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1967-03-22 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十二日(水曜日)    午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 西岡 武夫君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君    理事 池田 禎治君       佐々木秀世君    齋藤 邦吉君       中村 寅太君    野田 武夫君      三ツ林弥太郎君    木原津與志君       細谷 治嘉君    渡辺 惣蔵君       田畑 金光君    大橋 敏雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君         労 働 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    森  五郎君         労働政務次官  海部 俊樹君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君     ————————————— 三月二十二日  委員廣瀬正雄辞任につき、その補欠として三  ツ林弥太郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員三ツ林弥太郎辞任につき、その補欠とし  て廣瀬正雄君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、石炭対策基本施策について、通産大臣並びに労働大臣からそれぞれ所信を承ることにいたします。菅野通産大臣
  3. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 第五十五回特別国会におきまして石炭対策特別委員会の御審議をいただくにあたり、一言ごあいさつ申し上げます。  御承知のとおり、石炭鉱業につきましては、従来から、第一次及び第二次石炭鉱業調査団答申に基づき諸般にわたる施策を講じてまいったところでありますが、エネルギー革命進行過程における石炭鉱業の構造的な危機は予想以上に急迫の度を強め、現状のまま放置することを許されない情勢に立ち至っております。  このため、石炭鉱業審議会は、一年有余にわたる慎重な審議を経て、昨年七月、石炭鉱業抜本的安定対策について答申を行ない、政府といたしましても、同年八月、この答申を尊重し、石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行ない、今後の石炭対策基本的方向を確立した次第であります。  その内容としましては、第一に総合エネルギーの中における石炭の位置づけを五千万トン程度とし、そのための需要の確保については、長期的観点に立って五千万トン以上となるよう積極的に努力することとしております。このため、電力及び鉄鋼業界に対しては、合理的な負担増対策を講じ、長期引き取り体制を確立するとともに、電源開発株式会社石炭専焼火力発電設備建設計画を繰り上げることとし、所要財政措置を講じております。  第二に石炭鉱業の安定をはかるため、炭鉱近代化機械化を一層促進するほか、炭層探査及び坑道掘進に対する助成制度を拡充強化することといたしております。  また、過去の閉山合理化過程において発生した過重な債務約一千億円を市中金融機関については十年間、政府関係金融機関については十二年間たな上げするとともに、その間において当該債務元利を毎年均等に償還するための補給金交付することとし、あわせて必要に応じ、一定額安定補給金交付することとしております。  なお、鉱区の再編及び調整流通体制整備についても、これを強力に推進するとともに、新鉱開発重点的促進炭鉱終閉山円滑化をはかることとしております。  第三に、保安確保雇用の安定は石炭鉱業安定の基礎であることにかんがみ、人命尊重基本に立って保安に関する監督指導体制充実、強化し、保安教育訓練の徹底を期するため鉱山保安センター設置をはかるとともに、特別年金制度実施等労働者の安定した職場を確保するよう努力することとしております。  第四に、鉱害について、その総合的かつ計画的な処理を促進するとともに、鉱害復旧事業に伴う地方公共団体財政負担の軽減をはかることとしております。  第五に、産炭地域振興については、新長期計画を早急に策定し、産業基盤整備、及び中核企業誘致を強力に推進することとしております。  また、今回、これらの画期的な石炭対策実施するに際しまして、その内容を他の会計と区別して明確に経理するため、石炭対策特別会計を創設することといたしております。  