亮

    井上(亮)政府委員 先生はただいま安定鉱害六百億とおっしゃいましたが、私どもとしましては、先ほど言いました残存鉱害六百七十億といいますのは未安定のものも入っておりますから、安定鉱害としましては五百億程度ではないかというように想定いたしております。ただその後また逐次逐年未安定のものは安定していきますから、当然それは対象にはしなければいかぬと思っておりますが、一応今日現在におきます安定鉱害としては五百億程度を考えております。したがいまして、審議会答申を出しますに際しましても、金額には触れられておりませんけれども審議の過程のいろいろな議論では、鉱害復旧につきましては今後計画的にやっていくが、たとえば五ヵ年でやります場合に、少なくともこの五百億は五年間で復旧できる程度長期計画にすべきであるというような議論があるわけでございます。ところが御指摘がありましたように、本年度は七十七億の復旧ベースの予算ということになりますので、答申を出されました石炭鉱業審議会におかれましても、当初は特別会計その他の関係もあり、それからまた特に一番問題になるのは作業量、工事力の問題もございます。これは今年度予算でも、前年から比べますとたいへんな増額になっております。鉱害復旧予算の近年の伸び方というものは非常な伸び方であります。したがいまして、鉱害復旧事業団等においてもあるいは農林省の現地当局におきましても、やはりそれだけの人的態勢を整備しつつ進めざるを得ない工事能力の問題もございます。そういった意味で逐次増加していくという考え方でおるわけでございます。初年度である四十二年度は七十七億であっても、最終年次になりますと百二十億程度ということもあり得るわけでございます。そういうような考え方で、工事能力と見合って計画的に復旧をしていきたいというような考え方でおるわけでございます。
  35. 田中六助

    田中(六)委員 いまの局長説明だと、五年間で最終年次では百二十億ぐらいになって、五年間で大体六百億安定鉱害ができ得るという計算を立てておられるようですが、しかしそれがはたして現実になるか。いまも七十七億で、平均いまのペースでいけば、局長の言うように五百億としてもなかなかのことだと思うのですが、この臨鉱法を五カ年の昭和四十七年で終わらせるかどうか。それで鉱害問題が片づかない、私はそう思っているわけです。そうすると臨鉱法の時限立法、これをどうするかということについての考えはどういうふうに思っておりますか。
  36. 井上亮

    井上(亮)政府委員 臨鉱法は四十七年までということでございますが、時限立法になっておるわけでございます。私も先生と同じように、四十七年になれば鉱害復旧問題はもう終わりであるというふうには考えておりません。鉱害はないにこしたことはないわけでございますが、しかし筑豊地帯あるいは佐賀、長崎地区における炭鉱というものはなお継続、存続していくと思いますので、やはりどうしても鉱害の発生は避けがたい面がございます。そういう見通しでございますので、四十七年度にもう鉱害はやめてしまうというふうにはただいま考えておりません。ただ不幸にして石炭産業が近年のうちに全部筑豊、佐賀等から姿を消してしまえば別ですけれども、少なくとも私ども石炭政策の今日の見通しでは、そういうことはあり得ません。そうなりますと、やっぱり臨鉱法の延長ということがあり得るというふうに考えております。
  37. 田中六助

