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1967-04-19 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月十九日(水曜日)     午後一時七分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 中川 俊思君 理事 西岡 武夫君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 八木  昇君 理事 池田 禎治君       佐々木秀世君    齋藤 邦吉君       進藤 一馬君    菅波  茂君       世耕 政隆君    野田 武夫君       井手 以誠君    石川 次夫君       木原津與志君    芳賀  貢君       渡辺 惣蔵君    田畑 金光君       大橋 敏雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君         労 働 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    中川理一郎君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    荒玉 義人君         通商産業省重工         業局鉄鋼業務課         長       左近友三郎君     ————————————— 四月十九日  委員廣瀬正雄君、木原津與志君及び細谷治嘉君  辞任につき、その補欠として世耕政隆君、石川  次夫君及び芳賀貢君が議長指名委員選任  された。 同日  委員世耕政隆君、石川次夫君及び芳賀貢辞任  につき、その補欠として廣瀬正雄君、木原津與  志君及び細谷治嘉君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 三月二十三日  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号) 四月三日  臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五九号) 三月三十日  石炭対策に関する請願外二件(岡田春夫君紹  介)(第三六二号)  同外三件(芳賀貢紹介)(第三六三号)  同外一件(岡田利春紹介)(第三八一号)  同外十件(井手以誠君紹介)(第四〇五号) 四月七日  石炭対策に関する請願渡辺惣蔵紹介)(第  四三七号)  同外八件(永井勝次郎紹介)(第四九九号)  同外三件(石橋政嗣君紹介)(第五五〇号)  同外十三件(木原津與志君紹介)(第五五一  号)  同外八件(細谷治嘉紹介)(第五五九号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二七号)  臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五九号)  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  去る三月二十三日付託になりました内閣提出炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府提案理由説明を求めます。早川労働大臣
  3. 早川崇

    早川国務大臣 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  石炭鉱業合理化に伴う炭鉱離職者援護対策につきましては、昭和三十四年炭鉱離職者臨時措置法の制定以来、同法に基づき、その職業及び生活の安定に資することを目的として諸般施策に講じ、その再就職促進につとめてまいったところであります。  しかして、昨年七月石炭鉱業審議会から今後における石炭鉱業抜本的安定対策について答申をいただきました政府は、この答申の趣旨を尊重して石炭対策を強力に推進することにいたしました。また、その実施に際しまして、離職者対策については現行諸施策実施期限をさらに延長することとし、特に今後は、その再就職について、石炭鉱業内部における配置転換促進するとともに、離職者の年齢、生活環境等実態に即して援護対策を推進するよう特段の配慮をすることにいたしました。  離職者対策の拡充のうち、昭和三十七年四月以降新たに炭鉱労働者となった者が石炭鉱業合理化に伴い離職を余儀なくされた場合にも炭鉱離職者求職手帳を発給できるようにすること、炭鉱離職者炭鉱労働者として再就職するために移住する場合にも移住資金を支給できるようにすることなどにつきましては、急を要する問題と考え、すでに第五十三回臨時国会において立法措置を講じていただいたところであります。今般はその他の事項につき援護対策を充実するため、この法律案を提出した次第でございます。  次に、その内容について概略御説明申し上げます。  この法律案による改正の第一は、独立して事業を行なおうとする炭鉱離職者に対する援護措置を拡充することであります。  炭鉱離職者の中には、その有する技能を生かして自営しようとする者などかなりの者が自営業を開業することを希望いたしております。しかるに、これらの者に対する援護措置としましては、現在、雇用促進事業団により生業資金の借り入れのあっせんなどが行なわれているところでありますが、開業資金のくめんなどにこれらの者がなお相当困難を感じているのが現状でございますので、炭鉱離職者事業を開始する場合に、自営支度金を支給すること及び金融機関から借り入れた資金の債務を保証することを、援護業務の一環として雇用促進事業団に新たに行なわせようとするものでございます。  改正の第二は、炭鉱離職者臨時措置法廃止期限を三年間延長することであります。  炭鉱離職者臨時措置法は、現在昭和四十三年三月三十一日までに廃止することになっておりますが、石炭鉱業審議会の今回の答申が、昭和四十五年度を、石炭鉱業を安定させるための目標年度としていることにかんがみ、この廃止期限昭和四十六年三月三十一日まで延長して離職者対策につきましても万全を期そうとするものであります。  このほか、現在法律で規定されております就職促進手当最高日額及び扶養加算額を、諸般状況の推移に即応して改定できるよう政令で定めることといたしましたほか、炭鉱離職者に対して雇用促進事業団から支給されるすべての給付金について、就職促進手当についてと同様、その支給を受ける権利を保護するため、差し押えなどを禁止するとともに、租税その他の公課を課する際の標準とすることも禁止することにいたしました。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 引き続き、去る四月三日付託になりました臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府提案理由説明を求めます。菅野通商産業大臣
  5. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま議題となりました臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  臨時石炭鉱害復旧法は、昭和二十七年に制定され、同法に基づき、過去十五年間にわたりまして、鉱害復旧促進につとめてまいったのであります。しかしながら、現在なお石炭鉱業による累積残存鉱害量は膨大な量に達し、国土の保全、民生の安定の見地から深刻な問題となっております。  かかる事情にかんがみ、政府といたしましては、今後とも鋭意鉱害復旧促進に努力してまいる所存でありますが、本年度におきましては、七十七億円の復旧事業実施することとし、石炭対策特別会計予算の要求の中に鉱害復旧事業資金補助金として六十億円を計上しております。この石炭対策特別会計は、本年度から新設され、従来関係各省に各事業ごとに計上されていました鉱害復旧事業費予算についても一括してこの特別会計に計上しているのでありますが、この際、鉱害復旧事業のための国からの補助金交付方式につきましても鉱害復旧事業団に一括して交付することに改め、今後の復旧事業実施をより適切に行なうよう配慮することといたしました。今般これに伴う制度の改善につきまして、臨時石炭鉱害復旧法の一部改正提案いたした次第であります。  次にこの法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、従来、国が、復旧工事施行者に対し、復旧工事に関する補助金を交付していた方式を改め、国は、鉱害復旧事業団に対し、その事務経費及び復旧工事にかかる費用に充てるための補助金を一括して交付することといたしました。  第二は、事業団は、復旧工事施行者に対し、復旧工事費を負担することとし、これに関連する規定について所要の改正を行なうことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これにて両案の提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本施策について質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  8. 岡田利春