以上の方針に沿いまして、これまで、対策具体的措置について鋭意検討してまいり、その一部はすでに実施に移しているところでありまするが、抜本的な安定対策の大部分は、本国会で御審議をいただく立法措置及び予算措置の成立を待って早急に実施をはかってまいる所存であります。  私は、さきに石炭対策重要性を現実に認識するため、筑豊地域を視察する機会を得ましたが、石炭問題の実情につぶさに接し、このたびの抜本的安定対策が早急に実施されなければならぬことを、従来にも増して、痛感いたした次第であります。  石炭対策につきましては、単に石炭鉱業としての問題にとどまらず、エネルギー安定供給雇用の安定、国際収支地域社会経済等をも含めた国民経済的観点からする国家的課題とされているところであり、私といたしましては、今後とも、その解決に一そうの努力を傾注してまいる所存であります。  先にも申し上げましたように石炭鉱業の直面している事態はきわめて緊迫しており、産業存亡危機に立つものというても過言ではない現状であります。したがいまして石炭対策実施はきわめて緊急を要するものであり、関係方面の深い御理解とあたたかい御支援がぜひとも必要とされるものであります。  本委員会におかれましても、この事情を御賢察の上、今後とも、一そうの御協力を賜りますようお願いする次第であります。
  4. 多賀谷真稔

  5. 早川崇

    早川国務大臣 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について、一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  昨年七月、石炭鉱業審議会から石炭鉱業抜本的安定対策に関する答申が行なわれたところでありますが、今後答申に基づく諸施策が講ぜられる過程におきまして、閉山合理化に伴う新たな離職者発生が予想されております。  このような事態に対処するため、昨年十二月の臨時国会において、炭鉱離職者求職手帳発給要件の緩和、移住資金支給対象者拡大等、急を要する事項について、炭鉱離職者臨時措置法改正が行なわれたところであります。引き続き、今特別国会においても、離職者対策充実を期するため、炭鉱離職者が自営業を開始する場合における自営支度金支給開業資金を借り入れる場合の債務保証炭鉱離職者臨時措置法廃止期限延長等措置を講ずることとし、炭鉱離職者臨時措置法改正案の御審議を願うことといたしております。  次に、石炭鉱業における労働災害は、昨年におきましてもガス爆発等災害が続発し、まことに遺憾と存ずるのであります。今後とも、一そう、通商産業省との連携を密にし、鉱業労働災害防止協会による自主的災害防止活動積極的展開をはかる等石炭鉱業労働者を危害から防止するよう努力いたす所存であります。また、不幸にして事故にあわれた労働者保護につきましては、従来からも努力してまいったところでありますが、なかんづく一酸化炭素中毒患者に対する医療対策につきましては、三井三池の災害発生以来、専門病院及びリハビリテーション施設の開設、産炭地付近労災病院高圧酸素室等救急器材整備する等、被災労働者保護に万全を期してきたところであります。また、かねてから各方面から要請されていた一酸化炭素中毒症に関する特別対策については、現在労災保険審議会において審議をお願いしているところであり、成案を得次第、今国会法案を提出する考えであります。  なお、石炭鉱業における賃金不払いについては、かねてから監督指導につとめてきたところでありますが、昨年末の石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部改正による石炭鉱業合理化事業団交付金大幅引き上げ等により、今後、賃金不払いの解消が促進されるものと期待されるのでありまして、労働省としても、関係機関連絡を密にし、さらに一そうの努力をしてまいる所存であります。  以上当面の諸施策について所信の一端を申し上げた次第でありますが、今後とも各位の御意見を十分拝聴しながら行政の推進に一そう力を尽くしてまいりたいと存じます。
  6. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 この際宇野通商産業政務次官及び海部労働政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。
  7. 宇野宗佑

    宇野政府委員 先般の改造にあたりまして、通産政務次官に再任されました宇野でございます。どうかよろしくひとつお願いします。(拍手
  8. 多賀谷真稔

  9. 海部俊樹

    海部政府委員 引き続き労働政務次官に任命されました。よろしくお願いします。(拍手
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 引き続いて、昭和四十二年度通商産業省所官の、石炭関係予算及び提出予定法案概要について政府説明を求めます。井上石炭局長
  11. 井上亮