    田中(六)委員 臨鉱法の延長は、私は常識的なことじゃないかと思うのです。  さらに問題を突き進めますと、産炭地振興ということが非常に声を大きくしていわれているわけですが、現実に私ども地方であります筑豊地帯を見ますときに、進出してこようという企業が、労賃とかその他いろいろな与件があるわけですが、そういうものもさることながら、鉱害があるためにどうにもならない。大阪とか東京とかその他から調査に来て、現地を見て、鉱害復旧をやっているということを認めながら、こんなのならたいへんなことだ、それから鉱害復旧をしていない部分を見ても、こんなに鉱害があるか、こういうことが目に見えて、中堅企業の進出ということが、鳴りもの入りでどんどんやっても、なかなか私企業に関する限り来ない。私企業ですからあんまり規制するわけにいかない。必ず来いというわけにいかない。したがってこういう問題が一つと、それから鉱害があるために住民が、われわれが役所仕事で、机の上でどうとかこうとか考えるより以上に、精神的に物質的に大きな圧力をよその住民よりも与えられておるわけです。そういうこともあるし、それからさらに波及すると、農業をやらしても、結局収入減で非常に悲惨な農家になるというような問題が展開されているわけです。毎年鉱害復旧をやったとしても、それが無資力、有資力と二つの複雑な問題とからんで、無資力の場合対象政府になる、そのたびに現地から東京に来て、役所の人と会う。役所ではきわめて冷静に、事務的にこれを処理して帰さなければ、一々言うことを聞いていると予算もたいへんだし、これは先行きどうなるかわからぬということで帰す場合が多いのですが、そういうことがはたして政治かどうか。それから、鉱害問題をそれほど簡単に、事務的に処理していいかどうかということなどもあるのですが、私は冒頭に言ったように、産炭地振興計画とかみ合わせてこの鉱害問題を考えた場合に、非常に暗たんたるものがあります。将来とも幾ら振興計画をいろいろやっても私企業である限り……。そういう点どういうふうにお考えか。
  38. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お説のように産炭地振興の問題とからみまして、特に振興を妨げるものとしての鉱害の存在ということはあろうかと思います。しかし先生も御存じのように、私も産炭地を何度となく見ておりますけれども鉱害のありますひどい地域だけを見ますと、これはたいへんだということは事実でございますが、何も企業誘致等をいたしますときに、産炭地は全部が鉱害のひどい荒れはてた地域というわけではないと思います。御承知のように特に鉱害のひどい直方周辺、あるいは飯塚周辺、田川周辺を見ましても全部がそうというわけでもありません。特に企業誘致につきましては、必要があれば土地造成を行ないまして企業誘致をはかるわけでございますし、これは特に産炭地振興として必要だと思いますのは、何といいましても道路とか、そういうような関連いたします基盤整備、これが第一でございますので、そういったこととあわせて考えていけば、鉱害の存在があるから企業誘致ができないというふうに——これはおことばを返すようで恐縮でございますが、直ちに直結するのかというふうに考えます。相当広範な工場適地も産炭地域にあるわけでございますので、もちろん鉱害がないにこしたことはないわけでございますが、そういう適地もあるというような意味で、産炭地振興についてはそれなりに振興政策は可能であるというふうに考えております。ただ、先生もおっしゃいますように、こういうひどい地域復旧すれば、なお工場環境としてよくなるということは事実だと思いますので、そういう意味からいたしましても、鉱害復旧についてはいずれにしましても急いで復旧をしなければいかぬというふうに考えております。
  39. 田中六助

    田中(六)委員 以上で私の質問を終わりますが、いずれにしても鉱害問題というものはその土地の民生安定に非常に大きな影響があるということを十分考えて、一番卑近な例が、隣の町まで鉱害で、あとは鉱害じゃないというようなことがいなかでは往々にしてあるが、そういうことは考えられない。地表面ではできるだけ予算もとるが、隣まで鉱害であとは違うというような、常識的にも考えられないことが平気でこの二十世紀の後半において、そういう役所の仕事が行なわれている場合が多いということも頭に入れていただいて、この鉱害問題に十分大きな見地からはもちろん、小さなそういう点も考えて対処していっていただきたいと思います。
  40. 井上亮