    岡田(利)委員 長い間、石炭政策が当委員会国会で問題になってまいったわけですが、特に石炭の問題がわが国の政治の課題になってまいりましたのは、昭和三十年に合理化臨時措置法が制定されて以来であります。そして国際的なエネルギー流体化の現象、特にわが国の場合には昭和三十六年ごろから急速に石炭産業合理化方向が非常に急テンポに進んでまいったわけです。三十七年に第一次調査団が編成され、その答申に基づいて、いわば石炭対策の第一期というのは昭和三十八年から三十九年にかけて行なわれ、その後第二次調査団が派遣をされ、さらに第三次の答申が行なわれた。今日の日本石炭産業というものは一体どういう実態にあるのか、このことをまずはっきり踏んまえて見る必要があるのではないかと思うのです。  日本石炭産業合理化目標は、いわばヨーロッパ並み石炭経営能率販売その他の面についてもヨーロッパ並みに近づけていく、これも私は一つの前提であった、かように考えるわけです。したがって、抜本策を今度の国会政府として提案をするというこの時期に、いまの日本石炭産業というものはどういう実態にあるのか、このことの認識をお互いに統一する必要があるのではないか、私はかように考えるわけです。  そういう前提に立って考える場合に、日本石炭産業能率から見て、その前提となっておるヨーロッパ炭鉱に比べてどういう水準にあるのか、あるいは石炭生産コストヨーロッパに比べて一体どういう水準にあるのか、また石炭販売価格趨勢についてはヨーロッパに比較して一体どういう状態にあるのか、このことについての政府見解をまず明らかにしていただいて、その上に立ってさらに石炭政策というものをきわめていかなければならないのではないか、かように存ずるわけです。そういう意味において、今日の日本石炭産業をどのように理解しておるか、政府見解大臣から承りたいと思う次第です。
  9. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま数字の御質問がありましたが、数字の点は政府委員からお答えしたいと思いますが、御存じのとおり、石炭問題は日本ばかりではなくて、世界各国ともに悩んでおるのでありまして、各国ともにそれぞれこの石炭特別対策を講じてまいっております。日本もお話のとおり調査団が派遣されて海外の事情調査したのでありますが、また日本独特の事情もあるのでありまして、その独特の事情も勘案して今回特別会計を設けて、そして石炭の抜本的な対策を講じたい、こう考えておる次第であります。
  10. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいまヨーロッパ地域におきます能率の動向につきましての御質問がありましたが、概括的に申しますと、日本の今日の石炭の一人当たり能率につきましては、相当程度西欧水準に近づきまして、従来非常に離れておりましたが、今日では、山によりましては西欧水準に到達しておるというような山もございます。平均的に見ますと、まだ若干日本のほうが生産能率が低いというのが実情でございます。なお、これは日本ではあまり使っておりませんが、OECD関係ヨーロッパ地域の地下の一人一方当たり生産高というような資料でこの状況を見てみますと、たとえば西ドイツにおきましては、一九六五年において、一人一方当たり生産量は二千七百五キログラムの水準でございますが、日本はこれに対しまして千人百九十七キログラムというような水準でございます。なお西欧地域におきましても、ベルギーにおきましては日本よりも一人一方当たり生産量はちょっと下回って、千人百七十四キログラムというような実情もございます。これはしかし従来の日本ではあまりこういう能率のとり方はしておりませんので、ちょっといわゆる世間受けはしない数字でございます。日本では今日平均一人当たり四十トン程度能率西欧は大体四十五トンというふうに称されておりますので、だいぶ西欧水準に近づいてきたということが申せると思います。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 ヨーロッパ炭鉱経営構造と、日本炭鉱企業構造というものは若干違いがあるわけです。したがって私どもが大体能率趨勢を見る場合には、坑内稼働者一人当たり一体どういう能率水準にあるか、こう比較するのが国際的な通り相場ではないか、かように私は考えるわけです。私の調査によりますと、合理化が解消された昭和三十八年には、すでにほぼヨーロッパ並み能率に達していると考えているわけです。昭和四十年度、一昨年の能率水準では、ヨーロッパ水準をはかるかに越えて、むしろ上位のところにあるのではないか。日本を上回る能率をあげている炭鉱西ドイツ炭鉱だけであって、あとイギリスフランスベルギーについてもイタリアについても、すべて能率水準は非常に低い、こう私の資料では理解をしているわけです。大体西ドイツが一人当たり年間六百二トンの能率をあげているわけですが、これに対して日本は五百八十一トン、ヨーロッパ共同体平均は五百二十九トンという数字が出ているわけです。したがって日本炭鉱労働者というのは、ヨーロッパ炭鉱労働者に比べて生産量は非常にあげている。それにかかわらず、今日の合理化目標は、昭和四十五年度に向けてさらに能率の向上が要請をされておるとすれば、ヨーロッパ水準をはるかに越える能率に到達をしなければならない宿命を、いま石炭企業家炭鉱に働いている労働者が負わされている、かように私は考えるわけです。この点はあとからまたその数字についても考え方についても、具体的に認識の一致を見たいと思いますけれども、それと同時に、ではヨーロッパ炭価傾向というものは、ここ数年どういう傾向をたどっているのか、この点について、ひとつ見解を承りたいと思います。
  12. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ヨーロッパ石炭価格の問題につきましては、これはヨーロッパ日本と同じく、特に一般炭につきましては、先生も御承知のように石油との競合関係がございまして、産業として苦しんでいることは日本ヨーロッパも全く同じでございます。日本におきましては、御承知のように特に石炭価格につきましては重油との関係、それは歴史的に申しますと、昭和三十四年以来千二百円引き路線を遂行してまいりまして、できるだけ石油価格に近づけるという政策をとってまいったわけですが、やはり石炭コスト関係コストを無視して価格引き下げるわけにもまいりませんので、今日では横ばいというような姿をとっております。これに対しまして、西欧におきましてはやはり合理化はいたしておりますが、石炭コストは低位に安定することはなかなか困難で、イギリスにおきましても西独におきましてもときどき価格の値上げをして今日に来ておるというのが実情でございます。しかし価格を値上げいたしますと、西独といえども発電用石炭を得ることにやはり苦労するわけでございますので、昨年の六月だったと思いますが、西独におきましては法律をもちまして、日本とやや似に姿でございますが、主として電力に政策需用を求めるというような政策を行なってきておるような実情でございます。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 炭価趨勢をずっと検討してまいりますと、日本の場合には合理化政策の中で急速な炭価引き下げが行なわれてまいったわけです。その後手直しが行なわれて若干炭価の引き上げを見たわけですけれども昭和三十三年以来炭価というのは急速なカーブで引き下げられてきたことは御存じのとおりです。しかし西ドイツフランスイギリス、いずれの国々においても、この年代においては炭価引き下げの行なわれた傾向というものはないわけなんです。一時横ばい、ここ三、四年はむしろ炭価は値上がりを続けておるわけです。もちろんこれは競合エネルギーである石油との関係もございます。しかしヨーロッパ石炭が今日保護され、石炭産業エネルギー安全保障という立場から維持をされておる前提というものは、やはり販売価格坑所手取りが年々上がっているということだけは、私ははっきり認識しておく必要があるのではないか、かように実は考えるわけです。こういう点についても特に十分ひとつ踏んまえて、これからの諸問題について御検討願いたいと思います。そこでそういう前提に立って、ではそこまで進めてきた石炭産業能率ヨーロッパ並みになってきた、石炭価格については急速に引き下げが行なわれてきた、そうして合理化が行なわれてスクラップ・アンド・ビルドの方向が年々強化されてきたその企業というものは、では一体どういう実態にあるのか。この実態把握については、受けとめ方あるいは見方によって相当相違があるのではないかと私は思うわけです。政府は今日の日本石炭企業というものはどういう実情にあると把握をされておるのか。概括的な見解を承っておきたい。
  14. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石炭産業というものは、このまま政府が何ら施すところがなければ衰微する一方だと思います。というのは、御承知のとおり安い石油資源というものが入ってまいりますから、石炭需要はだんだんと減るという傾向になりますので、このままでなすところなければ漸次衰微しなければならぬ運命を持っておる、こう思っております。したがって、政府としては何とかして一定の産額の石炭を確保したいということで、今回特別会計を設けて石炭対策を講じた次第であります。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 質問とかみ合いませんけれども……。去る二十二日でしたか、通産大臣エネルギー部会答申を受けておられると思います。その点についてお伺いをいたしたいのであります。大臣がこの答申を受けられて、これからわが国総合エネルギー政策を進めていかなければならぬ。この答申昭和六十年度までのわが国エネルギー需給見通しを立てておられる。非常に重大だと思うわけです。しかもこれは昭和三十七年の閣議決定において、すみやかにわが国長期総合エネルギー政策を打ち出して、その中で石炭位置づけをするということを政府閣議決定をされたわけです。それ以来実に五カ年を要して今日ようやくエネルギー答申がなされたことは、まことに私は遺憾だと思うのです。しかし、今次なされた答申を受けた通産大臣として、この答申に対して一体どういう所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  16. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御存じのとおり石炭産業というものは最近までは日本基幹産業であったと思います。明治以来の日本産業というものは、ある意味では日本石炭があったということが日本産業発展の基礎をなしたと思うのであります。また戦後における日本産業発展も、やはり石炭産業の結果だ、こう思うわけです。その後の石油の輸入の関係で、石炭をこのまま打ち捨てておけば衰微するほかに道がない、これを何とかしなければならぬということで、政府も慎重にこれを考え、また審議会においても慎重にこれを審議して、相当の年限を経て答申案が出ましたので、私はこの答申案を見まして、これは一応石炭産業についての抜本的な解決策だというように考えておりますので、この答申どおりにひとつ実施したいということで、四十二年度予算にこの答申に従って予算を計上したような次第でございます。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 私の質問しておりますのは、石炭答申の問題ではないわけです。石炭答申ではなくして、わが国総合エネルギー政策に関する答申が最近行なわれた。この中に当然石炭位置づけというものが含まれているわけです。そしてそれは昭和六十年度までわが国エネルギー需給について見通しておる。いま私どもが議論しておるのは、昭和四十五年度石炭の各企業自立をさせる、きわめて短期間の四十五年を目途にする自立経営のための答申を受けて、それに対する施策、これを称して政府抜本策、こういっておるわけです。その後引き続いて総合エネルギーに関する答申大臣になされたわけですね。この中に石炭昭和六十年度までに関する需給計画というものが想定されておるわけです。昭和六十年ですよ。したがって石炭政策をいままで進めてきた大臣が、今度総合エネルギー答申を受けて、この中に示されている石炭需給という面についてはそのままこれはけっこうなことであるということで受けとめられておるのかどうか、この点について私は大臣所見を聞きたいわけです。
  18. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 仰せのとおり昭和六十年までについての石炭産出額についての答申が出ておりますが、この問題を、石炭答申案に対してこれを五カ年でやるか七カ年でやるか十カ年でやるかということについてはいろいろ議論があったのでございますが、これを五年間でひとつやるほうが石炭対策として、解決策としていいのではないか、ということで五年間の計画を立ててやっておるわけであります。大体五千万トンを昭和六十年度までには確保するという方針で続けていきたいという考えです。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 本院でこれからの石炭生産規模ということについては五千二百万トンの決議があることは大臣御存じのとおりなわけです。しかし今日の需要見通しからいって五千二百万トンと確定することには問題点がある。したがって五千万トン程度として、長期的な展望の中においてこれが五千二百万トンになるか、五千三百万トンになるか、あるいは当初の閣議決定の五千五百万トンの方向になるか、これは十分配慮していく、こういうことが政府見解として示されておるわけです。ところがこの総合エネルギー答申を見ますと、昭和六十年度まで石炭は五千万トンに確定してあるわけです。そうしますと、一方の答申昭和六十年度まで石炭は五千万トンだ。一方の答申では昭和四十五年度まで自立経営出炭規模は五千万トンである。しかしながら長期的な展望の中において本院決議の五千二百万トンあるいは五千三百万トン、五十五百万トンまでいかなくても、そういう点については需要を開拓しながら努力をしていく、こういうことが政府から答弁されて、またそういうことが本院でも決議されておるわけです。ここに問題点が一つあると思うのです。同じ通産大臣に行なら答申の中で、一方は昭和六十年度まですでに石炭需要は五千万トンと確定しているわけです。その答申をとるとすれば、石炭は永久に昭和六十年度までは五千万トンであって、ある程度需要の変化はあっても、それは石油あるいは原子力その他においてこのエネルギーはまかなっていくのだというのが今度の答申ものごと考え方ですし、思想ですから、そういたしますと、政府昭和六十年度まで見通しても石炭は五千万トン、こう明確に確定をするのか。大臣としてこの答申を受けて、とにかくこれだけ石炭政策が重要問題になっておるわけですから、その中にそう位置づけられておるわけですから、この点に対しての見解をしぼって明確にしていただきたいのです。まだ検討中なのか。この答申はやはり大臣としてそのとおりなのか。そう確定したものなのか。これはだいぶ時間がたっておりますから、検討されておると思いますので、見解を承りたい。
  20. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御存じのとおりエネルギー答申は五千万トンということだったのですが、もちろん五千万トンということで、一応われわれはその見当で今後努力を続けたいと考えております。しかし、この五カ年は五千万トン以上ということでできるだけ多く確保して、そうして石炭産業をひとつできるだけ確保したいというつもりで計画を立てて進んでおるわけであります。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は今度の総合エネルギーに対する答申というものはきわめて政治的になされた答申ではないかと実は考えるわけです。といいますのは、政府はすでに昭和三十七年の閣議決定総合エネルギー対策を立てて、石炭位置づけをしますといって五年も明らかにしなかったのですよ。その間に石炭のほうはどんどん進んでいってスクラップ・アンド・ビルドが強行されていく。そうして結果的に五千万トンに追い込まれていって石炭の勢力はぐっと弱まってきた。そういうことを前提にして、見計らってこのエネルギー答申がなされた気配が濃厚であると私は判断するわけです。これは私の見解でございますけれども、しかしいま大臣が言われるように、いずれにしても石油がこれからエネルギーの大宗を占めてまいるわけです。これは加速度的に伸びていくわけです。大体昭和三十年度から昭和四十年度にかけて二・八倍、四十年度を基点にすれば昭和五十年度がさらに二・一倍、昭和六十年度には三・一倍と加速度的に石油は伸びていくわけですね。その結果国内石炭というのは、昭和四十年度が総エネルギーに占める比率は一九・一%です。昭和五十年度には九・三%、昭和六十五年度には五・三%になるわけです。五%になるわけですね、五千万トンに確定しておるわけですから。そういう総体的なエネルギー需要が国際的にも加速度的に拡大をしていくわけです。これは日本も同じ傾向を保っていくわけです。にかかわらず、いままでの石炭政策の長年の議論からいって、その答申の中に昭和六十年度まで五千万トンを確定されている点については非常に疑問があるのではないか、こう私は考えるわけです。この点について……。