    井上(亮)政府委員 昭和四十二年度石炭対策関係予算概要につきまして御説明を申し上げます。  お手元資料があるかと思いますので、その資料に従いまして御説明申し上げます。  お手元資料は、昭和四十二年度石炭対策特別会計予算概要という題になっております。  まず石炭関係予算内容でございますが、昭和四十二年度からは、石炭対策特別会計が新設されるということになりまして、この国会で御審議をいただく予定になっております。この石炭対策特別会計内容といたしましては、従来の通産省石炭局予算、そのほかに通産省の中で電発出資等は、これは公益事業関係になっておりましたが、こういった出資金特別会計内容に入れるということに相なっております。それからなお従来問題になっておりました産炭地振興の問題、これは従来石炭局関係予算でございますが、これも特別会計の中に入れるという方針に相なっております。それから鉱害対策につきましては、通産省関係予算と、農林省等他省にまたがる鉱害対策予算があったわけでございますが、これらを一括いたしまして、この特別会計に計上するという方針にいたしております。それからなお保安の問題はもちろんでございますが、労働省所管でありますところの、炭鉱離職者援護対策関係予算も、この特別会計の中に包含されるというような形をとっております。全体といたしまして、特別会計規模といたしましては、この資料の二枚目の末尾に書いてございますが、五百二十一億八千万円、これが石炭対策特別会計予算全貌でございます。  内容といたしましては、一ページ目に戻りますが、まず石炭鉱業合理化事業団出資金といたしまして、ことし六十六億でございますが、四十二年度は四十五億七千万円。その内訳は下に書いてありますように、近代化資金出資金、それから炭鉱機械化促進出資金、これはいわゆる機械貸与と申しておりましたものでございます。主として中小炭鉱向けに考えたいという内容でございます。さらに、再建資金出資金、五億計上されております。この再建資金は、従来は財投から出資されておりましたが、今回から、財投からでなく特別会計から出資するという方針をとったものでございます。なお備考欄にいろいろ重点的な項目が列挙されておりますが、特にこれらの予算出資金につきまして、重点的に、今後の炭鉱近代化なり、新鉱開発なり、中小炭鉱振興なり、保安整備充実なりに努力してまいりたいというふうに考えております。  それから二番目の項目といたしましては、炭層探査及び坑道掘進費補助金でございますが、特に坑道掘進の補助は、従来はただいま説明申し上げました合理化事業団近代化資金出資金の中で見ておったわけでございます。それを振りかえて、ここに坑道掘進費補助にいたした次第でございます。振りかえでございます。したがいまして、ここに坑道掘進費補助にいたした次第でございます。振りかえでございます。したがいまして、合理化事業団出資は、ことしは六十六億でありましたが、来年度は四十五億に減っておりますが、減っておりますほとんど全部のものはこの坑道掘進関係をここから除いたということに基因いたします。この関係として五十億の予算を計上いたしました。それから第三番目は石炭鉱業元利補給金でございますが、これは先ほど大臣所信表明でもお話しになりました、石炭鉱業の今日の苦況の非常に大きな原因は、過去数カ年にわたりまして急激かつ大規模閉山合理化を行ない、いろいろな千二百円引き等の悪条件のもとに累積実質債務が、赤字が非常に累増したということ、それと関連いたしまして異常債務が非常にふえておりまして、これの負担にたえられない。したがって、過去の閉山合理化過程から生じましたこういった過重な負担を軽くするというために、答申におきましても、千億円相当を十年ないし十二年で元利均等償還しようという方針に相なりまして、その初年度として百二十五億を計上されておるわけでございます。それからその次が石炭鉱業安定補給金二十五億円でございますが、これは答申趣旨では、中小炭鉱等に限る筋合いではなく、一般論としてうたわれておりますけれども、予算関係その他実情を見まして、主として中小炭鉱を中心といたしまして、それに特に再建を必要とするいわゆる再建炭鉱再建資金交付を受けて特別に経理審査会等の監視を受けております再建会社、これに初年度は限定して交付したいという性質でございます。  それからその次は石炭増加引取交付金でございます。四十一億計上しておりますが、これは諸先生御承知のように、従来原重油関税還付制度を実行しておったわけでございますが、四十二年度からは還付制度を改めまして、還付するかわりに交付金の形で、引き取り数量に応じまして、電力については重油との価格差、鉄につきましては輸入価格との価格差につきまして交付金交付するという方式に改めたいというための予算でございます。  それからその次は電源開発出資でございますが、これは従来産投出資でやりましたが、今回特別会計をつくるに際しまして、特別会計の中からこの出資金を見るという趣旨から二十億を計上いたしております。これは既存の三基新設とそれから本年度から始まります追加二基、合計五基分の本年度所要出資額でございます。  