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1967-05-10 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 西岡 武夫君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君    理事 池田 禎治君       中村 寅太君    野田 武夫君       廣瀬 正雄君    井手 以誠君       木原津與志君    中村 重光君       細谷 治嘉君    渡辺 惣蔵君       田畑 金光君    大橋 敏雄君  出席国務大臣         労 働 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         厚生省社会局長 今村  譲君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         労働政務次官  海部 俊樹君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         厚生省社会局保         護課長     曾根田郁夫君         通商産業省石炭         局産炭地域振興         課長      飯島 三郎君         労働省職業安定         局失業対策部長 上原誠之輔君     ————————————— 五月十日  委員木原津與志君辞任につき、その補欠として  中村重光君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村重光辞任につき、その補欠として木  原津與志君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長 これより会議を開きます。  内閣提出炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。八木昇君。
  3. 八木昇

    八木(昇)委員 離職者臨時措置法の一部改正法案関連をいたしまして、若干の質疑を行ないたいと思います。  一番初めに大臣に何点かお伺いしようと思ったのですが、まだお見えでございませんので、ほかの事項から質疑をいたしたいと思います。  最初に、これは通産省の産炭地課長でも、あるいは石炭局長でも、いずれでもけっこうでございますが、やはり離職者対策というものが非常に積極的に推進をされるためには、何といっても産炭地域企業がどんどん誘致されなければならない。その誘致をされた企業離職者がどんどん転職していく、こういう形が最も望ましい姿であることは申すまでもないわけでございますので、この点をお伺いいたしたいと思います。ところが、実際には産炭地域企業誘致が思うようになされていないというのが実情であろうと思うのであります。そこで、この企業誘致が、昭和三十五年ぐらいから以降、実際にどれだけなされたか、それを概略でけっこうですから、地域別に、それからできれば誘致された企業規模別と、その企業の数、それから誘致された企業に雇い入れられた労働者の数、その雇い入れられた労働者の数のうちに、離職者子弟ではなくて、離職者そのもの一体どの程度雇い入れられたか、こういうところの概要を御説明願いたいと思います。
  4. 飯島三郎

    飯島説明員 私のほうでつかまえている数字で申し上げますと、産炭地域振興事業団融資しますときには、原則として、増加雇用人員の三〇%以上炭鉱離職者またはその子弟を雇うという条件になっているわけであります。現在までに産炭地域振興事業団融資金額としましては、ごく概数で申し上げますと、予算としては約百億円でございます。これは、昭和三十七年から四十一年度予算まででございます。それに対しまして、実績ベースで申し上げますと、実績としましては、これも概数で申し上げまして、約八十五億円ぐらいの金額になっております。これは、企業の数で申し上げますと、全体としましては約三百四十件でございます。これに雇用されました炭鉱離職者ないしは子弟、これは融資の際の計画数字でございますが、累積しまして約一万二千人という数字になっております。これを地域別に申し上げますと、件数としまして、北海道関係が七十九件でございます。それから福島県の関係、これは福島県、茨城県を合わせまして二十八件。それから山口関係が約四十件ぐらい。したがいまして残りの約百九十件が九州関係でございます。これは設備資金だけでございます。  それから業種別に申し上げますと、全体として産炭地域振興事業団の場合は、鉱工業等に対する融資ということになっておりまして、重点は製造業、第二次産業ということになっております。それで第二次産業の中で件数として多いものはたとえば窯業土石関係機械器具関係、それから化学工業関係、繊維、縫製品関係、こういうものが多くなっております。  それから企業の大きさ、規模別に見ますと、ごく概数で恐縮なんですが、資本金で見ますと、資本金一億円未満、これが約九五%でございます。  ごく最近の数字の詳細につきましては、詳しい資料もあるのですが、ちょっと整理してございませんので、非常に概数で申し上げましたが、以上のとおりでございます。
  5. 八木昇

    八木(昇)委員 いずれ最近のものの資料をまとめていただいて、参考までに配付願いたいと思う。ところで融資の際の計画で、離職者もしくはその子弟を一万一千名雇い入れるということになっておる、こういうお話でありますが、計画と実際は相当違うと思うのです。その実際をつかんでおるはずだと思いますが、その数字と、もう大部分が離職者子弟の若い学卒ですね。ですからその数字の中で離職者そのものは何名であるか。
  6. 飯島三郎

    飯島説明員 産炭地域振興事業団設備資金融資の際に、計画として雇用計画をとっているわけでございます。雇用計画の中身としまして、離職者本人の方、それから子弟の方という形で入っているわけであります。計画に対する実情はどうかという点につきましては、従来から私のほうとしましても、数字をつかみたいという希望はございましたが、なかなか融資対象企業も非常に多いことでございますし、雇用された時点ないしはその後における異動ということもございまして、全体としての正確な数字は私のほうとしては持っておりません。それから子弟関係の方、これにつきましても現在私のほうで数字を持っておりませんが、全体の個々融資を扱っております事業団の大体のお話なんかを聞いていますと、確かに子弟の方がずっとふえてきている。一例としまして、その条件に即応するようにということでできるだけ離職者の方を雇いたいということで、たとえば職業安定所などで紹介していただくということをやっておるわけでございますが、特に最近におきましてなかなか本人の方でも雇えない。これはいろいろな条件もあることだろうと思いますが、むしろ雇えないというような実情であるという話も聞いておるわけでございます。
  7. 八木昇

    八木(昇)委員 産炭地企業誘致するという当初の目的というものが、だんだん年数を経るに従って非常に横にすべってしまっておるということを、実は非常に遺憾に感じておるわけでございます。それはむろん離職者を採用しにくい事情というものもございますでしょう。それは離職者の側にも理由があるでございましょうけれども誘致された企業そのものが、何ぶんにも低賃金労働強化であるし、しかも相当中高年齢に達した人には不向きな企業であるというようなのが多いものですから、そういうことになっていると思うのですが、しかしいずれにしましても、正確なる実態についての数字をつかんでいない、それは一〇〇%正確でなくても、おおよその数字というものをつかんでいないなどということは、まことにどらもけしからぬ話じゃないかと私は思うのですよ。企業誘致を始めてからもう数年を経過しておりますからね。そこで、これもやはり早急に努力をされて実態をつかんでもらわなければならぬ、こう思います。そうしてやはりきめのこまかい施策をやりませんと、これは何と言ったって資本主義下なんですから、放置しておけば、それは皆さんが思っておられるようなことには絶対になりませんから、その点をひとつ強く要望いたしておきます。そしてまた、いずれかの機会にそれらを御質問いたしたいと思います。  ところで、これらの誘致企業のうちに、早くもつぶれたものがありますですね。それからつぶれないまでも業績不振のために企業整備の必要があるということで、人員整理というようなことをやったところもありますね。そういった実情について、一体どのくらいつぶれたのか、企業整備をやった企業がどのくらいあるのか、それによって結局就職はしたもののまた首を切られたという労働者がどのくらいの数に達しておるか、これをお知らせ願いたい。
  8. 飯島三郎

    飯島説明員 時点としては少し古いわけなんでございますが、昨年三月末現在、一年以上前の資料しかございませんが、それによりますと、倒産しました企業が三件でございます。それから更生法に従いまして更生会社に指定された会社、これが二件でございます。それから問題企業といいますか、償還が計画どおり償還されてない、その計画どおり償還されてないもののうち、特に非常に問題であろうと思われる企業問題企業ということで呼んでいるわけでございますが、これが五件ございます。  それからなお、先ほど更生会社として二件と申し上げましたが、もう一件ございまして三件でございます。  以上でございます。   〔木原(津)委員「どの地区で幾らということを言わなければだめじゃないか」と呼ぶ〕
  9. 飯島三郎

    飯島説明員 地区につきましては、倒産企業、この三件はいずれも九州でございます。(木原(津)委員九州のどこだ」と呼ぶ)個々企業の名前はわかっておりますが、場所につきましては、三件いずれも福岡県でございます。それから更生会社につきましては、三件いずれも、福岡県でございます。それから問題企業につきましても、ほとんどが福岡県という実情でございます。
  10. 八木昇

    八木(昇)委員 先ほどからこまかく質問しておるのですけれども答弁がいずれも非常にあやふやですね。非常に遺憾ですよ。(木原(津)委員答弁になっておらぬ」と呼ぶ)答弁になっておらぬですね。実際には問題企業ももっと多いと思うのですよ、私どもの勘では。それで、そういったふうな点ももっとこまかく調査をして御報告を願いたいと思うのですが、こういう倒れた企業三件にはどのくらい労働者が働いていたのですか。
  11. 飯島三郎

    飯島説明員 倒産した企業、これのうちの一件だけ私いま手元資料を持っておりまして、その会社従業員数が百八十五人でございました。あとの二件につきましては、ちょっと手元資料を持っておりません。
  12. 八木昇

    八木(昇)委員 そういうのは資料を持っていなくたって大体、あなたは、産炭地振興課長ともなれば、どのくらいつぶれて、どのくらい労働者がまたちまたにほうり出されたくらいなことは、常時頭の中になければだめですよ。誘致企業の問題は非常に多くの問題を含んでおります。  そこで、これらの誘致企業賃金ベースが非常に安いですね。一般地域賃金ベースと比較してどういう実情であるかということを御調査になったことがありますか。
  13. 飯島三郎

    飯島説明員 賃金ベースについては、全部の企業について調査したことはございませんが、たとえば個々賃金実情につきまして問題があったというような企業につきましては、調査といいますか、その金額はつかんでおります。
  14. 八木昇

    八木(昇)委員 これらも、ともかく産炭地へ進出して行って、政府から金も貸してもらって、しかも労働力がずいぶん余っておるらしいから、低賃金労働強化でこき使おう、一か八かやってみよう、そしてあまり企業の将来についてはっきりした自信と確信もないのにやった、つぶれてもともとだ、こういう非常にけしからぬ、そういう企業家の手にひっかかっておるというような面が多々ございますので、それらの点ももっと親切に——調査すらできていないのですから、対策がなされていないのは当然だ、こう私は思います。これをぜひ願いたいと思います。  ところで、やはりいろいろな事情中高年齢層の人は、他地域に行って就職をするということがなかなか困難ですね。産炭地域にきた企業就職したいというのが本来の希望でございますけれども、なかなかそういっていない。そこで炭鉱離職者であって、産炭地域以外の地域企業就職をした者の数と、それから誘致された企業就職した者の数、それの概数と両者の比率をお知らせ願いたい。
  15. 飯島三郎

    飯島説明員 本日資料を持ってきておりませんので、後ほど資料を出さしていただきたいと思います。
  16. 八木昇

    八木(昇)委員 それでは、本年度誘致計画、これを示してもらいたいのですが、本年度産炭地域振興対策予算概要は、私も承知をいたしております。これらは非常に抽象的でございまして、もっと具体的な計画を伺いたいと思うのですが、一体、各地域別にすでに幾つかの企業とおおよそ接触はあるものと思いますから、各地域別にどういう会社一体どれだけ本年度じゅう産炭地に来るのか。そうして、それらの企業一体どのくらいの人間が雇い入れられるのか。その中に炭鉱離職者をどのくらい雇い入れさせようと計画をしておるのか。本年度のその計画を示していただきたい。
  17. 飯島三郎

    飯島説明員 四十二年度産炭地域振興事業団におきます融資事業、これの規模は、設備資金につきまして、予算として三十億円でございます。で、前年度からの繰り越し、これが約十五億円でございまして、全体としての融資規模、これは四十五億円でございます。それから、そのほかに長期運転資金としまして八億円ございます。これの具体的な計画でございますが、計画としましては、御承知のように、産炭地域振興の、長期的と申しますか、全体的な計画としましては、産炭地域振興実施計画、これは四十二年目標でいままでできておりまして、これを法律の延長に伴いまして四十七年目標にするということで、現在その計画作業を進めておるわけでございます。これの実施計画に従って、毎年度の見通しを立てていくということで作業をしておるわけでございます。それで、誘致企業想定につきましては、全体としましては、それぞれの地域の特性といいますか、たとえば、北海道地区におきましては、いろんな資源利用型の産業というものが各地区とも問題になるわけでございますが、そういうもの。それから、常磐なり、あるいは山口につきましては、比較的、たとえば、常磐につきましては、東京から近いというようなことで、首都圏計画等とできるだけ関連性を持たせていきたい。したがって、工場分散のあるようなものにつきましては、できるだけ重点的に取り上げていきたいというような考え方でやっておるわけであります。それから、九州の、たとえば筑豊地域につきましては、御承知のように比較的道路も整備されてきておりまして、北九州市との関連性でできるだけ企業誘致を考えていく。そういう基本的な考え方に従いまして、それぞれ個別に、たとえば商工会議所で具体的に誘致活動してもらうとか、あるいは産炭地域振興事業団の中にも誘致広報課という課がございまして、大体そういう基本的な考え方に従って誘致活動をしていく。それから、もちろん各通産局におきましても、それぞれの地域実情に応じて誘致活動をする。さらには地方公共団体でも活動しておられる。そういうことで、できるだけ長期的な実施計画の趣旨に合ったような誘致活動をしていくという考え方でございます。  なお、四十二年度予算におきましては、従来から懸案でございました中核企業誘致するということを何かの形で制度化しなければいけないんじゃないかということで、目下大蔵当局とも細部について打ち合わせ中でございますが、事業団設備資金融資、これは原則として融資比率は四〇%でございます。これを中核企業に対しましては、六〇%に引き上げるということで、目下具体的な話し合いを進めておる段階でございます。
  18. 八木昇

    八木(昇)委員 そういったふうな事柄はもうわかっているのです。  そこで、そういう産炭地域振興事業団というものが企業誘致するについては、いろいろな企業から、自分のところは筑豊飯塚なら飯塚にこういうような工場を建設したいと申し出てくるのを、ただ漫然と待っているわけじゃないでしょう。そうじゃなくて、もっと積極的に、特に中核企業誘致するということについては、積極的にどういう会社に来てもらいたいという当たりをつけて、そして接触を積極的に保っているわけでしょう。また、そうでなくてはできないことなんです。そこで、特に、この中核企業について、本年度どういうところをどこにというおおよその見当を持っているわけでしょう。見当をつけているわけでしょう。それはないのですか。そういうことを説明してくれというのです。
  19. 飯島三郎

    飯島説明員 中核企業誘致につきましては、現在二つの面から作業を進めているわけです。一つ株式上場。上場されている株式会社のうち二部以上の会社、これに対してアンケートを出しまして、九州地区だとか、あるいは常磐北海道、そういう地区計画があるかどうか、ないしは、事業団の土地その他が準備されているか、それからまた、設備資金融資はこういう形で準備しているか、こういうことに沿って意向があるかという調査をアンケート調査するということで現在準備しております。これは一年半ほど前に一度やったことがありますが、それに基いていままでやってきたわけでありますが、時点がだいぶたちましたので、近くまたそれをやりたい、それに基いて誘致活動をしていくということでございます。  それからもう一つは、新しい実施計画、これは策定作業中でございますが、ここでできるだけ中核企業の具体的な想定というものをやっていきたい、このように考えております。
  20. 八木昇

    八木(昇)委員 いまの答弁も抽象的で、どうも納得いきませんが、そうしますと、本年度設備資金融資三十億円プラス十五億円とおっしゃいましたね。これはほとんど新規誘致される企業の分でしょうか。現在すでに誘致されている企業に対してさらに融資する分と、いろいろあると思うのです。
  21. 飯島三郎

    飯島説明員 先ほど申し上げましたところの、全体として四十五億円の設備資金融資、これは産炭地域新規誘致されるもの、または既存企業産炭地域の中の既存企業であって増設するもの、それが対象でございます。それから、既存企業であって、特に運転資金について困っておられるという方につきましては、先ほど御説明しました別の八億円の長期運転資金運転資金のめんどうを見ていくということでございます。
  22. 八木昇