    井上(亮)政府委員 御説のとおりだと思いますので、ただいまの御意見を体しまして、いずれにいたしましても残存鉱害があるということは民生の安定の見地からもきわめて遺憾なことでありますので、復旧を急ぐように国といたしましても努力してまいりたいと思います。
  41. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 暫時休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ————◇—————    午後四時七分開議
  42. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  去る五月十六日付託になりました内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府提案理由の説明を求めます。菅野通商産業大臣
  43. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま議題になりました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国石炭鉱業は、エネルギー革命の渦中にあって、経営基盤の悪化等きわめて憂慮すべき状況に置かれており、このまま放置することを許されない情勢に立ち至つております。  このため、石炭鉱業審議会は、一年有余にわたる慎重な審議を経て、昨年七月、石炭鉱業の拔本的安定対策について答申を行ない、政府といたしましても、同年八月、この答申を尊重し石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行ない、今後の石炭対策の基本的方向を確立した次第であります。  この拔本的安定対策のための諸措置は、本年度から本格的に実施する所存であり、その中核をなす肩がわり措置につきましては、さきに石炭鉱業再建整備臨時措置法案提案いたしたところでありますが、さらにこれらの諸措置の前提として、石炭鉱業合理化基本計画昭和四十五年度を目標とした新たな計画に改め、そのほか再建資金等につきまして制度の改善をはかる必要がありますので、今回、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正提案いたした次第であります。  次に、この法案内容についてその概要を御説明申し上げます。  第一は、石炭鉱業合理化基本計画の目標年度現行昭和四十二年度から昭和四十五年度に改めることとしたことであります。これは、今回の拔本的安定対策が、当面、昭和四十五年度までの石炭対策の基本骨格を設定するものであるので、昭和四十五年度石炭対策の目標年度とする趣旨であります。なお、これに合わせて、石炭鉱業合理化事業団の主要業務の廃止期限も、現行昭和四十二年度末から昭和四十五年度末まで延長することといたしております。  第二は、石炭鉱業合理化事業団が行なう石炭の運賃の延納にかかる債務の保証業務を廃止することとしたことであります。石炭運賃の延納措置は、昭和三十六年及び昭和四十一年の国鉄運賃の引き上げに伴う暫定的な措置であり、当初の目的は達成されましたので、今後は、抜本的安定対策により対処すべきものと考えて、予定どおり廃止することとしたものであります。  第三は、石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区等の区域においては、石炭と同種の鉱床中に存する他の鉱物を目的とする鉱業権等を有する者についても、石炭を掘採してはならないこととしたことであります。  第四は、最近の石炭鉱業資金経理面の実情にかんがみ、石炭鉱業合理化事業団が行なう経営改善資金の借り入れにかかる債務保証制度及び再建資金の貸し付け制度を拡充強化することとしたことであります。経営改善資金の借り入れにかかる債務の保証については、現行の中小炭鉱のほか、再建資金の貸し付けを受けている者についても適用できるものとするとともに、再建資金の貸し付けについては、現行の六分五厘の利率を改めて無利子とし、そのほか償還期間等につきまして所要の規定を加えることとしたものであります。  第五は、鉱害賠償に関する通商産業局長の裁定制度を、石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区等にかかる鉱害紛争についても適用することとしたことであります。現行の裁定制度は従来の炭鉱買収制度により買収された鉱区等に適用される制度でありますが、交付金交付制度の円滑な運用をはかるため、石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区等についてもこの裁定制度を適用する必要があり、制度の拡充を行なうこととしたものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  なにとぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますよう御願い申し上げます。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  45. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案議題とし、午前に引き続き、質疑を行ないます。井手以誠君。
  46. 井手以誠

    ○井手委員 石炭鉱業安定対策答申に示されました鉱害問題について、午前中一わたりの説明がありましたが、念を押しておきたいと思います、あの答申の中に立法措置を要するものはどれとどれであるか、行政措置によるものはどれとどれであるか、そして、それはいつ実行するか、お伺いいたします。
  47. 井上亮

    井上(亮)政府委員 答申の項目の中で、立法措置を必要とします項目は、鉱害処理促進をはかりますために、通商産業局に鉱害審査会を置きたいというふうに考えておりますが、この鉱害審査会設置は立法事項で、善処いたしたいというふうに考えております。それから、鉱害復旧事業団、これはただいま全国四つございますが、これを全国統一して一本にして強力な復旧事業団にすべきではないかという提案答申されておるわけでございます。これにつきましては、その後、この答申を受けまして以来、私ども種々の検討をいたしまして、答申では四つ全国鉱害復旧事業団を一本化するということでございますが、さらに鉱害基金もこれに加えて、鉱害関係の国の、政府機関を完全に一元化するというほうがより事業団運営も強力になりますので、そのような方向全国統一をはかってまいりたいというふうに考えております。これが立法事項の第二点でございます。大きい点は、この二つでございます。  なおこれにつきましては、できるだけ早く、一日も早くこの答申趣旨に沿いまして、あるいは答申趣旨をさらに強化した形で実現できるようにいたしたいというふうに考えております。したがいまして、この立法事項につきましては、次の通常国会までにはおそくとも実現できるように配慮いたしたいというふうに決意いたしております。
  48. 井手以誠

    ○井手委員 大臣にお伺いいたしますが、石炭安定対策答申が出されたのは昨年七月でした。どの項目を見ても緊急を要するものとして答申が行なわれております。すでに十カ月を経過いたしておるのでありますから、おそくとも今次国会までには提案されることが常識であると思います。当然であると思います。この当然である立法措置に対して、まだ今国会の会期も余裕がございますから、次の通常国会などということは私は受けつけません。確たる大臣の信念を承っておきたいと思います。
  49. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 石炭鉱業審議会答申につきましては、大体おもなるものは今度の国会に出しておるのでありますが、いま局長から申し上げました二項については、まだ法制化しておりません。その点はまことに遺憾に思っております。事務当局といたしましても、いろいろ今日まで苦心しておることと思うのでありますが、今国会に出し得なかったことを私も遺憾に存じております。せいぜい督励いたしまして、次の通常国会には提案するようにさせたいと思っております。
  50. 井手以誠