それから次は災鉱整理促進費、いわゆる通俗的には閉山交付金と称しておりますが、これは六十三億、お手元資料にも書いてありますように閉山規模といたしましては、予算規模としましては、三百三万トン、それからなおそのほかに保安不良炭鉱整理費が六万トン程度予定されておりまして、合計しまして三百九万トン程度閉山を予想いたしまして予算措置を講じております。  次に鉱害対策費でございますが、鉱害対策鉱害復旧事業費としては六十億でございますが、そのほかに無資力鉱害調整費「億一千万円、それから鉱害基金利子補給金三千万円、鉱害基金出資金」これは要するに融資であります。融資基金でございますが、二億円、合計いたしまして六十三億五千万円、本年度四十六億に対しまして相当な伸びに相なっております。  それから次は産炭地域振興予算でございますが、産炭地域振興予算につきましては金額伸びは少ないわけでございますが、これは率直に申しまして現在、産炭地域振興事業団融資資金余裕がありますために、むしろ金額総額の問題ではなくて、新規項目をいかに確保するかが、私ども予算折衝の大きな問題として努力いたしました。その結果ほとんどの項目が一応生かされまして、たとえば工業用水開発補助金等につきましては新たに大北川を加えるとか、あるいは融資につきましても従来融資比率が四〇%程度融資を考えておりましたのを特に中核企業誘致に際しまして六割に引き上げるというような措置を講ずることにいたしております。そのほか新規のものとしては事業団出資業務一環といたしまして、活性炭製造事業につきまして政府が本年度事業に引き続きましてさらに新規のものとして五千万円計上いたしております。  なお工場建物貸与制度、従来もこれは懸案でございましたが、新規にこの制度を認めてもらいまして、四十二年度から企業誘致の重要な一環といたしまして、工場建物事業団がつくりまして、誘致企業に対して貸与するというような制度を始めたいというふうに考えております。  その下に保安センターを入れておりますが、これは誤りでありまして、保安センターはその下の保安確保対策費三億円の下にこなければいかぬのでありまして、これはカッコのくり方が間違っておりますので、その点を訂正させていただきます。  以上が石炭局関係予算でございます。  なおこのほかに保安局関係保安対策予算があり、先ほども申しましたように、労働省関係予算が五十億ついておるということで、この二つにつきましてはあとから御説明があると思いますが、いずれにしましてもこれらを全部ひっくるめまして五百二十一億八千万円の特別会計ということに相なるわけでございます。  なお特別会計につきましてはただいま法案の準備を急いでおりますが、一応大蔵省の手元成案を急いでおります。内容といたしましては、これは近く明確になろうかと思いますが、まず歳入面におきましては原重油関税の収入、それに必要がある場合には一般会計からの繰り入れを行なうことができるというような改正になろうかと思います。しかしこれらについてもし将来余裕が出ればそれはもちろんその余裕につきまして国庫に返済するというような規定が入るのではないかというふうに考えております。  以上、特別会計全貌石炭局関係予算内容を御説明申し上げた次第でございます。  なお申し落としましたが、石炭関係財政投融資関係資料が一枚入っておりますので簡単に御説明申し上げます。  これは、開発銀行関係は、四十一年度の当初が百十億、四十二年度は同額の百十億をそれぞれ計上しております。それから合理化事業団関係は、政府資金が、当初は五億でございましたが、四十二年度十五億、再建資金は、先ほど申しましたように、財投でなくて特別会計から出すことにいたしましたのでゼロ、それから産炭地域振興につきましては、従来四十一年度におきましては三十八億でありましたのを四十億、鉱害は十八億、合計いたしまして百八十三億、これは石炭関係財政投融資計画全貌でございます。今年度百六十六億に対して、四十二年度百八十三億ということに相なるわけでございます。  以上、簡単でございますが、予算財投の御説明を申し上げました。  それでは引き続きまして、ただいま政府部内におきまして検討中でございますが、当委員会に近くお願いいたします現在作成中の法律案問題点骨子を簡単に申し上げさせていただきます。  通産省関係法律案といたしましては、一応ただいま三法用意いたしております。第一は、石炭鉱業再建整備臨時措置法でございます。これは先ほども、予算説明の際に申し上げましたように、石炭鉱業も過去数年にわたりまして急激かつ大規模合理化が行なわれてまいりましたが、その過程でぬぐい切れない過重な負担を現在負っております。これを軽減いたしますための措置をこの法律で明らかにいたしたい。つまり、元利均等償還のしかた、仕組みの問題を、この法律の中で明らかにいたしたい。