    八木(昇)委員 それでは、いまの四十五億のうち、新規誘致分としてどのくらいを見込んでおられるか。
  23. 飯島三郎

    飯島説明員 これは予算積算基礎でございますから、予算要求の際の時点におきまして、その誘致企業というものを想定して積算しているわけでございます。これによりますと、これは積算でございますから、全体としての予算がきまりましたならば、きまった予算で、そのときの実情に応じてやっていくということになるわけでございますが、積算時点におきましては、先ほど申し上げました比較的中核企業ということばまでいけるかどうかは別でございますが、比較的大きな、中堅といいますか、そういう企業、これの想定分として八億円を想定しました。  それからあと新規のもの、それから増設のもの、これはいずれにしましても、新規であっても増設であっても、地域振興の面からいきますと、いずれの面におきましても効果があるということでございまして、その内訳別積算はしておりません。
  24. 八木昇

    八木(昇)委員 予算だけは一応獲得はしてみたものの、まだ手探り状態であるような御答弁でございます。それではいかぬと思うのですよ。まあしかし一年間あることですから、御努力願いたいと思うのです。  局長にお伺いしたいのですが、いま課長からいろいろ答弁がございましたが、全体として何といいますか、一言にしていえばきわめておざなりのような印象を私は受けたのですが、そういうことではいかぬじゃないかと思います。一体局長としてどういうお考えをお持ちでございますか。
  25. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま八木先生から御指摘がありましたが、産炭地域振興課長は、私の口から申しましては非常におかしいのですが、非常に熱心にやっているわけでして、ただ表現が非常にぎこちなかったというような点はあるかと思いますけれども先ほど良心的に、資料の正確さについて、必ずしも正確でないというような話もしましたが、正確な資料はございます。率直に申しまして。ただ先ほど御説明しました数字時点がやや古い。四十一年三月三十一日現在の調査でございますので、今日の情勢からすれば資料が古い。そのためにややぎこちない答弁をしたかと思います。これは先生も御承知のように、先ほど来の御質問融資の問題にいたしましても、あるいはその他の事業にいたしましても、これは産炭地域振興事業団が直接的な業務をいたしておりますので、産炭地域振興事業団は、先生お尋ねのような内容につきましては、融資に際しまして十分な調査をいたしておるはずでございますから、この資料なり統計なりは一応整備されておるというふうに考えております。ただ率直に言いまして、先ほどの御質問の中で、他府県の離職者雇用状況について、たとえば誘致されました企業の地元の労務者あるいは他の地域から来られた方、こういった精緻な点については、これははたしてどうかと思いますけれども、しかし離職者本人であるかどうか、あるいは子弟が何人であるか、あるいは県別にどうであるかというような点は、これは相当正確にわかるわけでございます。ですからその点につきましては後日、先ほど来の御質問の詳細なこまかい資料的な問題につきましては、資料として提出さしていただきたいというふうに考えております。なお、最後に一言だけ。私ども先生から御指摘ありましたように、産炭地域振興につきましては、これは石炭政策のやはり重要な政策の柱でございます。そういった意味で私ども従来やってまいりましたし、予算もそういった意味で歴年獲得し、歴年新規事業もできるような体制もとってまいっておるわけでございますが、ただ率直に言いまして、今日の産炭地域振興政策、これで十分とは必ずしも考えておりません。今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  26. 八木昇

    八木(昇)委員 時間がございませんから、また将来質問をすることにしまして、先月の下旬の当委員会でどなたかから質問があっておったと思いますが、活性炭製造事業ですね、これはいつごろから始め、一体どこにやらせて、そうして新規にその事業に雇い入れる労働者の数をどのくらいと想定し、その中に炭鉱離職者並びにその子弟、こういうのをどのくらい入れるという計画でしょうか。
  27. 井上亮

    井上(亮)政府委員 活性炭製造につきましては、これは本年度予算におきまして、産炭地振興予算の中に産炭地振興事業団から出資できるような形の予算をいただいておるわけでございますが、この活性炭製造は、先生も御承知のようにこれは新技術でございまして、今日いま資源試験所におきまして相当な研究成果をあげておる段階でございまして、これを工業化しようというような企てでございます。それにこの工業化に際しまして、やはり初期の段階におきましては相当企業としての危険もあります。しかもこれは将来の公害対策一つの大きな、何といいますか、材料になるわけでございますので、そういった意味から特に政府出資事業団出資をしていきたい。しかもそれをやりますときに、原料が石炭でございますので、できるだけこの企業につきましては産炭地工場をつくるようにお願いしたいというふうに考えております。ただこの企業化の時期の点でございますが、ただいま資源試験所で研究したその成果の活用ということになりますので、やはりこの企業化につきましてどの企業がこの企業化を担当してくださるか、こういった、何といいますか、選考というと語弊がありますが、調査もしなければいかぬわけでございます。実はよりより関係企業とも当たっておるわけでございますが、まず企業の主体をきめなければいけません。この企業主体をきめます時期が、大体私の今日の見込みでは今秋以降になるのではないかというふうに考えております。  なお、工場の建設につきましては、そうなりますと、年度末から来年度にかけて企業化が始まるというようなことになるのではないか。それからなお企業規模でございますが、規模につきましては、最初はただいま事業団等で計画しております人数は、数十名程度の模様でございますが、逐次拡大しまして、最終的にはいまの計画では三百名程度の規模で考えておるわけでございます。実際に操業開始は来年度になるのではないかというふうに考えております。
  28. 八木昇

    八木(昇)委員 これは場所としては産炭地域に、そうして離職者とか、その子弟とか、これはどのくらいの割合で入れるおつもりですか。
  29. 井上亮

    井上(亮)政府委員 場所としましては、これは産炭地というふうに一言で申しましたが、現在研究しておる過程では北海道地方の炭を使って研究をいたしております。これは炭のいろいろな質も関係いたすかと思いますが、というようなことで、地域としては、産炭地域でございますが、どこになるかということはまだわかりませんけれども、いずれにしましても、私としましてはこの活性炭製造につきましてはできるだけ何といいますか、ほんとうの意味の六条地域といいますか、というような地域にできるだけつくるように努力したい。これは企業の主体がきまりましたときに御相談するわけでございます。できるだけそういうふうに努力いたしたい。それから雇用いたします労務者につきましては、これは子弟というよりも、できますれば、離職者そのもののほうをできるだけ優先的に採ってもらうというような配慮をいたしたい。ただしかし作業関係でもちろん新しい技術者を特に入れねばいかぬ。その場合には離職者というわけにはいきません。したがいまして、外部から雇用する場合もありましょうけれども、できるだけそういうふうに努力してまいりたいと考えております。
  30. 八木昇

    八木(昇)委員 これは労働省になると思うのですが、ちょっとお伺いしたいのです。  雇用促進事業団の仕事としてやっております雇用奨励金の支出ですね。これは産炭地産炭地以外に分けて、今日まで年度別に一体何名分出されたのか。それは離職者であって、新規就職をした総数との割合において何%ぐらいになるか。
  31. 上原誠之輔

    ○上原説明員 雇用奨励金の支給状況でございますが、四十年度で一万八千九百五十八件、金額にいたしまして四億六千五百八十万円でございます。四十一年度は、これは四十二年の二月までの数字でございますが、九千百九十二件で一億九千九百万円という数字に相なっております。
  32. 八木昇

    八木(昇)委員 これは離職者であって、就職をした総数の中の何%ぐらいになるか、その数字の開きというものはどういう事情で出てくるのですか。
  33. 上原誠之輔

    ○上原説明員 炭鉱の閉山に伴いまして炭鉱離職者が発生いたしまして、これを再就職させました状況は、昭和三十七年の四月から四十一年の三月まででございまして、求職者の合計が十三万二千二百八十人、これに対しまして就職者の累計が十二万三千二百八十人ということになっておりますので、これとの比率でごらんいただければと考えております。
  34. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで、離職者であっていろいろな会社就職していますね。就職をしたけれども、雇用奨励金は先方の会社に出されていないというところも相当あるわけですね。それはどういったふうな形からそうなるのか。
  35. 上原誠之輔

    ○上原説明員 雇用奨励金につきましては、就職のむずかしい者を就職させる場合に出すということが本旨でございますので、三十四歳以下は出ないことになっております。したがいまして、就職した者のうちその部分が抜けるということになります。
  36. 八木昇

    八木(昇)委員 その年齢的に区分けをしておるだけですか。それ以外の者については、職安の窓口を通して就職をした人については、先方の企業に漏れなく雇用奨励金というものは出されておるのでしょうか。
  37. 上原誠之輔

    ○上原説明員 雇用奨励金につきましては、これは炭鉱の外に出ていく人に出すというのが支給のたてまえになっておりますので、炭鉱に就職した人につきましては出ていないということになります。したがいまして、それ以外につきましては漏れなく出ておるというふうに考えております。
  38. 八木昇

    八木(昇)委員 一応こまかい点の質問はその程度に終わりまして、労働大臣が十二時ぐらいまでらしいですから、大臣にあと若干御質問いたしたいと思います。  まず離職者問題をお聞きします前に、現在炭鉱に働いておる人たちの問題について一、二ちょっとお伺いしたいと思うのです。それは、この石炭鉱業の問題が、今日非常な窮地におちいってきておるわけでございますが、その一切のしわ寄せを、炭鉱の中でも労働者がかぶっているという感じを私どもはひしひしと受けるわけであります。たとえば経営側についていいまするならば、一千億円の肩がわりを政府がやってくれる。三井などに至りましては、そのうち幾らになるか、数百億円からの肩がわりをしてもらうということになるけれども労働者は一向に、浮かばれない、結論的にいえば、そうなっている。そこで、石炭鉱業に対する対策と一口にいわれておるけれども、実際は企業救済策という性格が非常に強く出ておって、石炭鉱業全体を形づくっておる中の重要な柱の一つである労働者の問題ということが、非常に軽視されておるという印象を私は強く持っておるものでございます。そこで、いよいよまた本年度労働者賃金問題のいまシーズンさなかということになりました。春闘相場ということばが適切であるかどうかは別といたしまして、民間の鉄鋼とか電機とか合化労連とか、私鉄を除いた民間のすべての産業におきまして、本年度の賃上げはほとんど決定したわけでございます。その民間企業における賃上げの実態、それを労働大臣としてはどういうふうにつかんでおられるか。これと比較をして、炭鉱労働者については七%のベースアップ、管理炭鉱につきましては三%あるいは四%、こういうようなことではとうてい社会通念上も許されない、こう思うのです。こういった点についての労働大臣の御見解を承りたいと思います。
  39. 早川崇

    ○早川国務大臣 石炭鉱業に働く労働者の方々に対してほとんど考えていないという前段のお話は、これは少し私としても修正をしていただかなければならないかと思います。御承知のように、離職者に対しては手厚い、ほかの産業ではとうてい考えられない措置をいたしておりまするし、賃金の未払い等につきましても、補給金の中から優先的に支払う措置も講じておるわけでございます。問題は、炭鉱に残る労働者の方々の待遇の問題でございまするが、これにつきましては、べースアップと同時に、厚生年金の特例を今国会で提出いたしたいと考えておりまして、こういったことは、炭鉱労務者の方々の就職意欲をつなぎとめるという効果があろうかと思います。  問題は、右炭鉱業のような、いわば石油事業に押されておる、どちらかといえば、語弊があるかと思いますが、むずかしい産業と違いまして、鉄とかその他が一〇%内外の賃上げというものがどんどん出てきておるわけであります、そこで、問題は七%というくぎづけという御意見でございまするが、これは石炭再建の場合の一応の内部の積算の基礎でございまして、これは決して法律的にも行政的にも拘束力を持つものではございません。そういった関係で、労使がその事業実態に即しまして十分自主的に解決されることを望むわけであります。もちろん労働大臣は労働者の福祉を向上する大臣でありますから、石炭産業賃金は、私の調べるところでは大体五万円内外、これは高齢者が多いものですから、数年前は非常に高い平均賃金でありましたが、その後御承知のような石炭事情でどんどん追い越されていっておる実、情はまことに御同情しておるわけであります。本年の賃金べースアップにつきましては、いずれも.七%にこだわることなく一その事業実態に即して、労使で交渉を通じて決定をすべきものと考えております。そういう面につきまして、政府として介入する権限もなければまた介入する意思もないというのが実情でございます。
  40. 八木昇

    八木(昇)委員 それは通常の事態の場合には、民間企業の労使間で当然きめらるべき賃金ベースについて、政府が介入する権限もなければ意思もないで済むのですけれども、現状の石炭企業において、経営者側に賃金べースアップについての当事者能力がないのですよ。公共企業体なんかの場合と事実上同じですね。これはもう労働大臣お認めにならざるを得ないと思うのです。そこでやはり労働大臣がどういうふうなお考えを具体的に持っておられるかということは非常に重要なんです。それで七%ベースアップ一管理炭鉱については四%、これではやっていけないだろう、もう少しはベースアップをしなければならぬと思う、こういうふうにお考えになっておられるかどうか、ひとつ端的にお答えるえ願いたい。
  41. 早川崇

    ○早川国務大臣 なかなかむずかしい問題でありますが、七%というものには昨年もこだわっておりませんし、一昨年も御承知のように一〇%ほどアップされた実例もございますので、いずれにいたしましても、管理炭鉱というものでありますから、いろいろ制約はありましょうけれども、ひとつ自主交渉できめていただきたい。それが非常に低くて労働者が食えないというのであれば、大体事業が成り立たないのですね。ここがいわゆる民間事業の特質でございますから、十分ひとつ労使とも話し合って、妥当な線に落ちついてもらいたいという希望を申し述べるにとどめておきたいと思います。
  42. 八木昇

    八木(昇)委員 それではいまの管理炭鉱の四%なんということじゃとても事態は乗り切れまい、だからそれは労使が自主交渉である程度のベースアップをきめるというのは、これはもうそうあってしかるべきだ、こういうふうにお考えなんでございましょうか。
  43. 早川崇

    ○早川国務大臣 これはまあ石炭事業がこういう事態になっているといろ特殊事情がございますから、いま隆々と栄えておるほかの産業と同一には論じられませんけれども、四%とかあるいは非管理炭鉱が七%というのは、あくまでこれは一つ積算の基礎にすぎませんので、実情に応じて妥当な賃金ベースアップをきめられることを期待いたしております。
  44. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで炭鉱特別年金の問題だとかその他の問題がもう具体的に本国会できまるわけですけれども、いずれにしましてもこれは将来の問題ですね。特にきのう、おとついあたり鉱業審議会が答申をしました年金の案によりますと、これから将来二十年炭鉱につとめた人にとってはある程度の年金額にはなりますけれども、しかし二十年先の七千円とか七千五百円というのはまたどうなるのか、金の値打ちは下がっていく一方です。ところが今日働いておる人は、過去十五カ年間炭鉱に働いた分を見てもらって、さらに今後五年働いてわずかに二千五百円の炭鉱特別年金額という答申になっていますね。しかしそれにしても、わずか二千五百円でもないよりはましかもしれませんけれども、しかもそれがまた将来の問題で、炭鉱労働者は今日、今日を家族をかかえて食うていかなきゃならぬのですから、今日の事態に対して適切なる対処のしかたをしないというと、いわゆる炭鉱は労働倒産を免れがたい。ましていわんや新規労働力を炭鉱に吸収するなんてことは全くお先まっ暗だ、こういうふうに考えるので、労働大臣の御答弁としてただいまのような御答弁では、どうもだれが考えたって、これは党派を越えて納得できないのですよ。  そこで、これは今後事態がどう推移していくかわかりませんけれども、おそらく労使の直接の話し合いではこれは解決しないだろう。そうなってきますと、これは中労委あたりに問題を持ち出すかもわからない。そうして場合によっては、好むと好まざるとにかかわらず、せっぱ詰まった労働者はストライキというようなことにもなりかねない。今日のこういう事態の中でストライキ騒ぎで労使が争っておるといろ状態は石炭鉱業全体のために決して好ましいことじゃないわけですね。私ども労働者の味方の立場に立ちながらも、必ずしもそういう事態が好ましいとは思わない。こういうことを考えるならば、労働大臣としてはもっと積極的な姿勢をもって、どういう形でかこの事態を合理的に解決するような動きを私はやってもらいたい、こう思っておるのですが、その意思はありませんか。
  45. 早川崇