    ○井手委員 いま提案されております臨時鉱害復旧法の一部改正案、これになぜ二つの問題について改正ができなかったのか。大臣はおもなるものは済んだとおっしゃるが、鉱害については、おもなるものがこの二つですよ。いま出されておるのは手続です。事務上の問題です。国民の権利義務に関する安定対策鉱害に関する基本の問題は、これは提案されていない。鉱害審査会の問題です、一番大事なのは。大臣は大阪ですから、鉱害地のことは詳しくないかもしれませんが、いま鉱害の問題で一番重要な問題は二つあると思います。一つは、鉱害処理について予算を増額して五年間に復旧するというのが大きな題目。いま一つは、被害者長年の悩みである炭鉱主の同意が得られないという問題、これが一番のいわゆる資本主義立法としては根本に触れる大きな問題です。いかに鉱害があって、復旧が急がれても、鉱業権者の同意が得られなければ、いつまでも復旧はできないのです。その大事な点が、鉱害部会検討の上にやっと日の目を見たのがこの審査会なんです。私が鉱害問題で期待したのはこれです。ずいぶん私も有沢さんとか円城寺さんに話し合いをしました。今日の鉱害復旧では、国が県を含めて八割五分も補助を出しておるのに、なぜ鉱業権者の同意を得ねばならないのか。やっと同意を得られる道を開かせたのに、立法措置がとれないというのははなはだ私は残念です。一番期待された問題です。これはひとつ局長とよく打ち合わせて、次の通常国会などということでは私は承知いたしません。
  51. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お話のとおり、これは早くこの法案を出すべきでありますが、次の通常国会ということを申し上げましたが、もしそれよりも前に臨時国会が幸いにして開かれることがあれば、そのときには必ず提案することができるように準備させたいと思っております。
  52. 井手以誠

    ○井手委員 局長にお伺いしますが、それは鉱業法改正によりますか、あるいは臨鉱法改正によりますか、私は臨鉱法改正でもいいんではないかと思っております。大臣は御存じないかもしれません。実は鉱業法改正でずいぶんもめまして、流れました。ひどいことをあんた方はやったんです。参考までに申し上げておきますが、私どものこの衆議院で、参議院も同様ですが、昭和三十四年かと思っております。鉱業権者と地上権者との紛争、たとえば北九州の重工業地帯に日炭高松がどんどん採掘されて、北九州の朝日新聞社の近くまで小倉炭鉱が掘進されているという地上権との問題、これはたいへんだというので、いわゆる都市の近代化と申しますか、その調整について、地上権をもっと守るべきではないかという意味で、われわれは地上権者と鉱業権者の調整について決議をいたしました。ところが、出された鉱業法改正については、全く逆の立法措置がとられたのです。それは鉱業権者の掘進のためには地上権者は鉄道も敷けない、ビルも立てられない、ため池もつくれないというとんでもないものを出してまいりましたから、つぶしたのです。ところが、あなたのほうでは鉱業法改正によろうとすると、これを抱き合わせにして、いわば毒と薬を一緒にして持ち込もうとする気配があるのです。おそらくその点で石炭局長が困っておると思うのです。だから私は臨鉱法による改正でいいんじゃないか。私もまだその点についてじっくり研究しておりませんが、私のいまの勘では、臨鉱法でもいいんじゃないか、臨鉱法に基づくという答申もございますから、いいんじゃないかと思っております。どんな災害、鉱害が起こっても、どんな世論があっても、鉱業権者が同意しない限りは復旧はできないのです。こんなばかげたことはございません。国や県が八割五分も補助をしておるのに鉱業権者が同意しない限り復旧はできないというばかげたこと、やっとその道を開こうとしたのが今度の安定対策ですよ。なぜそれが出せない。その点をもう少し研究して返事をしてもらいたい。私は中途はんぱな返事ではこの法案については簡単に通すわけにはまいりません。立法機関を無視するようなことは断じて許せません。
  53. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいまお話がありましたように、この鉱害審査会設置、この答申でいっております趣旨は、先生のおっしゃいましたような鉱害処理のための処理促進するというためには、どうしてもこの被害者と鉱業権者の同意がなかなかむずかしいというようなことが御指摘のように多いわけでございますので、鉱害復旧に関します同意のあっせんを行なう機関にするというようなこと、それから同時にこの機関紛争がありました場合の裁定機関にしたいというようなねらいで、審議会でもこの答申をなされたものと、まさに先生のおっしゃったとおりでございます。先生もこれが大きな政策だというふうにおっしゃいましたが、私も全くそのように考えております。  ただ、しからばなぜこの国会に間に合わなかったかということになるわけでございますが、私は決して言いわけを言うつもりはございません、ございませんが、先生もただいま御指摘のありましたように、やはり通産省といたしまして、以前に鉱業法改正につきまして同様な法体系を国会審議にお願いしたわけでございますが、それが流れて今日おるわけでございます。流れたこの改正鉱業法を今後どうするかというような問題もあり、かつはまたこの臨鉱法でこの体系をつくるべきか、改正鉱業法のような考え方を再びとるべきか、あるいは別途にやるかというようないろいろ議論がありまして、その意見の取りまとめが力足らずして十分できなかった、その点、私ども遺憾に思っておりますが、そういう事情でこの国会に間に合わなかったわけでございます。先生も御承知のように、相当むずかしい多岐にわたる問題がありましたために、その整理が今日までできなかったというのが本件の立法化がおくれた理由でございます。しかし石炭行政を担当いたしまして、特に石炭鉱害関係につきまして、鉱害処理についての実情を見まして、こういう答申がありましたような鉱害審査会のような機関がどうしても必要であるというふうに私ども感じておりますので、ただいま大臣が通常国会を待たずできるだけ早い機会に、臨時国会でも何でも早い機会に善処したいという御答弁でありましたが、私も大臣のその御趣旨に沿いまして、一日も早く、来年を待たずにできるように今後努力してまいりたいと考えております。  なお、井上先生よりただいまこれは鉱業法というよりも臨鉱法でいけるのではないかというような御示唆をいただいたわけでございますが、私も急ぐという趣旨からいたしますと、鉱業法の体系は体系でひとつ広範な問題があろうと思いますが、石炭鉱害の緊急性といいますか重要性等の関係もありますから、これは法制局と十分打ち合わせをしなければいけませんけれども、私個人の考え方では、第一義的には臨鉱法改正ということで考えてみたらどうかと思いますが、ただ臨鉱法復旧立法でもございますし、こういう裁定機関につきましては、あるいは単独の特別立法のような形がいいかどうかというような問題もございますので、単独立法でいくかあるいは臨鉱法体系でいくか、いずれにしましても大臣のただいま答弁されました御趣旨に沿いまして、来年を待たず実現できるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  54. 井手以誠

