○
井上(亮)
政府委員 先ほど三原先生の御
質問にも
関連いたしまして、ある
程度お答えいたしたわけでございますが、重ねての
質問でございますので、私の考え方を申し上げさしていただきたいと思います。
石炭鉱業が今日不況にあることにつきましては、諸先生御
指摘のとおりでございまして、基本的には私も
楽観したり気をゆるめたりしている筋合いではございません。今後ともやはり昨年の八月の
閣議決定を
一つの大きな基本的な柱としまして、あれ以上の
努力をしていきませんと、
石炭鉱業の安定というのはあるいは必ずしも期しがたいというふうに考えております。しかし、御
承知のように
石炭鉱業審議会が、
昭和三十七年以降の
検討の成果といっても差しつかえないかと思いますが、
昭和三十七年には第一次
石炭鉱業調査団を編成しまして、激しい討論の末に
一つの
答申を出しました。
引き続いて、
昭和三十九年にはやはり第二次
石炭鉱業調査団が編成されて、第一次
答申の補完的な
施策をいたしたわけでございます。さらに昨年におきましては、これは三木通産大臣のときでございますが、当時災害等の問題もありまして、同時に、
石炭鉱業の
現状も必ずしも将来の
自立が期しがたいという
事態があったわけでございます。三度目の正直といいますが、最後の
石炭鉱業の安定
対策をつくるべきだという大臣の御諮問がありまして、以来一年余りにわたって、
石炭鉱業審議会としては第一次
答申、第二次
答申に
引き続いて抜本的な
対策をつくろうという
意欲で
検討が続けられたわけでございまして、一応私としましては、昨年の八月の
閣議決定に盛られておりますような諸
対策が実施されますならば、やはり将来の
石炭鉱業は安定していくんではないか、またいかすべきであるというふうに考えております。
今後の
政策の柱になりますものは、何と申しましても、ことしから国会の御
審議を受けて御了承いただく
特別会計の新設、これがやはり画期的な
措置であろうかと思います。この
特別会計は
原重油関税収入、これがまっすぐ入ってまいります。
石炭対策がその関税収入でまかなえない、不十分であるというときには、
一般会計もこれに繰り入れをすることができるというような
体制ができるわけでございますので、これが今後の
石炭鉱業に対する
財源的な
一つの大きな背景になるわけでございます。この
財源を
石炭鉱業の今後の
再建と安定のためにいかにうまく使っていくかということが、私
どもに課せられ使命ではないかというふうに考えておりますが、
政策の柱としましては、
先ほども申しましたような、やはり
石炭鉱業が
私企業として今後やっていきますためには、今日このままの
状況では
私企業としては全く立ち行かない
現状であります。これを立ち行かせるための
施策としては、やはり過去のころいった異常負債を解消するというようなドラスティックな
施策が必要でございます。この点につきましては、英国もかつて、一昨年だったと思いますが、四千億の棒
引きを
石炭特別会計で実施したわけでございます。日本では一千億でございます。これはちょうど出炭の規模が英国は日本の四倍でございまして、日本は四分の一でございます。これは偶然の一致でございますが、そういう
措置を講じたわけでございます。
この
措置をとることが
一つの
施策でございます。しかし前向きには坑内骨格坑道の近代化を進めていかなければならない、このことが保安
対策上重大な要請でもございますので、特に坑道掘進については
補助制度をとって、現在基幹坑道については四割
補助ということにいたしておりますが、こういう
制度が一応確立されたということ。それからこういう
施策によってもなお
石炭鉱業の安定を期しがたいといいます場合には、あわせて
安定補給金の交付ができるという
政策の柱もできたわけでございますので、私は
石炭鉱業の
経理財務面の
改善のための国の
助成策としては、これだけの柱があることによって可能になっていくのではないか。ただしかし、それでは
閉山は
一つもないかというと、この点につきましてはやはり
石炭鉱業は資源
産業の常でございますので、
老朽炭鉱と申しますかあるいは炭量もないというようなところにつきましては、これは今後とも
閉山があろうかと思いますけれ
ども、しかし
相当優秀な炭量を
長期にわたって持っているというような
企業については、私はこれだけの
施策を前提にすれば、
長期にわたって十分やっていけるというふうに考えておるわけでございます。
ただ
先ほども
三原先生の御
質問にお答えいたしましたが、たった
一つ私が特に今日心配し、将来
施策を補完しなければいかぬと思っておりますのは
需要確保の問題であります。これは
石炭鉱業審議会が昨年
答申を出しました当時の
需要の
見通しと一年立ちました今日の
見通しでは、やはり
一般炭の
需要の問題につきまして、
一般炭の
政策需要ではなくて、
一般産業向けの
需要あるいは暖厨房用炭の
需要の
見通しが、もっと
需要の減少の見込みが強いのではないかという
傾向がありますので、こういった点についてはさらに
政策需要の補充、拡充というような点について
努力しませんと、五千万トン
体制の維持ということはできないのではないかというふうに考えておりますので、こういった
助成策を今後講ずることによりまして、私は一応将来の安定は大多数の
企業について期し得るというふうに考えております。