    ○早川国務大臣 労働大臣はいろんな面で労働者全体の労政を担当しております。ただいま公労協の問題でずいぶん努力をいたしておるわけでございます。石炭鉱業に関しましては、これはあくまで民間営利企業という性格がございまするので、それぞれの実情というものを通じまして、どうしても自主解決ができなければ中労委に持っていくという方法もあるわけであります。また石炭事業全体につきましては、採算その他を考えて通産省からいろいろとばく大なお金も出ておるわけであります。そういった場合の積算の基礎もありましょうし、いろいろあっせんと申しましても、なかなか具体的な名案は実はないわけでございます。頭の痛い問題だと思っておりますけれども、労働省といたしましても経営者あるいは通産省ともよく御相談しまして、妥当な賃上げあるいはストライキなんかにならないように最善の努力はいたしたいと思います。
  46. 八木昇

    八木(昇)委員 やはりこれは大蔵当局とかその他にもいろいろネックとなる部面があろうと思います。この際はやはりこれは相当政府としての政治力が実質的に必要なんじゃないか、私はそう思います。あるいは閣議の席で公然と言われることのほうがいいかどうか、それはいろいろなことがございましょうが、やはりそういった閣議の場あたりにおいても、あるいはまた総理御自身に対しても労働大臣の意のあるところを十分に伝達してもらって、そうして確かに企業そのものが非常に赤字で政府から資金の援助を受けなきゃならぬといろ状態ですから、他の民間企業の、たとえば合化におけるがごとく四千八百円、電機におけるがごとく四千五百円、鉄鋼におけるがごとく四千三百円、これは定昇込みですけれども、そういったベースアップはでないにしましても、やはりある程度の規定のワクを越えたベースアップというものが達成できるように、そのことが一方において石炭対策だ、こう私は思います。ぜひ願いたい、こういうふうに思います。  そこで、これは局長さんでけっこうなんですが、特に筑豊地帯が非常に事態が深刻なんですけれども筑豊の炭鉱について、坑内夫の平均年齢は現在どのくらいになっておりましょうか。そして筑豊のその事態は、すでに炭鉱労働者が高齢化してきておる。ほかの地域におきましてもさらに筑豊の事態に近づいていくということになることは、火を見るよりも明らかでございます。その実情、そうして、昨年に新規に炭鉱に就職した人、こういう人は一体何名くらいおるのか、そういう実情を御説明願いたい。
  47. 有馬元治

    ○有馬政府委員 炭鉱の労働者のうちで、常用労務者の例につきまして、これは全国平均でありますが、平均年齢を調べてみますと、四十年で三十八・五歳という平均年齢でございます。三十年当時が三十四・五歳でございまして、逐年平均年齢が上がってまいっております。  それから、新たに雇い入れられた数でございますが、御承知のように……。
  48. 八木昇

    八木(昇)委員 炭鉱から炭鉱へ移った人は除いてですよ。
  49. 有馬元治

    ○有馬政府委員 四十一年の十二月末現在で、雇い入れの総数が、鉱員一万三千八百二十九名、職員は、微々たるものですが、八百九十九名、合計いたしまして一万四千七百二十八名でございますが、そのうち石炭離職者から雇い入れた者が七千四百一名ございます。ちょうど半数でございます。したがいまして、残りの半数が新規に雇い入れられた総数でございます。
  50. 八木昇

    八木(昇)委員 特に筑豊地帯あたりにおいては、この坑内夫の人の内訳を見ると、五十歳以上の方が七〇%くらいあるのじゃないか、こういうことを言っておるのですけれども、今度は、平均年齢は筑豊地区についてどう、どこ地区についてどうだというのはわかりませんか。
  51. 有馬元治

    ○有馬政府委員 筑豊地区の平均年齢が五十歳以上の者七〇%というのは、ちょっと高過ぎるのじゃないかと思います。私どもが通常申し上げておりますのは、筑豊地区を中心にしました離職者の状況について年齢を調べてみますと、五十歳以上が七〇%をこえる比率を占めておる、こういうことは申しておりますが、在職者の平均年齢は、そんなに高くないと思います。
  52. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで、七千四百名ほど新規に炭鉱に就職した人がおるというお話でございますが、その内容も新規学卒なんというような人はごくまれじゃないかと思いますし、しかもそれも地域的には北海道あたりが多いのであって、九州あたりは非常に少ないのじゃないか、こういうふうに私どもも常識的に判断をいたしますが、これは新規労働力一体今後どういうふうにして確保するつもりであるか、その具体策を説明してください。いまのようなことでは、私どもの考えではそれはとうてい不可能ですよ。特に、ただ数をそろえればよろしいというわけにはまいりませんので、やはり相当熟練をした中堅の坑内夫という人が一定数いなければ、これだけどんどん機械化が進んでいっておる炭鉱においてとうてい今後、すでに四十トンの能率をあげておる能率をさらに引き上げてやっていくなんというようなことは不可能ですよ。どういう具体策があるのですか。
  53. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘のとおり、現状の状態におきましては、炭鉱に若い労働者新規に入ってくるという例は非常に少ないわけでございます。しかし太平洋あるいは住友、三井等におきましては、それでもやはり若いあと継ぎの労働者が細々ながら入ってまいっております状態でございまして、今後の石炭産業の再建策の中で一番重要な問題だと思いますので、私どもとしましても、先ほど大臣からお答えがありましたように、石炭産業全体を体質をよくして魅力ある職場にして、年少労働者、学卒等を炭鉱へあと継ぎとして雇い入れるように指導してまいりたい。ちょうどいま合理化離職者対策が中心になっておりますことは御承知のとおりでございますが、今後の問題としては、そういった後継者の養成確保、それから現在おる者の確保、こういった面に相当重点を指向していかなければならぬじゃないか。離職者対策についてもそういった考え方を一部取り入れながら対処してまいっておる状態でございます。
  54. 八木昇

    八木(昇)委員 そういったふうなことではこれはとうてい不可能で、もっと何らかの積極策というものを施さないと、とうていだめだと私は思いますが、それは省略いたします。  大臣には午後質問しますから、けっこうですから。  厚生省の社会局長がもう退席をされたのですが、課長でけっこうでございますから、産炭地の生活保護の実態について若干承りたいと思うのであります。  私は九州でございますから、北海道やその他より九州実態が深刻だと思いますので、九州福岡県、佐賀県、長崎県、三県にそれぞれ一応分けて——熊本も若干あると思いますが、福岡県、佐賀県、長崎県、三県に分けまして、昭和三十五年以降の各県別の生活保護者総数、そのうち炭鉱離職者関係の生活保護者数が何名であるか、こういったことがいま説明できましょうか。
  55. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 たいへん恐縮でございますが、三十五年以降歴年の数字は実は福岡県だけしかございませんので、あとは三十五年と三十八年と四十一年の三つでございますが、福岡県につきまして被保護実人員を申し上げますと、これは年度でございますが、三十五年が十四万八千百八十四人、三十六年が十八万一千五百二十五人、三十七年二十二万二千百五十三人、三十八年二十五万四千三百七十五人、三十九年二十三万七千七百五十一人、四十年二十三万五千四百九十七人、四十一年度は一応見込みでございますが、二十三万九千十六人でございます。それから佐賀県、長崎県につきましては、先ほど言いましたように、三十五、三十八、四十一年の各年七月現在の人員でございますが、佐賀県が三十五年七月一万八千四百人、これは全部百名単位で整理してございます。三十八年七月二万二千八百人、四十一年七月二万二百人、長崎県三十五年七月一万八千四百人、三十八年七月二万八千七百人、四十一年七月二万九千三百人、それで、ただいまお尋ねのその県全体の被保護者のうちで炭鉱離職者の占める割合というお尋ねでございますけれども、実はこれはたいへん恐縮でございますけれども、私どもその被保護世帯のうちそういう離職者なら離職者というグループだけの統計その他の整理をしておりませんので、一般的にそういう数字は持ち合わせておりませんけれども、たまたま昭和三十七年十月の時点産炭地域についてだけとった数字がございますので、あるいはこれは御参考になりますか、一応申し上げてみますと、三十七年十月現在で、これは全国でありますが、産炭地の被保護世帯数が十方九千百十五世帯ございまして、この中で離職者の世帯が一万六千六百八十世帯でございます。これを全国的に見ますと、産炭地の全被保護世帯に占める炭鉱離職者世帯数の割合は、全国でいま一五・二%でございますが、これをただいま三県についてだけ申し上げますと、福岡県の場合は二一・五%、佐賀県が四・九%、長崎県が一一・五%という数字になっております。これは三十七年七月だけの数字でございます。
  56. 八木昇

    八木(昇)委員 どうもいまの数字では私どももよく理解をいたしませんが、福岡県に例をとりますと、かつて十年くらい前ですね。そのころの生活保護者数というものは五、六万名程度であったのじゃありませんか。その辺のところはわかりませんか。
  57. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 昭和三十二年の被保護者の実人員は七万八千五百三十人であります。
  58. 八木昇

    八木(昇)委員 その点からいきますと、昭和三十二年に七万八千人でありましたものが、もうそれから五年後には二十二万と、一挙に十五万ふえていますね。それはほとんどが炭鉱不況の関係じゃないのですか。
  59. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 先生承知のように、かつて福岡県は全国最低の保護率をむしろ誇ったところでございますが、このようにふえましたことにつきましては、やはり主たる理由は炭鉱離職、そういう客観的な社会、経済情勢の変化によるものが大きな原因をなしておるものと私どもは考えております。
  60. 八木昇

    八木(昇)委員 ところでこの生活保護というのは国が八割の負担ですか、残りの二割は町村が負担する、それから市については市ですね。それらの地方自治体の産炭地の生活保護の年間の負担額、これはどのくらいになっておりましょうか。福岡県、佐賀県、長崎県各県のそれぞれのトータルで言ってもらえればいいのです。
  61. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 これは四十一年度の見込みだけ申し上げますと、福岡県全体で保護費総額約二百二十億でございます。したがいましてこのうち二割が地元負担、佐賀県が二十億、長崎県は五十三億でございます。
  62. 八木昇

    八木(昇)委員 まあ事務費とかいろいろなあれが加わるだろう、こう思うのですが、そうなりますとこれはやはりたいへんな数字だと思う。離職者の人も何も生活保護になることを望んでおるわけではなくて、働く意思とある程度の能力があるにもかかわらず、それに対する対策がきわめて不十分のために、こういった事態になっておるという面がありますので、その点は厚生省というよりは労働省、そういった方面にあと質問をしたいと思うのでございますが、そういうふうに年々たいへんふえておるということでございますが、本年度は三県それぞれ大体どのくらいふえる見込みでございましょうか。
  63. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 現在のところはまだ県に対して前年度実績に基づいた概算交付を行なっておるわけでございますけれども、本年につきまして特別急激にふえるということではなくて、それからなお先ほど申し上げました生活保護費は、生活扶助以外に医療扶助、すべての扶助を含んでおりまして、それぞれの扶助によって増高の傾向は多少異なりますけれども、いまのところでは多少の増高はあっても、そう著しく大きな増加はないのではないかというふうに見ております。
  64. 八木昇

    八木(昇)委員 それは少し甘いのじゃないかと思うのです。石炭対策の動きというものとにらみ合わして判断しておりましょうか。さらに石炭企業の合理化というものは、昭和四十五年を目ざして進んでいくわけでございます。本年度だけで三百三十万トン相当の山が閉山になるわけですね。新たに相当離職者が出る。それからすでに離職者.手帳を持っておる人の三年間の期限切れになる人が、本年度も現在すでに三千名近くある、さらに加わっていく、こういうような事態等々を全部見通して、本年度並びに今後昭和四十五年度くらいまでの生活保護者の増大傾向というものについて、もっとこまかく判断をしてあるべきはずだと思うのですが。
  65. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 一般的に申しまして、一方でそういうふうに保護の増大をもたらす要因もあるわけでございますけれども、一方でこれはこういうことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、やはり実施機関、つまり県なり市の福祉事務所の実施体制その他から言いまして、何と申しますか、生活保護の施行についての適正な事務の実施が必ずしも従来十分でなかった向きもございまして、そういうところで一方でそういう事務の適正化ということによって何がしかのいわば増高を抑制すると申し上げるとちょっと問題なんでありますけれども、そういう点もございますので、見通しとしてはそれほど著しい増加をもたらすことはないんではないか。なお、これも先生承知と思いますけれども、生活保護の場合は当然これは義務費でございますから、当初予算でどのように見込んであったところで、その後の情勢によって保護費がとうてい不足するということであれば、その財源の制約によってどうこうという問題はございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  66. 八木昇

    八木(昇)委員 それでは局長に数点お伺いしたいと思うのですが、現在炭鉱離職者であって滞留状態にある者は、前年度から本年に繰り越してくる者が九千名ですね。それから昭和四十二年度に新たに発生する者が一万四百人、計の一万九千四百人。この行く先は、職安窓口を通じて他へ転職ができるだろうと見込んでおる者が九千六百十人、この九千六百十なんという数字はどこから出ているのか知りませんけれども、——それから会社あっせんによって転職できる者一千五百名、自分で職を見つけて転職をする人二千六百九十名、計の一万三千八百人、昭和四十三年度、来年度に繰り越していく者がしたがって五千五百人から六千五百人くらい、こういう話でございますが、大体そういったところでしょうか。
  67. 有馬元治

    ○有馬政府委員 いま御指摘がありました数字で大体われわれも計画を立てております。
  68. 八木昇

    八木(昇)委員 ほかに緊就事業に働いておる人々で、緊急就労事業が五千四百名、本年中にこれが二百名くらい減ると、五千二百名くらいになる。これも大体労働省としてそういう御説明であると思うのでございます。そうなりますと、以上は大体職安の窓口を通じて労働省が把握しておられる数字であって、実際にはやはりまだ事実上は潜在しておる失業状態の人が相当数あると私は感じておりますけれども、ともかくそれにいたしましても労働省がつかんでおるだけの数字でも全然この行く先が今後どうにもならないという人の数が相当ばく大な数にのぼりますね、これは一体どうするつもりですか。
  69. 有馬元治

    ○有馬政府委員 炭鉱離職者臨時措置法によりましてわれわれが対策を講じておる対象人員が、いま申しました計画数と過去の実績数にあらわれておるわけでございますが、これによりましても、御指摘のように来年度に六千五百名繰り越しになる。それから緊急就労事業に五千二百名は今年度計画として吸収しておる。さらに手帳切れの問題が過去二カ年わたりまして福岡県だけで二千名をこえる数字が出てきております。さらに今年度はやはり千四、五百名程度は出る者が見込まれるわけですが、これらの対策を講じながらなおかつ再就職ができないという気の毒な方々が若干残るのでございます。これらについては職安機能をあげて引き続いて再就職の職業紹介を積極的にやりますと同時に、いろいろな事情からこれらの方々は地元を離れられないという事情あるいは年齢が非常に高いというふうな事情でございますので、できるだけ地元の公共事業ないしは鉱害復旧事業先ほど通産省から御説明がありました産炭地振興事業、地元のこれらの事業に積極的に吸収していくという考え方で第一線の県並びに安定機関を督励いたしておるわけでございます。このほかに、もちろん先生御指摘のように、離職者措置法の対象者でない関連部門から出てきている失業者というものが筑豊には相当ございます。これらの方々も、原因のいかんを問わずわれわれこいたしましては再就職可能な方々については同様に積極的な就職対策を講じてまいりたい。そのためには新年度から新たに本省に調整官制度を設けまして、これらの連絡推進ということを十分はかってまいりたい、こういうふうな体制も新たにとりましたので、今後さらに一そう積極的な推進をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  70. 八木昇