  22. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御承知のとおり、エネルギー資源需要というものは毎年ふえてまいります。そのふえる需要に対しては、やはり石油で供給しなければならぬ。しかし石炭だけはどうしても五千万トンは確保していきたいというところに今度の答申の苦心があったと思うのであります。でありますからして、エネルギー資源の増加する需要に対しては石油でまかなっていく、将来は、あるいは原子力で供給するようになる、こう私は考えております。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣のそういうきわめて端的な表現だと思うのですけれども、そういう考え方は、もうとにかく石炭は五千万トンにセットしてしまう、それからはみ出さないのだという考え方にこり固まっていると思うのですよ。その考え方は、すでに昭和四十二年度需給にも出ておるし、昭和四十五年度までの政策にも出ておる。そうすると、もう実際は、近代化、合理化が進んでいく、あるいは炭鉱の機械化も進んでいくでしょう、そういう中で、ある程度企業自立経営昭和四十五年度までにするためには、それぞれの生産体制を、計画を立てて、そして出炭規模を確定していく。それを集積してまいったときには、五千万トンをこえて五千二百万トンから五千三百万トン近くになる傾向が非常に強いわけです。しかしいま大臣の言われた考え方でいくと、初めから五千万トンにぱっとセットしてしまって、それから一歩も出ないということになると、ビルド鉱についてもある程度強い規制というものが伴ってくる、私は、こういう結果を招くと思うわけです。ですから、計画と実際の出炭規模というのは、経過から見れば、ある程度の差はあるわけです。五%なら五%の差は当然出てくるわけです。その程度ならいいのですけれども、それ以上にもう五千万トンにセットしてものごとを考えて、それで規制をしていくということについて、どうも今日の石炭政策というものは、あまりにもワクにはまった政策で弾力性が少しもない。そういう結果、各企業あるいはまた炭鉱が全然別なのですから、個々の炭鉱が集積されて五千万トンなんですから、そういうところにどうしても無理がくるのじゃないか。炭田別、地域別、特に中国、九州、常磐というようなわが国の産炭地域、あるいはまた生産規模、山の状態も大きいのと小さいのとやはりあるわけですから、そういう点にどうしても無理が伴うのではないか、こう考えるのです。そういう意味では、もう少し弾力的な態度を持つ必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  24. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 五千万トン程度で、年によっては五千二百万トンになるかもしれませんが、…。そこで、私どもの考えは、いまの経済情勢からすれば、石炭需要というものは当然減るように思うのに、これを五千万トン確保するのにはよほど政府がてこを入れなければならぬ、こう私は考えておるのです。政策需要や何かのことを今度の予算に出しておりますが……。でありますからして、五千万トンを確保できたら、これは私らから見ると非常に成功だ、こう考えておるので、五千万トン確保することについては、これはひとつ政府も努力するし、また炭鉱経営者も努力するし、また炭鉱で働いていただいておる方も勉強して、努力してもらうということで、せめて日本石炭だけは五千万トンを確保していきたい、こう私は考えております。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣、そうはならぬのじゃないのですか。たとえば石炭といっても、御存じのように一般炭もあれば、原料炭もあるのです。原料炭は、将来鉄鋼の生産が加速度的に伸びていく、それに伴って弱粘結の国内炭をどうしても確保しなければならない、すでにそういうきざしはいまもう出始めているわけです。この弱粘結炭まで輸入炭に依存するということになってまいりますと、私はたいへんな問題だと思うのです。またやはり安全保障の問題や国際収支の問題も当然考えなければならない。そうなってくると、一般炭について電力需要を中心にして需要もある程度最終的な見通しも出てくる。しかし原料炭は原料炭でこれまた別ですから、そういう面でそれを含めて五千万トンにセットしてしまって、それを固定化して、それが確保できればよろしいのであるという大臣考え方はどうかと思うのですが、いかがですか。
  26. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまのお話のとおり、原料炭は多く出れば非常にけっこうだと思うのです。それから鉄鋼や何かの関係で原料炭の需要がまずありますから、これが一トンでも多く日本で産出できれば非常に幸いだと考えております。問題は、一般炭が、これが価格やその他の経済性の関係でだんだんと減るという傾向を持っているのですから、できれば原料炭を一トンでも多く出すように今後はくふうしたい、こう考えております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、やはり一般炭需要減退の傾向は長期的に見通しができるわけですから、どう一体需要を確保していくかという問題をいま真剣に議論をされて、火力発電所の問題も進められているわけです。昭和四十五年度見通して、一般炭については、今日の生産される割合については、これを確保していこうという方針が出されているわけです。そうして将来原料炭の増産が要請される、そういう需要が拡大されてくれば、原料炭を、生産を拡大して供給するという立場に立てば、当然五千万トンははみ出してくるのじゃないですか。百万トン増産すれば五千百万トンになるじゃないですか。ですから、五千万トンを中心にしてそういう弾力的な考え方がないと、どうも話が合わないわけです。いかがですか。
  28. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そこで一般炭のほらが依然として出炭があれば、それはそういうお考えかもしれません。私のほうは、一般炭の出炭が、収支が償わぬで閉山するという事件が御存じのとおり多い、したがって、そっちのほうが減るという傾向があるのじゃないかということを考えておるのですが、幸いにして原料炭が一トンでも多く産出されれば、それはもうたいへんけっこうだと考えております。したがって一般炭が減らされないように、またいまお話のとおり政策需要や何かで、電力会社で一般炭を使わしているようでありますが、そういうことで苦心しておりますが、一般炭のほうが減るという大体の傾向にあるのではないかということを心配している次第であります。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 では、私お聞きしたいのですが、昭和四十五年度までの需給計画というものが一応組まれて、それに対する対応策というものが出されているわけですが、昭和四十五年度以降については何も出されていないわけです。エネルギー答申を見ましても、きわめて冷淡な扱いを受けているわけです。また今日通産省当局も、その面については確たるものを示していないと思うわけです。しかし一応いまの施策を進めていきますと、昭和四十五年度には通産省の試算では大体トン当たり十一円の黒字になって、そうして炭鉱自立経営方向に向かうのであるというのが示されている青写真であるわけです。そういたしますと、もう昭和四十五年度に到達した場合には、昭和五十年度までの見通しがないと、それは政策としておかしいと思うわけです。四十五年度にはトン当たり十一円程度の黒字にする、こう言っております。自立経営に持っていくのだ、しかも一応元利償還については、市中銀行の場合には十カ年、政府の場合には十二カ年、このほらの元利償還の計画だけは十カ年、十二カ年とはっきり示されておるわけです。ここに、私は、今日の石炭政策についての確信のなさといいますか、確固たる方針がないということがはっきり証明されておるのではないか、こう思うのです。そういう点についての方針はあるのですか。
  30. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 四十五年以降についての御意見がいろいろあったようでございますが、先ほど申し上げましたとおり、石炭対策についてはできるだけ早い期間にひとつ何とかして、石炭産業の安定を見たいということで五年にしたわけです。そこで、ここ三、四年やってみて、いまの政策をなお必要とする場合にはまたあらためて御相談して続けるというようなことで、五千万トンの大体のめどをつけておりますから、これだけはひとつ確保するような方向でいきたい、こう考えております。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、石炭にしろ、油にしろあるいは原子力にしろ、 エネルギーを扱う場合には、短期な見方で政策を立てその問題解決をはかろうとする考え方は、これは下の下だと思うのです。言うなれば、幼稚園に入る程度の非常に初歩的なものだと思うのです。御存じのように、火力発電をつくるのでも三年間かかるのですから、いますぐ火力をつくったって三年後の需要の話なわけですね。油の場合だって同様、輸入先あるいは長期契約の問題もあるでしょうし、あるいはまたそれを受け入れる体制の問題もあるでしょうし、精製所の建設等の問題を考えれば、このエネルギー政策というのは、大体、EECあたりでも示しておるように、二十年間というのが常識になっておるのです。ですから、総合エネルギー答申も、二十年の一応の見通しを立てて、今回大臣答申をしておるわけです。そっちのほらが二十年で答申をしておるのですから、いま政府抜本策だと自信を持って言うならば、二十年とは言わないけれども、せめて十年ぐらいの需給見通しというものが策定されていないで抜本策と言えるのでしょうか。あるいはまた、早急にこの点についてはそういう見通しを立てるという何らかの考え方があるのでしょうか。
  32. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、総合エネルギー対策につきましては、答申もありましたので、百年の大計というと大げさになりますが、今度は石油公団をつくることにいたしました。石油の問題については、従来は外国資本で外国の石油資源を開発していたのでしたが、これでは不安定なので、日本の資本で外国の石油資源の開発をするということで、これもいろいろ困難がありましたが、石油公団をつくることにいたしたのであります。それで大体、総合エネルギー資源の対策を立てる。なお原子力の問題も、原子力事業団というものをつくりまして、将来原子力の発電をやるという計画を立てております。そこで問題は石炭ですが、石炭はいま申し上げましたとおり、大体五カ年間でやってみて、そしてなお五カ年先にどうしても石炭が維持できないというようなことであれば、政策需要のことも考えて九電力で石炭をやはり使うというような方策を講じて、十年間は何とかして石炭は五千万トンで続けていきたいというように考えております。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 それではおそ過ぎるわけです。四十五年度まで実績を見てというのではどうにもならぬ。これはやはり、たとえば電発火力をさらに増設をして需要をつけなければならぬといっても、昭和四十五年にかかれば、それは四十八年でなければ需要がつかないわけです。ですから、その点がどうも私は理解ができないわけです。いまの大臣の答弁を聞いておりますと、石炭というのは五千万トンに封じ込めるのである。そして需要が減退すれば撤退作戦もやむを得ぬではないか。言うなれば、そのときの状況によって、五千万トン以上になることはないけれども、さらに状況によっては、需要がつかない場合には山をつぶして、三千万トンになるか、三千三百万トンになるか。それでなくとも三千三百万トン説というのがあるのですから、そちらのほうにむしろ流れていく傾向にあるのではないか。そのことは今日石炭企業家炭鉱に働いている多くの労働者に依然として不安感を与えるわけです。その点がぴちっとしないと、石炭企業家としても自立経営方向に努力をする意欲が非常に違ってくるでしょうし、また、それでなくとも雇用問題が非常にやかましい石炭産業に、若年労働者が集まってきて、とにかくいま確定した維持炭鉱であり、ビルド鉱であっても、そこに入って自分が炭鉱労働者として働くあるいは働いていようとする意欲をぶちこわすことになるのではないかと私は思うのです。ですから私は、少なくとも昭和四十二年度内に昭和五十年度までの見通しというものを、原料炭、一般炭需給関係というものをぴちっとすべきだ、これはまた政府としての当然の責任だと思うのですが、いかがですか。
  34. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 十年先の見通しをつけて石炭対策を立てたらいいという御意見だと思いますが、先ほどお話しのとおり、十年間は五千万トンという答申が出ておりますから、大体それはそれで、われわれは五千万トンを確保したいというつもりでおります。しかし今度の五カ年計画は、とにかく早く対策を講じて早く安定さしたいというのがわれわれの念願です。それで、十年間で安定するよりも五年間で安定したほうが働く人も落ちつくのではないかということで、五年間で一応安定のできる対策を講じたい。要するに問題は、石炭産業というものがこれで維持できる、そしてまた働いてもらう人にも安心して落ちついて働いてもらえるということのためには、いろいろ解決すべき問題がありますが、五年間でひとつ解決したいということでこの案を立てた次第であります。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣の言わんとする気持ちは私はわかるわけですよ。少なくとも昭和五十年度——十年間と言いますけれども、四十二年ですからね。これはもう八年ないわけでしょう。そういう点からいって、需給見通しがびちっと立てられないというところに、石炭政策抜本策と言いながら、政府の自信のなさ、極端なものの言い方をすると、これはここ一、二年たったら、こうやっているけれども、どうなるかわからぬぞというような確信のなさというものがあるのじゃないかと思うのですよ。それが昭和四十五年度で、政府が言っておるように、トン十一円の黒字を出して安定できるものであれば、そういう確信があるならば、五十年度まで出すことは簡単じゃないですか。いますでに新たな要素が出ていますね。需要の面ではいろいろな要素が出ているわけです。そういうものを見通していまから対策を立てることによって企業はさらに安定していくわけでしょう。ところがせっかく安定したと思ったとたんに需要の変化が起こって、その対策がないとすれば、再び赤字に転落するわけです。少なくとも四十五年度までに自立をさせるならば、四十五年度以降はそういう体制でいける方針というものをいまから明確に示さなければいかぬじゃないか。少なくとも需給関係というものをぴちっと示す必要があるのじゃないかと思うのです。これは審議会もあるのですけれども、早急にやる気持ちはないのですか。
  36. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御心配になるのは、石炭需要が四十五年以後にどうかということだと思います。その点は、先ほどから申し上げましたとおり、それについては政策需要ということも考えておるし、いまやろうとしておる政府対策がよろしきを得れば、石炭産業がこれで安定することになりますから、安定すればそのままその事業を続けていけるということになるわけであります。したがって、四十五年までに安定するようにいろいろの対策を講じて、それで安定したらそのままずっと続けていく、こういう考えでおりますから、もし安定ができぬようであれば、そのときにはまた考えていきたい。これは四十五年になってにわかに考えるわけではなく、四十三年とか四十四年とか、前の年くらいに見通しがつきますから、そのときはそのときでまた考えていきたい、こう思っております。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣石炭の問題で、そのときそのときでは方法がありますか。これはないですよ。いますでに需要についての変化が出ているわけですよ。当初見通したよりも悪い条件というものがいろいろ出てきているわけです。そうしますと、そういうものに対応する場合に、一般炭需要をつける立場からいえば、これはやはり石炭火力以外にないのじゃないですか。もし百万トンなら百万トンというものが見通しから狂ったとすれば、需要をつけるには、その段階では石炭火力以外にないと思うのです。そうしますと、その時点では三年後に需要がつくのですからすでにおそいわけです。だから、そういう意味ではもう少し綿密な検討を加えて、最近の動向をさらに見直しをして、新しいファクターについてはさらに精査をして、安全計数をある程度見て措置をしなければいかぬのではないか。その措置をする年は昭和四十二年、昭和四十二年にかけてだ。昭和四十五年にやったのではおそいのですよ。いま、火力発電所の着工は昭和四十五年度以降の需要です。ここなんですね。そのためには、私は必要あると思いますけれども、検討した結果、ないかもしらぬけれども、そういう意味で、昭和五十年度までの需要見通しというものをぴしっと立てなければいけないのではないか、それを示す必要があるのではないか。その結果措置をしなければならぬものはいまから手を打たなければ、昭和四十五年度自立体制がもしできたとしても、それはすでにおそいのではないか。これは少なくとも石炭鉱業審議会が山をつぶすことは五年先のことまでやって、そしてこういう大事なところに手を触れないということについては非常に遺憾だと思うのですね。もう石炭鉱業審議会の任務は終わったのですか。いかがですか。
  38. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまのお話の、新しいファクターが出れば新しいファクターを用いてまた考えるので、現在のところでは、いまのこの対策でけっこう安定するというつもりでおります。お話のように、新しいファクターが出れば、日本でも石油がどんどん出るとかいうようなことになってきますと、またそれはいろいろ事情が変わってきます。新しいファクターが出れば当然また考えて、いまやっておる対策は変更しなければならぬということはあり得ると思います。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 新しいファクターは出始めているんじゃないですか、電力を除いては、各産業の一般的な傾向として出ているのじゃないですか。もう出ています。それはもうわれわれが知っているだけでも、いますでに六十万トンくらいになってしまうわけです。ですから新しいファクターは出始めているのですよ。ですからそういう傾向を十分——これはもう一億トンの需要を精査するわけではないのですから、一般炭の三千万トン程度の精査をしているわけですから、そうむずかしい問題ではないと思うのです。なければないでけっこうですよ。それはしかし五十年度までこうであるというものをなぜ出せないのですか。大臣がそれだけ確信があるならば出るのじゃないですか。大宗は電力なんですから。
  40. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 電力会社も来年度から石炭の消費量を増してもらうことに話をしまして、大体承諾を得たわけです。そこで問題は一般炭需要がどらであるかという問題だと思うのです。岡田さんの御質問になろうとしておるのもその点だと思うのでございますが、まあしかし現在のところでは、いまの九電力なり電発の火力発電でいけるという考えを大体いたしておりますから、そこで二、三年して、どうしてもこれでは一般炭があるいは余るとかなんとかいうようなことであれば、またそのときはそのときで考えていきたい、こう思っておるわけであります。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 昭和四十五年度の電力用炭の引き取りはもう確定しているのですか。いかがですか。
  42. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 確定いたしております。二千三百万でございます。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 当初電力用炭の引き取りというのは、昭和四十五年度までに三千万トンまで確保する、こういう方針がありましたね。それが二千三百万トンということで一応確定しておるわけです。この点について、通産側としては、政府側としては、この二千三百万トンで五千万トンの需要——電力用炭の場合には当然雑炭が入りますよ、雑炭の計画は四十年度石炭局で見ているのでも四百万トンあるわけでしょう。ことし五百万トンと見ていますけれども、潜在雑炭から見ればそういう数字をはるかに上回ってくるわけですからね。これは電力に供給されているわけです。そういう点から見ても、なおかつ二千三百万トンの引き取り炭で需要は自信がある、こうおっしゃいますか。
  44. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 二千三百万トンというのは九電力だけの問題でございます。電源開発の問題、共同火力の問題があり、大体三千万トンという見通しをつけております。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、昭和四十五年度は三千万トンである、三千万トンの中に雑炭はどのくらい入りますか、これは事務当局でいいですから。
  46. 井上亮