    ○井手委員 大臣にお伺いしますが、通産省内にいろいろな流れのあることは御承知だと思います。石炭対策の急を要する問題から、臨鉱法にしろ鉱業法にしろ単独立法にしろ、ほかの問題と切り離してでもすみやかに提案する、また抱き合わされては困りますよ。おそらく菅野さんはそんなことはなさらぬと思います、私は信用しておりますから。いまの場合、臨時国会を云々するわけにはまいりませんが、それを念頭に置いてこの国会中にできるだけ提案するということでなくては私はぐあいが悪いと思います。そういう誠意がございましょうか。やろうと思えば一日でできますよ。これはあなたのほうの熱意と誠意次第ですよ。やろうと思えば二、三日で全部できますよ、むずかしい問題じゃないですからね。これだけのことですから、今国会に約束できなくちゃぐあいが悪いですな。これだけの石炭答申に対して一番大事なものを拔いておるじゃないですか。
  55. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 井出先生の熱心な御希望に対しましていま局長ともいろいろ相談したのですが、鉱業法関係でこれが立案がおくれたということをいま聞いたのでありますが、先ほどからのお話のとおり、単独立法でもやれないことはないようでありますから、したがいまして、問題はやはり法制局との関係がありますが、もう御希望に沿うて、できれば本国会に出せれば出したいという決意を私もいまいたしましたから、それだけはっきり申し上げておきます。
  56. 井手以誠

    ○井手委員 誠意の半分ほどは認められました。なお保留いたしておきます。この問題が鉱害の一番大きなもとです。  その次が復旧費の問題で、先刻午前中いろいろ論議があったことを聞いております。それは課長でもかまいませんが、昭和三十九年度に行ないました鉱害量の調査、あれは原形復旧じゃなくて効用回復として関係市町村に調査を依頼されたと思っております。その効用回復の場合は、原状回復に対してどのくらい見てありますか。五〇%くらい見てありますか、六〇%くらい見てありますか。
  57. 藤谷興二

    ○藤谷説明員 当時の調査は、三十九年度末におきます残存鉱害量、将来発生鉱害量、二つに分けて調査しております。そのときの残存鉱害量については、おっしゃるように効用回復という線で調査をしております。それから将来鉱害量につきましては、原状回復ということで調査をいたしましたが、その後、先ほど局長が申し上げました数字は、それに対して効用回復ということで計算をしているわけでございます。その効用回復の率は五六・七%という数字になっております。
  58. 井手以誠

    ○井手委員 もう一つ、市町村から出てきた鉱害量の総計は幾らでした。また炭鉱から出た鉱害の量は幾らでした。あなたのほうの裁定したものは先刻聞きました。
  59. 藤谷興二