    八木(昇)委員 結局このたいへんな数の、どうにもならない人たちについての対策はないということだと私は思うのですが、私は公共事業に行けとか鉱害復旧事業に行けとかいうことは、いわゆる土方に行け、こういうことで、しかもそこがちゃんとその人の身分を一生保障して使ってくれるところならいいけれども、ただ必要なときだけ使って、そして事業が終われば首を切る、しかも一年間まるまる通して仕事があるとは必ずしも限らない。季節労働者みたいなかっこうのものですから、当然だれもそれに希望はしない、こういうことだと私は思うのです。そこで結局は私の考えとしては、失対事業か緊急就労事業か、しかもその内容をもいろいろと検討をしてそこへやはり吸収していくというよりほかには、どう考えても処置のしようがないと私は考えるのですが、そういった点につきましては大臣と午後若干やりとりをしたいと思いますが、一方において失対の窓口規制を非常にきびしく労働省はやっている。そこで、失対二法案が改正になってから後、新規に失対事業に入れた人数、これがわかりましょうか。
  71. 有馬元治

    ○有馬政府委員 失対法の改正は、御承知のように三十八年の七月から施行になったわけでございますが、この時点におきまして福岡県の失対就労考の総数が三万四千七百三十二名でございます。以後、多少減りましたのでございますが、一番減ったときが四十年の六月末で三万一千二百六十七名、こういう状態に相なったのでございますが、最近またふえてまいりまして、四十二年の一月末では三万三千百九十二名、こういうふうに漸次ふえてまいっております。
  72. 八木昇

    八木(昇)委員 これは失対から就職して出ていく人もいろいろありましょうが、そうしますと、福岡県の場合では昭和四十年から昭和四十二年一月末までの間をとってみますと、千何名かはふえている。そのうち出ていった人もありましょうから、実際に新規に入れた数はもっと多い、こういうことになるわけですか。
  73. 有馬元治

    ○有馬政府委員 いまのは対象者のその時点における数でございますので、当然出入りがありますから、純増の数としましてはもう少し多いわけでございます。福岡の例で申し上げますと、三十九年度から四十一年の三月末までの累計が千七百十六名でございます。以降四十一年度四月から月別の流入者がございますが、大体月平均いたしまして三百人前後の新規流入がございます。
  74. 八木昇

    八木(昇)委員 月平均三百人程度、最近の一年間は新規に入ってきておる、こういうお話ですか。そのうち、炭鉱離職者はどのくらいの割合ですか。
  75. 有馬元治

    ○有馬政府委員 炭鉱離職者につきましては、失対に流入する以前にいろいろと対策を講じております関係で、現在のところ四月末で流入した人員が三十名でございます。
  76. 八木昇

    八木(昇)委員 四月末でというのは、その四月一カ月だけでという意味ですか。
  77. 有馬元治

    ○有馬政府委員 累計でございます。
  78. 八木昇

    八木(昇)委員 一年間の累計ですか。
  79. 有馬元治

    ○有馬政府委員 いままでの累計でございます。
  80. 八木昇

    八木(昇)委員 いままでのというと、いつからいつまでの何年間分で三十名ですか。
  81. 有馬元治

    ○有馬政府委員 手帳切れが出たのが四十年度からでございますから、約二年間にわたって三十名ということでございます。
  82. 八木昇

    八木(昇)委員 それは手帳制度ができてから、手帳切れになった人の中から三十名ということになるのですね。
  83. 有馬元治

    ○有馬政府委員 そういう意味でございます。
  84. 八木昇

    八木(昇)委員 これでは事実上はほとんど完全に、シャットアウトを食っている。炭鉱離職者の場合、失対事業へ入る条件はまずほとんどない、こういうふうに判断されるのですが、その三十名の人たちというのはどういう人たちでしょうかね、
  85. 有馬元治

    ○有馬政府委員 いわゆる手帳切れの方々がその後どうされておるかという調査福岡県についてやっておるのでございますが、先ほど申しましたように、四十年、四十一年度で発生した手帳切れの方々が合計いたしまして二千四十四名ございます。この方々で一番大きな率を占めるのはリタイアの比率でございまして、二千四十四名のうち七百八十三名がリタイアしております。この比率は三八上二%でございます。その次が自己就職あるいは自営業というような形で再就職された方々が五百九十六名、比率で二九・二%、合わせますと約七割近くになると思います。残りのうち生活保護にいきました者が二百三十六名で一一・五%、それから安定所が紹介をした者が三百十八名、比率にいたしまして一五・六%、それから転出等をいたしました者が四十名で二%、結局四十二年三月末現在で有効な求職として安定所に求職手続をとっておる者は四十名でございます。こういう状況で、手帳切れ者の満了後の動向が出ておりますので、私どもとしましては安定所の窓口に求職者としてあらわれた者を対象に職業紹介を今後も続けていきたい、かように考えておるわけでございます。
  86. 八木昇

    八木(昇)委員 いまの数字をこまかく書き取ることができませんでしたが、非常に大ざっぱに言いますと、福岡県のみでなく、全国的に見ましてすでに三カ年の期限が切れて手帳切れになっておる人が約三千名ですね。その内訳なんですが、手帳切れになってから後に就職ができた人あるいは生活保護にいった人、あるいはわずか三十名か何十名かでしょうが、失対事業にいった人、こういう人たちがおると思いますけれども、そのいずれにも属していない人たちはどのくらいあるのですか、そしてそういう人たちはどういう暮らし方をしているのですか。
  87. 有馬元治

    ○有馬政府委員 いま福岡県の事例について申し上げたわけでございますが、先ほど申しましたように、リタイアをした人が三八・三%、それから自営業あるいは自己就職という形で更正された方々が二九・二%、これで七割近くが何らかの形で対処いたしておるわけでございます。このほかに生活保護が一一・五%、それから安定所を通じまして、公共事業その他を含めまして、再就職しているものが三百十八名で、一五・六%、こういう比率で残った有効求職者が四十名、こういうことに相なっておるわけでございます。
  88. 八木昇

    八木(昇)委員 公共事業その他に何百名とか言われたのですが、それは公共事業で、結局恒常的な身分保障をされた雇われ方ではなくて、ともかくそこへ土方に行っている、こういうことですか。
  89. 有馬元治

    ○有馬政府委員 公共事業は主として道路の改良でございますが、鉱害復旧事業は農地の復旧作業が主でございます。職種としてはそういった現場の重筋作業が主でございまして、事業の仕事の性質上、恒久的な職場というわけにはいきませんけれども、やはり福岡地域には、公共事業が今後ともそう減るということはありませんで、事業量としてはますますふえてまいっておりますので、これらの事業を、総合的に把握いたしまして、各年度ごとに、離職者のうち、しかも手帳切れになった方々を、優先的に地元のこういった事業に就労していただくように、私どもとしては計画的に推進してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  90. 八木昇

    八木(昇)委員 これは政府予算案ができます前に、大蔵大臣のところに陳情があり、それに私ついて行った際に、緊就事業に働いている人の中には、相当数炭鉱離職者以外の人がおるそうじゃないかということを、大蔵省のある局長が発言をいたしましたが、その実態を御説明願います。
  91. 有馬元治

    ○有馬政府委員 緊就事業は、御承知のように離職者の吸収率を八五%というふうに、基準をきめておりますので、残りの一五%については、御指摘のように炭鉱離職者以外の者が就労しておるということに相なるわけでございますが、そのほかにも炭鉱離職者でない者が若干いるじゃないかという御非難は、大蔵省あるいは会計検査院等に現にございます。私どもも近く実態調査はいたしたいと存じますが、御承知のようにこの緊就事業が始まったいろいろな経緯がございまして、その当時入っておった者を、離職者でないから出ていけということは、なかなか言いにくい事情もございまして、若干はおるかと思いますが、実態は詳細つかんでいない状態でございます。
  92. 八木昇

    八木(昇)委員 一応午前中の質問は、これで終わります。
  93. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長 午後は二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後三時二分開議
  94. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。一炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。田畑金光君。
  95. 田畑金光

    ○田畑委員 初めに基準局長にお尋ねしたいと思うのですが、炭鉱の賃金の支払い状況と申しますか、特にいまの炭鉱は経理上あるいは融資の面においてもやりくり算段、四苦八苦の状況で、したがって、中には賃金の遅配を見ておる炭鉱もあるやに聞いておりますが、そのような資料があれば、この際ひとつどういう現状かを明らかにしてもらいたい。
  96. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 石炭鉱業における賃金不払いの概況を申し上げますと、これは絶えず動いておりますが、十二月末の数字で申し上げますと、昭和三十八年十二月末においては七十五件、八億四千二百三十六万、それが三十九年十二月末は五十三件、二十億二百五十九万円、四十年十二月末においては二十八件、二億八千四百五十九万円、四十一年十二月末におきましては十九件、一億六千七万円という数字になっております。これは十二月末の時点をとらえてそのとき現在における不払い件数と不払い金額を申し上げたわけでありますが、以上申し上げましたように、昨年の十二月末現在におきましては約一億六千万円という金額でございます。しかし、それまでにいろいろ手を尽くしまして、未払いのものにつきましてもできるだけ支払わしめるといったような措置を講じておるわけでありますが、現在なお古いもので未払いのまま残存しておるものが賃金としては約十億七千万円程度ございまして、両者を合算いたしますと約十二億円であるという状況でございます。ただし、その中身は、退職金の不払いという形で残っており、それが約七割を占めておるというのが現状でございます。
  97. 田畑金光

    ○田畑委員 先ほどの説明の中で、三十八年の十二月末は金額にして八億余、三十九年は二十億余となっております。それが四十年にはわずか一割の二億余、こうなっておりますが、三十九年から四十年一年間で二十億が二億になっているというのはどういう事情によるものですか。
  98. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 ちょっとこれは手続的なことでございますので、補足して申し上げたいと思いますが、この賃金不払いの件数並びに金額の中身は、労働基準監督機関が送検手続をとってもう司法手続に移行したというものを一応計算上落としておるわけでございます。これは労働基準審議会で賃金不払い件数の報告のしかたとしてそういうふうに御了承いただいておりますが、ただそれは司法手続をとった、そして一応表面から落としたというだけのことでありますから、実質的な未払いはまだあるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、昭和四十一年十二月末のその当時に、いわば司法手続に移行しないものとして従来の慣例に従って数字としてあらわれるのは一億六千万円でございますけれども、過去の未払いのままなお今日までずっと引き続いて残っておるのが十億七千万ある。したがって、十二月末時点の発表数字では一億六千万ですけれども、過去の未払い分も合算いたしますと十二億になる、こういうふうに申し上げた次第でございます。統計上の、一つの技術上の理由による場合が多うございます。しかし、傾向としては、賃金不払いのこういった下降傾向が認められるということでございます。
  99. 田畑金光

    ○田畑委員 それから炭鉱の各種保険金の納入状況について、できれば公租公課を含めてと考えますけれども、それはちょっと無理かもしれないと思うので、局長のほうでわかっておる数字でけっこうですから、社会保険の納入状況を。
  100. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 これは調べればわかるのですが、いまちょっと手元資料がございませんものですから、あと調査いたしましてお答え申し上げたいと思います。
  101. 田畑金光

    ○田畑委員 その点は、ひとつできれば公租公課まで含めて各種保険の未納状況など正確な数字が把握できれば、後日でもけっこうでございますので、資料として出していただきたいと思います。  さらに、先ほど局長賃金の不払い状況の説明の中でいろいろ基準監督署を通じ賃金の不払いあるいは遅払いの解消のために努力しておるというわけでありますが、どのような指導をなさっておるわけですか。
  102. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 大体のやり方を申し上げますと、二つの型がございます。それは、いわゆる倒産とかあるいは経理状況の悪化というものが突然くる場合の型と、それから一般的な当該産業における不況が予測されるという場合の二つの型がございますが、その突然ばったり型の倒産や賃金不払い、これはなかなか実際問題として把握が困難であるという場合がございます。しかし、一般的に当該産業がだんだん不況になってきたという予測ができるものに対しましては、同業者の団体等を通じまして、いわば内々に関連企業の状況等をも事前に予測いたしまして、賃金不払いが起きないように事前に配慮するといったような措置を講じておるわけであります。これは、特に集団産地などについてはこのような手段が可能でございます。  それから、石炭につきましても、大体の予測の立つものにつきましては、現実に不払い発生の前に監督署としても内々連絡をいたしまして、その点についての注意を喚起するといったような形をとっております。にもかかわらず、現実に賃金不払いが発生したという場合につきましては、賃金不払いの是正方勧告書を交付いたしまして、第一段階で勧告いたします。そうして一定期日まで支払いの計画を明らかにするように指導するわけでありますが、その支払い計画が実行されない、なかなか払う意思もないというような場合には、送検手続をとるという措置をとりまして、司法処分という形に移行するわけでございます。ただ、石炭の場合につきましては、閉山でいわゆる買い上げという手続に移行するものにつきましては、御承知のように、買い上げ金額の中に賃金不払い充当分がございますので、そういったものが適切に見込まれ、かつ支払われますように、関係機関にも十分連絡をとるといったような措置を講じておる次第でございます。
  103. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣にいまの問題に関連してお尋ねをしたいわけですが、炭鉱離職者の援護措置については、逐次内容についてもかれこれ充実され、また是正をされてきておるわけですね。昨年十二月の臨時国会においても炭鉱離職者臨時措置法の一部改正がなされて、離職者措置についてもよりきめこまかく施策が進められておるわけです。今回また援護業務を幾つかの点にわたって整理をされ、また漸進的な案が提案をされておるわけです。また、各種炭鉱離職者の援護措置についても、諸手当の支給あるいは就職援助などについて、あるいは福利厚生施設の面などにおいても、かれこれの措置が積み上げられてきておるわけでありますが、この点はそれなりにだんだん成果をあげつつある、こら考えるわけです。また、現実に動いておる山、石炭鉱山については、合理化事業団などから、いろいろ近代化資金の問題であるとか、あるいはまた、整備にあたっては整備資金の貸し付けなどの措置がはかられておるわけですね。したがって、現実に動いている山については、合理化事業団——いよいよ閉山になる、あるいは合理化のために出ていく離職者については、先ほど申し上げたいろいろな援護措置というものがきめこまかく進められているわけでありますが、中間にあって——とは適切でないかもしれませんが、現実に経営されている山の中において、いまあげられたように、不払いあるいは遅払いを起こしている炭鉱があるわけですね。昨年十二月末現在において、先ほどの話を聞けば、十九件、一億六千万余にのぼっているわけです。さらに古い——これは司法手続をとられているという先ほどお話でありますが、十億七千万にのぼっている賃金の不払い状況が今日続いているわけです。問題は、いまの局長の説明のように、基準監督署が幾ら勧告するとか、指導するとか、あるいは司法手続をとるとかいったって、こんなものは私は何もならぬことだと思う。それは法律できまっているから、行政官庁としてはそれをやるということはよくわかりますが、現実の炭鉱の中で起きている賃金の遅払いとか不払いとかいら問題については、ただそれだけの措置ではこれは解決しない、こう思うのですがね。このあたりについて、もっと私は、何らかの制度上の措置と申しますか、行政上の協力と申しますか、そういうものが考えられないものかどうか。これは労働大臣というよりは、むしろ、こうなってきますと、通産大臣やあるいは石炭局長のところであるかもしれませんが、この点については労働大臣としてはどうでしょう、何かお考えになることはありませんか。
  104. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 この問題については、従来もしばしば御意見があったところでございます。炭鉱については、交付金の増額、買い上げ金額の単価引き上げ、しかもその中における賃金不払い充当比率の引き上げといったような形で相当改善を見たわけであります。しかし、それ以外に、たとえば、賃金不払いについて、一定の基金を設定して不時の出費に備えるとか、あるいは他の保険制度に依託するとか、いろいろの御意見を私どもいろいろ拝聴したこともございます。ただしかし、法律制度としてそういうものを一般化するということにつきましては、なおかつ非常に大きな問題があり、かつその資金の捻出という具体的な面についてもいろいろ問題があるようであります。  そこで、具体的な問題として、たとえば炭鉱において未払いが既往のものがまだ十何億残っておりますけれども、過去の非常な多額の賃金不払い額につきましても、いろいろ努力をいたしまして、十分ではありませんが、かなり返還せしめているというのが事実であるわけであります。したがいまして、既往の焦げつきのものにつきましては、これは困難でございますけれども、今後のものにつきましては、先ほど来申し上げましたような新しい方策によりまして、相当の解決を見るのではなかろうかというふうに考えているわけであります。
  105. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの御答弁の中で、閉山交付金の増額の問題であるとか、いろいろな措置がとられていることはお話のとおりでありますが、それはいよいよ炭鉱が閉山したあと賃金や退職金の不払いについて優先的に配慮するというようなことで、それは私もよくわかっておるし、一たん離職したあとについてはいろいろきめこまかな措置がとられておるということを指摘したのは、そこを言ったわけです。ただし、現実に動いておる炭鉱について見ると、経理上、資金的にあるいは融資の面から見ても四苦八苦して経営を続けておる、そういう山に、あなたの説明のとおり、現実に賃金のおくれが相当出ておる。そういうことについて、近代化資金とか合理化資金とか、あるいは整備上の資金などについての貸し付け制度はあるけれども賃金の不払いとかあるいは賃金の遅払いなどについての特別の金融上の措置とか援護措置——援護ということばは適切ではないかもしれませんが、それを処理する制度上のあるいは金融上の措置ということが考えられていないですね。この点はどうなんですか。
  106. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 これは先生も十分御承知のところでございまして、くだくだ申し上げるのは恐縮に存じますが、炭鉱のみならず、一般の企業における賃金遅欠配の例を見ましても、大体倒産まで労使ともに何とか企業を立ち直らせるように努力をいたし、金融の可能性のあるものならばとにかく経営立ち直りに全部を投入する、こういった形で最後のどたんばまでまいるというのが現実の姿ではなかろうかと思うわけであります。したがいまして、金融について特殊な配慮をするということにつきましても、それは御意見として十分考えられ得るわけでありますが、それがいわゆる金融の実際面からしてなかなか実現がむずかしい。金融のいわば一つのコマーシャルベースにおける基本的な考え方があるものですから、なかなか困難である、こういうのがいままでの経過であると存じます。  法律的にいろいろ検討いたしますにつきましても、賃金債権の担保確保という観点から、私ども従来しばしば議論をいたしました。ことに最近におきましては会社更生法の改正といったような問題と関連いたしまして、他の債権と賃金債権との関係というものにつきまして、その優位性を私どもも機会あるごとに非常に強く主張したのでありますが、全法律体系の中における各種の債権相互間の調整の問題としてなかなか論理的にむずかしいものがある、こういう状態でございまして、御趣旨は私ども十分理解できるところでございますけれども、現実にはなかなかむずかしい問題が随伴しておるということであろうと存ずるわけでございます。
  107. 早川崇