    井上(亮)政府委員 大体四百万トン程度と見ております。
  47. 岡田利春

    岡田(利)委員 四百万トンの雑炭というのは策定のしかたにずいぶん問題があると私は思うのです。ビルドアップの山が、規模が漸次整理をされて、各山が大型化してくる、それに伴って雑炭というものが、従来の中小のようなものとは違いますけれども、いままでは雑炭で荷扱いしなければならぬものを精炭扱いしなければならぬものが必ず私は出るくると思うのです。そういう点を見通して四百万トンと見るのか、あるいはいまの実績主義で見通して四百万トンと見るのか、この点についていかがですか。
  48. 井上亮

    井上(亮)政府委員 どちらかといえば今日までの趨勢ですね。実績主義的な見地で考えまして大体四百万トン程度というふうに考えております。今日では、今後ここ一両年は大体四百五十万トン程度じゃないか。数年前には五百万トン程度と考えておった時代もございますが、大体それが四百万トンになるという実績的な考え方でございます。
  49. 岡田利春

    岡田(利)委員 しかし、鉄道関係需要がずっと減退をしてくる、とれには御存じのように、いままでは微粉炭を活用して、そうして国鉄に供給しているという傾向は全国的にあるわけですね。微粉炭がそうですね。練炭関係でその需要一般炭に食い込んでくることは間違いないですね。鉄道の場合は一般炭に食い込んでくることは間違いないと思うのです。そういう意味で、新たなホームコールといいますか、練炭関係の製造というものは、総体的な経営の立場からいって、コストの面からいって、当然各社、各山で考えてくると思うのです。特に自産炭消費の面では、各家庭、従業員への配炭というものは、普通の石炭から、そういう微粉炭をホームコール化してこれを供給する、これはここ二、三年各山でずいぶん取り上げている問題なわけです。そうしますと、これらの問題は、当然雑炭として考えられてくるわけです。しかもそれは普通一般炭の精炭のシェアにも食い込んでくるというある部面があるわけですね。そういう面を見通しての雑炭は四百万トンと見ているのですか、この数字は小さ過ぎやしませんか。
  50. 井上亮

    井上(亮)政府委員 雑炭の定義、取り方によりまして数字が若干の変動をすることは御説のとおりでございます。私がただいま申しました昭和四十五年度の雑炭の見通しとして四百万トン程度ということは、主として需要との関係等を見ました実績の趨勢というような点から申し上げたわけでございまして、雑炭の取り方につきましては、低品位炭を雑炭と見る見方もありますし、あるいはいまおっしゃいましたように、練炭等の場合に、いろいろ低品位炭もありましょうし、あるいは格外炭というような表現の場合もありましょうし、いろいろあるわけでございますが、その見方によりますと若干四百万トンはふえるということも、それはあり得ると思います。しかし私が申しましたのは、一応電力需要を中心にした需要とかこういう点から見まして、実績の推移等から見まして、その程度というふうに申し上げたわけでございます。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 その点私は希望しておきたいことは、これは鉱産税その他の関係もあり、そういう面で規制をするなら別ですけれども、規制をしなければ雑炭の見通しというものはふえていくのじゃないか、いまの見通しよりもふえるのではないか、こういう気がするわけです。こういう点についてはこれから特にひとつ検討していただきたい、かように思うわけです。次に、鉄鋼向けの、これはガス、コークスの場合もそうですけれども、原料炭ですね、弱粘結国内原料炭について量産体制も指示されておるようでありますけれども、これはあくまでも国内弱粘結の原料炭の使用最優先の原則というものは変わりませんか。
  52. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お説のとおりその方針でいきます。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、今年出銑関係の生産がずいぶん当初の見通しよりも急激に増加をしているわけですね。これに伴う原料炭需要というものは当初見通しよりも急激に増加しておるわけです。これに対して輸入強粘結原料炭と国内弱粘結原料炭、この比率、大体四二%ぐらいの比率でいくのでしょうけれども、国内原料炭が昭和四十二年度は供給が追いつかない、そういう状況にあるのじゃないかと私は思うのですが、この点の今年度見通しはどうか。それと、さらに昭和四十五年度見通しても、当初計画とはずいぶん見通しが変わってきたのではないか、大体この傾向は維持されていくのではないか、こう考えるわけですが、そういたしますと、当然当初の計画が変わってまいります。この点についての見通しについてお伺いしたいと思うわけです。
  54. 井上亮

    井上(亮)政府委員 原料炭の需要見通しでございますが、岡田先生の御指摘のように、ごく最近に至りまして鉄鋼業界の景気が上向きに転じておりますので、従来私どもが昨年の初めぐらいに考えましたよりもことしの初めぐらいには相当はっきりした方向で原料炭の需要がふえることが明らかになりました。そのために実は負担増対策——本年度から増量引き取りの還付制度を改めまして、負担増対策を直接引き取り補給金方式に改めたわけでございますが、これに関連いたしまして、予算獲得の際にもそういった増量見通しというものを配慮して予算を組んだわけでございますが、それにもかかわらずなお率直に申しますと、今日の情勢ではそれ以上に鉄鋼の需要は旺盛であるという見通しでございます。私どもとしましては、一応昭和四十二年度の鉄鋼の原料炭需要を千二十万トンないし千五十万トンというふうに見ておりますが、さらに最近の情勢ではこれ以上に需要がふえるのじゃないかという傾向が加わっております。鉄の今後の出銑量の見通し等がまだ今日必ずしも通産省としてもはっきりした見通しを得ておりませんので、どの程度ふえるかという点についてはまだ未定な点がありますが、しかし私のおよその見通しではざらに少なくとも数十万トンにのぼる国内炭の弱粘結炭の不足状況が出る見込みがあるのじゃないかというふうに考えております。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 重工業局、来ておりますか。これはそちらのほうが専門ですから、ことしの見通しを聞きたいと思うのです。大体出銑量をどのくらい今年見込まれるのか、これに伴って原料炭の需要量はどらか、そしてこの比率はどの程度に見て国内炭はどう見ているのか、こういう点について承りたいと思います。
  56. 左近友三郎

    ○左近説明員 重工業局のほうの鉄鋼についての見通しを申し上げます。  現在重工業局といたしまして、四十二年度生産量を粗鋼といたしまして五千八百万トンというふうに見通しております。これは出銑量にいたしますと大体三千八百八十万トンという数字になります。この数字で先ほど石炭局長が御説明申し上げました千二十ないし千五十万トンという国内炭の引き取りが可能であろうかというふうに考えておりますが、実はこの五千八百万トンという数字について、今後の景気の見通しによってある程度増加をする予測も現在考えられております。これは実はもっぱらことしの下半期の景気の動向いかんにかかっておりますので、まだ最終的には申し上げられませんが、もし景気が安定的に推移いたしますならば、もう少し需要が伸びるであろう、こういうことになりますと、先ほど石炭局長から申しましたように、もう数十万トンの増加も期待されるということでございまして、それに伴いましてもちろん強粘結炭の輸入もふえますので、内外比といたしましては大体三五ないし四〇という形になるのじゃないかということでございます。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体三千八百八十万トンの生産から見て所要原料炭というのは三千百十六万トン程度になるのではないか、私はこう見るわけです。そういたしますと、弱粘結の比率で四四%に見れば千三百七十一万トンになるでしょうし、四二%で見れば千三百九万トンになるはずです。したがって、弱粘結の輸入の長期契約は御存じのように百七十万トン、これはずっと継続されておるわけです。今後も継続されるでしょう。したがって、大体これを差し引いてまいりますと千二百万トンという数字が出てくるのではないか。それをさらに千三百九万トンから百七十万トンを引いて、残りについてこれからの原料炭の増産指示が石炭局から出されておるわけですね。そういう見通しからいっても、弱粘結の長期契約以上に輸入をしなければならない状態に追い込まれていくのではないか、私はこういう見通しを持っておるわけなんですが、そういうことはありませんか。
  58. 左近友三郎