    ○藤谷説明員 残存鉱害につきまして、三十九年度末における鉱害量の調査をしております。これが道府県市町村から提出されましたものが九十六億という数字でございます。——いまの御説明申し上げました点をもう少しふえんいたしますと、炭鉱から出てきた分と市町村から出てきた分とがあるわけでございます。その競合するところを除きまして、炭鉱から出てきたものをこえる市町村から報告のありました分が、ただいま申し上げました九十六億という数字になっております。
  60. 井手以誠

    ○井手委員 いや、そうじゃないのだ。三十九年度に調査をしたものは、県市町村で調査したものと炭鉱で調査したものの二通りあるはずです。その調査というのは、いまさっき言った原形復旧の五六・七%に当たる。効用回復として調査したものが、いま言ったように県市町村の調査したものと炭鉱が調査したものと二通りある。それを端的にいうなら、足して二で割って通産省の六百七十億という数字が出てきているのです。足して二で割ることが、きちっと割ったかどうか知りませんけれども、大体そういう考え方です。  それから、あなたのほうではわからぬかもしれぬが、ひとつ参考までに申し上げておきますが、従来、鉱害量で、閉山当時の鉱害復旧量と、実際復旧計画を立てて復旧を進めておる復旧費の差というものはたいへんなものである。参考までに私は一、二申し上げておきましょう。福岡の籾井炭鉱は閉山のときは七千六百万円の鉱害復旧量であったのが、その後、復旧計画を立ててやっておる金額は、ごく最近じゃありませんが、前の数字では三億四千五百万円。これは、籾井の場合は若干問題があると思うのです。それはぼくはここでは申しません。私のほうの小城炭鉱は閉山当時八億を予定したものが、今日では二十億をこえておる。あちらこちら、私ども復旧工事に関係して驚くことは、最初予定した金額の二倍半から三倍になっておる。なぜそうなったかといえば、物価の問題もありましょうけれども、最初は非常に過小に見積もったということです。あれは鉱害ではないとか、あれはこのくらいですれば復旧できるじゃないだろうかというふうに、非常に小さく、少なく見積もったところにその差が出てきたわけです。それと、もう一つの問題は、あなたのほうは五六・七%の効用回復でいいというお考えが従来ありましたけれども、原形復旧でなくてはほんとうの効用回復にはならぬのですよ。そこにあなたのほうの開きがたいへん出てくる。いわゆる一般の被害地からの要望とあなたのほうの考えの違いが非常にそこに出てきているわけです。だから、閉山当時の復旧費の見込み額と実際効用する額というのは二倍半から三倍になっておる。もしそれを初めから原形復旧ということで調査をしておるならば、その差というものは五割か八割増しぐらいでとどまっておるかもしれません。あなたのほうが五六・七%に最初から押えたところに問題があるし、県市町村の調査と炭鉱との調査の中間をとったところにも問題があるわけです。だから、私はここでその点をいろいろ言質をとるとか、きょうは考えておりません。問題の重要性を訴えればいいわけです。あなたのほうが認識してくれればいいわけです。だから、七百六十億円、午前中もその点に対して田中委員から非常に不審な気持ちでお尋ねがあっておりましたが、そのとおりです。七百六十億というのは、現在復旧計画を全部立ててごらんなさい、一千二百億あるいは一千五百億円になるかもしれませんよ。少なくともこの五六・七%の効用回復に押えたことに一つの問題があるということ。この効用回復で一番大事なことは、これは専門的になりますからおわかりにくい点もあるかもしれませんが、水利の関係です。水利の関係で、効用回復などということは一%か二%しかないのです。押し水といって、同じ海拔、同じ高さ、上から流れてくる水が押し水で、ずっとかんがい水が何十町も何百町もかかっておるところは、一センチでも下がったらたいへんなことですよ。そういう問題で効用回復などということがいえますか。それは山間部におけるいわゆる田ごとの月といわれるようなところで、ものによっては一メートル下がったところを七十センチ復旧すれば足りるところもあるでしょう。けれども、山ろく部から平坦部にかけての農地復旧というものは、効用回復というものはほとんどあり得ないのです。まああなたのほうが予算獲得の国会答弁に都合のいいように小なく見積もったとは、私は邪推はいたしません。むしろ私は、鉱害量というものははっきり出すことが一般の要望にこたえる道だと思うのです。私は端的に申し上げますと、三十八年現在六百七十億という鉱害量、その後物価の上昇を考えますならば、私は安定鉱害といわれるものは千二百億から千五百億を下ることはないと思っております。少し石炭局も認識を改めてほしいと思います。あとでいろいろ聞きたいこともありますが、どうですか、その点は。あなたのほうの考えがかなり誤りじゃないか。
  61. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま籾井炭鉱、小城炭鉱等につきまして先生から実情についてのお話があったわけでございますが、確かに私も、鉱害問題を見ておりまして、経営者が評価する場合と被害者が評価する場合、あるいは地元等が考える場合、いろいろその立場によりまして主張が違う点は事実でございます。どっちかというと経営者は比較的低く見るというような傾向があるわけでございます。やはり真理はおそらく、これは即断になってはいかぬと思いますけれども、中間にある場合が多いのではないか。だから私どもの調査が中間をとったというわけではありませんけれども、いずれにしましてもこの主張が違う。したがって、その辺のところは私ども鉱害復旧の実際の予算をとり、実際の復旧工事を施行するにあたりまして十分配慮しなければならぬ点だと思っております。私ども昭和三十九年度末の現状につきまして昭和四十年度に調査いたしたわけでございますが、これにつきましては私も当時関係しておりましたので、被害者の立場、主張、それから鉱業権者、いわば加害者の主張あるいは市町村等の意見、こういうものをやはり公平に聞いて評価するようにということで、現地に調査を委嘱したわけでございます。私どもとしましては、おそらく現地はそういった意味で調査してくれたものと思いますが、その集計が一応私どものほうに残存鉱害費として六百七十億ということで出ておりますので、一応私はその時点における調査としては、まあこれが客観的に見て、一つの中庸を得た見方ではあるまいかというふうに、実は率直にいって考えております。ただ、しかし、その後、時の経過もございますし、それから同時に鉱害につきましては、やはり若干状況によって変化が起こる場合もございますしいたしますから、予算編成あるいは実際の工事施行というのにあたっては、やはり調査はもちろん基本的な一つの資料にはなりますけれども、やはり現実の姿で積算した形で予算要求をする、あるいは工事の施行にあたっても、現実に照らして復旧するということが必要ではないか。ただ五七%がどうだこうだということで工事をしてもどうか。現実にこれは農林省にやっていただいているわけですが、農地復旧等いたします場合に、ほんとうに効用を回復しないような復旧をされましても、全然意味がありません。したがいましてそれは算術の問題ではありませんから、そういうような工事の設計をやっていただきたいと思っております。予算もまた、必要な予算はそれにつけるということでなければならぬと思っておるわけでございまして、予算編成等に際しましても、そういう立場でいきたいというふうに考えております。
  62. 井手以誠