    ○早川国務大臣 現在の事業で、遅欠配、不払いの多いのは、中小土建業と、いま御指摘の石炭産業が非常に多いと思います。いま局長が申しましたように、法的にどうしろという前に、具体的に遅欠配の炭鉱個々に所管の労働基準局と所轄の地方の通産局がよく相談して、そういう事態を通産省と協力して、できるだけ労働者賃金不払いとか遅配にならないように、さっそくあらためて措置をいたしたいと思っております。したがって、田畑委員のいろいろなそういう具体的な例はどんどんひとつ申し出ていただきまして、私企業でありますから限界がございますけれども、これは道産と一緒にならなければだめなので、そういった行政措置をとりたいと思っております。よろしく御了承願います。
  108. 田畑金光

    ○田畑委員 私の申しておることは、一般論としては、先ほど基準局長お話しのとおり、炭鉱の賃金の遅配、不払い等は、一般の企業、特に中小企業などに起きている現象と共通したことであり、同一であるかもしれませんが、しかし、石炭離職者については、他の産業から出てくる離職者とは違ったかくかくのいろいろな措置が強く講じられておるわけです。これも、要するに、沿革的に見ると、大きな国のえり抜き政策の転換から来た犠牲者であるということで、炭鉱離職者については特別の措置が講じられておるわけです。また、現実に動いておる石炭鉱山についても、それがいろいろな事情によって閉山ということになれば、閉山交付金その他によって、未払いの賃金、退職手当については優先的な支払いをするような法律上の措置も講じられておるわけです。いずれも、考えてみると、離職したあとについてはいろいろな措置が講じられておるけれども、現実に動いている山における賃金の遅欠配などについては、融資の面についても別段の措置が講じられいない。しかし、炭鉱の存続と経営の安定をはかるために今日いろいろな施策が講じられつつあるわけでありますが、特に労働力の確保、雇用の安定というのが今後の石炭産業安定への大きな柱の一つであることを考えたときに、現実に起きておる石炭山における賃金の遅配や欠配について何らかの政策上の配慮をしても、決して先ほど局長の言うような一般的な体系をこわすというようなことには私はならぬと考えるのです。そこらあたりもう少し検討の余地があるように私は考えるのですが、その点を私は大臣に先ほどからひとつ政治的に考慮する余地がないのかどうかということを承っておるわけです。
  109. 早川崇

    ○早川国務大臣 具体的なことは局長からお答えいたしますが、現在労働力が非常に不足しておりますから、炭鉱経営者は炭鉱労働者を非常に尊重し、また確保の措置は一生懸命になっておると思うのです。ですから、賃金の遅配とかあるいは不払いというような事態が起こるには、よほどいろいろな面で苦労しておられるのじゃないかと思います。したがって、金融で片づくことであるならば、もちろん通産局もありますし、労働基準局、監督署は、労働者のそういう権利を守る立場にございますから、別に特別の法律をつくって遅払いのときの基金を設けるというよりも、そういった行政的な面で私は片づくと思うのです。にもかかわらず、長年月にわたり賃金が払えない、これは閉山しなければしかたがない、経営として成り立たない炭鉱だということになるわけであります。山陽特殊鋼みたいなでたらめな経営なら別でございますけれども、いま残っておる炭鉱の場合にはそういうことはあり得ないことでございますので、せっかくの御提案でございますが、法律によって特別の基金をつくるという考えはいま持っておりません。土建業の場合には、労働者賃金を払わなかったら、すぐ県に言って今後入札をやらせないという措置をとっておるのです。これは非常にきき目がある。炭鉱の場合にはそういう措置はとりませんので、よく地方通産局と労働基準局が御相談をして、田畑委員の御要望にこたえたいと思います。また、局長が報告しましたように、そういった賃金不払いが金額にして非常に減ってきておるわけでございますから、非常に御心配でありますが、傾向としてはやはりいい方向に向かっておると私は思っております。
  110. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 一般論としてでなくて、個別的な事情に応じまして、実は過去におきましても賃金不払いを中心にした特別の融資をお願いいたしまして、二億ほどの賃金を解消した事例もあるわけでございます。私は一般論としてお答え申し上げましたが、その後大臣からもいまお答えがございましたように、個別ケースの問題としてそういったことが可能な例もあるわけでございますので、私ども今後そういった事案のいわば個別的な事情を十分調べまして、できるだけの努力をいたしたい、かように存じます。やり方としましては、大臣から御答弁がございましたように、もとより通産局その他関係機関と十分連絡いたしまして問題を解決するように進めるということでございます。
  111. 田畑金光

    ○田畑委員 それはその程度にとどめて、基準局長がいらしておるから、ついでにお尋ねしておきたいのですが、これはたしか労働大臣の所信表明の中に載っておることですが、「一酸化炭素中毒患者に対する医療対策につきましては、三井三池の災害発生以来、専門病院及びリハビリテーション施設の開設、産炭地付近の労災病院に高圧酸素室等の救急器材を整備する等、被災労働者の保護に万全を期してきたところであります。また、かねてから各方面から要請されていた一酸化炭素中毒症に関する特別対策については、現在労災保険審議会において審議をお願いしているところであり、成案を得次第、今国会に法案を提出する考えであります。」と述べておりますが、この労災保険審議会の審議の状況と、これはいつごろ政府に答申が出されて、今後労働省としてはどういう手はずでこの国会に法案の提案をなさる方針なのか、これを承っておきます。
  112. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 石炭鉱業における一酸化炭素中毒問題につきましては、労災保険審議会で、昨年末以来、これは非常に御熱心に審議検討を継続しておりまして、近く答申をいただけるものと予想いたしております。大体の審議経過を申し上げますと、労働者側からいろいろな要望がございました。使用者側もいろいろな意見の開陳があったわけでございますが、数多い問題点の中で、立法事項としてはどのような問題が考えられるか。それから要望事項の中で、行政措置としてなし得るものもあるわけでございます。そこで、問題の中心は立法措置の問題でございますので、立法事項としてどのようなものを考えるかという点につきまして、いま取りまとめの最終段階に入っているような次第でございます。来週の火曜日、十六日に審議会総会を開きますが、私どもといたしましては、当日答申案がまとまりますように期待をいたしておるような次第でございます。その答申がございましたならば、さっそくこれを法案としてできるだけすみやかに国会に提出する運びでございます。
  113. 田畑金光

    ○田畑委員 いまさら申し上げる必要もないことですが、一酸化炭素中毒患者の症状というのが、精神上、神経上特殊な症状であることは周知の事実で、本人並びに家族にとって非常な不幸なことこれ以上のものはないと考えております。これは、厳密に申し上げると、社会労働委員会で議題にすることであるかもしれませんが、特に大臣の所信表明の中で三井三池の事故に関連して取り上げられておる重要な政策目標でもありますので、そのような悲惨な災害の実情に即して、当然労働大臣としてはこの国会中において答申案に基づいて必ず立法化するものと期待しておりますが、同時にまた、あくまでも立法の内容については、これらの気の毒なあるいは悲惨な患者の実情に即しあるいは家庭の環境に即応した法律案というものが準備されて提案されるものだ、こう私は見ておりますが、この点についての労働大臣の考え方あるいは方針をあらためて承っておきたい。
  114. 早川崇

    ○早川国務大臣 お約束どおり今国会に法案を必ず提案いたしたいと思っております。その内容につきましても、御趣旨に沿いまして妥当な法律を出したいと思っております。
  115. 田畑金光

    ○田畑委員 局長先ほどの御答弁によれば、来週十六日にできるだけ答申がまとまって出せるようにというお話でありましたが、その見通しは狂わないというようなことにお聞きしてよろしいのですか。
  116. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 これは審議会のことでございますので、十六日にまとまることを期待いたしておるというふうに申し上げたのでございますが、論議としてはかなり尽くしておるわけでございまして、労使の主張点というのは大体整理されてきておるわけでございます。最終段階において問題となりますのは、いろいろな項目の中でどういう事項を立法事項として扱うかということにあるわけでございます。いま審議の最終段階にあるわけでございますので、私からあまり具体的なことを申し上げるのは差し控えたいと存じますが、たてまえといたしましては、この際石炭鉱業を適用の対象とする法案にしたい、これについては各委員異論がございません。石炭における一酸化炭素中毒患者に対する特別措置法になることは大体間違いのないところであろうと私は存じております。そこで、石炭鉱業の特殊性に応じた保護措置というのはどのようなものであるかという点について、項目が非常に多いわけでございますので、それをいま整理されておる、こういうことでございます。十六日に答申をいただけることを私ども期待いたしておりますが、内容のいかんによりましてはさらに延びることももちろんあり得るわけでございます。しかし、各方面の要望が非常に強いわけでございますから、できるだけ答申を取りまとめて、法案提出をできるだけ早くいたしたいというのが審議会の各委員のお気持ちのように私ども承知いたしておるところであります。
  117. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣の御答弁あるいは局長の御答弁のとおり、この国会の中で必ず実現するよう、しかもその内容については、現に起きておる悲惨な災害の実情に沿うような内容であることを強く希望しておきたい、こう思います。  次にお尋ねしたいのは、いま審議されておる離職者臨時措置法の一部改正法案の中で、自営支店金とか、あるいは炭鉱離職者事業を開始するに必要な資金の借り入れにかかる債務の保証を行なうという業務でございますが、特に私がお尋ねしたいのは、この自営業というのはどのようなことを皆さんとしては考えておられるのか、これをひとつ説明願いたいと思います。
  118. 有馬元治

    ○有馬政府委員 自営業の範囲は非常に広いわけでございまして、私どもとしましては、農業を含めて自営業というものを考えていきたいと思います。
  119. 田畑金光

    ○田畑委員 農業を含めてというと、その他一般の商業でも、あるいは工業でも、すべての仕事を含む、業種を含む、こういうことですね。
  120. 有馬元治

    ○有馬政府委員 さようでございます。
  121. 田畑金光

    ○田畑委員 炭鉱離職者臨時措置法の二十三条の第一項の七号ですか、これを見ますと、「独立して事業を行おうとする炭鉱離職者に対して生業資金の借入のあっせんを行うこと。」というのが載っております。これは援護業務の一つとして今日まで進めてこられたと思いますが、これはあくまでも「生業資金の借入のあっせんを行うこと。」ということですね、これは今日までどのような実績をあげてきたのか、何をこれに基づいてなさってこられたのか、ひとつ伺いたいと思います。
  122. 有馬元治

    ○有馬政府委員 現行法の御指摘の七号の生業資金のあっせんでございますが、これは今日まであまり実績がございませんで、結局、離職者が独立して事業を営もうという場合に、担保力がないものですから、それが一番今日まで自営業を開始するにあたっての障害になっておりました。私どもその点に着目をいたしまして、今度の改正にあたりましては、この種の離職者には初めての制度でございますけれども、債務の保証制度を新たに創設した次第でございます。
  123. 田畑金光

    ○田畑委員 いま取り上げた第二十三条の第一項第七号の規定に基づく援護業務というのは、あまり実績があがらなかったのじゃなくて何もなかったのでしょう。実績は皆無だったと思いますが、どうですか。
  124. 有馬元治

    ○有馬政府委員 窓口における相談実績はございますけれども、相談の程度に今日まで残念ながらとどまっておるわけでございます。
  125. 田畑金光

    ○田畑委員 それさえはっきりしてくれればいいわけですがね。何もやらなかった、何もあがらなかったということだけははっきりしたわけですね。  そこで今度は、そうしますと、局長の御答弁の中にありましたように、残念ながら炭鉱労働者は担保力がないので、結局何もできなかった、資金のあっせんなどやっても何も実効がなかった。担保力がないということは、それはよくわかります。そうしますと、今回の自営資金の借り入れの債務の保証については、財産の有無とか物的担保の有無などというのは何らの条件として予見していない、したがって、物的担保は取らない、人的保証も考えていない、ただあくまでも雇用促進事業団が保証することによって金融機関からの借り入れが可能になるし、そのように指導するんだ、このように理解してよろしいわけですか。
  126. 有馬元治

    ○有馬政府委員 大体の趣旨は御意見のとおりでございますが、無担保で貸し付け得る限度は一応五十万円というふうに考えております。それから一件当たりの保証の限度額としましても百万円を限度とするというふうに、この債務保証制度の細目についてはそういう制度にいたしてまいりたいというふうに考えております。
  127. 田畑金光

    ○田畑委員 五十万円までは無担保というわけですが、そうしますと、五十万をこす百万までの間は担保を取るというわけですね。しかし、局長の御答弁にあったように、炭鉱労働者が金を借りるについて担保力あるいは担保物件というのがあるのかという問題ですね。先ほど答弁の中にもあったように、先ほど読み上げた炭鉱離職者臨時措置法の二十三条の第一項第七号の融資のあっせんにおいても、何も実績があがらなかった、ゼロであったということは、結局、担保物件、担保力がなかったからあがらなかったわけです。したがって、今回の場合も、五十万までは無担保だが、それをこせば有担保ということになれば、同じような結果になりはしませんか。
  128. 有馬元治