    ○左近説明員 これは石炭局サイドで御努力願いまして、極力国内炭の増産をお願いしたいと思っておりますが、増産の程度によりましては輸入もやむを得ないというふうに考えております。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 ですから、国内生産がどの程度伸びるか、これはなかなかめんどらだと思う。一挙に生産が伸びるということは非常にめんどうだと思う。ですから、百八十万トンから二百十万トン程度の弱粘結原料炭は不足を来たすのではないか。そういたしますと、この輸入をする場合に、これをスポットもので輸入するのか、それとも従来とっていたように長期契約で輸入するかということは、これは非常に重大な問題なわけですよ。もちろんこれは割り当てがございますけれども、この点について一体どういう態度でその場合臨むのか、その見解を示してもらいたいと思うんですがね。
  60. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま重工業局から御答弁いたしましたように、私ども、鉄の原料炭の需要が増大の傾向にありますので、御承知のように原料炭の山は比較的ビルド山が多いわけでございますし、新鉱開発もいたしておりますような事情でございますので、この増産にもちろん保安を無視しては困りますが、増産体制をとってもらうように業界にお願いいたしております。しかもそれにもかかわらずなお原料炭が不足する場合には、やはり輸入もやむを得ないという立場をとっておるわけですが、その場合にもやはり御指摘がありましたように長期契約ということになりますと、これは鉄の需要の今後の動向も——鉄鋼業界のいままでの実績を見ますと、相当景況におきましてもフラクチュエーションが多いわけです。非常に好況があると思うと不況がある。不況の際にはまた原料炭を買わないというようなことで、従来相当混乱したこともございますので、鉄が長期安定的に需要が確実に長期的に伸びるという場合には、長期契約もやむを得ないと思いますけれども、やはりなお今日の情勢では不安定の点もあると思いますので、したがいまして、そういう間は私どもの立場からしますと、スポット買いでお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 昭和四十五年度見通しなんですけれども、この点も相当いままでの見通しから見れば増加をするのではないか、こう思うわけですが、大体いまから見通してどの程度見通されていますか。
  62. 左近友三郎

    ○左近説明員 昭和四十五年度の生産見通しにつきましては、昨年度あたりまで四十五年度粗鋼生産六千万トンといわれておったわけでございますが、ことしわれわれのほろの産業構造審議会の鉄鋼部会で審議いたしました結論は、一年ずれますが、四十六年に七千二百万トンという数字が出ております。それで一年逆算して考えましても、大体四十五年は六千八百万トン程度は生産が可能ではないかということでございますので、前年見通しておりました六千万トンより、大体八百万トンぐらいは増加するであろうというふうに考えております。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこでそういう原料炭関係需給については強気の傾向であるということは大体明らかであると思うのです。私はやはり国内原料炭を最優先でこれを鉄鋼は受け入れる、こういう原則がある以上、またこれに対応する供給体制、こういうものをやはり確立する必要があるのではないかと思うわけです。しかし残念なことには、原料炭を生産すれば一般炭も出てくるわけですね。原料炭だけということはないわけです。そういう一般炭需要についてはプラスアルファの対策が必要であるということは当然常識的に考えられてくるわけです。でなければ一般炭の山をさらにつぶさなければならない。やっていける山もつぶすという積極政策政府はとらざるを得ないということになるわけですが、この点はどうですか。
  64. 井上亮

    井上(亮)政府委員 御指摘のように、原料炭を増産いたしますと、一〇〇%原料炭の山というのはほとんどないわけでございますので、同時に二割程度一般炭が随伴的に生産されるとか、あるいは四割程度随伴的に生産される、これは山によって違いますが、というような事情があることは事実でありまして、増産においてそれだけのものが一般炭として生産されることになる。ところが私どもは今後供給計画、出炭計画を長期的に考えておりますが、これは原料炭、一般炭、山別に精緻に今後の出炭の見通し計画いたしておりますので、その反面今度は原料炭でない一般炭の山の推移が一体今後どうなるかというようなことにつきましても、相当精緻に検討を加えてみる。ただいま御指摘がありましたように、原料炭の増産につれて一般炭がふえる。その反面一般炭プロパーの山を意識的に閉山さぜるというような思想は、ただいま私ども持っておりません。持ってないということは、大臣も御答弁いたしましたように、今後の位置づけについても五千万トン程度と申しましたのはその意味でございます。五千万トンが五千百万トン程度の出炭になっても、五千百五十万トン程度の出炭になっても差しつかえはもちろんない。そのかわりそれに対して需要確保対策はその見通しに応じて私どもは努力したいというように考えておるわけでございます。まあそういう見地から原料炭の山につきましても一般炭の山についても検討を加えまして見ておりますが、やはり御承知のように一般炭プロパーの山につきましてはいわゆる老朽炭鉱相当まだ遺憾ながらあるわけでございます。これがすぐ年度内につぶれるであろうと想定されますものにつきましても、まあ三百万トン余りあるわけでございますし、年々閉山の規模は減っていくと思います。少なくなってはまいると思いますが、やはり老朽炭鉱というものがありますので、そういった今後の見通しを考えてみますと、また長期的に見て供給力の面から見ましても、大体五千万トン程度の出炭力ではないかというように想定いたしまして、そういたしますと今度は少なくともそれに対応する需要をつけなければいかぬというようなことになるわけでございまして、需要につきましては大臣が先ほど来申し上げたように、まあ自然の流れに放置すればなかなか需要確保ができませんので、一般炭については主として電力用炭、原料炭につきましてはもちろん鉄鋼、ガスというような需要確保を並行的に考える、そういう観点でございます。まあ原料炭の増産に伴って随伴して生ずる一般炭の増加分を全体的マクロ的に見ますと、大体いま申しましたような傾向で大体五千万トン程度で出炭力というものは推移するのではないかといろ見通しを立てております。
  65. 岡田利春

    岡田(利)委員 需要の中で肩のこうないほうは優先させて、肩のこるほうはこれをしわ寄せされるのでは、私は政策の大きな後退だと思うのですね。この点特にその場合に注意を払ってもらわなければなりませんし、そういう意味でいま申された見解のようにこの点の調整はしなければならぬということは明らかなわけですから、調整、需給見通し、そういったものを、増産要請に対する具体的な措置ですね、そういう傾向についてはあとから資料を通じて示してもらいたい。これよろしいですか。  ではもう一つこの問題に関連してお聞きしたいのですけれども、現在は一般炭であるけれども原料炭に格上げできるものがあるではないか。格上げすれば一般炭関係需要は緩和されてくるわけです。四十万トンといってもこれはたいへんな量なんですから、火力発電所一つに相当するわけですから。そういう面からいって、たとえばいま石炭政策で一番ネックになっている三池炭対策です。三池炭の場合にはこれは水洗をするとかあるいはサルファの少ない原料炭を輸入をしてミックスをする、このような措置をすれば相当量原料炭に回ることは確実なわけです。ある程度価格の問題があれば、どうせ需要対策で金を出しているわけですから、これは踏み切っても、私は国際収支の面からいっても、また今日の最もネックになっておる一般炭対策からいっても非常に大切ではないか、大事な問題点ではないかと思うわけです。やればできるわけですよ。やらないからできないだけなんです。非常に簡単なことなんです。もちろん使う鉄鋼側の態度もあるでしょうけれども、いま申し上げましたように、従来の傾向と違うわけですから、この時期にこの対策を具体化して解決をすべきではないか、こう私は考えるわけですが、見解はいかがですか。
  66. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 三池炭鉱のことにつきましては御承知のとおりこれは多少粘結性の石炭でありますからして、これはできるだけひとつ原料炭として活用したいということを考えております。この三池炭鉱の活用については積極的にひとつなるべく解決したい、こう考えております。
  67. 岡田利春

    岡田(利)委員 まあいま新鉱開発で日鉄の有明と南大夕張が指定をされて、原料炭の増量対策を進めておるわけですが、日鉄の有明だって、これははたして当初予想したサルファの状態がこちらの予想しているより非常に低いものであるかどうかということに私は疑問があるのじゃないかと思うのです。もしサルファが高いとすれば、同様これを一般炭にというわけにはまいらぬわけですから、この点についても考えなければならぬわけですね。私は、そういう点ではいま大臣が答弁されましたけれども、いつもこの点は答弁をされるけれども、実行に移すという段階になると消えているわけです。かつて昭和三十六年のときにもこのことはずいぶん議論した経過があるわけです。それをやらないから、もう依然として最大の炭鉱である三池の需要対策が伴わないで、いつでもこれがネックになっておるという今日もそういう実情にあるわけです。私は、大臣これはぜひ具体化してもらいたいと思うわけです。熱意を持ってこの解決の方向にぜひ具体的な努力をしてもらいたい。このことをこの機会に強く要望しておきたいと思います。  それと、昭和四十二年度及び昭和四十五年度見通して、原料炭の九州、北海道の生産量というもの、原料炭の九州、北海道の比率というものが変わってくる。北海道のほうが漸年原料炭は生産が増加されていくわけです。しかし、一方において原料炭を使う側、鉄鋼関係の工場の配置を見れば、むしろ西日本のほうがその需要量が旺盛であるわけです。したがって、北海道の原料炭が増産をされてまいりますけれども、これを北海道から西日本ブロックに運ばなければならないわけです。そうしますと、当初計画よりもこれは運賃の面で割り高になってくるという問題があるわけです。いまの生産の計画というものがそういう傾向を示しているわけですから、四十五年度でおそらく北海道は九百三十万トン、九州は五百七十万トンでございますから、これもそのときになってやったんでは、輸送対策で間に合わないわけです。しかし、補給金でやるんだということになればその場で間に合います。との輸送の問題を解決するとすれば、これもいまから方針をきめてやらなければ間に合わないということになるわけですね。この点の具体的な対策はお持ちですか。
  68. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この問題につきましては、すでにいま無利子の近代化資金によりまして、石炭専用船を現在二十九船運航しておりますが、いまもお話しのとおり北海道に粘結炭があり、製鉄所は西にあるというようなことになりますと、これは港の改善も考えていかなければならないというようなことで、近代化資金によってそういうような整備も実施しておるのでありますが、今後そういう動向をさらに考えまして、第二次の専用船というものの計画をやりたいし、またいま申し上げました港の荷役の関係もひとつ近代化資金でやりたい、こういう考え方でおります。
  69. 岡田利春