    ○井手委員 四十年度の調査には三十九年の物価が基礎になっておる。それだけでも、かなりの開きが現実にあると思うのです。資材の値上がりというものは大きなものです。それと先刻言った五六・七%の効用回復というところに大きな開きがあるわけであります。どれが正しいかは、ここで問い詰めようとは考えておりませんが、あなたのほうの調べた六百七十億に相当するものは、少なくとも千億をこえておると私は思っております。予算を要求しても予定どおりにいかない。だから六カ所予定したものが四カ所に削られる。しかし四カ所のうちでも工事は六割ぐらいしかできない。だんだん先送りになっておることは御承知のとおりです。  そこで私は大事な点をお尋ねいたしますが、この答申の中にある四十二年度からおおむね五カ年間で復旧するという計画、これは法制局の関係も鉱山局の関係もないでしょうから、これだけはひとつお示しをいただきたいと思います。この点、あまり鉱害量を少なく見積もるとたいへんなことになりますよ。それだけはひとつ——もう炭鉱が閉山してから五年間に復旧するということは、歴代の大臣なり局長がしばしばこの席で言明したところです。ところが実際には五年間の約束のものが、現実には七年になり八年になる。それがなお工事の半ばにしか達していないという状態です。したがっていま鉱害地の被害者が一番心配しておるのは、一体いつになったら復旧が完了するであろうかということです。したがって約束のとおりいままで閉山していたものについては、五カ年間で復旧をいたしますという、安心できる計画書を出していただきたい。どこの炭鉱については何年から何年までに終了いたしますとわかっておるはずです。それだけはひとつきょうこの席でなくともけっこうです。この法律案が上がるまででけっこうです。ぜひ御提出をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  63. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お説のように私ども鉱害復旧につきましては今後計画的に処理していきたい、特に先ほど来問題になっております残存鉱害、これは一応基本的な調査もいたしておるわけでございますので、この残存鉱害につきましては、そのうち不安定のものは除きまして、安定を待ってやることにいたしますが、安定鉱害につきましては、やはり長期計画を立てまして処理してまいりたいというふうに考えております。さしあたりその初年度といたしましては、六十億の国の予算をもって、七十七億円程度事業規模で復旧いたしたいということで、この本年度実施いたします地点等におきましては、一応いま素案をつくっておるわけでありますが、さらに来年度以降のものにつきましては、これは全国鉱害量調査をもとにいたしまして、緊急順位あるいは安定、不安定の程度等も勘案して、できるだけ早くつくりたいというふうに考えておりますが、明年度以降のものにつきましてはただいまそういった作業を現地において検討していただいておるわけでありまして、いずれその検討を急ぎまして、審議会鉱害部会等におきましても検討を加え、しかる後に長期の確たる計画として計画を樹立していきたいというふうに考えております。この計画ができますれば、いわば長期予算確保対策といいますか、予算対策の裏づけとしてなければならないような性格でございます。ただいたずらに四十六年までに残存鉱害処理するといいましても、ただ机上の計画でもぐあい悪いわけでございまして、やはり実行できる計画にしなければならぬというような関係もございますので、ただいま地方通産局等を中心にいたして、そういう作業をいたしておるのでございます。いずれ審議会にもはかって決定しなければいけない事情もありますので、一両日で出すことは、来年度以降のものについてはちょっとできがたいわけでありますので、この点はひとつ事情を御了解いただきたいと思っております。
  64. 井手以誠