    ○有馬政府委員 無制限に無担保というわけにもいきませんので、一応五十万限度で無担保という考え方で、それ以上は物的担保ないし保証人というような、まあ一般の金融ベースを考えておるわけでございます。
  129. 田畑金光

    ○田畑委員 そうなってきますと、結局いままでの資金のあっせんと同じ結果になりはせぬかと思いますね。炭鉱をやめた人方で、一体有担保といったときに、物的担保などを持つ者というのはごく限られた場合じゃないかと思いますね。ご承知のように、炭鉱労働者というのは、一般的には社宅に入っている人方ですね。自分の家なんか持っているというのはめったにないと思うのです。せっかく五十万まで無担保だとすれば、五十万から百万といって、たいした違いないじゃないですか。ほんとうに制度をつくって、その制度により炭鉱離職者が自営業を営んでいこうとするならば、せめて百万くらいなければ、いまの時節——あなたのお話によると、農業でも何でもやるんだ、工業でも何でもやっていけるんだというようなことですから、そういう仕事を予定しておるならば、いまの条件いうのはきつ過ぎる、したがって、またせっかくやっても何ら実効があがらぬという結果になりはせぬかと思うのですがね。
  130. 有馬元治

    ○有馬政府委員 いままでゼロであったわけですが、駐留軍の離職者の例を見てみますと、これは債務保証制度の裏づけはなかったわけでございますけれども、いろいろな例がございますが、養豚、養鶏あるいはタクシー業、クリーニング、いろいろな自営業種がございます。事業規模の大きいものもありますし、小さいものもあります。これらを達観して、大体このくらいのところから始めて、さらに必要があればだんだん限度額を改定していくという方法で運営をしていきたいという考え方を持っております。
  131. 田畑金光

    ○田畑委員 これは事業団がやるわけですが、そうしますと、事業団の各支部というのか支所というのか、そういうようなところが現実には借り入れの申請に対して審査をやり、この借り入れ申し込みは妥当であるかどうか、適正であるかどうか判断するのが、末端の事業団の機関になるわけですか。
  132. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは、開業資金の借り入れ自体は一般の金融機関でございまして、特定をいたしておりませんので、その貸し付けをする金融機関に対して債務保証のいま申しましたような限度基準を示しまして、金融機関において具体的なケースに応じてその事務を委託の範囲において処理していく、こういう形になろうかと思います。
  133. 田畑金光

    ○田畑委員 たとえば私なら私が地方にあって、事業団の保証で銀行から金を借りて自営業を何かやりたいという場合には、どういう作業からまず始めていけばいいのですか、ひとつそのモデルケースを説明してもらいたい、こう思うのです。
  134. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは一般の事業を開始すると同じような手続で銀行なり、あるいは信用金庫なり、あるいは国民金融公庫なり、ここへ事業計画を添えて借り入れの申し入れをする、その際に、炭鉱離職者である場合には、これから設けようとする債務保証制度の裏づけがございますから、この制度の限度基準に従って、金融機関はその部分については債務の保証が事業団によってなされておる、こういう裏づけのもとに金融をするわけでございます。そういうことで、直接開業資金を事業団が貸し付けるというわけではないわけでございます。
  135. 田畑金光

    ○田畑委員 四十二年度はどの程度の債務保証額を予算化しているわけですか。
  136. 有馬元治

    ○有馬政府委員 貸し付けによって債務が焦げつき、回収ができなかったという場合に、事業団が金融機関に補償をするわけでございますが、これは一応四百四万円程度を今年度分としては見込んでおります。そしてこれに見合う保証の限度額ししまして、予算的に八千万円を見込んでおります。かりに平均で見てみますと、一件当たり百万円の最高限度を考えておりますので、一件百万円と計算いたしますと、八十件貸し出しができる。もちろんこれは最高限度でございますから、人によっては二百万、三百万まで借りて、限度としては百万円までの債務保証をしてもらうという場合もありましょうから、この程度から債務保証制度を開始していこう、もちろんこれは次年度、三年度とだんだん需要が多くなりますから、ふやしていこうと思っております。
  137. 田畑金光

    ○田畑委員 よく内容がわかりましたが、そうしますと、たとえば一件三百万とすれば、全国で二十四、五件だということですね。いまの御答弁では、八千万が保証の限度でしょう。そうしますと、かりに一件四百万が承認されたということになれば、保証額は八千万ですから、四百万平均にすると二十件でしょうが。損失補償が年間ことしは第一年度として四百四万ということでしょう。そうしますと、私たちもこれはいいことをおやりになったなと思って、相当地方では期待しておるのがあるんですよ。これでひとつ金を借りて仕事をやってみようかという意欲を燃やしておる炭鉱離職者ども相当あります。うんと利用して、ひとつ今度はりっぱな仕事をやってみたらどうだと言って激励しておるわけですが、よく聞いてみると、保証額が全国でことしは八千万の限度であるとすれば、何十件かの限度だということになりますね。これはせっかくのあれだが、もうちょっと積極的な仕事をやったらどうですか。
  138. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは計算上の議論でございまして、先ほど先生から例としてあげられた四百万借り入れの場合におきまして、債務の保証の最高限度は一件当たり百万でございます。したがって、四百万中百万の部分については今回の債務保証が可能でございますが、いろいろ小口もございますし、それから私ども危険率を最大限に見まして、先ほど予算上の金額でございます保証限度額八千万に対して補償費四百四万という計算をしておりますが、これは危険率が五%というふうに見ておるわけでございます。現実にやってみますと、これほど高い危険率ではないと思います。したがって、今後の運用といたしましては、実績を見ながらだんだん貸し付けの限度あるいは保証料、こういったものも相関的に検討して幅を広げていきたい、かように考えておるわけでございます。
  139. 田畑金光

    ○田畑委員 いまのお話で、局長、保証料五%というのは保証手数料の意味ですか、保証手数料が五%というと、これはたいへん高過ぎる保証料だと思いますがね。
  140. 有馬元治

    ○有馬政府委員 五%というのは危険率でございまして、保証料は日歩一厘でございます。
  141. 田畑金光

    ○田畑委員 適正な自営業であるかどうか、すなわち自営計画が適切であるか、あるいはほんとうに自営業としてやっていけるかどうか、そういう基準の審査というのは非常にきびしくしなければ、いま程度の予算の中に追い込むことはできないと思うんですよね、総額八千万ですから。この制度が現に実施されますと、おそらく相当申し込み件数希望者というものが、銀行の窓口にたくさん出てこようと思うのです。それが総額八千万円でしばられてきますと、この計画が適正であるかというようなことは非常にきびしくなってこようと思うのですがね。それはどこでそのような審査をするわけですか。
  142. 早川崇

    ○早川国務大臣 先ほど局長との応酬を聞いておりますと、非常にみみっちいようにお考えになっておられるようですけれども、これは画期的なことなのです。とにかく事業団が債務を保証する、これは大蔵省とずいぶん折衝しましてね、こういう例がないわけです。債務保証したら必ず払わないということになってしまいますから、これはたいへんな問題だと。しかし、炭鉱労務者の窮状を考えまして、やっと護得したのでございまして、性質的には画期的な立法でございます。そこで、二十人、三十人といわれますけれども、昨年度実績を見ましても、自営業に転換された方が七百名もあるわけですな。それから本年度計画では八百名を予定しておるわけでございます。そこで、こういう制度ができますと、一応この雇用促進事業団で八千万円の債務計画を立てていますけれども、おそらく御指摘のように——こんないいものないですからね。ですから家族の方がやる場合にも一緒にやろうじゃないか、そのうちの百万円までは債務保証してくれる。そういうことを考えますと、いま局長は八千万円限度といいましたが、これは別に法律上そうきめているわけでもございません。一応予算上の予定でございますので、まあ本国会で通過いたしましたならば、その実績を見て一そう初年度というのは大体計画は非常に小さく見るのがあらゆる問題の例でございます。法案が通りましたら、ひとつ大いに活用していただいて、炭鉱離職者の自営努力というものを援助いたしたいと思っておりますので、あまり悲観的にお考えにならないように、ひとつお願いしたいと思います。
  143. 田畑金光

    ○田畑委員 いま大臣が御答弁なさった画期的な施策であったということですね。これはりっぱなものだということについては私は同感なんですよ。それだけにこれは炭鉱離職者などが、自営業を営むのにも資金的なめんどうがなされて、明るい見通しが持てる、こういう感じを私たち持っておるわけですね。そういうことでこの制度が実施されるとなれば、おそらく希望者も相当あろうと思っておりますが、しかしだんだん聞いてみますと、残念ながら数字は結果においてみみっちい額になっておるわけです。だから末端においては相当きびしい審査で、淡い希望を持たせたにすぎない結果になる事例が多々あるのじゃなかろうか、こう思っておるのです。  それからもう一つこれに関連してお尋ねしたいのは、雇用促進事業団法の第二十六条を見ますと、「雇用促進債券を発行することができる。」こうなっていますね。この雇用促進債券はどの程度発行されて、それは何に充当しておるのか。
  144. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この二十六条の促進債券は、財投から借り入れまして、現にことしは百二十億の規模で貸し付けを行なっておりますが、この場合に必要な債券の発行ということで、この規定を設けたわけでございます。
  145. 田畑金光

    ○田畑委員 幾ら発行しているのですか。そしてそれは何に充当しているのですか。——これも結局先ほど私が読み上げた炭鉱離職者臨時措置法の二十三条の第一項第七号と同じように、ただ法律に書いただけなんでしょう。何か債券を発行して特別に原資をつくって、これで積極的にこういう事業をやってきたという、何か実績があるならば、その実績をひとつ教えてくださいということなんです。
  146. 有馬元治

    ○有馬政府委員 事業団におきましては、促進融資を三十七年度から開始いたしておりますが、四十一年度までの実績といたしまして累計三百億財投から借り入れて、それを原資に貸し付けております。この三百億を借り入れるにつきまして、いまの事業団の促進債券を発行して、政府から借り入れておるわけでございます。
  147. 田畑金光

    ○田畑委員 三百億発行して、それで財投から借りて、事業団は仕事に充てておる、こういうわけですが、事業団はどういう面にその資金を充当しているわけですか。
  148. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは目的が雇用の促進をはかるための融資でございますので、主として、八割五分程度まで中小企業対象に、貸し付けの内容といたしましては、従業員の住宅融資、これが大体七割五分程度でなかったかと思います。それから残りの部分が食堂だとかあるいは娯楽施設等の福祉施設を建設するための融資に充当されております。
  149. 田畑金光

    ○田畑委員 そうしますと、先ほど質問いたしましたたとえば自営資金のワクが八千万という非常に限られたワクであるということ、したがって来年あたりからは、この債券発行によって財投から自営資金などの原資も相当ふやしていく、したがってこの自営制度についても強化できるものだ、こう期待してよろしいわけですか。理屈はそういうことにもなりそうですか、どうなんですか。
  150. 有馬元治

    ○有馬政府委員 先ほどの債務保証の話で出ました保証の限度額、一応の見積りとして八千万円、こう見たのは、補償費四百四万円というのに対応いたしまして、危険率を五%というふうに非常に高く見て、一応の推定をいたしたわけでございます。これは金融機関がみずからの判断によって貸し付けを行なうわけでございますので、ここの雇用促進融資の原資とは違うわけでございます。のみならず先ほど大臣からもお話がありましたように、この八千万円の限度というものは、あくまで机上の計画として推定をいたしておりますが、実際の危険率はそんなに高くないと思いますので、その貸し付けの限度額というものは、一億をこえるか、あるいは一億五千万程度まで伸びるか、この辺は非常に弾力性のある問題でございます。したがって、いま御指摘の債券発行との関連における雇用促進融資の原資と、この債務保証制度によって借り入れる場合の市中銀行の原資とは全然関係がないわけでございます。その点は違った性質の、何といいますか、金融借り入れであるというふうに御了解いただきたいと思います。
  151. 田畑金光

    ○田畑委員 私もこの辺で終わりたいと思いますが、先ほどお話の中で、五十万までは無担保でというわけでしたね。そうしますと、局長先ほどの説明によれば、銀行に希望者が申請をする、その場合には、五十万までは無担保でいけるからということになってきますと、その場合でも、なおかつ、無担保となればなるほど、審査の条件がきびしくなると思うのですが、末端において手続を取る場合において、一体どういうところと相談すればいいのか。何か、あなたのお話では、雇用促進事業団の末端機間は全然無視して、銀行に直接行けばよろしいようなお話でありますが、そのあたりはどういうことになるのですか。
  152. 有馬元治

    ○有馬政府委員 五十万円程度の小口であれば、もちろん先ほどから申しております最高限度の百万円以内でございますので、銀行としては、事業団が債務保証をしてくれる限度内の問題でございますから、まあ銀行なりの判断は加わると思いますけれども、従来のように無担保で貸さないというふうなことにはならない。安心して貸し出せると思います。
  153. 田畑金光

    ○田畑委員 だから結局、私はこう思うのですが、事業団の出先機関がありますから、借りたい人は出先機関に行って相談をして、出発機関でOK、こういう認定があってはじめて銀行に行けば、銀行もまた、それなら、事業団が担保に保証してくれるならば貸してあげましょう、こうなるのが手続上金融の常識からいっても普通だと思いますがね。結局そうなるんじゃありませんか。
  154. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この債務保証というのは、あくまで銀行、金融機関が貸し出しを行なう場合の裏づけ制度でございますので、最終的な審査、判断は銀行、金融機関がやるわけです。そこに至るまでの助言、指導はもちろん事業団の支部、それからわれわれの系統の末端の安定所等においてもやりますけれども、最終的な判断は金融機関にまかせる、こういうことに相なっております。
  155. 田畑金光

    ○田畑委員 せっかくこういう制度をおつくりになったわけでありますから、あなたのお話しのように、最終的には金融機関が貸す、貸さぬということは認定するでしょう。金融機関というのは、本来、たとえば中小企業の金融を見ましても、信用保証協会の保証があるから貸すかというと、必ずしもこうはいかぬと思いますね。事業団が保証するからといっても、一〇〇%貸すかというと、なかなかそうはいかぬと思うのです。したがって、せっかくこういう制度をつくって、炭鉱離職者が今後自営業を営んで、生活の安定をはかっていこうと生活設計を立てて、この制度の融資を受けようというような場合は、やはり事業団の出先機関がそれなりに、あらかじめ相談を受けて、金融機関に助言し、また自営計画などについても、事業団の出先などが第三者的な立場で助言し、指導するということなども、当然私は、この制度の前提として必要であるし、そうでなければ、制度をつくってもなかなかこれは実際実用化されまい、こう思うのです。炭鉱離職者のような方々が銀行へ行って、直接銀行の窓口で折衝するなんて、これは案外むずかしいことだと思うのですよ。そういうことなどを考えてみますと、ほんとうにこの制度を生かすためには、事業団の出先機関などがもっと親切に、離職者などの十分相談相手になって、いろいろ助言し、指導し、銀行にもひとつあっせんの労をとって、この制度が生かされるように——そっちのほうが一番大事なことだと私は感じますので、せっかく仏をつくっても魂が入らずで、また、先ほど私が指摘しました離職者臨時措置法の二十三条のようなことにならぬように、ひとつ十分心がけていただきたい。このことだけを私は強く要望しておきたいのです。
  156. 有馬元治

    ○有馬政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、産炭地離職者のおられる地域は大体限定されておりますので、この地域における安定所、それから事業団の出先機関、これは御指摘のあったような、具体的な指導を十分するように私どもから指導いたします。と同時に、金融機関についても、これは普通の銀行はいやがってなかなか取り扱わないのでございますが、これもやはり中央において各種の金融機関と話し合いをして、この扱いをスムーズにするように銀行を指導してまいりたい。両面の指導は十分やりたいと思います。
  157. 田畑金光