    岡田(利)委員 昭和四十五年度まで港湾荷役料金の値上げ及び海上運賃の値上がりというものは避けられないと私は思うのです。四十五年度までは必ず港湾の荷役料金は上がりますし、海上運賃も値上がりを示す、こう私は考えるわけです。そういたしますと、港湾荷役の共同化、近代化、との面について経費の節減をできるだけはかりたい。これはしかし場所は限られてしまいます。あるいはまた石炭専用船を、従来五千トン程度のものを、今度は遠くなるわけですから七千トン以上のものをつくらなければ合理化にならないわけです。当然大型化されてくることは間違いないわけです。そういう傾向から見れば、それでもこの運賃格差の問題は解決しないのではないか。私はそういう意味において特別運賃補給の問題がやはり並行的に考えられてこなければならぬのではなかろうか、こう思います。その点については私は昭和四十五年度以前の場合もそうなんですが、石炭専用船でやるとしても、早くて来年度予算でなければできないわけです。これは完成するのに三年近くかかるわけですからね。二年でできたとしても、とにかく時間的なズレは出てまいるわけですから、その点弾力的な政策を、石炭会計がせっかくできたわけですから、弾力的にこれを受けとめていく政策考え方が必要じゃないか、こう私は見通すわけですが、いかがですか。
  70. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、石炭専用船もやはり大型に変えなければならぬということを大体考えております。そういうことで、お話のとおり運賃の値上げ、荷役料金の値上げということも、これはあり得ることだと思っておりますので、そういうこともこの際ひとつ検討したい、こう考えております。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの港湾の近代化、これも叫ばれて久しいのですが、政策予算も出されているのですが、この政策に基づいて港湾設備の共同化、近代化ができた個所は、これは事務当局でいいのですが、何個所ありますか。
  72. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま大臣からお話のありました流通合理化、特に荷役関係だとか、配炭技術とか、いろいろな問題があるわけですが、こういう合理化昭和三十五年以来やってきております。場所といたしましては、唐津の大島埠頭、まず九州から申し上げております。それから洞海湾の新川埠頭、同じく洞海湾の藤ノ木埠頭、それから三池港、こういうのが九州のおもな地点でございます。それから宇部につきましては、御承知の宇部混炭というもの、これは今日でも非常な成績をあげております。それから常磐炭鉱につきましては久之浜港の石炭埠頭、これは積み込みとかベルト等の近代化をいたしまして、これもきわめて優秀な施設で相当合理化効果をあげております。北海道におきましては留萌港、留萌港の埠頭につきましては、これも同じく積み込み施設、混炭施設等について近代化を実施しております。おもな点は以上でございます。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 特に末端流通機構の問題なんですけれども御存じのように石炭は非常に歴史的な銘柄というものがありまして、また、各社がそれぞれ販売機構を持って暖厨房用については売っているわけです。あるいは小口については石炭販売会社を通じて売炭が行なわれているわけです。ある程度袋詰めとかくふうはされておりますけれども、基本的には何ら見るべき政策がない、具体化されていない、こう見なければならぬと思う。たとえば炭鉱がなくなっても、売炭会社が残っている。一つの町に三つも四つも、極端なのは六社も依然として売炭会社があって、どこから炭を集めてきているのか知らぬけれども、さらに二次売店も持っている。旧態依然とした状態に置かれておる。この点ですね。いま石油と競合して、毎日、特に北海道のような寒冷地の場合には、新聞を見れば薬の宣伝か石油ストーブの宣伝かといわれるぐらいものすごい大々的な広告がなされて、石油販売が非常に意欲的に行なわれている。ところが、石炭の場合は旧態依然とした状態である。ただ買いやすいように袋詰めで売るとか、共同でやるとか、そういう程度のことはやっているけれども、それ以外に見るべきものがないわけです。私はむしろ、これはある程度共同化するとか、整理統合するとか、あるいは一つの組合をつくるとかすべきで、末端に行った場合に特別にどこどこの山の炭でなければならぬというわけではありませんし、まして二次売店にいった場合には、その山の炭かどらか、名前はついておりますけれども、わからない面があるわけです。そういう面ではある程度の融通性、できれば共同化、こういう点にまで手を染めていかなければならぬのではないかと思うんですがね。そういう合理化を通じて一般の暖厨房用炭の需要を確保するというような少なくとも努力がなければ、いまここまで追い込められている石炭が、私はまことにおかしいと思うわけです。そういう点についていままでどういう指導をなされてきたのか。また、ないとすれば、今後どういう態度で臨まれる考え方であるか、お伺いしたいと思うわけです。
  74. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この石炭業というのは、これは大体その系統をいままで尊重して流通過程ができておると思うんです。だからして、これをいままでの流通過程を変えるということはなかなか困難だと思いますが、いまお話しのとおり、販売量がだんだん減ってきますと、これはもうそれでは維持できないという事情にだんだん迫ってきておると思います。また、石油との競争もある。だからして、これはどうしても共同化というものは当然私は起こるべきだと思いますので、これは私のほらでは、今度、中小企業のほうで共同化ということを積極的に進めたいという考えをしておりますから、そちらのほうでも共同化ということを積極的に勧誘したい、こういうふうに考えております。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣の答弁は非常にごりっぱですよね。これはできますかと私はお聞きしたいくらいなんですが、なかなかたいへんですよ。しかし私は、これはもう少し政府として努力を、行政指導をやらなければならない大事な問題でありますから、この点特に指摘をしておきたいと思うわけです。特にいま石油需要拡大に対処して、コールヒーターの開発等が行なわれているわけですが、コールヒーター一つ見ても、各社で開発しているわけですよね。これは普通のストーブとは非常に違いますし、きわめて文化的なわけです。また、石油とは違った利点もずいぶんあるわけです。こういうような面でやはりいまの追い詰められている石炭企業が共同開発をしていく。ある粒度のものはこれは消化できるので、需要確保の一つの方策なんですから、ある程度積極的に政府としても援助していいではないか。あるいはまた、買う者にはむしろ値段の点でそのほうがいいんではないかという議論が最近ちまたに出るくらいなんですから、せめてそういうところから着実に積み上げていってほしいと思うわけです。これはひとつ要望いたしておきます。  次にお伺いしたいのは、予算の中では出てまいらないのでありますけれども答申閣議決定で、炭鉱労働者の特別年金制度が、これは今国会法律案が出されて確定することになっているわけです。この見合い財源というものは、別に予算上明確に出ていないわけですね。そうすると、いまの石炭政策の中で企業が自主的にやるといっても、法律できめる以上、当然負担財源というものが伴ってくるわけです。この点法案を出すほうは厚生省の年金局のほうで作業をするわけですが、しかし出せといっても、なかなかもらった金は出したくないということになってくると、非常にこれは紛争が拡大する危険性があると思うんです。当然私は、通産省がこの面についてはある程度行政指導の立場から介入しているんではないかと思うんですが、これはどうなっているんですか。
  76. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 年金制度のことはいま厚生省がやっておるんですが、いま厚生省とそういう問題について折衝の最中であります。最後的な決定はまだ見ておりません。
  77. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、きょうこの問題はこれ以上さわりませんけれども、非常に問題はあるわけです。あす労働大臣が来ますから、労働大臣にも私はいろいろ聞きたいと思うんですが、そういう折衝の過程でありますので、申し上げておきたいのは、できるだけ坑内の労働力をどうしても確保しなければならない。そのためには、ほかから新たな人間を集めるよりも、坑外作業でも類似している作業、運搬とか選炭とか、やはり石炭になれているそういう職場があるわけですから、坑外から坑内に転換をしてほしい。そのためには転換手当として一万円出すとか、あるいは優遇措置をとるとか、そういうふうな方法で坑外から募集をして、坑内に転換をしてもらうということが、長い経過ではずっと行なわれてきたわけです。あるいはまた、坑内は非常に危険労働でありますから、災害によってけがをした。足を失ったとか手を失ったとか、あるいは身体障害で坑内の仕事には不向きであるというので、雇用の場を坑外に確保してやる。そういう犠牲者は坑外に職場を持って今日働いておる。こういうことが閉山の場合にはいつでも問題になってくるわけです。あるいはまた、第一線の面を強化していこうとすれば、若い労働力が必要であるという意味で、定年は五十五であるけれども、五十過ぎてくると坑外の職場に移ってもらう。そうして、若い労働力を確保して第一線の生産関係を充実していく、こういうことが合理化政策としてとられてきておるわけです。ですから、この鉱山保安法でいっても、炭鉱労働者というのは、坑内、坑外、あるごく一部を除いてはすべてが炭鉱の鉱山労働者であるわけです。そういう概念に入るわけです。しかし答申は、これは御存じのように、坑内夫に限って、坑内に現在おって、しかも過去十五年勤めた実績があり、今後五年勤めた者に年金を支給をする、こうなっておるわけです。通産省は関係ないといえば関係ないかもしれませんけれども、しかし合理化を進めてきた側としては、その実態を一番知っているはずなんです。そういたしますと、十年間坑外にいて、そういう合理化に協力をして坑内に入ったけれども、まだ二十年にはならないという者は年金がつかない、こういう不合理が出てまいりますし、十五年勤めておったけれども、災害のために身体障害者で坑外に上がったがゆえに、炭鉱にいても、定年になった場合に特別年金の恩恵に浴することができない、こういう点もあるわけです。あるいは、企業側とすれば、五十以上の者は今後坑外に上がってほしいんだ、こういう合理化提案しても、今度は、年金がつかなくなるようになるから合理化には協力できない、こういう新しい問題も生まれてくるわけです。この点を十分のみ込んで折衝してもらわなければ新たな企業要求の場合労使紛争を拡大することに私はなるのではないか、こういう心配を実はいたしているわけです。これは通産省、労働省、厚生省、いずれ機会を改めて議論する場合があると思いますから、この点だけは特に折衝の過程において、その実態を通産側としてはよく把握をして折衝していただきたいということを要望しておきたいと思います。
  78. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの岡田委員のお話の件は、各方面から私のほうには耳に入っておりますので、通産省としても、これは一応考慮すべき問題だ、こう考えまして、そして厚生省のほうにはその旨を伝えております。いまそういう問題も折衝の最中であります。
  79. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 ちょっと岡田君、厚生大臣を要求されますか、あしたでも。
  80. 岡田利春

    岡田(利)委員 あす労働省と一緒に……。  産炭地振興の面で新たな政策が出てまいったわけですが、この具体的な議論はまた別にして、私は、特にこの機会に一つ申し上げておきたいのは、いま炭鉱で坑木の確保ということが非常にむずかしいわけです。確保しても、必要な坑木とそれ以外の雑木を抱き合わせて引き取らなければ、必要な坑木を確保できない。特に木材関係はずいぶん需給関係が変わってきております。パルプなどの面とずいぶん競合してまいりますから、そういう面が依然としてあるわけです。私は、産炭地振興の面から考えても、パイルワクを開発して、これがある程度量産をした場合には、大体いまの松材なんかの場合は非常に高いですから、十尺、十二尺になってまいりますと相当値段は高うございますし、これからも値上がりの傾向があるわけですから、パイルワクを開発をしてこれが実用化できれば、炭鉱では御存じのように相当な坑木を使用しているわけですから、現地でパイルワクをつくって、そのパイルワクが坑内で使われる。坑道に合わしてワクをつくるのではなくして、規格があるのですから、ワクの規格に坑道を合わして掘ればいいわけです。特に排気坑道などにおいて有効なものであると考えるわけです。国策の面からいっても有効ですし、特にこの産炭地振興の面でも、これが実用化されれば至るところに、炭鉱のごく近くに。パイルワク製造工場が生まれてくるわけです。私は非常にこの点は有効なものではないかと思うのですが、別にこれに対していま産炭地域振興事業団や局のほうでもそういう研究をしておることは聞いておりませんし、またそういう開発の意思もないようなんですが、私はぜひこれは、そう予算がかかる問題ではございませんから、産炭地域振興事業団とも十分連携をとって、今年からさっそくパイルワクをつくって試験に使わせるとか、こういう方向をとるべきじゃないか。その実績が、量産して価格も引き合うし、大体これは実用化できるということになれば、新たな政策として出して産炭地振興の一助にするということが非常に有効だと思うわけです。一石三鳥の有効性を持っているのじゃないかと思うのです。この点、ぜひ私は検討してもらいたいと思うのですが、どらですか。ことしそういうことが、別にそのための予算はついておりませんけれども、その程度のことは私は具体化できるのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  81. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま岡田委員から初めてお話を承ったので、ひとつ調査研究してみたいと思います。
  82. 岡田利春