    ○井手委員 途中ですが、農地復旧の反当限度の引き上げはどうなりましたか。簡単でいいです。
  65. 松井芳明

    ○松井説明員 反当限度額につきましては、現行五十万になっておりますが、これは昭和四十年度にきめたものでございまして、その後の物価の変動等を考慮いたしまして、引き上げの幅につきましてはさらに関係省と協議して検討いたしたいと思います。
  66. 井手以誠

    ○井手委員 ここでやかましゅう言うわけじゃございませんが、五十万を六十万に引き上げるというのは審議会当時からの約束だったはずですよ。既定の事実なんですよ。だから、みんなことしの工事についてはそれを期待しておりますから、六十万に引き上げますと言ってもらえばそれで済むわけでございますが、いまごろになって、検討しますなんという、ぼくにそういう返事は聞きたくないですな。何ならほかに打ち合わしてから返事をしてください。
  67. 松井芳明

    ○松井説明員 たいへんおくれて申しわけございませんが、引き上げにつきましては至急通産省と打ち合わして決定いたしたいと思います。
  68. 井手以誠

    ○井手委員 たいしたことじゃございませんから、すみやかに御返事をいただきたいと思います。  それから、これは通産省ですか、答申にある、地方公共団体の財政負担を軽減するということについて結論が出ておるならば、この機会に承っておきたいと思います。
  69. 井上亮

    井上(亮)政府委員 答申には御指摘のように、地方公共団体が、特に産炭地でございますので財政が窮迫しております。鉱害負担等についても従来から意見がありましたので、本年度から、農地につきましては、従来国の負担は八三%ということに相なっておりましたが、これを八五%まで引き上げることにいたしました。それによりまして、反面地方公共団体負担を二%軽減するという措置をとったわけでございます。なお家屋につきましては従来八〇対二〇、国が八〇で地方公共団体が二〇という割合になっておったわけでございますが、それを国が八三、地方公共団体が一七の割合に改めるように改善したわけでございます。  以上でございます。
  70. 井手以誠

    ○井手委員 この問題はもう何回も論議されたことで、私どもは、施業案についても鉱区の説定についても何らあずからしてもらっていない県や市町村に、あと始末の費用だけを、たとえ一〇%にしろ十何%にしろ、さなきだに産炭地の衰微で困っておる県、市町村に負担をさせることはきわめて不当である、いな不法であると思っております。しかしきょうはこれ以上申し上げません。  そこで結論を申し上げておきたいと思いますが、鉱害処理について一番大事な鉱業権者に同意のあっせんと裁定の道を開くということについては、先刻大臣からやや誠意ある話を承りました。急いで法制局と打ち合わせて返事するということでございます。法制局のほうがわりに簡単に済めば、この国会提案をなさるものと私は期待をいたしておりますから、しばらくその誠意が実るまでお待ちをいたしたいと思っております。  その次に、鉱害復旧長期計画については、先刻来申し上げますように、鉱害復旧量についてかなり開きがあるということをひとつもう一ぺんも二へんも石炭当局は検討してほしい、そしてすみやかに長期計画を立てて、被害者の安心のいく具体案を早急に示していただきたい。この点を強く要望いたし、要求いたしまして、きょうは私の質問をこれで一応打ち切ります。
  71. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会