    ○田畑委員 最後にお尋ねしておきますが、その金融機関というのは政府関係の金融機関をさしているのだと思いますが、どうなんですか。一件五十万とか百万という小口の融資であるならば、わざわざ地方銀行に窓口を委託する必要はないではないか。全国でわずか八千万円やそこらの総額で、あるいはあなたのお話しのように、四百四万円の損失補償との見合いでいけば、貸し出し額は一億二千万円ぐらいになるかもしれませんが、との程度なら、結局、代理業務をやってもらう銀行というものは政府関係の金融機関だと思いますが、その点はどうなんですか。
  158. 有馬元治

    ○有馬政府委員 中央には国民金融公庫というものがございますけれども、これのみに限定せずに、一般の市中銀行においてもこの取り扱いはできるようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  159. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長 大橋敏雄君。
  160. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 本日の委員会は、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の審議だということでありますが、時間もずいぶんたちまして、限られておりますので、逐条審議は次回の委員会に譲ることといたしますが、大綱の点におきましても、いま、先輩の田畑議員のほうからも聞かれましたので、本日は、たまたま福岡県の地元のほうから、この離職者臨時措置法関係いたしまして陳情団の方が来られ、開会寸前にこまごまと陳情なさいましたので、その内容から一、二お尋ねしてみたいと思います。ひとつ、悲観的な答弁ではなくて、希望に満ち満ちた、上京してよかったと言われるような御答弁をお願いしてみたいと思います。  その一つは、いまの「自営支度金の支給及び資金借入の債務については、求職者手帳期間満了者及び昭和三七年四月以前の合理化による炭鉱離職者にも適用して下さい。」これが第一点であります。もう一回申し上げましょうか。「自営支度金の支給及び資金借入の債務については、求職者手帳期間満了者及び昭和三七年四月以前の合理化による炭鉱離職者にも適用して下さい。」こういうことが一つであります。これについて労働大臣から希望に満ちた答弁をお願いします。
  161. 有馬元治

    ○有馬政府委員 お尋ねの点につきましては、この石炭離職者の援護措置というものが措置法に基づく手帳を所持する者に限定をしてやっておりますので、手帳が切れた場合あるいは手帳制をとる前の三十七年四月以前のものについては、今回の制度は適用する考えは現在のところ持っておりません。
  162. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 制度はそうでありましょうけれども、陳情団の方々は現実の苦境に即して訴えているのでありますので、制度は改善される余地はあります。したがいまして、もう少しそれを考えてみようとか、あるいは検討してみようとか、そういうお返事をいただきたいと思いますが、労働大臣、お願いします。
  163. 早川崇

    ○早川国務大臣 求職手帳が切れてなお失業しておるという方は、たとえば福岡県に例をとりますと、千百二十六人のうち四十人ぐらいよりございません。あとは安定所による就職、自営業、家事従事、生活保護がそのうち四十五名、それから住居を移転されてよそに行かれた方が三十八名ということになっておりまして、三年間特別の手当をもらって、それが切れたという人に対してはそのような方法で、特に高齢者が多いわけでありますけれども、曲がりなりにも私の手元に来ておる調査ではそういうことになっておるわけでございます。そういう関係もございまして、今回は債務保証というものをまず求職手帳を持っておる人かちから始めたい、こういう考えを持っておる次第でございまして、いまの御陳情ということも十分考慮して今後の問題として検討していきたいと思います。
  164. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 なかなかここで即座にということにはまいらないと思いますので、いまの大臣の答弁のようによくよく御検討のほど希望しておきます。  第二点は、これも同じく陳情団の方の希望でありますが、「三八年度以降緊就窓口はストップされており、炭鉱離職者は非常に困窮し、緊就希望者が多数おり、なお炭鉱離職者求職者手帳の支給満了者が続出しているので、これらの人達に対して、窓口を開いて下さい。」いわゆるぜひ就労ワクを拡大していただきたい、こういうことでありますが、これもひとつ希望ある御答弁をお願いします。
  165. 有馬元治

    ○有馬政府委員 なかなかむずかしい問題ばかり陳情がございまして、御承知のように緊就事業は三十七年の第一次石炭鉱業調査団の答申に基づきまして、従来それまでやっていた事業吸収方式を手帳方式に変えた今日の離職者措置法の基調は、この手帳方式にあるわけでございます。したがいまして、この手帳を所持していない者に対して新たに緊就事業を拡大をして吸収するということになりますと、離職者対策の基調に影響する問題でございますので、これは慎重に考えなければならぬと考えまして、従来の考え方を踏襲しながら、手帳が切れた者については、午前中もるる御説明申し上げましたように、就職のあっせんをなお引き続いて積極的にやりますとともに、地元を離れられない方々については、地元における公共事業あるいは産炭地振興事業、鉱害復旧事業、こういった事業に積極的に吸収する方向で第一線を督励し、徐々にその実績をあげておるわけでございます。そういう問題でございますので、これもなかなか即座に御要望に応ずるわけにはいかない点がございますけれども就職のあっせんについてはさらに一段と努力をしてまいりたい、かように考えております。
  166. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私もその辺の事情はよく承知しておるのでありますが、これからまた関連質問いたします中を見てもらいましても、この問題はやはり慎重に一度も二度もさらに検討すべき問題ではないかと私も深く考えておりますので、これも先ほどと同じように再検討していただきたい。  それから三番目でございますが、促進手当の額については現行五百七十円を今度政府案では六百十円に引き上げられるという計画であるけれども、物価値上げの現状からそれを失業保険同様の基準額にまで引き上げていただけないものか、これも陳情団の陳情であります。
  167. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この問題も非常に困難な問題でございまして、御承知のように、促進手当は現在金額が措置法で五百七十円と法定をされております。この制度が設けられ、しかも金額法律によってきめられたについてはいろいろないきさつがあって、法律として国会で御決定になったわけでございまして、私どもも、その後の事情の変化、進展に応じて、これまでこの金額法律改正によって改定をしてまいりました。今回もその額は改定をしてまいりたいと思いますが、そもそも保険のようにそれぞれの保険料でまかなっておる制度ではございませんし、一般の税金を財源にいたしておりますので、失業保険が切れた後における手当の問題は、失業保険そのままの延長というわけにはいかない。やはり地元における再就職賃金、いろいろな点を考えながらこういった制度ができておるわけでございますので、私どもといたしましては、現行の五百七十円を今回の法律改正によりまして六百十円、非常に微々たる額ではないかという御非難はありますけれども、これもいろいろな点から検討いたしますと、昨年に引き続いて増額いたすわけでございますので、不満とは思いますけれども、この程度でごかんべん願いたいと思うわけであります。
  168. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 事情はよくわかりますけれども、いま申し上げました三点の事柄については、炭鉱離職者にとりまして非常に深刻な問題でありますので、重ねて強い検討をお願いしておきます。  それから次に移りますが、四月三日に石炭鉱業審議会が四十二年度石炭鉱業合理化実施計画炭鉱離職者就職計画をきめまして、通産、労働両大臣に答申したということを聞いております。本日はその答申書に基づきまして、まず第一点お尋ねしたいことは、その山山炭規模でございます。それから二つ目には閉山規模、三つ目には閉山合理化に伴う炭鉱離職者離職者数、この離職者数については、本日資料配付がなされましたので、これで足りると思いますけれども、先の一点、二点について、できますれば北海道地域、それから東部本土、西部本土、九州地域とこう分けて説明願いたいと思います。
  169. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま御指摘のありました昭和四十二年度の出炭規模でございますが、出炭規模は全国で生産ベースで五千三十万トンでございます。  なお、地域別には、北海道が二千二百八十八万トン、それから東部地域三百八十五万トン、これは常磐地域でございます。それから西部地域が百七十二万トン、それから九州地域が二千百八十五万トンでございます。  それからなお、閉山の規模でございますが、閉山の規模につきましては、地域別にこれを申し上げますと、北海道地域では百四十二万トン、それから東部地域は二十一万トン、それから西部地域が七十四万トン、これは宇部でございます。それから九州地域でございますが、これは九州北部、九州北西部、九州西部、九州全域で合計百万トン、合わせまして三百三十七万トンでございます。  それから離職者数でございますが、これは労働省のほうからお答えいただいたほうがいいかと思いますが、四十二年度発生ベースでは、これは常用労務者、職員、それから臨時労務者、請負労務者全部込めておりますが、全部で一万三百九十名。  以上でございます。
  170. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私の調べた資料と大体同じでございまして、その資料からいきますと特に閉山規模の問題と人員整理のかね合いを見ますと、北海道地域が百四十二万トンで三千人のいわゆる整理人員がある。それに対しまして出炭量は、たしか二千二百八十八万トンで横ばいである。それに比べまして九州のほうは百万トンで三千八百八十人の人員整理になる。しかも出炭量は前年度よりも三十一万トンも増加する、二千百八十五万トン、こういうような数字が出ているようでありますが、これから率直に感ずる問題ですけれども、特に九州関係労働者に労働過重になるのではないかとか私懸念を抱くものでありますが、その点について労働省のほうからお答え願います。
  171. 有馬元治

    ○有馬政府委員 いま石炭局長からお話しがございました地区別の閉山規模とそれに見合う離職者の数が必ずしも均衡がとれていないじゃないかという御指摘でございますが、これは私ども具体的に山別に積み上げてこの推定をいたしております。大手と中小とでいろいろと出炭能率も違いますので、こういった違いが出てきておるものと思います。
  172. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 違いはよくわかるのです。ただ私がいま聞かんとしていることは、北海道のほうは三千人の整理で出炭量は横ばいである。それ以上に、九州のほうは三千八百八十人の整理の人員があるにもかかわらず、前年度よりもよけいに炭を掘らなければならない、ここら辺が、何か機械設備が劣っているのかあるいは北海道のほうが近代化されているのか、こういうふうにも感じているわけです。その点をもう一度御答弁願いたい。
  173. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えを申し上げます。まあ離職者の出ます数だけをごらんになりますと、一見そのようにも受け取れるわけでございますが、実態を少し申し上げてみますと、北海道地区におきましては、先ほど申し上げましたような生産計画、それから労務者の雇用状況等からいたしまして、労務者一人当たりの出炭能率は、北海道地区の平均能率は月に四十七トンでございます。九州地方の平均の出炭能率は、一人一カ月四十三トン、北海道よりも九州のほうが約四トン余り能率が低いわけでございます。能率が低いということは、一般論で申しますとそれだけ労務者一人当たりの出炭量が少ないわけですから、先生おっしゃったような意味では北海道のほうが一人当たりの能率が高い、こっちは低い、それだけ全体から見て労務者の数が多いということになります。ただこれは山の自然条件とか機械化の程度とかというような点に左右されますので、これをもって北海道の能率が高くて九州の能率が低いからといって、九州の労務者がなまけているわけではございません。以上のような事情でございます。ですからこれは一般論としましては一がいに申せませんが、概観的にそういう数字に相なっております。
  174. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの説明では、私の勉強不足からでしょうが、まだよく理解できませんし、私ももう一度この点については深く掘り下げて研究いたしまして、さらに質問してみたいと思っております。  次にお尋ねしたいことは、離職者の再就職の問題であります。四十二年度では約一万四百人、それと四十一年度からの繰り越しが九千人で、合計一万九千四百人が再就職目標になっていると思います。そのうち六千五百人はまた本年度も来年度に繰り越すのだということで、差し引きますと、一万二千九百人というものが就職しなければならない人員になっておるということであります。きょうも先ほどから質疑応答を聞いておりますと、ほとんどの者があらゆる手段でもって再就職ができるかのような答弁でございましたけれども、私はこの点について非常に懸念を抱くものであります。単なる机上のプランではないか、こう思うのです。それについて、決して机上のプランではないと自信がおありですならば、その四十二年度の再就職計画案を、職業安定所を通じて何名だ、またほかにいろいろあるでしょうが、そこを発表してもらいたいと思います。
  175. 有馬元治

    ○有馬政府委員 私ども石炭の合理化に伴いまして、三十七年度から実はこの計画を策定いたしておるのでございますが、その実績を見てみますと、三十七年度は、計画数で期末の求職者、要するに未就職で次年度に繰り越すものの予想が一万八千四百人でございましたものが、実績によりますと一万八千八百人、計画実績とで四百人のズレが、わずかでございますがございます。三十八年度は、計画が一万九千二百人であったものが、実績は一万九千九百人、これもわずか七百人のズレ込みになっております。以下、三十九年度におきましても、実績計画はほとんど差はございません。かようにいたしてまいりまして、四十二年度計画でございますが、これも従来の実績計画との関係から申し上げますならば、大体この計画に近い実績があがるのではないだろうか。その年の景気、不景気によって多少はズレが違いますけれども、私どもとしては万難を排してこの計画どおりに実施をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  176. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 きょういただきました資料を見てみますと、就職者等の中に、安定所紹介という欄に合計で九千六百十名、その他に三千二百九十名とあります。ここでお尋ねしたいことは、安定所紹介という中には、職業訓練所を通じていく者がいると思うのですけれども、パーセントとしてどの程度それが含まれているのか、その点を聞かしてください。
  177. 有馬元治

    ○有馬政府委員 安定所が就職のあっせんを予定しているものが九千六百十名でございますが、うち訓練所を経由して、訓練を終えて再就職するものが実員におきまして千八百四十名、こういう計画になっております。
  178. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 千八百四十名の訓練所を通じての就職だということでありますが、私は、この点で一つの実例を申し上げて考えていただきたいと思うのですが、職業訓練所の目的は、言うまでもなく技術を習得させて、責任を持って就職させ、生活の安定をはかることにあると思うのであります。しかしながら、現在の職業訓練所の実態を見ますと、その目的をあまり果たしていないように思うのです。特に中高年齢者におきましては顕著にあらわれております。いまから申し上げるのは、その人の名前等もはっきりしているのでありますが、こういう場所でありますので、その点は差し控えますけれども筑豊の某訓練所の所長さんなどは、みずからがそのことを認めて、入所してくる離職者に対して、あなたはうちの訓練所に来て訓練を受けるけれども、卒業してみても実際は就職できませんよと、入所早々からそのように話を聞かされるということであります。いまも言いましたように、中高年齢者にとってはそういうことばはそれこそ打撃です。  また、訓練所の職種においても、私は問題があると思うのです。というのは、炭鉱離職者の——これもちょっと名前を差し控えますが、Sさんとしましょう。Sさんという人は、四十年の十月に閉山をして間もなく訓練所に入ったわけであります。その職種は機械の製図工ということであったわけでありますが、訓練をまともに受けて、りっぱに卒業したわけでありますが、今日なお失業中であります。そのSさんと一緒に十七名の人たちが同じ機械の製図工として入ったそうでありますが、まともに卒業できたのは、その中の十三名である。これは一例として話しておりますので、よく内容を玩味していただきたいのです。そのうちの十三名が卒業した。そして十三名のうちで就職したのは五名、その五名も機械製図工を生かしての就職ではなくて、全然他の仕事についたということであります。またもう一つ考えられることは、残りの八名でありますが、その八名の中でわずかに一名だけが機械製図工としての就職ができた。その人の内容を調べてみますと、これは炭鉱に働く以前にそうした経験を持っていた人であったということであります。したがいまして、この一つの例から判断しますと、そのような、以前から経験を持った者でない限りは、もう訓練所の訓練を受けてみても、これはほとんど使いものにならない、こういうことではないかと思うのです。そういう点についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、考えを聞かしていただきたいと思います。
  179. 有馬元治