    岡田(利)委員 この際ひとつお聞きしなければならぬのは、釧路火力の問題であります。釧路火力の問題は、昭和三十六年に佐藤通産大臣の時代ですが、全体的な石炭対策の見地から釧路火力を設置することを十分ひとつ検討して意に沿うということで、昭和三十七年十二月の電源開発調整審議会だと思うのですが、ここで一応釧路火力建設の方向がきまったと思うわけです。そうして昭和四十二年の二月には運開をするということで、三十九年度着工という予定でありましたけれども、これはずっと延びてまいりまして、いまだ着工が正式にはきまっていないわけです。しかもこの経過を若干大臣にも申し上げておかなければならぬのでありますが、これは地元で火力建設の問題もございまして、北電側、石炭三社、さらに自治体に火力発電の建設期成会というものができて、三者協議、協力の中でこの問題を進めてまいったわけです。しかも当初は、その火力建設がきまる時点においては、標準炭価というものはまだなかったわけです。ですから、昭和三十六年度、三十七年度にかげてその問題が具体化した場合には、炭の供給、敷地の提供——残念ながら火力のユニットは需給関係から、いまで言えばきわめて小さい七万五千キロワット、この火力建設をするためには三方一両損の原則で、とにかくお互いに了解をしまして、その結果北電側も火力建設に踏み切るということで、電源開発調整審議会できまった。しかしその後需用の問題もありましたし、北電の都合もありまして、延びてきたわけです。いまだ着工していないわけです。いま問題になっておりますのは、敷地は釧路市からすでに提供されて、しかもそれは市内ではなくしてよその隣の村の敷地なのです。村に市が金を出して敷地を提供したわけです。こういう例は少ないわけです。電力会社に発電所の敷地を無料でやるなんということは、例は非常に少ないわけですが、そこまで踏み切って、すでに敷地は提供されて、その整地が完全に終わっているわけです。当時は七万五千ということはその前後にありましたけれども、現時点になってみますと七万五千のユニットは非常に小さいわけです。しかも継続的にさらに七万五千の一基追加できるかどうかという問題は、水の問題がありましてなかなか結論の出ない問題であることも事実なわけです。言うなれば、七万五千ですから、いまにしてみれば非常に特殊な発電所です。しかし標準炭価という問題はその後きまったとは言え、標準炭価があり、石炭側の手取りというものについて保証しているわけですね。ところが七万五千ですから結局発電コストは高くなる。手取りを下げれば炭鉱側が困るということで炭価が折り合わない。当初の精神は互いに尊重しておるけれども折り合わないという事態で、いま足踏みをしておるわけです。しかもそれはすでに敷地をそういう形で無料提供しておるわけですから、地元では政治問題化されつつあるわけです。この当初の三方一両損の原則というものはだれも否定していないのですけれども、この連立方程式をぱっと解くことは、今日の時点では非常にむずかしさが伴ってきたわけです。この解決をはからないでおる。いまの総理大臣通産大臣時代にきまったのが三年も経過をしてしかもまだ着工にも踏み切れない。いま着工してちょうど昭和四十五年夏ごろに運開になるわけです。これが一年ずれるということは四十六年になるわけですから、そういう石炭政策の面からも非常に重大な問題になっているわけです。私は公益事業局長に、七万五千の火力発電所のそういう面からの公益事業側としての考え方、それからいま一応希望している炭価から見た発電コストというものはどうなのか、この点まずお聞きをしてみたいと思います。
  83. 安達次郎

    ○安達政府委員 釧路火力が建設に決定をされました後の経緯は、おおむねただいま先生のおっしゃるとおりでございます。産炭地振興と北海道東部の石炭需要確保というような趣旨で七万五千キロワットの発電所の建設を計画して、それが電源開発調整審議会決定を見ましたのは昭和三十九年でございます。当時これの建設に踏み切った段階におきましては、ただいまの御説明のように、現在の時点では相当小規模のものしかできないわけでございますので、相当高い原価につくということで、北海道電力側としましては、当時踏み切るにつきましても、相当経済性の確保できる程度炭価でというような前提で、そのような形で石炭側との話し合いがされておったようでございます。それで電力サイドではほかの江別火力とか奈井江火力等のキロワットアワー当たり約二円七十九銭あるいは二円四十六銭というような発電原価などとのにらみ合わせ等からも考えまして、その規模の小ささを前提としましても、おおむね三円程度に押えたいというような前提で、大体千八百円程度炭価を期待しておったようでございます。ただいまの先生の御説のように、いま基準炭価関係からおおむね二千百五十円程度、ぎりぎり勉強してもその辺のところというようなことにもなっておりまして、そのようなことで、これは仮りの計算でございますけれども、おおむね稼働率七〇%程度に見まして、かりに千人百円程度では大体三円程度でございます。基準炭価ベースでいきますとおおむね三円四十銭程度ということになります。それで、その発電電力量からのマイナスの費用というものは、おおむね年間一億八千万程度の赤字が出るという計算に、この比較だけでは出るわけでございます。そこで、その話し合いを進める過程におきまして、これはそういう先ほどの御説のように、特殊の経緯を持って建設に踏み切った関係もあり、もしもまとまるならば、二千円程度まで譲歩してもというような会社側の意見もあったようでございまして、二千円程度でいきますと、単価はおおむね三円十銭程度というようなアワー当たりの単価が出る計算になっております。  なお、これはおおむね会社側の原価において申し述べた次第でございますが、これは公益事業行政の立場から考えました場合に、ことに北海道はああいう広い地域に相当広範な送電網、配電網を持って電力を供給するような事情にございまして、過去におきましては相当の未点灯部落などが数多くあったわけでございます。これの解消対策といたしまして、共同受電ないしは共同自家発電というような形で、いわゆる電灯のつかない家庭を消すという施策が長年行なわれてまいりました。相当日にちがたちまして、ただいま施設も伸び、同時に個々の需用者から見れば、電力料金の負担が、いわゆる北海道電力の一般需用に比べて二倍、三倍というような料金を払ってやっておるわけでございます。このような共同受電ないしは共同自家発電を一般供給に切りかえるということを目標といたしまして、実は六カ年計画などを立てまして、ただいま財政上の援助なども予算も農林省等を通じて予定しておるわけでございます。それでまいりますと、今後六年後にそのような一般供給に切りかえなどが終わりまして——実はただいまの試算では十数億の毎年の赤字なども見込まれております。もちろんこういう数字は、会社側は企業合理化などによって吸収するのが当然でございます。そのような事情もございまして、会社側は釧路火力に限らず、合理化の努力をいたしているわけでございまして、ただいまの釧路火力建設のために単価の面でもさらにもう一歩協力して、いわゆる発電原価が上がってもいいという覚悟でやれというような指導をするのはいかがなものか、というふうに私たちは考えているわけでございます。
  84. 岡田利春

    岡田(利)委員 それでは、ちょっと石炭局の事務当局にお聞きしますけれども、釧路炭田の一般炭昭和四十一年度生産量昭和四十五年度の出炭規模は大体確定していると思うのですが、どのようになりますか。
  85. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま手元に資料はありませんが、大体釧路地域には太平洋炭礦と明治礦業とそれから雄別炭礦の一部があるわけでございますが、その中で今後増産になりますのは主として太平洋炭礦、これがその大宗をなすのではないかと思います。太平洋炭礦の今後の増産計画については、現在会社側におきましてなお検討中でございまして、まだ確定はいたしておりませんけれども、それにしましても、今日から四十五年までの間には、やはり五十万トン以上の増産になるのではないかというふうに考えております。ほかの炭鉱につきましても、若干のもちろん増産はございますが、それほどの伸びではないというふうに見ております。
  86. 岡田利春

    岡田(利)委員 御存じのように、太平洋、さらに雄別の上茶路炭鉱の開発、これが進んでまいります。さらにまた、本岐は御存じのように三菱との鉱区調整がほぼ内定しましたから、確定すれば五割以上は増産されるわけです。一般炭の産出量としては、他の炭田地区に比べて、九州、北海道の主要炭田は別でございますが、筑豊、石狩以外の炭田としては、非常に有望な炭田地帯なわけです。しかも御存じのように、北海道といっても釧路炭田と石狩炭田というのは、急行に乗っても六時間かかるわけです。福岡と長崎より遠いのですから、東北六県プラス新潟の面積があるのです。北海道の道東の端と道央ではずいぶん遠いわけです。ですから、いわば離れている県だという理解に立たなければならないわけです。そういたしますと、北海道にどういう火力発電所ができても、釧路炭田の炭を供給することはできないわけです。ですから、結局釧路炭田の場合には、六千カロリー以上の高カロリーのものを揚げ地に送って、需要対策を立てるということでいままでまいったわけですね。しかし、各炭田別に火力発電所が配置されましたのは、そういう関係からいって石炭対策の面があり、釧路炭田の釧路火力というものが佐藤通産大臣当時決定をしたわけです。しかし、残念ながら道東地域でありますから、需用面から見たら、ユニットは七万五千キロ、当時はそうみみっちくもなかったのですけれども、最近ですと非常に小さなユニットのものになった。しかもそれをさらに二基増設していくという計画をいますぐ策定するわけにはいかない。いわば時間の経過もあり、置かれておる状態も他の地域と違ったファクターが非常に重なっておるわけです。しかし、私は石炭対策特別委員として、いままで石炭産業の安定をはかるという立場で国政で努力してきたという面から考えれば、やはり基準炭価が設定された以上、基準炭価というものを尊重しなければならぬ。しかし、基準炭価の面でいくと、いま公益局長が言ったように、発電コストが非常に高くなる。同じ通産省の内部でございますけれども、これはそういうファクターがあるわけであります。ここに荒玉参事官がおりますけれども、当時札通局の局長をしておられましたから、よくわかっておると思いますけれども、しかし、これは依然としてこのままにいったら解決しない。ですから、このまま放置するということは、時間をかけてやめるとは言わないけれども、来年やれといっても、この問題が解決しなければ来年も着工にはならない。再来年も着工にはならない。やはりこの問題を解決しなければゼロか一〇〇か、やらないかどうかということです。やめてしまうかどらかという問題です。非常にめんどうな問題になってきたわけですね。時間の経過もあるから、この点を解決しないで——そこまで地元にも協力させ、そういう建設も認めた。しかし、条件も変わり、別なファクターが出てきた。大臣、これは事務ベースでは解決しないですね。しかも、釧路炭田だけは高カロリーのものは揚げ地に送ることができても——五千カロリーですか、当時三千五百カロリーの低品位炭の火力で出発して五千カロリーまで上げてきた。それを船で送ってきたのではとても採算に合わない。しかし、増産傾向の炭田である。しかも炭質は均質である。そういう面では非常に有利な条件があるわけです。これをこのまま放置しておくということは、幾ら世は無責任時代とはいえ、無責任過ぎるではないか、こう私は考えるわけです。これはやはり少なくとも大臣のところで解決しなければ解決しないのではないですか。やはりいろいろ総合政策もあるわけですから、そういう面もにらみ合わせて、大局に立って決断をふるって解決しない限り解決せぬと思うのです。しかもこれはずいぶんお互いに関係者は努力してきているわけです。非常に熱心に努力してきておるけれども、まとまらない、実らないという状態に置かれているわけです。しかもそれは緊急を要する問題です。二、三カ月過ぎてしまうと、北海道は御存じのように真冬は工事ができませんから、完全に一年おくれてしまうわけです。これは九州の場合と事情が違うわけです。その点、今年着工という点は緊急を要すると思います。これは大臣のところまでいっていないと思うのです。局長の上には事務次官もおるし、政務次官もおるし、大臣もおるのですから、通産当局として、これはそういうハイレベルで解決しなければいけないと思うのですが、いかがですか。
  87. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話はきょう初めて承ったのですが、数年前にきまっていたことが、今日まで実現しなかったという点について、先ほどからいろいろむずかしい事情があるということは、よく承知いたしました。しかし、これは当然解決すべき問題だと思いますので、その点については、ひとつ地元の岡田委員あたりにも大いに奔走してもらって、政府としてもまた何とか善処したい、こら考えております。
  88. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣、これは早急にやらなければ四十五年には間に合わないといろ問題なわけですから、四十五年がめどであれば、少なくとも三年前の懸案事項がそれ以降におくれるということは政治上責任もある問題ではないか。またわれわれ関係者もその一方の責任を痛感しなければならないと思うわけです。そういう意味で、特に昭和三十六年、三十七年は北海道の道東の特殊気象条件で、みぞれが降って送電線が遮断されて、あそこは御存じのように本州、十条の紙パルプ工場もございますし、そういう工場への影響、あるいはまた炭鉱が水没するのではないか、こういう事態が起きて地域の安定供給の面も付加されておる問題なわけです。ただ経済上の問題だけではなくして、そういう安定供給の面も特に考えなければならぬ問題なんです。送電線というのは遠く十勝の岩松、糠平水系から送電されてきておるわけです。ですからそういう面からいっても、石炭政策の面からいっても、経過もございますので、何もめんどうなことでやらないといってきたのではなくして、問題は、焦点はきまってきたわけですから、これはそういう面でぜひ解決をしてほしい。私どももそういう点について協力するにやぶさかでございませんので、いままでずいぶん努力はされてきておることは認めるのですけれども、事務局レベルではその決断を下すことはできないと思うのです。やはり石炭政策の立場というものもありますしね。いま公益局長が言った立場もあるわけですから、そういう点で特にその点要望しておきまして、またあとからなお詳しい問題は御説明いたしたいと思います。  時間もございませんから、保安局長に最近の保安状況を聞きたいのですけれども、特に最近の重大災害、この傾向について保安局の見解をお聞きしたい。
  89. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 岡田先生御承知のとおり私先月拝命したばかりでございまして、災害の傾向その他につきましても過去の経緯、それから現在起こっておりますものにつきましても、過去と引き比べまして特徴的なものを的確にとらえるということははなはだまだ勉強不足で、若干の間違いがあろうかと思いますが、大ざっぱにお話をいたします。  石炭鉱山におきます災害の推移についてでございますが、年間の罹災者数を見ますと、昭和三十六年ぐらいから絶対比におきましては相当減少してきております。これを数字的に申しますと三十六年の六万二千七百六十八人、三十七年の六万二千百二十五人というところから四十一年が四万二千六百十一人というふうに下がってきております。ただしその間に鉱山労働者数そのものが逐年減っておりますので、稼働延べ百万人当たりの罹災率といたしましては三十五年ぐらいから三十八年ぐらいに上がりまして、そのまま横にすべっておる。稼働延べ百万人当たり罹災率といたしましては特段の進歩をここ最近いたしておるというわけにはまいらない。ただ、これは反面におきまして、自然条件、採掘条件というものが漸次深部に移行しておりますというような事情もございまして、稼働延べ人員自身の数値で評価をするということにもいろいろ問題があろうかと思います。ただ幸いなことに、四十一年におきましては四十年に比べまして災害による年間死亡者数そのものはたいへん減っております。四十年はこれは御承知の山野、夕張、伊王島という災害がございましたために多い数字でございますが、六百四十一人という数字に対しまして四十一年の数字は三百四十七人と減っております。これは過去の数字といたしまして三十九年の炭鉱罹災の死亡者の三百四十二人というのがいままでに一番低い数字でございます。一番良好な数字であったわけでございますが、これに五人増という形で昨年は順調に推移をいたしております。それから本年に入りまして三月末の状態におきましても、昨年の三月末現在よりもかなり死亡者そのものの絶対数は減っておりまして、ここ数カ月のところ石炭鉱山における災害という面におきましては数字的にはたいへん満足すべき状態でございます。ただ機械化その他によりまして頻発災害と称される、たとえば運搬中の事故というようなものは依然として件数としてたいへん高く出ておりますために、稼働延べ人員当たりの事故率は減らないわけであります。ことに昨今は各鉱山の保安施設、保安教育というものが行き届いておりますために、大事に至らないということで終わっておりますけれども、もし処置の手だてを誤っておりますと災害になりかねなかったという事例、たとえばガス突出でございますとか、自然発火でございますとか、私が辞令をいただきましてから散発しております。そういう意味合いにおきまして、着任いたしましてからも各鉱山の保安部長を中心にした集まりその他におきまして、ただここ最近の数字がよろしいというだけでは安心できませんということにつきまして十分にお話し合いをしておるわけでございます。  以上、簡単でございますが……。
  90. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣の所信表明にも保安の問題は特に第三番目に触れられておる問題なのですが、鉱山保安局長もかわったばかりですから、最近の重大災害、それを資料でひとつ報告してください。
  91. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 わかりました。
  92. 岡田利春