この元利均等償還をするに際しましては、やはり無条件でやるのではありませんで、その損益状況だとか、あるいは当該石炭鉱業の今後の資源政策的な立場から採掘可能炭量通産省令で定める基準に該当するような、つまり今後とも石炭安定出炭のために相当な炭量を持っておるというような企業、あるいは損益状況等について異常な累積赤字を持っておるというようなことが条件になるわけでございまして、そういったような企業再建整備計画をつくってその再建整備計画が妥当である内容であります場合に、そういう認定を通産大臣がいたしました場合にこの肩がわり措置の適用を受けるというような仕組みにいたしております。なお、この法律の中にはさらに、いわば国の助成の恩典を受けます企業に対しましては、経理規制を従来の経理規制以上に強化するというような、経理規制強化内容もこの法律の中でうたう予定にいたしております。以上が石炭鉱業再建整備臨時措置法のおもな骨子でございます。それから第二に、臨時石炭鉱害復旧法臨鉱法の一部改正をいたしたいと思います。臨鉱法につきましては、これは特別会計ができましたことと関連いたすわけでございますが、特別会計設置に際しまして、できるだけ共管役所を少なくするというような配慮をいたしました。これは七省共管とか八省共管特別会計というようなことはあまり前例もございませんし、機構の事務連絡だけで混乱するというようなことがあっては、せっかくつくりました特別会計趣旨も十分果たせない、またそんな前例もないというようなことから、できるだけそういった責任官庁を簡素にいたしたい。そのために、特に鉱害関係については非常にたくさんの役所にまたがる行政でございますので、実際の業務につきましては、たとえば農地の復旧計画そのものにつきましては、当然従来どおり農林省監督指導のもとにやっていただくわけでございますが、特別会計からの金の流れにつきましては、この鉱害関係についてはすべて鉱害復旧事業団を通じて出していく、つまり納付金の徴収も鉱害復旧事業団がやりますし、これは従来もやっております。国の復旧費流れも各省にばらばらにやるのではなくて、すべてこの鉱害復旧事業団を一元的に通して整然と復旧ができるようにというような体制をとりたいという意味から、所要改正を講じたいということでございます。  それから三番目の法律といたしましては、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正でございますが、これはまず第一点といたしましては、現行の法律によりますと、石炭鉱業合理化基本計画目標年次は現在昭和四十二年度ということになっておりますが、これを昭和四十五年度に改めたいということでございます。それからさらにこの事業団主要業務廃止期限が四十二年度に歩調が合っておりますが、これを同じく四十五年度まで延長いたしたいということ。それからさらには、ややこまかくなりますけれども、再建資金を無利子として償還期限その他の貸し付け条件を規定したいとか、あるいは経営改善資金債務保証につきまして、その対象を拡大いたしたい、あるいはこの前の国会でも問題になっておりましたが、要するに事業団が買い上げましたあと消滅鉱区について石炭以外の鉱物を、主として耐火粘土というようなものを目的とする鉱業権の設定につきましては、これを禁止したほうがいいではないかというような国会の御意見もありましたので、こういった点についてもただいま検討を加えておる次第でございます。  なお、以上申しました法律につきまして、大体石炭鉱業再建整備法鉱害臨鉱法の一部改正法律は大体月末法制局審議を終わりまして、三十一日の閣議あたりで一応閣議決定になるのではないか、そういう運びになるのではないかというふうに考えております。  なお、三本目の合理化臨時措置法の一部改正は、法制局審議関係が非常に殺到しておりまして、なかなか時間的に間に合いかねる。それから内容につきましても、先ほど来御説明しましたように、いろいろ配慮いたしておる点もありますので、ちょっと審議がおくれますが、四月末ごろに国会上程運びになるのではないかというふうに考えております。  以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。
  12. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に鉱山保安局関係予算概要について森鉱山保安局長説明を求めます。森鉱山保安局長
  13. 森五郎