    ○有馬政府委員 石炭離職者の訓練の問題は、非常にむずかしい問題でございまして、だんだんと離職者の年齢が高くなってまいっておりますので、訓練の面から見ますと、年齢との関係において、職種によって違いますけれども、非常に限界がある。それをしかも短期間に訓練を施して再就職をはかっていくという目的で離職者の訓練をいたしておるわけでございますが、御指摘のように年齢が高まるというふうな関係で、就職率が、終了直後の就職率としましては、三十九年度に八一%であったものが、四十年度は六九%と下がっております。これは年を追うに従って年齢が高くなりまして、訓練の職種についてもいろいろ限界があるし、また終了者の就職についてもいろいろ困難が伴っておるわけでございますが、これは冒頭に御指摘がありましたように、訓練所長の発言としては、少し軽率だと思いますが、私どももこういった現実に出てくる中高年者の離職者を何とか訓練所に収容をして、多少でも技術を身につけさせて、よりいい就職口を見つける、こういう努力をいたしておりますので、ここでSさんの例で御指摘がありましたケースは、非常に私どもとしても遺憾でございますが、なお引き続いて、機械製図工を終了されたならば、その技能が生かせる職場に再就職するように、あるいは先ほども話が出ました自営開業ができるように第一線を督励しながら努力をしてまいりたい、かように考えております。
  180. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまだんだんと年齢が高くなっている関係からそうした事情になるんじゃないかという答弁もありましたが、私はそれもないとは言えませんか、それよりもやっぱり職種のほうに問題があるのじゃないかと思うのです。というのは、このような道を踏んできた人たちが口をそろえて言っておりますことには、機械製図工なんというのは、少なくとも十年ぐらい修練をしなければ一人前にはなれないのだ、わずかな訓練期間で一人前の就職をしようということは頭から考えてはならぬことなのだ、それよりもむしろ土建関係の製図工というならば、あるいは働く場所も多く見受けられる、また効率的な就職もできるんじゃないか、このような意見を吐いておりましたが、そういうことから考えてみますと、やはり現在の訓練所の職種はもう一回考え直していただきたい、あるいは検討する余地があるんじゃないか、こう思っておりますが、その点はどうでしょうか。
  181. 有馬元治

    ○有馬政府委員 離職者の訓練は、学卒者の若い時代の訓練と違いまして、職種について御指摘のように制約がございます。問題になっております機械製図工について、炭鉱離職者、特に高齢の離職者を訓練することがいいかどうかという問題は、もう御指摘のとおりでございますので、私どもとしましても、その点は十分反省材料として今後対処してまいりたいと思います。
  182. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの御答弁のようにしっかりした再検討を願いたいと思います。このような体験者の意見というものは、私は非常に大事だと思います。政府としましても実情に即した職種訓練を行なう、たとえば訓練期間を延ばすということ等も大事なことではないか、何とかひとつ改善をする必要があると考えます。  次にお尋ねいたしたいことは、先ほどの閉山規模の問題に入りますけれども、四十二年度は三百三十七万トン、四十一年度よりも四〇%も多く山がつぶれるということだと思いますが、四十二年度では閉山される山が約三十鉱あるのじゃない川、このように聞いておりますけれども、これは間違いないでしょうか。
  183. 井上亮

    井上(亮)政府委員 数は正確にはまだわかりません。大体、私ども先ほど申し上げましたのは、本年度予算規模ともあわせまして、各地の通産局におきまして各山といろいろ今後の経営の方針等について打ち合せました際に、いろいろ各経営者の意見も総合して大体その程度ではあるまいか、こういうようないわばつぶそうという計画ではございません。一種のつぶしたいんだという経営者側からの意見もちらほらある、そういうのを総合して、それからまた私ども独自の判断で、経営者としてはああ言っておられるけれども、やはり閉山の申し込みがあるのでなかろうかというような、いわば閉山の見通し計画でございます。そういうような意味で正確に何鉱ということをいま申し上げる段階ではございません。
  184. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 閉山が前年度よりも四〇%もふえるということは、いまの説明で大体わかりますけれども、無理に閉山を推進しているんじゃないか、このような印象を受けるわけです。そうではないという話でありましたが、それではどうして四〇%も今度ふえるのか、その内容について、こういう問題があるからこのようになるんだというものがあるんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  185. 井上亮

    井上(亮)政府委員 御指摘のように、確かにやはり閉山を希望されます場合には希望されるだけの理由があるわけでございます。先ほど言いました三百三十七万トンの中には、大手炭鉱もありますし中小炭鉱もございます。これは各社それぞれ、大手といわず中小といわず、共通の問題は何と申しましてもまず第一に炭量が枯渇してきている。そういう状態になりますと、自然条件が急激に悪化してきて、採掘しても非常にコストのかかる採掘になってきている。したがって、これをそのまま継続することはとうてい経営上できないというような山の自然条件——炭量がなくなってきていることとか、自然条件が悪化してきているとか、そういった状況を背景としての経営状況の見通しが立たないというのが主として閉山の理由に相なっております。
  186. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 これははっきりは覚えておりませんが、私は新聞で見たと思いますけれども、今度の閉山の中には宇部炭鉱だとか豊里炭鉱などの規模の大きな閉山が予定されている。私はその三十鉱の中にこの二つの炭鉱も含まれているんだと理解しておりますが、それはどういうものでしょうか。
  187. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お説のとおりでございます。
  188. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それじゃ予定ですのではっきりお答えはできないだろうと思いますが、残りの二十八鉱の中に茨城県の大日本炭礦は入るかどうかということです。
  189. 井上亮

    井上(亮)政府委員 計画の中には考えておりません。ただしかし、これはさっき言いましたように、あの閉山計画ということばが悪いので、私どもの公式の文書には見通しというふうに相なっておりまして、つぶそうという意思は毛頭ございません。
  190. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いま、つぶそうという意思はないということばを聞いて非常にうれしく思うのですが、それが大日本炭礦に直結しているかどうかということは疑問であります。実は同僚議員がその大日本炭礦の地域にたまたま参りましたところが、現地の炭鉱労働者が非常に心配をしていた。四十二年度の合理化、閉山に入っているのではないかと、きわめて不安な生活をしていたということであります。これが単に憶測であるならば私も問題ないと思いますけれども、この点をもう一つ重ねてお尋ねいたします。
  191. 井上亮

    井上(亮)政府委員 個別炭鉱の経理の内容等につきましては、これはあまり明言をすることははばかるわけでございますが、しかしお説のように大日本炭礦につきましては、率直に言いまして、今日経理の状況が悪化しておることは事実でございます。そのために賃金の未払い等も現に起こっておるというようなことで、実は私どもも憂慮をいたしております。しかし、この山は歴史も相当古い山ですし、労使ともに真剣にこの再建に取り組んでおりますので、私ども政府の立場におきましても、できるだけ、こういう苦境にはございますが、再建に協力してまいりたいというふうに考えております。
  192. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 経理状況が非常に悪化をしている、確かにそうらしいですね。もうすでに二カ月、三カ月と賃金がおくれておりますし、また五月からは賃金が二割もダウンされる、このようにも聞いております。きょう実は労働大臣のお話の中から記憶しておることでありますが、こうした経済的に悪い炭鉱には行政指導をする余地があるし、またそれでもなおかつ立ち直らない炭鉱はもう閉山する以外ないというような話も聞いておりますけれども、いまの石炭局長の話では、あくまでも再建の方向に向かっているというお話ですから、非常にうれしく思っておりますが、豊里炭鉱の例もありますので、この点ひとつ本気になって再建に向かっていただきたい。  もう一つお尋ねしたいことは、現地の労働者が心配していることは、そのような賃金の未払いと同時に、各家庭がほとんどが十万円前後の借金を持っているそうです。万々一閉山にでもなったならばわれわれはどうなるのだろうかと、このような心配もあるそうです。同時に会社側が、賃金の中から住民税を天引きして、当然払わなければしらない立場にありながら、これが払われてないということも聞いておりますが、この点の事情を労働省等はもうすでにおつかみでしょうか。
  193. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 御指摘の大日本炭礦の問題でございますが、賃金不払いの状況について申し上げますと、昨年の二月ごろから賃金の分割払い、月二回の分割払いという形で履行してまいったようでありますが、ともかくも払ってまいりました。それがだんだんと経理状況の悪化に伴いまして、一月分の賃金三千四百万円を三月十日に二千三百万円、二十五日に千百万円を払う。また二月分の賃金を、これは二千七百万円でありますが、四月十五日に一千万円、五月一日に残り一千七百万円を支払う。しかし三月分については、三千二百十九万円の賃金が現在不払いとなっております。これは五月十三日と五月二十日に二回に分けて支払うといういま計画になっておるようでございます。  本件につきましては、労働組合ないしは労働者の申告を待たずに労働基準監督署で調査監督をいたしました。二月、三月には、この点不払いを起こさないように厳重な勧告をいたしております。そのような経過をたどっておりますので、今後計画的支払いが可能かどうかという点は十分今後注意いたしまして、処置したいと思います。  したがってこの賃金の支払いのおくれから、いま申しましたような家庭の事情があるのかもしれませんが、これは私の推測でございまして、具体的に監督署といたしましてはそこまでは調査できませんので、調査いたしておりません。  そのようなことでございますが、先ほど石炭局長から話がありましたように、目下労使の間におきましては、現在の苦境を何とか脱却したいというので鋭意話し合いを進めておるというふうに私ども伺っておるわけであります。そのような話し合いの進展を期待いたしますと同時に、賃金の不払いは労働基準法の二十四条違反でございますので、これが是正をされますように、今後も継続いたしまして、十分監督してまいりたいと思っております。
  194. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長 ちょっと関連質問の通告がありますので……。田畑金光君。
  195. 田畑金光

    ○田畑委員 いま大橋委員質問で、大日本炭礦の問題をかれこれあげて質問なさっておりますが、私も実は大日本炭礦には関係の深い一人で、ただ、いままでの質問の中で聞いておりますと、どこからそのような資料を持ってきたのか存じませんが、事実に反する内容も相当あるようです。大橋委員質問の中で、大日本炭礦の問題が、しかも個別炭鉱の名前があげられてこういうところで質問されておるということは、あるいは学会の信者のほうからそのような資料の連絡があったのかどうかわかりませんが、事実に相当反しているようにお聞きするわけです。特につい一週間前に、いろいろ再建の問題で大日本炭礦の労使の間に紛議が起きておりましたが、私が中に立って一応おさめて、いま労使とも再建の方向に大きく踏み出し、努力をしているわけです。他の山については私は存じませんが、大日本炭礦の場合の賃金の支払いは、かりに三月なら三月の稼働賃金は四月二十日に通例払う、こういうことになっておりますが、それが昨年の何月からか知りませんが、一カ月おくれの二回分割払い、こういうことになっておるわけです。現在でも一その間いろいろないきさつがありましたが、一カ月おくれで二回の分割払い、こういうことになって、賃金の確保の面では経営者も気を引き締めてせっかくいま努力しておりますので、そのような事実だということを御了承願いたいと思います。  それからもう一つ、いまの質問の中で、賃金を何か二割か三割引き下げたという話がありますが、それはそういうような事実はございません。ただ、いま私が申し上げた過般の再建整備計画の中では、この際労使は、異常な混乱を切り抜けるためには両方ともひとつ真剣に取り組んでもらわなければこの山はやっていけない。特に、政府の行政措置についても、炭鉱援護の措置についても近く発効するであろうが、政府の援助を待つと同時に、経営者はさらに経営意欲を燃やして、特に従業員の賃金の確保については責任を持つことを前提とし、また労働組合、労働者は生産、出炭能率の向上に責任を持つようにすること、こういうようなことで話し合いがついて、具体的な賃金の切り下げではなくて、今後の生産の実績をあげるためには、拘束八時間であったが、ここ当分山の再建が軌道に乗るまでは時間を一時間延長して、ひとつ労働者も労働組合も生産には協力する、そのかわり経営者はそれに応じて経営者としての責任を明確にして、労働者に非常な迷惑あるいは無用な迷惑をかけることのないように厳に戒めること、こういうわけで労使が再建にいま立ち上がっておりますので、そういう事実関係であることを大橋委員もよく了承されて、こういう委員会で個別炭鉱の名前をあげて取り上げられるということもいささかどうかという感じもしますので、どうぞひとつ、個別炭鉱の名前をあげる場合には、みずからが十分現地を視察し、現地の実情を正しく把握された上で発言されることを強く要望しておきたいと思っております。
  196. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 田畑委員の御意見まことに了解いたしました。しかしながら、私は先ほど申し上げましたように、同僚議員がたまたま現地に行きましたときに、現地に働いている労働者から訴えがあった、その内容についてきょう初めて政府当局にお尋ねしているのであって、その事実かどうかはこれから判断していくものであります。事実がずいぶん違うということでありますが、そのような苦境に立っていないというのならば、私はむしろそのような事実でないほうを望んでいるのですから、うれしく思うのであります。田畑委員にひとつ大日本炭砿再建責任者にでもなってもらえば、これは問題ないような気も起こりますけれども、これは一炭鉱の問題ではなくて、これから起こり得るたくさんな閉山炭鉱の問題に関連しますので、私は質問しているのであります。その点を了解していただきまして、もうしばらくで終わりますから聞いていただきたいと思います。  私は、皆さま御承知のとおりに一年生議員でありまして、炭鉱事情についてはまだまだうといのであります。しかしながら、諸先輩の意見を聞いておりますと、鉱区の調整によっては、閉山しかけている炭鉱も相当に生き上がるのではないか、このようにも聞いております。たまたま常磐炭鉱と隣接している大日本炭礦でありますので、先ほどの悲観的な悲観論は抜き出して、強力な再建へと向かうべきでないか、同時に鉱区の調整の問題について、これはちょっと詳しく説明願いたいと思います。
  197. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長 大橋君、その問題は次にやりますから……。
  198. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま鉱区調整の問題について詳しく話をせよという御質問があったわけでございますが、鉱区調整の問題につきまして、は、これは私ども石炭政策を遂行する立場から、やはり大きな政策の柱だと思っております。この鉱区調整は、結局現在各産炭地域、炭鉱地帯産出地帯におきまして、各企業、各石炭鉱業の山が隣接し合っていろいろ生産をやっているといいます場合に、やはり坑口とかあるいは坑外の施設との関係で、鉱区調整をしたほうがより効果的な合理的な資源の活用ができる場合もあるというような場合に、甲の炭鉱が隣接の乙の炭鉱に対して鉱区を譲ってもらいたいというような話し合いになるわけでございます。その場合は、もちろん当然のことながら、正当な適当な対価を支払って、鉱区の譲り受けを受けるというような形が正常な姿でございます。今日、ではしからば日本全国ですべての炭鉱にこういう問題があるかというと、そうではございません。先生も御承知のように、鉱区の立地条件によりましては、やはり相当離れた地点もございますので、すべてではありません。私どもはいま行政的に問題にしておる地域を申しますと、北海道の石狩の北部地域、これが一つの鉱区調整を必要とされておる問題のあり得る地点でございます。第二は常磐地域常磐地域もその一つであると思います。第三はどっちかといいますと、従来は北松にそういう問題があったわけでございます。筑豊地域につきましては、今日は先生も御承知のように相当炭鉱が閉出しておりますので、隣接の鉱区調整という問題があまりない。あります場合はこれはむしろどっちかというと閉山した山、政府が買い上げたりあるいは消滅した山、その山に隣接して生きている山が鉱区調整によってもらいたい。これは先般法律改正でそういうことができるようにしたわけですが、これは中小炭鉱にそういう例が多いのです。そういう鉱区調整の要望が相当ございます。これは現在私ども地方通産局長のあっせんで、どんどんそういうことを許可するように事務を進めております。  概括的にいうとそういう問題でございます。
  199. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 委員長の意見もありますので、次の機会に譲ることといたします。第二次産炭地振興五カ年計画案というのを福岡のほうから出されておるということを聞いておりますが、これも通産省関係ですので、この次の委員会に譲ることにいたしまして、本日は終わりたいと思います。
  200. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長 次会は明十一日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会