○大橋(敏)
委員 いままでの説明によりますと、未
就職者のほとんどの者が何らかの形で
就職されていく、多少
閉山等の
関係があってめんどうがあるところでは員数も残っているようだけれ
ども、大体
消化されていくのだという計算に成り立っていると、こう見るわけでございますが、実を言いますと、私はいわゆる筑豊地帯、嘉穂郡、また飯塚、山田、この三地区の
関係で知ったことでございますけれ
ども、四十一
年度で手帳を持っている人が現在千二百名いるそうです。千二百名のうち、一年間のうちに職業安定所に仕事をよろしくと熱心に
求職のお願いに出てきた者はわずかに十六名であった。これは現地で調査したわけでございますが、私これを見ると、いままでの書類上の計算と事実は相当に違うのじゃないか。ということは、他のほとんどの者は職業安定所から半強制的に仕事につかせられているんじゃないか、このような感じを受けるのであります。さあ仕事につけ、さあ仕事につけというわけで、無理やりに
就職させられていく。実はこれに関連する実例でございますが、高尾
炭鉱というのがありました。そこに荒谷伍一さんという
労働者がいたわけでございますが、
閉山以前に
炭鉱の
災害にあって左足がねじれてしまったわけです。そういうことから
炭鉱が
閉山になる前は優遇されまして、
身体障害者としての手帳を受けていろいろと軽
作業をやっていたそうですか、
閉山になった後いわゆるその手帳を持っているというために毎週毎週職業安定所に行くわけです。ところが早く
職業訓練を受けろ、また
就職しなさい——まあ職業安定所の
職員の熱心さはよくわかりますが、その病気の内容を見ますと、医者もはっきりとあれじゃとても仕事にならないという
状態であるのです。そういう人に対してでも仕事につけ、
職業訓練を受けろというくらいですので、他は推して知るべし。仕事の上から責任を果たすために熱心になさるのはわかるのですけれ
ども、それが強制的になっちゃいかぬ。こういうことをひとつ
指導していただきたいと
思います。
それからこれは、私自身がそうした仕事につけない人の内容を調べてみたわけでございますが、積極的に仕事につけない理由の一つとしては、同僚が広域紹介で行った、ところが間もなく帰ってくるというわけです。
労働条件等が違いまして話にならないということで戻ってくるそうですか、そういう姿を数多く見たためにおじけづいているということ。もう一つは、
中高年齢層が多いということです。したがいまして、なかなかそういう人たちの適職が見当たらない。三番目に、多少なりとも、長い間住みついていた
関係から個人財産を持っているわけです。そういうことから、なかなか広域紹介に踏み切れない。また四番目には、子供の教育と家族の
関係等からどうしても踏み切れないというのが
実情のようでございます。
そこで私が要望したいのは、特に
労働関係の仕事に従事していらっしゃる人たちは、単なる机上のプランあるいは電話等の
報告だけではなくて、実際に現地に行ってその様子をつまびらかにつかんでいただきたい、実態を把握していただきたいということです。私も選挙の前にそうした炭住街を一軒一軒歩いたことがあるのでございますが、それは想像以上にかわいそうな人が多いのです。それはほとんどが
炭鉱離職者となっております。胸が痛くなるほどにかわいそうな人が多いのであります。
労働大臣も九州の産炭地を視察なさったということで、たいへんうれしく思っておりますが、視察なさるときには、一日ぐらいは
労働者の家庭に泊まり込んででもというぐらいの決意で今度は視察をしてもらいたい、こういう要望でございます。
それから私の感ずるところは、
炭鉱のスクラップというのですけれ
ども、それはそのまま人間のスクラップをつくっているようなものだ。まことに憂うべき現象であろう。そして
中高年齢層というものは、いわゆる人生の総仕上げです。最終
段階であります。あまりにも不安定であり、またかわいそうでなりません。こういう人たちを何としてでも救済してあげなければならない。
そこでもう一つ事実を取り上げますが、現在小さな飯塚市だけでも失業者が千二百五十名おります。これは島根県や三重県あるいは鳥取県と、一市が県と匹敵するほどの失業者の数でございます。ということは、筑豊地帯というものは産炭地の中でも特殊中の特殊な地帯である。これは当然御承知と
思いますけれ
ども、あらためて認識し直していただきたい。この問題が一つです。
そこで、私は、これからいよいよお願いでございますが、この筑豊一帯に強力なる
対策を試みる必要があるのではなかろうか。政府直轄の、たとえば筑豊地帯鉱山開発機関とでもいいましょうか、そういうようなものを設けて行政の一本化をはかる、こういうようなことが必要ではないかと
考えるのであります。その機関というものは、もちろん
企業誘致もやる、あるいは
職業訓練等もやる、または特失、緊就、公共
事業、そして産炭地をほんとうに魅力ある地域に塗りかえていこうという内容を持ったものです。この中で特に大事なことは、政府がじきじきそれを担当する、直轄でやっていくということでございます。
こんな
考えを持っているわけでございますが、
労働大臣のこれに対する所感とでもいいますか、それをちょっとお尋ねしたいと
思います。