    ○森政府委員 昭和四十二年度鉱山保安局関係予算概要につきまして御説明申し上げます。  お手元に四十二年度の鉱山保安局関係予算概要というのを差し上げてございますが、それに従いまして御説明申し上げます。  まず一番から十二番までというのは、先ほど石炭局長から御説明がございましたように、これは一般会計で支出いたします事務費関係でございます。この中で一番重要な、われわれ重点に置きましたのが一番の鉱山保安監督検査関係の費用であります。これは旅費と庁費とございますが、おもに旅費の増額と監督装備の強化ということに重点を置いた項目でございまして、七千七百万円の前年度予算額が今年度九千三百万円というふうに増額をいたしております。  次には三番の鉱山保安技術対策費でございます。これは従来とも中央におきまして炭鉱の技術者あるいは学校の先生等々集めまして、落盤であるとか、ハッパであるとか、あるいはガス突出等についてそれをどうやって予防するかという委員会を持っておりますと同時に、炭鉱で実際にガス突出の予知方法等についてこれを実験をするという委託費が、これも特に最近はガス突出等で単に埋まって犠牲になるという災害あとを絶たない現状でございますので、こういった点について技術的に十分突っ込んだ検討をしてまいりたいという関係予算でございます。  それから、十三番以下十九番まで番号を打ってありますが、これはすべて、先ほど石炭局長から説明をされました石炭特別会計に入る予算でございます。この中で、われわれ四十二年度として一番重点を置きましたのは、この十六番の鉱山保安センター設置費でございます。ここに三分の二と書いてございますように鉱業労働災害防止協会というものを対象に考えておりますが、それに対して国が三分の二補助金を出す。それから三分の一は業界が負担をするというかっこうで、この保安センター設置が実現できるということに相なり、この来年度予算の一億五千万円では、事業費はこれが三分の二でございますから、二億二千五百万円に相なるわけでございまして、九州と北海道、大体九州では約計画の八〇%程度、北海道では約六〇%程度の施設が完了する予定でございます。なお、そのあとにつきましては、四十三年度以降において要求してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、十八番目の石炭鉱業合理化事業団出資というのがございます。これは石炭局長説明がありました近代化資金出資金の中に入っておりますが、この備考のほうに保安専用施設、保安施設というのが書いてあります。十七億五千万円が四十一年度、四十二年度が十二億九千万円と書いてございまして、この四十一年度の十七億五千万円の中には、御承知のように坑道掘進の関係融資が約四億何がし入っております。これがことしは炭層探査並びに坑道掘進補助金ということで、先ほどの坑道掘進関係補助金のほうに回わりまして、従来の無利子融資が、今度は補助金ということに強化をされました関係上、五十億の中に入っておりましたのでこれから抜きまして、この十二億九千万円につきましては、保安専用施設と保安施設だけになります。これで若干金額が減っておるように見えますが、償還金等もございますので、融資規模は去年とほとんど変わらない。坑道は持っていかれたけれども、それだけのものが保安施設費並びに保安専用施設に回る、こういうかっこうに相なろうかと思います。  以上鉱山保安局関係につきまして大体重点に考えられます予算はほぼつけてもらったというふうに考えておる次第でございます。
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 続いて昭和四十二年度労働省所管石炭関係予算及び提出予定法案概要について政府説明を求めます。有馬職業安定局長
  15. 有馬元治

    ○有馬政府委員 私のほうの炭鉱離職者援護対策費の関係の御説明を申し上げます。総額におきましては五十億三千三百五万五千円、昨年との比較において三億九千九百八十七万一千円の増でございますが、内訳のおもなものは、緊就事業関係補助金、これは今年の吸収人員五千四百人から、来年度は五千二百人と若干の減になっております。事業費単価は千九百円から二千百円と増になっております。それから援護対策関係補助金でございますが、二億四千三百万円ほど三角がつけてありますが、今年度までの繰り越し金が五億程度ございますので、それを加えますと、前年度よりも増額になる予定でございます。そのおもなものは移住資金支給費が従来予算単価七万二千円でございましたが、これを九万二千円と大幅に単価の増額をしております。それから新たなものといたしましては、自営支度金を創設いたしたいと思いますが、これは新規事業を開始する場合に、支度金を支給する制度でございますが、この分が二千四百二十万円、こういったものがおもな内容でございます。  それから訓練補助金、これは五千百三十一万円、それから次に就職促進手当、これは最高日額を現在の五百七十円から六百十円に引き上げるという内容のものでございますが、これに伴って昨年度より四億六千九百九十八万円の増を考えております。これは対策人員も昨年度より若干増加いたしまして、来年度は今年度からの繰り越し求職者八千八百人を加えまして、新規の求職者が一万一千二百人出る予定でございますので、合計二万人を新規の要対策人員として考えておるわけでございます。  以上が予算のあらましでございますが、提出法案の点につきましては先ほど労働大臣所信表明の中で申し上げたとおりでございます。
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十六分散会