    岡田(利)委員 あとまたあらためてこの問題いろいろ議論しなければならぬと思いますから、そのときにしたいと思います。  あと一、二点で終わりますけれども大臣は筑豊を回ってこられましたね、まだ北海道には行っておられませんけれども。例の安定補給金ですね。予算審議が行なわれておりますけれども、百二十円、中小炭鉱及び再建炭鉱に支給をする。しかし当初大臣が新聞談話で出しておるように、これは握り金で二十五億できまった。こういう新聞談話を出されておるわけですが、その面について交付の対象が石炭からいえば変化があるわけでしょう。中小炭鉱で閉山が行なわれるという面もありますから。そうなると、握り金で二十五億できまった、こう言われるのですから、その二十五億円の財源は言うなれば百二十円より安くなることはないでしょうけれども、百二十五円になったり、百三十円、百三十五円になったりする、そういう場合があると思うわけです。そういう理解でよろしゅうございますか。
  93. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御承知のとおり、答申案は百円でありましたので、これを一円でも上げたいと思って、実はいろいろ苦心をいたしまして、幸いに局長や、その他通産省の関係の者が非常に努力をして、それで結局つかみ金二十五億を取りつけております。これでいくと百二十円よりは超過するはずです。しかしつかみ金ですからして、さていよいよこれを支給する場合には多少の考慮の余地があるのじゃないか、こう思っております。
  94. 岡田利春

    岡田(利)委員 これもあまり差がないほうがよろしいと思いますから、そういう弾力性があるという理解でよろしいですね。わかりました。  最後に、鉱区調整の実績が多少出てまいったわけです。石炭がいまつぶれるかどうかということで、鉱区の問題はずいぶん解決しにくい問題なんです。しかし依然として鉱区調整を必要とする個所が非常にあるわけです。ただ、いま緊急に鉱区の調整は必要ない、しかしながら十年先、あるいは十五年先になりますと、鉱区調整は必要であるといろ炭鉱は非常に多いわけです。ところが炭鉱は、御存じのように坑口をつけて骨格坑道を展開しますと、ある一定の限られた鉱区を採掘する前提に立って開坑がなされ、骨格坑道が切られていくわけです。もし事前に、この鉱区は将来自分が採掘できるのだということになりますと、いま掘進補助金を出す骨格坑道でその採掘ができるという前提に立って設計されるわけです。ですから、これも一度掘って、その穴を掘れというわけにまいらぬのですから、相当長期の見通しに立って、いまから鉱区の調整をやることが石炭対策上非常に有効なわけです。しかもいま坑口の開設は非常にきびしゅうございますから、そこに自分が鉱区を持っていても、新規の許可をもらって開坑して石炭を掘るなんということはとうてい考えられないわけです。しかし自分の鉱区ですから、いざ調整をするということになると非常にむずかしいわけですね。私はこう考えるわけです。そういうある長期の見通しに立って、これはもうみなわかっておるわけですから、そういう鉱区の調整を希望するというものは、各社から要請を全部出したほうがいいのではないか。そういたしますと、たとえばAという個所ではある会社が鉱区の競合がある、Bというところではまた競合があるという問題もあるわけです。具体的にその実例は私は申し上げませんが、これは必ずあるのです。そうなってまいりますと、石炭抜本策をここまで踏み切って特別会計をつくったのですから、せめて鉱区の問題はすみやかに解決すべきではないか。しかも鉱区調整の協議会も設けられているわけです。ですから、そういう意味で、少なくともいま開坑する場合の条件としては、二十年間の炭量がなければ開坑は許可しないという厳格な方針を出しておるわけです。そうなりますと、少なくとも二十年、三十年先のフィールドの測定をいまからすることが——坑道掘進補助金を出して坑道を掘らせるわけですから、有効な骨格坑道展開をいまからさせなければならない、こう思うわけです。
  95. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまの岡田委員のお説は、私も全く同感で、積極的にこの鉱区の調整をやるべきだということで、いま事務当局にそういう準備をさせております。
  96. 岡田利春

    岡田(利)委員 これをぜひ具体的に進めてほしいと思うわけです。そのことによって相当効率のいい採掘設計というものが必ず設定される、この個所は非常に多くなってくる、こう実は考えるわけです。そういう意味で、この点はひとつ早急に——現実に必要な申請を待つのじゃなくて、抜本策で、これだけの特別会計をつくった時点で、そういろ面を総括的に検討し、解決できるものはすみやかに解決するという方向をとっていただきたいと思います。  さらに、それと関連をして探炭坑道を切っての炭量確定については、ずいぶん通産省当局も奨励いたしておるわけです。御存じのように探鉱といろのはボーリングで穴をあけても、点を押えているわけですから、いざやってみると、そこがボーリングの場合とは全然予想が違って、採掘不可能あるいは能率があがらない、したがってペイしないという現象がどうしても起きてくるわけです。そのために、やはり探炭坑道についても補助金を出しているわけです。そしてまた一方においては、ボーリングしなければなりませんから、陸上ボーリングが、合理化の長い過程の中でほぼ五割補助の政策を出して、陸上関係については、ある程度のボーリングを一通り終わった、炭田別の調査は終わったいま、これから必要なのは海底調査の問題なわけです。御存じのようにビルドアップの山というのは、海底探鉱がある程度主流をなす傾向があるわけです。三池だって有明だって日鉄だって、これはやはり海底なわけです。ただ湾が浅いというだけです。しかし海底ボーリングの場合には、ボーリングしたあとを、穴をあけっぱなしにできないわけです。そこを完全に密閉をして、将来下を掘っていった場合に浸水のないようにしなければならぬわけです。いま通産省の補助率というものは率として出ておりますけれども、陸上ボーリングと違って海上ボーリングは、そういう面で非常に経費がかかるわけですが、それをやらせなければならない状態に、漸次そういう方向になってまいりました。今年は、九州でさらに今年度予算予算もつけられた。しかしほかは、三菱でもどこでも各山やりたいところはたくさんあるわけです。ところが、この補助率は高いけれども、実際のボーリングにかかる費用の一割程度なんですね、大体私の見当では。あるいはまた場所によっては一割以上になるかもしれませんが、きわめて低いわけです。坑道探査にも補助金を出すわけですから、そういう意味では、ビルドアップの海底の探鉱の調査については、もう少し陸上と同じシステムで、実質上五割なら五割を伴う、こういう政策を打ち出すべきじゃないか。これはもう本年度予算がきまりましたから間に合いませんけれども、これはどうしてもそういうことを真剣に考えなければならないのじゃないか、こう思うのですが、この点についても見解をひとつお聞きしておきたいと思うわけです。
  97. 井上亮

    井上(亮)政府委員 御指摘のように、鉱区調整のためにもボーリングをやりますが、特に海底探鉱につきましては、海上ボーリングをやっているわけでございます。ただ、この技術が、従来やぐら船方式というようなものが支配的な海底調査になっておりまして、現在私どもボーリングに対する補助をいたしておりますが、補助の基準は、従来の一般的なやぐら船の単価を基準にしてやっておりますために、先生ただいま御指摘のように、もっと優秀なボーリング船による最新鋭の探査というようなことになりますと、それが五割が一割になるというようなおかしな結果になっているわけでございまして、いままでやぐら船が一般的にそろいう方式であったということから、予算単価はそれをとられておりますが、御指摘のような点がございますので、私ども今後さらにそういった研究とあわせて改善するように努力をしていきたいというふうに考えております。
  98. 岡田利春

    岡田(利)委員 局長、今年の出炭規模は確定しましたか。それと同時に、昭和四十五年までのそれぞれの再建計画の提示を求めているはずなんですが、その四十五年度までの各社の出炭規模の確定の見通しはいつですか。
  99. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま先生御指摘のように、いま石炭各社につきまして再建整備計画の検討をいたしております。  それからなお、国会にお願いしておりますあの再建整備法、これに基づく再建整備計画、これを受けない企業につきましても今後の長期の計画、長期の合理化計画といいますか、近代化計画、そういったものを検討いたしておるわけでございます。  昭和四十二年度、本年度の大体出炭の目標は、これは先般審議会でも決定いただきまして五千三十万トンというふうにきめておりますが、四十五年度には、ただいままだ再建整備計画をいろいろ各社検討中でございますので、はっきりした決定はいたしておりません。いたしておりませんが、まあ私の大体の見通しでは五千百万トンに少し足りない、五千七十万トン程度ではなかろうかというふうに考えております。
  100. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は時間もたちましたから以上で終わります。またいずれ法案審議の過程で具体的に掘り下げて議論できると思いますので、以上で終わります。
  101. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 ちょっと政府委員の方に要請しておきますが、石炭関係資料ですね、法案等を含めて、統計をひとつ出していただきたい。  次会は明二十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会